説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】半導体基板上に形成されたFETのソース側のエクステンション領域の抵抗値を低減し、半導体装置の動作速度を向上することができる技術を提供する。
【解決手段】ゲート電極4dの側壁に、ゲート電極4dのゲート長方向の幅が異なる第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nをそれぞれ形成する。これにより、第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nの形状によって第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nの下部に自己整合的に形成されるエクステンション領域37、38の半導体基板SBの上面の幅をそれぞれ異なる長さで形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関し、特に、高耐圧MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を有する半導体装置およびその製造方法に適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体基板上の集積回路には、例えば半導体素子として、低電圧で動作し、大きい電流駆動力を必要とするMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、または、前記MISFETよりも高い電圧で動作し高耐圧を必要とするMISFET(以下、単に高耐圧MISFETという)などが混在している場合がある。
【0003】
また、高耐圧MISFETのひとつに、MONOS構造を有する書き換え可能な不揮発性メモリ(以下、単にMONOSメモリという)がある。MONOSメモリは、例えば2層の酸化シリコン膜の間に電荷蓄積層である窒化シリコン膜の層が形成されたONO(Oxide Nitride Oxide)膜からなる絶縁膜を、ゲート電極と半導体基板の間に有するFETであり、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリのメモリセルとして広く使用されている。
【0004】
近年はMISFETの微細化に伴い、耐圧などの信頼性を向上させる目的で、MISFETのソース・ドレイン領域よりも低濃度の不純物が添加されたエクステンション領域を、半導体基板の主面であってゲート電極の端部の下部からソース・ドレイン領域にかけて形成し、拡散層をLDD(Lightly Doped Drain)構造とすることが主流となっている。LDD構造を有するMISFETのエクステンション領域の幅は、通常、MISFETのゲート電極の側壁に形成されたサイドウォールの幅(スペーサー長)によって決まる。
【0005】
高耐圧MISFETおよびMONOSメモリのサイドウォールにおいては、それらのスペーサー長を低電圧で動作する周辺回路のMISFETのスペーサー長に対して異なる長さで形成することが望ましい。従来の一般的な半導体装置の製造方法では、同一半導体基板上にスペーサー長に違いのある2種以上のサイドウォールを形成するために、2種LDD形成用の専用マスクを用いてフォトレジスト膜を選択的に形成し、サイドウォールを作り分けている。ここで、2種LDDまたは2種LDD構造とは、同一の半導体基板上に幅が異なるサイドウォールを有し、幅が異なるエクステンション領域が形成されたMISFETを含む半導体装置の構造のことをいう。2種LDD構造を実現するための技術としては、例えば特許文献1(特開2004−349680号公報)にその方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−349680号公報
【特許文献2】特開平5−62994号公報
【特許文献3】特開平9−213713号公報
【特許文献4】特開2001−274259号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
2種LDDを形成するプロセスによって高耐圧MISFETまたはMONOSメモリの両側の側壁には、高耐圧MISFETよりも低電圧で動作するMISFET(以下、単に低耐圧MISFETという)のゲート電極の側壁に形成されるサイドウォールよりもスペーサー長が長いサイドウォールが形成される。
【0008】
高耐圧MISFETまたはMONOSメモリでは、ゲート電極の両側の側壁に幅が長いサイドウォールを形成することで、サイドウォールの下部に幅が長いエクステンション領域を形成することが考えられる。このことは、高耐圧MISFETまたはMONOSメモリのソース領域およびドレイン領域の両方に高い電圧が印加され、ソース・ドレイン領域とゲートまたはウエル(半導体基板)との間に高い電位差が生じる場合に、ソース・ドレイン領域の耐圧を向上させる上で有効である。
【0009】
しかし、一部の高耐圧MISFETまたはMONOSメモリにおいては、用途によって、例えばドレイン領域とウエルには高い耐圧が要求され、ソース領域はドレイン領域よりも低い耐圧が要求される素子がある。つまり、このFETでは、ドレイン領域とゲート間またはドレイン領域とウエル間には高い電位差が生じるが、ソース領域とゲート間またはソース領域とウエル間には、ドレイン領域のような高い電位差は生じない。
【0010】
このようなFETで、高い耐圧を必要としないソース領域にまで幅が長いエクステンション領域を形成することは、ソース−ドレイン間に流れる電流が小さくなる要因となる。すなわち、エクステンション領域はソース領域よりも高抵抗な領域であり、このエクステンション領域の幅が長くなれば、その分ソース−ドレイン間の抵抗値が高くなり、半導体装置の動作の高速化の妨げとなる。
【0011】
また、ソース領域に特定の電位を供給する接続部材であるコンタクトプラグは、エクステンション領域の幅の分だけゲート電極と離して配置しなければならない。したがって、ドレイン領域は高い耐圧を必要とし、かつソース領域は高い耐圧を必要としないFETにおいて、ソース領域にまで幅が長いエクステンション領域を形成した場合、ソース領域のエクステンション領域の長さが長いために、ゲート電極とコンタクトプラグとの間の距離を長く確保する必要が生じ、半導体装置の微細化が困難となる。
【0012】
特許文献2(特開平5−62994号公報)には、ソース側のエクステンション領域(n層)を除去したトランジスタを形成することが記載されている。具体的には、半導体基板の主面にゲート電極、エクステンション領域およびゲート絶縁膜の両側の側壁のサイドウォールを形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング法を用いてソース側のサイドウォールを一部除去し、半導体基板にエクステンション領域よりも不純物濃度が高いn層(ソース・ドレイン領域)を形成することにより、ソース側のエクステンション領域をn層に変える。
【0013】
なお、特許文献2では、ソース側のエクステンション領域を除去したトランジスタの他に、異なる用途のトランジスタであって、例えば前記トランジスタよりも低電圧で動作し、相対的に幅が短いサイドウォールおよびエクステンション領域を有するトランジスタなどが形成されているか否かについての記載はない。
【0014】
特許文献3(特開平9−213713号公報)には、ソース側のエクステンション領域の幅をドレイン側のエクステンション領域の幅より短くした電界効果トランジスタを形成することが記載されている。具体的には、半導体基板の主面にゲート電極およびエクステンション領域を形成した後、半導体基板の主面に第1のスルー膜(絶縁膜)を堆積し、続いてソース形成領域側の第1のスルー膜を除去する。その後、半導体基板の主面に第2のスルー膜(絶縁膜)を形成し、第1および第2のスルー膜を介して半導体基板の主面にn層(ソース・ドレイン領域)を形成する。ここで、ドレイン側のゲート電極の側壁には第1および第2のスルー膜が形成されており、ソース側のゲート電極の側壁には第2のスルー膜のみが形成されているため、ドレイン側のエクステンション領域の幅よりもソース側のエクステンション領域の幅の方が短くなる。
【0015】
なお、特許文献3では、ソース側のエクステンション領域を短くした電界効果トランジスタの他に、異なる用途のトランジスタであって、例えば前記電界効果トランジスタよりも低電圧で動作し、幅が短いサイドウォールおよびエクステンション領域を有するトランジスタなどが形成されているか否かについての記載はない。
【0016】
特許文献4(特開2001−274259号公報)には、ソース側のエクステンション領域の幅をドレイン側のエクステンション領域の幅より短くしたトランジスタを形成することが記載されている。具体的には、ゲート電極およびエクステンション領域を形成した半導体基板の主面上に絶縁膜を形成し、ドレイン形成領域側の前記絶縁膜上にレジストマスクを形成した後、半導体基板の主面の前記絶縁膜をエッチバックすることでドレイン形成領域側のゲート電極の側壁に幅が長いサイドウォールを形成する。続いて、このサイドウォールをマスクとして半導体基板の主面にn拡散層を形成することで、ソース側にドレイン側よりも幅が短いエクステンション領域を有するトランジスタを形成する。
【0017】
なお、特許文献4では、ソース側のエクステンション領域を短くした電界効果トランジスタの他に、異なる用途のトランジスタであって、例えば前記電界効果トランジスタよりも低電圧で動作し、短いサイドウォールおよびエクステンション領域を有するトランジスタなどが形成されているか否かについての記載はない。
【0018】
本発明の目的は、半導体装置の動作速度を向上することにある。
【0019】
また、本発明の他の目的は、半導体装置を微細化することにある。
【0020】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0022】
本発明の好ましい一実施の形態である半導体装置は、
半導体基板の主面の第1領域に形成された第1電界効果トランジスタと、前記半導体基板の主面の第2領域に形成され、前記第1電界効果トランジスタよりも高い電圧で動作する第2電界効果トランジスタとを有する半導体装置であって、
前記第1電界効果トランジスタは、
前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、
前記第1ゲート電極の両側の側壁にそれぞれ形成された第1サイドウォールと、
前記第1サイドウォールの下部の前記半導体基板の上面に形成された第1エクステンション領域と、
前記第1エクステンション領域と電気的に接続され、前記半導体基板の上面に形成され、且つ、前記第1エクステンション領域よりも高い不純物濃度を有する第1拡散層と、
を有し、
前記第2電界効果トランジスタは、
前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、
前記第2ゲート電極の両側の側壁の一方に、前記第1サイドウォールの同層に形成され、且つ前記第1ゲート電極のゲート長方向の前記第1サイドウォールの幅と同じ幅を有する第2サイドウォールと、
前記第2ゲート電極の両側の側壁のもう一方に形成され、且つ、前記ゲート長方向の幅が前記第2サイドウォールよりも大きい第3サイドウォールと、
前記第2サイドウォールの下部の前記半導体基板の上面に形成された第2エクステンション領域と、
前記第3サイドウォールの下部の前記半導体基板の上面に形成され、且つ、前記ゲート長方向の幅が前記第2エクステンション領域よりも大きい第3エクステンション領域と、
前記半導体基板の上面に形成され、前記第2エクステンション領域と電気的に接続され、且つ、前記第2エクステンション領域よりも高い不純物濃度を有する第2拡散層と、
前記半導体基板の上面に形成され、前記第3エクステンション領域と電気的に接続され、且つ、前記第3エクステンション領域よりも高い不純物濃度を有する第3拡散層と、
を有するものである。
【発明の効果】
【0023】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0024】
上記した本発明の好ましい一実施の形態によれば、半導体装置の動作速度を向上させることができる。
【0025】
また、半導体装置を微細化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施の形態1である半導体装置を示す断面図である。
【図2】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a)は半導体装置の製造方法を示す断面図である。(b)は図2(a)に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図3】図2(a)に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1である半導体装置の製造方法を示す断面図である。(a)は図3に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。(b)は図4(a)に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図5】図4(b)に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図6】図5に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】図6に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図8】図7に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】図8に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図10】図9に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】図10に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図12】図11に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】図12に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図14】図13に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】本発明の実施の形態2である半導体装置を示す断面図である。
