説明

車両の制御装置

【課題】車両のドライバビリティを低下させることなく、バウンシングおよびピッチングを適切に抑制することのできる車両の制御装置を提供する。
【解決手段】車体のピッチングもしくはバウンシングの状態に応じて、それらピッチングもしくはバウンシングを抑制するために算出される駆動力配分比に基づいて駆動力発生機構により前後輪に駆動力もしくは制動力を発生させる車両の制御装置において、駆動力配分比に基づいて前後輪のいずれか一方に発生させる駆動力もしくは制動力が0近傍となる場合に、駆動力発生機構とは別のブレーキ機構を制御して一方の車輪に所定の制動力を発生させるとともに、その所定の制動力を打ち消す駆動力を、当初の0近傍の駆動力もしくは制動力に加えて、駆動力発生機構を制御して一方の車輪に発生させる駆動力変更手段(ステップS5〜S7)を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に要求される総駆動力に対して前輪で発生させる駆動力もしくは制動力と後輪で発生させる駆動力もしくは制動力との配分比を制御することにより車両の挙動を制御する車両の制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、電気自動車の一形態として、車輪のホイール内部もしくはその近傍にモータを配置し、そのモータにより車輪を直接駆動する、いわゆるインホイールモータ方式の車両が開発されている。このインホイールモータ方式の車両の利点として、各車輪(駆動輪)毎に設けたモータを個別に回転制御すること、すなわち各モータを個別に力行制御もしくは回生制御することにより、各駆動輪に付与する駆動トルクもしくは制動トルクを個別に制御して、車両の駆動力および制動力を走行状態に応じて適宜に制御することができる点、また、従来のエンジンやトランスミッションなどのドライブトレーンを排除することにより、車両の室内やトランクルームなどの空間を広くできる点などが挙げられる。
【0003】
そのうち、各車輪に付与する駆動トルクもしくは制動トルクを個別に制御できる点を利用して、バウンシングやピッチングなどの車両の挙動変化を抑制するようにした走行装置に関する発明が特許文献1に記載されている。この特許文献1に記載された走行装置は、懸架装置のばね上における荷重変化を抑制する条件で、前輪用懸架装置のばね上における荷重と前輪用懸架装置のばね上に作用する前輪の駆動反力と車両の総駆動力との関係、および、後輪用懸架装置のばね上における荷重と後輪用懸架装置のばね上に作用する後輪の駆動反力と車両の総駆動力との関係から、前輪と後輪との間における駆動力の配分比を求め、その配分比に基づいて前輪および後輪を駆動するように構成されている。
【0004】
また、この特許文献1に記載された走行装置は、車両のバウンシングを抑制する駆動力の配分比とピッチングを抑制する駆動力の配分比とを、懸架装置のばね上における荷重変化に応じて切り替えるように構成されていて、そして、その配分比を、懸架装置の瞬間回転中心位置の変化を考慮して補正するようになっている。
【0005】
【特許文献1】特開2007−161032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のように、特許文献1に記載されている走行装置によれば、車両の挙動を制御する際の前輪と後輪とに対する駆動力の配分比が、バウンシングを抑制する場合とピッチングを抑制する場合とで変更されて選択的に設定される。また、その駆動力の配分比は、懸架装置の瞬間回転中心位置の変化、すなわち懸架装置の瞬間回転中心角の変化を考慮して補正されて変更される。
【0007】
したがって、特許文献1に記載されている走行装置では、走行中に、車両の走行状態や車両の挙動が変動することにより、バウンシングもしくはピッチングを抑制するための駆動力の配分比も変化し、前後輪のいずれか一方に対する駆動力の配分比が0(零)近傍の値、言い換えると、前後輪のいずれか一方で発生させる駆動力が0近傍の値になる場合がある。その場合は、その一方の駆動輪で発生させる駆動力が0を境に正負に繰り返し変化する可能性がある。すなわち、一方の駆動輪では駆動力と制動力とを交互に繰り返し発生させることになる可能性がある。例えば、駆動輪がインホイールモータなどの電動機で駆動される構成の場合は、電動機は力行状態での回転制御と回生状態での回転制御とが交互に繰り返し実行されることになり、制御のハンチングが生じてしまう可能性がある。
【0008】
このように、前後輪に対する駆動力の配分比を制御してバウンシングやピッチングなどの車両挙動の変動を抑制する際に、一方の駆動輪に対する駆動力の配分比が0近傍の値になると、制御のハンチングが発生して駆動輪で駆動と制動が繰り返されることにより、乗員にショックや違和感を与えてしまったり、あるいは動力源と駆動輪との間の伝動歯車でがたつき音が発生するなどして、車両のドライバビリティが低下してしまう。そのため、ドライバビリティを低下させることなく、前後輪に対する駆動力の配分比を制御してバウンシングやピッチングなどの車両挙動の変動を適切に抑制するためには、未だ改良の余地があった。
