説明

平面電子表示装置及びその製造方法

【課題】Cuに添加する添加元素が、Cu部材と接触するガス雰囲気又は固体に含まれる酸素と優先的に反応してCuの酸化を抑止する酸化被膜を形成することができる高導電率の配線、電極等を備える平面電子表示装置を提供する。
【解決手段】基板上にマトリックス状に交叉する電極線17、18と、その交点に配置された液晶画素20と、外部の駆動回路に接続された端子電極とを有するアクティブマトリックス方式の液晶表示装置において、電極線17、18、電極、配線層、端子電極のうちの少なくとも一つを銅を主成分とし、基板との界面に銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金で形成する。この添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、Cu中における拡散係数がCuの自己拡散係数より大きく、Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が5μΩ・cm以下であり、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面電子表示装置及びその製造方法に関し、特に、平面画面に画像を表示する液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)、有機EL表示装置(OLED)、フィールドエミッション表示装置(FED)等の平面電子表示装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、平面表示装置(フラットパネルディスプレイ)として、薄くて軽量であり、しかも低電圧で駆動でき、消費電力が少ない液晶表示装置(LCD)が広く使用されるようになった。液晶表示装置は、通常の形態としては、2枚の透明ガラス基板の間に液晶を封入した構造を有する。一方の基板の内面上には、ブラックマトリクス、カラーフィルター、共通電極、配向膜等を設け、他方の基板の内面上に、薄膜トランジスタ(TFT)、ゲート配線、信号配線、画素電極、配向膜等が設けられている。例えば、3原色のカラーフィルターと位置合わせした3つの画素電極を配置し、1画素単位を画定し、それを多数の画素単位の行列状に配置することによって平面状のカラー表示装置が形成される。実際の画像は、ゲート配線に走査信号であるゲート電圧パルスを加えることによって画素行が順次選択され、同一行の画素電極に同時に信号配線から画像信号が供給されることで、各画素の3原色の画素電極を動作させて、画像が形成される。
【0003】
液晶表示装置に用いる薄膜トランジスタ(TFT)は、例えば、以下のように形成される。即ち、基板上に先ずゲート配線を形成し、該ゲート配線上にゲート絶縁膜、薄膜半導体であるアモルファスシリコン層、n型アモルファスシリコン層を成膜する。ホトエッチング工程によってTFT構造を形成した後、アモルファスシリコン層のチャネル領域上にチャネル保護層を形成し、次いで、チャネル領域両側のソース/ドレイン領域上にコンタクト用の高不純物濃度アモルファスシリコン層、ソース/ドレイン電極及び信号配線となる金属層を成膜してパターニングした後、絶縁保護層で被覆する。
液晶表示装置においては、一つの行に数1000個の画素が配置されている。ゲート配線には、配線の端部にゲート電圧パルスを印加して、一つの行に配置された複数のTFTを同時に励起する。ゲート電圧パルスは、端部から各画素のTFTのゲート電極に伝播する。その伝播する速度は、ゲート配線の抵抗値とゲート配線に寄生する電気容量が増大すると遅くなる。これをゲート電圧パルスの伝播遅延と言う。この伝播遅延が大きくなると各画素の明るさにムラが目立つ。このためゲート配線の抵抗値を小さくすることによって、ゲート電圧パルスの伝播遅延を小さくする。その結果として明るさのムラが抑えられる。
液晶表示装置の画面の大型化に伴って、ゲート配線材料は、モリブデン合金からアルミニウム合金又はアルミニウムクラッドなどへと変還した。アルミニウム(Al)には、ヒロック、エレクトロマイグレーション等の問題がある。その後、例えば、特許文献1に開示されるように、Al−Nd合金からなる配線材料が提案され、陽極酸化したAl、Mo合金でグラッド又は二層化したAlも使用されるようになった。また、これらのゲート電極材料よりも低い電気抵抗を有する材料として銅が注目されるようになったが、銅は、液晶表示装置の基板であるガラスとの密着性が悪いことに加え、絶縁層を形成する際のプロセスガスによって酸化され易いという問題がある。
【0004】
そこで、このような問題を解決するため、合金化した銅配線を用いる技術が試みられている。この技術は、合金元素が基板と反応生成物を形成することによって基板との密着性を確保し、同時に、添加元素がCu表面で酸化物を形成することによってCuの耐酸化性膜として作用することを狙ったものである。
しかし、従来提案された技術では、狙った特性が十分に発現されず、Cu中に合金元素が残留することによってCuの電気的抵抗が高くなり、Al又はAl合金を用いた配線材料に対する優位性がなかった。
即ち、特許文献2には、Cuに0.3〜10重量%のAgを添加して耐酸化性の向上を図ることが開示されているが、ガラス基板との密着性が改善されておらず、また、液晶プロセスに耐え得る十分な耐酸化性が得られないという問題がある。
また、特許文献3には、密着性を向上させるために、Cuに0.5〜5重量%のTi、Mo、Ni、Al、Agのうち少なくとも1種の元素を添加した銅合金が提案されているが、添加元素によって配線の電気抵抗が上昇するという問題がある。
更に、特許文献4には、Cuと基板との間にMo膜を形成し、これによって基板との密着性及びバリア性を確保する技術が開示されている。しかし、Moを製膜する工程が増加すると共に、配線の実効抵抗が増加するという問題がある。
更にまた、特許文献5には、CuにMg、Ti、Crのうち一種以上の元素を添加することによって密着性と耐酸化性を向上させることが開示されているが、添加元素が配線中に残存して配線抵抗が増加するという問題がある。また、添加元素が基板の酸化物を還元し、還元された元素が配線中に拡散して配線抵抗が増大するという問題もある。
更にまた、特許文献6には、Cu配線に関するこれらの問題点を解決するために、Cuの周りにTaN,TiN,WNなどの高融点窒化物を形成する技術が提案されているが、この技術は、従来の配線材料に比べるとバリア層を形成するための材料と付加的なプロセスが必要であること、及び高抵抗のバリア層を厚く成膜するため、配線の実効抵抗が上昇するという問題がある。
更にまた、特許文献7には、Cuに0.1〜3.0wt%のMoを添加し、Moを粒界に偏析させることで粒界拡散による酸化を抑制することが提案されているが、この技術は、Cuの耐酸化性を向上させることはできるものの、配線抵抗が上昇するという問題がある。
【0005】
一方、配線基板組成物としては、例えば特許文献8に、銅粉末100質量部に対して、ガラス成分を0.5〜8質量部、Zn、MgおよびTiを主成分とする複合酸化物を0.05〜3質量部含有する銅メタライズ組成物が開示されており、これによって、接着強度を向上させ、且つ配線基板の反りを抑制し、半田濡れ性にも優れた銅メタライズ組成物およびこれを用いたセラミック配線基板が提供されるということである。
また、特許文献9及び10では、配線基板に用いるAu及び/又はCoと、CuとからなるCu合金であって、Cuの組成比率が80〜99.5wt%であり、Auの組成比率とCoの組成比率の和が0.5〜20wt%であるCu合金からなる配線材料が開示されている。これによって、ガラス基板やシリコン膜との密着性が改善される合金が提供できるということである。
更に、特許文献11では、配線層が、Ag、Au、Cu、Al及びPtからなる群より選ばれた少なくとも一種の第1の金属を主体とし、Ti、Zr、Hf、Ta、Nb、Si、B、La、Nd、Sm、Eu、Gd、Dy、Y、Yb、Ce、Mg、Th及びCrからなる群より選ばれた少なくとも一種の第2の金属を含む材料で構成された導電層と、この導電層の表面を被覆する第2の金属を主体とする材料で構成された酸化物層とを有する液晶表示装置が開示されている。これによって、製造工程における薬品処理に対する高耐性及び基板との良密着性が得られ、配線層の断線を抑えることができるということである。
【0006】
しかしながら、上記従来技術におけるCu酸化物は酸素を容易に透過するために酸化抑止機能がなく、保護被膜とはならないという問題がある。特に、特許文献11に開示された技術では、Cuに適当な添加元素を添加して合金化することにより、添加元素が保護被膜を形成し、これによってCuの酸化を抑止できる可能性はあるが、銅合金中における添加元素の拡散が不十分で強固な酸化膜の形成は困難である。
【0007】
