半導体装置の製造方法
【課題】信頼性の向上に寄与し得る半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板10上にトランジスタ34を形成する工程と、半導体基板上及びトランジスタ上に複数の部分膜36a、38a、40a、42を積層することにより、複数の部分膜を有する第1の絶縁層44を形成する工程と、第1の絶縁層上に、第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層46を形成する工程と、第1の絶縁層をエッチングストッパとして、第2の絶縁層をエッチングすることにより、第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、コンタクトホール内に露出する第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、第1の絶縁層を形成する工程では、複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、複数の部分膜のうちの最上層の部分膜に対してキュア処理を行わない。
【解決手段】半導体基板10上にトランジスタ34を形成する工程と、半導体基板上及びトランジスタ上に複数の部分膜36a、38a、40a、42を積層することにより、複数の部分膜を有する第1の絶縁層44を形成する工程と、第1の絶縁層上に、第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層46を形成する工程と、第1の絶縁層をエッチングストッパとして、第2の絶縁層をエッチングすることにより、第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、コンタクトホール内に露出する第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、第1の絶縁層を形成する工程では、複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、複数の部分膜のうちの最上層の部分膜に対してキュア処理を行わない。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、トランジスタにおけるキャリア移動度を向上させるための方法として、トランジスタのチャネル領域に引っ張り応力等を印加することが提案されている。
【0003】
提案されている半導体装置においては、NMOSトランジスタが形成された半導体基板上に、NMOSトランジスタを覆うようにシリコン窒化膜が形成される。この後、かかるシリコン窒化膜に対してキュア処理が行われる。キュア処理により、シリコン窒化膜が収縮し、NMOSトランジスタのチャネル領域に引っ張り応力が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−53587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、提案されている半導体装置では、必ずしも良質なシリコン窒化膜が形成されず、十分に高い信頼性が得られない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、信頼性の向上に寄与し得る半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一観点によれば、半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜に対してキュア処理を行わないことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
実施形態の他の観点によれば、半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の前記部分膜を化学気相堆積法により形成し、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜を原子層堆積法により形成することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の半導体装置の製造方法によれば、複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対しては膜を収縮させるキュア処理を行い、最上層の部分膜に対してはキュア処理を行わない。このため、第1の絶縁層を比較的厚く形成するにもかかわらず、第1の絶縁層にシームやボイドが生じるのを抑制することができ、良質な第1の絶縁層を形成し得る。第1の絶縁層が比較的厚く形成されるため、第1の絶縁層のエッチングストッパ膜としての機能を十分に確保し得る。また、最上層の部分膜以外の部分膜によりトランジスタのチャネル領域に十分な引っ張り応力が印加されるため、キャリア移動度の高いトランジスタを得ることができる。従って、電気的特性が良好で、しかも信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図2】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図3】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図4】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図5】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図6】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図7】SiH4ガスの流量と膜ストレスとの関係を示すグラフである。
【図8】第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図9】第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図10】シリコン窒化膜に大きな裂け目が生じる例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態による半導体装置の製造方法を図1乃至図7を用いて説明する。図1乃至図6は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0012】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板10に、素子領域12を確定する素子分離領域14を形成する。半導体基板10としては、例えばシリコン基板を用いる。素子分離領域14は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。素子分離領域14の材料としては、例えばシリコン酸化膜を用いる。
【0013】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0014】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。
【0015】
次に、例えばイオン注入法により、フォトレジスト膜をマスクとして、半導体基板10内に例えばP型のドーパント不純物を導入する。これにより、半導体基板10内に例えばP型のウェル16が形成される。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
【0016】
次に、ウェル16に導入されたドーパント不純物を活性化するための熱処理を行う。
【0017】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0018】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。
【0019】
次に、例えばイオン注入法により、フォトレジスト膜をマスクとして、半導体基板10内に例えばP型のドーパント不純物を導入する。これにより、素子領域12内にチャネルドープ層18が形成される。この後、フォトレジスト膜を剥離する。なお、図1(b)以降においては、チャネルドープ層18の図示を省略している。
【0020】
次に、全面に、例えば熱酸化法により、ゲート絶縁膜20を形成する。ゲート絶縁膜20の膜厚は、例えば2〜3nm程度とする。
【0021】
次に、全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法により、ポリシリコン膜を形成する。
【0022】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ポリシリコン膜により形成されたゲート電極22が形成される(図1(b)参照)。
【0023】
次に、例えばイオン注入法により、ゲート電極22をマスクとして、ゲート電極22の両側の半導体基板10内に、例えばN型のドーパント不純物を導入する。これにより、ゲート電極22の両側の半導体基板10内に、エクステンションソース/ドレイン構造のうちの浅い領域である低濃度拡散層(エクステンション領域)24が形成される。
【0024】
次に、全面に、例えばCVD法により、シリコン酸化膜を形成する。
【0025】
次に、シリコン酸化膜を異方性エッチングする。これにより、ゲート電極22の両側に、シリコン酸化膜により形成されたサイドウォール絶縁膜26が形成される。
【0026】
次に、例えばイオン注入法により、サイドウォール絶縁膜26が形成されたゲート電極22をマスクとして、半導体基板10内に例えばN型のドーパント不純物を導入する。これにより、サイドウォール絶縁膜26が形成されたゲート電極22の両側の半導体基板10内に、エクステンションソース/ドレイン構造の深い領域である高濃度拡散層28が形成される。
【0027】
