説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】スクリーニングを実施しなくてもMOS容量の不良率を低減できる技術を提供することにある。
【解決手段】高電位と低電位の間にMOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列に接続して直列容量素子を形成する。そして、この直列容量素子と並列にポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2を接続する。具体的に、MOS容量MOS1の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS1とMOS容量MOS2の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS2とを接続する。さらに、MOS容量MOS1の上部電極を構成する電極E1を低電位(例えば、GND)に接続し、MOS容量MOS2の上部電極を構成する電極E3を高電位(例えば、電源電位)に接続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に関し、特に、複数の容量素子を含む半導体装置およびその製造に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特開2003−60042号公報(特許文献1)には、半導体基板上に積層して容量素子(キャパシタ)を形成する技術が形成されている。具体的には、半導体基板内に形成されたウェル(第1の電極)と絶縁膜を介してウェル上に形成されたポリシリコン膜よりなる第2の電極を備えるMOS(Metal Oxide Semiconductor)容量と、第2の電極と第2の電極上に絶縁膜を介して形成されたポリシリコン膜からなる第3の電極とを備えるPIP(Polysilicon Insulator Polysilicon)容量が積層して形成されている構造が開示されている。
【特許文献1】特開2003−60042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来から集積回路の受動素子として機能する容量素子を半導体基板に形成することが行なわれている。このとき、単位面積当たりの容量を増加させるため、複数の容量素子を半導体基板に積層して形成することがある。複数の容量素子を半導体基板に積層して形成することは、例えば、MOS容量とPIP容量を積層することにより行なわれる。
【0004】
MOS容量とは、半導体基板内に形成されたウェル(半導体領域)を下部電極とし、絶縁膜を介してウェル上に形成されたポリシリコン膜を上部電極とする容量素子である。そして、PIP容量とは、下部電極と上部電極の両電極をポリシリコン膜から形成する容量素子であり、例えば、ポリシリコン膜よりなる下部電極上に絶縁膜を介してポリシリコン膜よりなる上部電極を形成することにより実現される。したがって、半導体基板にMOS容量を形成し、このMOS容量上にPIP容量を形成することにより、複数の容量素子を半導体基板に積層して形成することができる。
【0005】
このように積層して形成されるMOS容量とPIP容量であるが、特に、下層に形成されるMOS容量では、上部電極と下部電極の間に形成される容量絶縁膜にピンホール不良が発生しやすいことがわかっている。容量絶縁膜にピンホール不良が発生すると、上部電極と下部電極に電位差を印加したとき、ピンホール不良を介して上部電極と下部電極が導通して容量素子として機能しなくなる事態が生じる。つまり、容量絶縁膜にピンホール不良が発生すると、MOS容量を構成する上部電極と下部電極との耐圧不良が問題となる。
【0006】
そこで、製品を出荷する前に予めピンホール不良の存在するMOS容量を選別するために、スクリーニングという信頼性試験が行なわれている。このスクリーニングとは、一定の規格や基準に照らして良品と不良品を選び分けるものであり、完成品に潜在的に残っている様々な不良を非破壊的な検査によって顕在化させるものである。このように、スクリーニングは、製品の初期故障率を低減することに有効な手段である。
【0007】
具体的に、例えば、MOS容量に対しては、市場不良率を1ppm以下にするため、MOS容量の上部電極と下部電極の間に4.5Vの電圧を印加し、この印加した状態を16時間継続するスクリーニングが行なわれている。したがって、上述した条件のスクリーニングをMOS容量に対して実施すれば、ピンホール不良を有するMOS容量が選別され、市場不良率を1ppm以下にすることができる。
【0008】
このときのスクリーニングでは、MOS容量に4.5Vの電圧を印加しているが、すべてのMOS容量に4.5Vの電圧を印加してスクリーニングを実施することはできない。例えば、MOS容量は集積回路の受動素子として機能するが、集積回路には様々な電源電圧で動作する回路が存在する。例えば、電源電圧が4.5V以上の高電圧回路に使用するMOS容量では、MOS容量を含む高電圧回路に4.5V以上の電圧が印加されることを想定していることから、スクリーニングで4.5Vの電圧をMOS容量(高電圧回路)に印加しても問題はない。これに対し、例えば、電源電圧が1.5Vのような低電圧回路にMOS容量を使用する場合、基本的に、MOS容量を含む低電圧回路には電源電圧以下の電圧しか印加されないことが想定されている。したがって、低電圧回路に使用されるMOS容量のスクリーニングとして、電源電圧よりも高い電圧を印加すると、低電圧回路が破壊されてしまうおそれがある。このようにMOS容量は、様々な電圧で駆動する回路で使用されるので、スクリーニングに使用する電圧を一律に規定することはできない。
【0009】
例えば、電源電圧が1.5Vのような低電圧回路に使用されているMOS容量に対して、スクリーニングを実施する場合には、スクリーニングで低電圧回路に印加する電圧を1.5V以下にしなくてはならない。この場合、市場不良率を1ppm以下にするためには、長時間のスクリーニングが必要となる。つまり、電圧が1.5V以下で実施するスクリーニングにおいて、電圧が4.5Vで16時間印加するスクリーニングと同様の選別効果を得るためにはかなりの時間が必要となり現実的ではない。だからといって、電圧の印加時間を短縮すると、スクリーニング不足となり、ピンホール不良の存在するMOS容量を充分に選別することができなくなる。
【0010】
本発明の目的は、スクリーニングを実施しなくてもMOS容量の不良率を低減できる技術を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
代表的な実施の形態による半導体装置は、第1容量形成領域と第2容量形成領域とを半導体基板に有する。前記第1容量形成領域には、(a1)前記半導体基板に形成された第1半導体領域を含む第1下部電極と、(a2)前記半導体基板上に形成された第1容量絶縁膜と、(a3)前記第1容量絶縁膜上に形成された第1導体膜からなる第1上部電極とを備える第1容量素子が形成されている。さらに、前記第1容量形成領域には、(b1)前記第1導体膜からなる第2下部電極と、(b2)前記第1導体膜上に形成された第2容量絶縁膜と、(b3)前記第2容量絶縁膜上に形成された第2導体膜からなる第2上部電極とを備える第2容量素子が形成されている。一方、前記第2容量形成領域には、(c1)前記半導体基板に形成された第2半導体領域を含む第3下部電極と、(c2)前記半導体基板上に形成された第3容量絶縁膜と、(c3)前記第1容量絶縁膜上に形成された第1導体膜からなる第3上部電極とを備える第3容量素子が形成されている。そして、さらに、前記第2容量形成領域には、(d1)前記第1導体膜からなる第4下部電極と、(d2)前記第1導体膜上に形成された第4容量絶縁膜と、(d3)前記第2容量絶縁膜上に形成された第2導体膜からなる第4上部電極とを備える第4容量素子が形成されている。
【0014】
ここで、前記第1容量素子と前記第3容量素子は直列接続されて直列容量素子を形成するとともに、前記直列容量素子と前記第2容量素子とは並列接続され、かつ、前記直列容量素子と前記第4容量素子も並列接続されていることを特徴とするものである。
【0015】
また、代表的な実施の形態による半導体装置の製造方法は、第1容量形成領域と第2容量形成領域とメモリセル形成領域とを有する半導体基板上に半導体装置を製造する方法に関するものである。この方法は、(a)前記第1容量形成領域の前記半導体基板内に第1半導体領域を形成し、かつ、前記第2容量形成領域の前記半導体基板内に第2半導体領域を形成することにより、前記第1容量形成領域では前記第1半導体領域からなる第1下部電極を形成し、かつ、前記第2容量形成領域では前記第2半導体領域からなる第3下部電極を形成する工程とを備える。続いて、(b)前記(a)工程後、前記第1容量形成領域と前記第2容量形成領域と前記メモリセル形成領域の前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成することにより、前記メモリセル形成領域では前記第1絶縁膜よりなるゲート絶縁膜を形成するとともに、前記第1容量形成領域では前記第1絶縁膜よりなる第1容量絶縁膜を形成し、かつ、前記第2容量形成領域では前記第1絶縁膜よりなる第3容量絶縁膜を形成する工程とを備える。次に、(c)前記(b)工程後、前記第1絶縁膜上に第1導体膜を形成する工程と、(d)前記(c)工程後、前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記メモリセル形成領域にコントロールゲート電極を形成するとともに、前記第1容量形成領域に第1上部電極を形成し、かつ、前記第2容量形成領域に第3上部電極を形成する工程とを備える。そして、(e)前記(d)工程後、前記第1容量形成領域と前記第2容量形成領域と前記メモリセル形成領域を含む半導体基板上に積層絶縁膜を形成することにより、前記メモリセル形成領域では前記積層絶縁膜からなる第1電位障壁膜と電荷蓄積膜と第2電位障壁膜を形成するとともに、前記第1容量形成領域では前記積層絶縁膜よりなる第2容量絶縁膜を形成し、かつ、前記第2容量形成領域では前記積層絶縁膜よりなる第4容量絶縁膜を形成する工程とを備える。さらに、(f)前記(e)工程後、前記積層絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程と、(g)前記(f)工程後、前記第2導体膜をパターニングすることにより、前記メモリセル形成領域では前記コントロールゲート電極の両側の側壁に前記第2導体膜を残すとともに、前記第1容量形成領域では前記第2容量絶縁膜上に前記第2導体膜からなる第2上部電極を形成し、かつ、前記第2容量形成領域では前記第4容量絶縁膜上に前記第2導体膜からなる第4上部電極を形成する工程とを備える。続いて、(h)前記(g)工程後、前記メモリセル形成領域では前記コントロールゲート電極の片側の側壁にだけ前記第2導体膜を残すことにより、前記第2導体膜からなるメモリゲート電極を形成する工程と、(i)前記(h)工程後、前記半導体基板上に層間絶縁膜を介して複数の配線を形成する工程とを備える。
【0016】
ここで、前記第1下部電極と前記第1容量絶縁膜と前記第1上部電極からなる第1容量素子と、前記第3下部電極と前記第3容量絶縁膜と前記第3上部電極からなる第3容量素子とを前記複数の配線を用いて直列接続することにより直列容量素子を形成する。そして、前記第1上部電極を第2下部電極とし、この前記第2下部電極と前記第2容量絶縁膜と前記第2上部電極からなる第2容量素子と前記直列容量素子とを前記複数の配線を用いて並列接続する。同様に、前記第3上部電極を第4下部電極とし、この前記第4下部電極と前記第4容量絶縁膜と前記第4上部電極からなる第4容量素子と前記直列容量素子も前記複数の配線を用いて並列接続することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0018】
スクリーニングを実施しなくてもMOS容量の不良率を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0020】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0021】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。
【0022】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうではないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0023】
また、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。なお、図面をわかりやすくするために平面図であってもハッチングを付す場合がある。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、例えば、マイコンを形成した半導体チップ(半導体基板)CHPを示す平面図であり、半導体チップCHPに形成されたそれぞれの素子のレイアウト構成を示した図である。図1において、半導体チップCHPは、CPU(Central Processing Unit)1、RAM(Random Access Memory)2、アナログ回路3およびフラッシュメモリ4を有している。そして、半導体チップの周辺部には、これらの回路と外部回路とを接続するための入出力用外部端子であるパッドPDが形成されている。
【0025】
CPU(回路)1は、中央演算処理部とも呼ばれ、コンピュータなどの心臓部にあたる。このCPU1は、記憶装置から命令を読み出して解読し、それに基づいて多種多様な演算や制御を行なうものであり、処理の高速性が要求される。したがって、CPU1を構成しているMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)には、半導体チップCHPに形成されている素子の中で、相対的に大きな電流駆動力が必要とされる。すなわち低耐圧MISFETで形成される。
【0026】
RAM(回路)2は、記憶情報をランダムに、すなわち随時記憶されている記憶情報を読み出したり、記憶情報を新たに書き込んだりすることができるメモリであり、随時書き込み読み出しができるメモリとも呼ばれる。ICメモリとしてのRAMには、ダイナミック回路を用いたDRAM(Dynamic RAM)とスタティック回路を用いたSRAM(Static RAM)の2種類がある。DRAMは、記憶保持動作が必要な随時書き込み読み出しメモリであり、SRAMは、記憶保持動作が不要な随時書き込み読み出しメモリである。これらRAM2も動作の高速性が要求されるため、RAM2を構成しているMISFETには、相対的に大きな電流駆動力が必要とされている。すなわち、低耐圧MISFETで形成される。
【0027】
アナログ回路3は、時間的に連続して変化する電圧や電流の信号、すなわちアナログ信号を扱う回路であり、例えば増幅回路、変換回路、変調回路、発振回路、電源回路などから構成されている。これらアナログ回路3は、半導体チップCHPに形成された素子の中で、相対的に高耐圧のMISFETが使用される。
【0028】
フラッシュメモリ4は、書き込み動作および消去動作とも電気的に書き換え可能な不揮発性メモリの一種であり、電気的消去可能なプログラマブル読み出し専用メモリとも呼ばれる。このフラッシュメモリ4のメモリセルには、メモリセル選択用のMISFETと、記憶(メモリ)用の例えばMONOS(Metal Oxide Nitride Oxide Semiconductor)型FETから構成される。フラッシュメモリの書き込み動作には、例えばホットエレクトロン注入またはファウラーノルドハイム型トンネル現象を利用し、消去動作には、ファウラーノルドハイム型トンネル現象またはホットホール注入を利用する。なお、ホットエレクトロン注入と、ホットホール注入とを逆にしてもよいのは勿論である。
【0029】
上述したようなフラッシュメモリ4を動作させるために、半導体チップCHPには昇圧回路などの駆動回路が形成されている。この駆動回路には高精度の容量素子が必要とされる。また、上述したCPU1、RAM2の周辺回路およびアナログ回路3にも高精度の容量素子が必要とされる。したがって、半導体チップCHPには、上述したフラッシュメモリ4のメモリセルやMISFETの他に容量素子も形成されている。
【0030】
次に、フラッシュメモリ4のメモリセル形成領域に形成されているメモリセル、低耐圧MISFET形成領域に形成されている低耐圧MISFET、高耐圧MISFET形成領域に形成されている高耐圧MISFETおよび容量素子形成領域に形成されている容量素子の構成について説明する。
【0031】
図2は、メモリセル形成領域に形成されているメモリセル、低耐圧MISFET形成領域に形成されている低耐圧MISFET、高耐圧MISFET形成領域に形成されている高耐圧MISFET、容量素子形成領域に形成されている容量素子のそれぞれを示す断面図である。
【0032】
まず、フラッシュメモリのメモリセルの構造について説明する。図2に示すように、メモリセル形成領域において、半導体基板1S上にn型半導体領域からなるウェル分離層NISOが形成されており、このウェル分離層NISO上にp型ウェルPWL1が形成されている。そして、このp型ウェルPWL1上にメモリセルが形成されている。このメモリセルは、メモリセルを選択する選択部と情報を記憶する記憶部から構成されている。始めに、メモリセルを選択する選択部の構成について説明する。メモリセルは、半導体基板1S(p型ウェルPWL1)上に形成されたゲート絶縁膜(第1ゲート絶縁膜)GOX1を有しており、このゲート絶縁膜GOX1上にコントロールゲート電極(制御電極)CGが形成されている。ゲート絶縁膜GOX1は、例えば、酸化シリコン膜から形成されており、コントロールゲート電極CGは、例えば、ポリシリコン膜とポリシリコン膜上に形成されているコバルトシリサイド膜から形成されている。コバルトシリサイド膜は、コントロールゲート電極CGの低抵抗化のために形成されている。このコントロールゲート電極CGは、メモリセルを選択する機能を有している。つまり、コントロールゲート電極CGによって特定のメモリセルを選択し、選択したメモリセルに対して書き込み動作や消去動作あるいは読み出し動作をするようになっている。
【0033】
次に、メモリセルの記憶部の構成について説明する。コントロールゲート電極CGの片側の側壁には絶縁膜からなる積層膜を介してメモリゲート電極MGが形成されている。メモリゲート電極MGは、コントロールゲート電極CGの片側の側壁に形成されたサイドウォール状の形状をしており、ポリシリコン膜とポリシリコン膜上に形成されているコバルトシリサイド膜から形成されている。コバルトシリサイド膜は、メモリゲート電極MGの低抵抗化のために形成されている。
【0034】
コントロールゲート電極CGとメモリゲート電極MGの間およびメモリゲート電極MGと半導体基板1Sとの間には、積層膜が形成されている。この積層膜は、半導体基板1S上に形成されている電位障壁膜EV1と、電位障壁膜EV1上に形成されている電荷蓄積膜ECと、電荷蓄積膜EC上に形成されている電位障壁膜EV2から構成されている。電位障壁膜EV1は、例えば、酸化シリコン膜から形成されており、メモリゲート電極MGと半導体基板1Sとの間に形成されるゲート絶縁膜として機能する。この酸化シリコン膜からなる電位障壁膜は、トンネル絶縁膜としての機能も有する。例えばメモリセルの記憶部は、半導体基板1Sから電位障壁膜EV1を介して電荷蓄積膜ECに電子を注入したり、電荷蓄積膜ECに正孔を注入したりして情報の記憶や消去を行なうため、電位障壁膜EV1は、トンネル絶縁膜として機能する。
