半導体装置
【課題】半導体集積回路の微細化に伴い非常に短くなったゲート長を有するトランジスタにおいて、ゲート絶縁膜におけるリーク電流の発生を抑制し、トランジスタとしての機能を高めることが可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】主表面を有する半導体基板SUBと、半導体基板SUBの主表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、1対のソース/ドレイン領域に挟まれる領域上であって、主表面に接するように形成されたゲート絶縁膜AFEと、ゲート絶縁膜AFEの上面に接するように形成されたゲート電極POとを備える。上記1対のソース/ドレイン領域の一方から他方へ向かう方向のゲート電極POの長さは45nm未満である。ゲート絶縁膜AFEは反強誘電体膜を有する。
【解決手段】主表面を有する半導体基板SUBと、半導体基板SUBの主表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、1対のソース/ドレイン領域に挟まれる領域上であって、主表面に接するように形成されたゲート絶縁膜AFEと、ゲート絶縁膜AFEの上面に接するように形成されたゲート電極POとを備える。上記1対のソース/ドレイン領域の一方から他方へ向かう方向のゲート電極POの長さは45nm未満である。ゲート絶縁膜AFEは反強誘電体膜を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、ゲート絶縁膜を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置上で形成されるトランジスタのゲート絶縁膜は、ゲート電極とその下の活性領域の間に形成される。このゲート絶縁膜にはゲートからのトンネル電流に伴うゲートリークを抑制すると同時に、ゲート電極のON状態/OFF状態に伴う電界変化で活性領域にチャネルを形成させたり、形成させなかったりする性能が要求される。
【0003】
トランジスタの性能はゲート絶縁膜の静電容量に依存する。ゲート電極とチャネルとの間に形成される平行平板コンデンサの容量をC、絶縁膜の誘電率をk、ゲート電極の平面視における面積をA、絶縁膜の厚みをdとすれば、C=kA/dの関係が成り立つ。チップ面積を縮小し、微細化を進めるためには、電極の平面視における面積Aを小さくする必要がある。電極の面積Aを小さくしたトランジスタと電極の面積Aを小さくしないトランジスタとの性能を同等とするためには、絶縁膜の厚みdを面積Aに比べて薄くする必要がある。
【0004】
ゲート絶縁膜としては従来から、たとえばシリコン酸化膜などの常誘電体が用いられている。しかし半導体集積回路の微細化・集積化が進むにつれて、ゲート絶縁膜の厚さは原子数個分まで薄くなり、量子トンネル効果によって絶縁膜を透過して流れ出てしまうリーク電流が増え、問題となっていた。より具体的には、たとえばゲート電極の長さ(ゲート長)が28nm程度である、いわゆる28nm世代の電界効果トランジスタのゲート絶縁膜がシリコン酸化膜で形成される場合、その厚みは2nm程度である。この厚みは原子数個分に相当し極めて薄い。このため量子トンネル現象に伴い当該ゲート絶縁膜を透過するリーク電流が大きくなる。またゲート絶縁膜がきわめて薄くなれば、同一基板上に形成される複数のトランジスタのゲート絶縁膜間の厚みのばらつきが大きくなり、トランジスタの形成が困難となる。
【0005】
逆に、ゲート絶縁膜の厚みdを増せばゲート絶縁膜間の厚みのばらつきが小さくなる。ゲート絶縁膜の厚みdを大きくしたトランジスタと厚みdを大きくしないトランジスタとの性能を同等とするためには、面積Aを大きくする必要がある。より具体的には、たとえば28nm世代における、厚みdが2nmであるゲート絶縁膜に対して、厚みdを50nmとすれば、トランジスタの活性領域に印加される電圧は1/25に減少する。当該電圧が大幅に減少するため、ゲート電極をON状態にしても活性領域にチャネルを形成することができず、トランジスタは機能しなくなる。ここで厚みdが50nmとなったトランジスタに対して、厚みdが2nmのトランジスタと同様に電圧を印加してチャネルを形成するためには、当該トランジスタのゲート電極の面積Aを25倍に拡大する必要がある。これは平面視における一方向(x方向)および一方向に略直交する他の方向(y方向)のそれぞれに関して、矩形平面形状を有するゲート電極の寸法を5倍に拡大することを示している。したがってトランジスタのゲート長は約140nmとなり、トランジスタの世代が5世代逆戻りすることになる。
【0006】
一方、電極の面積Aを維持したままゲート絶縁膜の厚みdを厚くすればゲート絶縁膜およびゲート電極を含む、ゲート全体の厚みdとゲート長とのアスペクト比が大きくなる。より具体的には、たとえば28nm世代のトランジスタは、ゲート絶縁膜の厚みが約2nm、ゲート絶縁膜およびゲート電極を含むゲート全体の厚みが約50nm、平面視において隣接する1対のゲートの間隔は約65nmである。したがって、ゲート全体の厚みとゲート長とのアスペクト比は約2となる。しかしゲート絶縁膜の厚みを50nmとしたトランジスタは、上記の他の寸法は同じである場合に、アスペクト比は約4に増加する。通常は、ゲート電極の両側の側壁に接するように側壁絶縁膜を形成することにより、ゲート電極の機械的耐久性を確保している。しかしアスペクト比が約4にまで増加すれば、ゲート加工工程の際に化学的機械的研磨によりゲート電極に与えられるストレスに耐えきれず、ゲート電極が破壊される可能性がある。
【0007】
最近、以上の問題を解決するため、ゲート絶縁膜として、High−Kと呼ばれる高誘電体を使う事例が報告されている。高誘電体は誘電率kが大きい常誘電体であるため、高誘電体をゲート絶縁膜に用いることにより、トランジスタを構成する平行平板コンデンサの容量Cを大きくすることができ、ゲート電極と活性領域の間隔が大きくとれる。つまりゲート絶縁膜をより厚く形成することができる。ゲート絶縁膜を厚く形成するために、ゲート電極がON状態の際には、十分に強い電界を活性領域へ印加することができる。逆に、ゲート電極がOFF状態の時には、ゲート電極と活性領域の物理的な間隔が大きくとれるので、トンネル現象に伴うリーク電流が流れにくくなる。するとこのトランジスタは、従来よりもゲートリーク電流が低減され、少ない消費電力で動作することができる。
【0008】
しかしHigh−Kゲート絶縁膜は、従来の多結晶シリコンでできたゲート電極と組み合わせて使った場合に、ゲート絶縁膜とゲート電極との境界(接触面)で不具合が発生しやすく動作電圧が上昇する傾向がある。さらに内部で「フォノン振動」が発生し、電子の流れを阻害する問題も発生する。
【0009】
高誘電体の代わりに強誘電体を用いることによっても、ゲート絶縁膜の誘電性を高めることができる。たとえば特開2001−332125号公報(特許文献1)に示すように組成の異なる2種類の強誘電体材料を共存させることにより、温度変化に対する強誘電体の誘電率の変化を軽減することができる。またたとえば特開平11−204744号公報(特許文献2)に示すようにゲート絶縁膜としての強誘電体膜にチタンを少量含めることにより、当該ゲート絶縁膜におけるリーク電流の増加を抑制することができ、温度変化に対する強誘電体の誘電率の変化を軽減することができる。
【0010】
一方で、たとえば特開2008−205284号公報(特許文献3)には、反強誘電体膜からなるゲート絶縁膜を有する有機FET(Field Effect Transistor)が開示されている。さらにたとえば特開2001−222884号公報(特許文献4)および特開2000−243090号公報(特許文献5)には、反強誘電体膜を絶縁膜として用いたキャパシタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−332125号公報
【特許文献2】特開平11−204744号公報
【特許文献3】特開2008−205284号公報
【特許文献4】特開2001−222884号公報
【特許文献5】特開2000−243090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特開2001−332125号公報および特開平11−204744号公報に開示される強誘電体は誘電率が高い。このため、強誘電体をトランジスタのゲート絶縁膜に用いた場合、トランジスタの微細化の際に当該ゲート絶縁膜を厚く形成しても、ゲート電極をON状態にしたときにチャネル領域を形成してチャネルに電流を流すなどトランジスタとしての機能を高めることができる。しかし強誘電体のゲート絶縁膜は、ゲート電極をON状態からOFF状態に切り替えた場合においてもヒステリシスと呼ばれる現象により自発分極が残る。このため、ON状態のときに形成されたチャネルが消滅せずに残存して、当該チャネルに電流が流れる可能性がある。
【0013】
特開2008−205284号公報に開示される有機FETは、チャネル長が50μmでゲート絶縁膜の膜厚が50nm以上である。このため、上記公報に開示される技術は、いわゆる28nm世代の微細化されたトランジスタに適用することを想定していない。特開2001−222884号公報および特開2000−243090号公報においても、微細化されたトランジスタを背景とした開示がなされていない。
【0014】
本発明は上記の問題に鑑みなされたものである。その目的は、半導体集積回路の微細化に伴い非常に短くなったゲート長を有するトランジスタにおいて、ゲート絶縁膜におけるリーク電流の発生を抑制し、トランジスタとしての機能を高めることが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例による半導体装置は以下の構成を備えている。
上記半導体装置は、主表面を有する半導体基板と、半導体基板の主表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、1対のソース/ドレイン領域に挟まれる領域上であって、主表面に接するように形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上面に接するように形成されたゲート電極とを備える。上記1対のソース/ドレイン領域の一方から他方へ向かう方向のゲート電極の長さは45nm未満である。ゲート絶縁膜は反強誘電体膜を有する。
【発明の効果】
【0016】
本実施例によれば、ゲート電極が45nm未満と非常に短くなった半導体装置において、強誘電体と同等に高い誘電率を有する反強誘電体膜を有するゲート絶縁膜が形成される。このためゲート電極がON状態の際には誘電率ゲート絶縁膜にリーク電流が流れることを抑制できる程度にゲート絶縁膜を厚くすることができ、ゲート電極がOFF状態の際に活性領域のチャネルを消滅させることができるためゲート絶縁膜およびソース領域とドレイン領域との間におけるリーク電流を低減することができる。したがって当該半導体装置のトランジスタとしての機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る、半導体集積回路が形成された半導体チップの構成を示す概略平面図である。
【図2】(A)本発明の実施の形態1のロジック回路を構成するnMISトランジスタが形成される領域の構成を示す概略平面図である。(B)図2(A)のIIB,IIC−IIB,IIC線に沿う部分における構成の第1例を示す概略断面図である。(C)図2(A)のIIB,IIC−IIB,IIC線に沿う部分における構成の第2例を示す概略断面図である。
【図3】(A)本発明の実施の形態1のロジック回路を構成するpMISトランジスタが形成される領域の構成を示す概略平面図である。(B)図3(A)のIIIB,IIIC−IIIB,IIIC線に沿う部分における構成の第1例を示す概略断面図である。(C)図3(A)のIIIB,IIIC−IIIB,IIIC線に沿う部分における構成の第2例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるMISトランジスタを構成するゲート部分の寸法を示す概略断面図である。
【図5】(A)本発明の実施の形態1におけるMISトランジスタのゲート絶縁膜に印加する電界とゲート絶縁膜の分極との関係を示すグラフである。(B)本発明の実施の形態1におけるMISトランジスタのOFF状態を示す概略断面図である。(C)本発明の実施の形態1におけるMISトランジスタのON状態を示す概略断面図である。
【図6】(A)シュミットトリガー回路の回路図である。(B)図6(A)に示すシュミットトリガー回路を分解した構成を示す、図6(A)と等価な回路図である。
【図7】(A)本発明の実施の形態1の第1の比較例におけるMISトランジスタのゲート絶縁膜に印加する電界とゲート絶縁膜の分極との関係を示すグラフである。(B)本発明の実施の形態1の第1の比較例におけるMISトランジスタのOFF状態を示す概略断面図である。(C)本発明の実施の形態1の第1の比較例におけるMISトランジスタのON状態を示す概略断面図である。
【図8】(A)本発明の実施の形態1の第2の比較例におけるMISトランジスタのゲート絶縁膜に印加する電界とゲート絶縁膜の分極との関係を示すグラフである。(B)本発明の実施の形態1の第2の比較例におけるMISトランジスタのOFF状態を示す概略断面図である。(C)本発明の実施の形態1の第2の比較例におけるMISトランジスタのON状態を示す概略断面図である。
【図9】(A)本発明の実施の形態1の第3の比較例におけるMISトランジスタのゲート絶縁膜に印加する電界とゲート絶縁膜の分極との関係を示すグラフである。(B)本発明の実施の形態1の第3の比較例におけるMISトランジスタのOFF状態を示す概略断面図である。(C)本発明の実施の形態1の第3の比較例におけるMISトランジスタのON状態を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る、nMISトランジスタと併せて形成されるMIS容量の構成の第1例を示す概略平面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る、nMISトランジスタと併せて形成されるMIS容量の構成の第2例を示す概略平面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る、nMISトランジスタと併せて形成されるMIS容量の構成の第3例を示す概略平面図である。
【図15】図14のXV−XV線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【図16】本発明の実施の形態3に係る、nMISトランジスタと併せて形成される可変容量の構成の第1例を示す概略平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【図18】本発明の実施の形態3に係る、nMISトランジスタと併せて形成される可変容量の構成の第2例を示す概略平面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態としてチップ状態の半導体装置について説明する。
