説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】不純物拡散領域の侵食等を生ぜしめることなく接合リーク電流の増大を抑制して不純物拡散領域の抵抗値を十分に低減し、更なる微細化・高集積化を実現して、低消費電力で高速動作を可能とする。
【解決手段】STI素子分離構造5を形成する際に、これをその上部が基板1面から通常のSTI法の場合よりも突出するように形成し、ゲート電極の形成部位にダミー電極パターン7を形成する。空隙部11に整合してソース/ドレイン8を形成した後、Wで空隙部11を充填してなる導電層14を形成し、ダミー電極パターン7を除去してゲート絶縁膜21及びゲート電極22を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲート電極及び一対の不純物拡散領域(ソース/ドレイン)を備えた半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時では、MOSトランジスタに代表される半導体デバイスの更なる微細化・高集積化が進行している。MOSトランジスタでは、更なる微細化・高集積化に応えるべく、素子分離構造の形成技術として、例えばSTI法の適用が提案されている。更にこの場合、例えば特許文献1に開示されているように、STI法の適用に伴うソース/ドレインの抵抗値増加を抑止すべく、ソース/ドレイン上にシリサイド層を形成し、低抵抗化を図る技術が適用される。
【0003】
【特許文献1】特開2005−235255号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ソース/ドレイン上にシリサイド層を形成し、接合リーク電流の増大を抑制して、ソース/ドレインの抵抗値を十分に低減するには、MOSトランジスタの更なる微細化・高集積化を図ることも考慮すると、シリサイド層を比較的厚く形成することを要する。しかしながら、シリサイド層を厚く形成するほど、シリサイド化に用いた金属(例えばW,Ti等)によるソース/ドレインへの侵食が多大となるため、低抵抗化に十分な厚みにシリサイド層を形成することは困難である。
【0005】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、不純物拡散領域の侵食等を生ぜしめることなく接合リーク電流の増大を抑制して不純物拡散領域の抵抗値を十分に低減し、更なる微細化・高集積化を実現して、低消費電力で高速動作を可能とする半導体装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の半導体装置は、半導体基板と、前記半導体基板における素子分離領域に形成された分離溝内を絶縁物で充填し、前記絶縁物の上部が前記半導体基板の表面から突出する素子分離構造と、前記半導体基板の前記素子分離構造で画定された素子活性領域上に、ゲート絶縁膜を介して電極形状に形成されたゲート電極と、前記素子活性領域で前記ゲート電極の両側における前記半導体基板の表層に不純物が導入されてなる一対の不純物拡散領域と、前記素子活性領域上で前記素子分離構造と前記ゲート電極との間の領域を、前記ゲート電極と電気的に絶縁状態で且つ前記不純物拡散領域と電気的に接続されるように、導電材料で充填してなる導電層とを含み、前記素子分離構造、前記ゲート電極及び前記導電層は、前記半導体基板の表面からの高さが同等とされてなる。
【0007】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板の素子分離領域に分離溝を形成した後、分離溝内を絶縁物で充填し、前記絶縁物の上部が前記半導体基板の表面から突出するように素子分離構造を形成する工程と、前記半導体基板の前記素子分離構造で画定された素子活性領域上に電極形状のダミー電極パターンを形成する工程と、前記素子活性領域で前記ゲート電極の両側における前記半導体基板の表層に不純物を導入し、一対の不純物拡散領域を形成する工程と、前記素子活性領域上で前記素子分離構造と前記ダミー電極パターンとの間の領域を導電材料で充填し、前記不純物拡散領域と電気的に接続される導電層を形成する工程と、前記ダミー電極パターンを除去する工程と、前記除去処理により前記導電層に形成された電極溝内を、前記半導体基板とゲート絶縁膜を介し且つ前記導電層と電気的に絶縁状態となる状態にて導電材料で充填し、ゲート電極を形成する工程とを含み、前記素子分離構造、前記ゲート電極及び前記導電層を、前記半導体基板の表面からの高さが同等となるように形成する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不純物拡散領域の侵食等を生ぜしめることなく接合リーク電流の増大を抑制して不純物拡散領域の抵抗値を十分に低減し、更なる微細化・高集積化を達成して、低消費電力で高速動作を可能とする半導体装置が実現する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
