説明

半導体装置の製造方法

【課題】工程増を招くことなく、極めて高い歩留まりでゲート電極について均一で十分なフル・シリサイド化を確実に実現する。
【解決手段】ゲート電極104a,104b及びソース/ドレイン領域107a,107bのNiシリサイド化を行うに際して、1回目のNiシリサイド化の後に1回目のmsecアニール処理であるフラッシュランプアニール処理を行い、2回目のNiシリサイド化、更には必要であれば2回目のフラッシュランプアニール処理を行って、ソース/ドレイン領域107a,107b上には1回目のフラッシュランプアニール処理で形成されたNiSi層111bを維持した状態で、フル・シリサイドゲート電極115a,115bを形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サリサイド構造のゲート及びソース/ドレインを備えた半導体装置の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えばMOSトランジスタのゲート電極の電気抵抗の低減を図るべく、ゲート電極上にNi,Ti,Co等の金属膜を堆積し、ゲート電極のシリコンと熱反応させることにより、ゲート電極の上部にシリサイド層を形成する技術が開発されている。近時では、ゲート電極の更なる抵抗低減化を実現するため、ゲート電極を全てシリサイド化する、いわゆるフル・シリサイド法が案出されている。
【0003】
フル・シリサイド法は、ゲート電極と共にソース/ドレイン領域の上部もシリサイド化する、いわゆるサリサイド技術にも適用される。この場合、ソース/ドレイン領域はその上部のみを、ゲート電極はその全てをシリサイド化することから、例えば以下のように行われる(非特許文献1を参照)。
【0004】
図1及び図2は、従来のフル・シリサイド法をサリサイド技術に適用した場合における、MOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
先ず、図1(a)に示すように、半導体基板201の素子分離構造211で画定された活性領域上に、ゲート絶縁膜202を介して多結晶シリコンからなるゲート電極203が形成される。ゲート電極203の両側における半導体基板201の表層には、エクステンション領域104aと一部重畳されるソース/ドレイン領域204が形成される。ゲート電極203の上面には例えばシリコン窒化膜からなるキャップ膜205が、側面には例えばシリコン酸化物からなるサイドウォール絶縁膜206が形成される。この状態で、半導体基板201の全面にシリサイド金属であるNi膜207及びキャップ膜であるTiN膜208を順次成膜し、比較的低温(300℃以下)で熱処理する(第1のアニール処理)。このとき、ソース/ドレイン領域204の表層部分にはNi2Si層209が形成される。
【0005】
続いて、未反応のNi膜207及びTiN膜208をウェットエッチングにより選択的に除去した後、図1(b)に示すように、比較的高温(300℃〜450℃程度)で熱処理する(第2のアニール処理)。このとき、ソース/ドレイン領域204の表層部分のNi2Si層209はNiSi層210となる。なお、ゲート電極203の上面にはキャップ膜205が形成されているため、第1及び第2のシリサイド化処理を経てもゲート電極203はシリサイド化されない状態で保持される。
【0006】
続いて、キャップ膜205をウェットエッチングにより選択的に除去した後、図1(c)に示すように、半導体基板201の全面に、ゲート電極203を埋め込む程度の膜厚に絶縁膜、例えばシリコン窒化物からなる層間絶縁膜212を堆積する。そして、ゲート電極203の表面が露出するまで層間絶縁膜212及びサイドウォール絶縁膜206を化学機械研磨(Chemical-Mechanical Polishing:CMP)する。
【0007】
続いて、図2(a)に示すように、ゲート電極203の上面を含むシリコン窒化膜212上にシリサイド金属であるNi膜213を成膜する。
続いて、図2(b)に示すように、例えば300℃〜500℃程度の温度、ここでは400℃で熱処理し、ゲート電極203を全てシリサイド化し(第3のアニール処理)、フル・シリサイドゲート電極214を形成する。
しかる後、未反応のNi膜213をウェットエッチングにより選択的に除去した後、コンタクト孔や配線、層間絶縁膜の形成等を経て、MOSトランジスタを形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2009−76605号公報
【特許文献2】特開2008−78559号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】K. G. Anil, et al., pp.190 2004 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記したように従来のフル・シリサイド法をサリサイド技術に適用した場合、第3のアニール処理を行うために層間絶縁膜212をCMPにより平坦化研磨する際に、層間絶縁膜212、ゲート電極203及びサイドウォール絶縁膜206の平坦状態の面内均一性が劣るという問題がある。
即ち、ゲート電極203の材料である多結晶シリコン及びサイドウォール絶縁膜206の材料であるシリコン酸化物は、層間絶縁膜212の材料であるシリコン窒化物よりもエッチングレートが大きいため、CMPを終了した時点で層間絶縁膜212の上面に比べてゲート電極203及びサイドウォール絶縁膜206の上面に窪みが生じてしまう。そのため、層間絶縁膜212、ゲート電極203及びサイドウォール絶縁膜206の平坦状態の十分な面内均一性が得られない。
【0011】
上記した面内均一性の劣化は、具体的に以下のような諸形態として表出する。
第1に、層間絶縁膜212の研磨量について、ゲート電極203の形成状態の粗密依存性が増大する。
ゲート電極203は、半導体基板201上で複数形成されており、その形成状態には粗密の差異がある。上記のCMPは、複数のゲート電極203を覆うシリコン窒化膜について行うことになるが、この場合、上記したエッチングレートの相違に起因して、ゲート電極203が疎な部分と密な部分とで層間絶縁膜212の研磨量に大きな差異が生じる。
【0012】
第2に、層間絶縁膜212の研磨量について、ゲート電極203の線幅(ゲート長)依存性が増大する。
ゲート電極203は、上記のように複数形成されており、その特性に応じて線幅(ゲート長)が異なる。この場合、上記したエッチングレートの相違に起因して、ゲート電極203がゲート長の大きい部分と小さい部分とで層間絶縁膜212の研磨量に大きな差異が生じる。
【0013】
上記のように層間絶縁膜212の研磨量に差異が生じると、フル・シリサイド工程において、シリサイド金属とゲート電極203との接触面積に差異が生じ、シリサイド化にムラが発生する。このようにゲート電極203のシリサイド化が不均一となることで、実用化に深刻な困難を来たす。
【0014】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであり、工程増を招くことなく、極めて高い歩留まりでゲート電極について均一で十分なフル・シリサイド化を確実に実現する、信頼性の高い製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
半導体装置の製造方法の一態様は、半導体基板の上方にシリコンからなるゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物を注入し、ソース領域及びドレイン領域を形成する工程と、前記ゲート電極、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域を覆うように、第1金属膜を堆積する工程と、前記第1金属膜を加熱する第1アニールを行い、前記ゲート電極の表層、前記ソース領域の表層、及び前記ドレイン領域の表層にそれぞれシリサイド層を形成する工程と、前記第1アニールの後、前記第1金属膜を除去する工程と、前記第1金属膜を除去する工程の後、msecアニール法により前記各シリサイド層を加熱する第2アニールを行う工程と、前記第2アニールの後、前記ゲート電極、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域を覆うように第2金属膜を形成する工程と、前記第2金属膜を加熱する第3アニールを行う工程と、前記第3アニールを行う工程の後、前記第2金属膜を除去する工程とを含む。
【発明の効果】
【0016】
上記した半導体装置の製造方法によれば、工程増を招くことなく、極めて高い歩留まりでゲート電極について均一で十分なフル・シリサイド化を確実に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】従来のフル・シリサイド法をサリサイド技術に適用した場合における、MOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図2】図1に引き続き、従来のフル・シリサイド法をサリサイド技術に適用した場合における、MOSトランジスタの製造方法の主要工程を示す概略断面図である。
【図3】通常のシリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタ製品との比較に基づき、特許文献1の技術により作製されたフル・シリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタのシート抵抗値を累積確率関係で調べた特性図である。
【図4】第1の実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図5】図4に引き続き、第1の実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図6】図5に引き続き、第1の実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図7】通常のシリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタ製品との比較に基づき、第1の実施形態によるフル・シリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタの抵抗値を累積確率関係で調べた特性図である。
【図8】通常のシリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタ製品との比較に基づき、第1の実施形態によるフル・シリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタのIon−Ioff特性を調べた特性図である。
