説明

半導体装置、半導体基板、及び半導体基板の処理方法

【課題】表面が(111)面以外であるシリコン層と、表面が(0001)面である窒化物半導体層とを基板に設け、かつシリコンと窒化物半導体の線膨張係数の違いに起因した応力を小さくする。
【解決手段】まずSOI(Silicon On Insulator)基板を準備する。SOI基板は、表面が(111)面であるシリコン基板100上に絶縁層120及びシリコン層200を積層した基板である。シリコン層200は、表面が(111)面以外の面方位である。次いで、絶縁層120及びシリコン層200に、底面にシリコン基板100が露出している開口部201を形成する。次いで、開口部201内にIII族の窒化物半導体層300を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同一基板にシリコン素子と化合物半導体素子とを混載した半導体装置、半導体基板、及び半導体基板の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子は、一般的にシリコン基板やSOI(Silicon ON Insulator)基板を用いて製造されている。一方、近年は、GaNなどの窒化物半導体層を用いて半導体素子を製造することが研究されている。窒化物半導体はシリコンと比較してバンドギャップが大きいため、窒化物半導体を用いた素子は、シリコンを用いた素子と比較して特性が向上することが期待されている。
【0003】
さらに最近は、シリコンを用いた素子と窒化物半導体を用いた素子とを同一基板上に形成することが研究されている。例えば特許文献1には、(001)5.3°〜9.3°のシリコンオフ基板を選択的にエッチングして凹部を形成し、この奥部の底面に、(111)面を斜面の状態で露出させ、この(111)面から窒化物半導体層をエピタキシャル成長させることが記載されている。
【0004】
また特許文献2には、シリコン層の全面上に窒化物半導体層を成膜し、その上に島状のシリコン層を形成することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−281454号公報
【特許文献2】特表2008−547203号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
シリコンに半導体素子を形成する場合、シリコンの表面は(111)面以外の面であることが好ましい。一方、シリコンに窒化物半導体を成長させる場合、シリコンの表面は(111)面であることが好ましい。しかし、特許文献1に記載の方法では、シリコン基板のうち、化合物半導体層がエピタキシャル成長する(111)面が斜めになっているため、窒化物半導体層のうち基板の表面に対して平行な面は(1−101)面となる。(1−101)面を表面に有する窒化物半導体層は結晶欠陥の影響を受けやすく、(0001)面を表面に有する窒化物半導体層に対して半導体素子の品質が低下しやすい。
【0007】
また、特許文献2に記載の方法では、シリコン層の全面上に窒化物半導体層を成膜しているため、シリコンと窒化物半導体の線膨張係数の違いに起因した応力が大きくなってしまう。
【0008】
このように、表面が(111)面以外であるシリコン層と、表面が(0001)面である窒化物半導体層とを基板に設け、かつシリコンと窒化物半導体の線膨張係数の違いに起因した応力を小さくすることは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、表面が(111)面であるシリコン基板と、
前記シリコン基板の上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成され、表面が(111)面以外の面方位であるシリコン層と、
前記絶縁層及び前記シリコン層に形成され、底面に前記シリコン基板が露出している開口部と、
前記開口部内に形成されたIII族の窒化物半導体層と、
前記シリコン層に形成されたシリコン素子と、
前記窒化物半導体層に形成された化合物半導体素子と、
を備える半導体装置が提供される。
【0010】
この半導体装置によれば、表面が(111)面であるシリコン基板の上に絶縁層及びシリコン層が形成されている。シリコン層は、表面が(111)面以外の面方位である。また絶縁層及びシリコン層には開口部が形成されており、この開口部の底面にシリコン基板が露出している。そして窒化物半導体層は、開口部内に形成されている。このため、表面が(111)面以外であるシリコン層と、表面が(0001)面である窒化物半導体層とを基板に設けることができる。また、窒化物半導体層はシリコン基板の一部上にのみ形成されているため、シリコンと窒化物半導体の線膨張係数の違いに起因した応力を小さくすることができる。
【0011】
本発明によれば、表面が(111)面であるシリコン基板と、
前記シリコン基板の上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成され、表面が(111)面以外の面方位であるシリコン層と、
