説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】 拡散層上にシリサイド膜を形成する時に、素子形成領域の面積増加なしに、素子分離膜と拡散層の境界部における接合リーク電流を低減する。
【解決手段】 シリコン基板101上に、多数の素子形成領域に区画する素子分離領域として、溝型の素子分離105が形成されている。この素子分離105の表面は素子形成領域のシリコン基板101の表面よりも低く、両者間には所定の高低差を有する段差部が形成されている。上記素子分離105により画成された素子形成領域には、拡散層領域111、その上部にシリサイドで構成された拡散層電極113bが形成されている。拡散層電極は、拡散層領域における境界端部上面を含み、溝型素子分離領域における境界端部上面を含まないように形成されることにより、素子分離と分離されている。素子分離105と素子形成領域との段差部側面には、段差部サイドウォール106が形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溝埋め込み型素子分離構造を有し、更に不純物拡散層上にシリサイド層が形成された半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置の高集積化、高性能化に伴って、トランジスタはより微細化され、ゲート電極の配線抵抗、上層配線とのコンタクト抵抗およびソース/ドレインの拡散層での拡散抵抗が高くなり、微細トランジスタの駆動力の低下が問題となってきている。そのため、上記各抵抗を低下させる手段としてゲート電極となる多結晶シリコン上および拡散層上にシリサイド膜を自己整合的に形成する技術が提案されている。これにより、ゲート電極の配線抵抗、上層配線とのコンタクト抵抗およびソース/ドレイン拡散層での拡散抵抗を低くすることができ、微細トランジスタの駆動力の低下という問題を回避できる。
【0003】
しかしながら、拡散層上にシリサイド膜を形成するに際して、素子分離膜と拡散層の境界部においては、ストレス集中による結晶欠陥が発生しやすく、この部分にシリサイド膜を形成すると接合リーク電流が増加するという短所を有している。
【0004】
この課題に対して、素子分離膜と拡散層の境界部にフランジ部を形成し、境界部でのシリサイド膜形成を阻止することで、接合リーク電流を低減する技術が開示されている(例えば、特許文献1)。
【0005】
以下、図14を参照しながら、接合リーク電流を低減する半導体装置について説明する。この発明では、半導体基板1にフランジ部20を有するトレンチ分離領域5を形成した後にシリサイド化することで上部ゲート電極13a,ソース・ドレイン電極13bを形成する。このため、フランジ部20によってトレンチ分離領域5と半導体基板1の界面に沿うシリサイド層13の形成が阻止される。これにより、トレンチ分離領域5と半導体基板1の界面での接合リーク電流の低減を図ることができる。図14において、10はゲート電極、11はソース・ドレイン領域、12は電極部サイドウォール、14は層間絶縁膜、15は第1層目金属配線、16はコンタクト部である。
【特許文献1】特開平3−79033号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、この方法によると、素子分離膜と拡散層の境界部における拡散層側にフランジ部を形成するため、このフランジ部領域を見越したレイアウト設計が必要となり、素子形成領域の面積が増加するという問題が起きる。この問題は今後、更なる微細化が進むにつれて影響が大きくなり重要な課題となる。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上記課題に鑑み、素子形成領域の面積を増加することなしに、拡散層上にシリサイド膜を形成するに際しての、素子分離膜と拡散層の境界部における接合リーク電流を低減する半導体装置およびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の講じた解決手段は、素子形成領域の半導体基板と溝型素子分離との間に、素子形成領域の側が高くなるような段差部を形成し、この段差部にサイドウォールを設けたものである。具体的には、請求項1〜7に記載される半導体装置と、請求項8〜11に記載される半導体装置の製造方法とに関する手段を講じている。
【0009】
本発明の請求項1記載の半導体装置は、基板上に形成された、表面の一部にシリサイド膜を有する活性領域と、前記活性領域に隣接して形成された溝型素子分離領域とを備え、前記溝型素子分離領域と前記活性領域との境界は、前記溝型素子分離領域表面の高さが前記活性領域の高さよりも低い段差形状に形成され、前記シリサイド膜は、前記活性領域における前記境界端部上面を含み、前記溝型素子分離領域における前記境界端部上面を含まないように形成されることにより、前記溝型素子分離領域と分離されている。
【0010】
請求項2記載の半導体装置は、請求項1記載の半導体装置において、前記溝型素子分離領域と前記活性領域との境界において、前記段差の側面が絶縁膜で覆われている。
【0011】
請求項3記載の半導体装置は、請求項2記載の半導体装置において、前記絶縁膜がシリコン窒化膜を含む。
【0012】
請求項4記載の半導体装置は、請求項1記載の半導体装置において、前記活性領域上にMIS型電界効果トランジスタが形成され、前記シリサイド膜は、前記MIS型電界効果トランジスタの少なくともソース・ドレイン領域上に形成されている。
【0013】
請求項5記載の半導体装置は、請求項1記載の半導体装置において、前記活性領域上にONO膜(シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層構造)に電荷を蓄積させる機能を備えた不揮発性半導体メモリ装置が形成され、前記シリサイド膜は、前記不揮発性半導体メモリ装置の少なくともソース・ドレイン領域上に形成されている。
【0014】
請求項6記載の半導体装置は、請求項3記載の半導体装置において、前記活性領域上にONO膜(シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層構造)に電荷を蓄積させる機能を備えた不揮発性半導体メモリ装置が形成され、前記シリサイド膜は、前記不揮発性半導体メモリ装置の少なくともソース・ドレイン領域上に形成され、前記ONO膜内のシリコン窒化膜と前記絶縁膜内のシリコン窒化膜とは同一膜から形成されている。
