説明

半導体集積回路装置の製造方法

【課題】スパッタリング法により形成される膜のウエハ面内の膜厚分布の均一性を向上させることのできる技術を提供する。
【解決手段】コリメータ115の本体116を中央部から周辺部にかけて徐徐に薄くして、本体116に設けられる多数個の制御孔117のアスペクト比をコリメータ115の中央から外側にかけて連続的に小さくする。このコリメータ115をウエハとターゲットとの間に設置し、300℃以上に加熱されたウエハの上に膜厚10nm程度のコバルト膜を堆積し、続いてコバルト膜の上に窒化シリコン膜を堆積した後、シリサイド反応によりコバルトダイシリサイド層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置の製造技術に関し、特に、スパッタリング法によって形成された金属膜を用いたサリサイド(SALICIDE:Self Aligned Silicide)プロセスに適用して有効な技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コバルトを二珪化コバルト(CoSi2)が形成される温度より低い温度でシリコン基板を加熱しながら堆積し、あるいは、次いで真空を破ることなく真空アニールを行うことで、コバルトとシリコンとの界面に珪化二コバルト(Co2Si)膜あるいは一珪化コバルト(CoSi)膜を形成し、その後、熱処理を行って二珪化コバルト(CoSi2)膜を形成する技術が日本特開平9−69497号公報(特許文献1)に記載されている。これには対応米国特許第5780361号明細書(特許文献2)がある。
【0003】
また、シリコン領域を含む基板の温度を200℃から400℃までのいずれかの温度に調節し、かつ、シリコン領域の上面にコリメート(Colimate)スパッタリング法またはロングスロー(Long Throw)スパッタリング法を用いて金属膜を形成し、連続して、金属膜の上面に保護膜を形成した後、金属膜、保護膜およびシリコン領域に対して熱処理を施して、シリコン領域上にシリサイド膜を形成する技術が日本特開2003−158091号公報(特許文献3)に記載されている。これには対応米国特許出願公開第2003/096491号明細書(特許文献4)がある。
【0004】
また、金属膜を形成するスパッタリング法において、互いに平行に設置されるターゲットと基板との間に、セルの隔壁を斜めとするコリメータを設置し、その角度をコリメータの中心部から周辺部に近づくに伴って大きくなるように構成することにより、成膜の非対称性をなくす技術が日本特開平10−121234号公報(特許文献5)に記載されている。
【0005】
さらに、一般的なスパッタリング技術において、成膜の平坦性を確保するために、コリメータの開口度を動径方向において変化させる技術が特開平11−200029号公報(特許文献6)に開示されている。
【0006】
また、コバルトシリサイド形成等のために、コリメータを有するスパッタリング装置を使用する技術が特開平08−031769号公報(特許文献7)に開示されている。
【特許文献1】特開平9−69497号公報
【特許文献2】米国特許第5780361号明細書
【特許文献3】特開2003−158091号公報
【特許文献4】米国特許出願公開第2003/096491号明細書
【特許文献5】特開平10−121234号公報
【特許文献6】特開平11−200029号公報
【特許文献7】特開平08−031769号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
高融点金属のシリサイド化合物の形成については、以下に説明する種々の技術的課題が存在する。
【0008】
高融点金属膜は、例えばコリメートスパッタリング法により半導体ウエハ(以下、単にウエハと言う)上に成膜される。コリメートスパッタリング法は、多数個の制御孔が設けられたコリメータと呼ばれる板をターゲットとウエハとの間に設置し、ターゲットから種々の方向に飛び出したスパッタ粒子のウエハに垂直な成分だけを取り出して成膜する技術であり、電子のチャージングによるウエハへのダメージを低減することができる。
【0009】
しかしながら、コリメートスパッタリング法によって高融点金属膜、例えばコバルト(Co)膜を形成した場合、コリメータの影響もあり、ウエハ面内のコバルト膜の膜厚分布がウエハの中央部において厚く、ウエハの周辺部において薄くなる傾向で不均一となり、またばらつきも大きくなるという問題が生じた。
【0010】
シリサイド反応により形成されるコバルトシリサイド膜の厚さは、シリサイド反応前のコバルト膜の膜厚に依存する割合が大きい。このため、コバルト膜の膜厚分布の不均一は、コバルトシリサイド膜の膜厚分布の不均一となって現れ、ウエハ面内のコバルトシリサイド膜の膜厚分布がウエハの中央部において厚く、ウエハの周辺部において薄くなる。ところが、コバルトシリサイド膜が厚く形成されたウエハの中央部では、コバルトシリサイド膜とpn接合部の界面との距離が短くなり、pn接合部におけるリーク電流の増加を引き起こしてしまう。
【0011】
ウエハ上に成膜するコバルト膜の厚さを薄くして、ウエハの中央部においてもコバルトシリサイド膜とpn接合部の界面との距離を充分に保つことを検討したが、特に、ウエハの周辺部において、コバルトシリサイド膜の膜厚が薄くなることによる抵抗の増加がみられ、コバルトシリサイド膜を用いた低抵抗化の利点を生かすことができない。
【0012】
本発明の目的は、スパッタリング法により形成される膜のウエハ面内の膜厚分布均一性を向上させることのできる技術を提供することにある。
【0013】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0015】
本願発明の一つは、多数個の制御孔が設けられたコリメータが基板とターゲットとの間に設置され、ターゲットがスパッタリングされて、相対的に高い温度の基板の主面上に第1の膜が堆積される工程を含み、1枚のコリメータの中で、多数個の制御孔のアスペクト比を第1の膜の膜厚分布に対応して変化させる。
【0016】
本願に開示されたその他の発明の特徴を項に分けて簡単に記載するとすれば以下のごとくである。
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)多数個の制御孔が設けられたコリメータが基板とターゲットとの間に設置され、前記ターゲットがスパッタリングされて、相対的に高い温度の前記基板の主面上に第1の膜が堆積される工程、
ここで、前記コリメータは、以下を有する:
(i)前記多数個の制御孔のアスペクト比を前記第1の膜の膜厚分布に対応して変化さ
せる。
2.前記項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔のアスペクト比が、連続的に変化している。
3.前記項1または2記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔のアスペクト比が、前記コリメータの中央部から周辺部にかけて連続的に小さくなる。
4.前記項1または2記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔のアスペクト比が、前記コリメータの中央部から周辺部にかけて連続的に大きくなる。
5.前記項1から4のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔の最も小さいアスペクト比を1とすると、前記多数個の制御孔の最も大きいアスペクト比は1.25を中心値とする周辺範囲である。
6.前記項1から4のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔の最も小さいアスペクト比を1とすると、前記多数個の制御孔の最も大きいアスペクト比は1.15から1.35の範囲である。
7.前記項1から4のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔の最も小さいアスペクト比を1とすると、前記多数個の制御孔の最も大きいアスペクト比は1.05から1.5の範囲である。
8.前記項1から7のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔の最も小さいアスペクト比を前記多数個の制御孔の最も大きいアスペクト比で割った値は、0.8を中心値とする周辺範囲である。
9.前記項1から7のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔の最も小さいアスペクト比を前記多数個の制御孔の最も大きいアスペクト比によって割った値は、0.7から0.9である。
10.前記項1から7のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の制御孔の最も小さいアスペクト比を前記多数個の制御孔の最も大きいアスペクト比によって割った値は、0.65から0.95である。
11.前記項1から10のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記基板の温度は300℃以上である。
12.前記項1から10のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記基板の温度は350℃以上である。
13.前記項1から10のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記基板の温度は400℃以上である。
14.前記項1から13のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの材質は、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼またはチタン、あるいはその表面をアルミニウムまたはアルミニウム合金でコーティングしたステンレス鋼またはチタンである。
15.前記項1から14のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記スパッタリングは、高指向性スパッタリング法である。
16.前記項1から15のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法は、さらに以下の工程を含む:
(b)前記工程(a)の後、前記基板の主面に対して第1の温度で第1の熱処理を実行することにより、前記基板と前記第1の膜とを反応させる工程;
