説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】コンタクト構造の煩雑化を抑制しつつ、コンタクト抵抗を低減させる。
【解決手段】エピタキシャル成長により、単結晶半導体層7a、7bをLDD層5a、5b上に選択的に形成し、層間絶縁膜9および単結晶半導体層7a、7bをそれぞれ介してソース層8aおよびドレイン層8bをそれぞれ露出させる開口部10a、10bを形成した後、バリアメタル膜11a、11bをそれぞれ介して埋め込まれたプラグ12a、12bを開口部10a、10b内にそれぞれ形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、半導体層のコンタクト構造に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化に伴ってトランジスタなどのデバイスのサイズが縮小し、半導体層とコンタクトをとるためのコンタクト領域も縮小してきている。
また、近年の電子機器のウェアラブル化は、デバイスの低消費電力化の要求を加速している。ここで、P型トランジスタとN型トランジスタとを組み合わせたCMOS回路は、デバイスの低消費電力化に有効なことから、様々の電子機器に搭載されている。
【0003】
また、特許文献1には、N型半導体領域およびP型半導体領域の両方に対して抵抗の小さな引き出し電極層を形成するために、オーミック性のコンタクトのとれる金属材料の少ないN型半導体領域には、堆積時に高濃度不純物をドーピングした多結晶シリコンを用い、P型半導体領域には、オーミック性のコンタクトのとれる金属材料を用いる方法が開示されている。
【0004】
また、素子分離の容易性、ラッチアップフリー、ソース/ドレイン接合容量が小さいなどの点から、SOI基板上に電界効果型トランジスタを形成することが行われている。特に、完全空乏型SOIトランジスタは、低消費電力かつ高速動作が可能で、低電圧駆動が容易なため、SOIトランジスタを完全空乏モードで動作させるための研究が盛んに行われている。
【0005】
【特許文献1】特開2002−9015号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、半導体層とコンタクトをとるためのコンタクト領域が縮小すると、コンタクト抵抗が増加し、デバイスの高速化や低消費電力化の妨げになるという問題があった。特に、CMOS構造では、N型半導体領域およびP型半導体領域の両方に対して抵抗の小さな金属材料を得ることは困難なため、良好なコンタクト特性を得ることが困難になっている。
【0007】
また、特許文献1では、N型半導体領域およびP型半導体領域の両方に対して抵抗の小さな引き出し電極層を形成するために、N型半導体領域およびP型半導体領域とで異なる電極構造を採用するため、コンタクトの構成が煩雑化するという問題があった。
また、SOIトランジスタを完全空乏モードで動作させるためには、SOI基板の単結晶シリコン層を薄膜化する必要がある。このため、配線と単結晶シリコン層とのコンタクト抵抗の制御が困難となり、低電圧駆動を阻害するという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、コンタクト構造の煩雑化を抑制しつつ、コンタクト抵抗を低減させることが可能な半導体装置および半導体装置の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決するために、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、コンタクト領域に配置され、バンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる複数の半導体層と、前記コンタクト領域において前記複数の半導体層に接触する金属配線層とを備えることを特徴とする。
これにより、コンタクト領域において、金属配線層の仕事関数に対して複数のエネルギー障壁を持たせることが可能となり、低い方のエネルギー障壁に対応させてコンタクト抵抗を決定することが可能となる。このため、金属配線層の構成を変更することなく、コンタクト抵抗を低減することが可能となり、デバイスの微細化を図りつつ、デバイスの高速化および低消費電力化を図ることができる。
【0010】
また、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、第1半導体層と、前記第1半導体層上に積層され、前記第1半導体層とバンドギャップまたは電子親和力が異なる第2半導体層と、前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層を露出させる開口部と、前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の底面にて前記第1半導体層と接触するとともに、前記開口部の側面にて前記第2半導体層に接触する金属配線層とを備えることを特徴とする。
【0011】
これにより、コンタクトサイズを変更することなく、複数の半導体層に金属配線層を接触させることが可能となり、デバイスの微細化を可能としつつ、コンタクト抵抗を低減することを可能として、デバイスの高速化および低消費電力化を図ることができる。
