説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】静電破壊耐性を向上し得る半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】ゲート電極とドレイン領域とソース領域とを有する半導体装置であって、ドレイン領域は、ゲート電極の第1の側に形成された第1導電型の第1の不純物拡散領域18aと;第1の不純物拡散領域より深く形成された第1導電型の第2の不純物拡散領域20aと;第1の不純物拡散領域より浅く形成され、不純物拡散層より不純物濃度が高い第1導電型の第3の不純物拡散領域28a、28bと;第3の不純物拡散領域上に形成され、ドレインコンタクト部22Dに接続されるシリサイド膜32a、32bとを有し、ドレインコンタクト部とサイドウォール絶縁膜との間にシリサイド膜が形成されていない領域が存在しており、ドレインコンタクト部の下方の半導体基板内に第2の不純物拡散領域が形成されていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に係り、特に静電破壊耐性の高い半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カードタイプの記録メディアは、手軽に持ち運びすることが可能であるため、大きな注目を集めている。かかる記録メディアには、静電気が帯電する場合があるため、高い静電破壊耐性が要求されている。そして、記録メディアの入出力部に用いられる半導体装置にも、高い静電破壊耐性が要求される。
【0003】
図19は、提案されている半導体装置の入出力回路部を示す概念図である。
【0004】
図19に示すように、内部回路100には、抵抗102等を介してI/O制御回路104が接続されている。I/O制御回路104は、内部回路100からの信号等に基づいて、入出力信号を制御するものである。
【0005】
I/O制御回路104には、入力用又は出力用のインバータ回路106が接続されている。インバータ回路106は、PMOSトランジスタ108PとNMOSトランジスタ108Nとを有している。
【0006】
インバータ回路106と電極パッド110との間には、ESD(Electro Static Discharge)保護回路112が設けられている。ESD保護回路112は、外部から電極パッド110を介して導入されるサージ電流を吸収するためのものである。ESD保護回路112は、PMOSトランジスタ114PとNMOSトランジスタ114Nとを有している。
【0007】
I/O制御回路104、インバータ回路106及びESD保護回路112により、入出力回路部116が構成されている。
【0008】
電極パッド110は、PMOSトランジスタ108P、114Pのドレイン側とNMOSトランジスタ108N、114Nのドレイン側とに接続されているため、ESD保護回路112の静電破壊耐圧が比較的低い場合には、PMOSトランジスタ108P、114Pのドレイン側や、NMOSトランジスタ108N、114Nのドレイン側において静電破壊が生じる。
【0009】
ソース/ドレイン拡散層表面にシリサイド膜が形成されている半導体装置の場合には、外部からサージ電流が導入されると、ドレイン側のシリサイド膜とゲート電極との間に存在するサイドウォール絶縁膜に大きな電圧が印加され、絶縁破壊が生じやすい。
【0010】
ドレイン側のシリサイド膜とゲート電極との間に存在するサイドウォール絶縁膜において絶縁破壊が生じるのを防止する技術として、ドレインコンタクトとサイドウォール絶縁膜との間にシリサイド膜が存在しない領域を配することが提案されている。ドレインコンタクトとサイドウォール絶縁膜との間にシリサイド膜が存在しない領域を配することにより、サイドウォール絶縁膜に大きなサージ電圧が印加されるのを防止することができ、静電破壊耐性を向上することが期待される(特許文献1〜5参照)。
【特許文献1】特開平7−106567号公報
【特許文献2】特開平7−142589号公報
【特許文献3】特開2001−110995号公報
【特許文献4】特開2003−133433号公報
【特許文献5】特開2004−15003号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、提案されている半導体装置では、必ずしも十分な静電破壊耐性が得られなかった。
【0012】
本発明の目的は、静電破壊耐性を向上し得る半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一観点によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置であって、前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1の側に形成された第1導電型の第1の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より深く形成された前記第1導電型の第2の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より浅く形成され、前記不純物拡散層より不純物濃度が高い前記第1導電型の第3の不純物拡散領域と;前記第3の不純物拡散領域上に形成され、ドレインコンタクト部に接続されるシリサイド膜とを有し、前記ドレインコンタクト部と前記サイドウォール絶縁膜との間に前記シリサイド膜が形成されていない領域が存在しており、前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に前記第2の不純物拡散領域が形成されていない半導体装置が提供される。
【0014】
本発明の他の観点によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置であって、前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1の側に形成された第1導電型の第1の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より浅く形成され、前記不純物拡散層より不純物濃度が高い前記第1導電型の第2の不純物拡散領域と;前記第2の不純物拡散領域上に形成され、ドレインコンタクト部に接続されるシリサイド膜とを有し、前記ドレインコンタクト部と前記サイドウォール絶縁膜との間に前記シリサイド膜が形成されていない領域が存在しており、前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に、第2導電型の第3の不純物拡散領域が形成されている半導体装置が提供される。
【0015】
