説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】第1のMISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止する。
【解決手段】半導体装置は、第1,第2のMISトランジスタTr1,Tr2を備えている。第1,第2のMISトランジスタは、第1,第2の活性領域10a,10b上に形成され、第1,第2の高誘電率膜13a,13bを有する第1,第2のゲート絶縁膜13A,14Bと、第1,第2のゲート絶縁膜上に形成された第1,第2のゲート電極18A,18Bとを備えている。第1のゲート絶縁膜13Aと第2のゲート絶縁膜14Bとは、第1の素子分離領域11L上において分離されている。第1の素子分離領域11Lを挟んで対向する第1の活性領域10aの一端と第2の活性領域10bの一端との距離をsとし、第1の活性領域10aの一端から第1の素子分離領域11L上に位置する第1のゲート絶縁膜13Aの一端までの突き出し量をd1としたとき、d1<0.5sの関係式が成り立っている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特に、調整用金属を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISFET(Metal-Insulator-Semiconductor Field-Effect Transistor)を有する半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体集積回路装置の低消費電力化及び高速化に伴い、ゲート絶縁膜として、例えばハフニウム(Hf)系膜等の高誘電率膜を用い、ゲート電極として、金属膜又は金属膜/シリコン膜を用いたMISFET(以下、「MISトランジスタ」という)を備えた半導体装置が提案されている。
【0003】
ゲート絶縁膜として例えばHf系膜を用いたn型,p型MISトランジスタの場合、n型MISトランジスタとp型MISトランジスタとで、ゲート電極における金属膜の材料を互いに異ならせても、n型,p型MISトランジスタの実効仕事関数が、バンドエッジ近傍ではなくミッドギャップ近傍になるため、n型,p型MISトランジスタの閾値電圧が高くなるという問題がある。
【0004】
そこで、n型MISトランジスタの実効仕事関数を、バンドエッジ側にシフトさせて、n型MISトランジスタの閾値電圧を低くするために、ゲート絶縁膜として、例えばランタン(La)を含むHf系膜を用いる技術が提案されている(例えば特許文献1参照)。
【0005】
ゲート絶縁膜として、Laを含むHf系膜を用いることにより、n型MISトランジスタの閾値電圧を低くすることができるのは、次のような理由による。Hf系膜にLaを含ませると、Hf系膜中にダイポールが生成される。その結果、フラットバンド電圧がマイナス側へシフトし、n型MISトランジスタの実効仕事関数がバンドエッジ側へシフトするため、n型MISトランジスタの閾値電圧を低くすることができる。
【0006】
以下に、従来の半導体装置の構成について、図31及び図32(a) 〜(b) を参照しながら説明する。従来の半導体装置は、Laを含む第1の高誘電率膜を有する第1のゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタと、p型MISトランジスタとが、同一の半導体基板上に形成された半導体装置である。図31は、従来の半導体装置の構成を示す平面図である。図32(a) は、従来の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図32(b) は、従来の半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。具体的には、図32(a) 及び(b) は、それぞれ、図31に示すXXXIIa-XXXIIa線及びXXXIIb-XXXIIb線のそれぞれにおける断面図である。図31及び図32(a) において、左側にNMIS領域を示し、右側にPMIS領域を示す。
【0007】
図31及び図32(a) に示すように、従来の半導体装置は、n型MISトランジスタnTrと、p型MISトランジスタpTrとを備えている。半導体基板100におけるNMIS領域には、p型ウェル領域102aが形成されている。一方、半導体基板100におけるPMIS領域には、n型ウェル領域102bが形成されている。
【0008】
図32(a) に示すように、n型,p型MISトランジスタnTr,pTrは、第1,第2の活性領域100a,100b上に形成された第1,第2のゲート絶縁膜103A,104Bと、第1,第2のゲート絶縁膜103A,104B上に形成された第1,第2のゲート電極106A,106Bとを備えている。第1のゲート絶縁膜103Aは、Laを含む第1の高誘電率膜103aを有している。第2のゲート絶縁膜104Bは、第2の高誘電率膜103b及びアルミニウム(Al)を含む第2の調整用金属膜104bを有している。第1,第2のゲート電極106A,106Bは、第1,第2の金属膜105a,105b及び第1,第2のシリコン膜106a,106bを有している。
【0009】
第1のゲート絶縁膜103Aと第2のゲート絶縁膜104Bとは、第1の素子分離領域101L上において、接続している。第1のゲート電極106Aと第2のゲート電極106Bとは、第1の素子分離領域101L上において、接続している。第1,第2のゲート電極106A,106B上には、第1のゲート電極106Aの端部と第2のゲート電極106Bの端部とに跨って、コンタクトプラグ107が形成されている。ここで、「第1の素子分離領域101L」とは、素子分離領域101における第1の活性領域100aと第2の活性領域100bとの間に位置する領域をいう。
【0010】
図31に示すように、半導体基板100の上部には、第1,第2の活性領域100a,100bを取り囲むように素子分離領域101が形成されている。第1の活性領域100a上には、第1のゲート絶縁膜(図32(a):103A)を介して、第1のゲート電極106Aが形成されている。第2の活性領域100b上には、第2のゲート絶縁膜(図32(a):104B)を介して、第2のゲート電極106Bが形成されている。第1,第2のゲート電極106A,106B上には、コンタクトプラグ107が形成されている。
【0011】
図32(b) に示すように、素子分離領域101上には、第1の高誘電率膜103a、第1の金属膜105a、第1のシリコン膜106a及びコンタクトプラグ107が順次形成されている。
【0012】
第1のゲート絶縁膜103AがLaを含むことにより、n型MISトランジスタnTrの実効仕事関数をバンドエッジ側にシフトさせることができる。第2のゲート絶縁膜104BがAlを含むことにより、p型MISトランジスタpTrの実効仕事関数をバンドエッジ側にシフトさせることができる。
【0013】
図32(a) に示すように、第1の活性領域100aの一端から第1のゲート絶縁膜103Aの一端までの突き出し量をd1とし、第2の活性領域100bの一端から第2のゲート絶縁膜104Bの一端までの突き出し量をd2としたとき、d1=d2となるように設計されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2009−194352号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
調整用金属(例えばLa等)を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタについて、本願発明者らが鋭意検討を重ねた結果、以下の問題を新たに見出した。
【0016】
半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅を狭くすることが必要とされる。しかしながら、調整用金属を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたn型MISトランジスタの場合、ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなるという問題が発生する。
【0017】
この問題について、図33を参照しながら説明する。図33は、ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【0018】
活性領域の一端からゲート絶縁膜の一端までの突き出し量(図32(a):d1参照)の大きさを一定にし、ゲート幅(図32(a):W参照)の大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。この結果を、図33に示す。
【0019】
図33の実線に示すように、ゲート幅がWhのときの閾値電圧の大きさVthhは、ゲート幅がWl(Wl>Wh)のときの閾値電圧の大きさVthlよりも高い(Vthh>Vthl)。
【0020】
図33の破線に示すように、ゲート幅がWhのときの閾値電圧の大きさは、ゲート幅がWlのときの閾値電圧の大きさと同一であることが理想的である。即ち、ゲート幅が狭くなっても、閾値電圧が高くならないことが理想的である。しかしながら、図33の実線に示すように、ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなる。
【0021】
一方、高誘電率膜及び調整用金属(例えばAl等)を含む調整用金属膜を有するゲート絶縁膜を備えたp型MISトランジスタについて、本願発明者らが確認した結果、以下のことを見出した。
【0022】
p型MISトランジスタの場合、n型MISトランジスタの場合に比べて、ゲート幅が狭くなるに連れて閾値電圧が高くなる度合いが、非常に小さい。即ち、p型MISトランジスタの場合、ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が顕著に高くなることはない。
【0023】
前記に鑑み、本発明の目的は、第1の調整用金属を含む第1の高誘電率膜を有する第1のゲート絶縁膜を備えた第1のMISトランジスタと、第2のMISトランジスタとを備えた半導体装置において、第1のMISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置は、第1導電型の第1のMISトランジスタと第2導電型の第2のMISトランジスタとを備えた半導体装置において、第1のMISトランジスタは、半導体基板における素子分離領域に囲まれた第1の活性領域上に形成され、第1の高誘電率膜を有する第1のゲート絶縁膜と、第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極とを備え、第2のMISトランジスタは、半導体基板における素子分離領域に囲まれた第2の活性領域上に形成され、第2の高誘電率膜を有する第2のゲート絶縁膜と、第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極とを備え、第1のゲート絶縁膜と第2のゲート絶縁膜とは、第1の活性領域と第2の活性領域との間に位置する素子分離領域における第1の素子分離領域上において分離されており、第2の活性領域は、第1の活性領域から見てゲート幅方向に第1の素子分離領域を挟んで配置されており、第1の素子分離領域を挟んで対向する第1の活性領域の一端と第2の活性領域の一端との距離をsとし、第1の活性領域の一端から第1の素子分離領域上に位置する第1のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd1としたとき、d1<0.5sの関係式が成り立っていることを特徴とする。
【0025】
本発明に係る半導体装置によると、d1<0.5sの関係式が成り立っている。このため、第1のゲート絶縁膜における第1の素子分離領域と接する量を少なくすることができる。このため、例えば熱処理の際に、第1の高誘電率膜(特に、第1の高誘電率膜における第1の活性領域と接する部分)に、素子分離領域から供給される酸素(O)量を少なくすることができるので、第1の高誘電率膜に含まれる第1の調整用金属(例えばLa)とOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを抑制することができる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、第1のMISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0026】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート絶縁膜の一端と第1の素子分離領域上に位置する第2のゲート絶縁膜の一端との距離をhとしたとき、d1≦0.5(s−h)の関係式が成り立っていることが好ましい。