【図16】本発明の実施の形態1および2のMONOSメモリの消去動作を説明する図である。(a)はMONOSメモリの回路図である。(b)はMONOSメモリの断面図である。
【図17】本発明の実施の形態1および2のMONOSメモリの書込動作を説明する図である。(a)はMONOSメモリの回路図である。(b)はMONOSメモリの断面図である。
【図18】本発明の実施の形態1および2のMONOSメモリの書込動作を説明する図である。(a)はMONOSメモリの回路図である。(b)はMONOSメモリの断面図である。
【図19】本発明の実施の形態2である半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図20】図19に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図21】図20に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図22】図21に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なときを除き、同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0028】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1によるMISFETの構造の一例を図1を用いて説明する。図1は、同一基板上に形成された複数のFETを示す断面図であり、図の左から順に、MONOS型のメモリセル(MONOSメモリ)Mn、低耐圧MISFETLn、第1高耐圧MISFETH1、第2高耐圧MISFETH2を示している。
【0029】
例えばp型の単結晶シリコンからなる半導体基板SBの上面には、p型の不純物(例えばB(ホウ素))が導入されたpウエル2a、2b、2cおよび2dが形成されており、それぞれのウエルは素子分離層1により区切られている。素子分離層1は半導体基板SBの主面に形成された溝(素子分離溝)1aに埋め込まれた絶縁膜により形成されている。
【0030】
図1に示すMONOSメモリMnは不揮発性メモリであり、pウエル2aが形成された半導体基板SBの主面上に半導体基板SB側から順に形成されたボトム酸化膜3g、電荷蓄積層3h、トップ酸化膜3iおよびゲート電極4aと、ゲート電極4aの両側の半導体基板SBの主面に形成されたソース領域を構成する拡散層42およびドレイン領域を構成する拡散層41とを有し、電荷蓄積層3hに電荷(情報)を蓄積する。ボトム酸化膜3gおよびトップ酸化膜3iは電位障壁膜として働く。MONOSメモリMnの書込動作時などには、記憶用のMONOSメモリMn内のドレイン−ゲート間またはドレイン−ウエル(半導体基板)間などに高い電位差(例えば5V〜12V程度)が生じるため、MONOSメモリMnは相対的に高耐圧のFETである必要がある。
【0031】
低耐圧MISFETLnは相対的に低い電圧で動作する電界効果トランジスタであり、pウエル2bが形成された半導体基板SBの主面上に半導体基板SB側から順にゲート絶縁膜3bを介して形成されたゲート電極4bと、ゲート電極4bの両側の半導体基板SBの主面に形成されたソース領域を構成する拡散層43およびドレイン領域を構成する拡散層44とを有する。低耐圧MISFETLnは、例えばMONOSメモリMnの選択動作などを行う周辺回路を構成するFETである。ここでは、低耐圧MISFETLnはMONOSメモリMnよりも低い電圧で動作するFETであるものとする。
【0032】
第1高耐圧MISFETH1は、pウエル2cが形成された半導体基板SBの主面上に半導体基板SB側から順にゲート絶縁膜3cを介して形成されたゲート電極4cと、ゲート電極4cの両側の半導体基板SBの主面に形成された、ソース領域を構成する拡散層45およびドレイン領域を構成する拡散層46とを有している。第1高耐圧MISFETH1は低耐圧MISFETLnよりも高い電圧で動作するFETであり、半導体装置の入力電流または出力電流が流れる回路の保護素子または電源の昇圧回路などに用いられる。
【0033】
第2高耐圧MISFETH2は、第1高耐圧MISFETH1と同様に、pウエル2dが形成された半導体基板SBの主面上に半導体基板SB側から順にゲート絶縁膜3dを介して形成されたゲート電極4dと、ゲート電極4dの両側の半導体基板SBの主面に形成されたソース領域を構成する拡散層47およびドレイン領域を構成する拡散層48とを有している。第2高耐圧MISFETH2は低耐圧MISFETLnよりも高い電圧で動作するFETであり、半導体装置の入力電流または出力電流が流れる回路の保護素子または電源の昇圧回路などに用いられる。
【0034】
なお、第1高耐圧MISFETH1は、例えば検出回路またはレベルシフタなどに用いられるMISFETであり、第2高耐圧MISFETH2は、例えば昇圧回路または直接周辺回路などに使われるMISFETである。
【0035】
第1高耐圧MISFETH1が用いられることが考えられる検出回路とは、例えばセキュリティー用のICカードのマイコン(マイクロコンピュータ)に用いられ、ICカードの不正利用などの目的で前記マイコンに規定範囲外の電圧または温度が加えられたり、規定範囲外の周波数の電流が流れた際にそれを検知し、前記マイコン内の回路の動作を停止させるための回路をいう。また、レベルシフタとは、信号電圧の大きさが互いに異なる二つのデジタルシステムを連結する際、二つのシステムの間に位置して信号電圧の大きさを変える回路である。このようなレベルシフタは、特に小さい電圧範囲から大きい電圧範囲に信号電圧のサイズを変える場合に用いられる。
【0036】
一方、第2高耐圧MISFETH2が用いられることが考えられる昇圧回路とは、DC/DCコンバータのように、ある値の電源電圧から別の値の電圧を取り出す回路である。また、直接周辺回路は、例えばデコーダまたはセンスアンプなどの高い電圧が印加される回路を指す。
【0037】
第1高耐圧MISFETH1は、動作する際にそのソース領域およびドレイン領域の両方に高い電圧が印加されるMISFETであり、第2高耐圧MISFETH2のドレイン領域にも、同様に第2高耐圧MISFETH2が動作する際に相対的に高い電圧が印加される。ただし、第2高耐圧MISFETH2の動作時において、第2高耐圧MISFETH2のソース領域には、第1高耐圧MISFETH1のソース領域、ドレイン領域、または第2高耐圧MISFETH2のドレイン領域とゲート電極4c、4dまたはpウエル2c、2dとの間に生じるような高い電位差は発生しない。
【0038】
第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2は低耐圧MISFETLnよりも高い電圧で動作するFETである。高耐圧MISFETは、MONOSメモリと同様に動作の際に例えばドレイン−ゲート間に比較的高い電位差が発生するため、低耐圧MISFETLnのゲート絶縁膜3bよりも膜厚が厚いゲート絶縁膜を必要とする。また、ゲート電極4a、4cおよび4dのゲート長は、ゲート電極4bのゲート長よりも長い。MONOSメモリMn、第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2のそれぞれのゲート電極4a、4cおよび4dが低耐圧MISFETLnよりも長いゲート長を有するのは、MONOSメモリMn、第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2の方が低耐圧MISFETLnよりも高い電圧で動作するためである。
【0039】
ゲート電極4a〜4dのそれぞれの両側の側壁には絶縁膜からなるサイドウォールが形成されており、各サイドウォールの下部の半導体基板SBの主面には、n型の不純物(例えばP(リン))が低濃度で導入されて形成された半導体領域であるエクステンション領域が形成されている。また、それぞれのサイドウォールの外側の領域の半導体基板SBの上面には、n型の不純物(例えばP(リン))が前記エクステンション領域よりも高濃度で導入された半導体領域である拡散層が形成されている。すなわち、MONOSメモリMn、低耐圧MISFETLn、第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2のそれぞれのソース・ドレイン領域は不純物濃度が高い低抵抗な拡散層と、拡散層よりも不純物濃度が低く高抵抗なエクステンション領域とを含み、LDD構造を構成している。
【0040】
ゲート電極4aおよび4cのそれぞれの両側の側壁およびゲート電極4dの一方の側壁には、絶縁膜6a、絶縁膜6および絶縁膜7により構成される積層膜からなる第1サイドウォール6wがそれぞれ形成されている。すなわち、半導体基板SBの上面と、ゲート電極4aおよび4cのそれぞれの両側の側壁およびゲート電極4dの一方の側壁とには、絶縁膜6aが形成され、絶縁膜6a上には絶縁膜6が形成され、絶縁膜6上には絶縁膜7が形成されている。
【0041】
言い換えれば、MONOSメモリMnのゲート電極4aの両側の側壁には、半導体基板SBの主面上から連続して絶縁膜6aが形成され、半導体基板SB上であってゲート電極4aの側壁には、絶縁膜6aを介して形成された絶縁膜6および絶縁膜7が順に形成されている。また、低耐圧MISFETLnのゲート電極4bの両側の側壁には、半導体基板SBの主面上から連続して絶縁膜6aが形成され、半導体基板SB上であってゲート電極4bの側壁には、絶縁膜6aを介して形成された絶縁膜6が形成されている。また、第1高耐圧MISFETH1のゲート電極4cの両側の側壁には、半導体基板SBの主面上から連続して絶縁膜6aが形成され、半導体基板SB上であってゲート電極4cの側壁には、絶縁膜6aを介して絶縁膜6および絶縁膜7が順に形成されている。また、第2高耐圧MISFETH2のゲート電極4dの両側の側壁の一方には、半導体基板SBの主面上から連続して絶縁膜6aが形成され、半導体基板SB上であってゲート電極4dの前記一方の側壁には、絶縁膜6aを介して絶縁膜6および絶縁膜7が順に形成されている。また、第2高耐圧MISFETH2のゲート電極4dの両側の側壁のもう一方には、半導体基板SBの主面上から連続して絶縁膜6aが形成され、半導体基板SB上であってゲート電極4dの前記もう一方の側壁には、絶縁膜6aを介して形成された絶縁膜6が形成されている。
【0042】
ここで、絶縁膜6は絶縁膜6aを介して各ゲート電極の側壁に形成されているため、ゲート電極4a、4cおよび4dの側壁には接していない。なお、絶縁膜6aおよび絶縁膜7は例えば酸化シリコン膜からなり、絶縁膜7は例えば窒化シリコン膜からなるものとする。
【0043】
一方、ゲート電極4bの両側の側壁および、ゲート電極4cの側壁であって第1サイドウォール6wが形成されている側壁の反対側の側壁には、絶縁膜6aおよび絶縁膜6により構成される積層膜からなる第2サイドウォール6nがそれぞれ形成されている。すなわち、半導体基板SBの上面と、ゲート電極4bの両側の側壁および、ゲート電極4cの側壁であって第1サイドウォール6wの形成されている側壁の反対側の側壁とには、連続した絶縁膜6aがそれぞれ形成され、絶縁膜6a上には絶縁膜6が形成されている。つまり、第1サイドウォール6wは第2サイドウォール6nよりも積層数が多い積層構造を有している。なお、絶縁膜6は絶縁膜6aを介して各ゲート電極の側壁に形成されているため、ゲート電極4a、4cおよび4dの側壁には接していない。
【0044】
ゲート電極4bの両側の側壁および、ゲート電極4cの側壁であって第1サイドウォール6wが形成されている側壁の反対側の側壁に形成されたそれぞれの第2サイドウォール6nは、製造工程において同一の絶縁積層膜により構成され、同一の工程によって形成された同層の絶縁膜である。
【0045】
第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nは各ゲート電極の側壁に異方性エッチングによって自己整合的に形成された側壁スペーサーであり、第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nがそれぞれ接するゲート電極のゲート長方向の第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nの幅(スペーサー長)は、第1サイドウォール6wの方が第2サイドウォール6nよりも大きい。
【0046】
つまり、第2高耐圧MISFETH2のゲート電極4cの一方の側壁には第1サイドウォール6wが形成され、ゲート電極4cのもう一方の側壁には、第1サイドウォール6wよりもスペーサー長が小さい第2サイドウォール6nが形成されており、ゲート電極4cのそれぞれの側壁に幅が違うサイドウォールが形成された構造となっている。
【0047】
