説明

W含有膜の製造方法および電気光学装置の製造方法

【課題】WSi膜上にSiO2膜を形成し、SiO2膜を緻密化するため成膜温度より高い温度でアニールを行った場合、SiO2膜中にクラックが入る欠陥が生じる場合がある。このクラックの発生を抑えるために、アニール時の温度変化速度を抑え、急激な熱膨張/熱収縮を避けているが、クラック欠陥を十分抑えられないという課題がある。
【解決手段】WSi膜を用いた、走査線前駆体11cをスパッタリングにより200nmの膜厚に堆積させる。そして、パターニング後、無機絶縁膜100としてSiO2膜を堆積する。そして、約700℃で熱処理を行う。そして、無機絶縁膜100を除去する。走査線前駆体11cの改質に伴い、無機絶縁膜100との間には応力が掛かっている。ここで、無機絶縁膜100を除去することで、走査線前駆体11cの改質に伴う応力をパターン側面を含めて開放することが可能となり、クラック欠陥の発生を抑えることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、W含有膜の製造方法および電気光学装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
W(タングステン)含有膜としてのWSi(タングステンシリサイド)膜は、2000℃以上の融点を有する高耐熱膜であり、1000℃程度の高温熱処理を必要とする高温ポリシリコン膜を用いたTFT(Thin Film Transistor)を形成する場合に好適な導体膜や、遮光膜として用いられている。また、Si(シリコン)単体の融点は1400℃程度である。また、W単体の融点は3400℃程度であり、WとSiとが接する構造を有する多層膜も高温TFTを用いる際に好適な導体膜や、遮光膜として用いられてきている。WとSiとが接している場合、熱処理を行うと、WとSiとの界面にWSi膜が形成される。
【0003】
WSi膜は導電性の膜であるため、高温TFT等の導体・半導体層と重ねて形成するためには、絶縁性の膜を用いて電気的に分離する必要がある。電気的に分離する絶縁膜としては、たとえば550℃程度の温度で、シラン系のガスと笑気を用いて、減圧(Low Pressure:LP)CVD法により形成されるSiO2(酸化シリコン)膜が用いられる。このSiO2膜は、製造が容易であり、かつシリコンプロセスに古くから用いられており、汚染等の問題を起こさずに用いることができる。また、耐熱性も高く軟化点も1500℃以上であることから、シリコンプロセスにおいて好適に用いられている。
【0004】
ここで、WSi膜上にこのようなSiO2膜を形成し、SiO2膜を緻密化するため成膜温度より高い温度で熱処理を行った場合、SiO2膜中にクラックが入る欠陥が生じる場合がある。このクラックの発生を抑えるためには、特許文献1に示すように、熱処理時の温度変化速度を抑え、急激な熱膨張/熱収縮を避けることで対応する製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−19131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記したように熱処理時の温度変化速度を抑えることで若干クラック発生率は減るが、根本的な対策にはならず、クラック発生率は依然として高いままであった。また、WSi膜を用いた場合に限らず、WSi層を含む多層膜、またはW層とSi層とが接する構造を有する多層膜でも同様な問題が発生することが認められている。そのため、クラックの発生率を低減しうるW含有膜の製造方法および電気光学装置の製造方法が求められてきている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。ここで、「上」とは、基板からW含有膜方向に向かう、基板の法線方向を指すものと定義し、直接接していない場合にも適用されるものとする。また、「多層膜」とは、異なる物質からなる膜が、2層以上重なっているものと定義する。「多層膜」は、たとえばW膜1層と、Si膜1層とを重ねた場合を含んでいる。
【0008】
[適用例1]本適用例にかかるW含有膜の製造方法は、基板上にW(タングステン)含有膜前駆体を形成する工程と、前記W含有膜前駆体をパターニングする工程と、パターニングした後、前記W含有膜前駆体上に、絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を形成した後に熱処理を行い、前記W含有膜前駆体をW含有膜に改質する工程と、前記絶縁膜を除去する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
これによれば、熱処理によるW含有膜前駆体の改質を、Wの酸化を抑えて行うことができる。無機絶縁膜でW含有膜前駆体を覆うため、大気は無機絶縁膜を通さなければW含有膜前駆体に侵入できない。そのため、大気雰囲気の侵入を防げない加熱装置を用いてもW含有膜前駆体の酸化を抑えて熱処理を行うことが可能となる。また、熱処理を行いW含有膜前駆体がW含有膜に改質された後、改質に伴う応力を受けた無機絶縁膜を除去することで、応力起因の損傷を回避してW含有膜を用いることが可能となる。また、パターニングしてから熱処理を行うことから、W含有膜の側面における応力を開放することが可能となる。
【0010】
[適用例2]本適用例にかかるW含有膜の製造方法は、基板上にW(タングステン)含有膜前駆体を形成する工程と、前記W含有膜前駆体をパターニングする工程と、パターニングした後、不活性雰囲気、還元性雰囲気または減圧雰囲気中で熱処理を行い、前記W含有膜前駆体をW含有膜に改質する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
これによれば、W含有膜前駆体から酸化種雰囲気を避けて熱処理を行うことが可能となる。従って熱処理に際して酸素の侵入を抑えるための保護膜を必要としないため、短い工程で熱処理を行うことが可能となる。また、パターニングしてから熱処理を行うことから、W含有膜の側面における応力を開放することが可能となる。
【0012】
[適用例3]上記した適用例にかかるW含有膜の製造方法であって、前記パターニングにより得られたパターンは、少なくとも一部の幅が10μm以下であることを特徴とする。
【0013】
上記した適用例によれば、W含有膜の側面からも応力を開放することが可能となる。パターンの幅が10μm以下の領域での応力が緩和されるため、細いパターンを形成しても破断等の不良発生を抑えることが可能となる。なお、パターン幅の下限値は、主にフォトリソグラフ加工の限界により制限される。
【0014】
[適用例4]上記した適用例にかかるW含有膜の製造方法であって、前記W含有膜前駆体は、WSi膜、WSi層を含む多層膜またはW膜とSi膜とが積層された多層膜からなることを特徴とする。
【0015】
上記した適用例によれば、WSi膜や、熱処理により発生するW層とSi層との間のWSi膜は、熱による結晶化に伴う体積変動が大きく、歪やクラックを生み出す応力が大きい傾向がある。そのため、一旦、改質して応力を開放することで、その後工程での歪の発生を抑えることができる。
【0016】
[適用例5]上記した適用例にかかるW含有膜の製造方法であって、前記熱処理は650℃以上800℃以下の温度を用いることを特徴とする。
【0017】
上記した適用例によれば、650℃以上の温度を用いることで、明確に結晶化が進むため、応力を十分開放することが可能となる。また、800℃以下の温度を用いることで、熱膨張に伴う別の応力による損傷の発生を抑えることが可能となる。