液晶表示装置(LCD)以外の平面表示装置としては、例えば気体放電を用いた表示デバイスであるプラズマディスプレイ(PDP)、電流を流すと発光するジアミン類などの有機物を利用した表示デバイスである有機EL表示装置(OLED)、ブラウン管(CRT)と同じ原理での自発発光型ディスプレイであり、基本的にCRTと同じ原理によって発光するディスプレイであるフィールドエミッションディスプレイ(FED)などが挙げられる。
ここで、プラズマディスプレイ装置は、隔壁(リブ)で隔てられた放電セルがあり、蛍光体で覆われており、放電セルはアドレス電極と走査電極の間に蓄積された電荷が放電して蛍光体を発光させる。また、有機EL表示装置においては、液晶表示装置と同様のTFTからなる画素回路が画素毎に配置される。一方、フィールドエミッションディスプレイ装置は、カソード電極に接続されたエミッター電極とアノード電極間に電圧が付加され、ゲート電圧によって制御されて放出された電子が蛍光体を発光させる。
これらの平面電子表示装置においても、上述した液晶表示装置のTFT用の電極配線と同様に、ガラス基板と配線の密着性を高め、配線抵抗を低減し、耐酸化性を高め、更に端子部の形成工程を簡略化する必要がある。
【0008】
【特許文献1】特開2000−199054号公報
【特許文献2】特開2002−69550号公報
【特許文献3】特開2005−158887号公報
【特許文献4】特開2004−163901号公報
【特許文献5】特開2005−166757号公報
【特許文献6】特開2004−139057号公報
【特許文献7】特開2004−91907号公報
【特許文献8】特開2003−277852号公報
【特許文献9】特開2003−332262号公報
【特許文献10】特開2003−342653号公報
【特許文献11】特開平10−153788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述したように、上記従来技術では、Cuに合金添加元素を添加して基板との密着性及び耐酸化性を確保する試みがなされたが、いずれの場合も十分な結果が得られていない。また、添加元素がCu中に残留することによって配線の電気抵抗が上昇するという問題も未解決のままである。
本発明は、かかる状況に鑑みてなされたものであって、その課題は、基板との密着性が高い酸化被膜を形成して配線材料等の酸化を防止できると共に、導電率が高い配線、電極又は端子電極を備えた平面電子表示装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため本発明の平面電子表示装置は、基板上に、画像を形成する最小単位としての画素をマトリックス状に複数配列した画素部を有する平面電子表示装置において、前記画素部で交叉する信号電極と、走査電極と、前記信号電極又は前記走査電極と外部回路とを接続する端子電極とのうちの少なくとも一つ電極の配線材料として、Cuを主成分とし、その表面又は前記基板との界面に前記Cuに添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金を適用したことを特徴とする。
この場合において、前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、Cu中における拡散係数がCuの自己拡散係数より大きく、Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が5μΩ・cm以下であり、且つ、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足するものであり、前記銅合金における添加量は、0.5〜25at.%であることが好ましい。
また、前記銅合金を適用した電極は、液晶画素、気体放電セル、有機EL素子、フィールドエミッションディスプレイ用表示画素のうち少なくとも一つを駆動し制御する電極であり、平面電子表示装置を、液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置又はフィールドエミッションディスプレイ装置とすることができる。
【0011】
本発明に係る液晶表示装置は、基板上でマトリックス状に交叉する電極線と、前記電極線の交点に配置され、一対の基板と、これら基板間に挟持された液晶層と、前記基板の前記液晶層側の表面に形成された電極と、前記電極に電気的に接続され前記基板の前記表面に配設された配線層とを有する多数の液晶画素と、外部の駆動回路に接続された端子電極と、を有するアクティブマトリックス方式の液晶表示装置において、前記電極線、電極、配線層、端子電極のうち少なくとも一つは、銅を主成分とし、前記基板との界面に、前記銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金からなることを特徴とする。
この場合において、前記酸化物層は、前記基板に含まれる酸素と前記添加元素との反応によって形成されたものであることが好ましい。
また、前記電極線、電極、配線層、端子電極の少なくとも一つは、絶縁層との界面に、前記添加元素の酸化物層を具備するものであることが好ましい。
更にまた、前記電極線、電極、配線層、端子電極の少なくとも一つは、酸素を含有する絶縁層との界面に前記添加元素と前記絶縁層の構成元素とが反応した酸化物層を具備するものであってもよい。
更にまた、前記電極線、電極、配線層、端子電極の少なくとも一つは、その表面に前記添加元素と雰囲気ガス中の酸素とが反応した酸化物層を具備するものであってもよい。
更にまた、前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、かつ、Cu中における拡散係数がCuの自己拡散係数より大きいことが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が、5μΩ・cm以下であることが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足することが好ましい。
更にまた、前記銅合金は、添加元素が銅合金表面に拡散して、前記添加元素の酸化被膜層が形成される銅合金であることが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属とすることができる。
更にまた、前記添加元素は、Mnであることが好ましい。
更にまた、前記Mnの添加量は、0.5〜25at.%とすることができる。
【0012】
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、基板上でマトリックス状に交叉する電極線と、前記電極線の交点に配置され、一対の基板と、これら基板間に挟持された液晶層と、前記基板の前記液晶層側の表面に形成された電極と、前記電極に電気的に接続され前記基板の前記表面に配設された配線層とを有する複数の液晶画素と、外部の駆動回路に接続された端子電極と、を有するアクティブマトリックス方式の液晶表示装置の製造方法において、前記基板上に、Cuを主成分とし、その表面又は前記基板との界面に前記Cuに添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金を物理蒸着法又は化学気相成長法によって製膜する工程と、得られた銅合金膜をエッチングして電極線、電極、配線層、端子電極のうちの少なくとも一つを形成する工程と、を有することを特徴とする。
この場合において、前記銅合金は、前記添加元素がMn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属であることが好ましい。
また、この場合において、前記形成された電極線、電極、配線層、端子電極のうち少なくとも一つの表面に、酸化物層を形成する工程を有するものとすることができる。
また、前記酸化物層形成工程における雰囲気ガス中の酸素濃度は、10ppm〜1%であることが好ましい。
更にまた、前記酸化物層形成工程は、前記電極線、電極、配線層、端子電極の少なくとも一つを形成した後、150〜400℃で、5分〜50時間加熱して前記電極線、電極、配線層、端子電極の少なくとも一つの表面に前記銅合金における添加元素の酸化物層を形成する工程とすることができる。
【0013】
本発明におけるプラズマディスプレイ装置は、背面ガラス基板の内側に形成されたアドレス電極配線と、前面ガラス基板の内側に形成された表示電極配線と、前記アドレス電極配線と表示電極配線とがマトリックス状に交叉する各交点にそれぞれ配置された複数の電気放電セルと、外部の駆動回路に接続された端子電極と、を有するプラズマディスプレイ装置において、前記アドレス電極配線、表示電極配線、端子電極の少なくとも一つは、銅を主成分とし、前記基板との界面に、前記銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金からなることを特徴とする。