(c)前記工程(b)の後、前記第1の膜の未反応部分を除去する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記基板の主面に対して前記第1の温度よりも高い第2の温度で第2の熱処理を実行する工程。
17.前記項16記載の半導体集積回路装置の製造方法は、さらに以下の工程を含む:
(e)前記工程(b)の前に、前記基板の主面に対して前記第1の温度よりも低い第3の温度で第3の熱処理を実行する工程。
18.前記項1から17のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の膜はコバルト膜である。
19.前記項1から18のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記基板に堆積される前記第1の膜の膜厚は、7nmから10nmの範囲である。
20.前記項1から18のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記基板に堆積される前記第1の膜の膜厚は、5nmから15nmの範囲である。
21.前記項1から18のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記基板に堆積される前記第1の膜の膜厚は、3nmから20nmの範囲である。
22.前記項1から21のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の膜は、ニッケル膜またはニッケルコバルト合金膜である。
23.前記項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、さらに以下の工程を含む:
(f)前記工程(b)の前に、前記第1の膜の上に酸化防止機能を有する第2の膜を堆積する工程。
24.前記項23記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の膜は窒化チタン膜、窒化タングステン膜または窒化タンタル膜である。
25.前記項16記載の半導体集積回路装置の製造方法において、さらに以下の工程を含む:
(g)前記工程(b)の前に、前記第1の膜の上に酸化防止機能を有する第2の膜および第3の膜を順次堆積する工程。
26.前記項25記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第2の膜は窒化チタン膜、前記第3の膜はチタン膜である。
【0017】
更に、本願に開示されたその他の発明の特徴を項に分けて簡単に記載するとすれば以下のごとくである。
1.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1主面に素子分離領域を形成することによって、それによって囲まれたシリコン能動領域を区画する工程;
(b)前記シリコン能動領域上にゲート絶縁膜を介して、両側にサイドウォールスペーサを有するゲート電極を形成することにより、ソース・ドレイン領域を区画する工程;
(c)不均一なアスペクト比の多数個の開口を有する機械的なコリメータを前記ウエハとコバルトターゲット間に介在させたコリメートスパッタリングによって、前記ウエハの前記第1主面の前記素子分離領域、前記ソース・ドレイン領域のシリコン表面、前記ゲート電極の前記サイドウォールスペーサ、および前記ゲート電極の上面を構成するポリシリコン表面上(ポリシリコンゲート電極上に高融点金属層を有するポリメタルゲート、およびソースドレインの熱処理後にゲート絶縁膜およびゲート電極を形成するダマシンゲート、リプレースメントゲート等では、ポリシリコン上のシリサイド化は必須ではないか、または不要である)に、前記ウエハの前記第1主面の温度を、前記シリコン表面および前記ポリシリコン表面においてダイコバルトシリサイド(Co2Si)を主要な成分とする第1のシリサイド膜が形成され、実質的にコバルトモノシリサイド(CoSi)を主要な成分とするシリサイド膜が形成されない第1の温度範囲内に制御した状態で、コバルト膜を形成する工程(ニッケルシリサイドプロセスの場合においても、ほぼ同様である);
(d)第1の熱処理により、前記第1のシリサイド膜を、コバルトモノシリサイドを主要な成分とする第2のシリサイド膜に転換させる工程;
(e)前記工程(d)の後、前記コバルト膜の未反応部分を除去する工程;
(f)前記工程(e)の後、第2の熱処理により、前記第2のシリサイド膜を、コバルトダイシリサイド(CoSi2)を主要な成分とする第3のシリサイド膜に転換させる工程。
2.項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏300度以上、450度未満である。
3.項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏350度以上、450度未満である。
4.項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏400度以上、450度未満である。
5.項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏300度以上、400度未満である。
6.項1から5のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータはほぼ回転対称(コリメータの全体としての対称性について言及するときは、上下のプロファイルすなわち輪郭の形状についてであり、その他の内部構造すなわち、開口形状、隔壁形状等を除く。本願のその他の部分において同じ)であり、且つ、前記回転対象の軸に垂直な対称面に対して上下にほぼ面対称である(機械的なコリメータを使用するコリメートスパッタリング技術では、コリメータのターゲット側に集中的にコバルトが付着する結果、熱ひずみまたは応力のアンバランス等によりコリメータが変形する問題がある。これに対して、コリメータの外形プロファイルを上下面対称かつ垂直な回転軸に対して回転対称にしておくことによって、付着量がひずみの限界付近になるたびに、コリメータを上下反転して使用することができる。こうして、交互に何度か使用した後に、付着量の増加によって、コリメータの開口率が低下したときは、コリメータ自体を洗浄または再生する必要がある。すなわち、ステンレス鋼の表面についたコバルトを下地のアルミニウムごとブラスト処理等によりはがす等の処理が発塵、母材の消耗防止等の観点から再生処理として有効である。また、母材チタンにすると、アルミニウム被覆なしでも、比較的発塵を少なくできる。また、チタンはステンレス鋼よりも変形に強いメリットがある。また、チタン母材上にアルミニウム等をコートしてもよい)。
7.項1から6のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の開口は、ほぼ同一の開口面積を有する正六角形であり、ほぼ六方最密格子を形成するように配列されている(ミクロな、すなわち、開口のセルの大きさの程度の距離での均一な堆積特性と高い開口率を確保するためには、開口のセルの2次元的幾何学形状は充填可能な四角形、長方形、正方形、ひし形、正六角形等をとる必要があるが、強度、微視的均一性の点で主に正六角形からなる六方最密充填格子類似の構造がもっとも好適である)。
8.項1から7のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は98%未満、50%以上である。
9.項1から8のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの前記多数個の開口の隔壁は、前記ウエハの中心と前記コバルトターゲットの中心を結ぶ直線に、ほぼ平行である(高い開口率を確保するのに有効である)。
10.項1から9のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの前記ウエハと対抗する部分の開口率は、85%以上である。
11.項1から10のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータは、その母材がアルミニウム以外を主要な成分とし、表面にアルミニウムを主要な成分とするコーティング層を有する。
12.項1から11のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータは、その母材がステンレス鋼を主要な成分とする。
13.項1から12のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は95%未満、65%以上である。
14.項1から12のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は90%未満、70%以上である。
15.項1から12のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は85%未満、75%以上である。
16.項1から15のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの隔壁の厚さは、3mm未満、0.3mm以上である(コリメータの変形に対する強度と高い開口率を確保するために有効である)。
17.項1から15のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの隔壁の厚さは、2mm未満、0.5mm以上である。
18.項1から15のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの隔壁の厚さは、1.5mm未満、0.7mm以上である。
19.項1から18のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の開口の大きさは(開口の大きさとは、対向する隔壁間の距離である。2次元的には辺間距離である)、20mm未満、5mm以上である(量産に一般的に必要とされる10nm/分以上のコバルト堆積速度を確保するために、及び微視的な堆積均一性を確保するために必要である。なお、これ以下の堆積速度を排除するものではない)。
20.項1から18のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の開口の大きさは、15mm未満、7mm以上である。