【0009】
この発明は上記の技術的課題に着目してなされたものであり、車両のドライバビリティを低下させることなく、バウンシングやピッチングなどの車両挙動の変動を適切に抑制することのできる車両の制御装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、少なくとも前輪と後輪とをそれぞれ独立して車体に支持するサスペンション機構と、少なくとも前記前輪と前記後輪とにそれぞれ独立して駆動力もしくは制動力を発生させる駆動力発生機構と、前記車体のピッチングもしくはバウンシングの状態に応じて、該ピッチングもしくはバウンシングを抑制するために、車両に要求される総駆動力に対して前記前輪に発生させる駆動力もしくは制動力と前記後輪に発生させる駆動力もしくは制動力との比率である駆動力配分比を算出する駆動力配分比算出手段とを備え、前記駆動力配分比に基づいて前記駆動力発生機構を制御して前記前後輪に駆動力もしくは制動力を発生させる車両の制御装置において、前記駆動力発生機構より前記前後輪に発生させる制動力とは別に、少なくとも前記前輪と前記後輪とにそれぞれ独立して制動力を発生させるブレーキ機構と、前記駆動力配分比に基づいて前記前後輪のいずれか一方に発生させる駆動力もしくは制動力が0近傍の値であることを検出する駆動力検出手段と、前記駆動力検出手段により前記一方の車輪に発生させる駆動力もしくは制動力が0近傍の値であることが検出された場合に、前記ブレーキ機構を制御して前記一方の車輪に所定の制動力を発生させるとともに、該所定の制動力と大きさが等しいもしくはほぼ等しい駆動力を、前記0近傍の駆動力もしくは制動力に加えて、前記駆動力発生機構を制御して前記一方の車輪に発生させる駆動力変更手段とを備えていることを特徴とする制御装置である。
【0011】
また、請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記駆動力発生機構は、少なくとも前記前輪と前記後輪とにそれぞれ動力伝達可能に連結された電動機の回転を制御することにより、少なくとも前記前輪と前記後輪とにそれぞれ独立して駆動トルクもしくは制動トルクを付与する機構を含むことを特徴とする制御装置である。
【0012】
そして、請求項3の発明は、請求項2の発明において、前記電動機は、前記前後輪と共に前記サスペンション機構を介して前記車体に支持され、かつ前記前後輪のホイールにそれぞれ内蔵されるインホイールモータを含むことを特徴とする制御装置である。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明によれば、ピッチングやバウンシングなどの車両挙動の変動を抑制するために、前後輪においてそれぞれ独立して発生させる駆動力もしくは制動力の前後の駆動力配分比、言い換えると、走行のために車両に要求される総駆動力を前輪と後輪とで分担して発生させる際の(もしくは分担率、分配率)として駆動力配分比が求められる。そして、その前後の駆動力配分比に基づいて、前後輪で駆動力もしくは制動力を発生させることにより、車両のピッチングもしくはバウンシングが抑制される。
【0014】
上記の駆動力配分比は、車両の走行状態やピッチングもしくはバウンシングの状態に応じて随時変動するため、前後輪いずれか一方の駆動力配分比が0(零)近傍の値になると、その一方の駆動力配分比が0を挟んで正負の値に随時変動することになる。すなわち、前後輪いずれか一方の駆動力配分比が0近傍の値になると、その一方の車輪で発生させる駆動力もしくは制動力も0近傍の値となり、その一方の車輪では0を挟んで駆動力と制動力とが交互に繰り返し発生させられることになる。そこで、請求項1の発明では、前後輪いずれか一方の駆動力配分比が0近傍の値になり、その一方の車輪に発生させる駆動力もしくは制動力が0近傍の値になると、その一方の車輪に所定の制動力を生じさせるための制動トルクが、駆動力発生機構とは別の制動装置であるブレーキ機構により付与される。そして併せて、その一方の車輪に前記の所定の制動力とほぼ同じ大きさの駆動力を生じさせるための駆動トルクが、駆動力発生機構により付与される。
【0015】
したがって、駆動力配分比が0近傍の値となる一方の車輪では、駆動力配分比に基づいて算出された当初の0近傍の駆動力もしくは制動力に、ブレーキ機構による所定の制動力と大きさがほぼ等しい駆動力分、言い換えると、ブレーキ機構による所定の制動力を相殺する駆動力分が付加された駆動力を発生させることになる。その結果、駆動力配分比が0近傍の値となった一方の車輪では、0近傍ではない所定の大きさの駆動力を発生させることになり、駆動力と制動力とが0を境に交互に繰り返し発生させられる事態、すなわち駆動力を制御する際の制御のハンチングが回避される。そのため、制御のハンチングによるショックや違和感あるいはがたつき音などの発生を回避もしくは抑制することができ、車両のドライバビリティを低下させることなく、ピッチングおよびバウンシングを適切に抑制することができる。
