説明

表示装置

【課題】
良好な特性を有するスタガ型の多結晶Si−TFT構造と、ディスプレイの大型化に有利な低抵抗配線構造を両立でき、低コストで高画質の表示装置を提供する。
【解決手段】
マトリックス状に配置された複数の画素を駆動するTFTをスタガ型の多結晶Si−TFTで構成し、該TFTのチャネルを形成する多結晶Si層4より下層に位置する電極配線2を、希土類元素を添加元素として含むAl合金からなる第一の合金層2aと、希土類元素と高融点金属とAlとの合金からなり、前記第一の層の上層に位置する第二の合金層2bとの積層構造とすることで、多結晶Si形成時の高温に耐え得る低抵抗配線構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機発光表示装置や液晶表示装置などの表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光表示装置や液晶表示装置などの表示装置に適用可能な薄膜トランジスタとして多結晶シリコン(多結晶Si,p−Siとも表記する)からなる半導体層を用いた薄膜トランジスタ(TFT)がある。
【0003】
一例として、アクティブマトリクス型の有機発光表示装置では、各画素を構成する有機発光素子に、複数個のTFTからなるスイッチング素子及び容量から構成される駆動素子が接続されており、1フレーム期間中の全点灯が可能な構成である。輝度を高くする必要がなく、有機発光素子の寿命が長くなる分、高精細,大画面化においては、アクティブマトリクス型有機発光表示装置が有利であると考えられている。
【0004】
有機発光素子を駆動するTFTには、移動度が高く、閾値(Vth)シフトが少ない特性が求められる。通常、液晶表示装置等に用いられるスタガ型のアモルファスSi−TFTに替わって、特性の良好な多結晶Siを半導体層に適用したコプレナー型のTFTが用いられている。
【0005】
多結晶Si膜の形成には、通常、原料ガスの熱分解温度以上、600℃程度の高温成膜、または高温熱処理工程を必要とする。しかしながら、大面積の表示装置等へ適用するためには、該表示装置等が軟化温度の低い安価なガラス基板を用いていることから、多結晶Si膜は500℃以下の低温形成が必要である。
【0006】
低温で多結晶Si膜を形成する方法としては、例えば水素(H2)希釈したSiH4,SiF4等を原料ガスに用いたプラズマCVD法や、水素を含む化合物とハロゲンを含む化合物を用いる熱CVD(以下、反応熱CVDと呼ぶ)法(非特許文献1)が提案されている。
【0007】
また、低抵抗金属配線材料としては、下地との密着性や耐酸化性、加工性や耐腐食性の確保、及び半導体層や絶縁膜の構成材料であるSiとの反応抑制の点から、Cuよりも汎用性に優れるAlを用いることができればより望ましい。Alを配線材料に用いる場合、Alの熱膨張係数がガラス等の絶縁基板よりも大きいために、熱処理時に引っ張り応力から圧縮応力へと弾性的に変化する。この圧縮応力がAl薄膜の降伏応力を超えると塑性変形による応力緩和が発生し、ヒロックと呼ばれる突起部分を形成する。冷却時には逆に引っ張り応力側に変化することでボイドと呼ばれる欠損部分を形成し、これらが配線短絡や断線の要因となる。Al合金のヒロック,ボイド形成を抑制する技術としては非特許文献2,3がある。
【0008】
また、低温で高品質の多結晶Si膜を形成する方法としてレーザアニールを適用し、配線部分を高耐熱金属からなる電極と低抵抗金属からなる主配線部分とのクラッド積層配線構造とし、主配線部分を避けてレーザを選択照射することにより、配線の熱ダメージを回避する方法が特許文献1に提案されている。
【0009】
【特許文献1】特開2007−35963号公報
【非特許文献1】J.Vac.Soc.Jpn.(真空)、Vol.47、No.9、p.702〜711(2004)
【非特許文献2】J.Vac.Sci.Technol.B、Vol.14、No.5、p.3257〜3262(1996)
【非特許文献3】J.Vac.Sci.Technol.A、Vol.15、No.4、p.2339〜2348(1997)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
多結晶Siに用いられるコプレナー型TFT構造の場合、スタガ型のTFTに較べると特性確保は容易なものの、構造が複雑になる分工程数が増加する。また、製造にはチャネル接合部分への不純物の選択ドーピング等の固有プロセス,イオンインプランテーション装置等の固有製造設備が必要となるため、コスト的に大幅に不利となる。不純物の活性化工程等、プロセス温度も高い。スタガ型の多結晶SiTFT構造を実現できればコスト的に望ましいが、実用には下記のような解決すべき課題がある。
【0011】
スタガ型のTFTでは、原理的にTFTのゲート電極、またはソース・ドレイン電極のうちのどちらか一方が、チャネルを形成する半導体層より下層に配置される構造になる。具体的には、逆スタガTFT構造であればゲート電極が、正スタガTFT構造であればソース・ドレイン電極が、半導体層より下層に配置される。
【0012】
従って、下層に配置される電極あるいは配線には、熱処理に伴うヒロックやボイド発生による配線の短絡や断線,熱拡散によるコンタクト不良等についても耐性が必要となり、通常用いられるAlやCu等の低抵抗金属に替わって高融点金属材料を用いなければならない等、配線材料や構造に制限があった。配線を厚膜化することでも低抵抗化は図れるが、厚膜配線の順テーパー加工の制御は難しく、また、厚膜配線により生じる高段差部分では、上層に配置される層間絶縁膜のつきまわり確保が難しくなるため、配線交差部分での短絡や更に上層に配置される配線の断線不良の原因となり、厚膜化にも限界があった。そのため、配線抵抗による信号遅延を考慮する必要があり、特にディスプレイの大型化には限界があった。
【0013】
上記非特許文献1に記載のような低温形成プロセスに拠っても、多結晶Siの形成には依然として400℃以上の高温を必要とする。
【0014】
また、上記非特許文献2,3に記載のような合金析出反応はいずれも200〜350℃の温度範囲で完了するため、400℃以上の耐熱性が要求される用途への適用は困難であった。また、これらの不純物添加が比抵抗増加を招くために添加量には制限があり、低抵抗性と耐熱性の両立の点でも困難であった。
【0015】
また、上記特許文献1の場合、レーザ照射により一度に結晶化させることのできる面積には限りがあるため、大面積に均一な多結晶Si膜を形成することが困難であり、ディスプレイの大型化にはやはり限界がある。また、新たにレーザアニール工程を必要とし、積層配線形成にもホトリソグラフィーによるパターニング工程を通常よりも多く行う必要があるため、プロセスコストが高くなる。
【0016】
