説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】製造プロセスにおいてフォトレジスト構造等の追加工程を必要としない、非対称なDSS構造の半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板2上にゲート絶縁膜21を介して形成されたゲート電極22と、ゲート電極22の側面に形成されたオフセットスペーサ13、23と、一方のオフセットスペーサ23の側面に形成されたゲート側壁27と、半導体基板2中のゲート絶縁膜21下に形成されたチャネル領域25と、半導体基板2内のチャネル領域25を挟む領域に形成され、チャネル領域25側に導電型不純物が偏析して形成されたエクステンション領域24aを有するソース・ドレイン領域24と、ソース・ドレイン領域24上にオフセットスペーサ13に接して形成されたシリサイド層16、及び、ゲート側壁27に接して形成されたシリサイド層26と、を有した半導体装置1とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特に、非対称なソース・ドレイン電極を持つDSS半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体装置として、ゲート電極の側面に通常のゲート側壁を形成せずに、オフセットスペーサ(幅の狭いゲート側壁)のみを形成し、ソース・ドレイン領域の上面にシリサイド層を形成したトランジスタが知られている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
この非特許文献1に記載の半導体装置によれば、シリサイド層がソース・ドレイン領域のエクステンション領域のチャネル領域側の端部に近い領域に形成される。そのため、エクステンション領域中の導電型不純物が、シリサイド層により、エクステンション領域と半導体基板との界面付近に押し出されて偏析する。これにより、界面付近のエクステンション領域の不純物プロファイルは非常に高濃度かつ急峻になり、界面寄生抵抗が減少するため、トランジスタオン電流が向上する。なお、この様な技術は偏析ショットキー技術等と呼ばれ、この様な構造は、DSS(Dopant Segregated Schottky)構造等と呼ばれている。
【0004】
しかし、DSS構造の半導体装置は、通常のMOSFETと比べ、寄生抵抗が低く、かつキャリアの注入速度が高いため、高い駆動電流を有するが、ゲート端においてシリサイド/Si界面から接合端までの距離が極端に浅く接合リーク電流が高くなるため、オフ電流に影響を及ぼすという問題がある。
【0005】
一方、ゲート構造におけるスペーサ構造をソース・ドレイン領域に対して非対称にするものがある(例えば、特許文献2参照)。この特許文献2に記載の非対称の側壁スペーサの形成方法では、フォトレジスト構造によりイオンビームを一部遮蔽することにより非対称の側壁スペーサ構造を形成するものであり、製造プロセスとしてフォトレジスト構造を形成するステップが必要であるという問題がある。
【非特許文献1】A Kinoshita et al., Extended Abstracts of the 2004 International Conference on Solid State Devices and Materials Tokyo, 2004, pp.172-173.
【特許文献2】特表2007−501518号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、製造プロセスにおいてフォトレジスト構造等の追加工程を必要としない、非対称なDSS構造の半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極、前記ゲート電極の両側面に形成されたスペーサ、一方の前記スペーサの側面に形成されたゲート側壁、前記半導体基板中の前記ゲート絶縁膜下に形成されたチャネル領域、前記チャネル領域の両側に形成され前記チャネル領域側に導電型不純物が偏析して形成されたエクステンション領域を有するソース・ドレイン領域、および前記ソース・ドレイン領域上に形成されたシリサイド領域を有し、前記ソース・ドレイン領域のソース側の前記シリサイド領域とドレイン側の前記シリサイド領域が、ゲート電極に対して非対称に形成されていることを特徴とする半導体装置を提供する。
【0008】
また、本発明の一態様によれば、半導体基板上のトランジスタ領域に、ゲート電極をゲート絶縁膜を介して形成する工程と、前記ゲート電極の両側面に、スペーサをそれぞれ形成する工程と、前記スペーサ、及び、前記ゲート電極をマスクとして用いて、前記半導体基板上の前記トランジスタ領域に不純物を注入して、ソース・ドレイン領域のエクステンション領域を形成する工程と、前記スペーサの側面に、ゲート側壁を形成する工程と、前記スペーサ、及び、前記ゲート電極をマスクとして用いて、前記ソース・ドレイン領域のソース側又はドレイン側のいずれか一方の前記ゲート側壁に異方性の改質処理を施す工程と、前記ソース側の前記ゲート側壁を選択的に剥離する工程と、前記改質処理を施した前記ゲート側壁を剥離した後、前記半導体基板の前記トランジスタ領域の前記スペーサの両側の露出した領域に、シリサイド層を形成する工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の実施の態様によれば、製造プロセスにおいてフォトレジスト構造等の追加工程を必要としない、非対称なDSS構造の半導体装置及びその製造方法を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