次に、半導体基板10内に導入されたドーパント不純物を活性化するための熱処理を行う。熱処理温度は、例えば1000〜1100℃程度とする。こうして、低濃度拡散層24と高濃度拡散層28とを有するエクステンションソース/ドレイン構造のソース/ドレイン拡散層30が形成される(図1(c)参照)。
【0028】
次に、以下のようにして、サリサイド(SALICIDE、self-aligned silicide)プロセスにより、ソース/ドレイン拡散層30上及びゲート電極22上に、それぞれシリサイド膜32を形成する。
【0029】
即ち、まず、全面に、高融点金属膜(図示せず)を形成する。かかる高融点金属膜としては、例えばニッケル膜を形成する。高融点金属膜の膜厚は、例えば10〜30nm程度とする。
【0030】
次に、熱処理を行うことにより、高融点金属膜中のニッケルと半導体基板10中のシリコンとを反応させるとともに、高融点金属膜中のニッケルとゲート電極22中のシリコンとを反応させる。熱処理温度は、例えば150〜350℃程度とする。
【0031】
次に、未反応の高融点金属膜をエッチング除去する。こうして、ソース/ドレイン拡散層30上にニッケルシリサイド膜であるシリサイド膜32が形成される。ソース/ドレイン拡散層30上のシリサイド膜32は、ソース/ドレイン電極として機能する。また、ゲート電極22上にもシリサイド膜32が形成される。
【0032】
こうして、ゲート電極22とソース/ドレイン拡散層30とを有するNMOSトランジスタ34が形成される。なお、半導体基板10上には、NMOSトランジスタ34を形成するのと並行して、PMOSトランジスタ(図示せず)も形成される。
【0033】
次に、以下のようにして、複数の部分膜36a、38a、40a、42の積層膜である第1の絶縁層44を形成する。第1の絶縁層44は、後述する層間絶縁膜(第2の絶縁層)46をエッチングする際にエッチングストッパ膜として機能するとともに、NMOSトランジスタ34のチャネル領域35に引っ張り応力を印加する応力膜(引っ張り応力膜)としても機能する。
【0034】
まず、全面に、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法により、第1層目のシリコン窒化膜(部分膜)36を形成する(図2(b)参照)。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜36を形成する。シリコン窒化膜36の膜厚は、例えば18nm程度とする。シリコン窒化膜36は、例えばプラズマCVD装置を用いて成膜される。シリコン窒化膜36の成膜条件は、例えば以下の通りとする。基板温度(ステージ温度)は、例えば300〜400℃とする。基板温度を400℃以下に設定するのは、シリサイド膜32の凝集を防止するためである。成膜室内に導入する原料ガスは、例えばSiH4ガス、NH3ガス及びN2ガスとする。SiH4ガスの流量は、例えば20〜100sccmとする。NH3ガスの流量は、例えば20〜2000sccmとする。N2ガスの流量は、例えば20〜2000sccmとする。成膜室内の圧力は、例えば3〜10Torrとする。印加する高周波電力は、例えば50〜200Wとする。これにより、膜中の水素濃度が所望の濃度に設定されたシリコン窒化膜36が形成される。シリコン窒化膜36中の水素の濃度は、成膜室内に導入する各々の原料ガスの流量及び流量比を適宜設定することにより、適宜設定することができる。プラズマCVD法により、基板温度400℃で成膜した場合、シリコン窒化膜36の密度は例えば2.195g/cm3程度となる。
【0035】
次に、第1層目のシリコン窒化膜(部分膜)36に対してキュア処理を行う。キュア処理は、膜中に含まれる水素等を膜中から放出させ、膜を収縮させる処理である。シリコン窒化膜36に対してキュア処理を行うのは、シリコン窒化膜36の膜ストレス(膜応力)を十分に増大させ、NMOSトランジスタ34のチャネル領域35(図2(a)参照)に十分な引っ張り応力を印加するためである。具体的には、トランジスタ34のチャネル領域35に十分な引っ張り応力を印加するためには、シリコン窒化膜36の膜応力を例えば1.2GPa以上とすることが好ましい。キュア処理は、例えば紫外線照射装置を用いて行われる。キュア処理は、シリコン窒化膜36を加熱しながら、シリコン窒化膜36に対して例えば紫外線を照射することにより行われる。キュア処理を行う際の基板温度(ステージ温度)は、例えば300〜400℃とする。紫外線の照射時間は、例えば5〜20分間程度とする。キュア処理により、シリコン窒化膜36中の水素が放出され、シリコン窒化膜36の体積が例えば10%程度減少し、シリコン窒化膜36の密度が増加する。基板温度400℃で紫外線を照射することによりキュア処理を行った場合、シリコン窒化膜36の収縮率は例えば8.3%程度となる。基板温度400℃で紫外線を照射することによりキュア処理を行った場合、シリコン窒化膜36の密度は例えば2.230g/cm3程度となる。キュア処理を行うことにより、シリコン窒化膜36の膜ストレス(膜応力)は、例えば1.2〜1.8GPa程度にまで上昇する。
【0036】
図7は、SiH4ガスの流量と膜ストレスとの関係を示すグラフである。図7における横軸は成膜室内に導入するSiH4ガスの流量を示している。図7における縦軸はシリコン窒化膜における膜ストレスを示している。図7における◆印のプロットはキュア処理を行う前におけるシリコン窒化膜の膜ストレスを示している。図7における■印はキュア処理を行った後におけるシリコン窒化膜の膜ストレスを示している。なお、図7に示す関係を測定する際には、NH3ガスの流量は、1000sccmとし、N2ガスの流量は1000sccmとした。
【0037】
図7に示すように、シリコン窒化膜を形成する際のSiH4ガスの流量を適宜設定し、シリコン窒化膜に対してキュア処理を行うことにより、例えば1.2GPa〜1.8GPa程度の膜ストレスのシリコン窒化膜を得ることができる。
【0038】
こうして、半導体基板10及びNMOSトランジスタ34上に、キュア処理が行われた第1層目のシリコン窒化膜(部分膜)36aが形成された状態となる(図2(c)参照)。
【0039】
次に、全面に、例えばCVD法により、第2層目のシリコン窒化膜(部分膜)38を形成する(図3(a)参照)。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜38を形成する。シリコン窒化膜38の膜厚は、例えば18nmとする。シリコン窒化膜38の成膜条件は、例えば図2(b)を用いて上述したシリコン窒化膜36の成膜条件と同様とする。
【0040】
次に、シリコン窒化膜38に対してキュア処理を行う。キュア処理では、シリコン窒化膜38を加熱しながら、シリコン窒化膜38に対して紫外線を照射する。シリコン窒化膜38に対するキュア処理の条件は、例えば、図2(c)を用いて上述したシリコン窒化膜36に対するキュア処理の条件と同様とする。キュア処理により、シリコン窒化膜38中の水素が放出され、シリコン窒化膜38の体積が例えば10%程度減少し、シリコン窒化膜38の密度が増加する。キュア処理を行うことにより、シリコン窒化膜38の膜ストレスは、例えば1.2〜1.8GPa程度にまで上昇する。
【0041】
こうして、半導体基板10及びNMOSトランジスタ34上に、キュア処理が行われた第1層目のシリコン窒化膜36aと、キュア処理が行われた第2層目のシリコン窒化膜38aとが積層された状態となる(図3(b)参照)。
【0042】
次に、全面に、例えばCVD法により、第3層目のシリコン窒化膜(部分膜)40を形成する(図3(c)参照)。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜40を形成する。シリコン窒化膜40の膜厚は、例えば18nmとする。シリコン窒化膜40の成膜条件は、例えば図2(b)を用いて上述したシリコン窒化膜36の成膜条件と同様とする。
【0043】
次に、シリコン窒化膜40に対してキュア処理を行う。キュア処理では、シリコン窒化膜40を加熱しながら、シリコン窒化膜40に対して紫外線を照射する。シリコン窒化膜40に対するキュア処理の条件は、例えば、上述したシリコン窒化膜40に対するキュア処理の条件と同様とする。キュア処理により、シリコン窒化膜40中の水素が放出され、シリコン窒化膜40の体積が例えば10%程度減少し、シリコン窒化膜40の密度が増加する。キュア処理を行うことにより、シリコン窒化膜40の膜ストレスは、例えば1.2〜1.8GPa程度にまで上昇する。
【0044】
こうして、半導体基板10及びNMOSトランジスタ34上に、キュア処理が行われた第1層目のシリコン窒化膜36a、第2層目のシリコン窒化膜38a及び第3層目のシリコン窒化膜40aが積層された状態となる(図4(a)参照)。
【0045】
次に、全面に、例えばCVD法により、最上層のシリコン窒化膜(部分膜)42を形成する。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜42を形成する。シリコン窒化膜の膜厚は、例えば膜厚2〜20nm程度とする。シリコン窒化膜40の成膜条件は、例えば図2(b)を用いて上述したシリコン窒化膜36の成膜条件と同様とする。
【0046】
最上層のシリコン窒化膜42に対しては、キュア処理は行われない。
【0047】
キュア処理が行われた複数のシリコン窒化膜(部分膜)36a、38a、40a及びキュア処理が行われていないシリコン窒化膜(部分膜)42により、第1の絶縁層(エッチングストッパ膜、引っ張り応力膜)44が形成される。
【0048】
キュア処理が行われた複数のシリコン窒化膜(部分膜)36a、38a、40aを比較的厚く積層するのは、トランジスタ34のチャネル領域35に引っ張り応力を十分に印加するためである。
【0049】
最上層のシリコン窒化膜(部分膜)42に対してキュア処理を行わないのは、以下のような理由によるものである。
【0050】