【0015】
請求項7記載の半導体装置は、基板上に形成された、表面の一部にシリサイド膜を有する第1および第2の活性領域と、前記第1および第2の活性領域のそれぞれに隣接して形成された溝型素子分離領域とを備え、前記溝型素子分離領域と前記第1および第2の活性領域とのそれぞれの境界は、前記溝型素子分離領域表面の高さが前記第1および第2の活性領域のいずれの高さよりも低い段差形状に形成され、前記第1および第2の活性領域上のシリサイド膜は、前記第1および第2の活性領域における前記境界端部上面を含み、前記溝型素子分離領域における前記境界端部上面を含まないように形成されることにより、前記溝型素子分離領域と分離され、前記溝型素子分離領域と前記第1および第2の活性領域とのそれぞれの境界において、前記段差の側面がシリコン窒化膜を含む絶縁膜で覆われ、前記第1の活性領域上にMIS型電界効果トランジスタが形成され、前記第1の活性領域上のシリサイド膜は、前記MIS型電界効果トランジスタの少なくともソース・ドレイン領域上に形成され、前記第2の活性領域上にONO膜に電荷を蓄積させる機能を備えた不揮発性半導体メモリ装置が形成され、前記第2の活性領域上のシリサイド膜は、前記不揮発性半導体メモリ装置の少なくともソース・ドレイン領域上に形成され、前記ONO膜内のシリコン窒化膜と前記絶縁膜内のシリコン窒化膜とは同一膜から形成されている。
【0016】
請求項8記載の半導体装置の製造方法は、半導体基板の所定領域をエッチングして溝型素子分離領域を形成するとともに前記溝型素子分離領域に隣接する活性領域を形成する第1の工程と、前記溝型素子分離領域の溝部内に第1の絶縁膜を埋め込む第2の工程と、前記第1の絶縁膜の表面を所定の深さまでエッチングして、前記活性領域の表面よりも前記第1の絶縁膜の表面の高さが低い段差部を形成する第3の工程と、前記活性領域上および溝型素子分離領域上を覆うように第2の絶縁膜を形成する第4の工程と、前記第2の絶縁膜をエッチングして、前記段差部の側面に前記第2の絶縁膜を残す第5の工程と、前記活性領域表面にシリサイド膜を形成する第6の工程とを含む。
【0017】
請求項9記載の半導体装置の製造方法は、請求項8記載の半導体装置の製造方法において、前記第5の工程と第6の工程との間に、ゲート絶縁膜となる第3の絶縁膜およびゲート電極となる導電膜を形成し、前記導電膜を所望の形状にエッチングすることで前記ゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極の両側方に位置する前記活性領域中にソース・ドレイン領域となる不純物拡散層を形成する工程とをさらに含み、前記第6の工程では、前記不純物拡散層表面にシリサイド膜を形成する。
【0018】
請求項10記載の半導体装置の製造方法は、請求項9記載の半導体装置の製造方法において、前記第4の工程では、前記第2の絶縁膜としてONO膜を形成し、前記第5の工程では、前記段差部の側面に前記第2の絶縁膜のうちの少なくともシリコン窒化膜を残し、前記ゲート電極を形成する工程では、前記ゲート絶縁膜となる第3の絶縁膜を前記第2の絶縁膜と同一のONO膜により形成する。
【0019】
請求項11記載の半導体装置の製造方法は、半導体基板の所定領域をエッチングして溝型素子分離領域を形成するとともに前記溝型素子分離領域に隣接する第1および第2の活性領域を形成する第1の工程と、前記溝型素子分離領域の溝部内に第1の絶縁膜を埋め込む第2の工程と、前記第1の絶縁膜の表面を所定の深さまでエッチングして、前記第1および第2の活性領域の表面よりも前記第1の絶縁膜の表面の高さが低い段差部を形成する第3の工程と、前記第1および第2の活性領域上および溝型素子分離領域上を覆うように第2の絶縁膜としてONO膜を形成する第4の工程と、前記第1の活性領域上および前記溝型素子分離領域上のうち前記第1の活性領域に隣接する部分をマスクした後、前記第2の活性領域上および前記溝型素子分離領域上のうち前記第2の活性領域に隣接する部分をエッチングして、前記段差部の側面に前記第2の絶縁膜のうちの少なくともシリコン窒化膜を残す第5の工程と、前記第2の活性領域上にゲート絶縁膜となる第3の絶縁膜を形成する第6の工程と、前記第1および第2の活性領域上にゲート電極となる導電膜を形成し、前記導電膜を所望の形状にエッチングすることで、前記第1および第2の活性領域上にそれぞれ前記ゲート電極を形成するとともに、前記第1の活性領域上および前記溝型素子分離領域上のうち前記第1の活性領域に隣接する部分をエッチングして、前記段差部の側面に前記第2の絶縁膜のうちの少なくともシリコン窒化膜を残す第7の工程と、前記第1および第2の活性領域上のそれぞれのゲート電極の両側方に位置する前記第1および第2の活性領域中にソース・ドレイン領域となる不純物拡散層を形成する第8の工程と、前記第1および第2の活性領域表面にシリサイド膜を形成する第9の工程とを含む。
【発明の効果】
【0020】
本発明の請求項1記載の半導体装置によれば、溝型素子分離領域と活性領域との境界は、溝型素子分離領域表面の高さが活性領域の高さよりも低い段差形状に形成され、シリサイド膜は、活性領域における境界端部上面を含み、溝型素子分離領域における境界端部上面を含まないように形成されることにより、溝型素子分離領域と分離されているので、素子形成領域の面積を増加することなしに、拡散層上にシリサイド膜を形成するに際しての、素子分離膜と拡散層の境界部における、接合リーク電流を低減することができる。このため、微細かつ高性能な半導体装置を実現できる。
【0021】
請求項2では、溝型素子分離領域と活性領域との境界において、段差の側面が絶縁膜で覆われているので、絶縁膜により溝型素子分離領域と活性領域との境界をシリサイド膜から離すことができる。
【0022】
請求項3では、絶縁膜がシリコン窒化膜を含むので、サイドウォールとなる絶縁膜形成後からシリサイド形成の間に、工程を追加する場合においても、安定して段差部サイドウォールを保持できる。
【0023】
