説明

車両制御装置

【課題】運転者に車両の運転が困難な緊急異常状態が発生した場合においても、自車両を安全に停車させることが可能となるように制御する車両制御装置を提供する。
【解決手段】CPU41は、スピーカ16を介して呼びかけを行っても、マイク18を介して運転者の応答が無い場合には、運転者の意識が無いと判定する(S1〜S2:YES)。そして、CPU41は、地図情報DB25に格納されるナビ地図情報と自車位置データから、車両2が一番左側の車線を走行している場合には(S5:YES)、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯する等して、周囲の他車両に対して、車両2に緊急異常状態が発生して緊急停車する旨をアピールしながら、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御して当該車両2を道路の左側端縁に緊急停車させる(S6〜S8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行中に緊急事態が発生した場合に、自車両を道路端縁部に緊急停車させるように制御する車両制御装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、走行中に緊急事態が発生した場合に、自車両を道路端縁部に緊急停車させるように制御する車両制御装置が種々提案されている。
例えば、緊急事態受付手段によって緊急事態の発生を受け付けたときに、その時点で車両位置検出手段によって検出された現在の車両位置に近い停車位置を探索し、この探索された停車位置に車両を誘導するように構成される車両制御装置がある(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2002−340597号公報(段落(0010)〜(0048)、図1〜図4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記した特許文献1に記載された車両制御装置では、走行中において、運転者に車両の運転が困難な緊急異常状態が発生した場合には、運転者は当該車両を安全に停車させることができないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、走行中において、運転者に車両の運転が困難な緊急異常状態が発生した場合においても、自車両を安全に停車させることが可能となるように制御する車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため請求項1に係る車両制御装置は、自車両(2)の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を検出する緊急異常状態検出手段(13)と、自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段(11)と、地図情報を記憶する地図情報記憶手段(12)と、前記運転者の緊急異常状態を検出した場合には、前記地図情報と前記現在位置検出手段によって検出した現在位置情報とに基づいて自車両を走行道路の道路端縁側に移動走行させて、この道路端縁側に停車させるように制御する緊急停車制御手段(13、71)と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
また、請求項2に係る車両制御装置は、請求項1に記載の車両制御装置(1)において、前記運転者の緊急異常状態を検出した場合には、外部へ緊急異常状態を通報する通報手段(17)を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、請求項3に係る車両制御装置は、請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置(1)において、自車両の周囲に存在する車両を検出する障害物検出手段(51、61)と、自車両が緊急停車する旨を周囲の車両に報知する緊急停車報知手段(71、72)と、を備え、前記緊急停車制御手段(13、71)は、前記障害物検出手段を介して車両を検出した場合には、前記緊急停車報知手段を介して自車両が緊急停車する旨を周囲の車両に報知することを特徴とする。
【0008】
また、請求項4に係る車両制御装置は、請求項3に記載の車両制御装置(1)において、前記障害物検出手段(51、61)の検出情報に基づいて自車両の走行車線から前記停車可能な道路端縁側の車線に車線変更可能か否かを判定する判定手段(13)を備え、前記緊急停車制御手段(13、71)は、前記停車可能な道路端縁側の車線に車線変更可能と判定した場合には、この道路端縁側の車線に車線変更するように制御し、一方、前記停車可能な道路端縁側の車線に車線変更できないと判定した場合には、自車両の走行車線に緊急停車させるように制御することを特徴とする。
【0009】
また、請求項5に係る車両制御装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両制御装置(1)において、自車両の車速を検出する車速検出手段(21)を備え、前記緊急異常状態検出手段(13)は、前記車速検出手段を介して異常な加速又は減速を検出した場合に、運転者への問いかけを行う問いかけ手段(16)と、前記問いかけに対する運転者の応答を検出する応答検出手段(13、14、18)と、を有し、該緊急異常状態検出手段は、前記応答検出手段を介して前記応答を検出しない場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする。
