表示装置の作製方法
【課題】液滴吐出法により吐出する液滴の着弾精度を飛躍的に向上させ、微細でかつ精度の高いパターンを基板上に直接形成することを可能にする。もって、基板の大型化に対応できる配線、導電層及び表示装置の作製方法を提供することを課題とする。また、スループットや材料の利用効率を向上させた配線、導電層及び表示装置の作製方法を提供することを課題とする。
【解決手段】液滴吐出法による液滴の吐出直前に、所望のパターンに従い基板表面上の液滴着弾位置に荷電ビームを走査し、そのすぐ後に該荷電ビームと逆符号の電荷を液滴に帯電させて吐出することによって、液滴の着弾位置の制御性を格段に向上させる。
【解決手段】液滴吐出法による液滴の吐出直前に、所望のパターンに従い基板表面上の液滴着弾位置に荷電ビームを走査し、そのすぐ後に該荷電ビームと逆符号の電荷を液滴に帯電させて吐出することによって、液滴の着弾位置の制御性を格段に向上させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に直接微細なパターニングを行うための液滴吐出装置、および該装置を用いて配線形成あるいはレジスト等のパターンの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁表面上の薄膜を用いて形成された薄膜トランジスタ(TFT)は集積回路等に広く応用され、多くの場合スイッチング素子として用いられる。そのうち、TFTを使用した表示パネルは、特に大型の表示装置に用途が大きく拡大していることから、更に、画面サイズの高精細化、高開口率化、高信頼性、大型化の要求が高まっている。
【0003】
このような薄膜トランジスタにおける配線の作製方法としては、基板の全面に導電層の被膜を形成し、その後マスクを用いてエッチング処理を行う方法がある(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1のように配線を形成する場合、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング装置を例に挙げると、バイアス電力密度、ICP電力密度、圧力、エッチングガスの総流量、酸素添加率および下部電極の温度などのエッチング条件によってレジストと導電層との選択比が変化し、基板内で導電層の幅や長さがばらつく場合がある。また、エッチング処理を行う場合、フォトレジスト等を用いたマスクを作製する工程が必要となるため、工程が長くなる。さらに、一旦全面に導電層を形成後、所望の形状になるようにエッチング処理を行うため、無駄となる材料が発生する。このような問題は、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板上に配線を形成する場合に、より深刻な問題となる。
【0006】
これに対し、最近、組成物を含む液滴を細孔から吐出して所定のパターンを形成することのできる液滴吐出法を用いて、基板上に直接パターニングを施す方法が検討され始めている。これに関しては、例えば金属の超微粒子を溶液に懸濁させたものを、直接基板上に配線あるいは電極パターンを形成する方法等が考えられている。また、従来のように、フォトリソグラフィ法のようにマスクを用いてパターニングを行う代わりに、直接レジスト
を用いて液滴吐出法でパターンを形成する方法も考えられている。
【0007】
しかしながら、液滴吐出法によってこれらの液滴を吐出する場合、液滴の吐出方向のわずかな揺らぎが着弾位置の大きな誤差を生むため、液滴自体の吐出量を小さくしても、パターンの精度に限界が生ずることになった。また、液滴量を徒に小さくするとスループットが低下する問題が生ずるだけでなく、着弾精度自体も逆に低下してしまう問題も発生する。
【0008】
液滴吐出法によって液滴を吐出してパターンを直接描画する場合、描画誤差を生じさせる要因としては、液滴の吐出方向のわずかな揺らぎよる着弾位置の誤差、液滴飛来中に空気の抵抗による誤差、着弾後の液滴の移動或いは広がりによる誤差等が上げられる。このうち前2者は、ヘッドの作製精度をいくら上げても確率的揺らぎ以上の精度を得ることは原理的に不可能であった。図6に、ノズルのヘッドから吐出された液滴が着弾するまでの誤差について示す。ここで、ヘッドと基板表面との距離を500μmと仮定した。ノズルから射出される液滴の誤差角度をθとすると、これによる着弾位置の誤差は約±500μm×θで表されるため、θが仮に1°と微小な角度であったとしても、位置の誤差は±8.7μmにも達する。これに加えて、気流の揺らぎ等によって生ずる誤差、着弾後の液滴の広がりや移動によって生じる誤差が重畳されることになる。
【0009】
このような問題は、液滴吐出法による直接パターニングの適用範囲を著しく狭めるものとなっていた。
【0010】
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、液滴吐出法により吐出する液滴の着弾精度を飛躍的に向上させ、微細でかつ精度の高いパターンを基板上に直接形成することを可能にする。もって、基板の大型化に対応できる配線、導電層及び表示装置の作製方法を提供することを課題とする。また、スループットや材料の利用効率を向上させた配線、導電層及び表示装置の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した従来技術の課題を解決するために、本発明においては以下の手段を講じる。
【0012】
本発明は、主に絶縁表面を有する基板上において、液滴吐出法によってレジスト材料或いは配線材料等を直接パターニングを行うに際し、液滴着弾精度を飛躍的に向上させることが可能になる。具体的には、液滴吐出法による液滴の吐出直前に、所望のパターンに従い基板表面上の液滴着弾位置に荷電ビームを走査し、そのすぐ後に該荷電ビームと逆符号の電荷を液滴に帯電させて吐出することによって、液滴の着弾位置の制御性を格段に向上させることを特徴とする。
【0013】
本発明は基板上に液滴を吐出する手段と、基板表面に荷電ビームを照射する手段と、液滴を吐出する手段より吐出される液滴を荷電ビームとは逆極性の電荷に帯電させる手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明は、基板上に液滴を吐出する手段と、基板表面に荷電ビームを照射する手段と、液滴を吐出する手段より吐出される液滴を荷電ビームとは逆極性の電荷に帯電させる手段と、真空排気手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、液滴吐出法を用いて絶縁膜を有する基板上へ液滴を吐出するに先立って所望の位置に荷電ビームを照射し、液滴吐出法により吐出させた液滴を該荷電ビームとは逆極性の電荷に帯電させることを特徴とする。
【0016】
上記構成において、荷電ビームは電子ビーム、または、荷電ビームはイオンビームであることを特徴とする。
【0017】
本発明において、液滴吐出法による直接パターニングは、減圧下で行うことを特徴とする。
【0018】
本発明において、液滴吐出法により吐出する液滴は、金属微粒子を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明において、液滴吐出法により吐出する液滴は、レジスト材料を含む溶液からなることを特徴とする。
【0020】
本発明において、液滴吐出法により吐出する液滴は、珪素化合物を含む溶液からなることを特徴とする。
【0021】
図11に示すように、本発明においては、液滴の着弾位置を電磁気的作用をもって強制的に整えることを可能にしている。また、荷電ビームの適用は、通常真空下でなされるため、液滴飛来中に空気から受ける抵抗そのものも、真空下での吐出の場合には問題にならない。このようにして、上記問題の解決を図ることができる。
【0022】
荷電ビームとしては、最も一般的に用いられるものは電子ビームである。これは、比較的容易に発生でき、ビームの収束や走査が容易な点が上げられる。本発明においては、電子ビーム以外にも例えばイオンビームを用いることも可能である。これら荷電ビームは電気的にビーム径を絞ることが出来、微細なパターンに対応が可能である。これらの荷電ビーム源は、それ自体が可動であっても良いし、あるいはビーム自体を走査することによって所望の位置に照射できるようにしても良い。
【0023】
荷電ビームを照射する基板面は、照射された電荷が局所的に留まっていることが必要であるために、基本的には表面は絶縁膜で覆われていることが望ましい。この場合、必ずしも全面が絶縁膜で覆われている必要はなく、パターンを描画する必要がある領域が絶縁膜で覆われていれば十分である。一方、部分的に導電体層が露出している表面にもパターンを形成する場合には、該部分のみ本発明の効果は及ばないことになる。これは、導電体上に関しては荷電ビームによる帯電が生じないため、液滴の強制配置の効果を得ることができないためである。この場合は、全体のレイアウトの中で効率よく配置することを工夫すれば良く、本発明自体の効果を損なうものでは無いことは明らかである。
【0024】
本発明における、今一つ講じうる手段として、荷電ビームによって表面の物理、化学的状態を変化させ得ることである。これによって、ノズルからの液滴の着弾位置を整えることが可能である。図11を用いてより具体的に以下に説明する。あらかじめ表面を疎液性にしておき、この後荷電ビーム照射部分を親液性に変化させる。液滴は、該親液性部分に安定的に留まるため、結果としてビーム照射部に液滴が整うことになる。逆に、初めの状態を親液性にして、ビーム照射部を疎液性に変えても良い。このように表面状態の変化は、ビームのエネルギーによって表面の化学的反応を促進することによってもたらされるが、これ以外にもイオンビームを用いて表面にごく薄くビーム構成原子を堆積することによって、表面状態を変えることも可能である。
【0025】
また本発明は、基板上にヘッドから液滴を吐出してパターンを形成した後、該パターンに例えばローラーによるプレス処理を施しパターンの形状を整えることも効果的である。この場合、後述するような加熱処理を行う前に処理することによって、成形加工しやすくなるため、一般的に効果は増加するが、材料によっては加熱処理を加えた後に行っても良
い。
【0026】
上記の如き加熱処理は、ヘッドから吐出され着弾した後の組成物中の不要な溶媒等を速やかに取り除き、所望の材料特性の確保を主な目的としている。例えば、金属の超微粒子(ナノ粒子)を界面活性物質により溶媒中に懸濁させた、金属ナノ粒子組成物の場合、得られる金属薄膜の抵抗値を十分下げるためには、これら溶媒或いは界面活性物質を十分に取り除くことが不可欠である。このためには、ある程度以上の温度、例えば200℃以上のアニールが必要となる。さらに、膜中の金属ナノ粒子間の密着性を上げ、さらに高品質な金属膜を得るためには、より高い温度が必要となる。
【0027】
加熱処理は金属ナノ粒子だけでなく、例えば有機レジスト材料についても当てはまる。加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプアニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いるとよい。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニール炉、100〜300℃に保温されたオーブンなどを用いてもよい。
【0028】
上述の通り、導電層を液滴吐出法により形成する本発明は、ヘッドから吐出する組成物を交換するか、又は組成物が充填されたヘッドを交換すれば、例えば発光素子の画素電極、発光層、対向電極を大気に晒すことなく連続的に作製することができる。
【0029】
さらに液滴吐出法を用いる本発明は、印刷ロールや印刷すべきパターンが彫り込まれた凸版を用いて、溶液を塗布後、焼成して薄膜(代表的には発光層)を作成するスクリーン印刷法と比較すると、膜厚の均一性が優れている等の優位点を有する。
【0030】
また本発明は、電子ビーム等の荷電ビームを用いるため、真空下での処理を行うことを特徴とする。真空下とは、大気圧よりも十分低い圧力下であることを指し、1Pa以下、好ましくは1×10−2Pa以下とすれば良いし、さらに高い真空中では1×10−4Pa以下とすれば良い。真空下にしておくことで、荷電ビームは安定に照射でき、飛来中の液滴が気流或いは気体分子の衝突によって擾乱を受ける所謂ブラウン運動の影響を排除することが可能となる。また一方、液滴が基板上に到達するまでの間、常に液滴から溶媒が揮発し、その体積は減少していく。そのため、この後に行う加熱工程をより短時間で済ませることも可能である。
【0031】
なお本発明は、配線の断線箇所や、配線と電極間の電気的接続の不良箇所などをリペアする目的で使用してもよい。その場合、例えばパソコンなどにリペア箇所を入力し、該箇所にヘッドから導電性材料を有する組成物を吐出させるようにすることも可能となる。
【0032】
上述してきたような構成を有する本発明は、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板に対しても従来のフォトリソグラフィー工程に頼らずに、容易に配線やレジストなどの精細なパターンを直接形成することができる。また、所望の箇所に必要な量の材料のみを塗布すればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、さらには、作製費用の削減を実現する。
【0033】
また、マスクが不要であることから、露光、現像などの工程を大幅に削減することができる。また、ヘッドから吐出する組成物の変更、又は組成物が充填されたヘッドの変更を行うことで、例えば発光素子の発光層と電極などの複数の薄膜を連続的に作製することができる。その結果、スループットが高くなり、生産性を向上させることができる。さらに、露光を目的としたマスクが不要となることで、例えばパソコンなどに入力された回路配線を即座に作製することができる。
【発明の効果】
【0034】
上述して構成を有する本発明は、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板に対しても簡単に配線、導電層を形成することができる。また、所望の箇所に必要な量の材料のみを塗布すればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、さらには、作製費用の削減を実現する。
【0035】
また、マスクが不要であることから、露光、現像などの工程を大幅に削減することができる。また、ヘッドから吐出する組成物の変更、又は組成物が充填されたヘッドの変更を行うことで、例えば発光素子の発光層と電極などの複数の薄膜を連続的に作製することができる。その結果、スループットが高くなり、生産性を向上させることができる。さらに、露光を目的としたマスクが不要となることで、例えばパソコンなどに入力された回路配線を即座に作製することができる。これらの点は、スクリーン印刷に比べて、装置機構、材料の利用効率などの点で有利である。
【0036】
さらに、以上の点に加えて、従来液滴吐出法において、難点であったパターンの精度を大幅に向上することが可能になった。液滴吐出法をはじめ、従来の印刷手法においては、パターンの精度は10ミクロン以下にすることは困難であったが、本発明により、その精度は1ミクロン以下の精度まで高めることが可能である。もって、高精細なディスプレーを提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の作製方法を説明する斜視図である。
【図2】図2は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図3】図3は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図4】図4は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図5】図5は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図6】図6は、従来技術を説明する断面図である。
【図7】図7は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図8】図8は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図9】図9は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図10】図10は、本発明の作製方法を説明するシステム図である。
【図11】図11は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図12】図12は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施の形態について、図1を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。ここでは、本発明に則り、真空排気設備を備え、かつ電子ビーム照射手段すなわち電子銃を有した液滴吐出法による液滴吐出装置について説明する。
【0039】
図1において、装置全体は、基板101をメカニカルチャック等の手法で固定しY方向に正確に移動させるための手段106、ヘッド102に組成物を供給する手段107、処理室を真空にする真空排気手段103、電子ビームを発生し所望の位置に照射する手段(例えば、電子銃)104などから構成される。
【0040】
まず、前記真空排気手段103は、チャンバー内を排気し高真空下に保つことができる。さらに、チャンバー内において、ヘッド102は基板101上に所望のパターン形成するための材料を含んだ微小な液滴を吐出する手段で、多数のノズルを有し、X軸方向に可動であって、位置の微調整ができるようになっている。一方、基板101はY軸方向に移動可能であり、基板上で連続した配線のパターンが形成されるように、ヘッド102から吐出する周期と基板101の移動距離及びヘッド102の位置の微調整を同時に調節することによって、種々のパターンを基板上に形成することができる。なおヘッド102に隣接して、電子銃104を配置する。電子銃104には、電子レンズを内蔵しておりビームの集光と同時にビームの走査を可能にしている。この場合ビームの走査はX軸方向に行う。
【0041】
その他、付随する要素として、処理する基板を保持する手段105から搬出入させる搬送手段、清浄な空気を送り出し作業領域の埃を低減するクリーンユニットなどを備えても良い。
【0042】
真空排気手段103においては、排気ポンプとして、ターボ分子ポンプ、メカニカルブ
ースターポンプ、油回転ポンプ、若しくはクライオポンプを用いることが可能であるが、それらを適宜組み合わせて使用することが望ましい。
【0043】
本発明では、配線、導電膜、あるいはレジスト材料のパターン形成は、液滴吐出用処理室108で行う。
【0044】
ヘッド102から1回に吐出する組成物の量は10〜70pl、粘度は100cp以下、粒径0.1μm以下が好ましい。これは、乾燥が起こることを防ぎ、また粘度が高すぎると、吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなったりするためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適宜調節する。またヘッドから吐出される組成物は、基板上で連続して滴下して線状又はストライプ状に形成することが好ましい。しかし、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下してもよい。
【0045】
液滴吐出用処理室108には基板保持手段105やヘッド102、電子銃104等が設けられている。ヘッド102から液滴が吐出される直前に、あらかじめ基板101上の所望の位置に電子銃104から電子ビームを照射する。これによって、電子ビームが照射された局所部分がマイナスの電位に帯電する。一方、ヘッド102には、液滴をプラスに帯電させる機構を備えており、プラスに帯電した液滴は前記マイナスに帯電した基板上の部分に着弾することによって、液滴の着弾精度が飛躍的に向上することになる。液滴をプラスに帯電させるための機構としては、種々の方法を用いることが可能であるが、最も簡単な方法はヘッド自体を高電位に保っておくことによって可能となる。液滴の帯電方法は、本発明の趣旨に則り種々の方法を適宜選択することが可能である。
