説明

運転装置の制御装置

【課題】運転者の能力等に合わせて操作装置の操作性を調整でき、車両の運転を容易化することが可能な運転装置の制御装置を提供する。
【解決手段】操作レバー20を含み操作レバー20の操作位置を出力する操作装置10と、車両のブレーキ及びアクセルを動作させる駆動系60,70とを備える運転装置において、操作位置に応じて駆動系60,70の制御量を決定し制御する制御装置50であって、操作位置と駆動系60,70の制御量との関係を変更可能に形成されている。この構成によれば、ユーザの能力、好みや車両の状況に合わせて操作装置10の操作性を調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクセルペダル及びブレーキペダルを駆動源により駆動して車両の運転を補助する運転装置の制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
身体障害者による車両の運転を補助するための装置としては、車両のブレーキペダル及びアクセルペダルの制御量を指示すべく運転者により手動で操作される操作レバーを含む操作装置、ブレーキペダルを駆動するブレーキ駆動系、アクセルペダルを駆動するアクセル駆動系、操作レバーの操作量に応じてブレーキ駆動系及びアクセル駆動系の制御量を制御する制御装置等から構成された運転補助装置(運転装置)が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平8−216737号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、上記のような運転補助装置では、操作レバーの操作力は電気信号に変換されて制御装置へ出力されるので、操作レバーの操作には特に大きな力を要せず、非力なユーザでも容易に操作できる反面、操作レバーにはブレーキの制御量等に応じた反力が作用しないため、感覚的に車両のコントロールをするのが難しい。また、従来においては、障害者の障害の度合い、身体的能力、熟練度、好み等に応じて操作レバーの操作量に対してアクセルやブレーキの制御量を調整することができず、操作レバーの操作による車両の運転を難しくさせている一因となっていた。さらに、従来においては、降雨や降雪時、高速走行時、駐車場へ駐車する時等の条件によっては、身体障害者等にとっては難しい場面もあり、このような状況で運転をアシストする技術が望まれていた。
【0004】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、運転者等の能力や走行状況に合わせて操作装置の操作性を調整できて車両の運転を容易化することが可能な運転装置の制御装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る運転装置の制御装置は、運転者により手動で操作されて車両の制動系又は加速系の動作を指示するための操作レバーを含み前記操作レバーの操作位置を出力する操作装置を備える運転装置において、前記操作装置の操作量に応じて前記車両の制動系又は加速系を制御する制御装置であって、前記操作位置と前記制動系又は加速系の制御量との関係を変更可能に形成されている、ことを特徴としている。
この構成によれば、操作装置の操作位置と制動系又は加速系の制御量との関係を変更できるので、ユーザの能力、好みや車両の状況に合わせて操作装置の操作性を調整でき、車両の運転し易さを向上させることができる。
【0006】
上記構成において、前記操作位置と前記制御量との関係を規定するマップを変更可能に保持している、構成を採用できる。
この構成によれば、ユーザの能力、好みや車両の状況に合わせてマップを変更することができるので、より精密な運転補助制御が可能となる。
【0007】
上記構成において、前記制動系の最大制御量については前記マップを変更不能に保持している、構成を採用できる。
この構成によれば、マップを変更しても最大制動力は確保できる。
【0008】
上記構成において、前記マップと現在の操作レバーの操作位置及びこれに対応する制御量とをグラフ化して表示装置へ表示可能に形成されている、構成を採用できる。
この構成によれば、マップをグラフ化して表示装置へ表示することにより、ユーザは視覚的にマップがどのように変化したかを把握できると共に、操作レバーの操作位置及び対応する制御量を表示することにより、この後の操作により制御量がどのように変化するのかを容易に把握できる。
【0009】
上記構成において、前記操作位置と前記制御量との関係を変更するための外部操作手段を有する、構成を採用できる。
この構成によれば、ユーザは外部操作手段を操作することにより、運転者の能力、好み等に合わせて操作性を調整することができる。
【0010】
上記構成において、例えば、車速、積載量等の車両情報に応じて、操作位置と制御量との関係を変更可能となっている、構成を採用できる。
この構成によれば、例えば、車速の低い時と高い時とで必要とされるブレーキの効き具合を調整したり、積載量に応じてブレーキの効き具合を調整したりすることが自動で行われる。
【0011】
上記構成において、ユーザによる前記操作レバーの操作範囲に合わせて前記操作位置と前記制御量との関係を補正すべく、ユーザによる前記操作レバーの操作範囲を学習可能となっている、構成を採用できる。
この構成によれば、ユーザの身体的能力に合わせて操作レバーの操作性を自動的に最適化することができる。
【0012】
上記構成において、ユーザに所定操作に応じて前記学習を開始する、構成を採用できる。
この構成によれば、ユーザの操作レバーの操作により学習処理を起動できるので、ユーザの負担を軽減できる。
【0013】
上記構成において、ユーザが操作レバーを複数回操作して得られる複数の操作範囲に所定の統計的処理を施してユーザが操作可能な操作範囲を決定する、構成を採用できる。
この構成によれば、統計的処理を行うので、学習値にばらつきが発生するのを抑制できて、適正な補正が可能となる。
【0014】
上記構成において、ユーザによる操作レバーの所定操作からユーザが学習を終了させようとしていることを判断し、ユーザによる学習の終了のための操作が所定時間内に行われなかった場合には、学習を失敗したと判断する、構成を採用できる。
この構成によれば、ユーザの操作レバーの操作により学習処理を終了させることができると共に確実な学習が行われたかを自動的に判断するので、ユーザの負担を軽減できる。
【0015】
上記構成において、学習の開始、学習の正常完了、及び、学習の失敗の少なくいずれかをユーザに通知する処理を行う、構成を採用できる。
この構成によれば、学習処理が実行されたかをユーザが確実に認識することができる。
【0016】
上記構成において、複数のモードを有し、各モード毎に車両の走行状態に適した前記操作位置と前記制御量との関係を選択及び/又は設定可能である、構成を採用できる。
この構成によれば、車両の走行状況等に合わせてユーザの運転を自動的に補助することが可能となる。
【0017】
上記構成において、前記モードは、渋滞走行に適した渋滞モード、高速走行に適した高速モード、坂道走行に適した坂道モード、降雨時の走行に適した雨モード、及び、車両の駐車停に適した駐停車モードの少なくともいずれかのモードを含む、構成を採用できる。
この構成によれば、路面状況、速度状況、天候状況等に合わせてユーザの運転を補助することが可能となる。
【0018】
上記構成において、車両が走行している道路の傾斜情報から坂道であるかを判断し、坂道であると判断した場合には、前記坂道モードを選択する、構成を採用できる。
この構成によれば、道路の傾斜に合わせて自動的にスムーズな車両の運転が可能となる。
【0019】
上記構成において、坂道モード用の運転補助制御中に車速が略零になったと判断した場合には、前記制動系を制御して車両を制動するように制御する、構成を採用できる。
この構成によれば、坂道で車速が零となった場合に自動的にブレーキが作動して車両が前進、後退するのを防止できてユーザの負担が軽減されると共に、発進時には、ユーザは操作レバーをアクセル側に操作するだけでよいので、ユーザの登坂路における操作を簡略化できる。特に、登坂路で一度止まったあと再発進する、いわゆる「坂道発進」に最適な操作性を提供することができる。
【0020】
上記構成において、前記雨モード選択中に前記外気温が所定温度以下と判断した場合には、降雪時の走行に適した雪モードを選択する、構成を採用できる。
この構成によれば、降雨状態から降雪状態へ変化するとそれに応じた運転補助制御が自動的に実行されるので、ユーザは路面状況等に応じて意識して操作レバーを操作しなくても、より安全な運転が可能となる。
【0021】
上記構成において、前記操作レバーには、ユーザの接触状態及び非接触状態を検出する検出手段が設けられており、車両の走行中に前記検出手段が非接触を検出した場合には、車両の走行速度を一定に保持するように制御する、構成を採用できる。
この構成によれば、高速走行状態において、ユーザが操作レバーから手を離した時点における車速が維持されるので、ユーザは常に操作レバーを握っている必要がなく、高速運転におけるユーザの負担を軽減できる。
【0022】
上記構成において、前記渋滞モードが選択されている場合には、車速を所定以下に制限しつつ一定に維持するように制御する、構成を採用できる。
この構成によれば、渋滞時に車両を移動する際に、車速が所定以下に規制されつつ一定に維持されるので、操作ミスによる車両の暴走等を防止できると共に、操作負担を軽減できる。
【0023】
上記構成において、前記駐車モードが選択されている場合には、前記操作レバーのブレーキ側への操作により車両を後退させ、アクセル側への操作により車両を前進させ、ブレーキ側とアクセル側との中間領域でブレーキを動作させる処理を行う、構成を採用できる。
この構成によれば、駐車モードが選択されている場合に、操作装置により、車両の前進、後退、ブレーキ操作を可能にすることで、スムーズかつ安全な駐車、切り替えしが可能となる。
