説明

ナノ構造体に基づく相互接続および熱の散逸体

本発明は、導電または絶縁基板上に成長されるナノ構造体およびそれを作る方法を提供する。請求項の方法によって成長されるナノ構造体は、電子装置における相互接続および/または熱の散逸体に適切である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の主張)
この出願は、2005年8月26日付けのスウェーデンへの仮出願第0501888−2号、2006年2月10日付けの米国仮出願第60/772,449号および2006年4月25日付けの米国仮出願第11/412,060号の優先権の特典を主張するものであり、それらの出願全ては、援用することによってその全体が本件に取り入れられる。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、広くはナノ構造体およびその成長方法に関する。より詳しくは、本発明はカーボンナノファイバーのようなナノ構造体の成長を制御する方法であって、それによって、そのようなナノ構造体を相互接続および熱の散逸媒体として用いる半導体装置の製造が可能となる方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(背景)
伝統的なCMOSデバイスは、絶え間ない縮小化の努力によって、デバイスの特性が量子現象によって左右されるという限界にまで達しており、そのような事象においては、完全な制御を達成するのが不可能である。このために、現存するCMOSデバイスと少なくとも同等であるか、より良い性能を有するデバイスを、より良く制御して作製する代替の新しい材料を見出すことが必要となっている。
【0004】
CMOSデバイスの縮小化はこれまでのところ、30ヶ月毎に電子構成部品のサイズが半分に縮むというムーアの法則としばしば呼ばれる傾向によって左右されている。国際半導体技術指針(ITRS)は、このモデルによる成長曲線を予測している。そのような発達の速度に付随して、スピードの要求、高い集積度、高性能および低い生産費は非常に厳しいものとなっている。その結果、デバイスを作るのに用いられる伝統的な材料の物理的および電気的特性と関係する問題が悪化してきている。したがって、近い将来にシリコン技術の進展を根本的に阻害する問題に対する代案を求める必要性が生じている。これが意味するのは、革新的な材料とプロセスによる解決策を案出することが、予測された成長速度を維持するのに決定的なものとなっている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ITRSが強調しているのは、高機能マイクロプロセッサー(MP)とダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)の双方について、チップの高速送信が必要であることが、将来的な相互接続の開発をする原動力となっている。最先端のマイクロプロセッサーは、ほとんどが、二次元層のシリコンをベースとする構成要素を、9層にのぼる金属相互接続で相互に接続して作られている(例えば、A.P.グラハム、G.S.デュエスバーグ、R.セイデイ、M.リエボー、E.アンガー、F.クロープル、W.ホンレインによるDiamond and Related Materials(2004年)、13、(4‐8)、1296を参照)。したがって、相互接続技術は、半導体技術において重大な役割を果たし、特に強調するに値する。
【0006】
しかしながら、新しい材料の選択は、現存する生産方法との互換性、製造の再現性およびコスト等の要因によって制限されている。一般に、相互接続技術の課題は、材料の要件と加工の困難性から生じる(L.ジュン、Y.クィ、A.カッセル、N.ホーティー、R.スティーブンズ、H.ジー、M.メイヤッパンによるApplied Physics Letters 82、(15)、2491、(2003年))。半導体技術で用いられる現存の材料が直面している問題には以下のものがある。
【0007】
現在、デバイス性能は、ゲート酸化物(非常に薄い)を通しての高い漏れ電流によって劣化している。これが次は、オフ状態での漏れ電流を増大させ、そしてそれによって電力消費が増大し、それが引いては電池の寿命を短縮し得る。
【0008】
Cu相互接続は性能が貧弱である。抵抗率が低いために、種々の構成要素を相互に接続し、および外部のデバイスや回路に接続するのに銅が用いられている。構成要素のサイズが劇的に低減されているため、今や、銅材料に基づいた相互接続は、電流輸送性能および配線の寿命の点から貧弱な性能しか示しておらず、また作製するのがより困難で費用がかかるものとなっている。とりわけ、エレクトロマイグレーションとして知られている現象により、電流密度が高い(10A/cm以上)ナノメーターサイズの銅相互接続の信頼性が脅かされている。これは懸念事項である。それは2013年までに相互接続がそのような電流密度を取り扱うことが要件となるからである(例えば、L.ジュンらによるApplied Physics Letters 82、(15)、2491、(2003年);ITRS半導体ロードマップ(2003年)を参照)。エレクトロマイグレーションによって、配線の破損につながる内外部の空洞が生じる。さらには、界面が粗いことや粒子のサイズが小さいことによって、大きさが減少すると金属の電気抵抗率が増大する(L.ジュンらによるApplied Physics Letters 82、(15)、2491、(2003年))。そのような、サイズによって引き起こされる金属相互接続の影響を避けるのは難しい。これらの要因の全てによって、引いてはプロセッサーの寿命が低減する。回路内のデバイスを回路外のデバイスと効率的に接続する相互連結について、今後数年間のうちに予測される電流密度の要求をそれまでに満たす解決策は現在のところ存在していない。
【0009】
高アスペクト比構造に対する要求が高まっている。今日、DRAMの積層型キャパシタにおいて相互連結のためのコンタクトホールのアスペクト比は、12:1に達しており、2016年までに23:1に増大すると予測されている(ITRS半導体ロードマップ(2003年))。真っ直ぐな壁でそのような高アスペクト比コンタクトを作るには、特に、そのような高アスペクト比特性の、ボイドの無い金属の詰め物(ビアとしても知られている)は極端に困難であるため、技術的に大きな課題がもたらされる。
【0010】
現代のマイクロプロセッサーは、過度な量の熱を生成する。コンピュータプロセッサーのトランジスタの総数およびクロック周波数が増大するにつれ、熱の散逸が着実に増えている(例えば、S.トンプソンらによる「50nm応力残留シリコンチャンネルトランジスタ、7層のCu相互接続、低kILDおよび1μm2SRAMセルを特徴とする90nm論理回路技術」電気電子学会、米国カリフォルニア州サンフランシスコ、2002年61頁を参照)。とりわけ、例えば、現在および将来のデバイスに求められるサイズの銅相互連結は、非常に多くの熱を生成するので、その電気抵抗も増大し、それによって電流を輸送する能力が低減することとなる。デバイスやシステムの製造者たちは、これまでのところその熱を何とか通過させているが、マイクロプロセッサーがより速くより小さくなるにつれ、その作業はより困難で課題の多いものとなっている。そのようなシステムを冷却する実際の解決策で、プロセッサーの電力の割当量を最終的に超えないものは、まだ見出されていない。
【0011】
要するに、これらの全ての理由により、代替の材料および処理技術を探すことが必要となっている。
【0012】
カーボンナノチューブ(CNT)およびカーボンナノファイバー(CNF)を含むカーボンナノ構造体は、ナノエレクトロニクス、ナノ電気機械システム(NEMS)、センサー、コンタクト電極、ナノフォトニクスおよびナノバイオテクノロジーにおいて将来の開発が最も期待されるものの一つ、と考えられている。これは主として、それらの一次元的な性質およびユニークな電気的、光学的および機械的な特性によるものである。主要な化学的性質が、特定の性質を生み出すために特定の機能性を付与することに基づいているC60やC70のようなフラーレンとは対照的に、CNTは、異なる直径、ピッチおよび長さのチューブを設計し製造することで、ほとんど制限の無いバリエーションが得られる。更には、フラーレンには、特定の化学的性質を備える多様な関連の無い分子が作られる可能性があるのに対し、カーボンナノチューブおよびカーボンナノファイバーには、優れた電気および熱の伝導性および強度を有する分子規模の構成部品が作られる可能性がある。(例えば、「ナノエレクトロニクスおよび情報技術」、R.ウェイザー(編集)、ワイリーVCH、2003年、19章を参照。)
【0013】
カーボンナノチューブとカーボンナノファイバーは、少なくともそれらの電気および熱特性およびそれらの強度のために、双方とも能動デバイスおよび相互接続技術用に考えられている。例えば、カーボンナノチューブの高電子移動度(79,000cm/Vs)は、最新のMOSFETデバイスのそれ(例えば、T.ダーコップらによるNanoletters、4(1)、35(2004年)を参照)を凌いでいる。更には、銅相互接続(〜10A/cm)と比較して、カーボンナノチューブの極度に高い電流輸送能力(1010A/cm)(例えば、B.Q.ウェイらによるApplied Physics Letters 79(8)、1172(2001年)を参照)が意味するのは、カーボンナノ構造体が、ITRSにおいて予測された相互接続の深刻な問題の解決策を潜在的に有しているということである。加えて、銅は約10A/cmで焼き切れるが、ナノチューブおよびナノファイバーは10A/cmまで伝達できる。高い密度で詰め込まれたナノ構造体の束はまた、銅よりも実質的に抵抗が低い。
【0014】
更には、ナノチューブ/ナノファイバーの異方的な熱伝導性(6,000W/Km)(例えば、W.ホエンリエンらによるIEEE Trans.Compon.and Packaging Tech.24(4)、629、(2004年)を参照)もまた、半導体デバイスにおいて大きくなりつつある熱の散逸の問題を解決するのに非常に有望である。
【0015】
CNT/CNFビアや相互接続に対して付加される価値は、大きなアスペクト比をもってナノメーターの大きさの規模で実現可能であるということである。クロープルらは、同じ大きさのCNTと金の配線との間で抵抗についての比較分析を行い、サイズ効果を考慮して、CNFは、通常の金属化の図式と直ちに競うことができ、何桁も低い抵抗を達成する可能性を提供できることを示した(例えば、F.クロープル、A.P.グラハム、G.S.デューズバーグ、W.スタインホグル、A.リーボー、E.アンガー、W.ホンレインによるMicroelectronic Engineering、(2002年)、64、(1‐4)、399を参照)。ナエエミらにより、相互接続としてCNTについて行われた最近の論理研究によって、45nmノード(2010年のことであると予測された)での性能の向上は、今日の銅相互接続に比べて無視できる程度のものであるが、22nmのノード(2016年のことであると予測された)では、ナノチューブの相互接続は銅配線より最大80%速いということが明らかになった。その場合、量子配線に存在する状態密度が低いので、単一のCNTよりもCNTの束が好ましいが、単位長あたり大きな運動インダクタンスが誘発され、そしてそれによって、波伝播が遅くなってしまう。それゆえ、CNFは恐らくはより良い相互接続材料となり得るがそれは、構造上の構成によって恐らくCNTよりも高い状態密度を有するからである。電流が流れる間の安定性について、ウェイらによると、10A/cmを超える電流密度で350時間経過した後でもMWCNTに劣化が観察されなかった(B.Q.ウェイ、R.ヴァジタイ、P.M.アジャヤンによるApplied Physics Letters、(2001年)、79、(8)、1172)。
【0016】
一般に、現存する相補型金属酸化物半導体(CMOS)製造技術と互換性のある電子デバイスを作成することが非常に望ましい。工業的プロセスでCNTを調査するための必須条件は、高い再現性でデバイスの大量生産を制御できるということである。純度が高く、収率が高いので、化学的気相成長法(CVD)が、ナノチューブを正確な位置に、その長さ、直径、形および配向を制御して成長する可能性もあって、評判が良く、利点のある成長法である。
【0017】
したがって、多くのエレクトロニクス、ナノ電気機械システムおよび相互連結アプリケーションについて、カーボンナノ構造を現存するCMOSをベースとする電子産業製造プロセスに一体化する可能性が、革新的な技術ブレークスルーとして期待されている。しかしながら、CMOSに適合するデバイス作製プロセスに固有の多くの技術的なかつ材料の問題があって、そのような一体化が起こり得る以前にそれらに取り組んでおく必要がある。これらの問題に対する解決策が、これまで長く待ち望まれている。
【0018】
例えば、ナノ構造体の成長に関する問題がある。カーボンをベースとするナノ構造体を製造するために数多くの技術が開発され、示されているが、大量生産と現存する産業製造工程への一体化に関して全てに欠点がある。著しい欠点は、(a)半導体のあるいは金属の特性を持つかを予測可能な形態の制御、(b)個々の構造体を成長する正確な位置設定および(c)成長させるナノ構造体と基板との間の界面での予測可能な電気特性である。前述の欠点を全て解決する単一の解決策は知られていない。カーボンナノ構造を合成する最も有名な技術には、アーク放電(例えば、S.イイジマによるNature、354、56、(1991年)およびW.クラッチマー、L.D.ラム、K.ホスティロポラス、D.R.ハフマンによるNature、347、354、(1990年)を参照)、レーザー蒸発(例えば、H.W.クロト、J.R.ヒース、S.C.オブライエン、R.F.カール、R.E.スマリーによるNature、318、162、(1985年)を参照)、触媒化学気相成長法(CCVD)(A.M.カッセル、J.A.レイメイカーズ、K.ジン、D.ホンジー、によるJ.Phys.Chem.B、103、(31)、(1999年))および触媒プラズマ促進化学気相成長法(C−PECVD)(A.M.カッセル、Y.クィ、B.A.クルーデン、L.ジュン、P.C.サラージン、N.ホゥティー、H.ジー、M.メイヤッパンによるNanotechnology、15(1)、9、(2004年)およびM.メイヤッパン、L.デルツァイト、A.カッセル、D.ハッシュによるPlasma Sources,Sience and Technology、12(2)、205、(2003年))。純度が高く、収率が高いために、化学気相成長法(CVD)は評判が高く、利点の多い成長法であり、実際、周知の成長技術全ての中でCMOSとの互換性はCCVD法についてのみ示されている。(ツェンら(Y.C.ツェン、P.ズァン、A.ジャビー、R.マロイ、Q.ワン、J.ボーカー、H.ダイらによるNano Letters、4(1)123−127、(2004年)ここでナノチューブデバイスがモノリシックとnチャンネル半導体(NMOS)回路において一体化されている)を参照)。
【0019】
成長する材料の特性の制御に関して、特殊な問題が生じる。カーボンナノ構造体を成長するのに数多くの異なる成長方法が存在するけれども、ナノ構造体と基板との間の界面特性を制御すること、ナノ構造体の本体およびナノ構造体の先端は、単一の成長方法を用いて制御されることがまだ示されていない。
【0020】
CVDは、典型的には、金属触媒を用いてカーボンナノ構造体の成長を容易にしている。触媒の主な役割は、カーボンが担持する種の結合を解き、カーボンをその表面に吸収し、界面を通してまたはその周りでカーボンの分散を経て黒鉛の平面を改善するというものである。(例えば、M.S.キム;N.M.ロドリゲス;R.T.K.ベイカーによるJournal of Catalysis,131、(1)、60(1991)およびA.V.メレチコ;V.I.メルクロフ;T.E.マクナイト;M.A.ギローン;K.L.クライン;D.H.ローンデス;M.L.シンプソンによるJ.App.Phys.、97(4)、41301、(2005)を参照)。
【0021】
ナノチューブの成長は、通常、シリコンかその他の半導体基板上で行われる。CMOSに適合する導電金属基板または金属下層上の金属触媒からの成長は、ほとんど技術がなく、少なくとも、異なる金属には異なる条件が必要であるため、自明とは程遠いことが判明している。これは、成長するナノ構造体と導電基板との間を良好に接触させて、良質のナノ構造体を成長させるのが困難であることが見出されているからである。結果として得られるナノ構造体の直径、長さおよび形態を制御して、ナノ構造体と基板との間の界面の特性を予測可能とすることが困難であることもまた判明している。それにも関わらず、CMOSに適合する構造体を作るためには、導電基板を用いる必要がある。これは、とりわけ、金属基板またはベース層が、ナノ構造体に電気的に接続する下部電極として働くからである。
【0022】
金属下層と触媒層との間にシリコンのバッファ層を備えてその金属下層上にカーボンナノチューブのアレイを生成する方法が、リウらによる米国特許出願第2004/0101468号に記述されている。リウによるとバッファ層は、触媒が基板に拡散するのを防ぎ、また金属下層がカーボン源ガスと反応してカーボンナノ構造体ではなく、望ましくないアモルファスカーボンを形成するのを防ぐ。リウにおいては、ナノ構造体を形成するに先立って、基板を空気中で300℃乃至400℃で10時間アニールして触媒層の酸化を介して触媒粒子を形成することが、不都合にもプロセスに含まれている。触媒粒子の各々がナノ構造体の成長を促進するシードとして働く。しかしながら、リウの方法では、ナノ構造体の構成または特性の制御が許されておらず、生成されるナノチューブは曲がっていて、組織が乱れている。
【0023】
