説明

ブタン酸誘導体、その調製方法、それらを含む医薬組成物およびその治療用途

式(I)の化合物であって、式中R、R1およびR2が明細書において定義されている通りである化合物、異常脂質血症、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の治療のためのそれらの使用、それらを含む医薬組成物、ならびに、これらの化合物の調製方法。式(I)の化合物は、PPARαおよびPPARγアイソフォームの活性化剤である。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、異常脂質血症、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の治療に使用することができる四置換ブタン酸誘導体に、それらを含む医薬組成物に、またこれらの化合物の調製方法に関する。本発明はまた、異常脂質血症、アテローム性動脈硬化症および糖尿病治療用の薬物を調製するためのこれらの化合物の使用にも関する。
【背景技術】
【0002】
大抵の国において、循環器疾患は、主要な疾病および主要な死亡原因の1つにとどまっている。約3分の1の人が、年令60才の前に循環器疾患を発現し、女性はより低い危険性(1対10の比率)を示している。年令が進むと(65才以後は、女性も男性同様に循環器疾患にかかり易くなる)、この疾患はより一層規模が拡大する。冠状動脈疾患、脳卒中、再狭窄および末梢血管疾患などの血管性疾患は、世界的に主要な死亡および身体障害の原因にとどまっている。
【0003】
食事および生活様式が循環器疾患の発現を促進する可能性がある一方、異常脂質血症へと導く遺伝的素因は、循環器性の偶発症候および死亡における重要な因子である。
【0004】
アテローム性動脈硬化症の発現は、血漿中のリポタンパク質の異常なレベルを意味する異常脂質血症と主として関連しているように見える。この機能異常は、冠状動脈疾患、糖尿病および肥満症において特に顕われる。
【0005】
アテローム性動脈硬化症の発現を説明しようとする概念は、コレステロールの代謝に、またトリグリセリドの代謝に主として焦点を合せていた。
【0006】
しかし、Randleらの研究(Lancet、1963、785〜789)以来、新規な概念:グルコース−脂肪酸サイクルまたはRandleサイクル、が提案されており、この概念は、トリグリセリドおよびコレステロールに関する脂質の代謝と、グルコースの酸素化との間の平衡の調節を記述するものである。この概念に従って本発明者らは、新規なプログラムを開発しており、その目標は、脂質代謝とグルコース代謝に同時に作用する新規な化合物を見出すことである。
【0007】
フィブラートは、「ペルオキシソーム増殖活性化受容体(Peroxisome Proliferator Activated Receptors)」(PPAR)を介した作用機序によるよく知られている治療剤である。これらの受容体は、肝臓における脂質代謝の主な制御因子(PPARαアイソフォーム)である。最近の10年間、チアゾリジンジオンがヒトおよび動物における強力な血糖降下剤として記述されている。チアゾリジンジオンは、他のアイソフォームであるPPARs:PPARγの強力な選択的活性化剤であると報告されている(Lehmann et al.、J.Biol.Chem.、(1995)、270、12953〜12956)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者らは、PPARαおよびPPARγアイソフォームの強力な活性化剤である新規な種類の化合物を発見している。この活性の結果として、これらの化合物は、実質的な脂質低下および血糖降下効果を有する。
【0009】
より具体的には、本発明は、下記の式(I)のブタン酸由来の化合物であって:
【0010】
【化1】

