説明

画素構造、アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板の製造方法、電気光学装置、並びに電子機器

【課題】 製造プロセスにおける半導体層の熱的制限の影響が少なく、低コスト化に有利な画素構造を提供する。
【解決手段】 画素構造は、画素電極20と、この画素電極20に対応するスイッチング素子10とを有する。画素電極20とスイッチング素子10とが同一の基板P上に形成されており、スイッチング素子10における半導体層11に比べて基板P側の層(第1層L1)に画素電極20が配されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画素構造、アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板の製造方法、電気光学装置、並びに電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばアクティブマトリクス方式の液晶表示装置では、各画素毎にスイッチング素子が設けられており、そのスイッチング素子を介して各画素のスイッチング動作が行われる。スイッチング素子としては、例えばTFT(薄膜トランジスタ)が用いられる。
【0003】
TFTを有するアクティブマトリクス基板の製造方法としては、ゲート電極及び半導体層(例えばアモルファスシリコン層及びN型シリコン層)を形成した後に、電極配線(ソース線、ドレイン線など)や画素電極(透光性導電膜など)を積層形成するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3261699号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アクティブマトリクス基板の製造プロセスにおいては、成膜後の半導体層に熱的制限がある。例えば、成膜後の半導体層に250〜300℃程度以上の熱が加わると、水素脱離に伴う素子特性の劣化が生じる場合がある。こうした半導体層の熱的制限は、半導体層の後に形成される電極配線や画素電極の形成方法に制約を与えることから、製造プロセスの低コスト化を図るプロセス適用上の障害となっている。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、製造プロセスにおける半導体層の熱的制限の影響が少なく、低コスト化に有利な画素構造及びその画素構造を有するアクティブマトリクス基板の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画素構造は、画素電極と、該画素電極に対応するスイッチング素子とを有する画素構造であって、前記画素電極と前記スイッチング素子とが同一の基板上に形成されており、前記スイッチング素子における半導体層に比べて前記基板側の層に前記画素電極が配されていることを特徴とする。
【0007】
この画素構造によれば、スイッチング素子の半導体層に比べて基板側の層に画素電極が配されていることから、半導体層の形成前に画素電極を形成することが可能である。つまり、半導体層の熱的制限の影響を受けることなく画素電極を形成することが可能となる。そのため、この画層構造は、画素電極の形成方法に制約が少なく、低コストプロセスの適用、例えば液相成膜の導入に有利となる。
【0008】
この場合、例えば、前記画素電極が前記基板上の第1層(基板表面に最も近い層)に配されている構成とすることができる。
この構成によれば、画素電極が基板上の第1層に配されることにより、画素電極の形成材料や形成手段の選択の幅が広くなる。
なお、この構成は、物質の透過を防止する保護膜あるいは密着性向上のための密着膜などの、スイッチング動作に直接的な関与をしない膜が、基板表面と画素電極との間に存在する場合を含むものとする。
【0009】
上記の画素構造において、前記画素電極に対応する容量部をさらに有しており、前記画素電極と前記容量部を構成する導電線とが前記基板上の同一層に配されている構成とすることができる。
この構成によれば、画素電極と容量部の導電線とが基板上の同一層に配されていることから、画素電極及びその導電線の形成プロセスの一部共有化により製造プロセスの簡素化を図ることが可能となる。
【0010】
この場合、例えば、前記画素電極と前記容量部の導電線とが同一の材料膜を含む構成とすることができる。
この構成によれば、画素電極と容量部の導電線とが同一の材料膜を含みかつそれらが基板上の同一層に配されているから、画素電極及びその導電線の各材料配置を同じタイミングで行うことが可能となる。
【0011】
上記の画素構造においては、前記画素電極に電気的に接続された補助電極が、絶縁膜を介して(間に挟んで)前記容量部の導電線を覆っている構成とすることができる。
この構成では、画素電極の一部として補助電極が機能するとともに、その補助電極と容量部の導電線とが絶縁膜を介して対向配置される。
【0012】
この場合、前記画素電極、前記容量部の導電線、前記補助電極、及び前記絶縁膜がそれぞれ透光性の膜からなる構成とすることができる。
この構成によれば、画素電極に加え、容量部にも光が透過することから、画素構造における光透過領域の拡大(開口率の向上)が図られる。
【0013】
また、上記の画素構造において、前記基板には、前記画素電極及び/又は前記容量部を区画するバンクが形成されている構成とすることができる。
この構成によれば、画素電極及び/又は容量部の形成に液相法の使用が可能となる。液相法では、液体材料を基板上に配置し、その膜を熱処理することで導電膜を得る。液体材料の配置技術としては、液滴吐出法、Capコート法、スピンコート法等がある。上記バンクは、画素電極及び/又は容量部の液体材料を基板上に配置する際の、配置領域の規定に用いられる。そして、液相法の使用は、製造プロセスの簡素化や材料使用量の低減化を図りやすいことから製造コストの低減に有利である。画素電極と容量部とが基板上の同一層に配されているので、画素電極及び容量部を区画する各バンクの形成を同時に行うことが可能である。
【0014】
上記の画素構造において、前記スイッチング素子が薄膜トランジスタであり、前記スイッチング素子におけるゲート電極と前記画素電極とが前記基板上の同一層に配されている構成とすることができる。
この構成によれば、画素電極とゲート電極とが基板上の同一層に配されていることから、画素電極及びゲート電極の形成プロセスの一部共有化により製造プロセスの簡素化を図ることが可能となる。
【0015】
この場合、例えば、前記基板上には、前記画素電極及び/又は前記ゲート電極を区画するバンクが形成されている構成とすることができる。
この構成によれば、画素電極及び/又はゲート電極の形成に液相法の使用が可能となり、製造コストの低減化が図られる。上記バンクは、画素電極及び/又はゲート電極の液状材料を基板上に配置する際の、配置領域の規定に用いられる。画素電極とゲート電極とが基板上の同一層に配されているので、画素電極及びゲート電極を区画する各バンクの形成を同時に行うことが可能である。
【0016】
上記の画素構造において、ゲート線とソース線とがさらに、前記基板上の前記画素電極と同一層に配されている構成とすることができる。
この構成によれば、画素電極、ゲート電極、ゲート線、及びソース線が基板上の同一層に配されていることから、それらの形成プロセスの一部共有化により製造プロセスの簡素化を図ることが可能となる。
【0017】
この場合、例えば、前記ゲート電極と前記ゲート線と前記ソース線とが同一の材料膜を含む構成とすることができる。
この構成によれば、ゲート電極、ゲート線、及びソース線が同一の材料膜を含みかつそれらが基板上の同一層に配されていることから、ゲート電極、ゲート線、及びソース線の各材料配置を同じタイミングで行うことが可能となる。
【0018】
また、前記基板上には、前記ゲート線及び/又は前記ソース線を区画するバンクが形成されている構成とすることができる。
この構成によれば、ゲート線及び/又はソース線の形成に液相法の使用が可能となり、製造コストの低減化が図られる。上記バンクは、ゲート線及び/又はソース線の液体材料を基板上に配置する際の、配置領域の規定に用いられる。画素電極、ゲート電極、ゲート線、及びソース線が基板上の同一層に配されているので、それらを区画する各バンク形成を同時に行うことが可能である。
【0019】
本発明のアクティブマトリクス基板は、上記の画素構造を有することを特徴とする。
このアクティブマトリクス基板によれば、低コスト化を図ることが可能となる。
【0020】
本発明のアクティブマトリクス基板の製造方法は、基板上に前記スイッチング素子の半導体層を形成する工程と、前記半導体層の形成前に、前記基板上に前記画素電極を形成する工程とを有することを特徴とする。
【0021】
この製造方法によれば、スイッチング素子の半導体層の形成前に、半導体層の熱的制限の影響を受けることなく、画素電極を形成することができる。そのため、画素電極の形成材料や形成手段の選択の幅が広く、低コスト化を図ることが可能となる。
【0022】
例えば、蒸着法(CVD法を含む)、スパッタ法、及び液相法のうちの少なくとも1つを用いて前記画素電極を形成することができる。
この場合、例えば、基板の全面に画素電極の材料膜を形成し、その後にパターニングすることにより画素電極を形成するとよい。基板上の第1層であれば、こうした膜形成を容易に実施可能である。
【0023】
上記の製造方法において、液相法を用いた前記画素電極の形成工程は、前記画素電極の配置領域を区画する区画部を前記基板上に形成する工程と、前記区画部で区画された領域に前記画素電極の液体材料を配置する工程と、前記画素電極の材料膜を熱処理する工程とを含む構成とすることができる。
ここで、液相法による画素電極の形成では、実用的な導電性能を得るために材料膜の熱処理温度(焼成温度)が、250℃以上の比較的高温であるのが好ましい。この製造方法では、半導体層の熱的制限の影響を受けることなく、比較的高温での熱処理により導電性能に優れた画素電極を形成することができる。また、液相法の使用により、製造コストの低減化が図られる。
【0024】
前記区画部は、例えば、バンクまたは前記画素電極の形成材料に対して撥液性を示す領域である。
バンクまたは撥液性領域により画素電極の材料の配置領域が規定される。
この場合、例えば、フォトリソグラフィ法を用いて前記バンクを形成することができる。
また、自己組織化膜を用いて前記撥液性を示す領域を形成することができる。
【0025】
上記の製造方法においては、前記半導体層の形成前に、前記画素電極に対応する容量部を前記基板上に形成する工程をさらに有しており、前記画素電極の形成工程と前記容量部の形成工程とは、区画部の形成、材料配置、及び材料膜の熱処理のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことが好ましい。
これによれば、画素電極と容量部との形成プロセスの一部共有化により製造プロセスの簡素化を図ることが可能となる。
【0026】
上記の製造方法において、前記スイッチング素子が薄膜トランジスタであり、前記半導体層の形成前に、ゲート電極を前記基板上に形成する工程をさらに有しており、前記ゲート電極の形成工程では、液相法を用いる構成とすることができる。
これによれば、液相法の使用により、製造コストの低減化が図られる。
【0027】
この場合、前記画素電極の形成工程と前記ゲート電極の形成工程とは、区画部の形成、及び材料膜の熱処理のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことが好ましい。
これによれば、画素電極とゲート電極との形成プロセスの一部共有化により製造プロセスの簡素化を図ることが可能となる。
【0028】
上記の製造方法において、前記半導体層に電気的に接続されるドレイン電極の形成工程とソース電極の形成工程とをさらに有しており、前記ドレイン電極の形成工程と前記ソース電極の形成工程とでは、液相法を用いる構成とすることができる。
これによれば、液相法の使用により、製造コストの低減化が図られる。
【0029】
この場合、前記ドレイン電極の形成と同時に、該ドレイン電極を介した前記半導体層と前記画素電極との電気的接続を行うことにより、形成プロセスの簡素化が図られる。
また、前記ソース電極の形成と同時に、該ソース電極を介した前記半導体層と前記ソース線との電気的接続を行うことによっても、形成プロセスの簡素化が図られる。
【0030】