また、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、半導体基板と、前記半導体基板上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の両側にそれぞれ配置され、前記半導体基板に形成されたソース/ドレイン層と、前記ソース/ドレイン層上に積層され、前記半導体基板とバンドギャップまたは電子親和力が異なる半導体層と、前記半導体層を貫通して前記ソース層または前記ドレイン層を露出させる開口部と、前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の底面にて前記ソース層または前記ドレイン層と接触するとともに、前記開口部の側面にて前記半導体層に接触する金属配線層とを備えることを特徴とする。
【0012】
これにより、N型半導体およびP型半導体が金属材料に対して異なるエネルギー障壁を持つ場合においても、N型半導体領域とP型半導体領域とで金属配線層の構成を変更することなく、N型半導体領域およびP型半導体領域におけるエネルギー障壁を低下させることが可能となる。このため、コンタクト構造の煩雑化を抑制しつつ、N型半導体領域およびP型半導体領域の両方に対して良好なコンタクト特性を得ることが可能となり、CMOS回路を効率よく作製することを可能として、デバイスの低消費電力化を図ることができる。
【0013】
また、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、絶縁層上に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層上に積層され、前記第1半導体層とバンドギャップまたは電子親和力が異なる第2半導体層と、前記第1半導体層および前記第2半導体層を貫通して前記絶縁層に到達するように形成された開口部と、前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の側面にて前記第1半導体層および前記第2半導体層と接触する金属配線層とを備えることを特徴とする。
【0014】
これにより、第1半導体層が貫通した場合においても、第1半導体層の底面側で金属配線層がショートすることを防止することが可能となるとともに、コンタクトサイズを変更することなく、複数の半導体層に金属配線層を接触させることが可能となる。このため、第1半導体層が薄膜化された場合においても、デバイスの微細化を可能としつつ、コンタクト抵抗を低減することが可能となるとともに、電界効果型トランジスタを完全空乏モードで動作させることを可能として、電界効果型トランジスタ動作の高速化および低電圧化を図ることができる。
【0015】
また、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、絶縁層上に形成された第1半導体層と、前記第1半導体層上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の両側にそれぞれ配置されるとともに、前記絶縁層に底部が到達するようにして前記第1半導体層に形成されたソース/ドレイン層と、前記ソース/ドレイン層上に積層され、前記第1半導体層とバンドギャップまたは電子親和力が異なる第2半導体層と、前記ソース層またはドレイン層および前記第2半導体層を貫通して前記絶縁層に到達するように形成された開口部と、前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の側面にて前記ソース層またはドレイン層および前記第2半導体層に接触する金属配線層とを備えることを特徴とする。
【0016】
これにより、ソース/ドレイン層が貫通した場合においても、開口部に埋め込まれた金属配線層を介してソース/ドレイン層がショートすることを防止することが可能となるとともに、N型半導体領域とP型半導体領域とで金属配線層の構成を変更することなく、N型半導体領域およびP型半導体領域におけるエネルギー障壁を低下させることが可能となる。
【0017】
このため、第1半導体層が薄膜化された場合においても、コンタクト構造の煩雑化を抑制しつつ、N型半導体領域およびP型半導体領域の両方に対して良好なコンタクト特性を得ることが可能となり、CMOS回路を効率よく作製することを可能として、デバイスの低消費電力化を図ることが可能となるとともに、電界効果型トランジスタを完全空乏モードで動作させることを可能として、電界効果型トランジスタ動作の高速化および低電圧化を図ることができる。
【0018】
また、本発明の一態様に係る半導体装置によれば、前記半導体基板または半導体層は、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbS、GaAs、InP、GaP、GaNまたはZnSeであることを特徴とする。
これにより、様々の半導体層を組み合わせることを可能として、金属配線層とのエネルギー障壁を低下させることが可能となり、コンタクト抵抗を効果的に低減することが可能となる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法によれば、半導体基板上にバンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる半導体層を形成する工程と、前記半導体層上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜および前記半導体層を貫通して前記半導体基板を露出させる開口部を形成する工程と、前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の底面にて前記半導体基板と接触するとともに、前記開口部の側面にて前記半導体層に接触する金属配線層を前記層間絶縁膜上に形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0020】
