説明

半導体装置及びその製造方法

【課題】セルコンタクトのアクティブ領域に対する位置合わせにずれが生じた場合でも、コンタクト抵抗を増大させない半導体装置及びその製造方法を提供する。
【解決手段】半導体基板20、半導体基板に設けられた素子分離膜21、層間絶縁膜60及び導電プラグ62を備えて構成される。半導体基板は、一方の主表面20a側に、第1の方向及び第2の方向に行列配列されたメモリセルを有している。導電プラグは、層間絶縁膜内に形成されていて、メモリセルと層間絶縁膜上に形成される配線74とを電気的に接続する。各メモリセルは、ゲート電極34と、一対の不純物拡散領域40を備えている。不純物拡散領域は、主表面側に金属シリサイド膜46を有している。導電プラグは、素子分離膜上と金属シリサイド膜上とに形成されている。金属シリサイド膜は、第1部分47と、第2部分48を備えていて、第1部分の厚みが第2部分の厚みよりも大きい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、半導体装置及びその製造方法に関し、特にコンタクトホールを開口する際に、合わせずれが生じてもコンタクト抵抗が増加しないコンタクトプラグの構造とその形成方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体記憶装置として、行列状に配列されたメモリセルを備える半導体不揮発性メモリが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図1及び図14を参照して、特許文献1に開示されている従来の半導体不揮発性メモリについて説明する。図1は、行列状に配列されたメモリセルを備える半導体不揮発性メモリを示す概略平面図である。図14(A)、(B)及び(C)は、従来の半導体不揮発性メモリの主要部の切断端面を示している。図14(A)、(B)及び(C)は、それぞれ、図1(A)のA−A線、B−B線及びC−C線に沿って取った切断端面を拡大して示している。
【0004】
この半導体不揮発性メモリでは、アクティブ領域(AC)29bとゲート電極(CG)34の平面形状は、それぞれ長尺方向が列方向及び行方向の単純な長方形状であり、かつ互いに直交して配置されている。ここで、アクティブ領域29bは、列方向に延在する素子分離領域29aにより分離された領域である。
【0005】
各メモリセル15は、電荷蓄積可能な側壁部50が、MOS型の電界効果トランジスタのゲート電極34を挟む位置に形成されている、いわゆるサイドウォール型のメモリである。側壁部50は、下部絶縁膜52、電荷蓄積膜54、上部絶縁膜56及び側壁窒化膜58が順次に積層された、電荷蓄積可能な積層構造で構成されている。
【0006】
ここで、ゲート電極34は、行方向に延在して設けられている。この構成によれば、列方向に隣り合うメモリセルは、ソース・ドレインとして機能する不純物拡散領域を共有するので、列方向に隣り合うメモリセル間に素子分離領域が不要となり、その結果、素子形成面積を縮小できる。
【0007】
また、行方向に隣り合うメモリセルによれば、それぞれの不純物拡散領域40が、楕円柱形状の導電プラグ(セルコンタクトと称することもある。)162を介して1つのビット線に電気的に接続されている。このため、行方向に隣り合うメモリセルの不純物拡散領域を電気的に接続するための配線が不要となり、その結果、素子形成面積の縮小につながる。ここで、導電プラグ162は、順に形成されたTi膜164、TiN膜166及びタングステンの導電体168を備えている。
【0008】
さらに、この構成によれば、セルコンタクト(CC)を、列方向については自己整合的に(セルフアラインで)製造することが可能になる。このため、ゲート電極(CG)に対するセルコンタクト(CC)の位置合せ(以下、単にCC−CG合わせと称することもある。)のずれによる特性バラツキが無くなる。また、CC−CG合わせにおけるマージンが不要になるので、素子形成面積の縮小につながる。
【特許文献1】特開2004−343015号公報(段落0097〜0135)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述の構造では、アクティブ領域(AC)に対するセルコンタクト(CC)の位置合せ(以下、単にCC−AC合わせと称することもある。)のずれにより、セルコンタクトの抵抗が増大するなど、抵抗のばらつきが発生する場合がある。
【0010】
図15を参照して、CC−AC合わせのずれが生じた場合の、セルコンタクトの抵抗(以下、単にコンタクト抵抗と称することもある。)について説明する。
【0011】
CC−AC合わせにずれが生じると、セルコンタクトの形成の際に、コンタクトホール61の底部に露出する半導体基板の領域の面積が減少する。これに伴い、その後の工程で生成される、低抵抗な金属シリサイド膜146の面積も減少する。この金属シリサイド膜146の面積の減少が、コンタクト抵抗の増大の原因となる。
【0012】
コンタクト抵抗が増加すると、メモリセルに書き込みを行う際、ドレインに十分な電圧を印加できずに書き込み速度の低下や書き込み不良の原因となる可能性がある。また、メモリセルの読み出しを行う際にも、ドレインに十分な電圧を印加できないため、読み出し電流の低下を引き起こし、これが読み出し不良の原因となる可能性がある。
【0013】
この発明は、上述の問題点に鑑みてなされたものであり、この発明の目的は、セルコンタクト(CC)のアクティブ領域(AC)に対する位置合わせにずれが生じた場合でも、コンタクト抵抗が増大しない半導体装置及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述した目的を達成するために、この発明の半導体装置は、半導体基板と、層間絶縁膜と、導電プラグとを備えて構成される。
【0015】
半導体基板は、一方の主表面側に、第1の方向に延在して設けられた素子分離膜と、第1の方向と直交する第2の方向に配列された複数の半導体素子を有している。層間絶縁膜は、半導体基板の主表面上に形成されている。導電プラグは、層間絶縁膜内に形成されていて、半導体素子と層間絶縁膜上に形成される配線とを電気的に接続する。
【0016】
半導体素子は、素子分離膜が形成された素子分離領域間に設定されたアクティブ領域に形成されていて、半導体基板の主表面側に金属シリサイド膜を有している。
【0017】
導電プラグは、素子分離膜上と素子分離膜を挟んで隣り合う半導体素子が有する金属シリサイド膜上とに形成されている。
【0018】
金属シリサイド膜は、それぞれ素子分離膜に隣接した第1部分と、素子分離膜と離間した第2部分を備えていて、第1部分の厚みが第2部分の厚みよりも大きい。
【0019】
また、この発明の半導体装置の製造方法は、以下の工程を備えている。
【0020】
先ず、半導体基板の一方の主表面側に、第1の方向に延在して、複数の素子分離膜を形成して、素子分離膜が形成された領域を素子分離領域とするとともに素子分離領域間の領域をアクティブ領域として設定する。
【0021】
次に、アクティブ領域の、半導体基板の一方の主表面側に半導体素子を形成する。
