説明

半導体装置の製造方法

【課題】トランジスタのチャネル部に印加される応力を増加させて、電流増加効果を高めることを可能とする。
【解決手段】半導体基板上にダミーゲートを形成した後、該ダミーゲートの側壁に側壁絶縁膜を形成し、該ダミーゲートの両側の前記半導体基板にソース・ドレイン領域を形成する工程と、前記ダミーゲートおよび前記ソース・ドレイン領域の上に応力印加膜を形成する工程と、前記ダミーゲートの上の領域に形成された前記応力印加膜と前記ダミーゲートを除去して溝を形成する工程と、前記溝内の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、を備えた半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トランジスタチャネル部に応力を印加した半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路は高集積化、高速化、低消費電力化が進行し、個々のトランジスタに対する特性向上の要求はますます大きくなっている。トランジスタの能力を上げるためには様々な方法があるが、特に半導体デバイスに応力を持った薄膜を表面に積層し、適当な応力を印加することでキャリアの移動度を上げる方法は、ゲート長100nm以下のトランジスタにおいて容量増加などの副次的なデメリットが無いため積極的に用いられるようになっている(例えば、特許文献1〜4参照。)。
【0003】
従来の応力印加膜を用いたトランジスタの製造方法を、図26〜図28の製造工程図によって説明する。
【0004】
図26(1)に示すように、シリコン基板111上にSTI(Shallow Trench Isolation)構造の素子分離領域114を形成する。
【0005】
次に、図26(2)に示すように、シリコン基板111中に不純物をイオン注入するときのチャネリング防止用の保護膜としてシリコン酸化膜(図示せず)を表面酸化などにより形成する。その後、n型トランジスタ、p型トランジスタそれぞれの領域において不純物のイオン注入を行い、p型ウェル領域115、n型ウェル領域116を形成する。
【0006】
その後、上記保護用のシリコン酸化膜を除去し、図26(3)に示すように、新たにゲート酸化膜141を1〜3nm程度の厚さで形成する。
【0007】
次に、図26(4)に示すように、上記ゲート酸化膜141上にポリシリコン膜を膜厚100〜150nm程度に形成した後、フォトリソグラフィー技術とドライエッチング技術を用いて、ポリシリコン膜でゲート電極143、163を形成する。
【0008】
次に、図27(5)に示すように、不純物注入により、n型トランジスタ領域にはAs,Pイオンなどのn型不純物の注入によりn型エクステンション領域131、132、p型トランジスタ領域にはBイオンなどのp型不純物の注入によりp型エクステンション領域151、152を形成する。
【0009】
次に、図27(6)に示すように、20nm〜50nm程度のシリコン窒化膜や酸化膜などからなるゲート側壁絶縁膜133、153を、CVD法とドライエッチング法を用いて形成した後、不純物のイオン注入を行って、n型トランジスタ領域にソース・ドレイン領域135、136を形成し、p型トランジスタ領域にソース・ドレイン領域155、156を形成する。次いで、1050℃程度の熱を瞬間的にかけることにより不純物の活性化を行う。
【0010】
次に、図27(7)に示すように、サリサイドプロセス技術によって、ソース、ドレイン領域135、136、155、156、ゲート電極143、163に、コバルト(Co)やニッケル(Ni)などにより20nm〜50nm程度のシリサイド電極137、138、138、157、158、139、159を形成して抵抗を低減させる。
【0011】
次に、図28(8)に示すように、CVD法、光リソグラフィー法、ドライエッチング法を用いて、p型トランジスタ103上に、1GPa〜3GPa程度の圧縮応力を持つシリコン窒化膜の圧縮(Compressive)ライナー膜122を20nm〜60nm程度の厚さに形成する。
【0012】
さらに、図28(9)に示すように、CVD法、光リソグラフィー法、ドライエッチング法を用いて、n型トランジスタ102上に、1GPa〜2GPa程度の引張応力を持つシリコン窒化膜の引張(Tensile)ライナー膜121を形成する。このライナー膜の影響でp型トランジスタのチャネル部にはチャネル方向に圧縮応力が印加されて正孔の移動度が向上し、n型トランジスタのチャネル部には引張応力が印加されて電子の移動度が向上する。
【0013】
次に、図28(10)に示すように、酸化シリコン(SiO)などからなる層間絶縁膜171をCVD法を用いて形成する。さらにドライエッチング技術によってコンタクトホールを開けた後、タングステン(W)などからなる金属を埋め込んでソース・ドレイン領域135、136、155、156に接続するコンタクト電極144、145、164、165を形成して、トランジスタ101が完成する。
【0014】
従来のトランジスタ構造では、完成したトランジスタ素子上に応力をもった薄膜を形成することで比較的容易に素子に応力を印加しトランジスタの移動度を向上することができるが、ゲート電極からの反発力を受けるため、薄膜の応力に対してトランジスタのチャネル部には小さな応力しかかけることができないという問題があった。従って大きな応力をかけるには、膜厚を厚くするか、膜の内部応力そのものを上げる必要があった。しかしながら膜厚を厚くすると隣接するトランジスタの部分と接触してしまい応力の効果が減少するということと、コンタクトホールを開けるときにシリコン窒化膜の部分が厚くなるため形成が困難になるという問題がある。また膜の内部応力を上げるとクラックなどの膜欠陥が発生するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2002−198368号公報
【特許文献2】特開2005−57301号公報
【特許文献3】特開2006−165335号公報
【特許文献4】特開2006−269768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
解決しようとする問題点は、トランジスタ素子上に応力をもった薄膜を形成する構造では、ゲート電極からの反発力を受けるため、薄膜の応力に対してトランジスタのチャネル部には小さな応力しかかけることができない点である。
【0017】
本発明は、トランジスタチャネル部に印加される応力を増加させて、電流増加効果を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
請求項1に係る本発明は、半導体基板上にダミーゲートを形成した後、該ダミーゲートの側壁に側壁絶縁膜を形成し、該ダミーゲートの両側の前記半導体基板にソース・ドレイン領域を形成する工程と、前記ダミーゲートおよび前記ソース・ドレイン領域の上に応力印加膜を形成する工程と、前記ダミーゲートの上の領域に形成された前記応力印加膜と前記ダミーゲートを除去して溝を形成する工程と、前記溝内の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、を備えた半導体装置の製造方法である。
【0019】
請求項1に係る本発明では、応力印加膜は溝が形成される前に成膜されることから、応力印加膜によって半導体基板に応力が印加された状態でダミーゲートが除去される。このため、ダミーゲートが除去された領域に半導体基板、すなわちトランジスタのチャネル領域には、ダミーゲートに印加されていた応力が半導体基板にかかるようになるので、トランジスタのチャネル領域に印加される応力が増加される。
【0020】
請求項7に係る本発明は、半導体基板上のn型トランジスタの形成領域とp型トランジスタの形成領域とにダミーゲートを形成した後、各ダミーゲートの側壁に側壁絶縁膜を形成し、各ダミーゲートの両側の前記半導体基板にソース・ドレイン領域をそれぞれに形成する工程と、前記n型トランジスタの形成領域の前記ダミーゲートおよび前記ソース・ドレイン領域の上に第1応力印加膜を形成する工程と、前記p型トランジスタの形成領域の前記ダミーゲートおよび前記ソース・ドレイン領域の上に第2応力印加膜を形成する工程と、前記n型トランジスタの前記ダミーゲートの上の領域に形成された前記第1応力印加膜、前記p型トランジスタの前記ダミーゲートの上の領域に形成された前記第2応力印加膜、および前記各ダミーゲートを除去して溝を形成する工程と、前記各溝内の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、を備えた半導体装置の製造方法である。