前記絶縁層及び前記シリコン層に形成され、底面に前記シリコン基板が露出している開口部と、
を有する半導体基板が提供される。
【0012】
本発明によれば、表面が(111)面であるシリコン基板上に絶縁層及び表面が(111)面以外の面方位であるシリコン層を積層したSOI(Silicon On Insulator)基板を準備する工程と、
前記絶縁層及び前記シリコン層に、底面に前記シリコン基板が露出している開口部を形成する工程と、
前記開口部内にIII族の窒化物半導体層を形成する工程と、
を備える半導体基板の処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、表面が(111)面以外であるシリコン層と、表面が(0001)面である窒化物半導体層とを基板に設け、かつシリコンと窒化物半導体の線膨張係数の違いに起因した応力を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。
【図3】第2の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。
【図4】第3の実施形態に係る半導体基板の処理方法を説明するための断面図である。
【図5】第3の実施形態に係る半導体基板の処理方法を説明するための断面図である。
【図6】第3の実施形態に係る半導体基板の処理方法を説明するための断面図である。
【図7】第4の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。
【図8】第4の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。
【図9】第5の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。
【図10】第5の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。
【図11】第6の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図12】第7の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図13】第8の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0016】
図1及び図2は、第1の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。この半導体基板の処理方法においては、まず、SOI(Silicon On Insulator)基板を準備する。SOI基板は、表面が(111)面であるシリコン基板100上に絶縁層120及びシリコン層200を積層した基板である。シリコン層200は、表面が(111)面以外の面方位である。次いで、絶縁層120及びシリコン層200に、底面にシリコン基板100が露出している開口部201を形成する。次いで、開口部201内にIII族の窒化物半導体層300を形成する。以下、詳細に説明する。
【0017】
まず図2(a)に示すように、SOI基板を準備する。SOI基板は、上記したように、シリコン基板100の上に絶縁層120及びシリコン層200をこの順に積層した基板である。シリコン層200の表面の面方位は、例えば(100)又は(110)である。
【0018】
次いでシリコン層200上にハードマスク層202を形成する。ハードマスク層202は、例えば酸化シリコン層であり、例えばCVD法により形成される。
【0019】
次いで図2(b)に示すように、ハードマスク層202上にレジストパターン(図示せず)を形成し、このレジストパターンをマスクとしてハードマスク層202、シリコン層200、及び絶縁層120をエッチングする。これによりハードマスク層202、シリコン層200、及び絶縁層120には開口部201が形成される。開口部201は、底面にシリコン基板100が露出している。その後、レジストパターンを除去する。
【0020】
次いで図1(a)に示すように、開口部201の底面に露出しているシリコン基板100を、1000℃以上に加熱してから水素雰囲気下に置くことによりクリーニングする。次いで、開口部201の底面に露出しているシリコン基板100の上に、バッファ層302及び窒化物半導体層300をこの順に形成する。窒化物半導体層300は、例えばGaN、AlGaN、又はInAlGaNである。シリコン基板100の表面の面方位は(111)であるため、窒化物半導体層300は、表面が(0001)面となるように成長する。
【0021】
本実施形態では、バッファ層302及び窒化物半導体層300は選択CVD法により、開口部201の底面に露出しているシリコン基板100の上に選択成長される。バッファ層302は、GaNなどの窒化物半導体の多結晶層やAlNの多結晶層であり、窒化物半導体層300の成膜温度(例えば1000℃以上1200℃以下)より低温(例えば500℃以下で成膜される。
