説明

半導体装置及び半導体装置の製造方法

【課題】インパクトイオン化領域にてキャリアがゲート絶縁膜に入り込むことがない半導体装置とその製造方法を提供する。
【解決手段】トランジスタ部分22と、ダイオード部分23を具備し、トランジスタ部分22は、第1導電型又は真性の半導体領域であるチャネル形成領域6と、チャネル形成領域6に接するゲート絶縁膜7と、チャネルを形成させるゲート電極8と、第2導電型あり、チャネル形成領域6に接し、ドレイン電圧が供給されるドレイン領域4と、第2導電型であり、チャネル形成領域6を介してドレイン領域4に対向し、チャネル形成領域6にチャネルが形成されたときにチャネル形成領域6を介してドレイン電圧が供給されるソース領域5とを含み、ダイオード部分23は、ソース領域5に電気的に接続されており、ソース領域5にドレイン電圧が供給されたときに、ダイオード部分23はインパクトイオン化現象が発生する領域を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置として、電界効果型トランジスタ(FET;Field effect transistor)を利用した装置が知られている。FETとして、インパクトイオン化FETが提案されている。インパクトイオン化FETは、電離衝突(インパクトイオン化)によるキャリア(電子および正孔)のアバランシェ増倍を利用したMISFET(Metal−Insulator−Semi−Conductor−FET)である。インパクトイオン化MISFETでは、半導体装置のオン‐オフ特性を急峻化するために、アバランシェ増倍が発生すると流れる電流が急激に増加する特性が利用されている。インパクトイオン化MISFETは、従来のMISFETに代わる半導体装置として期待されている。
【0003】
非特許文献1には、インパクトイオン化MISFETの一例として、I−MOSが記載されている。図1は、非特許文献1のI−MOSを示す断面図である。このI−MOSでは、基板上に、p−i−n型のダイオードが形成されている。I領域(I−REGION)上の一部には、ゲート絶縁膜(ox)を介して、ゲート電極(GATE)が形成されている。I領域には、上方にゲート電極が形成された領域(LGATE)と、上方にゲート電極が形成されていない領域(LI)とが存在する。
【0004】
非特許文献1のI−MOSにおいて、オフ時には、I領域にチャネルは形成されない。逆方向バイアスが印加されたとき、I領域のほぼ全体が空乏層となり、逆方向電流は殆ど流れない。一方、オン時には、ゲート電極直下の領域LGATEにチャネルが形成される。その結果、I領域において形成される空乏層の実効的な幅が、LIの幅となる。すなわち、空乏層の実効的な幅が短くなる。オン時において逆方向バイアスが印加されたとき、空乏層内の電界強度が十分に強くなり、I領域(LI)に注入された電子のエネルギーが高まる。これにより、インパクトイオン化現象が発生する。その結果、アバランシェ増倍が発生し、電流が急激に増加する。アバランシェ増倍を利用することにより、オン−オフ特性を向上させることができる。
【0005】
インパクトイオン化MISFETの他の一例が、特許文献1(WO 2007/008173)に示されている。図2は、特許文献1に記載された半導体装置の構造を示す断面図である。この特許文献1に記載された半導体装置は、基板構造(a gate structure)と、その基板構造上に形成されたゲート積層体(a gate stack)と、基板構造中に形成された第1導電型のドレイン領域と、その基板構造より上に形成されたソース構造とを備えている。そのソース構造は、第2導電型のソース領域と、ソース領域と基板構造との間に設けられ、ドーパント濃度が1018(cm−3)以下である第1領域(a first region)とを備えている。この半導体装置では、インパクトイオン化現象が発生する領域(以下、インパクトイオン化領域)が、L字状に形成される。
【0006】
【非特許文献1】K. Gopalakrishnan et al., “I−MOS: A Novel Semiconductor Device with a Subthreshold Slope lower than kT/q”, IEDM Technical Digest, pp. 289−292, December 2002.
【特許文献1】WO 2007/008173
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
インパクトイオン化領域中では、高いエネルギーを有するキャリアが移動する。そのようなキャリアが、ゲート絶縁膜に入り込んでしまうことがある。これにより、ゲートの閾値電圧の信頼性が悪化するという問題点があった。
【0008】
特許文献1の半導体装置では、インパクトイオン化領域がL字形状に形成される。インパクトイオン化領域中において、主としてインパクトイオン化が発生する部分は、そのL字形状の角部Aである。角部Aは、ゲート絶縁膜から離れている。そのため、キャリアがゲート絶縁膜に入り込むことが抑制される。しかしながら、インパクトイオン化領域自体が、ゲート絶縁膜から完全に離隔しているわけではない。よって、多少のキャリアはゲート絶縁膜に入り込んでしまう。さらに、半導体装置の微細化に伴い、側壁の幅が縮小された場合、主としてインパクトイオン化が発生する部分(角部A)は、ゲート絶縁膜に近くなる。このような場合には、ゲート絶縁膜にキャリアが入り易くなってしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下に、[発明を実施するための最良の形態]で使用する括弧付き符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
本発明に係る半導体装置は、電界効果トランジスタ部分と、ダイオード部分とを具備する。その電界効果トランジスタ部分は、第1導電型又は真性の半導体領域であるチャネル形成領域と、チャネル形成領域(6)に接するゲート絶縁膜(7)と、ゲート絶縁膜(7)を介してチャネル形成領域(6)と対向し、チャネル形成領域(6)にチャネルを形成させるゲート電極(8)と、第2導電型の半導体領域であり、チャネル形成領域(6)に接し、ドレイン電圧が供給されるドレイン領域(4)と、第2導電型の半導体領域であり、チャネル形成領域(6)を介してドレイン領域(4)に対向し、前記チャネルが形成されたときにチャネル形成領域(6)を介してドレイン電圧が供給されるソース領域(5)と、を含んでいる。そのダイオード部分は、ソース領域(5)に電気的に接続されており、ソース領域(5)にドレイン電圧が供給されたときに、ダイオード部分はインパクトイオン化現象が発生するインパクトイオン化領域(16)を含む。
【0011】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1導電型又は真性の半導体領域であるチャネル形成領域(6)と、チャネル形成領域(6)に接するゲート絶縁膜(7)と、ゲート絶縁膜(7)を介してチャネル形成領域(6)と対向し、チャネル形成領域(6)にチャネルを形成させるゲート電極と、第2導電型の半導体領域であり、チャネル形成領域(6)に接し、ドレイン電圧が供給されるドレイン領域(4)と、第2導電型の半導体領域であり、チャネル形成領域(6)を介してドレイン領域(4)に対向し、チャネル形成領域(6)にチャネルが形成されたときにチャネル形成領域(6)を介してドレイン電圧が供給されるソース領域(5)と、を備える電界効果トランジスタ部分を形成する工程と、インパクトイオン化領域(16)を含み、ソース領域(5)に電気的に接続されるダイオード部分を形成する工程と、を具備する。インパクトイオン化領域(16)は、ソース領域(5)にチャネル形成領域(6)を介してドレイン電圧が供給されたときにインパクトイオン化現象を発生させる領域である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、インパクトイオン化領域中のキャリアがゲート絶縁膜中に入り込むことの無い半導体装置、及びその製造方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
【0014】
(第1の実施の形態)
図3は、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。尚、本実施形態に係る半導体装置には、図3に示した構成以外にも、層間絶縁膜や、他の素子等との電気的接続を行う為の配線等が設けられている。但し、それらの図示及び説明は、本実施形態に直接関係しないため、省略される。
【0015】
図3に示される半導体装置は、nチャネル型インパクトイオン化MISFETである。この半導体装置は、シリコン基板(以下、単に基板という)を有している。その基板上には、トランジスタ形成領域22とダイオード形成領域23とが設けられている。トランジスタ形成領域22とダイオード形成領域23とは、素子分離領域2によって分離されている。トランジスタ形成領域22にはトランジスタが、ダイオード形成領域23にはダイオードが、それぞれ形成されている。