【0019】
図1を参照して、本実施の形態に係る半導体集積回路が形成された半導体チップCHPには、スクライブ領域1とモジュール領域2とが形成されている。スクライブ領域1は半導体チップCHPの平面視における端部に形成されており、モジュール領域2はスクライブ領域1に囲まれるように、半導体チップCHPの平面視における中央部に形成されている。
【0020】
モジュール領域2は、入出力回路IOと、アナログ回路と、ロジック回路と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを有している。入出力回路IOは、電源回路とロジック回路などとの間で電気信号を入出力する回路である。アナログ回路は、アナログ信号を用いて演算する回路であり、ロジック回路とは論理回路などの制御回路を有しており、デジタル信号を用いて演算する回路である。RAMおよびROMは、当該回路に情報を読み書きするためのメモリである。
【0021】
半導体チップCHPは、以下の手順により形成される。製品の要求仕様に基づき、論理設計、レイアウト設計、マスク作成を経てマスク原版が作成される。このマスク原版のパターンが通常の写真製版技術を用いて半導体ウェハの主表面上のフォトレジストに転写される。次に当該フォトレジストのパターンをマスクとして、通常のエッチング技術を行なうことにより、層間絶縁層、ゲート電極、コンタクトホール、多層配線などが微細加工される。また上記の方法の他に、たとえば通常のイオン注入技術を用いることにより、不純物領域などが形成される。たとえば上記のロジック回路には、MIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタと呼ばれる電界効果トランジスタが形成される。
【0022】
図2(A)、(B)を参照して、本実施の形態の第1例におけるMISトランジスタは、たとえばシリコン単結晶からなる半導体基板SUBに設けられており、たとえばトレンチ分離構造STIよりなる素子分離構造により他の素子と電気的に互いに分離されている。
【0023】
半導体基板SUB内のp型不純物領域PR1上には、n型分離層NISOが形成されている。このn型分離層NISO上には、n型ウェル領域NWと、p型ウェル領域PWとが形成されている。図2(A)の平面図において、n型ウェル領域NWはp型ウェル領域PWの周囲を取り囲むように形成されている。またトレンチ分離構造STIにより、トランジスタ形成用の活性領域AAとコンタクト用の活性領域AAとが分離されている。
【0024】
図2(B)を参照して、コンタクト用の活性領域AA(コンタクト領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、p+領域HPRが形成されている。このp+領域HPRは、p型ウェル領域PWにおける電位を固定するためのコンタクト領域として機能する。トランジスタ用の活性領域AA(MISトランジスタ領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、nチャネルMISトランジスタ(以下、nMISトランジスタと称する)TRが形成されている。このnMISトランジスタTRは、1対のn型ソース/ドレイン領域SDと、1対のp型領域PRと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極GEとを有している。
【0025】
1対のn型ソース/ドレイン領域SDは、トランジスタ用の活性領域AA(MISトランジスタ領域)におけるp型ウェル領域PWの表面において、互いに間隔をあけて配置されている。1対のn型ソース/ドレイン領域SDの各々は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、n+領域HNRとn-領域LNRとからなっている。n-領域LNRはいわゆるLDDとしてのn型不純物領域である。またn-領域LNRの下にはp型領域PRが形成されている。p型領域PRはポケットと呼ばれ、ソース領域とドレイン領域との間でのMISトランジスタのいわゆるパンチスルー現象を抑制するために形成されるp型不純物領域である。
【0026】
1対のソース/ドレイン領域SDに挟まれる領域上には、半導体基板SUBの一方の主表面に接するように、MISトランジスタのゲート絶縁膜GIが形成されている。このゲート絶縁膜GIの上面に接するように、たとえば多結晶シリコンからなるゲート電極GEが形成されている。ゲート電極GEは、図2(A)の平面図の上下方向すなわち図2(B)の断面図の紙面奥行き方向に延在している。
【0027】
ゲート絶縁膜GIとゲート電極GEとの積層構造の側壁には、たとえばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などからなる側壁絶縁層SWが形成されている。p+領域HPRおよびn+領域HNRの表面には、たとえばCoSi2またはNiSi2からなるシリサイド層SCが形成されていてもよい。シリサイド層SCは高融点を有する遷移金属であるコバルトまたはニッケルが半導体基板SUBのシリコンと反応することにより形成される。
【0028】
図2(B)に示すようにゲート電極GEの上面上にはシリサイド層SCが形成されてもよいが、図2(C)に示すようにシリサイド層SCが形成されていなくてもよい。図2(B)と図2(C)とはゲート電極GEの上面上におけるシリサイド層SCの有無においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図2(C)において図2(B)と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。図2(B)におけるゲート絶縁膜GIとゲート電極GEとシリサイド層SCとの積層構造はMISトランジスタのゲート部分GPを構成する。同様に図2(C)におけるゲート絶縁膜GIとゲート電極GEとの積層構造はMISトランジスタのゲート部分GPを構成する。
【0029】
再び図2(A)、(B)を参照して、p+領域HPRおよびn+領域HNRの各々の上面に接するように導電層T1が形成されており、導電層T1の上面に接するように配線M1が形成されている。導電層T1はたとえばタングステンからなり、配線M1とシリサイド層SCとを電気的に接続している。導電層T1とシリサイド層SCとが互いに接する面はコンタクトCTを構成している。
【0030】
なお図2(A)の平面図においては配線M1の図示が省略されている。配線M1はたとえば銅などの導電材料と、その導電材料の側部および底部を覆うバリアメタルBRLとを有している。
【0031】
図2におけるMISトランジスタの1対のソース/ドレイン領域SDの一方から他方へ向かう方向のゲート電極GEの長さLは45nm未満である。この長さLは28nm未満であることが好ましい。このゲート電極GEの長さは、ゲート部分GP全体の長さLに相当する。ゲート電極GE(ゲート部分GP)の長さLに対する、ゲート部分GP全体の厚み(高さ)Hのアスペクト比(H/L)は2以上4未満であることが好ましい。また隣接する1対のゲート部分GPの間隔G(図4参照)はたとえば65nmとすることが好ましい。
【0032】
本実施の形態に係るMISトランジスタにおけるゲート絶縁膜GIの厚みtは2nm以上50nm未満であることが好ましい。またゲート絶縁膜GIはいわゆる反強誘電体膜を有している。反強誘電体(Anti Ferro Electric Material)とは、結晶中の2つの部分格子が反対方向(反平行)の誘電分極を持ち、それらが打ち消しあうために結晶全体としての自発的な分極がゼロになっている誘電体であり、電場の変化に対してダブルヒステリシスを示す。具体的にはゲート絶縁膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ジルコン酸鉛(ZrPbO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(TiZrLaPbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(TiZrPbO3)、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなることが好ましい。
【0033】
たとえばゲート絶縁膜GIとしてPb(In0.5Nb0.5)O3からなる反強誘電体膜を有する場合、当該反強誘電体膜にはBサイトにインジウム(In)とニオブ(Nb)とが約1:1の割合で含まれている。このために価数と格子との配列周期の競合が解消される。その結果、インジウムとニオブとの秩序度(Bサイトランダムネス)を熱処理によって変えることができ、その誘電特性をリラクサー的な振る舞いから強誘電体的または反強誘電体的な振る舞いへと変化させることができる。
【0034】
NbNaO3、ジルコン酸鉛(ZrPbO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(TiZrLaPbO3)およびチタン酸ジルコン酸鉛(TiZrPbO3)は、基本的にペロブスカイト構造なので熱に強い。これらの材料はたとえばゲートファースト方式またはゲートラスト方式により形成することができる。
【0035】
一方、ゲート絶縁膜GIとしてNH4H2PO4およびNH4H2AsO4を用いる場合には、まずたとえば多結晶シリコンからなる仮のゲート電極GEを形成し、半導体基板SUBの内部への不純物の注入および当該不純物の熱拡散を行なった後に、改めて真のゲート電極GEを形成するゲートラスト方式を用いて形成することが好ましい。
【0036】
図3(A)、(B)を参照して、本実施の形態の第2例におけるMISトランジスタは、図2に示すMISトランジスタと比較して、半導体基板SUBの一方の主表面に形成されるウェル領域と、ソース/ドレイン領域とに含まれる不純物の導電型が異なっている。すなわち1対のp+領域HPRとp-領域LPRとからなる不純物領域は、それぞれp型MISトランジスタのソース/ドレイン領域SDとして機能する。またp-領域LPRの下にはポケットとしてのn型領域NRが形成されている。図3と図2とは上記の点においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図3において図2と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0037】
図4を参照して、図2および図4における側壁絶縁層SWは、たとえばシリコン酸化膜OFとシリコン窒化膜NFとが順に積層して堆積された構成であることが好ましい。
【0038】
次に、図5〜図9を用いて、本実施の形態の作用効果について説明する。
図5(A)に示すグラフの横軸はMISトランジスタのゲート絶縁膜GIの厚み方向に印加される電界Eの強さを示しており、グラフの縦軸はゲート絶縁膜GIの厚み方向における自発分極Pの強さを示している。図5(A)においては電界E、分極Pともにその向きを正または負の値で表わしている。図5(A)における電界Eの値が0および0に近い状態は、図5(B)に示すようにMISトランジスタのソース領域とドレイン領域とに挟まれた領域(1対のLDDとしてのn-領域LNRに挟まれた領域)にチャネルが形成されないOFF状態である。図5(A)における電界Eの値が0から正または負の方向に大きく離れた状態は、図5(C)に示すようにMISトランジスタのソース領域とドレイン領域とに挟まれた領域(1対のLDDとしてのn-領域LNRに挟まれた領域)にチャネルCNLが形成されたON状態である。図5(C)のON状態は、ゲート絶縁膜GIの内部における分極P(図5(A)参照)の絶対値が大きくなることによりゲート絶縁膜GIの下部にチャネルCNLが形成された状態である。
【0039】
図5(A)を参照して、たとえば電界Eおよび分極Pの値がいずれも0であるOFF状態から、電界Eを正または負のいずれかの方向に、その絶対値が大きくなるように変化させる。すなわちゲート電極GEに正または負のいずれかの電圧を印加する。このとき分極Pの絶対値は電界Eの値に応じて徐々に増加するが、閾値th1において分極Pの絶対値が急激に大きくなり、チャネルCNLが形成されたON状態となる。またON状態から電界Eの絶対値が小さくなるように変化させると、分極Pの絶対値は電界Eの値に応じて徐々に増加するが、閾値th2において分極Pの絶対値が急激に小さくなり、チャネルCNLが消滅したOFF状態となる。このようにMISトランジスタをON状態に切り替えるためには、電界Eの絶対値をある程度大きくする必要があり、MISトランジスタをOFF状態に切り替えるためには、電界Eの絶対値をある程度小さくする必要がある。このため反強誘電体膜を有するMISトランジスタは、図5(A)に示すいわゆるダブルヒステリシス特性を有する。
【0040】
上記のダブルヒステリシス特性を示す回路として、たとえばシュミットトリガーと呼ばれる回路がある。シュミットトリガー(Schmitt Trigger)回路とは、いわゆるフリップフロップ回路の一種である。具体的にはシュミットトリガー回路とは、入力電圧に対して上限値と下限値との2つの閾値レベルを持ち、これらの値より入力が高くなるか、あるいは低くなるによって、状態が変化するフリップフロップ回路のことである。単一のシュミットトリガー回路は図6(A)に示す回路図で表わされる。これはより詳細には図6(B)に示す等価回路で表わされる。シュミットトリガー回路は、単一のNOT回路3aと、上記NOT回路3aと反対向きのNOT回路3aおよび抵抗4が直列に繋がった構成とが並列に繋がった構成を有する回路である。
【0041】
シュミットトリガー回路は、入力波形を波形の整った方形波に整形したい場合(アナログ的デジタル信号の波形整形用)によく用いられている。アナログ的デジタル信号の波形整形とは、たとえば緩やかに変化するが上下を繰り返したり、ノイズを含んだり、ゆっくりした変化の入力を、急峻な方形波に変換することである。
【0042】
デジタル回路といえども、実際には瞬時に0と1が変わるのではなく、時間がかかる。インバータに0→1の信号を入れた場合、入力がある閾値を越えた瞬間に出力は1→0に変わる。実際には、温度、電源電圧の変動などの要因でこの閾値自体が微妙に変化している。一方で入力電圧側も瞬時ではなく時間をかけて徐々に変わる。このため出力は1→0に変わった直後に再び1になる。つまり、1→0→1→0の様に何度か変化して(チャタリング)から最終的に0になる。
【0043】
このような動作を回避する目的でシュミットトリガー回路を用いることができる。シュミットトリガー回路は、実際にはノイズが乗りやすい外部入力を取り込む回路である。また、アナログの入力信号をデジタル的な方形波に変換するとき、通常コンパレータの入力部にこの構成を使う。
【0044】
この場合にシュミットトリガー回路を用いずに入力信号を入力すると、ソフトが0と1の時の処理を繰り返してしまい、機器の誤動作につながる。特に入力信号に大きなノイズが含まれるときに、普通にコンパレータに入れると、立ち上がり部分が細かく何度もON状態とOFF状態とを繰り返す波形になる。