本発明の更に他の観点によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板内に第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に第1の不純物拡散領域を形成する工程と、ドレインコンタクト部が形成される領域にフォトレジスト膜を形成する工程と、前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして、前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に、前記第1の不純物拡散領域より深い第2の不純物拡散領域を形成する工程と、前記ゲート電極の側壁部分にサイドウォール絶縁膜を形成するとともに、前記サイドウォール絶縁膜と前記ドレインコンタクト部との間の前記半導体基板上に、絶縁体より成るマスクパターンを形成する工程と、前記ゲート電極、前記サイドウォール絶縁膜及び前記マスクパターンをマスクとして、前記半導体基板内に前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記サイドウォール絶縁膜と前記マスクパターンとの間の領域、前記マスクパターンの前記第1の側の領域及び前記サイドウォール絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1の不純物拡散領域より浅い第3の不純物拡散領域を形成する工程と、前記第3の不純物拡散領域上にシリサイド膜を形成する工程と、前記ゲート電極上、前記サイドウォール絶縁膜上、前記マスクパターン上及び前記半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、前記マスクパターンの前記第1の側の前記シリサイド膜に達する第1のコンタクトホールと、前記ゲート電極の前記第2の側の前記シリサイド膜に達する第2のコンタクトホールとを形成する工程と、前記第1のコンタクトホール内に前記ドレインコンタクト部を形成するとともに、前記第2のコンタクトホール内にソースコンタクト部を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【0016】
本発明の更に他の観点によれば、半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、ドレインコンタクト部が形成される領域にフォトレジスト膜を形成する工程と、前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして前記半導体基板内に第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に第1の不純物拡散領域を形成する工程と、前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして、前記第1導電型のドーパント不純物を前記第1の不純物拡散領域より深くまで導入することにより、前記第1の不純物拡散領域を更に深くまで形成するとともに、前記第1の不純物拡散領域の不純物濃度プロファイルを変化させる工程と、前記ゲート電極の側壁部分にサイドウォール絶縁膜を形成するとともに、前記サイドウォール絶縁膜と前記ドレインコンタクト部との間の前記半導体基板上に、絶縁体より成るマスクパターンを形成する工程と、前記ゲート電極、前記サイドウォール絶縁膜及び前記マスクパターンをマスクとして、前記半導体基板内に前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記サイドウォール絶縁膜と前記マスクパターンとの間の領域、前記マスクパターンの前記第1の側の領域及び前記サイドウォール絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1の不純物拡散領域より浅い第2の不純物拡散領域を形成する工程と、前記第2の不純物拡散領域上にシリサイド膜を形成する工程と、前記ゲート電極上、前記サイドウォール絶縁膜上、前記マスクパターン上及び前記半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、前記マスクパターンの前記第1の側の前記シリサイド膜に達する第1のコンタクトホールと、前記ゲート電極の前記第2の側の前記シリサイド膜に達する第2のコンタクトホールとを形成する工程と、前記第1のコンタクトホール内に前記ドレインコンタクト部を形成するとともに、前記第2のコンタクトホール内にソースコンタクト部を形成する工程とを有する半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、第1の不純物拡散領域より不純物濃度の高い第2の不純物拡散領域が第1の不純物拡散領域より深く形成されており、第1の不純物拡散領域より不純物濃度の高い第3の不純物拡散領域が第1の不純物拡散領域より浅く形成しているため、深くなだらかな不純物プロファイルが得られる。また、第2の不純物拡散領域が形成されているため、第2の不純物拡散領域が形成されていない場合と比較して、寄生バイポーラトランジスタの断面積が大きくなっており、しかも、寄生バイポーラトランジスタのベース幅が狭くなっている。従って、本発明によれば、第2の不純物拡散領域が形成されていない場合と比較して、寄生npnバイポーラトランジスタの駆動能力を高くすることが可能となる。また、ドレインコンタクト部の下方領域に第2の不純物拡散領域が形成されていないため、寄生バイポーラトランジスタを動作させやすくすることができる。しかも、ドレインコンタクト部とサイドウォール絶縁膜との間にシリサイド膜が存在しない領域が存在しているため、ドレイン電極にサージ電圧が印加された際にサイドウォール絶縁膜において絶縁破壊が生じるのを防止することができる。従って、本発明によれば、静電破壊耐性の高い半導体装置を提供することができる。
【0018】
また、本発明によれば、ドレインコンタクト部の下方領域に第2の不純物拡散領域が形成されていない一方、第2導電型の不純物拡散領域が形成されているため、pn接合が形成される部分における不純物プロファイルが急峻となり、しかも、pn接合が形成される領域における不純物濃度が高くなる。このため、本発明によれば、ドレインコンタクト部にサージ電圧が加わった際に、寄生バイポーラトランジスタがオン状態になりやすくなる。このため、本発明によれば、トランジスタをより確実に保護することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による半導体装置及びその製造方法を図1乃至図8を用いて説明する。
【0020】
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置を図1乃至図4を用いて説明する。図1は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。図2は、本実施形態による半導体装置を示す平面図である。図1は、図2のA−A′線断面図である。
【0021】
図1に示すように、例えばシリコン基板より成る半導体基板10には、P型のウェル12が形成されている。
【0022】
P型のウェル12が形成された半導体基板10上には、ゲート絶縁膜14を介してゲート電極16が形成されている。
【0023】
ゲート電極16のドレイン側の半導体基板10内には、N型の不純物拡散領域(LDD領域)18aが形成されている。ゲート電極16のソース側の半導体装置10内には、N型の不純物拡散領域18bが形成されている。不純物拡散領域18a、18bを形成する際に半導体基板10内に導入されたドーパント不純物のドーズ量は、例えば4×1013cm−2である。ドーパント不純物としては、リン(P)が用いられている。
【0024】
ゲート電極16のドレイン側の半導体基板10内には、不純物拡散領域18a、18bより不純物濃度が高いN型の不純物拡散領域20aが形成されている。ゲート電極16のソース側の半導体基板10内には、不純物拡散領域18a、18bより不純物拡散領域が高い不純物拡散領域20bが形成されている。不純物拡散領域20a、20bは、不純物拡散領域18a、18bより深く形成されている。不純物拡散領域20a、20bを形成する際に半導体基板10内に導入されたドーパント不純物のドーズ量は、例えば5×1014cm−2である。ドーパント不純物としては、リンが用いられている。不純物拡散領域20aと不純物拡散領域20bとの間の領域は、チャネル領域として機能する。
