説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】シェアードコンタクト形成時に、ゲート電極が溶解されて形状異常となるのを防止する。
【解決手段】半導体装置は、基板1上にゲート絶縁膜2を介して形成されたゲート電極31と、基板1のゲート電極31の両側方に形成された不純物領域32及び33とを有するトランジスタと、トランジスタ上を覆うように基板1上に形成された層間絶縁膜11及び12と、不純物領域32及び33及びゲート電極31に電気的に接続するシェアードコンタクト14とを備える。ゲート電極31の側面下部を覆うように第1のサイドウォール5、第1のサイドウォール5におけるゲート電極31とは反対側に第2のサイドウォール6、第1のサイドウォール5上に、ゲート電極31の側面上部と第2のサイドウォール6とに挟まれるように第3のサイドウォール9bが形成されている。第2及び第3のサイドウォール6及び9bは、第1のサイドウォール5とは異なる材料からなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、サイドウォールを有するゲート電極に対してシェアードコンタクトが形成された半導体装置及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の高集積化及び高性能化に伴い、MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor、以下、MISトランジスタと称す)の微細化が進んでいる。このため、ゲート電極のゲート長をより短く(例えば30nm程度)、ゲート絶縁膜の膜厚をより薄く(例えば2nm程度)形成するようになっている。
【0003】
また、MISトランジスタの閾値制御、ゲート電極抵抗の低減等のため、ゲート電極は、ポリシリコン膜と金属材料(例えばTiN膜)との積層構造として形成することがある。
【0004】
一方、MISトランジスタには、ショートチャネル効果という問題がある。この問題に対応する技術として、LDD(Lightly Doped Drain)を設けることが知られている。これは、MISトランジスタのソース/ドレインそれぞれの局所(チャネル近辺)に、浅いドーピング領域を形成するものである。尚、LDDのドーピング濃度は、本来のソース/ドレインのドーピング濃度よりも低くする。このようなLDDを形成するためには、サイドウォールを用いるのが一般的である。
【0005】
このように、ショートチャネル効果を抑制するため、MISトランジスタにLDDを形成することが行なわれてきた。しかし、半導体装置の微細化に伴ってソース/ドレイン間のチャネル長が小さくなると、ソースの空乏層とドレインの空乏層とが重なることになる。このため、ショートチャネル効果の問題はより深刻になる。
【0006】
これに対応する方法として、次のような技術がある(例えば、特許文献1)。
【0007】
図4(a)〜(c)及び図5(a)〜(c)は、技術的背景としての半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0008】
まず、図4(a)に示す工程を行なう。初めに、半導体基板115表面を熱酸化することによりゲート酸化膜116を形成する。次に、CVD(Chemical Vapor Deposition)法又はPVD(Physical Vapor Deposition)法により、ゲート酸化膜116上に、TiN膜117、ポリシリコン膜118を順次形成する。
【0009】
続いて、所望のゲートパターンを有するレジスト(図示せず)を形成する。ドライエッチング技術を用いて該ゲートパターンをポリシリコン膜118及びTiN膜117に転写した後、アッシング及び洗浄によりレジストを除去する。これにより、ゲート酸化膜116上に、ポリシリコン膜118及びTiN膜117からなるゲート電極131を形成する。
【0010】
次に、ゲート電極131をマスクとして半導体基板に不純物イオンを注入することにより、ゲート電極及びゲート酸化膜116の両側の半導体基板115内に、LDDとして浅い第1のドーピング領域132を形成する。
【0011】
次に、ゲート電極を含む半導体基板115全面上に、CVD法によりシリコン窒化膜を形成する。このシリコン窒化膜に対し、ドライエッチング技術を用いて全面ドライエッチングすることにより、ゲート電極の側壁にシリコン窒化膜からなる第1のサイドウォール119を形成する。
【0012】
次に、図4(b)に示すように、ゲート電極及び第1のサイドウォール119上を含む半導体基板115全面上に、CVD法によりシリコン酸化膜120aを形成する。
【0013】
