説明

半導体装置、電子装置、半導体装置の製造方法および使用方法

【課題】 スイッチング速度の低下やオン抵抗の増大を抑制しつつ、オフ耐圧を改善可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】
半導体層11および12は、基板10上に形成され、第1の電極101、第2の電極102および絶縁膜14は、それぞれ、半導体層11および12上に形成され、絶縁膜14は、第1の電極101と第2の電極102との間に配置され、フィールドプレート電極17Aおよび17Bは、複数であり、かつ、絶縁膜14上に点在し、第1の電極101および第2の電極102は、半導体層11および12を介して電気的に接続されており、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の各フィールドプレート電極の長さ、および、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ、第1の電極101と第2の電極102との間の距離以下であることを特徴とする半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置、電子装置、半導体装置の製造方法および使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電界効果トランジスタ、ダイオード等の半導体装置は、各種電子装置に広く用いられ、種々の観点から研究開発がなされている。例えば、電界効果トランジスタについては、フィールドプレート電極を用いて電界集中の緩和、高耐圧化等を試みる研究がなされている(特許文献1〜3等)。
【0003】
図10に、特許文献1に記載の電界効果トランジスタ(FET)の構造を模式的に示す。図10(a)は平面図、図10(b)は断面図である。同図において、90は基板、91はアンドープ窒化ガリウム(GaN)からなるチャネル層、92はn型窒化アルミニウムガリウム(AlGaN)からなる電子供給層である。基板面に対する結晶成長方向は[0001]に平行である。図示の通り、基板90上には、チャネル層91および電子供給層92がこの順序で積層されている。チャネル層91内の電子供給層92との界面近傍には二次元電子ガス(2DEG)が生成されている。電子供給層92上には、ソース電極931とドレイン電極932が形成され2DEGとのオーミック接触がとられている。電子供給層92上にはゲート電極96が形成され、電子供給層92およびゲート電極96を覆うように窒化珪素(Si)からなる絶縁膜94が形成されている。絶縁膜94上のゲート電極96とドレイン電極932の間には電位が浮遊したフィールドプレート電極97が複数個形成されている。
【0004】
一方、特許文献2には、複数のフィールドプレート電極間を抵抗で接続してゲートからドレインに向かう電位勾配を与えたFETが報告されている。同様に、特許文献3には、複数のフィールドプレート電極間をキャパシタで接続してゲートからドレインに向かう電位勾配を与えたFETも提案されている。これらのFETにおいては、各フィールドプレート電極の電位が固定されるため、電界集中緩和の効果がより安定して得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−180143公報
【特許文献2】特開2006−351753公報
【特許文献3】特開2005−209983公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11に、フィールドプレート電極を設けたFETにおけるソース−ドレイン間の電界強度分布について、計算結果の一例を示す。同図は、前記特許文献1記載のFETをモデルとした計算結果の一例である。図示の通り、このFETでは、フィールドプレート電極97がAlGaN層92内に空乏層を形成するため、フィールドプレート電極97のドレイン端に電界強度のピークが発生する。このため、フィールドプレート電極が無い場合と比べると、ゲート電極96のドレイン端の電界集中が緩和される。しかしながら、このフィールドプレート端の電界強度はドレイン電圧の増加と共に顕著になるため、フィールドプレート端での電界集中によりデバイスが破壊に至るおそれがある。
【0007】
前記フィールドプレート端での電界強度を低下させるためには、フィールドプレート電極の密度すなわち本数を増やして電界集中箇所を分散させるのが効果的である。しかしながら、この場合は、ゲート−ドレイン間容量が増えてスイッチング速度が低下するという問題がある。また、フィールドプレート電極の本数は同じにして、ゲート−ドレイン間距離を増加しても電界強度の低下は可能である。しかしながら、この場合は、ドレイン抵抗が増大し、それに伴いオン抵抗も増大するという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、スイッチング速度の低下やオン抵抗の増大を抑制しつつ、オフ耐圧を改善可能な半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するために、本発明の半導体装置は、
基板と、半導体層と、第1の電極と、第2の電極と、フィールドプレート電極と、絶縁膜とを含み、
前記半導体層は、前記基板上に形成され、
前記第1の電極、前記第2の電極および前記絶縁膜は、それぞれ、前記半導体層上に形成され、
前記絶縁膜は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極は、前記半導体層を介して電気的に接続されており、
前記フィールドプレート電極は、複数であり、かつ、前記絶縁膜上に、前記第1の電極と前記第2の電極との間に点在するように配置されており、
前記複数のフィールドプレート電極において、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の各フィールドプレート電極の長さ、および、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ、前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離以下であることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の電子装置は、前記本発明の半導体装置を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の半導体装置の製造方法は、
基板を準備する基板準備工程と、
基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記半導体層上に、前記半導体層を介して電気的に接続されるように第1の電極および第2の電極を形成する電極形成工程と、
前記半導体層上に、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されるように絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記絶縁膜上にフィールドプレート電極を形成するフィールドプレート電極形成工程とを含み、
前記フィールドプレート電極形成工程において、複数の前記フィールドプレート電極が前記第1の電極と前記第2の電極との間に点在し、かつ、前記複数のフィールドプレート電極において、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の各フィールドプレート電極の長さ、および、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ、前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離以下となるように前記フィールドプレート電極を形成することを特徴とする。
【0012】
さらに、本発明の半導体装置の使用方法は、前記本発明の半導体装置、または、前記本発明の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置の、前記第1の電極および前記第2の電極間に電圧を印加することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スイッチング速度の低下やオン抵抗の増大を抑制しつつ、オフ耐圧を改善可能な半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態における半導体装置の構造を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)および(c)は断面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態における半導体装置の構造を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)および(c)は断面図である。