請求項4では、活性領域上にMIS型電界効果トランジスタが形成され、シリサイド膜は、MIS型電界効果トランジスタの少なくともソース・ドレイン領域上に形成されているので、溝型素子分離領域と活性領域との境界をソース・ドレイン電極となるシリサイド膜から離すことができ、この境界部における、接合リーク電流を低減することができる。このため、コスト面、性能面において非常に優れたMIS型トランジスタを製造することができる。
【0024】
請求項5では、活性領域上にONO膜(シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層構造)に電荷を蓄積させる機能を備えた不揮発性半導体メモリ装置が形成され、シリサイド膜は、不揮発性半導体メモリ装置の少なくともソース・ドレイン領域上に形成されているので、溝型素子分離領域と活性領域との境界をソース・ドレイン電極となるシリサイド膜から離すことができ、この境界部における、接合リーク電流を低減することができる。このため、コスト面、性能面において非常に優れた不揮発性メモリ素子を製造することができる。
【0025】
請求項6では、活性領域上にONO膜に電荷を蓄積させる機能を備えた不揮発性半導体メモリ装置が形成され、シリサイド膜は、不揮発性半導体メモリ装置の少なくともソース・ドレイン領域上に形成され、ONO膜内のシリコン窒化膜と絶縁膜内のシリコン窒化膜とは同一膜から形成されているので、特別な工程数の増加なく、溝型素子分離領域と活性領域との境界をソース・ドレイン電極となるシリサイド膜から離すことができ、請求項5と同様の効果が得られる。
【0026】
本発明の請求項7記載の半導体装置によれば、特別な工程数の増加なく、素子形成領域の面積増加なしに、溝型素子分離領域と活性領域との境界をソース・ドレイン電極となるシリサイド膜から離すことができ、この境界部における、接合リーク電流を低減することができるため、コスト面、性能面において非常に優れたMOSトランジスタと不揮発性メモリ素子が混載された半導体装置を製造することができる。
【0027】
また、段差部サイドウォールとなる絶縁膜にシリコン窒化膜を含んでいるため、絶縁膜形成後からシリサイド形成の間に、工程を追加する場合においても、安定して段差部サイドウォールを保持できる。
【0028】
本発明の請求項8記載の半導体装置の製造方法によれば、第1の絶縁膜の表面を所定の深さまでエッチングして、活性領域の表面よりも第1の絶縁膜の表面の高さが低い段差部を形成する工程と、活性領域上および溝型素子分離領域上を覆うように第2の絶縁膜を形成する工程と、第2の絶縁膜をエッチングして、段差部の側面に第2の絶縁膜を残す工程と、活性領域表面にシリサイド膜を形成する工程とを含むので、請求項1記載の半導体装置を製造することができる。
【0029】
請求項9では、第5の工程と第6の工程との間に、ゲート絶縁膜となる第3の絶縁膜およびゲート電極となる導電膜を形成し、導電膜を所望の形状にエッチングすることでゲート電極を形成する工程と、ゲート電極の両側方に位置する活性領域中にソース・ドレイン領域となる不純物拡散層を形成する工程とをさらに含み、第6の工程では、不純物拡散層表面にシリサイド膜を形成するので、活性領域上にMIS型電界効果トランジスタを形成することができ、請求項4と同様の効果が得られる。
【0030】
請求項10では、第4の工程では、第2の絶縁膜としてONO膜を形成し、第5の工程では、段差部の側面に第2の絶縁膜のうちの少なくともシリコン窒化膜を残し、ゲート電極を形成する工程では、ゲート絶縁膜となる第3の絶縁膜を第2の絶縁膜と同一のONO膜により形成するので、活性領域上に不揮発性半導体メモリ装置を形成することができ、請求項5と同様の効果が得られる。
【0031】
本発明の請求項11記載の半導体装置の製造方法によれば、請求項7記載の半導体装置を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について、図1〜図3に基づいて説明する。
【0033】
図1は、本実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図であり、図2および図3は、図1に示す半導体装置の構造を実現するための製造工程を示す断面図である。
【0034】
図1に示すように、基板101上に形成された、表面の一部にシリサイド膜を有する活性領域111と、活性領域111に隣接して形成された溝型素子分離領域105とを備えている。この場合、一導電型のシリコン基板(又はウェル)101上に、シリコン基板101の表面付近の領域を多数の素子形成領域に区画する素子分離領域として、溝型の素子分離105が形成されている。この素子分離105の表面は素子形成領域のシリコン基板101の表面よりも十分に低く、両者間には所定の高低差を有する段差部が形成されている。この素子分離105は、後述のようにシリコン基板101に形成された溝内に絶縁性材料を埋め込んで形成されたものである。
【0035】
一方、上記素子分離105により画成された素子形成領域には、拡散層領域111、さらに、拡散層領域111の上部は、チタンシリサイド(TiSi)で構成された拡散層電極113bが形成されている。また、上記素子分離105とシリコン基板101間に形成された段差部により、素子分離105と拡散層領域111との境界は、素子分離105表面の高さが拡散層領域111の高さよりも低くなっている。拡散層電極113bは、拡散層領域111における境界端部上面を含み、溝型素子分離領域における境界端部上面を含まないように形成されることにより、素子分離105と分離されている。ここで、本実施形態の特徴として、上記素子分離105と素子形成領域との段差部側面には、段差部サイドウォール106が形成されている。
【0036】
次に、上記図1の構造を実現するための製造工程について、図2および図3を参照しながら説明する。
【0037】
まず、図2(a)に示すように、シリコン基板101上に、シリコン酸化膜103及びシリコン窒化膜104を堆積し、素子分離領域を開口し素子形成領域を覆うフォトレジスト膜をパターニングした後、フォトレジスト膜をマスクとして、上記シリコン窒化膜104及びシリコン酸化膜103を選択的に除去し、フォトレジスト膜を除去した後に、上記パターニングされたシリコン窒化膜104をマスクとしてシリコン基板101をエッチングして、溝部102を形成する。
【0038】