【0016】
基板の表層部には、n型(第2導電型)シリコン領域1と、n型シリコン領域1上に形成されたp型(第1導電型)ウェル層3とが設けられている。p型ウェル層3は、素子分離領域2によって分離されている。尚、pウェル層3の不純物濃度は十分に低く、真性半導体層であってもよい。又、トランジスタ形成領域22とダイオード形成領域23のp型ウェル層3は共通に形成しても良いが、トランジスタの閾値制御を行うため、トランジスタ形成領域22のp型ウェル層3を、ダイオード形成領域23のp型ウェル層3と異なる濃度で形成することも可能である。
【0017】
まず、トランジスタ部分の構造について説明する。
【0018】
トランジスタ形成領域22には、トランジスタとして、ドレイン領域4と、チャネル形成領域6と、ソース領域5と、ゲート絶縁膜7と、ゲート電極8とが形成されている。
【0019】
ゲート電極8は、ゲート絶縁膜7を介して、基板上に設けられている。ゲート電極8とゲート絶縁膜7の側部には、側壁として、絶縁膜10及び絶縁膜11が設けられている。側壁により、ゲート電極8及びゲート絶縁膜7の側部が保護されている。ゲート電極8上には、シリサイド層9が形成されている。ゲート電極8は、シリサイド層9を介して、ゲート電圧を供給するゲート電源13に接続されている。
【0020】
ドレイン領域4及びソース領域5は、基板の表層部に形成されている。基板内において、ドレイン領域4及びソース領域5は、ゲート電極8の直下の領域を介して対向している。基板におけるゲート電極8の直下の領域は、p型ウェル層3によって占められており、チャネル形成領域6を形成している。ドレイン領域4及びソース領域5上には、それぞれ、シリサイド層9が形成されている。ドレイン領域4は、シリサイド層9を介して、ドレイン電圧を供給するドレイン電源12に接続されている。ソース領域5は、シリサイド層9を介して、配線21に接続されている。
【0021】
ドレイン領域4及びソース領域5は、共に、n型の半導体領域である。ドレイン領域4及びソース領域における不純物濃度は、それぞれ、1x1020c−3以上である。
【0022】
チャネル層形成領域6は、オン時にチャネルが形成される領域である。チャネル層形成領域6は、ゲート絶縁膜7を介してゲート電極8と対向する位置に形成される。チャネル層形成領域6は、ドレイン領域4とソース領域5との間に挟まれており、一方でドレイン領域4に接し、他方でソース領域5に接している。
【0023】
続いて、ダイオード部分について説明する。
【0024】
ダイオード形成領域23には、ダイオードとして、n型カソード領域14(ダイオード第2領域)と、p型アノード領域15(ダイオード第1領域)とが形成されている。n型カソード領域14とp型アノード領域15は、基板内の表層部に形成されている。n型カソード領域14とp型アノード領域15とは、離隔している。基板内において、n型カソード領域14とp型アノード領域15との間は、p型ウェル層3によって占められている。n型カソード領域14とp型アノード領域15との間を占めるp型ウェル層3は、インパクトイオン化領域16を形成している。
【0025】
n型カソード領域14及びp型アノード領域15上には、それぞれ、シリサイド層9が設けられている。n型カソード領域14上のシリサイド層9には、配線21が接続されている。これにより、n型カソード領域14は、トランジスタのソース領域5と電気的に接続されている。一方、p型アノード領域15は、シリサイド層9を介して、ソース電圧を供給するソース電源17に接続されている。
【0026】
n型カソード領域14における不純物濃度は、1x1020cm−3以上である。また、p型アノード領域15における不純物濃度は、1x1020cm−3以上である。
【0027】
インパクトイオン化領域16上には、絶縁膜18が設けられている。絶縁膜18は、ゲート絶縁膜7と同じ膜である。絶縁膜18上には、ノンドープのポリシリコン層19が設けられている。ノンドープポリシリコン層19上には、絶縁膜20が設けられている。ノンドープポリシリコン層19及び絶縁膜20の側部には、側壁として、絶縁膜10及び絶縁膜11が設けられている。
【0028】
図4は、本実施形態に係る半導体装置の回路図を示している。図4に示されるように、この半導体装置においては、ソース電源17と電界効果型トランジスタのソース領域と、の間に、ダイオードが介装されている。そのダイオードは、ソース領域からソース電源17へ向かう方向が逆方向となるように、接続されている。
【0029】
続いて、本実施形態の半導体装置の動作について説明する。
【0030】
動作時には、ドレイン電圧として、ソース電圧よりも高い電圧が印加される。
【0031】
ゲート電圧が、ゲートの閾値電圧より小さい場合、すなわちトランジスタがオフ状態の場合、ダイオードにおけるn型カソード領域14は、電気的にフロート状態である。そのため、n型カソード領域14とp型アノード領域15との間には、電圧は印加されず、電流は殆ど流れない。これによって、トランジスタ部分のリーク電流は、抑制される。
【0032】
一方、ゲート電圧をゲートの閾値電圧以上とした場合、すなわちオン状態の場合、チャネル形成領域6にチャネルが形成される。このとき、ソース領域5は、ドレイン領域4とほぼ同じ電圧になる。また、ソース領域5に接続されたn型カソード領域14も、ほぼドレイン電圧となる。その結果、n型カソード領域14とp型アノード領域15との間(インパクトイオン化領域16)に、電圧が印加される。すなわち、ダイオードは、チャネルが形成されたときに、逆バイアスされるように、ソース領域と電気的に接続されていることになる。この電圧の大きさが、インパクトイオン化現象が発生するような大きさであれば、インパクトイオン化現象が発生する。インパクトイオン化現象が発生することにより、アバランシェ増倍が発生し、n型カソード領域14とp型アノード領域15間を流れる電流が急増する。ゲート電圧を増加させた時にドレイン電流が急増するので、スイッチング特性が向上する。
【0033】
インパクトイオン化現象が発生するインパクトイオン化領域16は、トランジスタ部分ではなく、ダイオード部分に形成される。インパクトイオン化領域16は、ダイオード部分に形成され、ゲート絶縁膜7からは完全に離隔している。
【0034】
尚、本明細書中において、「完全に隔離している」ということは、インパクトイオン化領域16が、ゲート絶縁膜7と連続していないことを意味している。例えば、図2に示した例のような場合、インパクトイオン化領域は、ゲート絶縁膜と角部Bで連続している。従って、図2に示した例のような半導体装置では、インパクトイオン化領域16がゲート絶縁膜7から完全に隔離していることにはならない。
【0035】
インパクトイオン化領域16がゲート絶縁膜7から完全に隔離していることにより、ゲート絶縁膜7にキャリアが入射することが無い。ゲートの閾値電圧のシフトが発生せず、半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0036】
オン時にインパクトイオン化現象を発生させる為には、インパクトイオン化領域16に印加される電圧がアバランシェブレークダウン電圧以上であればよい。インパクトイオン化領域16にアバランシェブレークダウン電圧以上の電圧を印加するためには、ドレイン電圧とソース電圧との電圧差を所定値(以下、ドレイン閾値電圧)以上に設定すればよい。
【0037】
インパクトイオン化現象は、インパクトイオン化領域16における電界強度が高いほど、発生し易くなる。従って、インパクトイオン化領域16の幅(n型カソード領域14とp型アノード領域15間の距離)は、オン時にインパクトイオン化現象が発生するような距離に設定される。
【0038】
尚、インパクトイオン化領域16の上方に設けられたノンドープポリシリコン層19は、インパクトイオン化領域16を規定している。ノンドープポリシリコン層19は、抵抗が高く電気的にフロート状態である。そのため、ノンドープポリシリコン層19がインパクトイオン化領域16へ与える電気的な影響は小さい。
【0039】
本実施形態では、図3に示されるように、n型カソード領域14とp型アノード領域15が、基板と平行な方向で並んでいる。すなわち、n型カソード領域14とp型アノード領域15とは、インパクトイオン化領域16を介して、基板と平行な方向で対向している。n型カソード領域14とp型アノード領域15とは、互いに近づくような方向へ膨らむ面同士で、対向している。このような面同士で対向していることにより、インパクトイオン化領域16に加わる電界が集中し易くなり、インパクトイオン化現象をより発生し易くすることができる。インパクトイオン化現象が発生し易くなっていることにより、ドレイン閾値電圧を低減することができる。これにより、駆動電圧を低減できる。また、インパクトイオン化領域16中のキャリアのエネルギを低減できる。キャリアのエネルギーを低減することにより、半導体装置の信頼性を向上させることができる。また、リーク電流をより低減することができる。
