説明

一時記憶回路、記憶装置、信号処理回路

【課題】トランジスタの数を少なくした構成の記憶素子を用いた一時記憶回路を提供する。
【解決手段】一時記憶回路は複数の記憶素子を有し、複数の記憶素子それぞれは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを有し、第1のトランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、ゲートに入力される制御信号によってオン状態を選択された第1のトランジスタを介して、データに対応する信号電位を第2のトランジスタのゲートに入力し、ゲートに入力される制御信号によって第1のトランジスタをオフ状態とすることによって、第2のトランジスタのゲートに当該信号電位を保持し、第2のトランジスタのソース及びドレインの一方を第1の電位としたとき、第2のトランジスタのソースとドレイン間の状態を検出することによってデータを読み出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
電源電圧の供給を停止しても記憶している論理状態(データ)が消えない不揮発性の記憶素子を用いた半導体装置に関する。特に、不揮発性の記憶素子を用いたページバッファ等の一時記憶回路に関する。当該一時記憶回路を有する記憶装置に関する。また、当該記憶装置を用いた信号処理回路に関する。更に当該記憶装置や当該信号処理回路を用いた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ページバッファを備えたメモリ(記憶装置)において、ページバッファは、メモリを構成するメモリセルアレイの少なくとも1ブロック分(例えば、同一のワード線に電気的に接続された複数のメモリセル分)に対応するデータを一時的に保持する機能を有する。メモリに入力されたデータをページバッファに保持した後、ページバッファに保持されたデータをメモリセルアレイの1ブロックに書き込む。また、メモリセルアレイの1ブロックに保持されたデータを読み出してページバッファに保持した後、ページバッファに保持されたデータを読み出す。または、ページバッファに保持されたデータをメモリセルアレイの1ブロックに再び書き込む。または、ページバッファに保持されたデータをメモリセルアレイの別の1ブロックに書き込むことができる。
【0003】
特許文献1に記載のページバッファは、ラッチ回路と、ラッチ回路へのデータの入力を選択するスイッチとして機能するトランジスタと、ラッチ回路からのデータの出力を選択するスイッチとして機能するトランジスタと、の組を複数有する。ラッチ回路は、2つのインバータでなるフリップフロップによって構成されている(特許文献1中、図1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−176831号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示すようなページバッファでは、回路を構成するトランジスタの数が多い。例えば、インバータは2つのトランジスタで構成されるとすると、ラッチ回路は少なくとも4つのトランジスタで構成される。また、ラッチ回路へのデータ入力及びラッチ回路からのデータ出力を選択するスイッチとして、少なくとも2つのトランジスタが必要である。そのため、ページバッファを構成する複数の記憶素子それぞれは、少なくとも6つのトランジスタが必要である。そのため、ページバッファの回路面積が大きく、回路の集積が困難である。
【0006】
また、特許文献1に示すようなページバッファでは、ページバッファを構成する複数の記憶素子それぞれは、電源電圧が供給されているときのみデータを保持する、揮発性の記憶素子である。そのため、ページバッファにおいてデータの入出力が無い間も、電源電圧が必要となる。
【0007】
そこで、トランジスタの数を少なくした構成の記憶素子を用いた一時記憶回路(例えば、ページバッファ)を提供することを課題の一つとする。
【0008】
また、トランジスタの数を少なくした構成であって、且つ電源電圧の供給を停止しても記憶しているデータが消えない記憶素子を用いた一時記憶回路(例えば、ページバッファ)を提供することを課題の一つとする。
【0009】
更に、電源電圧の供給を停止しても記憶しているデータが消えない記憶素子を用いたメモリセルアレイと、上記一時記憶回路(例えば、ページバッファ)と、を有する記憶装置を提供することを課題の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(一時記憶回路の構成の一態様)
本発明の一時記憶回路の構成の一態様は、以下のとおりである。
【0011】
なお、一時記憶回路とは、記憶装置においてメモリセルアレイとは別に設けられ、メモリセルアレイの少なくとも1ブロック分(例えば、同一のワード線に電気的に接続された複数のメモリセル分)に対応するデータを一時的に保持する機能を有する回路のことを示すものとする。一時記憶回路は、例えば、ページバッファである。また、一時記憶回路として、データラッチ回路もその範疇に含める。
【0012】
(一時記憶回路の構成1)
複数の記憶素子を有し、複数の記憶素子それぞれは、以下の(記憶素子の構成1)とする。
【0013】
(記憶素子の構成1)
第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを有し、第1のトランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、第1のトランジスタのゲートは第1の配線と電気的に接続され、第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は第2の配線と電気的に接続され、第1のトランジスタのソース及びドレインの他方は、第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、第2のトランジスタのソース及びドレインの一方は、第3の配線と電気的に接続され、第2のトランジスタのソース及びドレインの他方は、第4の配線と電気的に接続される。
【0014】
上記(記憶素子の構成1)において、更に容量素子を有してもよい。容量素子の一対の電極のうちの一方は、第2のトランジスタのゲートと電気的に接続された構成とすることができる。また、容量素子の一対の電極のうちの他方は、第5の配線と電気的に接続された構成とすることができる。
【0015】
上記(記憶素子の構成1)を別の表現で表すと以下のとおりになる。
【0016】
第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを有し、第1のトランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、ゲートに入力される制御信号(第1の配線に入力される制御信号)によってオン状態を選択された第1のトランジスタを介して、データに対応する信号電位(第2の配線に入力される信号電位)を第2のトランジスタのゲートに入力する。その後、ゲートに入力される制御信号(第1の配線に入力される制御信号)によって第1のトランジスタをオフ状態とすることによって、第2のトランジスタのゲートに当該信号電位を保持する。そして、第2のトランジスタのソース及びドレインの一方(第3の配線)を所定の電位(第1の電位、例えば、低電源電位)としたとき、当該信号電位に応じて、第2のトランジスタのソースとドレイン間の状態が異なる。ここで、トランジスタのソースとドレイン間の状態とは、非導通状態であるか導通状態であるかを示すものとする。なお、導通状態においてオン抵抗の抵抗値が異なる複数の状態があってもよい。第2のトランジスタのソースとドレイン間の状態を検出することによって、記憶素子に保持されたデータを読み出す。
【0017】
なお、(記憶素子の構成1)において、更に容量素子を有する場合、第5の配線の電位を制御することによって、記憶素子に保持されたデータに関わらず、第2のトランジスタをオン状態、つまり、トランジスタのソースとドレイン間を導通状態とすることもできる。また、第5の配線の電位を制御することによって、記憶素子に保持されたデータに関わらず、第2のトランジスタをオフ状態、つまり、トランジスタのソースとドレイン間を非導通状態とすることもできる。
【0018】
上記(一時記憶回路の構成1)とは別の構成の一時記憶回路を、(一時記憶回路の構成2)として以下に示す。
【0019】
(一時記憶回路の構成2)
複数の記憶素子を有し、複数の記憶素子それぞれは、以下の(記憶素子の構成2)とする。
【0020】
(記憶素子の構成2)
トランジスタと、容量素子とを有し、トランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、トランジスタのゲートは第1の配線と電気的に接続され、トランジスタのソース及びドレインの一方は第2の配線と電気的に接続され、トランジスタのソース及びドレインの他方は、容量素子の一対の電極のうちの一方と電気的に接続される。
【0021】
上記(記憶素子の構成2)において、容量素子の一対の電極のうちの他方は、第3の配線と電気的に接続された構成とすることができる。第3の配線は、一定の電位(例えば、接地電位等の低電源電位)が入力される構成とすることができる。
【0022】
上記(記憶素子の構成2)を別の表現で表すと以下のとおりになる。
【0023】
トランジスタと、容量素子とを有し、トランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、ゲートに入力される制御信号(第1の配線に入力される制御信号)によってオン状態を選択されたトランジスタを介して、データに対応する信号電位(第2の配線に入力される信号電位)を容量素子の一対の電極のうちの一方に入力する。その後、ゲートに入力される制御信号(第1の配線に入力される制御信号)によってトランジスタをオフ状態とすることによって、容量素子に当該信号電位を保持する。そして、ゲートに入力される制御信号(第1の配線に入力される制御信号)によってトランジスタをオン状態として、第2の配線から容量素子の一対の電極のうちの一方に保持されていた電位を検出することによって、記憶素子に保持されたデータを読み出す。
【0024】
以上が、一時記憶回路の構成の一態様である。
【0025】
(記憶装置)
なお、本発明の記憶装置の一態様は、上記一時記憶回路と読み出し回路とを有する構成とすることができる。
【0026】
一時記憶回路が有する記憶素子として上記(記憶素子の構成1)を適用した場合の読み出し回路の一態様は、以下の(読み出し回路の構成1)とすることができる。
【0027】
(読み出し回路の構成1)
読み出し回路は、複数の読み出し素子を有し、複数の読み出し素子それぞれは、第6の配線と、負荷と、スイッチと、センスアンプとを有する構成とすることができる。なお、複数の読み出し素子において、第6の配線は共有することもできる。
【0028】
読み出し素子が動作する際、第6の配線には、一定の電位(例えば、第1の電位とは異なる第2の電位、例えば高電源電位)が入力される。第4の配線は、オン状態となったスイッチ及び負荷を順に介して第6の配線と電気的に接続される。こうして、第2のトランジスタのソースとドレイン間の状態に応じて、負荷とスイッチとの接続部分(以下、ノードMという)の電位が定まる。言い換えると、第2のトランジスタのソースとドレイン間が非導通状態の場合には、ノードMと第3の配線との電気的接続は切断されるため、第6の配線の電位(第2の電位)(またはそれに近い電位)がノードMの電位となる。一方、第2のトランジスタのソースとドレイン間が導通状態の場合には、第2のトランジスタのソースとドレイン間のオン抵抗の抵抗値をRtとし、負荷の抵抗値をR0とすると、第3の配線の電位(第1の電位)と第6の配線の電位(第2の電位)との電位差がRtとR0で抵抗分割され、ノードMの電位が定まる。
【0029】
そして、ノードMの電位をセンスアンプに入力し、増幅することによって、記憶素子に保持されたデータを読み出す。例えば、センスアンプはオペアンプを用いて構成することができる。このとき、オペアンプの非反転入力端子にノードMの電位を入力し、オペアンプの反転入力端子には参照電位が入力される構成とすることができる。オペアンプは、ノードMの電位と参照電位とを比較し、ハイレベル電位またはローレベル電位を出力、つまり信号「1」または信号「0」を出力する。この出力信号は、記憶素子に保持されたデータに対応する信号であるため、当該信号から記憶素子に保持されたデータを読み出すことができる。なお、センスアンプの出力信号をインバータ等の演算回路に入力し、センスアンプの出力信号の反転信号を読み出し素子の出力としてもよい。
【0030】
一時記憶回路が有する記憶素子として上記(記憶素子の構成2)を適用した場合の読み出し回路の一態様は、以下の(読み出し回路の構成2)とすることができる。
【0031】
(読み出し回路の構成2)
読み出し回路は、複数の読み出し素子を有し、複数の読み出し素子それぞれは、センスアンプを有する構成とすることができる。
【0032】
ゲートに入力される制御信号(第1の配線に入力される制御信号)によってトランジスタをオン状態とすると、容量素子の一対の電極のうちの一方の電位は第2の配線に出力される。そして、第2の配線の電位をセンスアンプに入力し、増幅することによって、記憶素子に保持されたデータを読み出す。例えば、センスアンプはオペアンプを用いて構成することができる。このとき、オペアンプの非反転入力端子に第2の配線の電位を入力し、オペアンプの反転入力端子には参照電位が入力される構成とすることができる。オペアンプは、第2の配線の電位と参照電位とを比較し、ハイレベル電位またはローレベル電位を出力、つまり信号「1」または信号「0」を出力する。この出力信号は、記憶素子に保持されたデータに対応する信号であるため、当該信号から記憶素子に保持されたデータを読み出すことができる。なお、センスアンプの出力信号をインバータ等の演算回路に入力し、センスアンプの出力信号の反転信号を読み出し素子の出力としてもよい。
【0033】
(メモリセルアレイ及びその駆動回路を含む記憶装置の一態様)
本発明の記憶装置の一態様は、上記一時記憶回路((記憶素子の構成1)を複数有するもの、または(記憶素子の構成2)を複数有するもの)と、上記一時記憶回路からデータを読み出す上記読み出し回路(以下、第1の読み出し回路と呼ぶ)の他に更に、複数の記憶素子を有するメモリセルアレイと、メモリセルアレイからデータを読み出す第2の読み出し回路と、xデコーダと、yデコーダと、とを有する構成とすることができる。なお、一時記憶回路、第1の読み出し回路、第2の読み出し回路、xデコーダ、及びyデコーダは、メモリセルアレイの駆動回路と呼ぶこともできる。
【0034】
記憶装置に入力されたデータは、一時記憶回路に保持される。第1の読み出し回路によって一時記憶回路から読み出されたデータは、メモリセルアレイに含まれるメモリセルのうち、xデコーダ及びyデコーダによって指定されたメモリセルに書き込まれる構成とすることができる。ここで、xデコーダ及びyデコーダによって複数のメモリセルを同時に指定することができる。以下、同時に指定される複数のメモリセルをブロックと呼ぶことにする。
【0035】
また、メモリセルアレイに含まれるメモリセルのうち、xデコーダ及びyデコーダによって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、第2の読み出し回路によって読み出され、読み出されたデータが一時記憶回路に保持される。そして、一時記憶回路に保持されたデータを、第1の読み出し回路によって読み出し、記憶装置から出力することができる。
【0036】
メモリセルアレイに含まれるメモリセルのうち、xデコーダ及びyデコーダによって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、第2の読み出し回路によって読み出され、読み出されたデータが一時記憶回路に保持される。そして、一時記憶回路に保持されたデータを、第1の読み出し回路によって読み出し、xデコーダ及びyデコーダによって指定された別のメモリセル(または別のブロック)に書き込むことができる。こうして、メモリセルアレイ内で、データをコピーすることができる。
【0037】
メモリセルアレイに含まれるメモリセルのうち、xデコーダ及びyデコーダによって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、第2の読み出し回路によって読み出され、読み出されたデータが一時記憶回路に保持される。そして、一時記憶回路に保持されたデータを、第1の読み出し回路によって読み出し、xデコーダ及びyデコーダによって指定された同じメモリセル(または同じブロック)に書き込むことができる。こうして、メモリセルアレイ内で、データを再書き込み(リフレッシュ)することができる。
【0038】
ここで、メモリセルアレイが有する複数の記憶素子それぞれは、上記(記憶素子の構成1)や(記憶素子の構成2)とすることができる。メモリセルアレイが有する複数の記憶素子を(記憶素子の構成1)とした場合には、第2の読み出し回路として(読み出し回路の構成1)を適用することができる。メモリセルアレイが有する複数の記憶素子を、(記憶素子の構成2)とした場合には、第2の読み出し回路として(読み出し回路の構成2)を適用することができる。
【0039】
メモリセルアレイが有する複数の記憶素子を(記憶素子の構成1)とし、一時記憶回路が有する複数の記憶素子を(記憶素子の構成1)とした場合には、第1の読み出し回路及び第2の読み出し回路を共有し、共有する読み出し回路として(読み出し回路の構成1)を適用することができる。メモリセルアレイが有する複数の記憶素子を(記憶素子の構成2)とし、一時記憶回路が有する複数の記憶素子を(記憶素子の構成2)とした場合には、第1の読み出し回路及び第2の読み出し回路を共有し、共有する読み出し回路として(読み出し回路の構成2)を適用することができる。
【0040】
(信号処理回路の構成)
本発明の信号処理回路の一態様は、当該記憶装置を用いた信号処理回路とすることができる。
【0041】
さらに、信号処理回路は、上記記憶装置に加え、記憶装置とデータのやり取り(入出力)を行う演算回路等の各種論理回路を有してもよい。そして、記憶装置へ電源電圧の供給を停止すると共に、当該記憶装置とデータのやり取りを行う演算回路への電源電圧の供給を停止するようにしても良い。
【0042】
なお、CPU、マイクロプロセッサ、画像処理回路、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のLSI(Large Scale Integrated Circuit)は、本発明の信号処理回路の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0043】
トランジスタを2つ、若しくはトランジスタを2つと容量素子(記憶素子の構成1)、またはトランジスタを1つと容量素子(記憶素子の構成2)で構成することができる記憶素子を用いた一時記憶回路(例えば、ページバッファ)を提供することができる。こうして、一時記憶回路の回路面積を小さくすることができる。
【0044】
また、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタ((記憶素子の構成1)における第1のトランジスタ、(記憶素子の構成2)におけるトランジスタ)はオフ電流が著しく小さい。そのため、(記憶素子の構成1)において、記憶素子に電源電圧が供給されない間も、第2のトランジスタのゲートの電位は長時間にわたって保持される。よって、電源電圧の供給を停止した後も記憶素子はデータを保持することができる。また、(記憶素子の構成2)において、記憶素子に電源電圧が供給されない間も、容量素子の一対の電極のうちの一方の電位は長時間にわたって保持される。よって、電源電圧の供給を停止した後も記憶素子はデータを保持することができる。
【0045】
こうして、回路面積が小さく、且つ電源電圧の供給を停止しても記憶しているデータが消えない記憶素子を用いた一時記憶回路(例えば、ページバッファ)を提供することができる。
【0046】
更に、電源電圧の供給を停止しても記憶しているデータが消えない記憶素子を用いたメモリセルアレイと、上記一時記憶回路(例えば、ページバッファ)と、を有する記憶装置を提供することができる。
【0047】
また、記憶装置において、一時記憶回路のデータを読み取る読み出し回路と、メモリセルアレイのデータを読み取る読み出し回路とを共有することによって、記憶装置を更に小型化することができる。一方、一時記憶回路のデータを読み取る読み出し回路と、メモリセルアレイのデータを読み取る読み出し回路とを個別に設けることによって、一時記憶回路からのデータの読み出しと、メモリセルアレイからのデータの読み出しとを並行して行うこともできる。
【0048】
このような記憶装置を信号処理回路に用いることで、電源電圧の供給停止によるデータの消失を防ぐことができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】記憶素子の構成及び一時記憶回路の構成を示す図。
【図2】読み出し素子の構成及び読み出し回路の構成を示す図。
【図3】記憶装置の構成を示す図。
【図4】メモリセルアレイの構成を示す図。
【図5】メモリセルアレイの構成及び記憶素子の構成を示す図。
【図6】記憶素子の作製工程を示す図。
【図7】記憶素子の作製工程を示す図。
【図8】記憶素子の作製工程を示す図。
【図9】記憶素子の構成を示す断面図。
【図10】酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタの構成を示す断面図。
【図11】記憶装置の構成を示す断面図。
【図12】記憶装置の構成を示す断面図。
【図13】携帯用の電子機器のブロック図。
【図14】メモリ回路のブロック図。
【図15】電子書籍のブロック図。
【図16】信号処理回路のブロック図。
【図17】メモリセルアレイの構成を示す図。
【図18】記憶素子の構成及びメモリセルアレイの構成を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下では、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0051】
なお、「ソース」や「ドレイン」の機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合などには入れかわることがある。このため、本明細書においては、「ソース」や「ドレイン」の用語は、入れかえて用いることができるものとする。
【0052】
「電気的に接続」には、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続されている場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限はない。例えば、「何らかの電気的作用を有するもの」には、電極や配線をはじめ、トランジスタなどのスイッチング素子、抵抗素子、インダクタ、キャパシタ、その他の各種機能を有する素子などが含まれる。
【0053】
回路図上は独立している構成要素どうしが電気的に接続しているように図示されている場合であっても、実際には、例えば配線の一部が電極としても機能する場合など、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。本明細書において電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0054】