また、MONOSメモリMnのゲート電極4aの両側の領域のうち、一方の領域の半導体基板SBの上面には、エクステンション領域32および拡散層42が形成されており、もう一方の領域の半導体基板SBの上面には、エクステンション領域31および拡散層41が形成されている。エクステンション領域31、32は拡散層41、42よりも半導体基板SBの上面から深い接合深さを有し、ゲート電極4aの側壁の下部から素子分離層1の側面にかけて形成されている。拡散層41、42は、ゲート電極4aの側壁に形成された第1サイドウォール6wの側壁であってゲート電極4aと接していない側壁の下部から素子分離層1の側面にかけてエクステンション領域31、32上にそれぞれ形成されている。エクステンション領域31および拡散層41はMONOSメモリMnのソース領域を構成しており、エクステンション領域32および拡散層42はMONOSメモリMnのドレイン領域を構成している。
【0048】
エクステンション領域31、32は、n型の半導体領域である拡散層41、42よりも低い不純物濃度を有するn型の半導体領域であり、拡散層41、42よりも高い抵抗値を有する。エクステンション領域31、32は、半導体基板SBの上面においてゲート電極4aの側壁に形成された第1サイドウォール6wの下面と接しており、ゲート電極4aのゲート長方向の半導体基板SBの上面のエクステンション領域31、32の幅は、同方向の第1サイドウォール6wの幅とほぼ同じ長さとなっている。なお、ここでいう半導体基板SBの上面のエクステンション領域の幅とは、ゲート電極のゲート長方向における半導体基板SBの上面の、エクステンション領域の端部からもう一方の端部までの長さを指す。
【0049】
同様に、第1高耐圧MISFETH1のゲート電極4cの両側の領域の半導体基板SBの上面には、エクステンション領域35、36および拡散層45、46が形成されており、エクステンション領域35および拡散層45は第1高耐圧MISFETH1のソース領域を構成しており、エクステンション領域36および拡散層46は第1高耐圧MISFETH1のドレイン領域を構成している。さらに、第2高耐圧MISFETH2のゲート電極4dの両側の領域の半導体基板SBの上面には、エクステンション領域37、38および拡散層47、48が形成されており、エクステンション領域37および拡散層47は第2高耐圧MISFETH2のソース領域を構成しており、エクステンション領域38および拡散層48は第2高耐圧MISFETH2のドレイン領域を構成している。
【0050】
なお、ゲート電極4dのゲート長方向の半導体基板SBの上面のエクステンション領域37、38の幅は、それぞれの上部に形成された第2サイドウォール6nおよび第1サイドウォール6wの幅とほぼ同じ長さとなっている。つまり、前述したように、第2サイドウォール6nの幅(スペーサー長)は第1サイドウォール6wの幅(スペーサー長)よりも小さいため、ゲート電極4dの側壁の第2サイドウォール6nの下部の半導体基板SBの上面のエクステンション領域37の幅は、ゲート電極4dの側壁の第1サイドウォール6wの下部の半導体基板SBの上面のエクステンション領域38の幅よりも短い。
【0051】
また、同様に、低耐圧MISFETLnのゲート電極4bの両側の領域の半導体基板SBの上面には、エクステンション領域33、34および拡散層43、44が形成されており、エクステンション領域33および拡散層43は低耐圧MISFETLnのソース領域を構成しており、エクステンション領域34および拡散層44は低耐圧MISFETLnのドレイン領域を構成している。ただし、低耐圧MISFETLnにおいては、エクステンション領域33、34の接合深さは、拡散層43、44の接合深さよりも浅く形成されている。
【0052】
図1に示すように、ゲート電極4a〜4dおよび拡散層41〜48のそれぞれの上部にはシリサイド層9が形成されており、シリサイド層9、MONOSメモリMn、低耐圧MISFETLn、第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2を含む半導体基板SBの主面はストッパ絶縁膜10および層間絶縁膜11の積層膜により覆われている。ストッパ絶縁膜10および層間絶縁膜11には、層間絶縁膜11の上面から各シリサイド層9の上面に達するコンタクトホール12が形成され、それぞれのコンタクトホール12内には導電膜からなるコンタクトプラグ13が形成されている。なお、図1ではゲート電極4a〜4d上にコンタクトホール12およびコンタクトプラグ13が形成されている領域は示していない。
【0053】
層間絶縁膜11上にはストッパ絶縁膜14を介して層間絶縁膜15が形成されており、ストッパ絶縁膜14および層間絶縁膜15には、層間絶縁膜15の上面からコンタクトプラグ13の上面に達する配線溝16が形成され、配線溝16内には、導体膜からなる金属配線17が形成されている。
【0054】
シリサイド層9は、拡散層41〜46とコンタクトプラグ13との間に介在することで拡散層41〜46とコンタクトプラグ13との接触抵抗を低減する働きを有する。シリサイド層9は金属とシリコンとの反応層であり、その材料としては、例えばニッケルシリサイド、コバルトシリサイド、プラチナシリサイドまたはチタンシリサイドなどを用いることができる。
【0055】
コンタクトプラグ13は、コンタクトホール12の内壁および底部に形成されたバリア導体膜(図示しない)を介して形成された接続部材であり、MONOSメモリMn、低耐圧MISFETLn、第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2のそれぞれのソース・ドレイン領域と、金属配線17とを電気的に接続している。コンタクトプラグ13は例えばタングステンなどからなり、その側壁および底部に形成されたバリア導体膜は、例えば窒化チタンなどからなる。なお、図示していない領域において、ゲート電極4a〜4dは、それぞれの上部に形成されたシリサイド層9およびコンタクトプラグ13を介して金属配線(図示しない)と電気的に接続されている。
【0056】
ストッパ絶縁膜10は例えば窒化シリコン膜からなり、コンタクトホール12を形成する際にエッチングストッパ膜として働く。また、層間絶縁膜11、15は例えば酸化シリコン膜またはSiOC膜などの絶縁膜からなる。ストッパ絶縁膜14は例えば窒化シリコン膜からなり、配線溝16を形成する際にエッチングストッパ膜として働く。
【0057】
金属配線17は、MONOSメモリMn、低耐圧MISFETLn、第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2に所定の電位を供給する配線であり、周知のダマシンプロセスによって形成されている。金属配線17は、配線溝16の内壁および底部に形成されたバリア導体膜と、前記バリア導体膜を介して配線溝16内に充填された金属膜からなる。前記バリア導体膜は例えばTa(タンタル)とTaN(窒化タンタル)との積層膜からなり、前記金属膜は、主にCu(銅)からなる膜である。前記バリア膜は、前記金属膜内の金属元素が層間絶縁膜15内などに拡散することを防ぐ目的で設けられている。なお、バリア導体膜の部材としては、タンタルの他に、チタン(Ti)、ルテニウム(Ru)、マンガン(Mn)またはそれらの化合物などを用いてもよい。
【0058】
なお、金属配線17は、ダマシン構造に限られず、アルミニウムを主体とした導体膜をパターニングして形成される配線構造としてもよい。
【0059】
MONOSメモリMnは、ゲート電極4aの下部の電荷蓄積層3h内に電子を出し入れすることにより情報の書込および消去を行うことができる。電子の出し入れの方法には2通りあり、電荷蓄積層3hの下面全面にトンネル電流で電子を出し入れすることにより書込・消去を行なう方法と、ホットキャリアを用いてドレイン領域を構成するエクステンション領域32の近傍の電荷蓄積層3h端部に電子を入れて書込を行い、エクステンション領域32の端部で発生するホットホールによって消去を行う方法とがある。トンネル電流を用いる方法は、書き換え回数を多くすることができ、高い信頼性が確保することができる一方で、ホットキャリアを用いる方法の場合、書込・消去の動作電圧を低くでき、かつ高速にすることができる。
【0060】
以下に、MONOSメモリMnの回路動作について、図16〜図18を用いて説明する。図16(a)、図17(a)および図18(a)は、MONOSメモリMnの回路図である。図16(b)、図17(b)および図18(b)は、MONOSメモリMnの断面図である。
【0061】
MONOSメモリは、情報の書込および消去の方法によって、ドレイン領域および半導体基板間とソース領域および半導体基板間との両方に高い電位差が生じる場合と、ドレイン領域および半導体基板間とに生じるような高い電位差がソース領域および半導体基板間において発生しない場合とに別れる。すなわち、メモリの書込および消去の方法によっては、ソース領域がドレイン領域よりも低い耐圧であってもソース領域とウエルとの間での耐圧を保つことが可能である。
【0062】
ここで、複数のMONOSメモリのうちの一部のメモリにおいて、チャネル全面にホール注入を行うことで情報の消去を行い、チャネル全面にエレクトロン注入を行うことで情報の書込を行う方法について、図16(a)、(b)を用いて説明する。
【0063】
図16(b)に示す4個のメモリセルM1〜M4のうち、一番左のメモリセルM1は、図16(a)に示すメモリセルM1に相当し、図16(b)の左から2番目のメモリセルM2は、図16(a)に示すメモリセルM2に相当する。図16(b)の右から2番目のメモリセルM3は、図16(a)に示すメモリセルM3に相当し、図16(b)の一番右のメモリセルM4は、図16(a)に示すメモリセルM4に相当する。
【0064】
図16(a)、(b)に示すように、メモリセルM1は半導体基板SB上に電荷蓄積層を有するONO膜3を介して形成されたゲートG1と、半導体基板SBの上面に形成されたソースS1、およびドレインD1を有しているnチャネル型のメモリセルである。同様に、メモリセルM2はゲートG1、ソースS2およびドレインD2を有し、メモリセルM3はゲートG2、ソースS1およびドレインD1を有し、メモリセルM4はゲートG2、ソースS2およびドレインD2を有する。なお、ここではメモリセルM1〜M4は、いずれもゲートの両側に同じ幅のサイドウォールを有し、前記サイドウォールの下部にはゲートの両側において同じ幅のエクステンション領域が形成されているものとする。メモリセルM1はエクステンション領域31b、32bを有し、メモリセルM2はエクステンション領域33b、34bを有し、メモリセルM3はエクステンション領域35b、36bを有し、メモリセルM4はエクステンション領域37b、38bを有する。また、メモリセルM1〜M4はnチャネル型のMONOSメモリであり、メモリセルM1〜M4は、いずれも半導体基板SBの主面に形成されたp型のウエル上に形成されている。
【0065】
メモリセルM1〜M4はそれぞれ同一基板上に形成されており、半導体基板(pウエル)SBの電位はメモリセルM1〜M4の下部においていずれも同一の電位を有するものとする。また、メモリセルM1およびメモリセルM2のゲートG1は電気的に接続され、メモリセルM3およびメモリセルM4のゲートG2は電気的に接続されている。また、メモリセルM1およびメモリセルM3のソースS1は電気的に接続され、メモリセルM2およびメモリセルM4のソースS2は電気的に接続されている。また、メモリセルM1およびメモリセルM3のドレインD1は電気的に接続され、メモリセルM2およびメモリセルM4のドレインD2は電気的に接続されている。
【0066】
なお、図17(a)および図18(a)に示す回路は図16(a)に示す回路と同様の構造を有しており、図17(b)および図18(b)に示す半導体装置は図16(b)に示す半導体装置と同様の構造を有しているが、図16(a)、(b)と図17(a)、(b)と図18(a)、(b)とでは、電圧の印加条件がそれぞれ異なる。
【0067】
まず、MONOSメモリの消去動作について説明する。MONOSメモリの消去動作では、図16(a)に示すように、ワード線単位で情報の消去を行う。すなわち、同一のワード線(ゲート)に接続されている一または複数のMONOSメモリが選択され、この消去動作によって、それぞれのメモリに書き込まれていた情報はいずれも消去される。図16(a)では、消去動作によって情報を消去される選択メモリセルを破線で囲って示している。
【0068】
この際、選択されるメモリセル(選択メモリセル)M1、M2のゲートG1には例えば−8.5Vの電圧が印加され、ソースS1、S2、ドレインD1、D2、半導体基板SBには1.5Vの電圧がそれぞれ印加される。また、選択されないメモリセル(非選択メモリセル)M3、M4のゲートG2、ソースS1、S2、ドレインD1、D2、半導体基板SBには、例えば1.5Vの電圧がそれぞれ印加される。
【0069】
この消去動作では、図16(b)に示すように、メモリセルM1、M2のチャネル領域から、ONO膜3の下面の全面を介してONO膜3内の電荷蓄積層にホールを注入し、メモリセルM1、M2の情報を消去する。このとき、メモリセルM1〜M4のソースS1、S2、ドレインD1、D2、半導体基板SBには、それぞれ1.5Vの電圧が印加されているため、各ソース・ドレイン領域と半導体基板SBとの間には殆ど電位差が生じない。すなわち、ソース・ドレイン領域とウエルとの間には殆ど電位差が生じないため、この消去動作において各ソース・ドレイン領域は高い耐圧を必要としない。
【0070】
次に、MONOSメモリの書込動作について説明する。書込動作には、チャネル全面からMONOSメモリの電荷蓄積層にエレクトロン注入を行う方法と、ドレイン近傍においてMONOSメモリの電荷蓄積層にホットエレクトロン注入を行う方法とがある。
【0071】
