説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】SOI基板上に形成されたMOSFETを有する半導体装置の信頼性を向上させる。また、半導体装置の製造工程を簡略化する。
【解決手段】SOI基板SB上に形成された複数のnチャネル型MOSFETQnを有する半導体装置において、BOX膜の下部の支持基板の上面に拡散層であるn型半導体領域を形成し、n型半導体領域と電気的に接続され、素子分離領域1を貫くコンタクトプラグCT2を形成することで、支持基板の電位を制御する。SOI基板SBの平面において、各nチャネル型MOSFETQnは第1方向に延在しており、第1方向に複数形成されて隣り合うコンタクトプラグCT2同士の間に配置された構造とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、SOI(Silicon On Insulator)基板を用いた半導体装置およびその製造方法に関し、特に、シリコン層を介して基板電位を制御する半導体装置およびその製造方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
寄生容量の発生を抑えることのできる半導体装置として、現在、SOI基板を用いた半導体装置が使用されている。SOI基板は、高抵抗なSi(シリコン)などからなる支持基板上にBOX(Buried Oxide)膜(埋め込み酸化膜)が形成され、BOX膜上にSi(シリコン)を主に含む薄い層(シリコン層)が形成された基板であり、SOI基板上にMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)を形成した場合、シリコン層に形成された拡散領域に発生する寄生容量を低減することができる。このため、SOI基板を用いて半導体装置を製造することで、半導体装置の集積密度および動作速度の向上、ラッチアップフリー化などが期待できる。
【0003】
特許文献1(特開平9−312401号公報)には、SOI基板を構成するシリコン酸化膜(BOX膜)の下層の支持基板の上面に形成された不純物ドープトポリシリコン層の電位を制御することで、不純物ドープトポリシリコン層に電荷を蓄積し、MOSFETのしきい値電圧のバラツキを抑える技術が開示されている。ここでは、nチャネル型MOSFETおよびpチャネル型MOSFETは、それぞれの下部の不純物ドープトポリシリコン層がn型の導電型を有しており、nチャネル型MOSFETとpチャネル型MOSFETとでそれぞれの下部の不純物ドープトポリシリコン層に導入する不純物を打ち分けていない。
【0004】
特許文献2(特開2001−177098号公報)に示されている半導体装置では、SOI基板を用いたデバイスにおいて、SOI基板を構成する埋め込み酸化膜(BOX膜)の下部の支持基板の電位を制御するため、BOX膜およびBOX膜上のシリコン膜を貫通し、支持基板に電気的に接続されたコンタクトプラグが形成されている。ここでは、前記コンタクトプラグを通じて支持基板の電位を制御することでしきい値電圧を制御し、MOSFETの動作の高速化、低消費電力化および微細化を可能とする技術が開示されている。また、nチャネル型MOSFETの下部の支持基板にはp型のウエル領域を形成し、pチャネル型MOSFETの下部の支持基板にはn型のウエル領域を形成している。なお、支持基板の電位を制御するためのコンタクトプラグは柱状の形状を有しており、SOI基板の主面に沿う方向に延在している旨の記載はない。
【0005】
また、ここでは、nチャネル型MOSFETの下部の支持基板にはnチャネル型MOSFETがアクティブの時には電源電圧より低い電圧を印可し、nチャネル型MOSFETがスタンバイ(オフ)の時には電源電圧を印可する旨の記載がされている。また、pチャネル型MOSFETの下部の支持基板にはpチャネル型MOSFETがアクティブの時には接地電位より低い電圧を印可し、pチャネル型MOSFETがスタンバイ(オフ)の時には接地電位を印可する旨の記載がされている。ただし、支持基板の電位を、nチャネル型MOSFETまたはpチャネル型MOSFETのゲート電極と同一の電位にする旨の記載はない。
【0006】
特許文献3(特開2007−115971号公報)には、SOI基板上に形成したデバイスにおいて、MOSFETのゲート電極の下部の支持基板の電位を制御するために、SOI基板を構成するBOX膜およびBOX膜上に形成されたシリコン膜を貫通して支持基板に電気的に接続されたコンタクトプラグを形成し、前記コンタクトプラグを通じて支持基板の電位を制御することを可能とする技術が開示されている。ここでは、nチャネル型MOSFETの下部の支持基板にはp型のウエル領域を形成し、pチャネル型MOSFETの下部の支持基板にはn型のウエル領域を形成している。なお、支持基板の電位を制御するためのコンタクトプラグは柱状の形状を有しており、半導体基板の主面に沿う方向に延在している旨の記載はない。
【0007】
また、ここでは、nチャネル型MOSFETおよびpチャネル型MOSFETのゲート電極の下方のp型ウェルおよびn型ウェルに基板バイアス電圧を印加し、前記基板バイアス電圧によってゲート−基板間電圧を制御することが記載されているが、ゲート電極の電位と基板の支持電位とを同一の電位にする旨の記載はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−312401号公報
【特許文献2】特開2001−177098号公報
【特許文献3】特開2007−115971号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
携帯電話用のアンテナスイッチに用いられる高周波用の電界効果トランジスタであるMOSFETは、入力された信号がノイズの影響を受けずにそのまま出力されず、歪成分(ノイズ)の混ざった信号が出力されやすい特性(歪特性)を有する。この歪成分は、入力された信号の波長の2倍または3倍の波長を有する高周波として発生しやすい。歪成分は本来の入力信号と関係ない周波数成分であり、このような余分な周波数成分が入力信号に混ざることで、正確に信号を出力することができない問題がある。また、基板全体が主にSi(シリコン)からなるバルクシリコンの半導体基板上に上記MOSFETを形成した場合、ゲート容量またはドレイン容量などの寄生容量がゲート電極またはドレイン領域と半導体基板との間に生じ、歪成分が発生しやすくなる(歪特性が強まる)問題がある。
【0010】
そこで本発明者らは、高周波用MOSFETを形成する半導体基板について、歪成分が発生しにくい(歪特性が弱い)半導体基板として、GaAs(ガリウムヒ素)からなる半導体基板またはSOS(Silicon On Sapphire)基板を用いる方法を検討した。
【0011】
高周波の信号のスイッチングに用いるMOSFETをGaAs(ガリウムヒ素)からなる半導体基板(以下単にGaAs基板という)またはSOS基板上に形成した場合、高周波用MOSFETの入力信号および出力信号においてスイッチングによるノイズの発生を抑えることができる。
【0012】
GaAs基板を使用した場合にノイズの発生を抑えることができるのは、GaAs基板は電子が流れやすく不純物が少ない高純度の半導体層を有するため、電子の移動速度が速く、ノイズが発生しにくいからである。従って、GaAs基板上に形成されたトランジスタ(HEMT:High Electron Mobility Transistor)はノイズの発生量が少ない特徴がある。
【0013】
また、SOS基板はサファイアからなる支持基板上にシリコン層を有する基板である。絶縁層であるサファイア層を有するSOS基板の上面のシリコン層上に高周波用MOSFETを形成した場合、高周波用MOSFETの入力信号および出力信号においてノイズの伝搬経路となる寄生容量がソース・ドレイン領域と基板との間に発生しにくいため、ノイズの発生量を低減できる特徴がある。
【0014】
しかし、これらの基板材料は何れも高価であるため、GaAs基板またはSOS基板を用いて半導体装置を製造しようとすると、半導体装置を用いた製品のコストが高くなる問題がある。
【0015】
また、SOS基板は絶縁層であるサファイア層上にシリコン層を形成した基板である。このSOS基板は、ウエルおよび基板間の寄生容量に起因する、入力信号の2倍の周波数を有する歪成分の発生を抑えることができるが、ウエルおよびソース・ドレイン間の寄生容量に起因する、入力信号の3倍の周波数を有する歪成分の発生を抑えることは難しい。
【0016】
これに対し、ゲート電極と半導体基板との間における寄生容量の発生を抑えることができる低コストな半導体基板としてSOI基板を使用する方法が考えられるが、SOI基板であっても、寄生容量に起因するノイズ(歪成分)が発生する歪特性を有している。また、SOI基板上に形成したMOSFETにおいては、ドレインとゲート間の耐圧であるドレイン耐圧が低い問題がある。ドレイン耐圧が低いと、ゲート電極の大きさを大きくするか、またはゲート電極とドレイン領域との間隔を広めるなどして所定のドレイン耐圧を確保する必要があるため、半導体素子の微細化の妨げとなる。
【0017】
本発明の目的は、半導体装置の信頼性を向上することである。特に、SOI基板上に形成された電界効果トランジスタに寄生容量が発生することを防ぐことにより、入力信号および出力信号において歪成分が発生することを防ぐ技術を提供する。
【0018】
また、本発明の他の目的は、半導体装置の製造工程を簡略化することである。
【0019】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0021】
本発明の好ましい一実施の形態である半導体装置は、
支持基板と、前記支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された半導体層を含むSOI構造を有する半導体基板の主面に素子分離領域に囲まれて形成され、前記半導体基板の主面に沿う第1方向に延在し、前記第1方向に並んで形成された第1導電型の複数の電界効果トランジスタを含む半導体装置であって、
前記複数の電界効果トランジスタの下部を含む前記支持基板の上面には、前記支持基板よりも低抵抗な一または複数の不純物拡散層が形成され、
前記複数の電界効果トランジスタの上部には、前記複数の不純物拡散層に所定の電位を供給する複数の金属配線が形成され、
前記一または複数の不純物拡散層および前記複数の金属配線は、前記第1方向に隣り合う前記複数の電界効果トランジスタ同士の間の前記素子分離領域および前記絶縁層を貫いて形成された複数の第1接続部材を介して電気的に接続されているものである。
【0022】
また、本発明の好ましい一実施の形態である半導体装置の製造方法は、
SOI構造を有する半導体基板上に形成された電界効果トランジスタを含む半導体装置の製造方法であって、
(a)支持基板、前記支持基板上に形成された絶縁層および前記絶縁層上に形成された半導体層により構成される前記半導体基板を準備する工程と、
(b)前記(a)工程の後に、前記半導体基板の主面に素子分離領域を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後に、前記半導体基板の主面上から前記半導体基板の主面に向かって第1導電型の不純物を注入し、前記支持基板の上面に前記支持基板よりも低抵抗な前記第1導電型の第1不純物拡散層を形成する工程と、
(d)前記(b)工程の後に、前記半導体基板の主面上から前記半導体基板の主面に向かって第2導電型の不純物を注入し、前記半導体層に前記第2導電型の第2不純物拡散層を形成する工程と、
(e)前記(c)工程および前記(d)工程の後に、前記半導体層の上面に、ゲート電極および前記第1導電型を有するソース・ドレイン領域を有する前記電界効果トランジスタを形成する工程と、
(f)前記(e)工程の後に、前記ゲート電極および前記ソース・ドレイン領域のそれぞれの表面にシリサイド層を形成する工程と、
(g)前記(f)工程の後に、前記素子分離領域、前記ゲート電極、前記ソース・ドレイン領域および前記シリサイド層を含む前記半導体基板の主面を覆うように前記半導体基板の主面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(h)前記(g)工程の後に、前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(i)前記(h)工程の後に、前記ゲート電極上および前記ソース・ドレイン領域上のそれぞれの前記シリサイド層の上面を露出する第1コンタクトホールと、前記素子分離領域の直下の前記第1不純物拡散層の上面を露出する第2コンタクトホールとをそれぞれエッチングにより形成する工程と、
(j)前記(i)工程の後に、前記第1および第2コンタクトホール内に接続部材をそれぞれ形成する工程と、
を有し、
前記(i)工程では、前記第1および第2コンタクトホールを、同一のエッチング工程により形成するものである。