したがって、ナノ構造体の様々な特性が制御できるように、かつカーボンナノ構造体に基づく相互接続と熱の散逸体が信頼性を持って作製できるように、金属基板上にカーボンナノ構造体を製造する方法が必要である。
【0024】
この発明の背景の説明は、発明の内容の説明に含まれている。これは、参照した資料のいずれもが、請求項のいずれかの優先日に、印刷されていたか、知られていたか、広く一般に知られていたものの一部であったということを承認するものと取られるべきではない。
【0025】
明細書の記載および請求項を通して、「備える」という語および「備えている」のようなその変形は、他の添加物、構成要素、成分またはステップを除外することを意図していない。
【課題を解決するための手段】
【0026】
(発明の概要)
導電基板と、該導電基板によって支えられるナノ構造体と、該導電基板と該ナノ構造体との間の複数の中間層であって、該ナノ構造体の形態に影響する少なくとも一つの層と、該導電基板と該ナノ構造体との間の界面の電気特性に影響する少なくとも一つの層とを含む該複数の中間層とを備えるナノ構造体組み立て体である。
【0027】
形態を制御するための少なくとも一つの層と、ナノ構造体とベース層との間の電気的な界面を制御するための少なくとも一つの層とを有する触媒と基板との間の多層界面である。その多層界面においては、好ましくは、少なくとも一つの層は、シリコンまたはゲルマニウムのような半導体材料のものである。
【0028】
金属が、ナノ構造体と基板との間の半導体層と相互拡散する、金属基板上に支えられるナノ構造体である。
【0029】
本発明はまた、ナノ構造体を成長する触媒層を前もってアニーリングすることなく、高温でナノ構造体を形成することも意図している。使用される温度は、好ましくは、750℃未満である。
【0030】
本発明はまた、個々のファイバーを作製する「リフトオフ」法もまた意図し、重合体層のリフトオフは、個別の層を提供する。
【0031】
本発明によって形成されるナノ構造体は、相互接続、電流を運ぶ導電体、異方性熱伝播媒介として用いられ、ダイオード、トランジスタ、キャパシタ、インダクタ、電界放出デバイス、光デバイス、X線放出デバイス、センサー電気化学プローブ等の構成要素に一体化できる。
【0032】
ナノ構造体組み立て体の前駆体であって、導電基板と、触媒層と、その導電基板と触媒層との間の複数の中間層とを含み、その複数の中間層には、触媒層上に形成されるナノ構造体の形態に影響を及ぼす少なくとも一つの層と、支持層とナノ構造体との間の界面の電気的特性に影響を及ぼす少なくとも一つの層とが含まれている。
【0033】
カーボンナノ構造体組み立て体であって、金属層と、カーボンナノ構造体と、その金属層とカーボンナノ構造体の間の少なくとも一つの中間層とを備え、その少なくとも一つの中間層には、半導体材料、触媒および金属層からの金属とが含まれている。
【0034】
ナノ構造体の形成方法であって、導電基板上に半導体材料の層を堆積し、該半導体層上に触媒層を堆積し、最初に前記基板をアニールせずに、前記ナノ構造体を構成し得る温度に前記基板が加熱されるものとし、その温度で前記触媒層上にナノ構造体を成長するステップを備えている。
【0035】
ナノ構造体前駆体の形成方法であって、導電基板上に犠牲層を堆積し、該犠牲層に複数の開口を形成し、該犠牲層上と該開口内の該基板上に半導体材料の中間層を堆積し、該中間層上に触媒層を堆積し、前記犠牲層を剥離して前記中間層および触媒層の、前記基板上の前記開口に対応する部分を残すステップを備えている。
【0036】
相互接続または熱の散逸媒体を形成する方法であって、形成されたナノ構造体上に、酸化シリコン(SiO)または何らかの重合体絶縁体のような絶縁層を堆積し、例えば、フッ化水素酸(HF)(1%乃至2%のHF(aq)で1分乃至2分ウェットエッチング)またはCHプラズマ(100W乃至150Wのプラズマ電力でドライエッチング)のようなドライまたはウェットエッチング法によって、絶縁体をエッチング除去してナノ構造体の頂部を開口し、犠牲層を堆積してその犠牲層に複数の開口を形成し、その犠牲層上および開口中の基板上に金属材料の層を堆積してその犠牲層を(例えば、60℃のアセトン中そしてIPA中に浸すことによって)リフトオフし、金属層の、基板上の開口に対応する部分を残すステップを備えている。
【0037】
相互接続を形成する方法であって、導電材料の層を半導体基板上に堆積し、その導電材料上に半導体層を堆積し、その半導体層上に触媒層を堆積し、最初に基板をアニールすることなく、基板をナノ構造体を形成できる温度に加熱し、その温度で触媒層上にナノ構造体を成長させるステップを備えている。
【0038】
集積回路であって、絶縁基板と、その絶縁基板上の導電層と、その絶縁層に埋め込まれたナノ構造体とを含み、そのナノ構造体は、集積回路からの熱をその回路を取り囲む領域へと散逸させるよう構成されており、かつそのナノ構造体は、導電層上に複数の中間層を備え、その複数の中間層には、ナノ構造体の形態に影響を及ぼす少なくとも一つの層と、導電層とナノ構造体との間の界面の電気特性に影響を及ぼす少なくとも一つの層とが含まれている。
【0039】
集積回路であって、半導体基板と、その半導体基板上の導電層と、その導電層によって支持される相互接続とを含み、その相互接続は、少なくとも一つのナノ構造体を含んでおり、かつそのナノ構造体は、導電層上に複数の中間層を含んでいて、その複数の中間層には、ナノ構造体の形態に影響を及ぼす少なくとも一つの層と、導電層とナノ構造体との間の界面の電気的特性に影響を及ぼす少なくとも一つの層とが含まれている。
【実施例】
【0040】
(詳細な説明)
(概要)
本発明は、カーボンナノ構造体に基づく相互接続および熱の散逸体ならびにそれらを作るプロセスを目的としたものである。ナノ構造体は、導電基板または絶縁基板上に単独で作られても良いし、アレイとして作られてもよい。ここで、導電基板または絶縁基板と言う場合には、それら導電基板または絶縁基板は、半導体の支持体、例えばシリコンウェハやダイのような支持体上に備わっていても良いことを理解すべきである。とりわけ、本発明のプロセスによると、基板とナノ構造体のベースとの間にある材料および材料の順序を選択することで、ナノ構造体と基板との間の界面の種々の特性、ナノ構造体の本体の特性およびナノ構造体の先端の構成を制御することが可能となる。ナノ構造体は、基板から上方に垂直にまたはほぼ垂直に成長する柱を形成するのが好ましい。しかしながら、これによって、ナノ構造体が基板から他の角度で成長する、例えば基板と平行に、または90°以外の傾斜角で成長する可能性が除外されるものではない。
【0041】
したがって、本発明は、現存するCMOS技術を用いてナノ構造体を成長/堆積する方法によって作られる相互接続および熱の散逸体に関連し、薄膜技術を用いる分野で用いられるような、CMOSに適合する導電基板、ガラス基板およびフレキシブル重合体基板上に相互接続および熱の散逸体として用いられるナノ構造体を成長させる方法に関する。本発明はさらに、相互化学反応を制御し、およびそれによってナノ構造体の端部における化合物を制御する方法を含む。本発明はなおさらに、基板と触媒層との間の少なくとも一つの中間層であって、触媒層や導電基板と同じ材料ではない中間層からなる多層の材料の積み重ねを有することによって、ナノ構造体を形成する化学反応を制御する方法を含む。
【0042】
したがって、本発明は、ナノ構造体をCMOS技術に一体化して、縮小化、構成要素の密度の向上および新しい機能性を、例えば集積回路中において達成する方法を提供する。
【0043】
異なる金属下層(金属基板)上にナノ構造体を成長できることが重要であるのには、他にもいくつか理由がある。それに含まれるものとして、金属の種類が、高さ、直径、密度等の成長するナノ構造体のパラメータを制御するために調整可能な追加のパラメータになるという事実があり、また、金属下層とナノ構造体との間のショットキーバリアの高さを制御するのに異なる金属の仕事関数を用いることができることで、デバイスの機能性についての制御が可能となるからである。
【0044】
材料の積み重ねの構成、およびその積み重ねにおける異なる材料の順序を制御することによって、積み重ねの層を用いて、最後には相互接続において用いられる成長/堆積されるナノ構造体の特性を制御することができる。
【0045】
とりわけ、材料を変え、かつ材料の順序を変えることによって、以下の特性を制御できる。ナノ構造体と基板との間の界面を制御して、オーミックバリア、ショットキーコンタクトまたは制御可能なトンネルバリア;ナノ構造体の本体;およびナノ構造体の先端の化学構成を含むがそれらには限定されない特性を有するものとできる。
【0046】
これらの3つの部分(界面、本体および先端)の特性を制御することによって、異なるアプリケーションで用いることのできる異なる構造体、構成要素およびデバイスを作製できる。異なる構造体、構成要素およびデバイスと組み合わせてこれら3つの部分の特性を制御することによって、異なる機能性を達成できる。例えば、ナノ構造体の先端は、特定の化学特性または構成を有するように変形することができる。そのように変形することで、ナノ構造体の先端が異なる機能を持つことが可能となる。
(ナノ構造体)
【0047】
本発明の方法によって形成され、相互接続および熱の散逸体として用いられるナノ構造体は、好ましくはカーボンを主要素として作られる。しかしながら、他の化学成分も本発明の方法と一貫性があるので、ここでさらに説明する。
【0048】
ここで参照するナノ構造体には、カーボンナノチューブ、一般のナノチューブ、カーボンナノ構造体、ナノファイバー、ナノロープおよびナノワイヤのような他の関連する構造体が含まれ、これらの用語は当技術分野で理解されている。
【0049】
カーボンナノチューブ(CNT)が意味するのは、端部の融着した六員環の連続するネットワークにおいて共有結合したsp混成軌道のカーボン原子から主に構成され、約0.5nm乃至約50nmの直径を有する中空の円筒分子構造である。本発明のナノチューブは、必ずしもキャップが形成される必要は無いが、典型的には、ナノチューブは、カーボン原子の、融着した5員環および6員環を有する半球状のカーボンキャップが一端または両端に形成されている。カーボンナノチューブは、長さが、数ナノメートルから何十または何百ミクロンまたは数センチに及ぶ。
【0050】
CNTの典型的な構造は、閉じた表面が形成されるように丸められた、不対結合手の無いグラファイトカーボンのシートに類似する。そうして、CNTは典型的には、カーボンの6員環が端部で融着された閉じたネットワークからなる。ほとんどのCNTは、キラリティーを有しており、グラファイトカーボンのシートがチューブを形成するように曲げ戻される前にわずかにせん断されるならば、それが現れるのを観察できる。本発明によって任意のキラリティーのCNTが形成される。しかしながら、カーボンナノチューブがまた、例えば関連する「フラーレン」分子に見られるように、および例えば、応力を低減するかよじれを導入することの必要な、6員環の間で融着される複数の5員環を有することも本発明と一貫性がある。カーボンナノチューブは、少なくとも部分的にそのキラリティーに依存して金属から半導体の範囲にわたる電気特性を有する。
【0051】
基板とナノ構造体のベースとの間に横たわる材料およびその順序を適切に選択することによって、形成されたナノ構造体の形態を変形することができる。そのようなナノ構造体には、ナノチューブや、壁面が単一でも複数でも、ナノファイバーまたはナノワイヤが含まれるが、それらに制限されるものではない。そのような変形は、例えば、基板とナノ構造体との間に位置する触媒層の組織を選択することで可能となる。
【0052】
本発明の方法によって作られるカーボンナノチューブは、グラファイトカーボンの単一層のような、カーボン原子の単一層から形成される円筒を有する壁面が単一のもの各種(SWCNT)または、2つ以上の単一層の、同心に配置された鞘を有する壁面が複数のもの各種(MWCNT)である。MWCNTは、SWCNTの同心の円筒か、切頭円錐型の単一壁構造体の積み重ねからなる。
【0053】
カーボンナノファイバー(CNF)は、典型的には、空洞ではなく、カーボンの別個のセグメントが次々と融着している「ヘリンボン(ニシンの骨)」または「竹」のような構造を有する。典型的には、直径は5nmから100nmの範囲にある。触媒を含む材料の円錐セグメントは、典型的には、そのようなナノファイバーの先端に見られる。そうして、カーボンナノファイバーは、結晶状ではなく、カーボンナノチューブとは異なる導電性を有する。カーボンナノファイバーは、電子回路において相互接続に有効であり、それは約1010A/cmの電流密度を支えるからである。そうして、カーボンナノファイバーは、ファイバーの単位体積あたりのカーボン原子の数でみると、空洞のナノチューブよりも高い原子密度を有する。
【0054】
本発明により作られたカーボンナノファイバーはまた、一般には真っ直ぐであり得、2°未満の円錐角を有し、図1を参照すると、円錐角の定義はナノ構造体のベースがその先端よりも広いことを仮定している。θが小さいとき角θ≒tanθであるので、円錐角≒(w−w)/2Lであり、ただし、wとwはナノ構造体のベースおよび先端のそれぞれの幅であり、Lはその軸に沿って測定される長さである。
【0055】
カーボンナノロープは20nm乃至200nmの範囲の直径を有し、そうして典型的には、カーボンナノチューブよりも直径が大きい。カーボンナノロープは、典型的には、巨視的なロープが束になったファイバーの何本かの撚り糸からなるように、何本かのナノチューブを撚り合せることで構築される。ナノロープにおいて、種々のナノチューブが相互に撚り合わせられるか相互に実質的に平行に並べられても良く、個々のナノチューブは主としてファンデルワールス力によってまとめられている。そのような力は、個別には原子対間の共有結合手よりも弱いが、集合体において、隣接するチューブでの原子の対を全て合わせると非常に強いものとなる。
(界面)
【0056】
本発明によると、材料およびその順序を適切に選ぶことによって、ナノ構造体のベースと基板との間の界面を、様々な電気特性を有するように選ぶことができる。例えば、オーミックコンタクト、ショットキーバリアまたは制御可能なトンネルバリアとなるように選ぶことができる。これは、ナノ構造体が相互接続として用いられるときに有用である。
【0057】
オーミックコンタクトは、印加電圧(そしてそれはコンタクト抵抗によって表されても良い)から独立して、非常に抵抗が低い金属−半導体コンタクトである。オーミックコンタクトを流れる電流は、金属のようなオーミック導電体の場合のように、コンタクトにかかる電圧に正比例する。オーミックコンタクトを形成するには、金属と半導体が、界面でポテンシャルバリアが形成されないように(またはポテンシャルバリアが非常に薄くて、電荷の担体が直ちにそれをトンネルスルーできるように)選択されなければならない。
【0058】
ショットキーバリアは、金属−半導体コンタクトを使ってポテンシャルバリアが形成される半導体−金属界面である。
【0059】
トンネルバリアは、電子または正孔のような電荷担体がトンネル通過できるバリアである。
【0060】
図2は、本発明で用いられるような、基板上にナノ構造体を作るプロセスの概要を示すフローチャートである。まず、ステップ10で積み重ね材料を選択する。そしてステップ20で、例えば、基板上への堆積、スパッタリングまたは蒸着によって選択された材料を積み重ねる。そして、ステップ30で、例えば、成長/堆積チャンバーにおいてナノ構造体を積み重ねの上に成長する。最後に、ステップ40で、さらに一つ以上の作製技術を使って、相互接続または熱の散逸体のような形で構造体をデバイスに組み込む。
【0061】
化学気相成長法(CVD)が、本発明によるナノ構造体の好ましい成長方法である。しかしながら、異なる種類のCVD法、例えば、熱CVD、PECVD、RPECVD、MOCVD(有機金属CVD)を用いることもできる。CVDの他のバリエーションも本発明に適しており、本発明の実施例が、先に参照したこれらの方法に限定されるものではないということも当業者には理解される。
【0062】
本発明で用いられる基板は、導電基板であることが好ましい。したがって、それは、好ましくは、金属または合金基板である。この基板自体が、シリコンのダイのような半導体の支持体上に配置されていても良い。
【0063】
本発明の方法によると、ステップ10は、成長するナノ構造体の特性に影響を及ぼし得る。とりわけ、ナノ構造体の性質および特性は、基板とナノ構造体との間の層の性質や相互拡散の度合いによって左右される。相互拡散を可能とすることで、ナノ構造体の直径および形態、基板の単位面積当たりに成長するナノチューブの数並びにナノ構造体の密度および界面の電気特性を制御することができる。他方、基板とカーボンナノ構造体の間の拡散を妨げる材料を用いれば、材料の両側の界面材料との化学相互反応、および界面の電気特性を制御できる。
【0064】
積み重ねられた材料の層は、例えば、単一の基板上に、多くのナノ構造体、例えば、何百あるいは何千からなるアレイを成長することが望まれている場合に、連続するフィルムとして堆積できる。パターンを描いたフィルムを用いて、個々のデバイスを作製できるように特定の局部領域における特性を制御することもできる。堆積したフィルム厚は、その下の基板によって、0.5nmから100nmを超えるところ、例えば、150nm、200nmさらには500nmまでにもなる範囲内で異なる。しかしながら、おそらくはその厚さは1nmから10nmであり、より好ましくは5nmから50nmである。
【0065】
本発明のナノ構造体はまた、密度の高い「森林」としてではなく個別に成長できる。例えば、そのようなナノ構造体は、ばらばらのカーボンファイバーである。これは、触媒層とサイズが、例えば、リソグラフィーによって定義される場合である。連続フィルム(100nm×100nmより大きなストライプおよび正方形状)が用いられる場合については、より高い密度で詰められた構造体が可能である(隣接する二つのナノ構造体の間の空間は約15nmが好ましい)。しかしながら、そのような連続フィルムの構成では、ナノ構造体の詰め込み密度やその結果得られる直径は、支持層をどう選択するかで制御できる。