【0025】
不純物拡散領域18a、18bのみならず、不純物拡散領域20a、20bを形成しているのは、N型不純物の濃度プロファイルを深く、かつ、なだらかにするためである。本実施形態では、不純物拡散領域20a、20bが形成されているため、不純物拡散領域20a、20bが形成されていない場合と比較して、寄生バイポーラトランジスタ46の断面積が大きくなっており、しかも、寄生バイポーラトランジスタ46のベース幅が狭くなっている。従って、本実施形態によれば、不純物拡散領域20a、20bが形成されていない場合と比較して、寄生npnバイポーラトランジスタ46の駆動能力を高くすることが可能となる。
【0026】
ドレインコンタクト部22Dの下方領域には、不純物拡散領域20aが形成されていない。ドレインコンタクト部22Dの下方領域に不純物拡散領域20aを形成していないのは、後述するように、pn接合が形成される部分におけるN型不純物のプロファイルを急峻にし、寄生バイポーラトランジスタ46を動作させやすくするためである。
【0027】
ゲート電極16の側壁部分には、サイドウォール絶縁膜24が形成されている。
【0028】
サイドウォール絶縁膜24とドレインコンタクト部22Dとの間の領域には、絶縁体より成るシリサイド化防止パターン(マスクパターン)26が形成されている。シリサイド化防止パターン26は、半導体基板10表面がシリサイド化されるのを防止するためのものである。
【0029】
シリサイド化防止パターン26のドレインコンタクト22D側の半導体基板10内には、N型の不純物拡散領域28aが形成されている。不純物拡散領域28aは、不純物拡散領域18a、18bより浅く形成されている。不純物拡散領域28aを形成する際に半導体基板10内に導入されたドーパント不純物のドーズ量は、例えば1×1015cm−2である。ドーパント不純物としては、例えば砒素(As)が用いられている。
【0030】
サイドウォール絶縁膜24とシリサイド化防止パターン26との間の半導体基板10内には、N型の不純物拡散領域28bが形成されている。不純物拡散領域28bは、不純物拡散領域28aと同様に、不純物拡散領域18a、18bより浅く形成されている。不純物拡散領域28bを形成する際に半導体基板10内に導入されたドーパント不純物のドーズ量は、不純物拡散領域28aと同様に、例えば1×1015cm−2である。ドーパント不純物としては、不純物拡散領域28aと同様に、例えば砒素が用いられている。
【0031】
サイドウォール絶縁膜24のソース側の半導体基板10内には、N型の不純物拡散領域28cが形成されている。不純物拡散領域28cは、不純物拡散領域28a、28bと同様に、不純物拡散領域18a、18bより浅く形成されている。不純物拡散領域28cを形成する際に半導体基板10内に導入されたドーパント不純物のドーズ量は、例えば1×1015cm−2である。ドーパント不純物としては、例えば砒素(As)が用いられている。
【0032】
シリサイド化防止パターン26が形成されている領域には、不純物拡散領域28a、28bは形成されていない。ゲート電極16とドレイン電極28aとの間に、不純物拡散領域28a、28bが形成されていない領域を配しているのは、サージ電圧がドレイン電極28aに印加された際にサイドウォール絶縁膜24において絶縁破壊が生じるのを防止するためである。
【0033】
不純物拡散領域18aより不純物濃度が高い不純物拡散領域20aがシリサイド化防止パターン26の下方にも形成されているため、シリサイド化防止パターン26が形成されている領域に不純物拡散領域28a、28bが形成されていないにもかかわらず、NMOSトランジスタの駆動能力が低下するのを防止し得る。
【0034】
ドレインコンタクト部22Dの下方の半導体基板10内には、P型のドーパント不純物が導入されて成る不純物拡散領域30が形成されている。不純物拡散領域30を形成する際に半導体基板10内に導入されたドーパント不純物のドーズ量は、例えば1×1014cm−2である。ドーパント不純物としては、例えばボロン(B)が用いられている。ドレインコンタクト部22Dの下方にP型の不純物拡散領域30を形成しているのは、後述するように、N型不純物のプロファイルが急峻かつ高濃度な箇所に、pn接合が形成されるようにすることにより、寄生バイポーラトランジスタ46を動作させやすくするためである。
【0035】
不純物拡散領域28a〜28c上には、それぞれシリサイド膜32a〜32cがそれぞれ形成されている。不純物拡散領域28a上に形成されたシリサイド膜32aは、ドレイン電極として機能する。不純物拡散領域28c上に形成されたシリサイド膜32cは、ソース電極として機能する。
【0036】
シリサイド化防止パターン26が形成されている領域には、シリサイド膜32a、32bは形成されていない。ドレインコンタクト部22Dとサイドウォール絶縁膜24との間にシリサイド膜32a、32bが存在しない領域を設けているのは、ドレイン電極32aにサージ電圧が印加された際に、サイドウォール絶縁膜24において絶縁破壊が生じるのを防止するためである。シリサイド膜32a、32bが存在しない領域は、図2に示すように、ドレインコンタクト部22Dを囲うように存在している。
【0037】
こうして、ゲート電極16とソース/ドレイン拡散領域18、20、28とを有するNMOSトランジスタ34が構成されている。
【0038】
NMOSトランジスタ34が形成された半導体基板10上には、層間絶縁膜36が形成されている。
【0039】
層間絶縁膜36には、ドレイン電極32aに達するコンタクトホール38aと、ソース電極32cに達するコンタクトホール38bとが形成されている。
【0040】
コンタクトホール38a、38b内には、Ti膜とTiN膜とを順次積層して成るバリア膜40が形成されている。内面にバリア膜40が形成されたコンタクトホール38a、38b内には、導体プラグ42a、42bが埋め込まれている。導体プラグ42aは、ドレインコンタクト部22Dを構成するものであり、導体プラグ42bは、ソースコンタクト部22Sを構成するものである。導体プラグ42aと不純物拡散領域28aとの間にシリサイド膜32aが形成されているため、ドレインコンタクト部22Dのコンタクト抵抗は極めて低く抑えられている。また、導体プラグ42bと不純物拡散領域28cとの間にシリサイド膜32cが形成されているため、ソースコンタクト部22Sのコンタクト抵抗は極めて低く抑えられている。
【0041】
導体プラグ42a、42bが埋め込まれた層間絶縁膜36上には、導体プラグ42a、42bに接続された配線44が形成されている。
【0042】
こうして本実施形態による半導体装置が構成されている。
【0043】
このような半導体装置では、図1に示すように、npn形の寄生バイポーラトランジスタ46が形成される。トランジスタ34のソース側は、寄生バイポーラトランジスタ46のコレクタを構成している。トランジスタ34のドレイン側は、寄生バイポーラトランジスタ46のエミッタを構成している。P型ウェル12は、寄生バイポーラトランジスタ46のベースを構成している。
【0044】
ドレイン電極32aにサージ電圧が印加されて、エミッタの電位よりベースの電位が高くなると、寄生バイポーラトランジスタ46はオン状態となる。寄生バイポーラトランジスタ46がオン状態になると、コレクタ−エミッタ間にサージ電流が流れ、NMOSトランジスタが保護される。
【0045】