これにより、開口部の深さを調整することで、複数の半導体層に金属配線層を接触させることが可能となり、コンタクトサイズを変更することなく、コンタクト抵抗を低減することが可能となる。
また、本発明の一態様に係る半導体装置の製造方法によれば、絶縁層上に設けられた第1半導体層上にバンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる第2半導体層を形成する工程と、前記第2半導体層上に層間絶縁膜を形成する工程と、前記層間絶縁膜、前記第1半導体層および前記第2半導体層を貫通して前記絶縁層に到達する開口部を形成する工程と、前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の側面にて前記第1半導体層および前記第2半導体層に接触する金属配線層を前記層間絶縁膜上に形成する工程とを備えることを特徴とする。
【0021】
これにより、第1半導体層のオーバーエッチング量に対する制約を設けることなく、複数の半導体層に金属配線層を接触させることが可能となり、第1半導体層の薄膜化に対応しつつ、コンタクト抵抗を低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について図面を参照しながら説明する。
図1および図2は、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図1(a)において、半導体基板1の熱酸化を行うことにより、半導体基板1上にゲート絶縁膜2を形成する。そして、CVDなどの方法により、ゲート絶縁膜2が形成された半導体基板1上に多結晶シリコン層および絶縁膜を順次積層し、フォトリソグラフィー技術およびドライエッチング技術を用いて、多結晶シリコン層および絶縁膜のパターニングを行うことにより、ゲート電極3およびキャップ層4をゲート絶縁膜2上に形成する。そして、ゲート電極3をマスクとして、As、P、Bなどの不純物を半導体基板1内にイオン注入することにより、ゲート電極3の両側にそれぞれ配置された低濃度不純物導入層からなるLDD(Lightly Doped Drain)層5a、5bを半導体基板1に形成する。
【0023】
次に、図1(b)に示すように、CVDなどの方法により、LDD層5a、5bが形成された半導体基板1上に絶縁層を形成し、RIEなどの異方性エッチングを用いて絶縁層をエッチバックすることにより、ゲート電極3の側壁にサイドウォール6a、6bをそれぞれ形成する。
次に、図1(c)に示すように、エピタキシャル成長により、単結晶半導体層7a、7bをLDD層5a、5b上に選択的に形成する。なお、単結晶半導体層7a、7bは、半導体基板1とバンドギャップまたは電子親和力が異なるように構成することができ、半導体基板1および単結晶半導体層7a、7bの材質としては、例えば、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbSなどのIV族元素、GaAs、GaN、InP、GaPなどのIII−V族元素、ZnSeなどのII−VI族元素、あるいはIV−VI族元素から選択することができる。特に、半導体基板1としてSi、単結晶半導体層7a、7bとしてSiGeの組み合わせは格子整合を取り易く、半導体基板1上に単結晶半導体層7a、7bを安定して形成することができる。
【0024】
ここで、エピタキシャル成長を用いて単結晶半導体層7a、7bを形成することにより、単結晶半導体層7a、7bが絶縁層上に成長することを防止することができる。このため、キャップ層4およびサイドウォール6a、6b上に単結晶半導体層7a、7bが成長しないようにしつつ、単結晶半導体層7a、7bをLDD層5a、5b上に選択的に成長させることができる。
【0025】
また、LDD層5a、5bの形成後、ソース層8aおよびドレイン層8bの形成前に、単結晶半導体層7a、7bを形成することにより、単結晶半導体層7a、7bを成長させる時の不純物濃度の影響を抑制することが可能となり、単結晶半導体層7a、7bを安定して形成することが可能となるとともに、単結晶半導体層7a、7bがゲート電極3に接触することを防止することができる。
【0026】
次に、図2(a)に示すように、ゲート電極3およびサイドウォール6a、6bをマスクとして、単結晶半導体層7a、7bが形成された半導体基板1内にAs、P、Bなどの不純物をイオン注入することにより、サイドウォール6a、6bの側方にそれぞれ配置された高濃度不純物導入層からなるソース層8aおよびドレイン層8bを半導体基板1に形成する。
【0027】
次に、図2(b)に示すように、例えば、プラズマCVDにより、ゲート電極6上に層間絶縁膜9を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いることにより、層間絶縁膜9および単結晶半導体層7a、7bをそれぞれ介してソース層8aおよびドレイン層8bをそれぞれ露出させる開口部10a、10bを形成する。なお、ソース層8aおよびドレイン層8bを露出させる場合、ソース層8aおよびドレイン層8bがオーバーエッチングされていてもよく、ソース層8aおよびドレイン層8bに凹部が形成されるようにしてもよい。ただし、ソース層8aおよびドレイン層8bをオーバーエッチングする場合、ソース層8aおよびドレイン層8bが貫通しないようにすることが必要である。
【0028】
次に、図2(c)に示すように、バリアメタル膜11a、11bをそれぞれ介して埋め込まれたプラグ12a、12bを開口部10a、10b内にそれぞれ形成する。なお、バリアメタル膜11a、11bとしては、例えば、Ti/TiNからなる積層膜、プラグ12a、12bの材質としては、例えば、W、Al、Cuまたは多結晶シリコンなどを用いることができる。