上記の製造方法において、互いに交差するゲート線及びソース線を前記基板上に形成する工程をさらに有しており、前記ゲート線及び前記ソース線の形成工程では、液相法を用いる構成とすることができる。
これによれば、液相法の使用により、製造コストの低減化が図られる。
【0031】
この場合、前記ゲート線及び前記ソース線の形成工程は、前記半導体層の形成前に交差部分で一方の線が分割された交差パターンの導電膜を形成する第1工程と、前記半導体層の形成後に前記分割された導電膜を電気的に接続する第2工程とを含む構成とすることができる。
これによれば、ゲート線とソース線とが基板上の同一層にあっても、両者を交差配置することが可能となる。
【0032】
また、前記ゲート線及び前記ソース線の形成における前記第1工程と、前記ゲート電極の形成工程とは、区画部の形成、材料配置、及び材料膜の熱処理のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことが好ましい。
これによれば、ゲート線とソース線とゲート電極との形成プロセスの一部共有化により製造プロセスの簡素化を図ることが可能となる。
【0033】
また、前記ゲート線及び前記ソース線の形成における第2工程と、前記ドレイン電極の形成工程と、前記ソース電極の形成工程とでは、区画部の形成、材料配置、及び材料膜の熱処理のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことが好ましい。
これによれば、ゲート線とソース線とドレイン電極とソース電極との形成プロセスの一部共有化により製造プロセスの簡素化を図ることが可能となる。
【0034】
本発明の電気光学装置は、上記の本発明のアクティブマトリクス基板を備えることを特徴とする。
この電気光学装置によれば、低コスト化が図られる。
【0035】
本発明の電子機器は、上記の本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
この電子機器によれば、低コスト化が図られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の画素構造、アクティブマトリクス基板、アクティブマトリクス基板の製造方法、電気光学装置並びに電子機器の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図においては、各構成要素を図面上で認識可能な程度の大きさとするために、必要に応じてその縮尺を実際とは異ならしめてある。
【0037】
(アクティブマトリクス基板)
図1は本発明に係るアクティブマトリクス基板の一部を拡大した平面図であり、図2(A)は図1に示すA−A断面図、図2(B)は図1に示すB−B断面図、図2(C)は図1に示すC−C断面図である。
【0038】
図1に示すように、アクティブマトリクス基板1は、格子パターンの配線(ソース線30、ゲート線31)と、この配線に囲まれた各領域に配置された画素電極20と、画素電極20に対応するスイッチング素子としてのTFT10と、容量部25とを備えて構成されている。
【0039】
(画素構造)
図2(A)、(B)及び(C)に示すように、TFT10は、ボトムゲート構造(逆スタガ型構造)を有するアモルファスシリコン型TFT(α−Si TFT)であり、半導体層11と、半導体層11と基板P(ガラス基板など)との間に配されるゲート電極16と、半導体層11とゲート電極16との間に配されるゲート絶縁膜17と、半導体層11とそれぞれ電気的に接続されたソース電極18及びドレイン電極19とを含む。
【0040】
半導体層11は、アモルファスシリコン層(α−Si)12と、このアモルファスシリコン層12上に積層されたNシリコン層(n+−Si)13とからなる。Nシリコン層13は、アモルファスシリコン層12上で平面的に離間された2つの部位に分割されており、一方(図示左側)のNシリコン層13(ソース領域)と信号線としてのソース線30とがソース電極18を介して電気的に接続され、他方のNシリコン層13(ドレイン領域)と画素電極20とがドレイン電極19を介して電気的に接続されている。また、ゲート電極16は、走査線としてのゲート線31に電気的に接続されている。
【0041】
画素電極20は、前述したように、TFT10のドレインにドレイン電極19を介して電気的に接続されている。そして、ゲート線31を介して入力されるゲート信号によりTFT10が所定期間だけオン状態とされることで、ソース線30を介して供給される画像信号が画素電極20に供給される。画素電極20と対向電極との間に液晶が配されている場合には、その液晶に画像信号が一定期間保持される。
【0042】
容量部25は、液晶などに保持された画素信号がリークするのを防ぐものであり、画素電極20に電気的に接続された画素電極20の一部としての補助電極26と、補助電極26に対向配置される導電膜からなる容量線27と、補助電極26と容量線27との間に配される絶縁膜28とを含む。
【0043】
ここで、この画素構造は、ゲート電極16、画素電極20、容量線27、ソース線30、及びゲート線31がそれぞれ、基板Pの表面に最も近い第1層(ファーストレイヤー)L1において、基板P上の同一面上に配されているという特徴を有している。
【0044】
具体的には、基板P上に、ゲート電極16、画素電極20、容量線27、ソース線30、及びゲート線31の形成領域をそれぞれ規定するための区画部としてのバンク(絶縁膜)40が形成されており、このバンク40の開口部40a,40b,40c,40d,40eにゲート電極16、画素電極20、容量線27、ソース線30、及びゲート線31がそれぞれ配設されている。なお、バンク40は、フォトリソグラフィ等によるパターニングにより基板P上に一括して形成されたものである。
【0045】
ゲート電極16は、基板P上にAg,Cu,Al等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された下層(基体層)16Aと、Ni,Ti,W,Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された上層(被覆層)16Bとを積層してなる2層構造を有している。この2層構造は、基体層16Aを構成するAgやCu,Alのゲート絶縁膜17への拡散を被覆層16Bによって効果的に防止し、これによりTFT10に動作不良や移動度の低下等が生じるのを防止するという機能を有する。なお、基体層16Aと基板Pとの間に、両者の密着性を向上させるための密着層を設けてもよい。この密着層は、例えばMnにより形成することができ、Mn微粒子を分散させた液体材料を用いた液相法によって形成することができる。
また、ソース線30及びゲート線31は、ゲート電極16と同様に、基板P上にAg,Cu,Al等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された下層(基体層)16Aと、Ni,Ti,W,Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された上層(被覆層)16Bとを積層してなる2層構造を有している。
なお、ゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31は、互いに同じ材料膜を有しており、これらは同時形成されたものである。
【0046】
画素電極20は、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性の導電膜からなる。また、容量線27も、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性の導電膜からなる。画素電極20と容量線27とは、互いに同じ材料膜からなり、これらは同時に形成されたものである。また、容量線27が形成されたバンク40の開口部40cにおいて、容量線27上に絶縁膜28が積層され、その絶縁膜28上に画素電極20と電気的に接続された補助電極26が積層されている。補助電極26は、ITO(インジウム錫酸化物)等の透光性の導電膜からなり、画素電極20の一部と絶縁膜28とバンク40の一部とを覆うように配されている。絶縁膜28は、ポリシラザン等の透光性の高い絶縁体からなる。
【0047】
このように、この画素構造では、第1層L1において、ゲート電極16、画素電極20、容量線27、ソース線30、及びゲート線31の各構成要素がそれぞれ、基板P上の同一面上に配されていることから、それら構成要素の形成プロセスの一部共有化が可能である。例えば、区画部であるバンク40の形成、各構成要素の形成材料の配置、及び基板P上に配置された材料膜の熱処理、のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことができる。さらに、これらの構成要素が基板Pの表面に最も近い第1層L1に配されており、それら構成要素の配置面である基板P表面は全面が比較的平坦であるから、段差がある面に対する処理に比べて、プロセスの共有化を図りやすい。
【0048】
また、この第1層L1において、ゲート電極16、画素電極20、容量線27、ソース線30、及びゲート線31の各構成要素がそれぞれ、バンク40によって区画されていることから、各構成要素の形成に液相法の使用が可能である。液相法では、液体材料を基板P上に配置し、その膜を熱処理することで導電膜を得る。液体材料の配置技術としては、例えば、液滴吐出法、Capコート法、スピンコート法等があげられる。上記バンク40は、上記各構成要素の液体材料を基板P上に配置する際の、配置領域を規定する仕切り部材として用いられる。そして、液相法の使用は、製造プロセスの簡素化や材料使用量の低減化を図りやすいことから製造コストの低減に有利である。ゲート電極16、画素電極20、容量線27、ソース線30、及びゲート線31の各構成要素が基板P上の同一層に配されているので、それらの構成要素を区画する各バンク40の形成を同時に行うことが可能である。
【0049】
次に、半導体層11、ソース電極18、及びドレイン電極19は、上記第1層L1の上層に設けられている。
【0050】
具体的には、ゲート電極16を含むバンク40上の領域に、酸化シリコンや窒化シリコン等からなるゲート絶縁膜17が形成されており、このゲート絶縁膜17上であってゲート電極16と平面的に重なる位置に半導体層11が形成されている。すなわち、ゲート電極16、ゲート絶縁膜17、アモルファスシリコン層12、及びNシリコン層13の順に、それらが基板P上に積層されている(ボトムゲート構造、逆スタガ型構造)。
【0051】
また、上記第1層L1上に、ソース電極18及びドレイン電極19の形成領域をそれぞれ規定するための区画部としてのバンク(絶縁膜)41が形成されており、このバンク41の開口部41a,41bにソース電極18及びドレイン電極19がそれぞれ配設されている。なお、バンク41は、フォトリソグラフィ等によるパターニングにより第1層L1上に一括して形成されたものである。
【0052】
ソース電極18は、Ni、Ti、W、Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された下層(バリア層)18Aと、Ag,Cu,Al等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された中間層(基体層)18Bと、Ni、Ti、W、Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された上層(被覆層)18Cとを積層してなる3層構造を有している。この3層構造は、基体層18Bを構成するAgやCu,Alのアモルファスシリコン層12、Nシリコン層13、及びゲート絶縁膜17への拡散をバリア層18Aによって効果的に防止し、これによりTFT10に動作不良や移動度の低下等が生じるのを防止するという機能を有する。バンク41は、第1層L1におけるソース線30の一部と半導体層11のソース領域とを含む領域を開口する開口部41aを有しており、この開口部41aに上記導電材料が充填されることにより、ソース電極18の形成、並びにそのソース電極18を介した半導体層11のソース領域とソース線30との電気的接続がなされている。
【0053】
