説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】CMISデバイスにおいて、pチャネル型電界効果トランジスタの動作特性を劣化させることなく、ひずみシリコン技術を用いたnチャネル型電界トランジスタの動作特性を向上させる。
【解決手段】所望する濃度プロファイルおよび抵抗を有するnMISのソース/ドレイン(n型拡張領域8およびn型拡散領域13)およびpMISのソース/ドレイン(p型拡張領域7およびp型拡散領域11)を形成した後、所望するひずみ量を有するSi:C層16をn型拡散領域13に形成することにより、nMISのソース/ドレインにおいて最適な寄生抵抗と最適なSi:C層16のひずみ量とを得る。また、Si:C層16を形成する際の熱処理を1m秒以下の短時間で行うことにより、すでに形成されているp型拡張領域7およびp型拡散領域11のp型不純物の濃度プロファイルの変化を抑える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、チャネルのひずみを利用して高速化を実現する電界効果トランジスタの構造およびその製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CMIS(Complementary Metal Insulator Semiconductor)デバイスのより一層の高速化を図る手段の1つとして、ひずみシリコン(Si)技術がある。これはシリコン層にひずみを加えることによって、キャリア移動度の向上を実現することのできる技術である。すなわち、応力を加えてチャネルのシリコン結晶格子をひずませると、等方的であったシリコン結晶のバンド構造の対称性が崩れてエネルギー準位の分裂が生じる。シリコン結晶のバンド構造が変化した結果、格子振動によるキャリア散乱の減少または有効質量の低減などにより、電子および正孔の移動度が向上する。
【0003】
ひずみシリコン技術には、例えばシリコン(Si)結晶格子の一部をカーボン(C)と置換したSi:C層をソース/ドレインに形成する方法(以下、Si:Cソース/ドレインという)、シリコン(Si)に一定のゲルマニウム(Ge)を固溶した混合結晶によりソース/ドレインを構成する方法(以下、埋め込みSiGeソース/ドレインという)、SMT(Stress Memorization Technique)、およびDSL(Dual Stress Liner)などがあり、一部は製品にも適用されている。
【0004】
Si:Cソース/ドレインは、nチャネル型電界効果トランジスタに適用されるひずみシリコン技術であり、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によりSi:C層を形成する方法(非特許文献1)と、ソース/ドレインを構成する不純物拡散層を形成する際にカーボンをイオン注入してSi:C層を形成する方法(特許文献1、非特許文献2)とがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開第2007/0254461号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】B. Yang, “High-performance nMOSFET with in-situ Phosphorus-doped embedded Si:C (ISPD eSi:C) source-drain stressor”, in IEDM Tech. Dig, 2008, pp.51-55
【非特許文献2】S. S. Chung, “Design of High-Performance and Highly Reliable nMOSFETs with Embedded Si:C S/D ExtensionStressor (Si:C S/D-E)”, in Symp. VLSI Tech. Dig., 2009, pp.158-159
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者らは、Si:Cソース/ドレインを適用した電界効果トランジスタの開発を行っている。より詳しくは、nチャネル型電界効果トランジスタのソース/ドレインにSi:C層を形成することにより、チャネルに強い引っ張り応力を加えて電子の移動度の向上を図ることを以て、nチャネル型電界効果トランジスタの性能の向上を図っている。
【0008】
まず、CVD法により形成されたSi:C層をソース/ドレインに有するnチャネル型電界効果トランジスタから構成されるCMISデバイスの製造方法を簡単に説明する。
【0009】
基板の主面上に、nチャネル型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜およびゲート電極と、pチャネル型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜およびゲート電極を形成した後、nチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の両側の基板に第1n型不純物拡散層を形成し、pチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の両側の基板に第1p型不純物拡散層を形成する。続いて、nチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極およびpチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極のそれぞれの側壁にサイドウォールを形成する。続いて、nチャネル型電界効果トランジスタのサイドウォールの両側の基板を選択エッチングした後、この選択エッチングされた領域にCVD法によりSi:C層を形成する。続いて、nチャネル型電界効果トランジスタのサイドウォールの両側のSi:C層に第2n型不純物拡散層を形成し、pチャネル型電界効果トランジスタのサイドウォールの両側の基板に第2p型不純物拡散層を形成する。その後、基板に熱処理を施すことにより、第1および第2n型不純物拡散層内のn型不純物ならびに第1および第2p型不純物拡散層内のp型不純物を活性化させて、第1および第2n型不純物拡散層からなるnチャネル型電界効果トランジスタの一対のソース/ドレインを形成し、第1および第2p型不純物拡散層からなるpチャネル型電界効果トランジスタの一対のソース/ドレインを形成する。
【0010】
次に、イオン注入法により形成されたSi:C層をソース/ドレインに有するnチャネル型電界効果トランジスタから構成されるCMISデバイスの製造方法を簡単に説明する。
【0011】
基板の主面上に、nチャネル型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜およびゲート電極と、pチャネル型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜およびゲート電極を形成した後、nチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の両側の基板に第1n型不純物拡散層を形成し、pチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の両側の基板に第1p型不純物拡散層を形成する。続いて、nチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極およびpチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極のそれぞれの側壁にサイドウォールを形成する。続いて、nチャネル型電界効果トランジスタのサイドウォールの両側の基板に第2n型不純物拡散層を形成し、pチャネル型電界効果トランジスタのサイドウォールの両側の基板に第2p型不純物拡散層を形成する。続いて、nチャネル型電界効果トランジスタのサイドウォールの両側の第2n型不純物拡散層にカーボンをイオン注入する。その後、基板に熱処理を施すことにより、第1および第2n型不純物拡散層内のn型不純物ならびに第1および第2p型不純物拡散層内のp型不純物を活性化させて、第1および第2n型不純物拡散層からなるnチャネル型電界効果トランジスタの一対のソース/ドレインを形成し、第1および第2p型不純物拡散層からなるpチャネル型電界効果トランジスタの一対のソース/ドレインを形成する。同時に、再結晶化させて、nチャネル型電界効果トランジスタのソース/ドレインが形成された領域にSi:C層を形成する。
【0012】
しかしながら、Si:Cソース/ドレインを適用したCMISデバイスについては、以下に説明する種々の技術的課題が存在する。
【0013】
CVD法によりSi:C層を形成する際には、長時間、基板の温度を500〜700℃程度とする必要がある。しかし、このとき、pチャネル型電界効果トランジスタのソース/ドレインの一部を構成する第1p型不純物拡散層内のp型不純物(特にボロン(B))が徐々に拡散するため、pチャネル型電界効果トランジスタの動作特性が劣化してしまう。
