説明

半導体装置の作製方法

【課題】コンタクトホールを微細化する。この時、微細化されたコンタクトホールであっても、半導体装置における電極のコンタクトを確実なものとする。
【解決手段】珪化膜と樹脂材料膜とからなる多層の層間絶縁膜を形成する。その後、コンタクトホールを形成する。このとき、珪化膜に設けられるコンタクトホールの大きさを樹脂材料膜に設けられるコンタクトホールの大きさよりも小さくする。このような構成は、パターンが複雑化してもコンタクトのとりやすいものとすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書で開示する発明は、樹脂材料を層間絶縁膜に利用した半導体装置の構成に関する。またその作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来よりガラス基板や石英基板上に形成された薄膜半導体を用いて薄膜トランジスタを作製する技術が知られている。
【0003】
図3(A)〜(B)に従来より知られている薄膜トランジスタの作製工程を示す。図3に示すのは、アクティブマトリス型の液晶表示装置の画素領域に配置される薄膜トランジスタの作製工程である。
【0004】
まずガラス基板や石英基板301上に下地膜302として酸化珪素膜をプラズマCVD法により3000Åの厚さに成膜する。
【0005】
次に薄膜トランジスタの活性層を構成するための出発膜として図示しない非晶質珪素膜をプラズマCVD法または減圧熱CVD法で成膜する。非晶質珪素膜の厚さは500〜1500Å程度の厚さに選択される。
【0006】
図示しない非晶質珪素膜を成膜したら、加熱処理またはレーザー光の照射を行って非晶質珪素膜を結晶化させる。こうして図示しない結晶性珪素膜を得る。
【0007】
次にこの結晶性珪素膜をパターニングして、後に薄膜トランジスタの活性層となる領域を形成する。(図3(A)では303、304、305で活性層は示される)
【0008】
次に活性層を覆ってゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜306をプラズマCVD法でもって成膜する。酸化珪素膜306の厚さは1000〜1500Åの厚さに選択される。
【0009】
さらにゲイト電極307を金属材料やシリサイド材料で形成する。こうして図3(A)に示す状態を得る。
【0010】
さらにこの状態で不純物イオンのドーピングを行い、ソース領域303とドレイン領域305とチャネル形成領域304とを自己整合的に形成する。さらに加熱処理やレーザー光の照射を行い、不純物イオンの注入された領域のアニールを行う。
【0011】
次に第1の層間絶縁膜308として窒化珪素膜または酸化珪素膜をプラズマCVD法でもって成膜する。この第1の層間絶縁膜308の膜厚は2000Å〜6000Åの範囲から選択される。
【0012】
次にコンタクトホールの形成を行い、適当な金属材料でもって、ソース電極およびそこから延在した配線309が形成される。(図3(B))
【0013】
次に第2の層間絶縁膜310を酸化珪素膜や窒化珪素膜で形成する。この第2の層間絶縁膜の厚さはその表面の平坦性を確保するために7000Å以上の厚さとする。
【0014】
さらにコンタクトホール311の形成を行う。こうして図3(C)に示す状態を得る。
【0015】
そして画素電極を構成するITO電極312を形成する。こうしてアクティブマトリクス領域の画素領域に配置される薄膜トランジスタ部分が完成する。
【0016】
このような作製工程において、画素電極312を形成する状況において以下に説明するような問題が生じる。
【0017】
近年、配線パターンや薄膜トランジスタのパターンの大きさが、ますます小さくなる傾向になる。これは装置の集積化をさらに高めることが要求されているからである。またアクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、画素の開口率を高めるためにこのパターンを縮小化することが要求されている。
【0018】
このようなパターンの縮小化を進めて行くと、311で示されるような開孔の大きさも当然小さくする必要が生じる。しかし、コンタクトホール311を小さくしてゆくと、画素電極312を形成する際にその構成材料(ITO材料)が寸法の小さい開孔の中に被覆性よく成膜されないという問題が生じる。そしてこの結果、必要とするコンタクトをとることが困難になるという問題が生じる。