【0027】
本発明に係る半導体装置において、第2の活性領域の一端から第1の素子分離領域上に位置する第2のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd2としたとき、d1<d2の関係式が成り立っていることが好ましい。
【0028】
本発明に係る半導体装置において、第1の活性領域の他端から素子分離領域における第2の素子分離領域上に位置する第1のゲート絶縁膜の他端までの突き出し量をd3としたとき、d3≦d1の関係式が成り立っていることが好ましい。
【0029】
このようにすると、d3≦d1の関係式が成り立っている。このため、第1のゲート絶縁膜における第2の素子分離領域と接する量を少なくすることができる。このため、例えば熱処理の際に、第1の高誘電率膜に、素子分離領域から供給されるO量を少なくすることができるので、第1の高誘電率膜に含まれる第1の調整用金属とOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを抑制することができる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、第1のMISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0030】
本発明に係る半導体装置において、第2の活性領域の一端から第1の素子分離領域上に位置する第2のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd2とし、第2の活性領域の他端から素子分離領域における第3の素子分離領域上に位置する第2のゲート絶縁膜の他端までの突き出し量をd4としたとき、d4≦d2の関係式が成り立っていることが好ましい。
【0031】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート電極と第2のゲート電極とは、第1の素子分離領域上において分離されており、第1の素子分離領域上に、第1のゲート電極の端部と第2のゲート電極の端部とに跨って形成されたコンタクトプラグをさらに備えていることが好ましい。
【0032】
本発明に係る半導体装置において、第1のMISトランジスタは、n型MISトランジスタであり、第2のMISトランジスタは、p型MISトランジスタであることが好ましい。
【0033】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート絶縁膜は第1の調整用金属を含み、第2のゲート絶縁膜は第1の調整用金属を含まないことが好ましい。
【0034】
本発明に係る半導体装置において、第1の調整用金属はLaであることが好ましい。
【0035】
本発明に係る半導体装置において、第2のゲート絶縁膜は第2の調整用金属を含み、第1のゲート絶縁膜は第2の調整用金属を含まないことが好ましい。
【0036】
本発明に係る半導体装置において、第2の調整用金属はAlであることが好ましい。
【0037】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート電極は、第1のゲート絶縁膜上に形成された第1の金属膜と、第1の金属膜上に形成された第1のシリコン膜とを有し、第2のゲート電極は、第2のゲート絶縁膜上に形成された第2の金属膜と、第2の金属膜上に形成された第2のシリコン膜とを有することが好ましい。
【0038】
本発明に係る半導体装置において、第1のゲート電極におけるゲート長方向の側面上に形成された第1のサイドウォールと、第2のゲート電極におけるゲート長方向の側面上に形成された第2のサイドウォールとを備え、第1のゲート電極におけるゲート幅方向の側面上には第1のサイドウォールが形成されておらず、第2のゲート電極におけるゲート幅方向の側面上には第2のサイドウォールが形成されていないことが好ましい。
【0039】
本発明に係る半導体装置において、第1の素子分離領域上における第1のゲート電極と第2のゲート電極との間には、断面形状がU字状のサイドウォールが形成されていることが好ましい。
【0040】
前記の目的を達成するため、本発明に係る半導体装置の製造方法は、半導体基板における第1の活性領域上に形成された第1導電型の第1のMISトランジスタと半導体基板における第2の活性領域上に形成された第2導電型の第2のMISトランジスタとを有する半導体装置の製造方法であって、半導体基板における第1の活性領域と第2の活性領域とを分離する素子分離領域を形成する工程(a)と、第1の活性領域上に第1の高誘電率膜を有する第1のゲート絶縁膜用膜を形成すると共に、第2の活性領域上に第2の高誘電率膜を有する第2のゲート絶縁膜用膜を形成する工程(b)と、第1のゲート絶縁膜用膜及び第2のゲート絶縁膜用膜の上にゲート電極用膜を形成する工程(c)と、ゲート電極用膜並びに第1のゲート絶縁膜用膜及び第2のゲート絶縁膜用膜をパターニングして、第1の活性領域上に第1のゲート絶縁膜用膜からなる第1のゲート絶縁膜及びゲート電極用膜からなる第1のゲート電極を形成すると共に、第2の活性領域上に第2のゲート絶縁膜用膜からなる第2のゲート絶縁膜及びゲート電極用膜からなる第2のゲート電極を形成する工程(d)とを備え、工程(d)において、第1のゲート絶縁膜と第2のゲート絶縁膜とは、第1の活性領域と第2の活性領域との間に位置する素子分離領域における第1の素子分離領域上において分離して形成され、第1の素子分離領域を挟んで対向する第1の活性領域の一端と第2の活性領域の一端との距離をsとし、第1の活性領域の一端から第1の素子分離領域上に位置する第1のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd1としたとき、d1<0.5sの関係式が成り立つことを特徴とする。
【0041】
本発明に係る半導体装置の製造方法によると、d1<0.5sの関係式が成り立っている。このため、第1のゲート絶縁膜における第1の素子分離領域と接する量を少なくすることができる。このため、例えば熱処理の際に、第1の高誘電率膜(特に、第1の高誘電率膜における第1の活性領域と接する部分)に、素子分離領域から供給されるO量を少なくすることができるので、第1の高誘電率膜に含まれる第1の調整用金属(例えばLa)とOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを抑制することができる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、第1のMISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0042】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(b)は、第1の活性領域及び第2の活性領域の上に高誘電率膜を形成する工程(b1)と、高誘電率膜における第2の活性領域上に位置する第2の部分上に第2の調整用金属膜を形成する工程(b2)と、高誘電率膜における第1の活性領域上に位置する第1の部分に第1の調整用金属を導入する工程(b3)とを有し、第1のゲート絶縁膜用膜は、第1の調整用金属を含む第1の高誘電率膜を有し、第2のゲート絶縁膜用膜は、第1の調整用金属を含まない第2の高誘電率膜及び第2の調整用金属膜を有することが好ましい。
【0043】
本発明に係る半導体装置の製造方法において、工程(d)は、ゲート電極用膜並びに第1のゲート絶縁膜用膜及び第2のゲート絶縁膜用膜をパターニングして、第1の素子分離領域上において互いに接続する第1のゲート絶縁膜及び第2のゲート絶縁膜、並びに第1のゲート電極及び第2のゲート電極を形成する工程(d1)と、工程(d1)の後に、第1のゲート電極及び第1のゲート絶縁膜をパターニングして、第1のゲート絶縁膜における第1の素子分離領域上に形成された部分を除去して、第1の素子分離領域上において第1のゲート絶縁膜と第2のゲート絶縁膜とを互いに分離する工程(d2)とを有することが好ましい。
【発明の効果】
【0044】
本発明に係る半導体装置及びその製造方法によると、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、第1のMISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】(a) は、第1の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図であり、(b) は、第2の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。
【図2】ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。
【図4】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す断面図である。
【図5】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図6】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図8】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図9】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図10】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図11】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図12】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図13】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図14】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図15】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図16】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図17】本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図18】(a) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図19】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図20】(a) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図21】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図22】(a) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図23】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図24】(a) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図25】本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図26】(a) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図27】本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図28】(a) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図29】本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す平面図である。
【図30】(a) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を示す断面図である。