また、ドレイン電極19は、ソース電極18と同様に、Ni、Ti、W、Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された下層(バリア層)19Aと、Ag,Cu,Al等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された中間層(基体層)19Bと、Ni、Ti、W、Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された上層(被覆層)19Cとを積層してなる3層構造を有している。バンク41は、第1層L1における画素電極20の一部と半導体層11のドレイン領域とを含む領域を開口する開口部41bを有しており、この開口部41bに上記導電材料が充填されることにより、ドレイン電極19の形成、並びにそのドレイン電極19を介した半導体層11のドレイン領域と画素電極20との電気的接続がなされている。
なお、ソース電極18及びドレイン電極19は、互いに同じ材料膜を有しており、これらは同時形成されたものである。
また、半導体層11(アモルファスシリコン層12、Nシリコン層13)とバンク41との間には必要に応じて保護膜39が形成されている。この保護膜39は、バンク41を通過した金属(例えば、アルカリ金属(可動イオン))が半導体層11に侵入するのを防止するなどの機能を有する。バンク41が同様の機能を有している場合には保護膜39を省いた構成としてもよい。
【0054】
このように、この画素構造では、画素電極20を含む第1層L1の上層に、半導体層11が形成されている。半導体層11に比べて基板P側の層に画素電極20が配されていることから、半導体層11の形成前に画素電極20を形成することが可能である。つまり、製造プロセスにおける半導体層11の熱的制限の影響を受けることなく画素電極20を形成することができる。そのため、この画素構造は、画素電極20の形成方法に制約が少なく、低コスト化に有利である。例えば、画素電極20の形成に、製造コストの低減に有利な液相法の使用が可能となる。
【0055】
また、第1層L1の上層において、ソース電極18及びドレイン電極19がそれぞれ、バンク41によって区画されていることから、それらの形成に液相法の使用が可能である。上記バンク41は、上記各構成要素の液体材料を基板P上に配置する際の、配置領域を規定する仕切り部材として用いられる。そして、液相法の使用は、製造プロセスの簡素化や材料使用量の低減化を図りやすいことから製造コストの低減に有利である。ソース電極18及びドレイン電極19の各構成要素が基板P上の同一層に配されているので、それらの構成要素を区画する各バンク41の形成を同時に行うことが可能である。
【0056】
図1に戻り、このアクティブマトリクス基板1においては、ソース線(信号線)30とゲート線(走査線)31とが互いに交差して配置されることにより格子状パターンを形成している。すなわち、複数のゲート線31が図示左右方向に延在しており、これらのゲート線31に交差する方向(図示上下方向)に複数のソース線30が延在している。前述したように、このアクティブマトリクス基板1では、ソース線30とゲート線31とが基板P上の同一面上に配されることから、基板P上のソース線30とゲート線31との交差位置において一方の配線(ゲート線31)に対して他方の配線(ソース線30)を迂回させている。
【0057】
具体的には、図2(C)に示すように、第1層L1において、ゲート線31を間に挟んでその両側にソース線30が複数に分割して形成されている。そして、ソース線30とゲート線31との交差位置において、第1層L1の上層に、ゲート線31を跨ぐ補助導電膜35が配設されている。補助導電膜35と分割された両ソース線30とが電気的に接続され、かつ補助導電膜35とゲート線31とはゲート絶縁膜17によって絶縁された関係にある。補助導電膜35は、Ag,Cu,Al等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された下層(基体層)35Aと、Ni,Ti,W,Mn等から選ばれる1種又は2種以上の金属材料を用いて形成された上層(被覆層)35Bとを積層してなる2層構造を有している。第1層L1の上層に設けられたバンク41は、ソース線30とゲート線31との交差位置において、分割された両ソース線30の各一部を開口する開口部41cを有しており、この開口部41cに上記導電材料が充填されることにより、分割された両ソース線30同士の電気的接続がなされている。なお、本例では、互いに交差するソース線30とゲート線31との関係において、ソース線30が分割されているが、ゲート線31が分割した形態としてもよい。
【0058】
さらに、図1に示すように、このアクティブマトリクス基板1においては、ソース線(信号線)30と容量線27とが互いに交差して配置されている。すなわち、複数の容量線27が図示左右方向に延在しており、これらの容量線27に交差する方向(図示上下方向)に複数のソース線30が延在している。前述したように、このアクティブマトリクス基板1では、ソース線30と容量線27とが基板P上の同一面上に配されることから、基板P上のソース線30と容量線27との交差位置において一方の配線(容量線27)に対して他方の配線(ソース線30)を迂回させている。なお、本例では、互いに交差するソース線30と容量線27との関係において、ソース線30が分割されているが、容量線27が分割した形態としてもよい。実際には、画素特性の向上を図る上で、本例のようにソース線30を分割するのが好ましい。
【0059】
具体的には、基板P上の第1層において、容量線27を間に挟んでその両側にソース線30が複数に分割して形成されている。そして、ソース線30と容量線27との交差位置において、容量線27を跨ぐ補助導電膜36が配設されている。補助導電膜36と分割された両ソース線30とが電気的に接続され、補助導電膜36と容量線27とはゲート絶縁膜によって絶縁された関係にある(図15参照)。第1層の上層に設けられたバンク41は、ソース線30と容量線27との交差位置において、分割された両ソース線30の各一部を開口する開口部41dを有しており、この開口部41dに補助導電膜36が充填されることにより、分割された両ソース線30同士の電気的接続がなされている。ソース線30と容量線27との交差位置における補助導電膜36と、前述したソース線30とゲート線31との交差位置における補助導電膜35とは、互いに同じ材料膜を有しており、これらは同時形成されたものである。
【0060】
上記構成により、このアクティブマトリクス基板1では、ゲート電極16、画素電極20、容量線27、ソース線30、及びゲート線31がそれぞれ、基板Pの表面に最も近い第1層(ファーストレイヤー)において基板P上の同一面上に配されているなどの特徴的な構成を有していることから、製造プロセスの簡素化や材料使用量の低減化を図ることが可能である。
【0061】
また、このアクティブマトリクス基板1では、容量部25を構成する容量線27、補助電極26、及び絶縁膜28がそれぞれ透光性の膜からなることから、画素電極20に加え、容量部25にも光が透過する。そのため、画素構造における光透過領域の拡大(開口率の向上)が図られる。
なお、容量部25の配置位置は、図1に示す画素電極20の中央付近に限らず、画素電極20の縁部に寄っていてもよい。
また、容量部25が難透光性の構成であってもよい。
【0062】
(液晶表示装置)
図3は、本発明の電気光学装置の一実施の形態である液晶表示装置100を示す等価回路図である。この液晶表示装置100は、図1のアクティブマトリクス基板を備える。
図3に示すように、この液晶表示装置100において、画像表示領域を構成するマトリクス状に配置された複数のドットには、透光性導電膜としての画素電極20と当該画素電極20を制御するためのスイッチング素子である薄膜トランジスタ(TFT10)とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給される信号線(ソース線30)が当該TFT10のソースに電気的に接続されている。ソース線30に書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のソース線30に対してグループ毎に供給される。また、走査線(ゲート線31)がTFT10のゲートに電気的に接続されており、複数のゲート線31に対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極20はTFT10のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT10を一定期間だけオンすることにより、ソース線30から供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0063】
画素電極20を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。そして、この印加される電圧レベルに応じて液晶の分子集合の配向や秩序が変化するのを利用して光を変調し、任意の階調表示を可能にしている。また各ドットには、液晶に書き込まれた画像信号がリークするのを防止するために、画素電極20と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量(容量部25)が付加されている。符号27はこの蓄積容量の一側の電極に接続された容量線である。
【0064】
次に、図4は、液晶表示装置100の全体構成図である。
図4に示すように、液晶表示装置100は、TFTアレイ基板(アクティブマトリクス基板1)と、対向基板50とが、平面視略矩形枠状のシール材52を介して貼り合わされた構成を備えており、前記両基板1,50の間に挟持された液晶が、シール材52によって前記基板間に封入されたものとなっている。なお、図4では、対向基板50の外周端が、シール材52の外周端に平面視で一致するように表示している。
【0065】
シール材52の内側の領域には、遮光性材料からなる遮光膜(周辺見切り)53が矩形枠状に形成されている。シール材52の外側の周辺回路領域には、データ線駆動回路201と実装端子202とがアクティブマトリクス基板1の一辺に沿って配設されており、この一辺と隣接する2辺に沿ってそれぞれ走査線駆動回路104,104が設けられている。アクティブマトリクス基板1の残る一辺には、前記走査線駆動回路104,104間を接続する複数の配線105が形成されている。また、対向基板50の角部には、アクティブマトリクス基板1と対向基板50との間で電気的導通をとるための複数の基板間導通材106が配設されている。
【0066】
なお、実際には、アクティブマトリクス基板1の内側表面(画素電極の表面など)に、液晶の初期配向状態を制御するための配向膜が形成されており、外側表面に、液晶層に入射する光の偏光状態を制御するための位相差板や偏光板が設けられている。さらに、アクティブマトリクス基板1の外側(パネル背面側)には、透過型ないし半透過反射型の液晶表示装置の場合の照明手段として用いられるバックライトが設けられている。
【0067】
また、対向基板50の内側(アクティブマトリクス基板1の対向面)に、着色部を配列形成してなるカラーフィルタ層と、平面ベタ状の透光性導電膜からなる対向電極とを積層した構成を備えている。また、対向基板50の内側表面(対向電極の表面など)に、配向膜が形成されており、外側表面には、必要に応じて位相差板や偏光板が配設される。
【0068】
また、アクティブマトリクス基板1と対向基板50との間に封止された液晶層は、主として液晶分子で構成されている。この液晶層を構成する液晶分子としては、ネマチック液晶、スメクチック液晶など配向し得るものであればいかなる液晶分子を用いても構わないが、TN型液晶パネルの場合、ネマチック液晶を形成させるものが好ましく、例えば、フェニルシクロヘキサン誘導体液晶、ビフェニル誘導体液晶、ビフェニルシクロヘキサン誘導体液晶、テルフェニル誘導体液晶、フェニルエーテル誘導体液晶、フェニルエステル誘導体液晶、ビシクロヘキサン誘導体液晶、アゾメチン誘導体液晶、アゾキシ誘導体液晶、ピリミジン誘導体液晶、ジオキサン誘導体液晶、キュバン誘導体液晶等が挙げられる。
【0069】
以上の構成を備えた液晶表示装置100では、バックライトから入射した光を、電圧印加により配向状態を制御された液晶層で変調することで、任意の階調表示を行う。また各画素毎に3原色(R,G,B)の色光を混色して任意のカラー表示を行うことができる。
【0070】
また、この液晶表示装置100では、ゲート電極、画素電極、容量線、ソース線、及びゲート線がそれぞれ、基板の表面に最も近い第1層(ファーストレイヤー)において基板上の同一面上に配されているなど、アクティブマトリクス基板1が特徴的な構成を有していることから、製造プロセスの簡素化や材料使用量の低減化を図ることが可能である。
【0071】
(アクティブマトリクス基板の製造方法、液滴吐出法)