【0022】
その後、図1(b)に示すようにハードマスク層202を例えばウェットエッチングにより除去する。窒化物半導体層300を成膜するとき、ハードマスク層202上に選択不良の異物が成長することがある。この異物は、ハードマスク層202を除去するときに、ハードマスク層202と共にSOI基板から除去される。
【0023】
このようにして形成されたSOI基板は、表面が(111)面であるシリコン基板100と、シリコン基板100の上に形成された絶縁層120と、絶縁層120の上に形成され、表面が(111)面以外の面方位であるシリコン層200と、絶縁層120及びシリコン層200に形成され、底面にシリコン基板100が露出している開口部201と、開口部201内に形成された窒化物半導体層300と、を有している。そして、後述する他の実施形態で説明するように、このSOI基板において、シリコン層200にはMOSトランジスタなどのシリコン素子が形成され、窒化物半導体層300には、MESトランジスタ、HEMT、バイポーラトランジスタ、又は発光素子などの化合物半導体素子が形成される。
【0024】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。本実施形態によれば、表面が(111)面であるシリコン基板100の上に絶縁層120及びシリコン層200が形成されている。シリコン層200は、表面が(111)面以外の面方位である。また絶縁層120及びシリコン層200には開口部201が形成されており、開口部201の底面にはシリコン基板100が露出している。そして窒化物半導体層300は、開口部100内に形成されている。このため、表面が(111)面以外であるシリコン層200と、表面が(0001)面である窒化物半導体層300とをSOI基板に設けることができる。また、窒化物半導体層300はシリコン基板100の一部上にのみ形成されているため、シリコンと窒化物半導体の線膨張係数の違いに起因した応力を小さくすることができる。
【0025】
また、窒化物半導体層300を選択成長させるとき、シリコン層200の上にはハードマスク層202が形成されている。ハードマスク層202は、窒化物半導体層300が形成された後、除去される。このため、窒化物半導体層300を成膜するときに選択不良の異物が開口部201以外の部分で生成しても、この異物は、ハードマスク層202を除去するときに、ハードマスク層202と共にSOI基板から除去される。
【0026】
図3は、第2の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。この半導体基板の処理方法は、窒化物半導体層300の形成方法が、第1の実施形態と異なる。
【0027】
まず図3(a)に示すように、シリコン基板100、絶縁層120、及びシリコン層200を有するSOI基板を準備する。次いでハードマスク層202及び開口部201を形成する。ハードマスク層202及び開口部201の形成方法は、第1の実施形態と同様である。
【0028】
次いで、開口部201内にバッファ層302及び窒化物半導体層300をこの順に形成する。この工程においてバッファ層302及び窒化物半導体層300の形成には選択成長法が用いられていない。このため、バッファ層302及び窒化物半導体層300は、ハードマスク層202上にも形成される。
【0029】
なおバッファ層302は、第1の実施形態と同様であっても良いし、AlN膜とAlGaN膜を交互に積層した多層膜であっても良い。
【0030】
次いで図3(b)に示すように、ハードマスク層202上に位置するバッファ層302及び窒化物半導体層300をエッチングにより除去する。その後、ハードマスク層202をウェットエッチングにより除去する。
【0031】
本実施形態によっても、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。また窒化物半導体層300を除去するときには、シリコン層200はハードマスク層202によって被覆されている。このため、シリコン層200がエッチングによりダメージを受けることを抑制できる。
【0032】
図4〜図6の各図は、第3の実施形態に係る半導体基板の処理方法を説明するための断面図である。この半導体基板の処理方法は、SOI基板にMOSトランジスタ210及びMES(Metal-Semiconductor-Field-Effect-Transistor)トランジスタ310を形成する方法である。
【0033】
まず図4(a)に示すように、シリコン基板100、絶縁層120、及びシリコン層200を有するSOI基板を準備する。次いでハードマスク層202、開口部201、及びバッファ層302を形成する。ハードマスク層202、開口部201、及びバッファ層302の形成方法は、第1の実施形態と同様である。本実施形態においてシリコン層200は、表面が(100)面又は(110)面であるのが好ましい。
【0034】