本発明の目的は、工程やプロセスを増加させることなく、良好な特性を有するスタガ型のTFT構造と、ディスプレイの大型化に有利な低抵抗配線構造を両立でき、コスト的にも性能的にも有利な表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題に鑑み、本発明は、マトリックス状に配置された複数の画素と、この画素を駆動するTFTを有する表示装置であって、TFTは、絶縁基板上に、ゲート電極,絶縁膜,半導体層,ソース電極及びドレイン電極をこの順で配置した逆スタガ型のTFTであり、そのTFTは、ゲート電極に接続するゲート配線と、ソース電極及びドレイン電極に接続するドレイン配線を有し、ゲート電極及びゲート配線は、半導体層よりも絶縁基板側に配置され、ゲート電極及びゲート配線は、絶縁基板側から順に、希土類元素のうちの少なくとも1つを添加元素として含むAl合金からなり第一の合金層、希土類元素のうちの少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第二の合金層、が積層配置された構成とする。
【0018】
また、マトリックス状に配置された複数の画素と、この画素を駆動するTFTを有する表示装置であって、TFTは、絶縁基板上に、ソース電極及びドレイン電極,絶縁膜,半導体層,ゲート電極をこの順で配置した正スタガ型のTFTであり、そのTFTは、ゲート電極に接続するゲート配線と、ソース電極及びドレイン電極に接続するドレイン配線を有し、ソース電極及びドレイン電極、及びドレイン配線は、半導体層よりも絶縁基板側に配置され、ソース電極及びドレイン電極、及びドレイン配線は、絶縁基板側から順に、希土類元素のうちの少なくとも1つを添加元素として含むAl合金からなる第一の合金層,希土類元素のうちの少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第二の合金層が積層配置された構成とする。
【発明の効果】
【0019】
工程やプロセスを増加させることなく、良好な特性を有するスタガ型のTFT構造と、ディスプレイの大型化に有利な低抵抗配線構造を両立でき、コスト的にも性能的にも有利な表示装置を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の最良の実施形態について、図面を参照して実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の実施例1である表示装置の画素を構成するスタガ型TFTとして、逆スタガ型TFTへの適用例を説明する要部断面図である。
【0022】
逆スタガ型TFTの場合、本発明が適用される電極及び配線は、高温形成が必要なチャネル半導体層よりも下層に配置されるゲート電極、及びゲート配線となる。
【0023】
本実施例は、マトリックス状に配置された複数の画素と、この画素を駆動するTFTを有する表示装置であって、そのTFTは、絶縁基板上に、ゲート電極,絶縁膜,半導体層,ソース電極及びドレイン電極をこの順で配置した逆スタガ型のTFTであり、そのTFTは、ゲート電極に接続するゲート配線と、ソース電極及びドレイン電極に接続するドレイン配線を有し、ゲート電極及びゲート配線は、TFTの半導体層よりも絶縁基板側に配置された構造である。
【0024】
まず、ガラス基板を好適とする絶縁性基板1の上に、絶縁性基板1側から順に、低抵抗層の役割を担うAl合金層からなる第一の合金層2aと、該第一の合金層の上層に位置し、ヒロック,ボイド抑制層となる該第二の合金層2bを連続形成して、本実施例のゲート電極配線2となる積層膜を形成した。本発明では、第一の合金層2aは、希土類元素として、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu、のうちの少なくともひとつを添加元素として含むAl合金で形成され、上記の希土類元素のうちの少なくともひとつと、高融点金属として、Mo,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,W、のうちの少なくともひとつを含むAlとの合金でそれぞれ形成される。上記の合金膜はいずれも、これらの組成からなる合金ターゲットを用いたスパッタリング法で形成することができる。上記希土類元素は、Alに対する固溶限が小さいために合金を析出形成しやすく、該合金の析出硬化によりAl原子の移動を阻害し易い。
【0025】
また、上記希土類元素以外の添加元素として、Si,Cu,Mg,Niのうちの少なくともひとつを含む構成とすることも可能である。上記の構成において、半導体層については、配線の熱ダメージを考慮する必要がなくなるため、高温形成が必要なSi、またはSiGeの多結晶膜を含む膜を用いることができる。該半導体層として、例えば、水素を含む化合物とハロゲンを含む化合物を用いた熱CVD法で形成した多結晶膜を用いることができる。
【0026】
本実施例では、第一の合金層2aとしてNdとAlの2元合金膜を、第二の合金層2bとしてNdとMoとAlとの合金膜をそれぞれ形成した。膜厚は、それぞれ400nm,50nmとした。
【0027】
Alの融点は660℃と低く、これがAlの耐熱性が劣る一因であるが、本実施例では、高融点金属とAlを合金化することで高融点化が期待でき、合金中のAl原子の移動を抑制できると考えた。特にMoは、後述する積層配線の加工性、及び結晶粒界の固定の点でも有利である。上記した希土類元素と高融点金属とAlとからなる新規な多元合金層を第二の合金層として用いた実験を行い、実際にAl合金配線の耐熱性を著しく向上できることを見出した。通常上層配線とのコンタクト特性改善のために用いられるMoやTi,Cr等の高融点金属層を積層した場合と比べても、また、希土類元素を含まない、高融点金属とAlとの合金層を積層した場合と比べても著しく耐熱性を向上でき、450℃熱処理後もヒロックやボイドの発生及びその成長を大幅に抑制できた。本発明の多元合金の一例として、希土類元素としてNdやCe、高融点金属としてMoを用いた場合には、Al20XMo2(X:希土類元素)からなる3元合金層の形成が可能である。Moとの2元合金についてはMoAl12,Mo3Al等の合金組成がよく知られているが、このような2元合金層を形成した場合と比べても、ヒロックやボイドに対する耐熱性を著しく向上できた。
【0028】
次に、この積層膜を、ホトリソグラフィー法によりゲート電極配線2のパターンに一括加工した。該第一の合金層2aと該第二の合金層2bがいずれもAl合金層で構成されるため、積層膜の一括加工が容易となり、その分ホトリソグラフィー工程の増加を避けることができる。
【0029】
次に、このゲート電極配線2上にゲート絶縁膜3を形成した。ゲート絶縁膜3の材料としては、SiO2やSiN等を用いることができる。これらの絶縁膜はPECVD法またはスパッタリング法等で成膜できる。または、プラズマ酸化,光酸化などを併用しても良い。本実施例では、TEOSを用いたプラズマCVD法により形成したSiO2膜を用いた。膜厚は300nmとした。
【0030】
次に、このゲート絶縁膜3の上に、半導体層4として、400℃以上の高温で良好な結晶性が得られる熱CVD法で多結晶膜を形成した。具体的には、反応ガスとしてGeF4,F2,Si26、希釈ガスとしてHeを用い、基板温度450℃の条件で多結晶SiGe膜を形成した。膜厚は200nmとした。本実施例では、反応ガスとしてGeF4とSi26の組合せを用いたが、例えばGeF4に替わってF2を用いることで、多結晶Si膜を形成することも可能である。また熱CVD法に替わってプラズマCVD法を用いることも可能である。
【0031】
