説明

半導体記憶装置およびその制御方法

【課題】SOI構造の半導体記憶装置に電気的に書換え可能な不揮発性メモリを形成する手段を提供する。
【解決手段】第1の拡散層16、第2の拡散層17、前記第1および第2の拡散層間に配置された第3の拡散層、および第4の拡散層21と、前記第1および第2の拡散層とそれぞれ一部がオーバーラップし、前記第3の拡散層上から前記第4の拡散層にかけて延在するフローティングゲート電極13と、前記第1の拡散層および前記第3の拡散層に、共通の第1の電位を与える第1の制御線31と、前記第2の拡散層に、第2の電位を与える第2の制御線37と、前記第4の拡散層に、第3の電位を与える第3の制御線33と、を備え、前記フローティングゲート電極が前記第4の拡散層とオーバーラップした面積が、前記第2の拡散層とオーバーラップした面積よりも大きく、前記第1および第3の拡散層とオーバーラップした合計の面積よりも小さい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電気的に書換え可能な不揮発性メモリを有する半導体記憶装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の半導体記憶装置は、選択トランジスタをフローティングゲートトランジスタと直列とし、このフローティングゲートトランジスタのフローティングゲート電極をバルク基板に形成された高濃度N型拡散領域上に薄いトンネル酸化膜を介して容量性結合してシングルポリフラッシュEEPROM(Electrically erasable and Programmable Read Only Memory)を形成し、電圧をフローティングゲートトランジスタの制御ラインに印加し、そのソース層を接地して記憶素子のデータを消去している(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
また、フラッシュメモリセルを、バルク基板に形成したPウェル層とNウェル層にそれぞれ形成した2つのトランジスタを一つのフローティングゲート電極で直列に接続して構成し、消去動作においては、コントロールゲート電極およびドレイン層を接地してソース層に7Vの電圧を印加し、フローティングゲート電極からトンネル電流で電子を引抜いてフラッシュメモリのしきい電圧を下げ、書込み動作においては、ドレイン層を接地してコントロールゲートおよびソース層に5Vの電圧を印加し、フローティングゲート電極にホットエレクトロンを注入してフラッシュメモリのしきい電圧を上げ、このしきい電圧の大小により記憶されたデータを読出しているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2003−501806号公報(主に第8頁段落0015−0016、第2図、第4図)
【特許文献2】特開2001−229690号公報(第5頁段落0011−第6頁段落0021、第1図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来の技術においては、いずれもバルク基板にシングルポリフラッシュEEPROMやフラッシュメモリを形成しているので、ソース−ドレイン間の耐圧が高く上記のような書込み動作が可能であるが、薄膜のシリコンからなるSOI(Silicon On Insulator)層を埋込み酸化膜上に積層した完全空乏型のSOI構造の半導体記憶装置においては、SOI層に形成するMOSFET(MOS Field Effect Transistor)のソース−ドレイン間の耐圧を十分に確保することが難しく、ゲート絶縁膜を通してフローティングゲート電極に電荷を注入することができず、SOI構造の半導体記憶装置に電気的に書換え可能な不揮発性メモリを形成すると、書込み動作ができないという問題がある。
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたもので、SOI構造の半導体記憶装置に電気的に書換え可能な不揮発性メモリを形成する手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決するために、半導体記憶装置が、シリコン基板領域に形成された第1の拡散層、第2の拡散層、前記第1および第2の拡散層間に配置された第3の拡散層、および前記第1、第2、第3の拡散層から絶縁分離されて設けられた第4の拡散層とを有するシリコン基板と、前記第1および第2の拡散層とそれぞれ一部がオーバーラップし、前記第3の拡散層上から前記第4の拡散層にかけて延在するフローティングゲート電極と、前記第1の拡散層および前記第3の拡散層に、共通の第1の電位を与える第1の制御線と、前記第2の拡散層に、第2の電位を与える第2の制御線と、前記第4の拡散層に、第3の電位を与える第3の制御線と、を備え、前記フローティングゲート電極が前記第4の拡散層とオーバーラップした面積が、前記フローティングゲート電極が前記第2の拡散層とオーバーラップした面積よりも大きく、前記フローティングゲート電極が前記第4の拡散層とオーバーラップした面積が、前記フローティングゲート電極が前記第1および第3の拡散層とオーバーラップした合計の面積よりも小さいことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