【0046】
以上、電子ビームを用いて、基板上の所望の位置をマイナスに帯電させ、しかる後プラスに帯電した液滴を該マイナス帯電部位に正確に着弾させるための機構について、典型的な装置の図をもとに説明したが、本発明による荷電ビームを用いる効果は、これ以外にたとえば以下のような例を用いることも可能である。すなわち、あらかじめ基板表面に対し、吐出する液滴に対し疎液性に加工しておき、しかる後に荷電ビームとしては、例えば図11(B)のようにCHx−等のイオンビームを用いて基板上の所望の位置に照射することによって、マイナスに帯電したハイドロカーボン極薄皮膜を堆積することによって、この部分を親液性に変える。これによって、電界による液滴の着弾位置の制御のみならず、着弾後の液滴の広がりを抑制することによる、パターン制御も格段に向上することが期待できる。この場合、用いるイオンビームはCHx−に制限されることなく、例えばGa+のような金属イオンでも可能であり、適宜選択することが出来る。照射するイオンがプラスイオンの場合は、吐出する液滴はマイナスに帯電されることが望ましいことは、本発明の趣旨から当然である。
【0047】
一方、イオンビームを用いて表面状態を変えることによるパターン制御の場合においては、液滴を帯電させなくとも上述のように液滴位置に対して大きな効果が期待できる。また、必ずしもイオンビームによる皮膜堆積効果を期待せず、局所帯電効果のみの効果を期待することも可能である。逆に、電子ビームのように皮膜の堆積が期待できない場合であっても、基板表面の親液性/疎液性状態を変化させることによって、さらに効果を高めることも可能である。
【0048】
本実施の形態における装置に関しては、図1には記載していないが、さらに基板101や基板上のパターンへの位置合わせのためのセンサや、液滴吐出用処理室108へのガス導入手段、液滴吐出用処理室108内部の排気手段、基板を加熱処理する手段、基板へ光照射する手段、加えて温度、圧力等、種々の物性値を測定する手段等を、必要に応じて設置しても良い。またこれら手段も、筐体外部に設置した制御手段109によって一括制御することが可能である。さらに制御手段109をLANケーブル、無線LAN、光ファイ
バ等で生産管理システム等に接続すれば、工程を外部から一律管理することが可能となり、生産性を向上させることに繋がる。
【0049】
以上、本発明は上記の実施形態の手段を様々に応用して自由に組み合わせて用いることが可能である。
【0050】
また、吐出に用いる材料としては、溶媒に溶かすことあるいは加温によって液化することができ、液滴として吐出が可能である材料であればよく、例えば、配線となる導電性材料、レジスト材料、配向膜となる樹脂材料、発光素子に用いる発光材料、ウエットエッチングに用いるエッチング溶液などと、用途に応じて使用が可能である。
【0051】
一方、本発明で用いられる基板としては、所望のサイズのガラス基板の他、プラスチック基板に代表される樹脂基板、或いはシリコンに代表される半導体ウエハ等の被処理物に適用することができる。さらに、表面が平坦な基板あるいは凹凸パターンが形成された基板のいずれであっても構わない。また、基板表面の親液性、疎液性に関しては、上述の如くその適用範囲において適宜選択しても良いし、そうでなくとも良い。
【実施例1】
【0052】
本発明の第一の実施例について、図2、3を用いて詳細に説明する。本発明においては、従来のフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理を全く用いずに、液滴吐出法を用いたパターニング処理によって、アクティブマトリクス型の液晶表示装置を作成している。尚、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。ここでは、本発明を用いて、Nチャネル型TFT(スイッチ用)と容量を同一基板上に形成する作製工程について説明する。
【0053】
基板201には、ガラス基板、プラスチック基板に代表される可撓性基板など、本工程の処理温度に耐えうる基板を用いる(図2(A))。具体的には、透光性を有する基板201を用いてアクティブマトリクス基板を作製する。基板サイズとしては、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mm、1500mm×1800mm、1800mm×2000mm、2000mm×2100mm、2200mm×2600mm、または2600mm×3100mmのような大面積基板を用い、製造コストを削減することが好ましい。用いることのできる基板として、コーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。更に他の基板として、石英基板、プラスチック基板などの透光性基板を用いることもできる。
【0054】
本実施例ではガラス基板201を用いた。続いて基板201上に、絶縁膜から成る下地膜202を形成する。下地膜202は単層又は積層構造のいずれでもよく、本実施例では、2層構造として、スパッタリング法を用い、1層目として窒化酸化珪素膜を50nm、2層目として酸化窒化珪素膜を50nmの厚さに形成し、その後CMP法などの方法により表面を平坦化した(図2(A))。
【0055】
次いで、下地膜202上に半導体層203を形成する。半導体層203は、まず公知の方法(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nmの厚さで半導体膜を成膜する。次いで前記半導体膜を公知の結晶化法(レーザー結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法等)を用いて結晶化させる。なお前記半導体膜としては、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜、結晶質半導体膜又は非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜などを用いても良い。
【0056】
本実施例では、プラズマCVD法を用いて、膜厚50nmの非晶質珪素膜を成膜した。その後、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させ、この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行って結晶質珪素膜を形成した。その後、本発明による液滴吐出法によって、電子銃207から照射した電子ビームで照射を行いながら、ヘッド204より吐出したレジスト205のパターニングを行った。さらに、該レジストパターンをマスクとしてドライエッチング法によって島状の半導体層203を形成した(図2(B))。本実施例では、電子ビームによる照射を、すべてのパターンに対して行ったが、適宜必要な部分について行うこともスループットの向上の点で有効である。特に、パターン密度の高い場所、あるいはパターンが微細な部分に対して選択的に行うことも効果的である。
【0057】
なお、レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合のレーザーは、連続発振またはパルス発振の気体レーザー又は固体レーザーを用いれば良い。前者の気体レーザーとしては、エキシマレーザー、YAGレーザー等が挙げられ、後者の固体レーザーとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4等の結晶を使ったレーザー等が挙げられる。なお非晶質半導体膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2〜第4高調波を適用するのが好ましい。上記レーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザービームを光学系で線状に集光して、半導体膜に照射すると良い。
【0058】
但し、本実施例では、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質珪素膜の結晶化を行ったため、前記金属元素が結晶質珪素膜中に残留している。そのため、前記結晶質珪素膜上に50〜100nmの非晶質珪素膜を形成し、加熱処理(RTA法、ファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、該非晶質珪素膜中に前記金属元素を拡散させ、前記非晶質珪素膜は加熱処理後にエッチングを行って除去する。その結果、前記結晶質珪素膜中の金属元素の含有量を低減または除去することができる。また半導体層203を形成後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロン)のドーピング(チャネルドーピング)を行ってもよい。
【0059】
次いで、半導体層203を覆うゲート絶縁膜206を形成する。ゲート絶縁膜206はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜206としてプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を115nmの厚さに形成した。
【0060】
さらに、同様に電子ビームでの照射と液滴吐出法により、減圧又は真空中で第1の導電層(ゲート配線、ゲート電極、キャパシタ電極)208を形成する(図2(C))。本実施例では、Alのナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を吐出して、ゲートパターンを形成した。特に、ゲート電極パターンは、トランジスタ特性を大きく左右するため、電子ビームによる照射を併用することは、アクティブマトリクス型のディスプレーの性能を向上する上で有効である。上述のように、本実施例では、電子ビームはパターンすべてに用いたが、例えば特に重要なSiパターン上のゲート電極部分のみに用いることも有効である。一方、ゲート絶縁膜206に対する電子ビームの照射量および照射エネルギーは大きすぎるとダメージを与えるため、これらの量は本発明の効果が得られる範囲で十分小さい方が望ましいのは当然である。
【0061】
電子銃には、ビームを集光する手段とビームを基板上の所望の位置に走査することを可能にする手段とが備わっている。また、液滴吐出装置には多数の液滴噴射ノズルを有している。また、ノズル径の異なるヘッドを複数用意し、用途に応じて、ノズル径の異なるヘッドを使い分けてもよい。なお、通常のヘッドのノズル径は50〜100μmであり、こ
のノズル径にも依存するが、スループットを考慮して、一度の走査で形成できるようにするために、一行又は一列と同じ長さになるように、複数のノズルを並列に配置してもよい。また、任意の個数のノズルを配置して、複数回走査しても構わないし、また同じ箇所を複数回走査することで重ね塗りをしてもよい。さらに、ヘッドを走査することが好ましいが、基板を移動させても構わない。なお基板とヘッドとの距離は、所望の箇所に滴下するために、できるだけ近づけておくことが好ましく、具体的には、0.1〜2ミリ程度が好ましい。
【0062】
ヘッドから1回に吐出する組成物の量は10〜70pl、粘度は100cp以下、粒径0.1μm以下が好ましい。これは、乾燥が起こることを防ぎ、また粘度が高すぎると、吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなったりするためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適宜調節する。またヘッドから吐出される組成物は、基板上で連続して滴下して線状又はストライプ状に形成することが好ましい。しかし、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下してもよい。
【0063】
ヘッドから吐出する組成物は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、Ndから選択された元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、AgPdCu合金などから適宜選択された導電性の材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。溶媒には、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤などを用いる。溶媒の濃度は、導電性材料の種類などに適宜決定するとよい。
【0064】
また、ヘッドから吐出する組成物として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)を粒径10nm以下で分散させた超微粒子(ナノメタル粒子)を用いてもよい。このように、粒径の微細な粒子を溶媒に分散又は溶解した組成物を用いると、ノズルの目詰まりという問題を解決することができる。なお、液滴吐出法を用いる本発明では、組成物の構成材料の粒径は、ノズルの粒径よりも小さいことが必要となる。また、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDT/PSS)水溶液などの導電性ポリマー(導電性高分子)を用いてもよい。
【0065】
また、銀または銅といった低抵抗金属を配線材料として用いると、配線抵抗の低抵抗化を図ることができるため、大型の基板を用いる場合に好ましい。しかも、これらの金属材料は通常のドライエッチング法によって加工することが難しいため、液滴吐出法で直接パターニングを行うことは、極めて効果的である。但し、例えば銅などの場合には、トランジスタの電気的特性に悪影響を及ぼさないようにするために、拡散を防ぐバリア性の導電膜を設けることが好ましい。バリア性の導電膜により、トランジスタが有する半導体に銅が拡散することなく、配線を形成することができる。このバリア性の導電膜としては、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)又は窒化タングステン(WN)から選ばれた一種又は複数種の積層膜を用いることができる。また、銅は酸化しやすいため、酸化防止剤などを併用することが好ましい。
【0066】
その後、第1の導電層が形成された基板に常圧または減圧、あるいは真空中で、150〜300度の範囲で加熱処理を施すことで、その溶媒を揮発させて、その組成物密度を向上させて、抵抗値が低くなるようにする。但し、ヘッド204から吐出する組成物における溶媒は、基板に滴下後に揮発するものが適している。本実施例の様に真空下で吐出が行われている場合は、通常の大気圧下の場合に比べて、蒸発速度が早いのが特徴であるが、特にトルエンなどの揮発性の高い溶媒を用いると、組成物を基板に滴下後、瞬時に揮発する。そのような場合には、加熱処理の工程は削除しても構わない。しかし、組成物の溶媒は特に限定されず、滴下後に揮発する溶媒を用いた場合であっても、加熱処理を施すこと
で、その組成物密度を向上させて、所望の抵抗値になるようにしてもよい。またこの加熱処理は、液滴吐出法により薄膜を形成した毎に行ってもよいし、任意の工程毎に行ってもよいし、全ての工程が終了した後に一括して行ってもよい。
【0067】
加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプアニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニールを用いてもよい。但し、ランプを用いる場合には、加熱処理を行う薄膜の組成を破壊せず、加熱のみを可能とする波長の光であり、例えば、400nmよりも波長の長い光、即ち赤外光以上の波長の光が好ましい。取り扱いの面からは、遠赤外線(代表的な波長は4〜25μm)を用いることが好ましい。またレーザー光を用いる場合、レーザー発振装置から発振されるレーザー光の基板におけるビームスポットの形状は、列又は行の長さと同じ長さになるように線状に成形することが好ましい。そうすると、一度の走査でレーザー照射を終了させることができる。本実施例では、加熱処理として、通常のファーネスアニールを用いた。
【0068】
続いて、ゲート電極208をマスクとして、半導体層203に、N型又はP型を付与する不純物元素を添加するドーピング処理を行う。本実施例では、半導体層203にN型を付与する不純物元素を添加して、不純物領域を形成した。同時に、不純物元素が全く添加されない領域又は微量の不純物元素が添加された領域(チャネル形成領域と総称)を形成した。
【0069】
この後、一旦全面を覆う第1の層間絶縁膜209を形成する。該第1の層間絶縁膜209はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜206としてプラズマCVD法により窒化珪素膜を100nmの厚さに形成した。さらに、同様にして全面を覆う第2の層間絶縁膜210を形成する。第2の層間絶縁膜210としては、CVD法によって形成された酸化珪素膜、SOG(Spin On Glass)法又はスピンコート法によって塗布された酸化珪素膜、アクリル等の有機絶縁膜又は非感光性の有機絶縁膜が0.7〜5μmの厚さで形成する。本実施例では、塗布法で膜厚1.6μmのアクリル膜50を形成した。なお第2の層間絶縁膜210は、基板201上に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化する意味合いが強いので、平坦性に優れた膜が好ましい。さらに、第3の層間絶縁膜211となる窒化珪素膜を0.1μmの厚さで形成する。
【0070】
しかる後に、コンタクト孔213を形成するためのレジストパターン212を、上述の場合と同様に電子ビーム照射と液滴吐出との併用によって形成する。ついで、該レジストパターンをマスクとして異方性ドライエッチング法によってコンタクト孔213を形成した(図2(D))。
【0071】
この後、レジストパターン212を除去した後、同様に電子ビーム照射と液滴吐出との併用により、第2の導電層(ソース配線、ドレイン配線)214を前記コンタクト孔213の底部まで延在するように形成する。本実施例において、吐出する組成物としては、銀のナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を用いた。このときの断面図を図3(A)に示す。
【0072】
この場合、コンタクト孔の底部には、Alで形成されたゲート電極パターンあるいはSiパターン上のソース/ドレイン領域が露出している。これら領域は、導電体であるため、電子ビームを照射しても帯電することはない。しかしながら、コンタクト孔外周は帯電されるため、十分な効果は得られることになる。さらにコンタクト孔内には、十分の液滴を与える必要が有るため、この部分に対してより多くの液滴の吐出を行うことが必要であ
る。あるいは、重ね塗りにより、この部分の塗布量を増すことも、コンタクト抵抗不良を抑制する点で重要となる。なお、第2の導電層を形成する場合には、吐出する組成物の粘度を最適な値に設定することが必要である。
【0073】
引き続いて、加熱処理を行う。ここまでの工程により、絶縁表面を有する基板201上にトランジスタを形成することができた。
【0074】
続いて、全面に第2の導電層214と電気的に接続されるように、透明導電体からなる画素電極215を形成する(図3(B))。画素電極215には、一例として、酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、窒化チタンなどが挙げられる。本実施例では画素電極215として、電子ビーム照射と液滴吐出との併用による方法で、0.1μmの厚さでITO膜を形成した(図3(B))。
【0075】
以上、画素部においてはソース配線と、画素部のTFT及び保持容量と、端子部で構成されたアクティブマトリクス基板を作製することができる。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。
【0076】