【0016】
また、請求項2の発明によれば、前後輪にそれぞれ独立して動力伝達可能な電動機が設けられる。そのため、その電動機の回転を制御することにより、すなわちその電動機を力行制御もしくは回生制御することにより、前後輪にそれぞれ駆動トルクもしくは制動トルクを付与し、その駆動トルクもしくは制動トルクに応じた駆動力もしくは制動力を前後輪にそれぞれ発生させることができる。その結果、車両の駆動力もしくは制動力を容易に前後輪でそれぞれ独立して発生させることができる。
【0017】
そして、請求項3の発明によれば、前後輪にそれぞれ独立して駆動トルクもしくは制動トルクを付与する電動機として、インホイールモータが搭載される。そのため、車両の駆動力もしくは制動力を一層容易に前後輪でそれぞれ独立して発生させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
つぎに、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。まず、この発明で対象とする車両の構成および制御系統を図1に示す。この図1に示す車両Veは、左右の前輪1,2および左右の後輪3,4を有している。そして、前輪1,2は、互いにもしくはそれぞれ独立してサスペンション機構5,6を介して車両Veの車体Boに支持されていて、後輪3,4は、互いにもしくはそれぞれ独立してサスペンション機構7,8を介して車両Veの車体Boに支持されている。
【0019】
各サスペンション機構5,〜8は、例えば、ショックアブソーバを内蔵したストラットおよびコイルスプリングおよびサスペンションアームなどから構成されるストラット形サスペンションや、コイルスプリングおよびショックアブソーバおよび上下のサスペンションアームなどから構成されるウィッシュボーン形サスペンションなどの公知のサスペンションであって、それら各種サスペンションが適宜に選択されて設置されている。
【0020】
前輪1,2のホイール内部には電動機9,10が、また後輪3,4のホイール内部には電動機11,12が、それぞれ組み込まれていて、それぞれ前輪1,2および後輪3,4に動力伝達可能に連結されている。すなわち、それら前輪1,2の電動機9,10および後輪3,4の電動機11,12は、いわゆるインホイールモータ9,〜12であり、前輪1,2および後輪3,4と共に車両Veのばね下に配置されている。そして、各インホイールモータ9,〜12の回転をそれぞれ独立して制御することにより、前輪1,2および後輪3,4に発生させる駆動力および制動力をそれぞれ独立して制御することができるようになっている。
【0021】
これらの各インホイールモータ9,〜12は、例えば交流同期モータにより構成されていて、インバータ13を介してバッテリやキャパシタなどの蓄電装置14に接続されている。したがって、各インホイールモータ9,〜12の駆動時には、蓄電装置14の直流電力がインバータ13によって交流電力に変換され、その交流電力が各インホイールモータ9,〜12に供給されることにより各インホイールモータ9,〜12が力行されて、前輪1,2および後輪3,4に駆動トルクが付与される。また、各インホイールモータ9,〜12は前輪1,2および後輪3,4の回転エネルギを利用して回生制御することも可能である。すなわち、各インホイールモータ9,〜12の回生・発電時には、前輪1,2および後輪3,4の回転(運動)エネルギが各インホイールモータ9,〜12によって電気エネルギに変換され、その際に生じる電力がインバータ13を介して蓄電装置14に蓄電される。このとき、前輪1,2および後輪3,4には回生・発電力に基づく制動トルクが付与される。
【0022】
また、各車輪1,〜4と、それらに対応する各インホイールモータ9,〜12との間には、それぞれ、ブレーキ機構15,16,17,18が設けられている。各ブレーキ機構15,〜18は、例えば、ディスクブレーキあるいはドラムブレーキなどの公知の制動装置であって、それら各種の制動装置が適宜に選択されて設置されている。そして、これらのブレーキ機構15,〜18は、例えば、マスタシリンダ(図示せず)から圧送される油圧により、各車輪1,〜4に制動力を生じさせるブレーキキャリパのピストン(図示せず)あるいはブレーキシュー(図示せず)などを動作させるブレーキアクチュエータ19に接続されている。
【0023】
上記のインバータ13およびブレーキアクチュエータ19は、各インホイールモータ9,〜12の回転状態、あるいはブレーキアクチュエータ19の動作状態などを制御する電子制御装置(ECU)20にそれぞれ接続されている。
【0024】