【0024】
上記構成において、ユーザによる前記操作レバーの操作範囲の学習の際に操作レバーの限界操作位置を算出し、その後、該限界操作位置を用い前記操作位置と前記制御量との関係を補正する補正手段を有する、構成を採用することができる。この構成によれば、ユーザの身体的能力に合わせて操作レバーの操作性を自動的に最適化することができる。
【0025】
上記構成において、前記補正手段は、学習時に操作された前記操作レバーの最大操作位置を前記限界操作位置とする、構成とすることができる。この構成によれば、ユーザが操作レバーを、より無理なく操作可能な操作範囲とすることができる。
【0026】
上記構成において、前記補正手段は、学習時に複数回操作された前記操作レバーのそれぞれの最大操作位置の平均値を前記限界操作位置とする、構成とすることができる。この構成によれば、より運転者の操作範囲に近い限界操作位置を算出することができる。
【0027】
上記構成において、前記補正手段は、学習時に操作された前記操作レバーの最大操作位置は、ユーザがスイッチを操作する信号が入力したときの前記操作レバー位置とする、構成とすることができる。この構成によれば、ユーザが操作レバーを操作しながら限界操作位置を決めることができる。
【0028】
上記構成において、前記操作位置と前記制御量との関係または前記限界操作位置の少なくとも一方を含む学習情報を格納する記憶手段を有する、構成とすることができる。この構成によれば、学習した学習情報を記憶しておき、運転時に学習情報を取得し、ユーザに合った操作位置と制御量との関係を用い運転を行うことができる。
【0029】
上記構成において、前記記憶手段は、前記前記操作位置と前記制御量との関係または前記限界操作位置の少なくとも一方を含む学習情報を、ユーザ情報とともに格納し、前記ユーザ情報に対応し前記補正手段が補正した前記操作位置と前記制御量との関係を用い、前記制動系または前記加速系を制御する駆動制御手段を具備する、構成とすることができる。この構成によれば、運転するユーザは、各自の操作範囲に合ったマップをもとに運転を行うことができる。
【0030】
上記構成によれば、前記補正手段は、前記限界操作位置に応じ、前記制動系または前記加速系の制御のための伝達関数の少なくとも一部を算出し、駆動制御手段は、前記マップおよび前記伝達関数の少なくとも一部を用い前記制動系または前記加速系を制御する、構成とすすることができる。この構成によれば、例えば、操作レバーの少しの変化で制動系、加速系が大きく反応すると危険となる場合もありうる。そこで、ユーザの限界操作位置に対応し、伝達関数を変更する。これにより、操作レバーの操作に対する加速系または制動系の反応をユーザによって変更することができる。
【0031】
上記構成において、前記補正手段は、前記操作位置と前記制御量との関係を用い運転時に、前記操作レバー位置が前記限界操作位置を超えた場合、前記限界操作位置を変更し、再度前記操作位置と前記制御量との関係を補正する、構成とすることができる。この構成によれば、ユーザの限界操作位置を適切に設定することができる。
【0032】
上記構成において、ユーザが学習を開始させる所定操作を行った場合、かつシフトレバーがパーキングの場合に前記学習を開始する、構成とすることができる。この構成によれば、確実に車両の停止時に学習を行うことができる。
【0033】
上記構成において、ユーザが学習を終了させる所定操作を行った場合、またはシフトレバーがパーキングから移動した場合、学習を終了させる、構成とすることができる。この構成によれば、確実に車両の停止時に学習を行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る運転装置の制御装置によれば、身体障害者等の運転者の能力に合わせて操作装置の操作性を調整できると共に、各種条件に応じて運転を補助するので、車両の運転を容易化でき、安全性を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、本発明の最良の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
図1及び図2は、本発明の一実施形態を示すものであり、図1は制御装置を含む運転補助装置(運転装置)の構成図、図2は制御装置を含む運転補助装置の基本的機能を説明するための図である。
この運転補助装置は、図1に示すように、操作装置10、制御装置50、駆動系としてのブレーキペダル80を駆動する制動系としてのブレーキ駆動系60及びアクセルペダル90を駆動する加速系としてのアクセル駆動系70等を備えている。
【0036】
操作装置10は、運転者により手動で操作されて車両のアクセルペダル90及びブレーキペダル80の制御量を指示するために設けられており、運転者により手動で操作されて車両の制動系及び加速系の動作を指示するための操作レバー20及び角度検出器30を備えている。
操作レバー20は、ブレーキ領域側及びアクセル領域側へ図示しない支持機構により揺動自在に支持されている。また、操作レバー20は、図示しないばね等の付勢手段によりブレーキ領域側及びアクセル領域側の双方から付勢されて、非操作時にはブレーキ領域とアクセル領域との間のニュートラル領域に保持される。さらに、操作レバー20には、運転者が操作レバー20を把持しているか否かを検出する接触センサ40が設けられており、接触センサ40の検出信号は、制御装置50へ出力される。
角度検出器30は、制御装置50とケーブルにより電気的に接続されており、操作レバー20の操作位置を検出し、これを電気信号に変換して制御装置50へ出力する。尚、角度検出器30の検出する操作レバー20の操作位置に応じてアクセルペダル90及びブレーキペダル80の制御量が決定される。
【0037】
ブレーキ駆動系60は、図1に示すように、モータ61、モータ61の回転量を検出する回転量検出センサ62、モータ61を駆動する駆動回路63、モータ61の出力軸とブレーキペダル80とを連結する連結部材64等を備えており、ブレーキペダル80を駆動することにより車両に備わるブレーキを動作させる。モータ61は、連結部材64を回動してブレーキペダル80を駆動する。駆動回路63は、制御装置50からの指令及び回転量検出センサ62からの情報に基づいてモータ61をフィードバック制御する。
【0038】
アクセル駆動系70は、図1に示すように、モータ71、モータ71の回転量を検出する回転量検出センサ72、モータ71を駆動する駆動回路73、モータ71の出力軸とアクセルペダル90とを連結する連結部材74等を備えている。 モータ71は、連結部材74を回動させてアクセルペダル90を駆動する。駆動回路73は、制御装置50からの指令及び回転量検出センサ72からの情報に基づいてモータ71をフィードバック制御する。
【0039】
アクセルペダル90には、図2に示すように、アクセル開度センサ310が接続されており、このアクセル開度センサ310によりアクセルペダル90の制御量が検出され、検出された制御量はエンジン制御装置300へ出力される。
【0040】
ここで、車両のエンジンは、図2に示すように、シリンダ320、シリンダ320に嵌め込まれたピストン321、ピストン321と連結されたクランクシャフト322、シリンダ320の上方の吸気路323に設けられて、吸気量を調整するためのスロットルバルブ324、スロットルバルブ324を駆動する駆動系327、燃料を噴射するためのインジェクタ325及び吸気路323を開閉する吸気弁326、ピストン321の上方に配置された点火プラグ340、シリンダ320の上方の排気路330に設けられて排気路330を開閉する排気弁331等を備えている。そして、エンジン制御装置300はアクセルペダル90の制御量に応じてスロットル駆動系327を駆動して吸気量を調整する。これにより、エンジンの出力がアクセルペダル90の制御量に応じて制御される。
【0041】
ブレーキペダル80には、図2に示すように、車両のブレーキシステム400のブレーキシリンダ440が接続されている。車両のブレーキシステム400は、ブレーキシリンダ440に管路で接続された複数のシリンダ410、シリンダ410により駆動される複数のブレーキパッド420、複数のブレーキパッド420の間に配置され図示しない車両のホイールと連結されたブレーキディスク430等を備えている。ブレーキペダル80がモータ61により駆動されると、ブレーキシリンダ440で発生した液圧(油圧)によりブレーキパッド420が駆動されてブレーキディスク430に制動力が作用する。
【0042】
制御装置50は、プロセッサ、メモリ、記憶装置等のハードウエア及び所要のソフトウエアで構成されており、基本的には、操作レバー20の操作位置に応じて、ブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御量を決定し、ブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70を制御する。また、制御装置50は、後述するように、操作レバー20の操作位置とブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御量(制御量)との関係を規定するマップ(制御データ)をメモリに保持しており、このマップに従ってブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御量を決定すると共に、このマップを変更可能に保持している。
【0043】
制御装置50には、ブレーキコントローラ51、アクセルコントローラ52、車速センサ53、積載量センサ54、運転補助制御用スイッチ55、温度センサ56、トランスミッションECU200、報知装置500、ナビゲーションシステム600等が接続されている。尚、ブレーキコントローラ51、アクセルコントローラ52及びナビゲーションシステム600は、外部操作手段を構成している。