図10は、シリコン窒化膜に大きな裂け目が生じる例を示す工程断面図である。図10(a)に示すように、トランジスタ34が形成された半導体基板10上に、シリコン窒化膜144を比較的厚く堆積していくと、互いに隣接するゲート電極22とゲート電極22との間の領域内において、シリコン窒化膜144の表面同士が互いに接触する。このようにして形成される合わせ目146は、シームと称される。なお、シリコン窒化膜144を比較的厚く堆積するのは、シリコン窒化膜144をエッチングストッパとして層間絶縁膜(図示せず)をエッチングする際に、エッチングストッパとしての機能を十分に確保するためである。シリコン窒化膜144に対しては、キュア処理が行われる。シリコン窒化膜144に対してキュア処理を行うのは、シリコン窒化膜144を収縮させ、トランジスタ34のチャネル領域35に引っ張り応力を印加するためである。シリコン窒化膜144に対してキュア処理を行うと、シリコン窒化膜144が収縮するため、接触していたシリコン窒化膜144の表面同士が互いに離間する。そうすると、図10(b)に示すような裂け目146aが、シリコン窒化膜に発生する場合がある。なお、このような裂け目146aをシームと称することもある。シリコン窒化膜144aに大きな裂け目146aが発生すると、ボイド等の要因になり、後工程において短絡等が発生する要因になり、ひいては半導体装置の信頼性の低下を招くこととなる。
【0051】
これに対し、本実施形態では、最上層のシリコン窒化膜42に対してはキュア処理を行わない。最上層のシリコン窒化膜42に対してキュア処理を行わなくても、キュア処理が行われたシリコン窒化膜36a、38a、40aが存在すれば、十分な引っ張り応力をNMOSトランジスタ34のチャネル領域35に印加することが可能である。
【0052】
一方、第1の絶縁層44のエッチングストッパとしての機能を十分に確保するためには、第1の絶縁層44を比較的厚く形成することが好ましい。このため、本実施形態では、シリコン窒化膜36a、38a、40a上に、更にシリコン窒化膜42を形成している。シリコン窒化膜42に対してはキュア処理が行われないため、シリコン窒化膜42が著しく収縮することはなく、第1の絶縁層44に大きなシームやボイドが生じるのを防止することができる。
【0053】
なお、キュア処理が行われたシリコン窒化膜40aに裂け目が生じたとしても、シリコン窒化膜40aに発生した裂け目はシリコン窒化膜42により埋め込まれる。シリコン窒化膜42に対してはキュア処理が行われないため、この場合にも、第1の絶縁層44に大きなシームやボイドが生じるのを防止することができる。
【0054】
このような理由により、本実施形態では、最上層のシリコン窒化膜(部分膜)42に対してキュア処理を行わない。
【0055】
こうして、複数のシリコン窒化膜(部分膜)36a、38a、40a、42の積層膜である第1の絶縁層(エッチングストッパ膜、引っ張り応力膜)44が形成される(図4(b)参照)。
【0056】
上述したように、最上層のシリコン窒化膜42以外のシリコン窒化膜36、38、40に対しては、シリコン窒化膜36、38、40を形成する毎にキュア処理が行われ、最上層のシリコン窒化膜42に対しては、キュア処理は行われない。
【0057】
最上層のシリコン窒化膜42以外のシリコン窒化膜36、38、40に対してはキュア処理が行われているため、NMOSトランジスタ34のチャネル領域35に対して十分な引っ張り応力が印加される。シリコン窒化膜42を形成することにより第1の絶縁層44が十分に厚く形成されるため、後工程において層間絶縁膜46をエッチングする際に、第1の絶縁層44はエッチングストッパ膜として十分に機能し得る。
【0058】
最上層のシリコン窒化膜42に対してはキュア処理が行われていないため、最上層のシリコン窒化膜42の密度は比較的低い。最上層のシリコン窒化膜42の密度は、最上層を除くシリコン窒化膜36a、38a、40aの密度より低い状態のまま維持される。
【0059】
次に、全面に、例えばCVD法により、層間絶縁膜(第2の絶縁層)46を形成する。層間絶縁膜46としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。層間絶縁膜46の膜厚は、例えば300〜500nmとする。
【0060】
次に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、層間絶縁膜46の表面を平坦化する(図4(c)参照)。
【0061】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜48を形成する。
【0062】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜48に開口部50a〜50cを形成する。
【0063】
次に、フォトレジスト膜48をマスクとし、第1の絶縁層44をエッチングストッパとして、層間絶縁膜46を異方性エッチングする。これにより、層間絶縁膜46にコンタクトホール50a〜50cが形成される(図5(a)参照)。コンタクトホール50a〜50cを形成する際には、コンタクトホール50a〜50cを確実に形成すべく、ある程度のオーバーエッチングが行われる。第1の絶縁層44が十分に厚く形成されているため、オーバーエッチングを行っても、コンタクトホール52a〜52cが第1の絶縁層44を貫通してしまうことはなく、特段の問題は生じない。
【0064】
次に、コンタクトホール52a〜52c内に露出する第1の絶縁層44をエッチング除去する。これにより、コンタクトホール52a〜52cがトランジスタ34にまで到達する(図5(b)参照)。より具体的には、コンタクトホール52a、52bがトランジスタのソース/ドレイン電極32にまで到達する。また、コンタクトホール52cがゲート電極22上のシリサイド膜32にまで到達する。なお、コンタクトホール52bとコンタクトホール52cとは、図5の紙面垂直方向において互いに離間した位置に形成される。
【0065】
次に、全面に、例えばCVD法により、バリアメタル膜54を形成する。バリアメタル膜54としては、例えばTi膜とTiN膜との積層膜を形成する。Ti膜の膜厚は、例えば10nm程度とする。TiN膜の膜厚は、例えば5nm程度とする。
【0066】
次に、全面に、例えばCVD法により、導電膜56を形成する。導電膜56としては、例えばタングステン膜を形成する。
【0067】
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜46の表面が露出するまで導電膜56及びバリアメタル膜54を研磨する。これにより、導電膜により形成された導体プラグ56がコンタクトホール52a〜52c内に埋め込まれる。
【0068】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
【0069】
このように、本実施形態によれば、複数の部分膜36、38、40、42のうちの最上層の部分膜42以外の部分膜に対してはキュア処理を行い、最上層の部分膜42に対してはキュア処理を行わない。このため、本実施形態によれば、第1の絶縁層44を比較的厚く形成するにもかかわらず、第1の絶縁層44に大きなシームやボイドが生じるのを抑制し得る。第1の絶縁層44が比較的厚く形成されるため、第1の絶縁層44はエッチングストッパ膜としての機能を十分に確保し得る。また、キュア処理が行われた部分膜36a、38a、40aによりトランジスタ34のチャネル領域35に十分な引っ張り応力が印加されるため、電気的特性の良好なトランジスタ34を得ることができる。従って、本実施形態によれば、電気的特性が良好で、しかも信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0070】
[第2実施形態]
第2実施形態による半導体装置の製造方法を図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。図1乃至図7に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0071】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、第1の絶縁層44aの最上層の部分膜43を原子層堆積(ALD、Atomic Layer Deposition)法により形成することに主な特徴がある。
【0072】
まず、半導体基板10に素子分離領域14を形成する工程から3層目のシリコン窒化膜(部分膜)40に対してキュア処理を行う工程までは、図1(a)〜図4(a)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるため、説明を省略する(図8(a)参照)。
【0073】
次に、原子層堆積法により、シリコン窒化膜(部分膜)43を形成する(図8(b)参照)。ALD法は、成膜すべき膜の原料となる複数種の反応ガスを基板上に交互に供給し、1原子層単位又は1分子層単位で基板上に吸着させ、基板表面での化学反応により成膜を行うものである。ALD法によりシリコン窒化膜43を形成する際には、原子層堆積装置(ALD装置)が用いられる。ALD法によるシリコン窒化膜43の成膜条件は、例えば以下の通りとする。反応室内の温度は、例えば350〜400℃とする。原料ガスとしては、SiH2Cl2(ジクロロシラン)ガスとNH3(アンモニア)ガスとを用いる。シリコン窒化膜を堆積する際には、SiH2Cl2ガスとNH3ガスとを交互に半導体基板10上に供給する。印加する高周波電力は、例えば20〜100W程度とする。成膜するシリコン窒化膜43の膜厚は、例えば2〜10nm程度とする。ALD法によりシリコン窒化膜43を堆積する際の堆積速度は例えば0.1nm/分程度と比較的遅いが、最上層のシリコン窒化膜43の膜厚は比較的薄いため、比較的短時間で最上層のシリコン窒化膜43を成膜し得る。このため、シリサイド膜32の凝集を回避することができる。
【0074】
