説明

自己整合され積極的にスケーリングされたCMOSデバイスにおけるゲート電極の金属/金属窒化物二重層のCMOS構造体及び半導体構造体

【課題】 低仕事関数金属の不適切な熱安定性のために、nFET仕事関数とpFET仕事関数との両方を適正にするために用いることができるゲート・スタックを有するCMOS構造体を提供すること。
【解決手段】 本発明は、半導体基板の1つの領域上に配置された少なくとも1つのnMOSデバイスと、半導体基板の別の領域上に配置された少なくとも1つのpMOSデバイスとを含む、CMOS構造体に向けられる。本発明によれば、少なくとも1つのnMOSデバイスは、ゲート誘電体と、4.2eV未満の仕事関数を有する低仕事関数の元素状金属と、その場金属キャッピング層と、ポリシリコン・カプセル化層とを含むゲート・スタックを含み、少なくとも1つのpMOSデバイスは、ゲート誘電体と、4.9eVより大きい仕事関数を有する高仕事関数の元素状金属と、金属キャッピング層と、ポリシリコン・カプセル化層とを含むゲート・スタックを有する。本発明はまた、こうしたCMOS構造体を製造する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構造体及びその形成方法に関する。より特定的には、本発明は、低仕事関数の金属/金属窒化物二重層スタックを含有するnMOSデバイスと、高仕事関数の金属/金属窒化物二重層スタックを含有するpMOSデバイスとを含むCMOS構造体であって、nMOSスタック及びpMOSスタックの両方が、従来の高温の自己整合されたCMOS処理の間に安定したままである、CMOS構造体を提供するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体技術分野の当業者には周知のように、トランジスタは、集積回路(IC)の主要な構成要素である。現代のICは、多様な機能を実行する、何百万もの密集して構成されたトランジスタを相互接続する。この密集パック構成を達成するために、トランジスタの物理的寸法は、一般的に、ミクロン以下のレジームまでスケーリングされる。通常、ミクロン以下のレジームにおいて用いられるトランジスタは、一般的にポリシリコン・ゲートを含む。しかしながら、ポリシリコン・ゲートは、ポリシリコン・ゲートに適用された電界がキャリア(p型にドープされたポリシリコンにおける正孔、又は、n型にドープされたポリシリコンにおける電子)を除去し、トランジスタの下にあるゲート誘電体付近のポリシリコン・ゲートの領域においてキャリアの空乏を生じさせるポリシリコンの空乏効果のために、デバイス性能の低下を来たすことがある。この空乏効果により、電圧がポリシリコン・ゲート電極に印加されたとき、CMOSデバイスの表面の電界の強さが低下し、このことがトランジスタ性能に悪影響を有することがある。
【0003】
ミクロン以下のトランジスタの性能を改善する1つの提案される方法は、従来のポリシリコン・ゲートの代わりに金属ゲートを使用することである。従来のポリシリコン・ゲートを金属又は金属合金ゲート電極と置き換えることによりポリシリコンの空乏効果は排除されるが、こうした金属ゲートの使用に関連した問題が依然として存在する。直面する1つの問題は、金属ゲートからのキャリアが、下にあるゲート誘電体材料の中に拡散し、デバイスの短絡を引き起こし得ることである。
【0004】
金属ゲートを用いる際に直面する別の問題は、金属ゲートp−チャネル・トランジスタ及び金属ゲートn−チャネル・トランジスタの仕事関数が、ポリシリコン・ゲートのp−チャネル・トランジスタ及びn−チャネル・トランジスタの仕事関数にマッチしないという、仕事関数のミスマッチである。CMOSデバイスにおいては、一般に、2つの異なる仕事関数値(すなわち、材料の価電子帯又は伝導帯の近くにあり得る半導体のエネルギー準位)を有する、2つの異なるタイプのゲート電極、すなわちn−チャネル・ゲート電極及びp−チャネル・ゲート電極が存在することが良く知られている。仕事関数値は、典型的には、n−チャネル電極及びp−チャネル電極について、それぞれ4.1電子ボルト(eV)及び5.2電子ボルト(eV)であり、これらの値は、通常、n型又はp型のいずれかとなるようにポリシリコンにドープすることによって形成される。
【0005】
対照的に、前に提案された金属ゲート電極は、ゲート電極の両方のチャネルのために、p−チャネル及びn−チャネルの仕事関数範囲の中心(例えば、4.7eV)に配置された仕事関数をもつ、1つのタイプの金属を用いることに焦点を当てていた。このミッド・ギャップ仕事関数手法の欠点は、このタイプの金属ゲート・デバイスは、デバイス性能の低下を招くことなく、トランジスタの「オン」状態及び「オフ」状態を決定する電圧の量である、所望の小さい閾値電圧を容易に達成することができないことである。
【0006】
従来型のCMOSトランジスタにおいて現在用いられているn+ポリシリコン・ゲートと置き換えるために、ミッド・ギャップ範囲を下回る、すなわち4.2eV未満の仕事関数を有する低仕事関数の金属ゲートが、デュアル金属CMOSに必要とされる。同様に、ミッド・ギャップ範囲を上回る、すなわち4.9eVより大きい仕事関数をもつ高仕事関数の金属ゲートが、p+ポリシリコン・ゲートの代替品として必要とされる。低仕事関数を有する周知のバンドエッジn−電界効果トランジスタ(FET)金属ゲート(例えば、Ti、V及びZrといった金属を含む)は、標準的な高温の自己整合されたCMOSプロセスを経た後、本質的に安定していない。「高温」とは、550℃又はそれより高い温度を意味する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