【0019】
即ち、コンタクトホールが細長くなってしまうので、その内部においてコンタクトをとるための材料が途中で切れたりしてしまう状態が生じ、結果としてコンタクト不良が発生してしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
本明細書で開示する発明は、パターンの微細化に従って発生するコンタクト不良の問題を解決する技術を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本明細書で開示する発明の一つは、図1にその具体的な例を示すように、
多層に構成された絶縁膜114と116と117とを有した半導体装置であって、
前記多層膜の最上層117は樹脂材料でなり、
前記多層膜にはコンタクトホール119が形成されており、
前記コンタクトホール119の前記樹脂材料部分100はオーバーエッチングされていることを特徴とする。
【0022】
上記の構成を採用することにより、パターンが微細化し、コンタクト部分の面積が小さくなっても電極120によるソース領域110へのコンタクトを確実なものとすることができる。また100の部分をテーパー形状にすることで、この部分の電極(配線)120の段切れを防止することができる。
【0023】
また117として樹脂材料を用いることで、その表面の平坦性を確保することができる。例えば120で示される画素電極を形成した最に部分的に画素電極から印加される電界が乱れたりすることのない構成とすることができる。
【0024】
他の発明の構成は、図1にその具体的な例を示すように、
珪化膜でなる絶縁膜116を形成する工程と、
前記珪化膜上に樹脂材料でなる絶縁膜117を形成し珪化膜116と樹脂材料117とでなる積層膜を形成する工程と、
前記積層膜にコンタクトホール119を形成する工程と、
樹脂材料を選択的にエッチングする手段を用いて前記樹脂材料117を等方的にエッチングし、前記コンタクトホール119の開孔部を広げ201で示される開孔を形成するる工程と、
を有することを特徴とする。
【0025】
樹脂材料だけを選択的にエッチングすることにより、119で示される開孔は間口の広い、コンタクトのとり易い形状とすることができる。また、等方性のエッチングを用いることにより、100で示されるようなテーパー形状を形成することができ、その上に形成される電極や配線が切断されることがない構成とすることができる。
【0026】
珪化膜としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素から選ばれた膜を利用することができる。
【発明の効果】
【0027】
図2(A)に201で示されるように、コンタクトホールの間口の部分を広くすることで、微細なパターンに対するコンタクトホールであってもコンタクトを容易にすることができる。特に図2(A)に示す開孔201の形成は、先に形成された開孔119を利用して自己整合的に行われるので、新たなマスクを利用しなくてよいという特徴を有している。そして装置の生産歩留りや信頼性を大きく高めることができる。
【0028】
本明細書で開示する発明は、アクティブマトリクス型の液晶表示装置にのみ利用できるものではなく、アクティブマトリクス型のEL表示装置やアクティブマトリクス型のプラズマディスプレイにも利用することができる。
【0029】
また、微細化が進められているICのような集積回路における多層膜構造に対しても十分に応用することができる。
【実施例1】
【0030】
本実施例では、アクティブマトリクス型の液晶表示装置の画素領域に配置される薄膜トランジスタの作製工程を示す。
【0031】
図1に本実施例の薄膜トランジスタの作製工程を示す。まずガラス基板または石英基板101上に下地膜として酸化珪素膜102をプラズマCVD法により、3000Åの厚さに成膜する。
【0032】
次に図示しない非晶質珪素膜を500Åの厚さに成膜する。この非晶質珪素膜は後に薄膜トランジスタの活性層を構成するための出発膜となる。この非晶質珪素膜の成膜は、プラズマCVD法または減圧熱CVD法でもって成膜する。
【0033】
次にレーザー光の照射または加熱処理により、図示しない非晶質珪素膜を結晶化させ、結晶性珪素膜を得る。この結晶性珪素膜が後に薄膜トランジスタの活性層を構成する。
【0034】
