表示装置及び表示装置の製造方法
【課題】表示装置の薄膜トランジスタ基板において、水素プラズマ処理時の水素による影響を低減する。
【解決手段】非晶質ケイ素の膜により形成された非晶質ケイ素層上に形成される銅配線において、第1添加元素として水素化物の生成エネルギーが負の元素、さらに第2添加元素を含む銅を主成分とする合金により形成された銅合金層107Aと、前記銅合金層の上に純銅により形成された純銅層107Bとを有する薄膜トランジスタ基板を備える。
【解決手段】非晶質ケイ素の膜により形成された非晶質ケイ素層上に形成される銅配線において、第1添加元素として水素化物の生成エネルギーが負の元素、さらに第2添加元素を含む銅を主成分とする合金により形成された銅合金層107Aと、前記銅合金層の上に純銅により形成された純銅層107Bとを有する薄膜トランジスタ基板を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置及び表示装置の製造方法に関し、より詳しくは、薄膜トランジスタ基板を用いた表示装置、並びにその表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)基板を具備した液晶パネルが大画面サイズの薄型テレビに適用されている。近年、動画質向上のために駆動周波数が高速化しており、これに伴い信号線の低抵抗化が必要となっている。有機EL(Electro Luminescence)装置を適用した薄型テレビの研究開発も盛んであるが、素子を電流駆動する必要からやはりTFT基板の信号線の低抵抗化が必要となっている。また、薄型テレビは激しい価格競争に晒されている。従って、市場の要求に応えるためには原価低減が必須であり、信号線の形成プロセスにおいてもコストパフォーマンスの良い薄膜材料やプロセス薬液が求められている。
【0003】
従来、低抵抗なTFT基板の信号線を構成するためには抵抗率が約3μΩcmのアルミニウムを主たる導体材料とするMo/Al/Mo積層膜(ここで/は積層の界面を表し、/の右側が下層、/の左側が上層である。以下同様)が用いられてきた。この積層膜の信号線を更に低抵抗化するにはAl層を厚くすることになるが、Mo/Al/Mo積層膜の成膜処理時間が長くなるので生産性を悪化させることのほか、製造歩留り悪化の原因となるヒロック発生の頻度を飛躍的に高めてしまうなどの問題が発生する。
【0004】
アルミニウムを下回る低抵抗率を有し、かつ材料費がリーズナブルである信号線材料として銅がある。銅は、薄膜の抵抗率が約2μΩcmと低く、透明導電膜(一般的には、インジウムを主成分とする酸化物)と直接的に電気的コンタクトを取ることができるという特徴を有している。
【0005】
しかし、下地との付着力が弱いことや、薄膜トランジスタの半導体層であるケイ素に拡散してトランジスタ特性を悪化させ易いといった欠点を有している。
【0006】
特許文献1は、不可避的不純物を含む銅(Cu)に対して0.1〜20at.%固溶する添加元素が添加される銅合金であって、前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、かつ、Cu中における添加元素の拡散係数がCuの自己拡散係数より大きい銅合金を採用することについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/025347号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水素プラズマによる影響を低減することを目的とする。その他の新規な目的や構成にあっては、明細書及び図面において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示装置は、薄膜トランジスタを用いる表示装置であって、前記薄膜トランジスタは、非晶質ケイ素の膜により形成された非晶質ケイ素層と、前記非晶質ケイ素層上に形成された銅配線と、を備え、前記銅配線は、リチウム、パラジウム及びイットリウムのうちから少なくとも一種の元素を第1添加元素として含む銅を主成分とする合金により形成された第1銅合金層を有する、ことを特徴とする表示装置である。
【0010】
さらに、前記第1銅合金層は、アルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、シリコン、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素であって、前記第1添加元素以外の元素を、第2添加元素として含む、ことを特徴とする。ここで、第1添加元素は、リチウム及びイットリウムうち少なくとも一種であれば特によい。
【0011】
また、本発明の表示装置は、前記銅配線であって、前記第1銅合金層上に純銅により形成された純銅層を更に有し、前記第1銅合金層は、前記非晶質ケイ素層上に形成され、前記純銅層は、前記第1銅合金層上に形成されている、とすることができる。ここで、「純銅」とは銅を99.90%以上含むものを意味する。
【0012】
また、前記銅配線は、前記非晶質ケイ素層上に、銅を主成分とする合金により形成された第2銅合金層と、前記第2銅合金層上に純銅により形成された純銅層と、を有し、更に第2添加元素としてアルミニウム、ベリリウム、マンガン、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種を添加した第1銅合金層の場合、前記純銅層上に形成される、とすることができる。
【0013】
本発明の表示装置の製造方法は、薄膜トランジスタを用いる表示装置の製造方法であって、ドープした非晶質ケイ素膜を成膜する非晶質ケイ素膜成膜工程と、前記ドープした非晶質ケイ素膜の表面を酸化する工程の後に、リチウム、パラジウム及びイットリウムのうちから少なくとも一種の元素を第1添加元素として含み、更にアルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、シリコン、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素であって、前記第1添加元素以外の元素を第2添加元素として含む銅を主成分とする合金により形成された銅合金膜を成膜する銅合金膜成膜工程と、純銅により形成された純銅膜を成膜する純銅膜成膜工程と、前記銅合金膜と前記純銅膜とをエッチングし、銅配線を形成する銅配線形成工程と、前記銅配線を形成しなかった箇所のドープした非晶質ケイ素膜を除去した後、水素プラズマを照射する水素プラズマ照射工程と、を備える表示装置の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す図である。
【図2】図1の液晶表示パネルの構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図6】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図8】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図10】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図12】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図13】第1実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板を使用した液晶パネルの一部断面を概略的に示す図である。
【図14】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図15】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図16】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図17】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図18】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図19】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図20】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図21】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図22】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図23】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図24】第2実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板を使用した液晶パネルの一部断面を概略的に示す図である。
【図25】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図26】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図27】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図28】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図29】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程の変形例により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図30】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程の変形例を示す図である。
【図31】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図32】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図33】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図34】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図35】第3実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板を使用した液晶パネルの一部断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
薄膜トランジスタ製造工程において、ソース・ドレイン電極形成し、ドープしたコンタクト層をエッチング加工した後に水素プラズマ処理を行うことが知られている。銅は、水素が拡散し易い材料であるため、水素プラズマ処理により、コンタクト層との界面付近まで水素が侵入しコンタクト層とソース・ドレイン電極との密着性を大きく低下させるといった欠点を有している。
【0016】
従来例では、下地のシリコン酸化物との界面に添加元素の酸化物を形成し密着性を確保しているが、水素プラズマ処理で拡散した水素により酸化物層が還元され、密着性が低下する可能性が考えられる。以下に、水素プラズマによる影響を低減した薄膜トランジスタを用いた表示装置について述べる。
【0017】
まず、本発明の表示装置に係る薄膜トランジスタ基板の配線に用いられる銅合金の添加元素を定めた理由について説明する。
【0018】
第1の添加元素の要件として、「水素化物の生成自由エネルギが負」という要件がある。この要件は、添加元素が水素プラズマ処理により発生した水素をトラップするために重要な要件である。
【0019】
さらなる要件としては、「銅中における固溶限が0.1原子%よりも大きい」という要件である。この要件は、添加元素が銅を主成分とする合金中で析出せず、銅合金結晶内で固溶し均一分散するための要件である。
【0020】
第2の添加元素としての要件は、その果たす機能により異なる。
【0021】
第1の要件は、「酸化反応の平衡酸素ポテンシャルがケイ素の酸化反応の平衡酸素ポテンシャルよりも低い」という要件である。この要件は、第2の添加元素が、ドープした非晶質ケイ素膜の表面に酸化処理により形成された酸化膜から酸素を奪って酸化するための要件である。
【0022】
第2の要件は、「銅中における固溶限が0.1原子%よりも大きい」という要件である。この要件は、添加元素が銅を主成分とする合金中で析出せずに界面での酸化反応に有効に寄与させるための要件である。従って、第1要件及び第2要件を同時に満たすことによって、酸素を含有する絶縁体(酸化ケイ素)や予備酸化した半導体層のコンタクト層を下地とした場合に、銅を主成分とする合金と下地との界面に添加元素の酸化物を析出させることができる。または、銅を主成分とする合金と下地との界面に密着性を発現するような親和性を付与することができる。
【0023】
第3の要件は、「230℃の銅中における拡散定数が10−21m2/sよりも小さい」という要件である。この要件は、99.9%以上の純度を有する銅に添加元素を拡散させないための要件であり、これによって純銅の抵抗率が上昇することを防止し、低抵抗な映像信号線を得ることが可能となる。