これにより、本発明は、シリサイド層により高濃度拡散層を介してチャネル領域に電気的に接続するソース層(第1の拡散層)、またはドレイン層(第2の拡散層)をオープン状態にしてMOSFETの静電容量を変化させることができ、MOSキャパシタとの容量カップリングを利用してソース−ドレイン間の耐圧に関わらず、フローティングゲート電極への電荷の注入、または引抜きが可能になり、ソース−ドレイン間の耐圧が低いSOI構造のMOSFETを用いた半導体記憶装置においても、信頼性に優れた電気的に書換え可能な不揮発性メモリを形成することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施例1の半導体記憶装置の上面を示す説明図
【図2】図1のA−A断面線に沿った断面を示す説明図
【図3】図1のB−B断面線に沿った断面を示す説明図
【図4】実施例1のSOI層上の領域の設定状態を示す説明図
【図5】実施例1の半導体記憶装置の製造方法を示す説明図
【図6】実施例1の記憶素子の消去動作を示す説明図
【図7】実施例1の記憶素子の書込み動作を示す説明図
【図8】実施例2のMOSキャパシタの断面を示す説明図
【図9】実施例2の半導体記憶装置の製造方法を示す説明図
【図10】実施例2の半導体記憶装置の製造方法を示す説明図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して本発明による半導体記憶装置およびその製造方法の実施例について説明する。
【実施例1】
【0011】
図1は実施例1の半導体記憶装置の上面を示す説明図、図2は図1のA−A断面線に沿った断面を示す説明図、図3は図1のB−B断面線に沿った断面を示す説明図、図4は実施例1のSOI層上の領域の設定状態を示す説明図、図5は実施例1の半導体記憶装置の製造方法を示す説明図、図6は実施例1の記憶素子の消去動作を示す説明図、図7は実施例1の記憶素子の書込み動作を示す説明図である。
【0012】
なお、図1は、第1および第2の層間絶縁膜を取り除いた状態で描いてある。
図1、図2、図3において、1は半導体基板であり、シリコン(Si)からなる支持基板2と、支持基板2上に形成された1500Å(オングストローム)程度の膜厚の酸化シリコン(SiO2)からなる埋込み酸化膜3と、埋込み酸化膜3上に形成された500Å程度の膜厚の単結晶シリコンからなるシリコン基板領域としてのSOI層4とで形成されたSOI構造の基板である。
【0013】
本実施例のSOI層4上には、図4に示すように、MOS(Metal Oxide Semiconductor)キャパシタ9(後述)を形成するためのキャパシタ形成領域5と、MOSFETを形成するためのトランジスタ形成領域6、およびキャパシタ形成領域5およびトランジスタ形成領域6のそれぞれの周囲を囲って隣り合う互いの間を絶縁分離する素子分離層38(後述)を形成するための素子分離領域7が設定されている。
【0014】
本実施例のトランジスタ形成領域6には、それぞれMOSFETの一種であるnMOS素子8が形成され、キャパシタ形成領域5にはそれぞれMOSキャパシタ9が形成され、一つのトランジスタ形成領域6に形成されたnMOS素子8と、その近傍の一つのキャパシタ形成領域5に形成されたMOSキャパシタ9を直列に組合せて、図1、図4に太い2点鎖線で示す記憶素子形成領域10に一つの記憶素子11が形成され、電気的に書換え可能な1ビットの不揮発性メモリとして機能する。
【0015】
12はゲート絶縁膜であり、図2、図3に示すようにSOI層4上に形成されたnMOS素子8およびMOSキャパシタ9が共通に用いる酸化シリコン等の絶縁材料からなる50〜150Å程度の膜厚の絶縁膜である。
13はフローティングゲート電極であり、ゲート絶縁膜12を挟んでキャパシタ形成領域5およびトランジスタ形成領域6のSOI層4に対向配置されたポリシリコン等からなる電極であって、図1に示すようにトランジスタ形成領域6をその中央部で2分し、キャパシタ形成領域5上のトランジスタ形成領域6側の一部を覆うように配置されてnMOS素子8およびMOSキャパシタ9が共通に用いるゲート電極として機能すると共に、その側面には酸化シリコン等の絶縁材料からなる絶縁膜14が形成されており、ゲート絶縁膜12や絶縁膜14等により外部から電気的に絶縁されたフローティング状態にされている。
【0016】
トランジスタ形成領域6のSOI層4のフローティングゲート電極13の両側には、比較的高濃度の砒素(As)等のN型不純物を拡散(例えば1×1018イオン/cm以上)させた第1の拡散層としてのソース層16(N+)および第2の拡散層としてのドレイン層17(N+)が形成され、そのソース層16とドレイン層17とに挟まれたフローティングゲート電極13下の比較的低濃度のボロン(B)等のP型不純物を拡散させたSOI層4の領域(P−)がnMOS素子8のチャネル領域18(第3の拡散層)として機能する。
【0017】
19は高濃度拡散層としてのP+拡散層であり、ソース層16とチャネル領域18との界面近傍のソース層16に、界面に沿ってゲート幅(図1にEで示す図2にLgで示すゲート長の直交方向のSOI層4の長さをいう。)の1/5程度の長さで、チャネル領域18に拡散された不純物と同じ型の不純物(本実施例ではP型)を比較的高濃度に拡散(例えば1×1020イオン/cm以上)させてチャネル領域18に直接接するように形成され、ソース層16とチャネル領域18とを電気的に接続する機能を有している。
【0018】
21はキャパシタ電極であり、図3に示すようにキャパシタ形成領域5のSOI層4に、ソース層16と同じ型の不純物(本実施例ではN型)を比較的高濃度に拡散(例えば1×1018イオン/cm以上)させて形成された拡散層(本実施例ではN+)であって、そのnMOS素子8側の一部の領域が、ゲート絶縁膜12を挟んでフローティングゲート電極13の端部に対向配置されている。
