説明

半導体装置の製造方法

【課題】RC型トランジスタのチャネル領域の高さを所望の範囲に調整するとともに、前記チャネル領域に近接して残存する薄皮状のバリ部を完全に除去して、半導体装置を製造するという課題があった。
【解決手段】半導体基板1の一面に、溝部と、溝部に囲まれ、側壁面の少なくとも一部が傾斜面である凸部39とを形成してから、溝部を埋める素子分離用絶縁膜を形成する第1工程と、素子分離用絶縁膜をマスクの一部にして半導体基板1の一面をドライエッチングして凸部39内に凹部27を設けるとともに、凹部27と素子分離用絶縁膜との間にチャネル領域4となる薄肉部41を形成する第2工程と、ウェットエッチングにより、薄肉部41の高さを調整する第3工程と、を有する半導体装置の製造方法を用いることにより、上記課題を解決できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの微細化の進展に伴い、MOS型トランジスタのゲート長も縮小化が進んでいる。これに伴い、従来から用いられているプレーナ型のMOS型トランジスタでは、ゲート長の縮小に伴い短チャネル効果が顕著になって、しきい値電圧の低下に伴うオフ電流の増大等の問題が発生していた。
【0003】
特許文献1は、STI領域の側面とゲートトレンチの側面との間に位置する部分がチャネル領域として機能する半導体装置及びその製造方法に関するものであり、特許文献2は、リセスチャンネル領域を含む半導体装置及びその製造方法に関するものである。上記問題を回避するための方法として、特許文献1、2には、半導体基板に形成した溝内にゲート電極を埋め込み、溝型ゲート電極の側面部分と素子分離領域との間にチャネル領域を設けた構造が開示されている。このような構造のトランジスタを、本明細書では、RC(Recessed Channel)型トランジスタと記載する。
【0004】
特許文献3は、トレンチゲート型トランジスタのトレンチを形成するためのフォトリソグラフィー工程と、ゲート電極を形成するためのフォトリソグラフィー工程が同一の工程である半導体装置の製造方法に関するものである。特許文献3に記載の単に溝内にゲート電極を埋設しただけのトレンチゲート型(溝ゲート型)トランジスタと比較して、RC型トランジスタは、しきい値電圧の低下を抑制しながらオン電流をできるだけ大きくすることが可能な高性能なトランジスタである。RC型トランジスタでは、溝の側面部分に形成されるチャネル領域の形状・高さに応じて、その動作特性が変化する。
【0005】
RC型トランジスタのチャネル領域の形状・高さは、適用するデバイスに要求される電気特性に応じて最適な形状に設定することが重要である。
しかしながら、従来の半導体装置の製造方法では、チャネル領域の形状・高さを微調整して、適切に加工することが困難であった。また、従来の方法では、チャネル領域の上部の素子分離領域の側面部分に薄皮状の半導体層からなるバリ部が残存しやすく、チャネル領域の形状・高さを適切に保持したまま、これを除去することが困難であった。
【0006】
特許文献4には、関連する技術として、従来のトレンチゲート型トランジスタにおいて、ゲート電極用の溝と素子分離領域の間に残存する突起状の領域(Siバリ)を除去する方法が開示されている。しかし、特許文献4に開示の方法は、従来のトレンチゲート型トランジスタで動作時に悪影響を及ぼすSiバリを完全に除去もしくは10nm以下の高さになるまで除去することを目的としたものである。従って、この方法ではシリコンの除去量が大きすぎ、Siバリに相当する半導体層をチャネル領域として残存させて用いるRC型トランジスタへ適用することは困難であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−158269号公報
【特許文献2】特開2007−258660号公報
【特許文献3】特開平9−232535号公報
【特許文献4】特開2007−194333号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以上のように、従来の半導体装置の製造方法では、RC型トランジスタのチャネル領域の高さを所望の範囲に調整することが困難であり、また、前記チャネル領域に近接して残存する薄皮状のバリ部を完全に除去することができないという課題があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の半導体装置の製造方法は、半導体基板の一面に、溝部と、前記溝部に囲まれ、側壁面の少なくとも一部が傾斜面である凸部とを形成してから、前記溝部を埋める素子分離用絶縁膜を形成する工程と、前記素子分離用絶縁膜をマスクの一部にして前記半導体基板の一面をドライエッチングして前記凸部内に凹部を設けるとともに、前記凹部と前記素子分離用絶縁膜との間にチャネル領域となる薄肉部を形成する工程と、ウェットエッチングにより、前記薄肉部の高さを調整する工程と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
上記の構成によれば、RC型トランジスタのチャネル領域の高さを所望の範囲に調整するとともに、前記チャネル領域に近接して残存する薄皮状のバリ部を完全に除去する半導体装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法の一例を示す工程平面図である。
【図2】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図2(A)は図1のA−A’線の断面図であり、図2(B)は図1のB−B’線の断面図である。
【図3】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図3(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図3(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図4】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図4(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図4(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図5】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図5(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図5(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図6】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図6(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図6(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図7】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図7(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図7(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図8】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図9】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図9(A)は図8のA−A’線の断面図であり、図9(B)は図8のB−B’線の断面図である。
【図10】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図11】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図11(A)は図10のA−A’線の断面図であり、図11(B)は図10のB−B’線の断面図であり、図11(C)は図10のC−C’線の断面図である。
【図12】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図12(A)は図10のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図12(B)は図10のB−B’線に対応する部分の断面図であり、図12(C)は図10のC−C’線に対応する部分の断面図である。