次いで、真性型の窒化物半導体層300、及び第1導電型(例えばn型)の窒化物半導体層311を、この順に形成する。窒化物半導体層311は、MESトランジスタ310のチャネル層である。窒化物半導体層300及び窒化物半導体層311の形成方法は、第1の実施形態において窒化物半導体層300を形成する方法と同様である。
【0035】
その後、図4(b)に示すように、ハードマスク層202をウェットエッチングにより除去する。
【0036】
次いで図5(a)に示すように、窒化物半導体層311上にマスク膜204を形成する。マスク膜204は、例えば酸化シリコン膜であり、CVD法により成膜した後、レジストパターンを用いたエッチングにより、窒化物半導体層311上に選択的に形成される。
【0037】
次いで図5(b)に示すように、シリコン層200を選択的に除去して素子分離用の溝を形成し、この溝内に絶縁膜(例えば酸化シリコン膜)を埋め込む。これにより、素子分離絶縁膜206が形成される。
【0038】
その後図6(a)に示すように、シリコン層200にMOSトランジスタのゲート絶縁膜212を形成する。ゲート絶縁膜212は熱酸化法により形成されても良いし、成膜により形成されても良い。ついで、シリコン層200上、ゲート絶縁膜212上、及び窒化物半導体層311上に導電膜を形成し、この導電膜を選択的に除去する。これにより、窒化物半導体層311にはMESトランジスタ310のゲート電極314が形成され、ゲート絶縁膜212上にはMOSトランジスタのゲート電極214が形成される。
【0039】
その後、図6(b)に示すように、MESトランジスタ310のオーミック電極層312を形成する。これにより、MESトランジスタ310が形成される。その後、MESトランジスタ310をマスク膜(図示せず)で被覆する。次いで、シリコン層200に不純物を導入することにより、MOSトランジスタ210のエクステンション領域217を形成する。その後、MOSトランジスタ210のサイドウォール215を形成し、さらに、MOSトランジスタ210のソース・ドレイン領域216を形成する。その後、MESトランジスタ310を被覆しているマスク膜を除去する。
【0040】
このようにして形成された半導体装置は、シリコン層200にシリコン素子としてのMOSトランジスタ210を有しており、窒化物半導体層300に化合物半導体素子としてのMESトランジスタ310を有している。
【0041】
本実施形態によれば、SOI基板の上にシリコン素子としてのMOSトランジスタ210と化合物半導体素子としてのMESトランジスタ310を形成することができる。このとき、第1の実施形態と同様に、窒化物半導体層300の表面を(0001)面とすることができるため、MESトランジスタ310の特性が低下することを抑制できる。
【0042】
また、MESトランジスタ310の窒化物半導体層300,311を形成した後にMOSトランジスタ210を形成しているため、窒化物半導体層300,311の形成工程における熱によってMOSトランジスタ210の不純物プロファイルが変わることを防止できる。
【0043】
図7及び図8は、第4の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。この半導体基板の処理方法は、窒化物半導体層300の形成方法を除いて、第3の実施形態に係る半導体基板の処理方法と同様である。
【0044】
まず図7(a)に示すように、シリコン基板100、絶縁層120、及びシリコン層200を有するSOI基板を準備する。次いでハードマスク層202、及び開口部201を形成する。ハードマスク層202及び開口部201の形成方法は、第3の実施形態と同様である。
【0045】
次いで、開口部201の底面に位置するシリコン基板100上に、島状の絶縁層304を形成する。絶縁層304は、例えば酸化シリコン膜である。絶縁層304は、例えば開口部201の底面に位置するシリコン基板100の全面に絶縁層を形成した後、この絶縁層を選択的に除去することにより形成される。
【0046】
次いで、バッファ層302を、絶縁層304より低く形成する。バッファ層302の形成方法は、第3の実施形態と同様である。
【0047】
次いで図7(b)及び図8(a)に示すように、バッファ層302上に窒化物半導体層300を選択成長により形成する。このとき、窒化物半導体層300は、まず島状の絶縁層304の相互間において上方向に成長し、その後、絶縁層304より高くなってから横方向に成長する。このため、成膜初期に形成される結晶欠陥が横方向に走ることになり、窒化物半導体層300の表面まで達しにくくなる。
【0048】
次いで、図8(b)に示すように、窒化物半導体層300上に第1導電型の窒化物半導体層311を形成する。これ以降の工程は、第3の実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0049】