この電子制御装置20には、例えば、アクセルペダルの踏み込み量(もしくは角度、圧力)などから運転者のアクセル操作量を検出するアクセルセンサ21、ブレーキペダルの踏み込み量(もしくは角度、圧力)などから運転者のブレーキ操作量を検出するブレーキセンサ22、車体Boの上下方向におけるばね上変位加速度を検出する上下加速度センサ23、各サスペンション機構5,〜8のストローク量を検出するストロークセンサ24、あるいは、車速センサ、各駆動輪1,2,3,4の回転数センサ、蓄電装置14の充電量を検知するセンサ(いずれも図示せず)などの各種センサ類からの信号、およびインバータ13からの信号が入力されるように構成されている。
【0025】
このうち、アクセルセンサ21およびブレーキセンサ22から入力される信号に基づいて、運転者のアクセル操作量およびブレーキ操作量に応じた要求駆動力もしくは要求制動力、すなわち車両Veを走行もしくは制動させるための総駆動力が演算されて求められる。また、インバータ13から入力される信号に基づいて、各インホイールモータ9,〜12の出力トルク(モータトルク)がそれぞれ演算されて求められる。例えば、インバータ13からの入力信号により、各インホイールモータ9,〜12が力行制御されていることを検出した場合に、その際に各インホイールモータ9,〜12へ供給される電力量あるいは電流値を検出し、それに基づいて各インホイールモータ9,〜12のモータトルクをそれぞれ算出することができる。また、上下加速度センサ23およびストロークセンサ24から入力される信号に基づいて、車体Boに発生したバウンシングおよびピッチングを検出することができる。
【0026】
これに対して、電子制御装置20からは、インバータ13を介して各インホイールモータ9,〜12の回転をそれぞれ制御する信号、ブレーキアクチュエータ19を介して各ブレーキ機構15,〜18の動作をそれぞれ制御する信号が出力されるように構成されている。
【0027】
したがって、上記のアクセルセンサ21およびブレーキセンサ22からの信号に基づいて車両Veに要求される総駆動力が求められ、その総駆動力を発生させるように、各インホイールモータ9,〜12の力行・回生状態、およびブレーキアクチュエータ19すなわち各ブレーキ機構15,〜18の動作状態が制御されるようになっている。
【0028】
また、上記の上下加速度センサ23あるいはストロークセンサ24からの信号に基づいて車両Veのバウンシングおよびピッチングが検出され、そのバウンシングもしくはピッチングの状態に応じて、具体的には、車両Veに発生したバウンシングもしくはピッチングを抑制するように、車両Veに要求される総駆動力に対して前輪1,2で発生させる駆動力(もしくは制動力)と、後輪3,4で発生させる駆動力(もしくは制動力)との比率である駆動力配分比が求められる。そして、その駆動力配分比に基づいて、各インホイールモータ9,〜12の力行・回生状態、および各ブレーキ機構15,〜18の動作状態が制御されるようになっている。
【0029】
前述したように、各インホイールモータ9,〜12の力行・回生状態および各ブレーキ機構15,〜18の動作状態を制御する際に設定される駆動力配分比は、車両Veの走行状態やバウンシングもしくはピッチングの状態に応じて随時変動する。具体的には、例えば図2に示すような、各サスペンション機構5,〜8の車両Veの側面視における各瞬間回転中心Cf,Crの位置が変動することにより駆動力配分比の値も変化する。したがって、駆動力配分比は車両Veの走行中は常に変化していて、前輪1,2と後輪3,4とのいずれか一方に対する駆動力配分比が0(零)もしくは0(零)近傍の値となる場合がある。駆動力配分比が0もしくは0近傍の値になると、その一方の車輪1,2(もしくは3,4)では、0を挟んで駆動力と制動力とが交互に繰り返し発生させられることになり、その結果、乗員にショックや違和感を与えてしまい、車両Veのドライバビリティが低下してしまう可能性がある。そこで、この発明の車両Veの制御装置は、ドライバビリティを低下させることなく、バウンシングおよびピッチングを適切に抑制することができるように、以下の制御を実行するように構成されている。
【0030】
図3は、その制御例を説明するためのフローチャートであって、このフローチャートで示されるルーチンは、所定の短時間毎に繰り返し実行される。また、この制御例は、車両Veにピッチングもしくはバウンシングが発生した際に、そのピッチングもしくはバウンシングを抑制する制御を対象としている。すなわち、前述の上下加速度センサ23あるいはストロークセンサ24により車両Veのピッチングもしくはバウンシングが検出され、その検出されたピッチングもしくはバウンシングが、車両Veのドライバビリティに影響する可能性があり、抑制する必要があると判断された場合にこの制御が実行される。
【0031】