−本発明の基本骨子−
半導体素子の更なる微細化・高集積化を実現するため、ソース/ドレイン上に正確に導電層を形成して低抵抗化を図る手法としては、上述のようにシリサイド法が標準的に用いられている。この手法では、半導体基板の全面に金属膜を堆積し、熱処理することによりソース/ドレイン上(及びゲート電極上)のみ選択的に変質させ、自己整合的にソース/ドレイン上(及びゲート電極上)のみに低抵抗のシリサイド層を形成することができる。
【0010】
本発明者は、シリサイド法では自己整合的にソース/ドレインの低抵抗化を実現することの代償としてソース/ドレインの侵食が不可避であることに着目し、シリサイド化させることなく容易にソース/ドレイン上に低抵抗の導電層を正確に形成すべく、素子分離法として半導体素子を更に微細化・高集積化しても十分に素子分離機能を果たすことができる所謂STI(Shallow Trench Isolation)法を積極的に用いて、自己整合的に低抵抗の導電層を形成する技術思想に想到した。
【0011】
即ち本発明では、STI法による素子分離構造(以下、STI素子分離構造と記す)を形成する際に、STI素子分離構造をその上部が基板面から通常のSTI法の場合よりも突出するように形成する。この突出部の高さが低抵抗の導電層の厚みに相当するため、導電層の厚みがソース/ドレインの十分な低抵抗化を実現し得る程度となるように、突出部を所期の高さに形成する。
【0012】
続いて、ゲート電極の形成部位にダミーの電極パターンを形成し(STI素子分離構造の形成時に用いたマスクを継続して用いて形成することが望ましい)、ダミー電極パターンの両側に露出した基板表面に不純物を導入してソース/ドレインを形成する。ここで、基板上でSTI素子分離構造とダミー電極パターンとの間に形成された空隙部位が形成されており、当該空隙部位に整合してソース/ドレインが形成されている。この状態で、空隙部位を埋め込む厚みに低抵抗導電材料、例えばW,Ti等を導電性の密着層を介して埋め込み、STI素子分離構造が露出するまで表面を平坦化することにより、空隙部位を充填する形状の導電層が形成される。この導電層は、ソース/ドレインを侵食することなく、ソース/ドレイン上に整合してこれらと電気的に接続された状態に形成される。
【0013】
そして、ダミー電極パターンを除去し、その形成されていた部位に導電層と絶縁膜(例えばサイドウォール絶縁膜)を介してゲート絶縁膜及びゲート電極を順次形成する。
このように、本発明では、STI素子分離構造を利用してソース/ドレイン上に自己整合的に所望膜厚の低抵抗導電層をソース/ドレインを侵食することなく形成することができるため、ソース/ドレインを更に浅く形成して更なる微細化・高集積化を実現することができる。
【0014】
−本発明を適用した好適な実施形態−
以下、本発明をCMOSトランジスタに適用した好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施形態では、説明の便宜上、pMOSトランジスタ及びnMOSトランジスタを備えてなるCMOSトランジスタにおいて、nMOSトランジスタのみを図示して詳説し、pMOSトランジスタについては詳しい説明を省略する。本実施形態では、nMOSトランジスタの構成をその製造方法と共に説明する。
図1〜図7は、本実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0015】
初めに、図1(a)に示すように、シリコン基板1上にシリコン酸化膜2及びシリコン窒化膜3を順次形成する。
詳細には、清浄なシリコン基板1の表面に、例えばCVD法によりシリコン酸化膜2を形成する。その後、シリコン酸化膜2上に、例えばCVD法によりシリコン窒化膜3を形成する。ここで、シリコン酸化膜2及びシリコン窒化膜3の合計膜厚は、後述する低抵抗導電層の膜厚とほぼ同等となるため、低抵抗導電層を所期の厚みに形成すべく、例えば20nm〜150nmの範囲内の値とする。ここでは、シリコン酸化膜2の膜厚を10nm程度、シリコン窒化膜3の膜厚を100nm程度にそれぞれ調節する。
【0016】
続いて、図1(b)に示すように、STI素子分離構造5を形成してシリコン基板1上に素子活性領域を画定する。