【0024】
以上の第1要件〜第3要件をすべて満足することにより、予備酸化を施した半導体層のコンタクト層の上にソース電極及びドレイン電極を形成でき、低抵抗な映像信号線も形成することができる。
【0025】
第4の要件は、「銅酸化物よりもエッチング液に対する溶解度が大きい金属元素酸化物を形成する金属元素であり、かつ銅よりも耐食性が良い」という要件である。配線のパタン断面の形状は順テーパ状が望ましい。低抵抗率な銅も、動画質向上等の高性能化に伴い、更なる低抵抗化が必要になる。その場合の一手法として純銅層の厚膜化が考えられる。厚膜化した場合の、問題点の一つとしてエッチング後の断面形状が垂直になりやすい。断面形状が垂直になると、その上層に積層される絶縁膜のカバレッジが悪く、層間短絡などの不良を誘発する可能性がある。そこで、よりテーパ形状を得られ易くするためとして、酸化物の溶解度の大きい金属元素を添加し、純銅の上層に配置することによりテーパ形状を得られ易くするという要件である。
【0026】
本発明における第1の添加元素の要件を満足する添加元素として、リチウム、パラジウム及びイットリウムうち少なくとも一種の元素が挙げられる。前記元素を一種以上銅に添加することで水素プラズマ処理により発生した水素と水素化物を形成し下地までの進入を防止することが可能となる。
【0027】
一方、第2添加元素において、第1要件〜第3要件を満たす元素として、アルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、スカンジウム、チタン及びジルコニウムうち少なくとも一種が挙げられる。
【0028】
また、第4要件を満たす元素として、アルミニウム、ベリリウム、マンガン、バナジウム及び亜鉛うち少なくとも一種が挙げられる。
【0029】
本発明における第2の添加元素において、第1要件から第3要件を満たす元素は、密着性に寄与することより、純銅層の下層に配置することが望ましい。また、第4要件を満たす元素の場合、銅配線のテーパ形状をより得られ易くすることより、純銅層の上層に配置することが望ましい。
【0030】
銅合金中の第1添加元素の添加量は0.1原子%よりも大きいことが望ましい。更には、銅への固溶限以下であることが望ましい。また、第2添加元素の含有量は0.1原子%よりも大きいことが望ましい。更には、銅への固溶限以下であることが望ましい。ここで、酸化反応の平衡酸素ポテンシャルは次式の左辺または右辺で定義される。
【0031】
【数1】
【0032】
上式において、Rは気体定数、Tは絶対温度、pは平衡酸素分圧、nは酸化物の酸素の化学量論数、ΔGは酸化物の生成自由エネルギーである。酸化物の生成自由エネルギーの値は、例えば「Ihsan Barin,THERMOCHEMICAL DATA OF PURE SUBSTANCES,VHC(1993)」などのデータベースに記載されている。
【0033】
また、銅中における金属元素の固溶限は、例えば、「ASM HANDBOOK Volume 3,Alloy Phase Diagrams」などに記載されている二元合金状態図から読み取ることができる。
【0034】
また、熱工程の時間をtとすると、拡散距離はπDtの平方根として与えられるが、拡散係数Dが10−21(m2/s)よりも小さければ熱工程の時間を30分と見積っても拡散距離は数nm程度である。従って、Cu/Cu合金の上層CuへのCu合金添加元素の拡散距離はその膜厚(100nm〜)に対して無視しうる程度に制限できる。拡散定数の値は、日本金属学界編「金属データブック」などに記載されている頻度因子と活性化エネルギーのデータベースからアレニウス式を用いて求めることができる。
【0035】
以下、本発明の第1実施形態乃至第3実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、第1実施形態乃至第3実施形態では、インプレインスイッチング型液晶表示装置のTFT基板の製造方法について示している。各実施形態では、各フォトリソグラフィ工程ごとに部分断面図と工程図が示されており、部分断面図では、フォトレジストを除去した段階を示している。以下の説明で、レジストパタン形成とは、フォトレジストの塗布からマスクを使用した選択露光を経てそれを現像しベークするまでの一連の工程を示すものとし、繰返しの説明は避ける。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、本発明の液晶表示装置の一実施形態に係る液晶表示装置10を概略的に示す図である。この図に示されるように、液晶表示装置10は、上フレーム11及び下フレーム12に挟まれるように固定された液晶パネル20及び不図示のバックライト装置等から構成されている。
【0037】
図2には、図1の液晶パネル20の構成が示されている。液晶パネル20は、第1実施形態の製造方法により製造されたTFT基板100とカラーフィルタ基板21の2枚の基板を有し、これらの基板の間には液晶組成物が封止されている。TFT基板100には、駆動回路22により制御されるゲート信号線24及び駆動回路23により制御されるドレイン信号線25が張り巡らされ、これらの信号線は、液晶表示装置10の一画素として機能するセル26を形成している。なお、液晶パネル20は、その表示の解像度に対応する数のセル26を有するが、図2では、図が煩雑にならないよう、簡略化して示している。
【0038】
図3には、TFT基板100の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程171により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図4には第1フォトリソグラフィ工程171が示されている。これらの図に示されるように、第1フォトリソグラフィ工程171では、まず、無アルカリガラスからなるガラス基板101上にインジウム錫酸化物からなる透明導電膜102をスパッタリングにより成膜する(ステップS111)。ここで、透明導電膜102は、インジウム亜鉛酸化物、インジウム錫亜鉛酸化物であってもよい。膜厚は10nm〜150nmの程度であり、約20nm〜50nmが好適である。続いて、Cu/CuX合金103をマグネトロンスパッタリングにより成膜する(ステップS111)。Cu/CuX合金103の膜厚はCuが約200nm〜400nm、CuX合金は10nm〜100nmが好適である。本実施例では、CuX合金のXにマンガンを用いて実施した。他のアルミニウムやマグネシウム等でも良い。
【0039】
次に、ハーフ露光マスクを用いてレジストパタンを形成する(ステップS112)。ここで、走査信号線、共通信号線を構成する部分には露光をせずレジストを厚く形成し、共通(透明)電極を形成する部分はハーフ露光としてレジストを薄く形成する。その後、Cu/CuX合金103を選択的にエッチング除去し(ステップS113)、続いて透明導電膜を選択的にエッチング除去する(ステップS114)。次に、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS115)。アッシングの後、ハーフ露光部のCu/CuX合金103を選択的にエッチング除去し(ステップS116)、レジストを剥離する(ステップS117)。
【0040】
図5には、TFT基板100の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程172により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図6には第2フォトリソグラフィ工程172が示されている。これらの図に示されるように、第2フォトリソグラフィ工程172では、まず、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜104と、非晶質ケイ素からなる半導体層105と、ドープした非晶質ケイ素(n+型)からなるコンタクト層106をプラズマ化学蒸着法で連続的に成膜し(ステップS121)、酸素プラズマによりコンタクト層の表面を予備酸化する(ステップS122)。
【0041】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS123)、コンタクト層106、半導体層105を選択的にエッチング除去し(ステップS124)、レジストを剥離すると、いわゆる島状パタンが形成される(ステップS125)。以上の工程により、走査信号線(ゲート電極、走査信号線端子を含む)、共通信号線(共通信号線端子を含む)、共通(透明)電極が形成される。
【0042】
図7には、TFT基板100の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程173により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図8には第3フォトリソグラフィ工程173が示されている。これらの図に示されるように、第3フォトリソグラフィ工程173では、まず、第1添加元素としてリチウムを5原子%、第2添加元素としてマンガンを5原子%添加した銅を主成分とする合金からなる銅合金層107Aと99.99%純度の純銅からなる純銅層107Bとをマグネトロンスパッタリングにより連続成膜する(ステップS131)。銅を主成分とする合金からなる銅合金層107Aの膜厚は10nm〜100nmの程度であり、約20nm〜50nmが好適である。純銅層107Bの膜厚は100nm〜1000nmの程度であり、約200nm〜500nmが好適である。
【0043】
なお、銅合金の添加元素のうち、まず第1添加元素は本実施例のリチウムのほか、パラジウム、イットリウムが好適である。中でもイットリウムが特に良い。
【0044】
また、第2添加元素は、本実施例のマンガンのほか、アルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウムが好適である。
【0045】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS132)、純銅層と銅合金層とを選択的にエッチング除去し(ステップS133)、コンタクト層を選択的にエッチング除去し(ステップS134)、レジストを剥離すると(ステップS135)、ドレイン電極(映像信号線及び映像信号線端子を含む)、及びソース電極が形成される。
【0046】
ここで、TFT基板のリーク電流低減、移動度の増加等特性向上を目的とした水素プラズマ処理を行う。水素化によるシリコン中のダングリングボンドを水素により終端する方法である。前記工程を経た基板にプラズマCVD装置を用いて水素プラズマ処理を施した。基板温度は100℃、処理時間は120秒で行った。
【0047】
水素プラズマ処理後の配線パタンを観察したところ、コンタクト層上の銅配線に剥がれなどの不具合はなく、良好な密着性を有していることを確認した。また、100℃より高温の230℃で水素プラズマ処理を施したところ、良好な密着性を有していることを確認した。
【0048】
図9には、TFT基板100の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程174により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図10には第4フォトリソグラフィ工程174が示されている。これらの図に示されるように、第4フォトリソグラフィ工程174では、まず、窒化ケイ素からなる保護絶縁膜108をプラズマ化学蒸着法で成膜する(ステップS141)。保護絶縁膜108の成膜温度は約230℃であり、この時、第3フォトリソグラフィ工程173で形成した予備酸化したコンタクト層106と銅合金層107Aとの界面で、銅合金層107Aの添加元素であるマンガンの酸化反応が起こり、薄いマンガン酸化物の酸化物層110が生成する。この酸化物層110のマンガン酸化物が純銅層107Bと銅合金層107Aの銅のコンタクト層106と半導体層105への拡散及びコンタクト層106からのシリコンの拡散を遮断するバリア層として、または密着層として機能する。なお、本実施形態では、保護絶縁膜成膜時に酸化物層を形成したが、水素プラズマ処理前に予め熱処理等を施し酸化物層を形成しても良い。
【0049】
ここで銅合金層107Aの添加元素の酸化物層膜厚は0.5nm〜5nmであり1nm〜2nm程度が好適である。
【0050】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS142)、ソース電極上の保護絶縁膜にスルーホール109を開口し、同時に映像信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜にスルーホール(図示せず)を開口し、同時に走査信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜とゲート絶縁膜にスルーホール(図示せず)を開口し(ステップS143)、レジストを剥離する(ステップS144)。
【0051】
