説明

半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造方法

【課題】集積回路のコア部のロジックトランジスタ(MOSFET、MISFET)は、世代が進むごとに動作電圧をスケーリングすることで微細化が可能である。しかし、高耐圧部のトランジスタ(MOSFET、MISFET)は比較的高い電源電圧で動作するために縮小化が困難であり、同様に電源セル内の静電気放電(ESD)保護回路は、静電気(外来サージ)から半導体集積回路内の素子を保護するために耐圧が高いことが必須であり、電荷を逃がすために大面積である必要がある。従って、集積回路の微細化のためには、微細化が可能なトランジスタ構造が必須である。
【解決手段】本願発明は、ソース側にのみハロー領域を有するソースドレイン非対称構造の一対のMISFETから構成されたCMISインバータをESD保護回路部に有する半導体集積回路装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体集積回路装置(または半導体装置)および半導体集積回路装置(または半導体装置)の製造方法におけるESD(Electro−Static Discharge)保護技術に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許第5994176号公報(特許文献1)には、コア(Core)用MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)として、ソースドレイン対称型FETを使用し、ESD保護回路用MISFETとして、ドレイン側のみをLDD(Lightly Doped Drain)構造としたソースドレイン非対称型FETを使用する技術が開示されている。
【0003】
米国特許第7393752号公報(特許文献2)には、ディープサブミクロン(Deep Submicron)の集積回路用のパワーMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)として、ドレイン側のみをLDD構造とし、且つ、ソース側にハロー(Halo)領域を設けたソースドレイン非対称型FETが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第5994176号公報
【特許文献2】米国特許第7393752号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
集積回路のコア部のロジックトランジスタ(MOSFET、MISFET)は、世代が進むごとに動作電圧をスケーリングすることで微細化が可能である。しかし、高耐圧部のトランジスタ(MOSFET、MISFET)は比較的高い電源電圧で動作するために縮小化が困難であり、同様に電源セル内の静電気放電(ESD)保護回路は、静電気(外来サージ)から半導体集積回路内の素子を保護するために耐圧が高いことが必須であり、電荷を逃がすために大面積である必要がある。従って、集積回路の微細化のためには、微細化が可能なトランジスタ構造が必須である。
【0006】
本願発明は、これらの課題を解決するためになされたものである。
【0007】
本発明の目的は、信頼性の高い半導体集積回路装置および半導体集積回路装置の製造プロセスを提供することにある。
【0008】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0010】
すなわち、本願の一つの発明は、ソース側にのみハロー領域を有するソースドレイン非対称構造の一対のMISFETから構成されたCMISインバータをESD保護回路部に有する半導体集積回路装置である。
【発明の効果】
【0011】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0012】
すなわち、ソース側にのみハロー領域を有するソースドレイン非対称構造の一対のMISFETから構成されたCMISインバータをESD保護回路部に有する半導体集積回路装置とすることによって、高耐圧部のトランジスタの微細化が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の高耐圧非対称MISFETの基本的構造を例示するNチャネル高耐圧非対称MISFETのデバイス断面図である。
【図2】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置に関する半導体集積回路チップ上での基本的構成、主要デバイス構造、回路、およびシステムを説明するためのチップ上面等のレイアウト図である。
【図3】図2のレイアウトにおける電源、ESD保護回路、インターフェース部、コアロジック回路部等の関係を説明するための回路ブロック図である。
【図4】図3のディカップリングコンデンサ部DCの具体的回路例を示す詳細回路図である。
【図5】図3のESD保護回路部(ESD)の具体的回路例を示す詳細回路図である。
【図6】図3の降圧回路部8の具体的回路例を示す詳細回路図である。
【図7】図3の信号出力バッファ回路部BFの具体的回路例を示す詳細回路図である。
【図8】図7の高耐圧対称CMISFET−NORゲート(NORS)の具体的回路例を示す詳細回路図である。
【図9】図7の高耐圧対称CMISFET−NANDゲート(NANDS)の具体的回路例を示す詳細回路図である。
【図10】図5、図6、及び図7のNチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QNHAH)、Nチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET(QNHAL)、Pチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QPHAH)、およびPチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET(QPHAL)のデバイス構造の概略を示すデバイス模式断面図である。
【図11】図3、図4、図5、図7、図8、及び図9のNチャネル高耐圧対称MISFET(QNHS)、Pチャネル高耐圧対称MISFET(QPHS)、およびNチャネル高耐圧対称MOS型コンデンサ(CHSM1、CHSM2、CHSM3)のデバイス構造の概略を示すデバイス模式断面図である。
【図12】図2及び図3のコアロジック回路部5を構成する低耐圧対称MISFET(QNC、QPC)のデバイス構造の概略を示すデバイス模式断面図である。
【図13】図3、及び図7のESD保護ダイオード(D1、D2、D3)のデバイス構造の概略を示すデバイス模式断面図である。
【図14】本願の一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(素子分離領域形成工程)である。
【図15】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(低耐圧コアロジック回路部のPウエル導入工程)である。
【図16】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(高耐圧部のPウエル導入工程)である。
【図17】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(P型パンチスルーストッパ領域導入工程)である。
【図18】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(高耐圧部のゲート絶縁膜形成工程)である。
【図19】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(低耐圧部のゲート絶縁膜除去工程)である。
【図20】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(低耐圧部のゲート絶縁膜形成工程)である。
【図21】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(ゲート電極膜成膜工程)である。
【図22】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(ゲート電極パターニング工程)である。
【図23】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(対称N型ソースドレインエクステンション領域導入工程)である。
【図24】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(非対称N型ドレインエクステンション領域導入工程)である。
【図25】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(N型ソースエクステンション領域およびP型ハロー領域導入工程)である。
【図26】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(低耐圧部のN型エクステンション領域導入工程)である。
【図27】本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(各部に共通な高濃度N型ソースドレイン領域導入工程)である。
【図28】図27に対応するデバイス変形例1(パンチスルーストッパ省略構造)のウエハ部分断面図(各部に共通な高濃度N型ソースドレイン領域導入工程)である。
【図29】図25に対応するプロセス変形例1(パンチスルーストッパ&ソース導入共通化プロセス)のウエハ部分断面図(P型パンチスルーストッパ領域、N型ソースエクステンション領域およびP型ハロー領域導入工程)である。
【図30】図24に対応するプロセス変形例2(高耐圧対称MISFETのソースドレインの導入を非対称MISFETのドレインエクステンションと共通化するプロセス)のウエハ部分断面図(対称N型ソースドレインエクステンション領域および非対称N型ドレインエクステンション領域導入工程)である。
【図31】基本プロセスにおけるパンチスルーストッパ導入工程(図17)の詳細を説明するためのNチャネル型高耐圧非対称MISFET(低Vth)の拡大断面図である。
【図32】基本プロセスにおけるパンチスルーストッパ導入工程(図17)の詳細を説明するためのNチャネル型高耐圧非対称MISFET(標準Vth)の拡大断面図である。
