説明

絶縁ゲート型半導体素子及び絶縁ゲート型半導体集積回路

【課題】RTSノイズを低減することが可能な絶縁ゲート型半導体素子、絶縁ゲート型半導体集積回路を提供する。
【解決手段】チャネル領域として機能するp型の半導体層11と、チャネル領域を少なくとも囲み、活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの一方に設けられたn型の第1主電極領域12と、活性領域21Bの他方に設けられたn型の第2主電極領域13と、活性領域21B上に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22上において、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に伸延するゲート電極24とを備え、チャネル領域への前記キャリアの注入口が素子分離絶縁膜21から離間して設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、絶縁ゲート型半導体素子の導通時に問題となるランダムテレグラフシグナルノイズ(以下において「RTSノイズ」」という。)を低減することが可能な絶縁ゲート型半導体素子の構造、及びこの絶縁ゲート型半導体素子を用いた絶縁ゲート型半導体集積回路の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、増幅型固体撮像装置の一例としては、画素部が周辺の駆動回路及び信号処理回路と一体化するのに有利なCMOSにより構成されたAPS(Active Pixel Sensor)型イメージセンサが知られている。APS型イメージセンサの中でも、最近では高画質が得られる4トランジスタ型の増幅回路を各画素に備えた増幅型固体撮像装置が主流となりつつあるが、集積度が向上するに従い、画素サイズを縮小するには、増幅回路を構成する各MOSFETのサイズを小さくする必要がある。しかしながら、MOSFETのサイズを縮小すると、MOSFETの特性として、RTSノイズの発生が避けられないという課題があった。即ち、画素で発生するノイズの分布を取ると、図26に示すように、MOSFETのサイズが小さくなるほど、ノイズレベルの大きな画素の割合が増大する(非特許文献1参照。)。
【0003】
最近、この課題をより詳細に解析した報告がなされた(非特許文献2参照。)。その内容を図27及び図28に示す。なお、ここではn型のMOSFETの場合について議論する。MOSFETは、p型半導体層11の上にシリコン酸化膜からなるゲート絶縁膜22を介してゲート電極24が形成され、素子分離絶縁膜21で周辺を囲まれた内側にドレイン領域12、ソース領域13が形成されて、ゲート電極24の下のチャネルをドレイン領域12からソース領域13に向かい電流Ia、Ib、Icが流れる。ここで、Ia,Ibはゲート幅方向の両端部を流れる成分、Icは中央部を流れる成分を表わす。図28は図27のチャネル部を拡大表示したもので、これら電流の流れる領域とRTSノイズ分布との関係を示している。ここで明らかなように、RTSノイズの内、レベルの小さい側10%は大部分がチャネル長さ方向の両端、即ちドレイン領域12、ソース領域13近傍部分に集中すると共に、レベルの大きい側10%は大部分がゲート幅方向の両端、即ち素子分離絶縁膜21の近傍部分に集中している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】A.ラハブ(Lahav)他、「ピニングされたCMOS画素におけるランダムテレグラフシグナルノイズの最適化(Optimization of Random Telegraph Noise Non Uniformity in a CMOS Pixel with a pinned-photodiode)」、2007年国際イメージセンサワークショップ(International Image Sensor Workshop)、p.230−233、2007年6月
【非特許文献2】K.竹内(Takeuchi)他、「RTN振幅の統計的測定に基づいたトランジスタ特性の揺らぎに対する単電荷を基礎とするモデル(Single-Charge-Based Modeling of Transistor Characteristics Fluctuations Based on Statistical Measurement of RTN Amplitude)」、2009年VLSI技術シンポジウム技術報告要録(Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers)、 p.54−55、2009年6月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明は、導通時に問題となるRTSノイズを低減することが可能な絶縁ゲート型半導体素子、及びこの絶縁ゲート型半導体素子を用いた絶縁ゲート型半導体集積回路を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、チャネル領域においてキャリアの流路を素子分離絶縁膜から離間させる。そのため、本発明の第1の態様は、(a)少なくともその上部の一部がチャネル領域として機能する第1導電型の半導体層と、(b)チャネル領域を少なくとも囲み、半導体層の上部に活性領域を定義する素子分離絶縁膜と、(c)活性領域の一方の端部側に設けられた、第2導電型の第1主電極領域と、(d)活性領域の他方の端部側に設けられた、第2導電型の第2主電極領域と、(e)活性領域の表面に設けられたゲート絶縁膜と、(f)ゲート絶縁膜の上に、平面パターン上、第1主電極領域と第2主電極領域との間となる位置に設けられ、第1主電極領域と第2主電極領域との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に伸延するゲート電極とを備え、チャネル領域へのキャリア注入口が素子分離絶縁膜から離間して設けられている絶縁ゲート型半導体素子であることを要旨とする。
【0007】
本発明の第2の態様は、(a)少なくとも一部がチャネル領域として機能する第1導電型の半導体層と、(b)チャネル領域を少なくとも囲み、半導体層の上部に活性領域を定義する素子分離絶縁膜と、(c)活性領域の一方の端部側に設けられた、第2導電型の第1主電極領域と、(d)活性領域の他方の端部側に設けられた、第2導電型の第2主電極領域と、(e)活性領域の表面に設けられたゲート絶縁膜と、(f)ゲート絶縁膜の上方において、平面パターン上、第1主電極領域と第2主電極領域との間となる位置に設けられ、第1主電極領域と第2主電極領域との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に平行に伸延する複数のゲート電極と、(g)平面パターン上、複数のゲート電極の間に位置し、活性領域の第1主電極領域と第2主電極領域との間において、素子分離絶縁膜から離間して設けられ、第2導電型で、第1主電極領域に対して第2主電極領域と機能し、第2主電極領域に対して第1主電極領域と機能する共通主電極領域とを備え、チャネル領域へのキャリア注入口が素子分離絶縁膜から離間して設けられている絶縁ゲート型半導体集積回路であることを要旨とする。
【0008】
本発明の第3の態様は、(a)少なくとも一部がチャネル領域として機能する第1導電型の半導体層と、(b)チャネル領域を少なくとも挟むように対向して列方向に伸延し、半導体層の上部に列方向に伸延する活性領域を定義する素子分離絶縁膜と、(c)活性領域の内部において列方向に配列され、それぞれ素子分離絶縁膜から離間して設けられた複数の第2導電型の共通主電極領域と、(d)活性領域の表面に設けられたゲート絶縁膜と、(e)ゲート絶縁膜の上方において、平面パターン上、複数の共通主電極領域の間にそれぞれ位置するように、行方向に伸延する複数のゲート電極とを備える絶縁ゲート型半導体集積回路であることを要旨とする。本発明の第3の態様に係る絶縁ゲート型半導体集積回路においては、複数の共通主電極領域の内、隣接する一方の共通主電極領域がドレイン領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域がソース領域として機能し、隣接する一方の共通主電極領域がソース領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域がドレイン領域として機能するように、複数の絶縁ゲート型半導体素子が列方向に直列接続され、チャネル領域へのキャリア注入口が素子分離絶縁膜から離間して設けられている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導通時に問題となるRTSノイズを低減することが可能な絶縁ゲート型半導体素子、及びこの絶縁ゲート型半導体素子を用いた絶縁ゲート型半導体集積回路を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子を示す平面図であり、図1(b)は図1(a)のIA−IA方向から見た、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体半導体素子の一部を示す模式的な断面図、図1(c)は図1(a)のIB−IB方向から見た第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体半導体素子の一部を示す模式的な断面図、図1(d)は図1(a)のIC−IC方向から見た第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体半導体素子の一部を示す模式的な断面図である。
【図2】図2(a)は、図1に示した第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子を拡大して主電流の経路(キャリアの流路)を説明する平面図であり、図2(b)は図2(a)の絶縁ゲート型半導体半導体素子のチャネル部のオン(導通)時とオフ(遮断)時のポテンシャルプロファイルを示す模式的な断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路が適用される増幅型イメージセンサの各画素に設けられる増幅回路の回路構成の例を示す図である。
【図4】図3に示された増幅回路の一部に用いられた、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の平面図の一例である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の他の例として、NAND型不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)の模式的回路構成を示すブロック図である。
【図6】図5に示されたNAND型不揮発性半導体記憶装置のメモリセルアレイに用いられるメモリセルカラムの構成を説明する平面図の一例である。
【図7】図7(a)は図6のVIB−VIB方向から見た、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路のメモリセルアレイの一部を示す模式的な断面図、図7(b)は図6のVIC−VIC方向から見たメモリセルアレイの一部を示す模式的な断面図、図7(c)は図6のVIA−VIA方向から見たメモリセルアレイの一部を示す模式的な断面図である。
【図8】図8(a)は、本発明の第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子を示す平面図であり、図8(b)は図8(a)のVIIIA−VIIIA方向から見た、第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体半導体素子の一部を示す模式的な断面図、図8(c)は図8(a)のVIIIB−VIIIB方向から見た第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体半導体素子の一部を示す模式的な断面図である。
【図9】第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子に設けられた埋込領域によるチャネルのポテンシャルの変化を、通常の絶縁ゲート型半導体素子のチャネルのポテンシャル分布と比較して示す図である。
【図10】本発明の第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の適用例として、増幅型イメージセンサの各画素に設けられる増幅回路の一部を説明する平面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の他の適用例として、NAND型不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)のメモリセルアレイに用いられるメモリセルカラムの構成を説明する平面図である。
【図12】図11のXIB−XIB方向から見た、第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の模式的な断面図である。
【図13】図13(a)は、本発明の第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子を示す平面図であり、図13(b)は図13(a)のXIIIA−XIIIA方向から見た、第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体半導体素子の一部を示す模式的な断面図、図13(c)は図13(a)のXIIIB−XIIIB方向から見た第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体半導体素子の一部を示す模式的な断面図である。
【図14】第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子に設けられた電流阻止領域によるチャネルのポテンシャルの変化を、第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子及び通常の絶縁ゲート型半導体素子のチャネルのポテンシャル分布と比較して示す図である。
【図15】本発明の第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の適用例として、増幅型イメージセンサの各画素に設けられる増幅回路の一部を説明する平面図である。
【図16】本発明の第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の他の適用例として、NAND型不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)のメモリセルアレイに用いられるメモリセルカラムの構成を説明する平面図である。
【図17】図16のXVIB−XVIB方向から見た、第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の模式的な断面図である。
【図18】その他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の平面図を、その主電流の経路(キャリアの流路)と共に示す図である(その1)。
【図19】その他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の平面図を、その主電流の経路(キャリアの流路)と共に示す図である(その2)。
【図20】その他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の平面図を、その主電流の経路(キャリアの流路)と共に示す図である(その3)。