図11には、TFT基板100の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程175により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図12には第5フォトリソグラフィ工程175が示されている。これらの図に示されるように、第5フォトリソグラフィ工程175では、まず、インジウム錫酸化物からなる透明導電膜111をスパッタリングにより成膜する(ステップS151)。まず、バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS152)、画素電極、走査信号線端子、共通信号線端子、映像信号線端子のパタン部を除き透明導電膜111を選択的にエッチング除去し(ステップS153)、レジストを剥離する(ステップS154)。以上の工程により液晶表示装置のTFT基板100が完成する。
【0052】
図13には、以上の工程により製造された液晶表示装置のTFT基板100を使用した液晶パネル150の一部断面が概略的に示されている。液晶パネルは、上述の第1フォトリソグラフィ工程171〜第5フォトリソグラフィ工程175により製造されたTFT基板100と、液晶120と、カラーフィルタ基板21とにより構成されている。この図に示されるように、TFT基板100の映像信号線であるドレイン線、ソース電極、及び共通電極は、銅により配線されている。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、水素プラズマ処理においても、銅合金層107Aの存在により、酸化物層110が還元されるのを抑制し、銅配線とコンタクト層106との密着性を保つことができる。
【0054】
また、TFT基板100は純銅により配線されるため、TFT基板100の消費電力を低下させることができる。
【0055】
[第2実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板200について説明する。なお、このTFT基板200が使用される液晶表示装置の構成は、第1実施形態における図1の液晶表示装置10及び図2の液晶パネル20の構成と同様であるため、これらの構成については説明を省略する。
【0056】
図14には、TFT基板200の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程271により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図15には第1フォトリソグラフィ工程271が示されている。これらの図に示されるように、第1フォトリソグラフィ工程271では、まず、無アルカリガラスからなるガラス基板201上にインジウム錫酸化物からなる透明導電膜202をスパッタリングにより成膜する(ステップS211)。ここで、透明導電膜202は、インジウム亜鉛酸化物、インジウム錫亜鉛酸化物であってもよい。膜厚は10nm〜150nmの程度であり、約20nm〜50nmが好適である。続いて、Cu/CuX合金203をマグネトロンスパッタリングにより成膜する(ステップS211)。Cu/CuX合金203の膜厚はCuが約200nm〜400nm、CuX合金は10nm〜100nmが好適である。本実施例では、CuX合金のXにマンガンを用いて実施した。他のアルミニウムやマグネシウム等でも良い。
【0057】
次に、ハーフ露光マスクを用いてレジストパタンを形成する(ステップS212)。ここで、走査信号線、共通信号線を構成する部分には露光をせずレジストを厚く形成し、共通(透明)電極を形成する部分はハーフ露光としてレジストを薄く形成する。その後、Cu/CuX合金203を選択的にエッチング除去し(ステップS213)、続いて透明導電膜202を選択的にエッチング除去する(ステップS214)。次に、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS215)。アッシングの後、ハーフ露光部のCuXを選択的にエッチング除去し(ステップS216)、レジストを剥離する(ステップS217)。
【0058】
図16には、TFT基板200の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程272により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図17には第2フォトリソグラフィ工程272が示されている。これらの図に示されるように、第2フォトリソグラフィ工程272では、まず、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜204と、非晶質ケイ素からなる半導体層205と、ドープした非晶質ケイ素(n+型)からなるコンタクト層206をプラズマ化学蒸着法で連続的に成膜し(ステップS221)、酸素プラズマによりコンタクト層206の表面を予備酸化する(ステップS222)。
【0059】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS223)、コンタクト層206、半導体層205を選択的にエッチング除去し(ステップS224)、レジストを剥離すると(ステップS225)、いわゆる島状パタンが形成される。以上の工程により、走査信号線(ゲート電極、走査信号線端子を含む)、共通信号線(共通信号線端子を含む)、共通(透明)電極が形成される。
【0060】
図18には、TFT基板200の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程273により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図19には第3フォトリソグラフィ工程273が示されている。これらの図に示されるように、第3フォトリソグラフィ工程273では、まず、初層としてCuMn合金層207Aを40nm成膜し、次いで、99.99%純度の純銅からなる純銅層207Bを600nm成膜し、さらに第1添加元素としてイットリウムを3原子%、第2添加元素としてアルミニウムを5原子%添加した銅を主成分とする合金からなる銅合金層207Cを60nmマグネトロンスパッタリングにより連続成膜する(ステップS231)。銅を主成分とする合金からなる銅合金層207Cの膜厚は10nm〜100nmの程度であり、約20nm〜60nmが好適である。純銅層207Bの膜厚は100nm〜1000nmの程度であり、約200nm〜600nmが好適である。
【0061】
なお、銅合金層207Cの銅合金の添加元素のうち、まず第1添加元素は本実施例のイットリウムのほか、リチウム、パラジウム、が好適である。中でもリチウムが特に良い。
【0062】
また、第2添加元素は、本実施例のアルミニウムのほか、ベリリウム、マンガン、バナジウム、亜鉛が好適である。
【0063】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS232)、銅合金層207Cと純銅層207BとCuMn合金層207Aとを選択的にエッチング除去し(ステップS233)、コンタクト層206を選択的にエッチング除去し(ステップS234)、レジストを剥離すると(ステップS235)、ドレイン電極(映像信号線及び映像信号線端子を含む)、及びソース電極が形成される。
【0064】
エッチング後のドレイン電極、ソース電極の側面形状を観察した結果、厚膜(600nm)の純銅層207Bが順テーパ形状であることを確認した。
【0065】
ここで、TFT基板200のリーク電流低減、移動度の増加等特性向上を目的とした水素プラズマ処理を行う。水素化によるシリコン中のダングリングボンドを水素により終端する方法である。前記工程を経た基板にプラズマCVD装置を用いて水素プラズマ処理を施した。基板温度は100℃、処理時間は120秒で行った。
【0066】
水素プラズマ処理後の配線パタンを観察したところ、コンタクト層206上の銅配線に剥がれなどの不具合はなく、良好な密着性を有していることを確認した。また、100℃より高温の230℃で水素プラズマ処理を施したところ、良好な密着性を有していることを確認した。
【0067】
図20には、TFT基板200の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程274により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図21には第4フォトリソグラフィ工程274が示されている。これらの図に示されるように、第4フォトリソグラフィ工程274では、まず、窒化ケイ素からなる保護絶縁膜208をプラズマ化学蒸着法で成膜する(ステップS241)。保護絶縁膜208の成膜温度は約230℃であり、この時、第3フォトリソグラフィ工程273で形成した予備酸化したコンタクト層206とCuMn合金層207Aとの界面で、添加元素の酸化反応が起こり、薄い添加元素酸化物の酸化物層210が生成する。この酸化物が純銅層207Bと銅合金層207Cの銅のコンタクト層206と半導体層205への拡散及びコンタクト層206からのシリコンの拡散を遮断するバリア層として、または密着層として機能する。
【0068】
ここで銅合金層の添加元素の酸化物層膜厚は0.5nm〜5nmであり1nm〜2nm程度が好適である。
【0069】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS242)、ソース電極上の保護絶縁膜にスルーホールを開口し、同時に映像信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜にスルーホール(図示せず)を開口し、同時に走査信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜とゲート絶縁膜にスルーホール(図示せず)を開口し(ステップS243)、レジストを剥離する(ステップS244)。
【0070】
図22には、TFT基板200の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程275により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図23には第5フォトリソグラフィ工程275が示されている。これらの図に示されるように、第5フォトリソグラフィ工程275では、まず、インジウム錫酸化物からなる透明導電膜211をスパッタリングにより成膜する(ステップS251)。まず、バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS252)、画素電極、走査信号線端子、共通信号線端子、映像信号線端子のパタン部を除き透明導電膜を選択的にエッチング除去し(ステップS253)、レジストを剥離する(ステップS254)。以上の工程により液晶表示装置のTFT基板200が完成する。
【0071】
図24には、以上の工程により製造された液晶表示装置のTFT基板200を使用した液晶パネル250の一部断面が概略的に示されている。液晶パネル250は、上述の第1フォトリソグラフィ工程271〜第5フォトリソグラフィ工程275により製造されたTFT基板200と、液晶213と、カラーフィルタ基板21とにより構成されている。この図に示されるように、TFT基板200の映像信号線であるドレイン線、ソース電極、及び共通電極は、銅により配線されている。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、水素プラズマ処理においても、銅合金層207Cの存在により、酸化物層210が還元されるのを抑制し、銅配線とコンタクト層206との密着性を保つことができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、銅合金層207Cの存在により厚膜化した純銅層207Bにおいても良好なテーパ形状を得ることができる。
【0074】
また、TFT基板200は純銅により配線されるため、TFT基板200の消費電力を低下させることができる。
【0075】
[第3実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板300について説明する。なお、このTFT基板300が使用される液晶表示装置の構成は、第1実施形態における図1の液晶表示装置10及び図2の液晶パネル20の構成と同様であるため、これらの構成については説明を省略する。
【0076】
第1実施形態では、5回のフォトリソグラフィを用いたが、本実施形態では4回のフォトリソグラフィを用いる。第1実施形態と同様に、図25から図34までの各図において、図25、図27、図29、図31及び図33は薄膜トランジスタ部分、図26、図28、図30、図32及び図34は工程の流れを示す。なお、図29及び図30は、図27及び図28の工程を代替する工程を示している。以下区分けした工程に従って説明する。
【0077】
図25には、TFT基板300の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程371により形成されるTFT基板300の断面が概略的に示されている。また、図26には第1フォトリソグラフィ工程371が示されている。これらの図に示されるように、まず、無アルカリガラスからなる基板301上にインジウム錫酸化物からなる透明導電膜302をスパッタリングにより成膜する。ここで、透明導電膜は、インジウム亜鉛酸化物及びインジウム錫亜鉛酸化物のいずれであってもよい。膜厚は10nm〜150nmの程度であり、約50nmが好適である。続いて、第1実施形態と同様に、Cu/CuX合金303をマグネトロンスパッタリングにより連続成膜する(ステップS311)。
