半導体装置の製造方法
【課題】希土類金属を含有するHigh-k膜のエッチング残渣を抑制するための半導体装置の製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板1上に絶縁膜4を形成する工程と、絶縁膜4の上に希土類元素含有酸化膜7、12を形成する工程と、フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液により希土類元素含有酸化膜7、12をエッチングする工程とを有し、これにより希土類元素含有酸化膜7、12のエッチングを良好に行う。
【解決手段】半導体基板1上に絶縁膜4を形成する工程と、絶縁膜4の上に希土類元素含有酸化膜7、12を形成する工程と、フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液により希土類元素含有酸化膜7、12をエッチングする工程とを有し、これにより希土類元素含有酸化膜7、12のエッチングを良好に行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSトランジスタは、半導体基板上にゲート絶縁膜、ゲート電極を順に形成した構造を有している。ゲート絶縁膜の膜厚は、MOSトランジスタの微細化に伴って薄くなっている。ところが、ゲート絶縁膜が極めて薄くなると、量子力学的効果によってゲート絶縁膜を電子が通り抜けるトンネル現象が発生してしまう。
【0003】
このようなトンネル現象を防止するために、誘電率がシリコン酸化膜より高い材料、いわゆる高誘電率膜(High-k膜)がゲート絶縁膜として用いられている。High-k膜を使用すると、ある値の静電容量に設定されるゲート絶縁膜の膜厚をシリコン酸化膜に比べて厚くできるので、トンネル現象による電子のリークが抑制される。
【0004】
High-k材料として、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2O3)が知られている。
酸化ハフニウム膜をゲート絶縁膜として使用する場合には、酸化ハフニウム膜上にゲート電極を形成した後に、ゲート電極の両側の領域に存在する酸化ハフニウムをエッチングし、その後にゲート電極の両側の半導体基板内に不純物をイオン注入する。
【0005】
High-k膜のエッチング方法として、次のような方法が知られている。
例えば、シリコン基板上に、酸化シリコン膜、酸化ランタン膜及び酸化ハフニウム膜を順に形成した構造では、反応性イオンエッチング法、又は、希HF/希HCl混合溶液を用いるウエットエッチング法によりそれらの膜をエッチングすることが知られている。
【0006】
別の酸化ハフニウム膜のエッチング方法として、酸化ハフニウム膜を800℃で熱処理した後にプラズマ処理することにより酸化ハフニウム膜にダメージ層を形成し、さらに、ダメージ層を1質量%濃度程度のフッ酸によりエッチングする方法が知られている。
また、酸化ランタン膜のエッチング用薬液として塩酸を使用することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−211182号公報
【特許文献2】特開2003−234325号公報
【特許文献3】特開2009−252895号公報
【特許文献4】特開2009−302260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、希土類金属を含有するHigh-k膜のエッチング残渣を抑制するための半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの観点によれば、半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に希土類元素含有酸化膜を形成する工程と、フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液により前記希土類元素含有酸化膜をエッチングする工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。また、前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液を使用して希土類元素含有酸化膜をエッチングすることにより、半導体基板上における希土類元素のエッチング残渣を検出限界以下にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、比較例であるMOS構造を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示すMOS構造におけるHigh-k膜のエッチング後の状態を示す斜視図である。
【図3A】図3A〜図3Cは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その1〜3)である。
【図3D】図3D〜図3Fは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その4〜6)である。
【図3G】図3G〜図3Iは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その7〜9)である。
【図3J】図3J〜図3Lは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その10〜12)である。
【図3M】図3M〜図3Oは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その13〜15)である。
【図3P】図3P〜図3Rは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その16〜18)である。
【図4】図4は、本発明のキャップアニールによる元素の相互拡散を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態における希土類元素含有酸化膜のエッチング前とエッチング後の残留ランタンと残留ハフニウムの量を示すグラブである。
【図6】図6は、本発明の実施形態における工程と比較例の工程のよる希土類元素含有酸化膜のエッチング前とエッチング後の試料の表面の自乗平均粗さと最大高低差を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において、希土類元素含有酸化膜のエッチング用薬液に含まれる複数の酸の濃度の違いによるエッチング依存性を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において使用される希土類元素含有酸化膜のエッチング用薬液の処理時間のエッチング依存性を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において使用される希土類元素含有酸化膜のエッチング用薬液の処理方法の違いによるエッチング依存性を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において使用される希土類元素含有酸化膜のエッチング用薬液の処理方法の違いによるエッチング依存性を示すグラフである。
【図11A】図11A〜図11Cは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その1〜3)である。
【図11D】図11D〜図11Fは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その4〜6)である。
【図11G】図11G〜図11Iは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その7〜9)である。
【図11J】図11J、図11Kは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その10、11)である。
【図12A】図12A〜図12Cは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その1〜3)である。
【図12D】図12D〜図12Fは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その4〜6)である。
【図12G】図12G、図12Hは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その7、8)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
MOSトランジスタにおいて、半導体基板とゲート電極の間に形成されるゲート絶縁膜として、High-k膜、例えば酸化ハフニウム膜(HfO2)、ハフニウムシリケート(HfSiO)膜が形成される構造がある。この構造では、さらに閾値電圧を制御するために、High-k膜である酸化ハフニウム膜、ハフニウムシリケート膜にランタン(La)、イットリウム(Y)などの希土類金属を混合させることもある。
【0013】
そのようなMOSトランジスタの形成工程では、High-k膜上にゲート電極を形成した後に、ゲート電極の両側の領域のHigh-k膜をエッチングにより除去する工程が含まれる。しかし、そのようなHigh-k膜を例えばフッ酸によりエッチングすると、半導体基板上にはエッチング残渣が生じる。
次に、図1に示すように、ゲート絶縁膜としてHigh-k膜102を有するMOSトランジスタにおいて、ゲート電極104を形成するまでの工程について説明する。
【0014】
まず、シリコン基板101上にHigh-k膜102、酸化ランタン(La2O3)膜103、窒化チタン膜104a、ポリシリコン膜104bを順に形成した後に、ポリシリコン膜104b上にゲート電極形状を有するハードマスク105を形成する。その後に、ハードマスク105から露出した領域の窒化チタン膜104a、ポリシリコン膜104bをエッチングすることにより、窒化チタン膜104a、ポリシリコン膜104bを有する二層構造のゲート電極104がハードマスク105の下に形成される。
【0015】
なお、High-k膜102、酸化ランタン膜103内にそれぞれ含まれる元素は熱により相互拡散される。
ゲート電極104を形成した後には、High-k膜102、酸化ランタン膜103をフッ酸(HF)によりウエットエッチングすると、シリコン基板101の上には図2に示すようなエッチング残渣107が発生する。これは次のような反応による。
【0016】
HFとLa2O3の反応は次式(1)によって示される。
La2O3 + 6HF + H2O→ 2LaF3+ 4H2O (1)
【0017】
式(1)において、La2O3とHFの反応により、フッ化ランタン(LaF3)が生成される。フッ化ランタンは水には溶解せずに凝集するため、図2に示すようにエッチング後に凝集物であるエッチング残渣107がシリコン基板101上に残る。
【0018】
また、酸化ランタン膜103の下のHigh-k膜102として酸化ハフニウム膜を形成する場合には、酸化ハフニウムのエッチング方法として塩素系ガスを用いるドライエッチング法が使用される。そのドライエッチング後に、塩素系のエッチング残渣を除去するために緩衝フッ酸を使用すると、塩素系エッチング残渣とフッ酸の反応により、凝集物がシリコン基板上に残ることになる。
【0019】
また、La2O3膜103をウエットエッチングする場合に、フッ酸に塩酸を添加したエッチング用薬液を使用すると、La2O3と塩酸は次の式(2)又は式(3)のように反応し、塩化ランタン水和物が発生する。塩化ランタン水和物は、水に可溶であるが、強い吸湿性を有している。
【0020】
La2O3 + 6HCl + H2O→ 2LaCl3+ 4H2O (2)
La2O3 + 6HCl + H2O→ LaCl3・4H2O (3)
【0021】
このため、シリコン基板101上に残留する塩化ランタン水和物は、大気中の水分を吸収し、その一部は核となってシリコン基板101上に残留し易くなるので、シリコン基板101上に形成される絶縁膜が塩化ランタン水和物の膨潤により劣化するおそれがある。
従って、凝集物が生じにくい条件で希土類金属含有酸化膜をウエットエッチングする方法が望まれる。
【0022】
そこで、以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0023】
(第1の実施の形態)
図3A〜図3Rは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
次に、図3Aに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
【0024】
まず、シリコン基板1の第1活性領域1aと第2活性領域1bのそれぞれの周囲に素子分離溝2を形成する。素子分離溝2は、例えば、素子分離領域に開口部を有する研磨ストップマスク(不図示)をシリコン基板1上に形成し、それらの開口部を通してシリコン基板1をドライエッチングする方法により形成される。研磨ストップマスクは、例えば、シリコン基板1上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜を順に形成した後に、それらの膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより形成される。
【0025】
続いて、素子分離溝2の中と研磨ストップマスクの上に酸化シリコン膜をCVD法により形成した後に、研磨ストップマスク上の酸化シリコン膜を化学機械研磨(CMP)法により除去するとともに、酸化シリコン膜を素子分離溝2内に残存させる。その後に、研磨停止用マスクを除去する。これにより、素子分離溝2内に残された酸化シリコン膜は、素子分離絶縁構造であるシャロートレンチアイソレーション(STI)3として使用される。