【0014】
また、浅い接合のソース/ドレインを形成するためには、1000℃以上の高温で短時間の熱処理を基板に施して、nチャネル型電界効果トランジスタの第1および第2n型不純物拡散層内のn型不純物ならびにpチャネル型電界効果トランジスタの第1および第2p型不純物拡散層内のp型不純物を活性化させることが望ましい。しかし、1000℃以上の高温で短時間の熱処理を行うとCVD法により形成されたSi:C層内からカーボンが抜けて、所望するカーボン濃度が得られない。そのため、n型不純物およびp型不純物の上記活性化には、1000℃よりも低温で長時間の熱処理が基板に施される。その結果、pチャネル型電界効果トランジスタにおいて、浅い接合のソース/ドレインが形成できないという問題が生じていた。
【0015】
一方、イオン注入法によりSi:C層を形成する際には、カーボンをイオン注入した後、基板に熱処理を施して再結晶化させる必要がある。この熱処理によりSi:C層のひずみ量、nチャネル型電界効果トランジスタの第1および第2n型不純物拡散層の寄生抵抗、およびpチャネル型電界効果トランジスタの第1および第2p型不純物拡散層の寄生抵抗が決まるため、熱処理条件の最適化が必要である。また、Si:C層のひずみ量はカーボンのイオン注入における注入量および注入エネルギーにも依存するため、これら条件の最適化も必要である。しかし、nチャネル型電界効果トランジスタでは、第1および第2n型不純物拡散層のプロファイルとひずみのプロファイルとを同時に形成するため、熱処理条件およびイオン注入条件のプロセスウインドウは狭く、最適な第1および第2n型不純物拡散層の寄生抵抗と最適なSi:C層のひずみ量とを両立させることは困難である。
【0016】
また、本発明者らは、Si:C層のひずみ量を大きくするには、高温でかつ短時間の熱処理、例えばLSA(Laser Spike Annealing)またはFLA(Flash Lamp Annealing)が効果的であることを見出した。しかし、LSAまたはFLAのみでは、カーボン以外の不純物の活性化が十分に起こらずに寄生抵抗が高くなり、CMISデバイスの性能が劣化することが分かった。
【0017】
本発明の目的は、CMISデバイスにおいて、pチャネル型電界効果トランジスタの動作特性を劣化させることなく、ひずみシリコン技術を用いたnチャネル型電界トランジスタの動作特性を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0018】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0020】
この実施の形態は、単結晶シリコンからなる半導体基板に形成されたp型ウェルにnチャネル型電界効果トランジスタを有する半導体装置であって、nチャネル型電界効果トランジスタのソース/ドレインは、ゲート電極の側壁の下周辺のp型ウェルに形成された第1n型不純物拡散層と、ゲート電極の側壁から所定の距離を離れてp型ウェルに形成された第2n型不純物拡散層とから構成され、半導体基板の厚さ方向における第2n型不純物拡散層とp型ウェルとの第2接合部の位置が、半導体基板の厚さ方向における第1n型不純物拡散層とp型ウェルとの第1接合部の位置よりも深く、第2n型不純物拡散層にシリコン格子の一部をカーボンで置換したSi:C層が形成されており、Si:C層に含まれるカーボンの濃度が最大となる位置が、半導体基板の厚さ方向における第1n型不純物拡散層とp型ウェルとの第1接合部の位置よりも深く、半導体基板の厚さ方向における第2n型不純物拡散層とp型ウェルとの第2接合部の位置よりも浅いものである。
【0021】
また、この実施の形態は、単結晶シリコンからなる半導体基板の主面にnチャネル型電界効果トランジスタを形成する半導体装置の製造方法であって、半導体基板の主面にゲート絶縁膜およびゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の両側の半導体基板に第1n型不純物をイオン注入して第1n型不純物拡散層を形成する工程と、ゲート電極の側壁に絶縁膜からなるサイドウォールを形成する工程と、サイドウォールの両側の半導体基板に第2n型不純物をイオン注入して第2n型不純物拡散層を形成する工程と、半導体基板に第1熱処理を施して、第1n型不純物および第2n型不純物を活性化させて、第1n型不純物拡散層および第2n型不純物拡散層からなる一対のソース/ドレインを形成する工程と、その後、第2n型不純物拡散層にクラスターカーボンをイオン注入して、アモルファス層を形成する工程と、半導体基板に第2熱処理を施して、アモルファス層を再結晶化させてSi:C層を形成する工程とを有し、半導体基板の厚さ方向における第2n型不純物拡散層とp型ウェルとの第2接合部の位置が、半導体基板の厚さ方向における第1n型不純物拡散層とp型ウェルとの第1接合部の位置よりも深く、Si:C層に含まれるカーボンの濃度が最大となる位置が、半導体基板の厚さ方向における第1n型不純物拡散層とp型ウェルとの第1接合部の位置よりも深く、半導体基板の厚さ方向における第2n型不純物拡散層とp型ウェルとの第2接合部の位置よりも浅いものである。
【発明の効果】
【0022】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの一実施の形態によって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0023】
CMISデバイスにおいて、pチャネル型電界効果トランジスタの動作特性を劣化させることなく、ひずみシリコン技術を用いたnチャネル型電界トランジスタの動作特性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態1によるCMISデバイスの要部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1によるCMISデバイスの製造工程を示す要部断面図である。
【図3】図2に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図4】図3に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図5】図4に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図6】図5に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図7】図6に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図8】図7に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図9】図8に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図10】(a)および(b)はそれぞれクラスターカーボンおよびカーボンのイオン注入を説明する半導体基板の要部断面図である。
【図11】図9に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図12】図11に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図13】図12に続くCMISデバイスの製造工程中の図2と同じ箇所の要部断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2によるCMISデバイスの要部断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2によるCMISデバイスの製造工程を示す要部断面図である。