図3は、本実施形態による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフ(その1)である。図3は、図1のB−B′線における不純物プロファイルを示している。図3において、実線はN型不純物のプロファイルを示しており、破線はP型不純物のプロファイルを示している。
【0046】
本実施形態では、不純物拡散領域18aより不純物濃度の高い不純物拡散領域20aを不純物拡散領域18aより深く形成しており、不純物拡散領域18aより不純物濃度の高い不純物拡散領域28bを不純物拡散領域18aより浅く形成しているため、図3に示すような深くなだらかな不純物プロファイルが得られる。本実施形態では、不純物拡散領域20a、20bが形成されているため、不純物拡散領域20a、20bが形成されていない場合と比較して、寄生バイポーラトランジスタ46の断面積が大きくなっており、しかも、寄生バイポーラトランジスタ46のベース幅が狭くなっている。従って、本実施形態によれば、不純物拡散領域20a、20bが形成されていない場合と比較して、寄生npnバイポーラトランジスタ46の駆動能力を高くすることが可能となる。
【0047】
図4は、本実施形態による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフ(その2)である。図4は、図1におけるC−C′線の不純物プロファイルを示している。図4において、実線はN型不純物のプロファイルを示しており、破線はP型不純物のプロファイルを示している。
【0048】
図4において実線と破線が交差している部分は、pn接合が形成される部分である。本実施形態では、ドレインコンタクト22Dの下方領域にN型の不純物拡散領域20aが形成されていない一方、P型の不純物拡散領域30が形成されているため、pn接合が形成される部分における不純物プロファイルが急峻となり、しかも、pn接合が形成される領域における不純物濃度が高くなる。このため、本実施形態による半導体装置では、ドレイン電極32aにサージ電圧が加わった際に、P型ウェル12の電位が上昇しやすくなる。このため、本実施形態によれば、サージ電流が導入された際に、寄生バイポーラトランジスタ46がオン状態になりやすくなる。このため、本実施形態によれば、NMOSトランジスタをより確実に保護することが可能となる。
【0049】
このように、本実施形態によれば、寄生バイポーラトランジスタ46の駆動能力を向上し得るとともに、サージ電流が導入された際に寄生バイポーラトランジスタ46を動作させやすくすることができる。しかも、ドレインコンタクト22Dとサイドウォール絶縁膜24との間にシリサイド膜32a、32bが存在しない領域が設けられているため、ドレイン電極32bにサージ電圧が印加された際にサイドウォール絶縁膜24において絶縁破壊が生じるのを防止することができる。しかも、比較的不純物濃度が高い不純物拡散領域20aが、シリサイド膜32a、32bが存在しない領域にも形成されているため、NMOSトランジスタ34の駆動能力が低下するのを防止することができる。従って、本実施形態によれば、静電破壊耐性が高く、しかも、電気的特性の良好な半導体装置を提供することができる。
【0050】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図5乃至図8を用いて説明する。図5乃至図8は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0051】
まず、図5(a)に示すように、例えばシリコン基板より成る半導体基板10内に、例えばP型ウェル12を形成する。
【0052】
次に、全面に、例えば熱酸化法により、半導体基板10表面にシリコン酸化膜より成るゲート絶縁膜14を形成する。ゲート絶縁膜14の膜厚は、例えば7nmとする。
【0053】
次に、全面に、例えばCVD法により、膜厚300nmのポリシリコン膜16を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、ポリシリコン膜16をパターニングする。これにより、ポリシリコンより成るゲート電極16が形成される。
【0054】
次に、イオン注入法により、ゲート電極16をマスクとして、半導体基板10内にN型のドーパント不純物を導入する。N型のドーパント不純物として例えばリンを用いる。イオン注入条件は、例えば、加速電圧を20keV、ドーズ量を4×1013cm−2とする。こうして、ゲート電極の両側の半導体基板10内にN型の不純物拡散領域(LDD領域)18a、18bが形成される。
【0055】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜48を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜48を不純物拡散領域30の平面形状(図2参照)にパターニングする。
【0056】
次に、イオン注入法により、フォトレジスト膜48をマスクとして、半導体基板10内にN型のドーパント不純物を導入する。N型のドーパント不純物としては、例えばリンを用いる。イオン注入条件は、例えば、加速電圧を60keV、ドーズ量を4×1013cm−2とする。こうして、不純物拡散領域18a、18bより深い不純物拡散領域20a、20bが形成される(図5(b)参照)。この後、フォトレジスト膜48を剥離する。
【0057】
次に、図6(a)に示すように、全面に、例えばCVD法により、膜厚120nmのシリコン酸化膜23を形成する。
【0058】
次に、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜50を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜50をシリサイド化防止パターン26の平面形状(図2参照)にパターニングする。
【0059】
次に、図6(b)に示すように、例えばRIE法により、フォトレジスト膜50をマスクとして、シリコン酸化膜23を異方性エッチングする。これにより、ゲート電極16の側壁部分に、シリコン酸化膜23より成るサイドウォール絶縁膜24が形成される。また、シリコン酸化膜23より成るシリサイド化防止パターン26が形成される。シリサイド化防止パターン26は、半導体基板10表面がシリサイド化されるのを防止するためのシリサイドブロックとして機能するものである。この後、フォトレジスト膜50を剥離する。
【0060】
次に、図7(a)に示すように、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜52を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜52に、不純物拡散領域30が形成される領域を露出する開口部54を形成する。
【0061】
次に、イオン注入法により、フォトレジスト膜52をマスクとして、半導体基板10内にP型のドーパント不純物を導入する。P型のドーパント不純物としては、例えばボロンを用いる。イオン注入条件は、例えば、加速電圧を70keV、ドーズ量を1×1014cm−2とする。こうして、P型の不純物拡散領域30が形成される。この後、フォトレジスト膜52を剥離する。
【0062】
なお、P型の不純物拡散領域30を形成する際に、PMOSトランジスタが形成される領域(図示せず)にもP型のドーパント不純物を導入することにより、PMOSトランジスタのLDD領域を形成してもよい。また、P型の不純物拡散領域30を形成する際に、抵抗素子が形成される領域(図示せず)にP型のドーパント不純物を導入することにより、P型拡散層より成る抵抗素子を形成してもよい。これにより、工程の簡略化を図ることが可能となる。
【0063】