この後、共通電極216、カラーフィルタ217、ブラックマトリックス218などが形成された対向基板219と貼り合わせる。そして所定の方法で液晶220を注入し、液晶表示装置を完成する。(図3(C))。
【0077】
以上の工程によって得られた液晶モジュールに、バックライト、導光板を設け、カバーで覆えば、図11にその断面図の一部を示したようなアクティブマトリクス型液晶表示装置(透過型)が完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて固定する。また、透過型であるので偏光板は、アクティブマトリクス基板と対向基板の両方に貼り付ける。
【0078】
また、本実施の形態は透過型の例を示したが、特に限定されず、反射型や半透過型の液晶表示装置も作製することができる。反射型の液晶表示装置を得る場合は、画素電極として光反射率の高い金属膜、代表的にはアルミニウムまたは銀を主成分とする材料膜、またはそれらの積層膜等を用いればよい。
【0079】
以上、本発明の第1の実施例について、アクティブマトリックス型の液晶表示装置について説明したが、本実施例に限定されることなく、本発明の趣旨に基づき適用が可能となる。例えば、実施例2で示すように、アクティブマトリックス型有機EL表示装置の場合についても同様に適用することが可能である。また、本発明例で取り上げた材料、形成方法に関しても、本発明の趣旨に則り適宜選択して用いることが可能である。
【実施例2】
【0080】
本発明の第二の実施例について、図4〜5を用いて詳細に説明する。本発明においても、従来のフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理を全く用いずに、電子ビーム照射と液滴吐出の併用によるパターニング処理によって、EL表示装置を作成している。尚、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。ここでは、本発明を用いて、Nチャネル型TFT(スイッチ用)と2つのPチャネル型TFT(駆動用)を同一基板上に形成するEL表示装置の作製工程について説明する。なお、第一の実施例と同様の部分に関しては、詳細な説明は省略してある。
【0081】
基板401には、ガラス基板、プラスチック基板に代表される可撓性基板など、本工程
の処理温度に耐えうる基板を用いる(図4(A))。本実施例ではガラス基板401を用いた。続いて基板401上に、絶縁膜から成る下地膜402を形成する。下地膜402は単層又は積層構造のいずれでもよく、本実施例では、2層構造として、スパッタリング法を用い、1層目として窒化酸化珪素膜を50nm、2層目として酸化窒化珪素膜を50nmの厚さに形成し、その後CMP法などの方法により表面を平坦化した(図4(A))。
【0082】
次いで、下地膜402上に半導体層403を形成する。半導体層403は、まず公知の方法(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nmの厚さで半導体膜を成膜する。次いで前記半導体膜を公知の結晶化法(レーザー結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法等)を用いて結晶化させる。なお前記半導体膜としては、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜、結晶質半導体膜又は非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜などを用いても良い。
【0083】
第一の実施例と同様にして、プラズマCVD法を用いて、膜厚50nmの非晶質珪素膜を成膜した。その後、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させ、この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行って結晶質珪素膜を形成した。その後、電子ビーム照射と液滴吐出の併用によって、減圧又は真空中で電子銃407より電子ビームの照射を行いながらヘッド400から吐出したレジストのパターニングを行い、該レジストパターンをマスクとしてドライエッチング法によって半導体層404〜406を形成した(図4(B))
【0084】
続いて、ゲート絶縁膜409を形成する。ゲート絶縁膜409はプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を115nmの厚さに形成した(図4(B))。
【0085】
ついで、第一の実施例と同様にして、電子ビーム照射と液滴吐出の併用によって、減圧又は真空中で第1の導電層(ゲート配線、ゲート電極)410〜413をタングステン膜で形成する。この後、一旦250℃程度でアニールを行って有機溶媒等の不純物を完全に除去する。(図4(B))
【0086】
その後、第1の導電層が形成された基板に常圧または減圧、あるいは真空中で、150〜300度の範囲で加熱処理を施すことで、その溶媒を揮発させ良好な導電特性を得る。但し、ヘッド400から吐出する組成物における溶媒は、基板に滴下後に揮発するものが適している。特にトルエンなどの揮発性の高い溶媒を用いると、組成物を基板に滴下後、揮発する。そのような場合には、加熱処理の工程は削除しても構わない。しかし、組成物の溶媒は特に限定されず、滴下後に揮発する溶媒を用いた場合であっても、加熱処理を施すことで、その組成物の粘度を低下させて、所望の粘度になるようにしてもよい。またこの加熱処理は、液滴吐出法により薄膜を形成した毎に行ってもよいし、任意の工程毎に行ってもよいし、全ての工程が終了した後に一括して行ってもよい。
【0087】
さらに、ゲート電極411〜413をマスクとして、半導体層404〜406に、N型又はP型を付与する不純物元素を添加するドーピング処理を行う。本実施例では、半導体層404にN型を付与する不純物元素を添加し、半導体層405〜406にP型を付与する不純物元素を添加して、不純物領域を形成した。同時に、不純物元素が全く添加されない領域又は微量の不純物元素が添加された領域(チャネル形成領域と総称)を形成した。
【0088】
この後、一旦全面を覆う第1の層間絶縁膜414を形成する。該第1の層間絶縁膜414はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、第1の層間絶縁膜414としてプラズマCVD法により窒化珪素膜を100nmの厚さに形成した。さらに、同様にして全面を覆う第2の層間
絶縁膜415を形成する。第2の層間絶縁膜415としては、塗布法で膜厚1.6μmのアクリル膜を形成した。さらに、第3の層間絶縁膜416となる窒化珪素膜を0.1μmの厚さで形成する。
【0089】
しかる後に、コンタクト孔を形成するためのレジストパターンを、上述の場合と同様に電子ビーム照射と液滴吐出との併用によって形成する。ついで、該レジストパターンをマスクとして異方性ドライエッチング法によってコンタクト孔を形成した。(図4(C))この後、第2の導電層(ソース配線、ドレイン配線)417〜422を前記コンタクト孔の底部まで延在するように形成する。本実施例においては、第2の導電層はコンタクト孔内においては2種の金属の積層構造を用いた。すなわち、電子ビームは用いずに、一旦コンタクト孔部に対しニオブナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を吐出してニオブの層を形成し、しかる後に電子ビームを併用して銅のパターンを形成した。引き続いて加熱処理を行う。ここまでの工程により、絶縁表面を有する基板401上にトランジスタを形成することができた。このときの断面図を図4(D)に示す。
【0090】
続いて、全面に第2の導電層420、422と電気的に接続されるように、透明導電体からなる画素電極501、502を形成する。画素電極501、502には、一例として、酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、窒化チタンなどが挙げられる。本実施例では画素電極501、502として、電子ビーム照射と液滴吐出との併用による方法で、0.1μmの厚さでITO膜を形成した(図5(A))。
【0091】
この後、有機ELによる発光素子の形成工程に入ることになる。画素電極501、502の端面を覆うように絶縁膜503を形成する。絶縁膜503を形成する材料は特に限定されず、無機又は有機の材料で形成することができる。この後、発光層となる有機ELを含む領域を形成することになるが、画素電極501、502と接するように発光層504、505を減圧又は真空中で順次形成する(図5(B、C))。発光層504、505の材料は特に限定されるものではないが、カラー表示を行う場合には、赤、緑、青の各色の材料を用いる。ついで、第2の画素電極(陰極)506を減圧又は真空中で蒸着法により形成する(図5(D))。
【0092】
第2の画素電極(陰極)506は、仕事関数の小さい金属(リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、セシウム(Cs))を含む薄膜、Li、Mg等を含む薄膜上に積層した透明導電膜との積層膜で形成する。膜厚は陰極として作用するように適宜設定すればよいが、0.01〜1μm程度の厚さで形成する。本実施例では、第2の画素電極506としてアルミニウムとリチウムの合金膜(Al−Li)を0.1μmの厚さで形成した。なお第2の画素電極506は、全面に成膜する。
【0093】
陰極として良く用いられる金属膜は、周期律表の1族若しくは2族に属する元素を含む金属膜であるが、これらの金属膜は酸化しやすいので表面を保護しておくことが望ましい。また、必要な膜厚も薄いため、抵抗率の低い導電膜を補助的に設けて陰極の抵抗を下げ、加えて陰極の保護を図るとよい。抵抗率の低い導電膜としてはアルミニウム、銅又は銀を主成分とする金属膜が用いられる。
【0094】
発光層504、505と第2の画素電極506の形成は、ヘッド400から吐出される組成物の変更、又は組成物が充填されたヘッド400の変更により実現する。この場合、大気開放されることなく行うことができるため、水分などに弱い発光素子の高信頼性につながる。吐出された組成物の粘度を所望の値(50cp以下)とするために、150〜300度の範囲で加熱処理を行う。
【0095】
これまでの工程において形成された、第1の画素電極501、502、発光層504、505及び第2の電極506の積層体が発光素子に相当する。第1の電極501、502は陽極、第2の電極506陰極に相当する。発光素子の励起状態には一重項励起と三重項励起があるが、発光はどちらの励起状態を経てもよい。
【0096】
本実施例では、発光素子から発せられる光を基板401側(底面)側から取り出す、所謂下面出射を行う場合を示した。しかし、基板401の表面から光を取り出す、所謂上面出射を行うようにしてもよい。その場合、第1の画素電極501、502を陰極、第2の画素電極506を陽極に相当するように形成し、さらに第2の画素電極506は透明材料で形成するとよい。また、駆動用TFTはNチャネル型TFTで形成することが好ましい。なお、駆動用TFTの導電型は適宜変更しても構わないが、容量素子は該駆動用TFTのゲート・ソース間電圧を保持するように配置する。なお本実施例では、発光素子を用いた表示装置の場合を例示したが、液晶素子を用いた液晶表示装置やその他の表示装置に本発明を適用してもよい。
【0097】
上記構成を有する本発明は、基板の大型化に対応可能で、スループットや材料の利用効率を向上させた配線、導電層及び表示装置の作製方法を提供することができる。
【実施例3】
【0098】
本実施例は、液滴吐出法を用いて、コンタクトホール(開孔)に液滴組成物を充填させる方法について、図7〜図9を用いて説明する。
【0099】
図7(A)において、基板3000上に半導体3001、該半導体3001上に絶縁体3002を有し、絶縁体3002はコンタクトホール3003を有する。コンタクトホールの形成方法としては、公知の方法を用いればよいが、液滴吐出法を用いてもよい。その場合には、ノズルからウエットエッチング溶液を吐出することで、コンタクトホール3003を形成する。そうすると、液滴吐出法により、コンタクトホールの形成と配線の形成とを連続的に行うことができる。
【0100】
そして、コンタクトホール3003の上方にノズル3004を移動させ、該コンタクトホール3003に液滴組成物を連続的に吐出して、該コンタクトホール3003を液滴組成物で充填する(図7(B))。その後、ノズル3004の位置をリセットして、選択的に液滴組成物を吐出することで、コンタクトホール3003に液滴組成物が充填された導電体3005を形成することができる(図7(C))。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査する。
【0101】
次に、上記とは異なる方法について、図8を用いて説明する。本方法では、ノズル3004を移動させて、配線を形成する領域のみに選択的に液滴組成物を吐出して、導電体3006を形成する(図8(B))。次に、コンタクトホール3003の上方に移動し、該コンタクトホール3003に連続的に液滴組成物を吐出する。その結果、コンタクトホール3003に液滴組成物が充填された導電体3007を形成することができる(図8(C))。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査する。
【0102】
次に、上記とは異なる方法について、図9を用いて説明する。本方法では、まず、ノズル3004を移動して、選択的に液滴組成物を吐出する(図9(A))。そして、ノズル3004がコンタクトホール3003の上方に到達したら、液滴組成物を連続的に吐出し、該コンタクトホールを液滴組成物により充填する(図9(B))。その結果、コンタクトホール3003に液滴組成物が充填された導電体3008を形成することができる(図9(C))。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査することはない。
【0103】
上記のいずれかの方法を用いることにより、コンタクトホールにも液滴組成物を充填させた導電体を形成することができる。
【0104】
なお、液滴吐出法を用いると、パソコンなどに入力された回路配線を即座に作製することができる。このときのシステムについて、図10を用いて簡単に説明する。
【0105】
基幹となる構成要素としては、CPU3100、揮発性メモリ3101、不揮発性メモリ3102及びキーボードや操作ボタンなどの入力手段3103、液滴吐出手段3104を有する液滴吐出装置が挙げられる。その動作について簡単に説明すると、入力手段3103により、回路配線のデータが入力されたら、このデータはCPU3100を介して揮発性メモリ3101又は不揮発性メモリ3102に記憶される。そして、このデータを基に、液滴吐出手段3104が選択的に液滴組成物を吐出することで、配線を形成することができる。
【0106】
上記構成により、露光を目的としたマスクが不要となり、露光、現像などの工程を大幅に削減することができる。その結果、スループットが高くなり、大幅に生産性を向上させることができる。また本構成は、配線の断線箇所や、配線と電極間の電気的接続の不良箇所などをリペアする目的で使用してもよい。この場合、例えばパソコンなどにリペア箇所を入力し、該箇所にノズルから液滴組成物を吐出させることが好適である。また、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板に対しても簡単に配線を形成することができ、さらに所望の箇所に必要な量の材料のみを塗布すればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、作製費用の削減を実現する。
【実施例4】
【0107】
本発明の実施例について、図12を用いて詳細に説明する。ここでは、実施例1及び実施例2に示した順スタガ型のTFTとは異なり、逆スタガ型のTFTを形成する作製工程について説明する。尚、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。
【0108】
基板2000には、実施例1で表記した基板を用いることができる。本実施例では、ガラス基板(コーニング社製、#7059)を用いる。
【0109】
続いて、基板2000上に、電子ビーム照射手段2200での照射と液滴吐出手段2201により、減圧又は真空中で第1の導電層(ゲート配線、ゲート電極、キャパシタ電極)2001、2002を形成する(図12(A))。本実施例では、Alのナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を吐出して、ゲートパターンを形成する。特に、ゲート電極パターンは、トランジスタ特性を大きく左右するため、電子ビームによる照射を併用することは、アクティブマトリクス型のディスプレーの性能を向上する上で有功である。上述のように、本実施例では、電子ビームはパターンすべてに用いたが、例えば特に重要なゲート電極部分のみに用いることも有効である。
【0110】
電子銃には、ビームを集光する手段とビームを基板上の所望の位置に走査することを可能にする手段とが備わっている。また、液滴吐出装置には多数の液滴噴射ノズルを有している。また、ノズル径の異なるヘッドを複数用意し、用途に応じて、ノズル径の異なるヘッドを使い分けてもよい。なお、通常のヘッドのノズル径は50〜100μmであり、このノズル径にも依存するが、スループットを考慮して、一度の走査で形成できるようにするために、一行又は一列と同じ長さになるように、複数のノズルを並列に配置してもよい。また、任意の個数のノズルを配置して、複数回走査しても構わないし、また同じ箇所を複数回走査することで重ね塗りをしてもよい。さらに、ヘッドを走査することが好ましいが、基板を移動させても構わない。なお基板とヘッドとの距離は、所望の箇所に滴下する
ために、できるだけ近づけておくことが好ましく、具体的には、0.1〜2ミリ程度が好ましい。
【0111】
ヘッドから1回に吐出する組成物の量は10〜70pl、粘度は100cp以下、粒径0.1μm以下が好ましい。これは、乾燥が起こることを防ぎ、また粘度が高すぎると、吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなったりするためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適宜調節する。またヘッドから吐出される組成物は、基板上で連続して滴下して線状又はストライプ状に形成することが好ましい。しかし、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下してもよい。
【0112】
ヘッドから吐出する組成物は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、Ndから選択された元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、AgPdCu合金などから適宜選択された導電性の材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。溶媒には、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤などを用いる。溶媒の濃度は、導電性材料の種類などに適宜決定するとよい。
【0113】
また、ヘッドから吐出する組成物として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)を粒径10nm以下で分散させた超微粒子(ナノメタル粒子)を用いてもよい。このように、粒径の微細な粒子を溶媒に分散又は溶解した組成物を用いると、ノズルの目詰まりという問題を解決することができる。なお、液滴吐出法を用いる本発明では、組成物の構成材料の粒径は、ノズルの粒径よりも小さいことが必要となる。また、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDT/PSS)水溶液などの導電性ポリマー(導電性高分子)を用いてもよい。
【0114】
