主電極を含むドープされた金属を含む半導体装置
【課題】良好な半導体装置およびそのような半導体装置を作製するための良好な方法を提供する。
【解決手段】半導体装置は、主電極(4)と主電極(4)に接触した誘電体(3)を含み、主電極(4)は、所定の仕事関数を有する材料と、主電極(4)の材料の仕事関数を予め決められた値に向かって変調する仕事関数変調元素(6)とを含み、更に、主電極(4)は、仕事関数変調元素(6)が誘電体(3)に向かっておよび/または誘電体(3)中に拡散するのを防止する拡散防止ドーパント元素(5)を含む。
【解決手段】半導体装置は、主電極(4)と主電極(4)に接触した誘電体(3)を含み、主電極(4)は、所定の仕事関数を有する材料と、主電極(4)の材料の仕事関数を予め決められた値に向かって変調する仕事関数変調元素(6)とを含み、更に、主電極(4)は、仕事関数変調元素(6)が誘電体(3)に向かっておよび/または誘電体(3)中に拡散するのを防止する拡散防止ドーパント元素(5)を含む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。更には、本発明は、電界効果トランジスタのような半導体装置に関する。半導体装置は、主電極と、主電極に接触した誘電体を含む。主電極は、所定の仕事関数を有する材料と、主電極の材料の仕事関数を変える仕事関数変調元素とを含む。発明は、また、半導体装置を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術のメインストリームでは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が基本素子として使用され、またスイッチング素子や電荷蓄積素子として使用される。MOSFETデバイスは、ゲート誘電体を介してゲート電極に絶縁されて接続されたチャネル領域を含む。半導体チャネル領域は、その両側に、ソース接合とドレイン接合が対向して接続されている。
【0003】
一般に多結晶シリコンは、ゲート電極材料に使用される。しかしながら、MOSFETデバイスの性能を改良するためには、多結晶シリコンは、金属シリサイドのような金属材料により、ゲート電極材料が置き換えられる。そのような金属ゲートは、ゲート空乏化、ドーパント拡散、又は中距離抵抗のような半導体ゲート電極に関連する欠点に悩まされない。近年、金属電極としてシリサイドを適用することに十分興味が示されている。特に、フリーシリサイド(FUSI)ゲートは、約束された候補になることを示す。プロセスの観点から、FUSIゲートは、例えば、半導体領域のシート抵抗を減らすために、先のテクノロジノードで使用されるセルフアラインシリサイドプロセスのバリエーションとして行うことができる。FUSIのアプローチでは、最初に多結晶ゲート電極が形成され、次に、ゲート電極中にゲート誘電体との界面に至るまでシリサイドが形成され、これにより、ゲート電極の多結晶シリコン材料が完全に消費される。
【0004】
Niシリサイドは、ゲート電極を形成するための魅力的な候補に見える。なぜならばシリコンゲートのパターニングやセルフアラインシリサイド形成プロセスのような、従来のCMOS技術世代で適用される多くの形態のプロセスフローが維持できるからである。NiSiFUSIゲートに対して魅力的な注意を有するキー特性は、SiO2ゲート誘電体に対する効果的な仕事関数の変調の可能性であり、両タイプのMOSFETを形成するのに、ゲート電極に異なったバルク材料を使用することなく、ドーパントによりnMOSやpMOSデバイスの閾値電圧(Vt)の変調が可能になる。high−k(高誘電率)誘電体上のNiFUSIゲートの集積や特性は、また最先端のCMOSの適用のために興味がある。
【0005】
テクカルダイジェストIEDMミーティング2005の、630〜633頁に、H. Y. Yu らが記載している「YbドーピングによるNiFUSIの仕事関数の変調:ミッドギャップからn型バンド端まで」では、ニッケルシリコンゲート電極中にイットリウムを含むことにより、SiONゲート誘電体上に形成されたニッケルシリサイドFUSIゲートの仕事関数を変調させる方法が記載されている。NiFUSIゲートの仕事関数は、Ybのドーピングにより、4.72eVから4.22eVに低減される。ゲート電極とゲート誘電体の界面で、Ybがパイルアップし、ゲート誘電体中へのYbの拡散を促進することも報告されている。
【非特許文献1】テクカルダイジェストIEDMミーティング2005、630〜633頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属ゲート電極で多結晶シリコンゲート電極を置き換える試みだけでなく、ゲート誘電体層の膜厚を低減することも試みられている。従来のシリコン酸化物ゲート誘電体の膜厚は、その実用限界まで低減された。良好な誘電体カップリングを確実にするために、誘電体材料の等価電気酸化膜の膜厚(EEOT)は、0.5nmから2nmの範囲である必要がある。しかしながら、0.5nmから2nmの膜厚のシリコン酸化層は、供給電圧に耐えられず、このため、より厚い誘電体が必要となる。このため、十分な物理的膜厚と限定されたEEOTを提供できるhigh−k誘電体材料が使用される。その比は、誘電体材料の誘電率(k値)により決定される。この目的のために、他の材料が、ゲート誘電体を形成する代わりの材料として調査される。第1に、シリコン酸窒化物が、代わりのゲート誘電体材料として使用される。他の代わりの誘電体材料は、数ナノメータのEEOTを有するが、大きな物理的膜厚を有するように考えられる。それらの代わりの材料は、シリコン酸化物の誘電率(k=3.9)に比較して、より高い誘電率により特徴づけられ、high−k誘電体材料と呼ばれる。これらのhigh−k誘電体材料は、4から40までのk値を有する。それらのhigh−k材料の幾つかの例としては、ハフニウム、タンタル、およびジルコニウムの酸化物またはシリケイトが該当し、これらは20から26までのk値を有する。
【0007】
ドーパント、特に仕事関数変調元素を含むFUSIゲート電極を有するMOSFET装置を製造する場合、そのようなドーパントのないMOSFET装置から、MOSFET装置の電気特性が離れることが観察される。特に、n型MOSFETのイットリウムドープされたニッケルFUSIゲート電極が、特にシリコン酸窒化ゲート誘電体の上に形成された場合、ゲート誘電体を通るリーク電流は、イットリウムを含まないニッケルFUSIゲート電極に比べて増加する。このリーク電流は、ゲート誘電体の膜厚の減少に伴って増加する。また、そのようなゲートスタックの容量−電圧特性は以上であり、多くの界面状態Ditの存在を示す。更に、ニッケルイットリウムFUSIゲートの仕事関数は時間とともに変化することが観察される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の具体例の目的は、良好な半導体装置およびそのような半導体装置を作製するための良好な方法を提供することにある。
【0009】
本発明の具体例にかかる半導体装置は、主電極の材料の仕事関数を変調するために、仕事関数変調元素が使用された、例えば、半導体装置のゲートがそれらから形成された場合の、高いリーク電流の問題を解決する。
【0010】
上記目的は、本発明にかかる方法および装置によって達成される。
【0011】
第1の形態では、本発明は、主電極と主電極に接触した誘電体を含み、主電極は、所定の仕事関数を有する材料と、主電極の材料の仕事関数を予め決められた値に向かって、例えば変化するように変調する仕事関数変調元素とを含む半導体装置を提供する。主電極は、更に、仕事関数変調元素が誘電体に向かっておよび/または誘電体中に拡散するのを防止する拡散防止ドーパント元素を含む。
【0012】
仕事関数変調元素がゲート電極に提供された場合、仕事関数変調元素は、ゲート誘電体に向かって拡散しようとする。本発明の具体例にかかる拡散防止ドーパント元素を提供することにより、この仕事関数変調元素の拡散が双方の元素間の相互作用により防止することができる。
【0013】
主電極は完全にシリサイド化された主電極であり、主電極の材料は、半導体材料と金属との合金を含む。本発明の具体例では、半導体材料はシリコンまたはゲルマニウムを含む。本発明の具体例では、金属は、ミッドギャップ仕事関数を有する合金を形成する金属である。この方法では、n型装置およびp型装置のための使用に適したミッドギャップ材料が形成される。更に、ゲートやチャネルの仕事関数の違いが低減されるため、装置の閾値電圧Vtも低減できる。
【0014】
主電極の材料は金属を含む。
【0015】
本発明の具体例では、拡散防止ドーパント元素は、P、As、Sb、Ge、またはSiの1つで良い。
【0016】
主電極中の拡散防止ドーパント元素の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3(1×1014cm−3から1×1016cm−3)の間である。
【0017】
仕事関数変調元素は、n型の仕事関数を有する材料を形成するように選択される。それゆえに、仕事関数変調元素は、ランタニドのグループから選択され、例えばイットリウムである。
【0018】
主電極中の仕事関数変調元素の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3の間である。
【0019】
主電極の合金中の金属は、ニッケルである。
【0020】
誘電体は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、またはhigh−k誘電体である。
【0021】
更なる形態では、本発明は半導体装置の製造方法を提供する。この製造方法は、主電極と主電極に接触した誘電体を含む主電極構造であって、主電極が所定の仕事関数を有する材料を含む主電極構造を形成する工程と、
主電極に仕事関数変調元素を提供し、主電極の材料の仕事関数を、予め決められた値に向かって、例えば変化するように変調する工程と、
主電極に拡散防止ドーパント元素を提供し、仕事関数変調元素が誘電体に向かっておよび/または誘電体中に拡散するのを防止する工程とを含む。
【0022】
主電極構造を形成する工程は、
基板上に、誘電体層と主電極材料の層とを提供し、主電極スタックを形成する工程と、
主電極スタックをパターニングして、主電極を形成する工程とを含む。
【0023】
本発明の具体例では、主電極は、半導体材料と金属との合金を含み、更に、主電極スタックのパターニング後に、
主電極上に金属の層を提供する工程と、
主電極をシリサイド化する工程とを含む。
【0024】
本発明の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、拡散防止ドーパント元素を提供する工程の前に行われる。
【0025】
本発明の他の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、拡散防止ドーパント元素を提供する工程の後に行われる。
【0026】
仕事関数変調元素と拡散防止ドーパント元素とは互いに近接し、相互の間で相互作用が起きることが好ましい。
【0027】
本発明の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、主電極スタックのパターニングの前または後に行われる。
【0028】
本発明の更なる具体例では、拡散防止ドーパント元素を提供する工程は、主電極スタックのパターニングの前または後に行われる。
【0029】
拡散防止ドーパント元素を提供する工程は、イオン注入により行われても良い。
【0030】
本発明の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、イオン注入により行われる。
【0031】
本発明の他の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、仕事関数変調元素の層を提供し、熱アニールを行うことにより行われる。
【0032】
本発明の特別で好ましい具体例が、独立請求項および従属請求項とともに述べられる。従属請求項の特徴は、必要に応じて、独立請求項の特徴や他の従属請求項の特徴と組み合わされ、単にその請求項に述べられたものではない。
【0033】
この分野の装置における一定の改良、変化、および進化があるが、本概念は、実質的に新規な改良を示し、従来技術から離れ、より効果的で、安定した、信頼性のあるこの特徴の装置を提供するものと信じられる。
【0034】
本発明の上述および他の特徴、長所、および優位点は、本発明の原理を例示する添付図面とともに以下の詳細な記載から明らかになるであろう。この記載は、例示としての目的で与えられ、発明の範囲を限定するものではない。以下で引用された参照符号は、添付された図面を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、特別な具体例について、所定の図面を参酌しながら記載されるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲により限定されるものである。記載された図面は概略であり、限定するものではない。図面において、図示目的で、いくつかの要素の大きさは拡張され、縮尺通りに記載されていない。寸法と相対寸法は、本発明の実施の実際の縮小には対応していない。
【0036】
更に、記載や請求の範囲中の、第1、第2等の用語は、類似の要素の間で区別するために使用され、順位や時間的、空間的、ランクや他の方法による順序を表す必要はない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明の具体例は、ここに記載や図示されたものと異なる順序によっても操作できることを理解すべきである。
【0037】
また、記載や請求の範囲中の、上、下、上に、下に等の用語は、記載目的のために使用され、相対的な位置を示すものではない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明は、ここに記載や図示されたものと異なる位置でも操作できることを理解すべきである。
【0038】
また、請求の範囲で使用される「含む(comprising)」の用語は、それ以降に示される要素に限定して解釈されること排除するものであり、他の要素や工程を排除しない。存在を特定された特徴、整数、工程、または成分は、その通りに解釈されるべきであり、それ以外の他の特徴、整数、工程、または成分、またはそれらの組の存在や追加を排除するものではない。「手段AおよびBを含むデバイス」の表現の範囲は、構成要素AとBのみを含むデバイスに限定されるべきではない。本発明では、単にデバイスに関連した構成要素がAとBであることを意味する。
【0039】
この明細書を通じて「1つの具体例」または「ある具体例」の表示は、その具体例に関連する特別な長所または特徴が、本発明の少なくとも1つの具体例に含まれることを意味する。このように、この明細書を通じた多くの場所の「1つの具体例中の」または「ある具体例中の」の文節の表現は、すべてが同じ具体例を示しても良いが、必ずしも示す必要は無い。更に、特別の長所、構造、または特徴は、多くの適当な方法で組み合わされても良く、これは、1又はそれ以上の具体例において、この記載から当業者にとっては明らかであろう。
【0040】
同様に、本発明の例示的な具体例の記載において、記載を効率化し、1又はそれ以上の様々な発明の形態の理解を助けるために、本発明の多くの長所が、1つの具体例、図面、またはその記述に、時々共に集められることを認識すべきである。しかしながら、この記載の方法は、それぞれの請求項に明白に引用された以上の長所を、請求された発明が必要とするとの意図を反映するものと解釈すべきでない。むしろ、以下の請求項に記載されるように、発明の形態は、前に記載された1つの具体例の全ての特徴より少ない。このように、詳細な記載に続く請求項は、この詳細な記載中に明白に組み込まれ、それぞれの請求項は、この発明の分離した具体例のようにそれ自身で成立する。
【0041】
更に、ここに記載された幾つかの具体例は、他の具体例に含まれた他の特徴ではない、幾つかの長所を含むが、異なった具体例の長所の組み合わせは、本発明の範囲に含まれ、当業者に理解されるように、異なった具体例を形成することを意味する。例えば、以下の請求項において、請求された具体例の幾つかは、組み合わせて使用できる。
【0042】
ここで提供された記載において、多くの特定の細部が述べられる。しかしながら、本発明の具体例は、それらの特定の細部がなくても実施可能であることが理解される。他の場合、公知の方法、構造、および技術は、この記載の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されていない。
【0043】
本発明は、本発明の多くの具体例の詳細な記載により記載される。添付した請求項の項目により限定される本発明の技術的教唆から離れることなく、当業者の知識に基づいて、本発明の他の具体例が形成できるのは明白である。
【0044】
以下の具体例が、トランジスタのような装置構造を参照しながら説明される。それらは、ドレインのような第1の主電極、ソースのような第2の主電極、および第1と第2の主電極の間に電荷の流れを制御するためのゲートのような制御電極を有する3端子装置である。しかしながら、発明はこれに限定されるものではない。例えば、具体例は、金属−絶縁体−金属キャパシタのような他の装置構造や、DRAMや不揮発メモリのようなメモリ装置に適用することができる。
【0045】
本発明は、例えばゲート電極のような、金属や金属シリサイドのような特定の仕事関数を有する材料を含む主電極を含む半導体装置、およびそのような半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0046】
以下の記載において、「トランジスタ」の用語は、ゲート誘電体を介して、ゲート電極と直接接続された半導体チャネル領域を含む半導体装置をいうことを意図する。半導体チャネル領域は、ソース接合およびドレイン接合と、反対側で接続される。多くのタイプのトランジスタ構造が既に知られている。プレーナゲート装置では、チャネル領域は、一方からゲート電極により制御される。プレーナゲート装置は、バルク半導体基板または絶縁層上の半導体基板(SOI基板)上に形成することができる。マルチゲートデバイスでは、装置のチャネルが、複数の側からゲート電極により制御される。チャネルが形成される半導体材料のボディは、ゲート電極による効率的な制御ができるように、可能なかぎり薄く形成される。例えば、フィンFETのボディは、10nmと100nmの間の範囲の厚さを有することが好ましい。32nmテクノロジでは、例えば、フィン幅は、10nmと20nmの間の範囲であることが好ましい。