図示しない結晶性珪素膜を得たら、パターニングを施すことにより、薄膜トランジスタの活性層103を形成する。こうして図1(A)に示す状態を得る。
【0035】
図1(A)に示す状態を得たら、図3(A)に示すようにゲイト絶縁膜として機能する酸化珪素膜104をプラズマCVD法でもって成膜する。この酸化珪素膜104の膜厚は1000Åとする。
【0036】
さらに後にゲイト電極を構成するアルミニウム膜105を4000Åの厚さに成膜する。成膜方法はスパッタ法を用いる。こうして図5(A)に示す状態を得る。(以下図5に従って工程を説明する)
【0037】
図5(A)に示すアルミニウム膜105中には、スカンジウムを0.1 〜0.3 重量%の割合で含有させる。これは、後の工程においてアルミニウムの以上成長が進行し、ヒロックやウィスカーと呼ばれる突起物が形成されてしまうことを抑制するためである。
【0038】
アルミニウム膜105を成膜したら、その表面に100Å厚程度の極薄い陽極酸化膜(図示せず)を形成する。この陽極酸化膜は、電解溶液として3%のエチレングリコール溶液をアンモニア水で中和したものを用いて行う。この陽極酸化膜の膜厚の制御は、印加電圧を選択することによって行うことができる。
【0039】
次に図5(B)に示すようにアルミニウム膜105をパターニングすることにより、ゲイト電極106を形成する。さらにゲイト電極106を陽極とした陽極酸化を再び行うことによって、多孔質状の陽極酸化膜107を形成する。
【0040】
この陽極酸化は、電解溶液として3%のシュウ酸水溶液を用いて行う。この陽極酸化工程で形成される陽極酸化膜は、多孔質状を有したものとなる。またその成長距離は、数μm程度までの間で選択することができる。なおこの場合の陽極酸化膜の成長距離は陽極酸化時間により制御することができる。
【0041】
こうして図5(B)に示す状態を得る。図5(B)に示す状態を得たら、再び緻密な陽極酸化膜の形成を行う。即ち、電解溶液として3%のエチレングリコール溶液をアンモニア水で中和したものを用い、ゲイト電極106を陽極として陽極酸化を行う。
【0042】
この陽極酸化工程においては、緻密な陽極酸化膜108が形成される。この工程では、多孔質状の陽極酸化膜107に内部に電解溶液が侵入するので、ゲイト電極106の表面を覆うようにして緻密な陽極酸化膜108が形成される。
【0043】
この緻密な陽極酸化膜108の膜厚は、500Åとする。この緻密な陽極酸化膜は、ヒロックやウィスカーの防止、さらに後に形成されるオフセットゲイト領域の形成に寄与、といった役割を有している。
【0044】
こうして図5(C)に示す状態を得る。図5(C)に示す状態を得たら、一導電型を付与するための不純物イオンの注入を行う。ここでは、Nチャネル型の薄膜トランジスタを作製するためにP(リン)イオンの注入を行う。
【0045】
この不純物イオンの注入を行うことによって、ソース領域109とドレイン領域110が自己整合的に形成される。(図5(C))
【0046】
次に多孔質状の陽極酸化膜107を除去し、図5(D)に示す状態を得る。この状態で、チャネル形成領域112、さらにオフセットゲイト領域111と113が画定する。
【0047】
オフセットゲイト領域111と113は、多孔質状の陽極酸化膜107と緻密な陽極酸化膜108の膜厚でもって形成される。
【0048】
図5(D)に示す状態を得たら、レーザー光の照射を行い、不純物イオンの注入された領域のアニールを行う。
【0049】
次に図1(B)に示すように第1の層間絶縁膜114として窒化珪素膜をプラズマCVD法でもって3000Åの厚さに成膜する。そしてさらに第2の層間絶縁膜116として酸化珪素膜をプラズマCVD法でもって3000Åの厚さに成膜する。
【0050】
次にソース領域109に通じるコンタクトホールの形成を行い、適当な金属材料でもって、ソース電極およびそこから延在した配線115を形成する。
【0051】
次に樹脂材料でもって第3の層間絶縁膜117を3μmの厚さに形成する。この第3の層間絶縁膜117は、その表面の平坦性を確保するためと、低比誘電率の材料を必要とすることから、樹脂材料を用いることが重要となる。
【0052】
上記の平坦性を確保する必要性は、その表面に画素電極が形成されることに関係する。即ち、画素電極を平坦な表面上に形成することで、液晶に印加される電界を均一なものとし、表示に乱れのないものとするために上記の第3の層間絶縁膜の平坦性が必要とされる。
【0053】