【発明の効果】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0024】
半導体装置の信頼性を向上することができる。
【0025】
また、半導体装置の製造工程を簡略化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1である半導体装置の平面図である。
【図2】図1の一部を拡大して示す平面図である。
【図3】図2の一部を拡大して示す平面図である。
【図4】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造方法を示す断面図であって、図3のA−A線およびB−B線における断面図である。
【図5】図4に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2である半導体装置の平面図である。
【図16】図15の一部を拡大して示す平面図である。
【図17】本発明の実施の形態3である半導体装置の製造方法を示す断面図であって、図16のC−C線における断面図である。
【図18】図17に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図19】図18に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図21】本発明の実施の形態4である半導体装置の平面図である。
【図22】図21の一部を拡大して示す平面図である。
【図23】本発明の実施の形態5である半導体装置の製造方法を示す断面図であって、図22のD−D線における断面図である。
【図24】図23に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図25】図24に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図26】本発明の実施の形態6である半導体装置の平面図である。
【図27】図26の一部を拡大して示す平面図である。
【図28】本発明の実施の形態7である半導体装置の製造方法を示す断面図であって、図27のE−E線における断面図である。
【図29】図28に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図30】図29に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。
【0028】
また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。
【0029】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、実施の形態等において構成要素等について、「Aからなる」、「Aよりなる」と言うときは、特にその要素のみである旨明示した場合等を除き、それ以外の要素を排除するものでないことは言うまでもない。
【0030】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0031】
また、材料等について言及するときは、特にそうでない旨明記したとき、または、原理的または状況的にそうでないときを除き、特定した材料は主要な材料であって、副次的要素、添加物、付加要素等を排除するものではない。例えば、シリコン部材は特に明示した場合等を除き、純粋なシリコンの場合だけでなく、添加不純物、シリコンを主要な要素とする2元、3元等の合金(例えばSiGe)等を含むものとする。
【0032】
また、以下の実施の形態を説明するための全図において同一機能を有するものは原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0033】
また、以下の実施の形態で用いる図面においては、平面図であっても図面を見易くするために部分的にハッチングを付す場合がある。
【0034】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1による電界効果トランジスタであるnチャネル型MOSFETの構造の一例を図1〜図4を用いて説明する。図1はSOI基板上に形成された半導体チップを示す平面図である。図2は、図1に示すスイッチ部SW1を拡大して示す平面図である。図3は図2において破線で囲われた箇所を拡大して示す平面図である。図4は図3のA−A線およびB−B線における断面図である。
【0035】
本実施の形態の半導体チップCPの全体の模式的な平面図を図1に示す。図1では、図を分かりやすくするため、半導体チップCPの上部に形成された層間絶縁膜および配線などは示していない。
【0036】
半導体チップCPはSOI基板SBおよびSOI基板SB上に形成されたMOSFETおよび配線などを含むスイッチ部SW1〜SW4、負バイアス回路BCおよびESD(Electro Static Discharge:静電気破壊)保護ダイオードDIなどにより構成されており、高周波の信号のスイッチングを行うスイッチング素子である。なお、スイッチングとは、直流・交流変換回路やデジタル回路などにおいて、電気回路のオン・オフを切り替える動作を言う。
【0037】
スイッチ部SW1〜SW4は、それぞれスイッチング用の複数のMOSFETからなる。ここでは、一例として、スイッチ部SW1〜SW4は何れもnチャネル型MOSFETを含んでいる場合を例示している。また、負バイアス回路BCはスイッチ部SW1〜SW4に形成されたMOSFETを正しい動作点で使うための回路であり、信号の周波数特性を向上させ、信号の歪みおよびノイズ(雑音)を低減する働きを有する。なお、スイッチ部SW1およびSW2は比較的高い周波数の信号をスイッチングし、スイッチ部SW3およびSW4は比較的低い周波数の信号をスイッチングする働きを有し、スイッチ部SW1およびSW3は受信した信号(入力信号)をスイッチングし、スイッチ部SW2およびSW4は送信する信号(出力信号)をスイッチングする働きを有する。また、ESD保護ダイオードDIは、半導体チップCPが静電気放電により誤作動または故障することを防ぐ働きを有する。
【0038】
図2には、図1で示した半導体チップCP上のスイッチ部SW1を拡大して示している。図2に示すように、スイッチ部SW1は、マトリクス状に複数配置されたnチャネル型MOSFETQn、素子分離領域1およびコンタクトプラグCT2を有している。コンタクトプラグCT2は素子分離領域1を貫いており、半導体チップCPの平面において、素子分離領域1に囲まれるように形成されている。
【0039】
図3に示す平面図では、図2において破線で囲んだ領域を拡大して示している。図3に示すように、SOI基板SBの主面上に形成されたnチャネル型MOSFETQnは、ゲート電極9と、ゲート電極9を挟むように形成されたソース・ドレイン領域6とを含む電界効果トランジスタであり、SOI基板SBの主面に沿う第1方向に延在し、第1方向に並んで複数形成されており、また、SOI基板SBの主面に沿う方向であって第1方向に直交する第2方向に複数並んで複数形成されている。第2方向に隣り合うnチャネル型MOSFETQn同士はソース・ドレイン領域6を互いに共有しており、ゲート電極9およびソース・ドレイン領域6はそれぞれ第1方向に延在し、ソース・ドレイン領域6は第2方向に延在するゲート電極配線9aの近傍で終端している。ゲート電極配線9aと同層に形成されたゲート電極9は第1方向の両端部においてゲート電極配線9aに接続されており、ゲート電極配線9aは第2方向の端部に接続部9bを有し、接続部9b上にはコンタクトプラグCT3が形成されている。コンタクトプラグCT3はゲート電極9、ゲート電極配線9aおよび接続部9bよりも上層に形成された配線(図示しない)に接続されており、ゲート電極9はコンタクトプラグCT3、接続部9b、ゲート電極配線9aを介して配線と電気的に接続されている。ゲート電極9、ゲート電極配線9aおよび接続部9bは同層に形成された一体の層である。
【0040】
第2方向に延在するゲート電極配線9aは第1方向に並んでSOI基板SB上に複数形成されており、第1方向に隣り合う一方のゲート電極配線9aとの間にはゲート電極9およびソース・ドレイン領域6が形成され、第1方向に隣り合うもう一方のゲート電極配線9aとの間の下部のSOI基板SBの主面には素子分離領域1が形成されている。図2に示すように、第1方向に隣り合うゲート電極配線9a同士の間の下部のSOI基板SBの主面に形成された素子分離領域1には、SOI基板SBの主面に対して垂直な方向に素子分離領域1を貫くコンタクトプラグCT2が形成されている。すなわち、コンタクトプラグCT2は、第1方向においてnチャネル型MOSFETQnを挟むように形成されている。言い換えれば、第1方向に隣り合うコンタクトプラグCT2同士の間にnチャネル型MOSFETQnが配置されている。コンタクトプラグCT2は第2方向に延在し、素子分離領域1の上面から下面を貫通する壁状の導電体からなる接続部材であり、図4に示すように、SOI基板SBを構成する絶縁膜であるBOX膜(埋め込み酸化膜)3の下部の支持基板2と、SOI基板SBの主面よりも上層に形成された配線20に電気的に接続されている。
【0041】
図4の左側には図3のA−A線における断面であるMOSFET形成領域MRの断面図を示し、図4の右側には図3のB−B線における断面である基板接続領域CRの断面図を示す。MOSFET形成領域MRでは、図4に示すように支持基板2、BOX膜3およびシリコン層4により構成されるSOI基板SB上に、nチャネル型MOSFETQnが複数形成されている。nチャネル型MOSFETQnはシリコン層4内に形成されたp型ウエル13を挟むように形成されたソース・ドレイン領域6、ソース・ドレイン領域6とp型ウエル13との間に形成されたエクステンション領域7、p型ウエル13上にゲート絶縁膜8を介して形成されたゲート電極9を有している。ゲート電極9およびソース・ドレイン領域6の上部には主にCoSi(コバルトシリサイド)を含む低抵抗のシリサイド層11が形成されている。
【0042】
SOI基板SB、ゲート電極9およびゲート電極9の側壁に形成されたサイドウォール14の上面には、薄い絶縁膜5が形成され、絶縁膜5上には絶縁膜5よりも厚い層間絶縁膜15が形成されている。ソース・ドレイン領域6上には、層間絶縁膜15の上面から絶縁膜5の下面を貫いてソース・ドレイン領域6の上面を露出するコンタクトホールCH1が形成されており、コンタクトホールCH1内にはSOI基板SBの上面よりも上層に形成された配線19とソース・ドレイン領域6とを電気的に接続するコンタクトプラグCT1が形成されている。なお、コンタクトプラグCT1は柱状の形状を有しており、図3に示すように、ソース・ドレイン領域6上において第1方向に並んで複数形成されている。また、図4に示すように、層間絶縁膜15上には層間絶縁膜16が形成され、層間絶縁膜16は層間絶縁膜16の上面から下面を貫通しコンタクトプラグCT1の上面を露出する溝17を有し、溝17内にはコンタクトプラグCT1と電気的に接続された配線19が形成されている。配線19は、ソース・ドレイン領域6に所定の電位を供給するための金属配線である。
【0043】
図4に示すように、ソース・ドレイン領域6はシリコン層4の上面から下面にかけて形成されている。このため、nチャネル型MOSFETQnの下部のチャネル形成領域であって、ゲート電極9の下部の、ソース・ドレイン領域6に挟まれた領域のp型ウエル13では、nチャネル型MOSFETQnの動作時において空乏層がp型ウエル13の上面から下面にかけて広がる完全空乏型となる。
【0044】
完全空乏型のnチャネル型MOSFETQnでは、空乏層がp型ウエル13の下面にまで達しない部分空乏型のnチャネル型MOSFETに比べ、ゲート電極9またはソース・ドレイン領域6とp型ウエル13との間においてより効果的に寄生容量の発生を防ぐことができ、nチャネル型MOSFETQnの動作速度を向上させ、消費電力を低減させ、ノイズ(歪成分)の発生を低減することができる。
【0045】
図3に示すように、スイッチ部SW1は、SOI基板SBの主面にマトリクス状に形成された複数のnチャネル型MOSFETQnを有している。第1方向に隣り合うnチャネル型MOSFETQn同士の間には、第2方向に延在するコンタクトプラグCT2が形成されており、コンタクトプラグCT2は第2方向に並んで複数形成されている。また、コンタクトプラグCT2は、スイッチ部SW1内の第1方向の最端部のnチャネル型MOSFETQnの第1方向の両端部の近傍にもそれぞれ形成されている。すなわち、コンタクトプラグCT2は第1方向および第2方向に複数並んで形成され、第1方向に隣り合うコンタクトプラグCT2同士の間には複数のnチャネル型MOSFETQnが配置されている。
【0046】