【図9】第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図10】図9に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図11】図10に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図12】図11に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図13】図12に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図14】図13に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図15】図14に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図16】図15に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図17】図16に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図18】図17に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図19】図18に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図20】図19に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図21】図20に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図22】図21に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図23】図22に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図24】図23に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図25】図24に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図26】図25に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【図27】図26に引き続き、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を適用した好適な諸実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施形態)
特許文献1の技術によれば、ゲート電極の表層部分及びソース/ドレイン領域の表層部分がシリサイド化されている状態において、半導体基板にフラッシュランプアニール処理を施す。この処理により、ソース/ドレイン領域には例えばNiSi層が形成された状態が保持されて、ゲート電極のみが選択的にフル・シリサイド化され、フル・シリサイドゲート電極が形成される。
特許文献1の技術では、従来技術のような工程増を招くことなくフル・シリサイドゲート電極を得ることができるという優れた効果が奏される。しかしながら、特許文献1の特許出願後に、以下のような詳細な調査を行った。
【0020】
特許文献1の技術により作製された、フル・シリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタ(サンプル1)のシート抵抗(Ω/sq.)を、製品の累積確率との関係で調べた。比較のため、通常のシリサイドゲート電極(上部のみシリサイド化されたゲート電極)を有するMOSトランジスタ(サンプル2)についても同様に調べた。
調査結果を図3に示す。サンプル1では、サンプル2に比べてシート抵抗値が高く、製品によりシート抵抗値のバラツキが大きいという結果が得られた。
【0021】
サンプル1ではシート抵抗値のバラツキが大きいことに鑑みて、特許文献1の技術により複数のMOSトランジスタを作製してみた。その結果、90%程度の多くの製品では、十分なフル・シリサイドゲート電極が得られたが、残りの10%程度の製品では、上部がシリコンの状態で下部がシリサイド化されたゲート電極が得られた。そこで、フル・シリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタの歩留まりを向上させるべく、上記のように一部の製品では上部がシリコンで下部がシリサイドであるゲート電極が形成されるメカニズムについて考察した。
【0022】
一般的に、2つの物質が交じり合う現象は拡散と呼ばれ、原子間の結合を切り、移動するだけのエネルギーを熱で与えた場合には熱拡散と言う。物質移動の速度は拡散束(Diffusion flux)と呼ばれ、この拡散束は濃度勾配に比例する。これがフィックの第一法則である。
J(拡散束)=−D(dC/dx):Dは拡散係数(diffusion coefficient)、Cは濃度、xは一次元方向
即ち、濃度勾配によって拡散するのであるから、多結晶シリコンの上部からNiを下方へ拡散した場合、Ni濃度は上方が濃く、下方が薄い濃度勾配を持つことになる。そうすると、上記のような現象、即ちゲート電極の上部がシリコンの状態で下部がシリサイド化された状態は、通常のシリサイド工程で行う熱処理、即ち熱拡散では生じ得ないことが判る。
【0023】
NiSi相とNiSi2相の融点は約1000℃であり、ゲート電極に選択的に約1000℃〜1400℃の熱処理が瞬間的に行われると、先ず、ゲート電極のシリサイド層が溶解する。フラッシュランプアニール処理を行う前では、このゲート電極にはNiSi相であったが、NiSi2相へ変わってから、或いはNiSi相のままで溶解することになる。ここで、バルク状態のSi結晶の融点は1400℃以上であるため、通常、バルク状態のSiは溶解しない。しかしながら、溶解したシリサイド層の直下の多結晶シリコン膜の最表面は表面エネルギーを持つため、1400℃以下でも溶解する。従って、ゲート電極の内部は瞬間的に、溶解したシリサイド液中にシリコン原子が混入した状態となる。フラッシュランプアニール処理が終わると、冷却過程に入るため、先ず融点の高いシリコンから析出し、固体のSi及び液体のシリサイドの状態となる。このとき、ゲート電極の上部にSiが露出する。これは、Siの方がNiSi2よりも比重が軽いため、或いはゲート電極の絶縁膜に囲まれていない上部側から内部が冷えてゆくためである。更に冷えると、固体シリサイド(この場合、NiSi2相)がゲート電極の下部に形成される。この下部に形成されるシリサイド相は、ゲート電極中に存在するSi及びNiの量(割合)に依存して決定される。即ち、ゲート電極中で例えばSiが66.7atom%以上であれば、ゲート電極下部にNiSi2相が形成されることになる。
【0024】
ゲート電極において、NiSi2上にNiを成膜し、NiSiが形成される200℃〜600℃程度の熱処理を行っても、NiSi2からNiSiへ相転移したり、上部だけNiSiが形成されるような現象は生じない。これは、一般にNiSi2は600℃〜900℃の熱処理によって形成され、またNiSi2は最も安定な相であるからである。
【0025】
本実施形態では、ゲート電極の表層部分及びソース/ドレイン領域の表層部分がシリサイド化されている状態に対するmsecアニール処理(フラッシュランプアニール処理又はレーザアニール処理)に引き続き、再びシリサイド化を行う。
msecアニール処理を行った場合、所望のシリサイド相を形成する以上の余分なSiは、ゲート電極の上部に形成される。従って、再びシリサイド工程、即ちゲート電極を覆うようにNiを含有する金属膜を形成し、アニール処理を行って、ゲート電極に上部から更にNiを供給すれば良い。当該アニール処理の温度が高い(600℃超)と、ソース/ドレイン領域の上部に形成されたNiSiの膜厚が大きくなり、ソース/ドレイン領域と半導体基板との間で接合リークが発生する懸念がある。従って、当該アニール処理の温度を、200℃〜600℃、好ましくは200℃〜450℃とする。
【0026】
図4〜図6は、第1の実施形態によるCMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
先ず、図4(a)に示すように、半導体基板101に素子分離構造102を形成した後、ゲート絶縁膜103、ゲート電極104、エクステンション領域105a,105b、サイドウォール絶縁膜106、ソース/ドレイン領域107a,107b等を形成する。
【0027】
詳細には先ず、半導体基板101に素子分離構造102を形成する。これにより、n型MOSトランジスタの形成領域である活性領域(図4(a)中で左側の領域であり、NMOS活性領域と記す。)と、n型MOSトランジスタの形成領域である活性領域(図4(a)中で右側の領域であり、PMOS活性領域と記す。)とが画定される。
次に、半導体基板101上にリソグラフィーによりレジストを加工して、隣接する素子分離構造102間の活性領域の一部を露出させる開口を有するレジストマスクを形成する。そして、半導体基板101の活性領域に、閾値制御のためのチャネルドーズイオン注入を行う。本実施形態においては、チャネルドーズイオン注入は、基板面内で満遍なく半導体チップ毎に条件振りを行い、駆動電流比較において、同一閾値で比較できるようにしている。n型MOSトランジスタを作製する場合には、例えばホウ素(B+)を加速エネルギーが25keV、ドーズ量が0〜1.0×1013/cm2の条件でイオン注入し、p型MOSトランジスタを作製する場合には、例えば砒素(As+)を加速エネルギーが80keV、ドーズ量が0〜5.0×1012/cm2の条件でイオン注入する。
その後、レジストマスクを灰化処理等により除去する。
【0028】
次に、導入した不純物の活性化アニールを行った後、半導体基板101の活性領域上にゲート絶縁膜103を形成する。
例えばCVD法により絶縁膜、ここではシリコン酸化膜を膜厚0.7nm程度に堆積する。更に、シリコン酸化膜上に例えばHfSiO膜を膜厚2.8nm程度に形成し、プラズマ窒化した直後に1050℃のアニール処理をN2雰囲気中で5秒間行う。これにより、HfSiO膜をHfSiON膜化させる。以上により、シリコン酸化膜及びHfSiON膜が積層されてなるゲート絶縁膜103が形成される。
【0029】
次に、ゲート絶縁膜103上にゲート電極104a,104bを形成する。
