説明

半導体装置およびその製造方法

【課題】素子形成領域間の分離絶縁膜を保護し、接合リークなしに素子と配線膜とを電気的に接続することができる半導体装置およびその製造方法を提供すること。
【解決手段】半導体基板1に形成されて素子形成領域2を画定する分離絶縁膜3と、素子形成領域2に形成された素子と、素子および分離絶縁膜3を覆うように半導体基板1上に形成された層間絶縁膜5と、層間絶縁膜5をエッチングして形成されたコンタクトホール内に埋め込まれて素子と電気的に接続する配線膜6、7とを備え、少なくとも分離絶縁膜3と層間絶縁膜5との間に、前記エッチングによる分離絶縁膜3の浸食を防止するための3層以上の絶縁膜4a、4b、4cが積層されてなる保護積層膜4が形成されていることを特徴とする半導体装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体プロセスでは、半導体装置の微細化に伴い、半導体基板に形成される複数の素子が互いに干渉する不具合を防止するために、素子分離としてSTI(Shallow Trench Isolation)方式の分離絶縁膜(フィールド絶縁膜)を採用している。STI方式の分離絶縁膜は、半導体基板主面に溝を形成し、この溝に酸化珪素膜を充填した構成が一般的である。
図5(a)は、半導体基板100に素子として電界効果トランジスタ(以下、FETと称する場合がある)が形成された半導体装置を示す断面図である(従来技術1)。このFETは、例えば単結晶珪素からなる半導体基板100の主面に所定間隔で形成された複数の分離絶縁膜(酸化珪素膜)103によって画定された素子形成領域102に形成されている。なお、図5(a)では1個のFETのみを図示しているが、半導体基板1上には複数個のFETが形成されている(図5(b)参照)。
【0003】
FETは、半導体基板100の主面にゲート絶縁膜111を介して形成されたゲート電極112と、ゲート電極112の両側面を覆うサイドウォールスペーサ115と、半導体基板100の主面におけるゲート電極112の両側に形成されたソース領域113およびドレイン領域114とを備え、ソース領域113およびドレイン領域114は配線層106、107と電気的に接続されている。なお、図5(a)において、符号112aは多結晶珪素膜、112bはシリサイド膜、113aおよび114aは低濃度拡散層、113b、114bは高濃度拡散層、113cおよび114cはシリサイド層を表している。
配線層106、107を形成するに際しては、まず、FETを含む半導体基板100上に層間絶縁膜105を形成し、フォトリソグラフィ法により層間絶縁膜105上に所定パターンのフォトレジストを形成し、その後ドライエッチングし、フォトレジストを除去することによりコンタクトホールを形成する。そして、層間絶縁膜105上に金属膜を形成することにより、金属膜がコンタクトホールを通してソース領域113およびドレイン領域114と電気的に接続し、金属膜をパターニングすることにより配線膜106、107による回路を形成する。なお、層間絶縁膜105としては酸化珪素膜が一般的である。
【0004】
従来は、フォトリソグラフィの合わせ誤差等を考慮して、コンタクトホールの開口領域に対してソース領域106およびドレイン領域107を広く形成し、合わせ余裕を設けた回路設計を実施していた。しかし、この合わせ余裕は微細化を進める上で障害となってきているため、コンタクトホールの開口領域が分離絶縁膜103の形成領域と部分的に重畳させる場合がある。
ところで、図5(b)に示すように、ゲート電極112が密に形成された部分では層間絶縁膜105の厚さが厚くなり、そのためコンタクトホールのエッチングでは層間絶縁膜105の最も厚い部分に合わせてエッチング量の設定を行っている。なお、コンタクトホールを形成する前に層間絶縁膜105は化学機械研磨(CMP法)により表面における狭域的なミクロン単位の段差は除去されるが、広域的な膜厚差をなくすことは困難である。この結果、層間絶縁膜105の薄い部分では、コンタクトホールをエッチングにより形成する際に接続面が露出した時点から過剰なオーバーエッチングが行われてしまう。
したがって、上述のように微細化に伴ってコンタクトホールの開口領域の一部が分離領域に跨って形成される場合、素子形成領域の単結晶珪素および分離領域の酸化珪素の表面部分がエッチングされるが、単結晶珪素よりも酸化珪素のエッチングの進行が速いため、分離絶縁膜がえぐれたように削られてしまい、分離領域の高さが部分的に素子形成領域よりも低くなってしまう。
【0005】
また、各素子が微細化されるに伴い、図6に示すように半導体基板100に形成されるソース領域213およびドレイン領域214等の拡散層が浅く形成される(従来技術2)。なお、図6において、符号213aおよび214aは低濃度拡散層、213bおよび214bは高濃度拡散層、213cおよび214cはシリサイド層を表し、図5中の要素と同一の要素には同一の符号を付している。
このような浅い拡散層を有するFETの場合、コンタクトエッチによってソース領域213およびドレイン領域214の深さ以上に分離絶縁膜103が削られてしまい、配線膜107が素子形成領域102における拡散層より下の部分のウェル領域と接続されてしまう場合がある。このような状態で配線膜107が電源電位、素子形成領域102が接地電位となっている場合には、直ちに電源ショートとなる。微細化に伴う拡散層の浅い形成が進むことによってこうした不良の発生は増加することとなる。
【0006】
このような問題の対策として、窒化珪素膜と酸化珪素膜のエッチング選択比を利用する方法が提案されている。この場合、図7に示すように、層間絶縁膜105の下に比較的薄い窒化珪素膜からなるストッパー膜200を形成する(従来技術3)。層間絶縁膜105の厚みの不均一さに伴って深さの異なるコンタクトホールを形成する際、先ず層間絶縁膜105をエッチングし、次にストッパー膜200の除去を行うことで、単結晶珪素の表面および分離領域の酸化珪素のエッチング量を均一に行うようにする。しかしながら、この方法でも次のような問題が生じる。