【0018】
[適用例6]上記した適用例にかかるW含有膜の製造方法であって、前記絶縁膜材はSiO2、SiNまたはSiONであることを特徴とする。
【0019】
上記した適用例によれば、SiO2、SiNまたはSiONは、シリコンプロセスで実績のある物質である。そのため、予期せぬ汚染等が発生する危険を回避することができる。また、SiO2、SiNまたはSiONは、酸素ブロック性が1000℃程度の高温でも高いため、W含有膜への酸素の侵入を効果的に抑制することが可能となる。
【0020】
[適用例7]本適用例にかかる電気光学装置の製造方法は、基板上にW(タングステン)含有膜前駆体を形成する工程と、前記W含有膜前駆体をパターニングする工程と、パターニングした後、前記W含有膜前駆体上に、絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を形成した後に熱処理を行い、前記W含有膜前駆体をW含有膜に改質する工程と、前記絶縁膜を除去する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0021】
これによれば、熱処理によるW含有膜前駆体の改質を、Wの酸化を抑えて行うことができる。無機絶縁膜でW含有膜前駆体を覆うため、大気は無機絶縁膜を通さなければW含有膜前駆体に侵入できない。そのため、大気雰囲気の侵入を防げない加熱装置を用いてもW含有膜前駆体の酸化を抑えて熱処理を行うことが可能となる。また、熱処理を行いW含有膜前駆体がW含有膜に改質された後、改質に伴う応力を受けた無機絶縁膜を除去することで、応力起因の損傷を回避してW含有膜を用いることが可能となり、応力による特性変動の少ない電気光学装置の製造方法を提供することが可能となる。また、パターニングしてから熱処理を行うことから、W含有膜の側面における応力を開放することが可能となる。
【0022】
[適用例8]上記した適用例にかかる電気光学装置の製造方法であって、前記基板上にトランジスターの半導体層を形成する工程を備え、前記絶縁膜を除去する工程は、前記半導体層を形成する工程以前に行われることを特徴とする。
【0023】
上記した適用例によれば、改質に伴う応力を受けた無機絶縁膜を、他の膜の下に残すことなく除去できる。そのため、良質の膜を用いることができ、歩留まりの高い電気光学装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0024】
[適用例9]本適用例にかかる電気光学装置の製造方法は、基板上にW(タングステン)含有膜前駆体を形成する工程と、前記W含有膜前駆体をパターニングする工程と、しかる後、不活性雰囲気、還元性雰囲気または減圧雰囲気中で熱処理を行い、前記W含有膜前駆体をW含有膜に改質する工程と、を備えたことを特徴とする。
【0025】
これによれば、W含有膜前駆体から酸化種雰囲気を避けて熱処理を行うことが可能となる。従って熱処理に際して酸素の侵入を抑えるための保護膜等を必要としないため、短い工程で熱処理を行うことが可能となり、TATを短くできる電気光学装置の製造方法を提供することが可能となる。また、パターニングしてから熱処理を行うことから、W含有膜の側面における応力を開放することが可能となる。
【0026】
[適用例10]上記した適用例にかかる電気光学装置の製造方法であって、前記パターニングにより得られたパターンは、少なくとも一部の幅が10μm以下であることを特徴とする。
【0027】
上記した適用例によれば、W含有膜の側面からも応力を開放することが可能となる。パターンの幅が10μm以下の領域での応力が緩和されるため、細いパターンを形成しても破断等の不良発生を抑えることが可能となる。なお、パターン幅の下限値は、主にフォトリソグラフ加工の限界により制限される。
【0028】
[適用例11]上記した適用例にかかる電気光学装置の製造方法であって、前記W含有膜前駆体は、WSi膜、WSi層を含む多層膜またはW層とSi層とが積層された多層膜、であることを特徴とする。
【0029】
上記した適用例によれば、WSi膜や、熱処理により発生するW層とSi層との間のWSi膜は、熱による結晶化に伴う体積変動が大きく、歪やクラックを生み出す応力が大きい傾向がある。そのため、一旦、改質して応力を開放することで、その後工程での歪の発生を抑えることができるため、応力起因の不良を抑制し得る電気光学装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0030】
[適用例12]上記した適用例にかかる電気光学装置の製造方法であって、前記熱処理は650℃以上800℃以下の温度を用いることを特徴とする。
【0031】
上記した適用例によれば、650℃以上の温度を用いることで、明確に結晶化が進むため、応力を十分開放することが可能となる。また、800℃以下の温度を用いることで、熱膨張に伴う別の応力による損傷の発生を抑えることが可能となる。そのため、信頼性に優れた電気光学装置の製造方法を提供することが可能となる。
【0032】
[適用例13]上記した適用例にかかる電気光学装置の製造方法であって、前記絶縁膜はSiO2、SiNまたはSiONであることを特徴とする。
【0033】
上記した適用例によれば、SiO2、SiNまたはSiONは、シリコンプロセスで実績のある物質である。そのため、予期せぬ汚染等が発生する危険を回避することができる。また、SiO2、SiNまたはSiONは、酸素ブロック性が1000℃程度の高温でも高いため、W含有膜への酸素の侵入を効果的に抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】TFTアレイ基板を、その上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置の平面図。
【図2】図1のA−A’線断面図。
【図3】図1のB−B’線断面図。
【図4】マトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の接続状況を説明するための等価回路図。
【図5】TFTアレイ基板を、その上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置の平面図。
【図6】図5のC−C’線断面図。
【図7】(a)〜(c)は、図1のD−D’線での、液晶装置を製造する工程を示す工程断面図。
【図8】(a)〜(c)は、本実施形態にかかるラマン分析を行った際のデータ。
【図9】(a)、(b)は本実施形態にかかるラマン分析を行った際のデータ。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明を具体化した各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0036】
(第1の実施形態:電気光学装置の構成)
以下、本実施形態にかかる電気光学装置としての液晶パネルの全体構成について、図1、図2、図3および図4を参照して説明する。ここに図1は、TFTアレイ基板を、その上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た液晶装置の平面図である。そして図2は、図1のA−A’線断面図である。そして図3は、図1のB−B’線断面図である。そして図4は、マトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の接続状況を説明するための等価回路図である。ここで、図1では視認性の向上のために記載を省略しているが、図5に示すように平面視において溝810が配置されている。
