説明

半導体装置および半導体装置の製造方法

【課題】半導体装置の特性を向上させる。
【解決手段】本発明の半導体装置は、面方位が(110)のシリコン基板1と、pMIS領域1Bに形成されたpチャネル型電界効果トランジスタを有する。このpチャネル型電界効果トランジスタは、ゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE2と、ゲート電極の両側のシリコン基板1中に設けられた溝g2の内部に配置され、Siより格子定数が大きいSiGeよりなるソース・ドレイン領域と、を有する。上記溝g2は、ゲート電極側に位置する側壁部において、面方位が(100)の第1の斜面と、第1の斜面と交差する面方位が(100)の第2の斜面と、を有する。上記構成によれば、基板の表面(110)面と(100)面とのなす角は45°となり、比較的鋭角に第1斜面が形成されるため、効果的にpチャネル型のMISFETのチャネル領域に圧縮歪みを印加することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置および半導体装置の製造方法に関し、特に、MISFETを有する半導体装置に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、トランジスタを微細化させ、その性能向上を図ることが幅広く行われている。しかしながら、微細化のみによるトランジスタの性能の向上は、対性能比で見た場合のコストの上昇といった問題がある。
【0003】
そこで、微細化のみによるトランジスタの性能向上ばかりでなく、応力を制御してトランジスタの性能を向上させる手法が現れてきている。
【0004】
応力膜を用いてトランジスタの性能向上を図る手法の一つとして、例えば、Si基板上に形成されたpチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域にSiGeを適用して性能向上を図る技術が検討されている。かかる技術は、例えば、下記特許文献1および2に開示されている。
【0005】
また、pチャネル型MISFET上に圧縮応力膜を形成し、nチャネル型MISFET上に引張応力膜を形成し、両方のMISFETのチャネルに応力を印加して性能向上を図る、いわゆるDSL(Dual Stress Liner)と呼ばれる技術が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−26795号公報
【特許文献2】特開2008−78347号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明者は、Si基板上に形成されたpチャネル型MISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor、電界効果トランジスタ)のソース・ドレイン領域にSiGeを適用することにより、トランジスタ性能の向上を図ることを検討している。
【0008】
しかしながら、追って詳細に説明するように、pチャネル型MISFETの製造において、面方位が(100)の基板を用い、そのソース・ドレイン形成予定領域に溝を形成した場合、その側壁に(111)面が露出する。かかる面は、(100)面とのなす角が比較的大きい。その結果、溝内部にSiGeをエピタキシャル成長させ、ソース・ドレイン領域を形成しても、チャネルに加わる応力が小さくなってしまう。
【0009】
よって、より効果的にチャネルに応力を与えるべく、装置構造の改良や、その装置構成を実現するための製造方法の検討が望まれる。
【0010】
そこで、本発明の目的は、半導体装置の特性を向上させることができる技術を提供することにある。
【0011】
また、本発明の他の目的は、半導体装置の特性を向上させることができる半導体装置の製造方法を提供することにある。
【0012】
本発明の上記目的およびその他の目的と新規な特徴は、本願明細書の記載および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0014】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置は、(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板と、(b)基板の第1領域に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタを有する。このpチャネル型電界効果トランジスタは、(b1)第1領域上にゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極と、(b2)ゲート電極の両側の基板中に設けられた溝の内部に配置され、第1半導体より格子定数が大きい第2半導体よりなるソース・ドレイン領域と、を有する。上記溝は、ゲート電極側に位置する側壁部において、面方位が(100)の第1の斜面と、第1の斜面と交差する面方位が(100)の第2の斜面と、を有する。
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置は、(a)面方位が(110)である第1領域と、面方位が(100)である第2領域とを有する第1半導体よりなる基板と、(b)基板の第1領域に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタと、(c)基板の第2領域に形成されたnチャネル型電界効果トランジスタと、を有する。(b)のpチャネル型電界効果トランジスタは、(b1)第1領域上に第1ゲート絶縁膜を介して配置された第1ゲート電極と、(b2)第1ゲート電極の両側の基板中に設けられた溝の内部に配置され、第1半導体より格子定数が大きい第2半導体よりなる第1ソース・ドレイン領域と、を有する。(c)のnチャネル型電界効果トランジスタは、(c1)第2領域上に第2ゲート絶縁膜を介して配置された第2ゲート電極と、(c2)第2ゲート電極の両側の基板中に設けられ、第1半導体よりなる第2ソース・ドレイン領域と、を有する。上記溝は、第1ゲート電極側に位置する側壁部において、面方位が(100)の第1の斜面と、第1の斜面と交差する面方位が(100)の第2の斜面と、を有する。
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法は、(a)面方位が(110)である第1領域を少なくとも有し、第1半導体よりなる基板を準備する工程と、(b)基板の第1領域上に第1ゲート絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、を有する。さらに、(c)第1ゲート電極の両側に側壁膜を形成する工程と、(d)側壁膜をマスクとして第1ゲート電極の両側の基板をドライエッチングすることにより、第1ゲート電極の両側の基板中に第1溝を形成する工程と、を有する。さらに、(e)第1溝に対し異方的なウエットエッチングを施すことにより、第1ゲート電極側に位置する側壁部において、面方位が(100)の第1の斜面と第1の斜面と交差する面方位が(100)の第2の斜面とを有する第2溝を形成する工程、を有する。さらに、(f)第1半導体より格子定数が大きい第2半導体を第1の斜面および第2の斜面からエピタキシャル成長させることにより、第2溝内に第2半導体よりなる半導体領域を形成する工程、を有する。
【発明の効果】
【0017】
本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示される半導体装置によれば、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0018】
また、本願において開示される発明のうち、以下に示す代表的な実施の形態に示される半導体装置の製造方法によれば、特性の良好な半導体装置を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図2】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図1に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図3】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図2に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図4】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図3に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図5】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図4に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図6】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図5に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図7】実施の形態1の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図である。
【図8】実施の形態1の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図である。
【図9】シリコン基板1の面方位およびゲート電極GE2の配置方向を模式的に示す平面図である。
【図10】実施の形態1の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図であって、図7に続く第1エッチング後の断面図である。
【図11】実施の形態1の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図であって、図10に続く第2エッチング後の断面図である。
【図12】シリコン基板のエッチング方向を示す図である。
【図13】シリコン基板の各面方位におけるTMAH処理時間(s)とリセス量(nm)との関係を示すグラフである。
【図14】比較例の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を示す断面図である。
【図15】比較例の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図である。
【図16】実施の形態1の半導体装置の溝の形状および比較例の半導体装置の溝の形状を示す断面図である。
【図17】実施の形態1の半導体装置と比較例の半導体装置におけるpチャネル型のMISFETの正孔の移動度を示すグラフである。
【図18】実施の形態1の半導体装置の他の構成を示す要部断面図である。
【図19】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図11に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図20】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図19に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図21】実施の形態1の半導体装置のシリコンゲルマニウム領域の形状および比較例の半導体装置のシリコンゲルマニウム領域の形状を示す断面図である。
【図22】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図20に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図23】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図22に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図24】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図23に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図25】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図24に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図26】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図25に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図27】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図26に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図28】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図27に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図29】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図28に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図30】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図29に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図31】実施の形態1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図30に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図32】実施の形態1の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。
【図33】実施の形態1の半導体装置(pチャネル型MISFETQp1)の断面を示す写真(図)である。
【図34】図33に示す写真(図)の模写図である。
【図35】実施の形態2の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図である。
【図36】実施の形態2の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図であって、図35に続く半導体装置の製造工程中の断面図である。
【図37】実施の形態5の応用例1の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図38】実施の形態5の応用例2の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図39】実施の形態5の応用例3の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図40】実施の形態5の応用例3の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図39に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図41】実施の形態5の応用例4の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。