【0021】
請求項7に係る本発明では、第1応力印加膜は第1溝が形成される前に成膜されて、第2応力印加膜は第2溝が形成される前に成膜されることから、各応力印加膜によって半導体基板に応力が印加された状態でダミーゲートが除去される。このため、ダミーゲートが除去された領域に半導体基板、すなわちトランジスタのチャネル領域には、ダミーゲートに印加されていた応力が半導体基板にかかるようになるので、トランジスタのチャネル領域に印加される応力が増加される。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、トランジスタのチャネル領域に印加される応力が増加されるため、移動度を大幅に向上させることができるので、トランジスタの応答性能の向上が図れるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係る半導体装置の一実施の形態(第1実施例)を示した概略構成断図である。
【図2】本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図3】本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図4】本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図5】本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図6】本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図7】本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を示した製造工程断面図である。
【図8】第1実施例におけるn型トランジスタの応力増加の効果を説明する図である。
【図9】第1実施例におけるp型トランジスタの応力増加の効果を説明する図である。
【図10】第1実施例におけるn型、p型トランジスタの移動度増加の効果を説明する図である。
【図11】本発明に係る半導体装置の一実施の形態(第2実施例)を示した概略構成断面図である。
【図12】本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図13】本発明に係る半導体装置の製造方法の一実施の形態(第2実施例)を示した製造工程断面図である。
【図14】第2実施例におけるn型トランジスタの応力増加の効果を説明する図である。
【図15】第2実施例におけるp型トランジスタの応力増加の効果を説明する図である。
【図16】第2実施例におけるn型、p型トランジスタの移動度増加の効果を説明する図である。
【図17】本発明に係る半導体装置の一実施の形態(第3実施例)を示した概略構成断面図である。
【図18】本発明に係る半導体装置の一実施の形態(第4実施例)を示した概略構成断面図である。
【図19】第3、第4実施例におけるp型トランジスタの応力増加の効果を説明する図である。
【図20】第3、第4実施例におけるp型トランジスタの移動度増加の効果を説明する図である。
【図21】本発明に係る半導体装置の一実施の形態(第5実施例)を示した概略構成断面図である。
【図22】本発明に係る半導体装置の一実施の形態(第6実施例)を示した概略構成断面図である。
【図23】第5、第6実施例におけるp型トランジスタの応力増加の効果を説明する図である。
【図24】第5、第6実施例におけるp型トランジスタの移動度増加の効果を説明する図である。
【図25】発明に係る半導体装置の一実施の形態(第7実施例)を示した概略構成断面図である。
【図26】従来技術の半導体装置の製造方法の一例を示した製造工程断面図である。
【図27】従来技術の半導体装置の製造方法の一例を示した製造工程断面図である。
【図28】従来技術の半導体装置の製造方法の一例を示した製造工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第1実施例)を、図1の概略構成断面図によって説明する。
【0025】
図1に示すように、半導体基板11にn型トランジスタの形成領域12とp型トランジスタの形成領域13とを電気的に分離する素子分離領域14が形成されている。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用い、上記素子分離領域14は、例えば、酸化膜からなるSTI(Shallow Trench Isolation)構造で形成されている。
【0026】
上記n型トランジスタの形成領域12の半導体基板11中には、p型不純物が導入されたp型ウェル領域15が形成され、上記p型トランジスタの形成領域13の半導体基板11中には、n型不純物が導入されたn型ウェル領域16が形成されている。
【0027】
上記半導体基板11上には、n型トランジスタの形成領域12に、第1ダミーゲート(図示せず)を除去することで形成された第1溝39を有する側壁絶縁膜33と、p型トランジスタの形成領域13に、第2ダミーゲート(図示せず)を除去することで形成された第2溝59を有する側壁絶縁膜53とが形成されている。この側壁絶縁膜33、53は、例えば20nm〜50nm程度の厚さに形成されている。
【0028】
上記第1溝39内の半導体基板11上にはゲート絶縁膜41を介してゲート電極43が形成され、上記第2溝59内の半導体基板11上にはゲート絶縁膜41を介してゲート電極63が形成されている。
上記ゲート絶縁膜41は、例えば2nm〜3nm程度の厚さの高誘電率(High‐k)絶縁膜である酸化ハフニウム(HfO)膜で形成されている。本実施例ではHfOを使っているが、HfSiO、酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウムハフニウム(HfAlO)などのHigh‐k材料を用いたり、もしくは単純に半導体基板11表面、すなわち、シリコン表面を酸化することでゲート絶縁膜41としても構わない。また、あらかじめ半導体基板11表面上に高誘電率(High−k)絶縁膜を形成しておいてそのまま利用しても構わない。
また、上記ゲート電極43、63は、例えば、金属化合物層もしくは金属層を用いる。ここでは、一例として窒化チタン(TiN)を用いている。また、上記金属層としてはタングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ハフニウム(Hf)、ハフニウムシリサイド(HfSi)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、コバルト(Co)などを選択することができる。本実施例では単層の膜を使っているが、抵抗を下げるためや、しきい値電圧を調整するために複数の金属膜を積層しても構わない。
【0029】
また、上記n型トランジスタの形成領域12には、上記第1溝39の両側の半導体基板11にエクステンション領域31、32が形成されている。さらに、上記第1溝39の両側における半導体基板11には、上記エクステンション領域31、32をそれぞれに介してソース・ドレイン領域35、36が形成されている。上記エクステンション領域31、32、ソース・ドレイン領域35、36は、n型不純物としてリン(P)もしくはヒ素(As)が導入されている。
【0030】
また、p型トランジスタの形成領域13には、上記第2溝59の両側の半導体基板11にエクステンション領域51、52が形成されている。さらに、上記第2溝59の両側における半導体基板11には、上記エクステンション領域51、52をそれぞれに介してソース・ドレイン領域55、56が形成されている。上記エクステンション領域51、52、ソース・ドレイン領域55、56は、p型不純物としてホウ素(B)、インジウム(In)等が導入されている。
【0031】
上記ソース、ドレイン領域35、36上にはシリサイド電極37、38が形成されているとともに、ソース、ドレイン領域55、56上にはシリサイド電極57、58が形成されていて、各ソース・ドレイン領域の低抵抗化が図られている。上記シリサイド電極37、38、57、58は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)またはそれらの化合物により20nm〜50nm程度の厚さに形成されたシリサイド層からなる。