【図21】その他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の平面図を、その主電流の経路(キャリアの流路)と共に示す図である(その4)。
【図22】その他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の平面図を、その主電流の経路(キャリアの流路)と共に示す図である(その5)。
【図23】その他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の平面図を、その主電流の経路(キャリアの流路)と共に示す図である(その6)。
【図24】その他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の平面図を、その主電流の経路(キャリアの流路)と共に示す図である(その6)。
【図25】その他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の平面図を、その主電流の経路(キャリアの流路)と共に示す図である(その7)。
【図26】従来の固体撮像装置の画素ノイズ分布を示す図である。
【図27】図27(a)は、従来の絶縁ゲート型半導体素子の主電流の経路(キャリアの流路)を説明する平面図であり、図27(b)は図27(a)の絶縁ゲート型半導体半導体素子のチャネル部のオン(導通)時とオフ(遮断)時のポテンシャルプロファイルを示す模式的な断面図である。
【図28】従来の絶縁ゲート型半導体素子におけるRSTノイズの空間分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、図面を参照して、本発明の第1〜第3の実施形態を説明する。以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には同一又は類似の符号を付している。但し、図面は模式的なものであり、厚みと平面寸法との関係、各層の厚みの比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な厚みや寸法は以下の説明を参酌して判断すべきものである。又、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0012】
又、以下に示す第1〜第3の実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
【0013】
(第1の実施形態)
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子は、第1導電型(p型)のシリコン(Si)からなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の上部のチャネル領域となる領域を少なくとも囲み、半導体層11の上部に活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの一方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21の一方の端部に一辺のみを接した矩形の第1主電極領域12と、活性領域21Bの他方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21に他方の端部に一辺のみを接した矩形の第2主電極領域13と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上に、平面パターン上、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間となる位置に設けられ、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に伸延するゲート電極24とを備える。ゲート電極24の上には層間絶縁膜25が設けられ、層間絶縁膜25に開口されたコンタクトホールを介して、第1主電極領域12には第1主電極配線23が、第2主電極領域13には第2主電極配線27が接続されている。
【0014】
図1(b)〜図1(d)では「半導体層11」として、第1導電型(p型)の半導体基板(Si基板)を用いる場合を例示しているが、基板より高不純物密度の第1導電型のウェルであってもよい。又、その中にウェルが形成される場合も含め、半導体基板の代わりに、第1導電型の半導体基板上に、半導体基板よりも低不純物密度の第1導電型のエピタキシャル成長層を形成して、エピタキシャル成長層を半導体層11として採用してもよく、第2導電型(n型)の半導体基板上に、第1導電型(p型)のエピタキシャル成長層を形成して、エピタキシャル成長層を半導体層11として採用してもよく、SOI構造の第1導電型の半導体層(SOI層)を半導体層11として採用してもよい。素子分離絶縁膜21は素子分離機能を有するものであれば種々の構造や種々の材料の絶縁膜が採用可能である。例えば微細化された集積回路等に有利な浅いトレンチ分離(STI:Shallow Trench Isolation)等のトレンチ分離構造に用いられる厚い酸化膜などが素子分離絶縁膜21として好適である。素子分離絶縁膜21は半導体層11の少なくとも上部を囲む構造であれば、種々の構造が採用可能で、SOI構造のように島状に半導体層11の底部及び側面を囲む構造であっても構わない。本明細書及び本特許請求の範囲の記載において、「第1主電極領域」とは、電界効果トランジスタ(FET)や静電誘導トランジスタ(SIT)においてはソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。「第2主電極領域」とは、FET,SITにおいては上記第1主電極領域とはならないソース領域又はドレイン領域のいずれか一方となる半導体領域を意味する。即ち、第1主電極領域がソース領域であれば、第2主電極領域はドレイン領域であり、第1主電極領域がドレイン領域であれば、第2主電極領域はソース領域である。以下の説明では、便宜上、第1主電極領域がドレイン領域で第2主電極領域がソース領域の場合について説明するが、どちらをドレイン領域と呼び、どちらをソース領域と呼ぶかは、絶縁ゲート型半導体素子のバイアス関係で決まる単なる選択の問題であり、ドレイン領域とソース領域を入れ替えても構わない場合があることは勿論である。
【0015】
又、本明細書及び本特許請求の範囲の記載において、「矩形」とは完全な矩形(長方形)のみを意味するものではない。即ち、「矩形の第1主電極領域12」や「矩形の第2主電極領域13」の表現は、完全な矩形(長方形)の第1主電極領域12や第2主電極領域13のみを意味する意図ではなく、フォトリソグラフィーやその他のプロセス上の理由から、第1主電極領域12や第2主電極領域13の平面形状のコーナ部分が丸みを帯びた矩形になる場合等が発生するので、そのような不完全な矩形のトポロジーをも許容するものであることに留意すべきである。特に、微細化が進んだ構造においては、第1主電極領域12や第2主電極領域13の平面形状は円に近い平面形状になりうるが、本明細書及び本特許請求の範囲の記載においては、それらの平面形状をも含めて矩形の第1主電極領域12」や「矩形の第2主電極領域13」と呼ぶ。
【0016】
図1(a)では、第1主電極領域12が、平面パターン上、ゲート電極24の上にのみ設けられ、第2主電極領域13が、平面パターン上、ゲート電極24の下にのみ設けられた構造を例示した。しかし、第1主電極領域12は平面パターン上、第1主電極領域12側からゲート電極24の直下に、少なくともデバイ長以上の長さで、若干張り出していてもよく、第2主電極領域13は平面パターン上、第2主電極領域13側からゲート電極24の直下に若干張り出していてもよい。実際に、プロセス上の熱処理工程を考慮すれば、第1主電極領域12が、平面パターン上、第1主電極領域12側からゲート電極24の直下において、横方向(図1(a)において下方向)に拡散し、第2主電極領域13が第2主電極領域13側からゲート電極24の直下において、横方向(図1(a)において上方向)に拡散する構造は容易に実現できる。よって、現実の構造としては、図1(a)に示す構造は、第1主電極領域12が、平面パターン上、第1主電極領域12側からゲート電極24の直下において、下方向に若干張り出し、第2主電極領域13が第2主電極領域13側からゲート電極24の直下において、上方向に若干張り出している。これにより、ゲート電極24の端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12及び第2主電極領域13のそれぞれの電流経路端が局在している。本明細書及び本特許請求の範囲の記載において、「電流経路端」とは、ゲート電極24の直下のチャネル領域に形成される主電流の経路(キャリアの流路)の両端にそれぞれ接続される第1主電極領域12及び第2主電極領域13の端部を意味する。即ち、第1主電極領域12から第2主電極領域13へ主電流が流れる場合は、チャネル領域へのキャリアの注入口となる端部が「第1主電極領域12の電流経路端」であり、チャネル領域からキャリアが流れ込む受け口(排出口)となる端部が「第2主電極領域13の電流経路端」である。逆に、第2主電極領域13から第1主電極領域12へ主電流が流れる場合は、チャネル領域へのキャリアの注入口となる端部が「第2主電極領域13の電流経路端」であり、チャネル領域からキャリアが流れ込む受け口(排出口)となる端部が「第1主電極領域12の電流経路端」である。以上のことは、「電流経路端」をゲート電極24の直下のチャネル領域側から見た場合には、チャネル領域へのキャリアの受け入れ口およびキャリアの排出口であることをも意味する。
【0017】
ゲート電極24は、燐(P)、砒素(As)等の第2導電型(n型)の不純物をドープした多結晶シリコン(以下において「ドープドポリシリコン」という。)膜等で形成すれば、ゲート電極24と第1主電極領域12との境界、及びゲート電極24と第2主電極領域13との境界は自己整合的に定めることが可能である。或いは、ゲート電極24を、ドープドポリシリコン膜とタングステンシリサイド(WSi)膜等の多層構造から構成すればゲート電極24の抵抗値を低減させ、高速動作を可能にすることができる。シリサイド膜としては、タングステンシリサイド(WSi)膜の他、コバルトシリサイド(CoSi2)膜、チタンシリサイド(TiSi)膜、モリブデンシリサイド(MoSi)膜等の金属シリサイド膜が使用可能である。シリサイド膜の代わりに、タングステン(W)、コバルト(Co)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)等の高融点金属でもよく、更には、これらのシリサイド膜を用いたポリサイド膜でゲート電極24を構成してもよい。シリサイド膜の代わりに、アルミニウム(Al)或いは銅(Cu)等の高導電率の金属膜をドープドポリシリコン膜の上に配置してもよく、タングステン窒化物(WN)膜、チタン窒化物(TiN,Ti2N)膜のいずれか1つ或いは複数の積層膜を、シリサイド膜の代わりにドープドポリシリコン膜の上に配置してゲート電極24を構成しもよい。
【0018】
第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子は、ゲート絶縁膜22としてシリコン酸化膜を用いた単なるMOS型のトランジスタだけに限定されるものではない。即ち、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート絶縁膜22としては、シリコン酸化膜の他、シリコン酸化膜:5nm程度、シリコン窒化膜:7nm程度、シリコン酸化膜:5nm程度の3層構造により、所謂ONO膜を構成してMIS型のトランジスタを構成してもよく、ストロンチウム酸化物(SrO)膜、シリコン窒化物(Si34)膜、アルミニウム酸化物(Al23)膜、マグネシウム酸化物(MgO)膜、イットリウム酸化物(Y23)膜、ハフニウム酸化物(HfO2)膜、ジルコニウム酸化物(ZrO2)膜、タンタル酸化物(Ta25)膜、ビスマス酸化物(Bi23)膜のいずれか1つの単層膜或いはこれらの複数を積層した複合膜等を使用して、MIS型のトランジスタを構成してもよい。
【0019】
図27に示す従来の絶縁ゲート型半導体素子に比べ、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、ドレイン領域12及びソース領域13を形成するn+領域が、ゲート幅方向において素子分離絶縁膜21から距離qを隔てて形成されている。距離qが占めるダミー領域は、図1(b)に示した断面図より明らかなようにp型の半導体層11となっている。
【0020】
図2(a)は図1の平面図を拡大表示したものである。ゲート電極24の下のチャネル領域の内、大部分の主電流の経路(キャリアの流路)がドレイン領域12とソース領域13を直線的に結ぶが、幅方向に最外部の主電流の経路(電流パス)は多少外側に広がる。それを矢印で示し、素子分離絶縁膜21からの最小距離をtで表わす。距離qの値は、t>0となるように選ばれる。一例としては、距離qの値は、ドレイン領域12ないしソース領域13からp型の半導体層11側へ伸びる空乏層幅程度とすればよい。
【0021】
例えばp型の半導体層11の不純物密度を3×1017[cm−3]とし、高不純物密度のn+領域であるドレイン領域12又はソース領域13に3[V]の電位が印加されている場合、空乏層幅=0.13[μm]となるので、距離qをこの程度とする。以上の構成により、図2(b)に示すように、ゲート電極24の下のチャネル部となる半導体層11中のキャリア(電子)に対するポテンシャルは、素子分離絶縁膜21に接する領域よりも中央部のポテンシャルが低くなる。図2(b)に示すようなポテンシャル分布を形成し、このポテンシャルの差を利用することにより、主電流の経路(電流パス)が、大きなレベルのRTSノイズの発生源となる素子分離絶縁膜21の近傍を最小距離tだけ離れて形成されるため、導通時に問題となるRTSノイズレベルを低減することができる。
【0022】
図2(b)は、ゲート長方向に測ったゲート電極24の中央部付近において、ゲート幅方向に沿ったポテンシャル(電位)分布である。上述したとおり、図1(a)や図2(a)に示した平面構造は、第1主電極領域12が、平面パターン上、第1主電極領域12側からゲート電極24の直下において、下方向に若干張り出し、第2主電極領域13が第2主電極領域13側からゲート電極24の直下において、上方向に若干張り出しているので、ゲート長方向に測ったゲート電極24の端部の直下のポテンシャル(電位)分布も、第1主電極領域12及び第2主電極領域13による導電型及び不純物密度分布を反映して、素子分離絶縁膜21に接する領域よりも中央部のポテンシャルが低い。
【0023】
なお、図1(a)及び図2(a)において、第1主電極領域12側及び第2主電極領域13がゲート電極24に関して上下対称の平面パターンを示しているが、必ずしも対称の平面パターンである必要はない。例えば、第1主電極領域12から第2主電極領域13へ主電流が流れる場合は、キャリアの注入口となる「第1主電極領域12の電流経路端」よりも、キャリアの受け口(排出口)となる「第2主電極領域13の電流経路端」が広くても構わない。逆に、第2主電極領域13から第1主電極領域12へ主電流が流れる場合は、キャリアの注入口となる「第2主電極領域13の電流経路端」よりも、キャリアの受け口(排出口)となる「第1主電極領域12の電流経路端」が広くても構わない。このような非対称な平面パターンの場合は、キャリアの注入口からキャリアの受け口(排出口)へ向かって、主電流の経路(電流パス)が末広がりになるが、このような主電流の経路(電流パス)が、末広がりになるトポロジーであっても、大きなレベルのRTSノイズの発生源となる素子分離絶縁膜21の近傍を、ある程度離れて主電流の経路(キャリアの流路)を形成することが可能となるため、導通時に問題となるRTSノイズレベルを、完全ではないにしても、相当程度低減することができる。極端な場合では、キャリアの受け口(排出口)となる主電極領域の電流経路端が、素子分離絶縁膜21に接するトポロジーであっても、完全ではないにしても、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の効果を奏することが可能である。即ち、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、少なくともキャリアの注入口が素子分離絶縁膜21から距離q程度離間して形成されている構造であれば、一定の効果を奏することが可能である。