【0066】
とりわけ、ナノ構造体の本体は、半導体または金属のような電気特性を有する中空の構造体、異なる(主には金属の)電気特性を有して中空ではない構造体、異なる機械特性を有する中空の構造体および異なる機械特性を有する中空ではない構造体などに設計できる。
【0067】
(ナノ構造体の特性の制御)
本発明には、基板から成長するナノ構造体とその間に位置する界面層が含まれ、以下の特性を有する。基板は、好ましくは、金属層であって支持体上に配置される。その支持体は、典型的には、薄膜技術で用いられる、シリコンまたはその他の半導体材料、ガラスまたは適当なフレキシブル重合体のウェハである。金属は、モリブデン、タングステン、白金、パラジウムおよびタンタルからなる群から選択される。金属層の厚さは、好ましくは1nmから1μmの範囲にあり、より好ましくは1nmから50nmの範囲にある。金属層は、好ましくは、当技術分野で周知のいくつかの方法のうちの一つによって堆積され、その方法には、熱または真空蒸着、分子線エピタキシャルおよび電子線蒸着のような蒸着方法と、当技術分野で周知のいくつかのスパッタリング方法のいずれかのようなグロー放電方法と、CVDのような気相成長法、イオン注入、メッキのような液層成長法および液相エピタキシャルを含む化学方法とが含まれるが、それらに限定されるものではない。堆積技術の例については、薄膜蒸着ハンドブック、K.セシャン編、第二版(ウィリアムアンドリュー社、2002年)を参照のこと。
【0068】
中間層(単数または複数)とも称される界面層は、基板上に堆積される一層以上の連続する層を備える。界面層の上には、触媒の層がある。ナノ構造体は、触媒層の上に成長する。
【0069】
界面層は、単純に材料の単層からなっても良い。この状況では、単一層は好ましくは、シリコンまたはゲルマニウムである。蒸着またはスパッタリングのような技術でアモルファスまたは結晶状に層を堆積できる。好ましい厚さの範囲は、1nmから1μmであって、より好ましくは、1nmから50nmの範囲にある。
【0070】
界面層は、異なる材料のいくつかの層を備えても良く、機能によって任意に分類される。例えば、基板の付近の層は、界面の電気特性に影響を及ぼす層として特徴付けられる。触媒の付近の層は、ナノ構造体の電気/機械特性のような構成および特性に影響を及ぼす層として特徴付けられる。
【0071】
界面層の様々な構成が本発明に適している。例えば、3層までの連続層を、界面の電気特性を制御する目的で基板上に堆積しても良い。そのような構成には、絶縁体、導電体または半導体および絶縁体のシーケンスと、基板に隣接する絶縁体および半導体層のシーケンスと、半導体、絶縁体、半導体のシーケンスと、基板に隣接する二つの絶縁バリア層と半導体のシーケンスと、基板の金属とは異なる金属の単一層と、基板の金属とは異なる金属および半導体層のシーケンスとが含まれるが、それらに限定されない。そのような構成において、絶縁体は、SiO、Al、ZrO、HfO、SiN、Al、Ta、TiOおよびITOからなる群から選択される。半導体は、シリコンまたはゲルマニウムでも良い。金属があるときは、パラジウム、白金、モリブデンまたはタングステンでも良い。同じ特性の層が2層、例えば半導体層が2層あるときは、それらの層がお互いに同じ組成を有する必要は無い。
【0072】
前述の界面層の最上層は、触媒層と接触していても良い。これはとりわけ、最上層がシリコンまたはゲルマニウムのような半導体である場合である。しかしながら、前述の界面層は、それらと触媒層との間に横たわるさらなる層または層のシーケンスが上に配置されることもさらに可能である。そのような追加または第二の界面層は、ナノ構造体の特性および構成を制御するものと考えられる。第二の界面層は、金属層と、その上の、触媒層に隣接する半導体層のような一組の層である。代わりに、第二の界面層は単純に半導体の単層からなっていても良い。金属層は、第二の界面層に存在するとき、好ましくは、タングステン、モリブデン、パラジウムおよび白金からなる群から選択される。第二の界面層における半導体層は、好ましくは、シリコンまたはゲルマニウムである。
【0073】
触媒層は、典型的には金属または合金の層であり、連続するフィルムである代わりに金属または合金の非常に細かい粒子を含んでいてもよい。触媒層は、好ましくは、ニッケル、パラジウム、鉄、ニッケルとクロムを任意の割合で含むニクロム合金およびモリブデンからなる群から選択される金属を含む。
【0074】
本発明が主に焦点をあてるのは、触媒層と導電基板の間の少なくとも一つの材料層という多重積み重ね構造であり、その材料は触媒および導電基板とは同じ種類のものではなく、その材料はいろいろな層の間の化学反応を制御する。このように、異なる導電基板上でナノ構造体の成長が制御できる。それにより、成長する構造体の形態および特性ならびに成長する構造体の先端の材料が制御できる。本発明は、ナノ構造体のベース/界面、本体および先端での特性を制御するのに用いることのできる異なる種類の材料(半導体、強誘電体、磁性体等)のいくつかの積み重ねを有するように拡張できる。導電体、絶縁体または半導体のような、いかなる種類のものでもあり得る基板上に堆積される導電層上にナノ構造体を成長することもまた可能である。
【0075】
高k誘電体材料が、CMOSデバイスのゲート材料として主に用いられる。本発明において、そのような材料は、成長させるナノ構造体の特性を定義し、またナノ構造体と導電層との間の界面特性を制御する、多層の積み重ねにおいて部分的に用いられる。
【0076】
本発明の方法によると、2層以上の中間層があることで、相互のおよび最後の触媒粒子との組織/結晶上の構造に影響が及ぼされる。
【0077】
したがって、本発明には、好ましくは、導電層と、直にその導電層上にある少なくとも一つの中間層と、直にその中間層上にある少なくとも一つの触媒層と、その触媒層上のナノ構造体とが含まれる。
【0078】
基板は、シリコンウェハや酸化シリコンウェハのような、半導体プロセスにおいて普通に用いられる支持体上に配置されてもよい。代わりに、その支持体は、薄膜技術において基板として用いられるガラス、金属または薄いフレキシブル重合体のフィルムであってもよい。
【0079】
少なくとも一つの中間層は、基板とカーボンナノ構造体との間の界面の様々な電気特性を制御するように選択されることが理解される。
【0080】
少なくとも一つの触媒層を選択して、カーボンナノ構造体の様々な特性を制御することがさらに理解される。
【0081】
成長されるナノ構造体は、好ましくは、カーボンナノチューブ(CNT)や、カーボンナノファイバー(CNF)のようなカーボンをベースとする材料である。カーボンナノ構造体は、全体の構造がカーボンを含むガスの混合体中に置かれるときに形成される。好ましいガスは、CH、CおよびCのような炭化水素、および飽和レベルが任意であってカーボン原子が5以下である一般的な脂肪族炭化水素である。
【0082】
ナノ構造体は、触媒および用いられる一連の化学チャンバー条件をどう選択するかによって、InP、GaAs、AlGaAsのようなIII−V族またはII−VI族の材料として言及される異なる半導体材料のものでもあり得る。ここで記述されるカーボンナノ構造体について、他の全ての材料の積み重ねを同じとし、触媒のタイプおよび/またはガスの組成のみを変えることで、これらの非カーボンナノ構造体の成長を促進することができる。したがって、ここに記述される発明の別の観点から逸脱することなく、当業者は、異なる種類の固体ナノ構造体を成長できる。そのようなナノ構造体を形成する条件の例は、以下のとおりである。
【0083】
SiCナノ構造体:チャンバー−MOCVD(有機金属CVD);ガス組成−ジクロロメチルビニルシラン「CHCHSi(CH)Cl」;触媒−Ni;温度−800℃乃至1200℃
【0084】
Siナノ構造体:チャンバーのタイプ−気相−液相−固相(VLS)/CVD;ガス組成−SiH、Si;触媒−Ni;温度−500℃乃至1000℃
【0085】
InP/GaPナノ構造体:チャンバー−MOCVD/CVD;ガス組成−トリフェニルホスフィンとインジウムおよびガリウム元素、トリメチルガリウム、N;触媒;温度−350℃乃至800℃
【0086】
GaNナノ構造体:チャンバー−MOCVD(有機金属CVD);ガス組成−ガリウム元素とアンモニアガス;触媒−Ni;温度−800℃乃至900℃
【0087】
ZnOナノ構造体:チャンバーMOCVD/CVD;ガス組成−亜鉛担持元素の酸化物;触媒−Ni;温度−30℃乃至700℃
【0088】
カーボン以外の材料について成長されるナノ構造体は、基板領域および/またはアレイを覆う均一な構造体または個々の構造体からなる森林形状のものであり得る。
【0089】
触媒の選択は、重要な役割を果たすものであり、それは、カーボンナノ構造体の成長は通常触媒で制御されるからである。触媒の結晶上の配向はナノ構造体の形態を定義する様相を帯びるので、異なる種類の触媒からは異なる成長メカニズムが得られることが期待される。触媒の結晶上の配向に加えて、構造体の形成に影響を及ぼす成長条件は、ガスの混合、プラズマ密度が制御される場合の電流密度、陰極と陽極との間の電圧、基板の温度、チャンバーの圧力等、他にもたくさんある(例えば、M.S.カビア、R.E.マージャン、O.A.ネルシェフ、P.ランドグレン、S.ベンツォン、P.エノクソンおよびE.E.B.キャンベルによるNanotechnology、2005年(4)、458を参照し、これは援用することでここに組み込まれる)。
【0090】
図3A、図3Bおよび図4乃至図12は、相互接続および熱の散逸体の基礎を形成でき、ここに記述された方法により作製される代表的なナノ構造体を示す。典型的には、図3A、図3Bおよび図4乃至図12に示されている構造から相互接続および熱の散逸体を作製するには、そのような構造体を作る工程に従い、それに続いて、該ナノ構造体を取り囲んで覆う絶縁層を堆積し、絶縁層の上面がナノ構造体の頂面を露出するようにその絶縁体をエッチバックまたは研磨し、かつその露出されたナノ構造体の上にさらに金属層を堆積する。
【0091】
図3Bは、導電基板200と触媒層220との間の一層以上の中間層210の様々な構成を示す。本発明により、触媒層と導電基板との間に少なくとも一つの材料の積み重ね(例えば、層1と示される)を備えるプラットフォームが提案される。複数の材料を積み重ねる目的は、導電基板と成長するナノ構造体との間の界面特性(例えば、オーミックコンタクトからショットキーバリアまでの範囲にある)、成長するナノ構造体の特性(形態上の、機械的および電気的特性)および成長するナノ構造体の先端110の特性を制御するためである。
【0092】
図5および図6は、単一の中間層を有するデバイスの実施例を示す。図5において、別の実施例では、金属層510は、ウェハ520上にあり、シリコン530の中間層は、その金属層上にあり、かつ触媒層540、典型的にはNiまたはFeあるいはNiCrまたはPdのような別のものがその中間層上にある。層530および540を一緒にして界面と称する。
【0093】
図4は、部分的に形成されたナノ構造体499を支える多層の積み重ねを有する代表的な実施例を示す。金属層410は、基板として働き、支持体420、例えばシリコンのウェハの上に配置される。3層の積み重ねが、その金属基板と触媒層の第二の積み重ねとの間の中間層として働き、その界面の電気特性を制御する。その中間層は、その金属と接触する層を始め、例えばSiOまたはAlの第一の制御層430と、その第一の制御層上にある金属/半金属層440である、例えばGeと、その金属/半金属層上にある、例えばZrOまたはHfO、あるいはSiN、Ta、AlおよびTiOのような高k誘電体値を持つ他の材料の第二の制御層450とを順に有する。化学式における下付き文字「x」は、可変の化学量論を示し、通常は制御可能に可変である。その二つの制御層は、金属/半金属層からそれぞれ基板および触媒層への拡散を制御する。その二つの制御層の厚さおよび組成によって、そのような制御が達成される二つの変数が提供される。単一層の厚さは、10nm未満から数100nmの範囲にあり、材料を積み重ねた厚さの合計は、10nm未満からミクロンを越える範囲にある。第一の制御層、金属/半金属層および第二の制御層が一緒になって、金属とカーボンナノ構造体との間の界面の電気特性の制御が可能となる。異なる電子/正孔のトンネリング特性を得るには、電気的なトンネリングを変え、それによってナノ構造体とベース基板410との間の界面の電気特性を変えるように異なる酸化物を選択することとなる。原則として、そのような選択は、酸化物のような制御層の材料の誘電率によって決定される。
【0094】
また図4を参照すると、第二の制御層上に配置される多層の積み重ねによって、その上に成長するカーボンナノ構造体の特性が制御される。図示される例においては、第二の制御層に隣接して、第一の金属層460、例えば、タングステン、モリブデン、パラジウム、白金があり、その第一の金属層に隣接して、シリコン層470があり、そのシリコン層の上に例えばニッケルまたはパラジウムからなる第二の金属層480がある。
【0095】
図5および図6は、単一の中間層を有するデバイスの実施例を示す。図5において、ウェハ520上に金属層510があり、その金属層上にシリコンの中間層530があり、その中間層530上に、典型的にはNi,またはFe、その他NiCrまたはPdのような触媒層540がある。層530と層540を一緒にして界面と呼んでいる。
【0096】
図6には、別の典型的な個別ナノ構造体が示されている。この構造体において、ウェハ620上に金属層610があり、その金属層とナノ構造体640の本体との間に、界面630がシリコンのような半導体材料645の中間層から形成される。そのナノ構造体の先端650は、主に、ナノ構造体が成長するときにそのナノ構造体の本体中を上方に拡散した触媒と、幾らかの金属とを含む混合材料を含有している。
【0097】
図7は、先端610、本体620および界面630を有するナノ構造体の別の実施例を示す。金属層640がウェハ650上に配置されて、モリブデン、タングステン、白金、タンタルおよびパラジウムからなるグループから選択される金属からなる。二層の界面630は、金属層640上にあって、SiO、ZrO、HfOまたはTiOのような酸化物の第一の中間層660を有し、シリコンからなる第二の中間層670がその第一の中間層上に配置され、ナノ構造体の本体と接触する。ナノ構造体の先端610は、Ni、Fe、MoまたはPdあるいはNiCrのような合金もしくは材料の積み重ねに見られる材料の混合物を含有する。その先端に含有される金属は、最上の中間層とナノ構造体の底部との間に位置した触媒の層(図7には示されていない)から生じる。
【0098】
図8は、先端710、本体720および多層の積み重ねを備える界面730を有する別のナノ構造体を示す。金属層740がウェハ750上に配置される。3層界面730がその金属層740上にあって、ゲルマニウムのような半金属の第一の中間層760と、SiO、ZrO、HfOまたはTiOのような酸化物の第二の中間層770と、シリコンからなり、ナノ構造体の本体と接触する第三の中間層780とを有する。ナノ構造体の先端は、Ni、Fe、MoまたはPdあるいはNiCrのような合金もしくは界面に見られる材料の混合物を含有する。
【0099】
図9はナノ構造体の別の実施例を示し、金属層910がウェハ920上に配置され、三つの中間層を有する界面930がその金属層910上に配置される。その三つの中間層は、金属から遠ざかる順に、第二のバリア層940と、第一のバリア層950とナノ構造体970の本体と接触する半導体層960である。第一のバリア層は、上方/下方への材料の拡散バリアとして用いることができ、第二のバリア層は、電気トンネルバリアを定めるように用いることができる。ナノ構造体の本体は、半導体としてまたは導体としての電気特性を有し得る。ナノ構造体の先端980は、触媒を含有する。
【0100】
図6乃至図9から分かるように、成長が始まる間にナノ構造体の本体に触媒が拡散する。このプロセスは、図10でさらに詳細に説明する。図10において、W、Mo、Pt、Pdのような金属の金属下層1010がウェハ1020上にある。シリコンまたはゲルマニウムあるいは周期表のIII−V元素の化合物のような半導体材料1030の中間層がその金属下層上にある。Ni、Fe、Coのような金属またはNiCrのような合金を有する触媒層1040がその中間層上にある。
【0101】
ナノ構造体が成長する間の一段階が、図10の右手側部分に示されている。金属下層の拡大図が示されている。金属下層と成長するナノ構造体の本体1050との間の界面1060は、金属下層、金属シリサイドおよびその金属下層自体と触媒の合金を含有する。
【0102】
中間層1030を用いて成長プロセスを開始する。しかしながら、その中間層が、金属下層とのオーミックコンタクトとして機能するシリコンであるならば、それは金属下層中に拡散して金属シリサイドのような金属化合物を作ってしまう。したがって、ナノ構造体は、最初の触媒と金属下層との間に中間層が存在しない金属下層と直接接触して成長する。少量の触媒が底部に存在する。先端は触媒を多く含む金属下層からなり、大部分の触媒は、少量の金属下層と一緒にナノ構造体の先端に存在する。
【0103】