次に、図2(b)に示すように、溝部102の深さ及び残存するシリコン窒化膜104の厚みを加えた値つまり溝部102の底からシリコン窒化膜104の表面までの高さよりも十分な厚さの絶縁膜105a(図示せず)を堆積し、化学的機械研磨(CMP)を行ってこの絶縁膜105aをシリコン窒化膜104の表面が露出するまで除去し、基板面全体を平坦化する。この工程によって、素子分離領域に、絶縁膜105aで構成される溝型の素子分離105が形成される。
【0039】
次に、図2(c)に示すように、絶縁膜105aのみを選択的にエッチングすることで、素子分離105の表面が素子形成領域のシリコン基板101の表面よりも十分に低くする。その後、上記シリコン窒化膜104を燐酸ボイル液などを用いて除去し、さらにフッ酸系のウェットエッチング液などを用いてシリコン酸化膜103を除去して、素子形成領域のシリコン基板101表面を露出させる。この時点で、素子形成領域のシリコン基板101表面と素子分離105の表面との間に十分な高低差を有する段差部が露出されていることが本実施形態の特徴である。
【0040】
次に、図3(a)に示すように、シリコン酸化膜106aを堆積し、この絶縁膜の異方性エッチングを行うことで、図3(b)に示すように、素子分離105と素子形成領域との段差部側面に、段差部サイドウォール106が形成される。
【0041】
その後、不純物イオンの注入を行って、拡散層領域111を形成した後、拡散層領域111の上部をチタンシリサイド(TiSi)化することで拡散層電極113bを形成することで、図1に示す溝埋め込み型分離構造を有する半導体装置が形成される。
【0042】
このように第1の実施形態によると、素子形成領域側への面積増加なしに、素子形成領域とこれらを分離するように取り囲む溝型素子分離領域との境界を拡散層電極となるシリサイド膜から離すことができ、この境界部における、接合リーク電流を低減することができるため、コスト面、性能面において非常に優れた半導体装置を製造することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について、図4〜図6に基づいて説明する。
【0043】
図4は、本実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図であり、図5および図6は、図4に示す半導体装置の構造を実現するための製造工程を示す断面図である。
【0044】
図4において、第1の実施形態と同様に一導電型のシリコン基板(又はウェル)201上に、シリコン基板201の表面付近の領域を多数の素子形成領域に区画する素子分離領域には、溝型の素子分離205が形成されている。この素子分離205の表面は素子形成領域のシリコン基板201の表面よりも十分に低く、両者間には所定の高低差を有する段差部が形成されている。この素子分離205は、後述のようにシリコン基板201に形成された溝内に絶縁性材料を埋め込んで形成されたものである。
【0045】
一方、上記素子分離205により画成された素子形成領域には、ゲート電極210,ゲート酸化膜208,電極部サイドウォール212,ソース・ドレイン領域211からなるMOSトランジスタが形成されている。さらに、ゲート電極210,ソース・ドレイン領域211の上部は、それぞれチタンシリサイド(TiSi)で構成された上部ゲート電極213a,ソース・ドレイン電極213bが形成されている。
【0046】
ここで、本実施形態の特徴として、上記素子分離205と素子形成領域との段差部側面には、段差部サイドウォール206が形成されている。また、上記素子分離205やゲート電極210等が形成された基板の全面上には層間絶縁膜214及び第1層目金属配線215が形成されており、第1層目金属配線215はコンタクト部216を介して素子形成領域の上部ゲート電極213aやソース・ドレイン電極213bと接続されている。
【0047】
次に、上記図4の構造を実現するための製造工程について、図5および図6を参照しながら説明する。
【0048】
まず、図5(a)に示すように、シリコン基板201上に、シリコン酸化膜203及びシリコン窒化膜204を堆積し、素子分離領域を開口し素子形成領域を覆うフォトレジスト膜をパターニングした後、フォトレジスト膜をマスクとして、上記シリコン窒化膜204及びシリコン酸化膜203を選択的に除去し、フォトレジスト膜を除去した後に、上記パターニングされたシリコン窒化膜204をマスクとしてシリコン基板201をエッチングして、溝部202を形成する。
【0049】
次に、図5(b)に示すように、溝部202の深さ及び残存するシリコン窒化膜204の厚みを加えた値つまり溝部202の底からシリコン窒化膜204の表面までの高さよりも十分な厚さの絶縁膜205a(図示せず)を堆積し、化学的機械研磨(CMP)を行ってこの絶縁膜205aをシリコン窒化膜204の表面が露出するまで除去し、基板面全体を平坦化する。この工程によって、素子分離領域に、絶縁膜205aで構成される溝型の素子分離205が形成される。
【0050】
次に、図5(c)に示すように、絶縁膜205aのみを選択的にエッチングすることで、素子分離205の表面が素子形成領域のシリコン基板201の表面よりも十分に低くする。その後、上記シリコン窒化膜204を燐酸ボイル液などを用いて除去し、さらにフッ酸系のウェットエッチング液などを用いてシリコン酸化膜203を除去して、素子形成領域のシリコン基板201表面を露出させる。この時点で、素子形成領域のシリコン基板201表面と素子分離205の表面との間に十分な高低差を有する段差部が露出されていることが本実施形態の特徴である。
【0051】
次に、図6(a)に示すように、シリコン酸化膜208a、ポリシリコン膜を堆積し、その上に、ゲート電極及びゲート配線が形成される領域以外の領域を開口したフォトレジスト膜を形成する。そして、このフォトレジスト膜をマスクとして、ドライエッチングを行って、ゲート電極210をパターニングする。その後、不純物イオンの注入を行って、ソース・ドレイン領域211を形成する。
【0052】
次に、図6(b)に示すように、シリコン酸化膜206aを堆積し、この絶縁膜の異方性エッチングを行うことで、素子分離205と素子形成領域との段差部側面に段差部サイドウォール206が、また、ゲート電極210の側壁にゲート電極部サイドウォール212が形成される。