また、樹脂材料は酸化珪素や窒化珪素に比較して低い比誘電率を有したものを選択できるので、後に形成される画素電極と薄膜トランジスタとの間に形成される容量の影響を低減させることができ、この意味でも樹脂材料を用いることは重要となる。
【0054】
樹脂材料でなる第3の層間絶縁膜117を成膜したら、フォトレジスト118をマスクとして、コンタクトホール(開孔)119を形成する。図1(C)
【0055】
このコンタクトホール119の形成は、ドライエッチングによって行う。ここでコンタクトホール119は薄膜トランジスタの寸法の微細化に従って、小さなものとする必要がある。
【0056】
例えば、コンタクト部分の寸法は1μmφまたはそれ以下とすることが必要とされる。しかし、コンタクトホール119は細長いものとなるので、ドレイン領域110に対して直接コンタクトを採ることが困難になる。
【0057】
そこで本実施例においては、図1(C)に示す工程において樹脂材料117にコンタクトホール119を形成した後、さらに樹脂材料に対して選択的な等方的なエッチングをドライエッチングによって行う。
【0058】
本実施例で注目すべきは、この等方的エッチングがフォトレジスト118を除去した後に行われる点である。即ち、樹脂材料の選択的なエッチングが酸素雰囲気において容易に実施できる点を利用する。
【0059】
この工程によりコンタクトホール部(開孔部)119の樹脂材料でなる第3の層間絶縁膜117の分だけが選択的にエッチングされ、その入口の部分が広げられたコンタクトホール部201が形成される。(図2(A))
【0060】
このエッチングは、酸素を主成分とするガスを用いたプラズマエッチングによって行う。
【0061】
この際、樹脂材料でなる第3の層間絶縁膜117はその膜厚も減少する。また、等方的に層間絶縁膜117が後退していくので、開口の縁の部分100がテーパー状にあるいはRがついた状態となる。
【0062】
このような形状とすることで、後にコンタクトをとるために形成される電極が縁部分で段切れたりすることがない構成とすることができる。
【0063】
このコンタクトホール部201の寸法は例えば2μmφとすることができる。
【0064】
こうして図2(A)に示す状態を得る。次に図2(B)に示すように画素電極202をITOでもって構成する。
【0065】
この際、第3の層間絶縁膜117に樹脂材料を用いてその表面の平坦性を確保しているので、画素電極202の平坦性をも確保することができる。また、第3の層間絶縁膜117の膜厚を厚くし、その比誘電率を小さなものとすることができるので、図に示すように画素電極と薄膜トランジスタ部とが重なるように画素電極を配置することができる。
【0066】
さらに、コンタクトホール201の間口を大きくすることができるので、パターンを微細化していった場合でも画素電極202とドレイン領域110とのコンタクトを確実なものとすることができる。
【0067】
こうして図2(B)に示すアクティブマトリクス型の液晶表示装置の画素領域に配置される薄膜トランジスタが完成する。
【実施例2】
【0068】
本実施例は、実施例1に示す構成において、下地膜102とゲイト絶縁膜104を共に酸化窒化珪素膜(SiOx y )で構成したことを特徴とする。
【0069】
半導体でなる活性層103とそれを包む状態で配置される下地膜102及びゲイト絶縁膜104との界面の状態は、薄膜トランジスタの動作に大きな影響を与える。
【0070】
一般に下地膜としては、酸化珪素膜等が利用される。しかし、その膜質に特に注意が払われるものではない。一方ゲイト絶縁膜については、薄膜トランジスタの特性を大きく左右するものとしてその膜質に大きな注意が払われている。
【0071】
本発明者等の知見によれば、活性層の下に位置する下地膜についてもゲイト絶縁膜と同様にその膜質について大きな注意は払うことが必要である。これは、下地膜の膜質が薄膜トランジスタの長期の信頼性に対して大きな影響を与えることに起因する。
【0072】
そこで本実施例においては、電気的な安定性に優れた酸化窒化珪素膜を下地膜とゲイト絶縁膜とに用いることによって、信頼性の高い薄膜トランジスタを得ることができる。
【0073】
酸化窒化珪素膜の作製方法としては、TEOSガスにN2 Oガスを混合したガスを用いたプラズマCVD法により成膜することができる。
【0074】
また酸素とアンモニアとを混合したガスを用いたプラズマCVD法によって成膜することもできる。