【0040】
本実施形態では、基板は、n型カソード領域14及びp型アノード領域15において、掘り下げられている。すなわち、n型カソード領域14及びp型アノード領域15は、インパクトイオン化領域16における基板表面(第1表面)よりも、深い位置に形成されている。従って、n型カソード領域14及びp型アノード領域15は、第1表面よりも深い位置で、最接近している。そのため、インパクトイオン化領域16中のキャリアは、主として、基板表面よりも深い位置を流れる。キャリアが基板表面を流れる場合には、表面ラフネス散乱の影響により、ドレイン閾値電圧を高くしなければならない。これに対して、キャリアが基板表面よりも深い位置を流れる場合には、表面ラフネス散乱の影響を受けにくく、ドレイン閾値電圧を低く抑えることができる。その結果、駆動電圧を低く抑えることが可能である。
【0041】
本実施形態では、不純物濃度の低いpウェル層3にインパクトイオン化領域16が形成される場合について説明した。しかし、ダイオード形成領域23のpウェル層3に代えて、nウェル層でも真性半導体層が用いられてもよい。この場合、そのnウェル層又は真性半導体層にインパクトイオン化領域16が形成される。また、トランジスタ形成領域22のpウェル層3に代えて、真性半導体層が用いられてもよい。
【0042】
本実施形態では、基板としてシリコン基板が用いられる場合について説明した。すなわち、インパクトイオン化領域16(pウエル層3)として、シリコンのp型半導体層が用いられている。しかし、インパクトイオン化領域16を、シリコン以外の材料により形成することも可能である。例えば、インパクトイオン化領域16は、シリコンゲルマニウムや、ゲルマニウムにより形成されることも可能である。シリコンゲルマニウムやゲルマニウムは、シリコンよりもバンドギャップが小さいので、インパクトイオン化現象が発生し易い。従って、シリコンゲルマニウムやゲルマニウム用いた場合、ドレイン閾値電圧を更に低減することができる。
【0043】
本実施形態では、基板として、シリコン基板を用いた場合について説明した。しかし、基板として、シリコン層の下にシリコン酸化膜等の絶縁膜が埋め込まれたSOI(Silicon on Insulator)構造を有するものを用いることも可能である。また、基板として、シリコンゲルマニウムの下にシリコン酸化膜等の絶縁膜が形成されたSGOI(Silicongermanium on Insulator)基板構造を有するものを用いることも可能である。また、基板として、ゲルマニウムの下にシリコン酸化膜等の絶縁膜が形成されたGOI(Germanium on Insulator)基板構造を有するものを用いることも可能である。
【0044】
本実施形態では、半導体装置として、nチャネル型インパクトイオン化MISFETを例示した。しかし、本実施形態はnチャネル型に限定されるものではなく、各半導体領域の導電型を逆にすることにより、pチャネル型インパクトイオン化MISFETに対して適用することも可能である。
【0045】
本実施形態では、インパクトイオン化領域16において、主としてキャリアが基板内部に形成される場合について説明した。しかし、必ずしも主としてキャリアが基板内部を流れるような構成を採用しなくてもよい。インパクトイオン化領域16がゲート絶縁膜7から完全に離隔していれば、ゲート絶縁膜7へのキャリア入射を無くすことが可能である。
【0046】
続いて、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図5A乃至図5Eは、半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0047】
図5Aに示されるように、表層部にn型シリコン領域1が形成されたシリコン基板を用意し、素子分離領域2、p型ウェル層3、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8、絶縁膜20、絶縁膜18、ノンドープポリシリコン層19、及び絶縁膜20を形成する。
【0048】
具体的には、まず、n型シリコン領域1に、素子分離領域2を形成する。素子分離領域2を形成するにあっては、まず、シリコン基板の表面に溝を形成する。その後、シリコン酸化膜を堆積させる。その後、CMP(化学的機械研磨)によって基板表面を平坦化する。
【0049】
次に、フォトリソグラフィー技術とイオン注入技術により、p型ウェル層3を形成する。p型ウェル層3における不純物濃度は、トランジスタ形成領域22とダイオード形成領域23とで必ずしも同じにする必要はない。フォトリソグラフィーとイオン注入の工程を、それぞれ2回づつ実施することにより、トランジスタ形成領域22とダイオード形成領域23とでp型ウェル層3の不純物濃度を異ならせてもよい。
【0050】
次に、基板表面に、シリコン酸化膜等の絶縁膜と、ポリシリコン層とを積層する。そして、フォトリソグラフィー技術とイオン注入技術を用いて、トランジスタ形成領域22のポリシリコン層にのみ、不純物イオンをドーピングする。次に、ポリシリコン層上にシリコン酸化膜等の絶縁膜を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術により、基板上に積層された積層体をパターニングする。これによって、トランジスタ形成領域22にゲート絶縁膜7、ゲート電極8(ドーピングされたポリシリコン層)、及び絶縁膜20が形成される。また、ダイオード形成領域23に、絶縁膜18、ノンドープポリシリコン層19、及び絶縁膜20が形成される。
【0051】
続いて、図5Bに示されるように、トランジスタ形成領域22を保護するようにレジストマスク24を配置する。そして、レジストマスク24及び絶縁膜20をマスクとして、n型カソード領域及びp型アノード領域の形成予定部分を、エッチングにより、10〜50nm程度掘下げる。
【0052】
続いて、図5Cに示されるように、イオン注入により、エクステンション層26、及び浅いカソード領域27を形成する。具体的には、まず、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術により、トランジスタ形成領域22の絶縁膜20を除去する。次に、シリコン酸化膜を形成してエッチバックすることにより、ゲート電極8の側壁として絶縁膜10を形成する。その後、レジストマスク25を、p型アノード領域が形成される予定の領域に形成する。レジストマスク25をマスクとして、ヒ素28をイオン注入する。これにより、ドレイン領域及びソース領域の形成予定領域に、n半導体型のエクステンション層26が形成される。また、n型カソード領域の形成予定領域に、n半導体型の浅いカソード領域27が形成される。この際、続けてBFをイオン注入してポケットを形成してもよいが、別のレジストマスクを使用することでトランジスタ形成領域28にのみポケットを形成することができる。
【0053】
次に、図5Dに示されるように、イオン注入により、浅いアノード領域31を形成する。具体的には、まず、レジストマスク25を除去する。そして、トランジスタ形成領域22及びn型カソード領域の形成予定領域が被覆されるように、レジストマスク29を形成する。レジストマスク29をマスクとして、BF(30)をイオン注入する。これにより、p型アノード領域の形成予定領域に、浅いアノード領域31が形成される。
【0054】
次に、図5Eに示されるように、イオン注入により、ドレイン領域4、ソース領域5、n型カソード領域14、及びp型アノード領域15を形成する。具体的には、まず、レジストマスク29を除去する。その後、シリコン酸化膜の形成とエッチバックを行うことにより、側壁として絶縁膜11を形成する。更に、図5Cに示すレジスト25と同様のレジストを形成し、ドレイン領域、ソース領域、及びn型カソード領域の形成予定領域に、イオン注入を行う。このとき、図5Cで示した工程(エクステンション層26の形成時)で実施したイオン注入時のエネルギーよりも高いエネルギーで、イオン注入を行う。これにより、ドレイン領域及びソース領域の形成予定領域に、n型の深いドレイン領域35及びソース領域34が形成される。深いドレイン領域35は、先に形成されていたエクステンション層26と一体化し、ドレイン領域4を形成する。また、深いソース領域34も、同様に、エクステンション層26と一体化し、ソース領域5を形成する。また、n型カソード領域の形成予定領域には、n型の深いカソード領域32が形成される。深いカソード領域32も、浅いカソード領域27と一体化して、n型カソード領域14を形成する。次に、レジストを除去した後図5Dに示すレジスト29と同様のレジストを形成し、p型カソード領域の形成予定領域に、イオン注入を行い、深いp型カソード領域を形成する。このとき、図5Dで示した工程(浅いアノード領域31の形成時)におけるイオン注入時よりも高いエネルギーで、イオン注入を行う。形成された深いアノード領域33は、浅いアノード領域31と一体化し、p型アノード領域15を形成する。