なお、素子分離絶縁構造として、STI3の他に、LOCOS法により形成した絶縁膜を使用してもよい。
【0026】
さらに、研磨ストップマスクを除去し、シリコン基板1の表面に酸化シリコン膜(不図示)を形成した後に、シリコン基板1の第1活性領域1aにn型不純物、例えば燐又は砒素をイオン注入する。この場合、n型不純物をイオン注入しない領域をレジストパターン(不図示)により覆う。ついで、シリコン基板1の第2活性領域1bにp型不純物、例えばホウ素をイオン注入する。この場合、p型不純物をイオン注入しない領域を別のレジストパターン(不図示)により覆う。その後に、シリコン基板1の表面の酸化シリコン膜を除去する。
【0027】
次に、圧力約5Torr(約666Pa)で10容量%の一酸化窒素を含む雰囲気内で基板温度を850℃〜1000℃に設定し、その雰囲気内でシリコン基板1の表面を熱酸
化して下層絶縁膜として酸化シリコン膜4を形成する。さらに、シリコン基板1をアニールすることにより第1、第2活性領域1a、1bを活性化する。
これにより、シリコン基板1において、第1活性領域1a内には、周囲がSTI3に囲まれたNウエル5が形成され、さらに、第2活性領域1b内には、周囲がSTI3に囲まれたPウエル6が形成される。
【0028】
次に、図3Bに示す構造を形成するまでの工程について説明する。
まず、酸化シリコン膜4及びSTI3の上面にHigh-k膜として、例えばハフニウムシリケート(HfSiO)膜7をCVD法により例えば0.3nm〜3.0nmの厚さに形成する。
【0029】
ハフニウムシリケート膜7を形成するための反応ガスとして、HTBを約0.2sccmの流量、ヘリウムを約1slm、ジシラン(Si2H6)を1000sccmの流量、窒素(N2)を0.87slmの流量で反応雰囲気に導入する。この場合、反応雰囲気の圧力を約0.3Torr(約40Pa)、成長温度を約280℃に設定する。
【0030】
なお、HTBは、ハフニウムターシャルブトキサイド、ハフニウムタートブトキサイド等のハフニウム系液体原料の略語である。
その後に、例えば500℃〜1050℃の熱処理により膜質を調整してもよい。また、ハフニウムシリケート膜7は、CVD法以外の方法、例えば、ALD法、PVD法によって形成してもよい。
【0031】
さらに、ハフニウムシリケート膜7上に、pMOS用キャップ膜として酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)膜8を例えばスパッタ法により例えば0.5nm〜2.0nmの厚さに形成する。なお、酸化アルミニウム膜8は、その他、PVD法、ALD法等により形成してもよい。
【0032】
続いて、酸化アルミニウム膜8の上に、第1のハードマスク膜として金属膜、例えば窒化チタン(TiN)膜9を例えば約10nmの厚さにスパッタ法により形成する。
【0033】
続いて、金属膜9の上に第2のハードマスク膜として窒化シリコン膜10をCVDD法により例えば5nm〜20nmの厚さに形成する。
さらに、窒化シリコン膜10の上に、フォトレジストを塗布した後に、これを露光、現像することによりパターニングし、レジストパターン11を形成する。レジストパターン11は、Nウエル5とその周辺のSTI3を覆うとともに、Pウエル6とその周辺のSTI3を露出する形状を有している。
【0034】
さらに、レジストパターン11をマスクに使用し、Pウエル6とその周辺部の上方の窒化シリコン膜10をエッチングすることによりその下の窒化チタン膜9を露出させる。窒化シリコン膜10は、例えば、CF4、CHF3、Ar及びO2の反応ガスを使用する反応性イオンエッチング(RIE)法によりエッチングされる。
【0035】
さらに、窒化シリコン膜10のパターンをマスクに使用して窒化チタン膜9をエッチングする。窒化チタン膜9は、例えば、Cl2、CF4及びN2の反応ガスを用いるRIE法によりエッチングされる。
【0036】
続いて、窒化シリコン膜10のパターンをマスクに使用して酸化アルミニウム膜8をエッチングする。酸化アルミニウム膜8は、例えば、塩酸、四塩化炭素等の塩素系ガスとアルゴン(Ar)ガスを使用するRIE法によりエッチングされ、その領域からはハフニウムシリケート膜7が露出する。
【0037】
なお、窒化チタン膜9、酸化アルミニウム膜8のそれぞれのエッチング方法として、ウエットエッチング法を採用してもよい。
次に、図3Cに示すように、レジストパターン11を溶剤により除去し、窒化シリコン膜10を熱リン酸により除去する。
【0038】
その後に、図3Dに示すように、窒化チタン膜9、酸化アルミニウム膜8及びハフニウムシリケート膜7の表面上に、nMOS用キャップ膜として酸化ランタン膜12を例えばCVD法により例えば0.5nm〜2.0nmの厚さに形成する。
【0039】
酸化ランタン膜を形成するための反応ガスとして、オゾン(O3)を100g/m3の流量、La(i−PrCp)3を約100sccmの流量で成長雰囲気に導入する。この場合、成長雰囲気の圧力を約0.5Torr(約67Pa)、成長温度を約275℃とする。なお、La(i−PrCp)3の名称はトリス(イソプロピル・シクロペンタ・ジエニル)ランタン(tris(i-propylcyclopentadienyl)lanthanum)であり、その化学式はLa(i−C3H7C5H4)3で示される。
【0040】
この後に、シリコン基板1をランプアニール装置に入れ、図3Eに示すように、その窒素雰囲気内で例えば1000℃〜1050℃の温度、約5秒の時間で、酸化ランタン膜12、酸化アルミニウム膜8等をアニールする。そのようなポストキャップアニール処理により、酸化アルミニウム膜8内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させると同時に、酸化ランタン膜12内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させる。
【0041】
これにより、図4(a)に示す酸化アルミニウム膜8とハフニウムシリケート膜7の少なくとも境界部分と、酸化ランタン膜12とハフニウムシリケート膜7の少なくとも境界部分とのそれぞれに図4(b)に示すようなミキシング層7aが形成される。なお、酸化シリコン膜4とハフニウムシリケート膜7のそれぞれの含有元素を相互拡散させてもよい。
【0042】
次に、図3Fに示すように、例えば薬液として硫酸と過酸化水素水の混合液を使用して窒化チタン膜9及びその上の酸化ランタン膜12をエッチングし、選択的に除去する。これにより、Nウエル5及びその周辺において酸化アルミニウム膜8が露出する。
【0043】
続いて、図3Gに示すように、酸化ランタン膜12と酸化アルミニウム膜8の上に金属膜として例えば窒化チタン膜13を約10nmの厚さにスパッタ法により形成する。さらに、窒化チタン膜13上にポリシリコン膜14をCVD法により例えば約50nmの厚さに形成する。続いて、ポリシリコン膜14上に第3のハードマスク膜として窒化シリコン膜15をCVD法により例えば約50nmの厚さに形成する。
【0044】
その後に、窒化シリコン膜15の上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、Nウエル5、Pウエル6のそれぞれの上でゲート電極形状を有するレジストパターンRを形成する。
【0045】
次に、レジストパターンRをマスクにして、窒化シリコン膜15、ポリシリコン膜14、窒化チタン膜13を例えばRIE法によりエッチングする。窒化シリコン膜15のエッチング用ガスとして例えばフッ素系ガスを使用し、ポリシリコン膜14のエッチング用ガスとして例えば塩素系/フッ素系ガスを使用する。また、窒化チタン膜13のエッチング用ガスとして例えば塩素系ガスを使用する。
【0046】
この場合、図3Hに示すように、レジストパターンRはエッチングの際に除去され、さらに、パターニングされた窒化シリコン膜15がハードマスクとして使用される。、また、Nウエル5、Pウエル6のそれぞれの上方にパターニングされて残されたポリシリコン膜14、窒化チタン膜13のパターンはゲート電極16、17として使用される。
【0047】
なお、ゲート電極16、17を形成するための金属膜の材料としては、TiNに限定されるものではなく、元素記号であるTa、Mo、Ti、Ru、Pt等の金属又はその合金を使用してもよい。
【0048】
次に、図3Iに示すように、ゲート電極形状を有する窒化チタン膜15をハードマスクに使用し、酸化アルミニウム膜8、酸化ランタン膜12、ハフニウムシリケート膜7をウエットエッチングする。ウエットエッチングは次のような条件による。
【0049】
酸化アルミニウム膜8、酸化ランタン膜12をウエットエッチングするために使用される薬液として、硫酸を含む混合液を使用する。例えば、薬液として、フッ酸、塩酸、硫酸、純水の混合液を使用し、例えば薬液を240秒、純水を60秒で1サイクルとし、これを2サイクルで処理する。
【0050】
このウエット処理により、シリコン基板1の上のLaは検出限界以下まで低減するので、ハフニウムシリケート膜7、酸化アルミニウム膜8を全面エッチングするだけの緩衝フッ酸による処理が可能になる。従って、ハフニウム、アルミニウムも検出限界以下のエッチングができ、エッチング残渣を残すことなく酸化アルミニウム膜8、酸化ランタン膜12のパターニングができる。
【0051】
そのウエットエッチングの詳細については後述する。
さらに、ゲート電極16、17をマスクに使用して酸化シリコン膜4をエッチングし、Nウエル5、Pウエル6の表面を露出させる。
【0052】
これにより、Nウエル5とその上のゲート電極16の間に残された酸化シリコン膜4、ハフニウムシリケート膜7及び酸化アルミニウム膜8は、ゲート絶縁膜18として使用される。また、Pウエル6とその上のゲート電極17の間に残された酸化シリコン膜4、ハフニウムシリケート膜7及び酸化ランタン膜12は、ゲート絶縁膜19として使用される。
【0053】
次に、図3Jに示すように、ゲート電極16、17、ゲート絶縁膜18、19及びシリコン基板1の表面に保護絶縁膜20として窒化シリコン膜をCVD法により形成する。
【0054】
次に、図3Kに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、保護絶縁膜20をRIE法により垂直方向にエッチングすることにより、保護絶縁膜20をゲート電極16、17の側面に残すとともに、シリコン基板1の上面を露出させる。これによりゲート電極16、17の側面上に残された保護絶縁膜20を第1サイドウォール20sとする。
【0055】
続いて、Nウエル5上のゲート電極16及び第1サイドウォール20sをマスクにしてp型不純物、例えばホウ素をNウエル5内にイオン注入することにより、ゲート電極16の両側にp型エクステンション領域21s、21dを形成する。この場合、少なくともPウエル6をフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0056】
さらに、Pウエル6上のゲート電極17及び第1サイドウォール20sをマスクにしてn型不純物、例えば燐又は砒素をPウエル6内にイオン注入することにより、ゲート電極
17の両側にn型エクステンション領域22s、22dを形成する。この場合、少なくともNウエル5をフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0057】
次に、図3Lに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、Nウエル5上のゲート電極16及び第1サイドウォール20sをマスクにしてn型不純物をNウエル5内にイオン注入することによりにp型エクステンション領域21s、21dの下にn型ポケット領域23s、23dを形成する。この場合、少なくともPウエル6をフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0058】
さらに、Pウエル6上のゲート電極17及び第1サイドウォール20sをマスクにしてp型不純物をPウエル6内にイオン注入することによりにn型エクステンション領域22s、22dの下にp型ポケット領域24s、24dを形成する。この場合、少なくともNウエル5をフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0059】
次に、図3Mに示すように、ゲート電極16、17、ゲート絶縁膜18、19、第1サイドウォール20s及びシリコン基板1の表面に絶縁膜27として例えば酸化シリコン膜をCVD法により形成する。
【0060】
続いて、図3Nに示すように、絶縁膜27をRIE法により垂直方向にエッチングすることにより、絶縁膜27をゲート電極16、17の側面に残すとともに、シリコン基板1の上面を露出させる。これによりゲート電極16、17の側面上に残された絶縁膜27を第2のサイドウォール27sとする。
【0061】
次に、図3Oに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、Nウエル5上のゲート電極16及びサイドウォール20s、27dをマスクにしてp型不純物をNウエル5内にイオン注入することにより、ゲート電極16の両側にp型ソース/ドレイン領域25s、25dを形成する。この場合、少なくともPウエル6はフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0062】
さらに、Pウエル6上のゲート電極17及びサイドウォール20s、27dをマスクにしてn型不純物をPウエル6内にイオン注入することにより、ゲート電極17の両側にn型ソース/ドレイン領域26s、26dを形成する。この場合、少なくともNウエル5はフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0063】