【図31】従来の半導体装置の構成を示す平面図である。
【図32】(a) 〜(b) は、従来の半導体装置の構成を示す断面図である。
【図33】ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本願発明者らが新たに見出した上記の問題について、本願発明者らがさらに鋭意検討を重ねた結果、以下の知見を見出した。この知見について、図1(a) 〜(b) 及び図2を参照しながら説明する。図1(a) は、第1の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図1(b) は、第2の検討例の半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図2は、ゲート幅と閾値電圧との関係を示すグラフである。
【0047】
図1(a) に示すように、半導体基板50における素子分離領域51に囲まれた活性領域50x上に、n型MISトランジスタTrAが形成されている。一方、図1(b) に示すように、半導体基板50における素子分離領域51に囲まれた活性領域50x上に、n型MISトランジスタTrBが形成されている。
【0048】
n型MISトランジスタTrA,TrBは、活性領域50x上に形成されたゲート絶縁膜52A,52Bと、ゲート絶縁膜52A,52B上に形成されたゲート電極54A,54Bとを備えている。ゲート絶縁膜52A,52Bは、Laを含む高誘電率膜52a,52bを有している。ゲート電極54A,54Bは、金属膜53a,53b及びシリコン膜54a,54bを有している。
【0049】
図1(a) に示すように、活性領域50xの一端からゲート絶縁膜52Aの一端までの突き出し量d1の大きさは、daである。一方、図1(b) に示すように、活性領域50xの一端からゲート絶縁膜52Bの一端までの突き出し量d1の大きさは、db(db<da)である。
【0050】
図1(a) に示すn型MISトランジスタTrAを用いて、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。言い換えれば、突き出し量d1の大きさを、da(一定)とし、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。この結果を、図2の太線に示す。
【0051】
一方、図1(b) に示すn型MISトランジスタTrBを用いて、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。言い換えれば、突き出し量d1の大きさを、db(一定)とし、ゲート幅Wの大きさを変化させ、閾値電圧を測定した。この結果を、図2の細線に示す。
【0052】
図2に示すように、ゲート幅WがWa、言い換えれば、比較的広い場合、突き出し量d1がdaのときの閾値電圧の大きさと、突き出し量d1がdbのときの閾値電圧の大きさとは同一である。
【0053】
一方、図2に示すように、ゲート幅WがWb、言い換えれば、比較的狭い場合、突き出し量d1がdaのときの閾値電圧の大きさVthaは、突き出し量d1がdbのときの閾値電圧の大きさVthbよりも高い(Vtha>Vthb)。
【0054】
図2に示すように、突き出し量d1がda,dbの何れの場合も、ゲート幅WがWbのときの閾値電圧の大きさは、ゲート幅WがWaのときの閾値電圧の大きさよりも高い。即ち、ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなる。
【0055】
また、図2に示すように、突き出し量d1がdaの場合での閾値電圧が高くなる度合い(太線参照)は、突き出し量d1がdbの場合での閾値電圧が高くなる度合い(細線参照)よりも高い。即ち、突き出し量が多くなるに連れて、閾値電圧が高くなる度合いが高くなる。このことから判るように、閾値電圧が高くなる要因として、突き出し量が密接に関係している。
【0056】
ゲート幅が狭くなるに連れて、閾値電圧が高くなるのは、以下のような理由によるものと考えられる。
【0057】
Laを含む高誘電率膜の形成後に施される熱処理の際に、高誘電率膜(特に、高誘電率膜における活性領域と接する部分)にO(酸素)が供給されて、高誘電率膜に含まれるLaとOとが反応すると、ダイポールの中性化が生じる。その結果、フラットバンド電圧がプラス側へシフトし、n型MISトランジスタの実効仕事関数がミッドギャップ側へシフトするため、n型MISトランジスタの閾値電圧が高くなる。ここで、高誘電率膜に含まれるLaと反応するOの供給源は、主に、素子分離領域等が考えられる。またここで、熱処理は、例えば、n型ソースドレイン注入領域に含まれるn型不純物を活性化させる為の熱処理等が考えられる。
【0058】
突き出し量d1を一定にして、ゲート幅Wを狭くした場合、ゲート幅Wを狭くするに連れて、ゲート幅Wに対する突き出し量d1の割合が大きくなる。ゲート幅Wに対する突き出し量d1の割合が大きい場合は、小さい場合に比べて、高誘電率膜における素子分離領域と接する量が多い。このため、熱処理の際に、素子分離領域から高誘電率膜に供給されるO量が多いため、ダイポールの中性化が顕著に生じるので、n型MISトランジスタの閾値電圧が顕著に高くなる。
【0059】
以上から判るように、本願発明者らが新たに見出した上記の問題について、本願発明者らがさらに鋭意検討を重ねた結果、閾値電圧が高くなることを防止するには、突き出し量を少なくすることが有効であるという知見を見出した。本発明は、本願発明者らが見出した知見に基づいて成された発明である。
【0060】
具体的には、本発明では、後述の通り、図4(a) に示すように、第1の活性領域の一端と第2の活性領域の一端との距離(第1の素子分離領域11Lの最大幅)をsとし、第1の活性領域の一端から第1のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd1としたとき、d1<0.5sの関係式が成り立っている。これに対し、従来では、既述の通り、図32(a) に示すように、d1=d2の関係式が成り立っている。言い換えれば、第1の活性領域100aの一端と第2の活性領域100bの一端との距離をsとしたとき、d1=0.5sの関係式が成り立っている。d1<0.5sの関係式が成り立っていることにより、従来に比べて、突き出し量を少なくすることができる。
【0061】
以下に、本発明の各実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0062】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成について、図3及び図4(a) 〜(d) を参照しながら説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示す平面図である。図4(a) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示すゲート幅方向の断面図である。図4(b) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の構成を示すゲート長方向の断面図である。具体的には、図4(a) 〜(d) は、それぞれ、図3に示すIVa-IVa線、IVb-IVb線、IVc-IVc線及びIVd-IVd線のそれぞれにおける断面図である。図3及び図4(a) において、左側にNMIS領域を示し、右側にPMIS領域を示す。「NMIS領域」とは、n型の第1のMISトランジスタが形成される領域をいう。「PMIS領域」とは、p型の第2のMISトランジスタが形成される領域をいう。
【0063】
本実施形態に係る半導体装置は、半導体基板10における素子分離領域11に囲まれた第1の活性領域10a上に形成された第1のMISトランジスタTr1と、半導体基板10における素子分離領域11に囲まれた第2の活性領域10b上に形成された第2のMISトランジスタTr2とを有している。半導体基板10におけるNMIS領域には、p型ウェル領域12aが形成されている。一方、半導体基板10におけるPMIS領域には、n型ウェル領域12bが形成されている。
【0064】
第1のMISトランジスタTr1は、図4(a) 及び図4(c) に示すように、半導体基板10における第1の活性領域10a上に形成された第1のゲート絶縁膜13Aと、第1のゲート絶縁膜13A上に形成された第1のゲート電極18Aと、第1の活性領域10aにおける第1のゲート電極18Aの側方下に形成されたn型エクステンション領域23aと、第1のゲート電極18Aにおけるゲート長方向の側面上に形成された第1のサイドウォール21Aと、第1の活性領域10aにおける第1のサイドウォール21Aの外側方下に形成されたn型ソースドレイン領域24aと、第1のゲート電極18A上及び第1のゲート電極18Aにおけるゲート幅方向の側面上に形成された第1のシリサイド膜25aと、n型ソースドレイン領域24a上に形成された第3のシリサイド膜26aとを備えている。
【0065】
第2のMISトランジスタTr2は、図4(a) 及び図4(d) に示すように、半導体基板10における第2の活性領域10b上に形成された第2のゲート絶縁膜14Bと、第2のゲート絶縁膜14B上に形成された第2のゲート電極18Bと、第2の活性領域10bにおける第2のゲート電極18Bの側方下に形成されたp型エクステンション領域23bと、第2のゲート電極18Bにおけるゲート長方向の側面上に形成された第2のサイドウォール21Bと、第2の活性領域10bにおける第2のサイドウォール21Bの外側方下に形成されたp型ソースドレイン領域24bと、第2のゲート電極18B上及び第2のゲート電極18Bにおけるゲート幅方向の側面上に形成された第2のシリサイド膜25bと、p型ソースドレイン領域24b上に形成された第4のシリサイド膜26bとを備えている。
【0066】
第1のゲート絶縁膜13Aは、図4(a) 及び(c) に示すように、第1の調整用金属(例えばLa)を含む第1の高誘電率膜13aを有している。第2のゲート絶縁膜14Bは、図4(a) 及び(d) に示すように、第2の高誘電率膜13b及び第2の調整用金属(例えばAl)を含む第2の調整用金属膜14bを有している。第1のゲート絶縁膜13Aは第1の調整用金属を含み、第2のゲート絶縁膜14Bは第1の調整用金属を含まない。一方、第2のゲート絶縁膜14Bは第2の調整用金属を含み、第1のゲート絶縁膜13Aは第2の調整用金属を含まない。ここで、第1,第2のゲート絶縁膜13A,14Bは、第1,第2の高誘電率膜13a,13bと第1,第2の活性領域10a,10bとの間に、SiO2膜等の界面層が形成されていてもよい。
【0067】
第1のゲート電極18Aは、図4(a) 及び(c) に示すように、第1の金属膜17a及び第1のシリコン膜18aを有している。第2のゲート電極18Bは、図4(a) 及び(d) に示すように、第2の金属膜17b及び第2のシリコン膜18bを有している。
【0068】
第1のサイドウォール21Aは、図4(c) に示すように、断面形状がL字状の第1の内側サイドウォール20a及び第1の外側サイドウォール21aを有している。第2のサイドウォール21Bは、図4(d) に示すように、断面形状がL字状の第2の内側サイドウォール20b及び第2の外側サイドウォール21bを有している。
【0069】
図4(a) に示すように、第2の活性領域10bは、第1の活性領域10aから見てゲート幅方向に第1の素子分離領域11Lを挟んで配置されている。言い換えれば、第2の活性領域10bは、第1の活性領域10aとの間に第1の素子分離領域11Lを挟んで、第1の活性領域10aとゲート幅方向に対向している。
【0070】
素子分離領域11は、図4(a) に示すように、第1,第2,第3の素子分離領域11L,11M,11Nを含む。ここで、素子分離領域11における「第1の素子分離領域11L」とは、第1の活性領域10aと第2の活性領域10bとの間に位置する領域をいう。素子分離領域11における「第2の素子分離領域11M」とは、第1の素子分離領域11Lとの間に第1の活性領域10aを挟んで、第1の素子分離領域11Lと対向する領域をいう。素子分離領域11における「第3の素子分離領域11N」とは、第1の素子分離領域11Lとの間に第2の活性領域10bを挟んで、第1の素子分離領域11Lと対向する領域をいう。
【0071】
図4(a) に示すように、半導体基板10上には、第1,第2のMISトランジスタTr1,Tr2を覆うように、層間絶縁膜27が形成されている。層間絶縁膜27に設けられたコンタクトホール28内には、コンタクトプラグ29が形成されている。