【0024】
<増幅型イメージセンサ>
図3は、増幅型イメージセンサ(APS:Active Pixel Sensor)の各画素に設けられる4トランジスタ型の増幅回路Aijの回路構成の例を示す。図3には4トランジスタの内、3つのnMOSFETがシンボルマークにより回路表示されているが、残る4つめのnMOSFETである転送トランジスタは断面図で模式的に示されている。
【0025】
即ち、増幅型イメージセンサの各画素の受光部は、図3に示すように第1導電型(p型)の半導体層52をアノード領域、第2導電型(n型)の表面埋込領域57をカソード領域として、埋込フォトダイオードを構成している。それぞれの表面埋込領域57の上には第1導電型(p型)のピニング層58が形成されている。転送トランジスタのソース領域として機能する受光部の表面埋込領域57から、転送トランジスタのフローティングドレイン(FD)領域として機能する電荷検出領域53へは、転送トランジスタの転送ゲート電極55にハイ(H)レベルの信号を印加することにより、第1導電型(p型)の半導体層52を経由して信号電荷が転送される(図3では、第2導電型(n型)のブロック層51が半導体層(半導体基板)59上に設けられ、半導体層52がブロック層51の上に設けられた構造を例示しているが、これに限定されるものではない。)。電荷検出領域53には、絶縁膜54に設けられたコンタクトプラグ(図示省略)を介して、表面配線により、増幅回路Aijを構成する信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)TAijのゲート電極と、リセットトランジスタTRijのソース電極が接続されている。
【0026】
リセットトランジスタTRijのドレイン電極及び信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)TAijのドレイン電極は、それぞれ電源VDDに接続され、信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)TAijのソース電極は画素選択用のスイッチングトランジスタTSijのドレイン電極に接続されている。リセットトランジスタTRijのリセットゲート電極に対し、リセット信号Riをハイ(H)レベル(Ri=“1”)にして、電荷検出領域53に蓄積された電荷をそれぞれ吐き出し、電荷検出領域53をリセットする。画素選択用のスイッチングトランジスタTSijのソース電極は、j列の垂直信号線Bjに接続され、ゲート電極にはi行の水平ラインの垂直選択信号Siがタイミング発生回路(図示省略)に駆動されて垂直シフトレジスタ(垂直走査回路)(図示省略)から与えられる。
【0027】
本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路の一例としては、例えば、図4に示すように、n型のドレイン領域12とn型の共通主電極領域17とn型のソース領域13とで、図3のE部で示した信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)TAijとスイッチングトランジスタTSijとの直列回路が構成される。即ち、本発明の第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路は、図4に示すように、第1導電型(p型)のSiからなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の上部のチャネル領域となる領域を少なくとも囲み、半導体層11の上部に活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの一方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21の一方の端部に一辺のみを接した矩形の第1主電極領域12と、活性領域21Bの他方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21に他方の端部に一辺のみを接した矩形の第2主電極領域13と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上方において、平面パターン上、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間となる位置に設けられ、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に平行に伸延する複数のゲート電極24a,24bと、平面パターン上、複数のゲート電極24a,24bの間に位置し、活性領域21Bの第1主電極領域12と第2主電極領域13との間において、素子分離絶縁膜21から離間して設けられ、第2導電型(n型)で、第1主電極領域12に対して第2主電極領域13と機能し、第2主電極領域13に対して第1主電極領域12と機能する共通主電極領域17とを備える。
【0028】
第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路においては、図4に示すように、ゲート長方向に測ったゲート電極24a,24bの端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、ゲート電極24a,24bの端部に沿った半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(11,12,17,13)の導電型及び不純物密度が設定されている。よって、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路によれば、それぞれのゲート電極24a,24bの下方において、活性領域21Bに形成されるチャネルの幅方向に対して、主電流の経路(キャリアの流路)が中央部のみに形成され、導通時に問題となるRTSノイズレベルを低減することができる。更に、複数のゲート電極24a,24bを連続的に配列することにより、面積の増大を防ぐことができる。
【0029】
<NAND型フラッシュメモリ>
図5は本発明の第1の実施形態に係る半導体集積回路の他の一例としてのNAND型不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)の模式的回路構成を示すブロック図である。メモリセルアレイ1の周辺にはトップ・ページバッファ2、ボトム・ページバッファ3、レフト・ロウデコーダ/チャージポンプ4、ライト・ロウデコーダ/チャージポンプ5等の周辺回路(2,3,4、5)が配置されている。
【0030】
メモリセルアレイ1は、図6に示すように、行方向に配列される複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…と、このワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…と直交する列方向に配列される複数のビット線BL2j-1,BL2j,BL2j+1,…を備えている。そして、図6の列方向には、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のいずれかにより、それぞれ電荷蓄積状態を制御される電荷蓄積層を有するメモリセルトランジスタが配列されている。図5及び図6の場合は、列方向に32個のメモリセルトランジスタが配列されてメモリセルカラムを構成した場合を示している。このメモリセルカラムの配列の両端には、列方向に隣接して配置され、メモリセルカラムに配列された一群のメモリセルトランジスタを選択する一対の選択トランジスタが配置されている。この一対の選択トランジスタのそれぞれのゲートには、一対の選択ゲート配線SGDk,SGSkが接続されている。トップ・ページバッファ2及びボトム・ページバッファ3は、ビット線BL2j-1,BL2j,BL2j+1,…に接続され、それぞれのメモリセルカラム情報を読み出す場合のバッファである。レフト・ロウデコーダ/チャージポンプ4、ライト・ロウデコーダ/チャージポンプ5はワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…に接続され、メモリセルカラムを構成している各メモリセルトランジスタの電荷蓄積状態を制御する。
【0031】
図7(a)は、図5のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…方向に沿った切断面に相当し、図7(b)は、図5のそれぞれのワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…の間の方向に沿った切断面に相当し、図7(c)は図5のビット線BL2j-1,BL2j,BL2j+1,…方向に沿った切断面に相当する。図6及び図7の断面図に示すように、第1の実施形態に係る半導体集積回路は、第1導電型(p型)のSiからなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の少なくとも上部を挟むように対向して列方向に伸延し、半導体層11の上部に列方向に伸延する活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの内部において列方向に配列され、それぞれ素子分離絶縁膜21から離間して設けられた複数の第2導電型(n型)の共通主電極領域31,32,…と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上方において、平面パターン上、複数の共通主電極領域31,32,…の間にそれぞれ位置するように、行方向に伸延する複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…とを備える。複数の共通主電極領域31,32,…の内、隣接する一方の共通主電極領域31,32,…がドレイン領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域31,32,…がソース領域として機能し、隣接する一方の共通主電極領域31,32,…がソース領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域31,32,…がドレイン領域として機能するように、複数の絶縁ゲート型半導体素子からなるメモリセルトランジスタが列方向に直列接続されている。即ち、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれが、半導体記憶装置のメモリセルトランジスタの制御ゲート電極43として機能する(図示を省略しているが、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれが、メモリセルトランジスタの制御ゲート電極43に接続されているような構造でも構わない。)。
【0032】
図7の断面図に示すように、メモリセルトランジスタのそれぞれが、制御ゲート電極43の下に電極間絶縁膜42を介して浮遊ゲート電極41を更に備え、浮遊ゲート電極41がゲート絶縁膜22の上に設けられており、p型の半導体層11の表面にメモリセルトランジスタと、メモリセルトランジスタを選択する選択トランジスタのソース/ドレイン領域となる共通主電極領域31,32,33,…が形成され、それぞれの共通主電極領域31,32,33,…の間に定義されるチャネル領域上にゲート絶縁膜22が配置されている。共通主電極領域31,32,33,…は、p型の半導体層11中に高不純物密度にn型不純物をドープしたn+型の半導体領域である。共通主電極領域33は、ビット線コンタクト領域として機能している。p型の半導体層11の代わりに、n型の半導体基板中に設けられたp型のウェル領域(pウェル)でもよい。
【0033】
そして、このゲート絶縁膜22上には、電荷を蓄積するための浮遊ゲート電極41と、浮遊ゲート電極41上の電極間絶縁膜42と、電極間絶縁膜42上の制御ゲート電極43が配置され、それぞれのメモリセルトランジスタのゲート電極を構成している。同様に、選択トランジスタも、図7(c)に示すように、ゲート絶縁膜22、浮遊ゲート電極41、電極間絶縁膜42、電極間絶縁膜42中の開口部で浮遊ゲート電極41と電気的に導通した制御ゲート電極43からなるゲート電極構造を備えているが、電極間絶縁膜42の電極間絶縁膜短絡窓を介して、制御ゲート電極43と浮遊ゲート電極41とが電気的に導通している。図7(a)に示すように、隣接するメモリセルカラムにそれぞれ属するメモリセルトランジスタの浮遊ゲート電極41は、STIを構成する素子分離絶縁膜21を介して行方向(ワード線方向)に対向している。素子分離絶縁膜21は、図6の平面図に示すように、列方向(カラム方向)に平行に周期的に配置され、走行している。
【0034】
なお、図7に示す構造は一例であり、素子分離絶縁膜21の高さは、図7(a)及び(b)のように、電極間絶縁膜42の最上部の位置より低い構造に限られるものではない。例えば、素子分離絶縁膜21の高さは、電極間絶縁膜42の最上部の位置と同程度の水平レベル、或いは、電極間絶縁膜42の最上部の位置よりも高い水平レベルであっても構わない。素子分離絶縁膜21の高さが、電極間絶縁膜42の最上部の位置と同程度の水平レベル、或いは、この位置よりも高い水平レベルであれば、電極間絶縁膜42は、図7(a)に示すように、行方向に隣接するメモリセルカラムに共通となるように、連続した膜として形成されている必要は、必ずしもない。
【0035】
浮遊ゲート電極41は、ドープドポリシリコン膜等で形成することが可能である。制御ゲート電極43は、例えば、ドープドポリシリコン膜とWSi膜等の多層構造から構成してもよい。シリサイド膜としては、CoSi2膜、TiSi膜、MoSi膜等の金属シリサイド膜を使用してもよい。シリサイド膜の代わりに、W、Co、Ti、Mo等の高融点金属でもよく、更には、これらのシリサイド膜を用いたポリサイド膜で構成してもよい。シリサイド膜の代わりに、Al或いはCu等の高導電率の金属膜をドープドポリシリコン膜の上に配置して、この高導電率の金属膜がワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…を兼用するようにしてもよい。又、タングステン窒化物(WN)膜、チタン窒化物(TiN,Ti2N)膜のいずれか1つ或いは複数の積層膜を、シリサイド膜の代わりにドープドポリシリコン膜の上に配置してもよい。なお、図示を省略しているが、周辺トランジスタは、図7に示したメモリセルトランジスタとほぼ同じ積層構造、若しくは、メモリセルトランジスタの積層構造から、浮遊ゲート電極41及び電極間絶縁膜42分を除去した、制御ゲート電極43のみの構造に対応するようなゲート電極を有するトランジスタで構成される。
【0036】