チャネル全面からMONOSメモリの電荷蓄積層にエレクトロン注入して書込を行う場合、図17(a)に示すように、選択メモリセルであるメモリセルM1のゲートG1には例えば1.5Vの電圧が印加され、ソースS1、ドレインD1および半導体基板SBには−11.0Vの電圧がそれぞれ印加される。また、非選択メモリセルであるメモリセルM2、M4のソースS2およびドレインD2には、例えば1.5Vの電圧がそれぞれ印加される。また、非選択メモリセルであるメモリセルM3、M4のゲートG2には、例えば−11.0Vの電圧が印加される。図17(a)では、書込動作によって情報を書き込まれる選択メモリセルを破線で囲って示している。
【0072】
この書込動作では、図17(b)に示すように、選択メモリセルであるメモリセルM1のチャネル領域から、ONO膜3の下面の全面を介してONO膜3内の電荷蓄積層にエレクトロンを注入し、メモリセルM1に情報を書き込む。
【0073】
このとき、メモリセルM1のソースS1、ドレインD1および半導体基板SBには、それぞれ−11.0Vの電圧が印加されているため、ソース・ドレイン領域と半導体基板SBとの間には殆ど電位差が生じない。
【0074】
また、非選択メモリセルであるメモリセルM2では、ソースS2およびドレインD2に1.5Vの電圧が印加され、半導体基板SBに−11.0Vの電圧が印加されるが、ゲートG2には1.5Vの正の電圧が印加されており、メモリセルM2内のソースS2とドレインD2との間にはチャネルが形成されて、ソースS2と半導体基板SB、およびドレインD2と半導体基板SB間の接合破壊を起こすゲートG2端部下の電界が弱まるため、ソース・ドレイン領域と半導体基板SBとの間の電位差は問題とならない。
【0075】
また、非選択メモリセルであるメモリセルM3では、ソースS1、ドレインD1および半導体基板SBにそれぞれ−11.0Vの電圧が印加されているため、ソース・ドレイン領域と半導体基板SBとの間には殆ど電位差が生じない。
【0076】
すなわち、メモリセルM1〜M3ではソース・ドレイン領域とウエルとの間には殆ど電位差が生じないか、もしくは電界が緩和されるため、この書込動作において、各ソース・ドレイン領域は高い耐圧を必要としない。
【0077】
しかし、これに対して、非選択メモリセルであるメモリセルM4ではソースS2およびドレインD2に1.5Vの電圧が印加され、半導体基板SBに−11.0Vの電圧が印加される。また、メモリセルM4のゲートG4には−11.0Vの負の電圧が印加されるため、ソース−ドレイン間の電界が強まる。このような場合、特に図17(b)に示すゲートG4のゲート長方向の端部の近傍のチャネル領域、すなわちエクステンション領域37bとエクステンション領域38bとの間のウエルであって、エクステンション領域37b、38bの端部の近傍の電界が強まる。したがって、ソース−ウエル間の電位差およびドレイン−ウエル間の電位差は約12V程度となる。つまり、メモリセルM4ではソース・ドレイン領域とウエルとの間に高い電位差が生じるため、この書込動作において、メモリセルM4のソース領域およびドレイン領域は共に高い耐圧を必要とする。したがって、MONOSメモリには、幅の広いサイドウォール6Wを用いることが望ましい。
【0078】
次に、ドレイン近傍においてMONOSメモリの電荷蓄積層にホットエレクトロン注入を行うことによりMONOSメモリに書込を行う方法について説明する。この場合、図18(a)に示すように、選択メモリセルであるメモリセルM1のゲートG1には例えば7.0Vの電圧が印加され、ソースS1および半導体基板SBには0Vの電圧がそれぞれ印加され、ドレインD1には5.0Vの電圧が印加される。また、非選択メモリセルであるメモリセルM2、M4のソースS2およびドレインD2には、例えば0Vの電圧が印加され、非選択メモリセルであるメモリセルM3、M4のゲートG2には、例えば0Vの電圧が印加される。図18(a)では、書込動作によって情報を書き込まれる選択メモリセルを破線で囲って示している。
【0079】
この書込動作では、図18(b)に示すように、選択メモリセルであるメモリセルM1のドレインD1近傍のチャネル領域から、ドレイン領域の近傍のONO膜3内の電荷蓄積層にホットエレクトロンを注入し、メモリセルM1に情報を書き込む。
【0080】
このとき、メモリセルM1のソースS1および半導体基板SBには、それぞれ0Vの電圧が印加されており、ドレインD1には5Vの電圧が印加され、ゲートG1には7Vの正の電圧が印加されている。この状態では、ドレインD1付近のチャネルはピンチオフ状態であり、積極的にドレインD1と半導体基板SBの電界を高めてホットエレクトロンが発生し易い状況にある。
【0081】
また、非選択メモリセルであるメモリセルM2,M4のソースS2、ドレインD2および半導体基板SBには、それぞれ0Vの電圧が印加されているため、各ソース・ドレイン領域と半導体基板SBとの間には殆ど電位差が生じない。また、非選択メモリセルであるメモリセルM3では、ソースS1および半導体基板SBにそれぞれ0Vの電圧が印加され、ドレインD1には5Vの電圧が印加されている。このとき、メモリセルM3のソースS1と半導体基板SBとの間には殆ど電位差が生じないが、ドレインD1と半導体基板SBとの間には5V程度の比較的高い電位差が生じている。このときゲートG2は0VであるがドレインD1付近で発生したホットエレクトロンにより弱い書込状態(ディスターブ)を起こす。しかし、ドレインD1側では、幅の大きいサイドウォールおよびエクステンション領域を適用しているため、ディスターブに強い構造となっている。
【0082】
すなわち、メモリセルM1、M2およびM4ではソース・ドレイン領域とウエルとの間には殆ど電位差が生じないため、この書込動作において、各ソース・ドレイン領域は高い耐圧を必要としない。しかし、メモリセルM3ではソース領域とウエルとの間には殆ど電位差が生じないのに対し、ドレイン領域とウエルとの間においては比較的高い電位差が生じるため、ドレインD2はウエルとの間に高い耐圧を必要とする。したがって、MONOSメモリには、幅の広いサイドウォール6Wを用いることが望ましい。
【0083】
次に、本実施の形態の低耐圧MISFETLn、第1高耐圧MISFETH1および第1高耐圧MISFETH2の効果について説明する。
【0084】
図1に示す低耐圧MISFETLnおよび第1高耐圧MISFETH1または低耐圧MISFETLnおよびMONOSメモリMnのように、異なる電圧で動作する複数の素子が同一の半導体基板SB上に形成される場合、2種LDDプロセスを用いてそれぞれの素子に異なる幅のエクステンション領域を形成することが好ましい。
【0085】
例えば、低耐圧MISFETLnおよび第1高耐圧MISFETH1のように、ゲート電極4bの側壁とゲート電極4cの側壁とに、ゲート電極4b、4cのゲート長方向において異なる幅(スペーサー長)を有する第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nをそれぞれ形成することにより、第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nの下部に形成されるエクステンション領域の幅を、低耐圧MISFETLnと第1高耐圧MISFETH1とで異なる長さにすることができる。図1に示すように、エクステンション領域33、34の幅は、エクステンション領域35、36の幅よりも小さい。したがって、拡散層45および拡散層46の間のエクステンション領域35、36の抵抗値は、拡散層43および拡散層44の間のエクステンション領域33、34の抵抗値よりも高くなる。
【0086】
これにより、低耐圧MISFETLnの拡散層43または拡散層44に印加される電圧よりも高い電圧が第1高耐圧MISFETH1の拡散層45または拡散層46に印加されても、第1高耐圧MISFETH1は、幅が相対的に長く高抵抗なエクステンション領域35、36を有するため、拡散層45または拡散層46とゲート電極4cとの間でリーク電流が発生することを防ぐことができる。また、同様の理由から、拡散層45または拡散層46とpウエル2cとの間の耐圧を保つことができる。
【0087】
また、2種LDDプロセスを用いて異なる幅を有するエクステンション領域33、34とエクステンション領域35、36とを作り分けることにより、第1高耐圧MISFETH1の耐圧を確保した上で、高い耐圧を必要としない低耐圧MISFETLnのエクステンション領域33、34の抵抗により拡散層43および拡散層44の間の電流が小さくなることを防ぐことができる。
【0088】
このように、ソース領域およびドレイン領域の両方に低耐圧MISFETよりも高い電圧が印加され、ソース領域およびドレイン領域の両方において相対的に高い耐圧を必要とするMISFETでは、低耐圧MISFETよりも長い幅を有するエクステンション領域をソース領域およびドレイン領域の両方に設けたLDD構造とすることが望ましい。
【0089】
しかし、低耐圧MISFETLnよりも高い耐圧を必要とするMISFETであっても、ドレイン領域には高い耐圧が必要となるが、ソース領域には前記ドレイン領域のような高い耐圧を必要としないMISFETも形成される場合がある。すなわち、このようにソース領域に高い耐圧を必要としないMISFETのソース領域は、第2高耐圧MISFETH2のソース領域を構成する拡散層45ほど高い耐圧を必要としないため、低耐圧MISFETLnのエクステンション領域33と同様に幅が小さいエクステンション領域が設けられていても問題ない。
【0090】
つまり、高耐圧MISFETには、第2高耐圧MISFETH2のように、ドレイン領域に高い耐圧を必要とし、ソース領域には高い耐圧を必要としないものがある。このような高耐圧MISFETのソース領域にまで幅が長いエクステンション領域を形成すると、ソース−ドレイン間に流れる電流が必要以上に小さくなる。すなわち、エクステンション領域はソース領域よりも高抵抗な領域であり、このエクステンション領域の幅が長くなれば、その分ソース−ドレイン間の抵抗値が高くなり、半導体装置の動作の高速化の妨げとなる。
【0091】
また、ソース領域に特定の電位を供給するコンタクトプラグは、エクステンション領域の幅の分だけゲート電極から離して配置しなければならない。したがって、ドレイン領域は高い耐圧を必要とし、ソース領域は高い耐圧を必要としないMISFETのソース領域にまで幅が長いエクステンション領域を形成した場合、ソース領域のエクステンション領域の幅が長いために、ゲート電極とコンタクトプラグとの間の距離を長く確保する必要が生じ、半導体装置の微細化が困難となる。
【0092】
これに対し、本実施の形態の半導体装置では、図1に示す第2高耐圧MISFETH2のように、ゲート電極4dの両側の側壁のうち、ドレイン領域を構成する拡散層48側の一方の側壁に幅(スペーサー長)が大きい第1サイドウォール6wを形成し、もう一方のソース領域を構成している拡散層47側の側壁に、第1サイドウォール6wよりも幅(スペーサー長)が小さい第2サイドウォール6nを形成している。後述するように、エクステンション領域の幅はその上部のサイドウォールの幅によってほぼ規定されるため、第1サイドウォール6wの下部のエクステンション領域38の幅は、第2サイドウォール6nの下部のエクステンション領域37の幅よりも大きい。
【0093】
第2高耐圧MISFETH2は、前述したように高耐圧を必要とするドレイン領域と、高耐圧を必要としないソース領域を有するMISFETであるため、ソース領域を構成する拡散層47側のエクステンション領域37の幅をドレイン領域を構成する拡散層48側のエクステンション領域38の幅よりも小さくすることで、ソース−ドレイン間に流れる電流が小さくなることを防いでいる。これにより、ソース−ドレイン間に流れる電流を大きくすることができるため、半導体装置の動作速度を速くすることができる。
【0094】
また、第2高耐圧MISFETH2は、拡散層47側のエクステンション領域37の幅を拡散層48側のエクステンション領域38の幅よりも小さくすることで、第1高耐圧MISFETH1のように幅が長いエクステンション領域35を形成する場合に比べて、拡散層47に電位を供給するコンタクトプラグ13をゲート電極4dに近付けて配置することができる。これにより、第2高耐圧MISFETH2のエクステンション領域37の幅を狭めることで、ゲート電極4dのゲート長方向において半導体装置を微細化することが可能となる。
【0095】
次に、本実施の形態の製造方法について、図2〜図14を用いて説明する。図2〜図14はMONOSメモリ、低耐圧MISFET、第1高耐圧MISFETおよび第2高耐圧MISFETを同一基板上に形成する場合の半導体装置の製造方法を示す断面図である。なお、図2〜図14では、左から順にMONOSメモリ形成領域1A、低耐圧MISFET形成領域1B、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dを示している。なお、図2(a)は半導体装置の製造方法を示す断面図であり、図2(b)は図2(a)に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。また、図4(a)は図3に続く半導体装置の製造方法を示す断面図であり、図4(b)は図4(a)に続く半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【0096】
まず、図2(a)に示すように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)SBを準備する。続いて、半導体基板SBの主面に素子分離層1を形成する。素子分離層1は酸化シリコンなどの絶縁体からなり、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などにより形成される。例えば、半導体基板SBに形成された溝(素子分離溝)1aに埋め込まれた絶縁膜により、素子分離層1を形成することができる。
【0097】
