説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】ゲート配線に達するコンタクトホールを確実に形成し得る半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】第1応力膜38を形成する工程と、第1応力膜とエッチング特性が異なる絶縁膜40を形成する工程と、第1領域2を覆う第1マスク60を用いて、第2領域内の絶縁膜をエッチングするとともに、第1領域のうちの第2領域に近接する部分の絶縁膜をサイドエッチングする工程と、第1マスクを用いて第2領域内の第1応力膜をエッチングする工程と、絶縁膜とエッチング特性が異なる第2応力膜を形成する工程と、第2領域を覆い、第1領域側の端面が絶縁膜上に位置する第2マスクを用いて、第2応力膜の一部が第1応力膜の一部及び絶縁膜の一部と重なり合うように第2応力膜をエッチングする工程と、第1領域と第2領域との境界部におけるゲート配線20に達するコンタクトホールを形成する工程とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、PMOSトランジスタとNMOSトランジスタとを有するCMOS回路を含む半導体装置が注目されている。
【0003】
かかる半導体装置においては、例えば、PMOSトランジスタ形成領域内及びNMOSトランジスタ形成領域内に連続的にゲート配線が形成される。ゲート配線のうちのPMOSトランジスタ形成領域内の部分は、PMOSトランジスタのゲート電極として機能する。ゲート配線のうちのNMOSトランジスタ形成領域内の部分は、NMOSトランジスタのゲート電極として機能する。
【0004】
PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタが形成された半導体基板上には、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタを覆うように層間絶縁膜が形成される。層間絶縁膜にはゲート配線に達するコンタクトホールが形成され、かかるコンタクトホール内に導体プラグが埋め込まれる。
【0005】
また、PMOSトランジスタのキャリア移動度を向上させるための方法として、PMOSトランジスタのチャネル領域に圧縮応力が印加されるように、PMOSトランジスタを覆う絶縁膜を形成する方法がある。また、NMOSトランジスタのキャリア移動度を向上させるための方法として、NMOSトランジスタのチャネル領域に引っ張り応力が印加されるように、NMOSトランジスタを覆う絶縁膜を形成する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−208166号公報
【特許文献2】特開2008−16853号公報
【特許文献3】特開2007−235074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ゲート配線に達するコンタクトホールを形成する際に、良好なコンタクトホールを形成し得ない場合があった。この場合には、導体プラグとゲート配線との間の接続の信頼性が十分に確保し得ず、また、必ずしも十分に高い製造歩留まりが得られないこととなる。
【0008】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体装置を高い製造歩留まりで提供し得る半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
実施形態の一観点によれば、半導体基板の第1の領域内及び第2の領域内にゲート配線を連続的に形成し、前記ゲート配線の一部である第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを前記第1の領域内に形成するとともに、前記ゲート配線の他の一部である第2のゲート電極を有する第2のトランジスタを前記第2の領域内に形成する工程と、前記半導体基板上に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを覆うように第1の応力膜を形成する工程と、前記第1の応力膜上に、前記第1の応力膜とエッチング特性が異なる第1の絶縁膜を形成する工程と、前記第1の領域を覆い、前記第2の領域を露出する第1のマスク層を形成する工程と、前記第1のマスク層をマスクとして、前記第2の領域内の前記第1の絶縁膜をエッチング除去し、更に前記第1のマスク層の下に位置する前記第1の絶縁膜を、前記第1のマスク層の端部から第1の幅だけ前記半導体基板の表面に対して平行な方向にエッチングする工程と、前記第1のマスク層をマスクとして、前記第2の領域内の前記第1の応力膜をエッチング除去する工程と、前記半導体基板上に、前記第1の絶縁膜とエッチング特性が異なる第2の応力膜を、前記第2のトランジスタ、前記第1の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように形成する工程と、前記第2の領域を覆い、前記第1の領域側の端面が前記第1の絶縁膜上に位置する第2のマスク層を、前記第2の応力膜上に形成する工程と、前記第2のマスク層をマスクとして、前記第2の応力膜の一部が前記第1の応力膜の一部及び前記第1の絶縁膜の一部と重なり合うように、前記第2の応力膜をエッチングする工程と、前記半導体基板上に、前記第1の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように第2の絶縁膜を形成する工程と、前記第2の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の応力膜を貫通するコンタクトホールを、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における前記ゲート配線に達するように形成する工程と、前記コンタクトホール内に導体プラグを埋め込む工程とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0010】
実施形態の他の観点によれば、半導体基板の第1の領域内及び第2の領域内に連続的に形成されたゲート配線と、前記第1の領域内に形成され、前記ゲート配線の一部である第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された第1のソース/ドレイン拡散層とを有する第1のトランジスタと、前記第2の領域内に形成され、前記ゲート配線の他の一部である第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された第2のソース/ドレイン拡散層とを有する第2のトランジスタと、前記第1の領域内における前記半導体基板上に、前記第1のトランジスタを覆うように形成された第1の応力膜と、前記第1の応力膜とエッチング特性が異なり、前記第1の領域上のうちの前記第2の領域に近接する部分を除く部分に形成された第1の絶縁膜と、前記第2の領域内における前記半導体基板上に前記第2のトランジスタを覆うように形成され、前記第1の領域側の縁部が前記第1の応力膜の一部及び前記第1の絶縁膜の一部と重なり合っている第2の応力膜と、前記半導体基板上に、前記第1の応力膜、前記第2の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように形成された第2の絶縁膜と、前記第2の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の応力膜を貫通し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における前記ゲート配線に達するコンタクトホール内に埋め込まれた導体プラグとを有し、前記第1の絶縁膜のうちの前記第2の領域側の端面は、前記コンタクトホールから離間していることを特徴とする半導体装置が提供される。
【発明の効果】
【0011】
開示の半導体装置及びその製造方法によれば、第1のマスク層をマスクとして第2の領域内の第1の絶縁膜をエッチングする際に、第1の領域内の第1の絶縁膜の一部をも半導体基板の表面に対して平行な方向にエッチングする。このため、第1の領域と第2の領域との境界部におけるゲート配線に達するコンタクトホールを形成する際に、第1の絶縁膜によりエッチングが阻害されることがない。即ち、コンタクトホールをエッチングにより形成する際に、第1の絶縁膜によりエッチングが阻害されることなく、第2の絶縁膜、第2の応力膜及び第1の応力膜がエッチングされる。従って、良好なコンタクトホールを形成することができ、導体プラグとゲート配線とを確実に接続することができる。従って、信頼性の高い半導体装置を高い製造歩留まりで提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】一実施形態による半導体装置を示す断面図である。
【図2】一実施形態による半導体装置を示す平面図である。
【図3】一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図4】一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図5】一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図6】一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図7】一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図8】一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図9】一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その7)である。
【図10】一実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その8)である。
【図11】CMOS回路のゲート配線にコンタクトホールを形成する場合を示す工程断面図(その1)である。