また、銀または銅といった低抵抗金属を配線材料として用いると、配線抵抗の低抵抗化を図ることができるため、大型の基板を用いる場合に好ましい。しかも、これらの金属材料は通常のドライエッチング法によって加工することが難しいため、液滴吐出法で直接パターニングを行うことは、極めて効果的である。但し、例えば銅などの場合には、トランジスタの電気的特性に悪影響を及ぼさないようにするために、拡散を防ぐバリア性の導電膜を設けることが好ましい。バリア性の導電膜により、トランジスタが有する半導体に銅が拡散することなく、配線を形成することができる。このバリア性の導電膜としては、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)又は窒化タングステン(WN)から選ばれた一種又は複数種の積層膜を用いることができる。また、銅は酸化しやすいため、酸化防止剤などを併用することが好ましい。
【0115】
その後、第1の導電層が形成された基板に常圧または減圧、あるいは真空中で、150〜300度の範囲で加熱処理を施すことで、その溶媒を揮発させて、その組成物密度を向上させて、抵抗値が低くなるようにする。但し、ヘッドから吐出する組成物における溶媒は、基板に滴下後に揮発するものが適している。本実施例の様に真空下で吐出が行われている場合は、通常の大気圧下の場合に比べて、蒸発速度が早いのが特徴であるが、特にトルエンなどの揮発性の高い溶媒を用いると、組成物を基板に滴下後、瞬時に揮発する。そのような場合には、加熱処理の工程は削除しても構わない。しかし、組成物の溶媒は特に限定されず、滴下後に揮発する溶媒を用いた場合であっても、加熱処理を施すことで、その組成物密度を向上させて、所望の抵抗値になるようにしてもよい。またこの加熱処理は、液滴吐出法により薄膜を形成した毎に行ってもよいし、任意の工程毎に行ってもよいし、全ての工程が終了した後に一括して行ってもよい。
【0116】
加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプ
アニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニールを用いてもよい。但し、ランプを用いる場合には、加熱処理を行う薄膜の組成を破壊せず、加熱のみを可能とする波長の光であり、例えば、400nmよりも波長の長い光、即ち赤外光以上の波長の光が好ましい。取り扱いの面からは、遠赤外線(代表的な波長は4〜25μm)を用いることが好ましい。またレーザー光を用いる場合、レーザー発振装置から発振されるレーザー光の基板におけるビームスポットの形状は、列又は行の長さと同じ長さになるように線状に成形することが好ましい。そうすると、一度の走査でレーザー照射を終了させることができる。本実施例では、加熱処理として、通常のファーネスアニールを用いた。
【0117】
次に、第1の導電層2001、2002を覆うようにゲート絶縁膜2003を形成する。ゲート絶縁膜2003は、例えば酸化珪素、窒化珪素または窒化酸化珪素等の絶縁膜を用いることができる。ゲート絶縁膜2003は、単層の絶縁膜を用いても良いし、複数の絶縁膜を積層していても良い。本実施例では、窒化珪素、酸化珪素、窒化珪素が順に積層された絶縁膜を、ゲート絶縁膜2003として用いる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタリング法などを用いることができる。低い成膜温度でゲートリーク電流を抑えることができる緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。また窒化アルミニウムをゲート絶縁膜2003として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTで発生した熱を効率的に発散させることができる。
【0118】
次に、第1の半導体膜2004を形成する。第1の半導体膜2004は非晶質(アモルファス)半導体またはセミアモルファス半導体(SAS)で形成することができる。また多結晶半導体膜を用いていても良い。本実施の形態では、第1の半導体膜2004としてセミアモルファス半導体を用いる。セミアモルファス半導体は、非晶質半導体よりも結晶性が高く高い移動度が得られ、また多結晶半導体と異なり結晶化させるための工程を増やさずとも形成することができる。
【0119】
非晶質半導体は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4、Si2H6が挙げられる。この珪化物気体を、水素、水素とヘリウムで希釈して用いても良い。
【0120】
またSASも珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。また水素や、水素にヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を加えたガスで、この珪化物気体を希釈して用いることで、SASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は2倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。またさらに、珪化物気体中に、CH4、C2H6などの炭化物気体、GeH4、GeF4などのゲルマニウム化気体、F2などを混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。SASを第1の半導体膜として用いたTFTは、1〜10cm2/Vsecや、それ以上の移動度を得ることができる。
【0121】
また異なるガスで形成されたSASを複数積層することで、第1の半導体膜を形成しても良い。例えば、上述した各種ガスのうち、弗素原子を含むガスを用いて形成されたSASと、水素原子を含むガスを用いて形成されたSASとを積層して、第1の半導体膜を形成することができる。
【0122】
グロー放電分解による被膜の反応生成は減圧下または大気圧下で行なうことができる。
減圧下で行なう場合、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲で行なえば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzとする。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃とする。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020atoms/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3以下とする。
【0123】
なお、Si2H6と、GeF4またはF2とを用いて半導体膜を形成する場合、半導体膜のより基板に近い側から結晶が成長するので、基板に近い側ほど半導体膜の結晶性が高い。よって、ゲート電極が第1の半導体膜よりも基板により近いボトムゲート型のTFTの場合、第1の半導体膜のうち基板に近い側の結晶性が高い領域をチャネル形成領域として用いることができるので、移動度をより高めることができ、適している。
【0124】
また、SiH4と、H2とを用いて半導体膜を形成する場合、半導体膜の表面により近い側ほど大きい結晶粒が得られる。よって、第1の半導体膜がゲート電極よりも基板により近いトップゲート型のTFTの場合、第1の半導体膜のうち基板から遠い側の結晶性が高い領域をチャネル形成領域として用いることができるので、移動度をより高めることができ、適している。
【0125】
また、SASは、価電子制御を目的とした不純物を意図的に添加しないときに弱いN型の導電型を示す。これは、アモルファス半導体を成膜するときよりも高い電力のグロー放電を行なうため酸素が半導体膜中に混入しやすいためである。そこで、TFTのチャネル形成領域を設ける第1の半導体膜に対しては、P型を付与する不純物を、この成膜と同時に、或いは成膜後に添加することで、しきい値制御をすることが可能となる。P型を付与する不純物としては、代表的には硼素であり、B2H6、BF3などの不純物気体を1ppm〜1000ppmの割合で珪化物気体に混入させると良い。例えば、P型を付与する不純物としてボロンを用いる場合、該ボロンの濃度を1×1014〜6×1016atoms/cm3とすると良い。
【0126】
次に、第1の半導体膜2004のうち、チャネル形成領域となる部分と重なるように、第1の半導体膜2004上に保護膜2005、2006を形成する。保護膜2005、2006は液滴吐出法または印刷法を用いて形成しても良いし、CVD法、スパッタリング法などを用いて形成しても良い。保護膜2005、2006として、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素などの無機絶縁膜、シロキサン系絶縁膜などを用いることができる。またこれらの膜を積層し、保護膜2005、2006として用いても良い。本実施の形態では、プラズマCVD法で形成された窒化珪素、液滴吐出法で形成されたシロキサン系絶縁膜を積層して、保護膜2005、2006として用いる。この場合、窒化珪素のパターニングは、液滴吐出法で形成されたシロキサン系絶縁膜をマスクとして用い行なうことができる。
【0127】
次に図12(B)に示すように、第1の半導体膜2004のパターニングを行なう。第1の半導体膜2004のパターニングは、リソグラフィ法を用いても良いし、液滴吐出法で形成されたレジストをマスクとして用いても良い。後者の場合、露光用のマスクを別途用意しておく必要がなくなり、よってコストの削減に繋がる。本実施の形態では、液滴吐出法で形成されたレジスト2007、2008を用い、パターニングする例を示す。なおレジスト2007、2008は、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂を用いることができる。そして、レジスト2007、2008を用いたドライエッチングにより、パターニングされた第1の半導体膜2009、2010が形成される(図12(C))。
【0128】
次に、パターニング後の第1の半導体膜2009、2010を覆うように、第2の半導体膜を形成する。第2の半導体膜には、一導電型を付与する不純物を添加しておく。nチャネル型のTFTを形成する場合には、第2の半導体膜に、N型を付与する不純物、例えばリンを添加すれば良い。具体的には、珪化物気体にPH3などの不純物気体を加え、第2の半導体膜を形成すれば良い。一導電型を有する第2の半導体膜は、第1の半導体膜2009、2010と同様にセミアモルファス半導体、非晶質半導体で形成することができる。
【0129】
なお本実施例では、第2の半導体膜を第1の半導体膜2009、2010と接するように形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。第1の半導体膜と第2の半導体膜の間に、LDD領域として機能する第3の半導体膜を形成しておいても良い。この場合、第3の半導体膜は、セミアモルファス半導体または非晶質半導体で形成する。そして、第3の半導体膜は、導電型を付与するための不純物を意図的に添加しなくとも、もともと弱いN型の導電型を示す。よって第3の半導体膜には、導電型を付与するための不純物を添加してもしなくても、LDD領域として用いることができる。
【0130】
次に、配線2015〜2018を液滴吐出法を用いて形成し、該配線2015〜201をマスクとして用い、第2の半導体膜をエッチングする。第2の半導体膜のエッチングは、真空雰囲気下もしくは大気圧雰囲気下におけるドライエッチングで行なうことができる。上記エッチングにより、第2の半導体膜からソース領域またはドレイン領域として機能する、第2の半導体2011〜2014が形成される。第2の半導体膜をエッチングする際、保護膜2005、2006によって、第1の半導体膜2009、2010がオーバーエッチングされるのを防ぐことができる。
【0131】
配線2015〜2018は、第1の導電層2001、2002と同様に形成することができる。具体的には、Ag、Au、Cu、Pdなどの金属、金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いる。液滴吐出法を用いる場合、有機系または無機系の溶媒に該導電材料を分散させたものを、ノズルから滴下した後、室温において乾燥または焼成することで、形成することができる。分散剤により凝集を抑え、溶液に分散させることができるならば、Cr、Mo、Ti、Ta、W、Alなどの金属、金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いることも可能である。焼成は酸素雰囲気下で行ない、配線2015〜2018の抵抗を下げるようにしても良い。また液滴吐出法による導電材料の成膜を複数回行なうことで、複数の導電膜が積層された配線2015〜2018を形成することも可能である。
【0132】
上記工程によって、スイッチ用TFT2019、駆動用TFT2020が形成される(図12(D))。
【0133】
図12では、第1の半導体膜と第2の半導体膜を別々の工程でパターニングしているが、本発明の半導体装置はこの作製方法に限定されない。
【0134】
また、第1の半導体膜と第2の半導体膜の間に保護膜を形成しているが、本発明はこの構成に限定されず、保護膜は必ずしも形成しなくて良い。
【0135】
また、本実施例で取り上げた材料、形成方法に関しても、本発明の趣旨に則り適宜選択して用いることが可能である。
【0136】
なお、本実施例は、他の実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板上に直接微細なパターニングを行うための液滴吐出装置、および該装置を用いて配線形成あるいはレジスト等のパターンの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
絶縁表面上の薄膜を用いて形成された薄膜トランジスタ(TFT)は集積回路等に広く応用され、多くの場合スイッチング素子として用いられる。そのうち、TFTを使用した表示パネルは、特に大型の表示装置に用途が大きく拡大していることから、更に、画面サイズの高精細化、高開口率化、高信頼性、大型化の要求が高まっている。
【0003】
このような薄膜トランジスタにおける配線の作製方法としては、基板の全面に導電層の被膜を形成し、その後マスクを用いてエッチング処理を行う方法がある(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−359246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の特許文献1のように配線を形成する場合、ICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)エッチング装置を例に挙げると、バイアス電力密度、ICP電力密度、圧力、エッチングガスの総流量、酸素添加率および下部電極の温度などのエッチング条件によってレジストと導電層との選択比が変化し、基板内で導電層の幅や長さがばらつく場合がある。また、エッチング処理を行う場合、フォトレジスト等を用いたマスクを作製する工程が必要となるため、工程が長くなる。さらに、一旦全面に導電層を形成後、所望の形状になるようにエッチング処理を行うため、無駄となる材料が発生する。このような問題は、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板上に配線を形成する場合に、より深刻な問題となる。
【0006】
これに対し、最近、組成物を含む液滴を細孔から吐出して所定のパターンを形成することのできる液滴吐出法を用いて、基板上に直接パターニングを施す方法が検討され始めている。これに関しては、例えば金属の超微粒子を溶液に懸濁させたものを、直接基板上に配線あるいは電極パターンを形成する方法等が考えられている。また、従来のように、フォトリソグラフィ法のようにマスクを用いてパターニングを行う代わりに、直接レジスト
を用いて液滴吐出法でパターンを形成する方法も考えられている。
【0007】
しかしながら、液滴吐出法によってこれらの液滴を吐出する場合、液滴の吐出方向のわずかな揺らぎが着弾位置の大きな誤差を生むため、液滴自体の吐出量を小さくしても、パターンの精度に限界が生ずることになった。また、液滴量を徒に小さくするとスループットが低下する問題が生ずるだけでなく、着弾精度自体も逆に低下してしまう問題も発生する。
【0008】
液滴吐出法によって液滴を吐出してパターンを直接描画する場合、描画誤差を生じさせる要因としては、液滴の吐出方向のわずかな揺らぎよる着弾位置の誤差、液滴飛来中に空気の抵抗による誤差、着弾後の液滴の移動或いは広がりによる誤差等が上げられる。このうち前2者は、ヘッドの作製精度をいくら上げても確率的揺らぎ以上の精度を得ることは原理的に不可能であった。図6に、ノズルのヘッドから吐出された液滴が着弾するまでの誤差について示す。ここで、ヘッドと基板表面との距離を500μmと仮定した。ノズルから射出される液滴の誤差角度をθとすると、これによる着弾位置の誤差は約±500μm×θで表されるため、θが仮に1°と微小な角度であったとしても、位置の誤差は±8.7μmにも達する。これに加えて、気流の揺らぎ等によって生ずる誤差、着弾後の液滴の広がりや移動によって生じる誤差が重畳されることになる。
【0009】
このような問題は、液滴吐出法による直接パターニングの適用範囲を著しく狭めるものとなっていた。
【0010】
本発明はこのような問題点を鑑みてなされたものであり、液滴吐出法により吐出する液滴の着弾精度を飛躍的に向上させ、微細でかつ精度の高いパターンを基板上に直接形成することを可能にする。もって、基板の大型化に対応できる配線、導電層及び表示装置の作製方法を提供することを課題とする。また、スループットや材料の利用効率を向上させた配線、導電層及び表示装置の作製方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した従来技術の課題を解決するために、本発明においては以下の手段を講じる。
【0012】
本発明は、主に絶縁表面を有する基板上において、液滴吐出法によってレジスト材料或いは配線材料等を直接パターニングを行うに際し、液滴着弾精度を飛躍的に向上させることが可能になる。具体的には、液滴吐出法による液滴の吐出直前に、所望のパターンに従い基板表面上の液滴着弾位置に荷電ビームを走査し、そのすぐ後に該荷電ビームと逆符号の電荷を液滴に帯電させて吐出することによって、液滴の着弾位置の制御性を格段に向上させることを特徴とする。
【0013】
本発明は基板上に液滴を吐出する手段と、基板表面に荷電ビームを照射する手段と、液滴を吐出する手段より吐出される液滴を荷電ビームとは逆極性の電荷に帯電させる手段とを具備することを特徴とする。
【0014】
本発明は、基板上に液滴を吐出する手段と、基板表面に荷電ビームを照射する手段と、液滴を吐出する手段より吐出される液滴を荷電ビームとは逆極性の電荷に帯電させる手段と、真空排気手段とを具備することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、液滴吐出法を用いて絶縁膜を有する基板上へ液滴を吐出するに先立って所望の位置に荷電ビームを照射し、液滴吐出法により吐出させた液滴を該荷電ビームとは逆極性の電荷に帯電させることを特徴とする。
【0016】
上記構成において、荷電ビームは電子ビーム、または、荷電ビームはイオンビームであることを特徴とする。
【0017】
本発明において、液滴吐出法による直接パターニングは、減圧下で行うことを特徴とする。
【0018】
本発明において、液滴吐出法により吐出する液滴は、金属微粒子を含むことを特徴とする。
【0019】
本発明において、液滴吐出法により吐出する液滴は、レジスト材料を含む溶液からなることを特徴とする。
【0020】
本発明において、液滴吐出法により吐出する液滴は、珪素化合物を含む溶液からなることを特徴とする。
【0021】