図7(c)に示すビット線方向に沿った断面図に明らかなように、第1の実施形態に係る半導体集積回路では、各メモリセルトランジスタの浮遊ゲート電極41が、列方向セル分離絶縁膜44を介して対向している。列方向セル分離絶縁膜44として、例えば、炭素(C)或いはフッ素(F)を添加した一酸化珪素(SiOC,SiOF)等の無機系絶縁材料、水素シルセスオキサンポリマー(HSQ)、アルキルシルセスキオキサンポリマー(MSQ)、水素化アルキルシルセスキオキサンポリマー(HOSP)、有機シリカ、多孔質HSQ、ベンゾシクロブテン(BCB)等や、これらの材料を多孔質化した膜等の比誘電率εrの低い絶縁膜を用いれば、同一カラム内で列方向に隣接するメモリセルトランジスタ間で生じる列方向近接セル間干渉効果による誤書き込みを抑制することができる。
【0037】
行方向に隣接するセルカラムのメモリセルトランジスタの間において、列方向セル分離絶縁膜44の中央部を貫通して、コンタクトプラグ46が埋め込まれている。コンタクトプラグ46は、低いコンタクト抵抗で、ビット線コンタクト領域となる共通主電極領域33にオーミック接触をしている。コンタクトプラグ46は、層間絶縁膜45の上に配置されたビット線(BL2j)に接続されている。図7(a)では、ビット線BL2j,BL2j+1が層間絶縁膜45の上に配置されているが、層間絶縁膜45にダマシン溝を形成し、このダマシン溝の内部に、銅(Cu)を主成分とする金属配線を埋め込んで、ダマシン配線としても構わない。
【0038】
電極間絶縁膜42として、例えば、ONO膜、SrO膜、Si34膜、Al23膜、MgO膜、Y23膜、HfO2膜、ZrO2膜、Ta25膜、Bi23膜のいずれか1つの単層膜或いはこれらの複数を積層した複合膜等が使用可能である。
【0039】
第1の実施形態に係る半導体集積回路(フラッシュメモリ)によれば、図6及び図7(b)に示すように、共通主電極領域31,32,33,…が素子分離絶縁膜21から離間して形成され、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれの下方のチャネル部に、素子分離絶縁膜21から離間した中央部が、キャリアに対するポテンシャルが深い領域となって主電流が流れるので、RTSノイズの大きな箇所を避けて主電流の経路(キャリアの流路)が形成されるので、各メモリセルトランジスタや選択トランジスタの導通時における低ノイズ化が可能となる。
【0040】
(第2の実施形態)
図8に示すように、本発明の第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子は、第1導電型(p型)のSiからなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の上部のチャネル領域となる領域を少なくとも囲み、半導体層11の上部に活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの一方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21の一方の端部に一辺のみを接した矩形の第1主電極領域12と、活性領域21Bの他方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21に他方の端部に一辺のみを接した矩形の第2主電極領域13と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上に、平面パターン上、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間となる位置に設けられ、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に伸延するゲート電極24とを備え、ゲート電極24の端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12及び第2主電極領域13のそれぞれの電流経路端が局在している点では第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子と同様であるが、ゲート電極24の下に第1主電極領域12と第2主電極領域13と同程度の幅を有するn−型の埋込領域14が形成され、埋込領域14の部分の、キャリアに対するポテンシャル(電位)が深くなるよう形成されている点が第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子とは異なる。埋込領域14は、素子分離絶縁膜21から距離rを隔てている。距離rは距離qと同程度とする。埋込領域14の不純物密度は第1主電極領域12と第2主電極領域13より低不純物密度であるが、p型の半導体層11と同程度若しくはp型の半導体層11よりも大きな値である。ゲート電極24の上には層間絶縁膜(図示省略)が設けられ、層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して、第1主電極領域12には第1主電極配線23が、第2主電極領域13には第2主電極配線(図示省略)が接続されている点等他は、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0041】
第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の埋込領域14によるチャネルのポテンシャルの変化を図9に示す。図9において、横軸は深さ、縦軸はキャリア(電子)に対するポテンシャル(電位)である。通常の絶縁ゲート型半導体素子のチャネル内のポテンシャル分布を曲線aで示すと、n−型の埋込領域14のポテンシャル分布は曲線bで示すグラフとなる。したがって、通常の絶縁ゲート型半導体素子のチャネル電位(表面電位)をVsa,第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のチャネルの表面電位をVsbとすれば、Vsb<Vsaの関係となる。
【0042】
即ち、第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子によれば、n−型の埋込領域14を備えているので、ゲート幅方向で主電流の経路(電流パス)となる中央部の、キャリアに対するポテンシャル(電位)が深くなり、主電流は中央部に局在した主電流の経路(電流パス)のみを流れることが理解される。第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子によれば、ゲート電極24の下において、主電流の経路(電流パス)が大きなレベルのRTSノイズの発生源となる素子分離絶縁膜21近傍を離れて中央部に局在して形成されるため、RTSノイズレベルを低減することができる。
【0043】
第1の実施形態と同様に、第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、少なくともキャリアの注入口が素子分離絶縁膜21から距離q程度離間して形成されれている構造であればよいので、図8(a)において、第1主電極領域12側及び第2主電極領域13は、ゲート電極24に関して、必ずしも上下対称の平面パターンである必要はない。第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の場合、キャリアの注入口よりも、キャリアの受け口(排出口)が広いトポロジーの場合は、キャリアの注入口からキャリアの受け口(排出口)へ向かって、主電流の経路(電流パス)が末広がりになるが、第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、キャリアに対するポテンシャルが深いn−型の埋込領域14によって主電流の経路(電流パス)を規定するので、主電流の経路(電流パス)が末広がりになるのが防止でき、より有効にRTSノイズレベルを低減することができる。よって、第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、キャリアの受け口(排出口)側の主電極領域の端部が、素子分離絶縁膜21に接するトポロジーであっても、n−型の埋込領域14を設けて、主電流の経路(電流パス)を規定することにより、キャリアの受け口(排出口)となる電流経路端を素子分離絶縁膜21から離間させることができるので、RTSノイズレベルを有効に低減することができる。又、n−型の埋込領域14は、ゲート電極24の直下を横断するように第1主電極領域12と第2主電極領域13との間に連続して形成されている必要はなく、キャリアの受け口(排出口)となる主電極領域の電流経路端側にのみ設けられるような非対称のトポロジーでも、RTSノイズレベルを低減することができる。
【0044】
<増幅型イメージセンサ>
本発明の第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路は、図10に示すように、第1導電型(p型)のSiからなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の上部のチャネル領域となる領域を少なくとも囲み、半導体層11の上部に活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの一方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21の一方の端部に一辺のみを接した矩形の第1主電極領域12と、活性領域21Bの他方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21に他方の端部に一辺のみを接した矩形の第2主電極領域13と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上方において、平面パターン上、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間となる位置に設けられ、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に平行に伸延する複数のゲート電極24a,24bと、平面パターン上、複数のゲート電極24a,24bの間に位置し、活性領域21Bの第1主電極領域12と第2主電極領域13との間において、素子分離絶縁膜21から離間して設けられ、第2導電型(n型)で、第1主電極領域12に対して第2主電極領域13と機能し、第2主電極領域13に対して第1主電極領域12と機能する共通主電極領域17とを備えて、図3のE部で示した信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)TAijとスイッチングトランジスタTSijとの直列回路を構成している点では第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と同様であるが、複数のゲート電極24a,24bのそれぞれ下に第1主電極領域12と第2主電極領域13と同程度の幅を有するn−型の埋込領域14a,14bが形成され、埋込領域14a,14bの部分の、キャリアに対するポテンシャル(電位)が深くなるよう形成されている点が第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路とは異なる。
【0045】
第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の埋込領域14a,14bは、それぞれ素子分離絶縁膜21から距離rを隔てている。距離rは距離qと同程度とする。埋込領域14a,14bの不純物密度はそれぞれ第1主電極領域12と第2主電極領域13より低不純物密度であるが、p型の半導体層11と同程度若しくはp型の半導体層11よりも大きな値である。複数のゲート電極24a,24bのそれぞれの上には層間絶縁膜(図示省略)が設けられ、層間絶縁膜(図示省略)に開口されたコンタクトホールを介して、第1主電極領域12には第1主電極配線23が、第2主電極領域13には第2主電極配線27が接続されている点等他は、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0046】
第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路によれば、図10に示すように、それぞれの複数のゲート電極24a,24bの下方において、n−型の埋込領域14を備えているので、活性領域21Bに形成されるチャネルの幅方向に対して、主電流の経路(キャリアの流路)がn−型の埋込領域14が存在する中央部のみに形成され、RTSノイズレベルを低減することができる。更に、複数の複数のゲート電極24a,24bを連続的に配列することにより、面積の増大を防ぐことができる。
【0047】
<NAND型フラッシュメモリ>
図11に示すように、本発明の第2の実施形態に係る半導体集積回路の他の一例としてのNAND型不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)は、行方向に配列される複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…と、このワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…と直交する列方向に配列される複数のビット線BL2j-1,BL2j,BL2j+1,…を備えている。そして、図11の列方向には、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のいずれかにより、それぞれ電荷蓄積状態を制御される電荷蓄積層を有するメモリセルトランジスタが配列されている。図11の場合は、列方向に32個のメモリセルトランジスタが配列されてメモリセルカラムを構成した場合を示している。このメモリセルカラムの配列の両端には、列方向に隣接して配置され、メモリセルカラムに配列された一群のメモリセルトランジスタを選択する一対の選択トランジスタが配置されている。この一対の選択トランジスタのそれぞれのゲートには、一対の選択ゲート配線SGDk,SGSkが接続されている。トップ・ページバッファ2及びボトム・ページバッファ3は、ビット線BL2j-1,BL2j,BL2j+1,…に接続され、それぞれのメモリセルカラム情報を読み出す場合のバッファである。レフト・ロウデコーダ/チャージポンプ4、ライト・ロウデコーダ/チャージポンプ5はワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…に接続され、メモリセルカラムを構成している各メモリセルトランジスタの電荷蓄積状態を制御する。
【0048】
図12は図11のXIB−XIB方向から見たメモリセルアレイの一部を示す模式的な断面図である。即ち、図12は、図11のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…方向に沿った切断面に相当する。図12の断面図に示すように、第2の実施形態に係る半導体集積回路は、第1導電型(p型)のSiからなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の少なくとも上部を挟むように対向して列方向に伸延し、半導体層11の上部に列方向に伸延する活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの内部において列方向に配列され、それぞれ素子分離絶縁膜21から離間して設けられた複数の第2導電型(n型)の共通主電極領域31,32,…と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上方において、平面パターン上、複数の共通主電極領域31,32,…の間にそれぞれ位置するように、行方向に伸延する複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…とを備える点では第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と同様であるが、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれ下に共通主電極領域31,32,…と同程度の幅を有するn−型の埋込領域14が形成され、埋込領域14の部分の、キャリアに対するポテンシャル(電位)が深くなるよう形成されている点が第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路とは異なる。