【図3】本発明の第2の実施形態において、電界強度シミュレーションに用いた半導体装置の構造を模式的に示す平面図である。
【図4】図3の半導体装置におけるソース−ドレイン間の電界強度分布のシミュレーション結果を例示するグラフである。
【図5】本発明の第2の実施形態の半導体装置における、ゲート幅方向の電界強度分布を模式的に例示するグラフである。
【図6】本発明の第3の実施形態における半導体装置の構造を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図7】本発明の第4の一実施形態における半導体装置の構造を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図8】本発明の第5の一実施形態における半導体装置の構造を模式的に示す図であり、(a)は斜視図、(b)および(c)は断面図である。
【図9】本発明の第6の実施形態における半導体装置の構造を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)および(c)は断面図である。
【図10】特許文献1に記載されている電界効果トランジスタの構造を模式的に示す図であり、(a)は平面図、(b)は断面図である。
【図11】特許文献1に記載されている電界効果トランジスタにおける電界強度分布のシミュレーション結果を例示するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明について、さらに具体的に説明する。
【0016】
本発明において「接合」とは、直接接触した状態でも良いし、他の構成要素を介してつなぎ合わされた状態でも良い。電極が半導体層と接合している状態とは、例えば、ソース電極、ドレイン電極もしくはゲート電極が半導体層に直接接触している状態、または、ゲート電極がゲート絶縁膜を介して半導体層とつなぎ合わされた状態等がある。また、「オーミック接触」または「ショットキー接触」という場合は、直接接触した状態でも良いし、他の構成要素を介してつなぎ合わされた状態でも良い。例えば、電極と半導体層とがオーミック接触またはショットキー接触している状態とは、前記電極と前記半導体層とが、直接接触した状態でも良いし、他の半導体層等を介してつなぎ合わされた状態でも良い。また、本発明において「電気的に接続」とは、電気的に何らかの相互作用が可能な状態であれば良い。より具体的には、「電気的に接続」は、直接接触した状態でも良いし、他の構成要素を介してつなぎ合わされた状態でも良く、通電可能な状態でも良いし、絶縁膜等を介して電気的な相互作用が可能な状態でも良い。前記第1の電極と前記第2の電極が、前記半導体層を介して電気的に接続されている状態は、例えば、前記第1の電極と第2の電極のそれぞれが、前記半導体層と直接接触している状態、または、前記第1の電極と第2の電極の一方が前記半導体層と直接接触し、他方がゲート絶縁膜を介して前記半導体層とつなぎ合わされた状態等がある。
【0017】
また、本発明において、Xという構成要素とYという構成要素が存在する場合、XとYの位置関係は、以下の通りとする。まず、「Xの上にY」は、特に断らない限り、Xの上面にYが直接接触している状態でも良いし、Xの上面とYとの間に他の構成要素等が存在し、Xの上面とYとが直接接触していない状態でも良い。同様に、「Xの下にY」は、特に断らない限り、Xの下面にYが直接接触している状態でも良いし、Xの下面とYとの間に他の構成要素等が存在し、Xの下面とYとが直接接触していない状態でも良い。また、「Xの上面にY」は、Xの上面にYが直接接触している状態を指す。同様に、「Xの下面にY」は、Xの下面にYが直接接触している状態を指す。「Xの片面側にY」は、特に断らない限り、Xの片面側にYが直接接触している状態でも良いし、Xの片面側とYとの間に他の構成要素等が存在し、Xの片面側とYとが直接接触していない状態でも良い。「Xの両面側にY」も、同様とする。「Xの片面にY」は、Xの片面にYが直接接触している状態を指す。「Xの両面にY」も、同様とする。
【0018】
また、本発明において、「組成」とは、半導体層等を構成する元素の原子数の量的関係をいう。「組成比」とは、前記半導体層等を構成する特定の元素の原子数と、他の元素の原子数との相対的な割合をいう。例えば、AlGa1−xNの組成で表される半導体層において、xの数値を「Al組成比」という。また、本発明において、一つの半導体層と他の半導体層との組成を比較する場合、導電性を発現させるための不純物(ドーパント)は、半導体層を構成する元素として考慮しないものとする。例えば、p型GaN層とn型GaN層とは、不純物(ドーパント)が異なるが、組成は同一であるものとする。また、例えば、n型GaN層と、不純物濃度がさらに高いnGaN層とがあった場合、それらの組成は同一であるものとする。また、本発明において、「距離」は、特に断らない限り、最短距離をいう。例えば、「前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離」は、前記第1の電極と前記第2の電極とを結ぶ最短の線分の長さ、すなわち、前記第1の電極と前記第2の電極との間の最短距離をいう。
【0019】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。ただし、以下の実施形態は例示であり、本発明を限定しない。各図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、重複する部分は適宜説明を省略する場合がある。各図面は例示的な模式図であり、各部の寸法比等は実物とは異なる場合がある。
【0020】
[実施形態1]
本発明の第1の実施形態について、図1を参照しながら説明する。
【0021】
図1に、本実施形態の半導体装置(素子)の構造を模式的に例示する。図1(a)は平面図、図1(b)は、図1(a)の(A−A’)方向に見た断面図、図1(c)は、図1(a)の(B−B’)方向に見た断面図である。
【0022】
図1(b)および(c)に示すとおり、この半導体装置は、基板10と、半導体層11および12と、第1の電極101と、第2の電極102と、フィールドプレート電極17Aおよび17Bと、絶縁膜14とを含む。半導体層11および12は、基板10上に形成されている。第1の電極101、第2の電極102および絶縁膜14は、それぞれ、前記半導体層上に形成されている。絶縁膜14は、第1の電極101と第2の電極102との間に配置されている。前記フィールドプレート電極17Aおよび17Bは、複数であり、かつ、絶縁膜14上に、第1の電極101と第2の電極102との間に点在するように配置されている。第1の電極101および第2の電極102は、前記半導体層を介して電気的に接続されている。前記複数のフィールドプレート電極17Aおよび17Bにおいて、各フィールドプレート電極の、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の長さLy、および、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離Gyは、それぞれ、第1の電極101と第2の電極102との間の距離Lgd以下である。
【0023】
図1の半導体装置において、前記半導体層の構成、前記第1の電極および前記第2の電極の配置は、以下のとおりである。ただし、本発明は、これらに限定されない。すなわち、図1では、基板10上面に、チャネル層11およびキャリア供給層12が、この順序で積層されている。チャネル層11およびキャリア供給層12は、前記「半導体層」に相当する。キャリア供給層12の上面の一端には第1の電極101が形成され、キャリア供給層12の上面の他端には第2の電極102が形成されている。第1の電極101はチャネル層11とのショットキー接触がとられ、第2の電極102は、チャネル層11とのオーミック接触がとられている。
【0024】
フィールドプレート電極17Aおよび17Bの形状、長さ、幅、各フィールドプレート電極間の距離等は、図1に示した具体的な形態には限定されない。これらは、例えば、後述の実施形態2〜6と同様であっても良い。