【0011】
上式において、
Rは、水素原子およびC1〜C10アルキル基から選択され、
1およびR2は、同一または異なってもよく、
A.:
1が、
・2つ〜5つの同一のまたは異なった置換基Gを有する(C6〜C18)アリール基、
・置換基Gを有する(C6〜C18)アリール基であって、それ自体、場合によって置換された(C6〜C18)アリール基、ならびに/またはO、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員単環式複素環基を含むもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
および、
・酸素、窒素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員単環式複素環基、
から選択され;
かつ、この場合、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/または、その核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
および、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員単環式芳香族複素環基、
から選択されるか、
あるいは、
B.:
2が、
・(C6〜C18)アリール基により置換されている(C6〜C18)アリール基であって、それ自体、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合により縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員単環式芳香族複素環基、
から選択され、
かつ、この場合、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を有する飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・酸素、窒素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員単環式複素環基、
から選択されるか、
のいずれかのように選択される化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのそれらの付加塩
[但し、R2が、芳香族もしくはヘテロ芳香族基により置換されていないフェニル基を表す場合、R1は、それ自体フェニルまたはナフチル基により置換されているフェニル基を表すことができない。]に関する。
【0012】
このような化合物は米国特許第3378582号およびフランス特許第1476525号、中において開示されており、それらはコレステロール低下活性のある、アリール置換基を有するある種のアルカン酸を記述している。
【0013】
式(I)の化合物の塩を形成するために使用することができる酸は、無機酸または有機酸である。得られる塩は、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、2−ナフタレンスルホン酸塩およびパラ−トルエンスルホン酸塩である。
【0014】
式(I)の化合物の塩を形成するため使用することができる塩基は、無機または有機塩基である。得られる塩は、例えば金属、特にアルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属(ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムまたはアルミニウムなど)と、あるいは塩基、例えばアンモニアまたは第二級もしくは第三級アミン(ジエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンまたはモルホリンなど)と、または塩基性アミノ酸と、またはオサミン(メグルミンなど)と、またはアミノアルコール(3−アミノブタノールおよび2−アミノエタノールなど)と形成される塩である。
【0015】
本発明は、特に医薬として許容できる塩を包含するが、キラルアミンにより得られる塩などの式(I)の化合物の適切な分離または晶出が可能である塩をも包含する。
【0016】
本発明は、式(I)の化合物の立体異性体をも包含し、かつあらゆる割合における立体異性体の混合物をも包含する。
【0017】
上記の式(I)の化合物は、これらの化合物のプロドラッグをも包含する。
【0018】
用語「プロドラッグ」は、患者に投与すると、生体により化学的にかつ/または生物学的に式(I)の化合物に変換される化合物を意味する。
【0019】
本発明により、用語「アリール基」は、好ましくは炭素原子6〜18個を含む、単環式または多環式の炭素環状芳香族基を意味する。挙げることができるアリール基には、フェニル、ナフチル、アントリルおよびフェナントリル基が含まれる。
【0020】
用語「アルキル」は、炭素原子1〜10個、さらに好ましくは炭素原子1〜6個、例えば炭素原子1〜4個を含む、直鎖もしくは分岐の炭化水素をベースとする鎖を意味する。
【0021】
アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、2−メチルブチル、1−エチルプロピル、ヘキシル、イソヘキシル、ネオヘキシル、1−メチルペンチル、3−メチルペンチル、1,1−ジメチルブチル、1,3−ジメチルブチル、1−エチルブチル、1−メチル−1−エチルプロピル、ヘプチル、1−メチルヘキシル、1−プロピルブチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、1−メチルヘプチル、2−メチルヘキシル、5,5−ジメチルヘキシル、ノニル、デシル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオクチルおよび7,7−ジメチルオクチルである。
【0022】
他に言及しない限り、複素環基は、一般にO、SおよびNから、場合によっては酸化された形態で(SおよびNの場合)、選択されるヘテロ原子を含む単環または多環基である。
【0023】
複素環を構成する少なくとも1つの単環は、1〜4個の環内へテロ原子、さらにより好ましくは1〜3個のへテロ原子を含むことが好ましい。
【0024】
本発明により、多環式複素環核は、そのそれぞれが5〜8員である、1つまたは複数の単環からなる。
【0025】
5〜8員単環式芳香族複素環基の例は、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、フラザン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、チアジン、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、トリアゾールおよびチアジアゾールなどのヘテロアリールである。
【0026】
挙げてもよい好ましいヘテロアリール基には、ピリジル、ピリミジニル、トリアゾリル、チアジアゾリル、オキサゾリル、チアゾリルおよびチエニル基が含まれる。
【0027】
上記において定義した複素環基の中で、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する5〜8員単環式芳香族複素環基の例は、フランおよびチオフェンなどのヘテロアリールである。
【0028】
複素環として少なくとも1個の窒素原子を含有する6〜8員単環式芳香族複素環基の例は、ピリジン、チアジン(チアジアジンおよびジチアジンを含む)、トリアジン、ピリダジン、ピラジンおよびピリミジンである。
【0029】
挙げてもよい好ましいヘテロアリール基には、ピリジル、ピリミジニル、チアジアゾリルおよびチエニル基が含まれる。
【0030】
飽和もしくは不飽和複素環基は、不飽和部分を有しない複素環基または上記において定義した芳香族複素環基からそれぞれ由来する1つもしくは複数の不飽和部分を含む複素環基である。これらに沿って含まれるものは、ピラン、チオピラン、モルホリンおよびチオモルホリンである。
【0031】
用語「C2〜C10アルケニル基」は、1つまたは複数のエチレン型の不飽和部分、好ましくは1つ〜3つのエチレン性不飽和部分を含有する脂肪族炭化水素をベースとする基を意味する。このようなC2〜C10アルケニル基の好ましい例は、特にビニル基およびCH2=CH−CH2=CH−基から選択される基である。アルケニル基は、好ましくはカルボキシル、(C1〜C6)アルコキシカルボニルおよびフェニルから選択される1つまたは複数の基により、場合によって置換されている。
【0032】
アリールおよび複素環基は、1つまたは複数の下記の基Gにより、場合によって置換されてもよい:
トリフルオロメチル;スチリル;ハロゲン原子;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、かつ下記において定義する1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている単環式、二環式もしくは三環式芳香族複素環基;基Het−CO−、但し、Hetは、上記において定義した芳香族複素環基を表し、1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;C1〜C6アルキレンジイル鎖;C1〜C6アルキレンジオキシ鎖;ニトロ;シアノ;(C1〜C10)アルキル;(C1〜C10)アルキルカルボニル;(C1〜C10)アルコキシカルボニル−A−、但し、Aは(C1〜C6)アルキレン、(C2〜C6)アルケニレンまたは結合を表す;(C3〜C10)シクロアルキル;トリフルオロメトキシ;ジ(C1〜C10)アルキルアミノ;(C1〜C10)アルコキシ(C1〜C10)アルキル;(C1〜C10)アルコキシ;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている(C6〜C18)アリール;(C6〜C18)アリール(C1〜C10)アルコキシ−(CO)n−、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールオキシ−(CO)n−、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールチオ、但し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールオキシ(C1〜C10)アルキル(CO)n−、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている飽和もしくは不飽和の単環式5〜8員複素環;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている(C6〜C18)アリールカルボニル;(C6〜C18)アリールカルボニル−B−(CO)n−、但し、nは0または1であり、Bは(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリール−C−(CO)n−、但し、nは0または1であり、Cは(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている、上記において定義した飽和もしくは不飽和複素環と縮合した(C6〜C18)アリール;(C2〜C10)アルキニル;Tはハロゲン原子、(C6〜C18)アリール、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、(C1〜C6)アルコキシ(C6〜C18)アリール、ニトロ、カルボキシル、(C1〜C6)アルコキシカルボキシルから選択され、Tは、それが飽和もしくは不飽和複素環を置換する場合、オキソを表してもよく、あるいはTは(C1〜C6)アルコキシカルボニル(C1〜C6)アルキル、またはnが0または1である(C1〜C6)アルキルカルボニル((C1〜C6)アルキル)n−を表す。
【0033】
用語「ハロゲン原子」は、塩素、臭素、ヨウ素またはフッ素原子を意味する。単環式、二環式もしくは三環式芳香族複素環基は、一般にO、SおよびNから選択される1個または複数のヘテロ原子を、場合によって酸化された形態で(SおよびNの場合)、含むことが好ましい。複素環を構成する少なくとも1つの単環は、1〜4個の環内へテロ原子、より好ましくは1〜3個のへテロ原子を含むことが好ましい。
【0034】
複素環は、そのそれぞれが5〜8員環である1つまたは複数の単環からなることが好ましい。
【0035】
5〜8員単環式へテロアリールの例は、特に、ピリジン、フラン、チオフェン、ピロール、イミダゾール、チアゾール、イソキサゾール、イソチアゾール、フラザン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、チアジン、オキサゾール、ピラゾール、オキサジアゾール、トリアゾールおよびチアジアゾールである。
【0036】
それぞれの単環が5〜8員である二環式へテロアリールの例は、インドリジン、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インダゾール、ベンズイミダゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチオフラザン、プリン、キノリン、イソキノリン、シンノリン、フタラジン、キナゾリン、キノキサリン、ナフチリジン、ピラゾロトリアジン(ピラゾロ−1,3,4−トリアジンなど)、ピラゾロピリミジンおよびプテリジンから選択される。
【0037】
挙げることができる好ましいヘテロアリール基には、キノリル、ピリジル、ベンゾチアゾリルおよびトリアゾリル基が含まれる。
【0038】
それぞれの単環が5〜8員である三環式へテロアリールは、例えば、アクリジン、フェナジンおよびカルバゾールから選択される。
【0039】
用語「アルキレンジイル鎖」は、上記において定義したアルキル基から水素原子を取り除くことにより得られる直鎖もしくは分岐の脂肪族炭化水素をベースとするタイプの二価基を意味する。アルキレンジイル鎖の好ましい例は、kが2、3、4、5および6から選択される整数を表す鎖−(CH2k−、ならびにC(CH32および−CH2−C(CH32−CH2−鎖である。アルキレンジオキシ鎖は−O−Alk−O−鎖を意味し、但し、Alkは直鎖もしくは分岐アルキレンを表しており、アルキレンは、アルキレンジイルについて上記において定義している通りであると理解される。好ましい意味の−O−Alk−O−は、例えば、−O−C(CH32−O−または−O−CH2−CH2−O−である。
【0040】
用語「アルケニレン」は、1つまたは複数のエチレン性不飽和部分、好ましくは1〜3ヶ所のエチレン性不飽和部分を含有する不飽和アルキレン鎖を定義する。アルキレン鎖の例は、−CH=CH−または−CH=CH−CH=CH−である。
【0041】
3〜C10シクロアルキル基の例は、特にシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチルまたはシクロデシル基である。
【0042】
飽和もしくは不飽和単環式5〜8員複素環は、芳香族複素環の飽和、もしくは不飽和の誘導体である。
【0043】
より詳細にはモルホリン、ピペリジン、チアゾリジン、オキサゾリジン、テトラヒドロチエニル、テトラヒドロフリル、ピロリジン、イソキサゾリジン、イミダゾリジンまたはピラゾリジンを挙げてもよい。
【0044】
用語「アルキニル」は、アセチレンタイプの1つまたは複数の不飽和部分を含有する脂肪族炭化水素をベースとする基を意味する。好ましい例は、−C≡C−である。
【0045】
好ましい式(I)の化合物は、Rが水素原子を表し、R1およびR2が、前述のように定義したものである化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できるそれらの酸または塩基との付加塩である[但し、R2が芳香族もしくはヘテロ芳香族基により置換されていないフェニル基を表す場合、R1は、それ自体フェニルまたはナフチル基により置換されているフェニル基を表すことはできない]。
【0046】
他の好ましい本発明の化合物群は、
1が、置換基Gを有する(C6〜C18)アリール基であって、それ自体、場合によって置換された(C6〜C18)アリール基、ならびに/またはO、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和、もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員単環式複素環基を含むものを表し、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択され、
Rが、上記において定義した通りである、化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できるそれらの酸または塩基との付加塩からなる[但し、R2が芳香族もしくはヘテロ芳香族基により置換されていないフェニル基を表す場合、R1は、それ自体フェニルまたはナフチル基により置換されているフェニル基を表すことができない]。
【0047】
他の好ましい本発明の化合物群は、
1が、場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの;または別法として、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、を表し、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択され、
Rが、上記において定義した通りである化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのそれらの付加塩からなる。
【0048】
他の好ましい本発明の化合物群は、
1が、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員単環式複素環基を表し、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択され、
Rが、上記において定義した通りである化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのそれらの付加塩からなる。
【0049】
他の好ましい本発明の化合物群は、
1が、2つ〜5つの同一のまたは異なった置換基Gを有する(C6〜C18)アリール基を表し、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択され、
Rが、上記において定義した通りである化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのそれらの付加塩からなる。
【0050】
やはり好ましい化合物は、
2が、(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核でそれ自体場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合している(C6〜C18)アリール基、により置換されており、前記核がそれ自体場合によって置換されているものを表し、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・酸素、窒素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され、
Rが、上記において定義した通りである、一般式(I)の化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのそれらの付加塩である。
【0051】
他の好ましい群は、
2が、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基を表し、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・酸素、窒素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され、
Rが、上記において定義した通りである、一般式(I)の化合物、
それらの光学異性体、およびまた医薬的に許容できる酸または塩基とのそれらの付加塩からなる。
【0052】
他の好ましい群は、
2が、場合によって置換されたビフェニル基を表し、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・酸素、窒素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され、
Rが、上記において定義した通りである、一般式(I)の化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのそれらの付加塩からなる。
【0053】
他の好ましい群は、
2が、場合によって置換されたハロゲン化ビフェニル基、好ましくは場合によって置換された4’−ハロゲン化ビフェニル基を表し、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・酸素、窒素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され、
Rが、上記において定義した通りである、一般式(I)の化合物、
それらの光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのそれらの付加塩からなる。
【0054】
やはり好ましい化合物は、R1が、置換された(C6〜C10)アリール基を表す場合、そのアリール核が、下記のものから選択される1つまたは複数の基Gによって置換されている、一般式(I)の化合物である:
トリフルオロメチル;ハロゲン原子;スチリル;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、1つまたは複数の、下記において定義する基Tにより場合によって置換されている単環式、二環式もしくは三環式の芳香族複素環基;基Het−CO−、但し、Hetは、1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている、上記において定義した芳香族複素環基を表す;C1〜C6アルキレンジイル鎖;C1〜C6アルキレンジオキシ鎖;アミノ;ニトロ;シアノ;(C1〜C10)アルキル基;(C2〜C6)アルキニル基;(C1〜C10)アルキルカルボニル基;(C1〜C10)アルコキシカルボニル−A−基、但し、Aは(C1〜C6)アルキレン、(C2〜C6)アルケニレン基または結合を表す;(C3〜C10)シクロアルキル基;トリフルオロメトキシ基;ジ(C1〜C10)アルキルアミノ基;(C1〜C10)アルコキシ(C1〜C10)アルキル基;(C1〜C10)アルコキシ基;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている(C6〜C18)アリール基;(C6〜C18)アリール(C1〜C10)アルコキシ−(CO)n−基、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールオキシ(CO)n−基、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールオキシ(CO)n−(C2〜C6)アルケニル基、但し、nは0または1である;(C6〜C18)アリールチオ基、但し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールオキシ(C1〜C10)アルキル(CO)n−、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている飽和もしくは不飽和の単環式5〜8員複素環;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている(C6〜C18)アリールカルボニル基;(C6〜C18)アリールカルボニル−B−(CO)n−基、但し、nは0または1であり、Bは(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリール−C−(CO)n−基、但し、nは0または1であり、Cは(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている、上記において定義した飽和もしくは不飽和の複素環と縮合した(C6〜C18)アリール基;(C2〜C10)アルキニル基;Tはハロゲン原子、(C6〜C18)アリール、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ニトロ、カルボキシル、(C1〜C6)アルコキシカルボキシルから選択され、Tは、それが飽和もしくは不飽和複素環を置換する場合、オキソを表すことができ、あるいは別法としてTは(C1〜C6)アルコキシカルボニル(C1〜C6)アルキルまたは、nが0または1である(C1〜C6)アルキルカルボニル((C1〜C6)アルキル)n−を表す。
【0055】
より詳細には、好ましい化合物は:
・(2S)−2−[4−(5−クロロチエン−2−イル)フェノキシ]−4−フェニルブタン酸;
・2−{2−[3−(4−クロロフェニル)アクリロイル]−4−メチルフェノキシ}−4−フェニルブタン酸;
・(2S)−2−[4−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)フェノキシ]−4−フェニルブタン酸;
・(2S)−2−[4−(ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)フェノキシ)−4−フェニルブタン酸;
・4−(2−フルオロフェニル)−2−[4−(2−メチルチアゾール−4−イル)フェノキシ]ブタン酸;
・4−(4’−クロロビフェニル−4−イル)−2−(4−ニトロフェノキシ)ブタン酸;
・4−(4−フルオロフェニル)−2−[4−(2−メチルチアゾール−4−イル)フェノキシ]ブタン酸;および
・(2S)−2−(4−フラン−2−イルフェノキシ)−4−フェニルブタン酸、から選択される式(I)のものである。
【0056】
本発明はまた、医薬組成物であって、上記において定義した式(I)の医薬的に有効な量の少なくとも1種の化合物を1種または複数の医薬的に許容できる賦形剤と組み合わせて含む組成物にも関する。
【0057】
これらの組成物は、直ちに放出されるもしくは制御され放出される錠剤、ゲルカプセル剤または顆粒の形態で経口的に、注射液の形態で静脈内に、貼着性経皮デバイスの形態で経皮的に、あるいは溶液、クリームまたはゲルの形態で局所的に、投与することができる。
【0058】
経口投与用固体組成物は、有効成分に賦形剤および適切な場合、結合剤、崩壊剤、滑剤、着色剤またはフレーバー増強剤を添加することによって、またこの混合物を錠剤、被覆錠剤、顆粒、粉末またはカプセル剤として形成することによって調製する。
【0059】
賦形剤の例には、ラクトース、コーンスターチ、スクロース、グルコース、ソルビトール、結晶性セルロースおよび二酸化ケイ素が含まれ、また結合剤の例にはポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルエーテル)、エチルセルロース、メチルセルロース、アラビアゴム、トラガカントゴム、ゼラチン、セラック、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、クエン酸カルシウム、デキストリンおよびペクチンが含まれる。滑剤の例には、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ポリエチレングリコール、シリカおよび硬化植物油が含まれる。着色剤は、薬物における使用が許可されている任意のものであってもよい。フレーバー増強剤の例には、ココア粉末、ハーブの形態のハッカ、芳香粉末、油の形態のハッカ、ボルネオールおよびシナモン粉末が含まれる。錠剤または顆粒を糖、ゼラチンなどで適切に被覆することができるのは明らかである。
【0060】
有効成分として本発明の化合物を含む注射液形態物は、適切な場合、前記化合物をpH調整剤、緩衝剤、懸濁剤、可溶化剤、安定剤、等張剤および/または防腐剤と混合することによって、またこの混合物を標準的方法により静脈内、皮下または筋肉内注射用の形態に変換することによって調製する。適切な場合、得られた注射液形態物は、標準的方法により凍結乾燥することができる。
【0061】
懸濁剤の例には、メチルセルロース、ポリソルベート80、ヒドロキシエチルセルロース、アラビアゴム、粉末トラガカントゴム、カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびポリエトキシ化ソルビタンモノラウレートが含まれる。
【0062】
可溶化剤の例には、ポリオキシエチレンで凝固させたヒマシ油、ポリソルベート80、ニコチンアミド、ポリエトキシ化ソルビタンモノラウレートおよびヒマシ油脂肪酸のエチルエステルが含まれる。
【0063】
さらに、安定剤は、亜硫酸ナトリウム、メタ亜硫酸ナトリウムおよびエーテルを包含し、一方防腐剤はp−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸、フェノール、クレゾールおよびクロロクレゾールを包含する。
【0064】
本発明はまた、異常脂質血症、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の予防用のまたは治療用の薬物の調製のための、本発明の式(1)の化合物の使用にも関する。
【0065】
PPAR活性の変調に起因するか、それに関連した疾患、障害または状態の予防または治療を意図した、本発明の化合物の有効な投与用量および薬量学的量は、多数の因子に応じて、例えば、阻害因子の特性、患者の背丈、所望される治療の目標、治療しようとする病状の特性、使用する特定の医薬組成物、ならびに治療する医師の観察および結論に応じて、決まる。
【0066】
例えば、経口投与例えば錠剤またはゲルカプセル剤の場合、式(I)の化合物の可能な適切な用量は、有効物質について1日当り約0.1mg/体重kgと約100mg/体重kgの間、好ましくは1日当り約0.5mg/体重kgと約50mg/体重kgの間、より好ましくは1日当り約1mg/体重kgと約10mg/体重kgの間、またより好ましくは1日当り約2mg/体重kgと約5mg/体重kgの間、である。
【0067】
用いることができるかつ上述の、1日当りの経口投与量範囲を例示するために、代表的な体重10kgおよび100kgを考えると、式(I)の化合物の適切な投与量は、好ましい化合物を含む有効物質について1日当り約1〜10mgと1000〜10000mgの間、好ましくは1日当り約5〜50mgと500〜5000mgの間、より好ましくは1日当り約10.0〜100.0mgと100.0〜1000.0mgの間、またより一層好ましくは1日当り約20.0〜200.0mgと約50.0〜500.0mgの間、であろう。
【0068】
これらの投与量範囲は、所与の患者についての1日当り有効物質の合計量を表す。ある用量を投与する1日当りの投与回数は、その異化および排泄速度を反映する有効物質の半減期および患者において到達される、かつ治療の有効性のため要求される血漿中のまたは他の体液中の前記有効物質の最低限レベルおよび最適レベルなどの薬物動態学的および薬理学的因子に応じて広い割合で変動させることができる。
【0069】
1日当り投与回数、ならびに1回の投与摂取において投与すべき有効物質の量を決定する際には、多くの他の因子をも考慮に入れるべきである。これらの他の因子の中には、少なからず、治療される患者の個別的な応答性がある。
【0070】
本発明はまた、式(I)の化合物の一般的調製方法であって、下記の反応スキームにより、式(II)の化合物を式R1−OHのアルコールと反応させることによる方法にも関する:
【0071】
【化2】