図11において、ナノ構造体が成長する実施例で、ウェハ1120上にタングステン(W)金属下層1110が用いられる。金属下層の上のシリコン1130の層と、そのシリコンの上のニッケル1140の層とを有する積み重ねが、成長するナノ構造体1180と接触する。成長前(図11、左手側部分)の材料の積み重ね条件では、個別の層が示されている。成長後(図11、右手側部分)の材料の積み重ね条件では、層間で相互拡散が起きていることが示されており、ここではニッケル−タングステン合金1150、タングステン−シリコン合金1160および拡散したタングステン1170という別個の領域がある。例えば、ニッケルやタングステンの領域が、それぞれの金属の濃度が不連続でなく、特性の傾斜を有するか、鋭い濃度勾配を有するかということも条件と一貫している。
【0104】
図12は、金属下層1210とナノ構造体本体1230との間に多層の積み重ねを示す。その多層の積み重ねは、二つの界面、すなわちその界面の電気特性を制御する第一の界面1240と、ナノ構造体本体の物理特性を制御する第二の界面1250とを備える。金属下層1210がウェハ1220上にある。第一の界面1240は、金属上に配置され、界面の電気特性を制御する二つの層を備える。ゲルマニウム1260の層が直接金属1210上にあり、SiO、ZrO、HfOまたはTiOのような酸化物の層1270が直接そのゲルマニウムの上にある。その酸化層はバッファとして働く。その酸化層上に配置されるさらなる二つの層は、ナノ構造体の本体の物理特性を制御するように働く。シリコンの第一の層1280が直接その酸化層上にあり、ニッケル、鉄またはパラジウムのような金属触媒の層1290が、そのシリコン層とナノ構造体の本体の間にある。
【0105】
(ナノ構造体を形成するプロセス)
本発明は、さらにナノ構造体を形成するプロセスを備える。そのプロセスは、まず基板上に電極を堆積することを含む。その基板は、ここでさらに説明するとおりシリコンのウェハであり、好ましくは、酸化物、例えば、SiOのような絶縁被覆を有する。電極は、ナノ構造体の下層として機能し、導電材料、好ましくはモリブデン、ニオブまたはタングステンのような金属からなる。電極を堆積する方法は、当業者になじみのある任意のものであり得るが、好ましくは、電子線蒸着のような方法である。電極層は、10nm厚と100nm厚の間であって、好ましくは50nm厚である。
【0106】
オプションとして、続いてレジストが電極層上に堆積される。そのようなレジストは、金属堆積物についてのリフトオフプロセスを用いる技術で通常用いられる。代表的なレジストは、10%の共重合体と2%のPMMAレジストからなり、連続するスピンコーティングおよびベーキングで塗布される二重層レジストである。そしてそのレジストを、パターニングし、紫外線または電子線のような放射源で露光して、設計図をレジスト層へと転写する。
【0107】
シート状かドット状の触媒層が、金属基板上か、レジスト層がある場合はその上に作製される。ドット状の触媒によって、制御のもと、個々のナノ構造体が正確な位置に成長するよう促進される。ドット状の触媒は、電子線リソグラフィーによって構築される。ドットの大きさはショット・モジュレーション技法を用いて制御できる。この技法で触媒のドットの大きさはナノメーターの精度で決定でき、大きさが5nm乃至10nmという小さなドットを形成できる。触媒層は、この段階で加熱されることはない。
【0108】
触媒層上に他の材料の層が堆積される。そのような層には、少なくとも一層の半導体材料が含まれ、その下にある電極の金属からの金属拡散の少なくとも一層を含んでも良い。その半導体材料は、好ましくは電子線蒸着を用いて堆積される。半導体材料は、好ましくはアモルファスシリコンであり、その層は、5nm乃至100nmの厚さを有し、好ましくは10nmである。
【0109】
半導体材料の一層を含む様々な層を蒸着した後、触媒材料の層を堆積し、それによって最後に上にナノ構造体が作製される最上層を形成する。その触媒層は、電子線蒸着またはスパッタリングのような周知の標準技法によって堆積する。
【0110】
レジストが塗布されているならば、オプションとして、ここでそれを、リフトオフプロセスによって、例えば、構造体を60℃のアセトンで洗浄して、その後イソプロピルアルコールで洗浄することによって、取り除くことができる。これらの洗浄を行った後、構造体は、イオンを除去した水で濯ぎ、窒素ガスを吹きかけて乾かす。
【0111】
ここで、ナノ構造体は、触媒層が露出された残りの領域の上に成長できる。そのような成長を有効にするのに好ましい技術は、プラズマ促進化学気相成長法である。ここで先に記述した通り、上記の組成によって成長するナノ構造体のタイプが決定される。例えば、カーボンナノチューブは、C:NHガスの(1:5)混合体において5mbarの圧力で成長できる。ナノ構造体は、典型的には、600℃乃至1000℃の範囲、例えば700℃の高温で成長する。基板(電極、半導体材料および触媒層を上に備える)は、比較的急速に温度を上げてそうした高温に置かれる。代表的な速度は、1℃/s乃至10℃/sであって、好ましい速度は3℃/s乃至6℃/sの範囲にある。そのような条件は、「アニーリング」として技術的に参照され、好ましくは真空で行われる。低度の真空(例えば、0.05mbar圧乃至0.5mbar圧)でも充分である。ナノ構造体のソースガスは、最高温度に達したときにチャンバーに導入される。
【0112】
ナノ構造体は、典型的には、室温まで冷却されてから、空気にさらすことが可能となる。
【0113】
こうして制御のもとに個々のナノ構造体が形成されるが、それは、ナノ構造体の形成に先立って長時間加熱することによる触媒の層の不均一な分解に依存するのでなく、明確に触媒をドット状に合わせたためである。
【0114】
(相互接続への応用)
図13には、CMOS回路の第一の金属コンタクト上に作製される相互接続を有する、垂直に構成されたデバイスを作製するための代表的なプロセスが示されている。図13には明白に描かれていないが、ナノ構造体が、ここに先に記述されたような層構造体から成長されている。シリコンおよびニッケルのような触媒の層または積層は、アプリケーションに依存した割合で、金属または絶縁体の選択された(別個の)領域に堆積される。ナノ構造体が相互接続よりもむしろ熱の散逸のみに用いられるのであるならば、絶縁基板が用いられる。そのような実施例において、ナノ構造体は典型的には絶縁体に埋め込まれる。成長されるナノ構造体が、相互接続のみに用いられるか相互接続と熱の散逸媒体の双方に用いられるならば、金属基板のような導電基板が用いられる。好ましくは、シリコンやゲルマニウムのような半導体の第一の界面層が、金属または絶縁体の基板上に蒸着される。そして、ニッケルのような触媒の層がシリコン上に蒸着される。ここに記述される方法によって、カーボンナノ構造体が触媒およびシリコンの層上に成長される。ここにさらに記述するように、触媒は、ナノ構造体が成長されるときにそれを上方に移動し、そしてナノ構造体の上端に留まる。そして、シリコン酸化物のような絶縁体をさらに堆積して、ナノ構造体を完全に取り囲む。そして、絶縁体の上層がHFエッチのようなウェットエッチングまたはCFプラズマエッチのようなドライエッチングによってエッチング除去され、ナノ構造体の上端が露出される。これを遂行するのに、化学的機械的研磨(CMP)を用いても良い。そのエッチングまたは研磨によって、ナノ構造体の先端に見出される触媒の一部を取り除いても良い。上端の露出量は、およそ1nm乃至1000nm(ここで長さ10ミクロンのナノ構造体について1000nmが上限である)であり、好ましくは1nm乃至50nmである。そして、ナノ構造体の露出した先端上の別々の領域に金属の層が堆積され、それによって個々の金属コンタクトを形成する。したがって、熱は、ナノ構造体を通って最上部金属コンタクトへと散逸し、および/または電流は、ナノ構造体を通って最上部金属コンタクトへと流れる。それゆえ、この実施例は、ナノ構造体が金属層上に配置されるならば、デバイスまたは回路からの電気信号(電流)をより上の層の相互接続へと伝える相互接続として用いることができる。
【0115】
図14において、積層を形成するプロセスにおける工程が示されている。第一の工程は、図13において定められる工程の後に開始される。そうして、シリコンと触媒の層が、絶縁体上の個別の位置に堆積され、金属コンタクト間に散在させられている。その後、カーボンナノ構造体の第二の層をシリコンと触媒の領域上に成長させ、そしてさらに絶縁材料を堆積してナノ構造体の第二の層を取り囲んで覆う。その絶縁材料の最上部がエッチングまたは研磨除去されてナノ構造体の第二の層の上端を露出し、そしてさらにその上端上に金属の層を堆積する。触媒材料の層を金属端上に堆積して、形成される2つの相互接続層間を連続して直接に接続することもできる。他の接続も同様にあり得る。前述の一連の層の堆積を繰り返して、それによって、相互に垂直に配置されるナノ構造体を、3層、4層、5層、6層、7層あるいはそれ以上有する積層を形成することができる。原則として積層の数に制限は無い。
【0116】
図15および図16は、異なる種類の絶縁体を上に堆積した後、SEMの下でカーボンナノ構造体の相互接続がどのように見えるかを示す。図15において、酸化物が示されている(ドーム形の白い点がCNF上に堆積された酸化物層である)。図16において、スピンコーティングの後のポリスチレン(PS)層が示されている。左手の写真にあるのは被膜であり、黒い点がナノファイバーである。右手の図にあるのはAFM画像であって、重合体を突き抜けるナノファイバーが示されている。その重合体は充分に柔らかいので、ナノファイバーは壊れることはなく、例えば6000rpmのスピンコーティングの後も残存する。図15および図16には、引き続き堆積されて最上部金属コンタクトを形成する最上部金属電極パッドは示されていない。
【0117】
ここに記述される方法によって作製されたナノ構造体は、例えば回路内で熱を散逸し、同時に相互接続として用いることができる。熱を散逸するためだけにナノ構造体を用いる時は、それは例えばトランジスタの側面を取り囲む場所に位置する。ナノ構造体の軸は、好ましくは回路の端に垂直である。
【0118】
熱の散逸体として用いられるナノ構造体は、相互接続として用いられるナノ構造体と同じ大きさであり得る。熱の散逸体として用いられるナノ構造体の密度は、取り去る必要がある熱の量によって変えることができる。
【0119】
(実施例1:制御)
この実施例により、形態の制御と、成長するカーボンナノ構造体のベースおよび先端に存在する化学組成の制御の証拠となる結果が示される。図17Aおよび図17Bを参照のこと。図17Aは、W金属下層上に成長するカーボンナノファイバーを示す透過型電子顕微鏡(TEM)の顕微鏡写真である。図17Aは、サンプルを調製する処方によっていかに形態が異なり得るかを示す。
【0120】
図17Bは、界面(ベース)および先端での化学組成をいかにして得ることができるかの例を示す。図17Bにおいて、(a)部は、成長したカーボンナノファイバーのTEM画像であり、(b)部には、EDSスペクトルによってファイバーの先端(触媒領域)での化学素子が示され、(c)部には、EDSスペクトルによってファイバーのベース(下層領域)での化学素子が示される。
【0121】
CNFが平らな触媒面から成長しており、触媒フィルムの大きな割れは観察されなかった(例えば、M.S.カビア、R.E.モージャン、O.A.ネルシェフ、P.ルンドグレン、S.ベンツォン、P.エノクソン、E.E.B.キャンベルによるNanotechnology、(4)、458、(2005年)を参照し、これは援用することによってここに組み込まれる)。
【0122】
(実施例2:ナノ構造体のCMOSデバイスへの組み込み)
ここに記述するナノ構造体は、垂直相互接続としてCMOSデバイスに組み込むことができる。これを達成するために、絶縁体のような充填剤層が、基板とその上に位置するナノ構造体の上に堆積され、そしてナノ構造体の先端が露呈するまで研磨/エッチバックされる。一旦ナノ構造体が成長すれば、必要なら、触媒層は例えばエッチングで取り除くことができる。
【0123】
(実施例3:局部的にナノ構造体を成長させるリフトオフ方法)
基板上の連続するフィルムからナノ構造体をアレイ状に形成するよりもむしろ、特定の位置に局部的にナノ構造体を作るという方法もまた、本発明に含まれる。この方法によると、触媒のフィルムをアニールして、制御が利かないまま触媒の個別の粒子を作り出す当該技術における他のプロセスが必要で無くなる。
【0124】
この方法によると、例えば、シリコン基板上の金属層は重合体層で被覆される。そのような重合体層は、感光層であって良い。その重合体層は、当該技術において周知のいくつかの方法のうちの一つでパターン化され、一つ以上のナノ構造体が望まれる領域を区画する。そして、ナノ構造体が意図的に位置付けられるようにパターン化された重合体の領域が取り除かれ、そうしてその重合体層に空洞を形成する。絶縁体、例えばアモルファスシリコンの層がその重合体上に堆積され、続いて別の触媒の層が堆積される。そして取り囲んでいる重合体層が取り除かれ、触媒が上に載ったドット状のシリコンのような区画された領域を残す。そのような領域は、さらにここに記述する種々の方法によってその後さらにナノ構造体が上に構築されるベースである。
【0125】
(実施例4乃至6)
これらの実施例において、六つのCMOSに適する金属下層(Cr、Ti、Pt、Pd、MoおよびW)上に、ニッケルを触媒として、独立して立つカーボンナノチューブをPECVD成長させることについての実験結果が報告されている。これらの実験では、DCPECVDを用いて金属基板上に垂直に配列されるカーボンナノチューブ(VACNT)を成長させるための最適な条件を決定することに部分的に焦点が当てられている。VACNTの成長を調査するために二組の実験が行われた。すなわち、(i)Niが直接金属下層上に堆積され、および(ii)同じ厚さ(10nm)のNi触媒を堆積する前にSiの薄いアモルファス層が堆積された。金属電極と触媒との間にアモルファスSi層を導入することによって、大抵の場合に、成長の活発度が向上されることが見出された。
【0126】
多くの電子応用について、ナノチューブとの相互接続には、仕事関数がCNTに近い、すなわち〜5eVの金属を用いることが望ましい。仕事関数が4.33eV〜5.64eVの範囲にある金属が選択された。これらの例において、プラズマ処理後の金属電極層の電気的な規準、相互接続としての金属下層の質および成長するCNTの質に関する調査の結果が報告されている。
【0127】
(実施例4乃至6についての実験条件)
厚さ400nmの酸化物(SiO)を備える面積1cmで厚さ500μmの酸化シリコン基板が用いられた。調製された基板の断面図が、図18Aおよび図18Bに概略的に示されている。(層の厚さは相対的に縮尺されていない。)まず、金属電極層(例えば、Cr、Ti、Pt、Pd、MoまたはW)が、電子線蒸着によって基板上に直接50nmの厚さに蒸着された。その後、10nm厚のNiフィルムが堆積されて下に横たわる金属層を部分的に被覆する(図18B)か、またはNi層の堆積に先立って10nm厚のアモルファスシリコン中間層が堆積される(図18A)かした。SiとNiは、〜3×10−7mbarのチャンバー圧で蒸着され、化学量論的でないSiOが表面に形成されるのが避けられた。
【0128】
DCプラズマ促進CVDチャンバーを用いて、図18Aおよび図18Bの構造体の上にナノチューブを成長させた。実験上の設定と詳細な成長の手順は、R.E.モージャン、V.マルツェフ、O.A.ネルシェルおよびE.E.B.キャンベルによるChem.Phys.Lett.、383、385−90、(2004年)に記述されていた。オーミックヒーターを含む直径2cmのモリブデンの、接地された陰極上に基板が置かれた。陰極の温度は、温度制御器に接続された熱伝対を介して測定された。ヒーター本体を横切る熱勾配は、数ケルビンを超えることは無かった。プラズマ無しでの追加のテストによって、表面からの熱の損失は適度に小さく、基板の温度は、ヒーター本体よりも10−15Kだけ低いということが明らかとなった。プラズマシースから基板を加熱する逆の効果は、電流密度が低く放電において放出される合計電力が低いために、無視できるほど小さいものであると見積もられる(A.M.キャセル、Q.イェ、B.A.クルーデン、J.リー、P.C.サラージン、H.T.ング、J.ハンおよびM.メイヤッパンによるNanotechnology、15、9、(2004年)およびK.B.K.テオ、M.チョワラ、G.A.J.アマラツンガ、W.I.ミルネ、G.ピリオ、P.レガグヌークス、F.ウィクジスク、D.プリバットおよびD.G.ハスコによるAppl.Phys.Lett.、80、2011−3、(2002年)のような他の研究において用いられているものより大きさが二桁小さい)。全ての実験において、5mbarのチャンバー圧で、C:NH(1:5)のガスの混合体においてナノチューブを成長させた。3.8℃s−1の傾斜率で、0.13mbarの低真空圧のもと、700℃の成長温度まで基板が加熱された。プラズマ点火のために陽極に印加される破壊電圧は、1kVであった。ガスの混合体をチャンバーに導入した後、電圧は400Vに落とされた。陰極表面での電流密度は0.5−1mAcm−2であった。試験された基板の構成全てについて成長期間は15分であった。正確に温度を制御しようと望むことで、設定の設計に制限が課せられたことに注意されたい。ヒーター本体と基板は接地され、放電のI−V特性は、通常のグロー放電条件によって制限され、すなわち電流密度はほとんど一定であって、放電において放出される電力の合計は作動圧によって支配される。陰極と陽極の間の電位の低下は、ガス密度に反比例し、電極間距離とガスの組成に依存する。
【0129】
成長させた後、サンプルは空気にさらされる前に室温まで冷却された。そして、このように成長されたフィルムは、JEOLJSM6301F走査型電子顕微鏡(SEM)で撮影された。また原子間力顕微鏡(AFM)も用いて、異なる処理ステップの後の基板の形態を定性的に調査した。全ての実験は、再現性を証明するために繰り返された。
【0130】
(実施例4:金属上に直接堆積される触媒(Si中間層無し))