次に、半導体基板SBのMONOSメモリを形成する領域(MONOSメモリ形成領域1A)、低耐圧MISFETを形成する領域(低耐圧MISFET形成領域1B)、第1高耐圧MISFETを形成する領域(第1高耐圧MISFET形成領域1C)および第2高耐圧MISFETを形成する領域(第2高耐圧MISFET形成領域1D)に、pウエル2a、2b、2cおよび2dをそれぞれ形成する。このとき、pウエル2a、2b、2cおよび2dは、半導体基板SBの上面に例えばホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することなどによって形成される。なお、pウエル2a、2b、2cおよび2dはそれぞれフォトリソグラフィ技術を用いて別工程によって不純物を打ち分け、異なる不純物濃度とすることができる。
【0098】
ここで、pウエル2a、2b、2cおよび2dを形成するためのイオン注入を行う前に、半導体基板SBの上面にスルー膜として酸化シリコン膜OXを形成しておくことが望ましい。酸化シリコン膜OXは例えば熱処理により形成される絶縁膜であり、pウエル2a、2b、2cおよび2dを形成する際のイオン注入により半導体基板SBがダメージを負うことを防ぐ働きを有する。
【0099】
次に、図2(b)に示すように、半導体基板SB上の酸化シリコン膜OXをドライエッチングまたはウェットエッチングによって除去し、周知の2種ゲート酸化プロセスにより第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dに厚膜絶縁膜3fをそれぞれ形成した後、MONOSメモリ形成領域1Aおよび低耐圧MISFET形成領域1Bに薄膜絶縁膜3eをそれぞれ形成する。
【0100】
すなわち、酸化シリコン膜OXを除去した半導体基板SBの主面上の全面に厚い酸化シリコン膜を熱酸化法もしくはCVD(Chemical Vapor Deposition:化学的気相成長)法により形成(堆積)した後、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dをフォトレジスト膜で覆う。続いて、前記フォトレジスト膜をマスクとしてMONOSメモリ形成領域1Aおよび低耐圧MISFET形成領域1Bの前記厚い酸化シリコン膜をドライエッチングまたはウェットエッチングにより選択的に除去し、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dに前記厚い酸化シリコン膜からなる厚膜絶縁膜3fを残して形成した後、前記フォトレジスト膜をアッシングにより除去する。その後、半導体基板SBの表面を熱酸化し、MONOSメモリ形成領域1Aおよび低耐圧MISFET形成領域1Bの半導体基板SBの上面に薄膜絶縁膜3eをそれぞれ形成することで、2種ゲート酸化を行う。薄膜絶縁膜3eは、厚膜絶縁膜3fよりも膜厚が薄い酸化シリコン膜により構成されている。なお、このとき、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dの厚膜絶縁膜3fの下のpウエル2c、2dの上面も若干酸化される。また、薄膜絶縁膜3eおよび図2(a)に示す酸化シリコン膜OXの製法は、熱酸化法に限られず、ISSG(In-Situ Steam Generation)酸化処理またはCVD法によって形成してもよい。
【0101】
これにより、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dに相対的に膜厚の厚い厚膜絶縁膜3fが形成され、MONOSメモリ形成領域1Aおよび低耐圧MISFET形成領域1Bに、相対的に膜厚の薄い薄膜絶縁膜3eが形成される。その後、CVD法などにより半導体基板SBの主面の全面上に、導体膜であるポリシリコン膜4fを堆積する。
【0102】
次に、図3に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチングを用いて、MONOSメモリ形成領域1Aのポリシリコン膜4fおよび薄膜絶縁膜3eを選択的に除去した後、半導体基板SBの上面の全面上に、酸化シリコン膜からなるボトム酸化膜3g、窒化シリコン膜からなる電荷蓄積層3h、酸化シリコン膜からなるトップ酸化膜3iおよびポリシリコン膜4eを熱酸化法またはCVD法などにより順次形成する。
【0103】
次に、図4(a)に示すように、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチングを用いて、MONOSメモリ形成領域1Aのポリシリコン膜4e、トップ酸化膜3i、電荷蓄積層3hおよびボトム酸化膜3gをパターニングし、ポリシリコン膜4eからなるゲート電極4aと、ボトム酸化膜3g、電荷蓄積層3hおよびトップ酸化膜3iからなるONO膜3aとを形成する。このとき、低耐圧MISFET形成領域1B、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dに形成されたポリシリコン膜4f上のトップ酸化膜3i、電荷蓄積層3hおよびボトム酸化膜3gは除去する。
【0104】
続いて、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチングを用いて、低耐圧MISFET形成領域1B、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dのポリシリコン膜4f、薄膜絶縁膜3eおよび厚膜絶縁膜3fをパターニングする。これにより、低耐圧MISFET形成領域1B、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dに、ポリシリコン膜4fからなるゲート電極4b、4cおよび4dをそれぞれ形成する。また、低耐圧MISFET形成領域1Bの半導体基板SB上に薄膜絶縁膜3eからなるゲート絶縁膜3bを形成し、第1高耐圧MISFET形成領域1Cおよび第2高耐圧MISFET形成領域1Dの半導体基板SB上に、厚膜絶縁膜3fからなるゲート絶縁膜3c、3dをそれぞれ形成する。
【0105】
すなわち、MONOSメモリ形成領域1Aには、pウエル2aが形成された半導体基板SBの上面上にONO膜3aを介して、MONOSメモリのメモリゲートとなるゲート電極4aが形成されている。また、低耐圧MISFET形成領域1Bには、pウエル2bが形成された半導体基板SBの上面上にゲート絶縁膜3bを介してゲート電極4bが形成されている。また、第1高耐圧MISFET形成領域1Cには、pウエル2cが形成された半導体基板SBの上面上にゲート絶縁膜3cを介してゲート電極4cが形成され、第2高耐圧MISFET形成領域1Dには、pウエル2dが形成された半導体基板SBの上面上にゲート絶縁膜3dを介してゲート電極4dが形成されている。ゲート絶縁膜3bの膜厚はゲート絶縁膜3cまたは3dのいずれの膜厚よりも薄く、また、ゲート電極4bのゲート長はゲート電極4cまたは4dのいずれのゲート長よりも短い。
【0106】
次に、図4(b)に示すように、半導体基板SBの主面にn型の不純物(例えばP(リン))をイオン注入することにより、MONOSメモリ形成領域1Aの半導体基板SBの主面にn型の半導体領域であるエクステンション領域31、32を形成する。エクステンション領域31は、ゲート電極4aの両側の一方の領域の半導体基板SBの上面に形成され、エクステンション領域32は、ゲート電極4aのもう一方の領域の半導体基板SBの上面に形成される。
【0107】
同様に、低耐圧MISFET形成領域1Bの半導体基板SBの主面にn型の半導体領域であるエクステンション領域33、34を形成し、第1高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SBの主面にn型の半導体領域であるエクステンション領域35、36を形成し、第2高耐圧MISFET形成領域1Dの半導体基板SBの主面にn型の半導体領域であるエクステンション領域37、38を形成する。なお、MONOSメモリ形成領域1Aのエクステンション領域31、32は、それぞれ個別に形成してもよい。
【0108】
次に、図5に示すように、例えばCVD法により半導体基板SBの主面上の全面に酸化シリコン膜からなる絶縁膜6a、窒化シリコン膜からなる絶縁膜6および酸化シリコン膜からなる絶縁膜7を順次形成する。
【0109】
次に、図6に示すように、異方性エッチングにより、絶縁膜7の一部を除去し、絶縁膜6の一部の表面を露出させる。これにより、ゲート電極4a〜4dを覆う絶縁膜6の側壁に、サイドウォール状に絶縁膜7が残る。
【0110】
次に、図7に示すように、低耐圧MISFET形成領域1Bと、第2高耐圧MISFETH2の一部とが露出するように半導体基板SB上にフォトレジスト膜PRを形成する。このとき、MONOSメモリ形成領域1Aおよび第1高耐圧MISFET形成領域1Cはフォトレジスト膜PRにより完全に覆い、低耐圧MISFET形成領域1Bはフォトレジスト膜PRで覆わず、露出させる。また、第2高耐圧MISFET形成領域1Dでは、エクステンション領域38が形成されている方のゲート電極4dの側壁に絶縁膜6a、6を介してサイドウォール状に形成された絶縁膜7を覆うようにフォトレジスト膜PRを形成する。一方、第2高耐圧MISFET形成領域1Dのエクステンション領域37が形成されている方のゲート電極4dの側壁に絶縁膜6a、6を介してサイドウォール状に形成された絶縁膜7はフォトレジスト膜PRにより覆わず、露出させる。
【0111】
ここでは、例えば、フォトレジスト膜PRはゲート電極4dの直上からエクステンション領域37が接する素子分離層1の直上にかけての領域を露出しているものとする。
【0112】
次に、図8に示すように、フォトレジスト膜PRをマスクとし、ドライエッチングまたはウェットエッチングを用いて、フォトレジスト膜PRから露出している低耐圧MISFET形成領域1Bのゲート電極4bの両側に形成された絶縁膜7と、第2高耐圧MISFET形成領域1Dのゲート電極4dの一方の側壁に形成された絶縁膜7とを選択的に除去する。
【0113】
次に、図9に示すように、フォトレジスト膜PRをアッシングにより除去した後、ドライエッチングを用いて絶縁膜7、6および6aのそれぞれの一部を除去し、ゲート電極4a〜4d、エクステンション領域31〜38の上面を露出させる。
【0114】
これにより、MONOSメモリ形成領域1Aでは、ゲート電極4aの両側の側壁に、絶縁膜6a、6および7からなる第1サイドウォール6wがそれぞれ形成される。また、低耐圧MISFET形成領域1Bでは、ゲート電極4bの両側の側壁に、絶縁膜6a、6からなる第2サイドウォール6nがそれぞれ形成される。また、第1高耐圧MISFET形成領域1Cでは、ゲート電極4cの両側の側壁に、絶縁膜6a、6および7からなる第1サイドウォール6wがそれぞれ形成される。また、第2高耐圧MISFET形成領域1Dでは、ゲート電極4dの両側の側壁のうち、半導体基板SBの上面にエクステンション領域37が形成されている側の一方の側壁に、絶縁膜6a、6からなる第2サイドウォール6nが形成され、半導体基板SBの上面にエクステンション領域38が形成されている側のもう一方の側壁に、絶縁膜6a、6および7からなる第1サイドウォール6wが形成される。
【0115】
このエッチング工程では、絶縁膜7の下部に形成された絶縁膜6、6aは除去されずに残るため、隣接するゲート電極のゲート長方向における第1サイドウォール6wの幅(スペーサー長)は、図5を用いて説明した成膜工程の絶縁膜6a、6および7のそれぞれの膜厚を足した合計の長さとほぼ同一となる。これに対し、図8を用いて説明した工程において絶縁膜7が除去された低耐圧MISFET形成領域1Bのゲート電極4bの両側の側壁および第2高耐圧MISFET形成領域1Dのゲート電極4dの一方の側壁に形成された第2サイドウォール6n(図9参照)は、隣接するゲート電極のゲート長方向の幅(スペーサー長)が、図5を用いて説明した成膜工程の絶縁膜6aおよび6のそれぞれの膜厚を足した合計の長さとほぼ同一となる。
【0116】
すなわち、第2サイドウォール6nは絶縁膜7を有していないため、第1サイドウォール6wよりも幅(スペーサー長)が小さく形成される。
【0117】
これにより、低耐圧MISFET形成領域1Bのゲート電極4bの両側の側壁には、MONOSメモリ形成領域1Aのゲート電極4aの両側の側壁および第1高耐圧MISFET形成領域1Cのゲート電極4cの両側の側壁に形成される第1サイドウォール6wよりも幅(スペーサー長)が小さい第2サイドウォール6nが形成される。
【0118】
また、図8を用いて説明したエッチング工程により、第2高耐圧MISFET形成領域1Dのゲート電極4dの一方の側壁の絶縁膜7は除去され、図9に示すエッチング工程ではゲート電極4dの一方の側壁に第2サイドウォール6nが形成され、もう一方の側壁に第1サイドウォール6wが形成される。つまり、ゲート電極4a〜4cの両方の側壁にはそれぞれ幅(スペーサー長)が同じサイドウォールが形成されるが、ゲート電極4dの両方の側壁には、幅(スペーサー長)が異なる第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nがそれぞれ形成される。
【0119】
次に、図10に示すように、半導体基板SBの上面にn型の不純物(例えばP(リン))を相対的に高い濃度でイオン注入することにより、MONOSメモリ形成領域1Aの半導体基板SBの主面にn型の半導体領域である拡散層41、42を形成する。同様に、低耐圧MISFET形成領域1Bの半導体基板SBの主面にn型の半導体領域である拡散層43、44を形成し、第1高耐圧MISFET形成領域1Cの半導体基板SBの主面にn型の半導体領域である拡散層45、46を形成し、第2高耐圧MISFET形成領域1Dの半導体基板SBの主面にn型の半導体領域である拡散層47、48を形成する。拡散層41〜48はエクステンション領域31〜38よりも高い不純物濃度を有しているため、エクステンション領域31〜38よりも高い導電率を有している。