次に、上記のアクティブマトリクス基板1の製造方法の一例、及び液相法の一例として液滴吐出法について図を参照して説明する。
【0072】
(液滴吐出装置)
まず、本製造方法の複数の工程で用いられる液滴吐出装置について説明する。本製造方法では、液滴吐出装置に備えられた液滴吐出ヘッドのノズルから導電性微粒子を含むインク(液体材料)を液滴状に吐出し、アクティブマトリクス基板を構成する各導電部材や電極を形成する(液滴吐出法)ものとしている。本例で用いる液滴吐出装置としては、図5に示した構成のものを採用することができる。
【0073】
図5(a)は、本例で用いる液滴吐出装置IJの概略構成を示す斜視図である。
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と、X軸方向駆動軸304と、Y軸方向ガイド軸305と、制御装置CONTと、ステージ307と、クリーニング機構308と、基台309と、ヒータ315とを備えている。
ステージ307は、この液滴吐出装置IJによりインク(液体材料)を設けられる基板Pを支持するものであって、基板Pを基準位置に固定する不図示の固定機構を備えている。
【0074】
液滴吐出ヘッド301は、複数の吐出ノズルを備えたマルチノズルタイプの液滴吐出ヘッドであり、長手方向とY軸方向とを一致させている。複数の吐出ノズルは、液滴吐出ヘッド301の下面にY軸方向に並んで一定間隔で設けられている。液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルからは、ステージ307に支持されている基板Pに対して、上述した導電性微粒子を含むインクが吐出される。
【0075】
X軸方向駆動軸304には、X軸方向駆動モータ302が接続されている。X軸方向駆動モータ302はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからX軸方向の駆動信号が供給されると、X軸方向駆動軸304を回転させる。X軸方向駆動軸304が回転すると、液滴吐出ヘッド301はX軸方向に移動する。
Y軸方向ガイド軸305は、基台309に対して動かないように固定されている。ステージ307は、Y軸方向駆動モータ303を備えている。Y軸方向駆動モータ303はステッピングモータ等であり、制御装置CONTからY軸方向の駆動信号が供給されると、ステージ307をY軸方向に移動する。
【0076】
制御装置CONTは、液滴吐出ヘッド301に液滴の吐出制御用の電圧を供給する。また、X軸方向駆動モータ302に液滴吐出ヘッド301のX軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を、Y軸方向駆動モータ303にステージ307のY軸方向の移動を制御する駆動パルス信号を供給する。
クリーニング機構308は、液滴吐出ヘッド301をクリーニングするものである。クリーニング機構308には、図示しないY軸方向の駆動モータが備えられている。このY軸方向の駆動モータの駆動により、クリーニング機構は、Y軸方向ガイド軸305に沿って移動する。クリーニング機構308の移動も制御装置CONTにより制御される。
ヒータ315は、ここではランプアニールにより基板Pを熱処理する手段であり、基板P上に塗布された液体材料に含まれる溶媒の蒸発及び乾燥を行う。このヒータ315の電源の投入及び遮断も制御装置CONTにより制御される。
【0077】
液滴吐出装置IJは、液滴吐出ヘッド301と基板Pを支持するステージ307とを相対的に走査しつつ基板Pに対して液滴を吐出する。ここで、以下の説明において、X軸方向を走査方向、X軸方向と直交するY軸方向を非走査方向とする。したがって、液滴吐出ヘッド301の吐出ノズルは、非走査方向であるY軸方向に一定間隔で並んで設けられている。なお、図5(a)では、液滴吐出ヘッド301は、基板Pの進行方向に対し直角に配置されているが、液滴吐出ヘッド301の角度を調整し、基板Pの進行方向に対して交差させるようにしてもよい。このようにすれば、液滴吐出ヘッド301の角度を調整することで、ノズル間のピッチを調節することができる。また、基板Pとノズル面との距離を任意に調節できるようにしてもよい。
【0078】
図5(b)は、ピエゾ方式による液体材料の吐出原理を説明するための液滴吐出ヘッドの概略構成図である。
図5(b)において、液体材料(インク;機能液)を収容する液体室321に隣接してピエゾ素子322が設置されている。液体室321には、液体材料を収容する材料タンクを含む液体材料供給系323を介して液体材料が供給される。ピエゾ素子322は駆動回路324に接続されており、この駆動回路324を介してピエゾ素子322に電圧を印加し、ピエゾ素子322を変形させて液体室321を弾性変形させる。そして、この弾性変形時の内容積の変化によってノズル325から液体材料が吐出されるようになっている。この場合、印加電圧の値を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み量を制御することができる。また、印加電圧の周波数を変化させることにより、ピエゾ素子322の歪み速度を制御することができる。ピエゾ方式による液滴吐出は材料に熱を加えないため、材料の組成に影響を与えにくいという利点を有する。
【0079】
(インク(液体材料))
ここで、本例に係る製造方法で用いられる、液滴吐出ヘッド301からの吐出に好適なインク(液体材料)について説明する。
本例で用いる導電部材形成用のインク(液体材料)は、導電性微粒子を分散媒に分散させた分散液、若しくはその前駆体からなるものである。導電性微粒子として、例えば金、銀、銅、パラジウム、ニオブ及びニッケル等を含有する金属微粒子の他、これらの前駆体、合金、酸化物、並びに導電性ポリマーやインジウム錫酸化物等の微粒子などが用いられる。これらの導電性微粒子は、分散性を向上させるために表面に有機物などをコーティングして使うこともできる。導電性微粒子の粒径は1nm〜0.1μm程度であることが好ましい。0.1μmより大きいと、後述する液滴吐出ヘッド301のノズルに目詰まりが生じるおそれがあるだけでなく、得られる膜の緻密性が悪化する可能性がある。また、1nmより小さいと、導電性微粒子に対するコーティング剤の体積比が大きくなり、得られる膜中の有機物の割合が過多となる。
【0080】
分散媒としては、上記の導電性微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。
【0081】
上記導電性微粒子の分散液の表面張力は0.02N/m〜0.07N/mの範囲内であることが好ましい。インクジェット法にて液体を吐出する際、表面張力が0.02N/m未満であると、インク組成物のノズル面に対する濡れ性が増大するため飛行曲りが生じやすくなり、0.07N/mを超えるとノズル先端でのメニスカスの形状が安定しないため吐出量や、吐出タイミングの制御が困難になる。表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
【0082】
上記分散液の粘度は1mPa・s〜50mPa・sであることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周辺部がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるだけでなく、液滴の吐出量が減少する。
【0083】
(アクティブマトリクス基板の製造方法)
以下、図6から図15を参照してアクティブマトリクス基板1の製造方法について説明する。図6から図15は、アクティブマトリクス基板1の製造方法の一例を示す説明図であり、それぞれ平面図及び断面図を含む。
【0084】
(第1層バンク形成工程)
まず、図6に示すように、基体となる基板Pを用意し、その一面側にバンク40を形成する。
基板Pとしては、ガラス、石英ガラス、Siウエハ、プラスチックフィルム、金属板など各種の材料を用いることができる。また、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、誘電体膜、有機膜などが下地層として形成されたものも含む。
バンク40は、基板面を平面的に区画する仕切部材であり、このバンクの形成にはフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板P上に形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等の有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成する。そして、形成したいバンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射することで、所定の開口部40a,40b,40c,40d,40eを備えたバンク40を形成する。バンク40の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が用いられる。バンク40は、ポリシラザンを含む液体材料等を用いて形成した無機物の構造体であってもよい。
【0085】
バンク40の開口部40a,40b,40c,40d,40eは、ゲート電極、画素電極、容量線、ソース線、及びゲート線にそれぞれ対応している。
具体的には、図示左右方向に延びて形成された開口部40c,40eがゲート線、容量線の形成位置に対応している。その開口部40c,40eと交差するように図示上下方向に延びて形成された開口部40dがソース線の形成位置に対応する。ソース線用開口部40dは、容量線用開口部40c及びゲート線用開口部40eと一体化しないように、交差位置において分断されている。ソース線用開口部40dとゲート線用開口部40eとの交差位置において、ゲート線用開口部40eから分岐しかつ図示上下方向に延びて形成された開口部40aがゲート電極の形成位置に対応する。そして、ソース線用開口部40d、ゲート線用開口部40e、及び容量線用開口部40cによる格子パターンに囲われた開口部40bが画素電極に対応する。
【0086】
上記開口部40a,40b,40c,40d,40e内への材料インクの配置性向上のためにバンク40に対して撥液化処理が必要に応じて行われる。
撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。CF4プラズマ処理の条件は、例えばプラズマパワーが50kW〜1000kW、4フッ化メタンガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板搬送速度が0.5mm/sec〜1020mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。
このような撥液化処理を行うことにより、バンク40には、これを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
【0087】
また、上記撥液化処理に先立って、開口部40a,40b,40c,40d,40eの底面に露出された基板Pの表面を清浄化する目的で、O2プラズマを用いたアッシング処理やUV(紫外線)照射処理が必要に応じて行われる。この処理を行うことで、基板P表面のバンクの残渣を除去することができ、撥液化処理後のバンク40の接触角と当該基板表面の接触角との差を大きくすることができ、後段の工程でバンク40の開口部内に配される液滴を正確に開口部の内側に閉じ込めることができる。また、バンク40がアクリル樹脂やポリイミド樹脂からなるものである場合、CF4プラズマ処理に先立ってバンク40をO2プラズマに曝しておくと、よりフッ素化(撥液化)されやすくなるという性質があるので、バンク40をこれらの樹脂材料で形成している場合には、CF4プラズマ処理に先立ってO2アッシング処理を施すことが好ましい。
【0088】
上記O2アッシング処理は、具体的には、基板Pに対しプラズマ放電電極からプラズマ状態の酸素を照射することで行う。処理条件としては、例えばプラズマパワーが50W〜1000W、酸素ガス流量が50ml/min〜100ml/min、プラズマ放電電極に対する基板Pの板搬送速度が0.510mm/sec〜10mm/sec、基板温度が70℃〜90℃である。
【0089】
なお、バンク40に対する撥液化処理(CF4プラズマ処理)により、先に行われた残渣処理により親液化された基板P表面に対し多少は影響があるものの、特に基板Pがガラス等からなる場合には、撥液化処理によるフッ素基の導入が起こりにくいため、基板Pの親液性、すなわち濡れ性が実質上損なわれることはない。また、バンク40については、撥液性を有する材料(例えばフッ素基を有する樹脂材料)によって形成することにより、その撥液処理を省略するようにしてもよい。