【0053】
次に、図6(c)に示すように、ゲート電極210,ソース・ドレイン領域211の上部をそれぞれチタンシリサイド(TiSi)化することで上部ゲート電極213a,ソース・ドレイン電極213bを形成する。
【0054】
その後、層間絶縁膜214の堆積及びコンタクトホール216の形成と、コンタクトホールへの金属の埋め込み及び第1層目金属配線215の形成とを経て、図4に示す溝埋め込み型分離構造を有するMOS型トランジスタが形成される。
【0055】
第2の実施形態によると、特別な工程数の増加なく、また素子形成領域の面積増加なしに、素子形成領域とこれらを分離するように取り囲む溝型素子分離領域との境界をソース・ドレイン電極となるシリサイド膜から離すことができ、この境界部における、接合リーク電流を低減することができるため、コスト面、性能面において非常に優れたMOS型トランジスタを製造することができる。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について、図7〜図9に基づいて説明する。
【0056】
図7は、本実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図であり、図8および図9は、図7に示す半導体装置の構造を実現するための製造工程を示す断面図である。
【0057】
図7において、第1の実施形態と同様に一導電型のシリコン基板(又はウェル)301上に、シリコン基板301の表面付近の領域を多数の素子形成領域に区画する素子分離領域には、溝型の素子分離305が形成されている。この素子分離305の表面は素子形成領域のシリコン基板301の表面よりも十分に低く、両者間には所定の高低差を有する段差部が形成されている。この素子分離305は、後述のようにシリコン基板301に形成された溝内に絶縁性材料を埋め込んで形成されたものである。
【0058】
一方、上記素子分離305により画成された素子形成領域には、ゲート電極310,ゲート絶縁膜となるONO膜309(シリコン酸化膜309c/シリコン窒化膜309b/シリコン酸化膜309aの積層構造),電極部サイドウォール312,ソース・ドレイン領域311からなる、上記ONO膜309に電荷を蓄積させる不揮発性メモリ素子が形成されている。さらに、ゲート電極310,ソース・ドレイン領域311の上部は、それぞれチタンシリサイド(TiSi)で構成された上部ゲート電極313a,ソース・ドレイン電極313bが形成されている。
【0059】
ここで、本実施形態の特徴として、上記素子分離305と素子形成領域との段差部側面には、段差部サイドウォール306が形成されている。ここで、上記段差部サイドウォール306は、上記ONO膜309を構成する、シリコン酸化膜309c/シリコン窒化膜309b/シリコン酸化膜309aの積層構造である。
【0060】
更に、上記素子分離305やゲート電極310等が形成された基板の全面上には層間絶縁膜314及び第1層目金属配線315が形成されており、第1層目金属配線315はコンタクト部316を介して素子形成領域の上部ゲート電極313aやソース・ドレイン電極313bと接続されている。
【0061】
次に、上記図7の構造を実現するための製造工程について、図8および図9を参照しながら説明する。
【0062】
まず、図8(a)に示すように、シリコン基板301上に、シリコン酸化膜303及びシリコン窒化膜304を堆積し、素子分離領域を開口し素子形成領域を覆うフォトレジスト膜をパターニングした後、フォトレジスト膜をマスクとして、上記シリコン窒化膜304及びシリコン酸化膜303を選択的に除去し、フォトレジスト膜を除去した後に、上記パターニングされたシリコン窒化膜304をマスクとしてシリコン基板301をエッチングして、溝部302を形成する。
【0063】
次に、図8(b)に示すように、溝部302の深さ及び残存するシリコン窒化膜304の厚みを加えた値つまり溝部302の底からシリコン窒化膜304の表面までの高さよりも十分な厚さの絶縁膜305a(図示せず)を堆積し、化学的機械研磨(CMP)を行ってこの絶縁膜305aをシリコン窒化膜304の表面が露出するまで除去し、基板面全体を平坦化する。この工程によって、素子分離領域に、絶縁膜305aで構成される溝型の素子分離305が形成される。
【0064】
次に、図8(c)に示すように、絶縁膜305aのみを選択的にエッチングすることで、素子分離305の表面が素子形成領域のシリコン基板301の表面よりも十分に低くする。その後、上記シリコン窒化膜304を燐酸ボイル液などを用いて除去し、さらにフッ酸系のウェットエッチング液などを用いてシリコン酸化膜303を除去して、素子形成領域のシリコン基板301表面を露出させる。この時点で、素子形成領域のシリコン基板301表面と素子分離305の表面との間に十分な高低差を有する段差部が露出されていることが本実施形態の第1の特徴である。
【0065】
次に、図8(d)に示すように、シリコン酸化膜309a,シリコン窒化膜309b,シリコン酸化膜309cを順次堆積することで、ONO膜309を形成する。
【0066】
次に、図9(a)に示すように、ポリシリコン膜を堆積し、その上に、ゲート電極及びゲート配線が形成される領域以外の領域を開口したフォトレジスト膜を形成する。そして、このフォトレジスト膜をマスクとして、ドライエッチングを行って、ゲート電極310をパターニングする。
【0067】
次に、図9(b)に示すように、不純物イオンの注入を行って、ソース・ドレイン領域311を形成し、シリコン酸化膜を堆積後に、このシリコン酸化膜の異方性エッチングを行うことでゲート電極部サイドウォール312を形成する。この時、素子分離305と素子形成領域との段差部側面には、段差部サイドウォール306が形成される。この段差部サイドウォール306は、ONO膜309を含んでいることが本実施形態の第2の特徴である。
【0068】
次に、図9(c)に示すように、ゲート電極310,ソース・ドレイン領域311の上部に、それぞれチタンシリサイド(TiSi)化することで上部ゲート電極313a,ソース・ドレイン電極313bを形成する。
【0069】
その後、層間絶縁膜314の堆積及びコンタクトホール316の形成と、コンタクトホールへの金属の埋め込み及び第1層目金属配線315の形成とを経て、図7に示す溝埋め込み型分離構造を有する不揮発性メモリ素子が形成される。