次に、図7(b)に示すように、イオン注入法により、ゲート電極16、サイドウォール絶縁膜24、シリサイド化防止パターン26をマスクとして、半導体基板10内にN型のドーパント不純物を導入する。N型のドーパント不純物としては、例えば砒素(As)を用いる。イオン注入条件は、例えば、加速電圧を30keV、ドーズ量を1×1015cm−2とする。
【0064】
次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚30nmのコバルト膜を形成する。
【0065】
次に、熱処理を行うことにより、コバルト膜中のCoと半導体基板10中のSiとを反応させ、コバルトシリサイド膜を形成する。熱処理を行う際の雰囲気は、例えば窒素(N)雰囲気とする。熱処理温度は例えば850℃とし、熱処理時間は例えば30秒とする。
【0066】
次に、未反応のコバルト膜をエッチング除去する。こうして、コバルトシリサイドより成るシリサイド膜32a、32b、32cが形成される(図8(a)参照)。
【0067】
次に、図8(b)に示すように、全面に、例えばCVD法により、膜厚100nmのシリコン酸化膜より成る層間絶縁膜36を形成する。
【0068】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、層間絶縁膜36に、ドレイン電極32aに達するコンタクトホール38aと、ソース電極32cに達するコンタクトホール38bとを形成する。
【0069】
次に、全面に、例えばスパッタ法により、膜厚20nmのTi膜及び膜厚50nmのTiN膜を順次形成する。これにより、Ti膜及びTiN膜より成るバリアメタル膜40が形成される。
【0070】
次に、全面に、例えばCVDにより、膜厚800nmのタングステン膜を形成する。
【0071】
次に、CMP法により、タングステン膜及びバリアメタル膜を層間絶縁膜36の表面が露出するまで研磨する。これにより、コンタクトホール38a、38b内に、タングステンより成る導体プラグ42a、42bが埋め込まれる。
【0072】
次に、層間絶縁膜36上に、膜厚500nmのアルミニウム膜44を形成する。
【0073】
次に、フォトリソグラフィ技術を用い、アルミニウム膜44をパターニングする。これにより、アルミニウムより成る配線44が形成される。
【0074】
こうして本実施形態による半導体装置が製造される。
【0075】
(変形例)
次に、本実施形態による半導体装置の変形例を図9及び図10を用いて説明する。図9は、本変形例による半導体装置を示す断面図である。
【0076】
本変形例による半導体装置は、ドレインコンタクト22Dの下方領域に不純物拡散領域30が形成されていないことに主な特徴がある。
【0077】
図9に示すように、本変形例による半導体装置は、P型の不純物拡散領域30を形成することなく構成されている。
【0078】
図10は、本変形例による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフである。図10は、図9におけるC−C′線の不純物プロファイルを示している。図10において、実線はN型不純物のプロファイルを示しており、破線はP型不純物のプロファイルを示している。
【0079】
図10において実線と破線が交差している部分は、pn接合が形成される部分である。本変形例のように不純物拡散領域30を形成しない場合であっても、pn接合が形成される部分における不純物プロファイルは比較的急峻であり、pn接合が形成される領域における不純物濃度も比較的高い。従って、本変形例の場合も、寄生バイポーラトランジスタ46は比較的動作しやすい。
【0080】
このように、本変形例によっても、静電破壊耐性が高く、しかも、電気的特性の良好な半導体装置を提供することが可能である。しかも、本変形例では、不純物拡散領域30を形成しないため、製造工程を少なくすることができる。従って、本変形例によれば半導体装置の低コスト化に寄与することができる。
【0081】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による半導体装置及びその製造方法を図11乃至図16を用いて説明する。図1乃至図10に示す第1実施形態による半導体装置及びその製造方法と同一の構成要素には、同一の符号を付して説明を省略または簡潔にする。
【0082】
(半導体装置)
まず、本実施形態による半導体装置について図11を用いて説明する。図11は、本実施形態による半導体装置を示す断面図である。
【0083】
本実施形態による半導体装置は、ドレインコンタクト部22Dの下方領域に不純物拡散領域(LDD領域)18aが形成されていないことに主な特徴がある。
【0084】
図11に示すように、ドレインコンタクト部22Dの下方領域には不純物拡散領域18aが形成されていない。
【0085】
図12は、本実施形態による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフである。図12は、図11におけるC−C′線の不純物プロファイルを示している。図12において、実線はN型不純物のプロファイルを示しており、破線はP型不純物のプロファイルを示している。
【0086】
図12において実線と破線が交差している部分は、pn接合が形成される部分である。本実施形態ではドレインコンタクト部22Dの下方領域に不純物拡散領域18aが形成されていないため、pn接合が形成される部分における不純物プロファイルが極めて急峻である。しかも、本実施形態では、pn接合が形成される領域における不純物濃度も比較的高い。このため、本実施形態の場合にも、ドレイン電極32aにサージ電圧が加わった際に、P型ウェル12の電位が上昇しやすい。このため、本実施形態の場合にも、サージ電流が導入された際に、寄生バイポーラトランジスタ46がオン状態になりやすい。
【0087】
従って、本実施形態によっても、静電破壊耐性が高く、しかも、電気的特性の良好な半導体装置を提供することができる。
【0088】
(半導体装置の製造方法)
次に、本実施形態による半導体装置の製造方法を図13乃至図16を用いて説明する。図13乃至図16は、本実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図である。
【0089】
まず、ゲート電極16を形成する工程までは、図5(a)を用いて上述した半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する。
【0090】
次に、図13(a)に示すように、全面に、例えばスピンコート法により、フォトレジスト膜56を形成する。この後、フォトリソグラフィ技術を用い、フォトレジスト膜56を不純物拡散領域30の平面形状にパターニングする。
【0091】
次に、イオン注入法により、ゲート電極16及びフォトレジスト膜56をマスクとして、半導体基板10内にN型のドーパント不純物を導入する。N型のドーパント不純物として例えばリンを用いる。イオン注入条件は、例えば、加速電圧を20keV、ドーズ量を4×1013cm−2とする。こうして、N型の不純物拡散領域(LDD領域)18a、18bが形成される。
【0092】
次に、図13(b)に示すように、イオン注入法により、フォトレジスト膜56をマスクとして、半導体基板10内にN型のドーパント不純物を導入する。N型のドーパント不純物としては、例えばリンを用いる。イオン注入条件は、例えば、加速電圧を60keV、ドーズ量を4×1013cm−2とする。こうして、不純物拡散領域18a、18bより深い不純物拡散領域20a、20bが形成される。換言すれば、不純物拡散領域18a、18bの深さが更に深くなるとともに、不純物拡散領域18a、18bの不純物プロファイルが深くなだらかに変化する。この後、フォトレジスト膜56を剥離する。