【0047】
以下の記載において、本発明の具体例は、シリコン基板を参照しながら説明されるが、本発明は他の半導体基板にも適用できることを理解すべきである。本発明の具体例では、「基板」の用語は、シリコン(Si)、ガリウムアーセナイド(GaAs)、ガリウムアーセナイドフォスファイド(GaAsP)、インジウムフォスファイド(InP)、ゲルマニウム(Ge)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)基板のような半導体基板を含んでも良い。「基板」は、例えば、半導体基板部分に加えてSiO2やSi3N4層のような絶縁層を含んでも構わない。このように、「基板」の用語は、シリコンオンガラス基板、シリコンオンサファイア基板、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板、ゲルマニウムオンインシュレータ(GOI)基板のような半導体オンインシュレータ基板を含んでも構わない。「基板」の用語は、このように、関心のある層や部分の下に位置する要素や層の全体を表すのに使用される。このように、基板はブランケットウエハのようなウエハでも良く、また、下層上に成長されたエピタキシャル半導体層のような他のベース材料に適用される層であっても良い。「結晶基板」の用語は、例えば単結晶やマイクロ結晶のような、結晶材料の多くの形態を含むことを意図する。
【0048】
以下の具体例において、「シリサイド」または「金属シリサイド」は、シリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムのような半導体材料を有する1またはそれ以上の材料から形成される化合物を意味する。本発明の文脈では、「シリサイド」、「シリサイド化された」、「シリサイド化」又は類似の用語は、金属とシリコンとの間の反応を意味するが、シリコンに限定することを意図しない。例えば、金属とゲルマニウム、シリコンゲルマニウムのような他の適当な半導体材料との反応は、シリサイド化として呼ばれる。シリサイドは、さまざまな金属とシリコンとを熱反応させることにより容易に形成できる。シリサイドは、一般に2つのプロセスで形成される。即ち、第1の温度での第1熱処理と、第1の温度より高温の、第2の温度による第2の熱処理である。2つの熱工程の間に、未反応の金属は、選択的に除去される。第2の熱工程は、シリサイドのシート抵抗を低減し、および/またはシリサイドと接合された半導体材料の完全なシリサイド化を行う。温度処理は、急速熱処理を用いて行われるのが好ましい。例えば時間や温度のような熱処理のパラメータは、形成されるシリサイドの観点から選択される。
【0049】
以下において、材料の仕事関数は、要素(電子)を固体材料から除去するのに必要となる最小エネルギとして解釈される。
【0050】
フリーシリサイド(FUSI)ゲート電極は、シリサイド形成金属と半導体ゲート電極との間の反応により形成される。これにより、ゲート電極の半導体材料が、完全に消費される。
【0051】
本発明の第1の形態では、半導体装置が提供される。半導体装置は、ゲート電極のような主電極、ゲート電極のような主電極に接続されたゲート誘電体のような誘電体を含み、ゲート電極のような主電極は、所定の値にゲート電極のような主電極の材料の仕事関数を変調させる仕事関数変調元素を有する材料を含む。ゲート電極のような主電極は、更に、仕事関数変調元素が、ゲート誘電体のような誘電体に向かって、および/または誘電体中に拡散するのを防止する、拡散防止ドーピング元素を含む。
【0052】
予め決められた仕事関数の値は、p型またはn型装置を得るのに、要求されまたは必要とされる適当な値を意味する(以下を参照)。
【0053】
本発明の具体例にかかる半導体装置は、MOSFETトランジスタの手段により述べられる。これは、説明と記載を容易にすることのみを目的とするものであり、発明の限定を意図しないことを理解すべきである。本発明は、また、他のタイプのトランジスタにも適用でき、更に一般的には、ここに記載された他の半導体装置にも適用できる。
【0054】
図1は、本発明の具体例にかかるMOSFET装置1の概略的な断面図を示す。MOSFET装置1は、以降で述べる本発明の具体例にかかる方法を用いて作製できる。本発明の具体例にかかる方法では、例えば層の堆積やイオンの注入のような当業者に知られた標準CMOSプロセスが、処理工程に使用できる。
【0055】
MOSFET装置1は、ゲート誘電体3とフリーシリサイド(FUSI)ゲート電極からなるゲートスタックを含む。FUSIゲート電極4は、例えばシリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムのような半導体材料と、適当なシリサイド形成金属との合金を含む。他の具体例によれば、ゲート電極4は金属から形成されても良い。MOSFET装置1は、基板2の上に形成される。基板2には、ゲートスタック3、4に整列した低ドープ接合領域10が存在する。MOSFET装置1は、更に、ゲートスタック3、4の側壁に向かうサイドウォールスペーサ7を含んでも良い。サイドウォールスペーサ7は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、またはそれらの組み合わせのような、誘電体材料を含んでも良い。サイドウォールスペーサ7に整列して、高ドープ接合領域9が基板2中に存在しても良い。低ドープ領域10と、高ドープ領域9は、MOSFET装置1のソースおよびドレイン領域を形成する。ソースおよびドレイン領域は、チャネル領域8の反対側に形成される。
【0056】
上述のように、ゲート電極4は、半導体材料とシリサイド形成材料との合金を含むフリーシリサイドゲート電極4でも良い。本発明の他の具体例では、ゲート電極4は金属から形成されても構わない。ゲート電極4の材料は、特別な仕事関数を有する。ゲート電極4は、更に、ゲート電極の材料の仕事関数を変調する仕事関数変調元素6と、仕事関数変調元素6がゲート誘電体3に向かって拡散するのを防止する拡散防止ドーパント元素5を含む。仕事関数変調元素6は、例えば金属シリサイドや金属のゲート電極の材料の仕事関数を、選択された所定の値に調整するように選択される。拡散防止ドーパント元素5は、仕事関数変調元素6と相互作用して、この仕事関数変調元素6がゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3中に実質的に拡散しないように選択される。
【0057】
この具体例にかかるMOSFET装置1は、ゲート誘電体3と接触したFUSIまたは金属ゲート電極4を含む。ゲート電極4がFUSIゲート電極の場合、電極は、シリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウム、シリサイド形成金属、ドーパント元素5の拡散を防止する第1ドーパント元素、および仕事関数変調元素6のような第2ドーパント元素5のような半導体材料を含む。仕事関数変調元素6は、例えば、金属シリサイドの所定の仕事関数のような、ゲート電極4の材料の仕事関数を、所定の値に向けてシフトさせるように選択される。例えば、MOSFET装置1がp型MOSFET装置の場合には半導体材料の価電子帯に向かって、MOSFET装置1がn型MOSFET装置の場合には半導体材料の伝導帯に向かってシフトさせる。拡散防止ドーパント元素5と、仕事関数変調元素6は、互いに関係しあって、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6との少なくとも一方のゲート誘電体3に向かう拡散が防止できるように選択される。もし、仕事関数変調元素6がゲート電極4に加えられた場合、仕事関数変調元素6はゲート誘電体3に向かって拡散しようとする。本発明の具体例にかかる拡散防止ドーパント元素5を加えることにより、仕事関数変調元素6のこの拡散が、元素5、6の間の相互作用により妨げられる。それゆえに、好適には、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6は、1:1の比率で与えられ、言い換えれば、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6の濃度は、実質的に互いに等しい。拡散防止ドーパント元素と仕事関数変調元素の双方は、互いに力を与え、ゲート電極中に留まるようにお互いを助ける。拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6は、互いに相互作用して、ゲート電極4とゲート誘電体3の間の境界近傍の最終ドーパント分布が変調され、界面における界面状態の数が減少するように選択される。
【0058】
本発明の文脈では、シリサイド化に適した金属は、ニッケルや白金のような金属、またはコバルト、タングステン、またはチタンのような高融点金属である。n型MOSFET装置1が形成される場合、材料はn型仕事関数を有するシリサイドを生じるように選択される。シリサイドの仕事関数は、シリサイド化される半導体材料のエネルギギャップの約中央の値から、その伝導帯の約底の値までの値を有する。例えば、シリコンが半導体材料として使用された場合、シリサイドの仕事関数は、約4.2eVから約4.7eVの範囲であり、適当な金属が、p型の仕事関数を有するシリサイドを生じるように選択される。シリサイドの仕事関数は、シリサイド化される半導体材料のエネルギギャップの約中央の値から、その価電子帯の約上端の値までの値を有する。例えば、シリコンが半導体材料として使用された場合、シリサイドの仕事関数は、約4.7eVから約5.2eVの範囲である。好適には、シリサイドの仕事関数は、偏差10%を伴う、伝導帯の底部と価電子帯の上部の略中間の値を有する。この場合、ミッドギャップ材料は、n型装置およびp型装置に使用するのに適するように得られる。更に、ゲートおよびチャネルの仕事関数の違いが減少するため、装置の閾値Vtも低減される。半導体材料としてシリコンが使用された場合、シリサイドの仕事関数は、好適には約4.7eV±0.2eVである。
【0059】
仕事関数変調元素6の型および濃度は、形成されるシリサイドに要求される仕事関数、およびMOSFET装置の型に要求される仕事関数に応じて選択される。仕事関数変調元素6の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3(1×1014cm−3から1×1016cm−3)である。
【0060】
例えばニッケルシリサイドFUSIゲート4が形成された場合、一般には、仕事関数の値として4.7eVが得られる。n型MOSFETが形成される場合、この仕事関数は、シリコンの伝導帯に近づくように変調され、即ち4.1eVの値に近づく。このような仕事関数の低下は、例えばイットリウム(Yb)のようなランタニド、または砒素(As)アンチモン(Sb)またはリン(P)のような元素をニッケルシリサイドにドーピングすることにより得られる。
【0061】
例えば、H.Y.Yuらの"Modulation of the Ni FUSI work function by Yb doping"、テクニカルダイジェストIEDMミーティング2005の630〜633頁では、図3(b)および601頁のこれに対応する段落において、YbのNiに対する比を変えることにより、ニッケルシリサイドの仕事関数の値が、約4.7eVから約4.2eVに変わっている。更に、p型MOSFETが形成される場合、仕事関数はシリコンの伝導帯に近い値、即ち5.2eVの値に向かって変調される。このような仕事関数の値のシフトは、ゲート電極4のニッケルシリサイドに白金(Pt)やボロン(B)のような元素をドーピングすることにより得られる。
【0062】
拡散防止ドーパント元素5は、リン(P)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)砒素(As)、スズ(Sn)、またはアンチモン(Sb)のグループから選択される。拡散防止ドーパント元素5の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3の範囲である。好適には、上述のように、拡散防止ドーパント元素5の濃度は、仕事関数変調元素6の濃度と実質的に等しい。
【0063】
本発明の具体例では、n型MOSFET装置が形成される。ゲート電極4は、少なくとも1つのランタニドを仕事関数変調元素6として含む低い仕事関数の金属合金、シリサイド化に適した金属、ランタニドがゲート誘電体3に向かっておよび/またはその中に拡散するのを遅らせまたは本質的に防止する拡散防止ドーパント元素5、および半導体材料を含む。この半導体は、Si、Ge、またはSiGeを含む。本発明の文脈では、ランタニドは、周期律表のランタニウムからルテニウムまでの15の元素を含み、すなわち、ランタニウム(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメシウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロニウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イットリウム(Yb)、およびルテニウム(Lu)を含む。
【0064】
本発明の具体例では、ランタニドはYbである。本発明の具体例では、金属はNiである。本発明の具体例では、半導体材料はSiである。
【0065】
本発明の具体例では、ゲート電極4はYb、Ni、および/またはSiを含む。
【0066】
本発明の好適な金属合金では、拡散遅延元素ともよばれる拡散防止ドーパント元素は、リン(P)である。
【0067】
図2は、ゲート電圧(Vgb(V))を関数としたゲート容量(Cgb(F))を示す。測定された曲線は、従来構造のYbドープNiSiFUSI電極を含むキャパシタ構造(曲線20)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSI電極(曲線21)である。従来構造のYbドープNiSiFUSI電極が用いられた場合、参照番号19の破線の楕円で示されたように、容量−電圧曲線においてバンプ(こぶ)が観察される。このバンプ19は、ゲート電極4とゲート誘電体3との間の界面において界面状態Ditが存在することを示す。そのようなバンプ19は、本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSI電極の場合には観察されない、この場合、容量値は、負の電圧が供給される範囲においてスムースに変化する。
【0068】
図3は、ゲート電流密度(Jgb)とゲート電圧(Vgb)との関係の曲線であり、従来構造のNiSiFUSIゲート電極を含むキャパシタ構造(曲線22)と、従来構造のYbドープNiSiFUSIゲート電極とで得られた曲線である。この図より、従来構造のYbドープNiSiFUSI電極が用いられた場合(曲線23)、Ybを含まない従来構造のNiSiFUSIゲート電極(曲線22)に比較してゲートリーク電流が増加することが明らかである。NiSiを形成するのに使用されるシリコン層の膜厚は、100nmから40nmまで変化させ、一方、4e15/cm2の濃度のYbが、20keVまたは30keVの注入エネルギで注入された。本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSI電極が使用された場合、ゲートリーク電流の増加は制限される。
【0069】
図4は、従来構造のNiSiFUSIゲート電極を含むキャパシタ構造(曲線24)と、従来構造のYbドープNiSiFUSIゲート電極(曲線25)と、従来構造のPドープNiSiFUSIゲート電極(曲線26)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSI電極(曲線27)について得られたゲート容量(Cgb)とゲート電圧(Vgb)との特徴である。NiSiFUSIゲート電極を有する構造(曲線24)に比較して、YbドープNiSiFUSIゲート電極(曲線25)を有する装置では、特徴のシフトで表されたように、閾値電圧の最も大きなシフトが得られる。しかしながら、閾値電圧の同様のシフト(黒い矢印参照)は、本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSIゲート電極を用いた場合(曲線27)にも得られる。そのようなYb+PドープNiSi電極はこのようにn型の仕事関数を提供するが、ゲートリーク電流を低減し、界面状態の数を減少させる。
【0070】
本発明の具体例にかかる半導体装置1、特に図1に示すMOSFET装置を製造する多くの方法が、以下の具体例で示される。
【0071】
図5aから図5i、および図6(フローチャート)は、本発明の具体例にかかるMOSFET1の作製方法の連続した工程を示す。MOSFET装置14は、完全にシリサイド化された(フリーシリサイド)ゲート電極4を含む。本発明の具体例にかかる方法を示す製造プロセスでは、n型MOSFET装置とp型MOSFET装置を、同じ基板2の上で組み合わせて作製することができる。図5a〜図5iの基板2の左側の上には、n型MOSFET装置が形成され、一方、基板2の右側の上には、p型MOSFET装置が形成される。
【0072】
図5aに示すように、最初に基板2が提供される。基板2は、その上にそれぞれのMOSFET装置が作製される活性領域NMOSおよびPMOSを含む。それらの活性領域は、誘電体領域13で互いに分離されており、誘電体領域13は好ましくはシャロートレンチアイソレーション(STI)を用いて形成され、これにより基板2に形成された溝が1またはそれ以上の誘電体層により埋められる。基板2の上に、ゲート誘電体層3とゲート電極層4とのスタック(積層)が形成される。ゲート誘電体層3はシリコン酸化物、シリコン酸窒化物、又はハフニウムシリケイトまたはハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体(高誘電体)からなる。ゲート誘電体3は、シリコン酸窒化物層であることが好ましい。ゲート電極層4は、半導体材料から形成されても良い。ゲート電極層4は、半導体材料から形成されても良い。半導体層4の膜厚は、20nmから150nmの範囲で、100nmであることが好ましい。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムでも良い。