【図16】図15に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図17】図16に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図18】図17に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図19】図18に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図20】図19に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図21】図20に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図22】図21に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図23】図22に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図24】図23に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図25】図24に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図26】図25に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図27】図26に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図28】図27に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図29】図28に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図30】図29に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図31】図30に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【図32】図31に続くCMISデバイスの製造工程中の図15と同じ箇所の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施の形態において、便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0026】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0027】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。また、以下の実施の形態においては、電界効果トランジスタを代表するMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をMISと略し、pチャネル型のMISFETをpMISと略し、nチャネル型のMISFETをnMISと略す。また、以下の実施の形態において、ウエハと言うときは、単結晶シリコンからなるウエハを主とするが、それのみではなく、SOI(Silicon On Insulator)ウエハ、集積回路をその上に形成するための絶縁膜基板等を指すものとする。その形も円形またはほぼ円形のみでなく、正方形、長方形等も含むものとする。
【0028】
また、以下の実施の形態を説明するための全図において、同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0029】
(実施の形態1)
本実施の形態1によるCMISデバイスの一例を図1に示す。図1はCMISデバイスの要部断面図である。
【0030】
pMISは、単結晶シリコンからなる半導体基板1の主面に形成された素子分離2に囲まれた活性領域に形成され、活性領域にはn型ウェル4が形成されている。素子分離2は、例えば溝の内部に埋め込まれた絶縁膜、例えば酸化シリコン膜により構成される。
【0031】
pMIS形成領域の半導体基板1(n型ウェル4)の主面には、例えばハフニウム(Hf)系のHigh−k膜からなるゲート絶縁膜5が形成されている。さらにその上には、例えば金属化合物(例えば窒化チタン(TiN)膜)6aと多結晶シリコン膜6bとの積層膜からなるゲート電極6が形成されている。ゲート電極6の上面にはシリサイド膜17が形成されている。ゲート電極6の側壁には、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜9bとの積層膜からなるサイドウォール9が形成されている。
【0032】
pMISのゲート電極6の両側の半導体基板1(n型ウェル4)には、相対的に低濃度の一対のp型拡張領域(第1p型不純物拡散層)7および相対的に高濃度の一対のp型拡散領域(第2p型不純物拡散層)11が形成されており、p型拡張領域7とp型拡散領域11とからpMISのソース/ドレインが構成される。
【0033】
pMISのソース/ドレインの一部を構成するp型拡張領域7は、n型ウェル4にp型不純物が導入されて、ゲート電極6の側壁下周辺のn型ウェル4に形成されている。また、pMISのソース/ドレインのさらに他の一部であってソース/ドレインを主として構成するp型拡散領域11は、n型ウェル4にp型不純物が導入されて、ゲート電極6の側壁から所定の距離(p型拡張領域7の幅)を離れて形成されている。p型拡散領域11の上面にはシリサイド膜17が形成されている。
【0034】
nMISは、単結晶シリコンからなる半導体基板1の主面に形成された素子分離2に囲まれた活性領域に形成され、活性領域にはp型ウェル3が形成されている。素子分離2は、例えば溝の内部に埋め込まれた絶縁膜、例えば酸化シリコン膜により構成される。
【0035】
nMIS形成領域の半導体基板1(p型ウェル3)の主面には、例えばハフニウム系のHigh−k膜からなるゲート絶縁膜5が形成されている。さらにその上には、例えば金属化合物(例えば窒化チタン膜)6aと多結晶シリコン膜6bとの積層膜からなるゲート電極6が形成されている。ゲート電極6の上面にはシリサイド膜17が形成されている。ゲート電極6の側壁には、酸化シリコン膜9aと窒化シリコン膜9bとの積層膜からなるサイドウォール9が形成されている。
【0036】
nMISのゲート電極6の両側の半導体基板1(p型ウェル3)には、相対的に低濃度の一対のn型拡張領域(第1n型不純物拡散層)8および相対的に高濃度の一対のn型拡散領域(第2n型不純物拡散層)13が形成されており、n型拡張領域8とn型拡散領域13とからnMISのソース/ドレインが構成される。
【0037】
nMISのソース/ドレインの一部を構成するn型拡張領域8は、p型ウェル3にn型不純物が導入されて、ゲート電極6の側壁下周辺のp型ウェル3に形成されている。n型拡張領域8の深さ(半導体基板1の主面からn型拡張領域8とp型ウェル3との接合部(第1接合部)までの半導体基板1の厚さ方向の距離)Leは、例えば10〜20nm程度である。
【0038】
nMISのソース/ドレインのさらに他の一部であってソース/ドレインを主として構成するn型拡散領域13は、p型ウェル3にn型不純物が導入されて、ゲート電極6の側壁から所定の距離(n型拡張領域8の幅)を離れて形成されている。n型拡散領域13の深さ(半導体基板1の主面からn型拡散領域13とp型ウェル3との接合部(第2接合部)までの半導体基板1の厚さ方向の距離)Ldは、例えば50〜80nm程度である。また、n型拡散領域13のシート抵抗は、例えば100〜200Ω/sq.であり、その上面にはシリサイド膜17が形成されている。
【0039】
さらに、n型拡散領域13内であってシリサイド膜17の真下には、シリコン格子の一部をカーボンで置換したSi:C層16が形成されている。シリコンと置換したカーボンの濃度は、例えば1〜2at.%程度である。Si:C層16の深さ(半導体基板1の主面からカーボンの濃度が最大となる位置までの半導体基板1の厚さ方向の距離)Lsは、例えば40nm程度であり、Si:C層16はn型拡散領域13により囲まれている。
【0040】
このように、nMISのソース/ドレインを主として構成するn型拡散領域13にSi:C層16を形成してnMISのチャネルに引っ張り応力を加えることによって、チャネルのシリコンをひずませることができる。その結果、シリコンのバンド構造が変調されて電子のサブバンド間の散乱が減少するとともにその実効質量が低減するので、電子の移動度を向上させることができる。
【0041】
Si:C層16のシート抵抗は、例えば300Ω/sq.であり、n型拡散領域13のシート抵抗よりも高くなる。しかし、Si:C層16はn型拡散領域13により囲まれており、また、Si:C層16の上面にシリサイド膜17が形成されることから、nMISの動作特性に及ぼすSi:C層16のシート抵抗の影響は小さいと考えられる。
【0042】
さらに、pMISおよびnMISを覆って窒化シリコン膜18および層間絶縁膜19が形成されている。窒化シリコン膜18および層間絶縁膜19の所定の箇所には接続孔20が開口している。さらに、接続孔20の内部にはプラグ21が埋め込まれており、層間絶縁膜19の上面には、プラグ21と電気的に接続する配線22が形成されている。
【0043】
次に、本実施の形態1によるひずみシリコン技術を用いたCMISデバイスの製造方法を図2〜図13を用いて工程順に説明する。図2〜図9および図11〜図13はCMISデバイスの要部断面図、図10(a)および(b)はそれぞれクラスターカーボンおよびカーボンのイオン注入を説明するnMISの要部断面図である。
【0044】
まず、図2に示すように、例えばp型の単結晶シリコンからなる半導体基板(半導体ウエハと称する平面略円形状の半導体の薄板)1を用意する。次に、この半導体基板1の素子分離領域に、例えば深さ0.3μm程度の溝を形成し、この溝の内部に絶縁膜、例えば酸化シリコン膜を埋め込むことにより素子分離2を形成する。
【0045】
次に、半導体基板1のnMIS形成領域にp型不純物、例えばボロン(B)をイオン注入してp型ウェル3を形成する。同様に、半導体基板1のpMIS形成領域にn型不純物、例えばリン(P)またはヒ素(As)をイオン注入して、n型ウェル4を形成する。
【0046】