図11に示すように、本発明においては、液滴の着弾位置を電磁気的作用をもって強制的に整えることを可能にしている。また、荷電ビームの適用は、通常真空下でなされるため、液滴飛来中に空気から受ける抵抗そのものも、真空下での吐出の場合には問題にならない。このようにして、上記問題の解決を図ることができる。
【0022】
荷電ビームとしては、最も一般的に用いられるものは電子ビームである。これは、比較的容易に発生でき、ビームの収束や走査が容易な点が上げられる。本発明においては、電子ビーム以外にも例えばイオンビームを用いることも可能である。これら荷電ビームは電気的にビーム径を絞ることが出来、微細なパターンに対応が可能である。これらの荷電ビーム源は、それ自体が可動であっても良いし、あるいはビーム自体を走査することによって所望の位置に照射できるようにしても良い。
【0023】
荷電ビームを照射する基板面は、照射された電荷が局所的に留まっていることが必要であるために、基本的には表面は絶縁膜で覆われていることが望ましい。この場合、必ずしも全面が絶縁膜で覆われている必要はなく、パターンを描画する必要がある領域が絶縁膜で覆われていれば十分である。一方、部分的に導電体層が露出している表面にもパターンを形成する場合には、該部分のみ本発明の効果は及ばないことになる。これは、導電体上に関しては荷電ビームによる帯電が生じないため、液滴の強制配置の効果を得ることができないためである。この場合は、全体のレイアウトの中で効率よく配置することを工夫すれば良く、本発明自体の効果を損なうものでは無いことは明らかである。
【0024】
本発明における、今一つ講じうる手段として、荷電ビームによって表面の物理、化学的状態を変化させ得ることである。これによって、ノズルからの液滴の着弾位置を整えることが可能である。図11を用いてより具体的に以下に説明する。あらかじめ表面を疎液性にしておき、この後荷電ビーム照射部分を親液性に変化させる。液滴は、該親液性部分に安定的に留まるため、結果としてビーム照射部に液滴が整うことになる。逆に、初めの状態を親液性にして、ビーム照射部を疎液性に変えても良い。このように表面状態の変化は、ビームのエネルギーによって表面の化学的反応を促進することによってもたらされるが、これ以外にもイオンビームを用いて表面にごく薄くビーム構成原子を堆積することによって、表面状態を変えることも可能である。
【0025】
また本発明は、基板上にヘッドから液滴を吐出してパターンを形成した後、該パターンに例えばローラーによるプレス処理を施しパターンの形状を整えることも効果的である。この場合、後述するような加熱処理を行う前に処理することによって、成形加工しやすくなるため、一般的に効果は増加するが、材料によっては加熱処理を加えた後に行っても良
い。
【0026】
上記の如き加熱処理は、ヘッドから吐出され着弾した後の組成物中の不要な溶媒等を速やかに取り除き、所望の材料特性の確保を主な目的としている。例えば、金属の超微粒子(ナノ粒子)を界面活性物質により溶媒中に懸濁させた、金属ナノ粒子組成物の場合、得られる金属薄膜の抵抗値を十分下げるためには、これら溶媒或いは界面活性物質を十分に取り除くことが不可欠である。このためには、ある程度以上の温度、例えば200℃以上のアニールが必要となる。さらに、膜中の金属ナノ粒子間の密着性を上げ、さらに高品質な金属膜を得るためには、より高い温度が必要となる。
【0027】
加熱処理は金属ナノ粒子だけでなく、例えば有機レジスト材料についても当てはまる。加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプアニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いるとよい。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニール炉、100〜300℃に保温されたオーブンなどを用いてもよい。
【0028】
上述の通り、導電層を液滴吐出法により形成する本発明は、ヘッドから吐出する組成物を交換するか、又は組成物が充填されたヘッドを交換すれば、例えば発光素子の画素電極、発光層、対向電極を大気に晒すことなく連続的に作製することができる。
【0029】
さらに液滴吐出法を用いる本発明は、印刷ロールや印刷すべきパターンが彫り込まれた凸版を用いて、溶液を塗布後、焼成して薄膜(代表的には発光層)を作成するスクリーン印刷法と比較すると、膜厚の均一性が優れている等の優位点を有する。
【0030】
また本発明は、電子ビーム等の荷電ビームを用いるため、真空下での処理を行うことを特徴とする。真空下とは、大気圧よりも十分低い圧力下であることを指し、1Pa以下、好ましくは1×10−2Pa以下とすれば良いし、さらに高い真空中では1×10−4Pa以下とすれば良い。真空下にしておくことで、荷電ビームは安定に照射でき、飛来中の液滴が気流或いは気体分子の衝突によって擾乱を受ける所謂ブラウン運動の影響を排除することが可能となる。また一方、液滴が基板上に到達するまでの間、常に液滴から溶媒が揮発し、その体積は減少していく。そのため、この後に行う加熱工程をより短時間で済ませることも可能である。
【0031】
なお本発明は、配線の断線箇所や、配線と電極間の電気的接続の不良箇所などをリペアする目的で使用してもよい。その場合、例えばパソコンなどにリペア箇所を入力し、該箇所にヘッドから導電性材料を有する組成物を吐出させるようにすることも可能となる。
【0032】
上述してきたような構成を有する本発明は、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板に対しても従来のフォトリソグラフィー工程に頼らずに、容易に配線やレジストなどの精細なパターンを直接形成することができる。また、所望の箇所に必要な量の材料のみを塗布すればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、さらには、作製費用の削減を実現する。
【0033】
また、マスクが不要であることから、露光、現像などの工程を大幅に削減することができる。また、ヘッドから吐出する組成物の変更、又は組成物が充填されたヘッドの変更を行うことで、例えば発光素子の発光層と電極などの複数の薄膜を連続的に作製することができる。その結果、スループットが高くなり、生産性を向上させることができる。さらに、露光を目的としたマスクが不要となることで、例えばパソコンなどに入力された回路配線を即座に作製することができる。
【発明の効果】
【0034】
上述して構成を有する本発明は、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板に対しても簡単に配線、導電層を形成することができる。また、所望の箇所に必要な量の材料のみを塗布すればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、さらには、作製費用の削減を実現する。
【0035】
また、マスクが不要であることから、露光、現像などの工程を大幅に削減することができる。また、ヘッドから吐出する組成物の変更、又は組成物が充填されたヘッドの変更を行うことで、例えば発光素子の発光層と電極などの複数の薄膜を連続的に作製することができる。その結果、スループットが高くなり、生産性を向上させることができる。さらに、露光を目的としたマスクが不要となることで、例えばパソコンなどに入力された回路配線を即座に作製することができる。これらの点は、スクリーン印刷に比べて、装置機構、材料の利用効率などの点で有利である。
【0036】
さらに、以上の点に加えて、従来液滴吐出法において、難点であったパターンの精度を大幅に向上することが可能になった。液滴吐出法をはじめ、従来の印刷手法においては、パターンの精度は10ミクロン以下にすることは困難であったが、本発明により、その精度は1ミクロン以下の精度まで高めることが可能である。もって、高精細なディスプレーを提供することが可能になった。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、本発明の作製方法を説明する斜視図である。
【図2】図2は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図3】図3は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図4】図4は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図5】図5は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図6】図6は、従来技術を説明する断面図である。
【図7】図7は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図8】図8は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図9】図9は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図10】図10は、本発明の作製方法を説明するシステム図である。
【図11】図11は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【図12】図12は、本発明の作製方法を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施の形態について、図1を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。ここでは、本発明に則り、真空排気設備を備え、かつ電子ビーム照射手段すなわち電子銃を有した液滴吐出法による液滴吐出装置について説明する。
【0039】
図1において、装置全体は、基板101をメカニカルチャック等の手法で固定しY方向に正確に移動させるための手段106、ヘッド102に組成物を供給する手段107、処理室を真空にする真空排気手段103、電子ビームを発生し所望の位置に照射する手段(例えば、電子銃)104などから構成される。
【0040】
まず、前記真空排気手段103は、チャンバー内を排気し高真空下に保つことができる。さらに、チャンバー内において、ヘッド102は基板101上に所望のパターン形成するための材料を含んだ微小な液滴を吐出する手段で、多数のノズルを有し、X軸方向に可動であって、位置の微調整ができるようになっている。一方、基板101はY軸方向に移動可能であり、基板上で連続した配線のパターンが形成されるように、ヘッド102から吐出する周期と基板101の移動距離及びヘッド102の位置の微調整を同時に調節することによって、種々のパターンを基板上に形成することができる。なおヘッド102に隣接して、電子銃104を配置する。電子銃104には、電子レンズを内蔵しておりビームの集光と同時にビームの走査を可能にしている。この場合ビームの走査はX軸方向に行う。
【0041】
その他、付随する要素として、処理する基板を保持する手段105から搬出入させる搬送手段、清浄な空気を送り出し作業領域の埃を低減するクリーンユニットなどを備えても良い。
【0042】
真空排気手段103においては、排気ポンプとして、ターボ分子ポンプ、メカニカルブ
ースターポンプ、油回転ポンプ、若しくはクライオポンプを用いることが可能であるが、それらを適宜組み合わせて使用することが望ましい。
【0043】
本発明では、配線、導電膜、あるいはレジスト材料のパターン形成は、液滴吐出用処理室108で行う。
【0044】
ヘッド102から1回に吐出する組成物の量は10〜70pl、粘度は100cp以下、粒径0.1μm以下が好ましい。これは、乾燥が起こることを防ぎ、また粘度が高すぎると、吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなったりするためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適宜調節する。またヘッドから吐出される組成物は、基板上で連続して滴下して線状又はストライプ状に形成することが好ましい。しかし、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下してもよい。
【0045】
液滴吐出用処理室108には基板保持手段105やヘッド102、電子銃104等が設けられている。ヘッド102から液滴が吐出される直前に、あらかじめ基板101上の所望の位置に電子銃104から電子ビームを照射する。これによって、電子ビームが照射された局所部分がマイナスの電位に帯電する。一方、ヘッド102には、液滴をプラスに帯電させる機構を備えており、プラスに帯電した液滴は前記マイナスに帯電した基板上の部分に着弾することによって、液滴の着弾精度が飛躍的に向上することになる。液滴をプラスに帯電させるための機構としては、種々の方法を用いることが可能であるが、最も簡単な方法はヘッド自体を高電位に保っておくことによって可能となる。液滴の帯電方法は、本発明の趣旨に則り種々の方法を適宜選択することが可能である。
【0046】
以上、電子ビームを用いて、基板上の所望の位置をマイナスに帯電させ、しかる後プラスに帯電した液滴を該マイナス帯電部位に正確に着弾させるための機構について、典型的な装置の図をもとに説明したが、本発明による荷電ビームを用いる効果は、これ以外にたとえば以下のような例を用いることも可能である。すなわち、あらかじめ基板表面に対し、吐出する液滴に対し疎液性に加工しておき、しかる後に荷電ビームとしては、例えば図11(B)のようにCHx−等のイオンビームを用いて基板上の所望の位置に照射することによって、マイナスに帯電したハイドロカーボン極薄皮膜を堆積することによって、この部分を親液性に変える。これによって、電界による液滴の着弾位置の制御のみならず、着弾後の液滴の広がりを抑制することによる、パターン制御も格段に向上することが期待できる。この場合、用いるイオンビームはCHx−に制限されることなく、例えばGa+のような金属イオンでも可能であり、適宜選択することが出来る。照射するイオンがプラスイオンの場合は、吐出する液滴はマイナスに帯電されることが望ましいことは、本発明の趣旨から当然である。
【0047】
一方、イオンビームを用いて表面状態を変えることによるパターン制御の場合においては、液滴を帯電させなくとも上述のように液滴位置に対して大きな効果が期待できる。また、必ずしもイオンビームによる皮膜堆積効果を期待せず、局所帯電効果のみの効果を期待することも可能である。逆に、電子ビームのように皮膜の堆積が期待できない場合であっても、基板表面の親液性/疎液性状態を変化させることによって、さらに効果を高めることも可能である。
【0048】
本実施の形態における装置に関しては、図1には記載していないが、さらに基板101や基板上のパターンへの位置合わせのためのセンサや、液滴吐出用処理室108へのガス導入手段、液滴吐出用処理室108内部の排気手段、基板を加熱処理する手段、基板へ光照射する手段、加えて温度、圧力等、種々の物性値を測定する手段等を、必要に応じて設置しても良い。またこれら手段も、筐体外部に設置した制御手段109によって一括制御することが可能である。さらに制御手段109をLANケーブル、無線LAN、光ファイ
バ等で生産管理システム等に接続すれば、工程を外部から一律管理することが可能となり、生産性を向上させることに繋がる。
【0049】
以上、本発明は上記の実施形態の手段を様々に応用して自由に組み合わせて用いることが可能である。
【0050】
また、吐出に用いる材料としては、溶媒に溶かすことあるいは加温によって液化することができ、液滴として吐出が可能である材料であればよく、例えば、配線となる導電性材料、レジスト材料、配向膜となる樹脂材料、発光素子に用いる発光材料、ウエットエッチングに用いるエッチング溶液などと、用途に応じて使用が可能である。
【0051】
一方、本発明で用いられる基板としては、所望のサイズのガラス基板の他、プラスチック基板に代表される樹脂基板、或いはシリコンに代表される半導体ウエハ等の被処理物に適用することができる。さらに、表面が平坦な基板あるいは凹凸パターンが形成された基板のいずれであっても構わない。また、基板表面の親液性、疎液性に関しては、上述の如くその適用範囲において適宜選択しても良いし、そうでなくとも良い。
【実施例1】
【0052】
本発明の第一の実施例について、図2、3を用いて詳細に説明する。本発明においては、従来のフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理を全く用いずに、液滴吐出法を用いたパターニング処理によって、アクティブマトリクス型の液晶表示装置を作成している。尚、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。ここでは、本発明を用いて、Nチャネル型TFT(スイッチ用)と容量を同一基板上に形成する作製工程について説明する。
【0053】
基板201には、ガラス基板、プラスチック基板に代表される可撓性基板など、本工程の処理温度に耐えうる基板を用いる(図2(A))。具体的には、透光性を有する基板201を用いてアクティブマトリクス基板を作製する。基板サイズとしては、600mm×720mm、680mm×880mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mm、1500mm×1800mm、1800mm×2000mm、2000mm×2100mm、2200mm×2600mm、または2600mm×3100mmのような大面積基板を用い、製造コストを削減することが好ましい。用いることのできる基板として、コーニング社の#7059ガラスや#1737ガラスなどに代表されるバリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板を用いることができる。更に他の基板として、石英基板、プラスチック基板などの透光性基板を用いることもできる。
【0054】
本実施例ではガラス基板201を用いた。続いて基板201上に、絶縁膜から成る下地膜202を形成する。下地膜202は単層又は積層構造のいずれでもよく、本実施例では、2層構造として、スパッタリング法を用い、1層目として窒化酸化珪素膜を50nm、2層目として酸化窒化珪素膜を50nmの厚さに形成し、その後CMP法などの方法により表面を平坦化した(図2(A))。
【0055】
次いで、下地膜202上に半導体層203を形成する。半導体層203は、まず公知の方法(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nmの厚さで半導体膜を成膜する。次いで前記半導体膜を公知の結晶化法(レーザー結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法等)を用いて結晶化させる。なお前記半導体膜としては、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜、結晶質半導体膜又は非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜などを用いても良い。
【0056】
本実施例では、プラズマCVD法を用いて、膜厚50nmの非晶質珪素膜を成膜した。その後、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させ、この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行って結晶質珪素膜を形成した。その後、本発明による液滴吐出法によって、電子銃207から照射した電子ビームで照射を行いながら、ヘッド204より吐出したレジスト205のパターニングを行った。さらに、該レジストパターンをマスクとしてドライエッチング法によって島状の半導体層203を形成した(図2(B))。本実施例では、電子ビームによる照射を、すべてのパターンに対して行ったが、適宜必要な部分について行うこともスループットの向上の点で有効である。特に、パターン密度の高い場所、あるいはパターンが微細な部分に対して選択的に行うことも効果的である。
【0057】
