説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】電子及び正孔の移動度を向上させたSOI構造のCMOSの提供
【解決手段】Si基板1上にシリコン窒化膜2及びシリコン酸化膜3を介して貼り合わせられ、島状に絶縁分離されたGe層8(第2の半導体層)が設けられ、このGe層8に高濃度のソースドレイン領域(14、15)が形成されたPチャネルのMISFETと、Si基板1上にシリコン窒化膜2及び一部に空孔5を有するシリコン酸化膜3を介して、空孔5直上の歪みSi層7を挟み、左右にSiGe層6を有する構造からなるエピタキシャル半導体層(第1の半導体層)が島状に絶縁分離されて設けられ、歪みSi層7には概略チャネル領域が形成され、SiGe層6には概略高濃度及び低濃度のソースドレイン領域(10、11、12,13)が形成されたNチャネルのMISFETとから構成したCMOS。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はSOI(本発明においては、広義の emiconductor nsulator を意味し、狭義の ilicon nsulator を意味しない)構造の半導体集積回路に係り、特に半導体基板(バルクウエハー)に、容易な製造プロセスにより、電子及び正孔の移動度を増加させたNチャネル及びPチャネルのMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型の半導体集積回路を形成することに関する。
【背景技術】
【0002】
図31は従来の半導体装置の模式側断面図で、SIMOX(eparation by Implanted Oxygen)法を使用して形成した歪みSOI構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型の半導体集積回路の一部を示しており、61はp型のSi基板、62はp型のSiGe層、63はn型のSiGe層、64は埋め込みシリコン酸化膜(SiO)、65は素子分離領域(SiO)、66はp型の歪みSi層、67はn型の歪みSi層、68はn型ソース領域、69はn型ソース領域、70n型ドレイン領域、71n型ドレイン領域、72p型ドレイン領域、73p型ソース領域、74はゲート酸化膜、75はゲート電極、76はサイドウォール、77はPSG膜、78は絶縁膜、79はバリアメタル、80は導電プラグ、81は層間絶縁膜、82はバリアメタル、83はCu配線、84はバリア絶縁膜を示している。
同図においては、p型のシリコン基板61上に積層されたp型のSiGe層62中に酸素イオンを注入して高温の熱処理により形成された埋め込み酸化膜64(SIMOX法)を介して、素子分離領域(SiO)65により島状に絶縁分離されたp型のSiGe層62上のp型の歪みSi層66からなるp型の歪みSOI基板及びn型化されたSiGe層63上のn型の歪みSi層67からなるn型の歪みSOI基板が形成され、p型の歪みSOI基板にはゲート電極75にセルフアライン形成されたn型ソースドレイン領域(69、70)、サイドウォール76にセルフアライン形成されたn型ソースドレイン領域(68、71)からなるNチャネルのLDD(ightly oped rain)構造のMIS電界効果トランジスタが形成され、n型の歪みSOI基板にはゲート電極75にセルフアライン形成されたサイドウォール76にセルフアライン形成されたp型ソースドレイン領域(72、73)からなるPチャネルのMIS電界効果トランジスタが形成されている。さらにn型ソースドレイン領域(68、71)及びp型ソースドレイン領域(72、73)には、それぞれバリアメタル79及び導電ブラグ80を介して、バリアメタル82を有するCu配線83が接続され、所望の電圧が印加されている。
したがって、周囲を絶縁膜で囲まれたソースドレイン領域を形成できることによる接合容量の低減、ソースドレイン領域の耐圧改善及びサブスレッショルド特性を改善できることによる閾値電圧の低減、歪みSOI基板へのコンタクト領域の除去等により通常のバルクウエハーに形成するMIS電界効果トランジスタからなるCMOSに比較し、高速化、低電力化及び高集積化が可能となる。
またSiGe層上に歪みSi層を積層した歪みSOI基板にMIS電界効果トランジスタを形成できるため、格子定数の大きなSiGe層による引っ張り応力によりSi層に歪みを形成できるため、移動度を増すことができ、高速化が可能となる。
しかしNチャネルのMIS電界効果トランジスタ及びPチャネルのMIS電界効果トランジスタともSiGe層上に歪みSi層を積層した歪みSOI基板に形成しているため、電子及び正孔の移動度の向上が達成でき、高速にはなるが、元来、電子及び正孔の移動度には4倍程度の差があるため、スイッチングスピードのオン/オフ特注のバランスが悪いという欠点があり、改善策として、PチャネルのMIS電界効果トランジスタのチャネル幅を広げなければならず高集積化に難があった。
またNチャネルのMIS電界効果トランジスタ及びPチャネルのMIS電界効果トランジスタとも歪みSi層を形成しているが、PチャネルMIS電界効果トランジスタの正孔の移動度を増すSi層の面方位ではNチャネルMIS電界効果トランジスタの電子の移動度が低下してしまうという欠点もあった。
またSOI構造をつくる手段として、SIMOX法を使用しているため、極めて高価な高ドーズのイオン注入マシンを購入しなければならないこと及び高ドーズ量の酸素をイオン注入するために長時間の製造工程を要することによるコスト高の問題、10インチ〜12インチの大口径ウエハーの使用における酸素イオン注入による結晶欠陥の修復による特性の不安定性の問題、高ドーズ量の酸素をイオン注入しても厚い埋め込み酸化膜が得られず下層領域との容量の低減が難しいという問題等の欠点もあった。
またMIS電界効果トランジスタの高速化によって発生する熱による温度上昇により、高温での速度特性が劣化し、保障温度範囲における速度特性を保障できなくなりつつあるという問題には何らの対策も講じられていなかった。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】応用物理 第72巻 第9号 (2003)1130〜1135
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しょうとする課題は、従来例に示されるように、
(1)SIMOX法によりSOI構造を形成するため、かなりのコスト高になり、付加価値の高い特殊用途の製品にしか使用できず、廉価な汎用品に適用できる技術に乏しかったこと。
(2)大口径ウエハーにおけるSOI基板の薄膜化の制御性が難しいため、完全空乏化させたSOI基板の形成が難しく、内蔵する多数のMIS電界効果トランジスタの特性の安定性が得られにくかったこと。
(3)歪みSi層においては電子と正孔の移動度を増す面方位が異なり、PチャネルMIS電界効果トランジスタの正孔の移動度を増す面方位ではNチャネルMIS電界効果トランジスタの電子の移動度が低下してしまうこと。
(4)MIS電界効果トランジスタの高速化によって発生する熱による温度上昇により、キャリアの散乱等により移動度が低下し、高温での速度特性が劣化するため、保障温度範囲における速度保障が難しかったこと。