【図33】基本プロセスにおけるパンチスルーストッパ導入工程(図17)の詳細を説明するためのNチャネル型高耐圧非対称MISFET(高Vth)の拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
〔実施の形態の概要〕
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。
【0015】
1.以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面上のコアロジック回路部に設けられたCMIS論理ゲート;
(c)前記CMIS論理ゲートを構成する第1のNチャネル型MISFET;
(d)前記CMIS論理ゲートを構成する第1のPチャネル型MISFET;
(e)前記半導体チップの前記第1の主面上の信号出力バッファ回路部に設けられたCMISバッファ;
(f)前記CMISバッファを構成し、前記第1のNチャネル型MISFETよりも動作電圧が高い第2のNチャネル型MISFET;
(g)前記CMISバッファを構成し、前記第1のPチャネル型MISFETよりも動作電圧が高い第2のPチャネル型MISFET;
(h)前記半導体チップの前記第1の主面上のESD保護回路部に設けられたCMISインバータ;
(i)前記CMISインバータを構成し、前記第1のNチャネル型MISFETよりも動作電圧が高い第3のNチャネル型MISFET;
(j)前記CMISインバータを構成し、前記第1のPチャネル型MISFETよりも動作電圧が高い第3のPチャネル型MISFET、
ここで、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETのそれぞれは、ソース側にのみハロー領域を有するソースドレイン非対称構造を有する。
【0016】
2.前記1項の半導体集積回路装置において、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETのそれぞれは、更に、以下を含む:
(x1)高濃度ドレイン領域;
(x2)前記高濃度ドレイン領域よりも深く、かつ、ドレイン側からゲート電極の下方に亘って延在するドレインエクステンション領域。
【0017】
3.前記1または2項の半導体集積回路装置において、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETのゲート絶縁膜の膜厚は、それぞれ前記第1のNチャネル型MISFETおよび前記第1のPチャネル型MISFETのゲート絶縁膜の膜厚よりも厚い。
【0018】
4.前記1から3項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第2のNチャネル型MISFETおよび前記第2のPチャネル型MISFETのそれぞれは、ソース側にのみハロー領域を有するソースドレイン非対称構造を有する。
【0019】
5.前記1から4項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETの閾値電圧は、それぞれ前記第2のNチャネル型MISFETおよび前記第2のPチャネル型MISFETの閾値電圧よりも低い。
【0020】
6.前記1から5項のいずれか一つの半導体集積回路装置において、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETのそれぞれは、更に、以下を含む:
(x1)ソース側に設けられ、前記ハロー領域よりも深いパンチスルーストッパ領域。
【0021】
7.以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面に設けられたソースドレイン非対称構造を有するNチャネル型MISFET、
ここで、前記Nチャネル型MISFETは、以下を有する:
(b1)前記半導体チップの前記第1の主面内に、ゲート電極を挟んで形成されたN型高濃度ソース領域およびN型高濃度ドレイン領域;
(b2)前記N型高濃度ソース領域の前記ゲート電極側の端部に設けられたN型ソースエクステンション領域;
(b3)前記N型ソースエクステンション領域を囲むように設けられ、それよりも深いP型ハロー領域。
【0022】
8.前記7項の半導体集積回路装置において、前記Nチャネル型MISFETは、更に以下を有する:
(b4)前記高濃度ドレイン領域よりも深く、かつ、ドレイン側からゲート電極の下方に亘って延在するN型ドレインエクステンション領域。
【0023】
9.前記7または8項の半導体集積回路装置において、前記Nチャネル型MISFETは、更に以下を有する:
(b5)ソース側に設けられ、前記P型ハロー領域よりも深いP型パンチスルーストッパ領域。
【0024】
10.(a)第1の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面に設けられたソースドレイン非対称Nチャネル型MISFET、
を有する半導体集積回路装置の製造方法であって、前記ソースドレイン非対称Nチャネル型MISFETは:
(b1)前記半導体チップの前記第1の主面内に、第1のゲート電極を挟んで形成された第1のN型高濃度ソース領域および第1のN型高濃度ドレイン領域;
(b2)前記第1のN型高濃度ソース領域の前記ゲート電極側の端部に設けられた第1のN型ソースエクステンション領域;
(b3)前記第1のN型ソースエクステンション領域を囲むように設けられ、それよりも深いP型ハロー領域;
(b4)ソース側に設けられ、前記P型ハロー領域よりも深いP型パンチスルーストッパ領域を有し、
ここで、前記半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含む:
(x)前記P型パンチスルーストッパ領域および前記P型ハロー領域を同一のイオン注入マスクを用いて導入する工程。
【0025】
11.前記10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ソースドレイン非対称Nチャネル型MISFETは、更に以下を有する:
(b5)前記第1の高濃度ドレイン領域よりも深く、かつ、ドレイン側から第1のゲート電極の下方に亘って延在する第1のN型ドレインエクステンション領域。
【0026】
12.前記11項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記半導体集積回路装置は更に:
(c)前記半導体チップの前記第1の主面に設けられたソースドレイン対称Nチャネル型MISFETを含み、前記ソースドレイン対称Nチャネル型MISFETは:
(c1)前記半導体チップの前記第1の主面内に、第2のゲート電極を挟んで形成された第2のN型高濃度ソース領域および第2のN型高濃度ドレイン領域;
(c2)前記第2の高濃度ドレイン領域よりも深い第2のN型ドレインエクステンション領域;
(c3)前記第2の高濃度ソース領域よりも深い第2のN型ソースエクステンション領域を有し、
ここで、前記半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含む:
(y)前記第1のN型ドレインエクステンション領域および前記第2のN型ソースエクステンション領域を同一のイオン注入マスクを用いて導入する工程。
【0027】
〔本願における記載形式、基本的用語、用法の説明〕
1.本願において、実施の態様の記載は、必要に応じて、便宜上複数のセクションに分けて記載する場合もあるが、特にそうでない旨明示した場合を除き、これらは相互に独立別個のものではなく、単一の例の各部分、一方が他方の一部詳細または一部または全部の変形例等である。また、原則として、同様の部分は繰り返しを省略する。また、実施の態様における各構成要素は、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、必須のものではない。
【0028】
更に、本願において、「半導体装置」または「半導体集積回路装置」というときは、主に、各種トランジスタ(能動素子)単体、および、それらを中心に、抵抗、コンデンサ等を半導体チップ等(たとえば単結晶シリコン基板)上に集積したものをいう。ここで、各種トランジスタの代表的なものとしては、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)に代表されるMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)を例示することができる。このとき、集積回路構成の代表的なものとしては、Nチャネル型MISFETとPチャネル型MISFETを組み合わせたCMOS(Complemetary Metal Oxide Semiconductor)型集積回路に代表されるCMIS(Complemetary Metal Insulator Semiconductor)型集積回路を例示することができる。
【0029】
今日の半導体集積回路装置、すなわち、LSI(Large Scale Integration)のウエハ工程は、通常、原材料としてのシリコンウエハの搬入からプリメタル(Premetal)工程(M1配線層下端とゲート電極構造の間の層間絶縁膜等の形成、コンタクトホール形成、タングステンプラグ、埋め込み等からなる工程)あたりまでのFEOL(Front End of Line)工程と、M1配線層形成から始まり、アルミニウム系パッド電極上のファイナルパッシベーション膜へのパッド開口の形成あたりまで(ウエハレベルパッケージプロセスにおいては、当該プロセスも含む)のBEOL(Back End of Line)工程に大別できる。FEOL工程の内、ゲート電極パターニング工程、コンタクトホール形成工程等は、特に微細な加工が要求される微細加工工程である。一方、BEOL工程においては、ビアおよびトレンチ形成工程、特に、比較的下層のローカル配線(たとえば4層程度の構成の埋め込み配線では、M1からM3あたりまで、10層程度の構成の埋め込み配線では、M1からM5あたりまでの微細埋め込み配線)等において、特に微細加工が要求される。なお、「MN(通常N=1から15程度)」で、下から第N層配線を表す。M1は第1層配線であり、M3は第3層配線である。
【0030】