【0072】
図4(a) に示すように、第1のゲート絶縁膜13Aと第2のゲート絶縁膜14Bとは、第1の素子分離領域11L上において分離されている。第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとは、第1の素子分離領域11L上において分離されている。コンタクトプラグ29は、第1の素子分離領域11L上に、第1のゲート電極18Aの端部と第2のゲート電極18Bの端部とに跨って形成されている。コンタクトプラグ29は、第1,第2のシリサイド膜25a,25bの端部に接して形成されている。コンタクトプラグ29により、第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとは、電気的に接続されている。
【0073】
図4(b) に示すように、素子分離領域11上には、コンタクトプラグ29が形成されている。
【0074】
図3に示すように、半導体基板10の上部には、第1,第2の活性領域10a,10bを取り囲むように素子分離領域(図4(a) 〜(d):11参照)が形成されている。素子分離領域により、第1の活性領域10aと第2の活性領域10bとは分離されている。
【0075】
図3に示すように、第1の活性領域10a上には、第1のゲート絶縁膜(図4(a),(c):13A参照)を介して、第1のゲート電極(図4(a),(c):18A参照)が形成されている。第1のゲート電極におけるゲート長方向の側面上には、第1のサイドウォール21Aが形成されている。第1のゲート電極上、及び第1のゲート電極におけるゲート幅方向の側面上には、第1のシリサイド膜25aが形成されている。第1の活性領域10aにおける第1のサイドウォール21Aの外側方下に形成されたn型ソースドレイン領域(図示省略,図4(c):24a参照)上には、第3のシリサイド膜(図示省略,図4(c):26a参照)が形成されている。
【0076】
図3に示すように、第2の活性領域10b上には、第2のゲート絶縁膜(図4(a),(d):14B参照)を介して、第2のゲート電極(図4(a),(d):18B参照)が形成されている。第2のゲート電極におけるゲート長方向の側面上には、第2のサイドウォール21Bが形成されている。第2のゲート電極上、及び第2のゲート電極におけるゲート幅方向の側面上には、第2のシリサイド膜25bが形成されている。第2の活性領域10bにおける第2のサイドウォール21Bの外側方下に形成されたp型ソースドレイン領域(図示省略,図4(d):24b参照)上には、第4のシリサイド膜(図示省略,図4(d):26b参照)が形成されている。
【0077】
図3に示すように、半導体基板10上には、第1,第2のMISトランジスタTr1,Tr2を覆うように、層間絶縁膜27が形成されている。層間絶縁膜27に設けられたコンタクトホール内には、コンタクトプラグ29が形成されている。
【0078】
第1のサイドウォール21Aは、図3に示すように、第1のゲート電極18Aにおけるゲート長方向の側面上に形成され、第1のゲート電極18Aにおけるゲート幅方向の側面上には形成されていない。第2のサイドウォール21Bは、図3に示すように、第2のゲート電極18Bにおけるゲート長方向の側面上に形成され、第2のゲート電極18Bにおけるゲート幅方向の側面上には形成されていない。
【0079】
第1の活性領域10aの一端と第2の活性領域10bの一端との距離をsとし、第1の活性領域10aの一端から第1のゲート絶縁膜13Aの一端までの突き出し量をd1としたとき、
d1<0.5s
の関係式が成り立っている。
【0080】
さらに、第1のゲート絶縁膜13Aの一端と第2のゲート絶縁膜14Bの一端との距離をhとしたとき、
d1≦0.5(s−h)
の関係式が成り立っている。
【0081】
さらに、第2の活性領域10bの一端から第2のゲート絶縁膜14Bの一端までの突き出し量をd2としたとき、
d1<d2
の関係式が成り立っている。
【0082】
さらに、第1の活性領域10aの他端から第1のゲート絶縁膜13Aの他端までの突き出し量をd3としたとき、
d3≦d1
の関係式が成り立っている。
【0083】
さらに、第2の活性領域10bの他端から第2のゲート絶縁膜14Bの他端までの突き出し量をd4としたとき、
d4≦d2
の関係式が成り立っている。
【0084】
ここで、第1,第2の活性領域10a,10bの「一端」とは、図4(a) に示すように、第1,第2の活性領域10a,10bの表面における第1の素子分離領域11Lと接する端をいう。第1,第2の活性領域10a,10bの「他端」とは、第1,第2の活性領域10a,10bの表面における第2,第3の素子分離領域11M,11Nと接する端をいう。第1の活性領域10aの一端と第2の活性領域10bの一端とは、第1の素子分離領域11Lを挟んで対向している。またここで、第1,第2のゲート絶縁膜13A,14Bの「一端」とは、図4(a) に示すように、第1の素子分離領域11L上に位置する端をいう。第1,第2のゲート絶縁膜13A,14Bの「他端」とは、第2,第3の素子分離領域11M,11N上に位置する端をいう。
【0085】
以下に、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図5及び図6(a) 〜(d) 、図7及び図8(a) 〜(d) 、図9及び図10(a) 〜(d) 、図11及び図12(a) 〜(d) 、図13及び図14(a) 〜(d) 、図15及び図16(a) 〜(d) 、並びに図17及び図18(a) 〜(d) を参照しながら説明する。図5、図7、図9、図11、図13、図15及び図17は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す平面図である。図6(a) 、図8(a) 、図10(a) 、図12(a) 、図14(a) 、図16(a) 及び図18(a) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。図6(b) 〜(d) 、図8(b) 〜(d) 、図10(b) 〜(d) 、図12(b) 〜(d) 、図14(b) 〜(d) 、図16(b) 〜(d) 及び図18(b) 〜(d) は、本発明の第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。具体的には、図6(a) 、図8(a) 、図10(a) 、図12(a) 、図14(a) 、図16(a) 及び図18(a) は、それぞれ、図5に示すVIa-VIa線、図7に示すVIIIa-VIIIa線、図9に示すXa-Xa線、図11に示すXIIa-XIIa線、図13に示すXIVa-XIVa線、図15に示すXVIa-XVIa線及び図17に示すXVIIIa-XVIIIa線のそれぞれにおける断面図である。図6(b) 、図8(b) 、図10(b) 、図12(b) 、図14(b) 、図16(b) 及び図18(b) は、それぞれ、図5に示すVIb-VIb線、図7に示すVIIIb-VIIIb線、図9に示すXb-Xb線、図11に示すXIIb-XIIb線、図13に示すXIVb-XIVb線、図15に示すXVIb-XVIb線及び図17に示すXVIIIb-XVIIIb線のそれぞれにおける断面図である。図6(c) 、図8(c) 、図10(c) 、図12(c) 、図14(c) 、図16(c) 及び図18(c) は、それぞれ、図5に示すVIc-VIc線、図7に示すVIIIc-VIIIc線、図9に示すXc-Xc線、図11に示すXIIc-XIIc線、図13に示すXIVc-XIVc線、図15に示すXVIc-XVIc線及び図17に示すXVIIIc-XVIIIc線のそれぞれにおける断面図である。図6(d) 、図8(d) 、図10(d) 、図12(d) 、図14(d) 、図16(d) 及び図18(d) は、それぞれ、図5に示すVId-VId線、図7に示すVIIId-VIIId線、図9に示すXd-Xd線、図11に示すXIId-XIId線、図13に示すXIVd-XIVd線、図15に示すXVId-XVId線及び図17に示すXVIIId-XVIIId線のそれぞれにおける断面図である。図5〜図17及び図6(a) 〜図18(a) 、後述の第2の実施形態における図19〜図25及び図20(a) 〜図26(a) 、並びに第2の実施形態の変形例における図27〜図29及び図28(a) 〜図30(a) において、左側にNMIS領域を示し、右側にPMIS領域を示す。
【0086】
まず、図5及び図6(a) 〜(d) に示すように、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法により、例えばシリコンからなる半導体基板10の上部に、素子分離領域11を選択的に形成する。これにより、半導体基板10におけるNMIS領域に、素子分離領域11に囲まれた第1の活性領域10aが形成される。それと共に、半導体基板10におけるPMIS領域に、素子分離領域11に囲まれた第2の活性領域10bが形成される。ゲート幅Wは、例えば約200nmである。その後、半導体基板10におけるNMIS領域に、p型ウェル領域12aを形成する。一方、半導体基板10におけるPMIS領域に、n型ウェル領域12bを形成する。
【0087】
次に、図5及び図6(a) 〜(d) に示すように、半導体基板10上に、高誘電率膜13を形成する。高誘電率膜13の材料としては、例えばHfSiO、HfSiON、HfO、HfON、HfZrO及びHfZrON等が挙げられる。
【0088】
その後、高誘電率膜13におけるPMIS領域に形成された部分(該部分は、高誘電率膜13における第2の活性領域10b上に位置する第2の部分を含む)上に、第2の調整用金属(例えばAl)を含む第2の調整用金属膜14を形成する。
【0089】
その後、第2の調整用金属膜14上に、例えば窒化チタン(TiN)からなる保護膜15を形成する。その後、高誘電率膜13におけるNMIS領域に形成された部分(該部分は、高誘電率膜13における第1の活性領域10a上に位置する第1の部分を含む)上及び保護膜15上に、第1の調整用金属(例えばLa)を含む第1の調整用金属膜16を形成する。その後、熱処理により、高誘電率膜13におけるNMIS領域に形成された部分に、第1の調整用金属膜16に含まれる第1の調整用金属を導入する。これにより、高誘電率膜13におけるNMIS領域に形成された部分中に、ダイポールが生成される。その後、例えばウェットエッチングにより、第1の調整用金属膜16における保護膜15等の上に残存する部分(言い換えれば、未反応の部分)及び保護膜15を除去する。なお、保護膜15として、窒化タンタル(TaN)、シリコン(Si)又は窒化シリコン(SiN)を用いてもよい。
【0090】
このようにして、後述の図7及び図8(a) 〜(d) に示すように、半導体基板10におけるNMIS領域上に、第1の調整用金属を含む第1の高誘電率膜13xを有する第1のゲート絶縁膜用膜13Xを形成する。一方、半導体基板10におけるPMIS領域上に、第2の高誘電率膜13y及び第2の調整用金属膜14を有する第2のゲート絶縁膜用膜14Yを形成する。
【0091】
次に、図7及び図8(a) 〜(d) に示すように、例えばCVD(Chemical Vapor Deposition)法により、第1,第2のゲート絶縁膜用膜13X,14Y上に、例えばTiN又は窒化タンタル(TaN)からなる金属膜17を形成する。その後、例えばCVD法により、金属膜17上に、例えばポリシリコンからなるシリコン膜18を形成する。このようにして、第1,第2のゲート絶縁膜用膜13X,14Y上に、金属膜17及びシリコン膜18を有するゲート電極用膜18Zを形成する。
【0092】
このとき、図8(a) に示すように、第1の活性領域10aの一端から第1のゲート絶縁膜用膜13Xの一端までの距離をD1とし、第2の活性領域10bの一端から第2のゲート絶縁膜用膜14Yの一端までの距離をD2としたとき、D1=D2となるように設計されている。距離D1,D2は、例えば約100nmである。ここで、第1,第2のゲート絶縁膜用膜13X,14Yの「一端」とは、図8(a) に示すように、第1の素子分離領域11L上に位置する端をいう。
【0093】
このようにすると、第1,第2の活性領域10a,10bと第1,第2のゲート絶縁膜用膜13X,14Yとの重ね合わせズレが生じることがあっても、第1のゲート絶縁膜用膜13Xが、素子分離領域11上を越えて、第2の活性領域10b上に及ぶこと、又はその反対に、第2のゲート絶縁膜用膜14Yが、素子分離領域11上を越えて、第1の活性領域10a上に及ぶことを効果的に防止することができる。