【0010】
また、請求項6に係る車両制御装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両制御装置(1)において、自車両の舵角を検出する舵角検出手段(34)を備え、前記緊急異常状態検出手段(13)は、前記舵角検出手段を介して異常な蛇行運転を検出した場合に、運転者への問いかけを行う問いかけ手段(16)と、前記問いかけに対する運転者の応答を検出する応答検出手段(13、14、18)と、を有し、該緊急異常状態検出手段は、前記応答検出手段を介して前記応答を検出しない場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする。
【0011】
また、請求項7に係る車両制御装置は、請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両制御装置(1)において、自車両の周囲に存在する車両への異常接近を検出する異常接近検出手段(51、61)を備え、前記緊急異常状態検出手段(13)は、前記異常接近検出手段を介して自車両の周囲に存在する車両への異常接近を検出した場合に、運転者への問いかけを行う問いかけ手段(16)と、前記問いかけに対する運転者の応答を検出する応答検出手段(13、14、18)と、を有し、該緊急異常状態検出手段は、前記応答検出手段を介して前記応答を検出しない場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8に係る車両制御装置は、請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車両制御装置(1)において、前記運転者を撮像する撮像手段(51、52)を備え前記緊急異常状態検出手段(13)は、前記撮像手段を介して運転者の意識があるか否かを判定する意識判定手段(13)を有し、該緊急異常状態検出手段は、前記意識判定手段を介して運転者の意識が無いと判定した場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする。
【0013】
更に、請求項9に係る車両制御装置は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の車両制御装置(1)において、運転者が緊急停止を指示する緊急停止指示情報を入力する緊急停止指示手段(14A)を備え、前記緊急異常状態検出手段(13)は、前記緊急停止指示情報を入力された場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
前記構成を有する請求項1に係る車両制御装置では、自車両の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を検出した場合には、地図情報と現在位置情報とに基づいて自車両を走行道路の停車可能な道路端縁側に移動走行させて、この道路端縁側に緊急停車させるように制御する。
これにより、運転者に車両の運転が困難な緊急異常状態が発生した場合においても、地図情報と現在位置情報とに基づいて自車両を走行道路の道路端縁側に移動走行させて、この道路端縁側に停車させることが可能となり、自車両を安全に停車させることが可能となる。
【0015】
また、請求項2に係る車両制御装置では、自車両の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を検出した場合には、外部へ緊急異常状態を通報することによって、当該運転者を緊急に救助することが可能となる。
【0016】
また、請求項3に係る車両制御装置では、緊急停車する際に、障害物検出手段を介して車両を検出した場合には、緊急停車報知手段を介して自車両が緊急停車する旨を周囲の車両に報知することが可能となり、周囲の車両に対して緊急事態であることを確実に報知して、自車両を更に安全に停車させることが可能となる。
【0017】
また、請求項4に係る車両制御装置では、障害物検出手段の検出情報に基づいて自車両の走行車線から停車可能な道路端縁側の車線に車線変更可能か否かを判定し、停車可能な道路端縁側の車線に車線変更可能と判定した場合には、この道路端縁側の車線に車線変更して緊急停車することが可能となり、より安全に緊急停車させることが可能となる。一方、停車可能な道路端縁側の車線に車線変更できないと判定した場合には、自車両の走行車線に緊急停車させるように制御するため、迅速に緊急停車することが可能となり、自車両を安全に停車させることが可能となる。
【0018】
また、請求項5に係る車両制御装置では、車速検出手段を介して異常な加速又は減速を検出した場合に、運転者への問いかけを行う。そして、この問いかけに対する応答が無い場合に、運転者が緊急異常状態であるとするため、自車両の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を正確に検出することが可能となる。
【0019】