2.同様に実施の態様等の記載において、材料、組成等について、「AからなるX」等といっても、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかに、そうでない場合を除き、A以外の要素を主要な構成要素のひとつとするものを排除するものではない。たとえば、成分についていえば、「Aを主要な成分として含むX」等の意味である。たとえば、「シリコン部材」等といっても、純粋なシリコンに限定されるものではなく、SiGe合金やその他シリコンを主要な成分とする多元合金、その他の添加物等を含む部材も含むものであることはいうまでもない。同様に、「酸化シリコン膜」、「酸化シリコン系絶縁膜」等と言っても、比較的純粋な非ドープ酸化シリコン(Undoped Silicon Dioxide)だけでなく、FSG(Fluorosilicate Glass)、TEOSベース酸化シリコン(TEOS-based silicon oxide)、SiOC(Silicon Oxicarbide)またはカーボンドープ酸化シリコン(Carbon-doped Silicon oxide)またはOSG(Organosilicate glass)、PSG(Phosphorus Silicate Glass)、BPSG(Borophosphosilicate Glass)等の熱酸化膜、CVD酸化膜、SOG(Spin ON Glass)、ナノクラスタリングシリカ(Nano-Clustering Silica:NCS)等の塗布系酸化シリコン、これらと同様な部材に空孔を導入したシリカ系Low-k絶縁膜(ポーラス系絶縁膜)、およびこれらを主要な構成要素とする他のシリコン系絶縁膜との複合膜等を含むことは言うまでもない。
【0031】
また、酸化シリコン系絶縁膜と並んで、半導体分野で常用されているシリコン系絶縁膜としては、窒化シリコン系絶縁膜がある。この系統の属する材料としては、SiN,SiCN,SiNH,SiCNH等がある。ここで、「窒化シリコン」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiNおよびSiNHの両方を含む。同様に、「SiCN」というときは、特にそうでない旨明示したときを除き、SiCNおよびSiCNHの両方を含む。
【0032】
なお、SiCは、SiNと類似の性質を有するが、SiONは、むしろ、酸化シリコン系絶縁膜に分類すべき場合が多い。
【0033】
窒化シリコン膜は、SAC(Self−Aligned Contact)技術におけるエッチストップ膜として、多用されるほか、SMT(Stress Memorization Technique)における応力付与膜としても使用される。
【0034】
同様に、「ニッケルシリサイド」というときは、通常、ニッケルモノシリサイドを指すが、比較的純粋なものばかりではなく、ニッケルモノシリサイドを主要な構成要素とする合金、混晶等を含む。また、シリサイドは、ニッケルシリサイドに限らず、従来から実績のあるコバルトシリサイド、チタンシリサイド、タングステンシリサイド等でもよい。また、シリサイド化のための金属膜としては、Ni(ニッケル)膜以外にも、例えばNi−Pt合金膜(NiとPtの合金膜)、Ni−V合金膜(NiとVの合金膜)、Ni−Pd合金膜(NiとPdの合金膜)、Ni−Yb合金膜(NiとYbの合金膜)またはNi−Er合金膜(NiとErの合金膜)のようなニッケル合金膜などを用いることができる。なお、これらのニッケルを主要な金属元素とするシリサイドを「ニッケル系のシリサイド」と総称する。
【0035】
3.同様に、図形、位置、属性等に関して、好適な例示をするが、特にそうでない旨明示した場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、厳密にそれに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0036】
4.さらに、特定の数値、数量に言及したときも、特にそうでない旨明示した場合、理論的にその数に限定される場合および文脈から明らかにそうでない場合を除き、その特定の数値を超える数値であってもよいし、その特定の数値未満の数値でもよい。
【0037】
5.「ウエハ」というときは、通常は半導体集積回路装置(半導体装置、電子装置も同じ)をその上に形成する単結晶シリコンウエハを指すが、エピタキシャルウエハ、SOI基板、LCDガラス基板等の絶縁基板と半導体層等の複合ウエハ等も含むことは言うまでもない。
【0038】
6.ここで、実施形態等の説明に使用するMISFETの拡散構造、不純物ドープ領域構造等に関する主要な用語を説明する。
【0039】
「ショートチャネル効果(Short Channel Effects)」は、一般に、チャネル長が微小化した結果、ドレイン空乏層がソースに影響して、MISFETの閾値電圧が低下したり(すなわちVth低下)、パンチスルーが発生したりすることを言う。
【0040】
「高濃度ソース&ドレイン領域」は、MISFETのソース&ドレイン領域(「ソース領域およびドレイン領域」または「ソース領域またはドレイン領域」のことを言う)の主要部を構成する不純物ドープ領域であり、「高濃度」とは、次に説明する「ソース&ドレインエクステンション領域」と比較した場合、相対的に高濃度であることを表示する。
【0041】
「ソース&ドレインエクステンション領域」は、高濃度ソース&ドレイン領域のゲート電極側端部を越えて延在する相対的に低濃度で同一導電型の不純物ドープ領域であり、代表的なものとしてDDD領域、LDD領域等が多用されている。
【0042】
「DDD(Double Diffused Drain)領域」は、高濃度ソース&ドレイン領域を囲むように設けられ、同領域よりも深いソース&ドレインエクステンション領域であり、ドレイン近傍の電界を緩和してホットキャリア効果を緩和する効果があるが、反面、深すぎるとショートチャネル効果が顕著となる。
【0043】
「LDD(Lightly Doped Drain)領域」は、高濃度ソース&ドレイン領域と同程度か、又は、それよりも浅いソース&ドレインエクステンション領域であり、ショートチャネル効果を避けて、ドレイン近傍の電界を緩和してホットキャリア効果を緩和する効果があるが、反面、ソースドレイン抵抗等が増加する。
【0044】
「ハロー(Halo)領域」は、ソース&ドレインエクステンション領域を取り囲み、基板やウエル領域と同一導電型で、それよりも高濃度の不純物ドープ領域であり、ショートチャネル効果を抑制する効果がある。通常、比較的大きな角度で4方向からの斜方イオン注入によって導入される。
【0045】
「パンチスルーストッパ領域」は、ドレイン空乏層がソース領域に到達しないように、ソース領域のゲート電極側端部等の深部に亘り導入されたハロー領域と同一導電型で、それよりも深い不純物ドープ領域である。
【0046】
「ソースドレイン非対称構造」は、MISFETのソースドレイン等の不純物ドープ領域の構造、組み合わせが非対称であることをいう。そのようなMISFETを「ソースドレイン非対称MISFET」という。なお、単に半導体チップ等の上面から平面的に見たとき、ソースドレイン面積、形状等が非対称であるだけのものは、「ソースドレイン非対称構造」ではない。
【0047】
「ソースドレイン対称構造」は、MISFETのソースドレイン等の不純物ドープ領域の構造、組み合わせが対称であることをいう。そのようなMISFETを「ソースドレイン対称MISFET」という。
【0048】
〔実施の形態の詳細〕
実施の形態について更に詳述する。各図中において、同一または同様の部分は同一または類似の記号または参照番号で示し、説明は原則として繰り返さない。
【0049】
また、添付図面においては、却って、煩雑になる場合または空隙との区別が明確である場合には、断面であってもハッチング等を省略する場合がある。これに関連して、説明等から明らかである場合等には、平面的に閉じた孔であっても、背景の輪郭線を省略する場合がある。更に、断面でなくとも、空隙でないことを明示するために、ハッチングを付すことがある。
【0050】
1.本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の高耐圧ソースドレイン非対称構造MISFET(基本構造)等の説明(主に図1)
ここでは、半導体チップ上において、主に、ボンディングパッド(チップ上の端子電極)等が配置されたインターフェース回路部4(図2)に設けられる高耐圧MISFETについて説明する。「高耐圧」とは、コアロジック回路部5(図2)が、たとえば、主に1.2ボルト程度で動作する一方で、インターフェース回路部4は、5ボルト程度で動作するようにデバイスの耐圧が相対的に高いことを示す。従って、コアロジック回路部5は、主に、低耐圧MISFETで構成されている。
【0051】
なお、本実施の形態の集積回路装置は、各種のMISFETについて、主にCMIS構成(すなわち、Nチャネルデバイスがあれば、それに対応したPチャネルデバイスがある)をとっているが、デバイス構造について、以下では、主に、Nチャネル型デバイスを例にとり、具体的に説明する。これは、Nチャネル型デバイスを説明すれば、Pチャネル型デバイスの構造および製法に関しては、NP置換操作により、明確に理解できるからである。
【0052】
図1は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の高耐圧非対称MISFETの基本的構造を例示するNチャネル高耐圧非対称MISFETのデバイス断面図である。これに基づいて、本願の一実施の形態の半導体集積回路装置の高耐圧非対称MISFET(基本構造)等を説明する。
【0053】
図1に示すように、Nチャネル型高耐圧非対称MISFETは、たとえば、P型単結晶シリコン基板(最終製品においては、半導体チップ2であり、製造工程中においては、半導体ウエハ1であり、半導体チップ2および半導体ウエハ1の裏面側は、もともとの基板部分1sである)の非対称高耐圧MISFET領域21の表面1a(裏面1bの反対の面)側(具体的には、表面、表面上、および表面内)に形成されている。なお、半導体チップ2、半導体ウエハ1等(以下「半導体基板等」という)は、その全部又は一部がSOI構造であっても良い。また、半導体基板等は、P型単結晶シリコン基板のほか、必要に応じて、N型単結晶シリコン基板でもよいし、各電導型のエピタキシャル基板でもよい。また、SiGeその他のシリコン以外の半導体基板でもよい(それらを一部に含むものを含む)。
【0054】
非対称高耐圧MISFET領域21(正確には、Nチャネル型非対称高耐圧MISFET領域)は、半導体チップ2の表面1a領域において、STI(Shallow Trench Isolation)絶縁膜23等の素子分離領域によって囲まれている(その他の分離方式でも良い)。この囲まれた領域をアクティブ領域という。アクティブ領域上には、ゲート絶縁膜15h(高耐圧部ゲート絶縁膜)を介して、ゲート電極16(第1のゲート電極)が設けられており、これらの周辺には、サイドウォールスペーサ絶縁膜17が設けられている。半導体チップ2の表面1a内には、アクティブ領域(Nチャネル型非対称高耐圧MISFETのアクティブ領域)の全体にわたって、比較的深い高耐圧部Pウエル領域11phが設けられている。