【0090】
(ゲート電極・ソース線・ゲート線形成工程)
次に、図7に示すように、基板P上に、ゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31を形成する。
ゲート電極16の形成工程と、ソース線30の形成工程と、ゲート線31の形成工程とは、材料配置工程、及び材料膜の熱処理の工程を同じタイミングで行う。
【0091】
具体的には、まず、バンク40に設けた開口部40a,40d,40eのそれぞれに対して、先の液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301(図5参照)からゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31の材料インクを滴下する。本例では、ゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31について互いに同じ形成材料を用い、またそれぞれ2層構造の積層体に形成する。例えば、下層(基体層)には、導電性微粒子としてのAg(銀)と、溶媒(分散媒)としてのジエチレングリコールジエチルエールとを含む材料インクを用いる。基体層の材料インクの滴下時において、バンク40の表面に撥液性が付与されかつ開口部の底面部の基板表面に親液性が付与されていると、吐出された液滴の一部がバンク40に載っても、バンク表面で弾かれて開口部内に滑り込む。
【0092】
この基体層の材料配置の後に、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。処理条件は、例えば加熱温度180℃、加熱時間60分間程度である。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W〜5000Wの範囲のものが用いられるが、本例では100W〜1000Wの範囲で十分である。
【0093】
ゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31の上層(被覆層)には、例えば、導電性微粒子としてのNi(ニッケル)と、溶媒(分散媒)としての水およびジエタノールアミンとを含む材料インクを用いる。
また、被覆層の材料インクの滴下時においても、バンク40の表面に撥液性が付与されていると、吐出された液滴の一部がバンク40に載っても、バンク表面で弾かれて開口部内に滑り込む。ただし、開口部40a,40d,40eの内部に先に形成されている基体層の表面は、本工程で滴下する材料インクに対して高い親和性を有しているとは限らないため、被覆層のインクの滴下に先立って、基体層上にインクの濡れ性を改善するための中間層を形成してもよい。この中間層は、被覆層のインクを構成する分散媒の種類に応じて適宜選択されるが、インクが水系の分散媒を用いている場合には、例えば酸化チタンからなる中間層を形成しておけば、中間層表面で極めて良好な濡れ性が得られる。
【0094】
被覆層の材料配置の後に、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。処理条件は、例えば加熱温度180℃、加熱時間60分間程度である。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先の基体層と同様である。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。
【0095】
続いて、基体層及び被覆層の乾燥膜に対して焼成処理(熱処理及び/又は光処理)を行う。
この焼成処理は、微粒子間の電気的接触の向上、分散媒の完全除去、また、液中での分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤が導電性微粒子の表面にコーティングされている場合にはそのコーティング剤の除去、などを目的とするものである。
この熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。なお、この段階で、基板P上に半導体層は設けられていないので、バンク40の耐熱温度の範囲内で焼成温度を高めることができ、例えば250℃以上、あるいは300℃程度の焼成温度とすることで良好な導電性を具備した金属配線を形成することが可能である。
【0096】
そして、上記の焼成処理により、基体層及び被覆層の乾燥膜における微粒子間の電気的接触が確保されて導電性膜に変換される。その結果、バンク40の開口部40a,40d,40eにそれぞれ2層構造のゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31が形成される。
なお、本例では、Agからなる下層(基体層)と、Niからなる上層(被覆層)とを形成し、これら基体層と被覆層との積層体によりゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31を形成しているが、基体層はAg以外の金属、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。また、被覆層は、Ni以外のTiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であっても構わない。また、その構造は2層に限らない。さらに、積層される膜ごとに焼成処理を行ってもよい。
【0097】
(画素電極・容量線形成工程)
次に、図7に示すように、基板P上に、画素電極20、及び容量線27を形成する。
画素電極20の形成工程と、容量線27の形成工程とは、材料配置工程、及び材料膜の熱処理の工程を同じタイミングで行う。
【0098】
具体的には、まず、バンク40に設けた開口部40b,40cのそれぞれに対して、先の液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301(図5参照)から画素電極20、及び容量線27の材料インクを滴下する。本例では、画素電極20、及び容量線27について互いに同じ形成材料を用い、例えば、ITO、IZO、FTO等の透光性導電材料の微粒子を溶媒(分散媒)に分散させた材料インクを用いる。この他、ITO微粒子とシリコン有機化合物とを含む液体材料や、ITO微粒子とインジウム有機化合物と錫有機化合物とを含む液体材料を用いてもよい。これらの液体材料を用いることで、ITO微粒子同士が前記金属有機化合物から生成したSiO2やITOのマトリクスで強固に接着された構造の透光性導電膜を形成することができ、焼成温度が比較的低温であってもITO微粒子が緻密に配置され、微粒子間で良好な導電性が得られる透光性導電膜を形成することができる。材料インクの滴下時において、バンク40の表面に撥液性が付与されかつ開口部の底面部の基板表面に親液性が付与されていると、吐出された液滴の一部がバンク40に載っても、バンク表面で弾かれて開口部内に滑り込む。
【0099】
画素電極20及び容量線27の材料配置の後に、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。処理条件は、例えば加熱温度180℃、加熱時間60分間程度である。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W〜5000Wの範囲のものが用いられるが、本例では100W〜1000Wの範囲で十分である。
【0100】
続いて、画素電極20及び容量線27の各材料の乾燥膜に対して焼成処理(熱処理及び/又は光処理)を行う。
この焼成処理は、微粒子間の電気的接触の向上、分散媒の完全除去、また、液中での分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤が導電性微粒子の表面にコーティングされている場合にはそのコーティング剤の除去、などを目的とするものである。
この熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。なお、この段階で、基板P上に半導体層は設けられていないので、バンク40の耐熱温度の範囲内で焼成温度を高めることができ、例えば250℃以上、あるいは300℃程度の焼成温度とすることで良好な導電性を具備した透光性導電膜を形成することが可能である。
【0101】
そして、上記の焼成処理により、画素電極20及び容量線27の各材料の乾燥膜における微粒子間の電気的接触が確保されて透光性の導電性膜に変換される。その結果、バンク40の開口部40b,40cにそれぞれ画素電極20及び容量線27が形成される。
なお、ゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31の熱処理工程と、画素電極20及び容量線27の熱処理工程とを同じタイミングで行うことも可能である。あるいは、上記の熱処理工程と後述する容量部25の補助電極26(図9参照)の熱処理工程とを同じタイミングで行うことも可能である。また、画素電極20及び容量線27の形成は、ゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31の形成前でもよい。
【0102】
(容量部絶縁膜形成工程)
次に、図8に示すように、容量線27上に、容量部25の構成要素である絶縁膜28を形成する。
具体的には、バンク40の開口部40cにおける容量線27上に、上記絶縁膜28の形成材料を配置し、これを硬化する。容量部25の絶縁膜28の形成材料としては、絶縁性を有しかつ硬化後に透光性を有するものが好ましく、例えば、ポリシラザン(Si−N結合を有する高分子の総称である)の他に、アクリル、ポリイミド、ポリアミド、BCB(ベンゾシクロブテン)等の有機樹脂等を用いることができる。
ここで、ポリシラザンのひとつは、[SiH2NH]n(nは正の整数)であり、ポリペルヒドロシラザンと言われる。なお、[SiH2NH]n中のHがアルキル基(例えばメチル基、エチル基など)で置換されると、有機ポリシラザンとなり、無機ポリシラザンとは区別されることがある。ポリシラザンとキシレンなどの溶媒とを混合した液体材料は、水蒸気または酸素を含む雰囲気で熱処理することにより、酸化シリコンに転化する。ポリシラザンはクラック耐性が高く、また耐酸素プラズマ性があり、単層でもある程度厚い絶縁膜として使用可能である。液体材料の配置は、例えば、液滴吐出法、ディスペンサ法等を用いる。液体材料の配置時において、バンク40の表面に撥液性が付与されていると、液体材料の一部がバンク40に載っても、バンク表面で弾かれて開口部内に滑り込む。
【0103】
続いて、この材料膜に対して焼成処理(熱処理及び/又は光処理)を行う。
例えば、ポリシラザンとキシレンとを含む材料膜を、水蒸気雰囲気で温度100〜350℃、10〜60分間熱処理することにより、シリコン酸化膜が形成される。また、この熱処理の後に、400〜500℃、30〜60分の熱処理を行うか、あるいは、レーザアニール、またはランプアニールなどの高温短時間の熱処理により、絶縁膜の緻密化が図られる。
【0104】
(容量部補助電極形成工程)
次に、図9に示すように、容量線27上に積層された絶縁膜28上に、容量部25の構成要素である補助電極26を形成する。
具体的には、画素電極20の一部と絶縁膜28とバンク40の一部とを覆うように上記補助電極26の形成材料を配置し、これを硬化する。補助電極26の形成材料としては、画素電極20と同じ材料を用いるのが好ましく、例えば、ITO、IZO、FTO等の透光性導電材料の微粒子を溶媒(分散媒)に分散させた材料インクを用いる。この他、ITO微粒子とシリコン有機化合物とを含む液体材料や、ITO微粒子とインジウム有機化合物と錫有機化合物とを含む液体材料を用いてもよい。これらの液体材料を用いることで、ITO微粒子同士が前記金属有機化合物から生成したSiO2やITOのマトリクスで強固に接着された構造の透光性導電膜を形成することができ、焼成温度が比較的低温であってもITO微粒子が緻密に配置され、微粒子間で良好な導電性が得られる透光性導電膜を形成することができる。
【0105】
補助電極26の材料配置の後に、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。この乾燥処理は、画素電極20に対するものと同様であり、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。処理条件は、例えば加熱温度180℃、加熱時間60分間程度である。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W〜5000Wの範囲のものが用いられるが、本例では100W〜1000Wの範囲で十分である。