【図12】CMOS回路のゲート配線にコンタクトホールを形成する場合を示す工程断面図(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図11及び図12は、CMOS回路のゲート配線にコンタクトホールを形成する場合を示す工程断面図である。なお、図11及び図12においては、ゲート配線120より下の部分については省略されている。
【0014】
PMOSトランジスタ形成領域102内及びNMOSトランジスタ形成領域104内には、PMOSトランジスタのゲート電極120aとNMOSトランジスタのゲート電極120bとを含むゲート配線120が形成される(図11(a)参照)。ゲート配線120の上部には、シリサイド層132が形成される。PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタが形成された半導体基板(図示せず)上には、全面に、圧縮応力膜138が形成される。圧縮応力膜138上には、エッチングストッパ膜140が形成される。エッチングストッパ膜140上には、PMOSトランジスタ形成領域102を覆い、NMOSトランジスタ形成領域4を露出するフォトレジスト膜160が形成される。
【0015】
次に、図11(b)に示すように、フォトレジスト膜160をマスクとして、エッチングストッパ膜140及び圧縮応力膜138をエッチングする。
【0016】
次に、図11(c)に示すように、全面に、引っ張り応力膜142を形成する。
【0017】
次に、引っ張り応力膜142上に、フォトレジスト膜162を形成する。フォトレジスト膜162は、NMOSトランジスタ形成領域104のみならず、PMOSトランジスタ形成領域102のうちのNMOSトランジスタ形成領域104に近接している部分をも覆うように形成される。
【0018】
次に、図11(d)に示すように、フォトレジスト膜162をマスクとし、エッチングストッパ膜140をエッチングストッパとして、引っ張り応力膜142をエッチングする。PMOSトランジスタ形成領域102の一部をも覆うようにフォトレジスト膜162が形成されているため、引っ張り応力膜142のうちのPMOSトランジスタ形成領域102側の端面は、エッチングストッパ膜140上に位置する。引っ張り応力膜142のエッチングはエッチングストッパ膜140で停止するため、PMOSトランジスタ形成領域102とNMOSトランジスタ形成領域104との境界部分において、圧縮応力膜138やシリサイド層132がエッチングされてしまうことはない。
【0019】
次に、図11(e)に示すように、全面に、層間絶縁膜144を形成する。
【0020】
次に、図12に示すように、開口部166が形成されたフォトレジスト膜164を形成する。
【0021】
次に、フォトレジスト膜164をマスクとして、層間絶縁膜144等をエッチングし、ゲート配線120に達するコンタクトホール146を形成する。
【0022】
このようにしてゲート配線120に達するコンタクトホール146を形成する場合には、コンタクトホール146を形成すべき箇所の一部にエッチングストッパ膜140の一部が存在し、エッチングストッパ膜140によりエッチングが阻害される。このため、図12に示すように、コンタクトホール146の下部においてコンタクトホール146の断面積が比較的小さくなってしまったり、開口不良が生じてしまったりする虞がある。
【0023】
[一実施形態]
一実施形態による半導体装置及びその製造方法を図1乃至図10を用いて説明する。
【0024】
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置を図1乃至図2を用いて説明する。図1は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図2は、本実施形態による半導体装置を示す平面図である。図1の紙面左側の図は、PMOSトランジスタ形成領域(第1トランジスタ形成領域)2を示しており、図2におけるA−A′線断面に対応している。図1における中央部の図は、NMOSトランジスタ形成領域(第2トランジスタ形成領域)4を示しており、図2におけるB−B′線断面に対応している。図1における紙面右側の図は、ゲート配線に沿った断面図であり、図2におけるC−C′線断面に対応している。
【0025】
図1に示すように、半導体基板10には、素子領域12a、12bを確定する素子分離領域14が形成されている。半導体基板10としては、例えばP型のシリコン基板が用いられている。PMOSトランジスタ形成領域2内、及び、NMOSトランジスタ形成領域4内には、それぞれ素子分離領域14により確定された素子領域12a、12bが形成されている。
【0026】
PMOSトランジスタ形成領域2における半導体基板10内には、N型ウェル16Nが形成されている。NMOSトランジスタ形成領域4における半導体基板10内には、P型ウェル16Pが形成されている。
【0027】
PMOSトランジスタ形成領域2には、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極20aが形成されている。NMOSトランジスタ形成領域4には、ゲート絶縁膜18を介してゲート電極20bが形成されている。
【0028】
ゲート電極20a及びゲート電極20bは、PMOSトランジスタ形成領域2及びNMOSトランジスタ形成領域4内に連続的に形成されたゲート配線20の一部である。ゲート配線20としては、例えばポリシリコン膜等が用いられている。ゲート配線20は、かかるポリシリコン膜等の上に形成されたシリサイド層32等を含んでいてもよい。
【0029】
ゲート配線20は、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界の近傍領域、即ち、境界部において、幅広に形成されている(図2参照)。即ち、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20には、幅広部(接続部)21が形成されている。このため、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20の幅は、素子領域12a、12b内におけるゲート配線20の幅より広く設定されている。ゲート配線20にこのような幅広部21を形成しているのは、導体プラグ50aを埋め込むためのコンタクトホール46aが、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部に達するように形成されるためである。
【0030】
PMOSトランジスタ形成領域2におけるゲート配線20には、P型のドーパント不純物が導入されており、これにより、PMOSトランジスタ34のゲート電極20aが形成されている。NMOSトランジスタ形成領域4におけるゲート配線20には、N型のドーパント不純物が導入されており、これにより、NMOSトランジスタ36のゲート電極20bが形成されている。このように、ゲート配線20のうちのPMOSトランジスタ形成領域2内の部分はPMOSトランジスタ34のゲート電極20aとなっており、ゲート配線20のうちのNMOSトランジスタ形成領域4内の部分はNMOSトランジスタ36のゲート電極20bとなっている。
【0031】
PMOSトランジスタ34のゲート電極20aとNMOSトランジスタ36のゲート電極20bとの境界は、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界と一致している。
【0032】
ゲート配線20の側壁部分、即ち、PMOSトランジスタ34のゲート電極20aの側壁部分、及び、NMOSトランジスタ36のゲート電極20bの側壁部分には、サイドウォール絶縁膜22が形成されている。
【0033】
サイドウォール絶縁膜22が形成されたゲート電極20aの両側の半導体基板10内には、低濃度不純物拡散層(エクステンション領域)24aと高濃度不純物拡散層24bとを有するソース/ドレイン拡散層26が形成されている。
【0034】
サイドウォール絶縁膜22が形成されたゲート電極20bの両側の半導体基板10内には、低濃度不純物拡散層(エクステンション領域)28aと高濃度不純物拡散層28bとを有するソース/ドレイン拡散層30が形成されている。
【0035】
ゲート配線20の上部、及び、ソース/ドレイン拡散層26、30上には、それぞれシリサイド層32が形成されている。シリサイド層32としては、例えばニッケルシリサイド層やコバルトシリサイド層等が用いられている。ソース/ドレイン拡散層26、30上のシリサイド層32は、ソース/ドレイン電極として機能する。ゲート配線20の上部のシリサイド層32は、ゲート配線20の低抵抗化を図るためのものである。
【0036】
こうして、PMOSトランジスタ形成領域2には、ゲート電極20aとソース/ドレイン拡散層26等とを有するPMOSトランジスタ34が形成されている。また、NMOSトランジスタ形成領域4には、ゲート電極20bとソース/ドレイン拡散層30等とを有するNMOSトランジスタ36が形成されている。
【0037】
PMOSトランジスタ形成領域2における半導体基板10上には、PMOSトランジスタ34を覆うように応力膜(第1の応力膜)38が形成されている。応力膜38は、PMOSトランジスタ34のチャネル領域に圧縮応力を印加し、キャリア移動度の向上を図るものである。応力膜38としては、例えばシリコン窒化膜が用いられている。応力膜38の膜厚としては、例えば30〜100nmの範囲内に設定することが好ましい。ここでは、応力膜38の膜厚を、例えば80nm程度とする。応力膜38のうちのNMOSトランジスタ形成領域4側の端面は、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界と一致している。
【0038】
応力膜38上には、応力膜38とエッチング特性が異なるエッチングストッパ膜(絶縁膜)40が形成されている。エッチングストッパ膜40は、後述する応力膜(第2の応力膜)42をエッチングする際に、エッチングストッパとして機能するものである。エッチングストッパ膜40としては、例えばシリコン酸化膜が用いられている。エッチングストッパ膜40の膜厚は、例えば10〜50nmの範囲内に設定することが好ましい。ここでは、エッチングストッパ膜40の膜厚を、例えば30nm程度とする。エッチングストッパ膜40は、PMOSトランジスタ形成領域2のうちのNMOSトランジスタ形成領域4に近接する部分を除く部分に形成されている。即ち、エッチングストッパ膜40のNMOSトランジスタ形成領域4側の端面は、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界から離間している。エッチングストッパ膜40のNMOSトランジスタ形成領域4側の端面と、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界との間の距離Xは、例えば60nm程度とする。