【0120】
ここでは、拡散層41、42および45〜48は、隣接するエクステンション領域31、32および35〜38のそれぞれよりも浅い接合深さで形成する。これにより、低抵抗な拡散層41、42および45〜48と半導体基板SBとの間に、各拡散層よりも高抵抗なエクステンション領域31、32および35〜38をそれぞれ介在させることにより、拡散層41、42および45〜48と半導体基板SBと間の耐圧を高めることできる。また、同様の理由により、および拡散層41、42とゲート電極4a間、拡散層45、46とゲート電極4c間および拡散層47、48とゲート電極4d間の耐圧を高めることできる。
【0121】
一方、低耐圧MISFET形成領域1Bでは、拡散層43、44とpウエル2bとの間には第1高耐圧MISFETH1のソース・ドレイン領域およびウエル間のような高い電位差が生じることはないため、拡散層43、44の接合深さをエクステンション領域33、34よりも浅くする必要はない。ここでは、拡散層43、44はエクステンション領域33、34よりも半導体基板SBの上面から深い位置にまで形成されている。
【0122】
なお、本実施の形態では拡散層41、42および45〜48の接合深さをエクステンション領域31、32および35〜38のそれぞれよりも浅い接合深さで形成しているが、拡散層41、42および45〜48と半導体基板SBとの耐圧が確保できるのであれば、拡散層41、42および45〜48の接合深さをエクステンション領域31、32および35〜38のそれぞれよりも深い接合深さで形成しても構わない。
【0123】
以上の工程により、MONOSメモリ形成領域1Aには、ONO膜3a、ゲート電極4a、エクステンション領域31、32、拡散層41および42を有するMONOSメモリMnが形成される。また、低耐圧MISFET形成領域1Bには、ゲート電極4b、エクステンション領域33、34、拡散層43および44を有する低耐圧MISFETLnが形成される。また、第1高耐圧MISFET形成領域1Cには、ゲート電極4c、エクステンション領域35、36、拡散層45および46を有する第1高耐圧MISFETH1が形成される。また、第2高耐圧MISFET形成領域1Dには、ゲート電極4d、エクステンション領域37、38、拡散層47および48を有する第2高耐圧MISFETH2が形成される。
【0124】
拡散層41およびエクステンション領域31はMONOSメモリMnのソース領域として機能し、拡散層42およびエクステンション領域32はMONOSメモリMnのドレイン領域として機能する半導体領域である。また、拡散層43およびエクステンション領域33は低耐圧MISFETLnのソース領域領域として機能し、拡散層44およびエクステンション領域34は低耐圧MISFETLnのドレイン領域として機能する半導体領域である。また、拡散層45およびエクステンション領域35は第1高耐圧MISFETH1のソース領域として機能し、拡散層46およびエクステンション領域36は第1高耐圧MISFETH1のドレイン領域として機能する半導体領域である。また、拡散層47およびエクステンション領域37は第2高耐圧MISFETH2のソース領域として機能し、拡散層48およびエクステンション領域38は第2高耐圧MISFETH2のドレイン領域として機能する半導体領域である。
【0125】
なお、ここでは拡散層41、43および45がソース領域として機能し、拡散層42、44および46がドレイン領域として機能するものとしたが、逆に、拡散層41、43および45がドレイン領域として機能し、拡散層42、44および46がソース領域として機能しても構わない。
【0126】
また、拡散層41〜48は露出している半導体基板SBの上面に形成されるため、エクステンション領域31〜38はいずれも第2サイドウォール6nまたは6wの下部に残存し、拡散層41〜48は、エクステンション領域31〜38にそれぞれ接して形成される。例えば、半導体基板SBの上面において、ゲート電極4aのゲート長方向のエクステンション領域31の端部であって拡散層41と接している端部の反対側の端部は、ゲート電極4aの端部の下部の近傍に配置されている。また、半導体基板SBの上面におけるエクステンション領域31のもう一方の端部は拡散層41と接し、第1サイドウォール6wの端部であって、ゲート電極4aと接していない方の端部の下部の近傍に配置されている。すなわち、半導体基板SBの上面のエクステンション領域31の幅は、エクステンション領域31上に形成された第1サイドウォール6wの幅によってほぼ規定されている。
【0127】
上述したように、低耐圧MISFETLnは相対的の幅が小さい第2サイドウォール6nを有し、それに対し、MONOSメモリMnおよび第1高耐圧MISFETH1は第2サイドウォール6nよりも幅が大きい第1サイドウォール6wを有している。サイドウォールの下部の半導体基板SBの上面におけるエクステンション領域の幅は、その上部のサイドウォールの幅によってほぼ規定されるため、第2サイドウォール6nの下部に形成されたエクステンション領域33、34の半導体基板SBの上面における幅は、第1サイドウォール6wの下部に形成されたエクステンション領域31、32、35および36の半導体基板SBの上面における幅よりも小さい。
【0128】
つまり、低耐圧MISFETLnは、MONOSメモリMnおよび第1高耐圧MISFETH1のエクステンション領域31、32、35および36よりも半導体基板SBの上面における幅が小さいエクステンション領域32、33を有している。このようにして、ソース・ドレイン領域に高い耐圧を必要としない低耐圧MISFETLnには、短い幅を有するエクステンション領域33、34を形成し、低耐圧MISFETLnよりも高い耐圧を必要とするMONOSメモリMnには、エクステンション領域33、34よりも幅が大きいエクステンション領域31、32を形成している。また、同様に第1高耐圧MISFETH1には、エクステンション領域33、34よりも幅が大きいエクステンション領域35、36を形成している。
【0129】
これにより、エクステンション領域31〜38は拡散層41〜48よりも不純物濃度が低く、高抵抗な半導体領域であるので、相対的に幅が大きいエクステンション領域31、32、35および36を形成することにより、MONOSメモリMnおよび第1高耐圧MISFETH1のそれぞれのゲート電極4a、4bとソース・ドレイン領域との間の耐圧を高めることができる。また、ソース・ドレイン領域に高い耐圧を必要としない低耐圧MISFETLnには相対的に幅が小さいエクステンション領域33、34を形成することにより、必要以上にエクステンション領域の抵抗値が高くなるのを抑え、ソース−ドレイン間に流れる電流が小さくなることを防いでいる。このように、必要となる耐圧が異なる素子同士で異なる長さのエクステンション領域を形成することで、2種LDD構造を形成することができる。
【0130】
一方、第2高耐圧MISFETH2には、ゲート電極4dの両側の側壁の一方に第2サイドウォール6nが形成され、もう一方の側壁に第1サイドウォール6wが形成されているため、半導体基板SBの上面におけるエクステンション領域37の幅は、エクステンション領域38の幅よりも小さくなっている。すなわち、拡散層47および拡散層48の間において、エクステンション領域37よりも長い幅を有するエクステンション領域38は、エクステンション領域37よりも高い抵抗値を有している。したがって、拡散層47およびエクステンション領域37は第2高耐圧MISFETH2のソース領域として機能し、拡散層48およびエクステンション領域38は第2高耐圧MISFETH2のドレイン領域として機能する半導体領域であるから、第2高耐圧MISFETH2のドレイン領域は、ソース領域よりも高い抵抗値および高い耐圧を有している。
【0131】
次に、図11に示すように、周知のサリサイドプロセスにより、ゲート電極4a〜4dおよび拡散層41〜48のそれぞれの表面にシリサイド層9を形成する。シリサイド化の手順としては、まず半導体基板SBの主面上にスパッタリングで金属膜を堆積し、続いて半導体基板SBを熱処理した後、未反応の金属膜をウェットエッチングで除去することで、シリサイド層9を形成する。シリサイド層9の部材としては、ニッケルシリサイド、コバルトシリサイド、チタンシリサイド、またはプラチナシリサイドを例示することができる。
【0132】
次に、図12に示すように、半導体基板SBの主面上の全面に、例えばCVD法により窒化シリコン膜からなるストッパ絶縁膜10および酸化シリコン膜からなる層間絶縁膜11を順次形成(堆積)する。
【0133】
次に、図13に示すように、層間絶縁膜11の上面から拡散層41〜48のそれぞれの上面に形成されたシリサイド層9に達するコンタクトホール12を形成する。
【0134】
続いて、コンタクトホール12内にチタンまたは窒化チタン等の薄いバリア導体膜を形成した後、コンタクトホール12内にタングステン膜を充填することにより、前記タングステン膜からなるコンタクトプラグ13を形成する。なお、図示していない他の領域では、同工程によって、層間絶縁膜11の上面からゲート電極4a〜4dのそれぞれの上部に形成されたシリサイド層9に達するコンタクトホールおよびコンタクトプラグが形成される。
【0135】
次に、図14に示すように、周知の技術であるダマシンプロセスによって、層間絶縁膜11およびコンタクトプラグ13上にストッパ絶縁膜14、層間絶縁膜15および金属配線17を形成することで、本実施の形態の半導体装置が完成する。
【0136】
すなわち、層間絶縁膜11およびコンタクトプラグ13上に、CVD法などによりストッパ絶縁膜14および層間絶縁膜15を順次形成した後、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチングを用いて層間絶縁膜15およびストッパ絶縁膜14を加工し、層間絶縁膜11およびコンタクトプラグ13の上面を露出する配線溝16を形成する。
【0137】
その後、層間絶縁膜15の上面および配線溝16の内壁および底部に、タンタル、窒化タンタル等またはそれらの積層膜からなるバリア導体膜と、銅を主成分とする導体膜とをスパッタリングなどにより形成する。続いて、前記バリア導体膜および前記導体膜をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法により研磨して層間絶縁膜15の上面を露出させることにより、配線溝16の内部に、前記バリア導体膜および前記導体膜からなる金属配線17が形成される。
【0138】
本実施の形態では、上述したように、低耐圧MISFETLnとMONOSメモリMnおよび第1高耐圧MISFETH1とで異なる幅のエクステンション領域を形成する際に、図7に示す工程において第2高耐圧MISFET形成領域1Dのゲート電極4dの側壁の一方の絶縁膜7を露出し、図8に示すエッチング工程においてその絶縁膜7を除去している。これにより、図9に示すエッチング工程によって各ゲート電極の側壁にサイドウォールを形成する際に、ゲート電極4dの側壁に幅が短い第2サイドウォール6nと幅が長い第1サイドウォール6wとを形成した後、図10に示す工程によって、ゲート電極4dの両側の半導体基板SBの上面に幅が異なるエクステンション領域37、38を形成している。
【0139】
第2高耐圧MISFETH2のドレイン領域はソース領域よりも高い耐圧を必要とし、ソース領域を構成する拡散層47とpウエル4dとの間には、ドレイン領域を構成する拡散層48とpウエル4dとの間に生じる最も高い電位差よりも低い電位差のみが生じる。つまり、第2高耐圧MISFETH2のソース−ウエル間には、第2高耐圧MISFETH2のドレイン−ウエル間のような高い電位差は発生しない。また、同様に、第2高耐圧MISFETH2のソース−ゲート間には、第2高耐圧MISFETH2のドレイン−ゲート間のような高い電位差は発生しない。
【0140】
したがって、拡散層47側のエクステンション領域37の幅を拡散層48側のエクステンション領域38の幅よりも小さくしても、拡散層47(ソース領域)とpウエル2dとの間または拡散層47(ソース領域)とゲート電極4dとの間で耐圧を保つことができる。このように、エクステンション領域37の幅を拡散層48側のエクステンション領域38の幅よりも小さくすることで、ソース−ドレイン間に流れる電流が小さくなることを防ぐことができる。すなわち、ソース−ドレイン間に流れる電流を大きくすることができるため、半導体装置の動作速度を速くすることができる。
【0141】
また、第2高耐圧MISFETH2は、拡散層47側のエクステンション領域37の幅を拡散層48側のエクステンション領域38の幅よりも小さくすることで、第1高耐圧MISFETH1のように幅が長いエクステンション領域35を形成する場合に比べて、拡散層47に電位を供給するコンタクトプラグ13をゲート電極4dに近付けて配置することができる。つまり、半導体基板SBの上面における第2高耐圧MISFETH2のエクステンション領域37の幅を狭めることで、ゲート電極4dのゲート長方向において半導体装置を微細化することを可能としている。
【0142】
なお、本実施の形態では、例としてnチャネル型のMISFETおよびMONOSメモリを有する半導体装置について説明したが、本発明はpチャネル型のMISFETに適用しても構わない。この場合、図1に示すpウエル2a〜2dはn型のウエルとして形成し、エクステンション領域31〜38および拡散層41〜48はp型の半導体領域として形成する。
【0143】
また、本発明はnチャネル型のMISFETおよびMONOSメモリならびにpチャネル型のMISFETおよびMONOSメモリを有する半導体装置に適用しても構わない。すなわち、本発明は、nチャネル型のMISFETおよびpチャネル型のMISFETを有するCMISFET(Complementary MISFET)に適用することができる。
【0144】