次に、コンタクト層であるドープ層5,6となるp+Si膜を、プラズマCVD法で形成した。膜厚は40nmとした。ちなみにドープ層5,6の極性についてはn+Si膜に限定されるものではなく、画素回路のTFT構成により任意にp+Si膜に変更することが可能である。この後、ホトリソグラフィー法を用いて、ドープ層5,6であるn+Si膜と、半導体層4の積層膜を島状に加工した。
【0032】
次に、この上に、ソース電極配線7,ドレイン電極配線8を形成した。ソース電極配線7,ドレイン電極配線8の材料としては、Nb,Mo,W,Ta,Cr,Ti,Fe,Ni,Co等の金属やそれらの合金、及びそれらの積層膜を用いることができる。更には、高温が必要な半導体層形成後の工程となるため、プロセスの上限温度を低くできることから、AlやCu等の低抵抗金属を用いることも可能である。これらの膜は、スパッタリング法で形成した。本実施例では、コンタクト特性との両立を考慮してTi/AlSi合金/Ti積層膜を用い、膜厚は50/300/50nmとした。次いで、ホトリソグラフィー法を用いてソース電極配線7,ドレイン電極配線8のパターンに加工した。次に、ソース電極配線7,ドレイン電極配線8をマスクにしてチャネル領域9上のn+Si膜をエッチングして、コンタクト層(ドープ層5,6)を形成した。
【0033】
次に、ソース電極配線7,ドレイン電極配線8上に、保護性絶縁膜10としてSiN膜をプラズマCVD法で形成した。膜厚は500nmとした。次いで、ホトリソグラフィー法を用いて保護性絶縁膜10にスルーホール11を形成した。
【0034】
最後に、画素電極12の電極材料として、反射金属膜や透明導電膜を形成した。本実施例では、画素電極12として透明導電膜であるITO膜をスパッタリング法で形成し、ホトリソグラフィー法を用いて加工した。膜厚は70nmとした。
【0035】
また、本実施例では、第二の合金層のヒロック,ボイド抑制能を高くできる分、第二の合金層の必要膜厚を薄く押さえることが可能となる。第二の合金層の膜厚は、望ましくは5〜200nm、より望ましくは10〜100nmとした。これにより、電極や配線パターンにより発生する段差を小さくできるため、電極や配線の上に形成する絶縁膜や配線、具体的にはTFTのゲート絶縁膜や半導体層、更には上層に位置するドレイン配線(図5の正スタガTFTの場合、ゲート配線)のつきまわりを確保でき、段差起因の短絡や断線を抑制することができる。また、薄膜化により、電極や配線パターン自身の順テーパー加工形状の確保も容易となる。
【0036】
本実施例では、半導体層4よりも下層に配置された逆スタガ型TFTのゲート電極配線2に、ヒロックやボイドの耐熱性に優れた本発明の合金積層構造を適用する、つまり、第一の合金層の上層に連続して、希土類元素と高融点金属とAlとからなる第二の合金層を形成することにより、ヒロックやボイドの原因となる、第一の合金層中のAl原子の電極や配線表面及び側面への移動を、希土類元素添加のみの第一の合金層を単層で用いた場合に比べて大幅に制限することができ、熱処理に伴うヒロックやボイドの発生、及びその成長を大幅に抑制することができる。その分、抵抗増加要因となる第一の合金層中の希土類添加元素濃度を大幅に低減することができ、低抵抗確保も容易となる。
【0037】
上記により、通常の多結晶SiTFTプロセスでは使用が限定されるAl合金配線材料を用いることができる。また、低抵抗Alの適用により配線抵抗を大幅に低減できるため、配線抵抗による信号遅延を考慮することなく、容易に表示装置を大型化できる。また、半導体層4に、良好な特性を有する多結晶膜を用いることが可能となるため、移動度が高く、閾値(Vth)シフトが少ない、良好な特性のスタガ型TFTを得ることができ、コスト的にも性能的にも有利な表示装置を提供できる。
【0038】
また、高融点金属を含む第二の多元合金層を上層に用いることにより、第一の合金層を単層で用いた場合に比べて、電極や配線表面の耐酸化性を向上することができるため、その分、画素電極等の上層電極との接続部分や上層配線との回路接続部分、または端子接続部分等におけるコンタクト特性の確保も容易となる。また、実際に上層電極や配線との接続に際しては、該TFT電極及び配線上に形成されたSiO2やSiNからなる層間絶縁膜に、フッ酸系のエッチング液を用いたウエットエッチング法、またはフッ素系のガスを用いたドライエッチング法によりスルーホールを開口する必要があるが、Alを含む該第二の多元合金層を上層に用いることにより、これらのスルーホール開口プロセスに対する耐性向上も容易となる。
【実施例2】
【0039】
図2は、本発明の実施例2である表示装置の画素を構成するスタガ型TFTとして、逆スタガ型TFTへの適用例を説明する要部断面図である。
【0040】
実施例1と異なる点は、実施例1の構成において、該第一、及び第二の合金層の上層に、高融点金属または高融点金属の合金からなる第三の合金層2cを設けた三層積層のゲート電極配線2とした点である。つまり、ゲート電極及びゲート配線は、第二の合金層2bに対して、第一の合金層2aが配置された側とは反対側に積層配置され、高融点金属のうち少なくとも1つからなる第三の合金層2cを有する点である。
【0041】
実施例2の三層積層配線構成においては、希土類添加元素と高融点金属とAlとからなる該第二の合金層2bについては、実施例1と同様の方法で形成することももちろん可能であるが、該第一の合金層2a上に該第三の合金層2cを積層後に熱処理工程を設け、該第一の合金層2aに含まれるAlと希土類元素、該第三の合金層2cに含まれる高融点金属との界面相互反応の結果として、該第二の合金層2bを形成することもできる。
【0042】
まず、ガラス基板を好適とする絶縁性基板1の上に、絶縁性基板1側から順に、低抵抗層の役割を担うAl合金層からなる第一の合金層2aと、該第一の合金層の上層に位置し、ヒロック,ボイド抑制層となる該第二の合金層2bを形成するための高融点金属供給層となる第三の合金層2cを連続形成した。本発明では、第一の合金層2aは、希土類元素として、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu、のうちの少なくともひとつを含むAl合金膜で形成され、第三の合金層2cは、高融点金属として、Mo,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,W、のうちの少なくともひとつ、またはこれらの金属の合金であり、より望ましくはMo、またはMoとの合金膜それぞれ形成される。上記の合金膜はいずれも、これらの組成からなる合金ターゲットを用いたスパッタリング法で形成することができる。本実施例では、第一の合金層2aの元になる合金層としてNdとAlの2元合金を、第三の合金層2cとしてMo膜をそれぞれ形成した。膜厚は、それぞれ450nm,100nmとした。次に、この積層膜を、ホトリソグラフィー法を用いてゲート電極配線2のパターンに一括加工した。
【0043】
次に、真空中450℃で熱処理することにより、該第一の合金層2aと該第三の合金層2cとの積層界面に、界面相互反応を利用して、NdとMoとAlとの第二の合金層2bを形成した。第二の合金層2bの膜厚は50nmとし、低抵抗に寄与する該第一のAl合金層2aの膜厚については、第二の合金層2bの形成膜厚分だけ予め厚く形成することで、配線抵抗を確保した。
【0044】