【0025】
本発明の半導体装置においては、前記フィールドプレート電極により、例えば、前記第1の電極および前記第2の電極間の電圧印加時における電界集中の緩和効果が得られる。なお、本発明の半導体装置において、前記第1の電極および前記第2の電極間の電圧印加時における前記フィールドプレート電極の電位は特に制限されない。なお、以下において、前記フィールドプレート電極が、前記第1の電極と前記第2の電極との間に点在するように配置されていることを、島状に配置されているということがある。また、前記フィールドプレート電極を、島状フィールドプレート電極ということがある。
【0026】
本発明の半導体装置は、どのような製造方法により製造しても良いが、前述した本発明の製造方法により製造することが好ましい。各工程における条件等は、例えば、一般的な半導体装置の製造方法等を参考にして適宜設定できる。
【0027】
前記フィールドプレート電極の形成は、例えば、光学露光とリフトオフ処理を用いて行うことができる。より具体的には、例えば、前記フィールドプレート電極形成工程において、前記絶縁膜上にレジストを形成し、前記フィールドプレート電極形成予定部位に形成された前記レジストを光学露光および現像により除去して前記フィールドプレート電極のパターンを形成し、前記フィールドプレート電極のパターン上に前記フィールドプレート電極の材料を、例えば、蒸着等により形成し、前記レジストおよびその上に形成された前記フィールドプレート電極材料をリフトオフ処理により除去する。なお、前記光学露光に代えて、電子ビーム露光等の、他の任意の露光方法を用いても良い。ただし、さほど微細なパターン加工が必要でなければ、光学露光が簡便で好ましい。
【0028】
また、前記フィールドプレート電極の形成は、例えば、スパッタ法、光学露光およびイオンミリングを用いて行うこともできる。より具体的には、例えば、前記フィールドプレート電極形成工程において、前記絶縁膜上に、スパッタ法により前記フィールドプレート電極の材料を形成し、前記フィールドプレート電極材料上にレジストを形成し、前記フィールドプレート電極形成予定部位以外に形成された前記レジストを光学露光および現像により除去し、前記レジストで覆われていない部位の前記フィールドプレート電極材料をイオンミリングにより除去し、さらに前記レジストを除去する。なお、前記フィールドプレート電極材料の形成方法は、前記スパッタ法に代えて、他の任意の方法を用いても良い。前記フィールドプレート電極材料の除去方法は、前記イオンミリングに代えて、他の任意の方法を用いても良い。また、前記光学露光に代えて、電子ビーム露光等の、他の任意の露光方法を用いても良い。ただし、さほど微細なパターン加工が必要でなければ、光学露光が簡便で好ましい。
【0029】
図1の半導体装置の製造(作製)方法は特に限定されないが、例えば以下の通りである。すわなち、まず、(111)面珪素(Si)基板10を準備する。次に、その基板10上面に、例えば有機金属気相成長(Metalorganic Chemical Vapor Deposition: MOCVDと略する)法により、アンドープ窒化アルミニウム(AlN)層111(200nm)、アンドープGaN層112(1μm)、およびアンドープAl0.15Ga0.85N層12(45nm)を、前記順序で成長させる。ここで、アンドープAlN層111は核生成層であり、SiとGaNの格子定数差に起因する歪エネルギーを転位発生により開放してGaN層112を格子歪の無い高品質なエピタキシャル結晶とする。アンドープAlN層111とアンドープGaN層112は図1におけるチャネル層11を構成し、AlGaN層12はキャリア供給層を構成する。前記各エピタキシャル層(層111、112および12)の結晶成長は、[0001]方向に平行のGa面成長とする。この場合、AlGaNキャリア供給層12とGaNチャネル層112の界面には、自発性分極効果及びピエゾ分極効果に伴って面密度として8×1012cm−2の正の電荷が形成される。それに伴い、GaNチャネル層112内に2DEGが生成される。AlGaNキャリア供給層12は転位発生の臨界膜厚より薄く、歪格子層となっている。AlGaNキャリア供給層12の組成は、AlGa1−xNと表すことができる。Al組成比xは特に制限されないが、転位発生を抑制し、良好な結晶品質を得る観点から、0<x<0.4とするのが好ましい。本実施形態の場合、例えば、x=0.15とし、AlGaN層12の厚さを100nm以下とすれば転位発生の臨界膜厚以内となる。また、GaNチャネル層112はアンドープとしたが、活性化不純物の濃度として1×1017cm−3程度以下のp型もしくはn型層であっても良い。AlGaNキャリア供給層12もアンドープとしたが、p型もしくはn型層であっても良い。さらに、AlGaN層12上に、例えば、Ni/Auなどの金属を蒸着し、第1の電極101を形成する。一方、AlGaN層12上に、例えば、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)/金(Au)などの金属を蒸着し、第2の電極102を形成する。第2の電極102は、必要に応じアロイ処理することにより、前記2DEGとのオーム性接触をとっても良い。
【0030】
次に、第1の電極101と第2の電極102との間のAlGaN層12上面に、例えば、プラズマ励起気相成長(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVDと略する)を用いて、Siなどの絶縁膜14を例えば50nm堆積する。
【0031】
そして、絶縁膜14上における第1の電極101と第2の電極102との間に、Ti/白金(Pt)/Auなどの金属を蒸着し、リフトオフする。これにより、第1の電極101と第2の電極102との間に点在する(島状の)フィールドプレート電極(17A、17B)を形成する。ここで、フィールドプレート電極17Aおよび17Bは、底面が矩形の直方体状とする。以上のようにして、図1の半導体装置を製造することができる。
【0032】
本発明の半導体装置は、特に限定されないが、例えば、前記第1の電極が、アノード電極であり、前記第2の電極が、カソード電極であり、ダイオードとして用いられても良い。例えば、図1の半導体装置は、第1の電極101が、アノード電極であり、第2の電極102が、カソード電極であり、ダイオードとして用いられてもよい。より具体的には、例えば、第1の電極101(アノード電極)が、半導体層にショットキー接触されたショットキーダイオードであっても良い。また、図1では、第1の電極101(アノード電極)が、半導体層に直接接触しているが、例えば、第1の電極が、絶縁膜を介して前記半導体層に接合されたMIS(Metal−Insulator−Semiconductor)ダイオード、MOS(Metal−Oxide−Semiconductor)ダイオード等であっても良い。また、本発明の半導体装置は、例えば、p−n接合ダイオードであっても良いが、この場合は、半導体層の構成等が、図1およびその説明とは異なる。前記p−nダイオードにおいて、前記絶縁膜および前記フィールドプレート電極は、例えば本実施形態と同様で良く、それ以外の部分の構成、形成材料等は、例えば、一般的なp−n接合ダイオードに準じることができる。なお、本発明の半導体装置において、前記半導体層の前記第1の電極側から前記第2の電極側へ電荷が流れる場合、前記電荷は、正電荷の場合もあり、負電荷の場合もある。すなわち、本発明の半導体装置において、前記電流の向きは、前記第1の電極側から前記第2の電極側に向かっても良いし、その逆でも良い。ただし、前記第1の電極が、アノード電極であり、前記第2の電極が、カソード電極である場合は、前記第1の電極から第2の電極側に向かって電流が流れやすく、逆方向には電流が流れにくい。より具体的には、前記第1の電極(アノード電極)側に正電圧を、前記第2の電極(カソード電極)側に負電圧を、それぞれ印加すると、前記アノード電極側から前記カソード電極側に向かって電流が流れ、逆方向に電圧を印加した場合には電流が流れにくい。
【0033】
また、本発明の半導体装置は、例えば、前記第1の電極が、ゲート電極であり、前記第2の電極が、ドレイン電極であり、さらに、ソース電極を含み、前記ソース電極は、前記半導体層上に配置され、前記ゲート電極は、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に配置され、電界効果トランジスタとして用いられても良い。電界効果トランジスタである本発明の半導体装置については、実施形態2以降でより具体的に説明する。