【0037】
本実施形態にかかる液晶装置150では、基板としてのTFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。なお、図3以外の図面においては、TFTアレイ基板10上に形成された構造体についての説明を行う際に、平面視認性を向上させるため、対向基板20と液晶層50の図示を省いている。種々の構成要素を形成したTFTアレイ基板10と、対向基板20との間には図3に示すように液晶層50が封入されている。
【0038】
図2において、TFTアレイ基板10上に位置する画素電極9a上に、配向膜が形成されている。なお、画素電極9aは、透明な導電膜が用いられ、通常ITO(インジウム・錫・酸化物)が用いられている。TFTアレイ基板10は例えば石英基板、バイコール(登録商標)等の高耐熱ガラス基板、サファイアガラス基板等の透明基板を用いることが好適である。
【0039】
ここで、まず、本実施形態に係る液晶装置150の画素部の電気的な接続構成について、図4を参照して説明する。ここに図4は、本実施形態に係る液晶装置150の画像表示領域を構成する、マトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【0040】
図4において、マトリクス状に形成された複数の画素の各々には、トランジスターの一例であるTFT30が形成されている。TFT30は、画素電極9aに電気的に接続されており、液晶装置150の動作時に画素電極9aをスイッチング制御する。画像信号が供給されるデータ線6aは、TFT30のソース(高濃度ソース領域1d:図2参照)に電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…,Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0041】
TFT30のゲート電極31a、ゲート電極31b(図2参照)を兼ねる走査線11は図示せぬ周辺回路と電気的に接続されており、液晶装置150は、所定のタイミングで、走査線11にパルス的に走査信号G1、G2、…,Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…,Snが所定のタイミングで書き込まれる。画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶(図3参照)に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…,Snは、対向基板20(図3参照)に形成された対向電極との間で一定期間保持される。
【0042】
蓄積容量70は、画像信号の供給に応じて各画素電極9aの電位を一時的に保持する保持容量として機能する容量素子である。蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性が向上し、コントラスト向上やフリッカの低減といった表示特性の向上が可能となる。走査線11、データ線6a、蓄積容量70、中継層93(図3参照)およびTFT30は、TFTアレイ基板10上で平面的に見て、画素電極9aに対応する各画素の開口領域(即ち、各画素において、表示に実際に寄与する光が透過または反射される領域)を囲む非開口領域内に配置されている。即ち、これらの走査線11、蓄積容量70、データ線6a、およびTFT30は、表示の妨げとならないように、各画素の開口領域ではなく、非開口領域内に配置されている。
【0043】
図1および図2に示すように高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eは、チャネル領域1a’を基準として、チャネル電流が流れる方向(図1におけるY方向)に沿ってほぼ鏡像対称に形成されている。低濃度ソース領域1bは、チャネル領域1a’および高濃度ソース領域1d間に形成されている。低濃度ドレイン領域1cは、チャネル領域1a’および高濃度ドレイン領域1e間に形成されている。
【0044】
低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eは、例えばイオンインプランテーション法等の不純物打ち込みによって半導体層1aに不純物を打ち込んでなる不純物領域である。低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cはそれぞれ、高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eよりも不純物の少ない低濃度な不純物領域として形成される。このような不純物領域によれば、TFT30の非動作時において、ソース領域およびドレイン領域に流れるオフ電流を低減し、且つTFT30の動作時に流れるオン電流の低下を抑制できる。尚、TFT30は、LDD構造を有することが好ましいが、低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1cに不純物打ち込みを行わないオフセット構造であってもよいし、ゲート電極3aをマスクとして不純物を高濃度に打ち込んで高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eを形成する自己整合型であってもよい。
【0045】
図1に示すように、TFT30のゲート電極31aは、走査線11aの一部として形成されており、例えば導電性ポリシリコンから形成されている。走査線11aは、TFTアレイ基板10における平面視にて、TFT30のチャネル電流が流れる方向と交差する方向(図1におけるX方向)に沿って延びる本線部分と共に、TFT30のチャネル領域1a’のうち該本線部分が重ならない領域と重なるようにX方向と交差するY方向に沿って該本線部から両側に延在する部分を有している。このような走査線11aのうちチャネル領域1a’と重なる部分がゲート電極31aとして機能する。そして、ゲート電極31aと半導体層1aとの間は、ゲート絶縁膜2によって絶縁されている。
【0046】
図2に示すように、TFT30のゲート電極31bは、走査線11bの一部として形成されている。TFT30は、ゲート電極31aとゲート電極31bに挟まれたダブルゲート構造を有している。よって、半導体層1aはチャネル領域1a’における上面側および下面側の両方にチャネルを形成することができる。従って、半導体層1aよりも上層側または下層側の一方だけにゲート電極が形成される場合と比較して、TFT30のオン電流を大きくすることができる。
【0047】
走査線11bは、半導体層1aに対して下地絶縁膜12を介して下層側に配置され、W含有膜としてのWSi膜または、WSi膜を含む多層膜が用いられている。また、シリコン膜上にWSi膜を重ねた構造を用いても良い。なお、W膜とSi膜とが積層される多層膜を成膜した場合でも、熱処理等を行った場合、W膜とSi膜との間に、WSi膜が形成される。走査線11bの膜厚は、100nm以上あることが好ましい。100nm以上あることで、遮光性を確保し、かつ走査線11bとしての導電性を確保することができる。また、走査線11bの膜厚は500nm以下であることが好ましい。500nm以下に抑えることで、走査線11bを構成しているWSi層または、WSi層を含む多層膜が自己応力によって亀裂を形成し、不良となる現象を抑制することが可能となる。なお、100nm以上500nm以下の膜厚範囲に抑えることは必須ではなく、若干の遮光性の低下や、電気的抵抗値の上昇が容認できる場合には、この膜厚範囲を逸脱しても良い。