図3において、先ず、従来のピッチング抑制制御もしくはバウンシング抑制制御により、前輪1,2に発生させる駆動力と、後輪3,4に発生させる駆動力とが算出される(ステップS1)。これは、前述したように、先ず、運転者のアクセル操作およびブレーキ操作に基づいて、車両Veを走行もしくは制動させるための総駆動力が求められ、その総駆動力を前輪1,2と後輪3,4とで分担して発生させる際に、車両Veに発生したピッチングもしくはバウンシングを抑制するように、前輪1,2と後輪3,4とで駆動力を分担する比率すなわち前輪1,2と後輪3,4との駆動力配分比が求められる。そして、その駆動力配分比に基づいて、前輪1,2に発生させる駆動力と、後輪3,4に発生させる駆動力とが求められる。
【0032】
このうち、ピッチング抑制制御の際に各車輪1,〜4で発生させる駆動力の算出方法を説明すると、例えば、前述の図2に示すように、車両VeのホイールベースLに対して車両Veの前後方向(図2の左右方向)における車両Veの重心Cgと前輪1,2の車軸との間の距離をLf、ホイールベースLに対して車両Veの重心Cgと後輪3,4の車軸との間の距離をLr、前輪1,2のサスペンション機構5,6の瞬間回転角をθf、後輪3,4のサスペンション機構7,8の瞬間回転角をθrとし、車両Veの総駆動力(すなわち要求駆動力)Fに対して前輪1,2で発生させる駆動力をFf、総駆動力Fに対して後輪3,4で発生させる駆動力をFr、前輪1,2で発生させる駆動力Ffの車両Veの高さ方向(図2の上下方向)の分力をFf1、後輪3,4で発生させる駆動力Frの車両Veの高さ方向の分力をFr1、前輪1,2の車軸に作用するばね上フロント荷重をWf、後輪3,4の車軸に作用するばね上リア荷重をWr、前輪1,2の車軸に作用するばね上フロント側静荷重をWf0、後輪3,4の車軸に作用するばね上リア側静荷重をWr0、車両Veの重心Cgの高さ(すなわち車両Veの高さ方向における重心Cgの位置)をh、車体Boのピッチング方向における角加速度をP"、そして車体Boのピッチング方向における慣性モーメントをIpとすると、以下の(1)ないし(3)式の関係が成立する。
Ip×P"=Wr×Lr−Wf×Lf ・・・・・(1)
Wf=Wf0−h×F/L+Ff1 ・・・・・(2)
Wr=Wr0+h×F/L−Fr1 ・・・・・(3)
ここで、車体Boのピッチング方向における角加速度P"が0となるように、すなわち、「Wr×Lr−Wf×Lf=0」として、駆動力Ffと駆動力Frとの関係について解くと、
Fr={(h−Lf×tanθf)/(Lr×tanθr−h)}×Ff ・・・・(4)
で表される関係が成立する。
【0033】
上記のようにして得られた(4)式の関係を、前輪1,2で発生させる駆動力Ffを横軸に、後輪3,4で発生させる駆動力Frを縦軸に取った直交座標上に示すと、図4において直線l1により表すことができる。そして、この直線l1と、図4の直交座標上で車両Veの総駆動力F(=Ff+Fr)を表した直線l0との交点Aから、車両Veに発生したピッチングを抑制するための駆動力配分比が求められ、その駆動力配分比に基づいて、ピッチングを抑制するために前輪1,2で発生させる駆動力Ffと後輪3,4で発生させる駆動力Frとが求められる。すなわち、図4の直交座標における交点Aの横軸成分が駆動力Ff、縦軸成分が駆動力Frとしてそれぞれ求められる。
【0034】
一方、バウンシング抑制制御の際に各車輪1,〜4で発生させる駆動力の算出方法を説明すると、上記のように、車両VeのホイールベースをL、前輪1,2のサスペンション機構5,6の瞬間回転角をθf、後輪3,4のサスペンション機構7,8の瞬間回転角をθrとし、車両Veの総駆動力(要求駆動力)Fに対して前輪1,2で発生させる駆動力をFf、総駆動力Fに対して後輪3,4で発生させる駆動力をFr、前輪1,2で発生させる駆動力Ffの車両Veの高さ方向の分力をFf1、後輪3,4で発生させる駆動力Frの車両Veの高さ方向の分力をFr1、前輪1,2の車軸に作用するばね上フロント荷重をWf、後輪3,4の車軸に作用するばね上リア荷重をWr、前輪1,2の車軸に作用するばね上フロント側静荷重をWf0、後輪3,4の車軸に作用するばね上リア側静荷重をWr0、車両Veの重心Cgの高さをhとすると、以下の(5)ないし(8)式の関係が成立する。
Wf=Wf0−h×F/L+Ff1 ・・・・・(5)
Wr=Wr0+h×F/L−Fr1 ・・・・・(6)
Ff1=Ff×tanθf ・・・・・(7)
Fr1=Fr×tanθr ・・・・・(8)
ここで、車体Boのバウンシング方向における荷重変動が0となるように、すなわち、「Wf+Wr=Wf0+Wr0」として、駆動力Ffと駆動力Frとの関係について解くと、
Fr=(tanθf/tanθr)×Ff ・・・・・(9)
で表される関係が成立する。
【0035】