21.項1から20のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの主面の輪郭は2次以上の高次曲面(多数の直線部分で近似したものを含む)である(直線的なプロファイルでは膜厚分布の不均一等を十分高精度で補償できないことがある。一方、中心から周辺への直線的なプロファイルのときは、コリメータの加工が容易であるメリットがある)。
22.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1主面に素子分離領域を形成することによって、それによって囲まれたシリコン能動領域を区画する工程;
(b)前記シリコン能動領域上にゲート絶縁膜を介して、両側にサイドウォールスペーサを有するゲート電極を形成することにより、ソース・ドレイン領域を区画する工程;
(c)不均一なアスペクト比の多数個の開口を有する機械的なコリメータを前記ウエハとコバルトターゲット間に介在させたコリメートスパッタリングによって、前記ウエハの前記第1主面の前記素子分離領域、前記ソース・ドレイン領域のシリコン表面、前記ゲート電極の前記サイドウォールスペーサ、および前記ゲート電極の上面を構成するポリシリコン表面上に、前記ウエハの前記第1主面の温度を、摂氏300度以上、450度未満の第1の温度範囲内に制御した状態で、コバルト膜を形成する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記ウエハの前記第1主面の温度を、摂氏400度以上、600度未満の第2の温度範囲内に制御した状態で、第1の熱処理を施す工程;
(e)前記工程(d)の後、前記コバルト膜の未反応部分を除去する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記ウエハの前記第1主面の温度を、摂氏600度以上、850度未満の第3の温度範囲内に制御した状態で、第2の熱処理を施す工程。
23.項22記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏350度以上、450度未満である。
24.項22記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏400度以上、450度未満である。
25.項22記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏300度以上、400度未満である。
26.項22から25のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータはほぼ回転対称であり、且つ、前記回転対象の軸に垂直な対称面に対して上下にほぼ面対称である。
27.項22から26のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の開口は、ほぼ同一の開口面積を有する正六角形であり、ほぼ六方最密格子を形成するように配列されている。
28.項22から27のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は98%未満、50%以上である。
29.項22から28のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの前記多数個の開口の隔壁は、前記ウエハの中心と前記コバルトターゲットの中心を結ぶ直線に、ほぼ平行である。
30.項22から29のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの前記ウエハと対抗する部分の開口率は、85%以上である。
31.項22から30のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータは、その母材がアルミニウム以外を主要な成分とし、表面にアルミニウムを主要な成分とするコーティング層を有する。
32.項22から31のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータは、その母材がステンレス鋼を主要な成分とする。
33.項22から32のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は95%未満、65%以上である。
34.項22から32のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は90%未満、70%以上である。
35.項22から32のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は85%未満、75%以上である。
36.項22から35のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの隔壁の厚さは、3mm未満、0.3mm以上である。
37.項22から35のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの隔壁の厚さは、2mm未満、0.5mm以上である。
38.項22から35のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの隔壁の厚さは、1.5mm未満、0.7mm以上である。
39.項22から38のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の開口の大きさは(開口の大きさとは、対向する隔壁間の距離である。2次元的には辺間距離である)、20mm未満、5mm以上である。
40.項22から38のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数の開口の大きさは、15mm未満、7mm以上である。
41.項22から40のいずれか一つに記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの主面の輪郭は2次以上の高次曲面である。
42.以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)不均一なアスペクト比の多数個の開口を有する機械的なコリメータであって、その母材がアルミニウム以外を主要な成分とし、表面にアルミニウムを主要な成分とするコーティング層を有するものをウエハとコバルトまたはニッケルを主要な成分とするターゲット間に介在させたコリメートスパッタリングによって、前記ウエハの第1主面の素子分離領域、およびソース・ドレイン領域のシリコン表面上に、コバルトまたはニッケルを主要な成分とするメタル膜を形成する工程。
【発明の効果】
【0018】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0019】
コリメートスパッタリング法により成膜されたコバルト膜を用いて、pn接合部におけるリーク電流が少なく、かつ低抵抗のシリサイド層を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の部材には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0021】
さらに、以下の実施の形態では便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明などの関係にある。
【0022】
また、本願では便宜上、径(直径)が約200mmのウエハについて説明するが、径が約300mmのウエハ、それよりも径大きいものまたは小さいものに適用できることは言うまでもない。
【0023】
また、以下の実施の形態において、要素の数など(個数、数値、量、範囲などを含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合などを除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0024】
また、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップなどを含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合などを除き、必ずしも必須のものではないことはいうまでもない。
【0025】
同様に、以下の実施の形態において、構成要素などの形状、位置関係などに言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合などを除き、実質的にその形成などに近似または類似するものなどを含むものとする。たとえば、正六角形といっても、幾何学的に完全なもののみでなく、それに近似したものを含む。このことは上記数値および範囲についても同様である。
【0026】
また、便宜上、位置関係について言及するときは、図4のような配置を前提として、説明するが、たとえば、「上または上面」といっても、重力の反対方向という意味ではなく、概念的にウエハのデバイス面(主に半導体集積回路、または半導体素子を作る主面)の方向を上とするものである。従って、これに関連して「垂直」というときは、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合などを除き、ウエハの主面に垂直な軸方向およびこれと実質的に同じ方向を意味するものとする(たとえば、スパッタリングの際に、ウエハのデバイス面を下向き、横向、または斜め向きにするときは、重力と反対方向ではなくなることは言うまでもない)。
【0027】
また、本願で半導体集積回路装置と言うときは、シリコン単結晶ウエハ上に作られるものだけでなく、特にそうでない旨明示された場合を除き、SOI(Silicon On Insulator)基板上に作られたもの、その他TFT(Thin Film Transistor)液晶などの他の基板上に作られるものなども含むものとする。同様に、ウエハと言うときは、特にそうでない旨明示された場合を除き、シリコン単結晶ウエハのみでなく、SOI基板、その他TFT液晶など作成するためのほぼ円盤状または長方形の集積回路基板などを含むものとする。
【0028】
また、シリコン基板表面部分、またはいわゆるポリシリコン電極などについて、シリコンというときは、特にそうでない旨明記した場合またはそうでないことが明確である場合を除き、シリコンに必要に応じて不純物を導入したシリコンを主要な成分とするもの、シリコンにゲルマニウムなどを加えて合金としてその性能を向上した(SiGe化した基板表面領域、SiGe化した多結晶シリコン電極など)シリコンベース部材を含むものとする。
【0029】