(本発明の第1の実施の形態)
(半導体装置1の構成)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。半導体装置1は
、半導体基板2上に素子分離領域3により電気的に分離されたMOSFET10を有する。
【0011】
半導体基板2は、バルクSi基板、SOI(Silicon on Insulator)基板等を用いることができる。
【0012】
素子分離領域3は、例えば、SiO等の絶縁材料からなり、STI(Shallow Trench Isolation)構造を有する。
【0013】
MOSFET10は、半導体基板2上にゲート絶縁膜21を介して形成されたゲート電極22と、ゲート電極22の側面に形成されたオフセットスペーサ13、23と、一方のオフセットスペーサ23の側面に形成されたゲート側壁27と、半導体基板2中のゲート絶縁膜21下に形成されたチャネル領域25と、半導体基板2内のチャネル領域25を挟む領域に形成され、チャネル領域25側に導電型不純物が偏析して形成されたエクステンション領域24aを有するソース・ドレイン領域24と、ソース・ドレイン領域24上にオフセットスペーサ13に接して形成されたシリサイド層16、及び、ゲート側壁27に接して形成されたシリサイド層26と、を有して概略構成される。
【0014】
ソース・ドレイン領域24は、コンタクト層としてのシリサイド層16、26、及び、ビア30を介して配線31に接続され、層間絶縁膜32、保護膜33等を有して全体が構成されている。
【0015】
ゲート絶縁膜21は、例えばSiO、SiN、SiONや、高誘電材料(例えば、HfSiON、HfSiO、HfO等のHf系材料、ZrSiON、ZrSiO、ZrO等のZr系材料、Y等のY系材料)からなる。
【0016】
ゲート電極22は、導電型不純物を含む多結晶Siまたは多結晶SiGe等のSi系多結晶からなる。ゲート電極22には、MOSFET10がn型MOSFETの場合には、As、P等のn型不純物が用いられる。また、MOSFET10がp型MOSFETの場合には、B、BF等のp型不純物が用いられる。また、ゲート電極22がSi系多結晶からなる場合は、上部にシリサイド層が形成されてもよい。また、ゲート電極22は、W、Ta、Ti、Hf、Zr、Ru、Pt、Ir、Mo、Al等やこれらの化合物等からなるメタルゲート電極であってもよい。また、メタルゲート電極とSi系多結晶電極を積層した構造であってもよい。
【0017】
スペーサとしてのオフセットスペーサ13、23は、例えば、SiO、SiN等の絶縁材料からなる。オフセットスペーサ13、23の厚さは、ソース・ドレイン領域24のエクステンション領域24a、24b、シリサイド層16、26等の形成位置に影響を与えるものであり、例えば、約12nmであることが好ましい。
【0018】
ゲート側壁27は、ソース・ドレイン領域24のドレイン側にのみ形成されており、例えばSiNからなる単層構造や、SiNとSiOからなる2層構造、更には3層以上の構造であってもよい。
【0019】
ソース・ドレイン領域24は、浅いエクステンション領域24aと深いディープ領域24bを含み、MOSFET10がn型MOSFETの場合には、As、P等のn型不純物を半導体基板2のn型MOSFETの領域に注入することにより形成される。また、MOSFET10がp型MOSFETの場合には、B、BF等のp型不純物を半導体基板2のp型MOSFETの領域に注入することにより形成される。
【0020】
シリサイド層16、26は、Ni、Pt、Co、Er、Y、Yb、Ti、Pd、NiPt、CoNi等の金属とSiを含む化合物からなり、ソース・ドレイン領域24の上面の露出部分に形成される。シリサイド層16は、ソース・ドレイン領域24のソース側のオフセットスペーサ13に、これと接して形成されている。また、シリサイド層26は、ゲート側壁27に、これと接して形成されている。
【0021】
ソース側に形成されたシリサイド層16は、ソース・ドレイン領域24のエクステンション領域24aのチャネル領域25側の端部に近い領域に形成される(DSS構造)。そのため、エクステンション領域24a中の不純物が、シリサイド層16により、エクステンション領域24aと半導体基板2との界面付近に押し出されて偏析する。これにより、界面付近のエクステンション領域24aの不純物プロファイルは非常に高濃度かつ急峻になり、界面寄生抵抗が減少するため、MOSFET10のオン電流を向上させることができる。尚、n型MOSFETは、p型MOSFETと比較して、DSS構造によるオン電流向上の効果が大きいことが知られている。
【0022】
尚、上記説明はMOSFETで行なったが、本発明の実施の形態は、一般的に、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)に適用できる。