【図42】実施の形態5の応用例4の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図41に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図43】実施の形態5の応用例4の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図42に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【図44】実施の形態5の応用例4の半導体装置の製造工程を示す要部断面図であって、図43に続く半導体装置の製造工程中の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明を示す実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、応用例、詳細説明、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でもよい。
【0022】
さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数等(個数、数値、量、範囲等を含む)についても同様である。
【0023】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0024】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0025】
(実施の形態1)
以下、図面を参照しながら本実施の形態の半導体装置の構成と製造方法について詳細に説明する。図1〜図6、図19、図20および図22〜図31は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す要部断面図である。図7、図10および図11は、本実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための断面図である。図8は、本実施の形態の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図(上面図)である。図7は、例えば、図8のA−A断面と対応する。図9は、シリコン基板1の面方位およびゲート電極GE2の配置方向を模式的に示す平面図である。図12は、シリコン基板1のエッチング方向を示す図である。図13は、シリコン基板の各面方位におけるTMAH処理時間(s)とリセス量(nm)との関係を示すグラフである。図14は、比較例の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を示す断面図である。図15は、比較例の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図である。図16は、本実施の形態の半導体装置の溝g2の形状および比較例の半導体装置の溝g2の形状を示す断面図である。図17は、本実施の形態の半導体装置と比較例の半導体装置におけるpチャネル型のMISFETの正孔(ホール)の移動度を示すグラフである。図18は、本実施の形態の半導体装置の他の構成を示す要部断面図である。図21は、本実施の形態の半導体装置のシリコンゲルマニウム領域10の形状および比較例の半導体装置のシリコンゲルマニウム領域10の形状を示す断面図である。図32は、本実施の形態の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。図33は、本実施の形態の半導体装置(pチャネル型MISFETQp1)の断面を示す写真(図)であり、図34は、図33に示す写真(図)の模写図である。
【0026】
[構造説明]
まず、本実施の形態における半導体装置の製造工程の最終工程断面図である図31を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の特徴的な構成について説明する。
【0027】
図31に示すように、本実施の形態の半導体装置は、シリコン基板(半導体基板)1のnMIS領域1Aに配置されたnチャネル型MISFETQn1と、シリコン基板1のpMIS領域1Bに配置されたpチャネル型MISFETQp1とを有している。nMIS領域1AおよびpMIS領域1Bは、それぞれ素子分離領域2により区画された活性領域(アクティブ)である。
【0028】
nチャネル型MISFETQn1は、シリコン基板1上にゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE1と、このゲート電極GE1の両側のシリコン基板1中に配置されたソース・ドレイン領域とを有する。このソース・ドレイン領域は、n型半導体領域SD1およびn型半導体領域EX1により構成される。
【0029】
pチャネル型のMISFETQp1は、シリコン基板1上にゲート絶縁膜3を介して配置されたゲート電極GE2と、このゲート電極GE2の両側のシリコン基板1中に配置されたソース・ドレイン領域とを有する。このソース・ドレイン領域は、p型半導体領域SD2(10)およびp型半導体領域EX2により構成される。
【0030】
上記シリコン基板1の面方位は(110)である。また、上記pチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域を構成するp型半導体領域SD2は、シリコンゲルマニウム領域10中に配置されている。
【0031】
このシリコンゲルマニウム領域10は、溝g2内に配置されている。この溝g2は、そのゲート電極GE2側の側面において、2つの斜面を有する。この2つの斜面のうち一方の第1斜面は、シリコン基板1の表面から下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在する斜面であって、その面方位は、(100)面である。また、他方の第2斜面は、上記第1斜面の端部からさらに下方であって、ゲート電極GE2側の方向とは逆側の方向(素子分離領域2側の方向)に斜めに延在する斜面であって、その面方位は、上記(100)面と90°のなす角で交差する(100)面である。この2つの斜面は、サイドウォールSW2の下方に位置する。
【0032】
なお、溝g2の底面の面方位は(110)である。また、溝g2のゲート電極GE2側と逆側の側面においては、素子分離領域2の側面が露出している。
【0033】
上記シリコンゲルマニウム領域10は、上記2つの斜面から優先的に結晶成長された領域である。このような所定の結晶面は、「ファセット(晶癖)面」と呼ばれ、かかる面からの結晶成長を「ファセット成長」と言うことがある。
【0034】
言い換えれば、シリコン基板1とシリコンゲルマニウム領域10との境界面は、シリコンゲルマニウム領域10の側面において(100)面となり、シリコンゲルマニウム領域10の底面において(110)面となる。
【0035】
また、シリコンゲルマニウム領域10の上部には、金属シリサイド層23が配置され、さらにその上部には、圧縮応力膜(圧縮ライナー膜)31が形成されている。
【0036】
このように、本実施の形態によれば、面方位(110)のシリコン基板1を用いたので、pチャネル型MISFETQp1において、正孔の移動度が大きい<110>をチャネルとすることができ、pチャネル型MISFETQp1の特性を向上させることができる。
【0037】
また、シリコン基板1よりも格子定数が大きいシリコンゲルマニウム領域10をソース・ドレイン領域として用いたので、追って詳細に説明するように、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に圧縮歪みを印加することができ、pチャネル型MISFETQp1の特性を向上させることができる。ここで、格子定数とは、結晶の単位格子を形づくる辺の長さをいう。
【0038】
また、シリコン基板1の表面の(110)面と第1斜面を構成する(100)面とのなす角は45°となる。また、シリコン基板1の表面の(110)面と第2斜面を構成する(100)面とのなす角は135°となる。これにより比較的鋭角に第1斜面および第2斜面がサイドウォールSW2の下側まで入り込むため、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に加わる圧縮歪みを大きくすることができる。
【0039】
また、上記シリコンゲルマニウム領域10は、その上面の面方位である(110)面から結晶成長し難いため、シリコンゲルマニウム領域10およびその上部の金属シリサイド層23の平坦性が向上する。その結果、圧縮応力膜31による圧縮応力をpチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(SD1)に効果的に印加することができ、pチャネル型MISFETQp1の特性を向上させることができる。
【0040】
[製造方法説明]
次いで、図1〜図31を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法を説明するとともに、当該半導体装置の構成をより明確にする。
【0041】
まず、図1に示すように、半導体基板(半導体ウエハ)として、シリコン基板1を準備する。具体的には、例えば1〜10Ωcm程度の比抵抗を有するp型の単結晶シリコンからなるシリコン基板1を準備する。シリコン基板1の面方位は(110)である。面方位(110)とは、基板1の表面が(110)面であることを意味する。
【0042】
なお、(hkl)は、ミラー指数を表す。(hkl)は、面を示し、<hkl>は、(hkl)面に対する法線ベクトルを表す。また、(hkl)は、等価な複数の面を表す。例えば、(100)は、[100]、[010]、[001]、[−100]、[0−10]、[00−1]の6つの面を表す。さらに、<hkl>は等価な複数の方向を表す。例えば<100>は、[100]、[010]、[001]、[―100]、[0−10]、[00−1]の6つの方向を表す。
【0043】
上記シリコン基板1は、nチャネル型のMISFETが形成される領域であるnMIS領域(第2領域)1Aと、pチャネル型のMISFETが形成される領域であるpMIS領域(第1領域)1Bと、を有している。
【0044】
次いで、上記シリコン基板1の主面に素子分離領域2を形成する。例えば、シリコン基板1に、上記nMIS領域1AおよびpMIS領域1Bを囲む素子分離溝を形成し、この素子分離溝の内部に絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離領域2を形成する(図8参照)。このような素子分離法は、STI(Shallow Trench Isolation)法と呼ばれる。この他、LOCOS(Local Oxidization of Silicon)法などを用いて素子分離領域2を形成してもよい。
【0045】
次いで、例えばフッ酸(HF)水溶液を用いたウエットエッチングなどによりシリコン基板1の表面を清浄化(洗浄)した後、図2に示すように、シリコン基板1の表面にゲート絶縁膜3として、例えば薄い酸化シリコン膜を熱酸化法によって形成する。次いで、ゲート絶縁膜3上に、導電膜としてシリコン膜4を、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition;化学気相成長)法を用いて50〜150nm程度の膜厚で形成する。このシリコン膜4としては、例えば、不純物を含有した多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)を用いることができる。また、成膜時において非晶質シリコン膜を形成し、熱処理により多結晶化してもよい。この熱処理としては、例えばソース・ドレイン領域形成用に導入した不純物の活性化アニールなどを利用することができる。また、不純物を含有しないシリコン膜を形成した後、イオン注入法により不純物を注入してもよい。
【0046】
次に、シリコン膜4上に、絶縁膜として酸化シリコン膜5を形成し、酸化シリコン膜5上に絶縁膜として窒化シリコン膜6を形成する。酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6は、例えばCVD法などを用いて形成することができ、酸化シリコン膜5の膜厚(堆積膜厚)は、例えば2〜8nm程度、窒化シリコン膜6の膜厚(堆積膜厚)は、例えば10〜60nm程度とすることができる。
【0047】
次いで、図3に示すように、シリコン膜4、酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6の積層膜上に図示しないフォトレジスト膜を形成し、露光・現像する(フォトリスグラフィ)ことにより、所定の領域(ここでは、ゲート電極GE1およびGE2の形成領域)にフォトレジスト膜を残存させる。次いで、残存するフォトレジスト膜をマスクに、上記積層膜をエッチングし、フォトレジスト膜を除去する。以下このような、所定の平面形状の膜を形成し、当該膜をマスクとしてエッチング(選択的に除去)することにより所望の平面形状の膜(パターン)を形成する工程をパターニングという。このパターニング工程により、nMIS領域1Aにシリコン膜4からなるゲート電極GE1が形成され、pMIS領域1Bにシリコン膜4からなるゲート電極GE2が形成される。このゲート電極GE1、GE2上には、それぞれ酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6の積層膜からなるキャップ絶縁膜CPが配置される。
【0048】
次いで、図4に示すように、ゲート電極GE1、GE2の側壁上を含むシリコン基板1の主面上に、絶縁膜として例えば酸化シリコン膜7を形成する。この酸化シリコン膜7は、例えば熱酸化法などを用いて4〜20nm程度の膜厚で形成する。この酸化シリコン膜7をCVD法で形成してもよい。この場合には、酸化シリコン膜7は窒化シリコン膜6上にも形成される。
【0049】
次いで、酸化シリコン膜7および窒化シリコン膜6上に、絶縁膜として窒化シリコン膜8を形成する。この窒化シリコン膜8は、例えば、CVD法を用いて、後述のサイドウォールを形成するのに必要な膜厚、例えば50nm程度の膜厚で積層する。
【0050】
次いで、図5に示すように、窒化シリコン膜8上に、フォトレジスト膜を塗布し、このフォトレジスト膜を露光、現像することで、nMIS領域1Aを覆うようにフォトレジスト膜PR1を残存させる。
【0051】
次いで、pMIS領域1Bの窒化シリコン膜8および酸化シリコン膜7を異方的にエッチング(エッチバック)する。これにより、pMIS領域1Bのゲート電極GE2の側壁部に酸化シリコン膜7および窒化シリコン膜8からなるサイドウォール(側壁絶縁膜、サイドウォールスペーサ)SW1を形成する。その後、フォトレジスト膜PR1を除去する。
【0052】