【0106】
続いて、補助電極26の材料の乾燥膜に対して焼成処理(熱処理及び/又は光処理)を行う。
この焼成処理は、画素電極20に対するものと同様であり、通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。なお、この段階で、基板P上に半導体層は設けられていないので、バンク40の耐熱温度の範囲内で焼成温度を高めることができ、例えば250℃以上、あるいは300℃程度の焼成温度とすることで良好な導電性を具備した透光性導電膜を形成することが可能である。
【0107】
そして、上記の焼成処理により、補助電極26の材料の乾燥膜における微粒子間の電気的接触が確保されて透光性の導電性膜に変換される。その結果、画素電極20の一部と絶縁膜28とバンク40の一部とを覆うように、絶縁膜28を間に挟んで容量線27と対向配置されかつ画素電極20に電気的に接続された補助電極26が形成される。
なお、前述したように、ゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31の熱処理工程と、画素電極20及び容量線27の熱処理工程と、この補助電極26の熱処理工程とを同じタイミングで行うことも可能である。また、画素電極20、容量線27、及びこの補助電極26を形成した後に、ゲート電極16、ソース線30、及びゲート線31を形成してもよい。
【0108】
(ゲート絶縁膜・半導体層形成工程)
次に、図10、図11、及び図12に示すように、ゲート電極16上に、ゲート絶縁膜17、アモルファスシリコン層12、及びNシリコン層13を積層形成する。
ゲート絶縁膜17、アモルファスシリコン層12、及びNシリコン層13は、例えばプラズマCVD法により全面成膜した後、フォトリソグラフィ法により適宜パターニングすることで形成することができる。すなわち、図10に示すように、ゲート絶縁膜17、アモルファスシリコン層12、及びNシリコン層13の各材料膜を基板P上に全面成膜した後、図11に示すように、その膜上にパターニング用のレジスト膜45を選択的に形成し、その後に図12に示すように、レジスト膜45をマスクとしてエッチングすることにより所望のパターン形状を有するゲート絶縁膜17、アモルファスシリコン層12、及びNシリコン層13の積層体を得る。図11に示すように、レジスト膜45に対する露光処理は、2重露光を行うのが好ましい。すなわち、パターニングに際して、Nシリコン層の表面に、略凹形のレジスト膜45を選択配置し、係るレジスト膜45をマスクにしてエッチングを行う。このようなパターニング法により、図12に示すように、ゲート電極16と平面的に重なる領域にてNシリコン層13が選択的に除去されて2つの領域に分割され、これらのNシリコン層13が、それぞれソースコンタクト領域及びドレインコンタクト領域を形成する。
【0109】
ゲート絶縁膜17の原料ガスとしては、モノシランと一酸化二窒素との混合ガスや、TEOS(テトラエトキシシラン、Si(OC2H5)4)と酸素、ジシランとアンモニア等が好適で、形成するゲート絶縁膜17の膜厚は例えば150nm〜400nm程度である。また、アモルファスシリコン層12の原料ガスとしては、ジシランやモノシランが好適である。続くNシリコン層13の成膜工程では、上記アモルファスシリコン層12の形成で用いた成膜装置に、Nシリコン層形成用の原料ガスを導入して成膜を行うことができる。形成するアモルファスシリコン層12の膜厚は例えば150nm〜250nm程度である。形成するNシリコン層13の膜厚は例えば50nm〜100nm程度である。
【0110】
(保護膜形成工程)
次に、図13に示すように、必要に応じて、半導体層11(アモルファスシリコン層12、Nシリコン層13)を保護するための保護膜39を形成する。この保護膜39は、この後に形成するバンク41(図14参照)を通過した金属(例えば、アルカリ金属(可動イオン))が半導体層11に侵入するのを防止するなどの機能を有する。バンク41(図14参照)が同様の機能を有している場合には保護膜39の形成工程を省略してもよい。保護膜39としては、窒化珪素、酸化窒化珪素、あるいは窒化チタン、窒化タンタル等が用いられる。この保護膜39の形成方法は、材料に応じて適宜選択され、例えばCVD法、コート法、スパッタ法、蒸着法等が用いられる。
【0111】
(上層バンク形成工程)
次に、図14に示すように、バンクを含む第1層L1の上層に、バンク41を形成する。
バンク41は、後述するソース電極18、ドレイン電極19、補助導電膜35,36(図2、図15参照)、及び画素電極20の形成領域を区画する仕切部材であり、このバンク41の形成にはフォトリソグラフィ法や印刷法等、任意の方法を用いることができる。例えば、フォトリソグラフィ法を使用する場合は、第1層L1のバンク40と同様に、スピンコート、スプレーコート、ロールコート、ダイコート、ディップコート等所定の方法で、基板P上に形成するバンクの高さに合わせてアクリル樹脂等の有機系感光性材料を塗布して感光性材料層を形成する。そして、形成したいバンク形状に合わせて感光性材料層に対して紫外線を照射することで、所定の開口部41a,41b,41c,41d,41eを備えたバンク41を形成する。バンク41の材料としては、例えば、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、オレフィン樹脂、メラミン樹脂などの高分子材料が用いられる。バンク41は、ポリシラザンを含む液体材料等を用いて形成した無機物の構造体であってもよい。
【0112】
バンク41の開口部41a,41b,41c,41d,41eは、ソース電極、ドレイン電極、補助導電膜、及び画素電極20にそれぞれ対応している。
具体的には、第1層L1におけるソース線30の一部と半導体層11のソース領域とを含む領域を開口する開口部41aがソース電極の形成位置に対応しており、第1層L1における画素電極20の一部と半導体層11のドレイン領域とを含む領域を開口する開口部41bがドレイン電極に対応している。ソース線30とゲート線31との交差位置において分割された両ソース線30の各一部を開口する開口部41cと、ソース線30と容量線27との交差位置において分割された両ソース線30の各一部を開口する開口部41dとがそれぞれ補助導電膜に対応している。そして、ソース線30とゲート線31とによる格子パターンに囲われた開口部41dが容量部25を含む画素電極20に対応する。
なお、開口部41a,41b,41c,41dには、後述するように、ソース電極、ドレイン電極、補助導電膜の各材料インクが配置される。
【0113】
なお、上記バンク41の形成後、上記開口部41a,41b,41c,41d,41eの底面に保護膜39が形成されている場合は、これをエッチングにより除去する。また、開口部41a,41c,41dにおいて、ソース線30の上層(被覆層)の露出部分をエッチングにより除去し、下層(基体層)を露出させる。
【0114】
また、バンク40と同様に、上記開口部41a,41b,41c,41d内への材料インクの配置性向上のためにバンク41に対して、撥液化処理が必要に応じて行われる。
すなわち、撥液化処理としては、例えば大気雰囲気中でテトラフルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理法(CF4プラズマ処理法)を採用することができる。なお、処理ガスとしては、テトラフルオロメタン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系のガスを用いることもできる。このような撥液化処理を行うことにより、バンク41には、これを構成する樹脂中にフッ素基が導入され、高い撥液性が付与される。
また、上記撥液化処理に先立って、開口部41a,41b,41c,41dの底面に露出された面を清浄化する目的で、O2プラズマを用いたアッシング処理やUV(紫外線)照射処理が必要に応じて行われる。この処理を行うことで、その露出面のバンクの残渣を除去することができ、撥液化処理後のバンク41の接触角と当該露出面の接触角との差を大きくすることができ、後段の工程でバンク41の開口部内に配される液滴を正確に開口部の内側に閉じ込めることができる。また、バンク41がアクリル樹脂やポリイミド樹脂からなるものである場合、CF4プラズマ処理に先立ってバンク41をO2プラズマに曝しておくと、よりフッ素化(撥液化)されやすくなるという性質があるので、バンク41をこれらの樹脂材料で形成している場合には、CF4プラズマ処理に先立ってO2アッシング処理を施すことが好ましい。
【0115】
(ソース電極・ドレイン電極・補助導電膜形成工程)
次に、図15に示すように、基板Pの第1層L1上に、ソース電極18、ドレイン電極19、及び補助導電膜35,36を形成する。
ゲート電極16の形成工程と、ソース線30の形成工程と、ゲート線31の形成工程とは、材料配置工程の少なくとも一部と、材料膜の熱処理の工程とを同じタイミングで行う。
【0116】
具体的には、まず、バンク41に設けた開口部41a,41b,41c,41dのそれぞれに対して、先の液滴吐出装置IJの液滴吐出ヘッド301(図5参照)からソース電極18、ドレイン電極19、及び補助導電膜35,36の各材料インクを滴下する。本例では、ソース電極18及びドレイン電極19をそれぞれ3層構造(下層、中間層、上層)の積層体に形成し、補助導電膜35,36をそれぞれ2層構造(下層、上層)の積層体に形成する。また、ソース電極18及びドレイン電極19の各中間層(基体層)と補助導電膜35,36の各下層(基体層)とについて互いに同じ形成材料を用い、ソース電極18及びドレイン電極19の各上層(被覆層)と補助導電膜35,36の各上層(被覆層)とについて互いに同じ形成材料を用いる。すなわち、この形成工程では、(1)ソース電極18及びドレイン電極19の下層(バリア層)、(2)ソース電極18及びドレイン電極19の中間層(基体層)+補助導電膜35,36の下層(基体層)、(3)ソース電極18及びドレイン電極19の上層(被覆層)+補助導電膜35,36の上層(被覆層)、の順に、材料膜を積層形成する。
【0117】
ソース電極18及びドレイン電極19の各バリア層には、導電性微粒子としてのAg(銀)と、溶媒(分散媒)としてのジエチレングリコールジエチルエールとを含む材料インクを用いる。この材料インクの滴下時において、バンク40の表面に撥液性が付与されていると、吐出された液滴の一部がバンク40に載っても、バンク表面で弾かれて開口部内に滑り込む。
【0118】
ソース電極18及びドレイン電極19の被覆層の材料配置の後に、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。処理条件は、例えば加熱温度180℃、加熱時間60分間程度である。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、特に限定されないが、赤外線ランプ、キセノンランプ、YAGレーザ、アルゴンレーザ、炭酸ガスレーザ、XeF、XeCl、XeBr、KrF、KrCl、ArF、ArClなどのエキシマレーザなどを光源として使用することができる。これらの光源は一般には、出力10W〜5000Wの範囲のものが用いられるが、本例では100W〜1000Wの範囲で十分である。
【0119】
ソース電極18及びドレイン電極19の各基体層、及び補助導電膜35,36の各基体層には、例えば、導電性微粒子としてのNi(ニッケル)と、溶媒(分散媒)としての水およびジエタノールアミンとを含む材料インクを用いる。この材料インクの滴下時において、バンク40の表面に撥液性が付与されかつ開口部の底面部の基板表面に親液性が付与されていると、吐出された液滴の一部がバンク40に載っても、バンク表面で弾かれて開口部内に滑り込む。
この材料インクの配置の後に、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。処理条件は、例えば加熱温度180℃、加熱時間60分間程度である。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先と同様である。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。
【0120】