【0093】
この後の半導体装置の製造方法は、図6(a)乃至図8(b)を用いて上述した半導体装置の製造方法と同様であるので説明を省略する(図14(a)乃至図16(b)参照)。
【0094】
こうして本実施形態による半導体装置が製造される。
【0095】
(変形例)
次に、本実施形態による半導体装置の変形例を図17及び図18を用いて説明する。図17は、本変形例による半導体装置を示す断面図である。
【0096】
本変形例による半導体装置は、不純物拡散領域30が形成されていないことに主な特徴がある。
【0097】
図17に示すように、本変形例による半導体装置は、P型の不純物拡散領域30を形成することなく構成されている。
【0098】
図18は、本変形例による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフである。図18は、図7におけるC−C′線の不純物プロファイルを示している。図18において、実線はN型不純物のプロファイルを示しており、破線はP型不純物のプロファイルを示している。
【0099】
図18において実線と破線が交差している部分は、pn接合が形成される部分である。本変形例のように不純物拡散領域30を形成しない場合であっても、pn接合が形成される部分における不純物プロファイルは比較的急峻であり、pn接合が形成される領域における不純物濃度も比較的高い。従って、本変形例の場合も、寄生バイポーラトランジスタ46は比較的動作しやすい。
【0100】
このように、本変形例によっても、静電破壊耐性が高く、しかも、電気的特性の良好な半導体装置を提供することが可能である。しかも、本変形例では、不純物拡散領域30を形成しないため、製造工程を少なくすることができる。従って、本変形例によれば半導体装置の低コスト化に寄与することができる。
【0101】
[変形実施形態]
本発明は上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
【0102】
例えば、上記実施形態では、NMOSトランジスタを例に説明したが、本発明の原理はNMOSトランジスタに限定されるものではなく、PMOSトランジスタにも適用し得る。PMOSトランジスタを形成する場合には、ウェルの12の導電型をN型とし、不純物拡散領域18a、18b、20a、20b、28a〜28cの導電型をP型とし、不純物拡散領域30の導電型をN型とすればよい。
【0103】
以上詳述したように、本発明の特徴をまとめると以下の通りである。
【0104】
(付記1)
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置であって、
前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1の側に形成された第1導電型の第1の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より深く形成された前記第1導電型の第2の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より浅く形成され、前記不純物拡散層より不純物濃度が高い前記第1導電型の第3の不純物拡散領域と;前記第3の不純物拡散領域上に形成され、ドレインコンタクト部に接続されるシリサイド膜とを有し、
前記ドレインコンタクト部と前記サイドウォール絶縁膜との間に前記シリサイド膜が形成されていない領域が存在しており、
前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に前記第2の不純物拡散領域が形成されていない
ことを特徴とする半導体装置。
【0105】
(付記2)
請求項1記載の半導体装置において、
前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に、第2導電型の第4の不純物拡散領域が形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【0106】
(付記3)
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置であって、
前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1の側に形成された第1導電型の第1の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より浅く形成され、前記不純物拡散層より不純物濃度が高い前記第1導電型の第2の不純物拡散領域と;前記第2の不純物拡散領域上に形成され、ドレインコンタクト部に接続されるシリサイド膜とを有し、
前記ドレインコンタクト部と前記サイドウォール絶縁膜との間に前記シリサイド膜が形成されていない領域が存在しており、
前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に、第2導電型の第3の不純物拡散領域が形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【0107】
(付記4)
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記シリサイド膜が形成されていない領域は、前記ドレインコンタクト部を囲うように形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【0108】
(付記5)
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、
半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板内に第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に第1の不純物拡散領域を形成する工程と、
ドレインコンタクト部が形成される領域にフォトレジスト膜を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして、前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に、前記第1の不純物拡散領域より深い第2の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記ゲート電極の側壁部分にサイドウォール絶縁膜を形成するとともに、前記サイドウォール絶縁膜と前記ドレインコンタクト部との間の前記半導体基板上に、絶縁体より成るマスクパターンを形成する工程と、
前記ゲート電極、前記サイドウォール絶縁膜及び前記マスクパターンをマスクとして、前記半導体基板内に前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記サイドウォール絶縁膜と前記マスクパターンとの間の領域、前記マスクパターンの前記第1の側の領域及び前記サイドウォール絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1の不純物拡散領域より浅い第3の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記第3の不純物拡散領域上にシリサイド膜を形成する工程と、