【図13】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図13(A)は図10のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図13(B)は図10のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図14】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図15】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図15(A)は図14のA−A’線の断面図であり、図15(B)は図14のB−B’線の断面図であり、図15(C)は図14のC−C’線の断面図である。
【図16】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図16(A)は図14のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図16(B)は図14のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図17】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す平面図であって、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を用いて製造したRC型トランジスタの一例を示す平面図である。
【図18】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を用いて製造したRC型トランジスタの断面図であって、図18(A)は図17のA−A’線の断面図であり、図18(B)は図17のB−B’線の断面図である。
【図19】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図19(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図19(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図20】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図20(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図20(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
【図21】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図22】本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図21のA−A’線の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
(第1の実施形態)
まず、本発明の第1の実施形態である半導体装置の製造方法について、RC型トランジスタを製造する工程を一例として図1〜図18を用いて説明する。
図1は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法の一例を示す工程平面図であって、シリコン窒化膜21を形成した時点の図である。また、図2は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図2(A)は図1のA−A’線の断面図であり、図2(B)は図1のB−B’線の断面図である。図1では、x方向と、これに垂直なy方向が規定されており、A−A’線は、x方向に平行な線であり、B−B’線はy方向に平行な線である。
【0013】
まず、熱酸化法等により、不純物を導入してP型としたシリコンからなる半導体基板1上に厚さ9nm程度のシリコン酸化膜を形成する。
次に、シリコン酸化膜上に、厚さ120nm程度のシリコン窒化膜(Si)21を形成する。
次に、シリコン窒化膜上にフォトレジスト膜(図示せず)を形成した後、これを露光して所望のパターンマスクとしてから、ドライエッチング法を用いて、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜をパターニングする。これにより、図1、図2(A)及び図2(B)に示すように、半導体基板1上に、シリコン酸化膜20を介して長方形状のシリコン窒化膜21が形成される。シリコン窒化膜21は、後述する拡散層領域(活性領域)2を覆うように形成する。
【0014】
図3〜7は、素子分離領域3を形成する工程を示す図である。なお、図3〜7の各断面図で、各図の(A)は図1のA−A’ 線に対応する部分の断面図であり、各図の(B)は図1のB−B’ 線に対応する部分の断面図である。なお、素子分離領域3は、STI(Shallow Trench Isolation)法を用いて形成する。
図3は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、第1の溝22を形成した時点の図である。
シリコン窒化膜21形成後、シリコン窒化膜21をマスクとして用いて、シリコンのドライエッチングを行う。これにより、図3(A)及び図3(B)に示すように、半導体基板1のシリコン窒化膜21で覆われていない領域に溝(第1の溝)22を形成する。第1の溝22の深さは120nm程度とする。第1の溝22は、x方向に伸びる溝とy方向に伸びる溝とから構成している。第1の溝22の側壁面22cは、鉛直方向となす角度(テーパー角)が概略垂直(テーパー角0度)となるように形成する。
前記ドライエッチングは、異方性ドライエッチングとし、例えば、塩素(Cl)、臭化水素(HBr)及び酸素(O)等を混合したガスを用いて、圧力10〜50mTorrの雰囲気下で実施する。
【0015】
図4は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、サイドウォール23を形成した時点の図である。
第1の溝22形成後、CVD法を用いて、第1の溝22の表面及びシリコン窒化膜21の表面を覆うように、厚さ15〜20nm程度のシリコン酸化膜を形成する。
次に、全面ドライエッチングを行う。これにより、図4(A)及び図4(B)に示すように、第1の溝22の側壁面22cにサイドウォール23を形成する。
【0016】
図5は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、第2の溝24を形成した時点の図である。
サイドウォール23形成後、シリコン窒化膜21およびサイドウォール23をマスクとして、再度、シリコンのドライエッチングを行う。第2の溝24の深さは80〜100nm程度とし、第2の溝24の傾斜面24cは、鉛直方向Zと角度αをなし、深さ方向に凸部39の領域を広げるように形成する。
これにより、図5(A)及び図5(B)に示すように、第2の溝24を形成して、第1の溝22と第2の溝24とからなる溝部40を形成するとともに、溝部40に囲まれた凸部39を形成する。
凸部39の側壁面の上部は、半導体基板1の一面1aに対してほぼ垂直な面22cとされ、凸部39の側壁面の下部は傾斜面24cとされる。また、傾斜面24cとほぼ垂直な面22cとの間に半導体基板1の一面1aに対してほぼ平行な段部19が設けられる。
【0017】
図6は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、シリコン酸化膜25を形成した時点の図である。
第2の溝24形成後、図6(A)及び図6(B)に示すように、CVD法を用いて、溝部40を充填するとともに、シリコン窒化膜21を覆うようにシリコン酸化膜からなる素子分離用絶縁膜25を形成する。
なお、先に形成したサイドウォール23は、素子分離用絶縁膜25と同じシリコン酸化膜で形成されているので、図6(A)及び図6(B)では、簡略化のためにサイドウォール23の記載を省略している(以降の図において同じ。)。
【0018】
図7は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、シリコン窒化膜21の残存部分を除去した時点の図である。
素子分離用絶縁膜25形成後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて、シリコン窒化膜21が露出するまで、シリコン酸化膜25表面の平坦化を行う。
