説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】 ドライエッチングにより半導体基板やポリシリコン層に生じるダメージ層を効果的に除去して、寄生抵抗や接合リークが低減された半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】 半導体装置の製造方法は、半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を、ドライ工程によりエッチングする工程と、前記エッチングにより前記半導体基板上に生じたダメージ層を、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、不純物含有半導体層と導電体膜とのコンタクト部を有する半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路の微細化につれて、コンタクトホール等のアスペクト比が高くなる一方で、半導体基板に形成される不純物拡散層が浅くなってきている。また、ゲート電極の線幅や間隔も狭くなってきているが、シリサイド形成領域の確保が必要である。
【0003】
コンタクトホールは、通常、図1(a)に示すように、レジストパターン1004をマスクとして、絶縁膜1003をエッチングすることにより形成される。シリコン酸化膜(SiO2 )による絶縁膜1003をエッチングする場合は、たとえば、フロロカーボンガスを使用し、プラズマエッチングによりシリコン基板1001に形成された不純物拡散層1002が露出するまでエッチングを行う。
【0004】
シリコン酸化膜1003をプラズマエッチングするには、プラズマ中のイオンエネルギーを1KeV以上まで上昇させる。このため、シリコン酸化膜(絶縁膜)1003の除去後に露出する不純物拡散層1002をオーバーエッチングする際に、イオンの衝撃により、不純物拡散層1002にダメージ層1005が形成されてしまう。このダメージ層1005は、プラズマエッチングにより打ち込まれた炭素イオンがSi−C結合を形成した領域であり、不純物拡散層1002の表面から5nm程度の深さに達する。
【0005】
このようなダメージ層は、サイドウォール形成時のドライエッチングによっても発生する。さらに、不純物注入前においても、ゲート電極加工時に、主として電磁波によるダメージ層が形成される。ゲートエッチングによるダメージ層は、その後に形成されるLDD領域の寄生抵抗の上昇や接合リークの原因となる。
【0006】
不純物拡散層1002のダメージを防ぐために、プラズマ中のイオンエネルギーを1KeVから、たとえば0.5KeVに下げることが考えられる。0.5KeV程度でも、シリコン酸化膜のエッチングは可能であり、ダメージ層1005の深さも浅くなる。
【0007】
しかし、イオンエネルギーを下げると、シリコン酸化膜1003とシリコン基板1001とのエッチング選択比が低下する。この結果、図1(b)に示すように、シリコン基板1001が50nm以上も削られるという問題が生じる。デバイスの微細化につれて不純物拡散層1002の深さが浅くなっている状況では、選択比の低下によるシリコン削れ1006は、深刻である。したがって、イオンエネルギーを下げることによるダメージ層の防止は、現実的ではない。
【0008】
不純物拡散層1002表面のダメージ層1005は抵抗が高く、コンタクト抵抗の増大につながる。そこで、従来は、CF4やSF6等のフッ素ラジカルによる等方性エッチングで、ダメージ層1005を除去していた。等方性エッチングでは、図2(a)に示すように、コンタクトホール1020の底部にアンダーカット1009が生じる。アンダーカット1009があると、図2(b)に示すように、チタニウム(Ti)や窒化チタニウム(TiN)などのバリアメタル1007に断線が発生し、コンタクトホールに埋め込まれるタングステン(W)などの金属1010が、シリコンと反応してしまう。この結果、アンダーカット部に金属シリサイド1008が異常形成され、接合リーク電流が増大する。
【0009】
ダメージ層を除去するために、水素ガスの比率を80%以上、流量50SCCM以上、圧力50mTorr以上の条件で、基板を水素プラズマによりエッチングする方法が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0010】
また、コンタクト抵抗を低減する方法として、半導体基板と導電体膜との界面の接触面積を増大させることが提案されている(たとえば、特許文献2参照)。この方法では、基板の(111)面または(100)面に、異方性エッチングでV字形状または逆台形形状の溝を形成することによって、コンタクトホールの底面に凹凸を形成して、接触面積の増大をはかっている。
【0011】
さらに、リーク電流を低減させてDRAMのリフレッシュ特性を改善するために、チタニウム(Ti)、ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、プラチナ(Pt)など、シリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下の金属元素を、所定の濃度でストレージ電極に導入することが提案されている(たとえば、特許文献3参照)。積極的にシリサイド化しやすい金属をシリコン中に導入し、シリサイド化させることによって、ゲッタリングサイトを形成する。この結果、DRAMのリーク電流を減少させることができる。
【特許文献1】特開2000−91310号公報(特許第3305270号)
【特許文献2】特開平10−209428号公報
【特許文献3】特開2002−289554号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、上述した特許文献1に開示される方法では、温度制御は行われておらず、ダメージ層の除去後の形状は、等方的なものになるはずである。したがって、アンダーカットの発生を防止できず、コンタクト抵抗を効果的に抑制することはできない。
【0013】
特許文献2に開示される方法は、開口部の内部にエッチング用のマスクパターンを形成するため、広いコンタクト面積がある部分にしか適用できない。したがって、アスペクト比の高いコンタクトホール底部のダメージ層の除去には不適切である。
【0014】
特許文献3に開示される方法では、酸化膜エッチングのチャンバ内で金属を導入するため、多数のウェーハを処理する場合に、金属元素の導入量が揺らぐ可能性がある。酸化膜エッチング中に生じる有機系生成物の影響で、導入される金属の注入量が変化するからである。
【0015】
そこで、本発明は、アスペクト比の大きいコンタクトホールでも、アンダーカットを生じさせることなくダメージ層を除去することのできる半導体装置の製造方法を提供する。
【0016】
また、安定してシリコン基板に金属を導入することによって、コンタクト部分でのリーク電流の発生を抑制できる半導体装置の製造方法を提供する。
【0017】
また、ゲート電極やサイドウォールエッチング後にシリコン基板に生じたダメージ層を除去して寄生抵抗や接合リークを低減することのできる半導体装置の製造方法の製造方法を提供する。
【0018】
さらに、十分なシリサイド形成領域を確保できる低抵抗の半導体装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明では、エッチング処理により生じたシリコン基板やポリシリコンプラグのダメージ層を、熱分解させた原子状の水素により、所定の温度下で除去する。原子状の水素で、一定の温度制御下でエッチングすることで、アンダーカットのない異方性の形状にダメージ層を除去することができる。
【0020】
さらに、水素を熱分解させるための加熱触媒体として、シリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下の金属を含む金属触媒体を用い、金属触媒体からの蒸発を利用して、安定した量の金属を半導体基板に供給する。これにより接合リーク電流が低減される。
【0021】
第1の側面では、半導体装置の製造方法は、
(a)半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記絶縁膜を、ドライ工程によりエッチングする工程と、
(c)前記エッチングにより前記半導体基板上に生じたダメージ層を、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
を含む。
【0022】
熱分解した原子状の水素は、たとえば、加熱した触媒体に水素を含む分子を接触させて生成することができる。
【0023】
ダメージ層の除去工程は、たとえば、半導体基板を保持するサセプタ温度を170℃以上に維持して行う。