【実施例3】
【0075】
本実施例は、樹脂材料で構成された層間絶縁膜の開孔を広げる別な技術手段に関する。
【0076】
図4に本実施例の開孔の形成方法を示す。まず図4(A)に示すように酸化珪素膜または窒化珪素膜等の珪化膜でなる第1の層間絶縁膜401を形成する。ここでは、第1の層間膜の下側の層は特に示さないが、第1の層間絶縁膜の下側の層を半導体層や電極や配線、また他の絶縁層とすることは任意である。
【0077】
第1の層間絶縁膜401を形成したら、その上に樹脂材料でなる第2の層間絶縁膜402を形成する。さらに第2の層間絶縁膜402の上にフォトレジストでなるマスク403を形成する。このレジストマスク403は、開孔部404を有しており、この部分で樹脂材料でなる第2の層間絶縁膜402を露呈する構成となっている。(図4(A))
【0078】
次にレジストマスク403を用いて第1の層間絶縁膜401と第2の層間絶縁膜402とをエッチングし、開孔405を得る。このエッチングは、RIE法を用いたドライエッチングによって行う。
【0079】
このエッチング工程においては、垂直方向に異方性を有したエッチングが行われるので、405で示されるような開孔が形成される。(図4(B))
【0080】
次に等方性を有したエッチング技術である酸素プラズマアッシングを行い、レジストマスク403と第2の層間絶縁膜402をアッシングする。この際、レジストマスクはその膜厚が後退する。また同時に開孔部がテーパー状あるいはRが付いた状態になる。
【0081】
さらに第2の層間絶縁膜も樹脂材料であるので、その開孔部は406で示されるようなテーパー状あるいはRのついた形状に形成される。
【0082】
この時、実施例1に示した方法と異なり、樹脂材料でなる第2の層間絶縁膜の膜厚は薄くならない。(その代わり、レジストマスク403の膜厚が薄くなる)
【0083】
こうして図4(C)に示す状態を得る。そしてレジストマスク403を除去する。さらにコンタクトをとるための電極または配線407を形成する。
【0084】
こうして図4(D)に示す状態を得る。本実施例が特徴とするのは、最初に開孔405を形成するために用いたマスクを再度利用して、406で示されるような、コンタクトのとりやすいテーパーの付いた開孔部を形成することにある。
【0085】
即ち、特に新たにマスクを用いずに図4(D)に示すような断面形状を有した開孔を形成することを特徴とする。
【0086】
また本実施例に示す構成においては、樹脂材料でなる第2の層間絶縁膜402の膜厚が薄くなることがない点も特徴である。
【実施例4】
【0087】
本実施例は、樹脂材料で構成された層間絶縁膜の開孔を広げる別な技術手段に関する。
【0088】
図6に本実施例の開孔の形成方法を示す。図6はソース/ドレインコンタクトホール部の拡大図である。
【0089】
図6(A)の構造は、まず活性層601上に酸化珪素膜からなるゲイト絶縁膜602が1500Åの厚さに積まれ、その上に窒化珪素からなる第1の層間絶縁膜603が3000Åの厚さに、酸化珪素膜からなる第2の層間絶縁膜604が3000Åの厚さに積まれている。
さらに、その上には樹脂材料からなる第3の層間絶縁膜605が3μmの厚さに積まれている。
【0090】
この状態において、TFTの全体図は図1(B)の様な構造となっている。
【0091】
次に、図6(A)に示す様に第3の層間絶縁膜605の上に金属薄膜606を500 〜2000Åの厚さに形成する。この金属薄膜606は後に第1、第2、第3の層間絶縁膜603、604、605をドライエッチングする際のマスクとしての役割を持つ。
本実施例では、金属薄膜606としてスパッタ法によりTi(チタン)を500 Åの厚さに形成した。
【0092】
次に、フォトレジスト607でマスクして金属薄膜606を選択的にエッチングする。このエッチングは、SiCl4 、Cl2 、BCl3をエッチングガスとしてドライエッチング法により行う。ガス圧力は80mTorr 、印加電力は1400Wとする。
【0093】
以上の工程により、図6(A)の状態が得られる。図6(A)の状態が得られたら、フォトレジスト607を専用の剥離液で除去する。
【0094】
次に、図6(B)に示す様に、ゲイト絶縁膜602及び第1、第2、第3の層間絶縁膜603、604、605をRIEモードのドライエッチング法によりエッチングする。このエッチングはエッチングガスを切り換えることで連続的に行うことができる。