なお、レーザー結晶化法で結晶質半導体膜を作製する場合のレーザーは、連続発振またはパルス発振の気体レーザー又は固体レーザーを用いれば良い。前者の気体レーザーとしては、エキシマレーザー、YAGレーザー等が挙げられ、後者の固体レーザーとしては、Cr、Nd等がドーピングされたYAG、YVO4等の結晶を使ったレーザー等が挙げられる。なお非晶質半導体膜の結晶化に際し、大粒径に結晶を得るためには、連続発振が可能な固体レーザーを用い、基本波の第2〜第4高調波を適用するのが好ましい。上記レーザーを用いる場合には、レーザー発振器から放射されたレーザービームを光学系で線状に集光して、半導体膜に照射すると良い。
【0058】
但し、本実施例では、結晶化を助長する金属元素を用いて非晶質珪素膜の結晶化を行ったため、前記金属元素が結晶質珪素膜中に残留している。そのため、前記結晶質珪素膜上に50〜100nmの非晶質珪素膜を形成し、加熱処理(RTA法、ファーネスアニール炉を用いた熱アニール等)を行って、該非晶質珪素膜中に前記金属元素を拡散させ、前記非晶質珪素膜は加熱処理後にエッチングを行って除去する。その結果、前記結晶質珪素膜中の金属元素の含有量を低減または除去することができる。また半導体層203を形成後、TFTのしきい値を制御するために微量な不純物元素(ボロン)のドーピング(チャネルドーピング)を行ってもよい。
【0059】
次いで、半導体層203を覆うゲート絶縁膜206を形成する。ゲート絶縁膜206はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜206としてプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を115nmの厚さに形成した。
【0060】
さらに、同様に電子ビームでの照射と液滴吐出法により、減圧又は真空中で第1の導電層(ゲート配線、ゲート電極、キャパシタ電極)208を形成する(図2(C))。本実施例では、Alのナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を吐出して、ゲートパターンを形成した。特に、ゲート電極パターンは、トランジスタ特性を大きく左右するため、電子ビームによる照射を併用することは、アクティブマトリクス型のディスプレーの性能を向上する上で有効である。上述のように、本実施例では、電子ビームはパターンすべてに用いたが、例えば特に重要なSiパターン上のゲート電極部分のみに用いることも有効である。一方、ゲート絶縁膜206に対する電子ビームの照射量および照射エネルギーは大きすぎるとダメージを与えるため、これらの量は本発明の効果が得られる範囲で十分小さい方が望ましいのは当然である。
【0061】
電子銃には、ビームを集光する手段とビームを基板上の所望の位置に走査することを可能にする手段とが備わっている。また、液滴吐出装置には多数の液滴噴射ノズルを有している。また、ノズル径の異なるヘッドを複数用意し、用途に応じて、ノズル径の異なるヘッドを使い分けてもよい。なお、通常のヘッドのノズル径は50〜100μmであり、こ
のノズル径にも依存するが、スループットを考慮して、一度の走査で形成できるようにするために、一行又は一列と同じ長さになるように、複数のノズルを並列に配置してもよい。また、任意の個数のノズルを配置して、複数回走査しても構わないし、また同じ箇所を複数回走査することで重ね塗りをしてもよい。さらに、ヘッドを走査することが好ましいが、基板を移動させても構わない。なお基板とヘッドとの距離は、所望の箇所に滴下するために、できるだけ近づけておくことが好ましく、具体的には、0.1〜2ミリ程度が好ましい。
【0062】
ヘッドから1回に吐出する組成物の量は10〜70pl、粘度は100cp以下、粒径0.1μm以下が好ましい。これは、乾燥が起こることを防ぎ、また粘度が高すぎると、吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなったりするためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適宜調節する。またヘッドから吐出される組成物は、基板上で連続して滴下して線状又はストライプ状に形成することが好ましい。しかし、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下してもよい。
【0063】
ヘッドから吐出する組成物は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、Ndから選択された元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、AgPdCu合金などから適宜選択された導電性の材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。溶媒には、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤などを用いる。溶媒の濃度は、導電性材料の種類などに適宜決定するとよい。
【0064】
また、ヘッドから吐出する組成物として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)を粒径10nm以下で分散させた超微粒子(ナノメタル粒子)を用いてもよい。このように、粒径の微細な粒子を溶媒に分散又は溶解した組成物を用いると、ノズルの目詰まりという問題を解決することができる。なお、液滴吐出法を用いる本発明では、組成物の構成材料の粒径は、ノズルの粒径よりも小さいことが必要となる。また、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDT/PSS)水溶液などの導電性ポリマー(導電性高分子)を用いてもよい。
【0065】
また、銀または銅といった低抵抗金属を配線材料として用いると、配線抵抗の低抵抗化を図ることができるため、大型の基板を用いる場合に好ましい。しかも、これらの金属材料は通常のドライエッチング法によって加工することが難しいため、液滴吐出法で直接パターニングを行うことは、極めて効果的である。但し、例えば銅などの場合には、トランジスタの電気的特性に悪影響を及ぼさないようにするために、拡散を防ぐバリア性の導電膜を設けることが好ましい。バリア性の導電膜により、トランジスタが有する半導体に銅が拡散することなく、配線を形成することができる。このバリア性の導電膜としては、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)又は窒化タングステン(WN)から選ばれた一種又は複数種の積層膜を用いることができる。また、銅は酸化しやすいため、酸化防止剤などを併用することが好ましい。
【0066】
その後、第1の導電層が形成された基板に常圧または減圧、あるいは真空中で、150〜300度の範囲で加熱処理を施すことで、その溶媒を揮発させて、その組成物密度を向上させて、抵抗値が低くなるようにする。但し、ヘッド204から吐出する組成物における溶媒は、基板に滴下後に揮発するものが適している。本実施例の様に真空下で吐出が行われている場合は、通常の大気圧下の場合に比べて、蒸発速度が早いのが特徴であるが、特にトルエンなどの揮発性の高い溶媒を用いると、組成物を基板に滴下後、瞬時に揮発する。そのような場合には、加熱処理の工程は削除しても構わない。しかし、組成物の溶媒は特に限定されず、滴下後に揮発する溶媒を用いた場合であっても、加熱処理を施すこと
で、その組成物密度を向上させて、所望の抵抗値になるようにしてもよい。またこの加熱処理は、液滴吐出法により薄膜を形成した毎に行ってもよいし、任意の工程毎に行ってもよいし、全ての工程が終了した後に一括して行ってもよい。
【0067】
加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプアニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニールを用いてもよい。但し、ランプを用いる場合には、加熱処理を行う薄膜の組成を破壊せず、加熱のみを可能とする波長の光であり、例えば、400nmよりも波長の長い光、即ち赤外光以上の波長の光が好ましい。取り扱いの面からは、遠赤外線(代表的な波長は4〜25μm)を用いることが好ましい。またレーザー光を用いる場合、レーザー発振装置から発振されるレーザー光の基板におけるビームスポットの形状は、列又は行の長さと同じ長さになるように線状に成形することが好ましい。そうすると、一度の走査でレーザー照射を終了させることができる。本実施例では、加熱処理として、通常のファーネスアニールを用いた。
【0068】
続いて、ゲート電極208をマスクとして、半導体層203に、N型又はP型を付与する不純物元素を添加するドーピング処理を行う。本実施例では、半導体層203にN型を付与する不純物元素を添加して、不純物領域を形成した。同時に、不純物元素が全く添加されない領域又は微量の不純物元素が添加された領域(チャネル形成領域と総称)を形成した。
【0069】
この後、一旦全面を覆う第1の層間絶縁膜209を形成する。該第1の層間絶縁膜209はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜206としてプラズマCVD法により窒化珪素膜を100nmの厚さに形成した。さらに、同様にして全面を覆う第2の層間絶縁膜210を形成する。第2の層間絶縁膜210としては、CVD法によって形成された酸化珪素膜、SOG(Spin On Glass)法又はスピンコート法によって塗布された酸化珪素膜、アクリル等の有機絶縁膜又は非感光性の有機絶縁膜が0.7〜5μmの厚さで形成する。本実施例では、塗布法で膜厚1.6μmのアクリル膜50を形成した。なお第2の層間絶縁膜210は、基板201上に形成されたTFTによる凹凸を緩和し、平坦化する意味合いが強いので、平坦性に優れた膜が好ましい。さらに、第3の層間絶縁膜211となる窒化珪素膜を0.1μmの厚さで形成する。
【0070】
しかる後に、コンタクト孔213を形成するためのレジストパターン212を、上述の場合と同様に電子ビーム照射と液滴吐出との併用によって形成する。ついで、該レジストパターンをマスクとして異方性ドライエッチング法によってコンタクト孔213を形成した(図2(D))。
【0071】
この後、レジストパターン212を除去した後、同様に電子ビーム照射と液滴吐出との併用により、第2の導電層(ソース配線、ドレイン配線)214を前記コンタクト孔213の底部まで延在するように形成する。本実施例において、吐出する組成物としては、銀のナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を用いた。このときの断面図を図3(A)に示す。
【0072】
この場合、コンタクト孔の底部には、Alで形成されたゲート電極パターンあるいはSiパターン上のソース/ドレイン領域が露出している。これら領域は、導電体であるため、電子ビームを照射しても帯電することはない。しかしながら、コンタクト孔外周は帯電されるため、十分な効果は得られることになる。さらにコンタクト孔内には、十分の液滴を与える必要が有るため、この部分に対してより多くの液滴の吐出を行うことが必要であ
る。あるいは、重ね塗りにより、この部分の塗布量を増すことも、コンタクト抵抗不良を抑制する点で重要となる。なお、第2の導電層を形成する場合には、吐出する組成物の粘度を最適な値に設定することが必要である。
【0073】
引き続いて、加熱処理を行う。ここまでの工程により、絶縁表面を有する基板201上にトランジスタを形成することができた。
【0074】
続いて、全面に第2の導電層214と電気的に接続されるように、透明導電体からなる画素電極215を形成する(図3(B))。画素電極215には、一例として、酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、窒化チタンなどが挙げられる。本実施例では画素電極215として、電子ビーム照射と液滴吐出との併用による方法で、0.1μmの厚さでITO膜を形成した(図3(B))。
【0075】
以上、画素部においてはソース配線と、画素部のTFT及び保持容量と、端子部で構成されたアクティブマトリクス基板を作製することができる。そして、必要があれば、アクティブマトリクス基板または対向基板を所望の形状に分断する。
【0076】
この後、共通電極216、カラーフィルタ217、ブラックマトリックス218などが形成された対向基板219と貼り合わせる。そして所定の方法で液晶220を注入し、液晶表示装置を完成する。(図3(C))。
【0077】
以上の工程によって得られた液晶モジュールに、バックライト、導光板を設け、カバーで覆えば、図11にその断面図の一部を示したようなアクティブマトリクス型液晶表示装置(透過型)が完成する。なお、カバーと液晶モジュールは接着剤や有機樹脂を用いて固定する。また、透過型であるので偏光板は、アクティブマトリクス基板と対向基板の両方に貼り付ける。
【0078】
また、本実施の形態は透過型の例を示したが、特に限定されず、反射型や半透過型の液晶表示装置も作製することができる。反射型の液晶表示装置を得る場合は、画素電極として光反射率の高い金属膜、代表的にはアルミニウムまたは銀を主成分とする材料膜、またはそれらの積層膜等を用いればよい。
【0079】
以上、本発明の第1の実施例について、アクティブマトリックス型の液晶表示装置について説明したが、本実施例に限定されることなく、本発明の趣旨に基づき適用が可能となる。例えば、実施例2で示すように、アクティブマトリックス型有機EL表示装置の場合についても同様に適用することが可能である。また、本発明例で取り上げた材料、形成方法に関しても、本発明の趣旨に則り適宜選択して用いることが可能である。
【実施例2】
【0080】
本発明の第二の実施例について、図4〜5を用いて詳細に説明する。本発明においても、従来のフォトリソグラフィ法を用いたパターニング処理を全く用いずに、電子ビーム照射と液滴吐出の併用によるパターニング処理によって、EL表示装置を作成している。尚、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。ここでは、本発明を用いて、Nチャネル型TFT(スイッチ用)と2つのPチャネル型TFT(駆動用)を同一基板上に形成するEL表示装置の作製工程について説明する。なお、第一の実施例と同様の部分に関しては、詳細な説明は省略してある。
【0081】
基板401には、ガラス基板、プラスチック基板に代表される可撓性基板など、本工程
の処理温度に耐えうる基板を用いる(図4(A))。本実施例ではガラス基板401を用いた。続いて基板401上に、絶縁膜から成る下地膜402を形成する。下地膜402は単層又は積層構造のいずれでもよく、本実施例では、2層構造として、スパッタリング法を用い、1層目として窒化酸化珪素膜を50nm、2層目として酸化窒化珪素膜を50nmの厚さに形成し、その後CMP法などの方法により表面を平坦化した(図4(A))。
【0082】
次いで、下地膜402上に半導体層403を形成する。半導体層403は、まず公知の方法(スパッタリング法、LPCVD法、プラズマCVD法等)により25〜80nmの厚さで半導体膜を成膜する。次いで前記半導体膜を公知の結晶化法(レーザー結晶化法、RTA又はファーネスアニール炉を用いる熱結晶化法、結晶化を助長する金属元素を用いる熱結晶化法等)を用いて結晶化させる。なお前記半導体膜としては、非晶質半導体膜、微結晶半導体膜、結晶質半導体膜又は非晶質珪素ゲルマニウム膜などの非晶質構造を有する化合物半導体膜などを用いても良い。
【0083】
第一の実施例と同様にして、プラズマCVD法を用いて、膜厚50nmの非晶質珪素膜を成膜した。その後、ニッケルを含む溶液を非晶質珪素膜上に保持させ、この非晶質珪素膜に脱水素化(500℃、1時間)を行った後、熱結晶化(550℃、4時間)を行って結晶質珪素膜を形成した。その後、電子ビーム照射と液滴吐出の併用によって、減圧又は真空中で電子銃407より電子ビームの照射を行いながらヘッド400から吐出したレジストのパターニングを行い、該レジストパターンをマスクとしてドライエッチング法によって半導体層404〜406を形成した(図4(B))
【0084】
続いて、ゲート絶縁膜409を形成する。ゲート絶縁膜409はプラズマCVD法により酸化窒化珪素膜を115nmの厚さに形成した(図4(B))。
【0085】
ついで、第一の実施例と同様にして、電子ビーム照射と液滴吐出の併用によって、減圧又は真空中で第1の導電層(ゲート配線、ゲート電極)410〜413をタングステン膜で形成する。この後、一旦250℃程度でアニールを行って有機溶媒等の不純物を完全に除去する。(図4(B))
【0086】
その後、第1の導電層が形成された基板に常圧または減圧、あるいは真空中で、150〜300度の範囲で加熱処理を施すことで、その溶媒を揮発させ良好な導電特性を得る。但し、ヘッド400から吐出する組成物における溶媒は、基板に滴下後に揮発するものが適している。特にトルエンなどの揮発性の高い溶媒を用いると、組成物を基板に滴下後、揮発する。そのような場合には、加熱処理の工程は削除しても構わない。しかし、組成物の溶媒は特に限定されず、滴下後に揮発する溶媒を用いた場合であっても、加熱処理を施すことで、その組成物の粘度を低下させて、所望の粘度になるようにしてもよい。またこの加熱処理は、液滴吐出法により薄膜を形成した毎に行ってもよいし、任意の工程毎に行ってもよいし、全ての工程が終了した後に一括して行ってもよい。
【0087】
さらに、ゲート電極411〜413をマスクとして、半導体層404〜406に、N型又はP型を付与する不純物元素を添加するドーピング処理を行う。本実施例では、半導体層404にN型を付与する不純物元素を添加し、半導体層405〜406にP型を付与する不純物元素を添加して、不純物領域を形成した。同時に、不純物元素が全く添加されない領域又は微量の不純物元素が添加された領域(チャネル形成領域と総称)を形成した。
【0088】
この後、一旦全面を覆う第1の層間絶縁膜414を形成する。該第1の層間絶縁膜414はプラズマCVD法やスパッタ法を用いて、膜厚を40〜150nmとして珪素を含む絶縁膜で形成する。本実施例では、第1の層間絶縁膜414としてプラズマCVD法により窒化珪素膜を100nmの厚さに形成した。さらに、同様にして全面を覆う第2の層間
絶縁膜415を形成する。第2の層間絶縁膜415としては、塗布法で膜厚1.6μmのアクリル膜を形成した。さらに、第3の層間絶縁膜416となる窒化珪素膜を0.1μmの厚さで形成する。
【0089】
しかる後に、コンタクト孔を形成するためのレジストパターンを、上述の場合と同様に電子ビーム照射と液滴吐出との併用によって形成する。ついで、該レジストパターンをマスクとして異方性ドライエッチング法によってコンタクト孔を形成した。(図4(C))この後、第2の導電層(ソース配線、ドレイン配線)417〜422を前記コンタクト孔の底部まで延在するように形成する。本実施例においては、第2の導電層はコンタクト孔内においては2種の金属の積層構造を用いた。すなわち、電子ビームは用いずに、一旦コンタクト孔部に対しニオブナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を吐出してニオブの層を形成し、しかる後に電子ビームを併用して銅のパターンを形成した。引き続いて加熱処理を行う。ここまでの工程により、絶縁表面を有する基板401上にトランジスタを形成することができた。このときの断面図を図4(D)に示す。
【0090】
続いて、全面に第2の導電層420、422と電気的に接続されるように、透明導電体からなる画素電極501、502を形成する。画素電極501、502には、一例として、酸化インジウムと酸化スズの化合物(ITO)、酸化インジウムと酸化亜鉛の化合物、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、窒化チタンなどが挙げられる。本実施例では画素電極501、502として、電子ビーム照射と液滴吐出との併用による方法で、0.1μmの厚さでITO膜を形成した(図5(A))。
【0091】