【0024】
一例では、加熱した触媒体として、シリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下の金属を含み、当該金属を前記半導体基板へ導入する工程をさらに含む。
【0025】
これにより、所定量の金属を安定して半導体基板に導入することができる。
【0026】
第2の側面では、半導体装置の製造方法は、
(a)半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記絶縁膜上に電極となる導電膜を形成する工程と、
(c)前記導電膜を、ドライ工程によりエッチングする工程と、
(d)前記エッチングにより前記半導体基板上に生じたダメージ層の少なくとも一部を、前記絶縁膜の少なくとも一部を除去した後、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
を含む。
【0027】
第3の側面では、半導体装置の製造方法は、
(a)半導体基板上に、絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
(b)前記ゲート電極の側壁に、ドライエッチングによりサイドウォールを形成する工程と、
(c)前記サイドウォールの形成によって前記半導体基板上に生じたダメージ層の少なくとも一部を、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
をさらに含む。
【0028】
いずれの側面においても、所定の温度条件下で、熱分解による水素原子(水素ラジカル)で基板を処理することによって、アンダーカットを生じさせることなく、断面逆台形の形状にダメージ層を除去することができる。これにより、寄生容量や接合リークが抑制される。
【0029】
第4の側面では、寄生抵抗を低減し接合リークを抑制した半導体装置を提供する。半導体装置は、
半導体基板と、
前記半導体基板上に絶縁膜を介して位置するゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁に位置するサイドウォールと、
前記ゲート電極の両側の半導体基板に形成された不純物拡散領域と、
を備え、前記サイドウォール底面の断面形状は、逆台形形状であり、
前記サイドウォールの外側に位置する不純物拡散領域表面の断面形状は、逆台形形状である。
【0030】
不純物拡散領域の表面の断面形状をアンダーカットのない逆台形型とすることで、シリサイド化の面積を拡大し、接合リークを低減した低抵抗の半導体装置が実現される。
【発明の効果】
【0031】
アンダーカットを生じさせることなく、半導体装置製造の過程で生じるダメージ層を除去することができる。この結果、ダメージ層を除去した部分での抵抗を低減し、接合リークを防止することができる。
【0032】
また、所定量の金属を安定して半導体基板に導入することができる。この結果、シリコン基板へのリーク電流を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(第1実施形態)
図3〜図6は、本発明の第1実施形態に係るダメージ層の除去を説明するための図である。本実施形態では、半導体装置の製造工程において、絶縁層のドライエッチングによりシリコン基板に生じるダメージ層を、加熱触媒体を用いた処理装置内で、熱分解水素によりエッチング除去する。以下では、コンタクトホール形成時に、ホール底面に生じるダメージ層の除去を例にとって、説明する。
【0034】
まず、図3(a)に示すように、コンタクト抵抗測定用のサンプルに、コンタクトホール20を形成する。より具体的には、p型10Ωのシリコン基板11の所望の領域に、n型拡散層(以下、適宜「シリコン拡散層」と称する)12を形成する。n型拡散層12は不純物としてAsを用い、打ち込みエネルギー30KeVで、4E15/cm2のイオン注入を行って形成する。
【0035】
次に、CVD法を用いて、シリコン酸化膜13を50nmの膜厚に形成する。シリコン酸化膜13上に、フォトリソグラフィー法により、レジストパターン14を形成する。レジストパターン14には、0.4μm径のコンタクトホールパターンが形成されている。このようなウェーハを酸化膜エッチャーに設置し、レジストパターン14をマスクとして、シリコン酸化膜13にコンタクトホール20を形成する。
【0036】
酸化膜エッチャーは、たとえば、放電周波数380kHzでプラズマ処理を行う並行平板型エッチャーである。エッチングガスには、CHF3、CF4、Arを用いる。このエッチング条件でのプラズマ中のイオンエネルギーは、1.2KeVである。
【0037】
この条件で、シリコン酸化膜13を50nmエッチングする。シリコン拡散層12が露出する時点で、ダメージ層15は5nmの深さになっている。このダメージ層15には炭素(C)が打ち込まれており、シリコン拡散層12中でSi−Cを形成することにより、コンタクト抵抗増大の要因となる。
【0038】
次に、図3(b)に示すように、コンタクトホール20底部のダメージ層15を除去する。ダメージ層15を除去するのに、コンタクトホール形成後のシリコン基板を、加熱触媒体を備えた処理装置に移し、熱分解水素を発生させて、気相でエッチングする。
【0039】
図4は、加熱触媒体43を用いた処理装置40の概略構成図である。処理装置40は、水素ガスを導入するガス供給ポート41と、被処理基板(シリコン基板)45を保持するステージ42と、加熱触媒体43を備える。加熱触媒体として、第1実施形態では、タングステンフィラメントを用いる。タングステンフィラメントを1800℃に加熱しておき、ガス供給ポート41から水素ガスを流量120SCCMで供給する。加熱したタングステンフィラメント43に水素分子を接触させ、熱分解した原子状の水素を生成する。この熱分解水素を、ステージ42に保持されたシリコン基板(被処理基板)45と反応させて、ダメージ層15を約8nm除去する。このときの処理圧力は1.33Paである。
【0040】
ダメージ層15の除去後の形状は、被処理基板45の温度に依存する。170℃以上で処理した場合、図3(b)に示すような良好な異方性の断面形状を有するリセス23が得られるが、170℃よりも低い基板温度では、図2(a)に示したような等方性の形状となり、コンタクト抵抗が増大する原因となる。
【0041】
被処理基板45の温度は、170℃以上、かつ不純物の熱拡散温度よりも低く、望ましくは300℃〜500℃の範囲である。
【0042】
図4に示す例では、熱分解水素によりダメージ層15を除去する間、ステージ42を420℃に維持しており、ステージ42の温度を基板のサセプタ温度とみなすことができる。420℃でダメージ層を約8nm除去した場合、断面が良好な逆台形形状になることがSEMにより観察されている。これは、シリコン基板のエッチング速度の面方位依存性による。
【0043】
図5は、熱分解水素でエッチングした場合の、シリコン基板の(100)面と(111)面のエッチング速度とサセプタ温度との関係を示すグラフである。170℃近傍で、(111)面のエッチング速度が急激に落ち、170℃以上、特に200℃以上では、(100)面が優位にエッチングされる。
【0044】
これに対し、170℃よりも低い領域では、(111)面と(100)面が同程度にエッチングされるので、従来行われていたフッ素ラジカルによる等方性エッチングと同じ形状になり、コンタクト抵抗の劣化を防止できない。
【0045】
シリコン基板エッチングの面方位依存性のメカニズムは、次のように考えられる。すなわち、最表面のシリコン原子は、(100)面では結合手2本により固定されている。一方、(111)面では、結合手3本により固定されている。(111)面のほうが結合している結合手の本数が多い分、解離するのにエネルギーが必要である。また、基板表面の温度が高くなるほど、基板表面での水素の滞在時間(吸着時間)が短くなり、(111)面で十分なエネルギーが得られない状況となる。この結果、(100)面と(111)面とのエッチングレート比が高くなり、アンダーカットのないダメージ層の除去が可能になる。
【0046】
図6(a)および図6(b)は、ダメージ層15を除去した後のコンタクトホール20の埋め込みを示す。図6(a)では、n型ドープドポリシリコン19を成膜して、コンタクトホールを埋め込み、図6(b)は、コンタクトホール内にバリアメタル21を形成後、金属で埋め込んだ例を示す。図6(a)および図6(b)の構成例は、たとえば、ビット線コンタクトや、キャパシタとトラジスタを接続するコンタクトプラグに適用される。
【0047】
