説明

半導体装置及びその作製方法

【課題】酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間のコンタクト抵抗を低減し、電気特性を安定させた薄膜トランジスタを提供する。また、該薄膜トランジスタの作製方法を提供する。
【解決手段】酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体層の上に、酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成し、該バッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層を形成し、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層とがバッファ層を介して電気的に接続されるように薄膜トランジスタを形成する。また、バッファ層に逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことにより、酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸化物半導体を用いる半導体装置と、該半導体装置を用いた表示装置及びそれらの作製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属酸化物は多様に存在しさまざまな用途に用いられている。酸化インジウムはよく知られた材料であり、液晶ディスプレイなどで必要とされる透光性を有する電極材料として用いられている。
【0003】
金属酸化物の中には半導体特性を示すものがある。半導体特性を示す金属酸化物としては、例えば、酸化タングステン、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛などがあり、このような半導体特性を示す金属酸化物をチャネル形成領域とする薄膜トランジスタが既に知られている(特許文献1乃至4、非特許文献1)。
【0004】
ところで、金属酸化物は一元系酸化物のみでなく多元系酸化物も知られている。例えば、ホモロガス相を有するInGaO(ZnO)(m:自然数)は、In、Ga及びZnを有する多元系酸化物半導体として知られている(非特許文献2乃至4)。
【0005】
そして、上記のようなIn−Ga−Zn系酸化物で構成される酸化物半導体は、トランジスタのチャネル層として適用可能であることが確認されている(特許文献5、非特許文献5及び6)。
【0006】
従来、アクティブマトリクス型液晶ディスプレイの各画素に設けられる薄膜トランジスタ(TFT)には、アモルファスシリコンや多結晶シリコンが用いられてきたが、これらシリコン材料に代わって、上記のような金属酸化物半導体を用いて薄膜トランジスタを作製する技術が注目されている。例えば、金属酸化物半導体膜として酸化亜鉛、In−Ga−Zn−O系酸化物半導体を用いて薄膜トランジスタを作製し、画像表示装置のスイッチング素子などに用いる技術が特許文献6及び特許文献7で開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭60−198861号公報
【特許文献2】特開平8−264794号公報
【特許文献3】特表平11−505377号公報
【特許文献4】特開2000−150900号公報
【特許文献5】特開2004−103957号公報
【特許文献6】特開2007−123861号公報
【特許文献7】特開2007−96055号公報
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】M. W. Prins, K. O. Grosse−Holz, G. Muller, J. F. M. Cillessen, J. B. Giesbers, R. P. Weening, and R. M. Wolf、「A ferroelectric transparent thin−film transistor」、 Appl. Phys. Lett.、17 June 1996、 Vol.68 p.3650−3652
【非特許文献2】M. Nakamura, N. Kimizuka, and T. Mohri、「The Phase Relations in the In2O3−Ga2ZnO4−ZnO System at 1350℃」、J. Solid State Chem.、1991、Vol.93, p.298−315
【非特許文献3】N. Kimizuka, M. Isobe, and M. Nakamura、「Syntheses and Single−Crystal Data of Homologous Compounds, In2O3(ZnO)m(m=3,4, and 5), InGaO3(ZnO)3, and Ga2O3(ZnO)m(m=7,8,9, and 16) in the In2O3−ZnGa2O4−ZnO System」、 J. Solid State Chem.、1995、Vol.116, p.170−178
【非特許文献4】中村真佐樹、君塚昇、毛利尚彦、磯部光正、「ホモロガス相、InFeO3(ZnO)m(m:自然数)とその同型化合物の合成および結晶構造」、固体物理、1993年、Vol.28、No.5、p.317−327
【非特許文献5】K. Nomura, H. Ohta, K. Ueda, T. Kamiya, M. Hirano, and H. Hosono、「Thin−film transistor fabricated in single−crystalline transparent oxide semiconductor」、SCIENCE、2003、Vol.300、p.1269−1272
【非特許文献6】K. Nomura, H. Ohta, A. Takagi, T. Kamiya, M. Hirano, and H. Hosono、「Room−temperature fabrication of transparent flexible thin−film transistors using amorphous oxide semiconductors」、NATURE、2004、Vol.432 p.488−492
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の一態様は、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間のコンタクト抵抗を低減し、電気特性を安定させた薄膜トランジスタを提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、該薄膜トランジスタの作製方法を提供することを課題とする。また、本発明の一態様は、該薄膜トランジスタを有する表示装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は上記課題を解決するため、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体層の上に酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成し、該バッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層を形成し、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層とがバッファ層を介して電気的に接続されるように薄膜トランジスタを形成する。また、本発明の他の一態様は上記課題を解決するため、酸化物半導体層上のバッファ層に逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことにより、酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成する。
【0011】
本発明の一態様は、ゲート電極層と、ゲート電極層上にゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に酸化物半導体層と、酸化物半導体層上に第1のバッファ層及び第2のバッファ層と、第1のバッファ層及び第2のバッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層とを有し、第1のバッファ層及び第2のバッファ層は、酸化物半導体層より導電率が高く、逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことによって形成され、酸化物半導体層とソース電極層及びドレイン電極層とは第1のバッファ層及び第2のバッファ層を介して電気的に接続することを特徴とする半導体装置である。
【0012】
本発明の他の一態様は、ゲート電極層と、ゲート電極層上にゲート絶縁層と、ゲート絶縁層上に高導電性酸化物半導体層と、高導電性酸化物半導体層の上に酸化物半導体層と、酸化物半導体層上に第1のバッファ層及び第2のバッファ層と、第1のバッファ層及び第2のバッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層とを有し、第1のバッファ層及び第2のバッファ層は、酸化物半導体層より導電率が高く、逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことによって形成され、高導電性酸化物半導体層は、酸化物半導体層より導電率が高く、逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことによって形成され、酸化物半導体層とソース電極層及びドレイン電極層とは第1のバッファ層及び第2のバッファ層を介して電気的に接続することを特徴とする半導体装置である。
【0013】
なお、第1のバッファ層及び第2のバッファ層は、酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いることが好ましい。また、第1のバッファ層及び第2のバッファ層は、窒素を含む酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いることが好ましい。また、高導電性酸化物半導体層は、酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いることが好ましい。また、高導電性酸化物半導体層は、窒素を含む酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いることが好ましい。
【0014】
また、酸化物半導体層は、窒素雰囲気下で熱処理を行って形成されていてもよい。また、酸化物半導体層は、大気雰囲気下で熱処理を行って形成されていてもよい。また、酸化物半導体層は、第1のバッファ層及び第2のバッファ層の間に、第1のバッファ層及び第2のバッファ層と重なる領域よりも膜厚の薄い領域を有していてもよい。また、ゲート電極層のチャネル方向の幅が酸化物半導体層のチャネル方向の幅より狭くてもよい。
【0015】
本発明の他の一態様は、基板上にゲート電極層を形成し、ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に、第1の酸化物半導体膜をスパッタ法によって成膜し、第1の酸化物半導体膜に熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜上に、スパッタ法によって第2の酸化物半導体膜を成膜し、第2の酸化物半導体膜に逆スパッタ処理を施し、第2の酸化物半導体膜に窒素雰囲気下での熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜及び第2の酸化物半導体膜をエッチングして酸化物半導体層及び第1のバッファ層を形成し、酸化物半導体層及び第1のバッファ層の上に導電膜を成膜し、導電膜及び第1のバッファ層をエッチングしてソース電極層及びドレイン電極層、第2のバッファ層及び第3のバッファ層を形成し、酸化物半導体層に熱処理を行い、第2のバッファ層及び第3のバッファ層の導電率は、酸化物半導体層の導電率より高くなることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0016】
本発明の他の一態様は、基板上にゲート電極層を形成し、ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、ゲート絶縁層上に、第1の酸化物半導体膜をスパッタ法によって成膜し、第1の酸化物半導体膜に熱処理を行い、第1の酸化物半導体膜上に、スパッタ法によって第2の酸化物半導体膜を成膜し、第2の酸化物半導体膜に窒素雰囲気下での熱処理を行い、第2の酸化物半導体膜に逆スパッタ処理を施し、第1の酸化物半導体膜及び第2の酸化物半導体膜をエッチングして酸化物半導体層及び第1のバッファ層を形成し、酸化物半導体層及び第1のバッファ層の上に導電膜を成膜し、導電膜及び第1のバッファ層をエッチングしてソース電極層及びドレイン電極層、第2のバッファ層及び第3のバッファ層を形成し、酸化物半導体層に熱処理を行い、第2のバッファ層及び第3のバッファ層の導電率は、酸化物半導体層の導電率より高くなることを特徴とする半導体装置の作製方法である。
【0017】
なお、第1の酸化物半導体膜に窒素雰囲気下での熱処理を行ってもよい。また、第1の酸化物半導体膜に大気雰囲気下での熱処理を行ってもよい。また、酸化物半導体層に窒素雰囲気下での熱処理を行ってもよい。また、酸化物半導体層に大気雰囲気下での熱処理を行ってもよい。また、第1の酸化物半導体膜の熱処理は、250℃以上500℃以下で行うことが好ましい。また、第2の酸化物半導体膜の窒素雰囲気下での熱処理は、250℃以上500℃以下で行うことが好ましい。また、酸化物半導体層の熱処理は、250℃以上500℃以下で行うことが好ましい。また、第2の酸化物半導体膜を希ガスと窒素ガスの雰囲気下で成膜することが好ましい。
【0018】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。また、本明細書において発明を特定するための事項として固有の名称を示すものではない。
【0019】
なお、本明細書中において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指し、電気光学装置、半導体回路および電子機器は全て半導体装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明の一態様によれば、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体層の上に該酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成し、該バッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層を形成することで、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層とがバッファ層を介して電気的に接続され、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間のコンタクト抵抗を低減し、電気特性を安定させることができる。また、バッファ層に逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことにより、酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成することができる。
【0021】
該薄膜トランジスタを表示装置の画素部及び駆動回路部に用いることによって、電気特性が安定した信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図2】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図3】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図4】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図5】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図6】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図7】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図8】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図9】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図10】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する図。
【図11】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法説明する図。
【図12】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図13】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図14】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図15】半導体装置のブロック図を説明する図。
【図16】信号線駆動回路の構成を説明する図。
【図17】信号線駆動回路の動作を説明するタイミングチャート。
【図18】信号線駆動回路の動作を説明するタイミングチャート。
【図19】シフトレジスタの構成を説明する図。
【図20】図19に示すフリップフロップの接続構成を説明する図。
【図21】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図22】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図23】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図24】本発明の一態様に係る半導体装置の画素等価回路を説明する図。
【図25】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図26】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【図27】電子ペーパーの使用形態の例を説明する図。
【図28】電子書籍の一例を示す外観図。
【図29】テレビジョン装置およびデジタルフォトフレームの例を示す外観図。
【図30】遊技機の例を示す外観図。
【図31】携帯電話機の一例を示す外観図。
【図32】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0024】
(実施の形態1)
本実施の形態では、薄膜トランジスタの構造について、図1を用いて説明する。
【0025】
本実施の形態のボトムゲート構造の薄膜トランジスタを図1に示す。図1(A)は断面図であり、図1(B)は平面図である。図1(A)は、図1(B)における線A1−A2の断面図となっている。
【0026】
図1に示す薄膜トランジスタには、基板100上にゲート電極層101が設けられ、ゲート電極層101上にゲート絶縁層102が設けられ、ゲート絶縁層102上に酸化物半導体層103が設けられ、酸化物半導体層103上にバッファ層106a、106bが設けられ、バッファ層106a、106b上にソース電極層又はドレイン電極層105a、105bが設けられている。つまり、酸化物半導体層103とソース電極層又はドレイン電極層105a、105bとは、バッファ層106a、106bを介して電気的に接続されている。ここで、バッファ層106a、106bは、酸化物半導体層103より導電率が高い。また、酸化物半導体層103は、バッファ層106a、106bの間に、バッファ層106a、106bと重なる領域よりも膜厚の薄い領域を有する。
【0027】
ゲート電極層101は、アルミニウム、銅、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウムなどの金属材料、またはこれらの金属材料を主成分とする合金材料、またはこれらの金属材料を成分とする窒化物を用いて、単層又は積層で形成する。アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成するのが望ましいが、耐熱性が低い、または腐食しやすいという問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて用いるのが好ましい。耐熱性導電性材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等を用いる。
【0028】
例えば、ゲート電極層101の積層構造としては、アルミニウム層上にモリブデン層が積層された二層の積層構造、または銅層上にモリブデン層を積層した二層構造、または銅層上に窒化チタン層若しくは窒化タンタル層を積層した二層構造、窒化チタン層とモリブデン層とを積層した二層構造とすることが好ましい。三層の積層構造としては、タングステン層または窒化タングステン層と、アルミニウムとシリコンの合金層またはアルミニウムとチタンの合金層と、窒化チタン層またはチタン層とを積層した構造とすることが好ましい。
【0029】
酸化物半導体層103としては、In−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、Ga−Sn−Zn−O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、In−Sn−O系、Ga−Zn−O系、In−O系、Sn−O系またはZn−O系の酸化物半導体からなる非単結晶膜が好ましい。
【0030】
本明細書中で、In−Ga−Zn−O系の酸化物半導体とは、少なくともIn、Ga及びZnを含む酸化物半導体のことである。また、In−Sn−Zn−O系の酸化物半導体とは、少なくともIn、Sn及びZnを含む酸化物半導体のことである。また、Ga−Sn−Zn−O系の酸化物半導体とは、少なくともGa、Sn及びZnを含む酸化物半導体のことである。また、In−Zn−O系の酸化物半導体とは、少なくともIn及びZnを含む酸化物半導体のことである。また、Sn−Zn−O系の酸化物半導体とは、少なくともSn及びZnを含む酸化物半導体のことである。また、In−Sn−O系の酸化物半導体とは、少なくともIn及びSnを含む酸化物半導体のことである。また、Ga−Zn−O系の酸化物半導体とは、少なくともGa及びZnを含む酸化物半導体のことである。また、In−O系の酸化物半導体とは、少なくともInを含む酸化物半導体のことである。また、Sn−O系の酸化物半導体とは、少なくともSnを含む酸化物半導体のことである。また、Zn−O系の酸化物半導体とは、少なくともZnを含む酸化物半導体のことである。また、上記酸化物半導体中には、Fe、Ni、Mn又はCoから選ばれた一又は複数の金属元素が含まれていてもよい。