【0078】
次に、ハーフ露光マスクを用いたフォトリソグラフィによってレジストパタンを形成する(ステップS312)。ここで、走査信号線及び共通信号線を構成する部分には露光をせずレジストを厚く形成し、共通(透明)電極を形成する部分はハーフ露光としてレジストを薄く形成する。フォトリソグラフィの後、Cu/CuX合金303をエッチングし(ステップS313)、続いて透明導電膜302をエッチングする(ステップS314)。ここで、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS315)。アッシングの後、ハーフ露光部のCu/CuX合金303をエッチングし、その後レジストを剥離する(ステップS317)。
【0079】
以上の工程により、走査信号線(ゲート電極、走査信号線端子を含む)、共通信号線(共通信号線端子を含む)及び共通(透明)電極が形成される。
【0080】
図27には、TFT基板300の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程372aにより形成されるTFT基板300の断面が概略的に示されている。また、図28には第2フォトリソグラフィ工程372aが示されている。これらの図に示されるように、まず、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜304と、非晶質ケイ素からなる半導体層305と、ドープした非晶質ケイ素(n+型)からなるコンタクト層306をプラズマ化学蒸着法で連続的に成膜し(ステップS321a)、酸素プラズマによりコンタクト層306の表面を予備酸化する(ステップS322a)。
【0081】
続いて、イットリウムを4原子%、マンガンを3原子%とを含有し銅を主成分とする第1合金層307Aと99.99%純度の純銅層307Bをマグネトロンスパッタリングにより連続成膜する(ステップS323a)。第1合金層307Aの膜厚は10nm〜100nmの程度であり、約20nm〜50nmが好適である。純銅の膜厚は100nm〜1000nmの程度であり、約200nm〜500nmが好適である。
【0082】
次に、ハーフ露光マスクを用いたフォトリソグラフィによってレジストパタンを形成する(ステップS324a)。ここで、ドレイン電極(映像信号線、映像信号線端子を含む)、及びソース電極を構成する部分には露光をせずレジストを厚く形成し、半導体層305の島パタンを形成する部分はハーフ露光としてレジストを薄く形成する。フォトリソグラフィの後、純銅層307B及び第1合金層307Aをエッチングし(ステップS325a)、続いてドープした非晶質ケイ素(n+型)層306と半導体層305をエッチングする(ステップS326a)。ここで、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS327a)。アッシングの後、ハーフ露光部の純銅/第1合金層の積層膜をエッチングし(ステップS328a)、引き続き、ドープした非晶質ケイ素(n+型)層306をエッチングすることで薄膜トランジスタのチャネルを分離し(ステップS329a)、レジストを剥離する(ステップS330a)。以上の工程により、ドレイン電極(映像信号線、映像信号線端子を含む)、ソース電極及び半導体層305の島パタンが形成される。
【0083】
図29及び図30には、図27及び図28に示した第2フォトリソグラフィ工程372aの変形例である第2フォトリソグラフィ工程372bが示されている。これらの図に示されるように、まず、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜304と、非晶質ケイ素からなる半導体層305と、ドープした非晶質ケイ素(n+型)層306をプラズマ化学蒸着法で連続的に成膜し(ステップS321b)、酸素プラズマによりコンタクト層306の表面を予備酸化する(ステップS322b)。続いて、第1合金層307A及び純銅層307Bを連続成膜する(ステップS323b)。
【0084】
次に、ハーフ露光マスクを用いたフォトリソグラフィによってレジストパタンを形成する(ステップS324b)。ここで、レジストパタンはドレイン電極(映像信号線、映像信号線端子を含む)及びソース電極を構成する部分に形成され、その内薄膜トランジスタのチャネル周辺には露光をせずにレジストを厚く形成し、その他の部分にはハーフ露光としてレジストを薄く形成する。フォトリソグラフィの後、第1合金層307A及び純銅層307Bの積層膜をエッチングすることによりドレイン電極(映像信号線、映像信号線端子を含む)及びソース電極を形成し、非晶質ケイ素(n+型)層306をエッチングすることにより薄膜トランジスタのチャネルを分離する(ステップS325b)。
【0085】
続いて、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS326b)。なお、このハーフ露光部のレジスト除去工程は省略可能である。引き続き、残りのレジストをリフローし薄膜トランジスタのチャネル部をレジストで埋める(ステップS327b)。引き続き、半導体層305をエッチングし(ステップS328b)、レジスト剥離することで半導体層305の島パタンが形成される(ステップS329b)。
【0086】
ここで、第1実施形態と同様に水素プラズマ処理を実施した。水素プラズマ処理後のチャネル部分を観察した結果、銅配線の剥がれは認められなかった。
【0087】
図31には、TFT基板300の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程373により形成されるTFT基板300の断面が概略的に示されている。また、図32には第3フォトリソグラフィ工程373が示されている。これらの図に示されるように、まず、窒化シリコンからなる保護絶縁膜308をプラズマ化学蒸着法で成膜する(ステップS331)。この成膜温度は約230℃である。この時、第2フォトリソグラフィ工程372aで形成した予備酸化(ステップS322a)したコンタクト層306とイットリウムーマンガンとを含有し銅を主成分とする第1合金層307Aとの界面で、添加元素の酸化反応が起こり、薄い添加元素酸化物(本実施例の場合はマンガン酸化物)の酸化物層310が生成する。この酸化物層が純銅層307Bと第1合金層307Aの銅のコンタクト層306と半導体層305への拡散を遮断するバリア層として、または密着層として機能する。バイナリ露光マスクによるフォトリソグラフィの後(ステップS332)、ソース電極上および映像信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜308にスルーホール309を開口し、同時に走査信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜308とゲート絶縁膜304にスルーホール309を開口し(ステップS333)、レジストを剥離する(ステップS334)。
【0088】
図33には、TFT基板300の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程374により形成されるTFT基板300の断面が概略的に示されている。また、図34には第4フォトリソグラフィ工程374が示されている。これらの図に示されるように、インジウム錫酸化物からなる透明導電膜311をスパッタリングにより成膜する(ステップS341)。まず、バイナリ露光マスクによるフォトリソグラフィの後(ステップS342)、画素電極311、走査信号線端子(図示せず)、共通信号線端子(図示せず)及び映像信号線端子(図示せず)のパタンをエッチング加工し(ステップS343)、レジストを剥離する(ステップS344)。以上の工程により4回のフォトリソグラフィを用いても、液晶表示装置のTFT基板300を作製することができる。
【0089】
図35には、以上の工程により製造された液晶表示装置のTFT基板300を使用した液晶パネル350の一部断面が概略的に示されている。この図に示されるように、TFT基板300の映像信号線であるドレイン線、ソース電極及び共通電極は銅により配線されている。
【0090】
なお、第1実施形態乃至第3実施形態においては、IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置のTFT基板を用いることとしているが、TN(Twisted Nematic)方式及びVA(Vertical Alignment)方式のうちのいずれの方式のTFT基板であってもよい。
【0091】
また、第1実施形態及び第3実施形態においては、銅合金層107A及び銅合金層307Aは銅配線の下層に配置され、第2実施形態においては、銅合金層207Cは銅配線の上層に配置した。添加元素の要件により銅合金層は純銅層の上層、下層に配置される。
【0092】
また、上述の実施形態においては、液晶表示装置を用いることとしたが、自発光素子を用いた有機EL表示装置のTFT基板等のガラス基板に形成される非晶質ケイ素膜上の銅配線、その他の基板に形成される非晶質ケイ素膜上の銅配線であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 液晶表示装置、11 上フレーム、12 下フレーム、20 液晶パネル、21 カラーフィルタ基板、22 駆動回路、23 駆動回路、24 ゲート信号線、25 ドレイン信号線、26 セル、100 TFT基板、101 ガラス基板、102 透明導電膜、103 銅/銅合金、104 ゲート絶縁膜、105 半導体層、106 コンタクト層、107A 銅合金層、107B 純銅層、108 保護絶縁膜、109 スルーホール、110 酸化物層、111 透明導電膜、120 液晶、150 液晶パネル、200 TFT基板、201 ガラス基板、202 透明導電膜、203 銅/銅合金、204 ゲート絶縁膜、205 半導体層、206 コンタクト層、207A 銅合金層、207B 純銅層、207C 銅合金層、208 保護絶縁膜、210 酸化物層、211 透明導電膜、213 液晶、250 液晶パネル、300 TFT基板、301 ガラス基板、302 透明導電膜、303 純銅/銅合金、304 ゲート絶縁膜、305 半導体層、306 コンタクト層、307A 銅合金層、307B 純銅層、308 保護絶縁膜、309 スルーホール、310 酸化物層、311 透明導電膜、350 液晶パネル、313 液晶。
【技術分野】
【0001】
本発明は表示装置及び表示装置の製造方法に関し、より詳しくは、薄膜トランジスタ基板を用いた表示装置、並びにその表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TFT(Thin Film Transistor:薄膜トランジスタ)基板を具備した液晶パネルが大画面サイズの薄型テレビに適用されている。近年、動画質向上のために駆動周波数が高速化しており、これに伴い信号線の低抵抗化が必要となっている。有機EL(Electro Luminescence)装置を適用した薄型テレビの研究開発も盛んであるが、素子を電流駆動する必要からやはりTFT基板の信号線の低抵抗化が必要となっている。また、薄型テレビは激しい価格競争に晒されている。従って、市場の要求に応えるためには原価低減が必須であり、信号線の形成プロセスにおいてもコストパフォーマンスの良い薄膜材料やプロセス薬液が求められている。
【0003】
従来、低抵抗なTFT基板の信号線を構成するためには抵抗率が約3μΩcmのアルミニウムを主たる導体材料とするMo/Al/Mo積層膜(ここで/は積層の界面を表し、/の右側が下層、/の左側が上層である。以下同様)が用いられてきた。この積層膜の信号線を更に低抵抗化するにはAl層を厚くすることになるが、Mo/Al/Mo積層膜の成膜処理時間が長くなるので生産性を悪化させることのほか、製造歩留り悪化の原因となるヒロック発生の頻度を飛躍的に高めてしまうなどの問題が発生する。
【0004】
アルミニウムを下回る低抵抗率を有し、かつ材料費がリーズナブルである信号線材料として銅がある。銅は、薄膜の抵抗率が約2μΩcmと低く、透明導電膜(一般的には、インジウムを主成分とする酸化物)と直接的に電気的コンタクトを取ることができるという特徴を有している。
【0005】
しかし、下地との付着力が弱いことや、薄膜トランジスタの半導体層であるケイ素に拡散してトランジスタ特性を悪化させ易いといった欠点を有している。
【0006】