【0044】
ブレーキコントローラ51は、ユーザによって操作可能に設けられており、操作レバー20の操作位置とブレーキ駆動系60の制御量との関係を規定するマップを補正するための補正係数を決定する。
アクセルコントローラ52は、ユーザによって操作可能に設けられており、操作レバー20の操作位置とアクセル駆動系70の制御量との関係を規定するマップを補正するための補正係数を決定する。
【0045】
車速センサ53は、車速を検出して制御装置50へ出力する。
積載量センサ54は、乗車人数や搭載した荷物に応じて変化する車両の積載量を検出し、制御装置50へ出力する。積載量センサ54は、例えば、車両のサスペンションの沈み込み量等から積載量を検出する。
【0046】
運転補助制御用スイッチ55は、後述する運転補助制御を起動、停止する起動停止釦55Aと各モードを選択する複数の選択釦55Bを備えている。具体的には、選択釦55Bは、後述するように、高速モード、渋滞モード、駐車モード、坂道モード及び雨モードのいずれかを選択可能となっている。
【0047】
ナビゲーションシステム600は、図示しない処理装置、記憶装置、表示装置、操作装置、スピーカなどの報知装置等から構成され、GPSにより取得した道路情報を表示装置に表示したり、スピーカを通じて通知したりする。また、ナビゲーションシステム600の表示装置には、後述するように、操作レバー20の操作位置とブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御量との関係を規定するマップ等が表示可能となっていると共に、ナビゲーションシステム600は、マップを変更するための外部操作手段としても機能する。
報知装置500は、車両に設けられたスピーカ、インジケータ等から構成される、運転者に各種情報を知らせるための装置であり、例えば、制御装置50から受けた情報に応じて、運転者へ当該情報を知らせる。
トランスミッションECUは、車両のトランスミッション210を制御するためのものであり、トランスミッション210により車両の変速及び前進/後退の切替が行われる。
【0048】
次に、制御装置50における操作レバーの操作位置とブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御量との関係を変更する処理の一例について図3ないし図5を参照して説明する。
尚、図3は制御装置50の処理の一例を示すフローチャートであり、図4はマップの例を示す図であり、図5はマップ及び現在の制御量の表示例を示す図である。
【0049】
先ず、制御装置50は、図3に示すように、操作レバー20の操作位置がアクセル側かブレーキ側かを判断し(ステップST1)、アクセル側と判断した場合には、操作レバー20の操作位置と予め保持している基本マップとに基づいて、アクセルペダル90の制御量を算出する(ステップST2)。ブレーキ側と判断した場合には、操作レバー20の操作位置と予め保持している基本マップとに基づいて、ブレーキペダル80の制御量を算出する(ステップST6)。尚、基本マップは、通常の制御において操作レバー20の操作位置とブレーキペダル80及びアクセルペダル90の制御量との関係を規定する制御データである。
【0050】
次いで、制御装置50は、車速センサ53及び積載量センサ54から得られる車速及び積載量から決まる補正係数に基づいて、基本マップにより算出されたアクセルペダル制御量(又はブレーキペダル制御量)を補正する(ステップST3又はST7)。この際の補正は、例えば、図4に示すように、積載量に応じて補正係数を予め決めておき、操作レバー20の操作位置と制御量との関係を規定する直線の傾きを補正係数で補正する。例えば、図4(a)に示すように低積載量の場合には、傾きは基本マップと同じにし、中積載量(図4(b))、高積載量(図4(c))になるにしたがって、補正係数を大きくとり、上記直線の傾きを急峻にする。このとき、図4(b)及び(c)に示すように、最大駆動(制御)量については不変とすることが好ましい。特に、ブレーキ側の最大制御量を不変とすることにより、最大制動力を常に確保することができる。
また、車速に応じて必要とされる制動力は異なるため、車速に応じて予め補正係数を予め設定しておき、実際の車速に応じて、ブレーキペダルの制御量を補正することができる。
【0051】
次いで、制御装置50は、アクセルコントローラ52(又はブレーキコントローラ51)の操作量により決まる補正係数により、上記の制御量を補正する(ステップST4又はST8)。この際の補正は、上記と同様である。また、少なくともブレーキ側の最大制御量は不変とする。
そして、制御装置50は、算出した制御量に基づいてアクセルペダル90又はブレーキペダル80の駆動制御を行う(ステップST5又はST9)。
【0052】
次いで、制御装置50は、補正されたマップの表示要求があるかを判断し(ステップST10)、表示要求のある場合には、上記各補正係数に基づいて基本マップを補正し、補正されたマップをグラフ化し、これを、例えば、図5に示すように、ナビゲーションシステム600に備わる表示装置へ出力する。さらに、制御装置50は、現在の操作レバー20の操作位置と制御量とで規定される制御点CVを、図5に示すように、グラフ化されたマップMPに重ねて出力する(ステップST12)。このとき、操作レバー20の現在の操作位置を棒グラフ状に表示して視覚的に認識できるようにしてもよい。
次いで、制御装置50は、処理を終了するか否かを判断し(ステップST13)、終了しない場合には、ステップST1に戻って上記と同様の処理を行う。
【0053】
一方、制御装置50は、補正したマップの表示要求がないと判断した場合には、処理を終了するか否かを判断し(ステップST14)、終了しない場合には、ステップST1に戻って上記と同様の処理を行う。
【0054】
次に、ナビゲーションシステム600を外部操作手段として用いた場合の制御装置50でのマップの選択、編集処理の一例について図6ないし図9を参照して説明する。
ここで、図6は制御装置50におけるマップ変更処理の一例を示すフローチャートであり、図7ないし図9はマップ変更処理に付随する表示装置の表示例を示している。
【0055】
先ず、ナビゲーションシステム600の表示装置には、図7(a)に示すような表示がなされ、この表示画面から設定ボタンが選択されると、図7(b)に示すように、各種機能を設定する複数の設定ボタンが表示される。さらに、これらの設定ボタンのうち、運転補助に関わる手動運転設定ボタンが選択されると、図7(c)に示すように、後述する学習モードを選択するボタン及びマップ変更モードを選択するボタンが表示される。そして、マップ変更モードを選択するボタンが選択されると、図7(d)に示すように、マップ選択モード及びマップ編集モードを選択するためのボタンが表示される。
【0056】
制御装置50は、図6に示すように、図7(c)に示した表示画面においてマップ変更モード及び後述する学習モードのいずれが選択されたかを判断し(ステップST21)、マップ変更モードが選択されたと判断した場合には、さらに、マップ選択モード及びマップ編集モードのいずれが選択されたかを判断する(ステップST22)。尚、マップ選択モードは、制御装置50の記憶装置に予め記憶された複数のマップからユーザの望むマップを選択するモードであり、マップ編集モードは、現在使用しているマップをユーザが望む形態に編集するためのモードである。
【0057】
制御装置50は、マップ選択モードが選択されたと判断すると、例えば、図8(a)に示すようなマップ選択画面を表示装置へ表示する。
図8(a)に示す表示画面では、形態の異なる複数のマップMP1,MP2,MP3がグラフ表示されていると共に、操作レバー20の現在の操作位置が棒グラフ表示されている。この画面では、ユーザが画面上の選択ボタンを操作する毎に、マップMP1,MP2,MP3から車両の運転に使用する所望のマップがユーザにより選択できるようになっており、選択されたマップ(図ではマップMP1)は、ハイライト表示される。そして、画面上の決定ボタンを押すと、選択されたマップが確定し、図8(b)に示すように、確認画面が表示され、この確認画面の選択に応じて図8(c)又は図8(d)に示す終了画面が表示される。
制御装置50では、画面の操作からマップの選択が終了したかを判断し(ステップST24)、終了したと判断した場合には、選択されたマップを記憶装置に記憶し(ステップST27)、処理を終了する。
【0058】
制御装置50は、マップ編集モードが選択されたと判断すると、例えば、図9(a)に示すようなマップ編集画面を表示装置へ表示する(ステップST25)。
図9(a)に示す表示画面では、現在使用されているマップMP4がグラフ表示されていると共に、操作レバー20の現在の操作位置が棒グラフ表示されている。また、制御点CVは、操作レバー20の操作位置と連動するようになっている。そして、制御点CVは、図9(a)に示すように、画面の上下ボタンの操作に応じて画面を上下するようになっており、このとき、マップMP4は制御点CVに引きずられる形でマップMP5やMP6のように変形する。したがって、操作レバー20の操作位置及び上下ボタンを適宜操作することにより、マップMP4を任意の形状に変形できる。そして、マップMP4を所望の形態に整形したうえで、画面の決定ボタンを操作すると、図9(b)に示した確認画面が表示され、この確認画面の選択に応じて、図8(c)又は図8(d)に示した終了画面が表示される。
制御装置50では、画面の操作からマップの編集が終了したかを判断し(ステップST26)、終了したと判断した場合には、選択されたマップを記憶装置に記憶し(ステップST27)、処理を終了する。
このように、予め記憶された複数のマップからユーザが望むマップを選択したり、ユーザが望む形態にマップを変更することにより、ユーザの能力や好み、走行環境などに合わせて操作レバー20に対するブレーキペダル80及びアクセルペダル90の制御量を自由に調整できる。