【0048】
また、図1に示すように、走査線11bは、平面的にみて、X方向に沿うように、ストライプ状にパターニングされた本線部11bxと、該本線部11bxからY方向に沿って延在する延在部11byとを有している。このような走査線11bのうちチャネル領域1a’と重なる部分が図2に示すゲート電極31bとして機能する。走査線11bは、TFT30のチャネル領域1a’、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1c、高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eに対向する領域を含むように形成されている。よって、走査線11bによって、TFTアレイ基板10における裏面反射や、複板式のプロジェクター等で他の液晶装置から発せられ合成光学系を突き抜けてくる光などの、戻り光に対してTFT30のチャネル領域1a’含む領域を殆ど或いは完全に遮光できる。即ち、走査線11bは、走査信号を供給する配線として機能すると共に戻り光に対するTFT30の遮光膜としても機能している。よって、液晶装置の動作時に、TFT30における光リーク電流は低減され、コントラスト比を向上させることができ、高品位の画像表示が可能となる。
【0049】
図5に示すように、下地絶縁膜12(図3参照)には、平面的にみて半導体層1aの両脇に溝810が掘られている。この溝810を記載すると、平面図として視認性が低下することから、図1では記載を省略している。図6は、図5のC−C’線断面図である。溝810は走査線11aの形成と同時に埋められ、図6に示すように側壁部33が形成される。この側壁部33によりTFT30の半導体層1aは、平面的に見て側方から覆われるようになっており、TFT30に対して側方からの光の入射が抑制されている。
【0050】
下地絶縁膜12は、走査線11bからTFT30を層間絶縁する機能の他、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面の研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性の劣化を防止する機能を有する。
【0051】
図1および図2において、TFTアレイ基板10上のTFT30の上層には、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、下部容量電極71および上部容量電極300aが誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。
【0052】
上部容量電極300aは、容量線300の一部として形成されている。上部容量電極300aは、容量線300を介して定電位源と電気的に接続され、固定電位に維持されている。上部容量電極300aは、例えばAl(アルミニウム)、Ag(銀)等の金属または合金を含んだ非透明な金属膜から形成されており、TFT30を遮光する上側遮光膜としても機能する。なお、上部容量電極300aは、たとえば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)、Pd(パラジウム)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等から構成されていてもよい。
【0053】
図1から図3において、下部容量電極71は、TFT30の高濃度ドレイン領域1eおよび画素電極9aに電気的に接続されている。より具体的には、下部容量電極71は、コンタクトホール83(図1および図2参照)を介して高濃度ドレイン領域1eと電気的に接続されると共に、コンタクトホール84(図1および図3参照)を介して中継層93に電気的に接続されている。更に、中継層93は、コンタクトホール85(図1および図3参照)を介して画素電極9aに電気的に接続されている。即ち、下部容量電極71は、中継層93と共に高濃度ドレイン領域1eおよび画素電極9a間の電気的な接続を中継する。
【0054】
下部容量電極71は、遮光膜としても機能している。下部容量電極71には、W含有膜としてのWSi膜または、WSi膜を含む多層膜が用いられている。また、シリコン膜上にWSi膜を重ねた構造を用いても良い。なお、W層とSi層とが積層される多層膜を成膜した場合でも、熱処理等を行った場合、W層とSi層との間に、WSi層が形成される。ポリシリコン等を用いて下部容量電極71を構成する場合に比べて、液晶装置の駆動時に、当該液晶装置全体で消費される消費電力を低減でき、且つ各画素部における素子の高速動作が可能になる。
【0055】
ここで、下部容量電極71の膜厚は、100nm以上あることが好ましい。100nm以上あることで、遮光性を確保し、かつ下部容量電極71としての導電性を確保することができる。また、下部容量電極71の膜厚は500nm以下であることが好ましい。500nm以下に抑えることで、下部容量電極71を構成しているWSi層または、WSi層を含む多層膜が自己応力によって亀裂を形成し、不良となる現象を抑制することが可能となる。なお、100nm以上500nm以下の膜厚範囲に抑えることは必須ではなく、若干の遮光性の低下や、電気的抵抗値の上昇が容認できる場合には、この膜厚範囲を逸脱しても良い。
【0056】
誘電体膜75は、例えばHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、或いは窒化シリコン膜等から構成された単層構造、或いは多層構造を有している。LTO膜を用いる場合には、成膜温度よりも高い温度で熱処理を行い、改質することが誘電体膜75を介してのリーク電流低減に対して好ましい。
【0057】
データ線6aは、図2に示すように、半導体層1aの高濃度ソース領域1dに、第1層間絶縁膜41および第2層間絶縁膜42並びにゲート絶縁膜2を貫通するコンタクトホール81を介して電気的に接続されている。データ線6aおよびコンタクトホール81内部は、例えば、Al−Si−Cu、Al−Cu等のAl(アルミニウム)含有材料、またはAl単体、若しくはAl層とTiN層等との多層膜からなる。データ線6aは、TFT30を遮光する機能も有している。
【0058】
図3に示す中継層93は、第2層間絶縁膜42上においてデータ線6a(図2参照)と同層に形成されている。データ線6aおよび中継層93は、例えば金属膜等の導電材料で構成される薄膜を第2層間絶縁膜42上に薄膜形成法を用いて形成しておき、当該薄膜を部分的に除去、即ちパターニングすることによって相互に離間させた状態で形成される。従って、データ線6aおよび中継層93を同一工程で形成できるため、装置の製造プロセスを簡便にできる。
【0059】
図3において、画素電極9aは、第3層間絶縁膜43を介して、データ線6aの上層側に形成されている。画素電極9aは、図2および図3に示すように、下部容量電極71、コンタクトホール83、コンタクトホール84およびコンタクトホール85、並びに中継層93を介して半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続されている。コンタクトホール85は、第3層間絶縁膜43を貫通するように形成された孔部の内壁にITO等の画素電極9aを構成する導電材料が成膜されることによって形成されている。
【0060】