【0055】
次に、ドレイン側10の不純物ドープ領域について説明する。ドレイン側10の半導体チップ2の表面1a内の高耐圧部Pウエル領域11ph内には、比較的浅いN型高濃度ドレイン領域14n(第1のN型高濃度ドレイン領域)および、それを取り囲むような形状であってN型高濃度ドレイン領域14nよりも不純物濃度が低く、それよりも深い非対称N型ドレインエクステンション領域12nha(必ずしも、相対的に深い必要はないが、深い方が電界緩和の効果が大きい)が設けられている。このドレインエクステンション領域12nha(第1のドレインエクステンション領域)は、いわゆるDDD領域であり、LDD領域とすることもできるが、その場合は、先に説明したように、電界緩和の効果が小さくなる。また、この深い非対称N型ドレインエクステンション領域12nhaは、ゲート電極16との間に、比較的大きなオーバーラップを有しており、これによってドレイン端における電界緩和の効果を高めている(オーバーラップを大きく取ると低濃度のLDD領域を広くできるからである)。
【0056】
一方、ソース側9の半導体チップ2の表面1a内の高耐圧部Pウエル領域11ph内(表面近傍)には、比較的浅いN型高濃度ソース領域14n(第1のN型高濃度ソース領域)、および、これからゲート電極側に突出し、これよりも濃度が低く、深さが同等か、それよりも浅いN型ソースエクステンション領域20nha(第1のN型ソースエクステンション領域)が設けられている。この浅いN型ソースエクステンション領域20nhaは、いわゆるLDD領域となっているが、これは、以下の示すように、ソース側に、ハロー領域を導入するためである。
【0057】
更に、ソース側9の半導体チップ2の表面1a内の高耐圧部Pウエル領域11ph内には、N型ソースエクステンション領域20nhaを取り囲むように、それよりも深く、且つ、高耐圧部Pウエル領域11phと同一の導電型を有し、これよりも高濃度の高耐圧ソース部のP型ハロー領域19phが設けられている。このように、ソース側にのみ、ハロー領域19phを導入する非対称構造とすることにより、対称構造では困難なドレイン耐圧を下げることなく、ショートチャネル効果を抑制する効果を得ている。このことは、後に説明するように、NチャネルMISFETについていえば、原則として、ソース側が接地され、ドレイン側が電源電圧の状態で動作し、一方向の電流のみを流す部分にのみ、この非対称高耐圧MISFETを用い、電流方向が入れ替わるような部分には、対称高耐圧MISFETを用いることを前提としている。
【0058】
また、ソース側9の半導体チップ2の表面1a内には、高耐圧部Pウエル領域11phと同等又はそれよりも深く、それよりも不純物濃度の高いP型パンチスルーストッパ領域18p(濃度的には、P型ハロー領域19phよりも薄いが、深さは、P型ハロー領域19phよりも深い)が設けられている。このように、ソース側にのみ、パンチスルーストッパ領域18pを設けることができる非対称高耐圧MISFETでは、ドレイン耐圧を下げることなく、有効に、パンチスルーを防止することができる。
【0059】
また、このような非対称高耐圧MISFETでは、ゲート長を短くすることができるため、対称高耐圧MISFETよりも占有面積を小さくすることができ、その結果、対称高耐圧MISFETのみで、高耐圧回路を構成したときに比較して、高耐圧回路の占有面積を縮小することができる。
【0060】
2.本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置に関する半導体集積回路チップ上での基本的構成、主要デバイス構造、回路、およびシステムの説明(主に図2から図13)
図2は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置に関する半導体集積回路チップ上での基本的構成、主要デバイス構造、回路、およびシステムを説明するためのチップ上面等のレイアウト図である。図3は図2のレイアウトにおける電源、ESD保護回路、インターフェース部、コアロジック回路部等の関係を説明するための回路ブロック図である。図4は図3のディカップリングコンデンサ部DCの具体的回路例を示す詳細回路図である。図5は図3のESD保護回路部(ESD)の具体的回路例を示す詳細回路図である。図6は図3の降圧回路部8の具体的回路例を示す詳細回路図である。図7は図3の信号出力バッファ回路部BFの具体的回路例を示す詳細回路図である。図8は図7の高耐圧対称CMISFET−NORゲート(NORS)の具体的回路例を示す詳細回路図である。図9は図7の高耐圧対称CMISFET−NANDゲート(NANDS)の具体的回路例を示す詳細回路図である。図10は図5、図6、及び図7のNチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QNHAH)、Nチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET(QNHAL)、Pチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QPHAH)、およびPチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET(QPHAL)のデバイス構造の概略を示すデバイス模式断面図である。図11は図3、図4、図5、図7、図8、及び図9のNチャネル高耐圧対称MISFET(QNHS)、Pチャネル高耐圧対称MISFET(QPHS)、およびNチャネル高耐圧対称MOS型コンデンサ(CHSM1、CHSM2、CHSM3)のデバイス構造の概略を示すデバイス模式断面図である。図12は図2及び図3のコアロジック回路部5を構成する低耐圧対称MISFET(QNC、QPC)のデバイス構造の概略を示すデバイス模式断面図である。図13は図3、及び図7のESD保護ダイオード(D1、D2、D3)のデバイス構造の概略を示すデバイス模式断面図である。これらに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置に関する半導体集積回路チップ上での基本的構成、主要デバイス構造、回路、およびシステムを説明する。
【0061】
(1)チップ上のレイアウト等の説明(主に図2):
図2に基づいて、前記セクション1で説明した高耐圧非対称MISFETを使用した半導体集積回路チップ上のシステム構成等を説明する。図2に示すように、半導体チップ2の表面1aの周辺部に設けられたインターフェース回路部4には、複数のボンディングパッド7(チップ上の端子電極)が配置されており、そのうちの高電圧電源端子Vcc(たとえば、5ボルト外部電源)および接地端子Gndには、それぞれ外部電源3から電源電位及び接地電位が供給されている。半導体チップ2の表面1aの内部領域には、たとえば、コアロジック回路部5、メモリ回路部6等が設けられている。インターフェース回路部4は、たとえば、主に5ボルト程度の外部高電圧電源で駆動されており、コアロジック回路部5およびメモリ回路部6は主に、内部降圧低電圧電源で駆動されている。すなわち、多電圧電源系である。
【0062】
このコアロジック回路部5およびメモリ回路部6等には、多数のCMIS論理ゲートが設けられており、それらは、たとえば、第1のNチャネル型MISFET、第1のPチャネル型MISFET等から構成されている。
【0063】
(2)各回路ブロック等の説明(主に図3から図9)
次に図3に基づいて、図2のレイアウトにおける電源端子Vcc(接地端子Gnd)、ESD保護回路部(ESD)、インターフェース部4、コアロジック回路部5等の関係を説明する。図3に示すように、インターフェース部4内には、電源端子Vccおよび接地端子Gndがあり、それらから外部高圧電源電圧が供給されている。高圧電源電位と接地電位の間には、ディカップリングコンデンサ部DC(Nチャネル高耐圧対称MOS型コンデンサCHSM1、CHSM2)、ESD保護回路部(ESD)、信号出力バッファ回路部BF(I/Oバッファ等)、降圧回路部8等が接続されている。降圧回路部8からは、たとえば、1.2ボルト程度の低電圧電源電位Vddが供給されており、コアロジック回路部5等を駆動しており、コアロジック回路部5からの出力信号は、信号出力バッファ回路部BFを介して、信号出力端子Tから外部に出力される。前記のように、信号出力バッファ回路部BFには、CMISバッファが設けられており、このCMISバッファは、たとえば、コアロジック回路部5を構成するNチャネル型MISFET(Pチャネル型MISFET)よりも動作電圧が高い、第2のNチャネル型MISFET(第2のPチャネル型MISFET)で構成されている。
【0064】
次に、図3のディカップリングコンデンサ部DCの詳細を図4に示す。電源電圧の揺らぎによる放射電磁雑音すなわちEMI(Electro−Magnetic Interference)を抑制するため、ディカップリングコンデンサ部DCとしては、容量の大きなものを使用する必要があるため、ゲート長の大きなソースドレイン対称構造を有する高耐圧MISFET型のNチャネル高耐圧対称MOS型コンデンサCHSM1、CHSM2を使用するのが好適である。
【0065】
次に、図3のESD保護回路部(ESD)の詳細を図5に示す。図5に示すように、高圧電源電位と接地電位の間には、たとえば、ポリシリコン抵抗R1とコンデンサCHSM3(たとえば、Nチャネル高耐圧対称MOS型コンデンサCHSM1、CHSM2等と同様の構造を有するもの)の直列接続回路、この直列接続回路の中間点の電位を受ける複数のソースドレイン非対称高耐圧MISFET対から構成された高耐圧非対称低Vth型CMISFETインバータ群INVALG(直列接続多連インバータ群)、高耐圧非対称低Vth型CMISFETインバータ群INVALGの出力によって、高圧電源電位と接地電位の間を短絡するNチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET(QNHAL4)、ESD保護D1等が接続されている。このESD保護回路部(ESD)は、正常に電源電圧が印加されている状態では、ポリシリコン抵抗R1とコンデンサCHSM3の中間点の電位は、Highであり、その結果、直列接続多連インバータ群INVALGの出力は、Lowとなっており、シャントMISFET(QNHAL4)は、オフ状態である。一方、高電圧電源端子Vcc側に、正の高電圧のサージ電圧(接地電位Gndとの間に)が印加された場合を想定すると、当初、ポリシリコン抵抗R1とコンデンサCHSM3の中間点の電位は、Lowとなっており、その結果、シャントMISFET(QNHAL4)は、オン状態であり、サージ電圧を逃がす働きをする。ポリシリコン抵抗R1とコンデンサCHSM3で決まる時定数は、十分に大きいので、シャントMISFET(QNHAL4)のオン状態の時間も十分に長い。前記のように、ESD保護回路部(ESD)には、CMISインバータが設けられており、このCMISインバータは、たとえば、コアロジック回路部5を構成するNチャネル型MISFET(Pチャネル型MISFET)よりも動作電圧が高い、第3のNチャネル型MISFET(第3のPチャネル型MISFET)で構成されている。