また、ポリシリコンなどと言うときは、特にそうでない旨明記した場合またはそうでないことが明確である場合を除き、典型的な多結晶シリコンだけでなく、アモルファス表面シリコンおよび微結晶シリコンなども含むものとする。これは、一般に、ポリシリコンも形成当初はアモルファスである場合があり、これが後の熱処理により狭義のポリシリコンに変化するのが一般的であるが、どの時点で狭義のポリシリコンに変化したかを特定することが困難なためである。
【0030】
また、部材の成分に言及する場合、(例えばAからなる部材X)、特にそうでない旨明記した場合またはそうでないことが明確である場合を除き、それ以外の成分の含有を排除するものではない。雰囲気ガスなどについても同じである。たとえば、コバルトターゲットといっても、種々の理由で添加される添加物やその他の含有物質を排除するものではない。
【0031】
また、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路と言っても、ゲート絶縁膜が、酸化膜に限られるものでないことは言うまでもない。例えば、非酸化膜系の無機絶縁膜である窒化シリコン膜をゲート絶縁膜とするものなどを含む。このことは「メタル」、「半導体」についても同じである。
【0032】
なお、以下の実施例では、シリコン単結晶ウエハのデバイス面を直接シリサイド化するもののみを例にとり説明したが、本願発明はそれに限定されることなく、ソースドレイン領域上に選択的にエピタキシャルシリコン層等を形成するエレベイテッドソースドレイン方式等も含むものとする。一方、実施例のごとく、実質的に直接形成することにより、プロセスを大幅に簡素化できるメリットがある。なお、「直接」といっても、微小な厚さの処理層、介在層等を排除するものではない。
【0033】
また、電界効果トランジスタを代表するMIS・FET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)をMISと略し、pチャネル型のMIS・FETをpMISと略し、nチャネル型のMIS・FETをnMISと略す場合もある。
【0034】
本実施の形態は、CMOS型集積回路(非酸化シリコン系のHigh−kゲート絶縁膜を有するものを含む)に適用したものであり、その製造方法を図1〜図18を用いて工程順に説明する。
【0035】
まず、図1に示すように、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンからなる半導体基板(以下、基板またはウエハと言う)1に素子分離溝2を形成する。素子分離溝2は、素子分離領域の基板1をエッチングして形成され、その後、素子分離溝2の内部を含む基板1上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法により酸化シリコン膜3を堆積し、続いて素子分離溝2の外部の不要な酸化シリコン膜3をCMP(Chemical Mechanical Polishing)法によって研磨、除去する。
【0036】
次に、基板1の一部にボロン(B)をイオン注入し、他の一部にリン(P)をイオン注入することによって、p型ウェル4およびn型ウェル5を形成した後、基板1をスチーム酸化することによって、p型ウェル4およびn型ウェル5のそれぞれの表面にゲート酸化膜6を形成する。
【0037】
次に、図2に示すように、p型ウェル4およびn型ウェル5のそれぞれの上部にゲート電極7を形成する(いわゆるデュアルゲート構成のCMOSまたはCMIS(Complementary Metal Insulator Semiconductor)の集積回路である)。ゲート電極7を形成するには、例えばゲート酸化膜6の上部にCVD法により多結晶シリコン膜(実際には、堆積時にはアモルファス状態の場合が多いが、その後のいずれかの熱処理により多結晶化するので、便宜上、特に特定する場合を除き、これらも含めて「多結晶シリコン」と言うことにする)を堆積した後、p型ウェル4の上部の多結晶シリコン膜にリンをイオン注入し、n型ウェル5の上部の多結晶シリコン膜にボロンをイオン注入した後、レジストパターンをマスクにしたドライエッチングにより多結晶シリコン膜をパターニングする。
【0038】
次に、p型ウェル4にリンまたはヒ素(As)をイオン注入することによって低不純物濃度のn-型半導体領域8を形成し、n型ウェル5にボロンをイオン注入することによって低不純物濃度のp-型半導体領域9を形成する。
【0039】
次に、図3に示すように、基板1上にCVD法により堆積した窒化シリコン膜を異方的にエッチングすることによって、ゲート電極7の側壁にサイドウォール10を形成すると共に、基板1(n-型半導体領域8、p-型半導体領域9)の表面を露出させる。続いて、p型ウェル4にリンまたはヒ素をイオン注入することによって高不純物濃度のn+型半導体領域(ソース、ドレイン)11を形成し、n型ウェル5にボロンをイオン注入することによって高不純物濃度のp+型半導体領域(ソース、ドレイン)12を形成する。n+型半導体領域11のpn接合部(n+型半導体領域11とp型ウェル4とが接する界面)の接合深さ(基板1の表面から上記pn接合部までの基板1の厚さ方向の深さ)およびp+型半導体領域12のpn接合部(p+型半導体領域12とn型ウェル5とが接する界面)の接合深さは、50nmから300nmの範囲程度である。
【0040】
次に、基板1の表面をバッファードフッ酸によりバッチ洗浄した後(洗浄は、シリコン表面の自然酸化膜を除去するため、または上記イオン注入をCVD酸化膜などを通して行う場合には、その酸化膜を除去するために行う)、ゲート電極7およびソース、ドレイン(n+型半導体領域11、p+型半導体領域12)のそれぞれの表面に、以下の方法によりコバルトシリサイド層を形成する。これは、いわゆるサリサイド方式と呼ばれるもので、ゲート電極の側壁の分離作用を利用してゲート電極上とソース、ドレイン上のシリサイド化を自己整合的に行うものである。この方式は、ゲート電極上も同時にシリサイド化でき、低抵抗化できるメリットがある。一方、ポリメタルゲート電極(またはメタル電極)の場合は、ゲート電極上では、メタルによりさらに低抵抗化されているため、シリサイド化の対象ではないので、コバルト膜を堆積する前に、ゲート電極上を絶縁膜により被覆しておく必要がある。
【0041】
図4は、コバルト膜の形成に用いるDCマグネトロンスパッタリング装置の概略断面図である。
【0042】
スパッタリング装置100は、スパッタリング室101を構成する真空容器102を備えており、スパッタリング室101はクライオポンプまたはドライポンプ等の真空ポンプによって真空排気されるようになっている。スパッタリング室101にはウエハ1を出し入れするための搬入搬出口103が設けられており、搬入搬出口103はゲートバルブ104によって開閉されるように構成されている。また、スパッタリング室101には、イオンを生成するための不活性で、かつ質量の大きい放電ガスとしてのアルゴン(Ar)ガス105を供給するガス供給管106が挿入されている。
【0043】
真空容器102の上部開口部にはバッキングプレート107がスパッタリング室101を密封するように設けられており、バッキングプレート107に接してターゲット108が交換可能に装着されている。ターゲット108は、後述するようにアルゴンイオンによってスパッタリングされてその組成物を飛び出させ、被処理基板であるウエハ1の上にスパッタリング膜を形成させるものであり、コバルトによって円板形状に形成されている。また、ターゲット108のコバルト純度は、非金属不純物を除き、99.99重量%以上、より好ましくは99.999重量%以上である。なお、コバルトターゲットについては、西原らの国際特許公開WO98/42009号パンフレットに記載がある。これには対応米国特許第6693001号明細書(2004年2月17日発行)がある。
【0044】
真空容器102の底部にはリフト109が垂直方向上向きに設置されており、リフト109の上には加熱機構を備えた静電チャック110が昇降されるように支持されている。静電チャック110はウエハ1を上面に載せた状態で保持すると共に、ウエハ1を加熱するように構成されている。そして、静電チャック110とバッキングプレート107との間には、直流電圧また高周波電圧を印加するための電源装置が電気的に接続されている。
【0045】
静電チャック110の下側には下側シールド111が設置されており、スパッタリング室101の上部には上側シールド112がターゲット108の真下領域を取り囲むように配されて、真空容器102の上端開口部に保持されている。下側シールド111および上側シールド112はステンレス鋼またはアルミニウム等が使用されており、ターゲット108を取り囲むことにより、ターゲット108からスパッタリングされた微粒子がスパッタリング室101の内壁に付着するのを防止するように構成されている。
【0046】
他方、バッキングプレート107の上方にはプラズマを保持する円板形状のマグネット板113がスパッタリング室101と同心円の水平に配置されており、マグネット板113はスパッタリング室101の中心線上に配置された回転軸114によって回転されるように構成されている。
【0047】
ターゲット108とウエハ1とに対してそれぞれ所定の間隔を有する高さ位置には、コリメータ115が水平に横断するように架設されている。
【0048】
図5(a)にコリメータの概略平面図、図5(b)に同図(a)のa−a′線における概略断面図を示す。
【0049】
コリメータ115は、ウエハ1よりも大きい円板形状に形成された本体116を備えており、本体116には厚さ方向に貫通する六角孔形状の制御孔117が多数個、開口面積が全面にわたって、ほぼ均一になるように配列され、全ての制御孔117が互いに所定の間隔で、ほぼ平行に設けられている。多数個の制御孔117は切削加工等によって形成されている。コリメータ115の材質に、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼またはチタン等の高融点金属膜または金属合金を使用することができる。また、母材をステンレス鋼またはチタン等の高融点金属または金属合金とし、さらにその表面をブラスト処理(ブラスト材料を、圧縮空気で母材に吹き付け、または回転翼で連続して投射し、表面の汚れの除去を行う表面処理技術)した後、アルミニウムまたはアルミニウム合金を用いて溶射処理(燃焼ガス、アーク、プラズマ等の熱源により溶融した金属、セラミック等を製品に吹き付けることにより被膜を作るコーティング技術)したコリメータ115を使用してもよい。
【0050】