この場合において、前記酸化物層は、前記基板に含まれる酸素と前記添加元素との反応によって形成されたものであることが好ましい。
また、前記アドレス電極配線、表示電極配線、端子電極の少なくとも一つは、その表面又は絶縁層との界面に、雰囲気ガス中の酸素又は前記絶縁層に含まれる酸素と前記添加元素が反応して形成された酸化物層を具備するものであってもよい。
更に、前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、かつ、Cu中における添加元素の拡散係数がCuの自己拡散係数より大きいことが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が、5μΩ・cm以下であることが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足することが好ましい。
更にまた、前記銅合金は、添加元素が銅合金表面に拡散して、前記添加元素の酸化被膜層が形成される銅合金であってもよい。
更にまた、前記添加元素は、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属であるものとすることができる。
更にまた、前記添加元素を、Mnとすることが好ましい。
更にまた、前記Mnの添加量は、0.5〜25at.%とすることができる。
【0014】
なお、プラズマディスプレイ装置の製造方法としては、例えば、背面ガラス基板の内側に形成されたアドレス電極配線と、前面ガラス基板の内側に形成された表示電極配線と、前記アドレス電極配線と表示電極配線とがマトリックス状に交叉する各交点にそれぞれ配置された複数の電気放電セルと、外部の駆動回路に接続された端子電極と、を有するプラズマディスプレイ装置の製造方法において、前記基板上に、Cuを主成分とし、その表面又は前記基板との界面に前記Cuに添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金を物理蒸着法又は化学気相成長法によって製膜する工程と、得られた銅合金膜をエッチングしてアドレス電極配線、表示電極配線、端子電極の少なくとも一つを形成する工程と、を有することを特長とする方法が挙げられる。
この場合において、前記形成されたアドレス電極配線、表示電極配線及び/又は端子電極上に、誘電体層を形成する工程を有するものとすることができる。
更に、前記アドレス電極配線、表示電極配線、端子電極の少なくとも一つを形成した後、150〜400℃で、5分〜50時間加熱して前記アドレス電極配線、表示電極配線、端子電極の少なくとも一つの表面に前記銅合金に含まれる添加元素の酸化物層を形成する工程を更に有するものであってもよい。
この場合において、前記酸化物層形成工程における雰囲気ガス中の酸素濃度は、10ppm〜1%であることが好ましい。
【0015】
本発明に係る有機EL表示装置は、基板上でマトリックス状に交叉する電極線と、前記電極線の交点に配置され、ガラス基板と、このガラス基板上に順次積層された陽極、ホール輸送層、有機発光層、電子輸送層及び陰極とを有し、前記陽極と陰極とがTFT回路を介して前記マトリックス状に交叉する電極線に電気的に配線接続された複数の有機EL素子と、外部の駆動回路に接続された端子電極と、を有するアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置において、前記電極線、配線、端子電極の少なくとも一つは、銅を主成分とし、前記基板との界面に、前記銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金からなることを特徴とする。
この場合において、前記酸化物層は、前記基板に含まれる酸素と前記添加元素との反応によって形成されたものであることが好ましい。
また、前記電極線、配線、端子電極の少なくとも一つは、その表面又は絶縁層との界面に、雰囲気ガス中の酸素又は前記絶縁層に含まれる酸素と前記添加元素が反応した酸化物層を具備するものであってもよい。
更に、前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、かつ、Cu中における添加元素の拡散係数がCuの自己拡散係数より大きいことが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Cu中における1at.%あたりの電気抵抗上昇率が、5μΩ・cm以下であることが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足することが好ましい。
更にまた、前記銅合金は、添加元素が銅合金表面に拡散して、前記添加元素の酸化被膜層が形成される銅合金であってもよい。
更にまた、前記添加元素は、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属とすることができる。
更にまた、前記添加元素を、Mnとすることが好ましい。
更にまた、前記Mnの添加量は、0.5〜25at.%とすることができる。
【0016】
なお、有機EL表示装置の製造方法としては、例えば、基板上でマトリックス状に交叉する電極線と、 前記電極線の交点に配置され、ガラス基板と、このガラス基板上に順次積層された陽極、ホール輸送層、有機発光層、電子輸送層及び陰極とを有し、前記陽極と陰極とがTFT回路を介してマトリックス状に交叉する電極線に電気的に配線接続された複数の有機EL素子と、外部の駆動回路に接続された端子電極と、を有するアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置の製造方法において、前記基板上に、Cuを主成分とし、その表面又は前記基板との界面に前記Cuに添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金を物理蒸着法又は化学気相成長法によって製膜する工程と、得られた銅合金膜をエッチングして前記電極線、配線、端子電極の少なくとも一つを形成する工程と、を有することを特長とする方法が挙げられる。
この場合において、前記電極線、配線、端子電極の少なくとも一つを形成した後、150〜400℃で、5分〜50時間加熱して前記電極線、配線端子電極の少なくとも一つの表面に前記銅合金に含まれる添加元素の酸化物層を形成する工程を有するものとすることができる。
【0017】
本発明に係るフィールドエミッション表示装置は、カソード側ガラス基板と、このカソード側ガラス基板に対向して設けられたアノード側ガラス基板と、前記アノード側ガラス基板の内面に設けられたアノード電極及び蛍光体膜と、前記カソード側ガラス基板の内面に、マトリックス状に複数配置されたカソード電極と、前記アノード電極と前記カソード電極との間の真空空間部に配置されたゲート電極と、前記カソード電極とアノード電極とを接続する電極線及び前記カソード電極とゲート電極とを接続する電極線と、外部の駆動回路に接続された端子電極と、を有するフィールドエミッション表示装置において、前記電極、電極線、端子電極の少なくとも一つは、銅を主成分とし、前記基板との界面に、前記銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金からなることを特徴とする。
この場合において、前記酸化物層は、前記基板に含まれる酸素と前記添加元素との反応によって形成されたものであることが好ましい。
また、前記電極、電極線、端子電極の少なくとも一つは、その表面又は絶縁層との界面に、雰囲気ガス中の酸素又は前記絶縁層に含まれる酸素と前記添加元素が反応した酸化物層を具備するものであってもよい。
更に、前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、かつ、Cu中における添加元素の拡散係数がCuの自己拡散係数より大きいことが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が、5μΩ・cm以下であることが好ましい。
更にまた、前記添加元素は、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足することが好ましい。
更にまた、前記銅合金は、添加元素が銅合金表面に拡散して、前記添加元素の酸化被膜層が形成される銅合金であってもよい。
更にまた、前記添加元素は、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属とすることができる。
更にまた、前記添加元素を、Mnとすることが好ましい。
更にまた、前記Mnの添加量は、0.5〜25at.%とすることができる。
【0018】