次に、フッ酸等の薬液を用いてウェットエッチングを行って、溝部40の内部に充填された素子分離用絶縁膜25の高さが、半導体基板1の一面(上面)と概略同等の高さとなるように調整する。これにより、溝部40に充填された素子分離用絶縁膜25からなる素子分離領域3を形成する。
【0019】
次に、熱リン酸等の薬液を用いて、シリコン窒化膜21の残存部分を除去する。これにより、図7(A)及び図7(B)に示すように、シリコン酸化膜20が露出される。なお、素子分離領域3で区画された凸部39を拡散層領域(活性領域)2とする。
【0020】
図8は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程平面図であって、フォトレジスト膜26の開口部26cを形成した時点の図である。図9は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図9(A)は図8のA−A’線の断面図であり、図9(B)は図8のB−B’線の断面図である。
シリコン酸化膜20を露出させた後、シリコン酸化膜20及び素子分離領域3を覆うようにフォトレジスト膜26を形成する。
次に、フォトリソグラフィー法によりフォトレジスト膜26をパターニングして、図8及び図9に示すように、帯状の開口部26cを設ける。開口部26cは、平面視長方形状の拡散層領域(活性領域)2と中心部分で交差するように形成する。
【0021】
図10は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程平面図であって、ゲート電極用の凹部27を形成した時点の図である。図11は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法の工程図であって、図11(A)は図10のA−A’線の断面図であり、図11(B)は図10のB−B’線の断面図であり、図11(C)は図10のC−C’線の断面図である。
次に、フォトレジスト膜26をマスクとして、シリコンの異方性ドライエッチングを行う。エッチングガスとしては、例えば、塩素(Cl)、臭化水素(HBr)及び酸素(O)の混合ガスを用いる。
【0022】
このドライエッチングにより、開口部26cのシリコンが除去されて、ゲート電極用の凹部27が形成される。このとき、シリコン酸化膜もエッチングされる。しかし、シリコン酸化膜のエッチング速度はシリコンのエッチング速度よりも遅いため、シリコン酸化膜のエッチング量は少ない。そのため、図11(B)及び図11(C)に示すように、素子分離領域3に浅い溝27aが形成される。
【0023】
図11(B)に示すように、凹部27と素子分離領域3との間には、薄肉部41が形成されている。素子分離領域3の一部は平面視したときに活性領域2方向に突出した突出部3dとされている。シリコンの異方性ドライエッチングでは、突出部3dもマスクの一部として用いられる。
薄肉部41は、半導体基板1を形成するシリコンを一面1a側から他面1b側に向けて膜厚が厚くされるように形成する。すなわち、薄肉部41は、先端側から基端側に向けて膜厚が厚くなるように形成される。薄肉部41の高さH1は、段部19と凹部27の底面27bとの間の距離に相当し、概略50〜70nm程度とする。
なお、薄肉部41は、RC型トランジスタのチャネル領域4として機能する。第2の溝24の側壁24cが鉛直方向Zとなす角度αの大きさを変更して、このチャネル領域の幅を調整する。
【0024】
このドライエッチングでは、通常、図11(B)に示すように、薄肉部41(チャネル領域4)の先端側に接し、素子分離領域3の側面に貼り付くように、薄皮状のシリコンからなるバリ部28が残存する。
バリ部28を残存させてトランジスタを形成すると、バリ部28がチャネル領域4の一部として機能して、トランジスタのしきい値電圧低下を起こし、最適な動作特性の設定を困難にするので、バリ部28は除去することが好ましい。
そのため、本実施形態では、次の工程で示すように、シリコンのウェットエッチングを行って、バリ部28を除去する。
【0025】
図12は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図12(A)は図10のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図12(B)は図10のB−B’線に対応する部分の断面図であり、図12(C)は図10のC−C’線に対応する部分の断面図である。
前記シリコンの異方性ドライエッチング終了後、フォトレジスト膜26を除去する。
次に、凹部27まで形成した半導体基板を、70℃程度に加熱した純水中に20分間浸漬して、シリコンのウェットエッチングを行う。このウェットエッチングによって、バリ部28を完全に除去できる。また、このウェットエッチングの進行に伴って、薄肉部41(チャネル領域4)の上端部分の薬液にさらされる領域が拡大して、薄肉部41(チャネル領域4)の上端部分のシリコンの除去を早く進めることができ、最終的に形成される薄肉部41(チャネル領域4)の高さH2を約30〜50nmの範囲に正確に調節することができる。
なお、このウェットエッチングにより、凹部27の側面及び底面のシリコンも若干除去される。
【0026】
本実施形態でしめしたように、シリコンのウェットエッチングに用いる薬剤としては、純水を用いることが好ましい。純水は、一般的な半導体製造工場で洗浄工程等に用いられており、液中に残存する有機物、微粒子、菌、イオン、酸素等の溶存ガス等が高純度に取り除かれた水である。
【0027】
前記純水は、70℃程度に加熱することが好ましく、少なくとも80℃以下とすることが好ましい。純水を70℃程度に加熱することにより、シリコンを1分間で約1nm程度除去可能な薬液として用いることができ、エッチング速度を適切な速度に制御して、シリコンの除去量を正確に制御できる。
純水の温度を80℃より高くすると、純水中にわずかに残存している溶存ガス(酸素等)が気泡となって発生し、半導体基板表面に付着する可能性が高くなり、気泡がエッチングを阻害する。一方、純水の温度を低くするに従って、シリコンのエッチング速度が低下する。このため生産性を考慮すると、純水の温度は60℃以上にすることが好ましい。
【0028】
なお、ドライエッチング条件のみを制御してバリ部28を除去しようとすると、オーバーエッチングにより、凹部27の底面位置が深くなりすぎて、薄肉部41の高さH1を所望の高さに制御できないとともに、横方向へのシリコンのエッチングが進行しすぎて適正なチャネル領域4の幅を確保できない場合が発生する。また、ドライエッチング条件のみを制御して薄肉部41の高さを30〜50nmの範囲とするために凹部27のドライエッチング時間を短くすると、バリ部28がより多く残る。以上の理由により、ドライエッチング条件のみを制御して、バリ部28を除去するとともに、薄肉部41を所望の形状及び高さに制御することは困難である。
【0029】
図13は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、多結晶シリコン膜30を形成した時点の図であり、図13(A)は図10のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図13(B)は図10のB−B’線に対応する部分の断面図である。
シリコンのウェットエッチング後、フッ酸等の薬液を用いてシリコン酸化膜20を除去して、拡散層領域2におけるシリコン表面を露出させる。
次に、凹部27の側面及び底面、前記シリコン表面及び素子分離領域3の表面を覆うように、厚さ4〜8nmのゲート絶縁膜8を形成する。ゲート絶縁膜8としては、シリコン酸化膜や、シリコン窒化膜とシリコン酸化膜の積層膜の他に、高誘電率を有するHigh−K膜(例えば、HfSiON等)などを用いる。
【0030】
次に、図13に示すように、CVD法を用いて、ゲート絶縁膜8を覆い、ゲート電極用の凹部27の内部を充填するように、N型の不純物としてリン(P)を導入した多結晶シリコン(Poly−Si)膜30を厚さ80nm程度で堆積する。
なお、不純物を含まない多結晶シリコン膜を堆積した後に、前記多結晶シリコン膜中に、イオン注入法によってN型の不純物を導入して、多結晶シリコン膜30を形成してもよい。
【0031】
図14は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程平面図であって、ゲート電極5を形成した時点の図である。図15は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法の工程図であって、図15(A)は図14のA−A’線の断面図であり、図15(B)は図14のB−B’線の断面図であり、図15(C)は図14のC−C’線の断面図である。