【0032】
上記n型トランジスタの形成領域12において、上記側壁絶縁膜33から上記半導体基板11上には引張応力を有する第1応力印加膜21が形成され、上記p型トランジスタの形成領域13において、上記側壁絶縁膜53から上記半導体基板11上には圧縮応力を有する第2応力印加膜22が形成されている。このように、上記第1応力印加膜21は上記第1溝39が形成される前に成膜されていて、上記第2応力印加膜22は上記第2溝59が形成される前に成膜されていることが特徴となっている。
【0033】
上記第1応力印加膜21は、例えば膜厚が40nm程度の引張応力を有する窒化シリコン膜で形成する。本実施例では1.2GPaの引張応力をもつ膜を形成しているが、応力についてはこの値に限定されるものではない。また膜厚についても本実施例の膜厚に限定されるものではない。
また、上記第2応力印加膜22は、例えば膜厚が40nm程度の圧縮応力を有する窒化シリコン膜で形成する。本実施例では1.2GPaの圧縮応力をもつ膜を形成しているが、応力についてはこの値に限定されるものではない。また膜厚についても本実施例の膜厚に限定されるものではない。
【0034】
さらに上記半導体基板11上の全面には、第1層間絶縁膜71、第2層間絶縁膜72が形成されている。この第1、第2層間絶縁膜71、72は、例えば酸化シリコン(SiO)膜で形成されている。
【0035】
上記第2層間絶縁膜72、第1層間絶縁膜71には、ソース・ドレイン領域35、36、55、56に通じるコンタクトホール73、74、75、76が形成され、タングステン(W)等からなる金属を埋め込んだソース・ドレイン電極44、45、64、65が形成されている。このように、n型トランジスタTr1、p型トランジスタTr2からなる半導体装置1が構成されている。
【0036】
次に、本発明の半導体装置の製造方法の一実施の形態(第1実施例)を、図2〜図7の製造工程断面図によって説明する。ここでは、前記第1実施例の半導体装置の製造方法を説明する。
【0037】
図2(1)に示すように、半導体基板11にn型トランジスタの形成領域12とp型トランジスタの形成領域13とを電気的に分離する素子分離領域14を形成する。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用い、上記素子分離領域14は、例えば、酸化膜からなるSTI(Shallow Trench Isolation)構造で形成する。
【0038】
次に、図2(2)に示すように、上記半導体基板11上に、イオン注入時のチャネリングを防止するため保護膜80を形成する。この保護膜80は、例えば、シリコン酸化膜を5nm〜10nm程度の厚さで形成する。その形成方法は、例えば表面酸化による。次いで、p型トランジスタの形成領域13を覆うイオン注入マスク(図示せず)を形成した後、イオン注入法によって、n型トランジスタの形成領域12の半導体基板11中にp型不純物を導入して、p型ウェル領域15を形成する。
その後、上記イオン注入マスクを除去する。
次いで、n型トランジスタの形成領域12を覆うイオン注入マスク(図示せず)を形成した後、イオン注入法によって、p型トランジスタの形成領域13の半導体基板11中にn型不純物を導入して、n型ウェル領域16を形成する。
その後、上記イオン注入マスクを除去する。さらに、上記保護膜80を除去する。
なお、上記p型ウェル領域15、n型ウェル領域16は、どちらを先に形成してもよい。
【0039】
次に、図2(3)に示すように、上記半導体基板11上に、ダミーゲート絶縁膜81、ダミーゲート形成膜82、ハードマスク層83を順に形成する。
上記ダミーゲート絶縁膜81は、例えば1nm〜3nm程度の酸化膜で形成する。その形成方法は、例えば熱酸化プロセスを用いる。
上記ダミーゲート形成膜82は、例えば100nm〜150nm程度の厚さのポリシリコン膜で形成する。その形成方法は、例えばCVD法などを用いる。本実施例ではダミーゲート絶縁膜を後の工程で除去するが、この時点で、例えばゲート絶縁膜を形成する場合もある。例えばゲート絶縁膜には、酸化ハフニウム(HfO)等の高誘電率(High‐k)絶縁膜を用いることができる。また、上記ダミーゲート形成膜82には、アモルファスシリコン膜を用いることもできる。
上記ハードマスク層83は、例えば、30nm〜100nm程度の厚さの窒化シリコン膜を用いる。その成膜方法は、例えばCVD法による。
【0040】
次いで、上記ハードマスク層83上に、光リソグラフィー技術や電子ビームリソグラフィー技術を用いてレジスト(図示せず)をパターニングし、トランジスタのゲート電極を形成するためのレジスタマスクパターン(図示せず)を形成する。上記レジストマスクパターンをマスクとして、ドライエッチング法などにより、ハードマスク層83をエッチングする。エッチング後、レジスタマスクパターンを除去し、残ったハードマスク層83をエッチングマスクとして、再びドライエッチング法などを用いてダミーゲート形成膜82およびダミーゲート絶縁膜81のエッチングを行う。
【0041】
この結果、図3(4)に示すように、上記半導体基板11上にダミーゲート84、85が形成される。
なお、上記ドライエッチングではハードマスク層83をほとんどエッチングしないような選択比で行われることがこの好ましい。
【0042】
次に、図3(5)に示すように、n型トランジスタの形成領域12において、上記ダミーゲート84の両側のn型トランジスタの形成領域12の半導体基板11にエクステンション領域31、32を形成する。
また、p型トランジスタの形成領域13において、上記ダミーゲート85の両側のp型トランジスタの形成領域13の半導体基板11にエクステンション領域51、52を形成する。
【0043】
具体的には、p型トランジスタの形成領域13を覆うイオン注入マスク(図示せず)を形成した後、イオン注入法によって、ダミーゲート84の両側におけるn型トランジスタの形成領域12の半導体基板11中にn型不純物を導入して、上記エクステンション領域31、32を形成する。このイオン注入では、n型不純物に例えばリン(P)、ヒ素(As)等を用いる。また、上記n型不純物のイオン注入マスクには例えばレジスト膜を用いる。その後、上記イオン注入マスクを除去する。
次いで、n型トランジスタの形成領域12を覆うイオン注入マスク(図示せず)を形成した後、イオン注入法によって、ダミーゲート85の両側におけるp型トランジスタの形成領域13の半導体基板11中にp型不純物を導入して、上記エクステンション領域51、52を形成する。このイオン注入では、n型不純物に例えばホウ素(B)、インジウム(In)等を用いる。また、上記p型不純物のイオン注入マスクには例えばレジスト膜を用いる。
その後、上記イオン注入マスクを除去する。
また、上記各エクステンション領域31、32、51、52の不純物注入をする前に、ダミーゲート84、85の各側壁を窒化シリコン膜や酸化シリコン膜などの側壁保護膜で保護しておいても良い。
【0044】
次に、図3(6)に示すように、上記ダミーゲート84、85の各側壁に側壁絶縁膜33、53をそれぞれに形成する。この側壁絶縁膜33、53は、例えば20nm〜50nm程度の厚さに形成される。
【0045】
その後、上記ダミーゲート84の両側における半導体基板11に上記エクステンション領域31、32をそれぞれに介してソース・ドレイン領域35、36を形成する。
同様に、上記ダミーゲート85の両側における半導体基板11に上記エクステンション領域51、52をそれぞれに介してソース・ドレイン領域55、56を形成する。
上記ソース・ドレイン領域35、36の形成には、p型トランジスタの形成領域上にイオン注入マスク(図示せず)を形成した後、例えばn型不純物を上記半導体基板11にイオン注入して形成する。
次いで、上記イオン注入マスクを除去する。
【0046】
また、上記ソース・ドレイン領域55、56の形成には、n型トランジスタの形成領域上にイオン注入マスク(図示せず)を形成した後、例えばp型不純物を上記半導体基板11にイオン注入して形成する。
次いで、上記イオン注入マスクを除去する。
その後、活性化アニールを行って、上記エクステンション領域31、32、51、52およびソース・ドレイン領域35、36、55、56に注入された不純物を活性化する。この活性化アニールは、例えば1000℃〜1100℃程度の急速熱処理(RTA)による。