【0035】
そして、この電位障壁膜EV1上に形成されている電荷蓄積膜ECは、電荷を蓄積する機能を有している。具体的に、本実施の形態1では、電荷蓄積膜ECを窒化シリコン膜から形成している。本実施の形態1におけるメモリセルの記憶部は、電荷蓄積膜ECに蓄積される電荷の有無によって、メモリゲート電極MG下の半導体基板1S内を流れる電流を制御することにより、情報を記憶するようになっている。つまり、電荷蓄積膜ECに蓄積される電荷の有無によって、メモリゲート電極MG下の半導体基板1S内を流れる電流のしきい値電圧が変化することを利用して情報を記憶している。
【0036】
本実施の形態1では、電荷蓄積膜ECとしてトラップ準位を有する絶縁膜を使用している。このトラップ準位を有する絶縁膜の一例として窒化シリコン膜が挙げられるが、窒化シリコン膜に限らず、例えば、酸化アルミニウム膜(アルミナ)、酸化ハフニウム膜または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する高誘電率膜を使用してもよい。電荷蓄積膜ECとしてトラップ準位を有する絶縁膜を使用する場合、電荷は絶縁膜に形成されているトラップ準位に捕獲される。このようにトラップ準位に電荷を捕獲することにより、絶縁膜中に電荷を蓄積するようになっている。
【0037】
従来、電荷蓄積膜ECとしてポリシリコン膜が主に使用されてきたが、電荷蓄積膜ECとしてポリシリコン膜を使用した場合、電荷蓄積膜ECを取り囲む電位障壁膜EV1あるいは電位障壁膜EV2のどこか一部に欠陥があると、電荷蓄積膜ECが導体膜であるため、異常リークにより電荷蓄積膜ECに蓄積された電荷がすべて抜けてしまうことが起こりうる。
【0038】
そこで、電荷蓄積膜ECとして、絶縁体である窒化シリコン膜が使用されてきている。この場合、データ記憶に寄与する電荷は、窒化シリコン膜中に存在する離散的なトラップ準位(捕獲準位)に蓄積される。したがって、電荷蓄積膜ECを取り巻く電位障壁膜EV1や電位障壁膜EV2中の一部に欠陥が生じても、電荷は電荷蓄積膜ECの離散的なトラップ準位に蓄積されているため、すべての電荷が電荷蓄積膜ECから抜け出てしまうことがない。このため、データ保持の信頼性向上を図ることができる。
【0039】
このような理由から、電荷蓄積膜ECとして、窒化シリコン膜に限らず、離散的なトラップ準位を含むような膜を使用することにより、データ保持の信頼性を向上することができる。
【0040】
次に、コントロールゲート電極CGの側壁のうち、一方の片側にはメモリゲート電極MGが形成されているが、もう一方の片側には、酸化シリコン膜よりなるサイドウォールSWが形成されている。同様に、メモリゲート電極MGの側壁のうち、一方の片側にはコントロールゲート電極CGが形成されており、もう一方の片側にも酸化シリコン膜よりなるサイドウォールSWが形成されている。
【0041】
半導体基板1S内には、コントロールゲート電極CGに整合してn型半導体領域MVが形成されており、さらに、サイドウォールSWの直下にある半導体基板1S内には、n型半導体領域である一対の浅い低濃度不純物拡散領域MS、MDが形成されており、この一対の浅い低濃度不純物拡散領域MS、MDに接する外側の領域に一対の深い高濃度不純物拡散領域S1、D1が形成されている。この深い高濃度不純物拡散領域S1、D1もn型半導体領域であり、高濃度不純物拡散領域S1、D1の表面にはコバルトシリサイド膜SLが形成されている。一対の低濃度不純物拡散領域MS、MDと一対の高濃度不純物拡散領域S1、D1によって、メモリセルのソース領域あるいはドレイン領域が形成される。ソース領域とドレイン領域を低濃度不純物拡散領域MS、MDと高濃度不純物拡散領域S1、D1で形成することにより、ソース領域とドレイン領域をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることができる。ここで、ゲート絶縁膜GOX1およびゲート絶縁膜GOX1上に形成されたコントロールゲート電極CGおよび上述したソース領域とドレイン領域によって構成されるトランジスタを選択トランジスタと呼ぶことにする。一方、電位障壁膜EV1、電荷蓄積膜ECおよび電位障壁膜EV2からなる積層膜とこの積層膜上に形成されているメモリゲート電極MG、上述したソース領域とドレイン領域によって構成されるトランジスタをメモリトランジスタと呼ぶことにする。これにより、メモリセルの選択部は選択トランジスタから構成され、メモリセルの記憶部はメモリトランジスタから構成されているということができる。このようにして、メモリセルが構成されている。
【0042】
続いて、メモリセルと接続する配線構造について説明する。メモリセル上には、メモリセルを覆うように酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1が形成されている。この層間絶縁膜IL1には、層間絶縁膜IL1を貫通してソース領域やドレイン領域を構成するコバルトシリサイド膜SLに達するコンタクトホールが形成されている。コンタクトホールの内部には、バリア導体膜であるチタン/窒化チタン膜が形成され、コンタクトホールを埋め込むようにタングステン膜が形成されている。このように、コンタクトホールにチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を埋め込むことにより、導電性のプラグPLGが形成されている。そして、層間絶縁膜IL1上には、配線L1が形成されており、この配線L1とプラグPLGが電気的に接続されている。配線L1は、例えば、チタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜およびチタン/窒化チタン膜の積層膜から形成されている。
【0043】
本実施の形態1におけるメモリセルは上記のように構成されており、以下に、メモリセルの動作について説明する。ここで、コントロールゲート電極CGに印加する電圧をVcg、メモリゲート電極MGに印加する電圧をVmgとしている。さらに、ソース領域とドレイン領域のそれぞれに印加する電圧をVs、Vdとし、半導体基板1S(p型ウェルPWL1)に印加する電圧をVbとしている。電荷蓄積膜である窒化シリコン膜への電子の注入を「書き込み」、窒化シリコン膜への正孔(ホール)の注入を「消去」と定義する。
【0044】
まず、書き込み動作について説明する。書き込み動作は、いわゆるソースサイド注入方式と呼ばれるホットエレクトロン書き込みによって行なわれる。書き込み電圧としては、例えば、ソース領域に印加する電圧Vsを6V、メモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを12V、コントロールゲート電極CGに印加する電圧Vcgを1.5Vとする。そして、ドレイン領域に印加する電圧Vdは書き込み時のチャネル電流がある設定値となるように制御する。このときの電圧Vdはチャネル電流の設定値とコントロールゲート電極CGを有する選択トランジスタのしきい値電圧によって決まり、例えば、1V程度となる。p型ウェルPWL1(半導体基板1S)に印加される電圧Vbは0Vである。
【0045】
このような電圧を印加して書き込み動作を行なう際の電荷の動きを示す。上述したように、ソース領域に印加する電圧Vsとドレイン領域に印加する電圧Vdの間に電位差を与えることにより、ソース領域とドレイン領域との間に形成されるチャネル領域を電子(エレクトロン)が流れる。チャネル領域を流れる電子は、コントロールゲート電極CGとメモリゲート電極MGとの境界付近下のチャネル領域(ソース領域とドレイン領域との間)で加速されてホットエレクトロンになる。そして、メモリゲート電極MGに印加した正電圧(Vmg=12V)による垂直方向電界で、メモリゲート電極MG下の窒化シリコン膜(電荷蓄積膜EC)中にホットエレクトロンが注入される。注入されたホットエレクトロンは、窒化シリコン膜中のトラップ準位に捕獲され、その結果、窒化シリコン膜に電子が蓄積されてメモリトランジスタのしきい値電圧が上昇する。このようにして書き込み動作が行なわれる。
【0046】
続いて、消去動作について説明する。消去動作は、例えば、バンド間トンネリング現象を使用したBTBT(Band to Band Tunneling)消去で行なわれる。BTBT消去では、例えば、メモリゲート電極MGに印加する電圧Vmgを−6V、ソース領域に印加する電圧Vsを6V、コントロールゲート電極CGに印加する電圧Vcgを0Vとし、ドレイン領域は0Vを印加する。これにより、ソース領域とメモリゲート電極との間にかかる電圧によってソース領域端部においてバンド間トンネリング現象で生成された正孔が、ソース領域に印加されている高電圧によって加速されてホットホールとなる。そして、ホットホールの一部がメモリゲート電極MGに印加された負電圧に引き寄せられ、窒化シリコン膜中に注入される。注入されたホットホールは、窒化シリコン膜内のトラップ準位に捕獲され、メモリトランジスタのしきい値電圧が低下する。このようにして消去動作が行なわれる。
【0047】
次に、読み出し動作について説明する。読み出しは、ドレイン領域に印加する電圧VdをVdd(1.5V)、ソース領域に印加する電圧Vsを0V、コントロールゲート電極CGに印加する電圧VcgをVdd(1.5V)、メモリゲート電極MGに印加する電圧VmgをVdd(1.5V)とし、書き込み時と逆方向に電流を流して行う。ドレイン領域に印加する電圧Vdとソース領域に印加する電圧Vsを入れ替え、それぞれ0V、1.5Vとして、書込み時と電流の方向が同じ読み出しを行ってもよい。このとき、メモリセルが書き込み状態にありしきい値電圧が高い場合には、メモリセルに電流が流れない。一方、メモリセルが消去状態にあり、しきい値電圧が低い場合には、メモリセルに電流が流れる。
【0048】
このようにメモリセルが書き込み状態にあるか、あるいは、消去状態にあるかをメモリセルに流れる電流の有無を検出することで判別することができる。具体的には、センスアンプによってメモリセルに流れる電流の有無を検出する。例えば、メモリセルに流れる電流の有無を検出するために、基準電流(リファレンス電流)を使用する。つまり、メモリセルが消去状態にある場合、読み出し時に読み出し電流が流れるが、この読み出し電流と基準電流とを比較する。基準電流は、消去状態の読み出し電流よりも低く設定されており、読み出し電流と基準電流とを比較した結果、基準電流よりも読み出し電流が大きい場合、メモリセルは消去状態にあると判断できる。一方、メモリセルが書き込み状態にある場合、読み出し電流は流れない。すなわち、読み出し電流と基準電流とを比較した結果、基準電流よりも読み出し電流が小さい場合、メモリセルは書き込み状態にあると判断できる。このようにして読み出し動作を行なうことができる。
【0049】
次に、低耐圧MISFET形成領域に形成されている低耐圧MISFETの構成について説明する。この低耐圧MISFETは、例えば、電源電圧が1.5Vと比較的小さな電圧で駆動できるMISFETであり、図1に示すCPU1やRAM2に使用される。
【0050】
まず、図2に示すように、半導体基板1Sには素子分離領域STIが形成されており、素子分離領域STIで区画された活性領域にp型ウェルPWL2が形成されている。このp型ウェルPWL2上には、ゲート絶縁膜GOX2が形成されており、このゲート絶縁膜GOX2上にゲート電極G2が形成されている。ゲート絶縁膜GOX2は、例えば、酸化シリコン膜から形成されている。低耐圧MISFETのゲート絶縁膜GOX2は、後述する高耐圧MISFETのゲート絶縁膜GOX3よりも薄く形成されており、ゲート電極G2に印加される駆動電圧が低くても動作できるようになっている。低耐圧MISFETのゲート絶縁膜GOX2の膜厚は、例えば、7nm程度である。ゲート電極G2は、例えば、ポリシリコン膜とコバルトシリサイド膜の積層膜から形成されており、コバルトシリサイド膜はゲート電極G2の低抵抗化のために形成されるものである。
【0051】
ゲート電極G2の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるサイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSW直下の半導体基板1S内には低濃度不純物拡散領域EX1が形成されている。この低濃度不純物拡散領域EX1はn型半導体領域である。低濃度不純物拡散領域EX1の外側には高濃度不純物拡散領域S2、D2が形成されている。この高濃度不純物拡散領域S2、D2もn型半導体領域であり、この高濃度不純物拡散領域S2、D2の表面には低抵抗化のためのコバルトシリサイド膜SLが形成されている。このように低耐圧MISFETにおいても、低濃度不純物拡散領域EX1と高濃度不純物拡散領域S2によりソース領域が形成され、低濃度不純物拡散領域EX1と高濃度不純物拡散領域D2によりドレイン領域が形成される。
【0052】
このようにして、低耐圧MISFETが構成されている。低耐圧MISFETの特徴は、ゲート絶縁膜GOX2の膜厚が薄膜化されていることやゲート電極G2のゲート長(チャネル形成方向の長さ)が短くなっていることにある。そして、ソース領域およびドレイン領域の深さが浅くなっている。このような構成を低耐圧MISFETで採用することにより、低駆動電源であっても電流駆動力が高く高速に動作するMISFETとすることができる。
【0053】
続いて、低耐圧MISFETと接続する配線構造について説明する。低耐圧MISFET上には、メモリセルを覆うように酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1が形成されている。この層間絶縁膜IL1には、層間絶縁膜IL1を貫通してソース領域やドレイン領域を構成するコバルトシリサイド膜SLに達するコンタクトホールが形成されている。コンタクトホールの内部には、バリア導体膜であるチタン/窒化チタン膜が形成され、コンタクトホールを埋め込むようにタングステン膜が形成されている。このように、コンタクトホールにチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を埋め込むことにより、導電性のプラグPLGが形成されている。そして、層間絶縁膜IL1上には、配線L1が形成されており、この配線L1とプラグPLGが電気的に接続されている。配線L1は、例えば、チタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜およびチタン/窒化チタン膜の積層膜から形成されている。
【0054】
次に、高耐圧MISFET形成領域に形成されている高耐圧MISFETの構成について説明する。この高耐圧MISFETは、例えば、電源電圧が5Vと比較的大きな電圧で駆動するMISFETであり、図1に示すアナログ回路3やフラッシュメモリ4の周辺回路(例えば、昇圧回路)に使用される。
【0055】
まず、図2に示すように、半導体基板1Sには素子分離領域STIが形成されており、素子分離領域STIで区画された活性領域にp型ウェルPWL3が形成されている。このp型ウェルPWL3上には、ゲート絶縁膜GOX3が形成されており、このゲート絶縁膜GOX3上にゲート電極G3が形成されている。ゲート絶縁膜GOX3は、例えば、酸化シリコン膜から形成されている。高耐圧MISFETのゲート絶縁膜GOX3は、上述した低耐圧MISFETのゲート絶縁膜GOX2よりも厚く形成されており、ゲート電極G3に印加される駆動電圧が高くても耐圧を確保できるようになっている。高耐圧MISFETのゲート絶縁膜GOX3の膜厚は、例えば、14nm程度である。ゲート電極G3は、例えば、ポリシリコン膜とコバルトシリサイド膜の積層膜から形成されており、コバルトシリサイド膜はゲート電極G3の低抵抗化のために形成されるものである。
【0056】
ゲート電極G3の両側の側壁には、例えば、酸化シリコン膜からなるサイドウォールSWが形成されており、このサイドウォールSW直下の半導体基板1S内には低濃度不純物拡散領域EX2が形成されている。この低濃度不純物拡散領域EX2はn型半導体領域である。低濃度不純物拡散領域EX2の外側には高濃度不純物拡散領域S3、D3が形成されている。この高濃度不純物拡散領域S3、D3もn型半導体領域であり、この高濃度不純物拡散領域S3、D3の表面には低抵抗化のためのコバルトシリサイド膜SLが形成されている。このように高耐圧MISFETにおいても、低濃度不純物拡散領域EX2と高濃度不純物拡散領域S3によりソース領域が形成され、低濃度不純物拡散領域EX2と高濃度不純物拡散領域D3によりドレイン領域が形成される。
【0057】
このようにして、高耐圧MISFETが構成されている。高耐圧MISFETの特徴は、ゲート絶縁膜GOX3の膜厚が厚膜化されていることやゲート電極G3のゲート長(チャネル形成方向の長さ)が長くなっていることにある。そして、ソース領域およびドレイン領域の深さも低耐圧MISFETよりも深くなっている。このような構成を高耐圧MISFETで採用することにより、高駆動電源であっても耐圧を確保することができる。
【0058】
続いて、高耐圧MISFETと接続する配線構造について説明する。高耐圧MISFET上には、メモリセルを覆うように酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜IL1が形成されている。この層間絶縁膜IL1には、層間絶縁膜IL1を貫通してソース領域やドレイン領域を構成するコバルトシリサイド膜SLに達するコンタクトホールが形成されている。コンタクトホールの内部には、バリア導体膜であるチタン/窒化チタン膜が形成され、コンタクトホールを埋め込むようにタングステン膜が形成されている。このように、コンタクトホールにチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を埋め込むことにより、導電性のプラグPLGが形成されている。そして、層間絶縁膜IL1上には、配線L1が形成されており、この配線L1とプラグPLGが電気的に接続されている。配線L1は、例えば、チタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜およびチタン/窒化チタン膜の積層膜から形成されている。
【0059】
次に、容量素子形成領域に形成されている容量素子の構成について説明する。この容量素子は、例えば、CPU1やRAM2の周辺回路などの低電圧回路や、フラッシュメモリ4の周辺回路(例えば、昇圧回路)やアナログ回路3などの高電圧回路に使用される。つまり、本実施の形態1における容量素子は、高耐圧MISFETと組み合わせて高電圧回路に使用されるだけでなく、低耐圧MISFETと組み合わせて低電圧回路にも使用される。
【0060】
まず、図2に示すように、半導体基板1Sには素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域(アクティブ領域)にp型ウェルPWL4が形成されている。p型ウェルPWL4の表面にはn++型半導体領域よりなる高濃度半導体領域HS1が形成されている。そして、高濃度半導体領域HS1を挟むようにn型半導体領域MVが形成されている。