蓄積容量70を構成する上部容量電極300aの電位は、低濃度ドレイン領域1c側(ドレイン側)で主に制御されている。そのため、図1に示すように、この領域への光入射量を下げることで、開口率の無駄な低下を招くことなく寄生バイポーラ効果によるTFT30における光リーク電流の増加を抑えることが可能となる。
【0061】
(第2の実施形態:電気光学装置の製造方法)
次に、本実施形態にかかる膜形成装置を用いて電気光学装置である液晶装置を製造する方法について図面を参照して説明する。図7(a)〜(c)は、図1に示したD−D’線における液晶装置を製造する工程を示す工程断面図である。
【0062】
まず、工程1として、厚さが約1.2mmの基板としての石英基板(TFTアレイ基板)10を用意する。ここで、好ましくはN(窒素)等の不活性ガス雰囲気で約900℃〜1300℃での高温で熱処理し、後に実施される高温プロセスでTFTアレイ基板10に生じる歪が少なくなるように前処理しておく。ここで、石英基板に代えて、バイコール(登録商標)等の高耐熱ガラス基板、サファイアガラス基板等の透明基板を用いることも好適である。また、反射型液晶装置を製造する場合には、Si(シリコン)基板を用いることも好適である。
【0063】
次に、工程2として、このように処理されたTFTアレイ基板10の全面に、W含有膜前駆体としてのWSi膜を用いた、走査線前駆体11cをスパッタリングにより、100nm〜500nm程度の膜厚、好ましくは200nmの膜厚に堆積させる。ここで、走査線前駆体11cとしてWSi膜に代えて、Si膜上にWSi膜を重ねた構造や、W膜とSi膜の多層構造(一対の場合を含む)を用いることも好適である。ここで、WSi膜はアモルファス構造を備えている。なお、走査線前駆体11cを改質してなる走査線11bは、TFT30の遮光層を兼ねる。改質前の走査線前駆体11cの厚さとして100nm以上にすることで、遮光性を持たせることが可能となる。また、500nm以下に抑えることで、後述する熱処理に伴う、自己応力による破壊を防止することが可能となる。なお、電気抵抗の若干の上昇や、遮光性の若干の低下が許せる場合には、100nm未満の膜厚に設定することも可能である。また、W膜とSi膜の多層構造(一対の場合を含む)を用いる場合等、合金化により副次的に発生するWSi膜が薄い場合には、500nmを超える膜厚を用いても自己応力による破壊から免れることが可能となる。また、Si膜上にWSi膜を重ねた構造を用いる場合、WSi膜が発生する応力が主となるので、WSi膜単体の厚さを500nm以下の値にすることも好ましい。
【0064】
次に、工程3として、走査線前駆体11cをパターニングする。パターニングにより得られるパターン幅は、2μm〜5μm程度の幅を有している。このように幅の狭いパターンを用いる場合、後述する熱処理により、パターン側面からも応力を開放することが可能となり、クラック等の発生を抑え、不良率を低減することが可能となる。ここで、パターン幅が10μm程度以下であれば、パターン側面からの応力開放がより有効となる。なお、パターン幅が10μmを超える場合においても、側面からの応力開放の効果は存在するが、この場合、パターン上部の平面からの応力開放の効果の方が支配的になる。
【0065】
次に、工程4として、600℃未満の温度で無機絶縁膜100としてSiO2膜を形成する。CVD法を用いる場合、シリコンソースとしてTEOS(テトラ・エチル・オルソ・シリケート)ガスや、シラン系ガス、ジクロロシランなどを用いることができる。また、酸素ソースとしては、酸素、オゾン、笑気を用いることができる。成膜方法としては、熱反応法や、プラズマ反応法、減圧下成膜法等を用いることが好適である。また、スパッタ法や蒸着法を用いても良い。ここで、SiO2膜に代えて、SiN(窒化珪素)膜、SiON(窒化酸化珪素)膜を用いることも好適である。また、SiO2膜と、SiN膜、SiON膜の2種類以上を用いた多層膜を用いても良い。SiN膜、SiON膜をCVD法で形成する場合には、たとえばアンモニアを窒素ソースとして用いることができる。また、SiN膜やSiON膜を、スパッタ法等を用いて成膜することも可能である。膜厚としては、100nm以上1μm以下であることが望ましい。100nm以上であれば、走査線前駆体11cの酸化を防止することが可能となる。また、1μm以下に設定することで、後述する熱処理工程後、容易に剥がすことが可能となる。特にSiN膜、SiON膜を用いた場合には、酸素ブロック性が向上するため、100nm未満の膜でも良い場合もある。また、無機絶縁膜の形成に伴う温度を600℃以上として、TFTアレイ基板10上への無機絶縁膜100の形成と、後述する熱処理の少なくとも一部を兼ねさせることも好適である。ここまでの工程を終えた断面図を図7(a)に示す。
【0066】
次に、工程5として、熱処理を行う。熱処理は通常の縦型炉を用いる。熱処理温度は、600℃以上1200℃以下の温度範囲を用いることができる。600℃以上とすることで、アモルファス状態のWSi膜が結晶化を始めることから、応力の一部が開放される。1200℃以下とすることで、TFTアレイ基板10の軟化変形を抑えることが可能となる。より好ましくは、650℃以上800℃以下の温度を用いることが好適である。650℃以上とすることで、WSi膜はアモルファス状態から多結晶状態へ遷移するため、応力をほぼ完全に除去することが可能となる。また、800℃以下とすることで、TFTアレイ基板10の反り発生等の副損傷の発生を抑えることが可能となる。
【0067】
ここで、熱処理時間としては、5分以上1時間以下の時間を用いることが好適である。熱処理時間を5分以上とすることで、TFTアレイ基板10は縦型炉内で当該温度まで確実に上昇する。そのため、結晶化を確実に行うことが可能となる。ここで、ランプ熱処理装置等、急激に昇温させることができる加熱装置を用いる場合には、5分未満の時間でも結晶化できる場合もある。また、熱処理時間を1時間以下にすることで、TATを短くすることが可能となる。なお、TATがあまり重視されない場合には、1時間を超える熱処理時間を用いても良い。また、通常の縦型炉ではなく、大気と気密密閉可能で、不活性雰囲気、還元性雰囲気または減圧雰囲気に調整され、酸化種からTFTアレイ基板10を遮断できる熱処理装置を用いる場合には、無機絶縁膜100の形成工程を省略することが可能となる。なお、W膜とSi膜の多層構造を備える場合には、この熱処理でW膜とSi膜の界面に生じるWSi膜が結晶化することで応力が緩和されることとなる。また、一旦、結晶化したWSi膜は、熱処理温度より高い温度が掛かっても変質しない性質があり、たとえば650℃で結晶化した後、1000℃程度の熱処理を行っても、応力は殆ど発生しない。加えて、パターン幅を2μm〜5μm程度の幅にとっていることから、熱処理により発生する応力を、パターン側面からも開放することが可能となる。ここまでの工程を終えた断面図を図7(b)に示す。なお、パターン側面からの応力開放は、10μm以下程度の幅を持つパターンで顕著な効果を有する。
【0068】
次に、工程6として、無機絶縁膜100を除去する。無機絶縁膜100の除去はドライエッチやウェットエッチにより無機絶縁膜100を全面除去する。無機絶縁膜100は走査線前駆体11cの改質に伴い、クラック等が入っている場合があり、無機絶縁膜100を別の目的に転用することは好ましくない。また、走査線前駆体11cの改質に伴い走査線前駆体11cには、無機絶縁膜100からの応力が掛かっている。ここで、無機絶縁膜100を除去することで、走査線前駆体11cの改質に伴う応力を開放することが可能となる。なお、無機絶縁膜100を形成せずに熱処理を行った場合には、この工程を省略することが可能となる。ここまでの工程を終えた断面図を図7(c)に示す。