次に、図3Pに示すように、シリコン基板1をアニールすることにより、p型エクステンション領域21s、21d、n型エクステンション領域22s、22d、n型ポケット領域23s、23d、p型ポケット領域24s、24d、p型ソース/ドレイン領域25s、25d及びn型ソース/ドレイン領域26s、26dを活性化する。
【0064】
続いて、図3Qに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、シリコン基板1及びゲート電極16、17の表面上に金属膜(不図示)、例えばコバルト膜又はニッケル膜を形成した後に、ソース/ドレイン領域25s、25d、26s、26dのシリコンとゲート電極16、17の上層のポリシリコン膜14をそれぞれ合金化する。これにより、ソース/ドレイン領域25s、25d、26s、26dとゲート電極16、17のそれぞれの上層部にシリサイド層29a〜29fを形成する。
【0065】
次に、図3Rに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、シリコン基板1、ゲート電極16、17の上にカバー絶縁膜31として窒化シリコン膜をCVD法により形成し、さらに、カバー絶縁膜31の上に第1の層間絶縁膜32として例えば酸化シリコン膜をCVD法により形成し、さらに、第2の層間絶縁膜33と
して例えばBPSG膜をCVD法により形成する。
【0066】
続いて、第1、第2の層間絶縁膜32、33及びカバー絶縁膜31をフォトリソグラフィー法にパターニングすることにより、ソース/ドレイン領域25s、26s等の上にコンタクトホール33a、33bを形成する。
【0067】
さらに、第2の層間絶縁膜33上とコンタクトホール33a、33bの中に窒化チタン膜とタングステン膜をCVD法により順に形成する。その後に、第2の層間絶縁膜33の上面上のタングステン膜及び窒化紫檀膜をCMP法により除去する。これにより、コンタクトホール33a、33b内に残された窒化チタン膜とタングステン膜を導電性プラグ34、35とする。
その後に、さらに層間絶縁膜、ビア、配線等を形成するが、その詳細は省略する。
【0068】
以上説明したように本実施形態によれば、酸化ランタン膜12、ハフニウムシリケート膜7のような希土類金属を含む酸化絶縁膜をエッチングする場合に、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む薬液を使用すると、エッチング残渣が検出限界以下に低減する。
従って、エッチング残渣を除去するためのスループットが向上し、しかもエッチング残渣による悪影響を排除することが可能になる。
【0069】
次に、希土類金属を含む酸化絶縁膜のエッチングについて詳細に説明する。
まず、基板上に同じ条件でHfSiO膜、La2O3膜を形成した後にそれらの膜をアニールして形成された2つの試料を用意する。そして、第1の試料については、エッチング用薬液としてフッ酸、塩酸、純水の第1混合液を使用してHfSiO膜、La2O3膜をエッチングした。また、第2の試料については、エッチング用薬液としてフッ酸、塩酸、硫酸、純水の第2混合液を使用してHfSiO膜、La2O3膜をエッチングした。
【0070】
この結果、図5のグラフに示すように、基板上の金属濃度に違いが見られた。即ち、第1混合液によるHfSiO膜、La2O3膜のエッチング後には基板上にLaが僅かに残った。これに対し、第2混合液によるHfSiO膜、La2O3膜のエッチング後には基板上のLaが7.5×109atoms/cm2以下となり、実質的に100%除去された。
【0071】
Laが残渣すると、図2に示したように、吸湿性を持つ塩化ランタン水和物がエッチング残渣として基板上に形成されるおそれがある。
これに対し、Laが残らない状態では、緩衝フッ酸によるHfSiOのエッチングが容易になり、Hfも検出限界以下になることが確認できた。なお、Hf、La等の元素の量の検出は、全反射蛍光X線で測定した。
【0072】
フッ酸と酸化ランタンの反応を次式(4)に示す。また、塩酸と酸化ランタンの反応を次式(5)又は(6)に示す。さらに、硫酸と酸化ランタンの反応を次式(7)又は(8)に示す。
【0073】
La2O3+6HF+H2O→2LaF3↓+4H2O (4)
La2O3+6HCl+H2O→2LaCl3+4H2O (5)
La2O3+6HCl+H2O→LaCl3・4H2O (6)
La2O3+6H2SO4+6H2O→2La(SO4)3+9H2O+3H2↑ (7)
La2O3+6H2SO4+6H2O→2La(SO4)3・9H2O+3H2↑ (8)
【0074】
そのような第1、第2の試料のうち膜が形成された面について、薬液処理前と薬液処理後についての自乗平均粗さRmsと最大高低差P−Vを調べたところ、図6に示す結果が得られた。
【0075】
図6によれば、第1混合液によりHfSiO膜、La2O3膜をエッチングすると、LaF3若しくはLaCl3の起因による残渣が凝集して残っているために、薬液処理前に比べてRms及びP−Vが劣化している。
これに対し、第2混合液によりHfSiO膜、La2O3膜をエッチングすると、Laが検出限界以下になり、Rms及びP−Vは薬液処理前とほぼ同じになる。即ち、第2混合液による処理後には、HfSiO膜、La2O3膜が形成される下地の表面のRms及びP−Vが検出されることになる。
【0076】
次に、第2混合液について、表1に示すようにフッ酸(HF)、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)の異なる4種類の濃度A〜濃度Dの薬液を作成し、それらの薬液による第2試料のHfSiO膜、La2O3膜のエッチング状態について調査したところ、図7に示す結果が得られた。
【0077】
図7によれば、HF濃度が高くなると、ハフニウム(Hf)も除去されるが、ランタン(La)の除去率が低下することがわかる。また、HF濃度を低くするほどLaの除去率が高く、Hfの除去率は低下するが、Hfはその後のフッ酸処理により完全に除去することができる。
【表1】
【0078】
次に、第2混合液の処理時間の違いによるHfSiO膜、La2O3膜のエッチング状態について調査したところ、図8に示す結果が得られた。図8によれば、処理時間が長くなるほどLaの除去率が高くなることがわかる。
【0079】
次に、第2混合液による処理を240秒と同じに設定した場合であって、処理の間に水洗処理を入れた場合と入れない場合を比較したところ、図9に示す結果が得られた。図9によれば、第2混合液による処理時間が同じであっても、薬液処理の途中で水洗処理を入れることにより、Laの残留金属濃度が1桁程度低くなることがわかる。これは、薬液処理時に発生した水に可溶なLaCl3やLa(SO4)3を水洗時に水に溶かし込んで排出できるので、Laを効率よく除去できるからである。
【0080】
次に、HFとH2SO4とH2Oの混合液を薬液に使用した場合と、FHとHClとH2Oの混合液を薬液に使用した場合と、上記の第2混合液を使用した場合とを比較してエッチング状態を調査したところ、図10に示す結果が得られた。なお、それらのエッチングは、薬液で120秒間の処理をした後に、60秒間の水洗処理し、その後に薬液で120秒間の処理をした。
【0081】
図10によれば、フッ酸、硫酸、塩酸及び純水を含む第2混合液を使用する場合がLaの除去率が最も高くなることがわかった。
以上のことから、Laを含むHigh-k膜をエッチングする場合には、フッ酸と硫酸と塩酸を含む薬液を使用することが好ましいことがわかる。しかも、エッチング時には薬液処理の途中で水洗処理を行うことが好ましく、さらにフッ酸濃度を硫酸濃度よりも低くすることが好ましいことがわかった。なお、硫酸濃度をフッ酸濃度の15倍以上にすることが好ましい。
【0082】
(第2の実施の形態)
図11A〜図11Kは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図である。なお、図11A〜図11Kにおいて、図3A〜図3Rと同じ符号は同じ要素を示している。
【0083】
次に、図11Aに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、第1実施形態に示すと同様に、シリコン基板1内にSTI3、Nウエル5、Pウエル6、酸化シリコン膜4を形成した後に、シリコン基板1の上にHigh-k膜としてハフニウムシリケート膜7、酸化アルミニウム膜8、窒化チタン膜9、窒化シリコン膜10を形成する。その後に、窒化シリコン膜10上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、Nウエル5及びその周辺のSTI3を覆うとともにPウエル6の上に開口部を有するレジストパターン41を形成する。
【0084】
続いて、レジストパターン41をマスクにして、窒化シリコン膜10を例えばRIE法によりエッチングしてパターニングする。
次に、図11Bに示すように、パターニングされた窒化シリコン膜10をマスクに使用して窒化チタン膜9を過酸化水素水、若しくは過酸化水素水と硫酸の混合液によりエッチングしてパターンを形成する。これにより、Pウエル6の上方の酸化アルミニウム膜8が露出する。
【0085】
その後に、図11Cに示すように、パターニングされた窒化シリコン膜10に覆われない領域の酸化アルミニウム膜8をウエットエッチングする。この場合、エッチング用薬液として例えばフッ酸などを使用する。
【0086】
次に、図11Dに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、窒化シリコン膜10、酸化アルミニウム膜8及びハフニウムシリケート膜7の表面上に、酸化ランタン膜12をCVD法により形成する。酸化ランタン膜12の形成条件は、例えば第1実施形態に示したと同様に設定する。
【0087】
さらに、酸化ランタン膜12の上に窒化チタン膜42、窒化シリコン膜43をそれぞれCVD法により形成する。続いて、窒化シリコン膜43上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、Pウエル6の上方を覆うとともに、Nウエル5の上方の窒化シリコン膜43を露出するレジストパターンRPを形成する。
【0088】
続いて、レジストパターンRPをマスクにして、窒化シリコン膜43を例えばRIE法によりエッチングした後に、窒化チタン膜43をウエットエッチングする。窒化チタン膜
43のウエットエッチング用の薬液として例えば過酸化水素水を使用する。
【0089】
その後に、図11Eに示すように、レジストパターン44を除去すると、Pウエル6の上方では窒化シリコン膜43が露出し、Nウエル5の上方では酸化ランタン膜12が露出する。
次に、図11Fに示すように、Nウエル5の上方で露出した酸化ランタン膜12をウエットエッチングにより除去し、その下の窒化シリコン膜10を露出させる。この場合、酸化ランタン膜12のエッチング用薬液として、例えば、フッ酸、塩酸、水第の混合液を使用してもよいし、1実施形態に示した、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用してもよい。なお、フッ酸の濃度は、ハフニウムシリケート膜7をエッチングしない程度に調整される。
【0090】
その後に、図11Gに示すように、窒化チタン膜9、42をウエットエッチングにより除去すると、その上の窒化シリコン膜10、43も除去される。なお、TiN膜9、42をウエットエッチングするための薬液として例えば過酸化水素水を使用する。
【0091】
次に、図11Hに示すように、シリコン基板1をランプアニール装置に入れ、その中の窒素雰囲気内で例えば1000℃〜1050℃の温度で約5秒間の条件で、酸化ランタン膜12、酸化アルミニウム膜8等をアニールする。そのようなポストキャップアニール処理により、酸化アルミニウム膜8内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させると同時に、酸化ランタン膜12内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させる。
【0092】
これにより、Nウエル5の上方にはAl・Hf含有High-k膜44が形成され、また、Pウエル6の上方にはLa・Hf含有High-k膜45が形成される。
【0093】
なお、Al・Hf含有High-k膜44の下の酸化シリコン膜4に含まれるシリコンは、アニールによりAl・Hf含有High-k膜44内の元素と相互拡散されてもよい。また、La・Hf含有High-k膜45の下の酸化シリコン膜4に含まれるシリコンは、アニールによりLa・Hf含有High-k膜45内の元素と相互拡散されてもよい。
【0094】
次に、図11Iに示すように、Al・Hf含有High-k膜44、La・Hf含有High-k膜45及びハフニウムシリケート膜7の上に、窒化チタン膜46、ポリシリコン膜47をそれぞれCVD法により順に形成した後に、ポリシリコン膜47上に窒化シリコン膜48をCVD法により形成する。
【0095】
さらに、窒化シリコン膜48上にフォトレジストを塗布した後に、これを露光、現像することにより、Nウエル5、Pウエル6のそれぞれの上方にゲート電極形状を有するレジストパターン49を形成する。
【0096】
次に、図11Jに示すように、レジストパターン49をマスクして、その下の窒化シリコン膜48、ポリシリコン膜47及びTiN膜46を例えばRIE法によりエッチングする。これにより、パターニングされたポリシリコン膜47及び窒化チタン膜46は、ゲート電極51、52として使用される。なお、パターニングされた窒化シリコン膜48はハードマスクとして使用され、ゲート電極51、52の形成後に除去される。
【0097】