【0073】
ゲート電極層4の上には、キャップ層14(図5aには分離された層として示さず)が形成され、このキャップ層14は半導体層4に対して選択的に除去できる。このキャップ層14は、シリコンゲルマニウム層である。キャップ層14の上に、ストップ層15が形成されこのストップ層15は半導体基板2の上の他の層に対して選択的に除去できる。このストップ層15は化学的機械的処理(CMP)工程でストップ層として使用される。ストップ層15はシリコン窒化物層であっても良い。
【0074】
次の工程で、イットリウム(Yb)6が、図5aに矢印で示されるように、半導体層4で例示されるゲート層4に注入される。好ましくは、この工程では、Ybは、NMOSが形成される半導体層4の部分のみに注入される。図5aに示すように、フォトレジスト層のような保護層16が、PMOS装置が形成される領域に形成されても良い。Yb注入ドーズは、1e15cm−3から1e16cm−3の範囲であり、好適には4e15cm−3である。Yb注入エネルギは、5keVから40keVの範囲であり、好適には20keVと40keVである。
【0075】
図5bに矢印で示すように、保護層16をマスクに用いて、拡散防止ドーパント元素5がゲート電極層4のNMOS部分に注入される。イオン注入は、ゲート電極4中に拡散防止ドーパント元素5を注入するために使用される。例えばイットリウムがドープされたニッケルシリサイドが形成された場合、拡散防止ドーパント元素5はリン(P)である。リンの注入ドーズは、好ましくは、1e15cm−3から1e16cm−3の範囲であり、好適には例えば4e15cm−3である。リンの注入エネルギは、5keVから15keV、または6keVから10kevの範囲である。注入後に保護増16が除去される。これは、当業者により知られた適当な技術により行っても良い。
【0076】
図5cに示すように、ゲートスタック3、4、14、15はパターニングされても良い。基板2では、低ドープの接合領域10が、ゲートスタック3、4、14、15に整列(align)して形成される。サイドウォールスペーサ7は、ゲートスタック3、4、14、15の側壁に形成される。これらのサイドウォールスペーサ7は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、またはそれらの組み合わせのような誘電体材料からなる。サイドウォールスペーサ7に整列して、高ドープ世知号領域9が、基板2中に形成される。低ドープ領域10と高ドープ領域9は、MOSFET装置のソース及びドレイン領域を形成し、チャネル領域8の反対側に形成される。スパイクアニールのような熱処理が、注入工程後に行われ、低ドープ領域10と高ドープ領域9が形成される。
【0077】
この後に、基板2を覆うようにニッケルの層が形成され、ゲート電極4の半導体材料のシリサイド化が行われる。2段階の熱処理で、露出されたソースおよびドレイン9領域がシリサイド化される。好ましくは、約10nmから約50nmのニッケルが堆積される。例えばニッケル層は、10nmの膜厚であることが好ましい。第1熱工程では、温度は、150℃から350℃の範囲であり、時間は10秒から5分の範囲である。例えば、第1熱工程の温度は300℃で、時間は30秒である。この第1熱工程の後に、未反応のニッケルが、例えばHClエッチングを含むウエットエッチングを用いて除去される。次に、第2熱工程が行われる。この第2熱工程では、温度は、300℃から550℃の範囲であり、時間は10秒から5分の範囲である。例えば、第2熱工程の温度は470℃で、時間は30秒である。
【0078】
平坦化層12が、続いて基板2上に堆積される(図5c参照)。平坦化層12は、化学気相成長(CVD)等を用いて堆積されたシリコン酸化層である。
【0079】
図5dに示すように、例えば化学的機械的研磨(CMP)を用いて平坦化層12が研磨される。研磨工程は、ストップ層15に到達した時点で終了する。図5dに示すように、続いてドライエッチングが平坦化層12を均一に除去するために用いられ、この場合、ストップ層15は下層の半導体ゲート電極4を保護する。続いて、図5dに示すように、ストップ層15が、例えばドライエッチプロセスを用いて除去される。
【0080】
図5eに示すように、例えばドライエッチングプロセスを用いて、キャップ層14が同様に除去される。n型MOSFET(左)およびp型MOSFET(右)の半導体ゲート電極4が、これにより露出する。半導体層4およびキャップ層14の膜厚は、NMOS領域のそれらを合わせた膜厚が、PMOS領域のそれらを合わせた膜厚に等しくなるように選択される。しかしながら、半導体層の膜厚の、キャップの膜厚に対する比は、NMOS領域とPMOS領域で異なっても良い。
【0081】
図5fに示すように、保護層16はNMOS領域の上に形成される。保護層16はフォトレジスト層でも良い。保護層16をマスクに用いて、露出したp型MOSFETの半導体ゲート電極4が、例えばドライエッチングを用いて部分的に除去され、半導体ゲート電極4の膜厚を、例えば100nmから、30nmと50nmの間まで減少させる。p型MOSFETのゲート電極4を薄くした後、保護層16が除去される。
【0082】
図5gに示すように、シリサイド形成金属17の層が、続いて基板上に堆積される。金属層17は、ニッケルまたはニッケル合金層である。金属層17は、10nmから150nmの範囲、または40nmから80nmの範囲、例えば60nmの膜厚である。
【0083】
図5hに示すように、第1熱工程は、堆積された金属層17を、PおよびYbドープされたnMOS半導体ゲート電極4およびpMOS半導体ゲート電極4と反応させるために行われる。第1熱工程では、温度は250℃から約450℃であり、時間は10秒から5分である。例えば、第1熱工程は、370℃で30秒行われる。この後に、未反応の金属17が例えばウエットエッチングを用いて選択的に除去される。pMOS半導体ゲート電極4の膜厚はnMOS半導体ゲート電極4の膜厚より薄く(図5f参照)、pMOSゲート電極4は、第1熱処理工程中に完全にシリサイド化し、金属リッチのシリサイドが得られる。nMOS電極4は、部分的にのみシリサイド化され、ゲート誘電体3に隣接する半導体の部分を残す。図5iに示すように、第2熱処理工程中に、nMOSゲート電極のシリサイド化されていない底部分が、シリサイド化された部分のシリサイド形成金属と反応し、部分的にシリサイド化されたnMOSゲート電極4が、完全にシリサイド化されても良い。好適には、完全にシリサイド化されたnMOSゲート電極4は、半導体に対する金属の比が、完全にシリサイド化されたpMOSゲート電極4より低くなる。
【0084】
この具体例では、上述の図5aから図5i、および図6に示される連続プロセスの変化について議論する。本発明の記述目的のために、n型MOSFETの製造に関する工程および模式的な断面図について示す。
【0085】
本発明にかかる他の具体例が、図7aから図7eに示される。
【0086】
図7aに示すように、基板2が提供される。基板2の上には、ゲート誘電体層3およびゲート電極層4から形成されるゲートスタックが形成される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート誘電体層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0087】
図7bの矢印で示したように、拡散防止ドーパント元素5が、ゲート電極4に導入される。拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0088】
図7cに示すように、拡散防止ドーパント元素5がゲート電極層4に導入された後に、仕事関数変調元素6がゲート電極4に導入される。これは、図7c中に矢印で示される。この仕事関数変調元素6は、後に、シリサイド形成金属17および半導体ゲート電極4と反応し、完全にシリサイド化されたゲート電極4を形成する。図7aから図7eでは、仕事関数変調元素6の導入に先立って、拡散防止ドーパント元素5が導入されるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の他の具体例では、最初に仕事関数変調元素6が導入され、続いて拡散防止ドーパント元素5が導入される。
【0089】
図7dに示すように、ゲート誘電体3、および拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6を含む半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、トランジスタのチャネル領域8を形成する。MOSFET装置の工程では、続いて、ゲート誘電体3およびゲート電極4から形成されたゲートスタックに整列して、高ドープされた領域9および低ドープされた領域10が基板2中に形成される。ドープされた領域9、10は、例えばイオン中により形成される。サイドウォールスペーサ7が、ゲートスタック3、4の側壁に形成される。ニッケル層が、続いて基板2の上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。
【0090】
図7eに示すように、シリサイド形成金属17が基板2の上に形成される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されたゲート電極4が得られるように選択される。
【0091】
熱処理中に、シリサイド形成金属17は、仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5とを含む半導体材料と反応し、シリサイド11を形成する。基板2の半導体材料は、シリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムであり、シリサイド11は、ドープされた領域9にも形成されても良い。当業者には認識されるように、シリサイド11を形成する熱処理は、以下のように行われる。最初に、アニール工程のような第1熱工程が行われる。続いて、未反応の金属17が選択的に除去される。選択的に、第2熱工程が行われて、必要であれば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減し、またはゲート電極4を完全にシリサイド化しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0092】
本発明の具体例にかかる方法の更なる具体例が、図8aから図8eに示される。
【0093】
図8aに示されるように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0094】
図8bの矢印で示したように、拡散防止ドーパント元素5が、ゲート電極4に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極層4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0095】
図8cに示すように、ゲート誘電体3、および拡散防止ドーパント元素5を含む半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、装置1のチャネル領域8を形成する。この具体例にかかるMOSFET装置1の工程では、続いて、ゲートスタック3、4に整列して、低ドープおよび高ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成されても良い。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される、ニッケル層は、続いて基板2上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。
【0096】
続いて、平坦化層12が基板の上に堆積される。平坦化層12は化学気相成長(CVD)を用いて堆積したシリコン酸化層である。平坦化層12は、化学的機械的研磨(CMP)を用いて、半導体ゲート電極4が露出するまで研磨される(図8d参照)。図8dに矢印で示すように、仕事関数変調元素6が露出した半導体ゲート電極4に導入される。この工程は、例えばイオン注入により行われる。この仕事関数変調元素6は、シリサイド形成金属17および半導体ゲート電極4と反応し、完全にシリサイド化されたゲート電極4を形成する。
【0097】
続いて、図8eに示すように、シリサイド形成金属の層17が堆積される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されるゲート電極4が形成されるように選択される。熱処理中に、シリサイド形成金属17は、仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5とを含む半導体ゲート電極4と反応し、シリサイド11を形成する。シリサイド化は熱アニールプロセスで行われる。熱アニールプロセスは、第1のアニール工程を含む。第1アニール工程の後に、未反応の金属17を選択的に除去しても良い。選択的に、第2の熱工程が行われ、例えば、必要であれば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減し、またはゲート電極4を完全にシリサイド化しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0098】
本発明にかかる方法の更なる具体例が、図9aから図9dに示される。
【0099】
図9aに示すように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0100】
図9bの矢印で示したように、拡散防止ドーパント元素5が、ゲート電極4に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極層4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0101】
図9cに示すように、ゲート誘電体3、および拡散防止ドーパント元素5を含む半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、装置1のチャネル領域8を形成する。MOSFET装置1の工程では、続いて、ゲートスタック3、4に整列して、高ドープおよび低ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成されても良い。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される。ニッケル層は、続いて基板2上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。
【0102】
続いて、平坦化層12が基板の上に堆積される。平坦化層12は、例えば化学気相成長(CVD)を用いて堆積したシリコン酸化層である。平坦化層12は、化学的機械的研磨(CMP)を用いて、ゲート電極4が露出するまで研磨される。
【0103】
図9dに示すように、仕事関数変調元素6の層が、露出した半導体ゲート電極4の上に堆積されてもよい。シリサイド形成金属17の層は、仕事関数変調元素6の層の上に形成される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されたゲート電極4が形成されるように選択される。熱工程中に、シリサイド形成金属17と元素6は、ドーパント5を含む露出した半導体ゲート電極4と反応し、シリサイド11を形成する。当業者に認識されるように、熱処理は、第1熱工程を含む。続いて、未反応金属8と仕事関数変調元素6が、選択的に除去される。選択的に、第2の熱工程が行われ、例えば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0104】
本発明にかかる方法の更なる具体例が、図10aから図10dに示される。
【0105】
図10aに示すように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0106】
図10bの矢印で示したように、仕事関数変調元素6が、ゲート電極4に導入される。半導体層4中に仕事関数変調元素6を導入するために、イオン注入が使用される。この仕事関数変調元素6は、後に、シリコン形成金属17やゲート電極4の材料と反応し、完全にシリサイド化されたゲート電極4を形成する。
【0107】
図10cに示すように、ゲート誘電体3、および仕事関数変調元素6を含む半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタック3、4が形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、トランジスタのチャネル領域8を形成する。MOSFET装置1の工程では、続いて、ゲート誘電体3およびゲート電極4からなるゲートスタックに整列して、高ドープおよび低ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成される。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される、ニッケル層は、続いて基板2上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。
【0108】
続いて、平坦化層12が基板の上に堆積される。平坦化層12は、例えば化学気相成長(CVD)を用いて堆積したシリコン酸化層である。平坦化層12は、化学的機械的研磨(CMP)を用いて、ゲート電極4が露出するまで研磨される。
【0109】
図10dに示すように、拡散防止ドーパント元素5が、露出した半導体ゲート電極4中に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極層4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0110】