特許文献1は、不可避的不純物を含む銅(Cu)に対して0.1〜20at.%固溶する添加元素が添加される銅合金であって、前記添加元素は、酸化物形成自由エネルギーがCuより小さく、かつ、Cu中における添加元素の拡散係数がCuの自己拡散係数より大きい銅合金を採用することについて開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】国際公開第2006/025347号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、水素プラズマによる影響を低減することを目的とする。その他の新規な目的や構成にあっては、明細書及び図面において明らかにする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の表示装置は、薄膜トランジスタを用いる表示装置であって、前記薄膜トランジスタは、非晶質ケイ素の膜により形成された非晶質ケイ素層と、前記非晶質ケイ素層上に形成された銅配線と、を備え、前記銅配線は、リチウム、パラジウム及びイットリウムのうちから少なくとも一種の元素を第1添加元素として含む銅を主成分とする合金により形成された第1銅合金層を有する、ことを特徴とする表示装置である。
【0010】
さらに、前記第1銅合金層は、アルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、シリコン、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素であって、前記第1添加元素以外の元素を、第2添加元素として含む、ことを特徴とする。ここで、第1添加元素は、リチウム及びイットリウムうち少なくとも一種であれば特によい。
【0011】
また、本発明の表示装置は、前記銅配線であって、前記第1銅合金層上に純銅により形成された純銅層を更に有し、前記第1銅合金層は、前記非晶質ケイ素層上に形成され、前記純銅層は、前記第1銅合金層上に形成されている、とすることができる。ここで、「純銅」とは銅を99.90%以上含むものを意味する。
【0012】
また、前記銅配線は、前記非晶質ケイ素層上に、銅を主成分とする合金により形成された第2銅合金層と、前記第2銅合金層上に純銅により形成された純銅層と、を有し、更に第2添加元素としてアルミニウム、ベリリウム、マンガン、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種を添加した第1銅合金層の場合、前記純銅層上に形成される、とすることができる。
【0013】
本発明の表示装置の製造方法は、薄膜トランジスタを用いる表示装置の製造方法であって、ドープした非晶質ケイ素膜を成膜する非晶質ケイ素膜成膜工程と、前記ドープした非晶質ケイ素膜の表面を酸化する工程の後に、リチウム、パラジウム及びイットリウムのうちから少なくとも一種の元素を第1添加元素として含み、更にアルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、シリコン、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素であって、前記第1添加元素以外の元素を第2添加元素として含む銅を主成分とする合金により形成された銅合金膜を成膜する銅合金膜成膜工程と、純銅により形成された純銅膜を成膜する純銅膜成膜工程と、前記銅合金膜と前記純銅膜とをエッチングし、銅配線を形成する銅配線形成工程と、前記銅配線を形成しなかった箇所のドープした非晶質ケイ素膜を除去した後、水素プラズマを照射する水素プラズマ照射工程と、を備える表示装置の製造方法である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1実施形態に係る液晶表示装置を概略的に示す図である。
【図2】図1の液晶表示パネルの構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図4】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図6】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図8】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図10】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図12】第1実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図13】第1実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板を使用した液晶パネルの一部断面を概略的に示す図である。
【図14】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図15】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図16】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図17】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図18】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図19】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図20】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図21】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図22】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図23】第2実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図24】第2実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板を使用した液晶パネルの一部断面を概略的に示す図である。
【図25】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図26】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図27】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図28】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図29】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程の変形例により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図30】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程の変形例を示す図である。
【図31】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図32】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図33】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程により形成されるTFT基板の一部断面を概略的に示す図である。
【図34】第3実施形態に係る液晶表示装置の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程を示す図である。
【図35】第3実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板を使用した液晶パネルの一部断面を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
薄膜トランジスタ製造工程において、ソース・ドレイン電極形成し、ドープしたコンタクト層をエッチング加工した後に水素プラズマ処理を行うことが知られている。銅は、水素が拡散し易い材料であるため、水素プラズマ処理により、コンタクト層との界面付近まで水素が侵入しコンタクト層とソース・ドレイン電極との密着性を大きく低下させるといった欠点を有している。
【0016】
従来例では、下地のシリコン酸化物との界面に添加元素の酸化物を形成し密着性を確保しているが、水素プラズマ処理で拡散した水素により酸化物層が還元され、密着性が低下する可能性が考えられる。以下に、水素プラズマによる影響を低減した薄膜トランジスタを用いた表示装置について述べる。
【0017】
まず、本発明の表示装置に係る薄膜トランジスタ基板の配線に用いられる銅合金の添加元素を定めた理由について説明する。
【0018】
第1の添加元素の要件として、「水素化物の生成自由エネルギが負」という要件がある。この要件は、添加元素が水素プラズマ処理により発生した水素をトラップするために重要な要件である。
【0019】
さらなる要件としては、「銅中における固溶限が0.1原子%よりも大きい」という要件である。この要件は、添加元素が銅を主成分とする合金中で析出せず、銅合金結晶内で固溶し均一分散するための要件である。
【0020】
第2の添加元素としての要件は、その果たす機能により異なる。
【0021】
第1の要件は、「酸化反応の平衡酸素ポテンシャルがケイ素の酸化反応の平衡酸素ポテンシャルよりも低い」という要件である。この要件は、第2の添加元素が、ドープした非晶質ケイ素膜の表面に酸化処理により形成された酸化膜から酸素を奪って酸化するための要件である。
【0022】
第2の要件は、「銅中における固溶限が0.1原子%よりも大きい」という要件である。この要件は、添加元素が銅を主成分とする合金中で析出せずに界面での酸化反応に有効に寄与させるための要件である。従って、第1要件及び第2要件を同時に満たすことによって、酸素を含有する絶縁体(酸化ケイ素)や予備酸化した半導体層のコンタクト層を下地とした場合に、銅を主成分とする合金と下地との界面に添加元素の酸化物を析出させることができる。または、銅を主成分とする合金と下地との界面に密着性を発現するような親和性を付与することができる。
【0023】
第3の要件は、「230℃の銅中における拡散定数が10−21m2/sよりも小さい」という要件である。この要件は、99.9%以上の純度を有する銅に添加元素を拡散させないための要件であり、これによって純銅の抵抗率が上昇することを防止し、低抵抗な映像信号線を得ることが可能となる。
【0024】
以上の第1要件〜第3要件をすべて満足することにより、予備酸化を施した半導体層のコンタクト層の上にソース電極及びドレイン電極を形成でき、低抵抗な映像信号線も形成することができる。
【0025】
第4の要件は、「銅酸化物よりもエッチング液に対する溶解度が大きい金属元素酸化物を形成する金属元素であり、かつ銅よりも耐食性が良い」という要件である。配線のパタン断面の形状は順テーパ状が望ましい。低抵抗率な銅も、動画質向上等の高性能化に伴い、更なる低抵抗化が必要になる。その場合の一手法として純銅層の厚膜化が考えられる。厚膜化した場合の、問題点の一つとしてエッチング後の断面形状が垂直になりやすい。断面形状が垂直になると、その上層に積層される絶縁膜のカバレッジが悪く、層間短絡などの不良を誘発する可能性がある。そこで、よりテーパ形状を得られ易くするためとして、酸化物の溶解度の大きい金属元素を添加し、純銅の上層に配置することによりテーパ形状を得られ易くするという要件である。
【0026】
本発明における第1の添加元素の要件を満足する添加元素として、リチウム、パラジウム及びイットリウムうち少なくとも一種の元素が挙げられる。前記元素を一種以上銅に添加することで水素プラズマ処理により発生した水素と水素化物を形成し下地までの進入を防止することが可能となる。
【0027】
一方、第2添加元素において、第1要件〜第3要件を満たす元素として、アルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、スカンジウム、チタン及びジルコニウムうち少なくとも一種が挙げられる。
【0028】
また、第4要件を満たす元素として、アルミニウム、ベリリウム、マンガン、バナジウム及び亜鉛うち少なくとも一種が挙げられる。
【0029】
本発明における第2の添加元素において、第1要件から第3要件を満たす元素は、密着性に寄与することより、純銅層の下層に配置することが望ましい。また、第4要件を満たす元素の場合、銅配線のテーパ形状をより得られ易くすることより、純銅層の上層に配置することが望ましい。
【0030】
銅合金中の第1添加元素の添加量は0.1原子%よりも大きいことが望ましい。更には、銅への固溶限以下であることが望ましい。また、第2添加元素の含有量は0.1原子%よりも大きいことが望ましい。更には、銅への固溶限以下であることが望ましい。ここで、酸化反応の平衡酸素ポテンシャルは次式の左辺または右辺で定義される。
【0031】
【数1】
【0032】
上式において、Rは気体定数、Tは絶対温度、pは平衡酸素分圧、nは酸化物の酸素の化学量論数、ΔGは酸化物の生成自由エネルギーである。酸化物の生成自由エネルギーの値は、例えば「Ihsan Barin,THERMOCHEMICAL DATA OF PURE SUBSTANCES,VHC(1993)」などのデータベースに記載されている。
【0033】
また、銅中における金属元素の固溶限は、例えば、「ASM HANDBOOK Volume 3,Alloy Phase Diagrams」などに記載されている二元合金状態図から読み取ることができる。