【0019】
22はシリサイド層であり、コバルト(Co)等のシリサイド化材料をアニール処理によりシリコンと化合させて形成された化合物からなる導電性を有する層であって、キャパシタ電極21上、ドレイン層17上、並びにソース層16およびP+拡散層19上に形成されている。
このソース層16およびP+拡散層19上を覆うシリサイド層22により、ソース層16とP+拡散層19とが電気的に接続され、ソース層16がP+拡散層19と同じ型の不純物を拡散させたチャネル領域18とも接続される。
【0020】
本実施例のMOSキャパシタ9のキャパシタ電極21とフローティングゲート電極13との間の静電容量C1(MOSキャパシタの静電容量C1という。図6参照)、nMOS素子8のソース層16およびシリサイド層22とP+拡散層19とにより接続されたチャネル領域18とフローティングゲート電極13との間の静電容量C2(ソース層側の静電容量C2という。図6参照)、並びにnMOS素子8のドレイン層17とフローティングゲート電極13との間の静電容量C3(ドレイン層側の静電容量C3という。図7参照)は、キャパシタ面積(キャパシタ電極21とフローティングゲート電極13との対向面積をいう。)やMOSFET面積(ソース層16およびチャネル領域18とフローティングゲート電極13との対向面積、もしくはドレイン層17とフローティングゲート電極13との対向面積をいう。)またはゲート幅Eを調節して、C3<C1<C2となるように設定されている。
【0021】
この場合に、静電容量C1とC3との関係は、C3<<C1となるように設定することが望ましい。
25は第1の層間絶縁膜であり、SOI層4上に形成されたnMOS素子8およびMOSキャパシタ9を覆う酸化シリコン等の絶縁材料からなる絶縁膜である。
26は第2の層間絶縁膜であり、SOI層4上に形成された第1の層間絶縁膜25上を覆う酸化シリコン等の絶縁材料からなる絶縁膜である。
【0022】
28はコンタクトプラグであり、第1の層間絶縁膜25を貫通してnMOS素子8のソース層16、nMOS素子8のドレイン層17、MOSキャパシタ9のキャパシタ電極21上のシリサイド層22に達する貫通穴として開口されたコンタクトホール29に、それぞれタングステン(W)等の導電材料を埋め込んで形成されたプラグである。
nMOS素子8のソース層16およびP+拡散層19にシリサイド層22を介して接続するコンタクトプラグ28は、図2に示すように、第1の層間絶縁膜25上に形成された第1の制御線としてのソース線31(SL)に、nMOS素子8のドレイン層17にシリサイド層22を介して接続するコンタクトプラグ28は第1の層間絶縁膜25上に形成された中継配線32に、MOSキャパシタ9のキャパシタ電極21にシリサイド層22を介して接続するコンタクトプラグ28は、図3に示すように、第1の層間絶縁膜25上に形成された第3の制御線としてのワード線33(WL)に電気的に接続している。
【0023】
35はビアプラグであり、第2の層間絶縁膜26を貫通して第1の層間絶縁膜25上に形成された中継配線32に達する貫通穴として開口されたビアホール36に、タングステン(W)等の導電材料を埋め込んで形成されたプラグである。
中継配線32に接続するビアプラグ35は、第2の層間絶縁膜26上に形成された第2の制御線としてのビット線37(BL)に電気的に接続している。これによりnMOS素子8のドレイン層17はビット線37に電気的に接続される。
【0024】
本実施例のソース線31、中継配線32、ワード線33、ビット線37は、アルミニウム(Al)や銅(Cu)等の比較的導電性に優れた配線材料で形成されている。
38は素子分離層であり、素子分離領域7のSOI層4に、酸化シリコン等の絶縁材料で埋込み酸化膜3に達する絶縁層として形成され、SOI層4の隣合うキャパシタ形成領域5の相互間、キャパシタ形成領域5とトランジスタ形成領域6との間を電気的に絶縁分離する機能を有している。
【0025】
本実施例の記憶素子11は、隣接する記憶素子11とは線対称に形成されており、ソース線31、中継配線32、ワード線33、ビット線37に接続するそれぞれのコンタクトプラグ28は、隣接する記憶素子11のそれぞれのコンタクトプラグ28との兼用になっている。
図5において、41はレジストマスクであり、フォトリソグラフィにより半導体基板1上に塗布されたポジ型またはネガ型のレジストを露光および現像処理して形成されたマスク部材であって、本実施例のエッチングやイオン注入におけるマスクとして機能する。
【0026】
以下に、図5にPで示す工程に従って、本実施例の半導体記憶装置の製造方法について説明する。
なお、図5において、各工程の右側は図2と同様の断面で示した図2の右側に示したnMOS素子8の製造方法を示し、左側は図3と同様の断面で示したMOSキャパシタ9の製造方法を示す。
【0027】
P1、支持基板2上に埋込み酸化膜3を介して比較的低濃度のP型不純物(P−)を拡散させたSOI層4を積層した半導体基板1のSOI層4に、キャパシタ形成領域5とトランジスタ形成領域6およびそれらの周囲を囲む素子分離領域7を設定した半導体基板1を準備し、SOI層4の素子分離領域7に、つまりトランジスタ形成領域6とキャパシタ形成領域5との間にSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidation Of Silicon)法により埋込み酸化膜3に達する素子分離層38を形成する。
【0028】