つまりスイッチ部SW1は、SOI基板SBの上面にマトリクス状に配置されたコンタクトプラグCT2を有しており、第1方向に複数並んで形成されたコンタクトプラグCT2同士の間にはnチャネル型MOSFETQnが形成されている。
【0047】
なお、コンタクトプラグCT2がスイッチ部SW1の第2方向の一方の端部の近傍からもう一方の端部の近傍まで連続して形成されずに断続的に形成されているのは、レジスト倒れとコンタクトプラグCT2における応力発生とを防ぐためである。スイッチ部SW1の一方の端部の近傍からもう一方の端部の近傍まで連続するような長いパターンを形成する場合、そのパターンを形成する際に長く連続して延在するフォトレジスト膜をマスクとして形成する必要があるが、このような長い形状のフォトレジスト膜は倒壊する虞が高いため、形成したいパターンを断続的にすることでフォトレジスト膜の倒壊(レジスト倒れ)を防ぐ必要がある。また、コンタクトプラグCT2はW(タングステン)などの金属により構成されており、スイッチ部SW1の一方の端部の近傍からもう一方の端部の近傍まで連続するような長いコンタクトプラグCT2を形成しようとすると、コンタクトプラグCT2を構成する金属に高い応力が発生するため、形成したいパターンを分割して複数に分けることで、応力の発生を防ぐ必要がある。本実施の形態ではコンタクトホールCH2を第2方向に延在した溝状の形状とし、コンタクトプラグCT2を第2方向に延在させた壁状の形状とすることで、より支持基板2の電位を制御し易くし、半導体装置に発生する寄生容量を効果的に低減することを可能としている。
【0048】
図4に示すMOSFET形成領域MRおよび基板接続領域CRでは、支持基板2の上面にn型の不純物(例えばP(リン))が高い濃度で導入されたn型半導体領域12が形成されている。図4ではMOSFET形成領域MRと基板接続領域CRとを区切って示しているが、MOSFET形成領域MRにおいてnチャネル型MOSFETQnの下部に形成されたn型半導体領域12と、基板接続領域CRにおけるn型半導体領域12とは連続して形成されており、同一の層であるので電気的に接続されている。n型半導体領域12は基板接続領域CRにおいてコンタクトプラグCT2の下面と接続されており、コンタクトプラグCT2を介して配線20と電気的に接続されている。すなわち、コンタクトプラグCT2は層間絶縁膜15の上面から下面、絶縁膜5の上面から下面、素子分離領域1の上面から下面およびBOX膜3の上面から下面を貫通し、底部がn型半導体領域12の上面に接続されている。また、層間絶縁膜15上には層間絶縁膜16が形成され、層間絶縁膜16は層間絶縁膜16の上面から下面を貫通しコンタクトプラグCT2の上面を露出する溝18を有し、溝18内にはコンタクトプラグCT2と電気的に接続された配線20が形成されている。なお、本実施の形態において素子分離領域1は、STI(Shallow Trench Isolation)法により形成されたものである。配線20は、n型半導体領域12に所定の電位を供給するための金属配線である。
【0049】
なお、図4では示されていないが、図3に示すように、ゲート電極9と接続された接続部9bの上面にもシリサイド層11(図示しない)が形成されており、接続部9b上のシリサイド層11の上面はコンタクトプラグCT3と電気的に接続されている。すなわち、コンタクトプラグCT3の下面と接続部9bとの間には絶縁膜5は形成されていない。
【0050】
図4において、支持基板2は主にSi(シリコン)からなる層に酸素などが導入された750Ωcm以上の高抵抗な半導体層であり、支持基板2上に形成されたSiO(酸化シリコン)からなるBOX膜3およびBOX膜3上に形成された、主にSi(シリコン)を含むシリコン層4と共にSOI基板SBを構成している。なお、支持基板2が高抵抗な材料により形成されているのは、半導体チップCP(図1参照)内を流れる信号(電流)が支持基板2から流れ出ていくのを防ぐためである。
【0051】
p型ウエル13はp型の不純物(例えばB(ホウ素))が導入された半導体領域であり、nチャネル型MOSFETのチャネル領域となる。エクステンション領域7およびエクステンション領域7に接するソース・ドレイン領域6はn型の不純物(例えばP(リン))が導入された半導体領域であり、エクステンション領域7よりもソース・ドレイン領域6の方がn型の不純物(例えばP(リン))が高濃度で導入されており、エクステンション領域7およびソース・ドレイン領域6はLDD(Lightly Doped Drain)構造を構成している。ソース・ドレイン領域6は、本実施の形態におけるnチャネル型MOSFETQnのソースおよびドレインとして機能する。ゲート絶縁膜8はSiO(酸化シリコン)からなる絶縁膜であり、ゲート電極9はポリシリコンからなる膜であり、ゲート電極9は本実施の形態におけるnチャネル型MOSFETQnのゲートとして機能する。
【0052】
シリサイド層11は主にCoSi(コバルトシリサイド)からなり、主にW(タングステン)からなるコンタクトプラグCT1との接触抵抗を低減する働きを有する。なお、シリサイド層11はコバルトシリサイドに限られず、チタンシリサイド、ニッケルシリサイドまたはプラチナシリサイド等で形成してもよい。層間絶縁膜15、16およびサイドウォールは例えばSiO(酸化シリコン)からなる絶縁膜である。絶縁膜5はSiN(窒化シリコン)からなり、コンタクトホールCH1の形成時に接続部9b(図3参照)の上面およびソース・ドレイン領域6の上面などが過剰にエッチングされることを防ぐ役割を有する。コンタクトプラグCT1と同様に、コンタクトプラグCT2はW(タングステン)からなり、配線19および配線20は、例えば、主にCu(銅)を含みダマシン法により形成された金属配線である。なお、本実施の形態では、配線19および配線20として、ダマシン法を用いた配線を例示しているが、これに限られず、フォトレジスト膜を用いてパターニングして形成されたアルミ配線でも良い。
【0053】
なお、SOI基板SBの主面に対して垂直な方向では、BOX膜3は400nm程度、シリコン層4は65nm程度、層間絶縁膜15は750nm程度の厚さを有する。すなわち、SOI基板SBの主面に対して垂直な方向のコンタクトプラグCT1の長さは0.75μm程度であり、同方向のコンタクトプラグCT2の長さは1.2μm程度である。
【0054】
次に、本実施の形態の半導体装置の効果について説明する。
【0055】
本実施の形態の半導体装置は、図4に示すSOI基板SBを用いて高周波の信号のスイッチングに用いるnチャネル型MOSFETQnを有するものである。スイッチングは、直流・交流変換回路やデジタル回路などにおいて、電気回路のオン・オフを切り替えることであるが、このとき、スイッチングが行われる過渡状態において半導体チップ内に高周波が発生し、ノイズ(歪成分)が発生する場合がある。このノイズはスイッチングノイズと呼ばれており、特にトランジスタ同士がスイッチングを行うデジタル回路で発生しやすい。より高い周波数でスイッチングを行うほど、より速い応答速度や受動素子の小型化を実現することができるが、スイッチング速度を速くする程スイッチングノイズも大きくなるため、より堅固な対策を施す必要がある。スイッチングノイズの発生を抑える基本的な方法としては、回路上にコイルや抵抗、コンデンサなどを挿入することで、高周波成分を吸収する方法がある。
【0056】
また、スイッチングによるノイズの発生を抑える他の方法としてチップの基板となる半導体基板としてGaAs(ガリウムヒ素)からなる基板(GaAs基板)を用いる方法およびSOS基板を用いる方法が考えられる。
【0057】
GaAs基板は電子が流れやすく不純物が少ない高純度の半導体層を有するため、電子の移動速度が速く、ノイズが発生しにくい。このため、GaAs基板上に形成されたトランジスタ(HEMT)はノイズの発生量が少ない特徴がある。
【0058】
また、SOS基板はサファイアからなる支持基板上にシリコン層を有する基板であり、SOS基板を用いて半導体装置を製造する際は、SOS基板の上面のシリコン層上にMOSFETなどの素子を形成する。SOS基板ではノイズの伝搬経路となる寄生容量が発生しにくいため、ノイズの発生量が少ない特徴がある。
【0059】
しかし、これらの基板材料は何れも高価であるため、GaAs基板またはSOS基板を用いて半導体装置を製造しようとすると、半導体装置を用いた製品のコストが高くなる問題がある。
【0060】
また、SOS基板は絶縁層であるサファイア層上にシリコン層を形成した基板であり、ウエルおよび基板間の寄生容量に起因する、入力信号の2倍の周波数を有する歪成分の発生を抑えることができるが、ウエルおよびソース・ドレイン間の寄生容量に起因する、入力信号の3倍の周波数を有する歪成分の発生を抑えることは難しい。
【0061】
ゲート電極またはソース・ドレイン領域と半導体基板との間において寄生容量が発生することを防ぐことのできる低コストな半導体基板として、SOI基板がある。しかし、SOI基板上に形成したMOSFETには、高周波を入力した場合、入力信号および出力信号にノイズ(歪成分)が発生する歪特性があり、また、ドレインとゲート間の耐圧であるドレイン耐圧が低い問題があった。
【0062】
そこで、本発明者らは、図4の基板接続領域CRに示すように、SOI基板SBの支持基板2の上面に電気的に接続されたコンタクトプラグCT2によりBOX膜3の下部の支持基板2の電位を制御することを検討した。本実施の形態では、高抵抗な支持基板の電位を取るために、支持基板2の上面にn型の不純物(例えばP(リン))を高濃度で導入することで、支持基板2よりも低抵抗なn型半導体領域12を形成し、支持基板2の電位を制御することを可能としている。すなわち、本実施の形態の半導体装置は、SOI基板SB上に形成されたnチャネル型MOSFETQnを有する半導体チップCP(図1参照)であって、nチャネル型MOSFETQnのソース・ドレイン領域6と同じくn型の半導体領域であるn型半導体領域12を支持基板2の上面に形成し、配線20とn型半導体領域12とをコンタクトプラグCT2を介して電気的に接続するものである。
【0063】
SOI基板はSi(シリコン)を主に含む支持基板と、支持基板上に形成された絶縁膜であるBOX膜と、BOX膜上に形成されたシリコン層により構成される基板であり、SOI基板上にMOSFETを形成した場合、主にSi(シリコン)からなる基板(バルクシリコン基板)上にMOSFETを形成した場合に比べてゲート電極またソース・ドレイン領域と半導体基板との間における寄生容量を大幅に低減することができる。
【0064】
また、歪成分は、MOSFETのオフ時の寄生容量の電圧依存性が大きい程増大するため、図4に示すゲート電極9および支持基板2に同一の電圧を印可し、ゲート電極9と支持基板2とを同電位にすることで、理想的にはゲート電極と支持基板との間のオフ時の寄生容量を常に0に保つことができる。本実施の形態では、コンタクトプラグCT2を支持基板2に接続して支持基板2の電位を制御することにより、SOI基板SB上に発生する寄生容量であって、特にゲート電極9と支持基板2との間に発生する寄生容量を更に低減することができる。従って、配線19および配線20と同層に形成され、ゲート電極9と電気的に接続されたゲート配線(図示しない)と、配線20とを電気的に接続し、ゲート電極9と支持基板2とを同電位とすることが好ましい。前述したように、歪成分は寄生容量を伝搬経路として伝わるので、nチャネル型MOSFETに寄生容量が発生することを防ぐことで、入力信号および出力信号における歪成分の発生を防ぐことができる。
【0065】
また、半導体基板上に形成されたMOSFETの耐圧特性は、半導体基板の裏面の電位(基板電位)に依存することが知られている。本実施の形態では、ゲート電極9の下部の支持基板2の電位を制御(固定)することにより、支持基板2の電位をグランド電位にした場合に比べ、nチャネル型MOSFETQnのドレイン耐圧を向上させることができる。すなわち、ゲート電極9とソース・ドレイン領域6との耐圧を高めることができる。また、基板電位の変動を抑えることができるため、ドレイン耐圧が変動すること防ぐことができる。
【0066】
また、ドレイン耐圧を向上させることで、ゲートとドレインとの間隔を狭め、図4に示すゲート電極9の大きさを小さくすることができるため、nチャネル型MOSFETQn全体を微細化することができる。また、nチャネル型MOSFETQnの微細化によってnチャネル型MOSFETのオン抵抗を下げることができる。
【0067】
以上に述べたように、本実施の形態の半導体装置では、SOI基板SBを用いて半導体装置を製造することにより、半導体装置を用いた製品のコストを低減することができる。また、SOI基板SBを用いた上で、支持基板2の電位を制御することでゲート電極9と支持基板2との間における寄生容量の発生を防ぎ、歪成分の発生を抑えることができる。また、nチャネル型MOSFETQnの耐圧を向上させてオン抵抗を低減させ、半導体装置を微細化させることで、半導体装置の性能を向上させることを可能としている。