低仕事関数金属のこの不適切な熱安定性のために、nFET仕事関数及びpFET仕事関数の両方を適正にするために用いることができるゲート・スタックを有するCMOS構造体を提供する必要性がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、低仕事関数の元素状金属の熱的不安定性の問題を回避し、よってこれをnMOSデバイスに組み込むことを可能にする材料層を含む、pMOSデバイス及びnMOSデバイスを含む相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構造体に関する。具体的には、大まかに言うと、本発明のCMOS構造体は、
半導体基板と、
半導体基板の1つの領域上に配置された少なくとも1つのnMOSデバイスと、
半導体基板の別の領域上に配置された少なくとも1つのpMOSデバイスと、
を含み、少なくとも1つのnMOSデバイスは、4.2eV未満の仕事関数を有する少なくとも低仕事関数の元素状金属と、その場金属キャッピング層とを含むゲート・スタックを有し、少なくとも1つのpMOSデバイスは、4.9eVより大きい仕事関数を有する少なくとも高仕事関数の元素状金属と、金属キャッピング層とを含むゲート・スタックを含む。
【0009】
本発明のMOSデバイスの各々はまた、金属電極の下に配置されたゲート誘電体と、金属キャッピング層の上に配置されたポリシリコン・カプセル化層とを含む。誘電体層は、nMOSデバイス及びpMOSデバイスについて同じ絶縁材料又は異なる絶縁材料とすることができる。
【0010】
本発明によれば、nMOSデバイス及びpMOSデバイスの両方のゲート・スタックが、整合された垂直方向の側壁を有する。
【0011】
本発明のnMOSデバイスにおいては、低仕事関数金属及び金属キャッピング層が、堆積物の間の真空が破られないような方法で形成される。pMOSデバイスの場合には、高仕事関数金属は、金属キャッピング層の堆積前に環境に露出されるか又は酸化される。この目的は、高仕事関数金属と高k誘電体との間の界面において典型的に存在する酸素空格子を補償するために、十分な酸素を高仕事関数金属に与えることである。
【0012】
本発明はまた、
半導体基板と、
半導体基板の表面上に配置された界面層と、
界面層上に配置された5nm未満の厚さを有する誘電体層と、
誘電体層の上の金属層であって、該金属層は3nm未満の厚さを有し、該厚さは界面に影響を与える、金属層と、
金属を保護する金属キャッピング層と
を含む制御された界面層を有する半導体構造体にも関する。
【0013】
界面層は、Si酸化物又は酸窒化物層であり、その厚さは、特定のTiについて表1に示されるように、誘電体層の上にある低仕事関数金属の厚さによって制御され、電気的反転厚は、Ti層の厚さの増大に伴って減少する。低仕事関数金属は、それらが容易に酸化されるので、界面酸化物「除去」層として働き、そのため、低仕事関数金属の厚さが増大すると、より多くの酸素が界面から除去され、積極的にスケーリングされたデバイスがもたらされる。低仕事関数金属の厚さを<3nmに制限することにより、チャネル電子移動度及びデバイスの性能にとって重要な、幾らかの界面SiOの存在が保証される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
nMOSゲート電極としての低仕事関数の元素状金属/金属キャッピング二重層と、pMOSゲート電極としての高仕事関数の元素状金属/金属キャッピング二重層とを含むCMOS構造体、及びその構造体の形成方法を提供する本発明が、ここで、以下の説明及び本出願に添付する図面を参照して、より詳細に説明される。本出願の図面は、例証のために与えられるものであり、よって、これらは縮尺通りに描かれていないことが留意される。
【0015】
本発明によれば、pFETデバイスを完全に又は部分的に形成する前に、或いは形成した後に、本発明のnMOSゲート電極を含むnFETデバイスを完全に又は部分的に形成することができる。本発明においては、FETデバイスの一方(例えば、第2デバイス)が後で形成される基板の部分の上に、従来のブロック・マスクが従来のブロック・マスクが形成され、次に、反対の導電性の他方のデバイス(例えば、第1デバイス)が、ブロック・マスクを含まない基板の部分内に形成される。第1デバイスを部分的に又は完全に製造した後に、ブロック・マスクが除去され、別のブロック・マスクが、常にではないが、第1デバイスを含む基板の部分上に形成される。次いで、第2デバイスが、第1デバイスを含まない基板の部分上に部分的に又は完全に形成される。
【0016】
本発明においては、最初のブロック・マスクは、基板の表面上に直接、又は、基板の上に形成されたゲート誘電体の上に形成することができる。第1の例は、第1及び第2のFETデバイス内のゲート誘電体が異なる場合を考慮し、第2の例は、第1FETデバイス及び第2FETデバイスの両方においてゲート誘電体が同じである場合を考慮する。
【0017】
特定の実施形態においては、FET(nFET又はpFETのいずれか)の金属ゲート・スタックの一方の堆積後に、適切なスタックが残されるべきデバイス領域の上に従来のブロック・マスクが形成され、すなわち、nFETゲート・スタックが全ウェハのゲート誘電体上に堆積され、次に、ブロック・マスクがウェハのnFET領域の上に形成される。このブロック・マスクをエッチング・マスクとして用いて、この金属ゲート・スタックは、第2FETゲート・スタックが堆積されることになる領域からエッチングにより除去される。第2スタックの堆積前に、ブロック・マスクは、当業者には周知の湿式化学処理(第1FETゲート・スタックに対して選択的な)によって除去される。これに続いて、第2金属FETゲート・スタックが、第1ゲート・スタックがエッチングにより除去された領域上に、かつ、第1ゲート・スタックが適切に残される領域内の第1ゲート・スタックの上に部分的に又は完全に形成される。この実施形態においては、第1ゲート・スタックがnFETであるか又はpFETであるかについての制限はない。
【0018】