ストッパー膜200を形成する前には、イオン注入によりソース領域213およびドレイン領域214を形成し、その後エッチング洗浄処理が行われる。このエッチング洗浄処理によって、酸化珪素からなる分離絶縁膜103の膜減りが発生する。ストッパー膜200の形成前に分離領域と素子形成領域102との境界部分に高低差が生じると、この部分では段差被覆性(ステップカバレッジ)が悪いため、その後に形成されるストッパー膜100が部分的に薄くなってしまう。その結果、層間絶縁膜105のエッチング時にストッパー膜200の薄い部分が削られてしまい、ストッパー膜200のエッチング後に行われるコンタクトエッチによって分離絶縁膜103はさらに膜減りし、配線膜107が半導体基板1のウェル領域と接続してしまう場合がある。なお、図7において、図5および図6中の要素と同一の要素には、同一の符号を付している。
【0007】
素子形成領域に対する分離領域の高低差の発生を防止し、接合リークの発生を防止するその他の方法として、例えば特許文献1(従来技術4)には図8および図9に示す方法が提案されている。なお、図8および図9において、図5〜図7中の要素と同一の要素には、同一の符号を付している。
図8(a)は、FET形成後のエッチング洗浄処理によって、分離絶縁膜103における素子形成領域と接する部分が削られて凹部103aが生じた状態を示している。この状態の半導体基板100の主面全面に、図8(b)に示すように、凹部103aが完全に埋まる厚い窒化珪素膜201を堆積する。次に、堆積させた窒化珪素膜201に対してドライエッチングによって異方性エッチングを行って、図8(c)に示すように分離領域の前記凹部103aに被覆体202を埋め込む。この被覆体202は、ゲート電極112のサイドウォールスペーサ115の側面にも同様に形成されている。その後は、図9(a)に示すように素子形成領域102に形成された各FETを、窒化珪素からなるストッパー膜203および酸化珪素からなる層間絶縁膜105によって覆い、CMP法による層間絶縁膜105の平坦化処理を行い、ソース領域213よおびドレイン領域214を露出させるコンタクトホール105aを層間絶縁膜105に形成し、コンタクトホール105a内に配線層(図示省略)を形成する。
【特許文献1】特開平11―260915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述のように層間絶縁膜105の厚さの不均一さによってコンタクトホールの深さが異なり、図示しない深いコンタクトホールを基準にしてエッチングが行なわれるため、特許文献1に示す従来技術では、図9(b)に示すように、浅いコンタクトホール105aの形成部分ではストッパー膜203のエッチング時に分離領域の段差を埋める被覆体202までエッチングしてしまい、分離領域の段差が再度発生する場合がある。そうなると前記接合リークを防止することができない。さらに、分離領域の段差を埋める被覆体202がゲート電極112のサイドウォールスペーサ115の外側にも形成されるため、ソース領域213およびドレイン領域214のコンタクト面積が小さくなる。その結果、ソース領域213およびドレイン領域214に対するコンタクトホール105aの前記合わせ余裕が益々小さくなるため、層間絶縁膜105上にフォトレジストを形成する際のフォトリソグラフィの合わせ誤差をより少なくすることが要求される。
【0009】
本発明は、上述の問題に鑑みなされたものであり、素子形成領域間の分離絶縁膜を保護し、接合リークなしに素子と配線膜とを電気的に接続することができる半導体装置およびその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
かくして、本発明によれば、半導体基板に形成されて素子形成領域を画定する分離絶縁膜と、該素子形成領域に形成された素子と、該素子および前記分離絶縁膜を覆うように前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、該層間絶縁膜をエッチングして形成されたコンタクトホール内に埋め込まれて前記素子と電気的に接続する配線膜とを備え、少なくとも前記分離絶縁膜と層間絶縁膜との間に、前記エッチングによる分離絶縁膜の浸食を防止するための3層以上の絶縁膜が積層されてなる保護積層膜が形成されている半導体装置が提供される。
【0011】
また、本発明の別の観点によれば、半導体基板の表面に分離絶縁膜を形成して素子形成領域を画定する工程(A)と、前記素子形成領域上に素子を形成する工程(B)と、前記分離絶縁膜上に3層以上の絶縁膜を積層して保護積層膜を形成する工程(C)と、前記素子および前記保護積層膜を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程(D)と、前記層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成すると共に、該コンタクトホール内に金属材料を埋め込んで配線膜を形成することにより、前記素子を前記配線膜と電気的に接続する工程(E)とを含む半導体装置の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0012】
本発明の半導体装置によれば、コンタクトホール内に形成されて素子(例えばFET)と電気的に接続する配線膜が半導体基板のウェル領域と接触して接合リークが発生するということがない。本発明は、特に、ゲート電極、ソース領域およびドレイン領域を有するFET、半導体メモリ等の素子を備えた半導体装置として好適である。
【0013】