次に、図4(c)に示すように、シリコン酸化膜120aに対し、ドライエッチング技術を用いて全面ドライエッチングすることにより、第1のサイドウォール119の側壁に、シリコン酸化膜からなる第2のサイドウォール120bを形成する。その後、ゲート電極131、第1のサイドウォール119及び第2のサイドウォール120bをマスクとして、半導体基板115に不純物イオンを注入する。これにより、第2のサイドウォール120bの両側の半導体基板115内に、ソース/ドレイン領域として、LDD(第1のドーピング領域132)よりも濃い不純物濃度を有する第2のドーピング領域133を形成する。
【0014】
次に、図5(a)に示すように、シリコン酸化膜からなる第2のサイドウォール120bを、フッ化水素酸を用いたウェットエッチングにより選択的に除去する。
【0015】
次に、図5(b)に示すように、ゲート電極131、第1のサイドウォール119及びソース/ドレイン領域を含む半導体基板115全面上に、シリコン窒化膜121及びシリコン酸化膜122を順次形成する。これには、CVD法を用いればよい。この後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、シリコン酸化膜122を平坦化する。
【0016】
次に、図5(c)に示すように、ゲート電極上と、半導体基板115に形成したソース/ドレイン領域133表面との両方に跨って、これらを露出するコンタクトホール(シェアードコンタクトホール)123を形成する。
【0017】
このためには、まず、シリコン酸化膜122上に、所望のコンタクトホールパターンを有するレジスト(図示せず)を形成する。次に、ドライエッチング技術を用いて、前記レジストをマスクとしてシリコン酸化膜122を選択的にエッチングする。その後、アッシング及び洗浄によりレジストを除去する。これにより、シリコン窒化膜121表面に達するコンタクトホール(シェアードコンタクトホール123の上部)を形成する。
【0018】
次に、ドライエッチング技術を用い、シリコン酸化膜122をマスクとしてシリコン窒化膜121をエッチングする。その後、アッシング及び洗浄によりレジストを除去し、シェアードコンタクトホール123の下部を形成する。
【特許文献1】特開2002−368007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかしながら、上記従来の構成によると、次のような問題が発生する。
【0020】
つまり、半導体基板の導電領域(ソース領域又はドレイン領域)及びゲート電極131に到達するシェアードコンタクトホール123を形成する工程において、ストッパー膜であるシリコン窒化膜121を除去するときに、第1のサイドウォール119もエッチングされてしまう(図5(c)において、第1のサイドウォールの除去された部分119aを点線によって示している)。このため、次工程のAPM(アンモニア過水:NH4 OH、H2 2 及びH2 Oの混合液)洗浄において、ゲート電極131を構成するTiN膜117が溶解する(図5(c)において、TiN膜の除去された部分117aを点線によって示している)。この結果、ゲート電極131が形状異常となり、例えばコンタクト抵抗が大きくなってトランジスタ特性を評価することができなくなる等の問題が発生する。よって、その解決が課題となっている。
【0021】
以上に鑑み、本発明は、シェアードコンタクトを形成する際に、ゲート電極が形状異常となるのを防止する構造の半導体装置及びその製造方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、基板におけるゲート電極の両側方に形成された不純物領域とを有するトランジスタと、トランジスタ上を覆うように基板上に形成された層間絶縁膜と、層間絶縁膜を貫通し、不純物領域及びゲート電極に電気的に接続するシェアードコンタクトとを備え、ゲート電極の少なくとも側面下部を覆うように、第1のサイドウォールが形成され、第1のサイドウォールにおけるゲート電極とは反対側の側面を覆うように第2のサイドウォールが形成され、第1のサイドウォール上に、ゲート電極の側面上部と第2のサイドウォールとに挟まれるように第3のサイドウォールが形成され、第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールは、いずれも、第1のサイドウォールとは異なる材料により構成されている。
【0023】
本発明の半導体装置によると、ゲート電極の側面下部に設けられた第1のサイドウォールは、その側面及び上面が、第1のサイドウォールとは異なる材料からなる第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールによって覆われている。このため、ソース/ドレイン領域(ソース領域及びドレイン領域を合わせてこのように呼ぶ)としての不純物領域と、ゲート電極とに電気的に接続するシェアードコンタクトを形成する際に、ゲート電極が形状異常となるのを防止することができる。
【0024】