【0034】
また、熱工程の時間をtとすると、拡散距離はπDtの平方根として与えられるが、拡散係数Dが10−21(m2/s)よりも小さければ熱工程の時間を30分と見積っても拡散距離は数nm程度である。従って、Cu/Cu合金の上層CuへのCu合金添加元素の拡散距離はその膜厚(100nm〜)に対して無視しうる程度に制限できる。拡散定数の値は、日本金属学界編「金属データブック」などに記載されている頻度因子と活性化エネルギーのデータベースからアレニウス式を用いて求めることができる。
【0035】
以下、本発明の第1実施形態乃至第3実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、図面において、同一又は同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、第1実施形態乃至第3実施形態では、インプレインスイッチング型液晶表示装置のTFT基板の製造方法について示している。各実施形態では、各フォトリソグラフィ工程ごとに部分断面図と工程図が示されており、部分断面図では、フォトレジストを除去した段階を示している。以下の説明で、レジストパタン形成とは、フォトレジストの塗布からマスクを使用した選択露光を経てそれを現像しベークするまでの一連の工程を示すものとし、繰返しの説明は避ける。
【0036】
[第1実施形態]
図1は、本発明の液晶表示装置の一実施形態に係る液晶表示装置10を概略的に示す図である。この図に示されるように、液晶表示装置10は、上フレーム11及び下フレーム12に挟まれるように固定された液晶パネル20及び不図示のバックライト装置等から構成されている。
【0037】
図2には、図1の液晶パネル20の構成が示されている。液晶パネル20は、第1実施形態の製造方法により製造されたTFT基板100とカラーフィルタ基板21の2枚の基板を有し、これらの基板の間には液晶組成物が封止されている。TFT基板100には、駆動回路22により制御されるゲート信号線24及び駆動回路23により制御されるドレイン信号線25が張り巡らされ、これらの信号線は、液晶表示装置10の一画素として機能するセル26を形成している。なお、液晶パネル20は、その表示の解像度に対応する数のセル26を有するが、図2では、図が煩雑にならないよう、簡略化して示している。
【0038】
図3には、TFT基板100の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程171により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図4には第1フォトリソグラフィ工程171が示されている。これらの図に示されるように、第1フォトリソグラフィ工程171では、まず、無アルカリガラスからなるガラス基板101上にインジウム錫酸化物からなる透明導電膜102をスパッタリングにより成膜する(ステップS111)。ここで、透明導電膜102は、インジウム亜鉛酸化物、インジウム錫亜鉛酸化物であってもよい。膜厚は10nm〜150nmの程度であり、約20nm〜50nmが好適である。続いて、Cu/CuX合金103をマグネトロンスパッタリングにより成膜する(ステップS111)。Cu/CuX合金103の膜厚はCuが約200nm〜400nm、CuX合金は10nm〜100nmが好適である。本実施例では、CuX合金のXにマンガンを用いて実施した。他のアルミニウムやマグネシウム等でも良い。
【0039】
次に、ハーフ露光マスクを用いてレジストパタンを形成する(ステップS112)。ここで、走査信号線、共通信号線を構成する部分には露光をせずレジストを厚く形成し、共通(透明)電極を形成する部分はハーフ露光としてレジストを薄く形成する。その後、Cu/CuX合金103を選択的にエッチング除去し(ステップS113)、続いて透明導電膜を選択的にエッチング除去する(ステップS114)。次に、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS115)。アッシングの後、ハーフ露光部のCu/CuX合金103を選択的にエッチング除去し(ステップS116)、レジストを剥離する(ステップS117)。
【0040】
図5には、TFT基板100の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程172により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図6には第2フォトリソグラフィ工程172が示されている。これらの図に示されるように、第2フォトリソグラフィ工程172では、まず、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜104と、非晶質ケイ素からなる半導体層105と、ドープした非晶質ケイ素(n+型)からなるコンタクト層106をプラズマ化学蒸着法で連続的に成膜し(ステップS121)、酸素プラズマによりコンタクト層の表面を予備酸化する(ステップS122)。
【0041】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS123)、コンタクト層106、半導体層105を選択的にエッチング除去し(ステップS124)、レジストを剥離すると、いわゆる島状パタンが形成される(ステップS125)。以上の工程により、走査信号線(ゲート電極、走査信号線端子を含む)、共通信号線(共通信号線端子を含む)、共通(透明)電極が形成される。
【0042】
図7には、TFT基板100の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程173により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図8には第3フォトリソグラフィ工程173が示されている。これらの図に示されるように、第3フォトリソグラフィ工程173では、まず、第1添加元素としてリチウムを5原子%、第2添加元素としてマンガンを5原子%添加した銅を主成分とする合金からなる銅合金層107Aと99.99%純度の純銅からなる純銅層107Bとをマグネトロンスパッタリングにより連続成膜する(ステップS131)。銅を主成分とする合金からなる銅合金層107Aの膜厚は10nm〜100nmの程度であり、約20nm〜50nmが好適である。純銅層107Bの膜厚は100nm〜1000nmの程度であり、約200nm〜500nmが好適である。
【0043】
なお、銅合金の添加元素のうち、まず第1添加元素は本実施例のリチウムのほか、パラジウム、イットリウムが好適である。中でもイットリウムが特に良い。
【0044】
また、第2添加元素は、本実施例のマンガンのほか、アルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、スカンジウム、チタン、ジルコニウムが好適である。
【0045】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS132)、純銅層と銅合金層とを選択的にエッチング除去し(ステップS133)、コンタクト層を選択的にエッチング除去し(ステップS134)、レジストを剥離すると(ステップS135)、ドレイン電極(映像信号線及び映像信号線端子を含む)、及びソース電極が形成される。
【0046】
ここで、TFT基板のリーク電流低減、移動度の増加等特性向上を目的とした水素プラズマ処理を行う。水素化によるシリコン中のダングリングボンドを水素により終端する方法である。前記工程を経た基板にプラズマCVD装置を用いて水素プラズマ処理を施した。基板温度は100℃、処理時間は120秒で行った。
【0047】
水素プラズマ処理後の配線パタンを観察したところ、コンタクト層上の銅配線に剥がれなどの不具合はなく、良好な密着性を有していることを確認した。また、100℃より高温の230℃で水素プラズマ処理を施したところ、良好な密着性を有していることを確認した。
【0048】
図9には、TFT基板100の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程174により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図10には第4フォトリソグラフィ工程174が示されている。これらの図に示されるように、第4フォトリソグラフィ工程174では、まず、窒化ケイ素からなる保護絶縁膜108をプラズマ化学蒸着法で成膜する(ステップS141)。保護絶縁膜108の成膜温度は約230℃であり、この時、第3フォトリソグラフィ工程173で形成した予備酸化したコンタクト層106と銅合金層107Aとの界面で、銅合金層107Aの添加元素であるマンガンの酸化反応が起こり、薄いマンガン酸化物の酸化物層110が生成する。この酸化物層110のマンガン酸化物が純銅層107Bと銅合金層107Aの銅のコンタクト層106と半導体層105への拡散及びコンタクト層106からのシリコンの拡散を遮断するバリア層として、または密着層として機能する。なお、本実施形態では、保護絶縁膜成膜時に酸化物層を形成したが、水素プラズマ処理前に予め熱処理等を施し酸化物層を形成しても良い。
【0049】
ここで銅合金層107Aの添加元素の酸化物層膜厚は0.5nm〜5nmであり1nm〜2nm程度が好適である。
【0050】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS142)、ソース電極上の保護絶縁膜にスルーホール109を開口し、同時に映像信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜にスルーホール(図示せず)を開口し、同時に走査信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜とゲート絶縁膜にスルーホール(図示せず)を開口し(ステップS143)、レジストを剥離する(ステップS144)。
【0051】
図11には、TFT基板100の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程175により形成されるTFT基板100の断面が概略的に示されている。また、図12には第5フォトリソグラフィ工程175が示されている。これらの図に示されるように、第5フォトリソグラフィ工程175では、まず、インジウム錫酸化物からなる透明導電膜111をスパッタリングにより成膜する(ステップS151)。まず、バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS152)、画素電極、走査信号線端子、共通信号線端子、映像信号線端子のパタン部を除き透明導電膜111を選択的にエッチング除去し(ステップS153)、レジストを剥離する(ステップS154)。以上の工程により液晶表示装置のTFT基板100が完成する。
【0052】
図13には、以上の工程により製造された液晶表示装置のTFT基板100を使用した液晶パネル150の一部断面が概略的に示されている。液晶パネルは、上述の第1フォトリソグラフィ工程171〜第5フォトリソグラフィ工程175により製造されたTFT基板100と、液晶120と、カラーフィルタ基板21とにより構成されている。この図に示されるように、TFT基板100の映像信号線であるドレイン線、ソース電極、及び共通電極は、銅により配線されている。
【0053】
以上説明したように、本実施形態によれば、水素プラズマ処理においても、銅合金層107Aの存在により、酸化物層110が還元されるのを抑制し、銅配線とコンタクト層106との密着性を保つことができる。
【0054】
また、TFT基板100は純銅により配線されるため、TFT基板100の消費電力を低下させることができる。
【0055】
[第2実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板200について説明する。なお、このTFT基板200が使用される液晶表示装置の構成は、第1実施形態における図1の液晶表示装置10及び図2の液晶パネル20の構成と同様であるため、これらの構成については説明を省略する。
【0056】
図14には、TFT基板200の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程271により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図15には第1フォトリソグラフィ工程271が示されている。これらの図に示されるように、第1フォトリソグラフィ工程271では、まず、無アルカリガラスからなるガラス基板201上にインジウム錫酸化物からなる透明導電膜202をスパッタリングにより成膜する(ステップS211)。ここで、透明導電膜202は、インジウム亜鉛酸化物、インジウム錫亜鉛酸化物であってもよい。膜厚は10nm〜150nmの程度であり、約20nm〜50nmが好適である。続いて、Cu/CuX合金203をマグネトロンスパッタリングにより成膜する(ステップS211)。Cu/CuX合金203の膜厚はCuが約200nm〜400nm、CuX合金は10nm〜100nmが好適である。本実施例では、CuX合金のXにマンガンを用いて実施した。他のアルミニウムやマグネシウム等でも良い。