【0029】
そして、プラグ12a、12bが形成された層間絶縁膜9上に金属膜をスパッタし、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、金属膜をパターニングすることにより、プラグ12a、12bにそれぞれ接続された金属配線層13a、13bを絶縁層9上に形成する。
ここで、コンタクト抵抗のオーミック性は金属と半導体とのショットキー障壁Ψsbhで決定することができる。そして、ショットキー障壁Ψsbhは、以下に示すように、金属の仕事関数ψmと半導体の電子親和力Xsとの差で決定することができる。
【0030】
Ψsbh(e)=ψm−Xs
Ψsbh(h)=Eg/q−(ψm−Xs)
Eg/q=Ψsbh(e)+Ψsbh(h)
ただし、Ψsbh(e)は、金属から半導体への自由電子のショットキー障壁、Ψsbh(h)は、金属から半導体へのホールのショットキー障壁である。
【0031】
なお、半導体から金属への自由電子の移動は、半導体の仕事関数をψsとすると、ψm−ψsで決定することができ、半導体の仕事関数ψsは不純物のドーピング量で変化する。
そして、バンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる複数の半導体基板1および単結晶半導体層7a、7bの両方にバリアメタル膜11a、11bをそれぞれ接触させることにより、金属材料の仕事関数に対して複数のエネルギー障壁を持たせることが可能となり、低い方のエネルギー障壁に対応させてコンタクト抵抗を決定することが可能となる。このため、金属配線層13a、13bの構成を変更することなく、コンタクト抵抗を低減することが可能となり、デバイスの微細化を図りつつ、デバイスの高速化および低消費電力化を図ることができる。
【0032】
また、バンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる複数の半導体層に金属材料を接触させることで、N型半導体領域とP型半導体領域とで金属配線層13a、13bの構成を変更することなく、N型半導体領域およびP型半導体領域におけるエネルギー障壁を低下させることが可能となる。このため、コンタクト構造の煩雑化を抑制しつつ、N型半導体領域およびP型半導体領域の両方に対して良好なコンタクト特性を得ることが可能となり、CMOS回路を効率よく作製することを可能として、デバイスの低消費電力化を図ることができる。
【0033】
さらに、コンタクト抵抗がトンネル効果により決定される場合においても、障壁が低ければ、同一ドーパント濃度では空乏層の幅も短くなり、半導体のドーパント濃度にばらつきが生じた場合においても、コンタクト抵抗の低抵抗化を安定して図ることが可能となる。
図3および図4は、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0034】
図3(a)において、半導体基板21a上には絶縁層21bが形成され、絶縁層21b上には単結晶半導体層21cが形成されている。なお、半導体基板21aおよび単結晶半導体層21cの材質としては、例えば、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbS、GaAs、InP、GaP、GaN、ZnSeなどを用いることができ、絶縁層21bとしては、例えば、SiO2、SIONまたはSi34を用いることができる。また、絶縁層21b上に単結晶半導体層21cが形成された半導体基板21aとしては、例えば、SOI基板を用いることができ、SOI基板としては、SIMOX(Separation by Implanted Oxgen)基板、貼り合わせ基板またはレーザアニール基板などを用いることができる。また、半導体基板21a以外にも、サファイア、ガラスまたはセラミックなどの絶縁性基板を用いるようにしてもよい。
【0035】
そして、単結晶半導体層21cの熱酸化を行うことにより、単結晶半導体層21c上にゲート絶縁膜22を形成する。そして、CVDなどの方法により、ゲート絶縁膜22が形成された単結晶半導体層21c上に多結晶シリコン層および絶縁膜を順次積層し、フォトリソグラフィー技術およびドライエッチング技術を用いて、多結晶シリコン層および絶縁膜のパターニングを行うことにより、ゲート電極23およびキャップ層24をゲート絶縁膜22上に形成する。そして、ゲート電極23をマスクとして、As、P、Bなどの不純物を単結晶半導体層21c内にイオン注入することにより、ゲート電極23の両側にそれぞれ配置された低濃度不純物導入層からなるLDD(Lightly Doped Drain)層25a、25bを単結晶半導体層21cに形成する。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、CVDなどの方法により、LDD層25a、25bが形成された単結晶半導体層21c上に絶縁層を形成し、RIEなどの異方性エッチングを用いて絶縁層をエッチバックすることにより、ゲート電極23の側壁にサイドウォール26a、26bをそれぞれ形成する。
次に、図3(c)に示すように、エピタキシャル成長により、単結晶半導体層27a、27bをLDD層25a、25b上に選択的に形成する。なお、単結晶半導体層27a、27bは、単結晶半導体層21cとバンドギャップまたは電子親和力が異なるようにすることができ、単結晶半導体層27a、27bの材質としては、例えば、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbSなどのIV族元素、GaAs、GaN、InP、GaPなどのIII−V族元素、ZnSeなどのII−VI族元素、あるいはIV−VI族元素から選択することができる。特に、単結晶半導体層21cとしてSi、単結晶半導体層27a、27bとしてSiGeの組み合わせは格子整合を取り易く、単結晶半導体層21c上に単結晶半導体層27a、27bを安定して形成することができる。
