半導体装置および半導体装置の製造方法
【課題】半導体装置の特性を向上させる。
【解決手段】本発明の半導体装置は、面方位が(110)のシリコン基板1と、pMIS領域1Bに形成されたpチャネル型電界効果トランジスタを有する。このpチャネル型電界効果トランジスタは、ゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE2と、ゲート電極GE2の両側のシリコン基板1中に設けられた溝g2の内部に配置され、Siより格子定数が大きいSiGeよりなるソース・ドレイン領域と、を有する。上記溝g2は、ゲート電極GE2側に位置する側壁部において、第1の斜面と、第1の斜面と交差する第2の斜面と、を有する。このように、溝g2の形状をΣ形状とすることで、pチャネル型電界効果トランジスタのチャネル領域に加わる圧縮歪みを大きくすることができる。
【解決手段】本発明の半導体装置は、面方位が(110)のシリコン基板1と、pMIS領域1Bに形成されたpチャネル型電界効果トランジスタを有する。このpチャネル型電界効果トランジスタは、ゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE2と、ゲート電極GE2の両側のシリコン基板1中に設けられた溝g2の内部に配置され、Siより格子定数が大きいSiGeよりなるソース・ドレイン領域と、を有する。上記溝g2は、ゲート電極GE2側に位置する側壁部において、第1の斜面と、第1の斜面と交差する第2の斜面と、を有する。このように、溝g2の形状をΣ形状とすることで、pチャネル型電界効果トランジスタのチャネル領域に加わる圧縮歪みを大きくすることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、MISFETを有する半導体装置およびその製造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トランジスタを微細化させ、その性能向上を図ることが幅広く行われている。しかしながら、微細化のみによるトランジスタの性能の向上は、対性能比で見た場合のコストの上昇といった問題がある。
【0003】
そこで、微細化のみによるトランジスタの性能向上ばかりでなく、応力を制御してトランジスタの性能を向上させる手法が現れてきている。
【0004】
応力膜を用いてトランジスタの性能向上を図る手法の一つとして、例えば、Si基板上に形成されたpチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域にSiGeを適用して性能向上を図る技術が検討されている。かかる技術は、例えば、下記特許文献1および2に開示されている。
【0005】
また、pチャネル型MISFET上に圧縮応力膜を形成し、nチャネル型MISFET上に引張応力膜を形成し、両方のMISFETのチャネルに応力を印加して性能向上を図る、いわゆるDSL(Dual Stress Liner)と呼ばれる技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−26795号公報
【特許文献2】特開2008−78347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、Si基板上に形成されたpチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)のソース・ドレイン領域にSiGeを適用することにより、トランジスタ性能の向上を図ることを検討している。
【0008】
かかるトランジスタ性能の向上に際しては、より効果的にチャネルに応力を与えることができる装置構造の改良が望まれる。また、その装置構成を実現するための製造方法の検討が望まれる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、半導体装置の特性を向上させることができる技術を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、良好な特性の半導体装置を製造することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の上記目的およびその他の目的と新規な特徴は、本願明細書の記載および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置は、(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板と、(b)基板の第1領域に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタを有する。このpチャネル型電界効果トランジスタは、(b1)第1領域上にゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極と、(b2)ゲート電極の両側の基板中に設けられた溝の内部に配置され、第1半導体より格子定数が大きい第2半導体よりなるソース・ドレイン領域と、を有する。上記溝は、ゲート電極側に位置する側壁部において、第1の斜面と、第1の斜面と交差する第2の斜面と、を有する。
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法は、(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板を準備する工程と、(b)基板の第1領域上に第1ゲート絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、を有する。さらに、(c)第1ゲート電極の両側に側壁膜を形成する工程と、(d)側壁膜をマスクとして第1ゲート電極の両側の基板をドライエッチングすることにより、第1ゲート電極の両側の基板中に第1溝を形成する工程と、を有する。さらに、(e)第1溝に対し異方的なウエットエッチングを施すことにより、ゲート電極側に位置する側壁部において、第1の斜面と第1の斜面と交差する第2の斜面とを有する第2溝を形成する工程、を有する。さらに、(f)第1半導体より格子定数が大きい第2半導体を第1の斜面および第2の斜面からエピタキシャル成長させることにより、第2溝内に第2半導体よりなる半導体領域を形成する工程、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示される半導体装置によれば、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0016】
また、本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法によれば、特性の良好な半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図2】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図1に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図3】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図2に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図である。
【図8】実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図である。
【図9】シリコン基板の面方位およびゲート電極の配置方向を模式的に示す平面図である。
【図10】実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図であって、図7に続く第1エッチング後の断面図である。
【図11】実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図であって、図10に続く第2エッチング後の断面図である。
【図12】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図13】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図14】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図17】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図18】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図19】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図20】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】実施の形態の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を示す実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0020】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0022】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0023】
(実施の形態)
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置の構成と製造方法について詳細に説明する。図1〜図6、図12〜図21は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。図7、図10および図11は、本実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図である。図8は、本実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図(上面図)である。図7は、例えば、図8のA−A断面と対応する。図9は、シリコン基板1の面方位およびゲート電極GE2の配置方向を模式的に示す平面図である。図22は、本実施の形態の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。
【0024】
[構造説明]
まず、本実施の形態における半導体装置の製造工程の最終工程断面図である図21を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の特徴的な構成について説明する。
【0025】
図21に示すように、本実施の形態の半導体装置は、シリコン基板(半導体基板)1のnMIS領域1Aに配置されたnチャネル型のMISFETQn1と、シリコン基板1のpMIS領域1Bに配置されたpチャネル型のMISFETQp1とを有している。nMIS領域1AおよびpMIS領域1Bは、それぞれ素子分離領域2により区画された活性領域(アクティブ)である。
【0026】
nチャネル型のMISFETQn1は、シリコン基板1上にゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE1と、このゲート電極GE1の両側のシリコン基板1中に配置されたソース・ドレイン領域とを有する。このソース・ドレイン領域は、n+型半導体領域SD1およびn−型半導体領域EX1により構成される。
【0027】
pチャネル型のMISFETQp1は、シリコン基板1上にゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE2と、このゲート電極GE2の両側のシリコン基板1中に配置されたソース・ドレイン領域とを有する。このソース・ドレイン領域は、p+型半導体領域SD2(10)およびp−型半導体領域EX2により構成される。
【0028】
上記シリコン基板1の面方位は(110)である。また、上記pチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域を構成するp+型半導体領域SD2は、シリコンゲルマニウム領域10中に配置されている。
【0029】
このシリコンゲルマニウム領域10は、溝g2内に配置されている。この溝g2は、そのゲート電極GE2側の側面において、2つの斜面を有する。この2つの斜面のうち一方の第1斜面は、シリコン基板1の表面から下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在する斜面である。また、他方の第2斜面は、上記第1斜面の端部からさらに下方であって、ゲート電極GE2側の方向とは逆側の方向(素子分離領域2側の方向)に斜めに延在する斜面である。この2つの斜面は、サイドウォールSW2の下方に位置する。このような、第1斜面と第2斜面とを有する溝g2の形状をΣ(シグマ)形状という。
【0030】
なお、溝g2の底面は、略水平である。また、溝g2のゲート電極GE2側と逆側の側面においては、素子分離領域2の側面が露出している。
【0031】
上記シリコンゲルマニウム領域10は、上記溝g2の内部において結晶成長された領域である。
【0032】