P2、熱酸化法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)法によりゲート絶縁膜12を形成するための酸化シリコンからなるシリコン酸化膜12aを形成し、シリコン酸化膜12a上にCVD法によりフローティングゲート電極13を形成するためのポリシリコン膜13aを堆積する。
P3、フォトリソグラフィによりポリシリコン膜13a上にフローティングゲート電極13の形成領域を覆うレジストマスク41(不図示)を形成し、ドライエッチング等により露出しているポリシリコン膜13aおよびシリコン酸化膜12aをエッチングしてSOI層4を露出させ、トランジスタ形成領域6のSOI層4を2分し、キャパシタ形成領域5のSOI層4上の一部を覆うと共に、ゲート絶縁膜12を介してそれぞれのSOI層4に対向するフローティングゲート電極13を形成し、前記のレジストマスク41の除去後に、フローティングゲート電極13およびSOI層4上等に熱酸化法またはCVD法により酸化シリコン膜を形成し、異方性エッチングによりSOI層4上の全面をエッチングして、フローティングゲート電極13の上面およびSOI層4の上面を露出させ、フローティングゲート電極13の側面に絶縁膜14を形成する。
【0029】
そして、フォトリソグラフィによりキャパシタ形成領域5のSOI層4、トランジスタ形成領域6のnMOS素子8のドレイン層17を形成する領域のSOI層4、およびソース層16を形成する領域のフローティングゲート電極13に隣接するP+拡散層19を形成する領域を除くSOI層4を露出させた開口部を有するレジストマスク41を形成し、これをマスクとして各SOI層4上に、高濃度のN型不純物をイオン注入してフローティングゲート電極13の両側のSOI層4にソース層16およびドレイン層17、並びにキャパシタ形成領域5のSOI層4にキャパシタ電極21を形成する。
【0030】
これにより、ソース層16とドレイン層17とに挟まれたフローティングゲート電極13下にチャネル領域18が形成され、キャパシタ電極21のフローティングゲート電極13に覆われていない領域に高濃度のN型不純物が注入される。
P4、N型不純物の注入に用いたレジストマスク41を除去し、フォトリソグラフィによりトランジスタ形成領域6のSOI層4上に、nMOS素子8のソース層16を形成する領域のフローティングゲート電極13に隣接する部位、つまりソース層16とチャネル領域18との界面近傍のチャネル領域18に隣接するソース層16の端部のSOI層4の一部を露出させた開口部を有するレジストマスク41(不図示)を形成し、これをマスクとしてSOI層4上に高濃度のP型不純物をイオン注入してソース層16にP+拡散層19を形成する。
【0031】
前記のレジストマスク41を除去し、全面に、つまりフローティングゲート電極13、絶縁膜14、P+拡散層19を含むソース層16、ドレイン層17、キャパシタ電極21、素子分離層38上に、スパッタ法によりシリサイド化材料層を形成し、500℃のアニール処理を含むサリサイド処理によりP+拡散層19を含むソース層16、ドレイン層17、およびキャパシタ電極21上のシリサイド化材料層をシリサイド化して前記各拡散層を覆うシリサイド層22を形成する。この場合のサリサイド処理はアニール処理を施してから不要なシリサイド化材料層を除去するまでの処理をいう。
【0032】
これにより、ソース層16とP+拡散層19上にシリサイド層22が形成され、ソース層16とP+拡散層19とが電気的に接続される。
P5、上記のようにして形成されたnMOS素子8、MOSキャパシタ9および素子分離層38上を含むSOI層4上にCVD法により厚膜の酸化シリコン膜を形成し、その上面を平坦化処理して第1の層間絶縁膜25を形成する。
【0033】
第1の層間絶縁膜25の形成後に、フォトリソグラフィにより第1の層間絶縁膜25上に、nMOS素子8のソース層16、nMOS素子8のドレイン層17、MOSキャパシタ9のキャパシタ電極21上のコンタクトホール29の形成領域の第1の層間絶縁膜25を露出させた開口部を有するレジストマスク41(不図示)を形成し、これをマスクとして異方性エッチングにより第1の層間絶縁膜25を貫通してソース層16、ドレイン層17、キャパシタ電極21上のシリサイド層22に達するコンタクトホール29を形成する。
【0034】
前記のレジストマスク41を除去し、スパッタ法等によりコンタクトホール29内に導電材料を埋め込んでコンタクトプラグ28を形成し、その上面を平坦化処理して第1の層間絶縁膜25の上面を露出させる。
次いで第1の層間絶縁膜25上に、スパッタ法等により配線材料からなる配線層を形成し、フォトリソグラフィ、エッチングにより配線層をパターニングして、nMOS素子8のソース層16にコンタクトプラグ28、シリサイド層22を介して接続するソース線31(SL)、ドレイン層17にコンタクトプラグ28、シリサイド層22を介して接続する中継配線32、MOSキャパシタ9のキャパシタ電極21にコンタクトプラグ28、シリサイド層22を介して接続するワード線33(WL)を形成する。
【0035】
その後、工程P5と同様にして、第1の層間絶縁膜25上に第2の層間絶縁膜26を形成し、第2の層間絶縁膜26を貫通して中継配線32に達するビアホール36に導電材料を埋込んでビアプラグ35を形成し、第2の層間絶縁膜26上にnMOS素子8のドレイン層17にビアプラグ35、中継配線32、コンタクトプラグを介して接続するビット線37を形成して、図1ないし図3に示す本実施例の記憶素子11を有する半導体記憶装置を形成する。
【0036】