次に、図3に示すように、半導体基板1の主面にHigh−k膜からなるゲート絶縁膜5を形成する。High−k膜は、例えばハフニウムを含む酸化物(例えば酸化ハフニウム(HfO))である。続いてゲート絶縁膜5上にスパッタリング法により金属化合物6a、例えば窒化チタン膜を堆積し、さらに金属化合物6a上にCVD法により多結晶シリコン膜6bを堆積する。
【0047】
次に、レジストパターンをマスクとして多結晶シリコン膜6bおよび金属化合物6aを順次エッチングして、nMISおよびpMISのそれぞれのゲート電極6を形成する。ゲート電極6の高さは、例えば100nm程度である。
【0048】
次に、図4に示すように、nMIS形成領域をレジストパターンにより覆い、半導体基板1のpMIS形成領域にゲート電極6をマスクとしてp型不純物、例えばボロンまたはフッ化ボロン(BF)をイオン注入し、ゲート電極6の両側の半導体基板1(n型ウェル4)に一対のp型拡張領域(第1p型不純物拡散層)7を形成する。
【0049】
同様に、pMIS形成領域をレジストパターンにより覆い、半導体基板1のnMIS形成領域にゲート電極6をマスクとしてn型不純物、例えばリンまたはヒ素をイオン注入し、ゲート電極6の両側の半導体基板1(p型ウェル3)に一対のn型拡張領域(第1n型不純物拡散層)8を形成する。
【0050】
次に、図5に示すように、半導体基板1の主面上に、例えば厚さ10nm程度の酸化シリコン膜9aを堆積した後、さらに、酸化シリコン膜9a上に、例えば厚さ50nm程度の窒化シリコン膜9bを堆積する。続いて、窒化シリコン膜9bおよび酸化シリコン膜9aをRIE(Reactive Ion Etching)法により順次エッチングして、ゲート電極6の側壁にサイドウォール9を形成する。サイドウォール9の長さ(サイドウォール長)L1は、例えば20〜40nm程度である。
【0051】
次に、図6に示すように、nMIS形成領域をレジストパターン10により覆い、半導体基板1のpMIS形成領域にゲート電極6およびサイドウォール9をマスクとしてp型不純物、例えばボロンまたはフッ化ボロンをイオン注入し、サイドウォール9の両側の半導体基板1(n型ウェル4)に一対のp型拡散領域(第2p型不純物拡散層)11を形成する。
【0052】
次に、図7に示すように、レジストパターン10を除去した後、pMIS形成領域をレジストパターン12により覆い、半導体基板1のnMIS形成領域にゲート電極6およびサイドウォール9をマスクとしてn型不純物、例えばヒ素、またはリンをイオン注入し、サイドウォール9の両側の半導体基板1(p型ウェル3)に一対のn型拡散領域(第2n型不純物拡散層)13を形成する。ヒ素のイオン注入における注入量および注入エネルギーはそれぞれ10〜30keVおよび1〜5E15/cm、リンのイオン注入における注入量および注入エネルギーはそれぞれ2〜10keVおよび3〜5E15/cmである。
【0053】
次に、レジストパターン12を除去した後、半導体基板1に、例えば1000〜1100℃のスパイクアニール(第1熱処理)を施して、pMIS形成領域に形成されたp型拡張領域7およびp型拡散領域11内のp型不純物、ならびにnMIS形成領域に形成されたn型拡張領域8およびn型拡散領域13内のn型不純物を活性化させる。
【0054】
これにより、pMIS形成領域に、pMISのp型拡張領域7およびp型拡散領域11からなるソース/ドレインが形成される。同様に、nMIS形成領域に、nMISのn型拡張領域8およびn型拡散領域13からなるソース/ドレインが形成される。nMIS形成領域に形成されるn型拡張領域8の深さLeは、例えば10〜20nm程度、n型拡散領域13の深さLdは、例えば50〜80nm程度である。また、n型拡散領域13のシート抵抗は、例えば100〜200Ω/sq.である。
【0055】
次に、図8に示すように、pMIS形成領域をレジストパターン14により覆い、半導体基板1のnMIS形成領域にゲート電極6およびサイドウォール9をマスクとして、カーボン(C)と水素(H)との化合物であるクラスターカーボン(例えばC等)をイオン注入し、サイドウォール9の両側の半導体基板1(p型ウェル3)をアモルファス化してアモルファス層15を形成する。
【0056】
この際、先に形成したn型拡散領域13の濃度プロファイルを変えないようにするため、先に形成したn型拡散領域13の深さLdよりも浅い領域にカーボンの最大濃度が位置するように、上記クラスターカーボンがイオン注入される。例えばクラスターカーボンのイオン注入における注入エネルギーはカーボン1原子相当で6〜10keV、また、注入量は1〜5E15/cmの範囲が適していると考えられ(他の条件によってはこの範囲に限定されないことはもとよりである)、さらに3E15/cmを中心値とする範囲が最も好適と考えられる。
【0057】
pMIS形成領域は、レジストパターン14により覆われているので、サイドウォール9の両側の半導体基板1(n型ウェル4)はアモルファス化されない。
【0058】
次に、図9に示すように、半導体基板1に熱処理(第2熱処理)を施すことにより、アモルファス層15を再結晶化させて、シリコン格子の一部をカーボンで置換したSi:C層16を形成する。シリコンと置換されるカーボンの濃度は、例えば1〜2at.%程度であり、また、Si:C層16のシート抵抗は、例えば300Ω/sq.となる。この熱処理は、例えばLSAまたはFLAにより行われ、熱処理の温度は、例えば1100〜1350℃の範囲が適していると考えられ(他の条件によってはこの範囲に限定されないことはもとよりである)、さらに1200℃を中心値とする範囲が最も好適と考えられる。また、熱処理の時間は1m秒以下、例えば0.25〜0.8m秒の範囲が適していると考えられる。このように、この熱処理は、例えば1100〜1350℃の高温で行われるが、例えば0.25〜0.8m秒の短時間で行われること、また、pMISのソース/ドレインを構成するp型拡張領域7およびp型拡散領域11内のp型不純物はすでに活性化されていることから、pMISのソース/ドレインを構成するp型拡張領域7およびp型拡散領域11の不純物濃度プロファイルの変化を抑えることができる。
【0059】
クラスターカーボンのイオン注入とその後の熱処理により、n型拡散領域13内に、半導体基板1の主面から、例えば40nm程度の位置にカーボンの最大濃度が位置するSi:C層16が形成される。すなわち、n型拡張領域8の深さLeとn型拡散領域13の深さLdとの間にカーボンの最大濃度が位置するようにSi:C層16が形成される。
【0060】
Si:C層16のシート抵抗は、n型拡散領域13のシート抵抗よりも高くなるが、Si:C層16はn型拡散領域13により囲まれており、また、後の工程において、Si:C層16の上面にシリサイド膜17が形成されることから、nMISの動作特性に及ぼすSi:C層16のシート抵抗の影響は小さいと考えられる。
【0061】
ところで、図10(b)に示すように、カーボンのみをイオン注入すると、4価のカーボンはチャネリングを起こしやすいことから、Si:C層16の深さが不均一となる。しかし、クラスターカーボンをイオン注入すると、チャネリングが生じにくいことから、図10(a)に示すように、Si:C層16の深さが均一となり、所望する深さのSi:C層16を形成することができる。従って、クラスターカーボンを用いた場合は、カーボンのみを用いた場合に比べて、Si:C層16の深さの制御が容易であり、Si:C層16を形成したことによるnMISの動作特性のばらつきを防ぐことができる。
【0062】
また、クラスターカーボンは4価のカーボンよりも重いことから、クラスターカーボンを用いた場合は、カーボンのみを用いた場合に比べて、アモルファス層が形成されやすく、さらに、イオン注入の時間が短くなり(約1/7)、生産性が向上する。
【0063】
次に、図11に示すように、pMISのゲート電極6(多結晶シリコン膜6b)とp型拡散領域11の上面およびnMISのゲート電極6(多結晶シリコン膜6b)とn型拡散領域13の上面にそれぞれ選択的にシリサイド膜17を形成する。シリサイド膜17は、例えばニッケル(Ni)シリサイド膜またはコバルト(Co)シリサイド膜である。
【0064】
次に、図12に示すように、半導体基板1の主面上に窒化シリコン膜18および層間絶縁膜19を順次形成する。この層間絶縁膜19は、例えばTEOS(Si(OC)膜、酸窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜である。続いて、層間絶縁膜19をCMP法により研磨して、その表面を平坦化する。
【0065】
次に、図13に示すように、レジストパターンをマスクとするドライエッチングにより、窒化シリコン膜18および層間絶縁膜19の所定の箇所に接続孔20を形成する。続いて、接続孔20の内部を含む半導体基板1の主面上にバリア金属膜(例えば窒化チタン膜)および金属膜(例えばタングステン(W)膜)を順次堆積した後、バリア金属膜および金属膜をCMP法により研磨して、接続孔20の内部にバリア金属膜および金属膜を埋め込み、プラグ21を形成する。バリア金属膜は金属膜が半導体基板1へ拡散するのを防ぐ機能を有する。