詳細には、先ず、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングにより、素子分離領域に相当する部位のシリコン窒化膜3及びシリコン酸化膜2をエッチングする。そして、ここで用いたレジストパターン(不図示)を灰化処理等により除去し、シリコン窒化膜3をマスクとしてシリコン基板1をエッチングする。このとき、シリコン窒化膜3の表面から例えば200nm程度の深さの分離溝4が、シリコン窒化膜3からシリコン基板1にかけて形成される。
【0017】
次に、分離溝4を埋め込むように、シリコン窒化膜3の全面に絶縁物、ここでは酸化シリコン(不図示)を、段差被覆率の高いCVD法により例えば300nm程度の厚みに堆積し、例えば化学機械研磨(Chemical-Mechanical Polishing:CMP)により、シリコン窒化膜3を研磨ストッパーとして当該シリコン窒化膜3の表面が露出するまで酸化シリコンを研磨して平坦化する。この研磨により、分離溝4を酸化シリコンで充填するSTI素子分離構造5が形成される。このSTI素子分離構造5は、その上部がシリコン酸化膜2及びシリコン窒化膜3の合計膜厚分だけシリコン基板1の表面から突出した形状に形成される。
【0018】
続いて、図2(a)に示すように、シリコン窒化膜3に電極溝6を形成する。
詳細には、引き続きシリコン酸化膜2及びシリコン窒化膜3を用い、リソグラフィー及びそれに続くドライエッチングによりシリコン窒化膜3を加工し、シリコン窒化膜3の後述するゲート電極の形成部位に相当する部分を除去して電極溝6を形成する。
【0019】
続いて、図2(b)に示すように、電極溝6を充填するダミー電極パターン7を形成する。
詳細には、電極溝6を埋め込むように、例えばCVD法により多結晶シリコンをシリコン窒化膜3上に堆積する。ここで、多結晶シリコンの代わりに、シリコン窒化膜3と研磨レートの異なる材料、例えばアモルファスシリコンや窒化シリコン以外の絶縁物(酸化シリコン等)等を用いても良い。
そして、例えばCMPにより、シリコン窒化膜3を研磨ストッパーとして当該シリコン窒化膜3の表面が露出するまで多結晶シリコンを研磨して平坦化する。この研磨により、電極溝6を多結晶シリコンで充填するダミー電極パターン7が形成される。
【0020】
続いて、図3(a)に示すように、シリコン窒化膜3及びその下部のシリコン酸化膜2を除去した後、ソース/ドレイン8を形成する。
詳細には、先ず、ウェットエッチングによりシリコン窒化膜3及びその下部のシリコン酸化膜2を除去する。このとき、STI素子分離構造5とダミー電極パターン7との間には、シリコン基板1の表面を露出させた空隙部11が形成される。
【0021】
次に、素子活性領域におけるダミー電極パターン7の両側、即ち空隙部11から露出するシリコン基板1の表面に不純物をイオン注入し、当該不純物を活性化させるためのアニール処理を施して、ソース/ドレイン8を形成する。イオン注入の条件としては、n型不純物として例えばリン(P+)を用い、加速エネルギーを7keV、ドーズ量を1×1016/cm2でイオン注入する。なお、pMOSトランジスタについては、p型不純物として例えばホウ素(B+)を用い、加速エネルギーを3keV、ドーズ量を5×1015/cm2でイオン注入する。ここでh、例えば先ずpMOSトランジスタの形成領域のみをレジストで覆い、nMOSトランジスタの形成領域にP+をイオン注入した後、レジストを除去し、今度はnMOSトランジスタの形成領域のみをレジストで覆い、pMOSトランジスタの形成領域にB+をイオン注入する。その後、レジストを除去する。また、熱処理の条件としては、例えば約1000℃でスパイクアニールを実行する。
【0022】
続いて、図3(b)に示すように、空隙部11を埋め込むように密着膜12及び低抵抗導電材料13を堆積する。
詳細には、先ず、空隙部11から露出するシリコン基板1の表面に生じた自然酸化膜(不図示)を除去した後、段差被覆性の高い例えば熱CVD法により、ダミー電極パターン7の表面から空隙部11の内壁にかけて覆うように密着膜12を例えば膜厚5nm程度に堆積する。
【0023】
次に、例えば熱CVD法により、密着膜12を介して空隙部11を埋め込むように、全面に低抵抗導電材料13を例えば膜厚200nm程度に堆積する。
ここで、低抵抗導電材料13の材料として、タングステン(W),窒化チタン(TiN)から選ばれた少なくとも1種を用いる。更に、低抵抗導電材料13と対応して、密着膜12の材料として、窒化タングステン(WN),窒化チタンタングステン(TiWN)から選ばれた少なくとも1種を用いる。本実施形態では、密着膜12の材料にWNを、低抵抗導電材料13にWをそれぞれ用いる場合について例示する。