等の問題が顕著になりつつあり、現状技術により微細な歪みSOI構造のMIS電界効果トランジスタを形成しているだけでは、さらなる高速化、高性能化及び高信頼性が困難になってきたことである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、第1の半導体(Si)からなる半導体基板(Si)上に絶縁膜を介して貼り合わせられた第2の半導体(Ge)からなる第2の半導体層(Ge)に一導電型(Pチャネル)のMIS電界効果トランジスタが設けられ、前記半導体基板上に一部に空孔を有する前記絶縁膜を介して、前記半導体基板より選択的にエピタキシャル成長して設けられた第1の半導体層(歪みSi層を左右から挟んだSiGe層からなる半導体層)に反対導電型(Nチャネル)のMIS電界効果トランジスタが設けられている本発明の半導体装置によって解決される。
【発明の効果】
【0006】
以上説明のように本発明によれば、単結晶Ge基板を貼り合わせたSi基板を使用して、容易なプロセスにより、Si基板上に絶縁膜を介して、2つの異なる半導体層(単結晶Ge層及び単結晶歪みSi層を左右から挟んだSiGe層)を形成でき、この2つの半導体層にそれぞれPチャネルMIS電界効果トランジスタあるいはNチャネルMIS電界効果トランジスタを形成することが可能で、完全空乏型のSOI構造のMIS電界効果トランジスタに特有な特性、即ちソースドレイン領域の接合容量の低減(実質ゼロ)、空乏層容量の低減、ソースドレイン領域の耐圧改善及びサブスレッショルド特性を改善できることによる閾値電圧の低減が可能である。
また成長するシリコン窒化膜(Si)の膜厚により、貼り合わせGe層(第2の半導体層)及び歪みSi層を左右から挟んだSiGe層(第1の半導体層)の膜厚を決定できるため、大口径ウエハーによる製造にも対応できる、完全空乏型の薄膜の半導体層を容易に形成することが可能である。
またPチャネルのMIS電界効果トランジスタにおいては、貼り合わせた単結晶のGe層にチャネル領域を形成でき、NチャネルのMIS電界効果トランジスタにおいては、下地の絶縁膜のない空孔直上の結晶性が良好な単結晶歪みSi層にのみチャネル領域を形成できるため、安定した特性を持つBOSDOLESOI構造(呼称の詳細は後述)に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型の半導体集積回路を形成することが可能である。
また正孔の移動度を大幅に向上できるGe層(Si層に形成する場合の5倍程度)にPチャネルのMIS電界効果トランジスタを形成でき、電子の移動度を高められる歪みSi層を挟んだSiGe層にNチャネルのMIS電界効果トランジスタを形成できるため、他方のMIS電界効果トランジスタの特性に影響されない、極めてバランスの良い高速なCMOSを得ることが可能である。
またNチャネルのMIS電界効果トランジスタが動作している時のチャネル領域と半導体基板間の容量を、空孔を設けることにより、通常のシリコン酸化膜のSOI構造に比較し、大幅に低減することが可能である。
またNチャネルのMIS電界効果トランジスタを形成した歪みSi層直下に放熱用の空孔を設けることにより、NチャネルのMIS電界効果トランジスタの高速化によって発生する熱による温度上昇を抑制し、高温での速度特性の劣化を改善することも可能である。
この結果、高速大容量通信、携帯情報端末、各種電子機械機器、宇宙関連機器等に対応可能で、保障温度範囲が広い半導体集積回路の製造を可能とする、高速、高信頼、高性能及び高集積を併せ持つCMOS型の半導体集積回路を得ることができる。
本発明者は当該技術を絶縁膜上の貼り合わせ及び2段階横(水平)方向エピタキシャル半導体層(Bonding emiconductor and Double ateral pitaxial emiconductor nsulator)構造と命名し、以後この技術をBOSDOLESOI(ボスドールソイ)と略称する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の半導体装置における第1の実施例の模式側断面図
【図2】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図3】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図4】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図5】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図6】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図7】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図8】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図9】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図10】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図11】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図12】本発明の半導体装置における第1の実施例の製造方法の工程断面図
【図13】本発明の半導体装置における第2の実施例の模式側断面図
【図14】本発明の半導体装置における第3の実施例の模式側断面図
【図15】本発明の半導体装置における第4の実施例の模式側断面図
【図16】本発明の半導体装置における第5の実施例の模式側断面図
【図17】本発明の半導体装置における第6の実施例の模式側断面図
【図18】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図19】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図20】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図21】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図22】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図23】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図24】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図25】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図26】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図27】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図28】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図29】本発明の半導体装置における第6の実施例の製造方法の工程断面図
【図30】本発明の半導体装置における第7の実施例の模式側断面図
【図31】従来の半導体装置の模式側断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