次いで、図6に示すように、pMIS領域1Bにおいて、ゲート電極GE2上の窒化シリコン膜6およびサイドウォールSW1をマスクにエッチングを行い、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1中に溝g2を形成する。このエッチングは、2工程のエッチングにより行われ、第1エッチングにより溝g1を形成した後、さらに、第2エッチングを行い溝g2を形成する。
【0053】
<第1、第2エッチング工程の説明>
以下、図7〜図18を参照しながら、第1エッチング工程および第2エッチング工程について説明する。なお、図6等においては、素子分離領域2の表面とシリコン基板1の表面とを同程度の位置に記載したが、各種処理によりこれらの高さに違いが生じる。図7等においては、この高さの差を明確に示してある。
【0054】
<1>第1エッチング前の各構成部位の形状説明
まず、図7および図8を参照しながら、本エッチングのマスクとなるサイドウォール(酸化シリコン膜7、窒化シリコン膜8)SW1およびゲート電極GE2上のキャップ絶縁膜(酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6からなる積層膜)CPの形状について説明する。
【0055】
図7(断面図)に示すように、ゲート電極GE2の側壁部には、サイドウォールSW1が位置し、ゲート電極GE2の上部には、キャップ絶縁膜CPが位置する。よって、ゲート電極GE2は、サイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPにより覆われている。このサイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPをマスクにエッチングを行うことにより、サイドウォールSW1の端部から露出したシリコン基板1がエッチングされ、溝(g1、g2)が形成される。
【0056】
また、図8(平面図)に示すように、pチャネル型MISFETQp1が形成されるpMIS領域1Bは、素子分離領域2に囲まれたシリコン基板1の露出領域(活性領域)である。ここでは、その平面形状(上面から見た形状、パターン)を、略第1矩形の領域aとして示してある。この第1矩形の長辺は、x方向に延在し、短辺は、y方向に延在している。図9からも明らかなとおり、ここではx方向は、<110>方向であり、y方向は、<100>方向である。なお、x方向の<110>方向は、チャネル長の方向である。即ち、pチャネル型MISFETQp1がオン状態となったときにソース、ドレイン間に流れる電流の方向である。
【0057】
ゲート電極GE2の平面形状は、略第2矩形状であり、上記領域aの略中央部に配置される。この第2矩形の短辺は、x方向(<110>方向)に延在し、長辺は、y方向(<100>方向)に延在している。この第2矩形の長辺は、領域aを横切るように延在するが、短辺は、素子分離領域2上に延在する。また、ゲート電極GE2の上部のキャップ絶縁膜CPの平面形状も略第2矩形である。
【0058】
キャップ絶縁膜CPとサイドウォールSW1との合成平面形状は、第2矩形より一回り大きい略第3矩形状である。この第3矩形の短辺は、x方向(<110>方向)に延在し、長辺は、y方向(<100>方向)に延在している。この第3矩形の長辺は、領域aを横切るように延在するが、短辺は、素子分離領域2上に延在する。
【0059】
この第3矩形状の両側には、シリコン基板1の露出領域として、それぞれ略第4矩形の領域e1およびe2が配置される。この領域e1に溝(g1、g2)が形成される。この領域e2に溝(g1、g2)が形成される。領域e1およびe2のゲート電極GE2側の長辺(端部)は、y方向(<100>方向)に延在している。追って詳細に説明するように、溝g2の第1斜面は、領域e1およびe2のゲート電極GE2側の長辺(端部)から、下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在することとなる。
【0060】
なお、図9は、シリコン基板1の面方位およびゲート電極GE2の配置方向を模式的示すもので、シリコン基板1の大きさに対し、ゲート電極GE2等は極めて微細な形状に配置されることは言うまでもない。また、上記図8に示す平面図は一例であり、活性領域の形状やゲート電極GE2のレイアウトには種々の変更が可能である。例えば、活性領域の形状をL字状などとしてもよい。また、他のMISFETのゲート電極と接続するためにゲート電極GE2を引き回す場合には、ゲート電極GE2の平面形状において、<100>方向以外の方向に延在する箇所があってもよい。
【0061】
次いで、上記形状のサイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPをマスクに、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1(領域e1、e2)をエッチングする工程について説明する。
【0062】
<2>第1エッチング工程説明
まず、第1エッチングを行う。具体的には、図10に示すように、pMIS領域1Bにおいて、ゲート電極GE2とサイドウォールSW1との合成パターンの両側のシリコン基板1をその表面から所定の深さまでエッチングして溝(基板リセス部、基板後退部)g1を形成する。この第1エッチングは、異方性のドライエッチングによって行い、溝形状を、略ボックス形状とする。例えば、溝の深さは、30nm〜50nm程度とする。プラズマガスの種類は、例えば、HBr、CF、Oの混合ガスプラズマであり、圧力は、例えば0.4Paである。この第1エッチングにより、溝g1のゲート電極GE2側には、第1側面が露出し、素子分離領域2側には、第2側面が露出する。ここでは、第2側面として、素子分離領域2の側壁が露出している。上記シリコン基板1の表面は、前述したとおり(110)面である。よって、溝g1のゲート電極GE2側の第1側面には、シリコン基板1の(110)面が露出し、底面にはシリコン基板1の(110)面が露出する。
【0063】
<3>第2エッチング工程説明
次いで、第2エッチングを行う。具体的には、図11に示すように、溝g1の底面から露出するシリコン基板1をさらに30nm〜50nm程度、後退させる。この際、溝g1の第1側面からは、図12に示すように、斜め方向にエッチングが進む。この斜め方向は、<100>方向である。
【0064】
この第2エッチングは、異方性のウエットエッチングによって行う。この異方性のウエットエッチングは、エッチング液(薬液)を用いてエッチングを行う際に、シリコンの結晶面によるエッチング速度差を利用して所定の結晶面を露出させるエッチング技術をいう。エッチング液としては、例えば、TMAH(Tetramethyl ammonium hydroxide;水酸化テトラメチルアンモニウム;N(CHOH)系のエッチング液を用いることができる。
【0065】
例えば、TMAHを2.38重量%で含有する超純水希釈液を用いて、23℃で、異方性のウエットエッチングを行う。このようなエッチング工程により、(110)面のエッチング速度を大きくすることができる。
【0066】
なお、TMAHの濃度については、25重量%以下、より好ましくは、3重量%以下の溶液を用いることができる。低濃度において特に異方性が顕著に現れるため、好適である。また、エッチング液の溶媒としては、水以外の溶媒を用いることができる。また、適宜、添加剤を加えてもよい。
【0067】
図13は、シリコン基板1の各面方位におけるTMAH処理時間(s)とリセス量(nm)との関係を示すグラフである。図13に示すように、シリコンの結晶においては、エッチング速度が面方位によって異なる。(111)面、(100)面および(110)面のいずれについても、処理時間が長くなるとリセス量(エッチング量)が多くなるが、その傾きが、(111)面では、0.0419、(100)面では、0.4182、(110)面では、0.901である。よって、(110)面、(100)面、(111)面の順にエッチングされ難くなることがわかる。言い換えれば、エッチング速度(リセス量/TMAH処理時間)については、「(111)面のエッチング速度<<(100)面のエッチング速度<<(110)面のエッチング速度」の関係があることがわかる。なお、図13中の各グラフの切片(40nm)は、第1エッチングにおける溝g1の深さを示す。
【0068】
よって、上記異方性のウエットエッチングを第2エッチングとして用いれば、前述の図12に示すように、シリコン基板1の第1側面である(110)面において、第1の方向および第1の方向と交差する第2の方向にエッチングが進み、2つの斜面が露出する。即ち、溝g1の第1側面が後退し、溝g2のゲート電極GE2側の第1側面を構成する第1の斜面とこの第1の斜面と交差する第2の斜面とを有する側面が露出する。
【0069】
具体的には、<100>方向と、この<100>方向と90°のなす角で交差する<100>方向にエッチングが進み(図12参照)、(100)面と、この(100)面と90°のなす角で交差する(100)面と、を有する溝g2のゲート電極GE2側の第1側面が形成される(図11、図12参照)。
【0070】
この2つの斜面の面方位についてさらに詳細に説明する。この2つの斜面のうち一方の第1斜面は、シリコン基板1の表面から下方であってゲート電極GE2側の方向に斜めに延在する斜面であって、その面方位は、(100)面である。また、他方の第2斜面は、上記第1斜面の端部からさらに下方であって、ゲート電極GE2側の方向とは逆側の方向(素子分離領域2側の方向)に斜めに延在する斜面であって、その面方位は、上記(100)面と90°のなす角で交差する(100)面である。この2つの斜面は、サイドウォールSW1の下方に位置する。
【0071】
即ち、第1斜面を構成する(100)面と、シリコン基板1の表面の(110)面とのなす角は45°となり、第1斜面を構成する(100)面と、溝g1の第1側面(シリコン基板1の表面と垂直な(110)面)とのなす角は45°となる(図12参照)。また、第2斜面を構成する(100)面と、シリコン基板1の表面の(110)面とのなす角は135°となり、第2斜面を構成する(100)面と、溝g1の第1側面(シリコン基板1の表面と垂直な(110)面)とのなす角は135°となる(図12参照)。言い換えれば、第1斜面は、(110)面に対し、上側になす角45°で交差し、第2斜面は、(110)面に対し、下側になす角45°で交差する。
【0072】
以上詳細に説明した、上記第1斜面および第2斜面の構成により、比較的鋭角に第1斜面および第2斜面がサイドウォールSW1の下側まで入り込むため、pチャネル型のMISFETQp1のチャネル領域に加わる圧縮歪みを大きくすることができる。なお、以降の説明(実施の形態2以降の説明も含む)において、上記第1斜面および第2斜面の構成を単に「(100)面と、この(100)面と90°のなす角で交差する(100)面である」と言うことがある。
【0073】
一方、溝g2の底面は、溝g1の底面から後退するものの、その面方位は(110)のままである。なお、上記のような2つの斜面を有する溝形状をΣ形状(シグマ形状)ということがある。
【0074】
このように、本実施の形態によれば、Σ形状の溝g2を形成することができる。よって、追って詳細に説明する溝g2の内部におけるシリコンゲルマニウムのエピタキシャル成長により、pチャネル型のMISFETのチャネル領域に圧縮歪みを印加することができ、その動作特性を向上させることができる。なお、ここでは第1斜面及び第2斜面をTMAH溶液にて形成したが、これら面はミクロな原子レベルでは(100)面であるが、現実には全体では少しずれが生じ、理論的な角度(例えば上記なす角45°やなす角135°)に対して、最大±3°程度のずれが生じ得る。
【0075】
<4>SiGe歪み技術の効果説明
上記シリコンゲルマニウム領域10によって、pチャネル型MISFETQp1のチャネル領域(ゲート電極GE2の直下の基板領域)に圧縮応力を作用させ(印加し)、それによって、正孔の移動度(チャネル領域における正孔の移動度)を増加させることができる(この技術をSiGe歪み技術と称する)。これにより、pチャネル型MISFETQp1のチャネルを流れるオン電流を増加させることができ、高速動作化を図ることができる。
【0076】
シリコンゲルマニウム領域10がチャネル領域に圧縮応力を作用させるのは、シリコンゲルマニウム(シリコンゲルマニウム領域10)の格子定数がシリコン(シリコン基板1)の格子定数よりも大きいことに主に起因している。
【0077】
また、上述のようなSiGe歪み技術を用いる場合には、歪みに対する移動度(正孔の移動度)の感度が高い<110>チャネルを用いることが好ましい。すなわち、チャネル領域が圧縮応力によって歪んだときの正孔の移動度の変化量は、<110>方向が他の方向に比べて高い。よって、SiGe歪み技術によって移動度の向上およびそれに起因したオン電流の向上を図るには、<110>チャネルを用いることが好ましい。
【0078】
ここで、<110>チャネルとは、チャネル領域のゲート長方向がシリコン基板1の<110>方向であることに対応する(図9参照)。このように、pチャネル型MISFETのチャネル領域を<110>チャネルとすることで、正孔の移動度の向上効果を高めることができ、オン電流の向上効果を高めることができる。
【0079】
一方、nチャネル型MISFETQn1に対しては、上述のようなSiGe歪み技術を適用しないことが好ましい。これは、nチャネル型MISFETQn1においては、チャネル領域に圧縮応力が作用すると、キャリアである電子の移動度が却って低下してしまうためである。このため、nMIS領域1Aは窒化シリコン膜8で覆い(図6参照)、溝g2を形成せず、後述するように、シリコンで構成されたソース・ドレイン領域(n型半導体領域SD1)を形成する(図25参照)。
【0080】
このように、pチャネル型MISFETQp1に対して上述のようなSiGe歪み技術を適用し、かつnチャネル型MISFETQn1に対して上述のようなSiGe歪み技術を適用しないことで、nチャネル型MISFETQn1のチャネル領域における電子の移動度を低下させることなく、pチャネル型MISFETQp1のチャネル領域における正孔の移動度を向上させることができる。したがって、nチャネル型MISFETのオン電流を低下させることなく、pチャネル型MISFETQp1のオン電流を向上させることができるようになる。
【0081】
<5>溝g2の第1側面が(100)面と、この(100)面と90°のなす角で交差する(100)面と、を有することによる効果の説明
さらに、本実施の形態の場合、シリコン基板1の表面(110)面と(100)面とのなす角は45°となり、比較的鋭角に第1斜面がサイドウォールSW1の下側まで入り込むこととなる。よって、より効果的にpチャネル型のMISFETのチャネル領域に圧縮歪みを印加することができる。
【0082】
次いで、比較例との対比において上記効果をさらに詳細に説明する。図14は、比較例の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を示す断面図である。図15は、比較例の半導体装置の製造工程におけるエッチング工程を説明するための平面図である。図14は、例えば、図15のA−A断面と対応する。図16は、本実施の形態の半導体装置の溝g2の形状および比較例の半導体装置の溝g2の形状を示す断面図である。
【0083】