本実施形態によっても第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。また、窒化物半導体層300の表面における結晶欠陥を少なくすることができるため、MESトランジスタ310の特性がばらつくことを抑制できる。
【0050】
図9及び図10は、第5の実施形態に係る半導体基板の処理方法を示す断面図である。この半導体基板の処理方法は、開口部201を形成した後、バッファ層302及び窒化物半導体層300を形成する前に、開口部201の側面にサイドウォール306を形成する点を除いて、第3の実施形態に係る半導体基板の処理方法と同様である。以下、詳細に説明する。
【0051】
まず図9(a)に示すように、シリコン基板100、絶縁層120、及びシリコン層200を有するSOI基板を準備する。次いでハードマスク層202、及び開口部201を形成する。ハードマスク層202及び開口部201の形成方法は、第3の実施形態と同様である。
【0052】
次いで、開口部201内及びハードマスク層202上に絶縁膜を形成する。絶縁膜は、例えば酸化シリコン膜及び窒化シリコン膜の少なくとも一方を含んでいる。次いでこの絶縁膜をエッチングする。これにより、開口部201の側面にサイドウォール306が形成される。サイドウォール306は、開口部201の側面のうち少なくともシリコン層200が露出している領域を被覆している。
【0053】
その後、図9(b)に示すように、バッファ層302、窒化物半導体層300、及び第1導電型の窒化物半導体層311を形成する。これらの形成方法は、第3の実施形態と同様である。
【0054】
その後図10に示すように、MESトランジスタ310及びMOSトランジスタ210を形成する。これらの形成方法は、第3の実施形態と同様である。
【0055】
本実施形態によっても第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。またサイドウォール306は、開口部201の側面のうち少なくともシリコン層200が露出している領域を被覆している。このため、MESトランジスタ310とシリコン層200を確実に絶縁することができる。
【0056】
図11は、第6の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、CMOSトランジスタ220,230、及びHEMT(High Electron Mobility Transistor)320を有している。
【0057】
CMOSトランジスタ220,230は、ゲート絶縁膜222,232、ゲート電極224,234、サイドウォール225,235、ソース・ドレイン領域226,236、及びエクステンション領域227,237を有している。
【0058】
HEMT320は、真性型の窒化物半導体層300、窒化物半導体層300上に位置する第1導電型(例えばn型)の窒化物半導体層321及び窒化物半導体層322、ゲート電極323、及びオーミック電極層324を有している。
【0059】
窒化物半導体層321はチャネル層である。窒化物半導体層322は、窒化物半導体層321より不純物濃度が高い第1導電型の半導体層であり、ゲート電極323と窒化物半導体層321の間に位置している。窒化物半導体層322はキャリア供給層であり、窒化物半導体層321の一部上に形成されている。オーミック電極層324は、ゲート電極323及び窒化物半導体層322を挟むように、窒化物半導体層321の上に2つ形成されている。
【0060】
本実施形態に係る半導体装置の形成方法は、以下の通りである。まず、シリコン基板100、絶縁層120、及びシリコン層200を有するSOI基板を準備する。次いで、図4等に示したハードマスク層202、開口部201、バッファ層302、窒化物半導体層300、窒化物半導体層321、及び窒化物半導体層322を、この順に形成する。これらの形成方法は、第3の実施形態と同様である。なお窒化物半導体層322は、必要な領域を除いて選択的に除去される。
【0061】
その後、ハードマスク層202をウェットエッチングにより除去する。その後、素子分離絶縁膜206を形成する。次いで、CMOSトランジスタ220,230のゲート絶縁膜222,232、HEMTのゲート電極323、及びCMOSトランジスタ220,230のゲート電極224,234を形成する。これらの形成方法は、第3の実施形態と同様である。
【0062】
その後、オーミック電極層324を形成する。これにより、HEMT320が形成される。その後、HEMT320をマスク膜(図示せず)で被覆する。次いで、CMOSトランジスタ220,230のエクステンション領域227,237、サイドウォール225,235、及びソース・ドレイン領域226,236を形成する。これらの形成方法は、第3の実施形態と同様である。その後、HEMT320を被覆しているマスク膜を除去する。
【0063】
本実施形態によっても、第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態において、第5の実施形態に示したサイドウォール306を設けても良い。
【0064】