【0061】
高濃度半導体領域HS1上には、例えば、酸化シリコン膜からなる容量絶縁膜CI1が形成されており、この容量絶縁膜CI1上に電極E1が形成されている。電極E1は、例えば、ポリシリコン膜から形成される。このようにして、半導体基板1SにMOS容量MOS1が形成される。つまり、MOS容量MOS1は、高濃度半導体領域HS1を下部電極とし、かつ、電極E1を上部電極とする容量素子である。
【0062】
続いて、本実施の形態1における容量素子は、MOS容量MOS1上にポリシリコン容量PIP1が形成されている。具体的に、ポリシリコン容量PIP1は、上述した電極E1を下部電極としている。そして、電極E1を覆うように容量絶縁膜CI2が形成され、この容量絶縁膜CI2上に電極E2が形成されている。このように構成されているポリシリコン容量PIP1は、電極E2を上部電極としている。電極E2は、ポリシリコン膜を主体とし、このポリシリコン膜の表面にコバルトシリサイド膜が形成されている。なお、電極E2の段差部には、例えば、酸化シリコン膜からなるサイドウォールSWが形成される。
【0063】
本実施の形態1では、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1とを積層した構造をしているが、このようにMOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1とを積層構造とすることにより、単位面積に占める容量値を大きくすることができる。つまり、半導体基板1S上に積層して容量素子を配置することで、半導体基板1S上に単層で容量素子を配置する場合に比べて容量値を大きくすることができるのである。以上のことから、本実施の形態1では、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1とを積層している。
【0064】
次に、本実施の形態1における容量素子と接続する配線構造について説明する。図2に示すように、高濃度半導体領域HS1の外側に形成されているn型半導体領域MVがMOS容量MOS1の外側に引き出されて層間絶縁膜IL1に形成されているプラグPLG4と接続されている。プラグPLG4と接続するn型半導体領域MVの表面にはコバルトシリサイド膜SLが形成されている。そして、プラグPLG4を形成した層間絶縁膜IL1上には配線L1aが形成されており、プラグPLG4と配線L1aが電気的に接続されている。一方、ポリシリコン容量PIP1の上部電極E2には層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPLG2が形成されており、このプラグPLG2によってポリシリコン容量PIP1の上部電極E2と配線L1bが電気的に接続されている。
【0065】
プラグPLG2やプラグPLG4は、コンタクトホールにチタン/窒化チタン膜とタングステン膜を埋め込むことにより形成され、配線L1aや配線L1bはチタン/窒化チタン膜、アルミニウム膜およびチタン/窒化チタン膜の積層膜から形成されている。
【0066】
以上のようにして、半導体基板1S上に、メモリセル、低耐圧MISFET、高耐圧MISFETおよび容量素子が形成されている。本実施の形態1では、例えば、これらの素子を1つの製造工程で形成するので、それぞれの素子を構成する構成要素は共通する部材から形成される。具体的には、メモリセルのゲート絶縁膜GOX1と、低耐圧MISFETのゲート絶縁膜GOX2と、高耐圧MISFETのゲート絶縁膜GOX3と、MOS容量MOS1の容量絶縁膜CI1とは、同じ酸化シリコン膜から形成されている。そして、メモリセルのコントロールゲート電極CGと、低耐圧MISFETのゲート電極G2と、高耐圧MISFETのゲート電極G3と、MOS容量MOS1の上部電極である電極E1とは、同じポリシリコン膜から形成される。さらに、メモリセルの電位障壁膜EV1、電荷蓄積膜ECおよび電位障壁膜EV2を構成する積層膜は、ポリシリコン容量PIP1の容量絶縁膜CI2と同様の膜で形成される。つまり、メモリセルを構成する積層膜とポリシリコン容量PIP1を構成する容量絶縁膜CI2は、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜から構成される。また、メモリセルのメモリゲート電極MGと、ポリシリコン容量PIP1の上部電極となる電極E2とは、同じポリシリコン膜より構成される。
【0067】
本実施の形態1では、容量素子について着目し、この容量素子の不良率の低減を図ることを目的としている。以下では、容量素子の不良率を低下させる原因について説明する。容量素子は、上述したようにMOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1の積層構造をしているが、特に、MOS容量MOS1のピンホール不良が問題となる。
【0068】
図3は、MOS容量MOS1に発生するピンホール不良を図示したものである。図3に示すように、MOS容量MOS1は、p型ウェルPWL4の表面に形成された高濃度半導体領域HS1を下部電極とし、この下部電極上に容量絶縁膜CI1を介して上部電極となる電極E1が形成された構造をしている。このとき、容量絶縁膜CI1は、例えば、酸化シリコン膜から形成される。図3に示すように、例えば、製造工程の条件(酸化シリコン膜の成膜条件など)により酸化シリコン膜からなる容量絶縁膜CI1にピンホールPHが発生する場合がある。この場合、ピンホールPHでは酸化シリコン膜が除去されていることから、高濃度半導体領域HS1(下部電極)と電極E1(上部電極)との間の耐圧が低下する問題が生じる。つまり、容量絶縁膜CI1が正常に形成されていれば、高濃度半導体領域HS1と電極E1との間には絶縁材料が介在することから耐圧異常は生じないが、容量絶縁膜CI1にピンホールPHが発生すると、ピンホールPHでは絶縁材料が介在しなくなり高濃度半導体領域HS1と電極E1との間の耐圧が低下するのである。さらには、電極E1がピンホールPHに入り込み、高濃度半導体領域HS1と電極E1が導通(ショート不良)するおそれもある。すると、上部電極と下部電極が電気的に接続されてしまい容量素子として機能しなくなる。したがって、MOS容量MOS1で容量絶縁膜CI1にピンホールPHが形成されているものを製品として出荷すると、製品不良の原因となるので、予め選別して除去する必要があることがわかる。
【0069】
ここでは、MOS容量MOS1のピンホール不良について説明しているが、ポリシリコン容量PIP1でも同様にピンホール不良が問題となると考えられる。ところが、ポリシリコン容量PIP1ではピンホール不良はそれほど問題として顕在化しないことについて説明する。
【0070】
図4は、ポリシリコン容量PIP1の構成を示す断面図である。図4に示すように、ポリシリコン容量PIP1には、下部電極である電極E1を覆うように容量絶縁膜CI2が形成されており、この容量絶縁膜CI2上に上部電極となる電極E2が形成されている。このとき、電極E1および電極E2はポリシリコン膜から形成されている。以上のように構成されているポリシリコン容量PIP1でも、容量絶縁膜CI2を介して、電極E1と電極E2が形成されていることから、容量絶縁膜CI2にピンホールPHが発生すると、電極E1と電極E2間の耐圧が低下するのではないかと考えられる。しかし、ポリシリコン容量PIP1の容量絶縁膜CI2は、酸化シリコン膜12と窒化シリコン膜13と酸化シリコン膜14の積層膜から構成されている。このため、図4に示すように、例えば、酸化シリコン膜14にピンホールPHが発生しても、酸化シリコン膜14の下層には膜質の異なる窒化シリコン膜13が形成されていることから、ピンホールPHが窒化シリコン膜13を貫通するように形成されることはほとんどないのである。つまり、ポリシリコン容量PIP1を構成する容量絶縁膜CI2は膜質の異なる積層膜から構成されているので、この積層膜を貫通するピンホールPHは形成されにくいのである。特に、酸化シリコン膜14と窒化シリコン膜13はエッチング特性も異なることから、たとえ酸化シリコン膜14にピンホールPHが発生しても、同じ位置の窒化シリコン膜13にもピンホールが発生することはほとんどないと考えられる。
【0071】
ピンホールPHが容量絶縁膜CI2を貫通するように形成される場合には、電極E1と電極E2との間の耐圧が低下するが、図4に示すように、ピンホールPHが形成されてもピンホールPHが容量絶縁膜CI2を貫通しなければ電極E1と電極E2の耐圧は確保できるのである。以上の理由により、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜という膜質の異なる積層膜から容量絶縁膜CI2を形成しているポリシリコン容量PIP1では、ピンホール不良が耐圧不良の問題として顕在化しないのである。これに対し、MOS容量MOS1では、容量絶縁膜CI1を単層膜から形成しているので、容量絶縁膜CI1を貫通するピンホールPHが形成されやすく、容量絶縁膜CI1を貫通して形成されるピンホールPHによって上部電極と下部電極との耐圧不良が顕在化するのである。したがって、本実施の形態1における容量素子は、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1の積層構造としているが、特に、MOS容量MOS1におけるピンホール不良が問題となることがわかる。つまり、容量素子の不良率を低減するには、ピンホール不良が発生しているMOS容量MOS1を如何に製品から除去することができるかが鍵となる。
【0072】
このような状況のもとで、製品を出荷する前に予めピンホール不良の存在するMOS容量MOS1を選別するために、スクリーニングという信頼性試験が行なわれている。このスクリーニングとは、一定の規格や基準に照らして良品と不良品を選び分けるものであり、完成品に潜在的に残っている様々な不良を非破壊的な検査によって顕在化させるものである。このように、スクリーニングは、製品の初期故障率を低減することに有効な手段である。
【0073】
具体的に、例えば、MOS容量MOS1に対しては、製品不良率を1ppm以下にするため、MOS容量MOS1の上部電極と下部電極の間に4.5Vの電圧を印加し、この印加した状態を16時間継続するスクリーニングが行なわれている。したがって、上述した条件のスクリーニングをMOS容量に対して実施すれば、ピンホール不良を有するMOS容量が選別され、製品不良率を1ppm以下にすることができる。
【0074】
このときのスクリーニングでは、MOS容量MOS1に4.5Vの電圧を印加しているが、すべてのMOS容量MOS1に4.5Vの電圧を印加してスクリーニングを実施することはできない。例えば、MOS容量は集積回路の受動素子として機能するが、集積回路には様々な電源電圧で動作する回路が存在する。例えば、電源電圧が4.5V以上の高電圧回路(アナログ回路3など)に使用するMOS容量MOS1では、MOS容量MOS1を含む高電圧回路に4.5V以上の電圧が印加されることを想定していることから、スクリーニングで4.5Vの電圧をMOS容量MOS1や高電圧回路を構成する高耐圧MISFETに印加しても問題はない。これに対し、例えば、電源電圧が1.5Vのような低電圧回路(CPU1など)にMOS容量MOS1を使用する場合、基本的に、MOS容量MOS1を含む低電圧回路には電源電圧以下の電圧しか印加されないことが想定されている。したがって、低電圧回路に使用されるMOS容量MOS1のスクリーニングとして、電源電圧よりも高い電圧を印加すると、低電圧回路を構成する低耐圧MISFETが破壊されてしまうおそれがある。このようにMOS容量MOS1は、様々な電圧で駆動する回路で使用されるので、スクリーニングに使用する電圧を一律に規定することはできない。
【0075】
例えば、電源電圧が1.5Vのような低電圧回路に使用されているMOS容量MOS1に対して、スクリーニングを実施する場合には、スクリーニングで低電圧回路に印加する電圧を1.5V以下にしなくてはならない。この場合、製品不良率を1ppm以下にするためには、長時間のスクリーニングが必要となる。つまり、電圧が1.5V以下で実施するスクリーニングにおいて、電圧が4.5Vで16時間印加するスクリーニングと同様の選別効果を得るためにはかなりの時間が必要となり現実的ではない。だからといって、電圧の印加時間を短縮すると、スクリーニング不足となり、ピンホール不良の存在するMOS容量を充分に選別することができなくなる。つまり、特に、MOS容量MOS1を低電圧回路に使用する場合、スクリーニングでは効率良く容量素子の不良率を低減することができないのである。
【0076】
そこで、本実施の形態1では、スクリーニングを実施しなくても、容量素子の不良率を低減できる技術を提案する。以下では、この技術的思想について説明する。本実施の形態1における技術的思想は、MOS容量とポリシリコン容量を積層した容量素子を1つの容量セルとした場合、1つの容量セルともう1つの容量セルとの接続関係を工夫している点に特徴がある。
【0077】
図5は、本実施の形態1における容量素子の構成を示す回路図である。図5に示すように、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1から1つの容量セルを構成する容量素子が形成され、MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2からもう1つの容量セルを構成する容量素子が形成されている。つまり、図5では、2つの容量セル間の接続関係が示されている。
【0078】
図5において、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1から構成される容量セルでは、MOS容量MOS1の上部電極を構成する電極E1がポリシリコン容量PIP1の下部電極としても機能する。そして、ポリシリコン容量PIP1の上部電極を構成する電極E2が高電位(例えば、電源電位)に接続されている。一方、MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2から構成されるもう1つの容量セルでも、MOS容量MOS2の上部電極を構成する電極E3がポリシリコン容量PIP2の下部電極としても機能する。そして、ポリシリコン容量PIP2の上部電極を構成する電極E4が低電位(例えば、基準電位)に接続されている。
【0079】
続いて、MOS容量MOS1の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS1とMOS容量MOS2の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS2が電気的に接続されている。さらに、ポリシリコン容量PIP1の上部電極を構成する電極E2と、ポリシリコン容量PIP2の下部電極あるいはMOS容量MOS2の上部電極となる電極E3が電気的に接続されている。また、ポリシリコン容量PIP2の上部電極を構成する電極E4と、ポリシリコン容量PIP1の下部電極あるいはMOS容量MOS1の上部電極となる電極E1が電気的に接続されている。
【0080】
図5に示すように、2つの容量セルが電気的に接続されているが、さらに、図5に示す回路図での接続関係を分かりやすくするための等価回路図を示す。図6は、図5に示す回路図の等価回路図を示す図である。図6に示すように、高電位(例えば、電源電位)と低電位(例えば、基準電位)の間に、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2が直列に接続されている。具体的には、MOS容量MOS1の電極E1が低電位に接続され、MOS容量MOS1の高濃度半導体領域HS1とMOS容量MOS2の高濃度半導体領域HS2が電気的に接続される。そして、MOS容量MOS2の電極E3が高電位に接続されている。このように高電位と低電位の間にMOS容量MOS1とMOS容量MOS2が直列接続されて直列容量素子が構成されている。この直列容量素子と並列接続されるように、高電位と低電位の間にポリシリコン容量PIP1が接続されている。同様に、直列容量素子と並列接続されるように、高電位と低電位の間にポリシリコン容量PIP2が接続されている。つまり、本実施の形態1では、図6の等価回路図に示すように、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2が直列接続されて直列容量素子を構成し、かつ、この直列容量素子とポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2は互いに並列接続されるように構成されている。図6の等価回路図で示す容量素子は、例えば、低耐圧MISFETを使用する低電圧回路に使用することができる。この場合、高電位は低耐圧MISFETを動作させる電源電圧とし、低電位をGNDなどの基準電位にして容量素子を使用することもできる。さらに、図6の等価回路図で示す容量素子は、低耐圧MISFETを使用する低電圧回路だけでなく、高耐圧MISFETを使用する高電圧回路に使用することもできる。この場合も、高電位は高耐圧MISFETを動作させる電源電圧とし、低電位をGNDなどの基準電位にして容量素子を使用してもよい。
【0081】
このように構成されている容量素子において、本実施の形態1の第1特徴点は、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続している点にある。例えば、高電位と低電位の間にMOS容量MOS1だけを接続する場合を考える。このとき、MOS容量MOS1の容量絶縁膜にピンホール不良が発生すると、MOS容量MOS1の上部電極を構成する電極E1と、MOS容量MOS1の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS1との間にショート不良が発生するおそれが高くなる。MOS容量MOS1の電極E1とMOS容量MOS1の高濃度半導体領域HS1との間でショート不良が発生すると、高電位と低電位の間がショートしてしまい、MOS容量MOS1が容量素子として機能しなくなるばかりでなく、MOS容量MOS1を使用している回路自体を破壊することになる。
【0082】
これに対し、本実施の形態1のように、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続している場合を考える。このとき、例えば、MOS容量MOS1の容量絶縁膜にピンホール不良が発生してショート不良が発生すると、MOS容量MOS1の電極E1と高濃度半導体領域HS1が電気的に接続されてしまい、MOS容量MOS1は容量素子として機能しなくなる。しかし、MOS容量MOS1と直列に、正常なMOS容量MOS2が接続されているので、高電位と低電位の間は、正常なMOS容量MOS2によって電気的に絶縁される。つまり、本実施の形態1では、MOS容量MOS1にピンホール不良に基づくショート不良が発生しても直列に正常なMOS容量MOS2が接続されているので、高電位と低電位の間でショート不良が発生することを防止できるのである。すなわち、MOS容量MOS1だけを高電位と低電位の間に接続する構成では、MOS容量MOS1にピンホール不良が発生すると、回路全体(半導体装置)として不良となってしまう。これに対し、本実施の形態1に示すように、高電位と低電位の間にMOS容量MOS1とMOS容量MOS2を直列に挿入することにより、いずれか一方のMOS容量にピンホール不良に基づくショート不良が発生しても、高電位と低電位との間のショート不良を抑制できるのである。