【0055】
次に、1000℃で10秒程度の熱処理を施す。これにより、イオン注入されたドーパントが活性化する。その後、ゲート電極8、ドレイン領域4、ソース領域5、n型カソード領域14、およびp型アノード領域15の表面に形成された自然酸化膜を除去する。そして、ニッケル等の金属をスパッタし、500℃、30秒程度でシンターする。これにより、シリサイド層9が形成される。余分な部分に形成されたニッケルをエッチングにより除去する。
【0056】
その後、層間膜などの図示しない構成を形成することにより、本実施形態に係る半導体装置が得られる。
【0057】
尚、図5Aで示した工程で形成される絶縁膜20は、イオン注入時のマスクとして用いられている。従って、絶縁膜20の膜厚は、図5C乃至図5Dで示した工程におけるイオン注入時に、ドーパントイオン(ヒ素又はBF2)がノンドープシリコン層19に注入されないような厚みに設定される。
【0058】
また、図5Aで示したゲート電極形成のためのドーピングは、エクステンション層26を形成する工程(図5C)、又は、深いソース領域(34)/深いドレイン領域(35)を形成する工程(図5E)と同一工程で行うことも可能である。
【0059】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
【0060】
図6は、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。本実施形態では、第1の実施形態に対して、ダイオード部分の構成が工夫されている。その他の点については、第1の実施形態と同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0061】
図6に示されるように、本実施形態では、ダイオード形成領域23中に、素子分離領域38が形成されている。素子分離領域38は、基板表面からp型ウェル層3に達するまで延びている。但し、素子分離領域38は、素子分離領域2よりも浅い。ダイオード形成領域23は、素子分離領域38により、ダイオードA領域と、ダイオードB領域とに分割されている。
【0062】
ダイオードA領域においては、p型ウェル層3上に、p型アノード領域15が設けられている。p型アノード領域15上に、インパクトイオン化領域16として、真性半導体領域(実際には、低不純物濃度のp型又はn型であるが、実質的には真性である)が設けられている。インパクトイオン化領域16上には、n型カソード領域14が設けられている。n型カソード領域14上には、シリサイド層9が設けられている。n型カソード領域14は、シリサイド層9を介して配線21に接続されている。配線21を介して、n型カソード領域14は、トランジスタのソース領域5と電気的に接続されている。p型アノード領域15、インパクトイオン化領域16、及びn型カソード領域14の厚みは、それぞれ、10〜50nmである。但し、インパクトイオン化領域16の厚みは、薄ければ薄い程、アバランシェブレークダウン電圧が小さくなり、駆動電圧の低電圧化の点で有利となる。
【0063】
一方、ダイオードB領域には、p型ウェル層3上に、不純物濃度1x1020cm−3以上のp型領域37が形成されている。p型領域37上には、シリサイド層9が形成されている。p型領域37は、シリサイド層9を介してソース電源17に接続されている。トランジスタ形成領域22とダイオード形成領域23のp型ウェル層3は共通に形成しても良いが、トランジスタの閾値制御を行うため、トランジスタ形成領域22のp型ウェル層3を、ダイオード形成領域23のp型ウェル層3と異なる濃度で形成することも可能である。
【0064】
以上説明したように、本実施形態では、第1の実施形態とは異なり、p型アノード領域15、インパクトイオン化領域16、及びn型カソード領域14が、基板に対して垂直方向で並んでいる。このような構造を採用しても、インパクトイオン化領域16をゲート絶縁膜7から離隔させることができる。これにより、第1の実施形態で述べたのと同様の作用効果を奏することが可能である。
【0065】
また、本実施形態では、インパクトイオン化現象は、n型カソード領域14とp型アノード領域15とが対向する面の全体で発生する。従って、オン時に流れる電流量を増やすことができる。
【0066】
また、第1の実施形態と同様に、インパクトイオン化領域中のキャリアは、基板表面(界面)よりも深い位置を流れるため、表面ラフネス散乱等の影響を受けにくい。これにより、ドレインしきい値電圧を低くできる。
【0067】
更に、本実施形態では、インパクトイオン化領域16部分を、製造時に位置精度良く形成できるという利点がある。以下に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。
【0068】
図7A乃至図7Cは、本実施形態の半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0069】
図7Aに示されるように、n型シリコン領域1が形成された基板上に、ゲート絶縁膜7及びゲート電極8を形成する。具体的には、まず、基板上に、素子分離領域2及び素子分離領域38を形成する。次に、フォトリソグラフィー技術及びイオン注入技術により、基板上にp型ウェル層3を形成する。p型ウェル層3における不純物濃度は、トランジスタ形成領域22とダイオード形成領域23とで必ずしも同じにする必要はない。フォトリソグラフィーとイオン注入の工程を、それぞれ2回づつ実施することにより、トランジスタ形成領域22とダイオード形成領域23とでp型ウェル層3の不純物濃度を異ならせてもよい。その後、基板表面に、シリコン酸化膜等の絶縁膜と、ポリシリコン層とを形成する。そして、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術により、形成された絶縁膜及びポリシリコン層をパターニングし、ゲート絶縁膜7及びゲート電極8を形成する。さらに、フォトリソグラフィー技術及びイオン注入技術により、p型領域37を形成する。
【0070】
次に、図7Bに示されるように、ダイオードA領域にトレンチ40を形成する。具体的には、まず、第1の実施形態と同様の方法により、絶縁膜10、11、ドレイン領域4、ソース領域5を形成する。但し、絶縁膜10、11は、シリコン窒化膜により形成する。次に、ゲート電極8を被覆するように、シリコン酸化膜39を形成する。そして、レジストマスク41を用いて、ダイオードA領域をエッチングし、トレンチ40を形成する。
【0071】
次に、図7Cに示されるように、トレンチ40部分に、ダイオードを形成する。具体的には、まず、レジストマスク41を除去する。その後、トレンチ40の底部に形成された自然酸化膜を除去する。そして、エピタキシャル成長法により、トレンチ40に、高濃度p型シリコン層(p型アノード領域15)、ノンドープシリコン層(インパクトイオン化領域16)、および高濃度n型シリコン層(n型カソード領域14)を順に積層する。p型アノード領域15及びn型カソード領域14を形成する際には、エピタキシャル成長法の代わりに、イオン注入法を用いてもよい。
【0072】
その後、シリコン酸化膜39を除去する。ドレイン領域4、ソース領域5、カソード領域14、p型領域37、およびゲート電極8の表面に形成された自然酸化膜を除去し、ニッケル等の金属層をスパッタする。500℃、30秒程度でシンターすることにより、シリサイド層9を形成する。更に、余分な部分に残存したニッケルを、エッチングにより除去する。その後、層間膜、コンタクト、金属配線などを形成することにより、本実施形態で説明した半導体装置が得られる。
【0073】
上述の半導体装置の製造方法によれば、p型アノード領域15、インパクトイオン化領域16、及びn型カソード領域14が、基板に垂直な方向に積み重ねられる。従って、これらの領域を同一の材料(絶縁膜39)をマスクとして、形成することができる。第1の実施形態では、p型アノード領域15、インパクトイオン化領域16、及びn型カソード領域14が基板と平行な方向で並んでいる。インパクトイオン化領域16の幅は、ノンドープポリシリコン層19の幅で決定され、100nm以下の微細な距離を精度良くコントロールするためには、露光装置を始めとするフォトリソグラフィー装置に高額な設備投資が必要である。これに対し、本実施形態では、インパクトイオン化領域16の幅が、成膜時の膜厚により決定される。従って、成膜時の厚みを制御するだけでよく、高価なフォトリソグラフィー装置(露光装置)や露光マスクは必要ない。よって、第1の実施形態と比較すると、低コストで、インパクトイオン化領域16の幅を精度よく制御することができる。
【0074】