【0094】
次に、図7及び図8(a) 〜(d) に示すように、フォトリソグラフィ法により、ゲート電極用膜18Z上に、レジストパターンReを形成する。
【0095】
このとき、図8(a) に示すように、レジストパターンReの一端を、第1の活性領域10aの他端から、距離D3の分だけ、第2の素子分離領域11Mの上方に突き出して形成する。同様に、レジストパターンReの他端を、第2の活性領域10bの他端から、距離D4の分だけ、第3の素子分離領域11Nの上方に突き出して形成する。これは、以下のような理由による。
【0096】
図7に示すように、レジストパターンReの端部の平面形状は、フォトリソグラフィ法の解像の都合により、矩形の形状ではなく、丸みを帯びた形状になる。このため、レジストパターンReをマスクとしてパターニングされる第1,第2のゲート電極18A,18Bの端部の平面形状は、後述の図9に示すように、レジストパターンReと同様に、丸みを帯びた形状になる。そこで、レジストパターンReの一端,他端を、第1,第2の活性領域10a,10bの他端から、距離D3,D4の分だけ、第2,第3の素子分離領域11M,11Nの上方に突き出して形成する。距離D3,D4は、例えば約100nmである。
【0097】
このようにすると、後述の図9に示すように、第1,第2のゲート電極18A,18Bの端部(言い換えれば、平面形状が丸みを帯びた形状の部分)が、第1,第2の活性領域10a,10bと第2,第3の素子分離領域11M,11Nとの間を跨ぐことを防止することができる。これにより、第1,第2の活性領域10a,10bの端部でのゲート長が、第1,第2の活性領域10a,10bの端部以外の部分(例えば中央部)でのゲート長よりも短くなることを防止することができる。言い換えれば、第1,第2の活性領域10a,10bの一端から他端まで、ゲート長を一定にすることができる。
【0098】
次に、図9及び図10(a) 〜(d) に示すように、例えばドライエッチングにより、レジストパターンReをマスクとして、金属膜17及びシリコン膜18を有するゲート電極用膜18Z、第1の調整用金属を含む第1の高誘電率膜13xを有する第1のゲート絶縁膜用膜13X、並びに第2の高誘電率膜13y及び第2の調整用金属膜14を有する第2のゲート絶縁膜用膜14Yを順次パターニングする。これにより、第1の活性領域10a上に、第1の調整用金属を含む第1の高誘電率膜13aを有する第1のゲート絶縁膜13A、並びに第1の金属膜17a及び第1のシリコン膜18aを有する第1のゲート電極18Aを順次形成する。それと共に、第2の活性領域10b上に、第2の高誘電率膜13b及び第2の調整用金属膜14bを有する第2のゲート絶縁膜14B、並びに第2の金属膜17b及び第2のシリコン膜18bを有する第2のゲート電極18Bを順次形成する。その後、レジストパターンReを除去する。
【0099】
次に、図9及び図10(a) 〜(d) に示すように、第1の活性領域10aにおける第1のゲート電極18Aの側方下に、n型エクステンション注入領域19aを形成する。一方、第2の活性領域10bにおける第2のゲート電極18Bの側方下に、p型エクステンション注入領域19bを形成する。
【0100】
次に、図11及び図12(a) 〜(d) に示すように、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、例えばシリコン酸化膜(SiO2膜)からなる内側サイドウォール用膜及び例えばシリコン窒化膜(SiN膜)からなる外側サイドウォール用膜を順次形成する。その後、外側サイドウォール用膜及び内側サイドウォール用膜に対して、例えば異方性ドライエッチングを順次行う。これにより、第1,第2のゲート電極18A,18Bの側面上に、断面形状がL字状の第1,第2の内側サイドウォール20a,20b及び第1,第2の外側サイドウォール21a,21bを有する第1,第2のサイドウォール21A,21Bを形成する。
【0101】
次に、図11及び図12(a) 〜(d) に示すように、第1の活性領域10aにおける第1のサイドウォール21Aの外側方下に、n型ソースドレイン注入領域22aを形成する。一方、第2の活性領域10bにおける第2のサイドウォール21Bの外側方下に、p型ソースドレイン注入領域22bを形成する。なお、n型ソースドレイン注入領域22a及びp型ソースドレイン注入領域22bを形成する工程は、図15及び図16(a) 〜(d) の工程の後、即ち、第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとの間をエッチングして分離した後に行ってもよい。
【0102】
次に、図13及び図14(a) 〜(d) に示すように、フォトリソグラフィ法により、第1,第2のゲート電極18A,18B上に、第1,第2のレジストパターンRe1,Re2を形成する。
【0103】
このとき、図14(a) に示すように、第1の活性領域10aの一端と第2の活性領域10bの一端との距離をsとし、第1の活性領域10aの一端から第1のレジストパターンRe1の一端までの突き出し量をd1xとしたとき、d1x<0.5sとなるように設計されている。
【0104】
さらに、第1のレジストパターンRe1の一端と第2のレジストパターンRe2の一端との距離をhxとしたとき、d1x≦0.5(s−hx)となるように設計されている。
【0105】
さらに、第2の活性領域10bの一端から第2のレジストパターンRe2の一端までの突き出し量をd2xとしたとき、d1x<d2xとなるように設計されている。
【0106】
さらに、第1の活性領域10aの他端から第1のレジストパターンRe1の他端までの突き出し量をd3xとしたとき、d3x≦d1xとなるように設計されている。
【0107】
さらに、第2の活性領域10bの他端から第2のレジストパターンRe2の他端までの突き出し量をd4xとしたとき、d4x≦d2xとなるように設計されている。
【0108】
距離sは、例えば約200nmである。距離hxは、例えば約60nmである。突き出し量d1xは、例えば約40nmである。突き出し量d2xは、例えば約100nmである。突き出し量d3xは、例えば約30nmである。突き出し量d4xは、例えば約30nmである。
【0109】
次に、図15及び図16(a) 〜(d) に示すように、例えばエッチングにより、第1,第2のレジストパターンRe1,Re2をマスクとして、第1,第2のゲート電極18A,18B及び第1,第2のゲート絶縁膜13A,14B、並びに第1,第2のサイドウォール21A,21Bをパターニングする。
【0110】
エッチングにより、第1のサイドウォール21A、第1のゲート電極18A及び第1のゲート絶縁膜13Aにおける、第1の素子分離領域11L上に形成された部分を除去する。これにより、図16(a) に示すように、第1の活性領域10aの一端から第1のゲート絶縁膜13Aの一端までの突き出し量を短くして、第1の素子分離領域11L上において、第1のゲート絶縁膜13Aと第2のゲート絶縁膜14Bとを互いに分離する。
【0111】
それと共に、エッチングにより、第1のサイドウォール21A、第1のゲート電極18A及び第1のゲート絶縁膜13Aにおける、第2の素子分離領域11M上に形成された部分を除去する。これにより、第1の活性領域10aの他端から第1のゲート絶縁膜13Aの他端までの突き出し量を短くする。
【0112】
それと共に、エッチングにより、第2のサイドウォール21B、第2のゲート電極18B及び第2のゲート絶縁膜14Bにおける、第3の素子分離領域11N上に形成された部分を除去する。これにより、第2の活性領域10bの他端から第2のゲート絶縁膜14Bの他端までの突き出し量を短くする。
【0113】
このとき、第1の素子分離領域11L上において、第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとが互いに分離される。それと共に、第1の素子分離領域11L上において、第1のサイドウォール21Aと第2のサイドウォール21Bとが互いに分離される。それと共に、第1,第2のゲート電極18A,18Bにおけるゲート幅方向の側面が露出される。
【0114】
その後、第1,第2のレジストパターンRe1,Re2を除去する。第1,第2のゲート電極18A,18Bの平面形状は、矩形状である。
【0115】
このとき、図16(a) に示すように、第1の活性領域10aの一端と第2の活性領域10bの一端との距離をsとし、第1の活性領域10aの一端から第1のゲート絶縁膜13Aの一端までの突き出し量をd1としたとき、
d1<0.5s
の関係式が成り立っている。
【0116】
さらに、第1のゲート絶縁膜13Aの一端と第2のゲート絶縁膜14Bの一端との距離をhとしたとき、
d1≦0.5(s−h)
の関係式が成り立っている。
【0117】
さらに、第2の活性領域10bの一端から第2のゲート絶縁膜14Bの一端までの突き出し量をd2としたとき、
d1<d2
の関係式が成り立っている。
【0118】
さらに、第1の活性領域10aの他端から第1のゲート絶縁膜13Aの他端までの突き出し量をd3としたとき、
d3≦d1
の関係式が成り立っている。
【0119】
さらに、第2の活性領域10bの他端から第2のゲート絶縁膜14Bの他端までの突き出し量をd4としたとき、
d4≦d2
の関係式が成り立っている。
【0120】
次に、図17及び図18(a) 〜(d) に示すように、例えば900℃の熱処理を行う。これにより、n型,p型エクステンション注入領域19a,19bに含まれるn型,p型不純物を活性化し、n型,p型エクステンション領域23a,23bを形成する。それと共に、n型,p型ソースドレイン注入領域22a,22bに含まれるn型,p型不純物を活性化し、n型,p型ソースドレイン領域24a,24bを形成する。
【0121】
このとき、第2の調整用金属膜14bに含まれる第2の調整用金属が、第2の高誘電率膜13bに拡散される可能性があるため、第2の高誘電率膜13bは第2の調整用金属を含む可能性がある。
【0122】
本実施形態では、d1<0.5sの関係式が成り立っている。このため、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第1の素子分離領域11Lと接する量を少なくすることができる。さらに、d3≦d1の関係式が成り立っている。このため、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第2の素子分離領域11Mと接する量を少なくすることができる。このため、熱処理の際に、第1の高誘電率膜13a(特に、第1の高誘電率膜13aにおける第1の活性領域10aと接する部分)に、素子分離領域11から供給されるO量を少なくすることができるので、第1の高誘電率膜13aに含まれる第1の調整用金属(例えばLa)とOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを抑制することができる。
【0123】
次に、図17及び図18(a) 〜(d) に示すように、第1,第2のシリコン膜18a,18b上、及び第1,第2のシリコン膜18a,18bにおけるゲート幅方向の側面上に、第1,第2のシリサイド膜25a,25bを形成する。それと共に、n型,p型ソースドレイン領域24a,24b上に、第3,第4のシリサイド膜26a,26bを形成する。
【0124】
その後、半導体基板1上の全面に、層間絶縁膜27を形成する。その後、層間絶縁膜27に、第1,第2のゲート電極18A,18Bの端部及び第1の素子分離領域11Lを露出させるコンタクトホール28を形成する。その後、コンタクトホール28内に、例えばW(タングステン)等からなる金属膜を埋め込む。これにより、第1の素子分離領域11L上に、第1のゲート電極18Aの端部と第2のゲート電極18Bの端部とに跨るコンタクトプラグ29を形成する。コンタクトプラグ29は、第1,第2のシリサイド膜25a,25bの端部と接触している。
【0125】
このとき、コンタクトプラグ29の平面形状を、例えば円形状又は楕円形状とする。コンタクトプラグ29の平面形状を、図17に示すように、楕円形状とすることにより、コンタクトプラグ29と第1,第2のシリサイド膜25a,25bとの接触面積を大きくすることができる。
【0126】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0127】