例示の目的のために、本発明のnFETが最初に説明され、その後pFETが説明される。これらを形成する順序は本発明には重要でないため、pFETを形成する前にnFETを形成するこの順序は、制限と解釈すべきではない。
【0019】
nFETの形成:nFETの形成は、最初に、半導体基板10の表面上に、図1(A)に示されるゲート・スタック12を形成することで始まり、この構造体は、nFETの形成が行われることになる基板の部分のみを表す。示されるように、ゲート・スタック12は、ゲート誘電体14、低仕事関数金属16、金属キャッピング層18及びポリシリコン・カプセル化層20を含む。
【0020】
図1(A)に示される構造体の半導体基板10は、これらに限られるものではないが、Si、Ge、SiGe、SiC、SiGeC、Ge、GaAs、GaN、InAs、InP及び他の全てのIII/V族又はII/VI族化合物半導体を含むいずれかの半導体材料を含む。半導体基板10はまた、有機半導体、又は、Si/SiGe、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、SiGeオン・インシュレータ(SGOI)、又はゲルマニウム・オン・インシュレータ(GOI)のような層状半導体を含むこともできる。本発明の幾つかの実施形態においては、半導体基板10は、Si含有半導体材料、すなわちシリコンを含む半導体材料からなることが好ましい。半導体基板10は、ドープされていても、又はドープされていなくてもよく、或いは内部にドープ領域と非ドープ領域を含んでもよい。半導体基板10は、単一結晶配向を含むことができ、又は異なる結晶配向を有する少なくとも2つの同一平面上の表面領域を含むこともできる(後者の基板は、当技術分野においてはハイブリッド基板と呼ばれる)。ハイブリッド基板が用いられるとき、nFETは、一般に(100)結晶面上に形成され、pFETは一般に(110)結晶面上に形成される。ハイブリッド基板は、当技術分野において周知の技術によって形成することができる。
【0021】
半導体基板10はまた、第1ドープ(n−又はp−)領域と、第2ドープ(n−又はp−)領域とを含むこともできる。明瞭にするために、ドープ領域は、本出願の図面には具体的に示されていない。第1ドープ領域及び第2ドープ領域は、同じものであっても、又は異なる導電率及び/又はドーピング濃度を有するものであってもよい。これらのドープ領域は、「ウェル」として知られ、従来のイオン注入プロセスを用いて形成される。
【0022】
次に、典型的には、少なくとも1つの分離領域(図示せず)が、半導体基板10内に形成される。分離領域は、トレンチ分離領域又はフィールド酸化物分離領域とすることができる。トレンチ分離領域は、当業者には周知の従来のトレンチ分離プロセスを用いて形成される。例えば、トレンチ分離領域を形成するために、リソグラフィ、エッチング及びトレンチ誘電体によるトレンチの充填を用いることができる。随意的に、トレンチの充填前に、トレンチ内にライナを形成することができ、トレンチの充填後に緻密化段階を行うことができ、トレンチの充填に続いて平坦化プロセスを行うこともできる。フィールド酸化物は、いわゆるシリコン局所酸化プロセス(local oxidation of silicon process)を用いて形成することができる。一般に、少なくとも1つの分離領域が、隣接するゲートが反対の導電性、すなわちnFET及びpFETを有するときに必要とされる分離を、隣接するゲート領域間に与えることに留意されたい。隣接するゲート領域は、同じ導電性(すなわち両方がn−型又はp−型)を有することができ、代替的に、それらは、異なる導電性(すなわち、一方がn−型で他方がp−型)を有することもできる。
【0023】
半導体基板10内に少なくとも1つの分離領域を形成した後、ゲート誘電体14が、構造体の表面上に形成される。ゲート誘電体14は、例えば、酸化又は酸窒化といった熱成長プロセスによって形成することができる。代替的に、ゲート誘電体14は、例えば、化学気相堆積(CVD)、プラズマ支援CVD、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、原子層堆積(ALD)、蒸着、反応性スパッタリング、化学溶液堆積及び他の同様の堆積プロセスのような堆積プロセスによって形成することができる。ゲート誘電体14はまた、上記のプロセスのいずれかの組み合わせを用いて形成することもできる。
【0024】
ゲート誘電体14は、酸化物、酸窒化物、窒化物、金属シリケート、及び/又は窒化金属シリケートからなる。したがって、例えば、ゲート誘電体14は、SiO、窒化SiO、Si、SiON、高k絶縁体、又はこれらの多層構造を含むことができる。ここで用いられる「高k」という用語は、4.0より大きい誘電率、好ましくは7.0より大きい誘電率を有する絶縁体を示すように用いられる。具体的には、本発明に用いられる高kゲート誘電体は、これらに限られるものではないが、HfO、ZrO、Al、TiO、La、SrTiO、LaAlO、CeO、Y及びこれらの混合物を含む。本発明に用いられるゲート誘電体の非常に好ましい例は、SiO、又は、酸化ハフニウムが誘電体スタックの上部層であり、SiOが界面誘電体層である、SiO及びHfOを含むスタックである。
【0025】
ゲート誘電体14の物理的厚さは、変わり得るが、典型的には、ゲート誘電体14は、0.5nmから10nmまでの厚さを有し、0.5nmから3nmまでの厚さがより典型的である。一実施形態においては、誘電体層14は、3nm未満の厚さを有することが好ましく、この厚さは、下にある界面誘電体層に影響を及ぼす。ゲート誘電体の厚さは、これを3nmよりも厚くすることにより、この誘電体の上にある低仕事関数金属の界面Si酸化物の除去が防止され得るという役割を果たす。
【0026】
本発明の幾つかの実施形態においては、低仕事関数金属の堆積前に、30Å未満の厚さを有する金属安定化層(図示せず)を、誘電体層14の上に形成することができる。金属安定化層は、TiN、TaSiN、TaSi、TaN、又はHfSiを含む。