【0066】
その後、半導体基板1の主面上に金属膜(例えばアルミニウム(Al)膜または銅(Cu)膜など)を堆積した後、レジストパターンをマスクとしたドライエッチングにより金属膜を加工して配線22を形成する。以上の工程により、本実施の形態1によるCMISデバイスが略完成する。
【0067】
このように、本実施の形態1によれば、nMISのソース/ドレインを主として構成するn型拡散領域13にSi:C層16を形成することにより、nMISのチャネルに引っ張り応力を加えて、チャネルのシリコンをひずませることができるので、電子の移動度を向上させることができる。
【0068】
さらに、所望する濃度プロファイルおよび抵抗を有するnMISのソース/ドレイン(n型拡張領域8およびn型拡散領域13)を形成する工程と、所望するひずみ量を有するSi:C層16をn型拡散領域13に形成する工程とをそれぞれ異なる工程で行うことにより、nMISのソース/ドレインの最適な寄生抵抗と最適なSi:C層16のひずみ量とを両立させることができる。
【0069】
また、pMISのソース/ドレイン(p型拡張領域7およびp型拡散領域11)を形成した後に、所望するひずみ量を有するSi:C層16を形成するための高温(例えば1100〜1350℃)での熱処理が行われる。しかし、この熱処理は、例えば0.25〜0.8m秒の短時間で行われること、また、pMISのソース/ドレインを構成するp型拡張領域7およびp型拡散領域11内のp型不純物はすでに活性化されていることから、pMISのソース/ドレインを構成するp型拡張領域7およびp型拡散領域11の不純物濃度プロファイルの変化を抑えることができるので、pMISの浅い接合のソース/ドレインを形成することができる。
【0070】
これらにより、CMISデバイスにおいて、pMISの動作特性を劣化させることなく、ひずみシリコン技術を用いたnMISの動作特性を向上させることができる。
【0071】
(実施の形態2)
本実施の形態2によるnMISは、前述した実施の形態1によるnMISとほぼ同じ構造であるが、本実施の形態2によるpMISが、前述した実施の形態1によるpMISの構造と異なる。
【0072】
本実施の形態2によるCMISデバイスの一例を図14に示す。図14はCMISデバイスの要部断面図である。
【0073】
pMISは、単結晶シリコンからなる半導体基板31の主面に形成された素子分離32に囲まれた活性領域に形成され、活性領域にはn型ウェル34が形成されている。素子分離32は、例えば溝の内部に埋め込まれた絶縁膜、例えば酸化シリコン膜により構成される。
【0074】
pMIS形成領域の半導体基板31(n型ウェル34)の主面には、例えば酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなるゲート絶縁膜35が形成されている。さらにその上には、例えば多結晶シリコン膜からなるゲート電極39が形成されている。ゲート電極39のゲート長は、例えば50nm程度であり、その上面にはシリサイド膜55が形成されている。ゲート電極39の側壁には、窒化シリコン膜からなるサイドウォール50が形成されている。
【0075】
pMISのゲート電極39の両側の半導体基板31(n型ウェル34)には、相対的に低濃度の一対のp型拡張領域(第1p型不純物拡散層)49および相対的に高濃度の一対のp型拡散領域(第2p型不純物拡散層)45が形成されており、p型拡張領域49とp型拡散領域45とからpMISのソース/ドレインが構成される。しかし、このソース/ドレインは、半導体基板31の初期主面よりもその主面を持ち上げた構造(Elevated Source/Drain)を有している。
【0076】
pMISのソース/ドレインの一部を構成するp型拡張領域49は、半導体基板31(n型ウェル34)にp型不純物が導入されて、ゲート電極39の側壁下周辺のn型ウェル34に形成されている。また、pMISのソース/ドレインのさらに他の一部であってソース/ドレインを主として構成するp型拡散領域45は、ゲート電極39の両側に形成されたシリコンゲルマニウム(SiGe)層にp型不純物が導入されて、ゲート電極39の側壁から所定の距離(p型拡張領域49の幅)を離れて形成されている。p型拡散領域45の上面にはシリサイド膜55が形成されている。
【0077】
p型拡散領域45となるp型不純物が導入されたシリコンゲルマニウム層は、ゲート電極39の側壁から所定の距離を離れた半導体基板31の活性領域に溝44を形成し、その後、エピタキシャル成長法により溝44の内部および半導体基板31の初期主面からさらに持ち上げられて選択的に形成される。シリコンゲルマニウム層の厚さは、例えば40〜100nm程度である。
【0078】
このように、pMISのソース/ドレインを主として構成するp型拡散領域45をp型不純物が導入されたシリコンゲルマニウム層で形成することによって、シリコンゲルマニウムの格子定数はシリコンの格子定数より大きいことから、pMISのチャネルに圧縮応力が加えられて、チャネルのシリコンをひずませることができる。その結果、シリコンのバンド構造が変調されて正孔のサブバンド間の散乱が減少するとともにその実効質量が低減するので、正孔の移動度を向上させることができる。
【0079】
nMISは、単結晶シリコンからなる半導体基板31の主面に形成された素子分離32に囲まれた活性領域に形成され、活性領域にはp型ウェル33が形成されている。素子分離32は、例えば溝の内部に埋め込まれた絶縁膜、例えば酸化シリコン膜により構成される。
【0080】
nMIS形成領域の半導体基板31(p型ウェル33)の主面には、例えば酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなるゲート絶縁膜35が形成されている。さらにその上には、例えば多結晶シリコン膜からなるゲート電極39が形成されている。ゲート電極39のゲート長は、例えば50nm程度であり、その上面にはシリサイド膜55が形成されている。ゲート電極39の側壁には、窒化シリコン膜からなるサイドウォール50が形成されている。
【0081】
nMISのゲート電極39の両側の半導体基板31(p型ウェル33)には、相対的に低濃度の一対のn型拡張領域(第1n型不純物拡散層)48および相対的に高濃度の一対のn型拡散領域(第2n型不純物拡散層)51が形成されており、n型拡張領域48とn型拡散領域51とからnMISのソース/ドレインが構成される。
【0082】
nMISのソース/ドレインの一部を構成するn型拡張領域48は、半導体基板31(p型ウェル33)にn型不純物が導入されて、ゲート電極39の側壁下周辺のp型ウェル33に形成されている。n型拡張領域48の深さLeは、例えば10〜20nm程度である。
【0083】
nMISのソース/ドレインのさらに他の一部であってソース/ドレインを主として構成するn型拡散領域51は、半導体基板31(p型ウェル33)にn型不純物が導入されて、ゲート電極39の側壁から所定の距離(n型拡張領域48の幅)を離れて形成されている。n型拡散領域51の深さLdは、例えば50〜80nm程度である。また、n型拡散領域51のシート抵抗は、例えば100〜200Ω/sq.であり、その上面にはシリサイド膜55が形成されている。
【0084】
さらに、n型拡散領域51内であってシリサイド膜55の真下には、シリコン格子の一部をカーボンで置換したSi:C層54が形成されている。シリコンと置換したカーボンの濃度は、例えば1〜2at.%程度である。Si:C層54の深さLsは、例えば40nm程度であり、Si:C層54はn型拡散領域51により囲まれている。
【0085】
このように、nMISのソース/ドレインを主として構成するn型拡散領域51にSi:C層54を形成して、nMISのチャネルに引っ張り応力を加えることによって、チャネルのシリコンをひずませることができる。その結果、シリコンのバンド構造が変調されて電子のサブバンド間の散乱が減少するとともにその実効質量が低減するので、電子の移動度を向上させることができる。
【0086】
さらに、pMISおよびnMISを覆って窒化シリコン膜56および層間絶縁膜57が形成されている。窒化シリコン膜56および層間絶縁膜57の所定の箇所に接続孔58が開口している。さらに、接続孔58の内部にはプラグ59が埋め込まれており、層間絶縁膜57の上面には、プラグ59と電気的に接続する配線60が形成されている。
【0087】
本実施の形態2によるひずみシリコン技術を用いたCMISデバイスの製造方法を図15〜図32を用いて工程順に説明する。図15〜図32はCMISデバイスの要部断面図である。
【0088】
まず、図15に示すように、例えばp型の単結晶シリコンからなる半導体基板(半導体ウエハと称する平面略円形状の半導体の薄板)31を用意する。次に、この半導体基板31の素子分離領域に、例えば深さ0.3μm程度の溝を形成し、この溝の内部に絶縁膜、例えば酸化シリコン膜を埋め込むことにより素子分離32を形成する。
【0089】