また、シリコンゲルマニウム領域10の上部には、金属シリサイド層23が配置されている。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、面方位(110)のシリコン基板1を用いたので、pチャネル型MISFETQp1において、正孔の移動度が大きい<110>をチャネルとすることができ、pチャネル型MISFETQp1の特性を向上させることができる。
【0034】
また、シリコン基板1よりも格子定数が大きいシリコンゲルマニウム領域10をソース・ドレイン領域として用いたので、追って詳細に説明するように、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に圧縮歪みを印加することができ、pチャネル型MISFETQp1の特性を向上させることができる。ここで、格子定数とは、結晶の単位格子を形づくる辺の長さをいう。
【0035】
また、溝g2の形状をΣ形状とすることで、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に加わる圧縮歪みを大きくすることができる。
【0036】
[製造方法説明]
次いで、図1〜図21を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
【0037】
まず、図1に示すように、半導体基板(半導体ウエハ)として、シリコン基板1を準備する。具体的には、例えばp型の単結晶シリコンからなるシリコン基板1を準備する。シリコン基板1の面方位は(110)である。面方位(110)とは、基板1の表面が(110)面であることを意味する。なお、(hkl)は、ミラー指数を表す。(hkl)は、面を示し、<hkl>は、(hkl)面に対する法線ベクトルを表す。
【0038】
上記シリコン基板1は、nチャネル型のMISFETが形成される領域であるnMIS領域(第2領域)1Aと、pチャネル型のMISFETが形成される領域であるpMIS領域(第1領域)1Bと、を有している。
【0039】
次いで、上記シリコン基板1の主面に素子分離領域2を形成する。例えば、シリコン基板1に、上記nMIS領域1AおよびpMIS領域1Bを囲む素子分離溝を形成し、この素子分離溝の内部に絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離領域2を形成する(図8参照)。このような素子分離法は、STI(Shallow Trench Isolation)法と呼ばれる。この他、LOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などを用いて素子分離領域2を形成してもよい。
【0040】
次いで、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウエットエッチングなどによりシリコン基板1の表面を清浄化(洗浄)した後、図2に示すように、シリコン基板1の表面にゲート絶縁膜3として、例えば薄い酸化シリコン膜を熱酸化法によって形成する。次いで、ゲート絶縁膜3上に、導電膜としてシリコン膜4を、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法を用いて50〜150nm程度の膜厚で形成する。このシリコン膜4としては、例えば、不純物を含有した多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)を用いることができる。また、成膜時において非晶質シリコン膜を形成し、熱処理により多結晶化してもよい。この熱処理としては、例えばソース・ドレイン領域形成用に導入した不純物の活性化アニールなどを利用することができる。また、不純物を含有しないシリコン膜を形成した後、イオン注入法により不純物を注入してもよい。
【0041】
次に、シリコン膜4上に、絶縁膜として酸化シリコン膜5を形成し、酸化シリコン膜5上に絶縁膜として窒化シリコン膜6を形成する。酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6は、例えばCVD法などを用いて形成することができ、酸化シリコン膜5の膜厚(堆積膜厚)は、例えば2〜8nm程度、窒化シリコン膜6の膜厚(堆積膜厚)は、例えば10〜60nm程度とすることができる。
【0042】
次いで、図3に示すように、シリコン膜4、酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6の積層膜上に図示しないフォトレジスト膜を形成し、露光・現像する(フォトリスグラフィ)ことにより、所定の領域(ここでは、ゲート電極GE1およびGE2の形成領域)にフォトレジスト膜を残存させる。次いで、残存するフォトレジスト膜をマスクに、上記積層膜をエッチングし、フォトレジスト膜を除去する。以下このような、所定の平面形状の膜を形成し、当該膜をマスクとしてエッチング(選択的に除去)することにより所望の平面形状の膜(パターン)を形成する工程をパターニングという。このパターニング工程により、nMIS領域1Aにシリコン膜4からなるゲート電極GE1が形成され、pMIS領域1Bにシリコン膜4からなるゲート電極GE2が形成される。このゲート電極GE1、GE2上には、それぞれ酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6の積層膜からなるキャップ絶縁膜CPが配置される。
【0043】
次いで、図4に示すように、ゲート電極GE1、GE2の側壁上を含むシリコン基板1の主面上に、絶縁膜として例えば酸化シリコン膜7を形成する。この酸化シリコン膜7は、例えば熱酸化法などを用いて4〜20nm程度の膜厚で形成する。この酸化シリコン膜7をCVD法で形成してもよい。この場合には、酸化シリコン膜7は窒化シリコン膜6上にも形成される。
【0044】
次いで、酸化シリコン膜7および窒化シリコン膜6上に、絶縁膜として窒化シリコン膜8を形成する。この窒化シリコン膜8は、例えば、CVD法を用いて、後述のサイドウォールを形成するのに必要な膜厚、例えば50nm程度の膜厚で積層する。
【0045】
次いで、図5に示すように、窒化シリコン膜8上に、フォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光、現像することで、nMIS領域1Aを覆うようにフォトレジスト膜PR1を残存させる。
【0046】
次いで、pMIS領域1Bの窒化シリコン膜8および酸化シリコン膜7を異方的にエッチング(エッチバック)する。これにより、pMIS領域1Bのゲート電極GE2の側壁部に酸化シリコン膜7および窒化シリコン膜8からなるサイドウォール(側壁絶縁膜、サイドウォールスペーサ)SW1を形成する。その後、フォトレジスト膜PR1を除去する。
【0047】
次いで、図6に示すように、pMIS領域1Bにおいて、ゲート電極GE2上の窒化シリコン膜6およびサイドウォールSW1をマスクにエッチングを行い、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1中に溝g2を形成する。このエッチングは、2工程のエッチングにより行われ、第1エッチングにより溝g1を形成した後、さらに、第2エッチングを行い溝g2を形成する。
【0048】
<第1、第2エッチング工程の説明>
以下、図7〜図11を参照しながら、第1エッチング工程および第2エッチング工程について説明する。なお、図6等においては、素子分離領域2の表面とシリコン基板1の表面とを同程度の位置に記載したが、各種処理によりこれらの高さに違いが生じる。図7等においては、この高さの差を明確に示してある。
【0049】
<1>第1エッチング前の各構成部位の形状説明
まず、図7および図8を参照しながら、本エッチングのマスクとなるサイドウォール(酸化シリコン膜7、窒化シリコン膜8)SW1およびゲート電極GE2上のキャップ絶縁膜(酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6からなる積層膜)CPの形状について説明する。
【0050】
図7(断面図)に示すように、ゲート電極GE2の側壁部には、サイドウォールSW1が位置し、ゲート電極GE2の上部には、キャップ絶縁膜CPが位置する。よって、ゲート電極GE2は、サイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPにより覆われている。このサイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPをマスクにエッチングを行うことにより、サイドウォールSW1の端部から露出したシリコン基板1がエッチングされ、溝(g1、g2)が形成される。
【0051】
また、図8(平面図)に示すように、pチャネル型MISFET(Qp1)が形成されるpMIS領域(1B)は、素子分離領域2に囲まれたシリコン基板1の露出領域(活性領域)である。ここでは、その平面形状(上面から見た形状、パターン)を、略第1矩形の領域aとして示してある。この第1矩形の長辺は、x方向に延在し、短辺は、y方向に延在している。図9からも明らかなとおり、ここではx方向は、<110>方向であり、y方向は、<100>方向である。
【0052】
ゲート電極GE2の平面形状は、略第2矩形状であり、上記領域aの略中央部に配置される。この第2矩形の短辺は、x方向(<110>方向)に延在し、長辺は、y方向(<100>方向)に延在している。この第2矩形の長辺は、領域aを横切るように延在するが、短辺は、素子分離領域2上に延在する。また、ゲート電極GE2の上部のキャップ絶縁膜CPの平面形状も略第2矩形である。
【0053】
キャップ絶縁膜CPとサイドウォールSW1との合成平面形状は、第2矩形より一回り大きい略第3矩形状である。この第3矩形の短辺は、x方向(<110>方向)に延在し、長辺は、y方向(<100>方向)に延在している。この第3矩形の長辺は、領域aを横切るように延在するが、短辺は、素子分離領域2上に延在する。
【0054】
この第3矩形状の両側には、シリコン基板1の露出領域として、それぞれ略第4矩形の領域e1およびe2が配置される。この領域e1に溝(g1、g2)が形成される。この領域e2に溝(g1、g2)が形成される。領域e1およびe2のゲート電極GE2側の長辺(端部)は、y方向(<100>方向)に延在している。追って詳細に説明するように、溝g2の第1斜面は、領域e1およびe2のゲート電極GE2側の長辺(端部)から、下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在することとなる。
【0055】
なお、図9は、シリコン基板1の面方位およびゲート電極GE2の配置方向を模式的示すもので、シリコン基板1の大きさに対し、ゲート電極GE2等は極めて微細な形状に配置されることは言うまでもない。また、上記図8に示す平面図は一例であり、活性領域の形状やゲート電極GE2のレイアウトには種々の変更が可能である。例えば、活性領域の形状をL字状などとしてもよい。また、他のMISFETのゲート電極と接続するためにゲート電極GE2を引き回す場合には、ゲート電極GE2の平面形状において、<100>方向以外の方向に延在する箇所があってもよい。
【0056】
次いで、上記形状のサイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPをマスクに、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1(領域e1、e2)をエッチングする工程について説明する。
【0057】
<2>第1エッチング工程説明
まず、第1エッチングを行う。具体的には、図10に示すように、pMIS領域1Bにおいて、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1をその表面から所定の深さまでエッチングして溝(基板リセス部、基板後退部)g1を形成する。この第1エッチングは、異方性のドライエッチングによって行い、溝形状を、略ボックス形状とする。例えば、溝の深さは、30nm〜50nm程度とする。この第1エッチングにより、溝g1のゲート電極GE2側には、第1側面が露出し、素子分離領域2側には、第2側面が露出する。ここでは、第2側面として、素子分離領域2の側壁が露出している。
【0058】
<3>第2エッチング工程説明
次いで、第2エッチングを行う。具体的には、図11に示すように、溝g1の底面から露出するシリコン基板1をさらに30nm〜50nm程度、後退させる。
【0059】
この第2エッチングは、異方性のウエットエッチングによって行う。この異方性のウエットエッチング液としては、例えば、TMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide;水酸化テトラメチルアンモニウム;N(CH3)4OH)系のエッチング液を用いることができる。例えば、TMAHを2.38重量%で含有する超純水希釈液を用いて、23℃で、異方性のウエットエッチングを行う。
【0060】
このような、異方性のウエットエッチングを第2エッチングとして用いれば、溝g1の第1側面からは、斜め方向にエッチングが進み、図11に示すように、ゲート電極GE2側に位置する側壁部において、第1の斜面と、第1の斜面と交差する第2の斜面と、を有するΣ(シグマ)形状の溝g2を形成することができる。
【0061】