つまり、シェアードコンタクトを設けるためには、層間絶縁膜のエッチング等によりコンタクトホールを形成する。ここで、第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールをエッチストッパーとして利用し、第1のサイドウォールが除去されるのを防ぐことができる。この結果、ゲート電極の側面が露出することはなくなり、エッチングされて形状異常となることも防がれる。
【0025】
また、層間絶縁膜は、下層である第1の層間絶縁膜と上層である第2の層間絶縁膜とが積層された構造を有し、第1の層間絶縁膜は、第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールのどちらとも異なる材料により構成されていることが好ましい。
【0026】
このようにすると、シェアードコンタクトの形成と、その際のゲート電極の形状異常回避とをより確実に行なうことができる。
【0027】
また、第1のサイドウォールの材料は、窒化シリコン膜、炭化シリコン膜又は炭窒化シリコン膜であってもよい。第2のサイドウォールの材料及び第3のサイドウォールの材料は、それぞれ、酸化シリコン膜、PSG(Phospho Silicate Glass)膜、BSG(Boron Silicate Glass)膜又はBPSG(Boron Phospho Silicate Glass)膜であってもよい。
【0028】
また、ゲート電極は金属材料を含むことが好ましい。このような場合に、ゲート電極が溶解されて形状異常となるのを防ぐ効果が顕著に発揮される。
【0029】
また、不純物領域は、第1の不純物領域と、第1の不純物領域よりも深く形成された第2の不純物領域とを含むことが好ましい。
【0030】
これにより、LDD領域を有するMISトランジスタ構造となる。
【0031】
次に、前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、基板上に、ゲート絶縁膜を介して金属材料を含むゲート電極を形成すると共に、基板におけるゲート電極の両側方に不純物領域を形成する工程(a)と、ゲート電極の側面に、第1の絶縁膜からなる第1のサイドウォールを形成する工程(b)と、基板上の全体に第2の絶縁膜を形成した後、ドライエッチング法を用いたエッチバックにより、第1のサイドウォールの側面に第2の絶縁膜からなる第2のサイドウォールを形成する工程(c)と、ドライエッチング法を用いて、第1のサイドウォールの上部を除去してリセスを形成する工程(d)と、リセス内を埋め込む第3の絶縁膜を形成した後、ドライエッチング法を用いてリセス内以外の第3の絶縁膜を除去し、リセス内に第3の絶縁膜からなる第3のサイドウォールを形成する工程(e)と工程(e)の後に、半導体基板上の全面に層間絶縁膜を形成する工程(f)と、層間絶縁膜に対し、不純物領域及びゲート電極上に跨るように開口するコンタクトホールを形成する工程(g)と、コンタクトホール内を導電物によって埋め込み、シェアードコンタクトを形成する工程(h)とを備え、第1のサイドウォールは、第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールのいずれとも異なる材料により構成されている。
【0032】
本発明の半導体装置の製造方法によると、ゲート電極の側面下部に第1のサイドウォールを形成すると共に、該第1のサイドウォールの側面及び上面を覆う第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールを形成する。また、第1のサイドウォールは、第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールと異なる材料により形成する。これにより、層間絶縁膜をエッチングしてシェアードコンタクトホールを形成する際に、第1のサイドウォールがエッチングされるのを防ぐことができ、更に、ゲート電極がエッチングされて形状異常となるのを防ぐことができる。
【0033】
尚、工程(c)において、第2の絶縁膜上に更に第4の絶縁膜を形成し、第2の絶縁膜及び第4の絶縁膜からなる第2のサイドウォールを形成し、工程(e)と工程(f)との間に、第2のサイドウォールにおける第4の絶縁膜を除去する工程を更に備えることが好ましい。
【0034】
一般的に、コンタクトホールの形成には、例えばシリコン窒化膜からなるエッチングストッパーを用いる。ここで、隣接するゲート電極の間隔が狭い箇所では、エッチングストッパー膜がゲート電極間を埋めてしまう。その一方、隣接するゲート電極の間隔が広い箇所では、エッチングストッパー膜は所望の膜厚に堆積される。このように形成箇所によってエッチングストッパー膜の膜厚に差が生じることによって、エッチングストッパー膜の除去が困難となる場合がある。したがって、半導体装置の微細化に対応するために、前記のように第4の絶縁膜を設け、これを除去することが有利になる。
【0035】