次に、図6(a)に示すサンプルに、電極等(不図示)を形成し、コンタクト抵抗を測定した。比較例として、ダメージ層を除去せずにn型ドープドポリシリコンのコンタクトを形成したものと、従来の等方性エッチングでダメージ層を除去した後にn型ドープドポリシリコンのコンタクトを形成したものとを準備し、同様にしてコンタクト抵抗を測定した。測定結果を表1に示す。
【0048】
【表1】

表1から明らかなように、所定の温度範囲で熱分解水素を用いてダメージ層を除去した場合は、コンタクト抵抗を効果的に低減することができる。ダメージ層を除去しない場合は、シリコン拡散層の表面領域に形成されたSi−C結合により、コンタクト抵抗の増大が顕著である。また、従来のフッ素ラジカルによるエッチング除去では、アンダーカットの影響により、コンタクト抵抗の低減効果が、不十分である。
【0049】
一般に、コンタクトホール内にポリシリコンを成長してコンタクトを形成する場合は、アンダーカットがあっても、ホール内の充填は比較的良好に行われる。しかし、ダメージ層が除去された領域やその近傍でボイドの発生を抑えきれず、コンタクト抵抗を十分に抑制することができない。
【0050】
これに対し、本発明の実施形態によれば、図6(a)に示すようにダメージ層を異方性の底面形状に除去できるので、コンタクトホール内にボイドを発生させることなくポリシリコンを成長することができる。
【0051】
充填効果の比較的良好なポリシリコンのコンタクトでさえ、表1のようなコンタクト抵抗の低減効果が発揮される。図6(b)に示すシリコン−メタルコンタクトを形成した場合は、従来方法に比較して、コンタクト抵抗の低減効果はさらに大きくなる。
【0052】
上記では、ビット線コンタクトや、ストレージノードとのコンタクトプラグの形成を例にとって、ダメージ層の除去を説明したが、上述したダメージ層の除去手法は、サイドウォールエッチングによるダメージの除去など、エッチングガスによる任意のダメージ層の除去に適用できる。
【0053】
通常、半導体装置の形成工程では、素子分離を行い、ゲート電極を形成した後に、サイドウォールエッチングを行う。このとき、シリコン基板表面が露出する。露出した表面は、サイドウォールエッチングによるダメージ層が生じている。この部分を、所定の温度制御の下に、熱分解水素でエッチングすることにより、異方性のリセス形状にダメージ層をエッチング除去することができる。この結果、後のシリサイド工程でのシリサイド形成不良を効果的に抑制できる。また、サイドウォールエッチングによるダメージ層の除去後に、シリコンゲルマニウムをエピタキシャル成長する場合でも、エピタキシャル成長を良好に行うことのできるシリコン表面が提供される。
(第2実施形態)
次に、図4の処理装置を用いて、ダメージ層の除去とともに、あるいは、ダメージ層の除去後に、金属をシリコン拡散層に導入するメカニズムを説明する。図4の処理装置40において、加熱触媒体43として、チタニウムを含む金属フィラメントを用いる。チタニウムは、シリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下であり、シリコン基板中でシリサイド化してゲッタリングサイトをつくり易い。
【0054】
まず、図3(a)と同様のサンプルを、処理装置40内のステージ42上に設置する。ステージ温度(サセプタ温度)は420℃に設定し、処理室内の圧力を1.33Paに設定しておく。チタニウムを含む加熱触媒体43をあらかじめ1900℃に加熱しておき、ガス供給ポート41から供給する水素分子を接触させて、熱分解した水素を生成する。熱分解水素をシリコンと反応させてエッチングすると同時に、加熱された触媒体43から蒸発するチタニウムを、シリコン基板(被処理基板)45上へ供給する。この状態で、ダメージ層15を8nm程度除去する。
【0055】
酸化膜エッチングに用いた処理室とは別の処理室40を用いて、ダメージ層の除去とコンタクト部への金属の導入を行うので、酸化膜エッチングによる有機生成物の影響が排除される。その結果、多数の基板を処理する場合でも、チタニウムの導入量を安定して制御することができる。なお、ダメージ層の除去と金属の導入を同時に行う場合は、ダメージ層除去後に表面近傍に残る金属量を考慮して、金属の導入量を設定すればよい。このとき、金属の導入量は、ダメージ層のシリコンの除去と金属導入の競争反応によって決まるが、金属導入量は安定して行うことが可能である。
【0056】
上述した例では、熱分解水素によるダメージ層の除去と、チタニウムの導入とを同時に行っているが、同じ処理装置内で、連続して行ってもよい。たとえば、熱分解水素によりダメージ層を除去した後に、いったん水素ガスの供給を止める。次に、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)などの不活性ガスをガス供給ポート41から供給しつつ、加熱触媒体43からチタニウムを供給する。この方法では、処理時間は多少長くなるが、金属導入量の制御性がさらに向上する。
【0057】
ダメージ層の除去と同時に金属を導入するか、あるいは、ダメージ層の除去後に金属を導入するかは、要求されるデバイスの動作特性に応じて使い分けることができる。いずれの場合も、シリコン基板に導入される金属元素の濃度は、1×1011atoms/cm2 以上、1×1015atoms/cm2 以下に制御される。
【0058】
図7は、シリコン基板に導入されるチタニウムの濃度と、フェイル(不良)ビットとの関係を示す図である。上述したいずれかの方法で、ダメージ層の除去とチタニウムの導入を行った後、図6(a)に示すように、コンタクトホール内にコンタクトプラグを形成し、シリコン酸化膜13上のポリシリコン19をパターニングしたストレージ電極と、誘電体膜(不図示)と、上部電極(不図示)でキャパシタを構成してフェイルビットをカウントする。500ミリ秒以下で電荷が失われるビットをフェイル(不良)ビットとしてカウントした。
【0059】
図7から分かるように、所定量のチタニウムをシリコン拡散層中に導入することによって、フェイルビット数が減少している。これは、シリコン基板11でチタニウムがシリサイド化して、ゲッタリングサイトとなり、リーク電流を防止するためと考えられる。
【0060】
このように、第1実施形態で説明したダメージ層の除去と、第2実施形態で説明した金属の導入を組み合わせることにより、コンタクト抵抗とリーク電流を低減した、良好なコンタクトの形成が実現される。
【0061】
図8および図9は、上述したダメージ層の除去および/または金属導入を利用した半導体装置の製造工程の一例を示す。
【0062】
まず、図8(a)に示すように、p型シリコン基板51に素子分離領域(フィールド酸化膜)52を形成し、所定の形状のゲート電極(あるいはワード線)53を形成し、ゲート電極53とフィールド酸化膜52をマスクとして低濃度のn型不純物を注入する。続いて、全面に堆積したシリコン酸化膜を垂直方向にエッチングしてサイドウォール54を形成する。必要に応じて、サイドウォール54形成後に、シリコン基板を加熱触媒体の処理装置(図4参照)に設置し、熱分解水素により表面のダメージ層を除去する。同じ処理装置内で、加熱触媒体から、シリサイド化エネルギーが1.8eV以下の高融点金属、たとえば、チタニウム(Ti)、プラチナ(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等を、シリコン基板に導入してもよい。
【0063】
さらに、サイドウォール54をマスクとして高濃度のn型不純物を注入してLDD構造の不純物拡散層55a、55bを形成する。
【0064】
次に、図8(b)に示すように、全面にシリコン酸化膜および層間絶縁膜を含む絶縁層57を堆積し、所定の形状にパターニングしたレジストパターン59を形成し、レジストパターン59をマスクとして、不純物拡散層55bに到達するコンタクトホール58を、プラズマエッチングにより形成する。プラズマエッチングの結果、不純物拡散層55bの表面にダメージ層61が生じる。
【0065】
次に、図8(c)に示すように、シリコン基板を加熱触媒体の処理装置に設置する。加熱触媒体を1800℃に加熱しておき、処理室内の圧力を1.33Pa、サセプタ温度をほぼ420℃に設定して、水素ガスを供給する。このような条件下で、熱分解水素によりダメージ層61を除去する。これにより、コンタクトホール58の底面に、異方性(逆台形)の断面形状のリセス62が生じる。必要に応じて、加熱触媒体からチタニウム(Ti)、プラチナ(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等をシリコン基板に導入してもよい。ダメージ層の除去後に、レジストパターン59を除去する。
【0066】