さらに、コリメータ115の本体116は中央部から周辺部にかけて徐徐に薄くなっており、例えば凸レンズのように、本体116の上面および下面が外側に凸の形状面を上下対称に有している。これにより、多数個の制御孔117のアスペクト比(孔深さd/孔径w)がコリメータ115の中央部から周辺部にかけて連続的に小さくなっている。本体116の最も外側に位置する制御孔117のアスペクト比を1とすると、本体116の中央に位置する制御孔117のアスペクト比は、例えば1.05から1.5が適切な範囲と考えられる(他の条件によってはこの範囲に限定されないことはもとよりである)。また、量産に適した範囲としては1.15から1.35が考えられるが、さらに1.25を中心値とする周辺範囲が最も好適と考えられる。また、本体116の最も外側に位置する制御孔117のアスペクト比Apを、本体116の中央に位置する制御孔117のアスペクト比Acで割った値(Ap/Ac)は、例えば0.65から0.95が適切な範囲と考えられる(他の条件によってはこの範囲に限定されないことはもとよりである)。また、量産に適した範囲としては0.7から0.9が考えられるが、さらに0.8を中心値とする周辺範囲が最も好適と考えられる。
【0051】
コリメートスパッタリング法では、斜め成分のコバルト原子はコリメータの制御孔の内周面に衝突してトラップされ、垂直成分のコバルト原子のみウエハに到達するため、成膜速度はコリメータを用いないスパッタリング法に比べて遅くなり、その遅くなる割合は、コリメータに設けられた制御孔のアスペクト比に依存する。すなわち、コリメータに設けられた制御孔のアスペクト比が大きくなるに従い、成膜速度は遅くなる。従って、コリメータの中央部に設けられた制御孔のアスペクト比を、コリメータの周辺部に設けられた制御孔のアスペクト比よりも大きくすることにより、ウエハ面内におけるコバルト膜の成膜速度をほぼ均一にすることができる。すなわち、コリメータの周辺部に位置する制御孔のアスペクト比が中央部に位置する制御孔よりも小さいことにより、周辺部に位置する制御孔を通過するコバルト原子の量は中央部に位置する制御孔を通過するコバルト原子の量よりも多くなるので、ウエハ面内のコバルト膜の膜厚分布をウエハ全体にわたって均一に制御することができる。ウエハの周辺部で不足したコリメータの多数個の制御孔のアスペクト比は、コリメータにおいてウエハに被着されたコバルト膜のウエハ面内の膜厚不均一に対応して解消するように設定される。
【0052】
例えば、本体116の中央の厚さを12.5mm、制御孔117の孔径(対辺間の間隔)wを10mmとすると、孔深さdが12.5mmであるから、中央の接続孔117のアスペクト比Acは1.25(=12.5/10)となる。また、最も外側の接続孔117が形成される本体116の厚さを10mmとすると、孔深さdが10mmであるから、最も外側の接続孔117のアスペクト比Apは1(=10/10)となり、コリメータ115に設けられた多数個の制御孔117のアスペクト比は、コリメータ115の外側から中央にかけて1から1.25に連続して変化する。
【0053】
この種の形状のコリメータを両凸レンズ型コリメータという。これは上下左右がほぼ対称になっている(なお、このような対象形に限定されないのは言うまでもない)。このようにするのは、以下のような理由による。スパッタリングの繰り返しによって、コリメータのターゲット側面には、急速にコバルト膜が堆積する。このままでは、コリメータが変形するので、上下の体積膜のバランスをとるため、何度かのスパッタリング処理ごとに、コリメータを裏返して使用するためである。また、更にそのまま交互に上下反転してターゲットを使い続けると、開口の開口率(コリメータのウエハ面上への正射影において、その開口部の面積をウエハの上面の面積で割った値またはその百分率)が減少するので、堆積コバルト膜厚が0.2mm程度になったところで、コリメータの洗浄を行い、堆積コバルト膜を除去するのが望ましい。一般にコリメータを使用したスパッタリングすなわちコリメートスパッタリングでは、コリメータを介在させないスパッタリングすなわち非コリメートスパッタリングに比較して、堆積速度が1/6から1/8に低下する。従って、コバルトに通常要求される10nm/分以上の堆積速度(本実施例では約40nm/分)を達成するためには、開口の隔壁をほぼ垂直とするとともに、コリメータの開口率を80%以上(本実施例では約91%)にすることが望ましい。また、このような高開口率を達成するためには、単位開口の形状をほぼ正六角形とした六方最密格子配列(全体としての堆積の均一性を考慮すると、開口の形状を同一にして、サイズもほぼ同一にすることが望ましい)が望ましい(以上のことは、まったく同様にニッケルシリサイドについても当てはまる)。
【0054】
以下、本実施例に用いた部材の寸法の関係を説明する。ウエハの径は約200mm、ターゲットの径は約330mm、コリメータの開口(制御孔)全体の径は約315mm、ターゲット表面とコリメータの間の最小部分の距離は46mmである。なお、寸法はこれらの値に限定されないことは言うまでもない。制御孔すなわち個々の開口を区分する隔壁の厚さは平均ベースで1mm前後が望ましい。また、使用中の変形を考慮すると0.7mm以上が量産に適合している。中心付近の開口のアスペクト比(AC)で最周辺の開口のアスペクト比(AP)を割った値(またはその百分率)をアスペクト比変化率(MA)という。
【0055】
なお、アスペクト等が不均一なコリメータを用いたコリメートスパッタリング技術については、鈴木らの日本特願2002−336620号(2002年11月20日出願)に記載されている。これには対応PCT出願PCT/JP03/014792(国際出願日2003年11月20日)がある。
【0056】
次に、コバルト膜およびコバルトサリサイド層の形成工程を説明する。コバルト膜をスパッタリング法により形成する際のウエハ温度、アルゴンガス流量およびDCパワーの時間変化の一例を図6のプロセスシーケンス図に示す。プロセスシーケンス図における各パラメータの横軸の時間は共通である。
【0057】
まず、ウエハ1を洗浄し、その後、スパッタリング装置100のスパッタリング室101とは別の処理室においてウエハ1を、例えば200℃に加熱する。続いてウエハ1をスパッタリング装置100のスパッタリング室101内に搬入搬出口103から搬入して、静電チャック110の上面に受け渡す。この際、スパッタリング室101は所定の圧力に予め排気されている。続いて、静電チャック110をリフト109によって上昇させて、静電チャック110の上面に載置されたウエハ1を予め設定された高さに設置する。
【0058】
次に、スパッタリング室101が所定の圧力になるまで、放電ガスとしてのアルゴンガス105がスパッタリング室101にガス供給管106から供給される。アルゴンガス105の流量は、例えば15から150sccmである。この時、ウエハ1の温度も徐徐に上がり、所定の温度、例えば420℃に設定される。
【0059】
さらに、スパッタリング室101が所定の圧力となり、ウエハ1が所定の温度となると、直流電圧または高周波電圧がターゲット108とウエハ1との間に電源装置によってバッキングプレート107および静電チャック110を介して印加されると共に、マグネット板113が回転軸114によって回転される。直流電圧が印加された際のDCパワーは、例えば500から2000Wに設定され、アルゴンガスの流量は15から40sccmに設定される。また、アルゴン雰囲気の気圧は、例えば0.4から2Pa(この範囲に限定されるものではない)、ターゲット距離(動作時のターゲット108からウエハ1間での最短距離)は、例えば90mmである。
【0060】
これらの作動によってターゲット108の周囲に形成されるプラズマの励起に伴い、ターゲット108がアルゴンイオンによりスパッタリングされて、ターゲット108から被スパッタリング粒子としてコバルト粒子が叩き出される。ターゲット108から叩き出されたコバルト粒子はウエハ1の方向に飛翔し、コリメータ115の多数個の制御孔117を通過してウエハ1に被着する。これにより、図7に示すように、基板(ウエハ)1の主面(集積回路形成面)上にコバルト膜(第1の膜)13が堆積する。
【0061】
コバルト膜13の膜厚は、例えば3nmから20nmが適切な範囲と考えられる(他の条件によってはこの範囲に限定されないことはもとよりである)。また、量産に適した範囲としては5nmから15nmが考えられるが、さらに8.5nmを中心値とする7nmから10nmの周辺範囲が最も好適と考えられる。コバルト膜13の膜厚を3nmよりも薄くすると、シリサイド反応により形成されるコバルトシリサイド層の厚さが10.5nm程度と薄く、低抵抗化の効果が十分に得られない。またコバルト膜13の膜厚を20nmより厚くすると、シリサイド反応により形成されるコバルトシリサイド層の厚さが70nm程度となり、pn接合部の接合深さ、例えば50nmよりも深くなることによって、リーク電流が増加する場合がある。
【0062】
さらに、上記コバルト膜13は、300℃以上、好ましくは350℃以上、さらに好ましくは400℃以上の温度(且つ450℃未満の温度)で堆積する。本実施の形態では、ウエハ1の温度を420℃とした。なお、ここでいう温度とは、スパッタリング室101内のウエハ1の表面温度(集積回路形成側の主面)を意味している。
【0063】
図8に、コバルトシリサイド層を形成した多結晶シリコン膜のシート抵抗不良率とコバルト膜を堆積する際のウエハの表面温度との関係の一例を示す。全ての試料において、コバルトシリサイド層は同じ条件により形成され、多結晶シリコン膜には同じ濃度のn型不純物が添加されている。また、コバルト膜の膜厚は7、9および11nm、多結晶シリコン膜の幅は55nmである。
【0064】
ウエハの表面温度が高くなるに従い、シリサイド化された多結晶シリコン膜のシート抵抗不良率は低くなり、400℃以上ではほぼ20%以下となる。このように、コバルト膜を相対的に高い温度で形成すると、成膜しながらコバルトとソースドレイン領域のシリコン(多結晶シリコン)とが反応してコバルト膜とソースドレイン領域のシリコン(多結晶シリコン膜)との界面を平坦にすることができるので、その後のシリサイド反応により形成されるコバルトシリサイド層のシート抵抗の不良を低減することができる。また、コバルトと単結晶シリコンとの反応においても同様であり、コバルト膜を相対的に高い温度で形成すると、コバルト膜と単結晶シリコン(ウエハ)との界面を平坦にすることができて、コバルトシリサイド層のシート抵抗の不良を低減することができる。
【0065】