この2つの斜面の面方位についてさらに詳細に説明する。この2つの斜面のうち一方の第1斜面は、シリコン基板1の表面から下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在する斜面であり、また、他方の第2斜面は、上記第1斜面の端部からさらに下方であって、ゲート電極GE2側の方向とは逆側の方向(素子分離領域2側の方向)に斜めに延在する斜面である。言い換えれば、図11に示すように、2つの斜面のうち、一方は、(110)面に対し、上側になす角(α1)で交差し、他方は、(110)面に対し、下側になす角(α2)で交差する。なす角α1およびα2は、それぞれ90°未満の角度であり、ほぼ等しいことが望ましい。また、この2つの斜面は、サイドウォールSW1の下方に位置する。
【0062】
以上詳細に説明したように、Σ(シグマ)形状の溝g2を構成する第1斜面および第2斜面が、サイドウォールSW1の下側まで入り込むため、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に加わる圧縮歪みを大きくすることができる。
【0063】
一方、溝g2の底面は、溝g1の底面から後退するものの、その底面は、略水平である。
【0064】
このように、本実施の形態によれば、Σ形状の溝g2を形成することができる。よって、追って詳細に説明する溝g2の内部におけるシリコンゲルマニウムのエピタキシャル成長により、pチャネル型のMISFETのチャネル領域に圧縮歪みを印加することができ、その動作特性を向上させることができる。
【0065】
<4>SiGe歪み技術の効果説明
即ち、シリコンゲルマニウム領域10によって、pチャネル型MISFETQp1のチャネル領域(ゲート電極GE2の直下の基板領域)に圧縮応力を作用させ(印加し)、それによって、正孔の移動度(チャネル領域における正孔の移動度)を増加させることができる(この技術をSiGe歪み技術と称する)。これにより、pチャネル型MISFETQp1のチャネルを流れるオン電流を増加させることができ、高速動作化を図ることができる。
【0066】
シリコンゲルマニウム領域10がチャネル領域に圧縮応力を作用させるのは、シリコンゲルマニウム(シリコンゲルマニウム領域10)の格子定数がシリコン(シリコン基板1)の格子定数よりも大きいことに主に起因している。
【0067】
また、上述のようなSiGe歪み技術を用いる場合には、歪みに対する移動度(正孔の移動度)の感度が高い<110>チャネルを用いることが好ましい。すなわち、チャネル領域が圧縮応力によって歪んだときの正孔の移動度の変化量は、<110>方向が他の方向に比べて高い。よって、SiGe歪み技術によって移動度の向上およびそれに起因したオン電流の向上を図るには、<110>チャネルを用いることが好ましい。
【0068】
ここで、<110>チャネルとは、チャネル領域のゲート長方向がシリコン基板1の<110>方向であることに対応する(図9参照)。このように、pチャネル型MISFETのチャネル領域を<110>チャネルとすることで、正孔の移動度の向上効果を高めることができ、オン電流の向上効果を高めることができる。
【0069】
一方、nチャネル型MISFETQn1に対しては、上述のようなSiGe歪み技術を適用しないことが好ましい。これは、nチャネル型MISFETQn1においては、チャネル領域に圧縮応力が作用すると、キャリアである電子の移動度が却って低下してしまうためである。このため、nMIS領域1Aは窒化シリコン膜8で覆い(図6参照)、溝g2を形成せず、後述するように、シリコンで構成されたソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD1)を形成する(図15参照)。
【0070】
このように、pチャネル型MISFETQp1に対して上述のようなSiGe歪み技術を適用し、かつnチャネル型MISFETQn1に対して上述のようなSiGe歪み技術を適用しないことで、nチャネル型MISFETQn1のチャネル領域における電子の移動度を低下させることなく、pチャネル型MISFETQp1のチャネル領域における正孔の移動度を向上させることができる。したがって、nチャネル型MISFETのオン電流を低下させることなく、pチャネル型MISFETQp1のオン電流を向上させることができるようになる。
【0071】
<SiGeの成長工程の説明>
次に、図12に示すように、pMIS領域1Bの溝g2内に、シリコンゲルマニウム(SiGe)をエピタキシャル成長(結晶成長)させる。Si(シリコン基板1)と、SiGeは、格子定数が近似しており、気相エピタキシー法において原料ガスを調整するだけで、連続した結晶として成膜することが可能である。このシリコンゲルマニウムは、溝g2内を埋め込むまで成長させる。このようにして、シリコンゲルマニウム領域(SiGe領域、シリコンゲルマニウム層、エピタキシャルシリコンゲルマニウム層)10を形成する。さらに、連続してシリコンゲルマニウム領域10上にシリコン(Si)をエピタキシャル成長させ、シリコン領域(シリコン層、エピタキシャルシリコン層)11を形成する。このシリコンゲルマニウム領域10は、例えば40〜100nm程度の厚みに形成することができ、シリコン領域11は、例えば5〜20nm程度の厚みに形成することができる。
【0072】
シリコンゲルマニウム領域10は、例えば、シラン系ガスとゲルマン系ガスを原料ガスとしたエピタキシャル成長により形成することができる。シラン系ガスとしては、例えばモノシランガス(SiH4)やジクロロシラン(SiH2Cl2)などを用いることができる。また、ゲルマン系ガスとしては、モノゲルマンガス(GeH4)などを用いることができる。ここでは、上記原料ガス中に、例えば、水素化ホウ素(B2H6)などのp型のドーピングガス(p型の不純物添加用のガス)を含ませた状態で成膜することにより、p型のシリコンゲルマニウム領域10を形成する。なお、ノンドープのシリコンゲルマニウム領域10を成膜した後、p型の不純物イオンをイオン注入法により注入してもよい。このイオン注入工程については、後述する。
【0073】
なお、このシリコンゲルマニウムおよびシリコンのエピタキシャル成長工程においては、溝g2以外の領域は、窒化シリコン膜6、サイドウォールSW1あるいは窒化シリコン膜8で覆われているため、シリコンゲルマニウム領域10(およびその上のシリコン領域11)は形成されない。したがって、シリコンゲルマニウム領域10(およびその上のシリコン領域11)は、pMIS領域1Bに形成されるが、nMIS領域1Aには形成されない。
【0074】
次に、熱酸化法などによりシリコン領域11の表層部を酸化させることで、シリコン領域11の表面上に酸化シリコン膜(図示せず)を形成する。この酸化シリコン膜は、後述の窒化シリコン膜8の除去の際に、シリコン領域11やシリコンゲルマニウム領域10がエッチングされないようにするためのエッチング保護膜としての役割を有する。
【0075】
次いで、熱燐酸(熱リン酸)などを用いて、nMIS領域1Aの窒化シリコン膜8と、pMIS領域1BのサイドウォールSW1の窒化シリコン膜8とを、エッチングして除去する。この際、ゲート電極GE1、GE2上の窒化シリコン膜6も除去され得る。
【0076】
次いで、酸化シリコン膜7を、エッチングによって除去する。ここでは、異方性エッチングを行い、ゲート電極GE1、GE2の側壁に酸化シリコン膜7を残存させる。このエッチングの際、ゲート電極GE1、GE2上の酸化シリコン膜5も除去される。また、シリコン領域11表面の上述した酸化シリコン膜も除去される。なお、ウエットエッチングを用いて酸化シリコン膜7を全て除去してもよいが、ゲート電極GE1、GE2の側壁に酸化シリコン膜7を残存させることで、後述のイオン注入の際に、ゲート電極GE1、GE2を保護することができる。なお、酸化シリコン膜7の除去工程を省略し、酸化シリコン膜7をスルーして後述のイオン注入を行ってもよい。
【0077】
次いで、図13に示すように、nMIS領域1Aのゲート電極GE1の両側のシリコン基板1中にn−型半導体領域(n−型エクステンション領域)EX1を形成する。また、pMIS領域1Bのゲート電極GE2の両側のシリコン基板1中にp−型半導体領域(p−型エクステンション領域)EX2を形成する。
【0078】
n−型半導体領域EX1は、例えば、ゲート電極GE1をマスクとしてnMIS領域1Aにn型不純物(例えばリンまたはヒ素)をイオン注入することにより形成する。この工程により、n−型半導体領域EX1が、ゲート電極GE1に整合して形成される。また、p−型半導体領域EX2は、例えば、ゲート電極GE2をマスクとしてpMIS領域1Bにp型不純物(例えばホウ素)をイオン注入することにより形成する。この工程により、p−型半導体領域EX2が、ゲート電極GE2に整合して形成される。
【0079】
次いで、図14に示すように、シリコン基板1の主面上に、絶縁膜として、例えば窒化シリコン膜13をCVD法で10〜40nm程度の膜厚で堆積する。この工程により、ゲート電極GE1、GE2が、窒化シリコン膜13で覆われる。
【0080】
次いで、窒化シリコン膜13を異方性エッチング(エッチバック)することにより、ゲート電極GE1、GE2の側壁に、窒化シリコン膜13からなるサイドウォール(側壁絶縁膜、サイドウォールスペーサ)SW2を形成する(図15)。この異方性エッチング(エッチバック)によって、ゲート電極GE1、GE2の側壁にサイドウォールSW2として残った部分以外の窒化シリコン膜13は除去される。また、前述の窒化シリコン膜6が、ゲート電極GE1、GE2の上部に残存していた場合も、その窒化シリコン膜6は、上記サイドウォールSW2を形成するための異方性エッチング工程により除去される。
【0081】
次いで、図16に示すように、ゲート電極GE1およびサイドウォールSW2の両側のシリコン基板1中にn+型半導体領域SD1を形成する。n+型半導体領域SD1は、nMIS領域1Aにn型不純物(例えばリンまたはヒ素)をイオン注入することにより形成する。
【0082】
この際、ゲート電極GE1およびその側壁のサイドウォールSW2は、イオン注入阻止マスクとして機能するため、n+型半導体領域SD1は、ゲート電極GE1およびサイドウォールSW2に整合して形成される。
【0083】
なお、前述したように、シリコンゲルマニウム領域10として、ノンドープのシリコンゲルマニウム領域10を成膜した場合には、シリコンゲルマニウム領域10およびその上部のシリコン領域11中にp+型半導体領域を形成する。このp+型半導体領域は、pMIS領域1Bにp型不純物(例えばホウ素)をイオン注入することにより形成する。
【0084】
この際、ゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールSW2は、イオン注入阻止マスクとして機能するため、p+型半導体領域は、ゲート電極GE2およびサイドウォールSW2に整合して形成される。なお、前述のように、シリコンゲルマニウム領域10として、p型の不純物を導入しながらシリコンゲルマニウム領域10を形成した場合、この領域(10)が、p+型半導体領域SD2となる。また、シリコンゲルマニウム領域10およびその上部のシリコン領域11中に、p型不純物(例えばホウ素)をイオン注入した場合には、シリコンゲルマニウム領域10に、p+型半導体領域SD2とその下層のノンドープの領域との境界が生じる。
【0085】
上記イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。例えば900〜1100℃程度のスパイクアニールを行う。これにより、n−型半導体領域EX1、p−型半導体領域EX2、n+型半導体領域SD1およびシリコンゲルマニウム領域10(p+型半導体領域SD2)中の不純物を活性化することができる。
【0086】
以上の工程により、LDD(Lightly doped Drain)構造のソース・ドレイン領域が形成される。即ち、n+型半導体領域SD1およびn−型半導体領域EX1は、nチャネル型MISFETQn1のソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)であり、n+型半導体領域SD1は、n−型半導体領域EX1よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深く形成されいる。また、シリコンゲルマニウム領域10(p+型半導体領域SD2)およびp−型半導体領域EX2は、pチャネル型MISFETQp1のソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)であり、シリコンゲルマニウム領域10(p+型半導体領域SD2)は、p−型半導体領域EX2よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深く形成されている。
【0087】
以上の工程により、nMIS領域1Aに、nチャネル型MISFETQn1が形成される。また、pMIS領域1Bに、pチャネル型MISFETQp1が形成される。
【0088】
次いで、RCA洗浄などを用いてシリコン基板1の表面の清浄化を行う。このRCA洗浄とは、フッ酸洗浄、アンモニアと過酸化水素の混合液洗浄および塩酸と過酸化水素の混合液洗浄を順に行った後、超純水で洗浄を行う一連の洗浄工程という。さらに、RCA洗浄の後、フッ酸などを用いて、シリコン基板1の表面の自然酸化膜の除去を行う。この自然酸化膜の除去工程によってゲート電極GE1、GE2、n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11の表面が露出する。
【0089】