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、基板として、シリコンゲルマニウムやゲルマニウム基板を用いることができる。この場合、p型アノード領域15、インパクトイオン化領域16、n型カソード領域14は、シリコンゲルマニウムやゲルマニウムのエピタキシャル成長層となる。また、p型アノード領域15、インパクトイオン化領域16、及びn型カソード領域14として、異なる材料を用いることにより、インパクトイオン化領域16に歪みを加えることも可能である。下地と同じ材料のエピタキシャル成長層を用いた方が、転位等の欠陥形成が起こりにくい。しかし、歪みを加えることにより、シリコンゲルマニウム層やゲルマニウム層のバンドギャップが低減され、インパクトイオン化率が向上することもある。
【0075】
また、ゲート電極8を形成する際には、不純物がドープされたポリシリコン層を形成してもよいし、予めノンドープポリシリコン層を形成した後にイオン注入を行ってもよい。また、ゲート電極8を形成するためのイオン注入は、第1の実施形態と同様に、エクステンション層26や深いソース領域/深いドレイン領域を形成する工程と同一工程で行うこともできる。
【0076】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図8は、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。本実施形態では、ダイオードが、トランジスタのソース領域5上に積層されている。その他の点については、既述の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0077】
図8に示されるように、本実施形態では、素子分離領域2は、基板から突き出ている。素子分離領域2は、この半導体装置(MISFET)を、他の素子等と電気的に分離している。素子分離領域2の側部には、側壁として、絶縁膜10及び絶縁膜11が形成されている。
【0078】
隣り合う素子分離領域2の間に、既述の実施形態と同様な構成によるトランジスタ部分が形成されている。ダイオード部分は、トランジスタ部分のソース領域5上に積層されている。すなわち、ダイオード部分は、ゲート電極8の側壁(絶縁膜10、11)と、素子分離領域2の側壁(絶縁膜10、11)との間に埋め込まれている。
【0079】
具体的には、ダイオード部分のn型カソード領域14が、ソース領域5上に形成されている。n型カソード領域14上には、インパクトイオン化領域16が形成されている。インパクトイオン化領域16上には、p型アノード領域15が形成されている。p型アノード領域15上には、シリサイド層9が形成されている。p型アノード領域15は、シリサイド層9を介して、ソース電源17に接続されている。
【0080】
本実施形態のように、ダイオード部分がソース領域5上に積層された構造を採用することによっても、インパクトイオン化領域16をゲート絶縁膜7から完全に離隔させることができる。これにより、既述の実施形態と同様に、キャリアがゲート絶縁膜7に入射することを防止できる。
【0081】
また、本実施形態では、順番は逆であるが、第2の実施形態と同様、ダイオードが基板に対して垂直方向に積層されている。従って、製造時に、インパクトイオン化領域16の幅(厚み)を精度良くコントロールすることができる。
【0082】
加えて、本実施形態では、基板上において、ダイオードがトランジスタと重なっている。従って、基板面上におけるフットプリントを低減することができる。
【0083】
次に、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を説明する。図9A乃至図9Eは、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0084】
図9Aに示されるように、表面にp型シリコン領域(p型ウエル層3)が形成されたp型シリコン基板を用意する。このp型シリコン基板3上に、シリコン酸化膜42及びシリコン窒化膜43を形成する。そして、フォトリソグラフィー技術及びエッチング技術により、素子分離領域2となる溝を形成する(図示せず)。その溝に、シリコン酸化膜を埋め込んでCMPによって平坦化し、素子分離領域2を形成する。その後、シリコン窒化膜43とシリコン酸化膜42をエッチングにより除去し、基板3の表面から突き出た素子分離領域2が形成される。この際、素子分離領域2の高さは、シリコン窒化膜43およびシリコン酸化膜42の膜厚により制御できる。
【0085】
次に、図9Bに示されるように、基板表面に、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8および絶縁膜44を形成する。具体的には、シリコン酸化膜等の絶縁膜をゲート絶縁膜7用に形成する。絶縁膜7としては、シリコン酸化膜の他に、ハフニウム酸化膜等の高誘電率材料が好適である。この絶縁膜上に、ゲート電極8用のポリシリコン層を形成し、不純物をドーピングする。ゲート電極8用のポリシリコン層上に、絶縁膜44としてシリコン酸化膜等を形成する。その後、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術を用いて、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8および絶縁膜44を形成する。
【0086】
ゲート電極8を形成するにあたっては、不純物がドープされたポリシリコン層を成膜してもよい。また、ゲート電極8を形成するためのドーピングを、ポリシリコン層形成後に行ってもよい。更に、ゲート電極8を形成する為のドーピングを、絶縁膜44の形成後に行ってもよい。また、ゲート電極8を形成する為のドーピングを、既述の実施形態と同様に、エクステンション層や深いソース領域/深いドレイン領域を形成する工程と同一工程で行ってもよい。
【0087】
また、素子分離領域2の側面に形成されたポリシリコン層は、ポリシリコン層と絶縁膜44の選択比の高い条件でエッチングすることにより、除去することが可能である。
【0088】
次に図9Cに示されるように、エクステンション層26を形成する。具体的には、まず、シリコン酸化膜を形成し、これをエッチバックすることにより、絶縁膜10を形成する。続いて、レジストマスクを用いて、ヒ素28をイオン注入することにより、エクステンション層26を形成する。このとき、更にBFをイオン注入することにより、ポケットを形成してもよい。
【0089】
次に、図9Dに示されるように、ドレイン領域4及びソース領域5を形成する。具体的には、まず、シリコン窒化膜を形成し、これをエッチバックすることにより、絶縁膜11を形成する。その後、レジストマスクを用いて、ヒ素28をイオン注入することにより、深いソース領域34と、深いドレイン領域35とを形成する。この際、深いソース領域34は、先に形成されたエクステンション層26と一体化して、ソース領域5を形成する。また、深いドレイン領域35は、エクステンション層26と一体化して、ドレイン領域4を形成する。その後、1000℃で10秒程度の熱処理を施すことにより、注入されたドーパントを活性化させる。
【0090】
次に、図9Eに示されるように、ソース領域5上に、ダイオードを形成する。具体的には、まず、ドレイン領域4上の基板表面が覆われるように、シリコン酸化膜20を形成する。次に、ソース領域5上に形成された自然酸化膜を除去する。その後、エピタキシャル成長法により、ソース領域5上に、高濃度n型シリコン層(n型カソード領域14)、ノンドープシリコン層(インパクトイオン化領域16)、高濃度p型シリコン層(p型アノード領域15)を順に形成する。この際、第2の実施形態と同様に、エピタキシャル成長に代えて、イオン注入法を用いてもよい。
【0091】
その後、シリコン酸化膜44及びシリコン酸化膜20を除去する。ドレイン領域4、p型アノード領域15、及びゲート電極8上に形成された自然酸化膜を除去する。ニッケル等の金属層をスパッタし、500℃、30秒程度でシンターする。これにより、シリサイド層9が形成される。余分なニッケルなどの金属層をエッチングにより除去する。層間膜、コンタクト開口、金属配線などの必要な構成を形成する。これにより、本実施形態に係る半導体装置が製造される。
【0092】
(第4の実施の形態)
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図10は、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。本実施形態の半導体装置では、第3の実施形態と比較して、ゲート電極8とダイオード間に形成された側壁が、絶縁膜10だけである点で異なっている。また、本実施形態の半導体装置においては、製造時に、ソース領域5が、n型カソード領域14からの不純物拡散により形成される。その他の点については、第3の実施形態と同様とすることができるので、詳細な説明は省略する。