【0072】
上記反応スキーム中、R1およびR2は、式(I)について上記において定義した通りであり、R’は、水素を除いた、上記において定義したRを表し、化合物(IR')は、Rが上記において定義したC1〜C10アルキル基を表す式(I)の化合物であり、また化合物(IOH)は、Rが−Hを表す式(I)の化合物である。
【0073】
THFはテトラヒドロフランを意味する。PPh3はトリフェニルホスフィンを意味し、DIADはアゾジカルボン酸ジイソプロピルを意味し、「room temp.」は室温を意味し、EtOHはエタノールであり、またKOHは水酸化カリウムである。
【0074】
反応ステップ(Aa)は、ジエチルエーテル、ジ−tert−ブチルエーテル、ジイソプロピルエーテルまたはジメトキシエタンなどの直鎖もしくは環状エーテルのような型、あるいは別法としてジオキサンまたはテトラヒドロフランのような型の極性非プロトン性溶媒中で行うことが好ましく、テトラヒドロフランおよびジメトキシエタンが好ましい。
【0075】
本発明の好ましい一実施形態により、アルコールR1−OHに対する式(II)の化合物のモル比は、1と1.5の間の範囲であり、ほぼ化学量論的比率である1と1.3の間、また好ましくは1と1.1の間、が望ましい。
【0076】
反応を促進するため、低級アルキル(すなわちC1〜C6アルキル)アゾジカルボン酸塩、例えばアゾジカルボン酸ジエチル(DEAD)またはアゾジカルボン酸ジイソプロピル(DIAD)などのカップリング剤を媒質中に添加することが望ましい。
【0077】
反応媒質中に存在する場合、カップリング剤は、式(II)の化合物の最初の量に対して、0.9〜5モル当量の割合で、さらにより好ましくは0.9〜3モル当量の割合で、例えば0.9〜2モル当量の割合で、媒質中に混和する。
【0078】
好ましくは、トリフェニルホスフィンなどのホスフィンを反応媒質中に導入することも推奨される。この場合、トリフェニルホスフィンの、式(II)の化合物に対するモル比は0.9と5の間、例えば0.9と3の間、また特に0.9と2の間、に維持することが好ましい。
【0079】
反応温度は、一般に−15℃と60℃の間の範囲である。
【0080】
上記の反応スキームにおいて、鹸化反応ステップ(Ab)は随意的なものであり、すなわち所望の式(I)の化合物がカルボン酸である(R=H)場合にのみ行われる。
【0081】
この場合、RがHを表す式(I)の化合物は、対応する式(IR')の化合物の鹸化により有利に得ることができる。この鹸化は、水酸化リチウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムおよび炭酸カリウムから選択される無機塩基などの塩基の作用により行うことができる。使用される塩基のモル量は、選択した塩基の強さに応じて、一般に1〜20当量、また好ましくは1〜12当量の範囲である。
【0082】
より詳細には、水酸化リチウム(LiOH)の場合、反応媒質中に存在する式(I)のエステルの量に対して8〜12当量の塩基を混和することが好ましい。
【0083】
この反応は、極性プロトン型の溶媒中で、また好ましくは、エタノールと水の混合物またはメタノールと水の混合物などの低級(C1〜C4)アルカノールと水の混合物中で、行うことが好ましい。
【0084】
反応温度は20℃と120℃の間の範囲であるのが有利である。
【0085】
本発明による方法の他の実施形態により、式(IG)の化合物であって、R1が上記において定義した基Gにより置換されたアリール基を表す式(I)の化合物の特別な場合である化合物は、下記の反応スキームにより調製することができる:
【0086】
【化3】