【0024】
続いて、図4(a)に示すように、密着膜12及び低抵抗導電材料13を自己整合的に加工して、低抵抗導電層14を形成する。
詳細には、例えばCMPにより、ダミー電極パターン7及びSTI素子分離構造5を研磨ストッパーとして、ダミー電極パターン7及びSTI素子分離構造5の表面が露出するまで密着膜12及び低抵抗導電材料13を研磨して平坦化する。この研磨により、空隙部11を密着膜12及び低抵抗導電材料13で充填する低抵抗導電層14が自己整合的に形成される。この低抵抗導電層14は、空隙部11を主に低抵抗導電材料13で充填することにより、空隙部11の深さ(STI素子分離構造5の基板表面からの突出部の高さ)とほぼ同等(ここでは100nm程度)の比較的厚い膜厚で、ソース/ドレイン8と整合してこれらと電気的に正確に接続され、ソース/ドレイン8の抵抗値を低減させるソース/ドレイン電極として機能する。
【0025】
続いて、図4(b)に示すように、ダミー電極パターン7及びその下部のシリコン酸化膜2を除去する。
詳細には、ダミー電極パターン7及びその下部のシリコン酸化膜2をエッチングにより除去する。このとき、STI素子分離構造5の表層の一部もエッチングされることがあるが、相対的にエッチング量が微量であるためにSTI素子分離構造5の形状変化は無視し得る程度である。このエッチングは、シリコン酸化膜2下のシリコン基板1の表面はエッチングされないように、ダミー電極パターン7及びシリコン酸化膜2とシリコン基板1とのエッチング選択比を維持した条件で行われる。ダミー電極パターン7及びシリコン酸化膜2が除去されることにより、電極形状の空隙部15が形成される。
【0026】
続いて、図5(a)に示すように、全面にシリコン酸化膜16を形成する。
詳細には、熱CVD法により、空隙部15の内壁面を覆うように、全面に絶縁膜、ここではシリコン酸化膜16を膜厚30nm程度に堆積する。
【0027】
続いて、図5(b)に示すように、シリコン酸化膜16を加工してサイドウォール構造17を形成した後、チャネルドーズ層18を形成する。
詳細には、先ず、シリコン酸化膜16の全面を異方性ドライエッチングし、空隙部15内における低抵抗導電層14の側面のみに酸化シリコンを残し、サイドウォール構造17を形成する。このエッチングは、下地のシリコン基板1の表面はエッチングされないように、シリコン酸化膜16とシリコン基板1とのエッチング選択比を維持した条件で行われる。
【0028】
次に、空隙部15から露出するシリコン基板1の表面にチャネル形成のための不純物をイオン注入し、当該不純物を活性化させるためのアニール処理を施して、チャネルドーズ層18を形成する。イオン注入の条件としては、p型不純物として例えばホウ素(B+)を用い、加速エネルギーを1keV、ドーズ量を1×1012/cm2でイオン注入する。なお、pMOSトランジスタについては、n型不純物として例えばリン(P+)を用い、加速エネルギーを3keV、ドーズ量を1×1012/cm2でイオン注入する。ここでh、例えば先ずpMOSトランジスタの形成領域のみをレジストで覆い、nMOSトランジスタの形成領域にB+をイオン注入した後、レジストを除去し、今度はnMOSトランジスタの形成領域のみをレジストで覆い、pMOSトランジスタの形成領域にP+をイオン注入する。その後、レジストを除去する。また、熱処理の条件としては、例えば約950℃でスパイクアニールを実行する。
【0029】
続いて、図6(a)に示すように、空隙部15内にゲート絶縁膜21及びゲート電極22を形成する。
詳細には、先ず、例えばCVD法により、空隙部15の底面上を含む全面に絶縁膜(不図示)を膜厚2nm程度に堆積する。この絶縁膜の材料としては、例えばHfSiOxを用いる。その後、プラズマ窒化処理を施す。
【0030】
次に、例えばCVD法により、絶縁膜を介して空隙部15を埋め込むように、導電材料(不図示)を膜厚50nm程度に全面に堆積する。この導電材料としては、例えばTiNを用いる。
そして、例えばCMPにより、ダミー電極パターン7及びSTI素子分離構造5を研磨ストッパーとして、ダミー電極パターン7及びSTI素子分離構造5の表面が露出するまで導電材料及び絶縁膜を研磨して平坦化する。この研磨により、空隙部11をゲート絶縁膜21を介して導電材料で充填し、導電層14とはサイドウォール構造17で電気的に絶縁されてなるゲート電極22が自己整合的に形成される。ここで、ゲート電極22の研磨レートがサイドウォール構造17のそれよりも高めの条件を選択し、若干オーバー研磨することにより、ゲート電極22が導電層14よりも若干低く形成され、サイドウォール構造17による導電層14とゲート電極22との間の絶縁性を維持する。