【0027】
次に、低仕事関数の元素状金属16が、ゲート誘電体14の表面上に形成される。「低仕事関数」という用語は、本出願の全体を通して、4.2eV未満の仕事関数、好ましくは3.8から4.1eVまでの仕事関数を有する元素状金属を示すように用いられる。仕事関数が「低い」ものとして特徴付けられ、よって、本発明のnFETの形成に用い得る元素状金属は、元素周期表のIIIB族、IVB族、又はVB族から選択される金属を含む。したがって、低仕事関数の元素状金属16は、Sc、Y、La、Ti、Zr、Hf、V、Nb、又はTaを含むことができる。低仕事関数金属16は、Ti、Hf、Ta、Nb、又はVを含むことが好ましく、Tiが最も好ましい。
【0028】
低仕事関数の元素状金属16は、例えば、化学気相堆積(CVD)、プラズマ支援CVD、物理気相堆積(PVD)、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、原子層堆積(ALD)、蒸着、反応性スパッタリング、化学溶液堆積及び他の同様の堆積プロセスのような堆積プロセスによって形成することができる。低仕事関数の元素状金属16はまた、上記のプロセスのいずれかの組み合わせを用いて形成することもできる。
【0029】
低仕事関数の元素状金属16の物理的厚さは変わり得るが、典型的には、低仕事関数の元素状金属16は、0.5nmから5nmまでの厚さを有し、0.5nmから2nmまでの厚さがより典型的である。
【0030】
次に、金属キャッピング層18が、堆積物間の真空を破ることなく、低仕事関数の元素状金属16の表面上に形成される。その堆積物が低仕事関数の元素状金属16の堆積物と共にクラスター化された状態で残るので、nFETのために用いられる金属キャッピング層18は、その場(in−situ)金属キャッピング層である。その場金属キャッピング層18は、金属窒化物又は金属シリコン窒化物を含み、(a)環境から低仕事関数の元素状金属を保護し、(b)雰囲気酸素に対する拡散障壁として働き、(c)低仕事関数層とポリシリコン・キャッピング層の反応を防止する機能を提供する。金属キャッピング層18の金属成分は、元素周期表のIVB族又はVB族からの金属を含むことができる。したがって、金属キャッピング層18は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、又はTaを含むことができ、Ti又はTaが非常に好ましい。一例として、金属キャッピング層18は、TiN、TaSiN、TiAlN、又はTaAlNを含むことが好ましい。
【0031】
その場金属キャッピング層18は、低仕事関数の元素状金属16と同じ又は異なる堆積プロセスを用いて形成される。重要なことは、使用される堆積のタイプではなく、金属キャッピング層18の堆積物が低仕事関数の元素状金属16の堆積物と共にクラスター化された状態で残ることである。
【0032】
その場金属キャッピング層18の物理的厚さは変わり得るが、典型的には、金属キャッピング層18は、5nmから30nmまでの厚さを有し、5nmから10nmまでの厚さがより典型的である。
【0033】
本発明は、低仕事関数金属の厚さを変えることによって、界面をスケーリングし、かつ、デバイスのVtを調節する能力を可能にすることが観察される。
【0034】
金属キャッピング層16の表面上にポリシリコン・カプセル化層20を形成することによって、図1(A)に示されるゲート・スタック12が完成される。ポリシリコン・カプセル化層20は、例えばCVD(Si源としてシラン又はジシランのいずれかを用いる)又はPVDのような従来の堆積プロセスを用いて形成することができる。ポリシリコン・カプセル化層20の厚さは、変わり得るが、典型的には、説明の目的のために、ポリシリコン・カプセル化層20は、70nmから100nmまでの厚さを有する。
【0035】
次に、図1(B)に示されるように、図1(A)に示される構造体がパターン形成され、少なくとも1つのパターン形成されたゲート・スタック12’を半導体基板10の表面上に形成する。パターン形成されたゲート・スタック12’は、リソグラフィ及びエッチングによって形成される。リソグラフィ・ステップは、レジスト(図示せず)をゲート・スタック12に適用し、レジストを所望の放射パターンに露光させ、従来のレジスト現像剤を用いて露光されたレジストを現像することを含む。エッチング・ステップは、1つ又は複数の乾式エッチング(反応性イオン・エッチング、イオン・ビーム・エッチング、又はプラズマ・エッチング)、化学湿式エッチング、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0036】
本発明のこの時点で、又はpFETの形成後に、少なくとも1つのスペーサ(図示せず)が、常にとは限らないが、典型的に、各々のパターン形成されたゲート・スタック12’の露光された側壁上に形成される。少なくとも1つのスペーサは、酸化物、窒化物、酸窒化物、及び/又はそれらのいずれかの組み合わせのような絶縁体からなる。少なくとも1つのスペーサは、堆積及びエッチングによって形成される。
【0037】
少なくとも1つのスペーサの幅は、ソース及びドレイン・シリサイド・コンタクト(後に形成される)がパターン形成されたゲート・スタックの縁部の下に侵入しないように、十分に広いものでなければならない。典型的には、ソース/ドレイン・シリサイドは、少なくとも1つのスペーサが、20nmから80nmまでの底部で測定された幅を有するとき、パターン形成されたゲート・スタックの縁部の下に侵入しない。
【0038】