本発明の半導体装置の製造方法によれば、例えばFETを形成する場合、ゲート電極形成後にソース/ドレイン用のイオン注入を行い、その後レジストマスクを剥離してエッチング洗浄処理が行われるが、このエッチング洗浄処理による分離領域の絶縁膜の膜減りを、保護積層膜(複数の絶縁膜)によって防止するこができる。
さらに、層間絶縁膜へのコンタクトホール形成時では、層間絶縁膜の厚みの厚い部分を基準にエッチングするため、従来技術では、薄い部分がオーバーエッチングされて分離絶縁膜の膜減りを生じていたが、本発明では保護積層膜がコンタクトエッチからも分離絶縁膜を確実に保護するため、素子形成領域と分離領域の段差の発生が無く、接合リークを防止することができる。
また、保護積層膜は、ゲート電極の両側面に形成されるサイドウォールスペーサとしても利用可能であり、従来技術と比べてサイドウォール幅の増加を防止することができ、素子形成領域のソース領域およびドレイン領域のコンタクトの接触面積が小さくなることを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の半導体装置は、半導体基板に形成されて素子形成領域を画定する分離絶縁膜と、該素子形成領域に形成された素子と、該素子および前記分離絶縁膜を覆うように前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、該層間絶縁膜をエッチングして形成されたコンタクトホール内に埋め込まれて前記素子と電気的に接続する配線膜とを備え、少なくとも前記分離絶縁膜と層間絶縁膜との間に、前記エッチングによる分離絶縁膜の浸食を防止するための3層以上の絶縁膜が積層されてなる保護積層膜が形成されていることを特徴とする。
つまり、本発明は、前記コンタクトホール形成領域が分離絶縁膜と部分的に重畳していても、層間絶縁膜のエッチングによって分離絶縁膜が膜減りしないよう保護積層膜にて保護するものである。なお、保護積層膜は、層間絶縁膜のエッチングによる分離絶縁膜の浸食防止以外にも、製造工程における他のエッチング処理での分離絶縁膜を保護する機能、素子形成の際に必要な膜としての機能も有しており、詳しくは後述する。
【0015】
本発明において、半導体基板としては、半導体装置に使用されるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の元素半導体、シリコンゲルマニウム、GaAs、InGaAs、ZnSe、GaN等の化合物半導体によるバルク基板が挙げられる。また、表面に半導体層を有するものとして、SOI(Silicon on Insulator)基板、SOS基板又は多層SOI基板等の種々の基板、ガラスやプラスチック基板上に半導体層を有するものを用いてもよい。なかでもシリコン基板又は表面にシリコン層が形成されたSOI基板等が好ましい。半導体基板又は半導体層は、内部を流れる電流量に多少が生ずるが、単結晶(例えば、エピタキシャル成長による)、多結晶又はアモルファスのいずれであってもよい。
【0016】
半導体基板(半導体層を含む)は、P型またはN型の導電型を有していてもよく、少なくとも1つの第1導電型(P型またはN型)のウェル領域が形成されていることが好ましい。ウェル領域の不純物濃度は、当該分野で公知の範囲のものが使用できる。なお、SOI基板を用いる場合には、表面半導体層には、ウェル領域が形成されていてもよいが、チャネル領域下にボディ領域を有していてもよい。
【0017】
本発明において、素子としては特に限定されるものではなく、例えば電界効果トランジスタ、揮発性半導体メモリ、不揮発性半導体メモリ等が挙げられ、同一の半導体基板上にこれらの素子が単独で形成されていても、複数種類組み合わされて形成されていてもよい。さらに、これら以外の素子(例えば、パワーデバイス等)や回路も同一の半導体基板上に形成されていてもよく、シングルまたはマルチレイヤー構造で形成されていてもよい。
本発明において、分離絶縁膜としては、STI方式のトレンチ分離絶縁膜、LOCOS絶縁膜等が挙げられ、微細化プロセスに適したトレンチ分離絶縁膜が好適である。
同一の半導体基板上に素子分離して複数の素子を形成する場合、半導体基板上に複数の素子形成領域を形成する必要があるため、分離絶縁膜は半導体基板の複数箇所に形成される。
【0018】
本発明における保護積層膜は、上述のように、層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成する際に分離絶縁膜が浸食されないようにするストッパー膜として機能するものであり、2層以上の絶縁膜からなる。したがって、これら2層以上の絶縁膜は、層間絶縁膜のエッチング速度よりも遅い選択性が高い材質の膜から構成される。層間絶縁膜が、例えば、一般的な酸化珪素膜からなる場合、保護積層膜としては窒化珪素膜および酸窒化珪素膜を含む積層膜からなることが好ましい。
さらには、保護積層膜は、半導体基板の素子形成領域に接触する最下層部分として酸化珪素膜を有することが好ましい。その理由は、半導体基板(半導体層)が単結晶シリコンからなる場合、前記窒化珪素膜または酸窒化珪素膜が半導体基板の素子形成領域に接触すると、素子形成領域の表面部分の結晶構造が変化して電気的特性が変動するためであり、その他の単結晶シリコン基板以外の半導体基板も特性が変動すると考えられる。
よって、本発明における保護積層膜は、下層側から第1絶縁層として酸化珪素膜、第2絶縁層として窒化珪素膜または酸窒化珪素膜、第3絶縁層として窒化珪素膜または酸窒化珪素膜を用いることが好ましい。第2絶縁層と第3絶縁層は同じ材質でも異なっていてもどちらでもよい。
【0019】
分離絶縁膜を確実に保護する上で、保護積層膜は、少なくとも分離絶縁膜におけるコンタクトホール形成領域側を被覆していることが必要であり、分離絶縁膜全体を被覆していることが好ましい。よって、保護積層膜は分離絶縁膜の幅以上の幅を有することが好ましく、分離絶縁膜の幅よりも9〜42nm大きいことがさらに好ましい。なお、保護積層膜の幅と分離絶縁膜の幅の差が42nm超となると、保護積層膜が素子形成領域側に出すぎて素子と配線膜とのコンタクト面積を十分に確保することができなくなる。また、第1絶縁膜として酸化珪素膜を用いる場合、前記幅の差が9nm以上であれば第1絶縁膜がエッチングにより膜減りしたとしても分離絶縁膜までエッチングされるおそれがない。