この後、有機ELによる発光素子の形成工程に入ることになる。画素電極501、502の端面を覆うように絶縁膜503を形成する。絶縁膜503を形成する材料は特に限定されず、無機又は有機の材料で形成することができる。この後、発光層となる有機ELを含む領域を形成することになるが、画素電極501、502と接するように発光層504、505を減圧又は真空中で順次形成する(図5(B、C))。発光層504、505の材料は特に限定されるものではないが、カラー表示を行う場合には、赤、緑、青の各色の材料を用いる。ついで、第2の画素電極(陰極)506を減圧又は真空中で蒸着法により形成する(図5(D))。
【0092】
第2の画素電極(陰極)506は、仕事関数の小さい金属(リチウム(Li)、マグネシウム(Mg)、セシウム(Cs))を含む薄膜、Li、Mg等を含む薄膜上に積層した透明導電膜との積層膜で形成する。膜厚は陰極として作用するように適宜設定すればよいが、0.01〜1μm程度の厚さで形成する。本実施例では、第2の画素電極506としてアルミニウムとリチウムの合金膜(Al−Li)を0.1μmの厚さで形成した。なお第2の画素電極506は、全面に成膜する。
【0093】
陰極として良く用いられる金属膜は、周期律表の1族若しくは2族に属する元素を含む金属膜であるが、これらの金属膜は酸化しやすいので表面を保護しておくことが望ましい。また、必要な膜厚も薄いため、抵抗率の低い導電膜を補助的に設けて陰極の抵抗を下げ、加えて陰極の保護を図るとよい。抵抗率の低い導電膜としてはアルミニウム、銅又は銀を主成分とする金属膜が用いられる。
【0094】
発光層504、505と第2の画素電極506の形成は、ヘッド400から吐出される組成物の変更、又は組成物が充填されたヘッド400の変更により実現する。この場合、大気開放されることなく行うことができるため、水分などに弱い発光素子の高信頼性につながる。吐出された組成物の粘度を所望の値(50cp以下)とするために、150〜300度の範囲で加熱処理を行う。
【0095】
これまでの工程において形成された、第1の画素電極501、502、発光層504、505及び第2の電極506の積層体が発光素子に相当する。第1の電極501、502は陽極、第2の電極506陰極に相当する。発光素子の励起状態には一重項励起と三重項励起があるが、発光はどちらの励起状態を経てもよい。
【0096】
本実施例では、発光素子から発せられる光を基板401側(底面)側から取り出す、所謂下面出射を行う場合を示した。しかし、基板401の表面から光を取り出す、所謂上面出射を行うようにしてもよい。その場合、第1の画素電極501、502を陰極、第2の画素電極506を陽極に相当するように形成し、さらに第2の画素電極506は透明材料で形成するとよい。また、駆動用TFTはNチャネル型TFTで形成することが好ましい。なお、駆動用TFTの導電型は適宜変更しても構わないが、容量素子は該駆動用TFTのゲート・ソース間電圧を保持するように配置する。なお本実施例では、発光素子を用いた表示装置の場合を例示したが、液晶素子を用いた液晶表示装置やその他の表示装置に本発明を適用してもよい。
【0097】
上記構成を有する本発明は、基板の大型化に対応可能で、スループットや材料の利用効率を向上させた配線、導電層及び表示装置の作製方法を提供することができる。
【実施例3】
【0098】
本実施例は、液滴吐出法を用いて、コンタクトホール(開孔)に液滴組成物を充填させる方法について、図7〜図9を用いて説明する。
【0099】
図7(A)において、基板3000上に半導体3001、該半導体3001上に絶縁体3002を有し、絶縁体3002はコンタクトホール3003を有する。コンタクトホールの形成方法としては、公知の方法を用いればよいが、液滴吐出法を用いてもよい。その場合には、ノズルからウエットエッチング溶液を吐出することで、コンタクトホール3003を形成する。そうすると、液滴吐出法により、コンタクトホールの形成と配線の形成とを連続的に行うことができる。
【0100】
そして、コンタクトホール3003の上方にノズル3004を移動させ、該コンタクトホール3003に液滴組成物を連続的に吐出して、該コンタクトホール3003を液滴組成物で充填する(図7(B))。その後、ノズル3004の位置をリセットして、選択的に液滴組成物を吐出することで、コンタクトホール3003に液滴組成物が充填された導電体3005を形成することができる(図7(C))。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査する。
【0101】
次に、上記とは異なる方法について、図8を用いて説明する。本方法では、ノズル3004を移動させて、配線を形成する領域のみに選択的に液滴組成物を吐出して、導電体3006を形成する(図8(B))。次に、コンタクトホール3003の上方に移動し、該コンタクトホール3003に連続的に液滴組成物を吐出する。その結果、コンタクトホール3003に液滴組成物が充填された導電体3007を形成することができる(図8(C))。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査する。
【0102】
次に、上記とは異なる方法について、図9を用いて説明する。本方法では、まず、ノズル3004を移動して、選択的に液滴組成物を吐出する(図9(A))。そして、ノズル3004がコンタクトホール3003の上方に到達したら、液滴組成物を連続的に吐出し、該コンタクトホールを液滴組成物により充填する(図9(B))。その結果、コンタクトホール3003に液滴組成物が充填された導電体3008を形成することができる(図9(C))。この方法では、ノズル3004は同じ箇所を複数回走査することはない。
【0103】
上記のいずれかの方法を用いることにより、コンタクトホールにも液滴組成物を充填させた導電体を形成することができる。
【0104】
なお、液滴吐出法を用いると、パソコンなどに入力された回路配線を即座に作製することができる。このときのシステムについて、図10を用いて簡単に説明する。
【0105】
基幹となる構成要素としては、CPU3100、揮発性メモリ3101、不揮発性メモリ3102及びキーボードや操作ボタンなどの入力手段3103、液滴吐出手段3104を有する液滴吐出装置が挙げられる。その動作について簡単に説明すると、入力手段3103により、回路配線のデータが入力されたら、このデータはCPU3100を介して揮発性メモリ3101又は不揮発性メモリ3102に記憶される。そして、このデータを基に、液滴吐出手段3104が選択的に液滴組成物を吐出することで、配線を形成することができる。
【0106】
上記構成により、露光を目的としたマスクが不要となり、露光、現像などの工程を大幅に削減することができる。その結果、スループットが高くなり、大幅に生産性を向上させることができる。また本構成は、配線の断線箇所や、配線と電極間の電気的接続の不良箇所などをリペアする目的で使用してもよい。この場合、例えばパソコンなどにリペア箇所を入力し、該箇所にノズルから液滴組成物を吐出させることが好適である。また、少なくとも一辺が1mを超える大きさの大型基板に対しても簡単に配線を形成することができ、さらに所望の箇所に必要な量の材料のみを塗布すればよいため、無駄な材料が僅かとなることから材料の利用効率の向上、作製費用の削減を実現する。
【実施例4】
【0107】
本発明の実施例について、図12を用いて詳細に説明する。ここでは、実施例1及び実施例2に示した順スタガ型のTFTとは異なり、逆スタガ型のTFTを形成する作製工程について説明する。尚、以下に説明する本発明の構成において、同じものを指す符号は異なる図面間で共通して用いることとする。
【0108】
基板2000には、実施例1で表記した基板を用いることができる。本実施例では、ガラス基板(コーニング社製、#7059)を用いる。
【0109】
続いて、基板2000上に、電子ビーム照射手段2200での照射と液滴吐出手段2201により、減圧又は真空中で第1の導電層(ゲート配線、ゲート電極、キャパシタ電極)2001、2002を形成する(図12(A))。本実施例では、Alのナノ微粒子を界面活性剤を用いて有機溶媒中に分散させた液を吐出して、ゲートパターンを形成する。特に、ゲート電極パターンは、トランジスタ特性を大きく左右するため、電子ビームによる照射を併用することは、アクティブマトリクス型のディスプレーの性能を向上する上で有功である。上述のように、本実施例では、電子ビームはパターンすべてに用いたが、例えば特に重要なゲート電極部分のみに用いることも有効である。
【0110】
電子銃には、ビームを集光する手段とビームを基板上の所望の位置に走査することを可能にする手段とが備わっている。また、液滴吐出装置には多数の液滴噴射ノズルを有している。また、ノズル径の異なるヘッドを複数用意し、用途に応じて、ノズル径の異なるヘッドを使い分けてもよい。なお、通常のヘッドのノズル径は50〜100μmであり、このノズル径にも依存するが、スループットを考慮して、一度の走査で形成できるようにするために、一行又は一列と同じ長さになるように、複数のノズルを並列に配置してもよい。また、任意の個数のノズルを配置して、複数回走査しても構わないし、また同じ箇所を複数回走査することで重ね塗りをしてもよい。さらに、ヘッドを走査することが好ましいが、基板を移動させても構わない。なお基板とヘッドとの距離は、所望の箇所に滴下する
ために、できるだけ近づけておくことが好ましく、具体的には、0.1〜2ミリ程度が好ましい。
【0111】
ヘッドから1回に吐出する組成物の量は10〜70pl、粘度は100cp以下、粒径0.1μm以下が好ましい。これは、乾燥が起こることを防ぎ、また粘度が高すぎると、吐出口から組成物を円滑に吐出できなくなったりするためである。用いる溶媒や、用途に合わせて組成物の粘度、表面張力、乾燥速度などは適宜調節する。またヘッドから吐出される組成物は、基板上で連続して滴下して線状又はストライプ状に形成することが好ましい。しかし、例えば1ドット毎などの所定の箇所毎に滴下してもよい。
【0112】
ヘッドから吐出する組成物は、タンタル(Ta)、タングステン(W)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、クロム(Cr)、Ndから選択された元素、または前記元素を主成分とする合金材料若しくは化合物材料、AgPdCu合金などから適宜選択された導電性の材料を溶媒に溶解又は分散させたものを用いる。溶媒には、酢酸ブチル、酢酸エチル等のエステル類、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類、メチルエチルケトン、アセトン等の有機溶剤などを用いる。溶媒の濃度は、導電性材料の種類などに適宜決定するとよい。
【0113】
また、ヘッドから吐出する組成物として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)を粒径10nm以下で分散させた超微粒子(ナノメタル粒子)を用いてもよい。このように、粒径の微細な粒子を溶媒に分散又は溶解した組成物を用いると、ノズルの目詰まりという問題を解決することができる。なお、液滴吐出法を用いる本発明では、組成物の構成材料の粒径は、ノズルの粒径よりも小さいことが必要となる。また、ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンスルホン酸(PEDT/PSS)水溶液などの導電性ポリマー(導電性高分子)を用いてもよい。
【0114】
また、銀または銅といった低抵抗金属を配線材料として用いると、配線抵抗の低抵抗化を図ることができるため、大型の基板を用いる場合に好ましい。しかも、これらの金属材料は通常のドライエッチング法によって加工することが難しいため、液滴吐出法で直接パターニングを行うことは、極めて効果的である。但し、例えば銅などの場合には、トランジスタの電気的特性に悪影響を及ぼさないようにするために、拡散を防ぐバリア性の導電膜を設けることが好ましい。バリア性の導電膜により、トランジスタが有する半導体に銅が拡散することなく、配線を形成することができる。このバリア性の導電膜としては、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)又は窒化タングステン(WN)から選ばれた一種又は複数種の積層膜を用いることができる。また、銅は酸化しやすいため、酸化防止剤などを併用することが好ましい。
【0115】
その後、第1の導電層が形成された基板に常圧または減圧、あるいは真空中で、150〜300度の範囲で加熱処理を施すことで、その溶媒を揮発させて、その組成物密度を向上させて、抵抗値が低くなるようにする。但し、ヘッドから吐出する組成物における溶媒は、基板に滴下後に揮発するものが適している。本実施例の様に真空下で吐出が行われている場合は、通常の大気圧下の場合に比べて、蒸発速度が早いのが特徴であるが、特にトルエンなどの揮発性の高い溶媒を用いると、組成物を基板に滴下後、瞬時に揮発する。そのような場合には、加熱処理の工程は削除しても構わない。しかし、組成物の溶媒は特に限定されず、滴下後に揮発する溶媒を用いた場合であっても、加熱処理を施すことで、その組成物密度を向上させて、所望の抵抗値になるようにしてもよい。またこの加熱処理は、液滴吐出法により薄膜を形成した毎に行ってもよいし、任意の工程毎に行ってもよいし、全ての工程が終了した後に一括して行ってもよい。
【0116】
加熱処理は、加熱源にハロゲンなどのランプを用いて、直接基板を高速加熱するランプ
アニール装置や、レーザー光を照射するレーザー照射装置を用いる。両者とも加熱源を走査することで、所望の箇所のみに加熱処理を施すことができる。その他の方法として、所定の温度に設定されたファーネスアニールを用いてもよい。但し、ランプを用いる場合には、加熱処理を行う薄膜の組成を破壊せず、加熱のみを可能とする波長の光であり、例えば、400nmよりも波長の長い光、即ち赤外光以上の波長の光が好ましい。取り扱いの面からは、遠赤外線(代表的な波長は4〜25μm)を用いることが好ましい。またレーザー光を用いる場合、レーザー発振装置から発振されるレーザー光の基板におけるビームスポットの形状は、列又は行の長さと同じ長さになるように線状に成形することが好ましい。そうすると、一度の走査でレーザー照射を終了させることができる。本実施例では、加熱処理として、通常のファーネスアニールを用いた。
【0117】
次に、第1の導電層2001、2002を覆うようにゲート絶縁膜2003を形成する。ゲート絶縁膜2003は、例えば酸化珪素、窒化珪素または窒化酸化珪素等の絶縁膜を用いることができる。ゲート絶縁膜2003は、単層の絶縁膜を用いても良いし、複数の絶縁膜を積層していても良い。本実施例では、窒化珪素、酸化珪素、窒化珪素が順に積層された絶縁膜を、ゲート絶縁膜2003として用いる。また成膜方法は、プラズマCVD法、スパッタリング法などを用いることができる。低い成膜温度でゲートリーク電流を抑えることができる緻密な絶縁膜を形成するには、アルゴンなどの希ガス元素を反応ガスに含ませ、形成される絶縁膜中に混入させると良い。また窒化アルミニウムをゲート絶縁膜2003として用いることができる。窒化アルミニウムは熱伝導率が比較的高く、TFTで発生した熱を効率的に発散させることができる。
【0118】
次に、第1の半導体膜2004を形成する。第1の半導体膜2004は非晶質(アモルファス)半導体またはセミアモルファス半導体(SAS)で形成することができる。また多結晶半導体膜を用いていても良い。本実施の形態では、第1の半導体膜2004としてセミアモルファス半導体を用いる。セミアモルファス半導体は、非晶質半導体よりも結晶性が高く高い移動度が得られ、また多結晶半導体と異なり結晶化させるための工程を増やさずとも形成することができる。
【0119】
非晶質半導体は、珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4、Si2H6が挙げられる。この珪化物気体を、水素、水素とヘリウムで希釈して用いても良い。
【0120】
またSASも珪化物気体をグロー放電分解することにより得ることができる。代表的な珪化物気体としては、SiH4であり、その他にもSi2H6、SiH2Cl2、SiHCl3、SiCl4、SiF4などを用いることができる。また水素や、水素にヘリウム、アルゴン、クリプトン、ネオンから選ばれた一種または複数種の希ガス元素を加えたガスで、この珪化物気体を希釈して用いることで、SASの形成を容易なものとすることができる。希釈率は2倍〜1000倍の範囲で珪化物気体を希釈することが好ましい。またさらに、珪化物気体中に、CH4、C2H6などの炭化物気体、GeH4、GeF4などのゲルマニウム化気体、F2などを混入させて、エネルギーバンド幅を1.5〜2.4eV、若しくは0.9〜1.1eVに調節しても良い。SASを第1の半導体膜として用いたTFTは、1〜10cm2/Vsecや、それ以上の移動度を得ることができる。
【0121】
また異なるガスで形成されたSASを複数積層することで、第1の半導体膜を形成しても良い。例えば、上述した各種ガスのうち、弗素原子を含むガスを用いて形成されたSASと、水素原子を含むガスを用いて形成されたSASとを積層して、第1の半導体膜を形成することができる。
【0122】
グロー放電分解による被膜の反応生成は減圧下または大気圧下で行なうことができる。
減圧下で行なう場合、圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲で行なえば良い。グロー放電を形成するための電力は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzの高周波電力を供給すれば良い。圧力は概略0.1Pa〜133Paの範囲、電源周波数は1MHz〜120MHz、好ましくは13MHz〜60MHzとする。基板加熱温度は300℃以下でよく、好ましくは100〜250℃とする。膜中の不純物元素として、酸素、窒素、炭素などの大気成分の不純物は1×1020atoms/cm3以下とすることが望ましく、特に、酸素濃度は5×1019atoms/cm3以下、好ましくは1×1019atoms/cm3以下とする。
【0123】
なお、Si2H6と、GeF4またはF2とを用いて半導体膜を形成する場合、半導体膜のより基板に近い側から結晶が成長するので、基板に近い側ほど半導体膜の結晶性が高い。よって、ゲート電極が第1の半導体膜よりも基板により近いボトムゲート型のTFTの場合、第1の半導体膜のうち基板に近い側の結晶性が高い領域をチャネル形成領域として用いることができるので、移動度をより高めることができ、適している。
【0124】
また、SiH4と、H2とを用いて半導体膜を形成する場合、半導体膜の表面により近い側ほど大きい結晶粒が得られる。よって、第1の半導体膜がゲート電極よりも基板により近いトップゲート型のTFTの場合、第1の半導体膜のうち基板から遠い側の結晶性が高い領域をチャネル形成領域として用いることができるので、移動度をより高めることができ、適している。
【0125】
また、SASは、価電子制御を目的とした不純物を意図的に添加しないときに弱いN型の導電型を示す。これは、アモルファス半導体を成膜するときよりも高い電力のグロー放電を行なうため酸素が半導体膜中に混入しやすいためである。そこで、TFTのチャネル形成領域を設ける第1の半導体膜に対しては、P型を付与する不純物を、この成膜と同時に、或いは成膜後に添加することで、しきい値制御をすることが可能となる。P型を付与する不純物としては、代表的には硼素であり、B2H6、BF3などの不純物気体を1ppm〜1000ppmの割合で珪化物気体に混入させると良い。例えば、P型を付与する不純物としてボロンを用いる場合、該ボロンの濃度を1×1014〜6×1016atoms/cm3とすると良い。
【0126】
次に、第1の半導体膜2004のうち、チャネル形成領域となる部分と重なるように、第1の半導体膜2004上に保護膜2005、2006を形成する。保護膜2005、2006は液滴吐出法または印刷法を用いて形成しても良いし、CVD法、スパッタリング法などを用いて形成しても良い。保護膜2005、2006として、酸化珪素、窒化珪素、窒化酸化珪素などの無機絶縁膜、シロキサン系絶縁膜などを用いることができる。またこれらの膜を積層し、保護膜2005、2006として用いても良い。本実施の形態では、プラズマCVD法で形成された窒化珪素、液滴吐出法で形成されたシロキサン系絶縁膜を積層して、保護膜2005、2006として用いる。この場合、窒化珪素のパターニングは、液滴吐出法で形成されたシロキサン系絶縁膜をマスクとして用い行なうことができる。