【0022】
次に、半導体基板の一方の主表面上に、半導体基板及び半導体素子を覆う層間絶縁膜を形成する。
【0023】
次に、素子分離膜上と、素子分離膜を挟んで隣り合うアクティブ領域上の層間絶縁膜にコンタクトホールを開口して、コンタクトホール内に、素子分離膜と、素子分離膜を挟んで隣り合うアクティブ領域を露出させる。
【0024】
次に、コンタクトホール内に露出した素子分離膜をエッチングして、素子分離膜の上面の位置を半導体基板の主表面よりも低くする。
【0025】
次に、コンタクトホール内に、高融点金属膜を形成してアクティブ領域の上面に、素子分離膜に隣接した第1部分と、素子分離膜と離間した第2部分を備える金属シリサイド膜を形成する。この金属シリサイド膜は、第1部分の厚みが第2部分の厚みよりも大きい。その後、高融点金属膜又は金属シリサイド膜上に密着層を形成した後、コンタクトホールを導電体で埋め込んで導電プラグを形成する。
【発明の効果】
【0026】
この発明の半導体装置及びその製造方法によれば、導電プラグに接する金属シリサイド膜が、素子分離膜に接する第1部分と、素子分離膜と離間した第2部分を備えていて、第1部分の厚みが第2部分の厚みよりも大きい。
【0027】
この結果、抵抗値の小さい第1部分の方が、第2の部分に比べてコンタクト抵抗への寄与が大きいので、コンタクト抵抗の抵抗値は、ほとんどこの第1部分の抵抗値となる。このため、アクティブ領域に対するセルコンタクトの位置合わせのずれが生じて、導電プラグと接する半導体基板の面積が減少しても、コンタクト抵抗が増大しない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態について説明するが、各構成要素の形状、大きさ及び配置関係については、この発明が理解できる程度に概略的に示したものに過ぎない。また、以下、この発明の好適な構成例につき説明するが、各構成要素の材質及び数値的条件などは、単なる好適例にすぎない。従って、この発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、この発明の構成の範囲を逸脱せずにこの発明の効果を達成できる多くの変更又は変形を行うことができる。
【0029】
(第1実施形態の半導体装置)
図1及び図2を参照して、この発明の半導体装置を、半導体不揮発性メモリを例にとって説明する。
【0030】
図1は、半導体不揮発性メモリの構造を概略的に示す図であって、レイアウトの一部分を拡大して示す平面図である。この半導体不揮発性メモリは、半導体基板に、半導体素子として複数個のメモリセル15が行列状に配列されている。図2(A)、(B)及び(C)は、第1実施形態の半導体装置の構造を概略的に示す図であって、それぞれ、図1のA−A線、B−B線及びC−C線に沿って取った切断端面を拡大して示している。また、ここでは、第1の方向を列方向とし、第2の方向を行方向とする。
【0031】
第1導電型の半導体基板20に、列方向に延在して、平行かつ等間隔に複数の素子分離膜21が形成されている。素子分離膜21は、STI(Shallow Trench Isolation)法により形成される。なお、この素子分離膜21が形成されている領域を素子分離領域29aと称する。また、素子分離領域29a間の領域を、アクティブ領域29bと称する。メモリセル15は、列方向及び行方向に行列配列されていて、行方向に隣り合うメモリセル15間に素子分離膜21が設けられている。すなわち、各メモリセル15はアクティブ領域29bに形成されている。
【0032】
各メモリセル15は、シリコン基板20に形成されたMOS型の電界効果トランジスタ(MOSFET)を備えている。MOSFETは、ゲート電極34と、一対の不純物拡散領域40と、一対の側壁部50を備えている。
【0033】
ここでは、第1導電型の半導体基板として、例えばp型のシリコン基板を用いる例について説明する。MOSFETは、第1導電型とは異なる第2導電型のMOSFETであって、第1導電型がp型である場合、MOSFETは、n型のMOSFET(NMOS)になる。なお、p型の半導体基板20として、p型のウェルを備える半導体基板を用いても良い。その場合には、周知の通り、ウェル内にNMOSが形成される。
【0034】
ゲート電極(CG)34は、半導体基板20の一方の主表面20a上に、ゲート絶縁膜32を介して設けられている。ゲート電極34は、第1の方向に直交する第2の方向(すなわち行方向)に延在して設けられていて、行方向に配列されたメモリセル15に共通して用いられる。すなわち、ゲート電極(CG)34は、ワード線(WL)として用いられる。
【0035】
ゲート電極34は、例えば、ポリシリコン膜と、金属シリサイド膜としてタングステンシリサイド膜とを順次に積層した、いわゆるポリサイド構造として形成されている。また、ゲート電極34上には、窒化膜マスク44が形成されている。
【0036】
一対の不純物拡散領域40は、アクティブ領域29bに含まれる領域であって、半導体基板20中に、主表面20aに接して設けられている領域である。さらに、この領域40は、上方から半導体基板20の主表面20aを平面的に見たとき、ゲート電極34をゲート長方向に挟み、かつゲート電極34から離間した位置に形成されている。さらに、この領域40は、第2導電型の不純物、ここではn型の不純物として、例えば砒素(As)を高濃度に拡散した領域である。不純物拡散領域40は、MOSFETの動作時にはドレイン又はソースとして機能する。
【0037】
一対の側壁部50は、半導体基板20の主表面20a及び素子分離膜21上に、ゲート電極34に隣接、すなわち直接接して設けられている。側壁部50は、半導体基板20の主表面20a上に、ゲート絶縁膜32、ゲート電極34及び窒化膜マスク44の側面に接して設けられていて、上方から主表面20aを平面的に見たとき、不純物拡散領域40と隣接して設けられている。さらに、この側壁部50は、下部絶縁膜52、電荷蓄積膜54、上部絶縁膜56及び側壁窒化膜58が順次に積層された、電荷蓄積可能な積層構造(以下、ONO構造と称することもある。)で構成されている。
【0038】
一対の側壁部50は、ゲート電極34をゲート長方向に挟む位置にサイドウォール状に形成されている。
【0039】
MOSFETは、さらに、半導体基板20の、それぞれ側壁部50の下の部分に、主表面20aと不純物拡散領域40とに接して、不純物低濃度拡散領域42をそれぞれ備えている。従って、ゲート電極34の直下にチャネルが形成される領域(チャネル形成領域)43と不純物拡散領域40によって挟まれる部分に、一対の不純物低濃度拡散領域42が形成されている。
【0040】
不純物低濃度拡散領域42は、不純物拡散領域40よりも不純物濃度が低く、かつ不純物拡散領域と同じ導電型の領域である。この例では、不純物拡散領域40の導電型がn型であるので、不純物低濃度拡散領域42には、不純物として、例えば砒素(As)が低濃度に注入されて形成されている。
【0041】