次に、半導体基板31のnMIS形成領域にp型不純物、例えばボロンをイオン注入してp型ウェル33を形成する。同様に、半導体基板31のpMIS形成領域にn型不純物、例えばリンまたはヒ素をイオン注入して、n型ウェル34を形成する。
【0090】
次に、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウエットエッチングにより半導体基板31の表面を洗浄した後、半導体基板31の主面にゲート絶縁膜35を形成する。続いてゲート絶縁膜35上にCVD法により多結晶シリコン膜36を堆積する。多結晶シリコン膜36の厚さは、例えば100〜140nm程度である。
【0091】
次に、図16に示すように、多結晶シリコン膜36上に酸化シリコン膜37および窒化シリコン膜38を順次堆積する。酸化シリコン膜37の厚さは、例えば2〜8nm程度であり、窒化シリコン膜38の厚さは、例えば10〜60nm程度である。
【0092】
次に、図17に示すように、レジストパターンをマスクとしたドライエッチングにより、窒化シリコン膜38、酸化シリコン膜37、および多結晶シリコン膜36を順次エッチングして、多結晶シリコン膜36からなる、pMISのゲート電極39およびnMISのゲート電極39を形成する。
【0093】
次に、図18に示すように、半導体基板31を熱酸化して、例えば厚さ4〜20nm程度の酸化シリコン膜40を半導体基板31の露出した主面(p型ウェル33およびn型ウェル34上)およびゲート電極39の露出した表面に形成する。
【0094】
次に、図19に示すように、半導体基板31の主面上に窒化シリコン膜41を堆積する。窒化シリコン膜41の厚さは、例えば50nm程度である。
【0095】
次に、図20に示すように、nMIS形成領域をレジストパターン42により覆い、窒化シリコン膜41および酸化シリコン膜40をRIE法によりエッチングして、pMISのゲート電極39の側壁にサイドウォール43を形成する。
【0096】
次に、図21に示すように、レジストパターン42を除去した後、ウエットエッチングによりpMISのソース/ドレインが形成される領域の半導体基板31を加工して溝(基板リセス)44を形成する。なお、ここでは溝44の形成にウエットエッチングを用いたが、ドライエッチングを用いることもできる。ウエットエッチングを用いると半導体基板31へのダメージが無いという利点を有するが、ゲート電極39の下にまでサイドエッチングが進むため、溝44の寸法制御が難しい。これに対して、ドライエッチングを用いると上記サイドエッチングが抑えられて溝44の寸法制御が容易であるという利点を有するが、半導体基板31へのダメージを有してしまう。
【0097】
次に、図22に示すように、エピタキシャル成長法により溝44の内部および半導体基板31の初期主面(溝44を形成する前の半導体基板31の主面)からさらに持ち上げてp型不純物が導入されたシリコンゲルマニウム層を選択的に形成し、さらにシリコンゲルマニウム層上にシリコン層46を形成する。このp型不純物が導入されたシリコンゲルマニウム層がp型拡散領域(第2p型不純物拡散層)45となる。シリコンゲルマニウム層は、例えばDCS(Dichlorosilane:SiHCl)、ゲルマン(GeH)、塩酸(HCl)、およびジボラン(B)などのガスを用いたエピタキシャル成長法により形成される。シリコンゲルマニウム層の厚さは、例えば40〜100nm程度であり、シリコン層46の厚さは、例えば5〜20nm程度である。
【0098】
ここではシリコンゲルマニウム層を半導体基板31の初期主面よりも持ち上げて形成したが、これに限定されるものではなく、シリコンゲルマニウム層を半導体基板31の初期主面とほぼ同じ高さまで(溝44の内部が埋まるまで)形成する様態でもかまわない。
【0099】
pMISのソース/ドレインにシリコンゲルマニウム層を採用することによって、pMISのチャネルに強い圧縮応力が加わるので、正孔の移動度が向上して、pMISの動作速度の向上を図ることができる。
【0100】
次に、図23に示すように、半導体基板31を熱酸化して、例えば厚さ1〜4nm程度の酸化シリコン膜47をシリコン層46の上面に形成する。
【0101】
次に、図24に示すように、窒化シリコン膜38,41を熱リン酸により除去する。
【0102】
次に、図25に示すように、pMIS形成領域をレジストパターンにより覆い、半導体基板31のnMIS形成領域にゲート電極39をマスクとしてn型不純物、例えばリンまたはヒ素をイオン注入し、ゲート電極39の両側の半導体基板31(p型ウェル33)に一対のn型拡張領域48(第1n型不純物拡散層)を形成する。同様に、nMIS形成領域をレジストパターンにより覆い、半導体基板31のpMIS形成領域にゲート電極39をマスクとしてp型不純物、例えばボロンまたはフッ化ボロンをイオン注入し、ゲート電極39の両側の半導体基板31(n型ウェル34)に一対のp型拡張領域49(第1p型不純物拡散層)を形成する。
【0103】
次に、図26に示すように、半導体基板31の主面上に窒化シリコン膜50aを堆積する。
【0104】
次に、図27に示すように、窒化シリコン膜50aをRIE法によりエッチングして、ゲート電極39の側壁にサイドウォール50を形成する。続いて、pMIS形成領域をレジストパターンにより覆い、半導体基板31のnMIS形成領域にゲート電極39およびサイドウォール50をマスクとしてn型不純物、例えばリンまたはヒ素をイオン注入し、サイドウォール50の両側の半導体基板31(p型ウェル33)に一対のn型拡散領域51(第2n型不純物拡散層)を形成する。
【0105】
次に、半導体基板31に、例えば1000〜1100℃のスパイクアニール(第1熱処理)を施して、pMIS形成領域に形成されたp型拡張領域49およびp型拡散領域45内のp型不純物、ならびにnMIS形成領域に形成されたn型拡張領域48およびn型拡散領域51内のn型不純物を活性化させる。これにより、pMIS形成領域にpMISのp型拡張領域49およびp型拡散領域45からなるソース/ドレインが形成される。同様に、nMIS形成領域にnMISのn型拡張領域48およびn型拡散領域51からなるソース/ドレインが形成される。
【0106】
次に、図28に示すように、pMIS形成領域をレジストパターンにより覆い、半導体基板31のnMIS形成領域にゲート電極39およびサイドウォール50をマスクとして、前述した実施の形態1と同様に、カーボンと水素との化合物であるクラスターカーボン(例えばC等)をイオン注入し、サイドウォール50の両側の半導体基板31(p型ウェル33)をアモルファス化してアモルファス層53を形成する。
【0107】
この際、先に形成したn型拡散領域51の濃度プロファイルを変えないようにするため、先に形成したn型拡散領域51の深さLdよりも浅い領域にカーボンの最大濃度が位置するように、上記クラスターカーボンがイオン注入される。例えばカーボンのイオン注入における注入エネルギーはカーボン1原子相当で6〜10keV、また、注入量は1〜5E15/cmの範囲が適していると考えられ(他の条件によってはこの範囲に限定されないことはもとよりである)、さらに3E15/cmを中心値とする範囲が最も好適と考えられる。
【0108】
pMIS形成領域は、レジストパターンにより覆われているので、サイドウォール50の両側のp型拡散領域(シリコンゲルマニウム層)45はアモルファス化されない。
【0109】
次に、図29に示すように、前述した実施の形態1と同様に、半導体基板31に熱処理(第2熱処理)を施すことにより、アモルファス層53を再結晶化させて、シリコン格子の一部をカーボンで置換したSi:C層54を形成する。シリコンと置換されるカーボンの濃度は、例えば1〜2at.%程度であり、また、Si:C層54のシート抵抗は、例えば300Ω/sq.となる。また、n型拡張領域48の深さLeとn型拡散領域51の深さLdとの間にカーボンの最大濃度が位置するようにSi:C層54が形成される。
【0110】
次に、図30に示すように、pMISのゲート電極39とp型拡散領域45の上面およびnMISのゲート電極39とn型拡散領域51の上面にそれぞれ選択的にシリサイド膜55を形成する。シリサイド膜55は、例えばニッケルシリサイド膜またはコバルトシリサイド膜である。
【0111】
次に、図31に示すように、半導体基板31の主面上に窒化シリコン膜56および層間絶縁膜57を順次形成する。この層間絶縁膜57は、例えばTEOS膜、酸窒化シリコン膜、または酸化シリコン膜である。続いて、層間絶縁膜57をCMP法により研磨して、その表面を平坦化する。
【0112】
次に、図32に示すように、レジストパターンをマスクとするドライエッチングにより、窒化シリコン膜56および層間絶縁膜57の所定の箇所に接続孔58を形成する。続いて、接続孔58の内部を含む半導体基板31の主面上にバリア金属膜(例えば窒化チタン膜)および金属膜(例えばタングステン膜)を順次堆積した後、バリア金属膜および金属膜をCMP法により研磨して、接続孔58の内部にバリア金属膜および金属膜を埋め込み、プラグ59を形成する。バリア金属膜は金属膜が半導体基板31へ拡散するのを防ぐ機能を有する。
【0113】