また、請求項6に係る車両制御装置では、舵角検出手段を介して異常な蛇行運転を検出した場合に、運転者への問いかけを行う。そして、この問いかけに対する応答が無い場合に、運転者が緊急異常状態であるとするため、自車両の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を正確に検出することが可能となる。
【0020】
また、請求項7に係る車両制御装置では、異常接近検出手段を介して自車両の周囲に存在する車両への異常接近を検出した場合に、運転者への問いかけを行う。そして、この問いかけに対する応答が無い場合に、運転者が緊急異常状態であるとするため、自車両の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を正確に検出することが可能となる。
【0021】
また、請求項8に係る車両制御装置では、運転者を撮像する撮像手段を介して運転者の意識があるか否かを判定する。そして、運転者の意識が無いと判定した場合に、運転者が緊急異常状態であるとするため、自車両の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を正確に検出することが可能となる。
【0022】
更に、請求項9に係る車両制御装置では、運転者が緊急停止指示手段を介して緊急停止を指示する緊急停止指示情報を入力した場合には、運転者が緊急異常状態であるとするため、自車両の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を正確に検出することが可能となる。また、運転者が緊急停止を指示した後に、運転者に車両の運転が困難な緊急異常状態が発生した場合においても、地図情報と現在位置情報とに基づいて自車両を走行道路の道路端縁側に移動走行させて、この道路端縁側に停車させることが可能となり、自車両を安全に停車させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明に係る車両制御装置をナビゲーション装置について具体化した一実施例に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【実施例】
【0024】
先ず、本実施例に係るナビゲーション装置が搭載される車両の概略構成について図1に基づいて説明する。図1は本実施例に係るナビゲーション装置1が搭載される車両2の概略構成図である。
【0025】
図1に示すように、車両2に対して設置されたナビゲーション装置1のナビゲーション制御部13には、CCDカメラ等を駆動制御するカメラECU(Electronic Control Unit)51が電気的に接続されている。また、車両2の先端部左側と先端部右側、及び後端部左側と後端端部右側には、CCDカメラ等により構成される各車外カメラ53が設置されている。また、ルームミラー付近には、CCDカメラ等により構成されるドライバカメラ52が設置されている。
また、ナビゲーション制御部13には、ミリ波レーダ等を駆動制御するレーダECU(Electronic Control Unit)61が電気的に接続されている。また、車両2の先端部中央位置と後端部中央位置には、各ミリ波レーダ62が設置されている。また、ナビゲーション制御部13には、ブレーキランプや方向指示器等のランプ類72(図2参照)等を駆動制御する車両ECU(Electronic Control Unit)71が設置されている。
【0026】
また、ナビゲーション装置1は、車両2の室内のセンターコンソール又はパネル面に備え付けられ、液晶ディスプレイ15に地図や目的地までの探索経路を表示すると共に、スピーカ16によって経路案内に関する音声ガイダンスを出力する。また、ナビゲーション装置1は、所定の条件を満たした場合には、カメラECU51に制御信号を送信し、車両2の周囲の他車両等を検出することができる。また、ナビゲーション装置1は、所定の条件を満たした場合には、レーダECU61に制御信号を送信し、車両2の前後に接近する他車両までの距離や他車両の相対速度を検出することができる。また、ナビゲーション装置1は、所定の条件を満たした場合には、車両ECU71に制御信号を送信し、車両2のブレーキランプや方向指示器等の各ランプ類72(図2参照)、エンジン出力、変速機のシフトパターン、ステアリングの舵角やブレーキを駆動制御して、自動運転制御をすることができる。
【0027】
また、カメラECU51は、ナビゲーション装置1から受信した制御信号に基づいて、各車外カメラ53の映像信号を画像処理して、周囲の車両等を検出する。また、カメラECU51は、ナビゲーション装置1から受信した制御信号に基づいて、ドライバカメラ52の映像信号を画像処理して運転者の動きを検出して、運転者の意識不明状態等を検出する電子制御ユニットで、ドライバカメラ52及び各車外カメラ53が接続されている。
また、レーダECU61は、ナビゲーション装置1から受信した制御信号に基づいて、ミリ波レーダ62の検出信号に基づいて前後の車両との距離や相対速度を計測する電子制御ユニットで、ミリ波レーダ62が接続されている。また、車両ECU71は、ナビゲーション装置1から受信した制御信号に基づいて、各ランプ類72やブレーキ73(図2参照)等を駆動制御する電子制御ユニットで、各ランプ類72、ブレーキ73、エンジン74、変速機75、ステアリング駆動部76等が接続されている(図2参照)。