【0045】
またシュミットトリガー回路は、ノイズに強いことで知られており、ソフトエラー対策としてよく用いられている。
【0046】
従来のシュミットトリガー回路を構成するには、2個または3個のバイポーラトランジスタと抵抗素子が必要であるが、本発明による反強誘電体をゲート絶縁膜に用いたトランジスタでは、MISトランジスタ1個でシュミットトリガー回路と同じ特性を出し、置き換えることができる。このようにすれば、半導体集積回路の面積縮小に効果的であり、半導体集積回路の信頼性も向上する。
【0047】
再度図5を参照して、本実施の形態の反強誘電体を含むゲート絶縁膜GIを有するMISトランジスタは、ON状態の際には反強誘電体が有する強い誘電率により、ゲート絶縁膜GIを含むMIS積層構造の静電容量を高くし、MISトランジスタの電界効果を高めることができる。その結果、ソース領域とドレイン領域とに挟まれた領域にチャネルCNLが形成されるため、図5(C)中に矢印で示す電流を流すことができる。ゲート絶縁膜GIの誘電率が高いため、ゲート絶縁膜GIを厚くしてもMIS積層構造の静電容量の低下を抑制することができる。ゲート絶縁膜GIを厚く(たとえば2nm以上に)することにより、ON状態時にゲート絶縁膜GIを厚み方向に流れる(図中に矢印で示す)リーク電流の発生を抑制することができる。したがって、半導体集積回路の微細化が進み、ゲート電極GEの長さが45nm未満(たとえばいわゆる28nm世代)となった場合においても、ゲート絶縁膜GIの厚みを2nm以上とすることができ、その結果、ON状態時にゲート絶縁膜GIを厚み方向に流れるリーク電流の発生を抑制することができる。さらに、OFF状態からON状態に切り替えるためには相当大きな電界Eを印加する必要があるため、当該トランジスタが誤ってON状態になるなどの不具合を抑制することができる。
【0048】
一方OFF状態の際には、ゲート絶縁膜GIにおける分極Pの値は小さくなるため、チャネルCNLが形成されない。このためOFF状態時にソース領域からドレイン領域へ誤ってリーク電流が流れるなどの不具合を抑制することができる。ON状態からOFF状態に切り替えるためには電界Eを相当小さくする必要があるため、当該トランジスタが誤ってOFF状態になるなどの不具合を抑制することができる。
【0049】
以上の観点から、本実施の形態の反強誘電体を含むゲート絶縁膜GIを有する、ゲート電極の長さが45nm未満に微細化されたMISトランジスタは、ON状態時には確実にチャネルを形成して、ゲート絶縁膜GIにリーク電流が発生しないように駆動電流を流すことができる。また当該MISトランジスタはOFF状態時には確実にチャネルを消滅させて、ソース領域からドレイン領域へのリーク電流の発生を抑制することができる。したがって当該MISトランジスタは、ソフトエラーを抑制する効果を高めることができる。
【0050】
なおゲート絶縁膜の厚みを50nm未満とすることにより、たとえばいわゆる28nm世代のMISトランジスタのゲート電極の長さL(図4参照)に対するゲート部分GPの厚みH(図4参照)のアスペクト比を2以上4未満とすることができる。このようにすれば、ゲート部分PEの側壁に形成される側壁絶縁層SWが化学的機械的研磨される際にストレスにより損壊する可能性を低減することができる。
【0051】
図7(A)は、基本的に本実施の形態と同様の構成を有するが、シリコン酸化膜などのいわゆる常誘電体膜を有するゲート絶縁膜PEIが形成されたMISトランジスタにおける、図5(A)と同様のゲート絶縁膜PEIの電界と分極との関係を示す。図7(B)は、図7(A)の常誘電体膜を有するMISトランジスタのOFF状態を示し、図7(C)は、図7(A)の常誘電体膜を有するMISトランジスタのON状態を示す。
【0052】
図7(A)〜(C)を参照して、ゲート絶縁膜PEIに印加される電界Eの絶対値が小さいときには、ゲート絶縁膜PEIにおける分極Pの値も小さいため、チャネルは形成されずOFF状態となる。ゲート絶縁膜PEIに印加される電界Eの絶対値にほぼ比例して、ゲート絶縁膜PEIにおける分極Pの値が大きくなり、チャネルCNLが形成されてON状態となる。電界Eの値が漸次大きくなる際に図7(A)のグラフが描く曲線と、電界Eの値が漸次小さくなる際の当該曲線とのずれは小さく、いわゆるヒステリシス特性は小さい。
【0053】
ただし常誘電体膜の誘電率は比較的小さいため、特に半導体集積回路の微細化によりゲート電極GEが短くなった場合にMIS積層構造の静電容量を高くするためにはゲート絶縁膜PEIを薄くする必要がある。ゲート絶縁膜PEIが原子数個分の厚みにまで薄くなれば、ON状態、OFF状態のいずれにおいてもゲート電極GEに印加される電圧に起因して、ゲート絶縁膜PEIを厚み方向に流れる(図中に矢印で示す)リーク電流が増加する可能性がある。
【0054】
図8(A)は、基本的に本実施の形態と同様の構成を有するが、常誘電体よりも誘電率が高いいわゆる高誘電体膜を有するゲート絶縁膜HKIが形成されたMISトランジスタにおける、図5(A)と同様のゲート絶縁膜HKIの電界と分極との関係を示す。図8(B)は、図8(A)の高誘電体膜を有するMISトランジスタのOFF状態を示し、図8(C)は、図8(A)の高誘電体膜を有するMISトランジスタのON状態を示す。常誘電体よりも誘電率が高い高誘電体膜を用いることにより、MIS積層構造の静電容量を増加することができるため、ゲート絶縁膜PEIに比べてゲート絶縁膜HKIを厚くすることができる。その結果、ゲート絶縁膜PEIに比べてゲート絶縁膜HKIの厚み方向に流れるリーク電流を低減することができる。しかしMIS積層構造における、多結晶シリコンからなるゲート電極GEとゲート絶縁膜HKIとの界面(接触面)における不具合が発生しやすいため、MISトランジスタの動作電圧が上昇する可能性があるという問題がある。
【0055】
図9(A)は、基本的に本実施の形態と同様の構成を有するが、常誘電体よりも誘電率が高いいわゆる強誘電体膜を有するゲート絶縁膜FEIが形成されたMISトランジスタにおける、図5(A)と同様のゲート絶縁膜HKIの電界と分極との関係を示す。図9(B)は、図9(A)の強誘電体膜を有するMISトランジスタのOFF状態を示し、図9(C)は、図9(A)の強誘電体膜を有するMISトランジスタのON状態を示す。常誘電体よりも誘電率が高い強誘電体膜を用いることにより、ゲート絶縁膜FEIを厚くし、ゲート絶縁膜FEIを厚み方向に流れる(図中に矢印で示す)リーク電流を低減することができる。
【0056】
しかし図9(A)に示すように、強誘電体膜はヒステリシス特性が強いため、たとえば大きな電界Eを印加してトランジスタをON状態にした後に電界Eを0にしてトランジスタをOFF状態に切り替えても、分極Pが低下せずに残留する。このため図9(B)に示すように、トランジスタがOFF状態のときにおいてもチャネルCNLが残存するため、ソース領域からドレイン領域へリーク電流が発生する可能性がある。
【0057】
本実施の形態のように反強誘電体膜を有するゲート絶縁膜GIを用いたMISトランジスタは、上記の各問題の発生を抑制することができる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、容量が形成されている点において異なっている。以下、本実施の形態の構成について説明する。
【0059】
図10および図11を参照して、本実施の形態の第1例においては、図2(A)、(B)に示すMISトランジスタが形成される半導体基板SUBに、さらにMIS容量と呼ばれる容量素子が形成されている。すなわち図10および図11における左側の領域は、それぞれ図2(A)および図2(B)に示すMISトランジスタが形成される領域と同様であり、これにさらに図10および図11における右側の領域がMIS容量の領域として形成されている。
【0060】
半導体基板SUB内の、MIS容量が形成される領域におけるp型不純物領域PR1上には、n型分離層NISOが形成されている。このn型分離層NISO上には、n型ウェル領域NWと、p型ウェル領域PWとが形成されている。図10の平面図において、n型ウェル領域NWはp型ウェル領域PWの周囲を取り囲むように形成されている。またトレンチ分離構造STIにより他の素子と電気的に分離されている。
【0061】
図10の平面図において、トレンチ分離構造STIに挟まれたn型ウェル領域NWおよびp型ウェル領域PW内の半導体基板SUBの表面には複数(たとえば3つ)の活性領域AAが形成されている。図10における外側の活性領域AAは、活性領域AAと上方の配線との接続を容易にするため、活性領域AAは平面視において矩形状で中空を有するように形成されているが、図10における中央の活性領域AAは中空を有さない矩形状となっている。このように活性領域AAの平面形状は任意である。またトレンチ分離構造STIにより、外側の活性領域AAと内側の活性領域AAとが分離されている。
【0062】
図11は、図10に示す折れ曲がったXI−XI線に沿う部分における構成を示している。図11を参照して、コンタクト用の活性領域AA(コンタクト領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、p+領域HPRが形成されており、コンタクト用の活性領域AA(コンタクト領域)におけるn型ウェル領域NWの表面には、n+領域HNRが形成されている。このp+領域HPRおよびn+領域HNRは、それぞれp型ウェル領域PWまたはn型ウェル領域NWにおける電位を固定するためのコンタクト領域として機能する。容量用の活性領域AA(MIS容量領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、MIS容量MCが形成されている。このMIS容量MCは、容量用不純物領域CDと、容量用誘電体膜CIと、容量用電極CEと、シリサイド層SCと、1対の側壁絶縁層SWとを有している。
【0063】
容量用不純物領域CDは、MIS容量領域の活性領域AAにおけるp型ウェル領域PWの表面に形成されている。MIS容量領域の活性領域AAにおけるp型ウェル領域PWの表面は、容量用不純物領域CDと隣接するように、n+領域HNRおよびシリサイド層SCが形成されている。このn+領域HNRおよびシリサイド層SCは、コンタクトCTおよび導電層T1を介在して配線M1と電気的に接続するために配置される。
【0064】
容量用不純物領域CD上には容量用誘電体膜CIが形成されている。この容量用誘電体膜CIの上面に接するように、たとえば多結晶シリコンからなる容量用電極CEが形成されている。容量用誘電体膜CIおよび容量用電極CEは、容量用不純物領域CDとの間で容量素子(MIS容量MC)を形成する。容量用電極CEは図10の中央の活性領域AAの一部と平面視において重なるように形成された矩形状の電極である。
【0065】
容量用誘電体膜CIと容量用電極CEとの積層構造の側壁には、たとえばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などからなる側壁絶縁層SWが形成されている。p+領域HPRおよびn+領域HNRの表面には、たとえばCoSi2またはNiSi2からなるシリサイド層SCが形成されていてもよい。図11に示すように容量用電極CEの上面上にもシリサイド層SCが形成されてもよいが、容量用電極CEの上面上にはシリサイド層SCが形成されなくてもよい。図11における容量用誘電体膜CIと容量用電極CEとシリサイド層SCとの積層構造はMIS容量MCの容量部分CPを構成する。またMISトランジスタの形成される領域と同様に、導電層T1および配線M1が形成されているが、図10においては配線M1の図示が省略されている。
【0066】
図12および図13を参照して、本実施の形態の第2例におけるMIS容量MCは、図10および図11に示すn型分離層NISOとp型ウェル領域PWとが形成されておらず、たとえば図の内側の容量用不純物領域CDは、半導体基板SUBのp型不純物領域PR1の内部に直接形成されている。図12および図13と図10および図11とは上記の点においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図12および図13において図10および図11と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0067】
図14および図15を参照して、本実施の形態の第3例におけるMIS容量MCは、図10および図11に示すMIS容量MCと比較して、半導体基板SUBの一方の主表面に形成されるウェル領域と、MIS容量領域およびコンタクト領域とに含まれる不純物の導電型が異なっている。具体的には、図15において、図11のMIS容量領域および周囲のコンタクト領域におけるn型ウェル領域NWの領域にはp型ウェル領域PWが、p型ウェル領域PWの領域にはn型ウェル領域NWが、それぞれ形成されている。また図15において、図11のMIS容量領域および周囲のコンタクト領域におけるn+領域HNRの領域にはp+領域HPRが、p+領域HPRの領域にはn+領域HNRが、それぞれ形成されている。
【0068】
図14および図15と図10および図11とは上記の点においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図14および図15において図10および図11と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0069】
なお図10〜図15においてはいずれも図2に示すMISトランジスタが形成された半導体基板SUBにMIS容量MCが形成されているが、たとえば図3に示すMISトランジスタが形成された半導体基板SUBにMIS容量MCが形成されてもよい。
【0070】
本実施の形態に係るMIS容量MCにおける容量用誘電体膜CIはいわゆる反強誘電体膜を有することが好ましい。具体的には容量用誘電体膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ジルコン酸鉛(ZrPbO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(TiZrLaPbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(TiZrPbO3)、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなることが好ましい。
【0071】
本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成と比較して、以上の点において異なっており、他の点においては実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0072】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の作用効果に加えて以下の効果を有する。
【0073】