このようにして形成された記憶素子11のデータを消去するときは、図6に示すように、全ての記憶素子11のnMOS素子8のドレイン層17に接続するビット線37(BL)をオープン状態(電気的にどこにも接続されていない状態、または高インピーダンス状態をいう。)にし、MOSキャパシタ9のキャパシタ電極21に接続するワード線33(WL)を接地(GND:0V)し、nMOS素子8のシリサイド層22によりP+拡散層19を介してチャネル領域18に接続されているソース層16に接続するソース線31(SL)に10〜15Vの電圧を印加する。
【0037】
このとき、nMOS素子8のドレイン層17はオープン状態にされているので、nMOS素子8の静電容量はソース層16側の静電容量C2のみが有効となり、MOSキャパシタ9の静電容量C1とnMOS素子8の静電容量C2とは、C1<C2となるように設定されているため、ソース層16に印加された電圧は容量カップリングによりほぼMOSキャパシタ9のゲート絶縁膜12にかかる状態となり、このMOSキャパシタ9にかかる電界が高くなって、キャパシタ電極21からフローティング状態となっているフローティングゲート電極13に向かってFN(Fowler Nordheim)トンネル電流(FN電流という。)が流れ、フローティングゲート電極13に電子が注入される。
【0038】
この場合に、容量カップリングによりnMOS素子8のフローティングゲート電極13とチャネル領域18との間の電界は高くないため、nMOS素子8のゲート絶縁膜12ではFN電流は流れない。
これにより、フローティングゲート電極13に電荷(本実施例では電子)が蓄積され、nMOS素子8のしきい電圧が上昇し、全ての記憶素子11のしきい電圧が高い状態、つまり消去状態になる。
【0039】
この状態は、記憶素子11にデータとして「1」が書込まれた状態であり、本実施例の消去状態は全ての記憶素子11にデータ「1」が書込まれている状態に相当する。
記憶素子11にデータ「0」を書込むときは、データを書込む記憶素子11を特定し、図7に示すように、その記憶素子11のnMOS素子8のシリサイド層22によりP+拡散層19を介してチャネル領域18に接続されているソース層16に接続するソース線31(SL)をオープン状態にし、MOSキャパシタ9のキャパシタ電極21に接続するワード線33(WL)に−2〜−3Vの電圧を、nMOS素子8のドレイン層17に接続するビット線37(BL)に10〜14Vの電圧を印加する。
【0040】
このとき、nMOS素子8のシリサイド層22によりP+拡散層19を介して接続されているチャネル領域18とソース層16とはオープン状態となっているので、nMOS素子8の静電容量はドレイン層17側の静電容量C3のみが有効となり、MOSキャパシタ9の静電容量C1とnMOS素子8の静電容量C3とは、C1>C3となるように設定されているため、容量カップリングによりほとんどの電圧がnMOS素子8のドレイン層17とフローティングゲート電極13との間にかかり、そこにFN電流が流れてフローティング状態となっているフローティングゲート電極13に蓄積されている電荷(本実施例では電子)がフローティングゲート電極13からドレイン層17へ引抜かれ、フローティングゲート電極13に電荷が存在しない状態になり、nMOS素子8のしきい電圧が低くなる。
【0041】
なお、特定の記憶素子11をデータ「1」とする場合は、特定された消去状態の記憶素子11に対して上記のデータ「0」の書込み動作を行わなければよい。
このようにして記憶素子11に書込まれたデータを読出すときは、MOSキャパシタ9のキャパシタ電極21に接続するワード線33(WL)に2〜3Vの電圧を、nMOS素子8のドレイン層17に接続するビット線37(BL)に1V程度の電圧を印加する。
【0042】
この場合に、記憶素子11が消去状態、またはデータ「1」が書込まれた状態のときは、nMOS素子8のしきい電圧が高くなっているので、nMOS素子8のソース層16に接続するソース線31(SL)にはドレイン電流が流れない。記憶素子11にデータ「0」が書込まれた状態のときは、nMOS素子8のしきい電圧が低くなっているので、ソース線31(SL)にはドレイン電流が流れる。
【0043】
このドレイン電流の有無を判定することにより、記憶素子11に書込まれたデータ「1」またはデータ「0」を読出す読出し動作が行われる。
上記のように、本実施例の記憶素子11は、消去時またはデータ「0」の書込み時にドレイン層17またはシリサイド層22とP+拡散層19を介してチャネル領域18が接続されたソース層16をオープン状態にするので、nMOS素子8のソース層16とドレイン層17との間に高い電圧が印加されることはない。
【0044】
また、ドレイン層17またはソース層16をオープン状態にすることにより、nMOS素子8の静電容量を変化させ、これによる容量カップリングを利用して電子をフローティングゲート電極13に注入し、または引出すことが可能になり、ソース−ドレイン間の耐圧が低いSOI構造のnMOS素子8を用いた記憶素子11においても、信頼性に優れた電気的に書換え可能な不揮発性メモリを得ることができる。
【0045】
これにより、SOI構造の半導体記憶装置に電気的に書換え可能な不揮発性メモリを搭載することが可能になり、半導体記憶装置の小型化、薄型化を図ることができる。