【0031】
酸化物半導体層103は、スパッタ法を用いてアルゴンなどの希ガスと酸素ガスの雰囲気下で成膜した酸化物半導体膜を用いるのが好ましい。該酸化物半導体膜を用いることで、酸化物半導体層103の導電率を低減し、オフ電流を低減することができる。さらに酸化物半導体層103に用いる酸化物半導体膜は熱処理を行っておくことが好ましい。この熱処理により、酸化物半導体膜は原子レベルで再配列が行われ、キャリアの移動を阻害する結晶構造の歪が解放される。よって、酸化物半導体層103の移動度を向上させることができる。また、この熱処理によって余剰なキャリアを形成する水素を酸化物半導体層103から低減することができる。このとき、窒素雰囲気下での加熱処理を行うことで、酸化物半導体層103の導電率を高くすることができる。このような酸化物半導体層103を薄膜トランジスタの活性層に用いることでオン電流の大きな薄膜トランジスタが得られる。ここで、窒素雰囲気としては、窒素ガスが80体積%乃至100体積%、アルゴン等の希ガスが0体積%乃至20体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。また、大気雰囲気下で熱処理を行うことで、酸化物半導体層103の導電率を低減することができる。このような酸化物半導体層103を薄膜トランジスタの活性層に用いることでオフ電流の小さな薄膜トランジスタが得られる。このとき大気雰囲気としては、酸素ガスが15体積%乃至25体積%、窒素ガスが75体積%乃至85体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。よって、熱処理時の雰囲気は、酸化物半導体層の用途に合わせて適宜変更すればよい。
【0032】
また、酸化物半導体層103は、少なくとも非晶質(アモルファス)成分を含んでいるものとし、非晶質構造の中に結晶粒(ナノクリスタル)を含む場合もある。結晶粒(ナノクリスタル)は直径1nm〜10nm、代表的には2nm〜4nm程度である。なお、結晶状態は、X線回折(XRD:X−ray diffraction)の分析により評価するものとする。
【0033】
酸化物半導体層103の膜厚は、10nm乃至300nmとし、好ましくは20nm乃至100nmとする。
【0034】
また、酸化物半導体層103には、絶縁性酸化物を含ませてもよい。ここで、絶縁性酸化物としては、酸化シリコンが好ましい。また、絶縁性酸化物には窒素を加えてもよい。このとき、酸化物半導体層103はスパッタ法で形成し、ターゲットとして、SiOを0.1重量パーセント以上30重量パーセント以下、好ましくは1重量パーセント以上15重量パーセント以下含ませたものを用いるのが好ましい。
【0035】
酸化物半導体層103に酸化シリコンのような絶縁性酸化物を含ませることにより、該酸化物半導体層103の結晶化を抑制し、非晶質構造とすることができる。酸化物半導体層103の結晶化を抑制し、非晶質構造とすることにより、薄膜トランジスタの特性のばらつきを低減し、安定化することが可能となる。さらに、酸化シリコンのような絶縁性酸化物を含ませることにより、300℃乃至600℃の熱処理を行っても、酸化物半導体層103の結晶化又は微結晶粒の生成を防ぐことができる。
【0036】
バッファ層106a、106bは、薄膜トランジスタのソース領域又はドレイン領域として機能する。バッファ層106a、106bは、酸化物半導体層103と同様に、In−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、Ga−Sn−Zn−O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、In−Sn−O系、Ga−Zn−O系、In−O系、Sn−O系またはZn−O系の酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いて形成することができる。さらに、バッファ層106a、106bとしては、窒素を含ませた、In−Ga−Zn−O−N系、Ga−Zn−O−N系、Zn−O−N系またはSn−Zn−O−N系の酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いて形成するのが好ましい。また、上記非単結晶膜に酸化シリコンのような絶縁性酸化物を含ませてもよい。
【0037】
本明細書中で、In−Ga−Zn−O−N系の酸化物半導体とは、少なくともIn、Ga、Zn及びNを含む酸化物半導体のことである。また、Ga−Zn−O−N系の酸化物半導体とは、少なくともGa、Zn及びNを含む酸化物半導体のことである。また、Zn−O−N系の酸化物半導体とは、少なくともZn及びNを含む酸化物半導体のことである。また、Sn−Zn−O−N系の酸化物半導体とは、少なくともSn、Zn及びNを含む酸化物半導体のことである。
【0038】
なお、バッファ層106a、106bは、スパッタ法を用いてアルゴンなどの希ガスと窒素ガスの雰囲気下で成膜することが好ましい。このように成膜することによって、バッファ層106a、106bの導電率を高くすることができる。さらに、成膜した酸化物半導体膜に逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での加熱処理を行うことで、よりバッファ層106a、106bの導電率を高くすることができる。ここで、窒素雰囲気としては、窒素ガスが80体積%乃至100体積%、アルゴン等の希ガスが0体積%乃至20体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。
【0039】
また、バッファ層106a、106bは、表面側から基板側にかけて、導電率が段階的又は連続的に変化するような構造をとってもよい。また、バッファ層106a、106bの端部に高抵抗領域が形成されていてもよい。
【0040】
また、バッファ層106a、106bは、少なくとも非晶質(アモルファス)成分を含んでいるものとし、非晶質構造の中に結晶粒(ナノクリスタル)を含む場合もある。結晶粒(ナノクリスタル)は直径1nm〜10nm、代表的には2nm〜4nm程度である。なお、結晶状態は、X線回折(XRD:X−ray diffraction)の分析により評価するものとする。
【0041】
バッファ層106a、106bに用いる酸化物半導体膜の膜厚は、5nm乃至20nmとする。勿論、膜中に結晶粒が含まれる場合、含まれる結晶粒のサイズが膜厚を超える大きさとはならない。
【0042】
酸化物半導体層103より導電率の高いバッファ層106a、106bを酸化物半導体層103の上に形成することによって、酸化物半導体層103とソース電極層又はドレイン電極層105a、105bとがバッファ層106a、106bを介して電気的に接続されるようにすることができる。これによって、酸化物半導体層103とソース電極層又はドレイン電極層105a、105bとの間で、オーミック接合を形成することによりコンタクト抵抗を低減し、薄膜トランジスタの電気特性を安定させることができる。
【0043】
ソース電極層又はドレイン電極層105a、105bは、アルミニウム、銅、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウムなどの金属材料、またはこれらの金属材料を主成分とする合金材料、またはこれらの金属材料を成分とする窒化物を用いることができる。アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成するのが望ましいが、耐熱性が低い、または腐食しやすいという問題点があるので耐熱性導電性材料と組み合わせて用いるのが好ましい。耐熱性導電性材料としては、モリブデン、チタン、クロム、タンタル、タングステン、ネオジム、スカンジウム等を用いる。
【0044】
例えば、ソース電極層又はドレイン電極層105a、105bは、第1の導電層及び第3の導電層に耐熱性導電性材料であるチタンを用い、第2の導電層に低抵抗であるネオジムを含むアルミニウム合金を用いる、3層構造とするのが好ましい。ソース電極層又はドレイン電極層105a、105bを、このような構成にすることで、アルミニウムの低抵抗性を活かしつつ、ヒロックの発生を低減することができる。なお、これに限られることはなく、ソース電極層又はドレイン電極層105a、105bは、単層構造としてもよいし、2層構造としてもよいし、4層以上の構造としてもよい。
【0045】
また、図1(A)及び図1(B)に示す逆スタガ構造の薄膜トランジスタでは、ゲート電極層101のチャネル方向の幅が、酸化物半導体層103のチャネル方向の幅よりも短い構造となっているが、本実施の形態に示す薄膜トランジスタはこれに限られるものではない。図13(A)及び図13(B)に示すように、酸化物半導体層103のチャネル方向の幅より、ゲート電極層のチャネル方向の幅が長いゲート電極層201を用いてもよい。なお、図13(A)は、図13(B)における線A1−A2の断面図である。このような構造をとることによって、ゲート電極層201によって、酸化物半導体層103を遮光することができる。よって薄膜トランジスタの信頼性向上を図ることができる。なお、図13(A)及び図13(B)に示す薄膜トランジスタは、ゲート電極層201を除き、図1(A)及び図1(B)に示す薄膜トランジスタと対応する部位に関して図面の符号も図1(A)及び図1(B)に示す薄膜トランジスタと同一のものを用いている。
【0046】
以上のような構成とすることで、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体層の上に該酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成し、該バッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層を形成することで、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層とがバッファ層を介して電気的に接続され、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間のコンタクト抵抗を低減し、電気特性を安定させることができる。また、バッファ層に逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことにより、酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成することができる。
【0047】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0048】
(実施の形態2)
本実施の形態では、実施の形態1で示した薄膜トランジスタを含む表示装置の作製工程について、図2乃至図11を用いて説明する。図2乃至図6は断面図で、図7乃至図11は平面図となっている。なお、図2乃至図6のA1−A2、B1−B2は、図7乃至図11のA1−A2、B1−B2に沿った断面図に相当する。
【0049】
まず、基板100を準備する。基板100は、バリウムホウケイ酸ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、若しくはアルミノシリケートガラスなど、フュージョン法やフロート法で作製される無アルカリガラス基板、セラミック基板の他、本作製工程の処理温度に耐えうる耐熱性を有するプラスチック基板等を用いることができる。また、ステンレス合金などの金属基板の表面に絶縁膜を設けた基板を適用しても良い。基板100の大きさは、320mm×400mm、370mm×470mm、550mm×650mm、600mm×720mm、680mm×880mm、730mm×920mm、1000mm×1200mm、1100mm×1250mm、1150mm×1300mm、1500mm×1800mm、1900mm×2200mm、2160mm×2460mm、2400mm×2800mm、又は2850mm×3050mm等を用いることができる。
【0050】
また基板100上に下地膜として絶縁膜を形成してもよい。下地膜としては、CVD法やスパッタ法等を用いて、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または窒化酸化シリコン膜を単層または積層で形成すればよい。基板100としてガラス基板のような可動イオンを含有する基板を用いる場合、下地膜として窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜などの窒素を含有する膜を用いることで、可動イオンが酸化物半導体層に侵入することを防ぐことができる。
【0051】
次に、ゲート電極層101を含むゲート配線、容量配線108、及び第1の端子121を形成するための導電膜をスパッタ法や真空蒸着法で基板100全面に成膜する。次いで、フォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して配線及び電極(ゲート電極層101を含むゲート配線、容量配線108、及び第1の端子121)を形成する。このとき段切れ防止のために、少なくともゲート電極層101の端部にテーパー形状が形成されるようにエッチングするのが好ましい。この段階での断面図を図2(A)に示した。なお、この段階での平面図が図7に相当する。
【0052】
ゲート電極層101を含むゲート配線と容量配線108、端子部の第1の端子121は、実施の形態1で示した導電性材料を用いて単層又は積層で形成することができる。
【0053】
ここで、ゲート電極層101のチャネル方向の幅が、後の工程で作製する酸化物半導体層103のチャネル方向の幅より長くなるようにゲート電極層101を形成してもよい。このようにゲート電極層101を形成することによって、図13(A)及び図13(B)に示すような薄膜トランジスタを形成することができる。図13(A)及び図13(B)に示すような薄膜トランジスタでは、ゲート電極層201によって、酸化物半導体層103を遮光することができる。
【0054】
次いで、ゲート電極層101、容量配線108,及び第1の端子121上にゲート絶縁層102を全面に成膜する。ゲート絶縁層102はCVD法やスパッタ法などを用い、膜厚を50〜250nmとする。
【0055】
例えば、ゲート絶縁層102としてCVD法やスパッタ法により酸化シリコン膜を用い、100nmの厚さで形成する。勿論、ゲート絶縁層102はこのような酸化シリコン膜に限定されるものでなく、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜などの他の絶縁膜を用い、これらの材料から成る単層または積層構造として形成しても良い。
【0056】
また、ゲート絶縁層102として、有機シランガスを用いたCVD法により酸化シリコン層を形成することも可能である。有機シランガスとしては、珪酸エチル(TEOS:化学式Si(OC)、テトラメチルシラン(TMS:化学式Si(CH)、テトラメチルシクロテトラシロキサン(TMCTS)、オクタメチルシクロテトラシロキサン(OMCTS)、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、トリエトキシシラン(SiH(OC)、トリスジメチルアミノシラン(SiH(N(CH)等のシリコン含有化合物を用いることができる。
【0057】
また、ゲート絶縁層102として、アルミニウム、イットリウム、又はハフニウムの酸化物、窒化物、酸化窒化物、又は窒化酸化物の一種又はそれらの化合物を少なくとも2種以上含む化合物を用いることもできる。
【0058】
なお、本明細書において、酸化窒化物とは、その組成として、窒素原子よりも酸素原子の数が多い物質のことを指し、窒化酸化物とは、その組成として、酸素原子より窒素原子の数が多い物質のことを指す。例えば、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素原子よりも酸素原子の数が多く、ラザフォード後方散乱法(RBS:Rutherford Backscattering Spectrometry)及び水素前方散乱法(HFS:Hydrogen Forward Scattering)を用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が50〜70原子%、窒素が0.5〜15原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が0.1〜10原子%の範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素原子より窒素原子の数が多く、RBS及びHFSを用いて測定した場合に、濃度範囲として酸素が5〜30原子%、窒素が20〜55原子%、シリコンが25〜35原子%、水素が10〜30原子%の範囲で含まれるものをいう。但し、酸化窒化シリコンまたは窒化酸化シリコンを構成する原子の合計を100原子%としたとき、窒素、酸素、シリコン及び水素の含有比率が上記の範囲内に含まれるものとする。
【0059】
なお、酸化物半導体層103を形成するための酸化物半導体膜を形成する前に、基板100が設置されたチャンバー内にアルゴンガスを導入してプラズマを発生させる逆スパッタを行い、ゲート絶縁層の表面に付着している成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ごみともいう)を除去することが好ましい。また、逆スパッタを行うことにより、ゲート絶縁層102表面の平坦性を向上させることもできる。逆スパッタとは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、NOなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気にCl、CFなどを加えた雰囲気で行ってもよい。逆スパッタ処理後、大気に曝すことなく第1の酸化物半導体膜111を成膜することによって、ゲート絶縁層102と、酸化物半導体層103との界面にゴミや水分が付着するのを防ぐことができる。
【0060】
次に、ゲート絶縁層102上に酸化物半導体層103を形成するための第1の酸化物半導体膜111を、スパッタ法を用いてアルゴンなどの希ガスと酸素ガスの雰囲気下で成膜する。または、酸素ガスを用いず、アルゴンなどの希ガスのみの雰囲気下で成膜してもよい。第1の酸化物半導体膜111としては、実施の形態1で示した、酸化物半導体層103を形成するための酸化物半導体を用いることができる。例えば具体的な条件例としては、直径8インチのIn、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:1)を用いて、基板とターゲットの間との距離を60mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、成膜ガス流量Ar:O=30:15(sccm)、成膜温度を室温としてスパッタ成膜を行う。また、ターゲットとしては、Inを含む直径8インチの円盤上にペレット状のGaとペレット状のZnOを配置するようにしてもよい。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ごみともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。また、第1の酸化物半導体膜111の膜厚は、10nm〜300nmとし、好ましくは20nm〜100nmとする。
【0061】
また、このときターゲットに絶縁性酸化物を含ませて、第1の酸化物半導体膜111に絶縁性酸化物を含ませてもよい。ここで、絶縁性酸化物としては、酸化シリコンが好ましい。また、絶縁性酸化物には窒素を加えてもよい。第1の酸化物半導体膜111を成膜する際、SiOを0.1重量パーセント以上30重量パーセント以下、好ましくは1重量パーセント以上15重量パーセント以下含ませた酸化物半導体ターゲットを用いるのが好ましい。
【0062】
第1の酸化物半導体膜111に酸化シリコンのような絶縁性酸化物を含ませることにより、成膜される酸化物半導体をアモルファス化することが容易となる。さらに、酸化シリコンのような絶縁性酸化物を含ませることにより、後の工程で酸化物半導体を熱処理する際に、酸化物半導体層103が結晶化してしまうのを抑制することができる。
【0063】
第1の酸化物半導体膜111の成膜は、先に逆スパッタを行ったチャンバーと同一チャンバーを用いてもよいし、先に逆スパッタを行ったチャンバーと異なるチャンバーで成膜してもよい。
【0064】
スパッタ法にはスパッタ用電源に高周波電源を用いるRFスパッタ法と、DCスパッタ法があり、さらにパルス的にバイアスを与えるパルスDCスパッタ法もある。RFスパッタ法は主に絶縁膜を成膜する場合に用いられ、DCスパッタ法は主に金属膜を成膜する場合に用いられる。
【0065】
また、チャンバー内部に磁石機構を備えたマグネトロンスパッタ法を用いるスパッタ装置や、グロー放電を使わずマイクロ波を用いて発生させたプラズマを用いるECRスパッタ法を用いるスパッタ装置がある。
【0066】
また、スパッタ法を用いる成膜方法として、成膜中にターゲット物質とスパッタガス成分とを化学反応させてそれらの化合物薄膜を形成するリアクティブスパッタ法や、成膜中に基板にも電圧をかけるバイアススパッタ法もある。
【0067】
次に、第1の酸化物半導体膜111に熱処理を行う。熱処理は、200℃以上600℃以下で行い、好ましくは、250℃以上500℃以下で行う。基板100を炉の中に入れ、例えば、窒素雰囲気下において、350℃で一時間程度熱処理を行う。この熱処理により、第1の酸化物半導体膜111は原子レベルで再配列が行われ、キャリアの移動を阻害する結晶構造の歪が解放される。よって、酸化物半導体層103の移動度を向上させることができる。また、この熱処理によって余剰なキャリアを形成する水素を第1の酸化物半導体膜111から低減することができる。このとき、窒素雰囲気下での加熱処理を行うことで、第1の酸化物半導体膜111の導電率を高くすることができる。よって、酸化物半導体層103を薄膜トランジスタの活性層に用いることでオン電流の大きな薄膜トランジスタが得られる。ここで、窒素雰囲気としては、窒素ガスが80体積%乃至100体積%、アルゴン等の希ガスが0体積%乃至20体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。また、大気雰囲気下で熱処理を行うことで、第1の酸化物半導体膜111の導電率を低減することができる。よって、酸化物半導体層103を薄膜トランジスタの活性層に用いることでオフ電流の小さな薄膜トランジスタが得られる。このとき大気雰囲気としては、酸素ガスが15体積%乃至25体積%、窒素ガスが75体積%乃至85体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。よって、熱処理時の雰囲気は、酸化物半導体層の用途に合わせて適宜変更すればよい。なお、この段階での断面図を図2(B)に示す。
【0068】