ソース電極18及びドレイン電極19の各被覆層、及び補助導電膜35,36の各被覆層には、導電性微粒子としてのAg(銀)と、溶媒(分散媒)としてのジエチレングリコールジエチルエールとを含む材料インクを用いる。この材料インクの滴下時において、バンク40の表面に撥液性が付与されていると、吐出された液滴の一部がバンク40に載っても、バンク表面で弾かれて開口部内に滑り込む。
この材料インクの配置の後に、分散媒の除去のため、必要に応じて乾燥処理を行う。乾燥処理は、例えば基板Pを加熱する通常のホットプレート、電気炉などによる加熱処理によって行うことができる。処理条件は、例えば加熱温度180℃、加熱時間60分間程度である。この加熱は窒素ガス雰囲気下など、必ずしも大気中で行う必要はない。
また、この乾燥処理は、ランプアニールによって行うこともできる。ランプアニールに使用する光の光源としては、先と同様である。また加熱時の出力も同様に100W〜1000Wの範囲とすることができる。
【0121】
続いて、ソース電極18、ドレイン電極19、及び補助導電膜35,36の各材料の乾燥膜に対して焼成処理(熱処理及び/又は光処理)を行う。
この焼成処理は、微粒子間の電気的接触の向上、分散媒の完全除去、また、液中での分散性を向上させるために有機物などのコーティング剤が導電性微粒子の表面にコーティングされている場合にはそのコーティング剤の除去、などを目的とするものである。
この熱処理及び/又は光処理は通常大気中で行われるが、必要に応じて、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス雰囲気中で行うこともできる。熱処理及び/又は光処理の処理温度は、分散媒の沸点(蒸気圧)、雰囲気ガスの種類や圧力、微粒子の分散性や酸化性等の熱的挙動、コーティング剤の有無や量、基材の耐熱温度などを考慮して適宜決定される。
なお、本例では、ソース電極18及びドレイン電極19の積層構造を構成する金属材料が、上述した金属材料とされていることで、この焼成工程における熱処理を250℃以下で行うことができるようになっている。すなわち、250℃以下の加熱であっても良好な導電性を具備した電極部材を形成することができる。これにより、半導体層11における水素脱離に起因してTFT10にON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下が生じるのを良好に防止することができ、その結果、形成されるTFTの動作信頼性の低下が回避される。
【0122】
そして、上記の焼成処理により、基体層及び被覆層あるいは中間層の乾燥膜における微粒子間の電気的接触が確保されて導電性膜に変換される。その結果、バンク41の開口部41aにおいて、ソース電極18が形成されるとともに、そのソース電極18を介した半導体層11のソース領域とソース線30との電気的接続がなされる。また、バンク41の開口部41bにおいて、ドレイン電極19が形成されるとともに、そのドレイン電極19を介した半導体層11のドレイン領域と画素電極20との電気的接続がなされる。また、ソース線30とゲート線31との交差位置に形成されたバンク41の開口部41cにおいて、補助導電膜35が形成されるとともに、その補助導電膜35を介した分割された両ソース線30同士の電気的接続がなされる(図2(C)参照)。また、ソース線30と容量線27との交差位置に形成されたバンク41の開口部41dにおいて、補助導電膜36が形成されるとともに、その補助導電膜36を介した分割された両ソース線30同士の電気的接続がなされる。
【0123】
なお、本例では、ソース電極18及びドレイン電極19に関して、Niからなる下層(バリア層)と、Agからなる中間層(基体層)と、Niからなる上層(被覆層)との3層構造としているが、バリア層は、Ni以外のTiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であってもよく、基体層はAg以外の金属、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であってもよく、被覆層は、Ni以外のTiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であってもよい。また、その構造は3層に限らない。さらに、積層される膜ごとに焼成処理を行ってもよい。
同様に、補助導電膜35,36に関して、Agからなる下層(基体層)と、Niからなる上層(被覆層)との2層構造としているが、基体層はAg以外の金属、例えばCuやAl、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であってもよく、被覆層はNi以外のTiやW、Mn、あるいはこれらの金属を主成分とする合金であってもよい。また、その構造は2層に限らない。さらに、積層される膜ごとに焼成処理を行ってもよい。
【0124】
以上の工程により、画素電極20とそれに対応したTFT10及び容量部25等が形成されたアクティブマトリクス基板が完成する。
【0125】
本例の製造方法によれば、TFT10の半導体層11の形成前に、半導体層11の熱的制限の影響を受けることなく、画素電極20、容量部25、ゲート電極16、ソース線30、並びにゲート線31の各構成要素を形成することができる。そのため、これら構成要素の形成材料や形成手段の選択の幅が広く、低コスト化を図ることが可能となる。
【0126】
特に、本例の製造方法では、液相法(液滴吐出法)を用いて、上記各構成要素の材料配置を行うことから、製造プロセスの簡素化や材料使用量の低減化により、製造コストの低減化を図ることができる。
さらに、構成要素の形成材料や形成手段の選択の幅が広がれば、それらを含む画素構造の性能の向上を図ることも可能である。
【0127】
さらに、本例の製造方法では、上記各構成要素の形成に際して、区画部の形成、材料配置、及び材料膜の熱処理などの工程の一部共有化により、製造プロセスの簡素化を図ることができる。
そして、本例の製造方法では、フォトリソグラフィ工程は、第1層L1のバンク40を形成する工程と、半導体層11をパターニングする工程と、第1層L1の上層のバンク41を形成する工程との3回であり少ないものとなっている。
【0128】
また、本例の製造方法によれば、半導体層11の形成後の熱処理温度を250℃以下としているので、半導体層11における水素脱離を効果的に防止することができる。これにより、ON抵抗の上昇やキャリア移動度の低下を防止することができ、動作信頼性に優れたTFT10、及び高信頼性のアクティブマトリクス基板を得ることができる。
【0129】
なお、上記の例では、液滴(液体材料)を配置するために液滴吐出装置を用いた液滴吐出法を採用しているが、その他の方法として、例えば図16に示すようなCapコート法を採用することもできる。Capコート法は毛細管現象を利用した成膜法で、塗布液170にスリット171を差し込み、その状態で塗布液面を上昇させるとスリット171の上端に液盛172が生成される。この液盛172に対して基板Pを接触させ、所定方向に基板Pを平行移動させることにより、塗布液170を基板P面に塗布することができる。
【0130】
また、上記の例では、画素電極20及び容量線27を液相法(液滴吐出法)を用いて形成しているが、蒸着法(CVD法を含む)やスパッタ法などの他の手法を用いて形成してもよく、あるいは、蒸着法(CVD法を含む)やスパッタ法と、液相法とを組み合わせて画素電極20や容量線27を形成してもよい。
【0131】
この場合、例えば、蒸着法(CVD法を含む)やスパッタ法などを用いて基板Pの全面に透光性の導電膜を形成し、次にその膜をパターニングすることにより所望の形状の画素電極20や容量線27を形成し、その後に他の膜(ゲート電極16、ソース線30、ゲート線31など)の材料配置のための区画部(バンク)を基板上に形成するとよい。
本例の製造方法では、基板P上の第1層に画素電極20や容量線27を形成することから、こうした膜形成を容易に実施できる。
【0132】
また、上記の例では、液相法における材料配置の仕切り部材(区画部)として基板上にバンクを形成しているが、区画部として配置材料に対して撥液性を示す領域を基板上に形成してもよい。撥液性を示す領域の形成は、例えば基板表面に自己組織化単分子膜を形成する方法やプラズマ処理を施す方法、あるいは撥液性を具備した高分子化合物を基板P表面に塗布する方法等があげられる。いずれの撥液化処理によっても、基板Pの表面に高い撥液性を付与することができる。
【0133】
上記の自己組織膜形成法では、有機分子膜などからなる自己組織化膜を形成する。
基板表面を処理するための有機分子膜は、基板に結合可能な官能基と、その反対側に親液基あるいは撥液基といった基板の表面性を改質する(表面エネルギーを制御する)官能基と、これらの官能基を結ぶ炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖を備えており、基板に結合して自己組織化して分子膜、例えば単分子膜を形成する。
【0134】
自己組織化単分子膜(SAMs:Self-Assembled Monolayers)は、固体表面へ分子を固定する方法であって高配向・高密度な分子層が形成可能な方法である自己組織化(SA:Self-Assembly)法によって作製される膜である。自己組織化法は、オングストロームオーダで分子の環境及び幾何学的配置を操作できる。また、自己組織化単分子膜は、有機分子の固定化技術の有力な一手段となり作製法の簡便さと分子と基板間に存在する化学結合のために膜の熱的安定性も高く、オングストロームオーダの分子素子作製のための重要技術である。また、自己組織化単分子膜は、基本的に自己集合プロセスであり、自発的に微細パターンを形成することができる。つまり、自己組織化単分子膜は、超微小電子回路で用いられるような、緻密で高度なパターン形成を簡便に形成することができる。
【0135】
上記の高い配向性を有する化合物として、例えばフルオロアルキルシランを用いることにより、膜の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向されて自己組織化膜が形成され、膜の表面に均一な撥液性が付与される。
【0136】
また、自己組織化膜を形成する化合物としては、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロデシルトリクロロシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリメトキシシラン、トリデカフルオロ−1,1,2,2テトラヒドロオクチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のフルオロアルキルシラン(以下「FAS」という)を挙げることができる。使用に際しては、一つの化合物を単独で用いてもよく、2種以上の化合物を組み合わせて使用してもよい。なお、FASを用いることにより、基板との密着性と良好な撥液性とを得ることができる。
【0137】
FASは、一般的に構造式RnSiX(4−n)で表される。ここでnは1以上3以下の整数を表し、Xはメトキシ基、エトキシ基、ハロゲン原子などの加水分解基である。またRはフルオロアルキル基であり、(CF3)(CF2)x(CH2)yの(ここでxは0以上10以下の整数を、yは0以上4以下の整数を表す)構造を持ち、複数個のR又はXがSiに結合している場合には、R又はXはそれぞれすべて同じでもよく、異なっていてもよい。Xで表される加水分解基は加水分解によりシラノールを形成して、基板(ガラス、シリコン)等の下地のヒドロキシル基と反応してシロキサン結合で基板と結合する。一方、Rは表面に(CF3)等のフルオロ基を有するため、基板等の下地表面を濡れない(表面エネルギーが低い)表面に改質する。
【0138】
プラズマ処理法では、常圧又は真空中で基板にプラズマ照射する。プラズマ処理に用いるガス種は、基板の表面材質等を考慮して種々選択できる。処理ガスとしては、例えば、4フッ化メタン、パーフルオロヘキサン、パーフルオロデカン等が例示できる。
【0139】
なお、基板の表面を撥液性に加工する処理は、所望の撥液性を有するフィルム、例えば4フッ化エチレン加工されたポリイミドフィルム等を基板表面に貼着することによっても行うことができる。また、ポリイミドフィルムをそのまま基板として用いてもよい。
また、基板表面が所望の撥液性よりも高い撥液性を有する場合、170〜400nmの紫外光を照射したり、基板をオゾン雰囲気に曝したりすることにより、基板表面を親液化する処理を行って表面の状態を制御するとよい。