その後、半導体基板31の主面上に金属膜(例えばアルミニウム膜または銅膜など)を堆積した後、レジストパターンをマスクとしたドライエッチングによりこの金属膜を加工して配線60を形成する。以上の工程により、本実施の形態2によるCMISデバイスが略完成する。
【0114】
なお、本実施の形態2では、nMISおよびpMISのゲート絶縁膜35を、例えば酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜で構成し、ゲート電極39を、例えば多結晶シリコン膜により構成したが、前述した実施の形態1と同様に、nMISおよびpMISのゲート絶縁膜35を、例えばHigh−k膜で構成し、ゲート電極39を、例えば窒化チタン膜と多結晶シリコン膜との積層膜により構成してもよい。
【0115】
このように、実施の形態2によれば、pMISのソース/ドレインを主として構成するp型拡散領域45をp型不純物が導入されたシリコンゲルマニウム層で形成することによって、pMISのチャネルに圧縮応力が加えられて、チャネルのシリコンをひずませることができる。また、nMISのソース/ドレインを主として構成するn型拡散領域51にSi:C層54を形成することによって、nMISのチャネルに引っ張り応力が加えられて、チャネルのシリコンをひずませることができる。これらにより、pMISでは正孔の移動度を向上させることが、nMISでは電子の移動度を向上させることができるので、ひずみシリコン技術を用いたCMISデバイスの動作特性を向上させることができる。
【0116】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0117】
本発明は、チャネルのひずみを利用して高速化を実現する電界効果トランジスタを有する半導体装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0118】
1 半導体基板
2 素子分離
3 p型ウェル
4 n型ウェル
5 ゲート絶縁膜
6 ゲート電極
6a 金属化合物
6b 多結晶シリコン膜
7 p型拡張領域(第1p型不純物拡散層)
8 n型拡張領域(第1n型不純物拡散層)
9 サイドウォール
9a 酸化シリコン膜
9b 窒化シリコン膜
10 レジストパターン
11 p型拡散領域(第2p型不純物拡散層)
12 レジストパターン
13 n型拡散領域(第2n型不純物拡散層)
14 レジストパターン
15 アモルファス層
16 Si:C層
17 シリサイド膜
18 窒化シリコン膜
19 層間絶縁膜
20 接続孔
21 プラグ
22 配線
31 半導体基板
32 素子分離
33 p型ウェル
34 n型ウェル
35 ゲート絶縁膜
36 多結晶シリコン膜
37 酸化シリコン膜
38 窒化シリコン膜
39 ゲート電極
40 酸化シリコン膜
41 窒化シリコン膜
42 レジストパターン
43 サイドウォール
44 溝(基板リセス)
45 p型拡散領域(第2p型不純物拡散層)
46 シリコン層
47 酸化シリコン膜
48 n型拡張領域(第1n型不純物拡散層)
49 p型拡張領域(第1p型不純物拡散層)
50 サイドウォール
50a 窒化シリコン膜
51 n型拡散領域(第2n型不純物拡散層)
53 アモルファス層
54 Si:C層
55 シリサイド膜
56 窒化シリコン膜
57 層間絶縁膜
58 接続孔
59 プラグ
60 配線
L1 サイドウォール長
Ld n型拡散領域の深さ
Le n型拡張領域の深さ
Ls Si:C層の深さ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶シリコンからなり、p型ウェルが形成された半導体基板の主面に形成されたnチャネル型電界効果トランジスタを有する半導体装置であって、
前記nチャネル型電界効果トランジスタは、前記半導体基板の主面に形成されたゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜上に形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁に形成されたサイドウォールと、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板に形成されたソース/ドレインとを有し、
前記ソース/ドレインは、前記ゲート電極の側壁の下周辺の前記半導体基板に形成された第1n型不純物拡散層と、前記ゲート電極の側壁から所定の距離を離れて前記半導体基板に形成された第2n型不純物拡散層とから構成され、
前記半導体基板の厚さ方向における前記第2n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの第2接合部の位置が、前記半導体基板の厚さ方向における前記第1n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの第1接合部の位置よりも深く、
前記第2n型不純物拡散層にシリコン格子の一部をカーボンで置換したSi:C層が形成されており、
前記Si:C層に含まれるカーボンの濃度が最大となる位置が、前記半導体基板の厚さ方向における前記第1n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの前記第1接合部の位置よりも深く、前記半導体基板の厚さ方向における前記第2n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの前記第2接合部の位置よりも浅いことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、シリコン格子の一部と置換した前記カーボンの濃度は、1〜2at.%であることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1記載の半導体装置において、前記第2n型不純物拡散層の上面にシリサイド膜が形成されており、前記シリサイド膜の真下に前記Si:C層が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置において、前記Si:C層のシート抵抗が、前記第2n型不純物拡散層のシート抵抗よりも高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1記載の半導体装置において、前記ゲート絶縁膜はHigh−k膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1記載の半導体装置において、前記ゲート電極は、窒化チタン膜と、前記窒化チタン膜上に形成された多結晶シリコン膜との積層膜から構成されることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1記載の半導体装置において、さらに、n型ウェルが形成された前記半導体基板の主面に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタを有しており、
前記pチャネル型電界効果トランジスタのソース/ドレインは、前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の側壁の下周辺の前記半導体基板に形成された第1p型不純物拡散層と、前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の側壁から所定の距離を離れて前記半導体基板に形成された第2p型不純物拡散層とから構成され、
前記第2p型不純物拡散層には前記Si:C層が形成されていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置において、さらに、n型ウェルが形成された前記半導体基板の主面に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタを有しており、
前記pチャネル型電界効果トランジスタのソース/ドレインは、前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の側壁の下周辺の前記半導体基板に形成された第1p型不純物拡散層と、前記pチャネル型電界効果トランジスタのゲート電極の側壁から所定の距離を離れて前記半導体基板に形成された第2p型不純物拡散層とから構成され、
前記第2p型不純物拡散層は、p型不純物が導入されたシリコンゲルマニウム層から構成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、前記シリコンゲルマニウム層は、前記半導体基板の初期主面よりも持ち上がっていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8記載の半導体装置において、前記第2p型不純物拡散層の上面にシリサイド膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項8記載の半導体装置において、前記nチャネル型電界効果トランジスタのチャネルには引っ張り応力が加わり、前記pチャネル型電界効果トランジスタのチャネルには圧縮応力が加わることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