上記のようにして得られた(9)式の関係を、前述の図4の直交座標上に示すと、図4において直線l2により表すことができる。そして、この直線l2と、図4の直交座標上で車両Veの総駆動力F(=Ff+Fr)を表した直線l0との交点Bから、車両Veに発生したバウンシングを抑制するための駆動力配分比が求められ、その駆動力配分比に基づいて、バウンシングを抑制するために前輪1,2で発生させる駆動力Ffと後輪3,4で発生させる駆動力Frとが求められる。すなわち、図4の直交座標における交点Bの横軸成分が駆動力Ff、縦軸成分が駆動力Frとしてそれぞれ求められる。
【0036】
図3のフローチャートに戻り、ステップS1で、上記のようにして、従来のピッチング抑制制御もしくはバウンシング抑制制御において前輪1,2に発生させる駆動力Ffと、後輪3,4に発生させる駆動力Frとが求められると、それら駆動力Ff,Frを各車輪1,〜4で発生させるために各インホイールモータ9,〜12により出力されるモータトルクTm0が算出される(ステップS2)。具体的には、前輪1,2で駆動力Ffを発生させるためのインホイールモータ9,10のモータトルクTm0fと、後輪3,4で駆動力Frを発生させるためのインホイールモータ11,12のモータトルクTm0rとが演算されて求められる。
【0037】
続いて、ステップS1で求められた各駆動力Ff,Frのいずれか一方が、0(零)近傍の値であるか否かが判断される(ステップS3)。すなわち、各駆動力Ff,Frのいずれか一方が、制御のハンチングが生じる可能性がある0付近の領域内の値であるか否かが判断される。具体的には、各駆動力Ff,Frのいずれか一方の値が、制御のハンチングが生じる可能性がある0付近の領域として予め設定した「閾値“−α”から閾値“α”」の範囲内であるか否か、すなわち「−α<駆動力Ff(もしくはFr)<α」が成立するか否かが判断される。言い換えると、駆動力Ffの絶対値と駆動力Frの絶対値とのいずれか一方が、制御のハンチングが生じる可能性があることを判定するための閾値として予め設定した所定値α未満であるか否かが判断される。
【0038】
各駆動力Ff,Frのいずれの値も「閾値“−α”から閾値“α”」の範囲内ではないことにより、言い換えると、駆動力Ffの絶対値および駆動力Frの絶対値のいずれも所定値α未満であることにより、このステップS3で否定的に判断された場合は、制御のハンチングが生じる可能性はないと判断できるため、ステップS4へ進み、従来のピッチング抑制制御もしくはバウンシング抑制制御と同様に、ステップS1で算出されたモータトルクTm0(すなわちTm0f,Tm0r)を出力するように、各インホイールモータ9,〜12の回転が制御される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
【0039】
これに対して、各駆動力Ff,Frのいずれか一方の値が「閾値“−α”から閾値“α”」の範囲内であることにより、言い換えると、駆動力Ffの絶対値と駆動力Frの絶対値との少なくともいずれか一方が所定値α以上であることにより、ステップS3で肯定的に判断された場合には、ステップS5へ進み、各車輪1,〜4に所定の制動力を発生させるために、各ブレーキ機構15,〜18を制動状態に動作させて各車輪1,〜4に作用させる制動トルクであるブレーキトルクTbが算出される。
【0040】
具体的には、前輪1,2で所定の制動力を発生させるためのブレーキ機構15,16によるブレーキトルクTbf、もしくは、後輪3,4で所定の制動力を発生させるためのブレーキ機構17,18によるブレーキトルクTbrが演算されて求められる。例えば、前輪1,2で発生させる駆動力Ffの値が0近傍の値(「閾値“−α”から閾値“α”」の範囲内)である場合は、ブレーキトルクTbfが求められ、後輪3,4で発生させる駆動力Frの値が0近傍の値である場合は、ブレーキトルクTbrが求められる。なお、所定の制動力は、いずれか一方の駆動力Ff(もしくはFr)が、0近傍の値となった際に、例えば上記の閾値αよりも2倍程度大きな値となるように設定される。
【0041】
上記のステップS5でブレーキトルクTb(TbfもしくはTbr)が算出されると、そのブレーキトルクTbに相当するトルクを前述のステップS2で算出されたモータトルクTm0に加算したモータートルクTm1が算出される(ステップS6)。すなわち、モータトルクTm0にブレーキトルクTbと大きさが等しく方向が逆のトルク(すなわちブレーキトルクTbと相殺されるトルク)を加算することにより、モータートルクTm1が求められる。具体的には、前輪1,2で発生させる駆動力Ffの値が0近傍の値である場合は、その駆動力Ffを前輪1,2に発生させるためのインホイールモータ9,10のモータトルクTm0fに対して、ブレーキトルクTbfと大きさが等しく方向が逆のトルクが加算されてモータートルクTm1fが求められ、後輪3,4で発生させる駆動力Frの値が0近傍の値である場合は、その駆動力Frを後輪3,4に発生させるためのインホイールモータ11,12のモータトルクTm0rに対して、ブレーキトルクTbrと大きさが等しく方向が逆のトルクが加算されてモータートルクTm1rが求められる。