なお、フィールドエミッション表示装置の製造方法としては、例えば、カソード側ガラス基板と、このカソード側ガラス基板に対向して設けられたアノード側ガラス基板と、前記アノード側ガラス基板の内面に設けられたアノード電極及び蛍光体膜と、前記カソード側ガラス基板の内面に、マトリックス状に複数配置されたカソード電極と、該アノード電極と前記カソード電極との間の真空空間部に配置されたゲート電極と、前記カソード電極とアノード電極とを接続する電極線及び前記カソード電極とゲート電極とを接続する電極線と、外部の駆動回路に接続された端子電極と、を有するフィールドエミッション表示装置の製造方法において、前記基板表面に、Cuを主成分とし、その表面又は前記基板との界面に前記Cuに添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金を物理蒸着法又は化学気相成長法によって製膜する工程と、得られた銅合金膜をエッチングして電極、電極線、端子電極の少なくとも一つを形成する工程と、を有することを特長とする方法が挙げられる。
この場合において、前記電極、電極線、端子電極の少なくとも一つを形成した後、150〜400℃で、5分〜50時間加熱して前記電極、電極線、端子電極の少なくとも一つの表面に前記銅合金に含まれる添加元素の酸化物層を形成する工程を有するものとすることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電気導電率を低下させることなく、その配線表面にCuの酸化を防止すると共に基板との密着性が高い酸化被膜層を形成した配線を有する液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置、有機EL表示装置、フィールドエミッション表示装置等の平面電子表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に、本発明の実施の形態について添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、いわゆる当業者は特許請求の範囲内における本発明を変更・修正して他の実施形態をなすことは容易であり、以下の説明はこの発明における最良の形態の例であって、この特許請求の範囲を限定するものではない。
【0021】
図1は、本発明の第1実施形態としての液晶表示装置の構成を示す概略図である。この液晶表示装置(LCD)は、逆スタガー型のTFT型のものであるが、本発明で適用する銅合金配線は、これに限るものでなく、エッチングストッパー/逆スタガー型、バックチャネル/逆スタガー型、スタガー型TFT、プレナー型TFTにおいても同様に適用することができる。また、上記銅合金配線は、ゲート線に限らず、信号線、ソース・ドレインの電極、電極端子等に用いろこともできる。更に、TFTの半導体膜はa−Si膜に限ったものではなく、ポリシリコン膜であっても良い。
図1において、この液晶表示装置は、一対の基板11、12と、これら基板間に挟持された液晶層15と、基板12の液晶層側の表面に形成された電極と、電極に電気的に接続され前記基板の表面に配設された配線層とを有する。すなわち、図1の液晶表示装置は、一方の面にITO(インジウム錫酸化物)膜の透明共通電極13を形成したガラス製の透明基板11と、一方の面にITO膜の画素電極14を形成した透明基板12とを、各電極面が対向するように配置したものである。透明基板12上に形成された画素電極14には、スイッチであるTFT16と蓄積容量19が含まれる。このような画素電極14が透明基板12上に数十万から数百万個配置されている。また、両基板11、12は基板間隙剤(スペーサ)によって数μmの間隙をおいて配置されており、その周縁は封着され、内部の間隙に液晶層15が充填されている。即ち、1対の基板により液晶層15が挟持されている。
【0022】
図2は、図1の液晶表示装置の画素の構成を示す概略図である。
図2において、透明基板に、回路と平面的に等価な2次面配列で画素電極14、TFTスイッチング素子16、ゲート配線17、ソース配線18及び蓄積容量線19が配置される。ゲート配線17とソース配線18の交点は絶縁膜24によって絶縁されている。すなわち、画面表示の行方向に延長されたゲート配線17と列方向に延長されたソース配線18とがマトリックス状に配置され、さらに各ゲート配線17に平行に蓄積容量線19が配置されている。ゲート配線17とソース配線18が囲む領域単位にTFTスイッチング素子16と画素電極14が形成され、TFTスイッチング素子16はゲート配線17とソース配線18に領域単位の交差部で電気的に接続されている。すなわち、TFTのソース電極22がソース配線18に、ドレイン電極23が画素電極14に、ゲート電極21がゲート線17に接続されている。
【0023】
図3は、図2における画素構成の要部を示す拡大断面図であり、TFTトランジスタ素子部分の断面(1)及び蓄積容量線部分の断面(2)を示すものである。
図3において、ガラス製の透明基板12上に、TFTスイッチング素子16、ゲート線17に接続されたゲート電極21及び蓄積容量線19が配置されている。ゲート電極21は、Cu合金からなる金属部分の導電層211と、これを被覆する酸化被膜層212及び213とから構成される。酸化被膜層213は、導電層211と基板12間に介在する。同様に蓄積容量線19は、Cu合金からなる導電層191と、これを被覆する酸化被膜層192及び193とから構成される。
ゲート電極21、蓄積容量線19等が形成された透明基板12上に、複数の層241及び242からなる絶縁膜24が堆積され、その上面のTFT領域にa−Si層25が形成され、更にその上に、ソース電極22及びドレイン電極23が形成される。ソース電極層22は、ソース配線18に電気的に接続される(図3(1))。蓄積容量線19及びその上に設けられた複数の層241及び242からなる絶縁膜24上の画素領域にはITOからなる画素電極14が形成され、ドレイン電極23と電気的に接続されている(図3(2))。
【0024】
図4は、このようにして構成された液晶画素(以下、TFT素子ともいう)20を多数配列させたTFT液晶パネルの等価回路を示す図である。通常、TFT液晶パネルは、例えば640×3×480個のTFT素子からなるが、図4においては、便宜上3×3画素として示した。図4において、ゲート配線17及びソース配線18は、それぞれの行及び列で共有されており、あるゲート配線17及びソース配線18を選択すると、その組み合わせが決定される。TFT画素20のうち任意の画素を表示させ、文字又は画像を形成する場合、ゲート配線17を走査線として、複数の走査線を線順次に走査する。この原理に従って、逐次、ゲート配線17を走査し、このときにタイミングを合わせて全てのソース配線18にそれぞれの画素の駆動状態に合わせた電圧を印加することによって必要な液晶画素20を全て表示し、これによって1フレームを表示し、以下これを繰り返して動画が表示される。
【0025】
次に、本実施形態における配線形成方法について説明する。
例えば、ガラス製の透明基板12上にCu合金をスパッタリングし、エッチングを行って、ゲート配線17、ゲート電極21及び蓄積容量線19のCu合金層パターンを形成する。
次いで、これを微量の酸素を含む酸化性雰囲気中で熱処理し、Cu合金からなるゲート電極線211(図3(1)参照)の表面を酸化させて酸化被膜層212及び213を形成させる。酸化被膜層213は、導電層211と基板12間に形成される。
その後、スパッタリング又はCVD法により絶縁膜24としてのSiOxの絶縁層241及びSiNx膜242を積層し、更にその上にアンドープa−Si層25を形成する。
次いで、その表面に、ソース電極22及びドレイン電極23となる金属層を形成し、その後、エッチング液により、ソース電極22及びドレイン電極23を形成する。次いで、a−Si層25をCDEによりエッチングし、SiNxの保護膜を形成し、コンタクト部に開口を設けてTFTスイッチング素子16を形成した。
【0026】
この実施形態においては、TFTスイッチング素子16のゲート電極21、ソース電極22、ドレイン電極23及びこれらにつながるゲート配線17、ソース配線18及び蓄熱容量線19が、同様の銅合金を用いて同様の手順によって形成される。銅合金における添加元素としては、酸化物形成自由エネルギーはCuより小さく、かつ、Cu中における添加元素の拡散係数(以下、特に断らない限り単に、拡散係数という。)がCuの自己拡散係数より大きい金属が適用される。
酸化物形成自由エネルギー(ΔG:kJ/mol)は、マイナスの値が大きいほど酸素(O)と反応性が高くなる。そこで、Cu合金の表面に酸化被膜層を形成するために、Cuより酸化物形成自由エネルギーの絶対値が大きい添加元素、換言すれば、酸化物形成自由エネルギーが低い添加元素を適用する。