半導体基板の主面にnチャネル型電界効果トランジスタを形成する半導体装置の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)p型ウェルが形成された前記半導体基板の主面にゲート絶縁膜およびゲート電極を順次形成する工程;
(b)前記ゲート電極の両側の前記半導体基板に第1n型不純物をイオン注入して、第1n型不純物拡散層を形成する工程;
(c)前記ゲート電極の側壁に絶縁膜からなるサイドウォールを形成する工程;
(d)前記サイドウォールの両側の前記半導体基板に第2n型不純物をイオン注入して、第2n型不純物拡散層を形成する工程;
(e)前記半導体基板に第1熱処理を施して、前記第1n型不純物および前記2n型不純物を活性化させて、前記第1n型不純物拡散層および前記第2n型不純物拡散層からなるソース/ドレインを形成する工程;
(f)前記(e)工程の後、前記第2n型不純物拡散層にクラスターカーボンをイオン注入して、アモルファス層を形成する工程;
(g)前記半導体基板に第2熱処理を施して、前記アモルファス層を再結晶化させて、Si:C層を形成する工程、
ここで、前記半導体基板の厚さ方向における前記第2n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの第2接合部の位置が、前記半導体基板の厚さ方向における前記第1n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの第1接合部の位置よりも深く、
前記Si:C層に含まれるカーボンの濃度が最大となる位置が、前記半導体基板の厚さ方向における前記第1n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの前記第1接合部の位置よりも深く、前記半導体基板の厚さ方向における前記第2n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの前記第2接合部の位置よりも浅いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、前記(g)工程の後、さらに以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(h)前記第2n型不純物拡散層の上面にシリサイド層を形成する工程。
【請求項14】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、前記クラスターカーボンは、Cであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、前記(f)工程では、クラスターカーボンの注入エネルギーはカーボン1原子相当で6〜10keV、注入量は1〜5E15/cmの範囲であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、前記(g)工程の第2熱処理はLSAまたはFLAであり、温度は1100〜1350℃、時間は1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項12記載の半導体装置の製造方法において、前記ゲート絶縁膜はHigh−k膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
半導体基板の主面にnチャネル型電界効果トランジスタおよびpチャネル型電界効果トランジスタを形成する半導体装置の製造方法であって、以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(a)p型ウェルが形成された前記半導体基板の主面にnチャネル型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜およびゲート電極を順次形成し、n型ウェルが形成された前記半導体基板の主面にpチャネル型電界効果トランジスタのゲート絶縁膜およびゲート電極を順次形成する工程;
(b)前記pチャネル型電界効果トランジスタの前記ゲート電極の側壁に絶縁膜からなる第1サイドウォールを形成する工程;
(c)前記第1サイドウォールの両側の前記半導体基板に所定の深さの溝を形成する工程;
(d)エピタキシャル成長法により前記溝の内部に、第2p型不純物が導入されたシリコンゲルマニウム層からなる第2p型不純物拡散層を形成する工程;
(e)前記第1サイドウォールを除去する工程;
(f)前記nチャネル型電界効果トランジスタの前記ゲート電極の両側の前記半導体基板に第1n型不純物をイオン注入して、第1n型不純物拡散層を形成する工程;
(g)前記pチャネル型電界効果トランジスタの前記ゲート電極の両側の前記半導体基板に第1p型不純物をイオン注入して、第1p型不純物拡散層を形成する工程;
(h)前記nチャネル型電界効果トランジスタの前記ゲート電極の側壁および前記pチャネル型電界効果トランジスタの前記ゲート電極の側壁に絶縁膜からなる第2サイドウォールを形成する工程;
(i)前記nチャネル型電界効果トランジスタの前記第2サイドウォールの両側の前記半導体基板に第2n型不純物をイオン注入して、第2n型不純物拡散層を形成する工程;
(j)前記半導体基板に第1熱処理を施して、前記第1n型不純物および前記第2n型不純物を活性化させて、前記第1n型不純物拡散層および前記第2n型不純物拡散層からなる前記nチャネル型電界効果トランジスタのソース/ドレインを形成し、前記第1p型不純物および前記第2p型不純物を活性化させて、前記第1p型不純物拡散層および前記第2p型不純物拡散層からなる前記pチャネル型電界効果トランジスタのソース/ドレインを形成する工程;
(k)前記(j)工程の後、前記nチャネル型電界効果トランジスタの前記第2n型不純物拡散層にクラスターカーボンをイオン注入して、アモルファス層を形成する工程;
(l)前記半導体基板に第2熱処理を施して、前記アモルファス層を再結晶化させて、Si:C層を形成する工程、
ここで、前記半導体基板の厚さ方向における前記第2n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの第2接合部の位置が、前記半導体基板の厚さ方向における前記第1n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの第1接合部の位置よりも深く、
前記Si:C層に含まれるカーボンの濃度が最大となる位置が、前記半導体基板の厚さ方向における前記第1n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの前記第1接合部の位置よりも深く、前記半導体基板の厚さ方向における前記第2n型不純物拡散層と前記p型ウェルとの前記第2接合部の位置よりも浅いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、前記(l)工程の後、さらに以下の工程を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法:
(m)前記第2n型不純物拡散層および前記第2p型不純物拡散層の上面にシリサイド層を形成する工程。
【請求項20】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、前記クラスターカーボンは、Cであることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、前記(k)工程では、前記クラスターカーボンの注入エネルギーはカーボン1原子相当で6〜10keV、注入量は1〜5E15/cmの範囲であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、前記(l)工程の第2熱処理はLSAまたはFLAであり、温度は1100〜1350℃、時間は1m秒以下であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、前記nチャネル型電界効果トランジスタおよび前記pチャネル型電界効果トランジスタの前記ゲート絶縁膜はHigh−k膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項18記載の半導体装置の製造方法において、前記第2p型不純物拡散層は、前記半導体基板の初期主面よりも持ち上がっていることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate


【公開番号】特開2012−49248(P2012−49248A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−188443(P2010−188443)
【出願日】平成22年8月25日(2010.8.25)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】