例えばCVD法により多結晶シリコン膜を膜厚50nm程度に堆積した後、例えばCVD法によりシリコン窒化膜を膜厚50nm程度に堆積してハードマスクを形成する。ハードマスク上にリソグラフィーにより電極形状のレジストマスクを形成し、ハードマスク膜をドライエッチングする。レジストマスクを灰化処理等により除去した後、ハードマスクを用いて多結晶シリコン膜及びゲート絶縁膜103をドライエッチングする。これにより、ゲート絶縁膜103上に、NMOS活性領域ではゲート電極104aが、PMOS活性領域ではゲート電極104bがそれぞれ形成される。その後、ハードマスクを除去する。
【0030】
次に、NMOS活性領域及びPMOS活性領域におけるゲート電極104の両側にエクステンション領域105a,105bを形成する。
NMOS活性領域では、ゲート電極104a及びレジストマスクをマスクとして、ゲート電極104aの両側における半導体基板101の表層にn型不純物、例えば砒素(As+)を導入して、エクステンション領域105aを形成する。一方、PMOS活性領域では、ゲート電極104b及びレジストマスクをマスクとして、ゲート電極104bの両側における半導体基板101の表層にp型不純物、例えばホウ素(B+)を導入して、エクステンション領域105bを形成する。
【0031】
次に、ゲート電極104a,104bの両側にサイドウォール絶縁膜106を形成する。
ゲート電極104a,104b上を含む半導体基板101の全面を覆うように絶縁膜、ここではシリコン酸化膜を膜厚10nm〜100nm程度に堆積する。そして、シリコン酸化膜の全面を反応性イオンエッチング(RIE)により異方性ドライエッチングし、ゲート電極104a,104bの両側面にのみシリコン酸化膜を残す。これにより、ゲート電極104a,104bの両側にサイドウォール絶縁膜106が形成される。
【0032】
次に、半導体基板101の表層にエクステンション領域105a,105bと一部重畳されるソース/ドレイン領域107a,107bを形成する。
NMOS活性領域では、レジストマスク、ゲート電極104a及びサイドウォール絶縁膜106をマスクとして、ゲート電極104a及びサイドウォール絶縁膜106の両側における半導体基板101の表層にn型不純物、例えば砒素(As+)を導入する。これにより、エクステンション領域105aと一部重畳されるソース/ドレイン領域107aが形成される。一方、PMOS活性領域では、レジストマスク、ゲート電極104b及びサイドウォール絶縁膜106をマスクとして、ゲート電極104b及びサイドウォール絶縁膜106の両側における半導体基板101の表層にp型不純物、例えばホウ素(B+)を導入する。これにより、エクステンション領域105bと一部重畳されるソース/ドレイン領域107bが形成される。
次に、例えば半導体基板101に処理温度1015℃で0秒間のスパイクアニールを行う。これにより、導入した不純物が活性化される。
【0033】
続いて、図4(b)に示すように、半導体基板101の全面を覆うようにシリサイド金属膜であるNi膜108及びキャップ膜109を順次形成する。
詳細には、先ず、ゲート電極103上及びソース/ドレイン領域107a,107bに形成された自然酸化膜をフッ酸処理により除去する。
フッ酸処理の代わりに、Arスパッタによる物理的に自然酸化膜を除去しても良い。また、三フッ化窒素(NF3)ガスのプラズマ又はH2ガスのプラズマを用いたケミカル処理により、自然酸化膜を還元除去しても良い。このケミカル処理としては、例えばNF3ガスとNH3ガス、更にArガス又はH2ガスを添加し、リモートプラズマによって(NH42SiF6を形成し、昇華させて自然酸化膜を還元除去するようにしても好適である。
【0034】
次に、シリサイド金属であるNiターゲットを用意する。このターゲットを用いたスパッタ法により、ゲート電極104a,104b上、サイドウォール絶縁膜106上及びソース/ドレイン領域107a,107b上を含む半導体基板101の全面にNi膜108を膜厚5nm〜20nm程度、例えば13nm程度に堆積する。スパッタ法の代わりに、Ni膜108を例えば電子ビーム蒸着により形成しても良い。
【0035】
次に、Ni膜108を覆うように、例えばスパッタ法によりTiN膜を膜厚5nm〜50nm程度、ここでは10nm程度に堆積し、キャップ膜109を形成する。ここで、キャップ膜109としては、Ti膜を膜厚5nm〜30nm程度に堆積して形成しても良い。また、キャップ膜109は不要である場合もある。
【0036】
なお、Ni膜108を形成する代わりに、Ni合金膜を形成しても良い。例えば、Niと、Pt,Ta,W,Re,Y,Yb,Al,La,Tiの群から選ばれた少なくとも1種の元素とを含有するNi合金ターゲットを用意し、スパッタ法によりNi合金膜をNi膜108の代わりに堆積させる。例えば、Ni合金膜としてPtを含有するNiPt膜を形成する場合、Ptの含有量(濃度)が例えば5原子%であるターゲットを用いることが好ましい。後述するように、このようなNi合金膜を形成することにより、ソース/ドレイン領域107a,107bの表層部分へのNiの過剰な供給を抑えることができる。
【0037】
続いて、図4(c)に示すように、ゲート電極104a,104bの表層部分及びソース/ドレイン領域107a,107bの表層部分をシリサイド化し、Ni2Si層110a,110bを形成する。
詳細には、比較的低温(300℃以下)、例えば250℃で120秒間のアニール処理(第1のアニール処理)を行う。この処理により、ゲート電極104a,104bの表層部分及びソース/ドレイン領域107a,107bの表層部分がシリサイド化される。その結果、ゲート電極104a,104bの表層部分にはNi2Si層110aが、ソース/ドレイン領域107a,107bの表層部分にはNi2Si層110bがそれぞれ形成される。ここで、急速アニール処理の代わりに炉アニール(或いは炉アニール+急速加熱処理)を行うようにしても良い。
ここで、シリサイド金属膜として上記のようにNiPt膜を形成する場合、ターゲットにおけるPtの含有量(濃度)が1原子%〜10原子%であれば、アニール処理の温度を200℃〜290℃で行うと効果的である。
【0038】
続いて、図5(a)に示すように、キャップ膜109及び未反応のNi膜108を除去する。
詳細には、キャップ膜109及び未反応のNi膜108を、例えば硫酸:過酸化水素水=3:1の処理液を用いて化学処理(SPM処理)し、これらを選択的に除去する。ここで、上記の処理溶液の代わりに、塩酸+過酸化水素水の処理液を用いても良い。
【0039】
続いて、図5(b)に示すように、ゲート電極104a,104bの表層部分及びソース/ドレイン領域107a,107bの表層部分を再度シリサイド化し、NiSi層111a,111bを形成する。
詳細には、処理温度を比較的高温(350℃〜600℃)、例えば400℃とし、処理時間を10秒間〜120秒間、例えば30秒間の急速アニール処理(第2のアニール処理)を行う。この処理により、ゲート電極104a,104bの表層部分及びソース/ドレイン領域107a,107bの表層部分が更にシリサイド化される。その結果、ゲート電極104a,104bのNi2Si層110aはNiSi層111aに、ソース/ドレイン領域107a,107bのNi2Si層110bはNiSi層111bになる。
【0040】
続いて、半導体基板101にmsecアニール処理、ここではフラッシュランプアニール処理を施す。msecアニール処理とは、msec単位で瞬間的に熱処理を行う手法である。
フラッシュランプアニールの処理条件としては、ランプの照射エネルギーを24J/cm2〜28J/cm2、照射時間を0.5m秒間〜1.5m秒間、アシスト温度(処理対象、ここでは半導体基板101の保持温度)を300℃〜450℃の各条件により行う。
なお、このアシスト温度は図5(b)の急速アニール処理の温度範囲内である。従って、図5(b)の急速アニール処理とフラッシュランプアニール処理とをフラッシュランプアニール装置内で連続的に行うようにしても良い。
【0041】
フラッシュランプアニール処理により、ソース/ドレイン領域107a,107bではNiSi層111bが形成された状態が保持されて、ゲート電極104a,104bのみが選択的にシリサイド化される。その結果、上述したように、複数のゲート電極104a,104bのうち、大部分(例えば9割程度)のゲート電極104a,104bでは、NiSi2にフル・シリサイド化される。その一方で、残り(例えば1割程度)のゲート電極104a,104bでは、上部にSi層104Bが露出した状態でその下部がNiSi2層104Aにシリサイド化される。ゲート電極104a,104bが後者の状態とされたCMOSトランジスタを図5(c)に示す。以下、このCMOSトランジスタのみを例示する。本実施形態で後述する処理を施すに際して、後者のゲート電極104a,104bでは、上部のSi層104Bが図示のように均一に露出した状態が好ましい。このようなSi層104Bの均一な状態は、フラッシュランプアニール処理の照射条件を強度が高い方へ微調整することで得られる。
【0042】
本実施形態では、msecアニール処理として、フラッシュランプアニール処理の代わりにレーザアニール処理を行うようにしても良い。
この場合、例えばステージ温度400℃で、パイロメータの表示上において700℃〜1000℃の範囲で制御し、レーザアニール処理を行えば良い。レーザアニール処理では、パイロメータにて基板温度を測定して制御する。そのため、アニール対象に対して非常に広い温度範囲で測定を行うことから、素子分離領域、ゲート電極、ソース/ドレイン領域等からの信号が平滑化されて温度モニターされる。即ち、ここでパイロメータ表示上の温度とは、実際のゲート電極、ソース/ドレイン領域等の温度を示しているのではなく、飽くまで制御上の温度である。
【0043】
続いて、ゲート電極104a,104bの上部に露出したSi層104Bをシリサイド化する。
なお、上記したフラッシュランプアニール処理によりフル・シリサイド化されたゲート電極を有するCMOSトランジスタについても、当該シリサイド化が施される。この場合でも、フル・シリサイドゲート電極としての高いトランジスタ特性が実現する。
【0044】
先ず、ゲート電極104a,104b上及びソース/ドレイン領域107a,107b上に形成された自然酸化膜を除去する。このとき、フッ酸を用いてウェットエッチングを行えば、ソース/ドレイン領域107a,107bのNiSi層111bもエッチングされてしまう。そこで、例えばICPプラズマによるArスパッタにより自然酸化膜を除去する。Arスパッタは、自然シリコン酸化膜の膜厚換算で例えば2nm分程度行う。