【0066】
ここで、ESD保護D1は、正常に電源電圧が印加されている状態では、オフ状態である。一方、接地端子Gndを基準として、電源端子Vccに正のサージ電圧が印加された場合は、順方向動作して、サージ電圧を逃がす働きをする。
【0067】
高耐圧非対称低Vth型CMISFETインバータ群INVALGは、Nチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET(QNHAL1、QNHAL2、QNHAL3)およびPチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET(QPHAL1、QPHAL2、QPHAL3)で構成するのが好適である。ESD保護回路部ESDでは、できるだけ早くオンして、保護動作を開始する必要があるので、比較的閾値電圧が低いMISFETを使用するのが有効である。
【0068】
このようにESD保護回路部では、一般に局所的な電荷の集中を防ぐため、前記のように、多段のインバータINVALGと大面積のNチャネルMISFETを用いるのが、これらのMISFETの多くを比較的ゲート長の短い非対称高耐圧MISFETとすることにより、インターフェース回路部4(またはESD保護回路部)の占有面積を大幅に削減することができる。
【0069】
次に、図3の降圧回路部8の詳細を図6に示す。図6に示すように、たとえば、Pチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QPHAH3)の出力を基準電圧Vr(たとえば1.2ボルト)とともに作動アンプADに入力することにより、高電圧電源電位Vccを低電圧電源電位Vddに変換している。ここで、ディカップリングコンデンサC1,C2は、先と同様に、電源電圧の変動による障害を防止するために挿入されている。なお、いうまでもないことであるが、この回路は、Pチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QPHAH3)の代わりに、Nチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFETで構成することもできる。ここで、比較的閾値電圧が高いMISFETを使用するのは、不要な電流を抑制したいからである。
【0070】
次に、図3の信号出力バッファ回路部BFの詳細を図7に基づいて説明する。図7に示すように、高圧電源電位Vccと接地電位Gndの間には、たとえば、コアロジック回路部からの出力信号SCおよび制御信号SDを受けて動作する出力制御回路CC、これに制御されるプッシュプル出力バッファBPP、プッシュプル出力バッファBPPの出力端子と信号出力端子Tに挿入されたポリシリコン抵抗等のESD保護抵抗R2等が接続されている。また、高圧電源電位Vccと信号出力端子Tの間および信号出力端子Tと接地電位Gndの間には、それぞれESD保護ダイオードD2およびESD保護ダイオードD3が接続されている。
【0071】
ここで、出力制御回路CCおよびプッシュプル出力バッファBPPは、高圧電源電位Vccによって駆動されており、高耐圧対称CMISFET−NORゲート(NORS)および高耐圧対称CMISFET−NANDゲート(NANDS)は、双方向動作が必要であるため、ソースドレイン対称構造を有する高耐圧対称MISFETで構成するのが好適であるが、その他については、デバイス面積縮小のため、たとえば、Nチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QNHAH1、QNHAH2)およびPチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QPHAH1、QPHAH2)のように、ソースドレイン非対称構造を有する高耐圧非対称MISFETで構成するのが好適である。高耐圧対称CMISFET−NORゲート(NORS)および高耐圧対称CMISFET−NANDゲート(NANDS)を高耐圧非対称CMISFETで構成しないのは、ソースとドレイン間の電流方向が入れ替わる可能性があることと、レイアウトの関係で比較的ゲート長の短い高耐圧非対称CMISFETを用いても、逆にレイアウト面積が増加する傾向があるためである。一方、インバータ等の場合は、ソースとドレイン間の電流方向が入れ替わる可能性がなく、レイアウト面積が確実に減少するので、高耐圧非対称CMISFETを使用することが好適となる。
【0072】
ここで、出力制御回路CCおよびプッシュプル出力バッファBPPに比較的閾値電圧の高いMISFETを用いているのは、信号出力時は常時動作している回路であるため、消費電力をできるだけ節約する必要があるからである。
【0073】
この回路は、駆動能力可変の出力回路であり、その動作の概要は以下のとおりである。すなわち、制御信号SDが「1」のときは、プッシュプル出力バッファBPPを構成する一対のインバータ群は、並列動作して、高い駆動能力の状態で動作する。一方、制御信号SDが「0」のときは、プッシュプル出力バッファBPPを構成する一対のインバータ群のうちの一方のインバータ(Nチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QNHAH2)およびPチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET(QPHAH2)で構成されるもの)は、高インピーダンス状態に保持されるので、駆動能力が低い状態で動作することとなる。
【0074】
次に、図7の高耐圧対称CMISFET−NORゲート(NORS)および高耐圧対称CMISFET−NANDゲート(NANDS)の詳細をそれぞれ図8及び図9に示す。図8及び図9に示すように、これらのCMIS論理ゲート(多入力論理ゲート)は、たとえば、ソースドレイン対称構造を有するNチャネル高耐圧対称MISFET(QNHS1、QNHS2)およびPチャネル高耐圧対称MISFET(QPHS1、QPHS2)で構成するのが好適である。
【0075】
(3)各回路ブロック等を構成するデバイス等の説明(主に図10から図13)
ここでは、これまでに説明した各種のMISFET、キャパシタ、ダイオード等の具体的断面構造の一例を模式的に説明する。
【0076】
Nチャネル型高耐圧ソースドレイン非対称MISFETおよびPチャネル型高耐圧ソースドレイン非対称MISFETの模式的断面構造を図10に示す(具体的詳細構造は図1を参照)。なお、Nチャネル型高耐圧ソースドレイン非対称MISFETは、すでに、図1において、詳しく説明しているので(P型パンチスルーストッパ領域18pがない以外ほぼ同一)、ここでは、Pチャネル型高耐圧ソースドレイン非対称MISFETの各種の不純物ドープ領域についてのみ説明する。
【0077】
図10に示すように、Pチャネル型高耐圧非対称MISFETは、たとえば、P型単結晶シリコン基板(最終製品においては、半導体チップ2であり、製造工程中においては、半導体ウエハ1であり、半導体チップ2および半導体ウエハ1の裏面側は、もともとの基板部分1sである)の非対称高耐圧MISFET領域21(図1参照)の表面1a(裏面1bの反対の面)側(具体的には、表面、表面上、および表面内)に形成されている。非対称高耐圧MISFET領域21(正確には、Pチャネル型非対称高耐圧MISFET領域)は、半導体チップ2の表面1a領域において、STI(Shallow Trench Isolation)絶縁膜23等の素子分離領域によって囲まれている。この囲まれた領域をアクティブ領域という。アクティブ領域上には、ゲート絶縁膜15h(高耐圧部ゲート絶縁膜)を介して、ゲート電極16が設けられており、これらの周辺には、サイドウォールスペーサ絶縁膜17が設けられている。半導体チップ2の表面1a内には、アクティブ領域(Pチャネル型非対称高耐圧MISFETのアクティブ領域)の全体にわたって、比較的深い高耐圧部Nウエル領域11nhが設けられている。
【0078】
次に、ドレイン側の不純物ドープ領域について説明する。ドレイン側の半導体チップ2の表面1a内の高耐圧部Nウエル領域11nh内には、比較的浅いP型高濃度ドレイン領域14pおよび、それを取り囲むような形状であってP型高濃度ドレイン領域14pよりも不純物濃度が低く、それよりも深い非対称P型ドレインエクステンション領域12pha(必ずしも、相対的に深い必要はないが、深い方が電界緩和の効果が大きい)が設けられている。このドレインエクステンション領域12phaは、いわゆるDDD領域であり、LDD領域とすることもできるが、その場合は、先に説明したように、電界緩和の効果が小さくなる。
【0079】
一方、ソース側の半導体チップ2の表面1a内の高耐圧部Nウエル領域11nh内(表面近傍)には、比較的浅いP型高濃度ソース領域14p、および、これからゲート電極側に突出し、これよりも濃度が低く、深さが同等か、それよりも浅いP型ソースエクステンション領域20phaが設けられている。
【0080】
更に、ソース側の半導体チップ2の表面1a内の高耐圧部Nウエル領域11nh内には、P型ソースエクステンション領域20phaを取り囲むように、それよりも深く、且つ、高耐圧部Nウエル領域11nhと同一の導電型を有し、これよりも高濃度の高耐圧ソース部のN型ハロー領域19nhが設けられている。また、ソース側の半導体チップ2の表面1a内には、N型ハロー領域19nhを取り囲むように、それよりも深く、それよりも不純物濃度の低いN型パンチスルーストッパ領域18n(なお、濃度的には、高耐圧部Nウエル領域11nhより濃度が高い)が設けられている。
【0081】