【0039】
NMOSトランジスタ形成領域4における半導体基板10上には、NMOSトランジスタ36を覆うように応力膜(第2の応力膜)42が形成されている。応力膜42は、NMOSトランジスタ36のチャネル領域に引っ張り応力を印加し、キャリア移動度の向上を図るものである。応力膜42のエッチング特性は、エッチングストッパ膜40のエッチング特性と異なっている。応力膜42としては、例えばシリコン窒化膜が用いられている。応力膜42の膜厚としては、例えば30〜100nmの範囲内に設定することが好ましい。ここでは、応力膜42の膜厚を、例えば80nm程度とする。応力膜42のうちのPMOSトランジスタ形成領域2側の縁部は、応力膜38の一部及びエッチングストッパ膜40の一部と重なり合っている。応力膜42のPMOSトランジスタ形成領域2側の端面と、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界との間の距離Yは、例えば80nm程度とする。
【0040】
応力膜38、エッチングストッパ膜40及び応力膜42が形成された半導体基板10上には、層間絶縁膜44が形成されている。層間絶縁膜44の表面は、平坦化されている。層間絶縁膜44の膜厚は、例えば200〜500nmの範囲内に設定することが好ましい。ここでは、層間絶縁膜44の膜厚を、例えば400nm程度とする。層間絶縁膜44としては、例えばシリコン酸化膜やPSG(Phospho Silicate Glass)膜等が用いられている。
【0041】
層間絶縁膜44、応力膜42及び応力膜38には、ゲート配線20に達するコンタクトホール46aが形成されている。かかるコンタクトホール46aは、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に達するように形成されている。コンタクトホール46aは、素子領域12aとソース領域12bの間に位置している素子分離領域14の上方に位置している。コンタクトホール46aは、層間絶縁膜44、応力膜42及び応力膜38を貫通している。エッチングストッパ40のうちのNMOSトランジスタ形成領域4側の端面は、コンタクトホール46aから離間している。
【0042】
本実施形態において、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に達するようにコンタクトホール46aを形成するのは、以下のような理由によるものである。即ち、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界からずれた箇所にコンタクトホール46aを形成する場合には、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4のいずれかのサイズが大きくなってしまう。PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4のサイズを最小限にするためには、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に達するコンタクトホール46aを配することが好ましい。このような理由により、本実施形態では、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に達するようにコンタクトホール46aが形成されている。
【0043】
PMOSトランジスタ形成領域2における層間絶縁膜44、エッチングストッパ膜40及び応力膜38には、PMOSトランジスタ34のソース/ドレイン電極32に達するコンタクトホール46bが形成されている。
【0044】
NMOSトランジスタ形成領域4における層間絶縁膜44及び応力膜42には、NMOSトランジスタ36のソース/ドレイン電極32に達するコンタクトホール46cが形成されている。
【0045】
コンタクトホール46a〜46cの上部の直径Dは、例えば80nm程度とする。
【0046】
コンタクトホール46a〜46cの底面及び側面には、バリアメタル膜48が形成されている。バリアメタル膜48は、例えばTi膜(図示せず)とTiN膜(図示せず)とを順次積層することにより形成されている。
【0047】
バリアメタル膜48が形成されたコンタクトホール46a〜46c内には、それぞれ導体プラグ50a〜50cが埋め込まれている。導体プラグ50a〜50cの材料としては、例えばタングステン(W)が用いられている。導体プラグ50aは、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に接続されている。導体プラグ50bは、PMOSトランジスタ34のソース/ドレイン電極32に接続されている。導体プラグ50cは、NMOSトランジスタ36のソース/ドレイン電極32に接続されている。
【0048】
導体プラグ50a〜50cが埋め込まれた層間絶縁膜44上には、層間絶縁膜52が形成されている。層間絶縁膜52としては、例えばシリコン酸化膜が用いられている。
【0049】
層間絶縁膜52には、配線58を埋め込むための溝54が形成されている。溝54の底面には、導体プラグ50a〜50cの上面が露出している。
【0050】
溝54内には、バリアメタル膜56が形成されている。バリアメタル膜56としては、例えばTa(タンタル)膜が用いられている。
【0051】
バリアメタル膜56が形成された溝54内には、配線58が埋め込まれている。配線58の材料としては、例えばCu(銅)等が用いられている。
【0052】
こうして、PMOSトランジスタ34とNMOSトランジスタ36とを有するCMOS回路を含む半導体装置が形成されている。
【0053】
このように、本実施形態によれば、エッチングストッパ膜40のうちのNMOSトランジスタ形成領域4側の端面が、コンタクトホール46aから離間している。このため、本実施形態によれば、エッチングストッパ膜40によりエッチングが阻害されることなく、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に達するようにコンタクトホール46aが形成されている。本実施形態によれば、層間絶縁膜44、応力膜42及び応力膜38を貫通する良好なコンタクトホール46aを形成することができる。そして、かかるコンタクトホール46a内に導体プラグ50aが埋め込まれるため、導体プラグ50aとゲート配線20とを確実に接続することができる。従って、本実施形態によれば、信頼性の高い半導体装置を高い製造歩留まりで提供することができる。
【0054】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図3乃至図10を用いて説明する。図3乃至図10は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0055】
まず、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、半導体基板10に、素子領域12a、12bを確定する素子分離領域14を形成する(図3(a)参照)。半導体基板10としては、例えばP型のシリコン基板を用いる。こうして、PMOSトランジスタ形成領域2内に、素子分離領域14により確定された素子領域12aが形成される。また、NMOSトランジスタ形成領域4内に、素子分離領域14により確定された素子領域12bが形成される。
【0056】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0057】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、PMOSトランジスタ形成領域2を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
【0058】
次に、フォトレジスト膜をマスクとし、例えばイオン注入法により、半導体基板10内にN型のドーパント不純物を導入する。これにより、PMOSトランジスタ形成領域2における半導体基板10内に、N型ウェル16Nが形成される。
【0059】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0060】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、NMOSトランジスタ形成領域4を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
【0061】
次に、フォトレジスト膜をマスクとし、例えばイオン注入法により、半導体基板10内にP型のドーパント不純物を導入する。これにより、NMOSトランジスタ形成領域4における半導体基板10内に、P型ウェル16Pが形成される。
【0062】
次に、例えば熱酸化法により、半導体基板10の表面にゲート絶縁膜18を形成する。ゲート絶縁膜18としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。ゲート絶縁膜18の膜厚は、例えば1.5nmとする。
【0063】
次に、全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法により、ポリシリコン膜を形成する。ポリシリコン膜は、ゲート配線20となるものである。ポリシリコン膜の膜厚は、例えば100nmとする。
【0064】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0065】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜をゲート配線20の平面形状にパターニングする。
【0066】
次に、フォトレジスト膜をマスクとしてポリシリコン膜をエッチングする。こうして、PMOSトランジスタ形成領域2内及びNMOSトランジスタ形成領域4内に、ポリシリコン膜により形成されたゲート配線20が連続的に形成される。