【0020】
酸化珪素からなる第1絶縁膜の膜厚としては10〜50nm程度が好ましく、20〜40nmがさらに好ましい。
また、窒化珪素または酸窒化珪素からなる第2絶縁膜の膜厚としては50〜100nm程度が好ましく、60〜90nmがさらに好ましい。
また、窒化珪素または酸窒化珪素からなる第3絶縁膜の膜厚としては30〜100nm程度が好ましく、40〜90nmがさらに好ましい。
よって、保護積層膜の膜厚としては90〜250nm程度が好ましく、120〜220nmがさらに好ましい。
第1、第2および第3絶縁膜の膜厚は、層間絶縁膜にコンタクトホールをエッチングにより形成する際にコンタクトホール形成領域が分離絶縁膜と部分的に重畳していても、保護積層膜(特に第3および第2絶縁膜)がエッチングストッパー膜として十分に分離絶縁膜をエッチングから保護することができる膜厚である。さらに、素子が、後述する電界効果トランジスタである場合に、第1および第2絶縁膜はゲート電極のサイドウォールスペーサを構成し、第1および第2絶縁膜の前記膜厚はサイドウォールスペーサとして機能する膜厚となる。
【0021】
本発明の半導体装置は、素子形成領域および素子が半導体基板上に複数形成された構成、さらには、複数の素子が疎密に配置された構成を包含している。この場合、複数の素子が疎密に配置されることによって生じる層間絶縁膜の膜厚の差は0〜240nmの範囲に抑えることが好ましい。この膜厚差は、層間絶縁膜の厚い部分のコンタクトホールの深さと層間絶縁膜の薄い部分のコンタクトホールの深さとの差となる。
層間絶縁膜は、例えば化学機械研磨(CMP)法により表面の局所的な段差が平坦化されるが、全体的な膜厚差が無くなることは難しく、素子が密に配置された部分は厚くなる傾向にある。層間絶縁膜にコンタクトホールを形成する際のエッチングは、最も厚い部分のコンタクトホールが形成されるまで行なわれる。コンタクトホール形成領域が分離絶縁膜と部分的に重畳している場合、層間絶縁膜の前記膜厚差が240nmを越えると、層間絶縁膜の薄い部分にある保護積層膜がエッチング材料と接触する時間が長くなり過ぎるため、保護絶縁膜自体の膜減りも多くなるため前記膜厚(特に第3および第2絶縁膜の膜厚)では分離絶縁膜の保護が困難となる。
【0022】
このような構成の半導体装置は、半導体基板の表面に分離絶縁膜を形成して素子形成領域を画定する工程(A)と、前記素子形成領域上に素子を形成する工程(B)と、前記分離絶縁膜上に3層以上の絶縁膜を積層して保護積層膜を形成する工程(C)と、前記素子および前記保護積層膜を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程(D)と、前記層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成すると共に、該コンタクトホール内に金属材料を埋め込んで配線膜を形成することにより、前記素子を前記配線膜と電気的に接続する工程(E)とを含む半導体装置の製造方法により製造することができる。
以下、半導体装置のより具体的な構成および製造方法について説明する。
【0023】
(電界効果トランジスタの実施形態)
本発明の半導体装置において、上述のように素子が電界効果トランジスタである場合の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1に示すように、FETは、半導体基板1の素子形成領域2の表面にゲート絶縁膜11を介して形成されたゲート電極12と、素子形成領域2におけるゲート電極12の両側に形成されたソース領域13およびドレイン領域14と、ゲート電極12の両側面に形成されたサイドウォールスペーサ15とを有する。
【0024】
ゲート電極12は、酸化珪素からなるゲート絶縁膜11上に形成された多結晶シリコン膜12aと、多結晶シリコン膜12aの表面をチタンまたはタングステン等の高融点金属と反応させてサリサイド処理されてなるシリサイド膜12bとからなる。
ソース領域13は、低濃度拡散層13aと、低濃度拡散層13aよりも外側の高濃度拡散層13bと、高濃度拡散層13bの表面側のシリサイド層13cとを有する。ドレイン領域14も同様に、低濃度拡散層14aと、高濃度拡散層14bと、シリサイド層14cとを有する。
また、半導体基板1としては、P型またはN型のウェル領域を有する単結晶シリコン基板が用いられている。P型ウェル領域を有する半導体基板を用いる場合、ソース領域13およびドレイン領域14にはN型不純物(例えばリン)がイオン注入され、N型ウェル領域を有する半導体基板を用いる場合、ソース領域13およびドレイン領域14にはP型不純物(例えばホウ素)がイオン注入されている。
【0025】
また、この半導体装置は、半導体基板1の表面の複数箇所に形成された分離溝内に埋め込まれたSTI方式の分離絶縁膜3と、分離絶縁膜3上に形成された保護積層膜4と、ゲート電極12および分離絶縁膜4を覆うように半導体基盤1上に形成された第1の層間絶縁膜5と、第1の層間絶縁膜5をエッチングして形成されたコンタクトホール内に埋め込まれてソース領域13およびドレイン領域14とそれぞれ接続するソース用配線膜6およびドレイン用配線膜7と、各配線膜6、7のコンタクトホールから突出した部分を覆うように第1の層間絶縁膜5上に形成された第2の層間絶縁膜8とを備える。
【0026】
保護積層膜4は、上述した3層の絶縁膜からなり、分離絶縁膜3上に酸化珪素からなる第1絶縁膜4a、窒化珪素膜からなる第2絶縁膜4bおよび窒化珪素膜からなる第3絶縁膜4cがこの順に形成されてなる。