【0093】
図11A乃至図11Cは、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。まず、第3の実施形態と同様に、基板上に、素子分離領域2、ゲート絶縁膜7、ゲート電極8、及び絶縁膜44を形成する。
【0094】
次に、図11Aに示されるように、ゲート電極8の側壁として、シリコン窒化膜からなる絶縁膜10を形成する。その後、ドレイン領域4となる予定の領域を被覆するように、シリコン酸化膜20を形成する。その後、ソース領域5の形成予定領域上の自然酸化膜を除去し、エピタキシャル成長法により、高濃度n型シリコン層(n型カソード領域14)を形成する。続いて、900℃、30分程度の熱処理を施すことにより、n型カソード領域14中のドーパントを、シリコン基板に拡散させる。これにより、シリコン基板表面にソース領域5が形成される。ここで、ゲート電極8とn型カソード領域14との間に形成される絶縁膜10を薄くすることで、不純物の拡散距離が短くても、ソース領域5の一部をゲート電極8とオーバーラップさせることができる。不純物拡散時の熱処理は、エピタキシャル成長後に、大気に晒すことなく行うことが望ましい。また、n型カソード領域14は、エピタキシャル成長ではなく、ノンドープシリコン層を堆積させた後にイオン注入を行うことにより形成されてもよい。
【0095】
その後、第3の実施形態と同様に、n型カソード領域14上にノンドープシリコン層(インパクトイオン化領域16)を形成し、インパクトイオン化領域16上に高濃度p型シリコン層(p型カソード領域15)を形成する。
【0096】
次に、シリコン酸化膜20を除去した後、図11Bに示されるように、レジストマスク41を用いて、ドレイン領域の形成予定部分にエクステンション26を形成する。このとき、更にBFをイオン注入してポケットを形成してもよい。
【0097】
レジストマスク41を除去した後、図11Cに示されるように、ドレイン領域4を形成する。具体的には、まず、ゲート電極8の側壁として、絶縁膜11を形成する。更に、レジストマスク51を用いて、ヒ素28を選択的にイオン注入する。これにより、深いドレイン領域35が形成される。深いドレイン領域35は、エクステンション層26と一体化し、ドレイン領域4を形成する。その後、レジストマスク51を除去し、1000℃,10秒程度の熱処理を施す。これにより、イオン注入したドーパントが活性化する。
【0098】
その後、シリコン酸化膜44を除去する。ドレイン領域4、アノード領域15、およびゲート電極8の表面の自然酸化膜を除去し、ニッケル等の金属層をスパッタする。その後、500℃、30秒程度でシンターすることで、シリサイド層9を形成する。以下、層間膜などを形成することにより、本実施形態に係る半導体装置が得られる。
【0099】
本実施形態によれば、ソース領域5が、n型カソード領域14の形成後に、形成される。従って、n型カソード領域14を、不純物濃度が低いp型ウェル層3上に形成することができる。エピタキシャル成長法によりn型カソード領域を形成する場合には、不純物濃度が高い層を下地とする場合よりも、不純物濃度が低い層を下地とする場合の方が、容易にシリコン層を成長させることができる。従って、本実施形態によれば、容易にダイオード部分を形成することができる。
【0100】
(第5の実施形態)
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図12は、本実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。本実施形態では、既述の実施形態に対して、トランジスタ部分が縦型となっている点で異なっている。また、ソース領域5とn型カソード領域14とが共通化されている。
【0101】
まず、トランジスタ部分について説明する。
【0102】
シリコン基板の表面には、凸部分が形成されている。シリコン基板の表面近傍には、p型ウェル層3(p型のシリコン領域又はイントリンジックシリコン領域)が形成されている。
【0103】
ゲート絶縁膜7は、シリコン基板の表面に沿って設けられており、凸部分の側部に沿って延びている。但し、凸部分の上面には、ゲート絶縁膜7は設けられていない。
【0104】
ゲート電極8は、ゲート絶縁膜7を介して、基板の凸部分と対向するように設けられている。
【0105】
ドレイン領域4は、凸部分の下部に設けられている。ドレイン領域4の不純物濃度は、1x1020cm−3以上である。
【0106】
ソース領域5は、凸部分の上に形成されている。ソース領域5の不純物濃度は、1x1020cm−3以上である。
【0107】
上述のような構成により、チャネル形成領域6は、凸部分において上下方向に延びるように形成される。
【0108】
続いて、ダイオード部分について説明する。
【0109】
ダイオード部分は、凸部分の上に形成されている。ダイオード部分において、n型カソード領域14は、ソース領域5と共通である。インパクトイオン化領域16は、n型カソード領域14上に形成されている。p型アノード領域15は、インパクトイオン化領域16上に形成されている。p型アノード領域15の不純物濃度は、1x1020cm−3以上である。
【0110】
インパクトイオン化領域16、n型カソード領域14、及びp型アノード領域15の厚みは、それぞれ、10〜50nmである。
【0111】
基板上には、トランジスタ部分及びダイオード部分を埋めるように、層間膜46が形成されている。
【0112】
なお、実際には、ドレイン領域4、アノード領域15、及びゲート電極8の表面上には、シリサイド層が形成されている。また、基板には、素子分離領域が形成されている。その他にも、金属配線等が形成される。但し、これらの図示は、本実施形態の技術的内容に直接は関係しないので、省略する。
【0113】
本実施形態では、第3、第4の実施形態と同様に、ダイオード部分が縦型であるので、インパクトイオン化領域16を厚みの精度良くコントロールすることができる。また、基板上において、トランジスタ部分とダイオード部分とが重なっているので、基板上における占有面積を節約することができる。
【0114】
加えて、本実施形態では、トランジスタ部分において、ドレイン領域4とソース領域5とが縦方向(基板に垂直な方向)で並んでいる。したがって、製造時に、チャネル形成領域6におけるチャネル長を制御良くコントロールすることができる。
【0115】
以下に、本実施系形態に係る半導体装置の製造方法について説明する。
【0116】
図13A乃至図13Eは、本実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0117】
図13Aに示されるように、表面部分に不純物濃度の低いp型ウェル層3(または、イントリンジックのシリコン領域)が形成されたシリコン基板を用意し、その上にシリコン窒化膜47を形成する。p型ウェル層3は、シリコン基板上にノンドープのシリコン層をエピタキシャル成長させることによって、形成されてもよい。
【0118】
次に、図13Bに示されるように、凸部分、ドレイン領域4、及びゲート絶縁膜7を形成する。具体的には、まず、フォトリソグラフィー技術とイオン注入技術により、p型ウェル層3とシリコン窒化膜47をエッチングし、メサ構造(凸部分)を形成する。次に、イオン注入により、不純物濃度1x1020cm−3以上のn型のドレイン領域4を形成する。その後、1000℃,10秒程度の熱処理を施すことにより、イオン注入したドーパントを活性化させる。その後、ゲート絶縁膜7を形成する。
【0119】
次に、図13Cに示されるように、ゲート電極8用のポリシリコン層48を形成する。具体的には、まず、凸部分の高さよりも厚い厚みで、ゲート電極8用のポリシリコン層を形成し、CMP法により平坦化する。その後、ポリシリコン層をエッチバックすることにより、ポリシリコン層48の厚みを調整する。この際、ポリシリコン層48の上面は、p型ウェル層3の凸部分の上面よりも高い位置となるようにする。
【0120】
次に、図13Dに示されるように、フォトリソグラフィー技術とエッチング技術により、ポリシリコン層48をパターニングし、ゲート電極8を形成する。ゲート電極8は、不純物がドープされたポリシリコン層を成膜することにより形成されてもよい。また、ノンドープポリシリコン層を形成した後に、イオン注入技術により、不純物をドープしてもよい。後者の場合、イオン注入は、ポリシリコン層48が成膜された後、又は、ゲート電極8がパターニングされた後に行われる。ポリシリコン層48をパターニングした後、層間膜50を形成する。
【0121】
次に、図13Eに示されるように、凸部分の上に、ダイオードを形成する。具体的には、まず、シリコン窒化膜47を除去する。次に、ゲート電極8を熱酸化して絶縁膜45を形成する。その後、エピタキシャル成長法により、高濃度n型シリコン層(ソース領域5及びn型カソード領域14)、ノンドープシリコン層(インパクトイオン化領域16、及びp型シリコン層(p型アノード領域15)を順にエピタキシャル成長により形成する。n型カソード領域14及びp型アノード領域15は、必ずしもエピタキシャル成長により形成される必要はなく、ノンドープシリコン層の形成とイオン注入により形成することも可能である。