【0067】
ゲート配線20は、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界の近傍領域、即ち、境界部において、幅広に形成される(図2参照)。即ち、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20の幅は、素子領域12a、12b内におけるゲート配線20の幅より広く設定される。PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20の幅をこのように比較的広く設定するのは、かかる幅広の部分に達するようにコンタクトホール46aが形成されるためである。この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
【0068】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0069】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、PMOSトランジスタ形成領域2を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
【0070】
次に、フォトレジスト膜とゲート配線20とをマスクとし、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入する。これにより、PMOSトランジスタ形成領域2内におけるゲート配線20の両側の半導体基板10内に、P型の低濃度不純物領域(エクステンション領域)24aが形成される。この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
【0071】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0072】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、NMOSトランジスタ形成領域4を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
【0073】
次に、フォトレジスト膜とゲート配線20とをマスクとし、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入する。これにより、NMOSトランジスタ形成領域4内におけるゲート配線20の両側の半導体基板10内に、N型の低濃度不純物領域(エクステンション領域)28aが形成される。この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
【0074】
次に、全面に、例えばCVD法により、絶縁膜を形成する。かかる絶縁膜は、サイドウォール絶縁膜となるものである。かかる絶縁膜としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。絶縁膜の膜厚は、例えば30nmとする。
【0075】
次に、例えば異方性エッチングにより、絶縁膜をエッチングする。これにより、ゲート配線20の側壁部分に、サイドウォール絶縁膜22が形成される。
【0076】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0077】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、PMOSトランジスタ形成領域2を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
【0078】
次に、フォトレジスト膜、ゲート配線20及びサイドウォール絶縁膜22をマスクとし、例えばイオン注入法により、P型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入する。これにより、PMOSトランジスタ形成領域2におけるゲート配線20の両側の半導体基板10内に、P型の高濃度不純物領域24bが形成される。こうして、低濃度不純物領域(エクステンション領域)24aと高濃度不純物領域24bとにより、エクステンションソース/ドレイン構造のソース/ドレイン拡散層26が形成される。
【0079】
ソース/ドレイン拡散層26を形成するためのP型のドーパント不純物の注入の際には、PMOSトランジスタ形成領域2内のゲート配線20にもP型のドーパント不純物が導入される。こうして、ゲート配線20のうちのPMOSトランジスタ形成領域2内の部分は、P型のドーパント不純物が導入されたゲート電極20aとなる。この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
【0080】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0081】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、NMOSトランジスタ形成領域4を露出する開口部(図示せず)をフォトレジスト膜に形成する。
【0082】
次に、フォトレジスト膜、ゲート配線20及びサイドウォール絶縁膜22をマスクとし、例えばイオン注入法により、N型のドーパント不純物を半導体基板10内に導入する。これにより、NMOSトランジスタ形成領域4におけるゲート配線20の両側の半導体基板10内に、N型の高濃度不純物領域28bが形成される。こうして、低濃度不純物領域(エクステンション領域)28aと高濃度不純物領域28bとにより、エクステンションソース/ドレイン構造のソース/ドレイン拡散層30が形成される。
【0083】
ソース/ドレイン拡散層30を形成するためのN型のドーパント不純物の注入の際には、NMOSトランジスタ形成領域4内のゲート配線20にもN型のドーパント不純物が導入される。こうして、ゲート配線20のうちのNMOSトランジスタ形成領域4内の部分は、N型のドーパント不純物が導入されたゲート電極20bとなる。PMOSトランジスタ34のゲート電極20aとNMOSトランジスタ36のゲート電極20bとの境界は、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界と一致する。この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜を除去する。
【0084】
次に、全面に、高融点金属膜を形成する。かかる高融点金属膜としては、例えばニッケル膜やコバルト膜等を形成する。高融点金属膜の膜厚は、例えば10nm程度とする。
【0085】
次に、熱処理を行うことにより、半導体基板10中のシリコン原子と高融点金属膜中の金属原子とを反応させる。また、ゲート配線20中のシリコン原子と高融点金属膜中の金属原子とを反応させる。熱処理温度は、例えば200〜300℃程度とする。
【0086】
次に、高融点金属膜のうちの未反応の部分をエッチング除去する。
【0087】
こうして、ソース/ドレイン拡散層26、30上に、それぞれシリサイド層32が形成される。ソース/ドレイン拡散層26、30上に形成されたシリサイド層32は、ソース/ドレイン電極として機能する。また、ゲート配線20の上部にも、シリサイド層32が形成される。
【0088】
こうして、PMOSトランジスタ形成領域2内に、ゲート電極20aとソース/ドレイン拡散層26等とを有するPMOSトランジスタ34が形成される。また、NMOSトランジスタ形成領域4内に、ゲート電極20bとソース/ドレイン拡散層30等とを有するNMOSトランジスタ36が形成される。
【0089】
次に、全面に、例えばプラズマCVD法により、応力膜(第1の応力膜)38を形成する(図3(b)参照)。応力膜38は、PMOSトランジスタ34のチャネル領域に圧縮応力を印加し、キャリア移動度の向上を図るものである。
【0090】
応力膜(圧縮応力膜)38は、例えば以下のようにして形成することができる。即ち、応力膜38は、例えば、平行平板型のプラズマCVD装置を用い、真空チャンバ内において形成される。応力膜38を形成する際の基板温度は、例えば400℃程度とする。真空チャンバ内には、例えば、Nガス、Hガス、NHガス、SiHガス、及び、(CHSiHガス(トリメチルシランガス)が同時に供給される。Nガスの流量は、例えば500〜3000sccmとする。Hガスの流量は、例えば500〜3000sccmとする。NHガスの流量は、例えば100〜1000sccmとする。SiHガスの流量は、例えば200〜500sccmとする。(CHSiHガスの流量は、例えば50〜150sccmとする。チャンバ内の圧力は、例えば1〜10Torrとする。印加する高周波電力の周波数は、例えば13.56MHzとする。印加する高周波電力の大きさは、例えば100〜500W程度とする。応力膜38の成膜時間、即ち、プラズマの励起時間は、例えば10〜100秒程度とする。こうして、シリコン窒化膜により形成された圧縮応力膜38が形成される。圧縮応力膜38の膜厚としては、例えば30〜100nmの範囲内に設定することが好ましい。ここでは、圧縮応力膜38の膜厚を、例えば80nm程度とする。
【0091】
次に、全面に、例えばプラズマCVD法により、エッチングストッパ(絶縁膜)40を形成する(図4(a)参照)。エッチングストッパ膜40は、後工程において形成される応力膜(第2の応力膜)42をエッチングする際に、エッチングストッパとして機能するものである。従って、エッチングストッパ膜40のエッチング特性は、後工程において形成される応力膜42のエッチング特性と異なっている。また、エッチングストッパ膜40のエッチング特性は、エッチングストッパ膜40の下に位置する応力膜38のエッチング特性とも異なっている。エッチングストッパ膜40としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。エッチングストッパ膜40は、例えばTEOS(Tetraethoxysilane、テトラエトキシシラン)等を用いて形成される。エッチングストッパ膜40の膜厚は、例えば10〜50nmの範囲内に設定することが好ましい。ここでは、エッチングストッパ膜40の膜厚を、例えば30nm程度とする。
【0092】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜60を形成する。