本実施の形態においては、MISトランジスタと併せて用いられるMIS容量MCが、反強誘電体膜を有する。このため当該MIS容量素子がON状態となり反強誘電体膜を有する容量用誘電体膜CIに強い電界が印加されると、反強誘電体の強い誘電率により、容量用誘電体膜CIの自発分極が大きくなる。したがってMIS容量MCにはより多くの電荷を高速に充電できる。逆に当該MIS容量素子がOFF状態となれば、反強誘電体の有するダブルヒステリシス特性により、容量用誘電体膜CIの自発分極は小さくなり、MIS容量MCに溜まった電荷を高速に放電できる。したがって、反強誘電体膜を容量用誘電体膜CIとして用いることにより、高速充放電が可能なMIS容量素子を提供することができる。
【0074】
たとえば常誘電体膜を有するMIS容量は、常誘電体膜の誘電率が小さいため、上記の充放電の動作が遅くなる可能性がある。またたとえば強誘電体膜を有するMIS容量は、そのヒステリシス特性により、MIS容量をOFF状態にしても当該強誘電体膜の自発分極が小さくならず、スムーズな放電がなされなくなる可能性がある。
【0075】
本発明の実施の形態2は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0076】
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、可変容量が形成されている点において異なっている。以下、本実施の形態の構成について説明する。
【0077】
図16および図17を参照して、本実施の形態の第1例においては、図2(A)、(B)に示すMISトランジスタが形成される半導体基板SUBに、さらにバラクタ容量と呼ばれる可変容量素子が形成されている。すなわち図16および図17における左側の領域は、それぞれ図2(A)および図2(B)に示すMISトランジスタが形成される領域と同様であり、これにさらに図10および図11における右側の領域がMIS容量の領域として形成されている。
【0078】
半導体基板SUB内の、バラクタ容量が形成される領域におけるp型不純物領域PR1上には、n型ウェル領域NWと、p型ウェル領域PWとが形成されている。図17の断面図において、半導体基板SUBの主表面に沿う方向に関してn型ウェル領域NWとp型ウェル領域PWとが交互に配置されている。またトレンチ分離構造STIにより、バラクタ容量形成用の活性領域AAとコンタクト用の活性領域AAとが分離されている。
【0079】
図17を参照して、コンタクト用の活性領域AA(コンタクト領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、p+領域HPRが形成されている。このp+領域HPRは、p型ウェル領域PWにおける電位を固定するためのコンタクト領域として機能する。バラクタ容量用の活性領域AA(バラクタ容量領域)におけるn型ウェル領域NWの表面には、バラクタ容量VCが形成されている。このバラクタ容量VCは、1対のn+領域HNRおよびシリサイド層SCと、可変容量用誘電体膜VCIと、可変容量用電極VCEと、シリサイド層SCと、1対の側壁絶縁層SWとを有している。
【0080】
1対のn+領域HNRおよびシリサイド層SCは、バラクタ容量領域の活性領域AAにおけるn型ウェル領域NWの表面において、互いに間隔をあけて配置されている。このn+領域HNRおよびシリサイド層SCは、コンタクトCTおよび導電層T1を介在して配線M1と電気的に接続するために配置される。
【0081】
図17の断面図において1対のn+領域HNRに挟まれた、n型ウェル領域NWの一部の空乏層領域DEPは、当該バラクタ容量がON状態の際に印加される電圧に応じて空乏層が形成される領域である。n型ウェル領域NWのうち空乏層領域DEPの下の領域は、可変容量用不純物領域として機能する。すなわち上記可変容量用不純物領域の上には、空乏層領域DEPを挟んで、可変容量用誘電体膜VCIが形成されている。この可変容量用誘電体膜VCIの上面に接するように、たとえばp型の不純物を有する多結晶シリコンからなる可変容量用電極VCEが形成されている。可変容量用電極VCEと可変容量用不純物領域とが可変容量用誘電体膜VCIを挟むように配置されることにより、可変容量(バラクタ容量)が形成される。
【0082】
バラクタ容量とは、電圧を逆方向に印加した場合に、当該電圧の値に応じて容量の値が大きく変化する容量素子である。バラクタ容量においては、可変容量用不純物領域と可変容量用電極VCEとにおいて、含まれる不純物の濃度が図の上下方向(厚み方向)に関してたとえば概ね線形変化する。可変容量用不純物領域と可変容量用電極VCEとにおける不純物の濃度勾配を利用して、可変容量用不純物領域と可変容量用電極VCEとに挟まれた(可変容量用誘電体膜VCIの直下のn型ウェル領域NW内の)空乏層領域DEPに形成される空乏層の厚みを変化させ、容量の値を変化させる。
【0083】
バラクタ容量が形成される領域においては、MISトランジスタが形成される領域と同様に、たとえば可変容量用誘電体膜VCIと可変容量用電極VCEとの積層構造の側壁には側壁絶縁層SWが形成されてもよい。またたとえばp+領域HPRおよびn+領域HNRの表面、および可変容量用電極VCEの上面上には、シリサイド層SCが形成されてもよい。図17における可変容量用誘電体膜VCIと可変容量用電極VCEとシリサイド層SCとの積層構造はバラクタ容量の可変容量部分VCPを構成する。またバラクタ容量の可変容量部分VCPと平面視に重なる領域においても配線M1が形成され、当該配線M1と可変容量部分VCPとが導電層T1により電気的に接続されてもよい。さらに図16および図17に示す領域の平面視における外周の近傍にはn型分離層NISOが形成されてもよい。
【0084】
図16および図17の構成は、実施の形態2の図10および図11の構成と比較して、以上の点において異なっており、他の点においては図10と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0085】
図18および図19を参照して、本実施の形態の第2例におけるバラクタ容量は、図16および図17に示すバラクタ容量と比較して、半導体基板SUBの一方の主表面に形成されるウェル領域と、バラクタ容量領域およびコンタクト領域とに含まれる不純物の導電型が異なっている。そのため半導体基板SUBとウェル領域とに挟まれるようにn型分離層NISOが形成されている。具体的には、図19において、図17のバラクタ容量領域を構成するn型ウェル領域NWの領域にはp型ウェル領域PWが、図17のコンタクト領域を構成するp型ウェル領域PWの領域にはn型ウェル領域NWが、それぞれ形成されている。また図19において、図17のバラクタ容量領域および周囲のコンタクト領域におけるn+領域HNRの領域にはp+領域HPRが、p+領域HPRの領域にはn+領域HNRが、それぞれ形成されている。
【0086】
図18および図19と図16および図17とは上記の点においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図18および図19において図16および図17と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0087】
図16〜図17および図18〜図19に示す構成のほか、本実施の形態に係るバラクタ容量は、たとえば図11に示すMIS容量と同様に、p型の不純物を含む半導体基板SUBの内部に直接形成されてもよい。また図16〜図19においてはいずれも図2に示すMISトランジスタが形成された半導体基板SUBにバラクタ容量が形成されているが、たとえば図3に示すMISトランジスタが形成された半導体基板SUBにバラクタ容量が形成されてもよい。
【0088】
本実施の形態に係るバラクタ容量における可変容量用誘電体膜VCIはいわゆる反強誘電体膜を有することが好ましい。具体的には可変容量用誘電体膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ジルコン酸鉛(ZrPbO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(TiZrLaPbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(TiZrPbO3)、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなることが好ましい。
【0089】
本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成と比較して、以上の点において異なっており、他の点においては実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0090】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の作用効果に加えて以下の効果を有する。
【0091】
本実施の形態においては、MISトランジスタと併せて用いられるバラクタ容量が、反強誘電体膜を有する。このため当該バラクタ容量素子がON状態となり反強誘電体膜を有する可変容量用誘電体膜VCIに強い電界が印加されると、反強誘電体の強い誘電率により、可変容量用誘電体膜VCIの自発分極が大きくなる。したがってバラクタ容量にはより多くの電荷を高速に充電できる。逆に当該バラクタ容量素子がOFF状態となれば、反強誘電体の有するダブルヒステリシス特性により、可変容量用誘電体膜VCIの自発分極は小さくなり、バラクタ容量に溜まった電荷を高速に放電できる。したがって、反強誘電体膜を可変容量用誘電体膜VCIとして用いることにより、高速充放電が可能なバラクタ容量素子を提供することができる。
【0092】
たとえば常誘電体膜を有するバラクタ容量は、常誘電体膜の誘電率が小さいため、上記の充放電の動作が遅くなる可能性がある。またたとえば強誘電体膜を有するバラクタ容量は、そのヒステリシス特性により、バラクタ容量をOFF状態にしても当該強誘電体膜の自発分極が小さくならず、スムーズな放電がなされなくなる可能性がある。
【0093】
本発明の実施の形態3は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1および実施の形態2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態3について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1および実施の形態2に順ずる。
【0094】
なお以上においてはすべてp型の(p型不純物領域PR1を有する)半導体基板SUBが用いられているが、n型の(n型不純物領域を有する)半導体基板SUBが用いられてもよい。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、MIS構造を有するロジック回路を備える半導体装置に、特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0097】
1 スクライブ領域、2 モジュール領域、3a NOT回路、4 抵抗、AA 活性領域、BRL バリアメタル、CD 容量用不純物領域、CE 容量用電極、CHP 半導体チップ、CI 容量用誘電体膜、CNL チャネル、CP 容量部分、CT コンタクト、DEP 空乏層領域、GE ゲート電極、GI ゲート絶縁膜、GP ゲート部分、HNR n+領域、HPR p+領域、LNR n-領域、LPR p-領域、M1 配線、MC MIS容量、NF シリコン窒化膜、NISO n型分離層、NW n型ウェル領域、OF シリコン酸化膜、PE ゲート部分、PR1 p型不純物領域、PW p型ウェル領域、SC シリサイド層、SD ソース/ドレイン領域、STI トレンチ分離構造、SUB 半導体基板、SW 側壁絶縁層、T1 導電層、TR MISトランジスタ、VC バラクタ容量、VCE 可変容量用電極、VCI 可変容量用誘電体膜、VCP 可変容量部分。
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体装置に関し、特に、ゲート絶縁膜を有する半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体集積回路装置上で形成されるトランジスタのゲート絶縁膜は、ゲート電極とその下の活性領域の間に形成される。このゲート絶縁膜にはゲートからのトンネル電流に伴うゲートリークを抑制すると同時に、ゲート電極のON状態/OFF状態に伴う電界変化で活性領域にチャネルを形成させたり、形成させなかったりする性能が要求される。
【0003】
トランジスタの性能はゲート絶縁膜の静電容量に依存する。ゲート電極とチャネルとの間に形成される平行平板コンデンサの容量をC、絶縁膜の誘電率をk、ゲート電極の平面視における面積をA、絶縁膜の厚みをdとすれば、C=kA/dの関係が成り立つ。チップ面積を縮小し、微細化を進めるためには、電極の平面視における面積Aを小さくする必要がある。電極の面積Aを小さくしたトランジスタと電極の面積Aを小さくしないトランジスタとの性能を同等とするためには、絶縁膜の厚みdを面積Aに比べて薄くする必要がある。
【0004】
ゲート絶縁膜としては従来から、たとえばシリコン酸化膜などの常誘電体が用いられている。しかし半導体集積回路の微細化・集積化が進むにつれて、ゲート絶縁膜の厚さは原子数個分まで薄くなり、量子トンネル効果によって絶縁膜を透過して流れ出てしまうリーク電流が増え、問題となっていた。より具体的には、たとえばゲート電極の長さ(ゲート長)が28nm程度である、いわゆる28nm世代の電界効果トランジスタのゲート絶縁膜がシリコン酸化膜で形成される場合、その厚みは2nm程度である。この厚みは原子数個分に相当し極めて薄い。このため量子トンネル現象に伴い当該ゲート絶縁膜を透過するリーク電流が大きくなる。またゲート絶縁膜がきわめて薄くなれば、同一基板上に形成される複数のトランジスタのゲート絶縁膜間の厚みのばらつきが大きくなり、トランジスタの形成が困難となる。
【0005】
逆に、ゲート絶縁膜の厚みdを増せばゲート絶縁膜間の厚みのばらつきが小さくなる。ゲート絶縁膜の厚みdを大きくしたトランジスタと厚みdを大きくしないトランジスタとの性能を同等とするためには、面積Aを大きくする必要がある。より具体的には、たとえば28nm世代における、厚みdが2nmであるゲート絶縁膜に対して、厚みdを50nmとすれば、トランジスタの活性領域に印加される電圧は1/25に減少する。当該電圧が大幅に減少するため、ゲート電極をON状態にしても活性領域にチャネルを形成することができず、トランジスタは機能しなくなる。ここで厚みdが50nmとなったトランジスタに対して、厚みdが2nmのトランジスタと同様に電圧を印加してチャネルを形成するためには、当該トランジスタのゲート電極の面積Aを25倍に拡大する必要がある。これは平面視における一方向(x方向)および一方向に略直交する他の方向(y方向)のそれぞれに関して、矩形平面形状を有するゲート電極の寸法を5倍に拡大することを示している。したがってトランジスタのゲート長は約140nmとなり、トランジスタの世代が5世代逆戻りすることになる。