こうして、最上層のシリコン窒化膜43がALD法により形成される。最上層のシリコン窒化膜43に対しては、キュア処理は行われない。ALD法により形成されたシリコン窒化膜43は、キュア処理を行わなくても、比較的大きい膜ストレス(膜応力)を有している。ALD法により形成されたシリコン窒化膜43の膜応力は、例えば1.5GPa〜1.6GPa程度である。従って、最上層のシリコン窒化膜43をALD法により形成した場合には、第1実施形態の場合より大きな引っ張り応力をトランジスタ34のチャネル領域35に印加することが可能となる。
【0075】
ALD法により形成されたシリコン窒化膜43は、仮にキュア処理を行ったとしても、収縮率は0.1%程度である。従って、ALD法により形成したシリコン窒化膜43に対して敢えてキュア処理を行うことの利点は特にない。従って、本実施形態では、ALD法により形成されたシリコン窒化膜43に対してキュア処理を行わない。ALD法により形成したシリコン窒化膜43に対してキュア処理を行ってもよいが、工程数の削減のためには、キュア処理を行わないことが好ましい。
【0076】
こうして、複数のシリコン窒化膜(部分膜)36a、38a、40a、43の積層膜である第1の絶縁層(エッチングストッパ膜、引っ張り応力膜)44aが形成される。
【0077】
次に、図4(c)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、層間絶縁膜(第2の絶縁層)46を形成する(図8(c)参照)。
【0078】
この後のフォトレジスト膜48を形成する工程から導体プラグ56を埋め込む工程までは、図5(a)乃至図6を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される(図9参照)。
【0080】
このように、複数の部分膜36a、38a、40a、43のうちの最上層の部分膜43をALD法により形成するようにしてもよい。本実施形態においても、最上層の部分膜43が著しく収縮することがないため、第1の絶縁層44aに大きなシームやボイドが生じるのを防止することができる。また、ALD法により形成されるシリコン窒化膜43はキュア処理を行わなくても比較的大きい膜ストレスを有しているため、トランジスタ34のチャネル領域35により大きい引っ張り応力を加えることが可能となる。
【0081】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0082】
例えば、第1実施形態では、最上層の部分膜42、43についてのみキュア処理を行わなかったが、これに限定されるものではない。例えば、最上層の部分膜42、43のみならず、上から2番目の部分膜40に対しても、キュア処理を行わないようにしてもよい。トランジスタ34のチャネル領域35に印加することを要する引っ張り応力の大きさに応じて、各々の部分膜36、38、40に対して適宜キュア処理を行うようにすればよい。
【0083】
また、上記実施形態では、キュア処理を行う際に紫外線を照射する場合を例に説明したが、照射するエネルギー線は紫外線に限定されるものではない。例えば、キュア処理の際に電子線を照射するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、最上層の部分膜42、43以外の部分膜36a、38a、40aの層数を3層とする場合を例に説明したが、最上層の部分膜42、43以外の部分膜36a、38a、40aの層数は3層に限定されるものではない。例えば、最上層の部分膜42、43以外の部分膜の層数が、1層であってもよい。即ち、最上層の部分膜42、43以外の部分膜として1層の部分膜を比較的厚く形成し、この後、かかる部分膜に対してキュア処理を行い、この後、かかる部分膜上に最上層の部分膜42、43を形成してもよい。また、最上層の部分膜42、43以外の部分膜の層数が、2層であってもよいし、4層以上であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、最上層の部分膜42,43以外の部分膜36、38、40については、部分膜36、38、40を形成する毎にキュア処理を行ったが、部分膜36、38、40を形成する毎に必ずしもキュア処理を行わなくてもよい。ただし、信頼性等を確保する観点からは、最上層の部分膜42、43以外の部分膜36、38、40については、部分膜36、38、40を成膜する毎にキュア処理を行うことが好ましい。
【0086】
また、上記実施形態では、第1の絶縁層44、44aの各々の部分膜をシリコン窒化膜により形成する場合を例に説明したが、第1の絶縁層44、44aの各々の部分膜はシリコン窒化膜に限定されるものではない。キュア処理により収縮し、第2の絶縁層46とエッチング特性が異なる材料を、第1の絶縁層44、44aの各々の部分膜の材料として適宜用いることができる。例えば、第1の絶縁層44、44aの各々の部分膜の材料として、例えばSiC、SiCN、SiCNO等を用いることができる。
【0087】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0088】
(付記1)
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜に対してキュア処理を行わない
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0089】
(付記2)
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜を化学気相堆積法により形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0090】
(付記3)
付記1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜の密度は、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の前記部分膜の密度より低い
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0091】
(付記4)
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の前記部分膜を化学気相堆積法により形成し、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の前記部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜を原子層堆積法により形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0092】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記キュア処理では、前記部分膜を加熱しながら、前記部分膜に対して紫外線又は電子線を照射する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0093】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の前記部分膜に対し、前記部分膜を成膜する毎に前記キュア処理を行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁層は、前記トランジスタのチャネル領域に引っ張り応力を加える引っ張り応力膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の部分膜は、それぞれシリコン窒化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁層は、シリコン酸化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0097】
10…半導体基板
12…素子領域
14…素子分離領域
16…ウェル
18…チャネルドープ層
20…ゲート絶縁膜
22…ゲート電極
24…低濃度拡散層
26…サイドウォール絶縁膜
28…高濃度拡散層
30…ソース/ドレイン拡散層
32…シリサイド膜
34…トランジスタ
35…チャネル領域
36…シリコン窒化膜、部分膜
36a…キュア処理後のシリコン窒化膜、キュア処理後の部分膜
38…シリコン窒化膜、部分膜
38a…キュア処理後のシリコン窒化膜、キュア処理後の部分膜
40…シリコン窒化膜、部分膜
40a…キュア処理後のシリコン窒化膜、キュア処理後の部分膜
42…最上層のシリコン窒化膜、最上層の部分膜
43…最上層のシリコン窒化膜、最上層の部分膜
44、44a…第1の絶縁層、エッチングストッパ膜、引っ張り応力膜
46…第2の絶縁層、層間絶縁膜
48…フォトレジスト膜
50a〜50c…開口部
52a〜52c…コンタクトホール
54…バリアメタル膜
56…導体プラグ
144…シリコン窒化膜
146…合わせ目
146a…裂け目
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、トランジスタにおけるキャリア移動度を向上させるための方法として、トランジスタのチャネル領域に引っ張り応力等を印加することが提案されている。
【0003】
提案されている半導体装置においては、NMOSトランジスタが形成された半導体基板上に、NMOSトランジスタを覆うようにシリコン窒化膜が形成される。この後、かかるシリコン窒化膜に対してキュア処理が行われる。キュア処理により、シリコン窒化膜が収縮し、NMOSトランジスタのチャネル領域に引っ張り応力が印加される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−53587号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、提案されている半導体装置では、必ずしも良質なシリコン窒化膜が形成されず、十分に高い信頼性が得られない場合がある。
【0006】