「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が「直上」または「直下」であることを限定するものではない。例えば、「ゲート絶縁層上のゲート電極」の表現であれば、ゲート絶縁層とゲート電極との間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0055】
図面等において示す各構成の、位置、大きさ、範囲などは、理解の簡単のため、実際の位置、大きさ、範囲などを表していない場合がある。このため、開示する発明は、必ずしも、図面等に開示された位置、大きさ、範囲などに限定されない。
【0056】
「第1」、「第2」、「第3」などの序数詞は、構成要素の混同を避けるために付すものである。
【0057】
(実施の形態1)
本発明の一時記憶回路の一態様について説明する。
【0058】
(一時記憶回路100Aの構成)
図1(D)に本発明の一時記憶回路の一態様を示す。図1(D)において、一時記憶回路100Aは、n(nは2以上の自然数)個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)を有し、n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)それぞれは、図1(A)に示す記憶素子100aとすることができる。一時記憶回路100Aは、n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)の端子Dを入力端子(IN1乃至INn)とし、n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)の端子Bを出力端子(OUT1乃至OUTn)とする構成とすることができる。
【0059】
なお、n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)それぞれにおいて、端子Bと端子Dを電気的に接続し、入力端子(IN1乃至INn)兼、出力端子(OUT1乃至OUTn)とすることもできる。
【0060】
なお、図1(D)に示す一時記憶回路100Aでは、n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)の端子Wは電気的に接続され、同じ制御信号WSが入力される構成を示したがこれに限定されない。n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)の一部の端子Wに入力される制御信号と、それ以外の端子Wに入力される制御信号とは異なっていてもよい。
【0061】
なお、図1(D)に示す一時記憶回路100Aでは、n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)の端子Sは電気的に接続され、同じ電位(または制御信号)VSが入力される構成を示したがこれに限定されない。n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)の一部の端子Sに入力される電位(または制御信号)と、それ以外の端子Sに入力される電位(または制御信号)とは異なっていてもよい。
【0062】
更に、一時記憶回路は、図1(D)に示す一時記憶回路100Aを複数有する構成であってもよい。
【0063】
一時記憶回路100Aは、入力端子(IN1乃至INn)それぞれに入力されたデータに対応する信号電位を、n個の記憶素子(100a−1乃至100a−n)それぞれに保持し、保持されたデータを出力端子(OUT1乃至OUTn)から読み出すことができる。
【0064】
以下、一時記憶回路100Aの有する記憶素子100aの構成及び駆動方法の一態様について説明する。
【0065】
(記憶素子100aの構成)
図1(A)に示す記憶素子100aは、トランジスタ101と、トランジスタ102とを有する。トランジスタ101はチャネルが酸化物半導体層に形成される。トランジスタ101のゲートは端子Wと電気的に接続される。トランジスタ101のソース及びドレインの一方は端子Dと電気的に接続される。トランジスタ101のソース及びドレインの他方は、トランジスタ102のゲートと電気的に接続される。トランジスタ102のソース及びドレインの一方は、端子Sと電気的に接続される。トランジスタ102のソース及びドレインの他方は、端子Bと電気的に接続される。各端子(端子W、端子B、端子S、端子D)は、配線や電極と電気的に接続される。なお図1(A)において、トランジスタ101は酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタであることを示すためにOSの符号を付す。
【0066】
(記憶素子100aの駆動方法)
図1(A)に示した記憶素子100aの駆動方法について説明する。
【0067】
まず、記憶素子100aにデータを書き込む動作について説明する。ゲートに入力される制御信号(端子Wに入力される制御信号)によってオン状態を選択されたトランジスタ101を介して、データに対応する信号電位(端子Dに入力される信号電位)をトランジスタ102のゲートに入力する。その後、ゲートに入力される制御信号(端子Wに入力される制御信号)によってトランジスタ101をオフ状態とすることによって、トランジスタ102のゲートに当該信号電位を保持する。こうして、記憶素子100aにデータを書き込むことができる。
【0068】
ここで、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタ101はオフ電流が著しく小さい。そのため、記憶素子100aにおいて、記憶素子100aに電源電圧が供給されない間も、トランジスタ102のゲートの電位は長時間にわたって保持される。よって、電源電圧の供給を停止した後も記憶素子100aはデータを保持することができる。
【0069】
次いで、記憶素子100aからデータを読み出す動作について説明する。トランジスタ102のソース及びドレインの一方(端子S)を所定の電位(第1の電位、例えば、低電源電位)としたとき、トランジスタ102のゲートに保持された信号電位に応じて、トランジスタ102のソースとドレイン間の状態が異なる。ここで、トランジスタ102のソースとドレイン間の状態とは、非導通状態であるか導通状態であるかを示すものとする。なお、導通状態において、オン抵抗の抵抗値が異なる複数の状態があってもよい。トランジスタ102のソースとドレイン間の状態を検出することによって、記憶素子100aに保持されたデータを読み出す。
【0070】
以上が、記憶素子100aの駆動方法についての説明である。一時記憶回路100Aの有する複数の記憶素子100aそれぞれにおいて、上記のようにデータの書き込み及び読み出しを行うことによって、一時記憶回路100Aは複数のデータの書き込み及び読み出しを行うことができる。
【0071】
(一時記憶回路100Bの構成)
本発明の一時記憶回路の一態様であって図1(D)とは異なる一態様を、図1(E)に示す。図1(E)において、一時記憶回路100Bは、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)を有し、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)それぞれは、図1(B)に示す記憶素子100bとすることができる。一時記憶回路100Bは、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)の端子Dを入力端子(IN1乃至INn)とし、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)の端子Bを出力端子(OUT1乃至OUTn)とする構成とすることができる。
【0072】
なお、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)それぞれにおいて、端子Bと端子Dを電気的に接続し、入力端子(IN1乃至INn)兼、出力端子(OUT1乃至OUTn)とすることもできる。
【0073】
なお、図1(E)に示す一時記憶回路100Bでは、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)の端子Wは電気的に接続され、同じ制御信号WSが入力される構成を示したがこれに限定されない。n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)の一部の端子Wに入力される制御信号と、それ以外の端子Wに入力される制御信号とは異なっていてもよい。
【0074】
なお、図1(E)に示す一時記憶回路100Bでは、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)の端子Sは電気的に接続され、同じ電位(または制御信号)VSが入力される構成を示したがこれに限定されない。n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)の一部の端子Sに入力される電位(または制御信号)と、それ以外の端子Sに入力される電位(または制御信号)とは異なっていてもよい。
【0075】
なお、図1(E)に示す一時記憶回路100Bでは、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)の端子Cは電気的に接続され、同じ電位(または制御信号)CSが入力される構成を示したがこれに限定されない。n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)の一部の端子Cに入力される電位(または制御信号)と、それ以外の端子Cに入力される電位(または制御信号)とは異なっていてもよい。
【0076】
更に、一時記憶回路は、図1(E)に示す一時記憶回路100Bを複数有する構成であってもよい。
【0077】
一時記憶回路100Bは、入力端子(IN1乃至INn)それぞれに入力されたデータに対応する信号電位を、n個の記憶素子(100b−1乃至100b−n)それぞれに保持し、保持されたデータを出力端子(OUT1乃至OUTn)から読み出すことができる。
【0078】
以下、一時記憶回路100Bの有する記憶素子100bの構成及び駆動方法の一態様について説明する。
【0079】
(記憶素子100bの構成)
図1(B)に示す記憶素子100bは、図1(A)に示した記憶素子100aの構成要素の他に、更に容量素子103を有する。容量素子103の一対の電極のうちの一方は、トランジスタ101のゲートと電気的に接続される。また、容量素子103の一対の電極のうちの他方は、端子Cと電気的に接続される。端子Cは、配線や電極と電気的に接続される。
【0080】
(記憶素子100bの駆動方法)
図1(B)に示した記憶素子100bの駆動方法は、図1(A)に示した記憶素子100aの駆動方法と同様である。なお、図1(B)に示した記憶素子100bでは、端子Cに入力される電位(または制御信号)を制御することによって、記憶素子100bに保持されたデータに関わらず、トランジスタ102をオン状態、つまり、トランジスタ102のソースとドレイン間を導通状態とすることができる。また、端子Cに入力される電位(または制御信号)を制御することによって、記憶素子100bに保持されたデータに関わらず、トランジスタ102をオフ状態、つまり、トランジスタ102のソースとドレイン間を非導通状態とすることができる。
【0081】
以上が、記憶素子100bの駆動方法についての説明である。一時記憶回路100Bの有する複数の記憶素子100bそれぞれにおいて、上記のようにデータの書き込み及び読み出しを行うことによって、一時記憶回路100Bは複数のデータの書き込み及び読み出しを行うことができる。
【0082】
(一時記憶回路100Cの構成)
本発明の一時記憶回路の一態様であって図1(D)や図1(E)とは異なる一態様を、図1(F)に示す。図1(F)において、一時記憶回路100Cは、n個の記憶素子(100c−1乃至100c−n)を有し、n個の記憶素子(100c−1乃至100c−n)それぞれは、図1(C)に示す記憶素子100cとすることができる。一時記憶回路100Cは、n個の記憶素子(100c−1乃至100c−n)の端子Bを入力端子(IN1乃至INn)兼、出力端子(OUT1乃至OUTn)とする構成とすることができる。
【0083】
なお、図1(F)に示す一時記憶回路100Cでは、n個の記憶素子(100c−1乃至100c−n)の端子Wは電気的に接続され、同じ制御信号WSが入力される構成を示したがこれに限定されない。n個の記憶素子(100c−1乃至100c−n)の一部の端子Wに入力される制御信号と、それ以外の端子Wに入力される制御信号とは異なっていてもよい。
【0084】
なお、図1(F)に示す一時記憶回路100Cでは、n個の記憶素子(100c−1乃至100c−n)の端子Cは電気的に接続され、同じ電位VSが入力される構成を示したがこれに限定されない。n個の記憶素子(100c−1乃至100c−n)の一部の端子Cに入力される電位と、それ以外の端子Cに入力される電位とは異なっていてもよい。
【0085】
更に、一時記憶回路は、図1(F)に示す一時記憶回路100Cを複数有する構成であってもよい。
【0086】
一時記憶回路100Cは、入力端子(IN1乃至INn)それぞれに入力されたデータに対応する信号電位を、n個の記憶素子(100c−1乃至100c−n)それぞれに保持し、保持されたデータを出力端子(OUT1乃至OUTn)から読み出すことができる。
【0087】
以下、一時記憶回路100Cの有する記憶素子100cの構成及び駆動方法の一態様について説明する。
【0088】
(記憶素子100cの構成)
図1(C)に示す記憶素子100cは、トランジスタ104と、容量素子105とを有する。トランジスタ104はチャネルが酸化物半導体層に形成され、トランジスタ104のゲートは端子Wと電気的に接続される。トランジスタ104のソース及びドレインの一方は端子Bと電気的に接続される。トランジスタ104のソース及びドレインの他方は、容量素子105の一対の電極のうちの一方と電気的に接続される。容量素子105の一対の電極のうちの他方は、端子Cと電気的に接続された構成とすることができる。各端子(端子W、端子B、端子C)は、配線や電極と電気的に接続される。端子Cは、一定の電位(例えば、接地電位等の低電源電位)が入力される構成とすることができる。なお図1(C)において、トランジスタ104は酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタであることを示すためにOSの符号を付す。
【0089】
(記憶素子100cの駆動方法)
まず、記憶素子100cにデータを書き込む動作について説明する。ゲートに入力される制御信号(端子Wに入力される制御信号)によってオン状態を選択されたトランジスタ104を介して、データに対応する信号電位(端子Bに入力される信号電位)を容量素子105の一対の電極のうちの一方に入力する。その後、ゲートに入力される制御信号(端子Wに入力される制御信号)によってトランジスタ104をオフ状態とすることによって、容量素子105に当該信号電位を保持する。こうして、記憶素子100cにデータを書き込むことができる。
【0090】
ここで、酸化物半導体層にチャネルが形成されるトランジスタ104はオフ電流が著しく小さい。そのため、記憶素子100cにおいて、記憶素子100cに電源電圧が供給されない間も、容量素子105の一対の電極のうちの一方の電位は長時間にわたって保持される。よって、電源電圧の供給を停止した後も記憶素子100cはデータを保持することができる。
【0091】
次いで、記憶素子100cからデータを読み出す動作について説明する。ゲートに入力される制御信号(端子Wに入力される制御信号)によってトランジスタ104をオン状態として、端子Bから容量素子105の一対の電極のうちの一方に保持されていた電位を検出することによって、記憶素子100cに保持されたデータを読み出す。
【0092】
以上が、記憶素子100cの駆動方法についての説明である。一時記憶回路100Cの有する複数の記憶素子100cそれぞれにおいて、上記のようにデータの書き込み及び読み出しを行うことによって、一時記憶回路100Cは複数のデータの書き込み及び読み出しを行うことができる。
【0093】
(一時記憶回路の構成のバリエーション)
以下、一時記憶回路の構成のバリエーションについて説明する。
【0094】
一時記憶回路100A、一時記憶回路100B、一時記憶回路100Cや、これら一時記憶回路が有する記憶素子は、ダイオード、抵抗素子、インダクタ、演算回路(演算素子)、スイッチを更に有していても良い。演算回路(演算素子)としては、バッファ、インバータ、NAND回路、NOR回路、スリーステートバッファ、クロックドインバータ等を用いることができる。スイッチとしては、例えばアナログスイッチ、トランジスタ等を用いることができる。また、スイッチとして、クロック信号及びクロック信号の反転信号の一方または両方が入力される演算回路(演算素子)を用いることもできる。
【0095】
例えば、記憶素子100a、記憶素子100b、記憶素子100cの代わりに、図5(B)に示すような記憶素子100dを用いても良い。記憶素子100dでは、図1(A)に示した記憶素子100aの構成に加えて、ダイオード142を有する。トランジスタ102のソース及びドレインの他方は、ダイオード142を介して端子Bと電気的に接続される。
【0096】
例えば、記憶素子100a、記憶素子100b、記憶素子100cの代わりに、図5(C)に示すような記憶素子100eを用いても良い。記憶素子100eでは、図1(A)に示した記憶素子100aの構成に加えて、スイッチ140を有する。スイッチ140は、例えばトランジスタ141によって構成することができる。トランジスタ141のゲートは端子Xに電気的に接続され、トランジスタ102のソース及びドレインの他方は、トランジスタ141を介して端子Bと電気的に接続される。
【0097】
記憶素子100a及び記憶素子100bにおけるトランジスタ101、並びに記憶素子100cにおけるトランジスタ104は、酸化物半導体層を挟んで上下に2つのゲートを有するトランジスタとすることができる。一方のゲートに制御信号(WS)を入力し、他方のゲートには、別の制御信号を入力することができる。別の制御信号は、一定の電位であってもよい。一定の電位は、低電源電位や高電源電位であってもよい。なお、2つのゲートを電気的に接続し、制御信号(WS)を入力してもよい。他方のゲートに入力する信号によって、トランジスタ101及びトランジスタ104のしきい値電圧等を制御することが可能である。また、トランジスタ101及びトランジスタ104のオフ電流を更に低減することも可能である。トランジスタ101及びトランジスタ104のオン電流を増大させることも可能である。
【0098】
例えば、記憶素子100a、記憶素子100b、記憶素子100cの代わりに、図5(D)に示すような記憶素子100fを用いても良い。記憶素子100fでは、図1(A)に示した記憶素子100aの構成において、トランジスタ101を酸化物半導体層を挟んで上下に2つのゲートを有するトランジスタとした例である。図5(D)において、トランジスタ101の一方のゲートは端子Wと電気的に接続され、他方のゲートは、端子Wとは別の端子WBと電気的に接続される構成を模式的に示している。
【0099】
トランジスタ102は、酸化物半導体以外の半導体でなる層または基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。例えば、シリコン層またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタとすることができる。また、トランジスタ102を、チャネルが酸化物半導体層に形成されるトランジスタとすることもできる。
【0100】
ここで、シリコン層またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタは、チャネルが酸化物半導体層に形成されるトランジスタよりもスイッチング速度が速く、オン電流が大きいという特徴がある。そのため、シリコン層またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタと、チャネルが酸化物半導体層に形成されるトランジスタとを組み合わせて用いた回路では、当該回路の動作速度を高めつつ、リーク電流を抑制することができる。例えば、記憶素子100a及び記憶素子100bにおいて、チャネルが酸化物半導体層に形成されるトランジスタ101と、シリコン層またはシリコン基板にチャネルが形成されるトランジスタ102と、を組み合わせて用いることによって、記憶素子100a及び記憶素子100bの動作速度を高めつつ、消費電力を低減することが可能である。
【0101】
以上が一時記憶回路の構成のバリエーションについての説明である。
【0102】
上述のとおり、トランジスタを2つ、若しくはトランジスタを2つと容量素子、またはトランジスタを1つと容量素子で構成することができる記憶素子を用いた一時記憶回路を提供することができる。こうして、一時記憶回路の回路面積を小さくすることができる。電源電圧の供給を停止した後も、一時記憶回路が有する複数の記憶素子それぞれはデータを保持することができる。こうして、回路面積が小さく、且つ電源電圧の供給を停止しても記憶しているデータが消えない記憶素子を用いた一時記憶回路を提供することができる。
【0103】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0104】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した一時記憶回路(一時記憶回路100A、一時記憶回路100B、一時記憶回路100C)に保持されたデータを読み出すための読み出し回路の一態様について説明する。
【0105】
本発明の記憶装置の一態様は、一時記憶回路と読み出し回路とを有する構成とすることができる。
【0106】
(読み出し回路110Aの構成)
一時記憶回路100A及び一時記憶回路100Bに保持されたデータは、図2(C)に示す読み出し回路110Aによって読み出すことができる。読み出し回路110Aは、n個の読み出し素子(110a−1乃至110a−n)を有し、n個の読み出し素子(110a−1乃至110a−n)それぞれは、図2(A)に示す読み出し素子110aとすることができる。
【0107】
更に、読み出し回路は、図2(C)に示す読み出し回路110Aを複数有する構成であってもよい。
【0108】
読み出し回路110Aの入力端子(IN1乃至INn)それぞれには、一時記憶回路100Aまたは一時記憶回路100Bの出力端子(OUT1乃至OUTn)が電気的に接続される。そして、読み出し回路110Aは、一時記憶回路100Aまたは一時記憶回路100Bに保持されたデータを読み出し、読み出し回路110Aの出力端子(OUT1乃至OUTn)から出力する。読み出し回路110Aの出力端子(OUT1乃至OUTn)から出力されたデータは、複数の記憶素子によって構成されるメモリセルアレイ200に入力される。
【0109】
以下、読み出し回路110Aの有する読み出し素子110aの構成及び駆動方法の一態様について説明する。
【0110】
(読み出し素子110aの構成)