次に、このゲート電極配線2上にゲート絶縁膜3を形成した。以降の工程は、実施例1と同様な方法で、本発明のゲート電極配線2,半導体層4を有する逆スタガ型TFTを形成した。
【0045】
上記の実施例2において、該第二の合金層2b形成に必要な熱処理工程については、そのまま高耐熱性を要する多結晶Si膜形成工程で兼用することも可能である。この場合、耐熱性確保を同時に行うことができる分、余分な熱処理工程増加を回避できる。また、400℃以上の熱処理工程が確保できれば、ゲート絶縁膜3の形成工程で兼用することももちろん可能である。
【0046】
図8は、実施例2において、本発明者等が実験により得た、該第二の合金層2bの形成例である。希土類元素としてNdを、高融点金属としてMoを用いた場合であり、該第二の合金層2bとして、NdとMoとAlとの3元合金が形成される。縦軸は第二の合金層2bの形成膜厚、横軸は熱処理温度で示した。400℃以上の熱処理で、該第二の合金層2bを制御性良く形成できることがわかる。
【0047】
図9は、実施例2において、希土類元素としてCeを、高融点金属としてMoを用いた場合の、該第二の合金層2bの形成例である。この場合は、該第二の合金層2bとして、CeとMoとAlとの3元合金が形成される。上記した図8の場合と同様に、400℃以上の熱処理で、該第二の合金層2bを制御性良く形成できることがわかる。
【0048】
上記した実施例では、該希土類元素としてNd,Ceを用いた場合を説明したが、Nd,Ceに替わって、Sc,Y,La,Pr,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm、Yb、Luを用いることができる。また、上記した実施例では、高融点金属としてMoを用いた場合を説明したが、Moに替わってTi,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,Wを用いることももちろん可能である。
【0049】
上記した実施例では、該第二の合金層2bを界面相互反応により連続形成できるため、該第一の合金層2a中のAl原子の移動をより制限することができる。また、該第二の合金層2bは、膜厚方向に一様に均一形成されるため、該第一の合金層2a、及び該第二の合金層2bへの局所的な応力集中や応力緩和を防ぐことができ、ヒロックやボイドの発生や成長を大幅に抑制できる。
【0050】
このように三層積層の配線構成においては、希土類添加元素と高融点金属とAlとからなる第二の合金層については、第一の合金層上に第三の合金層を積層後に熱処理工程を設け、第一の合金層に含まれるAlと希土類元素、第三の合金層に含まれる高融点金属との界面相互反応の結果として、第二の合金層を形成することができる。
【0051】
本発明者等の検討結果によれば、界面相互反応の発現温度は該して400℃以上であった。これにより、第二の合金層形成に必要な熱処理工程を、そのまま高耐熱性を要する多結晶Si膜形成工程で兼用することが可能となり、耐熱性確保を同時に行うことができる分、工程増加についても回避できる。この場合、第一の合金層と該第二の合金層とに含まれる希土類添加元素の種類は同一となる。
【0052】
また、界面相互反応の結果として、低抵抗に寄与する該第一のAl合金層の膜厚については界面反応分だけロスが発生するが、ロス膜厚分を予め厚く形成することで抵抗増加についても回避できる。
【0053】
一方で、第二の合金層形成,析出反応に消費されるため、第一の合金層中の希土類添加元素の界面への拡散が促進され、その分については第一の合金層中の希土類添加元素濃度を実質的に低減することができる。その分、第一の合金層の比抵抗を純Alに近づけることができ、比抵抗低減が可能となる。この場合も、上記の拡散促進により、多元合金として析出する第二の合金層中の希土類添加元素濃度は、第一の合金層を構成するAl合金層中の希土類添加元素の濃度よりも高くなる。
【0054】
また、第一の合金層と該第三の合金層との界面相互反応の結果として第二の合金層が形成されるため、第一の合金層中の結晶粒や結晶粒界とのつながりを膜厚方向に維持した状態で、第二の合金層を連続形成することができる。これにより、膜厚方向に連続形成した第二の合金層中の結晶粒の存在で、第一の合金層中の結晶粒や結晶粒界の位置を規制できるため、第一の合金層中のAl原子の移動を、膜厚方向のみならず面内方向へもより制限することができ、電極や配線表面のみならず側面においてもボイドやヒロックの成長を抑制できる。また、第二の合金層を反応形成する過程で、第一の合金層にかかる膜応力も緩和される。
【0055】
また、界面相互反応の結果として連続形成した第二の合金層は、第一の合金層上を全面被覆するように膜厚方向に一様に形成されるため、第二、及び第一の合金層への局所的な応力集中や、第一の合金層中の局所的な応力緩和を防ぐことができ、該合金層中のAl原子の移動を一様に抑制できる。
【0056】
また、第一の合金中にボイドが発生,成長した場合においても、上層に膜厚方向に一様に形成された該第二の合金層部分で配線経路が確保されるため、ボイドによる断線を回避できる。
【0057】
上記した、本発明の積層配線の断面構成に関しては、Al,Mo,希土類元素の膜厚方向の各濃度分布を評価することで調べることが可能である。分析手段としては、例えばAES(Auger Electron Spectrometer),SIMS(Secondary ion mass spectrometry)等の深さ方向組成分析法を用いることができる。
【0058】
図10に、実施例2において、希土類元素としてNdを、高融点金属としてMoを用いた場合の、該ゲート電極配線膜2の深さ方向AES組成分析例を示した。縦軸は積層膜、及び絶縁性基板の構成要素であるNd,Mo,Al,Oの各組成比、横軸は膜厚方向のスパッタリング時間である。絶縁性基板1側から順に、希土類とAlの合金層からなる該第一の合金層2a,Nd,Mo,Alからなる該第二の合金層2b、Moからなる該第三の合金層2cが順次積層されている様子がわかる。該第二の合金層の主成分はAlであり、また、該第二の合金層中の希土類添加元素であるNdの濃度は、該第一の合金層中の2at%に対して、該第二の合金層中で7at%と高くできていることがわかる。これにより、該第一の合金層の役割である低抵抗性確保と、該第二の合金層の役割であるヒロック,ボイド抑制との両立がより容易となる。上記特性の両立の観点から、本発明の該第二の合金層中の該希土類添加元素濃度は、望ましくは1〜10at%、より望ましくは2〜7at%とした。また、該第一のAl合金層中の希土類添加元素濃度は、望ましくは0.01〜3at%、より望ましくは0.05〜2at%とした。
【実施例3】
【0059】
図3は、本発明の実施例3である表示装置の画素を構成するスタガ型TFTとして、逆スタガ型TFTへの適用例を説明する要部断面図である。
【0060】
実施例2と異なる点は、実施例2の構成において、該第一の合金層の下層に、希土類元素と高融点金属とAlとの合金からなる第四の合金層2dを設けた4層積層のゲート電極配線2とした点である。つまり、ゲート電極及びゲート配線は、第一の合金層に対して、第二の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、希土類元素のうち少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第四の合金層2dを有する点である。