【0032】
多結晶シリコン膜30形成後、多結晶シリコン膜30を貫通して、薄肉部41(チャネル領域4)を含む半導体基板1の内部に到達するように、50〜80KeVのエネルギーでボロン(B)のイオン注入を行い、半導体基板1の内部に不純物注入層(図示せず)を形成する。
ボロン濃度(イオン注入のドーズ量)を調節することにより、トランジスタのしきい値電圧を所望の値に調節することができる。なお、しきい値電圧調整用の不純物注入層は、多結晶シリコン膜30の堆積前に形成してもよい。
【0033】
次に、多結晶シリコン膜30上に低抵抗の材料からなる導電膜を形成する。導電膜としては、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)等の高融点金属膜、それらを含んだシリサイド化合物(WSi、CoSi、TiSi)等を用いることができる。また、前記高融点金属膜と、前記高融点金属の窒化物(WN、TiN等)からなるバリア膜とを積層して用いてもよい。
【0034】
次に、導電膜上にフォトレジスト膜を形成してから、前記フォトレジスト膜をパターニングして、ゲート電極の形成領域のみを覆うフォトレジスト膜マスク(不図示)を形成する。
次に、前記フォトレジスト膜マスクを用いて、導電膜及び多結晶シリコン膜30をドライエッチングする。これにより、図14及び図15に示すように、導電層6と多結晶シリコン膜7からなるゲート電極5を形成する。
ゲート電極5は、平面視帯状であり、平面視帯状の拡散層領域(活性領域)2と垂直に交差するように形成する。また、ゲート電極5は、多結晶シリコン7上に導電層6が積層された壁状に形成する。多結晶シリコン7の下部は、ゲート絶縁膜8を介して薄肉部41(チャネル領域4)により挟み込まれている。
【0035】
図16は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、N型不純物層9を形成した時点の図であり、図16(A)は図14のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図16(B)は図14のB−B’線に対応する部分の断面図である。
ゲート電極5形成後、リン(P)を、エネルギー10〜20KeV、ドーズ量1×1012〜1×1013ions/cmで、拡散層領域2のゲート電極5で覆われていない領域にイオン注入してN型不純物層9を形成する。N型不純物層9は、トランジスタのソース・ドレイン領域として機能する。
【0036】
図17は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程平面図であって、コンタクトプラグ11を形成した時点の図である。図18は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を示す工程図であって、図18(A)は図17のA−A’線の断面図であり、図18(B)は図17のB−B’線の断面図である。
N型不純物層9形成後、ゲート電極5及びゲート絶縁膜8を覆うように、シリコン酸化膜等からなる層間絶縁膜10を堆積する。
次に、層間絶縁膜10にN型不純物層9を露出させる孔部を設け、前記孔部を埋めるように導電材料を充填して、コンタクトプラグ11を形成する。前記導電材料としては、タングステン(W)や、不純物を導入した多結晶シリコン等を用いることができる。図18(A)に示すように、コンタクトプラグ11は、ソース・ドレイン領域用のN型不純物層9に接続されている。
【0037】
次に、ゲート電極5についても同様に、引き出し用のコンタクトプラグ(図示せず)を形成する。
次に、コンタクトプラグ11と接続する金属配線層(図示せず)をタングステンやアルミニウム(Al)、銅(Cu)等を用いて形成する。
以上の工程により、RC型トランジスタが完成する。
【0038】
図17には、RC型トランジスタの平面視長方形状の領域が示されている。前記領域は、層間絶縁膜10により覆われている。前記領域内には、帯状の拡散層領域(活性領域)2と、帯状のゲート電極5が交差するように配置されている。拡散層領域2の周りには、拡散層領域2を区画する素子分離領域3が形成されている。拡散層領域2には、円形状の2つのコンタクトプラグ11が設けられている。
【0039】
図18(A)に示すように、半導体基板1には、素子分離領域3が設けられている。素子分離領域3には、凸部39が形成されている。凸部39には、トランジスタのソース・ドレイン領域として機能する2つのN型不純物層9と、ゲート電極5が形成されている。
ゲート電極5は、半導体基板1の一面1aに設けられた凹部27を充填し、半導体基板1の一面1aから突出するように形成された多結晶シリコン7と、多結晶シリコン7上に形成された導電層6とから構成されている。凹部27の内壁面と底面を覆うと共に、半導体基板1の一面1a及び素子分離領域3を覆うようにゲート絶縁膜8が形成されている。
層間絶縁膜10は、ゲート電極5とゲート絶縁膜8を覆うように形成されている。層間絶縁膜10に設けられたコンタクトプラグ11を用いて、N型不純物層9と上層に設けた配線層(図示せず)との導通が得られる構成とされている。
【0040】
図18(B)に示すように、ゲート電極5の基端側の多結晶シリコン7は、凹部27を充填するように形成されている。多結晶シリコン7の基端側は、ゲート絶縁膜8を介して、サイドウォール状の薄肉部41により挟まれている。薄肉部41は、先端側から基端側に向けて膜厚が厚くされるように形成されている。
【0041】
薄肉部41は、RC型トランジスタのチャネル領域4として機能する。薄肉部41(チャネル領域4)は、ゲート絶縁膜8を介してゲート電極5の下層部分と対向するように配置されている。RC型トランジスタがオン状態に有る場合のN型不純物層9間の相互の導通は、ゲート電極5に印加された電界によって、薄肉部41(チャネル領域4)の導電型をP型からN型に反転することにより行われる。
【0042】
本実施形態では、Nチャネル型トランジスタを形成する場合について説明したが、Pチャネル型トランジスタを形成する場合に利用してもよい。Pチャネル型トランジスタを形成する場合には、不純物の導電型を変更すればよい。すなわち、P型の半導体基板を用いる場合には、あらかじめN型ウェルを形成しておき、そのN型ウェル中にRC型トランジスタを形成し、ソース・ドレイン領域の形成にはボロンまたはフッ化ボロン(BF)を注入して、P型不純物層を形成すればよい。Pチャネル型の場合にもチャネル領域を含む半導体基板内に注入した不純物層の濃度と導電型を制御することで、しきい値電圧を調整することができる。
【0043】
本実施形態では、シングルドレイン構造を用いたが、トランジスタの特性をより高性能なものとするために、LDD構造としてもよい。具体的には、ゲート電極の側面部分に公知の手段でシリコン窒化膜等を用いたサイドウォールを形成した後に、Nチャネル型トランジスタの場合には、イオン注入法を用いて、ヒ素(As)等の不純物をドーズ量が1×1013〜1×1014ions/cmとなるように導入すればよい。LDD構造としてソース・ドレイン領域の抵抗値を下げることにより、より大きなオン電流を得ることができる。
【0044】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、従来のプレーナ型MOSトランジスタまたはトレンチゲート型トランジスタなどで用いられている高性能化の手法を組合せて用いてもよい。
【0045】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、半導体基板1の一面1aに、溝部40と、溝部40に囲まれ、側壁面の少なくとも一部が傾斜面24cである凸部39とを形成してから、溝部40を埋める素子分離用絶縁膜25を形成する工程と、素子分離用絶縁膜25をマスクの一部にして半導体基板1の一面1aをドライエッチングして凸部39内に凹部27を設けるとともに、凹部27と素子分離用絶縁膜25との間にチャネル領域4となる薄肉部41を形成する工程と、ウェットエッチングにより、薄肉部41の高さを調整する工程と、を有する構成なので、RC型トランジスタのチャネル領域4の高さH2を所望の範囲に調整するとともに、チャネル領域4に近接して残存し、トランジスタの動作に悪影響を及ぼす薄皮状の半導体層からなるバリ部28を完全に除去することができる。このため、チャネル領域4を流れる電流を安定化して、RC型トランジスタの動作特性を安定化できる。