図2(A)に示す読み出し素子110aは、端子Vと、負荷121と、スイッチ123と、センスアンプ111とを有する構成とすることができる。負荷121としては、例えばトランジスタ122を用いることができる。トランジスタ122は、ゲートとソース及びドレインの一方とが電気的に接続されている。センスアンプ111としては、オペアンプ112を用いることができる。なお、スイッチ123としては、トランジスタを用いることができる。端子Vは、配線や電極と電気的に接続される。
【0111】
なお、負荷121の代わりに、スイッチを用いてもよい。また当該スイッチとしてトランジスタを用いてもよい。
【0112】
読み出し素子110aにおいて、端子Vと入力端子INの間に、負荷121と、スイッチ123がこの順に直列に電気的に接続されている。負荷121と、スイッチ123の接続部分(ノードM:図2(A)中、Mで表記)は、センスアンプ111の入力端子inと電気的に接続される。センスアンプ111の入力端子inに入力された電位は、オペアンプ112の非反転入力端子(+)に入力される。オペアンプ112の反転入力端子(−)には、参照電位Vrが入力される。センスアンプ111の出力端子outから出力された信号は、読み出し素子110aの出力端子OUTから出力される信号となる。
【0113】
(読み出し素子110aの駆動方法)
図2(A)に示した読み出し素子110aの駆動方法について説明する。
【0114】
読み出し素子110aが動作する際、端子Vには一定の電位(記憶素子100aや記憶素子100bにおけるトランジスタ102のソース及びドレインの一方(端子S)に与えられる第1の電位とは異なる第2の電位、例えば高電源電位)が与えられる。読み出し素子110aの入力端子INは、オン状態となったスイッチ123及び負荷121を順に介して端子Vと電気的に接続される。ここで、読み出し素子110aの入力端子INは、一時記憶回路(一時記憶回路100Aや一時記憶回路100B)の出力端子(OUT1乃至OUTn)のいずれかと電気的に接続されており、一時記憶回路(一時記憶回路100Aや一時記憶回路100B)の出力端子(OUT1乃至OUTn)は、当該一時記憶回路が有する複数の記憶素子(記憶素子100aや記憶素子100b)の端子Bと電気的に接続されている。そのため、読み出し素子110aの入力端子INに端子Bが電気的に接続された記憶素子(記憶素子100aや記憶素子100b)のトランジスタ102のソースとドレイン間の状態に応じて、ノードMの電位が定まる。言い換えると、トランジスタ102のソースとドレイン間が非導通状態の場合には、ノードMと第1の電位が与えられる端子Sとの電気的接続は切断されるため、端子Vの電位(第1の電位とは異なる第2の電位)(またはそれに近い電位)がノードMの電位となる。一方、トランジスタ102のソースとドレイン間が導通状態の場合には、トランジスタ102のソースとドレイン間のオン抵抗の抵抗値をRtとし、負荷121の抵抗値をR0とすると、端子Sの電位(第1の電位)と端子Vの電位(第2の電位)との電位差がRtとR0で抵抗分割され、ノードMの電位が定まる。
【0115】
そして、ノードMの電位をセンスアンプ111の入力端子inに入力する。センスアンプ111の入力端子inに入力された電位は、オペアンプ112の非反転入力端子(+)に入力される。オペアンプ112は、ノードMの電位と参照電位Vrとを比較し、ハイレベル電位またはローレベル電位を出力、つまり信号「1」または信号「0」を出力する。この出力信号は、読み出し素子110aの入力端子INに端子Bが電気的に接続された記憶素子(記憶素子100aや記憶素子100b)に保持されたデータに対応する信号であるため、当該信号から当該記憶素子に保持されたデータを読み出すことができる。なお、センスアンプ111の出力信号をインバータ等の演算回路に入力し、センスアンプ111の出力信号の反転信号を読み出し素子110aの出力としてもよい。
【0116】
読み出し素子110aの駆動方法について、具体的に、記憶素子(記憶素子100aや記憶素子100b)が有するトランジスタ102がnチャネル型トランジスタであり、当該記憶素子に入力されるデータが「1」のとき、当該記憶素子に入力される電位はハイレベル電位(VH)であり、当該記憶素子に入力されるデータが「0」のとき、当該記憶素子に入力される電位はローレベル電位(VL)であり、負荷121の抵抗値R0はトランジスタ102のソースとドレイン間のオン抵抗の抵抗値Rtよりも十分に大きく設定されている場合の一例を説明する。この記憶素子からデータを読み出すとき、例えば、記憶素子の端子Sに与えられる第1の電位を接地電位(GND)、読み出し素子110aの端子Vに与えられる第2の電位を高電源電位(VDD)、オペアンプ112の反転入力端子(−)に入力される参照電位VrをGNDとVDDの間の電位とする。参照電位Vrは、例えばGNDとVDDの中間の電位とすることができる。ここで、記憶素子にデータ「1」が入力され保持されているとき、トランジスタ102はオン状態となる。即ち、トランジスタ102のソースとドレイン間は導通状態となる。ここで、スイッチ123がオン状態となると、ノードMの電位は第1の電位である接地電位(GND)に近い値となる。この電位をセンスアンプ111に入力すると、参照電位Vrよりも小さいため、センスアンプ111の出力信号は「0」となる。一方、記憶素子にデータ「0」が入力され保持されているとき、トランジスタ102はオフ状態となる。即ち、トランジスタ102のソースとドレイン間は非導通状態となる。そのため、スイッチ123がオン状態となると、ノードMの電位は第2の電位である高電源電位(VDD)となる。この電位をセンスアンプ111に入力すると、参照電位Vrよりも大きいため、センスアンプ111の出力信号は「1」となる。このように、記憶素子に保持されていたデータをその反転信号として読み出すことができる。なお、センスアンプ111の出力信号をインバータ等の演算回路に入力し、センスアンプ111の出力信号の反転信号を読み出し素子の出力としてもよい。
【0117】
以上が、読み出し素子110aの駆動方法についての説明である。読み出し回路110Aの有する複数の読み出し素子110aそれぞれにおいて、上記のようにデータの読み出しを行う。こうして、読み出し回路110Aは、一時記憶回路100Aや一時記憶回路100Bに保持された複数のデータの読み出しを行うことができる。
【0118】
(読み出し回路110Bの構成)
一時記憶回路100Cに保持されたデータは、図2(D)に示す読み出し回路110Bによって読み出すことができる。読み出し回路110Bは、n個の読み出し素子(110b−1乃至110b−n)を有し、n個の読み出し素子(110b−1乃至110b−n)それぞれは、図2(B)に示す読み出し素子110bとすることができる。
【0119】
更に、読み出し回路は、図2(D)に示す読み出し回路110Bを複数有する構成であってもよい。
【0120】
読み出し回路110Bの入力端子(IN1乃至INn)それぞれには、一時記憶回路100Cの出力端子(OUT1乃至OUTn)が電気的に接続される。そして、読み出し回路110Bは、一時記憶回路100Cに保持されたデータを読み出し、読み出し回路110Bの出力端子(OUT1乃至OUTn)から出力する。読み出し回路110Bの出力端子(OUT1乃至OUTn)から出力されたデータは、複数の記憶素子によって構成されるメモリセルアレイ200に入力される。
【0121】
以下、読み出し回路110Bの有する読み出し素子110bの構成及び駆動方法の一態様について説明する。
【0122】
(読み出し素子110bの構成)
図2(B)に示す読み出し素子110bは、センスアンプ111を有する構成とすることができる。センスアンプ111としては、オペアンプ112を用いることができる。
【0123】
読み出し素子110bの入力端子INは、センスアンプ111の入力端子inと電気的に接続される。センスアンプ111の入力端子inに入力された電位は、オペアンプ112の非反転入力端子(+)に入力される。オペアンプ112の反転入力端子(−)には、参照電位Vrが入力される。センスアンプ111の出力端子outから出力された信号は、読み出し素子110bの出力端子OUTから出力される信号となる。
【0124】
(読み出し素子110bの駆動方法)
図2(B)に示した読み出し素子110bの駆動方法について説明する。
【0125】
読み出し素子110bの入力端子INに入力された信号は、センスアンプ111の入力端子inに入力されて、オペアンプ112の非反転入力端子(+)に入力される。オペアンプ112は、入力端子inに入力された電位と参照電位Vrとを比較し、ハイレベル電位またはローレベル電位を出力、つまり信号「1」または信号「0」を出力する。この出力信号は、読み出し素子110bの入力端子INに端子Bが電気的に接続された記憶素子(記憶素子100c)に保持されたデータに対応する信号であるため、当該信号から当該記憶素子に保持されたデータを読み出すことができる。なお、センスアンプ111の出力信号をインバータ等の演算回路に入力し、センスアンプ111の出力信号の反転信号を読み出し素子110bの出力としてもよい。
【0126】
以上が、読み出し素子110bの駆動方法についての説明である。読み出し回路110Bの有する複数の読み出し素子110bそれぞれにおいて、上記のようにデータの読み出しを行う。こうして、読み出し回路110Bは、一時記憶回路100Cに保持された複数のデータの読み出しを行うことができる。
【0127】
(読み出し回路の構成のバリエーション)
以下、読み出し回路の構成のバリエーションについて説明する。
【0128】
読み出し回路110A、読み出し回路110Bや、これら読み出し回路が有する読み出し素子は、ダイオード、抵抗素子、インダクタ、演算回路(演算素子)、スイッチを更に有していても良い。演算回路(演算素子)としては、バッファ、インバータ、NAND回路、NOR回路、スリーステートバッファ、クロックドインバータ等を用いることができる。スイッチとしては、例えばアナログスイッチ、トランジスタ等を用いることができる。また、スイッチとして、クロック信号及びクロック信号の反転信号の一方または両方が入力される演算回路(演算素子)を用いることもできる。
【0129】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0130】
(実施の形態3)
本実施の形態では、記憶装置が有するメモリセルアレイの構成の一態様について説明する。
【0131】
(メモリセルアレイの構成1)
メモリセルアレイの一態様を図4(A)に示す。図4(A)において、メモリセルアレイ200はm×n(mは2以上の自然数、nは2以上の自然数)個の記憶素子(記憶素子100b(i,j):iはm以下の自然数、jはn以下の自然数)を有する。m×n個の記憶素子(記憶素子100b(i,j))それぞれは、図1(B)に示した記憶素子100bとすることができる。メモリセルアレイ200に含まれる複数の記憶素子それぞれをメモリセルとも呼ぶ。
【0132】
図4(A)において、同じ列に並んだ記憶素子において、端子Bに電気的に接続される配線(BLj)を共有している。例えば、第1列に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(m,1))において、端子Bに電気的に接続される配線(BL1)を共有している。配線(BLj)はビット線と呼ぶこともできる。
【0133】
図4(A)において、同じ列に並んだ記憶素子において、端子Dに電気的に接続される配線(DLj)を共有している。例えば、第1列に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(m,1))において、端子Dに電気的に接続される配線(DL1)を共有している。
【0134】
図4(A)において、同じ列に並んだ記憶素子において、端子Sに電気的に接続される配線(SLj)を共有している。例えば、第1列に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(m,1))において、端子Sに電気的に接続される配線(SL1)を共有している。なお、端子Sに電気的に接続される配線(SLj)は、メモリセルアレイに含まれる全ての記憶素子において共有することもできる。
【0135】
図4(A)において、同じ行に並んだ記憶素子において、端子Wに電気的に接続される配線(WLi)を共有している。例えば、第1行に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(1,n))において、端子Wに電気的に接続される配線(WL1)を共有している。配線(WLi)は第1のワード線と呼ぶこともできる。
【0136】
図4(A)において、同じ行に並んだ記憶素子において、端子Cに電気的に接続される配線(CLi)を共有している。例えば、第1行に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(1,n))において、端子Cに電気的に接続される配線(CL1)を共有している。配線(CLi)は第2のワード線と呼ぶこともできる。
【0137】
しかし、これに限定されず、同じ列に並んだ記憶素子において、複数の配線(BLj)、複数の配線(DLj)、複数の配線(SLj)を設けてもよいし、同じ行に並んだ記憶素子において、複数の配線(WLi)、複数の配線(CLi)を設けてもよい。
【0138】
また、各配線は共有することもできる。配線を共有することによって、メモリセルアレイ200の微細化及び高集積化を実現することができる。例えば、配線(BLj)と配線(DLj)を共有することができる。この構成を図17に示す。図17に示したメモリセルアレイ200では、記憶素子100b(i,j)の端子D及び端子Bは、同じ配線(BLj)に電気的に接続されている。配線(BLj)をビット線と呼ぶこともできる。
【0139】
図4(A)や図17に示すメモリセルアレイ200では、配線(WLi)に入力される信号によって指定された行の記憶素子(記憶素子100b(i,j))において選択的に、データの書き込みが行われる。また、配線(CLi)に入力される信号によって指定された行の記憶素子(記憶素子100b(i,j))において選択的に、データの読み出しが行われる。具体的には、配線(CLi)に入力される信号によって、同じ配線(BLj)に電気的に接続された記憶素子において、データを読み出す対象の記憶素子以外のトランジスタ102を(保持されたデータに関わらず)オフ状態とする。指定された記憶素子におけるデータの書き込み及び読み出しの方法は、上記実施の形態で説明した一時記憶回路100Bのデータの書き込み及び読み出しと同様であるため説明は省略する。
【0140】
また、メモリセルアレイ200の有する記憶素子100b(i,j)として、図1(B)で示した記憶素子100bを用いる場合には、メモリセルアレイ200からデータを読み出す読み出し回路として、図2(C)で示した読み出し回路110Aと同様の構成の読み出し回路を用いることができる。ここで、メモリセルアレイ200からデータを読み出す読み出し回路の入力端子(IN)は、メモリセルアレイ200の配線(BLj)が電気的に接続される。
【0141】
(メモリセルアレイの構成2)
メモリセルアレイの別の一態様を図4(B)に示す。図4(B)において、メモリセルアレイ200はm×n個の記憶素子(記憶素子100c(i,j))を有する。m×n個の記憶素子(記憶素子100c(i,j))それぞれは、図1(C)に示した記憶素子100cとすることができる。
【0142】
図4(B)において、同じ列に並んだ記憶素子において、端子Bに電気的に接続される配線(BLj)を共有している。例えば、第1列に並んだ記憶素子(記憶素子100c(1,1)乃至記憶素子100c(m,1))において、端子Bに電気的に接続される配線(BL1)を共有している。配線(BLj)はビット線と呼ぶこともできる。
【0143】
図4(B)において、同じ行に並んだ記憶素子において、端子Wに電気的に接続される配線(WLi)を共有している。例えば、第1行に並んだ記憶素子(記憶素子100c(1,1)乃至記憶素子100c(1,n))において、端子Wに電気的に接続される配線(WL1)を共有している。配線(WLi)はワード線と呼ぶこともできる。
【0144】
しかし、これに限定されず、同じ列に並んだ記憶素子において、複数の配線(BLj)を設けてもよいし、同じ行に並んだ記憶素子において、複数の配線(WLi)を設けてもよい。また、m×n個の記憶素子(記憶素子100c(i,j))において、端子Cは同じ電極や配線と電気的に接続されていても良いし、異なる電極や配線と電気的に接続されていてもよい。
【0145】
図4(B)に示すメモリセルアレイ200では、配線(WLi)に入力される信号によって指定された行の記憶素子(記憶素子100c(i,j))において選択的に、データの書き込み及び読み出しが行われる。指定された記憶素子におけるデータの書き込み及び読み出しの方法は、上記実施の形態で説明した一時記憶回路100Cのデータの書き込み及び読み出しと同様であるため説明は省略する。
【0146】
また、メモリセルアレイ200の有する記憶素子100c(i,j)として、図1(C)に示した記憶素子100cを用いる場合には、メモリセルアレイ200からデータを読み出す読み出し回路として、図2(D)で示した読み出し回路110Bと同様の構成の読み出し回路を用いることができる。ここで、メモリセルアレイ200からデータを読み出す読み出し回路の入力端子(IN)は、メモリセルアレイ200の配線(BLj)が電気的に接続される。
【0147】
(メモリセルアレイの構成3)
メモリセルアレイの別の一態様を図5(A)に示す。図5(A)において、メモリセルアレイ200はm×n個の記憶素子(記憶素子100b(i,j))を有する。m×n個の記憶素子(記憶素子100b(i,j))それぞれは、図1(B)に示した記憶素子100bとすることができる。なお、メモリセルアレイは、図5(A)に示したメモリセルアレイ200を複数有していてもよい。
【0148】
図5(A)に示す構成では、メモリセルアレイ200中の同じ列に配置される複数の記憶素子において、隣接する記憶素子のうち一方の記憶素子の端子Sが他方の記憶素子の端子Bと電気的に接続される。つまり、メモリセルアレイ200中の同じ列に配置される複数の記憶素子において、トランジスタ102を直列に電気的に接続した構成となる。このとき、直列に接続された複数のトランジスタ102のうち、一端のトランジスタ102のソース及びドレインの一方に配線(SLj)が電気的に接続され、他端のトランジスタ102のソース及びドレインの他方に配線(BLj)が電気的に接続される構成とすることができる。ここで、直列に接続された複数のトランジスタ102のうち、端部以外のトランジスタ102のソース及びドレインの一方は、同じ列に配置された他の記憶素子のトランジスタ102を介して配線(SLj)と電気的に接続される。また、直列に接続された複数のトランジスタ102のうち、端部以外のトランジスタ102のソース及びドレインの他方は、同じ列に配置された他の記憶素子のトランジスタ102を介して配線(BLj)と電気的に接続される。
【0149】
図5(A)において、トランジスタ102が直列に電気的に接続された複数の記憶素子を、記憶素子群200_jで示す。なお、図5(A)では、記憶素子群200_jが1行分設けられた構成のメモリセルアレイ200を例示したがこれに限定されない。メモリセルアレイ200には、記憶素子群200_jがマトリクス状に設けられていてもよい。
【0150】
図5(A)において、同じ列に並んだ記憶素子において配線(BLj)を共有している。例えば、第1列に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(m,1))において、配線(BL1)を共有している。配線(BLj)はビット線と呼ぶこともできる。
【0151】
図5(A)において、同じ列に並んだ記憶素子において、端子Dに電気的に接続される配線(DLj)を共有している。例えば、第1列に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(m,1))において、端子Dに電気的に接続される配線(DL1)を共有している。
【0152】
図5(A)において、同じ列に並んだ記憶素子において配線(SLj)を共有している。例えば、第1列に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(m,1))において、配線(SL1)を共有している。
【0153】
図5(A)において、同じ行に並んだ記憶素子において、端子Wに電気的に接続される配線(WLi)を共有している。例えば、第1行に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(1,n))において、端子Wに電気的に接続される配線(WL1)を共有している。配線(WLi)は第1のワード線と呼ぶこともできる。
【0154】
図5(A)において、同じ行に並んだ記憶素子において、端子Cに電気的に接続される配線(CLi)を共有している。例えば、第1行に並んだ記憶素子(記憶素子100b(1,1)乃至記憶素子100b(1,n))において、端子Cに電気的に接続される配線(CL1)を共有している。配線(CLi)は第2のワード線と呼ぶこともできる。
【0155】
しかし、これに限定されず、同じ列に並んだ記憶素子において、複数の配線(BLj)、複数の配線(DLj)、複数の配線(SLj)を設けてもよいし、同じ行に並んだ記憶素子において、複数の配線(WLi)、複数の配線(CLi)を設けてもよい。
【0156】
また、各配線は共有することもできる。配線を共有することによって、メモリセルアレイ200の微細化及び高集積化を実現することができる。例えば、配線(BLj)と配線(DLj)を共有することができる。この構成を図18(B)に示す。図18(B)に示したメモリセルアレイ200では、記憶素子群200_jの両端の一方に位置する記憶素子(記憶素子100b(1,j))において、端子Dは配線(BLj)に電気的に接続され、端子Bはスイッチとして機能するトランジスタ181を介して配線(BLj)に電気的に接続されている。記憶素子群200_jの両端の他方に位置する記憶素子(記憶素子100b(m,j))において、端子Sはスイッチとして機能するトランジスタ182を介して配線(SLj)に電気的に接続されている。なお、トランジスタ182を省略し、記憶素子群200_jの両端の他方に位置する記憶素子(記憶素子100b(m,j))において、端子Sが直接、配線(SLj)に電気的に接続されていてもよい。記憶素子群200_jの両端以外の記憶素子では、隣接する記憶素子のうち一方の記憶素子の端子Fが他方の記憶素子の端子Dと電気的に接続される。ここで、端子Fは、図18(A)に示すとおり、トランジスタ102のゲートと電気的に接続されるノードに設けられた端子である。よって、図18(B)に示す構成では、記憶素子群200_jに含まれるトランジスタ101が直列に電気的に接続された構成であるとみなすこともできる。ここで、配線(BLj)をビット線と呼ぶこともできる。
【0157】
図5(A)に示すメモリセルアレイ200では、配線(WLi)に入力される信号によって指定された行の記憶素子(記憶素子100b(i,j))において選択的に、データの書き込みが行われる。また、配線(CLi)に入力される信号によって指定された行の記憶素子(記憶素子100b(i,j))において選択的に、データの読み出しが行われる。具体的には、配線(CLi)に入力される信号によって、同じ配線(BLj)に電気的に接続された記憶素子において、データを読み出す対象の記憶素子以外のトランジスタ102を(保持されたデータに関わらず)オン状態とする。指定された記憶素子におけるデータの書き込み及び読み出しの方法は、上記実施の形態で説明した一時記憶回路100Bのデータの書き込み及び読み出しと同様であるため説明は省略する。