【0070】
第3の実施形態によると、特別な工程数の増加なく、素子形成領域の面積増加なしに、素子形成領域とこれらを分離するように取り囲む溝型素子分離領域との境界をソース・ドレイン電極となるシリサイド膜から離すことができ、この境界部における、接合リーク電流を低減することができるため、コスト面、性能面において非常に優れた不揮発性メモリ素子を製造することができる。
【0071】
また、段差部サイドウォール絶縁膜にシリコン窒化膜を含んでいるため、サイドウォール形成後からシリサイド形成の間に、工程を追加する場合においても、安定して段差部サイドウォールを保持できるため、前記と同等の効果が得られる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態に係る半導体装置およびその製造方法について、図10〜図13に基づいて説明する。
【0072】
図10は、本実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図であり、図9〜図13は、図10に示す半導体装置の構造を実現するための製造工程を示す断面図である。
【0073】
図10において、第1の実施形態と同様に一導電型のシリコン基板(又はウェル)401上に、シリコン基板401の表面付近の領域を多数の素子形成領域に区画する素子分離領域には、溝型の素子分離405が形成されている。この素子分離405の表面は素子形成領域のシリコン基板401の表面よりも十分に低く、両者間には所定の高低差を有する段差部が形成されている。この素子分離405は、後述のようにシリコン基板401に形成された溝内に絶縁性材料を埋め込んで形成されたものである。
【0074】
一方、上記素子分離405により画成された素子形成領域には、ゲート電極410,ゲート酸化膜408,電極部サイドウォール412,ソース・ドレイン領域411からなるMOSトランジスタ及びゲート電極510,ゲート絶縁膜となるONO膜509(シリコン酸化膜509c/シリコン窒化膜509b/シリコン酸化膜509aの積層構造),電極部サイドウォール512,ソース・ドレイン領域511からなる、上記ONO膜509に電荷を蓄積させる不揮発性メモリ素子が形成されている。さらに、ゲート電極410,510,ソース・ドレイン領域411,511の上部は、それぞれチタンシリサイド(TiSi)で構成された上部ゲート電極413a,513a,ソース・ドレイン電極413b,513bが形成されている。
【0075】
ここで、本実施形態の特徴として、上記素子分離405と素子形成領域との段差部側面には、段差部サイドウォール406,506が形成されている。ここで、上記段差部サイドウォール406,506は、上記ONO膜509を構成する、シリコン酸化膜509c/シリコン窒化膜509b/シリコン酸化膜509aの積層構造である。更に、上記素子分離405やゲート電極410,510等が形成された基板の全面上には層間絶縁膜414及び第1層目金属配線415が形成されており、第1層目金属配線415はコンタクト部416を介して素子形成領域の上部ゲート電極413a,513aやソース・ドレイン電極413b,513bと接続されている。
【0076】
次に、上記図10の構造を実現するための製造工程について、図11〜図13を参照しながら説明する。
【0077】
まず、図11(a)に示すように、シリコン基板401上に、シリコン酸化膜403及びシリコン窒化膜404を堆積し、素子分離領域を開口し素子形成領域を覆うフォトレジスト膜をパターニングした後、フォトレジスト膜をマスクとして、上記シリコン窒化膜404及びシリコン酸化膜403を選択的に除去し、フォトレジスト膜を除去した後に、上記パターニングされたシリコン窒化膜404をマスクとしてシリコン基板401をエッチングして、溝部402を形成する。
【0078】
次に、図11(b)に示すように、溝部402の深さ及び残存するシリコン窒化膜404の厚みを加えた値つまり溝部402の底からシリコン窒化膜404の表面までの高さよりも十分な厚さの絶縁膜405a(図示せず)を堆積し、化学的機械研磨(CMP)を行ってこの絶縁膜405aをシリコン窒化膜404の表面が露出するまで除去し、基板面全体を平坦化する。この工程によって、素子分離領域に、絶縁膜405aで構成される溝型の素子分離405が形成される。
【0079】
次に、図11(c)に示すように、絶縁膜405aのみを選択的にエッチングすることで、素子分離405の表面が素子形成領域のシリコン基板401の表面よりも十分に低くする。その後、上記シリコン窒化膜404を、燐酸ボイル液などを用いて除去し、さらにフッ酸系のウェットエッチング液などを用いてシリコン酸化膜403を除去して、素子形成領域のシリコン基板401表面を露出させる。この時点で、素子形成領域のシリコン基板401表面と素子分離405の表面との間に十分な高低差を有する段差部が露出されていることが本実施形態の第1の特徴である。
【0080】
次に、図12(a)に示すように、シリコン酸化膜509a,シリコン窒化膜509b,シリコン酸化膜509cを順次堆積することで、ONO膜509を形成する。
【0081】
次に、図12(b)に示すように、不揮発性メモリ素子形成領域を覆うフォトレジスト膜407をパターニングした後、フォトレジスト膜407をマスクとして、異方性エッチングを行うことで、MOSトランジスタ形成領域内の素子分離405と素子形成領域との段差部側面に、段差部サイドウォール406が形成される。この段差部サイドウォール406は、ONO膜509を含んでいることが本実施形態の第2の特徴である。
【0082】
次に、図12(c)に示すように、フォトレジスト膜407を除去した後に、シリコン酸化膜408a、ポリシリコン膜を堆積し、その上に、ゲート電極及びゲート配線が形成される領域以外の領域を開口したフォトレジスト膜を形成する。そして、このフォトレジスト膜をマスクとして、ドライエッチングを行って、ゲート電極410,510をパターニングする。
【0083】