次に、Nチャネル高耐圧対称MISFET(QNHS)およびPチャネル高耐圧対称MISFET(QPHS)の模式的断面構造を図11に示す。なお、半導体基板2、素子分離構造、半導体基板2の表面1a上の構造等は、この説明の精度においては同一であるので、説明は繰り返さない。
【0082】
図11に示すように、Nチャネル高耐圧対称MISFET(QNHS)のアクティブ領域に当たる半導体チップ2の表面1a内には比較的深い高耐圧部Pウエル領域11phが形成されており、ゲート電極16(第2のゲート電極)の両側の半導体チップ2の表面1a内には、比較的浅いN型高濃度ソースドレイン領域14n(第2のN型高濃度ソース領域、第2のN型高濃度ドレイン領域)および、これよりも不純物濃度が低く、深さの深い対称N型ソースドレインエクステンション領域12nhs(第2のN型ソースエクステンション領域、第2のN型ドレインエクステンション領域)が設けられている。
【0083】
一方、Pチャネル高耐圧対称MISFET(QPHS)のアクティブ領域に当たる半導体チップ2の表面1a内には比較的深い高耐圧部Nウエル領域11nhが形成されており、ゲート電極16の両側の半導体チップ2の表面1a内には、比較的浅いP型高濃度ソースドレイン領域14pおよび、これよりも不純物濃度が低く、深さの深い対称P型ソースドレインエクステンション領域12phsが設けられている。
【0084】
次に、コアロジック回路部5におけるNチャネル型低耐圧コアMISFET(QNC)およびPチャネル型低耐圧コアMISFET(QPC)の模式的断面構造を図12に示す。なお、半導体基板2、素子分離構造等は、この説明の精度においては同一であるので、説明は繰り返さない。
【0085】
図12に示すように、両アクティブ領域の半導体チップ2の表面1aには、それぞれ、コアロジック部ゲート絶縁膜15c(高耐圧部ゲート絶縁膜15hよりも薄い)を介してゲート電極16が形成されており、それらの周囲には、サイドウォールスペーサ絶縁膜17が形成されている。
【0086】
また、Nチャネル型低耐圧コアMISFET(QNC)のアクティブ領域に当たる半導体チップ2の表面1a内には比較的深いコアロジック部Pウエル領域11pcが形成されており、ゲート電極16の両側の半導体チップ2の表面1a内には、比較的浅いN型高濃度ソースドレイン領域14nおよび、これよりも不純物濃度が低く、深さが浅いコア部N型ソースドレインエクステンション領域12ncが設けられている。コア部N型ソースドレインエクステンション領域12ncは、いわゆるLDD構造である。なお、これはDDD構造とすることもできる。ただし、DDD構造の方が、ショートチャネル効果が顕著になりやすい傾向がある。
【0087】
一方、Pチャネル型低耐圧コアMISFET(QPC)のアクティブ領域に当たる半導体チップ2の表面1a内には比較的深いコアロジック部Nウエル領域11ncが形成されており、ゲート電極16の両側の半導体チップ2の表面1a内には、比較的浅いP型高濃度ソースドレイン領域14pおよび、これよりも不純物濃度が低く、深さが浅いコア部P型ソースドレインエクステンション領域12pcが設けられている。先と同様に、コア部P型ソースドレインエクステンション領域12pcいわゆるLDD構造である。なお、これはDDD構造とすることもできる。ただし、DDD構造の方が、ショートチャネル効果が顕著になりやすい傾向がある。
【0088】
次に、ESD保護ダイオードD1、D2、D3の模式的断面構造を図13に示す。なお、半導体基板2、素子分離構造等は、この説明の精度においては同一であるので、説明は繰り返さない。
【0089】
図13に示すように、ESD保護ダイオードD1、D3のアクティブ領域に当たる半導体チップ2の表面1a内には比較的深い高耐圧部Pウエル領域11ph(ダイオードのP型アノード領域として作用する)が形成されており、その表面領域内には、比較的浅いN型高濃度カソード領域14n(高耐圧MOSFETのN型高濃度ソースドレイン領域14nと同一の属性を有する不純物領域)が設けられている。
【0090】
一方、ESD保護ダイオードD2のアクティブ領域に当たる半導体チップ2の表面1a内には比較的深い高耐圧部Nウエル領域11nh(ダイオードのN型カソード領域として作用する)が形成されており、その表面領域内には、比較的浅いP型高濃度アノード領域14p(高耐圧MOSFETのP型高濃度ソースドレイン領域14pと同一の属性を有する不純物領域)が設けられている。
【0091】
3.本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部の説明(主に図14から図27)
以下のプロセスでは、前記の理由により、コアロジック回路部5(低耐圧部)、対称高耐圧MISFET領域22(高耐圧部)、非対称高耐圧MISFET領域21(高耐圧部)(図14等)等の各領域について、原則としてNチャネル型デバイス領域についてのみ説明する。
【0092】
図14は本願の一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(素子分離領域形成工程)である。図15は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(低耐圧コアロジック回路部のPウエル導入工程)である。図16は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(高耐圧部のPウエル導入工程)である。図17は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(P型パンチスルーストッパ領域導入工程)である。図18は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(高耐圧部のゲート絶縁膜形成工程)である。図19は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(低耐圧部のゲート絶縁膜除去工程)である。図20は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(低耐圧部のゲート絶縁膜形成工程)である。図21は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(ゲート電極膜成膜工程)である。図22は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(ゲート電極パターニング工程)である。図23は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(対称N型ソースドレインエクステンション領域導入工程)である。図24は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(非対称N型ドレインエクステンション領域導入工程)である。図25は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(N型ソースエクステンション領域およびP型ハロー領域導入工程)である。図26は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(低耐圧部のN型エクステンション領域導入工程)である。図27は本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明するためのウエハ部分断面図(各部に共通な高濃度N型ソースドレイン領域導入工程)である。これらに基づいて、本願の前記一実施の形態の半導体集積回路装置および、その製造方法に関するウエハプロセス(基本プロセス)主要部を説明する。
【0093】
先ず、図14に示すように、たとえば、P型の単結晶シリコンウエハ1(1s)等の表面1aのコアロジック回路部5(低耐圧部)、対称高耐圧MISFET領域22(高耐圧部)、非対称高耐圧MISFET領域21(高耐圧部)等に対応して、STI(Shallow Trench Isolation)等の素子分離23を形成する。
【0094】
次に、図15に示すように、たとえば、コアロジック部Pウエル領域導入用レジスト膜24をイオン注入マスクとして、イオン注入等により、コアロジック回路部5(低耐圧部)にコアロジック部Pウエル領域11pcを導入する。ここで、Nチャネル型MISFET部等への打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:ボロン、打ち込みエネルギ:200keVから400keV、ドーズ量:1x1012/cmから1x1013/cm程度、打ち込み方式:垂直打ち込み等を好適なものとして例示することができる。
【0095】
次に、図16に示すように、たとえば、高耐圧部Pウエル領域導入用レジスト膜25をイオン注入マスクとして、イオン注入等により、対称高耐圧MISFET領域22(高耐圧部)および非対称高耐圧MISFET領域21(高耐圧部)に高耐圧部Pウエル領域11phを導入する。ここで、Nチャネル型MISFET部等への打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:ボロン、打ち込みエネルギ:200keVから400keV、ドーズ量:1x1012/cmから1x1013/cm程度、打ち込み方式:垂直打ち込み等を好適なものとして例示することができる。
【0096】
次に、図17に示すように、たとえば、P型パンチスルーストッパ領域導入用レジスト膜26をイオン注入マスクとして、イオン注入等により、非対称高耐圧MISFET領域21(高耐圧部)のソース側にP型パンチスルーストッパ領域18pを導入する。ここで、Nチャネル型MISFET部等への打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:ボロン、打ち込みエネルギ:60keV程度、ドーズ量:1x1012/cmから1x1013/cm程度(閾値電圧を過剰に上げないように設定)、打ち込み方式:垂直打ち込み等を好適なものとして例示することができる。
【0097】
次に、図18に示すように、たとえば、熱酸化等(CVDでも良い)により、半導体ウエハ1の表面1aのシリコン面に高耐圧部ゲート絶縁膜15hを成膜する。厚さは、5ボルト系を想定すると、15nm程度を好適なものとして例示することができる。
【0098】
次に、図19に示すように、ゲート絶縁膜除去用レジスト膜27をマスクとして、たとえば、弗酸系エッチング液等を用いて、コアロジック回路部5のゲート絶縁膜15hを除去する。
【0099】