【0061】
該第四の合金層2dの存在により、該第一の合金層2a中のAl原子の電極や配線表面及び側面への移動を、該第一の合金層2aの下層界面側からも制限できるため、上記した該第二,第三の合金層2b,2cを上層に積層した場合に比べて、ヒロックやボイドの発生をより抑制することが可能となる。該第四の合金層2dは、実施例1の該第二の合金層2bと同様な方法で形成することができる。
【実施例4】
【0062】
図4は、本発明の実施例4である表示装置の画素を構成するスタガ型TFTとして、逆スタガ型TFTへの適用例を説明する要部断面図である。
【0063】
実施例3と異なる点は、実施例3の構成において、該第四の合金層の更に下層に、高融点金属または高融点金属の合金からなる第五の合金層2eを設けた五層積層のゲート電極配線2とした点である。つまり、ゲート電極及びゲート配線は、第四の合金層に対して、第一の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、高融点金属のうちの少なくとも1つからなる第五の合金層を有する点である。
【0064】
本実施例では、希土類添加元素と高融点金属とAlとからなる該第四の合金層2dについては、実施例1と同様の方法で形成することももちろん可能であるが、実施例2の三層積層配線構成と同様に、該第一の合金層2a上に該第五の合金層2eを積層後に熱処理工程を設け、該第一の合金層2aに含まれるAlと希土類元素、該第五の合金層2eに含まれる高融点金属との界面相互反応の結果として、該第四の合金層2dを形成することもできる。
【0065】
界面相互反応での形成によれば、第一の合金層中の結晶粒や結晶粒界とのつながりを膜厚方向に維持した状態で第四の合金層が連続形成されるため、第一の合金層中の結晶粒や結晶粒界の位置を下層界面側からも規制できる。これにより、第一の合金層中のAl原子の移動をより制限することができ、ボイドやヒロックの成長を更に抑制できる。但し、界面相互反応の結果として、低抵抗に寄与する該第一のAl合金層の膜厚については、上層と下層、両界面反応分のロスが発生するため、その分を予め厚く形成する必要がある。
【0066】
まず、ガラス基板を好適とする絶縁性基板1の上に、絶縁性基板1側から順に、該第一の合金層の下層に位置し、ヒロック,ボイド抑制層となる該第四の合金層2dを形成するための高融点金属供給層となる第五の合金層2eと、低抵抗層の役割を担うAl合金層からなる第一の合金層2aと、該第一の合金層の上層に位置し、ヒロック,ボイド抑制層となる該第二の合金層2bを形成するための高融点金属供給層となる第三の合金層2cを連続形成した。本発明では、第一の合金層2aは、希土類元素として、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu、のうちの少なくともひとつを含むAl合金膜で形成され、第三の合金層2c及び第五の合金層2eは、高融点金属として、Mo,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,W、のうちの少なくともひとつ、またはこれらの金属の合金であり、より望ましくはMo、またはMoとの合金膜それぞれ形成される。上記の合金膜はいずれも、これらの組成からなる合金ターゲットを用いたスパッタリング法で形成することができる。本実施例では、第一の合金層2aの元になる合金層としてNdとAlの2元合金を、第三の合金層2c、及び第五の合金層2eとしてMo膜をそれぞれ形成した。膜厚は、それぞれ450nm,100nm,100nmとした。次に、この積層膜を、ホトリソグラフィー法を用いてゲート電極配線2のパターンに一括加工した。
【0067】
次に、真空中450℃で熱処理することにより、該第一の合金層2aと該第三の合金層2c、及び該第一の合金層2aと該第五の合金層2eとの積層界面に、界面相互反応を利用して、NdとMoとAlとの第二の合金層2b、及び第四の合金層2dをそれぞれ形成した。第二の合金層2b、及び第四の合金層2dの膜厚はそれぞれ50nmとし、低抵抗に寄与する該第一の合金層2aの膜厚については、第二の合金層2b、及び第四の合金層2dの形成膜厚分だけ予め厚く形成することで、配線抵抗を確保した。
【0068】
図11に、実施例4において、希土類元素としてNdを、高融点金属としてMoを用いた場合の、該ゲート電極配線2の深さ方向AES組成分析例を示した。縦軸は積層膜、及び絶縁性基板の構成要素であるNd,Mo,Al,Oの各組成比、横軸は膜厚方向のスパッタリング時間である。深さ方向分析時のサンプリングのためのスパッタリングのばらつきと、絶縁性基板1のチャージアップの影響で、絶縁性基板1側に位置する該第五の合金層中のプロファイルにだれが認められるものの、絶縁性基板1側から順に、Moからなる該第三の合金層2c、Nd,Mo,Alからなる該第四の合金層2d、希土類とAlの合金層からなる該第一の合金層2a、Nd,Mo,Alからなる該第二の合金層2b、Moからなる該第三の合金層2cが順次積層されている様子がわかる。該第二、及び第四の合金層の主成分はAlであり、また、該第二、及び第四の合金層中の希土類添加元素であるNdの濃度は、該第一の合金層中の0.5at%に対して、該第二、及び該第四の合金層中で5at%と高くできていることがわかる。これにより、該第一の合金層の役割である低抵抗性確保と、該第二、及び第四の合金層の役割であるヒロック,ボイド抑制との両立がより容易となる。
【0069】
表1は、実施例2及び実施例4で説明した、三層積層及び五層積層構成を、下層電極配線構造に適用して得られた、ヒロック,ボイド抑制効果を示す例である。希土類添加元素としてNdまたはCeを、高融点金属としてMoを用い、プロセスの熱処理温度は450℃とした。サイズ毎のヒロック,ボイドの数を、倍率2000倍での表面SEM観察により求めた。いずれの場合も、本発明の三層積層及び五層積層構成を適用することで、第一の合金層2aを単層で用いる場合に比べて、ヒロック,ボイドの数及びサイズを大幅に抑制できていることがわかる。
【0070】
【表1】

【0071】
上記の第二から第四の実施例において、該高融点金属としてMoを選択した構成においては、燐酸,酢酸,硝酸の混酸水溶液を用いることで、該第三の合金層2c、及び該第五の合金層2eについても、該第一、及び第二、及び第四の合金層を構成するAl合金層との一括加工が容易となり、その分ホトリソグラフィー工程の増加についても避けることができる。
【0072】
また、第一の合金層の下層に、第四の合金層、第五の合金層を設けた場合についても、同様に一括加工が可能となる。また、AlとMoはエピタキシャル方位の整合が良いため結晶成長が連続しやすく、Al原子の移動を阻害する結晶粒、結晶粒界の維持という点でも有利である。
【0073】
以上は、逆スタガ型TFTへ適用した例について記述したが、後述の実施例で示すように、正スタガ型のTFTに適用することも可能である。
【実施例5】
【0074】
図5は、本発明の実施例5である表示装置の画素を構成するスタガ型TFTとして、正スタガ型TFTへの適用例を説明する要部断面図である。
【0075】