【0023】
(第1の実施の形態の効果)
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1は、非対称なソース/ドレイン電極を持つDSS構造のMOSFETである。この非対称DSS MOSFETによる効果を以下に示す従来のMOSFET、及び、DSS MOSFETと比較する。
【0024】
図4は、従来のMOSFET100の半導体装置の断面図である。このMOSFET100は、ゲート側壁27が、ソース・ドレイン領域24のソース側とドレイン側の両側に形成された構造である。シリサイド層26は、ソース側及びドレイン側共に、ゲート側壁27にこれと接して形成されている。従って、シリサイド−ドレイン接合間の距離が十分にあるので、接合リーク電流は問題にならない。しかし、シリサイドからゲート端までの距離が長いため、ソース端の抵抗が高くなり、キャリアの注入速度が小さい。従って、従来のMOSFET構造は、LSTP(Low Stand-by Power)CMOSには適すが、HP(High Performance)CMOSには、あまり適さないという問題がある。
【0025】
また、図5は、DSS MOSFET200の半導体装置の断面図である。このMOSFET100は、ゲート側壁を有さず、オフセットスペーサ23がソース・ドレイン領域24のソース側とドレイン側の両側に形成された構造である。シリサイド層26は、ソース側及びドレイン側共に、オフセットスペーサ23にこれと接して形成されている。従って、通常のMOSFETと比べ、寄生抵抗が低く、かつキャリアの注入速度が高いため、高い駆動電流を有することが知られている。しかし、ゲート端においてシリサイドから接合端までの距離が極端に浅いため、接合リーク電流が高くなり、オフ電流に影響を及ぼすことが問題である。例えば、1pA/umオーダーのオフ電流を必要とするLSTP(Low Stand-by Power)CMOSにはDSS技術は適用出来ない。従って、DSS MOSFETの使用はHP(High Performance)製品に限定せざるをえないという問題がある。
【0026】
本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置1は、非対称なソース/ドレイン電極を持つDSS構造であるので、シリサイド層26は、ドレイン側のゲート側壁27にこれと接して形成されている。従って、シリサイド−ドレイン接合間の距離が十分にあるので、接合リーク電流は問題にならない。一方、ソース側にはゲート側壁を有さず、シリサイド層16は、ソース側のオフセットスペーサ13にこれと接して形成されている。従って、通常のMOSFETと比べ、寄生抵抗が低く、かつキャリアの注入速度が高いため、高い駆動電流を有する。
【0027】
以上から、従来のMOSFETとDSS MOSFETの問題点を克服し、長所だけを利用する画期的な技術が本発明の形態に係る非対称DSS MOSFETである。すなわち、ソース端にもシリサイドがあるため、抵抗は十分低い。かつ、シリサイド−ドレイン接合間の距離が十分にあるので、接合リーク電流は問題にならない。この構造により、HP(High Performance)CMOSのみならず、LSTP(Low Stand-by Power)CMOSにも適用することが可能になった。
【0028】
(本発明の第2の実施の形態)
(半導体装置の製造方法)
図2A(a)〜(d)、図2B(e)〜(h)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置1の製造工程を示す断面図である。
【0029】
まず、図2A(a)に示すように、半導体基板2上に素子分離領域3を形成してMOSFET10を他の半導体素子から分離した後、MOSFET100の領域にゲート絶縁膜21、ゲート電極22、およびオフセットスペーサ13、23を形成する。
【0030】
次に、図2A(b)に示すように、ゲート電極22およびオフセットスペーサ13、23をマスクとして用いて、イオン注入法により導電型不純物を半導体基板2に注入し、MOSFET100の領域にソース・ドレイン領域24のエクステンション領域24aを形成する。ここで、MOSFET100がn型MOSFETの場合にはAs、P等のn型不純物、p型MOSFETの場合にはB、BF、In等のp型不純物が注入される。
【0031】
次に、図2A(c)に示すように、オフセットスペーサ13、23の側面にゲート側壁17、27をそれぞれ形成した後に、これをマスクとして用いてイオン注入法により導電型不純物を半導体基板2に注入し、MOSFET100の領域にソース・ドレイン領域24のディープ領域24bを形成する。
【0032】
ここで、ゲート側壁17、27は、例えば、SiO等のゲート側壁17、27の材料膜をオフセットスペーサ13、23の側面を覆うように堆積させた後、RIE(Reactive Ion Etching)法により、この材料膜をエッチング加工することにより形成される。また、ディープ領域24bは、MOSFET100がn型MOSFETの場合にはAs、P等のn型不純物、p型MOSFETの場合にはB、BF、In等のp型不純物が注入されることにより形成される。