シリコン(Si)基板上にシリコン窒化膜及びシリコン酸化膜を介して貼り合わせられ、薄膜化され、島状に絶縁分離されたGe層(第2の半導体層)が設けられ、このGe層上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、ゲート電極の側壁にサイドウォールが設けられ、Ge層にはサイドウォールに自己整合してp型のソースドレイン領域が設けられたPチャネルのMIS電界効果トランジスタを形成し、一方、Si基板上にシリコン窒化膜及び一部に空孔を有するシリコン酸化膜を介して、空孔直上の歪みSi層を挟み、左右にSiGe層を有する構造からなるエピタキシャル半導体層(第1の半導体層)が島状に絶縁分離されて設けられ、歪みSi層直上にゲート絶縁膜を介してゲート電極が設けられ、ゲート電極の側壁にサイドウォールが設けられ、SiGe層にはゲート電極に自己整合してn型ソースドレイン領域及びサイドウォールに自己整合してn型ソースドレイン領域がそれぞれ設けられ、歪みSi層には概略チャネル領域が形成されたLDD構造からなるNチャネルのMIS電界効果トランジスタを形成した高移動度を有するCMOS型の半導体集積回路を形成したものである。
【実施例1】
【0009】
以下本発明を図示実施例により具体的に説明する。
全図を通じ同一対象物は同一符号で示す。ただし、側断面図における斜線は主要な絶縁膜のみに記載し、配線は若干の前後のずれを含んで描かれており、また発明の要部を示すため、水平方向及び垂直方向のサイズは正確な寸法を示していない。
図1〜図12は本発明の半導体装置における第1の実施例で、図1は模式側断面図、図2〜図12は製造方法の工程断面図である。
図1はシリコン(Si)基板を使用し、BOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタを含むCMOS型の半導体集積回路の一部を示しており、1は1015cm−3程度のp型のシリコン(Si)基板、2は50nm程度のシリコン窒化膜(Si)、3は200nm程度のシリコン酸化膜(SiO)、4は50nm程度の素子分離領域のシリコン窒化膜(Si)、5は空孔、6は1017cm−3程度のp型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層、7は1017cm−3程度のp型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層、8は1017cm−3程度のn型の貼り合わせGe層、9は埋め込みシリコン酸化膜(SiO)、10は1020cm−3程度のn型ソース領域、11は5×1017cm−3程度のn型ソース領域、12は5×1017cm−3程度のn型ドレイン領域、13は1020cm−3程度のn型ドレイン領域、14は1020cm−3程度のp型ドレイン領域、15は1020cm−3程度のp型ソース領域、16は5nm程度のゲート酸化膜(HfO)、17は長さ35nm程度、厚さ100nm程度のゲート電極(WSi/polySi)、18は25nm程度のサイドウォール(SiO)、19は400nm程度の燐珪酸ガラス(PSG)膜、20は20nm程度のシリコン窒化膜(Si)、21は10nm程度のバリアメタル(TiN)、22は導電プラグ(W)、23は500nm程度の層間絶縁膜(SiOC)、24は10nm程度のバリアメタル(TaN)、25は500nm程度のCu配線(Cuシード層含む)、26は20nm程度のバリア絶縁膜(Si)を示している。
同図においては、p型のシリコン基板1の左半分には、p型のシリコン基板1上にシリコン窒化膜(Si)2が設けられ、シリコン窒化膜(Si)2上には、一部に空孔5を有するシリコン酸化膜(SiO)3が設けられ、シリコン酸化膜(SiO)3上には、空孔5直上のp型の歪みSi層7を挟み、左右にp型のSiGe層6を有する構造からなる半導体層(横(水平)方向のエピタキシャル成長で形成した第1の半導体層)が島状に絶縁分離されて設けられている。p型の歪みSi層7の直上にはゲート酸化膜(HfO)16を介してゲート電極(WSi/polySi)17が設けられ、ゲート電極17の側壁にはサイドウォール18が設けられ、p型のSiGe層6には、概略n型ソースドレイン領域(11、12)及びn型ソースドレイン領域(10、13)が設けられ、p型の歪みSi層7には、概略チャネル領域が設けられており(実際にはn型ソースドレイン領域(11、12)が若干横方向拡散されているが、少なくとも空孔5の直上部のp型の歪みSi層7は下層のシリコン酸化膜の影響のない単結晶シリコン層になっている。)、n型ソースドレイン領域(10、13)には、それぞれバリアメタル(TiN)21を有する導電プラグ(W)22を介してバリアメタル(TaN)24を有するCu配線25が接続されているLDD構造からなるNチャネルのMIS電界効果トランジスタが形成されている。一方、p型のシリコン基板1の右半分には、p型のシリコン基板1上にシリコン窒化膜(Si)2が設けられ、シリコン窒化膜(Si)2上には、シリコン酸化膜(SiO)3が設けられ、シリコン酸化膜(SiO)3上には、貼り合わせられ、島状に絶縁分離されたn型のGe層8(第2の半導体層)が設けられている。n型のGe層8の一部上にはゲート酸化膜(HfO)16を介してゲート電極(WSi/polySi)17が設けられ、ゲート電極17の側壁にはサイドウォール18が設けられ、n型のGe層8にはサイドウォール18に自己整合してp型ソースドレイン領域(14、15)が設けられ、p型ソースドレイン領域(14、15)には、それぞれバリアメタル(TiN)21を有する導電プラグ(W)22を介してバリアメタル(TaN)24を有するCu配線25が接続されているPチャネルのMIS電界効果トランジスタが形成されている。(ゲート電極17にもCu配線25が接続されているが、図1では省略されている。)
したがって、単結晶Ge基板を貼り合わせたSi基板を使用して、容易なプロセス(製造方法は別途詳述する)により、Si基板上に絶縁膜を介して、2つの異なる半導体層(単結晶Ge層及び単結晶歪みSi層を挟んだSiGe層)を形成でき、この2つの半導体層にそれぞれPチャネルMIS電界効果トランジスタあるいはNチャネルMIS電界効果トランジスタを形成することが可能で、完全空乏型のSOI構造のMIS電界効果トランジスタに特有な特性、即ちソースドレイン領域の接合容量の低減(実質ゼロ)、空乏層容量の低減、ソースドレイン領域の耐圧改善及びサブスレッショルド特性を改善できることによる閾値電圧の低減が可能である。
また成長するシリコン窒化膜(Si)の膜厚により、貼り合わせGe層(第2の半導体層)及び歪みSi層を挟んだSiGe層(第1の半導体層)の膜厚を決定できるため、大口径ウエハーによる製造にも対応できる、完全空乏型の薄膜の半導体層を容易に形成することが可能である。
またPチャネルのMIS電界効果トランジスタにおいては、貼り合わせた単結晶のGe層にチャネル領域を形成でき、NチャネルのMIS電界効果トランジスタにおいては、下地の絶縁膜のない空孔直上の結晶性が良好な単結晶歪みSi層にのみチャネル領域を形成できるため、安定した特性を持つBOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型の半導体集積回路を形成することが可能である。
また正孔の移動度を大幅に向上できるGe層(Si層に形成する場合の5倍程度)にPチャネルのMIS電界効果トランジスタを形成でき、電子の移動度を高められる歪みSi層を挟んだSiGe層にNチャネルのMIS電界効果トランジスタを形成できるため、他方のMIS電界効果トランジスタの特性に影響されない、極めてバランスの良い高速なCMOSを得ることが可能である。
またNチャネルのMIS電界効果トランジスタが動作している時のチャネル領域と半導体基板間の容量を、空孔を設けることにより、通常のシリコン酸化膜のSOI構造に比較し、大幅に低減することが可能である。
またNチャネルのMIS電界効果トランジスタを形成した歪みSi層直下に放熱用の空孔を設けることにより、NチャネルのMIS電界効果トランジスタの高速化によって発生する熱による温度上昇を抑制し、高温での速度特性の劣化を改善することも可能である。