【0034】
[実施形態2]
本発明の第2の実施形態について、図2〜5を参照しながら説明する。
【0035】
図2に、本実施形態の半導体装置(素子)の構造を模式的に示す。図2(a)は平面図、図2(b)は、図2(a)の(A−A’)方向に見た断面図、図2(c)は、図2(a)の(B−B’)方向に見た断面図である。なお、この半導体装置は、電界効果トランジスタ(FET)である。本実施形態および以下の各実施形態においては、主に電界効果トランジスタについて説明する。
【0036】
図2(b)および(c)に示すとおり、このFETは、基板10上面に、チャネル層11およびキャリア供給層12が、この順序で積層されている。チャネル層11およびキャリア供給層12は、前記「半導体層」に相当する。キャリア供給層12の上面の一端にはソース電極131が形成され、キャリア供給層12の上面の他端にはドレイン電極132が形成されている。ドレイン電極132は、前記「第2の電極」に相当する。ソース電極131およびドレイン電極132は、それぞれチャネル層11とのオーミック接触がとられている。ソース電極131およびドレイン電極132の間のキャリア層12上面には、絶縁膜14が形成されている。絶縁膜14およびキャリア層12上部は、ゲート電極16の形成部位がエッチング等により除去されて、開口部(または開口埋め込み部、リセス部)が形成されている。ゲート絶縁膜15は、絶縁膜14および前記リセス部の上面全体に形成されている。前記リセス部においては、ゲート絶縁膜15が前記リセス部を埋め込むように形成され、キャリア供給層12上に、ゲート絶縁膜15を介してゲート電極16が形成されている。ゲート電極16は、前記「第1の電極」に相当する。フィールドプレート電極17Aおよび17Bは、ゲート絶縁膜15上面において、ゲート電極16とドレイン電極132との間に点在するように配置されている。前記複数のフィールドプレート電極17Aおよび17Bは、ゲート幅方向に向かう直線状に並ぶように一定の間隔を置いて配列され、前記直線状の配列が複数であり、かつ、隣り合う2つの前記直線状のフィールドプレート電極の配列が、互い違いの状態である。すなわち、前記各フィールドプレート電極17Aおよび17Bは、電流の方向に沿った(ゲート電極に垂直)各切断面(図2(a)のA−A’面およびB−B’面)で互い違いになるような配置で形成されている。本実施形態では、前記A−A’面におけるフィールドプレート電極の位置は、前記B−B’面におけるフィールドプレート電極の位置を、ゲート−ドレイン方向(電流の方向)に半周期だけずらしたものとなっている。図示のように、ゲート−ドレイン方向(電流の方向)において、各フィールドプレート電極の長さをLx、各フィールドプレート電極間の間隔をGxとする。また、ゲート幅方向(電流の方向と垂直な方向)において、各フィールドプレート電極の長さをLy、間隔をGyとする。LyおよびGyは、ゲート−ドレイン間距離(ゲート電極16とドレイン電極132との間の距離)Lgdと比べて十分小さくしてある。
【0037】
なお、図2を用いて説明するフィールドプレート電極の形状、長さ、幅、各フィールドプレート電極間の距離等は、好ましい形態の一例である。実施形態1でも述べた通り、本発明における前記複数のフィールドプレート電極は、各フィールドプレート電極の、前記電流の方向と垂直方向の長さ、および、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ、前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離以下である以外は、特に限定されない。
【0038】
本発明の半導体装置においては、前記フィールドプレート電極により、例えば、前記第1の電極(FETの場合はゲート電極)および前記第2の電極(FETの場合はドレイン電極)間の電圧印加時における電界集中の緩和効果が得られる。実施形態1でも述べた通り、半導体装置において、前記第1の電極(FETの場合はゲート電極)および前記第2の電極(FETの場合はドレイン電極)間の電圧印加時における前記フィールドプレート電極の電位は特に制限されない。本発明の半導体装置の使用方法は、前述のように、前記本発明の半導体装置、または、前記本発明の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置の、前記第1の電極および前記第2の電極間に電圧を印加することを特徴とする。ただし、前記本発明の半導体装置、および、前記本発明の半導体装置の製造方法により製造された半導体装置は、この使用方法に限定されず、どのように使用しても良い。
【0039】
図2のFETの製造(作製)方法は特に限定されないが、例えば以下の通りである。すわなち、まず、(111)面珪素(Si)基板10を準備する。次に、その基板10上面に、例えば有機金属気相成長(Metalorganic Chemical Vapor Deposition: MOCVDと略する)法により、アンドープ窒化アルミニウム(AlN)層111(200nm)、アンドープGaN層112(1μm)、およびアンドープAl0.15Ga0.85N層12(45nm)を、前記順序で成長させる。ここで、アンドープAlN層111は核生成層であり、SiとGaNの格子定数差に起因する歪エネルギーを転位発生により開放してGaN層112を格子歪の無い高品質なエピタキシャル結晶とする。アンドープAlN層111とアンドープGaN層112は図2におけるチャネル層11を構成し、AlGaN層12はキャリア供給層を構成する。前記各エピタキシャル層(層111、112および12)の結晶成長は、[0001]方向に平行のGa面成長とする。この場合、AlGaNキャリア供給層12とGaNチャネル層112の界面には、自発性分極効果及びピエゾ分極効果に伴って面密度として8×1012cm−2の正の電荷が形成される。それに伴い、GaNチャネル層112内に2DEGが生成される。AlGaNキャリア供給層12は転位発生の臨界膜厚より薄く、歪格子層となっている。AlGaNキャリア供給層12の組成は、AlGa1−xNと表すことができる。Al組成比xは特に制限されないが、転位発生を抑制し、良好な結晶品質を得る観点から、0<x<0.4とするのが好ましい。本実施形態の場合、例えば、x=0.15とし、AlGaN層12の厚さを100nm以下とすれば転位発生の臨界膜厚以内となる。また、GaNチャネル層112はアンドープとしたが、活性化不純物の濃度として1×1017cm−3程度以下のp型もしくはn型層であっても良い。AlGaNキャリア供給層12もアンドープとしたが、p型もしくはn型層であっても良い。さらに、AlGaN層12上に、例えば、チタン(Ti)/アルミニウム(Al)/ニッケル(Ni)/金(Au)などの金属を蒸着し、アロイ処理することにより、ソース電極131、ドレイン電極132をそれぞれ形成し、前記2DEGとのオーム性接触をとる。
【0040】
次に、ソース電極131とドレイン電極132との間のAlGaN層12上面に、例えば、プラズマ励起気相成長(Plasma−Enhanced Chemical Vapor Deposition:PECVDと略する)を用いて、Siなどの絶縁膜14を例えば50nm堆積する。さらに、ゲート電極形成部位において、前記絶縁膜を、例えば弗化硫黄(SF)などの反応性ガスを用いて除去し、開口部を形成する。そして、前記開口部において、例えば、塩化硼素(BCl)などの反応性ガスを用いてAlGaN層12の上部の一部をエッチング除去し、リセス部を形成する。ここで、前記リセス部におけるAlGaN電子供給層(キャリア供給層)12の残し厚さを、極めて薄くすると、前記リセス部の2DEGが枯渇し、ノーマリオフ型のFETを構成することができる。前記AlGaN電子供給層12の残し厚さは特に制限されないが、例えば10nm程度以下である。
【0041】
次に、前記リセス部を埋め込むように、例えば、原子層堆積(ALD)法を用いて、酸化アルミニウム(Al)等のゲート絶縁膜15を50nm程度堆積する。さらに、ゲート絶縁膜上面に、前記リセス部を埋め込むようにNi/Auなどの金属を蒸着し、リフトオフすることによりゲート電極16を形成する。なお、ここまでの工程により、ソース−ゲート間およびゲート−ドレイン間には絶縁膜14とゲート絶縁膜15の積層膜が形成されるが、ゲート電極16をマスクとしてゲート絶縁膜15をエッチング除去しても良い。この場合には、ゲート絶縁膜15はゲート電極16の直下にのみ形成され、ソース−ゲート間およびゲート−ドレイン間には絶縁膜14のみが形成される。
【0042】