本実施例では、マトリックス状に配置された複数の画素と、この画素を駆動するTFTを有する表示装置において、そのTFTは、絶縁基板上に、ソース電極及びドレイン電極,絶縁膜,半導体層,ゲート電極をこの順で配置した正スタガ型のTFTであり、そのTFTは、ゲート電極に接続するゲート配線と、ソース電極及びドレイン電極に接続するドレイン配線を有し、ソース電極及びドレイン電極、及びドレイン配線は、TFTの半導体層よりも絶縁基板側に配置された構造である。
【0076】
正スタガ型TFTの場合には、本発明が適用される電極及び配線は、高温形成が必要なチャネル半導体層よりも下層に配置されるソース電極配線、及びドレイン電極配線となる。
【0077】
まず、ガラス基板を好適とする絶縁性基板1の上に、絶縁性基板1側から順に、低抵抗層の役割を担うAl合金層からなる第一の合金層7a,8aと、第一の合金層7a,8aの上層に位置し、ヒロック,ボイド抑制層となる第二の合金層7b,8bと、高融点金属または高融点金属の合金からなる第三の合金層7cをを連続形成して、本実施例のソース電極配線7,ドレイン電極配線8となる積層膜を形成した。なお、実施例2と同様に第一の合金層7a上に第三の合金層7cを積層後に熱処理工程を設け、第一の合金層7aに含まれるAlと希土類元素、第三の合金層6cに含まれる高融点金属との界面相互反応の結果として、第二の合金層7bを形成することもできる。
【0078】
本発明では、第一の合金層7a,8aは、希土類元素として、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu、のうちの少なくとも1つを添加元素として含むAl合金膜で形成され、第二の合金層7b,8bは、上記の希土類元素のうちの少なくともひとつと、高融点金属として、Mo,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,W、のうちの少なくともひとつを含むAlとの合金膜で形成され、第三の合金層7cは、高融点金属として、Mo,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,W、のうちの少なくともひとつ、またはこれらの金属の合金であり、より望ましくはMo、またはMoとの合金膜で、それぞれ形成される。上記の合金膜はいずれも、これらの組成からなる合金ターゲットを用いたスパッタリング法で形成することができる。
【0079】
本実施例では、第一の合金層7a,8aとしてCeとAlの2元合金を、第二の合金層7b,8bとしてCeとMoとAlとの3元合金膜を、第三の合金層2cとしてMo膜を、それぞれ形成した。膜厚は、それぞれ300nm,50nm,50nmとした。次に、この積層膜を、ホトリソグラフィー法を用いてソース電極配線7,ドレイン電極配線8のパターンに加工した。
【0080】
次に、このソース,ドレイン電極配線7,8上に、コンタクト層であるドープ層5,6となるn+Si膜を、プラズマCVD法で形成した。膜厚は30nmとした。ちなみにドープ層5,6の極性についてはp+Si膜に限定されるものではなく、画素回路のTFT構成により任意にp+Si膜に変更することが可能であることは言うまでもない。この後、ホトリソグラフィーを用いて、上層のn+Si膜毎、ソース電極配線7、及びドレイン電極配線8を一括加工した。
【0081】
次に、ドープ層5,6上に、半導体層4として、反応ガスとしてGeF4とSi26の組合せを用いた熱CVD法で多結晶Si膜を、基板温度450℃の高温で形成した。膜厚は100nmとした。この後、ホトリソグラフィーを用いて、ドープ層5,6であるn+Si膜と半導体層4との積層膜を、島状に一括加工した。これにより、半導体層4とのコンタクト部分を除いた、ソース電極配線7,ドレイン電極配線8上のn+Si膜を除去して、コンタクト層を形成した。
【0082】
次に、この半導体層4、及びソース電極配線7,ドレイン電極配線8上にゲート絶縁膜3を形成した。ゲート絶縁膜3の材料としては、SiO2やSiN等を用いることができる。これらの膜はプラズマCVD法またはスパッタリング法等で成膜できる。または、プラズマ酸化,光酸化などを併用しても良い。本実施例では、TEOSを用いたプラズマCVD法により形成したSiO2膜を用いた。膜厚は150nmとした。
【0083】
次に、この上に、ゲート電極配線2を形成した。これらについては、半導体層4の形成後でありプロセスの上限温度を低くできることから、低抵抗金属であるAl,Cu,Ag、またはその合金、またはこれらを含む積層膜を用いることができる。本実施例では、コンタクト特性との両立を考慮してMo/AlSi合金/Mo積層膜をスパッタリング法で形成した。膜厚は40/400/40nmとした。次いで、ホトリソグラフィー法を用いてゲート電極配線2に加工した。
【0084】
次に、ゲート電極配線2上に、保護性絶縁膜10としてSiN膜をプラズマCVD法で形成した。膜厚は500nmとした。次いで、ホトリソグラフィー法を用いて保護性絶縁膜10にスルーホール11を形成した。
【0085】
最後に、画素電極12の電極材料として、反射金属膜や透明導電膜を形成した。本実施例では、画素電極12として透明導電膜であるITO膜をスパッタリング法で形成し、ホトリソグラフィー法を用いて加工した。膜厚は70nmとした。
【0086】
本実施例においても、半導体層4よりも下層に配置された正スタガ型TFTのソース,ドレイン電極配線7,8に、ヒロックやボイドの耐熱性に優れた本発明の合金積層構造を適用することで、通常の多結晶SiTFTプロセスでは使用が限定されるAl合金配線材料を用いることができた。また、低抵抗Alの適用により配線抵抗を大幅に低減できるため、配線抵抗による信号遅延を考慮することなく、容易に表示装置を大型化できる。また、半導体層4に、良好な特性を有する多結晶膜を用いることが可能となるため、移動度が高く、閾値(Vth)シフトが少ない、良好な特性のスタガ型TFTを得ることができ、コスト的にも性能的にも有利な表示装置を提供できる。
【0087】
なお、上記では、実施例2と同様に第三の合金層を有する3層積層構造について説明したが、上記実施例1のように2層積層構造(ソース電極及びドレイン電極、及びドレイン配線は、絶縁基板側から順に、希土類元素のうちの少なくとも1つを添加元素として含むAl合金からなる第一の合金層、希土類元素のうちの少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第二の合金層、と積層配置した構造)、実施例3のように4層積層構造(ソース電極及びドレイン電極、及びドレイン配線は、第一の合金層に対して、第二の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、希土類元素のうち少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第四の合金層を有する構造),実施例4のように5層積層構造(ソース電極及びドレイン電極、及びドレイン配線は、第四の合金層に対して、第一の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、高融点金属のうちの少なくとも1つからなる第五の合金層を有する構造)も同様に正スタガ型TFTにも適用できる。
【実施例6】
【0088】
図6は、本発明の表示装置の実施例6である液晶表示装置への適用例を説明する要部断面図である。