この結果、高速大容量通信、携帯情報端末、各種電子機械機器、宇宙関連機器等に対応可能で、保障温度範囲が広い半導体集積回路の製造を可能とする、高速、高信頼、高性能及び高集積を併せ持つCMOS型の半導体集積回路を得ることができる。
【0010】
次いで本発明に係る半導体装置における第1の実施例の製造方法について図2〜図12及び図1を参照して説明する。ただし、ここでは本発明の半導体装置の形成に関する製造方法のみを記述し、一般の半導体集積回路に搭載される各種の素子(他のトランジスタ、抵抗、容量等)の形成に関する製造方法の記述は省略する。
【0011】
図2
化学気相成長により、n型のGe基板8上に200nm程度のシリコン酸化膜(SiO)3を成長する。次いで化学気相成長により、シリコン窒化膜(Si)2を50nm程度成長する。次いで上下を反対にして、900℃以下で熱処理し、p型のSi基板1上にシリコン酸化膜(SiO)3及びシリコン窒化膜(Si)2を成長させたn型のGe基板8を貼り合わせる。次いで化学的機械研磨(hemical echanical olishing 以後CMPと略称)し、n型のGe基板8を50nm程度に薄膜化する。
【0012】
図3
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、n型のGe基板8を選択的に異方性ドライエッチングし、n型のGe層8を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで化学気相成長により、シリコン窒化膜(Si)4を50nm程度成長する。次いで化学的機械研磨し、n型のGe層8上のシリコン窒化膜(Si)4を除去し、平坦化する。こうしてn型のGe層8(第2の半導体層)は島状に絶縁分離される。
【0013】
図4
次いで化学気相成長により、5nm程度のシリコン酸化膜(SiO)27を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン酸化膜(SiO)27、シリコン窒化膜(Si)4、シリコン酸化膜(SiO)3及びシリコン窒化膜(Si)2を順次異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0014】
図5
次いで露出したp型のシリコン基板1上にp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSiGe層28を成長する。次いで化学的機械研磨し、シリコン酸化膜(SiO)27の平坦面より突出したp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSiGe層28を平坦化する。次いで選択化学気相成長法により50nm程度のタングステン膜29を成長する。
【0015】
図6
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン酸化膜(SiO)27及びシリコン窒化膜(Si)4を順次異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで露出したp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSiGe層28の側面にp型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層6(Ge濃度30%程度)を成長し、開孔部を埋め込む。ここで残されたシリコン窒化膜(Si)4は素子分離領域となる。次いでp型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層6の表面を800℃程度で酸化し、5nm程度のシリコン酸化膜(SiO)30を成長する。
【0016】
図7
次いでシリコン酸化膜(SiO)27及びシリコン酸化膜(SiO)30をマスク層として、タングステン膜29及びp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSiGe層28を順次異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。次いで化学気相成長により、60nm程度のシリコン酸化膜(SiO)9を成長する。次いでシリコン窒化膜(Si)4、p型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層6及びn型のGe層8の平坦面上のシリコン酸化膜(SiO)9、シリコン酸化膜(SiO)27及びシリコン酸化膜(SiO)30を化学的機械研磨(CMP)し、シリコン酸化膜(SiO)9を開孔部に平坦に埋め込む。(開孔部幅は100nm程度なのでシリコン酸化膜(SiO)9は十分に埋め込める。この領域も素子分離領域の一部となる。)
【0017】
図8
次いで化学気相成長により、100nm程度のシリコン酸化膜(SiO)31を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン酸化膜(SiO)31、p型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層6及びシリコン酸化膜(SiO)3を選択的に順次異方性ドライエッチングし、シリコン窒化膜(Si)2の一部を露出する開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0018】
図9
次いで露出したp型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層6の側面間にp型の横(水平)方向エピタキシャルSi層を成長し、下部に空孔5を有するp型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層7を形成する。(この際、空孔5直上は下地の影響が全くない単結晶シリコン層となる。この歪みSi層7を左右から挟んだSiGe層6からなる構造の半導体層が第1の半導体層となる。)次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン酸化膜(SiO)31を異方性ドライエッチングし、n型のGe層8の一部に開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0019】
図10
次いで化学気相成長により、5nm程度のゲート酸化膜(HfO)16を成長する。次いで化学気相成長により、50nm程度の多結晶シリコン膜(polySi)を成長する。次いでスパッタにより、50nm程度のタングステンシリサイド膜(WSi)を成長する。次いで化学的機械研磨し、シリコン酸化膜(SiO)31上のタングステンシリサイド膜(WSi)、多結晶シリコン膜(polySi)及びゲート酸化膜(HfO)を除去し、p型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層7及びn型のGe層8の開孔部に平坦に埋め込む。
【0020】
図11