【0087】
上記反応スキーム中:
− R2は、式(I)について上記において定義した通りであり、
− R’は、水素を除く、上記において定義したRを表し、
− R11は、式(IV)の誘導体と反応性であり、かつ特に臭素またはヨウ素原子およびCF3SO3−基から選択され、臭素およびヨウ素が好ましい反応性基である基を有する、上記において定義したR1を表し、
− R12は、式(IV)の誘導体と反応性である基が、基Gにより置換されているR11を表す。
【0088】
上記の反応スキームにおいて示すように、鹸化ステップ(Bb)は随意的なものである。式(IG,R')および式(IG,H)の化合物は、R1が基Gにより置換されたアリール基を表す式(I)の化合物の特別な場合である、一組の式(IG)の化合物を形成する。
【0089】
したがって、式(I)の化合物であって、R1が、O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、かつ場合によって、上記において定義した1つまたは複数の基Tにより置換されている単環式、二環式もしくは三環式の芳香族複素環基により置換されたアリールを表し、あるいは別法としてR1が、1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されているアリールを表す化合物は、上記において定義した対応する式(III)の化合物を、上記の反応スキームにおいて定義した式(IV)の化合物であって、GがO、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、かつ場合により上記において定義した1つまたは複数の基Tにより置換されている単環式、二環式もしくは三環式の芳香族複素環基を表しており、その場合、最終化合物においてR1は、このような複素環基により置換されたアリールを表す、あるいは別法として、Gが1つまたは複数の基Tにより、場合によって置換されているアリールを表しており、その場合、最終化合物においてR1は、それ自体1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されているアリール基により置換されたアリールを表す、化合物と反応させることにより調製することができる。
【0090】
反応媒質中に存在する式(III)の化合物の量に対して1.5〜5当量の、また好ましくは1.5〜3当量の、式(IV)の化合物を混和するのが有利である。
【0091】
この反応は、パラジウム0錯体および塩基の存在下で、極性非プロトン性溶媒中で行うのが好ましい。
【0092】
上記において定義したものなどの直鎖または環状エーテルが、より好ましく溶媒として適している。ジメトキシエタンが好ましい。
【0093】
使用する塩基は、任意の上述の無機塩基であり、炭酸ナトリウムが有利である。例えば、式(III)の化合物の量に対して1.5〜5当量の、また好ましくは1.5〜3当量の、塩基を反応媒質中に導入することができる。
【0094】
使用するパラジウム0錯体の量は触媒的である。通例では、0.001〜1当量の、また好ましくは0.01〜0.1当量の、前記錯体を使用する。使用することができるパラジウム0錯体の一例は、テトラキス(トリフェニルホスフィノ)パラジウム0である。
【0095】
反応温度は50℃と120℃の間、また好ましくは70℃と90℃の間の範囲であるのが有利である。
【0096】
式(I)の化合物は、例えばWangブロモタイプの樹脂上にグラフトした化合物を使用する合成経路によって、下記の反応スキームにより調製することもできる:
【0097】
【化4】