【0059】
次に、制御装置50の学習モードにおける処理の一例について図10ないし図12を参照して説明する。
図10は制御装置50の学習モードにおける処理手順を示すフローチャートであり、図11は操作レバー20の最大操作可能位置とユーザによる操作レバー20の限界操作位置との関係を説明するための図であり、図12は学習前と学習後のマップの一例を示すグラフである。
この学習モードは、ユーザが操作レバー20を操作可能な操作範囲を学習して、この学習した操作範囲に合わせて操作位置とブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御量との関係を規定するマップを補正するためのモードであり、この学習処理は、車両の停止中、好ましくは、車両のエンジンが停止した状態で行われる。
【0060】
制御装置50は、例えば、図7(c)に示した選択画面において、学習モードが選択された場合には、ユーザによって学習開始のための操作レバー20の所定操作が行われたかを判断する(ステップST31)。この学習開始のための所定操作は、例えば、操作レバー20をブレーキ側及びアクセル側に連続して往復動させる等の予め決められた操作である。
【0061】
制御装置50は、学習開始の条件を満足すると判断した場合には、スピーカやインジケータ等の報知装置500に対して学習開始を通知する(ステップST32)。これにより、ユーザは学習が開始されたことを確認することができる。
【0062】
次いで、制御装置50は、ユーザがブレーキ側及びアクセル側に往復動させたときの操作レバー20の操作範囲を計測し、図11に示すように操作レバー20を動かすことができるブレーキ側の最大操作位置F1及びアクセル側の最大操作位置F2に対して、ユーザが無理せず操作できるブレーキ側の限界操作位置U1及びアクセル側の限界操作位置U2を決定する(ステップST33)。これら限界操作位置U1及びU2を決定することによりユーザが操作レバー20を無理なく操作可能な操作範囲は決まる。また、限界操作位置U1及びU2を決定するには、計測して得られた操作レバー20の操作範囲を所定の統計処理、例えば、平均値処理することにより得られる。
【0063】
次いで、制御装置50は、ユーザによって学習終了のための操作レバー20の所定操作が行われたかを判断する(ステップST34)。この学習終了のための操作は、例えば、操作レバー20をブレーキ側に傾けた状態を一定時間保持した等の予め決められた操作である。
そして、制御装置50は、学習終了の条件を満足すると判断した場合には、マップを補正するための補正係数を算出し(ステップST35)、スピーカやインジケータ等の報知装置500に対して学習終了を通知し(ステップST36)、処理を終了する。これにより、補正前のマップMP7は、図12に示すように、マップMP8のように、限界操作位置U1及びU2で規定されるユーザが操作可能な範囲に合わせて補正され、限界操作位置U1及びU2まで操作レバー20を動かせば、ブレーキペダル80及びアクセルペダル90の最大制御量が得られる。
また、制御装置50は、所定時間を経過しても、学習終了の条件を満足すると判断できない場合には、報知装置500に対して学習を失敗した旨を通知し(ステップST37)、処理を終了する。これにより、ユーザはマップが補正されなかったことを認識できる。
【0064】
次に、制御装置50の運転補助制御モードにおける処理の一例について図13ないし図15を参照して説明する。
図13は、制御装置50の運転補助制御モードにおける処理手順を示すフローチャートであり、図14は各制御モードにおける操作レバー20の操作位置とアクセルペダル制御量又は車速との関係を示すグラフであり、図15は高速モードにおける処理の一例を説明するための図である。
【0065】
制御装置50は、先ず、運転補助制御用スイッチ55の起動停止釦55Aの操作状態から運転補助制御が起動されているか否かを判断する(ステップST41)。運転補助制御が起動されていると判断した場合には、渋滞モードが選択されているかを判断し(ステップST42)、渋滞モードが選択されていると判断した場合には、制御装置50は、操作レバーの操作量とアクセルの制御量のマップを図14(a)中の「通常」から「渋滞・駐車」に示すように変更する。これにより、操作レバーの操作量が一定以上ではアクセルの制御量が増加しないため、操作レバーを大きく操作しても速度が上がりすぎることがなく、渋滞時に前方の車両に追従して走行する場合に追突の危険を防ぐことができる。
また、別の方法として、図14(c)に示すように、操作レバーをアクセル側へ操作したときの操作位置に関係なく、車速を所定以下、例えば5km/h程度以下に制限しつつ一定の車速に維持するようにアクセルペダル90の制御量を制御する。これにより、渋滞走行中、ユーザが操作レバーをアクセル側に操作すれば車両が5km/h程度で走行し、ブレーキ側へ操作すれば車両が停止するので、ユーザにとっては速度を制御するために微妙なレバー位置の調整が必要なく渋滞走行中に操作性が向上する。
そして、制御装置50は、起動停止釦55Aの操作状態から運転補助制御が停止されたかを判断し(ステップST44)、停止されていない場合には、渋滞モードの運転補助制御を継続する。
【0066】
制御装置50は、渋滞モードが選択されていない場合には、高速モードが選択されているかを判断し(ステップST45)、高速モードが選択されている場合には、制御装置50は、レバー操作量とアクセル制御量のマップを図14(a)中の「通常」から「高速」に示すように変更する。これにより、レバー操作量に対するアクセルの制御量の変化量が大きくなるため、ユーザは大きく操作レバーを動かさなくても速度を上げることができ、高速走行に適した操作性を実現することができる。さらに、この場合、車速が所定以上、例えば、80km/h以上かを判断する(ステップST46)。
車速が所定以上と判断した場合には、運転者が操作レバー20を離したかを判断する(ステップST47)。ここで、図15(b)に示すように、運転者が操作レバー20をt0時点で離すと、接触センサ40の出力はt0時点で変化する。制御装置50は、この接触センサ40の出力の変化から運転者が操作レバー20を離したかを判断する。そして、制御装置50は、運転者が操作レバー20を離したと判断した場合には、図14(b)に示すように、車速が略一定に維持されるようにアクセルペダル90の制御量を制御する(ステップST48)。これにより、高速道路を高速で運転中に、操作レバー20を運転者が離したとしても急激に減速することを防止でき、安全性を向上できると共に、運転者の高速運転中における操作負担を軽減できる。
【0067】
ここで、t0時点において運転者が操作レバー20を離すと、操作レバー20はニュートラル領域に向けて移動するので、アクセル側の操作量は、図15(a)に示すように、次第に減少し、ニュートラル領域に達すると操作量は零となる。一方、制御装置50は、運転者が操作レバー20を離したと判断すると、図15(c)に示すように、車速を略一定に維持すべく、操作量が減少するのに関わらずアクセル駆動系70に対して制御量を継続して与える。
次いで、制御装置50は、接触センサ40の出力に基づいて、運転者が操作レバー20を再び握ったかを判断する(ステップST49)。ここで、図15(a),(b)に示すように、運転者が操作レバー20を再び握った時点をt1とすると、このt1時点の操作量をアクセル駆動系70の制御量にそのまま反映すると、車両が急減速してしまう可能性がある。このため、制御装置50は、運転者が操作レバー20を再び握ったと判断した場合には、図15(c)に示すように、アクセル駆動系70に対して車速を維持するための制御量を継続して与えつつ、操作レバー20の操作量がt0時点の操作量に対して所定の割合(例えば、10%以内)に達したかを判断する(ステップST51)。
そして、制御装置50は、操作レバー20の操作量が必要な量まで復帰したと判断すると、車速を略一定に維持する制御を解除し(ステップST52)、操作レバー20の操作量に応じてアクセルペダル90の制御量を制御する。
具体的には、図15(a),(c)に示すように、運転者が操作レバー20を再び握ったt1時点から操作レバー20の操作量が増加して、t0時点の操作量に対して所定の割合に達するt2時点において、制御装置50は、車速を略一定に維持する制御を解除し、操作レバー20の操作量に応じてアクセルペダル90の制御量を制御する。これにより、アクセルペダル90の制御量が急変するのを防止できる。
また、制御装置50は、操作レバー20の操作量が必要な量まで復帰しない場合には、所定時間が経過したかを判断し(ステップST51)、経過した場合には、操作レバー20の操作量が必要な量まで復帰しなくとも、車速を略一定に維持する制御を解除する(ステップST52)。
【0068】
制御装置50は、渋滞モード及び高速モードが選択されていない場合には、坂道モードが選択されているかを判断し(ステップST53)、坂道モードが選択されていると判断した場合には、車両が走行している道路の傾斜情報を取得する(ステップST54)。道路の傾斜情報は、ナビゲーションシステム600から取得してもよいし、車両に傾斜角度を検出するセンサを設けて検出してもよい。
そして、制御装置50は、道路の傾斜が所定角度以上の登坂路かを判断し(ステップST55)、所定角度以上の登坂路と判断した場合には、図14(a)に示した通常の制御に代えて、坂道モード用の運転補助制御を実行する(ステップST56)。この制御は、図14(f)に示すように、発進時における操作レバー20の操作量に対するアクセルペダル90の制御量を通常よりも増加させて容易な坂道発進を可能にする制御である。