【0093】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜60をパターニングする(図4(b)参照)。これにより、PMOSトランジスタ形成領域2を覆い、NMOSトランジスタ形成領域4を露出するフォトレジスト膜60が形成される。フォトレジスト膜60のうちのNMOSトランジスタ形成領域4側の端面は、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界と一致する。
【0094】
次に、フォトレジスト膜60をマスクとして、エッチングストッパ膜40を等方性エッチングする(図5(a)参照)。等方性エッチングを行うため、エッチングストッパ膜40のうちのフォトレジスト膜60から露出している部分のみならず、エッチングストッパ膜40のうちのフォトレジスト膜60により覆われている部分の一部もエッチングされる。即ち、PMOSトランジスタ形成領域2内のエッチングストッパ膜40のうちのNMOSトランジスタ形成領域4に近接する部分が、半導体基板10の表面に対して平行な方向にエッチングされる(サイドエッチング)。換言すれば、フォトレジスト膜60の下に位置するエッチングストッパ膜40が、フォトレジスト膜60の端部から所定の幅Xだけ半導体基板10の表面に対して平行な方向にエッチングされる。
【0095】
エッチングストッパ膜40を等方性エッチングする際には、例えばウェットエッチングを用いることができる。エッチング液としては、例えば、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムとを含むエッチング液が用いられる。エッチング液におけるフッ化水素酸の濃度は、例えば0.5wt%程度とする。また、エッチング液におけるフッ化アンモニウムの濃度は、例えば30wt%程度とする。
【0096】
なお、エッチング液は、フッ化水素酸とフッ化アンモニウムとを含むエッチング液に限定されるものではない。但し、エッチングストッパ膜40に対するエッチングレートが、応力膜38に対するエッチングレートより十分に速くなるようなエッチング液を用いることが好ましい。エッチングストッパ膜40をエッチングする際に応力膜38が過度にエッチングされ、応力膜38が過度に薄くなってしまった場合には、PMOSトランジスタ34のチャネル領域に十分な応力を印加することができなくなってしまうためである。
【0097】
また、例えば、ケミカルドライエッチング法により、エッチングストッパ膜40を等方性エッチングしてもよい。即ち、例えばリモートプラズマ型のドライエッチング装置を用い、エッチングガスを励起してラジカルを発生させ、かかるラジカルを半導体基板上に照射することにより、エッチングストッパ膜40を等方性エッチングしてもよい。この場合にも、エッチングストッパ膜40に対するエッチングレートが、応力膜38に対するエッチングレートより十分に速くなるように、エッチングガス等を設定することが好ましい。
【0098】
サイドエッチング量X、即ち、エッチングストッパ膜40のNMOSトランジスタ形成領域4側の端面と、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界との間の距離Xは、以下のような点を考慮して設定される。
【0099】
即ち、距離Xがあまりに小さい場合には、後工程においてエッチングによりコンタクトホール46aを形成する際に、エッチングストッパ膜38によりエッチングが阻害されてしまうこととなる。エッチングストッパ膜38によりエッチングが阻害されるのを防止するためには、エッチングストッパ膜38のPMOSトランジスタ形成領域2側の端面の位置を、コンタクトホール46aから離間させることが好ましい。具体的には、距離Xをコンタクトホール46aの半径(D/2)より大きく設定することが好ましい。
【0100】
フォトレジスト膜60をパターニングする際や、後工程においてコンタクトホール46aを形成するためのフォトレジスト膜64をパターニングする際等には、フォトリソグラフィにおける位置合わせ誤差が生じる場合がある。コンタクトホール46aを形成する際にエッチングストッパ膜38によりエッチングが阻害されるのを確実に防止するためには、フォトリソグラフィにおける位置合わせ誤差をも考慮することがより好ましい。このため、フォトリソグラフィにおける位置合わせ誤差の最大値をPとし、コンタクトホール46aの半径を(D/2)とすると、以下のような式(1)を満たすようにサイドエッチング量Xを設定することがより好ましい。
【0101】
(D/2)+P < X ・・・ (1)
上記の式(1)を満たすようにコンタクトホール46aの半径及びサイドエッチング量Xを設定すれば、コンタクトホール46aを形成する際にエッチングストッパ膜38によりエッチングが阻害されるのをより確実に防止することが可能となる。
【0102】
こうして、PMOSトランジスタ形成領域2のうちのNMOSトランジスタ形成領域4に近接する部分を除く部分にエッチングストッパ膜40が残存する。即ち、エッチングストッパ膜40のNMOSトランジスタ形成領域4側の端面は、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界から離間した状態となる。エッチングストッパ膜40のNMOSトランジスタ形成領域4側の端面と、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界との間の距離Xは、例えば60nm程度とする。
【0103】
次に、フォトレジスト膜60をマスクとして、応力膜38を異方性エッチングする(図5(b)参照)。異方性エッチングは、例えば、平行平板型のドライエッチング装置を用い、真空チャンバ内において行われる。エッチングする際の基板温度は、例えば25℃程度とする。真空チャンバ内に導入するエッチングガスは、例えば、Cガス、Cガス、CFガス、CHFガス、CHガス、CHFガス、Oガス、COガス、Arガスを任意の組み合わせで混合して用いることができる。例えば、エッチングガスとして、CガスとOガスとArガスとの混合ガスを用いることができる。この場合、CガスとOガスとArガスとの流量比は、例えば、(1〜20):(1〜20):(300〜1000)とする。CガスとOガスとArガスとの混合ガスの総流量は、例えば300〜1000sccmの範囲内とする。チャンバ内の圧力は、例えば10〜300mTorrとする。印加する高周波電力の周波数は、例えば13.56MHzとする。印加する高周波電力の大きさは、例えば100〜1000W程度とする。なお、エッチングの途中で、エッチングガスを他の組み合わせの混合ガスに切り換えるようにしてもよい。例えば、CHFガスとOガスとArガスとの混合ガスに切り換えるようにしてもよい。この場合、CHFガスとOガスとArガスとの流量比は、例えば、(5〜100):(1〜300):(0〜1000)とする。CHFガスとOガスとArガスとの混合ガスの総流量は、例えば300〜1000sccmの範囲内とする。
【0104】
次に、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜60を除去する(図6(a)参照)。
【0105】
次に、全面に、例えばプラズマCVD法により、応力膜(第2の応力膜)42を形成する(図6(b)参照)。応力膜42は、NMOSトランジスタ36のチャネル領域に引っ張り応力を印加し、キャリア移動度の向上を図るものである。
【0106】
応力膜(引っ張り応力膜)42は、例えば以下のようにして形成することができる。即ち、応力膜42は、例えば、平行平板型のプラズマCVD装置を用い、真空チャンバ内において形成される。応力膜42を形成する際の基板温度は、例えば400℃程度とする。真空チャンバ内には、例えば、Nガス、NHガス及びSiHガスが同時に供給される。Nガスの流量は、例えば500〜3000sccmとする。NHガスの流量は、例えば100〜1000sccmとする。SiHガスの流量は、例えば200〜500sccmとする。チャンバ内の圧力は、例えば1〜10Torrとする。印加する高周波電力の周波数は、例えば13.56MHzとする。印加する高周波電力の大きさは、例えば100〜500W程度とする。応力膜42の成膜時間、即ち、プラズマの励起時間は、例えば10〜100秒程度とする。こうして、全面に、シリコン窒化膜が形成される。次に、紫外線照射装置を用い、シリコン窒化膜に紫外線を照射する。紫外線の光源としては、広帯域の紫外線光源を用いる。紫外線を照射する際の雰囲気は、例えばHe雰囲気とする。紫外線の照射時間は、例えば180〜600秒程度とする。
【0107】
こうして、シリコン窒化膜により形成された引っ張り応力膜42が形成される。応力膜42の膜厚は、例えば30〜100nmの範囲内に設定することが好ましい。ここでは、応力膜42の膜厚を、例えば80nm程度とする。応力膜42のエッチング特性は、エッチングストッパ膜40のエッチング特性と異なっている。
【0108】
次に、全面に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜62を形成する。
【0109】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜62をパターニングする(図7(a)参照)。フォトレジスト膜62は、NMOSトランジスタ形成領域4のみならず、PMOSトランジスタ形成領域2の一部をも覆うように形成される。具体的には、フォトレジスト膜62は、NMOSトランジスタ形成領域4を覆い、PMOSトランジスタ形成領域2側の端面がエッチングストッパ膜40上に位置するように形成される。
【0110】
フォトレジスト膜62のPMOSトランジスタ形成領域2側の端面と、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界との間の距離Yは、以下のような点を考慮して設定される。
【0111】
即ち、距離Yがあまりに小さい場合には、後工程においてエッチングストッパ膜40をエッチングストッパとして応力膜42をエッチングする際に、エッチングストッパ膜40が存在していない領域において、応力膜38やシリサイド層32までもがエッチングされてしまう虞がある。応力膜42をエッチングする際に、応力膜38やシリサイド層32までもがエッチングされてしまうのを防止するためには、フォトレジスト膜62のMOSトランジスタ形成領域2側の縁部が、エッチングストッパ膜40上に位置することが好ましい。具体的には、距離Yを距離Xより大きく設定することが好ましい。