下部絶縁膜52は、シリコン基板20の主表面20a上からゲート絶縁膜32、ゲート電極34及び窒化膜マスク44の側壁上にわたって、5〜10nm程度の均一の厚みかつL字状の形態で形成されている。電荷蓄積膜54は、下部絶縁膜52上に、5〜10nm程度の均一の厚みかつL字状の形態で形成されている。上部絶縁膜56は、電荷蓄積膜54上に、5〜10nm程度の均一の厚みかつL字状の形態で形成される。さらに、上部絶縁膜56上に、側壁用窒化膜58が、20〜40nm程度の厚みで形成される。
【0042】
側壁部50に注入されたキャリアは、側壁部50のうち、主として電荷蓄積膜54に蓄積される。尚、側壁部50の材質は、メモリの用途に応じて任意好適に選択可能である。側壁部50は、例えば下部絶縁膜52及び上部絶縁膜56の間に、シリコン窒化膜、酸化アルミニウム膜及び酸化ハフニウム膜の絶縁膜群から選ばれた一種又は二種以上の絶縁膜が電荷蓄積膜54として挟まれた構造にすることができる。一対の側壁部50を、ゲート電極を挟む位置に設けることにより、1つのメモリセルについて2ビットの情報の書込みが可能になる。
【0043】
半導体基板20の主表面20a上には、MOSFETを覆う層間絶縁膜60が形成されている。層間絶縁膜60には、コンタクトホール61が形成されていて、不純物拡散領域40と、上部の配線74とを電気的に接続する導電プラグ62が、コンタクトホール61内に埋め込み形成されている。
【0044】
ここで、各コンタクトホール61は、素子分離膜21と、素子分離膜21を挟んで行方向に隣り合うメモリセル15の不純物拡散領域40に形成された金属シリサイド膜46を露出している。すなわち、このコンタクトホール61内に形成された導電プラグ62は、隣り合うメモリセルの不純物拡散領域40を電気的に接続する。
【0045】
コンタクトホール61内に露出した不純物拡散領域40の上面には、金属シリサイド膜46として、例えばチタンシリサイド膜が形成されている。コンタクトホール61の側壁及び底部には、高融点金属層64として例えばチタン(Ti)膜と、密着層66として例えば窒化チタン(TiN)膜が形成され、さらに、導電体68として例えばタングステン(W)が埋め込まれている。なお、高融点金属層64としてのTi膜は、コンタクトホール61の側壁に露出する層間絶縁膜60上や、素子分離膜21上には、形成されていなくても良い。
【0046】
ここで、金属シリサイド膜46は、コンタクトホール61内に露出した素子分離膜21に隣接した第1部分47と、この素子分離膜21と離間した第2部分48を備えている。金属シリサイド膜46の第1部分47の厚みt1は、第2部分48の厚みt2よりも大きい。なお、この第1部分47及び第2部分48を備える金属シリサイド膜46の形成工程については後述する。
【0047】
従来の金属シリサイド膜の形成工程では、金属シリサイド膜は10nm程度の厚みで形成されている。そこで、この実施形態では、金属シリサイド膜46の、素子分離膜21に接する第1部分47の抵抗値を低くするために、厚みt1と幅w1を10nm以上にするのが良い。
【0048】
また、素子分離膜21の上面21aの位置を下げるエッチング処理や、リーク電流の増加を防ぐため、第1部分47の厚みt1と幅w1は50nm以下にするのが良い。
【0049】
図3を参照して、第1実施形態の半導体装置で、CC−AC合わせに対するずれが生じた場合について説明する。
【0050】
金属シリサイド膜46は、第1部分47の厚みt1が第2部分の厚みt2よりも厚く形成されているので、第1部分47の抵抗値が低い。このため、コンタクト抵抗の抵抗値は、ほとんどこの第1部分47の抵抗値となる。ここで、CC−AC合わせでずれが発生して、導電プラグ62の直下の不純物拡散領域40、すなわち、導電プラグ62と接する金属シリサイド膜46の面積が減少しても、コンタクト抵抗を定める金属シリサイド膜46の第1部分47の面積は減少しない。このため、CC−AC合わせでずれが生じた場合であっても、設計値に対する抵抗値の増大がない。
【0051】
また、コンタクトホール61は、第1の方向については、自己整合的に形成されるので、CC−CGずれの影響を受けない。
【0052】
図4を参照して、CC−AC合わせでずれが発生した場合のコンタクトの抵抗値の変化について説明する。ここでは、素子分離領域及びアクティブ領域の幅を100nmとし、導電プラグの行方向の大きさを300nmとしている。また、金属シリサイド膜46の抵抗値が低い第1部分47の厚みt1と幅w1をそれぞれ35nm及び40nmとし、抵抗値が高い第2部分48の厚みを10nmとしている。
【0053】
図4は、CC−AC合わせでずれが発生した場合のコンタクトの抵抗値の変化を示す図である。図4では、横軸に、アクティブ領域に対する導電プラグの位置のずれの大きさ、すなわち、コンタクト位置のずれ量(単位:nm)を取って示し、縦軸に、従来公知のケルビンコンタクトTEG(Test Element Group)を用いた4端子測定により計測したコンタクトの抵抗の抵抗値(単位:Ω)を取って示している。
【0054】
図4に示すように、CC−AC合わせにおけるずれ量が−80nm〜20nmの範囲内では、コンタクトの抵抗値は、ほぼ1100Ωで一定である。すなわち、CC−AC合わせにおけるずれの大きさが80nm程度のときには、このCC−AC合わせのずれによる抵抗値の増大は起こらない。
【0055】
図5にこの半導体不揮発性メモリの等価回路図を示す。ここでは、図1に示したように、列方向に隣接するメモリセルは、不純物拡散領域を共有し、また、行方向に素子分離領域を挟んで隣り合うメモリセルは、不純物拡散領域が共通のビット線(BL)に接続されている。従って、図5の回路図の構成を、行方向及び列方向のいずれの方向についても素子形成面積を大きくせずに得ることができる。また、CC−AC合わせとCC−CG合わせのいずれの位置合せについても、ずれによるコンタクト抵抗の増大がないので、位置合せのマージンが不要となり、素子形成面積のさらなる縮小化につながる。
【0056】
ここでは、第1導電型がp型である場合について説明したが、この例に何ら限定されるものではない。第1導電型をn型として、第2導電型をp型として、電界効果トランジスタをp型のMOSFET(PMOS)としても良い。
【0057】
また、ここでは、行列配列されたメモリセルを有する半導体装置を例にとって説明したが、この例に何ら限定されるものではない。1つのセルコンタクト(CC)によって、素子分離膜を挟んで隣り合うアクティブ領域(AC)に形成された2つの半導体素子を互いに電気的に接続する構成にも適用でき、この場合、CC−AC合わせについて、ずれによるコンタクト抵抗の増大を防ぐことができる。
【0058】
(第1実施形態の半導体装置の製造方法)
図6〜10を参照して、第1実施形態の半導体装置の製造方法について説明する。図6〜10は、この発明の半導体不揮発性メモリの製造方法について説明するための工程図である。
【0059】
図6(A)は、素子分離膜が形成されたシリコン基板の概略的な平面図である。図6(B)は、図6(A)のA−A線に沿って切った切断端面の部分拡大図である。図6(C)は、図6(A)のC−C線に沿って切った切断端面の部分拡大図である。