【0006】
一方、電極の面積Aを維持したままゲート絶縁膜の厚みdを厚くすればゲート絶縁膜およびゲート電極を含む、ゲート全体の厚みdとゲート長とのアスペクト比が大きくなる。より具体的には、たとえば28nm世代のトランジスタは、ゲート絶縁膜の厚みが約2nm、ゲート絶縁膜およびゲート電極を含むゲート全体の厚みが約50nm、平面視において隣接する1対のゲートの間隔は約65nmである。したがって、ゲート全体の厚みとゲート長とのアスペクト比は約2となる。しかしゲート絶縁膜の厚みを50nmとしたトランジスタは、上記の他の寸法は同じである場合に、アスペクト比は約4に増加する。通常は、ゲート電極の両側の側壁に接するように側壁絶縁膜を形成することにより、ゲート電極の機械的耐久性を確保している。しかしアスペクト比が約4にまで増加すれば、ゲート加工工程の際に化学的機械的研磨によりゲート電極に与えられるストレスに耐えきれず、ゲート電極が破壊される可能性がある。
【0007】
最近、以上の問題を解決するため、ゲート絶縁膜として、High−Kと呼ばれる高誘電体を使う事例が報告されている。高誘電体は誘電率kが大きい常誘電体であるため、高誘電体をゲート絶縁膜に用いることにより、トランジスタを構成する平行平板コンデンサの容量Cを大きくすることができ、ゲート電極と活性領域の間隔が大きくとれる。つまりゲート絶縁膜をより厚く形成することができる。ゲート絶縁膜を厚く形成するために、ゲート電極がON状態の際には、十分に強い電界を活性領域へ印加することができる。逆に、ゲート電極がOFF状態の時には、ゲート電極と活性領域の物理的な間隔が大きくとれるので、トンネル現象に伴うリーク電流が流れにくくなる。するとこのトランジスタは、従来よりもゲートリーク電流が低減され、少ない消費電力で動作することができる。
【0008】
しかしHigh−Kゲート絶縁膜は、従来の多結晶シリコンでできたゲート電極と組み合わせて使った場合に、ゲート絶縁膜とゲート電極との境界(接触面)で不具合が発生しやすく動作電圧が上昇する傾向がある。さらに内部で「フォノン振動」が発生し、電子の流れを阻害する問題も発生する。
【0009】
高誘電体の代わりに強誘電体を用いることによっても、ゲート絶縁膜の誘電性を高めることができる。たとえば特開2001−332125号公報(特許文献1)に示すように組成の異なる2種類の強誘電体材料を共存させることにより、温度変化に対する強誘電体の誘電率の変化を軽減することができる。またたとえば特開平11−204744号公報(特許文献2)に示すようにゲート絶縁膜としての強誘電体膜にチタンを少量含めることにより、当該ゲート絶縁膜におけるリーク電流の増加を抑制することができ、温度変化に対する強誘電体の誘電率の変化を軽減することができる。
【0010】
一方で、たとえば特開2008−205284号公報(特許文献3)には、反強誘電体膜からなるゲート絶縁膜を有する有機FET(Field Effect Transistor)が開示されている。さらにたとえば特開2001−222884号公報(特許文献4)および特開2000−243090号公報(特許文献5)には、反強誘電体膜を絶縁膜として用いたキャパシタが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2001−332125号公報
【特許文献2】特開平11−204744号公報
【特許文献3】特開2008−205284号公報
【特許文献4】特開2001−222884号公報
【特許文献5】特開2000−243090号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
特開2001−332125号公報および特開平11−204744号公報に開示される強誘電体は誘電率が高い。このため、強誘電体をトランジスタのゲート絶縁膜に用いた場合、トランジスタの微細化の際に当該ゲート絶縁膜を厚く形成しても、ゲート電極をON状態にしたときにチャネル領域を形成してチャネルに電流を流すなどトランジスタとしての機能を高めることができる。しかし強誘電体のゲート絶縁膜は、ゲート電極をON状態からOFF状態に切り替えた場合においてもヒステリシスと呼ばれる現象により自発分極が残る。このため、ON状態のときに形成されたチャネルが消滅せずに残存して、当該チャネルに電流が流れる可能性がある。
【0013】
特開2008−205284号公報に開示される有機FETは、チャネル長が50μmでゲート絶縁膜の膜厚が50nm以上である。このため、上記公報に開示される技術は、いわゆる28nm世代の微細化されたトランジスタに適用することを想定していない。特開2001−222884号公報および特開2000−243090号公報においても、微細化されたトランジスタを背景とした開示がなされていない。
【0014】
本発明は上記の問題に鑑みなされたものである。その目的は、半導体集積回路の微細化に伴い非常に短くなったゲート長を有するトランジスタにおいて、ゲート絶縁膜におけるリーク電流の発生を抑制し、トランジスタとしての機能を高めることが可能な半導体装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一実施例による半導体装置は以下の構成を備えている。
上記半導体装置は、主表面を有する半導体基板と、半導体基板の主表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、1対のソース/ドレイン領域に挟まれる領域上であって、主表面に接するように形成されたゲート絶縁膜と、ゲート絶縁膜の上面に接するように形成されたゲート電極とを備える。上記1対のソース/ドレイン領域の一方から他方へ向かう方向のゲート電極の長さは45nm未満である。ゲート絶縁膜は反強誘電体膜を有する。
【発明の効果】
【0016】
本実施例によれば、ゲート電極が45nm未満と非常に短くなった半導体装置において、強誘電体と同等に高い誘電率を有する反強誘電体膜を有するゲート絶縁膜が形成される。このためゲート電極がON状態の際には誘電率ゲート絶縁膜にリーク電流が流れることを抑制できる程度にゲート絶縁膜を厚くすることができ、ゲート電極がOFF状態の際に活性領域のチャネルを消滅させることができるためゲート絶縁膜およびソース領域とドレイン領域との間におけるリーク電流を低減することができる。したがって当該半導体装置のトランジスタとしての機能を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る、半導体集積回路が形成された半導体チップの構成を示す概略平面図である。
【図2】(A)本発明の実施の形態1のロジック回路を構成するnMISトランジスタが形成される領域の構成を示す概略平面図である。(B)図2(A)のIIB,IIC−IIB,IIC線に沿う部分における構成の第1例を示す概略断面図である。(C)図2(A)のIIB,IIC−IIB,IIC線に沿う部分における構成の第2例を示す概略断面図である。
【図3】(A)本発明の実施の形態1のロジック回路を構成するpMISトランジスタが形成される領域の構成を示す概略平面図である。(B)図3(A)のIIIB,IIIC−IIIB,IIIC線に沿う部分における構成の第1例を示す概略断面図である。(C)図3(A)のIIIB,IIIC−IIIB,IIIC線に沿う部分における構成の第2例を示す概略断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1におけるMISトランジスタを構成するゲート部分の寸法を示す概略断面図である。
【図5】(A)本発明の実施の形態1におけるMISトランジスタのゲート絶縁膜に印加する電界とゲート絶縁膜の分極との関係を示すグラフである。(B)本発明の実施の形態1におけるMISトランジスタのOFF状態を示す概略断面図である。(C)本発明の実施の形態1におけるMISトランジスタのON状態を示す概略断面図である。
【図6】(A)シュミットトリガー回路の回路図である。(B)図6(A)に示すシュミットトリガー回路を分解した構成を示す、図6(A)と等価な回路図である。
【図7】(A)本発明の実施の形態1の第1の比較例におけるMISトランジスタのゲート絶縁膜に印加する電界とゲート絶縁膜の分極との関係を示すグラフである。(B)本発明の実施の形態1の第1の比較例におけるMISトランジスタのOFF状態を示す概略断面図である。(C)本発明の実施の形態1の第1の比較例におけるMISトランジスタのON状態を示す概略断面図である。
【図8】(A)本発明の実施の形態1の第2の比較例におけるMISトランジスタのゲート絶縁膜に印加する電界とゲート絶縁膜の分極との関係を示すグラフである。(B)本発明の実施の形態1の第2の比較例におけるMISトランジスタのOFF状態を示す概略断面図である。(C)本発明の実施の形態1の第2の比較例におけるMISトランジスタのON状態を示す概略断面図である。
【図9】(A)本発明の実施の形態1の第3の比較例におけるMISトランジスタのゲート絶縁膜に印加する電界とゲート絶縁膜の分極との関係を示すグラフである。(B)本発明の実施の形態1の第3の比較例におけるMISトランジスタのOFF状態を示す概略断面図である。(C)本発明の実施の形態1の第3の比較例におけるMISトランジスタのON状態を示す概略断面図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る、nMISトランジスタと併せて形成されるMIS容量の構成の第1例を示す概略平面図である。
【図11】図10のXI−XI線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【図12】本発明の実施の形態2に係る、nMISトランジスタと併せて形成されるMIS容量の構成の第2例を示す概略平面図である。
【図13】図12のXIII−XIII線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【図14】本発明の実施の形態2に係る、nMISトランジスタと併せて形成されるMIS容量の構成の第3例を示す概略平面図である。
【図15】図14のXV−XV線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【図16】本発明の実施の形態3に係る、nMISトランジスタと併せて形成される可変容量の構成の第1例を示す概略平面図である。
【図17】図16のXVII−XVII線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【図18】本発明の実施の形態3に係る、nMISトランジスタと併せて形成される可変容量の構成の第2例を示す概略平面図である。
【図19】図18のXIX−XIX線に沿う部分における構成を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図に基づいて説明する。
(実施の形態1)
まず、本実施の形態としてチップ状態の半導体装置について説明する。
【0019】
図1を参照して、本実施の形態に係る半導体集積回路が形成された半導体チップCHPには、スクライブ領域1とモジュール領域2とが形成されている。スクライブ領域1は半導体チップCHPの平面視における端部に形成されており、モジュール領域2はスクライブ領域1に囲まれるように、半導体チップCHPの平面視における中央部に形成されている。
【0020】
モジュール領域2は、入出力回路IOと、アナログ回路と、ロジック回路と、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)とを有している。入出力回路IOは、電源回路とロジック回路などとの間で電気信号を入出力する回路である。アナログ回路は、アナログ信号を用いて演算する回路であり、ロジック回路とは論理回路などの制御回路を有しており、デジタル信号を用いて演算する回路である。RAMおよびROMは、当該回路に情報を読み書きするためのメモリである。
【0021】
半導体チップCHPは、以下の手順により形成される。製品の要求仕様に基づき、論理設計、レイアウト設計、マスク作成を経てマスク原版が作成される。このマスク原版のパターンが通常の写真製版技術を用いて半導体ウェハの主表面上のフォトレジストに転写される。次に当該フォトレジストのパターンをマスクとして、通常のエッチング技術を行なうことにより、層間絶縁層、ゲート電極、コンタクトホール、多層配線などが微細加工される。また上記の方法の他に、たとえば通常のイオン注入技術を用いることにより、不純物領域などが形成される。たとえば上記のロジック回路には、MIS(Metal Insulator Semiconductor)トランジスタと呼ばれる電界効果トランジスタが形成される。
【0022】
図2(A)、(B)を参照して、本実施の形態の第1例におけるMISトランジスタは、たとえばシリコン単結晶からなる半導体基板SUBに設けられており、たとえばトレンチ分離構造STIよりなる素子分離構造により他の素子と電気的に互いに分離されている。
【0023】
半導体基板SUB内のp型不純物領域PR1上には、n型分離層NISOが形成されている。このn型分離層NISO上には、n型ウェル領域NWと、p型ウェル領域PWとが形成されている。図2(A)の平面図において、n型ウェル領域NWはp型ウェル領域PWの周囲を取り囲むように形成されている。またトレンチ分離構造STIにより、トランジスタ形成用の活性領域AAとコンタクト用の活性領域AAとが分離されている。
【0024】
図2(B)を参照して、コンタクト用の活性領域AA(コンタクト領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、p+領域HPRが形成されている。このp+領域HPRは、p型ウェル領域PWにおける電位を固定するためのコンタクト領域として機能する。トランジスタ用の活性領域AA(MISトランジスタ領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、nチャネルMISトランジスタ(以下、nMISトランジスタと称する)TRが形成されている。このnMISトランジスタTRは、1対のn型ソース/ドレイン領域SDと、1対のp型領域PRと、ゲート絶縁膜GIと、ゲート電極GEとを有している。
【0025】
1対のn型ソース/ドレイン領域SDは、トランジスタ用の活性領域AA(MISトランジスタ領域)におけるp型ウェル領域PWの表面において、互いに間隔をあけて配置されている。1対のn型ソース/ドレイン領域SDの各々は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、n+領域HNRとn-領域LNRとからなっている。n-領域LNRはいわゆるLDDとしてのn型不純物領域である。またn-領域LNRの下にはp型領域PRが形成されている。p型領域PRはポケットと呼ばれ、ソース領域とドレイン領域との間でのMISトランジスタのいわゆるパンチスルー現象を抑制するために形成されるp型不純物領域である。