本実施の形態では、ウエハ1の保持および加熱には静電チャック110を用いる。静電チャック110は、ウエハ1との密着性が良いので、温度制御および温度分布特性が良い。ただし、静電チャック110を用いてもウエハ1の表面温度との間には30℃程度の温度差が生じ、例えばウエハ1の表面温度を420℃程度とするためには、静電チャック110の温度を450℃程度に設定する必要がある。なお、静電チャック110に限らず、他のタイプのチャック、例えばメカニカルクランプを用いてもよい。ただし、メカニカルクランプを用いても、静電チャック110と同様に、ウエハ1の表面温度との間には70〜80℃程度の温度差が生じ、例えばウエハ1の表面温度を420℃程度とするためには、メカニカルクランプの温度を490〜500℃程度に設定する必要がある。
【0066】
次に、前述したスパッタリング作動が停止されて、アルゴン雰囲気においてウエハ1の熱処理(ホールドアニール;第3の熱処理)が行われる。これにより、図9に示すように、基板1に形成されたソース、ドレイン(n+型半導体領域11、p+型半導体領域12)とコバルト膜13との界面、および多結晶シリコン膜からなるゲート電極7とコバルト膜13との界面にそれぞれダイコバルトシリサイド(Co2Si)層16aを形成する。
【0067】
この熱処理は、ソース、ドレイン(n+型半導体領域11、p+型半導体領域12)とコバルト膜13との界面およびゲート電極7とコバルト膜13との界面においてシリサイド反応が急速に進み、ダイコバルトシリサイド(Co2Si)層16aを主成分とするシリサイド層がコバルトモノシリサイド(CoSi)またはコバルトダイシリサイド(CoSi2)を主成分とするシリサイド層に全て変換されないような低い温度(第3の温度)、例えば300℃以上、450℃未満の温度範囲(ウエハ1の表面温度)で行うことが望ましい。本実施の形態では、ウエハ1の表面温度を、例えば420℃に維持した状態で、アルゴンガスの流量を15から40sccmとして、熱処理を行った。この熱処理は、スパッタリング室101から搬出した後に行ってもよく、また省略することもできる。
【0068】
ウエハ1上に所望の厚さのコバルト膜13が形成され、さらにホールドアニールが終わると、ウエハ1が自然冷却される。その後、リフト109が下降作動されて、静電チャック110に保持されたウエハ1が搬入搬出位置に戻される。続いて、成膜済みのウエハ1はスパッタリング室101から搬出される。その後、スパッタリング室101とは別の処理室で概ね50℃以下に冷却し、スパッタリング装置100から搬出する。
【0069】
図10(a)は、ダミーウエハ(実際の集積回路パターンが形成されていないウエハ)上に形成されたコバルト膜のウエハ面内における膜厚分布を示すウエハ面内の膜厚分布表であり、同図(b)は、そのウエハ上の測定位置を示す概略平面図である。図10(a)には、本実施の形態である多数個の制御孔のアスペクト比が外側から中央にかけて1から1.25に設定されたコリメータ(均一アスペクトコリメータ)を用いて形成されたコバルト膜のウエハ面内の膜厚分布と、本発明者らが検討した多数個の制御孔のアスペクト比が全体にわたって均一に設定されたコリメータ(均一アスペクトコリメータ)を用いて形成されたコバルト膜のウエハ面内の膜厚分布を示す。コバルト膜は、前述したスパッタリング装置100によって形成される。
【0070】
本発明者らが検討したコリメータでは、ウエハの中央部におけるコバルト膜の膜厚が周辺部よりも厚くなる傾向があり、ウエハ面内の膜厚分布の均一性が±3.1%となる。これに対し、本実施の形態によるコリメータでは、ウエハの中央部におけるコバルト膜の膜厚の増加傾向が解消されており、ウエハ面内の膜厚分布の均一性が±0.8%に改善される。
【0071】
図11(a)は、シリサイド反応により形成されたコバルトシリサイド層のウエハ面内における膜厚分布を示すウエハ面内膜厚分布表であり、同図(b)は、そのウエハ上の測定位置を示す概略平面図である。図11(a)には、本実施の形態である多数個の制御孔のアスペクト比が外側から中央にかけて1から1.25に設定されたコリメータ(上下対称凸レンズ型コリメータ)を用いてコバルト膜を形成し、これを用いてシリサイド反応により形成したコバルトシリサイド層のウエハ面内膜厚分布と、本発明者らが検討した多数個の制御孔のアスペクト比が全体にわたって均一に設定されたコリメータを用いてコバルト膜を形成し、これを用いてシリサイド反応により形成したコバルトシリサイド層のウエハ面内膜厚分布を示す。コバルト膜は、前述したスパッタリング装置100によって形成される。また、全ての試料において、同じ条件により多結晶シリコン膜上にコバルトシリサイド層が形成され、多結晶シリコン膜には同じ濃度のn型不純物またはp型不純物が添加されている。
【0072】
本発明者らが検討したコリメータでは、ウエハの中央部におけるコバルトシリサイド層の膜厚が周辺部よりも厚くなる傾向があり、ウエハ面内の膜厚分布の均一性が±6.11%となる。これに対し、本実施の形態によるコリメータ(上下対称凸レンズ型コリメータ)では、ウエハの中央部におけるコバルトシリサイド層の膜厚の増加傾向が解消されており、ウエハ面内の膜厚分布の均一性が±2.6%に改善される。図10および図11から、コバルト膜の膜厚が、そのままコバルトシリサイド層の厚さに反映していることがわかる。
【0073】
次に、図12に示すように、コバルト膜13の上に膜厚10〜20nm程度の窒化チタン(TiN)膜(第2の膜)14を堆積する。窒化チタン膜14は、コバルトシリサイド層を形成する過程においてコバルト膜13の表面が酸化されるのを防ぐ酸化バリア膜として使用される。酸化バリア膜としては、窒化チタン膜14以外にも、例えば窒化タングステン(WN)膜または窒化タンタル(TaN)膜のような窒化金属化合物膜を使用することもできる。上記窒化チタン膜14の堆積は、基板1とその表面に堆積されたコバルト膜13との間のシリサイド反応が急速に進まないような低い温度で行う。
【0074】
なお、図13に示すように、窒化チタン膜14の上に膜厚5〜10nm程度のチタン(Ti)膜(第3の膜)15を堆積してもよい。窒化チタン膜14は、熱処理により柱状結晶になることから、酸素を透過して酸化防止膜としての機能が十分でなく、コバルト膜13が若干酸化されることが推測される。そこで、窒化チタン膜14の表面にチタン膜15を成膜し、チタン膜15の酸素トラップ効果を用いることにより、コバルト膜13の酸化防止効果を向上させる。
【0075】
また、窒化チタン膜14(または窒化チタン膜14とチタン膜15との積層膜)を堆積しない場合もある。例えば枚葉式マルチチャンバスパッタリング装置を用いて、コバルト膜13の成膜および後述する熱処理を連続処理する場合は、ウエハ1を外気に触れさせることなく移動することができるので、耐酸化バリア膜として機能する窒化チタン膜14(または窒化チタン膜14とチタン膜15との積層膜)を必ずしも必要としない。
【0076】
次に、ウエハ1を非酸化性ガス雰囲気中において、熱処理(第1アニール;第1の熱処理)を行うことにより、図14に示すように、上記ダイコバルトシリサイド(Co2Si)層16aを主成分とするシリサイド層をコバルトモノシリサイド(CoSi)層16bに変換する。この熱処理は、ソース、ドレイン(n+型半導体領域11、p+型半導体領域12)とコバルト膜13との界面およびゲート電極7とコバルト膜13との界面においてシリサイド反応が急速に進み、コバルトモノシリサイド(CoSi)層を主な成分とするシリサイド層16bに変換され、かつ、コバルトダイシリサイド(CoSi2)を実質的に生成しないような温度(第1の温度)、具体的には、400℃以上、600℃未満の温度範囲(ウエハ1の表面温度)で行うことが望ましい。本実施の形態では、窒素ガス雰囲気としてウエハ1の表面温度を、例えば450℃に設定して、例えば90秒間のRTA(Rapid Thermal Anneal)方式の熱処理を行った。
【0077】
次に、図15に示すように、ウエハ1をアンモニア(NH3)と過酸化水素(H22)の混合液を使ったウエットエッチングにより窒化チタン膜14(または窒化チタン膜14とチタン膜15との積層膜)を除去し、続いて塩酸(HCl)と過酸化水素の混合液を使ったウエットエッチングにより未反応のコバルト膜13を除去する。コバルト膜13の上に窒化チタン膜14(または窒化チタン膜14とチタン膜15との積層膜)を堆積しない場合は、混酸(リン酸(H3PO4)、硝酸(HNO3)および酢酸(CH3COOH))と過酸化水素の混合液を使ったウエットエッチングにより未反応のコバルト膜13を除去する。
【0078】
次に、ウエハ1を非酸化性ガス雰囲気中において、熱処理(第2アニール;第2の熱処理)を行うことにより、図16に示すように、上記コバルトモノシリサイド(CoSi)層16bを主成分とするシリサイド層を、コバルトダイシリサイド(CoSi2)層16に変換する。この熱処理は、前記第1アニールよりも高い温度(第2の温度)、具体的には、600℃以上、850℃未満の温度範囲(ウエハ1の表面温度)で行うことが望ましい。本実施の形態では、窒素ガス雰囲気としてウエハ1の表面温度を、例えば745℃に設定し、例えば30秒間のRTA方式の熱処理を行った。なお、比較的低温でコバルトを堆積するシリサイド層の形成プロセスについては、一之瀬らの特願2002−361700号(2002年12月13日出願)に記載されている。これには対応米国出願第10/733377号(米国出願日2003年12月12日)がある。
【0079】
シリサイド反応により形成されたコバルトダイシリサイド層の厚さは、コバルト膜の膜厚の約3.5倍となる(Silicon VLSI Technology, James D. Plummer et. al, Department of Electrical Engineering Stanford University (Table11-5)参照)。コバルト膜13の厚さを10nmとした場合、コバルトダイシリサイド層16の厚さは約35nmとなる。本実施の形態では、ソース、ドレイン(n+型半導体領域11、p+型半導体領域12)のpn接合部の接合深さは、50〜300nm程度であり、コバルトシリサイド層16はpn接合部にまで到達しない。
【0080】
pn接合部におけるリーク電流の発生を防止するためには、コバルトダイシリサイド層16からpn接合部までを約10nm以上離す必要がある。前述したように、コバルト膜13の膜厚が不均一の場合は、コバルトダイシリサイド層16の厚さも不均一となる。このため、コバルト膜13が厚く形成された領域では、コバルトダイシリサイド層16が設計値よりも厚くなり、pn接合部に近づいてまたは接して、リーク電流を発生させる。しかし、本実施の形態では、コバルト膜13のウエハ面内の膜厚均一性が向上することから、ウエハ面内において均一な厚さのコバルトダイシリサイド層16が形成されるので、コバルトダイシリサイド層16からpn接合部までの距離を確保できて、pn接合部におけるリーク電流の発生を防止することができる。