次に、図11Kに示すように、ゲート電極51、52をマスクにして、Al・Hf含有High-k膜44、La・Hf含有High-k膜45、酸化シリコン膜4をエッチングすることにより、ゲート電極51、52の両側のシリコン基板1を露出させる。これにより、ゲート電極51、52の下に残されたAl・Hf含有High-k膜44、酸化シリコン膜4をゲ
ート絶縁膜53とし、ゲート電極52の下に残されたLa・Hf含有High-k膜45、酸化シリコン膜4をゲート絶縁膜54とする。
【0098】
その後に、特に図示しないが、第1実施形態の図3J〜図3Rに示すと同様に、Nウエル5内において、ゲート電極51の両側にp型エクステンション領域21s、21d、n型ポケット領域23s、23d、p型ソース/ドレイン領域25s、25d等を形成する。さらに、Pウエル6内において、ゲート電極52の両側にn型エクステンション領域22s、22d、p型ポケット領域24s、24d、n型ソース/ドレイン領域26s、26d等を形成する。
【0099】
以上のように本実施形態によれば、酸化アルミニウム膜8をパターニングすることにより、Nウエル5上方に局所的に酸化アルミニウム膜8を残している。さらに、酸化ランタン膜12をパターニングすることにより、Pウエル6の上方に酸化ランタン膜12を局所的に残している。
【0100】
そして、酸化ランタン膜12をパターニングする際に、エッチング用薬液としてフッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用しているので、第1実施形態と同様に、La含有のエッチング残渣の発生を防止することができる。
【0101】
さらに、ゲート絶縁膜53、54を形成するためにAl・Hf含有High-k膜44、La・Hf含有High-k膜45のエッチング用薬液として、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用しているので、第1実施形態と同様に、Laを含むエッチング残渣の発生を防止することができる。
【0102】
(第3の実施の形態)
図12A〜図12Hは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図である。なお、図12A〜図12Hにおいて、図3A〜図3Rと同じ符号は同じ要素を示している。
【0103】
次に、図12Aに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、第1実施形態に示すと同様に、シリコン基板1内にSTI3、Nウエル5、Pウエル6を形成した後に、シリコン基板1の表面に酸化シリコン膜4を形成する。その後に、シリコン基板1の上にHigh-k膜としてハフニウムシリケート膜7を形成する。
【0104】
続いて、ハフニウムシリケート膜7上に、酸化ランタン膜61を形成し、その上に、窒化チタン膜62、窒化シリコン膜63を形成する。酸化ランタン膜61は、例えば第1実施形態に示した酸化ランタン膜12と同じ条件で形成される。
【0105】
その後に、窒化シリコン膜63上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、Pウエル6及びその周辺のSTI3を覆うとともにNウエル5の上に開口部を有するレジストパターン64を形成する。
【0106】
次に、図12Bに示すように、レジストパターン64をマスクにして、窒化シリコン膜63を例えばRIE法によりエッチングしてパターニングする。その後に、パターニングされた窒化シリコン膜63をマスクに使用して窒化チタン膜62を緩衝フッ酸によりエッチングしてパターンを形成する。これにより、Nウエル5の上方で酸化ランタン膜61が露出する。
【0107】
次に、図12Cに示すように、酸化ランタン膜61をウエットエッチングする。この場合、エッチング用薬液として、例えば第1実施形態に示したように、フッ酸、塩酸、硫酸
及び水を含む混合液を用いる。
【0108】
続いて、図12Dに示すように、窒化チタン膜62、ハフニウムシリケート膜7の表面上に、酸化アルミニウム膜65を形成する。酸化アルミニウム膜65は、例えば第1実施形態において示した酸化アルミニウム膜8と同じ条件で形成される。
【0109】
次に、シリコン基板1をランプアニール装置に入れ、その中の窒素雰囲気内で例えば1000℃〜1050℃の温度で約5秒間の条件で、酸化ランタン膜61、酸化アルミニウム膜65等をアニールする。そのようなポストキャップアニール処理により、図12Eに示すように、酸化アルミニウム膜65内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させると同時に、酸化ランタン膜61内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させる。
【0110】
これにより、Nウエル5の上方にはAl・Hf含有High-k膜66が形成され、また、Pウエル6の上方にはLa・Hf含有High-k膜67が形成される。
【0111】
なお、Al・Hf含有High-k膜66の下の酸化シリコン膜4に含まれるシリコンは、アニールによりAl・Hf含有High-k膜66内の元素と相互拡散されてもよい。また、La・Hf含有High-k膜67の下の酸化シリコン膜4に含まれるシリコンは、アニールによりLa・Hf含有High-k膜67内の元素と相互拡散されてもよい。
【0112】
その後に、La・Hf含有High-k膜67の上の窒化チタン膜62をエッチングにより除去するとともに、その上の酸化アルミニウム膜65を除去する。この場合、窒化チタン膜62のエッチングに使用する薬液として例えば過酸化水素水を使用する。
【0113】
次に、図12Fに示すように、Al・Hf含有High-k膜66、La・Hf含有High-k膜67の上に、窒化チタン膜68、ポリシリコン膜69をCVD法により順に形成した後に、ポリシリコン膜69上に窒化シリコン膜70をCVD法により形成する。
【0114】
さらに、窒化シリコン膜70上にフォトレジストを塗布した後に、これを露光、現像することにより、Nウエル5、Pウエル6のそれぞれの上方にゲート電極形状を有するレジストパターン71を形成する。
【0115】
次に、レジストパターン71をマスクして、その下の窒化シリコン膜70、ポリシリコン膜69及び窒化チタン膜68を例えばRIE法によりエッチングする。これにより、図12Gに示すように、パターニングされたポリシリコン膜69及び窒化チタン膜68は、ゲート電極72、73として使用される。なお、パターニングされた窒化シリコン膜70はハードマスクとして使用され、ゲート電極72、73の形成後に除去される。
【0116】
次に、図12Hに示すように、ゲート電極72、73をマスクにして、Al・Hf含有High-k膜66、La・Hf含有High-k膜67、酸化シリコン膜4をエッチングすることにより、ゲート電極72、73の両側のシリコン基板1を露出させる。
【0117】
Al・Hf含有High-k膜66、La・Hf含有High-k膜67をエッチングする薬液として、例えば第1実施形態と同様に、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用する。
【0118】
これにより、Nウエル5とゲート電極72、73の間に残されたAl・Hf含有High-k膜66、酸化シリコン膜4をゲート絶縁膜74とし、Pウエル6とゲート電極73の間に残されたLa・Hf含有High-k膜67、酸化シリコン膜4をゲート絶縁膜75とする
。
【0119】
その後に、特に図示しないが、第1実施形態の図3J〜図3Rに示すと同様に、Nウエル5内において、ゲート電極72の両側にp型エクステンション領域21s、21d、n型ポケット領域23s、23d、p型ソース/ドレイン領域25s、25d等を形成する。さらに、Pウエル6内において、ゲート電極73の両側にn型エクステンション領域22s、22d、p型ポケット領域24s、24d、n型ソース/ドレイン領域26s、26d等を形成する。
【0120】
以上のように本実施形態によれば、フッ酸、塩酸、硫酸及び水の混合液を酸化ランタン膜61のエッチング用薬液に使用しているので、第1、第2実施形態と同様に、希土類金属含有のエッチング残渣の発生を防止することができる。
【0121】
さらに、ゲート絶縁膜72、73を形成するためにAl・Hf含有High-k膜66、La・Hf含有High-k膜67のエッチング用薬液として、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用しているので、第1実施形態と同様に、エッチング残渣の発生を防止することができる。
【0122】
ところで、上記の各実施形態において、キャップ膜として、酸化ランタンの代わりに、希土類元素含有の酸化物である、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)等を適用してもよい。さらに、High-k膜としては、HfSiOの他に、HfSiONを使用してもよく、最終的にドライエッチングを使用する場合には、HfSiOの他に、化学記号で示すHfO2、HfON、HfZrO、HfZrON、HfAlO、HfAlON等の酸化物を適用してもよい。
【0123】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解することができる。
【0124】
次に、本発明の実施形態について特徴を付記する。
(付記1) 半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に希土類元素含有酸化膜を形成する工程と、
フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液により前記希土類元素含有酸化膜をエッチングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記薬液において、前記フッ酸の濃度は、前記塩酸、前記硫酸のそれぞれの濃度よりも低く設定されている付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記硫酸の前記濃度は、前記フッ酸の前記濃度の15倍以上である付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記薬液の処理の途中に、前記希土類元素含有酸化膜を水洗する工程を有する付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記希土類元素含有酸化膜の形成は、ハフニウム含有酸化膜と希土類元素含有酸化膜を
順に形成した後にアニールする工程を含む付記1乃至付記4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記希土類元素含有酸化膜をエッチングする前には、
前記希土類元素含有酸化膜上に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上にマスク層を形成する工程と、
前記マスク層をマスクに使用して前記導電膜をエッチングする工程と、
を有することを特徴とする付記1乃至付記5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記導電膜をエッチングすることにより前記マスク層の下にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクに使用して前記薬液により前記希土類元素含有酸化膜をエッチングすることにより、前記ゲート電極の下に前記希土類元素含有酸化膜を有するゲート絶縁膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0125】
1 シリコン基板(半導体基板)
3 STI
4 酸化シリコン膜
5 Nウエル
6 Pウエル
7 ハフニウムシリケート膜
8 酸化アルミニウム膜
9 窒化チタン膜
10 窒化シリコン膜
12 酸化ランタン膜
13 窒化チタン膜
14 ポリシリコン膜
16,17 ゲート電極
18、19 ゲート絶縁膜
42 窒化チタン膜
43 窒化シリコン膜
44 Al・Hf含有High-k膜
45 La・Hf含有High-k膜
46 窒化チタン膜
47 ポリシリコン膜
51、52 ゲート電極
53、54 ゲート絶縁膜
61 酸化ランタン膜
62 窒化チタン膜
63 窒化シリコン膜
65 酸化アルミニウム膜
66 Al・Hf含有High-k膜
67 La・Hf含有High-k膜
68 窒化チタン膜
69 ポリシリコン膜
72、73 ゲート電極
74、75 ゲート絶縁膜
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
MOSトランジスタは、半導体基板上にゲート絶縁膜、ゲート電極を順に形成した構造を有している。ゲート絶縁膜の膜厚は、MOSトランジスタの微細化に伴って薄くなっている。ところが、ゲート絶縁膜が極めて薄くなると、量子力学的効果によってゲート絶縁膜を電子が通り抜けるトンネル現象が発生してしまう。
【0003】
このようなトンネル現象を防止するために、誘電率がシリコン酸化膜より高い材料、いわゆる高誘電率膜(High-k膜)がゲート絶縁膜として用いられている。High-k膜を使用すると、ある値の静電容量に設定されるゲート絶縁膜の膜厚をシリコン酸化膜に比べて厚くできるので、トンネル現象による電子のリークが抑制される。
【0004】
High-k材料として、例えば、酸化ハフニウム(HfO2)、酸化ランタン(La2O3)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化アルミニウム(Al2O3)が知られている。