【0042】
前述したように、ピッチングもしくはバウンシングを抑制するための駆動力配分比の一方が0近傍の値になる、すなわち各駆動力Ff,Frのいずれか一方が0近傍の値になると、駆動力FfもしくはFrの値が0を挟んで正負に変化する場合がある。例えば、後輪3,4で発生させる駆動力Frが0近傍の値になると、その駆動力Frの値が0よりも正の方向にわずかに大きい状態(図4の(a)に示す状態)と、駆動力Frの値が0(零)よりも負の方向にわずかに小さい状態(図4の(b)に示す状態)との間で変化が繰り返される場合がある。その結果、インホイールモータ11,12(もしくは9,10)の回転制御においてハンチングが生じてしまう可能性があった。
【0043】
そこで、上記のように、駆動力Fr(もしくは駆動力Ff)が0近傍の値となった側の後輪3,4(もしくは前輪1,2)に、ブレーキ機構17,18(もしくはブレーキ機構15,16)により制動トルク(すなわちブレーキトルクTm)を作用させるとともに、その制動トルクTmを打ち消す駆動トルク(すなわちモータトルクTm1)を併せて作用させることにより、後輪3,4(もしくは前輪1,2)で発生させる駆動力Fr(もしくは駆動力Ff)が0近傍ではない正方向の値(すなわち駆動力)にされる(図5に示す状態)。
【0044】
そのため、車両Veの走行中に、各サスペンション機構5,〜8の瞬間回転中心Cf,Crの位置が変動して、ピッチング(もしくはバウンシング)を抑制するための駆動力配分比の後輪3,4側(もしくは前輪1,2側)が0(零)近傍の値になる、すなわち駆動力Fr(もしくは駆動力Ff)が0近傍の値になり、後輪3,4側(もしくは前輪1,2側)駆動力配分比の値が0を挟んで正負に変化する場合、例えば、後輪3,4側の駆動力配分比の値が0よりも正の方向にわずかに大きい状態(図5の(a)に示す状態)と、後輪3,4側の駆動力配分比の値が0よりも負の方向にわずかに小さい状態(図5の(b)に示す状態)との間で変化が繰り返される場合であっても、実際にインホイールモータ11,12で出力するモータトルクTm1は、0近傍ではない正方向の値となるため、そのインホイールモータ11,12の回転制御においてハンチングが生じてしまう事態が回避される。
【0045】
上記のようにしてブレーキトルクTbおよびモータートルクTm1が算出されると、それらブレーキトルクTb(TbfもしくはTbr)、およびモータトルクTm1(Tm1fもしくはTm1r)を出力するように、ブレーキ機構15,16(もしくは17,18)の動作状態、およびインホイールモータ9,10(もしくは11,12)の回転が制御される。そしてその後、このルーチンを一旦終了する。
【0046】
以上のように、この発明による車両Veのピッチングもしくはバウンシングの抑制制御によれば、ピッチングもしくはバウンシングを抑制するために算出された前輪1,2と後輪3,4とに対する駆動力配分比のいずれか一方が0近傍の値になると、その一方の車輪1,2(もしくは3,4)に、所定の制動力を生じさせるための制動トルクが、インホイールモータ9,10(もしくは11,12)とは別の制動装置であるブレーキ機構15,16(もしくは17,18)により付与される。そして併せて、その一方の車輪1,2(もしくは3,4)に前記の所定の制動力とほぼ同じ大きさの駆動力を生じさせるための駆動トルクが、インホイールモータ9,10(もしくは11,12)により付与される。
【0047】
したがって、駆動力配分比が0近傍の値となった一方の車輪1,2(もしくは3,4)では、その駆動力配分比に基づいて算出された当初の0近傍の駆動力もしくは制動力に、ブレーキ機構15,16(もしくは17,18)による所定の制動力と大きさがほぼ等しい駆動力分、言い換えると、ブレーキ機構15,16(もしくは17,18)による所定の制動力を相殺する駆動力分が付加された駆動力を発生させることになる。その結果、駆動力配分比が0近傍の値となった一方の車輪1,2(もしくは3,4)では、0近傍ではない所定の大きさの駆動力を発生させることになり、駆動力と制動力とが0を境に交互に繰り返し発生させられるような制御のハンチングが回避される。そのため、制御のハンチングによるショックや違和感あるいはがたつき音などの発生を回避もしくは抑制することができ、車両Veのドライバビリティを低下させることなく、ピッチングおよびバウンシングを適切に抑制することができる。
【0048】
ここで、上記のフローチャートに示す制御例と、この発明との関係を簡単に説明すると、上述したステップS1の機能的手段が、この発明の駆動力配分比算出手段に相当する。また、ステップS3の機能的手段が、この発明の駆動力検出手段に相当し、ステップS5ないしS7の機能的手段が、この発明の駆動力変更手段に相当する。
【0049】