【0037】
次に、図4(a)に示すように、ゲート電極23およびサイドウォール26a、26bをマスクとして、単結晶半導体層27a、27bが形成された単結晶半導体層21c内にAs、P、Bなどの不純物をイオン注入することにより、サイドウォール26a、26bの側方にそれぞれ配置されるとともに、底面が絶縁層21bに接触するようにして、高濃度不純物導入層からなるソース層28aおよびドレイン層28bを単結晶半導体層21cに形成する。
【0038】
次に、図4(b)に示すように、例えば、プラズマCVDにより、ゲート電極26上に層間絶縁膜29を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いることにより、層間絶縁膜29および単結晶半導体層27a、27bをそれぞれ介してソース層28aおよびドレイン層28bをそれぞれ露出させる開口部30a、30bを形成する。
【0039】
なお、ソース層28aおよびドレイン層28bを露出させる場合、ソース層28aおよびドレイン層82bがオーバーエッチングされていてもよく、ソース層28aおよびドレイン層28bに凹部が形成されるようにしてもよい。また、ソース層28aおよびドレイン層28bをオーバーエッチングする場合、ソース層28aおよびドレイン層28bを貫通させて、開口部30a、30bの底が絶縁層21bに到達するようにしてもよい。
【0040】
ここで、開口部30a、30bを形成する際に、ソース層28aおよびドレイン層28bを貫通させることにより、ソース層28aおよびドレイン層28bが貫通しないように、オーバーエッチング量を制御したり、ソース層28aおよびドレイン層28bの深さを確保したりする必要がなくなる。このため、単結晶半導体層21cを薄膜化することが可能となり、電界効果型トランジスタを完全空乏モードで容易に動作させることが可能となる。
【0041】
次に、図4(c)に示すように、バリアメタル膜31a、31bをそれぞれ介して埋め込まれたプラグ32a、32bを開口部30a、30b内にそれぞれ形成する。なお、バリアメタル膜31a、31bとしては、例えば、Ti/TiNからなる積層膜、プラグ32a、32bの材質としては、例えば、W、Al、Cuまたは多結晶シリコンなどを用いることができる。
【0042】
そして、プラグ32a、32bが形成された層間絶縁膜29上に金属膜をスパッタし、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、金属膜をパターニングすることにより、プラグ32a、32bにそれぞれ接続された金属配線層33a、33bを絶縁層29上に形成する。
これにより、バンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる単結晶半導体層27aおよびソース層28aの側壁にバリアメタル膜31a、31bを接触させることが可能となるとともに、バンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる単結晶半導体層27bおよびドレイン層28bの側壁にバリアメタル膜31bを接触させることが可能となる、このため、金属材料の仕事関数に対して複数のエネルギー障壁を持たせることが可能となり、コンタクトサイズを変更することなく、コンタクト抵抗を低減することが可能となる。
【0043】
また、絶縁層21b上に単結晶半導体層21cを形成することにより、ソース28aおよびドレイン層28bが貫通した場合においても、開口部30a、30bにそれぞれ埋め込まれたプラグ32a、32bを介してソース28aおよびドレイン層28bがショートすることを防止することが可能となるとともに、N型半導体領域とP型半導体領域とで金属配線層33a、33bの構成を変更することなく、N型半導体領域およびP型半導体領域におけるエネルギー障壁を低下させることが可能となる。
【0044】
このため、単結晶半導体層21cが薄膜化された場合においても、コンタクト構造の煩雑化を抑制しつつ、N型半導体領域およびP型半導体領域の両方に対して良好なコンタクト特性を得ることが可能となり、CMOS回路を効率よく作製することを可能として、デバイスの低消費電力化を図ることが可能となるとともに、電界効果型トランジスタを完全空乏モードで動作させることを可能として、電界効果型トランジスタ動作の高速化および低電圧化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図2】本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図3】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【図4】本発明の第2実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図。
【符号の説明】
【0046】