次いで、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、ゲート電極GE1、GE2およびソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11)の表面に、金属シリサイド層(23a、23)を形成する。以下この金属シリサイド層(23a、23)の形成工程について説明する。
【0090】
まず、図16に示すように、ゲート電極GE1、GE2、n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11上を含むシリコン基板1の主面上に、金属膜として例えば、ニッケル合金膜21をスパッタリング法を用いて堆積する。次いで、シリコン基板1に第1の熱処理(アニール処理)を施す。この第1の熱処理により、ゲート電極GE1、GE2を構成するシリコン膜(4)とニッケル合金膜21とを反応させる。また、n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11を構成する単結晶シリコンとニッケル合金膜21とを反応させる。これにより、図17に示すように、金属と半導体との反応層である金属シリサイド層23aを形成する。この金属シリサイド層23aは、メタルリッチなシリサイド層となっている。
【0091】
次いで、例えば硫酸過水などを用いたウエットエッチングにより、未反応のニッケル合金膜21を除去する。エッチング処理時間は、例えば30〜60分程度である。その結果、図17に示すように、ゲート電極GE1、GE2、n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11の表面上のみに金属シリサイド層23aが残存する。
【0092】
次いで、シリコン基板1に第2の熱処理(アニール処理)を施す。この第2の熱処理を行うことにより、シリサイド化反応がさらに進み、図18に示すように、金属シリサイド層23aは、金属元素とSiとの組成比が1:1の化学量論比に近い、安定な金属シリサイド層23となる。
【0093】
なお、pチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(すなわちp+型半導体領域SD2)上に形成された金属シリサイド層23においては、下層のシリコンゲルマニウム領域10もシリサイド化反応に寄与し、金属シリサイド層23中にGeを含有する場合がある。また、シリコン領域11の表層部のみが、シリサイド化反応に寄与し、シリコンゲルマニウム領域10と金属シリサイド層23との間に薄いシリコン領域11が残る場合もある。この金属シリサイド層23により後述するプラグPGとの接続抵抗の低減を図ることができる。なお、上記においては、2回の熱処理でシリサイド化を行ったが、例えば、第1の熱処理を450℃程度の温度行い、第2の熱処理を省略してもよい。
【0094】
次いで、図19に示すように、シリコン基板1の主面全面上に、層間絶縁膜32として、例えば酸化シリコンをCVD法などを用いて堆積する。次いで、層間絶縁膜32の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)法などを用いて平坦化する。
【0095】
次いで、図20に示すように、nチャネル型MISFETQn1のソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD1)上およびpチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(シリコンゲルマニウム領域10(p+型半導体領域SD2))上の層間絶縁膜32を選択的に除去することによりコンタクトホール(貫通孔、孔)CNTを形成する。
【0096】
次いで、コンタクトホールCNT内に、導電性膜を形成することにより、プラグ(接続用導体部)PGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む層間絶縁膜32上に、バリア導体膜(図示せず)を堆積した後、このバリア導体膜上に主導体膜をコンタクトホールCNTを埋める程度の膜厚で堆積する。この後、層間絶縁膜32上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。
【0097】
次に、図21に示すように、プラグPG上を含む層間絶縁膜32上に、ストッパ絶縁膜33および層間絶縁膜34を順次形成する。ストッパ絶縁膜33は、層間絶縁膜34に対してエッチング選択性を有し、例えば、ストッパ絶縁膜33として窒化シリコン膜を、層間絶縁膜34として酸化シリコン膜を用いることができる。
【0098】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線M1を形成する。層間絶縁膜34をパターニングした後、ストッパ絶縁膜33をエッチングすることにより、配線溝を形成する。次いで、配線溝内部を含む層間絶縁膜34上にバリア導体膜(図示せず)およびシード層(図示せず)を形成する。次いで、電解めっき法などを用いてシード層上に金属めっき膜を形成した後、配線溝以外の領域の金属めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去することにより、第1層目の配線M1を形成する。
【0099】
配線M1は、プラグPGを介して、nチャネル型MISFETQn1およびpチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(SD1、SD2)やゲート電極GE1、GE2などと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここではその説明は省略する。また、配線M1や2層目以降の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもできる。配線用の導電体膜としては、例えばタングステンまたはアルミニウム(Al)などを用いることができる。
【0100】
その後、最上層配線上に保護膜等を形成した後、シリコン基板1をダイシングなどで切断(分割)することにより、複数の半導体装置(半導体チップ)が形成される。
【0101】
図22は、本実施の形態の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。図22に示す半導体チップSM1は、メモリ領域41と、メモリ以外の回路(周辺回路)が形成された周辺回路領域42とを有している。周辺回路領域42は、ロジック回路が形成されたロジック回路領域42aを含んでいる。このように、上記工程により形成された半導体装置(MISFET)を、上記メモリやロジック回路を構成するMISFETとして用いてもよい。
【0102】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0103】
以上本実施の形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0105】
1 シリコン基板
1A nMIS領域
1B pMIS領域
2 素子分離領域
3 ゲート絶縁膜
4 シリコン膜
5 酸化シリコン膜
6 窒化シリコン膜
7 酸化シリコン膜
8 窒化シリコン膜
10 シリコンゲルマニウム領域
11 シリコン領域
13 窒化シリコン膜
21 ニッケル合金膜
23、23a 金属シリサイド層
32 層間絶縁膜
33 ストッパ絶縁膜
34 層間絶縁膜
41 メモリ領域
42 周辺回路領域
42a ロジック回路領域
a 領域
α1、α2 角度
CNT コンタクトホール
CP キャップ絶縁膜
e1、e2 領域
EX1 n−型半導体領域
EX2 p−型半導体領域
g1 溝
g2 溝
GE1、GE2 ゲート電極
M1 配線
PD パッド電極
PG プラグ
PR1 フォトレジスト膜
Qn1 nチャネル型MISFET
Qp1 pチャネル型MISFET
SD1 n+型半導体領域
SD2 p+型半導体領域
SM1 半導体チップ
SW1、SW2 サイドウォール
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、MISFETを有する半導体装置およびその製造に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トランジスタを微細化させ、その性能向上を図ることが幅広く行われている。しかしながら、微細化のみによるトランジスタの性能の向上は、対性能比で見た場合のコストの上昇といった問題がある。
【0003】
そこで、微細化のみによるトランジスタの性能向上ばかりでなく、応力を制御してトランジスタの性能を向上させる手法が現れてきている。
【0004】
応力膜を用いてトランジスタの性能向上を図る手法の一つとして、例えば、Si基板上に形成されたpチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域にSiGeを適用して性能向上を図る技術が検討されている。かかる技術は、例えば、下記特許文献1および2に開示されている。
【0005】
また、pチャネル型MISFET上に圧縮応力膜を形成し、nチャネル型MISFET上に引張応力膜を形成し、両方のMISFETのチャネルに応力を印加して性能向上を図る、いわゆるDSL(Dual Stress Liner)と呼ばれる技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−26795号公報
【特許文献2】特開2008−78347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、Si基板上に形成されたpチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)のソース・ドレイン領域にSiGeを適用することにより、トランジスタ性能の向上を図ることを検討している。
【0008】
かかるトランジスタ性能の向上に際しては、より効果的にチャネルに応力を与えることができる装置構造の改良が望まれる。また、その装置構成を実現するための製造方法の検討が望まれる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、半導体装置の特性を向上させることができる技術を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、良好な特性の半導体装置を製造することができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0011】
本発明の上記目的およびその他の目的と新規な特徴は、本願明細書の記載および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置は、(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板と、(b)基板の第1領域に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタを有する。このpチャネル型電界効果トランジスタは、(b1)第1領域上にゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極と、(b2)ゲート電極の両側の基板中に設けられた溝の内部に配置され、第1半導体より格子定数が大きい第2半導体よりなるソース・ドレイン領域と、を有する。上記溝は、ゲート電極側に位置する側壁部において、第1の斜面と、第1の斜面と交差する第2の斜面と、を有する。
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法は、(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板を準備する工程と、(b)基板の第1領域上に第1ゲート絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、を有する。さらに、(c)第1ゲート電極の両側に側壁膜を形成する工程と、(d)側壁膜をマスクとして第1ゲート電極の両側の基板をドライエッチングすることにより、第1ゲート電極の両側の基板中に第1溝を形成する工程と、を有する。さらに、(e)第1溝に対し異方的なウエットエッチングを施すことにより、ゲート電極側に位置する側壁部において、第1の斜面と第1の斜面と交差する第2の斜面とを有する第2溝を形成する工程、を有する。さらに、(f)第1半導体より格子定数が大きい第2半導体を第1の斜面および第2の斜面からエピタキシャル成長させることにより、第2溝内に第2半導体よりなる半導体領域を形成する工程、を有する。
【発明の効果】
【0015】
本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示される半導体装置によれば、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0016】
また、本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法によれば、特性の良好な半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図2】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図1に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図3】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図2に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図である。