FETの前記サイドウォールスペーサ15は、ゲート電極12の側面と接触する前記第1絶縁膜4aと、これに積層する前記第2絶縁膜4bとからなる。また、前記第3絶縁膜4cは、ゲート電極12とサイドウォールスペーサ15を被覆し、さらに、配線膜6、7とサイドウォールスペーサ15との間のソース領域13の表面およびドレイン領域14の表面を被覆している。
なお、図1では1個のFETを図示しているが、半導体基板1上には図5(b)に示すように複数個のFETが疎密に形成されている。
【0027】
この半導体装置では、素子および分離絶縁膜3が微細化しているため、コンタクトホールの位置合わせ誤差および開口径によって、ゲート電極12の両側のコンタクトホール形成領域が、ソース領域13およびドレイン領域14と隣接する分離絶縁膜3、3の形成領域と部分的に重畳し、その結果、ソース領域13およびドレイン領域14と接続する配線膜6、7が部分的に保護積層膜4、4と接触している(図1参照)。しかしながら、保護積層膜4によって分離絶縁膜3は完全に被覆されているため、分離絶縁膜が膜減りして配線膜が半導体基板のウェル領域と接触するということはなく、接合リークは防止されている。
【0028】
次に、図2〜4を参照しながら、図1の半導体装置の製造方法を説明する。
このFETを備えた半導体装置を製造する方法は、上述の工程(A)〜(E)を基礎として含む。以下、具体的に製造方法を説明する。なお、工程(A)〜(E)の各工程は、全てが連続的に行われることに限定されず、1つの工程が他の工程の間に断続的に行われる場合を含む。
【0029】
<工程(A)>
まず、図2(a)に示すように、公知のSTI方式により、半導体基板1の表面(主面)のウェル形成領域上の複数箇所に分離溝を形成し、分離溝内が完全に埋まる膜厚で酸化珪素膜を堆積し、半導体基板1の表面上の余分な酸化珪素膜を除去して、分離絶縁膜3を形成する。これにより、ウェル形成領域上に複数の素子形成領域2が画定される。なお、分離絶縁膜3の幅は0.15〜1.0μm程度、厚さは0.2〜0.4μm程度であり、素子形成領域2の幅は0.1〜1.0μm程度である。
【0030】
<工程(B)>
次に、素子形成領域2上に酸化珪素からなるゲート絶縁膜11を膜厚5〜10nm程度で形成する。ゲート絶縁膜11は、熱酸化法、CVD法、スパッタ法等により形成することができ、チャネル方向の幅はゲート電極の幅と概ね同じあるいは両側の分離絶縁膜3まで延びる幅とすることができる。
次に、ゲート絶縁膜11上であって各素子形成領域2の中央位置にゲート電極を構成する多結晶シリコン膜12aを膜厚150〜200nm程度で形成する。多結晶シリコン膜12aは、CVD法、スパッタ法等により形成することができ、チャネル方向のゲート長としては0.1〜0.2μmとすることができる。
【0031】
次に、各多結晶シリコン膜12aをマスクとして各素子形成領域2におけるソース形成領域およびドレイン形成領域に不純物のイオン注入を行って低濃度拡散層13a、14aを形成する。この低濃度拡散層13a、14aの形成は注入エネルギー5〜20keVの範囲が適当である。また、ドーズ量としては、2e13〜2e15ions/cm2の範囲が適当である。
同一の半導体基板上にnMOSとpMOSの両方のFETが形成される場合、N型不純物とP型不純物のイオン注入が行われる。各導電型の不純物のイオン注入を行う際、イオン注入する素子形成領域以外の領域はレジストマスク(図示省略)にて被覆され、イオン注入後にレジストマスクは酸素アッシングにより除去される。この際、熱により不純物の拡散が促進される。
【0032】
<工程(C)>
次に、図2(b)に示すように、多結晶シリコン膜12aおよび分離絶縁膜3を覆うように半導体基板1上に酸化珪素膜からなる第1絶縁膜4aおよび窒化珪素からなる第2絶縁膜4bを堆積する。第1絶縁膜4aは膜厚10〜50nm程度、第2絶縁膜4bは膜厚50〜100nm程度である。第2絶縁膜4bは後工程のエッチング洗浄処理にて分離絶縁膜3が膜減りするのを防止し、第1絶縁膜4aは窒化珪素膜(第2絶縁膜4b)が直接半導体基板1(素子形成領域2)の表面に接触して電気特性を変動させないように保護する。また、第1および第2絶縁膜4a、4bは、後工程で形成されるゲート電極のサイドウォールスペーサとしても利用されるものであり、前記膜厚はサイドウォールスペーサとして必要な膜厚であり、かつ前記エッチング洗浄処理から分離絶縁膜3を保護できる膜厚である。なお、第2絶縁膜4bとしては、窒化珪素膜の代わりに酸窒化珪素膜を同程度の膜厚で用いてもよい。
【0033】
次に、図3(a)に示すように、ゲート電極(多結晶シリコン膜12a)形成時のアライメントマークに位置合わせして、第2絶縁膜4b上における分離絶縁膜3の直上位置にレジストパターンP1を形成する。このレジストパターンP1の幅は、分離絶縁膜3の幅よりも9〜42nm程度広く設定されている。
次に、図3(b)に示すように、レジストパターンP1をマスクとして第2および第1絶縁膜4b、4aをドライエッチングにより部分的に除去する。なお、図3(b)における点線は、ドライエッチング前の第2絶縁膜4bの断面形状を表している。
このドライエッチングはRIE装置で行うことができ、エッチングガスとしては、CF4ガスを10〜100sccm(好ましくは50sccm程度)、CHF3ガスを10〜50sccm(好ましくは20sccm程度)、O2ガスを10〜50sccm(好ましくは20sccm程度)、Arガスを50〜150sccm(好ましくは100sccm程度)で用いることができる。また、高周波出力は200〜1000W(好ましくは500W程度)、真空度は10〜100mTorr(好ましくは60Torr程度)の範囲で設定することができる。
【0034】