また、添加元素の拡散係数をCuの自己拡散係数より大きくすることによって、Cu表面に速く到達させて、Cu合金表面に添加元素による酸化被膜層を優先的に形成させることができる。添加元素の拡散係数がCuの自己拡散係数より小さいと、添加元素がCu合金表面に到達するまでに相当の時間が必要なために、Cu合金表面ではCuO、CuO等のCu酸化被膜層を形成する。このCu酸化被膜層は強固ではないために、酸素がCu酸化被膜層表面から内部に侵入し、Cu合金内部で添加元素との酸化物を形成する。更に、Cuの酸化が進行すると金属状態のCuが次第に少なくなり、液晶表示装置の配線等に使用されている場合には、電気抵抗が次第に大きくなるという問題がある。
そこで、本実施形態ではCuの自己拡散係数よりも大きい拡散係数を有する金属元素を添加元素として使用し、これによって、短時間でCu合金表面に到達させて、かつ、酸化物形成自由エネルギーがCuのそれよりも絶対値が大きくて酸化しやすい金属元素を添加元素とすることによって、Cu合金表面に、Cuより短時間で、添加元素の酸化被膜層を形成する。
【0027】
また、本実施形態において、液晶表示装置の配線材料として用いるCu合金は、酸化物層又は他の金属層と接触させて適用される際に、前記酸化物層とCu合金との界面に添加元素を含む酸化被膜層を形成する。このときに、添加元素を、酸化物層の元素よりも酸化物形成自由エネルギーの大きいものにすることによって、前記酸化物層を形成する酸化物を還元して酸化被膜層を形成することができ、また酸化雰囲気であれば酸化物を還元することなく酸化被覆層を形成することができる。なお、他の金属層と接触させた場合でも酸化雰囲気中であれば、その界面に酸化被膜層を形成することができる。
また、本実施形態において、配線材料等として適用するCu合金を、酸素を含有する絶縁層と接触させておくと、その界面でCu合金が拡散してきて添加元素が酸化して酸化被膜層を形成する。さらに、絶縁層に含まれる金属元素、Cu合金中のCu、添加元素がそれぞれ酸化物を形成して1つになって複合酸化被膜層を形成することがある。例えば、液晶表示装置の基板がSiO2等の酸化物を含む場合、基板上にCu合金のゲート配線を設け、これを熱処理すると、ゲート配線を形成するCu合金中の添加元素が、基板とCu合金のゲート配線との界面に拡散して、酸化物を含む基板の酸素と反応して酸化物となり、これによって酸化被膜層を形成することができる。また、例えば、ゲート電極21の上には、SiNO等によって構成されたゲート絶縁膜24が設けられるが、製造過程で加熱処理を施すことで、Cu合金によるゲート電極21とゲート絶縁膜24との界面に(Cu、Si、添加元素)Oxで表される酸化物層を形成する。このようにして、液晶表示装置の配線材料等としてCu合金を用いてその表面に酸化物層を設けることができる。
【0028】
銅合金における添加元素としては、Cu合金中の添加量が0.1〜25at.%の範囲で固溶する添加元素が好適に用いられる。Cu合金中で固溶状態にないと、添加元素が拡散しにくいからであり、特に、Cuと金属間化合物を形成すると、添加元素はほとんど拡散しなくなるからである。更に、Cu合金中の添加元素の添加量が0.1at.%未満では、形成される酸化被膜層が薄くなってCuの酸化進行を阻止することができなくなる。一方、添加元素の添加量が、25at.%を越えると、常温近傍で添加元素のα相が析出することがある。
さらに、本実施形態においては、Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が、5μΩ・cm以下である添加元素を適用する。添加元素の電気抵抗上昇率は、例えば、添加元素として適用される元素の原子半径、電子状態とCu原子との関係で決定される。Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が、5μΩ・cmを越えると、現状使用されているアルミニウム合金と同等の電気抵抗となり、銅合金を用いる利点がなくなる。
また、本実施形態に適用される配線、電極材料としてのCu合金は、Cu中における活量係数が1.0を越える添加元素を含有する。この活量係数は、活性度とも呼ばれ、下記式(1)で定義される。
μi=μio+RTlnγiNi……式(1)
(ここで、μiはi成分の化学ポテンシャル、μioはi成分の標準状態の化学ポテンシャル、γiは活量係数、Niはモル分率)
活量係数γiは、Cu中における相互作用を表すもので、i成分の活量係数γi>1では、Cu中で反発し、Cuから分離する。i成分の活量係数γi<1ではCu中で引きつけあい、Cu中にとどまる。ここで、Cu合金に添加される添加元素は、Cuに対して活量係数γiが、1を越える値を有するものとしたことにより、Cu原子から解放され、拡散しやすくなる。さらに、Cu合金の表面に到達し、Cuより酸化しやすいことで、Cu合金表面に酸化被膜層を形成する。活量係数γiが1未満では、Cu中に留まる傾向が強いためにCu合金表面に到達しにくく、酸化被膜層の形成が遅くなり、Cuの酸化が進行することになる。
なお、活量係数は、例えば以下のように測定した。即ち、銅合金をクヌーセンセルで溶解し、質量分析器によってイオン電流値の組成依存性を測定し、得られた結果をBelton、Fruehanの積分式を用いて解析し、活量係数を得た。
【0029】
本実施形態において、Cu合金における添加元素は、具体的には、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、Pr及びNdからなる群から選択される少なくとも1種である。これらは単独でも良いし、複数の添加元素を同時に適用することもできる。
これらの添加元素は、いずれも酸化物形成自由エネルギーの絶対値がCuのそれよりも大きく、かつ、Cu中における添加元素の拡散係数がCuの自己拡散係数より大きく、さらに、Cu中における1at.%あたりの電気抵抗上昇率が、5μΩ・cm以下である。さらに、これらの添加元素は、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足する。これによって、Cu合金中に添加されたこれらの金属は、Cu中で拡散してCu合金表面に到達して、Cuより先に強固で、密着性の高い酸化被膜層を形成する。Cu合金には、不可避的に、例えばS、Se、Te、Pb、Sb、Bi等の不純物が混入する場合があるが、これらについては、例えば銅合金の電気伝導度、引張強度等の低下を招かないかぎり、許容される。
【0030】
本実施形態において、Cu合金を適用する方法は、特に限定されない。電界メッキ法、溶融メッキ法等のメッキ法、真空蒸着法、スパッタリング法等の物理蒸着法を用いることができる。このようにして設けられたCu合金を熱処理することで、添加元素が拡散してCu合金表面に到達して、Cuより優先的に酸化されることで酸化被膜層が形成される。 ここで、銅合金に用いる添加元素としては、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、Pr及びNdからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、特に、マンガン(Mn)であることが好ましい。
熱処理温度は、例えば150〜400℃であり、熱処理期間は、例えば5分〜5時間の範囲である。熱処理温度が150℃未満では酸化被膜の形成に時間がかかり、生産性が低下する。一方、400℃を越えるとCu合金の添加元素が表面に拡散、到達する前にCuが酸化して酸化被膜層を形成するという問題がある。また、熱処理時間が5分未満では酸化被膜の形成に時間がかかり過ぎ、一方、5時間を越えると酸化被膜層が十分形成されるので、熱処理の必要がなくなる。
【0031】
以下に、本発明の具体的実施例を説明する。
実施例1
洗浄したガラス基板上に、純度99.9999%のCuと純度99.98%のMnからなるCu−2at.%Mn合金をターゲット材料として用いて、Cu−2at.%Mn合金の薄膜を成膜し、150oC以上、400oC以下の温度で熱処理を施した。その後オージェ電子分光法によって薄膜表面から深さ方向の組成分布を分析した。さらに断面試料を作製して透過電子顕微鏡とX線エネルギー分散分光器(XEDS)を用いて組織観察と組成分析を行った。
図5は、400oC、30分で熱処理を施した後の断面組織を模式的に示した図である。Cu−Mn合金とガラス基板との界面付近及びCu−Mn合金表面付近においてMnを主要元素とする安定な酸化物層が形成されている。
【0032】
実施例2