なお、上述した具体例では、各車輪1,〜4毎にそれぞれ各インホイールモータ9,〜12が設置されている構成例を示していて、各インホイールモータ9,〜12は、全て独立して回転制御される構成であっても良いが、この発明では、少なくとも前輪1,2と後輪3,4とに発生させる駆動力もしくは制動力を独立して制御できる構成、すなわち少なくともインホイールモータ9,10とインホイールモータ11,12とを独立して回転制御できる構成であればよい。また、インホイールモータは、前輪1,2のいずれか一方と後輪3,4のいずれか一方との少なくとも前後1輪ずつに設置される構成であってもよい。
【0050】
さらに、少なくとも前輪1,2と後輪3,4とに発生させる駆動力もしくは制動力を独立して制御できる構成、すなわちこの発明における駆動力発生機構は、上述した具体例のように各車輪1,〜4毎にそれぞれ各インホイールモータ9,〜12を設置した構成に限定されるものではなく、例えば、前輪1,2と後輪3,4とに、それぞれ動力伝達可能に連結された2基の電動機(モーター・ジェネレータ)により、前輪1,2と後輪3,4とに発生させる駆動力もしくは制動力を独立して制御する構成であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】この発明の制御装置を適用可能な車両の構成および制御系統を模式的に示す概念図である。
【図2】この発明の制御装置を適用可能な車両を側面から視た図であって、車両の重心やサスペンション機構の瞬間回転中心等の位置関係を説明するための模式図である。
【図3】この発明の制御装置による制御例を説明するためのフローチャートである。
【図4】ピッチングおよびバウンシングを抑制する制御を実行する際に、従来の前後輪の駆動力配分比の算出方法を説明するための模式図である。
【図5】ピッチングおよびバウンシングを抑制する制御を実行する際に、この発明の制御装置による前後輪の駆動力配分比の算出方法を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0052】
1,2…前輪、 3,4…後輪、 5,6,7,8…サスペンション機構、 9,10,11,12…インホイールモータ(電動機)、 15,16,17,18…ブレーキ機構、 20…電子制御装置(ECU)、 23…上下加速度センサ、 24…ストロークセンサ、 Bo…車体、 Ve…車両。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも前輪と後輪とをそれぞれ独立して車体に支持するサスペンション機構と、少なくとも前記前輪と前記後輪とにそれぞれ独立して駆動力もしくは制動力を発生させる駆動力発生機構と、前記車体のピッチングもしくはバウンシングの状態に応じて、該ピッチングもしくはバウンシングを抑制するために、車両に要求される総駆動力に対して前記前輪に発生させる駆動力もしくは制動力と前記後輪に発生させる駆動力もしくは制動力との比率である駆動力配分比を算出する駆動力配分比算出手段とを備え、前記駆動力配分比に基づいて前記駆動力発生機構を制御して前記前後輪に駆動力もしくは制動力を発生させる車両の制御装置において、
前記駆動力発生機構より前記前後輪に発生させる制動力とは別に、少なくとも前記前輪と前記後輪とにそれぞれ独立して制動力を発生させるブレーキ機構と、
前記駆動力配分比に基づいて前記前後輪のいずれか一方に発生させる駆動力もしくは制動力が0近傍の値であることを検出する駆動力検出手段と、
前記駆動力検出手段により前記一方の車輪に発生させる駆動力もしくは制動力が0近傍の値であることが検出された場合に、前記ブレーキ機構を制御して前記一方の車輪に所定の制動力を発生させるとともに、該所定の制動力と大きさが等しいもしくはほぼ等しい駆動力を、前記0近傍の駆動力もしくは制動力に加えて、前記駆動力発生機構を制御して前記一方の車輪に発生させる駆動力変更手段と
を備えていることを特徴とする車両の制御装置。
【請求項2】
前記駆動力発生機構は、少なくとも前記前輪と前記後輪とにそれぞれ動力伝達可能に連結された電動機の回転を制御することにより、少なくとも前記前輪と前記後輪とにそれぞれ独立して駆動トルクもしくは制動トルクを付与する機構を含むことを特徴とする請求項1に記載の車両の制御装置。
【請求項3】
前記電動機は、前記前後輪と共に前記サスペンション機構を介して前記車体に支持され、かつ前記前後輪のホイールにそれぞれ内蔵されるインホイールモータを含むことを特徴とする請求項2に記載の車両の制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−273275(P2009−273275A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−122667(P2008−122667)
【出願日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】