また、工程(f)において、下層である第1の層間絶縁膜と上層である第2の層間絶縁膜とからなる層間絶縁膜を形成し、工程(g)において、第1の層間絶縁膜をエッチストッパーとして第2の層間絶縁膜をエッチングした後に、第1の層間絶縁膜をエッチングし、第1の層間絶縁膜は、第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールのどちらとも異なる材料により構成されていることが好ましい。
【0036】
このようにすると、第2の層間絶縁膜をエッチングする際に第1の層間絶縁膜をエッチングストッパーとして利用することができ、また、第1の層間絶縁膜をエッチングする際に第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールがエッチングされるのを避けることができる。
【0037】
また、第1のサイドウォールの材料は、窒化シリコン膜、炭化シリコン膜又は炭窒化シリコン膜であっても良い。第2のサイドウォール及び第3のサイドウォールの材料は、それぞれ、それぞれ、酸化シリコン膜、PSG膜、BSG膜又はBPSG膜であっても良い。具体的な材料の例として、これらを挙げることができる。
【0038】
また、工程(e)と工程(f)との間に、第1のサイドウォール、第2のサイドウォール、第3のサイドウォール及びゲート電極をマスクとして基板に不純物を導入し、不純物領域よりも深い他の不純物領域を形成する工程を更に備えることが好ましい。
【0039】
このようにすると、LDDを備えるMISトランジスタ構造を得ることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明の半導体装置及びその製造方法によると、シェアードコンタクト形成のためにコンタクトストッパー膜を除去する際に、第1のサイドウォールがエッチングされるのを防ぐことができるため、次工程である洗浄処理においてゲート電極の金属材料が溶解されるのを避け、ゲート電極の形状異常を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0042】
図1(a)〜(c)、図2(a)〜(c)及び図3(a)〜(c)は、本実施形態の半導体装置の製造工程を説明する模式的な断面図である。ここでは、半導体基板に形成されたMISトランジスタの導電型がN型である場合を一例として取り上げ、具体的に説明する。
【0043】
まず、図1(a)に示すMISトランジスタ構造を形成する。このためには、初めに、例えばP型シリコンからなる半導体基板1上に、素子分離領域(図示省略)を選択的に形成する。その後、例えば、注入ドーズ量1×1013/cm2 の条件によりホウ素(B)等のP型不純物をイオン注入することにより、P型ウェル領域(図示省略)を形成する。
【0044】
次に、半導体基板1上に、下地絶縁膜及びその上に積層される高誘電率絶縁膜からなるゲート絶縁膜2を形成する。
【0045】
このために、半導体基板1上に、下地絶縁膜として、シリコン酸化膜の単層膜、シリコン窒化膜の単層膜又はシリコン酸化膜とシリコン窒化膜との積層膜を形成する。下地絶縁膜を形成する第1の方法としては、例えば、ISSG(In Situ Steam Generation)法、RTO(Rapid Thermal Oxidation)法又は酸化炉を用い、半導体基板1の上部を酸化することによりシリコン酸化膜として下地絶縁膜を形成する。また、第2の方法としては、例えば、ISSG法、RTA法又は酸化炉を用いて半導体基板1上にシリコン酸化膜を形成した後、DPN(Decoupled Plasma Nitridation)法によりシリコン酸化膜の上部を窒化し、シリコン酸化膜及びシリコン窒化膜の積層膜として下地絶縁膜を形成する。更に、第3の方法としては、例えば、ISSG法、RTA法又は酸化炉を用い、半導体基板1上にシリコン酸化膜を形成した後、DPN法によりシリコン酸化膜の全てを窒化し、シリコン窒化膜として下地絶縁膜を形成する。
【0046】
次に、前記の下地絶縁膜上に、高誘電率絶縁膜を形成する。高誘電率絶縁膜の材料としては、シリコン窒化膜(SiN)、ハフニウムシリコン酸化膜(HaSiO)、ハフニウムシリコン窒化膜(HaSiN)、ハフニウムシリコン酸窒化膜(HaSiON)、ハフニウム酸化膜(HfO2 )、ハフニウムアルミ酸化膜(HfAlO)、ランタンアルミ酸化膜(LaAlO)、ルテニウム酸化膜(Ru2 3 )、ジルコン酸化膜(ZrO2 )、タンタル酸化膜(Ta2 5 )等が挙げられる。また、高誘電率絶縁膜の形成方法としては、ALD(Atomic Layer Deposition)法又はMOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法等が挙げられる。
【0047】
次に、下地絶縁膜及び高誘電率絶縁膜からなるゲート絶縁膜2上に、第1の導電膜3及びその上に積層する第2の導電膜4からなるゲート電極31を形成する。このために、まず半導体基板1上に、窒化チタン(TiN)等の金属膜からなる第1の導電膜3を形成する。その後、第1の導電膜3上にポリシリコン膜を形成すると共に、該ポリシリコン膜に対し、例えば注入ドーズ量1×1015/cm2 の条件にてリン(P)又はヒ素(As)等のN型不純物をイオン注入し、N型シリコン膜からなる第2の導電膜4とする。