パターン形成されたゲート・スタック12’に熱酸化、窒化、又は酸窒化プロセスを行うことによって、本発明のこの時点において、パターン形成されたゲート・スタック12’を不動態化させる(passivate)ことができる。不動態化ステップは、ゲート・スタックの周りに不動態化材料の薄層を形成するものである。このステップは、前のスペーサ形成ステップの代わりに、又はこれと共に用いることができる。スペーサ形成ステップと共に用いられるとき、スペーサの形成は、ゲート・スタックの不動態化プロセスの後に行われる。
【0039】
次に、ソース/ドレイン拡散領域(スペーサが存在する、又は存在しない)が、基板内に形成される。同じく図示されていないソース/ドレイン拡散領域が、イオン注入及びアニール・ステップを用いて形成される。アニール・ステップは、前の注入ステップによって注入されたドーパントを活性化させるように働く。イオン注入及びアニールのための条件は、当業者には周知である。ソース/ドレイン拡散領域はまた、従来のエクステンション注入(extension implant)を用いてソース/ドレイン注入の前に形成されるエクステンション注入領域を含むこともできる。エクステンション注入の後に、活性化アニールを行ってもよく、代替的に、同じ活性化アニール・サイクルを用いて、エクステンション注入及びソース/ドレイン注入の間に注入されたドーパントを活性化させることもできる。ここでは、ハロ注入も考慮される。
【0040】
上記の処理ステップは、図1(B)に示されるCMOS構造体を形成する。シリサイド化されたコンタクト(ソース/ドレイン及びゲート)の形成、並びに、当業者に周知の処理ステップを用いて形成することができる金属相互接続部を用いるBEOL(バック・エンド・オブ・ザ・ライン)相互接続レベルの形成のような更なるCMOS処理は、例えば、nFET及びpFETなどの両方のFETデバイスが形成された後に行うことができる。
【0041】
pFETの形成:pFETの形成は、最初に、半導体基板10の表面上に、図2(A)に示されるゲート・スタック52を形成することで始まり、この構造体は、pFETの形成が行われることになる基板の部分のみを表す。示されるように、ゲート・スタック52は、ゲート誘電体14、高仕事関数金属54、金属キャッピング層19及びポリシリコン・カプセル化層20を含む。
【0042】
図2(A)に示される構造体の半導体基板10は、nFETが形成された実施形態について説明されたものと同じである。
【0043】
次に、nFETについての実施形態において説明されたものと同じ又は異なる材料からなることができるゲート誘電体14が、構造体の表面上に形成される。ゲート誘電体14は、前述のように形成することができ、その物理的厚さもまた、前述の範囲内である。本発明のpFETを形成するのに用いられるゲート誘電体の非常に好ましい例は、SiO、又は、酸化ハフニウムが誘電体スタックの上部層であり、SiOが界面誘電体層である、SiO及びHfOを含むスタックである。
【0044】
本発明の幾つかの実施形態においては、高仕事関数金属の堆積前に、誘電体層14の上に10Å未満の厚さを有する金属安定化層(図示せず)を形成することができる。金属安定化層は、TiN、TaSiN、TaSi、又はTaNを含む。
【0045】
次に、ゲート誘電体の表面上に、高仕事関数の元素状金属54が形成される。「高仕事関数」という用語は、本出願の全体を通して、4.9eVより大きい仕事関数、好ましくは5.0eVから5.2eVまでの仕事関数を有する元素状金属を示すように用いられる。仕事関数が「高い」ものとして特徴付けられ、よって、本発明のpFETを形成するのに用い得る元素状金属は、元素周期表のVIB族、VIIB族、又はVIII族から選択される金属を含む。したがって、高仕事関数の元素状金属54は、Cr、Mo、W、Mn、Tc、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、Ir、Ni、Pd、又はPtを含むことができる。高仕事関数の元素状金属54は、Re、Ru、W、又はIrの1つを含むことが好ましい。
【0046】
高仕事関数の元素状金属54は、例えば、化学気相堆積(CVD)、プラズマ支援CVD、物理気相堆積(PVD)、有機金属化学気相堆積(MOCVD)、原子層堆積(ALD)、蒸着、反応性スパッタリング、化学溶液堆積及び他の同様の堆積プロセスのような堆積プロセスによって形成することができる。高仕事関数の元素状金属54はまた、上記のプロセスのいずれかの組み合わせを用いて形成することもできる。
【0047】
高仕事関数の元素状金属54の物理的厚さは変わり得るが、典型的には、高仕事関数の元素状金属54は、2nmから20nmまでの厚さを有し、2nmから10nmまでの厚さがより典型的である。
【0048】
次に、金属キャッピング層19が、堆積物間の真空を破ることなく、高仕事関数の元素状金属54の表面上に形成される。その堆積物が高仕事関数の元素状金属54の堆積物に対してクラスター化されないので、金属キャッピング層19は、nFET形成の場合とは異なる。pFETを形成する際、金属キャッピング層19を堆積する前に、高仕事関数の元素状金属54が、環境に露出されるか又は酸化されることが非常に望ましい。高仕事関数の元素状金属54の堆積物に金属キャッピング層19の堆積物をクラスター化しない理由は、高仕事関数/誘電体界面に存在する酸素空格子を補償するために、構造体内に十分な酸素を与えるべきであることである。このステップは、高仕事関数の元素状金属54上に薄い(約2nm未満のオーダーの)表面酸化物層(図示せず)を形成する。
【0049】
酸化プロセスが用いられるとき、50℃から400℃までの温度で加熱しながら、このように堆積された高仕事関数の元素状金属54を含む構造体を、酸素を含む環境に露出させる。酸化プロセスの時間は、変えることができ、その時間が前述の機能を実行するのに十分なものである限り、本発明には重要ではない。
【0050】