【0083】
このことは、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2のいずれか一方にピンホール不良が発生しても、回路全体としてショート不良とはならないので、製品不良率を低減できることを意味する。言い換えれば、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2のいずれか一方にピンホール不良が発生しても、容量素子としては正常に機能することから不良品として選別する必要はなくなるのである。つまり、MOS容量にピンホール不良が発生すると直ちに製品不良になることを抑制できる結果、製品不良率を低減できるのである。
【0084】
例えば、MOS容量のピンホール不良率が1%であるとする。この場合、MOS容量を高電位と低電位の間に単独で使用すると、MOS容量のピンホール不良が直ちに製品不良となり、製品不良率は1%になる。これに対して、本実施の形態1のように、複数のMOS容量(例えば、2つのMOS容量)を高電位と低電位の間に挿入すると、いずれか一方のMOS容量にピンホール不良が発生しても製品として不良にはならない。製品として不良になるのは、2つのMOS容量が同時にピンホール不良となる場合である。1つのMOS容量のピンホール不良率を1%とすると、直列接続された2つのMOS容量にピンホール不良が同時に発生する確率は、1%×1%=0.01%となる。したがって、2つのMOS容量を直列接続することにより、製品不良率を、例えば、100分の1に低減することができるのである。
【0085】
以上のことから、例えば、図6に示すように、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2を直列接続することにより、製品不良率を低減することができるのである。このようにMOS容量MOS1とMOS容量MOS2を直列接続する構成をとることにより、製品不良率を低減できることから、ピンホール不良の発生するMOS容量を予め選別するスクリーニングを実施しなくても製品不良率を規定値以下にすることができる。特に、容量素子を低電圧回路に使用する場合、スクリーニングで容量素子に印加できる電圧が低くなることから、スクリーニングにかかる時間を長時間にしなければ、規定値以下の製品不良率を達成するための選別を充分に行なうことができない。しかし、スクリーニング時間を長時間にすることは現実的でないため、低電圧回路に使用される容量素子の製品不良率を規定値以下にすることが困難になる。そこで、本実施の形態1のように、MOS容量を直列接続するという構成をとることが有効である。これにより、スクリーニングを実施しなくても製品不良率を低減できるので、例えば、低電圧回路に容量素子を使用する場合であっても、充分に製品不良率を規定値以下にできる顕著な効果を得ることができる。
【0086】
ただし、図6に示すように、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2を直列接続すると、容量素子全体の容量が低下することになる。つまり、MOS容量MOS1を単独で高電位と低電位の間に設ける場合に比べて、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列に接続して直列容量素子を構成すると容量値が低下することになる。
【0087】
そこで、本実施の形態1における第2特徴点は、図6に示すように、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続して構成された直列容量素子と並列接続するように、ポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2とを接続している点にある。これにより、直列容量素子と並列するように接続されたポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2の分だけ容量が増加することになる。
【0088】
具体的に図7を用いて説明する。図7に示すように、簡単のため、MOS容量MOS1、MOS容量MOS2、ポリシリコン容量PIP1およびポリシリコン容量PIP2の容量値をすべて「1」と仮定する。このとき、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とは直列に接続されていることになるので、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2からなる直列容量素子の容量値は「0.5」に減少する。しかし、この直列容量素子と並列にポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2が接続されているので、直列容量素子と、ポリシリコン容量PIP1およびポリシリコン容量PIP2を合わせた容量値は、「0.5」+「1」+「1」=「2.5」となる。いまの場合、2つの容量セルを考えていることから、例えば、1つの容量セルでの容量値は「1.25」となり、MOS容量MOS1の容量値「1」よりも大きくなる。したがって、単位容量セル当たりの容量値をMOS容量MOS1の容量値よりも大きくすることができる。
【0089】
本実施の形態1における技術的思想によれば、まず、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続するという第1特徴点により、容量素子を使用した製品不良率を低減することができる。ただし、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続することで構成される直列容量素子の容量値が減少することになるが、この直列容量素子と並列にポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2を接続するという第2特徴点により、単位容量セル当たりの容量値を増加させることができる。すなわち、本実施の形態1による技術的思想によれば、MOS容量のピンホール不良に基づく製品不良率を低減することができ、かつ、単位容量セル当たりの容量値を大きくできるという顕著な効果を奏するのである。
【0090】
続いて、図5および図6に示す回路構成を実現する容量素子のレイアウト構成について説明する。図8は、本実施の形態1における容量素子の接続構成を示す平面図である。図8の左側に第1容量形成領域が形成され、図8の右側に第2容量形成領域が形成されている。まず、図8の左側に形成されている第1容量形成領域には、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1の積層構造をした容量素子が形成されている。MOS容量MOS1の下部電極である高濃度半導体領域は見えていないが、この高濃度半導体領域の外側に形成されているn型半導体領域MVが示されている。そして、図示されていない高濃度半導体領域の上部に電極E1が形成されている。このようにMOS容量MOS1は、n型半導体領域MVと接続されている高濃度半導体領域を下部電極とし、図示しない容量絶縁膜を介して高濃度半導体領域上に形成されている電極E1を上部電極としている。さらに、電極E1上には、図示しない容量絶縁膜を介して電極E2が形成されている。ポリシリコン容量PIP1は、電極E1を下部電極とし、電極E2を上部電極としている。
【0091】
同様に、図8の右側に形成されている第2容量形成領域には、MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2の積層構造をした容量素子が形成されている。MOS容量MOS2の下部電極である高濃度半導体領域は見えていないが、この高濃度半導体領域の外側に形成されているn型半導体領域MVが示されている。そして、図示されていない高濃度半導体領域の上部に電極E3が形成されている。このようにMOS容量MOS2は、n型半導体領域MVと接続されている高濃度半導体領域を下部電極とし、図示しない容量絶縁膜を介して高濃度半導体領域上に形成されている電極E3を上部電極としている。さらに、電極E3上には、図示しない容量絶縁膜を介して電極E4が形成されている。ポリシリコン容量PIP2は、電極E3を下部電極とし、電極E4を上部電極としている。
【0092】
このように構成されている2つの容量素子の接続関係について図5と図8を対応づけて説明する。まず、図5に示す回路図で接続されているMOS容量MOS1の下部電極となる高濃度半導体領域HS1とMOS容量MOS2の下部電極となる高濃度半導体領域HS2との接続構成について説明する。この接続は、図8において、プラグPLG1aおよびプラグPLG1bを介した配線L1aと、プラグPLG4aおよびプラグPLG4bを介した配線L2aにより行なわれている。第1容量形成領域および第2容量形成領域に形成されているn型半導体領域MVは、プラグPLG1aあるいはプラグPLG1bを介して配線L1aで電気的に接続されている。これにより、左側の第1容量形成領域において、電極E1の下層に形成されている高濃度半導体領域(図5の高濃度半導体領域HS1)は、外側に形成されているn型半導体領域MV、プラグPLG1aを介して配線L1aに接続されることになる。同様に、右側の第2容量形成領域においても、電極E3の下層に形成されている高濃度半導体領域(図5の高濃度半導体領域HS2)は、外側に形成されているn型半導体領域MV,プラグPLG1bを介して配線L1aに接続されることになる。したがって、MOS容量MOS1の下部電極を構成する高濃度半導体領域(図8の電極E1の下層に形成されている)と、MOS容量MOS2の下部電極を構成する高濃度半導体領域(図8の電極E3の下層に形成されている)とは、配線L1aによって電気的に接続されることになる。
【0093】
さらに、MOS容量MOS1の下部電極とMOS容量MOS2の下部電極の接続を確実なものとするため、左側の第1容量形成領域に形成されているn型半導体領域MVはプラグPLG4aを介して配線L2aと接続され、同様に、右側の第2容量形成領域に形成されているn型半導体領域MVもプラグPLG4bを介して配線L2aと接続されている。このことから、第1容量形成領域および第2容量形成領域に形成されているn型半導体領域MVは配線L2aによって電気的に接続されていることになる。
【0094】
続いて、図5に示す回路図で接続されている電極E2と電極E3との接続構成について説明する。この接続は、図8において、プラグPLG2aおよびプラグPLG2bを介した配線L1bにより行なわれている。まず、左側の第1容量形成領域に形成されている電極E2は、プラグPLG2aを介して配線L1bと接続されていることになる。一方、右側の第2容量形成領域に形成されている電極E3も、プラグPLG2bを介して配線L1bと接続されていることになる。このため、左側の第1容量形成領域に形成されている電極E2と、右側の第2容量形成領域に形成されている電極E3とは配線L1bによって電気的に接続されていることになる。
【0095】
次に、図5に示す回路図で接続されている電極E1と電極E4との接続構成について説明する。この接続は、図8において、プラグPLG3aおよびプラグPLG3bを介した配線L1cにより行なわれている。まず、左側の第1容量形成領域に形成されている電極E1は、プラグPLG3bを介して配線L1cと接続されていることになる。一方、右側の第2容量形成領域に形成されている電極E4も、プラグPLG3aを介して配線L1cと接続されていることになる。このため、左側の第1容量形成領域に形成されている電極E1と、右側の第2容量形成領域に形成されている電極E4とは配線L1cによって電気的に接続されていることになる。
【0096】
また、第1容量形成領域において、プラグPLG2aは電極E2に接続されるが、その接続箇所は、電極E1と電極E2が平面で重ならない領域に形成される。これは、プラグPLG2aは層間絶縁膜内のコンタクトホールに形成されるが、このコンタクトホール形成時のエッチングで使用される各イオン種が、ポリシリコン容量PIP1の容量絶縁膜にダメージを与えるおそれがあるからである。したがって、本実施の形態では、PLG2aの形成される位置を電極E1と電極E2が平面で重ならない領域に形成することで、上述したおそれを回避している。また、第2容量形成領域のプラグPLG3aについても同様である。また、以降の実施の形態においても同様である。
【0097】
図9は、図8のA−A線で切断した断面図である。図9に示すように、半導体基板1Sには、第1容量形成領域と第2容量形成領域が存在している。まず、第1容量形成領域に形成されている容量素子の構成について説明する。図9に示すように、半導体基板1Sには素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域(アクティブ領域)にp型ウェルPWL4が形成されている。p型ウェルPWL4の表面にはn++型半導体領域よりなる高濃度半導体領域HS1が形成されている。そして、高濃度半導体領域HS1を挟むようにn型半導体領域MVが形成されている。
【0098】
高濃度半導体領域HS1上には、例えば、酸化シリコン膜からなる容量絶縁膜CI1が形成されており、この容量絶縁膜CI1上に電極E1が形成されている。電極E1は、例えば、ポリシリコン膜から形成される。このようにして、半導体基板1SにMOS容量MOS1が形成される。つまり、MOS容量MOS1は、高濃度半導体領域HS1を下部電極とし、かつ、電極E1を上部電極とする容量素子である。このとき、高濃度半導体領域HS1は、第1容量形成領域の半導体基板1S内に存在する半導体領域の中で最も不純物濃度が高くなるように形成されている。
【0099】
続いて、本実施の形態1における容量素子は、MOS容量MOS1上にポリシリコン容量PIP1が形成されている。具体的に、ポリシリコン容量PIP1は、上述した電極E1を下部電極としている。そして、電極E1を覆うように容量絶縁膜CI2が形成され、この容量絶縁膜CI2上に電極E2が形成されている。このように構成されているポリシリコン容量PIP1は、電極E2を上部電極としている。電極E2は、ポリシリコン膜を主体とし、このポリシリコン膜の表面にコバルトシリサイド膜が形成されている。なお、電極E2の段差部には、例えば、酸化シリコン膜からなるサイドウォールSWが形成される。
【0100】
同様に、第2容量形成領域に形成されている容量素子の構成について説明する。図9に示すように、半導体基板1Sには素子分離領域STIが形成されており、この素子分離領域STIで区画された活性領域(アクティブ領域)にp型ウェルPWL4が形成されている。p型ウェルPWL4の表面にはn++型半導体領域よりなる高濃度半導体領域HS2が形成されている。そして、高濃度半導体領域HS2を挟むようにn型半導体領域MVが形成されている。
【0101】
高濃度半導体領域HS2上には、例えば、酸化シリコン膜からなる容量絶縁膜CI3が形成されており、この容量絶縁膜CI3上に電極E3が形成されている。電極E3は、例えば、ポリシリコン膜から形成される。このようにして、半導体基板1SにMOS容量MOS2が形成される。つまり、MOS容量MOS2は、高濃度半導体領域HS2を下部電極とし、かつ、電極E3を上部電極とする容量素子である。このとき、高濃度半導体領域HS2は、第2容量形成領域の半導体基板1S内に存在する半導体領域の中で最も不純物濃度が高くなるように形成されている。なお、第1容量形成領域に形成される高濃度半導体領域HS1と第2容量形成領域に形成される高濃度半導体領域HS2とは、例えば、同じ濃度の半導体領域として形成することができる。
【0102】
続いて、本実施の形態1における容量素子は、MOS容量MOS2上にポリシリコン容量PIP2が形成されている。具体的に、ポリシリコン容量PIP2は、上述した電極E3を下部電極としている。そして、電極E3を覆うように容量絶縁膜CI4が形成され、この容量絶縁膜CI4上に電極E4が形成されている。このように構成されているポリシリコン容量PIP2は、電極E4を上部電極としている。電極E4は、ポリシリコン膜を主体とし、このポリシリコン膜の表面にコバルトシリサイド膜が形成されている。なお、電極E4の段差部には、例えば、酸化シリコン膜からなるサイドウォールSWが形成される。
【0103】
ここで、MOS容量MOS1の下部電極とMOS容量MOS2との下部電極との接続構成について説明する。まず、MOS容量MOS1の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS1は外側に形成されているn型半導体領域MVと電気的に接続されている。そして、このn型半導体領域MVは、層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPLG1aと接続されている。このとき、プラグPLG1aとn型半導体領域MVの間にコバルトシリサイド膜SLが形成されている。プラグPLG1aは層間絶縁膜IL1上に形成されている配線L1aと接続されている。一方、MOS容量MOS2の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS2は外側に形成されているn型半導体領域MVと電気的に接続されている。そして、このn型半導体領域MVは、層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPLG1bと接続されている。このとき、プラグPLG1bとn型半導体領域MVの間にコバルトシリサイド膜SLが形成されている。プラグPLG1bは層間絶縁膜IL1上に形成されている配線L1aと接続されている。したがって、MOS容量MOS1の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS1と、MOS容量MOS2の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS2とは、プラグPLG1aおよびプラグPLG1bと接続されている配線L1aを介して電気的に接続されていることがわかる。さらに、MOS容量MOS1の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS1と、MOS容量MOS2の下部電極を構成する高濃度半導体領域HS2とは、プラグPLG4aおよびプラグPLG4bを介して層間絶縁膜IL2上に形成されている配線L2aでも接続されていることがわかる。
【0104】
次に、ポリシリコン容量PIP1の上部電極を構成する電極E2と、ポリシリコン容量PIP2の下部電極を構成する電極E3との接続関係について、図10を参照しながら説明する。図10は、図8のB−B線で切断した断面図である。図10に示すように、ポリシリコン容量PIP1の上部電極を構成する電極E2は、層間絶縁膜IL1を貫通しているプラグPLG2aを介して配線L1bと接続されている。一方、ポリシリコン容量PIP2の下部電極を構成する電極E3は、層間絶縁膜IL1を貫通しているプラグPLG2bを介して配線L1bと接続されている。したがって、ポリシリコン容量PIP1の上部電極を構成する電極E2と、ポリシリコン容量PIP2の下部電極を構成する電極E3とは、配線L1bによって接続されていることがわかる。以上のようにして本実施の形態1における容量素子が構成されている。
【0105】
本実施の形態1では、MOS容量MOS1の下部電極やMOS容量MOS2の下部電極を、例えば、n++型半導体領域である高濃度半導体領域HS1、HS2から形成しているが、この利点について説明する。