本実施形態によると、d1<0.5sの関係式が成り立っている。このため、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第1の素子分離領域11Lと接する量を少なくすることができる。このため、例えば熱処理の際に、第1の高誘電率膜13a(特に、第1の高誘電率膜13aにおける第1の活性領域10aと接する部分)に、素子分離領域11から供給されるO量を少なくすることができるので、第1の高誘電率膜13aに含まれる第1の調整用金属(例えばLa)とOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを抑制することができる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅Wが狭くなることがあっても、第1のMISトランジスタTr1の閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0128】
加えて、d3≦d1の関係式が成り立っている。このため、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第2の素子分離領域11Mと接する量を少なくすることができる。このため、例えば熱処理の際に、第1の高誘電率膜13aに、素子分離領域11から供給されるO量を少なくすることができるので、第1の高誘電率膜13aに含まれる第1の調整用金属とOとが反応し、ダイポールの中性化が生じることを抑制することができる。従って、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅Wが狭くなることがあっても、第1のMISトランジスタTr1の閾値電圧が高くなることを防止することができる。
【0129】
さらに、第1,第2のシリサイド膜25a,25bを、第1,第2のシリコン膜18a,18b上にだけでなく、第1,第2のシリコン膜18a,18bにおけるゲート幅方向の側面上にも形成することができる。このため、コンタクトプラグ29と第1,第2のシリサイド膜25a,25bとの接触面積を増大させることができるので、コンタクト抵抗を低くすることができる。
【0130】
本実施形態では、d1<d2の関係式が成り立っており、第2のゲート絶縁膜14Bにおける第1の素子分離領域11Lと接する量は、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第1の素子分離領域11Lと接する量よりも多い。しかしながら、既述の通り、本願発明者らが確認したところ、p型MISトランジスタの場合、n型MISトランジスタの場合に比べて、ゲート幅が狭くなるに連れて閾値電圧が高くなる度合いが、非常に小さい。このため、半導体装置の微細化に伴い、ゲート幅が狭くなることがあっても、第2のMISトランジスタTr2の閾値電圧が高くなることはない。
【0131】
本実施形態では、d1≦0.5(s−h)の関係式が成り立っている場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図4(a) に示すように、第1のゲート絶縁膜13Aと第2のゲート絶縁膜14Bとを、第1の素子分離領域11L上において分離し、d1を、(s−h)の半分以下とすることにより、d1を効果的に少なくすることができるため、d1≦0.5(s−h)の関係式が成り立っていることが好ましい。しかしながら、d1<0.5sの関係式が成り立っていることにより、従来に比べて、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第1の素子分離領域11Lと接する量を少なくすることができるため、必ずしもd1≦0.5(s−h)の関係式が成り立っている必要はない。即ち、仮に、d1>0.5(s−h)の関係式が成り立っている場合であっても、少なくともd1<0.5sの関係式が成り立っていれば、本発明の目的を達成することが可能である。
【0132】
また本実施形態では、d1<d2の関係式が成り立っている場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。図4(a) に示すように、第1のゲート絶縁膜13Aと第2のゲート絶縁膜14Bとを、第1の素子分離領域11L上において分離し、d1を、d2よりも少なくすることにより、d1を効果的に少なくすることができるため、d1<d2の関係式が成り立っていることが好ましい。しかしながら、既述の通り、d1<0.5sの関係式が成り立っていることにより、従来に比べて、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第1の素子分離領域11Lと接する量を少なくすることができるため、必ずしもd1<d2の関係式が成り立っている必要はない。即ち、仮に、d1≧d2の関係式が成り立っている場合であっても、少なくともd1<0.5sの関係式が成り立っていれば、本発明の目的を達成することが可能である。
【0133】
また本実施形態では、d3≦d1の関係式が成り立っている場合を具体例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。d3を、d1(d1<0.5s)と同じ、又はd1よりも少なくすることにより、d3を効果的に少なくし、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第2の素子分離領域11Mと接する量を少なくすることができるため、d3≦d1の関係式が成り立っていることが好ましい。しかしながら、既述の通り、d1<0.5sの関係式が成り立っていることにより、従来に比べて、第1のゲート絶縁膜13Aにおける第1の素子分離領域11Lと接する量を少なくすることができるため、必ずしもd3≦d1の関係式が成り立っている必要はない。即ち、d1<0.5s及びd3≦d1の関係式が成り立っていることにより、本発明の目的を効果的に達成することが可能である。
【0134】
(第2の実施形態)
以下に、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法について、図19及び図20(a) 〜(d) 、図21及び図22(a) 〜(d) 、図23及び図24(a) 〜(d) 並びに図25及び図26(a) 〜(d) を参照しながら説明する。図19、図21、図23及び図25は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す平面図である。図20(a) 、図22(a) 、図24(a) 及び図26(a) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。図20(b) 〜(d) 、図22(b) 〜(d) 、図24(b) 〜(d) 及び図26(b) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。具体的には、図20(a) 、図22(a) 、図24(a) 、図26(a) は、それぞれ、図19に示すXXa-XXa線、図21に示すXXIIa-XXIIa線、図23に示すXXIVa-XXIVa線、図25に示すXXVIa-XXVIa線のそれぞれにおける断面図である。図20(b) 、図22(b) 、図24(b) 、図26(b) は、それぞれ、図19に示すXXb-XXb線、図21に示すXXIIb-XXIIb線、図23に示すXXIVb-XXIVb線、図25に示すXXVIb-XXVIb線のそれぞれにおける断面図である。図20(c) 、図22(c) 、図24(c) 、図26(c) は、それぞれ、図19に示すXXc-XXc線、図21に示すXXIIc-XXIIc線、図23に示すXXIVc-XXIVc線、図25に示すXXVIc-XXVIc線のそれぞれにおける断面図である。図20(d) 、図22(d) 、図24(d) 、図26(d) は、それぞれ、図19に示すXXd-XXd線、図21に示すXXIId-XXIId線、図23に示すXXIVd-XXIVd線、図25に示すXXVId-XXVId線のそれぞれにおける断面図である。図19〜図26(d) において、第1の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図5〜図18(d) における符号と同一の符号を付す。従って、本実施形態では、第1の実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0135】
まず、第1の実施形態における図5及び図6(a)〜(d) 並びに図7及び図8(a) 〜(d) に示す工程と同様の工程を順次行う。
【0136】
次に、図19及び図20(a) 〜(d) に示すように、フォトリソグラフィ法により、第1,第2のゲート電極18A,18B上に、第1,第2のレジストパターンRe1,Re2を形成する。
【0137】
このとき、図20(a) 〜(d) に示すように、第1の活性領域10aの一端と第2の活性領域10bの一端との距離をsとし、第1の活性領域10aの一端から第1のレジストパターンRe1の一端までの突き出し量をd1xとしたとき、d1x<0.5sとなるように設計されている。
【0138】
さらに、第1のレジストパターンRe1の一端と第2のレジストパターンRe2の一端との距離をhxとしたとき、d1x≦0.5(s−hx)となるように設計されている。
【0139】
さらに、第2の活性領域10bの一端から第2のレジストパターンRe2の一端までの突き出し量をd2xとしたとき、d1x<d2xとなるように設計されている。
【0140】
さらに、第1の活性領域10aの他端から第1のレジストパターンRe1の他端までの突き出し量をd3xとしたとき、d3x≦d1xとなるように設計されている。
【0141】
さらに、第2の活性領域10bの他端から第2のレジストパターンRe2の他端までの突き出し量をd4xとしたとき、d4x≦d2xとなるように設計されている。
【0142】
距離sは、例えば約200nmである。距離hxは、例えば約60nmである。突き出し量d1xは、例えば約40nmである。突き出し量d2xは、例えば約100nmである。突き出し量d3xは、例えば30nmである。突き出し量d4xは、例えば30nmである。
【0143】
次に、図21及び図22(a) 〜(d) に示すように、例えばエッチングにより、第1,第2のレジストパターンRe1,Re2をマスクとして、第1,第2のゲート電極18A,18B及び第1,第2のゲート絶縁膜13A,14Bをパターニングする。
【0144】
エッチングにより、第1のゲート電極18A及び第1のゲート絶縁膜13Aにおける、第1の素子分離領域11L上に形成された部分を除去する。これにより、第1の活性領域10aの一端から第1のゲート絶縁膜13Aの一端までの突き出し量を短くして、第1の素子分離領域11L上において、第1のゲート絶縁膜13Aと第2のゲート絶縁膜14Bとを互いに分離する。
【0145】
それと共に、エッチングにより、第1のゲート電極18A及び第1のゲート絶縁膜13Aにおける、第2の素子分離領域11M上に形成された部分を除去する。これにより、第1の活性領域10aの他端から第1のゲート絶縁膜13Aの他端までの突き出し量を短くする。
【0146】
それと共に、エッチングにより、第2のゲート電極18B及び第2のゲート絶縁膜14Bにおける、第3の素子分離領域11N上に形成された部分を除去する。これにより、第2の活性領域10bの他端から第2のゲート絶縁膜14Bの他端までの突き出し量を短くする。
【0147】
このとき、第1の素子分離領域11L上において、第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとが互いに分離される。
【0148】
その後、第1,第2のレジストパターンRe1,Re2を除去した後、第1の活性領域10aにおける第1のゲート電極18Aの側方下に、n型エクステンション注入領域19aを形成する。一方、第2の活性領域10bにおける第2のゲート電極18Bの側方下に、p型エクステンション注入領域19bを形成する。
【0149】
このとき、図22(a) に示すように、第1の活性領域10aの一端と第2の活性領域10bの一端との距離をsとし、第1の活性領域10aの一端から第1のゲート絶縁膜13Aの一端までの突き出し量をd1としたとき、
d1<0.5s
の関係式が成り立っている。
【0150】
さらに、第1のゲート絶縁膜13Aの一端と第2のゲート絶縁膜14Bの一端との距離をhとしたとき、
d1≦0.5(s−h)
の関係式が成り立っている。
【0151】
さらに、第2の活性領域10bの一端から第2のゲート絶縁膜14Bの一端までの突き出し量をd2としたとき、