【0068】
なお、本実施の形態では、図2および図3に示すように、nチャネル型MOSFETQnの延在する第1方向に沿う方向ではなく、第2方向に延在するコンタクトプラグCT2のみを複数形成している。これは、図2に示すスイッチ部SW1の形成された領域内に第1方向に延在するコンタクトプラグCT2を複数形成する場合、nチャネル型MOSFETQnの近くで支持基板2の電位を制御するために、第2方向に隣り合うnチャネル型MOSFETQn同士の間に新たにコンタクトプラグCT2を形成した場合、本実施の形態の半導体装置に比べて素子面積が大きくなってしまうためである。
【0069】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造工程を図面を参照して説明する。図5〜図14は、本発明の一実施の形態である半導体装置、例えばnチャネル型MOSFETを有する半導体装置の製造工程中の断面図である。なお、図5〜図14において、符号MRで示される、図面の左側の領域は図3のA−A線での断面図と同じ位置における製造工程中の半導体装置の断面図であって、nチャネル型MOSFETのソース・ドレイン領域、ゲート電極およびチャネルが形成されるMOSFET形成領域を示している。また、図5〜図14において、符号CRで示される、図面の右側の領域は図3のB−B線での断面図と同じ位置における製造工程中の半導体装置の断面図であって、支持基板の電位を取るための基板接続領域を示している。
【0070】
まず、図5に示すように、SOI基板SBを用意する。SOI基板SBは、Si(シリコン)からなる高抵抗の支持基板2上に形成されたBOX膜3と、BOX膜3上に形成されたシリコン層4を有する半導体基板であり、支持基板2は主にSi(シリコン)からなる層に酸素などが導入された750Ωcm以上の高抵抗な層であり、シリコン層4は、1〜10Ωcm程度の抵抗を有する単結晶シリコンなどからなる層である。
【0071】
SOI基板SBはSi(シリコン)からなる半導体基板の主面に高いエネルギーでO(酸素)をイオン注入し、その後の熱処理でSi(シリコン)と結合させ、半導体基板の表面よりも少し深い位置に酸化膜(BOX膜)を形成するSIMOX(Silicon Implanted Oxide)法で形成することができる。また、SOI基板SBは、表面に酸化膜を形成した半導体基板と、もう1枚のSi(シリコン)からなる半導体基板とを高熱および圧力によって接着して貼り合わせた後、片側のシリコン層を研磨して薄膜化することで形成することもできる。
【0072】
次に、図6に示すように、SOI基板SBを熱酸化してその表面に絶縁膜1aを形成した後、その上層にCVD法などにより、絶縁膜1bを堆積する。絶縁膜1aは酸化シリコンなどからなり、絶縁膜1bは窒化シリコン膜などからなる。続いて、フォトレジストパターン(図示しない)をエッチングマスクとして絶縁膜1b、絶縁膜1aおよびシリコン層4を順次ドライエッチングすることにより、素子分離形成予定領域のSOI基板SBに溝(素子分離用の溝)1cを形成する。溝1cは、素子分離用の溝であり、すなわち後述する素子分離領域1形成用の溝である。
【0073】
次に、図7に示すように、熱リン酸などを用いたウェットエッチングにより絶縁膜1bを除去した後、溝1cの内部(側壁および底部)を含むSOI基板SBの主面上に絶縁膜1dを形成する。それから、SOI基板SBの主面上(すなわち絶縁膜1d上)に、溝1c内を埋めるように、絶縁膜1eをCVD法などにより形成(堆積)する。絶縁膜1dは、酸化シリコン膜または酸窒化シリコン膜からなる。絶縁膜1dが酸窒化シリコン膜の場合には、絶縁膜1d形成工程以降の熱処理によって溝1cの側壁が酸化することによる体積膨張を防止でき、SOI基板SBに働く圧縮応力を低減できる効果がある。絶縁膜1eは、HDP−CVD(High Density Plasma CVD:高密度プラズマCVD)法により成膜された酸化シリコン膜、またはO−TEOS酸化膜などである。なお、O−TEOS酸化膜とは、O(オゾン)およびTEOS(Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン、Tetra Ethyl Ortho Silicateとも言う)を原料ガス(ソースガス)として用いて熱CVD法により形成した酸化シリコン膜である。絶縁膜1eがHDP−CVD法により成膜された酸化シリコン膜の場合、絶縁膜1dは、絶縁膜1eを堆積する際のSOI基板SBへのダメージ防止の効果がある。その後、絶縁膜1eおよび絶縁膜1dをCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械的研磨)法により研磨して、溝1cの外部の絶縁膜1eを除去し、溝1cの内部に絶縁膜1dおよび1eを残すことにより、絶縁膜1dおよび1eからなる素子分離領域(素子分離)1を形成する。それから、SOI基板SBを例えば1150℃程度で熱処理することにより、溝1cに埋め込んだ絶縁膜1eを焼き締める。焼き締め前の状態では、O−TEOS酸化膜よりもHDP−CVD法により成膜された酸化シリコン膜の方が緻密である。このため、絶縁膜1eがO−TEOS酸化膜の場合、焼き締めによる絶縁膜1eの収縮により、SOI基板SBに働く圧縮応力を低減できる効果がある。一方、絶縁膜1eがHDP−CVD法により成膜された酸化シリコン膜の場合には、絶縁膜1eがO−TEOS酸化膜の場合に比べて、焼き締め時の絶縁膜1eの収縮が少ないため、素子分離領域1によってSOI基板SBに働く圧縮応力が大きくなる。
【0074】
このようにして、溝1c内に埋め込まれた絶縁膜1dおよび1eからなる素子分離領域1が形成される。本実施の形態では、素子分離領域1は、LOCOS(Local Oxidization of Silicon)法ではなく、STI法により形成される。すなわち、本実施の形態の素子分離領域1は、好ましくは、SOI基板SBに形成された素子分離用の溝1c内に埋め込まれた絶縁体(ここでは絶縁膜1dおよび1e)からなる。前述したnチャネル型MOSFETQn(すなわちnチャネル型MOSFETQnを構成するゲート絶縁膜8、ゲート電極9およびソース・ドレイン領域6)は、素子分離領域1で規定された(囲まれた)活性領域に形成される。なお、本実施の形態では、素子分離領域1として絶縁膜1dおよび絶縁膜1eを示しているが、絶縁膜1dを省略して、絶縁膜1eのみで形成するようにしてもよい。
【0075】
次に、図8に示すように、支持基板2の上面に支持基板2よりも低抵抗の拡散領域であるn型半導体領域12を形成する。n型半導体領域12を形成するには、フォトリソグラフィ法を用いてフォトレジスト膜をSOI基板SB上に形成し、前記フォトレジスト膜をマスクとしてSOI基板SB上からSOI基板SBの主面に向かってP(リン)をイオン注入する。このとき、イオン注入の条件は550keVのエネルギーにより、2×1013cm−2のドーズ量でP(リン)イオンをドープ(導入)する。これにより、BOX膜3の下の支持基板2の上面にn型半導体領域12を形成する。
【0076】
なお、P(リン)イオンをドープしてn型半導体領域12を形成する際は、n型半導体領域12の界面エネルギー準位を低く抑え、図4に示したコンタクトプラグCT2とオーミックにコンタクトが取れる程度の条件でイオン注入を行う。
【0077】
また、このときP(リン)は支持基板2の上面(BOX膜3の下面との界面)を狙ってイオン注入されるため、P(リン)の濃度ピークは支持基板2の上面に位置し、BOX膜3上のシリコン層4に導入されるP(リン)の量は支持基板2の上面に導入されるP(リン)の量と比べて非常に小さく、シリコン層4には殆どP(リン)は導入されない。
【0078】
その後、シリコン層4の上面から下面にかけてp型ウエル13を形成する。p型ウエル13は、前述したn型半導体領域12の形成工程で使用したフォトレジスト膜(図示しない)をマスクとして、SOI基板SB上からSOI基板SBの主面に向かってB(ホウ素)をイオン注入することにより形成する。なお、このときのイオン注入のエネルギーは、前述したn型半導体領域12の形成工程でのイオン注入のエネルギーに比べて低いエネルギーとする。これにより、p型の半導体領域であってnチャネル型MOSFETQnのチャネル形成領域となるp型ウエル13が形成される。
【0079】
次に、途中の工程の図示は省略するが、図9に示すように、周知の製造方法により、SOI基板SB上にnチャネル型MOSFETQnを形成する。
【0080】
すなわち、まず、SOI基板SBの表面(すなわちp型ウエル13の表面)上にゲート絶縁膜8を形成する。ゲート絶縁膜8は、例えば薄い酸化シリコン膜などからなり、例えば熱酸化法などによって形成することができる。
【0081】
次に、SOI基板SB上(すなわちゲート絶縁膜8上)に、ゲート電極形成用の導体膜として、多結晶シリコン膜のようなシリコン膜を形成する。MOSFET形成領域MRにおいて形成された前記シリコン膜は、P(リン)またはAs(ヒ素)などのn型の不純物をイオン注入することなどにより、低抵抗のn型半導体膜(ドープトポリシリコン膜)とされている。また、前記シリコン膜は、成膜時にはアモルファスシリコン膜であったものを、成膜後(イオン注入後)の熱処理により多結晶シリコン膜に変えることもできる。
【0082】
次に、前記シリコン膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより、MOSFET形成領域MRに前記シリコン膜からなるゲート電極9を形成し、基板接続領域CRの前記シリコン膜を除去する。
【0083】
nチャネル型MOSFETのゲート電極となるゲート電極9はn型の不純物を導入した多結晶シリコン(n型半導体膜、ドープトポリシリコン膜)からなり、p型ウエル13上にゲート絶縁膜8を介して形成される。すなわち、ゲート電極9は、p型ウエル13のゲート絶縁膜8上に形成される。
【0084】
次に、SOI基板SBの主面にP(リン)またはAs(ヒ素)などのn型の不純物をイオン注入することにより、ゲート電極9の下部の一部および素子分離領域が形成された領域を除くシリコン層4に、n型の半導体領域である(一対の)エクステンション領域7を形成する。すなわち、p型ウエル13のゲート電極9の両側の領域に、エクステンション領域7を形成する。
【0085】
次に、ゲート電極9の側壁に、絶縁膜として、例えば酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれら絶縁膜の積層膜などからなる側壁スペーサまたはサイドウォール(側壁絶縁膜)14を形成する。サイドウォール14は、例えば、SOI基板SB上に酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜を堆積し、この酸化シリコン膜または窒化シリコン膜あるいはそれらの積層膜をRIE(Reactive Ion Etching)法などにより異方性エッチングすることによって形成することができる。
【0086】
次に、(一対の)ソース・ドレイン領域6を、例えば、p型ウエル13のゲート電極9およびサイドウォール14の両側の領域にP(リン)またはAs(ヒ素)などのn型の不純物をイオン注入することにより形成する。イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理を、例えば1050℃程度のスパイクアニール処理にて行うこともできる。
【0087】
ソース・ドレイン領域6は、エクステンション領域7よりも不純物濃度が高い。これにより、nチャネル型MOSFETのソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)が、ソース・ドレイン領域(不純物拡散層)6およびエクステンション領域7により形成される。エクステンション領域7およびソース・ドレイン領域6は、併せてnチャネル型MOSFETQnのソース・ドレインとして機能するものである。すなわち、nチャネル型MOSFETQnのエクステンション領域7およびソース・ドレイン領域6は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有している。なお、エクステンション領域7は、ゲート電極9に対して自己整合的に形成され、ソース・ドレイン領域6は、ゲート電極9の側壁上に形成されたサイドウォール14に対して自己整合的に形成される。
【0088】
このようにして、p型ウエル13に、電界効果トランジスタとしてnチャネル型MOSFETQnが形成される。nチャネル型MOSFETQnは、nチャネル型の電界効果トランジスタとみなすことができる。
【0089】
次に、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、nチャネル型MOSFETQnのゲート電極9およびソース・ドレイン領域6のそれぞれの表面に、低抵抗のシリサイド層11を形成する。
【0090】