【0158】
図18(B)に示すメモリセルアレイ200では、配線(WLi)に入力される信号によって指定された行の記憶素子(記憶素子100b(i,j))において選択的に、データの書き込みが行われる。具体的には、配線(SLj)に近い側に配置された記憶素子から順にデータの書き込みが行われる。書き込み対象の記憶素子及び当該記憶素子よりも配線(BLj)に近い側に設けられた全ての記憶素子のトランジスタ101を、配線(WLi)に入力される信号によってオン状態とする。また、書き込み対象の記憶素子よりも配線(SLj)に近い側に配置された全ての記憶素子のトランジスタ101を、配線(WLi)に入力される信号によってオフ状態とする。こうして、書き込み対象の記憶素子に配線(BLj)からデータに対応する信号電位を入力する。なお、データを書き込む間は、トランジスタ181及びトランジスタ182はオフ状態である。また、配線(CLi)に入力される信号によって指定された行の記憶素子(記憶素子100b(i,j))において選択的に、データの読み出しが行われる。具体的には、配線(CLi)に入力される信号によって、同じ配線(BLj)に電気的に接続された記憶素子において、データを読み出す対象の記憶素子以外のトランジスタ102を(保持されたデータに関わらず)オン状態とする。なお、データを読み出す間は、トランジスタ181及びトランジスタ182はオン状態である。指定された記憶素子におけるデータの書き込み及び読み出しの方法は、上記実施の形態で説明した一時記憶回路100Bのデータの書き込み及び読み出しと同様であるため説明は省略する。
【0159】
また、メモリセルアレイ200の有する記憶素子100b(i,j)として、図1(B)や図18(A)に示した記憶素子100bを用いる場合には、メモリセルアレイ200からデータを読み出す読み出し回路として、図2(C)で示した読み出し回路110Aと同様の構成の読み出し回路を用いることができる。ここで、メモリセルアレイ200からデータを読み出す読み出し回路の入力端子(IN)は、メモリセルアレイ200の配線(BLj)が電気的に接続される。
【0160】
(メモリセルアレイの構成のバリエーション)
以下、メモリセルアレイの構成のバリエーションについて説明する。
【0161】
メモリセルアレイ200や、これらメモリセルアレイが有する記憶素子は、ダイオード、抵抗素子、インダクタ、演算回路(演算素子)、スイッチを更に有していても良い。演算回路(演算素子)としては、バッファ、インバータ、NAND回路、NOR回路、スリーステートバッファ、クロックドインバータ等を用いることができる。スイッチとしては、例えばアナログスイッチ、トランジスタ等を用いることができる。また、スイッチとして、クロック信号及びクロック信号の反転信号の一方または両方が入力される演算回路(演算素子)を用いることもできる。
【0162】
例えば、メモリセルアレイ200が有する複数の記憶素子として、図5(B)に示すような記憶素子100dを用いても良い。記憶素子100dでは、図1(A)に示した記憶素子100aの構成に加えて、ダイオード142を有する。トランジスタ102のソース及びドレインの他方は、ダイオード142を介して端子Bと電気的に接続される。
【0163】
例えば、メモリセルアレイ200が有する複数の記憶素子として、図5(C)に示すような記憶素子100eを用いても良い。記憶素子100eでは、図1(A)に示した記憶素子100aの構成に加えて、スイッチ140を有する。スイッチ140は、例えばトランジスタ141によって構成することができる。トランジスタ141のゲートは端子Xに電気的に接続され、トランジスタ102のソース及びドレインの他方は、トランジスタ141を介して端子Bと電気的に接続される。記憶素子100eを用いたメモリセルアレイ200では、図5(A)に示した様な、トランジスタ102が直列に電気的に接続される構成であっても、端子Xに入力される制御信号によって、特定の行の記憶素子において選択的にデータの読み出しを行うことができる。
【0164】
例えば、メモリセルアレイ200が有する複数の記憶素子として、図5(D)に示すような記憶素子100fを用いても良い。記憶素子100fでは、図1(A)に示した記憶素子100aの構成において、トランジスタ101を酸化物半導体層を挟んで上下に2つのゲートを有するトランジスタとした例である。図5(D)において、トランジスタ101の一方のゲートは端子Wと電気的に接続され、他方のゲートには、端子Wとは別の端子WBと電気的に接続される構成を模式的に示している。
【0165】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0166】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1で示した一時記憶回路と、実施の形態2で示した、一時記憶回路からデータを読み出す読み出し回路(以下、第1の読み出し回路と呼ぶ)と、実施の形態3で示した、複数の記憶素子を有するメモリセルアレイ200との他に更に、メモリセルアレイ200からデータを読み出す第2の読み出し回路と、xデコーダと、yデコーダと、とを有する構成の記憶装置について説明する。
【0167】
図3(A)に記憶装置の一態様を示す。図3(A)において、記憶装置222は、一時記憶回路1000、第1の読み出し回路1100と、メモリセルアレイ200と、第2の読み出し回路1110と、xデコーダ202と、yデコーダ201と、とを有する。
【0168】
一時記憶回路1000としては、実施の形態1で示した一時記憶回路を用いることができる。第1の読み出し回路1100としては、実施の形態2で示した読み出し回路を用いることができる。メモリセルアレイ200としては、実施の形態3で示したメモリセルアレイを用いることができる。第2の読み出し回路1110としては、実施の形態2で示した読み出し回路と同様の読み出し回路を用いることができる。xデコーダ202及びyデコーダ201としては、公知の構成のデコーダを用いることができる。なお、xデコーダ202、yデコーダ201は、コラムデコーダ、ローデコーダと呼ぶこともできる。
【0169】
一時記憶回路1000として、一時記憶回路100Aまたは一時記憶回路100Bを用いる場合には、第1の読み出し回路1100として読み出し回路110Aを用いることができる。一時記憶回路1000として、一時記憶回路100Cを用いる場合には、第1の読み出し回路1100として読み出し回路110Bを用いることができる。メモリセルアレイ200が有する複数の記憶素子として、記憶素子100bを用いた場合には、第2の読み出し回路1110として読み出し回路110Aを用いることができる。メモリセルアレイ200が有する複数の記憶素子として、記憶素子100cを用いた場合には、第2の読み出し回路1110として読み出し回路110Bを用いることができる。
【0170】
なお、メモリセルアレイ200が有する記憶素子と、一時記憶回路1000が有する記憶素子とが同じ構成の場合には、第1の読み出し回路1100と第2の読み出し回路1110とを共有することができる。図3(B)は、第1の読み出し回路1100と第2の読み出し回路1110とを共有し、読み出し回路1111とした例である。
【0171】
(記憶装置の駆動方法)
次いで、記憶装置の駆動方法の一態様について説明する。
【0172】
(図3(A)に示す記憶装置222の駆動方法)
記憶装置222にデータが入力されると、当該データは一時記憶回路1000に入力され(図3(A)中、F1の矢印参照)、一時記憶回路1000において保持される。その後、第1の読み出し回路1100によって一時記憶回路1000からデータが読み出され(図3(A)中、F2の矢印参照)、メモリセルアレイ200に含まれる複数の記憶素子(メモリセル)のうち、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定されたメモリセルに書き込まれる(図3(A)中、F3の矢印参照)。ここで、xデコーダ202及びyデコーダ201によって複数のメモリセルを同時に指定することができる。以下、同時に指定される複数のメモリセルをブロックと呼ぶことにする。
【0173】
また、メモリセルアレイ200に含まれるメモリセルのうち、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、第2の読み出し回路1110によって読み出され(図3(A)中、F4の矢印参照)、読み出されたデータは一時記憶回路1000に入力され(図3(A)中、F5の矢印参照)、保持される。そして、一時記憶回路1000に保持されたデータを、第1の読み出し回路1100によって読み出し(図3(A)中、F2の矢印参照)、記憶装置から出力する(図3(A)中、F6の矢印参照)。
【0174】
メモリセルアレイ200に含まれるメモリセルのうち、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、第2の読み出し回路1110によって読み出され(図3(A)中、F4の矢印参照)、読み出されたデータが一時記憶回路1000に入力され(図3(A)中、F5の矢印参照)、保持される。そして、一時記憶回路1000に保持されたデータを、第1の読み出し回路1100によって読み出し(図3(A)中、F2の矢印参照)、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定された別のメモリセル(または別のブロック)に書き込む(図3(A)中、F3の矢印参照)。こうして、メモリセルアレイ200内で、データをコピーすることができる。
【0175】
メモリセルアレイ200に含まれるメモリセルのうち、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、第2の読み出し回路1110によって読み出され(図3(A)中、F4の矢印参照)、読み出されたデータが一時記憶回路1000に入力され(図3(A)中、F5の矢印参照)、保持される。そして、一時記憶回路1000に保持されたデータを、第1の読み出し回路1100によって読み出し(図3(A)中、F2の矢印参照)、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定された同じメモリセル(または同じブロック)に書き込む(図3(A)中、F3の矢印参照)。こうして、メモリセルアレイ200内で、データを再書き込み(リフレッシュ)することができる。
【0176】
以上が、図3(A)に示す記憶装置222の駆動方法の一態様である。なお、第2の読み出し回路1110によってメモリセルアレイ200から読み出したデータを、一時記憶回路1000に入力することなく、外部に出力してもよい。
【0177】
(図3(B)に示す記憶装置222の駆動方法)
記憶装置222にデータが入力されると、当該データは一時記憶回路1000に入力され(図3(B)中、F1の矢印参照)、一時記憶回路1000において保持される。その後、読み出し回路1111によって一時記憶回路1000からデータが読み出され(図3(B)中、F2の矢印参照)、メモリセルアレイ200に含まれる複数の記憶素子(メモリセル)のうち、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定されたメモリセルに書き込まれる(図3(B)中、F3の矢印参照)。ここで、xデコーダ202及びyデコーダ201によって複数のメモリセルを同時に指定することができる。以下、同時に指定される複数のメモリセルをブロックと呼ぶことにする。
【0178】
また、メモリセルアレイ200に含まれるメモリセルのうち、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、読み出し回路1111によって読み出される(図3(B)中、F4の矢印参照)、読み出されたデータは一時記憶回路1000に入力され(図3(B)中、F5の矢印参照)、保持される。そして、一時記憶回路1000に保持されたデータを、読み出し回路1111によって読み出し(図3(B)中、F2の矢印参照)、記憶装置から出力する(図3(B)中、F6の矢印参照)。
【0179】
メモリセルアレイ200に含まれるメモリセルのうち、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、読み出し回路1111によって読み出され(図3(B)中、F4の矢印参照)、読み出されたデータが一時記憶回路1000に入力され(図3(B)中、F5の矢印参照)、保持される。そして、一時記憶回路1000に保持されたデータを、読み出し回路1111によって読み出し(図3(B)中、F2の矢印参照)、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定された別のメモリセル(または別のブロック)に書き込む(図3(B)中、F3の矢印参照)。こうして、メモリセルアレイ200内で、データをコピーすることができる。
【0180】
メモリセルアレイ200に含まれるメモリセルのうち、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定されたメモリセル(またはブロック)に記憶されたデータは、読み出し回路1111によって読み出され(図3(B)中、F4の矢印参照)、読み出されたデータが一時記憶回路1000に入力され(図3(B)中、F5の矢印参照)、保持される。そして、一時記憶回路1000に保持されたデータを、読み出し回路1111によって読み出し(図3(B)中、F2の矢印参照)、xデコーダ202及びyデコーダ201によって指定された同じメモリセル(または同じブロック)に書き込む(図3(B)中、F3の矢印参照)。こうして、メモリセルアレイ200内で、データを再書き込み(リフレッシュ)することができる。
【0181】
以上が、図3(B)に示す記憶装置222の駆動方法の一態様である。なお、メモリセルアレイ200から読み出し回路1111によって読み出したデータを、一時記憶回路1000に入力することなく、外部に出力してもよい。
【0182】
本実施の形態は、他の実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0183】
(実施の形態5)
本実施の形態では、実施の形態4で示した記憶装置を用いた信号処理回路の構成について説明する。
【0184】
図16に、本発明の一態様に係る信号処理回路の一例を示す。信号処理回路は、一または複数の演算回路と、一または複数の記憶装置(レジスタ、メインメモリ等)とを少なくとも有する。具体的に、図16に示す信号処理回路150は、演算回路151、演算回路152、レジスタ153、レジスタ154、メインメモリ155、制御装置156、電源制御回路157を有する。
【0185】
演算回路151、演算回路152は、単純な論理演算を行う論理回路をはじめ、加算器、乗算器、さらには各種演算回路などを含む。そして、レジスタ153は、演算回路151における演算処理の際に、データを一時的に保持する記憶装置である。レジスタ154は、演算回路152における演算処理の際に、データを一時的に保持する記憶装置である。
【0186】
また、メインメモリ155は、制御装置156が実行するプログラムをデータとして記憶する、或いは演算回路151、演算回路152からのデータを記憶することができる。
【0187】
制御装置156は、信号処理回路150が有する演算回路151、演算回路152、レジスタ153、レジスタ154、メインメモリ155の動作を統括的に制御する回路である。なお、図16では、制御装置156が信号処理回路150の一部である構成を示しているが、制御装置156は信号処理回路150の外部に設けられていても良い。
【0188】
実施の形態1で示した一時記憶回路や、実施の形態4で示した記憶装置をメインメモリ155に用いることで、メインメモリ155への電源電圧の供給を停止しても、データを保持することができる。よって、信号処理回路150の消費電力を抑えることができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。
【0189】
また、メインメモリ155への電源電圧の供給が停止されるのに合わせて、メインメモリ155とデータのやり取りを行う演算回路または制御回路への、電源電圧の供給を停止するようにしても良い。
【0190】
また、電源制御回路157は、信号処理回路150が有する演算回路151、演算回路152、レジスタ153、レジスタ154、メインメモリ155、制御装置156へ供給する電源電圧の大きさを制御する。そして、電源電圧の供給を停止する場合、電源電圧の供給を停止するためのスイッチング素子は、電源制御回路157に設けられていても良いし、演算回路151、演算回路152、メインメモリ155、制御装置156のそれぞれに設けられていても良い。後者の場合、電源制御回路157は、必ずしも本発明の信号処理回路に設ける必要はない。
【0191】
なお、メインメモリ155と、演算回路151、演算回路152、制御装置156の間に、キャッシュメモリとして機能する記憶装置を設けても良い。キャッシュメモリを設けることで、低速なメインメモリへのアクセスを減らして演算処理などの信号処理を高速化させることができる。キャッシュメモリとして機能する記憶装置にも、実施の形態1で示した一時記憶回路や、実施の形態4で示した記憶装置を用いることで、信号処理回路150の消費電力を抑えることができる。また、電源電圧の供給を再開した後、短時間で電源供給停止前の状態に復帰することができる。
【0192】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0193】
(実施の形態6)
図1(B)に示した記憶素子100bの作製方法について説明する。トランジスタ102は、チャネルがシリコンに形成されるトランジスタである場合を例に挙げる。本実施の形態では、トランジスタ102と、チャネルが酸化物半導体層に形成されるトランジスタ101と、容量素子103とを例に挙げて、記憶素子100bの作製方法について説明する。
【0194】
なお、記憶素子100aにおけるトランジスタ101及びトランジスタ102は、記憶素子100bにおけるトランジスタ101及びトランジスタ102と同様に作製することができる。記憶素子100cにおけるトランジスタ104及び容量素子105は、記憶素子100bにおけるトランジスタ101及び容量素子103と同様に作製することができる。
【0195】
更に、一時記憶回路が有するその他のトランジスタや容量素子も、記憶素子100bにおけるトランジスタ101、トランジスタ102、容量素子103と同様に作製することができる。また、読み出し回路が有するトランジスタや容量素子も、記憶素子100bにおけるトランジスタ101、トランジスタ102、容量素子103と同様に作製することができる。メモリセルアレイが有するトランジスタや容量素子も、記憶素子100bにおけるトランジスタ101、トランジスタ102、容量素子103と同様に作製することができる。
【0196】
まず、図6(A)に示すように、基板700上に絶縁膜701と、単結晶の半導体基板から分離された半導体膜702とを形成する。
【0197】
基板700として使用することができる素材に大きな制限はないが、少なくとも、後の加熱処理に耐えうる程度の耐熱性を有していることが必要となる。例えば、基板700には、フュージョン法やフロート法で作製されるガラス基板、石英基板、半導体基板、セラミック基板等を用いることができる。ガラス基板としては、後の加熱処理の温度が高い場合には、歪み点が730℃以上のものを用いると良い。
【0198】
また、本実施の形態では、半導体膜702が単結晶のシリコンである場合を例に挙げて、以下、トランジスタ102の作製方法について説明する。なお、具体的な単結晶の半導体膜702の作製方法の一例について、簡単に説明する。まず、単結晶の半導体基板であるボンド基板に、電界で加速されたイオンでなるイオンビームを注入し、ボンド基板の表面から一定の深さの領域に、結晶構造が乱されることで局所的に脆弱化された脆化層を形成する。脆化層が形成される領域の深さは、イオンビームの加速エネルギーとイオンビームの入射角によって調節することができる。そして、ボンド基板と、絶縁膜701が形成された基板700とを、間に当該絶縁膜701が挟まるように貼り合わせる。貼り合わせは、ボンド基板と基板700とを重ね合わせた後、ボンド基板と基板700の一部に、1N/cm以上500N/cm以下、好ましくは11N/cm以上20N/cm以下程度の圧力を加える。圧力を加えると、その部分からボンド基板と絶縁膜701とが接合を開始し、最終的には密着した面全体に接合がおよぶ。次いで、加熱処理を行うことで、脆化層に存在する微小ボイドどうしが結合して、微小ボイドの体積が増大する。その結果、脆化層においてボンド基板の一部である単結晶半導体膜が、ボンド基板から分離する。上記加熱処理の温度は、基板700の歪み点を越えない温度とする。そして、上記単結晶半導体膜をエッチング等により所望の形状に加工することで、半導体膜702を形成することができる。
【0199】
半導体膜702には、閾値電圧を制御するために、硼素、アルミニウム、ガリウムなどのp型の導電性を付与する不純物元素、若しくはリン、砒素などのn型の導電性を付与する不純物元素を添加しても良い。閾値電圧を制御するための不純物元素の添加は、所定の形状にエッチング加工する前の半導体膜に対して行っても良いし、所定の形状にエッチング加工した後の半導体膜702に対して行っても良い。また、閾値電圧を制御するための不純物元素の添加を、ボンド基板に対して行っても良い。若しくは、不純物元素の添加を、閾値電圧を大まかに調整するためにボンド基板に対して行った上で、閾値電圧を微調整するために、所定の形状にエッチング加工する前の半導体膜に対して、又は所定の形状にエッチング加工した後の半導体膜702に対しても行っても良い。
【0200】
なお、本実施の形態では、単結晶の半導体膜を用いる例について説明しているが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、絶縁膜701上に気相成長法を用いて形成された多結晶、微結晶、非晶質の半導体膜を用いても良いし、上記半導体膜を公知の技術により結晶化しても良い。公知の結晶化方法としては、レーザ光を用いたレーザ結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法がある。或いは、触媒元素を用いる結晶化法とレーザ結晶化法とを組み合わせて用いることもできる。また、石英のような耐熱性に優れている基板を用いる場合、電熱炉を使用した熱結晶化方法、赤外光を用いたランプ加熱結晶化法、触媒元素を用いる結晶化法、950℃程度の高温加熱法を組み合わせた結晶化法を用いても良い。
【0201】
次に、図6(B)に示すように、半導体膜702上にゲート絶縁膜703を形成した後、ゲート絶縁膜703上にマスク705を形成し、導電性を付与する不純物元素を半導体膜702の一部に添加することで、不純物領域704を形成する。
【0202】