d1<d2
の関係式が成り立っている。
【0152】
さらに、第1の活性領域10aの他端から第1のゲート絶縁膜13Aの他端までの突き出し量をd3としたとき、
d3≦d1
の関係式が成り立っている。
【0153】
さらに、第2の活性領域10bの他端から第2のゲート絶縁膜14Bの他端までの突き出し量をd4をしたとき、
d4≦d2
の関係式が成り立っている。
【0154】
次に、図23及び図24(a) 〜(d) に示すように、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、例えばシリコン酸化膜からなる内側サイドウォール用膜及び例えばシリコン窒化膜からなる外側サイドウォール用膜を順次形成する。その後、外側サイドウォール用膜及び内側サイドウォール用膜に対して、異方性ドライエッチングを順次行う。これにより、第1,第2のゲート電極18A,18Bの側面上に、断面形状がL字状の第1,第2の内側サイドウォール20a,20b及び第1,第2の外側サイドウォール21a,21bを有する第1,第2のサイドウォール21A,21Bを形成する。それと共に、第1の素子分離領域11L上における第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとの間に、内側サイドウォール20c及び外側サイドウォール21cを有する断面形状がU字状のサイドウォール21Cを形成する。
【0155】
次に、図23及び図24(a) 〜(d) に示すように、第1の活性領域10aにおける第1のサイドウォール21Aの外側方下に、n型ソースドレイン注入領域22aを形成する。一方、第2の活性領域10bにおける第2のサイドウォール21Bの外側方下に、p型ソースドレイン注入領域22bを形成する。
【0156】
次に、図25及び図26(a) 〜(d) に示すように、例えば900℃の熱処理を行う。これにより、n型,p型エクステンション注入領域19a,19bに含まれるn型,p型不純物を活性化し、n型,p型エクステンション領域23a,23bを形成する。それと共に、n型,p型ソースドレイン注入領域22a,22bに含まれるn型,p型不純物を活性化し、n型,p型ソースドレイン領域24a,24bを形成する。
【0157】
次に、図25及び図26(a) 〜(d) に示すように、第1,第2のシリコン膜18a,18b上に、第1,第2のシリサイド膜25a,25bを形成する。それと共に、n型,p型ソースドレイン領域24a,24b上に、第3,第4のシリサイド膜26a,26bを形成する。
【0158】
次に、半導体基板10上の全面に、層間絶縁膜27を形成する。その後、層間絶縁膜27に、第1,第2のゲート電極18A,18Bの端部及びサイドウォール21Cを露出させるコンタクトホール28を形成する。その後、コンタクトホール28内に、例えばW等の金属材料からなる金属膜を埋め込む。これにより、第1の素子分離領域11L上に、第1のゲート電極18Aの端部と第2のゲート電極18Bの端部とに跨るコンタクトプラグ29を形成する。コンタクトプラグ29は、第1,第2のシリサイド膜25a,25bの端部と接触している。
【0159】
以上のようにして、本実施形態に係る半導体装置を製造することができる。
【0160】
本実施形態と第1の実施形態との構成上の相違点は、以下に示す点である。
【0161】
第1の実施形態では、第1のサイドウォール21Aが、図3に示すように、第1のゲート電極18Aにおけるゲート長方向の側面上に形成され、第1のゲート電極18Aにおけるゲート幅方向の側面上には形成されていない。同様に、第2のサイドウォール21Bが、図3に示すように、第2のゲート電極18Bにおけるゲート長方向の側面上に形成され、第2のゲート電極18Bにおけるゲート幅方向の側面上には形成されていない。このため、図4(a) に示すように、第1のシリサイド膜25aは、第1のゲート電極18A上、及び第1のゲート電極18Aにおけるゲート幅方向の側面上に形成されている。同様に、第2のシリサイド膜25bは、第2のゲート電極18B上、及び第2のゲート電極18Bにおけるゲート幅方向の側面上に形成されている。
【0162】
これに対し、本実施形態では、第1のサイドウォール21Aが、図25に示すように、第1のゲート電極18Aにおけるゲート長方向の側面上、及び第1のゲート電極18Aにおけるゲート幅方向の側面上に形成されている。同様に、第2のサイドウォール21Bが、図25に示すように、第2のゲート電極18Bにおけるゲート長方向の側面上、及び第2のゲート電極18Bにおけるゲート幅方向の側面上に形成されている。加えて、図26(a) に示すように、第1の素子分離領域11L上における第1のゲート電極18Aと第2のゲート電極18Bとの間には、サイドウォール21Cが形成されている。このため、第1のシリサイド膜25aは、第1のゲート電極18A上にのみ形成されている。同様に、第2のシリサイド膜25bは、第2のゲート電極18B上にのみ形成されている。
【0163】
本実施形態によると、第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0164】
さらに、第1,第2のサイドウォール21A,21Bの形成(図23及び図24(a) 〜(d) 参照)前に、図21及び図22(a) 〜(d) に示すように、第1,第2の高誘電率膜13a,13bにおける第1,第2,第3の素子分離領域11L,11M,11N上に形成された部分を除去する。言い換えれば、第1の実施形態のように第1,第2サイドウォールの形成後に該部分を除去するのではなく、第1,第2のサイドウォールの形成前に該部分を除去する。このため、該部分の一部が除去できずに、残渣が発生することを防止することができる。
【0165】
<第2の実施形態の変形例>
以下に、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法について、図27及び図28(a) 〜(d) 並びに図29及び図30(a) 〜(d) を参照しながら説明する。図27及び図29は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示す平面図である。図28(a) 及び図30(a) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート幅方向の断面図である。図28(b) 〜(d) 及び図30(b) 〜(d) は、本発明の第2の実施形態の変形例に係る半導体装置の製造方法を工程順に示すゲート長方向の断面図である。具体的には、図28(a) 及び図30(a) は、それぞれ、図27に示すXXVIIIa-XXVIIIa線及び図29に示すXXXa-XXXa線のそれぞれにおける断面図である。図28(b) 及び図30(b) は、それぞれ、図27に示すXXVIIIb-XXVIIIb線及び図29に示すXXXb-XXXb線のそれぞれにおける断面図である。図28(c) 及び図30(c) は、それぞれ、図27に示すXXVIIIc-XXVIIIc線及び図29に示すXXXc-XXXc線のそれぞれにおける断面図である。図28(d) 及び図30(d) は、それぞれ、図27に示すXXVIIId-XXVIIId線及び図29に示すXXXd-XXXd線のそれぞれにおける断面図である。図27〜図30(d) において、第2の実施形態における構成要素と同一の構成要素には、図19〜図26(d) に示す符号と同一の符号を付す。従って、本変形例では、第2の実施形態と同様の説明を適宜省略する。
【0166】
まず、第1の実施形態における図5及び図6(a) 〜(d)、図7及び図8(a) 〜(d) 、図9及び図10(a) 〜(d) 、並びに第2の実施形態における図19及び図20(a) 〜(d) 、図21及び図22(a) 〜(d) 、図23及び図24(a) 〜(d) に示す工程を順次行う。
【0167】
次に、図27及び図28(a) 〜(d) に示すように、例えば900℃の熱処理を行う。これにより、n型,p型エクステンション注入領域に含まれるn型,p型不純物を活性化し、n型,p型エクステンション領域23a,23bを形成する。それと共に、n型,p型ソースドレイン注入領域に含まれるn型,p型不純物を活性化し、n型,p型ソースドレイン領域24a,24bを形成する。
【0168】
次に、図27及び図28(a) 〜(d) に示すように、例えば熱燐酸を用いたウェットエッチングにより、第1,第2の外側サイドウォール21a,21b(シリコン窒化膜)及び外側サイドウォール21c(シリコン窒化膜)を除去し、第1,第2の内側サイドウォール20a,20b(シリコン酸化膜)及び内側サイドウォール20c(シリコン酸化膜)を残存させる。
【0169】
次に、図29及び図30(a) 〜(d) に示すように、第1,第2のシリコン膜18a,18b上に、第1,第2のシリサイド膜25a,25bを形成する。それと共に、n型,p型ソースドレイン領域24a,24b上に、第3,第4のシリサイド膜26a,26bを形成する。
【0170】
次に、例えばCVD法により、半導体基板10上の全面に、例えばSiN膜等からなる応力絶縁膜30を形成する。応力絶縁膜30は、第1の活性領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に、引っ張り応力を生じさせる。
【0171】
このとき、応力絶縁膜30を、第1,第2の内側サイドウォール20a,20bのL字状に湾曲した表面に接して形成する。
【0172】
次に、例えばCVD法により、応力絶縁膜30上に、層間絶縁膜27を形成する。その後、応力絶縁膜30及び層間絶縁膜27に、第1,第2のゲート電極18A,18Bの端部及び内側サイドウォール21cを露出させるコンタクトホール28を形成する。その後、コンタクトホール28内に、例えばW等の金属材料からなる金属膜を埋め込む。これにより、第1の素子分離領域11L上に、第1のゲート電極18Aの端部と第2のゲート電極18Bの端部とに跨るコンタクトプラグ29を形成する。コンタクトプラグ29は、第1,第2のシリサイド膜25a,25bの端部と接触している。
【0173】
以上のようにして、本変形例に係る半導体装置を製造することができる。
【0174】
本変形例によると、第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0175】
加えて、応力絶縁膜30により、第1の活性領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に引っ張り応力を印加することができるので、第1のMISトランジスタTr1の駆動能力を向上させることができる。
【0176】
さらに、図27及び図28(a) 〜(d) に示すように、第1の外側サイドウォール21aを除去した後、図29及び図30(a) 〜(d) に示すように、応力絶縁膜30を形成するため、図30(a) 、(c) 、及び(d) に示すように、応力絶縁膜30を、第1の内側サイドウォール20aのL字状に湾曲した表面に接して形成することができる。このため、応力絶縁膜30を、第1の外側サイドウォール21aの除去分だけ、第1の活性領域10aにおけるチャネル領域に近付けて形成することができるため、第1の活性領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に、引っ張り応力を効果的に印加することができる。
【0177】
さらに、応力絶縁膜30を、第1の外側サイドウォール21aの除去分だけ、厚く形成することができるため、第1の活性領域10aにおけるチャネル領域のゲート長方向に、引っ張り応力を効果的に印加することができる。
【0178】
なお、本発明は、第1の実施形態並びに第2の実施形態及びその変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々に変形して実施することが可能である。
【0179】
本発明の関係式として、d1≦0.5(s−h)等の複数の関係式を挙げたが、本発明における「d1=0.5(s−h)の関係式が成り立っている」とは、d1と0.5(s−h)とが完全な同値であるという意味の他に、d1と0.5(s−h)とが実質的に同値であるという意味も含む。実質的に同値であるとは、完全な同値となるように設計されているにも拘わらず、例えばレジストパターンの重ね合わせズレ等により、d1と0.5(s−h)とが完全な同値とならずに、d1と0.5(s−h)との間に微小な差異が生じることをいう。
【産業上の利用可能性】
【0180】