【0048】
次に、第2の導電膜4上に、所望のゲートパターンを有するレジスト(図示省略)を形成し、該レジストをマスクとするエッチング技術を用いて、第2の導電膜4、第1の導電膜3及びゲート絶縁膜2にゲートパターンを転写する。その後、アッシング及び洗浄によりレジストを除去することにより、図1(a)に示すように、半導体基板1上にゲート絶縁膜2を介して設けられ、第1の導電膜3上に第2の導電膜4が積層した構造のゲート電極31を得る。
【0049】
次に、半導体基板1上に、ゲート電極31を覆うように、シリコン窒化膜からなる第1の絶縁膜を形成する。全面ドライエッチングを行ない、第1の絶縁膜のうち、ゲート電極31及びゲート絶縁膜2の側面に形成された部分を残存させて残りの部分を除去することにより、第1のサイドウォール5を形成する。
【0050】
この後、例えば、注入ドーズ量が1×1015/cm2 の条件にて、ゲート電極31及び第1のサイドウォール5をマスクとして半導体基板1にヒ素(As)等のN型不純物をイオン注入する。これにより、半導体基板1における第1のサイドウォール5の側下方に、浅い第1のドーピング領域32を形成する。
【0051】
続いて、図1(b)に示すように、ゲート電極31及び第1のサイドウォール5を覆うように、半導体基板1にシリコン酸化膜6及びその上に積層するシリコン窒化膜7を順次形成する。
【0052】
続いて、図1(c)に示す工程を行なう。ここでは、全面ドライエッチングによりシリコン酸化膜6及びシリコン窒化膜7をエッチバックし、ゲート電極の側面に第1のサイドウォール5を介して第2のサイドウォール21を形成する。第2のサイドウォール21は、第1のサイドウォール5に沿う部分と半導体基板1に沿う部分とによりL字型の断面形状を有するシリコン酸化膜6と、シリコン酸化膜6に対してゲート電極31の反対側に位置するシリコン窒化膜7とからなる。
【0053】
ここで、シリコン窒化膜7に対するドライエッチングの条件は、例えば、ソースパワーが800W、バイアスパワーが100W、ガス流量がCH2 2 /O2 /Ar=10/10/100ml/min、圧力がO.4Pa及び基板温度が0℃である。
【0054】
また、シリコン酸化膜6に対するドライエッチングの条件は、例えば、ソースパワーが1000W、バイアスパワーが100W、ガス流量がCHF3 /O2 /Ar=50/20/200ml/min、圧力が0.4Pa及び基板温度が0℃である。
【0055】
更に、第2のサイドウォール21を形成した後、シリコン窒化膜をエッチングする条件によりエッチングを行ない、第1のサイドウォール5上部の一部を除去してリセス部8を形成する。このとき、ドライエッチングの条件(例えばエッチング時間)を調整することにより、リセス量を調整することができる。
【0056】
続いて、図2(a)に示すように、半導体基板1上の全面に、第2のサイドウォール21及びゲート電極31を覆うと共に、第1のサイドウォール5上に設けたリセス部8を埋め込むようにシリコン酸化膜9aを形成する。
【0057】
次に、図2(b)に示すように、シリコン酸化膜9aに対して全面ドライエッチングを行なう。これにより、第1のサイドウォール5上のリセス部8を埋め込む部分以外のシリコン酸化膜9aを除去し、リセス部8に残したシリコン酸化膜を第3のサイドウォール9bとする。
【0058】
この際のエッチング条件は、例えば、ソースパワーが1000W、バイアスパワーが100W、ガス流量がCHF3 /O2 /Ar=50/20/200ml/min、圧力が0.4Pa及び基板温度が0℃である。
【0059】
第3のサイドウォール9bを形成した後、例えば注入ドーズ量1×1015/cm2 の条件にて、ゲート電極31、第1のサイドウォール5、第2のサイドウォール21及び第3のサイドウォール9bをマスクとして半導体基板1にヒ素(As)等のN型不純物をイオン注入する。これにより、半導体基板1における第2のサイドウォール21の側下方に、第1のドーピング領域32に比べて深い第2のドーピング領域33を形成する。更に、熱処理によって、注入したN型不純物を活性化し、N型のソース/ドレイン領域とする。
【0060】
次に、図2(c)に示す工程を行なう。初めに、第2のサイドウォール21の一部であるシリコン窒化膜7を除去し、第2のサイドウォール21の残りの部分であるシリコン酸化膜6と、リセス部8に設けられ且つシリコン酸化膜からなる第3のサイドウォール9bとを残存させる。
【0061】
このためには、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜とに対してエッチングの選択性があるエッチング方法、例えば、熱リン酸によるウェットエッチングを利用すればよい。