【0028】
次に、本実施例に係る車両2の制御系に係る構成について特にナビゲーション装置1を中心にして図2に基づき説明する。図2は車両2に搭載されるナビゲーション装置1を中心とした制御系を模式的に示すブロック図である。
【0029】
図2に示すように、車両2の制御系は、ナビゲーション装置1と、このナビゲーション装置1に対して電気的に接続されたカメラECU51、レーダECU61、車両ECU71を基本にして構成され、各制御装置に対して所定の周辺機器が接続されている。
【0030】
このナビゲーション装置1は、自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出する現在地検出処理部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーション制御部13と、操作者からの操作を受け付ける操作部14と、操作者に対して地図等の情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、道路交通情報センタ(VICS:登録商標)等の情報センタとの間で相互に通信を行う通信装置17と、運転者からの音声入力を受け付けるマイク18等から構成されている。また、ナビゲーション制御部13には、自車の走行速度を検出する車速センサ21が接続されている。
【0031】
そして、ナビゲーション装置1は、通信装置17を介して道路交通情報センタ(VICS)から警察、日本道路公団等の交通管制システムの情報を収集して作成した道路の渋滞等に関する情報や交通規制情報等の道路交通情報を所定時間毎に受信することが可能に構成されている。また、この道路交通情報は、例えば、道路の渋滞等に関する道路渋滞情報、道路工事、建築工事等による交通規制情報等の道路交通情報に関する詳細情報である。該詳細情報は、道路渋滞情報の場合、VICSリンクID、渋滞の実際の長さ、渋滞解消の見込まれる時刻等であり、交通規制情報の場合、VICSリンクID、道路工事、建築工事等の継続期間、通行止め、片側交互通行、車線規制等の交通規制の種類、交通規制の時間帯等である。
また、ナビゲーション装置1は、通信装置17を介して不図示の情報センタへ後述のように車両2を識別する車両IDと共に自車位置情報等から構成される緊急救助信号を送信できるように構成されている。これにより、情報センタは、車両IDと共に自車位置情報等から構成される緊急救助信号を受信した場合には、当該情報センタから消防署等に車両2に関する緊急通報が行われるように構成されている。
【0032】
また、通信装置17は、例えばLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系に接続して使用することができる。そして、放送衛星によるCS放送、BS放送、地上波ディジタルテレビ放送、FM多重放送等を利用する通信系に接続して使用することもできる。更に、高度道路交通システム(ITS)において利用されるノンストップ自動料金支払いシステム(ETC)、狭域通信システム(DSRC)等の通信系に接続して使用することもできる。
【0033】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について説明する。
図2に示すように、現在地検出処理部11は、GPS31、地磁気センサ32、距離センサ33、ステアリングセンサ34、方位検出部としてのジャイロセンサ35、高度計(図示せず)等からなり、現在の自車の位置、方位、目標物(例えば、交差点)までの距離等を検出することが可能となっている。
【0034】
具体的には、GPS31は、人工衛星によって発生させられた電波を受信することにより、地球上における自車の現在位置及び現在時刻を検出し、地磁気センサ32は、地磁気を測定することによって自車方位を検出し、距離センサ33は、道路上の所定の位置間の距離等を検出する。ここで、距離センサ33としては、例えば、自車の車輪(図示せず)の回転速度を測定し、測定した回転速度に基づいて距離を検出するセンサ、加速度を測定し、測定した加速度を2回積分して距離を検出するセンサ等を使用することができる。
【0035】
また、ステアリングセンサ34は自車の舵(だ)角を検出する。ここで、ステアリングセンサ34としては、例えば、ステアリングホイール(図示せず)の回転部に取り付けられた光学的な回転センサ、回転抵抗センサ、車輪に取り付けられた角度センサ等が使用される。
【0036】
そして、ジャイロセンサ35は自車の旋回角を検出する。ここで、ジャイロセンサ35としては、例えば、ガスレートジャイロ、振動ジャイロ等が使用される。また、ジャイロセンサ35によって検出された旋回角を積分することにより、自車方位を検出することができる。
【0037】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記憶された地図情報DB25及び所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、本実施例においては、データ記録部12の外部記憶装置及び記憶媒体としてハードディスクが使用されるが、ハードディスクのほかに、フレキシブルディスク等の磁気ディスクを外部記憶装置として使用することができる。また、メモリーカード、磁気テープ、磁気ドラム、CD、MD、DVD、光ディスク、MO、ICカード、光カード等を外部記憶装置として使用することもできる。