【0031】
続いて、図6(b)に示すように、層間絶縁膜25及び導電層14と電気的に接続されるWプラグ27を形成する。
詳細には、先ず、CVD法等により、全面を覆うようにシリコン窒化膜23及びシリコン酸化膜24をそれぞれ膜厚50nm程度、400nm程度に堆積し、層間絶縁膜25を形成する。
【0032】
次に、導電層14の表面の一部を露出するように、リソグラフィー及びこれに続くドライエッチングにより層間絶縁膜25を加工し、コンタクト孔26を形成する。そして、CVD法等により、これらコンタクト孔26を埋め込むように、層間絶縁膜25上に配線材料、ここではW(不図示)を堆積する。その後、層間絶縁膜25の表面を研磨ストッパーとして、層間絶縁膜25の表面が露出するまでWを研磨して平坦化する。この研磨により、コンタクト孔26をWで充填して導電層14と電気的に接続されてなるWプラグ27が形成される。
【0033】
続いて、図7に示すように、いわゆるダマシン法により、Wプラグ27と電気的に接続されてなる配線構造34を形成する。
詳細には、先ず、シングルダマシン法により配線31を形成する。
即ち、CVD法等により、全面を覆うように酸化シリコン等を堆積し、層間絶縁膜28を膜厚150nm程度に形成する。
次に、リソグラフィー及びこれに続くドライエッチングにより層間絶縁膜28を加工し、配線接続を要するWプラグ27の表面が露出されるように、層間絶縁膜28に配線形状の配線溝35を形成する。そして、メッキシード層(不図示)を形成して、メッキ法により配線溝35をCu(又はCu合金材料)で埋め込む。そして、層間絶縁膜28の表面を研磨ストッパーとしてCMPによりCuを研磨して平坦化する。この平坦化により、配線溝35をCuで充填して所期のWプラグ27と接続されてなる配線31が形成される。
【0034】
次に、ビア部32を形成する。
即ち、CVD法等により、全面を覆うように酸化シリコン等を堆積し、層間絶縁膜29を膜厚200nm程度に形成する。
次に、リソグラフィー及びこれに続くドライエッチングにより層間絶縁膜29を加工し、配線31の表面が露出されるように、層間絶縁膜29にビア孔36を形成する。そして、CVD法等により、ビア孔36を埋め込むように例えばCVD法によりCu/TaNを堆積する。そして、層間絶縁膜29の表面を研磨ストッパーとしてCMPによりCuを研磨して平坦化する。この平坦化により、ビア孔36をCuで充填して配線31と接続されてなるビア部32が形成される。
【0035】
次に、シングルダマシン法により配線33を形成する。
即ち、CVD法等により、全面を覆うように酸化シリコン等を堆積し、層間絶縁膜30を膜厚150nm程度に形成する。
次に、リソグラフィー及びこれに続くドライエッチングにより層間絶縁膜30を加工し、ビア部32の表面が露出されるように、層間絶縁膜30に配線形状の配線溝37を形成する。そして、メッキシード層(不図示)を形成して、メッキ法により配線溝37をCu(又はCu合金材料)で埋め込む。そして、層間絶縁膜30の表面を研磨ストッパーとしてCMPによりCuを研磨して平坦化する。この平坦化により、配線溝37をCuで充填してビア部32と接続されてなる配線33が形成される。
【0036】
以上により、配線31,33がビア部32を介して電気的に接続されてなる配線構造34が完成する。
なお、ここでは、配線33をシングルダマシン法で形成する場合について説明したが、ビア孔及び配線溝をメッキ法により同時にCuで充填する、いわゆるデュアルダマシン法を用いても良い。
【0037】
しかる後、更なる層間絶縁膜や上層配線、保護膜(共に不図示)等の形成を経て、本実施形態よるCMOSトランジスタを完成させる。
【0038】
以上説明したように、本実施形態によれば、ソース/ドレイン8の侵食等を生ぜしめることなく接合リーク電流の増大を抑制してソース/ドレイン8の抵抗値を十分に低減し、更なる微細化・高集積化を達成して、低消費電力で高速動作を可能とするCMOSトランジスタが実現する。
【0039】
(変形例)
ここで、本実施形態の変形例について説明する。
図8及び図9は、本実施形態の変形例によるCMOSトランジスタの構成要素であるnMOSトランジスタの構成を示す概略断面図であり、図8がゲート電極の長手方向に直交する方向に沿った断面、図9がゲート電極の長手方向に沿った断面をそれぞれ示す。
【0040】