次いで、制御装置50は、車速が零かを判断し(ステップST57)、車速が零と判断した場合には、操作レバー20の操作に関わらずブレーキペダル80を駆動して自動的に車両のブレーキングを行う(ステップST58)。これにより、坂道発進の際に、操作ミスにより車両が後退するのを防いでスムーズな発進を可能とし、運転者の負担を軽減できる。
【0069】
制御装置50は、渋滞モード、高速モード及び坂道モードが選択されていない場合には、雨モードが選択されているかを判断し(ステップST59)、選択されていると判断した場合には、温度センサ56から検出される外気温が所定温度(例えば0℃)以下かを判断する(ステップST60)。
制御装置50は、外気温が所定温度以下の場合には、雪モード用の運転補助制御を実行し(ステップST61)、外気温が所定温度よりも高い場合には、雨モード用の運転補助制御を実行する(ステップST62)。
ここで、雨モード用の運転補助制御では、図14(d)に示すように、通常の制御に比べて、操作レバー20の操作量とアクセルペダル90の制御量との関係を規定する直線の傾きを緩やかにする。これにより、雨で濡れた路面でのスリップを抑制できる。また、雪モード用運転補助制御では、図14(e)に示すように、操作レバー20の操作量とアクセルペダル90の制御量との関係を規定する直線の傾きを雨モードの場合よりもさらに緩やかにする。これにより、雪道でのスリップを抑制できる。
【0070】
制御装置50は、渋滞モード、高速モード、坂道モード及び雨モードのいずれも選択されていない場合には、駐車モードと判断して、駐車モード用の運転補助制御を実行する(ステップST63)。
駐車モードでは、制御装置50は、操作レバーの操作量とブレーキの制御量のマップを図16(a)に示すように変更する。これに加えて、制御装置50は、操作レバー20がアクセル側へ操作された場合には車両を前進させ、ブレーキ側に操作された場合には車両を後退させ、ブレーキ側とアクセル側との中間領域であるニュートラル領域に移動された場合にはブレーキを動作させる指令を、車両のパワートレーンを制御するトランスミッションECU200等へ出力する。これにより、操作レバーをアクセル側に操作すれば車両を前進させ、操作レバーをブレーキ側に操作すれば車両を後退させ、操作レバーを中立点付近に位置させれば、車両を停止させることができるから、車庫入れなどの際に車両のきりかえしを行う時、ユーザは操作レバーとシフトレバーを何度も持ち替える必要がなく、スムーズで安全なきりかえしや駐車操作が可能となる。
さらに、操作レバーの操作量とアクセルの制御量のマップを図16(a)の点線のようにすることもできる。このようにすれば、渋滞モードと同様、操作レバーの操作量が一定以上ではアクセルの制御量が増加しなくなるため、操作レバーを大きく操作しても速度が上がりすぎることがなく、より安全にきりかえしや駐車操作が可能になる。
また、別の方法として、図16(a)に示すように、操作レバーを走行位置へ操作したときの操作位置に関係なく、車速が所定値以下、例えば、5km/h程度以下に制御しつつ一定の速度に維持するようにアクセルの制御量を制御するようにしても良い。こうすることで、ユーザにとっては速度を制御するために微妙な操作レバーの位置の調整が必要なく、きりかえしや駐車の操作性が一層向上する。
【0071】
制御装置50の学習モードにおける処理、学習モードで補正した操作レバー20の位置とブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御量の関係を規定するマップの補正の方法、およびこのマップを使用したブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御の方法について説明する。図17はこれらの処理を説明するための構成図である。操作レバー20にはスイッチ700が設けられている。制御装置50には揮発性記憶手段702、不揮発性記憶手段704、出力装置706およびシフトレバー708が接続されている。揮発性記憶手段702は例えばSRAMであり、不揮発性記憶手段704は例えばEEPROMである。これらの記憶手段は、制御装置50の外に記載しているが、制御装置50に内部の記憶装置であってもよい。出力装置706は、例えば、記憶媒体への出力装置、プリンタ、または他の制御装置への出力端子である。内部シフトレバー708は、パーキング、ニュートラルおよびドライブモードを設定するレバーであり、シフトレバーの位置を制御装置50に出力する。制御装置50は補正手段710および駆動制御手段712を有している。その他の構成は図1と同じであり、本説明で使用しない構成は省略する。
【0072】
図18は、補正手段710が、学習モードの処理を行う一例を示したフローチャートである。まず、学習モードが設定されているかを確認する(ステップST100)。学習モードでなければ処理を終了する。例えば、図10のステップST31で説明した操作レバー20の所定操作が行われた場合、または操作レバー20とは別に設けた学習モードのスイッチがオンの場合、学習モードが設定されたと判定する。次に、シフトレバー708がパーキングか判定する(ステップST102)。パーキングでなければ処理を終了する。ユーザ情報を入力する(ステップST104)。ユーザ情報は、例えば、ナビゲーションシステム600からユーザの名前や番号を入力する。ユーザ情報はユーザを識別できるものであれば、例えば、指紋や静脈パーン等であっても良い。次に、学習開始を運転者に通知する(ステップST106)。通知する方法は、図10のステップST31と同様である。アクセル側およびブレーキ側の動作回数のカウンタをクリアするためIa=0、Ib=0とする(ステップST107)。
【0073】
操作レバー20の位置を操作装置10より取得する(ステップST108)。操作レバー20の位置がアクセル側か判定する(ステップST110)。アクセル側の場合、Ia=Ia+1とし、アクセル側の動作回数をカウントする(ステップST111)。取得した操作レバー位置をアクセル側の最大操作位置Amax(Ia)とする(ステップST112)。再度、操作レバー20位置を取得する(ステップST113)。操作レバー20の位置がアクセル側か判定する(ステップST114)。アクセル側でない場合は、操作レバー20がアクセル領域から外れたと判断し、ステップST128に進む。ステップST114において、操作レバー20の位置がアクセル側の場合、Amax(Ia)<操作レバー位置か判定する。Yesの場合、操作レバー位置をアクセル側の最大操作位置Amax(Ia)とし(ステップST116)、ステップST113に戻る。Noの場合、ステップST113に戻る。このようにして、操作レバー20がアクセル領域にある間に、操作レバー位置が最大となった場合をアクセル側の最大操作位置Amax(Ia)とする。
【0074】
ステップST110においてNoの場合、操作レバー20の位置がブレーキ側か判定する(ステップST120)。ブレーキ側にでない場合、操作レバー20はアクセル側にもブレーキ側にもない場合であり、ステップST128に進み、ステップST108に戻る。ステップST120において、ブレーキ側にある場合、Ib=Ib+1とし、ブレーキ側の動作回数をカウントする(ステップST121)。取得した操作レバー位置をブレーキ側の最大操作位置Bmax(Ib)とする(ステップST122)。再度、操作レバー20位置を取得する(ステップST123)。操作レバー20の位置がブレーキ側か判定する(ステップST124)。ブレーキ側でない場合は、ステップST128に進む。ステップST124において、操作レバー20の位置がブレーキ側の場合、Bmax(Ib)<操作レバー位置か判定する。Yesの場合、操作レバー位置をBmax(Ib)とし(ステップST126)、ステップST123に戻る。Noの場合、ステップST123に戻る。このようにして、アクセル側と同様に、最大操作位置Bmax(Ib)を決定する。
【0075】
ステップST128において、動作回数IaまたはIbが所定回数以下か判定する。いずれかが所定回数以下の場合、ステップST118に進む。学習モードが解除されているか判定する(ステップST118)。学習モードの解除された場合学習を終了する。例えば、図10のステップST34で説明した操作レバー20の所定操作が行われた場合、または学習モード設定のスイッチがオフの場合、学習モードが解除されたと判定する。学習モードが解除されていない場合、シフトレバーがパーキングか判定する。Noの場合、学習を終了する。Yesの場合、ステップST108に戻る。ステップST128において、アクセル側およびブレーキ側で、所定回数の動作を終了した場合、ステップST130に進む。アクセル側の最大操作位置Amaxの各動作回数Iaの平均値よりアクセル側の限界操作位置U2を算出する(ステップST130)。同様に、ブレーキ側の最大操作位置Bmaxの各動作回数Ibの平均値よりブレーキ側の限界操作位置U1を算出する(ステップST131)。SRAM(揮発性記憶手段702)およびEEPROM(不揮発性記憶手段704)に限界操作位置U1、U2およびユーザ情報を格納する(ステップS132)。図10のステップST36と同様に、学習終了を運転者に通知する(ステップST134)。
【0076】
このように、補正手段は、ユーザによる前記操作レバーの操作範囲の学習の際に、操作レバー20の限界操作位置U1、U2を算出する。そして後述するように、限界操作位置より、操作位置と制御量との関係を規定するマップを補正する。これにより、ユーザの身体的能力に合わせて操作レバーの操作性を自動的に最適化することができる。
【0077】
また、補正手段は、学習時に操作された操作レバー20の最大操作位置を限界操作位置U1、U2とすることができる。そして、限界操作位置U1、U2に基づき、マップを補正する。これにより、ユーザが操作レバー20を無理なく操作可能な操作範囲とすることができる。
【0078】
さらに、補正手段は、学習時に複数回行われた操作された操作レバー20のそれぞれの最大操作位置の平均値を限界操作位置U1、U2としている。これにより、より運転者の操作範囲に近い限界操作位置U1、U2を算出することができる。