本発明の目的は、信頼性の向上に寄与し得る半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一観点によれば、半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜に対してキュア処理を行わないことを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【0008】
実施形態の他の観点によれば、半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の前記部分膜を化学気相堆積法により形成し、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜を原子層堆積法により形成することを特徴とする半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0009】
開示の半導体装置の製造方法によれば、複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対しては膜を収縮させるキュア処理を行い、最上層の部分膜に対してはキュア処理を行わない。このため、第1の絶縁層を比較的厚く形成するにもかかわらず、第1の絶縁層にシームやボイドが生じるのを抑制することができ、良質な第1の絶縁層を形成し得る。第1の絶縁層が比較的厚く形成されるため、第1の絶縁層のエッチングストッパ膜としての機能を十分に確保し得る。また、最上層の部分膜以外の部分膜によりトランジスタのチャネル領域に十分な引っ張り応力が印加されるため、キャリア移動度の高いトランジスタを得ることができる。従って、電気的特性が良好で、しかも信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図2】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図3】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図4】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図5】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その5)である。
【図6】第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その6)である。
【図7】SiH4ガスの流量と膜ストレスとの関係を示すグラフである。
【図8】第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図9】第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図10】シリコン窒化膜に大きな裂け目が生じる例を示す工程断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[第1実施形態]
第1実施形態による半導体装置の製造方法を図1乃至図7を用いて説明する。図1乃至図6は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0012】
まず、図1(a)に示すように、半導体基板10に、素子領域12を確定する素子分離領域14を形成する。半導体基板10としては、例えばシリコン基板を用いる。素子分離領域14は、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。素子分離領域14の材料としては、例えばシリコン酸化膜を用いる。
【0013】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0014】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。
【0015】
次に、例えばイオン注入法により、フォトレジスト膜をマスクとして、半導体基板10内に例えばP型のドーパント不純物を導入する。これにより、半導体基板10内に例えばP型のウェル16が形成される。この後、フォトレジスト膜を剥離する。
【0016】
次に、ウェル16に導入されたドーパント不純物を活性化するための熱処理を行う。
【0017】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜(図示せず)を形成する。
【0018】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜に開口部(図示せず)を形成する。
【0019】
次に、例えばイオン注入法により、フォトレジスト膜をマスクとして、半導体基板10内に例えばP型のドーパント不純物を導入する。これにより、素子領域12内にチャネルドープ層18が形成される。この後、フォトレジスト膜を剥離する。なお、図1(b)以降においては、チャネルドープ層18の図示を省略している。
【0020】
次に、全面に、例えば熱酸化法により、ゲート絶縁膜20を形成する。ゲート絶縁膜20の膜厚は、例えば2〜3nm程度とする。
【0021】
次に、全面に、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法により、ポリシリコン膜を形成する。
【0022】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリシリコン膜をパターニングする。これにより、ポリシリコン膜により形成されたゲート電極22が形成される(図1(b)参照)。
【0023】
次に、例えばイオン注入法により、ゲート電極22をマスクとして、ゲート電極22の両側の半導体基板10内に、例えばN型のドーパント不純物を導入する。これにより、ゲート電極22の両側の半導体基板10内に、エクステンションソース/ドレイン構造のうちの浅い領域である低濃度拡散層(エクステンション領域)24が形成される。
【0024】
次に、全面に、例えばCVD法により、シリコン酸化膜を形成する。
【0025】
次に、シリコン酸化膜を異方性エッチングする。これにより、ゲート電極22の両側に、シリコン酸化膜により形成されたサイドウォール絶縁膜26が形成される。
【0026】
次に、例えばイオン注入法により、サイドウォール絶縁膜26が形成されたゲート電極22をマスクとして、半導体基板10内に例えばN型のドーパント不純物を導入する。これにより、サイドウォール絶縁膜26が形成されたゲート電極22の両側の半導体基板10内に、エクステンションソース/ドレイン構造の深い領域である高濃度拡散層28が形成される。
【0027】
次に、半導体基板10内に導入されたドーパント不純物を活性化するための熱処理を行う。熱処理温度は、例えば1000〜1100℃程度とする。こうして、低濃度拡散層24と高濃度拡散層28とを有するエクステンションソース/ドレイン構造のソース/ドレイン拡散層30が形成される(図1(c)参照)。
【0028】
次に、以下のようにして、サリサイド(SALICIDE、self-aligned silicide)プロセスにより、ソース/ドレイン拡散層30上及びゲート電極22上に、それぞれシリサイド膜32を形成する。
【0029】
即ち、まず、全面に、高融点金属膜(図示せず)を形成する。かかる高融点金属膜としては、例えばニッケル膜を形成する。高融点金属膜の膜厚は、例えば10〜30nm程度とする。
【0030】
次に、熱処理を行うことにより、高融点金属膜中のニッケルと半導体基板10中のシリコンとを反応させるとともに、高融点金属膜中のニッケルとゲート電極22中のシリコンとを反応させる。熱処理温度は、例えば150〜350℃程度とする。
【0031】
次に、未反応の高融点金属膜をエッチング除去する。こうして、ソース/ドレイン拡散層30上にニッケルシリサイド膜であるシリサイド膜32が形成される。ソース/ドレイン拡散層30上のシリサイド膜32は、ソース/ドレイン電極として機能する。また、ゲート電極22上にもシリサイド膜32が形成される。
【0032】
こうして、ゲート電極22とソース/ドレイン拡散層30とを有するNMOSトランジスタ34が形成される。なお、半導体基板10上には、NMOSトランジスタ34を形成するのと並行して、PMOSトランジスタ(図示せず)も形成される。
【0033】
次に、以下のようにして、複数の部分膜36a、38a、40a、42の積層膜である第1の絶縁層44を形成する。第1の絶縁層44は、後述する層間絶縁膜(第2の絶縁層)46をエッチングする際にエッチングストッパ膜として機能するとともに、NMOSトランジスタ34のチャネル領域35に引っ張り応力を印加する応力膜(引っ張り応力膜)としても機能する。
【0034】
まず、全面に、CVD(Chemical Vapor Deposition、化学気相堆積)法により、第1層目のシリコン窒化膜(部分膜)36を形成する(図2(b)参照)。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜36を形成する。シリコン窒化膜36の膜厚は、例えば18nm程度とする。シリコン窒化膜36は、例えばプラズマCVD装置を用いて成膜される。シリコン窒化膜36の成膜条件は、例えば以下の通りとする。基板温度(ステージ温度)は、例えば300〜400℃とする。基板温度を400℃以下に設定するのは、シリサイド膜32の凝集を防止するためである。成膜室内に導入する原料ガスは、例えばSiH4ガス、NH3ガス及びN2ガスとする。SiH4ガスの流量は、例えば20〜100sccmとする。NH3ガスの流量は、例えば20〜2000sccmとする。N2ガスの流量は、例えば20〜2000sccmとする。成膜室内の圧力は、例えば3〜10Torrとする。印加する高周波電力は、例えば50〜200Wとする。これにより、膜中の水素濃度が所望の濃度に設定されたシリコン窒化膜36が形成される。シリコン窒化膜36中の水素の濃度は、成膜室内に導入する各々の原料ガスの流量及び流量比を適宜設定することにより、適宜設定することができる。プラズマCVD法により、基板温度400℃で成膜した場合、シリコン窒化膜36の密度は例えば2.195g/cm3程度となる。