【0069】
次に、工程7として、走査線11b上にTEOS膜等による下地絶縁膜12を形成し、1000℃程度の温度で熱処理する。この熱処理は、TEOSガス由来の有機物等を除去し、緻密化するために行っている。上記したように、一旦、結晶化したWSi膜は、熱処理温度より高い温度が掛かっても変質しない性質があり、本実施形態のように、たとえば700℃で結晶化した後、1000℃程度の熱処理を行っても、応力は殆ど発生しない。
【0070】
次に、工程8として、半導体層1aを形成する。形成条件としては、下地絶縁膜12上に、約450℃〜550℃、好ましくは約500℃の比較的低温環境中で、流量約400sccm〜600sccmのモノシランガス、ジシランガス等を用いた減圧CVD(例えば、圧力約20Pa〜40PaのCVD)によってアモルファスシリコン膜が形成される。次に、窒素雰囲気中で、約600℃〜700℃にて約1時間〜10時間、好ましくは4時間〜6時間の熱処理を施すことにより、p−Si(ポリシリコン)膜を約50nm〜200nmの厚さ、好ましくは約100nmの厚さとなるまで固相成長させる。固相成長させる方法としては、RTAを使った熱処理でもよいし、エキシマレーザー等を用いたレーザー熱処理でもよい。この際、画素スイッチング用のTFT30を、nチャネル型とするかpチャネル型とするかに応じて、V族元素やIII族元素のドーパントを僅かにイオン注入等によりドープしてもよい。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、所定パターンを有する半導体層1aを形成する。
【0071】
次に、工程9として、TFT30を構成する半導体層1aを約900℃〜1300℃の温度、好ましくは約1000℃の温度により熱酸化して下層ゲート絶縁膜を形成し、場合により、これに続けて減圧CVD法等により上層ゲート絶緑膜を形成することにより、1層または多層の高温酸化シリコン膜(HTO膜)や窒化シリコン膜からなるゲート絶縁膜2を形成する。この結果、半導体層1aは、約30nm〜150nmの厚さ、好ましくは約35nm〜50nmの厚さとなり、ゲート絶縁膜2の厚さは、約20nm〜150nmの厚さ、好ましくは約30nm〜100nmの厚さとなる。そして、画素スイッチング用のTFT30のスレッショールド電圧Vthを制御するために、半導体層1aのうちnチャネル領域あるいはpチャネル領域に、ボロン等のドーパントを予め設定された所定量だけイオン注入等によりドープする。
【0072】
次に、工程10として、ゲート絶縁膜2と下地絶縁膜12をパターニングし、図5、図6に示す溝810を形成する。
【0073】
次に、工程11として、減圧CVD法等によりポリシリコン膜を堆積し、更にリン(P)を熱拡散して、このポリシリコン膜を導電化する。この熱拡散に代えて、Pイオンをポリシリコン膜の成膜と同時に導入したドープドシリコン膜を用いてもよい。このポリシリコン膜の膜厚は、約100nm〜500nmの厚さ、好ましくは350nm程度である。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、TFT30のゲート電極31aを含めて所定のパターンの走査線11aを形成する。この走査線11a形成時において、側壁部33(図6参照)も同時に形成される。
【0074】
次に、工程12として、半導体層1aを加工して、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1c、並びに、高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eを形成する。ここでは、TFT30をLDD構造を持つnチャネル型のTFTとする場合を説明すると、具体的にまず、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cを形成するために、ゲート電極3aをマスクとして、P等のV族元素のドーパントを低濃度で(例えば、Pイオンを1×10 13/cm2〜3×1013/cm2のドーズ量にて)ドープする。これによりゲート電極3a下の半導体層1aはチャネル領域1a’として機能する。このときゲート電極3aがマスクの役割を果たすことによって、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cは自己整合的に形成されることになる。次に、高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eを形成するために、ゲート電極3aよりも幅の広い平面パターンを有するレジスト層をゲート電極3a上に形成する。その後、P等のV族元素のドーパントを高濃度で(例えば、Pイオンを1×1015/cm2〜3×1015/cm2のドーズ量にて)ドープする。なお、このように低濃度と高濃度の2段階に分けて、ドープを行わなくてもよい。例えば、低濃度のドープを行わずに、オフセット構造のTFTとしてもよく、ゲート電極3a(ゲート電極)をマスクとして、Pイオン・Bイオン等を用いたイオン注入技術によりセルフアライン型のTFTとしてもよい。この不純物のドープにより、ゲート電極3aは更に低抵抗化される。
【0075】
次に、工程13として、ゲート電極3a上に500nm〜2000nm程度の膜厚を有する第1層間絶縁膜41を形成する。続けて、第1層間絶縁膜41をフォトリソグラフィおよびエッチング処理し、コンタクトホール83を開孔する。この際、半導体層1aの高濃度ドレイン領域1eに通ずるように、コンタクトホール83は形成される。
【0076】
次に、工程14として、下部容量電極71を形成する。下部容量電極71は、WSi膜を用いて形成する。具体的には工程2〜工程5と同様の工程を再び行うことで形成される。この場合においても、応力の開放後、フォトリソグラフィおよびエッチング処理し、パターニングして下部容量電極71を形成する。
【0077】
次に、工程15として、誘電体膜75を形成する。誘電体膜75は、下部容量電極71に耐熱性が高いWSi膜を用いていることにより、たとえば800℃程度で成膜されるHTO膜を用いることが可能となる。また、LTO膜を熱処理して緻密化した膜を用いることもできる。このような酸化膜は、緻密でリークが少ない。続けて、AlSiCu(アルミニウムに銅とシリコンを添加した金属)等を用いて成膜した後、フォトリソグラフィおよびエッチング処理し、上部容量電極300aを形成すると同時に、コンタクトホール83を埋める。この工程により、蓄積容量70が形成される。蓄積容量70は、前述したリークが少ない酸化膜を誘電体膜75に用いているため、電位の時間変動を少なく抑えることが可能となる。
【0078】
次に、工程16として、第2層間絶縁膜42を形成する。この第2層間絶縁膜42の膜厚は、例えば約500nm〜1500nm程度とする。次に、第2層間絶縁膜42に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、コンタクトホール81、およびコンタクトホール84を開孔する。この際、コンタクトホール81は半導体層1aの高濃度ソース領域1dに通ずるように、コンタクトホール84は下部容量電極71へ通じるように、それぞれ形成される。
【0079】