【0079】
さらに、ステップST100のように、ユーザの所定操作を行い、かつステップST102のように、シフトレバー708がパーキング時に学習を開始する。つまりシフトレバー708がパーキングでない場合は学習を開始しない。これにより、確実に車両の停止時に学習を行うことができる。
【0080】
さらに、ステップST118のように、ユーザの所定操作を行った場合、またはシフトレバー708がパーキングから移動した場合、学習を終了させる。これにより、確実に車両の停止時に学習を行うことができる。
【0081】
次いで、図19に、補正手段710が、学習モードの処理を行う別の例のフローチャートを示す。ステップST100ないしステップST106は図1と同じ処理であり説明を省略する。ステップST140において、アクセル側およびブレーキ側の学習完了フラグをオフする。スイッチ700がオンされたか判定する(ステップST141)。Noの場合、スチッチオンされるまで待機する。Yesの場合、操作レバー位置を操作装置10より取得する(ステップST142)。操作レバー位置がアクセル側か判定する(ステップST144)。Yesの場合、取得した操作レバー位置をアクセル側の限界操作位置U2とする(ステップST146)。アクセル側の学習プラグをオンする(ステップST148)。ステップST150に進む。
【0082】
ステップST144において、Noの場合、操作レバー位置がブレーキ側か判定する(ステップST154)。Noの場合は操作レバー位置はアクセル側でもブレーキ側でもない場合であり、ステップST150に進み、ステップST141に戻る。ステップST154において、Yesの場合、取得した操作レバー位置をブレーキ側の限界操作位置U1とする(ステップST156)。ブレーキ側の学習プラグをオンする(ステップST158)。
【0083】
ステップST150において、アクセル側およびブレーキ側の学習フラグがオンか判定する。アクセル側またはブレーキ側のいずれかの学習フラグがオンでない場合、ステップST141に戻る。アクセル側およびブレーキ側の学習フラグがオンの場合、SRAM(揮発性記憶手段702)およびEEPROM(不揮発性記憶手段704)に限界操作位置U1、U2およびユーザ情報を格納する(ステップST132)。学習終了を運転者に通知する(ステップST134)。
【0084】
このように、補正手段710は、学習時に操作された操作レバーの最大操作位置(図19では限界操作位置)として、ユーザがスイッチを操作する信号が入力したときの操作レバー位置とすることができる。これにより、ユーザが操作レバー20を操作しながら限界操作位置を決めることができる。
【0085】
さらに、図18で示した例のように、ユーザがスイッチを操作する動作を数回行い、それぞれの操作レバー位置を最大操作位置とし、複数回の最大操作位置の平均値を限界操作位置とすることもできる。これにより、より運転者の操作範囲に近い限界操作位置U1、U2を算出することができる。なお、スイッチ700は操作レバー20と独立に設けても良いが、図17に示したように操作レバー20に一体に設けられている。このように、ユーザが操作レバー20を操作しながら同時にスイイチ700を操作できるようになっていることが好ましい。
【0086】
次に、マップの補正の方法、およびこのマップを使用したブレーキ駆動系60及びアクセル駆動系70の制御の方法について図20のフローチャートを用い説明する。まず、SRAMを初期化する(ステップST160)。EEPROM(不揮発性記憶手段)704よりSRAM(揮発性記憶手段)702に格納している限界操作位置またはマップデータ並びにユーザ情報等のデータを復帰させる(ステップST162)。このように、常に、EEPROM(不揮発性記憶手段)704にデータを記憶させておき、制御装置50の電源をオンした場合は、データをSRAMに復帰させ処理を行う。
【0087】
補正手段710は、運転者のユーザ情報を取得する(ステップST164)。取得方法は図18のステップST114と同様の方法で行う。SRAMより、ユーザ情報に対応した限界操作位置を取得する(ステップST166)。取得した限界操作位置よりマップを補正する(ステップST168)。詳細は後述する。駆動制御手段712は、操作レバー位置を操作装置10より取得する(ステップST170)。マップを用い、アクセル駆動系70及びブレーキ駆動系60の制御を行う(ステップST172)。終了条件を満足するか判定する(ステップST174)。Yesの場合は終了する。Noの場合は、ステップST170に戻る。このように、限界操作位置U1、U2(学習情報)を格納するSRAM(揮発性記憶手段)704、EEPROM (不揮発性記憶手段704)を有することにより、学習した限界操作位置を格納しておき、運転時に運転するユーザに対応した限界操作位置U1、U2を取得し、ユーザに合ったマップを用い運転を行うことができる。
【0088】
図21の図を用い、補正手段710によるステップST168のアクセル側のマップの補正方法を説明する。ブレーキ側のマップの補正方法はアクセル側と同様であるので説明は省略する。図21は横軸は操作レバー位置に相当する操作量、縦軸はアクセル駆動系70の制御量を示している。U0は操作レバー20の初期の限界位置であり、例えばハード的な制約で決まる位置である。実線は学習機能による補正前の操作量Xと制御量Yの基本マップであり、制御量の曲線Y(X)で表される。ユーザAのマップを補正する場合、ステップST166で取得したユーザAの限界操作位置U2に基づき、U2からU0の間では制御量Yは最大値になり一定である。U2より小さい範囲では、操作量XをU0/U2×Xで補正する。これにより、ユーザAのマップはY(U0/U2×X)となる(図21の点線曲線)。
【0089】
このように、補正手段710は、限界操作位置U2を基に、一次関数的に操作量(操作位置)と制御量の関係を補正し、マップを補正することができる。これにより、簡単な手法によりマップを補正することができる。さらに、例えば、操作量が小さい場合と大きい場合で1次補正の係数を変えることもできる。例えば、操作量の小さい範囲では、ユーザの少ない操作でアクセル駆動系が大きく動作しないように、一次関数の係数を小さくし、操作量の大きな範囲で係数を大きくすることもできる。
【0090】
別のユーザBが操作するときは、ユーザBの限界操作位置U2´より、ユーザAと同様に、マップとしてY(U0/U2´×X)を算出する(図21の破線曲線)。このように、図18および19のステップST132において、記憶手段は、限界操作位置U2(学習情報)を、学習を行ったユーザのユーザ情報とともに格納する。そして、補正手段710は、図20のST164のように、運転を行うユーザのユーザ情報を取得し、ステップST166のようにユーザ情報に対応した限界操作位置を取得する。ステップST168のように、限界操作位置に対応し、マップを補正する。駆動制御手段712は、補正したマップを用いブレーキ駆動系60(制動系)またはアクセル駆動系70(加速性)を制御する。これにより、運転するユーザは、各自の操作範囲に合ったマップをもとに運転を行うことができる。
【0091】
記憶手段としては、揮発性記憶手段702(SRAM)と不揮発性記憶手段704(EPPROM)を有している。そして、図18および図19のステップST132のように、限界操作位置(学習情報)は揮発性記憶手段702および不揮発性記憶手段704に格納される。図20のステップST166のように、運転時は揮発性記憶手段702より限界操作位置を取得する。ステップST172のように、アクセル駆動系70またはブレーキ駆動系60を制御する。そして、揮発性記憶手段702の限界操作位置データが破壊された場合、揮発性記憶手段702は、不揮発性記憶手段704より限界操作位置を取得することもできる。このように、不揮発性記憶手段704を揮発性記憶手段702のバックアップとして使用することができる。例えば、運転中に揮発性記憶手段の限界操作位置データが破壊された場合、揮発性記憶手段702が不揮発性記憶手段704よりデータを取得するまでの間は、初期の限界位置U0を基にアクセル駆動系70を制御することもできる。
【0092】
また、補正手段710は、限界操作位置に応じ、駆動系のフィードバック制御のための伝達関数の一部を算出し、駆動制御手段712は、マップおよび伝達関数の少なくとも一部を用い駆動系を制御することもできる。以下、図22を用い、アクセル側を例に説明する。ブレーキ側はアクセル側と同様のため説明を省略する。図22は、駆動系のフィードバック制御のための伝達関数の一部としてゲインを用いた制御を説明するための図である。構成は図17と同様であり、説明に必要な構成のみを記載している。
【0093】
補正手段710は、SRAM702(揮発性記憶手段)より限界操作位置を取得する(図20のST166に対応)。補正手段710はマップを補正する(図20のST168に対応)。このとき、アクセル駆動系70のフィードック制御のためのゲインも算出する。ステップST172において、駆動制御手段712は補正手段710よりマップおよびゲインを取得する。駆動制御手段712は、操作装置より取得した(ステップST170)操作レバー位置(操作量)より、マップを用い、目標とする制御量(目標値)を算出する。目標値とゲインを駆動回路73に出力する。駆動回路73は目標値を基に、モータ71に操作値を出力する。回転量検出器72はアクセルペダルの回転量を検出し、回転量を制御値として駆動回路73出力する。駆動回路73は制御値を目標値とすべくフィードバック制御を行う。このときフィードバック制御のゲインとして、補正手段が算出したゲインを用いる。
【0094】