図10eに示すように、シリサイド形成金属17の層は、仕事関数変調元素6の層の上に形成される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されたゲート電極4が形成されるように選択される。熱工程中に、シリサイド形成金属17は、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6とを含む、露出した半導体ゲート電極4と反応し、シリサイド11を形成する。当業者に認識されるように、熱処理は、第1熱工程を含む。続いて、未反応金属8と元素6が、選択的に除去される。選択的に、第2の熱工程が行われ、例えば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0111】
本発明にかかる方法の更なる具体例が、図11aから図11dに示される。
【0112】
図11aに示すように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0113】
図11bに示すように、ゲート誘電体3および半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、トランジスタのチャネル領域8を形成する。MOSFET装置1の工程では、続いて、ゲートスタック3、4に整列して、高ドープおよび低ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成される。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される。ニッケル層は、続いて基板2上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。続いて、平坦化層12が基板の上に堆積される。平坦化層12は、例えば化学気相成長(CVD)を用いて堆積したシリコン酸化層である。平坦化層12は、化学的機械的研磨(CMP)を用いて、ゲート電極4が露出するまで研磨される。
【0114】
図11cに示すように、拡散防止ドーパント元素5が露出したゲート電極4に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4電極からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極層4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0115】
図11dに示すように、仕事関数変調元素6の層が、露出したゲート電極4の上に堆積される。続いて、シリサイド形成金属17の層が仕事関数変調元素6の層の上に堆積される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されたゲート電極4が形成されるように選択される。熱工程中に、シリサイド形成金属17と仕事関数変調元素6は、拡散防止ドーパント元素5を含む露出した半導体ゲート電極4と反応し、シリサイド11を形成する。当業者に認識されるように、熱処理は、第1熱工程を含む。続いて、未反応金属17と元素6が、選択的に除去される。選択的に、第2の熱工程が行われ、例えば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0116】
本発明にかかる更なる具体例によれば、ゲート電極層4が、金属、または金属層のスタックを含んでも良い。金属の代わりに、導電性の金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物または金属シリコンナイトライドを使用しても良い。そのようなゲート電極層4に使用するのに適した導電性金属または金属系材料の例は、Ti、TiN、Ta、TaN、TaC、TaCN、TaSiN、TiSiN、W、Moである。そのようなゲート電極スタックは、40nmから100nmの範囲の膜厚の多結晶層で覆われた、2nmから10nmの範囲の膜厚を有する金属系層でも良い。この具体例の可能な例を図12aから図12dに示す。
【0117】
図12aに示すように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、金属または金属層のスタックを含み、選択的に多結晶シリコン層で覆われても良い。
【0118】
図12bの矢印で示したように、拡散防止ドーパント元素5が、ゲート電極4に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。
【0119】
図12cに示すように、拡散防止ドーパント元素5をゲート電極層4に導入した後、仕事関数変調元素6が、ゲート電極層4に導入される。図12aから12eでは、仕事関数変調元素6に先だって、拡散防止ドーパント元素5がゲート電極4に導入されるが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の具体例では、最初に仕事関数変調元素6が導入され、次に拡散防止ドーパント元素5が導入される。
【0120】
図12dに示すように、ゲート誘電体3と、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6を含む半導体ゲート電極4とから形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、装置1のチャネル領域8を形成する。MOSFET装置1の工程では、続いて、ゲートスタック3、4に整列して、高ドープおよび低ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成されても良い。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される。
【0121】
続く熱処理中において、仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5が反応する。
【0122】
パターニング前に、仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5の双方をゲート電極4に導入する代わりに、元素6と拡散防止ドーパント元素5を導入する他のスキームが、本発明の他の具体例で考えられている。仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5は、ゲート電極4のパターニングの前と後にそれぞれ、またはその逆に導入されてもよい。仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5は、双方ともゲート電極4のパターニング後に導入されても良い。拡散防止ドーパント元素5または仕事関数変調元素6の一方がゲートのパターニング後に導入された場合、最初に平坦化層12が基板2の上に堆積され、ゲート電極4が露出するようにパターニングされる。その後に、拡散防止ドーパント元素5または仕事関数変調元素6が、露出したゲート電極4に導入される。
【0123】
本発明を記載する目的で、n型MOSFETに関連した工程と概略が示された。当業者は、p型MOSFETゲート電極4が形成された場合、本発明の具体例で記載されたプロセス工程を、そのようなp型ゲート電極4の形成にも適用できる。
【0124】
本発明にかかる装置について、ここでは、材料と同様に、好ましい具体例、特別な構造や形態について議論してきたが、添付された請求の範囲により定義された本発明の範囲から離れることなく、形態や細部の多くの変形や修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
本発明の具体例について、図面中の図を参照しながら示す。ここに述べられる具体例や図面は、限定的ではなく、例示的であると考えることを意図する。
【0126】
【図1】本発明の具体例にかかるMOSFET装置の概略的な断面図である。
【図2】従来技術のYbドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線20)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線21)とを含むキャパシタ構造で得られた、ゲート電圧の関数としたゲート容量を示すグラフである。
【図3】従来技術のNiSiFUSIゲート電極(曲線22)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線21)とを含むキャパシタ構造で得られた、ゲート電圧の関数としたゲート電流密度を示すグラフである。
【図4】従来技術のNiSiFUSIゲート電極(曲線24)と、従来技術のYbドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線25)と、従来技術のPドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線26)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線27)とを含むキャパシタ構造で得られた、ゲート電圧の関数としたゲート容量を示すグラフである。
【図5a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5e】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5f】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5g】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5h】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5i】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図6】図5a−図5iに示された製造プロセスを示すフローチャートである。
【図7a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図7b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図7c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図7d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図7e】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8e】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図9a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図9b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図9c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図9d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10e】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図11a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図11b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図11c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図11d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図12a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図12b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図12c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図12d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【0127】
図面において、同じ参照符号は、同様または類似の要素を示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置に関する。更には、本発明は、電界効果トランジスタのような半導体装置に関する。半導体装置は、主電極と、主電極に接触した誘電体を含む。主電極は、所定の仕事関数を有する材料と、主電極の材料の仕事関数を変える仕事関数変調元素とを含む。発明は、また、半導体装置を作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体技術のメインストリームでは、金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)が基本素子として使用され、またスイッチング素子や電荷蓄積素子として使用される。MOSFETデバイスは、ゲート誘電体を介してゲート電極に絶縁されて接続されたチャネル領域を含む。半導体チャネル領域は、その両側に、ソース接合とドレイン接合が対向して接続されている。
【0003】
一般に多結晶シリコンは、ゲート電極材料に使用される。しかしながら、MOSFETデバイスの性能を改良するためには、多結晶シリコンは、金属シリサイドのような金属材料により、ゲート電極材料が置き換えられる。そのような金属ゲートは、ゲート空乏化、ドーパント拡散、又は中距離抵抗のような半導体ゲート電極に関連する欠点に悩まされない。近年、金属電極としてシリサイドを適用することに十分興味が示されている。特に、フリーシリサイド(FUSI)ゲートは、約束された候補になることを示す。プロセスの観点から、FUSIゲートは、例えば、半導体領域のシート抵抗を減らすために、先のテクノロジノードで使用されるセルフアラインシリサイドプロセスのバリエーションとして行うことができる。FUSIのアプローチでは、最初に多結晶ゲート電極が形成され、次に、ゲート電極中にゲート誘電体との界面に至るまでシリサイドが形成され、これにより、ゲート電極の多結晶シリコン材料が完全に消費される。
【0004】
Niシリサイドは、ゲート電極を形成するための魅力的な候補に見える。なぜならばシリコンゲートのパターニングやセルフアラインシリサイド形成プロセスのような、従来のCMOS技術世代で適用される多くの形態のプロセスフローが維持できるからである。NiSiFUSIゲートに対して魅力的な注意を有するキー特性は、SiO2ゲート誘電体に対する効果的な仕事関数の変調の可能性であり、両タイプのMOSFETを形成するのに、ゲート電極に異なったバルク材料を使用することなく、ドーパントによりnMOSやpMOSデバイスの閾値電圧(Vt)の変調が可能になる。high−k(高誘電率)誘電体上のNiFUSIゲートの集積や特性は、また最先端のCMOSの適用のために興味がある。
【0005】
テクカルダイジェストIEDMミーティング2005の、630〜633頁に、H. Y. Yu らが記載している「YbドーピングによるNiFUSIの仕事関数の変調:ミッドギャップからn型バンド端まで」では、ニッケルシリコンゲート電極中にイットリウムを含むことにより、SiONゲート誘電体上に形成されたニッケルシリサイドFUSIゲートの仕事関数を変調させる方法が記載されている。NiFUSIゲートの仕事関数は、Ybのドーピングにより、4.72eVから4.22eVに低減される。ゲート電極とゲート誘電体の界面で、Ybがパイルアップし、ゲート誘電体中へのYbの拡散を促進することも報告されている。
【非特許文献1】テクカルダイジェストIEDMミーティング2005、630〜633頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
金属ゲート電極で多結晶シリコンゲート電極を置き換える試みだけでなく、ゲート誘電体層の膜厚を低減することも試みられている。従来のシリコン酸化物ゲート誘電体の膜厚は、その実用限界まで低減された。良好な誘電体カップリングを確実にするために、誘電体材料の等価電気酸化膜の膜厚(EEOT)は、0.5nmから2nmの範囲である必要がある。しかしながら、0.5nmから2nmの膜厚のシリコン酸化層は、供給電圧に耐えられず、このため、より厚い誘電体が必要となる。このため、十分な物理的膜厚と限定されたEEOTを提供できるhigh−k誘電体材料が使用される。その比は、誘電体材料の誘電率(k値)により決定される。この目的のために、他の材料が、ゲート誘電体を形成する代わりの材料として調査される。第1に、シリコン酸窒化物が、代わりのゲート誘電体材料として使用される。他の代わりの誘電体材料は、数ナノメータのEEOTを有するが、大きな物理的膜厚を有するように考えられる。それらの代わりの材料は、シリコン酸化物の誘電率(k=3.9)に比較して、より高い誘電率により特徴づけられ、high−k誘電体材料と呼ばれる。これらのhigh−k誘電体材料は、4から40までのk値を有する。それらのhigh−k材料の幾つかの例としては、ハフニウム、タンタル、およびジルコニウムの酸化物またはシリケイトが該当し、これらは20から26までのk値を有する。
【0007】
ドーパント、特に仕事関数変調元素を含むFUSIゲート電極を有するMOSFET装置を製造する場合、そのようなドーパントのないMOSFET装置から、MOSFET装置の電気特性が離れることが観察される。特に、n型MOSFETのイットリウムドープされたニッケルFUSIゲート電極が、特にシリコン酸窒化ゲート誘電体の上に形成された場合、ゲート誘電体を通るリーク電流は、イットリウムを含まないニッケルFUSIゲート電極に比べて増加する。このリーク電流は、ゲート誘電体の膜厚の減少に伴って増加する。また、そのようなゲートスタックの容量−電圧特性は以上であり、多くの界面状態Ditの存在を示す。更に、ニッケルイットリウムFUSIゲートの仕事関数は時間とともに変化することが観察される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の具体例の目的は、良好な半導体装置およびそのような半導体装置を作製するための良好な方法を提供することにある。
【0009】
本発明の具体例にかかる半導体装置は、主電極の材料の仕事関数を変調するために、仕事関数変調元素が使用された、例えば、半導体装置のゲートがそれらから形成された場合の、高いリーク電流の問題を解決する。
【0010】