【0035】
次に、第1層目のシリコン窒化膜(部分膜)36に対してキュア処理を行う。キュア処理は、膜中に含まれる水素等を膜中から放出させ、膜を収縮させる処理である。シリコン窒化膜36に対してキュア処理を行うのは、シリコン窒化膜36の膜ストレス(膜応力)を十分に増大させ、NMOSトランジスタ34のチャネル領域35(図2(a)参照)に十分な引っ張り応力を印加するためである。具体的には、トランジスタ34のチャネル領域35に十分な引っ張り応力を印加するためには、シリコン窒化膜36の膜応力を例えば1.2GPa以上とすることが好ましい。キュア処理は、例えば紫外線照射装置を用いて行われる。キュア処理は、シリコン窒化膜36を加熱しながら、シリコン窒化膜36に対して例えば紫外線を照射することにより行われる。キュア処理を行う際の基板温度(ステージ温度)は、例えば300〜400℃とする。紫外線の照射時間は、例えば5〜20分間程度とする。キュア処理により、シリコン窒化膜36中の水素が放出され、シリコン窒化膜36の体積が例えば10%程度減少し、シリコン窒化膜36の密度が増加する。基板温度400℃で紫外線を照射することによりキュア処理を行った場合、シリコン窒化膜36の収縮率は例えば8.3%程度となる。基板温度400℃で紫外線を照射することによりキュア処理を行った場合、シリコン窒化膜36の密度は例えば2.230g/cm3程度となる。キュア処理を行うことにより、シリコン窒化膜36の膜ストレス(膜応力)は、例えば1.2〜1.8GPa程度にまで上昇する。
【0036】
図7は、SiH4ガスの流量と膜ストレスとの関係を示すグラフである。図7における横軸は成膜室内に導入するSiH4ガスの流量を示している。図7における縦軸はシリコン窒化膜における膜ストレスを示している。図7における◆印のプロットはキュア処理を行う前におけるシリコン窒化膜の膜ストレスを示している。図7における■印はキュア処理を行った後におけるシリコン窒化膜の膜ストレスを示している。なお、図7に示す関係を測定する際には、NH3ガスの流量は、1000sccmとし、N2ガスの流量は1000sccmとした。
【0037】
図7に示すように、シリコン窒化膜を形成する際のSiH4ガスの流量を適宜設定し、シリコン窒化膜に対してキュア処理を行うことにより、例えば1.2GPa〜1.8GPa程度の膜ストレスのシリコン窒化膜を得ることができる。
【0038】
こうして、半導体基板10及びNMOSトランジスタ34上に、キュア処理が行われた第1層目のシリコン窒化膜(部分膜)36aが形成された状態となる(図2(c)参照)。
【0039】
次に、全面に、例えばCVD法により、第2層目のシリコン窒化膜(部分膜)38を形成する(図3(a)参照)。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜38を形成する。シリコン窒化膜38の膜厚は、例えば18nmとする。シリコン窒化膜38の成膜条件は、例えば図2(b)を用いて上述したシリコン窒化膜36の成膜条件と同様とする。
【0040】
次に、シリコン窒化膜38に対してキュア処理を行う。キュア処理では、シリコン窒化膜38を加熱しながら、シリコン窒化膜38に対して紫外線を照射する。シリコン窒化膜38に対するキュア処理の条件は、例えば、図2(c)を用いて上述したシリコン窒化膜36に対するキュア処理の条件と同様とする。キュア処理により、シリコン窒化膜38中の水素が放出され、シリコン窒化膜38の体積が例えば10%程度減少し、シリコン窒化膜38の密度が増加する。キュア処理を行うことにより、シリコン窒化膜38の膜ストレスは、例えば1.2〜1.8GPa程度にまで上昇する。
【0041】
こうして、半導体基板10及びNMOSトランジスタ34上に、キュア処理が行われた第1層目のシリコン窒化膜36aと、キュア処理が行われた第2層目のシリコン窒化膜38aとが積層された状態となる(図3(b)参照)。
【0042】
次に、全面に、例えばCVD法により、第3層目のシリコン窒化膜(部分膜)40を形成する(図3(c)参照)。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜40を形成する。シリコン窒化膜40の膜厚は、例えば18nmとする。シリコン窒化膜40の成膜条件は、例えば図2(b)を用いて上述したシリコン窒化膜36の成膜条件と同様とする。
【0043】
次に、シリコン窒化膜40に対してキュア処理を行う。キュア処理では、シリコン窒化膜40を加熱しながら、シリコン窒化膜40に対して紫外線を照射する。シリコン窒化膜40に対するキュア処理の条件は、例えば、上述したシリコン窒化膜40に対するキュア処理の条件と同様とする。キュア処理により、シリコン窒化膜40中の水素が放出され、シリコン窒化膜40の体積が例えば10%程度減少し、シリコン窒化膜40の密度が増加する。キュア処理を行うことにより、シリコン窒化膜40の膜ストレスは、例えば1.2〜1.8GPa程度にまで上昇する。
【0044】
こうして、半導体基板10及びNMOSトランジスタ34上に、キュア処理が行われた第1層目のシリコン窒化膜36a、第2層目のシリコン窒化膜38a及び第3層目のシリコン窒化膜40aが積層された状態となる(図4(a)参照)。
【0045】
次に、全面に、例えばCVD法により、最上層のシリコン窒化膜(部分膜)42を形成する。より具体的には、プラズマCVD法によりシリコン窒化膜42を形成する。シリコン窒化膜の膜厚は、例えば膜厚2〜20nm程度とする。シリコン窒化膜40の成膜条件は、例えば図2(b)を用いて上述したシリコン窒化膜36の成膜条件と同様とする。
【0046】
最上層のシリコン窒化膜42に対しては、キュア処理は行われない。
【0047】
キュア処理が行われた複数のシリコン窒化膜(部分膜)36a、38a、40a及びキュア処理が行われていないシリコン窒化膜(部分膜)42により、第1の絶縁層(エッチングストッパ膜、引っ張り応力膜)44が形成される。
【0048】
キュア処理が行われた複数のシリコン窒化膜(部分膜)36a、38a、40aを比較的厚く積層するのは、トランジスタ34のチャネル領域35に引っ張り応力を十分に印加するためである。
【0049】
最上層のシリコン窒化膜(部分膜)42に対してキュア処理を行わないのは、以下のような理由によるものである。
【0050】
図10は、シリコン窒化膜に大きな裂け目が生じる例を示す工程断面図である。図10(a)に示すように、トランジスタ34が形成された半導体基板10上に、シリコン窒化膜144を比較的厚く堆積していくと、互いに隣接するゲート電極22とゲート電極22との間の領域内において、シリコン窒化膜144の表面同士が互いに接触する。このようにして形成される合わせ目146は、シームと称される。なお、シリコン窒化膜144を比較的厚く堆積するのは、シリコン窒化膜144をエッチングストッパとして層間絶縁膜(図示せず)をエッチングする際に、エッチングストッパとしての機能を十分に確保するためである。シリコン窒化膜144に対しては、キュア処理が行われる。シリコン窒化膜144に対してキュア処理を行うのは、シリコン窒化膜144を収縮させ、トランジスタ34のチャネル領域35に引っ張り応力を印加するためである。シリコン窒化膜144に対してキュア処理を行うと、シリコン窒化膜144が収縮するため、接触していたシリコン窒化膜144の表面同士が互いに離間する。そうすると、図10(b)に示すような裂け目146aが、シリコン窒化膜に発生する場合がある。なお、このような裂け目146aをシームと称することもある。シリコン窒化膜144aに大きな裂け目146aが発生すると、ボイド等の要因になり、後工程において短絡等が発生する要因になり、ひいては半導体装置の信頼性の低下を招くこととなる。
【0051】
これに対し、本実施形態では、最上層のシリコン窒化膜42に対してはキュア処理を行わない。最上層のシリコン窒化膜42に対してキュア処理を行わなくても、キュア処理が行われたシリコン窒化膜36a、38a、40aが存在すれば、十分な引っ張り応力をNMOSトランジスタ34のチャネル領域35に印加することが可能である。
【0052】
一方、第1の絶縁層44のエッチングストッパとしての機能を十分に確保するためには、第1の絶縁層44を比較的厚く形成することが好ましい。このため、本実施形態では、シリコン窒化膜36a、38a、40a上に、更にシリコン窒化膜42を形成している。シリコン窒化膜42に対してはキュア処理が行われないため、シリコン窒化膜42が著しく収縮することはなく、第1の絶縁層44に大きなシームやボイドが生じるのを防止することができる。
【0053】
なお、キュア処理が行われたシリコン窒化膜40aに裂け目が生じたとしても、シリコン窒化膜40aに発生した裂け目はシリコン窒化膜42により埋め込まれる。シリコン窒化膜42に対してはキュア処理が行われないため、この場合にも、第1の絶縁層44に大きなシームやボイドが生じるのを防止することができる。
【0054】
このような理由により、本実施形態では、最上層のシリコン窒化膜(部分膜)42に対してキュア処理を行わない。
【0055】
こうして、複数のシリコン窒化膜(部分膜)36a、38a、40a、42の積層膜である第1の絶縁層(エッチングストッパ膜、引っ張り応力膜)44が形成される(図4(b)参照)。
【0056】
上述したように、最上層のシリコン窒化膜42以外のシリコン窒化膜36、38、40に対しては、シリコン窒化膜36、38、40を形成する毎にキュア処理が行われ、最上層のシリコン窒化膜42に対しては、キュア処理は行われない。
【0057】
最上層のシリコン窒化膜42以外のシリコン窒化膜36、38、40に対してはキュア処理が行われているため、NMOSトランジスタ34のチャネル領域35に対して十分な引っ張り応力が印加される。シリコン窒化膜42を形成することにより第1の絶縁層44が十分に厚く形成されるため、後工程において層間絶縁膜46をエッチングする際に、第1の絶縁層44はエッチングストッパ膜として十分に機能し得る。