【0095】
エッチングは13.56MHzの高周波パルスで形成されたプラズマを利用して行う。エッチングガスはO2 :75sccmとCF4 :25sccmを用い、ガス圧力は100mTorrとする。また、印加電力は500 Wとする。
【0096】
こうして、図6(B)に示す様に活性層601のコンタクト部が露出した状態が得られる。この状態ではコンタクトホールの径が1μmφ程度であるのに対して、コンタクトホールの深さは約3.8 μmとなり、非常に活性層とのコンタクトを取りにくい構造となっている。
【0097】
そこで、図6(B)の状態でO2 プラズマを用いた等方的なプラズマエッチングを行う。すると、樹脂材料からなる第3の層間絶縁膜605が選択的にエッチングされ、図6(C)の様な状態が得られる。
【0098】
この時、金属薄膜606と第3の層間絶縁膜605との密着性が良く、第3の層間絶縁膜605とその下に位置する他の絶縁膜(ゲイト絶縁膜602、第1、第2の層間絶縁膜603、604)との選択比が5以上であることが望ましい。
【0099】
上記の条件を満たす場合、図7(A)に示す様な形状が得られる。また、選択比が5以上であっても、密着性に欠ければ図7(B)の様になだらかなテーパー701が形成され、必要以上に大きく拡がった形状となる。これでは、素子の微細化を進める上で障害となる。
【0100】
また逆に、密着性が良くても選択比に差がなければ図7(C)の様に全ての絶縁膜が同時にサイドエッチングされる。また、選択比が1以下であれば図7(D)の様なえぐれ部分702が形成されてしまう。
【0101】
図6(C)の状態が得られたら、ドライエッチング法により金属薄膜606を除去する。次いで、配線または電極となる導電性薄膜608を形成すれば、図6(D)の状態が得られる。
【0102】
本実施例が特徴とするのは、樹脂材料からなる第3の層間絶縁膜605のサイドエッチングを利用して、コンタクトのとりやすい形状から構成される開孔部を形成することにある。
【0103】
また、本実施例において、図6(B)の状態で樹脂材料からなる第3の層間絶縁膜605をエッチングする工程から、図6(C)の状態で金属薄膜606を除去する工程までを連続的に行えることも特徴である。
【0104】
即ち、上記複数の工程を全てドライエッチングで行った場合、エッチングガス等の条件をプログラムで自動変更することにより、大気開放せずにコンタクトホールを形成することが出来る。
【0105】
このことは、スループットの向上と同時に生産歩留りの上昇といった効果を付与する点で重要である。
【実施例5】
【0106】
本実施例は、実施例4において、金属薄膜の代わりに珪化膜でなる絶縁膜を用いた場合の例である。珪化膜でなる絶縁膜はエッチング除去が金属薄膜よりも容易、かつ、簡便であるため汎用性が高い利点を有する。
【0107】
上記の珪化膜でなる絶縁膜としては、酸化珪素膜、窒化珪素膜、酸化窒化珪素膜(SiOx y )が挙げられる。これらの絶縁膜はプラズマCVD法、減圧熱CVD法等の手段により形成する。
【0108】
また、PSGやBSG等に代表される酸化珪素系被膜形成用塗布液を用いてスピン法による被膜形成を行っても良い。スピン法による被膜形成は以下の手順で行う。
【0109】
まず、被膜形成用塗布液を基体上に塗布した後、基体を保持するステージを回転させる。この行程において余分な被膜形成用塗布液は全て排除され、基体上には薄く、均一な被膜が形成される。また、ステージの回転数を変えることで、所望の膜厚の被膜を形成することができる。
【0110】
次に150℃程度のベークを行い、塗布された被膜の晶質化を行う。この際、ベークの温度や時間を変えることで被膜の膜質を調節することが可能である。
【0111】
以上の様に、スピン法による場合、比較的簡便に酸化珪素膜を形成することができる。即ち、スループットを大幅に向上することが可能である。
【実施例6】
【0112】
本実施例は、本明細書に開示する発明を利用して多層配線を有する集積回路を構成する例である。単結晶珪素ウエハーを用いた集積回路において、その集積化を高めるために、素子を多層に構成し、また配線も多層に構成することが必要とされている。
【0113】
このような多層構造においてもコンタクトを確実にとることが要求される。そこで、本明細書に開示する発明を利用することにより、微細で多層に構成された集積回路においても確実なコンタクトをとることができる。
【0114】