【0047】
次に、図4(7)に示すように、サリサイドプロセス技術によって、ソース、ドレイン領域35、36上にシリサイド電極37、38を形成するとともに、ソース、ドレイン領域55、56上にシリサイド電極57、58を形成し、各ソース・ドレイン領域の低抵抗化を図る。上記サリサイドプロセス技術では、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)またはそれらの化合物により20nm〜50nm程度の厚さのシリサイド層を形成する。
【0048】
次に、図4(8)に示すように、全面に圧縮応力を有する第2応力印加膜(圧縮(Compressive)ライナー膜)22を形成する。この第2応力印加膜22は、プラズマCVD法によって、膜厚が40nm程度で1.2GPa程度の圧縮応力を有する窒化シリコン膜で形成する。
なお、第2応力印加膜22は、水素(H)ガス(1000cm/min〜5000cm/min)、窒素(N)ガス(500cm/min〜2500cm/min)、アルゴン(Ar)ガス(1000cm/min〜5000cm/min)、アンモニア(NH)ガス(50cm/min〜200cm/min)、トリメチルシランガス(10cm/min〜50cm/min)を供給し、基板温度が400℃〜600℃、圧力が0.13kPa〜0.67kPa、RFパワーが50W〜500Wの条件で化学反応させて形成される。
本実施例では、1.2GPaの圧縮応力をもつ膜を形成しているが、応力についてはこの値に限定されるものではない。また膜厚についても本実施例の膜厚に限定されるものではない。
その後、光リソグラフィー技術およびドライエッチング技術を用いて、p型トランジスタの形成領域13上のみに上記第2応力印加膜22を残すよう加工する。
【0049】
次に、図4(9)に示すように、全面に引張応力を有する第1応力印加膜(引っ張り(Tensile)ライナー膜)21を形成する。この第1応力印加膜21は、プラズマCVD法によって、膜厚が40nm程度で1.2GPa程度の引張応力を有する窒化シリコン膜で形成する。
なお、第1応力印加膜21は、窒素(N)ガス(500cm/min〜2000cm/min)、アンモニア(NH)ガス(500cm/min〜1500cm/min)、モノシラン(SiH)ガス(50cm/min〜300cm/min)を供給し、基板温度が200℃〜400℃、圧力が0.67kPa〜2.0kPa、RFパワーが50W〜500Wの条件で化学反応させる。さらに成膜後、ヘリウム(He)ガス(10L/min〜20L/min)を供給し、温度400℃〜600℃、圧力0.67kPa〜2.0kPa、紫外線(UV)ランプパワーが1kW〜10kWの条件で紫外線(UV)照射処理を行い形成する。
本実施例では1.2GPaの引張応力をもつ膜を形成しているが、応力についてはこの値に限定されるものではない。また膜厚についても本実施例の膜厚に限定されるものではない。
その後、光リソグラフィー技術およびドライエッチング技術を用いて、n型トランジスタの形成領域12上のみに上記第1応力印加膜21を残すよう加工する。なお、上記第1、第2応力印加膜21、22の形成順序はどちらが先に形成されてもよい。
【0050】
次に、図5(10)に示すように、上記半導体基板11上の全面に第1層間絶縁膜71を形成する。この第1層間絶縁膜71は、例えば酸化シリコン(SiO)膜で形成される。
【0051】
次に、図5(11)に示すように、各ダミーゲート84、85の上部が露出するまで、上記第1層間絶縁膜71表面を除去する。この除去加工では、例えばCMP法によって、第1層間絶縁膜71表面の研磨を行う。そして、各ダミーゲート84、85の上部を露出させる。
【0052】
次に、図5(12)に示すように、上記ダミーゲート84、85〔前記図5(11)参照〕を除去する。この除去加工は、ドライエッチングにより行う。続いてダミーゲート絶縁膜81のシリコン酸化膜をフッ酸によるウェットエッチングにより除去して、溝39、59を形成する。よって、上記側壁絶縁膜33、53内に溝39、59が形成される。
【0053】
次に、図6(13)に示すように、上記溝39、59の内面を含む上記第1層間絶縁膜71表面に、ゲート絶縁膜41を形成する。このゲート絶縁膜41は、例えば2nm〜3nm程度の厚さの高誘電率(High‐k)絶縁膜である酸化ハフニウム(HfO)膜をCVD法などによって形成する。本実施例ではHfOを使っているが、HfSiO、酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウムハフニウム(HfAlO)などのHigh‐k材料を用いることもでき、また半導体基板11表面、すなわち、シリコン表面を酸化することでゲート絶縁膜41としても構わない。また、あらかじめ半導体基板11表面上に高誘電率(High−k)絶縁膜を形成しておいてそのまま利用しても構わない。
【0054】
次に、図6(14)に示すように、上記溝39、59の内部に上記ゲート絶縁膜41を介してゲート電極形成層42を埋め込む。このゲート電極形成層42は、例えば、金属化合物層もしくは金属層を用いる。ここでは、一例として窒化チタン(TiN)を用いる。ゲート電極形成層42の成膜方法には、例えばALD法(Atomic Layer Deposition)やPVD法(Physical Vapor Deposition)を用いる。本実施例では、PVD法により圧縮応力を有する窒化チタン(TiN)膜を採用した。また、上記金属層としてはタングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ハフニウム(Hf)、ハフニウムシリサイド(HfSi)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、コバルト(Co)などを選択することができる。本実施例では単層の膜を使っているが、抵抗を下げるためや、しきい値電圧を調整するために複数の金属膜を積層しても構わない。
【0055】
次に、図6(15)に示すように、第1層間絶縁膜71上の余剰なゲート電極形成層42およびゲート絶縁膜41を除去して、溝39、59を埋め込むようにゲート電極形成層42を残して、ゲート電極43、63を形成する。この除去加工では、例えばCMPを用い、第1層間絶縁膜71の表面が露出するまで研磨する。
【0056】
次に、図7(16)に示すように、上記第1層間絶縁膜71上に第2層間絶縁膜72を形成する。この第2層間絶縁膜72は、例えば、酸化シリコン(SiO)膜で形成されている。そして、第2層間絶縁膜72、第1層間絶縁膜71にソース・ドレイン領域35、36、55、56に通じるコンタクトホール73、74、75、76をドライエッチング技術で形成した後、タングステン(W)等からなる金属を埋め込んでソース・ドレイン電極44、45、64、65を形成し、n型トランジスタTr1、p型トランジスタTr2からなる半導体装置1が完成する。
【0057】
次に、上記第1実施例における応力の増加効果について、図8〜図10によって説明する。なお、図8〜図10は上記第1実施例の構造に基づいて行った応力シミュレーションの結果を示している。
【0058】
図8は、従来技術および本発明の第1実施例における各工程でのn型トランジスタのチャネル部の応力を示している。なお、本シミュレーションにおいては、ゲート長が60nmのものを仮定している。また、本シミュレーションにおいてx軸はソースからドレインに向かう方向(トランジスタのゲート長(L)方向)、y軸はゲート電極から基板深さ方向に向かう方向、z軸は手前から奥へ向かう方向(トランジスタのゲート幅(W)方向)にそれぞれ設定し、Sxx、Syy、Szzはそれぞれの方向への主応力成分である。またチャネルでの応力は、ゲートの中央部でシリコン基板表面から1nmの深さのところでの値である。図8〜図10中の「従来技術」は、前記図28(10)の状態での応力、「ダミーゲート除去後」は本実施例でのダミーゲートを除去した直後での応力、「ダミーゲート、ダミー酸化膜除去後」は本実施例でのダミーゲートおよびダミーゲート絶縁膜を除去した直後(図5(12))での応力、「ゲート電極形成後」はゲート電極43、53を形成した直後(図6(15))での応力値で、それぞれSxx、Syy、Szzの値を示している。また応力値はプラス(+)の値が引張応力、マイナス(−)の値が圧縮応力を表している。
【0059】