次に、工程17として、第2層間絶縁膜42上の全面に、スパッタリング等により、遮光性のアルミニウム等の低抵抗金属や金属シリサイド等を用いて、約100nm〜500nm程度の厚さ、好ましくは約300nmに堆積する。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、所定パターンをもつデータ線6aと中継層93を形成する。
【0080】
次に、工程18として、データ線6aや中継層93等の上を覆うように、第3層間絶縁膜43を形成する。この第3層間絶縁膜43の膜厚は、例えば約500〜3500nm程度とする。そして、第3層間絶縁膜43を例えばCMP(化学機械研磨)を用いて平坦化する。第3層間絶縁膜43に対する反応性イオンエッチング、反応性イオンビームエッチング等のドライエッチングにより、コンタクトホール85を開孔する。コンタクトホール85は中継層93に通ずるように形成する。そして、スパッタ処理等により、ITO膜等の透明導電性膜を、約50nm〜200nmの厚さに堆積する。そして、フォトリソグラフィおよびエッチングにより、画素電極9aを形成する。
【0081】
次に、工程19として、ラビング等の処理を行った後、配線等が形成された対向基板20を配置し、真空吸引等により、両基板間の空間に、液晶を吸引させて、所定層厚の液晶層50を形成し、図1〜6に示す液晶パネルが得られる。
【0082】
(第3の実施形態:W含有膜の製造方法)
次に、本実施形態にかかるW含有膜の製造方法について説明する。図8(a)〜(c)、図9(a)、(b)は本実施形態にかかるラマン分析を行った際のデータである。ラマン分析においては、物質の状態によりピーク位置がずれる特性を有しているため、各条件に対してラマンシフトを補正し、ピーク位置を規格化した情報を示している。そのため、波数方向の目盛はそれぞれのデータに対し異なっているため省略している。ここでは、W含有膜としてWSi膜を用いて熱処理を行っている。ラマン分光測定は、石英基板上に、WSi膜をスパッタ法を用いて200nm厚さで形成した。この時点でのWSi膜はアモルファス構造を有している。このWSi膜層を覆うように、減圧下でTEOSガスと、O2ガスを用いて500℃程度でSiO2膜を形成し、大気中の酸素とWSi膜とを分離してこのSiO2膜により気密化し、各温度での熱処理による結晶化の状態(ラマン分析することで、どの原子同士が化学的に結合しているかを判断できる)を測定した。このSiO2膜の厚さとして、ここでは200nmに揃えている。また、気密性が保てる熱処理装置を用い、WSi膜上が開放された状態でも、同様に分析を行った。温度範囲としては、550℃から、1200℃の範囲を用いた。1200℃を超える範囲での熱処理は、基板として好適に用いられている石英基板の軟化等を考えると、適切な処理条件として難しいものがあるとの配慮であり、サファイアガラス等を用いた場合には、さらに高温での処理は可能であると考えられる。また、熱処理時間は20分に揃えている。
【0083】
図8(a)で示されるように、550℃での熱処理では、原子間の結合ピークは見られず、結晶化はこの温度では見られていない。そして、600℃では、図8(b)で示されるように、W−W結合起因のピークや、Si−W結合起因のピーク、Si−Si結合起因のピークが見られている。即ち、結晶化が進み始めていることがわかる。
【0084】
そして、図8(c)、図9(a)、図9(b)に示すように、650℃、700℃、750℃と熱処理温度を高めていくことで、W−W結合起因のピークや、Si−W結合起因のピーク、Si−Si結合起因のピークは明確になってきている。即ち、更なる結晶化が進んでいることが示されている。一方、800℃以上となると、W−W結合起因のピークや、Si−W結合起因のピーク、Si−Si結合起因のピークが低下し、測定精度が保てなくなった。これは、結晶化が大きく進み、試料の光反射率が増大し、透過(散乱光)を分析するラマン分析のSN比が低下したことに起因している。同様の分析を熱処理温度1000℃、1200℃の試料に対しても行ったが、Si−W結合起因のピーク、Si−Si結合起因のピークを確認し得る信号強度が得られなかったため、後述する断面観察による評価を行った。
【0085】
また、700℃の熱処理条件を用いて、WSi膜の厚さ依存性を調べたところ、20nm以上の厚さを用いることで、凝集等による膜形状の変形が抑えられ、500nm以下の厚さを用いることで、自己応力起因のクラックや剥がれが抑えられることが確認できた。なお、WSi膜を上記した走査線11b等(図2参照)に用いる場合には、遮光性の改善が必要となるため、100nm以上の膜厚を備えることが好適である。
【0086】
また、WSi膜をスパッタ法を用いて膜厚200nmに形成後、300nmのSiO2膜を堆積し、700℃、の熱処理条件を用いて、5分から1時間の間で熱処理時間についての依存性を調べたが、熱処理時間による影響は見られなかった。なお、5分という時間は、本実施形態が縦型炉を用いた都合上、温度安定が図れる最小の時間であり、ランプ熱処理装置等、より短時間で昇降温できる装置を用いれば、より短時間での熱処理も可能であると考えられる。また、気密性が保てる熱処理装置を用い、WSi膜上が開放された状態で分析した場合でも、同様の現象が観察され、アモルファスWSi膜を結晶化させ、その後次のプロセスを行うことで、応力によるクラックや剥がれによる不良発生を削減できる可能性を示すことができた。
【0087】
また、700℃の熱処理条件を用いて、SiO2膜の厚さを100nm〜1μmまで振って、その影響を調べた。結果として、100nm〜1μmの間であれば、酸素の侵入を防げ、かつSiO2膜の除去にかかる時間も実用的な範囲に収まることが確認された。また、700℃の熱処理条件を用いて、SiO2膜をSiN膜や、SiON(OのNが原子数で半々程度)膜に代えて測定を行ったが、SiO2膜を用いた場合と同様な結果が得られた。さらに、気密性が保てる熱処理装置を用い、WSi膜上が開放された状態でも上記した結果とほぼ同様な結果が得られており、熱処理により予め結晶化して応力を開放することで応力によるクラックや剥がれによる不良発生を削減できる可能性を示すことができた。
【0088】
そこで、実際のデバイス構造に合わせて、クラックや剥がれによる不良発生状況を調査した。具体的には、まず、石英基板(TFTアレイ基板)10上にW含有膜前駆体としてのWSi膜を用いた、走査線前駆体11cをスパッタリングにより200nmの厚さに積んだ後パターニングを行い、3μm幅のパターンを形成した後、無機絶縁膜100としてのSiO2膜を300nmの厚さに積み、550℃〜1200℃の間で550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、1000℃、1200℃都合8水準の熱処理温度で20分間、縦型炉で処理した後、無機絶縁膜100を除去し、改めて層間絶縁層としてのTEOS系の材質を用いたSiO2膜を形成し、1000℃程度で熱処理(実際の製品を作る場合、TEOS系の有機物を除去し、SiO2膜を緻密化するために行われている)した試料Aを作成した。次に、スパッタリングにより膜厚200nmのWSi膜を成膜した後、同様にパターニングを行い、気密性が保てる熱処理装置を用い、550℃、600℃、650℃、700℃、750℃、800℃、1000℃、1200℃の都合8水準の熱処理温度で20分処理し、層間絶縁膜となるTEOS系の材質を用いたSiO2膜を形成し、1000℃程度で熱処理した試料Bを作成した。次に、スパッタリングにより膜厚200nmのWSi膜を成膜した後、同様にパターニングを行い、3μm幅のパターンを形成した後、層間絶縁層としてのTEOS系の材質を用いたSiO2膜を形成し、1000℃程度で熱処理した試料Cを作成した。欠陥の調査方法としては、断面SEM(Scanning Electron Microscope)を用いてクラックの発生頻度を観察した。試料Cは、クラックが多量に発生しており、品質が低いことが示された。一方試料Aと試料Bはほぼ同様な傾向を示し、600℃以上の温度で熱処理を行うことで、クラックが減り始め、650℃、700℃、750℃で処理したものは、クラックの発生に関して、断面SEMの観察においてはほぼ完全にクラックの発生が抑えられていた。また、ラマン分析が今回できなかった800℃、1000℃、1200℃の試料に対しても同様に、クラックの発生は抑えられていた。