次に、図8(d)に示すように、コンタクトホール58内と絶縁膜57上にn型不純物を含有するポリシリコン膜を堆積し、パターニングすることによって、不純物拡散層55bに接続されるビット線コンタクト63を形成する。
【0067】
次に、図9(a)に示すように、酸化シリコン等の層間絶縁膜64を堆積し、層間絶縁膜64上にレジストパターン65を形成する。
【0068】
さらに、図9(b)に示すように、レジストパターン65をマスクとして、層間絶縁膜64、シリコン酸化膜を含む絶縁層57を順次プラズマエッチングする。これにより、不純物拡散領域55aに達するコンタクトホール66を形成する。
【0069】
このシリコン基板を、チタニウムを含む加熱触媒体を備える処理室に設置する。加熱触媒体を1500℃に加熱しておき、サセプタ温度420℃、圧力1.33Paに設定する。水素ガスを供給し、熱分解水素によりコンタクトホール66の底面のダメージ層を除去するとともに、加熱触媒体からチタニウムを露出した不純物拡散層55aに導入する。
【0070】
これにより、コンタクトホール66の底面が、断面逆台形型の形状になる。この結果、接触面積が広がり、コンタクト抵抗が低減する。また、不純物拡散層55aには、1×1014atoms/cm2 のチタニウムが含有される。
【0071】
次に、図9(c)に示すように、コンタクトホール66内にn型のドープドシリコンを成長し、層間絶縁膜64上のポリシリコンを所定の形状にパターニングして、ストレージコンタクトプラグ71aと、ストレージ電極(下部電極)71bを形成する。さらに誘電体膜72と、ポリシリコンの上部電極73を形成して、キャパシタ70を形成する。その後、絶縁膜74を形成して半導体装置50ができる。
【0072】
ビット線コンタクト63と不純物拡散層55bとの界面は、断面が逆台形の異方性の形状となっており、コンタクト抵抗が低減されている。同様に、ストレージコンタクト71aと不純物拡散層55aとの界面の断面形状も、アンダーカットのない異方性の形状であり、コンタクト抵抗が低減されている。さらに、不純物拡散層55aに導入されたチタニウムにより、ストレージノードからのリーク電流を低減できる。全体として、すぐれたコンタクト特性を有する半導体装置が実現できる。
【0073】
上述した例では、金属を導入する際に、チタニウムを含む加熱触媒体を用いたが、シリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下であり、かつ融点の高い金属であれば、チタニウム(Ti)以外にも加熱触媒体として用いることができる。たとえば、チタニウムの代わりにプラチナ(Pt)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)等を加熱触媒体に用いてもよい。
【0074】
また、上述した例では、熱分解水素を生成するために水素ガスを供給したが、導入するガスは、アンモニア(NH3 )など、熱分解によって電荷を持たない原子状の水素を発生させる分子構造のガスであれば、同様の効果が得られる。
【0075】
また、本発明のダメージ層の除去方法は、強誘電体を用いたストレージノードにも適用できる。この場合、ダメージ層の除去とともに、チタニウム等の金属を導入した後、バリアメタルを形成し、コンタクトホールをメタルで充填して、コンタクトプラグを作成してもよい。この場合、コンタクト抵抗の低減効果がいっそう顕著になるとともに、シリコン基板へのリーク電流を低減することができる。
【0076】
上述した本発明のダメージ層の除去方法は、図8(a)と関連して述べたように、シリコン基板へのセルフ・アライン・コンタクト(SAC)ホールの開口や、ポリシリコンプラグへのコンタクトホール開口にも適用可能である。
【0077】
図10(a)は、SACホール開口時のダメージ層の発生を示す図である。シリコン基板81上に、ゲート絶縁膜82を介してゲート電極83が形成され、シリコン基板81内に不純物拡散領域85が形成されている。ゲート電極83の側壁にはサイドウォール84が形成され、サイドウォール84はSACエッチングストッパとしての窒化膜86で覆われ、さらに酸化膜87で覆われている。
【0078】
SACエッチングを行なう場所にレジストマスクを形成し(不図示)、2周波数の並行平板エッチャー(dual frequency RIE)を用いて、
(1)酸化膜87のエッチング
(2)窒化膜86上にできた生成物の除去
(3)窒化膜86のエッチング
を順次行なってセルフ・アライン・コンタクト88を形成する。第1ステップの酸化膜87のエッチングは、ガス種としてC4F8 、CO,Ar、O2 を用いる。第2ステップの生成物除去は、O2 、Ar、第3ステップの窒化膜86のエッチングは、CHF3 、Ar,O2 を供給して行なう。
【0079】
このとき、第3ステップでシリコン拡散層85に炭素が打ち込まれ、ダメージ層(Si−Cの形成)89が生じる。イオンエネルギーは、1.0KeV程度である。
【0080】
そこで、このダメージ層89を、水素ラジカル処理により除去する。具体的には、触媒体を1800℃に加熱し、圧力1.33Pa、サセプタ温度420℃で水素ガスをチャンバに導入し、熱分解水素原子(水素ラジカル)を発生させて、シリコン基板のダメージ層を断面逆台形の形状に取り除く。
【0081】
図10(b)は、ポリシリコンコンタクトプラグへのコンタクトホール開口時のダメージ層の発生を示す図である。図10(a)で形成したコンタクトホール88にポリシリコンを成長させてポリシリコンプラグ91を形成した後、酸化膜93を堆積し、レジストマスク(不図示)を用いて、ポリシリコンプラグ91に達するコンタクトホール94を形成する。エッチングは、放電周波数が380HzのRIEで行なう。ガス種は、CHF3 、CF4 、Arを用い、イオンエネルギーは1.2KeVに設定する。このとき、ポリシリコンプラグ91の表面に炭素が打ち込まれ、ダメージ層92が形成される(Si−Cの形成)。この場合も、触媒体1800℃、圧力1.33Pa、サセプタ温度420℃にて、水素ガスをチャンバに導入してラジカルを生成し、水素ラジカル処理によりプラグ91上のダメージ層92を除去する。この場合も、抵抗増大の原因となるダメージ層92が除去され、低抵抗のコンタクトプラグを形成することができる。
(第3実施形態)
図11および図12は、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図である。第3実施形態では、ゲート電極の加工後と、サイドウォール形成後に、触媒体による熱分解を利用した水素ラジカル処理を行なって、ダメージ層を除去する。
【0082】
まず、図11(a)に示すように、基板101上に熱酸化によりゲート酸化膜102を形成し、CVD法によりポリシリコン膜103と反射防止膜のSiN膜104を堆積する。その後、レジストを所定の形状にパターニングしてレジストマスク105を形成する。
【0083】
次に、図11(b)に示すように、ドライエッチングによりSiN膜104とポリシリコン膜103をエッチングする。ポリシリコンのエッチング条件は、Cl2 とO2 をそれぞれ50SCCMおよび10SCCMで供給し、マイクロ波1000W、バイアス50W、圧力3mTorrとする。このとき、ゲート酸化膜102を介して、基板101の表面にダメージ層107が形成される。このダメージ層は、電磁波によるダメージが主体である。
【0084】
次に、図11(c)に示すように、ポリシリコンエッチング用のレジストマスク105を除去し、LDD形成用のレジストマスク(不図示)を形成し、n型もしくはp型の不純物を注入して、LDD109を形成する。
【0085】
次に、図11(d)に示すように、LDD形成用のレジストマスクを除去する。このとき、レジスト残渣除去のため、希フッ酸系の処理により、基板101上の酸化膜102が除去され、ゲートエッチング加工時に形成されたダメージ層107が剥き出しとなる。
【0086】
次に、図11(e)に示すように、触媒体を1800℃に加熱し、圧力1.33Pa,サセプタ温度420℃で水素ガスをチャンバに導入し、水素ラジカルを生成し、ダメージ層107を除去する。このとき、サークルで囲まれた部分Aの拡大図に示すように、不純物拡散層109の表面から、断面逆台形の形状110にダメージ層107が除去される。これにより、寄生抵抗を低減し、金属シリサイドの異常形成等による接合リークを抑制することができる。
【0087】
次に図12(a)に示すように、酸化膜を形成し、ドライエッチングによりサイドウォール111を形成する。エッチング条件は、CHF3 、CF4 、Arをそれぞれ100SCCM,150SCCM、600SCCMで供給し、圧力1000mTorr、印加電力400Wとする。このとき、基板101の表面にイオン打ち込みによるダメージ層113が形成される。このときのダメージ層は、炭素イオンの打ち込みによるSi−Cの形成が主体である。