ゲート絶縁膜703は、高密度プラズマ処理、熱処理などを行うことにより半導体膜702の表面を酸化又は窒化することで形成することができる。高密度プラズマ処理は、例えばHe、Ar、Kr、Xeなどの希ガスと酸素、酸化窒素、アンモニア、窒素、水素などの混合ガスとを用いて行う。この場合、プラズマの励起をマイクロ波の導入により行うことで、低電子温度で高密度のプラズマを生成することができる。このような高密度のプラズマで生成された酸素ラジカル(OHラジカルを含む場合もある)や窒素ラジカル(NHラジカルを含む場合もある)によって、半導体膜の表面を酸化又は窒化することにより、1〜20nm、望ましくは5〜10nmの絶縁膜が半導体膜に接するように形成できる。例えば、亜酸化窒素(NO)をArで1〜3倍(流量比)に希釈して、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して半導体膜702の表面を酸化若しくは窒化させる。この処理により1nm〜10nm(好ましくは2nm〜6nm)の絶縁膜を形成する。更に亜酸化窒素(NO)とシラン(SiH)を導入し、10〜30Paの圧力にて3〜5kWのマイクロ波(2.45GHz)電力を印加して気相成長法により酸化窒化珪素膜を形成してゲート絶縁膜を形成する。固相反応と気相成長法による反応を組み合わせることにより界面準位密度が低く絶縁耐圧の優れたゲート絶縁膜を形成することができる。
【0203】
上述した高密度プラズマ処理による半導体膜の酸化又は窒化は固相反応で進むため、ゲート絶縁膜703と半導体膜702との界面準位密度を極めて低くすることができる。また高密度プラズマ処理により半導体膜702を直接酸化又は窒化することで、形成される絶縁膜の厚さのばらつきを抑えることができる。また半導体膜が結晶性を有する場合、高密度プラズマ処理を用いて半導体膜の表面を固相反応で酸化させることにより、結晶粒界においてのみ酸化が速く進んでしまうのを抑え、均一性が良く、界面準位密度の低いゲート絶縁膜を形成することができる。高密度プラズマ処理により形成された絶縁膜を、ゲート絶縁膜の一部又は全部に含んで形成されるトランジスタは、特性のばらつきを抑えることができる。
【0204】
また、プラズマCVD法又はスパッタリング法などを用い、酸化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化ハフニウム、酸化アルミニウム又は酸化タンタル、酸化イットリウム、ハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムシリケート(HfSi(x>0、y>0))、窒素が添加されたハフニウムアルミネート(HfAl(x>0、y>0))等を含む膜を、単層で、又は積層させることで、ゲート絶縁膜703を形成しても良い。
【0205】
なお、本明細書において酸化窒化物とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多い物質であり、また、窒化酸化物とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い物質を意味する。
【0206】
ゲート絶縁膜703の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下、好ましくは10nm以上50nm以下とすることができる。本実施の形態では、プラズマCVD法を用いて、酸化珪素を含む単層の絶縁膜を、ゲート絶縁膜703として用いる。
【0207】
次いで、マスク705を除去した後、図6(C)に示すように、ゲート絶縁膜703の一部を除去して、不純物領域704と重畳する領域にエッチング等により開口部706を形成した後、ゲート電極707及び導電膜708を形成する。
【0208】
ゲート電極707及び導電膜708は、開口部706を覆うように導電膜を形成した後、該導電膜を所定の形状に加工することで、形成することができる。導電膜708は、開口部706において不純物領域704と接している。上記導電膜の形成にはCVD法、スパッタリング法、蒸着法、スピンコート法等を用いることができる。また、導電膜は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、ニオブ(Nb)等を用いることができる。上記金属を主成分とする合金を用いても良いし、上記金属を含む化合物を用いても良い。又は、半導体膜に導電性を付与するリン等の不純物元素をドーピングした、多結晶珪素などの半導体を用いて形成しても良い。
【0209】
なお、本実施の形態ではゲート電極707及び導電膜708を単層の導電膜で形成しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。ゲート電極707及び導電膜708は積層された複数の導電膜で形成されていても良い。
【0210】
2つの導電膜の組み合わせとして、1層目に窒化タンタル又はタンタルを、2層目にタングステンを用いることができる。上記例の他に、窒化タングステンとタングステン、窒化モリブデンとモリブデン、アルミニウムとタンタル、アルミニウムとチタン等が挙げられる。タングステンや窒化タンタルは、耐熱性が高いため、2層の導電膜を形成した後の工程において、熱活性化を目的とした加熱処理を行うことができる。また、2層の導電膜の組み合わせとして、例えば、n型の導電性を付与する不純物元素がドーピングされた珪素とニッケルシリサイド、n型の導電性を付与する不純物元素がドーピングされた珪素とタングステンシリサイド等も用いることができる。
【0211】
3つ以上の導電膜を積層する3層構造の場合は、モリブデン膜とアルミニウム膜とモリブデン膜の積層構造を採用するとよい。
【0212】
また、ゲート電極707及び導電膜708に酸化インジウム、酸化インジウム酸化スズ、酸化インジウム酸化亜鉛、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、又は酸化亜鉛ガリウム等の透光性を有する酸化物導電膜を用いることもできる。
【0213】
なお、マスクを用いずに、液滴吐出法を用いて選択的にゲート電極707及び導電膜708を形成しても良い。液滴吐出法とは、所定の組成物を含む液滴を細孔から吐出又は噴出することで所定のパターンを形成する方法を意味し、インクジェット法などがその範疇に含まれる。
【0214】
また、ゲート電極707及び導電膜708は、導電膜を形成後、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極層に印加される電力量、基板側の電極層に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することにより、所望のテーパー形状を有するようにエッチングすることができる。また、テーパー形状は、マスクの形状によっても角度等を制御することができる。なお、エッチング用ガスとしては、塩素、塩化硼素、塩化珪素もしくは四塩化炭素などの塩素系ガス、四弗化炭素、弗化硫黄もしくは弗化窒素などのフッ素系ガス又は酸素を適宜用いることができる。
【0215】
次に、図6(D)に示すように、ゲート電極707及び導電膜708をマスクとして一導電性を付与する不純物元素を半導体膜702に添加することで、ゲート電極707と重なるチャネル形成領域710と、チャネル形成領域710を間に挟む一対の不純物領域709と、不純物領域704の一部に更に不純物元素が添加された不純物領域711とが、半導体膜702に形成される。
【0216】
本実施の形態では、半導体膜702にp型を付与する不純物元素(例えばボロン)を添加する場合を例に挙げる。
【0217】
次いで、図7(A)に示すように、ゲート絶縁膜703、ゲート電極707、導電膜708を覆うように、絶縁膜712、絶縁膜713を形成する。具体的に、絶縁膜712、絶縁膜713は、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウムなどの無機の絶縁膜を用いることができる。特に、絶縁膜712、絶縁膜713に誘電率の低い(low−k)材料を用いることで、各種電極や配線の重なりに起因する容量を十分に低減することが可能になるため好ましい。なお、絶縁膜712、絶縁膜713に、上記材料を用いた多孔性の絶縁膜を適用しても良い。多孔性の絶縁膜では、密度の高い絶縁膜と比較して誘電率が低下するため、電極や配線に起因する寄生容量を更に低減することが可能である。
【0218】
本実施の形態では、絶縁膜712として酸化窒化珪素、絶縁膜713として窒化酸化珪素を用いる場合を例に挙げる。また、本実施の形態では、ゲート電極707及び導電膜708上に絶縁膜712、絶縁膜713を形成している場合を例示しているが、本発明はゲート電極707及び導電膜708上に絶縁膜を1層だけ形成していても良いし、3層以上の複数の絶縁膜を積層するように形成していても良い。
【0219】
次いで、図7(B)に示すように、絶縁膜712及び絶縁膜713にCMP(化学的機械研磨)処理やエッチング処理を行うことにより、ゲート電極707及び導電膜708の表面を露出させる。なお、後に形成されるトランジスタ101の特性を向上させるために、絶縁膜712、絶縁膜713の表面は可能な限り平坦にしておくことが好ましい。
【0220】
以上の工程により、トランジスタ102を形成することができる。
【0221】
次いで、トランジスタ101の作製方法について説明する。まず、図7(C)に示すように、絶縁膜712又は絶縁膜713上に酸化物半導体層716を形成する。
【0222】
酸化物半導体層716は、絶縁膜712及び絶縁膜713上に形成した酸化物半導体膜を所望の形状に加工することで、形成することができる。上記酸化物半導体膜の膜厚は、2nm以上200nm以下、好ましくは3nm以上50nm以下、更に好ましくは3nm以上20nm以下とする。酸化物半導体膜は、酸化物半導体をターゲットとして用い、スパッタ法により成膜する。また、酸化物半導体膜は、希ガス(例えばアルゴン)雰囲気下、酸素雰囲気下、又は希ガス(例えばアルゴン)及び酸素混合雰囲気下においてスパッタ法により形成することができる。
【0223】
なお、酸化物半導体膜をスパッタ法により成膜する前に、アルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、絶縁膜712及び絶縁膜713の表面に付着している塵埃を除去することが好ましい。逆スパッタとは、ターゲット側に電圧を印加せずに、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、亜酸化窒素などを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気に塩素、四フッ化炭素などを加えた雰囲気で行ってもよい。
【0224】
酸化物半導体層としては、少なくともIn、Ga、Sn及びZnから選ばれた一種以上の元素を含有する。例えば、四元系金属の酸化物であるIn−Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体や、三元系金属の酸化物であるIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、In−Sn−Zn−O系酸化物半導体、In−Al−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Al−Ga−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Al−Zn−O系酸化物半導体や、二元系金属の酸化物であるIn−Zn−O系酸化物半導体、Sn−Zn−O系酸化物半導体、Al−Zn−O系酸化物半導体、Zn−Mg−O系酸化物半導体、Sn−Mg−O系酸化物半導体、In−Mg−O系酸化物半導体や、In−Ga−O系の材料、一元系金属の酸化物であるIn−O系酸化物半導体、Sn−O系酸化物半導体、Zn−O系酸化物半導体などを用いることができる。また、上記酸化物半導体にInとGaとSnとZn以外の元素、例えばSiOを含ませてもよい。
【0225】
例えば、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体とは、インジウム(In)、ガリウム(Ga)、亜鉛(Zn)を有する酸化物半導体、という意味であり、その組成比は問わない。
【0226】
また、酸化物半導体層は、化学式InMO(ZnO)(m>0)で表記される薄膜を用いることができる。ここで、Mは、Zn、Ga、Al、Mn及びCoから選ばれた一または複数の金属元素を示す。例えばMとして、Ga、Ga及びAl、Ga及びMn、またはGa及びCoなどがある。
【0227】
また、酸化物半導体としてIn−Zn−O系の材料を用いる場合、用いるターゲットの組成比は、原子数比で、In:Zn=50:1〜1:2(モル数比に換算するとIn:ZnO=25:1〜1:4)、好ましくはIn:Zn=20:1〜1:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=10:1〜1:2)、さらに好ましくはIn:Zn=15:1〜1.5:1(モル数比に換算するとIn:ZnO=15:2〜3:4)とする。例えば、In−Zn−O系酸化物半導体の形成に用いるターゲットは、原子数比がIn:Zn:O=X:Y:Zのとき、Z>1.5X+Yとする。
【0228】
本実施の形態では、In(インジウム)、Ga(ガリウム)、及びZn(亜鉛)を含むターゲットを用いたスパッタ法により得られる膜厚30nmのIn−Ga−Zn−O系酸化物半導体の薄膜を、酸化物半導体膜として用いる。上記ターゲットとして、例えば、各金属の組成比がIn:Ga:Zn=1:1:0.5、In:Ga:Zn=1:1:1、又はIn:Ga:Zn=1:1:2であるターゲットを用いることができる。また、In、Ga、及びZnを含むターゲットの充填率は90%以上100%以下、好ましくは95%以上100%未満である。充填率の高いターゲットを用いることにより、成膜した酸化物半導体膜は緻密な膜となる。
【0229】
本実施の形態では、減圧状態に保持された処理室内に基板を保持し、処理室内の残留水分を除去しつつ水素及び水分が除去されたスパッタガスを導入し、上記ターゲットを用いて酸化物半導体膜を成膜する。成膜時に、基板温度を100℃以上600℃以下、好ましくは200℃以上400℃以下としても良い。基板を加熱しながら成膜することにより、成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物濃度を低減することができる。また、スパッタリングによる損傷が軽減される。処理室内の残留水分を除去するためには、吸着型の真空ポンプを用いることが好ましい。例えば、クライオポンプ、イオンポンプ、チタンサブリメーションポンプを用いることが好ましい。また、排気手段としては、ターボポンプにコールドトラップを加えたものであってもよい。クライオポンプを用いて処理室を排気すると、例えば、水素原子、水(HO)など水素原子を含む化合物(より好ましくは炭素原子を含む化合物も)等が排気されるため、当該処理室で成膜した酸化物半導体膜に含まれる不純物の濃度を低減できる。
【0230】
成膜条件の一例としては、基板とターゲットの間との距離を100mm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源0.5kW、酸素(酸素流量比率100%)雰囲気下の条件が適用される。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する塵埃が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。
【0231】
また、スパッタリング装置の処理室のリークレートを1×10−10Pa・m/秒以下とすることで、スパッタリング法による成膜途中における酸化物半導体膜への、アルカリ金属、水素化物等の不純物の混入を低減することができる。また、排気系として上述した吸着型の真空ポンプを用いることで、排気系からのアルカリ金属、水素原子、水素分子、水、水酸基、または水素化物等の不純物の逆流を低減することができる。
【0232】
また、ターゲットの純度を、99.99%以上とすることで、酸化物半導体膜に混入するアルカリ金属、水素原子、水素分子、水、水酸基、または水素化物等を低減することができる。また、当該ターゲットを用いることで、酸化物半導体膜において、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の濃度を低減することができる。
【0233】
なお、酸化物半導体膜に水素、水酸基及び水分がなるべく含まれないようにするために、成膜の前処理として、スパッタリング装置の予備加熱室で絶縁膜712及び絶縁膜713までが形成された基板700を予備加熱し、基板700に吸着した水分又は水素などの不純物を脱離し排気することが好ましい。なお、予備加熱の温度は、100℃以上400℃以下、好ましくは150℃以上300℃以下である。また、予備加熱室に設ける排気手段はクライオポンプが好ましい。なお、この予備加熱の処理は省略することもできる。また、この予備加熱は、後に行われるゲート絶縁膜721の成膜前に、導電膜719、導電膜720まで形成した基板700にも同様に行ってもよい。
【0234】
なお、酸化物半導体層716を形成するためのエッチングは、ドライエッチングでもウェットエッチングでもよく、両方を用いてもよい。ドライエッチングに用いるエッチングガスとしては、塩素を含むガス(塩素系ガス、例えば塩素(Cl)、三塩化硼素(BCl)、四塩化珪素(SiCl)、四塩化炭素(CCl)など)が好ましい。また、フッ素を含むガス(フッ素系ガス、例えば四弗化炭素(CF)、六弗化硫黄(SF)、三弗化窒素(NF)、トリフルオロメタン(CHF)など)、臭化水素(HBr)、酸素(O)、これらのガスにヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスを添加したガス、などを用いることができる。
【0235】
ドライエッチング法としては、平行平板型RIE(Reactive Ion Etching)法や、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング法を用いることができる。所望の形状にエッチングできるように、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節する。
【0236】
ウェットエッチングに用いるエッチング液として、燐酸と酢酸と硝酸を混ぜた溶液、クエン酸やシュウ酸などの有機酸を用いることができる。本実施の形態では、ITO−07N(関東化学社製)を用いる。
【0237】
酸化物半導体層716を形成するためのレジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0238】
なお、次工程の導電膜を形成する前に逆スパッタを行い、酸化物半導体層716及び絶縁膜712及び絶縁膜713の表面に付着しているレジスト残渣などを除去することが好ましい。
【0239】
なお、スパッタ等で成膜された酸化物半導体膜中には、不純物としての水分又は水素(水酸基を含む)が多量に含まれていることがある。水分又は水素はドナー準位を形成しやすいため、酸化物半導体にとっては不純物である。そこで、本発明の一態様では、酸化物半導体膜中の水分又は水素などの不純物を低減(脱水化または脱水素化)するために、酸化物半導体層716に対して、減圧雰囲気下、窒素や希ガスなどの不活性ガス雰囲気下、酸素ガス雰囲気下、又は超乾燥エア(CRDS(キャビティリングダウンレーザー分光法)方式の露点計を用いて測定した場合の水分量が20ppm(露点換算で−55℃)以下、好ましくは1ppm以下、好ましくは10ppb以下の空気)雰囲気下で、酸化物半導体層716に加熱処理を施す。
【0240】
酸化物半導体層716に加熱処理を施すことで、酸化物半導体層716中の水分又は水素を脱離させることができる。具体的には、250℃以上750℃以下、好ましくは400℃以上基板の歪み点未満の温度で加熱処理を行えば良い。例えば、500℃、3分間以上6分間以下程度で行えばよい。加熱処理にRTA法を用いれば、短時間に脱水化又は脱水素化が行えるため、ガラス基板の歪点を超える温度でも処理することができる。
【0241】
本実施の形態では、加熱処理装置の一つである電気炉を用いる。
【0242】
なお、加熱処理装置は電気炉に限られず、抵抗発熱体などの発熱体からの熱伝導又は熱輻射によって、被処理物を加熱する装置を備えていてもよい。例えば、GRTA(Gas Rapid Thermal Anneal)装置、LRTA(Lamp Rapid Thermal Anneal)装置等のRTA(Rapid Thermal Anneal)装置を用いることができる。LRTA装置は、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、キセノンアークランプ、カーボンアークランプ、高圧ナトリウムランプ、高圧水銀ランプなどのランプから発する光(電磁波)の輻射により、被処理物を加熱する装置である。GRTA装置は、高温のガスを用いて加熱処理を行う装置である。気体には、アルゴンなどの希ガス、又は窒素のような、加熱処理によって被処理物と反応しない不活性気体が用いられる。
【0243】
加熱処理においては、窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスに、水分又は水素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する窒素、又はヘリウム、ネオン、アルゴン等の希ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0244】
なお、酸化物半導体は不純物に対して鈍感であり、膜中にはかなりの金属不純物が含まれていても問題がなく、ナトリウムのようなアルカリ金属が多量に含まれる廉価なソーダ石灰ガラスも使えると指摘されている(神谷、野村、細野、「アモルファス酸化物半導体の物性とデバイス開発の現状」、固体物理、2009年9月号、Vol.44、pp.621−633.)。しかし、このような指摘は適切でない。アルカリ金属は酸化物半導体を構成する元素ではないため、不純物である。アルカリ土類金属も、酸化物半導体を構成する元素ではない場合において、不純物となる。特に、アルカリ金属のうちNaは、酸化物半導体層に接する絶縁膜が酸化物である場合、当該絶縁膜中に拡散してNaとなる。また、Naは、酸化物半導体層内において、酸化物半導体を構成する金属と酸素の結合を分断する、或いは、その結合中に割り込む。その結果、例えば、閾値電圧がマイナス方向にシフトすることによるノーマリオン化、移動度の低下等の、トランジスタの特性の劣化が起こり、加えて、特性のばらつきも生じる。この不純物によりもたらされるトランジスタの特性の劣化と、特性のばらつきは、酸化物半導体層中の水素濃度が十分に低い場合において顕著に現れる。従って、酸化物半導体層中の水素濃度が1×1018/cm以下、より好ましくは1×1017/cm以下である場合には、上記不純物の濃度を低減することが望ましい。具体的に、二次イオン質量分析法によるNa濃度の測定値は、5×1016/cm以下、好ましくは1×1016/cm以下、更に好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。同様に、Li濃度の測定値は、5×1015/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。同様に、K濃度の測定値は、5×1015/cm以下、好ましくは1×1015/cm以下とするとよい。
【0245】