次いでシリコン酸化膜(SiO)31をエッチング除去する。次いで化学気相成長により、5nm程度のイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO、図示せず)を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、p型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層7に閾値電圧制御用の硼素のイオン注入をおこなう。連続してレジスト(図示せず)及びゲート電極(WSi/polySi)17をマスク層として、n型ソースドレイン領域(11、12)形成用の燐のイオン注入をおこなう。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いでイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO、図示せず)をエッチング除去する。次いで化学気相成長により、25nm程度のシリコン酸化膜(SiO)を成長する。次いで全面異方性ドライエッチングし、ゲート電極(WSi/polySi)17の側壁にのみサイドウォール(SiO)18を形成する。次いで化学気相成長により、5nm程度のイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO、図示せず)を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)、サイドウォール(SiO)18及びゲート電極(WSi/polySi)17をマスク層として、n型ソースドレイン領域(10、13)形成用の砒素のイオン注入をおこなう。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、n型のGe層8に閾値電圧制御用の硼素のイオン注入をおこなう。連続してレジスト(図示せず)、サイドウォール(SiO)18及びゲート電極(WSi/polySi)17をマスク層として、p型ソースドレイン領域(14、15)形成用の硼素のイオン注入をおこなう。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いでイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO、図示せず)をエッチング除去する。次いでRTP(apid hermal rocessing)法によりアニールをおこない、n型ソースドレイン領域(11、12)、n型ソースドレイン領域(10、13)及びp型ソースドレイン領域(14、15)を形成する。
【0021】
図12
次いで化学気相成長により、400nm程度のPSG膜19を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、平坦化する。次いで化学気相成長により、20nm程度のシリコン窒化膜(Si)20を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si)20及びPSG膜19を順次異方性ドライエッチングし、ビアを形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いでスパッタにより、バリアメタルとなるTiN21を成長する。次いで化学気相成長により、タングステン(W)22を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)により、ビアに平坦に埋め込み、バリアメタル(TiN)21を有する導電プラグ(W)22を形成する。
【0022】
図1
次いで化学気相成長により、500nm程度の層間絶縁膜(SiOC)23を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、層間絶縁膜(SiOC)23を異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。(この際、シリコン窒化膜(Si)20がエッチングストッパー膜となる。)次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで化学気相成長により、10nm程度のバリアメタル(TaN)24を成長する。次いでスパッタにより、Cuシード層を成長する。次いで電解メッキ法により500nm程度のCuを成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、開孔部にCuを平坦に埋め込み、バリアメタル(TaN)24を有するCu配線25を形成する。次いで化学気相成長により、Cuのバリア絶縁膜となるシリコン窒化膜(Si)26を成長し、本願発明のBOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型の半導体集積回路を完成する。
【実施例2】
【0023】
図13は本発明の半導体装置における第2の実施例の模式側断面図で、シリコン(Si)基板を使用し、BOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタを含むCMOS型の半導体集積回路の一部を示しており、1〜16、18〜26は図1と同じ物を、32はポリサイドゲート電極(CoSi/polySi)、33はサリサイド層(CoSi)を示している。
同図においては、ポリサイドゲート電極(CoSi/polySi)及びメタルソースドレインとなるサリサイド層(CoSi)が形成されていること以外は図1とほぼ同じ構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタが形成されている。
本実施例においても第1の実施例と同様の効果を得ることができ、製造方法はやや複雑になるが、ソースドレイン領域の抵抗を低減できるため、より高速化が可能である。
【実施例3】
【0024】
図14は本発明の半導体装置における第4の実施例で、シリコン(Si)基板を使用し、BOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタを含むCMOS型の半導体集積回路の一部を示しており、1〜16、18〜26は図1と同じ物を、34は燐珪酸ガラス(PSG)膜、35はゲート電極(Al)を示している。
同図においては、燐珪酸ガラス(PSG)膜が2層に形成されていること及びゲート電極が低抵抗のAlにより形成されていること(いわゆるダマシンプロセスにより形成)以外は図1とほぼ同じ構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタが形成されている。
本実施例においても第1の実施例と同様の効果を得ることができ、製造方法はやや複雑になるが、低抵抗のAlによりゲート電極の抵抗を低減できるため、より高速化が可能である。
【実施例4】
【0025】
図15は本発明の半導体装置における第4の実施例の模式側断面図で、シリコン(Si)基板を使用し、BOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタを含むCMOS型の半導体集積回路の一部を示しており、1〜5、8〜26は図1と同じ物を、36はp型の横(水平)方向エピタキシャルSi層、37はp型の横(水平)方向エピタキシャルSi層を示している。
同図においては、NチャネルMIS電界効果トランジスタにおいて、半導体層がエピタキシャルSi層のみで形成されていること以外は図1とほぼ同じ構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタが形成されている。
本実施例においても第1の実施例と同様の効果を得ることができ、製造方法はやや簡単になるが、歪みSi層を使用しないため、高速性がやや劣ることになる。
【実施例5】
【0026】