【0088】
次に、図12(b)に示すように、ゲート電極103上のSiN膜104を除去し、ソース・ドレイン(SD)112の形成用にレジストマスク(不図示)を形成し、n型もしくはp型の不純物を注入する。
【0089】
次に、図12(c)に示すように、触媒体を1800℃に加熱し、圧力1.33Pa、サセプタ温度420℃で水素ガスをチャンバに導入し、水素ラジカルの生成によりダメージ層113を除去する。この場合も、サークルで囲んだ部分Bの拡大図に示すように、アンダーカットを生じさせることなく、ソース・ドレイン領域112の表面から、断面逆台形の形状115にダメージ層113が除去される。これにより、寄生抵抗が低減し、接合リークを抑制できる。ダメージ層113の除去後に連続して、シリサイド化のための金属を導入しても良いが、触媒体に、Ti,Co,Pt,Niなど、シリサイドを形成する金属材料を用いた場合、ダメージ層113の除去と同時に、LDD109表面へシリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下の金属の導入を行なうことができる。これにより安定した量の金属を半導体基板に供給することができ、接合リーク電流が低減される。
【0090】
最後に、図12(d)に示すように、層間絶縁膜116を堆積して次工程へ移行する。
【0091】
図13および図14は、半導体装置の微細化への適応性を説明するための模式図である。図13(a)は、ゲート電極103の加工後にLDD109を形成した状態を示す図、図13(b)は、ゲート電極103のエッチングによるダメージ層を、触媒体を用いた水素ラジカル処理によるダメージ層除去後の状態を示す図である。図13(b)に示すように、断面が逆台形の形状のダメージ層が除去されるので、ゲート電極103間の間隔を変化させることなく、シリサイド形成領域の面積を拡大することができる。また、アンダーカットの発生がないので、接合リークを防止することができる。
【0092】
図14(a)は、サイドウォール111形成後にソース・ドレイン領域112を形成した状態を示す図、図14(b)は、サイドウォール111のエッチングによるダメージ層を、触媒体を用いた水素ラジカル処理によるダメージ層除去後の状態を示す図である。図14の例では、ゲート電極加工後のダメージ層の除去に加えて、サイドウォール加工後にもダメージ層の除去を行なっているので、ゲート電極103間の基板断面形状が、二重テーパ(二重の逆台形)になっている。
【0093】
この場合も、ゲート電極103間の間隔を変化させることなく、シリサイド形成領域の面積を拡大することができる。通常は、細線になるとシリサイドの形成が困難になるが、水素ラジカル処理を行なう際の触媒体に、シリサイド化の活性エネルギーが1.8eV以下の金属を含む金属媒体を用いることによって、シリサイド化領域の拡大と同時に、LDD領域109表面にシリサイド化の活性エネルギーが1.8eV以下の金属を安定して導入することが可能になり、TiSiやCoSiを使用した微細MOS構造の製造に有利である。
【0094】
なお、ダメージ層の除去は、ゲート電極加工後、またはサイドウォール形成後のいずれか一方で行うだけでも、寄生抵抗の低減効果と、接合リークの抑制効果を達成することができる。
【0095】
図15および図16は、第3実施形態に係る半導体装置の製造方法の変形例を示す図である。この例では、ゲート絶縁膜の厚さが異なる素子の配列に水素ラジカル処理によるダメージ層の除去を適用する。複数の機能ブロックを搭載するLSIでは、機能ブロックによって動作電圧が異なり、ブロックごとに異なるゲート酸化膜厚のトランジスタが形成される。
【0096】
まず、図15(a)に示すように、基板101上に熱酸化により素子分離(LOCOS)領域121と膜厚の異なるゲート酸化膜122および123を形成し、CVD法によりポリシリコン膜103と反射防止のSiN膜104を堆積する。その後、レジストを所定の形状にパターニングしてレジストマスク105を形成する。
【0097】
次に、図15(b)に示すように、ドライエッチングによりSiN膜104とポリシリコン膜103をエッチングする。ポリシリコンのエッチング条件は、Cl2 とO2 をそれぞれ50SCCMおよび10SCCMで供給し、マイクロ波1000W、バイアス50W、圧力3mTorrとする。その後、酸化膜エッチング条件に切り換えて、エッチングを継続する。酸化膜エッチングの条件は、たとえばCHF3 、CF4 、Arをそれぞれ100SCCM,150SCCM、600SCCMで供給し、圧力1000mTorr、印加電力400Wとする。このとき、基板101の表面に、主として炭素イオンの打ち込み(Si−Cの形成)によるダメージ層127が形成される。特に、薄いほうのゲート酸化膜122側でのダメージが大きい。
【0098】
次に、図15(c)に示すように、ポリシリコンエッチング用のレジストマスク105を除去し、LDD形成用のレジストマスク(不図示)を形成し、n型もしくはp型の不純物を注入して、LDD109を形成する。
【0099】
次に、図15(d)に示すように、LDD形成用のレジストマスクを除去する。
【0100】
次に、図15(e)に示すように、触媒体を1800℃に加熱し、圧力1.33Pa,サセプタ温度420℃で水素ガスをチャンバに導入し、水素ラジカルによりダメージ層127を除去する。ダメージ層127の除去後の断面形状110は逆台形となり、シリサイド形成領域の面積が拡張されるとともに、寄生抵抗を低減することができる。また、アンダーカットが生じないので、接合リークを抑制することができる。
【0101】
次に、図16(a)に示すように、酸化膜を形成し、ドライエッチングによりサイドウォール111を形成する。エッチング条件は、CHF3 、CF4 、Arをそれぞれ100SCCM,150SCCM、600SCCMで供給し、圧力1000mTorr、印加電力400Wとする。このとき、基板101の表面にイオン打ち込みによるダメージ層113が形成される。このときのダメージ層は、炭素イオンの打ち込みによるSi−Cの形成が主体である。
【0102】
次に、図16(b)に示すように、ゲート電極103上のSiN膜104を除去し、ソース・ドレイン(SD)112の形成用にレジストマスク(不図示)を形成し、n型もしくはp型の不純物を注入する。
【0103】
次に、図16(c)に示すように、触媒体を1800℃に加熱し、圧力1.33Pa、サセプタ温度420℃で水素ガスをチャンバに導入し、水素ラジカルの生成によりダメージ層113を除去する。この場合も、ソース・ドレイン領域112の表面の断面形状は、逆台形の形状となる。これにより、寄生抵抗が低減し、接合リークを抑制できる。
【0104】
次に、図16(d)に示すように、層間絶縁膜116を堆積して次工程へ移行する。なお、図16(a)〜16(d)では、ゲート絶縁膜厚の膜厚が一種類のトランジスタだけが描かれているが、ダメージ層の除去は一括して行われる。
【0105】
図17および図18は、第3実施形態の半導体装置の製造方法の変形例2を示す図である。変形例2でも、異なる膜厚のゲート絶縁膜を有するトランジスタの形成に、水素ラジカルによるダメージ層の除去を適用する。変形例1では、ポリシリコンゲート電極のエッチングに続けて、ゲート酸化膜のエッチングを行なったが、変形例2では、サイドウォール形成後に、ゲート酸化膜のエッチングを行なう。
【0106】
まず、図17(a)に示すように、基板101上に熱酸化により素子分離(LOCOS)領域121と膜厚の異なるゲート酸化膜122および123を形成し、CVD法によりポリシリコン膜103と反射防止のSiN膜104を堆積する。その後、レジストを所定の形状にパターニングしてレジストマスク105を形成する。
【0107】
次に、図17(b)に示すように、ドライエッチングによりSiN膜104とポリシリコン膜103をエッチングする。ポリシリコンのエッチング条件は、Cl2 とO2 をそれぞれ50SCCMおよび10SCCMで供給し、マイクロ波1000W、バイアス50W、圧力3mTorrとする。ゲート酸化膜122および123を残すため、基板101表面へのダメージ層の形成はほとんどない。
【0108】
次に、図17(c)に示すように、ポリシリコンエッチング用のレジストマスク105を除去し、LDD形成用のレジストマスク(不図示)を形成し、n型もしくはp型の不純物を注入して、LDD131および132を形成する。厚さの異なるゲート酸化膜122、123を介してイオン注入を行なうので、薄膜側と厚膜側で同時にLDD注入する場合は、実際に不純物が注入される深さ、濃度が異なる。
【0109】
次に、図17(d)に示すように、LDD形成用のレジストマスクを除去する。