【0140】
また、上記例で示したアクティブマトリクス基板の製造方法は、薄膜トランジスタを具備した各種電気光学装置の製造方法に適用することができる。電気光学装置としては、例えば、液晶装置の他に、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、プラズマ表示装置等があげられる。
【0141】
(電子機器)
図17は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。
この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の電気光学装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、映像モニタ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができる。このような電子機器は、安価でありながら信頼性に優れたものとなる。
【0142】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0143】
【図1】本発明に係るアクティブマトリクス基板の一部を拡大した平面図。
【図2】(A)は図1に示すA−A断面図、(B)は図1に示すB−B断面図、(C)は図1に示すC−C断面図。
【図3】実施形態に係る液晶表示装置の等価回路図。
【図4】液晶表示装置のの全体構成を示す平面図。
【図5】(a)は液滴吐出装置の一例を示す図、(b)は吐出ヘッドの概略図。
【図6】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図7】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図8】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図9】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図10】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図11】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図12】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図13】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図14】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図15】アクティブマトリクス基板の製造方法を説明するための図。
【図16】Capコート法を説明するための概略断面図。
【図17】電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
【0144】
P…基板、L1…第1層(ファーストレイヤー)、IJ…液滴吐出装置、1…アクティブマトリクス基板、10…TFT(スイッチング素子)、11…半導体層、12…アモルファスシリコン層、13…Nシリコン層、16…ゲート電極、17…ゲート絶縁膜、18…ソース電極、19…ドレイン電極、20…画素電極、25…容量部、26…補助電極、27…容量線(容量部の導電線)、28…絶縁膜(容量部)、30…ソース線(信号線)、31…ゲート線(走査線)、35,36…補助導電膜、39…保護膜、40,41…バンク、45…レジスト膜、50…対向基板、100…液晶表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画素電極と、該画素電極に対応するスイッチング素子とを有する画素構造であって、
前記画素電極と前記スイッチング素子とが同一の基板上に形成されており、
前記スイッチング素子における半導体層に比べて前記基板側の層に前記画素電極が配されていることを特徴とする画素構造。
【請求項2】
前記画素電極が前記基板上の第1層に配されていることを特徴とする請求項1に記載の画素構造。
【請求項3】
前記画素電極に対応する容量部をさらに有し、
前記画素電極と前記容量部を構成する導電線とが前記基板上の同一層に配されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画素構造。
【請求項4】
前記画素電極と前記容量部の導電線とが同一の材料膜を含むことを特徴とする請求項3に記載の画素構造。
【請求項5】
前記画素電極に電気的に接続された補助電極が、絶縁膜を間に挟んで前記容量部の導電線を覆っていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の画素構造。
【請求項6】
前記画素電極、前記容量部の導電線、前記補助電極、及び前記絶縁膜がそれぞれ透光性の膜からなることを特徴とする請求項5に記載の画素構造。
【請求項7】
前記基板には、前記画素電極及び/又は前記容量部を区画するバンクが形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の画素構造。
【請求項8】
前記スイッチング素子が薄膜トランジスタであり、
前記スイッチング素子におけるゲート電極と前記画素電極とが前記基板上の同一層に配されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の画素構造。
【請求項9】
前記基板には、前記画素電極及び/又は前記ゲート電極を区画するバンクが形成されていることを特徴とする請求項8に記載の画素構造。
【請求項10】
ゲート線とソース線とがさらに、前記基板上の前記画素電極と同一層に配されていることを特徴とする請求項8または請求項9に記載の画素構造。
【請求項11】
前記ゲート電極と前記ゲート線と前記ソース線とが同一の材料膜を含むことを特徴とする請求項10に記載の画素構造。
【請求項12】
前記基板上には、前記ゲート線及び/又は前記ソース線を区画するバンクが形成されていることを特徴とする請求項10または請求項11に記載の画素構造。
【請求項13】
請求項1から請求項12のいずれかに記載の画素構造を有することを特徴とするアクティブマトリクス基板。
【請求項14】
画素電極と、該画素電極に対応するスイッチング素子とを有するアクティブマトリクス基板を製造する方法であって、
基板上に前記スイッチング素子の半導体層を形成する工程と、
前記半導体層の形成前に、前記基板上に前記画素電極を形成する工程とを有することを特徴とするアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項15】
前記画素電極の形成工程では、蒸着法、スパッタ法、及び液相法のうちの少なくとも1つを用いることを特徴とする請求項14に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項16】
液相法を用いた前記画素電極の形成工程は、前記画素電極の配置領域を区画する区画部を前記基板上に形成する工程と、前記区画部で区画された領域に前記画素電極の液体材料を配置する工程と、前記画素電極の材料膜を熱処理する工程とを含むことを特徴とする請求項15に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項17】
前記区画部は、バンクまたは前記画素電極の材料に対して撥液性を示す領域であることを特徴とする請求項16に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項18】
フォトリソグラフィ法を用いて前記バンクを形成することを特徴とする請求項17に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項19】
自己組織化膜を用いて前記撥液性を示す領域を形成することを特徴とする請求項17に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項20】
前記半導体層の形成前に、前記画素電極に対応する容量部を前記基板上に形成する工程をさらに有しており、
前記画素電極の形成工程と前記容量部の形成工程とは、区画部の形成、材料配置、及び材料膜の熱処理のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことを特徴とする請求項14から請求項19のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項21】
前記スイッチング素子が薄膜トランジスタであり、
前記半導体層の形成前に、ゲート電極を前記基板上に形成する工程をさらに有しており、
前記ゲート電極の形成工程では、液相法を用いることを特徴とする請求項14から請求項20のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項22】
前記画素電極の形成工程と前記ゲート電極の形成工程とは、区画部の形成、及び材料膜の熱処理のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことを特徴とする請求項21に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項23】
前記半導体層に電気的に接続されるドレイン電極の形成工程とソース電極の形成工程とをさらに有しており、
前記ドレイン電極の形成工程と前記ソース電極の形成工程とでは、液相法を用いることを特徴とする請求項21または請求項22に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項24】
前記ドレイン電極の形成と同時に、該ドレイン電極を介した前記半導体層と前記画素電極との電気的接続を行うことを特徴とする請求項23に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項25】
前記ソース電極の形成と同時に、該ソース電極を介した前記半導体層と前記ソース線との電気的接続を行うことを特徴とする請求項23に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項26】
互いに交差するゲート線及びソース線を前記基板上に形成する工程をさらに有しており、
前記ゲート線及び前記ソース線の形成工程では、液相法を用いることを特徴とする請求項21から請求項25のいずれかに記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項27】
前記ゲート線及び前記ソース線の形成工程は、前記半導体層の形成前に交差部分で一方の線が分割された交差パターンの導電膜を形成する第1工程と、前記半導体層の形成後に前記分割された導電膜を電気的に接続する第2工程とを含むことを特徴とする請求項25に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項28】
前記ゲート線及び前記ソース線の形成における前記第1工程と、前記ゲート電極の形成工程とは、区画部の形成、材料配置、及び材料膜の熱処理のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことを特徴とする請求項27に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項29】
前記ゲート線及び前記ソース線の形成における前記第2工程と、前記ドレイン電極の形成工程と、前記ソース電極の形成工程とでは、区画部の形成、材料配置、及び材料膜の熱処理のうちの少なくとも1つの工程を同じタイミングで行うことを特徴とする請求項27または請求項28に記載のアクティブマトリクス基板の製造方法。
【請求項30】
請求項13に記載のアクティブマトリクス基板を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項31】
請求項31に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−251120(P2006−251120A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−64988(P2005−64988)
【出願日】平成17年3月9日(2005.3.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】