【0081】
ここまでの工程により、基板1に形成されたソース、ドレイン(n+型半導体領域11、p+型半導体領域12)とコバルト膜13との界面、および多結晶シリコン膜からなるゲート電極7とコバルト膜13との界面に、コバルトダイシリサイド(CoSi2)層16を主成分とするシリサイド層が形成され、nMISQnおよびpMISQpが完成する。
【0082】
その後、図17に示すように、基板1上にCVD法により窒化シリコン膜17および酸化シリコン膜18を堆積し、続いてソース、ドレイン(n+型半導体領域11、p+型半導体領域12)のそれぞれの上部の酸化シリコン膜18および窒化シリコン膜17をドライエッチングしてコンタクトホール19を形成した後、コンタクトホール19の内部を含む酸化シリコン膜18上にタングステン(W)配線20を形成する。
【0083】
さらに、ドライエッチング法またはCMP法を用いて、コンタクトホールを充填する配線プラグとする。続いて、スパッタリング法によりチタン膜および窒化チタン膜を順次堆積し、さらに同じくスパッタリング法により、例えば300℃程度の温度で窒素などの不活性雰囲気中においてアルミニウム・銅(アルミニウムを主要な成分とするメタル配線材料)を成膜し、半導体素子間の配線金属膜としてアルミ合金膜を形成し、積層配線層を形成する。
【0084】
このように、本実施の形態によれば、コリメートスパッタリング法において、コリメータ115に設けられる多数個の制御孔117のアスペクト比をコリメータ115の周辺部から中央部にかけて連続的に大きくすることにより、コリメータ115の周辺部に位置する制御孔117を通過するコバルト原子の量を中央部に位置する制御孔117を通過するコバルト原子よりも多く制御することができるので、ウエハ面内のコバルト膜13の膜厚分布を全体にわたって均一にすることができる。これにより、コバルトダイシリサイド層16が必要以上に厚く形成されることにより発生するpn接合部のリーク電流を低減することができる。
【0085】
さらに、上記不均等アスペクト比のコリメートスパッタリング法において、300℃以上の温度範囲でウエハ1上にコバルト膜13を形成して、成膜すると同時にコバルト膜13と基板1との界面およびコバルト膜13とゲート電極7との界面を平坦化することにより、シリサイド反応により形成されるコバルトダイシリサイド層16のウエハ面内の厚さをより均一にすることができて、pn接合部のリーク電流の増加を防ぐことができる。
【0086】
さらに、上記コリメートスパッタリング法により成膜したコバルト膜13の上に窒化チタン膜14または窒化チタン膜14とチタン膜15との積層膜を形成することにより、その後の熱処理においてコバルト膜13の酸化を防ぐことができて、シリサイド反応により低抵抗のコバルトダイシリサイド層16を形成することができる。
【0087】
さらに、上記コリメートスパッタリング法において、コバルト膜13の膜厚を3nmから20nmの範囲とすることにより、シリサイド反応により形成されるコバルトダイシリサイド層16による低抵抗化の効果が得られ、またコバルトダイシリサイド層16の厚さをpn接合部よりも浅くできて、リーク電流の増加を防ぐことができる。
【0088】
なお、本実施の形態では、コリメータ115の形状を中央で厚く、中央部から周辺部にかけて徐徐に薄くなる形状とし、多数個の制御孔117のアスペクト比をコリメータ115の中央部から周辺部にかけて連続的に小さくすることにより、ウエハ1上に成膜されるコバルト膜13のウエハ面内の膜厚分布を均一に制御したが、ウエハ1上に成膜されるコバルト膜13のウエハ面内の膜厚分布の傾向に対応して、アスペクト比を設定してもよい。
【0089】
例えばウエハ面内のコバルト膜13の膜厚分布がウエハ1の周辺部において厚く、ウエハ1の中央部において薄くなる傾向で不均一になる場合は、コリメータ115の形状を中央で薄く、中央部から周辺部にかけて徐徐に厚くして、例えば凹レンズのように、本体116の上面および下面が外側に凹の形状面を上下対称とする(上下対称凹レンズ型コリメータ)。これにより、多数個の制御孔117のアスペクト比がコリメータ115の中央部から周辺部にかけて連続的に大きくなり、ウエハ1上に成膜されるコバルト膜13のウエハ面内の膜厚分布を均一に制御することができる。
【0090】
図18に、本実施の形態であるレンズ型コリメータおよび本発明者らが検討した各種コリメータの断面図を示す。
【0091】
図18(c)に示す本発明者らが検討した均一アスペクトコリメータ130は、ほぼ均一な厚さを有しており、アスペクト比が、例えば1の多数個の制御孔131を備えている。これに対し、本実施の形態であるコリメータ115は、同図(a)に示すように、中央で厚く、中央部から周辺部にかけて徐徐に薄くなることで、アスペクト比が、例えば外側から中央にかけて1から1.25に連続して変化する多数個の制御孔117を備えている。また、本実施の形態であるコリメータ120は、中央で薄く、中央部から周辺部にかけて徐徐に厚くなることで、アスペクト比が、例えば外側から中央にかけて1.25から1に連続して変化する多数個の制御孔121を備えている。
【0092】
さらに、多数個の制御孔117のアスペクト比をコリメータ115の中央部から周辺部にかけて連続的に小さくまたは大きくせず、ウエハ1上に必要なコバルト膜13の膜厚に合わせて調整し、一部領域のアスペクト比を小さくまたは大きくする、あるいは一部の領域からその周辺にかけて連続的に小さくまたは大きくしてもよい。
【0093】
例えばスパッタリングではターゲット108の表面が不均一に削れるため、スパッタリングを続けるに従い、コバルト膜13のウエハ面内の膜厚分布または成膜速度が徐徐に変動する。そこでターゲット108の削れ状態に合わせてアスペクト比が調整された多数個の制御孔117を有する複数のコリメータ115を用意し、ターゲット108の削れ状態に合わせてコリメータ115を交換してスパッタリングを行ってもよい。これにより、ターゲット108の削れによって生ずるコバルト膜13のウエハ面内の膜厚分布または成膜速度の変動を抑制することができる。
【0094】
例えば熱処理(例えば第1アニール)の温度分布に合わせてアスペクト比が調整された多数個の制御孔117を有するコリメータ115を用いてもよい(すなわち、第1アニール時のウエハ内温度分布を相殺するようなコバルト堆積分布を与えるような不均一アスペクト比のコリメータを用いる)。ウエハ1上に成膜されるコバルト膜13のウエハ面内の膜厚は不均一となるが、シリサイド反応により形成されるコバルトダイシリサイド層16の厚さを均一にすることができる。
【0095】
また、本実施の形態では、シリサイド層の形成にはコバルト膜13を用いたが、これに限定されるものではなく、例えばニッケル(Ni)膜またはコバルトニッケル(CoNi)合金膜を用いてもよい。ニッケル膜は、シリサイド反応によりニッケルモノシリサイド(NiSi)層となり、ニッケルダイシリサイド層の厚さは、ニッケル膜の膜厚の約2.3倍となる。コバルトニッケル膜は、シリサイド反応によりコバルトダイシリサイド(CoSi2)層となる。コバルトニッケル膜は、例えばCo含有量98%、Ni含有量2%を用いることができるが、コバルトダイシリサイド層中に僅かにニッケルが不純物として含まれる。ニッケル添加技術については、島津等のPCT国際公開明細書WO00/17939(国際公開日2000年3月30日)がある。
【0096】
また、本実施の形態では、第1アニールおよび第2アニールをスパッタリング装置100以外のRTA装置などを使って行ったが、例えば枚葉式マルチチャンバスパッタリング装置を用いて、連続処理してもよい。この装置では各チャンバ間を、ウエハ1を外気に触れさせることなく移動することができるので、耐酸化バリア膜(窒化チタン膜14または窒化チタン膜14とチタン膜15との積層膜)は必須ではない。一般に、処理温度の異なる処理は、別の装置または同一装置の別のチャンバで行う方が、スループットが高くなるとされている。逆に、同一装置の同一のチャンバで処理する場合は、少ない装置で、多くのウエハを処理できるメリットがある。
【0097】
また、本実施の形態では、DCマグネトロンスパッタリング装置を例示したが、これに限らず、他のコリメーションスパッタリング装置を用いてもよい。
【0098】
また、マグネトロンスパッタリング装置のマグネットの制御を工夫して(磁場変化制御)堆積膜分布が均一になるようにする技術を用いてもよい。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0100】
例えば、本実施の形態では、CMOS型集積回路の製造方法に適用した場合について説明したが、サリサイドプロセスにより形成されるシリサイド層を有するいかなる半導体集積回路装置の製造方法に適用することができる。さらに、プリント配線基板に成膜する場合、液晶表示装置の製造方法において液晶パネルに成膜する場合または磁気ディスクやコンパクトディスクに成膜する場合等の成膜技術全般に適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0101】
本発明の半導体集積回路装置の製造方法は、スパッタリングによって形成した金属膜を用いてシリサイド層を形成するサリサイドプロセスに適用して好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図2】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図4】本発明の一実施の形態であるコバルト膜の形成に用いるスパッタリング装置の概略断面図である。
【図5】本発明の一実施の形態であるスパッタリング装置に使用されるコリメータを示し、(a)は、概略平面図、(b)は、同図(a)のa−a′線における概略断面図である。
【図6】本発明の一実施の形態であるコバルト膜をスパッタリング法により形成する際のウエハ温度、アルゴンガス流量およびDCパワーの時間変化の一例を示すプロセスシーケンス図である。
【図7】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図8】コバルトシリサイド層を形成した多結晶シリコン膜のシート抵抗不良率とコバルト膜を堆積する際のウエハの表面温度との関係を示す図である。