図8に例として3層構造からなる集積回路の構成を示す。まず、金属材料からなる第1の配線電極801を形成する。ここでは、第1の配線電極801の下側の層は特に示さないが、第1の配線電極801の下側の層を半導体層や電極や配線、また他の絶縁層とすることは任意である。
【0115】
次に、第1の配線電極801を覆って珪化膜からなる絶縁膜802を形成し、さらにその上に樹脂材料からなる絶縁膜803を形成する。
前記絶縁膜802及び803からなる積層膜は第1の層間絶縁膜として機能する。
【0116】
次に、第1の層間絶縁膜にコンタクトホール804を形成して、図8(A)の状態を得る。
【0117】
次いで、樹脂材料からなる絶縁膜803を選択的にオーバーエッチングしてコンタクトホールの開孔口を拡げる。この工程は、実施例1、3、4のいずれの手段によっても良い。
【0118】
次に、金属材料からなる第2の配線電極805を形成して、図8(B)の状態を得る。この際、コンタクトホールの開孔口が広いため被覆性良く第1の配線電極801とのコンタクトが取れる。
【0119】
図8(B)の状態を得たら、第2の配線電極805を覆って珪化膜からなる絶縁膜806を形成し、さらにその上に樹脂材料からなる絶縁膜807を形成する。
前記絶縁膜806及び807からなる積層膜は第2の層間絶縁膜として機能する。
【0120】
次に、第2の層間絶縁膜にコンタクトホール808を形成して、図8(C)の状態を得る。
【0121】
次いで、樹脂材料からなる絶縁膜807を選択的にオーバーエッチングしてコンタクトホールの開孔口を拡げる。この工程は、実施例1、3、4のいずれの手段によっても良い。
【0122】
次に、金属材料からなる第3の配線電極809を形成して、図8(D)の状態を得る。この際、コンタクトホールの開孔口が広いため被覆性良く第2の配線電極805とのコンタクトが取れる。
【0123】
本実施例は図8(D)に示す様に、三層の配線電極を内包する多層構造の例であるが、集積化に伴ってさらに積層回数が増した場合についても応用が効くことは言うまでもない。
【0124】
以上の様に、本明細書で開示する発明を利用することで、層毎に平坦性を確保するこができ、また確実なコンタクトを採ることができ、また配線の信頼性を高めることができる。
【実施例7】
【0125】
本実施例は、本明細書に開示する発明を利用して多層配線を有する集積回路を構成する例である。実施例5との相違点は、一部の配線電極同士の接続をW(タングステン)の選択成長を利用して行う点である。
【0126】
Wの選択成長技術は、配線形成技術、特にその微細加工技術の一つとしてここ数年注目されてきた技術である。
概要は、主に原料ガスとしてWF6 とSiH4 とを用いた熱CVD法により、Wの薄膜を選択的に成膜するものである。
この際、酸化珪素膜上に成膜されにくいという特徴がある。
【0127】
即ち、酸化珪素膜に形成されたコンタクトホールの内部のみを選択的にWで埋め込むことが可能であり、集積回路の設計においてコンタクトホールのマージンを稼ぐことができるという利点がある。
【0128】
だがこの技術は比較的高温で行われるため、樹脂材料を層間絶縁膜として用いることが困難となる場合が多い。
また、深いコンタクトホールにWを埋め込む場合にスループットの低下といった問題も発生する。
【0129】
従って、最終的な高温加熱工程の後に層間絶縁膜として樹脂材料を用いて本発明を実施することは、特に回路設計の上で有利である。
【0130】
例えば、浅いコンタクトホールはWの選択成長で埋め込み、深いコンタクトホールが必要な場合は、予め汎用性の高い樹脂材料を層間絶縁膜として用いて本発明を利用すれば良い。
【実施例8】
【0131】
本実施例は、樹脂材料で構成された層間絶縁膜の開孔を広げる別な技術手段に関する。
【0132】
図9に本実施例の開孔の形成方法を示す。まず図9(A)に示すように酸化珪素膜または窒化珪素膜等の珪化膜でなる第1の層間絶縁膜401を形成する。ここでは、第1の層間膜の下側の層は特に示さないが、第1の層間絶縁膜の下側の層を半導体層や電極や配線、また他の絶縁層とすることは任意である。
【0133】
第1の層間絶縁膜401を形成したら、その上に樹脂材料でなる第2の層間絶縁膜402を形成する。さらに第2の層間絶縁膜402の上にフォトレジストでなるマスク403を形成する。このレジストマスク403は、開孔部404を有しており、この部分で樹脂材料でなる第2の層間絶縁膜402を露呈する構成となっている。(図9(A))