次に、第1の酸化物半導体膜111上にバッファ層106a、106bを形成するための第2の酸化物半導体膜113を、スパッタ法を用いてアルゴンなどの希ガスの雰囲気下で成膜する。さらに、アルゴンなどの希ガスと窒素ガスの雰囲気下で第2の酸化物半導体膜113をスパッタ成膜することが好ましい。これによってバッファ層106a、106bの導電率を向上させることができる。また、アルゴンなどの希ガスの流量の比率を酸素ガスの流量の比率より大きくして、アルゴンなどの希ガスと酸素ガスの雰囲気下で成膜してもよい。第2の酸化物半導体膜113としては、実施の形態1で示した、バッファ層106a、106bを形成するための酸化物半導体を用いることができる。例えば具体的な条件例としては、直径8インチのIn、Ga、及びZnを含む酸化物半導体ターゲット(In:Ga:ZnO=1:1:1)を用いて、基板とターゲットの間との距離を60mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、成膜ガス流量Ar:N=35:5(sccm)、成膜温度を室温としてスパッタ成膜を行う。また、ターゲットとしては、Inを含む直径8インチの円盤上にペレット状のGaとペレット状のZnOを配置するようにしてもよい。なお、パルス直流(DC)電源を用いると、成膜時に発生する粉状物質(パーティクル、ごみともいう)が軽減でき、膜厚分布も均一となるために好ましい。また、第2の酸化物半導体膜113の膜厚は、5nm〜20nmとする。
【0069】
また、第1の酸化物半導体膜111と同様に、ターゲットに絶縁性酸化物を含ませて、第2の酸化物半導体膜113に絶縁性酸化物を含ませてもよい。ここで、絶縁性酸化物としては、酸化シリコンが好ましい。また、絶縁性酸化物には窒素を加えてもよい。
【0070】
第2の酸化物半導体膜113の成膜は、先に第1の酸化物半導体膜111の成膜を行ったチャンバーと同一チャンバーを用いてもよいし、先に第1の酸化物半導体膜111の成膜を行ったチャンバーと異なるチャンバーで成膜してもよい。また、第2の酸化物半導体膜113の成膜には、第1の酸化物半導体膜111の成膜と同様のスパッタ装置を用いることができる。
【0071】
次に、第2の酸化物半導体膜113に逆スパッタ処理を施す。ここで、逆スパッタ処理とは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、NOなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気にCl、CFなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、チャンバー内の気圧をあらかじめ10―5Pa以下にしておき、チャンバー内の不純物を取り除いておくことが好ましい。第2の酸化物半導体膜113に逆スパッタ処理を施すことにより、第2の酸化物半導体膜113(バッファ層106a、106b)の導電率を向上させることができる。例えば、基板100が設置されたチャンバー内にアルゴンガスを圧力0.6Pa、ガス流量50sccm程度導入して3分程度逆スパッタ処理を行う。ここで、逆スパッタ処理は、第2の酸化物半導体膜113の表面に強く作用するため、第2の酸化物半導体膜113は、表面側から基板側にかけて、導電率が段階的又は連続的に変化するような構造となることがある。
【0072】
また、逆スパッタ処理を施すことにより、第2の酸化物半導体膜113の表面に付着しているゴミを除去することができる。また、逆スパッタ処理を施すことにより、第2の酸化物半導体膜113の表面の平坦性を向上させることもできる。
【0073】
第2の酸化物半導体膜113の成膜から逆スパッタ処理までは、基板100を大気に曝すことなく処理を行うことが好ましい。ただし、逆スパッタ処理は、先に第2の酸化物半導体膜113の成膜を行ったチャンバーと同一チャンバーを用いてもよいし、先に第2の酸化物半導体膜113の成膜を行ったチャンバーと異なるチャンバーで成膜してもよい。また、逆スパッタ処理は、次に行う窒素雰囲気下での熱処理の後に行ってもよい。なお、この段階での断面図を図2(C)に示す。第2の酸化物半導体膜113中の破線の上の部分は、逆スパッタ処理の跡を示す。
【0074】
次に、第2の酸化物半導体膜113に窒素雰囲気下で熱処理を行う。熱処理は、200℃以上600℃以下で行い、好ましくは、250℃以上500℃以下で行う。基板100を炉の中に入れ、例えば、窒素雰囲気下において、350℃で一時間程度熱処理を行う。酸化物半導体に窒素雰囲気下で熱処理を行うことで、酸化物半導体の導電率を向上させることができる。よって、第2の酸化物半導体膜113の導電率を向上させることができるので、バッファ層106a、106bの導電率を向上することができる。このとき、第2の酸化物半導体膜113は、上記のように窒素雰囲気下で熱処理を行うことにより、導電率を向上させることができる。ここで、窒素雰囲気としては、窒素ガスが80体積%乃至100体積%、アルゴン等の希ガスが0体積%乃至20体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。なお、この段階での断面図を図3(A)に示す。また、窒素雰囲気下での熱処理は、第2の酸化物半導体膜113の表面側から基板側に向かって進行するので、第2の酸化物半導体膜113(バッファ層106a、106b)は、表面側から基板側にかけて、導電率が段階的又は連続的に変化するような構造となることがある。特に、窒素雰囲気下での熱処理の時間が十分でない場合は、第2の酸化物半導体膜113の導電率が十分向上しない場合がある。
【0075】
次に、フォトリソグラフィ工程を行い、第2の酸化物半導体膜113上にレジストマスクを形成し、第1の酸化物半導体膜111及び第2の酸化物半導体膜113をエッチングする。エッチングには、酸系のエッチング液をエッチャントとして用いることができる。ここでは、リン酸、酢酸、硝酸及び純水の混合液(混酸アルミという)を用いたウェットエッチングにより、不要な部分を除去して第1の酸化物半導体膜111及び第2の酸化物半導体膜113を島状にし、酸化物半導体層103及びバッファ層106を形成する。酸化物半導体層103及びバッファ層106の端部をテーパー状にエッチングすることで、段差形状による配線の段切れを防ぐことができる。この段階での断面図を図3(B)に示した。なお、この段階での平面図が図8に相当する。
【0076】
なお、ここでのエッチングは、ウェットエッチングに限定されずドライエッチングを用いてもよい。ドライエッチングに用いるエッチング装置としては、反応性イオンエッチング法(RIE法)を用いたエッチング装置や、ECR(Electron Cyclotron Resonance)やICP(Inductively Coupled Plasma)などの高密度プラズマ源を用いたドライエッチング装置を用いることができる。また、ICPエッチング装置と比べて広い面積に渡って一様な放電が得られやすいドライエッチング装置としては、上部電極を接地させ、下部電極に13.56MHzの高周波電源を接続し、さらに下部電極に3.2MHzの低周波電源を接続したECCP(Enhanced Capacitively Coupled Plasma)モードのエッチング装置がある。このECCPモードのエッチング装置であれば、例えば基板として、第10世代の一辺が3mを超えるサイズの基板を用いる場合にも対応することができる。
【0077】
ここで、レジストマスクを第2の酸化物半導体膜113上に形成することによって、レジストマスクが第1の酸化物半導体膜111と直に接することを防ぐことができ、レジストマスクから不純物が第1の酸化物半導体膜111(酸化物半導体層103)に侵入するのを防ぐことができる。また、レジストマスクの除去にOアッシングやレジスト剥離液を用いる場合、第1の酸化物半導体膜111の上に第2の酸化物半導体膜113を形成することによって、第1の酸化物半導体膜111(酸化物半導体層103)の汚染を防ぐことができる。
【0078】
次いで、フォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングによりゲート絶縁層102の不要な部分を除去してゲート電極層101と同じ材料の配線や電極層に達するコンタクトホールを形成する。このコンタクトホールは後に形成する導電膜と直接接続するために設ける。例えば、駆動回路部において、ゲート電極層とソース電極層或いはドレイン電極層と直接接する薄膜トランジスタや、端子部のゲート配線と電気的に接続する端子を形成する場合にコンタクトホールを形成する。
【0079】
次に、酸化物半導体層103、バッファ層106及びゲート絶縁層102上に金属材料からなる導電膜112をスパッタ法や真空蒸着法で成膜する。この段階での断面図を図3(C)に示した。
【0080】
導電膜112の材料としては、実施の形態1で示した導電性材料を用いて単層又は積層で形成することができる。例えば導電膜112は、第1の導電層及び第3の導電層が耐熱性導電性材料であるチタンからなり、第2の導電層がネオジムを含むアルミニウム合金からなるような構成としてもよい。導電膜112をこのような構成にすることで、アルミニウムの低抵抗性を活かしつつ、ヒロックの発生を低減することができる。
【0081】
次に、フォトリソグラフィ工程を行い、導電膜112上にレジストマスク131を形成し、エッチングにより不要な部分を除去してバッファ層106a、106b、ソース電極層又はドレイン電極層105a、105b及び接続電極120を形成する。この際のエッチング方法としてウェットエッチングまたはドライエッチングを用いる。例えば、導電膜112として第1の導電層及び第3の導電層にチタンを、第2の導電層にネオジムを含むアルミニウム合金を用いる場合には、過酸化水素水又は加熱塩酸、またはフッ化アンモニウムを含む硝酸水溶液をエッチャントに用いてウェットエッチングすることができる。例えば、KSMF―240(関東化学社製)を用いて、第1の導電層乃至第3の導電層からなる導電膜112を一括でエッチングすることができる。この段階での断面図を図4(A)に示す。なお、図4(A)においては、ウェットエッチングを用いるために、エッチングが等方的に行われ、ソース電極層又はドレイン電極層105a、105bの端部はレジストマスク131より後退している。
【0082】
このエッチング工程において、酸化物半導体層103の露出領域も一部エッチングされ、バッファ層106a、106bの間に、バッファ層106a、106bと重なる領域よりも膜厚の薄い領域を有する酸化物半導体層103となる。
【0083】
また、このフォトリソグラフィ工程において、ソース電極層又はドレイン電極層105a、105bと同じ材料である第2の端子122を端子部に残す。なお、第2の端子122はソース配線(ソース電極層又はドレイン電極層105a、105bを含むソース配線)と電気的に接続されている。
【0084】
また、端子部において、接続電極120は、ゲート絶縁膜に形成されたコンタクトホールを介して端子部の第1の端子121と直接接続される。なお、ここでは図示しないが、上述した工程と同じ工程を経て駆動回路の薄膜トランジスタのソース配線あるいはドレイン配線とゲート電極が直接接続される。
【0085】
上述のフォトリソグラフィ工程においては、酸化物半導体層103及びバッファ層106を島状にエッチングする工程とバッファ層106a、106b、ソース電極層及びドレイン電極層105a、105bを形成する工程とで、2枚のマスクを用いる必要がある。しかし、多階調(高階調)マスクにより形成した複数(代表的には二種類)の厚さの領域を有するレジストマスクを用いると、レジストマスクの数を減らすことができるため、工程簡略化、低コスト化を図ることができる。多階調マスクを用いるフォトリソグラフィ工程について、図6を用いて説明する。
【0086】
まず、図3(A)の状態から、第2の酸化物半導体膜113上に導電膜112を形成する。次に、透過した光が複数の強度となる多階調(高階調)マスクを用いた露光によって、図6(A)に示すように複数の異なる膜厚の領域を有するレジストマスク132を導電膜112上に形成する。レジストマスク132は、ゲート電極層101の一部と重畳する領域に膜厚の薄い領域を有する。次に、レジストマスク132を用いて、第1の酸化物半導体膜111、第2の酸化物半導体膜113及び導電膜112をエッチングして島状に加工し、酸化物半導体層103、バッファ層106、導電層115及び第2の端子124を形成する。この段階での断面図が図6(A)に相当する。
【0087】
それから、レジストマスク132をアッシングして、レジストマスク131を形成する。レジストマスク131は、図6(B)に示すように、アッシングにより面積が縮小し、厚さが薄くなり、膜厚の薄い領域のレジストは除去される。
【0088】
最後にレジストマスク131を用いて、バッファ層106、導電層115及び第2の端子124をエッチングし、バッファ層106a、106b、ソース電極層又はドレイン電極層105a、105b及び第2の端子122を形成する。レジストマスク131が縮小されたことによって、酸化物半導体層103、バッファ層106a、106b、ソース電極層又はドレイン電極層105a、105b及び第2の端子122の端部もエッチングされる。よって、多階調マスクを用いた場合、酸化物半導体層103及びバッファ層106a、106b、のチャネル方向の幅が、ソース電極層及びドレイン電極層105a、105bのチャネル方向の幅と同じくらい広くなる。また、第2の端子122の下部に第1の酸化物半導体膜及び第2の酸化物半導体膜からなる層が形成されることになる。この段階での断面図が図6(C)に相当する。なお、第1の端子121については、後の工程で保護絶縁層107を成膜した後、ゲート絶縁層102及び保護絶縁層107をエッチングしてコンタクトホールを形成し、透明導電膜を成膜してFPCと接続する。
【0089】
次に、レジストマスク131を除去して熱処理を行う。熱処理は、200℃以上600℃以下で行い、好ましくは、250℃以上500℃以下で行う。基板100を炉の中に入れ、例えば、窒素雰囲気下において、350℃で一時間程度熱処理を行う。この熱処理により、バッファ層106a、106bの間に露出した酸化物半導体層103は原子レベルで再配列が行われ、キャリアの移動を阻害する結晶構造の歪が解放される。よって、酸化物半導体層103の移動度を向上させることができる。また、この熱処理によって余剰なキャリアを形成する水素を酸化物半導体層103から低減することができる。このとき、窒素雰囲気下での加熱処理を行うことで、酸化物半導体層103の導電率を高くすることができる。このような酸化物半導体層103を薄膜トランジスタの活性層に用いることでオン電流の大きな薄膜トランジスタが得られる。ここで、窒素雰囲気としては、窒素ガスが80体積%乃至100体積%、アルゴン等の希ガスが0体積%乃至20体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。また、大気雰囲気下で熱処理を行うことで、酸化物半導体層103の導電率を低減することができる。このような酸化物半導体層103を薄膜トランジスタの活性層に用いることでオフ電流の小さな薄膜トランジスタが得られる。このとき大気雰囲気としては、酸素ガスが15体積%乃至25体積%、窒素ガスが75体積%乃至85体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。よって、熱処理時の雰囲気は、酸化物半導体層の用途に合わせて適宜変更すればよい。この段階での断面図を図4(B)に示す。なお、この段階での平面図が図9に相当する。
【0090】
また、このとき、酸素雰囲気下で熱処理を行うと、バッファ層106a、106bの露出した部分に高抵抗領域が形成される。
【0091】
このようにして、酸化物半導体層103より導電率の高いバッファ層106a、106bを酸化物半導体層103の上に形成し、バッファ層106a、106bの上にソース電極層又はドレイン電極層105a、105bを形成することによって、酸化物半導体層103とソース電極層又はドレイン電極層105a、105bとがバッファ層106a、106bを介して電気的に接続されるようにすることができる。これによって、酸化物半導体層103とソース電極層又はドレイン電極層105a、105bとの間で、オーミック接合を形成することによりコンタクト抵抗を低減し、薄膜トランジスタの電気特性を安定させることができる。また、バッファ層106a、106bに逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことにより、酸化物半導体層103より導電率の高いバッファ層106a、106bを形成することができる。
【0092】
また、第1の酸化物半導体膜111に熱処理を行い、バッファ層106a、106b、ソース電極層又はドレイン電極層105a、105b形成後に酸化物半導体103に熱処理を行うことによって、酸化物半導体層103の原子レベルの再配列が行われ、酸化物半導体層103を活性層とする薄膜トランジスタの電気特性を向上させることができる。
【0093】
以上の工程で酸化物半導体層103をチャネル形成領域とし、酸化物半導体層103より導電率の高いバッファ層106a、106bが、酸化物半導体層103上に形成された薄膜トランジスタ170を作製することができる。
【0094】
次いで、薄膜トランジスタ170を覆う保護絶縁層107及び樹脂層133を形成する。まず、保護絶縁層107を形成する。保護絶縁層107はPCVD法やスパッタ法などを用いて得られる窒化シリコン膜、酸化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、酸化タンタル膜などを用いることができる。特に高密度プラズマ装置を用いて窒化シリコン膜を成膜するのが好ましい。高密度プラズマ装置を用いることで、PCVD法を用いた場合よりも保護絶縁層107を緻密に形成することができる。このような保護絶縁層107を形成することによって、水分や、水素イオンや、OHなどが酸化物半導体層103及びバッファ層106a、106bに侵入するのを防ぐことができる。
【0095】
次に、フォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、保護絶縁層107のエッチングによりソース電極層又はドレイン電極層105bに達するコンタクトホール125を形成する。また、ここでのエッチングにより第2の端子122に達するコンタクトホール127、接続電極120に達するコンタクトホール126も形成する。
【0096】
次に、表示装置の画素部において、保護絶縁層107上に樹脂層133を形成する。樹脂層133は、感光性または非感光性の有機材料である、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、レジストまたはベンゾシクロブテン、またはこれらの積層などを用いて、膜厚0.5μm乃至3μm程度の範囲で形成する。感光性のポリイミドを塗布法で形成すると、工程数を削減できて好ましい。露光、現像、焼成を行い、表示装置の画素部に樹脂層133を形成するが、このときコンタクトホール125及び容量配線108と重なる部分には、樹脂層133を形成しない。樹脂層133を形成することにより、水分や水素などの、酸化物半導体層103及びバッファ層106a、106bへの侵入を防ぐことができる。また、樹脂層133を形成することにより、樹脂層133上に設ける画素電極を平坦に形成することができる。
【0097】
次いで、透明導電膜を成膜する。透明導電膜の材料としては、酸化インジウム(In)や酸化インジウム酸化スズ合金(In―SnO、ITOと略記する)などをスパッタ法や真空蒸着法などを用いて形成する。このような材料のエッチング処理は塩酸系の溶液により行う。しかし、特にITOのエッチングは残渣が発生しやすいので、エッチング加工性を改善するために酸化インジウム酸化亜鉛合金(In―ZnO)を用いても良い。
【0098】
次に、フォトリソグラフィ工程を行い、レジストマスクを形成し、エッチングにより不要な部分を除去して画素電極層110を形成する。
【0099】
また、このフォトリソグラフィ工程において、容量部におけるゲート絶縁層102及び保護絶縁層107を誘電体として、容量配線108と画素電極層110とで保持容量が形成される。
【0100】
また、このフォトリソグラフィ工程において、第1の端子121及び第2の端子122をレジストマスクで覆い、端子部に形成された透明導電膜128、129を残す。透明導電膜128、129はFPCとの接続に用いられる電極または配線となる。第1の端子121と直接接続された接続電極120上に形成された透明導電膜128は、ゲート配線の入力端子として機能する接続用の端子電極となる。第2の端子122上に形成された透明導電膜129は、ソース配線の入力端子として機能する接続用の端子電極である。
【0101】
次いで、レジストマスクを除去する。この段階での断面図を図5(A)に示す。なお、この段階での平面図が図10に相当する。
【0102】
また、本実施の形態では、保護絶縁層107を形成し、その上に樹脂層133を形成したが、本実施の形態はそれに限られるものではない。図5(B)に示すように、薄膜トランジスタ170を覆うように樹脂層133を形成してから、樹脂層133の上に保護絶縁層107を形成してもよい。この順番で保護絶縁層107及び樹脂層133を形成すると、樹脂層133によって、保護絶縁層107を形成する際のプラズマダメージから酸化物半導体層103及びバッファ層106a、106bを守ることができる。
【0103】
また、図12(A1)、図12(A2)は、この段階でのゲート配線端子部の平面図及び断面図をそれぞれ図示している。図12(A1)は図12(A2)中のC1−C2線に沿った断面図に相当する。図12(A1)において、保護絶縁層154上に形成される透明導電膜155は、入力端子として機能する接続用の端子電極である。また、図12(A1)において、端子部では、ゲート配線と同じ材料で形成される第1の端子151と、ソース配線と同じ材料で形成される接続電極153とがゲート絶縁層152を介して重なり直接接して導通している。また、接続電極153と透明導電膜155が保護絶縁層154に設けられたコンタクトホールを介して直接接して導通している。
【0104】
また、図12(B1)、及び図12(B2)は、ソース配線端子部の平面図及び断面図をそれぞれ図示している。また、図12(B1)は図12(B2)中のD1−D2線に沿った断面図に相当する。図12(B1)において、保護絶縁層154上に形成される透明導電膜155は、入力端子として機能する接続用の端子電極である。また、図12(B1)において、端子部では、ゲート配線と同じ材料で形成される電極156が、ソース配線と電気的に接続される第2の端子150の下方にゲート絶縁層152を介して重なる。電極156は第2の端子150とは電気的に接続しておらず、電極156を第2の端子150と異なる電位、例えばフローティング、GND、0Vなどに設定すれば、ノイズ対策のための容量または静電気対策のための容量を形成することができる。また、第2の端子150は、保護絶縁層154を介して透明導電膜155と電気的に接続している。
【0105】