シリサイド層11を形成するには、まずゲート電極9上およびソース・ドレイン領域6上を含むSOI基板SBの主面(全面)上に金属膜を、例えばスパッタリング法を用いて形成(堆積)する。すなわち、ゲート電極9上およびソース・ドレイン領域6上を含むSOI基板SB上に、ゲート電極9を覆うように、金属膜が形成される。金属膜は、例えばCo(コバルト)を含む金属膜である。
【0091】
このようにして金属膜を形成した後、SOI基板SBに2回に分けて熱処理を施すことで金属膜とゲート電極9およびソース・ドレイン領域6に含まれるSi(シリコン)とが反応し、ゲート電極9およびソース・ドレイン領域6のそれぞれの上面にシリサイド層11を形成する。
【0092】
すなわち、シリサイド層11を形成する際の熱処理は2回に分けて行い、第1の熱処理(1stアニール処理)の温度を250℃〜300℃で行った後に、未反応の金属膜を除去し、第2の熱処理を500℃〜600℃程度で行う。未反応の金属膜は、硫酸を用いたウェット洗浄、またはSPM(Sulfuric acid Hydrogen Peroxide Mixture:硫酸と過酸化水素水との混合液)を用いたウェット洗浄などにより除去する。これにより、金属膜に含まれるCo(コバルト)とゲート電極9、ゲート電極配線9a(図示しない)、ソース・ドレイン領域6に含まれるSi(シリコン)との化合物であるCoSi(コバルトシリサイド)からなるシリサイド層11がゲート電極9およびソース・ドレイン領域6のそれぞれの上面に形成される。なお、シリサイド層11は、コバルトシリサイドに限られず、チタンシリサイド、ニッケルシリサイドまたはプラチナシリサイド等で形成してもよい。
【0093】
次に、前記ゲート電極9、ソース・ドレイン領域6、サイドウォール14およびシリサイド層11を含むSOI基板SBの主面(全面)を覆うように絶縁膜5を形成する。このとき、基板接続領域CRにおいて、素子分離領域1上にも絶縁膜5を形成する。絶縁膜5は例えば窒化シリコン膜からなり、成膜温度(基板温度)450℃程度のプラズマCVD法などにより形成することができる。絶縁膜5はnチャネル型MOSFETQn上にコンタクトホールを形成する際のエッチングストッパ膜として機能する。以上により、図9に示す構造を得ることができる。
【0094】
次に、図10に示すように、絶縁膜5上に絶縁膜5よりも厚い層間絶縁膜15を形成する。層間絶縁膜15は例えば酸化シリコン膜などからなり、TEOSを用いて成膜温度450℃程度のプラズマCVD法などにより形成することができる。その後、層間絶縁膜15の表面をCMP法により研磨するなどして、層間絶縁膜15の上面を平坦化する。下地段差に起因して層間絶縁膜15の表面に凹凸形状が形成されていても、層間絶縁膜15の表面をCMP法により研磨することにより、その表面が平坦化された層間絶縁膜を得ることができる。
【0095】
次に、図11に示すように、層間絶縁膜15上に形成したフォトレジストパターン(図示しない)をエッチングマスクとして用いて、絶縁膜5および層間絶縁膜15をドライエッチングすることにより、絶縁膜5および層間絶縁膜15にコンタクトホール(貫通孔、孔)CH1およびCH2を形成する。このとき、まず絶縁膜5に比較して層間絶縁膜15がエッチングされやすい条件で層間絶縁膜15のドライエッチングを行い、絶縁膜5をエッチングストッパ膜として機能させることで、層間絶縁膜15にコンタクトホールCH1およびCH2を形成し、絶縁膜5の上面を露出させる。その後、層間絶縁膜15に比較して絶縁膜5がエッチングされやすい条件でドライエッチングすることにより、コンタクトホールCH1およびCH2の底部の絶縁膜5を除去する。コンタクトホールCH1の底部では、SOI基板SBの主面の一部、例えばソース・ドレイン領域6の表面上のシリサイド層11の上面が露出され、図示していない領域では、ゲート電極9と同層の接続部9b(図3参照)の上面のシリサイド層11の上面が露出される。また、基板接続領域CRにおけるコンタクトホールCH2の底部では、素子分離領域1の上面が露出される。
【0096】
次に、図12に示すように、シリサイド層11に比較して素子分離領域1がエッチングされやすい条件で素子分離領域1のドライエッチングを行った後、シリサイド層11に比較してBOX膜3がエッチングされやすい条件でBOX膜3のドライエッチングを行い、SOI基板SBの下面に向かって延長されたコンタクトホールCH2によって、支持基板2の上面に形成されたn型半導体領域12の上面を露出する。このとき、素子分離領域1およびBOX膜3はいずれもSiO(酸化シリコン)からなる膜なので、素子分離領域1およびBOX膜3を続けてエッチングする場合は、エッチングの条件を変更せずに一度のエッチングで素子分離領域1の上面からBOX膜3の下面を開口することができる。
【0097】
なお、図11において絶縁膜5を一部除去した後に、図12において素子分離領域1およびBOX膜3を一部除去してn型半導体領域12の上面を露出させるエッチング工程では、MOSFET形成領域MRにおいてシリサイド層11がエッチングストッパ膜として機能し、ソース・ドレイン領域6およびゲート電極9がドライエッチングに晒されてダメージを受けることを防いでいる。このように、本実施の形態ではコンタクトホールCH1およびCH2を同一のエッチング工程により形成する。なお、この時、コンタクトホールCH3(図示しない)も同時に形成される。よって、コンタクトホール形成用のマスクが1枚で済むので、製造工程を簡略化することができる。
【0098】
また、BOX膜3にコンタクトホールCH2を形成する際にシリサイド層11はドライエッチングに晒されるが、エッチングによってシリサイド層11が受けるダメージは問題ない程度であると考えられる。これは、層間絶縁膜15の上面からBOX膜3の下面までを貫いたコンタクトホールCH2の深さは1.2μm程であり、コンタクトホールCH1の深さ(層間絶縁膜15の膜厚)は750nm程度であるため、コンタクトホールCH1とコンタクトホールCH2との深さの差は比較的大きくなく、シリサイド層11がドライエッチングにより受けるダメージは許容範囲内であると考えられるためである。
【0099】
次に、図13に示すように、コンタクトホールCH1およびCH2内に、W(タングステン)などからなるコンタクトプラグ(接続用導体部、埋め込みプラグ、埋め込み導体部)CT1およびCT2をそれぞれ形成する。MOSFET形成領域MRでは、コンタクトプラグCT1をソース・ドレイン領域6上のコンタクトホールCH1内に形成し、基板接続領域CRでは、コンタクトプラグCT2を支持基板2上のコンタクトホールCH2内に形成する。コンタクトプラグCT1はシリサイド層11を介してソース・ドレイン領域6と電気的に接続されており、コンタクトプラグCT2は支持基板2の上面に形成されたn型半導体領域12の上面に電気的に接続されている。
【0100】
コンタクトプラグCT1およびCT2のそれぞれを形成するには、例えば、コンタクトホールCH1およびCH2の内部(底部および側壁上)を含む層間絶縁膜15上に、成膜温度(基板温度)450℃程度のプラズマCVD法によりバリア導体膜CTa(例えばチタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜)を形成する。それから、タングステン膜などからなる主導体膜CTbをCVD法などによってバリア導体膜CTa上にコンタクトホールCH1およびCH2を埋めるように形成し、層間絶縁膜15上の不要な主導体膜CTbおよびバリア導体膜CTaをCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、主導体膜CTbおよびバリア導体膜CTaからなるコンタクトプラグCT1およびCT2を形成することができる。図示は省略するが、このとき、ゲート電極9と同層に形成された接続部9bの上面にもシリサイド層11が形成され、接続部9b上にはシリサイド層11を介してコンタクトプラグCT3が形成される。
【0101】
次に、図14に示すように、コンタクトプラグCT1、CT2およびCT3(図示しない)が埋め込まれた層間絶縁膜15上に、ストッパ絶縁膜16aおよび配線形成用の層間絶縁膜16を順次形成する。ストッパ絶縁膜16aは層間絶縁膜16への溝加工の際にエッチングストッパとなる膜であり、層間絶縁膜16に対してエッチング選択比を有する材料を用いる。ストッパ絶縁膜16aは、例えばプラズマCVD法により形成される窒化シリコン膜とし、層間絶縁膜16は、例えばプラズマCVD法により形成される酸化シリコン膜とすることができる。なお、ストッパ絶縁膜16aと層間絶縁膜16には次に説明する第1層目の配線が形成される。
【0102】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線を形成する。まず、レジストパターン(図示しない)をマスクとしたドライエッチングによって層間絶縁膜16およびストッパ絶縁膜16aの所定の領域に配線溝16bを形成した後、SOI基板SBの主面上(すなわち配線溝の底部および側壁上を含む層間絶縁膜16上)にバリア導体膜(バリアメタル膜)19aを形成する。バリア導体膜19aは、例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜などを用いることができる。続いて、CVD法またはスパッタリング法などによりバリア導体膜19a上に銅のシード層を形成し、さらに電解めっき法などを用いてシード層上に銅めっき膜を形成する。銅めっき膜により配線溝16bの内部を埋め込む。それから、配線溝16b以外の領域の銅めっき膜、シード層およびバリア導体膜19aをCMP法により除去して、銅を主導電材料とする第1層目の配線19および配線20を形成する。
【0103】
配線19は、コンタクトプラグCT1を介してnチャネル型MOSFETQnのソース・ドレイン領域6に電気的に接続されている。コンタクトプラグCT2は絶縁膜5および素子分離領域1を貫いて支持基板2に接続されており、ソース・ドレイン領域6とは層間絶縁膜15、素子分離領域1およびBOX膜3などを介して絶縁され、電気的に接続されていない。その後、デュアルダマシン法により配線19上および配線20上に第2層目の配線を形成するが、ここでは図示およびその説明は省略する。以上により、本実施の形態の半導体装置が完成する。
【0104】
なお、配線19、20は、ダマシン構造に限られず、アルミニウムを主体とした導体膜をパターニングして形成される配線構造としてもよい。
【0105】
前述したように、本実施の形態では、図3に示す素子分離領域1に形成されたコンタクトホールCH2内を通るコンタクトプラグCT2により配線20とn型半導体領域12とを電気的に接続することにより、図4に示すSOI基板SBの支持基板2の電位を制御することを可能としている。これにより、nチャネル型MOSFETQnに発生する寄生容量を低減することができ、歪成分(ノイズ)の発生を防ぐことができる。
【0106】
また、ゲート電極9の下部の支持基板2の電位を制御(固定)することにより、支持基板2の電位をグランド電位にした場合に比べ、nチャネル型MOSFETQnのドレイン耐圧を向上させることができる。また、ドレイン耐圧を向上させることで、ゲートとドレインとの間隔を狭め、ゲート電極9の大きさを小さくし、nチャネル型MOSFETQn全体を微細化することができる。また、nチャネル型MOSFETQnの微細化によってnチャネル型MOSFETのオン抵抗を下げることができる。
【0107】
また、本実施の形態では、図11および図12を用いて説明したように、コンタクトホールCH1およびCH2を同一のエッチング工程により形成することで、半導体装置の製造工程を簡略化し、少ない工程でコンタクトホールCH1およびCH2を形成することを可能としている。このとき、シリサイド層11および絶縁膜5をエッチングストッパ膜として使用することで、ゲート電極9およびソース・ドレイン領域6がエッチングに晒されることを防ぎ、半導体装置の信頼性が低下することを防いでいる。
【0108】
以上に述べたように、本実施の形態の半導体装置では、SOI基板SBを用いて半導体装置を製造することにより、GaAs基板またはSOS基板を用いて半導体装置を製造する場合に比べて半導体装置を用いた製品のコストを低減した上で、半導体装置の性能を向上させることを可能としている。
【0109】
なお、本実施の形態では図2に示すようにスイッチ部SW1の構造を例に説明したが、図1に示す他のスイッチ部SW2、SW3およびSW4もスイッチ部SW1と同様の構造を有しており、それぞれのスイッチ部に形成されたコンタクトプラグCT2によって支持基板2の電位を制御することを可能としている。
【0110】
また、第1方向に並ぶコンタクトプラグCT2同士の間にnチャネル型MOSFETQnを配置し、コンタクトプラグCT2を形成する領域をできるだけ少なくすることにより、半導体チップの面積の増加を抑えることができる。
【0111】