上記シミュレーション結果によると、従来技術に対してダミーゲートを除去した直後にSxxの値が大きく増加していることが分かる。これは従来技術では応力印加(ストレスライナー)膜から印加された応力がゲート電極からの反発力のために効果的に半導体基板(シリコン基板)にかかっていなかったものが、ポリシリコンのダミーゲートを除去することで効果的にx方向の引張応力が印加されていることを示している。ただし、従来技術ではSyyとして圧縮応力がかかっているが、ダミーゲートを抜いた直後はほとんどなくなっていることがわかる。またSzzについては、従来技術ではほとんどかかっていなかったものが、ダミーゲートを除去することで引張応力がかかっている。またダミーゲート絶縁膜を除去した後のものでは、ダミーゲート絶縁膜を除去することで、さらにSxxが増加していることがわかる。また、これらの応力は、ゲート電極43,63を形成した後においても傾向は変わっていない。
【0060】
図9は、p型トランジスタでの応力の変化を示している。p型トランジスタではn型トランジスタとは逆の、圧縮応力をもつ応力印加(ストレスライナー)膜を用いているため、応力の値は正負逆転しているが、傾向はn型トランジスタの場合と同じである。すなわち、ダミーゲートを除去することでSxx、Szzは増加しているがSyyは減少している。またゲート電極43,63を形成した後もほぼ同じ傾向を保っていることがわかる。
【0061】
これらの応力値から移動度の変化を見積もる方法としては、ピエゾ係数を用いる方法が知られている。C.S.Smith著, Phys.Rev. vo.94, pp42-49(1954)に報告されているピエゾ係数を用いると、n型、p型それぞれのトランジスタにおいて移動度向上率は以下のように記述することが出来る。
【0062】
n型:(μxx/μ0)=1+0.316Sxx−0.534Syy+0.176Szz
【0063】
p型:(μxx/μ0)=1−0.718Sxx+0.011Syy+0.663Szz
【0064】
上記式を用いて各状態での移動度向上率をプロットしたものを図10に示す。計算に用いたSxx、Syy、Szzは図8、図9に示したものである。移動度向上率は、何も応力が印加されていない状態での移動度を1とした場合の相対値である。
【0065】
図10に示すように、ダミーゲート84、85を除去することで移動度が大きく向上していることがわかる。またダミーゲート絶縁膜81を除去することで、さらに移動度が向上している。このことより、ダミーゲート84、85の下にあらかじめHigh−k絶縁膜を作っておくことよりもダミーゲート絶縁膜81を除去する方が好ましいことがわかる。埋め込みゲートを作製した後の移動度向上率は、ゲート電極形成層42のTiNが圧縮応力を持っていることにより、p型トランジスタTr2において若干減少している。しかしながら、従来技術と比較すると、第1実施例におけるトランジスタは、n型、p型共に従来技術より大きな移動度向上率を実現していることがわかる。
【0066】
本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第2実施例)を、図11の概略構成断面図によって説明する。
【0067】
図11に示すように、半導体基板11にn型トランジスタの形成領域12とp型トランジスタの形成領域13とを電気的に分離する素子分離領域14が形成されている。上記半導体基板11には、例えばシリコン基板を用い、上記素子分離領域14は、例えば、酸化膜からなるSTI(Shallow Trench Isolation)構造で形成されている。
【0068】
上記n型トランジスタの形成領域12の半導体基板11中には、p型不純物が導入されたp型ウェル領域15が形成され、上記p型トランジスタの形成領域13の半導体基板11中には、n型不純物が導入されたn型ウェル領域16が形成されている。
【0069】
上記半導体基板11上には、n型トランジスタの形成領域12に、第1ダミーゲート(図示せず)を除去することで形成された第1溝39を有する側壁絶縁膜33と、p型トランジスタの形成領域13に、第2ダミーゲート(図示せず)を除去することで形成された第2溝59を有する側壁絶縁膜53とが形成されている。この側壁絶縁膜33、53は、例えば20nm〜50nm程度の厚さに形成されている。
【0070】
上記第1溝39内にはゲート絶縁膜41を介してゲート電極43が形成され、上記第2溝59内にはゲート絶縁膜41を介してゲート電極63が形成されている。
上記ゲート絶縁膜41は、例えば2nm〜3nm程度の厚さの高誘電率(High‐k)絶縁膜である酸化ハフニウム(HfO)膜で形成されている。本実施例ではHfOを使っているが、HfSiO、酸化タンタル(Ta)、酸化アルミニウムハフニウム(HfAlO)などのHigh‐k材料を用いることもでき、また単純に半導体基板11表面、すなわち、シリコン表面を酸化することや、予め半導体基板11表面に形成しておいた高誘電率膜をゲート絶縁膜41としても構わない。
また、上記ゲート電極43、63は、例えば、金属化合物層もしくは金属層を用いる。ここでは、一例として窒化チタン(TiN)を用いている。また、上記金属層としてはタングステン(W)、チタン(Ti)、窒化チタン(TiN)、ハフニウム(Hf)、ハフニウムシリサイド(HfSi)、ルテニウム(Ru)、イリジウム(Ir)、コバルト(Co)などを選択することができる。本実施例では単層の膜を使っているが、抵抗を下げるためや、しきい値電圧を調整するために複数の金属膜を積層しても構わない。
【0071】
また、上記n型トランジスタの形成領域12には、上記第1溝39の両側の半導体基板11にエクステンション領域31、32が形成されている。さらに、上記第1溝39の両側における半導体基板11には、上記エクステンション領域31、32をそれぞれに介してソース・ドレイン領域35、36が形成されている。上記エクステンション領域31、32、ソース・ドレイン領域35、36は、n型不純物としてリン(P)もしくはヒ素(As)が導入されている。
【0072】
また、p型トランジスタの形成領域13には、上記第2溝59の両側の半導体基板11にエクステンション領域51、52が形成されている。さらに、上記第2溝59の両側における半導体基板11には、上記エクステンション領域51、52をそれぞれに介してソース・ドレイン領域55、56が形成されている。上記エクステンション領域51、52、ソース・ドレイン領域55、56は、p型不純物としてホウ素(B)、インジウム(In)等が導入されている。
【0073】
上記ソース、ドレイン領域35、36上にはシリサイド電極37、38が形成されているとともに、ソース、ドレイン領域55、56上にはシリサイド電極57、58が形成されていて、各ソース・ドレイン領域の低抵抗化が図られている。上記シリサイド電極37、38、57、58は、例えば、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、白金(Pt)またはそれらの化合物により20nm〜50nm程度の厚さに形成されたシリサイド層からなる。
【0074】
上記n型トランジスタの形成領域12において、上記側壁絶縁膜33から上記半導体基板11上には圧縮応力を有する第1応力印加膜21が形成され、上記p型トランジスタの形成領域13において、上記側壁絶縁膜53から上記半導体基板11上には引張応力を有する第2応力印加膜22が形成されている。このように、上記第1応力印加膜21は上記第1溝39が形成される前に成膜されていて、上記第2応力印加膜22は上記第2溝59が形成される前に成膜されていることが特徴となっている。
【0075】
上記第1応力印加膜21は、例えば膜厚が40nm程度の引張応力を有する窒化シリコン膜で形成する。本実施例では1.2GPaの引張応力をもつ膜を形成しているが、応力についてはこの値に限定されるものではない。また膜厚についても本実施例の膜厚に限定されるものではない。また、上記第2応力印加膜22は、例えば膜厚が40nm程度の圧縮応力を有する窒化シリコン膜で形成する。本実施例では1.2GPaの圧縮応力をもつ膜を形成しているが、応力についてはこの値に限定されるものではない。また膜厚についても本実施例の膜厚に限定されるものではない。
【0076】
さらに、上記第1応力印加膜21上に、引張応力を有する第3応力印加膜23が形成されていて、上記第2応力印加膜22上に、圧縮応力を有する第4応力印加膜24が形成されている。
【0077】