【0098】
上記スキーム中、R1およびR2は、一般式(I)について定義した通りである。
【0099】
上記の反応スキームにおいて、炭酸セシウムを溶媒、例えばジメチルホルムアミドなどのプロトン性溶媒中の、α−ヒドロキシ酸の溶液に添加し、次いでこれに、樹脂上にグラフトしたα−ヒドロキシ酸誘導体が得られるように、樹脂の懸濁液を添加する。
【0100】
次いでこの誘導体に、4,4−ジメチル−2−(トリフェニルホスファニル)−1,2,5−チアジアゾリジンなどのホスフィンの存在下で、アルコールR1−OHを添加する。通例室温で、1〜数時間の範囲とすることができる時間の間、例えば約18時間、反応が行われる。
【0101】
次いで標準的技術により、例えばトリフルオロ酢酸を使用し、樹脂からこの化合物を脱離させて、上記の反応スキームの最終ステップで得られたカルボン酸を得る。このカルボン酸はRが水素を表す、式(I)の化合物の特別の場合であり、それ自体知られている任意の方法により、Rが、水素を除いた、本発明による全ての化合物についての以前に示した定義付けを有する式(I)の化合物に、場合によって容易に変換することができる。
【0102】
上述の方法において、調製することを所望される式(I)の化合物中に存在する種々の置換基に応じて、操作条件は実質的に変動できることを理解すべきである。このような変動および適応は、例えば科学的総説、特許文献、ケミカルアブストラクトおよびインターネットを含めたコンピュータデータベースから、当分野の技術者には容易に利用可能である。同様に、出発物質は市販されているか、あるいは上述の種々の出版物およびデータベース中に当分野の技術者が容易に見出すことができる合成により入手可能であるかいずれかである。
【0103】
式(I)の化合物の光学異性体は、一方では、式(I)の化合物のラセミ混合物から異性体を分離しかつ/または精製するための、当分野の技術者に知られている標準的技術により得ることができる。この光学異性体は、光学的に活性な出発化合物の立体選択的合成により直接得ることもできる。
【0104】
下記の反応スキームは、光学活性のある出発化合物を使用した立体選択的合成の一例を図示するものである:
【0105】
【化5】