前記ゲート電極上、前記サイドウォール絶縁膜上、前記マスクパターン上及び前記半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記マスクパターンの前記第1の側の前記シリサイド膜に達する第1のコンタクトホールと、前記ゲート電極の前記第2の側の前記シリサイド膜に達する第2のコンタクトホールとを形成する工程と、
前記第1のコンタクトホール内に前記ドレインコンタクト部を形成するとともに、前記第2のコンタクトホール内にソースコンタクト部を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0109】
(付記6)
請求項5記載の半導体装置の製造方法において、
前記シリサイド膜を形成する工程の前に、前記ドレインコンタクト部を露出する開口部が形成された他のフォトレジスト膜を形成する工程と;前記他のフォトレジスト膜をマスクとして、前記半導体基板内に第2導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に、前記第2導電型の第4の不純物拡散領域を形成する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0110】
(付記7)
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、
半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
ドレインコンタクト部が形成される領域にフォトレジスト膜を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして前記半導体基板内に第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に第1の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして、前記第1導電型のドーパント不純物を前記第1の不純物拡散領域より深くまで導入することにより、前記第1の不純物拡散領域を更に深くまで形成するとともに、前記第1の不純物拡散領域の不純物濃度プロファイルを変化させる工程と、
前記ゲート電極の側壁部分にサイドウォール絶縁膜を形成するとともに、前記サイドウォール絶縁膜と前記ドレインコンタクト部との間の前記半導体基板上に、絶縁体より成るマスクパターンを形成する工程と、
前記ゲート電極、前記サイドウォール絶縁膜及び前記マスクパターンをマスクとして、前記半導体基板内に前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記サイドウォール絶縁膜と前記マスクパターンとの間の領域、前記マスクパターンの前記第1の側の領域及び前記サイドウォール絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1の不純物拡散領域より浅い第2の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記第2の不純物拡散領域上にシリサイド膜を形成する工程と、
前記ゲート電極上、前記サイドウォール絶縁膜上、前記マスクパターン上及び前記半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記マスクパターンの前記第1の側の前記シリサイド膜に達する第1のコンタクトホールと、前記ゲート電極の前記第2の側の前記シリサイド膜に達する第2のコンタクトホールとを形成する工程と、
前記第1のコンタクトホール内に前記ドレインコンタクト部を形成するとともに、前記第2のコンタクトホール内にソースコンタクト部を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【0111】
(付記8)
請求項7記載の半導体装置の製造方法において、
前記シリサイド膜を形成する工程の前に、前記ドレインコンタクト部を露出する開口部が形成された他のフォトレジスト膜を形成する工程と;前記他のフォトレジスト膜をマスクとして、前記半導体基板内に第2導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に、前記第2導電型の第3の不純物拡散領域を形成する工程とを更に有する
ことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】本発明の第1実施形態による半導体装置を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態による半導体装置を示す平面図である。
【図3】本発明の第1実施形態による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフ(その1)である。
【図4】本発明の第1実施形態による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフ(その2)である。
【図5】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図6】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図7】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図8】本発明の第1実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図9】本発明の第1実施形態の変形例による半導体装置を示す断面図である。
【図10】本発明の第1実施形態の変形例による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフである。
【図11】本発明の第2実施形態による半導体装置を示す断面図である。
【図12】本発明の第2実施形態による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフである。
【図13】本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その1)である。
【図14】本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その2)である。
【図15】本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その3)である。
【図16】本発明の第2実施形態による半導体装置の製造方法を示す工程断面図(その4)である。
【図17】本発明の第2実施形態の変形例による半導体装置を示す断面図である。
【図18】本発明の第2実施形態の変形例による半導体装置の不純物プロファイルを示すグラフである。
【図19】提案されている半導体装置の入出力回路部を示す概念図である。
【符号の説明】
【0113】
10…半導体基板
12…ウェル
14…ゲート絶縁膜
16…ゲート電極
18…N型不純物拡散領域
20…N型不純物拡散領域
22D…ドレインコンタクト部
22S…ソースコンタクト部
24…サイドウォール絶縁膜
26…シリサイド化防止パターン
28…N型不純物拡散領域
30…P型不純物拡散領域
32…シリサイド膜
34…NMOSトランジスタ
36…層間絶縁膜
38…コンタクトホール
40…バリアメタル膜
42…導体プラグ
44…配線
46…寄生バイポーラトランジスタ
48…フォトレジスト膜
50…フォトレジスト膜
52…フォトレジスト膜
54…開口部
56…フォトレジスト膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置であって、