【0060】
同様に、図7(A)は、ゲート電極が形成された後の構造体の概略的な平面図である。図7(B)は、図7(A)のA−A線に沿って切った切断端面の部分拡大図である。図7(C)は、図7(A)のB−B線に沿って切った切断端面の部分拡大図である。また、図7(D)は、図7(A)のC−C線に沿って切った切断端面の部分拡大図である。
【0061】
図8(A)、(B)、(C)及び(D)は、各工程で形成される構造体の、図7(A)のA−A線に対応する面に沿って切った切断端面の部分拡大図である。図9(A)、(B)、(C)及び(D)は、各工程で形成される構造体の、図7(A)のB−B線に対応する面に沿って切った切断端面の部分拡大図である。図10(A)、(B)、(C)及び(D)は、各工程で形成される構造体の、図7(A)のC−C線に対応する面に沿って切った切断端面の部分拡大図である。
【0062】
第1実施形態の半導体装置として、半導体不揮発性メモリの製造方法は、順次に実行される以下の工程を備えている。
【0063】
先ず、半導体基板20として、例えば、p型のシリコン基板を用意する。この半導体基板20の一方の主表面20a側に、素子分離領域29aを設定する。素子分離領域29aは、第1の方向として列方向に延在して複数設けられる。また、素子分離領域29a間の領域を、アクティブ領域29bと設定する。
【0064】
次に、従来周知のSTI(Shallow Trench Isolation)により、半導体基板20の素子分離領域29aに、酸化シリコンで形成された素子分離膜21を形成する。この素子分離膜21の形成に当たり、素子分離膜21の上面21bと、半導体基板20の主表面20aとを平坦にする(図6(A)、(B)、(C))。
【0065】
次に、半導体基板20の一方の主表面20a上に、絶縁膜、導電膜及びマスク用窒化膜を順次に積層して形成する。この場合、絶縁膜は、例えば熱酸化により形成されたシリコン酸化膜とすることができる。また、導電膜は、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によりポリシリコン膜と、CVD法又はスパッタ法により金属シリサイド膜としてタングステンシリサイド膜とを順次に積層して形成される。ここで、ポリシリコンの堆積と同時にあるいは堆積後に不純物がドープされることにより、電気伝導性が得られる。その後、第1導電膜上に、マスク用窒化膜として、例えばCVD法によりシリコン窒化膜を形成する。
【0066】
次に、マスク用窒化膜をパターニングして窒化膜マスク44を形成する。この窒化膜マスク44の形成は、任意好適な従来周知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングにより行われる。窒化膜マスク44は、行方向に延在して、複数の帯状に形成される。
【0067】
次に、上述のフォトリソグラフィにより形成されたレジストマスク(図示を省略する。)と窒化膜マスク44を用いたエッチングにより、導電膜をパターニングしてゲート電極34を形成する。
【0068】
さらに、レジストマスク、窒化膜マスク44及びゲート電極34をマスクとして、基板の主表面20aの領域部分が露出するまで、エッチングすることによりシリコン酸化膜を加工して、ゲート絶縁膜32を形成する。その後、フォトリソグラフィによりシリコン窒化膜マスク44上に形成されたレジストマスクをアッシングにより除去した後、ウェット洗浄する。このアッシング及びウェット洗浄は、任意好適な従来周知の方法で行えば良い(図7(A)、(B)、(C))。
【0069】
次に、半導体基板20中に、LDD用不純物拡散部41を形成する。LDD用不純物拡散部41は、イオン注入法により、例えば砒素(As)などのn型イオンを1×1013/cm程度の低濃度で注入した後、熱処理を行うことで形成される。このイオン注入では、窒化膜マスク44がマスクとして働く。このイオン注入によって、半導体基板20の主表面20aから、半導体基板20中へ設計に応じた任意好適な深さにまで低濃度領域が形成される。よってその後の熱処理によって、ゲート電極34下のチャネル形成領域以外の部分が、LDD用不純物拡散部41となる。
【0070】
次に、半導体基板20の一方の主表面20a上に、ゲート電極34を覆う下部用絶縁膜51を形成する。その後、下部用絶縁膜51上に、電荷蓄積用窒化膜53、上部用絶縁膜55、側壁用窒化膜57を順次に形成する。下部用絶縁膜51、電荷蓄積用窒化膜53、上部用絶縁膜55、側壁用窒化膜57は、以下の工程で形成される。
【0071】
下部用絶縁膜51は、例えば、1000℃程度の雰囲気中での熱酸化により、5〜10nmの厚みで形成される。下部用絶縁膜51は、半導体基板20上に、ゲート電極34を覆うように形成される。具体的には、下部用絶縁膜51は、半導体基板20の露出面20a上と、ゲート絶縁膜32及びゲート電極34の側面上と、窒化膜マスク44の上面及び側面上に形成される。
【0072】
次に、CVD法により、下部用絶縁膜51上に電荷蓄積用窒化膜53を形成する。電荷蓄積用窒化膜53は、例えば5〜10nmの厚みのシリコン窒化膜として形成される。
【0073】
次に、電荷蓄積用窒化膜53上に上部用絶縁膜55を形成する。上部用絶縁膜55は、例えばCVD法によりノンドープトシリケートガラス(NSG)を堆積して形成される。
【0074】
次に、上部用絶縁膜55上に、CVD法により側壁用窒化膜57を形成する。側壁用窒化膜57は、5〜20nmの厚みのシリコン窒化膜として形成される(図8(A)、図9(A)、図10(A))。
【0075】
下部用絶縁膜51、電荷蓄積用窒化膜53、上部用絶縁膜55、側壁用窒化膜57を形成した後に、下部用絶縁膜51、電荷蓄積用窒化膜53、上部用絶縁膜55、側壁用窒化膜57に対するエッチングを行い、側壁部50を形成する。
【0076】
このエッチングは、半導体基板20の主表面20aに垂直な方向からの異方性エッチングであって、窒化膜マスク44が露出するまで行われる。このエッチングにより、窒化膜マスク44及び側壁部50のそれぞれの露出面からなる上面は平坦面になる。さらに、側壁部50の外側の、半導体基板20に形成されたLDD用不純物拡散領域41の表面も露出面となる。
【0077】
次に、半導体基板20の一方の主表面20a上と、側壁部50の上面及び側面上と、窒化膜マスク44の上面上に、ストッパ窒化膜59を形成する。ストッパ窒化膜は、例えば、従来周知のCVD法により窒化シリコンを堆積させて形成される(図8(B)、図9(B)、図10(B))。
【0078】
その後、不純物拡散領域40を形成する。主として窒化膜マスク44、ゲート電極34及び側壁部50をマスクとして用いて、半導体基板20に不純物イオンを高濃度に注入した後、熱処理を行うことにより不純物拡散領域40が形成される。
【0079】
具体的には、不純物拡散領域40は、イオン注入法により、例えば砒素(As)などのn型イオンを1×1015/cm程度の高濃度で注入した後、熱処理を行うことで形成される。この結果、半導体基板20には、ゲート電極34を挟む位置に一対の側壁部50を有する電界効果トランジスタが形成される。