【0062】
熱リン酸を用いた場合、シリコン窒化膜のシリコン酸化膜に対する選択比(シリコン窒化膜のエッチング速度を、シリコン酸化膜のエッチング速度によって除算した値)はおよそ100である。よって、シリコン窒化膜からなる第1のサイドウォール5は、熱リン酸によるエッチングを受けたとすれば、除去されることになる。しかし、第1のサイドウォール5は、その上のリセス部8を埋め込むシリコン酸化膜からなる第3のサイドウォール9bと、側面を覆うシリコン酸化膜6(第2のサイドウォール21の一部)とによって全面が覆われている。このため、熱リン酸を用いてシリコン窒化膜7(第2のサイドウォール21の他の部分)を除去する際にも、第1のサイドウォール5が除去されることはない。
【0063】
次に、スパッタ法により、半導体基板1上の全面に、例えばニッケル(Ni)からなるシリサイド形成用金属膜(図示省略)を形成する。その後、熱処理により、ゲート電極31の第2の導電膜4及び第2のドーピング領域33のシリコンと、シリサイド形成用金属膜のニッケルとを反応させる。これにより、ゲート電極31の第2の導電膜4上部及び第2のドーピング領域33上部に、ニッケルシリサイドからなる金属シリサイド層(ドーピング領域の金属シリサイド層10aと、ゲート電極上の金属シリサイド層10b)を形成する。この後、エッチングにより、第3のサイドウォール9b、第2のサイドウォール21(シリコン酸化膜6)等に残存する未反応のシリサイド形成用金属膜を除去する。
【0064】
次に、図3(a)に示すように、半導体基板1上に例えばシリコン窒化膜からなるストッパー膜11を形成する。更に、該ストッパー膜11上に、例えばシリコン酸化膜を形成し、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化して層間絶縁膜12とする。
【0065】
次に、図3(b)に示すように、第2のドーピング領域33の一方(ソース領域又はドレイン領域)とゲート電極31の上方に跨る領域を開口するコンタクトホール13(シェアードコンタクトホール)を形成する。
【0066】
このためには、まず、層間絶縁膜12上に、コンタクトホール13に対応するコンタクトホールパターンを有するレジスト(図示省略)を形成する。次に、該レジストをマスクとするドライエッチングにより層間絶縁膜12を選択的にエッチングし、更に、アッシング及び洗浄によりレジストを除去することにより、ストッパー膜11の表面に達するコンタクトホールを形成する。その後、再びドライエッチング技術を用い、コンタクトホールの形成された層間絶縁膜12をマスクとして、ストッパー膜11を選択的にエッチングする。これにより、半導体基板1に形成した第2のドーピング領域33及びゲート電極31の両方に到達する(より正確には、それぞれの上部に形成された金属シリサイド層10a及び10bに接続する)コンタクトホール13を形成する。
【0067】
次に、図3(c)に示すように、コンタクトホール13の底部及び側壁部に、例えば窒化チタン(TiN)からなるバリアメタル膜(図示省略)を形成する。その後、コンタクトホール13内に、バリアメタル膜を介して例えばタングステン(W)からなる導電膜を埋め込む。更に、該導電膜及びバリアメタル膜を、層間絶縁膜12の上面が露出するまで除去し、コンタクトプラグ14を得る。導電膜及びバリアメタル膜の除去には、ドライエッチング技術を用いた全面ドライエッチング、CMP法による研磨等を用いることができる。
【0068】
以上のようにして、シェアードコンタクトを有するトランジスタ構造を得ることができる。
【0069】
本実施形態の製造方法によると、ゲート電極31の側壁下方にはシリコン窒化膜からなる第1のサイドウォール5、ゲート電極31の側壁上方にはシリコン酸化物からなる第3のサイドウォール9bを備え、更に、第1のサイドウォール5の側壁にはシリコン酸化膜6(第2のサイドウォール21の残存部分)を有する。このように第1のサイドウォール5は、第3のサイドウォール9b及びシリコン酸化膜6によって覆われているため、これらが保護層となり、コンタクトホール13の形成工程中のストッパー膜11を除去する際にもエッチングされない。このことから、次工程である洗浄工程においても、ゲート電極31の金属材料が溶解されることはなく、ゲート電極の形状異常を抑制することができる。
【0070】
尚、本実施形態では、半導体基板に形成されたMISトランジスタの導電型がN型である場合を例として説明したが、これには限らず、P型であっても同様の効果を得ることができる。
【0071】
また、第1の導電膜3としてTiN膜を用いる場合を説明したが、その他に、TaN膜、TaC膜、TaCNO膜、W膜等の金属膜(金属含有膜)を用いても良い。
【0072】
また、第1のサイドウォール5を形成するための第1の絶縁膜としてシリコン窒化膜を用いた。しかし、この他に、SiC膜、SiCN膜等を用いても良い。
【0073】