【0127】
次に図12(B)に示すように、第1の半導体膜2004のパターニングを行なう。第1の半導体膜2004のパターニングは、リソグラフィ法を用いても良いし、液滴吐出法で形成されたレジストをマスクとして用いても良い。後者の場合、露光用のマスクを別途用意しておく必要がなくなり、よってコストの削減に繋がる。本実施の形態では、液滴吐出法で形成されたレジスト2007、2008を用い、パターニングする例を示す。なおレジスト2007、2008は、ポリイミド、アクリルなどの有機樹脂を用いることができる。そして、レジスト2007、2008を用いたドライエッチングにより、パターニングされた第1の半導体膜2009、2010が形成される(図12(C))。
【0128】
次に、パターニング後の第1の半導体膜2009、2010を覆うように、第2の半導体膜を形成する。第2の半導体膜には、一導電型を付与する不純物を添加しておく。nチャネル型のTFTを形成する場合には、第2の半導体膜に、N型を付与する不純物、例えばリンを添加すれば良い。具体的には、珪化物気体にPH3などの不純物気体を加え、第2の半導体膜を形成すれば良い。一導電型を有する第2の半導体膜は、第1の半導体膜2009、2010と同様にセミアモルファス半導体、非晶質半導体で形成することができる。
【0129】
なお本実施例では、第2の半導体膜を第1の半導体膜2009、2010と接するように形成しているが、本発明はこの構成に限定されない。第1の半導体膜と第2の半導体膜の間に、LDD領域として機能する第3の半導体膜を形成しておいても良い。この場合、第3の半導体膜は、セミアモルファス半導体または非晶質半導体で形成する。そして、第3の半導体膜は、導電型を付与するための不純物を意図的に添加しなくとも、もともと弱いN型の導電型を示す。よって第3の半導体膜には、導電型を付与するための不純物を添加してもしなくても、LDD領域として用いることができる。
【0130】
次に、配線2015〜2018を液滴吐出法を用いて形成し、該配線2015〜201をマスクとして用い、第2の半導体膜をエッチングする。第2の半導体膜のエッチングは、真空雰囲気下もしくは大気圧雰囲気下におけるドライエッチングで行なうことができる。上記エッチングにより、第2の半導体膜からソース領域またはドレイン領域として機能する、第2の半導体2011〜2014が形成される。第2の半導体膜をエッチングする際、保護膜2005、2006によって、第1の半導体膜2009、2010がオーバーエッチングされるのを防ぐことができる。
【0131】
配線2015〜2018は、第1の導電層2001、2002と同様に形成することができる。具体的には、Ag、Au、Cu、Pdなどの金属、金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いる。液滴吐出法を用いる場合、有機系または無機系の溶媒に該導電材料を分散させたものを、ノズルから滴下した後、室温において乾燥または焼成することで、形成することができる。分散剤により凝集を抑え、溶液に分散させることができるならば、Cr、Mo、Ti、Ta、W、Alなどの金属、金属化合物を1つまたは複数有する導電材料を用いることも可能である。焼成は酸素雰囲気下で行ない、配線2015〜2018の抵抗を下げるようにしても良い。また液滴吐出法による導電材料の成膜を複数回行なうことで、複数の導電膜が積層された配線2015〜2018を形成することも可能である。
【0132】
上記工程によって、スイッチ用TFT2019、駆動用TFT2020が形成される(図12(D))。
【0133】
図12では、第1の半導体膜と第2の半導体膜を別々の工程でパターニングしているが、本発明の半導体装置はこの作製方法に限定されない。
【0134】
また、第1の半導体膜と第2の半導体膜の間に保護膜を形成しているが、本発明はこの構成に限定されず、保護膜は必ずしも形成しなくて良い。
【0135】
また、本実施例で取り上げた材料、形成方法に関しても、本発明の趣旨に則り適宜選択して用いることが可能である。
【0136】
なお、本実施例は、他の実施例に記載した構成と組み合わせて実施することが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に下地膜を形成し、
前記下地膜上に半導体膜を形成し、
前記半導体膜の一部に第1の電子ビームを照射し、前記半導体膜のうち前記第1の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第1のレジストを形成し、
前記第1のレジストをマスクとして、前記半導体膜をエッチングして半導体層を形成し、
前記第1のレジストを除去し、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の一部に第2の電子ビームを照射し、前記ゲート絶縁膜のうち前記第2の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってゲート電極を形成し、
前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層にN型またはP型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成し、
前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の一部に第3の電子ビームを照射し、前記層間絶縁膜のうち前記第3の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第2のレジストを形成し、
前記第2のレジストをマスクとして、前記層間絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜をエッチングして、前記半導体層に達するコンタクト孔を形成し、
前記第2のレジストを除去し、
前記コンタクト孔及び前記層間絶縁膜の一部上に第4の電子ビームを照射し、前記第4の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってソース配線及びドレイン配線を形成し、
前記層間絶縁膜の一部及び前記ソース配線または前記ドレイン配線上に第5の電子ビームを照射し、前記第5の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって画素電極を形成することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項2】
基板上に下地膜を形成し、
前記下地膜上に半導体膜を形成し、
前記半導体膜の一部に第1の電子ビームを照射し、前記半導体膜のうち前記第1の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第1のレジストを形成し、
前記第1のレジストをマスクとして、前記半導体膜をエッチングして半導体層を形成し、
前記第1のレジストを除去し、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の一部に第2の電子ビームを照射し、前記ゲート絶縁膜のうち前記第2の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってゲート電極を形成し、
前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層にN型またはP型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成し、
前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の一部に第3の電子ビームを照射し、前記層間絶縁膜のうち前記第3の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第2のレジストを形成し、
前記第2のレジストをマスクとして、前記層間絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜をエッチングして、前記半導体層に達するコンタクト孔を形成し、
前記第2のレジストを除去し、
前記コンタクト孔及び前記層間絶縁膜の一部上に第4の電子ビームを照射し、前記第4の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってソース配線及びドレイン配線を形成し、
前記層間絶縁膜の一部及び前記ソース配線または前記ドレイン配線上に第5の電子ビームを照射し、前記第5の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって画素電極を形成し、
前記基板と、共通電極、カラーフィルタ、及びブラックマトリックスを形成した対向基板とを貼り合わせ、
前記基板と前記対向基板との間に液晶を注入することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項3】
基板上に下地膜を形成し、
前記下地膜上に半導体膜を形成し、
前記半導体膜の一部に第1の電子ビームを照射し、前記半導体膜のうち前記第1の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第1のレジストを形成し、
前記第1のレジストをマスクとして、前記半導体膜をエッチングして半導体層を形成し、
前記第1のレジストを除去し、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の一部に第2の電子ビームを照射し、前記ゲート絶縁膜のうち前記第2の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってゲート電極を形成し、
前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層にN型またはP型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成し、
前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の一部に第3の電子ビームを照射し、前記層間絶縁膜のうち前記第3の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第2のレジストを形成し、
前記第2のレジストをマスクとして、前記層間絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜をエッチングして、前記半導体層に達するコンタクト孔を形成し、
前記第2のレジストを除去し、
前記コンタクト孔及び前記層間絶縁膜の一部上に第4の電子ビームを照射し、前記第4の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってソース配線及びドレイン配線を形成し、
前記層間絶縁膜の一部及び前記ソース配線または前記ドレイン配線上に第5の電子ビームを照射し、前記第5の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第1の画素電極を形成し、
前記層間絶縁膜の一部及び前記第1の画素電極の一部に第6の電子ビームを照射し、前記第6の電子ビームが照射された領域上に、液滴吐出法によって前記第1の画素電極の端面を覆う絶縁膜を形成し、
前記第1の画素電極に第7の電子ビームを照射し、前記第7の電子ビームが照射された領域上に、液滴吐出法によって発光層を形成し、
前記発光層に第8の電子ビームを照射し、前記第8の電子ビームが照射された領域上に、液滴吐出法によって第2の画素電極を形成することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項1】
基板上に下地膜を形成し、
前記下地膜上に半導体膜を形成し、
前記半導体膜の一部に第1の電子ビームを照射し、前記半導体膜のうち前記第1の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第1のレジストを形成し、
前記第1のレジストをマスクとして、前記半導体膜をエッチングして半導体層を形成し、
前記第1のレジストを除去し、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の一部に第2の電子ビームを照射し、前記ゲート絶縁膜のうち前記第2の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってゲート電極を形成し、
前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層にN型またはP型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成し、
前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の一部に第3の電子ビームを照射し、前記層間絶縁膜のうち前記第3の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第2のレジストを形成し、
前記第2のレジストをマスクとして、前記層間絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜をエッチングして、前記半導体層に達するコンタクト孔を形成し、
前記第2のレジストを除去し、
前記コンタクト孔及び前記層間絶縁膜の一部上に第4の電子ビームを照射し、前記第4の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってソース配線及びドレイン配線を形成し、
前記層間絶縁膜の一部及び前記ソース配線または前記ドレイン配線上に第5の電子ビームを照射し、前記第5の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって画素電極を形成することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項2】
基板上に下地膜を形成し、
前記下地膜上に半導体膜を形成し、
前記半導体膜の一部に第1の電子ビームを照射し、前記半導体膜のうち前記第1の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第1のレジストを形成し、
前記第1のレジストをマスクとして、前記半導体膜をエッチングして半導体層を形成し、
前記第1のレジストを除去し、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の一部に第2の電子ビームを照射し、前記ゲート絶縁膜のうち前記第2の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってゲート電極を形成し、
前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層にN型またはP型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成し、
前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の一部に第3の電子ビームを照射し、前記層間絶縁膜のうち前記第3の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第2のレジストを形成し、
前記第2のレジストをマスクとして、前記層間絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜をエッチングして、前記半導体層に達するコンタクト孔を形成し、
前記第2のレジストを除去し、
前記コンタクト孔及び前記層間絶縁膜の一部上に第4の電子ビームを照射し、前記第4の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってソース配線及びドレイン配線を形成し、
前記層間絶縁膜の一部及び前記ソース配線または前記ドレイン配線上に第5の電子ビームを照射し、前記第5の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって画素電極を形成し、
前記基板と、共通電極、カラーフィルタ、及びブラックマトリックスを形成した対向基板とを貼り合わせ、
前記基板と前記対向基板との間に液晶を注入することを特徴とする表示装置の作製方法。
【請求項3】
基板上に下地膜を形成し、
前記下地膜上に半導体膜を形成し、
前記半導体膜の一部に第1の電子ビームを照射し、前記半導体膜のうち前記第1の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第1のレジストを形成し、
前記第1のレジストをマスクとして、前記半導体膜をエッチングして半導体層を形成し、
前記第1のレジストを除去し、
前記半導体層を覆うゲート絶縁膜を形成し、
前記ゲート絶縁膜の一部に第2の電子ビームを照射し、前記ゲート絶縁膜のうち前記第2の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってゲート電極を形成し、
前記ゲート電極をマスクとして、前記半導体層にN型またはP型を付与する不純物元素を添加して不純物領域を形成し、
前記ゲート電極及び前記ゲート絶縁膜を覆う層間絶縁膜を形成し、
前記層間絶縁膜の一部に第3の電子ビームを照射し、前記層間絶縁膜のうち前記第3の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第2のレジストを形成し、
前記第2のレジストをマスクとして、前記層間絶縁膜及び前記ゲート絶縁膜をエッチングして、前記半導体層に達するコンタクト孔を形成し、
前記第2のレジストを除去し、
前記コンタクト孔及び前記層間絶縁膜の一部上に第4の電子ビームを照射し、前記第4の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によってソース配線及びドレイン配線を形成し、
前記層間絶縁膜の一部及び前記ソース配線または前記ドレイン配線上に第5の電子ビームを照射し、前記第5の電子ビームが照射された領域上に液滴吐出法によって第1の画素電極を形成し、
前記層間絶縁膜の一部及び前記第1の画素電極の一部に第6の電子ビームを照射し、前記第6の電子ビームが照射された領域上に、液滴吐出法によって前記第1の画素電極の端面を覆う絶縁膜を形成し、
前記第1の画素電極に第7の電子ビームを照射し、前記第7の電子ビームが照射された領域上に、液滴吐出法によって発光層を形成し、
前記発光層に第8の電子ビームを照射し、前記第8の電子ビームが照射された領域上に、液滴吐出法によって第2の画素電極を形成することを特徴とする表示装置の作製方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−171734(P2011−171734A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29398(P2011−29398)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【分割の表示】特願2004−567194(P2004−567194)の分割
【原出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【分割の表示】特願2004−567194(P2004−567194)の分割
【原出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】
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