【図8】実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図である。
【図9】シリコン基板の面方位およびゲート電極の配置方向を模式的に示す平面図である。
【図10】実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図であって、図7に続く第1エッチング後の断面図である。
【図11】実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図であって、図10に続く第2エッチング後の断面図である。
【図12】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図13】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図12に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図14】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図13に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図15】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図14に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図16】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図15に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図17】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図16に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図18】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図17に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図19】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図18に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図20】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図22】実施の形態の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら、本発明を示す実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0020】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0022】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0023】
(実施の形態)
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置の構成と製造方法について詳細に説明する。図1〜図6、図12〜図21は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。図7、図10および図11は、本実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図である。図8は、本実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図(上面図)である。図7は、例えば、図8のA−A断面と対応する。図9は、シリコン基板1の面方位およびゲート電極GE2の配置方向を模式的に示す平面図である。図22は、本実施の形態の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。
【0024】
[構造説明]
まず、本実施の形態における半導体装置の製造工程の最終工程断面図である図21を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の特徴的な構成について説明する。
【0025】
図21に示すように、本実施の形態の半導体装置は、シリコン基板(半導体基板)1のnMIS領域1Aに配置されたnチャネル型のMISFETQn1と、シリコン基板1のpMIS領域1Bに配置されたpチャネル型のMISFETQp1とを有している。nMIS領域1AおよびpMIS領域1Bは、それぞれ素子分離領域2により区画された活性領域(アクティブ)である。
【0026】
nチャネル型のMISFETQn1は、シリコン基板1上にゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE1と、このゲート電極GE1の両側のシリコン基板1中に配置されたソース・ドレイン領域とを有する。このソース・ドレイン領域は、n+型半導体領域SD1およびn−型半導体領域EX1により構成される。
【0027】
pチャネル型のMISFETQp1は、シリコン基板1上にゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE2と、このゲート電極GE2の両側のシリコン基板1中に配置されたソース・ドレイン領域とを有する。このソース・ドレイン領域は、p+型半導体領域SD2(10)およびp−型半導体領域EX2により構成される。
【0028】
上記シリコン基板1の面方位は(110)である。また、上記pチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域を構成するp+型半導体領域SD2は、シリコンゲルマニウム領域10中に配置されている。
【0029】
このシリコンゲルマニウム領域10は、溝g2内に配置されている。この溝g2は、そのゲート電極GE2側の側面において、2つの斜面を有する。この2つの斜面のうち一方の第1斜面は、シリコン基板1の表面から下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在する斜面である。また、他方の第2斜面は、上記第1斜面の端部からさらに下方であって、ゲート電極GE2側の方向とは逆側の方向(素子分離領域2側の方向)に斜めに延在する斜面である。この2つの斜面は、サイドウォールSW2の下方に位置する。このような、第1斜面と第2斜面とを有する溝g2の形状をΣ(シグマ)形状という。
【0030】
なお、溝g2の底面は、略水平である。また、溝g2のゲート電極GE2側と逆側の側面においては、素子分離領域2の側面が露出している。
【0031】
上記シリコンゲルマニウム領域10は、上記溝g2の内部において結晶成長された領域である。
【0032】
また、シリコンゲルマニウム領域10の上部には、金属シリサイド層23が配置されている。
【0033】
このように、本実施の形態によれば、面方位(110)のシリコン基板1を用いたので、pチャネル型MISFETQp1において、正孔の移動度が大きい<110>をチャネルとすることができ、pチャネル型MISFETQp1の特性を向上させることができる。
【0034】
また、シリコン基板1よりも格子定数が大きいシリコンゲルマニウム領域10をソース・ドレイン領域として用いたので、追って詳細に説明するように、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に圧縮歪みを印加することができ、pチャネル型MISFETQp1の特性を向上させることができる。ここで、格子定数とは、結晶の単位格子を形づくる辺の長さをいう。
【0035】
また、溝g2の形状をΣ形状とすることで、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に加わる圧縮歪みを大きくすることができる。
【0036】
[製造方法説明]
次いで、図1〜図21を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
【0037】
まず、図1に示すように、半導体基板(半導体ウエハ)として、シリコン基板1を準備する。具体的には、例えばp型の単結晶シリコンからなるシリコン基板1を準備する。シリコン基板1の面方位は(110)である。面方位(110)とは、基板1の表面が(110)面であることを意味する。なお、(hkl)は、ミラー指数を表す。(hkl)は、面を示し、<hkl>は、(hkl)面に対する法線ベクトルを表す。
【0038】
上記シリコン基板1は、nチャネル型のMISFETが形成される領域であるnMIS領域(第2領域)1Aと、pチャネル型のMISFETが形成される領域であるpMIS領域(第1領域)1Bと、を有している。
【0039】
次いで、上記シリコン基板1の主面に素子分離領域2を形成する。例えば、シリコン基板1に、上記nMIS領域1AおよびpMIS領域1Bを囲む素子分離溝を形成し、この素子分離溝の内部に絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離領域2を形成する(図8参照)。このような素子分離法は、STI(Shallow Trench Isolation)法と呼ばれる。この他、LOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などを用いて素子分離領域2を形成してもよい。
【0040】
次いで、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウエットエッチングなどによりシリコン基板1の表面を清浄化(洗浄)した後、図2に示すように、シリコン基板1の表面にゲート絶縁膜3として、例えば薄い酸化シリコン膜を熱酸化法によって形成する。次いで、ゲート絶縁膜3上に、導電膜としてシリコン膜4を、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法を用いて50〜150nm程度の膜厚で形成する。このシリコン膜4としては、例えば、不純物を含有した多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)を用いることができる。また、成膜時において非晶質シリコン膜を形成し、熱処理により多結晶化してもよい。この熱処理としては、例えばソース・ドレイン領域形成用に導入した不純物の活性化アニールなどを利用することができる。また、不純物を含有しないシリコン膜を形成した後、イオン注入法により不純物を注入してもよい。
【0041】
次に、シリコン膜4上に、絶縁膜として酸化シリコン膜5を形成し、酸化シリコン膜5上に絶縁膜として窒化シリコン膜6を形成する。酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6は、例えばCVD法などを用いて形成することができ、酸化シリコン膜5の膜厚(堆積膜厚)は、例えば2〜8nm程度、窒化シリコン膜6の膜厚(堆積膜厚)は、例えば10〜60nm程度とすることができる。
【0042】
次いで、図3に示すように、シリコン膜4、酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6の積層膜上に図示しないフォトレジスト膜を形成し、露光・現像する(フォトリスグラフィ)ことにより、所定の領域(ここでは、ゲート電極GE1およびGE2の形成領域)にフォトレジスト膜を残存させる。次いで、残存するフォトレジスト膜をマスクに、上記積層膜をエッチングし、フォトレジスト膜を除去する。以下このような、所定の平面形状の膜を形成し、当該膜をマスクとしてエッチング(選択的に除去)することにより所望の平面形状の膜(パターン)を形成する工程をパターニングという。このパターニング工程により、nMIS領域1Aにシリコン膜4からなるゲート電極GE1が形成され、pMIS領域1Bにシリコン膜4からなるゲート電極GE2が形成される。このゲート電極GE1、GE2上には、それぞれ酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6の積層膜からなるキャップ絶縁膜CPが配置される。
【0043】
次いで、図4に示すように、ゲート電極GE1、GE2の側壁上を含むシリコン基板1の主面上に、絶縁膜として例えば酸化シリコン膜7を形成する。この酸化シリコン膜7は、例えば熱酸化法などを用いて4〜20nm程度の膜厚で形成する。この酸化シリコン膜7をCVD法で形成してもよい。この場合には、酸化シリコン膜7は窒化シリコン膜6上にも形成される。
【0044】
次いで、酸化シリコン膜7および窒化シリコン膜6上に、絶縁膜として窒化シリコン膜8を形成する。この窒化シリコン膜8は、例えば、CVD法を用いて、後述のサイドウォールを形成するのに必要な膜厚、例えば50nm程度の膜厚で積層する。