【0057】
次に、ハーフ露光マスクを用いてレジストパタンを形成する(ステップS212)。ここで、走査信号線、共通信号線を構成する部分には露光をせずレジストを厚く形成し、共通(透明)電極を形成する部分はハーフ露光としてレジストを薄く形成する。その後、Cu/CuX合金203を選択的にエッチング除去し(ステップS213)、続いて透明導電膜202を選択的にエッチング除去する(ステップS214)。次に、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS215)。アッシングの後、ハーフ露光部のCuXを選択的にエッチング除去し(ステップS216)、レジストを剥離する(ステップS217)。
【0058】
図16には、TFT基板200の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程272により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図17には第2フォトリソグラフィ工程272が示されている。これらの図に示されるように、第2フォトリソグラフィ工程272では、まず、窒化ケイ素からなるゲート絶縁膜204と、非晶質ケイ素からなる半導体層205と、ドープした非晶質ケイ素(n+型)からなるコンタクト層206をプラズマ化学蒸着法で連続的に成膜し(ステップS221)、酸素プラズマによりコンタクト層206の表面を予備酸化する(ステップS222)。
【0059】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS223)、コンタクト層206、半導体層205を選択的にエッチング除去し(ステップS224)、レジストを剥離すると(ステップS225)、いわゆる島状パタンが形成される。以上の工程により、走査信号線(ゲート電極、走査信号線端子を含む)、共通信号線(共通信号線端子を含む)、共通(透明)電極が形成される。
【0060】
図18には、TFT基板200の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程273により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図19には第3フォトリソグラフィ工程273が示されている。これらの図に示されるように、第3フォトリソグラフィ工程273では、まず、初層としてCuMn合金層207Aを40nm成膜し、次いで、99.99%純度の純銅からなる純銅層207Bを600nm成膜し、さらに第1添加元素としてイットリウムを3原子%、第2添加元素としてアルミニウムを5原子%添加した銅を主成分とする合金からなる銅合金層207Cを60nmマグネトロンスパッタリングにより連続成膜する(ステップS231)。銅を主成分とする合金からなる銅合金層207Cの膜厚は10nm〜100nmの程度であり、約20nm〜60nmが好適である。純銅層207Bの膜厚は100nm〜1000nmの程度であり、約200nm〜600nmが好適である。
【0061】
なお、銅合金層207Cの銅合金の添加元素のうち、まず第1添加元素は本実施例のイットリウムのほか、リチウム、パラジウム、が好適である。中でもリチウムが特に良い。
【0062】
また、第2添加元素は、本実施例のアルミニウムのほか、ベリリウム、マンガン、バナジウム、亜鉛が好適である。
【0063】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS232)、銅合金層207Cと純銅層207BとCuMn合金層207Aとを選択的にエッチング除去し(ステップS233)、コンタクト層206を選択的にエッチング除去し(ステップS234)、レジストを剥離すると(ステップS235)、ドレイン電極(映像信号線及び映像信号線端子を含む)、及びソース電極が形成される。
【0064】
エッチング後のドレイン電極、ソース電極の側面形状を観察した結果、厚膜(600nm)の純銅層207Bが順テーパ形状であることを確認した。
【0065】
ここで、TFT基板200のリーク電流低減、移動度の増加等特性向上を目的とした水素プラズマ処理を行う。水素化によるシリコン中のダングリングボンドを水素により終端する方法である。前記工程を経た基板にプラズマCVD装置を用いて水素プラズマ処理を施した。基板温度は100℃、処理時間は120秒で行った。
【0066】
水素プラズマ処理後の配線パタンを観察したところ、コンタクト層206上の銅配線に剥がれなどの不具合はなく、良好な密着性を有していることを確認した。また、100℃より高温の230℃で水素プラズマ処理を施したところ、良好な密着性を有していることを確認した。
【0067】
図20には、TFT基板200の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程274により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図21には第4フォトリソグラフィ工程274が示されている。これらの図に示されるように、第4フォトリソグラフィ工程274では、まず、窒化ケイ素からなる保護絶縁膜208をプラズマ化学蒸着法で成膜する(ステップS241)。保護絶縁膜208の成膜温度は約230℃であり、この時、第3フォトリソグラフィ工程273で形成した予備酸化したコンタクト層206とCuMn合金層207Aとの界面で、添加元素の酸化反応が起こり、薄い添加元素酸化物の酸化物層210が生成する。この酸化物が純銅層207Bと銅合金層207Cの銅のコンタクト層206と半導体層205への拡散及びコンタクト層206からのシリコンの拡散を遮断するバリア層として、または密着層として機能する。
【0068】
ここで銅合金層の添加元素の酸化物層膜厚は0.5nm〜5nmであり1nm〜2nm程度が好適である。
【0069】
バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS242)、ソース電極上の保護絶縁膜にスルーホールを開口し、同時に映像信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜にスルーホール(図示せず)を開口し、同時に走査信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜とゲート絶縁膜にスルーホール(図示せず)を開口し(ステップS243)、レジストを剥離する(ステップS244)。
【0070】
図22には、TFT基板200の製造工程のうち、第5フォトリソグラフィ工程275により形成されるTFT基板200の断面が概略的に示されている。また、図23には第5フォトリソグラフィ工程275が示されている。これらの図に示されるように、第5フォトリソグラフィ工程275では、まず、インジウム錫酸化物からなる透明導電膜211をスパッタリングにより成膜する(ステップS251)。まず、バイナリ露光マスクによるレジストパタン形成の後(ステップS252)、画素電極、走査信号線端子、共通信号線端子、映像信号線端子のパタン部を除き透明導電膜を選択的にエッチング除去し(ステップS253)、レジストを剥離する(ステップS254)。以上の工程により液晶表示装置のTFT基板200が完成する。
【0071】
図24には、以上の工程により製造された液晶表示装置のTFT基板200を使用した液晶パネル250の一部断面が概略的に示されている。液晶パネル250は、上述の第1フォトリソグラフィ工程271〜第5フォトリソグラフィ工程275により製造されたTFT基板200と、液晶213と、カラーフィルタ基板21とにより構成されている。この図に示されるように、TFT基板200の映像信号線であるドレイン線、ソース電極、及び共通電極は、銅により配線されている。
【0072】
以上説明したように、本実施形態によれば、水素プラズマ処理においても、銅合金層207Cの存在により、酸化物層210が還元されるのを抑制し、銅配線とコンタクト層206との密着性を保つことができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、銅合金層207Cの存在により厚膜化した純銅層207Bにおいても良好なテーパ形状を得ることができる。
【0074】
また、TFT基板200は純銅により配線されるため、TFT基板200の消費電力を低下させることができる。
【0075】
[第3実施形態]
本発明の第3の実施形態に係る液晶表示装置のTFT基板300について説明する。なお、このTFT基板300が使用される液晶表示装置の構成は、第1実施形態における図1の液晶表示装置10及び図2の液晶パネル20の構成と同様であるため、これらの構成については説明を省略する。
【0076】
第1実施形態では、5回のフォトリソグラフィを用いたが、本実施形態では4回のフォトリソグラフィを用いる。第1実施形態と同様に、図25から図34までの各図において、図25、図27、図29、図31及び図33は薄膜トランジスタ部分、図26、図28、図30、図32及び図34は工程の流れを示す。なお、図29及び図30は、図27及び図28の工程を代替する工程を示している。以下区分けした工程に従って説明する。
【0077】
図25には、TFT基板300の製造工程のうち、第1フォトリソグラフィ工程371により形成されるTFT基板300の断面が概略的に示されている。また、図26には第1フォトリソグラフィ工程371が示されている。これらの図に示されるように、まず、無アルカリガラスからなる基板301上にインジウム錫酸化物からなる透明導電膜302をスパッタリングにより成膜する。ここで、透明導電膜は、インジウム亜鉛酸化物及びインジウム錫亜鉛酸化物のいずれであってもよい。膜厚は10nm〜150nmの程度であり、約50nmが好適である。続いて、第1実施形態と同様に、Cu/CuX合金303をマグネトロンスパッタリングにより連続成膜する(ステップS311)。
【0078】
次に、ハーフ露光マスクを用いたフォトリソグラフィによってレジストパタンを形成する(ステップS312)。ここで、走査信号線及び共通信号線を構成する部分には露光をせずレジストを厚く形成し、共通(透明)電極を形成する部分はハーフ露光としてレジストを薄く形成する。フォトリソグラフィの後、Cu/CuX合金303をエッチングし(ステップS313)、続いて透明導電膜302をエッチングする(ステップS314)。ここで、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS315)。アッシングの後、ハーフ露光部のCu/CuX合金303をエッチングし、その後レジストを剥離する(ステップS317)。
【0079】
以上の工程により、走査信号線(ゲート電極、走査信号線端子を含む)、共通信号線(共通信号線端子を含む)及び共通(透明)電極が形成される。
【0080】
図27には、TFT基板300の製造工程のうち、第2フォトリソグラフィ工程372aにより形成されるTFT基板300の断面が概略的に示されている。また、図28には第2フォトリソグラフィ工程372aが示されている。これらの図に示されるように、まず、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜304と、非晶質ケイ素からなる半導体層305と、ドープした非晶質ケイ素(n+型)からなるコンタクト層306をプラズマ化学蒸着法で連続的に成膜し(ステップS321a)、酸素プラズマによりコンタクト層306の表面を予備酸化する(ステップS322a)。
【0081】
続いて、イットリウムを4原子%、マンガンを3原子%とを含有し銅を主成分とする第1合金層307Aと99.99%純度の純銅層307Bをマグネトロンスパッタリングにより連続成膜する(ステップS323a)。第1合金層307Aの膜厚は10nm〜100nmの程度であり、約20nm〜50nmが好適である。純銅の膜厚は100nm〜1000nmの程度であり、約200nm〜500nmが好適である。
【0082】
次に、ハーフ露光マスクを用いたフォトリソグラフィによってレジストパタンを形成する(ステップS324a)。ここで、ドレイン電極(映像信号線、映像信号線端子を含む)、及びソース電極を構成する部分には露光をせずレジストを厚く形成し、半導体層305の島パタンを形成する部分はハーフ露光としてレジストを薄く形成する。フォトリソグラフィの後、純銅層307B及び第1合金層307Aをエッチングし(ステップS325a)、続いてドープした非晶質ケイ素(n+型)層306と半導体層305をエッチングする(ステップS326a)。ここで、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS327a)。アッシングの後、ハーフ露光部の純銅/第1合金層の積層膜をエッチングし(ステップS328a)、引き続き、ドープした非晶質ケイ素(n+型)層306をエッチングすることで薄膜トランジスタのチャネルを分離し(ステップS329a)、レジストを剥離する(ステップS330a)。以上の工程により、ドレイン電極(映像信号線、映像信号線端子を含む)、ソース電極及び半導体層305の島パタンが形成される。
【0083】