【0026】
1対のソース/ドレイン領域SDに挟まれる領域上には、半導体基板SUBの一方の主表面に接するように、MISトランジスタのゲート絶縁膜GIが形成されている。このゲート絶縁膜GIの上面に接するように、たとえば多結晶シリコンからなるゲート電極GEが形成されている。ゲート電極GEは、図2(A)の平面図の上下方向すなわち図2(B)の断面図の紙面奥行き方向に延在している。
【0027】
ゲート絶縁膜GIとゲート電極GEとの積層構造の側壁には、たとえばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などからなる側壁絶縁層SWが形成されている。p+領域HPRおよびn+領域HNRの表面には、たとえばCoSi2またはNiSi2からなるシリサイド層SCが形成されていてもよい。シリサイド層SCは高融点を有する遷移金属であるコバルトまたはニッケルが半導体基板SUBのシリコンと反応することにより形成される。
【0028】
図2(B)に示すようにゲート電極GEの上面上にはシリサイド層SCが形成されてもよいが、図2(C)に示すようにシリサイド層SCが形成されていなくてもよい。図2(B)と図2(C)とはゲート電極GEの上面上におけるシリサイド層SCの有無においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図2(C)において図2(B)と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。図2(B)におけるゲート絶縁膜GIとゲート電極GEとシリサイド層SCとの積層構造はMISトランジスタのゲート部分GPを構成する。同様に図2(C)におけるゲート絶縁膜GIとゲート電極GEとの積層構造はMISトランジスタのゲート部分GPを構成する。
【0029】
再び図2(A)、(B)を参照して、p+領域HPRおよびn+領域HNRの各々の上面に接するように導電層T1が形成されており、導電層T1の上面に接するように配線M1が形成されている。導電層T1はたとえばタングステンからなり、配線M1とシリサイド層SCとを電気的に接続している。導電層T1とシリサイド層SCとが互いに接する面はコンタクトCTを構成している。
【0030】
なお図2(A)の平面図においては配線M1の図示が省略されている。配線M1はたとえば銅などの導電材料と、その導電材料の側部および底部を覆うバリアメタルBRLとを有している。
【0031】
図2におけるMISトランジスタの1対のソース/ドレイン領域SDの一方から他方へ向かう方向のゲート電極GEの長さLは45nm未満である。この長さLは28nm未満であることが好ましい。このゲート電極GEの長さは、ゲート部分GP全体の長さLに相当する。ゲート電極GE(ゲート部分GP)の長さLに対する、ゲート部分GP全体の厚み(高さ)Hのアスペクト比(H/L)は2以上4未満であることが好ましい。また隣接する1対のゲート部分GPの間隔G(図4参照)はたとえば65nmとすることが好ましい。
【0032】
本実施の形態に係るMISトランジスタにおけるゲート絶縁膜GIの厚みtは2nm以上50nm未満であることが好ましい。またゲート絶縁膜GIはいわゆる反強誘電体膜を有している。反強誘電体(Anti Ferro Electric Material)とは、結晶中の2つの部分格子が反対方向(反平行)の誘電分極を持ち、それらが打ち消しあうために結晶全体としての自発的な分極がゼロになっている誘電体であり、電場の変化に対してダブルヒステリシスを示す。具体的にはゲート絶縁膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ジルコン酸鉛(ZrPbO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(TiZrLaPbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(TiZrPbO3)、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなることが好ましい。
【0033】
たとえばゲート絶縁膜GIとしてPb(In0.5Nb0.5)O3からなる反強誘電体膜を有する場合、当該反強誘電体膜にはBサイトにインジウム(In)とニオブ(Nb)とが約1:1の割合で含まれている。このために価数と格子との配列周期の競合が解消される。その結果、インジウムとニオブとの秩序度(Bサイトランダムネス)を熱処理によって変えることができ、その誘電特性をリラクサー的な振る舞いから強誘電体的または反強誘電体的な振る舞いへと変化させることができる。
【0034】
NbNaO3、ジルコン酸鉛(ZrPbO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(TiZrLaPbO3)およびチタン酸ジルコン酸鉛(TiZrPbO3)は、基本的にペロブスカイト構造なので熱に強い。これらの材料はたとえばゲートファースト方式またはゲートラスト方式により形成することができる。
【0035】
一方、ゲート絶縁膜GIとしてNH4H2PO4およびNH4H2AsO4を用いる場合には、まずたとえば多結晶シリコンからなる仮のゲート電極GEを形成し、半導体基板SUBの内部への不純物の注入および当該不純物の熱拡散を行なった後に、改めて真のゲート電極GEを形成するゲートラスト方式を用いて形成することが好ましい。
【0036】
図3(A)、(B)を参照して、本実施の形態の第2例におけるMISトランジスタは、図2に示すMISトランジスタと比較して、半導体基板SUBの一方の主表面に形成されるウェル領域と、ソース/ドレイン領域とに含まれる不純物の導電型が異なっている。すなわち1対のp+領域HPRとp-領域LPRとからなる不純物領域は、それぞれp型MISトランジスタのソース/ドレイン領域SDとして機能する。またp-領域LPRの下にはポケットとしてのn型領域NRが形成されている。図3と図2とは上記の点においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図3において図2と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0037】
図4を参照して、図2および図4における側壁絶縁層SWは、たとえばシリコン酸化膜OFとシリコン窒化膜NFとが順に積層して堆積された構成であることが好ましい。
【0038】
次に、図5〜図9を用いて、本実施の形態の作用効果について説明する。
図5(A)に示すグラフの横軸はMISトランジスタのゲート絶縁膜GIの厚み方向に印加される電界Eの強さを示しており、グラフの縦軸はゲート絶縁膜GIの厚み方向における自発分極Pの強さを示している。図5(A)においては電界E、分極Pともにその向きを正または負の値で表わしている。図5(A)における電界Eの値が0および0に近い状態は、図5(B)に示すようにMISトランジスタのソース領域とドレイン領域とに挟まれた領域(1対のLDDとしてのn-領域LNRに挟まれた領域)にチャネルが形成されないOFF状態である。図5(A)における電界Eの値が0から正または負の方向に大きく離れた状態は、図5(C)に示すようにMISトランジスタのソース領域とドレイン領域とに挟まれた領域(1対のLDDとしてのn-領域LNRに挟まれた領域)にチャネルCNLが形成されたON状態である。図5(C)のON状態は、ゲート絶縁膜GIの内部における分極P(図5(A)参照)の絶対値が大きくなることによりゲート絶縁膜GIの下部にチャネルCNLが形成された状態である。
【0039】
図5(A)を参照して、たとえば電界Eおよび分極Pの値がいずれも0であるOFF状態から、電界Eを正または負のいずれかの方向に、その絶対値が大きくなるように変化させる。すなわちゲート電極GEに正または負のいずれかの電圧を印加する。このとき分極Pの絶対値は電界Eの値に応じて徐々に増加するが、閾値th1において分極Pの絶対値が急激に大きくなり、チャネルCNLが形成されたON状態となる。またON状態から電界Eの絶対値が小さくなるように変化させると、分極Pの絶対値は電界Eの値に応じて徐々に増加するが、閾値th2において分極Pの絶対値が急激に小さくなり、チャネルCNLが消滅したOFF状態となる。このようにMISトランジスタをON状態に切り替えるためには、電界Eの絶対値をある程度大きくする必要があり、MISトランジスタをOFF状態に切り替えるためには、電界Eの絶対値をある程度小さくする必要がある。このため反強誘電体膜を有するMISトランジスタは、図5(A)に示すいわゆるダブルヒステリシス特性を有する。
【0040】
上記のダブルヒステリシス特性を示す回路として、たとえばシュミットトリガーと呼ばれる回路がある。シュミットトリガー(Schmitt Trigger)回路とは、いわゆるフリップフロップ回路の一種である。具体的にはシュミットトリガー回路とは、入力電圧に対して上限値と下限値との2つの閾値レベルを持ち、これらの値より入力が高くなるか、あるいは低くなるによって、状態が変化するフリップフロップ回路のことである。単一のシュミットトリガー回路は図6(A)に示す回路図で表わされる。これはより詳細には図6(B)に示す等価回路で表わされる。シュミットトリガー回路は、単一のNOT回路3aと、上記NOT回路3aと反対向きのNOT回路3aおよび抵抗4が直列に繋がった構成とが並列に繋がった構成を有する回路である。
【0041】
シュミットトリガー回路は、入力波形を波形の整った方形波に整形したい場合(アナログ的デジタル信号の波形整形用)によく用いられている。アナログ的デジタル信号の波形整形とは、たとえば緩やかに変化するが上下を繰り返したり、ノイズを含んだり、ゆっくりした変化の入力を、急峻な方形波に変換することである。
【0042】
デジタル回路といえども、実際には瞬時に0と1が変わるのではなく、時間がかかる。インバータに0→1の信号を入れた場合、入力がある閾値を越えた瞬間に出力は1→0に変わる。実際には、温度、電源電圧の変動などの要因でこの閾値自体が微妙に変化している。一方で入力電圧側も瞬時ではなく時間をかけて徐々に変わる。このため出力は1→0に変わった直後に再び1になる。つまり、1→0→1→0の様に何度か変化して(チャタリング)から最終的に0になる。
【0043】
このような動作を回避する目的でシュミットトリガー回路を用いることができる。シュミットトリガー回路は、実際にはノイズが乗りやすい外部入力を取り込む回路である。また、アナログの入力信号をデジタル的な方形波に変換するとき、通常コンパレータの入力部にこの構成を使う。
【0044】
この場合にシュミットトリガー回路を用いずに入力信号を入力すると、ソフトが0と1の時の処理を繰り返してしまい、機器の誤動作につながる。特に入力信号に大きなノイズが含まれるときに、普通にコンパレータに入れると、立ち上がり部分が細かく何度もON状態とOFF状態とを繰り返す波形になる。
【0045】
またシュミットトリガー回路は、ノイズに強いことで知られており、ソフトエラー対策としてよく用いられている。
【0046】
従来のシュミットトリガー回路を構成するには、2個または3個のバイポーラトランジスタと抵抗素子が必要であるが、本発明による反強誘電体をゲート絶縁膜に用いたトランジスタでは、MISトランジスタ1個でシュミットトリガー回路と同じ特性を出し、置き換えることができる。このようにすれば、半導体集積回路の面積縮小に効果的であり、半導体集積回路の信頼性も向上する。
【0047】
再度図5を参照して、本実施の形態の反強誘電体を含むゲート絶縁膜GIを有するMISトランジスタは、ON状態の際には反強誘電体が有する強い誘電率により、ゲート絶縁膜GIを含むMIS積層構造の静電容量を高くし、MISトランジスタの電界効果を高めることができる。その結果、ソース領域とドレイン領域とに挟まれた領域にチャネルCNLが形成されるため、図5(C)中に矢印で示す電流を流すことができる。ゲート絶縁膜GIの誘電率が高いため、ゲート絶縁膜GIを厚くしてもMIS積層構造の静電容量の低下を抑制することができる。ゲート絶縁膜GIを厚く(たとえば2nm以上に)することにより、ON状態時にゲート絶縁膜GIを厚み方向に流れる(図中に矢印で示す)リーク電流の発生を抑制することができる。したがって、半導体集積回路の微細化が進み、ゲート電極GEの長さが45nm未満(たとえばいわゆる28nm世代)となった場合においても、ゲート絶縁膜GIの厚みを2nm以上とすることができ、その結果、ON状態時にゲート絶縁膜GIを厚み方向に流れるリーク電流の発生を抑制することができる。さらに、OFF状態からON状態に切り替えるためには相当大きな電界Eを印加する必要があるため、当該トランジスタが誤ってON状態になるなどの不具合を抑制することができる。
【0048】
一方OFF状態の際には、ゲート絶縁膜GIにおける分極Pの値は小さくなるため、チャネルCNLが形成されない。このためOFF状態時にソース領域からドレイン領域へ誤ってリーク電流が流れるなどの不具合を抑制することができる。ON状態からOFF状態に切り替えるためには電界Eを相当小さくする必要があるため、当該トランジスタが誤ってOFF状態になるなどの不具合を抑制することができる。
【0049】
以上の観点から、本実施の形態の反強誘電体を含むゲート絶縁膜GIを有する、ゲート電極の長さが45nm未満に微細化されたMISトランジスタは、ON状態時には確実にチャネルを形成して、ゲート絶縁膜GIにリーク電流が発生しないように駆動電流を流すことができる。また当該MISトランジスタはOFF状態時には確実にチャネルを消滅させて、ソース領域からドレイン領域へのリーク電流の発生を抑制することができる。したがって当該MISトランジスタは、ソフトエラーを抑制する効果を高めることができる。
【0050】
なおゲート絶縁膜の厚みを50nm未満とすることにより、たとえばいわゆる28nm世代のMISトランジスタのゲート電極の長さL(図4参照)に対するゲート部分GPの厚みH(図4参照)のアスペクト比を2以上4未満とすることができる。このようにすれば、ゲート部分PEの側壁に形成される側壁絶縁層SWが化学的機械的研磨される際にストレスにより損壊する可能性を低減することができる。
【0051】
図7(A)は、基本的に本実施の形態と同様の構成を有するが、シリコン酸化膜などのいわゆる常誘電体膜を有するゲート絶縁膜PEIが形成されたMISトランジスタにおける、図5(A)と同様のゲート絶縁膜PEIの電界と分極との関係を示す。図7(B)は、図7(A)の常誘電体膜を有するMISトランジスタのOFF状態を示し、図7(C)は、図7(A)の常誘電体膜を有するMISトランジスタのON状態を示す。
【0052】
図7(A)〜(C)を参照して、ゲート絶縁膜PEIに印加される電界Eの絶対値が小さいときには、ゲート絶縁膜PEIにおける分極Pの値も小さいため、チャネルは形成されずOFF状態となる。ゲート絶縁膜PEIに印加される電界Eの絶対値にほぼ比例して、ゲート絶縁膜PEIにおける分極Pの値が大きくなり、チャネルCNLが形成されてON状態となる。電界Eの値が漸次大きくなる際に図7(A)のグラフが描く曲線と、電界Eの値が漸次小さくなる際の当該曲線とのずれは小さく、いわゆるヒステリシス特性は小さい。