前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1の側に形成された第1導電型の第1の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より深く形成された前記第1導電型の第2の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より浅く形成され、前記不純物拡散層より不純物濃度が高い前記第1導電型の第3の不純物拡散領域と;前記第3の不純物拡散領域上に形成され、ドレインコンタクト部に接続されるシリサイド膜とを有し、
前記ドレインコンタクト部と前記サイドウォール絶縁膜との間に前記シリサイド膜が形成されていない領域が存在しており、
前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に前記第2の不純物拡散領域が形成されていない
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1記載の半導体装置において、
前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に、第2導電型の第4の不純物拡散領域が形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置であって、
前記ドレイン領域は、前記ゲート電極の前記第1の側に形成された第1導電型の第1の不純物拡散領域と;前記第1の不純物拡散領域より浅く形成され、前記不純物拡散層より不純物濃度が高い前記第1導電型の第2の不純物拡散領域と;前記第2の不純物拡散領域上に形成され、ドレインコンタクト部に接続されるシリサイド膜とを有し、
前記ドレインコンタクト部と前記サイドウォール絶縁膜との間に前記シリサイド膜が形成されていない領域が存在しており、
前記ドレインコンタクト部の下方の前記半導体基板内に、第2導電型の第3の不純物拡散領域が形成されている
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、
半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
前記ゲート電極をマスクとして前記半導体基板内に第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に第1の不純物拡散領域を形成する工程と、
ドレインコンタクト部が形成される領域にフォトレジスト膜を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして、前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に、前記第1の不純物拡散領域より深い第2の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記ゲート電極の側壁部分にサイドウォール絶縁膜を形成するとともに、前記サイドウォール絶縁膜と前記ドレインコンタクト部との間の前記半導体基板上に、絶縁体より成るマスクパターンを形成する工程と、
前記ゲート電極、前記サイドウォール絶縁膜及び前記マスクパターンをマスクとして、前記半導体基板内に前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記サイドウォール絶縁膜と前記マスクパターンとの間の領域、前記マスクパターンの前記第1の側の領域及び前記サイドウォール絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1の不純物拡散領域より浅い第3の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記第3の不純物拡散領域上にシリサイド膜を形成する工程と、
前記ゲート電極上、前記サイドウォール絶縁膜上、前記マスクパターン上及び前記半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記マスクパターンの前記第1の側の前記シリサイド膜に達する第1のコンタクトホールと、前記ゲート電極の前記第2の側の前記シリサイド膜に達する第2のコンタクトホールとを形成する工程と、
前記第1のコンタクトホール内に前記ドレインコンタクト部を形成するとともに、前記第2のコンタクトホール内にソースコンタクト部を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
半導体基板上にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記ゲート電極の側壁部分に形成されたサイドウォール絶縁膜と、前記ゲート電極の第1の側に形成されたドレイン領域と、前記ゲート電極の第2の側に形成されたソース領域とを有するトランジスタを有する半導体装置の製造方法であって、
半導体基板上にゲート絶縁膜を介してゲート電極を形成する工程と、
ドレインコンタクト部が形成される領域にフォトレジスト膜を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして前記半導体基板内に第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記ゲート電極の両側の前記半導体基板内に第1の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記ゲート電極及び前記フォトレジスト膜をマスクとして、前記第1導電型のドーパント不純物を前記第1の不純物拡散領域より深くまで導入することにより、前記第1の不純物拡散領域を更に深くまで形成するとともに、前記第1の不純物拡散領域の不純物濃度プロファイルを変化させる工程と、
前記ゲート電極の側壁部分にサイドウォール絶縁膜を形成するとともに、前記サイドウォール絶縁膜と前記ドレインコンタクト部との間の前記半導体基板上に、絶縁体より成るマスクパターンを形成する工程と、
前記ゲート電極、前記サイドウォール絶縁膜及び前記マスクパターンをマスクとして、前記半導体基板内に前記第1導電型のドーパント不純物を導入することにより、前記サイドウォール絶縁膜と前記マスクパターンとの間の領域、前記マスクパターンの前記第1の側の領域及び前記サイドウォール絶縁膜の前記第2の側の領域に、前記第1の不純物拡散領域より浅い第2の不純物拡散領域を形成する工程と、
前記第2の不純物拡散領域上にシリサイド膜を形成する工程と、
前記ゲート電極上、前記サイドウォール絶縁膜上、前記マスクパターン上及び前記半導体基板上に、絶縁膜を形成する工程と、
前記マスクパターンの前記第1の側の前記シリサイド膜に達する第1のコンタクトホールと、前記ゲート電極の前記第2の側の前記シリサイド膜に達する第2のコンタクトホールとを形成する工程と、
前記第1のコンタクトホール内に前記ドレインコンタクト部を形成するとともに、前記第2のコンタクトホール内にソースコンタクト部を形成する工程と
を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2006−5204(P2006−5204A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−180672(P2004−180672)
【出願日】平成16年6月18日(2004.6.18)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】