【0112】
フォトレジスト膜62をパターニングする際には、フォトリソグラフィにおける位置合わせ誤差が生じる場合がある。応力膜42をエッチングする際に応力膜38までもがエッチングされるのを確実に防止するためには、フォトリソグラフィにおける位置合わせ誤差をも考慮することがより好ましい。このため、フォトリソグラフィにおける位置合わせ誤差の最大値をQとすると、以下のような式(2)を満たすように距離Yを設定することがより好ましい。
【0113】
Y−Q > X ・・・ (2)
上記の式(2)を満たすように距離X及び距離Yを設定すれば、応力膜42をエッチングする際に応力膜38やシリサイド層32までもがエッチングされるのをより確実に防止することが可能となる。
【0114】
次に、フォトレジスト膜62をマスクとし、エッチングストッパ膜40をエッチングストッパとして、応力膜42を異方性エッチングする(図7(b)参照)。異方性エッチングは、例えば、平行平板型のドライエッチング装置を用い、真空チャンバ内において行われる。エッチングする際の基板温度は、例えば25℃程度とする。真空チャンバ内に導入するエッチングガスは、例えば、Cガス、Cガス、CFガス、CHFガス、CHガス、CHFガス、Oガス、COガス、Arガスを任意の組み合わせで混合して用いることができる。例えば、エッチングガスとして、CガスとOガスとArガスとの混合ガスを用いることができる。この場合、CガスとOガスとArガスとの流量比は、例えば、(1〜20):(1〜20):(300〜1000)とする。CガスとOガスとArガスとの混合ガスの総流量は、例えば300〜1000sccmの範囲内とする。チャンバ内の圧力は、例えば10〜300mTorrとする。印加する高周波電力の周波数は、例えば13.56MHzとする。印加する高周波電力の大きさは、例えば100〜1000W程度とする。なお、エッチングの途中で、エッチングガスを他の組み合わせの混合ガスに切り換えるようにしてもよい。例えば、CHFガスとOガスとArガスとの混合ガスに切り換えるようにしてもよい。この場合、CHFガスとOガスとArガスとの流量比は、例えば、(5〜100):(1〜300):(0〜1000)とする。CHFガスとOガスとArガスとの混合ガスの総流量は、例えば300〜1000sccmの範囲内とする。
【0115】
次に、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜62を除去する(図8(a)参照)。
こうして、PMOSトランジスタ形成領域2側の端面がエッチングストッパ膜40上に位置するように、応力膜42が形成される。即ち、応力膜42の一部が応力膜38の一部及びエッチングストッパ膜40の一部と重なり合うように、応力膜42が形成される。応力膜42のPMOSトランジスタ形成領域2側の端面と、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界との間の距離Yは、距離Xより大きく設定される。応力膜42のPMOSトランジスタ形成領域2側の端面と、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界との間の距離Yは、例えば80nm程度とする。
【0116】
次に、全面に、例えばCVD法により、層間絶縁膜44を形成する(図8(b)参照)。層間絶縁膜44の膜厚は、例えば200〜500nmの範囲内に設定することが好ましい。ここでは、層間絶縁膜44の膜厚を、例えば400nm程度とする。層間絶縁膜44としては、例えばシリコン酸化膜やPSG(Phospho Silicate Glass)膜等を形成する。
【0117】
次に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、層間絶縁膜44の表面を平坦化する。
【0118】
次に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜64を形成する(図9(a)参照)。
【0119】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜64に開口部66a〜66cを形成する。開口部66aは、コンタクトホール46aを形成するためのものである。コンタクトホール46aを形成するための開口部66の半径(D/2)は、距離Xより小さく設定される。より好ましくは、コンタクトホール46aを形成するための開口部66の半径(D/2)は、上記の式(1)を満たすように設定される。PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20の上方に開口部66aの中心が位置するように、開口部66aを形成する。開口部66b、66cは、それぞれコンタクトホール46b、46cを形成するためのものである。開口部66b、66cは、それぞれシリサイド層32の上方に位置するように形成される。ここでは、開口部66aの直径Dを、例えば80nm程度とする。
【0120】
次に、フォトレジスト膜64をマスクとして、層間絶縁膜44、応力膜42及び応力膜38をエッチングする。エッチングは、例えば、平行平板型のドライエッチング装置を用い、真空チャンバ内において行われる。エッチングする際の基板温度は、例えば25℃程度とする。真空チャンバ内に導入するエッチングガスは、例えば、Cガス、Cガス、CFガス、CHFガス、CHガス、CHFガス、Oガス、COガス、Arガスを任意の組み合わせで混合して用いることができる。
【0121】
具体的には、層間絶縁膜44をエッチングする際には、エッチングガスとして、例えばCガスとOガスとArガスとの混合ガスを用いることができる。この場合、CガスとOガスとArガスとの流量比は、例えば、(1〜50):(1〜50):(300〜1000)とする。CガスとOガスとArガスとの混合ガスの総流量は、例えば300〜1000sccmの範囲内とする。チャンバ内の圧力は、例えば10〜300mTorrとする。印加する高周波電力の周波数は、例えば13.56MHzとする。印加する高周波電力の大きさは、例えば100〜1000W程度とする。
【0122】
また、応力膜42及び応力膜38をエッチングする際には、エッチングガスとして、例えばCHFガスとOガスとArガスとの混合ガスを用いることができる。この場合、CHFガスとOガスとArガスとの流量比は、例えば、(5〜100):(1〜300):(0〜1000)とする。CHFガスとOガスとArガスとの混合ガスの総流量は、例えば300〜1000sccmの範囲内とする。チャンバ内の圧力は、例えば10〜300mTorrとする。印加する高周波電力の周波数は、例えば13.56MHzとする。印加する高周波電力の大きさは、例えば100〜1000W程度とする。
【0123】
こうして、層間絶縁膜44、応力膜42及び応力膜38には、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に達するようにコンタクトホール46aが形成される。コンタクトホール46aは、層間絶縁膜44、応力膜42及び応力膜38を貫通する。コンタクトホール46aの上部の直径Dは、例えば80nm程度となる。
【0124】
PMOSトランジスタ形成領域2における層間絶縁膜44、エッチングストッパ膜40及び応力膜38には、PMOSトランジスタ34のソース/ドレイン電極32に達するコンタクトホール46bが形成される。また、NMOSトランジスタ形成領域4における層間絶縁膜44及び応力膜42には、NMOSトランジスタ36のソース/ドレイン電極32に達するコンタクトホール46cが形成されている。
【0125】
エッチングストッパ膜40のうちのNMOSトランジスタ形成領域4側の端面は、コンタクトホール46aが形成される箇所から離間しているため、コンタクトホール46aを形成する際にエッチングストッパ40によりエッチングが阻害されることがない。従って、本実施形態によれば、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に達するコンタクトホール46aを、確実に形成することができる。
【0126】
なお、応力膜38と応力膜42とはエッチング特性が若干異なる。しかしながら、応力膜38と応力膜42とのエッチングレートの差は、エッチングストッパ膜40と応力膜42とのエッチングレートの差と比較して無視できるほど小さい。また、応力膜38と応力膜42とのエッチングレートの差は、エッチングストッパ膜40と応力膜38とのエッチングレートの差と比較しても無視できるほど小さい。応力膜38と応力膜42とのエッチングレートが若干異なっていても、コンタクトホール46aの形成が阻害されることはなく、特段の問題はない。
【0127】
この後、例えばアッシングにより、フォトレジスト膜64を除去する。
【0128】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、バリアメタル膜48を形成する。バリアメタル膜48は、例えばTi膜(図示せず)とTiN膜(図示せず)とを順次積層することにより形成されている。Ti膜の膜厚は、例えば3〜10nm程度とする。TiN膜の膜厚は、例えば3〜10nm程度とする。
【0129】
次に、全面に、例えばCVD法により、導電膜を形成する。導電膜は、導体プラグ50a〜50cとなるものである。導電膜としては、例えばタングステン膜を形成する。導電膜の膜厚は、例えば50〜400nm程度とする。
【0130】
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜44の表面が露出するまで導電膜及びバリアメタル膜48を研磨する。これにより、バリアメタル膜48が形成されたコンタクトホール46a〜46c内に、それぞれ導体プラグ50a〜50cが埋め込まれる(図9(b)参照)。導体プラグ50aは、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に接続される。導体プラグ50bは、PMOSトランジスタ34のソース/ドレイン電極32に接続される。導体プラグ50cは、NMOSトランジスタ36のソース/ドレイン電極32に接続される。