金属キャッピング層19は、金属窒化物又は金属シリコン窒化物を含む。金属キャッピング層19の金属成分は、元素周期表のIVB族又はVB族からの金属を含むことができる。したがって、金属キャッピング層19は、Ti、Zr、Hf、V、Nb、又はTaを含むことができ、Ti又はTaが非常に好ましい。一例として、金属キャッピング層19は、TiN、TaSiN、TiAlN、又はTaAlNを含むことが好ましい。
【0051】
金属キャッピング層19は、高仕事関数の元素状金属54のものと同じ又は異なる堆積プロセスを用いて形成される。重要なことは、使用される堆積のタイプではなく、金属キャッピング層19の堆積物が高仕事関数の元素状金属54の堆積物と共にクラスター化されないことである。
【0052】
金属キャッピング層19の物理的厚さは変わり得るが、典型的には、金属キャッピング層19は、5nmから30nmまでの厚さを有し、5nmから10nmまでの厚さがより典型的である。
【0053】
金属キャッピング層19の表面上にポリシリコン・カプセル化層20を形成することによって、図2(A)に示されるゲート・スタック52が完成される。ポリシリコン・カプセル化層20は、前述のように形成することができ、その厚さを前述の範囲内とすることもできる。
【0054】
次に、図2(B)に示されるように、図2(A)に示される構造体がパターン形成され、少なくとも1つのパターン形成されたゲート・スタック52’を半導体基板10の表面上に形成する。上述のように、パターン形成されたゲート・スタック52’は、リソグラフィ及びエッチングによって形成される。
【0055】
本発明のこの時点で、又は、nFETの形成後に、少なくとも1つのスペーサ(図示せず)が、常にとは限らないが、典型的に、各々のパターン形成されたゲート・スタック52’の露光された側壁上に形成される。少なくとも1つのスペーサは、酸化物、窒化物、酸窒化物、及び/又はそれらのいずれかの組み合わせのような絶縁体からなる。少なくとも1つのスペーサは、堆積及びエッチングによって形成される。
【0056】
少なくとも1つのスペーサの幅は、ソース及びドレイン・シリサイド・コンタクト(後に形成される)がパターン形成されたゲート・スタックの縁部の下に侵入しないように、十分に広いものでなければならない。典型的には、ソース/ドレイン・シリサイドは、少なくとも1つのスペーサが、20nmから80nmまでの底部で測定された幅を有するとき、パターン形成されたゲート・スタックの縁部の下に侵入しない。
【0057】
パターン形成されたゲート・スタック52’に熱酸化、窒化、又は酸窒化プロセスを行うことによって、本発明のこの時点で、パターン形成されたゲート・スタック52’を不動態化させることができる。不動態化ステップは、ゲート・スタックの周りに不動態化材料の薄層を形成するものである。このステップは、前のスペーサ形成ステップの代わりに、又はこれと組み合わせて用いることができる。スペーサ形成ステップと共に用いられるとき、スペーサの形成は、ゲート・スタック不動態化プロセスの後に行われる。
【0058】
次に、ソース/ドレイン拡散領域(スペーサが存在する、又は存在しない)が、基板内に形成される。同じく図示されていないソース/ドレイン拡散領域が、イオン注入及びアニール・ステップを用いて形成される。アニール・ステップは、前の注入ステップによって注入されたドーパントを活性化させるように働く。イオン注入及びアニールのための条件は、当業者には周知である。ソース/ドレイン拡散領域はまた、従来のエクステンション注入を用いてソース/ドレイン注入の前に形成されるエクステンション注入領域を含むこともできる。エクステンション注入の後に、活性化アニールを行ってもよく、代替的に、同じ活性化アニール・サイクルを用いて、エクステンション注入及びソース/ドレイン注入の間に注入されたドーパントを活性化させることもできる。ここでは、ハロ注入も考慮される。
【0059】
幾つかの実施形態においては、ブロック・マスクが用いられ、pFETデバイス又はnFETデバイスが完全に形成され、その後ブロック・マスクが除去され、別のブロック・マスクが形成され、反対のドーパント・タイプのFETが形成される。さらに別の実施形態においては、デバイスの1つの金属キャッピング層(18又は19)が形成されるまでブロック・マスクが用いられ、次にブロック・マスクが除去され、その後、他方のデバイスが形成される。後者の実施形態においては、低仕事関数の元素状金属の金属キャッピング層18は、高仕事関数の金属の表面層を含むことができ、又は高仕事関数の元素状金属の金属キャッピング層19は、低仕事関数の金属の表面層を含むことができる。
【0060】
図3は、図1(B)に示されるnFETデバイス及び図2(B)に示されるpFETデバイスの両方を含む構造体を示す(断面図による)図形的表示である。この図面においては、トレンチ分離領域55が、nFETからpFETを分離する。この図面においては、参照番号57が、ソース/ドレイン拡散領域を示す。
【0061】
以下の実施例は、前述の処理ステップを用いて形成することができるnFETを示すように与えられる。
【実施例】
【0062】
本出願の唯一の実施例においては、本発明の詳細な説明の部分において説明された基本的処理ステップを用いて、Si/SiO/HfO/Ti/TiN/ポリSiを含むnFETが準備された。この実施例においては、TiNキャッピング層の堆積物が、Tiの堆積物(低仕事関数の元素状金属)にクラスター化された。一方が10ÅのTi及び150ÅのTiNを含み、他方が20ÅのTi及び150ÅのTiNを含む、本発明を代表する2つのゲート・スタックが準備された。比較のために、TiNを含むnMOSと、ポリSi及びSiONを含むnMOSも準備された。
【0063】