上記第3応力印加膜23は、例えば膜厚が40nm程度の引張応力を有する窒化シリコン膜で形成する。本実施例では1.2GPaの引張応力をもつ膜を形成しているが、応力についてはこの値に限定されるものではない。また膜厚についても本実施例の膜厚に限定されるものではない。
また、上記第4応力印加膜24は、例えば膜厚が40nm程度の圧縮応力を有する窒化シリコン膜で形成する。本実施例では1.2GPaの圧縮応力をもつ膜を形成しているが、応力についてはこの値に限定されるものではない。また膜厚についても本実施例の膜厚に限定されるものではない。
【0078】
さらに上記半導体基板11上の全面には、第1層間絶縁膜71、第2層間絶縁膜72が形成されている。この第1、第2層間絶縁膜71、72は、例えば酸化シリコン(SiO)膜で形成されている。
【0079】
上記第2層間絶縁膜72、第1層間絶縁膜71には、ソース・ドレイン領域35、36、55、56に通じるコンタクトホール73、74、75、76が形成され、タングステン(W)等からなる金属を埋め込んだソース・ドレイン電極44、45、64、65が形成されている。このように、n型トランジスタTr1、p型トランジスタTr2からなる半導体装置2が構成されている。
【0080】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第2実施例)を、図12〜図13の製造工程断面図によって説明する。ここでは、前記第2実施例の半導体装置の製造方法を説明する。
【0081】
第2実施例の製造方法は、以下のようにして行う。
【0082】
まず、前記図2(1)〜前記図6(15)によって説明した工程を行うことによって、図12(1)に示すように、第1層間絶縁膜71上の余剰なゲート電極形成層42およびゲート絶縁膜41を除去して、溝39、59を埋め込むようにゲート電極形成層42を残して、ゲート電極43、63を形成する。この除去加工では、例えばCMPを用い、第1層間絶縁膜71の表面が露出するまで研磨する。
【0083】
次に、図12(2)に示すように、ドライエッチング法によって第1層間絶縁膜71(前記図12(1)参照)を除去する。
【0084】
次に、図12(3)に示すように、p型トランジスタの形成領域13上のみに、圧縮応力を有する第4応力印加膜24を形成する。この第4応力印加膜24は、例えば、全面にプラズマCVD法によって、膜厚40nm程度の圧縮応力を有する窒化シリコン膜(圧縮(Compressive)ライナー膜)を形成し、光リソグラフィー技術およびドライエッチング技術を用いて、p型トランジスタの形成領域13上のみに残すようにして形成される。本実施例においては、先に形成した圧縮応力を有する第2応力印加膜22と同様に、1.2GPaの圧縮応力をもつ膜を40nm形成しているが、本応力および膜厚に限定されるものではない。
【0085】
次に、図13(4)に示すように、n型トランジスタの形成領域12上のみに、引張応力を有する第3応力印加膜23を形成する。この第3応力印加膜23は、例えば、全面にプラズマCVD法によって、膜厚40nm程度の引張応力を有する窒化シリコン膜(引張(Tensile)ライナー膜)を形成し、光リソグラフィー技術およびドライエッチング技術を用いて、n型トランジスタの形成領域12上のみに残すようにして形成される。本実施例においては、先に形成した引張応力を有する第1応力印加膜21と同様に、1.2GPaの引張応力をもつ膜を40nm形成しているが、本応力および膜厚に限定されるものではない。
【0086】
次に、図13(5)に示すように、層間絶縁膜71A(71、72)を形成する。この層間絶縁膜71Aは、例えば酸化シリコン(SiO)で形成されている。
【0087】
次に、図13(6)に示すように、上記層間絶縁膜71Aからソース・ドレイン領域35、36、55、56に通じるコンタクトホール73、74、75、76をドライエッチング技術で形成した後、タングステン(W)等からなる金属を埋め込んでソース・ドレイン電極44、45、64、65を形成し、n型トランジスタTr1、p型トランジスタTr2からなる半導体装置2が完成する。
【0088】
次に、上記第2実施例における応力の増加効果について図14〜図16を用いて説明する。図14は、n型トランジスタにおける従来技術、第1実施例、第2実施例での応力シミュレーション値を示している。
【0089】
図14に示すように、第1実施例では引張応力を有する第1応力印加膜の上部をCMPによって除去し、ダミーゲートをエッチングにより除去するため、深さ方向の圧縮応力(Syy)が減少していたが、第2実施例においては引張応力を有する第3応力印加膜を埋め込みプロセスにより作製したゲート電極の上部に形成しているため、深さ方向の圧縮応力がある程度回復していることがわかる。第1実施例で示した移動度向上率の式によると、n型トランジスタにおいては深さ方向の応力(Syy)としてはマイナスの値となる圧縮応力が大きくなるほど移動度が向上することがわかる。したがって、引張応力を有する第3応力印加膜は移動度向上に有効であることがわかる。
【0090】
図15に示すように、p型トランジスタにおいても、圧縮応力を有する第4応力印加膜を形成することでSyyが大きくなっている。ただしp型トランジスタの場合は先ほどの移動度向上率の式において、Syyの係数が小さいため効果は限定的となる。
【0091】
上記各応力値をもとにして計算した移動度の向上率を示した図16に示すように、第2実施例においては、n型、p型トランジスタ共に第1実施例よりも移動度の向上をさらに得ることができる。
【0092】
次に、本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第3実施例)を、図17の概略構成断面図によって説明する。
【0093】
図17に示すように、第3実施例の半導体装置3は、前記図1によって説明した第1実施例の半導体装置1において、各ゲート電極43、63上を被覆するように、第1、第2応力印加膜21、22上に引張応力を有する第3応力印加膜23を形成した構成となっている。その他の構成は前記第1実施例の半導体装置1と同様である。なお、図面では、ソース・ドレイン電極の図示は省略されている。
【0094】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第3実施例)を説明する。ここでは、前記半導体装置3の製造方法を説明する。
【0095】
第3実施例の製造方法は、前記図12(2)に示した工程までを行い、その後、前記図17に示すように、全面に引張応力を有する第3応力印加膜23を形成する。その後、前記図12(5)に示した工程以降の工程を行う。
【0096】
上記第3実施例の半導体装置3では、1層目の引張応力を有する第1応力印加膜21、圧縮応力を有する第2応力印加膜22については上記第1、第2実施例と同じであるが、2層目の第3応力印加膜23は引張応力を有する第3応力印加膜23のみとなっている。このことにより、上記第2実施例のように、2層目の応力印加膜をn型、p型で別々に作る必要が無くなり、工程短縮や歩留まり向上が期待できる。第3実施例において、引張応力を有する第3応力印加膜23は40nmの1.2GPaの引張応力を持つ窒化シリコン膜を用いているが、膜厚および内部応力はこれに限定されるものではない。本実施例においてはp型トランジスタ上の応力印加膜は引張応力を有する第3応力印加膜23が用いられているので、p型トランジスタにおいては好ましくない方向に特性が変化するが、その大きさは小さい。
【0097】
次に、本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第4実施例)を、図18の概略構成断面図によって説明する。
【0098】
図18に示すように、第4実施例の半導体装置4は、前記図17によって説明した第3実施例の半導体装置3において、p型トランジスタのソース・ドレイン領域55、56が応力印加源で形成されている。この応力印加源は、例えばシリコンゲルマニウム(SiGe)層で形成されている。その他の構成は、前記半導体装置3と同様である。
【0099】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第4実施例)を説明する。ここでは、前記半導体装置4の製造方法を説明する。
【0100】
第4実施例の製造方法は以下のように行う。
【0101】