【0053】
ただし常誘電体膜の誘電率は比較的小さいため、特に半導体集積回路の微細化によりゲート電極GEが短くなった場合にMIS積層構造の静電容量を高くするためにはゲート絶縁膜PEIを薄くする必要がある。ゲート絶縁膜PEIが原子数個分の厚みにまで薄くなれば、ON状態、OFF状態のいずれにおいてもゲート電極GEに印加される電圧に起因して、ゲート絶縁膜PEIを厚み方向に流れる(図中に矢印で示す)リーク電流が増加する可能性がある。
【0054】
図8(A)は、基本的に本実施の形態と同様の構成を有するが、常誘電体よりも誘電率が高いいわゆる高誘電体膜を有するゲート絶縁膜HKIが形成されたMISトランジスタにおける、図5(A)と同様のゲート絶縁膜HKIの電界と分極との関係を示す。図8(B)は、図8(A)の高誘電体膜を有するMISトランジスタのOFF状態を示し、図8(C)は、図8(A)の高誘電体膜を有するMISトランジスタのON状態を示す。常誘電体よりも誘電率が高い高誘電体膜を用いることにより、MIS積層構造の静電容量を増加することができるため、ゲート絶縁膜PEIに比べてゲート絶縁膜HKIを厚くすることができる。その結果、ゲート絶縁膜PEIに比べてゲート絶縁膜HKIの厚み方向に流れるリーク電流を低減することができる。しかしMIS積層構造における、多結晶シリコンからなるゲート電極GEとゲート絶縁膜HKIとの界面(接触面)における不具合が発生しやすいため、MISトランジスタの動作電圧が上昇する可能性があるという問題がある。
【0055】
図9(A)は、基本的に本実施の形態と同様の構成を有するが、常誘電体よりも誘電率が高いいわゆる強誘電体膜を有するゲート絶縁膜FEIが形成されたMISトランジスタにおける、図5(A)と同様のゲート絶縁膜HKIの電界と分極との関係を示す。図9(B)は、図9(A)の強誘電体膜を有するMISトランジスタのOFF状態を示し、図9(C)は、図9(A)の強誘電体膜を有するMISトランジスタのON状態を示す。常誘電体よりも誘電率が高い強誘電体膜を用いることにより、ゲート絶縁膜FEIを厚くし、ゲート絶縁膜FEIを厚み方向に流れる(図中に矢印で示す)リーク電流を低減することができる。
【0056】
しかし図9(A)に示すように、強誘電体膜はヒステリシス特性が強いため、たとえば大きな電界Eを印加してトランジスタをON状態にした後に電界Eを0にしてトランジスタをOFF状態に切り替えても、分極Pが低下せずに残留する。このため図9(B)に示すように、トランジスタがOFF状態のときにおいてもチャネルCNLが残存するため、ソース領域からドレイン領域へリーク電流が発生する可能性がある。
【0057】
本実施の形態のように反強誘電体膜を有するゲート絶縁膜GIを用いたMISトランジスタは、上記の各問題の発生を抑制することができる。
【0058】
(実施の形態2)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、容量が形成されている点において異なっている。以下、本実施の形態の構成について説明する。
【0059】
図10および図11を参照して、本実施の形態の第1例においては、図2(A)、(B)に示すMISトランジスタが形成される半導体基板SUBに、さらにMIS容量と呼ばれる容量素子が形成されている。すなわち図10および図11における左側の領域は、それぞれ図2(A)および図2(B)に示すMISトランジスタが形成される領域と同様であり、これにさらに図10および図11における右側の領域がMIS容量の領域として形成されている。
【0060】
半導体基板SUB内の、MIS容量が形成される領域におけるp型不純物領域PR1上には、n型分離層NISOが形成されている。このn型分離層NISO上には、n型ウェル領域NWと、p型ウェル領域PWとが形成されている。図10の平面図において、n型ウェル領域NWはp型ウェル領域PWの周囲を取り囲むように形成されている。またトレンチ分離構造STIにより他の素子と電気的に分離されている。
【0061】
図10の平面図において、トレンチ分離構造STIに挟まれたn型ウェル領域NWおよびp型ウェル領域PW内の半導体基板SUBの表面には複数(たとえば3つ)の活性領域AAが形成されている。図10における外側の活性領域AAは、活性領域AAと上方の配線との接続を容易にするため、活性領域AAは平面視において矩形状で中空を有するように形成されているが、図10における中央の活性領域AAは中空を有さない矩形状となっている。このように活性領域AAの平面形状は任意である。またトレンチ分離構造STIにより、外側の活性領域AAと内側の活性領域AAとが分離されている。
【0062】
図11は、図10に示す折れ曲がったXI−XI線に沿う部分における構成を示している。図11を参照して、コンタクト用の活性領域AA(コンタクト領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、p+領域HPRが形成されており、コンタクト用の活性領域AA(コンタクト領域)におけるn型ウェル領域NWの表面には、n+領域HNRが形成されている。このp+領域HPRおよびn+領域HNRは、それぞれp型ウェル領域PWまたはn型ウェル領域NWにおける電位を固定するためのコンタクト領域として機能する。容量用の活性領域AA(MIS容量領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、MIS容量MCが形成されている。このMIS容量MCは、容量用不純物領域CDと、容量用誘電体膜CIと、容量用電極CEと、シリサイド層SCと、1対の側壁絶縁層SWとを有している。
【0063】
容量用不純物領域CDは、MIS容量領域の活性領域AAにおけるp型ウェル領域PWの表面に形成されている。MIS容量領域の活性領域AAにおけるp型ウェル領域PWの表面は、容量用不純物領域CDと隣接するように、n+領域HNRおよびシリサイド層SCが形成されている。このn+領域HNRおよびシリサイド層SCは、コンタクトCTおよび導電層T1を介在して配線M1と電気的に接続するために配置される。
【0064】
容量用不純物領域CD上には容量用誘電体膜CIが形成されている。この容量用誘電体膜CIの上面に接するように、たとえば多結晶シリコンからなる容量用電極CEが形成されている。容量用誘電体膜CIおよび容量用電極CEは、容量用不純物領域CDとの間で容量素子(MIS容量MC)を形成する。容量用電極CEは図10の中央の活性領域AAの一部と平面視において重なるように形成された矩形状の電極である。
【0065】
容量用誘電体膜CIと容量用電極CEとの積層構造の側壁には、たとえばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜などからなる側壁絶縁層SWが形成されている。p+領域HPRおよびn+領域HNRの表面には、たとえばCoSi2またはNiSi2からなるシリサイド層SCが形成されていてもよい。図11に示すように容量用電極CEの上面上にもシリサイド層SCが形成されてもよいが、容量用電極CEの上面上にはシリサイド層SCが形成されなくてもよい。図11における容量用誘電体膜CIと容量用電極CEとシリサイド層SCとの積層構造はMIS容量MCの容量部分CPを構成する。またMISトランジスタの形成される領域と同様に、導電層T1および配線M1が形成されているが、図10においては配線M1の図示が省略されている。
【0066】
図12および図13を参照して、本実施の形態の第2例におけるMIS容量MCは、図10および図11に示すn型分離層NISOとp型ウェル領域PWとが形成されておらず、たとえば図の内側の容量用不純物領域CDは、半導体基板SUBのp型不純物領域PR1の内部に直接形成されている。図12および図13と図10および図11とは上記の点においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図12および図13において図10および図11と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0067】
図14および図15を参照して、本実施の形態の第3例におけるMIS容量MCは、図10および図11に示すMIS容量MCと比較して、半導体基板SUBの一方の主表面に形成されるウェル領域と、MIS容量領域およびコンタクト領域とに含まれる不純物の導電型が異なっている。具体的には、図15において、図11のMIS容量領域および周囲のコンタクト領域におけるn型ウェル領域NWの領域にはp型ウェル領域PWが、p型ウェル領域PWの領域にはn型ウェル領域NWが、それぞれ形成されている。また図15において、図11のMIS容量領域および周囲のコンタクト領域におけるn+領域HNRの領域にはp+領域HPRが、p+領域HPRの領域にはn+領域HNRが、それぞれ形成されている。
【0068】
図14および図15と図10および図11とは上記の点においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図14および図15において図10および図11と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0069】
なお図10〜図15においてはいずれも図2に示すMISトランジスタが形成された半導体基板SUBにMIS容量MCが形成されているが、たとえば図3に示すMISトランジスタが形成された半導体基板SUBにMIS容量MCが形成されてもよい。
【0070】
本実施の形態に係るMIS容量MCにおける容量用誘電体膜CIはいわゆる反強誘電体膜を有することが好ましい。具体的には容量用誘電体膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ジルコン酸鉛(ZrPbO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(TiZrLaPbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(TiZrPbO3)、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなることが好ましい。
【0071】
本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成と比較して、以上の点において異なっており、他の点においては実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0072】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の作用効果に加えて以下の効果を有する。
【0073】
本実施の形態においては、MISトランジスタと併せて用いられるMIS容量MCが、反強誘電体膜を有する。このため当該MIS容量素子がON状態となり反強誘電体膜を有する容量用誘電体膜CIに強い電界が印加されると、反強誘電体の強い誘電率により、容量用誘電体膜CIの自発分極が大きくなる。したがってMIS容量MCにはより多くの電荷を高速に充電できる。逆に当該MIS容量素子がOFF状態となれば、反強誘電体の有するダブルヒステリシス特性により、容量用誘電体膜CIの自発分極は小さくなり、MIS容量MCに溜まった電荷を高速に放電できる。したがって、反強誘電体膜を容量用誘電体膜CIとして用いることにより、高速充放電が可能なMIS容量素子を提供することができる。
【0074】
たとえば常誘電体膜を有するMIS容量は、常誘電体膜の誘電率が小さいため、上記の充放電の動作が遅くなる可能性がある。またたとえば強誘電体膜を有するMIS容量は、そのヒステリシス特性により、MIS容量をOFF状態にしても当該強誘電体膜の自発分極が小さくならず、スムーズな放電がなされなくなる可能性がある。
【0075】
本発明の実施の形態2は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1と異なる。すなわち、本発明の実施の形態2について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1に順ずる。
【0076】
(実施の形態3)
本実施の形態は、実施の形態1と比較して、可変容量が形成されている点において異なっている。以下、本実施の形態の構成について説明する。
【0077】
図16および図17を参照して、本実施の形態の第1例においては、図2(A)、(B)に示すMISトランジスタが形成される半導体基板SUBに、さらにバラクタ容量と呼ばれる可変容量素子が形成されている。すなわち図16および図17における左側の領域は、それぞれ図2(A)および図2(B)に示すMISトランジスタが形成される領域と同様であり、これにさらに図10および図11における右側の領域がMIS容量の領域として形成されている。
【0078】
半導体基板SUB内の、バラクタ容量が形成される領域におけるp型不純物領域PR1上には、n型ウェル領域NWと、p型ウェル領域PWとが形成されている。図17の断面図において、半導体基板SUBの主表面に沿う方向に関してn型ウェル領域NWとp型ウェル領域PWとが交互に配置されている。またトレンチ分離構造STIにより、バラクタ容量形成用の活性領域AAとコンタクト用の活性領域AAとが分離されている。
【0079】
図17を参照して、コンタクト用の活性領域AA(コンタクト領域)におけるp型ウェル領域PWの表面には、p+領域HPRが形成されている。このp+領域HPRは、p型ウェル領域PWにおける電位を固定するためのコンタクト領域として機能する。バラクタ容量用の活性領域AA(バラクタ容量領域)におけるn型ウェル領域NWの表面には、バラクタ容量VCが形成されている。このバラクタ容量VCは、1対のn+領域HNRおよびシリサイド層SCと、可変容量用誘電体膜VCIと、可変容量用電極VCEと、シリサイド層SCと、1対の側壁絶縁層SWとを有している。
【0080】
1対のn+領域HNRおよびシリサイド層SCは、バラクタ容量領域の活性領域AAにおけるn型ウェル領域NWの表面において、互いに間隔をあけて配置されている。このn+領域HNRおよびシリサイド層SCは、コンタクトCTおよび導電層T1を介在して配線M1と電気的に接続するために配置される。
【0081】
図17の断面図において1対のn+領域HNRに挟まれた、n型ウェル領域NWの一部の空乏層領域DEPは、当該バラクタ容量がON状態の際に印加される電圧に応じて空乏層が形成される領域である。n型ウェル領域NWのうち空乏層領域DEPの下の領域は、可変容量用不純物領域として機能する。すなわち上記可変容量用不純物領域の上には、空乏層領域DEPを挟んで、可変容量用誘電体膜VCIが形成されている。この可変容量用誘電体膜VCIの上面に接するように、たとえばp型の不純物を有する多結晶シリコンからなる可変容量用電極VCEが形成されている。可変容量用電極VCEと可変容量用不純物領域とが可変容量用誘電体膜VCIを挟むように配置されることにより、可変容量(バラクタ容量)が形成される。