図14に示す比較例の半導体装置においては、面方位(100)のシリコン基板1を用い、本実施の形態と同様の製造工程を経て、ゲート電極GE2およびサイドウォールSW1を形成している。この比較例においては、図15に示すように、サイドウォールSW1およびゲート電極GE2は、活性領域において、<110>方向に延在している。
【0084】
上記比較例においては、本実施の形態と同様に第1エッチング工程を行った後、第2エッチング工程として、100倍に希釈したアンモニア水(NHOH)をエッチング液として用い、50℃でウエットエッチングを行った。
【0085】
この場合、図14に示すように、溝g2のゲート電極GE2側の第1側面において、(111)面と、この(111)面と交差する(111)面とが形成される。なお、溝g2の底面の面方位は(100)である。
【0086】
このように、比較例の半導体装置の製造工程においても、溝g2に2つの斜面が形成されるが、その面方位は(111)面となる。この(111)面は、シリコン基板1の表面(110)面と約54.7°で交差する面である。
【0087】
よって、図16に示すように、上記比較例の半導体装置(下図)においては、本実施の形態を示す上図と比較し、溝g2の側面方向における窪み量(リセス量)が距離t分だけ小さくなる。
【0088】
このように、本実施の形態の方が、上記窪み量を大きくでき、pチャネル型MISFETのチャネル領域に対する圧縮歪みをより大きくすることができる。
【0089】
図17は、本実施の形態の半導体装置と溝g2にSi(100)面の斜面を持たない比較例の半導体装置における、pチャネル型のMISFETのホールの移動度の指標となるトランジスタ駆動係数を示すグラフである。横軸は、ゲート長(μm)を示し、縦軸はトランジスタ駆動係数を示す。図17に示すように、本実施の形態の半導体装置においては、比較例の半導体装置より移動度が20%程度向上することが確認できた。
【0090】
なお、図11および図16(上図)においては、溝g2のゲート電極GE2側の第1側面において、(100)面と、この(100)面と交差する(100)面とが垂直に交わるよう図示したが、結晶面の露出はこのような理想状態となるとは限らない。特に、結晶面の境界においては、結晶面の出方が変化することも少なくない。よって、第1側面において、少なくとも、(100)面と、この(100)面と交差する(100)面とが露出した面が存在すれば、相対的に鋭角に斜面が形成されることとなり、上記効果を奏する。例えば、図18に示すように、溝g2のゲート電極GE2側の第1側面において、(100)面である第1斜面と、上記(100)面と交差する(100)面である第2斜面との境界において、(110)面が露出していてもよい。
【0091】
<SiGeの成長工程の説明>
次に、図19に示すように、pMIS領域1Bの溝g2内に、シリコンゲルマニウム(SiGe)をエピタキシャル成長(結晶成長)させる。Si(シリコン基板1)と、SiGeは、格子定数が近似しており、気相エピタキシー法において原料ガスを調整するだけで、連続した結晶として成膜することが可能である。このシリコンゲルマニウムは、溝g2内を埋め込むまで成長させる。このようにして、シリコンゲルマニウム領域(SiGe領域、シリコンゲルマニウム層、エピタキシャルシリコンゲルマニウム層)10を形成する。さらに、連続してシリコンゲルマニウム領域10上にシリコン(Si)をエピタキシャル成長させ、図20に示すように、シリコン領域(シリコン層、エピタキシャルシリコン層)11を形成する。シリコンゲルマニウム領域10は、原料ガス(シラン系ガスとゲルマン系ガス)の流量比率を変えることにより、例えば60〜80原子%のSiと20〜40原子%のGeとで構成することができる。即ち、Si1−xGeと表記する場合、0.2≦x≦0.4とすることができる。
【0092】
シリコンゲルマニウム領域10は、例えば、シラン系ガスとゲルマン系ガスを原料ガスとしたエピタキシャル成長により形成することができる。シラン系ガスとしては、例えばモノシランガス(SiH)やジクロロシラン(SiHCl)などを用いることができる。また、ゲルマン系ガスとしては、モノゲルマンガス(GeH)などを用いることができる。また、シラン系ガスの供給量に対するゲルマン系ガスの供給量(流量)の割合を調整することで、シリコンゲルマニウム領域10中のGeの濃度(割合、組成比)を変化させることができる。このシリコンゲルマニウム領域10は、例えば40〜100nm程度の厚みに形成することができ、シリコン領域11は、例えば5〜20nm程度の厚みに形成することができる。ここでは、上記原料ガス中に、例えば、水素化ホウ素(B)などのp型のドーピングガス(p型の不純物添加用のガス)を含ませた状態で成膜することにより、p型のシリコンゲルマニウム領域10を形成する。このようにp型のシリコンゲルマニウム領域にp型のドーピングガスを含有させるように成膜することで、イオン注入なしにて高精度にpチャネル型のMISFET(Qp1)のソース、ドレイン領域を形成することができる。更にシリコン領域11をシリコンゲルマニウム領域10の上に形成することで、後述するサリサイド技術により形成されるシリサイドを精度よく形成できる。シリコンゲルマニウムは採用の歴史は浅く他の技術との整合性もあまり取れていない。シリコンであればその表面にシリサイドを形成する技術は蓄積されており、整合性よくシリサイドが形成可能となる。なお、ノンドープのシリコンゲルマニウム領域10を成膜した後、p型の不純物イオンをイオン注入法により注入してもよい。このイオン注入工程については、後述する。
【0093】
シリコンゲルマニウム領域10およびシリコン領域11のエピタキシャル成長条件の一例を示す。シリコンゲルマニウム領域10の形成に際しては、例えば、反応室(チャンバー)内において、700℃、1.33kPaの雰囲気下で、原料ガスとして、ジクロロシラン、モノゲルマンガスおよび水素化ホウ素(B)をそれぞれ、20sccm、15sccm、160sccmの流量で、キャリアガスである23sccmの流量の塩酸(HCl)とともに反応室内に導入する。かかる条件により、シリコンゲルマニウムをエピタキシャル成長させた場合、Geの原子%は、約20%、Siの原子%は、約80%となる。即ち、シリコンゲルマニウムをSi1-xGeと表記した場合、x≒0.2となる。なお、1Pa=1N/mであり、sccm(standard cc/min)は、1分間あたりに導入されるガスの量(cc=cm)を示す。また、シリコン領域11の形成に際しては、例えば、反応室(チャンバー)内において、725℃、1.33kPaの雰囲気下で、原料ガスとして、ジクロロシランを20sccmの流量で、キャリアガスである17sccmの流量の塩酸とともに反応室内に導入する。
【0094】
ここで、本実施の形態においては、溝g2の(100)面および、この(100)面と90°のなす角で交差する(100)面とから優先的に結晶成長が進む。つまり、結晶成長については、前述したエッチング速度の関係((111)面のエッチング速度<<(100)面のエッチング速度<<(110)面のエッチング速度)と、逆の関係が生じる。結晶成長のし易さ、即ち、結晶成長の速度については、「(111)面の結晶成長速度>>(100)面の結晶成長速度>>(110)面の結晶成長速度」の関係がある。よって、溝g2の底面は、(110)面であるため、溝g2の側面である(100)面および、この(100)面と90°のなす角で交差する(100)面から優先的に結晶成長が進むこととなる。さらに、この結晶成長の結果、シリコンゲルマニウム領域10の表面は(110)面となるため、この表面から垂直方向には、結晶成長し難い。よって、シリコンゲルマニウム領域10の表面の平坦性が向上する。
【0095】
図21は、本実施の形態の半導体装置のシリコンゲルマニウム領域10の形状および比較例の半導体装置のシリコンゲルマニウム領域10の形状を示す断面図である。図21の右図に示すように、上記比較例において、溝g2の内部にシリコンゲルマニウム領域10を形成した場合、シリコンゲルマニウム領域10の表面が結晶成長しやすい(100)面となるため、この表面からも随時垂直方向にも結晶が成長する。このため、シリコンゲルマニウム領域10の表面がせり上がり、シリコン基板1の表面より高くなる。シリコンゲルマニウム領域10の表面のシリコン基板1の表面からの高さ(せり上げ量)をHとする。このように、上記比較例においては、シリコンゲルマニウム領域10の表面が凸形状となる。
【0096】
これに対し、本実施の形態では、前述したように、シリコンゲルマニウム領域10の表面の平坦性が向上する。即ち、図21の左図に示すように、本実施の形態においては、シリコンゲルマニウム領域10の表面が結晶成長し難い(110)面となるため、上記せり上げ量を小さくすることができる。よって、前述したように、シリコンゲルマニウム領域10の表面の平坦性が向上する。例えば、ゲート絶縁膜3の表面(上面)より、シリコンゲルマニウム領域10の表面(上面)を低い位置に形成することができる。
【0097】
さらに、このシリコンゲルマニウム領域10の上部に成長するシリコン領域11についても同様に、(100)面から結晶成長し難い。よって、シリコン領域11についても同様に、平坦性が向上する。
【0098】
その結果、後述する圧縮応力膜(31)による応力がシリコンゲルマニウム領域10に対しより加わりやすくなり、pチャネル型MISFETQp1の特性をさらに向上させることができる。また、成膜制御も容易となり、シリコンゲルマニウム領域10の上面を、ゲート絶縁膜3の上面より低い位置に形成することができる。
【0099】
また、図21に示す比較例における凸形状の高さ(せり上げ量)Hは、素子の粗密によって変化し得る(ローディング効果)。即ち、pチャネル型MISFETQp1が粗な領域においては、エピタキシャル成長による原料ガスの供給量が多くなるため、せり上げ量Hが大きくなる傾向ある。一方、pチャネル型MISFETQp1が蜜な領域においては、供給ガスが複数の素子に分配されるため、せり上げ量Hは小さくなる。このように、比較例の半導体装置においては、シリコンゲルマニウム領域10のせり上げ量Hにばらつきが生じやすく、エピタキシャル成長の制御が困難となる。
【0100】
これに対し、本実施の形態の半導体装置においては、シリコンゲルマニウム領域10の表面が、結晶成長し難い(110)面となるため、エピタキシャル成長のセルフストップが可能となり、エピタキシャル成長の制御性が向上する。また、シリコンゲルマニウム領域10のせり上げ量Hのばらつきを低減することができる。なお、上記セルフストップは、溝g2内にシリコンゲルマニウム領域10が充填された後は、その表面からのエピタキシャル成長速度が低下することを意味し、完全なエピタキシャル成長の停止を意味するものではない。
【0101】
さらに、このシリコンゲルマニウム領域10の上部に成長するシリコン領域(11)についても同様に、(100)面から結晶成長し難い。よって、シリコン領域11についても同様に、そのエピタキシャル成長に際して、制御性が向上する。また、シリコン領域11の表面高さ(上面高さ)のばらつきを低減することができる。よって、どの領域にあるpチャネル型MISFETQp1に対しても、圧縮応力膜(31)による圧縮応力をpチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(SD1)に対し、ばらつきを少なく印加することができる。
【0102】
なお、このシリコンゲルマニウムおよびシリコンのエピタキシャル成長工程においては、溝g2以外の領域は、窒化シリコン膜6、サイドウォールSW1あるいは窒化シリコン膜8で覆われているため、シリコンゲルマニウム領域10(およびその上のシリコン領域11)は形成されない。したがって、シリコンゲルマニウム領域10(およびその上のシリコン領域11)は、pMIS領域1Bに形成されるが、nMIS領域1Aには形成されない。
【0103】
次に、熱酸化法などによりシリコン領域11の表層部を酸化させることで、シリコン領域11の表面上に酸化シリコン膜(図示せず)を形成する。この酸化シリコン膜は、後述の窒化シリコン膜8の除去の際に、シリコン領域11やシリコンゲルマニウム領域10がエッチングされないようにするためのエッチング保護膜としての役割を有する。
【0104】
次いで、図22に示すように、熱燐酸(熱リン酸)などを用いて、nMIS領域1Aの窒化シリコン膜8と、pMIS領域1BのサイドウォールSW1の窒化シリコン膜8とを、エッチングして除去する。この際、ゲート電極GE1、GE2上の窒化シリコン膜6も除去され得る。
【0105】
次いで、酸化シリコン膜7を、エッチングによって除去する。ここでは、異方性エッチングを行い、ゲート電極GE1、GE2の側壁に酸化シリコン膜7を残存させる。このエッチングの際、ゲート電極GE1、GE2上の酸化シリコン膜5も除去される。また、シリコン領域11表面の上述した酸化シリコン膜も除去される。なお、ウエットエッチングを用いて酸化シリコン膜7を全て除去してもよいが、ゲート電極GE1、GE2の側壁に酸化シリコン膜7を残存させることで、後述のイオン注入の際に、ゲート電極GE1、GE2を保護することができる。なお、酸化シリコン膜7の除去工程を省略し、酸化シリコン膜7をスルーして後述のイオン注入を行ってもよい。
【0106】
次いで、図23に示すように、nMIS領域1Aのゲート電極GE1の両側のシリコン基板1中にn型半導体領域(n型エクステンション領域)EX1を形成する。また、pMIS領域1Bのゲート電極GE2の両側のシリコン基板1中にp型半導体領域(p型エクステンション領域)EX2を形成する。
【0107】
型半導体領域EX1は、例えば、ゲート電極GE1をマスクとしてnMIS領域1Aにn型不純物(例えばリンまたはヒ素)をイオン注入することにより形成する。この工程により、n型半導体領域EX1が、ゲート電極GE1に整合して形成される。また、p型半導体領域EX2は、例えば、ゲート電極GE2をマスクとしてpMIS領域1Bにp型不純物(例えばホウ素)をイオン注入することにより形成する。この工程により、p型半導体領域EX2が、ゲート電極GE2に整合して形成される。
【0108】
次いで、図24に示すように、シリコン基板1の主面上に、絶縁膜として、例えば窒化シリコン膜13をCVD法で10〜40nm程度の膜厚で堆積する。この工程により、ゲート電極GE1、GE2が、窒化シリコン膜13で覆われる。
【0109】
次いで、窒化シリコン膜13を異方性エッチング(エッチバック)することにより、ゲート電極GE1、GE2の側壁に、窒化シリコン膜13からなるサイドウォール(側壁絶縁膜、サイドウォールスペーサ)SW2を形成する(図25)。この異方性エッチング(エッチバック)によって、ゲート電極GE1、GE2の側壁にサイドウォールSW2として残った部分以外の窒化シリコン膜13は除去される。また、前述の窒化シリコン膜6が、ゲート電極GE1、GE2の上部に残存していた場合も、その窒化シリコン膜6は、上記サイドウォールSW2を形成するための異方性エッチング工程により除去される。
【0110】
次いで、図26に示すように、ゲート電極GE1およびサイドウォールSW2の両側のシリコン基板1中にn型半導体領域SD1を形成する。n型半導体領域SD1は、nMIS領域1Aにn型不純物(例えばリンまたはヒ素)をイオン注入することにより形成する。イオン注入の条件としては、例えば、5〜20keVのエネルギーで、1E14〜1E15cm−2の濃度でリンを注入する。なお、1E14は、1014を表す。この際、ゲート電極GE1およびその側壁のサイドウォールSW2は、イオン注入阻止マスクとして機能するため、n型半導体領域SD1は、ゲート電極GE1およびサイドウォールSW2に整合して形成される。