(実施の形態2)
前記実施の形態1では、ドレイン領域とソース領域とに幅が異なるエクステンション領域を有する高耐圧MISFETを含む半導体装置について説明した。本実施の形態では、前記実施の形態1の図1に示す第2高耐圧MISFETH2と同様に、ソース領域とドレイン領域とで幅が異なるエクステンション領域を有し、高耐圧を必要とするドレイン領域と、前記ドレイン領域のような高い耐圧を必要としないソース領域とを有するMONOSメモリを含む半導体装置について説明する。
【0145】
図15に、本実施の形態の半導体装置の断面図を示す。図15に示すように、半導体基板SB上には前記実施の形態1と同様にMONOSメモリMn、低耐圧MISFETLn、第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2が形成されており、低耐圧MISFETLn、第1高耐圧MISFETH1および第2高耐圧MISFETH2は前記実施の形態1と同様の構造を有している。
【0146】
一方、MONOSメモリMnは、pウエル2aが形成された半導体基板SB上にONO膜3aを介して形成されたゲート電極4aを有し、ゲート電極4aの側壁の一方には、前記実施の形態1と同様と同様に、絶縁膜6a、6および7からなる第1サイドウォール6wが形成され、ゲート電極4aのもう一方の側壁には、前記実施の形態1と異なり、絶縁膜6a、6からなる第2サイドウォール6nが形成されている。
【0147】
ゲート電極4aの両側の半導体基板SBの上面のうち、第2サイドウォール6nが形成されている方には、エクステンション領域31aおよび拡散層41aが形成されており、もう一方の第1サイドウォール6wが形成されている方の半導体基板SBの上面には、前記実施の形態1と同様にエクステンション領域32および拡散層42が形成されている。
【0148】
すなわち、本実施の形態の半導体装置は、図15に示すように、MONOSメモリMnを構成するゲート電極4aの両方の側壁には、幅が異なる第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nがそれぞれ形成されている。また、図15に示すMONOSメモリMnは、第1サイドウォール6wの下部の半導体基板SBの上面に形成されたエクステンション領域31aと、第2サイドウォール6nの下部の半導体基板SBの上面に形成された半導体領域であって、半導体基板SBの上面においてエクステンション領域31aよりも幅が狭いエクステンション領域32とを有している。
【0149】
つまり、前記実施の形態1で説明した第2高耐圧MISFETH2(図1参照)と同様に、本実施の形態のMONOSメモリMn(図15参照)は、そのドレイン領域がソース領域よりも高い耐圧を必要とする素子であり、半導体基板SBの上面において幅が異なるエクステンション領域31a、32を有しているため、MONOSメモリMnについて前記実施の形態1と同様の効果を得ることができる。前記実施の形態1では一部の高耐圧MISFETのソース側のエクステンション領域の幅を狭めることについて説明したが、本実施の形態のように、MONOSメモリについても、ドレイン側より幅が狭く、ドレイン側よりも低抵抗なエクステンション領域をソース側に形成することができる。
【0150】
これにより、図15に示す第2高耐圧MISFETH2に限らず、MONOSメモリMnのソース−ドレイン間に流れる電流(すなわちMONOSメモリMnの読出し電流)を大きくすることができる。また、半導体装置の動作速度を速くすることができる。
【0151】
また、MONOSメモリMnは、拡散層41a側のエクステンション領域31aの幅を拡散層42側のエクステンション領域32の幅よりも小さくすることで、第1高耐圧MISFETH1のように幅が長いエクステンション領域35を形成する場合に比べて、拡散層41aに電位を供給するコンタクトプラグ13をゲート電極4aに近付けて配置することができる。つまり、半導体基板SBの上面における第2高耐圧MISFETH2のエクステンション領域31aの幅を狭めることで、ゲート電極4aのゲート長方向において半導体装置を微細化することが可能となる。
【0152】
なお、本実施の形態のMONOSメモリの書込および消去動作は、前記実施の形態1と同様である。すなわち、本実施の形態では、前記実施の形態1と同様の効果を有すると共に、各MONOSメモリのサイズを縮小することができる。
【0153】
また、以下に記すように、各MONOSメモリの書込動作をホットエレクトロン注入で行なう場合に、特に有益である。
【0154】
上述したように、図17(a)、(b)を用いて説明した、チャネル全面からMONOSメモリの電荷蓄積層にエレクトロン注入を行う書込方法では、一部の非選択セル(図17(a)、(b)のメモリセルM4に相当)において、ソース領域およびドレイン領域のいずれにも高い耐圧が要求される。これに対し、図18(a)、(b)を用いて説明した、ドレイン近傍においてMONOSメモリの電荷蓄積層にホットエレクトロン注入を行う書込方法では、一部の非選択セル(図17(a)、(b)のメモリセルM3に相当)において、ドレイン領域のみに高い耐圧が要求される。また、図16(a)、(b)を用いて説明した消去動作では、いずれのメモリセルにおいても、ソース・ドレイン領域とウエルとの間には殆ど電位差が発生せず、各ソース・ドレイン領域は比較的低い耐圧を有すれば良い。
【0155】
すなわち、図16(a)、(b)を用いて説明した消去動作と、図18(a)、(b)を用いて説明した書込動作を用いてMONOSメモリを動作させた場合、各MONOSメモリのドレイン領域はウエルおよびゲート電極に対して高い耐圧を有する必要があるが、各MONOSメモリのソース領域は、前記ドレイン領域のような高い耐圧を有する必要がない。
【0156】
したがって、このようにソース領域の耐圧がドレイン領域の耐圧より低くても問題ないMONOSメモリにおいては、図15に示すMONOSメモリMnのように、ソース領域側のサイドウォールおよびエクステンション領域の幅を、ドレイン領域側のサイドウォールおよびエクステンション領域の幅よりも短くした構造を適用することができる。これにより、前述したように、ソース側のエクステンション領域の抵抗値を低減することで、ソース−ドレイン間の電流を大きくし、半導体装置の動作速度を向上させ、半導体装置を微細化させることができる。
【0157】
次に、本実施の形態の半導体装置の製造方法について、図19〜図22を用いて説明する。図19〜図22は本実施の形態2における半導体装置の製造工程を説明する断面図である。本実施の形態の半導体装置の製造方法は前記実施の形態1とほぼ同様であるが、MONOSメモリのゲート電極の側壁の一方に相対的に幅が狭いサイドウォールを形成し、その下部に幅が狭いエクステンション領域を形成する点で前記実施の形態1と製造方法が異なる。
【0158】
まず、最初の製造工程は前記実施の形態1の図6までは同様に行うため、詳しい説明は省略する。すなわち、半導体基板上に絶縁膜を介してゲート電極を複数形成し、それぞれのゲート電極の両側の半導体基板の上面にエクステンション領域を形成した後、半導体基板上に複数の絶縁膜を堆積する。
【0159】
次に、図19に示すように、図6の構造を得た後に、半導体基板SB上にフォトレジスト膜PRを形成する。このとき、前記実施の形態1と異なり、MONOSメモリ形成領域1Aのゲート電極4aの両側の絶縁膜7のうち、一方を露出させ、もう一方の絶縁膜7をフォトレジスト膜PRにより覆う。なお、ここではMONOSメモリ形成領域1Aのゲート電極4aの両側の半導体基板SBの上面のうち、一方にはエクステンション領域31aが形成され、もう一方にはエクステンション領域32が形成されている。エクステンション領域31aは、図6に示したエクステンション領域31と同様に、低濃度のn型の不純物(例えばP(リン))が導入された半導体領域である。
【0160】
次に、図20に示すように、図8および図9を用いて説明した工程と同様の工程を行い、ゲート電極4a〜4dのそれぞれの側壁にサイドウォールを形成する。すなわち、図19に示したフォトレジスト膜PRをマスクとして絶縁膜7を除去した後、フォトレジスト膜PRを除去し、続いてドライエッチングによって絶縁膜7、6および6aをエッチングすることにより、各ゲート電極の両側の側壁に絶縁膜6a、6および7からなるサイドウォールを形成する。
【0161】
このとき、ゲート電極4aの側壁の一方の絶縁膜7は除去されるため、その後の絶縁膜7、6および6aをエッチングする工程では、ゲート電極4aの一方の側壁には絶縁膜6a、6からなる第2サイドウォール6nが形成され、もう一方の側壁には絶縁膜6a、6および7からなる絶縁膜であって、第2サイドウォール6nよりも幅が広い第1サイドウォール6wが形成される。
【0162】
次に、図21に示すように、図10を用いて説明した工程と同様に、n型の不純物(例えばP(リン))を半導体基板SBの上面に比較的高濃度でイオン注入することにより、半導体基板SBの上面に拡散層41a、42〜48を形成する。ここでは、エクステンション領域31aの上面の一部に拡散層41aがエクステンション領域31aよりも浅い接合深さで形成され、その他の拡散層42〜48は、前記実施の形態1と同様に形成される。
【0163】
その後の工程は前記実施の形態1と同様であるため、詳しい説明は省略する。すなわち、図22に示すように、拡散層41a、42〜48およびゲート電極4a〜4dの上面にシリサイド層9をそれぞれ形成した後、半導体基板SB上にストッパ絶縁膜10および層間絶縁膜11を順次形成する。続いて、層間絶縁膜11の上面からシリサイド層9に達するコンタクトホール12を形成した後、コンタクトホール12の内部にコンタクトプラグ13を埋め込み、CMP法により層間絶縁膜11の上面を露出させる。続いて、層間絶縁膜11上およびコンタクトプラグ13上にストッパ絶縁膜14および層間絶縁膜15を順次形成した後、周知のダマシン法により、コンタクトプラグ13上であってストッパ絶縁膜14および層間絶縁膜15に形成された配線溝16内に金属配線17を形成することで、本実施の形態の半導体装置が完成する。
【0164】
本実施の形態では、前記実施の形態1の図1に示す第2高耐圧MISFETH2の形成工程と同様に、図19に示した工程において、MONOSメモリ形成領域1Aのゲート電極4aの両側の絶縁膜7のうち、一方の絶縁膜7をフォトレジスト膜PRで覆い、もう一方の絶縁膜7をフォトレジスト膜PRから露出させることにより、図20に示した工程により、フォトレジスト膜PRから露出している絶縁膜7のみを除去している。したがって、その後、絶縁膜6a、6および7をエッチングして第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nを形成する際、絶縁膜7がない領域とある領域とで異なる幅の第1サイドウォール6wおよび第2サイドウォール6nを作り分けることができる。
【0165】
図15に示すエクステンション領域31a、32〜38の半導体基板SBの上面における幅は、エクステンション領域31a、32〜38の上部のサイドウォールの幅によって規定される。よって、幅が狭い第2サイドウォール6nと、第2サイドウォール6nよりも幅が広い第1サイドウォール6wとを形成することにより、MONOSメモリMnを構成するゲート電極4aの両側の半導体基板SBの上面に、幅が異なるエクステンション領域31a、32をそれぞれ形成することができる。
【0166】
これにより、上述したように、ソース側のエクステンション領域31aのソース−ドレイン間の幅がドレイン側のエクステンション領域32よりも狭くなることでエクステンション領域31aの抵抗値を低減する。したがって、ソース−ドレイン間の電流を大きくし、半導体装置の動作速度を向上させることが可能となり、また、エクステンション領域31aの幅を狭めることにより、半導体装置を微細化させることができる。
【0167】
なお、本実施の形態では、例としてnチャネル型のMISFETおよびMONOSメモリを有する半導体装置について説明したが、本発明はpチャネル型のMISFETおよびMONOSメモリに適用しても構わない。また、本発明はnチャネル型のMISFETおよびMONOSメモリならびにpチャネル型のMISFETおよびMONOSメモリを有する半導体装置に適用しても構わない。
【0168】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0169】
本発明は、複数のMISFETを有する半導体装置に幅広く利用されるものである。
【符号の説明】
【0170】
1 素子分離層
1A MONOSメモリ形成領域
1B 低耐圧MISFET形成領域
1C 第1高耐圧MISFET形成領域
1D 第2高耐圧MISFET形成領域
2a〜2d pウエル
3 ONO膜
3a ONO膜
3b〜3d ゲート絶縁膜
3e 薄膜絶縁膜
3f 厚膜絶縁膜
3g ボトム酸化膜
3h 電荷蓄積層
3i トップ酸化膜
4a〜4d ゲート電極
4e ポリシリコン膜
4f ポリシリコン膜
6 絶縁膜
6a 絶縁膜
6n 第2サイドウォール
6w 第1サイドウォール
7 絶縁膜
9 シリサイド層
10 ストッパ絶縁膜
11 層間絶縁膜
12 コンタクトホール
13 コンタクトプラグ
14 ストッパ絶縁膜
15 層間絶縁膜
16 配線溝
17 金属配線
31〜38 エクステンション領域
31a エクステンション領域
31b〜38b エクステンション領域
41〜48 拡散層
41a 拡散層
D1 ドレイン
D2 ドレイン
G1 ゲート
G2 ゲート
H1 第1高耐圧MISFET
H2 第2高耐圧MISFET
Ln 低耐圧MISFET
M1〜M4 メモリセル
Mn MONOSメモリ
OX 酸化シリコン膜
PR フォトレジスト膜