【0046】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、第1工程において、凸部39の側壁面の上部を半導体基板1の一面1aに対してほぼ垂直な面22cとするとともに、凸部の側壁面の下部を傾斜面24cとし、かつ、傾斜面24cとほぼ垂直な面22cとの間に半導体基板1の一面1aに対してほぼ平行な段部19を設けることで、素子分離用絶縁膜3に前記ほぼ垂直な面22cと対向する突出部を設け、第2工程において、前記突出部をマスクの一部にして異方性エッチングすることで、凹部27と素子分離用絶縁膜3との間にチャネル領域4となる薄肉部41を形成する構成なので、素子分離用絶縁膜25をマスクの一部として凹部27を形成して、チャネル領域4の高さH2を所望の範囲にするとともに、チャネル領域4に近接して残存する薄皮状の半導体層28を完全に除去することができる。
【0047】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、凸部39は、凸部39の側壁面の上部に位置する半導体基板1の一面1aに対してほぼ垂直な面22cを形成する第1のドライエッチングを行った後に、ほぼ垂直な面22c上を覆う絶縁膜でサイドウォール23を形成し、サイドウォール23をマスクの一部として第2のドライエッチングを行って、凸部39の側壁面の下部に位置する傾斜面24cを形成すると共に、サイドウォール23の底面と対向するように半導体基板1の一面1aに対してほぼ平行な段部19を形成する構成なので、素子分離用絶縁膜25をマスクの一部として凹部27を形成して、段部19を形成して、チャネル領域4の高さH2を所望の範囲にすることができる。
【0048】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、傾斜面24cを、深さ方向に凸部39の領域を広げるように形成する構成なので、素子分離用絶縁膜25をマスクの一部として凹部27を形成して、チャネル領域4の高さH2を所望の範囲にすることができる。
【0049】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、前記ウェットエッチングで用いる薬液が、加熱した純水である構成なので、薄肉部41(チャネル領域4)の高さの制御を、ドライエッチングのみで実施する場合よりも容易に行うことができ、RC型トランジスタの薄肉部41(チャネル領域4)の形状・高さを、トランジスタの動作に最適な形状・高さにすることができる。また、チャネル領域4に近接して残存する薄皮状のバリ部28を完全に容易に除去することができる。
【0050】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、前記純水の温度が60℃〜80℃の範囲である構成なので、薄肉部41(チャネル領域4)の高さの制御を、ドライエッチングのみで実施する場合よりも容易に行うことができ、RC型トランジスタの薄肉部41(チャネル領域4)の形状・高さを、トランジスタの動作に最適な形状・高さにすることができる。
【0051】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、薄肉部41の高さを30〜50nmの範囲に調整する構成なので、チャネル領域4を流れる電流を安定化して、RC型トランジスタの動作特性を安定化できる。
【0052】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、薄肉部41の高さを調整した後に、凹部27の内面を覆うようにゲート絶縁膜8を形成してから、ゲート絶縁膜8を介して凹部27を充填するようにゲート電極5を形成する工程と、を有する構成なので、チャネル領域4の高さH2を所望の範囲に調整するとともに、チャネル領域4に近接して残存する薄皮状のバリ部28を完全に除去して、ゲート電極5を形成することができる。
【0053】
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態である半導体装置の製造方法について説明する。本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、素子分離領域3の形状及び形成工程を変えた他は第1の実施形態と同様である。第1の実施形態では2回のエッチングを実施して第1の溝22と第2の溝24からなる溝部40を形成したが、本実施形態では1回のエッチングで溝部40を形成する。
【0054】
図19は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法の工程図であって、素子分離領域3を形成した時点の図であり、図19(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図19(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
第1の実施形態と同様にして、熱酸化法等により、半導体基板1上に厚さ9nm程度のシリコン酸化膜20を形成した後、シリコン酸化膜20上に厚さ120nm程度のシリコン窒化膜(Si)21を形成する。
次に、シリコン窒化膜21上にフォトレジスト膜を形成した後、これを露光して所望のパターンマスクとしてから、ドライエッチング法を用いて、シリコン窒化膜21とシリコン酸化膜20をパターニングする。
【0055】
次に、シリコン窒化膜21をマスクとして、シリコンのドライエッチングを行い、溝部40を形成する。溝部40の深さは80〜100nm程度とする。溝部40は深さ方向に幅が狭くなるように形成されており、溝部40の側壁面40cは、鉛直方向Zと角度αをなす傾斜面とされている。
【0056】
次に、CVD法を用いて、溝部40の内部を充填するとともに、シリコン窒化膜21を覆うようにシリコン酸化膜からなる素子分離用絶縁膜25を形成した後、CMP(Chemical Mechanical Polishing)法を用いて素子分離用絶縁膜25の表面の平坦化を行う。
次に、フッ酸等の薬液を用いてウェットエッチングを行って、溝部40の内部に充填されたシリコン酸化膜25の高さが、半導体基板1の一面1aと概略同等の高さとなるように調整して、溝部40に充填された素子分離用絶縁膜25からなる素子分離領域3aを形成する。なお、素子分離領域3aで区画された領域は、拡散層領域(活性領域)2と形成する。また、拡散層領域(活性領域)2の表面には、シリコン酸化膜20が残されている。
【0057】
図20は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法の工程図であって、凹部27を形成した時点の図であり、図20(A)は図1のA−A’線に対応する部分の断面図であり、図20(B)は図1のB−B’線に対応する部分の断面図である。
素子分離領域3a形成後、シリコン酸化膜20及び素子分離領域3aを覆うようにフォトレジスト膜を形成してから、フォトリソグラフィー法により、フォトレジスト膜をパターニングして、平面視帯状の開口部を設ける。
【0058】
次に、フォトレジスト膜をマスクとして、シリコンの異方性ドライエッチングを行い、開口部のシリコンを除去して、凹部27を形成する。
このとき、図20(B)に示すように、凹部27と素子分離領域3aとの間に薄肉部41aが形成される。また、通常、薄肉部41aの先端側に接し、素子分離領域3の側面に貼り付くように、薄皮状のシリコンからなるバリ部28aが残存する。
なお、素子分離領域3aの一部は平面視したときに活性領域2方向に突出した突出部3dとされている。シリコンの異方性ドライエッチングでは、突出部3dもマスクの一部として用いられる。
【0059】
薄肉部41aは、半導体基板1を形成するシリコンが先端側から基端側に向けて膜厚が厚くされるように形成される。薄肉部41aの高さは、例えば、概略50〜70nm程度とする。なお、薄肉部41aは、RC型トランジスタのチャネル領域4aとして機能する。溝部40の側壁面40cが鉛直方向Zとなす角度αの大きさを変更して、チャネル領域4aの幅を調整できる。
【0060】
なお、図20(A)及び図20(B)に示すように、溝部40は1回のドライエッチングで形成され、第1の実施形態で示した段部19が形成されない。そのため、薄肉部41a(チャネル領域4a)の高さの制御は、第1の実施形態より困難となる。
【0061】
次に、第1の実施形態と同様に、70℃程度に加熱した純水を用いてシリコンのウェットエッチングを行う。これにより、バリ部28aが除去され、薄肉部41a(チャネル領域4a)の高さを最適な値にできる。
更に、第1の実施形態で示した工程と同様の工程を実施して、RC型トランジスタを完成する。