なお、酸化物半導体層は、アモルファス(非晶質)であってもよいし、結晶性を有していてもよい。後者の場合、単結晶でもよいし、多結晶でもよいし、一部分が結晶性を有する構成でもよいし、アモルファス中に結晶性を有する部分を含む構造でもよいし、非アモルファスでもよい。例えば、酸化物半導体層として、c軸配向し、かつab面、表面または界面の方向から見て三角形状または六角形状の原子配列を有し、c軸においては金属原子が層状または金属原子と酸素原子とが層状に配列しており、ab面においてはa軸またはb軸の向きが異なる(c軸を中心に回転した)結晶を(CAAC:C Axis Aligned Crystalともいう。)を含む酸化物を用いることができる。
【0246】
CAACを含む酸化物を用いた酸化物半導体膜は、スパッタリング法によっても作製することができる。スパッタリング法によってCAACを得るには酸化物半導体膜の堆積初期段階において六方晶の結晶が形成されるようにすることと、当該結晶を種として結晶が成長されるようにすることが肝要である。そのためには、ターゲットと基板の距離を広くとり(例えば、150mm〜200mm程度)、基板加熱温度を100℃〜500℃、好適には200℃〜400℃、さらに好適には250℃〜300℃にすると好ましい。また、これに加えて、成膜時の基板加熱温度よりも高い温度で、堆積された酸化物半導体膜を熱処理することで膜中に含まれるミクロな欠陥や、積層界面の欠陥を修復することができる。
【0247】
CAACを含む酸化物とは、広義に、非単結晶であって、そのab面に垂直な方向から見て、三角形、六角形、正三角形または正六角形の原子配列を有し、かつc軸方向に垂直な方向から見て、金属原子が層状、または金属原子と酸素原子が層状に配列した相を含む結晶をいう。
【0248】
CAACは単結晶ではないが、非晶質のみから形成されているものでもない。また、CAACは結晶化した部分(結晶部分)を含むが、1つの結晶部分と他の結晶部分の境界を明確に判別できないこともある。
【0249】
CAACに酸素が含まれる場合、酸素の一部は窒素で置換されてもよい。また、CAACを構成する個々の結晶部分のc軸は一定の方向(例えば、CAACを支持する基板面、CAACの表面などに垂直な方向)に揃っていてもよい。または、CAACを構成する個々の結晶部分のab面の法線は一定の方向(例えば、CAACを支持する基板面、CAACの表面などに垂直な方向)を向いていてもよい。
【0250】
CAACは、その組成などに応じて、導体であったり、半導体であったり、絶縁体であったりする。また、その組成などに応じて、可視光に対して透明であったり不透明であったりする。
【0251】
このようなCAACの例として、膜状に形成され、膜表面または支持する基板面に垂直な方向から観察すると三角形または六角形の原子配列が認められ、かつその膜断面を観察すると金属原子または金属原子および酸素原子(または窒素原子)の層状配列が認められる結晶を挙げることもできる。
【0252】
次いで、図8(A)に示すように、ゲート電極707と接し、なおかつ酸化物半導体層716とも接する導電膜719と、導電膜708と接し、なおかつ酸化物半導体層716とも接する導電膜720とを形成する。導電膜719及び導電膜720は、ソース電極又はドレイン電極として機能する。
【0253】
具体的に、導電膜719及び導電膜720は、ゲート電極707及び導電膜708を覆うようにスパッタ法や真空蒸着法で導電膜を形成した後、該導電膜を所定の形状に加工することで、形成することができる。
【0254】
導電膜719及び導電膜720となる導電膜は、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンからから選ばれた元素、又は上述した元素を成分とする合金か、上述した元素を組み合わせた合金膜等が挙げられる。また、アルミニウム、銅などの金属膜の下側もしくは上側にクロム、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンなどの高融点金属膜を積層させた構成としても良い。また、アルミニウム又は銅は、耐熱性や腐食性の問題を回避するために、高融点金属材料と組み合わせて用いると良い。高融点金属材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム、イットリウム等を用いることができる。
【0255】
また、導電膜719及び導電膜720となる導電膜は、単層構造でも、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、シリコンを含むアルミニウム膜の単層構造、アルミニウム膜上にチタン膜を積層する2層構造、チタン膜と、そのチタン膜上に重ねてアルミニウム膜を積層し、更にその上にチタン膜を成膜する3層構造などが挙げられる。また、Cu−Mg−Al合金、Mo−Ti合金、Ti、Mo、は、酸化膜との密着性が高い。よって、下層にCu−Mg−Al合金、Mo−Ti合金、Ti、或いはMoで構成される導電膜、上層にCuで構成される導電膜を積層し、上記積層された導電膜を導電膜719及び導電膜720に用いることで、酸化膜である絶縁膜と、導電膜719及び導電膜720との密着性を高めることができる。
【0256】
また、導電膜719及び導電膜720となる導電膜としては、導電性の金属酸化物で形成しても良い。導電性の金属酸化物としては酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム酸化スズ、酸化インジウム酸化亜鉛又は前記金属酸化物材料にシリコン若しくは酸化シリコンを含ませたものを用いることができる。
【0257】
導電膜形成後に加熱処理を行う場合には、この加熱処理に耐える耐熱性を導電膜に持たせることが好ましい。
【0258】
なお、導電膜のエッチングの際に、酸化物半導体層716がなるべく除去されないようにそれぞれの材料及びエッチング条件を適宜調節する。エッチング条件によっては、酸化物半導体層716の露出した部分が一部エッチングされることで、溝部(凹部)が形成されることもある。
【0259】
本実施の形態では、導電膜にチタン膜を用いる。そのため、アンモニアと過酸化水素水を含む溶液(アンモニア過水)を用いて、選択的に導電膜をウェットエッチングすることができる。具体的には、31重量%の過酸化水素水と、28重量%のアンモニア水と水とを、体積比5:2:2で混合したアンモニア過水を用いる。或いは、塩素(Cl)、塩化硼素(BCl)などを含むガスを用いて、導電膜をドライエッチングしても良い。
【0260】
なお、フォトリソグラフィ工程で用いるフォトマスク数及び工程数を削減するため、透過した光に多段階の強度をもたせる多階調マスクによって形成されたレジストマスクを用いてエッチング工程を行ってもよい。多階調マスクを用いて形成したレジストマスクは複数の膜厚を有する形状となり、エッチングを行うことで更に形状を変形することができるため、異なるパターンに加工する複数のエッチング工程に用いることができる。よって、一枚の多階調マスクによって、少なくとも二種類以上の異なるパターンに対応するレジストマスクを形成することができる。よって露光マスク数を削減することができ、対応するフォトリソグラフィ工程も削減できるため、工程の簡略化が可能となる。
【0261】
また、酸化物半導体層716と、ソース電極又はドレイン電極として機能する導電膜719及び導電膜720との間に、ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物導電膜を設けるようにしても良い。酸化物導電膜の材料としては、酸化亜鉛を成分として含むものが好ましく、酸化インジウムを含まないものであることが好ましい。そのような酸化物導電膜として、酸化亜鉛、酸化亜鉛アルミニウム、酸窒化亜鉛アルミニウム、酸化亜鉛ガリウムなどを適用することができる。
【0262】
例えば、酸化物導電膜を形成する場合、酸化物導電膜を形成するためのエッチング加工と、導電膜719及び導電膜720を形成するためのエッチング加工とを一括で行うようにしても良い。
【0263】
ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物導電膜を設けることで、酸化物半導体層716と導電膜719及び導電膜720の間の抵抗を下げることができるので、トランジスタの高速動作を実現させることができる。また、ソース領域及びドレイン領域として機能する酸化物導電膜を設けることで、トランジスタの耐圧を高めることができる。
【0264】
次いで、NO、N、又はArなどのガスを用いたプラズマ処理を行うようにしても良い。このプラズマ処理によって露出している酸化物半導体層の表面に付着した水などを除去する。また、酸素とアルゴンの混合ガスを用いてプラズマ処理を行ってもよい。
【0265】
なお、プラズマ処理を行った後、図8(B)に示すように、導電膜719及び導電膜720と、酸化物半導体層716とを覆うように、ゲート絶縁膜721を形成する。そして、ゲート絶縁膜721上において、酸化物半導体層716と重なる位置にゲート電極722を形成し、導電膜719と重なる位置に導電膜723を形成する。
【0266】
ゲート絶縁膜721は、ゲート絶縁膜703と同様の材料、同様の積層構造を用いて形成することが可能である。なお、ゲート絶縁膜721は、水分や、水素などの不純物を極力含まないことが望ましく、単層の絶縁膜であっても良いし、積層された複数の絶縁膜で構成されていても良い。ゲート絶縁膜721に水素が含まれると、その水素が酸化物半導体層716へ侵入し、又は水素が酸化物半導体層716中の酸素を引き抜き、酸化物半導体層716が低抵抗化(n型化)してしまい、寄生チャネルが形成されるおそれがある。よって、ゲート絶縁膜721はできるだけ水素を含まない膜になるように、成膜方法に水素を用いないことが重要である。上記ゲート絶縁膜721には、バリア性の高い材料を用いるのが望ましい。例えば、バリア性の高い絶縁膜として、窒化珪素膜、窒化酸化珪素膜、窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜などを用いることができる。複数の積層された絶縁膜を用いる場合、窒素の含有比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を、上記バリア性の高い絶縁膜よりも、酸化物半導体層716に近い側に形成する。そして、窒素の含有比率が低い絶縁膜を間に挟んで、導電膜719及び導電膜720及び酸化物半導体層716と重なるように、バリア性の高い絶縁膜を形成する。バリア性の高い絶縁膜を用いることで、酸化物半導体層716内、ゲート絶縁膜721内、或いは、酸化物半導体層716と他の絶縁膜の界面とその近傍に、水分又は水素などの不純物が入り込むのを防ぐことができる。また、酸化物半導体層716に接するように窒素の比率が低い酸化珪素膜、酸化窒化珪素膜などの絶縁膜を形成することで、バリア性の高い材料を用いた絶縁膜が直接酸化物半導体層716に接するのを防ぐことができる。
【0267】
本実施の形態では、スパッタ法で形成された膜厚200nmの酸化珪素膜上に、スパッタ法で形成された膜厚100nmの窒化珪素膜を積層させた構造を有する、ゲート絶縁膜721を形成する。成膜時の基板温度は、室温以上300℃以下とすればよく、本実施の形態では100℃とする。
【0268】
なお、ゲート絶縁膜721を形成した後に、加熱処理を施しても良い。加熱処理は、窒素、超乾燥空気、又は希ガス(アルゴン、ヘリウムなど)の雰囲気下において、好ましくは200℃以上400℃以下、例えば250℃以上350℃以下で行う。上記ガスは、水の含有量が20ppm以下、好ましくは1ppm以下、より好ましくは10ppb以下であることが望ましい。本実施の形態では、例えば、窒素雰囲気下で250℃、1時間の加熱処理を行う。或いは、導電膜719及び導電膜720を形成する前に、水分又は水素を低減させるための酸化物半導体層に対して行った先の加熱処理と同様に、高温短時間のRTA処理を行っても良い。酸素を含むゲート絶縁膜721が設けられた後に、加熱処理が施されることによって、酸化物半導体層716に対して行った先の加熱処理により、酸化物半導体層716に酸素欠損が発生していたとしても、ゲート絶縁膜721から酸化物半導体層716に酸素が供与される。そして、酸化物半導体層716に酸素が供与されることで、酸化物半導体層716において、ドナーとなる酸素欠損を低減し、化学量論的組成比を満たすことが可能である。酸化物半導体層716には、化学量論的組成比を超える量の酸素が含まれていることが好ましい。その結果、酸化物半導体層716をi型に近づけることができ、酸素欠損によるトランジスタの電気特性のばらつきを軽減し、電気特性の向上を実現することができる。この加熱処理を行うタイミングは、ゲート絶縁膜721の形成後であれば特に限定されず、他の工程、例えば樹脂膜形成時の加熱処理や、透明導電膜を低抵抗化させるための加熱処理と兼ねることで、工程数を増やすことなく、酸化物半導体層716をi型に近づけることができる。
【0269】
また、酸素雰囲気下で酸化物半導体層716に加熱処理を施すことで、酸化物半導体に酸素を添加し、酸化物半導体層716中においてドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。加熱処理の温度は、例えば100℃以上350℃未満、好ましくは150℃以上250℃未満で行う。上記酸素雰囲気下の加熱処理に用いられる酸素ガスには、水、水素などが含まれないことが好ましい。又は、加熱処理装置に導入する酸素ガスの純度を、6N(99.9999%)以上、好ましくは7N(99.99999%)以上、(即ち酸素中の不純物濃度を1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下)とすることが好ましい。
【0270】
或いは、イオン注入法又はイオンドーピング法などを用いて、酸化物半導体層716に酸素を添加することで、ドナーとなる酸素欠損を低減させても良い。例えば、2.45GHzのマイクロ波でプラズマ化した酸素を酸化物半導体層716に添加すれば良い。
【0271】
また、ゲート電極722及び導電膜723は、ゲート絶縁膜721上に導電膜を形成した後、該導電膜をエッチング加工することで形成することができる。ゲート電極722及び導電膜723は、ゲート電極707、或いは導電膜719及び導電膜720と同様の材料を用いて形成することが可能である。
【0272】
ゲート電極722及び導電膜723の膜厚は、10nm〜400nm、好ましくは100nm〜200nmとする。本実施の形態では、タングステンターゲットを用いたスパッタ法により150nmのゲート電極用の導電膜を形成した後、該導電膜をエッチングにより所望の形状に加工することで、ゲート電極722及び導電膜723を形成する。なお、レジストマスクをインクジェット法で形成してもよい。レジストマスクをインクジェット法で形成するとフォトマスクを使用しないため、製造コストを低減できる。
【0273】
以上の工程により、トランジスタ101が形成される。
【0274】
なお、ゲート絶縁膜721を間に挟んで導電膜719と導電膜723とが重なる部分が、容量素子103に相当する。
【0275】
また、トランジスタ101はシングルゲート構造のトランジスタを用いて説明したが、必要に応じて、電気的に接続された複数のゲート電極を有することで、チャネル形成領域を複数有する、マルチゲート構造のトランジスタも形成することができる。
【0276】
なお、酸化物半導体層716に接する絶縁膜(本実施の形態においては、ゲート絶縁膜721が該当する。)は、第13族元素及び酸素を含む絶縁材料を用いるようにしても良い。酸化物半導体材料には第13族元素を含むものが多く、第13族元素を含む絶縁材料は酸化物半導体との相性が良く、これを酸化物半導体層に接する絶縁膜に用いることで、酸化物半導体層との界面の状態を良好に保つことができる。
【0277】
第13族元素を含む絶縁材料とは、絶縁材料に一又は複数の第13族元素を含むことを意味する。第13族元素を含む絶縁材料としては、例えば、酸化ガリウム、酸化アルミニウム、酸化アルミニウムガリウム、酸化ガリウムアルミニウムなどがある。ここで、酸化アルミニウムガリウムとは、ガリウムの含有量(原子%)よりアルミニウムの含有量(原子%)が多いものを示し、酸化ガリウムアルミニウムとは、ガリウムの含有量(原子%)がアルミニウムの含有量(原子%)以上のものを示す。
【0278】
例えば、ガリウムを含有する酸化物半導体層に接して絶縁膜を形成する場合に、絶縁膜に酸化ガリウムを含む材料を用いることで酸化物半導体層と絶縁膜の界面特性を良好に保つことができる。例えば、酸化物半導体層と酸化ガリウムを含む絶縁膜とを接して設けることにより、酸化物半導体層と絶縁膜の界面における水素のパイルアップを低減することができる。なお、絶縁膜に酸化物半導体の成分元素と同じ族の元素を用いる場合には、同様の効果を得ることが可能である。例えば、酸化アルミニウムを含む材料を用いて絶縁膜を形成することも有効である。なお、酸化アルミニウムは、水を透過させにくいという特性を有しているため、当該材料を用いることは、酸化物半導体層への水の侵入防止という点においても好ましい。
【0279】
また、酸化物半導体層716に接する絶縁膜は、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープなどにより、絶縁材料を化学量論的組成比より酸素が多い状態とすることが好ましい。酸素ドープとは、酸素をバルクに添加することをいう。なお、当該バルクの用語は、酸素を薄膜表面のみでなく薄膜内部に添加することを明確にする趣旨で用いている。また、酸素ドープには、プラズマ化した酸素をバルクに添加する酸素プラズマドープが含まれる。また、酸素ドープは、イオン注入法又はイオンドーピング法を用いて行ってもよい。
【0280】
例えば、酸化物半導体層716に接する絶縁膜として酸化ガリウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムの組成をGa(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0281】
また、酸化物半導体層716に接する絶縁膜として酸化アルミニウムを用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化アルミニウムの組成をAl(X=3+α、0<α<1)とすることができる。
【0282】
また、酸化物半導体層716に接する絶縁膜として酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を用いた場合、酸素雰囲気下による熱処理や、酸素ドープを行うことにより、酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)の組成をGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)とすることができる。
【0283】
酸素ドープ処理を行うことにより、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜を形成することができる。このような領域を備える絶縁膜と酸化物半導体層が接することにより、絶縁膜中の過剰な酸素が酸化物半導体層に供給され、酸化物半導体層中、又は酸化物半導体層と絶縁膜の界面における酸素欠陥を低減し、酸化物半導体層をi型化又はi型に限りなく近くすることができる。
【0284】
なお、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜は、酸化物半導体層716に接する絶縁膜のうち、上層に位置する絶縁膜又は下層に位置する絶縁膜のうち、どちらか一方のみに用いても良いが、両方の絶縁膜に用いる方が好ましい。化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜を、酸化物半導体層716に接する絶縁膜の、上層及び下層に位置する絶縁膜に用い、酸化物半導体層716を挟む構成とすることで、上記効果をより高めることができる。
【0285】
また、酸化物半導体層716の上層又は下層に用いる絶縁膜は、上層と下層で同じ構成元素を有する絶縁膜としても良いし、異なる構成元素を有する絶縁膜としても良い。例えば、上層と下層とも、組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムとしても良いし、上層と下層の一方を組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムとし、他方を組成がAl(X=3+α、0<α<1)の酸化アルミニウムとしても良い。
【0286】
また、酸化物半導体層716に接する絶縁膜は、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良い。例えば、酸化物半導体層716の上層に組成がGa(X=3+α、0<α<1)の酸化ガリウムを形成し、その上に組成がGaAl2−X3+α(0<X<2、0<α<1)の酸化ガリウムアルミニウム(酸化アルミニウムガリウム)を形成してもよい。なお、酸化物半導体層716の下層を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良いし、酸化物半導体層716の上層及び下層の両方を、化学量論的組成比より酸素が多い領域を有する絶縁膜の積層としても良い。
【0287】
次に、図8(C)に示すように、ゲート絶縁膜721、導電膜723、ゲート電極722を覆うように、絶縁膜724を形成する。絶縁膜724は、PVD法やCVD法などを用いて形成することができる。また、酸化珪素、酸化窒化珪素、窒化珪素、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、酸化アルミニウム等の無機絶縁材料を含む材料を用いて形成することができる。なお、絶縁膜724には、誘電率の低い材料や、誘電率の低い構造(多孔性の構造など)を用いることが望ましい。絶縁膜724の誘電率を低くすることにより、配線や電極などの間に生じる寄生容量を低減し、動作の高速化を図ることができるためである。なお、本実施の形態では、絶縁膜724を単層構造としているが、本発明の一態様はこれに限定されず、2層以上の積層構造としても良い。
【0288】
次に、ゲート絶縁膜721、絶縁膜724に開口部725を形成し、導電膜720の一部を露出させる。その後、絶縁膜724上に、上記開口部725において導電膜720と接する配線726を形成する。
【0289】
配線726は、PVD法や、CVD法を用いて導電膜を形成した後、当該導電膜をエッチング加工することによって形成される。また、導電膜の材料としては、アルミニウム、クロム、銅、タンタル、チタン、モリブデン、タングステンから選ばれた元素や、上述した元素を成分とする合金等を用いることができる。マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、ネオジム、スカンジウムのいずれか、又はこれらを複数組み合わせた材料を用いてもよい。
【0290】
より具体的には、例えば、絶縁膜724の開口を含む領域にPVD法によりチタン膜を薄く形成し、PVD法によりチタン膜を薄く(5nm程度)形成した後に、開口部725に埋め込むようにアルミニウム膜を形成する方法を適用することができる。ここで、PVD法により形成されるチタン膜は、被形成面の酸化膜(自然酸化膜など)を還元し、下部電極など(ここでは導電膜720)との接触抵抗を低減させる機能を有する。また、アルミニウム膜のヒロックを防止することができる。また、チタンや窒化チタンなどによるバリア膜を形成した後に、メッキ法により銅膜を形成してもよい。