限界操作位置U2が小さいユーザは、操作レバー20の少しの変化でアクセル駆動系70が大きく反応すると危険となる場合もありうる。そこで、限界操作位置U2が小さいユーザに対しては、ゲインを小さくしておく、これにより、操作レバー20の操作に対するアクセル駆動系70の反応を鈍感にすることができる。よって、限界操作位置U2が小さいユーザも、より安全に車両を運転することができる。また、ステップST168において、補正手段710は、限界操作位置を用いゲイン以外の伝達関数の一部又はゲインを含む全部を算出してもよい。なお、上記はフィードバック制御を例に説明したが、必ずしもフィードバック制御である必要はない。つまり、操作レバー20に対するアクセル駆動系70の反応のレスポンスを変化させればよいのであって、例えば、操作装置10の角度検出器30と駆動制御手段712との間で信号を遅延させたり、ローパスフィルタを通したりすることでレスポンスを遅くすることができる。この場合は、限界操作量に応じて遅延量やローパスフィルタの帯域を可変にするようにすれば良い。
【0095】
さらに、補正手段710は、マップを用い運転時に、操作レバー位置が限界操作位置を超えた場合、限界操作位置を変更し、再度マップを補正することもできる。以下、図23のフローチャートを用い、アクセル側を例に説明する。ブレーキ側はアクセル側と同様のため説明を省略する。
【0096】
図23は運転時のフローチャートでる図20のステップST170ないしST174に相当するフローチャートである。以下ステップS192以外は補正手段710の行う制御である。図20のステップST168の後、カウンタIを0に設定する(ステップST180)。操作装置10より操作レバー位置(操作量)を取得する(ステップST182)。取得した操作レバー位置が限界操作位置U2より大きいか判定する。Noの場合、ステップST192に進む。Yesの場合、I=I+1としカウンタをカウントする(ステップST186)。カウンタIが所定の回数Nより小さいか判定する(ステップST188)。Noの場合、操作レバー位置が、所定の回数N以上限界操作位置を上回った場合である。限界操作位置U2を変更する(ステップST190)。限界操作位置U2の変更は、例えば、予め限界操作位置U2に加える一定量を決めておき、限界操作位置U2に加え限界操作位置U2とする。または、限界操作位置U2を超えた操作レバー位置の平均値を限界操作位置U2とする。あるいは、限界操作位置U2を超えた操作レバー位置の最大値を限界操作位置U2とする。等の方法を用いることができる。その後、ステップST192に進む。ステップST188においてYesの場合、ステップST192に進む。ステップST192において、駆動制御手段712はマップを用いアクセル駆動系70を制御する。終了条件を満足するか判定する(ステップST194)。Noの場合、ステップST182に戻る。Yesの場合、ステップST196に進みSRAM(揮発性記憶手段702)およびEEPEOM(不揮発性記憶手段704)に新たな限界操作位置U2およびユーザ情報を格納する。その後、終了する。
【0097】
このように、ユーザの限界操作位置U2を適切に設定することができる。この例では、記憶手段への限界操作位置U2の格納前には、限界操作位置U2を用いてマップを補正していない。よって、変更した限界操作位置U2は、次回の運転時にマップに反映される。限界操作位置U2を変更した場合、運転中であっても、その都度マップを補正することもできる。その場合はステップST190の後に、図20のステップST168を行うことにより実現することができる。
【0098】
さらに、補正手段710は、限界操作位置U2(学習情報)を出力装置706に出力することもできる。出力装置706としては、例えば、フロッピドライブ等による記憶媒体への出力、端子により他の制御装置への出力、プリンタ等による紙等への出力がある。出力された限界操作位置U2を用い、例えば以下のように操作装置を変更することができる。操作装置10の角度検出器30の検出感度を変更し、操作レバー20の位置で、初期の限界位置U0に相当する電気信号を出力するようにする。これにより、マップの補正を行う必要がなく、ユーザに合った操作レバー範囲を設定することができる。
【0099】
上記図17ないし図23を用いた説明においては、学習時に図18のステップST132において限界操作位置を記憶手段に記憶し、運転時に図20のステップST168においてマップを補正している。学習時にマップを補正し、記憶手段にマップを記憶し、運転時にはマップを取得しても良い。このように、マップ(すなわち、操作位置と制御量との関係)と限界操作位置の少なくとも一方を記憶すればよい。運転時にマップを補正する場合は、記憶装置の記憶容量は少なくてすむが、運転時にマップを補正する時間が必要となる。学習時にマップを補正する場合は、運転時にマップを補正する時間は不要であるが、記憶装置の記憶容量は大きくなる。同様に、出力装置706への出力も、マップと限界操作位置の少なくとも一方を出力すればよい。また、補正されたマップは、図6のステップST22ないしST27のように、マップを編集することもできる。操作位置と制御量との関係を補正する手段としてマップを用いた例を説明したが、操作位置と制御量との関係を補正を行うことができればマップを使用しなくてもよい。
【0100】
上記実施形態では、運転者は、操作レバー20で操作装置10を操作する構成であるが、運転者が手や口など身体の一部を用い駆動系に動作を指示する機能を有していれば、これに限られず、他の方法構成であってもよい。
【0101】
上記実施形態では、操作レバー20へのユーザの接触、非接触を検出する検出手段として、接触センサ40を用いた場合について説明したが、これに限定されるわけではなく、抵抗式、容量式、誘導式、超音波式の圧力センサや、温度センサ、押しボタン等、接触、非接触を検出できるものであれば採用できる。
【0102】
上記実施形態では、図4等に示したように、マップの補正を段階的にした場合について説明したが、連続的に補正することも可能である。又、マップの補正方法についても上記方法に限定されるわけではなく、種々の方法を採用できる。
【0103】
上記実施形態では、運転補助制御について各種のモードを挙げて説明したが、これらに限定されるわけではなく、他のモードを設けることもできるし、又、上記の各モードをすべて備えていなくとも、少なくとも一つのモードを備えていればよい。
【0104】
上記実施形態では、外部操作手段として、ブレーキコントローラ51、アクセルコントローラ52及びナビゲーションシステム600を用いた場合について説明したが、これらに限定されるわけではなく、制御装置50に対してマップ等を変更するための情報を与えることができるものであればよい。
【0105】
上記実施形態では、積載量センサ54がサスペンションの沈み込み量等から積載量を検出する場合について説明したが、これに限定されるわけではなく、他の方法によっても積載量を検出できる。
【0106】
上記実施形態では、車速及び積載量に応じて、操作レバー20の操作位置とブレーキ駆動系及びアクセル駆動系の制御量との関係を変更(補正)する場合について説明したが、これに限定されるわけではなく、その他の車両情報に応じて操作位置と制動系及び加速系の制御量との関係をユーザにとって好ましいものに変更することが可能である。
【0107】
上記実施形態では、内燃機関を動力とする車両の場合について説明したが、これに限定されるわけではなく、電気自動車、ハイブリッド車、燃料電池車等、加速、制動のための手段を備える車両であれば本発明を適用できることは言うまでもない。
また、上記実施形態では、制動系としてブレーキペダルを駆動するブレーキ駆動系60、車両の加速系としてアクセルペダルを駆動するアクセル駆動系70を備える車両の場合について説明したが、これに限定されるわけではなく、操作レバーの操作量に応じてアクセルペダルやブレーキペダルを駆動するのではなく、操作レバーの操作量に応じて制動系や加速系を直接的に制御し得るように構成した車両にも本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明の一実施形態に係る運転補助装置の構成図である。
【図2】車両に適用された運転補助装置の基本的機能を説明するための図である。
【図3】制御装置の処理の一例を示すフローチャートである。
【図4】標準的なマップ及び補正されたマップの例を示すグラフである。
【図5】表示装置に表示された、グラフ化されたマップ、現在の操作レバーの操作位置とそれに対応する制御量の一例を示す図である。
【図6】マップを選択、変更する処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】マップを選択、変更する処理における表示装置の表示例を示す図である。
【図8】マップを選択、変更する処理における表示装置の他の表示例を示す図である。
【図9】マップを選択、変更する処理における表示装置のさらに他の表示例を示す図である。
【図10】制御装置の学習モードにおける処理の一例を示すフローチャートである。
【図11】操作レバーの最大操作可能位置とユーザの限界操作位置との関係を示す図である。
【図12】学習前と学習後のマップの一例を示すグラフである。
【図13】制御装置の運転補助制御における処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】運転補助制御の各モードの制御方法を説明するための図である。
【図15】高速モードにおける処理の一例を説明するための図である。
【図16】駐車モードにおける処理の一例を説明するための図である。
【図17】学習モードにおける処理、学習モードで取得したデータに基づくマップの補正の方法およびこのマップを使用した運転字のブレーキ駆動系及びアクセル駆動系の制御の方法について説明する図である。
【図18】学習モードにおける処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図19】学習モードにおける処理の別の一例を説明するためのフローチャートである。