次に、図13(a)に示すように、不純物イオンの注入を行って、ソース・ドレイン領域411,511を形成し、シリコン酸化膜を堆積後に、このシリコン酸化膜の異方性エッチングを行うことでゲート電極部サイドウォール412,512を形成する。この時、不揮発性メモリ素子形成領域内の素子分離405と素子形成領域との段差部側面には、段差部サイドウォール506が形成される。この段差部サイドウォール506は、ONO膜509を含んでいることが本実施形態の第3の特徴である。
【0084】
次に、図13(b)に示すように、ゲート電極410,510,ソース・ドレイン領域411,511の上部に、それぞれチタンシリサイド(TiSi)化することで上部ゲート電極413a,513a、ソース・ドレイン電極413b,513bを形成する。
【0085】
その後、層間絶縁膜414の堆積及びコンタクトホール416の形成と、コンタクトホールへの金属の埋め込み及び第1層目金属配線415の形成とを経て、図10に示す溝埋め込み型分離構造を有するMOSトランジスタと不揮発性メモリ素子が混載された半導体装置が形成される。
【0086】
第4の実施形態によると、特別な工程数の増加なく、素子形成領域の面積増加なしに、素子形成領域とこれらを分離するように取り囲む溝型素子分離領域との境界をソース・ドレイン電極となるシリサイド膜から離すことができ、この境界部における、接合リーク電流を低減することができるため、コスト面、性能面において非常に優れたMOSトランジスタと不揮発性メモリ素子が混載された半導体装置を製造することができる。
【0087】
また、段差部サイドウォール絶縁膜にシリコン窒化膜を含んでいるため、サイドウォール形成後からシリサイド形成の間に、工程を追加する場合においても、安定して段差部サイドウォールを保持できるため、前記と同等の効果が得られる。
【0088】
なお、上記に示した第1〜第4の各実施形態においては、素子形成領域と溝型素子分離領域との段差境界部の側面にシリサイド膜が形成されないとして説明したが、現実の製造工程においては、段差部サイドウォール形成後に行なわれるエッチング工程等により、段差部サイドウォールにおける段差側面のうちの上部領域に接する部分が除去され、この部分で半導体基板が露出する場合がある。このとき、後のシリサイド膜形成工程でこの段差側面のうちの上部領域もシリサイド化されることになり、最大、段差境界部の側面のうちの上端から溝型素子分離領域の上面と接する部分を除く領域までがシリサイド化される可能性がある。
【0089】
したがって、本発明では、このような段差境界部の側面のうち少なくとも溝型素子分離領域の上面と接する部分を除く領域にシリサイド膜が形成される場合を含むものである。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法は、微細かつ高性能な半導体装置を実現できるものであり、特に、溝埋め込み型素子分離構造を有し、更に不純物拡散層上にシリサイド層が形成された半導体装置及びその製造方法等に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0091】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図6】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図8】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図9】本発明の第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図10】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の構造を示す断面図である。
【図11】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図12】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図13】本発明の第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法の各工程を示す断面図である。
【図14】従来の半導体装置の構造を示す断面図である。
【符号の説明】
【0092】
101,201,301,401 シリコン基板
102,202,302,402 溝部
103,203,303,403 シリコン酸化膜
104,204,304,404 シリコン窒化膜
105,205,305,405 溝型素子分離
106,206,306,406,506 段差部サイドウォール
407 フォトレジスト膜
208,408 ゲート酸化膜
309,509 ONO膜
210,310,410,510 ゲート電極
111 拡散層領域
211,311,411,511 ソース・ドレイン領域
212,312,412,512 電極部サイドウォール
113b 拡散層電極
213b,313b,413b,513b ソース・ドレイン電極
213a,313a,413a,513a 上部ゲート電極
214,314,414 層間絶縁膜
215,315,415 第1層目金属配線
216,316,416 コンタクト部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に形成された、表面の一部にシリサイド膜を有する活性領域と、
前記活性領域に隣接して形成された溝型素子分離領域とを備え、
前記溝型素子分離領域と前記活性領域との境界は、前記溝型素子分離領域表面の高さが前記活性領域の高さよりも低い段差形状に形成され、
前記シリサイド膜は、前記活性領域における前記境界端部上面を含み、前記溝型素子分離領域における前記境界端部上面を含まないように形成されることにより、前記溝型素子分離領域と分離されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記溝型素子分離領域と前記活性領域との境界において、前記段差の側面が絶縁膜で覆われている請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記絶縁膜がシリコン窒化膜を含む請求項2記載の半導体装置。
【請求項4】