【0033】
次に、図2A(d)に示すように、ゲート側壁27に対して異方性のDensify処理等の改質処理を行なう。異方性のDensify処理には、例えば、イオン注入、プラズマドーピング、レーザ照射等が用いられる。ドレイン側のゲート側壁27にはDensify処理が施され、一方、ソース側のゲート側壁17には、Densify処理が施されないよう、オフセットスペーサ13、23をマスクとして所定の角度からイオン注入等の異方性処理が行なわれる。この異方性のDensify処理により、ドレイン側のゲート側壁27は、圧縮され、また、密度が高くなる。一方、ソース側のゲート側壁17は、改質されない。
【0034】
次に、図2B(e)に示すように、ゲート側壁17のみをエッチングにより剥離する。ゲート側壁17、27がSiNからなる場合はホットリン酸、SiOからなる場合はフッ酸によりエッチング処理を行なう。このエッチング処理において、ドレイン側のゲート側壁27に対してソース側のゲート側壁17はエッチングレートが低く、ソース側のゲート側壁17のみが剥離される。尚、オフセットスペーサ13を除去せずに残すため、ゲート側壁17とオフセットスペーサ13はある程度の大きさのエッチング選択比を有することが好ましい。
【0035】
次に、図2B(f)に示すように、公知のサリサイドプロセスにより、シリサイド層16、26を形成する。シリサイド層16、26は、ソース・ドレイン領域24の上面の露出部分を覆うようにNi等からなる金属膜をスパッタリングにより堆積させ、400〜500℃のRTAを行って金属膜とゲート電極ならびにソース・ドレイン領域をシリサイド化反応させることにより形成される。また、金属膜の未反応部分は、硫酸と過酸化水素水の混合溶液でエッチングして除去する。
【0036】
このとき、ソース・ドレイン領域24の上面は、ソース側において、オフセットスペーサ13に接して露出しているため、シリサイド層16はオフセットスペーサ13に接して形成される。一方、ドレイン側においては、ソース・ドレイン領域24の上面がゲート側壁27に接して露出しているため、シリサイド層26はゲート側壁27に接して(オフセットスペーサ23と離間して)形成される。
【0037】
次に、図2B(g)に示すように、プラズマCVD法等により、半導体基板2上の全面
に層間絶縁膜32を形成する。
【0038】
次に、図2B(h)に示すように、ビア30及び配線31を形成した後、保護膜33を形成することにより、図1に示す半導体装置1とする。
【0039】
(第2の実施の形態の効果)
本発明の第2の実施の形態に係る半導体装置1の製造方法によれば、異方性のDensify処理を行なうので、別途のフォトレジスト工程等が不要である。従って、フォトレジストの形成、除去等のプロセスの追加工程なしで第1の実施の形態に示したような非対称DSS MOSFETを製造することが可能となる。これにより、コスト増加を伴わずに、HP(High Performance)で、LSTP(Low Stand-by Power)のMOSFET、CMOSが製造可能となる。
【0040】
尚、上記説明はMOSFETで行なったが、本発明の実施の形態は、一般的に、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)に適用できる。
【0041】
(本発明の第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置の製造方法は、第2の実施の形態に係る半導体装置の製造方法とゲート側壁の改質処理工程が異なるのみであるので、この異なる改質処理工程について、以下に説明する。
【0042】
図3は、第2の実施の形態で説明した図2A(d)に示すゲート側壁27の改質処理工程に相当する製造工程を示す断面図である。第2の実施の形態ではドレイン側のゲート側壁27に改質処理を施したが、第3の実施の形態に係る半導体装置1の製造方法では、ソース側のゲート側壁17に異方性のAmorphous化処理を行なう。図3に示すように、ソース側のゲート側壁17に対して、例えば、レーザ光を照射して急冷することにより疎な膜組織へ改質し、Amorphous化させることができる。所定の角度からレーザ光を照射するので、ソース側のゲート側壁17のみが改質され、ドレイン側のゲート側壁27は、オフセットスペーサ13、23がマスクとなるので、改質されない。また、イオン注入、またはプラズマドーピングにより、ゲート側壁17の結晶組織を壊すことによりAmorphous化させてもよい。
【0043】
上記の工程の後、、ゲート側壁17のみをエッチングにより剥離する。ゲート側壁17、27がSiNからなる場合はホットリン酸、SiOからなる場合はフッ酸によりエッチング処理を行なう。このエッチング処理において、ドレイン側のゲート側壁27に対してソース側のゲート側壁17はエッチングレートが低く、ソース側のゲート側壁17のみが剥離される。尚、オフセットスペーサ13を除去せずに残すため、ゲート側壁17とオフセットスペーサ13はある程度の大きさのエッチング選択比を有することが好ましい。
【0044】
その他の製造工程は第2の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0045】