【0122】
コンタクト開口、金属配線等が形成され、本実施形態に係る半導体装置が得られる。
【0123】
上述のような製造方法によれば、チャネル形成領域6が、凸部分の高さによって規定される。凸部分の高さは、シリコン基板をエッチングする際のエッチング量によって規定される。従って、チャネル形成領域6におけるチャネル長は、露光装置等の精度に影響されず、精度良くコントロールすることができる。
【0124】
以上、第1〜5の実施形態について説明した。但し、これらは、互いに独立するものではなく、矛盾の無い範囲内で組み合わせて使用することも可能である。また、本発明の構成や詳細については、当業者が理解し得るさまざまな変更を加えることができる。また、本発明には、上記各実施形態の構成の一部又は全部を相互に適宜組み合わせたものも含まれる。本発明は、インパクトイオン化MISFETに限定されず、例えばゲート絶縁膜とゲート電極とを一体化したインパクトイオン化MES(Metal Semiconductor)FET、ゲート部を受光部としたインパクトイオン化光ゲートトランジスタ、ゲート部をセンサ部としたインパクトイオン化センサなどについても適用可能である。
【0125】
また、ゲート電極8及びゲート絶縁膜7の積層構造に代えてゲート電極8のみを用いた、インパクトイオン化MES(Metal Semiconductor)に対しても、既述の実施形態のように、ソース領域5にダイオードが接続された構成を適用することができる。この場合には、インパクトイオン化領域を基板内部に形成することが可能となり、インパクトイオン化領域16中における表面ラフネス散乱を抑制することができる。
【0126】
本発明の目的は、次のように表現することもできる。本発明の目的は、電離衝突によるキャリアのアバランシェ増倍を動作原理とするインパクトイオン化MISFETにおいて、MISFETとダイオードに分離した構造にして、駆動電圧を低減するとともに、信頼性を高めた半導体装置を提供することにある。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】インパクトイオン化MISFETの一例を示す断面図である。
【図2】インパクトイオン化MISFETのほかの一例を示す断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図4】第1の実施形態に係る半導体装置を示す回路図である。
【図5A】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5B】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5C】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5D】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図5E】第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図6】第2の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図7A】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図7B】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図7C】第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図8】第3の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図9A】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図9B】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図9C】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図9D】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図9E】第3の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図10】第4の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図11A】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図11B】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図11C】第4の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図12】第5の実施形態に係る半導体装置を示す概略断面図である。
【図13A】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13B】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13C】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13D】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【図13E】第5の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【符号の説明】
【0128】
1 n型シリコン領域
2 素子分離領域
3 p型ウェル層
4 ドレイン領域
5 ソース領域
6 チャネル形成領域
7 ゲート絶縁膜
8 ゲート電極
9 シリサイド層
10 側壁絶縁膜
11 側壁絶縁膜
12 ドレイン電源
13 ゲート電源
14 n型カソード領域
15 p型アノード領域
16 インパクトイオン化領域
17 ソース電源
18 ゲート絶縁膜
19 ノンドープポリシリコン層
20 絶縁膜
21 配線
22 トランジスタ形成領域
23 ダイオード形成領域
24 レジストマスク
25 レジストマスク
26 エクステンション層
27 浅いn型カソード領域
28 ヒ素イオン
29 レジストマスク
30 BF2イオン
31 浅いp型アノード領域
32 深いn型カソード領域
33 深いp型アノード領域
34 深いソース領域
35 深いドレイン領域
37 p型領域
38 素子分離領域
39 絶縁膜
40 トレンチ
41 レジストマスク
42 酸化膜
43 窒化膜
44 絶縁膜
45 絶縁膜
46 レジストマスク
47 シリコン窒化膜
48 ノンドープポリシリコン層
49 ポリシリコン層
50 絶縁膜
51 レジストマスク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電界効果トランジスタ部分と、
ダイオード部分と、
を具備し、
前記電界効果トランジスタ部分は、
第1導電型又は真性の半導体領域であるチャネル形成領域と、
前記チャネル形成領域に接するゲート絶縁膜と、
前記ゲート絶縁膜を介して前記チャネル形成領域と対向し、前記チャネル形成
領域にチャネルを形成させるゲート電極と、
第2導電型の半導体領域であり、前記チャネル形成領域に接し、ドレイン電圧
が供給されるドレイン領域と、
第2導電型の半導体領域であり、前記チャネル形成領域を介して前記ドレイン領域に対向し、前記チャネルが形成されたときに前記チャネル形成領域を介して前記ドレイン電圧が供給されるソース領域と、を含み、
前記ダイオード部分は、前記ソース領域に電気的に接続されており、前記ソース領域に前記ドレイン電圧が供給されたときに、前記ダイオード部分はインパクトイオン化現象が発生するインパクトイオン化領域を含む
半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置であって、
前記インパクトイオン化領域は、前記ゲート絶縁膜から完全に離隔した位置に形成される
半導体装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載された半導体装置であって、
前記ダイオード部分は、更に、
前記第1導電型の半導体領域であるダイオード第1領域と、
前記第2導電型の半導体領域であり、前記電界効果トランジスタの前記ソース領域に電気的に接続されるダイオード第2領域と、を含み、
前記ダイオード第1領域と前記ダイオード第2領域とは、離隔して配置され、