【0111】
なお、前述したように、シリコンゲルマニウム領域10として、ノンドープのシリコンゲルマニウム領域10を成膜した場合には、シリコンゲルマニウム領域10およびその上部のシリコン領域11中にp型半導体領域を形成する。このp型半導体領域は、pMIS領域1Bにp型不純物(例えばホウ素)をイオン注入することにより形成する。イオン注入の条件としては、例えば、0.5〜2keVのエネルギーで、1E15〜1E16cm−2の濃度でホウ素を注入する。この際、ゲート電極GE2およびその側壁上のサイドウォールSW2は、イオン注入阻止マスクとして機能するため、p型半導体領域は、ゲート電極GE2およびサイドウォールSW2に整合して形成される。
【0112】
また、前述のように、シリコンゲルマニウム領域10として、p型の不純物を導入しながらシリコンゲルマニウム領域10を形成した場合、この領域(10)が、p型半導体領域SD2となる。また、シリコンゲルマニウム領域10およびその上部のシリコン領域11中に、p型不純物(例えばホウ素)をイオン注入した場合には、シリコンゲルマニウム領域10に、p型半導体領域SD2とその下層のノンドープの領域との境界が生じる。
【0113】
上記イオン注入後、導入した不純物の活性化のためのアニール処理(活性化アニール、熱処理)を行う。例えば900〜1100℃程度のスパイクアニールを行う。これにより、n型半導体領域EX1、p型半導体領域EX2、n型半導体領域SD1およびシリコンゲルマニウム領域10(p型半導体領域SD2)中の不純物を活性化することができる。
【0114】
以上の工程により、LDD(Lightly doped Drain)構造のソース・ドレイン領域が形成される。即ち、n型半導体領域SD1およびn型半導体領域EX1は、nチャネル型MISFETQn1のソースまたはドレインとして機能するn型の半導体領域(不純物拡散層)であり、n型半導体領域SD1は、n型半導体領域EX1よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深く形成されいる。また、シリコンゲルマニウム領域10(p型半導体領域SD2)およびp型半導体領域EX2は、pチャネル型MISFETQp1のソースまたはドレインとして機能するp型の半導体領域(不純物拡散層)であり、シリコンゲルマニウム領域10(p型半導体領域SD2)は、p型半導体領域EX2よりも不純物濃度が高くかつ接合深さが深く形成されている。
【0115】
また、上記工程においては、サイドウォールSW1を除去した後、新たにサイドウォールSW2を形成したが、このサイドウォールSW2の形成工程を省略することができる。例えば、サイドウォールSW1の形成工程前に、n型半導体領域EX1およびp型半導体領域EX2を形成しておき、サイドウォールSW1の形成工程後に、n型半導体領域SD1を形成してもよい。また、ノンドープのシリコンゲルマニウム領域10を形成する場合には、サイドウォールSW1の形成工程後に、シリコンゲルマニウム領域10を形成し、さらに、p型半導体領域SD2を形成する。
【0116】
以上の工程により、nMIS領域1Aに、nチャネル型MISFETQn1が形成される。また、pMIS領域1Bに、pチャネル型MISFETQp1が形成される。
【0117】
次いで、RCA洗浄などを用いてシリコン基板1の表面の清浄化を行う。このRCA洗浄とは、フッ酸洗浄、アンモニアと過酸化水素の混合液洗浄および塩酸と過酸化水素の混合液洗浄を順に行った後、超純水で洗浄を行う一連の洗浄工程という。さらに、RCA洗浄の後、フッ酸などを用いて、シリコン基板1の表面の自然酸化膜の除去を行う。この自然酸化膜の除去工程によってゲート電極GE1、GE2、n型半導体領域SD1およびシリコン領域11の表面が露出する。
【0118】
次いで、サリサイド(Salicide:Self Aligned Silicide)技術により、ゲート電極GE1、GE2およびソース・ドレイン領域(n型半導体領域SD1およびシリコン領域11)の表面に、金属シリサイド層(23a、23)を形成する。以下この金属シリサイド層(23a、23)の形成工程について説明する。
【0119】
まず、図26に示すように、ゲート電極GE1、GE2、n型半導体領域SD1およびシリコン領域11上を含むシリコン基板1の主面上に、金属膜として例えば、ニッケル合金膜21をスパッタリング法を用いて7〜30nm程度の膜厚で堆積する。ニッケル合金膜21は、ニッケル(Ni)の他、Pt(白金),Pd(パラジウム),Hf(ハフニウム),V(バナジウム),Al(アルミニウム),Er(エルビウム),Yb(イッテルビウム),Co(コバルト)からなる群から選択された少なくとも一種以上の元素を含有している。ニッケル合金膜21としては、ニッケル(Ni)と白金(Pt)とを含有する合金膜(NiPtx)を用いることが好ましい。この場合、Ptの組成比は、例えば3〜7原子%程度である。
【0120】
次いで、シリコン基板1に第1の熱処理(アニール処理)を施す。この第1の熱処理により、ゲート電極GE1、GE2を構成するシリコン膜(4)とニッケル合金膜21とを反応させる。また、n型半導体領域SD1およびシリコン領域11を構成する単結晶シリコンとニッケル合金膜21とを反応させる。これにより、図27に示すように、金属と半導体との反応層である金属シリサイド層23aを形成する。この第1の熱処理は、低温短時間アニールが好ましい。具体的には、第1の熱処理として、窒素(N)ガス雰囲気中で、200〜300℃の範囲で、10〜120秒間の熱処理を行う。なお、窒素に、他の不活性ガス(例えばアルゴン(Ar)ガス、ネオン(Ne)ガスまたはヘリウム(He)を混合した混合ガス雰囲気中で熱処理を行ってもよい。この第1の熱処理を行った段階では、金属シリサイド層23aは、メタルリッチなシリサイド層となっている。即ち、金属シリサイド層23aは、(Ni1−yMeSi相(0<y<1、z>1)となっている。Meは、ニッケル合金膜21が含有するNi以外の金属元素を示す。
【0121】
次いで、例えば硫酸過水などを用いたウエットエッチングにより、未反応のニッケル合金膜21を除去する。エッチング処理時間は、例えば30〜60分程度である。その結果、図27に示すように、ゲート電極GE1、GE2、n型半導体領域SD1およびシリコン領域11の表面上のみに金属シリサイド層23aが残存する。
【0122】
次いで、シリコン基板1に第2の熱処理(アニール処理)を施す。この第2の熱処理を行うことにより、シリサイド化反応がさらに進み、図28に示すように、金属シリサイド層23aは、金属元素(NiとMeを足したもの)とSiとの組成比が1:1の化学量論比に近い、安定な金属シリサイド(Ni1−yMeSi)層23となる。この第2の熱処理の熱処理温度は、少なくとも第1の熱処理の熱処理温度よりも高くする必要がある。具体的には、第2の熱処理として、窒素(N)ガス雰囲気中で、400〜600℃の範囲で、30秒以下の熱処理を行う。なお、窒素に、他の不活性ガス(例えばアルゴン(Ar)ガス、ネオン(Ne)ガスまたはヘリウム(He)を混合した混合ガス雰囲気中で熱処理を行ってもよい。
【0123】
なお、pチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(すなわちp型半導体領域SD2)上に形成された金属シリサイド層23においては、下層のシリコンゲルマニウム領域10もシリサイド化反応に寄与し、金属シリサイド層23中にGeを含有する場合がある。また、シリコン領域11の表層部のみが、シリサイド化反応に寄与し、シリコンゲルマニウム領域10と金属シリサイド層23との間に薄いシリコン領域11が残る場合もある。この金属シリサイド層23により後述するプラグPGとの接続抵抗の低減を図ることができる。なお、上記においては、2回の熱処理でシリサイド化を行ったが、例えば、第1の熱処理を450℃程度の温度行い、第2の熱処理を省略してもよい。
【0124】
次いで、図29に示すように、シリコン基板1の主面全面上に、圧縮応力膜31として、例えば窒化シリコン膜を、プラズマCVD法などを用いて20〜50nm程度の膜厚で形成する。なお、ここでは、pチャネル型MISFETQp1の特性を向上させるため圧縮応力膜31を形成したが、圧縮応力膜31に代えて引張応力膜を形成してもよい。この場合、nチャネル型MISFETQn1の特性を向上させることができる。
【0125】
即ち、引張応力膜を形成した場合、引張応力によってnチャネル型MISFETQn1のチャネル領域の電子の移動度を増加させることができ、それによってnチャネル型MISFETQn1のオン電流を増加させることができる。また、圧縮応力膜を形成した場合、圧縮応力によってpチャネル型MISFETQp1のチャネル領域の正孔の移動度を増加させることができ、それによってpチャネル型MISFETQp1のオン電流を増加させることができる。
【0126】
窒化シリコン膜からなる引張応力膜を形成する場合は、例えば、モノシラン(SiH)、一酸化二窒素(NO)およびアンモニア(NH)を用いて、250℃から400℃程度の温度でプラズマCVDで窒化シリコン膜を成膜した後、紫外線を照射しながら400℃から550℃程度の熱処理を施す。また、窒化シリコン膜からなる圧縮応力膜を形成する場合は、例えば、シラン(SiH)、一酸化二窒素(NO)およびアンモニア(NH)を用いて、350℃から500℃程度の温度でプラズマCVDで窒化シリコン膜を成膜する。
【0127】
ここでは、1〜2GPa程度の圧縮応力を有する窒化シリコン膜を圧縮応力膜31として形成する。1Pa=1N/mである。ここで、本実施の形態においては、前述したように、よって、シリコンゲルマニウム領域10およびその上部のシリコン領域11の表面の平坦性が向上しているため、上記圧縮応力膜31による圧縮応力が加わりやすく、pチャネル型MISFETの特性をさらに向上させることができる。
【0128】
次いで、圧縮応力膜31上に層間絶縁膜32として、例えば酸化シリコンをCVD法などを用いて堆積する。次いで、層間絶縁膜32の表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing、化学機械研磨)法などを用いて平坦化する。
【0129】
次いで、図30に示すように、nチャネル型MISFETQn1のソース・ドレイン領域(n型半導体領域SD1)上およびpチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(シリコンゲルマニウム領域10(p型半導体領域SD2))上の層間絶縁膜32および圧縮応力膜31を選択的に除去することによりコンタクトホール(貫通孔、孔)CNTを形成する。例えば、圧縮応力膜31をエッチングストッパ膜として層間絶縁膜32をパターニングした後、圧縮応力膜31をエッチングすることで、コンタクトホールCNTを形成する。
【0130】
次いで、コンタクトホールCNT内に、導電性膜を形成することにより、プラグ(接続用導体部)PGを形成する。プラグPGを形成するには、例えば、コンタクトホールCNTの内部(底部および側壁上)を含む層間絶縁膜32上に、バリア導体膜(図示せず)を堆積した後、このバリア導体膜上に主導体膜をコンタクトホールCNTを埋める程度の膜厚で堆積する。この後、層間絶縁膜32上の不要な主導体膜およびバリア導体膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去する。バリア導体膜としては、例えば、チタン膜、窒化チタン膜、あるいはそれらの積層膜を用いることができ、主導体膜としては、タングステン膜などを用いることができる。
【0131】
nチャネル型MISFETQn1のソース・ドレイン領域(n型半導体領域SD1)上に形成されたプラグPGは、そのソース・ドレイン領域の表面上の金属シリサイド層23と接して電気的に接続される。また、pチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(p型半導体領域SD2)上に形成されたプラグPGは、そのソース・ドレイン領域の表面上の金属シリサイド層23と接して電気的に接続される。また、図示は省略するが、ゲート電極GE1、GE2の上部にプラグPGを形成してもよい。
【0132】
次に、図31に示すように、プラグPG上を含む層間絶縁膜32上に、ストッパ絶縁膜33および層間絶縁膜34を順次形成する。ストッパ絶縁膜33は、層間絶縁膜34に対してエッチング選択性を有し、例えば、ストッパ絶縁膜33として窒化シリコン膜を、層間絶縁膜34として酸化シリコン膜を用いることができる。
【0133】
次に、シングルダマシン法により第1層目の配線M1を形成する。層間絶縁膜34をパターニングした後、ストッパ絶縁膜33をエッチングすることにより、配線溝を形成する。次いで、配線溝内部を含む層間絶縁膜34上にバリア導体膜(図示せず)およびシード層(図示せず)を形成する。次いで、電解めっき法などを用いてシード層上に金属めっき膜を形成した後、配線溝以外の領域の金属めっき膜、シード層およびバリアメタル膜をCMP法により除去することにより、第1層目の配線M1を形成する。バリア導体膜としては、例えば窒化チタン膜、タンタル膜または窒化タンタル膜などを用いることができ、シード層としては、銅(Cu)のシード層を用い、金属めっき膜としては、銅めっき膜を用いることができる。
【0134】
配線M1は、プラグPGを介して、nチャネル型MISFETQn1およびpチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域(SD1、SD2)やゲート電極GE1、GE2などと電気的に接続されている。その後、デュアルダマシン法などにより2層目以降の配線を形成するが、ここではその説明は省略する。また、配線M1や2層目以降の配線は、ダマシン配線に限定されず、配線用の導電体膜をパターニングして形成することもできる。配線用の導電体膜としては、例えばタングステンまたはアルミニウム(Al)などを用いることができる。
【0135】
その後、最上層配線上に保護膜等を形成した後、シリコン基板1をダイシングなどで切断(分割)することにより、複数の半導体装置(半導体チップ)が形成される。
【0136】
図32は、本実施の形態の半導体装置を用いた半導体チップの構成例を示す平面図である。このように、上記工程により形成された半導体装置をメモリや周辺回路を有する半導体チップとして用いてもよい。図32に示す半導体チップSM1は、SRAM(Static Random Access Memory)などのメモリセルアレイが形成されたメモリ領域(メモリ回路領域、メモリセルアレイ領域、SRAM領域)41と、メモリ以外の回路(周辺回路)が形成された周辺回路領域42とを有している。周辺回路領域42は、ロジック回路が形成されたロジック回路領域42aを含んでいる。メモリ領域41と周辺回路領域42との間や、周辺回路領域42同士の間は、半導体チップSM1の内部配線層(上記配線M1およびそれよりも上層の配線)を介して必要に応じて電気的に接続されている。また、半導体チップSM1の主面(表面)の周辺部には、半導体チップSM1の主面の四辺に沿って複数のパッド電極(ボンディングパッド)PDが形成されている。各パッド電極PDは、半導体チップSM1の内部配線層を介してメモリ領域41や周辺回路領域42などに電気的に接続されている。なお、図32は平面図であるが、理解を簡単にするために、メモリ領域41およびロジック回路領域42aにハッチングを付してある。