以上説明したように、本実施例では、SOI構造の半導体基板のSOI層上に、素子分離層で絶縁分離されたnMOS素子とMOSキャパシタを形成し、それぞれのSOI層に形成されたチャネル領域とキャパシタ電極とにゲート絶縁膜を介して対向する共通のフローティングゲート電極を設け、nMOS素子のソース層とチャネル領域との界面近傍のソース層に、チャネル領域に接するP+拡散層を形成し、これとソース層とをシリサイド層で覆うようにしたことによって、シリサイド層によりP+拡散層を介してチャネル領域に電気的に接続するソース層、またはドレイン層をオープン状態にしてnMOS素子の静電容量を変化させることができ、MOSキャパシタとの容量カップリングを利用してソース−ドレイン間の耐圧に関わらず、フローティングゲート電極への電子の注入、または引抜きが可能になり、ソース−ドレイン間の耐圧が低いSOI構造のnMOS素子を用いた半導体記憶装置においても、信頼性に優れた電気的に書換え可能な不揮発性メモリを形成することができる。
【0046】
nMOS素子のソース層およびP+拡散層を介して接続するチャネル領域とフローティングゲート電極との間の静電容量C2と、ドレイン層とフローティングゲート電極との間の静電容量C3との間に、MOSキャパシタの静電容量C1を設定したことによって、ドレイン層をオープン状態にすれば、容量カップリングによりキャパシタ電極からフローティングゲート電極へ容易に電子を注入することができると共に、ソース層をオープン状態にすれば、容量カップリングによりフローティングゲート電極からドレイン層へ容易に電子を引抜くことができる。
【実施例2】
【0047】
図8は実施例2のMOSキャパシタの断面を示す説明図、図9、図10は実施例2の半導体記憶装置の製造方法を示す説明図である。
なお、図8は、上記実施例1の図3と同じ断面線に沿った断面を描いてある。また上記実施例1と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図8において、51は突起部であり、SOI層4に高濃度のN型不純物を拡散させて形成されたキャパシタ電極21のフローティングゲート電極13側の端部に形成され、埋込み酸化膜3に向かって拡大する斜面52を有しており、その先端部はゲート絶縁膜12を介してフローティングゲート電極13の対向部53と対向している。
【0048】
このような突起部51は、例えばLOCOS法によりパッド酸化膜54(図9参照)上の耐酸化性膜としてのシリコン窒化膜55をマスクとしてSOI層4を酸化させて素子分離層38を形成するときに、素子分離層38の先端がキャパシタ形成領域5のシリコン窒化膜55とSOI層4との境界部に侵入して形成される略三角形の断面形状を有するバーズビークを利用する等して形成することができる。
【0049】
または、STI法により素子分離層38を形成するための分離溝を形成するときに、等方性エッチングを用いてSOI層4の端部に斜面52を形成し、分離溝の側壁に斜面52が形成された略三角形の断面形状を有する突起部51をSOI層4の端部に形成することができる。
57はキャパシタ溝であり、キャパシタ電極21の端部に形成された突起部51および突起部51に隣接する領域の素子分離層38を、埋込み酸化膜3まで掘り込み、更に埋込み酸化膜3をゲート絶縁膜12の膜厚より深く掘り込んで底面を埋込み酸化膜3内に形成したキャパシタ電極21の端部の辺に沿う方向の長さが、フローティングゲート電極13のゲート長Lg方向の長さより長い溝である。
【0050】
上記の突起部51は、その先端部が細く形成され、その先端部がゲート絶縁膜12を介してフローティングゲート電極13の対向部53に対向しているので、消去動作のときにMOSキャパシタ9に電界集中を生じやすくする機能を有している。
以下に、図9、図10にPAで示す工程に従って本実施例の半導体記憶装置の製造方法について説明する。
【0051】
なお、図9、図10においては、MOSキャパシタ9の製造方法のみを示す。
PA1(図9)、工程P1と同様の半導体基板1を準備し、そのSOI層4上に熱酸化法により薄い膜厚のパッド酸化膜54を形成し、パッド酸化膜54上にCVD法により比較的厚い膜厚のシリコン窒化膜55を形成する。
この場合に、SOI層4に設定されるキャパシタ形成領域5とトランジスタ形成領域6はMOSキャパシタ9やnMOS素子8の実効的な面積を確保するために、実施例1の場合より突起部51の分広く設定されている。
【0052】
PA2(図9)、フォトリソグラフィによりシリコン窒化膜55上にキャパシタ形成領域5およびトランジスタ形成領域6を覆い、素子分離領域7のシリコン窒化膜55を露出させたレジストマスク41(不図示)を形成し、これをマスクとして、異方性エッチングによりシリコン窒化膜55およびパッド酸化膜54をエッチングしてSOI層4を露出させる。
【0053】
PA3(図9)、工程PA2で形成したレジストマスク41を除去し、露出したシリコン窒化膜55をマスクとしてLOCOS法により、SOI層4を酸化してトランジスタ形成領域6とキャパシタ形成領域5との間に埋込み酸化膜3に達する素子分離層38を形成する。
このときに、SOI層4のシリコン窒化膜55側が酸化されてバーズビークが形成され、SOI層4のフローティングゲート電極13側の端部に斜面52を有する突起部51が形成される。
【0054】
PA4(図9)、熱燐酸(Hot−H3PO4)およびフッ酸(HF)を用いたウェットエッチングによりシリコン窒化膜55およびパッド酸化膜54を除去してSOI層4を露出させる。
そして、フォトリソグラフィにより、SOI層4の端部に形成された突起部51上および突起部51に隣接する領域の素子分離層38を露出させた開口部を有するレジストマスク41を形成する。
【0055】
PA5(図9)、工程PA4で形成したレジストマスク41をマスクとして、フッ酸等を用いたウェットエッチングにより素子分離層38および埋込み酸化膜3をエッチングし、埋込み酸化膜3内に底面を有し、突起部51を露出させたキャパシタ溝57を形成し、その後に工程PA4で形成したレジストマスク41を除去する。