また、第2のサイドウォール21を構成するシリコン酸化膜6については、PSG膜、BSG膜、BPSG膜等のシリコン酸化膜を主体とする他の絶縁膜に代えても同様の効果を得ることができる。
【0074】
また、第3のサイドウォール9bをシリコン酸化膜によって形成する場合を説明したが、この他に、PSG膜、BSG膜、BPSG膜等のシリコン酸化膜を主体とする他の絶縁膜を用いても良いし、ポリイミド等の塗布型のシリコン酸化膜を用いても良い。
【0075】
また、ゲート電極31及び第2のドーピング領域33(ソース/ドレイン領域)の少なくとも一方にシリサイド層を形成する場合を説明したが、これは必須ではない。シリサイド層を形成しない場合にも、ゲート電極の形状異常を防ぐ効果は得られる。
【0076】
また、シリサイド形成用金属膜にNiを用い、NiSi2 からなる金属シリサイド膜を用いた場合について説明した。しかし、この他に、Co、NiPt等の金属膜を用いてシリサイド化を行ない、CoSi2 、NiPtSi等の金属シリサイド膜を形成するのであっても良い。
【0077】
また、図2(c)の工程において第2のサイドウォール21の一部であるシリコン窒化膜7を除去するのは、図3(b)の工程においてストッパー膜11を除去しやすくするためである。つまり、隣接するゲート電極31同士の間隔が狭い箇所ではストッパー膜11がゲート電極31間に残された空間を埋めてしまうことがある一方、ゲート電極31同士の間隔が広い箇所ではストッパー膜11は所望の膜厚に形成される。このような膜厚の違いが生じると、ストッパー膜11の除去が困難になる場合がある。そこで、第2のドーピング領域33を形成した後にシリコン窒化膜7を除去することにより、ゲート電極31間に残される空間を広げてストッパー膜11によって埋め込まれるのを避ける。これにより、ストッパー膜11の除去を容易にすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
本発明の半導体装置及びその製造方法は、サイドウォールを有するMISトランジスタ構造においてゲート電極の形状異常を防止することができるものであり、特に、サイドウォールを有するゲート電極に対してシェアードコンタクトが形成された半導体装置及びその製造方法にも有用である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】図1(a)〜(c)は、本発明の一実施形態に係る例示的半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図2】図2(a)〜(c)は、図1(c)に続いて、本発明の一実施形態に係る例示的半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、図2(c)に続いて、本発明の一実施形態に係る例示的半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図4】図4(a)〜(c)は、従来の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5】図5(a)〜(c)は、図4(c)に続いて、従来の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0080】
1 半導体基板
2 ゲート絶縁膜
3 第1の導電膜
4 第2の導電膜
5 第1のサイドウォール
6 シリコン酸化膜
7 シリコン窒化膜
8 リセス部
9a シリコン酸化膜
9b 第3のサイドウォール
10 金属シリサイド層
11 ストッパー膜
12 層間絶縁膜
13 コンタクトホール
14 コンタクトプラグ
21 第2のサイドウォール
31 ゲート電極
32 第1のドーピング領域
33 第2のドーピング領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記基板における前記ゲート電極の両側方に形成された不純物領域とを有するトランジスタと、
前記トランジスタ上を覆うように前記基板上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜を貫通し、前記不純物領域及び前記ゲート電極に電気的に接続するシェアードコンタクトとを備え、
前記ゲート電極の少なくとも側面下部を覆うように、第1のサイドウォールが形成され、
前記第1のサイドウォールにおける前記ゲート電極とは反対側の側面を覆うように第2のサイドウォールが形成され、
前記第1のサイドウォール上に、前記ゲート電極の側面上部と前記第2のサイドウォールとに挟まれるように第3のサイドウォールが形成され、
前記第2のサイドウォール及び前記第3のサイドウォールは、いずれも、前記第1のサイドウォールとは異なる材料により構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記層間絶縁膜は、下層である第1の層間絶縁膜と上層である第2の層間絶縁膜とが積層された構造を有し、