酸化ハフニウム膜をゲート絶縁膜として使用する場合には、酸化ハフニウム膜上にゲート電極を形成した後に、ゲート電極の両側の領域に存在する酸化ハフニウムをエッチングし、その後にゲート電極の両側の半導体基板内に不純物をイオン注入する。
【0005】
High-k膜のエッチング方法として、次のような方法が知られている。
例えば、シリコン基板上に、酸化シリコン膜、酸化ランタン膜及び酸化ハフニウム膜を順に形成した構造では、反応性イオンエッチング法、又は、希HF/希HCl混合溶液を用いるウエットエッチング法によりそれらの膜をエッチングすることが知られている。
【0006】
別の酸化ハフニウム膜のエッチング方法として、酸化ハフニウム膜を800℃で熱処理した後にプラズマ処理することにより酸化ハフニウム膜にダメージ層を形成し、さらに、ダメージ層を1質量%濃度程度のフッ酸によりエッチングする方法が知られている。
また、酸化ランタン膜のエッチング用薬液として塩酸を使用することが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−211182号公報
【特許文献2】特開2003−234325号公報
【特許文献3】特開2009−252895号公報
【特許文献4】特開2009−302260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、希土類金属を含有するHigh-k膜のエッチング残渣を抑制するための半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の1つの観点によれば、半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜上に希土類元素含有酸化膜を形成する工程と、フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液により前記希土類元素含有酸化膜をエッチングする工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
発明の目的および利点は、請求の範囲に具体的に記載された構成要素および組み合わせによって実現され達成される。また、前述の一般的な説明および以下の詳細な説明は、典型例および説明のためのものであって、本発明を限定するためのものではない、と理解される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液を使用して希土類元素含有酸化膜をエッチングすることにより、半導体基板上における希土類元素のエッチング残渣を検出限界以下にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、比較例であるMOS構造を示す断面図である。
【図2】図2は、図1に示すMOS構造におけるHigh-k膜のエッチング後の状態を示す斜視図である。
【図3A】図3A〜図3Cは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その1〜3)である。
【図3D】図3D〜図3Fは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その4〜6)である。
【図3G】図3G〜図3Iは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その7〜9)である。
【図3J】図3J〜図3Lは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その10〜12)である。
【図3M】図3M〜図3Oは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その13〜15)である。
【図3P】図3P〜図3Rは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その16〜18)である。
【図4】図4は、本発明のキャップアニールによる元素の相互拡散を示す断面図である。
【図5】図5は、本発明の実施形態における希土類元素含有酸化膜のエッチング前とエッチング後の残留ランタンと残留ハフニウムの量を示すグラブである。
【図6】図6は、本発明の実施形態における工程と比較例の工程のよる希土類元素含有酸化膜のエッチング前とエッチング後の試料の表面の自乗平均粗さと最大高低差を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において、希土類元素含有酸化膜のエッチング用薬液に含まれる複数の酸の濃度の違いによるエッチング依存性を示すグラフである。
【図8】図8は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において使用される希土類元素含有酸化膜のエッチング用薬液の処理時間のエッチング依存性を示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において使用される希土類元素含有酸化膜のエッチング用薬液の処理方法の違いによるエッチング依存性を示すグラフである。
【図10】図10は、本発明の実施形態に係る半導体装置の製造工程において使用される希土類元素含有酸化膜のエッチング用薬液の処理方法の違いによるエッチング依存性を示すグラフである。
【図11A】図11A〜図11Cは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その1〜3)である。
【図11D】図11D〜図11Fは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その4〜6)である。
【図11G】図11G〜図11Iは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その7〜9)である。
【図11J】図11J、図11Kは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その10、11)である。
【図12A】図12A〜図12Cは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その1〜3)である。
【図12D】図12D〜図12Fは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その4〜6)である。
【図12G】図12G、図12Hは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図(その7、8)である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
MOSトランジスタにおいて、半導体基板とゲート電極の間に形成されるゲート絶縁膜として、High-k膜、例えば酸化ハフニウム膜(HfO2)、ハフニウムシリケート(HfSiO)膜が形成される構造がある。この構造では、さらに閾値電圧を制御するために、High-k膜である酸化ハフニウム膜、ハフニウムシリケート膜にランタン(La)、イットリウム(Y)などの希土類金属を混合させることもある。
【0013】
そのようなMOSトランジスタの形成工程では、High-k膜上にゲート電極を形成した後に、ゲート電極の両側の領域のHigh-k膜をエッチングにより除去する工程が含まれる。しかし、そのようなHigh-k膜を例えばフッ酸によりエッチングすると、半導体基板上にはエッチング残渣が生じる。
次に、図1に示すように、ゲート絶縁膜としてHigh-k膜102を有するMOSトランジスタにおいて、ゲート電極104を形成するまでの工程について説明する。
【0014】
まず、シリコン基板101上にHigh-k膜102、酸化ランタン(La2O3)膜103、窒化チタン膜104a、ポリシリコン膜104bを順に形成した後に、ポリシリコン膜104b上にゲート電極形状を有するハードマスク105を形成する。その後に、ハードマスク105から露出した領域の窒化チタン膜104a、ポリシリコン膜104bをエッチングすることにより、窒化チタン膜104a、ポリシリコン膜104bを有する二層構造のゲート電極104がハードマスク105の下に形成される。
【0015】
なお、High-k膜102、酸化ランタン膜103内にそれぞれ含まれる元素は熱により相互拡散される。
ゲート電極104を形成した後には、High-k膜102、酸化ランタン膜103をフッ酸(HF)によりウエットエッチングすると、シリコン基板101の上には図2に示すようなエッチング残渣107が発生する。これは次のような反応による。
【0016】
HFとLa2O3の反応は次式(1)によって示される。
La2O3 + 6HF + H2O→ 2LaF3+ 4H2O (1)
【0017】
式(1)において、La2O3とHFの反応により、フッ化ランタン(LaF3)が生成される。フッ化ランタンは水には溶解せずに凝集するため、図2に示すようにエッチング後に凝集物であるエッチング残渣107がシリコン基板101上に残る。
【0018】
また、酸化ランタン膜103の下のHigh-k膜102として酸化ハフニウム膜を形成する場合には、酸化ハフニウムのエッチング方法として塩素系ガスを用いるドライエッチング法が使用される。そのドライエッチング後に、塩素系のエッチング残渣を除去するために緩衝フッ酸を使用すると、塩素系エッチング残渣とフッ酸の反応により、凝集物がシリコン基板上に残ることになる。
【0019】
また、La2O3膜103をウエットエッチングする場合に、フッ酸に塩酸を添加したエッチング用薬液を使用すると、La2O3と塩酸は次の式(2)又は式(3)のように反応し、塩化ランタン水和物が発生する。塩化ランタン水和物は、水に可溶であるが、強い吸湿性を有している。
【0020】
La2O3 + 6HCl + H2O→ 2LaCl3+ 4H2O (2)
La2O3 + 6HCl + H2O→ LaCl3・4H2O (3)
【0021】
このため、シリコン基板101上に残留する塩化ランタン水和物は、大気中の水分を吸収し、その一部は核となってシリコン基板101上に残留し易くなるので、シリコン基板101上に形成される絶縁膜が塩化ランタン水和物の膨潤により劣化するおそれがある。
従って、凝集物が生じにくい条件で希土類金属含有酸化膜をウエットエッチングする方法が望まれる。
【0022】
そこで、以下に、図面を参照して本発明の好ましい実施形態を説明する。図面において、同様の構成要素には同じ参照番号が付されている。
【0023】
(第1の実施の形態)
図3A〜図3Rは、本発明の第1実施形態に係る半導体装置の製造工程を示す断面図である。
次に、図3Aに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
【0024】
まず、シリコン基板1の第1活性領域1aと第2活性領域1bのそれぞれの周囲に素子分離溝2を形成する。素子分離溝2は、例えば、素子分離領域に開口部を有する研磨ストップマスク(不図示)をシリコン基板1上に形成し、それらの開口部を通してシリコン基板1をドライエッチングする方法により形成される。研磨ストップマスクは、例えば、シリコン基板1上に酸化シリコン膜、窒化シリコン膜を順に形成した後に、それらの膜をフォトリソグラフィー法によりパターニングすることにより形成される。
【0025】
続いて、素子分離溝2の中と研磨ストップマスクの上に酸化シリコン膜をCVD法により形成した後に、研磨ストップマスク上の酸化シリコン膜を化学機械研磨(CMP)法により除去するとともに、酸化シリコン膜を素子分離溝2内に残存させる。その後に、研磨停止用マスクを除去する。これにより、素子分離溝2内に残された酸化シリコン膜は、素子分離絶縁構造であるシャロートレンチアイソレーション(STI)3として使用される。
なお、素子分離絶縁構造として、STI3の他に、LOCOS法により形成した絶縁膜を使用してもよい。
【0026】
さらに、研磨ストップマスクを除去し、シリコン基板1の表面に酸化シリコン膜(不図示)を形成した後に、シリコン基板1の第1活性領域1aにn型不純物、例えば燐又は砒素をイオン注入する。この場合、n型不純物をイオン注入しない領域をレジストパターン(不図示)により覆う。ついで、シリコン基板1の第2活性領域1bにp型不純物、例えばホウ素をイオン注入する。この場合、p型不純物をイオン注入しない領域を別のレジストパターン(不図示)により覆う。その後に、シリコン基板1の表面の酸化シリコン膜を除去する。
【0027】
次に、圧力約5Torr(約666Pa)で10容量%の一酸化窒素を含む雰囲気内で基板温度を850℃〜1000℃に設定し、その雰囲気内でシリコン基板1の表面を熱酸
化して下層絶縁膜として酸化シリコン膜4を形成する。さらに、シリコン基板1をアニールすることにより第1、第2活性領域1a、1bを活性化する。
これにより、シリコン基板1において、第1活性領域1a内には、周囲がSTI3に囲まれたNウエル5が形成され、さらに、第2活性領域1b内には、周囲がSTI3に囲まれたPウエル6が形成される。
【0028】
次に、図3Bに示す構造を形成するまでの工程について説明する。
まず、酸化シリコン膜4及びSTI3の上面にHigh-k膜として、例えばハフニウムシリケート(HfSiO)膜7をCVD法により例えば0.3nm〜3.0nmの厚さに形成する。
【0029】
ハフニウムシリケート膜7を形成するための反応ガスとして、HTBを約0.2sccmの流量、ヘリウムを約1slm、ジシラン(Si2H6)を1000sccmの流量、窒素(N2)を0.87slmの流量で反応雰囲気に導入する。この場合、反応雰囲気の圧力を約0.3Torr(約40Pa)、成長温度を約280℃に設定する。
【0030】
なお、HTBは、ハフニウムターシャルブトキサイド、ハフニウムタートブトキサイド等のハフニウム系液体原料の略語である。