このArスパッタの代わりに、三フッ化窒素(NF3)ガスのプラズマ又はH2ガスのプラズマを用いたケミカル処理により、自然酸化膜を還元して除去するようにしても良い。このケミカル処理としては、例えばNF3ガスとNH3ガス、更にArガス又はH2ガスを添加し、リモートプラズマによって(NH42SiF6を形成し、昇華させて自然酸化膜を還元除去するようにしても好適である。
【0045】
次に、図6(a)に示すように、半導体基板101の全面を覆うようにシリサイド金属膜であるNi膜112及びキャップ膜113を順次形成する。
先ず、シリサイド金属であるNiターゲットを用意する。このターゲットを用いたスパッタ法により、ゲート電極104a,104b上及びサイドウォール絶縁膜106上を含む半導体基板101の全面にNi膜112を膜厚9nm程度に堆積する。スパッタ法の代わりに、Ni膜112を例えば電子ビーム蒸着により形成しても良い。
【0046】
次に、Ni膜112を覆うように、例えばスパッタ法によりTiN膜を膜厚5nm〜50nm程度、ここでは10nm程度に堆積し、キャップ膜113を形成する。ここで、キャップ膜113としては、Ti膜を膜厚5nm〜30nm程度に堆積して形成しても良い。また、キャップ膜113は不要である場合もある。
【0047】
なお、Ni膜113を形成する代わりに、Ni合金膜を形成しても良い。例えば、Niと、Pt,Ta,W,Re,Y,Yb,Al,La,Tiの群から選ばれた少なくとも1種の元素とを含有するNi合金ターゲットを用意し、スパッタ法によりNi合金膜をNi膜108の代わりに堆積させる。例えば、Ni合金膜としてPtを含有するNiPt膜を形成する場合、Ptの含有量(濃度)が1原子%〜10原子%、好ましくは2原子%〜10原子%、例えば5原子%であるターゲットを用いることが好適である。
【0048】
次に、図6(b)に示すように、ゲート電極104a,104bの上部に露出したSi層104Bをシリサイド化し、NiSi層114を形成する。
アニール処理(第3のアニール処理)を、200℃〜600℃、好ましくは200℃〜450℃の範囲内の温度、例えば400℃で例えば30秒間行う。
このアニール処理により、ゲート電極104a,104bの上部に露出したSi層104Bがシリサイド化され、ゲート電極104a,104bの表面部分にはNiSi層114が形成される。その結果、ゲート電極104a,104bは、NiSi2層104A及びNiSi層114からなるフル・シリサイドゲート電極115a,115bとなる。
ここで、ソース/ドレイン領域107a,107bのNiSi層111bは、当該アニール処理で若干の膜厚増加が見られる場合があるが、ソース/ドレイン領域107a,107bと半導体基板101との間で接合リークが発生する程に膜厚が増加することはない。
【0049】
続いて、図6(c)に示すように、キャップ膜113及び未反応のNi膜112を除去する。
詳細には、キャップ膜113及び未反応のNi膜112を、例えば硫酸:過酸化水素水=3:1の処理液を用いて化学処理(SPM処理)し、これらを選択的に除去する。ここで、上記の処理溶液の代わりに、塩酸+過酸化水素水の処理液を用いても良い。
【0050】
しかる後、層間絶縁膜、コンタクトプラグ、各種配線等の形成を経て、CMOSトランジスタを形成する。
【0051】
本実施形態では、上記した第1のアニール処理及び第3のアニール処理の際に、シリサイド金属膜であるNi膜を形成する代わりに、Niと、Pt,Ta,W,Re,Y,Yb,Al,La,Tiの群から選ばれた少なくとも1種の元素とのNi合金膜を形成しても良い旨について、前述した。シリサイド金属膜として上記のようなNi合金膜を用いる技術は、特許文献2に開示されている。
【0052】
例えば、Ni95Pt5層をSi基板の表面に堆積し、アニール処理したときの、Ni及びPtの各原子の挙動をEDX分析(energy dispersion X-ray analysis)して観察した結果について説明する。サンプルは、Si半導体基板の表面上に膜厚約20nm程度のNi95Pt5層を堆積し、240℃で120秒間の1次アニールを行い、硫酸過水で未反応のNiを除去し、400℃の二次アニールを行ったものである。Si基板の表面にシリサイド層が形成されており、Niはシリサイド層の全体に分布している。Ptは、主にシリサイド層の上側約1/2の厚さ領域に、特に濃度の高い主部分は約1/2以下の厚さ領域に分布している。即ち、この表面に偏析したPtがその上部に堆積されるNi膜からの過剰なNi供給を抑止する効果があることが確認される。
従って、第1及び第3のアニール処理の際に、シリサイド金属膜であるNi膜を形成する代わりに、上記のNi合金膜を形成してアニール処理を行うことにより、ソース/ドレイン領域107a,107bのNiSi層111bの膜厚増加を抑えることができる。
【0053】
本実施形態により作製された、フル・シリサイドゲート電極を有するMOSトランジスタ(サンプル1)の抵抗値(Ω)を、製品の累積確率との関係で調べた。比較のため、通常のシリサイドゲート電極(上部のみシリサイド化されたゲート電極)を有するMOSトランジスタ(サンプル2)についても同様に調べた。
調査結果を図7に示す。サンプル1では、サンプル2に比べて抵抗値が低く、製品により抵抗値のバラツキが極めて小さいという良好な結果が得られた。
【0054】
同様に、サンプル1のIon−Ioff特性(Ion:μA/μm,Ioff:A/μm)について、サンプル2との比較に基づいて調べた。
調査結果を図8に示す。サンプル1では、サンプル2に比べて駆動電流が大きく、本実施形態によりゲート電極のフル・シリサイド化の十分な効果が得られることが確認された。具体的に、オフ電流Ioffが1×10-7A/μmのとき、サンプル1ではサンプル2よりもオン電流Ionが約33%向上することが判る。
【0055】
以上説明したように、本実施形態によれば、工程増を招くことなく、極めて高い歩留まりでゲート電極104a,104bについて均一で十分なフル・シリサイド化を確実に実現することができる。これにより、フル・シリサイドゲート電極115a,115bを有する信頼性の高い半導体装置が実現する。
【0056】
(第2の実施形態)
本実施形態では、半導体装置としてMOSトランジスタを例示するが、各種の半導体メモリ等、ゲートを有する半導体装置であれば適用可能である。また、以下の実施形態では、説明及び図示の便宜上、その構成を製造方法と共に説明する。
図9〜図27は、第2の実施形態によるMOSトランジスタの製造方法を工程順に示す概略断面図である。
【0057】
先ず、図9(a)に示すように、表面が(100)面とされたp型単結晶シリコンからなる半導体基板1を用意し、この半導体基板1をアンモニア及び過酸化水素で洗浄する。
続いて、図9(b)に示すように、半導体基板1の表面を熱酸化し、シリコン酸化膜2を膜厚50nm程度に成長させる。
続いて、図9(c)に示すように、シリコン酸化膜2にレジスト(不図示)を塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、後述するウェルの形成部位を露出させる開口3aを有するレジストマスク3を形成する。そして、このレジストマスク3を用いてシリコン酸化膜2をドライエッチングし、シリコン酸化膜2に開口3aの形状に倣った開口2aを形成する。
【0058】
続いて、図10(a)に示すように、半導体基板1の表層にウェル4を形成する。
詳細には、半導体基板1の表面におけるシリコン酸化膜2の開口2a及びレジストマスク3の開口3aから露出する部分に不純物を導入し、半導体基板1の表層にウェル4を形成する。ここで、p型ウェルを形成する場合には、例えばホウ素(B+)を加速エネルギーが120keV、ドーズ量が1.0×1013/cm2の条件でイオン注入する。一方、n型ウェルを形成する場合には、例えばリン(P+)を加速エネルギーが300keV、ドーズ量が1.0×1013/cm2の条件でイオン注入する。
【0059】
続いて、図10(b)に示すように、灰化処理等によりレジストマスク3を除去した後、図10(c)に示すように、ウェットエッチングによりシリコン酸化膜2を除去する。
続いて、図11(a)に示すように、例えばCVD法により、半導体基板1の全面にシリコン窒化膜5を膜厚50nm程度に形成する。
【0060】
続いて、図11(b)に示すように、シリコン窒化膜5をリソグラフィー及びドライエッチングにより加工し、シリコン窒化膜5に半導体基板1の表面における素子分離領域を露出させる開口5aを形成する。
続いて、図11(c)に示すように、シリコン窒化膜5をマスクとして、半導体基板1の表面におけるシリコン窒化膜5の開口5aから露出する部分をドライエッチングし、分離溝6を例えば深さ400nm程度に形成する。
【0061】
続いて、図12(a)に示すように、半導体基板1上で活性領域を画定するSTI(Shallow Trench Isolation)素子分離構造7を形成する。
詳細には、先ず、半導体基板1の全面に絶縁膜、ここではシリコン酸化物7aを例えばCVD法により堆積し、分離溝6をシリコン酸化物7aで埋め込む。
次に、シリコン窒化膜5の表面が露出するまでシリコン酸化物を研磨、ここではCMPにより研磨して平坦化する。
次に、図12(b)に示すように、ウェットエッチングによりシリコン窒化膜5を除去する。これにより、分離溝6をシリコン酸化物で充填してなるSTI素子分離構造7が形成される。
【0062】
続いて、図12(c)に示すように、半導体基板1上にレジスト(不図示)を塗布し、リソグラフィーによりレジストを加工して、隣接するSTI素子分離構造7間の活性領域の一部を露出させる開口8aを有するレジストマスク8を形成する。
続いて、図13(a)に示すように、半導体基板1の活性領域に、閾値制御のためのチャネルドーズイオン注入を行う。n型MOSトランジスタを作製する場合には、例えばホウ素(B+)を加速エネルギーが15keV、ドーズ量が1.0×1013/cm2の条件でイオン注入する。一方、p型MOSトランジスタを作製する場合には、例えば砒素(As+)を加速エネルギーが80keV、ドーズ量が1.0×1013/cm2の条件でイオン注入する。
次に、灰化処理等によりレジストマスク8を除去した後、導入した不純物の活性化アニールを例えば処理温度950℃で10秒間の条件で行う。
【0063】
続いて、図13(b)に示すように、半導体基板1の全面にSiO2膜9を形成する。
図13(b)〜図27では、図中で左側がn型MOSトランジスタの形成領域であるNMOS活性領域であり、右側がp型MOSトランジスタの形成領域であるPMOS活性領域である。