図12は、第7の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、HEMT320の代わりにバイポーラトランジスタ330を有している点を除いて、第6の実施形態と同様である。
【0065】
バイポーラトランジスタ330は、真性型の窒化物半導体層300の上に、第1導電型のコレクタ層331、第2導電型のベース層332、及び第1導電型のエミッタ層333をこの順に積層した構造である。コレクタ層331、ベース層332、及びエミッタ層333は、それぞれ窒化物半導体層である。
【0066】
この半導体装置の製造方法は、以下の通りである。まず、シリコン基板100、絶縁層120、及びシリコン層200を有するSOI基板を準備する。次いで、図4等に示したハードマスク層202、開口部201、バッファ層302、窒化物半導体層300、コレクタ層331、ベース層332、及びエミッタ層333を、この順に形成する。これらの形成方法は、第3の実施形態と同様である。次いで、ベース層332及びエミッタ層333を、必要な領域を除いて選択的に除去する。
【0067】
その後、ハードマスク層202をウェットエッチングにより除去する。その後、バイポーラトランジスタ330をマスク膜(図示せず)で被覆する。次いで、素子分離絶縁膜206及びCMOSトランジスタ220,230を形成する。これらの形成方法は、第6の実施形態と同様である。その後、バイポーラトランジスタ330を被覆しているマスク膜を除去する。
【0068】
本実施形態によっても、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態において、第5の実施形態に示したサイドウォール306を設けても良い。
【0069】
図13は、第8の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。この半導体装置は、HEMT320の代わりに発光素子340を有している点を除いて、第6の実施形態と同様である。発光素子340は、半導体レーザ又はLEDである。
【0070】
発光素子340は、第1導電型の窒化物半導体層300の一部上に第1導電型の窒化物半導体層341、発光層342、及び第2導電型の窒化物半導体層343をこの順に積層した構造である。窒化物半導体層300と窒化物半導体層343の間に必要な電圧を印加すると、発光層342が発光する。
【0071】
この半導体装置の製造方法は、以下の通りである。まず、シリコン基板100、絶縁層120、及びシリコン層200を有するSOI基板を準備する。次いで、図4等に示したハードマスク層202、開口部201、バッファ層302、窒化物半導体層300、窒化物半導体層341、発光層342、及び窒化物半導体層343を、この順に形成する。これらの形成方法は、第3の実施形態と同様である。次いで、窒化物半導体層341、発光層342、及び窒化物半導体層343を、必要な領域を除いて選択的に除去する。
【0072】
その後、ハードマスク層202をウェットエッチングにより除去する。その後、発光素子340をマスク膜(図示せず)で被覆する。次いで、素子分離絶縁膜206及びCMOSトランジスタ220,230を形成する。これらの形成方法は、第6の実施形態と同様である。その後、発光素子340を被覆しているマスク膜を除去する。
【0073】
本実施形態によっても、第6の実施形態と同様の効果を得ることができる。なお本実施形態において、第5の実施形態に示したサイドウォール306を設けても良い。
【0074】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。例えば第3〜第8の実施形態において示した半導体装置の製造方法は、上記した例に限定されない。
【符号の説明】
【0075】
100 シリコン基板
120 絶縁層
200 シリコン層
201 開口部
202 ハードマスク層
204 マスク膜
206 素子分離絶縁膜
210 MOSトランジスタ
212 ゲート絶縁膜
214 ゲート電極
215 サイドウォール
216 ソース・ドレイン領域
217 エクステンション領域
220 CMOSトランジスタ
222 ゲート絶縁膜
224 ゲート電極
225 サイドウォール
226 ソース・ドレイン領域
227 エクステンション領域
230 CMOSトランジスタ
232 ゲート絶縁膜
234 ゲート電極
235 サイドウォール
236 ソース・ドレイン領域
237 エクステンション領域
300 窒化物半導体層
302 バッファ層
304 絶縁層
306 サイドウォール
310 MESトランジスタ
311 窒化物半導体層
312 オーミック電極層
314 ゲート電極
320 HEMT
321 窒化物半導体層
322 窒化物半導体層
323 ゲート電極
324 オーミック電極層
330 バイポーラトランジスタ
331 コレクタ層
332 ベース層
333 エミッタ層
340 発光素子
341 窒化物半導体層
342 発光層