ゲート配線、ソース配線、及び容量配線は画素密度に応じて複数本設けられるものである。また、端子部においては、ゲート配線と同電位の第1の端子、ソース配線と同電位の第2の端子、容量配線と同電位の第3の端子などが複数並べられて配置される。それぞれの端子の数は、それぞれ任意な数で設ければ良いものとし、実施者が適宣決定すれば良い。
【0106】
こうしてボトムゲート型のnチャネル型薄膜トランジスタである薄膜トランジスタ170を有する画素薄膜トランジスタ部、保持容量を完成させることができる。そして、これらを個々の画素に対応してマトリクス状に配置して画素部を構成することによりアクティブマトリクス型の表示装置を作製するための一方の基板とすることができる。本明細書では便宜上このような基板をアクティブマトリクス基板と呼ぶ。
【0107】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置を作製する場合には、アクティブマトリクス基板と、対向電極が設けられた対向基板との間に液晶層を設け、アクティブマトリクス基板と対向基板とを固定する。なお、対向基板に設けられた対向電極と電気的に接続する共通電極をアクティブマトリクス基板上に設け、共通電極と電気的に接続する第4の端子を端子部に設ける。この第4の端子は、共通電極を固定電位、例えばGND、0Vなどに設定するための端子である。
【0108】
また、本実施の形態は、図10の画素構成に限定されず、図10とは異なる平面図の例を図11に示す。図11では容量配線を設けず、保護絶縁層及びゲート絶縁層を介して、画素電極層を隣り合う画素のゲート配線に重ねて保持容量を形成する例であり、この場合、容量配線及び容量配線と接続する第3の端子は省略することができる。なお、図11において、図10と同じ部分には同じ符号を用いる。
【0109】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、マトリクス状に配置された画素電極を駆動することによって、画面上に表示パターンが形成される。詳しくは選択された画素電極と該画素電極に対応する対向電極との間に電圧が印加されることによって、画素電極と対向電極との間に配置された液晶層の光学変調が行われ、この光学変調が表示パターンとして観察者に認識される。
【0110】
液晶表示装置の動画表示において、液晶分子自体の応答が遅いため、残像が生じる、または動画のぼけが生じるという問題がある。液晶表示装置の動画特性を改善するため、全面黒表示を1フレームおきに行う、所謂、黒挿入と呼ばれる駆動技術がある。
【0111】
また、垂直同期周波数を通常の1.5倍以上、好ましくは2倍以上にすることで動画特性を改善する、所謂、倍速駆動と呼ばれる駆動技術もある。
【0112】
また、液晶表示装置の動画特性を改善するため、バックライトとして複数のLED(発光ダイオード)光源または複数のEL光源などを用いて面光源を構成し、面光源を構成している各光源を独立して1フレーム期間内で間欠点灯駆動する駆動技術もある。面光源として、3種類以上のLEDを用いてもよいし、白色発光のLEDを用いてもよい。独立して複数のLEDを制御できるため、液晶層の光学変調の切り替えタイミングに合わせてLEDの発光タイミングを同期させることもできる。この駆動技術は、LEDを部分的に消灯することができるため、特に一画面を占める黒い表示領域の割合が多い映像表示の場合には、消費電力の低減効果が図れる。
【0113】
これらの駆動技術を組み合わせることによって、液晶表示装置の動画特性などの表示特性を従来よりも改善することができる。
【0114】
本実施の形態で得られるnチャネル型のトランジスタは、酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いており、良好な動特性を有するため、これらの駆動技術を組み合わせることができる。
【0115】
また、発光表示装置を作製する場合、有機発光素子の一方の電極(カソードとも呼ぶ)は、低電源電位、例えばGND、0Vなどに設定するため、端子部に、カソードを低電源電位、例えばGND、0Vなどに設定するための第4の端子が設けられる。また、発光表示装置を作製する場合には、ソース配線、及びゲート配線に加えて電源供給線を設ける。従って、端子部には、電源供給線と電気的に接続する第5の端子を設ける。
【0116】
以上のように、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体層の上に該酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成し、該バッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層を形成することで、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層とがバッファ層を介して電気的に接続され、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間のコンタクト抵抗を低減し、電気特性を安定させることができる。また、バッファ層に逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことにより、酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成することができる。
【0117】
該薄膜トランジスタを表示装置の画素部及び駆動回路部に用いることによって、電気特性が安定した信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0118】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0119】
(実施の形態3)
本実施の形態では、実施の形態1で示したボトムゲート型薄膜トランジスタを2つ用いたインバータ回路について図14を用いて説明する。
【0120】
画素部を駆動するための駆動回路は、インバータ回路、容量、抵抗などを用いて構成する。2つのnチャネル型TFTを組み合わせてインバータ回路を形成する場合、エンハンスメント型トランジスタとデプレッション型トランジスタとを組み合わせて形成する場合(以下、EDMOS回路という)と、エンハンスメント型TFT同士で形成する場合(以下、EEMOS回路という)がある。なお、nチャネル型TFTのしきい値電圧が正の場合は、エンハンスメント型トランジスタと定義し、nチャネル型TFTのしきい値電圧が負の場合は、デプレッション型トランジスタと定義し、本明細書を通してこの定義に従うものとする。
【0121】
画素部と駆動回路は、同一基板上に形成し、画素部においては、マトリクス状に配置したエンハンスメント型トランジスタを用いて画素電極への電圧印加のオンオフを切り替える。この画素部に配置するエンハンスメント型トランジスタは、酸化物半導体を用いている。
【0122】
駆動回路のインバータ回路(EDMOS回路)の断面構造を図14(A)に示す。なお、図14(A)では、第1の薄膜トランジスタ430a及び第2の薄膜トランジスタ430bとして図1に示す構造の逆スタガ型薄膜トランジスタを用いている。しかし、本実施の形態で示すインバータ回路に用いることができる薄膜トランジスタは、この構造に限られるものではない。
【0123】
図14(A)に示す第1の薄膜トランジスタ430aは、基板400上に第1のゲート電極層401aが設けられ、第1のゲート電極層401a上にゲート絶縁層402が設けられ、ゲート絶縁層402上に第1の酸化物半導体層403aが設けられ、第1の酸化物半導体層403a上に第1のバッファ層404a、404bが設けられ、第1のバッファ層404a、404b上に第1配線405a及び第2配線405bが設けられている。第1の酸化物半導体層403aと第1配線405a及び第2配線405bとは、第1のバッファ層404a、404bを介して電気的に接続されている。同様に、第2の薄膜トランジスタ430bも、基板400上に第2のゲート電極層401bが設けられ、第2のゲート電極層401b上にゲート絶縁層402が設けられ、ゲート絶縁層402上に第2の酸化物半導体層403bが設けられ、第2の酸化物半導体層403b上に第2のバッファ層406a、406bが設けられ第2のバッファ層406a、406b上に第2配線405b及び第3配線405cが設けられている。第2の酸化物半導体層403bと第2配線405b及び第3配線405cとは、第2のバッファ層406a、406bを介して電気的に接続されている。ここで、第2配線405bは、ゲート絶縁層402に形成されたコンタクトホール414を介して第2のゲート電極層401bと直接接続する。なお、各部の構造や材料は実施の形態1で示した薄膜トランジスタを参照にされたい。
【0124】
第1配線405aは、接地電位の電源線(接地電源線)である。この接地電位の電源線は、負の電圧VDLが印加される電源線(負電源線)としてもよい。第3配線405cは、正の電圧VDDが印加される電源線(正電源線)である。
【0125】
図14(A)に示すように、第1のバッファ層404bと第2のバッファ層406aの両方に電気的に接続する第2配線405bは、ゲート絶縁層402に形成されたコンタクトホール414を介して第2の薄膜トランジスタ430bの第2のゲート電極層401bと直接接続する。直接接続させることにより、良好なコンタクトを得ることができ、接触抵抗を低減することができる。第2配線405bの成膜と同時に、第2配線405bと第2のゲート電極層401bを直接接続できるので、第2配線405b形成後の熱処理の影響を受けずに良好なコンタクトを得ることができる。また、第2のゲート電極層401bと第2配線405bを他の導電膜、例えば透明導電膜を介して接続する場合に比べて、コンタクトホールの数の低減、コンタクトホールの数の低減による駆動回路の占有面積の縮小を図ることができる。
【0126】
また、駆動回路のインバータ回路(EDMOS回路)の平面図を図14(C)に示す。図14(C)において、鎖線Z1−Z2で切断した断面が図14(A)に相当する。
【0127】
また、EDMOS回路の等価回路を図14(B)に示す。図14(A)及び図14(C)示す回路接続は、図14(B)に相当し、第1の薄膜トランジスタ430aをエンハンスメント型のnチャネル型トランジスタとし、第2の薄膜トランジスタ430bをデプレッション型のnチャネル型トランジスタとする例である。
【0128】
同一基板上にエンハンスメント型のnチャネル型トランジスタとデプレッション型のnチャネル型トランジスタとを作製する方法は、例えば、第1のバッファ層404a、404b及び第1の酸化物半導体層403aと、第2のバッファ層406a、406b及び第2の酸化物半導体層403bとを異なる材料や異なる成膜条件を用いて作製する。また、酸化物半導体層の上下にゲート電極を設けてしきい値制御を行い、一方のTFTがノーマリーオンとなるようにゲート電極に電圧をかけ、もう一方のTFTがノーマリーオフとなるようにしてEDMOS回路を構成してもよい。
【0129】
また、EDMOS回路だけではなく、第1の薄膜トランジスタ430a及び第2の薄膜トランジスタ430bをエンハンスメント型のnチャネル型トランジスタとすることで、EEMOS回路を作製することもできる。その場合、第2配線405bと第2のゲート電極層401bを接続する代わりに第3配線405cと第2のゲート電極層401bを接続する。
【0130】
本実施の形態で用いる薄膜トランジスタは、酸化物半導体層の上に該酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成し、該バッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層を形成することで、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層とがバッファ層を介して電気的に接続され、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間のコンタクト抵抗を低減し、電気特性を安定させることができる。よって、本実施の形態に示すインバータ回路の回路特性を向上させることができる。
【0131】
本実施の形態に示すインバータ回路を駆動回路部に用いることによって、電気特性が安定した信頼性の高い表示装置を提供することができる。
【0132】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0133】
(実施の形態4)
本実施の形態では、実施の形態1で示した薄膜トランジスタとは異なる構造の薄膜トランジスタについて、図32を用いて説明する。
【0134】
本実施の形態のボトムゲート構造の薄膜トランジスタを図32に示す。図32(A)は断面図であり、図32(B)は平面図である。図32(A)は、図32(B)における線A1−A2の断面図となっている。
【0135】
図32に示す薄膜トランジスタには、基板100上にゲート電極層101が設けられ、ゲート電極層101上にゲート絶縁層102が設けられ、ゲート絶縁層102上に高導電性酸化物半導体層300が設けられ、高導電性酸化物半導体層300の上に酸化物半導体層103が設けられ、酸化物半導体層103上にバッファ層106a、106bが設けられ、バッファ層106a、106b上にソース電極層又はドレイン電極層105a、105bが設けられている。つまり、酸化物半導体層103とソース電極層又はドレイン電極層105a、105bとは、バッファ層106a、106bを介して電気的に接続されている。ここで、バッファ層106a、106bは、酸化物半導体層103より導電率が高い。また、高導電性酸化物半導体層300は、酸化物半導体層103より導電率が高い。また、酸化物半導体層103は、バッファ層106a、106bの間に、バッファ層106a、106bと重なる領域よりも膜厚の薄い領域を有する。つまり、図32に示す薄膜トランジスタは、実施の形態1において、図1で示した薄膜トランジスタの酸化物半導体層103の下に高導電性酸化物半導体層300を設けた構造の薄膜トランジスタである。
【0136】
高導電性酸化物半導体層300は、バッファ層106a、106bと同様の材料を用いる。よって、高導電性酸化物半導体層300は、バッファ層106a、106bと同様に、In−Ga−Zn−O系、In−Sn−Zn−O系、Ga−Sn−Zn−O系、In−Zn−O系、Sn−Zn−O系、In−Sn−O系、Ga−Zn−O系、In−O系、Sn−O系またはZn−O系の酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いて形成することができる。さらに、窒素を含ませた、In−Ga−Zn−O−N系、Ga−Zn−O−N系、Zn−O−N系またはSn−Zn−O−N系の酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いて形成するのが好ましい。また、上記非単結晶膜に酸化シリコンのような絶縁性酸化物を含ませてもよい。
【0137】
なお、高導電性酸化物半導体層300は、バッファ層106a、106bと同様に、スパッタ法を用いてアルゴンなどの希ガスと窒素ガスの雰囲気下で成膜することが好ましい。このように成膜することによって、高導電性酸化物半導体層300の導電率を高くすることができる。さらに、成膜した酸化物半導体膜に逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での加熱処理を行うことで、より高導電性酸化物半導体層300の導電率を高くすることができる。ここで、窒素雰囲気としては、窒素ガスが80体積%乃至100体積%、アルゴン等の希ガスが0体積%乃至20体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。
【0138】
また、高導電性酸化物半導体層300は、表面側から基板側にかけて、導電率が段階的又は連続的に変化するような構造をとってもよい。
【0139】
また、高導電性酸化物半導体層300は、少なくとも非晶質(アモルファス)成分を含んでいるものとし、非晶質構造の中に結晶粒(ナノクリスタル)を含む場合もある。結晶粒(ナノクリスタル)は直径1nm〜10nm、代表的には2nm〜4nm程度である。なお、結晶状態は、X線回折(XRD:X−ray diffraction)の分析により評価するものとする。
【0140】
高導電性酸化物半導体層300に用いる酸化物半導体膜の膜厚は、5nm乃至20nmとするのが好ましい。勿論、膜中に結晶粒が含まれる場合、含まれる結晶粒のサイズが膜厚を超える大きさとはならない。
【0141】
薄膜トランジスタの活性層を、高導電性酸化物半導体層300と酸化物半導体層103の積層構造とすることによって、薄膜トランジスタがオンのときには、導電率の高い高導電性酸化物半導体層300に主なドレイン電流の流れを導き、電界効果移動度を増大させることができる。また、薄膜トランジスタがオフのときには酸化物半導体層103の、バッファ層106a、106bの間の膜厚が薄い領域を主なドレイン電流の流れとすることによって、導電率の高い高導電性酸化物半導体層300にオフ電流が流れるのを防ぎ、オフ電流の増大を抑制することができる。
【0142】
なお、本実施の形態に示す薄膜トランジスタの高導電性酸化物半導体層300以外の構造と材料については、実施の形態1を参照されたい。
【0143】
本実施の形態に示す薄膜トランジスタの作製工程は、実施の形態2で示した薄膜トランジスタの作製工程とほぼ同様である。まず、実施の形態2で示した方法で、ゲート絶縁層102を成膜する工程まで行う。
【0144】
次に、ゲート絶縁層102上に高導電性酸化物半導体層300を形成するための高導電性酸化物半導体膜を成膜する。高導電性酸化物半導体膜の成膜は、バッファ層106a、106bを形成する第2の酸化物半導体膜113の成膜と同様の方法で行い、スパッタ法を用いてアルゴンなどの希ガスの雰囲気下で成膜する。さらに、アルゴンなどの希ガスと窒素ガスの雰囲気下で高導電性酸化物半導体膜をスパッタ成膜することが好ましい。これによって高導電性酸化物半導体層300の導電率を向上させることができる。また、アルゴンなどの希ガスの流量の比率を酸素ガスの流量の比率より大きくして、アルゴンなどの希ガスと酸素ガスの雰囲気下で成膜してもよい。高導電性酸化物半導体膜としては、上記の高導電性酸化物半導体層300を構成する酸化物半導体を用いることができる。また、ターゲットに絶縁性酸化物を含ませて、高導電性酸化物半導体膜に絶縁性酸化物を含ませてもよい。ここで、絶縁性酸化物としては、酸化シリコンが好ましい。また、絶縁性酸化物には窒素を加えてもよい。具体例としては、実施の形態2に示す第2の酸化物半導体膜113の成膜方法を参照されたい。
【0145】
次に、高導電性酸化物半導体膜に逆スパッタ処理を施す。ここで、逆スパッタ処理とは、アルゴン雰囲気下で基板側にRF電源を用いて電圧を印加して基板近傍にプラズマを形成して表面を改質する方法である。なお、アルゴン雰囲気に代えて窒素、ヘリウムなどを用いてもよい。また、アルゴン雰囲気に酸素、NOなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、アルゴン雰囲気にCl、CFなどを加えた雰囲気で行ってもよい。また、チャンバー内の気圧をあらかじめ10―5Pa以下にしておき、チャンバー内の不純物を取り除いておくことが好ましい。例えば、基板100が設置されたチャンバー内にアルゴンガスを圧力0.6Pa、ガス流量50sccm程度導入して3分程度逆スパッタ処理を行う。
【0146】
次に、高導電性酸化物半導体膜に窒素雰囲気下で熱処理を行う。熱処理は、200℃以上600℃以下で行い、好ましくは、250℃以上500℃以下で行う。基板100を炉の中に入れ、例えば、窒素雰囲気下において、350℃で一時間程度熱処理を行う。ここで、窒素雰囲気としては、窒素ガスが80体積%乃至100体積%、アルゴン等の希ガスが0体積%乃至20体積%の範囲で含まれる雰囲気とするのが好ましい。また、窒素雰囲気下での熱処理は、高導電性酸化物半導体膜の表面から内部に向かって進行するので、高導電性酸化物半導体膜(高導電性酸化物半導体層300)は、表面側から基板側にかけて、導電率が段階的又は連続的に変化するような構造となることがある。特に、窒素雰囲気下での熱処理の時間が十分でない場合は、高導電性酸化物半導体膜の導電率が十分向上しない場合がある。
【0147】
次に、高導電性酸化物半導体膜の上から第1の酸化物半導体膜111を成膜する。以降は実施の形態2に示す薄膜トランジスタの作製工程に従って、薄膜トランジスタを作製する。なお、高導電性酸化物半導体膜は、第1の酸化物半導体膜111及び第2の酸化物半導体膜113をエッチングするときに同時にエッチングして高導電性酸化物半導体層300を形成する。
【0148】
以上のように、酸化物半導体層を用いた薄膜トランジスタにおいて、酸化物半導体層の上に該酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成し、該バッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層を形成することで、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層とがバッファ層を介して電気的に接続され、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間のコンタクト抵抗を低減し、電気特性を安定させることができる。また、バッファ層に逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことにより、酸化物半導体層より導電率の高いバッファ層を形成することができる。また、薄膜トランジスタの活性層を、高導電性酸化物半導体層300の上に酸化物半導体層103を形成する積層構造とすることによって、薄膜トランジスタがオンのときには導電率を向上し、薄膜トランジスタがオフのときにはオフ電流の増大を抑制することができる。
【0149】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0150】
(実施の形態5)
本実施の形態では、半導体装置の一例である表示装置において、同一基板上に少なくとも駆動回路の一部と、画素部に配置する薄膜トランジスタを作製する例について以下に説明する。
【0151】
画素部に配置する薄膜トランジスタは、実施の形態2に従って形成する。また、実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタはnチャネル型TFTであるため、駆動回路のうち、nチャネル型TFTで構成することができる駆動回路の一部を画素部の薄膜トランジスタと同一基板上に形成する。
【0152】
半導体装置の一例であるアクティブマトリクス型液晶表示装置のブロック図の一例を図15(A)に示す。図15(A)に示す表示装置は、基板5300上に表示素子を備えた画素を複数有する画素部5301と、各画素を選択する走査線駆動回路5302と、選択された画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路5303とを有する。