【0089】
この実施例の液晶表示装置は、複数のTFTをマトリクス状に配置されたアクティブマトリクス型液晶表示装置であり、絶縁性基板1と対向する位置に配置された対向基板16と、その絶縁性基板1と対向基板16間に配置された液晶層22と、その液晶層22を挟持する一対の配向膜(配向膜15,20)と、を有し、配向膜20と対向基板16間には、配向膜20側から順に、対向電極19,オーバーコート層18,カラーフィルタ層17を有し、液晶層22中に設けられたスペーサ21を有する。
【0090】
まず、実施例2と同様な方法で、本発明のゲート電極配線2,半導体層4を有する逆スタガ型TFTを形成した。実施例2と異なる点は、保護性絶縁膜10上に、層間絶縁膜13として感光性の有機樹脂を形成した点である。層間絶縁膜13の膜厚は2μmとし、ホトリソグラフィー法を用いて、保護性絶縁膜10と層間絶縁膜13に、接続のためのスルーホール14を開口した。次に、画素電極12として、透明導電膜であるITO膜をスパッタリング法で形成し、ホトリソグラフィー法を用いて加工した。膜厚は70nmとした。次に、画素電極12上に配向膜15を形成した。次に、カラーフィルタ層17,オーバーコート層18,ITO膜からなる対向電極19,配向膜20を順番に形成した対向基板16を、スペーサ21を介して張り合わせた。これに液晶を封入し液晶層22を形成し、液晶表示装置を作製した。
【0091】
本実施例は、画素電極12に対して、液晶層22を介して配置される対向電極(あるいは共通電極)19を対向基板16の側に配置したTN型の液晶表示装置への適用例であるが、対向電極(あるいは共通電極)をTFT基板1の側に配置したIPS型の液晶表示装置についても、同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0092】
前記実施例1〜5で説明したように、耐熱性に優れる本発明のゲート電極配線2を用いたTFTは、電極配線への熱ダメージを回避しつつ、良好な結晶性を有する半導体層4を高温で形成することが可能となる。これにより、オフ電流を10-12A以下に低減でき、良好な特性が安定して得られるため、液晶表示装置の画素駆動に適用した場合においてもリーク電流が小さく、高画質の映像を得ることができた。また、良好な特性を有するスタガ型の多結晶SiTFT構造と、大型化に有利な低抵抗Al合金配線構造を両立でき、コスト的にも性能的にも有利な液晶表示装置を歩留まりよく形成できた。なお、実施例6では、実施例2の逆スタガ型TFTを用いた液晶表示装置への適用例を説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。一例として、実施例5の正スタガ型TFTを用いた場合についても同様に適用可能であることは言うまでもない。
【実施例7】
【0093】
図7は、本発明の表示装置の実施例7である有機発光層を上部電極と下部電極とで挟持された有機発光素子で構成された有機EL表示装置の画素を構成するTFTへの適用例を説明する要部断面図である。
【0094】
まず、実施例2と同様な方法で、本発明のゲート電極配線2を用いた逆スタガ型TFTを形成する。次に、有機EL素子を作製するための平坦化層を兼ねて、感光性有機樹脂からなる層間絶縁膜13を形成した。膜厚は2μmとし、ホトリソグラフィー法を用いて、保護性絶縁膜10と層間絶縁膜13に、接続のためのスルーホール14を開口した。次に、この層間絶縁膜13の上に、有機EL素子の下部電極23を形成後、この下部電極23上に、有機EL素子の電荷輸送層24,発光層25,電荷輸送層26を蒸着法などにより形成し、さらに上部電極27として透明導電膜を蒸着やスパッタリング法などで形成し、封止層28を形成して、有機EL表示装置を作製した。
【0095】
また、この画素は、画素を駆動するTFTを備えたTFT駆動回路を表示装置の周辺回路として備え、このTFTにも、上記実施例1〜5の積層合金層を適用することができる。
【0096】
前記実施例1〜5で説明したように、耐熱性に優れる本発明のゲート電極配線2を用いたTFTは、電極配線への熱ダメージを回避しつつ、良好な結晶性を有する半導体層4を高温で形成することが可能となる。これにより、移動度5cm2/VS以上を容易に達成できる。有機EL素子の駆動に適した、移動度が高く、閾値(Vth)シフトが少ない、良好な特性のスタガ型TFTを安定して得ることができるため、作製した有機EL素子は、高輝度で長寿命の特性を示した。また、良好な特性を有するスタガ型の多結晶SiTFT構造と、大型化に有利な低抵抗Al合金配線構造を両立でき、コスト的にも性能的にも有利な有機EL表示装置を歩留まりよく形成できた。なお、実施例7では、実施例2の逆スタガ型TFTを用いた有機EL表示装置への適用例を説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されない。実施例5の正スタガ型TFTを用いた場合においても同様に適用可能であることは言うまでもない。
【0097】
尚、上記した実施例1〜7では、液晶表示装置や、有機EL表示装置等のアクティブ駆動型表示装置のTFT、画素回路への適用例を説明したが、本発明の実施形態はこれに限定されず、これらの表示装置の周辺に設ける駆動回路用のTFTにも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0098】
【図1】本発明に係る逆スタガ型TFTの表示装置の実施例1を示す断面図である。
【図2】本発明に係る逆スタガ型TFTの表示装置の実施例2を示す断面図である。
【図3】本発明に係る逆スタガ型TFTの表示装置の実施例3を示す断面図である。
【図4】本発明に係る逆スタガ型TFTの表示装置の実施例4を示す断面図である。
【図5】本発明に係る正スタガ型TFTの表示装置の実施例5を示す断面図である。
【図6】本発明に係る逆スタガ型TFTの液晶表示装置の実施例6を示す断面図である。
【図7】本発明に係る逆スタガ型TFTの有機EL表示装置の実施例7を示す断面図である。
【図8】本発明の実施例2における第二の合金層2bの形成例を示す図である。
【図9】本発明の実施例2における第二の合金層2bの他の形成例を示す図である。
【図10】本発明の実施例2におけるAES分析例を示す図である。
【図11】本発明の実施例4におけるAES分析例を示す図である。
【符号の説明】
【0099】
1 絶縁性基板
2 ゲート電極配線
2a,7a,8a 第一の合金層
2b,7b,8b 第二の合金層
2c,7c,8c 第三の合金層
2d 第四の合金層
2e 第五の合金層
3 ゲート絶縁膜
4 半導体層
5,6 ドープ層
7 ソース電極配線
8 ドレイン電極配線
9 チャネル領域
10 保護性絶縁層
11,14 スルーホール
12 画素電極
13 層間絶縁膜
15,20 配向膜
16 対向基板
17 カラーフィルタ層
18 オーバーコート層
19 対向電極
21 スペーサ
22 液晶層
23 下部電極
24,26 電荷輸送層
25 発光層
27 上部電極
28 封止層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マトリックス状に配置された複数の画素と、この画素を駆動するTFTを有する表示装置であって、