343 窒化物半導体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が(111)面であるシリコン基板と、
前記シリコン基板の上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成され、表面が(111)面以外の面方位であるシリコン層と、
前記絶縁層及び前記シリコン層に形成され、底面に前記シリコン基板が露出している開口部と、
前記開口部内に形成されたIII族の窒化物半導体層と、
前記シリコン層に形成されたシリコン素子と、
前記窒化物半導体層に形成された化合物半導体素子と、
を備える半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記シリコン層は、表面が(100)面又は(110)面である半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記シリコン素子はMOSトランジスタであり、前記化合物半導体素子はMESトランジスタ、HEMT、バイポーラトランジスタ、又は発光素子である半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つに記載の半導体装置において、
前記開口部の側面のうち少なくとも前記シリコン層が露出している領域を被覆する絶縁被覆層を有する半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載の半導体装置において、
前記絶縁被覆層は酸化シリコン層及び窒化シリコン層の少なくとも一方を含む半導体装置。
【請求項6】
表面が(111)面であるシリコン基板と、
前記シリコン基板の上に形成された絶縁層と、
前記絶縁層の上に形成され、表面が(111)面以外の面方位であるシリコン層と、
前記絶縁層及び前記シリコン層に形成され、底面に前記シリコン基板が露出している開口部と、
前記開口部内に形成されたIII族の窒化物半導体層と、
を有する半導体基板。
【請求項7】
表面が(111)面であるシリコン基板上に絶縁層及び表面が(111)面以外の面方位であるシリコン層を積層したSOI(Silicon On Insulator)基板を準備する工程と、
前記絶縁層及び前記シリコン層に、底面に前記シリコン基板が露出している開口部を形成する工程と、
前記開口部内にIII族の窒化物半導体層を形成する工程と、
を備える半導体基板の処理方法。
【請求項8】
請求項7に記載の半導体基板の処理方法において、
前記窒化物半導体層を形成する工程の後に、
前記シリコン層にシリコン素子を形成し、かつ前記窒化物半導体層に化合物半導体素子を形成する工程を備える半導体基板の処理方法。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体基板の処理方法において、
前記窒化物半導体層に前記化合物半導体素子を形成した後、前記シリコン層にシリコン素子を形成する半導体基板の処理方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一つに記載の半導体基板の処理方法において、
前記シリコン層は、表面が(100)面又は(110)面である半導体基板の処理方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一つに記載の半導体基板の処理方法において、
前記窒化物半導体層を形成する工程は、前記開口部の底面に露出している前記シリコン基板に、前記窒化物半導体層を選択成長させる工程である半導体基板の処理方法。
【請求項12】
請求項7〜10のいずれか一つに記載の半導体基板の処理方法において、
前記窒化物半導体層を形成する工程は、
前記開口部内及び前記シリコン層上に前記窒化物半導体層を形成する工程と、
前記シリコン層上に位置する前記窒化物半導体層を除去する工程と、
を含む半導体基板の処理方法。
【請求項13】
請求項11又は12に記載の半導体基板の処理方法において、
前記開口部を形成する工程の前に、前記シリコン層上にハードマスク層を形成する工程を備え、
前記窒化物半導体層を形成する工程の後に、前記ハードマスク層を除去する工程を有する半導体基板の処理方法。
【請求項14】
請求項7〜13のいずれか一つに記載の半導体基板の処理方法において、
前記開口部を形成する工程の後、前記窒化物半導体層を形成する工程の前に、前記開口部の側壁に、少なくとも前記シリコン層が露出している領域を被覆する絶縁被覆層を形成する工程を有する半導体基板の処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−35064(P2011−35064A)
【公開日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−178141(P2009−178141)
【出願日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】