そして、ゲート絶縁膜15上におけるゲート電極16とドレイン電極132との間に、Ti/白金(Pt)/Auなどの金属を蒸着し、リフトオフする。これにより、ゲート電極16とドレイン電極132との間に点在する(島状の)フィールドプレート電極(17A、17B)を形成する。ここで、フィールドプレート電極17Aおよび17Bは、底面が矩形の直方体状とする。以上のようにして、図2の半導体装置(FET)を製造することができる。
【0043】
なお、本発明の半導体装置において、前記基板上に形成する前記半導体層は、特に制限されないが、窒化物半導体から形成されていることが好ましい。前記窒化物半導体は、III族窒化物半導体であることがより好ましい。また、前記半導体は、結晶であることが好ましく、より好ましくは単結晶である。
【0044】
次に、2次元デバイスシミュレーションを用いて、図2のFETのチャネル内の電界強度分布を予測し、本発明と関連する構造を有するFET(参考例)と比較した。図3に、前記シミュレーションに用いたデバイス構造の平面図を示す。図3(a)は、本実施形態のFETである。図3(b)は参考例1のFETである。図3(c)は、参考例2のFETである。参考例1および2のFETは、フィールドプレート電極97が、電流の方向に垂直にFETの一端から他端まで伸びた帯状の形状をしている点で、本実施形態のFETと相違し、これら以外は本実施形態のFETと同様である。参考例1および2のFETの上部の一端にはソース電極931が形成され、他端にはドレイン電極932が形成されている。ソース電極931とドレイン電極932の間には、ソース電極931側にゲート電極96が、ドレイン電極932側にフィールドプレート電極97が、それぞれ配置されている。参考例1(図3(b))のFETは、電流の方向に平行な断面図において、断面形状が、図2(a)または図3(a)(本実施形態のFET)のA−A’方向に見た断面図(図2(b))と同様になるように、フィールドプレート電極97が配置されている。参考例2のFET(図3(c))は、電流の方向に平行な断面図において、断面形状が、図2(a)または図3(a)(本実施形態のFET)のB−B’方向に見た断面図(図2(c))と同様になるように、フィールドプレート電極97が配置されている。前記2次元デバイスシミュレーションにおいて、ゲート−ドレイン間距離(Lgd=4μm)、島状フィールドプレート電極のゲート−ドレイン方向の長さ(Lx=0.5μm)、間隔(Gx=1.0μm)は、各構造で共通とした。
【0045】
図4は、前記2次元デバイスシミュレーションにおけるソース−ドレイン間の電界強度分布の計算結果の一例を示すグラフである。図4(a)は本実施形態、図4(b)は参考例1、図4(c)は参考例2の計算結果である。図示の通り、参考例によるFETではフィールドプレート端の電界強度は2MV/cm程度であったが、本実施形態によるFETでは1MV/cm程度と、ピーク電界強度が約50%低減されることが確認された。本実施形態では、フィールドプレート電極がつくる空乏層がゲート−ドレイン方向だけでなくゲート幅方向にも拡がり、隣接するフィールドプレート電極からの空乏層ポテンシャルが重なり合うため、前記電界集中緩和の効果が優れていると考えられる。この観点から、本発明の半導体装置において、前記フィールドプレート電極は、例えば本実施形態のように、前記複数のフィールドプレート電極が、ゲート幅方向に向かう直線状に並ぶように一定の間隔を置いて配列され、前記直線状の配列が複数であり、かつ、隣り合う2つの前記直線状のフィールドプレート電極の配列が、互い違いの状態であることが好ましい。ただし、前記電界集中緩和のメカニズムは、推定可能なメカニズムの一例であり、本発明を限定しない。
【0046】
また、このような電界集中緩和の効果は、前記LyおよびGyがLgd以下である場合に得られる。さらに望ましくは、LyおよびGyが1μm以下の場合に電界強度低減の効果が顕著になる。これは、島状フィールドプレート電極のつくる空乏層の長さは1μm程度で、最大でもLgd程度の長さまでしか拡がらないことに起因している。以下、図5を参照してこのことを説明する。ただし、図5およびその説明は、理論計算に基づく結果であり、かつ例示であって、本発明を限定しない。
【0047】
図5は本実施形態のFETにおけるゲート幅方向の電界強度分布を例示する模式図である。本実施形態のFET(図3(a))は、参考例1(図3(b))と参考例2(図3(c))をゲート幅方向に交互に配列したものと考えられる。このため、本実施形態のFETの電界強度分布は、図4(b)のような電界強度分布と図4(c)のような電界強度分布をゲート幅方向に交互に配列したものとなる。したがって、図5に示すとおり、フィールドプレートのゲート幅方向の電極幅Lyおよび電極間隔Gyが、ゲート−ドレイン間距離(Lgd=4μm)と比較して大きい場合(Ly=Gy=40μm)には、高電界領域と低電界領域がゲート幅方向に交互に発生する。この時の高電界領域の電界強度は約2MV/cmと高く、電界集中緩和効果は期待できない。一方、LyおよびGyが、ゲート−ドレイン間距離(Lgd=4μm)よりも小さい場合(Ly=Gy=0.1μm)には、各フィールドプレート電極のつくる空乏層ポテンシャルの重なり合わせが大きい。このため、図4(b)のような電界強度分布と図4(c)のような電界強度分布の中間的な電界強度分布が実現される。したがって、中間電界領域がゲート幅方向全体にわたって発生すると考えられる。この時の電界強度は約1MV/cmと、Ly=Gy=40μmの場合より低く、電界集中緩和効果が期待できる。
【0048】
なお、電界集中緩和の効果は、参考例のFETまたは従来技術のFETにおいても、フィールドプレート電極の密度すなわち本数を増やせば得られると考えられる。しかしながら、フィールドプレート電極の本数を2倍にするとフィールドプレート電極の底面積も2倍になるため、ゲート−ドレイン間容量が増加してスイッチング速度が低下する。一方、本実施形態によるFET(図3(a))は、参考例のFET(図3(b)または(c))とフィールドプレート電極の底面積を同等に維持したままでピーク電界強度を低減できる。このため、本実施形態のFETによれば、スイッチング速度低下を伴わずにオフ耐圧を改善できる。また、ゲート−ドレイン間距離の増加を伴わないので、オン抵抗の増大なしにオフ耐圧を改善できる。
【0049】
また、前述のシミュレーションによれば、参考例(フィールドプレート電極がライン型)においてフィールドプレート電極の幅Lxが0.5μm、フィールドプレート電極の間隔Gxが0.25μmである場合に対し、本実施形態(フィールドプレート電極が島状)においては、フィールドプレート電極の幅Lxが0.5μm、フィールドプレート電極の間隔Gxが1.0μmで、同程度の電界集中緩和効果が得られると想定される。ただし、このシミュレーション結果は例示であって、本発明を限定しない。このように、本発明の半導体装置は、フィールドプレート電極がライン型である半導体装置と比較して、前記フィールドプレート電極の周期が比較的大きくても同程度の電界集中緩和効果が得られることにより、製造しやすい(前記フィールドプレート電極を形成しやすい)。前記フィールドプレート電極形成のしやすさの観点からは、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の前記フィールドプレート電極の長さ、前記電流の方向における前記フィールドプレート電極の長さ、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離、および、前記電流の方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ0.5μm以上となるように前記フィールドプレート電極を形成することが好ましい。より製造しやすいという観点からは、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の前記フィールドプレート電極の長さ、前記電流の方向における前記フィールドプレート電極の長さ、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離、および、前記電流の方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離は、それぞれ1.0μm以上であることが特に好ましい。また、これら電極間距離が、例えば約1.0μm程度であると、製造しやすく、かつ、特に優れた電界集中緩和効果が得やすい。ただし、本発明はこれに限定されない。例えば、前記電流の方向と垂直方向における前記フィールドプレート電極の長さ、前記電流の方向における前記フィールドプレート電極の長さ、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離、および、前記電流の方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離は、それぞれ、0.5μm以下でも良い。