【0106】
実施例
以下の実施例は、決して限定することなく本発明を例証するものである。これらの実施例において、またプロトン核磁気共鳴(300MHz NMR)データにおいて、次の略号を使用している:一重線にはs、二重線にはd、三重線にはt、四重線にはq、八重線にはo、および複合多重線にはm。化学シフトδはppmで表している。「MW」は分子量を意味し、「m.p.」は「融点」を意味する。
【0107】
実施例1:2−[4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)フェノキシ]−4−(4−フルオロフェニル)ブタン酸メチルの調製方法
5mlのトルエンに溶解した6.7ミリモルのアゾジカルボン酸ジイソプロピルを54℃±3℃に加熱した50mlのトルエン中の7ミリモルの4−(4−フルオロフェニル)−2−ヒドロキシブタン酸メチルと、6.3ミリモルの4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)フェノールと、6.9ミリモルのトリフェニルホスフィンとの懸濁液に、窒素雰囲気下で1滴ずつ45分にわたって添加する。
【0108】
得られた溶液をこの温度に1時間保持し、室温まで冷却し、かつ1晩中撹拌する。
【0109】
生成した不溶性物質を吸引により濾別し、5mlの氷冷トルエンで洗浄し、次いで棄却する。濾液を真空下で蒸発させ、その粘稠な残渣をシリカカラム上でクロマトグラフ処理し、90/10ヘプタン/酢酸エチルで溶離させる。
少量のトリフェニルホスフィンを第一の留分において回収する。
予期する生成物は、晶出する淡黄色油の形態で第二の留分を構成する。
収率:52%。
【0110】
実施例2:2−[4−(2−メチル−1,3−チアゾール−4−イル)フェノキシ]−4−(4−フルオロフェニル)ブタン酸の調製方法
(表の実施例145)
36ml(36ミリモル)の1M水酸化リチウム一水和物水溶液を100mlのメタノール中の3.6ミリモルの実施例1で得られた化合物の溶液に、1滴ずつ30分にわたって添加する。反応は幾分発熱的である。次いでこの混合物を室温で2時間撹拌し、その後真空下で乾固するまで溶媒を蒸発除去する。
【0111】
得られた白色固体残渣を200mlの水に溶解する。生じた懸濁液を30分間撹拌し、次いで1/2塩酸(HCl)で酸性にする。撹拌を30分間継続し、次いで、溶解が完結するまで撹拌を継続して、媒質を酢酸エチルにより抽出する。
【0112】
沈降により相分離を行った後、有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、次いで真空下で蒸発乾固させて、260℃を超えると融解する白色固体の形態で、予期した生成物を得る。
収率:95%。
M.p.:>260℃
1H NMR(300MHz;DMSO−d6):1.90〜2.23(2H,m);2.59〜2.89(2H,m);2.68(3H,s);4.21〜4.39(1H,m);6.72〜7.30(6H,m);7.62〜7.84(3H,m)。
【0113】
実施例3:(2S)−2−[4−(フラン−2−イル)フェノキシ]−4−フェニルブタン酸エチルの調製方法
0.024ミリモルのテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムと、12.3ミリモルの2−フランホウ素酸と、7.5mlの2M炭酸ナトリウム溶液とを25mlのジメトキシエタン中の6.15ミリモルの(2S)−2−(4−ブロモフェノキシ)−4−フェニルブタン酸エチルの溶液に添加する。この混合物を2時間還流させる。室温まで冷却した後、この混合物を水中に溶解し、酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム(Na2SO4)上で乾燥し、次いで真空下で蒸発乾固させる。2.6gの褐色油が得られる。この油を9/1ヘプタン/酢酸エチル混合物を溶離液としてクロマトグラフ処理する。1.5gの晶出する油が得られる。
収率:68%。
【0114】
実施例4:(2S)−2−[4−(フラン−2−イル)−フェノキシ]−4−フェニルブタン酸の調製方法
(表の実施例22)
21.5ミリモルの水酸化カリウムを30mlのエタノール中の前述の実施例で得られた4.3ミリモルの(2S)−2−(4−フラン−2−イルフェノキシ)−4−フェニルブタン酸エチルの溶液に添加する。この混合物を30分間還流させ、15mlの水を添加し、また還流を3時間30分継続する。室温まで冷却した後、真空下でエタノールを蒸発除去する。生成物を水に溶解し、エーテルで洗浄する。水性相を10%塩酸で酸性にする。白色沈殿が生成し、それを酢酸エチルで抽出する。有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥し、真空下で蒸発させる。1.2gのベージュ色の固体が得られ、それをへキサン/酢酸エチル混合物から再結晶させると、140〜142℃で融解する1gの固体が得られる。
収率=72.5%。
1H NMR(300MHz;CDCl3):2.15〜2.50(2H,m);2.73〜3.05(2H,m);4.55〜4.75(1H,m);6.32〜6.63(2H,m);6.79〜7.04(2H,m);7.07〜7.76(8H,m)。
【0115】
実施例5:(E)−2−[4−(2−エトキシカルボニルビニル)−2−メトキシフェノキシ]−4−フェニルブタン酸の調製方法
(表の実施例66)
炭酸セシウムの20%水溶液(23ml、14.4ミリモル)をメタノール(200ml)中の2−ヒドロキシ−4−フェニルブタン酸(7g、3.8ミリモル)の溶液に添加する。10分間撹拌した後、溶媒を蒸発除去し、残渣をトルエン中に溶解し、次いでトルエンを蒸発除去する。この残渣をジメチルホルムアミド(DMF)(125ml)中に溶解し、次いでDMF(125ml)中の樹脂(23.7g、18ミリモル)の懸濁液に添加する。反応液を60℃で18時間撹拌する。次いで樹脂をテトラヒドロフラン(THF)(3×150ml、2分)、1/1THF/H2O(3×150ml、2分)、メタノール(3×150ml、2分)、ジクロロメタン(3×150ml、2分)およびメタノール(3×150ml、2分)で数回洗浄する。この樹脂を50℃において真空下で乾燥する。
【0116】
ジクロロメタン(2ml)中の(E)−3−(4−ヒドロキシ−2−メトキシ)フェニルペント−2−エン酸エチル(1ミリモル)の溶液をグラフト化樹脂(150mg、0.1ミリモル)に添加する。次いでジクロロメタン(8ml)中の4,4−ジメチル−2−(トリフェニルホスファニル)−1,2,5−チアジアゾリジン(1ミリモル)の溶液を添加し、この懸濁液を室温で18時間撹拌する。この樹脂を濾別し、DMF(5ml)、50/50DMF/H2O(5ml)、メタノール(2×5ml)および80/20ジクロロメタン/ジクロロエタン(DCM/DCE)(3×5ml)で洗浄する。次いでこの樹脂を20/80トリフルオロ酢酸/ジクロロメタン(TFA/DCM)溶液で15分間処理する。樹脂を濾別し、ジクロロメタン(2×5ml)で洗浄する。濾液を蒸発させて1.9mgの油を得、それを分離用LCMS(液体クロマトグラフィー/質量分析)により精製する。
質量分析:ES−:383.3
以下の実施例は、前述の実施例において提示したばかりのものと同様の手順により達成されている。
【0117】
【表1】