【0038】
また、地図情報DB25には、経路案内及び地図表示に必要な各種情報から構成されており、例えば、各新設道路を特定するための新設道路情報、地図を表示するための地図表示データ、各交差点に関する交差点データ、ノード点に関するノードデータ、施設の一種である道路(リンク)に関するリンクデータ、経路を探索するための探索データ、施設の一種である店舗等のPOI(Point of Interest)に関する店舗データ、地点を検索するための検索データ等から構成されている。また、地図情報DB25の内容は、不図示の情報配信センタから通信装置17を介して配信された更新情報をダウンロードすることによって更新される。
【0039】
ここで、特に地図表示データとしては、10km×10kmで区画された2次メッシュをベースに4分割(長さ1/2)、16分割(1/4)、64分割(1/8)されたユニットで構成されており、各ユニットのデータ量が略同レベルになるように、各地のユニットが設定されている。最も小さい64分割サイズのユニットは、約1.25km四方の大きさである。
【0040】
また、ノードデータとしては、実際の道路の分岐点(交差点、T字路等も含む)、各道路に曲率半径等に応じて所定の距離ごとに設定されたノード点の座標(位置)、ノードが交差点に対応するノードであるか等を表すノード属性、ノードに接続するリンクの識別番号であるリンクIDのリストである接続リンク番号リスト、ノードにリンクを介して隣接するノードのノード番号のリストである隣接ノード番号リスト、各ノード点の高さ(高度)等に関するデータ等が記録される。
【0041】
また、リンクデータとしては、道路を構成する各リンクに関してリンクの属する道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数、車線数の減少する箇所、幅員の狭くなる箇所、踏切り等を表すデータが、コーナに関して、曲率半径、交差点、T字路、コーナの入口及び出口等を表すデータが、道路属性に関して、降坂路、登坂路等を表すデータが、道路種別に関して、国道、県道、細街路等の一般道のほか、高速自動車国道、都市高速道路、一般有料道路、有料橋等の有料道路を表すデータがそれぞれ記録される。更に、有料道路に関して、有料道路の入口及び出口の取付道(ランプウェイ)、料金所(インターチェンジ)等に関するデータが記録される。
【0042】
また、探索データとしては、設定された目的地までの経路を探索及び表示する際に使用されるデータについて記録されており、ノードを通過する際のコスト(以下、ノードコストという)や道路を構成するリンクのコスト(以下、リンクコストという)からなる探索コストを算出する為に使用するコストデータ、経路探索により選択された誘導経路を液晶ディスプレイ15の地図上に表示するための経路表示データ等から構成されている。
【0043】
また、店舗データとしては、各地域のホテル、病院、ガソリンの給油所、駐車場、観光施設等のPOIに関するデータがPOIを特定するIDとともに記録される。なお、前記地図情報DB25には、所定の情報をスピーカ16によって出力するための音声出力データも記録される。
【0044】
また、図2に示すように、ナビゲーション装置1を構成するナビゲーション制御部13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うに当たってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の運転者の緊急異常状態を検出した場合に、車両2を緊急停車させる緊急停車制御処理プログラム等(図3参照)が記憶されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置や、時間を計測するタイマ45等を備えている。
ここで、前記RAM42、ROM43、フラッシュメモリ44等としては半導体メモリ、磁気コア等が使用される。そして、演算装置及び制御装置としては、CPU41に代えてMPU等を使用することも可能である。
【0045】
また、本実施例においては、前記ROM43に各種のプログラムが記憶され、前記データ記録部12に各種のデータが記憶されるようになっているが、プログラム、データ等を同じ外部記憶装置、メモリーカード等からプログラム、データ等を読み出して前記フラッシュメモリ44に書き込むこともできる。更に、メモリーカード等を交換することによって前記プログラム、データ等を更新することができる。
【0046】
更に、前記ナビゲーション制御部13には、操作部14、液晶ディスプレイ15、スピーカ16、通信装置17の各周辺装置(アクチュエータ)が電気的に接続されている。
【0047】
操作部14は、走行開始時の現在地を修正し、案内開始地点としての出発地及び案内終了地点としての目的地を入力する際や施設に関する情報の検索を行う際等に操作され、各種のキー等の複数の操作スイッチから構成される。また、操作部14には、運転者が自身の緊急異常状態時に(例えば、動悸やめまい等が激しく、意識を失いそうな状態時である。)、押下して救助を求めることができる緊急ボタン14Aが設けられている。