【0153】
画素部5301は、信号線駆動回路5303から列方向に伸張して配置された複数の信号線S1〜Sm(図示せず。)により信号線駆動回路5303と接続され、走査線駆動回路5302から行方向に伸張して配置された複数の走査線G1〜Gn(図示せず。)により走査線駆動回路5302と接続され、信号線S1〜Sm並びに走査線G1〜Gnに対応してマトリクス状に配置された複数の画素(図示せず。)を有する。そして、各画素は、信号線Sj(信号線S1〜Smのうちいずれか一)、走査線Gi(走査線G1〜Gnのうちいずれか一)と接続される。
【0154】
また、実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタは、nチャネル型TFTであり、nチャネル型TFTで構成する信号線駆動回路について図16を用いて説明する。
【0155】
図16に示す信号線駆動回路は、ドライバIC5601、スイッチ群5602_1〜5602_M、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613及び配線5621_1〜5621_Mを有する。スイッチ群5602_1〜5602_Mそれぞれは、第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを有する。
【0156】
ドライバIC5601は第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613及び配線5621_1〜5621_Mに接続される。そして、スイッチ群5602_1〜5602_Mそれぞれは、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613及びスイッチ群5602_1〜5602_Mそれぞれに対応した配線5621_1〜5621_Mに接続される。そして、配線5621_1〜5621_Mそれぞれは、第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介して、3つの信号線(信号線Sm−2、信号線Sm−1、信号線Sm(m=3M))に接続される。例えば、J列目の配線5621_J(配線5621_1〜配線5621_Mのうちいずれか一)は、スイッチ群5602_Jが有する第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介して、信号線Sj−2、信号線Sj―1、信号線Sj(j=3J)に接続される。
【0157】
なお、第1の配線5611、第2の配線5612、第3の配線5613には、それぞれ信号が入力される。
【0158】
なお、ドライバIC5601は、単結晶半導体を用いて形成されていることが望ましい。さらに、スイッチ群5602_1〜5602_Mは、画素部と同一基板上に形成されていることが望ましい。したがって、ドライバIC5601とスイッチ群5602_1〜5602_MとはFPCなどを介して接続するとよい。又は画素部と同一の基板上に貼り合わせなどによって、単結晶半導体層を設け、ドライバIC5601を形成してもよい。
【0159】
次に、図16に示した信号線駆動回路の動作について、図17のタイミングチャートを参照して説明する。なお、図17のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択されている場合のタイミングチャートを示している。さらに、i行目の走査線Giの選択期間は、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3に分割されている。さらに、図16の信号線駆動回路は、他の行の走査線が選択されている場合でも図17と同様の動作をする。
【0160】
なお、図17のタイミングチャートは、J列目の配線5621_Jが第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介して、信号線Sj−2、信号線Sj―1、信号線Sjに接続される場合について示している。
【0161】
なお、図17のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択されるタイミング、第1の薄膜トランジスタ5603aのオン・オフのタイミング5703a、第2の薄膜トランジスタ5603bのオン・オフのタイミング5703b、第3の薄膜トランジスタ5603cのオン・オフのタイミング5703c及びJ列目の配線5621_Jに入力される信号5721_Jを示している。
【0162】
なお、配線5621_1〜配線5621_Mには第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3において、それぞれ別のビデオ信号が入力される。例えば、第1のサブ選択期間T1において配線5621_Jに入力されるビデオ信号は信号線Sj−2に入力され、第2のサブ選択期間T2において配線5621_Jに入力されるビデオ信号は信号線Sj―1に入力され、第3のサブ選択期間T3において配線5621_Jに入力されるビデオ信号は信号線Sjに入力される。さらに、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2及び第3のサブ選択期間T3において、配線5621_Jに入力されるビデオ信号をそれぞれData_j−2、Data_j―1、Data_jとする。
【0163】
図17に示すように、第1のサブ選択期間T1において第1の薄膜トランジスタ5603aがオンし、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j−2が、第1の薄膜トランジスタ5603aを介して信号線Sj−2に入力される。第2のサブ選択期間T2では、第2の薄膜トランジスタ5603bがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j―1が、第2の薄膜トランジスタ5603bを介して信号線Sj―1に入力される。第3のサブ選択期間T3では、第3の薄膜トランジスタ5603cがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第2の薄膜トランジスタ5603bがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_jが、第3の薄膜トランジスタ5603cを介して信号線Sjに入力される。
【0164】
以上のことから、図16の信号線駆動回路は、1ゲート選択期間を3つに分割することで、1ゲート選択期間中に1つの配線5621から3つの信号線にビデオ信号を入力することができる。したがって、図16の信号線駆動回路は、ドライバIC5601が形成される基板と、画素部が形成されている基板との接続数を信号線の数に比べて約1/3にすることができる。接続数が約1/3になることによって、図16の信号線駆動回路は、信頼性、歩留まりなどを向上できる。
【0165】
なお、図17のように、1ゲート選択期間を複数のサブ選択期間に分割し、複数のサブ選択期間それぞれにおいて、ある1つの配線から複数の信号線それぞれにビデオ信号を入力することができれば、薄膜トランジスタの配置や数、駆動方法などは限定されない。
【0166】
例えば、3つ以上のサブ選択期間それぞれにおいて1つの配線から3つ以上の信号線それぞれにビデオ信号を入力する場合は、薄膜トランジスタ及び薄膜トランジスタを制御するための配線を追加すればよい。ただし、1ゲート選択期間を4つ以上のサブ選択期間に分割すると、1つのサブ選択期間が短くなる。したがって、1ゲート選択期間は、2つ又は3つのサブ選択期間に分割されることが望ましい。
【0167】
別の例として、図18のタイミングチャートに示すように、1つの選択期間をプリチャージ期間Tp、第1のサブ選択期間T1、第2のサブ選択期間T2、第3の選択期間T3に分割してもよい。さらに、図18のタイミングチャートは、i行目の走査線Giが選択されるタイミング、第1の薄膜トランジスタ5603aのオン・オフのタイミング5803a、第2の薄膜トランジスタ5603bのオン・オフのタイミング5803b、第3の薄膜トランジスタ5603cのオン・オフのタイミング5803c及びJ列目の配線5621_Jに入力される信号5821_Jを示している。図18に示すように、プリチャージ期間Tpにおいて第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオンする。このとき、配線5621_Jに入力されるプリチャージ電圧Vpが第1の薄膜トランジスタ5603a、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cを介してそれぞれ信号線Sj−2、信号線Sj―1、信号線Sjに入力される。第1のサブ選択期間T1において第1の薄膜トランジスタ5603aがオンし、第2の薄膜トランジスタ5603b及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j−2が、第1の薄膜トランジスタ5603aを介して信号線Sj−2に入力される。第2のサブ選択期間T2では、第2の薄膜トランジスタ5603bがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第3の薄膜トランジスタ5603cがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_j―1が、第2の薄膜トランジスタ5603bを介して信号線Sj―1に入力される。第3のサブ選択期間T3では、第3の薄膜トランジスタ5603cがオンし、第1の薄膜トランジスタ5603a及び第2の薄膜トランジスタ5603bがオフする。このとき、配線5621_Jに入力されるData_jが、第3の薄膜トランジスタ5603cを介して信号線Sjに入力される。
【0168】
以上のことから、図18のタイミングチャートを適用した図16の信号線駆動回路は、サブ選択期間の前にプリチャージ選択期間を設けることによって、信号線をプリチャージできるため、画素へのビデオ信号の書き込みを高速に行うことができる。なお、図18において、図17と同様なものに関しては共通の符号を用いて示し、同一部分又は同様な機能を有する部分の詳細な説明は省略する。
【0169】
また、走査線駆動回路の構成について説明する。走査線駆動回路は、シフトレジスタ、バッファを有している。また場合によってはレベルシフタを有していても良い。走査線駆動回路において、シフトレジスタにクロック信号(CLK)及びスタートパルス信号(SP)が入力されることによって、選択信号が生成される。生成された選択信号はバッファにおいて緩衝増幅され、対応する走査線に供給される。走査線には、1ライン分の画素のトランジスタのゲート電極が接続されている。そして、1ライン分の画素のトランジスタを一斉にONにしなくてはならないので、バッファは大きな電流を各画素のトランジスタに流すことが可能なものが用いられる。
【0170】
走査線駆動回路の一部に用いるシフトレジスタの一形態について図19及び図20を用いて説明する。
【0171】
図19にシフトレジスタの回路構成を示す。図19に示すシフトレジスタは、複数のフリップフロップ5701_1〜5701_nで構成される。また、第1のクロック信号、第2のクロック信号、スタートパルス信号、リセット信号が入力されて動作する。
【0172】
図19のシフトレジスタの接続関係について説明する。1段目のフリップフロップ5701_1は、第1の配線5711、第2の配線5712、第4の配線5714、第5の配線5715、第7の配線5717_1、及び第7の配線5717_2と接続される。また、2段目のフリップフロップ5701_2は、第3の配線5713、第4の配線5714、第5の配線5715、第7の配線5717_1、第7の配線5717_2及び第7の配線5717_3と接続される。
【0173】
同様に、i段目のフリップフロップ5701_i(フリップフロップ5701_1〜5701_nのうちいずれか一)は、第2の配線5712又は第3の配線5713の一方、第4の配線5714、第5の配線5715、第7の配線5717_i−1、第7の配線5717_i、及び第7の配線5717_i+1と接続される。ここで、iが奇数の場合には、i段目のフリップフロップ5701_iは第2の配線5712と接続され、iが偶数である場合には、i段目のフリップフロップ5701_iは第3の配線5713と接続されることになる。
【0174】
また、n段目のフリップフロップ5701_nは、第2の配線5712又は第3の配線5713の一方、第4の配線5714、第5の配線5715、第7の配線5717_n−1、第7の配線5717_n、及び第6の配線5716と接続される。
【0175】
なお、第1の配線5711、第2の配線5712、第3の配線5713、第6の配線5716を、それぞれ第1の信号線、第2の信号線、第3の信号線、第4の信号線と呼んでもよい。さらに、第4の配線5714、第5の配線5715を、それぞれ第1の電源線、第2の電源線と呼んでもよい。
【0176】
次に、図19に示すフリップフロップの詳細について、図20を用いて説明する。図20に示すフリップフロップは、第1の薄膜トランジスタ5571、第2の薄膜トランジスタ5572、第3の薄膜トランジスタ5573、第4の薄膜トランジスタ5574、第5の薄膜トランジスタ5575、第6の薄膜トランジスタ5576、第7の薄膜トランジスタ5577及び第8の薄膜トランジスタ5578を有する。なお、第1の薄膜トランジスタ5571、第2の薄膜トランジスタ5572、第3の薄膜トランジスタ5573、第4の薄膜トランジスタ5574、第5の薄膜トランジスタ5575、第6の薄膜トランジスタ5576、第7の薄膜トランジスタ5577及び第8の薄膜トランジスタ5578は、nチャネル型トランジスタであり、ゲート・ソース間電圧(Vgs)がしきい値電圧(Vth)を上回ったとき導通状態になるものとする。
【0177】
また、図20に示すフリップフロップは、第1の配線5501、第2の配線5502、第3の配線5503、第4の配線5504、第5の配線5505、及び第6の配線5506を有する。
【0178】
ここでは全ての薄膜トランジスタは、エンハンスメント型のnチャネル型トランジスタとする例を示すが、特に限定されず、例えば、デプレッション型のnチャネル型トランジスタを用いても駆動回路を駆動させることもできる。
【0179】
次に、図20に示すフリップフロップの接続構成について、以下に示す。
【0180】
第1の薄膜トランジスタ5571の第1の電極(ソース電極またはドレイン電極の一方)が第4の配線5504に接続され、第1の薄膜トランジスタ5571の第2の電極(ソース電極またはドレイン電極の他方)が第3の配線5503に接続される。
【0181】
第2の薄膜トランジスタ5572の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第2の薄膜トランジスタ5572の第2の電極が第3の配線5503に接続される。
【0182】
第3の薄膜トランジスタ5573の第1の電極が第5の配線5505に接続され、第3の薄膜トランジスタ5573の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極に接続され、第3の薄膜トランジスタ5573のゲート電極が第5の配線5505に接続される。
【0183】
第4の薄膜トランジスタ5574の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第4の薄膜トランジスタ5574の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極に接続され、第4の薄膜トランジスタ5574のゲート電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極に接続される。
【0184】
第5の薄膜トランジスタ5575の第1の電極が第5の配線5505に接続され、第5の薄膜トランジスタ5575の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極に接続され、第5の薄膜トランジスタ5575のゲート電極が第1の配線5501に接続される。
【0185】
第6の薄膜トランジスタ5576の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第6の薄膜トランジスタ5576の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極に接続され、第6の薄膜トランジスタ5576のゲート電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極に接続される。
【0186】
第7の薄膜トランジスタ5577の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第7の薄膜トランジスタ5577の第2の電極が第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極に接続され、第7の薄膜トランジスタ5577のゲート電極が第2の配線5502に接続される。
【0187】
第8の薄膜トランジスタ5578の第1の電極が第6の配線5506に接続され、第8の薄膜トランジスタ5578の第2の電極が第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極に接続され、第8の薄膜トランジスタ5578のゲート電極が第1の配線5501に接続される。
【0188】
なお、第1の薄膜トランジスタ5571のゲート電極、第4の薄膜トランジスタ5574のゲート電極、第5の薄膜トランジスタ5575の第2の電極、第6の薄膜トランジスタ5576の第2の電極及び第7の薄膜トランジスタ5577の第2の電極の接続箇所をノード5543とする。さらに、第2の薄膜トランジスタ5572のゲート電極、第3の薄膜トランジスタ5573の第2の電極、第4の薄膜トランジスタ5574の第2の電極、第6の薄膜トランジスタ5576のゲート電極及び第8の薄膜トランジスタ5578の第2の電極の接続箇所をノード5544とする。
【0189】
なお、第1の配線5501、第2の配線5502、第3の配線5503及び第4の配線5504を、それぞれ第1の信号線、第2の信号線、第3の信号線、第4の信号線と呼んでもよい。さらに、第5の配線5505を第1の電源線、第6の配線5506を第2の電源線と呼んでもよい。
【0190】
i段目のフリップフロップ5701_iにおいて、図20中の第1の配線5501と、図19中の第7の配線5717_i−1が接続される。また、図20中の第2の配線5502と、図19中の第7の配線5717_i+1が接続される。また、図20中の第3の配線5503と、第7の配線5717_iが接続される。さらに、図20中の第6の配線5506と、第5の配線5715が接続される。
【0191】
iが奇数の場合、図20中の第4の配線5504は、図19中の第2の配線5712と接続され、iが偶数の場合、図19中の第3の配線5713と接続される。また、図20中の第5の配線5505と、図19中の第4の配線5714が接続される。
【0192】
ただし、1段目のフリップフロップ5701_1において、図20中の第1の配線5501は図19中の第1の配線5711に接続される。また、n段目のフリップフロップ5701_nにおいて、図20中の第2の配線5502は図19中の第6の配線5716に接続される。
【0193】
また、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を実施の形態1乃至実施の形態4に示すnチャネル型TFTのみで作製することも可能である。実施の形態1乃至実施の形態4に示すnチャネル型TFTはトランジスタの移動度が大きいため、駆動回路の駆動周波数を高くすることが可能となる。また、実施の形態1乃至実施の形態4に示すnチャネル型TFTはIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜に代表される酸化物半導体層を用いることで、寄生容量が低減されるため、周波数特性(f特性と呼ばれる)が高い。例えば、実施の形態1乃至実施の形態4に示すnチャネル型TFTを用いた走査線駆動回路は、高速に動作させることができるため、フレーム周波数を高くすること、または、黒画面挿入を実現することなども実現することができる。
【0194】
さらに、走査線駆動回路のトランジスタのチャネル幅を大きくすることや、複数の走査線駆動回路を配置することなどによって、さらに高いフレーム周波数を実現することができる。複数の走査線駆動回路を配置する場合は、偶数行の走査線を駆動する為の走査線駆動回路を片側に配置し、奇数行の走査線を駆動するための走査線駆動回路をその反対側に配置することにより、フレーム周波数を高くすることを実現することができる。また、複数の走査線駆動回路により、同じ走査線に信号を出力すると、表示装置の大型化に有利である。
【0195】
また、半導体装置の一例であるアクティブマトリクス型発光表示装置を作製する場合、少なくとも一つの画素に複数の薄膜トランジスタを配置するため、走査線駆動回路を複数配置することが好ましい。アクティブマトリクス型発光表示装置のブロック図の一例を図15(B)に示す。
【0196】
図15(B)に示す発光表示装置は、基板5400上に表示素子を備えた画素を複数有する画素部5401と、各画素を選択する第1の走査線駆動回路5402及び第2の走査線駆動回路5404と、選択された画素へのビデオ信号の入力を制御する信号線駆動回路5403とを有する。
【0197】
図15(B)に示す発光表示装置の画素に入力されるビデオ信号をデジタル形式とする場合、画素はトランジスタのオンとオフの切り替えによって、発光もしくは非発光の状態となる。よって、面積階調法または時間階調法を用いて階調の表示を行うことができる。面積階調法は、1画素を複数の副画素に分割し、各副画素を独立にビデオ信号に基づいて駆動させることによって、階調表示を行う駆動法である。また時間階調法は、画素が発光する期間を制御することによって、階調表示を行う駆動法である。
【0198】
発光素子は、液晶素子などに比べて応答速度が高いので、液晶素子よりも時間階調法に適している。具体的に時間階調法で表示を行なう場合、1フレーム期間を複数のサブフレーム期間に分割する。そしてビデオ信号に従い、各サブフレーム期間において画素の発光素子を発光または非発光の状態にする。複数のサブフレーム期間に分割することによって、1フレーム期間中に画素が実際に発光する期間のトータルの長さを、ビデオ信号により制御することができ、階調を表示することができる。
【0199】