【0058】
最上層のシリコン窒化膜42に対してはキュア処理が行われていないため、最上層のシリコン窒化膜42の密度は比較的低い。最上層のシリコン窒化膜42の密度は、最上層を除くシリコン窒化膜36a、38a、40aの密度より低い状態のまま維持される。
【0059】
次に、全面に、例えばCVD法により、層間絶縁膜(第2の絶縁層)46を形成する。層間絶縁膜46としては、例えばシリコン酸化膜を形成する。層間絶縁膜46の膜厚は、例えば300〜500nmとする。
【0060】
次に、例えばCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学的機械的研磨)法により、層間絶縁膜46の表面を平坦化する(図4(c)参照)。
【0061】
次に、全面に、スピンコート法により、フォトレジスト膜48を形成する。
【0062】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜48に開口部50a〜50cを形成する。
【0063】
次に、フォトレジスト膜48をマスクとし、第1の絶縁層44をエッチングストッパとして、層間絶縁膜46を異方性エッチングする。これにより、層間絶縁膜46にコンタクトホール50a〜50cが形成される(図5(a)参照)。コンタクトホール50a〜50cを形成する際には、コンタクトホール50a〜50cを確実に形成すべく、ある程度のオーバーエッチングが行われる。第1の絶縁層44が十分に厚く形成されているため、オーバーエッチングを行っても、コンタクトホール52a〜52cが第1の絶縁層44を貫通してしまうことはなく、特段の問題は生じない。
【0064】
次に、コンタクトホール52a〜52c内に露出する第1の絶縁層44をエッチング除去する。これにより、コンタクトホール52a〜52cがトランジスタ34にまで到達する(図5(b)参照)。より具体的には、コンタクトホール52a、52bがトランジスタのソース/ドレイン電極32にまで到達する。また、コンタクトホール52cがゲート電極22上のシリサイド膜32にまで到達する。なお、コンタクトホール52bとコンタクトホール52cとは、図5の紙面垂直方向において互いに離間した位置に形成される。
【0065】
次に、全面に、例えばCVD法により、バリアメタル膜54を形成する。バリアメタル膜54としては、例えばTi膜とTiN膜との積層膜を形成する。Ti膜の膜厚は、例えば10nm程度とする。TiN膜の膜厚は、例えば5nm程度とする。
【0066】
次に、全面に、例えばCVD法により、導電膜56を形成する。導電膜56としては、例えばタングステン膜を形成する。
【0067】
次に、例えばCMP法により、層間絶縁膜46の表面が露出するまで導電膜56及びバリアメタル膜54を研磨する。これにより、導電膜により形成された導体プラグ56がコンタクトホール52a〜52c内に埋め込まれる。
【0068】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される。
【0069】
このように、本実施形態によれば、複数の部分膜36、38、40、42のうちの最上層の部分膜42以外の部分膜に対してはキュア処理を行い、最上層の部分膜42に対してはキュア処理を行わない。このため、本実施形態によれば、第1の絶縁層44を比較的厚く形成するにもかかわらず、第1の絶縁層44に大きなシームやボイドが生じるのを抑制し得る。第1の絶縁層44が比較的厚く形成されるため、第1の絶縁層44はエッチングストッパ膜としての機能を十分に確保し得る。また、キュア処理が行われた部分膜36a、38a、40aによりトランジスタ34のチャネル領域35に十分な引っ張り応力が印加されるため、電気的特性の良好なトランジスタ34を得ることができる。従って、本実施形態によれば、電気的特性が良好で、しかも信頼性の高い半導体装置を提供することが可能となる。
【0070】
[第2実施形態]
第2実施形態による半導体装置の製造方法を図8及び図9を用いて説明する。図8及び図9は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。図1乃至図7に示す第1実施形態による半導体装置の製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0071】
本実施形態による半導体装置の製造方法は、第1の絶縁層44aの最上層の部分膜43を原子層堆積(ALD、Atomic Layer Deposition)法により形成することに主な特徴がある。
【0072】
まず、半導体基板10に素子分離領域14を形成する工程から3層目のシリコン窒化膜(部分膜)40に対してキュア処理を行う工程までは、図1(a)〜図4(a)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるため、説明を省略する(図8(a)参照)。
【0073】
次に、原子層堆積法により、シリコン窒化膜(部分膜)43を形成する(図8(b)参照)。ALD法は、成膜すべき膜の原料となる複数種の反応ガスを基板上に交互に供給し、1原子層単位又は1分子層単位で基板上に吸着させ、基板表面での化学反応により成膜を行うものである。ALD法によりシリコン窒化膜43を形成する際には、原子層堆積装置(ALD装置)が用いられる。ALD法によるシリコン窒化膜43の成膜条件は、例えば以下の通りとする。反応室内の温度は、例えば350〜400℃とする。原料ガスとしては、SiH2Cl2(ジクロロシラン)ガスとNH3(アンモニア)ガスとを用いる。シリコン窒化膜を堆積する際には、SiH2Cl2ガスとNH3ガスとを交互に半導体基板10上に供給する。印加する高周波電力は、例えば20〜100W程度とする。成膜するシリコン窒化膜43の膜厚は、例えば2〜10nm程度とする。ALD法によりシリコン窒化膜43を堆積する際の堆積速度は例えば0.1nm/分程度と比較的遅いが、最上層のシリコン窒化膜43の膜厚は比較的薄いため、比較的短時間で最上層のシリコン窒化膜43を成膜し得る。このため、シリサイド膜32の凝集を回避することができる。
【0074】
こうして、最上層のシリコン窒化膜43がALD法により形成される。最上層のシリコン窒化膜43に対しては、キュア処理は行われない。ALD法により形成されたシリコン窒化膜43は、キュア処理を行わなくても、比較的大きい膜ストレス(膜応力)を有している。ALD法により形成されたシリコン窒化膜43の膜応力は、例えば1.5GPa〜1.6GPa程度である。従って、最上層のシリコン窒化膜43をALD法により形成した場合には、第1実施形態の場合より大きな引っ張り応力をトランジスタ34のチャネル領域35に印加することが可能となる。
【0075】
ALD法により形成されたシリコン窒化膜43は、仮にキュア処理を行ったとしても、収縮率は0.1%程度である。従って、ALD法により形成したシリコン窒化膜43に対して敢えてキュア処理を行うことの利点は特にない。従って、本実施形態では、ALD法により形成されたシリコン窒化膜43に対してキュア処理を行わない。ALD法により形成したシリコン窒化膜43に対してキュア処理を行ってもよいが、工程数の削減のためには、キュア処理を行わないことが好ましい。
【0076】
こうして、複数のシリコン窒化膜(部分膜)36a、38a、40a、43の積層膜である第1の絶縁層(エッチングストッパ膜、引っ張り応力膜)44aが形成される。
【0077】
次に、図4(c)を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様にして、層間絶縁膜(第2の絶縁層)46を形成する(図8(c)参照)。
【0078】
この後のフォトレジスト膜48を形成する工程から導体プラグ56を埋め込む工程までは、図5(a)乃至図6を用いて上述した第1実施形態による半導体装置の製造方法と同様であるので、説明を省略する。
【0079】
こうして、本実施形態による半導体装置が製造される(図9参照)。
【0080】
このように、複数の部分膜36a、38a、40a、43のうちの最上層の部分膜43をALD法により形成するようにしてもよい。本実施形態においても、最上層の部分膜43が著しく収縮することがないため、第1の絶縁層44aに大きなシームやボイドが生じるのを防止することができる。また、ALD法により形成されるシリコン窒化膜43はキュア処理を行わなくても比較的大きい膜ストレスを有しているため、トランジスタ34のチャネル領域35により大きい引っ張り応力を加えることが可能となる。
【0081】
[変形実施形態]
上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0082】
例えば、第1実施形態では、最上層の部分膜42、43についてのみキュア処理を行わなかったが、これに限定されるものではない。例えば、最上層の部分膜42、43のみならず、上から2番目の部分膜40に対しても、キュア処理を行わないようにしてもよい。トランジスタ34のチャネル領域35に印加することを要する引っ張り応力の大きさに応じて、各々の部分膜36、38、40に対して適宜キュア処理を行うようにすればよい。
【0083】
また、上記実施形態では、キュア処理を行う際に紫外線を照射する場合を例に説明したが、照射するエネルギー線は紫外線に限定されるものではない。例えば、キュア処理の際に電子線を照射するようにしてもよい。
【0084】
また、上記実施形態では、最上層の部分膜42、43以外の部分膜36a、38a、40aの層数を3層とする場合を例に説明したが、最上層の部分膜42、43以外の部分膜36a、38a、40aの層数は3層に限定されるものではない。例えば、最上層の部分膜42、43以外の部分膜の層数が、1層であってもよい。即ち、最上層の部分膜42、43以外の部分膜として1層の部分膜を比較的厚く形成し、この後、かかる部分膜に対してキュア処理を行い、この後、かかる部分膜上に最上層の部分膜42、43を形成してもよい。また、最上層の部分膜42、43以外の部分膜の層数が、2層であってもよいし、4層以上であってもよい。