その後に、例えば500℃〜1050℃の熱処理により膜質を調整してもよい。また、ハフニウムシリケート膜7は、CVD法以外の方法、例えば、ALD法、PVD法によって形成してもよい。
【0031】
さらに、ハフニウムシリケート膜7上に、pMOS用キャップ膜として酸化アルミニウム(アルミナ、Al2O3)膜8を例えばスパッタ法により例えば0.5nm〜2.0nmの厚さに形成する。なお、酸化アルミニウム膜8は、その他、PVD法、ALD法等により形成してもよい。
【0032】
続いて、酸化アルミニウム膜8の上に、第1のハードマスク膜として金属膜、例えば窒化チタン(TiN)膜9を例えば約10nmの厚さにスパッタ法により形成する。
【0033】
続いて、金属膜9の上に第2のハードマスク膜として窒化シリコン膜10をCVDD法により例えば5nm〜20nmの厚さに形成する。
さらに、窒化シリコン膜10の上に、フォトレジストを塗布した後に、これを露光、現像することによりパターニングし、レジストパターン11を形成する。レジストパターン11は、Nウエル5とその周辺のSTI3を覆うとともに、Pウエル6とその周辺のSTI3を露出する形状を有している。
【0034】
さらに、レジストパターン11をマスクに使用し、Pウエル6とその周辺部の上方の窒化シリコン膜10をエッチングすることによりその下の窒化チタン膜9を露出させる。窒化シリコン膜10は、例えば、CF4、CHF3、Ar及びO2の反応ガスを使用する反応性イオンエッチング(RIE)法によりエッチングされる。
【0035】
さらに、窒化シリコン膜10のパターンをマスクに使用して窒化チタン膜9をエッチングする。窒化チタン膜9は、例えば、Cl2、CF4及びN2の反応ガスを用いるRIE法によりエッチングされる。
【0036】
続いて、窒化シリコン膜10のパターンをマスクに使用して酸化アルミニウム膜8をエッチングする。酸化アルミニウム膜8は、例えば、塩酸、四塩化炭素等の塩素系ガスとアルゴン(Ar)ガスを使用するRIE法によりエッチングされ、その領域からはハフニウムシリケート膜7が露出する。
【0037】
なお、窒化チタン膜9、酸化アルミニウム膜8のそれぞれのエッチング方法として、ウエットエッチング法を採用してもよい。
次に、図3Cに示すように、レジストパターン11を溶剤により除去し、窒化シリコン膜10を熱リン酸により除去する。
【0038】
その後に、図3Dに示すように、窒化チタン膜9、酸化アルミニウム膜8及びハフニウムシリケート膜7の表面上に、nMOS用キャップ膜として酸化ランタン膜12を例えばCVD法により例えば0.5nm〜2.0nmの厚さに形成する。
【0039】
酸化ランタン膜を形成するための反応ガスとして、オゾン(O3)を100g/m3の流量、La(i−PrCp)3を約100sccmの流量で成長雰囲気に導入する。この場合、成長雰囲気の圧力を約0.5Torr(約67Pa)、成長温度を約275℃とする。なお、La(i−PrCp)3の名称はトリス(イソプロピル・シクロペンタ・ジエニル)ランタン(tris(i-propylcyclopentadienyl)lanthanum)であり、その化学式はLa(i−C3H7C5H4)3で示される。
【0040】
この後に、シリコン基板1をランプアニール装置に入れ、図3Eに示すように、その窒素雰囲気内で例えば1000℃〜1050℃の温度、約5秒の時間で、酸化ランタン膜12、酸化アルミニウム膜8等をアニールする。そのようなポストキャップアニール処理により、酸化アルミニウム膜8内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させると同時に、酸化ランタン膜12内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させる。
【0041】
これにより、図4(a)に示す酸化アルミニウム膜8とハフニウムシリケート膜7の少なくとも境界部分と、酸化ランタン膜12とハフニウムシリケート膜7の少なくとも境界部分とのそれぞれに図4(b)に示すようなミキシング層7aが形成される。なお、酸化シリコン膜4とハフニウムシリケート膜7のそれぞれの含有元素を相互拡散させてもよい。
【0042】
次に、図3Fに示すように、例えば薬液として硫酸と過酸化水素水の混合液を使用して窒化チタン膜9及びその上の酸化ランタン膜12をエッチングし、選択的に除去する。これにより、Nウエル5及びその周辺において酸化アルミニウム膜8が露出する。
【0043】
続いて、図3Gに示すように、酸化ランタン膜12と酸化アルミニウム膜8の上に金属膜として例えば窒化チタン膜13を約10nmの厚さにスパッタ法により形成する。さらに、窒化チタン膜13上にポリシリコン膜14をCVD法により例えば約50nmの厚さに形成する。続いて、ポリシリコン膜14上に第3のハードマスク膜として窒化シリコン膜15をCVD法により例えば約50nmの厚さに形成する。
【0044】
その後に、窒化シリコン膜15の上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、Nウエル5、Pウエル6のそれぞれの上でゲート電極形状を有するレジストパターンRを形成する。
【0045】
次に、レジストパターンRをマスクにして、窒化シリコン膜15、ポリシリコン膜14、窒化チタン膜13を例えばRIE法によりエッチングする。窒化シリコン膜15のエッチング用ガスとして例えばフッ素系ガスを使用し、ポリシリコン膜14のエッチング用ガスとして例えば塩素系/フッ素系ガスを使用する。また、窒化チタン膜13のエッチング用ガスとして例えば塩素系ガスを使用する。
【0046】
この場合、図3Hに示すように、レジストパターンRはエッチングの際に除去され、さらに、パターニングされた窒化シリコン膜15がハードマスクとして使用される。、また、Nウエル5、Pウエル6のそれぞれの上方にパターニングされて残されたポリシリコン膜14、窒化チタン膜13のパターンはゲート電極16、17として使用される。
【0047】
なお、ゲート電極16、17を形成するための金属膜の材料としては、TiNに限定されるものではなく、元素記号であるTa、Mo、Ti、Ru、Pt等の金属又はその合金を使用してもよい。
【0048】
次に、図3Iに示すように、ゲート電極形状を有する窒化チタン膜15をハードマスクに使用し、酸化アルミニウム膜8、酸化ランタン膜12、ハフニウムシリケート膜7をウエットエッチングする。ウエットエッチングは次のような条件による。
【0049】
酸化アルミニウム膜8、酸化ランタン膜12をウエットエッチングするために使用される薬液として、硫酸を含む混合液を使用する。例えば、薬液として、フッ酸、塩酸、硫酸、純水の混合液を使用し、例えば薬液を240秒、純水を60秒で1サイクルとし、これを2サイクルで処理する。
【0050】
このウエット処理により、シリコン基板1の上のLaは検出限界以下まで低減するので、ハフニウムシリケート膜7、酸化アルミニウム膜8を全面エッチングするだけの緩衝フッ酸による処理が可能になる。従って、ハフニウム、アルミニウムも検出限界以下のエッチングができ、エッチング残渣を残すことなく酸化アルミニウム膜8、酸化ランタン膜12のパターニングができる。
【0051】
そのウエットエッチングの詳細については後述する。
さらに、ゲート電極16、17をマスクに使用して酸化シリコン膜4をエッチングし、Nウエル5、Pウエル6の表面を露出させる。
【0052】
これにより、Nウエル5とその上のゲート電極16の間に残された酸化シリコン膜4、ハフニウムシリケート膜7及び酸化アルミニウム膜8は、ゲート絶縁膜18として使用される。また、Pウエル6とその上のゲート電極17の間に残された酸化シリコン膜4、ハフニウムシリケート膜7及び酸化ランタン膜12は、ゲート絶縁膜19として使用される。
【0053】
次に、図3Jに示すように、ゲート電極16、17、ゲート絶縁膜18、19及びシリコン基板1の表面に保護絶縁膜20として窒化シリコン膜をCVD法により形成する。
【0054】
次に、図3Kに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、保護絶縁膜20をRIE法により垂直方向にエッチングすることにより、保護絶縁膜20をゲート電極16、17の側面に残すとともに、シリコン基板1の上面を露出させる。これによりゲート電極16、17の側面上に残された保護絶縁膜20を第1サイドウォール20sとする。
【0055】
続いて、Nウエル5上のゲート電極16及び第1サイドウォール20sをマスクにしてp型不純物、例えばホウ素をNウエル5内にイオン注入することにより、ゲート電極16の両側にp型エクステンション領域21s、21dを形成する。この場合、少なくともPウエル6をフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0056】
さらに、Pウエル6上のゲート電極17及び第1サイドウォール20sをマスクにしてn型不純物、例えば燐又は砒素をPウエル6内にイオン注入することにより、ゲート電極
17の両側にn型エクステンション領域22s、22dを形成する。この場合、少なくともNウエル5をフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0057】
次に、図3Lに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、Nウエル5上のゲート電極16及び第1サイドウォール20sをマスクにしてn型不純物をNウエル5内にイオン注入することによりにp型エクステンション領域21s、21dの下にn型ポケット領域23s、23dを形成する。この場合、少なくともPウエル6をフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0058】
さらに、Pウエル6上のゲート電極17及び第1サイドウォール20sをマスクにしてp型不純物をPウエル6内にイオン注入することによりにn型エクステンション領域22s、22dの下にp型ポケット領域24s、24dを形成する。この場合、少なくともNウエル5をフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0059】
次に、図3Mに示すように、ゲート電極16、17、ゲート絶縁膜18、19、第1サイドウォール20s及びシリコン基板1の表面に絶縁膜27として例えば酸化シリコン膜をCVD法により形成する。
【0060】
続いて、図3Nに示すように、絶縁膜27をRIE法により垂直方向にエッチングすることにより、絶縁膜27をゲート電極16、17の側面に残すとともに、シリコン基板1の上面を露出させる。これによりゲート電極16、17の側面上に残された絶縁膜27を第2のサイドウォール27sとする。
【0061】
次に、図3Oに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、Nウエル5上のゲート電極16及びサイドウォール20s、27dをマスクにしてp型不純物をNウエル5内にイオン注入することにより、ゲート電極16の両側にp型ソース/ドレイン領域25s、25dを形成する。この場合、少なくともPウエル6はフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0062】
さらに、Pウエル6上のゲート電極17及びサイドウォール20s、27dをマスクにしてn型不純物をPウエル6内にイオン注入することにより、ゲート電極17の両側にn型ソース/ドレイン領域26s、26dを形成する。この場合、少なくともNウエル5はフォトレジスト(不図示)により覆う。
【0063】
次に、図3Pに示すように、シリコン基板1をアニールすることにより、p型エクステンション領域21s、21d、n型エクステンション領域22s、22d、n型ポケット領域23s、23d、p型ポケット領域24s、24d、p型ソース/ドレイン領域25s、25d及びn型ソース/ドレイン領域26s、26dを活性化する。
【0064】
続いて、図3Qに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、シリコン基板1及びゲート電極16、17の表面上に金属膜(不図示)、例えばコバルト膜又はニッケル膜を形成した後に、ソース/ドレイン領域25s、25d、26s、26dのシリコンとゲート電極16、17の上層のポリシリコン膜14をそれぞれ合金化する。これにより、ソース/ドレイン領域25s、25d、26s、26dとゲート電極16、17のそれぞれの上層部にシリサイド層29a〜29fを形成する。
【0065】
次に、図3Rに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、シリコン基板1、ゲート電極16、17の上にカバー絶縁膜31として窒化シリコン膜をCVD法により形成し、さらに、カバー絶縁膜31の上に第1の層間絶縁膜32として例えば酸化シリコン膜をCVD法により形成し、さらに、第2の層間絶縁膜33と
して例えばBPSG膜をCVD法により形成する。
【0066】
続いて、第1、第2の層間絶縁膜32、33及びカバー絶縁膜31をフォトリソグラフィー法にパターニングすることにより、ソース/ドレイン領域25s、26s等の上にコンタクトホール33a、33bを形成する。
【0067】
さらに、第2の層間絶縁膜33上とコンタクトホール33a、33bの中に窒化チタン膜とタングステン膜をCVD法により順に形成する。その後に、第2の層間絶縁膜33の上面上のタングステン膜及び窒化紫檀膜をCMP法により除去する。これにより、コンタクトホール33a、33b内に残された窒化チタン膜とタングステン膜を導電性プラグ34、35とする。
その後に、さらに層間絶縁膜、ビア、配線等を形成するが、その詳細は省略する。
【0068】