【0062】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、第1工程において、凸部39の幅が半導体基板1の一面1aから離れる方向に進むに従って広くなるように凸部39の側壁面全体を傾斜面40cとすることで、前記素子分離用絶縁膜3に前記傾斜面40cと対向する突出部を設け、第2工程において、前記突出部をマスクの一部にして異方性エッチングすることで、凹部27と素子分離用絶縁膜3との間にチャネル領域4となる薄肉部41を形成する構成なので、素子分離用絶縁膜25をマスクの一部として凹部27を形成して、チャネル領域4aの高さH2を所望の範囲に調整するとともに、チャネル領域4に近接して残存する薄皮状のバリ部28を完全に除去することができる。
【0063】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、凸部39を1回のドライエッチングで形成する構成なので、素子分離用絶縁膜25をマスクの一部として凹部27を形成して、チャネル領域4aの高さH2を所望の範囲に調整するとともに、チャネル領域4に近接して残存する薄皮状のバリ部28を完全に除去することができる。
【0064】
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態である半導体装置の製造方法について説明する。本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、シリコンのウェットエッチングの工程で用いる薬液として加熱したリン酸を用いた他は第1の実施形態と同様である。
【0065】
シリコンのウェットエッチングの工程で用いる薬液として、シリコンのエッチングレートが遅い液体薬剤を使用してもよい。シリコンのエッチングレートが遅い液体薬剤を使用することにより、薄肉部41(チャネル領域4)の高さをより正確に調節することができる。
【0066】
本実施形態では、シリコンのウェットエッチングの薬液として、加熱したリン酸(HPO)を用いる。具体的には、160℃程度に加熱したリン酸(薬液)中に所定の前工程を実施した半導体基板を60分程度浸漬する。これにより、第1の実施形態の示した加熱した純水を用いた場合と概略同程度のシリコンを除去することが可能となり、制御性よくチャネル領域を形成できる。薬液としてリン酸を用いる場合には、エッチング速度等を考慮して、温度は150〜170℃の範囲に設定するのが好ましい。
【0067】
なお、シリコンのウェットエッチングの薬液として、APM(アンモニア過酸化水素水溶液)を用いてシリコンをエッチングすることも可能である。しかし、APMを用いた場合には、加熱した純水やリン酸を用いた場合に比べてシリコンのエッチング速度が速いので、最終的に形成する薄肉部41(チャネル領域4)の形状・高さの制御性に劣る。
【0068】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、ウェットエッチング法で用いる薬液が、加熱したリン酸である構成なので、チャネル領域4の高さH2を所望の範囲に調整するとともに、チャネル領域4に近接して残存し、トランジスタの動作に悪影響を及ぼす薄皮状のバリ部28を完全に除去することができる。このため、動作特性に優れた高性能のRC型トランジスタを容易に形成できる。
【0069】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、前記リン酸の温度が150℃〜170℃の範囲である構成なので、チャネル領域4の高さH2を所望の範囲に調整するとともに、チャネル領域4に近接して残存し、トランジスタの動作に悪影響を及ぼす薄皮状のバリ部28を完全に除去することができる。
【0070】
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態である半導体装置の製造方法について説明する。本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法を用いて形成したRC型トランジスタを、DRAMのメモリセルに適用した場合の製造方法である。
図21は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法の工程平面図であって、DRAM素子のメモリセル部の平面レイアウトの一例を示す概念図である。図22は、本発明の実施形態である半導体装置の製造方法の工程図であって、図21のA−A’線の断面図である。
なお、図21の右手側は、ワード配線Wとなるゲート電極105とサイドウォール105bとを切断する面を基準とした透過断面図として示している。また、簡略化のために、キャパシタ素子の記載は図21においては省略し、断面図(図22)にのみ記載している。
【0071】
図21に示すように、半導体基板101には、横(X)方向に延設された折れ線形状(湾曲形状)のビット配線106が、縦(Y)方向に所定の間隔で複数配置されている。また、縦(Y)方向に延在する直線形状のワード配線Wは、横(X)方向に所定の間隔で複数配置されている。ゲート電極(ワード配線W)にはサイドウォール105bが設けられている。各ワード配線Wの間には、不純物拡散層108及び素子分離領域103が形成されている。不純物拡散層108は、例えば、リン(P)のようなN型不純物を半導体基板101に導入して形成する。
【0072】
更に、細長い短冊状の活性領域Kが複数、個々に所定間隔をあけて右斜め下向きに整列して配置されており、一般に6F2型メモリセルと呼ばれるレイアウトに沿って配列されている。活性領域Kには、円形状の基板コンタクト部205c、205a、205bが設けられている。
各ワード配線Wは、各活性領域Kと交差する部分において、図22に示すゲート電極105を含むように構成されている。また、本実施形態では、1つの活性領域Kに2ビットのメモリセルが配置されるセル構造に本発明を適用した場合の例を示している。
【0073】
図21に示すように、半導体基板101において、素子分離領域103により区画された活性領域Kにソース・ドレイン領域として機能する不純物拡散層108が離間して形成されている。そして、不純物拡散層108の間に、溝型のゲート電極105が形成されている。
ゲート電極105は、多結晶シリコン膜と金属膜との多層膜により形成されており、半導体基板101の上部に突出されている。CVD法での成膜時にリン等の不純物を含有させることにより、前記多結晶シリコン膜を形成することができる。前記金属膜としては、タングステン(W)や窒化タングステン(WN)、タングステンシリサイド(WSi)等の高融点金属を用いることができる。
【0074】
各活性領域Kの両端部と中央部には個々に不純物拡散層が形成され、MOSトランジスタTr1のソース・ドレイン領域として機能する。ソース・ドレイン領域(不純物拡散層)の真上に配置されるように基板コンタクト部205a、205b、205cの位置が規定されている。
図21には、RC型トランジスタのゲート電極のチャネル領域CHの形成位置が、太線により透過的に示されている。
【0075】
図22に示すように、メモリセル部は、メモリセル用のMOSトランジスタTr1と、MOSトランジスタTr1に複数のコンタクトプラグを介して接続されたキャパシタ素子Capとを有して概略構成されている。MOSトランジスタTr1には、RC型トランジスタが用いられている。
【0076】
図22に示すように、不純物拡散層108上には、不純物拡散層108と接触するように基板コンタクトプラグ109が形成されている。この基板コンタクトプラグ109は、例えば、リンを含有した多結晶シリコンから形成され、図20に示す基板コンタクト部205c、205a、205bの位置にそれぞれ配置されている。基板コンタクトプラグ109の横(X)方向の幅は、隣接するゲート電極(ワード配線W)に設けられたサイドウォール105bによって規定される、セルフアライン構造となっている。
【0077】
図21及び図22において、半導体基板101は、所定濃度のP型不純物を含有するシリコン(Si)によって形成されている。
半導体基板101には、素子分離領域103が形成されている。素子分離領域103は、半導体基板101の表面にSTI法によりシリコン酸化膜(SiO)等の絶縁膜を埋設することで、活性領域(拡散層領域)K以外の部分に形成され、隣接する活性領域Kとの間を絶縁分離している。
素子分離領域103を第1の実施形態で示したように2回の溝エッチングで形成した場合には、中間部分に段差が形成されるが、図22では記載を省略した。
【0078】
ゲート電極105と半導体基板101との間には、ゲート絶縁膜105aが形成されている。また、ゲート電極105の側壁には窒化シリコン(Si)などの絶縁膜によるサイドウォール105bが形成されている。ゲート電極105上にも窒化シリコンなどの絶縁膜105cが形成されており、ゲート電極105の上面を保護している。