表1は、自己整合されたMOSFETの製造後の本発明のnMOS構造体の有効性を示す。閾値電圧(Vt)、ミッド・ギャップ(nFET方向の)からのシフト及び反転厚(Tinv)が示される。Vt及びTinvは、当技術分野において周知の従来技術を用いて測定された。例えば、Vtは、典型的なドレイン電流・ゲート電圧(Id−Vg)スイープにおいてnFETについて300nAの幅/長さ基準を用いて電流を計算し、次にこの電流を用いて、デバイスのVtすなわち閾値電圧として定められるId−Vgスイープからゲート電圧を計算することによって求められ、Tinvは、周知の分割C−V法(Split C-V method)を用いて反転容量を計算し、次に、容量と厚さとの間の周知の関係性を用いて、デバイスの反転厚を得ることによって求められた。
【0064】
【表1】

【0065】
上記に加えて、表1のデータは、低仕事関数金属の厚さを変えることによって、界面をスケーリングし(変え)、デバイスのVtを調節する能力を示す。低仕事関数層の厚さを増大させることによって、界面酸化物、すなわちHfOの下のSiO層を除去することができ、これにより非常に積極的なスケーリング(変更)がなされることを示す、図4も参照する。Ti量の増大はまた、nFETのVtをTiのバルク状仕事関数により接近させる。このデータは、低仕事関数金属(この場合は、Ti)の厚さを増大させることによって、デバイスのVtを、理想のnFETバンドエッジVt(n+ポリ/SiONゲート・スタックを代表する)である200mV−250mVの範囲内にシフトさせ得ることを明瞭に示す。さらに、反転厚をスケーリングする(変える)ことができ、これによりCMOSデバイスの性能が改善される。
【0066】
本発明は、特にその好ましい実施形態に関して示され、説明されたが、当業者であれば、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、形態及び細部における上記の及びその他の変更を行い得ることを理解するであろう。したがって、本発明は、説明され、示された正確な形態及び細部に限定されるものではなく、添付の請求の範囲内に含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】(A)低仕事関数の元素状金属及びその場金属キャッピング層を有する二重層を含むnMOS(又はnFET)デバイスを形成するために、本発明において用いられる基本的処理ステップを示す(断面図による)図形的表示である。 (B)低仕事関数の元素状金属及びその場金属キャッピング層を有する二重層を含むnMOS(又はnFET)デバイスを形成するために、本発明において用いられる基本的処理ステップを示す(断面図による)図形的表示である。
【図2】(A)高仕事関数の元素状金属及び金属キャッピング層を有する二重層を含むpMOS(又はpFET)デバイスを形成するために、本発明において用いられる基本的処理ステップを示す(断面図による)図形的表示である。 (B)高仕事関数の元素状金属及び金属キャッピング層を有する二重層を含むpMOS(又はpFET)デバイスを形成するために、本発明において用いられる基本的処理ステップを示す(断面図による)図形的表示である。
【図3】図1(B)に示されるnMOSデバイス及び図2(B)に示されるpMOSデバイスの両方を含む構造体を示す(断面図による)図形的表示である。
【図4】低仕事関数金属の厚さを増大させることによって得られる、積極的にスケーリングされた低閾値電圧のデバイスについての、容量(ピコ・ファラッド、pF)対ゲート・バイアス(ボルト、V)である。特に、このデバイスは、SiO/HfO/20Å Ti/150Å TiN/ポリシリコンを含有するゲート・スタックを含み、最大容量Cmax=1.16pF、反転厚Tinv=12Å及び閾値電圧Vt=0.29Vである。
【符号の説明】
【0068】
10:半導体基板
12:ゲート・スタック
14:ゲート誘電体
16:低仕事関数金属
18:金属キャッピング層
20:ポリシリコン・カプセル化層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相補型金属酸化膜半導体(CMOS)構造体であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の1つの領域上に配置された少なくとも1つのnMOSデバイスと、
前記半導体基板の別の領域上に配置された少なくとも1つのpMOSデバイスと
を備え、前記少なくとも1つのnMOSデバイスは、4.2eV未満の仕事関数を有する少なくとも低仕事関数の元素状金属と、その場金属キャッピング層とを含むゲート・スタックを含み、前記少なくとも1つのpMOSデバイスは、4.9eVより大きい仕事関数を有する少なくとも高仕事関数の元素状金属と、金属キャッピング層とを含むゲート・スタックを含む、CMOS構造体。
【請求項2】
前記半導体基板は、Si、Ge、SiGe、SiC、SiGeC、Ge、GaAs、GaN、InAs、InP、有機半導体、Si/SiGe、シリコン・オン・インシュレータ(SOI)、SiGeオン・インシュレータ(SGOI)、又はゲルマニウム・オン・インシュレータ(GOI)を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項3】
前記半導体基板は、Si含有半導体材料を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項4】
前記nMOSデバイス及び前記pMOSデバイスは、前記半導体基板と前記高仕事関数及び低仕事関数の元素状金属との間に配置された同じゲート誘電体層を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項5】
前記nMOSデバイス及び前記pMOSデバイスは、前記半導体基板と前記高仕事関数及び低仕事関数の元素状金属との間に配置された異なるゲート誘電体層を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項6】