次に、図20に示すように、たとえば、熱酸化等(CVDでも良い)により、コアロジック回路部5の半導体ウエハ1の表面1aのシリコン面に、高耐圧部ゲート絶縁膜15hよりも薄いコアロジック部ゲート絶縁膜15cを成膜する。厚さは、1.2ボルト系を想定すると、2nmから3nm程度を好適なものとして例示することができる。
【0100】
次に、図21に示すように、半導体ウエハ1の表面1a側に、ゲート電極材料膜16を成膜する。
【0101】
次に、図22に示すように、通常のリソグラフィにより、ゲート電極材料膜16をパターニングすることによって、コアMISFET、高耐圧ソースドレイン対称MISFET、および高耐圧ソースドレイン非対称MISFETの各ゲート電極16を形成する。各ゲート電極のゲート長は、65nmテクノロジノードを例にとると、たとえばコアMISFET:65nm程度、高耐圧ソースドレイン対称MISFET:1マイクロメートル程度、高耐圧ソースドレイン非対称MISFET:0.4マイクロメートル程度から0.6マイクロメートル程度を好適なものとして例示することができる。
【0102】
次に、図23に示すように、たとえば、対称N型ソースドレインエクステンション領域導入用レジスト膜28をイオン注入マスクとして、イオン注入等により、対称N型ソースドレインエクステンション領域12nhsを導入する。ここで、Nチャネル型MISFET部等への打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:リン、打ち込みエネルギ:50keVから70keV程度、ドーズ量:1x1014/cmから1x1015/cm程度、打ち込み方式:傾斜打ち込み(傾斜角:たとえば30から45度程度)等を好適なものとして例示することができる。
【0103】
次に、図24に示すように、たとえば、非対称N型ドレインエクステンション領域導入用レジスト膜をイオン注入マスクとして、イオン注入等により、非対称高耐圧MISFET領域21のドレイン側にのみ非対称N型ドレインエクステンション領域12nhaを導入する。ここで、Nチャネル型MISFET部等への打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:リン、打ち込みエネルギ:50keVから70keV程度、ドーズ量:1x1014/cmから1x1015/cm程度、打ち込み方式:傾斜打ち込み(傾斜角:たとえば30から45度程度)等を好適なものとして例示することができる。
【0104】
次に、図25に示すように、たとえば、N型ソースエクステンション領域およびP型ハロー領域導入用レジスト膜31をイオン注入マスクとして、イオン注入等により、高耐圧ソース部のP型Halo領域19phおよびN型ソースエクステンション領域20nhaを導入する。ここで、Nチャネル型MISFET部のソース側のP型Halo領域19phの打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:ボロン、打ち込みエネルギ:10keVから15keV程度、ドーズ量:5x1012/cmから5x1013/cm程度、打ち込み方式:傾斜打ち込み(傾斜角:たとえば30から45度程度)等を好適なものとして例示することができる。
【0105】
また、Nチャネル型MISFET部のソース側のN型ソースエクステンション領域20nhaの打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:砒素、打ち込みエネルギ:20keV程度、ドーズ量:1x1013/cmから2x1013/cm程度、打ち込み方式:垂直打ち込み等を好適なものとして例示することができる。
【0106】
次に、図26に示すように、たとえば、コア部ソースドレインエクステンション領域導入用レジスト膜32をイオン注入マスクとして、イオン注入等により、コア部N型ソースドレインエクステンション領域12ncを導入する。Nチャネル型MISFET部のコア部N型ソースドレインエクステンション領域12ncの打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:砒素、打ち込みエネルギ:5keVから10keV程度、ドーズ量:1x1014/cmから2x1015/cm程度、打ち込み方式:垂直打ち込み等を好適なものとして例示することができる。
【0107】
次に、図27に示すように、たとえば、イオン注入等により、コアロジック回路部5、対称高耐圧MISFET領域22、および非対称高耐圧MISFET領域21の各Nチャネル型MISFET部にN型高濃度ソースドレイン領域14nを導入する。この打ち込み条件としては、たとえば、イオン種:砒素、打ち込みエネルギ:5keVから10keV程度、ドーズ量:1x1015/cmから1x1016/cm程度、打ち込み方式:垂直打ち込み等を好適なものとして例示することができる。
【0108】
4.高耐圧非対称MISFET(基本構造)に対するデバイス変形例1(パンチスルーストッパ省略構造)の説明(主に図28、および図14から図27の内の図17以外を参照)
この例は、不純物ドープ構造としては、図27とほぼ同じであるが、非対称高耐圧MISFET領域21において、Nチャネル型MISFET部を例にとると、P型パンチスルーストッパ領域18pが省略されている点が特徴となっている。従って、Pチャネル型MISFET部のN型パンチスルーストッパ領域も省略されている。
【0109】
図28は図27に対応するデバイス変形例1(パンチスルーストッパ省略構造)のウエハ部分断面図(各部に共通な高濃度N型ソースドレイン領域導入工程)である。これに基づいて、高耐圧非対称MISFET(基本構造)に対するデバイス変形例1(パンチスルーストッパ省略構造)を説明する。
【0110】
プロセス的には、図28に示すように、図14から図27において、図17のステップを省略すればよい。
【0111】
5.基本プロセスに対するプロセス変形例1(パンチスルーストッパ&ソース導入共通化プロセス)の説明(主に図29、および図14から図27の内の図17、図25以外を参照)
この例も、不純物ドープ構造としては、図27とほぼ同じであるが、非対称高耐圧MISFET領域21において、Nチャネル型MISFET部を例にとると、P型パンチスルーストッパ領域18pがN型ソースエクステンション領域およびP型ハロー領域導入用レジスト膜31をイオン注入マスクとしている点が特徴となっている。
【0112】
図29は図25に対応するプロセス変形例1(パンチスルーストッパ&ソース導入共通化プロセス)のウエハ部分断面図(P型パンチスルーストッパ領域、N型ソースエクステンション領域およびP型ハロー領域導入工程)である。これに基づいて、基本プロセスに対するプロセス変形例1(パンチスルーストッパ&ソース導入共通化プロセス)を説明する。
【0113】
プロセス的には、図29に示すように、図14から図27において、図17のステップをスキップして、図25のステップで、パンチスルーストッパを導入することとなる。
【0114】
6.基本プロセスに対するプロセス変形例2(高耐圧対称MISFETのソースドレインの導入を非対称MISFETのドレインエクステンションと共通化するプロセス)の説明(主に図30、および図14から図27の内の図23、図24以外を参照)
この例は、Nチャネル型MISFET部を例にとって説明すると、対称高耐圧MISFET領域22の対称N型ソースドレインエクステンション領域12nhsと非対称高耐圧MISFET領域221の非対称N型ドレインエクステンション領域12nhaの導入を共通化したものである。
【0115】
図30は図24に対応するプロセス変形例2(高耐圧対称MISFETのソースドレインの導入を非対称MISFETのドレインエクステンションと共通化するプロセス)のウエハ部分断面図(対称N型ソースドレインエクステンション領域および非対称N型ドレインエクステンション領域導入工程)である。これに基づいて、基本プロセスに対するプロセス変形例2(高耐圧対称MISFETのソースドレインの導入を非対称MISFETのドレインエクステンションと共通化するプロセス)を説明する。
【0116】
プロセス的には、図30に示すように、たとえば図14から図27において、図23のステップをスキップし、図24のステップにおいて、非対称N型ドレインエクステンション領域導入用レジスト膜29を図30のように変更すればよい。
【0117】
7.基本プロセス(マルチVth)におけるパンチスルーストッパ導入工程(図17)の詳細説明(主に図31から図33、および図14から図27を参照)
この説明は、図17のステップの詳細説明に当たる。図17の説明では、非対称高耐圧MISFETの閾値電圧は、単一であるかのように説明したが、現実には、マルチVthとなることが多い。
【0118】
図31は基本プロセスにおけるパンチスルーストッパ導入工程(図17)の詳細を説明するためのNチャネル型高耐圧非対称MISFET(低Vth)の拡大断面図である。図32は基本プロセスにおけるパンチスルーストッパ導入工程(図17)の詳細を説明するためのNチャネル型高耐圧非対称MISFET(標準Vth)の拡大断面図である。図33は基本プロセスにおけるパンチスルーストッパ導入工程(図17)の詳細を説明するためのNチャネル型高耐圧非対称MISFET(高Vth)の拡大断面図である。これらに基づいて、基本プロセス(マルチVth)におけるパンチスルーストッパ導入工程(図17)の詳細を説明する。
【0119】
実際に、対象となる非対称高耐圧MISFETの閾値電圧を個々に変更するには、Nチャネル型MISFET部を例にとって説明すると、たとえば図17のステップにおいて、図31から図33に示すように、P型パンチスルーストッパ領域導入用レジスト膜26の開口の幅をここに変更してやればよい。
【0120】
8.サマリ
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0121】
例えば、前記の実施の形態では、主に、電源回路、出力回路等のESD回路等を中心に具体的に説明したが、本願発明はそれに限定されるものではなく、入力回路、I/O回路、レベルシフト回路その他の信号処理回路等にも適用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0122】
1 ウエハ(半導体基板)
1a ウエハの表面(第1の主面)
1b ウエハの裏面
1s ウエハの基板部(P型単結晶シリコン基板)
2 半導体チップ又はチップ領域
3 外部電源
4 インターフェース回路部
5 コアロジック回路部
6 メモリ回路部
7 ボンディングパッド(チップ上の端子電極)