【0050】
[実施形態3]
次に、本発明の第3の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0051】
図6に、本実施形態の電界効果トランジスタ(FET)の構造を示す。図6(a)は平面図、図6(b)は図6(a)のA−A’方向に見た断面図である。同図において、27は島状のフィールドプレート電極である。
【0052】
本実施形態のFETにおいては、島状フィールドプレート電極27は、底面が円形(直径Lは例えば0.1〜1μm)の円筒状である。これ以外は、本実施形態のFETは、実施形態1のFETと同様である。本実施形態において、ゲート幅方向のフィールドプレート電極27の間隔Gyは、例えば0.1〜1μm以下とする。ゲート電極16とドレイン電極132の間隔Lgdは、例えば1μm以上、100μm以下とする。本実施形態のFETは、フィールドプレート電極27の、電極長Lおよびゲート幅方向の電極間隔Gyがゲート−ドレイン間距離Lgdと比べて小さいので、フィールドプレート電極同士の空乏層ポテンシャルが重なり合って電界強度低減の効果が得られる。このため、実施形態2と同様な原理に基づいて、スイッチング速度低下、オン抵抗増大を抑制しつつ、オフ耐圧を改善できる。
【0053】
[実施形態4]
次に、本発明の第4の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0054】
図7に、本実施形態のFETの構造を示す。図7(a)は平面図、図7(b)は、図7(a)のA−A’方向に見た断面図である。同図において、37は島状のフィールドプレート電極である。本実施形態においては、フィールドプレート37の底面径L(例えば0.1〜1μm程度)および間隔Gy(例えば0.1〜1μm程度)が不均一である。これ以外は、本実施形態のFETは、実施形態2のFETと同様である。本実施形態において、ゲート電極16とドレイン電極132の間隔Lgdは、例えば1μm以上、100μm以下とする。本実施形態のFETは、フィールドプレートの電極長Lおよび電極間隔Gyがゲート−ドレイン間距離Lgdと比べて小さいので、フィールドプレート電極同士の空乏層ポテンシャルが重なり合って電界強度低減の効果が得られる。このため、前記各実施形態と同様な原理に基づいて、スイッチング速度低下、オン抵抗増大を抑制しつつ、オフ耐圧を改善できる。
【0055】
本発明の半導体装置は、例えば本実施形態で説明したように、前記複数のフィールドプレート電極において、各フィールドプレート電極の寸法が不均一であってもよい。例えば、前記複数のフィールドプレート電極において、ゲート−ドレイン方向(電流の方向)の寸法およびゲート−ドレイン方向(電流の方向)の寸法の少なくとも一方が不均一であっても良い。また、本発明の半導体装置は、例えば本実施形態で説明したように、各フィールドプレート間の距離が不均一であっても良い。例えば、前記複数のフィールドプレート電極において、ゲート幅方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離、および、ゲート幅と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離の少なくとも一方が不均一であっても良い。
【0056】
[実施形態5]
次に、本発明の第5の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0057】
図8に、本実施形態のFETの構造を示す。図8(a)は斜視図であり、図8(b)は、図8(a)のA−A’方向に見た断面図、図8(c)は、図8(a)のB−B’方向に見た断面図である。図において、4Rは抵抗である。
【0058】
本実施形態のFETは、ゲート電極16、フィールドプレート電極17Aおよび17B、ならびにドレイン電極132が、抵抗4Rにより電気的に接続されている。これ以外は、本実施形態のFETは、実施形態2のFETと同様である。図示の通り、ゲート−ドレイン方向(電流の方向)に隣接するフィールドプレート電極同士は、抵抗4Rおよび導線により接続されている。ゲート幅方向(電流の方向と垂直な方向)に隣接するフィールドプレート電極同士は、抵抗4Rを介さずに、導線により接続されている。ゲート電極16に最も近いフィールドプレート電極は、抵抗4Rを介してゲート電極16に接続されている。ドレイン電極132に最も近いフィールドプレート電極は、抵抗4Rを介してドレイン電極132に接続されている。その結果、ゲート−ドレイン間に電圧を印加することにより、各フィールドプレート電極(17Aまたは17B)に、ゲート電極からドレイン電極に向かって徐々に電位が変化するような電位勾配を与えることができる。これにより、各フィールドプレート電極端に電界ピークを発生させ、電界集中を段階的に緩和できる。このようにすると、各フィールドプレート電極(17A、17B)の電位がゲート−ドレイン間に印加される電圧と抵抗4Rの値により一意的に決まる。このため、各フィールドプレート電極(17A、17B)の電位の浮遊を防止することができ、実施形態2と比較してより安定的に電界集中緩和の効果が得られる。また、本実施形態では、実施形態2と同様、島状フィールドプレートの電極長Lyおよび電極間隔Gyは、ゲート−ドレイン間距離Lgdと比べて小さくなるように設定されている。これにより、フィールドプレート電極同士の空乏層ポテンシャルが重なり合って、フィールドプレート電極端の電界集中が緩和される。このため、実施形態2と同様な原理に基づいて、スイッチング速度低下、オン抵抗増大を抑制しつつ、オフ耐圧を改善できる。
【0059】
なお、本実施形態においては、実施形態2と同様な矩形のフィールドプレート電極を用いて抵抗結合(抵抗接続)した形態を説明したが、実施形態3と同様な円形のフィールドプレート電極、実施形態4と同様な不規則寸法のフィールドプレート電極等を用いても良い。実施形態3および4等の他のフィールドプレート電極の形態においても、本実施形態と同様の抵抗接続によれば、同様に電位の浮遊を防止することができ、より安定的に電界集中緩和の効果が得られる。
【0060】
[実施形態6]
次に、本発明のさらに別の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0061】
図9に、本実施形態のFETの構造を示す。図9(a)は平面図であり、図9(b)は、図9(a)のA−A’方向に見た断面図、図9(c)は、図9(a)のB−B’方向に見た断面図である。同図において、58は、例えばSiからなる表面保護膜である。59Aおよび59Bは、電位が浮遊した島状のフローティング電極で、例えば、Ti/Pt/Auにより形成されている。
【0062】
本実施形態のFETは、フィールドプレート電極が、キャパシタにより容量結合されていること以外は、実施形態2のFETと同様である。具体的には、本実施形態のFETは、フローティング電極59Aが、表面保護膜58を介して、ゲート−ドレイン方向(電流の方向)に隣接するフィールドプレート電極17A間を接続するように形成されている。これにより、フィールドプレート電極17A、表面保護膜58、フローティング電極59Aの三者がキャパシタを構成し、ゲート−ドレイン方向に隣接するフィールドプレート電極17A間が、このキャパシタを介して電気的に接続されている。同様に、ゲート−ドレイン方向に隣接するフィールドプレート電極17B間も、同様に、フィールドプレート電極17B、表面保護膜58、フローティング電極59Bの三者からなるキャパシタを介して電気的に接続されている。ゲート電極16に最も近いフィールドプレート電極は、前記キャパシタを介してゲート電極16に接続されている。ドレイン電極132に最も近いフィールドプレート電極は、前記キャパシタを介してドレイン電極132に接続されている。その結果、本実施形態のFETは、各フィールドプレート電極(17A、17B)に、ゲート電極からドレイン電極に向かって徐々に電位が変化するような電位勾配を与えることができる。これにより、各フィールドプレート電極端に電界ピークを発生させ、電界集中を段階的に緩和できる。このようにすると、各フィールドプレート電極(17A、17B)の電位が、ゲート−ドレイン間に印加される電圧と各フィールドプレート間に形成されたキャパシタの容量値により一意的に決まる。このため、各フィールドプレート電極(17A、17B)の電位の浮遊を防止することができ、実施形態2と比較してより安定的に電界集中緩和の効果が得られる。また、本実施形態では、実施形態2と同様、島状フィールドプレートの電極長Lyおよび電極間隔Gyは、ゲート−ドレイン間距離Lgdと比べて小さくなるように設定されている。これにより、フィールドプレート電極同士の空乏層ポテンシャルが重なり合って、フィールドプレート電極端の電界集中が緩和される。このため、実施形態2と同様な原理に基づいて、スイッチング速度低下、オン抵抗増大を抑制しつつ、オフ耐圧を改善できる。