【0049】
第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の埋込領域14は、それぞれ素子分離絶縁膜21から離間してている。埋込領域14の不純物密度はそれぞれ共通主電極領域31,32,…より低不純物密度であるが、p型の半導体層11と同程度若しくはp型の半導体層11よりも大きな値である。
【0050】
複数の共通主電極領域31,32,…の内、隣接する一方の共通主電極領域31,32,…がドレイン領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域31,32,…がソース領域として機能し、隣接する一方の共通主電極領域31,32,…がソース領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域31,32,…がドレイン領域として機能するように、複数の絶縁ゲート型半導体集積回路からなるメモリセルトランジスタが列方向に直列接続されている。即ち、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれが、半導体記憶装置のメモリセルトランジスタの制御ゲート電極43として機能する点等他は、第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0051】
第2の実施形態に係る半導体集積回路(フラッシュメモリ)によれば、図12に示すように、共通主電極領域31,32,33,…が素子分離絶縁膜21から離間して形成され、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれの下方のチャネル部に、n−型の埋込領域14を備えているので、素子分離絶縁膜21から離間した中央のn−型の埋込領域14の部分が、キャリアに対するポテンシャルが深い領域となって主電流が局在して流れる。即ち、第2の実施形態に係る半導体集積回路(フラッシュメモリ)によれば、RTSノイズの大きな箇所を避けて主電流の経路(キャリアの流路)が形成されるので、各メモリセルトランジスタや選択トランジスタの導通時における低ノイズ化が可能となる。
【0052】
(第3の実施形態)
図13に示すように、本発明の第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子は、第1導電型(p型)のSiからなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の上部のチャネル領域となる領域を少なくとも囲み、半導体層11の上部に活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの一方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21の一方の端部に一辺のみを接した矩形の第1主電極領域12と、活性領域21Bの他方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21に他方の端部に一辺のみを接した矩形の第2主電極領域13と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上に、平面パターン上、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間となる位置に設けられ、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に伸延するゲート電極24とを備え、ゲート電極24の端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12及び第2主電極領域13のそれぞれの電流経路端が局在している点では第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子と同様であるが、ゲート電極24の下において、主電流の経路(電流パス)の周辺部に半導体層11より高不純物密度のp+型の電流阻止領域15,16を形成し、主電流の経路(電流パス)をなす中央部のポテンシャル(電位)より周辺部の電流阻止領域15,16のポテンシャル(電位)を浅くするようにしている点が第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子とは異なる。電流阻止領域15,16のそれぞれの幅sは、距離qと同程度とする。ゲート電極24の上には層間絶縁膜(図示省略)が設けられ、層間絶縁膜に開口されたコンタクトホールを介して、第1主電極領域12には第1主電極配線23が、第2主電極領域13には第2主電極配線(図示省略)が接続されている点等他は、第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0053】
第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の電流阻止領域15,16によるチャネルのポテンシャルの変化を図14に示す。図9と同様に、図14の横軸は深さ、縦軸はポテンシャル(電位)である。通常の絶縁ゲート型半導体素子のチャネル内のポテンシャル分布を曲線aで示すと、第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のn−型の埋込領域14によるポテンシャル分布は曲線b、第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のp+型の電流阻止領域15,16によるポテンシャル分布は曲線cで示すグラフとなる。したがって、通常の絶縁ゲート型半導体素子の表面電位をVsa,第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のチャネルの表面電位をVsb,第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子のゲート電極24の下の電流阻止領域15,16における表面電位をVscとすれば、Vsb<Vsa<Vscの関係となる。
【0054】
即ち、第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子によれば、ゲート幅方向で主電流の経路(電流パス)をなす中央部の、キャリアに対するポテンシャル(電位)が深くなり、主電流は中央部に局在した主電流の経路(電流パス)のみを流れることが理解される。第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子によれば、ゲート電極24の下において、主電流の経路(電流パス)が大きなレベルのRTSノイズの発生源となる素子分離絶縁膜21近傍を離れて中央部に局在して形成されるため、RTSノイズレベルを低減することができる。
【0055】
第1及び第2の実施形態と同様に、第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、少なくともキャリアの注入口が素子分離絶縁膜21から距離q程度離間して形成されれている構造であればよいので、図13(a)において、第1主電極領域12側及び第2主電極領域13は、ゲート電極24に関して、必ずしも上下対称の平面パターンである必要はない。第1の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の場合、キャリアの注入口よりも、キャリアの受け口(排出口)が広いトポロジーの場合は、キャリアの注入口からキャリアの受け口(排出口)へ向かって、主電流の経路(電流パス)が末広がりになるが、第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、電流阻止領域15,16によって、その間のキャリアに対するポテンシャルを深くして主電流の経路(電流パス)を規定しているので、主電流の経路(電流パス)が末広がりになるのが防止でき、より有効にRTSノイズレベルを低減することができる。よって、第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、キャリアの受け口(排出口)側の主電極領域の端部が、素子分離絶縁膜21に接するトポロジーであっても、電流阻止領域15,16を設けて、主電流の経路(電流パス)を規定することにより、キャリアの受け口(排出口)となる電流経路端を素子分離絶縁膜21から離間させることができるので、RTSノイズレベルを有効に低減することができる。又、電流阻止領域15,16は、ゲート電極24の直下を横断するように第1主電極領域12と第2主電極領域13との間に連続して形成されている必要はなく、キャリアの受け口(排出口)となる主電極領域の電流経路端側にのみ設けられるような非対称のトポロジーでも、RTSノイズレベルを低減することができる。
【0056】
<増幅型イメージセンサ>
本発明の第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路は、図15に示すように、第1導電型(p型)のSiからなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の上部のチャネル領域となる領域を少なくとも囲み、半導体層11の上部に活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの一方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21の一方の端部に一辺のみを接した矩形の第1主電極領域12と、活性領域21Bの他方の端部側に設けられ、第2導電型(n型)で、素子分離絶縁膜21に他方の端部に一辺のみを接した矩形の第2主電極領域13と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上方において、平面パターン上、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間となる位置に設けられ、第1主電極領域12と第2主電極領域13との間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に平行に伸延する複数のゲート電極24a,24bと、平面パターン上、複数のゲート電極24a,24bの間に位置し、活性領域21Bの第1主電極領域12と第2主電極領域13との間において、素子分離絶縁膜21から離間して設けられ、第2導電型(n型)で、第1主電極領域12に対して第2主電極領域13と機能し、第2主電極領域13に対して第1主電極領域12と機能する共通主電極領域17とを備えて、図3のE部で示した信号読み出しトランジスタ(増幅トランジスタ)TAijとスイッチングトランジスタTSijとの直列回路を構成している点では第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と同様であるが、複数のゲート電極24a,24bのそれぞれ下において、主電流の経路(電流パス)の周辺部に半導体層11より高不純物密度のp+型の電流阻止領域15a,16a;15b,16bを形成し、主電流の経路(電流パス)をなす中央部のポテンシャル(電位)より周辺部の電流阻止領域15a,16a;15b,16bのポテンシャル(電位)を浅くするようにしている点が第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路とは異なる。複数のゲート電極24a,24bのそれぞれの上には層間絶縁膜(図示省略)が設けられ、層間絶縁膜(図示省略)に開口されたコンタクトホールを介して、第1主電極領域12には第1主電極配線23が、第2主電極領域13には第2主電極配線27が接続されている点等他は、第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0057】
第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路によれば、図15に示すように、それぞれの複数のゲート電極24a,24bの下方において、p+型の電流阻止領域15a,16a;15b,16bを備えているので、活性領域21Bに形成されるチャネルの幅方向に対して、主電流の経路(キャリアの流路)がp+型の電流阻止領域15a,16a;15b,16bの間となる中央部のみに形成され、RTSノイズレベルを低減することができる。更に、複数の複数のゲート電極24a,24bを連続的に配列することにより、面積の増大を防ぐことができる。
【0058】
<NAND型フラッシュメモリ>
図16に示すように、本発明の第3の実施形態に係る半導体集積回路の他の一例としてのNAND型不揮発性半導体記憶装置(フラッシュメモリ)は、行方向に配列される複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…と、このワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…と直交する列方向に配列される複数のビット線BL2j-1,BL2j,BL2j+1,…を備えている。そして、図16の列方向には、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のいずれかにより、それぞれ電荷蓄積状態を制御される電荷蓄積層を有するメモリセルトランジスタが配列されている。図16の場合は、列方向に32個のメモリセルトランジスタが配列されてメモリセルカラムを構成した場合を示している。このメモリセルカラムの配列の両端には、列方向に隣接して配置され、メモリセルカラムに配列された一群のメモリセルトランジスタを選択する一対の選択トランジスタが配置されている。この一対の選択トランジスタのそれぞれのゲートには、一対の選択ゲート配線SGDk,SGSkが接続されている。トップ・ページバッファ2及びボトム・ページバッファ3は、ビット線BL2j-1,BL2j,BL2j+1,…に接続され、それぞれのメモリセルカラム情報を読み出す場合のバッファである。レフト・ロウデコーダ/チャージポンプ4、ライト・ロウデコーダ/チャージポンプ5はワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…に接続され、メモリセルカラムを構成している各メモリセルトランジスタの電荷蓄積状態を制御する。
【0059】