図19は、ニッケル触媒の層が金属下層の上に直接堆積された成長シーケンスの後の基板のSEM画像を示す。大抵の場合、CNTの成長は、観察されない。CrとTiの双方の金属下層上への成長が充分観察されないのは、先の成果と反対である。例えば、TiとCrは、触媒とシリコン基板を被覆する自然酸化物との間のバッファ層として、カーボンナノチューブまたはナノファイバーをPECVDで成長させる間にニッケルシリサイドが形成されるのを防ぐため、以前用いられていた(例えば、J.H.ハン、およびH.J.キムによるMater.Sci.Eng.C16、65−8、(2001年)およびV.I.マークロフ、D.H.ローンデス、Y.Y.ウェイおよびG.エレスによるAppl.Phys.Lett.、76、3555、(2000年)を参照)。また、TiとCrは、NiとCo/Ni触媒を用いてナノチューブをプラズマ促進CVDで成長させるのに最適な金属下層であることが見出された(例えば、A.M.カッセル、Q.イェ、B.A.クルーデン、J.リー、P.C.サラージン、H.T.ング、J.ハンおよびM.メイヤッパンによるNanotechnology、15、9、(2004年)を参照)。しかしながら、当該の結果と以前に報告された結果との間の差異は、実験条件の違いに関係している。とりわけ、TiおよびCr層は、A.M.カッセル、Q.イェ、B.A.クルーデン、J.リー、P.C.サラージン、H.T.ング、J.ハンおよびM.メイヤッパンによるNanotechnology、15、9、(2004年)の場合には、ここのようなSiOの厚い層上ではなく、自然酸化物を備えるSi基板上に直接蒸着されている。
【0131】
当該の例においては、シリコンと金属電極の間に良好な絶縁層を提供するために、ずっと厚い(400nm)酸化物層が用いられた。NiがCrとTi上に堆積されたフィルムは、SEM画像においてかなり平滑に見える。加熱後に成長ステップ無しで基板をAFMで調査すると、CrとTi上のNiが実際平滑な表面を生み出していることが示される。他の下層を用いることで、直径20−50nmで高さ1−5nmの平均的な大きさを有する島の存在が、加熱後に示される。
【0132】
成長後のPt下層上のNiフィルムのSEM画像(図19(c)部)は、20−40nmの島の存在を示す。これは、加熱後の基板の構造に非常に類似しており、それもまたAFMで調査された。このサンプルにおいては、ナノチューブの形成について何の証拠も見出すことができない。対照的に、Ni−Pdの組み合わせ(図19(d)部)では、成長プロセス後に大きな不規則な形の柱が形成されるものとなる。この場合、いくつかの小さなナノチューブのような構造体を、直径100nm未満であるが表面被覆率の非常に低い密度で見ることができた。
【0133】
AFMのトポグラフ画像によって、成長シーケンス後の粒子の形成の影響が明らかではないが、Ni−Pdサンプルにおいて加熱ステップの後小さな粒子が形成されていることが明らかになった。Ni/MoとNi/Wとの組み合わせ(図19(e)部および(f)部)のみによって、我々の成長条件のもとで、VACNTが形成されることとなる。構造体の全てが、触媒粒子を先端に載せて良好に垂直に配列されていることが示されている。直径はかなり小さくて5−40nmの範囲にあり、長さは0.5−1μmの範囲にある。しかしながら、密度が非常に低く、Ni/Moについて5ナノチューブμm−2という値であり、Ni/Wについて73ナノチューブμm−2という値である。直径の分布が図20にプロットされている。
【0134】
(実施例5:ナノチューブの成長に対するSi中間層の作用)
Niフィルム上に垂直に配置されたナノチューブアレイを成長させるPECVDの最初の応用(Z.F.レン、G.P.ファン、J.W.シュー、J.H.ワン、P.ブッシュ、M.P.シーゲイおよびP.N.プロベンチョによるScience、282、1105−7、(1998年))から、研究者たちは表面形態の役割、触媒の厚さおよび触媒粒子を形成するための表面でのエッチング反応について議論した。シリサイドの形成は、ナノチューブの成長には不利であると考えられており、シリサイドの形成を防止するのに金属層が用いられた(例えば、J.H.ハンおよびH.J.キムによるMater.Sci.Eng.C16、65−8、(2001年)およびV.I.マークロフ、D.H.ローンデス、Y.Y.ウェイおよびG.エレスによるAppl.Phys.Lett.76、3555、(2000年)を参照)。最近では、鉄触媒上に成長するナノチューブに見られる触媒粒子の詳細な調査が、エネルギーにフィルタをかけたTEMで行われた(Y.ヤオ、L.K.L.フォーク、R.E.モージャン、O.A.ネルシェフおよびE.E.B.キャンベルによるJ.Mater.Sci.15、583−94、(2004年))。粒子には、著しい量のSiが含まれていることが示された。同様の観察が、Ni触媒上にPECVDで成長したCNTについても行われた。このように、シリサイドはナノチューブの成長を低下させるものではなく、最も好ましい触媒粒子の化学量論についての問題は未解決である。ここで報告された結果は、触媒の島を形成するためにシリサイド化プロセスを利用している。Siを触媒と金属下層との間のサンドイッチ層として導入することによって、異なる金属下層上へのナノチューブの成長が著しく改善された。これは、図21に示される一連のSEM画像ではっきりと見ることができる。Tiについて、その成長が非常に低密度であることが見出され(図21(a)部)、Cr金属(図21(b)部)下層については成長が無かった。Crの場合、プラズマ成長チャンバーにおいて15分後にフィルム上に多くのひび割れや隙間ができた。Tiの場合は、ナノチューブがいくつかの触媒のある場所から成長しているのが見られる。これらは、ランダムに成長しているナノチューブで、直径が10nmから50nmの範囲にあり、長さが数ミクロンまで延びているように見える。それらは、垂直の配列を示すものではなく、先端成長の証拠も無い。しかしながら、VACNTは、他の4つの基板上にうまく成長していた。Pdを備えるサンプル(図21(d)部)もまた、配列されていない長いフィラメント上の構造体を含んでいた。TEMの調査を行わなかったが、これらの二つのタイプのカーボンナノ構造体が共存するのは、他者によって得られた結果に非常に類似するように見える(例えば、A.V.メレチコ、V.I.マークロフ、D.H.ローンデス、M.A.ギローンおよびM.L.シンプソンによるChem.Phys.Lett.、356、527−33、(2002年)を参照)。このように、配列されていない長いフィラメントが、ベース成長モードによって成長するCNTに帰せられる。
【0135】
最高密度である390ナノチューブμm−2と、最も均一なサンプルが、Ni/Si/Pt層上に成長された(図21(c)部)が、平均長は、PdおよびWの場合(0.2−1μm)よりも短かった。成長時間がより長くなることで、個々の構造体も長くなる。異なるサンプルの量の比較を行うために、上から見たSEM画像の統計的な分析が行われた。画像上の明るいスポットのサイズの分布が図22にプロットされている。明るいスポットは、CNTの先端上の触媒粒子の上面図に対応する。スポットの可視領域に基づいて直径が計算された。サンプルの一つの側面図が、挿入された図23(e)に示されている。最も小さなスポットでさえも、垂直に配列されたナノチューブに対応することをはっきりと見ることができる。直径は、数ナノメートルから100nmを超えるまで変化し、長さは、0.2μmから1μmまでの範囲にある。ナノチューブの直径は、観察される触媒粒子のサイズよりもわずかに大きく、それは、より細い対象物について統計的により重要であることに注意されたい。モリブデンの下層(図21(f)部)は、四つのうまく成長した層(89ナノチューブμm−2)のうち最も低い密度を示したが、また最長の構造体(0.5−2μm)でもあった。高解像度SEMでの調査(サンプルが図23(e)に示されている)により、四つの場合の全てにおいて、先端に触媒の粒子が存在することが証拠となるとおり、VACNTは、先端成長メカニズムを介して成長することが明らかとなった。こういう事実にも関わらず、成長したナノチューブは、直径、密度および長さについて異なっている。
【0136】
粒子の直径の分布(図22)は、Ni触媒が直接Si基板上に堆積された先に出版された結果と比べて、直径が小さくなる方向に強くシフトしている(例えば、M.チョワラ、K.B.K.テオ、C.デュカティ、N.L.ルペシンゲ、G.A.J.アマラツンガ、A.C.フェラーリ、D.ロイ、J.ロバートソンおよびW.I.ミルネによるJ.Appl.Phys.、90、5308、(2001年)およびM.メイヤッパン、L.デルツァイト、A.M.カッセルおよびD.ハッシュによるPlasma Sources Sci.Technol.、12、205、(2003年)を参照)。〜10nmという平均直径は、先に出版された論文で報告されたNiを触媒とするVACNTの成長についてのものよりずっと小さい(例えば、M.チョワラらによるJ.Appl.Phys.、90、5308、(2001年)、M.メイヤッパンらによるPlasma Sources Sci.Technol.、12、205、(2003年)、A.M.カッセルらによるNanotechnology、15、9、(2004年)およびJ.H.ハンおよびH.J.キムによるMater.Sci.Eng.C16、65−8、(2001年)を参照)。加熱ステップの後AFMでのスキャンが行われ、シリコン中間層が備わったり備わっていなかったりする状況について、表面の形態に大きな違いが無いことが示された。小さな触媒粒子の形成は、加熱ステップに関係しているだけではなく、プラズマ中で形成される種によるこれらの粒子のエッチング(J.H.ハンらによるThin Solid Films、409、120、(2002年)およびJ.H.チョイらによるThin Solid Films、435、318、(2003年))並びに触媒粒子中に拡散したカーボンによって誘発される金属粉付けプロセス(C.エメネガー、J.−M.ボナード、P.マウロン、P.スダーン、A.レポラ、B.グロベティ、A.ズッテルおよびL.シュラップバッハによるCarbon、41、539−47、(2003年))にも関係している。
【0137】
この実施例により準備されたサンプル上に存在するVACNTのサイズ分布は、中間層としてのアモルファスSiが存在するか否かに依存する。アモルファスSi中間層を備える全てのサンプルにおいては、直径が非常に小さいVACNTを形成する強い傾向がある。その分布は、Siが中間層として用いられた場合について、図24((a)部)に対数縮尺でプロットされている。PdおよびWの場合には、ナノチューブの50%より多くが5nm以下の直径を有しており、直径がより大きくなるにつれて急速に測定される数が低下する。Pt下層を備えるサンプルは、急速に低下する前の構造体全体の約60%を計測すると、直径が35nmまでという広い分布を有する。Mo下層では、直径が大きな構造体のパーセンテージがより高くなる。図24((b)部)は、Si中間層が存在していないMoおよびW下層上への成長についてサイズ分布を示す。20nmのFWHMを備えるW上への成長について確率のピークは22nmである。Mo下層についての分布は、かなりランダムであるように見受けられ、それはSEM画像にはっきりと示されている(図21(f)を参照)。
【0138】
(実施例6:カーボンナノチューブの電気的測定)
プラズマ処理後の下に横たわる金属電極層の電気的な完全性および金属−ナノチューブのコンタクトの質は、CMOSに適するデバイスにCNTを応用するために重要な課題である。二探針I−V測定をフィルム上で行うために三つの異なる構成の電極が用いられた。すなわち、(i)双方の探針が金属層上、(ii)一つの探針が金属層上でもう一つがナノチューブの表面上、(iii)双方の探針がナノチューブの表面上である。図25は、これらの実施例の各々について測定の構成と等価DC回路図を示す。シールドされた箱を介してHP4156Bパラメータ分析器に接続される、先端の直径が約40μm乃至50μmの探針を用いて、室温で測定を行った。回路を流れる電流をモニタしながら、マイクロマニュピレーターを使って、探針を表面(特にCNT表面の場合について)と接触させた。そうして、探針がCNTの表面のみに触れ、フィルムの底に触れないように確認した。フィルムおよび金属下層についての量的な情報よりもむしろ質的な結果を得るために測定が行われた。金属をNi触媒から分離する、Si中間層の無いMoおよびW下層(図26(a)部の差込図)のためのCNT−金属構成について、線形I−Vプロフィールが測定された。I−Vのプロットの線形性により、ナノチューブと金属層との間がオーミックコンタクトであることが示唆されている。三つの異なる測定の構成のうち、この場合においては、ナノ構造体の密度が非常に低いことが期待されており、大きな導電性の変化が観察されない。図26(a)部の主要部には、アモルファスシリコン中間層を含むサンプルについてのプロットが示されている。アモルファスシリコンが無い状況については、期待できるよりも抵抗が高くなる。しかしながら、タングステンについて、プロットは、わずかな非線形性しかない顕著に線形的な振る舞いを示しており、CNTと各々の下にある金属との間のオーミックコンタクトの度合いが多様であることを示唆している。
【0139】
図26(b)部は、点線で示される、金属−金属構成についての1/R値からのコンダクタンス値の偏差を示す。点線は、表面漏れと劣ったコンタクトを区別するために用いられる。所定の金属下層についての、異なる測定構成の個々のコンダクタンス値が、直線の指標によって明示されている。PtとPdについてのCNT−CNT構成の高いコンダクタンスは、比較的高いCNT密度と関係して現れる、CNTフィルムを流れる顕著な漏れ電流によるものと思われる。それはまた、配列されていない長いCNTが存在するために有効なコンタクト探針領域が増大することとも関係している(図22(c)、図22(d))。他方、PtについてのCNT−金属構成の低いコンダクタンス値は、非常に劣った金属−CNTコンタクトを示している。Wについては、測定にCNTを含めることで、探針−CNT−基板システムについて〜150のコンタクト抵抗に対応して、コンダクタンスが次第に低下することとなる。Moの場合について、全ての探針構成における一定のコンダクタンス値は、おそらくは単位面積当たりに存在するナノ構造体の密度が低いためである。同様の結果が、前述のような、WとMoの上に直接堆積されたNiについて得られた。CNTの表面密度が低いことによって、CNT成長の後でも、電気測定が行われるときに、探針−金属−探針構成が有効なものとなる。垂直に配置された個々のカーボンナノ構造体を前もって作られた金属基板上に成長させることで、例えば、CNTの分散を用いて、その後AFMの操作、CNTのAC場への捕獲または化学的機能性付与によってCNTを機能的な形に組み立て、かつ統合することと関連する技術と比べて、CNTベースのデバイス作製プロセスが簡略化される。本件の場合において、Siを含むサンプルについてのI−V特性の線形性によって、プラズマ処理の後の金属電極の電気的な規準は安定したままであることが証明される。金属−Si−CNT構成についてコンダクタンスの値は、以下のように測定される。図26(b)により、Pt<Pd<Mo<W。回路図によると、金属−金属の構成によって、探針および金属下層の抵抗に関する情報が提供される。金属−CNT構成により、抵抗Rに関係する情報が提供され、CNT−CNT構成により、あらゆる表面漏れで誘発されて回路を流れる電流に関係する情報が提供される。例えば、等価回路図(図25)に示されるように、R(CNT−CNT)≦(R+RMetal+R’)であるならば、表面漏れ電流が支配的となり、ここで、Pt金属下層上の金属−CNT構成についてコンダクタンス値が劣っているために、Rに関係する抵抗が支配的な要素であることが明らかとなる。さらには、支配的なRのために、Ptは、垂直に配列されるナノチューブをベースとしたデバイスを成長させるために良い選択では無くなる。R抵抗が低く、R(CNT−CNT)が観察されないので、我々の一連の実験から、Wが相互接続に最善の金属であることが見出された。MoおよびPd電極はまた、CNTに基づいてデバイスを作製するのに良い選択肢である。
【0140】
(実施例7:PdおよびPt金属下層)
PdおよびPtの場合について、AFM測定によって、加熱ステップの後に小さな粒子が形成されることが明らかになっている。相図には、700℃でNi−PdとNi−Ptの間に支配的な合金の形成が行われていそうに無いことが示されている(T.B.マサルスキによる二元合金相図第二巻Fe−RuからZn−Zrまで(1986年メタルズパーク、OH:アメリカ金属学会))。本件の層構成Ni−Si−Pt/Ni−Si−Pdにおいて、最初の反応は、Pd−SiおよびPt−Si界面が結晶シリサイド(それぞれPdSiおよびPtSi)に変化することである(M.O.アボエルフォト、A.アレサンドリニおよびM.F.ダールによるAppl.Phys.Lett.、49、1242、(1986年)およびA.H.リーダー、A.H.ヴァンオーメン、P.J.Wウェイジス、R.A.M.ウォルターズおよびD.J.ウーストラによるRep.Prog.Phys.、56、1397−467、(1993年))。その後、より高い温度で、最上のNi層が残りのアモルファスSiと、かつ最もありそうなのは、Pt/Pdシリサイドと、相互反応し始め、それによって二元/三元合金を形成する(E.カンプショフ、N.ワークリおよびK.カーンによるSurf.Sci.、406、103、(1998年)、F.エデルマン、C.サイターマン、R.ブレナー、M.アイゼンバーグおよびR.ウェルによるJ.Appl.Phys.、71、289、(1992年)およびN.R.フランクリン、Q.ワン、T.W.ソブラー、A.ジャーベイ、M.シムおよびH.ダイによるAppl.Phys.Lett.、81、913、(2002年))。このように、PdとPtの双方の場合について、Siを除外するのと包含するのとの間には強い化学的な相違がある。さらには、傾斜段階およびプラズマ環境段階の双方で起こる強い反応によって、Siが包含される場合には、直径が小さなナノ構造体が集合的に形成される結果となるが、Siが除外される場合にはそのような成長は無い。後者の場合は、Ir下層上にCNTが粗悪に成長するのが観察されることと相関する(A.M.カッセルらによるNanotechnology、15、9、(2004年))。