S1 ソース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の主面の第1領域に形成された第1電界効果トランジスタと、前記半導体基板の主面の第2領域に形成され、前記第1電界効果トランジスタよりも高い電圧で動作する第2電界効果トランジスタとを有する半導体装置であって、
前記第1電界効果トランジスタは、
前記半導体基板上に第1ゲート絶縁膜を介して形成された第1ゲート電極と、
前記第1ゲート電極の両側の側壁にそれぞれ形成された第1サイドウォールと、
前記第1サイドウォールの下部の前記半導体基板の上面に形成された第1エクステンション領域と、
前記第1エクステンション領域と電気的に接続され、前記半導体基板の上面に形成され、且つ、前記第1エクステンション領域よりも高い不純物濃度を有する第1拡散層と、
を有し、
前記第2電界効果トランジスタは、
前記半導体基板上に第2ゲート絶縁膜を介して形成された第2ゲート電極と、
前記第2ゲート電極の両側の側壁の一方に、前記第1サイドウォールの同層に形成され、且つ前記第1ゲート電極のゲート長方向の前記第1サイドウォールの幅と同じ幅を有する第2サイドウォールと、
前記第2ゲート電極の両側の側壁のもう一方に形成され、且つ、前記ゲート長方向の幅が前記第2サイドウォールよりも大きい第3サイドウォールと、
前記第2サイドウォールの下部の前記半導体基板の上面に形成された第2エクステンション領域と、
前記第3サイドウォールの下部の前記半導体基板の上面に形成され、且つ、前記ゲート長方向の幅が前記第2エクステンション領域よりも大きい第3エクステンション領域と、
前記半導体基板の上面に形成され、前記第2エクステンション領域と電気的に接続され、且つ、前記第2エクステンション領域よりも高い不純物濃度を有する第2拡散層と、
前記半導体基板の上面に形成され、前記第3エクステンション領域と電気的に接続され、且つ、前記第3エクステンション領域よりも高い不純物濃度を有する第3拡散層と、
を有すること特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記半導体基板上に、nチャネル型の前記第2電界効果トランジスタおよびpチャネル型の前記第2電界効果トランジスタが形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板上の第3領域には、前記第1電界効果トランジスタよりも高い電圧で動作し、且つ、前記第2電界効果トランジスタと用途が異なる第3電界効果トランジスタが形成され、
前記第3電界効果トランジスタは、
前記半導体基板上に第3ゲート絶縁膜を介して形成された第3ゲート電極と、
前記第3ゲート電極の両側の側壁に形成され、且つ、前記ゲート長方向の幅が前記第3サイドウォールと同じ第4サイドウォールと、
前記第4サイドウォールの下部の前記半導体基板の上面に形成された第4エクステンション領域と、
前記半導体基板の上面に形成され、前記第4エクステンション領域と電気的に接続され、且つ、前記第4エクステンション領域よりも高い不純物濃度を有する第4拡散層と、
を有すること特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1サイドウォールは前記半導体基板側および前記第1ゲート電極側から順に第1酸化シリコン膜および窒化シリコン膜が形成された積層構造を有し、
前記第2サイドウォールは前記半導体基板側および前記第2ゲート電極側から順に前記第1酸化シリコン膜および前記窒化シリコン膜が形成された積層構造を有し、
前記第3サイドウォールは、前記半導体基板側および前記第3ゲート電極側から順に前記第1酸化シリコン膜、前記窒化シリコン膜および第2酸化シリコン膜が形成された積層構造を有すること特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第3サイドウォールの構造は、前記第1サイドウォールおよび前記第2サイドウォールよりも積層されている絶縁膜の数が多いことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第3電界効果トランジスタはMONOS型の不揮発性メモリセルであり、
前記第3ゲート絶縁膜は、前記半導体基板側から順に形成された電位障壁膜および電荷蓄積層を少なくとも含むことを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2電界効果トランジスタはMONOS型の不揮発性メモリセルであり、
前記第2ゲート絶縁膜は、前記半導体基板側から順に形成された電位障壁膜および電荷蓄積層を少なくとも含むことを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第2拡散層は前記第2電界効果トランジスタのソース領域として機能することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項9】
半導体基板の主面の第1領域に形成された第1電界効果トランジスタと、半導体基板の主面の第2領域に形成され、前記第1電界効果トランジスタよりも高い電圧で動作する第2電界効果トランジスタとを有する半導体装置の製造方法であって、
(a)前記第1領域の前記半導体基板上に第1絶縁膜を形成する工程と、
(b)前記第2領域の前記半導体基板上に、前記第1絶縁膜よりも膜厚が厚い第2絶縁膜を形成する工程と、
(c)前記第1絶縁膜上および前記第2絶縁膜上に導体膜を形成する工程と、
(d)前記導体膜、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を加工して、前記第1領域および前記第2領域に、前記導体膜からなる第1ゲート電極および第2ゲート電極をそれぞれ形成する工程と、
(e)前記(d)工程の後、前記第1領域の前記半導体基板の上面に不純物を導入し、前記第1ゲート電極の両側の前記半導体基板の上面に第1エクステンション領域を形成する工程と、
(f)前記(d)工程の後、前記第2領域の前記半導体基板の上面に不純物を導入し、前記第2ゲート電極の両側の前記半導体基板の上面に第2エクステンション領域を形成する工程と、
(g)前記(e)工程および前記(f)工程の後、前記第1ゲート電極の両側の側壁および前記第2ゲート電極の両側の側壁の一方に第1サイドウォールを形成し、同工程において、前記第2ゲート電極のもう一方の側壁に、前記第2ゲート電極のゲート長方向の幅が前記第1サイドウォールよりも大きい第2サイドウォールを形成する工程と、
(h)前記(g)工程の後、前記第1領域の前記半導体基板の上面に前記第1エクステンション領域と同じ導電型の不純物を前記第1エクステンション領域よりも高い濃度で導入し、第1拡散層を形成する工程と、
(i)前記(g)工程の後、前記第2領域の前記半導体基板の上面に前記第2エクステンション領域と同じ導電型の不純物を前記第2エクステンション領域よりも高い濃度で導入し、第2拡散層を形成することで、前記第1領域に前記第1ゲート絶縁膜、前記第1ゲート電極、前記第1サイドウォール、前記第1エクステンション領域および前記第1拡散層を有する前記第1電界効果トランジスタを形成し、
前記第2領域に前記第2絶縁膜、前記第2ゲート電極、前記第1サイドウォール、前記第2サイドウォール、前記第1エクステンション領域、前記第2エクステンション領域および前記第2拡散層を有する前記第2電界効果トランジスタを形成する工程と、
を有し、
前記第2サイドウォールの下部の前記第2エクステンション領域は、前記第1エクステンション領域の下部の前記第1エクステンション領域よりも前記半導体基板の上面における前記ゲート長方向の幅が短いことを特徴する半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記半導体基板上の第3領域に、前記第1電界効果トランジスタよりも高い電圧で動作し、前記第2電界効果トランジスタと用途が異なる第3電界効果トランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、
前記(b)工程では、前記第3領域に前記第2絶縁膜を形成し、
前記(d)工程では、前記第3領域に前記導体膜からなる第3ゲート電極を形成し、
前記(d)工程の後であって前記(g)工程の前に、前記第3領域の前記半導体基板の上面に不純物を導入し、前記第3ゲート電極の両側の前記半導体基板の上面に第3エクステンション領域を形成し、
前記(g)工程では、前記第3ゲート電極の両側の側壁に前記第2サイドウォールを形成し、
前記(g)工程の後、前記第3領域の前記半導体基板の上面に前記第3エクステンション領域と同じ導電型の不純物を前記第3エクステンション領域よりも高い濃度で導入して第3拡散層を形成することにより、前記第3領域に前記第2絶縁膜、前記第3ゲート電極、前記第2サイドウォール、前記第3エクステンション領域および前記第3拡散層を有する前記第3電界効果トランジスタを形成することを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記(g)工程は、
(g1)前記半導体基板の主面の全面上に第1酸化シリコン膜を形成する工程と、
(g2)前記第1酸化シリコン膜上に窒化シリコン膜を形成する工程と、
(g3)前記窒化シリコン膜上に第2酸化シリコン膜を形成する工程と、
(g4)前記第2酸化シリコン膜を加工し、前記第1ゲート電極および前記第2ゲート電極のそれぞれの両側の側壁に前記第1酸化シリコン膜および前記窒化シリコン膜を介してサイドウォール形状の前記第2酸化シリコン膜を残す工程と、
(g5)前記(g5)工程の後、前記第2ゲート電極の両側の側壁の一方の前記第2酸化シリコン膜をフォトレジスト膜で覆う工程と、
(g6)前記フォトレジスト膜をマスクとして、前記第1領域の前記第2酸化シリコン膜および前記第2ゲート電極の両側の側壁の一方の前記第2酸化シリコン膜を除去する工程と、
(g7)前記フォトレジスト膜を除去する工程と、
(g8)前記窒化シリコン膜および前記第1酸化シリコン膜を異方性エッチングにより加工し、前記第1ゲート電極の両側の側壁および前記第2ゲート電極の両側の側壁の一方に前記第1酸化シリコン膜および前記窒化シリコン膜からなる前記第1サイドウォールを形成し、同工程において、前記第2ゲート電極のもう一方の側壁に、前記第1酸化シリコン膜、前記窒化シリコン膜および前記第2酸化シリコン膜からなり、前記第2ゲート電極のゲート長方向の幅が前記第1サイドウォールよりも大きい前記第2サイドウォールを形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体基板の主面の第4領域にMONOS型の不揮発性メモリセルを有する半導体装置の製造方法であって、
(c1)前記(c)工程の後、前記第4領域の前記導電膜および前記第1絶縁膜を除去する工程と、
(c2)前記(c1)工程の後、前記半導体基板の主面の全面上に電位障壁膜、電荷蓄積層および他の導電膜を順次形成する工程と、
(c3)前記(d)工程の前に、前記他の導電膜、前記電荷蓄積層および前記電位障壁膜を加工して前記導電膜の上面を露出させ、前記第4領域に前記他の導電膜からなる第4ゲート電極を形成する工程と、
をさらに有し、
前記(d)工程の後であって前記(g)工程の前に、前記第4領域の前記半導体基板の上面に不純物を導入し、前記第4ゲート電極の両側の前記半導体基板の上面に第4エクステンション領域を形成し、
前記(g)工程では、前記第4ゲート電極の両側の側壁に前記第2サイドウォールを形成し、
前記(g)工程の後、前記第4領域の前記半導体基板の上面に前記第4エクステンション領域と同じ導電型の不純物を前記第4エクステンション領域よりも高い濃度で導入して第4拡散層を形成することにより、前記第4領域に前記電位障壁膜、前記電荷蓄積層、前記第4ゲート電極、前記第2サイドウォール、前記第4エクステンション領域および前記第4拡散層を有する前記MONOS型の不揮発性メモリセルを形成することを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記半導体基板の主面の第4領域にMONOS型の不揮発性メモリセルを有する半導体装置の製造方法であって、
(d1)前記(c)工程の後、前記第4領域の前記導電膜および前記第1絶縁膜を除去する工程と、
(d2)前記(d1)工程の後、前記半導体基板の主面の全面上に電位障壁膜、電荷蓄積層および他の導電膜を順次形成する工程と、
(d3)前記(d)工程の前に、前記他の導電膜、前記電荷蓄積層および前記電位障壁膜を加工して前記導電膜の上面を露出させ、前記第4領域に前記他の導電膜からなる第4ゲート電極を形成する工程と、
をさらに有し、
前記(d)工程の後であって前記(g)工程の前に、前記第4領域の前記半導体基板の上面に不純物を導入し、前記第4ゲート電極の両側の前記半導体基板の上面に第4エクステンション領域を形成し、
前記(g)工程では、前記第4ゲート電極の両側の側壁の一方に前記第1サイドウォールを形成し、同工程において、前記第4ゲート電極のもう一方の側壁に前記第2サイドウォールを形成し、
前記(g)工程の後、前記第4領域の前記半導体基板の上面に前記第4エクステンション領域と同じ導電型の不純物を前記第4エクステンション領域よりも高い濃度で導入して第4拡散層を形成することにより、前記第4領域に前記電位障壁膜、前記電荷蓄積層、前記第4ゲート電極、前記第2サイドウォール、前記第4エクステンション領域および前記第4拡散層を有する前記MONOS型の不揮発性メモリセルを形成することを特徴とする請求項9記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−59777(P2012−59777A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199109(P2010−199109)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】