詳細には、例えばSiO膜を熱CVD法により膜厚0.5〜1nm程度、ここでは0.7nm程度に成膜する。そして、SiO膜をO3,O2,酸化窒化ガス等の酸素元素を含む酸化雰囲気で酸化し、SiO2膜9を形成する。SiO2膜9の代わりに、SiO膜を形成した後、これをN2ガスを含む雰囲気でプラズマ処理し、続いて750℃〜1100℃でアニールしてSiON膜を形成しても良い。この場合、SiON膜下の活性領域のSiにダメージが入らないように、N2プラズマの処理条件を最適化する必要がある。
【0064】
続いて、図13(c)に示すように、SiO2膜9上にハフニウムシリコン酸化膜(HfSiO膜)10を形成する。
詳細には、熱CVD法、ALD法又はPVD法により、SiO2膜9上にハフニウムシリコン酸化膜10を膜厚1nm〜4nm程度、例えば1nm程度に成膜する。
ハフニウムシリコン酸化膜10中にZr,Ti,Al,Si,Ta,La,Y,Mgのうち、少なくとも1つの元素をp型MOSトランジスタの閾値電圧(Vth)の制御可能範囲で混入させても良い。また、ハフニウムシリコン酸化膜10の成膜後に、N2プラズマ処理し、750℃〜1100℃でアニールして窒化しても好適である。
【0065】
続いて、図14(a)に示すように、ハフニウムシリコン酸化膜10上にアルミニウム酸化膜(AlO膜)11を形成する。
詳細には、p型MOSトランジスタ用のダイポールを形成する材料を堆積すべく、熱CVD法、ALD法又はPVD法により、ハフニウムシリコン酸化膜10上にアルミニウム酸化膜11を膜厚0.3nm〜1nm程度、例えば0.5nm程度に成膜する。
アルミニウム酸化膜11を形成する代わりに、例えばチタン酸化膜又はタンタル酸化膜等を形成しても良い。
【0066】
続いて、図14(b)に示すように、TiN膜12及びSiN膜13を順次形成する。
詳細には、先ず、例えばPVD法により、アルミニウム酸化膜11上にTiN膜12を膜厚10nm〜50nm程度、例えば30nm程度に成膜する。単層のTiN膜12を形成する代わりに、TiNと、WN,TiAlN,ZrN,HfN,IrO2,PtRa,Ir,TaCN,Mo,MoN,RuO2,Ru,Ptのうちから選ばれた少なくとも1種との積層膜を形成しても良い。また、WN,TiAlN,ZrN,HfN,IrO2,PtRa,Ir,TaCN,Mo,MoN,RuO2,Ru,Ptのうちから選ばれた少なくとも2種の積層膜を形成しても好適である。
【0067】
続いて、図14(c)に示すように、PMOS活性領域上のみを覆うレジストマスク14を形成する。
詳細には、SiN膜13上にレジストを塗布し、このレジストをリソグラフィーにより加工して、PMOS活性領域上のみを覆うレジストマスク14を形成する。
【0068】
続いて、図15(a)に示すように、レジストマスク14を用いてSiN膜13をドライエッチングし、PMOS活性領域上のみにSiN膜13を残す。
続いて、図15(b)に示すように、レジストマスク14を灰化処理等により除去する。
続いて、図15(c)に示すように、SiN膜13をマスクとして用い、TiN膜12を例えばH22でウェットエッチングし、PMOS活性領域上のみにTiN膜12を残す。
【0069】
続いて、図16(a)に示すように、TiN膜12をマスクとして用い、アルミニウム酸化膜11を例えば希釈したフッ酸でウェットエッチングし、PMOS活性領域上のみにアルミニウム酸化膜11を残す。ここで、SiN膜13は比較的低温で成膜されたものであるため、n型MOSトランジスタの活性領域(NMOS)におけるSiN膜13の除去と同時に、PMOS活性領域のSiN膜13は除去される。このとき、PMOSのTiN膜12がマスクとなり、PMOS活性領域のアルミニウム酸化膜11は残る。
続いて、図16(b)に示すように、TiN膜12を例えばH22でウェットエッチングして除去する。
【0070】
続いて、図16(c)に示すように、p型MOSトランジスタ用のダイポール層15を形成する。
詳細には、熱処理、例えば750℃〜1100℃程度の温度でRTA熱処理を5秒間行う。これにより、ハフニウムシリコン酸化膜10内にアルミニウム酸化膜11中のアルミニウムが拡散し、ハフニウムシリコン酸化膜10とSiO2膜9との界面まで広がり、ダイポール層15が形成される。ダイポール層15により、p型MOSトランジスタの閾値(Vth)が制御される。上記の熱処理前に、N2プラズマ処理して微量の窒素をダイポール層15中に混入させて、誘電率を若干高くするようにしても良い。
なお、上記の熱処理を省略し、ダイポールの熱処理を後述するソース/ドレイン領域の不純物を活性化させるためのアニール処理と兼用しても良い。
【0071】
続いて、図17(a)に示すように、ゲート金属膜16を形成する。
詳細には、例えばPVD法、ALD法又はCVD法により、例えばTiN膜を膜厚0.5nm〜30nm程度、ここでは10nm程度に成膜し、ゲート金属膜16を形成する。このTiN膜をPVD法で形成する際には、例えば基板温度−30℃〜400℃、RFパワー0〜2000W、DCパワー0〜50000Wとし、N2ガスのみ又はAr+N2ガスの雰囲気で成膜する。
ゲート金属膜16としては、単層のTiNを形成する代わりに、TiNと、WN,TiAlN,ZrN,HfN,IrO2,PtRa,Ir,TaCN,Mo,MoN,RuO2,Ru,Ptのうちから選ばれた少なくとも1種との積層膜を形成しても良い。また、WN,TiAlN,ZrN,HfN,IrO2,PtRa,Ir,TaCN,Mo,MoN,RuO2,Ru,Ptのうちから選ばれた少なくとも2種の積層膜を形成しても好適である。但し、p型MOSトランジスタに適した仕事関数を持つ材料を用いる。また、バルク状態における融点が2000℃以上の材料を用いる。
【0072】
続いて、図17(b)に示すように、ゲート金属膜16を加工し、PMOS活性領域上のみにゲート金属膜16を残す。
詳細には、ハードマスクとなるSiN膜を成膜した後、レジストを塗布してリソグラフィーによりレジストを加工し、PMOS活性領域上のみを覆うレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いてNMOS活性領域上のSiN膜をドライエッチングにより除去する。その後、レジストを除去し、PMOS活性領域上に残ったSiN膜を、希釈したフッ酸により除去する。
【0073】
続いて、図17(c)に示すように、全面に多結晶シリコン膜17及びSiN膜18を順次形成する。
詳細には、先ず、例えば熱CVD法により多結晶シリコン膜17を10nm〜100nm程度、例えば50nm程度に成膜する。多結晶シリコン膜17の代わりにアモルファス・シリコン膜を形成しても良い。
次に、例えばCVD法により、ゲート加工用のハードマスクとなるSiN膜18を5nm〜100nm程度、例えば50nm程度に成膜する。SiN膜18は形成しない場合もある。
【0074】
続いて、図18(a)に示すように、SiN膜18及び多結晶シリコン膜17を電極形状に加工する。
詳細には、SiN膜18上にレジストを塗布してリソグラフィーによりレジストを加工し、NMOS活性領域上及びPMOS活性領域上にそれぞれ電極形状のレジストマスクを形成する。このレジストマスクを用いてNMOS活性領域上及びPMOS活性領域上のSiN膜18をドライエッチングにより加工する。その後、レジストマスクを除去し、SiN膜18をマスクとして多結晶シリコン膜17をドライエッチングする。
【0075】
続いて、図18(b)に示すように、SiN膜18をマスクとしてPMOS上のゲート金属膜16をエッチングする。
このエッチングとしては、ドライエッチング、H22を用いたウェットエッチング、又はドライエッチングと当該ウェットエッチングを組み合わせて行う。
【0076】
続いて、図18(c)に示すように、NMOS活性領域上及びPMOS活性領域上に、ゲート絶縁膜19a,19bを介してゲート電極20a,20bを形成する。
詳細には、SiN膜18をマスクとして、ドライエッチング、希釈したフッ酸又は硝酸によるウェットエッチング、又はドライエッチングと当該ウェットエッチングを組み合わせて行い、ハフニウムシリコン酸化膜10(ダイポール層15)及びSiO2膜9を加工する。その後、SiN膜18を希釈したフッ酸を用いたウェットエッチングにより除去する。以上により、NMOS上には、SiO2膜9及びハフニウムシリコン酸化膜10からなるゲート絶縁膜19aを介して、多結晶シリコン膜17からなるゲート電極20aが形成される。PMOS上には、SiO2膜9及びダイポール層15からなるゲート絶縁膜19bを介して、ゲート金属膜16及び多結晶シリコン膜17からなるゲート電極20bが形成される。
【0077】
続いて、図19(a)に示すように、半導体基板1の表層にエクステンション領域21a,21bを形成する。
詳細には、ゲート電極20a,20bをマスクとして、ゲート電極20a,20bの両側における半導体基板1の表層に不純物を導入し、エクステンション領域21a,21bを形成する。
p型MOSトランジスタを作製する場合には、NMOS活性領域上をレジストマスクで覆い、PMOS活性領域に例えばホウ素(B+)を加速エネルギーが0.5keV、ドーズ量が1.0×1015/cm2の条件でイオン注入してエクステンション領域21bを形成する。一方、n型MOSトランジスタを作製する場合には、PMOS活性領域上をレジストマスクで覆い、NMOS活性領域に例えば砒素(As+)を加速エネルギーが1keV、ドーズ量が1.0×1015/cm2の条件でイオン注入してエクステンション領域21aを形成する。
【0078】
続いて、図19(b)に示すように、ゲート電極20a,20b上を含む半導体基板1の全面を覆うように絶縁膜、ここではシリコン酸化膜22を例えばCVD法により膜厚100nm程度に堆積する。
続いて、図19(c)に示すように、シリコン酸化膜22の全面を反応性イオンエッチング(RIE)により異方性ドライエッチングし、ゲート電極20a,20bの両側面にのみシリコン酸化物を残して、サイドウォール絶縁膜23を形成する。
【0079】
続いて、図20(a)に示すように、半導体基板1の表層にエクステンション領域21a,21bと一部重畳されるソース/ドレイン領域24a,24bを形成する。
詳細には、ゲート電極20a,20b及びサイドウォール絶縁膜23をマスクとして、ゲート電極20a,20b及びサイドウォール絶縁膜23の両側における半導体基板1の表層に不純物を導入し、エクステンション領域21a,21bと一部重畳されるソース/ドレイン領域24a,24bを形成する。
p型MOSトランジスタを作製する場合には、NMOS活性領域上をレジストマスクで覆い、例えばホウ素(B+)を加速エネルギーが5keV、ドーズ量が5.0×1015/cm2の条件でイオン注入してソース/ドレイン領域24bを形成する。一方、n型MOSトランジスタを作製する場合には、PMOS活性領域上をレジストマスクで覆い、例えばリン(P+)を加速エネルギーが8keV、ドーズ量が1.0×1016/cm2の条件でイオン注入してソース/ドレイン領域24aを形成する。