【0131】
次に、全面に、例えばCVD法により、層間絶縁膜52を形成する(図10参照)。層間絶縁膜52としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。層間絶縁膜52の膜厚は、例えば100〜200nmとする。
【0132】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜52に配線58を埋め込むための溝54を形成する。溝54の底面には、導体プラグ50a〜50cの上面が露出する。
【0133】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、バリアメタル膜56を形成する。バリアメタル膜56としては、例えばTa膜が形成される。
【0134】
次に、全面に、例えばスパッタリング法により、シード層(図示せず)を形成する。かかるシード層は、後工程において導電膜を電気めっき法により形成する際に用いられるものである。シード層としては、例えばCu膜を形成する。シード層の膜厚は、例えば1〜10nm程度とする。
【0135】
次に、全面に、例えば電気めっき法により、導電膜を形成する。導電膜としては、例えばCu膜を形成する。導電膜の膜厚は、例えば50〜400nmとする。
【0136】
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜52の表面が露出するまで、導電膜、シード層及びバリアメタル膜56を研磨する。これにより、バリアメタル膜56が形成された溝54内に、導電膜により形成された配線58が埋め込まれる。
【0137】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
【0138】
このように、本実施形態によれば、NMOSトランジスタ形成領域4内のエッチングストッパ膜40をエッチングする際に、PMOSトランジスタ形成領域2内のエッチングストッパ膜40の一部をもサイドエッチングする。このため、本実施形態によれば、PMOSトランジスタ形成領域2とNMOSトランジスタ形成領域4との境界部におけるゲート配線20に達するコンタクトホール46aを形成する際に、エッチングストッパ膜40によりエッチングが阻害されることがない。即ち、コンタクトホール46aをエッチングにより形成する際に、エッチングストッパ膜40によりエッチングが阻害されることなく、層間絶縁膜44、応力膜42及び応力膜38がエッチングされる。従って、本実施形態によれば、良好なコンタクトホール46aを形成することができ、導体プラグ50aとゲート配線20とを確実に接続することができる。従って、本実施形態によれば、信頼性の高い半導体装置を高い製造歩留まりで製造することができる。
【0139】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0140】
例えば、上記実施形態では、領域2内にPMOSトランジスタ34を形成し、領域4内にNMOSトランジスタ36を形成したが、領域2内にNMOSトランジスタ36を形成し、領域4内にPMOSトランジスタ34を形成してもよい。この場合、応力膜38として引っ張り応力膜を形成し、応力膜42として圧縮応力膜を形成することが好ましい。
【0141】
また、上記実施形態では、応力膜38としてシリコン窒化膜を形成したが、応力膜38はシリコン窒化膜に限定されるものではない。領域2内に形成されるトランジスタのチャネル領域に応力を印加し得る膜を適宜形成すればよい。
【0142】
また、上記実施形態では、応力膜42としてシリコン窒化膜を形成したが、応力膜42はシリコン窒化膜に限定されるものではない。領域4内に形成されるトランジスタのチャネル領域に応力を印加し得る膜を適宜形成すればよい。
【0143】
また、上記実施形態では、エッチングストッパ膜40としてシリコン酸化膜を形成したが、エッチングストッパ膜40はシリコン酸化膜に限定されるものではない。応力膜42とエッチング特性が異なり、応力膜38とエッチング特性が異なる膜を、適宜エッチングストッパ膜40として用いることができる。
【0144】
また、上記実施形態では、ポリシリコン膜により形成されたゲート配線20にドーパント不純物を適宜導入することによりゲート電極20a、20bを形成したが、ゲート配線20の材料はこれに限定されるものではない。例えば、ゲート配線20を金属膜により形成してもよい。
【0145】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0146】
(付記1)
半導体基板の第1の領域内及び第2の領域内にゲート配線を連続的に形成し、前記ゲート配線の一部である第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを前記第1の領域内に形成するとともに、前記ゲート配線の他の一部である第2のゲート電極を有する第2のトランジスタを前記第2の領域内に形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを覆うように第1の応力膜を形成する工程と、
前記第1の応力膜上に、前記第1の応力膜とエッチング特性が異なる第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の領域を覆い、前記第2の領域を露出する第1のマスク層を形成する工程と、
前記第1のマスク層をマスクとして、前記第2の領域内の前記第1の絶縁膜をエッチング除去し、更に前記第1のマスク層の下に位置する前記第1の絶縁膜を、前記第1のマスク層の端部から第1の幅だけ前記半導体基板の表面に対して平行な方向にエッチングする工程と、
前記第1のマスク層をマスクとして、前記第2の領域内の前記第1の応力膜をエッチング除去する工程と、
前記半導体基板上に、前記第1の絶縁膜とエッチング特性が異なる第2の応力膜を、前記第2のトランジスタ、前記第1の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように形成する工程と、
前記第2の領域を覆い、前記第1の領域側の端面が前記第1の絶縁膜上に位置する第2のマスク層を、前記第2の応力膜上に形成する工程と、
前記第2のマスク層をマスクとして、前記第2の応力膜の一部が前記第1の応力膜の一部及び前記第1の絶縁膜の一部と重なり合うように、前記第2の応力膜をエッチングする工程と、
前記半導体基板上に、前記第1の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の応力膜を貫通するコンタクトホールを、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における前記ゲート配線に達するように形成する工程と、
前記コンタクトホール内に導体プラグを埋め込む工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0147】
(付記2)
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の幅は、前記コンタクトホールの半径より大きい
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0148】
(付記3)
付記1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のトランジスタは、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタのうちの一方であり、
前記第2のトランジスタは、前記PMOSトランジスタ及び前記NMOSトランジスタのうちの他方である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0149】
(付記4)
付記1乃至3のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の応力膜は、圧縮応力膜及び引っ張り応力膜のうちの一方であり、
前記第2の応力膜は、前記圧縮応力膜及び前記引っ張り応力膜のうちの他方である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0150】
(付記5)
付記1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の応力膜は、シリコン窒化膜であり、
前記第2の応力膜は、他のシリコン窒化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0151】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁膜は、シリコン酸化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0152】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のマスク層をマスクとして前記第1の絶縁膜をエッチングする工程では、ウェットエッチングにより前記第1の絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0153】
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のマスク層をマスクとして前記第1の応力膜をエッチングする工程では、ドライエッチングにより前記第2の応力膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0154】
(付記9)
半導体基板の第1の領域内及び第2の領域内に連続的に形成されたゲート配線と、
前記第1の領域内に形成され、前記ゲート配線の一部である第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された第1のソース/ドレイン拡散層とを有する第1のトランジスタと、
前記第2の領域内に形成され、前記ゲート配線の他の一部である第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された第2のソース/ドレイン拡散層とを有する第2のトランジスタと、