また、本実施の形態ではnチャネル型MOSFETを例に説明したが、本発明はpチャネル型MOSFETに適用することもできる。pチャネル型MOSFETの下部の支持基板の電位を制御する場合は、支持基板の上面に形成する拡散層(図4におけるn型半導体領域12に相当)はp型半導体領域とする。この場合、前記p型半導体領域を形成する際は、図8を用いて説明した工程において、P(リン)ではなくB(ホウ素)を支持基板に200keVのエネルギー、2×1013cm−2のドーズ量でイオン注入することで支持基板の上面に低抵抗のp型半導体領域を形成する。なお、図4に示すゲート電極9の下部のウエルはn型半導体領域とし、エクステンション領域7およびソース・ドレイン領域6のp型半導体領域とすることは言うまでもない。
【0112】
すなわち、本実施の形態の半導体装置は、nチャネル型MOSFETとpチャネル型MOSFETを含んでおり、nチャネル型MOSFETが形成される領域においては、支持基板の上面に形成する拡散層をn型半導体領域12とし、pチャネル型MOSFETが形成される領域においては、支持基板2の上面に形成する拡散層をp型半導体領域としている。この効果としては、支持基板2の上面に形成する拡散層を、シリコン層4およびBOX膜3を介したゲート電極と考えたとき、表面ゲート電極9に導入している導電型と同じ導電型とすることによって、シリコン層4に対する仕事関数差が表面と裏面とで近づき、電位制御性を向上することができる。このような構成は、本実施の形態のように、ゲート電極9と拡散層(n型半導体領域12、p型半導体領域)とを同電位としている場合には、特に有効である。
【0113】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、図2に示すように、SOI基板SBの平面において第1方向に並んで形成されたゲート電極9同士およびソース・ドレイン領域6の端部の近傍にのみコンタクトプラグCT2を形成し、図4に示す支持基板2の電位を制御する技術について説明した。本実施の形態では、前記実施の形態1で示したコンタクトプラグCT2に加えて、第2方向に複数並んで形成されたソース・ドレイン領域6の第2方向における一番端のソース・ドレイン領域6の外側にもコンタクトプラグCT2を形成する半導体装置について図15および図16を用いて説明する。図15は、本実施の形態における半導体装置のスイッチ部SW1の平面図である。図16は、図15の破線で囲んだ領域を拡大して示す平面図である。
【0114】
図15に示すスイッチ部SW1は、図1に示すスイッチ部SW1を拡大したものである。本実施の形態の半導体装置は前記実施の形態1で説明した半導体装置とほぼ同様の構造を有しているが、図15に示すように、スイッチ部SW1または図示していない他のスイッチ部SW2、SW3およびSW4において、マトリクス状に形成されたMOSFETの第2方向における端部のMOSFETの外側の素子分離領域1にもコンタクトプラグCT2が形成されている点で前記実施の形態1と異なる。
【0115】
すなわち、本実施の形態における半導体装置は、スイッチ部SW1内においてマトリクス状に形成された複数のnチャネル型MOSFETQnと、nチャネル型MOSFETQnを囲むようにSOI基板SBの主面に形成された素子分離領域1を有している。また、本実施の形態における半導体装置は、第1方向に隣り合うnチャネル型MOSFETQn同士の間に形成されたコンタクトプラグCT2と、スイッチ部SW1を囲むように断続的に形成されたコンタクトプラグCT2とを有している。コンタクトプラグCT2は、SOI基板SBの平面において素子分離領域1に囲まれるように形成されている。
【0116】
図16の平面図に示すように、第2方向に複数並んで形成されたnチャネル型MOSFETQnの第2方向における端部の外側に形成されたコンタクトプラグCT2は、nチャネル型MOSFETQnと同様に第1方向に延在しているが、連続してではなく断続的にスイッチ部SW1の一辺に沿って形成されている。なお、第2方向または第1方向においてコンタクトプラグCT2が連続的ではなく断続的に形成されているのは、前述したようにレジスト倒れとコンタクトプラグCT2における応力発生とを防ぐためである。
【0117】
なお、全てのコンタクトプラグCT2は、SOI基板SBの平面において素子分離領域1に囲まれて形成されており、ソース・ドレイン領域6を含むnチャネル型MOSFETQnとは絶縁されている。
【0118】
このように、本実施の形態では、図15および図16に示すように、スイッチ部SW1の端部において第1方向に延在するコンタクトプラグCT2を形成することで、前記実施の形態1の半導体装置に比べて、よりnチャネル型MOSFETQnの近くで支持基板2の基板電位を制御しやすくすることができるため、更に効果的に歪特性の発生を防ぐことができる。
【0119】
また、支持基板2の基板電位を制御しやすくすることで、nチャネル型MOSFETQnのドレイン耐圧を向上させてオン抵抗を低減させることができ、半導体装置を微細化させることができるため、半導体装置の性能を向上させることができる。
【0120】
(実施の形態3)
本実施の形態は、内部にコンタクトプラグCT2が形成されるコンタクトホールCH2を形成する前に絶縁膜5を開口する点で前記実施の形態1とは異なる。以下に、図17〜図20を用いて本実施の形態の半導体装置の製造工程であって、前記実施の形態1と異なる点を説明する。図17〜図20は図16のC−C線における断面と同一の位置における断面図である。
【0121】
本実施の形態の半導体装置を製造する際は、まず、前記実施の形態1で図9と同様の工程により、図9に示すSOI基板SB上にnチャネル型MOSFETQnを形成し、nチャネル型MOSFETQnおよびSOI基板SBの上面を覆うように絶縁膜5を形成する。
【0122】
次に、図17に示すように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いて基板接続領域CRにおいて絶縁膜5を一部除去して開口部5aを形成し、シリコン層4に形成された素子分離領域1の上面を露出させる。なお、このとき絶縁膜5の開口部5aは、この後の工程で形成されるコンタクトホールCH2よりもSOI基板SBの主面に沿う方向に広い直径(幅)を有する。これは、コンタクトホールCH2をドライエッチングによって形成する際の位置ずれを考慮し、位置合わせのマージンを確保するためである。
【0123】
次に、図18に示すように、SOI基板SB上にSiO(酸化シリコン)からなる層間絶縁膜15をCVD法などにより形成(堆積)する。
【0124】
次に、図19に示すように、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてコンタクトホールCH1およびCH2をそれぞれ形成する。このとき、層間絶縁膜15、素子分離領域1およびBOX膜3は絶縁膜5に対してエッチング選択比を有するSiO(酸化シリコン)により構成されているため、一度のエッチング工程によってコンタクトホールCH1は絶縁膜5を貫かずに絶縁膜5の上面を露出させ、コンタクトホールCH2は支持基板2の上面(n型半導体領域12の上面)を露出させる。その後、ドライエッチング法によりコンタクトホールCH1の下部の絶縁膜5を除去してシリサイド層11の上面を露出させることにより、図19の構造を得る。
【0125】
この後は前記実施の形態1で図13および図14を用いて説明した工程と同様の工程により、コンタクトプラグCT1、CT2、配線19および配線20を形成することにより、図20に示す半導体装置が完成する。図20に示すように、図14に示した前記実施の形態1の半導体装置と違い、本実施の形態ではSOI基板SBの主面に沿う方向では絶縁膜5とコンタクトプラグCT2との間に層間絶縁膜15が形成されており、SOI基板SBの主面に沿う方向では、コンタクトプラグCT2はコンタクトプラグCT2よりも広い直径(幅)を有する絶縁膜5の開口部5a内を通るように形成されている。すなわち、図20に示す基板接続領域CRでは、SOI基板SBの上面のシリコン層4には素子分離領域1が形成され、素子分離領域1上には絶縁膜5が形成されており、絶縁膜5は素子分離領域1の上面の一部を露出する開口部5aを有している。素子分離領域1上および絶縁膜5上には層間絶縁膜15が形成され、層間絶縁膜15、素子分離領域1およびBOX膜3には、開口部5a内を通り、層間絶縁膜15の上面からBOX膜3の下面を貫通し、支持基板2の上面を露出するコンタクトホールCH2が形成されており、コンタクトホールCH2内にはコンタクトプラグCT2が形成されている。
【0126】
また、図17を用いて説明したように、コンタクトホールCH2を形成する前に絶縁膜5を開口することで、図19に示すコンタクトホールCH2を形成する際に基板接続領域CRにおいて絶縁膜5が除去されることはない。このため、コンタクトホールCH2を形成するために層間絶縁膜15の上面をエッチングし始めてからn型半導体領域12の上面を露出させるまでの工程において、エッチングの種類を絶縁膜5を構成するSiNを除去するための選択比を有するものに変更する必要がなく、コンタクトホールCH2を形成する際のエッチング工程を簡略化することができる。また、コンタクトホールCH2がn型半導体領域12の上面を露出させてからシリサイド層11上の絶縁膜5を除去するため、シリサイド層11がドライエッチングにより受けるダメージを低減することができる。
【0127】
なお、本実施の形態の製造方法は、前記実施の形態2の図16のC−C線における断面図で説明したが、前記実施の形態1の図3に示すレイアウトの場合にも適用できることは、勿論である。
【0128】
(実施の形態4)
本実施の形態では、前記実施の形態2よりも更にコンタクトプラグCT2を多く形成した半導体装置について図21および図22を用いて説明する。
【0129】
図21は、本実施の形態における半導体装置のスイッチ部SW1の平面図である。図22は、図21の破線で囲んだ領域を拡大して示す平面図である。
【0130】
図21に示すスイッチ部SW1は、図1に示すスイッチ部SW1を拡大したものである。図21および図22に示すように、本実施の形態の半導体装置は前記実施の形態1で説明した半導体装置とほぼ同様の構造を有しているが、スイッチ部SW1または図示していない他のスイッチ部SW2、SW3およびSW4では、第2方向に隣り合うnチャネル型MOSFETQn同士の間の素子分離領域1を貫き、第1方向に延在するコンタクトプラグCT2が形成されている。すなわち、前記実施の形態2と同様に第2方向に延在し、第1方向および第2方向に複数並んで形成されたコンタクトプラグCT2に加えて、本実施の形態では、第1方向に延在し、nチャネル型MOSFETQnに沿うように第1方向および第2方向に複数並んで形成されたコンタクトプラグCT2が形成されている。第1方向に延在するコンタクトプラグCT2であって、第2方向に隣り合うコンタクトプラグCT2同士の間には第1方向に延在するnチャネル型MOSFETQnが形成されている。すなわち、スイッチ部SW1にマトリクス状に形成されたそれぞれのnチャネル型MOSFETQnは第1方向および第2方向においてコンタクトプラグCT2に挟まれるように形成されている。
【0131】
つまり、本実施の形態では、スイッチ部SW1の外周のみでなく、ゲート電極9を共有するMOSFET群の間にも、第1方向に延在するコンタクトプラグCT2を形成している。そして、第1方向に延在するコンタクトプラグCT2を配置する割合は、ゲート電極9を共有するMOSFET群2つに対して、1つの割合で形成している。
【0132】
これにより、本実施の形態では、前記実施の形態2で説明した半導体装置よりも第1方向に延在するコンタクトプラグCT2をより多く形成することで、前記実施の形態1および2の半導体装置に比べて、よりnチャネル型MOSFETQnの近くで支持基板2の基板電位を制御することを可能としているため、更に効果的に歪特性の発生を防ぐことができる。
【0133】
なお、全てのコンタクトプラグCT2は、SOI基板SBの平面おいて素子分離領域1に囲まれて形成されており、図25に示すシリコン層4に形成されたソース・ドレイン領域6、エクステンション領域7およびp型ウエル13などとは絶縁されている。
【0134】
また、本実施の形態で示した半導体装置の製造方法は、前記実施の形態1の製造方法に限られず、前記実施の形態3の製造方法を適用しても良い。
【0135】
(実施の形態5)
本実施の形態は、前記実施の形態1および3で説明した製造方法とは異なり、コンタクトホールCH1およびCH2を別々の工程でそれぞれ形成することを特徴としている。
【0136】
以下に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について図23〜図25を用いて説明する。なお、図23〜図25は図22のD−D線における断面と同一の位置の断面図を示している。
【0137】