なお、図15(B)に示す発光表示装置では、一つの画素に2つのスイッチング用TFTを配置する場合、一方のスイッチング用TFTのゲート配線である第1の走査線に入力される信号を第1走査線駆動回路5402で生成し、他方のスイッチング用TFTのゲート配線である第2の走査線に入力される信号を第2の走査線駆動回路5404で生成している例を示しているが、第1の走査線に入力される信号と、第2の走査線に入力される信号とを、共に1つの走査線駆動回路で生成するようにしても良い。また、例えば、1つの画素が有するスイッチング用TFTの数によって、スイッチング素子の動作を制御するのに用いられる走査線が、各画素に複数設けられることもあり得る。この場合、複数の走査線に入力される信号を、全て1つの走査線駆動回路で生成しても良いし、複数の各走査線駆動回路で生成しても良い。
【0200】
また、発光表示装置においても、駆動回路のうち、nチャネル型TFTで構成することができる駆動回路の一部を画素部の薄膜トランジスタと同一基板上に形成することができる。また、信号線駆動回路及び走査線駆動回路を実施の形態1乃至実施の形態4に示すnチャネル型TFTのみで作製することも可能である。
【0201】
以上の工程により、半導体装置として電気特性が安定した信頼性の高い表示装置を作製することができる。
【0202】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0203】
(実施の形態6)
実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタを作製し、該薄膜トランジスタを画素部、さらには駆動回路に用いて表示機能を有する半導体装置(表示装置ともいう)を作製することができる。また、実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタを用いた駆動回路の一部または全体を、画素部と同じ基板上に一体形成し、システムオンパネルを形成することができる。
【0204】
表示装置は表示素子を含む。表示素子としては液晶素子(液晶表示素子ともいう)、発光素子(発光表示素子ともいう)を用いることができる。発光素子は、電流または電圧によって輝度が制御される素子をその範疇に含んでおり、具体的には無機EL(Electro Luminescence)、有機EL等が含まれる。また、電子インクなど、電気的作用によりコントラストが変化する表示媒体も適用することができる。
【0205】
また、表示装置は、表示素子が封止された状態にあるパネルと、該パネルにコントローラを含むIC等を実装した状態にあるモジュールとを含む。さらに、該表示装置を作製する過程における、表示素子が完成する前の一形態に相当する素子基板に関し、該素子基板は、電流を表示素子に供給するための手段を複数の各画素に備える。素子基板は、具体的には、表示素子の画素電極のみが形成された状態であっても良いし、画素電極となる導電膜を成膜した後であって、エッチングして画素電極を形成する前の状態であっても良いし、あらゆる形態があてはまる。
【0206】
なお、本明細書中における表示装置とは、画像表示デバイス、表示デバイス、もしくは光源(照明装置含む)を指す。また、コネクター、例えばFPC(Flexible printed circuit)もしくはTAB(Tape Automated Bonding)テープもしくはTCP(Tape Carrier Package)が取り付けられたモジュール、TABテープやTCPの先にプリント配線板が設けられたモジュール、または表示素子にCOG(Chip On Glass)方式によりIC(集積回路)が直接実装されたモジュールも全て表示装置に含むものとする。
【0207】
本実施の形態では、半導体装置の一形態に相当する液晶表示パネルの外観及び断面について、図21を用いて説明する。図21(A1)(A2)は、第1の基板4001上に形成された実施の形態1乃至実施の形態4で示したIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜を代表とする酸化物半導体層を用いる電気特性が安定した信頼性の高い薄膜トランジスタ4010、4011、及び液晶素子4013を、第2の基板4006との間にシール材4005によって封止した、パネルの平面図であり、図21(B)は、図21(A1)(A2)のM−Nにおける断面図に相当する。
【0208】
第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004とを囲むようにして、シール材4005が設けられている。また画素部4002と、走査線駆動回路4004の上に第2の基板4006が設けられている。よって画素部4002と、走査線駆動回路4004とは、第1の基板4001とシール材4005と第2の基板4006とによって、液晶層4008と共に封止されている。また第1の基板4001上のシール材4005によって囲まれている領域とは異なる領域に、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜で形成された信号線駆動回路4003が実装されている。
【0209】
なお、別途形成した駆動回路の接続方法は、特に限定されるものではなく、COG方法、ワイヤボンディング方法、或いはTAB方法などを用いることができる。図21(A1)は、COG方法により信号線駆動回路4003を実装する例であり、図21(A2)は、TAB方法により信号線駆動回路4003を実装する例である。
【0210】
また第1の基板4001上に設けられた画素部4002と、走査線駆動回路4004は、薄膜トランジスタを複数有しており、図21(B)では、画素部4002に含まれる薄膜トランジスタ4010と、走査線駆動回路4004に含まれる薄膜トランジスタ4011とを例示している。薄膜トランジスタ4010、4011上には絶縁層4020、4021が設けられている。
【0211】
薄膜トランジスタ4010、4011は、実施の形態1乃至実施の形態4に示す、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜を代表とする酸化物半導体層を用いる電気特性が安定した信頼性の高い薄膜トランジスタを適用することができる。本実施の形態において、薄膜トランジスタ4010、4011はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0212】
また、液晶素子4013が有する画素電極層4030は、薄膜トランジスタ4010と電気的に接続されている。そして液晶素子4013の対向電極層4031は第2の基板4006上に形成されている。画素電極層4030と対向電極層4031と液晶層4008とが重なっている部分が、液晶素子4013に相当する。なお、画素電極層4030、対向電極層4031はそれぞれ配向膜として機能する絶縁層4032、4033が設けられ、絶縁層4032、4033を介して液晶層4008を挟持している。
【0213】
なお、第1の基板4001、第2の基板4006としては、ガラス、金属(代表的にはステンレス)、セラミックス、プラスチックを用いることができる。プラスチックとしては、FRP(Fiberglass−Reinforced Plastics)板、PVF(ポリビニルフルオライド)フィルム、ポリエステルフィルムまたはアクリル樹脂フィルムを用いることができる。また、アルミニウムホイルをPVFフィルムやポリエステルフィルムで挟んだ構造のシートを用いることもできる。
【0214】
また4035は絶縁膜を選択的にエッチングすることで得られる柱状のスペーサであり、画素電極層4030と対向電極層4031との間の距離(セルギャップ)を制御するために設けられている。なお球状のスペーサを用いていても良い。また、対向電極層4031は、薄膜トランジスタ4010と同一基板上に設けられる共通電位線と電気的に接続される。共通接続部を用いて、一対の基板間に配置される導電性粒子を介して対向電極層4031と共通電位線とを電気的に接続することができる。なお、導電性粒子はシール材4005に含有させる。
【0215】
また、配向膜を用いないブルー相を示す液晶を用いてもよい。ブルー相は液晶相の一つであり、コレステリック液晶を昇温していくと、コレステリック相から等方相へ転移する直前に発現する相である。ブルー相は狭い温度範囲でしか発現しないため、温度範囲を改善するために5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶組成物を用いて液晶層4008に用いる。ブルー相を示す液晶とカイラル剤とを含む液晶組成物は、応答速度が10μs〜100μsと短く、光学的等方性であるため配向処理が不要であり、視野角依存性が小さい。
【0216】
なお本実施の形態は透過型液晶表示装置の例であるが、反射型液晶表示装置でも半透過型液晶表示装置でも適用できる。
【0217】
また、本実施の形態の液晶表示装置では、基板の外側(視認側)に偏光板を設け、内側に着色層、表示素子に用いる電極層という順に設ける例を示すが、偏光板は基板の内側に設けてもよい。また、偏光板と着色層の積層構造も本実施の形態に限定されず、偏光板及び着色層の材料や作製工程条件によって適宜設定すればよい。また、ブラックマトリクスとして機能する遮光膜を設けてもよい。
【0218】
また、本実施の形態では、薄膜トランジスタの表面凹凸を低減するため、及び薄膜トランジスタの信頼性を向上させるため、実施の形態1乃至実施の形態4で得られた薄膜トランジスタを保護膜や平坦化絶縁膜として機能する絶縁層(絶縁層4020、絶縁層4021)で覆う構成となっている。なお、保護膜は、大気中に浮遊する有機物や金属物、水蒸気などの汚染不純物の侵入を防ぐためのものであり、緻密な膜が好ましい。保護膜は、スパッタ法を用いて、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、窒化アルミニウム膜、酸化窒化アルミニウム膜、又は窒化酸化アルミニウム膜の単層、又は積層で形成すればよい。本実施の形態では保護膜をスパッタ法で形成する例を示すが、特に限定されず種々の方法で形成すればよい。
【0219】
保護膜として積層構造の絶縁層4020を形成する。ここでは、絶縁層4020の一層目として、スパッタ法を用いて酸化シリコン膜を形成する。保護膜として酸化シリコン膜を用いると、ソース電極層及びドレイン電極層として用いるアルミニウム膜のヒロック防止に効果がある。
【0220】
さらに、保護膜の二層目として絶縁層を形成する。ここでは、ここでは、絶縁層4020の二層目として、スパッタ法を用いて窒化シリコン膜を形成する。保護膜として窒化シリコン膜を用いると、ナトリウム等の可動イオンが半導体領域中に侵入して、TFTの電気特性を変化させることを抑制することができる。
【0221】
また、保護膜を形成した後に、酸化物半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。
【0222】
また、平坦化絶縁膜として絶縁層4021を形成する。絶縁層4021としては、ポリイミド、アクリル、ベンゾシクロブテン、ポリアミド、エポキシ等の、耐熱性を有する有機材料を用いることができる。また上記有機材料の他に、低誘電率材料(low−k材料)、シロキサン系樹脂、PSG(リンガラス)、BPSG(リンボロンガラス)等を用いることができる。なお、これらの材料で形成される絶縁膜を複数積層させることで、絶縁層4021を形成してもよい。
【0223】
なおシロキサン系樹脂とは、シロキサン系材料を出発材料として形成されたSi−O−Si結合を含む樹脂に相当する。シロキサン系樹脂は置換基としては有機基(例えばアルキル基やアリール基)やフルオロ基を用いても良い。また、有機基はフルオロ基を有していても良い。
【0224】
絶縁層4021の形成法は、特に限定されず、その材料に応じて、スパッタ法、SOG法、スピンコート、ディップ、スプレー塗布、液滴吐出法(インクジェット法、スクリーン印刷、オフセット印刷等)、ドクターナイフ、ロールコーター、カーテンコーター、ナイフコーター等を用いることができる。絶縁層4021を材料液を用いて形成する場合、ベークする工程で同時に、酸化物半導体層のアニール(300℃〜400℃)を行ってもよい。絶縁層4021の焼成工程と酸化物半導体層のアニールを兼ねることで効率よく半導体装置を作製することが可能となる。
【0225】
画素電極層4030、対向電極層4031は、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電性材料を用いることができる。
【0226】
また、画素電極層4030、対向電極層4031として、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0227】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子を用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、若しくはこれらの2種以上の共重合体などがあげられる。
【0228】
また別途形成された信号線駆動回路4003と、走査線駆動回路4004または画素部4002に与えられる各種信号及び電位は、FPC4018から供給されている。
【0229】
本実施の形態では、接続端子電極4015が、液晶素子4013が有する画素電極層4030と同じ導電膜から形成され、端子電極4016は、薄膜トランジスタ4010、4011のソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜で形成されている。
【0230】
接続端子電極4015は、FPC4018が有する端子と、異方性導電膜4019を介して電気的に接続されている。
【0231】
また図21においては、信号線駆動回路4003を別途形成し、第1の基板4001に実装している例を示しているが、本実施の形態はこの構成に限定されない。走査線駆動回路を別途形成して実装しても良いし、信号線駆動回路の一部または走査線駆動回路の一部のみを別途形成して実装しても良い。
【0232】
図22は、実施の形態1乃至実施の形態4に示すTFTを適用して作製されるTFT基板2600を用いて半導体装置として液晶表示モジュールを構成する一例を示している。
【0233】
図22は液晶表示モジュールの一例であり、TFT基板2600と対向基板2601がシール材2602により固着され、その間にTFT等を含む画素部2603、液晶層を含む表示素子2604、着色層2605が設けられ表示領域を形成している。着色層2605はカラー表示を行う場合に必要であり、RGB方式の場合は、赤、緑、青の各色に対応した着色層が各画素に対応して設けられている。TFT基板2600と対向基板2601の外側には偏光板2606、偏光板2607、拡散板2613が配設されている。光源は冷陰極管2610と反射板2611により構成され、回路基板2612は、フレキシブル配線基板2609によりTFT基板2600の配線回路部2608と接続され、コントロール回路や電源回路などの外部回路が組みこまれている。また偏光板と、液晶層との間に位相差板を有した状態で積層してもよい。
【0234】
液晶表示モジュールには、TN(Twisted Nematic)モード、IPS(In−Plane−Switching)モード、FFS(Fringe Field Switching)モード、MVA(Multi−domain Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、ASM(Axially Symmetric aligned Micro−cell)モード、OCB(Optical Compensated Birefringence)モード、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)モード、AFLC(AntiFerroelectric Liquid Crystal)モードなどを用いることができる。
【0235】
以上の工程により、半導体装置として電気特性が安定した信頼性の高い液晶表示パネルを作製することができる。
【0236】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0237】
(実施の形態7)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタを適用した半導体装置として電子ペーパーの例を示す。
【0238】
図23は、半導体装置の例としてアクティブマトリクス型の電子ペーパーを示す。半導体装置に用いられる薄膜トランジスタ581としては、実施の形態1乃至実施の形態4で示す薄膜トランジスタを適用することができる。
【0239】
図23の電子ペーパーは、ツイストボール表示方式を用いた表示装置の例である。ツイストボール表示方式とは、白と黒に塗り分けられた球形粒子を表示素子に用いる電極層である第1の電極層及び第2の電極層の間に配置し、第1の電極層及び第2の電極層に電位差を生じさせての球形粒子の向きを制御することにより、表示を行う方法である。
【0240】
基板580と基板596との間に封止される、薄膜トランジスタ581はボトムゲート構造の薄膜トランジスタであり、ソース電極層又はドレイン電極層によって第1の電極層587と、絶縁層583、584、585に形成する開口で接しており電気的に接続している。第1の電極層587と第2の電極層588との間には黒色領域590a及び白色領域590bを有し、周りに液体で満たされているキャビティ594を含む球形粒子589が設けられており、球形粒子589の周囲は樹脂等の充填材595で充填されている(図23参照。)。本実施の形態においては、第1の電極層587が画素電極に相当し、第2の電極層588が共通電極に相当する。第2の電極層588は、薄膜トランジスタ581と同一基板上に設けられる共通電位線と電気的に接続される。実施の形態2に示す共通接続部を用いて、一対の基板間に配置される導電性粒子を介して第2の電極層588と共通電位線とを電気的に接続することができる。
【0241】
また、ツイストボールの代わりに、電気泳動素子を用いることも可能である。透明な液体と、正に帯電した白い微粒子と負に帯電した黒い微粒子とを封入した直径10μm〜200μm程度のマイクロカプセルを用いる。第1の電極層と第2の電極層との間に設けられるマイクロカプセルは、第1の電極層と第2の電極層によって、電場が与えられると、白い微粒子と、黒い微粒子が逆の方向に移動し、白または黒を表示することができる。この原理を応用した表示素子が電気泳動表示素子であり、一般的に電子ペーパーとよばれている。電気泳動表示素子は、液晶表示素子に比べて反射率が高いため、補助ライトは不要であり、また消費電力が小さく、薄暗い場所でも表示部を認識することが可能である。また、表示部に電源が供給されない場合であっても、一度表示した像を保持することが可能であるため、電波発信源から表示機能付き半導体装置(単に表示装置、又は表示装置を具備する半導体装置ともいう)を遠ざけた場合であっても、表示された像を保存しておくことが可能となる。
【0242】
このように、電気泳動表示素子は、誘電定数の高い物質が高い電界領域に移動する、いわゆる誘電泳動的効果を利用した表示素子である。電気泳動表示素子を用いた電気泳動表示装置は、液晶表示装置には必要な偏光板が必要ない。
【0243】
上記マイクロカプセルを溶媒中に分散させたものが電子インクと呼ばれるものであり、この電子インクはガラス、プラスチック、布、紙などの表面に印刷することができる。また、カラーフィルタや色素を有する粒子を用いることによってカラー表示も可能である。
【0244】
また、アクティブマトリクス基板上に適宜、二つの電極の間に挟まれるように上記マイクロカプセルを複数配置すればアクティブマトリクス型の表示装置が完成し、マイクロカプセルに電界を印加すれば表示を行うことができる。例えば、実施の形態1乃至実施の形態4の薄膜トランジスタによって得られるアクティブマトリクス基板を用いることができる。
【0245】
なお、マイクロカプセル中の微粒子は、導電体材料、絶縁体材料、半導体材料、磁性材料、液晶材料、強誘電性材料、エレクトロルミネセント材料、エレクトロクロミック材料、磁気泳動材料から選ばれた一種の材料、またはこれらの複合材料を用いればよい。
【0246】
以上の工程により、半導体装置として電気特性が安定した信頼性の高い電子ペーパーを作製することができる。
【0247】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0248】
(実施の形態8)
本実施の形態では、実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタを適用した半導体装置として発光表示装置の例を示す。表示装置の有する表示素子としては、ここではエレクトロルミネッセンスを利用する発光素子を用いて示す。エレクトロルミネッセンスを利用する発光素子は、発光材料が有機化合物であるか、無機化合物であるかによって区別され、一般的に、前者は有機EL素子、後者は無機EL素子と呼ばれている。
【0249】
有機EL素子は、発光素子に電圧を印加することにより、一対の電極から電子および正孔がそれぞれ発光性の有機化合物を含む層に注入され、電流が流れる。そして、それらキャリア(電子および正孔)が再結合することにより、発光性の有機化合物が励起状態を形成し、その励起状態が基底状態に戻る際に発光する。このようなメカニズムから、このような発光素子は、電流励起型の発光素子と呼ばれる。
【0250】
無機EL素子は、その素子構成により、分散型無機EL素子と薄膜型無機EL素子とに分類される。分散型無機EL素子は、発光材料の粒子をバインダ中に分散させた発光層を有するものであり、発光メカニズムはドナー準位とアクセプター準位を利用するドナー−アクセプター再結合型発光である。薄膜型無機EL素子は、発光層を誘電体層で挟み込み、さらにそれを電極で挟んだ構造であり、発光メカニズムは金属イオンの内殻電子遷移を利用する局在型発光である。なお、ここでは、発光素子として有機EL素子を用いて説明する。
【0251】
図24は、本発明の一態様を適用した半導体装置の例としてデジタル時間階調駆動を適用可能な画素構成の一例を示す図である。
【0252】
デジタル時間階調駆動を適用可能な画素の構成及び画素の動作について説明する。ここでは、実施の形態1乃至実施の形態4で示した、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜を代表とする酸化物半導体層をチャネル形成領域に用いるnチャネル型のトランジスタを、1つの画素に2つ用いる例を示す。
【0253】
画素6400は、スイッチング用トランジスタ6401、駆動用トランジスタ6402、発光素子6404及び容量素子6403を有している。スイッチング用トランジスタ6401はゲートが走査線6406に接続され、第1電極(ソース電極及びドレイン電極の一方)が信号線6405に接続され、第2電極(ソース電極及びドレイン電極の他方)が駆動用トランジスタ6402のゲートに接続されている。駆動用トランジスタ6402は、ゲートが容量素子6403を介して電源線6407に接続され、第1電極が電源線6407に接続され、第2電極が発光素子6404の第1電極(画素電極)に接続されている。発光素子6404の第2電極は共通電極6408に相当する。共通電極6408は、同一基板上に形成される共通電位線と電気的に接続され、その接続部分を共通接続部とすればよい。
【0254】