(第3の実施の形態の効果)
本発明の第3の実施の形態に係る半導体装置1の製造方法によれば、異方性のAmorphous化処理を行なうので、別途のフォトレジスト工程等が不要である。従って、フォトレジストの形成、除去等のプロセスの追加工程なしで第1の実施の形態に示したような非対称DSS MOSFETを製造することが可能となる。これにより、コスト増加を伴わずに、HP(High Performance)で、LSTP(Low Stand-by Power)のMOSFET、CMOSが製造可能となる。
【0046】
尚、上記説明はMOSFETで行なったが、本発明の実施の形態は、一般的に、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】図1は、本発明の第1の実施の形態に係る半導体装置の断面図である。
【図2A】図2A(a)〜(d)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置1の製造工程を示す断面図である。
【図2B】図2B(e)〜(h)は、本発明の実施の形態に係る半導体装置1の製造工程を示す断面図である。
【図3】図3は、第2の実施の形態で説明した図2B(d)に示すゲート側壁27の改質処理工程に相当する製造工程を示す断面図である。
【図4】図4は、従来のMOSFET100の半導体装置の断面図である。
【図5】図5は、DSS MOSFET200の半導体装置の断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1…半導体装置、2…半導体基板、3…素子分離領域、13…オフセットスペーサ、14…ソース・ドレイン領域、14b…ディープ領域、16…シリサイド層、17…ゲート側壁、21…ゲート絶縁膜、22…ゲート電極、23…オフセットスペーサ、24…ソース・ドレイン領域、24a…エクステンション領域、24b…ディープ領域、25…チャネル領域、26…シリサイド層、27…ゲート側壁、30…ビア、31…配線、32…層間絶縁膜、33…保護膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極、前記ゲート電極の両側面に形成されたスペーサ、一方の前記スペーサの側面に形成されたゲート側壁、前記半導体基板中の前記ゲート絶縁膜下に形成されたチャネル領域、前記チャネル領域の両側に形成され前記チャネル領域側に導電型不純物が偏析して形成されたエクステンション領域を有するソース・ドレイン領域、および前記ソース・ドレイン領域上に形成されたシリサイド領域を有し、
前記ソース・ドレイン領域のソース側の前記シリサイド領域とドレイン側の前記シリサイド領域が、ゲート電極に対して非対称に形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート側壁は、前記ソース・ドレイン領域のドレイン側にのみ形成され、前記ソース・ドレイン領域のソース側の前記シリサイド領域が前記スペーサに接して形成されると共に、ドレイン側の前記シリサイド領域が前記スペーサから離間して形成されていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上のトランジスタ領域に、ゲート電極をゲート絶縁膜を介して形成する工程と、
前記ゲート電極の両側面に、スペーサをそれぞれ形成する工程と、
前記スペーサ、及び、前記ゲート電極をマスクとして用いて、前記半導体基板上の前記トランジスタ領域に不純物を注入して、ソース・ドレイン領域のエクステンション領域を形成する工程と、
前記スペーサの側面に、ゲート側壁を形成する工程と、
前記スペーサ、及び、前記ゲート電極をマスクとして用いて、前記ソース・ドレイン領域のソース側又はドレイン側のいずれか一方の前記ゲート側壁に異方性の改質処理を施す工程と、
前記ソース側の前記ゲート側壁を選択的に剥離する工程と、
前記改質処理を施した前記ゲート側壁を剥離した後、前記半導体基板の前記トランジスタ領域の前記スペーサの両側の露出した領域に、シリサイド層を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記異方性の改質処理は、イオン注入、プラズマドーピング、またはレーザ照射の少なくともいずれか1つを用いたDensify処理であり、前記ドレイン側の前記ゲート側壁に施されることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記異方性の改質処理は、イオン注入、プラズマドーピング、またはレーザ照射の少なくともいずれか1つを用いたAmorphous化処理であり、前記ソース側の前記ゲート側壁に施されることを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−118500(P2010−118500A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290730(P2008−290730)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】