まず、前記図2(1)〜前記図3(8)によって説明した工程を行う。その際、p型トランジスタのソース・ドレイン領域55、56を応力印加源で形成する。この応力印加源は、例えばゲルマニウムインプラにより形成する。または、ソース・ドレインの形成領域をエッチングにより除去して溝を形成し、その溝の部分にシリコンゲルマニウム(SiGe)層を選択エピタキシャル成長させて形成する。この場合、その他の領域はエピタキシャル成長が起こらないように絶縁膜により被覆しておく。この絶縁膜は、エピタキシャル成長後に除去する。本第4実施例では、圧縮応力を有する応力印加源として、エピタキシャル成長させて形成したシリコンゲルマニウム(SiGe)層を用いた。そのゲルマニウム(Ge)濃度は例えば18%であるが、ゲルマニウム濃度はこれに限定されるものではない。また本実施例ではSiGeを用いているが、チャネル領域に圧縮応力を印加できるものであれば、SiGeに限定するものではない。
【0102】
また、ソース・ドレイン領域にSiGeを用いてp型トランジスタに圧縮応力を印加する方法は、例えば特開2006−186240号公報や「IEDM2003 Technical Digest」、T.Ghani他、“A 90nm High Volume Manufacturing Logic Technology Featuring Novel 45nm Gate Length Strained Silicon CMOS Transistors”、(米)、2003年、p.987にも示されている。
【0103】
その後、前記図4(7)〜前記図6(15)によって説明した工程を行う。そして、前記図12(2)に示した工程後、前記図17に示すように、全面に引張応力を有する第3応力印加膜23を形成する。その後、前記図12(5)に示した工程以降の工程を行う。
【0104】
上記第3、第4実施例での効果を図19および図20に示すシミュレーションの結果を用いて説明する。n型トランジスタについては前記第2実施例2の場合と同じであるため省略している。図19は、従来技術、実施例1および第3実施例、第4実施例でのp型トランジスタにおける応力シミュレーションの結果を示している。また、図20ではそれぞれの場合の移動度向上率を比較している。
【0105】
図19に示すように、第3実施例においては、p型トランジスタに形成された2層目の第3応力印加膜23が引張応力を持つ膜となっており、この影響でSyyの圧縮応力の値が第1実施例に比べて大きくなっている。移動度増加率の式を見ると、Syyの圧縮応力が大きくなると、p型トランジスタにおいては移動度が減少する方向となる。第4実施例においては、ソース・ドレイン領域に圧縮応力源を形成しているため、チャネル方向の圧縮応力(Sxx)が大きく増加している。
【0106】
また、図20に示すように、第3実施例においては、深さ方向の圧縮応力(Syy)が増加したため、第1実施例の場合に比べて移動度向上率は小さくなっているが、それでも従来技術と比較すると移動度は向上している。第4実施例においてはチャネル方向圧縮応力(Sxx)が大きく改善しているため、大きな移動度向上率を得ることができている。第3、第4実施例においては、n型トランジスタの移動度向上を減少させないために2層目の応力印加膜を有する引張応力を有する窒化シリコン膜としているが、p型トランジスタの移動度向上が重要な場合は、2層目の応力印加膜は圧縮応力を有する圧縮(Compressive)ライナー膜としても良い。
【0107】
本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第5実施例)を、図21の概略構成断面図によって説明する。
【0108】
図21に示すように、第5実施例の半導体装置5は、前記図18によって説明した第4実施例の半導体装置4において、p型トランジスタ上には応力印加膜を形成しない構成となっている。すなわち、応力印加膜は、n型トランジスタ上の引張応力を有する第1応力印加膜21と、第3応力印加膜23のみとなっている。その他の構成は、前記半導体装置4と同様である。
【0109】
次に、本発明の半導体装置に係る一製造方法の実施の形態(第5実施例)を説明する。ここでは、前記半導体装置5の製造方法を説明する。
【0110】
第5実施例の製造方法は、前記第4実施例の製造方法において、圧縮応力を有する第2応力印加膜を形成しないで、引張応力を有する第1応力印加膜21上に、引張応力を有する第3応力印加膜23を形成し、p型トランジスタ領域の第3応力印加膜23を除去する。その他の工程は前記第4実施例の製造方法と同様である。
【0111】
上記第5実施例では、前記第4実施例よりさらに工程短縮が行える。また、応力を有する応力印加膜(引張応力を有する第1応力印加膜21、第3応力印加膜23)はn型トランジスタ上のみに形成されている。一方、p型トランジスタには、第4実施例と同様に、ソース・ドレイン領域55、56が応力印加源となるように、ソース・ドレイン領域55、56をエピタキシャル成長によってSiGe層で形成している。このことにより、p型トランジスタのチャネル領域はSiGe層からチャネル方向に圧縮の力を受けるため、圧縮応力を有する応力印加膜を形成しなくても移動度を改善しトランジスタの能力を向上させることができる。第5実施例ではSiGeを用いているが、チャネル領域に圧縮応力を印加できるものであれば、SiGeに限定するものではない。
【0112】
本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第6実施例)を、図22の概略構成断面図によって説明する。
【0113】
図22に示すように、第6実施例の半導体装置6は、前記第5実施例の半導体装置5において、引張応力を有する第3応力印加膜23が全面に形成された構成となっている。その他の構成は前記第5実施例の半導体装置5と同様である。
【0114】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第6実施例)を説明する。ここでは、前記半導体装置6の製造方法を説明する。
【0115】
第6実施例の製造方法は、前記第5実施例の製造方法において、引張応力を有する第3応力印加膜23を全面に形成した後、p型トランジスタ領域の第3応力印加膜23の除去を行わず、全面に残す。その他の製造工程は、前記第5実施例の製造方法と同様である。
【0116】
上記第6実施例の半導体装置6では、p型トランジスタにおいては引張応力を有する第3応力印加膜がトランジスタ能力を下げる方向に作用するが、ゲート電極を形成した後に第3応力印加膜が形成されるため、前記第3実施例と同様にその影響は大きくはない。またn型トランジスタ上に1層目と2層目の引張応力を有する第1応力印加膜、第3応力印加膜を形成しているが、工程短縮のために2層目の第3応力印加膜は省略しても良い。
【0117】
上記第5、第6本実施例での効果を図23および図24に示すシミュレーションの結果を用いて説明する。n型トランジスタについては前記第2実施例の場合と同じであるため省略している。図23は従来技術、第1実施例および第5実施例、第6実施例でのp型トランジスタにおける応力シミュレーションの結果を示している。また、図24は、それぞれの場合の移動度向上率を比較している。
【0118】
図23に示すように、第5実施例では、p型トランジスタにおいて圧縮応力を有する応力印加膜を用いる代わりに、ソース・ドレイン領域にSiGeからなる圧縮応力源を用いているため、第1実施例に近い応力値となっている。第6実施例では、引張応力を有する第3応力印加膜を形成しているため、Sxxの圧縮応力は若干減少し、かつSyyについては圧縮応力が大きく増加している。
【0119】
また、図24に示すように、第5実施例では、横方向圧縮応力(Sxx)が増加しているため、第1実施例に比べて移動度向上率が大きくなっている。一方、第6実施例では、引張応力を有する第3応力印加膜23の影響でSyyの圧縮応力が増加しているため、移動度向上率は第1実施例とほぼ同じ向上率となっている。どちらの場合も従来技術に比べて大きな移動度向上率を得ることができる。なお、第5、第6実施例では、p型トランジスタのソース・ドレイン領域55、56をSiGe層で形成することで、チャネル部に圧縮応力を与えているが、n型トランジスタのソース・ドレイン領域35、36にSiC等の引張応力を有する層を形成することで、n型トランジスタについても同様に、ソース・ドレイン領域35、36に応力印加源を有する構造を作製することができる。