1,21a…半導体基板、21b…絶縁層、7a,7b,21c,27a,27b…単結晶半導体層、2,22…ゲート絶縁膜、3,23…ゲート電極、4,24…キャップ層、5a,5b,25a,25b…LDD層、6a,6b,26a,26b…サイドウォールスペーサ、8a,28a…ソース層、8b,28b…ドレイン層、9,29…層間絶縁膜、10a,10b,30a,30b…開口部、11a,11b,31a,31b…バリアメタル膜、12a,12b,32a,32b…プラグ、13a,13b,33a,33b…配線層。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンタクト領域に配置され、バンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる複数の半導体層と、
前記コンタクト領域において前記複数の半導体層に接触する金属配線層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
第1半導体層と、
前記第1半導体層上に積層され、前記第1半導体層とバンドギャップまたは電子親和力が異なる第2半導体層と、
前記第2半導体層を貫通して前記第1半導体層を露出させる開口部と、
前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の底面にて前記第1半導体層と接触するとともに、前記開口部の側面にて前記第2半導体層に接触する金属配線層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の両側にそれぞれ配置され、前記半導体基板に形成されたソース/ドレイン層と、
前記ソース/ドレイン層上に積層され、前記半導体基板とバンドギャップまたは電子親和力が異なる半導体層と、
前記半導体層を貫通して前記ソース層または前記ドレイン層を露出させる開口部と、
前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の底面にて前記ソース層または前記ドレイン層と接触するとともに、前記開口部の側面にて前記半導体層に接触する金属配線層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
絶縁層上に形成された第1半導体層と、
前記第1半導体層上に積層され、前記第1半導体層とバンドギャップまたは電子親和力が異なる第2半導体層と、
前記第1半導体層および前記第2半導体層を貫通して前記絶縁層に到達するように形成された開口部と、
前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の側面にて前記第1半導体層および前記第2半導体層と接触する金属配線層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
絶縁層上に形成された第1半導体層と、
前記第1半導体層上に形成されたゲート電極と、
前記ゲート電極の両側にそれぞれ配置されるとともに、前記絶縁層に底部が到達するようにして前記第1半導体層に形成されたソース/ドレイン層と、
前記ソース/ドレイン層上に積層され、前記第1半導体層とバンドギャップまたは電子親和力が異なる第2半導体層と、
前記ソース層またはドレイン層および前記第2半導体層を貫通して前記絶縁層に到達するように形成された開口部と、
前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の側面にて前記ソース層またはドレイン層および前記第2半導体層に接触する金属配線層とを備えることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板または半導体層は、Si、Ge、SiGe、SiC、SiSn、PbS、GaAs、InP、GaP、GaNまたはZnSeであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板上にバンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる半導体層を形成する工程と、
前記半導体層上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜および前記半導体層を貫通して前記半導体基板を露出させる開口部を形成する工程と、
前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の底面にて前記半導体基板と接触するとともに、前記開口部の側面にて前記半導体層に接触する金属配線層を前記層間絶縁膜上に形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
絶縁層上に設けられた第1半導体層上にバンドギャップまたは電子親和力が互いに異なる第2半導体層を形成する工程と、
前記第2半導体層上に層間絶縁膜を形成する工程と、
前記層間絶縁膜、前記第1半導体層および前記第2半導体層を貫通して前記絶縁層に到達する開口部を形成する工程と、
前記開口部に埋め込まれ、前記開口部の側面にて前記第1半導体層および前記第2半導体層に接触する金属配線層を前記層間絶縁膜上に形成する工程とを備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−134732(P2007−134732A)
【公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−343963(P2006−343963)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【分割の表示】特願2003−343517(P2003−343517)の分割
【原出願日】平成15年10月1日(2003.10.1)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】