【0134】
次にレジストマスク403を用いて第1の層間絶縁膜401と第2の層間絶縁膜402とをエッチングし、開孔405を得る。このエッチングは、RIE法を用いたドライエッチングによって行う。
【0135】
このエッチング工程においては、垂直方向に異方性を有したエッチングが行われるので、405で示されるような開孔が形成される。(図9(B))
【0136】
次に等方性を有したエッチング技術である酸素プラズマアッシングを行い、レジストマスク403と第2の層間絶縁膜402をアッシングする。この際、レジストマスクはその膜厚が後退する。また同時に開孔部がテーパー状あるいはRが付いた状態になる。
【0137】
さらに第2の層間絶縁膜も樹脂材料であるので、その開孔部は406で示されるようなテーパー状あるいはRのついた形状に形成される。
【0138】
この時、実施例1に示した方法と異なり、樹脂材料でなる第2の層間絶縁膜の膜厚は薄くならない。(その代わり、レジストマスク403の膜厚が薄くなる)
【0139】
また、アッシングの後にさらにドライエッチングを行うことで、901で示されるようなテーパーを有した形状に酸化珪素膜または窒化珪素膜でなる第1の層間絶縁膜401の開孔を広げる。
【0140】
こうして図9(C)に示す状態を得る。そしてレジストマスク403を除去する。さらにコンタクトをとるための電極または配線407を形成する。
【0141】
こうして図9(D)に示す状態を得る。本実施例が特徴とするのは、最初に開孔405を形成するために用いたマスクを再度利用して、406、901で示されるような、コンタクトのとりやすいテーパーの付いた開孔部を形成することにある。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1】薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図2】薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図3】従来における薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図4】コンタクトホールの形成工程を示す図。
【図5】薄膜トランジスタの作製工程を示す図。
【図6】コンタクトホールの形成工程を示す図。
【図7】コンタクトホールの形状を示す図。
【図8】多層配線構造を示す図。
【図9】コンタクトホールの形成工程を示す図。
【符号の説明】
【0143】
101 ガラス基板(または石英基板)
102 下地膜(酸化珪素膜)
103 活性層
104 ゲイト絶縁膜(酸化珪素膜)
105 アルミニウム膜
106 ゲイト電極
107 多孔質状の陽極酸化膜
108 緻密な陽極酸化膜
109 ソース領域
110 ドレイン領域
111、113 オフセットゲイト領域
114 第1の層間絶縁膜(窒化珪素膜)
115 ソース電極(ソース配線)
116 第2の層間絶縁膜(酸化珪素膜)
117 第3の層間絶縁膜(樹脂材料)
118 フォトレジスト
119 コンタクトホール(開孔)
201 コンタクトホール(開孔)
100 開孔の縁の部分
202 画素電極(ITO電極)
606 金属薄膜
701 テーパー部分
702 えぐれ部分

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多層に構成された絶縁膜を有した半導体装置であって、前記多層膜の最上層は樹脂材料でなり、前記多層膜にはコンタクトホールが形成されており、前記コンタクトホールの前記樹脂材料部分はオーバーエッチングされていることを特徴とする半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−306208(P2008−306208A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−203838(P2008−203838)
【出願日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【分割の表示】特願平8−332895の分割
【原出願日】平成8年11月27日(1996.11.27)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】