【0118】
【表1−1】

【0119】
【表1−2】

【0120】
【表1−3】

【0121】
【表1−4】

【0122】
【表1−5】

【0123】
【表1−6】

【0124】
【表1−7】

【0125】
【表1−8】

【0126】
【表1−9】

【0127】
【表1−10】

【0128】
【表1−11】

【0129】
【表1−12】

【0130】
【表1−13】

【0131】
【表1−14】

【0132】
【表1−15】

【0133】
【表1−16】

【0134】
【表1−17】

【0135】
【表1−18】

【0136】
【表1−19】

【0137】
【表1−20】

【0138】
【表1−21】

【0139】
【表1−22】

【0140】
【表1−23】

【0141】
【表1−24】

【0142】
【表1−25】

【0143】
【表1−26】

【0144】
【表1−27】

【0145】
【表1−28】

【0146】
【表1−29】

【0147】
【表1−30】

【0148】
【表1−31】

【0149】
【表1−32】

【0150】
【表1−33】

【0151】
【表1−34】

【0152】
【表1−35】

【0153】
【表1−36】

【0154】
【表1−37】

【0155】
【表1−38】

【0156】
【表1−39】

【0157】
【表1−40】

【0158】
【表1−41】

【0159】
【表1−42】

【0160】
【表1−43】

【0161】
【表1−44】

【0162】
【表1−45】

【0163】
【表1−46】

【0164】
【表1−47】

【0165】
【表1−48】

【0166】
【表1−49】

【0167】
【表1−50】

【0168】
【表1−51】

【0169】
【表1−52】

【0170】
【表1−53】

【0171】
【表1−54】

【0172】
【表1−55】

【0173】
【表1−56】

【0174】
【表1−57】

【0175】
【表1−58】

【0176】
【表1−59】

【0177】
【表1−60】

【0178】
【表1−61】

【0179】
【表1−62】

【0180】
【表1−63】

【0181】
【表1−64】

【0182】
【表1−65】

【0183】
【表1−66】

【0184】
【表1−67】

【0185】
【表1−68】

【0186】
【表1−69】

【0187】
【表1−70】

【0188】
【表1−71】

【0189】
【表1−72】

【0190】
【表1−73】

【0191】
【表1−74】

【0192】
【表1−75】

【0193】
【表1−76】

【0194】
【表1−77】

【0195】
【表1−78】

【0196】
【表1−79】

【0197】
【表1−80】

【0198】
【表1−81】

【0199】
【表1−82】

【0200】
【表1−83】

【0201】
【表1−84】

【0202】
【表1−85】

【0203】
【表1−86】

【0204】
【表1−87】

【0205】
【表1−88】

【0206】
【表1−89】

【0207】
【表1−90】

【0208】
【表1−91】

【0209】
【表1−92】

【0210】
【表1−93】

【0211】
【表1−94】

【0212】
【表1−95】

【0213】
【表1−96】

【0214】
【表1−97】

【0215】
【表1−98】

【0216】
【表1−99】

【0217】
結果
下記の試験を行うことにより、脂質低下および血糖降下効果に導く本発明の化合物の活性を生体外および生体内において実証した。
【0218】
インビトロ(in vitro)活性の実証
PPAR活性化の測定は、Lehmannら(J.Biol.Chem.、270、(1995)、12953〜12956)により記述される技術によって実施した。
【0219】
CV−1細胞(サル腎臓細胞)に、キメラタンパク質PPARα−Gal4またはPPARγ−Gal4用の発現ベクター、またGal4応答要素を含むプロモーターの制御下に置かれたルシフェラーゼ遺伝子の発現を可能にする「レポーター」プラスミドを同時形質移入する。
【0220】
この細胞を96ウェルミクロプレート内に置き、かつレポータープラスミド(pG5−tk−pGL3)と、キメラタンパク質(PPARα−Gal4またはPPARγ−Gal4)用の発現ベクターとを商業用試薬を使用して同時形質導入する。4時間インキュベートした後、全培地(胎児子ウシ血清10%を含む)をウェルに添加する。24時間後この培地を取り出し、試験用生成物(最終50μM)を含む全培地で置き換える。この生成物を18時間、この細胞と接触させたままとする。次いでこの細胞を溶解させ、ルミノメータを使用してルシフェラーゼ活性を測定する。次いで、この生成物により誘発されてレポーター遺伝子の発現が(この生成物をまったく受け入れていない対照細胞と比較して)活性化されることにより、PPAR活性化因子を計算することができる。
【0221】
例として、濃度50μMにおける実施例18の化合物は、キメラタンパク質PPARα−Gal−4を16倍活性化し、またキメラタンパク質PPARγ−Gal4を41倍活性化する。PPARαまたはγリガンドのための結合領域が存在しないと(Gal4発現ベクター単独であると)、この生成物の存在下で測定されるルシフェラーゼ活性はゼロである。
【0222】
インビボ(in vivo)活性の実証
本発明による化合物の抗糖尿病および脂質低下活性をdb/dbマウスについて経口的に測定した。
【0223】
生後15週間のdb/dbマウスを実施例18の化合物により15日間経口治療する(20mg/kg/日)。試験したそれぞれの群は、動物7匹を含む。15日間治療した後、弱い麻酔のもとにまた4時間絶食後に、後眼窩試料を採取する。
【0224】
下記のパラメータを測定した:
D15(COBAS)における血清について血糖(グルコースオキシダーゼ)の検定および次の脂質パラメータの検定:トリグリセリド、全コレステロール(CHOL)、HDLコレステロール(HDL−C)および遊離脂肪酸(FFA)(BioMerieux and Waco Chemicals検定キット)。
【0225】
得られた結果を下記の表に示している。報告した測定値は、平均値±標準誤差を表す。
【0226】
【表2】

【0227】
これらの結果は、トリグリセリドおよび遊離脂肪酸についての本発明の化合物の抗糖尿病および脂質低下活性を実証している。これらの同一の化合物について、HDLコレステロールのレベルが目立って増加している点に注目すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物であって:
【化1】