そして、ナビゲーション制御部13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。例えば、ナビゲーション制御部13は、緊急ボタン14Aを押下された場合には、後述のように、車両2を識別する識別IDと共に自車位置情報等を情報センタに送信すると共に、車両2を道路端縁側に緊急停車させる(図3参照)。
尚、操作部14としては、キーボード、マウス、バーコードリーダ、遠隔操作用のリモートコントロール装置、ジョイスティック、ライトペン、スタイラスペン等を使用することもできる。更に、液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。
【0048】
また、液晶ディスプレイ15には、操作案内、操作メニュー、キーの案内、現在地から目的地までの誘導経路、誘導経路に沿った案内情報、交通情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示され、尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、CRTディスプレイ、プラズマディスプレイ等を使用したり、車両のフロントガラスにホログラムを投影するホログラム装置等を使用することも可能である。
【0049】
また、スピーカ16は、ナビゲーション制御部13からの指示に基づいて、誘導経路に沿った走行案内や、信号機の無い交差点や横断歩道での停止又は安全確認を警告する音声案内を出力する。ここで、案内される音声ガイダンスとしては、例えば、「200m先、○○交差点を右方向です。」や、運転者の緊急異常状態を検出した場合には、「大丈夫ですか?」等がある。なお、スピーカ16より出力される音声としては、合成された音声のほかに、各種効果音、予めテープやメモリ等に録音された各種の案内情報を出力することもできる。
【0050】
そして、通信装置17は、情報配信センタと通信を行う通信手段であり、情報配信センタとの間で最もバージョンの新しい更新地図情報等の送受信を行う。また、情報配信センタに加えて、道路交通情報センタ(VICS)等から送信された渋滞情報、交通規制情報、駐車場情報、交通事故情報、サービスエリアの混雑状況等の各情報から成る道路交通情報を、道路に沿って配設された電波ビーコン装置、光ビーコン装置等を介して電波ビーコン、光ビーコン等として受信する。また、通信装置17はLAN、WAN、イントラネット、携帯電話回線網、電話回線網、公衆通信回線網、専用通信回線網、インターネット等の通信回線網等の通信系において通信を可能とするネットワーク機器である。更に、通信装置17は道路交通情報センタ(VICS)からの情報の他に、ニュース、天気予報等の情報から成るFM多重情報を、FM放送局を介してFM多重放送として受信するFM受信機を備える。尚、前記ビーコンレシーバ及びFM受信機は、ユニット化されてVICSレシーバとして配設されるようになっているが、別々に配設することもできる。
【0051】
また、カメラECU51は、ナビゲーション制御部13から送信された制御情報を受信するデータ受信部51Aを備えると共に、この受信した制御情報に基づきドライバカメラ52、各車外カメラ53を制御すると共に画像認識を行う画像認識部51Bを備えている。
また、レーダECU61は、ナビゲーション制御部13から送信された制御情報を受信するデータ受信部61Aを備えると共に、この受信した制御情報に基づきミリ波レーダ62を制御すると共に、前後の他車両との距離と相対速度の検出を行う制御部61Bを備えている。
【0052】
また、車両ECU71は、ナビゲーション制御部13から送信された制御情報を受信するデータ受信部71Aを備えると共に、この受信した制御情報に基づきブレーキランプや方向指示器等の各ランプ類72の点灯駆動制御や、ブレーキ73の駆動制御、エンジン74のエンジン出力制御、変速機75のシフト駆動制御、及び車両2の舵角を変更するステアリング駆動部76の駆動制御等を行う出力制御部71Bを備えている。
【0053】
次に、上記のように構成されたナビゲーション装置1のCPU41が実行する運転者の緊急事態発生時の緊急停車制御処理について図3乃至図7に基づいて説明する。
図3は本実施例に係るナビゲーション装置1のCPU41が実行する運転者の緊急事態発生時の緊急停車制御処理を示すフローチャートである。図4は運転者が意識を失う等の緊急異常状態時における自車両の走行状態の一例を模式的に示す図である。図5は図3のステップ4の処理の一例を模式的に説明する図である。図6は車両2が一番左側の車線に移動走行して緊急停車する一例を模式的に説明する図である。図7は車両2が走行車線で緊急停車する一例を模式的に説明する図である。
尚、図3にフローチャートで示されるプログラムはナビゲーション装置1のナビゲーション制御部13が備えているROM43に記憶されており、CPU41により一定時間毎(例えば、10msec〜100msec毎)に実行される。
【0054】
図3に示すように、先ず、ステップ(以下、Sと略記する)1及び2において、CPU41は、運転者が意識を失う等して、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したか否かを判定する判定処理を実行する。