【0045】
次いで、図5に示すように、窒化シリコン膜8上に、フォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光、現像することで、nMIS領域1Aを覆うようにフォトレジスト膜PR1を残存させる。
【0046】
次いで、pMIS領域1Bの窒化シリコン膜8および酸化シリコン膜7を異方的にエッチング(エッチバック)する。これにより、pMIS領域1Bのゲート電極GE2の側壁部に酸化シリコン膜7および窒化シリコン膜8からなるサイドウォール(側壁絶縁膜、サイドウォールスペーサ)SW1を形成する。その後、フォトレジスト膜PR1を除去する。
【0047】
次いで、図6に示すように、pMIS領域1Bにおいて、ゲート電極GE2上の窒化シリコン膜6およびサイドウォールSW1をマスクにエッチングを行い、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1中に溝g2を形成する。このエッチングは、2工程のエッチングにより行われ、第1エッチングにより溝g1を形成した後、さらに、第2エッチングを行い溝g2を形成する。
【0048】
<第1、第2エッチング工程の説明>
以下、図7〜図11を参照しながら、第1エッチング工程および第2エッチング工程について説明する。なお、図6等においては、素子分離領域2の表面とシリコン基板1の表面とを同程度の位置に記載したが、各種処理によりこれらの高さに違いが生じる。図7等においては、この高さの差を明確に示してある。
【0049】
<1>第1エッチング前の各構成部位の形状説明
まず、図7および図8を参照しながら、本エッチングのマスクとなるサイドウォール(酸化シリコン膜7、窒化シリコン膜8)SW1およびゲート電極GE2上のキャップ絶縁膜(酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6からなる積層膜)CPの形状について説明する。
【0050】
図7(断面図)に示すように、ゲート電極GE2の側壁部には、サイドウォールSW1が位置し、ゲート電極GE2の上部には、キャップ絶縁膜CPが位置する。よって、ゲート電極GE2は、サイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPにより覆われている。このサイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPをマスクにエッチングを行うことにより、サイドウォールSW1の端部から露出したシリコン基板1がエッチングされ、溝(g1、g2)が形成される。
【0051】
また、図8(平面図)に示すように、pチャネル型MISFET(Qp1)が形成されるpMIS領域(1B)は、素子分離領域2に囲まれたシリコン基板1の露出領域(活性領域)である。ここでは、その平面形状(上面から見た形状、パターン)を、略第1矩形の領域aとして示してある。この第1矩形の長辺は、x方向に延在し、短辺は、y方向に延在している。図9からも明らかなとおり、ここではx方向は、<110>方向であり、y方向は、<100>方向である。
【0052】
ゲート電極GE2の平面形状は、略第2矩形状であり、上記領域aの略中央部に配置される。この第2矩形の短辺は、x方向(<110>方向)に延在し、長辺は、y方向(<100>方向)に延在している。この第2矩形の長辺は、領域aを横切るように延在するが、短辺は、素子分離領域2上に延在する。また、ゲート電極GE2の上部のキャップ絶縁膜CPの平面形状も略第2矩形である。
【0053】
キャップ絶縁膜CPとサイドウォールSW1との合成平面形状は、第2矩形より一回り大きい略第3矩形状である。この第3矩形の短辺は、x方向(<110>方向)に延在し、長辺は、y方向(<100>方向)に延在している。この第3矩形の長辺は、領域aを横切るように延在するが、短辺は、素子分離領域2上に延在する。
【0054】
この第3矩形状の両側には、シリコン基板1の露出領域として、それぞれ略第4矩形の領域e1およびe2が配置される。この領域e1に溝(g1、g2)が形成される。この領域e2に溝(g1、g2)が形成される。領域e1およびe2のゲート電極GE2側の長辺(端部)は、y方向(<100>方向)に延在している。追って詳細に説明するように、溝g2の第1斜面は、領域e1およびe2のゲート電極GE2側の長辺(端部)から、下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在することとなる。
【0055】
なお、図9は、シリコン基板1の面方位およびゲート電極GE2の配置方向を模式的示すもので、シリコン基板1の大きさに対し、ゲート電極GE2等は極めて微細な形状に配置されることは言うまでもない。また、上記図8に示す平面図は一例であり、活性領域の形状やゲート電極GE2のレイアウトには種々の変更が可能である。例えば、活性領域の形状をL字状などとしてもよい。また、他のMISFETのゲート電極と接続するためにゲート電極GE2を引き回す場合には、ゲート電極GE2の平面形状において、<100>方向以外の方向に延在する箇所があってもよい。
【0056】
次いで、上記形状のサイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPをマスクに、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1(領域e1、e2)をエッチングする工程について説明する。
【0057】
<2>第1エッチング工程説明
まず、第1エッチングを行う。具体的には、図10に示すように、pMIS領域1Bにおいて、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1をその表面から所定の深さまでエッチングして溝(基板リセス部、基板後退部)g1を形成する。この第1エッチングは、異方性のドライエッチングによって行い、溝形状を、略ボックス形状とする。例えば、溝の深さは、30nm〜50nm程度とする。この第1エッチングにより、溝g1のゲート電極GE2側には、第1側面が露出し、素子分離領域2側には、第2側面が露出する。ここでは、第2側面として、素子分離領域2の側壁が露出している。
【0058】
<3>第2エッチング工程説明
次いで、第2エッチングを行う。具体的には、図11に示すように、溝g1の底面から露出するシリコン基板1をさらに30nm〜50nm程度、後退させる。
【0059】
この第2エッチングは、異方性のウエットエッチングによって行う。この異方性のウエットエッチング液としては、例えば、TMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide;水酸化テトラメチルアンモニウム;N(CH3)4OH)系のエッチング液を用いることができる。例えば、TMAHを2.38重量%で含有する超純水希釈液を用いて、23℃で、異方性のウエットエッチングを行う。
【0060】
このような、異方性のウエットエッチングを第2エッチングとして用いれば、溝g1の第1側面からは、斜め方向にエッチングが進み、図11に示すように、ゲート電極GE2側に位置する側壁部において、第1の斜面と、第1の斜面と交差する第2の斜面と、を有するΣ(シグマ)形状の溝g2を形成することができる。
【0061】
この2つの斜面の面方位についてさらに詳細に説明する。この2つの斜面のうち一方の第1斜面は、シリコン基板1の表面から下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在する斜面であり、また、他方の第2斜面は、上記第1斜面の端部からさらに下方であって、ゲート電極GE2側の方向とは逆側の方向(素子分離領域2側の方向)に斜めに延在する斜面である。言い換えれば、図11に示すように、2つの斜面のうち、一方は、(110)面に対し、上側になす角(α1)で交差し、他方は、(110)面に対し、下側になす角(α2)で交差する。なす角α1およびα2は、それぞれ90°未満の角度であり、ほぼ等しいことが望ましい。また、この2つの斜面は、サイドウォールSW1の下方に位置する。
【0062】
以上詳細に説明したように、Σ(シグマ)形状の溝g2を構成する第1斜面および第2斜面が、サイドウォールSW1の下側まで入り込むため、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に加わる圧縮歪みを大きくすることができる。
【0063】
一方、溝g2の底面は、溝g1の底面から後退するものの、その底面は、略水平である。
【0064】
このように、本実施の形態によれば、Σ形状の溝g2を形成することができる。よって、追って詳細に説明する溝g2の内部におけるシリコンゲルマニウムのエピタキシャル成長により、pチャネル型のMISFETのチャネル領域に圧縮歪みを印加することができ、その動作特性を向上させることができる。
【0065】
<4>SiGe歪み技術の効果説明
即ち、シリコンゲルマニウム領域10によって、pチャネル型MISFETQp1のチャネル領域(ゲート電極GE2の直下の基板領域)に圧縮応力を作用させ(印加し)、それによって、正孔の移動度(チャネル領域における正孔の移動度)を増加させることができる(この技術をSiGe歪み技術と称する)。これにより、pチャネル型MISFETQp1のチャネルを流れるオン電流を増加させることができ、高速動作化を図ることができる。
【0066】
シリコンゲルマニウム領域10がチャネル領域に圧縮応力を作用させるのは、シリコンゲルマニウム(シリコンゲルマニウム領域10)の格子定数がシリコン(シリコン基板1)の格子定数よりも大きいことに主に起因している。
【0067】
また、上述のようなSiGe歪み技術を用いる場合には、歪みに対する移動度(正孔の移動度)の感度が高い<110>チャネルを用いることが好ましい。すなわち、チャネル領域が圧縮応力によって歪んだときの正孔の移動度の変化量は、<110>方向が他の方向に比べて高い。よって、SiGe歪み技術によって移動度の向上およびそれに起因したオン電流の向上を図るには、<110>チャネルを用いることが好ましい。
【0068】
ここで、<110>チャネルとは、チャネル領域のゲート長方向がシリコン基板1の<110>方向であることに対応する(図9参照)。このように、pチャネル型MISFETのチャネル領域を<110>チャネルとすることで、正孔の移動度の向上効果を高めることができ、オン電流の向上効果を高めることができる。
【0069】
一方、nチャネル型MISFETQn1に対しては、上述のようなSiGe歪み技術を適用しないことが好ましい。これは、nチャネル型MISFETQn1においては、チャネル領域に圧縮応力が作用すると、キャリアである電子の移動度が却って低下してしまうためである。このため、nMIS領域1Aは窒化シリコン膜8で覆い(図6参照)、溝g2を形成せず、後述するように、シリコンで構成されたソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD1)を形成する(図15参照)。
【0070】
このように、pチャネル型MISFETQp1に対して上述のようなSiGe歪み技術を適用し、かつnチャネル型MISFETQn1に対して上述のようなSiGe歪み技術を適用しないことで、nチャネル型MISFETQn1のチャネル領域における電子の移動度を低下させることなく、pチャネル型MISFETQp1のチャネル領域における正孔の移動度を向上させることができる。したがって、nチャネル型MISFETのオン電流を低下させることなく、pチャネル型MISFETQp1のオン電流を向上させることができるようになる。
【0071】
<SiGeの成長工程の説明>
次に、図12に示すように、pMIS領域1Bの溝g2内に、シリコンゲルマニウム(SiGe)をエピタキシャル成長(結晶成長)させる。Si(シリコン基板1)と、SiGeは、格子定数が近似しており、気相エピタキシー法において原料ガスを調整するだけで、連続した結晶として成膜することが可能である。このシリコンゲルマニウムは、溝g2内を埋め込むまで成長させる。このようにして、シリコンゲルマニウム領域(SiGe領域、シリコンゲルマニウム層、エピタキシャルシリコンゲルマニウム層)10を形成する。さらに、連続してシリコンゲルマニウム領域10上にシリコン(Si)をエピタキシャル成長させ、シリコン領域(シリコン層、エピタキシャルシリコン層)11を形成する。このシリコンゲルマニウム領域10は、例えば40〜100nm程度の厚みに形成することができ、シリコン領域11は、例えば5〜20nm程度の厚みに形成することができる。
【0072】
シリコンゲルマニウム領域10は、例えば、シラン系ガスとゲルマン系ガスを原料ガスとしたエピタキシャル成長により形成することができる。シラン系ガスとしては、例えばモノシランガス(SiH4)やジクロロシラン(SiH2Cl2)などを用いることができる。また、ゲルマン系ガスとしては、モノゲルマンガス(GeH4)などを用いることができる。ここでは、上記原料ガス中に、例えば、水素化ホウ素(B2H6)などのp型のドーピングガス(p型の不純物添加用のガス)を含ませた状態で成膜することにより、p型のシリコンゲルマニウム領域10を形成する。なお、ノンドープのシリコンゲルマニウム領域10を成膜した後、p型の不純物イオンをイオン注入法により注入してもよい。このイオン注入工程については、後述する。
【0073】