図17は図16のXIB−XIB方向から見たメモリセルアレイの一部を示す模式的な断面図である。即ち、図17は、図16のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…方向に沿った切断面に相当する。図17の断面図に示すように、第3の実施形態に係る半導体集積回路は、第1導電型(p型)のSiからなり、少なくとも一部がチャネル領域として機能する半導体層11と、半導体層11の少なくとも上部を挟むように対向して列方向に伸延し、半導体層11の上部に列方向に伸延する活性領域21Bを定義する素子分離絶縁膜21と、活性領域21Bの内部において列方向に配列され、それぞれ素子分離絶縁膜21から離間して設けられた複数の第2導電型(n型)の共通主電極領域31,32,…と、活性領域21Bの表面に設けられたゲート絶縁膜22と、ゲート絶縁膜22の上方において、平面パターン上、複数の共通主電極領域31,32,…の間にそれぞれ位置するように、行方向に伸延する複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…とを備える点では第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と同様であるが、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれ下において、主電流の経路(電流パス)の周辺部に半導体層11より高不純物密度のp+型の電流阻止領域15,16を形成し、主電流の経路(電流パス)をなす中央部のポテンシャル(電位)より周辺部の電流阻止領域15,16のポテンシャル(電位)を浅くするようにしている点が第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路とは異なる。
【0060】
複数の共通主電極領域31,32,…の内、隣接する一方の共通主電極領域31,32,…がドレイン領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域31,32,…がソース領域として機能し、隣接する一方の共通主電極領域31,32,…がソース領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域31,32,…がドレイン領域として機能するように、複数の絶縁ゲート型半導体集積回路からなるメモリセルトランジスタが列方向に直列接続されている。即ち、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれが、半導体記憶装置のメモリセルトランジスタの制御ゲート電極43として機能する点等他は、第1及び第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と実質的に同様であるので、重複した説明を省略する。
【0061】
第3の実施形態に係る半導体集積回路(フラッシュメモリ)によれば、図17に示すように、共通主電極領域31,32,33,…が素子分離絶縁膜21から離間して形成され、複数のワード線WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1,…のそれぞれの下方のチャネル部に、電流阻止領域15,16を備えているので、素子分離絶縁膜21から離間した中央の、キャリアに対するポテンシャルが深い領域に主電流が局在して流れる。即ち、第3の実施形態に係る半導体集積回路(フラッシュメモリ)によれば、RTSノイズの大きな箇所を避けて主電流の経路(キャリアの流路)が形成されるので、各メモリセルトランジスタや選択トランジスタの導通時における低ノイズ化が可能となる。
【0062】
(その他の実施形態)
上記のように、本発明は第1〜第3の実施形態によって記載したが、この開示の一部をなす論述及び図面は本発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0063】
既に述べた第1〜第3の実施形態の説明においては、図1、図4、図8、図10、図13或いは図15等に示したように、矩形の第1主電極領域12が活性領域21Bの一方の端部側に設けられ、素子分離絶縁膜21の一方の端部に一辺のみを接し、第2主電極領域13が活性領域21Bの他方の端部側に設けられ、素子分離絶縁膜21の他方の端部に一辺のみを接し、それぞれゲート幅方向において素子分離絶縁膜21から距離qを隔てられたトポロジーを示したが、例示に過ぎず、本発明の第1主電極領域12や第2主電極領域13の形状や素子分離絶縁膜21は第1〜第3の実施形態で説明したトポロジーに限るものではない。例えば、図18に示すように、第1主電極領域12p及び第2主電極領域13pがそれぞれテーパー辺を有する6角形であれば、活性領域21Bの一方の端部側に設けられた第1主電極領域12pが、素子分離絶縁膜21に3辺を接し、活性領域21Bの他方の端部側に設けられた第2主電極領域13pが素子分離絶縁膜21に3辺を接しても、ゲート電極24の第1主電極領域12p側の端部及び第2主電極領域13p側の端部においてゲート幅方向の中央部に主電流の経路(キャリアの流路)が形成できる。
【0064】
図18では、第1主電極領域12pが、平面パターン上、ゲート電極24の上にのみ設けられ、第2主電極領域13pが、平面パターン上、ゲート電極24の下にのみ設けられた構造を例示した。しかし、現実の構造としては、第1主電極領域12pは平面パターン上、第1主電極領域12p側からゲート電極24の直下に、少なくともデバイ長以上の長さで、若干張り出していてもよく、第2主電極領域13pは平面パターン上、第2主電極領域13p側からゲート電極24の直下に若干張り出していてもよいことは第1の実施形態で説明したとおりである。これにより、ゲート電極24の端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12p及び第2主電極領域13pのそれぞれの電流経路端が局在している。よって、図18に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート長方向に測ったゲート電極24の端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、端部に沿った半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(11,12p,13p)の導電型及び不純物密度が設定されている。即ち、図18に示すようなテーパー辺を有する6角形のトポロジーによっても、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート電極24下において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21から最小距離tだけ離れて形成できるので、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1,R2を主電流が流れるのを回避でき、素子全体のRTSノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0065】
或いは、図19に示すように、第1主電極領域12q及び第2主電極領域13qがそれぞれテーパー辺を有する6角形をなし、活性領域21Bの一方の端部側に設けられた第1主電極領域12qが、素子分離絶縁膜21の一方の端部に一辺のみを接し、活性領域21Bの他方の端部側に設けられた第2主電極領域13qが素子分離絶縁膜21の他方の端部に一辺のみを接するトポロジーであっても、ゲート電極24の第1主電極領域12q側の端部及び第2主電極領域13q側の端部においてゲート幅方向の中央部に主電流の経路(キャリアの流路)が形成できる。
【0066】
図19では、第1主電極領域12qが、平面パターン上、ゲート電極24の上にのみ設けられ、第2主電極領域13qが、平面パターン上、ゲート電極24の下にのみ設けられた構造を例示した。しかし、現実の構造としては、第1主電極領域12qは平面パターン上、第1主電極領域12q側からゲート電極24の直下に、少なくともデバイ長以上の長さで、若干張り出していてもよく、第2主電極領域13qは平面パターン上、第2主電極領域13q側からゲート電極24の直下に若干張り出していてもよいことは第1の実施形態で説明したとおりである。これにより、ゲート電極24の端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12q及び第2主電極領域13qのそれぞれの電流経路端が局在している。よって、図19に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート長方向に測ったゲート電極24の端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、端部に沿った半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(11,12q,13q)の導電型及び不純物密度が設定されている。即ち、図19に示すようなテーパー辺を有する6角形のトポロジーによっても、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート電極24の下方において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21から最小距離tだけ離れて形成できるので、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1,R2を主電流が流れるのを回避でき、素子全体のRTSノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0067】
更に、図20に示すように、第1主電極領域12r及び第2主電極領域13rがそれぞれT字をなす8角形であれば、活性領域21Bの一方の端部側に設けられた第1主電極領域12rが、素子分離絶縁膜21に3辺を接し、活性領域21Bの他方の端部側に設けられた第2主電極領域13rが素子分離絶縁膜21に3辺を接しても、ゲート電極24の第1主電極領域12r側の端部及び第2主電極領域13r側の端部においてゲート幅方向の中央部に主電流の経路(キャリアの流路)が形成できる。
【0068】
図20では、第1主電極領域12rが、平面パターン上、ゲート電極24の上にのみ設けられ、第2主電極領域13rが、平面パターン上、ゲート電極24の下にのみ設けられた構造を例示した。しかし、現実の構造としては、第1主電極領域12rは平面パターン上、第1主電極領域12r側からゲート電極24の直下に、少なくともデバイ長以上の長さで、若干張り出していてもよく、第2主電極領域13rは平面パターン上、第2主電極領域13r側からゲート電極24の直下に若干張り出していてもよいことは第1の実施形態で説明したとおりである。これにより、ゲート電極24の端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12r及び第2主電極領域13rのそれぞれの電流経路端が局在している。よって、図20に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート長方向に測ったゲート電極24の端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、端部に沿った半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(11,12r,13r)の導電型及び不純物密度が設定されている。即ち、図20に示すようなT字をなす8角形のトポロジーによっても、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート電極24の下方において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21から最小距離tだけ離れて形成できるので、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1,R2を主電流が流れるのを回避でき、素子全体のRTSノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0069】
更に、図21に示すように、第1主電極領域12s及び第2主電極領域13sがそれぞれ矩形であり、活性領域21Bの一方の端部側に設けられた第1主電極領域12sが、素子分離絶縁膜21に接せず、活性領域21Bの他方の端部側に設けられた第2主電極領域13sが素子分離絶縁膜21に接しないトポロジーであっても、ゲート電極24の第1主電極領域12s側の端部及び第2主電極領域13s側の端部においてゲート幅方向の中央部に主電流の経路(キャリアの流路)が形成できる。
【0070】
図21では、第1主電極領域12sが、平面パターン上、ゲート電極24の上にのみ設けられ、第2主電極領域13sが、平面パターン上、ゲート電極24の下にのみ設けられた構造を例示した。しかし、現実の構造としては、第1主電極領域12sは平面パターン上、第1主電極領域12s側からゲート電極24の直下に、少なくともデバイ長以上の長さで、若干張り出していてもよく、第2主電極領域13sは平面パターン上、第2主電極領域13s側からゲート電極24の直下に若干張り出していてもよいことは第1の実施形態で説明したとおりである。これにより、ゲート電極24の端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12s及び第2主電極領域13sのそれぞれの電流経路端が局在している。よって、図21に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート長方向に測ったゲート電極24の端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、端部に沿った半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(11,12s,13s)の導電型及び不純物密度が設定されている。即ち、図21に示すような第1主電極領域12s及び第2主電極領域13sが素子分離絶縁膜21に接しないトポロジーによっても、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート電極24の下方において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21から離れて形成できるので、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1,R2を主電流が流れるのを回避でき、素子全体のRTSノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0071】
図18〜図21も例示の一部に過ぎず、本明細書及び本図面に開示しない種々のトポロジーであっても、ゲート電極24の下方において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21から最小距離tだけ離れて形成できるトポロジーであれば、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1,R2を主電流が流れるのを回避し、素子全体のRTSノイズを大幅に低減することができる。
【0072】
更に、図22に示すように、コンタクト領域となる第1主電極領域12t及び第2主電極領域13tは素子分離絶縁膜21と3辺を接していても、ゲート電極24の第1主電極領域12t側において、ゲート幅方向の中央部のみに、ゲート幅方向に測った幅が第1主電極領域12tより狭く、接合深さが第1主電極領域12tより浅く、不純物密度第1主電極領域12tより低い、第2導電型(n型)の第1オフセット領域71を設け、ゲート電極24の第2主電極領域13t側において、ゲート幅方向の中央部のみに、ゲート幅方向に測った幅が第2主電極領域13tより狭く、接合深さが第2主電極領域13tより浅く、不純物密度第2主電極領域13tより低い、第2導電型(n型)の第2オフセット領域72を設けて、低ドープドレイン(LDD)構造と等価な構造とすることにより、チャネルの中央部に主電流の経路(キャリアの流路)が形成できる。LDD構造においては、接合深さが異なる第1オフセット領域71と第1コンタクト領域(第1主電極領域)12tとの全体を、実質的な第1主電極領域(広義の第1主電極領域)とみなすことが可能で、接合深さが異なる第2オフセット領域72と第2コンタクト領域(第2主電極領域)13tとの全体を、実質的な第2主電極領域(広義の第2主電極領域)とみなすことが可能である。既に説明したとおり、「電流経路端」とは、チャネルを流れる主電流の経路(キャリアの流路)に接続される第1主電極領域及び第2主電極領域の端部を意味するので、接合深さの浅い第1オフセット領域71は実質的な第1主電極領域(12t,71)の電流経路端として機能し、接合深さの浅い第2オフセット領域72は実質的な第2主電極領域(13t,72)の電流経路端として機能している。