【0085】
また、上記実施形態では、最上層の部分膜42,43以外の部分膜36、38、40については、部分膜36、38、40を形成する毎にキュア処理を行ったが、部分膜36、38、40を形成する毎に必ずしもキュア処理を行わなくてもよい。ただし、信頼性等を確保する観点からは、最上層の部分膜42、43以外の部分膜36、38、40については、部分膜36、38、40を成膜する毎にキュア処理を行うことが好ましい。
【0086】
また、上記実施形態では、第1の絶縁層44、44aの各々の部分膜をシリコン窒化膜により形成する場合を例に説明したが、第1の絶縁層44、44aの各々の部分膜はシリコン窒化膜に限定されるものではない。キュア処理により収縮し、第2の絶縁層46とエッチング特性が異なる材料を、第1の絶縁層44、44aの各々の部分膜の材料として適宜用いることができる。例えば、第1の絶縁層44、44aの各々の部分膜の材料として、例えばSiC、SiCN、SiCNO等を用いることができる。
【0087】
上記実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
【0088】
(付記1)
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜に対してキュア処理を行わない
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0089】
(付記2)
付記1記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜を化学気相堆積法により形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0090】
(付記3)
付記1又は2記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜の密度は、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の前記部分膜の密度より低い
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0091】
(付記4)
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の前記部分膜を化学気相堆積法により形成し、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の前記部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜を原子層堆積法により形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0092】
(付記5)
付記1乃至4のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記キュア処理では、前記部分膜を加熱しながら、前記部分膜に対して紫外線又は電子線を照射する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0093】
(付記6)
付記1乃至5のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の前記部分膜に対し、前記部分膜を成膜する毎に前記キュア処理を行う
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0094】
(付記7)
付記1乃至6のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁層は、前記トランジスタのチャネル領域に引っ張り応力を加える引っ張り応力膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0095】
(付記8)
付記1乃至7のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の部分膜は、それぞれシリコン窒化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0096】
(付記9)
付記1乃至8のいずれかに記載の半導体装置の製造方法において、
前記第2の絶縁層は、シリコン酸化膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0097】
10…半導体基板
12…素子領域
14…素子分離領域
16…ウェル
18…チャネルドープ層
20…ゲート絶縁膜
22…ゲート電極
24…低濃度拡散層
26…サイドウォール絶縁膜
28…高濃度拡散層
30…ソース/ドレイン拡散層
32…シリサイド膜
34…トランジスタ
35…チャネル領域
36…シリコン窒化膜、部分膜
36a…キュア処理後のシリコン窒化膜、キュア処理後の部分膜
38…シリコン窒化膜、部分膜
38a…キュア処理後のシリコン窒化膜、キュア処理後の部分膜
40…シリコン窒化膜、部分膜
40a…キュア処理後のシリコン窒化膜、キュア処理後の部分膜
42…最上層のシリコン窒化膜、最上層の部分膜
43…最上層のシリコン窒化膜、最上層の部分膜
44、44a…第1の絶縁層、エッチングストッパ膜、引っ張り応力膜
46…第2の絶縁層、層間絶縁膜
48…フォトレジスト膜
50a〜50c…開口部
52a〜52c…コンタクトホール
54…バリアメタル膜
56…導体プラグ
144…シリコン窒化膜
146…合わせ目
146a…裂け目
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜に対してキュア処理を行わない
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜の密度は、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の前記部分膜の密度より低い
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の前記部分膜を化学気相堆積法により形成し、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜を原子層堆積法により形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記キュア処理では、前記部分膜を加熱しながら、前記部分膜に対して紫外線又は電子線を照射する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁層は、前記トランジスタのチャネル領域に引っ張り応力を加える引っ張り応力膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜に対してキュア処理を行わない
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置の製造方法において、
前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜の密度は、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の前記部分膜の密度より低い
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項3】
半導体基板上にトランジスタを形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記トランジスタ上に複数の部分膜を積層することにより、前記複数の部分膜を有する第1の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層上に、前記第1の絶縁層とエッチング特性が異なる第2の絶縁層を形成する工程と、
前記第1の絶縁層をエッチングストッパとして、前記第2の絶縁層をエッチングすることにより、前記第2の絶縁層にコンタクトホールを形成する工程と、
前記コンタクトホール内に露出する前記第1の絶縁層をエッチングする工程とを有し、
前記第1の絶縁層を形成する工程では、前記複数の部分膜のうちの最上層の部分膜以外の前記部分膜を化学気相堆積法により形成し、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜以外の部分膜に対して膜を収縮させるキュア処理を行い、前記複数の部分膜のうちの前記最上層の部分膜を原子層堆積法により形成する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記キュア処理では、前記部分膜を加熱しながら、前記部分膜に対して紫外線又は電子線を照射する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法において、
前記第1の絶縁層は、前記トランジスタのチャネル領域に引っ張り応力を加える引っ張り応力膜である
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2011−14699(P2011−14699A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−157149(P2009−157149)
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月1日(2009.7.1)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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