【0137】
例えば、上記pチャネル型MISFETQp1およびnチャネル型電界効果トランジスタQn1を用いてSRAMメモリセルを構成してもよい。また、上記pチャネル型MISFETQp1およびnチャネル型電界効果トランジスタQn1を用いてロジック回路領域42aのロジック回路を構成してもよい。
【0138】
例えば、前述した素子の粗密について、メモリ領域41には、素子が密に形成される。また、ロジック回路のレイアウトによっては、ロジック回路領域42aにおいて、素子が密な部分と、疎な部分とが生じ得る。このような素子の粗密があっても、本実施の形態によれば、シリコンゲルマニウム領域10のせり上げ量Hのばらつきを低減することができる(図21参照)。
【0139】
以上詳細に説明したように、本実施の形態によれば、半導体装置の特性を向上させることができる。
【0140】
図33は、本発明者が試作した半導体装置(pチャネル型MISFETQp1)の断面写真である。図34は、上記写真の模写図である。図33および図34に示すように、シリコン基板1とシリコンゲルマニウム領域10との境界において、第1斜面である(100)および第2斜面である上記(100)面と90°のなす角で交差する(100)面とを確認することができた。また、シリコンゲルマニウム領域10の上面がゲート絶縁膜3の上面より低い位置に形成されていることが確認できた。さらに、前述したように、本実施の形態の半導体装置においては、比較例より約20%程度の移動度の向上が確認できた(図17)。
【0141】
なお、上記工程は、一例であり、種々の変形が可能であることは言うまでもない。例えば、nMIS領域1AやpMIS領域1Bにウエルを形成してもよい。また、nMIS領域1Aの金属シリサイド層23にAl(アルミニウム)を注入し、引張応力を生じさせ、nチャネル型MSIFETQn1の特性の向上を図ってもよい。また、ニッケル合金膜21上をバリア膜で保護した状態で、シリサイド化を行ってもよい。また、本実施の形態においては、シリコン基板1を用いたが上記溝g2を形成し得る材料であれば他の半導体基板を用いてもよい。また、シリコンゲルマニウム領域10や後述の炭化シリコン領域12についても基板を構成する半導体材料と格子定数が異なる他の半導体材料を用いてもよい。
【0142】
(実施の形態2)
実施の形態1においては、第1エッチングと第2エッチングによる2段階のエッチングで、所望の形状の溝g2を形成したが、本実施の形態においては、第1エッチングの後にイオン注入を行った後、第2エッチングを行う。
【0143】
図35および図36は、本実施の形態の半導体装置の製造工程を示す断面図である。
【0144】
まず、実施の形態1と同様に、面方位(110)のシリコン基板1を準備し、素子分離領域2、ゲート絶縁膜3、ゲート電極GE1、GE2、サイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPを形成する(図7、図8参照)。
【0145】
次いで、上記形状のサイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPをマスクに、第1エッチングを行う。具体的には、pMIS領域1Bにおいて、ゲート電極(サイドウォールSW1)GE2の両側のシリコン基板1をその表面から所定の深さまでエッチングして溝g1を形成する。この第1エッチングは、異方性のドライエッチングによって行い、溝形状を、略ボックス形状とする。例えば、溝の深さは、30nm〜50nm程度とする。この第1エッチングにより、溝g1のゲート電極GE2側には、第1側面が露出し、素子分離領域2側には、第2側面が露出する。ここでは、第2側面として、素子分離領域2の側壁が露出している。上記シリコン基板1の表面は、前述したとおり(110)面である。よって、溝g1のゲート電極GE2側の第1側面には、シリコン基板1の(110)面が露出し、底面にはシリコン基板1の(110)面が露出する(図10参照)。
【0146】
次いで、図35に示すように、pMIS領域1Bにおいて、サイドウォールSW1およびキャップ絶縁膜CPをマスクとして、シリコン基板1にGeイオンのイオン注入を行う。これにより、溝g1の底面およびゲート電極GE2側の側面である第1側面に、Geイオンが打ち込まれ、ダメージ層が形成される。第1側面部にダメージ層を厚く形成するために、斜めイオン打ち込みを行ってもよい。
【0147】
次いで、図36に示すように、第2エッチングを行い、溝g1の第1側壁および底面から露出するシリコン基板1をさらに後退させ、溝g2を形成する。この第2エッチングは、実施の形態1と同様の異方性のウエットエッチングによって行う。この工程により、(100)面と、この(100)面と90°のなす角で交差する(100)面と、を有する溝g2が形成される。
【0148】
次いで、実施の形態1と同様に、pMIS領域1Bの溝g2内に、p型のシリコンゲルマニウム(SiGe)をエピタキシャル成長させ、シリコンゲルマニウム領域10(SD2)を形成する。さらに、連続してシリコンゲルマニウム領域10上にシリコン(Si)をエピタキシャル成長させ、シリコン領域11を形成する。
【0149】
次いで、実施の形態1と同様に、nMIS領域1Aの窒化シリコン膜8と、pMIS領域1BのサイドウォールSW1の窒化シリコン膜8およびゲート電極GE1、GE2上の窒化シリコン膜6を除去し、n型半導体領域EX1およびp型半導体領域EX2を形成する(図23参照)。さらに、サイドウォールSW2を形成した後、n型半導体領域SD1を形成する(図25参照)。以降の工程についても、実施の形態1と同様であるためその説明を省略する。
【0150】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1で説明した効果に加え、次の効果を有する。即ち、Geイオンのイオン打ち込みによるダメージ層を形成したので、ウエットエッチングが進行しやすく、(100)面と、この(100)面と90°のなす角で交差する(100)面とが早い段階で、露出する。また、これらの面の露出面積も大きくなる。また、溝g2内部に形成されるシリコンゲルマニウム領域10の結晶性も向上し、pチャネル型MISFETQp1の特性をさらに向上させることができる。
【0151】
なお、ダメージ層を形成するためのイオン注入に際しては、上記Geイオンの他、Siイオンを注入してもよい。
【0152】
(実施の形態3)
実施の形態1においては、シリコンゲルマニウム領域10を、60〜80原子%のSiと20〜40原子%のGeとで構成したが、本実施の形態においては、シリコンゲルマニウム領域10のGe濃度を25原子%以上とする。なお、シリコンゲルマニウム領域10の構成(組成比)および製造方法以外は、実施の形態1と同様であるため、シリコンゲルマニウム領域10以外の構成および製造工程についてはその説明を省略する。
【0153】
前述したように、シリコンゲルマニウム領域10は、例えば、シラン系ガスとゲルマン系ガスを原料ガスとしたエピタキシャル成長により形成することができる。シラン系ガスとしては、例えばモノシランガス(SiH)やジクロロシラン(SiHCl)などを用いることができる。また、ゲルマン系ガスとしては、モノゲルマンガス(GeH)などを用いることができる。また、シラン系ガスの供給量に対するゲルマン系ガスの供給量(流量)の割合を調整することで、シリコンゲルマニウム領域10中のGeの濃度(割合、組成比)を変化させることができる。よって、このエピタキシャル成長の際、シラン系ガスの供給量に対するゲルマン系ガスの供給量(流量)の割合をより多くすることで、シリコンゲルマニウム領域10中のGe濃度を高くすることができる。
【0154】
なお、実施の形態1と同様に、シリコンゲルマニウム領域10は、例えば40〜100nm程度の厚みに形成することができ、シリコン領域11は、例えば5〜20nm程度の厚みに形成することができる。ここでは、上記原料ガス中に、例えば、水素化ホウ素(B)などのp型のドーピングガス(p型の不純物添加用のガス)を含ませた状態で成膜することにより、p型のシリコンゲルマニウム領域10を形成する。なお、ノンドープのシリコンゲルマニウム領域10を成膜した後、p型の不純物イオンをイオン注入法により注入してもよい。
【0155】
本実施の形態における、シリコンゲルマニウム領域10のエピタキシャル成長条件の一例を示す。シリコンゲルマニウム領域10の形成に際しては、例えば、反応室(チャンバー)内において、650℃、1.33kPaの雰囲気下で、原料ガスとして、ジクロロシラン、モノゲルマンガスおよび水素化ホウ素(B)をそれぞれ、20sccm、16sccm、160sccmの流量で、キャリアガスである35sccmの流量の塩酸(HCl)とともに反応室内に導入する。かかる条件により、シリコンゲルマニウムをエピタキシャル成長させた場合、Geの原子%は、約30%、Siの原子%は、約70%となる。即ち、シリコンゲルマニウムをSi1-xGeと表記した場合、x≒0.3となる。
【0156】
この後、実施の形態1と同様に、シリコンゲルマニウム領域10上に、連続してシリコンゲルマニウム領域10上にシリコン(Si)をエピタキシャル成長させ、シリコン領域11を形成する。
【0157】
このように、シリコンゲルマニウム領域10中のGe濃度を大きくすることで、格子定数が大きい箇所が多くなり、pチャネル型MISFETQp1のチャネル領域に対する圧縮応力がより大きくなる。これにより、pチャネル型MISFETQp1の特性をさらに向上させることができる。シリコンゲルマニウム領域10中のGe濃度としては、25原子%以上とすることが望ましい。
【0158】
(実施の形態4)
本実施の形態においては、シリコンゲルマニウムのエピタキシャル成長において、シラン系ガスの供給量に対するゲルマン系ガスの供給量(流量)の割合を、その成長途中で変化させる。なお、シリコンゲルマニウム領域10の構成(組成比)および製造方法以外は、実施の形態1と同様であるため、シリコンゲルマニウム領域10以外の構成および製造工程についてはその説明を省略する。
【0159】
前述したように、シリコンゲルマニウム領域10は、例えば、シラン系ガスとゲルマン系ガスを原料ガスとしたエピタキシャル成長により形成することができる。シラン系ガスとしては、例えばモノシランガス(SiH)やジクロロシラン(SiHCl)などを用いることができる。また、ゲルマン系ガスとしては、モノゲルマンガス(GeH)などを用いることができる。また、シラン系ガスの供給量に対するゲルマン系ガスの供給量(流量)の割合を調整することで、シリコンゲルマニウム領域10中のGeの濃度(割合、組成比)を変化させることができる。よって、このエピタキシャル成長の際、シラン系ガスの供給量に対するゲルマン系ガスの供給量(流量)の割合を変化させることで、シリコンゲルマニウム領域10中のGe濃度を変化させることができる。例えば、成長初期においては、シラン系ガスのみで成長させ(Si1−xGeのxが0)、徐々にシラン系ガスの供給量に対するゲルマン系ガスの供給量の割合を多くし、成長後期においては、Si1−xGeのxが0.4程度となるようにシラン系ガスの供給量とゲルマン系ガスの供給量との流量比を調整する。この場合、シリコンゲルマニウム領域10(Si1−xGe)中のXは、0から0.4まで上昇することとなる。
【0160】
ここで、前述したように、シリコンゲルマニウム領域10のエピタキシャル成長に際しては、溝g2の側面となる(100)面および、この(100)面と90°のなす角で交差する(100)面とから優先的に結晶成長が進む。よって、溝g2の側面(第1斜面および第2斜面、側壁部)においては、ゲルマニウム濃度が、他の領域のゲルマニウム濃度より低くなっており、その成長方向にしたがってゲルマニウム濃度が高くなる。
【0161】
例えば、溝g2の側面(第1斜面および第2斜面、側壁部)から溝g2の内部方向、さらには、溝g2の第2側面方向(素子分離領域2の方向)に成長が進むにしたがってGe濃度が高くなる。また、溝g2の底面から上面にかけてGe濃度が高くなる。但し、前述したように、溝g2の底面を構成する(110)面より、第1側面を構成する(100)面の方が結晶成長しやすいため、横方向(第1側面から第2側面)にかけての濃度勾配の方が大きくなる。なお、溝g2の第2側面として素子分離領域2ではなく、シリコン基板1が露出していてもよい。この場合、第2側面から溝g2の内部方向にかけても結晶成長が進む。
【0162】
よって、溝g2の側面(第1斜面および第2斜面、側壁部)においては、前述のとおり、ゲルマニウム濃度が、他の領域のゲルマニウム濃度より低くなる。より詳細には、少なくとも、溝g2の側面(第1斜面および第2斜面、側壁部)におけるシリコンゲルマニウム領域10は、溝g2の第1側面(ゲート電極GE2側)と第2側面(素子分離領域2側)との中間部の表面におけるシリコンゲルマニウム領域10の濃度より低くなると言える。
【0163】
このように、徐々にゲルマン系ガスの供給量の割合を多くしながらシリコンゲルマニウムのエピタキシャル成長を行うことによって、溝g2の第1側壁および底面部近傍の結晶の歪を小さくし、結晶欠陥の低減および成膜性の向上を図ることができる。一方、シリコンゲルマニウム領域10において、溝g2の側壁部近傍から徐々にGe濃度が大きくなることで、格子定数が広い箇所が徐々に増加し、最終的にはGe濃度が40原子%程度となることで、SiGeによる歪みを大きくし、pチャネル型MISFETQp1のチャネル領域に対する圧縮応力を大きくすることができる。
【0164】
(実施の形態5)
実施の形態1においては、所定形状の溝g2内にシリコンゲルマニウム領域10を形成し、さらに、pチャネル型MISFETQp1上に圧縮応力膜31を形成することでpチャネル型MISFETQp1の特性の向上を図ったが、本実施の形態においては、nチャネル型MISFETQn1の特性をも向上させる各種応用例について説明する。図37〜図44は、本実施の形態の半導体装置およびその製造工程を示す要部断面図である。図37は、応用例1に、図38は、応用例2に、図39および図40は、応用例3に、図41〜図44は、応用例4に対応する。なお、本実施の形態においても、実施の形態1と異なる構成および製造工程について詳細に説明する。
【0165】
(応用例1)
図37に示す半導体装置においては、nチャネル型MISFETQn1のゲート絶縁膜3aとして、高誘電率絶縁膜(high−k絶縁膜)が用いられ、ゲート電極GE1を構成する導電性膜として金属膜とこの金属膜上に設けられたポリシリコン(多結晶シリコン膜)を有する積層導電膜4aが用いられている。いわゆるメタルゲート電極(GE1)が用いられている。積層導電膜4aの他、金属化合物膜を用いてもよい。
【0166】
このように、高誘電率絶縁膜をゲート絶縁膜3aとして用いることで、nチャネル型MISFETQn1の電流量を大きくすることができる。また、ゲート絶縁膜3aの厚膜化が可能となり、リーク電流の低減を図ることができる。さらに、このゲート絶縁膜(高誘電率絶縁膜)3aとメタルゲート電極(GE1)との組み合わせにより、電子の流れを阻害するフォノン振動が抑制されるため、nチャネル型MISFETQn1の駆動特性がさらに向上する。
【0167】