前記TFTは、絶縁基板上に、ゲート電極,絶縁膜,半導体層,ソース電極及びドレイン電極をこの順で配置した逆スタガ型のTFTであり、
前記TFTは、前記ゲート電極に接続するゲート配線と、前記ソース電極及びドレイン電極に接続するドレイン配線を有し、
前記ゲート電極及び前記ゲート配線は、前記TFTの前記半導体層よりも前記絶縁基板側に配置され、
前記ゲート電極及び前記ゲート配線は、前記絶縁基板側から順に、希土類元素のうちの少なくとも1つを添加元素として含むAl合金からなる第一の合金層、希土類元素のうちの少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第二の合金層、が積層配置された表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
前記ゲート電極及び前記ゲート配線は、前記第二の合金層に対して、前記第一の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、高融点金属のうち少なくとも1つからなる第三の合金層を有する表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の表示装置において、
前記ゲート電極及び前記ゲート配線は、前記第一の合金層に対して、前記第二の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、希土類元素のうち少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第四の合金層を有する表示装置。
【請求項4】
請求項3記載の表示装置において、
前記ゲート電極及び前記ゲート配線は、前記第四の合金層に対して、前記第一の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、高融点金属のうちの少なくとも1つからなる第五の合金層を有する表示装置。
【請求項5】
マトリックス状に配置された複数の画素と、この画素を駆動するTFTを有する表示装置であって、
前記TFTは、絶縁基板上に、ソース電極及びドレイン電極,絶縁膜,半導体層,ゲート電極をこの順で配置した正スタガ型のTFTであり、
前記TFTは、前記ゲート電極に接続するゲート配線と、前記ソース電極及びドレイン電極に接続するドレイン配線を有し、
前記ソース電極及びドレイン電極、及び前記ドレイン配線は、前記TFTの前記半導体層よりも前記絶縁基板側に配置され、
前記ソース電極及びドレイン電極、及び前記ドレイン配線は、前記絶縁基板側から順に、希土類元素のうちの少なくとも1つを添加元素として含むAl合金からなる第一の合金層、希土類元素のうちの少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第二の合金層、が積層配置された表示装置。
【請求項6】
請求項5記載の表示装置において、
前記ソース電極及びドレイン電極、及び前記ドレイン配線は、前記第二の合金層に対して、前記第一の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、高融点金属のうち少なくとも1つからなる第三の合金層を有する表示装置。
【請求項7】
請求項5記載の表示装置において、
前記ソース電極及びドレイン電極、及び前記ドレイン配線は、前記第一の合金層に対して、前記第二の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、希土類元素のうち少なくとも1つと高融点金属のうちの少なくとも1つとAlとの合金からなる第四の合金層を有する表示装置。
【請求項8】
請求項7記載の表示装置において、
前記ソース電極及びドレイン電極、及び前記ドレイン配線は、前記第四の合金層に対して、前記第一の合金層が配置された側とは反対側に積層配置され、高融点金属のうちの少なくとも1つからなる第五の合金層を有する表示装置。
【請求項9】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記希土類元素は、Sc,Y,La,Ce,Pr,Nd,Sm,Eu,Gd,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu、のうちの少なくとも1つである表示装置。
【請求項10】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記高融点金属は、Mo,Ti,Zr,Hf,V,Nb,Ta,Cr,W、のうちの少なくとも1つ、またはこれらの金属の合金である表示装置。
【請求項11】
請求項9記載の表示装置において、
前記高融点金属は、Mo、またはMoとの合金である表示装置。
【請求項12】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記第二の合金層は、Alを主成分とし、前記希土類元素の濃度は、前記第一の合金層の前記希土類元素の濃度よりも高い表示装置。
【請求項13】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記第二の合金層の前記希土類元素の濃度は、1〜10at%であり、
前記第一の合金層の前記希土類元素の濃度は、0.01〜3at%である表示装置。
【請求項14】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記第二の合金層の膜厚は、5〜200nmである表示装置。
【請求項15】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記第一の合金層の前記添加元素は、Si,Cu,Mg,Niのうちの少なくとも1つを含む表示装置。
【請求項16】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記半導体層は、SiまたはSiGeの多結晶膜を含む表示装置。
【請求項17】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記絶縁基板と対向する位置に配置された対向基板と、
前記絶縁基板と前記対向基板間に配置された液晶層と、
前記液晶層を挟持する一対の配向膜と、
を有する表示装置。
【請求項18】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記画素は、有機発光層を上部電極と下部電極とで挟持された有機発光素子で構成され、
前記画素は、前記画素を駆動するTFT駆動回路を有する表示装置。
【請求項19】
請求項1または請求項5記載の表示装置において、
前記マトリクス状に配置された前記画素と共に、前記TFTを具備した周辺回路を有する表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−87068(P2010−87068A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−252131(P2008−252131)
【出願日】平成20年9月30日(2008.9.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】