次に、導入した不純物の活性化アニールを例えば処理温度1025℃で3秒間の条件で行う。
【0080】
続いて、図20(b)に示すように、PMOS活性領域におけるソース/ドレイン領域24bの表層部位に凹部26を形成する。
先ず、半導体基板1の全面に、例えばCVD法により膜厚40nm程度にシリコン酸化膜25を形成する。
次に、リソグラフィー及びドライエッチングによりシリコン酸化膜25を加工する。これにより、PMOS活性領域上及びこれを画定するSTI素子分離領域7上のシリコン酸化膜25を除去し、NMOS活性領域上及びこれを画定するSTI素子分離領域7上にシリコン酸化膜25を選択的に残存させる。
次に、シリコン酸化膜25をマスクとして、例えばRIE法により、シリコン酸化膜25に対して高い選択比でPMOS活性領域をエッチングする。これにより、ゲート電極18b及びサイドウォール絶縁膜23の両側のソース/ドレイン領域24b内に、深さ50nm程度の凹部26が形成される。このとき、ゲート電極20bの表層部分も若干エッチングされる。
次に、凹部26が形成された半導体基板1の表面を、希フッ酸(例えば、HF:H2O=5:100)を用いて、例えば5秒間クリーニングする。
【0081】
続いて、図20(c)に示すように、凹部26内にシリコンゲルマニウム膜(Si1-xGex膜,0<x<1)27を形成する。
詳細には、シリコン酸化膜25をマスクとして、例えばCVD法により凹部26内にドーパント不純物が導入されたSi1-xGex膜27を、例えば膜厚60nm程度に選択的にエピタキシャル成長する。
ドーパント不純物としては、例えばホウ素を用いる。Si1-xGex膜27の組成は、例えばSi0.76Ge0.24とする。Si1-xGex膜27の成膜条件は、例えば、原料ガスとしてGeH4、SiH4及びB26の混合ガスを用い、GeH4の分圧を0.3Pa、SiH4の分圧を6Pa、B26の分圧を0.00001Paとし、成膜温度を550℃とする。Si1-xGex膜25におけるGeの組成比xは、0.24に限定されるものではない。Geの組成比xは、0<x<1の範囲で適宜設定することができる。
こうして、PMOS活性領域において、ソース/ドレイン領域24bの凹部26内にSi1-xGex膜27が埋め込み形成される。ここで、ゲート電極20bの上面にも、Si1-xGex膜(不図示)が形成される。
【0082】
続いて、図21(a)に示すように、例えばフッ酸処理により、NMOS活性領域に形成されているシリコン酸化膜25を除去する。
このように、PMOS活性領域において、ソース/ドレイン領域24bにSi1-xGex膜27が埋め込まれている。Si1-xGexの格子定数がSiの格子定数より大きいため、p型MOSトランジスタのチャネル領域には圧縮歪みが加えられる。これにより、高いホール移動度が実現され、p型MOSトランジスタの動作速度の向上を図ることができる。
【0083】
続いて、図21(b)に示すように、シリサイド金属膜であるNiPt膜28及びキャップ膜29を順次形成する。
詳細には、先ず、ゲート電極20a,20b上及びソース/ドレイン領域24a,24b上に形成された自然酸化膜をフッ酸処理により除去する。フッ酸処理の代わりに、Arスパッタによって物理的に自然酸化膜を除去しても良い。三フッ化窒素(NF3)ガスのプラズマ又はH2ガスのプラズマを用いたケミカル処理により、自然酸化膜を還元して除去するようにしても良い。このケミカル処理としては、例えばNF3ガスとNH3ガス、更にArガス又はH2ガスを添加し、リモートプラズマによって(NH42SiF6を形成し、昇華させて自然酸化膜を還元除去するようにしても好適である。
【0084】
次に、シリサイド金属であるNiの合金ターゲットを用意する。このターゲットは、NiとPt,Ta,W,Re,Y,Yb,Al,La,Tiの群から選ばれた少なくとも1種の元素とを含有、ここではPtを含有するNiPtからなる。ターゲットにおけるPtの含有量(濃度)は、1原子%〜10原子%、好ましくは2原子%〜10原子%であり、ここでは5原子%とされる。
【0085】
上記のターゲットを用いたスパッタ法により、ゲート電極20a,20b上及びサイドウォール絶縁膜24上を含む半導体基板1の全面にNiPt膜28を5nm〜20nm程度、ここでは膜厚20nm程度に堆積する。ここで、スパッタ法の代わりに、NiPt膜を例えば電子ビーム蒸着により形成しても良い。
【0086】
次に、NiPt膜28を覆うように、例えばスパッタ法によりTiN膜を膜厚5nm〜50nm程度に堆積し、キャップ膜29を形成する。ここで、キャップ膜29としては、Ti膜を膜厚5nm〜30nm程度に堆積して形成しても良い。また、キャップ膜29は不要である場合もある。
【0087】
続いて、図21(c)に示すように、ゲート電極20a,20bの表層部分及びソース/ドレイン領域24a,24bの表層部分をシリサイド化し、(NiPt)2Si層30a,30bを形成する。
詳細には、比較的低温(300℃以下)、例えば200℃〜290℃、ここでは270℃で60秒間〜300秒間程度のアニール処理(第1のアニール処理)を行う。この処理により、ゲート電極20a,20bの表層部分及びソース/ドレイン領域24a,24bの表層部分がシリサイド化され、ゲート電極20a,20bの表層部分には(NiPt)2Si層30aが、ソース/ドレイン領域24a,24bの表層部分には(NiPt)2Si層30bがそれぞれ形成される。(NiPt)2Si層30a,30bの表層部分には、(NiPt)2SiのPtリッチ層(不図示)が形成される。
上記のアニール処理の代わりに、炉アニール(或いは炉アニール+急速加熱処理)を行うようにしても良い。
【0088】
続いて、図22(a)に示すように、キャップ膜29及び未反応のNiPt膜28を硫酸:過酸化水素水=3:1の処理液を用いて化学処理(SPM処理)し、これらを選択的に除去する。上記の処理溶液の代わりに、塩酸+過酸化水素水の処理液を用いても良い。
【0089】
続いて、図22(b)に示すように、ゲート電極20a,20bの表層部分及びソース/ドレイン領域24a,24bの表層部分を再度シリサイド化し、(NiPt)Si層32a,32bを形成する。
詳細には、処理温度を比較的高温(350℃〜600℃)、例えば400℃とし、処理時間を10秒間〜120秒間、例えば30秒間の急速アニール処理(第2のアニール処理)を行う。この処理により、ゲート電極20a,20bの表層部分及びソース/ドレイン領域24a,24bの表層部分が更にシリサイド化され、(NiPt)2Si層30a,30bは(NiPt)Si層32a,32bとなる。
【0090】
続いて、図22(b)の状態にある半導体基板1にmsecアニール処理、ここではフラッシュランプアニール処理(第1のフラッシュランプアニール処理)を施す。
この処理により、ソース/ドレイン領域24a,24bには(NiPt)Si層32bが形成された状態が保持されて、ゲート電極20a,20bのみが選択的にシリサイド化される。その結果、上述したように、複数のゲート電極20a,20bのうち、大部分(例えば9割程度)のゲート電極20a,20bでは、(NiPt)Si2にフル・シリサイド化される。その一方で、残り(例えば1割程度)のゲート電極20a,20bでは、上部にSi層20Bが露出した状態でその下部が(NiPt)Si2層20Aにシリサイド化される。ゲート電極20a,20bが後者の状態とされたCMOSトランジスタを図22(c)に示す。以下、このCMOSトランジスタのみを例示する。本実施形態で後述する処理を施すに際して、後者のゲート電極20a,20bでは、上部のSi層20Bが図示のように均一に露出した状態が好ましい。このようなSi層20Bの均一な状態は、フラッシュランプアニール処理の照射条件を強度が高い方へ微調整することで得られる。
【0091】
この選択的なシリサイド化は、第1のフラッシュランプアニール処理時において、ソース/ドレイン領域24a,24bの周囲が熱を逃がし易い構造とされているのに対して、ゲート電極12の周囲が熱を逃がさない構造とされていることに起因すると推測される。
即ち、ゲート電極20a,20bは、ゲート絶縁膜19a,19b及びサイドウォール絶縁膜23により囲まれており、第1のフラッシュランプアニール処理時にゲート電極20a,20bがこれらのシリコン酸化膜により保温状態とされて加熱され易く、シリサイド化が促進される。これに対して、ソース/ドレイン領域24a,24bは半導体基板1の奥行き方向に熱が逃げ易いことから(熱伝導率 Si:148W/mK=35.3×10-2cal/cm秒℃、SiO2:2.55×10-2cal/cm秒℃(C軸平行方向)、1.48×10-2cal/cm秒℃(C軸垂直方向))、ゲート電極20a,20bに比べれば殆ど加熱されず、シリサイド化が進行しない。なお、本実施形態では、サイドウォール絶縁膜23はシリコン酸化膜で形成したが、シリコン酸化膜の他、同様に絶縁性を有するシリコン窒化膜や、シリコン酸化膜とシリコン窒化膜の積層構造などであっても、ゲート電極の熱の放出が抑えられ、本実施形態が適用できる。
【0092】
上記した第1のフラッシュランプアニールの処理条件としては、ランプの照射エネルギーを24J/cm2〜28J/cm2、照射時間を0.5m秒間〜1.5m秒間、アシスト温度(処理を行うに際して、処理対象、ここでは半導体基板1の保持温度)を300℃〜450℃の各条件により行う。本実施形態では、アシスト温度を450℃、ランプの照射エネルギーを24J/cm2、照射時間を0.8m秒間に設定して、上記の第1のフラッシュランプアニール処理を実行する。
ここで、ゲート電極20a,20bのSi層20B上に元々形成されていた(NiPt)Si層中のPtは、固溶してSi層20B中に広く拡散する。
【0093】
なお、このアシスト温度は図22(b)の急速アニール処理の温度範囲内である。従って、図22(b)のアニール処理と第1のフラッシュランプアニール処理とをフラッシュランプアニール装置内で連続的に行うようにしても良い。
また、本実施形態では、msecアニール処理として、フラッシュランプアニール処理の代わりにレーザアニール処理を行うようにしても良い。
【0094】
続いて、ゲート電極20a,20bの上部に露出したSi層20Bをシリサイド化する。
なお、上記したフラッシュランプアニール処理によりフル・シリサイド化されたゲート電極を有するCMOSトランジスタについても、当該シリサイド化が施される。この場合でも、フル・シリサイドゲート電極としての高いトランジスタ特性が実現する。
【0095】