以上説明したように本実施形態によれば、酸化ランタン膜12、ハフニウムシリケート膜7のような希土類金属を含む酸化絶縁膜をエッチングする場合に、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む薬液を使用すると、エッチング残渣が検出限界以下に低減する。
従って、エッチング残渣を除去するためのスループットが向上し、しかもエッチング残渣による悪影響を排除することが可能になる。
【0069】
次に、希土類金属を含む酸化絶縁膜のエッチングについて詳細に説明する。
まず、基板上に同じ条件でHfSiO膜、La2O3膜を形成した後にそれらの膜をアニールして形成された2つの試料を用意する。そして、第1の試料については、エッチング用薬液としてフッ酸、塩酸、純水の第1混合液を使用してHfSiO膜、La2O3膜をエッチングした。また、第2の試料については、エッチング用薬液としてフッ酸、塩酸、硫酸、純水の第2混合液を使用してHfSiO膜、La2O3膜をエッチングした。
【0070】
この結果、図5のグラフに示すように、基板上の金属濃度に違いが見られた。即ち、第1混合液によるHfSiO膜、La2O3膜のエッチング後には基板上にLaが僅かに残った。これに対し、第2混合液によるHfSiO膜、La2O3膜のエッチング後には基板上のLaが7.5×109atoms/cm2以下となり、実質的に100%除去された。
【0071】
Laが残渣すると、図2に示したように、吸湿性を持つ塩化ランタン水和物がエッチング残渣として基板上に形成されるおそれがある。
これに対し、Laが残らない状態では、緩衝フッ酸によるHfSiOのエッチングが容易になり、Hfも検出限界以下になることが確認できた。なお、Hf、La等の元素の量の検出は、全反射蛍光X線で測定した。
【0072】
フッ酸と酸化ランタンの反応を次式(4)に示す。また、塩酸と酸化ランタンの反応を次式(5)又は(6)に示す。さらに、硫酸と酸化ランタンの反応を次式(7)又は(8)に示す。
【0073】
La2O3+6HF+H2O→2LaF3↓+4H2O (4)
La2O3+6HCl+H2O→2LaCl3+4H2O (5)
La2O3+6HCl+H2O→LaCl3・4H2O (6)
La2O3+6H2SO4+6H2O→2La(SO4)3+9H2O+3H2↑ (7)
La2O3+6H2SO4+6H2O→2La(SO4)3・9H2O+3H2↑ (8)
【0074】
そのような第1、第2の試料のうち膜が形成された面について、薬液処理前と薬液処理後についての自乗平均粗さRmsと最大高低差P−Vを調べたところ、図6に示す結果が得られた。
【0075】
図6によれば、第1混合液によりHfSiO膜、La2O3膜をエッチングすると、LaF3若しくはLaCl3の起因による残渣が凝集して残っているために、薬液処理前に比べてRms及びP−Vが劣化している。
これに対し、第2混合液によりHfSiO膜、La2O3膜をエッチングすると、Laが検出限界以下になり、Rms及びP−Vは薬液処理前とほぼ同じになる。即ち、第2混合液による処理後には、HfSiO膜、La2O3膜が形成される下地の表面のRms及びP−Vが検出されることになる。
【0076】
次に、第2混合液について、表1に示すようにフッ酸(HF)、塩酸(HCl)、硫酸(H2SO4)の異なる4種類の濃度A〜濃度Dの薬液を作成し、それらの薬液による第2試料のHfSiO膜、La2O3膜のエッチング状態について調査したところ、図7に示す結果が得られた。
【0077】
図7によれば、HF濃度が高くなると、ハフニウム(Hf)も除去されるが、ランタン(La)の除去率が低下することがわかる。また、HF濃度を低くするほどLaの除去率が高く、Hfの除去率は低下するが、Hfはその後のフッ酸処理により完全に除去することができる。
【表1】
【0078】
次に、第2混合液の処理時間の違いによるHfSiO膜、La2O3膜のエッチング状態について調査したところ、図8に示す結果が得られた。図8によれば、処理時間が長くなるほどLaの除去率が高くなることがわかる。
【0079】
次に、第2混合液による処理を240秒と同じに設定した場合であって、処理の間に水洗処理を入れた場合と入れない場合を比較したところ、図9に示す結果が得られた。図9によれば、第2混合液による処理時間が同じであっても、薬液処理の途中で水洗処理を入れることにより、Laの残留金属濃度が1桁程度低くなることがわかる。これは、薬液処理時に発生した水に可溶なLaCl3やLa(SO4)3を水洗時に水に溶かし込んで排出できるので、Laを効率よく除去できるからである。
【0080】
次に、HFとH2SO4とH2Oの混合液を薬液に使用した場合と、FHとHClとH2Oの混合液を薬液に使用した場合と、上記の第2混合液を使用した場合とを比較してエッチング状態を調査したところ、図10に示す結果が得られた。なお、それらのエッチングは、薬液で120秒間の処理をした後に、60秒間の水洗処理し、その後に薬液で120秒間の処理をした。
【0081】
図10によれば、フッ酸、硫酸、塩酸及び純水を含む第2混合液を使用する場合がLaの除去率が最も高くなることがわかった。
以上のことから、Laを含むHigh-k膜をエッチングする場合には、フッ酸と硫酸と塩酸を含む薬液を使用することが好ましいことがわかる。しかも、エッチング時には薬液処理の途中で水洗処理を行うことが好ましく、さらにフッ酸濃度を硫酸濃度よりも低くすることが好ましいことがわかった。なお、硫酸濃度をフッ酸濃度の15倍以上にすることが好ましい。
【0082】
(第2の実施の形態)
図11A〜図11Kは、本発明の第2実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図である。なお、図11A〜図11Kにおいて、図3A〜図3Rと同じ符号は同じ要素を示している。
【0083】
次に、図11Aに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、第1実施形態に示すと同様に、シリコン基板1内にSTI3、Nウエル5、Pウエル6、酸化シリコン膜4を形成した後に、シリコン基板1の上にHigh-k膜としてハフニウムシリケート膜7、酸化アルミニウム膜8、窒化チタン膜9、窒化シリコン膜10を形成する。その後に、窒化シリコン膜10上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、Nウエル5及びその周辺のSTI3を覆うとともにPウエル6の上に開口部を有するレジストパターン41を形成する。
【0084】
続いて、レジストパターン41をマスクにして、窒化シリコン膜10を例えばRIE法によりエッチングしてパターニングする。
次に、図11Bに示すように、パターニングされた窒化シリコン膜10をマスクに使用して窒化チタン膜9を過酸化水素水、若しくは過酸化水素水と硫酸の混合液によりエッチングしてパターンを形成する。これにより、Pウエル6の上方の酸化アルミニウム膜8が露出する。
【0085】
その後に、図11Cに示すように、パターニングされた窒化シリコン膜10に覆われない領域の酸化アルミニウム膜8をウエットエッチングする。この場合、エッチング用薬液として例えばフッ酸などを使用する。
【0086】
次に、図11Dに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、窒化シリコン膜10、酸化アルミニウム膜8及びハフニウムシリケート膜7の表面上に、酸化ランタン膜12をCVD法により形成する。酸化ランタン膜12の形成条件は、例えば第1実施形態に示したと同様に設定する。
【0087】
さらに、酸化ランタン膜12の上に窒化チタン膜42、窒化シリコン膜43をそれぞれCVD法により形成する。続いて、窒化シリコン膜43上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、Pウエル6の上方を覆うとともに、Nウエル5の上方の窒化シリコン膜43を露出するレジストパターンRPを形成する。
【0088】
続いて、レジストパターンRPをマスクにして、窒化シリコン膜43を例えばRIE法によりエッチングした後に、窒化チタン膜43をウエットエッチングする。窒化チタン膜
43のウエットエッチング用の薬液として例えば過酸化水素水を使用する。
【0089】
その後に、図11Eに示すように、レジストパターン44を除去すると、Pウエル6の上方では窒化シリコン膜43が露出し、Nウエル5の上方では酸化ランタン膜12が露出する。
次に、図11Fに示すように、Nウエル5の上方で露出した酸化ランタン膜12をウエットエッチングにより除去し、その下の窒化シリコン膜10を露出させる。この場合、酸化ランタン膜12のエッチング用薬液として、例えば、フッ酸、塩酸、水第の混合液を使用してもよいし、1実施形態に示した、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用してもよい。なお、フッ酸の濃度は、ハフニウムシリケート膜7をエッチングしない程度に調整される。
【0090】
その後に、図11Gに示すように、窒化チタン膜9、42をウエットエッチングにより除去すると、その上の窒化シリコン膜10、43も除去される。なお、TiN膜9、42をウエットエッチングするための薬液として例えば過酸化水素水を使用する。
【0091】
次に、図11Hに示すように、シリコン基板1をランプアニール装置に入れ、その中の窒素雰囲気内で例えば1000℃〜1050℃の温度で約5秒間の条件で、酸化ランタン膜12、酸化アルミニウム膜8等をアニールする。そのようなポストキャップアニール処理により、酸化アルミニウム膜8内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させると同時に、酸化ランタン膜12内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させる。
【0092】
これにより、Nウエル5の上方にはAl・Hf含有High-k膜44が形成され、また、Pウエル6の上方にはLa・Hf含有High-k膜45が形成される。
【0093】
なお、Al・Hf含有High-k膜44の下の酸化シリコン膜4に含まれるシリコンは、アニールによりAl・Hf含有High-k膜44内の元素と相互拡散されてもよい。また、La・Hf含有High-k膜45の下の酸化シリコン膜4に含まれるシリコンは、アニールによりLa・Hf含有High-k膜45内の元素と相互拡散されてもよい。
【0094】
次に、図11Iに示すように、Al・Hf含有High-k膜44、La・Hf含有High-k膜45及びハフニウムシリケート膜7の上に、窒化チタン膜46、ポリシリコン膜47をそれぞれCVD法により順に形成した後に、ポリシリコン膜47上に窒化シリコン膜48をCVD法により形成する。
【0095】
さらに、窒化シリコン膜48上にフォトレジストを塗布した後に、これを露光、現像することにより、Nウエル5、Pウエル6のそれぞれの上方にゲート電極形状を有するレジストパターン49を形成する。
【0096】
次に、図11Jに示すように、レジストパターン49をマスクして、その下の窒化シリコン膜48、ポリシリコン膜47及びTiN膜46を例えばRIE法によりエッチングする。これにより、パターニングされたポリシリコン膜47及び窒化チタン膜46は、ゲート電極51、52として使用される。なお、パターニングされた窒化シリコン膜48はハードマスクとして使用され、ゲート電極51、52の形成後に除去される。
【0097】
次に、図11Kに示すように、ゲート電極51、52をマスクにして、Al・Hf含有High-k膜44、La・Hf含有High-k膜45、酸化シリコン膜4をエッチングすることにより、ゲート電極51、52の両側のシリコン基板1を露出させる。これにより、ゲート電極51、52の下に残されたAl・Hf含有High-k膜44、酸化シリコン膜4をゲ
ート絶縁膜53とし、ゲート電極52の下に残されたLa・Hf含有High-k膜45、酸化シリコン膜4をゲート絶縁膜54とする。
【0098】
その後に、特に図示しないが、第1実施形態の図3J〜図3Rに示すと同様に、Nウエル5内において、ゲート電極51の両側にp型エクステンション領域21s、21d、n型ポケット領域23s、23d、p型ソース/ドレイン領域25s、25d等を形成する。さらに、Pウエル6内において、ゲート電極52の両側にn型エクステンション領域22s、22d、p型ポケット領域24s、24d、n型ソース/ドレイン領域26s、26d等を形成する。
【0099】
以上のように本実施形態によれば、酸化アルミニウム膜8をパターニングすることにより、Nウエル5上方に局所的に酸化アルミニウム膜8を残している。さらに、酸化ランタン膜12をパターニングすることにより、Pウエル6の上方に酸化ランタン膜12を局所的に残している。
【0100】
そして、酸化ランタン膜12をパターニングする際に、エッチング用薬液としてフッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用しているので、第1実施形態と同様に、La含有のエッチング残渣の発生を防止することができる。
【0101】
さらに、ゲート絶縁膜53、54を形成するためにAl・Hf含有High-k膜44、La・Hf含有High-k膜45のエッチング用薬液として、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用しているので、第1実施形態と同様に、Laを含むエッチング残渣の発生を防止することができる。
【0102】
(第3の実施の形態)
図12A〜図12Hは、本発明の第3実施形態に係る半導体装置の形成工程を示す断面図である。なお、図12A〜図12Hにおいて、図3A〜図3Rと同じ符号は同じ要素を示している。
【0103】