【0291】
絶縁膜724に形成する開口部725は、導電膜708と重畳する領域に形成することが望ましい。このような領域に開口部725を形成することで、コンタクト領域に起因する素子面積の増大を抑制することができる。
【0292】
ここで、導電膜708を用いずに、不純物領域704と導電膜720との接続と、導電膜720と配線726との接続とを重畳させる場合について説明する。この場合、不純物領域704上に形成された絶縁膜712、絶縁膜713に開口部(下部の開口部と呼ぶ)を形成し、下部の開口部を覆うように導電膜720を形成した後、ゲート絶縁膜721及び絶縁膜724において、下部の開口部と重畳する領域に開口部(上部の開口部と呼ぶ)を形成し、配線726を形成することになる。下部の開口部と重畳する領域に上部の開口部を形成する際に、エッチングにより下部の開口部に形成された導電膜720が断線してしまうおそれがある。これを避けるために、下部の開口部と上部の開口部が重畳しないように形成することにより、素子面積が増大するという問題がおこる。
【0293】
本実施の形態に示すように、導電膜708を用いることにより、導電膜720を断線させずに上部の開口部を形成することが可能となる。これにより、下部の開口部と上部の開口部を重畳させて設けることができるため、開口部に起因する素子面積の増大を抑制することができる。つまり、半導体装置の集積度を高めることができる。
【0294】
次に、配線726を覆うように絶縁膜727を形成する。上述した一連の工程により、記憶素子100bを作製することができる。
【0295】
なお、上記作製方法では、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜719及び導電膜720が、酸化物半導体層716の後に形成されている。よって、図8(B)に示すように、上記作製方法によって得られるトランジスタ101は、導電膜719及び導電膜720が、酸化物半導体層716の上に形成されている。しかし、トランジスタ101は、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜が、酸化物半導体層716の下、すなわち、酸化物半導体層716と絶縁膜712及び絶縁膜713の間に設けられていても良い。
【0296】
図9に、ソース電極及びドレイン電極として機能する導電膜719及び導電膜720が、酸化物半導体層716と絶縁膜712及び絶縁膜713の間に設けられている場合の、トランジスタ101の断面図を示す。図9に示すトランジスタ101は、絶縁膜713を形成した後に導電膜719及び導電膜720の形成を行い、次いで酸化物半導体層716の形成を行うことで、得ることができる。
【0297】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0298】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態6とは異なる構造を有した、酸化物半導体層を用いたトランジスタについて説明する。
【0299】
図10(A)に示すトランジスタ901は、絶縁膜902上に形成された、活性層として機能する酸化物半導体層903と、酸化物半導体層903上に形成されたソース電極904及びドレイン電極905と、酸化物半導体層903、ソース電極904及びドレイン電極905上のゲート絶縁膜906と、ゲート絶縁膜906上において酸化物半導体層903と重なる位置に設けられたゲート電極907とを有する。
【0300】
図10(A)に示すトランジスタ901は、ゲート電極907が酸化物半導体層903の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極904及びドレイン電極905が酸化物半導体層903の上に形成されているトップコンタクト型である。そして、トランジスタ901は、ソース電極904及びドレイン電極905と、ゲート電極907とが重なっていない。すなわち、ソース電極904及びドレイン電極905とゲート電極907との間には、ゲート絶縁膜906の膜厚よりも大きい間隔が設けられている。よって、トランジスタ901は、ソース電極904及びドレイン電極905とゲート電極907との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができるので、高速動作を実現することができる。
【0301】
また、酸化物半導体層903は、ゲート電極907が形成された後に酸化物半導体層903にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域908を有する。また、酸化物半導体層903のうち、ゲート絶縁膜906を間に挟んでゲート電極907と重なる領域がチャネル形成領域909である。酸化物半導体層903では、一対の高濃度領域908の間にチャネル形成領域909が設けられている。高濃度領域908を形成するためのドーパントの添加は、イオン注入法を用いることができる。ドーパントは、例えばヘリウム、アルゴン、キセノンなどの希ガスや、窒素、リン、ヒ素、アンチモンなどの5族原子などを用いることができる。
【0302】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域908中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。
【0303】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域908は、酸化物半導体層903中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域908を酸化物半導体層903に設けることで、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。
【0304】
また、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を酸化物半導体層903に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下で1時間程度加熱処理を施すことにより、高濃度領域908中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。高濃度領域908中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域908の導電性を高め、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域908中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0305】
また、酸化物半導体層903は、CAACを含む酸化物を用いて構成されていても良い。酸化物半導体層903がCAACを含む酸化物を用いて構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体層903の導電率を高めることができるので、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることができる。
【0306】
そして、ソース電極904とドレイン電極905の間の抵抗を下げることで、トランジスタ901の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ901の微細化により、当該トランジスタを用いた記憶素子の占める面積を縮小化し、単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0307】
図10(B)に示すトランジスタ911は、絶縁膜912上に形成されたソース電極914及びドレイン電極915と、ソース電極914及びドレイン電極915上に形成された活性層として機能する酸化物半導体層913と、酸化物半導体層913、ソース電極914及びドレイン電極915上のゲート絶縁膜916と、ゲート絶縁膜916上において酸化物半導体層913と重なる位置に設けられたゲート電極917とを有する。
【0308】
図10(B)に示すトランジスタ911は、ゲート電極917が酸化物半導体層913の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極914及びドレイン電極915が酸化物半導体層913の下に形成されているボトムコンタクト型である。そして、トランジスタ911は、トランジスタ901と同様に、ソース電極914及びドレイン電極915と、ゲート電極917とが重なっていないので、ソース電極914及びドレイン電極915とゲート電極917との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
【0309】
また、酸化物半導体層913は、ゲート電極917が形成された後に酸化物半導体層913にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域918を有する。また、酸化物半導体層913のうち、ゲート絶縁膜916を間に挟んでゲート電極917と重なる領域がチャネル形成領域919である。酸化物半導体層913では、一対の高濃度領域918の間にチャネル形成領域919が設けられている。
【0310】
高濃度領域918は、上述した、トランジスタ901が有する高濃度領域908の場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度領域918を形成するためのドーパントの種類については、高濃度領域908の場合を参照することができる。
【0311】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域918中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。
【0312】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域918は、酸化物半導体層913中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域918を酸化物半導体層913に設けることで、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。
【0313】
また、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を酸化物半導体層913に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度領域918中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。高濃度領域918中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域918の導電性を高め、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域918中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0314】
また、酸化物半導体層913は、CAACを含む酸化物を用いて構成されていても良い。酸化物半導体層913がCAACを含む酸化物を用いて構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体層913の導電率を高めることができるので、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることができる。
【0315】
そして、ソース電極914とドレイン電極915の間の抵抗を下げることで、トランジスタ911の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ911の微細化により、当該トランジスタを用いた記憶素子の占める面積を縮小化し、単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0316】
図10(C)に示すトランジスタ921は、絶縁膜922上に形成された、活性層として機能する酸化物半導体層923と、酸化物半導体層923上に形成されたソース電極924及びドレイン電極925と、酸化物半導体層923、ソース電極924及びドレイン電極925上のゲート絶縁膜926と、ゲート絶縁膜926上において酸化物半導体層923と重なる位置に設けられたゲート電極927とを有する。さらに、トランジスタ921は、ゲート電極927の側部に設けられた、絶縁膜で形成されたサイドウォール930を有する。
【0317】
図10(C)に示すトランジスタ921は、ゲート電極927が酸化物半導体層923の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極924及びドレイン電極925が酸化物半導体層923の上に形成されているトップコンタクト型である。そして、トランジスタ921は、トランジスタ901と同様に、ソース電極924及びドレイン電極925と、ゲート電極927とが重なっていないので、ソース電極924及びドレイン電極925とゲート電極927との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
【0318】
また、酸化物半導体層923は、ゲート電極927が形成された後に酸化物半導体層923にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域928と、一対の低濃度領域929とを有する。また、酸化物半導体層923のうち、ゲート絶縁膜926を間に挟んでゲート電極927と重なる領域がチャネル形成領域931である。酸化物半導体層923では、一対の高濃度領域928の間に一対の低濃度領域929が設けられ、一対の低濃度領域929の間にチャネル形成領域931が設けられている。そして、一対の低濃度領域929は、酸化物半導体層923中の、ゲート絶縁膜926を間に挟んでサイドウォール930と重なる領域に設けられている。
【0319】
高濃度領域928及び低濃度領域929は、上述した、トランジスタ901が有する高濃度領域908の場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度領域928を形成するためのドーパントの種類については、高濃度領域908の場合を参照することができる。
【0320】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域928中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。また、例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、低濃度領域929中の窒素原子の濃度は、5×1018/cm以上5×1019/cm未満であることが望ましい。
【0321】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域928は、酸化物半導体層923中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域928を酸化物半導体層923に設けることで、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を下げることができる。また、低濃度領域929をチャネル形成領域931と高濃度領域928の間に設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
【0322】
また、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を酸化物半導体層923に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度領域928中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。またさらに、低濃度領域929も、窒素の濃度によっては、上記加熱処理によりウルツ鉱型の結晶構造を有する場合もある。高濃度領域928中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域928の導電性を高め、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域928中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0323】
また、酸化物半導体層923は、CAACを含む酸化物を用いて構成されていても良い。酸化物半導体層923がCAACを含む酸化物を用いて構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体層923の導電率を高めることができるので、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を下げることができる。
【0324】
そして、ソース電極924とドレイン電極925の間の抵抗を下げることで、トランジスタ921の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ921の微細化により、当該トランジスタを用いたメモリセルの占める面積を縮小化し、セルアレイの単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0325】
図10(D)に示すトランジスタ941は、絶縁膜942上に形成されたソース電極944及びドレイン電極945と、ソース電極944及びドレイン電極945上に形成された活性層として機能する酸化物半導体層943と、酸化物半導体層943、ソース電極944及びドレイン電極945上のゲート絶縁膜946と、ゲート絶縁膜946上において酸化物半導体層943と重なる位置に設けられたゲート電極947とを有する。さらに、トランジスタ941は、ゲート電極947の側部に設けられた、絶縁膜で形成されたサイドウォール950を有する。
【0326】
図10(D)に示すトランジスタ941は、ゲート電極947が酸化物半導体層943の上に形成されているトップゲート型であり、なおかつ、ソース電極944及びドレイン電極945が酸化物半導体層943の下に形成されているボトムコンタクト型である。そして、トランジスタ941は、トランジスタ901と同様に、ソース電極944及びドレイン電極945と、ゲート電極947とが重なっていないので、ソース電極944及びドレイン電極945とゲート電極947との間に形成される寄生容量を小さく抑えることができ、高速動作を実現することができる。
【0327】
また、酸化物半導体層943は、ゲート電極947が形成された後に酸化物半導体層943にn型の導電性を付与するドーパントを添加することで得られる、一対の高濃度領域948と、一対の低濃度領域949とを有する。また、酸化物半導体層943のうち、ゲート絶縁膜946を間に挟んでゲート電極947と重なる領域がチャネル形成領域951である。酸化物半導体層943では、一対の高濃度領域948の間に一対の低濃度領域949が設けられ、一対の低濃度領域949の間にチャネル形成領域951が設けられている。そして、一対の低濃度領域949は、酸化物半導体層943中の、ゲート絶縁膜946を間に挟んでサイドウォール950と重なる領域に設けられている。
【0328】
高濃度領域948及び低濃度領域949は、上述した、トランジスタ901が有する高濃度領域908の場合と同様に、イオン注入法を用いて形成することができる。そして、高濃度領域948を形成するためのドーパントの種類については、高濃度領域908の場合を参照することができる。
【0329】
例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域948中の窒素原子の濃度は、5×1019/cm以上1×1022/cm以下であることが望ましい。また、例えば、窒素をドーパントとして用いた場合、低濃度領域949中の窒素原子の濃度は、5×1018/cm以上5×1019/cm未満であることが望ましい。
【0330】
n型の導電性を付与するドーパントが添加されている高濃度領域948は、酸化物半導体層943中の他の領域に比べて導電性が高くなる。よって、高濃度領域948を酸化物半導体層943に設けることで、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を下げることができる。また、低濃度領域949をチャネル形成領域951と高濃度領域948の間に設けることで、短チャネル効果による閾値電圧のマイナスシフトを軽減することができる。
【0331】
また、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を酸化物半導体層943に用いた場合、窒素を添加した後、300℃以上600℃以下程度で加熱処理を施すことにより、高濃度領域948中の酸化物半導体はウルツ鉱型の結晶構造を有するようになる。またさらに、低濃度領域949も、窒素の濃度によっては、上記加熱処理によりウルツ鉱型の結晶構造を有する場合もある。高濃度領域948中の酸化物半導体がウルツ鉱型の結晶構造を有することで、さらに高濃度領域948の導電性を高め、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を下げることができる。なお、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体を形成して、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を効果的に下げるためには、窒素をドーパントとして用いた場合、高濃度領域948中の窒素原子の濃度を、1×1020/cm以上7atoms%以下とすることが望ましい。しかし、窒素原子が上記範囲よりも低い濃度であっても、ウルツ鉱型の結晶構造を有する酸化物半導体が得られる場合もある。
【0332】
また、酸化物半導体層943は、CAACを含む酸化物を用いて構成されていても良い。酸化物半導体層943がCAACを含む酸化物を用いて構成されている場合、非晶質の場合に比べて酸化物半導体層943の導電率を高めることができるので、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を下げることができる。
【0333】
そして、ソース電極944とドレイン電極945の間の抵抗を下げることで、トランジスタ941の微細化を進めても、高いオン電流と、高速動作を確保することができる。また、トランジスタ941の微細化により、当該トランジスタを用いた記憶素子の占める面積を縮小化し、単位面積あたりの記憶容量を高めることができる。
【0334】
なお、酸化物半導体を用いたトランジスタにおいて、ソース領域またはドレイン領域として機能する高濃度領域をセルフアラインプロセスにて作製する方法の一つとして、酸化物半導体層の表面を露出させて、アルゴンプラズマ処理をおこない、酸化物半導体層のプラズマにさらされた領域の抵抗率を低下させる方法が開示されている(S. Jeon et al. ”180nm Gate Length Amorphous InGaZnO Thin Film Transistor for High Density Image Sensor Application”, IEDM Tech. Dig., p.504, 2010.)。