上記目的は、本発明にかかる方法および装置によって達成される。
【0011】
第1の形態では、本発明は、主電極と主電極に接触した誘電体を含み、主電極は、所定の仕事関数を有する材料と、主電極の材料の仕事関数を予め決められた値に向かって、例えば変化するように変調する仕事関数変調元素とを含む半導体装置を提供する。主電極は、更に、仕事関数変調元素が誘電体に向かっておよび/または誘電体中に拡散するのを防止する拡散防止ドーパント元素を含む。
【0012】
仕事関数変調元素がゲート電極に提供された場合、仕事関数変調元素は、ゲート誘電体に向かって拡散しようとする。本発明の具体例にかかる拡散防止ドーパント元素を提供することにより、この仕事関数変調元素の拡散が双方の元素間の相互作用により防止することができる。
【0013】
主電極は完全にシリサイド化された主電極であり、主電極の材料は、半導体材料と金属との合金を含む。本発明の具体例では、半導体材料はシリコンまたはゲルマニウムを含む。本発明の具体例では、金属は、ミッドギャップ仕事関数を有する合金を形成する金属である。この方法では、n型装置およびp型装置のための使用に適したミッドギャップ材料が形成される。更に、ゲートやチャネルの仕事関数の違いが低減されるため、装置の閾値電圧Vtも低減できる。
【0014】
主電極の材料は金属を含む。
【0015】
本発明の具体例では、拡散防止ドーパント元素は、P、As、Sb、Ge、またはSiの1つで良い。
【0016】
主電極中の拡散防止ドーパント元素の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3(1×1014cm−3から1×1016cm−3)の間である。
【0017】
仕事関数変調元素は、n型の仕事関数を有する材料を形成するように選択される。それゆえに、仕事関数変調元素は、ランタニドのグループから選択され、例えばイットリウムである。
【0018】
主電極中の仕事関数変調元素の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3の間である。
【0019】
主電極の合金中の金属は、ニッケルである。
【0020】
誘電体は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、またはhigh−k誘電体である。
【0021】
更なる形態では、本発明は半導体装置の製造方法を提供する。この製造方法は、主電極と主電極に接触した誘電体を含む主電極構造であって、主電極が所定の仕事関数を有する材料を含む主電極構造を形成する工程と、
主電極に仕事関数変調元素を提供し、主電極の材料の仕事関数を、予め決められた値に向かって、例えば変化するように変調する工程と、
主電極に拡散防止ドーパント元素を提供し、仕事関数変調元素が誘電体に向かっておよび/または誘電体中に拡散するのを防止する工程とを含む。
【0022】
主電極構造を形成する工程は、
基板上に、誘電体層と主電極材料の層とを提供し、主電極スタックを形成する工程と、
主電極スタックをパターニングして、主電極を形成する工程とを含む。
【0023】
本発明の具体例では、主電極は、半導体材料と金属との合金を含み、更に、主電極スタックのパターニング後に、
主電極上に金属の層を提供する工程と、
主電極をシリサイド化する工程とを含む。
【0024】
本発明の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、拡散防止ドーパント元素を提供する工程の前に行われる。
【0025】
本発明の他の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、拡散防止ドーパント元素を提供する工程の後に行われる。
【0026】
仕事関数変調元素と拡散防止ドーパント元素とは互いに近接し、相互の間で相互作用が起きることが好ましい。
【0027】
本発明の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、主電極スタックのパターニングの前または後に行われる。
【0028】
本発明の更なる具体例では、拡散防止ドーパント元素を提供する工程は、主電極スタックのパターニングの前または後に行われる。
【0029】
拡散防止ドーパント元素を提供する工程は、イオン注入により行われても良い。
【0030】
本発明の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、イオン注入により行われる。
【0031】
本発明の他の具体例では、仕事関数変調元素を提供する工程は、仕事関数変調元素の層を提供し、熱アニールを行うことにより行われる。
【0032】
本発明の特別で好ましい具体例が、独立請求項および従属請求項とともに述べられる。従属請求項の特徴は、必要に応じて、独立請求項の特徴や他の従属請求項の特徴と組み合わされ、単にその請求項に述べられたものではない。
【0033】
この分野の装置における一定の改良、変化、および進化があるが、本概念は、実質的に新規な改良を示し、従来技術から離れ、より効果的で、安定した、信頼性のあるこの特徴の装置を提供するものと信じられる。
【0034】
本発明の上述および他の特徴、長所、および優位点は、本発明の原理を例示する添付図面とともに以下の詳細な記載から明らかになるであろう。この記載は、例示としての目的で与えられ、発明の範囲を限定するものではない。以下で引用された参照符号は、添付された図面を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
本発明は、特別な具体例について、所定の図面を参酌しながら記載されるが、本発明はこれらに限定されるものではなく、請求の範囲により限定されるものである。記載された図面は概略であり、限定するものではない。図面において、図示目的で、いくつかの要素の大きさは拡張され、縮尺通りに記載されていない。寸法と相対寸法は、本発明の実施の実際の縮小には対応していない。
【0036】
更に、記載や請求の範囲中の、第1、第2等の用語は、類似の要素の間で区別するために使用され、順位や時間的、空間的、ランクや他の方法による順序を表す必要はない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明の具体例は、ここに記載や図示されたものと異なる順序によっても操作できることを理解すべきである。
【0037】
また、記載や請求の範囲中の、上、下、上に、下に等の用語は、記載目的のために使用され、相対的な位置を示すものではない。そのように使用される用語は、適当な状況下で入替え可能であり、ここに記載された発明は、ここに記載や図示されたものと異なる位置でも操作できることを理解すべきである。
【0038】
また、請求の範囲で使用される「含む(comprising)」の用語は、それ以降に示される要素に限定して解釈されること排除するものであり、他の要素や工程を排除しない。存在を特定された特徴、整数、工程、または成分は、その通りに解釈されるべきであり、それ以外の他の特徴、整数、工程、または成分、またはそれらの組の存在や追加を排除するものではない。「手段AおよびBを含むデバイス」の表現の範囲は、構成要素AとBのみを含むデバイスに限定されるべきではない。本発明では、単にデバイスに関連した構成要素がAとBであることを意味する。
【0039】
この明細書を通じて「1つの具体例」または「ある具体例」の表示は、その具体例に関連する特別な長所または特徴が、本発明の少なくとも1つの具体例に含まれることを意味する。このように、この明細書を通じた多くの場所の「1つの具体例中の」または「ある具体例中の」の文節の表現は、すべてが同じ具体例を示しても良いが、必ずしも示す必要は無い。更に、特別の長所、構造、または特徴は、多くの適当な方法で組み合わされても良く、これは、1又はそれ以上の具体例において、この記載から当業者にとっては明らかであろう。
【0040】
同様に、本発明の例示的な具体例の記載において、記載を効率化し、1又はそれ以上の様々な発明の形態の理解を助けるために、本発明の多くの長所が、1つの具体例、図面、またはその記述に、時々共に集められることを認識すべきである。しかしながら、この記載の方法は、それぞれの請求項に明白に引用された以上の長所を、請求された発明が必要とするとの意図を反映するものと解釈すべきでない。むしろ、以下の請求項に記載されるように、発明の形態は、前に記載された1つの具体例の全ての特徴より少ない。このように、詳細な記載に続く請求項は、この詳細な記載中に明白に組み込まれ、それぞれの請求項は、この発明の分離した具体例のようにそれ自身で成立する。
【0041】
更に、ここに記載された幾つかの具体例は、他の具体例に含まれた他の特徴ではない、幾つかの長所を含むが、異なった具体例の長所の組み合わせは、本発明の範囲に含まれ、当業者に理解されるように、異なった具体例を形成することを意味する。例えば、以下の請求項において、請求された具体例の幾つかは、組み合わせて使用できる。
【0042】
ここで提供された記載において、多くの特定の細部が述べられる。しかしながら、本発明の具体例は、それらの特定の細部がなくても実施可能であることが理解される。他の場合、公知の方法、構造、および技術は、この記載の理解を不明瞭にしないために、詳細には示されていない。
【0043】
本発明は、本発明の多くの具体例の詳細な記載により記載される。添付した請求項の項目により限定される本発明の技術的教唆から離れることなく、当業者の知識に基づいて、本発明の他の具体例が形成できるのは明白である。
【0044】
以下の具体例が、トランジスタのような装置構造を参照しながら説明される。それらは、ドレインのような第1の主電極、ソースのような第2の主電極、および第1と第2の主電極の間に電荷の流れを制御するためのゲートのような制御電極を有する3端子装置である。しかしながら、発明はこれに限定されるものではない。例えば、具体例は、金属−絶縁体−金属キャパシタのような他の装置構造や、DRAMや不揮発メモリのようなメモリ装置に適用することができる。
【0045】
本発明は、例えばゲート電極のような、金属や金属シリサイドのような特定の仕事関数を有する材料を含む主電極を含む半導体装置、およびそのような半導体装置の製造方法を提供するものである。
【0046】
以下の記載において、「トランジスタ」の用語は、ゲート誘電体を介して、ゲート電極と直接接続された半導体チャネル領域を含む半導体装置をいうことを意図する。半導体チャネル領域は、ソース接合およびドレイン接合と、反対側で接続される。多くのタイプのトランジスタ構造が既に知られている。プレーナゲート装置では、チャネル領域は、一方からゲート電極により制御される。プレーナゲート装置は、バルク半導体基板または絶縁層上の半導体基板(SOI基板)上に形成することができる。マルチゲートデバイスでは、装置のチャネルが、複数の側からゲート電極により制御される。チャネルが形成される半導体材料のボディは、ゲート電極による効率的な制御ができるように、可能なかぎり薄く形成される。例えば、フィンFETのボディは、10nmと100nmの間の範囲の厚さを有することが好ましい。32nmテクノロジでは、例えば、フィン幅は、10nmと20nmの間の範囲であることが好ましい。
【0047】
以下の記載において、本発明の具体例は、シリコン基板を参照しながら説明されるが、本発明は他の半導体基板にも適用できることを理解すべきである。本発明の具体例では、「基板」の用語は、シリコン(Si)、ガリウムアーセナイド(GaAs)、ガリウムアーセナイドフォスファイド(GaAsP)、インジウムフォスファイド(InP)、ゲルマニウム(Ge)またはシリコンゲルマニウム(SiGe)基板のような半導体基板を含んでも良い。「基板」は、例えば、半導体基板部分に加えてSiO2やSi3N4層のような絶縁層を含んでも構わない。このように、「基板」の用語は、シリコンオンガラス基板、シリコンオンサファイア基板、シリコンオンインシュレータ(SOI)基板、ゲルマニウムオンインシュレータ(GOI)基板のような半導体オンインシュレータ基板を含んでも構わない。「基板」の用語は、このように、関心のある層や部分の下に位置する要素や層の全体を表すのに使用される。このように、基板はブランケットウエハのようなウエハでも良く、また、下層上に成長されたエピタキシャル半導体層のような他のベース材料に適用される層であっても良い。「結晶基板」の用語は、例えば単結晶やマイクロ結晶のような、結晶材料の多くの形態を含むことを意図する。
【0048】
以下の具体例において、「シリサイド」または「金属シリサイド」は、シリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムのような半導体材料を有する1またはそれ以上の材料から形成される化合物を意味する。本発明の文脈では、「シリサイド」、「シリサイド化された」、「シリサイド化」又は類似の用語は、金属とシリコンとの間の反応を意味するが、シリコンに限定することを意図しない。例えば、金属とゲルマニウム、シリコンゲルマニウムのような他の適当な半導体材料との反応は、シリサイド化として呼ばれる。シリサイドは、さまざまな金属とシリコンとを熱反応させることにより容易に形成できる。シリサイドは、一般に2つのプロセスで形成される。即ち、第1の温度での第1熱処理と、第1の温度より高温の、第2の温度による第2の熱処理である。2つの熱工程の間に、未反応の金属は、選択的に除去される。第2の熱工程は、シリサイドのシート抵抗を低減し、および/またはシリサイドと接合された半導体材料の完全なシリサイド化を行う。温度処理は、急速熱処理を用いて行われるのが好ましい。例えば時間や温度のような熱処理のパラメータは、形成されるシリサイドの観点から選択される。
【0049】
以下において、材料の仕事関数は、要素(電子)を固体材料から除去するのに必要となる最小エネルギとして解釈される。
【0050】
フリーシリサイド(FUSI)ゲート電極は、シリサイド形成金属と半導体ゲート電極との間の反応により形成される。これにより、ゲート電極の半導体材料が、完全に消費される。
【0051】
本発明の第1の形態では、半導体装置が提供される。半導体装置は、ゲート電極のような主電極、ゲート電極のような主電極に接続されたゲート誘電体のような誘電体を含み、ゲート電極のような主電極は、所定の値にゲート電極のような主電極の材料の仕事関数を変調させる仕事関数変調元素を有する材料を含む。ゲート電極のような主電極は、更に、仕事関数変調元素が、ゲート誘電体のような誘電体に向かって、および/または誘電体中に拡散するのを防止する、拡散防止ドーピング元素を含む。
【0052】
予め決められた仕事関数の値は、p型またはn型装置を得るのに、要求されまたは必要とされる適当な値を意味する(以下を参照)。
【0053】
本発明の具体例にかかる半導体装置は、MOSFETトランジスタの手段により述べられる。これは、説明と記載を容易にすることのみを目的とするものであり、発明の限定を意図しないことを理解すべきである。本発明は、また、他のタイプのトランジスタにも適用でき、更に一般的には、ここに記載された他の半導体装置にも適用できる。
【0054】
図1は、本発明の具体例にかかるMOSFET装置1の概略的な断面図を示す。MOSFET装置1は、以降で述べる本発明の具体例にかかる方法を用いて作製できる。本発明の具体例にかかる方法では、例えば層の堆積やイオンの注入のような当業者に知られた標準CMOSプロセスが、処理工程に使用できる。
【0055】
MOSFET装置1は、ゲート誘電体3とフリーシリサイド(FUSI)ゲート電極からなるゲートスタックを含む。FUSIゲート電極4は、例えばシリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムのような半導体材料と、適当なシリサイド形成金属との合金を含む。他の具体例によれば、ゲート電極4は金属から形成されても良い。MOSFET装置1は、基板2の上に形成される。基板2には、ゲートスタック3、4に整列した低ドープ接合領域10が存在する。MOSFET装置1は、更に、ゲートスタック3、4の側壁に向かうサイドウォールスペーサ7を含んでも良い。サイドウォールスペーサ7は、例えば、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、またはそれらの組み合わせのような、誘電体材料を含んでも良い。サイドウォールスペーサ7に整列して、高ドープ接合領域9が基板2中に存在しても良い。低ドープ領域10と、高ドープ領域9は、MOSFET装置1のソースおよびドレイン領域を形成する。ソースおよびドレイン領域は、チャネル領域8の反対側に形成される。
【0056】
上述のように、ゲート電極4は、半導体材料とシリサイド形成材料との合金を含むフリーシリサイドゲート電極4でも良い。本発明の他の具体例では、ゲート電極4は金属から形成されても構わない。ゲート電極4の材料は、特別な仕事関数を有する。ゲート電極4は、更に、ゲート電極の材料の仕事関数を変調する仕事関数変調元素6と、仕事関数変調元素6がゲート誘電体3に向かって拡散するのを防止する拡散防止ドーパント元素5を含む。仕事関数変調元素6は、例えば金属シリサイドや金属のゲート電極の材料の仕事関数を、選択された所定の値に調整するように選択される。拡散防止ドーパント元素5は、仕事関数変調元素6と相互作用して、この仕事関数変調元素6がゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3中に実質的に拡散しないように選択される。
【0057】