なお、このシリコンゲルマニウムおよびシリコンのエピタキシャル成長工程においては、溝g2以外の領域は、窒化シリコン膜6、サイドウォールSW1あるいは窒化シリコン膜8で覆われているため、シリコンゲルマニウム領域10(およびその上のシリコン領域11)は形成されない。したがって、シリコンゲルマニウム領域10(およびその上のシリコン領域11)は、pMIS領域1Bに形成されるが、nMIS領域1Aには形成されない。
【0074】
次に、熱酸化法などによりシリコン領域11の表層部を酸化させることで、シリコン領域11の表面上に酸化シリコン膜(図示せず)を形成する。この酸化シリコン膜は、後述の窒化シリコン膜8の除去の際に、シリコン領域11やシリコンゲルマニウム領域10がエッチングされないようにするためのエッチング保護膜としての役割を有する。
【0075】
次いで、熱燐酸(熱リン酸)などを用いて、nMIS領域1Aの窒化シリコン膜8と、pMIS領域1BのサイドウォールSW1の窒化シリコン膜8とを、エッチングして除去する。この際、ゲート電極GE1、GE2上の窒化シリコン膜6も除去され得る。
【0076】
次いで、酸化シリコン膜7を、エッチングによって除去する。ここでは、異方性エッチングを行い、ゲート電極GE1、GE2の側壁に酸化シリコン膜7を残存させる。このエッチングの際、ゲート電極GE1、GE2上の酸化シリコン膜5も除去される。また、シリコン領域11表面の上述した酸化シリコン膜も除去される。なお、ウエットエッチングを用いて酸化シリコン膜7を全て除去してもよいが、ゲート電極GE1、GE2の側壁に酸化シリコン膜7を残存させることで、後述のイオン注入の際に、ゲート電極GE1、GE2を保護することができる。なお、酸化シリコン膜7の除去工程を省略し、酸化シリコン膜7をスルーして後述のイオン注入を行ってもよい。
【0077】
次いで、図13に示すように、nMIS領域1Aのゲート電極GE1の両側のシリコン基板1中にn−型半導体領域(n−型エクステンション領域)EX1を形成する。また、pMIS領域1Bのゲート電極GE2の両側のシリコン基板1中にp−型半導体領域(p−型エクステンション領域)EX2を形成する。
【0078】
n−型半導体領域EX1は、例えば、ゲート電極GE1をマスクとしてnMIS領域1Aにn型不純物(例えばリンまたはヒ素)をイオン注入することにより形成する。この工程により、n−型半導体領域EX1が、ゲート電極GE1に整合して形成される。また、p−型半導体領域EX2は、例えば、ゲート電極GE2をマスクとしてpMIS領域1Bにp型不純物(例えばホウ素)をイオン注入することにより形成する。この工程により、p−型半導体領域EX2が、ゲート電極GE2に整合して形成される。
【0079】
次いで、図14に示すように、シリコン基板1の主面上に、絶縁膜として、例えば窒化シリコン膜13をCVD法で10〜40nm程度の膜厚で堆積する。この工程により、ゲート電極GE1、GE2が、窒化シリコン膜13で覆われる。
【0080】
次いで、窒化シリコン膜13を異方性エッチング(エッチバック)することにより、ゲート電極GE1、GE2の側壁に、窒化シリコン膜13からなるサイドウォール(側壁絶縁膜、サイドウォールスペーサ)SW2を形成する(図15)。この異方性エッチング(エッチバック)によって、ゲート電極GE1、GE2の側壁にサイドウォールSW2として残った部分以外の窒化シリコン膜13は除去される。また、前述の窒化シリコン膜6が、ゲート電極GE1、GE2の上部に残存していた場合も、その窒化シリコン膜6は、上記サイドウォールSW2を形成するための異方性エッチング工程により除去される。
【0081】
次いで、図16に示すように、ゲート電極GE1およびサイドウォールSW2の両側のシリコン基板1中にn+型半導体領域SD1を形成する。n+型半導体領域SD1は、nMIS領域1Aにn型不純物(例えばリンまたはヒ素)をイオン注入することにより形成する。
【0082】
この際、ゲート電極GE1およびその側壁のサイドウォールSW2は、イオン注入阻止マスクとして機能するため、n+型半導体領域SD1は、ゲート電極GE1およびサイドウォールSW2に整合して形成される。
【0083】
なお、前述したように、シリコンゲルマニウム領域10として、ノンドープのシリコンゲルマニウム領域10を成膜した場合には、シリコンゲルマニウム領域10およびその上部のシリコン領域11中にp+型半導体領域を形成する。このp+型半導体領域は、pMIS領域1Bにp型不純物(例えばホウ素)をイオン注入することにより形成する。
【0084】
この際、ゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールSW2は、イオン注入阻止マスクとして機能するため、p+型半導体領域は、ゲート電極GE2およびサイドウォールSW2に整合して形成される。なお、前述のように、シリコンゲルマニウム領域10として、p型の不純物を導入しながらシリコンゲルマニウム領域10を形成した場合、この領域(10)が、p+型半導体領域SD2となる。また、シリコンゲルマニウム領域10およびその上部のシリコン領域11中に、p型不純物(例えばホウ素)をイオン注入した場合には、シリコンゲルマニウム領域10に、p+型半導体領域SD2とその下層のノンドープの領域との境界が生じる。
【0085】
上記イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。例えば900〜1100℃程度のスパイクアニールを行う。これにより、n−型半導体領域EX1、p−型半導体領域EX2、n+型半導体領域SD1およびシリコンゲルマニウム領域10(p+型半導体領域SD2)中の不純物を活性化することができる。
【0086】
以上の工程により、LDD(Lightly doped Drain)構造のソース・ドレイン領域が形成される。即ち、n+型半導体領域SD1およびn−型半導体領域EX1は、nチャネル型MISFETQn1のソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)であり、n+型半導体領域SD1は、n−型半導体領域EX1よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深く形成されいる。また、シリコンゲルマニウム領域10(p+型半導体領域SD2)およびp−型半導体領域EX2は、pチャネル型MISFETQp1のソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)であり、シリコンゲルマニウム領域10(p+型半導体領域SD2)は、p−型半導体領域EX2よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深く形成されている。
【0087】
以上の工程により、nMIS領域1Aに、nチャネル型MISFETQn1が形成される。また、pMIS領域1Bに、pチャネル型MISFETQp1が形成される。
【0088】
次いで、RCA洗浄などを用いてシリコン基板1の表面の清浄化を行う。このRCA洗浄とは、フッ酸洗浄、アンモニアと過酸化水素の混合液洗浄および塩酸と過酸化水素の混合液洗浄を順に行った後、超純水で洗浄を行う一連の洗浄工程という。さらに、RCA洗浄の後、フッ酸などを用いて、シリコン基板1の表面の自然酸化膜の除去を行う。この自然酸化膜の除去工程によってゲート電極GE1、GE2、n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11の表面が露出する。
【0089】
次いで、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、ゲート電極GE1、GE2およびソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11)の表面に、金属シリサイド層(23a、23)を形成する。以下この金属シリサイド層(23a、23)の形成工程について説明する。
【0090】
まず、図16に示すように、ゲート電極GE1、GE2、n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11上を含むシリコン基板1の主面上に、金属膜として例えば、ニッケル合金膜21をスパッタリング法を用いて堆積する。次いで、シリコン基板1に第1の熱処理(アニール処理)を施す。この第1の熱処理により、ゲート電極GE1、GE2を構成するシリコン膜(4)とニッケル合金膜21とを反応させる。また、n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11を構成する単結晶シリコンとニッケル合金膜21とを反応させる。これにより、図17に示すように、金属と半導体との反応層である金属シリサイド層23aを形成する。この金属シリサイド層23aは、メタルリッチなシリサイド層となっている。
【0091】
次いで、例えば硫酸過水などを用いたウエットエッチングにより、未反応のニッケル合金膜21を除去する。エッチング処理時間は、例えば30〜60分程度である。その結果、図17に示すように、ゲート電極GE1、GE2、n+型半導体領域SD1およびシリコン領域11の表面上のみに金属シリサイド層23aが残存する。
【0092】
次いで、シリコン基板1に第2の熱処理(アニール処理)を施す。この第2の熱処理を行うことにより、シリサイド化反応がさらに進み、図18に示すように、金属シリサイド層23aは、金属元素とSiとの組成比が1:1の化学量論比に近い、安定な金属シリサイド層23となる。
【0093】
なお、pチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(すなわちp+型半導体領域SD2)上に形成された金属シリサイド層23においては、下層のシリコンゲルマニウム領域10もシリサイド化反応に寄与し、金属シリサイド層23中にGeを含有する場合がある。また、シリコン領域11の表層部のみが、シリサイド化反応に寄与し、シリコンゲルマニウム領域10と金属シリサイド層23との間に薄いシリコン領域11が残る場合もある。この金属シリサイド層23により後述するプラグPGとの接続抵抗の低減を図ることができる。なお、上記においては、2回の熱処理でシリサイド化を行ったが、例えば、第1の熱処理を450℃程度の温度行い、第2の熱処理を省略してもよい。
【0094】
次いで、図19に示すように、シリコン基板1の主面全面上に、層間絶縁膜32として、例えば酸化シリコンをCVD法などを用いて堆積する。次いで、層間絶縁膜32の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)法などを用いて平坦化する。
【0095】
次いで、図20に示すように、nチャネル型MISFETQn1のソース・ドレイン領域(n+型半導体領域SD1)上およびpチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(シリコンゲルマニウム領域10(p+型半導体領域SD2))上の層間絶縁膜32を選択的に除去することによりコンタクトホール(貫通孔、孔)CNTを形成する。
【0096】
次いで、コンタクトホールCNT内に、導電性膜を形成することにより、プラグ(接続用導体部)PGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む層間絶縁膜32上に、バリア導体膜(図示せず)を堆積した後、このバリア導体膜上に主導体膜をコンタクトホールCNTを埋める程度の膜厚で堆積する。この後、層間絶縁膜32上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。
【0097】
次に、図21に示すように、プラグPG上を含む層間絶縁膜32上に、ストッパ絶縁膜33および層間絶縁膜34を順次形成する。ストッパ絶縁膜33は、層間絶縁膜34に対してエッチング選択性を有し、例えば、ストッパ絶縁膜33として窒化シリコン膜を、層間絶縁膜34として酸化シリコン膜を用いることができる。
【0098】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線M1を形成する。層間絶縁膜34をパターニングした後、ストッパ絶縁膜33をエッチングすることにより、配線溝を形成する。次いで、配線溝内部を含む層間絶縁膜34上にバリア導体膜(図示せず)およびシード層(図示せず)を形成する。次いで、電解めっき法などを用いてシード層上に金属めっき膜を形成した後、配線溝以外の領域の金属めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去することにより、第1層目の配線M1を形成する。
【0099】
配線M1は、プラグPGを介して、nチャネル型MISFETQn1およびpチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(SD1、SD2)やゲート電極GE1、GE2などと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここではその説明は省略する。また、配線M1や2層目以降の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもできる。配線用の導電体膜としては、例えばタングステンまたはアルミニウム(Al)などを用いることができる。
【0100】