本例は、本実施形態で説明した装置構成及び製造方法と同様であるが、半導体装置の回路設計の必要性から、局所的にゲート電極間を接続する必要がある場合に対応したCMOSトランジスタについて例示する。なお、本実施形態に対応した同様の構成部材等については、同符号を記して説明を省略する。
【0041】
本例では、第1に実施形態と同様に、先ず図1〜図6(a)の各工程を経る。
続いて、層間絶縁膜25を形成する。本例のCMOSトランジスタ(ここでは、nMOSトランジスタのみ示す。)では、図8及び図9に示すように、STI素子分離構造5を挟んで隣接する素子活性領域に形成されたゲート電極22同士が、配線構造41で電気的に接続される。
【0042】
配線構造41は、いわゆるデュアルダマシン法により形成される。
詳細には、先ず、リソグラフィー及びこれに続くドライエッチングにより層間絶縁膜25を加工し、層間絶縁膜25に、隣接するゲート電極22の各表面を露出させるビア孔44と、当該ビア孔44と一体となった配線溝45とを形成する。
【0043】
次に、例えば熱CVD法により、配線溝45及びビア孔44の内壁を覆うように密着膜41、例えばWNを膜厚5nm程度に堆積する。
次に、例えば熱CVD法により、密着膜41を介して配線溝45及びビア孔44を埋め込むように、全面にW42を膜厚200nm程度に堆積する。
そして、例えばCMPにより、層間絶縁膜25を研磨ストッパーとして、層間絶縁膜25の表面が露出するまで密着膜41及びW42を研磨して平坦化する。この研磨により、配線溝45及びビア孔44を密着膜41及びW42で充填する配線構造43が形成される。
【0044】
しかる後、本実施形態で図8を用いた説明と同様に、層間絶縁膜29,30及び配線構造34を形成し、更なる層間絶縁膜や上層配線、保護膜(共に不図示)等の形成を経て、本例によるCMOSトランジスタを完成させる。
【0045】
以上説明したように、本例によれば、本実施形態の奏する緒効果に加え、回路設計上、隣接するゲート電極22同士を電気的に接続する必要のある場合でも、何等不都合を生ぜしめることなく、工程増を招くこともなく、CMOSトランジスタを製造することができる。この利点により、更なる微細化・高集積化を達成して、低消費電力で高速動作を可能とするCMOSトランジスタが実現する。
【0046】
以下、本発明の諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0047】
(付記1)半導体基板と、
前記半導体基板における素子分離領域に形成された分離溝内を絶縁物で充填し、前記絶縁物の上部が前記半導体基板の表面から突出する素子分離構造と、
前記半導体基板の前記素子分離構造で画定された素子活性領域上に、ゲート絶縁膜を介して電極形状に形成されたゲート電極と、
前記素子活性領域で前記ゲート電極の両側における前記半導体基板の表層に不純物が導入されてなる一対の不純物拡散領域と、
前記素子活性領域上で前記素子分離構造と前記ゲート電極との間の領域を、前記ゲート電極と電気的に絶縁状態で且つ前記不純物拡散領域と電気的に接続されるように、導電材料で充填してなる導電層と
を含み、
前記素子分離構造、前記ゲート電極及び前記導電層は、前記半導体基板の表面からの高さが同等とされてなることを特徴とする半導体装置。
【0048】
(付記2)前記素子分離構造と前記ゲート電極との間に、絶縁膜が形成されてなることを特徴とする付記1に記載の半導体装置。
【0049】
(付記3)前記絶縁膜は、前記素子分離構造の側壁を絶縁物で覆うサイドウォール構造であることを特徴とする付記2に記載の半導体装置。
【0050】
(付記4)前記ゲート電極は、前記素子分離構造よりも前記半導体基板の表面からの高さが低いことを特徴とする付記1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0051】
(付記5)前記導電材料は、タングステン(W),窒化チタン(TiN)から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0052】
(付記6)前記導電層の厚みが20nm〜150nmの範囲内の値であることを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0053】
(付記7)前記素子分離構造を挟んで隣接する前記ゲート電極同士を電気的に接続する配線を更に含むことを特徴とする付記1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
【0054】
(付記8)前記配線は、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜に形成された配線溝内を導電物で充填するダマシン構造とされてなることを特徴とする付記7に記載の半導体装置。