【0080】
次に、ストッパ窒化膜59上に層間絶縁膜60を形成する。層間絶縁膜60は、例えば従来周知のCVD法を用いて、BPSG(Boro−Phospho Silicate Glass)を堆積させた後、例えば化学機械研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法により平坦化することによって形成される(図8(C)、図9(C)、図10(C))。
【0081】
その後、層間絶縁膜60に従来周知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングによりコンタクトホール61を形成した後、コンタクトホール61の底部に露出したストッパ窒化膜59を同じくドライエッチングにより除去する。ここでは、反応ガスとして例えばCガスが用いられる。この結果、コンタクトホール61の底部に、シリコン基板20の主表面20a及び素子分離膜21が露出する。
【0082】
ここで、1つのコンタクトホール61は、1つの不純物拡散領域40から、素子分離膜21を挟んで隣り合う他のメモリセルの不純物拡散領域40にわたって形成される。すなわち、1つのコンタクトホール61内に、素子分離膜21を挟んで行方向に隣り合う2つのメモリセルのそれぞれの不純物拡散領域40が露出する。
【0083】
ストッパ窒化膜の除去の際には、さらに反応ガスとして例えばCHを用いてオーバーエッチングを行い、素子分離膜21の上面21aの位置を、半導体基板20の主表面20aの位置よりも20nm程度低くする。素子分離膜21の上面21aの位置は、後述する金属シリサイド膜を形成する工程で金属シリサイド膜を十分な厚みで形成するために、半導体基板20の主表面20aから10nm以上低くするのが良い。また、エッチング時間等を考慮すると、素子分離膜21の上面21aと半導体基板20の主表面20aの高さの差は、50nm以下にするのが良い。
【0084】
その後、フォトリソグラフィにより層間絶縁膜60上に形成されたレジストマスクをアッシングにより除去した後、ウェット洗浄する。このアッシング及びウェット洗浄は、任意好適な従来周知の方法で行えば良い。
【0085】
ここで、コンタクトホール61は、第1の方向については、自己整合的に形成される。このため、CC−CG合わせでずれが生じても、半導体不揮発性メモリの特性には、ほとんど影響を与えない。
【0086】
次に、コンタクトホール61内に、高融点金属膜64を形成してアクティブ領域の上面に金属シリサイドを形成する。ここで、例えばTiClを材料ガスとして用いて、基板温度を630℃としたプラズマアシストCVD法を行うと、コンタクトホール61の内壁にTiが堆積して、高融点金属膜64としてTi膜が形成される。このとき、半導体基板20の主表面20a上にTiが堆積すると同時に、シリサイド化する。すなわち、半導体基板20の主表面20aに金属シリサイド膜46であるチタンシリサイドが形成される。
【0087】
ここで、半導体基板20の素子分離膜21側の領域部分は、素子分離膜21のエッチングの直前まで素子分離膜21で覆われている。このため、素子分離膜21のエッチングにより露出した半導体基板20の素子分離膜21側の表面20bは、非常に清浄であると考えられる。一方、素子分離膜21に離間する半導体基板20の表面20aは、イオン注入や、側壁部50を形成するためのエッチングなどにより、炭素や酸素が打ち込まれるなど、損傷を受けている。このように、素子分離膜21から離間したシリコン基板20の主表面20aは、清浄な状態ではないと考えられる。一般に、シリサイド化は、表面が清浄な部分の方が速く進行するので、半導体基板20の素子分離膜21に接する領域部分47では、金属シリサイド膜46は厚く形成される。
【0088】
すなわち、金属シリサイド膜46は、素子分離膜21に隣接した第1部分47と、素子分離膜21と離間した第2部分48を備えて形成され、第1部分47の厚みt1が、第2部分48の厚みt2よりも大きくなる。
【0089】
このとき、素子分離膜21上では、プラズマ中の塩素ラジカルによるエッチングも同時に起こり、素子分離膜21上にはTiの堆積はほとんど起こらない。一方、シリサイド化された部分については、エッチングされにくくなり金属シリサイド膜46が残る(図8(D)、図9(D)、図10(D))。
【0090】
金属シリサイド膜46の素子分離膜21側の第1部分47が厚く形成されていて、コンタクト抵抗は、この厚く形成された金属シリサイド膜の部分で定まる。このため、CC−ACずれが発生して、コンタクトホール61内に露出した不純物拡散領域40の面積が減少しても、コンタクトホール61内の厚く形成された金属シリサイド膜の第1部分47の面積は減少しない。すなわち、CC−ACずれに対する抵抗値の増大がない。
【0091】
ここで、金属シリサイド膜46の形成は、スパッタ法によりTiを堆積した後、RTN(Rapid Thermal Nitridation)によりチタンシリサイドを形成しても良い。なお、この場合、Tiを厚くする必要がでてくるため、微細化を考慮すると、プラズマアシストCVD法を用いるのが好適である。
【0092】
次に、高融点金属膜64上に密着層66を形成した後、コンタクトホールを導電体68で埋め込んで導電プラグ62を形成する。密着層66として、例えば、TiNをCVD法で堆積させ、導電体68として、例えばタングステンをCVD法で堆積させて、コンタクトホールを埋め込む。
【0093】
その後、層間絶縁膜60上に、さらにCVD法によりNSG70を堆積させた後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより、コンタクトホールの部分を露出するスルーホールを開口する。
【0094】
次に、レジストを除去した後、CVD法により例えばTiN及びWを堆積させた後、CMP法により平坦化して、スルーホール内に導電プラグ72を形成する。
【0095】
次に、スパッタ法により、Ti、TiN、AlCu、Ti、TiNを堆積した後、フォトリソグラフィ及びドライエッチングにより配線74を形成する。この結果、図1及び図2を参照して説明した半導体装置が得られる。図1及び図2では、配線74としてビット線(BL)を示している。
【0096】
ビット線(BL)を形成した後の工程については、従来と同様の方法で行えば良く、ここでは説明を省略する。
【0097】
(第2実施形態の半導体装置)
図11を参照して、第2実施形態の半導体装置について説明する。図11は、第2実施形態の半導体装置の構造を概略的に示す図であって、図1(A)のC−C線に沿って取った切断端面を拡大して示している。
【0098】
第2実施形態の半導体装置は、コンタクトホール内の半導体基板上に、反応阻害層90が形成されており、金属シリサイド膜が、コンタクトホール内の素子分離領域側の領域部分に形成されていて、他の領域部分には形成されない点が、第1実施形態の半導体装置と異なっている。すなわち、第2実施形態の半導体装置では、金属シリサイド膜49が第1部分47のみを有しており、第2部分を有していない。
【0099】