まず、前記実施の形態1で説明した図5〜図10と同様の工程により、図10に示すようにSOI基板SB上にnチャネル型MOSFETQnを形成し、SOI基板SB上に絶縁膜5および層間絶縁膜15を順次形成する。
【0138】
次に、図23に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、層間絶縁膜15上にパターニングされたフォトレジスト膜60を形成する。フォトレジスト膜60は基板接続領域CRの層間絶縁膜15を覆っているが、nチャネル型MOSFETQnのソース・ドレイン領域6の直上の層間絶縁膜15の上面はフォトレジスト膜60に覆われず、露出している。
【0139】
その後、フォトレジスト膜60をマスクとして、ドライエッチング法により層間絶縁膜15の上面から絶縁膜5の下面を貫いてソース・ドレイン領域6およびゲート電極9の接続部9b(図示しない)のそれぞれの上部のシリサイド層11の上面を露出させるコンタクトホールCH1を形成する。なお、図示はしないが、この時、ゲート電極9と接続するコンタクトホールCH3も形成される。
【0140】
次に、図24に示すように、フォトレジスト膜60を除去した後、フォトリソグラフィ法により、基板接続領域CRの一部を除いて層間絶縁膜15の上面を覆い、コンタクトホールCH1内を埋めるようにフォトレジスト膜61を形成する。このとき、基板接続領域CRの層間絶縁膜15の上面の一部はフォトレジスト膜61に覆われず露出している。
【0141】
その後、フォトレジスト膜61をマスクとして、ドライエッチング法により層間絶縁膜15の上面からBOX膜3の下面を貫き、支持基板2の上面(n型半導体領域12の上面)を露出するコンタクトホールCH2を形成し、図24に示す構造を得る。このとき、コンタクトホールCH2を形成する前に予め絶縁膜5を開口していない。このため、コンタクトホールCH2をドライエッチング法により除去する際は、SiO(酸化シリコン)からなる層間絶縁膜15を除去して絶縁膜5を露出した後に、SIN(窒化シリコン)からなる絶縁膜5を除去しやすいエッチング条件に切替えてエッチングを行い、その後はまたSiO(酸化シリコン)からなる素子分離領域1およびBOX膜3を除去しやすいエッチング条件に切替えてエッチングを行う。
【0142】
その後、フォトレジスト膜61を除去するが、その後の工程は、前記実施の形態1で説明した図13および図14と同様に行い、コンタクトプラグCT1、CT2およびCT3を形成した後、配線19および配線20を形成し、図25に示す本実施の形態の半導体装置が完成する。
【0143】
本実施の形態の半導体装置の製造工程では、図23および図24に示すようにフォトレジスト膜60および61を用いることにより、コンタクトホールCH1およびCH2をそれぞれ別工程で形成している点で、前記実施の形態1および3と異なる。これにより、本実施の形態では、コンタクトホールCH2を形成する際に、コンタクトホールCH1はフォトレジスト膜61に覆われているため、シリサイド層11がドライエッチングによりダメージを受けることを防ぐことができる。また、コンタクトホールCH1の底面においてシリサイド層11を露出させる際にコンタクトホールCH2の底面のn型半導体領域12の上面をエッチングに晒すことがないので、コンタクトホールCH2の底面のn型半導体領域12がダメージを受けることを防ぐことができる。
【0144】
なお、本実施の形態の製造方法は、前記実施の形態4の図22のD−D線における断面図で説明したが、前記実施の形態1の図3に示すレイアウトの場合、および前記実施の形態2の図16に示すレイアウトの場合にも適用できることは、勿論である。
【0145】
(実施の形態6)
本実施の形態では、前記実施の形態4よりも更にコンタクトプラグCT2を多く形成した半導体装置について図26および図27を用いて説明する。
【0146】
図26は、本実施の形態における半導体装置のスイッチ部SW1の平面図である。図27は、図26の破線で囲んだ領域を拡大して示す平面図である。
【0147】
図26に示すスイッチ部SW1は、図1に示すスイッチ部SW1を拡大したものである。図26および図27に示すように、本実施の形態の半導体装置は前記実施の形態4で説明した半導体装置とほぼ同様の構造を有しているが、スイッチ部SW1または図示していない他のスイッチ部SW2、SW3およびSW4では、第1方向に延在するコンタクトプラグCT2が、第2方向では前記実施の形態3よりも更に多く形成されている。すなわち、前記実施の形態3に比べ、第2方向に複数並んで形成され、第1方向に延在するコンタクトプラグCT2であって、第2方向に隣り合うコンタクトプラグCT2同士の間隔を狭め、第2方向に隣り合うコンタクトプラグCT2同士の間のnチャネル型MOSFETQnの数を少なくしている。
【0148】
これにより、本実施の形態では、前記実施の形態4で説明した半導体装置よりも第1方向に延在するコンタクトプラグCT2をより多く形成することで、よりnチャネル型MOSFETQnの近くで支持基板2の基板電位を制御することができるため、更に効果的に歪特性の発生を防ぐことができる。
【0149】
つまり、本実施の形態では、スイッチ部SW1の外周のみでなく、ゲート電極9を共有するMOSFET群の間にも、第1方向に延在するコンタクトプラグCT2を形成している。そして、第1方向に延在するコンタクトプラグCT2を配置する割合は、ゲート電極9を共有するMOSFET群1つに対して、1つの割合で形成している。
【0150】
なお、全てのコンタクトプラグCT2は、SOI基板SBの平面において素子分離領域1に囲まれて形成されており、図30に示すシリコン層4に形成されたソース・ドレイン領域6、エクステンション領域7およびp型ウエル13などとは絶縁されている。
【0151】
また、本実施の形態で示した半導体装置の製造方法は、前記実施の形態1の製造方法に限られず、前記実施の形態3または5の製造方法を適用しても良い。
【0152】
(実施の形態7)
本実施の形態は、前記実施の形態5で説明した製造方法の変形例であり、コンタクトホールCH2を形成する領域の絶縁膜5を、予め除去しておく点が異なる。
【0153】
以下に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について図28〜図30を用いて説明する。なお、図28〜図30は図27のE−E線における断面と同一の位置の断面図を示している。
【0154】
まず、前記実施の形態1で説明した図5〜図9と同様の工程により、図9に示すようにSOI基板SB上にnチャネル型MOSFETQnを形成し、SOI基板SB上に絶縁膜5を形成する。
【0155】
次に、前記実施の形態3で説明した図17および図18と同様の工程により、図18に示すように、基板接続領域CRにおいて絶縁膜5を一部開口して開口部5aを形成し、SOI基板SB上の全面を覆うように層間絶縁膜15を形成する。
【0156】
次に、図28に示すように、フォトリソグラフィ法を用いて、層間絶縁膜15上にパターニングされたフォトレジスト膜60を形成する。フォトレジスト膜60は基板接続領域CRの層間絶縁膜15を覆っているが、nチャネル型MOSFETQnのソース・ドレイン領域6の直上の層間絶縁膜15の上面はフォトレジスト膜60に覆われず、露出している。
【0157】
その後、フォトレジスト膜60をマスクとして、ドライエッチング法により層間絶縁膜15の上面から絶縁膜5の下面を貫いてソース・ドレイン領域6およびゲート電極9の接続部9b(図示しない)のそれぞれの上部のシリサイド層11の上面を露出させるコンタクトホールCH1を形成する。なお、図示はしないが、この時、ゲート電極9と接続するコンタクトホールCH3も形成される。
【0158】
次に、図29に示すように、フォトレジスト膜60を除去した後、フォトリソグラフィ法により、基板接続領域CRの一部を除いて層間絶縁膜15の上面を覆い、コンタクトホールCH1内を埋めるようにフォトレジスト膜61を形成する。このとき、基板接続領域CRの層間絶縁膜15の上面の一部はフォトレジスト膜61に覆われず露出している。
【0159】
その後、フォトレジスト膜61をマスクとして、ドライエッチング法により層間絶縁膜15の上面からBOX膜3の下面を貫き、支持基板2の上面(n型半導体領域12の上面)を露出するコンタクトホールCH2を形成し、図24に示す構造を得る。このとき、コンタクトホールCH2を形成する前に予め絶縁膜5を開口しているため、コンタクトホールCH2をドライエッチング法により除去する際は、SiO(酸化シリコン)からなる層間絶縁膜15、素子分離領域1およびBOX膜3を除去しやすいエッチング条件のみでエッチングを行い、支持基板2の上面(n型半導体領域12の上面)を露出させる。すなわち、コンタクトホールCH2を形成する際に、途中でSiN(窒化シリコン)からなる絶縁膜5を除去する工程がないため、エッチングの条件を変更する必要がなく、製造工程を簡略化することができる。
【0160】
続いて、フォトレジスト膜61を除去する。その後の工程は、前記実施の形態1で説明した図13および図14と同様に行い、コンタクトプラグCT1およびCT2を形成した後、配線19および配線20を形成し、図30に示す本実施の形態の半導体装置が完成する。図30に示すように、ソース・ドレイン領域6はシリコン層4の上面から下面にかけて形成されている。従って、前記実施の形態1の半導体装置と同様に、本実施の形態のnチャネル型MOSFETQnは、動作時において空乏層がp型ウエル13の上面から下面にかけて広がる完全空乏型となる。
【0161】
また、本実施の形態の半導体装置の製造工程では、図28および図29に示すようにフォトレジスト膜60および61を用いることにより、コンタクトホールCH1およびCH2をそれぞれ別工程で形成している点で、前記実施の形態1および2と異なる。これにより、本実施の形態では、コンタクトホールCH2を形成する際に、コンタクトホールCH1はフォトレジスト膜61に覆われているため、シリサイド層11がドライエッチングによりダメージを受けることを防ぐことができる。
【0162】
また、前記実施の形態2と同様に、コンタクトホールCH2を形成する前に予め絶縁膜5を開口することにより、コンタクトホールCH2を形成する際のエッチング工程を簡略化し、少ない工程数で半導体装置を製造することができる。
【0163】
なお、本実施の形態の製造方法は、前記実施の形態6の図27のE−E線における断面図で説明したが、前記実施の形態1の図3に示すレイアウトの場合、前記実施の形態2の図16に示すレイアウトの場合、および、前記実施の形態4の図22に示すレイアウトの場合にも適用できることは、勿論である。
【0164】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0165】
例えば、前記実施の形態1において述べたように、前記実施の形態2〜7はスイッチ部においてpチャネル型MOSFETを形成しても良く、nチャネル型MOSFETとpチャネル型MOSFETを混在させても良い。その場合、例えば図1に示す半導体チップCP上において、スイッチ部SW1およびスイッチ部SW3のそれぞれの全体のMOSFETをpチャネル型MOSFETとし、スイッチ部SW2およびスイッチ部SW4のそれぞれの全体のMOSFETをnチャネル型MOSFETとし、それぞれのスイッチ部内にpチャネル型MOSFETとnチャネル型MOSFETとが混在しない構造とすることが考えられる。
【0166】
また、前記実施の形態1ではゲート電極と支持基板とを電気的に接続して同電位とする説明をしているが、ゲート電極と支持基板とは電気的に接続せず、別々に電位を制御しても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明は、SOI基板上に形成された半導体素子を有する半導体装置に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0168】
1 素子分離領域
1a、1b、1d、1e 絶縁膜
1c 溝
2 支持基板
3 BOX膜
4 シリコン層
5 絶縁膜
5a 開口部
6 ソース・ドレイン領域
7 エクステンション領域
8 ゲート絶縁膜
9 ゲート電極
9a ゲート電極配線
9b 接続部
11 シリサイド層
12 n型半導体領域
13 p型ウエル
14 サイドウォール
15、16 層間絶縁膜
16a ストッパ絶縁膜
16b 配線溝
17、18 溝
19 配線
19a バリア導体膜
20 配線
60、61 フォトレジスト膜
BC 負バイアス回路
CH1、CH2 コンタクトホール
CP 半導体チップ
CR 基板接続領域
CT1〜CT3 コンタクトプラグ
CTa バリア導体膜
CTb 主導体膜
DI ESD保護ダイオード
MR MOSFET形成領域
Qn nチャネル型MOSFET
SB SOI基板