次に、図12Aに示す構造を形成するまでの工程を説明する。
まず、第1実施形態に示すと同様に、シリコン基板1内にSTI3、Nウエル5、Pウエル6を形成した後に、シリコン基板1の表面に酸化シリコン膜4を形成する。その後に、シリコン基板1の上にHigh-k膜としてハフニウムシリケート膜7を形成する。
【0104】
続いて、ハフニウムシリケート膜7上に、酸化ランタン膜61を形成し、その上に、窒化チタン膜62、窒化シリコン膜63を形成する。酸化ランタン膜61は、例えば第1実施形態に示した酸化ランタン膜12と同じ条件で形成される。
【0105】
その後に、窒化シリコン膜63上にフォトレジストを塗布し、これを露光、現像することにより、Pウエル6及びその周辺のSTI3を覆うとともにNウエル5の上に開口部を有するレジストパターン64を形成する。
【0106】
次に、図12Bに示すように、レジストパターン64をマスクにして、窒化シリコン膜63を例えばRIE法によりエッチングしてパターニングする。その後に、パターニングされた窒化シリコン膜63をマスクに使用して窒化チタン膜62を緩衝フッ酸によりエッチングしてパターンを形成する。これにより、Nウエル5の上方で酸化ランタン膜61が露出する。
【0107】
次に、図12Cに示すように、酸化ランタン膜61をウエットエッチングする。この場合、エッチング用薬液として、例えば第1実施形態に示したように、フッ酸、塩酸、硫酸
及び水を含む混合液を用いる。
【0108】
続いて、図12Dに示すように、窒化チタン膜62、ハフニウムシリケート膜7の表面上に、酸化アルミニウム膜65を形成する。酸化アルミニウム膜65は、例えば第1実施形態において示した酸化アルミニウム膜8と同じ条件で形成される。
【0109】
次に、シリコン基板1をランプアニール装置に入れ、その中の窒素雰囲気内で例えば1000℃〜1050℃の温度で約5秒間の条件で、酸化ランタン膜61、酸化アルミニウム膜65等をアニールする。そのようなポストキャップアニール処理により、図12Eに示すように、酸化アルミニウム膜65内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させると同時に、酸化ランタン膜61内の元素とハフニウムシリケート膜7内の元素を相互に拡散させる。
【0110】
これにより、Nウエル5の上方にはAl・Hf含有High-k膜66が形成され、また、Pウエル6の上方にはLa・Hf含有High-k膜67が形成される。
【0111】
なお、Al・Hf含有High-k膜66の下の酸化シリコン膜4に含まれるシリコンは、アニールによりAl・Hf含有High-k膜66内の元素と相互拡散されてもよい。また、La・Hf含有High-k膜67の下の酸化シリコン膜4に含まれるシリコンは、アニールによりLa・Hf含有High-k膜67内の元素と相互拡散されてもよい。
【0112】
その後に、La・Hf含有High-k膜67の上の窒化チタン膜62をエッチングにより除去するとともに、その上の酸化アルミニウム膜65を除去する。この場合、窒化チタン膜62のエッチングに使用する薬液として例えば過酸化水素水を使用する。
【0113】
次に、図12Fに示すように、Al・Hf含有High-k膜66、La・Hf含有High-k膜67の上に、窒化チタン膜68、ポリシリコン膜69をCVD法により順に形成した後に、ポリシリコン膜69上に窒化シリコン膜70をCVD法により形成する。
【0114】
さらに、窒化シリコン膜70上にフォトレジストを塗布した後に、これを露光、現像することにより、Nウエル5、Pウエル6のそれぞれの上方にゲート電極形状を有するレジストパターン71を形成する。
【0115】
次に、レジストパターン71をマスクして、その下の窒化シリコン膜70、ポリシリコン膜69及び窒化チタン膜68を例えばRIE法によりエッチングする。これにより、図12Gに示すように、パターニングされたポリシリコン膜69及び窒化チタン膜68は、ゲート電極72、73として使用される。なお、パターニングされた窒化シリコン膜70はハードマスクとして使用され、ゲート電極72、73の形成後に除去される。
【0116】
次に、図12Hに示すように、ゲート電極72、73をマスクにして、Al・Hf含有High-k膜66、La・Hf含有High-k膜67、酸化シリコン膜4をエッチングすることにより、ゲート電極72、73の両側のシリコン基板1を露出させる。
【0117】
Al・Hf含有High-k膜66、La・Hf含有High-k膜67をエッチングする薬液として、例えば第1実施形態と同様に、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用する。
【0118】
これにより、Nウエル5とゲート電極72、73の間に残されたAl・Hf含有High-k膜66、酸化シリコン膜4をゲート絶縁膜74とし、Pウエル6とゲート電極73の間に残されたLa・Hf含有High-k膜67、酸化シリコン膜4をゲート絶縁膜75とする
。
【0119】
その後に、特に図示しないが、第1実施形態の図3J〜図3Rに示すと同様に、Nウエル5内において、ゲート電極72の両側にp型エクステンション領域21s、21d、n型ポケット領域23s、23d、p型ソース/ドレイン領域25s、25d等を形成する。さらに、Pウエル6内において、ゲート電極73の両側にn型エクステンション領域22s、22d、p型ポケット領域24s、24d、n型ソース/ドレイン領域26s、26d等を形成する。
【0120】
以上のように本実施形態によれば、フッ酸、塩酸、硫酸及び水の混合液を酸化ランタン膜61のエッチング用薬液に使用しているので、第1、第2実施形態と同様に、希土類金属含有のエッチング残渣の発生を防止することができる。
【0121】
さらに、ゲート絶縁膜72、73を形成するためにAl・Hf含有High-k膜66、La・Hf含有High-k膜67のエッチング用薬液として、フッ酸、塩酸、硫酸及び水を含む混合液を使用しているので、第1実施形態と同様に、エッチング残渣の発生を防止することができる。
【0122】
ところで、上記の各実施形態において、キャップ膜として、酸化ランタンの代わりに、希土類元素含有の酸化物である、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ジスプロシウム(Dy2O3)等を適用してもよい。さらに、High-k膜としては、HfSiOの他に、HfSiONを使用してもよく、最終的にドライエッチングを使用する場合には、HfSiOの他に、化学記号で示すHfO2、HfON、HfZrO、HfZrON、HfAlO、HfAlON等の酸化物を適用してもよい。
【0123】
ここで挙げた全ての例および条件的表現は、発明者が技術促進に貢献した発明および概念を読者が理解するのを助けるためのものであり、ここで具体的に挙げたそのような例および条件に限定することなく解釈すべきであり、また、明細書におけるそのような例の編成は本発明の優劣を示すこととは関係ない。本発明の実施形態を詳細に説明したが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、それに対して種々の変更、置換および変形を施すことができると理解することができる。
【0124】
次に、本発明の実施形態について特徴を付記する。
(付記1) 半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に希土類元素含有酸化膜を形成する工程と、
フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液により前記希土類元素含有酸化膜をエッチングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
(付記2) 前記薬液において、前記フッ酸の濃度は、前記塩酸、前記硫酸のそれぞれの濃度よりも低く設定されている付記1に記載の半導体装置の製造方法。
(付記3) 前記硫酸の前記濃度は、前記フッ酸の前記濃度の15倍以上である付記2に記載の半導体装置の製造方法。
(付記4) 前記薬液の処理の途中に、前記希土類元素含有酸化膜を水洗する工程を有する付記1乃至付記3のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記5) 前記希土類元素含有酸化膜の形成は、ハフニウム含有酸化膜と希土類元素含有酸化膜を
順に形成した後にアニールする工程を含む付記1乃至付記4のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記6) 前記希土類元素含有酸化膜をエッチングする前には、
前記希土類元素含有酸化膜上に導電膜を形成する工程と、
前記導電膜上にマスク層を形成する工程と、
前記マスク層をマスクに使用して前記導電膜をエッチングする工程と、
を有することを特徴とする付記1乃至付記5のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
(付記7) 前記導電膜をエッチングすることにより前記マスク層の下にゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクに使用して前記薬液により前記希土類元素含有酸化膜をエッチングすることにより、前記ゲート電極の下に前記希土類元素含有酸化膜を有するゲート絶縁膜を形成する工程と、
を有することを特徴とする付記6に記載の半導体装置の製造方法。
【符号の説明】
【0125】
1 シリコン基板(半導体基板)
3 STI
4 酸化シリコン膜
5 Nウエル
6 Pウエル
7 ハフニウムシリケート膜
8 酸化アルミニウム膜
9 窒化チタン膜
10 窒化シリコン膜
12 酸化ランタン膜
13 窒化チタン膜
14 ポリシリコン膜
16,17 ゲート電極
18、19 ゲート絶縁膜
42 窒化チタン膜
43 窒化シリコン膜
44 Al・Hf含有High-k膜
45 La・Hf含有High-k膜
46 窒化チタン膜
47 ポリシリコン膜
51、52 ゲート電極
53、54 ゲート絶縁膜
61 酸化ランタン膜
62 窒化チタン膜
63 窒化シリコン膜
65 酸化アルミニウム膜
66 Al・Hf含有High-k膜
67 La・Hf含有High-k膜
68 窒化チタン膜
69 ポリシリコン膜
72、73 ゲート電極
74、75 ゲート絶縁膜
【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に希土類元素含有酸化膜を形成する工程と、
フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液により前記希土類元素含有酸化膜をエッチングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記薬液において、前記フッ酸の濃度は、前記塩酸、前記硫酸のそれぞれの濃度よりも低く設定されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記薬液の処理の途中に、前記希土類元素含有酸化膜を水洗する工程を有する請求項1又は至請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記希土類元素含有酸化膜の形成は、ハフニウム含有酸化膜と希土類元素含有酸化膜を順に形成した後にアニールする工程を含む請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項1】
半導体基板上に絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜上に希土類元素含有酸化膜を形成する工程と、
フッ酸、塩酸、硫酸を含む薬液により前記希土類元素含有酸化膜をエッチングする工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記薬液において、前記フッ酸の濃度は、前記塩酸、前記硫酸のそれぞれの濃度よりも低く設定されている請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
前記薬液の処理の途中に、前記希土類元素含有酸化膜を水洗する工程を有する請求項1又は至請求項2に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項4】
前記希土類元素含有酸化膜の形成は、ハフニウム含有酸化膜と希土類元素含有酸化膜を順に形成した後にアニールする工程を含む請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3D】
【図3G】
【図3J】
【図3M】
【図3P】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11D】
【図11G】
【図11J】
【図12A】
【図12D】
【図12G】
【図2】
【図3A】
【図3D】
【図3G】
【図3J】
【図3M】
【図3P】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11D】
【図11G】
【図11J】
【図12A】
【図12D】
【図12G】
【公開番号】特開2012−38816(P2012−38816A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175626(P2010−175626)
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月4日(2010.8.4)
【出願人】(308014341)富士通セミコンダクター株式会社 (2,507)
【Fターム(参考)】
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