【0141】
(実施例8:MoおよびW金属下層)
Mo−NiとW−Niの相図には、700℃よりも高い温度で、Niのリッチな合金が形成されることが示されている。Mo/W上に堆積されるNi層の集結度がある程度影響されてSiが除外される場合には、個々のナノ構造体の密度が非常に低いものとなる。これらのサンプルからのナノ構造体に均一性が欠如していて密度が低いのは、フランクリンらによって観察されたことと一致し(N.R.フランクリン、Q.ワン、T.W.ソブラー、A.ジャーベイ、M.シムおよびH.ダイによるAppl.Phys.Lett.、81、913、(2002年))、そこでは、触媒層の下にW/Mo電極があることでナノチューブの成長が抑制されているが、Mo/W化合物がナノチューブの成長のための触媒として用いられる、先に発表された結果とは一致しない(C.J.リー、S.C.リュウ、H.W.キム、J.W.パーク、H.M.ジュンおよびJ.パークによるChem.Phys.Lett.、361、469、(2002年)およびA.モイサーラ、A.G.ナシブリンおよびE.I.カウッピネンによるJ.Phys.:Condens.Matter、15、S3011、(2003年))。MoとWはそれぞれ〜800℃および〜950℃でSiを消費し始めて、シリサイドを形成する(M.O.アボエルフォト、A.アレサンドリニおよびM.F.ダールによるAppl.Phys.Lett.、49、1242、(1986年)およびS.P.ムラルカ、によるJ.Vac.Sci.Technol.、17、775、(1980年))。現在では、調査されたプロセスはこれらの温度より低い。このように、Si中間層を導入することによって、安定的なSi−MoおよびSi−Wシステムが達成されて、フィルムにおける個々のナノ構造体の密度を一見高める純粋なSi−Ni表面が促進される。さらには、これらの金属は、SiおよびNiの双方向への拡散に対してバリアを形成し、Niフィルムが自然酸化物層を有するバルクシリコン上に直接堆積される場合と比べて、Niと反応できるSiの量を制限する。
【0142】
Si中間層の効果は、自然酸化物層(〜1nm)を有するバルクSi上での実験と比較され、それはまた、同じ設定でかつ同様の条件下で行われた。シリコン基板上に堆積されるNiフィルム(10nm)上に成長する触媒粒子/ナノチューブ密度(117/75個μm−2)を、金属と触媒との間のSiアモルファス中間層(10nm)と比較することによって、ナノ構造体の密度が、Pt、Pd、WおよびMoの場合それぞれについて〜5、3、2、1のファクターだけ増大することが観察された。このように、アモルファスSi中間層の厚さを調製することによって触媒粒子の化学量論を変えることで、密度と粒子の分布を制御できる。
【0143】
要するに、シリコンを中間層として用いることによって、選択された6つのうち4つのCMOSに適する金属下層の上にナノチューブを上手く成長できている。この一連の実験から観察される重要なことは、一連の加熱の後に形成されるニッケル島のサイズは、ナノチューブの成長について唯一の決定的なファクターでは無いということである。結果として、これらの実験によって、Siは、カーボンナノチューブの成長に極めて重要な役割を果たすということが示される。さらには、Si層の厚さは、成長温度、チャンバー圧力および異なるガス比とともに、特定のアプリケーションに必要とされる良質および適量のカーボンナノチューブの成長を調整するためのさらなるツールである。とりわけ、Si層の挿入によって、多くのアプリケーションについて有利となり得る、個々の垂直に配置される直径の小さな(≦10nm)ナノチューブが生成される。
【0144】
ここで報告される研究によって、TiおよびCr金属下層上には貧相なナノ構造体しか成長しないことが示されたが、それは他の実験室で得られた結果と明らかに矛盾している。そのような相違が生じた主な理由は、Ni/Ti界面に影響する酸素を多く放出する厚い酸化シリコン層上でのTiのシリサイド化に帰される。
【0145】
金属相互接続として、ここで記述される製造条件については、W下層が最も良い下層金属であることが見出された。とはいっても、構造的および電気的な整合性は、苛酷な化学およびプラズマ処理の後でさえ、全ての金属下層について損なわれないままであるように思える。
【0146】
(実施例9:独立して立つ個々のカーボンナノファイバーの成長に対するシリサイド化の影響)
この実施例は、垂直に独立して立つカーボンナノチューブ/ナノファイバーおよび、それらの機能性ナノデバイスへの組み込みを扱う。この実施例において、タングステンおよびモリブデン金属下層上にあらかじめ作製された触媒ドット上に独立して立つ個々のカーボンナノファイバーの成長が示されており、アモルファスシリコン層を触媒層の一部として用いている。要するに、触媒ドットの95%より多くが、W金属下層上への成長のための核生成を促進した。成長シーケンスの間に起こるシリサイド化は、成長速度論について極めて重要な役割を果たすことが示唆されている。EDX化学分析によって、ナノファイバーの先端は、Niの合金および下層金属からなり、ベースはNi、Siおよび下層金属のサインを示すことが明らかとなった。
【0147】
異なる金属下層上の成長条件および成長速度論は、Si基板について前提とされている成長メカニズムとは著しく異なっている。この実施例によって、シリサイドの形成についてWおよびMo上への成長結果が説明される。ここのナノファイバーは、透過型電子顕微鏡(TEM)において特徴付けられる。基本的な組成は、微細探針エネルギー分散エックス線分光器(EDX)によって測定された。
【0148】
面積が1cmで、酸化物の厚さが400nmの酸化シリコン基板が用いられた。まず、金属(WまたはMo)下層が、電子線蒸着によって基板上に50nmの厚さに直接蒸着された。ストライプとドット(端から端までの距離が100nmおよび50nm)が電子線リソグラフィーによって作製された。実験の詳細は、キャビアらによるNanotechnology、17、790−794、(2006年)にさらに記述されており、これを援用することによってここに組み込まれる。10nmのNiで被覆される10nm厚のアモルファスシリコン中間層が、触媒の成長に用いられた。DCPECVDチャンバーが、ナノ構造体を成長するのに用いられた。実験の設定および詳細な成長手順は、R.E.マージャンらによるChem.Phys.Lett.383、385、(2004年)に記述されている。ここに記述される全ての実験の実施について、ナノチューブの成長は、C:NH(1:5)の混合ガス中で、チャンバー圧5mbarのもと700℃で20分間行われた。まず基板は、3.8℃/秒の傾斜率(加熱段階)で、低真空条件(0.13mbar)のもと700℃まで加熱された。成長後、空気に晒される前にサンプルは室温まで冷却された。そして、前もって作製されたドットからそのように成長したナノチューブが、JEOLJSM6301F走査型電子顕微鏡(SEM)またはJEOLULTRA55SEMで撮影された。そして、サンプルは徐々にTEM格子に擦り付けられて、成長したファイバーが基板から格子へと移される。そして個々のファイバーがTEMおよびEDXによって調査された。
【0149】
パターニングされた基板/触媒層の形態上の変化が、成長シーケンスの加熱ステップの間に起こるかもしれないが、顕著な触媒の分解または塊の形成は観察されず、それは触媒フィルムが用いられた実験と良く一致する。図27には、Wの場合についての成長シーケンスの後の基板のSEM画像が示される。図27のパネル(a)、(c)および(d)には、それぞれ側長が100nmでピッチが500nm、長さが50nmでピッチが1μm、長さが50nmでピッチが500nmのパターニングされたドットから成長したカーボンナノファイバー(CNF)の顕微鏡写真が示されている。見て分かるように、触媒ドットの95%より多くが、成長の核となっていた。100nmのドットの割れからの触媒やドット当たり4ファイバーまでの多重CNFが観察された。50nmのドットから成長したCNFは、個別のものであって、垂直に良く配列されている。単一のドットから多重のCNFが成長した例がいくつかある(〜2%)。ナノファイバーが成長した全ての場合について、触媒粒子が先端に存在することによって証明されたように、先端成長メカニズムが示された。ピッチで誘発される支配的な効果は、1μmおよび500nmのピッチについてはそれぞれ明らかでない。アモルファスSi層が金属下層の上の触媒層の一部として含まれるので、アモルファスSiと2つの金属層との間の相互反応(シリサイド化)は、触媒の最終的な層およびその触媒作用を定義付けるのに重要なプロセスである。図28パネル(b)に例が示されており、そこではNiのみがW上に堆積されて、触媒作用や成長は結果として生じなかった。
【0150】
室温では、堆積されたフィルムに存在するストレスは、熱膨張係数の不整合によるものであるが、温度が高ければシリサイド化が起こって結果的に正味の体積が減少する。体積の低減は、非常に大きなものであり得、これによってシリサイド化されたフィルムに大きな張力ストレスがもたらされ得る。加熱の後、NiおよびMoシリサイドについての張力ストレスは、それぞれ〜0.25×10−9ダイン/cmおよび〜0.10×10−9ダイン/cmであることが見出され、それらは同じ桁数である。おそらくこれによって、加熱プロセスの間何故触媒が分解しないのが説明される。すなわち、より小さな片への分解は、フィルムのストレスによって誘発されるというよりもむしろ成長速度論によって制御されるものである(図27(a)の挿入図を参照)。
【0151】
お互いの上に堆積される金属とシリコンとの間の固体反応かまたは金属とSiとの共蒸着かによって、高い温度ではシリサイドが形成され得る。遷移金属のシリサイドは、高温材料として有用なために広く研究されており、調査されている。研究された金属下層やNi触媒層は、この場合、ナノファイバーの成長の間シリサイド化を経る。共通に用いられるシリサイドについては、金属Mの薄膜が厚いSi層と反応するとき、熱力学的に安定な相はMSiである。反対に、Siの薄膜が厚い金属層と反応する時は、熱力学的に安定な、金属がリッチな相が形成される。金属の薄膜が薄いSi層と反応し、過剰な金属も過剰なSiも存在しない時は、金属原子とSi原子の比によって平衡相が決定される。ここで記述される3成分の系については、2つ以上の相が同時に起こりそうであるので、状況は複雑である。この場合、界面反応および拡散率によって安定な相が定義される。
【0152】
W−SiおよびMo−Siの系については、対応するシリサイドを形成するのにSiは支配的な拡散種である。反対に高温では、NiがSiにおける金属拡散種である。このように全ての移動種が、この系においては基板に向けて下がっていくと考えられる。基板の温度が成長温度に到達する傾斜率もまた、シリサイドの化学相を定義する役割を果たす。ニシカワら(O.ニシカワ、Y.ツナシマ、E.ノムラ、S.ホリエ、M.ワダ、M.シバタ、T.ヨシムラ、R.ウエモリによるJ.Vac.Sci.& Technol.B(Microelectronics Processing and Phenomena)(1983年)、1、(1)、6)およびツォンら(T.T.ツォン、S.C.ワン、F.H.リウ、H.チェン、M.アーマッドによるJ.Vac.Sci.& Technol.B(Microelectronics Processing and Phenomena)(1983年)、1、(4)、915)によって電界イオン顕微鏡を用いて行われた、SiのWとの反応についての広範な研究によって、W上にSiを堆積すると、正方晶系多結晶WSi構造が〜700℃で生じそうであることが明らかとされたが、それはまたここで用いられている温度においてである。しかしながら、ツォンらは、〜30秒を超えて加熱が延長されると、シリサイド相に変化が生じることを報告している。
【0153】
シリコンが支配的な拡散種であるとき、それはMo/W界面よりずっと下の位置で拡散し続け、そうして界面から離れたところにシリサイドを形成し得る。そうして、少なくとも2つの二元層、すなわちNi−Mo/WとSi−Mo/Wが形成されることが予測できる。我々は、Si−Mo/W層が、NiリッチのW層(Ni−W層)がCNF成長の触媒となって、それを促進するプラットフォームを提供していることを示唆し、すなわち、Niが直接W上に堆積された場合は、図27(b)に示されるように成長が観察されない。この仮説を支持するために、W金属下層上に成長したナノファイバーのTEMでの調査が、図17Bに示されるように行われた。図17Bパネル(a)には、直径〜30nmのパターニングされた触媒からのCNFの典型的な構造が示されている。CNFにおける触媒Ni粒子は、通常円錐形である。図17Bパネル(b)および図17Bパネル(c)にそれぞれ示されるように、CNFの先端およびそのベースの双方においてEDX点分析が行われた。EDXスペクトラムによって、ファイバーの先端にSiを示す特性ピークが示されていない(図17Bパネル(b))。Wは、先端でNi触媒と共存していることが見出された。しかしながら、ファイバーの根元では少量のSiが検出されている(図17Bパネル(c))。触媒粒子のタイプに関わりなく(Si基板上のNi/Fe触媒)、触媒粒子中にシリコンが存在する(先端とベースの双方において)ことが、断面TEMの観察で報告されている。これらの観察から、CNFの先端にある粒子は、CNFが成長した冶金層の一部であったことが推定でき、サンプルにおいて、先端にはNiとWのみが含まれSiが含まれていないことが観察されているので、この場合の成長のための冶金層は、Ni−W系であったことが推測できる。したがって、W−シリサイド層が、Ni−W層を成長のための核とする手段を提供していることが提案される。メレチコら(A.V.メレチコ、D.H.ローンデス、M.A.ギローン、M.L.シンプソンによるChem.Phys.Lett.2002年、356、(5−6)、527)によって示唆される、先端の成長についてのモデルにおいては、触媒粒子と基板との間の界面が重要である。触媒のNi−W粒子と界面を成す純粋な金属よりもむしろシリサイドを有することで、我々はこれらの重要な界面条件を著しく−明らかにCNFの成長に好ましいように−変えるものである。Mo金属下層は、W金属下層と多くの点で同じように振る舞い、すなわち直径、長さ、成長の率等について統計的にほとんど同じCNFを生成する。Moはまた、シリサイド化についてもWと同様の振る舞いをする。したがって、W金属下層に関する説明は、Moについても同様に有効であると提案されている。
【0154】
結論として、金属−Si−金属反応、シリサイド層および速度論について、CNFのPECVD成長での結果が提示されている。シリサイド化は、ナノ構造体の成長メカニズムを定義する上で極めて重要な役割を果たしていそうであり、シリサイドは、冶金上層が核となることを可能とする。EDXの分析によって、W上のSi上のNiという系の場合についてこの結論が支持される。触媒粒子を分割することは、異なる材料の熱膨張係数よりも成長速度論により関係することが見出されている。薄膜金属−Si−金属系についてのシリサイド化プロセスは複雑で、それらの速度論を支配する2つ以上のメカニズムを含む。
【0155】
(実施例10:ナノ構造体の制御)
この実施例では、単一の幾何学的なデザインからのPECVD成長における、CNT/CNFの直径および長さの分布の制御を記述する。電子線リソグラフィーのショット調整技法によって触媒ドットの直径を制御することで、結果が得られた。その方法は、単一の幾何学的デザインからサイズの異なるドットを作製することと、その結果として起こる、異なる金属下層上に垂直に配列されるカーボンナノファイバーを成長することへの効果とを含む。統計的な分析を行って、PECVDシステムで成長するCNF構造体の均一性を評価し、異なる金属下層の関数として、直径および長さの分布に関して達成可能な均一性を調査する。成長するナノファイバーの直径の変化量を2±1nmの精度に制御することが可能であり、その結果は統計的に予測可能である。そうして開発された技術は、カーボンをベースとしたナノ電子機械構造(NEMS)を作製するのに適切である。
【0156】
作製されたデバイスの電気特性(I−V)およびスイッチング動作は、設計および作製に関する多数のパラメータに依存する。CNF/CNTは、デバイスの能動的な部分であるので、CNT/CNFの直径および長さは双方とも非常に重要である。デバイスの形状は図29に描かれており、それには、デバイス特性に影響を与えるパラメータが示される、作製された垂直な「ナノリレー」構造の電子顕微鏡画像が示されている。単一のCNFが、2つのドレイン電極間に成長している。ドレインは、400nm厚のSiO絶縁体によってソース電極から分離されている。電圧をドレイン電極に印加することによって、CNFに電荷が導入され、CNFを活性化することができる。そのような2つの端末デバイスについて、弾性的、静電的およびファンデルワールス力のバランスによって、引き込み電圧が定義されている(M.デクエスネス、S.V.ロトキン、N.R.アルルによるNanotechnology、13(1)、10、(2002年))。これら3つの力は全て、成長する構造体の直径および長さと強く相関しているので、これらは、実験的にある程度制御できるパラメータである。この例においては、(a)精度2±1nmの単一の幾何学的デザインからのCNFの直径を変化させる技術の開発、(b)CNFの成長のために最適なCMOSプラットフォームを実現するための異なる金属下層上へのCNFの成長、(c)成長する構造体の長さ分布について統計的な広がりとその制御および(d)高密度の平行な構造体を大量生産するためのピッチの制限が記述される。