【0106】
まず、本実施の形態1のようにMOS容量の下部電極として高濃度半導体領域(n++型半導体領域)を使用する容量素子をMOS容量(1)とする。そして、MOS容量の下部電極として濃度の薄いp型ウェルを使用する容量素子をMOS容量(2)とし、MOS容量の下部電極として濃度の薄いn型ウェルを使用する容量素子をMOS容量(3)とする。このように構成されているMOS容量(1)〜MOS容量(3)について、下部電極を基準にして上部電極(ポリシリコン膜)に印加する相対的な電圧と容量値の関係について説明する。
【0107】
図11は、上述したMOS容量(1)〜MOS容量(3)において、下部電極を基準にして上部電極に印加する相対的な電圧と容量値との関係を示すグラフである。図11に示すように、MOS容量(1)は、上部電極に印加する相対的な電圧が、例えば、−3.3V〜+3.3Vのように変化する場合であっても容量値がほとんど変化していないことがわかる。このことは、MOS容量(1)の容量が電圧依存性を有していないことを示している。例えば、図6に示す場合、MOS容量MOS1は上部電極となる電極E1を低電位に接続し、MOS容量MOS2は上部電極となるE3を高電位に接続している。すなわち、MOS容量MOS1では、下部電極となる高濃度半導体領域HS1よりも低電位に上部電極となる電極E1が接続され、MOS容量MOS2では、下部電極となる高濃度半導体領域HS2よりも高電位に上部電極となる電極E3が接続されることになる。つまり、MOS容量MOS1では、下部電極を基準にして上部電極に相対的な負電圧を印加することになるのに対し、MOS容量MOS2では、下部電極を基準にして上部電極に相対的な正電圧を印加することになる。この場合、MOS容量MOS1やMOS容量MOS2として、MOS容量(1)を使用すると、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2の容量値を高い状態で使用することができる。つまり、MOS容量(1)によれば、容量値の電圧依存性がないので、MOS容量(1)の向きを考えずにMOS容量MOS1とMOS容量MOS2の両方に使用することができる。
【0108】
これに対し、MOS容量(2)は、上部電極に印加する相対的な電圧が、例えば、−3.3V〜+3.3Vのように変化する場合、容量値が急激に変化することがわかる。具体的には、下部電極を基準にして上部電極に相対的な負電圧を印加する場合は高い容量値を得ることができるが、下部電極を基準にして上部電極に相対的な正電圧を印加する場合、容量値は低くなる。このことから、MOS容量(2)をMOS容量MOS1として使用する場合には高い容量値を得ることができるが、MOS容量(2)をMOS容量MOS2として使用する場合には低い容量値しか得られなくなる。したがって、MOS容量(2)は、高い容量値で使用することを考えた場合、直列接続されるMOS容量MOS1とMOS容量MOS2のうち、MOS容量MOS1にしか使用することができなくなるのである。
【0109】
同様に、MOS容量(3)は、上部電極に印加する相対的な電圧が、例えば、−3.3V〜+3.3Vのように変化する場合、容量値が急激に変化することがわかる。具体的には、下部電極を基準にして上部電極に相対的な正電圧を印加する場合は高い容量値を得ることができるが、下部電極を基準にして上部電極に相対的な負電圧を印加する場合、容量値は低くなる。このことから、MOS容量(3)をMOS容量MOS2として使用する場合には高い容量値を得ることができるが、MOS容量(3)をMOS容量MOS1として使用する場合には低い容量値しか得られなくなる。したがって、MOS容量(3)は、高い容量値で使用することを考えた場合、直列接続されるMOS容量MOS1とMOS容量MOS2のうち、MOS容量MOS2にしか使用することができなくなるのである。
【0110】
以上のことから、MOS容量(1)の構造では、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2の両方に使用することができる。このことは、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを同一の容量素子構造(MOS容量(1)の構造)で形成できることを意味する。さらには、MOS容量MOS1の容量とMOS容量MOS2の容量の電圧依存性がないことから、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを接続する配線レイアウトの制約も緩和されるので、配線レイアウトの自由度を向上できる効果が得られる。
【0111】
これに対し、MOS容量(2)の構造とMOS容量(3)の構造では、高い容量値で使用することを考えると、MOS容量(2)の構造をMOS容量MOS1に使用し、MOS容量(3)の構造をMOS容量MOS2に使用することになる。このことは、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを異なる容量素子構造(MOS容量(2)とMOS容量(3)の構造)で形成する必要があることを意味する。さらには、容量値の電圧依存性を考慮して、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2との配線レイアウトを決定する必要がある。このことから、配線レイアウトの制約が多くなってしまう。
【0112】
上述したように、MOS容量(1)では容量値の電圧依存性がないのに対し、MOS容量(2)やMOS容量(3)では、容量値の電圧依存性が生じる。この理由について簡単に説明する。まず、MOS容量(1)について電圧依存性がない理由について説明する。MOS容量(1)では、下部電極にn++型半導体領域からなる高濃度半導体領域を使用している。そして、高濃度半導体領域上に容量絶縁膜を介して上部電極が形成されている。このとき、下部電極を基準にして上部電極に相対的な正電圧を印加すると、この正電圧に引き付けられるように、下部電極である高濃度半導体領域の表面に電子が蓄積される(蓄積領域)。このため、下部電極はこの蓄積領域となり、容量は容量絶縁膜による容量だけとなるので容量値は大きくなる。つまり、上部電極と下部電極との距離が容量絶縁膜の膜厚分になるので容量値は大きくなるのである。続いて、上部電極に印加する電圧を負電圧にシフトすると、蓄積領域はなくなって空乏層が形成される。しかし、高濃度半導体領域の不純物濃度が高濃度であるため、この空乏層はほとんど延びず無視できる程度となる。このことから、空乏層による空乏層容量はほとんどなく容量値は変化しないのである。
【0113】
次に、MOS容量(2)で容量値の電圧依存性が生じる理由について説明する。MOS容量(2)では、下部電極に濃度の薄いp型ウェル(p型半導体領域)を使用している。そして、p型ウェル上に容量絶縁膜を介して上部電極が形成されている。このとき、下部電極を基準にして上部電極に相対的な負電圧を印加すると、この負電圧に引き付けられるように、下部電極であるp型ウェルの表面に正孔が蓄積される(蓄積領域)。このため、下部電極はこの蓄積領域となり、容量は容量絶縁膜による容量だけとなるので容量値は大きくなる。続いて、上部電極に印加する電圧を正電圧にシフトすると、蓄積領域はなくなって空乏層が形成される。このとき、p型ウェルの不純物濃度が低いことから、空乏層が延びる。この結果、MOS容量(2)の容量値は、容量絶縁膜による容量と空乏層による空乏層容量を直列に接続した容量となる。したがって、上部電極に印加する電圧を正電圧にシフトすると、空乏層容量が生じる分容量値が減少する。特に、正電圧の大きさが大きくなるほど空乏層が延びることになるので容量値が減少することになる。
【0114】
続いて、MOS容量(3)で容量値の電圧依存性が生じる理由について説明する。MOS容量(3)では、下部電極に濃度の薄いn型ウェル(n型半導体領域)を使用している。そして、n型ウェル上に容量絶縁膜を介して上部電極が形成されている。このとき、下部電極を基準にして上部電極に相対的な正電圧を印加すると、この正電圧に引き付けられるように、下部電極であるn型ウェルの表面に電子が蓄積される(蓄積領域)。このため、下部電極はこの蓄積領域となり、容量は容量絶縁膜による容量だけとなるので容量値は大きくなる。続いて、上部電極に印加する電圧を負電圧にシフトすると、蓄積領域はなくなって空乏層が形成される。このとき、n型ウェルの不純物濃度が低いことから、空乏層が延びる。この結果、MOS容量(3)の容量値は、容量絶縁膜による容量と空乏層による空乏層容量を直列に接続した容量となる。したがって、上部電極に印加する電圧を負電圧にシフトすると、空乏層容量が生じる分容量値が減少する。特に、負電圧の大きさが大きくなるほど空乏層が延びることになるので容量値が減少することになる。
【0115】
以上のような理由から、MOS容量(1)では容量値の電圧依存性がないのに対し、MOS容量(2)やMOS容量(3)では、容量値の電圧依存性が生じることがわかる。
【0116】
本実施の形態1における半導体装置は上記のように構成されており、以下にその製造方法について、図面を参照しながら説明する。半導体装置の製造方法を説明する図12〜図24では、メモリセル形成領域、低耐圧MISFET形成領域、高耐圧MISFET形成領域および容量素子形成領域を同時に図示しながら説明する。
【0117】
まず、図12に示すように、ホウ素(B)などのp型不純物を導入したシリコン単結晶よりなる半導体基板1Sを用意する。このとき、半導体基板1Sは、略円盤形状をした半導体ウェハの状態になっている。そして、半導体基板1Sの低耐圧MISFET形成領域と高耐圧MISFET形成領域とを分離する素子分離領域STIを形成する。素子分離領域STIは、素子が互いに干渉しないようにするために設けられる。この素子分離領域STIは、例えばLOCOS(local Oxidation of silicon)法やSTI(shallow trench isolation)法を用いて形成することができる。例えば、STI法では、以下のようにして素子分離領域STIを形成している。すなわち、半導体基板1Sにフォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して素子分離溝を形成する。そして、素子分離溝を埋め込むように半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成し、その後、化学的機械的研磨法(CMP;chemical mechanical polishing)により、半導体基板1S上に形成された不要な酸化シリコン膜を除去する。これにより、素子分離溝内にだけ酸化シリコン膜を埋め込んだ素子分離領域STIを形成することができる。なお、図12においては、メモリセル形成領域では、素子分離領域STIが形成されていないが、容量素子形成領域では、素子分離領域STIが形成される。
【0118】
続いて、メモリセル形成領域の半導体基板1S内に不純物を導入してウェル分離層NISOを形成する。ウェル分離層NISOは、半導体基板1S内にリンや砒素などのn型不純物を導入することにより形成される。そして、半導体基板1Sに不純物を導入してp型ウェルPWL1〜PWL4を形成する。p型ウェルPWL1〜PWL4は、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板1Sに導入することで形成される。具体的に、メモリセル形成領域にp型ウェルPWL1を形成し、低耐圧MISFET形成領域にp型ウェルPWL2を形成する。同様に、高耐圧MISFET形成領域にp型ウェルPWL3を形成し、容量素子形成領域にp型ウェルPWL4を形成する。
【0119】
次に、図13に示すように、容量素子形成領域に高濃度半導体領域HS1および高濃度半導体領域HS2を形成する。高濃度半導体領域HS1、HS2は、n++型半導体領域からなり、例えば、イオン注入法によりリンや砒素などのn型不純物を導入することにより形成される。このとき、高濃度半導体領域HS1、HS2は、容量素子形成領域の半導体基板1S内に形成される半導体領域の中で最も不純物濃度が高い領域となっている。高濃度半導体領域HS1と高濃度半導体領域HS2は、同じイオン注入で実施され、例えば、同じ不純物濃度の半導体領域となっている。
【0120】
次に、図14に示すように、半導体基板1S上に絶縁膜10を形成する。この絶縁膜は、後述するメモリセルのゲート絶縁膜、低耐圧MISFETのゲート絶縁膜、高耐圧MISGETのゲート絶縁膜となる膜である。したがって、絶縁膜10は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えば熱酸化法を使用して形成することができる。ただし、絶縁膜10は、酸化シリコン膜に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えば、絶縁膜10を酸窒化シリコン膜(SiON)としてもよい。すなわち、絶縁膜10と半導体基板1Sとの界面に窒素を偏析させる構造としてもよい。酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて膜中における界面準位の発生を抑制したり、電子トラップを低減する効果が高い。したがって、絶縁膜10のホットキャリア耐性を向上でき、絶縁耐性を向上させることができる。また、酸窒化シリコン膜は、酸化シリコン膜に比べて不純物が貫通しにくい。このため、絶縁膜10に酸窒化シリコン膜を用いることにより、ゲート電極中の不純物が半導体基板1S側に拡散することに起因するしきい値電圧の変動を抑制することができる。酸窒化シリコン膜を形成するのは、例えば、半導体基板1SをNO、NOまたはNHといった窒素を含む雰囲気中で熱処理すればよい。また、半導体基板1Sの表面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜10を形成した後、窒素を含む雰囲気中で半導体基板1Sを熱処理し、絶縁膜10と半導体基板1Sとの界面に窒素を偏析させることによっても同様の効果を得ることができる。
【0121】
また、絶縁膜10は、例えば酸化シリコン膜より誘電率の高い高誘電率膜から形成してもよい。従来、絶縁耐性が高い、シリコン−酸化シリコン界面の電気的・物性的安定性などが優れているとの観点から、絶縁膜10として酸化シリコン膜が使用されている。しかし、素子の微細化に伴い、絶縁膜10の膜厚について、極薄化が要求されるようになってきている。このように薄い酸化シリコン膜を絶縁膜10として使用すると、MISFETのチャネルを流れる電子が酸化シリコン膜によって形成される障壁をトンネルしてゲート電極に流れる、いわゆるトンネル電流が発生してしまう。
【0122】
そこで、酸化シリコン膜より誘電率の高い材料を使用することにより、容量が同じでも物理的膜厚を増加させることができる高誘電率膜が使用されるようになってきている。高誘電率膜によれば、容量を同じにしても物理的膜厚を増加させることができるので、リーク電流を低減することができる。特に、窒化シリコン膜も酸化シリコン膜よりも誘電率の高い膜であるが、本実施の形態1では、この窒化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜を使用することが望ましい。
【0123】
例えば、窒化シリコン膜よりも誘電率の高い高誘電率膜として、ハフニウム酸化物の一つである酸化ハフニウム膜(HfO膜)が使用されるが、酸化ハフニウム膜に変えて、ハフニウムアルミネート膜、HfON膜(ハフニウムオキシナイトライド膜)、HfSiO膜(ハフニウムシリケート膜)、HfSiON膜(ハフニウムシリコンオキシナイトライド膜)、HfAlO膜のような他のハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。さらに、これらのハフニウム系絶縁膜に酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化イットリウムなどの酸化物を導入したハフニウム系絶縁膜を使用することもできる。ハフニウム系絶縁膜は、酸化ハフニウム膜と同様、酸化シリコン膜や酸窒化シリコン膜より誘電率が高いので、酸化ハフニウム膜を用いた場合と同様の効果が得られる。
【0124】
本実施の形態1では、メモリセル形成領域、高耐圧MISFET形成領域および容量素子形成領域に形成されている絶縁膜10の膜厚は同じである(例えば、14nm)。これに対し、低耐圧MISFET形成領域に形成されている絶縁膜10の膜厚は薄くなっている(例えば、7nm)。このように低耐圧MISFET形成領域の絶縁膜10だけを薄く形成するには、厚い絶縁膜10を全領域に形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することより、低耐圧MISFET形成領域の絶縁膜10だけを部分的にエッチングすることで薄くすることができる。
【0125】
そして、図15に示すように、絶縁膜10上にポリシリコン膜11を形成する。ポリシリコン膜11は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用して、ポリシリコン膜11中にリンや砒素などのn型不純物を導入する。
【0126】
次に、図16に示すように、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチングによりポリシリコン膜11を加工して、メモリセル形成領域にコントロールゲート電極CGを形成し、容量素子形成領域に電極E1、E3を形成する。このコントロールゲート電極CGは、メモリセルの選択トランジスタのゲート電極である。このように容量素子の電極E1、E3は、メモリセルのコントロールゲート電極CGを形成する工程で形成されることがわかる。このとき、コントロールゲート電極CGの下層に絶縁膜10からなるゲート絶縁膜GOXが形成される。そして、この絶縁膜10は、容量素子形成領域においては、容量絶縁膜CI1、CI3となる。これにより、容量素子形成領域においては、高濃度半導体領域HS1、HS2を下部電極とし、電極E1、E3を上部電極とするMOS容量MOS1およびMOS容量MOS2が形成される。なお、低耐圧MISFET形成領域と高耐圧MISFET形成領域においては、ポリシリコン膜11は残存したままである。
【0127】
ここで、コントロールゲート電極CGには、ポリシリコン膜11中にn型不純物が導入されている。このため、コントロールゲート電極CGの仕事関数値をシリコンの伝導帯近傍(4.15eV)の値にすることができるので、nチャネル型MISFETである選択トランジスタのしきい値電圧を低減することができる。
【0128】
続いて、図17に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、コントロールゲート電極CGに整合してリンや砒素などのn型不純物を導入する。これにより、メモリセル形成領域にn型半導体領域MVを形成する。この工程は、後述するようにコントロールゲート電極CGの側壁に形成するメモリトランジスタのしきい値を調整するために実施されるものである。このとき、容量素子形成領域においても電極E1、E3に整合してn型半導体領域MVが形成される。
【0129】