この具体例にかかるMOSFET装置1は、ゲート誘電体3と接触したFUSIまたは金属ゲート電極4を含む。ゲート電極4がFUSIゲート電極の場合、電極は、シリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウム、シリサイド形成金属、ドーパント元素5の拡散を防止する第1ドーパント元素、および仕事関数変調元素6のような第2ドーパント元素5のような半導体材料を含む。仕事関数変調元素6は、例えば、金属シリサイドの所定の仕事関数のような、ゲート電極4の材料の仕事関数を、所定の値に向けてシフトさせるように選択される。例えば、MOSFET装置1がp型MOSFET装置の場合には半導体材料の価電子帯に向かって、MOSFET装置1がn型MOSFET装置の場合には半導体材料の伝導帯に向かってシフトさせる。拡散防止ドーパント元素5と、仕事関数変調元素6は、互いに関係しあって、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6との少なくとも一方のゲート誘電体3に向かう拡散が防止できるように選択される。もし、仕事関数変調元素6がゲート電極4に加えられた場合、仕事関数変調元素6はゲート誘電体3に向かって拡散しようとする。本発明の具体例にかかる拡散防止ドーパント元素5を加えることにより、仕事関数変調元素6のこの拡散が、元素5、6の間の相互作用により妨げられる。それゆえに、好適には、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6は、1:1の比率で与えられ、言い換えれば、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6の濃度は、実質的に互いに等しい。拡散防止ドーパント元素と仕事関数変調元素の双方は、互いに力を与え、ゲート電極中に留まるようにお互いを助ける。拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6は、互いに相互作用して、ゲート電極4とゲート誘電体3の間の境界近傍の最終ドーパント分布が変調され、界面における界面状態の数が減少するように選択される。
【0058】
本発明の文脈では、シリサイド化に適した金属は、ニッケルや白金のような金属、またはコバルト、タングステン、またはチタンのような高融点金属である。n型MOSFET装置1が形成される場合、材料はn型仕事関数を有するシリサイドを生じるように選択される。シリサイドの仕事関数は、シリサイド化される半導体材料のエネルギギャップの約中央の値から、その伝導帯の約底の値までの値を有する。例えば、シリコンが半導体材料として使用された場合、シリサイドの仕事関数は、約4.2eVから約4.7eVの範囲であり、適当な金属が、p型の仕事関数を有するシリサイドを生じるように選択される。シリサイドの仕事関数は、シリサイド化される半導体材料のエネルギギャップの約中央の値から、その価電子帯の約上端の値までの値を有する。例えば、シリコンが半導体材料として使用された場合、シリサイドの仕事関数は、約4.7eVから約5.2eVの範囲である。好適には、シリサイドの仕事関数は、偏差10%を伴う、伝導帯の底部と価電子帯の上部の略中間の値を有する。この場合、ミッドギャップ材料は、n型装置およびp型装置に使用するのに適するように得られる。更に、ゲートおよびチャネルの仕事関数の違いが減少するため、装置の閾値Vtも低減される。半導体材料としてシリコンが使用された場合、シリサイドの仕事関数は、好適には約4.7eV±0.2eVである。
【0059】
仕事関数変調元素6の型および濃度は、形成されるシリサイドに要求される仕事関数、およびMOSFET装置の型に要求される仕事関数に応じて選択される。仕事関数変調元素6の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3(1×1014cm−3から1×1016cm−3)である。
【0060】
例えばニッケルシリサイドFUSIゲート4が形成された場合、一般には、仕事関数の値として4.7eVが得られる。n型MOSFETが形成される場合、この仕事関数は、シリコンの伝導帯に近づくように変調され、即ち4.1eVの値に近づく。このような仕事関数の低下は、例えばイットリウム(Yb)のようなランタニド、または砒素(As)アンチモン(Sb)またはリン(P)のような元素をニッケルシリサイドにドーピングすることにより得られる。
【0061】
例えば、H.Y.Yuらの"Modulation of the Ni FUSI work function by Yb doping"、テクニカルダイジェストIEDMミーティング2005の630〜633頁では、図3(b)および601頁のこれに対応する段落において、YbのNiに対する比を変えることにより、ニッケルシリサイドの仕事関数の値が、約4.7eVから約4.2eVに変わっている。更に、p型MOSFETが形成される場合、仕事関数はシリコンの伝導帯に近い値、即ち5.2eVの値に向かって変調される。このような仕事関数の値のシフトは、ゲート電極4のニッケルシリサイドに白金(Pt)やボロン(B)のような元素をドーピングすることにより得られる。
【0062】
拡散防止ドーパント元素5は、リン(P)、シリコン(Si)、ゲルマニウム(Ge)砒素(As)、スズ(Sn)、またはアンチモン(Sb)のグループから選択される。拡散防止ドーパント元素5の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3の範囲である。好適には、上述のように、拡散防止ドーパント元素5の濃度は、仕事関数変調元素6の濃度と実質的に等しい。
【0063】
本発明の具体例では、n型MOSFET装置が形成される。ゲート電極4は、少なくとも1つのランタニドを仕事関数変調元素6として含む低い仕事関数の金属合金、シリサイド化に適した金属、ランタニドがゲート誘電体3に向かっておよび/またはその中に拡散するのを遅らせまたは本質的に防止する拡散防止ドーパント元素5、および半導体材料を含む。この半導体は、Si、Ge、またはSiGeを含む。本発明の文脈では、ランタニドは、周期律表のランタニウムからルテニウムまでの15の元素を含み、すなわち、ランタニウム(La)、セリウム(Ce)、プラセオジウム(Pr)、ネオジウム(Nd)、プロメシウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロニウム(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(Tb)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イットリウム(Yb)、およびルテニウム(Lu)を含む。
【0064】
本発明の具体例では、ランタニドはYbである。本発明の具体例では、金属はNiである。本発明の具体例では、半導体材料はSiである。
【0065】
本発明の具体例では、ゲート電極4はYb、Ni、および/またはSiを含む。
【0066】
本発明の好適な金属合金では、拡散遅延元素ともよばれる拡散防止ドーパント元素は、リン(P)である。
【0067】
図2は、ゲート電圧(Vgb(V))を関数としたゲート容量(Cgb(F))を示す。測定された曲線は、従来構造のYbドープNiSiFUSI電極を含むキャパシタ構造(曲線20)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSI電極(曲線21)である。従来構造のYbドープNiSiFUSI電極が用いられた場合、参照番号19の破線の楕円で示されたように、容量−電圧曲線においてバンプ(こぶ)が観察される。このバンプ19は、ゲート電極4とゲート誘電体3との間の界面において界面状態Ditが存在することを示す。そのようなバンプ19は、本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSI電極の場合には観察されない、この場合、容量値は、負の電圧が供給される範囲においてスムースに変化する。
【0068】
図3は、ゲート電流密度(Jgb)とゲート電圧(Vgb)との関係の曲線であり、従来構造のNiSiFUSIゲート電極を含むキャパシタ構造(曲線22)と、従来構造のYbドープNiSiFUSIゲート電極とで得られた曲線である。この図より、従来構造のYbドープNiSiFUSI電極が用いられた場合(曲線23)、Ybを含まない従来構造のNiSiFUSIゲート電極(曲線22)に比較してゲートリーク電流が増加することが明らかである。NiSiを形成するのに使用されるシリコン層の膜厚は、100nmから40nmまで変化させ、一方、4e15/cm2の濃度のYbが、20keVまたは30keVの注入エネルギで注入された。本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSI電極が使用された場合、ゲートリーク電流の増加は制限される。
【0069】
図4は、従来構造のNiSiFUSIゲート電極を含むキャパシタ構造(曲線24)と、従来構造のYbドープNiSiFUSIゲート電極(曲線25)と、従来構造のPドープNiSiFUSIゲート電極(曲線26)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSI電極(曲線27)について得られたゲート容量(Cgb)とゲート電圧(Vgb)との特徴である。NiSiFUSIゲート電極を有する構造(曲線24)に比較して、YbドープNiSiFUSIゲート電極(曲線25)を有する装置では、特徴のシフトで表されたように、閾値電圧の最も大きなシフトが得られる。しかしながら、閾値電圧の同様のシフト(黒い矢印参照)は、本発明の具体例にかかるYb+PドープNiSiFUSIゲート電極を用いた場合(曲線27)にも得られる。そのようなYb+PドープNiSi電極はこのようにn型の仕事関数を提供するが、ゲートリーク電流を低減し、界面状態の数を減少させる。
【0070】
本発明の具体例にかかる半導体装置1、特に図1に示すMOSFET装置を製造する多くの方法が、以下の具体例で示される。
【0071】
図5aから図5i、および図6(フローチャート)は、本発明の具体例にかかるMOSFET1の作製方法の連続した工程を示す。MOSFET装置14は、完全にシリサイド化された(フリーシリサイド)ゲート電極4を含む。本発明の具体例にかかる方法を示す製造プロセスでは、n型MOSFET装置とp型MOSFET装置を、同じ基板2の上で組み合わせて作製することができる。図5a〜図5iの基板2の左側の上には、n型MOSFET装置が形成され、一方、基板2の右側の上には、p型MOSFET装置が形成される。
【0072】
図5aに示すように、最初に基板2が提供される。基板2は、その上にそれぞれのMOSFET装置が作製される活性領域NMOSおよびPMOSを含む。それらの活性領域は、誘電体領域13で互いに分離されており、誘電体領域13は好ましくはシャロートレンチアイソレーション(STI)を用いて形成され、これにより基板2に形成された溝が1またはそれ以上の誘電体層により埋められる。基板2の上に、ゲート誘電体層3とゲート電極層4とのスタック(積層)が形成される。ゲート誘電体層3はシリコン酸化物、シリコン酸窒化物、又はハフニウムシリケイトまたはハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体(高誘電体)からなる。ゲート誘電体3は、シリコン酸窒化物層であることが好ましい。ゲート電極層4は、半導体材料から形成されても良い。ゲート電極層4は、半導体材料から形成されても良い。半導体層4の膜厚は、20nmから150nmの範囲で、100nmであることが好ましい。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムでも良い。
【0073】
ゲート電極層4の上には、キャップ層14(図5aには分離された層として示さず)が形成され、このキャップ層14は半導体層4に対して選択的に除去できる。このキャップ層14は、シリコンゲルマニウム層である。キャップ層14の上に、ストップ層15が形成されこのストップ層15は半導体基板2の上の他の層に対して選択的に除去できる。このストップ層15は化学的機械的処理(CMP)工程でストップ層として使用される。ストップ層15はシリコン窒化物層であっても良い。
【0074】
次の工程で、イットリウム(Yb)6が、図5aに矢印で示されるように、半導体層4で例示されるゲート層4に注入される。好ましくは、この工程では、Ybは、NMOSが形成される半導体層4の部分のみに注入される。図5aに示すように、フォトレジスト層のような保護層16が、PMOS装置が形成される領域に形成されても良い。Yb注入ドーズは、1e15cm−3から1e16cm−3の範囲であり、好適には4e15cm−3である。Yb注入エネルギは、5keVから40keVの範囲であり、好適には20keVと40keVである。
【0075】
図5bに矢印で示すように、保護層16をマスクに用いて、拡散防止ドーパント元素5がゲート電極層4のNMOS部分に注入される。イオン注入は、ゲート電極4中に拡散防止ドーパント元素5を注入するために使用される。例えばイットリウムがドープされたニッケルシリサイドが形成された場合、拡散防止ドーパント元素5はリン(P)である。リンの注入ドーズは、好ましくは、1e15cm−3から1e16cm−3の範囲であり、好適には例えば4e15cm−3である。リンの注入エネルギは、5keVから15keV、または6keVから10kevの範囲である。注入後に保護増16が除去される。これは、当業者により知られた適当な技術により行っても良い。
【0076】
図5cに示すように、ゲートスタック3、4、14、15はパターニングされても良い。基板2では、低ドープの接合領域10が、ゲートスタック3、4、14、15に整列(align)して形成される。サイドウォールスペーサ7は、ゲートスタック3、4、14、15の側壁に形成される。これらのサイドウォールスペーサ7は、シリコン酸化物、シリコン窒化物、シリコン炭化物、またはそれらの組み合わせのような誘電体材料からなる。サイドウォールスペーサ7に整列して、高ドープ世知号領域9が、基板2中に形成される。低ドープ領域10と高ドープ領域9は、MOSFET装置のソース及びドレイン領域を形成し、チャネル領域8の反対側に形成される。スパイクアニールのような熱処理が、注入工程後に行われ、低ドープ領域10と高ドープ領域9が形成される。
【0077】
この後に、基板2を覆うようにニッケルの層が形成され、ゲート電極4の半導体材料のシリサイド化が行われる。2段階の熱処理で、露出されたソースおよびドレイン9領域がシリサイド化される。好ましくは、約10nmから約50nmのニッケルが堆積される。例えばニッケル層は、10nmの膜厚であることが好ましい。第1熱工程では、温度は、150℃から350℃の範囲であり、時間は10秒から5分の範囲である。例えば、第1熱工程の温度は300℃で、時間は30秒である。この第1熱工程の後に、未反応のニッケルが、例えばHClエッチングを含むウエットエッチングを用いて除去される。次に、第2熱工程が行われる。この第2熱工程では、温度は、300℃から550℃の範囲であり、時間は10秒から5分の範囲である。例えば、第2熱工程の温度は470℃で、時間は30秒である。
【0078】
平坦化層12が、続いて基板2上に堆積される(図5c参照)。平坦化層12は、化学気相成長(CVD)等を用いて堆積されたシリコン酸化層である。
【0079】
図5dに示すように、例えば化学的機械的研磨(CMP)を用いて平坦化層12が研磨される。研磨工程は、ストップ層15に到達した時点で終了する。図5dに示すように、続いてドライエッチングが平坦化層12を均一に除去するために用いられ、この場合、ストップ層15は下層の半導体ゲート電極4を保護する。続いて、図5dに示すように、ストップ層15が、例えばドライエッチプロセスを用いて除去される。
【0080】
図5eに示すように、例えばドライエッチングプロセスを用いて、キャップ層14が同様に除去される。n型MOSFET(左)およびp型MOSFET(右)の半導体ゲート電極4が、これにより露出する。半導体層4およびキャップ層14の膜厚は、NMOS領域のそれらを合わせた膜厚が、PMOS領域のそれらを合わせた膜厚に等しくなるように選択される。しかしながら、半導体層の膜厚の、キャップの膜厚に対する比は、NMOS領域とPMOS領域で異なっても良い。
【0081】
図5fに示すように、保護層16はNMOS領域の上に形成される。保護層16はフォトレジスト層でも良い。保護層16をマスクに用いて、露出したp型MOSFETの半導体ゲート電極4が、例えばドライエッチングを用いて部分的に除去され、半導体ゲート電極4の膜厚を、例えば100nmから、30nmと50nmの間まで減少させる。p型MOSFETのゲート電極4を薄くした後、保護層16が除去される。
【0082】
図5gに示すように、シリサイド形成金属17の層が、続いて基板上に堆積される。金属層17は、ニッケルまたはニッケル合金層である。金属層17は、10nmから150nmの範囲、または40nmから80nmの範囲、例えば60nmの膜厚である。
【0083】
図5hに示すように、第1熱工程は、堆積された金属層17を、PおよびYbドープされたnMOS半導体ゲート電極4およびpMOS半導体ゲート電極4と反応させるために行われる。第1熱工程では、温度は250℃から約450℃であり、時間は10秒から5分である。例えば、第1熱工程は、370℃で30秒行われる。この後に、未反応の金属17が例えばウエットエッチングを用いて選択的に除去される。pMOS半導体ゲート電極4の膜厚はnMOS半導体ゲート電極4の膜厚より薄く(図5f参照)、pMOSゲート電極4は、第1熱処理工程中に完全にシリサイド化し、金属リッチのシリサイドが得られる。nMOS電極4は、部分的にのみシリサイド化され、ゲート誘電体3に隣接する半導体の部分を残す。図5iに示すように、第2熱処理工程中に、nMOSゲート電極のシリサイド化されていない底部分が、シリサイド化された部分のシリサイド形成金属と反応し、部分的にシリサイド化されたnMOSゲート電極4が、完全にシリサイド化されても良い。好適には、完全にシリサイド化されたnMOSゲート電極4は、半導体に対する金属の比が、完全にシリサイド化されたpMOSゲート電極4より低くなる。
【0084】
この具体例では、上述の図5aから図5i、および図6に示される連続プロセスの変化について議論する。本発明の記述目的のために、n型MOSFETの製造に関する工程および模式的な断面図について示す。
【0085】
本発明にかかる他の具体例が、図7aから図7eに示される。
【0086】
図7aに示すように、基板2が提供される。基板2の上には、ゲート誘電体層3およびゲート電極層4から形成されるゲートスタックが形成される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート誘電体層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0087】
図7bの矢印で示したように、拡散防止ドーパント元素5が、ゲート電極4に導入される。拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0088】