洗浄したガラス基板上に、プラズマ化学気相蒸着法(PECVD)によってp−Si膜を堆積した後、全面をレーザーアニールした。p−Si膜をパターニングした後、CVD法でSiO2ゲート絶縁膜を形成した。その後、Cu−2at.%Mn合金をスパッタ法によって成膜し、エッチングによってゲート電極を形成した。次に真空中において400℃、30分間の加熱処理をした。更に、イオンドーピング法で不純物を注入し、ソース電極及びドレイン電極を自己整合的に形成し、層間絶縁膜を形成した。その後、400℃、30分間の加熱処理をした。図6は、以上の工程を用いて形成されたプレナー型ポリシリコン(p−Si)形TFT液晶表示装置スイッチング素子部分の模式断面図である。図6において、ゲート絶縁膜及び層間絶縁膜とCu−Mn合金配線部分であるゲート電極21との界面近傍に、Mn酸化物からなるバリア層が形成されていた。
【0033】
以下に、本発明の第2実施形態について説明する。
図7は、プラズマディスプレイ装置の気体放電セル(以下、単に放電セルということがある。)の構造を示す模式図である。
図7において、この放電セル105は、背面ガラス基板101の内側に形成されたアドレス(データ)電極103と、前面ガラス基板102の内側に形成された透明電極104とが基板上でマトリックス状に交叉する各交点に配置された放電セルであって、背面ガラス基板101と、前面ガラス基板102の表面に形成された透明電極104を保護する保護層106と、これらの間に所定間隔をもって配置された隔壁107とで囲まれた放電空間部を有している。
放電空間部には、例えばネオン(Ne)とキセノン(Xn)との混合ガス又はヘリウム(He)とキセノン(Xn)との混合ガスが充填される。放電セル105の内壁面には、光の3原色(R、G、B)に対応した蛍光体が塗布されており、アドレス電極103と透明電極104との間に電圧をかけると放電が生じ、発生する紫外線が蛍光体に当たって可視光を発光する。3色の光は、微妙に混ざり合ってさまざまな色をつくる。
【0034】
図8は、放電セルを多数並べたプラズマディスプレイパネルを示す説明図である。図8において、説明の便宜上、横方向及び縦方向にそれぞれ3画素、合計9個の放電セル111がマトリックス状に並べられている。このようなプラズマディスプレイパネルにおいて、アドレス電極配線113、表示電極配線114及びスイッチ部分の端子電極115の配線材料として、第1実施形態で使用したのと同様のCu合金、例えばCu−Mnが適用される。
即ち、例えばガラス基板表面に、Cu−Mn合金を、例えばスパッタ法、電子ビーム法等の物理蒸着法又は化学気相成長法によって製膜した後、例えばフォトリソグラフィー法によってエッチングしてアドレス電極配線113、表示電極配線114、端子電極115の少なくとも一つを形成する。その後、必要に応じて、その上面に誘電体層を形成し、例えば150℃〜400℃で、5分〜50時間加熱することにより、例えば前記ガラス基板の構成元素と銅合金中の添加元素であるMnとを反応させ、これによって前記ガラス基板とCu合金材との界面にMnを主元素とする酸化物層を形成し、ガラス基板と電極、配線材料との界面密着性を高めるとともに、電極、配線部分の耐酸化性を高める。
このとき、誘電体層形成工程における雰囲気ガス中の酸素濃度を、10ppm〜1%とすることによって、上述した加熱処理工程を省略することもできる。
【0035】
本実施形態によれば、電気導電率を低下させることなく、その配線表面にCuの酸化を防止すると共に、基板との密着性が高い酸化被膜層を形成した配線を有するプラズマディスプレイ装置を提供することができる。
【0036】
以下に、本発明の第3実施形態について説明する。
図9は、有機EL素子の構造を示す模式図である。図9において、この有機EL素子は、ガラス基板201と、このガラス基板201上に順次積層された陽極(ITO)202、ホール輸送層(HTL)203、発光層(EML)204、電子輸送層(ETL)205及びこの電子輸送層205の上部に配置された陰極206とから主として構成されている。発光層としては、例えばジアミン類などの有機物が用いられる。陽極22と陰極206とは電源を介して電極線によって電気的に接続されている。各層の厚さは、例えば数十nm程度である。
【0037】
図10は、有機EL素子を多数マトリックス状に並べた有機ELディスプレイパネルを示す説明図である。各有機EL素子には、それぞれアクティブ素子としてトランジスタが付設されており、このアクティブ素子によって目的の有機EL素子をON、OFFする。トランジスタとしては、例えばアモルファスシリコン又はポリシリコンの薄膜トランジスタ(TFT)が用いられる。各有機EL素子及びアクティブ素子は、垂直方向のX電極線212及び水平方向のY電極線213で接続されている。
このような有機ELディスプレイパネルにおいて、X電極線212、Y電極線213等の配線材料として上述した第1実施形態及び第2実施形態で使用したと同様の銅合金、例えばCu−Mn合金が適用される。
即ち、例えばガラス基板表面に、Cu−Mn合金を、例えばスパッタ法、電子ビーム法等の物理蒸着法又は化学気相成長法によって製膜した後、例えばフォトリソグラフィー法によってエッチングしてX電極線212、Y電極線213等を形成し、その後、必要に応じて、例えば150℃〜400℃で、5分〜50時間加熱することにより、有機EL素子がマトリックス状に並べた有機ELディスプレイパネルが形成される。このとき、例えばガラス基板の構成元素と銅合金中の添加元素であるMnとが反応して前記ガラス基板とCu合金材との界面にMnを主元素とする酸化物層を形成し、ガラス基板と電極、配線材料との界面密着性を高めるとともに、電極、配線部分の耐酸化性を高め、しかも配線材料の電気抵抗の上昇を回避する。
【0038】
このような構成の有機ELディスプレイパネルにおいて、有機EL素子の陽極202と陰極206との間に電圧を印加すると、陽極から注入されたホールと陰極から注入された電子が発光体204内で再結合し、そのエネルギーによって励起された有機材料が発光する。このような発光を各有機EL素子において所定の条件で繰り返すことによって有機ELディスプレイパネル上に画像が形成される。
本実施形態によれば、電気導電率を低下させることなく、その配線表面にCuの酸化を防止すると共に、基板との密着性が高い酸化被膜層を形成した配線を有する有機EL表示装置を提供することができる。
【0039】
以下に、本発明の第4実施形態について説明する。
図11は、フィールドエミッションディスプレイ(以下、FEDという)の構造を示す模式図である。図11において、このFEDは、カソード電極にカーボンナノチューブを用いたものであり、カソード側ガラス基板301と、このカソード側ガラス基板301に対向して設けられたアノード側ガラス基板302と、このアノード側ガラス基板302の内側面に設けられたアノード電極膜304と、このアノード電極膜304の表面に塗布された蛍光体膜306と、前記カソード側ガラス基板301の内側面に、マトリックス状に複数配置されたカソード電極303と、前記蛍光体膜306と前記カソード電極との間の真空空間部に配置されたゲート電極307とから主として構成されている。
カソード側ガラス基板301表面に、例えばマトリックス状に配置された複数のカソード電極は電極線によって電気的に接続されており、ゲート電極307とカソード電極301がゲート電圧を印加する電極線によって接続されている。また、アノード電極膜304は電源を介して電極線によって接続されている。また、外部電源回路、信号回路との接続部には、図示省略した端子電極が設けられている。
【0040】
このようなFED表示装置において、電極線、電極端子等の少なくとも一つの配線部材として、上述した第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態で使用した合金と同様の銅合金、例えばCu−Mn合金が適用される。
即ち、例えばガラス基板表面に、Cu−Mn合金を、例えばスパッタ法、電子ビーム法等の物理蒸着法又は化学気相成長法によって製膜した後、例えばフォトリソグラフィー法によってエッチングして電極線、端子電極の少なくとも一つを形成し、その後、必要に応じて、例えば150℃〜400℃で、5分〜50時間加熱することにより、FED表示装置の配線部分を形成する。このとき、前記ガラス基板の構成元素と銅合金中の添加元素であるMnとが反応して前記ガラス基板とCu合金材との界面にMnを主元素とする酸化物層を形成し、ガラス基板と電極、配線材料との界面密着性を高めるとともに、電極、配線部分の耐酸化性を高める。
【0041】
このような構成のFED表示装置において、カソード電極301とアノード電極302との間に所定の電圧を印加すると、電界放出によってカソード電極301から電子が放たれる。このとき、放出された電子ビームの電流はカソード電極301とゲート電極307との電圧差によって制御される。真空中に放出された電子は、アノード電極302に向かって進み、R(赤)、G(緑)及びB(青)の三つの蛍光体を一組として可視光を発し、発せられた可視光によってディスプレイ画面に画像が形成される。