【0110】
次に、図18(a)に示すように、酸化膜を堆積してドライエッチングによりサイドウォール135を形成する。エッチング条件は、CHF3 、CF4 、Arをそれぞれ100SCCM,150SCCM、600SCCMで供給し、圧力1000mTorr、印加電力400Wとする。このとき、基板101の表面に、主として炭素イオンの打ち込み(Si−Cの形成)によるダメージ層133が形成される。また、膜厚側のゲート酸化膜123をLDD132上に残さないようにエッチングするため、薄膜側のLDD131表面へのダメージが大きい。
【0111】
次に、図18(b)に示すように、ゲート電極103上のSiN膜104を除去し、ソース・ドレイン(SD)136の形成用にレジストマスク(不図示)を形成し、n型もしくはp型の不純物を注入する。
【0112】
次に、図18(c)に示すように、触媒体を1800℃に加熱し、圧力1.33Pa,サセプタ温度420℃で水素ガスをチャンバに導入し、水素ラジカルによりダメージ層133を除去する。ダメージ層133の除去後の断面形状137は逆台形となり、シリサイド形成領域の面積が拡張されるとともに、寄生抵抗を低減することができる。また、アンダーカットが生じないので、接合リークを抑制することができる。
【0113】
次に、図18(d)に示すように、層間絶縁膜138を堆積して次工程へ移行する。
【0114】
このように、第3実施形態によれば、のゲート電極の形成時に生じるダメージ層や、サイドウォール加工時に生じるダメージ層も、逆台形の断面形状に除去することができ、シリサイド形成領域の面積が拡張されるとともに、アンダーカットに起因する金属シリサイドの異常形成を防止できる。したがって、低抵抗で接合リークが抑制された半導体装置を製造することができる。
(第4実施形態)
図19は、本発明の第4実施形態に係る半導体装置の模式図である。第4実施形態の半導体装置は、たとえば、図19(a)に示すように、フラッシュメモリを混載したロジック半導体装置200である。半導体装置200は、主ロジック回路部202と、入出力回路部204と、フラッシュメモリセル部206と、フラッシュメモリセル制御回路部208とを有している。入出力回路部204は、PMOS領域204Pと、NMOS領域204Nを有し、フラッシュメモリセル制御回路部208は、PMOS領域208Pと、NMOS領域208Nを有する。
【0115】
半導体装置200は、図19(b)に示すように、基板210のn型ウェル190中のp型ウェル178(二重ウェル)に形成されたフラッシュメモリセル(Flash cell)、nチャネル高電圧・低閾値トランジスタ(N-HV Low Vt)、nチャネル高電圧・高閾値トランジスタ(N-HV High Vt)と、n型ウェル180に形成されたpチャネル高電圧・低閾値トランジスタ(P-HV Low Vt)、pチャネル高電圧・高閾値トランジスタ(P-HV High Vt)を有する。これらの高電圧トランジスタは、フラッシュメモリセル制御回路部208を構成するトランジスタであり、フラッシュメモリセルの読み出し電圧や、書き込み/消去電圧に耐え得る第1の膜厚のゲート絶縁膜304を有する。
【0116】
半導体装置200はまた、p型ウェル182内に形成されたnチャネル中電圧トランジスタ(N-MV)と、n型ウェル184に形成されたpチャネル中電圧トランジスタ(P-MV)を有する。これらの中電圧トランジスタは、入出力回路部204を構成するトランジスタであり、第2の膜厚のゲート絶縁膜306を有する。
【0117】
さらに、p型ウェル186に形成されたnチャネル低電圧・高閾値トランジスタ(N-LV High Vt)およびnチャネル低電圧・低低閾値トランジスタ(N-LV Low Vt)と、n型ウェル188に形成されたpチャネル低電圧・高閾値トランジスタ(P-LV High Vt)およびpチャネル低電圧・低閾値トランジスタ(P-LV Low Vt)を有する。これらの低電圧トランジスタは、主ロジック回路部202を構成するトランジスタであり、高速動作のための極薄膜(第3の膜厚)のゲート絶縁膜302を有する。
【0118】
図20〜図26は、図19に示す半導体装置200の製造工程図である。
【0119】
まず、図20(a)に示すように、基板210の所定の領域に素子分離領域211を形成し、基板210内の所定の位置にn型ウェル180、184、188、190とp型ウェル178、182、186を形成するための不純物を注入し、フラッシュメモリセル(Flash cell)のトンネル酸化膜156を堆積し、ポリシリコンフローティングゲート158を形成してから、全面にONO膜160を形成する。ONO膜160上に、フラッシュメモリセル(Flash cell)のみを覆うレジストマスク192を形成し、フラッシュメモリセル以外の領域のONO膜160を除去する。さらに、ウェットエッチングにより、フラッシュメモリセル以外の領域のトンネル酸化膜156を除去する。
【0120】
次に、図20(b)に示すように、レジストマスク192を除去して、活性領域に、膜厚13nmのシリコン酸化膜194を形成する。フラッシュメモリセル(Flash cell)および高電圧トランジスタ(N-HV Low Vt、N-HV High Vt、P-HV Low Vt、P-HV High Vt)の領域を覆い、その他の領域を露出するレジストマスク196を形成する。レジストマスク196を用いてウェットエッチングを行い、中電圧トランジスタ(N-MV、P-MV)形成領域と低電圧トランジスタ(N-LV Low Vt、N-LV High Vt、P-LV Low Vt、P-LV High Vt)形成領域のシリコン酸化膜194を除去する。
【0121】
次に、図21(c)に示すように、レジストマスク196を除去して、中電圧トランジスタ(N-MV、P-MV)形成領域および低電圧トランジスタ(N-LV Low Vt、N-LV High Vt、P-LV Low Vt、P-LV High Vt)形成領域を覆うシリコン酸化膜198を、膜厚4.5nmに形成する。このとき、シリコン酸化膜194の膜厚も増加する。さらに、低電圧トランジスタ(N-LV Low Vt、N-LV High Vt、P-LV Low Vt、P-LV High Vt)形成領域だけが露出するレジストマスク199を形成し、ウェットエッチングにより低電圧トランジスタ形成領域のシリコン酸化膜198を除去する
次に、図21(d)に示すように、レジストマスク199を除去し、熱酸化により、低電圧トランジスタ(N-LV Low Vt、N-LV High Vt、P-LV Low Vt、P-LV High Vt)形成領域に膜厚2.2nmのシリコン酸化膜(ゲート酸化膜)302を形成する。この熱酸化工程により、シリコン酸化膜194、198の膜厚も増加し、高電圧トランジスタ(N-HV Low Vt、N-HV High Vt、P-HV Low Vt、P-HV High Vt)形成領域には、厚さ16nmのゲート絶縁膜304が、中電圧トランジスタ(N-MV、P-MV)形成領域には、厚さ5.5nmのゲート酸化膜306が形成される。
【0122】
次に、図22(e)に示すように、CVD法によりポリシリコン膜308を成長し、次いで、プラズマCVD法により、ポリシリコン膜308上にシリコン窒化膜310を成長する。このシリコン窒化膜310は、下層のポリシリコン膜308をパターニングする際の反射防止およびエッチングマスクも兼ねるとともに、後述するように、フラッシュセルのゲート電極側壁を酸化する際に、ロジック部分のゲート電極を保護する役割も果たす。そして、フォトリソグラフィおよびドライエッチングにより、フラッシュメモリセル(Flash cell)形成領域のシリコン窒化膜310、ポリシリコン膜308、ONO膜160、フローティングゲート158を加工して、フラッシュメモリセルのゲート電極212を形成する。
【0123】
次に、図22(f)に示すように、フラッシュメモリセル(Flash cell)のソース・ドレイン214を形成し、ゲート電極212の側壁にサイドウォール216を形成する。さらに、高電圧トランジスタ(N-HV Low Vt、N-HV High Vt、P-HV Low Vt、P-HV High Vt)形成領域、中電圧トランジスタ(N-MV、P-MV)形成領域、低電圧トランジスタ(N-LV Low Vt、N-LV High Vt、P-LV Low Vt、P-LV High Vt)形成領域のポリシリコン膜308をパターニングして、ゲート電極218を形成する。
【0124】
次に、図23(g)に示すように、pチャネル低電圧トランジスタ(P-LV Low Vt、P-LV High Vt)形成領域だけを露出し、その他の部分を覆うレジストマスク320を形成して、p型のエクステンション222を形成する。