図16は本発明の半導体装置における第5の実施例の模式側断面図で、シリコン(Si)基板を使用し、BOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタを含むCMOS型の半導体集積回路の一部を示しており、1〜6、8〜26は図1と同じ物を、38はp型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層、39はp型の縦(垂直)方向エピタキシャル歪みSi層を示している。
同図においては、NチャネルMIS電界効果トランジスタにおいて、SiGe層上に歪みSi層を積層させた半導体層が形成されていること及びその関連上ゲート電極の厚みが薄く形成されていること以外は図1とほぼ同じ構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタが形成されている。
本実施例においては製造方法がやや複雑になるが、第1の実施例と同様の効果を得ることができる。
【実施例6】
【0027】
図17〜図29は本発明の半導体装置における第6の実施例で、図17は模式側断面図、図18〜図29は製造方法の工程断面図である。
図17は本発明の半導体装置における第6の実施例の模式側断面図で、シリコン(Si)基板を使用し、BOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタを含むCMOS型の半導体集積回路の一部を示しており、1〜5、8〜16、18〜26は図1と同じ物を、34、35は図14と同じ物を、40はシリコン酸化膜(SiO)、41はシリコン窒化膜(Si)、42はp型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層、43はp型の横(水平)方向エピタキシャルSi層、44はp型化された貼り合わせGe層を示している。
同図においては、NチャネルMIS電界効果トランジスタにおいて、ゲート電極直下部の歪みSi層直下部に、空孔の替りにp型化された貼り合わせGe層が設けられ、歪みSi層に歪みを与えていること、Ge層の両側に空孔が形成されていること、歪みSi層の両側にはSiGe層の替りにSi層が設けられていること、素子分離領域の一部がシリコン窒化膜(Si)の替りにシリコン酸化膜(SiO)とシリコン窒化膜(Si)の2層から形成されていること、NチャネルMIS電界効果トランジスタの構造に関連してPチャネルMIS電界効果トランジスタのゲート電極の厚みが厚く形成されていること、燐珪酸ガラス(PSG)膜が2層に形成されていること及びゲート電極が低抵抗のAlにより形成されていること(いわゆるダマシンプロセスにより形成)以外は図1とほぼ同じ構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタが形成されている。
本実施例においても第1の実施例と同様の効果を得ることができ、製造方法はやや複雑になるが、低抵抗のAlによりゲート電極の抵抗を低減できること、下層のGe層から歪みSi層の格子定数をより広げることが可能で、さらに電子の移動度を増加させることができること等により、さらなる高速化が可能である。
【0028】
次いで本発明に係る半導体装置における第6の実施例の製造方法について図18〜図29及び図17を参照して説明する。
第1の実施例に示される図2の工程をおこなった後、次の図18の工程をおこなう。
【0029】
図18
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、n型のGe基板8を選択的に異方性ドライエッチングし、n型のGe層8を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで化学気相成長により、シリコン窒化膜(Si)4を50nm程度成長する。次いで化学的機械研磨し、n型のGe層8上のシリコン窒化膜(Si)4を除去し、平坦化する。こうしてGe層8(第2の半導体層)は島状に絶縁分離される。(この際、NチャネルMIS電界効果トランジスタを形成する箇所にもn型のGe層8は形成される。)
【0030】
図19
次いで化学気相成長により、5nm程度のシリコン酸化膜(SiO)40を成長する。次いで化学気相成長により、45nm程度のシリコン窒化膜(Si)41を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、PチャネルMIS電界効果トランジスタを形成する箇所のn型のGe層8に閾値電圧制御用の硼素のイオン注入をおこなう。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、NチャネルMIS電界効果トランジスタを形成する箇所のn型のGe層8をp型化するための硼素のイオン注入をおこなう。(熱処理後p型化されたGe層44となる。)次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si)41、シリコン酸化膜(SiO)40、シリコン窒化膜(Si)4、シリコン酸化膜(SiO)3及びシリコン窒化膜(Si)2を順次異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。
【0031】
図20
次いで露出したp型のシリコン基板1上にp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層45を成長する。次いで化学的機械研磨し、シリコン窒化膜(Si)41の平坦面より突出したp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層45を平坦化する。次いで選択化学気相成長法により50nm程度のタングステン膜29を成長する。
【0032】
図21
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si)41及びシリコン酸化膜(SiO)40を順次異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで露出したp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層45の側面にp型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層42を成長し、開孔部を埋め込む。次いでp型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層42の表面を800℃程度で酸化し、5nm程度のシリコン酸化膜(SiO)30を成長する。
【0033】
図22
次いでシリコン窒化膜(Si)41及びシリコン酸化膜(SiO)30をマスク層として、タングステン膜29及びp型の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層45を順次異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。(この際、p型のシリコン基板1も若干エッチングされるが、特に問題はない。)次いで化学気相成長により、60nm程度のシリコン酸化膜(SiO)9を成長する。次いでシリコン窒化膜(Si)41及びp型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層42の平坦面上のシリコン酸化膜(SiO)9及びシリコン酸化膜(SiO)30を化学的機械研磨(CMP)し、シリコン酸化膜(SiO)9を開孔部に平坦に埋め込む。(開孔部幅は100nm程度なのでシリコン酸化膜(SiO)9は十分に埋め込める。この領域も素子分離領域の一部となる。)
【0034】
図23