先ず、ゲート電極20a,20b上及びソース/ドレイン領域24a,24b上に形成された自然酸化膜を除去する。このとき、フッ酸を用いてウェットエッチングを行えば、ソース/ドレイン領域24a,24bの(NiPt)Si層32bもエッチングされてしまう。そこで、例えばICPプラズマによるArスパッタにより自然酸化膜を除去する。Arスパッタは、自然シリコン酸化膜の膜厚換算で例えば2nm〜4nm分程度行う。
このArスパッタの代わりに、三フッ化窒素(NF3)ガスのプラズマ又はH2ガスのプラズマを用いたケミカル処理により、自然酸化膜を還元して除去するようにしても良い。このケミカル処理としては、例えばNF3ガスとNH3ガス、更にArガス又はH2ガスを添加し、リモートプラズマによって(NH42SiF6を形成し、昇華させて自然酸化膜を還元除去するようにしても好適である。
【0096】
次に、図23(a)に示すように、半導体基板1の全面を覆うようにシリサイド金属膜であるNiPt膜33及びキャップ膜34を順次形成する。
先ず、シリサイド金属であるNiターゲット又はNiの合金ターゲットを用意する。Ni合金ターゲットは、NiとPt,Ta,W,Re,Y,Yb,Al,La,Tiの群から選ばれた少なくとも1種の元素とを含有する。本実施形態では、ターゲットとしてPtを含有するNiPtターゲットを用いる。このターゲットにおけるPtの含有量(濃度)は、1原子%〜10原子%、好ましくは2原子%〜10原子%であり、ここでは5原子%とされる。
このターゲットを用いたスパッタ法により、ゲート電極20a,20b上及びサイドウォール絶縁膜23上を含む半導体基板1の全面にNiPt膜33を膜厚5nm〜100nm程度、ここでは9nm程度に堆積する。スパッタ法の代わりに、NiPt膜33を例えば電子ビーム蒸着により形成しても良い。
【0097】
次に、NiPt膜33を覆うように、例えばスパッタ法によりTiN膜を膜厚5nm〜50nm程度、ここでは10nm程度に堆積し、キャップ膜34を形成する。ここで、キャップ膜34としては、Ti膜を膜厚5nm〜30nm程度に堆積して形成しても良い。また、キャップ膜34は不要である場合もある。
【0098】
次に、図23(b)に示すように、ゲート電極20a,20bの上部に露出したSi層20Bをシリサイド化し、(NiPt)Si層35を形成する。ここでは、Si層20Bの上部に(NiPt)Si層35を形成する場合について説明する。
アニール処理(第3のアニール処理)を、200℃〜600℃、好ましくは200℃〜450℃の範囲内の温度、例えば400℃で例えば30秒間行う。
ソース/ドレイン領域24a,24bの(NiPt)Si層32bは、上面にPtリッチ層が存在するあるため、このアニール処理が施されても膜厚増加が抑えられる。一方、ゲート電極20a,20bのSi層20BにはPtが偏析していないため、シリサイドとして反応する。
なお、このアニール処理を200℃〜290℃程度の温度で行って、ゲート電極20a,20bの上面を(Ni2Pt)Siとし、その後に℃アニール処理を400℃の温度で行って、ゲート電極20a,20bの上部を(NiPt)Si層を形成するようにとしても良い。
【0099】
続いて、図23(c)に示すように、キャップ膜34及び未反応のNiPt膜33を除去する。
詳細には、キャップ膜34及び未反応のNiPt膜33を、例えば硫酸:過酸化水素水=3:1の処理液を用いて化学処理(SPM処理)し、これらを選択的に除去する。ここで、上記の処理溶液の代わりに、塩酸+過酸化水素水の処理液を用いても良い。
【0100】
続いて、図24(a)に示すように、図23(c)の状態にある半導体基板1にmsecアニール処理、ここではフラッシュランプアニール処理(第2のフラッシュランプアニール処理)を施す。
この処理により、ソース/ドレイン領域24a,24bには(NiPt)Si層32bが形成された状態が保持されて、ゲート電極20a,20b(ゲート電極20bのゲート金属膜16を除く)が選択的にシリサイド化される。その結果、ゲート電極20a,20b(ゲート電極20bのゲート金属膜16を除く)が(NiPt)Si2にフル・シリサイド化され、フル・シリサイドゲート電極36a,36bが形成される。ここで、フル・シリサイドゲート電極36bについては、ゲート電極20bのゲート金属膜16を除く部分31がフル・シリサイド化されたものであるが、便宜上、ゲート金属膜16及びフル・シリサイド化された部分31を合わせてフル・シリサイドゲート電極36bと記す。ゲート電極20a及び部分31に供給されるNi量は、ゲート電極20a及び部分31の内部のSi量に対してNi(Pt)Si2を形成するに十分な量であるから、ゲート電極20a及び部分31は一様に(NiPt)Si2にフル・シリサイド化されることになる。
【0101】
第2のフラッシュランプアニールの処理条件としては、ランプの照射エネルギーを24J/cm2〜28J/cm2、照射時間を0.5m秒間〜1.5m秒間、アシスト温度(処理を行うに際して、処理対象、ここでは半導体基板1の保持温度)を300℃〜450℃の各条件により行う。本実施形態では、アシスト温度を450℃、ランプの照射エネルギーを24J/cm2、照射時間を0.8m秒間に設定して、上記の第2のフラッシュランプアニール処理を実行する。
【0102】
続いて、図24(b)に示すように、NMOS活性領域にはシリコン窒化膜37を、PMOS活性領域にはシリコン窒化膜38をそれぞれ形成する。
フル・シリサイドゲート電極36a,36b及びサイドウォール絶縁膜23の全面を覆うように、シリコン窒化膜37,38を、例えばCVD法により400℃の処理温度で膜厚50nm程度に形成する。シリコン窒化膜37,38は、いわゆるデュアル・ストレス・ライナー(Dual Stress Liner)と呼ばれる膜である。
【0103】
p型MOSトランジスタを作製する場合には、コンプレッシブ(圧縮)ストレスを有するシリコン窒化膜37を形成し、一方、n型MOSトランジスタを作製する場合には、テンサイル(引張)ストレスを有するシリコン窒化膜38を形成する。これにより、チャネル部分に格子歪を与え、キャリアの移動度を向上させることができる。
詳細には、例えば、エッチングストッパーとしてシリコン酸化膜を10nm成膜し、更にテンサイルストレスを有するシリコン窒化膜を50nm全面に成膜する。
次に、レジストを塗布し、リソグラフィーによりNMOS活性領域にレジストが残るようにパターニングする。
次に、NMOS活性領域のレジストをマスクとして、PMOS活性領域のテンサイルストレスを有するシリコン窒化膜37をドライエッチングする。レジストは灰化処理等により除去する。
次に、エッチングストッパーとしてシリコン酸化膜を10nm成膜し、更にコンプレッシブストレスを有するシリコン窒化膜38を50nm全面に成膜する。
次に、レジストを塗布し、リソグラフィーによりPMOS活性領域のレジストが残るようにパターニングする。
次に、PMOS活性領域のレジストをマスクとして、NMOS活性領域のコンプレッシブストレスを有するシリコン窒化膜38をドライエッチングする。レジストは灰化処理等により除去する。
【0104】
続いて、図24(c)に示すように、シリコン窒化膜37,38を覆うようにシリコン酸化膜39を形成する。このシリコン酸化膜39は、例えばプラズマCVD法により400℃の処理温度で膜厚600nm程度に形成する。
【0105】
続いて、図25(a)に示すように、シリコン酸化膜39の表面を例えばCMPにより研磨し、平坦化する。
続いて、図25(b)に示すように、リソグラフィー及びドライエッチングによりシリコン酸化膜39及びシリコン窒化膜37,38を加工し、フル・シリサイドゲート電極36a,36bの表面の一部を露出させる接続孔40aと、ソース/ドレイン領域24a,24bの(NiPt)Si層32bの表面の一部を露出させる接続孔40b,40cとを形成する。このドライエッチング時において、シリコン窒化膜37,38がエッチングストッパーとして適宜機能し、フル・シリサイドゲート電極36a,36b及びソース/ドレイン領域24a,24bの(NiPt)Si層32bの不測のオーバーエッチングが防止される。
【0106】
続いて、図25(c)に示すように、下地膜41と、下地膜41を介して接続孔40a,40b,40cを埋め込むW膜42とを形成する。
詳細には、先ず、接続孔40a,40b,40cの内壁面を覆うように、例えばスパッタ法によりシリコン酸化膜39上に例えばTi及びTiNをそれぞれ膜厚10nm程度及び50nm程度に堆積し、下地膜41を形成する。
次に、下地膜41を介して接続孔40a,40b,40cを導電材料で埋め込むように、例えばCVD法によりW膜42を膜厚300nm程度に堆積する。
【0107】
続いて、図26(a)に示すように、下地膜41を介して接続孔40a,40b,40cをW42で充填してなる接続プラグ43a,43b,43cを形成する。
詳細には、シリコン酸化膜39の表面が露出するまでW膜42を例えばCMPにより研磨して平坦化する。この平坦化処理により、下地膜41を介して接続孔40a,40b,40cをW42で充填してなる接続プラグ43a,43b,43cが形成される。
【0108】
続いて、図26(b)に示すように、層間絶縁膜44及び配線46a,46b,46cを形成する。
詳細には、先ず、接続プラグ43a,43b,43cの上面を覆うように、例えばCVD法によりシリコン酸化膜39上に絶縁膜、ここではシリコン酸化膜を堆積し、層間絶縁膜44を形成する。
次に、いわゆるダマシン法、ここではシングルダマシン法を行う。先ず、リソグラフィー及びドライエッチングにより層間絶縁膜42を加工し、層間絶縁膜44に配線溝45a,45b,45cを形成する。その後、配線溝45a,45b,45cの内壁面を覆うように例えばTaを堆積して下地膜46を形成し、例えばメッキ法により下地膜46を介して配線溝45a,45b,45cを埋め込むようにCu又はCu合金(不図示)を堆積する。そして、層間絶縁膜44の表面が露出するまでCu又はCu合金を例えばCMPにより研磨して平坦化する。以上により、配線溝45a,45b,45cをCu又はCu合金で充填し、接続プラグ43a,43b,43cと接続されてなる配線46a,46b,46cが形成される。
【0109】
続いて、図27に示すように、図26(b)と同様の工程を行い、層間絶縁膜48を形成した後、層間絶縁膜48にビア孔49a,49b,49cを形成する。次に、ビア孔49a,49b,49cを例えばTaからなる下地膜48を介してCu又はCu合金で充填し、配線46a,46b,46cと接続されてなるビア部50a,50b,50cを形成する。そして、層間絶縁膜48上で延在し、ビア部50a,50b,50cと接続されてなる、例えばAl又はAl合金からなる配線51a,51b,51cを形成する。