【0073】
図22に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の構造は、あたかも、図8に示した第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の埋込領域14を分割し、それぞれ、ゲート電極24の第1コンタクト領域(第1主電極領域)12t側の端部の直下及び第2コンタクト領域(第2主電極領域)13t側の端部の直下に分割配置した構造とみなすことも可能である。即ち、図8に示した第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の埋込領域14は、ゲート電極24を横切る形で連続して形成されていなくても、少なくとも、ゲート電極24の第1コンタクト領域(第1主電極領域)12t側の端部の直下及び第2コンタクト領域(第2主電極領域)13t側の端部の直下に存在すれば、図8に示した第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子と同様な効果を奏することが可能である。
【0074】
図22に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、接合深さの深い第1コンタクト領域(第1主電極領域)12t及び第2コンタクト領域(第2主電極領域)13tのそれぞれのゲート電極24に面した側の端部が、素子分離絶縁膜21に接するトポロジーであっても、接合深さの浅い第1オフセット領域71及び第2オフセット領域72を設けることにより、電気的には、ゲート電極24の端部の直下のチャネル領域の表面近傍において、ゲート幅方向の中央部を中心として、実質的な第1主電極領域(12t,71)及び実質的な第2主電極領域(13t,72)のそれぞれの電流経路端が局在している。即ち、第1主電極領域12から第2主電極領域13へ主電流が流れる場合は、チャネル領域へのキャリアの注入口となる第1オフセット領域71の端部が「実質的な第1主電極領域(12t,71)の電流経路端」であり、チャネル領域からキャリアが流れ込む受け口(排出口)となる第2オフセット領域72の端部が「実質的な第2主電極領域(13t,72)の電流経路端」である。逆に、第2主電極領域13から第1主電極領域12へ主電流が流れる場合は、チャネル領域へのキャリアの注入口となる第2オフセット領域72の端部が「実質的な第2主電極領域(13t,72)の電流経路端であり、チャネル領域からキャリアが流れ込む受け口(排出口)となる第1オフセット領域71の端部が「実質的な第1主電極領域(12t,71)の電流経路端」である。このため、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート長方向に測ったゲート電極24の端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、ゲート電極24の端部に沿った半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(11,71,72)の導電型及び不純物密度が設定されている。即ち、図22に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子によれば、ゲート電極24の下方において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21から最小距離tだけ離れて形成できるので、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1,R2を主電流が流れるのを回避でき、絶縁ゲート型半導体素子全体のRTSノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0075】
更に、図23に示すように、第1主電極領域12r及び第2主電極領域13rは素子分離絶縁膜21と3辺を接していても、ゲート電極24の第1主電極領域12r側の端部の近傍の直下において、ゲート幅方向の両端部のみに第1導電型(p型)の第1電流阻止領域73を設け、ゲート電極24の第2主電極領域13r側の端部の近傍の直下において、ゲート幅方向の両端部のみに第1導電型(p型)の第2電流阻止領域74をそれぞれ設ければ、チャネルの両端部を除いた中央部に主電流の経路(キャリアの流路)が形成できる。
【0076】
図23では、第1電流阻止領域73が、平面パターン上、ゲート電極24の上、即ち、第1主電極領域12r側に設けられ、第2電流阻止領域74が、平面パターン上、ゲート電極24の下、即ち、第2主電極領域13r側に設けられた構造を例示した。しかし、第1電流阻止領域73は平面パターン上、第1主電極領域12r側からゲート電極24の直下に、少なくともデバイ長以上の長さで、張り出していてもよく、第2電流阻止領域74は平面パターン上、第2主電極領域13r側からゲート電極24の直下に、少なくともデバイ長以上の長さで、張り出していてもよい。実際に、プロセス上の横方向の拡散を考慮すれば、第1電流阻止領域73が、平面パターン上、第1主電極領域12r側からゲート電極24の直下に張り出し、第2電流阻止領域74が第2主電極領域13r側からゲート電極24の直下に張り出す構造は容易に実現できる。
【0077】
このような第1電流阻止領域73が、平面パターン上、第1主電極領域12r側からゲート電極24の直下に張り出し、第2電流阻止領域74が第2主電極領域13r側からゲート電極24の直下に張り出す構造は、あたかも、図13に示した第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の電流阻止領域15,16をそれぞれ上下に分割し、それぞれ、ゲート電極24の第1主電極領域12r側の端部の直下及び第2主電極領域13r側の端部の直下に分割配置した構造とみなすことも可能である。即ち、図13に示した第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子の電流阻止領域15,16は、ゲート電極24を横切る形で連続して形成されていなくても、少なくとも、ゲート電極24の第1主電極領域12r側の端部の近傍の直下及び第2主電極領域13r側の端部の近傍の直下に存在すれば、図13に示した第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子と同様な効果を奏することが可能である。
【0078】
図23に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子においては、ゲート電極24の端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12r及び第2主電極領域13rのそれぞれの電流経路端が局在し、第1〜第3の実施形態と同様に、ゲート長方向に測ったゲート電極24の端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、端部に沿った半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(73,12r;74,13r)の導電型及び不純物密度が設定されている。即ち、図23に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体素子によれば、ゲート電極24の下方において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21から最小距離tだけ離れて形成できるので、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1,R2を主電流が流れるのを回避でき、絶縁ゲート型半導体素子全体のRTSノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0079】
更に、図4に示した2素子を直列接続した絶縁ゲート型半導体集積回路の構成に対して図24に示した絶縁ゲート型半導体集積回路の構造を用いることが可能である。即ち、コンタクト領域となる第1主電極領域12iと第2主電極領域13iとの間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に平行に伸延する複数のゲート電極24a,24bを設けた構造において、第1のゲート電極24aの第1主電極領域12i側の端部の直下のゲート幅方向の中央部のみに、ゲート幅方向に測った幅が第1主電極領域12iより狭く、接合深さが第1主電極領域12iより浅い、第2導電型(n型)の第1オフセット領域71を設け、共通主電極領域17側の端部の直下のゲート幅方向の中央部のみに、ゲート幅方向に測った幅が共通主電極領域17より狭く、接合深さが共通主電極領域17より浅い、第2導電型(n型)の第3オフセット領域75を設け、更に、第2のゲート電極24bの共通主電極領域17側の端部の直下のゲート幅方向の中央部のみに、ゲート幅方向に測った幅が共通主電極領域17より狭く、接合深さが共通主電極領域17より浅い、第2導電型(n型)の第4オフセット領域76設け、第2主電極領域13i側の端部の直下のゲート幅方向の中央部のみに、ゲート幅方向に測った幅が第2主電極領域13iより狭く、接合深さが第2主電極領域13iより浅い、第2導電型(n型)の第2オフセット領域72を設け、実質的な第1主電極領域(12j,71)、実質的な共通主電極領域(17,75,76)、実質的な第2主電極領域(13j、72)を、それぞれゲート長方向に局所的に拡張し、LDDと等価な構造とすることにより、チャネル領域の中央部に主電流の経路(キャリアの流路)が形成できる。即ち、第1オフセット領域71は実質的な第1主電極領域(12j,71)の電流経路端として機能し、第3オフセット領域75及び第4オフセット領域76はそれぞれ実質的な共通主電極領域(17,75,76)の電流経路端として機能し、第2オフセット領域72は実質的な第2主電極領域(13j、72)の電流経路端として機能している。
【0080】
図24に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の構造は、あたかも、図10に示した第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の第1の埋込領域14aを分割し、それぞれ、第1のゲート電極24aの第1主電極領域12i側の端部の直下及び共通主電極領域17側の端部の直下に分割配置し、第2の埋込領域14bを分割し、それぞれ、第2のゲート電極24bの共通主電極領域17側の端部の直下及び第2主電極領域13i側の端部の直下に分割配置した構造とみなすことも可能である。即ち、図10に示した第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の埋込領域14a,14bは、第1のゲート電極24a及び第2のゲート電極24bをそれぞれ横切る形で連続して形成されていなくても、少なくとも、第1のゲート電極24aの第1主電極領域12i側の端部の直下、共通主電極領域17側の端部の直下、第2のゲート電極24bの共通主電極領域17側の端部の直下及び第2主電極領域13i側の端部の直下にそれぞれに存在すれば、図10に示した第2の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と同様な効果を奏することが可能である。
【0081】
図24に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路においては、ゲート電極24a,24bのそれぞれの端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12j、共通主電極領域17、及び第2主電極領域13jのそれぞれの電流経路端が局在し、第2の実施形態と同様に、ゲート長方向に測ったゲート電極24a,24bのそれぞれの端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、端部に沿った半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(11,71,75,76,72)の導電型及び不純物密度が設定されている。即ち、図24に示した絶縁ゲート型半導体集積回路の構造によれば、複数のゲート電極24a,24bそれぞれに対し、ゲート電極24a,24bの下方において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21からそれぞれ最小距離ta,tbだけ離れて形成できるので、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1a,R2a;R1b,R2bを主電流が流れるのを回避でき、絶縁ゲート型半導体集積回路全体のRTSノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0082】
同様に、図4に示した2素子を直列接続した絶縁ゲート型半導体集積回路の構成に対して図25に示した絶縁ゲート型半導体集積回路の構造を用いることが可能である。即ち、第1主電極領域12jと第2主電極領域13jとの間のチャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に平行に伸延する複数のゲート電極24a,24bを設けた構造において、第1のゲート電極24aの第1主電極領域12j側の端部の近傍の直下のゲート幅方向に沿った両端部のみに第1導電型(p型)の第1電流阻止領域73を設け、共通主電極領域17側の端部の近傍の直下のゲート幅方向に沿った両端部のみに第1導電型(p型)の第1電流阻止領域対向領域77を設け、更に、第2のゲート電極24bの共通主電極領域17側の端部の近傍の直下のゲート幅方向に沿った両端部のみに第1導電型(p型)の第2電流阻止領域対向領域78を設け、第2主電極領域13j側の端部の近傍の直下のゲート幅方向に沿った両端部のみに第1導電型(p型)の第2電流阻止領域74を設けることにより、チャネル領域の両端部を除いた中央部に主電流の経路(キャリアの流路)が形成できる。
【0083】
図25では、第1電流阻止領域73が、平面パターン上、第1のゲート電極24aの上、即ち、第1主電極領域12j側に設けられ、第1電流阻止領域対向領域77が第1のゲート電極24aの下、即ち、共通主電極領域17側に設けられた構造を例示し、第2電流阻止領域対向領域78が、平面パターン上、第2のゲート電極24bの上、即ち、共通主電極領域17側に設けられ、第2電流阻止領域74が第2のゲート電極24bの下、即ち、第2主電極領域13j側に設けられた構造を例示した。しかし、第1電流阻止領域73は平面パターン上、第1主電極領域12j側から第1のゲート電極24aの直下に張り出していてもよく、第1電流阻止領域対向領域77が共通主電極領域17側から第1のゲート電極24aの直下に張り出していてもよく、第2電流阻止領域対向領域78が、平面パターン上、共通主電極領域17側から第2のゲート電極24bの直下に張り出していてもよく、第2電流阻止領域74が第2主電極領域13j側から第2のゲート電極24bの直下に張り出していてもよい。実際に、プロセス上の熱処理工程を考慮すれば、第1電流阻止領域73が平面パターン上、第1主電極領域12j側から第1のゲート電極24aの直下に横方向に拡散し、第1電流阻止領域対向領域77が共通主電極領域17側から第1のゲート電極24aの直下に横方向に拡散し、第2電流阻止領域対向領域78が、共通主電極領域17側から第2のゲート電極24bの直下に横方向に拡散し、第2電流阻止領域74が第2主電極領域13j側から第2のゲート電極24bの直下に横方向に拡散した構造は容易に実現できる。