SW1〜SW4 スイッチ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持基板と、前記支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された半導体層を含むSOI構造を有する半導体基板の主面に素子分離領域に囲まれて形成され、前記半導体基板の主面に沿う第1方向に延在し、前記第1方向に並んで形成された第1導電型の複数の電界効果トランジスタを含む半導体装置であって、
前記複数の電界効果トランジスタの下部を含む前記支持基板の上面には、前記支持基板よりも低抵抗な一または複数の不純物拡散層が形成され、
前記複数の電界効果トランジスタの上部には、前記複数の不純物拡散層に所定の電位を供給する複数の金属配線が形成され、
前記一または複数の不純物拡散層および前記複数の金属配線は、前記第1方向に隣り合う前記複数の電界効果トランジスタ同士の間の前記素子分離領域および前記絶縁層を貫いて形成された複数の第1接続部材を介して電気的に接続されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記一または複数の不純物拡散層は、前記一または複数の不純物拡散層の上部に形成された前記複数の電界効果トランジスタと同一の導電型を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数の電界効果トランジスタのそれぞれはゲート電極を有し、前記ゲート電極および前記一または複数の不純物拡散層は電気的に接続されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記複数の電界効果トランジスタのそれぞれは、ゲート電極と、前記ゲート電極に沿って前記半導体層の上面から下面に渡って形成されたソース・ドレイン領域とを有しており、
前記複数の電界効果トランジスタは完全空乏型であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記複数の第1接続部材は前記半導体基板の主面に沿う方向であって前記第1方向に直交する第2方向に延在し、前記複数の第1接続部材および前記複数の電界効果トランジスタは前記第2方向に複数並んで配置されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記半導体基板の主面に沿う方向であって前記第1方向に直交する第2方向に複数並んで形成され、前記素子分離領域および前記絶縁層を貫いて、前記一または複数の不純物拡散層および前記複数の金属配線を電気的に接続する複数の第2接続部材を有し、
隣り合う前記複数の第2接続部材同士の間には前記複数の電界効果トランジスタが配置されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記複数の電界効果トランジスタのそれぞれは前記第1方向に延在するゲート電極を有し、
前記複数の第2接続部材は前記第1方向に延在し、前記第1方向に並んで複数配置されていることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項8】
支持基板と、前記支持基板上に形成された絶縁層と、前記絶縁層上に形成された半導体層を含むSOI構造を有する半導体基板の主面に形成された複数の電界効果トランジスタを含む半導体装置であって、
前記半導体基板の主面上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、
前記半導体基板の主面の前記半導体層に形成され、前記ゲート電極の下部の前記半導体層を挟むように形成されたソース・ドレイン領域と、
前記半導体基板の主面に形成された素子分離領域と、
前記複数の電界効果トランジスタの下部を含む前記支持基板の上面に形成された、前記支持基板よりも低抵抗な複数の不純物拡散層と、
前記ゲート電極よりも上層に形成された、前記複数の不純物拡散層に所定の電位を供給する複数の金属配線と、
前記素子分離領域および前記絶縁層を貫いて前記複数の不純物拡散層と前記複数の金属配線とを電気的に接続する接続部材と、
を有し、
前記複数の不純物拡散層のそれぞれは、前記複数の不純物拡散層のそれぞれの上部の前記ソース・ドレイン領域と同一の導電型を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
前記ゲート電極および前記複数の不純物拡散層は電気的に接続されていることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項10】
前記ソース・ドレイン領域は前記半導体層の上面から下面に渡って形成されており、前記複数の電界効果トランジスタは完全空乏型であることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項11】
前記複数の電界効果トランジスタは、nチャネル型の電界効果トランジスタおよびpチャネル型の電界効果トランジスタを有していることを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
【請求項12】
SOI構造を有する半導体基板上に形成された電界効果トランジスタを含む半導体装置の製造方法であって、
(a)支持基板、前記支持基板上に形成された絶縁層および前記絶縁層上に形成された半導体層により構成される前記半導体基板を準備する工程と、
(b)前記(a)工程の後に、前記半導体基板の主面に素子分離領域を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後に、前記半導体基板の主面上から前記半導体基板の主面に向かって第1導電型の不純物を注入し、前記支持基板の上面に前記支持基板よりも低抵抗な前記第1導電型の第1不純物拡散層を形成する工程と、
(d)前記(b)工程の後に、前記半導体基板の主面上から前記半導体基板の主面に向かって第2導電型の不純物を注入し、前記半導体層に前記第2導電型の第2不純物拡散層を形成する工程と、
(e)前記(c)工程および前記(d)工程の後に、前記半導体層の上面に、ゲート電極および前記第1導電型を有するソース・ドレイン領域を有する前記電界効果トランジスタを形成する工程と、
(f)前記(e)工程の後に、前記ゲート電極および前記ソース・ドレイン領域のそれぞれの表面にシリサイド層を形成する工程と、
(g)前記(f)工程の後に、前記素子分離領域、前記ゲート電極、前記ソース・ドレイン領域および前記シリサイド層を含む前記半導体基板の主面を覆うように前記半導体基板の主面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(h)前記(g)工程の後に、前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(i)前記(h)工程の後に、前記ゲート電極上および前記ソース・ドレイン領域上のそれぞれの前記シリサイド層の上面を露出する第1コンタクトホールと、前記素子分離領域の直下の前記第1不純物拡散層の上面を露出する第2コンタクトホールとをそれぞれエッチングにより形成する工程と、
(j)前記(i)工程の後に、前記第1および第2コンタクトホール内に接続部材をそれぞれ形成する工程と、
を有し、
前記(i)工程では、前記第1および第2コンタクトホールを、同一のエッチング工程により形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記(g)工程の後であって前記(h)工程の前に、前記素子分離領域上に形成された前記第1絶縁膜の一部を除去して開口させ、前記(i)工程において前記第2コンタクトホールを形成する領域の前記素子分離領域の上面を露出させ、
前記(i)工程では、前記第1絶縁膜が除去された領域内を通るように前記第2コンタクトホールを形成し、前記第2コンタクトホールを形成する際のエッチング工程において前記第1絶縁膜を除去しないことを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記(g)工程の後であって前記(h)工程の前に前記第1絶縁膜を一部除去して形成する開口は、前記半導体基板の主面に沿う方向の直径が、前記(i)工程において形成する前記第2コンタクトホールの同方向の直径よりも大きいことを特徴とする請求項13記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記(i)工程では、前記第1絶縁膜および前記シリサイド層をエッチングストッパ膜として使用することを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記(e)工程では、前記ゲート電極および前記ソース・ドレイン領域のそれぞれの上面にCoSiを含む前記シリサイド層を形成し、
前記(g)工程では前記半導体基板の主面上にSiNを含む前記第1絶縁膜を形成することを特徴とする請求項12記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
SOI構造を有する半導体基板上に形成された電界効果トランジスタを含む半導体装置の製造方法であって、
(a)支持基板、前記支持基板上に形成された絶縁層および前記絶縁層上に形成された半導体層により構成される前記半導体基板を準備する工程と、
(b)前記(a)工程の後に、前記半導体基板の主面に素子分離領域を形成する工程と、
(c)前記(b)工程の後に、前記半導体基板の主面上から前記半導体基板の主面に向かって第1導電型の不純物を注入し、前記支持基板の上面に前記支持基板よりも低抵抗な前記第1導電型の第1不純物拡散層を形成する工程と、
(d)前記(b)工程の後に、前記半導体基板の主面上から前記半導体基板の主面に向かって第2導電型の不純物を注入し、前記半導体層に前記第2導電型の第2不純物拡散層を形成する工程と、
(e)前記(c)工程および前記(d)工程の後に、前記半導体層の上面に、ゲート電極および前記第1導電型を有するソース・ドレイン領域を有する前記電界効果トランジスタを形成する工程と、
(f)前記(e)工程の後に、前記素子分離領域、前記ゲート電極および前記ソース・ドレイン領域を含む前記半導体基板の主面を覆うように前記半導体基板の主面上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(g)前記(f)工程の後に、前記第1絶縁膜上に第2絶縁膜を形成する工程と、
(h)前記(g)工程の後に、前記第2絶縁膜の上面から前記ゲート電極および前記ソース・ドレイン領域の上面に達する第1コンタクトホールをそれぞれエッチングにより形成し、前記ゲート電極および前記ソース・ドレイン領域のそれぞれの上面を露出する工程と、
(i)前記(g)工程の後に、前記第2絶縁膜の上面から前記素子分離領域の直下の前記支持基板の上面に達する第2コンタクトホールをエッチングにより形成し、前記素子分離領域の直下の前記第1不純物拡散層の上面を露出する工程と、
(j)前記(h)工程および前記(i)工程の後に、前記第1および第2コンタクトホール内に接続部材をそれぞれ形成する工程と、
を有し、
前記第1および第2コンタクトホールは、それぞれ別々の工程において形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記(g)工程の後であって前記(h)工程の前に、前記素子分離領域上に形成された前記第1絶縁膜の一部を除去して開口させ、前記(i)工程において前記第2コンタクトホールを形成する領域の前記素子分離領域の上面を露出させ、
前記(i)工程では、前記第1絶縁膜が除去された領域内を通るように前記第2コンタクトホールを形成し、前記第2コンタクトホールを形成するエッチング工程において前記第1絶縁膜を除去しないことを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記(g)工程の後であって前記(h)工程の前に前記第1絶縁膜を一部除去して形成する前記開口の、前記半導体基板の主面に沿う方向における直径は、前記(i)工程において形成する前記第2コンタクトホールの同方向における直径よりも大きいことを特徴とする請求項18記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記(e)工程では、前記ゲート電極および前記ソース・ドレイン領域のそれぞれの上面にCoSiを含むシリサイド層を形成し、
前記(g)工程では前記半導体基板の主面上にSiNを含む前記第1絶縁膜を形成することを特徴とする請求項17記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−243698(P2011−243698A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−113428(P2010−113428)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】