上式において、
Rは、水素原子およびC1〜C10アルキル基から選択され、
1およびR2は、同一または異なってもよく、
A.
1が、
・2つ〜5つの同一のまたは異なった置換基Gを有する(C6〜C18)アリール基、
・置換基Gを有する(C6〜C18)アリール基であって、それ自体、場合によって置換された(C6〜C18)アリール基、ならびに/またはO、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基を含むもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・酸素、窒素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され;
かつ、この場合、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択されるか、あるいは;
B.
2が、
・(C6〜C18)アリール基により置換されている(C6〜C18)アリール基であって、それ自体、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員単環式芳香族複素環基、
から選択され、
かつ、この場合、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を有する飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・酸素、窒素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択されるか、
のいずれかであるように選択される化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩
[但し、R2が芳香族もしくはヘテロ芳香族基により置換されていないフェニル基を表す場合、R1は、それ自体フェニルまたはナフチル基により置換されているフェニル基を表すことはできない。]。
【請求項2】
Rが水素原子を表し、R1およびR2が、請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩
[但し、R2が芳香族もしくはヘテロ芳香族基により置換されていないフェニル基を表す場合、R1は、それ自体フェニルまたはナフチル基により置換されているフェニル基を表すことはできない。]。
【請求項3】
1が、置換基Gを有する(C6〜C18)アリール基であって、それ自体、場合によって置換された(C6〜C18)アリール基、ならびに/またはO、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員単環式複素環基を含むものを表し、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択され、
Rが請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩
[但し、R2が芳香族もしくはヘテロ芳香族基により置換されていないフェニル基を表す場合、R1は、それ自体フェニルまたはナフチル基により置換されているフェニル基を表すことができない]。
【請求項4】
1が、場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、
酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの;
または別法として、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、を表し、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択され、
Rが請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項5】
1が、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基を表し、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択され、
Rが請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項6】
1が、2つ〜5つの同一のまたは異なった置換基Gを有する(C6〜C18)アリール基を表し、
2が、
・(C6〜C18)アリール基であって、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合によって縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基、
から選択され、
Rが請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項7】
2が、(C6〜C18)アリール基により置換されている(C6〜C18)アリール基であって、それ自体、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する、飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核で場合により置換されており、かつ/またはその核に場合により縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているものを表し、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され、
Rが請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項8】
2が、O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、場合によって置換された5〜8員の単環式芳香族複素環基を表し、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され、
Rが請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項9】
2が、場合によって置換されたビフェニル基を表し、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和の5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和の6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され、
Rが請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項10】
2が、場合によって置換されたハロゲン化ビフェニル基、好ましくは場合によって置換された4’−ハロゲン化ビフェニル基を表し、
1が、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、酸素および硫黄から選択された1個または複数のヘテロ原子を場合によって含有する飽和もしくは不飽和5〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・場合によって置換された(C6〜C18)アリール基であって、ヘテロ原子として少なくとも1個の窒素原子を含む飽和もしくは不飽和6〜8員単環もしくは多環核に縮合しており、前記核がそれ自体場合によって置換されているもの、
・O、NおよびSから選択された1個または複数のヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和もしくは芳香族の、場合によって置換された5〜8員の単環式複素環基、
から選択され、
Rが請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学異性体、および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項11】
1が置換された(C6〜C10)アリール基を表す場合、アリール核が:
トリフルオロメチル;ハロゲン原子;スチリル;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、また1つまたは複数の、下記において定義する基Tにより場合によって置換されている単環式、二環式もしくは三環式芳香族複素環基;基Het−CO−、但し、Hetは、1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている、上記において定義した芳香族複素環基を表す;C1〜C6アルキレンジイル鎖;C1〜C6アルキレンジオキシ鎖;アミノ;ニトロ;シアノ;(C1〜C10)アルキル基;(C2〜C6)アルキニル基;(C1〜C10)アルキルカルボニル基;(C1〜C10)アルコキシカルボニル−A−基、但し、Aは(C1〜C6)アルキレン、(C2〜C6)アルケニレン基または結合を表す;(C3〜C10)シクロアルキル基;トリフルオロメトキシ基;ジ(C1〜C10)アルキルアミノ基;(C1〜C10)アルコキシ(C1〜C10)アルキル基;(C1〜C10)アルコキシ基;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている(C6〜C18)アリール基;(C6〜C18)アリール(C1〜C10)アルコキシ−(CO)n−基、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールオキシ(CO)n−基、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールオキシ(CO)n−(C2〜C6)アルケニル基nはまたは1である:(C6〜C18)アリールチオ基、但し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリールオキシ(C1〜C10)アルキル(CO)n−、但し、nは0または1であり、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;O、NおよびSから選択される1個または複数のヘテロ原子を含み、1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている飽和もしくは不飽和の単環式5〜8員複素環;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている(C6〜C18)アリールカルボニル基;(C6〜C18)アリールカルボニル−B−(CO)n−基、但し、nは0または1であり、Bは(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;(C6〜C18)アリール−C−(CO)n−基、但し、nは0または1であり、Cは(C1〜C6)アルキレンまたは(C2〜C6)アルケニレンを表し、アリールは1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている;1つまたは複数の基Tにより場合によって置換されている、上記において定義した飽和もしくは不飽和複素環に縮合した(C6〜C18)アリール基;(C2〜C10)アルキニル基;Tはハロゲン原子、(C6〜C18)アリール、(C1〜C6)アルキル、(C1〜C6)アルコキシ、ニトロ、カルボキシル、(C1〜C6)アルコキシカルボキシルから選択され、Tは、それが飽和もしくは不飽和複素環を置換する場合、オキソを表すことができ、あるいはTは(C1〜C6)アルコキシカルボニル(C1〜C6)アルキルまたはnが0または1である(C1〜C6)アルキルカルボニル((C1〜C6)アルキル)n−を表す、
から選択される1つまたは複数の基Gによって置換されており、
RおよびR2が請求項1において定義した通りである、請求項1に記載の化合物、
その光学的異性体および医薬的に許容できる酸または塩基とのその付加塩。
【請求項12】
(2S)−2−[4−(5−クロロチエン−2−イル)フェノキシ]−4−フェニルブタン酸、
2−{2−[3−(4−クロロフェニル)アクリロイル]−4−メチルフェノキシ}−4−フェニルブタン酸、
(2S)−2−[4−(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)フェノキシ]−4−フェニルブタン酸、
(2S)−2−[4−(ベンゾ[b]チオフェン−3−イル)フェノキシ]−4−フェニルブタン酸、
4−(2−フルオロフェニル)−2−[4−(2−メチルチアゾール−4−イル)フェノキシ]ブタン酸、
4−(4’−クロロビフェニル−4−イル)−2−(4−ニトロフェノキシ)ブタン酸、
4−(4−フルオロフェニル)−2−[4−(2−メチルチアゾール−4−イル)フェノキシ]ブタン酸、および
(2S)−2−(4−フラン−2−イルフェノキシ)−4−フェニルブタン酸、
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
前記請求項のいずれか一項に記載の化合物の調製方法であって、下記の反応スキーム:
【化2】

(上記反応スキーム中、R1およびR2は、請求項1において定義した通りであり、R’は、水素を除く、上記において定義したRを表し、化合物(IR')は、Rが上記において定義したC1〜C10アルキル基を表す式(I)の化合物であり、また化合物(IOH)は、Rが−Hを表す式(I)の化合物である。)により、式(II)の化合物を式R1−OHのアルコールと反応させることによる方法。
【請求項14】
1が、基Gにより置換されたアリール基を表す請求項1に記載の化合物の調製方法であって、下記の反応スキーム:
【化3】

(上記反応スキーム中、
2は、請求項1において定義した通りであり、
R’は、水素を除く、請求項1において定義したRを表し、
11は、式(IV)の誘導体と反応性であり、特に臭素またはヨウ素原子およびCF3SO3−基から選択され、臭素およびヨウ素が好ましい反応性基である、基を有する、請求項1において定義したR1を表し、
12は、式(IV)の誘導体と反応性である基が、前記基Gにより置換されているR11を表す。)による、
第1のステップが、パラジウム0錯体および塩基の存在下で極性非プロトン性溶媒中において行われ;第2のステップが随意的な鹸化反応である方法。
【請求項15】
樹脂上にグラフトした化合物を使用する、請求項1に記載の化合物の調製方法であって、下記の反応スキーム:
【化4】

(上記スキーム中、R1およびR2は、請求項1において定義した通りである。)による、
前記方法が、α−ヒドロキシ酸上に樹脂をグラフトし、次いでこれをホスフィンの存在下でR1が一般式(I)について定義したものである式R1−OHのアルコールと接触させるステップを含み、反応が室温で、1〜数時間の範囲としてもよい時間の間行われ、次いで前記樹脂を基質から脱離させて、Rが水素を表す式(I)の化合物を得、その化合物は、場合によって、Rが水素を除く一般式(I)において定義したものである式(I)の化合物に変換することができる方法。
【請求項16】
請求項1から12のいずれか一項に記載の、または請求項13から15のいずれか一項に記載の方法により得られた、医薬的に有効な量の少なくとも1種の化合物を、1種または複数の医薬的に許容できる賦形剤と組み合わせて含む医薬組成物。
【請求項17】
請求項1から12のいずれか一項に記載の、または請求項13から15のいずれか一項に記載の方法により得られた、式(I)の化合物の使用であって、異常脂質血症、アテローム性動脈硬化症および糖尿病の予防または治療用の薬物を調製するための使用。

【公表番号】特表2007−536291(P2007−536291A)
【公表日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−511903(P2007−511903)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/003607
【国際公開番号】WO2005/105764
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(591032596)メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフトング (1,043)
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D−64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
【Fターム(参考)】