なお、発光素子6404の第2電極(共通電極6408)には低電源電位が設定されている。なお、低電源電位とは、電源線6407に設定される高電源電位を基準にして低電源電位<高電源電位を満たす電位であり、低電源電位としては例えばGND、0Vなどが設定されていても良い。この高電源電位と低電源電位との電位差を発光素子6404に印加して、発光素子6404に電流を流して発光素子6404を発光させるため、高電源電位と低電源電位との電位差が発光素子6404の順方向しきい値電圧以上となるようにそれぞれの電位を設定する。
【0255】
なお、容量素子6403は駆動用トランジスタ6402のゲート容量を代用して省略することも可能である。駆動用トランジスタ6402のゲート容量については、チャネル領域とゲート電極との間で容量が形成されていてもよい。
【0256】
ここで、電圧入力電圧駆動方式の場合には、駆動用トランジスタ6402のゲートには、駆動用トランジスタ6402が十分にオンするか、オフするかの二つの状態となるようなビデオ信号を入力する。つまり、駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させる。駆動用トランジスタ6402は線形領域で動作させるため、電源線6407の電圧よりも高い電圧を駆動用トランジスタ6402のゲートにかける。なお、信号線6405には、(電源線電圧+駆動用トランジスタ6402のVth)以上の電圧をかける。
【0257】
また、デジタル時間階調駆動に代えて、アナログ階調駆動を行う場合、信号の入力を異ならせることで、図24と同じ画素構成を用いることができる。
【0258】
アナログ階調駆動を行う場合、駆動用トランジスタ6402のゲートに発光素子6404の順方向電圧+駆動用トランジスタ6402のVth以上の電圧をかける。発光素子6404の順方向電圧とは、所望の輝度とする場合の電圧を指しており、少なくとも順方向しきい値電圧を含む。なお、駆動用トランジスタ6402が飽和領域で動作するようなビデオ信号を入力することで、発光素子6404に電流を流すことができる。駆動用トランジスタ6402を飽和領域で動作させるため、電源線6407の電位は、駆動用トランジスタ6402のゲート電位よりも高くする。ビデオ信号をアナログとすることで、発光素子6404にビデオ信号に応じた電流を流し、アナログ階調駆動を行うことができる。
【0259】
なお、図24に示す画素構成は、これに限定されない。例えば、図24に示す画素に新たにスイッチ、抵抗素子、容量素子、トランジスタ又は論理回路などを追加してもよい。
【0260】
次に、発光素子の構成について、図25を用いて説明する。ここでは、駆動用TFTがn型の場合を例に挙げて、画素の断面構造について説明する。図25(A)(B)(C)の半導体装置に用いられる駆動用TFTであるTFT7001、7011、7021は、実施の形態乃至実施の形態4で示す薄膜トランジスタと同様に作製でき、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜を代表とする酸化物半導体層を用いる電気特性が安定した信頼性の高い薄膜トランジスタである。
【0261】
発光素子は発光を取り出すために少なくとも陽極又は陰極の一方が透明であればよい。そして、基板上に薄膜トランジスタ及び発光素子を形成し、基板とは逆側の面から発光を取り出す上面射出や、基板側の面から発光を取り出す下面射出や、基板側及び基板とは反対側の面から発光を取り出す両面射出構造の発光素子があり、本発明の画素構成はどの射出構造の発光素子にも適用することができる。
【0262】
上面射出構造の発光素子について図25(A)を用いて説明する。
【0263】
図25(A)に、駆動用TFTであるTFT7001がn型で、発光素子7002から発せられる光が陽極7005側に抜ける場合の、画素の断面図を示す。図25(A)では、発光素子7002の陰極7003と駆動用TFTであるTFT7001が電気的に接続されており、陰極7003上に発光層7004、陽極7005が順に積層されている。陰極7003は仕事関数が小さく、なおかつ光を反射する導電膜であれば様々の材料を用いることができる。例えば、Ca、Al、MgAg、AlLi等が望ましい。そして発光層7004は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。複数の層で構成されている場合、陰極7003上に電子注入層、電子輸送層、発光層、ホール輸送層、ホール注入層の順に積層する。なおこれらの層を全て設ける必要はない。陽極7005は光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成し、例えば酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム錫酸化物(以下、ITOと示す。)、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの透光性を有する導電膜を用いても良い。
【0264】
陰極7003及び陽極7005で発光層7004を挟んでいる領域が発光素子7002に相当する。図25(A)に示した画素の場合、発光素子7002から発せられる光は、矢印で示すように陽極7005側に射出する。
【0265】
次に、下面射出構造の発光素子について図25(B)を用いて説明する。駆動用TFT7011がn型で、発光素子7012から発せられる光が陰極7013側に射出する場合の、画素の断面図を示す。図25(B)では、駆動用TFT7011と電気的に接続された透光性を有する導電膜7017上に、発光素子7012の陰極7013が成膜されており、陰極7013上に発光層7014、陽極7015が順に積層されている。なお、陽極7015が透光性を有する場合、陽極上を覆うように、光を反射または遮蔽するための遮蔽膜7016が成膜されていてもよい。陰極7013は、図25(A)の場合と同様に、仕事関数が小さい導電性材料であれば様々な材料を用いることができる。ただしその膜厚は、光を透過する程度(好ましくは、5nm〜30nm程度)とする。例えば20nmの膜厚を有するアルミニウム膜を、陰極7013として用いることができる。そして発光層7014は、図25(A)と同様に、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。陽極7015は光を透過する必要はないが、図25(A)と同様に、透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。そして遮蔽膜7016は、例えば光を反射する金属等を用いることができるが、金属膜に限定されない。例えば黒の顔料を添加した樹脂等を用いることもできる。
【0266】
陰極7013及び陽極7015で、発光層7014を挟んでいる領域が発光素子7012に相当する。図25(B)に示した画素の場合、発光素子7012から発せられる光は、矢印で示すように陰極7013側に射出する。
【0267】
次に、両面射出構造の発光素子について、図25(C)を用いて説明する。図25(C)では、駆動用TFT7021と電気的に接続された透光性を有する導電膜7027上に、発光素子7022の陰極7023が成膜されており、陰極7023上に発光層7024、陽極7025が順に積層されている。陰極7023は、図25(A)の場合と同様に、仕事関数が小さい導電性材料であれば様々な材料を用いることができる。ただしその膜厚は、光を透過する程度とする。例えば20nmの膜厚を有するAlを、陰極7023として用いることができる。そして発光層7024は、図25(A)と同様に、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。陽極7025は、図25(A)と同様に、光を透過する透光性を有する導電性材料を用いて形成することができる。
【0268】
陰極7023と、発光層7024と、陽極7025とが重なっている部分が発光素子7022に相当する。図25(C)に示した画素の場合、発光素子7022から発せられる光は、矢印で示すように陽極7025側と陰極7023側の両方に射出する。
【0269】
なお、ここでは、発光素子として有機EL素子について述べたが、発光素子として無機EL素子を設けることも可能である。
【0270】
なお本実施の形態では、発光素子の駆動を制御する薄膜トランジスタ(駆動用TFT)と発光素子が電気的に接続されている例を示したが、駆動用TFTと発光素子との間に電流制御用TFTが接続されている構成であってもよい。
【0271】
なお本実施の形態で示す半導体装置は、図25に示した構成に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づく各種の変形が可能である。
【0272】
次に、実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタを適用した半導体装置の一形態に相当する発光表示パネル(発光パネルともいう)の外観及び断面について、図26を用いて説明する。図26は、第1の基板上に形成された薄膜トランジスタ及び発光素子を、第2の基板との間にシール材によって封止した、パネルの平面図であり、図26(B)は、図26(A)のH−Iにおける断面図に相当する。
【0273】
第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bを囲むようにして、シール材4505が設けられている。また画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bの上に第2の基板4506が設けられている。よって画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、第1の基板4501とシール材4505と第2の基板4506とによって、充填材4507と共に密封されている。このように外気に曝されないように気密性が高く、脱ガスの少ない保護フィルム(貼り合わせフィルム、紫外線硬化樹脂フィルム等)やカバー材でパッケージング(封入)することが好ましい。
【0274】
また第1の基板4501上に設けられた画素部4502、信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、薄膜トランジスタを複数有しており、図26(B)では、画素部4502に含まれる薄膜トランジスタ4510と、信号線駆動回路4503aに含まれる薄膜トランジスタ4509とを例示している。
【0275】
薄膜トランジスタ4509、4510は、実施の形態1乃至実施の形態4に示す、In−Ga−Zn−O系非単結晶膜を代表とする酸化物半導体層を用いる、電気特性が安定した信頼性の高い薄膜トランジスタを適用することができる。本実施の形態において、薄膜トランジスタ4509、4510はnチャネル型薄膜トランジスタである。
【0276】
また4511は発光素子に相当し、発光素子4511が有する画素電極である第1の電極層4517は、薄膜トランジスタ4510のソース電極層またはドレイン電極層と電気的に接続されている。なお発光素子4511の構成は、第1の電極層4517、電界発光層4512、第2の電極層4513の積層構造であるが、本実施の形態に示した構成に限定されない。発光素子4511から取り出す光の方向などに合わせて、発光素子4511の構成は適宜変えることができる。
【0277】
隔壁4520は、有機樹脂膜、無機絶縁膜または有機ポリシロキサンを用いて形成する。特に感光性の材料を用い、第1の電極層4517上に開口部を形成し、その開口部の側壁が連続した曲率を持って形成される傾斜面となるように形成することが好ましい。
【0278】
電界発光層4512は、単数の層で構成されていても、複数の層が積層されるように構成されていてもどちらでも良い。
【0279】
発光素子4511に酸素、水素、水分、二酸化炭素等が侵入しないように、第2の電極層4513及び隔壁4520上に保護膜を形成してもよい。保護膜としては、窒化シリコン膜、窒化酸化シリコン膜、DLC膜等を形成することができる。
【0280】
また、信号線駆動回路4503a、4503b、走査線駆動回路4504a、4504b、または画素部4502に与えられる各種信号及び電位は、FPC4518a、4518bから供給されている。
【0281】
本実施の形態では、接続端子電極4515が、発光素子4511が有する第1の電極層4517と同じ導電膜から形成され、端子電極4516は、薄膜トランジスタ4509、4510が有するソース電極層及びドレイン電極層と同じ導電膜から形成されている。
【0282】
接続端子電極4515は、FPC4518aが有する端子と、異方性導電膜4519を介して電気的に接続されている。
【0283】
発光素子4511からの光の取り出し方向に位置する、第2の基板4506は透光性でなければならない。その場合には、ガラス板、プラスチック板、ポリエステルフィルムまたはアクリルフィルムのような透光性を有する材料を用いる。
【0284】
また、充填材4507としては窒素やアルゴンなどの不活性な気体の他に、紫外線硬化樹脂または熱硬化樹脂を用いることができ、PVC(ポリビニルクロライド)、アクリル、ポリイミド、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、PVB(ポリビニルブチラル)またはEVA(エチレンビニルアセテート)を用いることができる。本実施の形態は充填材4507として窒素を用いた。
【0285】
また、必要であれば、発光素子の射出面に偏光板、又は円偏光板(楕円偏光板を含む)、位相差板(λ/4板、λ/2板)、カラーフィルタなどの光学フィルムを適宜設けてもよい。また、偏光板又は円偏光板に反射防止膜を設けてもよい。例えば、表面の凹凸により反射光を拡散し、映り込みを低減できるアンチグレア処理を施すことができる。
【0286】
信号線駆動回路4503a、4503b、及び走査線駆動回路4504a、4504bは、別途用意された基板上に単結晶半導体膜又は多結晶半導体膜によって形成された駆動回路で実装されていてもよい。また、信号線駆動回路のみ、或いは一部、又は走査線駆動回路のみ、或いは一部のみを別途形成して実装しても良く、本実施の形態は図26の構成に限定されない。
【0287】
以上の工程により、半導体装置として電気特性が安定した信頼性の高い発光表示装置(表示パネル)を作製することができる。
【0288】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0289】
(実施の形態9)
実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタを適用した半導体装置は、電子ペーパーとして適用することができる。電子ペーパーは、情報を表示するものであればあらゆる分野の電子機器に用いることが可能である。例えば、電子ペーパーを用いて、電子書籍(電子ブック)、ポスター、電車などの乗り物の車内広告、クレジットカード等の各種カードにおける表示等に適用することができる。電子機器の一例を図27、図28に示す。
【0290】
図27(A)は、電子ペーパーで作られたポスター2631を示している。広告媒体が紙の印刷物である場合には、広告の交換は人手によって行われるが、電子ペーパーを用いれば短時間で広告の表示を変えることができる。また、表示も崩れることなく安定した画像が得られる。なお、ポスターは無線で情報を送受信できる構成としてもよい。
【0291】
また、図27(B)は、電車などの乗り物の車内広告2632を示している。広告媒体が紙の印刷物である場合には、広告の交換は人手によって行われるが、電子ペーパーを用いれば人手を多くかけることなく短時間で広告の表示を変えることができる。また表示も崩れることなく安定した画像が得られる。なお、車内広告は無線で情報を送受信できる構成としてもよい。
【0292】
また、図28は、電子書籍2700の一例を示している。例えば、電子書籍2700は、筐体2701および筐体2703の2つの筐体で構成されている。筐体2701および筐体2703は、軸部2711により一体とされており、該軸部2711を軸として開閉動作を行うことができる。このような構成により、紙の書籍のような動作を行うことが可能となる。
【0293】
筐体2701には表示部2705が組み込まれ、筐体2703には表示部2707が組み込まれている。表示部2705および表示部2707は、続き画面を表示する構成としてもよいし、異なる画面を表示する構成としてもよい。異なる画面を表示する構成とすることで、例えば右側の表示部(図28では表示部2705)に文章を表示し、左側の表示部(図28では表示部2707)に画像を表示することができる。
【0294】
また、図28では、筐体2701に操作部などを備えた例を示している。例えば、筐体2701において、電源2721、操作キー2723、スピーカ2725などを備えている。操作キー2723により、頁を送ることができる。なお、筐体の表示部と同一面にキーボードやポインティングディバイスなどを備える構成としてもよい。また、筐体の裏面や側面に、外部接続用端子(イヤホン端子、USB端子、またはACアダプタおよびUSBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成としてもよい。さらに、電子書籍2700は、電子辞書としての機能を持たせた構成としてもよい。
【0295】
また、電子書籍2700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、電子書籍サーバから、所望の書籍データなどを購入し、ダウンロードする構成とすることも可能である。
【0296】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【0297】
(実施の形態10)
実施の形態1乃至実施の形態4に示す薄膜トランジスタを用いた半導体装置は、さまざまな電子機器(遊技機も含む)に適用することができる。電子機器としては、例えば、テレビジョン装置(テレビ、またはテレビジョン受信機ともいう)、コンピュータ用などのモニタ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機(携帯電話、携帯電話装置ともいう)、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、パチンコ機などの大型ゲーム機などが挙げられる。
【0298】
図29(A)は、テレビジョン装置9600の一例を示している。テレビジョン装置9600は、筐体9601に表示部9603が組み込まれている。表示部9603により、映像を表示することが可能である。また、ここでは、スタンド9605により筐体9601を支持した構成を示している。
【0299】
テレビジョン装置9600の操作は、筐体9601が備える操作スイッチや、別体のリモコン操作機9610により行うことができる。リモコン操作機9610が備える操作キー9609により、チャンネルや音量の操作を行うことができ、表示部9603に表示される映像を操作することができる。また、リモコン操作機9610に、当該リモコン操作機9610から出力する情報を表示する表示部9607を設ける構成としてもよい。
【0300】
なお、テレビジョン装置9600は、受信機やモデムなどを備えた構成とする。受信機により一般のテレビ放送の受信を行うことができ、さらにモデムを介して有線または無線による通信ネットワークに接続することにより、一方向(送信者から受信者)または双方向(送信者と受信者間、あるいは受信者間同士など)の情報通信を行うことも可能である。
【0301】
図29(B)は、デジタルフォトフレーム9700の一例を示している。例えば、デジタルフォトフレーム9700は、筐体9701に表示部9703が組み込まれている。表示部9703は、各種画像を表示することが可能であり、例えばデジタルカメラなどで撮影した画像データを表示させることで、通常の写真立てと同様に機能させることができる。
【0302】
なお、デジタルフォトフレーム9700は、操作部、外部接続用端子(USB端子、USBケーブルなどの各種ケーブルと接続可能な端子など)、記録媒体挿入部などを備える構成とする。これらの構成は、表示部と同一面に組み込まれていてもよいが、側面や裏面に備えるとデザイン性が向上するため好ましい。例えば、デジタルフォトフレームの記録媒体挿入部に、デジタルカメラで撮影した画像データを記憶したメモリを挿入して画像データを取り込み、取り込んだ画像データを表示部9703に表示させることができる。
【0303】
また、デジタルフォトフレーム9700は、無線で情報を送受信できる構成としてもよい。無線により、所望の画像データを取り込み、表示させる構成とすることもできる。
【0304】
図30(A)は携帯型遊技機であり、筐体9881と筐体9891の2つの筐体で構成されており、連結部9893により、開閉可能に連結されている。筐体9881には表示部9882が組み込まれ、筐体9891には表示部9883が組み込まれている。また、図30(A)に示す携帯型遊技機は、その他、スピーカ部9884、記録媒体挿入部9886、LEDランプ9890、入力手段(操作キー9885、接続端子9887、センサ9888(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)、マイクロフォン9889)等を備えている。もちろん、携帯型遊技機の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本発明の一態様に係る半導体装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。図30(A)に示す携帯型遊技機は、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出して表示部に表示する機能や、他の携帯型遊技機と無線通信を行って情報を共有する機能を有する。なお、図30(A)に示す携帯型遊技機が有する機能はこれに限定されず、様々な機能を有することができる。
【0305】
図30(B)は大型遊技機であるスロットマシン9900の一例を示している。スロットマシン9900は、筐体9901に表示部9903が組み込まれている。また、スロットマシン9900は、その他、スタートレバーやストップスイッチなどの操作手段、コイン投入口、スピーカなどを備えている。もちろん、スロットマシン9900の構成は上述のものに限定されず、少なくとも本発明の一態様に係る半導体装置を備えた構成であればよく、その他付属設備が適宜設けられた構成とすることができる。
【0306】
図31(A)は、携帯電話機1000の一例を示している。携帯電話機1000は、筐体1001に組み込まれた表示部1002の他、操作ボタン1003、外部接続ポート1004、スピーカ1005、マイク1006などを備えている。
【0307】
図31(A)に示す携帯電話機1000は、表示部1002を指などで触れることで、情報を入力することができる。また、電話を掛ける、或いはメールを打つなどの操作は、表示部1002を指などで触れることにより行うことができる。
【0308】
表示部1002の画面は主として3つのモードがある。第1は、画像の表示を主とする表示モードであり、第2は、文字等の情報の入力を主とする入力モードである。第3は表示モードと入力モードの2つのモードが混合した表示+入力モードである。