【0079】
図22に示すように、ゲート電極上の絶縁膜105c及び基板コンタクトプラグ109を覆うように第1の層間絶縁膜104が形成されている。
また、第1の層間絶縁膜104を貫通するように、ビット線コンタクトプラグ104Aが形成されている。ビット線コンタクトプラグ104Aは、基板コンタクト部205aの位置に配置され、基板コンタクトプラグ109と導通している。ビット線コンタクトプラグ104Aは、チタン(Ti)及び窒化チタン(TiN)の積層膜からなるバリア膜(TiN/Ti)上にタングステン(W)等を積層して形成されている。ビット線コンタクトプラグ104Aに接続するようにビット配線106が形成されている。ビット配線6は窒化タングステン(WN)およびタングステン(W)からなる積層膜で構成されている。
【0080】
ビット配線106を覆うように、第2の層間絶縁膜107が形成されている。第1の層間絶縁膜104及び第2の層間絶縁膜107を貫通して、基板コンタクトプラグ109に接続するように容量コンタクトプラグ107Aが形成されている。容量コンタクトプラグ107Aは、基板コンタクト部205b、205cの位置に配置される。
【0081】
第2の層間絶縁膜107上には、窒化シリコンを用いた第3の層間絶縁膜111およびシリコン酸化膜を用いた第4の層間絶縁膜112が形成されている。
第3の層間絶縁膜111および第4の層間絶縁膜112を貫通して、容量コンタクトプラグ107Aと接続するようにキャパシタ素子Capが形成されている。
【0082】
キャパシタ素子Capは、下部電極113と、上部電極115と、両電極の間に形成された高誘電体の容量絶縁膜114とからなる。前記高誘電体としては、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、酸化ハフニウム(HfO)や、それらの積層体等を用いることができる。
下部電極113および上部電極115には、窒化チタン等の金属膜を使用できる。
下部電極113は容量コンタクトプラグ107Aと導通している。
【0083】
上部電極115の上面を覆うように、酸化シリコン等で形成した第5の層間絶縁膜120が形成されている。さらに、第5の層間絶縁膜120上には、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等で形成した上層の配線層121及び表面保護膜122が形成されている。
【0084】
MOS型トランジスタTr1をオン状態にすることで、ビット配線106を介して、キャパシタ素子Capに蓄積した電荷の有無の判定を行うことができ、情報の記憶動作を行うことが可能なDRAMのメモリセルとして動作する。
【0085】
本発明の実施形態である半導体装置の製造方法は、ゲート電極5を備えたトランジスタTr1を形成してから、トランジスタTr1にキャパシタ素子Capを接続して、トランジスタTr1とキャパシタ素子Capとを有するメモリセルを形成する構成なので、メモリセルに用いるRC型トランジスタのチャネル領域CHの高さを所望の範囲に調整するとともに最適な形状とし、チャネル領域に近接して残存し、トランジスタの動作に悪影響を及ぼす薄皮状の半導体層からなるバリ部を完全に除去することができる。このため、動作特性に優れた高性能のRC型トランジスタを容易に形成できる。また、本発明を適用して形成したRC型トランジスタをDRAM素子のメモリセルに用いることで、リフレッシュ特性およびデータ書き込み特性に優れたDRAM素子を容易に製造できる。
【実施例】
【0086】
以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説明する。しかし、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
図22に示す半導体装置を、次のようにして製造した。
まず、熱酸化法等により、P型のシリコン基板(以下、半導体基板)上に厚さ9nmのシリコン酸化膜を形成した後、シリコン酸化膜上に、厚さ120nmのシリコン窒化膜(Si)を形成した。
次に、シリコン窒化膜上にフォトレジスト膜を形成した後、これを露光して所望のパターンマスクとしてから、ドライエッチング法を用いてシリコン窒化膜とシリコン酸化膜をパターニングして、半導体基板上にシリコン酸化膜を介して長方形状のシリコン窒化膜を形成した。
【0087】
次に、シリコン窒化膜をマスクとして、塩素(Cl)、臭化水素(HBr)及び酸素(O)を混合したガスを用いて、圧力25mTorrの雰囲気下でシリコンのドライエッチングを行い、半導体基板のシリコン窒化膜で覆われていない領域に深さ120nmの溝(第1の溝)を形成した。第1の溝の側壁面は、鉛直方向となす角度(テーパー角)が概略垂直(テーパー角0度)となるように形成した。
次に、CVD法を用いて、第1の溝の表面及びシリコン窒化膜の表面を覆うように厚さ18nmのシリコン酸化膜を形成した。
【0088】
次に、全面ドライエッチングを行い、第1の溝の側面部分にサイドウォールを形成してから、シリコン窒化膜およびサイドウォールをマスクとして、再度、シリコンのドライエッチングを行い、深さは90nmの溝(第2の溝)を形成した。これにより、第1の溝及び第2の溝からなる溝部に囲まれた凸部を形成した。なお、深さ方向に凸部の領域を広げるように、第2の溝の側壁面は傾斜させて形成した。
次に、CVD法を用いて、溝部の内部を充填するとともに、シリコン窒化膜を覆うようにシリコン酸化膜からなる素子分離用絶縁膜を形成した。
【0089】
次に、CMP法を用いて素子分離用絶縁膜表面の平坦化を行った後、フッ酸の薬液を用いてウェットエッチングを行って、溝部の内部に充填された素子分離用絶縁膜の高さが、半導体基板の一面(上面)と概略同等の高さとなるように調整して、溝部に充填されたシリコン酸化膜からなる素子分離領域を形成した。
次に、熱リン酸の薬液を用いて、シリコン窒化膜の残存部分を除去した。
次に、シリコン酸化膜及び素子分離領域を覆うようにフォトレジスト膜を形成した後、フォトリソグラフィー法により、フォトレジスト膜をパターニングして、フォトレジスト膜に、平面視帯状の開口部を、拡散層領域(活性領域)の中心部分で交差するように設けた。
【0090】
次に、フォトレジスト膜をマスクとして、塩素(Cl)、臭化水素(HBr)及び酸素(O)の混合ガスを用いて、シリコンの異方性ドライエッチングを行った。このドライエッチングにより、開口部のシリコンが除去されて凹部が形成された。なお、フォトレジスト膜で覆われていない領域の素子分離領域には浅い溝が形成された。また、このドライエッチングにより、凹部と溝部(素子分離領域)との間に薄肉部が形成された。薄肉部は、半導体基板を形成するシリコンが一面側から他面側に向けて膜厚が厚くされるように加工されたものであり、薄肉部の高さは60nmであった。更にまた、薄肉部の一面側に接し、素子分離領域の側面に貼り付くように、薄皮状のシリコンからなるバリ部が残存していた。
このシリコンの異方性ドライエッチング終了後、フォトレジスト膜を除去した。
【0091】
次に、この半導体基板を70℃に温度設定した純水中に20分間浸漬して、シリコンのウェットエッチングを行い、バリ部を完全に除去するとともに、薄肉部の高さ、すなわち、チャネル領域の半導体層の高さを40nmとした。
次に、フッ酸の薬液を用いてシリコン酸化膜を除去して、拡散層領域におけるシリコン表面を露出させた後、凹部の露出面、前記シリコン表面及び素子分離領域の表面を覆うように、厚さ6nmのシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜を形成した。
【0092】
次に、CVD法を用いて、ゲート絶縁膜を覆い、凹部の内部を充填するように、リン(P)を導入した多結晶シリコン膜を厚さ80nmで堆積した。
次に、多結晶シリコン膜を貫通して半導体基板の内部に到達するように、60KeVのエネルギーでボロン(B)のイオン注入を行い、半導体基板の内部に不純物注入層を形成した。
【0093】
次に、多結晶シリコン膜上にタングステン(W)からなる導電膜を形成し、前記導電膜上にフォトレジスト膜を形成してから、前記フォトレジスト膜をパターニングして、ゲート電極の形成領域のみを覆うフォトレジスト膜マスクを形成した後、前記フォトレジスト膜マスクを用いて前記導電膜及び前記多結晶シリコン膜をドライエッチングして、平面視帯状のゲート電極を形成した。
【0094】
次に、リン(P)をエネルギー15KeV、ドーズ量5×1012ions/cmで、拡散層領域のゲート電極で覆われていない領域にイオン注入して、トランジスタのソース・ドレイン領域として機能するN型不純物層を形成した。