8 降圧回路部
9 ソース側
10 ドレイン側
11nc コアロジック部Nウエル領域
11nh 高耐圧部Nウエル領域
11pc コアロジック部Pウエル領域
11ph 高耐圧部Pウエル領域
12nha 非対称N型ドレインエクステンション領域
12nc コア部N型ソースドレインエクステンション領域
12nhs 対称N型ソースドレインエクステンション領域
12pc コア部P型ソースドレインエクステンション領域
12pha 非対称P型ドレインエクステンション領域
12phs 対称P型ソースドレインエクステンション領域
14n N型高濃度ソースドレイン領域(N型高濃度カソード領域)
14p P型高濃度ソースドレイン領域(P型高濃度カソード領域)
15c コアロジック部ゲート絶縁膜
15h 高耐圧部ゲート絶縁膜
16 ゲート電極(ゲート電極材料膜)
17 サイドウォールスペーサ絶縁膜
18n N型パンチスルーストッパ領域
18p P型パンチスルーストッパ領域
19nh 高耐圧ソース部のN型Halo領域
19ph 高耐圧ソース部のP型Halo領域
20nha N型ソースエクステンション領域
20pha P型ソースエクステンション領域
21 非対称高耐圧MISFET領域
22 対称高耐圧MISFET領域
23 STI絶縁膜
24 コアロジック部Pウエル領域導入用レジスト膜
25 高耐圧部Pウエル領域導入用レジスト膜
26 P型パンチスルーストッパ領域導入用レジスト膜
27 ゲート絶縁膜除去用レジスト膜
28 対称N型ソースドレインエクステンション領域導入用レジスト膜
29 非対称N型ドレインエクステンション領域導入用レジスト膜
31 N型ソースエクステンション領域およびP型ハロー領域導入用レジスト膜
32 コア部ソースドレインエクステンション領域導入用レジスト膜
AD 差動アンプ
BF 信号出力バッファ回路部
BPP プッシュプル出力バッファ
C1,C2 ディカップリングコンデンサ
CHSM1、CHSM2、CHSM3 Nチャネル高耐圧対称MOS型コンデンサ
CC 出力制御回路
D1、D2、D3 ESD保護ダイオード
DC ディカップリングコンデンサ部
ESD ESD保護回路部
INVAHG 高耐圧非対称高Vth型CMISFETインバータ群
INVALG 高耐圧非対称低Vth型CMISFETインバータ群
Gnd 接地端子(または接地電位)
NANDS 高耐圧対称CMISFET−NANDゲート
NORS 高耐圧対称CMISFET−NORゲート
QNC Nチャネル型低耐圧コアMISFET
QNHAH、QNHAH1、QNHAH2 Nチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET
QNHS、QNHS1、QNHS2 Nチャネル高耐圧対称MISFET
QNHAL、QNHAL1、QNHAL2、QNHAL3、QNHAL4 Nチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET
QPC Pチャネル型低耐圧コアMISFET
QPHAH、QPHAH1、QPHAH2、QPHAH3 Pチャネル高耐圧非対称高Vth型MISFET
QPHAL、QPHAL1、QPHAL2、QPHAL3 Pチャネル高耐圧非対称低Vth型MISFET
QPHS、QPHS1、QPHS2 Pチャネル高耐圧対称MISFET
R1,R2 ポリシリコン抵抗(ESD保護抵抗)
SC コアロジック回路部からの出力信号
SD 制御信号
T 信号出力端子
Vcc 高電圧電源端子(または高電圧電源電位)
Vdd 低電圧電源端子(または低電圧電源電位)
Vr 基準電圧(1.2ボルト)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面上のコアロジック回路部に設けられたCMIS論理ゲート;
(c)前記CMIS論理ゲートを構成する第1のNチャネル型MISFET;
(d)前記CMIS論理ゲートを構成する第1のPチャネル型MISFET;
(e)前記半導体チップの前記第1の主面上の信号出力バッファ回路部に設けられたCMISバッファ;
(f)前記CMISバッファを構成し、前記第1のNチャネル型MISFETよりも動作電圧が高い第2のNチャネル型MISFET;
(g)前記CMISバッファを構成し、前記第1のPチャネル型MISFETよりも動作電圧が高い第2のPチャネル型MISFET;
(h)前記半導体チップの前記第1の主面上のESD保護回路部に設けられたCMISインバータ;
(i)前記CMISインバータを構成し、前記第1のNチャネル型MISFETよりも動作電圧が高い第3のNチャネル型MISFET;
(j)前記CMISインバータを構成し、前記第1のPチャネル型MISFETよりも動作電圧が高い第3のPチャネル型MISFET、
ここで、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETのそれぞれは、ソース側にのみハロー領域を有するソースドレイン非対称構造を有する。
【請求項2】
前記1項の半導体集積回路装置において、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETのそれぞれは、更に、以下を含む:
(x1)高濃度ドレイン領域;
(x2)前記高濃度ドレイン領域よりも深く、かつ、ドレイン側からゲート電極の下方に亘って延在するドレインエクステンション領域。
【請求項3】
前記2項の半導体集積回路装置において、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETのゲート絶縁膜の膜厚は、それぞれ前記第1のNチャネル型MISFETおよび前記第1のPチャネル型MISFETのゲート絶縁膜の膜厚よりも厚い。
【請求項4】
前記3項の半導体集積回路装置において、前記第2のNチャネル型MISFETおよび前記第2のPチャネル型MISFETのそれぞれは、ソース側にのみハロー領域を有するソースドレイン非対称構造を有する。
【請求項5】
前記4項の半導体集積回路装置において、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETの閾値電圧は、それぞれ前記第2のNチャネル型MISFETおよび前記第2のPチャネル型MISFETの閾値電圧よりも低い。
【請求項6】
前記5項の半導体集積回路装置において、前記第3のNチャネル型MISFETおよび前記第3のPチャネル型MISFETのそれぞれは、更に、以下を含む:
(x1)ソース側に設けられ、前記ハロー領域よりも深いパンチスルーストッパ領域。
【請求項7】
以下を含む半導体集積回路装置:
(a)第1の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面に設けられたソースドレイン非対称構造を有するNチャネル型MISFET、
ここで、前記Nチャネル型MISFETは、以下を有する:
(b1)前記半導体チップの前記第1の主面内に、ゲート電極を挟んで形成されたN型高濃度ソース領域およびN型高濃度ドレイン領域;
(b2)前記N型高濃度ソース領域の前記ゲート電極側の端部に設けられたN型ソースエクステンション領域;
(b3)前記N型ソースエクステンション領域を囲むように設けられ、それよりも深いP型ハロー領域。
【請求項8】
前記7項の半導体集積回路装置において、前記Nチャネル型MISFETは、更に以下を有する:
(b4)前記高濃度ドレイン領域よりも深く、かつ、ドレイン側からゲート電極の下方に亘って延在するN型ドレインエクステンション領域。
【請求項9】
前記8項の半導体集積回路装置において、前記Nチャネル型MISFETは、更に以下を有する:
(b5)ソース側に設けられ、前記P型ハロー領域よりも深いP型パンチスルーストッパ領域。
【請求項10】
(a)第1の主面を有する半導体チップ;
(b)前記半導体チップの前記第1の主面に設けられたソースドレイン非対称Nチャネル型MISFET、
を有する半導体集積回路装置の製造方法であって、前記ソースドレイン非対称Nチャネル型MISFETは:
(b1)前記半導体チップの前記第1の主面内に、第1のゲート電極を挟んで形成された第1のN型高濃度ソース領域および第1のN型高濃度ドレイン領域;
(b2)前記第1のN型高濃度ソース領域の前記ゲート電極側の端部に設けられた第1のN型ソースエクステンション領域;
(b3)前記第1のN型ソースエクステンション領域を囲むように設けられ、それよりも深いP型ハロー領域;
(b4)ソース側に設けられ、前記P型ハロー領域よりも深いP型パンチスルーストッパ領域を有し、
ここで、前記半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含む:
(x)前記P型パンチスルーストッパ領域および前記P型ハロー領域を同一のイオン注入マスクを用いて導入する工程。
【請求項11】
前記10項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記ソースドレイン非対称Nチャネル型MISFETは、更に以下を有する:
(b5)前記第1の高濃度ドレイン領域よりも深く、かつ、ドレイン側から第1のゲート電極の下方に亘って延在する第1のN型ドレインエクステンション領域。
【請求項12】
前記11項の半導体集積回路装置の製造方法において、前記半導体集積回路装置は更に:
(c)前記半導体チップの前記第1の主面に設けられたソースドレイン対称Nチャネル型MISFETを含み、前記ソースドレイン対称Nチャネル型MISFETは:
(c1)前記半導体チップの前記第1の主面内に、第2のゲート電極を挟んで形成された第2のN型高濃度ソース領域および第2のN型高濃度ドレイン領域;
(c2)前記第2の高濃度ドレイン領域よりも深い第2のN型ドレインエクステンション領域;
(c3)前記第2の高濃度ソース領域よりも深い第2のN型ソースエクステンション領域を有し、
ここで、前記半導体集積回路装置の製造方法は、以下の工程を含む:
(y)前記第1のN型ドレインエクステンション領域および前記第2のN型ソースエクステンション領域を同一のイオン注入マスクを用いて導入する工程。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−59938(P2012−59938A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−201974(P2010−201974)
【出願日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】