以上説明したように、本発明は、MISトランジスタの閾値電圧が高くなることを防止することができ、調整用金属を含む高誘電率膜を有するゲート絶縁膜を備えたMISトランジスタを有する半導体装置及びその製造方法に有用である。
【符号の説明】
【0181】
10 半導体基板
11 素子分離領域
11L 第1の素子分離領域
11M 第2の素子分離領域
11N 第3の素子分離領域
12a p型ウェル領域
12b n型ウェル領域
13 高誘電率膜
13x 第1の高誘電率膜
13y 第2の高誘電率膜
14 第2の調整用金属膜
13X 第1のゲート絶縁膜用膜
14Y 第2のゲート絶縁膜用膜
13a 第1の高誘電率膜
13b 第2の高誘電率膜
14b 第2の調整用金属膜
13A 第1のゲート絶縁膜
14B 第2のゲート絶縁膜
15 保護膜
16 第1の調整用金属膜
17 金属膜
18 シリコン膜
18Z ゲート電極用膜
17a 第1の金属膜
17b 第2の金属膜
18a 第1のシリコン膜
18b 第2のシリコン膜
18A 第1のゲート電極
18B 第2のゲート電極
19a n型エクステンション注入領域
19b p型エクステンション注入領域
20a 第1の内側サイドウォール
20b 第2の内側サイドウォール
20c 内側サイドウォール
21a 第1の外側サイドウォール
21b 第2の外側サイドウォール
21c 外側サイドウォール
21A 第1のサイドウォール
21B 第2のサイドウォール
21C サイドウォール
22a n型ソースドレイン注入領域
22b p型ソースドレイン注入領域
23a n型エクステンション領域
23b p型エクステンション領域
24a n型ソースドレイン領域
24b p型ソースドレイン領域
25a 第1のシリサイド膜
25b 第2のシリサイド膜
26a 第3のシリサイド膜
26b 第4のシリサイド膜
27 層間絶縁膜
28 コンタクトホール
29 コンタクトプラグ
30 応力絶縁膜
50 半導体基板
50x 活性領域
51 素子分離領域
52a,52b Laを含む高誘電率膜
52A,52B ゲート絶縁膜
53a,53b 金属膜
54a,54b シリコン膜
54A,54B ゲート電極
Re レジストパターン
Re1 第1のレジストパターン
Re2 第2のレジストパターン
d1〜d4,d1x〜d4x 突き出し量
s 距離
h,hx 距離
D1〜D4 距離

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型の第1のMISトランジスタと第2導電型の第2のMISトランジスタとを備えた半導体装置において、
前記第1のMISトランジスタは、
半導体基板における素子分離領域に囲まれた第1の活性領域上に形成され、第1の高誘電率膜を有する第1のゲート絶縁膜と、
前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1のゲート電極とを備え、
前記第2のMISトランジスタは、
前記半導体基板における前記素子分離領域に囲まれた第2の活性領域上に形成され、第2の高誘電率膜を有する第2のゲート絶縁膜と、
前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2のゲート電極とを備え、
前記第1のゲート絶縁膜と前記第2のゲート絶縁膜とは、前記第1の活性領域と前記第2の活性領域との間に位置する前記素子分離領域における第1の素子分離領域上において分離されており、
前記第2の活性領域は、前記第1の活性領域から見てゲート幅方向に前記第1の素子分離領域を挟んで配置されており、
前記第1の素子分離領域を挟んで対向する前記第1の活性領域の一端と前記第2の活性領域の一端との距離をsとし、前記第1の活性領域の一端から前記第1の素子分離領域上に位置する前記第1のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd1としたとき、
d1<0.5s
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
請求項1に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート絶縁膜の一端と前記第1の素子分離領域上に位置する前記第2のゲート絶縁膜の一端との距離をhとしたとき、
d1≦0.5(s−h)
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の半導体装置において、
前記第2の活性領域の一端から前記第1の素子分離領域上に位置する前記第2のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd2としたとき、
d1<d2
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項4】
請求項1〜3のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の活性領域の他端から前記素子分離領域における第2の素子分離領域上に位置する前記第1のゲート絶縁膜の他端までの突き出し量をd3としたとき、
d3≦d1
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項5】
請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2の活性領域の一端から前記第1の素子分離領域上に位置する前記第2のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd2とし、前記第2の活性領域の他端から前記素子分離領域における第3の素子分離領域上に位置する前記第2のゲート絶縁膜の他端までの突き出し量をd4としたとき、
d4≦d2
の関係式が成り立っていることを特徴とする半導体装置。
【請求項6】
請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極とは、前記第1の素子分離領域上において分離されており、
前記第1の素子分離領域上に、前記第1のゲート電極の端部と前記第2のゲート電極の端部とに跨って形成されたコンタクトプラグをさらに備えていることを特徴とする半導体装置。
【請求項7】
請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のMISトランジスタは、n型MISトランジスタであり、
前記第2のMISトランジスタは、p型MISトランジスタであることを特徴とする半導体装置。
【請求項8】
請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート絶縁膜は第1の調整用金属を含み、
前記第2のゲート絶縁膜は前記第1の調整用金属を含まないことを特徴とする半導体装置。
【請求項9】
請求項8に記載の半導体装置において、
前記第1の調整用金属はLaであることを特徴とする半導体装置。
【請求項10】
請求項1〜9のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第2のゲート絶縁膜は第2の調整用金属を含み、
前記第1のゲート絶縁膜は前記第2の調整用金属を含まないことを特徴とする半導体装置。
【請求項11】
請求項10に記載の半導体装置において、
前記第2の調整用金属はAlであることを特徴とする半導体装置。
【請求項12】
請求項1〜11のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極は、前記第1のゲート絶縁膜上に形成された第1の金属膜と、前記第1の金属膜上に形成された第1のシリコン膜とを有し、
前記第2のゲート電極は、前記第2のゲート絶縁膜上に形成された第2の金属膜と、前記第2の金属膜上に形成された第2のシリコン膜とを有することを特徴とする半導体装置。
【請求項13】
請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1のゲート電極におけるゲート長方向の側面上に形成された第1のサイドウォールと、
前記第2のゲート電極におけるゲート長方向の側面上に形成された第2のサイドウォールとを備え、
前記第1のゲート電極におけるゲート幅方向の側面上には前記第1のサイドウォールが形成されておらず、
前記第2のゲート電極におけるゲート幅方向の側面上には前記第2のサイドウォールが形成されていないことを特徴とする半導体装置。
【請求項14】
請求項1〜12のうちいずれか1項に記載の半導体装置において、
前記第1の素子分離領域上における前記第1のゲート電極と前記第2のゲート電極との間には、断面形状がU字状のサイドウォールが形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項15】
半導体基板における第1の活性領域上に形成された第1導電型の第1のMISトランジスタと前記半導体基板における第2の活性領域上に形成された第2導電型の第2のMISトランジスタとを有する半導体装置の製造方法であって、
前記半導体基板における前記第1の活性領域と前記第2の活性領域とを分離する素子分離領域を形成する工程(a)と、
前記第1の活性領域上に第1の高誘電率膜を有する第1のゲート絶縁膜用膜を形成すると共に、前記第2の活性領域上に第2の高誘電率膜を有する第2のゲート絶縁膜用膜を形成する工程(b)と、
前記第1のゲート絶縁膜用膜及び前記第2のゲート絶縁膜用膜の上にゲート電極用膜を形成する工程(c)と、
前記ゲート電極用膜並びに前記第1のゲート絶縁膜用膜及び前記第2のゲート絶縁膜用膜をパターニングして、前記第1の活性領域上に前記第1のゲート絶縁膜用膜からなる第1のゲート絶縁膜及び前記ゲート電極用膜からなる第1のゲート電極を形成すると共に、前記第2の活性領域上に前記第2のゲート絶縁膜用膜からなる第2のゲート絶縁膜及び前記ゲート電極用膜からなる第2のゲート電極を形成する工程(d)とを備え、
前記工程(d)において、前記第1のゲート絶縁膜と前記第2のゲート絶縁膜とは、前記第1の活性領域と前記第2の活性領域との間に位置する前記素子分離領域における第1の素子分離領域上において分離して形成され、
前記第1の素子分離領域を挟んで対向する前記第1の活性領域の一端と前記第2の活性領域の一端との距離をsとし、前記第1の活性領域の一端から前記第1の素子分離領域上に位置する前記第1のゲート絶縁膜の一端までの突き出し量をd1としたとき、
d1<0.5s
の関係式が成り立つことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(b)は、前記第1の活性領域及び前記第2の活性領域の上に高誘電率膜を形成する工程(b1)と、前記高誘電率膜における前記第2の活性領域上に位置する第2の部分上に第2の調整用金属膜を形成する工程(b2)と、前記高誘電率膜における前記第1の活性領域上に位置する第1の部分に第1の調整用金属を導入する工程(b3)とを有し、
前記第1のゲート絶縁膜用膜は、前記第1の調整用金属を含む前記第1の高誘電率膜を有し、
前記第2のゲート絶縁膜用膜は、前記第1の調整用金属を含まない前記第2の高誘電率膜及び前記第2の調整用金属膜を有することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項17】
請求項15又は16に記載の半導体装置の製造方法において、
前記工程(d)は、前記ゲート電極用膜並びに前記第1のゲート絶縁膜用膜及び前記第2のゲート絶縁膜用膜をパターニングして、前記第1の素子分離領域上において互いに接続する前記第1のゲート絶縁膜及び前記第2のゲート絶縁膜、並びに前記第1のゲート電極及び前記第2のゲート電極を形成する工程(d1)と、前記工程(d1)の後に、前記第1のゲート電極及び前記第1のゲート絶縁膜をパターニングして、前記第1のゲート絶縁膜における前記第1の素子分離領域上に形成された部分を除去して、前記第1の素子分離領域上において前記第1のゲート絶縁膜と前記第2のゲート絶縁膜とを互いに分離する工程(d2)とを有することを特徴とする半導体装置の製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate


【公開番号】特開2011−165873(P2011−165873A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−26686(P2010−26686)
【出願日】平成22年2月9日(2010.2.9)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】