その後、最上層配線上に保護膜等を形成した後、シリコン基板1をダイシングなどで切断(分割)することにより、複数の半導体装置(半導体チップ)が形成される。
【0101】
図22は、本実施の形態の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。図22に示す半導体チップSM1は、メモリ領域41と、メモリ以外の回路(周辺回路)が形成された周辺回路領域42とを有している。周辺回路領域42は、ロジック回路が形成されたロジック回路領域42aを含んでいる。このように、上記工程により形成された半導体装置(MISFET)を、上記メモリやロジック回路を構成するMISFETとして用いてもよい。
【0102】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0103】
以上本実施の形態について詳細に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0104】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0105】
1 シリコン基板
1A nMIS領域
1B pMIS領域
2 素子分離領域
3 ゲート絶縁膜
4 シリコン膜
5 酸化シリコン膜
6 窒化シリコン膜
7 酸化シリコン膜
8 窒化シリコン膜
10 シリコンゲルマニウム領域
11 シリコン領域
13 窒化シリコン膜
21 ニッケル合金膜
23、23a 金属シリサイド層
32 層間絶縁膜
33 ストッパ絶縁膜
34 層間絶縁膜
41 メモリ領域
42 周辺回路領域
42a ロジック回路領域
a 領域
α1、α2 角度
CNT コンタクトホール
CP キャップ絶縁膜
e1、e2 領域
EX1 n−型半導体領域
EX2 p−型半導体領域
g1 溝
g2 溝
GE1、GE2 ゲート電極
M1 配線
PD パッド電極
PG プラグ
PR1 フォトレジスト膜
Qn1 nチャネル型MISFET
Qp1 pチャネル型MISFET
SD1 n+型半導体領域
SD2 p+型半導体領域
SM1 半導体チップ
SW1、SW2 サイドウォール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板と、
(b)前記基板の第1領域に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタであって、
(b1)前記第1領域上にゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極と、
(b2)前記ゲート電極の両側の前記基板中に設けられた溝の内部に配置され、前記第1半導体より格子定数が大きい第2半導体よりなるソース・ドレイン領域と、
を有するpチャネル型電界効果トランジスタと、を有し、
前記溝は、前記ゲート電極側に位置する側壁部において、第1の斜面と、前記第1の斜面と交差する第2の斜面と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ソース・ドレイン領域の前記第2半導体は、前記溝の内部にエピタキシャル成長したものであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2半導体よりなるソース・ドレイン領域上には、前記第1半導体と金属との化合物層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体はシリコンであり、前記化合物層は金属シリサイドであることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記溝は、前記基板をドライエッチングした後、前記基板を異方的にウエットエッチングすることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート電極の両側には側壁膜が配置され、
前記第1の斜面および第2の斜面は、前記側壁膜の下方に位置することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート電極の両側の基板中であって、前記側壁膜の下方には、前記ソース・ドレイン領域よりも低濃度のp型の半導体領域が配置されていることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記基板の第2領域に形成されたnチャネル型電界効果トランジスタを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記nチャネル型電界効果トランジスタのソース・ドレイン領域は、前記第1半導体よりなることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板を準備する工程と、
(b)前記基板の第1領域上に第1ゲート絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、
(c)前記第1ゲート電極の両側に側壁膜を形成する工程と、
(d)前記側壁膜をマスクとして前記第1ゲート電極の両側の前記基板をドライエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の両側の前記基板中に第1溝を形成する工程と、
(e)前記第1溝に対し異方的なウエットエッチングを施すことにより、前記ゲート電極側に位置する側壁部において、第1の斜面と前記第1の斜面と交差する第2の斜面とを有する第2溝を形成する工程と、
(f)前記第1半導体より格子定数が大きい第2半導体を前記第1の斜面および前記第2の斜面からエピタキシャル成長させることにより、前記第2溝内に前記第2半導体よりなる半導体領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1溝は、ボックス形状であることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2溝は、前記第1の斜面と前記第2の斜面とを有するシグマ形状であることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記異方的なウエットエッチングは、水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する液を用いて行われることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記(f)工程のエピタキシャル成長は、ドーピングガスを含ませた状態で行われることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記基板は、第2領域を有し、
前記第2領域に、nチャネル型電界効果トランジスタを形成する工程を有することを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記nチャネル型電界効果トランジスタを形成する工程は、
前記基板の前記第2領域上に第2ゲート絶縁膜を介して第2ゲート電極を形成する工程と、
前記第2ゲート電極の両側に、前記第1半導体よりなるソース・ドレイン領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であり、
前記(f)工程の前記エピタキシャル成長は、シラン系ガスとゲルマン系ガスを原料ガスとして行われることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板と、
(b)前記基板の第1領域に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタであって、
(b1)前記第1領域上にゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極と、
(b2)前記ゲート電極の両側の前記基板中に設けられた溝の内部に配置され、前記第1半導体より格子定数が大きい第2半導体よりなるソース・ドレイン領域と、
を有するpチャネル型電界効果トランジスタと、を有し、
前記溝は、前記ゲート電極側に位置する側壁部において、第1の斜面と、前記第1の斜面と交差する第2の斜面と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ソース・ドレイン領域の前記第2半導体は、前記溝の内部にエピタキシャル成長したものであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第2半導体よりなるソース・ドレイン領域上には、前記第1半導体と金属との化合物層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体はシリコンであり、前記化合物層は金属シリサイドであることを特徴とする請求項4記載の半導体装置。
【請求項6】
前記溝は、前記基板をドライエッチングした後、前記基板を異方的にウエットエッチングすることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記ゲート電極の両側には側壁膜が配置され、
前記第1の斜面および第2の斜面は、前記側壁膜の下方に位置することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記ゲート電極の両側の基板中であって、前記側壁膜の下方には、前記ソース・ドレイン領域よりも低濃度のp型の半導体領域が配置されていることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記基板の第2領域に形成されたnチャネル型電界効果トランジスタを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項10】
前記nチャネル型電界効果トランジスタのソース・ドレイン領域は、前記第1半導体よりなることを特徴とする請求項9記載の半導体装置。
【請求項11】
(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板を準備する工程と、
(b)前記基板の第1領域上に第1ゲート絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、
(c)前記第1ゲート電極の両側に側壁膜を形成する工程と、
(d)前記側壁膜をマスクとして前記第1ゲート電極の両側の前記基板をドライエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の両側の前記基板中に第1溝を形成する工程と、
(e)前記第1溝に対し異方的なウエットエッチングを施すことにより、前記ゲート電極側に位置する側壁部において、第1の斜面と前記第1の斜面と交差する第2の斜面とを有する第2溝を形成する工程と、
(f)前記第1半導体より格子定数が大きい第2半導体を前記第1の斜面および前記第2の斜面からエピタキシャル成長させることにより、前記第2溝内に前記第2半導体よりなる半導体領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記第1溝は、ボックス形状であることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2溝は、前記第1の斜面と前記第2の斜面とを有するシグマ形状であることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記異方的なウエットエッチングは、水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する液を用いて行われることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記(f)工程のエピタキシャル成長は、ドーピングガスを含ませた状態で行われることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記基板は、第2領域を有し、
前記第2領域に、nチャネル型電界効果トランジスタを形成する工程を有することを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記nチャネル型電界効果トランジスタを形成する工程は、
前記基板の前記第2領域上に第2ゲート絶縁膜を介して第2ゲート電極を形成する工程と、
前記第2ゲート電極の両側に、前記第1半導体よりなるソース・ドレイン領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項16記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であり、
前記(f)工程の前記エピタキシャル成長は、シラン系ガスとゲルマン系ガスを原料ガスとして行われることを特徴とする請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2012−89779(P2012−89779A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237180(P2010−237180)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】
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