高誘電率絶縁膜(3a)としては、例えば、HfO、HfSiON、La、Alなどを用いることができる。また、メタルゲート電極(GE1)を構成する金属膜としては、例えば、Al、Ru、Wなどを用いることができる。また、TiNやTaSiNなど、金属と窒素の導電性化合物や、金属と半導体と窒素からなる導電性化合物を用いてもよい。さらに、メタルゲート電極(GE1)として、上記金属膜や導電性化合物を単層で用いてもよい。さらに、メタルゲート電極(GE1)を、上記導電性化合物とこの導電性化合物上に設けられたポリシリコンとの積層膜としてもよい。
【0168】
nチャネル型MISFETQn1のゲート絶縁膜(高誘電率絶縁膜)3aおよびメタルゲート電極(GE1)の形成方法に制限はないが、例えば、次のような工程により形成することができる。
【0169】
実施の形態1と同様にシリコン基板1に素子分離領域2およびゲート絶縁膜3として薄い酸化シリコン膜を形成した後、nMIS領域1Aの酸化シリコン膜を除去し、nMIS領域1Aのみにゲート絶縁膜3aとして高誘電率絶縁膜を形成する。
【0170】
次いで、実施の形態1と同様に、ゲート絶縁膜3上に、導電性膜としてシリコン膜4、酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6を形成した後、これらの膜をパターニングすることにより、pMIS領域1Bにゲート電極GE2およびキャップ絶縁膜CPを形成する。次いで、nMIS領域1Aのゲート絶縁膜3a上のみに、積層導電膜4aとして金属膜とこの金属膜上に設けられたポリシリコン、酸化シリコン膜5および窒化シリコン膜6を形成した後、これらの膜をパターニングすることにより、積層導電膜4aで構成されるメタルゲート電極(GE1)およびキャップ絶縁膜CPを形成する。
【0171】
この後は、実施の形態1と同様にゲート電極GE1、GE2の側壁にサイドウォールSW1を形成した後、pMIS領域においては、実施の形態1で詳細に説明した2段階のエッチング工程を行うことで溝g2を形成し、その溝g2の内部にp型のシリコンゲルマニウムをエピタキシャル成長させ、p型のシリコンゲルマニウム領域10(SD2)を形成する。その後、連続してシリコンゲルマニウム領域10上にシリコン(Si)をエピタキシャル成長させることにより、シリコン領域11を形成する。
【0172】
次いで、実施の形態1と同様に、サイドウォールSW1を除去し、nMIS領域1Aに、n型半導体領域EX1を形成し、また、pMIS領域1Bに、p型半導体領域EX2を形成する。次いで、ゲート電極GE1、GE2の側壁に、窒化シリコン膜13からなるサイドウォールSW2を形成した後、ゲート電極GE1およびサイドウォールSW2の両側のシリコン基板1中にn型半導体領域SD1を形成する。次いで、実施の形態1と同様に、サリサイド技術により、ゲート電極GE1、GE2およびソース・ドレイン領域の表面に、金属シリサイド層23を形成した後、シリコン基板1の主面全面上に圧縮応力膜31を形成する。次いで、実施の形態1と同様に、層間絶縁膜32、プラグPG、ストッパ絶縁膜33および層間絶縁膜34、および第1層目の配線M1を形成する。
【0173】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加え以下の効果を奏する。即ち、実施の形態1で説明したように、(110)のシリコン基板1を用いることでpチャネル型MISFETQp1の正孔の移動度を向上させることができるが、(110)シリコン基板1を用いた場合、(100)のシリコン基板を用いる場合と比較し、nチャネル型MISFETQn1の電子の移動度は低下する。
【0174】
しかしながら、本実施の形態の応用例1においては、nチャネル型MISFETQn1のゲート絶縁膜3aとして、高誘電率絶縁膜を用い、ゲート電極GE1を構成する導電性膜として積層導電膜(金属膜とこの金属膜上に設けられたポリシリコン)4aを用いたので、前述したとおり、nチャネル型MISFETQn1の駆動特性を向上させることができる。
【0175】
このように、本実施の形態においては、pチャネル型MSIFETQp1とnチャネル型MISFETQn1の双方の特性を向上させることができる。
【0176】
なお、pチャネル型MISFETQp1のゲート絶縁膜3に高誘電率絶縁膜(high−k絶縁膜)を用い、ゲート電極GE2にメタルゲート電極を用いてもよい。pチャネル型MISFETQp1のゲート絶縁膜3の高誘電率絶縁膜は、nチャネル型MISFETQn1のゲート絶縁膜3aと同じ材料を用い、同様の構成としてもよい。また、pチャネル型MISFETQp1のゲート電極GE2は、nチャネル型MISFETQn1のゲート電極GE1と同じ材料を用い、同様の構成としてもよい。また、nチャネル型MISFETQn1およびpチャネル型MISFETQp1について、チャネル下の半導体の仕事関数をそれぞれ最適に制御するために、それぞれ異なる高誘電率絶縁膜やゲート電極材料を用いてもよい。また、nチャネル型MISFETQn1およびpチャネル型MISFETQp1について、チャネル下の半導体の仕事関数をそれぞれ最適に制御するために、高誘電率絶縁膜やゲート電極についてそれぞれ異なる構成としてもよい。
【0177】
このように、pチャネル型MISFETQp1のゲート絶縁膜3に高誘電率絶縁膜(high−k絶縁膜)を用い、ゲート電極GE2にメタルゲート電極を用いることで、pチャネル型MSIFETQp1の特性をさらに向上させることができる。
【0178】
(応用例2)
図38に示す半導体装置においては、nチャネル型MISFETQn1のソース・ドレイン領域(n型半導体領域SD1、SD3)が、炭化シリコン(SiC)領域12中に配置されている。かかる構造によれば、nチャネル型MISFETQn1のチャネル領域に引張応力を作用させ(印加し)、それによって、電子の移動度(チャネル領域における電子の移動度)を増加させることができる。これにより、nチャネル型MISFETQn1のチャネルを流れるオン電流を増加させることができ、高速動作化を図ることができる。炭化シリコン領域12がチャネル領域に引張応力を作用させるのは、炭化シリコン領域12の格子定数がシリコン(シリコン基板1)の格子定数よりも小さいことに主に起因している。
【0179】
nチャネル型MISFETQn1の炭化シリコン領域12の形成方法に制限はないが、例えば、次のような工程により形成することができる。
【0180】
実施の形態1と同様にシリコン基板1に素子分離領域2、ゲート絶縁膜3、ゲート電極GE1、GE2、キャップ絶縁膜CPおよびサイドウォールSW1を形成した後、pMIS領域においては、実施の形態1で詳細に説明した2段階のエッチング工程を行うことで溝g2を形成し、その溝g2の内部にp型のシリコンゲルマニウムをエピタキシャル成長させ、p型のシリコンゲルマニウム領域10(SD2)を形成する。その後、連続してシリコンゲルマニウム領域10上にシリコン(Si)をエピタキシャル成長させることにより、シリコン領域11を形成する(図22参照)。また、サイドウォールSW1を形成した後、nMIS領域においては、サイドウォールSW1をマスクに、クラスターカーボンを注入した後、サイドウォールSW1の両側のシリコン基板1をアモルファス化する。次いで、熱処理を施し、アモルファス化した領域を再結晶化させる。これにより、サイドウォールSW1の両側のシリコン基板1中に炭化シリコン領域12を形成する。
【0181】
次いで、実施の形態1と同様に、nMIS領域1Aに、n型半導体領域EX1を形成し、また、pMIS領域1Bに、p型半導体領域EX2を形成する。次いで、ゲート電極GE1、GE2の側壁に、窒化シリコン膜13からなるサイドウォールSW2を形成した後、ゲート電極GE1およびサイドウォールSW2の両側の炭化シリコン領域12中にn型半導体領域SD1形成する。
【0182】
この後、実施の形態1と同様に、サリサイド技術により、ゲート電極GE1、GE2およびソース・ドレイン領域(n型半導体領域SD1およびp型半導体領域SD2)の表面に、金属シリサイド層(23a、23)を形成した後、シリコン基板1の主面全面上に圧縮応力膜31を形成する。次いで、実施の形態1と同様に、層間絶縁膜32、プラグPG、ストッパ絶縁膜33および層間絶縁膜34、および第1層目の配線M1を形成する。
【0183】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加え以下の効果を奏する。即ち、実施の形態1で説明したように、(110)のシリコン基板1を用いることでpチャネル型MISFETQp1の正孔の移動度を向上させることができるが、(110)シリコン基板1を用いた場合、(100)のシリコン基板を用いる場合と比較し、nチャネル型MISFETQn1の電子の移動度は低下する。
【0184】
しかしながら、本実施の形態の応用例2においては、nチャネル型MISFETQn1のソース・ドレイン領域を炭化シリコン領域12中に形成したので、前述したとおり、nチャネル型MISFETQn1のチャネル領域に引張応力を作用させることができ、nチャネル型MISFETQn1の駆動特性を向上させることができる。
【0185】
このように、本実施の形態においては、pチャネル型MSIFETQp1とnチャネル型MISFETQn1の双方の特性を向上させることができる。
【0186】
(応用例3)
図39および図40に示す半導体装置においては、nチャネル型MISFETQn1のソース・ドレイン領域上に引張応力膜(引張ライナー膜)52が形成され、pチャネル型MISFETQp1のソース・ドレイン領域上に圧縮応力膜31が形成されている。かかる構造を、デュアルストレスライナー構造ということがある。
【0187】
このように、nMIS領域1A上の圧縮応力膜31を除去し、引張応力膜52を形成する。これにより、nチャネル型MISFETQn1のチャネル領域の電子の移動度を増加させることができ、それによってnチャネル型MISFETQn1のオン電流を増加させることができる。
【0188】
nチャネル型MISFETQn1上の引張応力膜52の形成方法に制限はないが、例えば、次のような工程により形成することができる。
【0189】
実施の形態1と同様に、シリコン基板1に素子分離領域2を形成した後、nMIS領域1Aに、nチャネル型MISFETQn1を、pMIS領域1Bに、pチャネル型MISFETQp1を形成した後、サリサイド技術により、ゲート電極GE1、GE2およびソース・ドレイン領域の表面に、金属シリサイド層23を形成する(図28参照)。次いで、実施の形態1と同様に、シリコン基板1の主面全面上に、圧縮応力膜31を形成した後、図39に示すように、この圧縮応力膜31上に、エッチングストッパ膜として絶縁膜51を形成する。この絶縁膜51は、後述の引張応力膜52とは異なる材料により形成されていることが必要である。例えば、後で形成する引張応力膜52を窒化シリコン膜とする場合には、絶縁膜51として酸化シリコン膜が好適であるが、それ以外にも、炭化シリコン膜、炭窒化シリコン膜または酸窒化シリコン膜を絶縁膜51として用いることができる。絶縁膜51の膜厚(形成膜厚)は、例えば6〜20nm程度である。
【0190】
次いで、nMIS領域1Aの絶縁膜51およびその下の圧縮応力膜31をドライエッチングして除去する。次いで、シリコン基板1の主面全面上に、引張応力膜52を形成する。この引張応力膜52は、例えば窒化シリコンからなり、プラズマCVD法などを用いて形成することができ、その膜厚(堆積膜厚)は、20〜50nm程度とすることができる。このように窒化シリコンからなる引張応力膜52を形成する場合は、例えば、シラン(SiH)、一酸化二窒素(NO)およびアンモニア(NH)を用いて、250℃から400℃程度の温度でプラズマCVDで窒化シリコン膜を成膜した後、紫外線を照射しながら400℃から550℃程度の熱処理を施すことにより、この窒化シリコン膜からなる引張応力膜を形成することができる。引張応力膜52の引張応力は例えば1〜2GPa程度である。次いで、図40に示すように、nMIS領域1Aをフォトレジスト膜PR3で覆い、pMIS領域1Bの引張応力膜52をドライエッチングして除去する。このドライエッチング工程では、絶縁膜51をエッチングストッパと機能させる。
【0191】
次いで、フォトレジスト膜PR3を除去した後、実施の形態1と同様に、層間絶縁膜32、プラグPG、ストッパ絶縁膜33および層間絶縁膜34、および第1層目の配線M1を形成する。
【0192】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加え以下の効果を奏する。即ち、実施の形態1で説明したように、(110)のシリコン基板1を用いることでpチャネル型MISFETQp1の正孔の移動度を向上させることができるが、(110)シリコン基板1を用いた場合、(100)のシリコン基板を用いる場合と比較し、nチャネル型MISFETQn1の電子の移動度は低下する。
【0193】
しかしながら、本実施の形態の応用例3においては、nチャネル型MISFETQn1のソース・ドレイン領域上に引張応力膜52を配置したので、前述したとおり、電子の移動度を増加させ、オン電流を増加させることができ、nチャネル型MISFETQn1の駆動特性を向上させることができる。
【0194】
このように、本実施の形態においては、pチャネル型MSIFETQp1とnチャネル型MISFETQn1の双方の特性を向上させることができる。
【0195】
(応用例4)
本実施の形態の半導体装置においては、面方位(100)のnMIS領域1Aと、面方位(110)のpMIS領域1Bとを有するシリコン基板1aを用い、面方位(100)のnMIS領域1Aにnチャネル型MISFETQn1が形成され、面方位(110)のpMIS領域1Bにpチャネル型MISFETQp1が形成されている(図44参照)。このように、nチャネル型MISFETQn1を面方位(100)の領域に形成することにより、チャネル領域の電子の移動度を増加させることができ、それによってオン電流を増加させることができる。
【0196】
以下、図面を参照しながら、本実施の形態の半導体装置の製造方法について説明する。まず、異なる面方位をその主表面に有するシリコン基板1aの形成方法について説明する。
【0197】
図41に示すように、面方位(100)のシリコン基板1a上に面方位(110)のシリコン基板1bを貼り合わせた基板を準備し、シリコン基板1b側を研磨することにより、シリコン基板1bを薄膜化する。以下、1bをシリコン層という。
【0198】
次いで、実施の形態1と同様に、素子分離領域2を形成する。例えば、シリコン基板1a上のシリコン層1bに上記nMIS領域1AおよびpMIS領域1Bを囲む素子分離溝を形成し、この素子分離溝の内部に絶縁膜を埋め込むことにより、素子分離領域2を形成する。なお、素子分離溝の深さは、シリコン層1bの厚さより大きい方が好ましい。
【0199】
次いで、図42に示すように、nMIS領域1Aにシリコンイオンを打ち込むことにより、nMIS領域1Aのシリコン層1bをアモルファス化する。次いで、熱処理を施し、アモルファス化した領域を再結晶化させる。この際、下層のシリコン基板1aの面方位が(100)であるため、面方位(100)のシリコン層が成長する(再結晶化する)。よって、図43に示すように、nMIS領域1Aのシリコン層1bは、面方位(100)のシリコン層1cとなる。
【0200】