図29及び図30には、図27及び図28に示した第2フォトリソグラフィ工程372aの変形例である第2フォトリソグラフィ工程372bが示されている。これらの図に示されるように、まず、窒化シリコンからなるゲート絶縁膜304と、非晶質ケイ素からなる半導体層305と、ドープした非晶質ケイ素(n+型)層306をプラズマ化学蒸着法で連続的に成膜し(ステップS321b)、酸素プラズマによりコンタクト層306の表面を予備酸化する(ステップS322b)。続いて、第1合金層307A及び純銅層307Bを連続成膜する(ステップS323b)。
【0084】
次に、ハーフ露光マスクを用いたフォトリソグラフィによってレジストパタンを形成する(ステップS324b)。ここで、レジストパタンはドレイン電極(映像信号線、映像信号線端子を含む)及びソース電極を構成する部分に形成され、その内薄膜トランジスタのチャネル周辺には露光をせずにレジストを厚く形成し、その他の部分にはハーフ露光としてレジストを薄く形成する。フォトリソグラフィの後、第1合金層307A及び純銅層307Bの積層膜をエッチングすることによりドレイン電極(映像信号線、映像信号線端子を含む)及びソース電極を形成し、非晶質ケイ素(n+型)層306をエッチングすることにより薄膜トランジスタのチャネルを分離する(ステップS325b)。
【0085】
続いて、ハーフ露光部のレジストをアッシングにより除去する(ステップS326b)。なお、このハーフ露光部のレジスト除去工程は省略可能である。引き続き、残りのレジストをリフローし薄膜トランジスタのチャネル部をレジストで埋める(ステップS327b)。引き続き、半導体層305をエッチングし(ステップS328b)、レジスト剥離することで半導体層305の島パタンが形成される(ステップS329b)。
【0086】
ここで、第1実施形態と同様に水素プラズマ処理を実施した。水素プラズマ処理後のチャネル部分を観察した結果、銅配線の剥がれは認められなかった。
【0087】
図31には、TFT基板300の製造工程のうち、第3フォトリソグラフィ工程373により形成されるTFT基板300の断面が概略的に示されている。また、図32には第3フォトリソグラフィ工程373が示されている。これらの図に示されるように、まず、窒化シリコンからなる保護絶縁膜308をプラズマ化学蒸着法で成膜する(ステップS331)。この成膜温度は約230℃である。この時、第2フォトリソグラフィ工程372aで形成した予備酸化(ステップS322a)したコンタクト層306とイットリウムーマンガンとを含有し銅を主成分とする第1合金層307Aとの界面で、添加元素の酸化反応が起こり、薄い添加元素酸化物(本実施例の場合はマンガン酸化物)の酸化物層310が生成する。この酸化物層が純銅層307Bと第1合金層307Aの銅のコンタクト層306と半導体層305への拡散を遮断するバリア層として、または密着層として機能する。バイナリ露光マスクによるフォトリソグラフィの後(ステップS332)、ソース電極上および映像信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜308にスルーホール309を開口し、同時に走査信号線端子(図示せず)上の保護絶縁膜308とゲート絶縁膜304にスルーホール309を開口し(ステップS333)、レジストを剥離する(ステップS334)。
【0088】
図33には、TFT基板300の製造工程のうち、第4フォトリソグラフィ工程374により形成されるTFT基板300の断面が概略的に示されている。また、図34には第4フォトリソグラフィ工程374が示されている。これらの図に示されるように、インジウム錫酸化物からなる透明導電膜311をスパッタリングにより成膜する(ステップS341)。まず、バイナリ露光マスクによるフォトリソグラフィの後(ステップS342)、画素電極311、走査信号線端子(図示せず)、共通信号線端子(図示せず)及び映像信号線端子(図示せず)のパタンをエッチング加工し(ステップS343)、レジストを剥離する(ステップS344)。以上の工程により4回のフォトリソグラフィを用いても、液晶表示装置のTFT基板300を作製することができる。
【0089】
図35には、以上の工程により製造された液晶表示装置のTFT基板300を使用した液晶パネル350の一部断面が概略的に示されている。この図に示されるように、TFT基板300の映像信号線であるドレイン線、ソース電極及び共通電極は銅により配線されている。
【0090】
なお、第1実施形態乃至第3実施形態においては、IPS(In Plane Switching)方式の液晶表示装置のTFT基板を用いることとしているが、TN(Twisted Nematic)方式及びVA(Vertical Alignment)方式のうちのいずれの方式のTFT基板であってもよい。
【0091】
また、第1実施形態及び第3実施形態においては、銅合金層107A及び銅合金層307Aは銅配線の下層に配置され、第2実施形態においては、銅合金層207Cは銅配線の上層に配置した。添加元素の要件により銅合金層は純銅層の上層、下層に配置される。
【0092】
また、上述の実施形態においては、液晶表示装置を用いることとしたが、自発光素子を用いた有機EL表示装置のTFT基板等のガラス基板に形成される非晶質ケイ素膜上の銅配線、その他の基板に形成される非晶質ケイ素膜上の銅配線であってもよい。
【符号の説明】
【0093】
10 液晶表示装置、11 上フレーム、12 下フレーム、20 液晶パネル、21 カラーフィルタ基板、22 駆動回路、23 駆動回路、24 ゲート信号線、25 ドレイン信号線、26 セル、100 TFT基板、101 ガラス基板、102 透明導電膜、103 銅/銅合金、104 ゲート絶縁膜、105 半導体層、106 コンタクト層、107A 銅合金層、107B 純銅層、108 保護絶縁膜、109 スルーホール、110 酸化物層、111 透明導電膜、120 液晶、150 液晶パネル、200 TFT基板、201 ガラス基板、202 透明導電膜、203 銅/銅合金、204 ゲート絶縁膜、205 半導体層、206 コンタクト層、207A 銅合金層、207B 純銅層、207C 銅合金層、208 保護絶縁膜、210 酸化物層、211 透明導電膜、213 液晶、250 液晶パネル、300 TFT基板、301 ガラス基板、302 透明導電膜、303 純銅/銅合金、304 ゲート絶縁膜、305 半導体層、306 コンタクト層、307A 銅合金層、307B 純銅層、308 保護絶縁膜、309 スルーホール、310 酸化物層、311 透明導電膜、350 液晶パネル、313 液晶。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薄膜トランジスタを用いる表示装置であって、
前記薄膜トランジスタは、
非晶質ケイ素の膜により形成された非晶質ケイ素層と、
前記非晶質ケイ素層上に形成された銅配線と、を備え、
前記銅配線は、リチウム、パラジウム及びイットリウムのうちから少なくとも一種の元素を第1添加元素として含み、更にアルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、シリコン、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素であって、前記第1添加元素以外の元素を、更に第2添加元素として含む銅を主成分とする合金により形成された第1銅合金層を有する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記銅配線は、前記第1銅合金層上に純銅により形成された純銅層を更に有し、
前記第1銅合金層は、前記非晶質ケイ素層上に形成され、
前記純銅層は、前記第1銅合金層上に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記銅配線は、
前記非晶質ケイ素層上に、銅を主成分とする合金により形成された第2銅合金層と、
前記第2銅合金層上に純銅により形成された純銅層と、
を更に有し、
前記第1銅合金層は、前記純銅層上に形成され、
前記第1銅合金層の前記第2添加元素は、アルミニウム、ベリリウム、マンガン、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素である、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
薄膜トランジスタを用いる表示装置の製造方法であって、
ドープした非晶質ケイ素膜を成膜する非晶質ケイ素膜成膜工程と、
前記ドープした非晶質ケイ素膜の表面を酸化する工程の後に、リチウム、パラジウム及びイットリウムのうちから少なくとも一種の元素を第1添加元素として含み、更にアルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、シリコン、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素であって、前記第1添加元素以外の元素を第2添加元素として含む銅を主成分とする合金により形成された銅合金膜を成膜する銅合金膜成膜工程と、
前記銅合金膜成膜工程の後に、純銅により形成された純銅膜を成膜する純銅膜成膜工程と、
前記銅合金膜と前記純銅膜とをエッチングし、銅配線を形成する銅配線形成工程と、
前記銅配線を形成しなかった箇所のドープした非晶質ケイ素膜を除去する工程の後に、前記銅配線に水素プラズマを照射する水素プラズマ照射工程と、を備える表示装置の製造方法。
【請求項1】
薄膜トランジスタを用いる表示装置であって、
前記薄膜トランジスタは、
非晶質ケイ素の膜により形成された非晶質ケイ素層と、
前記非晶質ケイ素層上に形成された銅配線と、を備え、
前記銅配線は、リチウム、パラジウム及びイットリウムのうちから少なくとも一種の元素を第1添加元素として含み、更にアルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、シリコン、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素であって、前記第1添加元素以外の元素を、更に第2添加元素として含む銅を主成分とする合金により形成された第1銅合金層を有する、ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
前記銅配線は、前記第1銅合金層上に純銅により形成された純銅層を更に有し、
前記第1銅合金層は、前記非晶質ケイ素層上に形成され、
前記純銅層は、前記第1銅合金層上に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記銅配線は、
前記非晶質ケイ素層上に、銅を主成分とする合金により形成された第2銅合金層と、
前記第2銅合金層上に純銅により形成された純銅層と、
を更に有し、
前記第1銅合金層は、前記純銅層上に形成され、
前記第1銅合金層の前記第2添加元素は、アルミニウム、ベリリウム、マンガン、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素である、ことを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
【請求項4】
薄膜トランジスタを用いる表示装置の製造方法であって、
ドープした非晶質ケイ素膜を成膜する非晶質ケイ素膜成膜工程と、
前記ドープした非晶質ケイ素膜の表面を酸化する工程の後に、リチウム、パラジウム及びイットリウムのうちから少なくとも一種の元素を第1添加元素として含み、更にアルミニウム、ベリリウム、ハフニウム、リチウム、マグネシウム、マンガン、シリコン、スカンジウム、チタン、ジルコニウム、バナジウム及び亜鉛のうち少なくとも一種の元素であって、前記第1添加元素以外の元素を第2添加元素として含む銅を主成分とする合金により形成された銅合金膜を成膜する銅合金膜成膜工程と、
前記銅合金膜成膜工程の後に、純銅により形成された純銅膜を成膜する純銅膜成膜工程と、
前記銅合金膜と前記純銅膜とをエッチングし、銅配線を形成する銅配線形成工程と、
前記銅配線を形成しなかった箇所のドープした非晶質ケイ素膜を除去する工程の後に、前記銅配線に水素プラズマを照射する水素プラズマ照射工程と、を備える表示装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図10】
【図11】
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【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【公開番号】特開2011−119467(P2011−119467A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−275593(P2009−275593)
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【出願人】(502356528)株式会社 日立ディスプレイズ (2,552)
【出願人】(506087819)パナソニック液晶ディスプレイ株式会社 (443)
【Fターム(参考)】
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