前記半導体基板と前記高仕事関数及び低仕事関数の元素状金属との間のゲート誘電体層をさらに備え、前記ゲート誘電体層は、酸化物、酸窒化物、窒化物、金属シリケート、窒化金属シリケート、又はそれらの多層構造を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項7】
前記ゲート誘電体層は、SiO、窒化SiO、Si、SiON、4.0より大きい誘電率を有する高k絶縁体、又はそれらの多層構造である、請求項6に記載のCMOS構造体。
【請求項8】
前記ゲート誘電体層は、HfO、ZrO、Al、TiO、La、SrTiO、LaAlO、CeO、Y及びそれらの混合物からなる群から選択される高kゲート誘電体である、請求項7に記載のCMOS構造体。
【請求項9】
前記ゲート誘電体層は、SiO、又はSiO及びHfOを含むスタックである、請求項6に記載のCMOS構造体。
【請求項10】
前記ゲート誘電体層は、0.5nmから10nmまでの厚さを有する、請求項6に記載のCMOS構造体。
【請求項11】
前記ゲート誘電体層は、3.0nm未満の厚さを有する、請求項10に記載のCMOS構造体。
【請求項12】
前記ゲート誘電体と前記高仕事関数及び低仕事関数の元素状金属との間の金属安定化層をさらに備える、請求項6に記載のCMOS構造体。
【請求項13】
前記金属安定化層は、30Å未満の厚さを有し、TiN、TaSiN、TaSi、TaN及びHfSiからなる群から選択される、請求項12に記載のCMOS構造体。
【請求項14】
前記低仕事関数の元素状金属は、元素周期表のIIIB族、IVB族、又はVB族からの金属を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項15】
前記低仕事関数の元素状金属は、Ti、La、Y、Hf、Ta、Nb、Zr、又はVを含む、請求項14に記載のCMOS構造体。
【請求項16】
前記低仕事関数の元素状金属は、Tiである、請求項15に記載のCMOS構造体。
【請求項17】
前記高仕事関数の元素状金属は、元素周期表のVIB族、VIIB族、又はVIII族からの金属である、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項18】
前記高仕事関数の元素状金属は、Re、Ru、W、Ni、又はIrを含む、請求項17に記載のCMOS構造体。
【請求項19】
両方の前記金属キャッピング層は、金属窒化物又は金属シリサイドを含み、前記金属は、元素周期表のIVB族又はVB族からのものである、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項20】
前記金属キャッピング層の各々は、TiN、TaSiN、TiAlN、又はTaAlNを含む、請求項19に記載のCMOS構造体。
【請求項21】
前記その場金属キャッピング層は、前記高仕事関数の元素状金属を含有する表面層を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項22】
前記金属キャッピング層は、前記低仕事関数の元素状金属を含有する表面層を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項23】
前記高仕事関数金属の上の前記金属キャッピング層は、表面酸化物層を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項24】
前記nMOSデバイス及び前記pMOSデバイスの各々は、前記半導体基板内に配置されたソース/ドレイン拡散領域を含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項25】
前記少なくとも1つのpMOSデバイスから前記少なくとも1つのnMOSデバイスを分離する分離領域をさらに備える、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項26】
前記nMOSデバイスは、SiO及びHfOを含有する誘電体スタック、前記低仕事関数の元素状金属としてのTi、及び前記その場金属キャッピング層としてのTiNを含む、請求項1に記載のCMOS構造体。
【請求項27】
制御された界面層を有する半導体構造体であって、
半導体基板と、
前記半導体基板の表面上に配置された界面層と、
前記界面層上に配置された5nm未満の厚さを有する誘電体層と、
前記誘電体層の上の金属層であって、前記金属層は3nm未満の厚さを有し、前記厚さは前記界面に影響を与える、金属層と、
前記金属を保護する金属キャッピング層と
を備える、半導体構造体。
【請求項28】
前記金属は、4.2eV未満の仕事関数を有する低仕事関数の元素状金属である、請求項27に記載の半導体構造体。
【請求項29】
前記金属は、4.9eVより大きい仕事関数を有する高仕事関数の元素状金属である、請求項27に記載の半導体構造体。
【請求項30】
前記界面層はSiOを含み、前記誘電体層はHfOを含む、請求項27に記載の半導体構造体。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2008−537359(P2008−537359A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507794(P2008−507794)
【出願日】平成18年4月18日(2006.4.18)
【国際出願番号】PCT/US2006/014516
【国際公開番号】WO2006/115894
【国際公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(390009531)インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション (4,084)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL BUSINESS MASCHINES CORPORATION
【Fターム(参考)】