【0063】
なお、本実施形態においては、実施形態2と同様な矩形のフィールドプレート電極を用いて容量結合した形態を説明したが、実施形態3と同様な円形のフィールドプレート電極、実施形態4と同様な不規則寸法のフィールドプレート電極等を用いても良い。実施形態3および4等の他のフィールドプレート電極の形態においても、本実施形態と同様の容量結合によれば、同様に電位の浮遊を防止することができ、より安定的に電界集中緩和の効果が得られる。
【0064】
このように、本発明の半導体装置は、さらに、接続手段を含み、前記接続手段は、前記ゲート電極と前記フィールドプレート電極と前記ドレイン電極とを電気的に接続し、前記半導体装置は、前記ゲート電極および前記ドレイン電極間の電圧印加時において、前記ゲート電極、前記フィールドプレート電極および前記ドレイン電極に、前記ゲート電極側から前記ドレイン電極側に向かって電位勾配を形成可能であることが好ましい。このようにすれば、例えば実施形態5および6で説明したように、前記フィールドプレート電極の電位の浮遊を防止でき、より安定的に電界集中緩和の効果が得られる。前記接続手段は、例えば、実施形態5のように抵抗でも良いし、実施形態6のようにキャパシタでも良い。
【0065】
以上、本発明を各実施形態に即して説明したが、前述の通り、前記各実施形態は例示であり、種々の変更が可能である。
【0066】
例えば、前記各実施形態においては、基板としてSiを用いたが、炭化珪素(SiC)、サファイア(Al)、窒化ガリウム(GaN)、ダイヤモンド(C)など、他の基板であっても良い。
【0067】
前記各実施形態において、前記基板上に形成する前記半導体層は、III族窒化物半導体を用いたが、前述のとおり、これには限定されない。前記半導体は、例えば、Si、SiC等であっても良い。
【0068】
また、前記各実施形態では、チャネル層材料としてGaNを用いたが、窒化インジウムガリウム(InGaN)、AlGaN、InAlN、InAlGaN、InNなど他のIII族窒化物半導体を用いても良いし、Si、SiC等を用いても良い。
【0069】
また、前記各実施形態では、キャリア供給層材料としてAlGaNを用いたが、チャネル層よりバンドギャップの大きい他のIII族窒化物半導体を用いても良い。前記III族窒化物半導体は、例えば、InGaN、AlGaN、InAlN、InAlGaN、GaN、AlNなどであっても良い。
【0070】
また、前記各実施形態では、チャネル層とキャリア供給層とのヘテロ接合構造を用いたが、キャリア供給層を設けなくても良い。この場合には、前記チャネル層を、例えば、n型のGaN等のIII族窒化物半導体、若しくは、n型のSi、SiC等によって構成すれば良い。
【0071】
前記各実施形態では、ゲート絶縁膜としてはAlを用いたが、酸化珪素(SiO)、Siなど他の絶縁体を用いても良い。
【0072】
実施形態2〜6では、デバイス構造としてゲート絶縁膜を有する金属−絶縁膜−半導体電界効果トランジスタ(MISFET)を用いた。すなわち、前記各実施形態では、前記ゲート電極が、前記ゲート絶縁膜を介して前記半導体層上に形成されている。しかしながら、本発明では、ゲート絶縁膜を有しない高電子移動度トランジスタ(HEMT)構造や金属−半導体電界効果トランジスタ(MESFET)構造を採用しても良い。すなわち、本発明の半導体装置では、前記半導体層上面に前記ゲート電極が直接接触していても良い。また、本発明では、電子供給層上にチャネル層を有する逆HEMT構造を採用しても良い。本発明の半導体装置は、前記半導体層とゲート電極の間にp型半導体層を挟んだジャンクション型のゲートを採用しても良い。また、本発明の半導体装置は、例えば、実施形態1で説明したショットキー(MES、Metal−Semiconductor)ダイオード、MISダイオード等であっても良い。前述のように、実施形態1において、前記フィールドプレート電極の形状、長さ、幅、各フィールドプレート電極間の距離等を、例えば実施形態2〜6と同様の形態に代えても良い。また、各フィールドプレート電極を、例えば実施形態5または6のように、抵抗、キャパシタ等で接続しても良い。
【0073】
前記各実施形態では、絶縁膜としてSiを用いたが、Al、SiOなど他の絶縁体を用いても良い。
【0074】
前記第1の電極、前記第2の電極、および前記ソース電極等の形成材料は、特に限定されない。例えば、前記各実施形態では、ソース電極、ドレイン電極、カソード電極の材料としてTi/Al/Ni/Auを用いたが、Ti/Al/モリブデン(Mo)/Au、Ti/Al/ニオビウム(Nb)/Au、Ti/Alなど他の材料を用いても良い。
【0075】
また、前記各実施形態では、ゲート電極およびアノード電極の材料としてNi/Auを用いたが、Ti/Pt/Au、パラディウム(Pd)/Auなど他の材料を用いても良い。さらに、前記各実施形態では、前記第1の電極、前記第2の電極、および前記ソース電極の形状は、底面が矩形の直方体状としたが、これには限定されない。例えば、前記第1の電極および前記第2の電極の形状が、それぞれ底面が半円形の半円板形状であり、前記半円形の直線部分が対向していても良い。
【0076】
前記各実施形態では、フィールドプレート電極の材料としてTi/Pt/Auを用いたが、Ni/Au、Pd/Auなど他の材料を用いても良い。また、フィールドプレート電極の底面形状は矩形または円形としたが、三角形や他の多角形であっても良い。
【0077】
以上、説明したように、本発明の半導体装置によれば、スイッチング速度の低下やオン抵抗の増大を抑制し、フィールドプレート電極端における電界集中を緩和することができる。本発明の半導体装置は、オフ耐圧を高く、オン抵抗を低くできるため、例えば、スイッチング電源、インバータ回路などの電子装置の省エネルギー化に寄与するパワー半導体素子として用いることができる。前述の通り、本発明の電子装置は、本発明の半導体装置を含むことが特徴である。本発明の電子装置の用途は特に限定されず、例えば、モーター制御装置(例えば電気自動車用、エアコン用等)、電源装置(例えばコンピュータ用等)、インバータ照明、高周波電力発生装置(例えば電子レンジ用、電磁調理器用等)、画像表示装置、情報記録再生装置、通信装置等に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0078】
10,90 基板
11,91 チャネル層
12,92 キャリア供給層
101 第1の電極
102 第2の電極
131,931 ソース電極
132,932 ドレイン電極(第2の電極)
14,58,94 絶縁膜
15 ゲート絶縁膜
16,96 ゲート電極(第1の電極)
17A,17B,27,37,97 フィールドプレート電極
4R 抵抗
59A,59B フローティング電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、半導体層と、第1の電極と、第2の電極と、フィールドプレート電極と、絶縁膜とを含み、
前記半導体層は、前記基板上に形成され、
前記第1の電極、前記第2の電極および前記絶縁膜は、それぞれ、前記半導体層上に形成され、
前記絶縁膜は、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置され、
前記第1の電極と前記第2の電極は、前記半導体層を介して電気的に接続されており、
前記フィールドプレート電極は、複数であり、かつ、前記絶縁膜上に、前記第1の電極と前記第2の電極との間に点在するように配置されており、