次に、コントロールゲート電極CGおよび下部電極となる電極E1、E3上を覆う半導体基板1S上に積層膜を形成する。積層膜は、例えば、酸化シリコン膜12と、この酸化シリコン膜12上に形成される窒化シリコン膜13と、窒化シリコン膜13上に形成される酸化シリコン膜14から形成される(ONO膜)。これらの積層膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、例えば、酸化シリコン膜12の膜厚は5nm、窒化シリコン膜13の膜厚は10nm、酸化シリコン膜14の膜厚は5nmである。
【0130】
この積層膜のうち窒化シリコン膜13は、メモリセル形成領域において、メモリトランジスタの電荷蓄積膜となる膜である。本実施の形態1では、電荷蓄積膜として窒化シリコン膜14を使用しているが、電荷蓄積膜としてトラップ準位を有する他の絶縁膜から形成してもよい。例えば、電荷蓄積膜として酸化アルミニウム膜(アルミナ膜)、酸化ハフニウム膜または酸化タンタル膜など、窒化シリコン膜よりも高い誘電率を有する高誘電率膜を使用することもできる。また、積層膜は、容量素子形成領域においては、容量絶縁膜となる膜である。
【0131】
そして、積層膜上にポリシリコン膜15を形成する。ポリシリコン膜15は、例えば、CVD法を使用することにより形成することができる。
【0132】
次に、図18に示すように、半導体基板1S上にレジスト膜を塗布した後、このレジスト膜に対して露光・現像処理を施すことによりパターニングする。パターニングは、容量素子形成領域の上部電極形成領域を覆い、その他の領域を露出するように行なわれる。
【0133】
続いて、パターニングしたレジスト膜をマスクにして、ポリシリコン膜15を異方性エッチングすることにより、メモリセル形成領域では、コントロールゲート電極CGの両側の側壁に積層膜とポリシリコン膜15からなるサイドウォールを残す。一方、容量素子形成領域では、レジスト膜で覆われていた領域にだけポリシリコン膜15が残存し、この残存したポリシリコン膜15により上部電極となる電極E2、E4が形成される。この段階では、上部電極となる電極E2、E4はポリシリコン膜15から構成されている。その後、パターニングしたレジスト膜を除去する。この工程で、低耐圧MISFET形成領域と高耐圧MISFET形成領域ではポリシリコン膜15が除去される。
【0134】
そして、図19に示すように、半導体基板1S上にレジスト膜を塗布した後、このレジスト膜に対して露光・現像処理を施すことにより、レジスト膜をパターニングする。パターニングは、容量素子形成領域を完全に覆う一方、メモリセル形成領域の一部を開口するように行なわれる。具体的には、メモリセル形成領域のうち、コントロールゲート電極CGの片側の側壁に形成されているサイドウォールが露出するように行なわれる。
【0135】
次に、パターニングしたレジスト膜をマスクにしたエッチングにより、コントロールゲート電極CGの左側の側壁に露出しているサイドウォールを除去する。このとき、コントロールゲート電極CGの右側の側壁に形成されているサイドウォールは、レジスト膜で覆われているため除去されない。また、容量素子形成領域においても、上部電極となる電極E2、E4はレジスト膜で保護されているため除去されずに残る。その後、パターニングしたレジスト膜を除去する。
【0136】
続いて、露出するONO膜(積層膜)をエッチングすることにより除去する。このようにして、メモリセル形成領域では、コントロールゲート電極CGの右側の側壁にだけ積層膜(ONO膜)を介して、サイドウォール形状のメモリゲート電極MGが形成される。このとき、積層膜(ONO膜)を構成する窒化シリコン膜13が電荷蓄積膜ECとなる。そして、酸化シリコン膜12が電位障壁膜EV1となり、酸化シリコン膜14が電位障壁膜EV2となる。一方、容量素子形成領域では、電極E2、E4で覆われている積層膜(ONO膜)だけが残存し、この電極E2、E4の下層に形成されている積層膜(ONO膜)が容量絶縁膜CI2、CI4となる。すなわち、容量絶縁膜CI2、CI4は、酸化シリコン膜12、窒化シリコン膜13および酸化シリコン膜14から構成される。この時点でメモリセルのメモリゲート電極MGおよび容量素子の電極E2、E4はポリシリコン膜から形成されている。これにより、容量素子形成領域においては、電極E1、E3を下部電極とし、電極E2、E4を上部電極とするポリシリコン容量PIP1およびポリシリコン容量PIP2を形成することができる。
【0137】
次に、図20に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、メモリセル形成領域では、コントロールゲート電極CGとメモリゲート電極MGに整合した浅い低濃度不純物拡散領域MD、MSを形成する。浅い低濃度不純物拡散領域MD、MSは、リンや砒素などのn型不純物を導入したn型半導体領域である。
【0138】
その後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、低耐圧MISFET形成領域にゲート電極G2を形成し、高耐圧MISFET形成領域にゲート電極G3を形成する。このとき、ゲート電極G2の下層にゲート絶縁膜GOX2が形成され、ゲート電極G3の下層にゲート絶縁膜GOX3が形成される。
【0139】
続いて、図21に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、ゲート電極G2に整合してn型半導体領域からなる低濃度不純物拡散領域EX1を形成し、ゲート電極G3に整合してn型半導体領域からなる低濃度不純物拡散領域EX2を形成する。
【0140】
そして、図22に示すように、半導体基板1S上に酸化シリコン膜を形成する。酸化シリコン膜は、例えば、CVD法を使用して形成することができる。そして、酸化シリコン膜を異方性エッチングすることにより、サイドウォールSWを形成する。メモリセル形成領域においては、コントロールゲート電極CGの左側の側壁およびメモリゲート電極MGの右側の側壁にサイドウォールSWが形成される。同様に、低耐圧MISFET形成領域においては、ゲート電極G2の両側の側壁にサイドウォールSWが形成され、高耐圧MISFET形成領域では、ゲート電極G3の両側の側壁にサイドウォールSWが形成される。一方、容量素子形成領域においては、電極E2、E4の段差部にサイドウォールSWが形成される。これらのサイドウォールSWは、酸化シリコン膜の単層膜から形成するようにしたが、これに限らず、例えば、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜の積層膜からなるサイドウォールSWを形成してもよい。
【0141】
次に、図23に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、メモリセル形成領域にサイドウォールに整合した深い高濃度不純物拡散領域S1、D1を形成する。深い高濃度不純物拡散領域S1、D1は、リンや砒素などのn型不純物を導入したn型半導体領域である。この深い高濃度不純物拡散領域S1、D1と浅い低濃度不純物拡散領域MS、MDによってメモリセルのソース領域あるいはドレイン領域が形成される。このようにソース領域とドレイン領域を浅い低濃度不純物拡散領域MS、DSと深い高濃度不純物拡散領域S1、D1で形成することにより、ソース領域およびドレイン領域をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることができる。同様に、低耐圧MISFET形成領域にサイドウォールSWに整合した深い高濃度不純物拡散領域S2、D2を形成し、高耐圧MISFET形成領域にサイドウォールSWに整合した深い高濃度不純物拡散領域S3、D3を形成する。深い高濃度不純物拡散領域S2、D2および深い高濃度不純物拡散領域S3、D3は、リンや砒素などのn型不純物を導入したn型半導体領域である。この深い高濃度不純物拡散領域S2、D2と浅い低濃度不純物拡散領域EX1によって低耐圧MISFETのソース領域あるいはドレイン領域が形成される。同様に、深い高濃度不純物拡散領域S3、D3と浅い低濃度不純物拡散領域EX2によって低耐圧MISFETのソース領域あるいはドレイン領域が形成される。このようにして、高濃度不純物拡散領域S1〜S3、D1〜D3を形成した後、1000℃程度の熱処理を行なう。これにより、導入した不純物の活性化が行なわれる。
【0142】
次に、半導体基板1S上にコバルト膜を形成する。このとき、メモリセル形成領域では、露出しているコントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGに直接接するようにコバルト膜が形成される。同様に、深い高濃度不純物拡散領域S1、D1にもコバルト膜が直接接する。さらに、低耐圧MISFET形成領域でもゲート電極G2および深い高濃度不純物拡散領域S2、D2にコバルト膜が接触し、高耐圧MISFET形成領域でもゲート電極G3および深い高濃度不純物拡散領域S3、D3にコバルト膜が接触する。一方、容量素子形成領域においては、電極E2、E4の一部にコバルト膜が直接接触する。
【0143】
その後、半導体基板1Sに対して熱処理を実施する。これにより、メモリセル形成領域においては、コントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGを構成するポリシリコン膜11、15とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜SLを形成する。これにより、コントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGはそれぞれポリシリコン膜11、15とコバルトシリサイド膜SLの積層構造となる。コバルトシリサイド膜SLは、コントロールゲート電極CGおよびメモリゲート電極MGの低抵抗化のために形成される。同様に、上述した熱処理により、高濃度不純物拡散領域S1、D1の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜SLが形成される。このため高濃度不純物拡散領域S1、D1においても低抵抗化を図ることができる。
【0144】
同様に、低耐圧MISFET形成領域においても、ゲート電極G2を構成するポリシリコン膜11とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜SLを形成する。これにより、ゲート電極G2はそれぞれポリシリコン膜11とコバルトシリサイド膜SLの積層構造となる。コバルトシリサイド膜SLは、ゲート電極G2の低抵抗化のために形成される。上述した熱処理により、高濃度不純物拡散領域S2、D2の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜SLが形成される。このため高濃度不純物拡散領域S2、D2においても低抵抗化を図ることができる。
【0145】
さらに、高耐圧MISFET形成領域においても、ゲート電極G3を構成するポリシリコン膜11とコバルト膜を反応させて、コバルトシリサイド膜SLを形成する。これにより、ゲート電極G3はそれぞれポリシリコン膜11とコバルトシリサイド膜SLの積層構造となる。コバルトシリサイド膜SLは、ゲート電極G3の低抵抗化のために形成される。上述した熱処理により、高濃度不純物拡散領域S3、D3の表面においてもシリコンとコバルト膜が反応してコバルトシリサイド膜SLが形成される。このため高濃度不純物拡散領域S3、D3においても低抵抗化を図ることができる。
【0146】
一方、容量素子形成領域においても、電極E2、E4を構成するポリシリコン膜15とコバルト膜を反応させてコバルトシリサイド膜SLが形成される。
【0147】
そして、未反応のコバルト膜は、半導体基板1S上から除去される。なお、本実施の形態1では、コバルトシリサイド膜SLを形成するように構成しているが、例えば、コバルトシリサイド膜SLに代えてニッケルシリサイド膜やチタンシリサイド膜を形成するようにしてもよい。以上のようにして半導体基板1Sのメモリセル形成領域にメモリセルを形成し、低耐圧MISFET形成領域に低耐圧MISFETを形成することができる。さらには、高耐圧MISFET形成領域に高耐圧MISFETを形成し、容量素子形成領域に容量素子を形成することができる。このとき、容量素子は、例えば、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1とを積層形成した1つの容量セルと、MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2とを積層形成したもう1つの容量セルとを形成することができる。
【0148】
次に、配線工程について図24を参照しながら説明する。図24に示すように、半導体基板1Sの主面上に層間絶縁膜IL1を形成する。この層間絶縁膜IL1は、例えば、酸化シリコン膜から形成され、例えばTEOS(tetra ethyl ortho silicate)を原料としたCVD法を使用して形成することができる。その後、層間絶縁膜IL1の表面を、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing)法を使用して平坦化する。
【0149】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用して、層間絶縁膜IL1にコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールはメモリセル形成領域、低耐圧MISFET形成領域、高耐圧MISFET形成領域および容量素子形成領域に複数形成される。そして、コンタクトホールの底面および内壁を含む層間絶縁膜IL1上にチタン/窒化チタン膜を形成する。チタン/窒化チタン膜は、チタン膜と窒化チタン膜の積層膜から構成され、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。このチタン/窒化チタン膜は、例えば、後の工程で埋め込む膜の材料であるタングステンがシリコン中へ拡散するのを防止する、いわゆるバリア性を有する。
【0150】
続いて、コンタクトホールを埋め込むように、半導体基板1Sの主面の全面にタングステン膜を形成する。このタングステン膜は、例えばCVD法を使用して形成することができる。そして、層間絶縁膜IL1上に形成された不要なチタン/窒化チタン膜およびタングステン膜を例えばCMP法を除去することにより、プラグPLG、PLG1a、PLG1b、PLG2a、PLG3a、PLG4a、PLG4bを形成することができる。
【0151】
次に、層間絶縁膜IL1およびプラグPLG、PLG1a、PLG1b、PLG2a、PLG3a、PLG4a、PLG4b上にチタン/窒化チタン膜、銅を含有するアルミニウム膜、チタン/窒化チタン膜を順次、形成する。これらの膜は、例えばスパッタリング法を使用することにより形成することができる。続いて、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を使用することにより、これらの膜のパターニングを行い、配線L1、L1a、L1b、L1cを形成する。さらに、配線L1、L1a、L1b、L1cの上層に配線L2a、L2bを形成するが、ここでの説明は省略する。このようにして、最終的に本実施の形態1における半導体装置を形成することができる。
【0152】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、MOS容量MOS1の下部電極やMOS容量MOS2の下部電極として、高濃度半導体領域HS1、HS2を使用する場合について説明した。本実施の形態2では、高濃度半導体領域HS1、HS2を形成せず、MOS容量MOS1の下部電極としての濃度の低いn型ウェルを使用し、かつ、MOS容量MOS2の下部電極として濃度の低いp型ウェルを使用する例について説明する。
【0153】
図25は、本実施の形態2における容量素子の接続構成を示す平面図である。図25の左側に第1容量形成領域が形成され、図25の右側に第2容量形成領域が形成されている。まず、図25の左側に形成されている第1容量形成領域には、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1の積層構造をした容量素子が形成されている。MOS容量MOS1の下部電極であるn型ウェルは見えていないが、このn型ウェルに形成されているn型半導体領域MVが示されている。一方、図25の右側に形成されている第2容量形成領域には、MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2の積層構造をした容量素子が形成されている。MOS容量MOS2の下部電極であるp型ウェルは見えていないが、このp型ウェルに形成されているp型半導体領域PSが示されている。
【0154】
このように本実施の形態2では、第1容量形成領域に形成されているMOS容量MOS1の下部電極をn型ウェルから形成し、第2容量形成領域に形成されているMOS容量MOS2の下部電極をp型ウェルから形成している。すなわち、前記実施の形態1では、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2の両方の下部電極をn++型半導体領域である高濃度半導体領域HS1、HS2から形成したが、本実施の形態2では、MOS容量MOS1の下部電極をn型半導体領域であるn型ウェルから形成し、MOS容量MOS2の下部電極をp型半導体領域であるp型ウェルから形成している。
【0155】
本実施の形態2でも、第1容量形成領域に形成されている容量素子(MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1)と、第2容量形成領域に形成されている容量素子(MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2)との間の接続関係は、前記実施の形態1と同様である。例えば、第1容量形成領域に形成されているn型半導体領域MVと第2容量形成領域に形成されているp型半導体領域PSとは、プラグPLG1aおよびプラグPLG1bを介して配線L1aで接続されているとともに、プラグPLG4aおよびプラグPLG4bを介して配線L2aで接続されている。また、第1容量形成領域に形成されている電極E2と第2容量形成領域に形成されている電極E3とは、プラグPLG2aおよびプラグPLG2bを介して配線L1bで接続されている。さらに、第1容量形成領域に形成されている電極E1と第2容量形成領域に形成されている電極E4とは、プラグPLG3aおよびプラグPLG3bを介して配線L1cで接続されている。
【0156】
図26は、図25のA−A線で切断した断面図である。図26に示すように、第1容量形成領域には、半導体基板1S内にn型ウェルNWL1が形成されており、このn型ウェルNWL1がMOS容量MOS1の下部電極となっている。そして、n型ウェルNWL1の両側にはn型半導体領域MVが形成され、このn型半導体領域MVのうち、右側のn型半導体領域MVは層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPLG1aを介して配線L1aと接続されている。同様に、n型半導体領域MVのうち、左側のn型半導体領域MVは層間絶縁膜IL1および層間絶縁膜IL2に形成されているプラグPLG4aを介して配線L2aに接続されている。
【0157】