(サンプルの調製と特性表示)
【0157】
触媒ドットを作製するために電子線リソグラフィーのショット・モジュレーション技法が用いられて、触媒の大きさが定義される。ショット・モジュレーション技法は、種類の異なるナノ構造体を作製するのに用いられている確実な技法である。例えば、2つの電極領域を露呈する間印加される投与量を変えることによって、それらの間の間隔の幅をナノメートル精度で制御できる(例えば、K.リウ、P.アヴアリス、J.ブチナーノ、R.マーテル、S.サン、J.マイケルによるAppl.Phys.Lett.、80(5)、865、(2002年)を参照)。この例で記述される実験では、最新の電子線リソグラフィーシステム、JBX−9300FSモデルが用いられる。そのシステムは、100kVの作動電圧、500pAの探針電流で、スポットのサイズを〜6nmまでに保つことができる。そのシステムには、高さ検出モジュールが備わり、それを用いて製作品全体での電子線スポットの焦点の精度を確認し、レジストのスピンコーティングの間に通常起こるレジストの高さの変量を埋め合わせる。
【0158】
酸化物の厚さが400nmの酸化シリコン基板の、1cmの領域が用いられた。まず、電子線蒸着によって、金属(=Mo、NbまたはW)電極層が50nmの厚さに基板上に直接蒸着された。その蒸着されたフィルムについてシート抵抗の測定が行われた。そして、10%の共重合体および2%のPMMAレジストからなる二重層レジストシステムがそれぞれスピンコーティングされてベークされた。そして、ショット・モジュレーション実験が、50nmの正方形状で最初の10×10のアレイのドットに対して行われた。そして、同じブロックが8×8のマトリックスのアレイに割り当てられて、電子線の投与量を、500μC/cmから始めて100μC/cmの間隔で線形に変化させた。投与量を埋め合わせるために、近似は行わなかった。マトリックスの内部では、列が同じ投与量を表し、行が異なる投与量を表す。サンプルは露光されて標準的な現像液、IPA:HO(93:7)で3分間現像された。
【0159】
そしてサンプルは電子線蒸着装置に載置され、10nm厚のアモルファスシリコン中間層が、Ni触媒層の堆積に先立って堆積された。電子線蒸着の後、アセトン中にて60℃でリフトオフ処理が行われ、そしてIPAされ、DI水で濯いでNを吹きかけて乾かしてシーケンスを終了した。
【0160】
DCプラズマ促進CVDチャンバーを用いて、ナノ構造体を成長させた。そのDCプラズマ促進CVDチャンバーを用いて、ナノ構造体を成長させた。実験の設定および詳細な成長の手順は先に記述されている(例えば、R.E.モージャン、V.マルツェフ、O.ネルシェフ、Y.ヤオ、L.K.L.フォーク、E.E.B.キャンベルによるChem.Phys.Lett.、383(3−4)、385、(2004年)を参照)。ナノチューブの成長は、行う全ての実験について、C:NH(1:5)の混合ガス中で5mbarのチャンバー圧において700℃で20分間行われた。まず基板は、3.8℃s−1の傾斜率で、低真空条件(0.13mbar)のもと700℃まで加熱された(アニーリング段階)。一旦最終温度に到達すると、C:NHの混合ガスがチャンバーに導入されて1kVが陽極に印加され、プラズマ点火が誘発された。成長の後、サンプルは室温まで冷却されて空気に晒された。そして、予め製作されたドットからこのように成長するナノチューブが、JEOLJSM6301F走査型電子顕微鏡(SEM)およびJEOLULTRA55SEMで撮像された。実験は全て繰り返し行われ、それらの再現性が確かめられた。
【0161】
実験シーケンスの各工程の後、図30に図示されるように、サンプルの特性はSEMで明らかにされた。図30(a)は、成長のための加熱工程に先立って作製される10×10のアレイのドットを示す。図から分かるように、四角い形状が丸められてドットとなった。図30(b)は、サンプルを成長のためのプラズマや混合ガスに晒す前の加熱工程の後に撮影された。加熱工程の間大したことが起こったようではなく、四角いドットは無傷なままである。図30(c)は、成長シーケンスの後得られる結果を示す。1200μC/cmの投与量規模で98%を超える成長がもたらされる。CNFが、主として垂直に成長することが観察された。しかしながら、いくつかの例においては、成長した構造体が垂直からわずかに角をなしてそれることも観察された。アモルファスSiの層を触媒の一部として挿入することで影響を異なるものとするために、Ni触媒のみがW基板上に堆積される一連の実験が行われた。図30(d)から分かるように、CNFの成長は明らかではない。そのような結果もまた(援用することによってここに組み込まれる、M.S.カビア、R.E.モージャン、O.A.ネルシェフ、P.ルンドグレン、S.ベンツォン、P.エノクソン、E.E.B.キャンベルによるNanotechnology、16(4)458、(2005年))で報告されている。
【0162】
(ショット・モジュレーションと触媒の大きさとの間の相関関係)
触媒の大きさを定める上でのショット・モジュレーションの効果により、ナノメーター精度でCNFの直径を制御できる可能性が示されている。50nmの正方形に設定された幾何学的なデザインに対して実験が行われた。全ての金属下層について、再現可能な結果が得られた。電子線露光を500pA、100kVで行って、それによってビームステップサイズが〜6nmのスポットサイズに等しくなるように設定された。図31には、露光の間に照射される電子投与量の関数として、金属蒸着の後の触媒の直径が記述されている。各々の露光ショットにおいて、ビームが留まる時間を変えることによって投与量が変えられた。投与量が500μC/cmから1200μC/cmの範囲で線形的に変化するとき、電子投与量の関数として触媒の直径が直線的に増大することが期待される。タングステン層については、800μC/cmという閾値未満の電子投与量では、触媒構造体が観察されなかった。その観察によって、電子エネルギーがどのようにレジストに伝えられるかについて説明できる。露光の間、弾性的および非弾性的な一連の散乱の事象によって、エネルギーが照射され、レジストが露光される量が決定される。特徴の大きさが小さいとき、この効果は、最終的に露光されるパターンを画定するのにさらに重要となる。他方、レジストに照射されるエネルギーは、単により長期間スポットの「上に」ビームを当てておくことで変えることができる。しかしながら、ビームによって誘発されるパラメータに加え、作製される構造体の最終的な結果は、レジストの厚さ、レジストの現像液、金属蒸着の立体角等の実験的なパラメータで決定される。さらに、最小閾値点が存在しており、それ未満では、充分なエネルギーがレジスト現像液で現像されるべきレジストに伝えられず、また金属の堆積およびリフトオフ処理の後に金属構造体が現れない。これが、図31で観察されているものである。800μC/cm未満の電子投与量では構造体は現れない。加えて、この閾値点は、レジスト自体のタイプのみならず基板材料、ビーム電流密度、ビームのピッチ等の他のパラメータにも依存する。それにも関わらず、電子線リソグラフィー技法は、極端に高い位置精度能力(≦50nm)を容易にするのみならず、単一のデザインによる直径を制御するのに確実な技法であることも判明した。
(異なる金属下層上への成長)
【0163】
図32および図33には、それぞれ、800μC/cmおよび1200μC/cmの投与量で作製される異なる金属下層上の触媒ドットから成長したナノチューブのSEMが、各場合において2つの異なるピッチ(500nmおよび1μm)について示されている。800μC/cm未満の投与量では、CNFは全く成長しないが、それは、これらの条件のもとリソグラフィーを行った後触媒粒子が欠乏していることを観察できるのと充分に相関する事実である(図31を参照)。成長したCNFの構造体は、同じ収率に達するためにW金属下層にはわずかに高い投与量が必要とされるという事実を除けば、MoとWの金属層について、非常に類似している。タングステンの場合について、800μC/cmの投与量では、総量の60%を超える触媒ドットからCNFが成長した。さらに高い投与量では、97%を超える触媒ドットが、ナノチューブの成長のための核生成位置として作用する。以下の条件において先端成長メカニズムを介して、CNFが支持される触媒粒子から成長した。他方、ピッチが500nmのブロックは、800μC/cmで生成される触媒位置から85%を超える成長をもたらした。こういうことが起こるのは、電子投与量の近似効果と相関しており、処理の間にレジストに照射されるエネルギーが結果としてより高くなった。
【0164】
MoおよびWは、Si−Niと反応するための安定なプラットフォームを提供し、小滴に分解することなく成長温度でシリサイドを形成した。この結果は、ユダサカら(M.ユダサカ、R.キクチ、Y.オオキ、E.オオタ、S.ヨシムラによるAppl.Phys.Lett.、70(14)、1817、(1997年)を参照)、マークロフら(V.I.マークロフ、D.H.ローンデス、Y.Y.ウェイ、G.エレス、E.ボエルクルによるAppl.Phys.Lett.、76(24)、3555、(2000年)を参照)およびテオら(K.B.K.テオらによるNanotechnology、14(2)、204、(2003年)を参照)によって観察された、最初は大きなドットだったものが、多数の小滴が形成されたのとは異なるものである。ドットのサイズが低減すると、Ni小滴の数もまた低減する。マークロフらは、〜300nmの臨界直径を観察し、テオらは、〜100nmの臨界直径を観察したが、それら未満では単体のVACNFは成長しない。全ての場合において、Niのみが触媒層として用いられた。加えてこれらの場合において、形成される小滴がナノファイバーの触媒による成長のための必要な前駆体であった。反対に、加熱工程の後に小滴の形成は観察されない(図30(b)を参照)。触媒のフィルムが用いられた場合についてでさえ、同様の振る舞いが観察された(M.S.カビア、R.E.マージャン、O.A.ネルシェフ、P.ルンドグレン、S.ベンツォン、P.エノクソン、E.E.B.キャンベルによるNanotechnology、16(4)、458、(2005年))。したがって、これらの観察は、小滴の形成は、触媒の核生成のための唯一の基準では無いことを示唆している。
【0165】
Nb−Siの二元相図には、実験で用いられる成長温度では反応が起こらないことが示されている(例えば、援用することでここに組み込まれる、J.C.ツァオ、M.R.ジャクソンおよびL.A.ペルソーによるMater.Sci.Eng.、A372、21、(2004年)を参照)。したがって、Nb金属下層もまた、SiとNiが反応するための安定なプラットフォームを促進することが期待される。したがって、シリサイド形成工程が、Nb金属下層上への成長結果が悪かった理由になることは期待できない。金属下層と触媒層がどのように堆積されているかという詳細を含んで、成長の結果に影響を与えるパラメータが複数存在する。
【0166】
さらには、Si層がNi触媒と金属下層との間に存在する。Niは、成長温度750℃でSiとの化学反応を経て、モノ/ジシリサイドを形成し(援用することでここに組み込まれる、M.S.カビア、R.E.マージャン、O.A.ネルシェフ、P.ルンドグレン、S.ベンツォン、P.エノクソン、E.E.B.キャンベルによるNanotechnology、16(4)、458、(2005年))、安定化する。そのように観察されるのもおそらくはまた、臨界ドットサイズ未満(この場合は、〜50nmはかなり少量である)では表面エネルギーが上昇して分解が生じないという事実によるためであり、これは、所定の温度で異なる金属層の熱膨張係数の不整合の結果生じる歪みエネルギーの低減よりも大きい。それにもかかわらず、アセチレンに似たものが導入されてVACNF成長が開始する。成長メカニズムは、ナノチューブの先端の明るい点から明らかなように先端成長モデルに従う。単一のドットから多重のCNFが形成されることは、ほんのまれにしか観察されていない。そのようなCNFの多重化は、3%未満しか起こらないので、その現象は無視できるものと考えられるが理由は説明されていない。
(統計上の評価)
【0167】
全ての実験は、それぞれの電子投与量について触媒ドットの10×10アレイの72のブロックについて行われた。構造上の均一性、特に成長したCNF構造体の先端の直径と高さの分布、を評価するために、統計上の分析が行われた。統計上の分布は、各電子投与量についてランダムに選択された75個のCNFについて行われた。統計上の分布の結果は、図34および図35にまとめられている。図34は、触媒の大きさの関数としての、成長したCNFの先端の直径を表す。測定されたデータの標準偏差が、得られた中間値についてのエラーバーとして示されている。例えば、成長したCNFの先端の直径について得られた中間値は、標準偏差が±3.5nmで直径が〜48nmの触媒からのもので26nm(W基板)である。図34はまた、統計上の精度が±3nmの結果を予測する規準を表しており、それは、統計上予測可能なI−V特性を有するNEMS構造体を作製するのには充分良好なデータであると思われる。さらには、先端の直径は、やはりEBLの電子投与量に依存する触媒の大きさにほぼ直線的に依存しており、それによって、±2nmの精度で先端の直径を制御する確実な技法であることが証明される。
【0168】
図から明らかなように、成長したCNFの直径は、最初の触媒の大きさよりもおよそ50%小さい。ここでの観察は、他のものとも一致している(援用することでここに組み込まれるK.B.K.テオらによるNanotechnology、14(2)、204、(2003年)を参照)。球状のナノクラスタであるとの仮定によると(援用することでここに組み込まれるK.B.K.テオらによるNanotechnology、14(2)、204、(2003年))、パターン化された触媒を球体の量と等しいとすることで、成長するCNFの予想される直径を計算することが可能である。このようにして、計算された直径が点線にプロットされている。触媒についての臨界的な厚さが4nmに設定されたとき、理論上のプロットは、直径についての実験の平均値と非常に良く一致した。これは、触媒フィルム(最初は10nm厚のNi触媒)の最初の厚さから60%低減している。さらには、この観察は成長プロセスの間にシリサイド化が起こり、触媒によって活性化したフィルムの正確な厚さを支配し、制御するという事実が裏づけている。成長するCNFの長さの分布についての統計上の分析は、全ての場合についてガウス分布を示した。その分布からの最も実用的なパラメータ、長さ分布のFWHMが、図35に触媒の大きさの関数としてプロットされている。ガウシアンへの適合に対する広がりがまた、各点のバーで示されている。WおよびMoについての高さ分布がお互いにほとんど重なっていることが、図から明らかである。一方、Niは、他の金属と比べて半分を超える高さを生成した。異なる金属下層についてのこの違いによって、金属が異なれば、結果として異なる長さ分布を生じる触媒の触媒活性の速さが異なるものであることが示唆される。さらには、長さの分布の広がりは、100nmのオーダーであり、それは、ミクロンのオーダーでの広がりが報告された(援用することでここに組み込まれるK.B.K.テオらによるNanotechnology、14(2)、204、(2003年)を参照)他で報告された値よりもずっと良好である。触媒の直径の関数としての高さの変化は、ほとんど直線を示し、それは、触媒の体積が、触媒の大きさの関数として著しく増大しないので、高さに大きな影響を及ぼさないことから驚くべきものではない。
(直径および長さの分布)
【0169】
全ての実験は、各電子投与量について触媒ドットの10×10アレイの72ブロック(各投与量条件について7200ドット)について行われた。各電子投与量について、少なくとも50のランダムに選択された構造体で、先端の直径とナノファイバーの長さが測定された。その結果は、図34および図35にまとめられている。
【0170】
成長したナノチューブの長さは、800nmから900nmの範囲にあった。先端の直径は、20nmから70nmの範囲にあった。基板の法線方向に成長しなかったナノチューブは、ほんのわずかしかなかった。成長したファイバーは、底でより大きく、先端でより小さな直径を有する傾向にあり、それによって、円錐角が20未満の円錐形ナノファイバー構造体を形成した。明らかに、電界配列が、各ドットから成長するCNTの数に関係している。単一のCNFの核形成のための臨界サイズを調べると、いくつかの触媒ドット(3%未満)から多重の(すなわち二重の)CNFがなおも何例か発見された。Mo基板は、同じ電子の投与量でより良い収率(80%を超える)を生成した。成長する構造体の構成は、同じ収率に達するのにW金属下層のほうが少しだけ高い投与量が必要であったということを除いて、Mo金属下層とW金属下層との間で差異は見られなかった。これは、金属基板の導電性とも関係し得る。Nbは、他の金属と比較して分析する目的だけのために珍しい材料として選択された。800μC/cmの投与量では、30%を超えないドットしか成長のための核とならなかったが、この傾向はより高い投与量でも同じであった。
【0171】