【0335】
しかしながら、上記作製方法では、ゲート絶縁膜を形成した後に、ソース領域またはドレイン領域となるべき部分を露出するべく、ゲート絶縁膜を部分的に除去する必要がある。よって、ゲート絶縁膜が除去される際に、下層の酸化物半導体層も部分的にオーバーエッチングされ、ソース領域またはドレイン領域となるべき部分の膜厚が小さくなってしまう。その結果、ソース領域またはドレイン領域の抵抗が増加し、また、オーバーエッチングによるトランジスタの特性不良が起こりやすくなる。
【0336】
トランジスタの微細化を進めるには、加工精度の高いドライエッチング法を採用する必要がある。しかし、上記オーバーエッチングは、酸化物半導体層とゲート絶縁膜の選択比が十分に確保できないドライエッチング法を採用する場合に、顕著に起こりやすい。
【0337】
例えば、酸化物半導体層が十分な厚さであればオーバーエッチングも問題にはならないが、チャネル長を200nm以下とする場合には、短チャネル効果を防止する上で、チャネル形成領域となる部分の酸化物半導体層の厚さは20nm以下、好ましくは10nm以下であることが求められる。そのような薄い酸化物半導体層を扱う場合には、酸化物半導体層のオーバーエッチングは、上述したような、ソース領域またはドレイン領域の抵抗が増加、トランジスタの特性不良を生じさせるため、好ましくない。
【0338】
しかし、本発明の一態様のように、酸化物半導体層へのドーパントの添加を、酸化物半導体層を露出させず、ゲート絶縁膜を残したまま行うことで、酸化物半導体層のオーバーエッチングを防ぎ、酸化物半導体層への過剰なダメージを軽減することができる。また、加えて、酸化物半導体層とゲート絶縁膜の界面も清浄に保たれる。従って、トランジスタの特性及び信頼性を高めることができる。
【0339】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0340】
(実施の形態8)
本実施の形態では、記憶装置の構造の一形態について説明する。
【0341】
図11及び図12は、記憶装置の断面図である。図11及び図12に示す記憶装置は上部に、多層に形成された複数の記憶素子を有し、下部に論理回路3004を有する。複数の記憶素子のうち、記憶素子3170aと、記憶素子3170bを代表で示す。記憶素子3170a及び記憶素子3170bとしては、例えば、上記に実施の形態において説明した記憶素子100a、記憶素子100b、記憶素子100c等と同様の構成とすることもできる。
【0342】
なお、記憶素子3170aに含まれるトランジスタ3171aを代表で示す。記憶素子3170bに含まれるトランジスタ3171bを代表で示す。トランジスタ3171a及びトランジスタ3171bは、酸化物半導体層にチャネル形成領域を有する。酸化物半導体層にチャネル形成領域が形成されるトランジスタの構成については、その他の実施の形態において説明した構成と同様であるため、説明は省略する。
【0343】
トランジスタ3171aのソース電極及びドレイン電極と同じ層に形成された電極3501aは、電極3502aによって、電極3003aと電気的に接続されている。トランジスタ3171bのソース電極及びドレイン電極と同じ層に形成された電極3501cは、電極3502cによって、電極3003cと電気的に接続されている。
【0344】
また、論理回路3004は、酸化物半導体以外の半導体材料をチャネル形成領域として用いたトランジスタ3001を有する。トランジスタ3001は、半導体材料(例えば、シリコンなど)を含む基板3000に素子分離絶縁膜3106を設け、素子分離絶縁膜3106に囲まれた領域にチャネル形成領域となる領域を形成することによって得られるトランジスタとすることができる。なお、トランジスタ3001は、絶縁表面上に形成されたシリコン膜等の半導体膜や、SOI基板のシリコン膜にチャネル形成領域が形成されるトランジスタであってもよい。トランジスタ3001の構成については、公知の構成を用いることが可能であるため、説明は省略する。
【0345】
トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間には、配線3100a及び配線3100bが形成されている。配線3100aとトランジスタ3001が形成された層との間には、絶縁膜3140aが設けられ、配線3100aと配線3100bとの間には、絶縁膜3141aが設けられ、配線3100bとトランジスタ3171aが形成された層との間には、絶縁膜3142aが設けられている。
【0346】
同様に、トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間には、配線3100c及び配線3100dが形成されている。配線3100cとトランジスタ3171aが形成された層との間には、絶縁膜3140bが設けられ、配線3100cと配線3100dとの間には、絶縁膜3141bが設けられ、配線3100dとトランジスタ3171bが形成された層との間には、絶縁膜3142bが設けられている。
【0347】
絶縁膜3140a、絶縁膜3141a、絶縁膜3142a、絶縁膜3140b、絶縁膜3141b、絶縁膜3142bは、層間絶縁膜として機能し、その表面は平坦化された構成とすることができる。
【0348】
配線3100a、配線3100b、配線3100c、配線3100dによって、記憶素子間の電気的接続や、論理回路3004と記憶素子との電気的接続等を行うことができる。
【0349】
論理回路3004に含まれる電極3303は、上部に設けられた回路と電気的に接続することができる。
【0350】
例えば、図11に示すように、電極3505によって電極3303は配線3100aと電気的に接続することができる。配線3100aは、電極3503aによって電極3501bと電気的に接続することができる。こうして、配線3100a及び電極3303を、トランジスタ3171aのソースまたはドレインと電気的に接続することができる。また、電極3501bは、電極3502bによって、電極3003bと電気的に接続することができる。電極3003bは、電極3503bによって配線3100cと電気的に接続することができる。
【0351】
図11では、電極3303とトランジスタ3171aとの電気的接続は、配線3100aを介して行われる例を示したがこれに限定されない。電極3303とトランジスタ3171aとの電気的接続は、配線3100bを介して行われてもよいし、配線3100aと配線3100bの両方を介して行われてもよい。また、図12に示すように、電極3303とトランジスタ3171aとの電気的接続は、配線3100aも配線3100bも介さず行われてもよい。図12では、電極3303は、電極3503によって、電極3003bと電気的に接続されている。電極3003bは、トランジスタ3171aのソースまたはドレインと電気的に接続される。こうして、電極3303とトランジスタ3171aとの電気的接続をとることができる。
【0352】
なお、図11及び図12では、2つの記憶素子(記憶素子3170aと、記憶素子3170b)が積層された構成を例として示したが、積層する記憶素子の数はこれに限定されない。
【0353】
また、図11及び図12では、トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間には、配線3100aが形成された配線層と、配線3100bが形成された配線層との、2つの配線層が設けられた構成を示したがこれに限定されない。トランジスタ3171aが形成された層と、トランジスタ3001が形成された層との間に、1つの配線層が設けられていてもよいし、3つ以上の配線層が設けられていてもよい。
【0354】
また、図11及び図12では、トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間には、配線3100cが形成された配線層と、配線3100dが形成された配線層との、2つの配線層が設けられた構成を示したがこれに限定されない。トランジスタ3171bが形成された層と、トランジスタ3171aが形成された層との間に、1つの配線層が設けられていてもよいし、3つ以上の配線層が設けられていてもよい。
【0355】
本実施の形態は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【実施例1】
【0356】
本発明の一態様に係る信号処理回路を用いることで、消費電力の低い電子機器を提供することが可能である。特に電力の供給を常時受けることが困難な携帯用の電子機器の場合、本発明の一態様に係る消費電力の低い信号処理回路をその構成要素に追加することにより、連続使用時間が長くなるといったメリットが得られる。また、オフ電流が低いトランジスタを用いることで、オフ電流の高さをカバーするための冗長な回路設計が不要となるため、信号処理回路の集積度を高めることができ、信号処理回路を高機能化させることができる。
【0357】
本発明の一態様に係る信号処理回路は、表示装置、パーソナルコンピュータ、記録媒体を備えた画像再生装置(代表的にはDVD:Digital Versatile Disc等の記録媒体を再生し、その画像を表示しうるディスプレイを有する装置)に用いることができる。その他に、本発明の一態様に係る信号処理回路を用いることができる電子機器として、携帯電話、携帯型を含むゲーム機、携帯情報端末、電子書籍、ビデオカメラ、デジタルスチルカメラ、ゴーグル型ディスプレイ(ヘッドマウントディスプレイ)、ナビゲーションシステム、音響再生装置(カーオーディオ、デジタルオーディオプレイヤー等)、複写機、ファクシミリ、プリンター、プリンター複合機、現金自動預け入れ払い機(ATM)、自動販売機などが挙げられる。
【0358】
本発明の一態様に係る信号処理回路を、携帯電話、スマートフォン、電子書籍などの携帯用の電子機器に応用した場合について説明する。
【0359】
図13は、携帯用の電子機器のブロック図である。図13に示す携帯用の電子機器はRF回路421、アナログベースバンド回路422、デジタルベースバンド回路423、バッテリー424、電源回路425、アプリケーションプロセッサ426、フラッシュメモリ430、ディスプレイコントローラ431、メモリ回路432、ディスプレイ433、タッチセンサ439、音声回路437、キーボード438などより構成されている。ディスプレイ433は表示部434、ソースドライバ435、ゲートドライバ436によって構成されている。アプリケーションプロセッサ426はCPU427、DSP428、インターフェース429を有している。CPU427に上記実施の形態で示した信号処理回路を採用することによって、消費電力を低減することができる。また、一般的にメモリ回路432はSRAMまたはDRAMで構成されているが、メモリ回路432に上記実施の形態で示した記憶装置を採用することによって、消費電力を低減することが可能になる。
【0360】
図14に、メモリ回路432の構成をブロック図で示す。メモリ回路432は、記憶装置442、記憶装置443、スイッチ444、スイッチ445、及びメモリコントローラ441を有している。
【0361】
まず、ある画像データが、携帯用の電子機器において受信されるか、またはアプリケーションプロセッサ426によって形成される。この画像データは、スイッチ444を介して記憶装置442に記憶される。そして、スイッチ444を介して出力された画像データは、ディスプレイコントローラ431を介してディスプレイ433に送られる。ディスプレイ433が、画像データを用いて画像の表示を行う。
【0362】
静止画のように、表示される画像に変更がなければ、通常30Hz〜60Hz程度の周期で、記憶装置442から読み出された画像データが、スイッチ445を介して、ディスプレイコントローラ431に送られ続ける。ユーザーが画面に表示されている画像を書き換える操作を行ったとき、アプリケーションプロセッサ426は、新たな画像データを形成し、その画像データはスイッチ444を介して記憶装置443に記憶される。新たな画像データの記憶装置443への記憶が行われている間にも、記憶装置442からスイッチ445を介して定期的に画像データが読み出される。
【0363】
記憶装置443への新たな画像データの記憶が完了すると、次のフレーム期間より、記憶装置443に記憶された新しい画像データが読み出され、スイッチ445、ディスプレイコントローラ431を介して、ディスプレイ433に上記画像データが送られる。ディスプレイ433では、送られてきた新しい画像データを用いて、画像の表示を行う。
【0364】
この画像データの読み出しは、さらに次の新しい画像データが記憶装置442に記憶されるまで、継続される。このように、記憶装置442、記憶装置443が交互に画像データの書き込みと読み出しを行い、ディスプレイ433は画像の表示を行う。
【0365】
記憶装置442、記憶装置443はそれぞれ別の記憶装置には限定されず、1つの記憶装置が有するメモリ領域を、分割して使用してもよい。これらの記憶装置に上記実施の形態で示した記憶装置を採用することによって、消費電力を低減することが可能になる。
【0366】
図15は電子書籍のブロック図である。電子書籍はバッテリー451、電源回路452、マイクロプロセッサ453、フラッシュメモリ454、音声回路455、キーボード456、メモリ回路457、タッチパネル458、ディスプレイ459、ディスプレイコントローラ460によって構成される。上記実施の形態で示した信号処理回路をマイクロプロセッサ453に採用することで、消費電力を低減することが可能になる。また、上記実施の形態で示した記憶装置をメモリ回路457に採用することで、消費電力を低減することが可能になる。
【0367】
例えば、ユーザーが、書籍データ中の特定の箇所において、表示の色を変える、アンダーラインを引く、文字を太くする、文字の書体を変えるなどにより、当該箇所とそれ以外の箇所との違いを明確にするハイライト機能を利用する場合、書籍データのうちユーザーが指定した箇所のデータを記憶する必要がある。メモリ回路457は、上記データを一時的に記憶する機能を持つ。なお、上記データを長期に渡って保存する場合には、フラッシュメモリ454に上記データをコピーしておいても良い。
【0368】
本実施例は、上記実施の形態と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0369】
101 トランジスタ
102 トランジスタ
103 容量素子
104 トランジスタ
105 容量素子
111 センスアンプ
112 オペアンプ
121 負荷
122 トランジスタ
123 スイッチ
140 スイッチ
141 トランジスタ
142 ダイオード
150 信号処理回路
151 演算回路
152 演算回路
153 レジスタ
154 レジスタ
155 メインメモリ
156 制御装置
157 電源制御回路
181 トランジスタ
182 トランジスタ
200 メモリセルアレイ
201 yデコーダ
202 xデコーダ
222 記憶装置
421 RF回路
422 アナログベースバンド回路
423 デジタルベースバンド回路
424 バッテリー
425 電源回路
426 アプリケーションプロセッサ
427 CPU
428 DSP
429 インターフェース
430 フラッシュメモリ
431 ディスプレイコントローラ
432 メモリ回路
433 ディスプレイ
434 表示部
435 ソースドライバ
436 ゲートドライバ
437 音声回路
438 キーボード
439 タッチセンサ
441 メモリコントローラ
442 記憶装置
443 記憶装置
444 スイッチ
445 スイッチ
451 バッテリー
452 電源回路
453 マイクロプロセッサ
454 フラッシュメモリ
455 音声回路
456 キーボード
457 メモリ回路
458 タッチパネル
459 ディスプレイ
460 ディスプレイコントローラ
700 基板
701 絶縁膜
702 半導体膜
703 ゲート絶縁膜
704 不純物領域
705 マスク
706 開口部
707 ゲート電極
708 導電膜
709 不純物領域
710 チャネル形成領域
711 不純物領域
712 絶縁膜
713 絶縁膜
716 酸化物半導体層
719 導電膜
720 導電膜
721 ゲート絶縁膜
722 ゲート電極
723 導電膜
724 絶縁膜
725 開口部
726 配線
727 絶縁膜
901 トランジスタ
902 絶縁膜
903 酸化物半導体層
904 ソース電極
905 ドレイン電極
906 ゲート絶縁膜
907 ゲート電極
908 高濃度領域
909 チャネル形成領域
911 トランジスタ
912 絶縁膜
913 酸化物半導体層
914 ソース電極
915 ドレイン電極
916 ゲート絶縁膜
917 ゲート電極
918 高濃度領域
919 チャネル形成領域
921 トランジスタ
922 絶縁膜
923 酸化物半導体層
924 ソース電極
925 ドレイン電極
926 ゲート絶縁膜
927 ゲート電極
928 高濃度領域
929 低濃度領域
930 サイドウォール
931 チャネル形成領域
941 トランジスタ
942 絶縁膜
943 酸化物半導体層
944 ソース電極
945 ドレイン電極
946 ゲート絶縁膜
947 ゲート電極
948 高濃度領域
949 低濃度領域
950 サイドウォール
951 チャネル形成領域
1000 一時記憶回路
100A 一時記憶回路
100B 一時記憶回路
100C 一時記憶回路
100a 記憶素子
100b 記憶素子
100c 記憶素子
100d 記憶素子
100e 記憶素子
100f 記憶素子
1100 第1の読み出し回路
110A 読み出し回路
110B 読み出し回路
110a 読み出し素子
110b 読み出し素子
1110 第2の読み出し回路
1111 読み出し回路
3000 基板
3001 トランジスタ
3004 論理回路
3106 素子分離絶縁膜
3303 電極
3503 電極
3505 電極
3003a 電極
3003b 電極
3003c 電極
3100a 配線
3100b 配線
3100c 配線
3100d 配線
3140a 絶縁膜
3140b 絶縁膜
3141a 絶縁膜
3141b 絶縁膜
3142a 絶縁膜
3142b 絶縁膜
3170a 記憶素子
3170b 記憶素子
3171a トランジスタ
3171b トランジスタ
3501a 電極
3501b 電極
3501c 電極
3502a 電極
3502b 電極
3502c 電極
3503a 電極
3503b 電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の記憶素子を有し、
前記複数の記憶素子それぞれは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、
前記第1のトランジスタのゲートは第1の配線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの一方は第2の配線と電気的に接続され、
前記第1のトランジスタのソース及びドレインの他方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方は、第3の配線と電気的に接続され、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの他方は、第4の配線と電気的に接続されることを特徴とする一時記憶回路。
【請求項2】
複数の記憶素子を有し、
前記複数の記憶素子それぞれは、第1のトランジスタと、第2のトランジスタとを有し、
前記第1のトランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、
ゲートに入力される制御信号によってオン状態を選択された前記第1のトランジスタを介して、データに対応する信号電位を前記第2のトランジスタのゲートに入力し、
ゲートに入力される前記制御信号によって前記第1のトランジスタをオフ状態とすることによって、前記第2のトランジスタのゲートに当該信号電位を保持し、
前記第2のトランジスタのソース及びドレインの一方を第1の電位としたとき、前記第2のトランジスタのソースとドレイン間の状態を検出することによって前記データを読み出すことを特徴とする一時記憶回路。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
容量素子を有し、
前記容量素子の一対の電極のうちの一方は、前記第2のトランジスタのゲートと電気的に接続されることを特徴とする一時記憶回路。
【請求項4】
複数の記憶素子を有し、
前記複数の記憶素子それぞれは、トランジスタと、容量素子とを有し、
前記トランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、
前記トランジスタのゲートは第1の配線と電気的に接続され、
前記トランジスタのソース及びドレインの一方は第2の配線と電気的に接続され、
前記トランジスタのソース及びドレインの他方は、容量素子の一対の電極のうちの一方と電気的に接続されることを特徴とする一時記憶回路。
【請求項5】
複数の記憶素子を有し、
前記複数の記憶素子それぞれは、トランジスタと、容量素子とを有し、
前記トランジスタはチャネルが酸化物半導体層に形成され、
ゲートに入力される制御信号によってオン状態を選択された前記トランジスタを介して、データに対応する信号電位を前記容量素子の一対の電極のうちの一方に入力し、
ゲートに入力される前記制御信号によって前記トランジスタをオフ状態とすることによって、前記容量素子に当該信号電位を保持し、
ゲートに入力される前記制御信号によって前記トランジスタをオン状態として、前記トランジスタを介して前記容量素子の一対の電極のうちの一方に保持されていた電位を検出することによって前記データを読み出すことを特徴とする一時記憶回路。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の前記一時記憶回路と、前記一時記憶回路からデータを読み出す読み出し回路とを有することを特徴とする記憶装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の前記一時記憶回路と、前記一時記憶回路からデータを読み出す第1の読み出し回路と、メモリセルアレイと、前記メモリセルアレイからデータを読み出す第2の読み出し回路と、xデコーダと、yデコーダとを有することを特徴とする記憶装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項5のいずれか一に記載の前記一時記憶回路と、メモリセルアレイと、前記一時記憶回路及び前記メモリセルアレイからデータを読み出す読み出し回路と、xデコーダと、yデコーダとを有することを特徴とする記憶装置。
【請求項9】
請求項6乃至請求項8のいずれか一に記載の前記記憶装置を用いたことを特徴とする信号処理回路。
【請求項10】
請求項6乃至請求項8のいずれか一に記載の前記記憶装置と、前記記憶装置とデータのやり取りを行う演算回路とを有することを特徴とする信号処理回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−169028(P2012−169028A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−6114(P2012−6114)
【出願日】平成24年1月16日(2012.1.16)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】