ドライエッチングにより、多結晶シリコン膜12aおよびゲート絶縁膜11の両側に第1および第2絶縁膜4a、4bからなるサイドウォールスペーサ15が形成され、分離絶縁膜3上には第1および第2絶縁膜4a、4bが残存する。分離絶縁膜3上の第1および第2絶縁膜4a、4bの幅は、分離絶縁膜1の幅より9〜42nm程度である。また、サイドウォールスペーサ15のチャネル方向の幅は0.06〜0.15μm程度である。
【0035】
<工程(B)の続き>
次に、図3(c)に示すように、トランジスタ形成領域以外をレジストパターンP2によって被覆した後、レジストパターンP2、サイドウォールスペーサ15および多結晶シリコン膜12aをマスクとして高濃度不純物のイオン注入を行う。これにより、ソース形成領域およびドレイン形成領域におけるサイドウォールスペーサ15から外側に高濃度拡散層13b、14bが形成される。なお、図3(c)において、矢印はイオン注入を表している。
この高濃度拡散層13b、14bの形成は注入エネルギー5〜60keVの範囲が適当である。また、ドーズ量としては、2e15〜6e15ions/cm2の範囲が適当である。
同一の半導体基板上にnMOSとpMOSの両方のFETが形成される場合、N型不純物とP型不純物のイオン注入が行われる。
【0036】
その後、図4(a)に示すように、レジストパターンP2を酸素アッシングにより除去する。この際、熱により不純物の拡散が促進される。
レジストパターンP2は高濃度不純物を含んでいるため、酸素アッシング後には残渣が発生する。よって、レジストパターンP2の除去後、エッチング洗浄処理を行う。N型とP型の不純物のイオン注入を行った場合、各導電型のイオン注入に用いられたレジストパターンを除去した後にエッチング洗浄処理が行われるので、エッチング洗浄処理は2回行われる。エッチング洗浄液としては、例えばフッ化水素酸を用いることができ、その緩衝液としてはフッ化アンモニウムを用いることができる。
【0037】
エッチング洗浄処理の際、分離絶縁膜1上およびサイドウォールスペーサ15の外側部分の窒化珪素からなる第2絶縁膜4bのエッチングはほとんど進行しないため、第2絶縁膜4bの下の酸化珪素からなる第1絶縁膜4aおよび分離絶縁膜3はエッチングされない。
このように、本製造方法では、エッチング洗浄処理において第2絶縁膜4bのエッチングがほとんど進行しない、具体的には第2絶縁膜4bのエッチング速度が0.1〜1.0nm/分程度と極めて遅くなるように、第2絶縁膜4bの材質およびエッチング材料が選択されていることが好ましい。
次に、図4(a)に示すように、多結晶シリコン膜12aの露出した表面(上面)、ソース形成領域およびドレイン形成領域における高濃度拡散層13b、14bの露出した表面を、チタン或いはタングステン等の高融点金属と反応させる公知のサリサイド処理を行う。これにより、多結晶シリコン膜12a上にシリサイド膜12bが形成されてゲート電極12が形成されると共に、高濃度拡散層13b、14b上にシリサイド層13c、14cが形成されてソース領域13およびドレイン領域14が形成される。
【0038】
<工程(C)の続き>
次に、ゲート電極12、サイドウォールスペーサ15および分離絶縁膜3を覆うように半導体基板1の全面に、窒化珪素からなる第3絶縁膜4cを膜厚30〜100nm程度で堆積する。これにより、分離絶縁膜1上には第1〜第3絶縁膜4a〜4cからなる保護積層膜4が形成されることとなる(図4(b)参照)。なお、窒化珪素の代わりに酸窒化珪素を用いて同程度の膜厚の第3絶縁膜を形成してもよい。
【0039】
<工程(D)>
次に、半導体基板1上に形成されたゲート電極12などの素子よりも厚い600〜1000nm程度の膜厚で第3絶縁膜4c上に酸化珪素からなる第1の層間絶縁膜5を堆積し、CMP法によって第1の層間絶縁膜5の平坦化処理を行う。この平坦化処理では、第1の層間絶縁膜5の表面における局所的な段差は平坦化されるが、図5(b)に示すように、疎密に配置された素子による第1の層間絶縁膜5の全体的な膜厚を均一にすることは困難であるが、第1の層間絶縁膜5の全体的な膜厚差(最厚部分の膜厚と最薄部分の膜厚との差)は240nm以下とするのが好ましく、膜厚差は小さい程よい。
【0040】
<工程(E)>
次に、第1の層間絶縁膜5上にフォトリソグラフィ法によりレジストマスクを形成し、ドライエッチングを行って、図4(b)に示すように、第1の層間絶縁膜5にコンタクトホール5aを形成してソース領域13およびドレイン領域14の接続領域であるシリサイド層13c、14cを露出させる。
この際、コンタクトホール5aの下端の開口領域は、シリサイド層13c、14cの領域と一致することが望ましいが、極めて高い位置合わせ精度が要求されると共に、コンタクトホール形成用レジストマスクの開口径の縮径化に限界があるため難しい。しかしながら本発明では、分離絶縁膜3は保護積層膜4によって覆われており、この保護絶縁膜4における窒化珪素または酸窒化珪素からなる第3絶縁層4cおよび第2絶縁膜4bがエッチングストッパー膜として機能するため、コンタクトホール開口領域がソース領域13およびドレイン領域14の少なくとも一方に隣接する分離絶縁膜3の形成領域と一部重畳していてもよい。したがって、分離絶縁膜3がコンタクトエッチによって浸食されることなく、コンタクトホール開口領域の位置合わせ精度を緩和することができる。
【0041】
次に、レジストマスクを除去した後、図4(c)に示すように、コンタクトホール5a内および第1の層間絶縁膜5の表面に、窒化チタンからなるバリア膜およびタングステン膜からなる金属膜9を順次スパッタ法によって堆積してコンタクトホール5aを金属膜9で完全に埋め込み、金属膜9をソース領域13のシリサイド層13cおよびドレイン領域14のシリサイド層14cに電気的に接続する。
その後、図1に示すように、外部に露出した金属膜9をパターニングして、ソース用配線膜6およびドレイン用配線膜7を形成し、第1の層間絶縁膜5上に第2の層間絶縁膜8を堆積する。
その後、第2の層間絶縁膜8にもコンタクトホールを形成し、このコンタクトホール内にソース用配線膜6およびドレイン用配線膜7と電気的に接続する2層目の配線膜を形成してもよい。