次いで化学気相成長により、5nm程度のシリコン酸化膜(SiO)46を成長する。次いで化学気相成長により、100nm程度のシリコン窒化膜(Si)47を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si)47、シリコン酸化膜(SiO)46、p型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層42及びp型化されたGe層44を順次異方性ドライエッチングし、階段状の開孔部を形成する。
【0035】
図24
次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、左半分を覆うレジスト(NチャネルMIS電界効果トランジスタを形成する箇所、図示せず)及び前工程のレジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si)41及びシリコン酸化膜(SiO)40を順次異方性ドライエッチングする。(PチャネルMIS電界効果トランジスタを形成する箇所)次いで両方のレジスト(図示せず)を除去する。
【0036】
図25
次いで露出したp型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層42の両側面にp型の横(水平)方向エピタキシャルSi層43を成長する。(この際、p型の横(水平)方向エピタキシャルSi層43の一部の下部、即ちp型化されたGe層44の両側に空孔5が形成される。)ここでNチャネルMIS電界効果トランジスタを形成する箇所に残されたシリコン窒化膜(Si)47及びシリコン酸化膜(SiO)46、PチャネルMIS電界効果トランジスタを形成する箇所に残されたシリコン窒化膜(Si)47、シリコン酸化膜(SiO)46、シリコン窒化膜(Si)41及びシリコン酸化膜(SiO)40はそれぞれダミーゲート電極及びダミーゲート酸化膜となる。
【0037】
図26
次いで化学気相成長により、5nm程度のイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO、図示せず)を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、p型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層42に閾値電圧制御用の硼素のイオン注入をおこなう。連続してレジスト(図示せず)及びダミーゲート電極47をマスク層として、n型ソースドレイン領域(11、12)形成用の燐のイオン注入をおこなう。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いでイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO、図示せず)をエッチング除去する。次いで化学気相成長により、25nm程度のシリコン酸化膜(SiO)を成長する。次いで全面異方性ドライエッチングし、ダミーゲート電極及びダミーゲート酸化膜(40、41、46、47)の側壁にのみサイドウォール(SiO)18を形成する。次いで化学気相成長により、5nm程度のイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO、図示せず)を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)、サイドウォール(SiO)18及びダミーゲート電極47をマスク層として、n型ソースドレイン領域(10、13)形成用の砒素のイオン注入をおこなう。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)、サイドウォール(SiO)18及びダミーゲート電極(41、46、47)をマスク層として、p型ソースドレイン領域(14、15)形成用の硼素のイオン注入をおこなう。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いでイオン注入用のシリコン酸化膜(SiO、図示せず)をエッチング除去する。次いでRTP法によりアニールをおこない、n型ソースドレイン領域(11、12)、n型ソースドレイン領域(10、13)及びp型ソースドレイン領域(14、15)を形成する。
【0038】
図27
次いで化学気相成長により、150nm程度のPSG膜34を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、平坦化する。次いで残されたシリコン窒化膜(Si)47、シリコン酸化膜(SiO)46、シリコン窒化膜(Si)41及びシリコン酸化膜(SiO)40を順次異方性ドライエッチングし、p型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層42及びn型のGe層8上に開孔部を形成する。
【0039】
図28
次いで化学気相成長により、5nm程度のゲート酸化膜(HfO)16を成長する。次いでスパッタにより、150nm程度のアルミニウム(Al)35を成長する。次いで化学的機械研磨し、PSG膜34上のアルミニウム(Al)35及びゲート酸化膜(HfO)を除去し、p型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層42及びn型のGe層8の開孔部に平坦に埋め込む。
【0040】
図29
次いで化学気相成長により、300nm程度のPSG膜19を成長する。次いで化学気相成長により、20nm程度のシリコン窒化膜(Si)20を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、シリコン窒化膜(Si)20、PSG膜19及びPSG膜34を順次異方性ドライエッチングし、ビアを形成する。次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いでスパッタにより、バリアメタルとなるTiN21を成長する。次いで化学気相成長により、タングステン(W)22を成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)により、ビアに平坦に埋め込み、バリアメタル(TiN)21を有する導電プラグ(W)22を形成する。
【0041】
図17
次いで化学気相成長により、500nm程度の層間絶縁膜(SiOC)23を成長する。次いで露光描画装置による通常のリソグラフィー技術を利用し、レジスト(図示せず)をマスク層として、層間絶縁膜(SiOC)23を異方性ドライエッチングし、開孔部を形成する。(この際、シリコン窒化膜(Si)20がエッチングストッパー膜となる。)次いでレジスト(図示せず)を除去する。次いで化学気相成長により、10nm程度のバリアメタル(TaN)24を成長する。次いでスパッタにより、Cuシード層を成長する。次いで電解メッキ法により500nm程度のCuを成長する。次いで化学的機械研磨(CMP)し、開孔部にCuを平坦に埋め込み、バリアメタル(TaN)24を有するCu配線25を形成する。次いで化学気相成長により、Cuのバリア絶縁膜となるシリコン窒化膜(Si)26を成長し、本願発明のBOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタからなるCMOS型の半導体集積回路を完成する。
【実施例7】
【0042】