図34は、触媒の大きさ(すなわち電子投与量)の関数としてCNFの先端の直径の平均を示す。エラーバーは、標準偏差をナノメーターで表している。先端の直径が、触媒のサイズにほとんど直線的に依存していることが観察される。EBLにおける電子投与量を調整することで触媒のサイズが制御できるので、このことによって、±4nmの平均標準偏差で単一のデザイン形状から先端の直径を制御する確実な技法であることが証明される。図34から明らかなように、成長するCNFの直径は、最初の触媒のサイズよりもおよそ50%小さい。ベースの直径は、投与量の関数として平均値が40nmから50nmの範囲にある触媒の直径よりもわずかに小さく、すなわち(1μm長のファイバーについて円錐角が約0.5°に対応する)先端よりも約1.5倍大きな直径である。このような観察は、測定された先端の直径が金属触媒の直径の約0.5である、8nm厚の酸化物バリアを備えるドープされたシリコン基板上に堆積された100nm以上の大きさのNi触媒上に、カーボンナノファイバーを成長させた関連する研究(援用することでここに組み込まれるK.B.K.テオらによるNanotechnology、14(2)、204、(2003年))と一致する。それ以前の研究は、より大きな直径の構造体(100nmより大きい)により焦点を当てていた。測定された標準偏差は、我々の場合よりも小さかったが、しかしこれは、成長プロセスよりも、小さな(<100nm)構造体を作製するリソグラフィーの問題により関係するものである。我々の場合では、成長するCNFの触媒の先端は、ほぼ円錐形となり(援用することでここに組み込まれるY.ヤオ、L.K.L.フォーク、R.E.モージャン、O.A.ネルシェフおよびE.E.B.キャンベルによるJ.Microsc.、219、69−75、(2005年))、それゆえ、CNFの先端内に囲まれる触媒材料の体積は、容易に推定できる。TEMでの研究から、直径25nmのCNFについて、円錐の高さが約40nmであることが推定できる。そして、推定される触媒の体積は、もともと堆積される触媒のドットの体積の約5分の1であることが判明している。残りの触媒材料は、CNFのベースに存在するカーボン「ドーム」に埋め込まれた小さなNi粒子の形で、あるいはカーボン「ドーム」とシリコンウェハを被覆するアモルファスシリコン層との間のNiの薄い層に存在する(援用することでここに組み込まれるY.ヤオらによるJ.Microsc.、219、69−75、(2005年))。
【0172】
成長したCNFの測定した長さは、全ての場合についてガウス分布を示した。平均長は、図35に触媒の大きさの関数としてプロットされている。標準偏差は、各点についてのバーで指示されている。WとMoについての高さの分布は、お互いにほとんど重なることが図から明らかである。他方、Nb下層上に成長したナノファイバーは、他の金属上に成長したファイバーの高さの半分をわずかに超えるに過ぎなかった。W金属下層とMo金属下層についての長さの分布の広がりは、標準偏差が11%で、8%から15%変化していた。これと対照に、Nb金属下層については、標準偏差が16%で20%までも変化していた。我々が調査した範囲内では、構造体の高さは、触媒の直径には依存していない。
【0173】
他の説明および例が、M.S.カビアによる「カーボンナノ構造体のCMOS技術への統合に向けて」、博士論文、カルマーズ工科大学、ゲーテボーグ、スェーデン(2005年8月)、ISBN:91−7291−648−6にも見出される。
【0174】
先の記述は、本発明の様々な観点を例示することを意図している。ここに示される例によって、本発明の範囲が制限されることは意図していない。発明はここに充分に記述されているが、添付した特許請求の範囲の精神またはその範囲から逸脱することなく、多くの改良や変更を加えることができることは当業者には明らかであろう。
【0175】
ここに挙げられる全ての参考資料は、あらゆる目的について援用することで、その全体がここに組み入れられる。
【図面の簡単な説明】
【0176】
【図1】カーボンナノファイバーの概略を示す。
【図2】本発明によるプロセス全体のフローチャートを示す。
【図3A】本発明の様々な構成を示す。
【図3B】本発明の様々な構成を示す。
【図4】金属層とナノ構造体との間にあって機能性の異なる種々のセグメントを有する多層の積み重ねを示す。
【図5】個々のナノ構造体を作るステップを示す。
【図6】ナノ構造体と金属基板との間に単一層を備える個々のナノ構造体を示す。
【図7】個々のナノ構造体を示す。
【図8】多層の積み重ねを有する個々のナノ構造体を示す。
【図9】ナノ構造体の実施例を示す。
【図10】ナノ構造体を作るプロセスにおける中間段階を示す。
【図11】ナノ構造体の成長例を示す。
【図12】個々のナノ構造体の特性を制御する層を示す。
【図13】垂直に配向されたデバイス相互接続または熱の散逸媒体を作製する代表的なプロセスを示す。
【図14】相互接続の複数の積層を作製するプロセスにおけるステップを示す。
【図15】酸化物を堆積した後のカーボンナノ構造体の相互接続を示す。
【図16】カーボンナノファイバーの上にあるポリスチレン膜を示す。
【図17A】タングステン下層上に成長されるカーボンナノファイバーの透過型電子顕微鏡(TEM)写真である。
【図17B】(a)はW金属下層上に成長されるナノファイバーのTEM顕微鏡写真である。(b)はファイバーの先端(触媒領域)で取られた対応するEDSスペクトラムである。(c)はファイバーの根元(下層領域)で取られたEDSスペクトラムである。
【図18A】支持体上の導電下層上の、Siを中間層として備えた層の概略を示す。
【図18B】支持体上の導電下層上の、その金属下層上に直接堆積されたNi触媒を備える層の概略を示す。
【図19】成長シーケンス後の金属下層のSEM顕微鏡写真である。WおよびMo金属下層のみがかなり大きなCNT成長を促進した。この一組の実験において、Niは金属下層上に直接蒸着された。標準的な成長条件(V=−400V、C:NH=1:5、時間=15分、T=700℃)は、全ての場合において用いられた。図27(c)を除いて全てのスケールバーは1μmである。
【図20】アモルファスSi層の無いMoおよびW金属下層の場合について個々のナノ構造のμm−2領域の密度を示す。
【図21】15分のCVD成長の後のサンプルのSEM顕微鏡写真である。Siが存在することで以前の一連の実験では不可能であったいくつかの金属下層上へのナノチューブの成長が促進された。標準的な成長条件(V=−400V、C:NH=1:5、時間=15分、T=700℃)が全ての場合において用いられた。全てのスケールバーは1μmである。
【図22】(a)は最も期待できる金属下層の4つのサンプルのうち白金についての粒度分布である。その金属下層について、図29に示される3つの異なる像を平均して、ナノチューブの直径分布がプロットされた。(b)は最も期待できる金属下層の4つのサンプルのうちパラジウムについての粒度分布である。その金属下層について、図29に示される3つの異なる像を平均して、ナノチューブの直径分布がプロットされた。(c)は最も期待できる金属下層の4つのサンプルのうちタングステンについての粒度分布である。その金属下層について、図29に示される3つの異なる像を平均して、ナノチューブの直径分布がプロットされた。(d)は最も期待できる金属下層の4つのサンプルのうちモリブデンについての粒度分布である。その金属下層について、図29に示される3つの異なる像を平均して、ナノチューブの直径分布がプロットされた。
【図23】(a)は白金上に成長されるCNTの上面SEM画像である。スケールバーは100nmである。(b)はパラジウム上に成長されるCNTの上面SEM画像である。スケールバーは100nmである。(c)はタングステン上に成長されるCNTの上面SEM画像である。スケールバーは100nmである。(d)はモリブデン上に成長されるCNTの上面SEM画像である。スケールバーは100nmである。(e)は中央の挿入図は太いチューブの間の極細のチューブ(<10nm)の成長を示す側面図である。スケールバーは100nmである。
【図24】(a)はCNTのサイズ分布であり、アモルファスSi層を有する金属下層のもので、四角−白金−390個μm−2:丸−パラジウム−226個μm−2:上向き三角−タングステン−212個μm−2:下向き三角−モリブデン−89個μm−2である。(b)はCNTのサイズ分布であり、アモルファスSi層の無い金属下層のもので、四角−モリブデン−5個μm−2:丸−タングステン−73個μm−2である。
【図25】(a)は電気測定の等価回路図で、金属−金属構成である。(b)は電気測定の等価回路図で、金属−CNT構成である。(c)は電気測定の等価回路図で、CNT−CNT構成である。
【図26】(a)はアモルファスSi層を備えるサンプル上のCNT−金属構成についての金属下層のI−V特性を示し、挿入図は、Si層の無いサンプルについて同等の測定を示す。(b)は対数−対数尺度でプロットされた、アモルファスSi層を有するサンプルについてのコンダクタンスの偏差を示す。直線の点線は異なる金属下層について金属−金属コンダクタンスを表す。コンダクタンスの値が点線より上であるならば、電流は表面漏れによって支配されており、それが点線より下にあるならば、コンタクトが劣っていると考えられる。丸−金属−金属構成、四角−CNT−CN構成、三角−CNT−金属構成である。
【図27】(a)はW金属下層上に成長したファイバーのSEM顕微鏡写真である。500nmのピッチで100nmのドットから成長したファイバーを示す。全ての触媒ドットは、二本以上のファイバーの成長のために核となった。挿入図は、加熱後に触媒が分解していないことを示す。(b)はW金属下層上に成長したファイバーのSEM顕微鏡写真である。Ni触媒がW上に直接配置されたときの成長後である。成長が観察されない。(c)はW金属下層上に成長したファイバーのSEM顕微鏡写真である。前もって作られた、ピッチが1μmの50nmのドットから成長したファイバーである。ほとんどのドットは、個々のファイバーを成長するために核となった。(d)はW金属下層上に成長したファイバーのSEM顕微鏡写真である。前もって作られた、ピッチが500nmの50nmの触媒ドットから成長した個々のファイバーである。
【図28】(a)はMo金属下層上に成長したファイバーのSEM顕微鏡写真である。Ni/a−Si触媒層のフィルムから成長したファイバーを表す。(b)はMo金属下層上に成長したファイバーのSEM顕微鏡写真である。2μmの触媒ストライプから成長したファイバーである。挿入された写真は、ストライプ中央から取られている。(c)はMo金属下層上に成長したファイバーのSEM顕微鏡写真である。前もって作られた、100nmのドットから成長したファイバーである。ほとんどのドットは、2本以上のファイバーを成長させるために核となった。(d)はMo金属下層上に成長したファイバーのSEM顕微鏡写真である。個々のファイバーは、前もって作られた50nmの触媒ドットから成長した。
【図29】ナノ構造体を用いた代表的なナノリレーデバイスを示す。
【図30】(a)は作製手順の異なる段階での結果を順に示したものの一つである。リソグラフィーと、投与量1200μCcm−2が加えられた金属堆積の後のものである。(b)は作製手順の異なる段階での結果を順に示したものの一つである。CNFの成長前のアニーリングステップの後である。ドットの高解像度画像が挿入図に示されている。(c)は作製手順の異なる段階での結果を順に示したものの一つである。(60°傾いた基板から)CNFが700℃で20分間成長した後である。(d)は作製手順の異なる段階での結果を順に示したものの一つである。CNFの成長ステップ後であり、中間のアモルファスSi層が加えられておらず、結果的にCNFが成長していない。
【図31】リソグラフィーのステップの後のドットへの投与量の関数としての直径を示す。測定された値を線形に当てはめたものが直線で示されている。
【図32】異なる3つの金属下層について、投与量規模800μCcm−2での成長したCNFのSEM顕微鏡写真である。列は1μmと500nmのピッチにそれぞれ対応する。顕微鏡写真は60°傾いた基板から取られる。全てのスケールバーは1μmである。
【図33】異なる3つの金属下層について、投与量規模1200μCcm−2での成長したCNFのSEM顕微鏡写真である。列は1μmと500nmのピッチにそれぞれ対応する。顕微鏡写真は60°傾いた基板から取られる。全てのスケールバーは1μmである。
【図34】触媒の直径の関数としての成長したCNFの先端の直径を示す。エラーバーは、平均値からの標準偏差を示す。平均値の傾向は、W基板についての一点鎖線で示されている。
【図35】異なる金属下層について平均長分布が、触媒の直径の関数としてプロットされている。エラーバーは、対応する標準偏差を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持体と、
その支持体上の導電基板と、
その導電基板によって支えられる相互接続であって、少なくとも1つのナノ構造体を備え、そのナノ構造体が、
前記導電基板上に複数の中間層を備え、その複数の中間層には、前記ナノ構造体の形態に影響を及ぼす少なくとも1つの層と、前記導電基板と前記ナノ構造体との間の界面の電気特性に影響を及ぼす少なくとも1つの層とが含まれている
相互接続と
を備える集積回路。
【請求項2】
前記導電基板が金属を含む請求項1に記載の集積回路。
【請求項3】
前記金属が、タングステン、モリブデン、ニオブ、白金およびパラジウムからなる群から選ばれる請求項2に記載の集積回路。
【請求項4】
前記複数の中間層が金属層と半導体材料の層とを含む請求項1に記載の集積回路。
【請求項5】
前記半導体材料の層がアモルファスシリコンまたはアモルファスゲルマニウムである請求項4に記載の集積回路。
【請求項6】
前記ナノ構造体がカーボンナノ構造体である請求項1に記載の集積回路。
【請求項7】
前記ナノ構造体がカーボンナノ構造体の束を含む請求項1に記載の集積回路。
【請求項8】
前記ナノ構造体が、InP、GaAsおよびAlGaAsからなる群から選択される化合物で作られる請求項1に記載の集積回路。
【請求項9】
前記複数の中間層がオーミックコンタクトを形成する請求項1に記載の集積回路。
【請求項10】
前記複数の中間層がショットキーバリアを形成する請求項1に記載の集積回路。
【請求項11】
前記支持体がシリコンまたは酸化シリコンのウェハである請求項1に記載の集積回路。
【請求項12】
前記複数の中間層が1nmから1μmの厚さである請求項1に記載の集積回路。
【請求項13】
前記ナノ構造体に隣接する前記中間層が触媒の層であり、その触媒は、Ni、Fe、Mo、NiCrおよびPdからなる群から選択される請求項1に記載の集積回路。
【請求項14】
さらに複数のナノ構造体を含む請求項1に記載の集積回路。
【請求項15】
回路から熱を散逸させるように構成されるナノ構造体をさらに少なくとも1つ含む請求項1に記載の集積回路。
【請求項16】
絶縁基板と、
その絶縁層に埋め込まれるナノ構造体であって、そのナノ構造体は、熱を集積回路からその回路を取り囲む領域へと散逸させるよう構成されており、かつ
前記絶縁層上に複数の中間層を備え、その複数の中間層には、前記ナノ構造体の形態に影響を及ぼす少なくとも1つの層と、前記絶縁層と前記ナノ構造体との間の界面の電気特性に影響を及ぼす少なくとも1つの層とが含まれている前記ナノ構造体
を含む集積回路中の相互接続。
【請求項17】
前記ナノ構造体が、
導電ベース層と、
その導電ベース層上のアモルファスシリコンの層と、
そのアモルファスシリコンの層上の触媒の層と、
その触媒の層上に配置されるカーボンナノ構造体と
を含む請求項16に記載の集積回路中の相互接続。
【請求項18】
前記ナノ構造体が、
導電ベース層と、
その導電ベース層上のアモルファスゲルマニウムの層と、
そのアモルファスゲルマニウムの層上の触媒の層と、
その触媒の層上に配置されるカーボンナノ構造体と
を含む請求項16に記載の集積回路中の相互接続。
【請求項19】
導電基板上に半導体層を堆積し、
その半導体層上に触媒層を堆積し、
最初に基板をアニールすることなく、その基板がナノ構造体を形成し得る温度に加熱されるようにし、
その温度で前記触媒層上にナノ構造体を成長させる
相互接続を形成する方法。
【請求項20】
ナノ構造体の上にかつそれを取り囲んで絶縁層を堆積し、
前記ナノ構造体の先端を露出するように前記絶縁層をエッチングし、
前記絶縁層上に犠牲層を堆積し、
前記犠牲層中に複数の開口を形成し、
前記犠牲層および前記開口中の絶縁層上に金属材料を堆積し、前記開口に対応する基板上の金属層の部分を残して前記犠牲層をリフトオフする
ステップにより、さらに最上部の金属コンタクトを形成するステップを含む請求項19に記載の方法。
【請求項21】
集積回路中の相互接続であって、請求項20に記載の方法により形成される少なくとも1つのナノ構造体を含む相互接続。
【請求項22】
熱の散逸体を形成する方法であって、
絶縁基板上に半導体層を堆積し、
その半導体層上に触媒層を堆積し、
最初に前記絶縁基板をアニールすることなく、前記絶縁基板が、ナノ構造体を形成することのできる温度に加熱されるようにし、
その温度で前記触媒層上にナノ構造体を成長させる
ステップを含む方法。
【請求項23】
請求項22に記載の方法によって形成される熱の散逸体。
【請求項24】
少なくとも1つの相互接続がカーボンナノ構造体を備え、電流が集積回路を流れているとき≧10A/cmなる電流密度を可能とする
集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【公表番号】特表2009−508325(P2009−508325A)
【公表日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−527539(P2008−527539)
【出願日】平成18年8月28日(2006.8.28)
【国際出願番号】PCT/IB2006/004279
【国際公開番号】WO2007/119123
【国際公開日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【出願人】(507352396)スモルテック エービー (2)
【Fターム(参考)】