【0110】
しかる後、層間絶縁膜及び上層配線の形成、保護膜(不図示)の形成等の工程を経て、本実施形態によるCMOSトランジスタを形成する。
なお、msecアニール処理として第4のフラッシュランプアニール処理を行った後、以下の工程を実行する場合もあり得る。不要な自然酸化膜を除去する工程、半導体基板1上を覆うようにNi合金膜等を形成する工程、半導体基板1をアニール処理する工程、未反応のNi合金膜等を除去する工程、msecアニール処理としてフラッシュランプアニール処理を行う工程を含むプロセスを一連工程とする。この一連工程を、更に充分なフル・シリサイドゲート電極が形成されるまで少なくとも1回以上繰返して実行することも考えられる。上記の一連工程では、フラッシュランプアニール処理の工程が不要な場合も考えられる。
【0111】
以上説明したように、本実施形態によれば、工程増を招くことなく、極めて高い歩留まりでゲート電極20a,20bについて均一で十分なフル・シリサイド化を確実に実現することができる。これにより、フル・シリサイドゲート電極36a,36bを有する信頼性の高い半導体装置が実現する。
【0112】
以下、諸態様を付記としてまとめて記載する。
【0113】
(付記1)半導体基板の上方にシリコンを有するゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物を注入し、ソース領域及びドレイン領域を形成する工程と、
前記ゲート電極、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域を覆うように、第1金属膜を堆積する工程と、
前記第1金属膜を加熱する第1アニールを行い、前記ゲート電極の表層、前記ソース領域の表層、及び前記ドレイン領域の表層にそれぞれシリサイド層を形成する工程と、
前記第1アニールの後、前記第1金属膜を除去する工程と、
前記第1金属膜を除去する工程の後、msecアニール法により前記各シリサイド層を加熱する第2アニールを行う工程と、
前記第2アニールの後、前記ゲート電極、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域を覆うように第2金属膜を形成する工程と、
前記第2金属膜を加熱する第3アニールを行う工程と、
前記第3アニールを行う工程の後、前記第2金属膜を除去する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0114】
(付記2)前記第2アニールの前記msecアニール法は、フラッシュランプアニール法又はレーザアニール法であることを特徴とする付記1に記載の半導体装置の製造方法。
【0115】
(付記3)前記フラッシュランプアニールを、照射エネルギーが24J/cm2以上28J/cm2以下、照射時間が0.5m秒間以上1.5m秒間以下、アシスト温度が300℃以上450℃以下の条件で行うことを特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
【0116】
(付記4)前記レーザアニールを、制御温度が700℃以上1000℃以下の条件で行うことを特徴とする付記2に記載の半導体装置の製造方法。
【0117】
(付記5)前記第3アニールを、処理温度が200℃以上450℃以下の条件で行うことを特徴とする付記1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0118】
(付記6)前記第2金属膜を除去する工程の後、msecアニール法により前記各シリサイド層を加熱する第4アニールを行う工程を更に含むことを特徴とする付記1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0119】
(付記7)前記第4アニールの前記msecアニール法は、フラッシュランプアニール法又はレーザアニール法であることを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【0120】
(付記8)前記第1金属膜は、Ni又はNi合金を含むことを特徴とする付記1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0121】
(付記9)前記第2金属膜は、Ni又はNi合金を含むことを特徴とする付記1〜8のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【0122】
(付記10)前記Ni合金は、Pt,Ta,W,Re,Y,Yb,La,Al,Tiの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする付記8又は9に記載の半導体装置の製造方法。
【0123】
(付記11)前記Ni合金は、前記群から選ばれた少なくとも1種の元素を、それぞれ2原子%以上10原子%以下の濃度で含有することを特徴とする付記10に記載の半導体装置の製造方法。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本件の半導体装置の製造方法によれば、工程増を招くことなく、極めて高い歩留まりでゲート電極について均一で十分なフル・シリサイド化を確実に実現することができる。
【符号の説明】
【0125】
1,101 半導体基板
2,7a,39 シリコン酸化膜
3,8、14 レジストマスク
3a,5a,8a 開口
4 ウェル4
5,22,25,37,38 シリコン窒化膜
6 分離溝
7 STI素子分離構造
9 SiO2
10 ハフニウムシリコン酸化膜(HfSiO膜)
11 アルミニウム酸化膜(AlO膜)
12 TiN膜
13,18 SiN膜
15 ダイポール層
16 ゲート金属膜
17 多結晶シリコン膜
19a,19b,103 ゲート絶縁膜
20a,20b,104a,104b ゲート電極
20A,104A NiSi2
20B,104B Si層
21a,21b,105a,105b エクステンション領域
23,106 サイドウォール絶縁膜
24a,24b,107a,107b ソース/ドレイン領域
26 凹部
27 Si1-xGex
28,33 NiPt膜
29,34,109,113 キャップ膜
30a,30b (NiPt)2Si層
31 部分
32a,32b (NiPt)Si層
35 (NiPt)Si層
36a,36b,115a,115b フル・シリサイドゲート電極
40a,40b,40c 接続孔
41 下地膜
42 W膜
43a,43b,43c 接続プラグ
44,48 層間絶縁膜
45a,45b,45c 配線溝
46a,46b,46c,51a,51b,51c 配線
49a,49b,49c ビア孔
50a,50b,50c ビア部
102 素子分離構造
108,112 Ni膜
110a,110b Ni2Si層
111a,111b,114 NiSi層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板の上方にシリコンを有するゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板に不純物を注入し、ソース領域及びドレイン領域を形成する工程と、
前記ゲート電極、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域を覆うように、第1金属膜を堆積する工程と、
前記第1金属膜を加熱する第1アニールを行い、前記ゲート電極の表層、前記ソース領域の表層、及び前記ドレイン領域の表層にそれぞれシリサイド層を形成する工程と、
前記第1アニールの後、前記第1金属膜を除去する工程と、
前記第1金属膜を除去する工程の後、msecアニール法により前記各シリサイド層を加熱する第2アニールを行う工程と、
前記第2アニールの後、前記ゲート電極、前記ソース領域、及び前記ドレイン領域を覆うように第2金属膜を形成する工程と、
前記第2金属膜を加熱する第3アニールを行う工程と、
前記第3アニールを行う工程の後、前記第2金属膜を除去する工程と
を含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記第2アニールの前記msecアニール法は、フラッシュランプアニール法又はレーザアニール法であることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記フラッシュランプアニールを、照射エネルギーが24J/cm2以上28J/cm2以下、照射時間が0.5m秒間以上1.5m秒間以下、アシスト温度が300℃以上450℃以下の条件で行うことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記レーザアニールを、制御温度が700℃以上1000℃以下の条件で行うことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記第3アニールを、処理温度が200℃以上450℃以下の条件で行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項6】
前記第2金属膜を除去する工程の後、msecアニール法により前記各シリサイド層を加熱する第4アニールを行う工程を更に含むことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項7】
前記第4アニールの前記msecアニール法は、フラッシュランプアニール法又はレーザアニール法であることを特徴とする請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項8】
前記第1金属膜は、Ni又はNi合金を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記Ni合金は、Pt,Ta,W,Re,Y,Yb,La,Al,Tiの群から選ばれた少なくとも1種の元素を含有することを特徴とする請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記Ni合金は、前記群から選ばれた少なくとも1種の元素を、それぞれ2原子%以上10原子%以下の濃度で含有することを特徴とする請求項9に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−9469(P2011−9469A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−151574(P2009−151574)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】