図30は本発明の半導体装置における第7の実施例の模式側断面図で、シリコン(Si)基板を使用し、BOSDOLESOI構造に形成したショートチャネルのNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタを含むCMOS型の半導体集積回路の一部を示しており、1〜4、8〜16、18〜26は図1と同じ物を、34、35は図14と同じ物を、40〜42は図17と同じ物を、48はp型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層を示している。
同図においては、p型の横(水平)方向エピタキシャルSi層43の替りにp型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層48が形成されていること及び両側に空孔をもたないGe層44が形成されていること以外は図17とほぼ同じ構造のNチャネル及びPチャネルMIS電界効果トランジスタが形成されている。
本実施例においても第1の実施例と同様の効果を得ることができ、製造方法はやや複雑になるが、低抵抗のAlによりゲート電極の抵抗を低減できること、下層のGe層及び両側のSiGe層から歪みSi層の格子定数をさらに広げることが可能で、さらなる電子の移動度を増加させることができること等により、さらなる高速化が可能である。
【0043】
また上記実施例においては、シリコン基板にゲルマニウム(Ge)基板を貼り合わせる場合を説明しているが、ゲルマニウム(Ge)基板に限らず、正孔の移動度が高い半導体であればどのような半導体基板を貼り合わせてもよく、また化合物半導体基板を貼り合わせても本願発明は成立する。
また半導体層を成長させる場合は、通常の化学気相成長によるばかりでなく、ECRプラズマCVD法によっても、分子線成長法(MBE)によっても、有機金属気相成長法(MOCVD)によっても、原子層結晶成長法(ALE)によっても、また他のいかなる結晶成長法を利用してもよい。
またゲート電極、ゲート酸化膜、バリアメタル、導電プラグ、配線、絶縁膜、導電膜等は上記実施例に限定されず、同様の特性を有する材料であればどのような材料を使用してもよい。
また上記実施例のすべてはエンハンスメント型のMIS電界効果トランジスタを形成する場合について記載しているが、デブリーション型のMIS電界効果トランジスタを形成してもよい。この場合は導電型が反対のエピタキシャル半導体層を成長するか、あるいはエピタキシャル半導体層を成長して後に反対導電型の不純物をイオン注入して導電型を変換したエピタキシャル半導体層を使用して同様構造のMIS電界効果トランジスタを形成すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本願発明は、特に極めて高速で、高信頼且つ高集積なCMOS型の半導体集積回路を目指したものではあるが、高速に限らず、MIS電界効果トランジスタを搭載するすべての半導体集積回路に利用することは可能である。
また半導体集積回路ばかりでなく、単体の個別半導体素子としての利用も可能である。
またMIS電界効果トランジスタばかりでなく、他の電界効果トランジスタ、液晶用のTFT(hin ilm ransistor)等に利用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0045】
1 p型のシリコン(Si)基板
2 シリコン窒化膜(Si
3 シリコン酸化膜(SiO
4 素子分離領域のシリコン窒化膜(Si
5 空孔
6 p型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層
7 p型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層
8 n型の貼り合わせGe層
9 埋め込みシリコン酸化膜(SiO
10 n型ソース領域
11 n型ソース領域
12 n型ドレイン領域
13 n型ドレイン領域
14 p型ドレイン領域
15 p型ソース領域
16 ゲート酸化膜(HfO
17 ゲート電極(WSi/polySi)
18 サイドウォール(SiO
19 燐珪酸ガラス(PSG)膜
20 シリコン窒化膜(Si
21 バリアメタル(TiN)
22 導電プラグ(W)
23 層間絶縁膜(SiOC)
24 バリアメタル(TaN)
25 Cu配線(Cuシード層含む)
26 バリア絶縁膜(Si
27 シリコン酸化膜(SiO
28 p型の縦(垂直)方向エピタキシャルSiGe層
29 選択化学気相成長導電膜(W)
30 シリコン酸化膜(SiO
31 シリコン酸化膜(SiO
32 ポリサイドゲート電極(CoSi/polySi)
33 サリサイド層(CoSi
34 燐珪酸ガラス(PSG)膜
35 ゲート電極(Al)
36 p型の横(水平)方向エピタキシャルSi層
37 p型の横(水平)方向エピタキシャルSi層
38 p型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層
39 p型の縦(垂直)方向エピタキシャル歪みSi層
40 シリコン酸化膜(SiO
41 シリコン窒化膜(Si
42 p型の横(水平)方向エピタキシャル歪みSi層
43 p型の横(水平)方向エピタキシャルSi層
44 p型化された貼り合わせGe層
45 p型の縦(垂直)方向エピタキシャルSi層
46 シリコン酸化膜(SiO
47 シリコン窒化膜(Si
48 p型の横(水平)方向エピタキシャルSiGe層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の半導体からなる半導体基板上に絶縁膜を介して貼り合わせられた第2の半導体からなる第2の半導体層に一導電型のMIS電界効果トランジスタが設けられ、前記半導体基板上に一部に空孔を有する前記絶縁膜を介して、前記半導体基板より選択的にエピタキシャル成長して設けられた、少なくとも前記第1の半導体を含む第1の半導体層に反対導電型のMIS電界効果トランジスタが設けられていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記第1の半導体層は、前記空孔直上の概略チャネル領域が設けられている半導体層部と、前記絶縁膜直上の概略ソースドレイン領域が設けられている半導体層部からなり、前記概略チャネル領域が設けられている半導体層部の格子定数が、前記概略ソースドレイン領域が設けられている半導体層部の格子定数より小さいことを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1の半導体層の一部の直下に設けられる空孔の替りにも前記第2の半導体層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1の半導体はシリコンであり、前記第2の半導体はゲルマニウムであることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項5】
第1の半導体からなる第1の半導体基板上に絶縁膜を介して第2の半導体からなる第2の半導体基板を貼り合わせ、薄膜化し、選択的に島状に分離することにより前記第2の半導体からなる第2の半導体層を形成し、しかる後に前記第1の半導体基板から選択的に縦(垂直)方向及び横(水平)方向エピタキシャル成長することにより一部に空孔を有する前記絶縁膜上に前記第1の半導体を含む第1の半導体層を形成したことを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【公開番号】特開2012−142493(P2012−142493A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−724(P2011−724)
【出願日】平成23年1月5日(2011.1.5)
【出願人】(591000067)
【Fターム(参考)】