【0055】
(付記9)半導体基板の素子分離領域に分離溝を形成した後、分離溝内を絶縁物で充填し、前記絶縁物の上部が前記半導体基板の表面から突出するように素子分離構造を形成する工程と、
前記半導体基板の前記素子分離構造で画定された素子活性領域上に電極形状のダミー電極パターンを形成する工程と、
前記素子活性領域で前記ゲート電極の両側における前記半導体基板の表層に不純物を導入し、一対の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記素子活性領域上で前記素子分離構造と前記ダミー電極パターンとの間の領域を導電材料で充填し、前記不純物拡散領域と電気的に接続される導電層を形成する工程と、
前記ダミー電極パターンを除去する工程と、
前記除去処理により前記導電層に形成された電極溝内を、前記半導体基板とゲート絶縁膜を介し且つ前記導電層と電気的に絶縁状態となる状態にて導電材料で充填し、ゲート電極を形成する工程と
を含み、
前記素子分離構造、前記ゲート電極及び前記導電層を、前記半導体基板の表面からの高さが同等となるように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0056】
(付記10)前記素子分離構造と前記ゲート電極との間に、絶縁膜を形成することを特徴とする付記9に記載の半導体装置の製造方法。
【0057】
(付記11)前記絶縁膜は、前記素子分離構造の側壁を絶縁物で覆うサイドウォール構造であることを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
【0058】
(付記12)前記ゲート電極を、前記素子分離構造よりも前記半導体基板の表面からの高さを低く形成することを特徴とする付記9〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0059】
(付記13)前記導電材料は、タングステン(W)、窒化チタン(TiN)から選ばれた少なくとも1種であることを特徴とする付記9〜12のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0060】
(付記14)前記導電層を20nm〜150nmの範囲内の厚みに形成することを特徴とする付記9〜13のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0061】
(付記15)前記素子分離構造を挟んで隣接する前記ゲート電極同士を電気的に接続するように、配線を形成する工程を更に含むことを特徴とする付記9〜14のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0062】
(付記16)前記配線を、前記ゲート電極を覆う層間絶縁膜に形成された配線溝内を導電物で充填するダマシン構造に形成することを特徴とする付記15に記載の半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図2】図1に引き続き、本実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図3】図2に引き続き、本実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図4】図3に引き続き、本実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図5】図4に引き続き、本実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図6】図5に引き続き、本実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図7】図6に引き続き、本実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図8】本実施形態の変形例によるCMOSトランジスタの構成要素であるnMOSトランジスタの構成を示す概略断面図(ゲート電極の長手方向に直交する方向に沿った断面図)である。
【図9】本実施形態の変形例によるCMOSトランジスタの構成要素であるnMOSトランジスタの構成を示す概略断面図(ゲート電極の長手方向に沿った断面図)である。
【符号の説明】
【0064】
1 シリコン基板
2,16,24 シリコン酸化膜
3,23 シリコン窒化膜
4 分離溝
5 STI素子分離構造
6 電極溝