【0125】
次に、図23(h)に示すように、レジストマスク320を除去して、nチャネル低電圧トランジスタ(P-LV Low Vt、P-LV High Vt)形成領域だけを露出し、その他の部分を覆うレジストマスク324を形成して、n型のエクステンション226を形成する。
【0126】
次に、図24(i)に示すように、図23(g)および23(h)と同様の方法で、順次、pチャネル中電圧トランジスタ(P-MV)のエクステンション230、nチャネル中電圧トランジスタ(N-MV)のエクステンション234、pチャネル高電圧トランジスタ(P-HV Low Vt、P-HV High Vt)のエクステンション238、およびnチャネル高電圧トランジスタ(N-HV Low Vt、N-HV High Vt)のエクステンション242に形成し、最後の領域のイオン注入に使用したレジストマスクを除去する。その後、熱CVD法によりシリコン酸化膜を堆積し、ゲート酸化膜を残さないようにシリコン酸化膜をエッチバックしてサイドウォール244を形成する。このとき、炭素イオンの打ち込みにより、エクステンション領域の表面に、主としてSi−Cの形成によるダメージ層(不図示)が形成される。
【0127】
次に、図24(j)に示すように、p型ソース・ドレイン248とn型ソース・ドレイン252を順次形成する。
【0128】
次に、図25(k)に示すように、サイドウォール244の形成時に発生したダメージ層を除去する。すなわち、触媒体を1800℃に加熱し、圧力1.33Pa、サセプタ温度420℃で、水素ガスをチャンバに導入し、水素ラジカルを生成する。これにより、ソース・ドレイン領域の表面のダメージ層が、断面逆台形状に除去される。このダメージ層除去工程で、触媒体にシリサイド化に適した金属を用いることにより、ダメージ層の除去と同時に、基板に金属が導入され、ソース・ドレイン248、252の表面をシリサイド化する。こうして、異なるゲート酸化膜の膜厚のトランジスタが基板210上に形成される。
【0129】
次に、図25(l)に示すように、全面に絶縁膜254を堆積し、各トランジスタのソース・ドレイン248、252に到達するコンタクトホール256を形成する。コンタクトホール256形成の際にも、ソース・ドレイン248炭素イオンの打ち込みによるダメージ層が発生するので、再度、触媒体を1800℃、圧力1.33Pa、サセプタ温度420℃の条件で、水素ラジカルを生成して、ダメージ層を除去する。
【0130】
最後に、図26(m)に示すように、コンタクトホール内を導電材料で埋め込んでプラグ258を形成し、絶縁膜上に所望の配線260を形成する。さらに、図示はしないが、必要に応じて絶縁膜の成長、配線の形成等を繰り返して、半導体装置200を完成する。
【0131】
上述した工程で作製される半導体装置200は、どの機能ブロックにおいても、低抵抗で接合リークが抑制された良好な特性の素子を有する。
【0132】
また、図示はしないが、第4実施形態の半導体装置の製造工程に、図10(b)で示すポリシリコンプラグへのコンタクトホールの形成を組み合わせてもよい。この場合も、コンタクトホールのエッチングでポリシリコンプラグに生じたダメージを、触媒体による水素ラジカル処理で除去することによって、微細化された配線構造であっても、上層の配線と良好な電気的接続をとることができる。なお、第4実施形態では、ソース・ドレイン形成後にサイドウォール形成時のダメージ層除去を実施しているが、ソース・ドレイン形成前にサイドウォール形成時のダメージを除去し、その後にソース・ドレインを形成してもよい。
【0133】
最後に、以上の説明に関して、以下の付記を開示する。
(付記1) 半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を、ドライ工程によりエッチングする工程と、
前記エッチングにより前記半導体基板上に生じたダメージ層を、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記熱分解した原子状の水素は、加熱した触媒体に水素を含む分子を接触させて生成することを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記ダメージ層の除去工程で、前記半導体基板のサセプタ温度を170℃以上に維持することを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記加熱した触媒体は、タングステンであることを特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記加熱した触媒体は、シリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下の金属を含み、当該金属を前記半導体基板へ導入する工程をさらに含むことを特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記ダメージ層の除去により、前記半導体基板の(111)面と(100)面が露出する断面逆台形のリセスが形成されることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記絶縁膜のエッチング工程は、炭素を含むガスによりエッチングを行い、
前記ダメージ層は、炭素が打ち込まれたダメージ層であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記8) 前記エッチングにより、前記絶縁膜にコンタクトホールを形成し、
前記コンタクトホール底面に生じたダメージ層を除去した後に、前記コンタクトホールを導電性物質で充填してコンタクト部を形成する工程と
をさらに含むことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記9)前記半導体基板上にポリシリコンプラグを形成する工程と、
前記ポリシリコンプラグ上に堆積した絶縁膜をドライエッチングして前記ポリシリコンプラグに到達するコンタクトホールを形成する工程と、
前記ドライエッチングにより前記ポリシリコンプラグ上に生じたダメージ層を、熱分解した原子状の水素により除去する工程と
をさらに含むことを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記10) 前記ダメージ層の除去は、前記絶縁膜のエッチングと異なる処理装置を用いて行うことを特徴とする付記1または9に記載の半導体装置の製造方法。
(付記11) 前記加熱した触媒体は、チタニウム(Ti),ニッケル(Ni),コバルト(Co),プラチナ(Pt)のすくなくとも1つを含み、前記金属を半導体基板に導入する工程は、前記ダメージ層の除去と同時、または前記ダメージ層の除去後に連続して行われることを特徴とする付記5に記載の半導体装置の製造方法。
(付記12) 半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に電極となる導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を、ドライ工程によりエッチングする工程と、
前記エッチングにより前記半導体基板上に生じたダメージ層の少なくとも一部を、前記絶縁膜の少なくとも一部を除去した後、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記13)半導体基板上に、絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の側壁に、ドライエッチングによりサイドウォールを形成する工程と、
前記サイドウォールの形成によって前記半導体基板上に生じたダメージ層の少なくとも一部を、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
(付記14) 前記熱分解した原子状の水素は、加熱した触媒体に水素を含む分子を接触させて生成することを特徴とする付記12または13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記15) 前記ダメージ層の除去工程で、前記半導体基板を保持するサセプタ表面温度を170℃以上に維持することを特徴とする付記12または13に記載の半導体装置の製造方法。