次いで、実施の形態1と同様に、nMIS領域1Aに、nチャネル型MISFETQn1を、pMIS領域1Bに、pチャネル型MISFETQp1を形成する。さらに、この後、必要に応じて実施の形態1と同様に、金属シリサイド層23、圧縮応力膜31、層間絶縁膜32、プラグPG、ストッパ絶縁膜33および層間絶縁膜34、および第1層目の配線M1などを形成する。
【0201】
このように、本実施の形態によれば、実施の形態1の効果に加え以下の効果を奏する。即ち、実施の形態1で説明したように、(110)のシリコン基板1を用いることでpチャネル型MISFETQp1の正孔の移動度を向上させることができるが、(110)シリコン基板1を用いた場合、(100)のシリコン基板を用いる場合と比較し、nチャネル型MISFETQn1の電子の移動度は低下する。
【0202】
しかしながら、本実施の形態の応用例4においては、(100)のシリコン層1cにnチャネル型MISFETQn1を形成したので、前述したとおり、電子の移動度を増加させ、オン電流を増加させることができ、nチャネル型MISFETQn1の駆動特性を向上させることができる。
【0203】
このように、本実施の形態においては、pチャネル型MSIFETQp1とnチャネル型MISFETQn1の双方の特性を向上させることができる。
【0204】
(応用例5)
上記応用例3においては、デュアルストレスライナー構造を採用したが、SRAMのメモリ領域および周辺回路領域を有する半導体装置において、周辺回路領域においては、デュアルストレスライナー構造(応用例3参照)を採用し、SRAMのメモリ領域においては、引張応力膜(引張ライナー膜)を形成してもよい。
【0205】
具体的には、図32に示す半導体チップSM1において、SRAMのメモリセルアレイが形成されたメモリ領域41には引張応力膜を形成する。SRAMは、インバータを2段リング接続した構成を有する。SRAMを構成するインバータには、NMISインバータやCMISインバータと言われるものがある。NMISとは、nチャネル型MISFETを示し、CMISとは、Complementary(相補的な)MISFETを示す。
【0206】
NMISインバータは、nチャネル型MISFETと高抵抗ポリシリコンだけで構成され、CMISインバータは、nチャネル型MISFETとpチャネル型MISFETとを有する。NMISインバータを使ったものは4Tr2R構成といわれ、CMISインバータを使ったものは6Tr構成と言われることがある。
【0207】
このような、6Tr構成のSRAMメモリセルが形成されたメモリセル領域41には、nチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETの双方のMIS上に引張応力膜を形成する。もちろん、4Tr2R構成のメモリセルが形成されたメモリセル領域41にはpチャネル型MISFETが形成されていないので引張応力膜を形成すればよい。
【0208】
このように、メモリ領域41においては、pチャネル型MISFET上にも引張応力膜を形成する。これにより、SRAMメモリセルを構成するnチャネル型MISFETQn1のオン電流を増加させることができるとともに、SRAMメモリセルのスタンバイリーク電流を低減することができる。
【0209】
一方、図32に示す半導体チップSM1の周辺回路領域42においては、上記応用例3で詳細に説明したデュアルストレスライナー構造を採用する。
【0210】
即ち、周辺回路領域42に形成されるロジック回路は、複数のnチャネル型MISFETおよびpチャネル型MISFETを有する。この周辺回路領域42においては、nチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域上に引張応力膜を形成し、pチャネル型MISFETのソース・ドレイン領域上に圧縮応力膜31を形成する(デュアルストレスライナー構造、応用例3、図39および図40参照)。このように、周辺回路領域42においては、デュアルストレスライナー構造を採用することにより、nチャネル型MISFETのチャネル領域の電子の移動度を増加させることができ、それによってnチャネル型MISFETのオン電流を増加させることができる。また、pチャネル型MISFETのチャネル領域のホールの移動度を増加させることができ、それによってpチャネル型MISFETのオン電流を増加させることができる。
【0211】
このように、周辺回路領域42においては、双方のMISFETの駆動力を高めるためにデュアルストレスライナー構造とし、SRAMのメモリセルアレイが形成されたメモリ領域41においては、メモリセルのスタンバイリーク等を防ぐために双方のMISFET上に引張応力膜を形成してもよい。
【0212】
なお、上記応用例1〜5の構成や製造工程は、適宜組み合わせて用いることができる。例えば、実施の形態5で説明した応用例1〜5の構成を、個別に実施の形態1〜4に適用してもよく、また、応用例1〜5の構成を適宜組み合わせて実施の形態1〜4に適用してもよい。
【0213】
このように、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0214】
本発明は、半導体装置およびその製造技術に適用して有効である。
【符号の説明】
【0215】
1、1a シリコン基板
1b シリコン基板(シリコン層)
1c シリコン層
1A nMIS領域
1B pMIS領域
2 素子分離領域
3 ゲート絶縁膜
3a ゲート絶縁膜
4 シリコン膜
4a 積層導電膜
5 酸化シリコン膜
6 窒化シリコン膜
7 酸化シリコン膜
8 窒化シリコン膜
10 シリコンゲルマニウム領域
11 シリコン領域
12 炭化シリコン領域
13 窒化シリコン膜
21 ニッケル合金膜
23、23a 金属シリサイド層
31 圧縮応力膜
32 層間絶縁膜
33 ストッパ絶縁膜
34 層間絶縁膜
41 メモリ領域
42 周辺回路領域
42a ロジック回路領域
51 絶縁膜
52 引張応力膜
a 領域
CNT コンタクトホール
CP キャップ絶縁膜
e1、e2 領域
EX1 n型半導体領域
EX2 p型半導体領域
g1 溝
g2 溝
GE1、GE2 ゲート電極
H せり上げ量
M1 配線
PD パッド電極
PG プラグ
PR1 フォトレジスト膜
PR3 フォトレジスト膜
Qn1 nチャネル型MISFET
Qp1 pチャネル型MISFET
SD1 n型半導体領域
SD2 p型半導体領域
SM1 半導体チップ
SW1、SW2 サイドウォール
t 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)面方位が(110)であり、第1半導体よりなる基板と、
(b)前記基板の第1領域に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタであって、
(b1)前記第1領域上にゲート絶縁膜を介して配置されたゲート電極と、
(b2)前記ゲート電極の両側の前記基板中に設けられた溝の内部に配置され、前記第1半導体より格子定数が大きい第2半導体よりなるソース・ドレイン領域と、
を有するpチャネル型電界効果トランジスタと、を有し、
前記溝は、前記ゲート電極側に位置する側壁部において、面方位が(100)の第1の斜面と、前記第1の斜面と交差する面方位が(100)の第2の斜面と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記ソース・ドレイン領域の前記第2半導体は、前記第1の斜面および前記第2の斜面からエピタキシャル成長した領域を有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項4】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であり、
前記シリコンゲルマニウムのゲルマニウム濃度は25原子%以上である請求項1記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であり、
前記ソース・ドレイン領域において、前記溝の側壁部における前記シリコンゲルマニウムのゲルマニウム濃度が、他の領域のゲルマニウム濃度より低いことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項6】
前記第2半導体よりなるソース・ドレイン領域の上面は、前記ゲート絶縁膜の上面より低い位置に形成されることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第2半導体よりなるソース・ドレイン領域上には、前記第1半導体と金属との化合物層が形成されていることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項8】
前記第1半導体はシリコンであり、前記化合物層は金属シリサイド層であることを特徴とする請求項7記載の半導体装置。
【請求項9】
前記ソース・ドレイン領域の上方には、圧縮応力膜が配置されていることを特徴とする請求項6記載の半導体装置。
【請求項10】
前記溝は、前記基板をドライエッチングした後、前記基板を異方的にウエットエッチングすることにより形成されたものであることを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項11】
前記ゲート電極の両側には側壁膜が配置され、
前記第1の斜面および第2の斜面は、前記側壁膜の下方に位置することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項12】
前記ゲート電極の両側の基板中であって、前記側壁膜の下方には、前記ソース・ドレイン領域よりも低濃度のp型の半導体領域が配置されていることを特徴とする請求項11記載の半導体装置。
【請求項13】
前記基板の第2領域に形成され、第1半導体よりなるソース・ドレイン領域を有するnチャネル型電界効果トランジスタを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項14】
前記nチャネル型電界効果トランジスタは、
前記第2領域上に配置された高誘電率絶縁膜よりなる第2ゲート絶縁膜と、
前記第2ゲート絶縁膜上に配置された金属または金属化合物よりなる第2ゲート電極と、を有することを特徴とする請求項13記載の半導体装置。
【請求項15】
前記基板の第2領域に形成され、前記第1半導体より格子定数が小さい第3半導体よりなるソース・ドレイン領域を有するnチャネル型電界効果トランジスタを有することを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
【請求項16】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であり、前記第3半導体は、炭化シリコン(SiC)であることを特徴とする請求項15記載の半導体装置。
【請求項17】
前記nチャネル型電界効果トランジスタの前記第1半導体よりなるソース・ドレイン領域の上方には、引張応力膜が配置されていることを特徴とする請求項13記載の半導体装置。
【請求項18】
(a)面方位が(110)である第1領域と、面方位が(100)である第2領域とを有する第1半導体よりなる基板と、
(b)前記基板の前記第1領域に形成されたpチャネル型電界効果トランジスタであって、
(b1)前記第1領域上に第1ゲート絶縁膜を介して配置された第1ゲート電極と、
(b2)前記第1ゲート電極の両側の前記基板中に設けられた溝の内部に配置され、前記第1半導体より格子定数が大きい第2半導体よりなる第1ソース・ドレイン領域と、
を有するpチャネル型電界効果トランジスタと、
(c)前記基板の前記第2領域に形成されたnチャネル型電界効果トランジスタであって、
(c1)前記第2領域上に第2ゲート絶縁膜を介して配置された第2ゲート電極と、
(c2)前記第2ゲート電極の両側の前記基板中に設けられ、前記第1半導体よりなる第2ソース・ドレイン領域と、
を有するnチャネル型電界効果トランジスタと、を有し、
前記溝は、前記第1ゲート電極側に位置する側壁部において、面方位が(100)の第1の斜面と、前記第1の斜面と交差する面方位が(100)の第2の斜面と、を有することを特徴とする半導体装置。
【請求項19】
(a)面方位が(110)である第1領域を少なくとも有し、第1半導体よりなる基板を準備する工程と、
(b)前記基板の第1領域上に第1ゲート絶縁膜を介して第1ゲート電極を形成する工程と、
(c)前記第1ゲート電極の両側に側壁膜を形成する工程と、
(d)前記側壁膜をマスクとして前記第1ゲート電極の両側の前記基板をドライエッチングすることにより、前記第1ゲート電極の両側の前記基板中に第1溝を形成する工程と、
(e)前記第1溝に対し異方的なウエットエッチングを施すことにより、前記第1ゲート電極側に位置する側壁部において、面方位が(100)の第1の斜面と前記第1の斜面と交差する面方位が(100)の第2の斜面とを有する第2溝を形成する工程と、
(f)前記第1半導体より格子定数が大きい第2半導体を前記第1の斜面および前記第2の斜面からエピタキシャル成長させることにより、前記第2溝内に前記第2半導体よりなる半導体領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記異方的なウエットエッチングは、水酸化テトラメチルアンモニウムを含有する液を用いて行われることを特徴とする請求項19記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記(e)工程は、
前記(d)工程の後に行われる、前記第1溝の底面および側面にイオンを打ち込む工程の後に、行なわれることを特徴とする請求項19記載の半導体装置の製造方法。
【請求項22】
前記基板は、面方位が(100)である第2領域を有し、
前記第2領域に、nチャネル型電界効果トランジスタを形成する工程を有することを特徴とする請求項19記載の半導体装置の製造方法。
【請求項23】
前記nチャネル型MISFETを形成する工程は、
前記基板の前記第2領域上に第2ゲート絶縁膜を介して第2ゲート電極を形成する工程と、
前記第2ゲート電極の両側に、前記第1半導体よりなるソース・ドレイン領域を形成する工程と、
を有することを特徴とする請求項22記載の半導体装置の製造方法。
【請求項24】
前記第1半導体は、シリコン(Si)であり、前記第2半導体は、シリコンゲルマニウム(SiGe)であり、
前記(f)工程の前記エピタキシャル成長は、シラン系ガスとゲルマン系ガスを原料ガスとして行われ、シラン系ガスの供給量に対するゲルマン系ガスの供給量の割合を、前記エピタキシャル成長において、増加させながら行われることを特徴とする請求項19記載の半導体装置の製造方法。
【請求項25】
面方位が(110)面である面の法線方向と等価な方向となる<110>方向が前記pチャネル型電界効果トランジスタのチャネルの方向となる請求項1記載の半導体装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図33】
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【公開番号】特開2012−89784(P2012−89784A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−237309(P2010−237309)
【出願日】平成22年10月22日(2010.10.22)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】