前記インパクトイオン化領域は、前記ダイオード第1領域と前記ダイオード第2領域との間に形成される
半導体装置。
【請求項4】
請求項3に記載された半導体装置であって、
前記ダイオード部分は、基板内に形成され、
前記ダイオード第1領域及び前記ダイオード第2領域は、前記基板と平行な方向に並んでいる
半導体装置。
【請求項5】
請求項4に記載された半導体装置であって、
前記ダイオード第1領域及び前記ダイオード第2領域は、互いに近づくような方向へ膨らむ面同士で対向している
半導体装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された半導体装置であって、
前記インパクトイオン化領域は、前記基板と平行な第1表面を有し、
前記ダイオード第1領域及び前記ダイオード第2領域は、前記第1表面よりも深い位置で最接近している
半導体装置。
【請求項7】
請求項3に記載された半導体装置であって、
前記ダイオード部分は、基板上に、前記ダイオード第1領域、インパクトイオン化領域、及び前記ダイオード第2領域が前記基板と垂直な方向に並ぶように形成されている
半導体装置。
【請求項8】
請求項7に記載された半導体装置であって、
前記ダイオード第2領域は、前記ソース領域上に形成されている
半導体装置。
【請求項9】
請求項1、2、3、7、8のいずれかに記載された半導体装置であって、
前記電界効果トランジスタ部分は、基板上に、前記ドレイン領域及び前記ソース領域が前記基板と垂直方向に並ぶように形成されており、
前記ダイオード部分は、前記基板に対して垂直な方向で前記電界効果トランジスタ上に積層されている
半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至9のいずれかに記載された半導体装置であって、
前記インパクトイオン化領域は、シリコン、シリコンゲルマニウム、及びゲルマニウムのうちの少なくとも一つにより形成されている
半導体装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれかに記載された半導体装置であって、
前記チャネルが形成されたときに、前記ダイオード部分が逆バイアスされるように接続されている
半導体装置。
【請求項12】
電界効果トランジスタ部分と、
ダイオード部分と、
を具備し、
前記電界効果トランジスタ部分は、
第1導電型又は真性の半導体領域であるチャネル形成領域と、
前記チャネル形成領域と対向し、前記チャネル形成領域にチャネルを形成させるゲート電極と、
第2導電型の半導体領域であり、前記チャネル形成領域に接し、ドレイン電圧が供給されるドレイン領域と、
第2導電型の半導体領域であり、前記チャネル形成領域を介して前記ドレイン領域に対向し、前記チャネルが形成されたときに前記チャネル形成領域を介して前記ドレイン電圧が供給されるソース領域と、を含み、
前記ダイオード部分は、前記ソース領域に電気的に接続されており、前記ソース領域に前記ドレイン電圧が供給されたときに、前記ダイオード部分はインパクトイオン化現象が発生するインパクトイオン化領域を含む
半導体装置。
【請求項13】
請求項12に記載の半導体装置であって、
前記インパクトイオン化領域は、インパクトイオン化現象によるキャリアが前記基板の表面よりも内側を流れるように形成される
半導体装置。
【請求項14】
第1導電型又は真性の半導体領域であるチャネル形成領域と、前記チャネル形成領域に接するゲート絶縁膜と、前記ゲート絶縁膜を介して前記チャネル形成領域と対向し、前記チャネル形成領域にチャネルを形成させるゲート電極と、第2導電型の半導体領域であり、前記チャネル形成領域に接し、ドレイン電圧が供給されるドレイン領域と、第2導電型の半導体領域であり、前記チャネル形成領域を介して前記ドレイン領域に対向し、前記チャネル形成領域にチャネルが形成されたときに前記チャネル形成領域を介して前記ドレイン電圧が供給されるソース領域と、を備える電界効果トランジスタ部分を形成する工程と、
インパクトイオン化領域を含み、前記ソース領域に電気的に接続されるダイオード部分を形成する工程と、
を具備し、
前記インパクトイオン化領域は、前記ソース領域に前記チャネル形成領域を介して前記ドレイン電圧が供給されたときにインパクトイオン化現象を発生させる領域である
半導体装置の製造方法。
【請求項15】
請求項14に記載された半導体装置の製造方法であって、
前記ダイオード部分を形成する工程は、更に、
前記インパクトイオン化領域を介して互いに対向するように、ダイオード第1領域とダイオード第2領域とを形成する工程を含み、
前記ダイオード第1領域は、第1導電型の半導体領域であり、
前記ダイオード第2領域は、第2導電型の半導体領域であり、前記電界トランジスタの前記ソース領域に電気的に接続される領域である
半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載された半導体装置の製造方法であって、
前記ダイオード部分を形成する工程は、前記ダイオード部分を、基板上に形成する工程を含み、
前記ダイオード第1領域と前記ダイオード第2領域とを形成する工程は、前記ダイオード第1領域と前記ダイオード第2領域とを、前記基板と平行な方向で並ぶように形成する工程を含んでいる
半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載された半導体装置の製造方法であって、
前記ダイオード第1領域と前記ダイオード第2領域とを形成する工程は、前記ダイオード第1領域と前記ダイオード第2領域とを、互いに近づくような方向へ膨らむ面同士で対向するように形成する工程を含んでいる
半導体装置の製造方法。
【請求項18】
請求項16又は17に記載された半導体装置の製造方法であって、
前記ダイオード第1領域と前記ダイオード第2領域とを形成する工程は、前記インパクトイオン化領域が形成される領域を保護した状態で、前記ダイオード第1領域形成予定の領域及び前記ダイオード第2領域形成予定の領域をエッチングにより掘り下げる工程を含んでいる
半導体装置の製造方法。
【請求項19】
請求項15に記載された半導体装置の製造方法であって、
前記ダイオード第1領域とダイオード第2領域とを形成する工程は、前記ダイオード第1領域及び前記ダイオード第2領域を、基板上に、前記基板と垂直な方向に並ぶように形成する工程を含んでいる
半導体装置の製造方法。
【請求項20】
請求項19に記載された半導体装置の製造方法であって、
前記ダイオード第1領域とダイオード第2領域とを形成する工程は、
前記ダイオード第2領域を前記ソース領域上に形成する工程と、
前記ダイオード第1領域を、前記ダイオード第2領域の上方に形成する工程とを含んでいる
半導体装置の製造方法。
【請求項21】
請求項20に記載された半導体装置の製造方法であって、
前記ソース領域を形成する工程は、前記ソース領域を、前記ダイオード第2領域からの熱拡散により形成する工程を含んでいる
半導体装置の製造方法。
【請求項22】
請求項19乃至21のいずれかに記載された半導体装置の製造方法であって、
前記インパクトイオン化領域を形成する工程は、前記インパクトイオン化領域を、選択エピタキシャル成長により、前記ダイオード第2領域上に形成する工程を含んでいる
半導体装置の製造方法。
【請求項23】
請求項14乃至22のいずれかに記載された半導体装置の製造方法であって、
前記電界効果トランジスタ部分を形成する工程は、前記ドレイン領域及び前記ソース領域を、基板上に、前記基板と垂直方向に並ぶように形成する工程を含んでおり、
前記ダイオード部分を形成する工程は、前記ダイオード領域を、前記電界効果トランジスタ上に積層する工程を含んでいる
半導体装置の製造方法。
【請求項24】
請求項14乃至23のいずれかに記載された半導体装置の製造方法であって、
前記インパクトイオン化領域を形成する工程は、前記インパクトイオン化領域を、シリコン、シリコンゲルマニウム、及びゲルマニウムのうちの少なくとも一つにより形成する工程を含んでいる
半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【図5D】
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【図5E】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【公開番号】特開2010−103288(P2010−103288A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−272952(P2008−272952)
【出願日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【出願人】(302062931)NECエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】