前記活性領域上にMIS型電界効果トランジスタが形成され、前記シリサイド膜は、前記MIS型電界効果トランジスタの少なくともソース・ドレイン領域上に形成されている請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記活性領域上にONO膜(シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層構造)に電荷を蓄積させる機能を備えた不揮発性半導体メモリ装置が形成され、前記シリサイド膜は、前記不揮発性半導体メモリ装置の少なくともソース・ドレイン領域上に形成されている請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記活性領域上にONO膜(シリコン酸化膜/シリコン窒化膜/シリコン酸化膜の積層構造)に電荷を蓄積させる機能を備えた不揮発性半導体メモリ装置が形成され、前記シリサイド膜は、前記不揮発性半導体メモリ装置の少なくともソース・ドレイン領域上に形成され、前記ONO膜内のシリコン窒化膜と前記絶縁膜内のシリコン窒化膜とは同一膜から形成されている請求項3記載の半導体装置。
【請求項7】
基板上に形成された、表面の一部にシリサイド膜を有する第1および第2の活性領域と、
前記第1および第2の活性領域のそれぞれに隣接して形成された溝型素子分離領域とを備え、
前記溝型素子分離領域と前記第1および第2の活性領域とのそれぞれの境界は、前記溝型素子分離領域表面の高さが前記第1および第2の活性領域のいずれの高さよりも低い段差形状に形成され、
前記第1および第2の活性領域上のシリサイド膜は、前記第1および第2の活性領域における前記境界端部上面を含み、前記溝型素子分離領域における前記境界端部上面を含まないように形成されることにより、前記溝型素子分離領域と分離され、
前記溝型素子分離領域と前記第1および第2の活性領域とのそれぞれの境界において、前記段差の側面がシリコン窒化膜を含む絶縁膜で覆われ、
前記第1の活性領域上にMIS型電界効果トランジスタが形成され、
前記第1の活性領域上のシリサイド膜は、前記MIS型電界効果トランジスタの少なくともソース・ドレイン領域上に形成され、
前記第2の活性領域上にONO膜に電荷を蓄積させる機能を備えた不揮発性半導体メモリ装置が形成され、
前記第2の活性領域上のシリサイド膜は、前記不揮発性半導体メモリ装置の少なくともソース・ドレイン領域上に形成され、
前記ONO膜内のシリコン窒化膜と前記絶縁膜内のシリコン窒化膜とは同一膜から形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
半導体基板の所定領域をエッチングして溝型素子分離領域を形成するとともに前記溝型素子分離領域に隣接する活性領域を形成する第1の工程と、
前記溝型素子分離領域の溝部内に第1の絶縁膜を埋め込む第2の工程と、
前記第1の絶縁膜の表面を所定の深さまでエッチングして、前記活性領域の表面よりも前記第1の絶縁膜の表面の高さが低い段差部を形成する第3の工程と、
前記活性領域上および溝型素子分離領域上を覆うように第2の絶縁膜を形成する第4の工程と、
前記第2の絶縁膜をエッチングして、前記段差部の側面に前記第2の絶縁膜を残す第5の工程と、
前記活性領域表面にシリサイド膜を形成する第6の工程とを含む半導体装置の製造方法。
【請求項9】
前記第5の工程と第6の工程との間に、
ゲート絶縁膜となる第3の絶縁膜およびゲート電極となる導電膜を形成し、前記導電膜を所望の形状にエッチングすることで前記ゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極の両側方に位置する前記活性領域中にソース・ドレイン領域となる不純物拡散層を形成する工程とをさらに含み、
前記第6の工程では、前記不純物拡散層表面にシリサイド膜を形成する請求項8記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
前記第4の工程では、前記第2の絶縁膜としてONO膜を形成し、
前記第5の工程では、前記段差部の側面に前記第2の絶縁膜のうちの少なくともシリコン窒化膜を残し、
前記ゲート電極を形成する工程では、前記ゲート絶縁膜となる第3の絶縁膜を前記第2の絶縁膜と同一のONO膜により形成する請求項9記載の半導体装置の製造方法。
【請求項11】
半導体基板の所定領域をエッチングして溝型素子分離領域を形成するとともに前記溝型素子分離領域に隣接する第1および第2の活性領域を形成する第1の工程と、
前記溝型素子分離領域の溝部内に第1の絶縁膜を埋め込む第2の工程と、
前記第1の絶縁膜の表面を所定の深さまでエッチングして、前記第1および第2の活性領域の表面よりも前記第1の絶縁膜の表面の高さが低い段差部を形成する第3の工程と、
前記第1および第2の活性領域上および溝型素子分離領域上を覆うように第2の絶縁膜としてONO膜を形成する第4の工程と、
前記第1の活性領域上および前記溝型素子分離領域上のうち前記第1の活性領域に隣接する部分をマスクした後、前記第2の活性領域上および前記溝型素子分離領域上のうち前記第2の活性領域に隣接する部分をエッチングして、前記段差部の側面に前記第2の絶縁膜のうちの少なくともシリコン窒化膜を残す第5の工程と、
前記第2の活性領域上にゲート絶縁膜となる第3の絶縁膜を形成する第6の工程と、
前記第1および第2の活性領域上にゲート電極となる導電膜を形成し、前記導電膜を所望の形状にエッチングすることで、前記第1および第2の活性領域上にそれぞれ前記ゲート電極を形成するとともに、前記第1の活性領域上および前記溝型素子分離領域上のうち前記第1の活性領域に隣接する部分をエッチングして、前記段差部の側面に前記第2の絶縁膜のうちの少なくともシリコン窒化膜を残す第7の工程と、
前記第1および第2の活性領域上のそれぞれのゲート電極の両側方に位置する前記第1および第2の活性領域中にソース・ドレイン領域となる不純物拡散層を形成する第8の工程と、
前記第1および第2の活性領域表面にシリサイド膜を形成する第9の工程とを含む半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2006−261200(P2006−261200A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−72944(P2005−72944)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】