【図9】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図10】(a)は、ダミーウエハ上に形成されたコバルト膜のウエハ面内における膜厚分布を示すウエハ面内の膜厚分布表、(b)は、そのウエハ上の測定位置を示す概略平面図である。
【図11】(a)は、シリサイド反応により形成されたコバルトシリサイド層のウエハ面内における膜厚分布を示すウエハ面内の膜厚分布表、(b)は、そのウエハ上の測定位置を示す概略平面図である。
【図12】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図13】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の他の例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図14】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図15】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図16】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図17】本発明の一実施の形態である半導体集積回路装置の製造方法の一例を示す半導体基板の要部断面図である。
【図18】(a)および(b)は、本発明の一実施の形態であるコリメータの断面図、(c)は、本発明者らが検討したコリメータの断面図である。
【符号の説明】
【0103】
1 半導体基板(半導体ウエハ)
2 素子分離溝
3 酸化シリコン膜
4 p型ウェル
5 n型ウェル
6 ゲート酸化膜
7 ゲート電極
8 n-型半導体領域
9 p-型半導体領域
10 サイドウォール
11 n+型半導体領域(ソース、ドレイン)
12 p+型半導体領域(ソース、ドレイン)
13 コバルト膜
14 窒化チタン膜
15 チタン膜
16a ダイコバルトシリサイド層
16b コバルトモノシリサイド層
16 コバルトダイシリサイド層
17 窒化シリコン膜
18 酸化シリコン膜
19 コンタクトホール
20 タングステン配線
100 スパッタリング装置
101 スパッタリング室
102 真空容器
103 搬入搬出口
104 ゲートバルブ
105 アルゴンガス
106 ガス供給管
107 バッキングプレート
108 ターゲット
109 リフト
110 静電チャック
111 下側シールド
112 上側シールド
113 マグネット板
114 回転軸
115 コリメータ
116 本体
117 制御孔
120 コリメータ
121 制御孔
130 コリメータ
131 制御孔
Qn nチャネル型MIS・FET
Qp pチャネル型MIS・FET

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1主面に素子分離領域を形成することによって、それによって囲まれたシリコン能動領域を区画する工程;
(b)前記シリコン能動領域上にゲート絶縁膜を介して、両側にサイドウォールスペーサを有するゲート電極を形成することにより、ソース・ドレイン領域を区画する工程;
(c)不均一なアスペクト比の多数個の開口を有する機械的なコリメータを前記ウエハとコバルトターゲット間に介在させたコリメートスパッタリングによって、前記ウエハの前記第1主面の前記素子分離領域、前記ソース・ドレイン領域のシリコン表面、前記ゲート電極の前記サイドウォールスペーサ、および前記ゲート電極の上面を構成するポリシリコン表面上に、前記ウエハの前記第1主面の温度を、前記シリコン表面および前記ポリシリコン表面においてダイコバルトシリサイド(Co2Si)を主要な成分とする第1のシリサイド膜が形成され、実質的にコバルトモノシリサイド(CoSi)を主要な成分とするシリサイド膜が形成されない第1の温度範囲内に制御した状態で、コバルト膜を形成する工程;
(d)第1の熱処理により、前記第1のシリサイド膜を、コバルトモノシリサイドを主要な成分とする第2のシリサイド膜に転換させる工程;
(e)前記工程(d)の後、前記コバルト膜の未反応部分を除去する工程;
(f)前記工程(e)の後、第2の熱処理により、前記第2のシリサイド膜を、コバルトダイシリサイド(CoSi2)を主要な成分とする第3のシリサイド膜に転換させる工程。
【請求項2】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏300度以上、450度未満である。
【請求項3】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏350度以上、450度未満である。
【請求項4】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏400度以上、450度未満である。
【請求項5】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏300度以上、400度未満である。
【請求項6】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータはほぼ回転対称であり、且つ、前記回転対象の軸に垂直な対称面に対して上下にほぼ面対称である。
【請求項7】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の開口は、ほぼ同一の開口面積を有する正六角形であり、ほぼ六方最密格子を形成するように配列されている。
【請求項8】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は98%未満、50%以上である。
【請求項9】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの前記多数個の開口の隔壁は、前記ウエハの中心と前記コバルトターゲットの中心を結ぶ直線に、ほぼ平行である。
【請求項10】
請求項1記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの前記ウエハと対抗する部分の開口率は、85%以上である。
【請求項11】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)ウエハの第1主面に素子分離領域を形成することによって、それによって囲まれたシリコン能動領域を区画する工程;
(b)前記シリコン能動領域上にゲート絶縁膜を介して、両側にサイドウォールスペーサを有するゲート電極を形成することにより、ソース・ドレイン領域を区画する工程;
(c)不均一なアスペクト比の多数個の開口を有する機械的なコリメータを前記ウエハとコバルトターゲット間に介在させたコリメートスパッタリングによって、前記ウエハの前記第1主面の前記素子分離領域、前記ソース・ドレイン領域のシリコン表面、前記ゲート電極の前記サイドウォールスペーサ、および前記ゲート電極の上面を構成するポリシリコン表面上に、前記ウエハの前記第1主面の温度を、摂氏300度以上、450度未満の第1の温度範囲内に制御した状態で、コバルト膜を形成する工程;
(d)前記工程(c)の後、前記ウエハの前記第1主面の温度を、摂氏400度以上、600度未満の第2の温度範囲内に制御した状態で、第1の熱処理を施す工程;
(e)前記工程(d)の後、前記コバルト膜の未反応部分を除去する工程;
(f)前記工程(e)の後、前記ウエハの前記第1主面の温度を、摂氏600度以上、850度未満の第3の温度範囲内に制御した状態で、第2の熱処理を施す工程。
【請求項12】
請求項11記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏350度以上、450度未満である。
【請求項13】
請求項11記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏400度以上、450度未満である。
【請求項14】
請求項11記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記第1の温度範囲は摂氏300度以上、400度未満である。
【請求項15】
請求項11記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータはほぼ回転対称であり、且つ、前記回転対象の軸に垂直な対称面に対して上下にほぼ面対称である。
【請求項16】
請求項11記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記多数個の開口は、ほぼ同一の開口面積を有する正六角形であり、ほぼ六方最密格子を形成するように配列されている。
【請求項17】
請求項11記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータのアスペクト比変化率は98%未満、50%以上である。
【請求項18】
請求項11記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの前記多数個の開口の隔壁は、前記ウエハの中心と前記コバルトターゲットの中心を結ぶ直線に、ほぼ平行である。
【請求項19】
請求項11記載の半導体集積回路装置の製造方法において、前記コリメータの前記ウエハと対抗する部分の開口率は、85%以上である。
【請求項20】
以下の工程を含む半導体集積回路装置の製造方法:
(a)不均一なアスペクト比の多数個の開口を有する機械的なコリメータであって、その母材がアルミニウム以外を主要な成分とし、表面にアルミニウムを主要な成分とするコーティング層を有するものをウエハとコバルトまたはニッケルを主要な成分とするターゲット間に介在させたコリメートスパッタリングによって、前記ウエハの第1主面の素子分離領域、およびソース・ドレイン領域のシリコン表面上に、コバルトまたはニッケルを主要な成分とするメタル膜を形成する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−273490(P2007−273490A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−100408(P2004−100408)
【出願日】平成16年3月30日(2004.3.30)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】