本実施形態によれば、電気導電率を低下させることなく、その配線表面にCuの酸化を防止すると共に、基板との密着性が高い酸化被膜層を形成した配線を有するフィールドエミッション表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の液晶表示装置の構成を示す概略図である。
【図2】本発明の液晶表示装置の画素の構成を示す概略図である。
【図3】本発明の液晶表示装置の画素の構成を示す概略断面図であり、(1)はTFTトランジスタ素子部分であり、(2)は蓄積容量線部分である。
【図4】TFT液晶パネルの等価回路を示す図である。
【図5】Cu−Mn合金表面とガラス基板の界面付近に酸化物が形成されている状態の模式図である。
【図6】プレナー型p−Si形TFTの模式図である。
【図7】気体放電素子の構造を示す模式図である。
【図8】PDPを示す説明図である。
【図9】有機EL素子の構造を示す模式図である。
【図10】有機ELディスプレイの説明図である。
【図11】FEDを示す説明図である。
【符号の説明】
【0043】
1 液晶表示装置
11、12 透明基板
13 透明共通電極
14 画素電極
15 液晶層
16 TFTスイッチング素子
17 ゲート配線
18 ソース配線
19 蓄積容量(線)
20 液晶画素
21 ゲート電極
211 ゲート電極線
211a 酸化被膜層
211b 導電層
22 ソース電極
23 ドレイン電極
24 絶縁膜
241 第1の絶縁層
242 第2の絶縁層
25 a−Si層
101 背面ガラス基板
102 前面ガラス基板
103 アドレス(データ)電極
104 透明電極
105 放電セル
106 保護層
107 隔壁(リブ)
111 放電セル
112 浮遊容量
113 アドレス電極配線
114 表示電極配線
115 端子電極
201 ガラス電極
202 陽極
203 ホール輸送層
204 発光層
205 電子輸送層
206 陰極
212 X電極線
213 Y電極線
301 カソード側ガラス基板
302 アノード側ガラス基板
303 カソード電極
304 アノード電極
306 蛍光体膜
307 ゲート電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に、画像を形成する最小単位としての画素をマトリックス状に複数配列した画素部を有する平面電子表示装置において、
前記画素部で交叉する信号電極と、走査電極と、前記信号電極又は前記走査電極と外部回路とを接続する端子電極とのうちの少なくとも一つの電極の配線材料として、Cuを主成分とし、その表面又は前記基板との界面に前記Cuに添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金を適用したことを特徴とする平面電子表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の平面電子表示装置において、
前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、
Cu中における拡散係数がCuの自己拡散係数より大きく、
Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が5μΩ・cm以下であり、
且つ、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足するものであり、
前記銅合金における添加量は、0.5〜25at.%である
ことを特徴とする平面電子表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の平面電子表示装置において、
前記銅合金を適用した電極は、液晶画素、気体放電セル、有機EL素子、フィールドエミッションディスプレイ用表示画素のうちの少なくとも一つを駆動又は制御する電極であることを特徴とする平面電子表示装置。
【請求項4】
基板上でマトリックス状に交叉する電極線と、
前記電極線の交点に配置され、一対の基板と、これら基板間に挟持された液晶層と、前記基板の前記液晶層側の表面に形成された電極と、前記電極に電気的に接続され前記基板の前記表面に配設された配線層とを有する複数の液晶画素と、
外部の駆動回路に接続された端子電極と、
を有するアクティブマトリックス方式の液晶表示装置において、
前記電極線、前記電極、前記配線層、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、銅を主成分とし、前記基板との界面に、前記銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金からなる
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の液晶表示装置において、
前記酸化物層は、前記基板に含まれる酸素と前記添加元素との反応によって形成されたものであることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載の液晶表示装置において、
前記電極線、前記電極、前記配線層、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、絶縁層との界面に、前記添加元素の酸化物層を具備する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
請求項4〜6のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記電極線、前記電極、前記配線層、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、酸素を含有する絶縁層との界面に前記添加元素と前記絶縁層の構成元素とが反応した酸化物層を具備する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項8】
請求項4〜7のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記電極線、前記電極、前記配線層、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、その表面に前記添加元素と雰囲気ガス中の酸素とが反応した酸化物層を具備する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項9】
請求項4〜8のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、かつ、Cu中における拡散係数がCuの自己拡散係数より大きい
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項10】
請求項4〜9のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記添加元素は、Cu中における1at.%当たりの電気抵抗上昇率が、5μΩ・cm以下である
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項11】
請求項4〜10のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記添加元素は、Cu中における活量係数γが、活量係数γ>1の関係を満足する
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項12】
請求項4〜11のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記銅合金は、添加元素が銅合金表面に拡散して、前記添加元素の酸化被膜層が形成される銅合金である
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項13】
請求項4〜12のうちのいずれか1項に記載の液晶表示装置において、
前記添加元素は、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属である
ことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項14】
請求項13に記載の液晶表示装置において、前記添加元素はMnであり、Mnの添加量は、0.5〜25at.%であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項15】
基板上でマトリックス状に交叉する電極線と、
前記電極線の交点に配置され、一対の基板と、これら基板間に挟持された液晶層と、前記基板の前記液晶層側の表面に形成された電極と、前記電極に電気的に接続され前記基板の前記表面に配設された配線層とを有する複数の液晶画素と、
外部の駆動回路に接続された端子電極と、
を有するアクティブマトリックス方式の液晶表示装置の製造方法において、