7 ダミー電極パターン
8 ソース/ドレイン
11,15 空隙部
12,41 密着膜
13 低抵抗導電材料
14 低抵抗導電層
17 サイドウォール構造
18 チャネルドーズ層
21 ゲート絶縁膜
22 ゲート電極
25,28,29,30 層間絶縁膜
26 コンタクト孔
27 Wプラグ
31,33 配線
32 ビア部
34,43 配線構造
35,37,45 配線溝
36,44 ビア孔
42 W

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板における素子分離領域に形成された分離溝内を絶縁物で充填し、前記絶縁物の上部が前記半導体基板の表面から突出する素子分離構造と、
前記半導体基板の前記素子分離構造で画定された素子活性領域上に、ゲート絶縁膜を介して電極形状に形成されたゲート電極と、
前記素子活性領域で前記ゲート電極の両側における前記半導体基板の表層に不純物が導入されてなる一対の不純物拡散領域と、
前記素子活性領域上で前記素子分離構造と前記ゲート電極との間の領域を、前記ゲート電極と電気的に絶縁状態で且つ前記不純物拡散領域と電気的に接続されるように、導電材料で充填してなる導電層と
を含み、
前記素子分離構造、前記ゲート電極及び前記導電層は、前記半導体基板の表面からの高さが同等とされてなることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記素子分離構造と前記ゲート電極との間に、絶縁膜が形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁膜は、前記素子分離構造の側壁を絶縁物で覆うサイドウォール構造であることを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極は、前記素子分離構造よりも前記半導体基板の表面からの高さが低いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記導電層の厚みが20nm〜150nmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記素子分離構造を挟んで隣接する前記ゲート電極同士を電気的に接続する配線を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置。
【請求項7】
半導体基板の素子分離領域に分離溝を形成した後、分離溝内を絶縁物で充填し、前記絶縁物の上部が前記半導体基板の表面から突出するように素子分離構造を形成する工程と、
前記半導体基板の前記素子分離構造で画定された素子活性領域上に電極形状のダミー電極パターンを形成する工程と、
前記素子活性領域で前記ゲート電極の両側における前記半導体基板の表層に不純物を導入し、一対の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記素子活性領域上で前記素子分離構造と前記ダミー電極パターンとの間の領域を導電材料で充填し、前記不純物拡散領域と電気的に接続される導電層を形成する工程と、
前記ダミー電極パターンを除去する工程と、
前記除去処理により前記導電層に形成された電極溝内を、前記半導体基板とゲート絶縁膜を介し且つ前記導電層と電気的に絶縁状態となる状態にて導電材料で充填し、ゲート電極を形成する工程と
を含み、
前記素子分離構造、前記ゲート電極及び前記導電層を、前記半導体基板の表面からの高さが同等となるように形成することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記素子分離構造と前記ゲート電極との間に、絶縁膜を形成することを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記導電層を20nm〜150nmの範囲内の厚みに形成することを特徴とする請求項7又は8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記素子分離構造を挟んで隣接する前記ゲート電極同士を電気的に接続するように、配線を形成する工程を更に含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2007−142208(P2007−142208A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−334754(P2005−334754)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】