(付記16) 前記加熱した触媒体は、タングステンであることを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記17) 前記加熱した触媒体は、シリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下の金属を含み、当該金属を前記半導体基板へ導入する工程をさらに含むことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記18) 前記加熱した触媒体は、チタニウム(Ti),ニッケル(Ni),コバルト(Co),プラチナ(Pt)のすくなくとも1つを含み、前記ダメージ層の除去と同時に、または除去後に、前記触媒体を構成する元素の一部を前記半導体基板に導入する工程をさらに含むことを特徴とする付記14に記載の半導体装置の製造方法。
(付記19) 半導体基板と、
前記半導体基板上に絶縁膜を介して位置するゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁に位置するサイドウォールと、
前記ゲート電極の両側の半導体基板に形成された不純物拡散領域と、
を備え、前記サイドウォール底面の断面形状は、逆台形形状であり、
前記サイドウォールの外側に位置する不純物拡散領域表面の断面形状は、逆台形形状であることを特徴とする半導体装置。
(付記20) 前記不純物拡散領域に到達するコンタクトプラグをさらに有し、
前記コンタクトプラグの底面の断面形状は、逆台形であることを特徴とする付記19に記載の半導体装置。
【図面の簡単な説明】
【0134】
【図1】コンタクトエッチングによるダメージ層の発生を説明するための図である。
【図2】従来のダメージ層の除去方法を説明する図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係るダメージ層の除去方法を説明する図である。
【図4】ダメージ層の除去に使用される加熱触媒体を用いた処理装置の図である。
【図5】ダメージ層を除去する際のエッチング速度の面方位性を示すグラフである。
【図6】本発明の第1実施形態に係る方法でダメージ層を除去した後の、コンタクトホールの埋め込みを示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る方法でダメージ層を除去するとともに金属を導入して形成したコンタクトプラグのフェイルビットの低減効果を示すグラフである。
【図8】本発明のダメージ層の除去を利用した半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図9】本発明のダメージ層の除去を利用した半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図10】本発明のダメージ層除去の応用例を示す図である。
【図11】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その1)である。
【図12】本発明の第3実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す図(その2)である。
【図13】半導体装置の微細化に対応する本発明の適応性を説明するための図である。
【図14】半導体装置の微細化に対応する本発明の適応性を説明するための図である。
【図15】本発明の第3実施形態の変形例1を示す図(その1)である。
【図16】本発明の第3実施形態の変形例1を示す図(その2)である。
【図17】本発明の第3実施形態の変形例2を示す図(その1)である。
【図18】本発明の第3実施形態の変形例2を示す図(その2)である。
【図19】本発明の第4実施形態に係る半導体装置を概略構成図である。
【図20】第4実施形態の半導体装置の製造工程図(その1)である。
【図21】第4実施形態の半導体装置の製造工程図(その2)である。
【図22】第4実施形態の半導体装置の製造工程図(その3)である。
【図23】第4実施形態の半導体装置の製造工程図(その4)である。
【図24】第4実施形態の半導体装置の製造工程図(その5)である。
【図25】第4実施形態の半導体装置の製造工程図(その6)である。
【図26】第4実施形態の半導体装置の製造工程図(その7)である。
【符号の説明】
【0135】
11、51、81、101、210 シリコン基板(半導体基板)
12、55a、55b、 n型拡散層
13、87、93 シリコン酸化膜(絶縁層)
14、59、65 レジストパターン
15、61、89、92、107、113、127、133 ダメージ層
19 n型ドープドポリシリコン
20、58、66、88 コンタクトホール
21 バリアメタル
22 メタル
23、62、110、115 断面逆台形(異方性)形状のリセス
40 処理装置
41 ガス供給ポート
42 ステージ
43 加熱触媒体
45 被処理基板
50、200 半導体装置
53、83、103、218 ゲート電極
54、84、111、135、244 サイドウォール
63 ビット線コンタクト
57、64、138、254 絶縁層
91 ポリシリコンプラグ
258コンタクトプラグ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を、ドライ工程によりエッチングする工程と、
前記エッチングにより前記半導体基板上に生じたダメージ層を、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記熱分解した原子状の水素は、加熱した触媒体に水素を含む分子を接触させて生成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ダメージ層の除去工程で、前記半導体基板のサセプタ温度を170℃以上に維持することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記加熱した触媒は、シリサイド化の活性化エネルギーが1.8eV以下の金属を含み、当該金属を前記半導体基板へ導入する工程をさらに含むことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記半導体基板上にポリシリコンプラグを形成する工程と、
前記ポリシリコンプラグ上に堆積した絶縁膜をドライエッチングして前記ポリシリコンプラグに到達するコンタクトホールを形成する工程と、
前記ドライエッチングにより前記ポリシリコンプラグ上に生じたダメージ層を、熱分解した原子状の水素により除去する工程と
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に電極となる導電膜を形成する工程と、
前記導電膜を、ドライ工程によりエッチングする工程と、
前記エッチングにより前記半導体基板上に生じたダメージ層の少なくとも一部を、前記絶縁膜の少なくとも一部を除去した後、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
半導体基板上に、絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の側壁に、ドライエッチングによりサイドウォールを形成する工程と、
前記サイドウォールの形成によって前記半導体基板上に生じたダメージ層の少なくとも一部を、熱分解した原子状の水素により、所定の温度下で除去する工程と
をさらに含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記熱分解した原子状の水素は、加熱した触媒体に水素を含む分子を接触させて生成することを特徴とする請求項6または7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記加熱した触媒体は、チタニウム(Ti),ニッケル(Ni),コバルト(Co),プラチナ(Pt)のすくなくとも1つを含み、前記ダメージ層の除去と同時に、または除去後に、前記触媒体の構成元素の一部を前記半導体基板に導入するする工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
半導体基板と、
前記半導体基板上に絶縁膜を介して位置するゲート電極と、
前記ゲート電極の側壁に位置するサイドウォールと、
前記ゲート電極の両側の半導体基板に形成された不純物拡散領域と、
を備え、前記サイドウォール底面の断面形状は、逆台形形状であり、
前記サイドウォールの外側に位置する不純物拡散領域表面の断面形状は、逆台形形状であることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2006−49808(P2006−49808A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−42871(P2005−42871)
【出願日】平成17年2月18日(2005.2.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】