前記複数のフィールドプレート電極において、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の各フィールドプレート電極の長さ、および、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ、前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離以下であることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記複数のフィールドプレート電極において、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の各フィールドプレート電極の長さ、および、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ、1μm以下であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記複数のフィールドプレート電極が、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向に向かう直線状に並ぶように一定の間隔を置いて配列され、前記直線状の配列が複数であり、かつ、隣り合う2つの前記直線状のフィールドプレート電極の配列が、互い違いの状態であることを特徴とする請求項1または2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記各フィールドプレート電極の電位が浮遊していることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項5】
さらに、接続手段を含み、前記接続手段は、前記第1の電極と前記フィールドプレート電極と前記第2の電極とを電気的に接続し、
前記半導体装置は、前記第1の電極および前記第2の電極間の電圧印加時において、前記第1の電極、前記フィールドプレート電極および前記第2の電極に、前記第1の電極側から前記第2の電極側に向かって電位勾配を形成可能であることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記接続手段が、抵抗であることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項7】
前記接続手段が、キャパシタであることを特徴とする請求項5記載の半導体装置。
【請求項8】
前記複数のフィールドプレート電極において、各フィールドプレート電極の寸法が不均一であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記複数のフィールドプレート電極において、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離、および、前記電流の方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離の少なくとも一方が不均一であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記半導体層が、窒化物半導体から形成されていることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記第1の電極が、ゲート電極であり、前記第2の電極が、ドレイン電極であり、
さらに、ソース電極を含み、
前記ソース電極は、前記半導体層上に配置され、
前記ゲート電極は、前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に配置され、
電界効果トランジスタとして用いられることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記第1の電極が、アノード電極であり、前記第2の電極が、カソード電極であり、ダイオードとして用いられることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の半導体装置を含むことを特徴とする電子装置。
【請求項14】
基板を準備する基板準備工程と、
基板上に半導体層を形成する半導体層形成工程と、
前記半導体層上に、前記半導体層を介して電気的に接続されるように第1の電極および第2の電極を形成する電極形成工程と、
前記半導体層上に、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置されるように絶縁膜を形成する絶縁膜形成工程と、
前記絶縁膜上にフィールドプレート電極を形成するフィールドプレート電極形成工程とを含み、
前記フィールドプレート電極形成工程において、複数の前記フィールドプレート電極が前記第1の電極と前記第2の電極との間に点在し、かつ、前記複数のフィールドプレート電極において、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向の各フィールドプレート電極の長さ、および、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ、前記第1の電極と前記第2の電極との間の距離以下となるように前記フィールドプレート電極を形成することを特徴とする、半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記フィールドプレート電極形成工程において、前記第1の電極と前記第2の電極との間の電圧印加時における電流の方向と垂直方向における前記フィールドプレート電極の長さ、前記電流の方向における前記フィールドプレート電極の長さ、前記電流の方向と垂直方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離、および、前記電流の方向に隣接する各フィールドプレート電極間の距離が、それぞれ0.5μm以上となるように前記フィールドプレート電極を形成することを特徴とする請求項14記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記フィールドプレート電極形成工程において、
前記絶縁膜上にレジストを形成し、
前記フィールドプレート電極形成予定部位に形成された前記レジストを露光および現像により除去して前記フィールドプレート電極のパターンを形成し、
前記フィールドプレート電極のパターン上に前記フィールドプレート電極の材料を形成し、
前記レジストおよびその上に形成された前記フィールドプレート電極材料をリフトオフ処理により除去することを含むことを特徴とする請求項14または15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記フィールドプレート電極形成工程において、
前記絶縁膜上に、前記フィールドプレート電極の材料を形成し、
前記フィールドプレート電極材料上にレジストを形成し、
前記フィールドプレート電極形成予定部位以外に形成された前記レジストを露光および現像により除去し、
前記レジストで覆われていない部位の前記フィールドプレート電極材料を除去し、さらに前記レジストを除去することを特徴とする請求項14または15記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
製造される前記半導体装置が、電界効果トランジスタであり、前記第1の電極がゲート電極であり、前記第2の電極がドレイン電極であり、
前記電極形成工程において、さらにソース電極を前記半導体層上に形成し、かつ、前記ゲート電極を前記ソース電極と前記ドレイン電極との間に配置することを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
製造される前記半導体装置が、ダイオードであり、前記第1の電極が、アノード電極であり、前記第2の電極が、カソード電極であることを特徴とする請求項14から17のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1の電極および前記第2の電極間に電圧を印加することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の半導体装置または請求項14から19のいずれか一項に記載の製造方法により製造された半導体装置の使用方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−119366(P2011−119366A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273974(P2009−273974)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】