【0042】
(他の実施形態)
1.前記実施形態では、素子としてFET(CMOSFETを含む)を備えた半導体装置の場合を例示したが、これ以外にも例えば、半導体基板表面の分離絶縁膜間の素子形成領域に、酸化珪素膜にて覆われた浮遊ゲートおよびその上の制御ゲートを有するゲート電極と、ゲート電極の両側のソース領域およびドレイン領域とが形成された、不揮発性半導体メモリを備えた半導体装置にも適用可能である。すなわち、不揮発性半導体メモリの素子分離を行う分離絶縁膜上に第1〜第3絶縁膜を順次積層させた保護積層膜を形成して、半導体装置製造工程中の各種エッチングから分離絶縁膜の膜減りを防止し、層間絶縁膜中に形成してソース領域およびドレイン領域と接続する配線膜と半導体基板のウェル領域との接合リークを防止することができる。この場合も、第1および第2絶縁膜をゲート電極のサイドウォールスペーサとして利用することができる。
2.前記実施形態では保護積層膜が、酸化珪素からなる第1絶縁膜と、窒化珪素または酸窒化珪素からなる第2絶縁膜と、窒化珪素または酸窒化珪素からなる第3絶縁膜とが積層されてなる3層構造の場合を例示したが、保護積層膜は3層構造に限定されず、例えば4層構造であってもよい。4層構造の場合、例えば、前記材料からなる第1〜第3絶縁膜における第2絶縁膜と第3絶縁膜の間、あるいは第3絶縁膜上に、酸化珪素膜を形成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明は、電界効果トランジスタ、半導体メモリ、パワーデバイス等の素子を備えた半導体装置に適用可能であり、これらの素子を論理回路等と組み合わせることにより、パーソナルコンピュータ、ノート、ラップトップ、パーソナル・アシスタント/発信機、ミニコンピュータ、ワークステーション、メインフレーム、マルチプロセッサー・コンピュータ又は他のすべての型のコンピュータシステム等のデータ処理システム;CPU、メモリ、データ記憶装置等のデータ処理システムを構成する電子部品;電話、PHS、モデム、ルータ等の通信機器;ディスプレイパネル、プロジェクタ等の画像表示機器;プリンタ、スキャナ、複写機等の事務機器;ビデオカメラ、デジタルカメラ等の撮像機器;ゲーム機、音楽プレーヤ等の娯楽機器;携帯情報端末、時計、電子辞書等の情報機器;カーナビゲーションシステム、カーオーディオ等の車載機器;動画、静止画、音楽等の情報を記録、再生するためのAV機器;洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫、炊飯器、食器洗い機、掃除機、エアコン等の電化製品;マッサージ器、体重計、血圧計等の健康管理機器;ICカード、メモリカード等の携帯型記憶装置等の電子機器への幅広い応用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の半導体装置における素子が電界効果トランジスタである場合の実施形態を示す概略断面図である。
【図2】図1の半導体装置の製造方法を説明する製造工程図である。
【図3】図2の続きの製造工程図である。
【図4】図3の続きの製造工程図である。
【図5】従来技術1の半導体装置を示す概略断面図である。
【図6】従来技術2の半導体装置を示す概略断面図である。
【図7】従来技術3の半導体装置を示す概略断面図である。
【図8】従来技術1の半導体装置の製造方法を説明する製造工程図である。
【図9】図8の続きの製造工程図である。
【符号の説明】
【0045】
1 半導体基板
2 素子形成領域
3 分離絶縁膜
4 保護積層膜
4a 第1絶縁膜
4b 第2絶縁膜
4c 第3絶縁膜
5 第1の層間絶縁膜
6 ソース用電極膜
7 ドレイン用電極膜
8 第2の層間絶縁膜
9 金属膜
11 ゲート絶縁膜
12 ゲート電極
12a 多結晶珪素膜
12b シリサイド膜
13 ソース領域
13a、14a 低濃度拡散層
13b、14b 高濃度拡散層
13c、14c シリサイド層
14 ドレイン領域
15 サイドウォールスペーサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板に形成されて素子形成領域を画定する分離絶縁膜と、該素子形成領域に形成された素子と、該素子および前記分離絶縁膜を覆うように前記半導体基板上に形成された層間絶縁膜と、該層間絶縁膜をエッチングして形成されたコンタクトホール内に埋め込まれて前記素子と電気的に接続する配線膜とを備え、少なくとも前記分離絶縁膜と層間絶縁膜との間に、前記エッチングによる分離絶縁膜の浸食を防止するための3層以上の絶縁膜が積層されてなる保護積層膜が形成されていることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記保護積層膜は、前記分離絶縁膜の幅以上の幅を有する請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記保護積層膜の幅が、前記分離絶縁膜の幅よりも9〜42nm大きい請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記層間絶縁膜は、酸化珪素膜からなり、
前記保護積層膜は、前記分離絶縁膜上に酸化珪素膜からなる第1絶縁膜、窒化珪素膜または酸窒化珪素膜からなる第2絶縁膜および窒化珪素膜または酸窒化珪素膜からなる第3絶縁膜がこの順に形成されてなる請求項1〜3のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第2絶縁膜の厚さが50〜100nmである請求項1〜4のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項6】
前記素子が、前記素子形成領域の表面にゲート絶縁膜を介して形成されたゲート電極と、前記素子形成領域における前記ゲート電極の両側に形成されたソース領域およびドレイン領域とを有し、