PA6(図10)、キャパシタ形成領域5とトランジスタ形成領域6のSOI層4および素子分離層38上、並びにキャパシタ溝57の内面に、熱酸化法またはCVD法によりゲート絶縁膜12を形成するための酸化シリコンからなるシリコン酸化膜12aを形成し、シリコン酸化膜12a上にCVD法によりフローティングゲート電極13を形成するためのポリシリコン膜13aを形成する。
【0056】
これにより、次工程で形成されるフローティングゲート電極13に突起部51の先端部にゲート絶縁膜12を介して対向する対向部53が形成される。
その後の工程PA7(図10)〜PA9(図10)の作動は、実施例1の工程P3(図5)〜P5(図5)の作動と同様であるので、その説明を省略する。
上記のキャパシタ電極21に突起部51を形成した記憶素子11の消去動作および書込み動作、読出し動作は、上記実施例1の場合と同様であるのでその説明を省略する。
【0057】
この場合の消去動作においては、上記で説明した容量カップリングによりソース層16に印加された電圧がほぼMOSキャパシタ9のゲート絶縁膜12にかかる状態となったときに、突起部51の先端部がゲート絶縁膜12を介してフローティングゲート電極13の対向部53に対向しているので、この部位に電界集中が生じ、MOSキャパシタ9にかかる電界がより高くなって、キャパシタ電極21からフローティングゲート電極13に向かってFN電流が流れやすくなり、フローティングゲート電極13への電子の注入をより容易に行うことができる。
【0058】
この場合に、nMOS素子8のソース層16に突起部が形成されたとしても、その先端部がフローティングゲート電極13とゲート絶縁膜12を介して対向することがないので、電界集中が生じることはなく、nMOS素子8のゲート絶縁膜12でFN電流が流れることはない。
このことは、MOSキャパシタ9の静電容量C1とnMOS素子8のソース層16側の静電容量C2との容量カップリング(C1<C2)を大きくできない場合においても電子をフローティングゲート電極へ注入することが可能であることを示しており、記憶素子11の静電容量C1、C2の設定自由度を高めて記憶素子11の動作をより好適なものとすることができる。
【0059】
また、このことは、ソース層16にかける電圧を低くしても、消去動作におけるフローティングゲート電極13への電子の注入が可能であることを示しており、消去時の電圧を低くして記憶素子11の発熱を抑制することができる。
なお、上記工程PA2においては、異方性エッチングにより全てのパッド酸化膜54を取り除くとして説明したが、パッド酸化膜54の全部または一部を膜状に残すようにしてもよい。このようにすれば突起部51の断面形状を埋込み酸化膜3側に厚さ方向の平面が形成された台形状とすることが可能になり、突起部51により生じる電界集中の程度を変化させることができ、容量カップリングによる作用に突起部51による電界集中の作用を加えることができ、MOSキャパシタ9の静電容量C1を、nMOS素子8側の静電容量C2、C3の間に設定するための自由度を増やしてSOI構造の記憶素子11の消去動作や書込み動作の電圧設定等をより容易なものとすることができる。
【0060】
以上説明したように、本実施例では、上記実施例1と同様の効果に加えて、キャパシタ電極のフローティングゲート電極側の端部に、埋込み酸化膜に向かって拡大する斜面が形成された突起部を形成し、この突起部の先端部をゲート絶縁膜を介してフローティングゲート電極に対向させたことによって、記憶素子の消去動作において、突起部による電界集中によりFN電流を低い電界で流すことができ、MOSキャパシタの静電容量C1とnMOS素子のソース側の静電容量C2との容量カップリング(C1<C2)を大きくできない場合においても電子を容易にフローティングゲート電極へ注入することができると共に、消去時に必要な電圧を低くすることができる。
【0061】
なお、本実施例の製造方法の説明においては、LOCOS法により突起部51を形成するとして説明したが、STI法によって突起部51を形成するようにしてもよい。
以下に、SBで示す工程に従ってSTI法による突起部51の形成について説明する。
工程SB1、上記工程PA1と同様に設定された半導体基板1を準備し、工程PA1と同様にしてパッド酸化膜54およびストッパ窒化膜としてのシリコン窒化膜55を形成する。
【0062】
工程SB2、工程PA2と同様にして素子分離領域7のシリコン窒化膜55を露出させたレジストマスク41を形成し、これをマスクとして、等方性エッチングによりシリコン窒化膜55およびパッド酸化膜54、SOI層4をエッチングして埋込み酸化膜3を露出させ、埋込み酸化膜3に達する分離溝を形成する。
このとき、等方性エッチングによりSOI層4の上面側がエッチングされて斜面52が形成され、分離溝の側壁が斜面52で構成されると共に、SOI層4の端部に斜面52を有する突起部51が形成される。
【0063】
工程SB3、工程PB2で形成したレジストマスク41を除去し、CVD法によりシリコン窒化膜55上および分離溝内に酸化シリコンを堆積して、分離溝を少なくともSOI層4より厚く埋めるシリコン酸化膜を形成する。
そして、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法または機械的な研磨により、堆積されたシリコン酸化膜およびシリコン窒化膜55、パッド酸化膜54を除去してSOI層4を露出させ、トランジスタ形成領域6とキャパシタ形成領域5との間の素子分離領域7に素子分離層38を形成する。