第2実施形態の半導体装置は、金属シリサイド膜の構成と、反応阻害層を有する点を除いては、第1実施形態と同様の構成なので、ここでは重複する説明を省略する。
【0100】
反応阻害層90は、導電プラグ62に接する主表面20aに設けられている。ここでは、反応阻害層90は、窒化シリコン、酸窒化シリコン、シリコンカーバイド及び炭素含有酸化シリコンから選択されたいずれか1又は2以上の材料を含んで形成される。この反応阻害層90の形成方法については、後述する。
【0101】
反応阻害層90を形成した後の、金属シリサイド膜を形成する工程では、金属シリサイド膜は、反応阻害層90が形成された部分には形成されない。この結果、金属シリサイド膜49は、素子分離膜21側の側面20b近傍に形成される。
【0102】
第2実施形態の半導体装置においても、第1実施形態と同様に、アクティブ領域に対するコンタクトホールの合わせずれが生じて、コンタクトホール内に露出したアクティブ領域の面積が減少しても、コンタクトホール内に露出する金属シリサイド膜49の面積は減少しない。従って、コンタクト抵抗の増大を防ぐことができる。
【0103】
(第2実施形態の半導体装置の製造方法の第1の例)
図12を参照して、第2実施形態の半導体装置の製造方法の第1の例について説明する。図12は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の第1の例について説明するための工程図である。図12(A)、(B)及び(C)は、各工程で形成される構造体の、図1のC−C線に対応する面に沿って切った切断端面の部分拡大図である。なお、図1のA−A線及びB−B線に対応する面に沿って切った切断端面については、図9及び図10と同様なので、図12と合わせて、図9及び図10も参照して説明する。
【0104】
半導体基板20に、下部用絶縁膜51、電荷蓄積用窒化膜53、上部用絶縁膜55及び側壁用窒化膜57を形成するまでの工程は、図6及び図7と、図8(A)、図9(A)及び図10(A)とを参照して説明した第1実施形態と同様なので、説明を省略する。
【0105】
次に、第1実施形態と同様に、側壁部50を形成する。
【0106】
その後、第2実施形態では、露出したアクティブ領域29bの半導体基板20の主表面20aに反応阻害層90を形成する。反応阻害層90は、反応ガスとしてN及びNHのいずれか一方又は双方を用いたプラズマ処理により、半導体基板20の主表面20aを窒化させるか、あるいは、反応ガスとしてCO及びCOのいずれか一方又は双方を用いたプラズマ処理により、半導体基板20の主表面20aを炭化させることで形成される。
【0107】
その後、半導体基板20の一方の主表面20a上と、側壁部50の上面及び側面上と、窒化膜マスク44の上面上に、ストッパ窒化膜59を形成する(図8(B)、図9(B)、図12(A))。
【0108】
反応阻害層90を形成した後の工程は、第1実施形態と同様であるので、詳細な説明を省略する。
【0109】
ストッパ窒化膜59を形成した後、第1実施形態と同様に、不純物拡散領域40を形成した後、ストッパ窒化膜59上に層間絶縁膜60を形成する(図8(C)、図9(C)、図12(B))。
【0110】
次に、層間絶縁膜60に従来周知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングによりコンタクトホール61を形成した後、コンタクトホール61の底部に露出したストッパ窒化膜59を同じくドライエッチングにより除去する。ストッパ窒化膜の除去の際には、さらに反応ガスとして例えばCHを用いてオーバーエッチングを行い、素子分離膜21の上側の表面である上面21aの位置を、半導体基板20の主表面20aの位置よりも20nm程度低くする。
【0111】
その後、フォトリソグラフィにより層間絶縁膜上に形成されたレジストマスクをアッシングにより除去した後、ウェット洗浄する。このアッシング及びウェット洗浄は、任意好適な従来周知の方法で行えば良い。
【0112】
次に、コンタクトホール61内に、高融点金属膜64を形成してアクティブ領域の上面に金属シリサイド膜49を形成する。
【0113】
第2実施形態の第1の例の製造方法では、不純物拡散領域40上に反応阻害層90が形成されているため、コンタクトホール61内では、素子分離膜21のエッチングにより素子分離膜に覆われていた、側壁20bのみが露出する。従って、金属シリサイド膜49を形成する工程では、素子分離膜21側の半導体基板20にのみ金属シリサイド膜49が形成され、それ以外の部分には形成されない(図12(C))。
【0114】
(第2実施形態の半導体装置の製造方法の第2の例)
続いて、図13を参照して、第2実施形態の半導体装置の製造方法の第2の例について説明する。図13は、第2実施形態の半導体装置の製造方法の第2の例について説明するための工程図である。図13(A)、(B)及び(C)は、各工程で形成される構造体の、図1のC−C線に対応する面に沿って切った切断端面の部分拡大図である。なお、図1のA−A線及びB−B線に対応する面に沿って切った切断端面については、図9及び図10と同様なので、図13と合わせて、図9及び図10も参照して説明する。
【0115】
層間絶縁膜60を形成するまでの工程は、図6及び図7と、図8(A)〜(C)、図9(A)〜(C)及び図10(A)〜(C)とを参照して説明した、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0116】
次に、第1実施形態と同様に、層間絶縁膜60に従来周知のフォトリソグラフィ及びドライエッチングによりコンタクトホール61を形成した後、コンタクトホール61の底部に露出したストッパ窒化膜59を同じくドライエッチングにより除去する。この結果、コンタクトホール61の底部に、不純物拡散領域40や素子分離膜21が露出する。
【0117】
第2の例では、ストッパ窒化膜59の除去を行うために、不純物拡散領域40や素子分離膜21が露出する最低限のエッチングのみ行い、オーバーエッチングを行わない。このため、素子分離膜21の上面21bの位置は、半導体基板20の主表面20aとほぼ同じ高さにする。
【0118】
次に、コンタクトホール内に露出したアクティブ領域の半導体基板の表面に反応阻害層90を形成する。反応阻害層90は、第1の例と同様にして形成される(図13(A))。
【0119】
その後、フォトリソグラフィにより層間絶縁膜60上に形成されたレジストマスクをアッシングにより除去した後、ウェット洗浄する。ここで、ウェット洗浄を希釈したフッ酸で行い、素子分離膜の表面をウェットエッチングする。この結果、素子分離膜21の上面21aの位置は、半導体基板20の主表面20aよりも10nm程度低くなる(図13(B))。
【0120】
次に、コンタクトホール61内に、高融点金属膜64を形成して不純物拡散領域40の表面に金属シリサイド膜49を形成する(図13(C))。
【0121】