【0084】
第1電流阻止領域73が平面パターン上、第1主電極領域12j側から第1のゲート電極24aの直下に横方向に張り出し、第1電流阻止領域対向領域77が共通主電極領域17側から第1のゲート電極24aの直下に横方向に張り出し、第2電流阻止領域対向領域78が、共通主電極領域17側から第2のゲート電極24bの直下に横方向に張り出し、第2電流阻止領域74が第2主電極領域13j側から第2のゲート電極24bの直下に横方向に張り出した構造は、あたかも、図15に示した第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の第1の電流阻止領域15a,16aを分割し、それぞれ、第1のゲート電極24aの第1主電極領域12j側の端部の直下及び共通主電極領域17側の端部の直下に分割配置し、第2の電流阻止領域15b,16bを分割し、それぞれ、第2のゲート電極24bの共通主電極領域17側の端部の直下及び第2主電極領域13j側の端部の直下に分割配置した構造とみなすことも可能である。即ち、図15に示した第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路の第1の電流阻止領域15a,16a及び第2の電流阻止領域15b,16bは、第1のゲート電極24a及び第2のゲート電極24bをそれぞれ横切る形で連続して形成されていなくても、少なくとも、第1のゲート電極24aの第1主電極領域12j側の端部の直下、共通主電極領域17側の端部の直下、第2のゲート電極24bの共通主電極領域17側の端部の直下及び第2主電極領域13j側の端部の直下にそれぞれに存在すれば、図15に示した第3の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路と同様な効果を奏することが可能である。
【0085】
図25に示す他の実施形態に係る絶縁ゲート型半導体集積回路においては、ゲート電極24a,24bのそれぞれの端部の直下において、ゲート幅方向の中央部を中心として、第1主電極領域12j、共通主電極領域17、及び第2主電極領域13jのそれぞれの電流経路端が局在し、第3の実施形態と同様に、ゲート長方向に測ったゲート電極24a,24bのそれぞれの端部の直下において、キャリアに対するポテンシャルが、ゲート幅方向の周辺部より中央部が深くなるように、半導体層11中に設けられるそれぞれの領域(73,12j;77,78,17;74,13j)の導電型及び不純物密度が設定されている。即ち、図25に示した絶縁ゲート型半導体集積回路の構造によれば、複数のゲート電極24a,24bのそれぞれの下方において、主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21からそれぞれ最小距離ta,tbだけ離れて形成できるので、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1a,R2a;R1b,R2bを主電流が流れるのを回避でき、絶縁ゲート型半導体集積回路全体のRTSノイズを大幅に低減することが可能となる。
【0086】
図24及び図25も例示の一部に過ぎず、本明細書及び本図面に開示しない種々のトポロジーであっても、ゲート電極24a,24bの下方において主電流の経路(キャリアの流路)が素子分離絶縁膜21から離れて形成できるトポロジーであれば、素子分離絶縁膜21近傍のRTSノイズレベルの大きな領域R1a,R2a;R1b,R2bを主電流が流れるのを回避し、絶縁ゲート型半導体集積回路全体のRTSノイズを大幅に低減することができる。
【0087】
更に、第1〜第3の実施形態の説明においては、横型の絶縁ゲート型半導体素子について例示的に説明したが、V型やU型の溝の内部等にゲート電極を設けた縦型構造の絶縁ゲート型半導体素子であっても、同様な効果が得られることは容易に理解できるであろう。
【0088】
更に、第1〜第3の実施形態の説明においては、第1導電型をp型、第2導電型をn型として、各絶縁ゲート型半導体素子がnMOS型トランジスタであり、主電流をなすキャリアが電子である場合について説明したが、第1導電型をn型、第2導電型をp型として、各絶縁ゲート型半導体素子がpMOS型トランジスタであり、主電流をなすキャリアが正孔である場合についても、電気的な極性を反対にすれば同様な効果が得られることは容易に理解できるであろう。
【0089】
又、半導体集積回路は固体撮像装置や半導体記憶装置以外の、例えば、微細化された論理集積回路やシステムLSI等の種々の半導体集積回路の用途にも適用可能であることも、上記の説明から容易に理解できるであろう。
【0090】
更に、第1〜第3の実施形態の説明においては半導体層11の半導体材料としてSiの場合を説明したが、ゲルマニウム(Ge)、炭化珪素(SiC)、ダイアモンドやガリウム砒素(GaAs)等の他の半導体の場合であっても、本発明の技術的思想は同様に適用可能であり、半導体層11をSiで形成し、ドレイン領域(第1主電極領域)12やソース領域(第2主電極領域)13をGeに形成したSi−Geヘテロ接合等であっても構わない。
【0091】
このように、本発明はここでは記載していない様々な実施形態等を含むことは勿論である。したがって、本発明の技術的範囲は上記の説明から妥当な特許請求の範囲に係る発明特定事項によってのみ定められるものである。
【符号の説明】
【0092】
1…メモリセルアレイ
2…トップ・ページバッファ
3…ボトム・ページバッファ
4…レフト・ロウデコーダ/チャージポンプ
5…ライト・ロウデコーダ/チャージポンプ
11…半導体層
12,12i,12j,12p〜12t…ドレイン領域(第1主電極領域)
13,13i,13j,13p〜13t…ソース領域(第2主電極領域)
14,14a,14b…埋込領域
15,16,15a,16a,15b,16b…電流阻止領域
17,31,32,33,…共通主電極領域
21…素子分離絶縁膜
21B…活性領域
22…ゲート絶縁膜
23…第1主電極配線
24,24a,24b…ゲート電極
25…層間絶縁膜
27…第2主電極配線
41…浮遊ゲート電極
42…電極間絶縁膜
43…制御ゲート電極
44…列方向セル分離絶縁膜
45…層間絶縁膜
46…コンタクトプラグ
51…ブロック層
52…半導体層
53…電荷検出領域
54…絶縁膜
55…転送ゲート電極
57…表面埋込領域
58…ピニング層
71…第1オフセット領域
72…第2オフセット領域
73…第1電流阻止領域
74…第2電流阻止領域
75…第3オフセット領域
76…第4オフセット領域
77…第1電流阻止領域対向領域
78…第2電流阻止領域対向領域
WL1k,WL2k,…,WL32k,WL1k-1…ワード線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一部がチャネル領域として機能する第1導電型の半導体層と、
前記チャネル領域を少なくとも囲み、前記半導体層の上部に活性領域を定義する素子分離絶縁膜と、
前記活性領域の一方に設けられた第2導電型の第1主電極領域と、
前記活性領域の他方に設けられた第2導電型の第2主電極領域と、
前記活性領域の表面に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に設けられ、前記第1主電極領域と前記第2主電極領域との間の前記チャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に伸延するゲート電極
とを備え、前記チャネル領域への前記キャリアの注入口が、前記素子分離絶縁膜から離間して設けられていることを特徴とする絶縁ゲート型半導体素子。
【請求項2】
前記第1主電極領域が、コンタクト領域と、ゲート幅方向に測った幅が前記コンタクト領域より狭く、接合深さが前記コンタクト領域より浅いオフセット領域とを備え、前記オフセット領域の端部を前記キャリアの注入口とすることを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
【請求項3】
前記第1主電極領域が、前記素子分離絶縁膜の一方の端部に一辺のみを接した矩形をなし、
前記第2主電極領域が、前記素子分離絶縁膜の他方の端部に一辺のみを接した矩形をなすことを特徴とする請求項1に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
【請求項4】
前記ゲート電極の下方に、前記素子分離絶縁膜から離間して設けられ、第2導電型で、前記第1主電極領域及び前記第2主電極領域よりも低不純物密度の埋込領域を更に備えることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
【請求項5】
前記ゲート電極の下方に、前記キャリアの流路を挟むように互いに対向して設けられ、第1導電型で、前記半導体層よりも高不純物密度の電流阻止領域を更に備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型半導体素子。
【請求項6】
少なくとも一部がチャネル領域として機能する第1導電型の半導体層と、
前記チャネル領域を少なくとも囲み、前記半導体層の上部に活性領域を定義する素子分離絶縁膜と、
前記活性領域の一方の端部側に設けられた、第2導電型の第1主電極領域と、
前記活性領域の他方の端部側に設けられた、第2導電型の第2主電極領域と、
前記活性領域の表面に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上に設けられ、前記第1主電極領域と前記第2主電極領域との間の前記チャネル領域を流れるキャリアの流路に直交する方向に平行に伸延する複数のゲート電極と、
平面パターン上、前記複数のゲート電極の間に位置し、前記活性領域の前記第1主電極領域と前記第2主電極領域との間において、第2導電型で、前記第1主電極領域に対して第2主電極領域と機能し、前記第2主電極領域に対して第1主電極領域と機能する共通主電極領域
とを備え、前記チャネル領域への前記キャリアの注入口が、前記素子分離絶縁膜から離間して設けられていることを特徴とする絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項7】
前記第1主電極領域が、前記素子分離絶縁膜の一方の端部に一辺のみを接した矩形をなし、
前記第2主電極領域が、前記素子分離絶縁膜の他方の端部に一辺のみを接した矩形をなすことを特徴とする請求項6に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項8】
前記複数のゲート電極のそれぞれの下方に、前記素子分離絶縁膜から離間してそれぞれ設けられ、第2導電型で、前記第1主電極領域及び前記第2主電極領域よりも低不純物密度の埋込領域を更に備えることを特徴とする請求項6又は7に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項9】
前記複数のゲート電極のそれぞれの下方に、前記キャリアの流路を挟むように互いに対向して前記活性領域にそれぞれ設けられ、第1導電型で、前記半導体層よりも高不純物密度の電流阻止領域を更に備えることを特徴とする請求項6〜8のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項10】
少なくとも一部がチャネル領域として機能する第1導電型の半導体層と、
前記チャネル領域を少なくとも挟むように対向して列方向に伸延し、前記半導体層の上部に列方向に伸延する活性領域を定義する素子分離絶縁膜と、
前記活性領域の内部において前記列方向に配列され、それぞれ前記素子分離絶縁膜から離間して設けられた複数の第2導電型の共通主電極領域と、
前記活性領域の表面に設けられたゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜の上方において、平面パターン上、前記複数の共通主電極領域の間にそれぞれ位置するように、行方向に伸延する複数のゲート電極
とを備え、前記複数の共通主電極領域の内、隣接する一方の共通主電極領域がドレイン領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域がソース領域として機能し、隣接する一方の共通主電極領域がソース領域として機能する場合には、他方の共通主電極領域がドレイン領域として機能するように、複数の絶縁ゲート型半導体素子が列方向に直列接続され、前記チャネル領域へのキャリアの注入口が、前記素子分離絶縁膜から離間して設けられていることを特徴とする絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項11】
前記複数のゲート電極のそれぞれの下方に、前記素子分離絶縁膜から離間して前記活性領域にそれぞれ設けられ、第2導電型で、前記複数の共通主電極領域よりも低不純物密度の埋込領域を更に備えることを特徴とする請求項10に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項12】
前記複数のゲート電極のそれぞれの下方に、前記複数の共通主電極領域の間の前記キャリアの流路を挟むように互いに対向し、前記活性領域にそれぞれ設けられ、第1導電型で、前記半導体層よりも高不純物密度の電流阻止領域を更に備えることを特徴とする請求項10又は11に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項13】
前記複数のゲート電極が半導体記憶装置のワード線としてそれぞれ機能することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項14】
前記素子分離絶縁膜が、列方向に伸延する複数の活性領域を定義するように、前記複数の活性領域をそれぞれ挟んで周期的に配列されたことを特徴とする請求項13に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項15】
前記複数のワード線のそれぞれが、前記半導体記憶装置のメモリセルトランジスタの制御ゲート電極に接続されている、又は前記制御ゲート電極として機能することを特徴とする請求項14に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。
【請求項16】
前記メモリセルトランジスタのそれぞれが、前記制御ゲート電極の下に電極間絶縁膜を介して浮遊ゲート電極を更に備え、前記浮遊ゲート電極が前記ゲート絶縁膜の上に設けられていることを特徴とする請求項15に記載の絶縁ゲート型半導体集積回路。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【公開番号】特開2011−114036(P2011−114036A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−266622(P2009−266622)
【出願日】平成21年11月24日(2009.11.24)
【出願人】(508261493)株式会社ブルックマンテクノロジ (8)
【Fターム(参考)】