図7cに示すように、拡散防止ドーパント元素5がゲート電極層4に導入された後に、仕事関数変調元素6がゲート電極4に導入される。これは、図7c中に矢印で示される。この仕事関数変調元素6は、後に、シリサイド形成金属17および半導体ゲート電極4と反応し、完全にシリサイド化されたゲート電極4を形成する。図7aから図7eでは、仕事関数変調元素6の導入に先立って、拡散防止ドーパント元素5が導入されるが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明の他の具体例では、最初に仕事関数変調元素6が導入され、続いて拡散防止ドーパント元素5が導入される。
【0089】
図7dに示すように、ゲート誘電体3、および拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6を含む半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、トランジスタのチャネル領域8を形成する。MOSFET装置の工程では、続いて、ゲート誘電体3およびゲート電極4から形成されたゲートスタックに整列して、高ドープされた領域9および低ドープされた領域10が基板2中に形成される。ドープされた領域9、10は、例えばイオン中により形成される。サイドウォールスペーサ7が、ゲートスタック3、4の側壁に形成される。ニッケル層が、続いて基板2の上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。
【0090】
図7eに示すように、シリサイド形成金属17が基板2の上に形成される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されたゲート電極4が得られるように選択される。
【0091】
熱処理中に、シリサイド形成金属17は、仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5とを含む半導体材料と反応し、シリサイド11を形成する。基板2の半導体材料は、シリコン、ゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムであり、シリサイド11は、ドープされた領域9にも形成されても良い。当業者には認識されるように、シリサイド11を形成する熱処理は、以下のように行われる。最初に、アニール工程のような第1熱工程が行われる。続いて、未反応の金属17が選択的に除去される。選択的に、第2熱工程が行われて、必要であれば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減し、またはゲート電極4を完全にシリサイド化しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0092】
本発明の具体例にかかる方法の更なる具体例が、図8aから図8eに示される。
【0093】
図8aに示されるように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0094】
図8bの矢印で示したように、拡散防止ドーパント元素5が、ゲート電極4に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極層4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0095】
図8cに示すように、ゲート誘電体3、および拡散防止ドーパント元素5を含む半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、装置1のチャネル領域8を形成する。この具体例にかかるMOSFET装置1の工程では、続いて、ゲートスタック3、4に整列して、低ドープおよび高ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成されても良い。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される、ニッケル層は、続いて基板2上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。
【0096】
続いて、平坦化層12が基板の上に堆積される。平坦化層12は化学気相成長(CVD)を用いて堆積したシリコン酸化層である。平坦化層12は、化学的機械的研磨(CMP)を用いて、半導体ゲート電極4が露出するまで研磨される(図8d参照)。図8dに矢印で示すように、仕事関数変調元素6が露出した半導体ゲート電極4に導入される。この工程は、例えばイオン注入により行われる。この仕事関数変調元素6は、シリサイド形成金属17および半導体ゲート電極4と反応し、完全にシリサイド化されたゲート電極4を形成する。
【0097】
続いて、図8eに示すように、シリサイド形成金属の層17が堆積される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されるゲート電極4が形成されるように選択される。熱処理中に、シリサイド形成金属17は、仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5とを含む半導体ゲート電極4と反応し、シリサイド11を形成する。シリサイド化は熱アニールプロセスで行われる。熱アニールプロセスは、第1のアニール工程を含む。第1アニール工程の後に、未反応の金属17を選択的に除去しても良い。選択的に、第2の熱工程が行われ、例えば、必要であれば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減し、またはゲート電極4を完全にシリサイド化しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0098】
本発明にかかる方法の更なる具体例が、図9aから図9dに示される。
【0099】
図9aに示すように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0100】
図9bの矢印で示したように、拡散防止ドーパント元素5が、ゲート電極4に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極層4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0101】
図9cに示すように、ゲート誘電体3、および拡散防止ドーパント元素5を含む半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、装置1のチャネル領域8を形成する。MOSFET装置1の工程では、続いて、ゲートスタック3、4に整列して、高ドープおよび低ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成されても良い。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される。ニッケル層は、続いて基板2上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。
【0102】
続いて、平坦化層12が基板の上に堆積される。平坦化層12は、例えば化学気相成長(CVD)を用いて堆積したシリコン酸化層である。平坦化層12は、化学的機械的研磨(CMP)を用いて、ゲート電極4が露出するまで研磨される。
【0103】
図9dに示すように、仕事関数変調元素6の層が、露出した半導体ゲート電極4の上に堆積されてもよい。シリサイド形成金属17の層は、仕事関数変調元素6の層の上に形成される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されたゲート電極4が形成されるように選択される。熱工程中に、シリサイド形成金属17と元素6は、ドーパント5を含む露出した半導体ゲート電極4と反応し、シリサイド11を形成する。当業者に認識されるように、熱処理は、第1熱工程を含む。続いて、未反応金属8と仕事関数変調元素6が、選択的に除去される。選択的に、第2の熱工程が行われ、例えば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0104】
本発明にかかる方法の更なる具体例が、図10aから図10dに示される。
【0105】
図10aに示すように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0106】
図10bの矢印で示したように、仕事関数変調元素6が、ゲート電極4に導入される。半導体層4中に仕事関数変調元素6を導入するために、イオン注入が使用される。この仕事関数変調元素6は、後に、シリコン形成金属17やゲート電極4の材料と反応し、完全にシリサイド化されたゲート電極4を形成する。
【0107】
図10cに示すように、ゲート誘電体3、および仕事関数変調元素6を含む半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタック3、4が形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、トランジスタのチャネル領域8を形成する。MOSFET装置1の工程では、続いて、ゲート誘電体3およびゲート電極4からなるゲートスタックに整列して、高ドープおよび低ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成される。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される、ニッケル層は、続いて基板2上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。
【0108】
続いて、平坦化層12が基板の上に堆積される。平坦化層12は、例えば化学気相成長(CVD)を用いて堆積したシリコン酸化層である。平坦化層12は、化学的機械的研磨(CMP)を用いて、ゲート電極4が露出するまで研磨される。
【0109】
図10dに示すように、拡散防止ドーパント元素5が、露出した半導体ゲート電極4中に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極層4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0110】
図10eに示すように、シリサイド形成金属17の層は、仕事関数変調元素6の層の上に形成される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されたゲート電極4が形成されるように選択される。熱工程中に、シリサイド形成金属17は、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6とを含む、露出した半導体ゲート電極4と反応し、シリサイド11を形成する。当業者に認識されるように、熱処理は、第1熱工程を含む。続いて、未反応金属8と元素6が、選択的に除去される。選択的に、第2の熱工程が行われ、例えば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0111】
本発明にかかる方法の更なる具体例が、図11aから図11dに示される。
【0112】
図11aに示すように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、半導体材料から形成される。半導体材料は、多結晶シリコンのようなシリコン、またはゲルマニウム、またはシリコンゲルマニウムからなる。
【0113】
図11bに示すように、ゲート誘電体3および半導体ゲート電極4から形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、トランジスタのチャネル領域8を形成する。MOSFET装置1の工程では、続いて、ゲートスタック3、4に整列して、高ドープおよび低ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成される。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される。ニッケル層は、続いて基板2上に堆積される。2段階の熱工程では、露出した高ドープされた領域9がシリサイド化される。続いて、平坦化層12が基板の上に堆積される。平坦化層12は、例えば化学気相成長(CVD)を用いて堆積したシリコン酸化層である。平坦化層12は、化学的機械的研磨(CMP)を用いて、ゲート電極4が露出するまで研磨される。
【0114】
図11cに示すように、拡散防止ドーパント元素5が露出したゲート電極4に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4電極からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。イットリウムニッケルシリサイドが形成された場合、好適にはリンがゲート電極4に含まれる。ゲート電極層4中に拡散防止ドーパント元素5を導入するために、イオン注入が使用される。
【0115】
図11dに示すように、仕事関数変調元素6の層が、露出したゲート電極4の上に堆積される。続いて、シリサイド形成金属17の層が仕事関数変調元素6の層の上に堆積される。この金属層17の膜厚は、完全にシリサイド化されたゲート電極4が形成されるように選択される。熱工程中に、シリサイド形成金属17と仕事関数変調元素6は、拡散防止ドーパント元素5を含む露出した半導体ゲート電極4と反応し、シリサイド11を形成する。当業者に認識されるように、熱処理は、第1熱工程を含む。続いて、未反応金属17と元素6が、選択的に除去される。選択的に、第2の熱工程が行われ、例えば、第1熱工程中に形成されたシリサイドのシート抵抗を低減しても良い。ゲート電極4の半導体材料を完全にシリサイド化する工程は、このように全ての半導体材料を実質的にシリサイド11にするために熱を与える工程と、未反応の金属を除去する工程とを含む。最後に、図1に示すようなMOSFET装置1が得られる。
【0116】
本発明にかかる更なる具体例によれば、ゲート電極層4が、金属、または金属層のスタックを含んでも良い。金属の代わりに、導電性の金属窒化物、金属酸化物、金属炭化物または金属シリコンナイトライドを使用しても良い。そのようなゲート電極層4に使用するのに適した導電性金属または金属系材料の例は、Ti、TiN、Ta、TaN、TaC、TaCN、TaSiN、TiSiN、W、Moである。そのようなゲート電極スタックは、40nmから100nmの範囲の膜厚の多結晶層で覆われた、2nmから10nmの範囲の膜厚を有する金属系層でも良い。この具体例の可能な例を図12aから図12dに示す。
【0117】
図12aに示すように、その上にゲート誘電体層3とゲート電極層4のスタックが形成される基板2が準備される。ゲート誘電体層3は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、または、ハフニウムシリケイトやハフニウム酸化物のようなhigh−k誘電体からなる。ゲート電極層4は、金属または金属層のスタックを含み、選択的に多結晶シリコン層で覆われても良い。
【0118】
図12bの矢印で示したように、拡散防止ドーパント元素5が、ゲート電極4に導入される。この拡散防止ドーパント元素5は、シリサイド化されたゲート4からゲート誘電体3に向かっておよび/またはゲート誘電体3の中に仕事関数変調元素6が拡散するのを変調するように、即ち、実質的に防止しまたは少なくとも遅らせるように選択される。
【0119】
図12cに示すように、拡散防止ドーパント元素5をゲート電極層4に導入した後、仕事関数変調元素6が、ゲート電極層4に導入される。図12aから12eでは、仕事関数変調元素6に先だって、拡散防止ドーパント元素5がゲート電極4に導入されるが、本発明はこれに限定されない。本発明の他の具体例では、最初に仕事関数変調元素6が導入され、次に拡散防止ドーパント元素5が導入される。
【0120】
図12dに示すように、ゲート誘電体3と、拡散防止ドーパント元素5と仕事関数変調元素6を含む半導体ゲート電極4とから形成されるスタックがパターニングされ、MOSFET装置1のゲートスタックが形成される。ゲート電極4の誘電体制御下にある基板2の領域は、装置1のチャネル領域8を形成する。MOSFET装置1の工程では、続いて、ゲートスタック3、4に整列して、高ドープおよび低ドープ領域9、10が基板2中に形成される。例えば、低ドープ領域10は、基板2中にゲートスタック3、4に整列して形成されても良い。サイドウォールスペーサ7はゲートスタック3、4の側壁に形成される。高ドープ領域9は、基板2中に形成されても良い。これらのドープ領域9、10は、例えば、イオン注入により形成される。
【0121】
続く熱処理中において、仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5が反応する。
【0122】
パターニング前に、仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5の双方をゲート電極4に導入する代わりに、元素6と拡散防止ドーパント元素5を導入する他のスキームが、本発明の他の具体例で考えられている。仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5は、ゲート電極4のパターニングの前と後にそれぞれ、またはその逆に導入されてもよい。仕事関数変調元素6と拡散防止ドーパント元素5は、双方ともゲート電極4のパターニング後に導入されても良い。拡散防止ドーパント元素5または仕事関数変調元素6の一方がゲートのパターニング後に導入された場合、最初に平坦化層12が基板2の上に堆積され、ゲート電極4が露出するようにパターニングされる。その後に、拡散防止ドーパント元素5または仕事関数変調元素6が、露出したゲート電極4に導入される。
【0123】
本発明を記載する目的で、n型MOSFETに関連した工程と概略が示された。当業者は、p型MOSFETゲート電極4が形成された場合、本発明の具体例で記載されたプロセス工程を、そのようなp型ゲート電極4の形成にも適用できる。
【0124】
本発明にかかる装置について、ここでは、材料と同様に、好ましい具体例、特別な構造や形態について議論してきたが、添付された請求の範囲により定義された本発明の範囲から離れることなく、形態や細部の多くの変形や修正が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