第2実施形態の第2の例の製造方法では、第1の例と同様に、不純物拡散領域40上に反応阻害層90が形成されているため、コンタクトホール61内では、素子分離膜21のエッチングにより素子分離膜21に覆われていた、側壁20bのみが露出する。従って、金属シリサイド膜49を形成する工程では、素子分離膜21側の半導体基板20にのみ金属シリサイド膜49が形成され、それ以外の部分には形成されない。
【0122】
金属シリサイド膜49を形成した後の工程は、第1の例と同様なので説明を省略する。
【0123】
第2の例によれば、コンタクトホール61のエッチング後に、反応阻害層90を形成している。このため、コンタクトホール61のエッチング時に、反応阻害層90がエッチング除去される恐れがなくなり、所望の位置に金属シリサイド膜49を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】半導体不揮発性メモリの構造を概略的に示す図である。
【図2】第1実施形態の半導体装置の構造を概略的に示す図である。
【図3】CC−AC合わせのずれについて説明する模式図(その1)である。
【図4】CC−AC合わせのずれに対するコンタクト抵抗の変化を示す特性図である。
【図5】第1実施形態の半導体装置の等価回路図である。
【図6】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その1)である。
【図7】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その2)である。
【図8】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その3)である。
【図9】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その4)である。
【図10】第1実施形態の半導体装置の製造方法を説明するための工程図(その5)である。
【図11】第2実施形態の半導体装置の構造を概略的に示す図である。
【図12】第2実施形態の半導体装置の製造方法の第1の例を説明するための工程図である。
【図13】第2実施形態の半導体装置の製造方法の第2の例を説明するための工程図である。
【図14】従来の半導体装置の構造を概略的に示す図である。
【図15】CC−AC合わせのずれについて説明する模式図(その2)である。
【符号の説明】
【0125】
10 半導体不揮発性メモリ
15 メモリセル
20 半導体基板
20a 主表面
21 素子分離膜
21a 上面
29a 素子分離領域
29b アクティブ領域
32 ゲート絶縁膜
34 ゲート電極(CG、WL)
40 不純物拡散領域
41 LDD用不純物拡散領域
42 不純物低濃度拡散領域
44 窒化膜マスク
46,49 金属シリサイド膜
47 第1部分
48 第2部分
50 側壁部
52 下部絶縁膜
54 電荷蓄積膜
56 上部絶縁膜
58 側壁窒化膜
60 層間絶縁膜
61 コンタクトホール
62,72 導電プラグ
64 高融点金属膜(Ti膜)
66 密着層(TiN膜)
68 導電体(タングステン)
70 NSG
74 配線(BL)
90 反応阻害層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の主表面側に、第1の方向に延在して設けられた素子分離膜、及び、前記第1の方向と直交する第2の方向に配列された複数の半導体素子を有する半導体基板と、
該半導体基板の前記主表面上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜内に形成された、前記半導体素子と前記層間絶縁膜上に形成される配線とを電気的に接続する導電プラグと
を備える半導体装置であって、
前記各半導体素子は、前記素子分離膜が形成された素子分離領域間に設定されたアクティブ領域に形成されていて、前記半導体基板の前記主表面側に、金属シリサイド膜を有しており、
前記導電プラグは、前記素子分離膜上と該素子分離膜を挟んで隣り合う半導体素子に形成された前記金属シリサイド膜上とに形成されていて、
前記金属シリサイド膜は、それぞれ前記素子分離膜に隣接した第1部分と、前記素子分離膜と離間した第2部分を備え、前記第1部分の厚みが前記第2部分の厚みよりも大きい
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
一方の主表面側に、第1の方向に延在して設けられた素子分離膜、及び、前記第1の方向と直交する第2の方向に配列された複数の半導体素子を有する半導体基板と、
該半導体基板の主表面上に形成された層間絶縁膜と、
前記層間絶縁膜内に形成された、前記半導体素子と前記層間絶縁膜上に形成される配線とを電気的に接続する導電プラグと
を備える半導体装置であって、
前記各半導体素子は、前記素子分離膜が形成された素子分離領域間に設定されたアクティブ領域に形成されていて、前記半導体基板の前記主表面側に、金属シリサイド膜を有しており、
前記導電プラグは、前記素子分離膜上と該素子分離膜を挟んで隣り合う半導体素子に形成された前記金属シリサイド膜上とに形成されていて、
前記金属シリサイド膜は、それぞれ前記素子分離膜に隣接した第1部分に厚く形成されていて、他の領域部分には形成されていない
ことを特徴とする半導体装置。
【請求項3】
前記半導体基板の、前記導電プラグに接する前記主表面に反応阻害層を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記反応阻害層が、窒化シリコン、酸窒化シリコン、シリコンカーバイド及び炭素含有酸化シリコンから選択されたいずれか1又は2以上の材料を含む
ことを特徴とする請求項3に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記第1部分の厚み及び前記第1部分の前記第2方向の長さが10nm以上50nm以下である
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記素子分離膜の上面が、前記半導体基板の主表面よりも低い
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記素子分離膜の上面と、前記半導体基板の主表面の、高さの差が10nm以上50nm以下である
ことを特徴とする請求項6に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記各半導体素子が、
前記半導体基板の前記主表面上にゲート絶縁膜を介して設けられたゲート電極と、
前記半導体基板の前記ゲート電極を挟む位置に形成されていて、前記主表面側に金属シリサイド膜を有する一対の不純物拡散領域と、
前記ゲート電極に隣接して設けられていて、電荷蓄積可能な一対の側壁部と
を備えるメモリセルであって、
前記各半導体素子は、前記半導体基板の一方の主表面側に、第1の方向及び第2の方向に行列配列されており、
前記ゲート電極は、前記第2の方向に延在して設けられていて、前記第2の方向に配列された前記メモリセルに共通して用いられる
ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記メモリセルは、さらに、前記半導体基板の、前記ゲート電極の下のチャネルが形成される領域と、前記不純物拡散領域とによって挟まれる部分に、前記不純物拡散領域よりも不純物濃度が低く、かつ前記不純物拡散領域と同じ導電型の不純物低濃度拡散領域を備える
ことを特徴とする請求項8に記載の半導体装置。
【請求項10】
半導体基板の一方の主表面側に、第1の方向に延在して、複数の素子分離膜を形成して、該素子分離膜が形成された領域を素子分離領域とするとともに、該素子分離領域間の領域をアクティブ領域として設定する工程と、
前記アクティブ領域の、前記半導体基板の前記主表面側に半導体素子を形成する工程と、
前記半導体基板の前記主表面上に、前記半導体基板及び前記半導体素子を覆う層間絶縁膜を形成する工程と、
前記素子分離膜上と、該素子分離膜を挟んで隣り合うアクティブ領域上の前記層間絶縁膜にコンタクトホールを開口して、前記コンタクトホール内に、1つの前記素子分離膜と、該素子分離領域を挟んで隣り合うアクティブ領域を露出させる工程と、
前記コンタクトホール内に露出した素子分離膜をエッチングして、素子分離膜の上面の位置を前記主表面よりも低くする工程と、
前記コンタクトホール内に、高融点金属膜を形成してアクティブ領域の上面に、前記素子分離膜に隣接した第1部分と、前記素子分離膜と離間した第2部分を備え、前記第1部分の厚みが前記第2部分の厚みよりも大きい金属シリサイド膜を形成する工程と、
前記高融点金属膜又は前記金属シリサイド膜上に密着層を形成した後、前記コンタクトホールを導電体で埋め込んで導電プラグを形成する工程と
を備えることを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項11】
前記層間絶縁膜を形成する工程では、前記半導体基板の前記主表面上に、前記半導体基板及び前記半導体素子を覆うストッパ窒化膜を形成した後、前記ストッパ窒化膜上に層間絶縁膜を形成し、
前記コンタクトホール内にアクティブ領域を露出させる工程では、前記素子分離膜上と、該素子分離膜を挟んで隣り合うアクティブ領域上の前記層間絶縁膜にコンタクトホールを開口した後、前記コンタクトホールの底部に露出したストッパ窒化膜をエッチングにより除去して、前記コンタクトホール内に、1つの前記素子分離膜と、該素子分離領域を挟んで隣り合うアクティブ領域を露出させる
ことを特徴とする請求項10に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項12】
前記半導体素子を形成する工程は、さらに
前記半導体基板の前記主表面上に絶縁膜、導電膜及びマスク用窒化膜を順次に形成する工程と、
前記第1の方向に直交する第2の方向に延在して前記マスク用窒化膜を残存させて、窒化膜マスクを形成する工程と、
前記窒化膜マスクを用いたエッチングにより、前記導電膜をパターニングしてゲート電極を形成する工程と、
前記半導体基板の前記主表面上に、前記ゲート電極を覆う下部用絶縁膜を形成する工程と、
前記下部用絶縁膜上に、電荷蓄積用窒化膜、上部用絶縁膜、側壁用窒化膜を順次に形成する工程と、
前記半導体基板の前記主表面に直角方向からの異方性エッチングを行うことにより、側壁部を形成するとともに、側壁部間の半導体基板の主表面を露出する工程とを備え、
前記ストッパ窒化膜を形成する工程では、前記半導体基板の露出した前記主表面上と、前記側壁部の上面及び側面上と、前記窒化膜マスクの上面上に、ストッパ窒化膜を形成し、
前記ストッパ窒化膜を形成した後、前記窒化膜マスク及び前記側壁部をマスクとして、不純物イオンを高濃度に注入して前記アクティブ領域の半導体基板に不純物拡散領域を形成する工程を備える
ことを特徴とする請求項11に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項13】
前記ゲート電極を形成した後に、前記窒化膜マスクを用いて、不純物イオンを低濃度に注入する工程を行う
ことを特徴とする請求項12に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項14】
前記側壁部を形成した後、
反応ガスとしてN及びNHのいずれか一方又は双方を用いたプラズマ処理により、前記露出した半導体基板の主表面を窒化させる工程を行う
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項15】
前記側壁部を形成した後、
反応ガスとしてCO及びCOのいずれか一方又は双方を用いたプラズマ処理により、前記露出した半導体基板の主表面を炭化させる工程を行う
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項16】
前記コンタクトホール内に前記アクティブ領域を露出させた後、
反応ガスとしてN及びNHのいずれか一方又は双方を用いたプラズマ処理により、露出した前記アクティブ領域の表面を窒化させる工程を行う
ことを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項17】
前記コンタクトホール内に前記アクティブ領域を露出させた後、
反応ガスとしてCO及びCOのいずれか一方又は双方を用いたプラズマ処理により、露出した前記アクティブ領域の表面を炭化させる工程を行う
ことを特徴とする請求項10〜13のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項18】
前記素子分離膜のエッチングを、前記ストッパ窒化膜に対するエッチングのオーバーエッチングで行う
ことを特徴とする請求項11〜15のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項19】
前記素子分離膜のエッチングを、希釈フッ酸を用いたエッチングで行う
ことを特徴とする請求項16又は17に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項20】
前記素子分離膜のエッチングでは、該素子分離膜の上面を、前記半導体基板の主表面よりも10〜50nm低くする
ことを特徴とする請求項18又は19に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項21】
前記高融点金属膜をチタン膜で形成し、
前記密着層を窒化チタン膜で形成し、
前記導電体として、タングステンの埋め込みを行う
ことを特徴とする請求項10〜20のいずれか一項に記載の半導体装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−251570(P2008−251570A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−87145(P2007−87145)
【出願日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【出願人】(000000295)沖電気工業株式会社 (6,645)
【出願人】(591048162)宮城沖電気株式会社 (130)
【Fターム(参考)】