【0309】
例えば、電話を掛ける、或いはメールを作成する場合は、表示部1002を文字の入力を主とする文字入力モードとし、画面に表示させた文字の入力操作を行えばよい。この場合、表示部1002の画面のほとんどにキーボードまたは番号ボタンを表示させることが好ましい。
【0310】
また、携帯電話機1000内部に、ジャイロ、加速度センサ等の傾きを検出するセンサを有する検出装置を設けることで、携帯電話機1000の向き(縦か横か)を判断して、表示部1002の画面表示を自動的に切り替えるようにすることができる。
【0311】
また、画面モードの切り替えは、表示部1002を触れること、又は筐体1001の操作ボタン1003の操作により行われる。また、表示部1002に表示される画像の種類によって切り替えるようにすることもできる。例えば、表示部に表示する画像信号が動画のデータであれば表示モード、テキストデータであれば入力モードに切り替える。
【0312】
また、入力モードにおいて、表示部1002の光センサで検出される信号を検知し、表示部1002のタッチ操作による入力が一定期間ない場合には、画面のモードを入力モードから表示モードに切り替えるように制御してもよい。
【0313】
表示部1002は、イメージセンサとして機能させることもできる。例えば、表示部1002に掌や指を触れることで、掌紋、指紋等を撮像することで、本人認証を行うことができる。また、表示部に近赤外光を発光するバックライトまたは近赤外光を発光するセンシング用光源を用いれば、指静脈、掌静脈などを撮像することもできる。
【0314】
図31(B)も携帯電話機の一例である。図31(B)の携帯電話機は、筐体9411に、表示部9412、及び操作ボタン9413を含む表示装置9410と、筐体9401に操作ボタン9402、外部入力端子9403、マイク9404、スピーカ9405、及び着信時に発光する発光部9406を含む通信装置9400とを有しており、表示機能を有する表示装置9410は電話機能を有する通信装置9400と矢印の2方向に脱着可能である。よって、表示装置9410と通信装置9400の短軸同士を取り付けることも、表示装置9410と通信装置9400の長軸同士を取り付けることもできる。また、表示機能のみを必要とする場合、通信装置9400より表示装置9410を取り外し、表示装置9410を単独で用いることもできる。通信装置9400と表示装置9410とは無線通信又は有線通信により画像又は入力情報を授受することができ、それぞれ充電可能なバッテリーを有する。
【0315】
なお、本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示した構成を適宜組み合わせて用いることができることとする。
【実施例1】
【0316】
本実施例では、上記実施の形態で酸化物半導体層及びバッファ層として用いられる酸化物半導体の導電率について評価した結果を示す。
【0317】
本実施例では、アルゴンガスと酸素ガス雰囲気下でスパッタ法を用いて成膜したIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜(以下IGZO膜とよぶ)と、アルゴンガスと窒素ガス雰囲気下でスパッタ法を用いて成膜したIn−Ga−Zn−O−N系非単結晶膜(以下IGZON膜とよぶ)をガラス基板上に成膜した。成膜したIGZO膜及びIGZON膜に逆スパッタ処理、大気雰囲気下での熱処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行い、各処理後シート抵抗値を測定し、導電率を算出した。以下に本実施例における各工程の詳細について説明する。
【0318】
まず、ガラス基板を純水で洗浄した。なお、ガラス基板としては、商品名Eagle2000(コーニング社製、無アルカリガラス)を使用した。次に、ガラス基板上にIGZO膜及びIGZON膜をそれぞれ成膜した。IGZO膜の成膜は、ターゲットとしてIn:Ga:ZnO=1:1:1の割合で含む酸化物半導体を用いて、基板とターゲットの間との距離を60mm、圧力0.4Pa、直流(DC)電源0.5kW、膜厚50nm、成膜ガス流量Ar:O=30:15(sccm)、成膜温度を室温として行った。また、IGZONの成膜は成膜ガス流量をAr:N=35:5(sccm)とし、他の条件はIGZO膜の成膜と同様にして行った。なおIGZO膜及びIGZON膜は、膜厚が約50nmとなるように成膜し、実際の膜厚については成膜後エリプソ測定により測定した。次にシート抵抗測定器により、IGZO膜及びIGZON膜のシート抵抗値を測定した。なお、導電率は、シート抵抗値と膜厚から求められる。
【0319】
次にIGZO膜及びIGZON膜に、Arガス流量50sccm、圧力0.6Pa、直流(DC)電源0.2kW、処理時間3分として逆スパッタ処理を行った。逆スパッタの後にIGZO膜及びIGZON膜のシート抵抗値を測定し、導電率を求めた。
【0320】
次にIGZO膜及びIGZON膜に、処理温度350℃、処理時間1時間として大気雰囲気下での熱処理(以下大気ベークとよぶ)及び処理温度、処理時間は同様で窒素雰囲気下での熱処理(以下窒素ベークとよぶ)を繰り返し行った。熱処理はプロセスA及びプロセスBの2通りの方法で行った。プロセスAは逆スパッタ処理の後、大気ベークを行い、次に窒素ベークを行い、次に第2の大気ベークを行い、最後に第2の窒素ベークを行った。プロセスBは逆スパッタ処理の後、窒素ベークを行い、次に大気ベークを行い、最後に第2の窒素ベークを行った。つまりプロセスBは、プロセスAの最初の大気ベークを省いたプロセスとなっている。
【0321】
【表1】

【0322】
【表2】

【0323】
表1は、プロセスAにおけるIGZO膜及びIGZON膜の導電率を示したものであり、表2は、プロセスBにおけるIGZO膜及びIGZON膜の導電率を示したものである。表1、表2ともに導電率の単位は、S/cmである。また、シート抵抗測定器で測定できないほどシート抵抗値が高い膜については、導電率を<<0.01S/cmとしている。
【0324】
表1、表2より、同一工程を経たIGZO膜とIGZON膜を比較すると、IGZON膜の方が導電率が高くなっている。また、逆スパッタ処理を行うとIGZO膜及びIGZON膜の導電率は向上している。また、大気ベークを行うとIGZO膜及びIGZON膜の導電率は低減され、窒素ベークを行うと導電率が向上している。特に表2に示すプロセスBの1回目の窒素ベーク後のIGZO膜及びIGZON膜の導電率は他と比べ格段に高くなっている。
【0325】
また、表1に示すプロセスAの1回目の窒素ベーク後のIGZO膜及びIGZON膜の導電率と、表2に示すプロセスBの2回目の窒素ベーク後のIGZO膜及びIGZON膜の導電率とを比較すると、プロセスA、プロセスBともに大気ベークにより導電率が0.01S/cm以下になっていたにもかかわらず、後者の方がIGZO膜、IGZON膜ともに導電率が高くなっている。このことから、IGZO膜及びIGZON膜の導電率は、成膜後最初の熱処理における雰囲気が、大気雰囲気下なら低くなり、窒素雰囲気なら高くなると分かる。さらに、成膜後異なる雰囲気下で複数回熱処理を行っても、成膜後最初に熱処理を行ったときの雰囲気によって、後の異なる雰囲気下における熱処理の効果が低減されることが推測される。
【0326】
以上より、上記実施の形態において、バッファ層としては、アルゴンガスと窒素ガス雰囲気下で成膜したIn−Ga−Zn−O−N系非単結晶膜が好ましい。さらに、逆スパッタ処理を施し、窒素雰囲気下で熱処理したものが好ましい。これによって、バッファ層の導電率を向上し、酸化物半導体層とソース電極層又はドレイン電極層との間でオーミック接合を形成し、薄膜トランジスタの電気特性を安定させることができる。酸化物半導体層を大気雰囲気下で熱処理する場合、その前に窒素雰囲気下での熱処理を行うのが好ましい。また、酸化物半導体層としては、アルゴンガスと酸素ガス雰囲気下で成膜したIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜を大気雰囲気下で熱処理したものを用いると、酸化物半導体層の導電率を低減し、オフ電流を低減することができる。また、酸化物半導体層としては、アルゴンガスと酸素ガス雰囲気下で成膜したIn−Ga−Zn−O系非単結晶膜を窒素雰囲気下で熱処理したものを用いると、酸化物半導体層の導電率を向上し、オン電流を増加することができる。よって、酸化物半導体層の熱処理雰囲気は、目的に応じて適宜変更すればよい。
【符号の説明】
【0327】
100 基板
101 ゲート電極層
102 ゲート絶縁層
103 酸化物半導体層
105a ソース電極層又はドレイン電極層
105b ソース電極層又はドレイン電極層
106 バッファ層
106a バッファ層
106b バッファ層
107 保護絶縁層
108 容量配線
110 画素電極層
111 第1の酸化物半導体膜
112 導電膜
113 第2の酸化物半導体膜
115 導電層
120 接続電極
121 端子
122 端子
124 端子
125 コンタクトホール
126 コンタクトホール
127 コンタクトホール
128 透明導電膜
129 透明導電膜
131 レジストマスク
132 レジストマスク
150 端子
151 端子
152 ゲート絶縁層
153 接続電極
154 保護絶縁層
155 透明導電膜
156 電極
170 薄膜トランジスタ
201 ゲート電極層
300 高導電性酸化物半導体層
400 基板
401a 第1のゲート電極層
401b 第2のゲート電極層
402 ゲート絶縁層
403a 第1の酸化物半導体層
403b 第2の酸化物半導体層
404a 第1のバッファ層
404b 第1のバッファ層
405a 第1配線
405b 第2配線
405c 第3配線
406a 第2のバッファ層
406b 第2のバッファ層
414コンタクトホール
430a 第1の薄膜トランジスタ
430b 第2の薄膜トランジスタ
580 基板
596 基板
581 薄膜トランジスタ
583 絶縁層
584 絶縁層
585 絶縁層
587 電極層
588 電極層
589 球形粒子
590a 黒色領域
590b 白色領域
594 キャビティ
595 充填材
1000 携帯電話機
1001 筐体
1002 表示部
1003 操作ボタン
1004 外部接続ポート
1005 スピーカ
1006 マイク
2600 TFT基板
2601 対向基板
2602 シール材
2603 画素部
2604 表示素子
2605 着色層
2606 偏光板
2607 偏光板
2608 配線回路部
2609 フレキシブル配線基板
2610 冷陰極管
2611 反射板
2612 回路基板
2613 拡散板
2631 ポスター
2632 車内広告
2700 電子書籍
2701 筐体
2703 筐体
2705 表示部
2707 表示部
2711 軸部
2721 電源
2723 操作キー
2725 スピーカ
4001 基板
4002 画素部
4003 信号線駆動回路
4004 走査線駆動回路
4005 シール材
4006 基板
4008 液晶層
4010 薄膜トランジスタ
4011 薄膜トランジスタ
4013 液晶素子
4015 接続端子電極
4016 端子電極
4018 FPC
4019 異方性導電膜
4020 絶縁層
4021 絶縁層
4030 画素電極層
4031 対向電極層
4032 絶縁層
4501 基板
4502 画素部
4503a 信号線駆動回路
4504a 走査線駆動回路
4505 シール材
4506 基板
4507 充填材
4509 薄膜トランジスタ
4510 薄膜トランジスタ
4511 発光素子
4512 電界発光層
4513 電極層
4515 接続端子電極
4516 端子電極
4517 電極層
4518a FPC
4519 異方性導電膜
4520 隔壁
5300 基板
5301 画素部
5302 走査線駆動回路
5303 信号線駆動回路
5400 基板
5401 画素部
5402 走査線駆動回路
5403 信号線駆動回路
5404 走査線駆動回路
5501 配線
5502 配線
5503 配線
5504 配線
5505 配線
5506 配線
5543 ノード
5544 ノード
5571 薄膜トランジスタ
5572 薄膜トランジスタ
5573 薄膜トランジスタ
5574 薄膜トランジスタ
5575 薄膜トランジスタ
5576 薄膜トランジスタ
5577 薄膜トランジスタ
5578 薄膜トランジスタ
5601 ドライバIC
5602 スイッチ群
5603a 薄膜トランジスタ
5603b 薄膜トランジスタ
5603c 薄膜トランジスタ
5611 配線
5612 配線
5613 配線
5621 配線
5701 フリップフロップ
5703a タイミング
5703b タイミング
5703c タイミング
5711 配線
5712 配線
5713 配線
5714 配線
5715 配線
5716 配線
5717 配線
5721 信号
5803a タイミング
5803b タイミング
5803c タイミング
5821 信号
6400 画素
6401 スイッチング用トランジスタ
6402 駆動用トランジスタ
6403 容量素子
6404 発光素子
6405 信号線
6406 走査線
6407 電源線
6408 共通電極
7001 TFT
7002 発光素子
7003 陰極
7004 発光層
7005 陽極
7011 駆動用TFT
7012 発光素子
7013 陰極
7014 発光層
7015 陽極
7016 遮蔽膜
7017 導電膜
7021 駆動用TFT
7022 発光素子
7023 陰極
7024 発光層
7025 陽極
7027 導電膜
9400 通信装置
9401 筐体
9402 操作ボタン
9403 外部入力端子
9404 マイク
9405 スピーカ
9406 発光部
9410 表示装置
9411 筐体
9412 表示部
9413 操作ボタン
9600 テレビジョン装置
9601 筐体
9603 表示部
9605 スタンド
9607 表示部
9609 操作キー
9610 リモコン操作機
9700 デジタルフォトフレーム
9701 筐体
9703 表示部
9881 筐体
9882 表示部
9883 表示部
9884 スピーカ部
9885 入力手段(操作キー
9886 記録媒体挿入部
9887 接続端子
9888 センサ
9889 マイクロフォン
9890 LEDランプ
9891 筐体
9893 連結部
9900 スロットマシン
9901 筐体
9903 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲート電極層と、前記ゲート電極層上にゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上に第1のバッファ層及び第2のバッファ層と、前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層とを有し、
前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層は、前記酸化物半導体層より導電率が高く、逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことによって形成され、
前記酸化物半導体層と前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層とは前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層を介して電気的に接続することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
ゲート電極層と、前記ゲート電極層上にゲート絶縁層と、前記ゲート絶縁層上に高導電性酸化物半導体層と、前記高導電性酸化物半導体層の上に酸化物半導体層と、前記酸化物半導体層上に第1のバッファ層及び第2のバッファ層と、前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層の上にソース電極層及びドレイン電極層とを有し、
前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層は、前記酸化物半導体層より導電率が高く、逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことによって形成され、
前記高導電性酸化物半導体層は、前記酸化物半導体層より導電率が高く、逆スパッタ処理及び窒素雰囲気下での熱処理を行うことによって形成され、
前記酸化物半導体層と前記ソース電極層及び前記ドレイン電極層とは前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層を介して電気的に接続することを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記高導電性酸化物半導体層は、酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項2において、
前記高導電性酸化物半導体層は、窒素を含む酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層は、酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項4のいずれか一項において、
前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層は、窒素を含む酸化物半導体からなる非単結晶膜を用いることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記酸化物半導体層は、窒素雰囲気下で熱処理を行って形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記酸化物半導体層は、大気雰囲気下で熱処理を行って形成されることを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記酸化物半導体層は、前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層の間に、前記第1のバッファ層及び前記第2のバッファ層と重なる領域よりも膜厚の薄い領域を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項において、
前記ゲート電極層のチャネル方向の幅が前記酸化物半導体層のチャネル方向の幅より狭いことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
基板上にゲート電極層を形成し、
前記ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上に、第1の酸化物半導体膜をスパッタ法によって成膜し、
前記第1の酸化物半導体膜に熱処理を行い、
前記第1の酸化物半導体膜上に、スパッタ法によって第2の酸化物半導体膜を成膜し、
前記第2の酸化物半導体膜に逆スパッタ処理を施し、
前記第2の酸化物半導体膜に窒素雰囲気下での熱処理を行い、
前記第1の酸化物半導体膜及び前記第2の酸化物半導体膜をエッチングして酸化物半導体層及び第1のバッファ層を形成し、
前記酸化物半導体層及び前記第1のバッファ層の上に導電膜を成膜し、
前記導電膜及び前記第1のバッファ層をエッチングしてソース電極層及びドレイン電極層、第2のバッファ層及び第3のバッファ層を形成し、
前記酸化物半導体層に熱処理を行い、
前記第2のバッファ層及び前記第3のバッファ層の導電率は、前記酸化物半導体層の導電率より高くなることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項12】
基板上にゲート電極層を形成し、
前記ゲート電極層上にゲート絶縁層を形成し、
前記ゲート絶縁層上に、第1の酸化物半導体膜をスパッタ法によって成膜し、
前記第1の酸化物半導体膜に熱処理を行い、
前記第1の酸化物半導体膜上に、スパッタ法によって第2の酸化物半導体膜を成膜し、
前記第2の酸化物半導体膜に窒素雰囲気下での熱処理を行い、
前記第2の酸化物半導体膜に逆スパッタ処理を施し、
前記第1の酸化物半導体膜及び前記第2の酸化物半導体膜をエッチングして酸化物半導体層及び第1のバッファ層を形成し、
前記酸化物半導体層及び前記第1のバッファ層の上に導電膜を成膜し、
前記導電膜及び前記第1のバッファ層をエッチングしてソース電極層及びドレイン電極層、第2のバッファ層及び第3のバッファ層を形成し、
前記酸化物半導体層に熱処理を行い、
前記第2のバッファ層及び前記第3のバッファ層の導電率は、前記酸化物半導体層の導電率より高くなることを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項13】
請求項11又は請求項12において、
前記第1の酸化物半導体膜に窒素雰囲気下での熱処理を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項14】
請求項11又は請求項12において、
前記第1の酸化物半導体膜に大気雰囲気下での熱処理を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項15】
請求項11乃至請求項14のいずれか一項において、
前記酸化物半導体層に窒素雰囲気下での熱処理を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項16】
請求項11乃至請求項14のいずれか一項において、
前記酸化物半導体層に大気雰囲気下での熱処理を行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項17】
請求項11乃至請求項16のいずれか一項において、
前記第1の酸化物半導体膜の熱処理は、250℃以上500℃以下で行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項18】
請求項11乃至請求項17のいずれか一項において、
前記第2の酸化物半導体膜の窒素雰囲気下での熱処理は、250℃以上500℃以下で行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項19】
請求項11乃至請求項18のいずれか一項において、
前記酸化物半導体層の熱処理は、250℃以上500℃以下で行うことを特徴とする半導体装置の作製方法。
【請求項20】
請求項11乃至請求項19のいずれか一項において、
前記第2の酸化物半導体膜を希ガスと窒素ガスの雰囲気下で成膜することを特徴とする半導体装置の作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2011−9724(P2011−9724A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−119111(P2010−119111)
【出願日】平成22年5月25日(2010.5.25)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】