前記配線膜は、前記ソース領域と接続するソース用配線膜と、前記ドレイン領域と接続するドレイン用配線膜とを有する請求項1〜5のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項7】
前記第1絶縁膜および第2絶縁膜がこの順に前記ゲート電極の両側面にサイドウォールスペーサとして形成されている請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記分離絶縁膜が、前記半導体基板のウエル領域に形成された分離溝に埋め込まれている請求項1〜7のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項9】
前記配線膜が前記第2絶縁膜と接触している請求項4〜8のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項10】
前記素子形成領域および前記素子が前記半導体基板上に複数形成され、複数の素子が疎密に配置されることによって生じる前記層間絶縁膜の全体的な膜厚差が0〜240nmの範囲である請求項1〜9のいずれか1つに記載の半導体装置。
【請求項11】
半導体基板の表面に分離絶縁膜を形成して素子形成領域を画定する工程(A)と、
前記素子形成領域上に素子を形成する工程(B)と、
前記分離絶縁膜上に3層以上の絶縁膜を積層して保護積層膜を形成する工程(C)と、
前記素子および前記保護積層膜を覆うように前記半導体基板上に層間絶縁膜を形成する工程(D)と、
前記層間絶縁膜をエッチングしてコンタクトホールを形成すると共に、該コンタクトホール内に金属材料を埋め込んで配線膜を形成することにより、前記素子を前記配線膜と電気的に接続する工程(E)とを含むことを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記工程(C)において、前記分離絶縁膜上に第1絶縁膜、第2絶縁膜および第3絶縁膜をこの順に形成することにより、前記保護積層膜を形成する請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記第2絶縁膜を厚さ50〜100nmで形成する請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記工程(B)において、前記素子形成領域上に絶縁膜を介してゲート電極を形成すると共に、素子形成領域における前記ゲート電極の両側に不純物イオン注入を行ってソース領域およびドレイン領域を形成し、
前記工程(C)が、前記ゲート電極および前記分離絶縁膜を含む半導体基板上に第1絶縁膜および第2絶縁膜を形成した後、分離絶縁膜の真上に位置する第2絶縁膜上に分離絶縁膜の幅以上の幅でレジスト膜を形成し、このレジスト膜をマスクとして第1絶縁膜および第2絶縁膜をドライエッチングすることにより、電極の両側面に第1絶縁膜および第2絶縁膜からなるサイドウォールスペーサを形成する工程を含む請求項12または13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記工程(C)が、前記サイドウォールスペーサを形成した後、サイドウォールスペーサの外側に不純物イオン注入を行って前記ソース領域およびドレイン領域の高濃度拡散層を形成する工程と、この工程の後であって第3絶縁膜を形成する前に半導体基板をエッチング洗浄処理する工程とを含み、
前記エッチング洗浄処理での第2絶縁膜のエッチング速度が0.1〜1.0nm/分となるように、前記第2絶縁膜の材料およびエッチング洗浄処理に用いるエッチング材料を選択する請求項14に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記工程(C)において、前記エッチング洗浄処理する工程の後、前記ゲート電極、前記サイドウォールスペーサおよび前記分離絶縁膜を含む半導体基板上に、窒化珪素または酸窒化珪素からなる前記第3絶縁膜を形成し、
前記工程(D)において、第3絶縁膜上に酸化珪素からなる前記層間絶縁膜を形成し、
前記工程(E)において、層間絶縁膜上にレジスト膜を形成し、このレジスト膜をマスクとして層間絶縁膜および第3絶縁膜をドライエッチングして前記コンタクトホールを形成することにより、前記ソース領域およびドレイン領域を露出させる請求項15に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記第1絶縁膜が酸化珪素膜であり、前記第2絶縁膜が窒化珪素膜または酸窒化珪素膜である請求項12〜16のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記工程(E)において、前記ソース領域またはドレイン領域を露出させる層間絶縁膜内のコンタクトホールの開口領域が、ソース領域およびドレイン領域の少なくとも一方に隣接する分離絶縁膜の形成領域と一部重畳する請求項14〜17のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記工程(A)において複数の素子形成領域を形成すると共に、前記工程(B)において複数の素子を形成し、
前記工程(D)と前記工程(E)の間に、前記層間絶縁膜の全体的な膜厚差が240nm以下となるように層間絶縁膜を平坦化する工程をさらに含む請求項11〜18のいずれか1つに記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−158562(P2009−158562A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332258(P2007−332258)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】