次に、ゲート電極及びゲート絶縁膜を覆うように、シリコン酸化膜からなる層間絶縁膜を堆積した後、層間絶縁膜にN型不純物層を露出させる孔部を設け、前記孔部を埋めるようにタングステン(W)からなる導電材料を充填して、コンタクトプラグを形成した。
【0095】
次に、ゲート電極についても引き出し用のコンタクトプラグを形成し、これらのコンタクトプラグと接続する金属配線層を、タングステンを用いて形成した。
以上の工程により、RC型トランジスタを完成した。
更に、RC型トランジスタをメモリセルに用いて設計ルール50nm世代のDRAM素子を作成し、RC型トランジスタのチャネル領域の半導体層(薄肉部)の高さとDRAM素子の動作特性との関係について評価を行った。
【0096】
(実施例2〜3、比較離1〜4)
チャネル領域の半導体層(薄肉部)の高さを30nm(実施例2)、50nm(実施例3)、10nm(比較例1)、20nm(比較例2)、60nm(比較例3)、70nm(比較例4)とした他は実施例1と同様にして、RC型トランジスタを備えたDRAM素子を作成した。
実施例1と同様の方法で、RC型トランジスタのチャネル領域の半導体層の高さとDRAM素子の動作特性との関係について評価を行った。以上の結果、次のような知見を得た。
【0097】
チャネル領域の半導体層の高さが約30〜50nmに設定されている場合に、DRAM素子の動作が最も安定した。チャネル領域の半導体層の高さを約50nmよりも大きくするに従い、トランジスタのしきい値電圧に低下がみられた。しきい値電圧の低下は、チャネル領域に導入する不純物(ソース・ドレイン領域と反対導電型の不純物)の濃度を大きくすることで抑制できるが、それによってソース・ドレイン領域端での電界強度が上昇し、オフ状態でのリーク電流が増加する。このため、DRAM素子のリフレッシュ特性(データ保持特性)が悪化した。一方、チャネル領域の半導体層の高さを約30nmよりも小さくするに従い、トランジスタのオン電流およびS係数(サブスレッショルド係数)が低下した。このため、データ保持に用いるキャパシタ素子へのデータの書き込み特性が悪化した。
【産業上の利用可能性】
【0098】
本発明は、半導体装置の製造方法に関するものであり、特に、チャネル領域の高さを所望の範囲に調整するとともに、前記チャネル領域に近接して残存する薄皮状のバリ部を完全に除去する半導体装置の製造方法に関するものであり、半導体装置を製造・利用する産業において利用可能性がある。
【符号の説明】
【0099】
1…半導体基板、1a…一面、2…拡散層領域(活性領域)、3、3a…素子分離領域、3d…突出部、4、4a…チャネル領域、5…ゲート電極、6…導電層、7…多結晶シリコン、8…ゲート絶縁膜、9…N型不純物層(ソース・ドレイン領域)、10…層間絶縁膜、11…コンタクトプラグ、19…段部、20…シリコン酸化膜、21…シリコン窒化膜、22…第1の溝、22c…側壁面、23…サイドウォール、24…第2の溝、24c…側壁面、25…素子分離用絶縁膜(シリコン酸化膜)、26…フォトレジスト膜、26c…開口部、27…凹部、27a…浅い溝、28、28a…バリ部、30…多結晶シリコン膜、39…凸部、40…溝部、41、41a…薄肉部、101…半導体基板、103…素子分離領域、104…第1の層間絶縁膜、104A…ビット線コンタクトプラグ、105…ゲート電極、105a…ゲート絶縁膜、105b…サイドウォール、105c…絶縁膜、106…ビット配線、107…第2の層間絶縁膜、107A…容量コンタクトプラグ、108…不純物拡散層、109…基板コンタクトプラグ、111…第3の層間絶縁膜、112…第4の層間絶縁膜、113…下部電極、114…容量絶縁膜、115…上部電極、120…第5の層間絶縁膜、121…配線層、122…表面保護膜、205a、205b、205c…基板コンタクト部、Cap…キャパシタ素子、K…活性領域、Tr…トランジスタ、W…ゲート配線。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の一面に、溝部と、前記溝部に囲まれ、側壁面の少なくとも一部が傾斜面である凸部とを形成してから、前記溝部を埋める素子分離用絶縁膜を形成する第1工程と、
前記素子分離用絶縁膜をマスクの一部にして前記半導体基板の一面をドライエッチングして前記凸部内に凹部を設けるとともに、前記凹部と前記素子分離用絶縁膜との間にチャネル領域となる薄肉部を形成する第2工程と、
ウェットエッチングにより、前記薄肉部の高さを調整する第3工程と、を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第1工程において、前記凸部の側壁面の上部を前記半導体基板の一面に対してほぼ垂直な面とするとともに、前記凸部の側壁面の下部を傾斜面とし、かつ、前記傾斜面と前記ほぼ垂直な面との間に前記半導体基板の一面に対してほぼ平行な段部を設けることで、前記素子分離用絶縁膜に前記ほぼ垂直な面と対向する突出部を設け、
前記第2工程において、前記突出部をマスクの一部にして異方性エッチングすることで、前記凹部と前記素子分離用絶縁膜との間にチャネル領域となる薄肉部を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記第1工程において、前記凸部の幅が前記半導体基板の一面から離れる方向に進むに従って広くなるように前記凸部の側壁面全体を傾斜面とすることで、前記素子分離用絶縁膜に前記傾斜面と対向する突出部を設け、
前記第2工程において、前記突出部をマスクの一部にして異方性エッチングすることで、前記凹部と前記素子分離用絶縁膜との間にチャネル領域となる薄肉部を形成することを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記凸部は、前記凸部の側壁面の上部に位置する前記半導体基板の一面に対してほぼ垂直な面を形成する第1のドライエッチングを行った後に、前記ほぼ垂直な面上を覆う絶縁膜でサイドウォールを形成し、前記サイドウォールをマスクの一部として第2のドライエッチングを行って、前記凸部の側壁面の下部に位置する傾斜面を形成すると共に、前記サイドウォールの底面と対向するように前記半導体基板の一面に対してほぼ平行な段部を形成することを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記凸部を1回のドライエッチングで形成することを特徴とする請求項3に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記傾斜面を、深さ方向に前記凸部の領域を広げるように形成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記ウェットエッチングで用いる薬液が、加熱した純水であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記純水の温度が60℃〜80℃の範囲であることを特徴とする請求項7に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記ウェットエッチングで用いる薬液が、加熱したリン酸であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記リン酸の温度が150℃〜170℃の範囲であることを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記薄肉部の高さを30〜50nmの範囲に調整することを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記薄肉部の高さを調整した後に、前記凹部の内面を覆うようにゲート絶縁膜を形成してから、前記ゲート絶縁膜を介して前記凹部を充填するようにゲート電極を形成することを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ゲート電極を備えたトランジスタを形成してから、前記トランジスタにキャパシタ素子を接続して、前記トランジスタと前記キャパシタ素子とを有するメモリセルを形成することを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2011−82265(P2011−82265A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231725(P2009−231725)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(500174247)エルピーダメモリ株式会社 (2,599)
【Fターム(参考)】