一方、第2容量形成領域には、半導体基板1S内にp型ウェルPWL5が形成されており、このp型ウェルPWL5がMOS容量MOS2の下部電極となっている。そして、p型ウェルPWL5の両側にはp型半導体領域EX3とp型半導体領域PSが形成され、このp型半導体領域PSのうち、左側のp型半導体領域PSは層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPLG1bを介して配線L1aと接続されている。同様に、p型半導体領域PSのうち、右側のp型半導体領域PSは層間絶縁膜IL1および層間絶縁膜IL2に形成されているプラグPLG4bを介して配線L2aに接続されている。
【0158】
したがって、第1容量形成領域に形成されているn型ウェルNWL1と第2容量形成領域に形成されているp型ウェルPWL5とは配線L1aおよび配線L2aによって接続されていることになる。このとき、n型ウェルNWL1はMOS容量MOS1の下部電極として機能し、p型ウェルPWL5はMOS容量MOS2の下部電極として機能することから、MOS容量MOS1の下部電極とMOS容量MOS2の下部電極が配線L1aおよび配線L2aで電気的に接続されているということになる。
【0159】
図27は、図25のB−B線で切断した断面図である。図27に示すように、第1容量形成領域に形成されている電極E2と第2容量形成領域に形成されている電極E3とは、層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPLG2aおよびプラグPLG2bを介して配線L1bで接続されていることがわかる。第1容量形成領域に形成されている電極E2はポリシリコン容量PIP1の上部電極として機能し、第2容量形成領域に形成されている電極E3はポリシリコン容量PIP2の下部電極として機能することから、ポリシリコン容量PIP1の上部電極とポリシリコン容量PIP2の下部電極とは、プラグPLG2aおよびプラグPLG2bを介して配線L1bで接続されているということになる。
【0160】
以上のようにして第1容量形成領域に形成されている容量素子(MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1)と第2容量形成領域に形成されている容量素子(MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2)が接続されている。
【0161】
図28は、本実施の形態2における容量素子の接続関係を示す等価回路図である。図28に示すように、高電位(例えば、電源電位)と低電位(例えば、基準電位)の間に、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2が直列に接続されて直列容量素子が形成しており、この直列容量素子と並列にポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2が接続されている。例えば、本実施の形態2における半導体装置は、電源電位を供給する電源配線と、基準電位を供給する基準配線を含んでおり、直列容量素子を電源電位と基準電位の間に接続するものである。このとき、MOS容量MOS1を電源配線に接続し、かつ、MOS容量MOS2を基準配線に接続する。具体的には、図28に示すように、MOS容量MOS1の上部電極となる電極E1は電源配線に接続し、かつ、MOS容量MOS2の上部電極となる電極E3は基準配線に接続する。
【0162】
したがって、本実施の形態2でも前記実施の形態1と同様に、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続するという第1特徴点により、容量素子を使用した製品不良率を低減することができる。ただし、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続することで構成される直列容量素子の容量値が減少することになるが、この直列容量素子と並列にポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2を接続するという第2特徴点により、単位容量セル当たりの容量値を増加させることができる。すなわち、本実施の形態2による技術的思想によれば、MOS容量のピンホール不良に基づく製品不良率を低減することができ、かつ、単位容量セル当たりの容量値を大きくできるという顕著な効果を奏するのである。
【0163】
ここで、本実施の形態2では、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2との配置に注意する必要がある。図28では、MOS容量MOS1を高電位側に接続し、MOS容量MOS2を低電位側に接続している。これは、前記実施の形態1の図11でも説明したように、例えば、MOS容量MOS1では、下部電極を不純物濃度の薄いn型ウェルNWL1から形成しているので、容量値の電圧依存性が存在するからである。本実施の形態2におけるMOS容量MOS1は、図11に示すMOS容量(3)に相当する電圧依存性を有している。したがって、MOS容量MOS1の上部電極(電極E1)の電位を下部電極であるn型ウェルNWL1の電位よりも高電位側に配置すると、MOS容量MOS1の容量値を大きくすることができる。
【0164】
一方、MOS容量MOS2でも、下部電極を不純物濃度の薄いp型ウェルPWL5から形成しているので、容量値の電圧依存性が存在する。本実施の形態2におけるMOS容量MOS2は、図11に示すMOS容量(2)に相当する電圧依存性を有している。したがって、MOS容量MOS2の上部電極(電極E3)の電位を下部電極であるp型ウェルPWL5の電位よりも低電位側に配置すると、MOS容量MOS2の容量値を大きくすることができる。
【0165】
以上のことから、MOS容量MOS1の容量値とMOS容量MOS2の容量値をともに大きくする観点から、図28に示すように、MOS容量MOS1を高電位側に接続し、かつ、MOS容量MOS2を低電位側に接続することが望ましい。詳細には、MOS容量MOS1の上部電極として機能する電極E1を高電位に接続するのに対し、MOS容量MOS2の上部電極として機能する電極E3を低電位に接続する。このように構成することにより、本実施の形態2における容量素子の容量値が低下することを抑制できる。
【0166】
本実施の形態2における容量素子は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について説明する。本実施の形態2における容量素子を含む半導体装置の製造方法は前記実施の形態1における半導体装置の製造方法とほぼ同様であり、異なる点を強調して説明する。
【0167】
まず、前記実施の形態1と同様に、半導体基板1Sに素子分離領域STIを形成する。そして、図29に示すように、メモリセル形成領域の半導体基板1S内に不純物を導入してウェル分離層NISOを形成する。その後、半導体基板1Sに不純物を導入してp型ウェルPWL1〜PWL3、n型ウェルNWL1、p型ウェルPWL5を形成する。p型ウェルPWL1〜PWL3、PWL5は、例えばホウ素などのp型不純物をイオン注入法により半導体基板1Sに導入することで形成される。一方、n型ウェルNWL1は、例えば、リンや砒素などのn型不純物をイオン注入法により半導体基板1Sに導入することにより形成される。具体的に、メモリセル形成領域にp型ウェルPWL1を形成し、低耐圧MISFET形成領域にp型ウェルPWL2を形成する。同様に、高耐圧MISFET形成領域にp型ウェルPWL3を形成する。さらに、容量素子形成領域のうち第1容量形成領域にn型ウェルNWL1を形成し、容量素子形成領域のうち第2容量形成領域にp型ウェルPWL5を形成する。n型ウェルNWL1はMOS容量MOS1の下部電極となり、p型ウェルPWL5はMOS容量MOS2の下部電極となるものである。
【0168】
この後、本実施の形態2では、前記実施の形態1と異なり半導体基板1S内に高濃度半導体領域HS1、HS2を形成しない。
【0169】
次に、図14〜図16と同様の工程を経た後、図30に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、コントロールゲート電極CGに整合してリンや砒素などのn型不純物を導入する。これにより、メモリセル形成領域にn型半導体領域MVを形成する。この工程は、後述するようにコントロールゲート電極CGの側壁に形成するメモリトランジスタのしきい値を調整するために実施されるものである。このとき、容量素子形成領域においても電極E1に整合してn型半導体領域MVが形成される。ただし、第2容量形成領域にはn型半導体領域MVを形成しない。この点は前記実施の形態1と相違する点である。
【0170】
続いて、図18〜図21と同様の工程を経た後、図31に示すように、フォトリソグラフィ技術およびイオン注入法を使用することにより、容量素子形成領域のうち第2容量形成領域にp型半導体領域EX3を形成する。具体的には、第2容量形成領域に形成されている電極E4に整合してp型半導体領域EX3を形成する。本明細書に添付した図面においては、低耐圧MISFETおよび高耐圧MISFETとしてnチャネル型MISFETだけを図示しているが、実際には、低耐圧MISFETおよび高耐圧MISFETにpチャネル型MISFETも含まれている。したがって、このpチャネル型MISFETのエクステンション領域(p型半導体領域)を形成する工程を利用して、第2容量形成領域にp型半導体領域EX3を形成することができる。
【0171】
次に、前記実施の形態1と同様にしてサイドウォールSWを形成した後、第2容量形成領域に形成されているサイドウォールSWに整合してp型半導体領域PSを形成する。この半導体領域PSも、pチャネル型MISFETのソース領域やドレイン領域を形成する工程を利用して形成することができる。この後の工程は、前記実施の形態1と同様である。以上のようにして、本実施の形態2における半導体装置を形成することができる。具体的には、MOS容量MOS1の下部電極をn型ウェルNWL1から形成し、MOS容量MOS2の下部電極をp型ウェルPWL5から形成することができる。本実施の形態2では、前記実施の形態1のように高濃度半導体領域HS1、HS2を形成する工程を削減することができるので、製造工程の簡略化を実現できる利点を有する。
【0172】
(実施の形態3)
本実施の形態3では、MOS容量MOS1の下部電極としての濃度の低いn型ウェルを使用し、かつ、MOS容量MOS2の下部電極として濃度の低いp型ウェルを使用する点では、前記実施の形態2と同様であるが、それぞれの下部電極から引き出される引き出し領域の構成が前記実施の形態2と相違する。
【0173】
図32は、本実施の形態3における容量素子の接続構成を示す平面図である。図32の左側に第1容量形成領域が形成され、図32の右側に第2容量形成領域が形成されている。まず、図32の左側に形成されている第1容量形成領域には、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1の積層構造をした容量素子が形成されている。MOS容量MOS1の下部電極であるn型ウェルは見えていないが、このn型ウェルと電気的に接続される引き出し領域が図示されている。この引き出し領域は、n型半導体領域NRから形成されている。一方、図32の右側に形成されている第2容量形成領域には、MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2の積層構造をした容量素子が形成されている。MOS容量MOS2の下部電極であるp型ウェルは見えていないが、このp型ウェルと電気的に接続される引き出し領域が図示されている。この引き出し領域は、p型半導体領域PRから形成されている。
【0174】
次に、図32を参照して、第1容量形成領域に形成されている容量素子(MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1)と、第2容量形成領域に形成されている容量素子(MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2)との間の接続関係について説明する。例えば、第1容量形成領域に形成されているn型半導体領域NRと第2容量形成領域に形成されているp型半導体領域PRとは、プラグPLG5aおよびプラグPLG5bを介して配線L1dで接続されている。また、第1容量形成領域に形成されている電極E2と第2容量形成領域に形成されている電極E3とは、プラグPLG7aおよびプラグPLG7bを介して配線L2cで接続されている。さらに、第1容量形成領域に形成されている電極E1と第2容量形成領域に形成されている電極E4とは、プラグPLG6aおよびプラグPLG6bを介して配線L1eで接続されている。
【0175】
図33は、図32のA−A線で切断した断面図である。図33に示すように、第1容量形成領域には、半導体基板1S内にn型ウェルNWL1が形成されており、このn型ウェルNWL1がMOS容量MOS1の下部電極となっている。そして、n型ウェルNWL1と電気的に接続されるように引き出し領域であるn型半導体領域NRが形成されている。n型半導体領域NRは層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPLG5aを介して配線L1dと接続されている。
【0176】
一方、第2容量形成領域には、半導体基板1S内にp型ウェルPWL5が形成されており、このp型ウェルPWL5がMOS容量MOS2の下部電極となっている。そして、p型ウェルPWL5と電気的に接続されるように引き出し領域であるp型半導体領域PRが形成されている。このp型半導体領域PRは層間絶縁膜IL1を貫通するプラグPLG5bを介して配線L1dと接続されている。
【0177】
したがって、第1容量形成領域に形成されているn型ウェルNWL1と第2容量形成領域に形成されているp型ウェルPWL5とは配線L1dによって接続されていることになる。このとき、n型ウェルNWL1はMOS容量MOS1の下部電極として機能し、p型ウェルPWL5はMOS容量MOS2の下部電極として機能することから、MOS容量MOS1の下部電極とMOS容量MOS2の下部電極が配線L1dで電気的に接続されているということになる。
【0178】
さらに、図33に示すように、第1容量形成領域に形成されている電極E2と第2容量形成領域に形成されている電極E3とは、層間絶縁膜IL1および層間絶縁膜IL2を貫通するプラグPLG7aおよびプラグPLG7bを介して配線L2cで接続されていることがわかる。第1容量形成領域に形成されている電極E2はポリシリコン容量PIP1の上部電極として機能し、第2容量形成領域に形成されている電極E3はポリシリコン容量PIP2の下部電極として機能することから、ポリシリコン容量PIP1の上部電極とポリシリコン容量PIP2の下部電極とは、プラグPLG7aおよびプラグPLG7bを介して配線L2cで接続されているということになる。
【0179】
また、本実施の形態3において、プラグPLG7aの形成される位置については、上述の前記実施の形態1および前記実施の形態2のプラグPLG2aと同様に、電極E1と電極E2とが重ならない位置に形成される。また、プラグPLG6bについても同様である。
【0180】
以上のようにして第1容量形成領域に形成されている容量素子(MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1)と第2容量形成領域に形成されている容量素子(MOS容量MOS2とポリシリコン容量PIP2)が接続されている。
【0181】
このようにして、本実施の形態3における容量素子も図28に示す等価回路図のように接続されている。したがって、本実施の形態3でも、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続するという第1特徴点により、容量素子を使用した製品不良率を低減することができる。ただし、MOS容量MOS1とMOS容量MOS2とを直列接続することで構成される直列容量素子の容量値が減少することになるが、この直列容量素子と並列にポリシリコン容量PIP1とポリシリコン容量PIP2を接続するという第2特徴点により、単位容量セル当たりの容量値を増加させることができる。すなわち、本実施の形態3による技術的思想によれば、MOS容量のピンホール不良に基づく製品不良率を低減することができ、かつ、単位容量セル当たりの容量値を大きくできるという顕著な効果を奏するのである。
【0182】
本実施の形態3における容量素子は上記のように構成されており、以下に、その製造方法について説明する。本実施の形態3における容量素子を含む半導体装置の製造方法は前記実施の形態2における半導体装置の製造方法とほぼ同様である。ただし、本実施の形態3では、図33に示すn型半導体領域NRおよびp型半導体領域PRを形成する必要がある。例えば、このn型半導体領域NRは前記実施の形態1や前記実施の形態2と同様に、メモリセルに形成するn型半導体領域MVを形成する工程を利用して形成することもできるし、例えば、低耐圧MISFETの低濃度不純物拡散領域EX1、高濃度不純物拡散領域S1、D1、あるいは、高耐圧MISFETの低濃度不純物拡散領域EX2、高濃度不純物拡散領域S2、D2を形成する工程を利用して形成することもできる。また、p型半導体領域PRは、pチャネル型MISFETのソース領域やドレイン領域を形成する工程を利用して形成することができる。このことから、本実施の形態3によれば、引き出し領域となるn型半導体領域NRおよびp型半導体領域PRを形成する自由度が向上するという利点を有することになる。
【0183】
(実施の形態4)
前記実施の形態1〜3では、積層構造の容量素子を、電荷蓄積膜ECに電荷を蓄積する不揮発性メモリと同工程で形成する例を示したが、本実施の形態4では、図34に示すように、フローティングゲート電極FGに電荷を蓄積する不揮発性メモリと同工程で形成した場合を例示している。
【0184】
すなわち、不揮発性メモリのメモリセル形成領域に形成されているメモリセルは、半導体基板1S(p型ウェルPWL1)上にゲート絶縁膜GOX4を介して形成されたフローティングゲート電極FGに電荷が蓄積される。フローティングゲート電極FG上には、電位障壁膜EV3を介してコントロールゲート電極CGが形成されている。ここで、ゲート絶縁膜GOX4は、例えば、酸化シリコン膜からなる。また、フローティングゲート電極FGは、例えば、ポリシリコン膜(多結晶シリコン膜)からなる。電位障壁膜EV3は、酸化シリコン膜12と窒化シリコン膜13と酸化シリコン膜14の積層膜(ONO膜)からなる。また、コントロールゲート電極CGは、例えば、ポリシリコン膜20とタングステンシリサイド膜21などからなる。
【0185】
そして、容量形成領域には、MOS容量MOS1とポリシリコン容量PIP1が形成されている。MOS容量MOS1は、n型ウェルNWL1が下部電極とされ、電極E1が上部電極とされ、n型ウェルNWL1と電極E1の間に容量絶縁膜CI1が形成されている。ポリシリコン容量PIP1は、電極E1が下部電極とされ、電極E2が上部電極とされ、電極E1と電極E2との間に容量絶縁膜CI2が形成されている。ここで、容量絶縁膜CI1はゲート絶縁膜GOX4と同工程で形成され、電極E1はフローティングゲート電極FGと同工程で形成されている。さらに、容量絶縁膜CI2は電位障壁膜EV3と同工程で形成され、電極E2はコントロールゲート電極CGと同工程で形成されている。すなわち、容量絶縁膜CI1はゲート絶縁膜GOX4と同じ酸化シリコン膜から形成され、電極E1はフローティングゲート電極FGと同じポリシリコン膜から形成されている。そして、容量絶縁膜CI2は電位障壁膜EV3と同じ酸化シリコン膜12、窒化シリコン膜13および酸化シリコン膜14の積層膜から形成され、電極E2はコントロールゲート電極CGと同じポリシリコン膜20とタングステンシリサイド膜21から形成されている。