前記第1の領域内における前記半導体基板上に、前記第1のトランジスタを覆うように形成された第1の応力膜と、
前記第1の応力膜とエッチング特性が異なり、前記第1の領域上のうちの前記第2の領域に近接する部分を除く部分に形成された第1の絶縁膜と、
前記第2の領域内における前記半導体基板上に前記第2のトランジスタを覆うように形成され、前記第1の領域側の縁部が前記第1の応力膜の一部及び前記第1の絶縁膜の一部と重なり合っている第2の応力膜と、
前記半導体基板上に、前記第1の応力膜、前記第2の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の応力膜を貫通し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における前記ゲート配線に達するコンタクトホール内に埋め込まれた導体プラグとを有し、
前記第1の絶縁膜のうちの前記第2の領域側の端面は、前記コンタクトホールから離間している
ことを特徴とする半導体装置。
【0155】
(付記10)
付記9記載の半導体装置において、
前記第1のトランジスタは、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタのうちの一方であり、
前記第2のトランジスタは、前記PMOSトランジスタ及び前記NMOSトランジスタのうちの他方である
ことを特徴とする半導体装置。
【0156】
(付記11)
付記9又は10記載の半導体装置において、
前記第1の応力膜は、圧縮応力膜及び引っ張り応力膜のうちの一方であり、
前記第2の応力膜は、前記圧縮応力膜及び前記引っ張り応力膜のうちの他方である
ことを特徴とする半導体装置。
【0157】
(付記12)
付記9乃至11のいずれかに記載の半導体装置において、
前記第1の応力膜は、シリコン窒化膜であり、
前記第2の応力膜は、他のシリコン窒化膜である
ことを特徴とする半導体装置。
【0158】
(付記13)
付記9乃至12のいずれかに記載の半導体装置において、
前記第1の絶縁膜は、シリコン酸化膜である
ことを特徴とする半導体装置。
【符号の説明】
【0159】
2…PMOSトランジスタ形成領域
4…NMOSトランジスタ形成領域
10…半導体基板
12a、12b…素子領域
14…素子分離領域
16N…N型ウェル
16P…P型ウェル
18…ゲート絶縁膜
20…ゲート配線
20a、20b…ゲート電極
21…幅広部
22…サイドウォール絶縁膜
24a…低濃度不純物領域、エクステンション領域
24b…高濃度不純物領域
26…ソース/ドレイン拡散層
28a…低濃度不純物領域、エクステンション領域
28b…高濃度不純物領域
30…ソース/ドレイン拡散層
32…シリサイド層
34…PMOSトランジスタ
36…NMOSトランジスタ
38…応力膜
40…エッチングストッパ膜
42…応力膜
44…層間絶縁膜
46a〜46c…コンタクトホール
48…バリアメタル膜
50a〜50c…導体プラグ
52…層間絶縁膜
54…溝
56…バリアメタル膜
58…配線
60…フォトレジスト膜
62…フォトレジスト膜
64…フォトレジスト膜
66a〜66c…開口部
102…PMOSトランジスタ形成領域
104…NMOSトランジスタ形成領域
120…ゲート配線
120a、120b…ゲート電極
132…シリサイド層
138…応力膜
140…エッチングストッパ膜
142…応力膜
144…層間絶縁膜
146…コンタクトホール
164…フォトレジスト膜
166…開口部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の第1の領域内及び第2の領域内にゲート配線を連続的に形成し、前記ゲート配線の一部である第1のゲート電極を有する第1のトランジスタを前記第1の領域内に形成するとともに、前記ゲート配線の他の一部である第2のゲート電極を有する第2のトランジスタを前記第2の領域内に形成する工程と、
前記半導体基板上に、前記第1のトランジスタ及び前記第2のトランジスタを覆うように第1の応力膜を形成する工程と、
前記第1の応力膜上に、前記第1の応力膜とエッチング特性が異なる第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の領域を覆い、前記第2の領域を露出する第1のマスク層を形成する工程と、
前記第1のマスク層をマスクとして、前記第2の領域内の前記第1の絶縁膜をエッチング除去し、更に前記第1のマスク層の下に位置する前記第1の絶縁膜を、前記第1のマスク層の端部から第1の幅だけ前記半導体基板の表面に対して平行な方向にエッチングする工程と、
前記第1のマスク層をマスクとして、前記第2の領域内の前記第1の応力膜をエッチング除去する工程と、
前記半導体基板上に、前記第1の絶縁膜とエッチング特性が異なる第2の応力膜を、前記第2のトランジスタ、前記第1の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように形成する工程と、
前記第2の領域を覆い、前記第1の領域側の端面が前記第1の絶縁膜上に位置する第2のマスク層を、前記第2の応力膜上に形成する工程と、
前記第2のマスク層をマスクとして、前記第2の応力膜の一部が前記第1の応力膜の一部及び前記第1の絶縁膜の一部と重なり合うように、前記第2の応力膜をエッチングする工程と、
前記半導体基板上に、前記第1の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように第2の絶縁膜を形成する工程と、
前記第2の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の応力膜を貫通するコンタクトホールを、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における前記ゲート配線に達するように形成する工程と、
前記コンタクトホール内に導体プラグを埋め込む工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の幅は、前記コンタクトホールの半径より大きい
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のトランジスタは、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタのうちの一方であり、
前記第2のトランジスタは、前記PMOSトランジスタ及び前記NMOSトランジスタのうちの他方である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の応力膜は、圧縮応力膜及び引っ張り応力膜のうちの一方であり、
前記第2の応力膜は、前記圧縮応力膜及び前記引っ張り応力膜のうちの他方である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の応力膜は、シリコン窒化膜であり、
前記第2の応力膜は、他のシリコン窒化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のマスク層をマスクとして前記第1の絶縁膜をエッチングする工程では、ウェットエッチングにより前記第1の絶縁膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1のマスク層をマスクとして前記第1の応力膜をエッチングする工程では、ドライエッチングにより前記第2の応力膜をエッチングする
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
半導体基板の第1の領域内及び第2の領域内に連続的に形成されたゲート配線と、
前記第1の領域内に形成され、前記ゲート配線の一部である第1のゲート電極と、前記第1のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された第1のソース/ドレイン拡散層とを有する第1のトランジスタと、
前記第2の領域内に形成され、前記ゲート配線の他の一部である第2のゲート電極と、前記第2のゲート電極の両側の前記半導体基板内に形成された第2のソース/ドレイン拡散層とを有する第2のトランジスタと、
前記第1の領域内における前記半導体基板上に、前記第1のトランジスタを覆うように形成された第1の応力膜と、
前記第1の応力膜とエッチング特性が異なり、前記第1の領域上のうちの前記第2の領域に近接する部分を除く部分に形成された第1の絶縁膜と、
前記第2の領域内における前記半導体基板上に前記第2のトランジスタを覆うように形成され、前記第1の領域側の縁部が前記第1の応力膜の一部及び前記第1の絶縁膜の一部と重なり合っている第2の応力膜と、
前記半導体基板上に、前記第1の応力膜、前記第2の応力膜及び前記第1の絶縁膜を覆うように形成された第2の絶縁膜と、
前記第2の絶縁膜、前記第2の応力膜及び前記第1の応力膜を貫通し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部における前記ゲート配線に達するコンタクトホール内に埋め込まれた導体プラグとを有し、
前記第1の絶縁膜のうちの前記第2の領域側の端面は、前記コンタクトホールから離間している
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8記載の半導体装置において、
前記第1のトランジスタは、PMOSトランジスタ及びNMOSトランジスタのうちの一方であり、
前記第2のトランジスタは、前記PMOSトランジスタ及び前記NMOSトランジスタのうちの他方である
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項8又は9記載の半導体装置において、
前記第1の応力膜は、圧縮応力膜及び引っ張り応力膜のうちの一方であり、
前記第2の応力膜は、前記圧縮応力膜及び前記引っ張り応力膜のうちの他方である
ことを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−258221(P2010−258221A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106581(P2009−106581)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】