【図20】学習モードで取得したデータに基づくマップの補正の方法およびこのマップを使用した運転時のブレーキ駆動系及びアクセル駆動系の制御の方法について説明するフローチャートである。
【図21】学習モードで取得したデータに基づくマップの補正の方法を説明するための操作量に対する制御量の図である。
【図22】運転時のアクセル駆動系を制御する方法の一例について説明する構成図である。
【図23】運転時に学習モードで取得したデータを変更する一例を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
10…操作装置
20…操作レバー
30…角度検出器
40…接触センサ
50…制御装置
51…ブレーキコントローラ(外部操作手段)
52…アクセルコントローラ(外部操作手段)
53…車速センサ
54…積載量センサ
55…運転補助制御用スイッチ
55A…起動停止釦
55B…選択釦
56…温度センサ
60…ブレーキ駆動系
61…モータ
62…回転量検出器
63…駆動回路
64…連結部材
70…アクセル駆動系
71…モータ
72…回転量検出器
73…駆動回路
74…連結部材
80…ブレーキペダル
90…アクセルペダル
200…トランスミッションECU
210…トランスミッション
300…エンジン制御装置
400…ブレーキシステム
500…報知装置
600…ナビゲーションシステム(表示装置、外部操作手段)
700…スイッチ
702…揮発性記憶手段
704…不揮発性記憶手段
706…出力装置
708…シフトレバー
710…補正手段
712…駆動制御手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の制動系又は加速系の動作を指示するための操作レバーを含み前記操作レバーの操作位置を出力する操作装置を備える運転装置において、前記操作装置の操作量に応じて前記車両の制動系又は加速系を制御する制御装置であって、
前記操作位置と前記制動系又は加速系の制御量との関係を変更可能に形成されている、
ことを特徴とする運転装置の制御装置。
【請求項2】
前記操作位置と前記制御量との関係を規定するマップを変更可能に保持している、
ことを特徴とする請求項1に記載の運転装置の制御装置。
【請求項3】
前記制動系の最大制御量については前記マップを変更不能に保持している、
ことを特徴とする請求項2に記載の運転装置の制御装置。
【請求項4】
前記マップと現在の操作レバーの操作位置及びこれに対応する制御量とをグラフ化して表示装置へ表示可能に形成されている、
ことを特徴とする請求項2ないし3のいずれかに記載の運転装置の制御装置。
【請求項5】
前記操作位置と前記制御量との関係を変更するための外部操作手段を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の運転装置の制御装置。
【請求項6】
車両情報に応じて、前記操作位置と前記制御量との関係を変更可能となっている、
ことを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の運転装置の制御装置。
【請求項7】
車速に応じて前記操作位置と前記制御量との関係を変更可能となっている、
ことを特徴とする請求項6に記載の運転装置の制御装置。
【請求項8】
車両への積載量に応じて前記操作位置と前記制御量との関係を変更可能となっている、
ことを特徴とする請求項6又は7に記載の運転装置の制御装置。
【請求項9】
ユーザによる前記操作レバーの操作範囲に合わせて前記操作位置と前記制御量との関係を補正すべく、ユーザによる前記操作レバーの操作範囲を学習可能となっている、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれかに記載の運転装置の制御装置。
【請求項10】
ユーザに所定操作に応じて前記学習を開始する、
ことを特徴とする請求項9に記載の運転装置の制御装置。
【請求項11】
ユーザが前記操作レバーを複数回操作して得られる複数の操作範囲に所定の統計的処理を施してユーザが操作可能な前記操作レバーの操作範囲を決定する、
ことを特徴とする請求項9又は10に記載の運転装置の制御装置。
【請求項12】
ユーザによる前記操作レバーの所定操作からユーザが学習を終了させようとしていることを判断し、ユーザによる学習の終了のための操作が所定時間内に行われなかった場合には、学習を失敗したと判断する、
ことを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載の運転装置の制御装置。
【請求項13】
前記学習の開始、前記学習の正常完了、及び、前記学習の失敗の少なくいずれかをユーザに通知する処理を行う、
ことを特徴とする請求項9ないし12のいずれかに記載の運転装置の制御装置。
【請求項14】
複数のモードを有し、各モード毎に車両の走行状態に適した前記操作位置と前記制御量との関係を選択及び/又は設定可能である、
ことを特徴とする請求項1ないし13のいずれかに記載の運転装置の制御装置。
【請求項15】
前記モードは、渋滞走行に適した渋滞モード、高速走行に適した高速モード、坂道走行に適した坂道モード、降雨時の走行に適した雨モード、及び、車両の駐車停に適した駐停車モードの少なくともいずれかのモードを含む、
ことを特徴とする請求項14に記載の運転装置の制御装置。
【請求項16】
車両が走行している道路の傾斜情報から坂道であるかを判断し、坂道であると判断した場合には、前記坂道モードを選択する、
ことを特徴とする請求項15に記載の運転装置の制御装置。
【請求項17】
前記坂道モード選択中に車速が略零になったと判断した場合には、前記制動系を制御して車両を制動するように制御する、
ことを特徴とする請求項15又は16に記載の運転装置の制御装置。
【請求項18】
前記雨モード選択中に前記外気温が所定温度以下と判断した場合には、降雪時の走行に適した雪モードを選択する、
ことを特徴とする請求項15に記載の運転装置の制御装置。
【請求項19】
前記操作レバーには、ユーザの接触状態及び非接触状態を検出する検出手段が設けられており、
車両の走行中に前記検出手段が非接触を検出した場合には、車両の走行速度を一定に保持するように制御する、
ことを特徴とする請求項15に記載の運転装置の制御装置。
【請求項20】
前記渋滞モードが選択されている場合には、車速を所定以下に制限しつつ一定に維持するように制御する、
ことを特徴とする請求項15に記載の運転装置の制御装置。
【請求項21】
前記駐車モードが選択されている場合には、前記操作レバーのブレーキ側への操作により車両を後退させ、アクセル側への操作により車両を前進させ、ブレーキ側とアクセル側との中間領域でブレーキを動作させる処理を行う、
ことを特徴とする請求項15に記載の運転装置の制御装置。
【請求項22】
ユーザによる前記操作レバーの操作範囲の学習の際に操作レバーの限界操作位置を算出し、その後、該限界操作位置を用い前記操作位置と前記制御量との関係を補正する補正手段を有することを特徴とする請求項9記載の運転装置の制御装置。
【請求項23】
前記補正手段は、学習時に操作された前記操作レバーの最大操作位置を前記限界操作位置とすることを特徴とする請求項22記載の運転装置の制御装置。
【請求項24】
前記補正手段は、学習時に複数回操作された前記操作レバーのそれぞれの最大操作位置の平均値を前記限界操作位置とすることを特徴とする請求項22記載の運転装置の制御装置。
【請求項25】
前記補正手段は、学習時に操作された前記操作レバーの前記最大操作位置は、ユーザがスイッチを操作する信号が入力したときの前記操作レバー位置とすることを特徴とする請求項23または24記載の運転装置の制御装置。
【請求項26】
前記操作位置と前記制御量との関係または前記限界操作位置の少なくとも一方を含む学習情報を格納する記憶手段を有する請求項22から25のいずれか一項記載の運転装置の制御装置。
【請求項27】
前記記憶手段は、前記操作位置と前記制御量との関係または前記限界操作位置の少なくとも一方を含む学習情報を、ユーザ情報とともに格納し、
前記ユーザ情報に対応し前記補正手段が補正した前記操作位置と前記制御量との関係を用い、前記制動系または前記加速系を制御する駆動制御手段を具備することを特徴とする請求項26記載の運転装置の制御装置。
【請求項28】
前記補正手段は、前記限界操作位置に応じ、前記制動系または前記加速系の制御のための伝達関数の少なくとも一部を算出し、
駆動制御手段は、前記マップおよび前記伝達関数の少なくとも一部を用い前記制動系または前記加速系を制御することを特徴とする請求項23から27のいずれか一項記載の運転装置の制御装置。
【請求項29】
前記補正手段は、前記操作位置と前記制御量との関係を用い運転時に、前記操作レバー位置が前記限界操作位置を超えた場合、前記限界操作位置を変更し、再度前記操作位置と前記制御量との関係を補正することを特徴とする請求項23から28記載の運転装置の制御装置。
【請求項30】
ユーザが学習を開始させる所定操作を行った場合、かつシフトレバーがパーキングの場合に前記学習を開始することを特徴とする請求項9に記載の運転装置の制御装置。
【請求項31】
ユーザが学習を終了させる所定操作を行った場合、またはシフトレバーがパーキングから移動した場合、学習を終了させること特徴とする請求項9記載の運転装置の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2006−347526(P2006−347526A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−252856(P2005−252856)
【出願日】平成17年8月31日(2005.8.31)
【出願人】(000237592)富士通テン株式会社 (3,383)
【Fターム(参考)】