【0082】
バラクタ容量とは、電圧を逆方向に印加した場合に、当該電圧の値に応じて容量の値が大きく変化する容量素子である。バラクタ容量においては、可変容量用不純物領域と可変容量用電極VCEとにおいて、含まれる不純物の濃度が図の上下方向(厚み方向)に関してたとえば概ね線形変化する。可変容量用不純物領域と可変容量用電極VCEとにおける不純物の濃度勾配を利用して、可変容量用不純物領域と可変容量用電極VCEとに挟まれた(可変容量用誘電体膜VCIの直下のn型ウェル領域NW内の)空乏層領域DEPに形成される空乏層の厚みを変化させ、容量の値を変化させる。
【0083】
バラクタ容量が形成される領域においては、MISトランジスタが形成される領域と同様に、たとえば可変容量用誘電体膜VCIと可変容量用電極VCEとの積層構造の側壁には側壁絶縁層SWが形成されてもよい。またたとえばp+領域HPRおよびn+領域HNRの表面、および可変容量用電極VCEの上面上には、シリサイド層SCが形成されてもよい。図17における可変容量用誘電体膜VCIと可変容量用電極VCEとシリサイド層SCとの積層構造はバラクタ容量の可変容量部分VCPを構成する。またバラクタ容量の可変容量部分VCPと平面視に重なる領域においても配線M1が形成され、当該配線M1と可変容量部分VCPとが導電層T1により電気的に接続されてもよい。さらに図16および図17に示す領域の平面視における外周の近傍にはn型分離層NISOが形成されてもよい。
【0084】
図16および図17の構成は、実施の形態2の図10および図11の構成と比較して、以上の点において異なっており、他の点においては図10と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0085】
図18および図19を参照して、本実施の形態の第2例におけるバラクタ容量は、図16および図17に示すバラクタ容量と比較して、半導体基板SUBの一方の主表面に形成されるウェル領域と、バラクタ容量領域およびコンタクト領域とに含まれる不純物の導電型が異なっている。そのため半導体基板SUBとウェル領域とに挟まれるようにn型分離層NISOが形成されている。具体的には、図19において、図17のバラクタ容量領域を構成するn型ウェル領域NWの領域にはp型ウェル領域PWが、図17のコンタクト領域を構成するp型ウェル領域PWの領域にはn型ウェル領域NWが、それぞれ形成されている。また図19において、図17のバラクタ容量領域および周囲のコンタクト領域におけるn+領域HNRの領域にはp+領域HPRが、p+領域HPRの領域にはn+領域HNRが、それぞれ形成されている。
【0086】
図18および図19と図16および図17とは上記の点においてのみ異なっており、他の点においては同様である。このため図18および図19において図16および図17と同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0087】
図16〜図17および図18〜図19に示す構成のほか、本実施の形態に係るバラクタ容量は、たとえば図11に示すMIS容量と同様に、p型の不純物を含む半導体基板SUBの内部に直接形成されてもよい。また図16〜図19においてはいずれも図2に示すMISトランジスタが形成された半導体基板SUBにバラクタ容量が形成されているが、たとえば図3に示すMISトランジスタが形成された半導体基板SUBにバラクタ容量が形成されてもよい。
【0088】
本実施の形態に係るバラクタ容量における可変容量用誘電体膜VCIはいわゆる反強誘電体膜を有することが好ましい。具体的には可変容量用誘電体膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ジルコン酸鉛(ZrPbO3)、チタン酸ジルコン酸ランタン鉛(TiZrLaPbO3)、チタン酸ジルコン酸鉛(TiZrPbO3)、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなることが好ましい。
【0089】
本実施の形態の構成は、実施の形態1の構成と比較して、以上の点において異なっており、他の点においては実施の形態1と同様であるため、同一の要素については同一の符号を付しその説明を繰り返さない。
【0090】
次に、本実施の形態の作用効果について説明する。本実施の形態は、実施の形態1の作用効果に加えて以下の効果を有する。
【0091】
本実施の形態においては、MISトランジスタと併せて用いられるバラクタ容量が、反強誘電体膜を有する。このため当該バラクタ容量素子がON状態となり反強誘電体膜を有する可変容量用誘電体膜VCIに強い電界が印加されると、反強誘電体の強い誘電率により、可変容量用誘電体膜VCIの自発分極が大きくなる。したがってバラクタ容量にはより多くの電荷を高速に充電できる。逆に当該バラクタ容量素子がOFF状態となれば、反強誘電体の有するダブルヒステリシス特性により、可変容量用誘電体膜VCIの自発分極は小さくなり、バラクタ容量に溜まった電荷を高速に放電できる。したがって、反強誘電体膜を可変容量用誘電体膜VCIとして用いることにより、高速充放電が可能なバラクタ容量素子を提供することができる。
【0092】
たとえば常誘電体膜を有するバラクタ容量は、常誘電体膜の誘電率が小さいため、上記の充放電の動作が遅くなる可能性がある。またたとえば強誘電体膜を有するバラクタ容量は、そのヒステリシス特性により、バラクタ容量をOFF状態にしても当該強誘電体膜の自発分極が小さくならず、スムーズな放電がなされなくなる可能性がある。
【0093】
本発明の実施の形態3は、以上に述べた各点についてのみ、本発明の実施の形態1および実施の形態2と異なる。すなわち、本発明の実施の形態3について、上述しなかった構成や条件、手順や効果などは、全て本発明の実施の形態1および実施の形態2に順ずる。
【0094】
なお以上においてはすべてp型の(p型不純物領域PR1を有する)半導体基板SUBが用いられているが、n型の(n型不純物領域を有する)半導体基板SUBが用いられてもよい。
【0095】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明は、MIS構造を有するロジック回路を備える半導体装置に、特に有利に適用され得る。
【符号の説明】
【0097】
1 スクライブ領域、2 モジュール領域、3a NOT回路、4 抵抗、AA 活性領域、BRL バリアメタル、CD 容量用不純物領域、CE 容量用電極、CHP 半導体チップ、CI 容量用誘電体膜、CNL チャネル、CP 容量部分、CT コンタクト、DEP 空乏層領域、GE ゲート電極、GI ゲート絶縁膜、GP ゲート部分、HNR n+領域、HPR p+領域、LNR n-領域、LPR p-領域、M1 配線、MC MIS容量、NF シリコン窒化膜、NISO n型分離層、NW n型ウェル領域、OF シリコン酸化膜、PE ゲート部分、PR1 p型不純物領域、PW p型ウェル領域、SC シリサイド層、SD ソース/ドレイン領域、STI トレンチ分離構造、SUB 半導体基板、SW 側壁絶縁層、T1 導電層、TR MISトランジスタ、VC バラクタ容量、VCE 可変容量用電極、VCI 可変容量用誘電体膜、VCP 可変容量部分。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主表面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記主表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、
前記1対のソース/ドレイン領域に挟まれる領域上であって、前記主表面に接するように形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上面に接するように形成されたゲート電極とを備え、
前記1対のソース/ドレイン領域の一方から他方へ向かう方向の前記ゲート電極の長さは45nm未満であり、
前記ゲート絶縁膜は反強誘電体膜を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート絶縁膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ZrPbO3、TiZrLaPbO3、TiZrPbO3、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート絶縁膜の厚みは2nm以上50nm未満である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極の前記長さに対する、前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極を含むゲート部分の厚みのアスペクト比は2以上4未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板の前記主表面に形成される容量用不純物領域と、
前記容量用不純物領域上に形成された容量用誘電体膜と、
前記容量用誘電体膜上に形成され、かつ前記容量用不純物領域との間で容量を形成するための容量用電極とをさらに備え、
前記容量用誘電体膜は反強誘電体膜を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記容量用誘電体膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ZrPbO3、TiZrLaPbO3、TiZrPbO3、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなる、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体基板の前記主表面に形成される可変容量用不純物領域と、
前記可変容量用不純物領域上に形成された可変容量用誘電体膜と、
前記可変容量用誘電体膜上に形成され、かつ前記可変容量用不純物領域との間で可変容量を形成するための可変容量用電極とをさらに備え、
前記可変容量用誘電体膜は、反強誘電体膜を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記可変容量用誘電体膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ZrPbO3、TiZrLaPbO3、TiZrPbO3、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなる、請求項7に記載の半導体装置。
【請求項1】
主表面を有する半導体基板と、
前記半導体基板の前記主表面に形成された1対のソース/ドレイン領域と、
前記1対のソース/ドレイン領域に挟まれる領域上であって、前記主表面に接するように形成されたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上面に接するように形成されたゲート電極とを備え、
前記1対のソース/ドレイン領域の一方から他方へ向かう方向の前記ゲート電極の長さは45nm未満であり、
前記ゲート絶縁膜は反強誘電体膜を有する、半導体装置。
【請求項2】
前記ゲート絶縁膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ZrPbO3、TiZrLaPbO3、TiZrPbO3、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなる、請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ゲート絶縁膜の厚みは2nm以上50nm未満である、請求項1または2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ゲート電極の前記長さに対する、前記ゲート絶縁膜および前記ゲート電極を含むゲート部分の厚みのアスペクト比は2以上4未満である、請求項1〜3のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記半導体基板の前記主表面に形成される容量用不純物領域と、
前記容量用不純物領域上に形成された容量用誘電体膜と、
前記容量用誘電体膜上に形成され、かつ前記容量用不純物領域との間で容量を形成するための容量用電極とをさらに備え、
前記容量用誘電体膜は反強誘電体膜を有する、請求項1〜4のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記容量用誘電体膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ZrPbO3、TiZrLaPbO3、TiZrPbO3、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなる、請求項5に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記半導体基板の前記主表面に形成される可変容量用不純物領域と、
前記可変容量用不純物領域上に形成された可変容量用誘電体膜と、
前記可変容量用誘電体膜上に形成され、かつ前記可変容量用不純物領域との間で可変容量を形成するための可変容量用電極とをさらに備え、
前記可変容量用誘電体膜は、反強誘電体膜を有する、請求項1〜6のいずれかに記載の半導体装置。
【請求項8】
前記可変容量用誘電体膜は、Pb(In0.5Nb0.5)O3、NbNaO3、ZrPbO3、TiZrLaPbO3、TiZrPbO3、NH4H2PO4、およびNH4H2AsO4からなる群から選択される少なくとも1つからなる、請求項7に記載の半導体装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
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【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【公開番号】特開2012−238697(P2012−238697A)
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−106256(P2011−106256)
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年12月6日(2012.12.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年5月11日(2011.5.11)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】
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