【0064】
この状態は、上記工程PA4におけるウェットエッチングによりシリコン窒化膜55およびパッド酸化膜54を除去してSOI層4を露出させた状態と同様になる。
その後の作動は、上記工程PA4の後段以後の作動と同様であるので、その説明を省略する。
このようにしても、LOCOS法を用いた場合と同様の記憶素子11を形成することができる。
【0065】
この場合に、突起部51を台形状に形成するときは、工程PB2における等方性エッチングを必要な斜面52が形成されたときに停止し、その後は異方性エッチングにより分離溝を形成するようにすればよい。
なお、上記各実施例においては、各トランジスタはnMOS素子として説明したが、トランジスタをpMOS素子にし、キャパシタ電極や高濃度拡散層の不純物の型を逆にした場合も同様である。
【符号の説明】
【0066】
1 半導体基板
2 支持基板
3 埋込み酸化膜
4 SOI層
5 キャパシタ形成領域
6 トランジスタ形成領域
7 素子分離領域
8 nMOS素子(MOSFET)
9 MOSキャパシタ
10 記憶素子形成領域
11 記憶素子
12 ゲート絶縁膜
12a シリコン酸化膜
13 フローティングゲート電極
13a ポリシリコン膜
14 絶縁膜
16 ソース層
17 ドレイン層
18 チャネル領域
19 P+拡散層(高濃度拡散層)
21 キャパシタ電極
22 シリサイド層
25 第1の層間絶縁膜
26 第2の層間絶縁膜
28 コンタクトプラグ
29 コンタクトホール
31 ソース線(SL)
32 中継配線
33 ワード線(WL)
35 ビアプラグ
36 ビアホール
37 ビット線(BL)
38 素子分離層
41 レジストマスク
51 突起部
52 斜面
53 対向部
54 パッド酸化膜
55 シリコン窒化膜
57 キャパシタ溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン基板領域に形成された第1の拡散層、第2の拡散層、前記第1および第2の拡散層間に配置された第3の拡散層、および前記第1、第2、第3の拡散層から絶縁分離されて設けられた第4の拡散層とを有するシリコン基板と、
前記第1および第2の拡散層とそれぞれ一部がオーバーラップし、前記第3の拡散層上から前記第4の拡散層にかけて延在するフローティングゲート電極と、
前記第1の拡散層および前記第3の拡散層に、共通の第1の電位を与える第1の制御線と、
前記第2の拡散層に、第2の電位を与える第2の制御線と、
前記第4の拡散層に、第3の電位を与える第3の制御線と、を備え、
前記フローティングゲート電極が前記第4の拡散層とオーバーラップした面積が、前記フローティングゲート電極が前記第2の拡散層とオーバーラップした面積よりも大きく、
前記フローティングゲート電極が前記第4の拡散層とオーバーラップした面積が、前記フローティングゲート電極が前記第1および第3の拡散層とオーバーラップした合計の面積よりも小さいことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項2】
シリコン基板領域に形成された第1の拡散層、第2の拡散層、前記第1および第2の拡散層間に配置された第3の拡散層、および前記第1、第2、第3の拡散層から絶縁分離されて設けられた第4の拡散層とを有するシリコン基板と、
前記第1および第2の拡散層とそれぞれ一部がオーバーラップし、前記第3の拡散層上から前記第4の拡散層にかけて延在するフローティングゲート電極と、
前記第1の拡散層および前記第3の拡散層に、共通の第1の電位を与える第1の制御線と、
前記第2の拡散層に、第2の電位を与える第2の制御線と、
前記第4の拡散層に、第3の電位を与える第3の制御線と、を備え、
前記フローティングゲート電極と前記第4の拡散層との間に形成される静電容量が、前記フローティングゲート電極と前記第2の拡散層との間に形成される静電容量よりも大きく、
前記フローティングゲート電極と前記第4の拡散層との間に形成される静電容量が、前記フローティングゲート電極と前記第1および第3の拡散層とにより形成される静電容量よりも小さいことを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の半導体記憶装置において、
前記シリコン基板領域は、SOI基板における埋込み酸化膜上に設けられたシリコン層であることを特徴とする半導体記憶装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の半導体記憶装置の制御方法において、
前記第1の制御線にプラスの電位を与え、前記第3の制御線に接地電位を与えることにより、前記第4の拡散層から前記フローティングゲート電極に電子を注入することを特徴とする半導体記憶装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−109114(P2011−109114A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−270948(P2010−270948)
【出願日】平成22年12月3日(2010.12.3)
【分割の表示】特願2006−96574(P2006−96574)の分割
【原出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(308033711)OKIセミコンダクタ株式会社 (898)
【出願人】(591048162)OKIセミコンダクタ宮城株式会社 (130)
【Fターム(参考)】