前記基板上に、Cuを主成分とし、その表面又は前記基板との界面に前記Cuに添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金を物理蒸着法又は化学気相成長法によって製膜する工程と、
得られた銅合金膜をエッチングして電極線、電極、配線層、端子電極のうちの少なくとも一つを形成する工程と、を有する
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記銅合金は、前記添加元素がMn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属である
ことを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記形成された電極線、前記電極、前記配線層、前記端子電極のうちの少なくとも一つの表面に、酸化物層を形成する工程を有することを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項18】
請求項17に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記酸化物層形成工程における雰囲気ガス中の酸素濃度は、10ppm〜1%であることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項19】
請求項17又は18に記載の液晶表示装置の製造方法において、
前記酸化物層形成工程は、前記電極線、前記電極、前記配線層、前記端子電極のうちの少なくとも一つを形成した後、150〜400℃で、5分〜50時間加熱して前記電極線、前記電極、前記配線層、前記端子電極のうちの少なくとも一つの表面に前記銅合金における添加元素の酸化物層を形成する工程であることを特徴とする液晶表示装置の製造方法。
【請求項20】
背面ガラス基板の内側に形成されたアドレス電極配線と、
前面ガラス基板の内側に形成された表示電極配線と、
前記アドレス電極配線と表示電極配線とがマトリックス状に交叉する各交点にそれぞれ配置された複数の電気放電セルと、
外部の駆動回路に接続された端子電極と、
を有するプラズマディスプレイ装置において、
前記アドレス電極配線、前記表示電極配線、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、銅を主成分とし、前記基板との界面に、前記銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金からなる
ことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項21】
請求項20に記載のプラズマディスプレイ装置において、
前記酸化物層は、前記基板に含まれる酸素と前記添加元素との反応によって形成されたものであることを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項22】
請求項20又は21に記載のプラズマディスプレイ装置において、
前記アドレス電極配線、前記表示電極配線、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、その表面又は絶縁層との界面に、雰囲気ガス中の酸素又は前記絶縁層に含まれる酸素と前記添加元素が反応して形成された酸化物層を具備する
ことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項23】
請求項20〜22のうちのいずれか1項に記載のプラズマディスプレイ装置において、
前記添加元素は、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属である
ことを特徴とするプラズマディスプレイ装置。
【請求項24】
基板上でマトリックス状に交叉する電極線と、
前記電極線の交点に配置され、ガラス基板と、このガラス基板上に順次積層された陽極、ホール輸送層、有機発光層、電子輸送層及び陰極とを有し、前記陽極と陰極とがTFT回路を介して前記マトリックス状に交叉する電極線に電気的に配線接続された複数の有機EL素子と、
外部の駆動回路に接続された端子電極と、
を有するアクティブマトリックス方式の有機EL表示装置において、
前記電極線、前記配線、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、銅を主成分とし、前記基板との界面に、前記銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金からなる
ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項25】
請求項24に記載の有機EL表示装置において、
前記酸化物層は、前記基板に含まれる酸素と前記添加元素との反応によって形成されたものであることを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項26】
請求項24又は25に記載の有機EL表示装置において、
前記電極線、前記配線、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、その表面又は絶縁層との界面に、雰囲気ガス中の酸素又は前記絶縁層に含まれる酸素と前記添加元素が反応した酸化物層を具備する
ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項27】
請求項24〜26のうちのいずれか1項に記載の有機EL表示装置において、
前記銅合金は、添加元素が銅合金表面に拡散して、前記添加元素の酸化被膜層が形成される銅合金である
ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項28】
請求項24〜27のうちのいずれか1項に記載の有機EL表示装置において、
前記添加元素は、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属である
ことを特徴とする有機EL表示装置。
【請求項29】
カソード側ガラス基板と、
このカソード側ガラス基板に対向して設けられたアノード側ガラス基板と、
前記アノード側ガラス基板の内面に設けられたアノード電極及び蛍光体膜と、
前記カソード側ガラス基板の内面に、マトリックス状に複数配置されたカソード電極と、
前記アノード電極と前記カソード電極との間の真空空間部に配置されたゲート電極と、
前記カソード電極とアノード電極とを接続する電極線及び前記カソード電極とゲート電極とを接続する電極線と、
外部の駆動回路に接続された端子電極と、
を有するフィールドエミッション表示装置において、
前記電極、前記電極線、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、銅を主成分とし、前記基板との界面に、前記銅に添加した添加元素の酸化物層を形成する銅合金からなる
ことを特徴とするフィールドエミッション表示装置。
【請求項30】
請求項29に記載のフィールドエミッション表示装置において、
前記酸化物層は、前記基板に含まれる酸素と前記添加元素との反応によって形成されたものであることを特徴とするフィールドエミッション表示装置。
【請求項31】
請求項29又は30に記載のフィールドエミッション表示装置において、
前記電極、前記電極線、前記端子電極のうちの少なくとも一つは、その表面又は絶縁層との界面に、雰囲気ガス中の酸素又は前記絶縁層に含まれる酸素と前記添加元素が反応した酸化物層を具備する
ことを特徴とするフィールドエミッション表示装置。
【請求項32】
請求項29〜31のうちのいずれか1項に記載のフィールドエミッション表示装置において、
前記銅合金は、添加元素が銅合金表面に拡散して、前記添加元素の酸化被膜層が形成される銅合金である
ことを特徴とするフィールドエミッション表示装置。
【請求項33】
請求項29〜32のうちのいずれか1項に記載のフィールドエミッション表示装置において、
前記添加元素は、Mn、Zn、Ga、Li、Ge、Sr、Ag、In、Sn、Ba、PrおよびNdからなる群から選択される少なくとも1種の金属である
ことを特徴とするフィールドエミッション表示装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−72428(P2007−72428A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51703(P2006−51703)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(504157024)国立大学法人東北大学 (2,297)
【Fターム(参考)】