前記第1の層間絶縁膜は、前記第2のサイドウォール及び前記第3のサイドウォールのどちらとも異なる材料により構成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記第2のサイドウォールの材料及び前記第3のサイドウォールの材料は、それぞれ、酸化シリコン膜、PSG膜、BSG膜又はBPSG膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一つにおいて、
前記第1のサイドウォールの材料は、窒化シリコン膜、炭化シリコン膜又は炭窒化シリコン膜であることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一つにおいて、
前記ゲート電極は金属材料を含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一つにおいて、
前記不純物領域は、第1の不純物領域と、前記第1の不純物領域よりも深く形成された第2の不純物領域とを含むことを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
基板上に、ゲート絶縁膜を介して金属材料を含むゲート電極を形成すると共に、前記基板における前記ゲート電極の両側方に不純物領域を形成する工程(a)と、
前記ゲート電極の側面に、第1の絶縁膜からなる第1のサイドウォールを形成する工程(b)と、
前記基板上の全体に第2の絶縁膜を形成した後、ドライエッチング法を用いたエッチバックにより、前記第1のサイドウォールの側面に前記第2の絶縁膜からなる第2のサイドウォールを形成する工程(c)と、
ドライエッチング法を用いて、前記第1のサイドウォールの上部を除去してリセスを形成する工程(d)と、
前記リセス内を埋め込む第3の絶縁膜を形成した後、ドライエッチング法を用いて前記リセス内以外の前記第3の絶縁膜を除去し、前記リセス内に前記第3の絶縁膜からなる第3のサイドウォールを形成する工程(e)と
前記工程(e)の後に、前記半導体基板上の全面に層間絶縁膜を形成する工程(f)と、
前記層間絶縁膜に対し、前記不純物領域及び前記ゲート電極上に跨るように開口するコンタクトホールを形成する工程(g)と、
前記コンタクトホール内を導電物によって埋め込み、シェアードコンタクトを形成する工程(h)とを備え、
前記第1のサイドウォールは、前記第2のサイドウォール及び前記第3のサイドウォールのいずれとも異なる材料により構成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記工程(c)において、前記第2の絶縁膜上に更に第4の絶縁膜を形成し、前記第2の絶縁膜及び前記第4の絶縁膜からなる第2のサイドウォールを形成し、
前記工程(e)と前記工程(f)との間に、前記第2のサイドウォールにおける前記第4の絶縁膜を除去する工程を更に備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項9】
請求項7又は8において、
前記工程(f)において、下層である第1の層間絶縁膜と上層である第2の層間絶縁膜とからなる前記層間絶縁膜を形成し、
前記工程(g)において、前記第1の層間絶縁膜をエッチストッパーとして前記第2の層間絶縁膜をエッチングした後に、前記第1の層間絶縁膜をエッチングし、
前記第1の層間絶縁膜は、前記第2のサイドウォール及び前記第3のサイドウォールのどちらとも異なる材料により構成されていることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一つにおいて、
前記第2のサイドウォール及び前記第3のサイドウォールの材料は、それぞれ、それぞれ、酸化シリコン膜、PSG膜、BSG膜又はBPSG膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一つにおいて、
前記第1のサイドウォールの材料は、窒化シリコン膜、炭化シリコン膜又は炭窒化シリコン膜であることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか一つにおいて、
前記工程(e)と前記工程(f)との間に、
前記第1のサイドウォール、前記第2のサイドウォール、前記第3のサイドウォール及び前記ゲート電極をマスクとして前記基板に不純物を導入し、前記不純物領域よりも深い他の不純物領域を形成する工程を更に備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−219289(P2010−219289A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64250(P2009−64250)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】