【0120】
本発明の半導体装置に係る一実施の形態(第7実施例)を、図25の概略構成断面図によって説明する。
【0121】
図25に示すように、第7実施例の半導体装置7は、前記図11によって説明した第2実施例の半導体装置2において、p型トランジスタのソース・ドレイン領域55、56が応力印加源で形成されているものである。この応力印加源は、例えばシリコンゲルマニウム(SiGe)層で形成されている。その他の構成は、前記半導体装置2と同様である。
【0122】
次に、本発明の半導体装置の製造方法に係る一実施の形態(第7実施例)を説明する。ここでは、前記半導体装置7の製造方法を説明する。
【0123】
第7実施例の製造方法は、前記第2実施例の製造方法において、p型トランジスタのソース・ドレイン領域55、56を応力印加源で形成する。この応力印加源は、例えばゲルマニウムインプラにより形成する。または、ソース・ドレインの形成領域をエッチングにより除去して溝を形成し、その溝の部分にシリコンゲルマニウム(SiGe)層を選択エピタキシャル成長させて形成する。この場合、その他の領域はエピタキシャル成長が起こらないように絶縁膜により被覆しておく。この絶縁膜は、エピタキシャル成長後に除去する。本第4実施例では、圧縮応力を有する応力印加源として、エピタキシャル成長させて形成したシリコンゲルマニウム(SiGe)層を用いた。そのゲルマニウム(Ge)濃度は例えば18%であるが、ゲルマニウム濃度はこれに限定されるものではない。また本実施例ではSiGeを用いているが、チャネル領域に圧縮応力を印加できるものであれば、SiGeに限定するものではない。
【0124】
上記第7実施例の半導体装置7では、p型トランジスタにおいて前記第3、第4実施例と同様にソース・ドレイン領域55、56にエピタキシャル成長により作製されたSiGe層を形成し、さらに前記第2実施例と同様に、圧縮応力を有する第2応力印加膜と第4応力印加膜を形成している。したがって、p型トランジスタのゲート電極下のチャネル領域には、SiGe層からの圧縮応力と第2、第3応力印加膜からの圧縮応力がかかるため、チャネル領域に大きな応力をかけることができる。またn型トランジスタにおいては前記第2実施例と同様の構造が採用されていることで、n型、p型両方のトランジスタにおいて大きな移動度の向上を得ることができる。
【0125】
さらに、本第7実施例においても、n型トランジスタのソース・ドレイン領域にSiC等の引張応力を有する層を形成することで、n型トランジスタについても同様に、ソース・ドレイン領域に応力印加源を有する構造を作製することができる。
【符号の説明】
【0126】
1…半導体装置、11…半導体基板、21…第1応力印加膜、22…第2応力印加膜、33,53…側壁絶縁膜、35,36,55,56…ソース・ドレイン領域、39…第1溝、41…ゲート絶縁膜、43,63…ゲート電極、59…第2溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にダミーゲートを形成した後、該ダミーゲートの側壁に側壁絶縁膜を形成し、該ダミーゲートの両側の前記半導体基板にソース・ドレイン領域を形成する工程と、
前記ダミーゲートおよび前記ソース・ドレイン領域の上に応力印加膜を形成する工程と、
前記ダミーゲートの上の領域に形成された前記応力印加膜と前記ダミーゲートを除去して溝を形成する工程と、
前記溝内の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、を備えた
半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記応力印加膜の上に層間絶縁膜を形成する工程をさらに備え、
前記溝を形成する工程は、前記層間絶縁膜と前記ダミーゲートの上の領域に形成された前記応力印加膜とをCMP法によって除去する工程を含む
請求項1記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記ダミーゲートを、前記半導体基板上にダミーゲート絶縁膜とダミーゲート形成膜を順に積層して形成した後、該ダミーゲート形成膜をパターニングして形成し、
前記ダミーゲートを除去するときに前記ダミーゲートの下部に形成されている前記ダミーゲート絶縁膜を除去する
請求項1または請求項2記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
半導体基板上のn型トランジスタの形成領域とp型トランジスタの形成領域とにダミーゲートを形成した後、各ダミーゲートの側壁に側壁絶縁膜を形成し、各ダミーゲートの両側の前記半導体基板にソース・ドレイン領域をそれぞれに形成する工程と、
前記n型トランジスタの形成領域の前記ダミーゲートおよび前記ソース・ドレイン領域の上に第1応力印加膜を形成する工程と、
前記p型トランジスタの形成領域の前記ダミーゲートおよび前記ソース・ドレイン領域の上に第2応力印加膜を形成する工程と、
前記n型トランジスタの前記ダミーゲートの上の領域に形成された前記第1応力印加膜、前記p型トランジスタの前記ダミーゲートの上の領域に形成された前記第2応力印加膜、および前記各ダミーゲートを除去して溝を形成する工程と、
前記各溝内の前記半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、を備えた
半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第1応力印加膜および前記第2応力印加膜の上に層間絶縁膜を形成する工程をさらに備え、
前記溝を形成する工程は、前記層間絶縁膜と前記各ダミーゲートの上の領域に形成された前記第1応力印加膜および前記第2応力印加膜とをCMP法によって除去する工程を含む
請求項4記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記ダミーゲートを、前記半導体基板上にダミーゲート絶縁膜とダミーゲート形成膜を順に積層して形成した後、該ダミーゲート形成膜をパターニングして形成し、
前記ダミーゲートを除去するときに前記ダミーゲートの下部に形成されている前記ダミーゲート絶縁膜を除去する
請求項4または請求項5記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ゲート電極を形成した後、前記n型トランジスタ上、もしくはn型トランジスタおよびp型トランジスタ上に第3応力印加膜を形成する
請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記ゲート電極を形成した後、前記n型トランジスタ上に第3応力印加膜を形成し、前記p型トランジスタ上に第4応力印加膜を形成する
請求項4〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記p型トランジスタのソース・ドレイン領域を応力印加源で形成する
請求項1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記応力印加源を、
前記半導体基板のソース・ドレイン領域を形成する領域に溝を形成した後、
前記溝にシリコンゲルマニウム層をエピタキシャル成長させて形成する
請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記ゲート電極は、金属からなる
請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記金属は、窒化チタン(TiN)である
請求項11記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ゲート絶縁膜は、高誘電率絶縁膜である
請求項1〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2012−124503(P2012−124503A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6581(P2012−6581)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【分割の表示】特願2008−18513(P2008−18513)の分割
【原出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】