【0186】
また、本実施の形態4のような不揮発性メモリとしては、NOR型、または、NAND型のフラッシュメモリが挙げられる。
【0187】
ここで、本実施の形態4で示した積層構造の容量素子を複数用いて、前記実施の形態1〜3で示した容量素子間の接続関係を実現することで、前記実施の形態1〜3と同様の効果を得ることができる。
【0188】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0189】
前記実施の形態では、シリサイド膜としてコバルトシリサイド膜を例示したが、例えば、ニッケルシリサイド膜としてもよい。
【0190】
また、前記実施の形態では、配線としてアルミニウムを主体とする導体膜を使用した場合を例示したが、銅を主体とする導体膜で形成しても良い。その場合の配線構造は、層間絶縁膜IL1やIL2に溝を形成し、溝内に銅を主成分とする導体膜を埋め込むようにして形成することができる。
【産業上の利用可能性】
【0191】
本発明は、半導体装置を製造する製造業に幅広く利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0192】
【図1】マイコンを形成した半導体チップを示す平面図であり、半導体チップに形成されたそれぞれの素子のレイアウト構成を示した図である。
【図2】メモリセル形成領域に形成されているメモリセル、低耐圧MISFET形成領域に形成されている低耐圧MISFET、高耐圧MISFET形成領域に形成されている高耐圧MISFET、容量素子形成領域に形成されている容量素子のそれぞれを示す断面図である。
【図3】MOS容量に発生するピンホール不良を図示したものである。
【図4】ポリシリコン容量の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の実施の形態1における容量素子の構成を示す回路図である。
【図6】図5の等価回路図を示す図である。
【図7】図6に示す等価回路図での容量値を説明するための図である。
【図8】実施の形態1における容量素子のレイアウト構成を示す平面図である。
【図9】図8のA−A線で切断した断面図である。
【図10】図8のB−B線で切断した断面図である。
【図11】下部電極を基準にして上部電極に印加する相対的な電圧と容量値との関係を示すグラフである。
【図12】実施の形態1における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図15】図14に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図16】図15に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図17】図16に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図23】図22に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図25】実施の形態2における容量素子のレイアウト構成を示す平面図である。
【図26】図25のA−A線で切断した断面図である。
【図27】図25のB−B線で切断した断面図である。
【図28】実施の形態2における容量素子の接続関係を示す等価回路図である。
【図29】実施の形態2における半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図31】図30に続く半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【図32】実施の形態3における容量素子のレイアウト構成を示す平面図である。
【図33】図32のA−A線で切断した断面図である。
【図34】実施の形態4における不揮発性メモリと容量素子を示す断面図である。
【符号の説明】
【0193】
1 CPU
1S 半導体基板
2 RAM
3 アナログ回路
4 フラッシュメモリ
10 絶縁膜
11 ポリシリコン膜
12 酸化シリコン膜
13 窒化シリコン膜
14 酸化シリコン膜
15 ポリシリコン膜
20 ポリシリコン膜
21 タングステンシリサイド膜
CG コントロールゲート電極
CHP 半導体チップ
CI1 容量絶縁膜
CI3 容量絶縁膜
D1 高濃度不純物拡散領域
D2 高濃度不純物拡散領域
D3 高濃度不純物拡散領域
E1 電極
E2 電極
E3 電極
E4 電極
EC 電荷蓄積膜
EV1 電位障壁膜
EV2 電位障壁膜
EV3 電位障壁膜
EX1 低濃度不純物拡散領域
EX2 低濃度不純物拡散領域
EX3 p型半導体領域
FG フローティングゲート電極
G2 ゲート電極
G3 ゲート電極
GOX1 ゲート絶縁膜
GOX2 ゲート絶縁膜
GOX3 ゲート絶縁膜
GOX4 ゲート絶縁膜
HS1 高濃度半導体領域
HS2 高濃度半導体領域
IL1 層間絶縁膜
IL2 層間絶縁膜
L1 配線
L1a 配線
L1b 配線
L1c 配線
L1d 配線
L1e 配線
L2a 配線
L2b 配線
L2c 配線
MOS1 MOS容量
MOS2 MOS容量
MD 低濃度不純物拡散領域
MG メモリゲート電極
MS 低濃度不純物拡散領域
MV n型半導体領域
NISO ウェル分離領域
NR n型半導体領域
NWL1 n型ウェル
PIP1 ポリシリコン容量
PIP2 ポリシリコン容量
PD パッド
PH ピンホール
PLG プラグ
PLG1a プラグ
PLG1b プラグ
PLG2a プラグ
PLG2b プラグ
PLG3a プラグ
PLG3b プラグ
PLG4a プラグ
PLG4b プラグ
PLG5a プラグ
PLG5b プラグ
PLG6a プラグ
PLG6b プラグ
PLG7a プラグ
PLG7b プラグ
PR p型半導体領域
PS p型半導体領域
PWL1 p型ウェル
PWL2 p型ウェル
PWL3 p型ウェル
PWL4 p型ウェル
PWL5 p型ウェル
S1 高濃度不純物拡散領域
S2 高濃度不純物拡散領域
S3 高濃度不純物拡散領域
SL コバルトシリサイド膜
STI 素子分離領域
SW サイドウォール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1容量形成領域と第2容量形成領域とを半導体基板に有し、
前記第1容量形成領域には、
(a1)前記半導体基板内に形成された第1半導体領域からなる第1下部電極と、
(a2)前記第1半導体領域上に形成された第1容量絶縁膜と、
(a3)前記第1容量絶縁膜上に形成された第1導体膜からなる第1上部電極とを備える第1容量素子と、
(b1)前記第1導体膜からなる第2下部電極と、
(b2)前記第1導体膜上に形成された第2容量絶縁膜と、
(b3)前記第2容量絶縁膜上に形成された第2導体膜からなる第2上部電極とを備える第2容量素子が形成され、
前記第2容量形成領域には、
(c1)前記半導体基板内に形成された第2半導体領域からなる第3下部電極と、
(c2)前記第2半導体領域上に形成された第3容量絶縁膜と、
(c3)前記第1容量絶縁膜上に形成された第1導体膜からなる第3上部電極とを備える第3容量素子と、
(d1)前記第1導体膜からなる第4下部電極と、
(d2)前記第1導体膜上に形成された第4容量絶縁膜と、
(d3)前記第2容量絶縁膜上に形成された第2導体膜からなる第4上部電極とを備える第4容量素子が形成されている半導体装置であって、
前記第1容量素子と前記第3容量素子は直列接続されて直列容量素子を形成するとともに、前記直列容量素子と前記第2容量素子とは並列接続され、かつ、前記直列容量素子と前記第4容量素子も並列接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域は、同じ導電型の半導体領域であり、
前記第1半導体領域は、前記第1容量形成領域の前記半導体基板内に存在する半導体領域の中で最も不純物濃度が高く、
前記第2半導体領域は、前記第2容量形成領域の前記半導体基板内に存在する半導体領域の中で最も不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2記載の半導体装置であって、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域は同濃度のn型半導体領域であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1容量素子と前記第3容量素子とを直列接続することにより形成されている直列容量素子と、前記直列容量素子と並列接続されている前記第2容量素子と、前記直列容量素子と並列接続されている前記第4容量素子のいずれもが、第1電位と前記第1電位よりも電位の低い第2電位の間に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項4記載の半導体装置であって、
さらに、前記半導体基板は、第1電源電位を用いて動作する低耐圧MISFETが形成されている低耐圧MISFET形成領域と、前記第1電源電位よりも高い第2電源電位を用いて動作する高耐圧MISFETが形成されている高耐圧MISFET形成領域とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項5記載の半導体装置であって、
前記直列容量素子と前記第2容量素子と前記第4容量素子は、前記低耐圧MISFETを使用した回路に用いられることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項6記載の半導体装置であって、
前記第1電位は前記低耐圧MISFETを動作させる前記第1電源電位であり、前記第2電位は基準電位であることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1記載の半導体装置であって、
さらに、前記半導体基板には、不揮発性メモリセルが形成されているメモリセル形成領域を有し、
前記不揮発性メモリセルは、
(e1)前記半導体基板に形成されたゲート絶縁膜と、
(e2)前記ゲート絶縁膜上に形成されたコントロールゲート電極と、
(e3)前記コントロールゲート電極の片側の側壁に絶縁膜を介して形成されたメモリゲート電極とを有し、
前記絶縁膜は、第1電位障壁膜と、前記第1電位障壁膜上に形成された電荷蓄積膜と、前記電荷蓄積膜上に形成された第2電位障壁膜を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置であって、
前記ゲート絶縁膜と前記第1容量絶縁膜と前記第3容量絶縁膜は同じ膜から形成され、
前記コントロールゲート電極は、前記第1導体膜を加工して形成され、
前記絶縁膜と前記第2容量絶縁膜と前記第4容量絶縁膜は同じ膜から形成され、
前記メモリゲート電極は、前記第2導体膜を加工して形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項9記載の半導体装置であって、
前記第1導体膜および前記第2導体膜はポリシリコン膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10記載の半導体装置であって、
前記絶縁膜および前記第2容量絶縁膜は、第1酸化シリコン膜、窒化シリコン膜および第2酸化シリコン膜よりなる積層膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1記載の半導体装置であって、
前記第1半導体領域はn型ウェルであり、前記第2半導体領域はp型ウェルであることを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項12記載の半導体装置であって、
前記第1容量素子と前記第3容量素子とを直列接続することにより形成されている直列容量素子と、前記直列容量素子と並列接続されている前記第2容量素子と、前記直列容量素子と並列接続されている前記第4容量素子のいずれもが、第1電位と前記第1電位よりも低い第2電位の間に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項13記載の半導体装置であって、
前記第1電位と前記第2電位の間に接続される前記直列容量素子のうち、前記第1容量素子を第1電位側に配置し、前記第3容量素子を第2電位側に配置することを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
請求項14記載の半導体装置であって、
前記第1容量素子の前記第1上部電極を前記第1電位に接続し、前記第3容量素子の前記第3上部電極を前記第2電位に接続することを特徴とする半導体装置。
【請求項16】
請求項15記載の半導体装置であって、
前記第1電位は電源電位であり、前記第2電位は基準電位であることを特徴とする半導体装置。
【請求項17】
第1容量形成領域と第2容量形成領域とメモリセル形成領域とを有する半導体基板上に半導体装置を製造する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1容量形成領域の前記半導体基板内に第1半導体領域を形成し、かつ、前記第2容量形成領域の前記半導体基板内に第2半導体領域を形成することにより、前記第1容量形成領域では前記第1半導体領域からなる第1下部電極を形成し、かつ、前記第2容量形成領域では前記第2半導体領域からなる第3下部電極を形成する工程と、
(b)前記(a)工程後、前記第1容量形成領域と前記第2容量形成領域と前記メモリセル形成領域の前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成することにより、前記メモリセル形成領域では前記第1絶縁膜よりなるゲート絶縁膜を形成するとともに、前記第1容量形成領域では前記第1絶縁膜よりなる第1容量絶縁膜を形成し、かつ、前記第2容量形成領域では前記第1絶縁膜よりなる第3容量絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記(b)工程後、前記第1絶縁膜上に第1導体膜を形成する工程と、
(d)前記(c)工程後、前記第1導体膜をパターニングすることにより、前記メモリセル形成領域にコントロールゲート電極を形成するとともに、前記第1容量形成領域に第1上部電極を形成し、かつ、前記第2容量形成領域に第3上部電極を形成する工程と、
(e)前記(d)工程後、前記第1容量形成領域と前記第2容量形成領域と前記メモリセル形成領域を含む半導体基板上に積層絶縁膜を形成することにより、前記メモリセル形成領域では前記積層絶縁膜からなる第1電位障壁膜と電荷蓄積膜と第2電位障壁膜を形成するとともに、前記第1容量形成領域では前記積層絶縁膜よりなる第2容量絶縁膜を形成し、かつ、前記第2容量形成領域では前記積層絶縁膜よりなる第4容量絶縁膜を形成する工程と、
(f)前記(e)工程後、前記積層絶縁膜上に第2導体膜を形成する工程と、
(g)前記(f)工程後、前記第2導体膜をパターニングすることにより、前記メモリセル形成領域では前記コントロールゲート電極の両側の側壁に前記第2導体膜を残すとともに、前記第1容量形成領域では前記第2容量絶縁膜上に前記第2導体膜からなる第2上部電極を形成し、かつ、前記第2容量形成領域では前記第4容量絶縁膜上に前記第2導体膜からなる第4上部電極を形成する工程と、
(h)前記(g)工程後、前記メモリセル形成領域では前記コントロールゲート電極の片側の側壁にだけ前記第2導体膜を残すことにより、前記第2導体膜からなるメモリゲート電極を形成する工程と、
(i)前記(h)工程後、前記半導体基板上に層間絶縁膜を介して複数の配線を形成する工程とを備え、
前記第1下部電極と前記第1容量絶縁膜と前記第1上部電極からなる第1容量素子と、前記第3下部電極と前記第3容量絶縁膜と前記第3上部電極からなる第3容量素子とを前記複数の配線を用いて直列接続することにより直列容量素子を形成し、前記第1上部電極を第2下部電極とし、この前記第2下部電極と前記第2容量絶縁膜と前記第2上部電極からなる第2容量素子と前記直列容量素子とを前記複数の配線を用いて並列接続し、かつ、前記第3上部電極を第4下部電極とし、この前記第4下部電極と前記第4容量絶縁膜と前記第4上部電極からなる第4容量素子と前記直列容量素子も前記複数の配線を用いて並列接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域は、同じ導電型の半導体領域であり、
前記第1半導体領域は、前記第1容量形成領域の前記半導体基板内に存在する半導体領域の中で最も不純物濃度が高く、
前記第2半導体領域は、前記第2容量形成領域の前記半導体基板内に存在する半導体領域の中で最も不純物濃度が高いことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1半導体領域および前記第2半導体領域はn型半導体領域から形成し、
前記第1導体膜および前記第2導体膜はポリシリコン膜から形成し、
前記積層絶縁膜を構成する前記第1電位障壁膜と前記第2電位障壁膜は酸化シリコン膜から形成し、かつ、前記電荷蓄積膜は窒化シリコン膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項17記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1半導体領域はn型ウェルから形成する一方、前記第2半導体領域はp型ウェルから形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1導体膜および前記第2導体膜はポリシリコン膜から形成し、
前記積層絶縁膜を構成する前記第1電位障壁膜と前記第2電位障壁膜は酸化シリコン膜から形成し、かつ、前記電荷蓄積膜は窒化シリコン膜から形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項20記載の半導体装置の製造方法であって、
前記複数の配線は、電源電位を供給する電源配線と、基準電位を供給する基準配線を含み、
前記直列容量素子を前記電源電位と前記基準電位の間に接続し、
前記第1容量素子を前記電源電位側に接続し、かつ、前記第3容量素子を前記基準電位側に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項22記載の半導体装置の製造方法であって、
前記第1容量素子の前記第1上部電極は前記電源配線に接続し、かつ、前記第3容量素子の前記第3上部電極は前記基準配線に接続することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【公開番号】特開2010−40797(P2010−40797A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−202554(P2008−202554)
【出願日】平成20年8月6日(2008.8.6)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】