【0089】
そこで、これらの背景を踏まえ、実際の商用装置での試験を行ったのが、第2の実施形態で示した電気光学装置の製造方法である。ここで、工程5として700℃という低めの温度でW含有膜前駆体としてのWSi膜を熱処理した。走査線前駆体11cを低温で熱処理して改質しているのは、高温化と共に生じるおそれがある、予期せぬ不良発生を抑えるべく、できるだけ低温で処理することが好適だからである。従来の製造方法(比較例)では、工程4、5、6での応力開放処理は行われていなかった。また、工程14での応力開放処理も行われていなかった。また、気密性が保てる熱処理装置は量産想定での処理能力を備えていないため、一部ウェハーを抜き取ることで評価した。
【0090】
そして、試験を行ったところ、比較例と比べ不良率は約1/4に低下した。これは、量産レベルでの改善率としては非常に優れたものであり、生産効率を画期的に向上させることができた。また、抜き取りでの評価もおおよそこの結果を裏付けており、定性的に不良が減少していることを確認することができた。
【符号の説明】
【0091】
1a…半導体層、1a’…チャネル領域、1b…低濃度ソース領域、1c…低濃度ドレイン領域、1d…高濃度ソース領域、1e…高濃度ドレイン領域、2…ゲート絶縁膜、3a…ゲート電極、6a…データ線、9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、11…走査線、11a…走査線、11b…走査線、11bx…本線部、11by…延在部、11c…走査線前駆体、12…下地絶縁膜、20…対向基板、30…TFT、31a…ゲート電極、31b…ゲート電極、33…側壁部、41…第1層間絶縁膜、42…第2層間絶縁膜、43…第3層間絶縁膜、50…液晶層、70…蓄積容量、71…下部容量電極、75…誘電体膜、81…コンタクトホール、83…コンタクトホール、84…コンタクトホール、85…コンタクトホール、93…中継層、100…無機絶縁膜、150…液晶装置、300…容量線、300a…上部容量電極、810…溝。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にW(タングステン)含有膜前駆体を形成する工程と、
前記W含有膜前駆体をパターニングする工程と、
パターニングした後、前記W含有膜前駆体上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を形成した後に熱処理を行い、前記W含有膜前駆体をW含有膜に改質する工程と、
前記絶縁膜を除去する工程と、
を備えたことを特徴とするW含有膜の製造方法。
【請求項2】
基板上にW(タングステン)含有膜前駆体を形成する工程と、
前記W含有膜前駆体をパターニングする工程と、
パターニングした後、不活性雰囲気、還元性雰囲気または減圧雰囲気中で熱処理を行い、前記W含有膜前駆体をW含有膜に改質する工程と、
を備えたことを特徴とするW含有膜の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載のW含有膜の製造方法であって、前記パターニングにより得られたパターンは、少なくとも一部の幅が10μm以下であることを特徴とするW含有膜の製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載のW含有膜の製造方法であって、前記W含有膜前駆体は、WSi膜、WSi層を含む多層膜またはW膜とSi膜とが積層された多層膜からなることを特徴とするW含有膜の製造方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のW含有膜の製造方法であって、前記熱処理は650℃以上800℃以下の温度を用いることを特徴とするW含有膜の製造方法。
【請求項6】
請求項1、3〜5のいずれか一項に記載のW含有膜の製造方法であって、前記絶縁膜材はSiO2、SiNまたはSiONであることを特徴とするW含有膜の製造方法。
【請求項7】
基板上にW(タングステン)含有膜前駆体を形成する工程と、
前記W含有膜前駆体をパターニングする工程と、
パターニングした後、前記W含有膜前駆体上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を形成した後に熱処理を行い、前記W含有膜前駆体をW含有膜に改質する工程と、
前記絶縁膜を除去する工程と、
を備えたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の電気光学装置の製造方法であって、
前記基板上にトランジスターの半導体層を形成する工程を備え、
前記絶縁膜を除去する工程は、前記半導体層を形成する工程以前に行われることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項9】
基板上にW(タングステン)含有膜前駆体を形成する工程と、
前記W含有膜前駆体をパターニングする工程と、
しかる後、不活性雰囲気、還元性雰囲気または減圧雰囲気中で熱処理を行い、前記W含有膜前駆体をW含有膜に改質する工程と、
を備えたことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項10】
請求項7〜9のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、前記パターニングにより得られたパターンは、少なくとも一部の幅が10μm以下であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、前記W含有膜前駆体は、WSi膜、WSi層を含む多層膜またはW層とSi層とが積層された多層膜、であることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、前記熱処理は650℃以上800℃以下の温度を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項13】
請求項7,8、10〜12のいずれか一項に記載の電気光学装置の製造方法であって、前記絶縁膜はSiO2、SiNまたはSiONであることを特徴とする電気光学装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−206130(P2010−206130A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−53053(P2009−53053)
【出願日】平成21年3月6日(2009.3.6)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】