本発明の具体例について、図面中の図を参照しながら示す。ここに述べられる具体例や図面は、限定的ではなく、例示的であると考えることを意図する。
【0126】
【図1】本発明の具体例にかかるMOSFET装置の概略的な断面図である。
【図2】従来技術のYbドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線20)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線21)とを含むキャパシタ構造で得られた、ゲート電圧の関数としたゲート容量を示すグラフである。
【図3】従来技術のNiSiFUSIゲート電極(曲線22)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線21)とを含むキャパシタ構造で得られた、ゲート電圧の関数としたゲート電流密度を示すグラフである。
【図4】従来技術のNiSiFUSIゲート電極(曲線24)と、従来技術のYbドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線25)と、従来技術のPドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線26)と、本発明の具体例にかかるYb+PドープされたNiSiFUSIゲート電極(曲線27)とを含むキャパシタ構造で得られた、ゲート電圧の関数としたゲート容量を示すグラフである。
【図5a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5e】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5f】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5g】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5h】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図5i】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの概略的な断面工程図を示す。
【図6】図5a−図5iに示された製造プロセスを示すフローチャートである。
【図7a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図7b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図7c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図7d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図7e】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図8e】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図9a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図9b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図9c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図9d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図10e】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図11a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図11b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図11c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図11d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図12a】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図12b】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図12c】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【図12d】本発明の具体例にかかる半導体装置の製造プロセスフローの連続工程を示す概略的な断面図を示す。
【0127】
図面において、同じ参照符号は、同様または類似の要素を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
主電極と該主電極に接触した誘電体を含む半導体装置であって、該主電極は、所定の仕事関数を有する材料と、該主電極の材料の仕事関数を予め決められた値に向かって変調する仕事関数変調元素とを含み、
該主電極は、更に、該仕事関数変調元素が該誘電体に向かっておよび/または該誘電体中に拡散するのを防止する拡散防止ドーパント元素を含む半導体装置。
【請求項2】
上記主電極は、完全にシリサイド化された主電極であり、該主電極の材料は、半導体材料と金属との合金を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
上記半導体材料は、シリコンまたはゲルマニウムを含む請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
上記金属は、ミッドギャップの仕事関数を有する合金を形成する金属である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
上記主電極の材料は、金属を含む請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
上記拡散防止ドーパント元素は、P、As、Sb、Ge、またはSiの1つである請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
上記主電極中の拡散防止ドーパント元素の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3の間である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
上記仕事関数変調元素は、n型の仕事関数を有する材料を形成するように選択された請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
上記仕事関数変調元素は、ランタニドのグループから選択される請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
上記仕事関数変調元素は、イットリウムである請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
上記主電極中の仕事関数変調元素の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3の間である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項12】
上記金属はニッケルである請求項2に記載の半導体装置。
【請求項13】
上記誘電体は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、またはhigh−k誘電体である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
半導体装置の製造方法であって、
主電極と該主電極に接触した誘電体を含む主電極構造であって、該主電極が所定の仕事関数を有する材料を含む該主電極構造を形成する工程と、
該主電極に仕事関数変調元素を提供し、該主電極の材料の仕事関数を、予め決められた値に向かって変調する工程と、
該主電極に拡散防止ドーパント元素を提供し、該仕事関数変調元素が該誘電体に向かっておよび/または該誘電体中に拡散するのを防止する工程と、を含む製造方法。
【請求項15】
上記主電極構造を形成する工程が、
基板上に、誘電体層と主電極材料の層とを提供し、主電極スタックを形成する工程と、
該主電極スタックをパターニングして、主電極を形成する工程と、を含む請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
上記主電極は、半導体材料と金属との合金を含み、更に、上記主電極スタックのパターニング後に、
該主電極の上に金属の層を提供する工程と、
該主電極をシリサイド化する工程と、を含む請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、拡散防止ドーパント元素を提供する工程の前に行われる請求項14に記載の製造方法。
【請求項18】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、拡散防止ドーパント元素を提供する工程の後に行われる請求項14に記載の製造方法。
【請求項19】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、上記主電極スタックのパターニングの前または後に行われる請求項15に記載の製造方法。
【請求項20】
上記拡散防止ドーパント元素を提供する工程は、上記主電極スタックのパターニングの前または後に行われる請求項15に記載の製造方法。
【請求項21】
上記拡散防止ドーパント元素を提供する工程は、イオン注入により行われる請求項15に記載の製造方法。
【請求項22】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、イオン注入により行われる請求項14に記載の製造方法。
【請求項23】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、該仕事関数変調元素の層を提供し、熱アニールを行うことにより行われる請求項14に記載の製造方法。
【請求項1】
主電極と該主電極に接触した誘電体を含む半導体装置であって、該主電極は、所定の仕事関数を有する材料と、該主電極の材料の仕事関数を予め決められた値に向かって変調する仕事関数変調元素とを含み、
該主電極は、更に、該仕事関数変調元素が該誘電体に向かっておよび/または該誘電体中に拡散するのを防止する拡散防止ドーパント元素を含む半導体装置。
【請求項2】
上記主電極は、完全にシリサイド化された主電極であり、該主電極の材料は、半導体材料と金属との合金を含む請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
上記半導体材料は、シリコンまたはゲルマニウムを含む請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
上記金属は、ミッドギャップの仕事関数を有する合金を形成する金属である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
上記主電極の材料は、金属を含む請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
上記拡散防止ドーパント元素は、P、As、Sb、Ge、またはSiの1つである請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
上記主電極中の拡散防止ドーパント元素の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3の間である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項8】
上記仕事関数変調元素は、n型の仕事関数を有する材料を形成するように選択された請求項2に記載の半導体装置。
【請求項9】
上記仕事関数変調元素は、ランタニドのグループから選択される請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
上記仕事関数変調元素は、イットリウムである請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
上記主電極中の仕事関数変調元素の濃度は、1e14cm−3から1e16cm−3の間である請求項2に記載の半導体装置。
【請求項12】
上記金属はニッケルである請求項2に記載の半導体装置。
【請求項13】
上記誘電体は、シリコン酸化物、シリコン酸窒化物、またはhigh−k誘電体である請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
半導体装置の製造方法であって、
主電極と該主電極に接触した誘電体を含む主電極構造であって、該主電極が所定の仕事関数を有する材料を含む該主電極構造を形成する工程と、
該主電極に仕事関数変調元素を提供し、該主電極の材料の仕事関数を、予め決められた値に向かって変調する工程と、
該主電極に拡散防止ドーパント元素を提供し、該仕事関数変調元素が該誘電体に向かっておよび/または該誘電体中に拡散するのを防止する工程と、を含む製造方法。
【請求項15】
上記主電極構造を形成する工程が、
基板上に、誘電体層と主電極材料の層とを提供し、主電極スタックを形成する工程と、
該主電極スタックをパターニングして、主電極を形成する工程と、を含む請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
上記主電極は、半導体材料と金属との合金を含み、更に、上記主電極スタックのパターニング後に、
該主電極の上に金属の層を提供する工程と、
該主電極をシリサイド化する工程と、を含む請求項14に記載の製造方法。
【請求項17】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、拡散防止ドーパント元素を提供する工程の前に行われる請求項14に記載の製造方法。
【請求項18】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、拡散防止ドーパント元素を提供する工程の後に行われる請求項14に記載の製造方法。
【請求項19】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、上記主電極スタックのパターニングの前または後に行われる請求項15に記載の製造方法。
【請求項20】
上記拡散防止ドーパント元素を提供する工程は、上記主電極スタックのパターニングの前または後に行われる請求項15に記載の製造方法。
【請求項21】
上記拡散防止ドーパント元素を提供する工程は、イオン注入により行われる請求項15に記載の製造方法。
【請求項22】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、イオン注入により行われる請求項14に記載の製造方法。
【請求項23】
上記仕事関数変調元素を提供する工程は、該仕事関数変調元素の層を提供し、熱アニールを行うことにより行われる請求項14に記載の製造方法。
【図3】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図12c】
【図12d】
【図1】
【図2】
【図5f】
【図5g】
【図5h】
【図5i】
【図7e】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図12a】
【図12b】
【図4】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図5e】
【図6】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図12c】
【図12d】
【図1】
【図2】
【図5f】
【図5g】
【図5h】
【図5i】
【図7e】
【図8a】
【図8b】
【図8c】
【図8d】
【図8e】
【図9a】
【図9b】
【図9c】
【図9d】
【図10a】
【図10b】
【図10c】
【図10d】
【図10e】
【図11a】
【図11b】
【図11c】
【図11d】
【図12a】
【図12b】
【公開番号】特開2008−135726(P2008−135726A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−275415(P2007−275415)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【出願人】(590000879)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテツド (78)
【出願人】(507350912)タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー・リミテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd.
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−275415(P2007−275415)
【出願日】平成19年10月23日(2007.10.23)
【出願人】(591060898)アンテルユニヴェルシテール・ミクロ−エレクトロニカ・サントリュム・ヴェー・ゼッド・ドゥブルヴェ (302)
【氏名又は名称原語表記】INTERUNIVERSITAIR MICRO−ELEKTRONICA CENTRUM VZW
【出願人】(590000879)テキサス インスツルメンツ インコーポレイテツド (78)
【出願人】(507350912)タイワン・セミコンダクター・マニュファクチャリング・カンパニー・リミテッド (15)
【氏名又は名称原語表記】Taiwan Semiconductor Manufacturing Company Ltd.
【Fターム(参考)】
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