具体的には、CPU41は、運転者が操作部14の緊急ボタン14Aを押下したか否かを判定する。そして、緊急ボタン14Aが押下された場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態である、即ち、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定する。一方、緊急ボタン14Aが押下されていない場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態でないと判定する。
【0055】
また、CPU41は、ジャイロセンサ33及び車速センサ21を介して車両2の加速・減速の変化を検出し、異常な加速又は減速をしているか否かを判定する。そして、車両2が異常な加速又は減速をしている場合には、CPU41は、後述するS2において、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したか否かを判定する。一方、車両2が異常な加速又は減速をしていない場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態でないと判定する。
また、図4に示すように、CPU41は、ジャイロセンサ33やステアリングセンサ34を介して、車両2が蛇行運転81をしているか否かを判定する。そして、車両2が蛇行運転81をしている場合には、CPU41は、後述するS2において、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したか否かを判定する。一方、車両2が蛇行運転81をしていない場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態でないと判定する。
【0056】
また、図4に示すように、CPU41は、ミリ波レーダ62を介して先行車101との距離やガードレールや中央分離帯等の障害物との距離を計測し、先行車101やガードレールや中央分離帯等に異常接近しているか否かを判定する。そして、先行車101やガードレールや中央分離帯等に異常接近している場合には、CPU41は、後述するS2において、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したか否かを判定する。一方、先行車101やガードレールや中央分離帯等に異常接近していない場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態でないと判定する。
【0057】
そして、運転者が緊急異常状態でないと判定した場合には(S1:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、車両2が異常な加速又は減速をしている場合、車両2が蛇行運転81をしている場合、先行車101やガードレールや中央分離帯等に異常接近している場合には(S1:YES)、CPU41は、S2の処理に移行する。
【0058】
続いて、S2において、CPU41は、運転者の意識があるか否か、即ち、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したか否かを判定する判定処理を実行する。
具体的には、スピーカ16を介して「大丈夫ですか?」、「返事をして下さい」等の呼びかけを行い、マイク18を介して運転者の応答があるか否かを判定する。また、ドライバカメラ52を介して運転者の瞼が閉じていたり、運転者が倒れ込んでいるか否かを判定する。そして、マイク18を介して運転者の応答が無い場合や、運転者の瞼が閉じていたり、運転者が倒れ込んでいる場合には、CPU41は、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定する。一方、マイク18を介して運転者の応答がある場合や、運転者の瞼が開いていて、且つ、運転者が倒れ込んでいない場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態でない、即ち、運転者は運転可能な状態であると判定する。
尚、ハンドルの握り部に心拍センサを取り付けておき、運転者の心拍を計測できない場合に、CPU41は、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定するようにしてもよい。
【0059】
そして、運転者が緊急異常状態でないと判定した場合には(S2:NO)、CPU41は、当該処理を終了する。
一方、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定した場合には(S2:YES)、CPU41は、S3の処理に移行する。
【0060】
他方、上記S1で緊急ボタン14Aが押下された場合には、運転者に、意識を失う等の運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定し(S1:YES、S2:YES)、CPU41は、S3の処理に移行する。
S3において、CPU41は、現在地検出処理部11により自車の現在位置(以下、「自車位置」という。)を検出する。また、CPU41は、ROM43から当該ナビゲーション装置1を識別する、即ち、車両2を識別する車両IDを読み出し、この車両IDと共に自車位置を表す自車位置情報を含む緊急救助信号を、通信装置17を介して不図示の情報センタへ送信する。
これにより、情報センタは、車両IDと共に自車位置情報等から構成される緊急救助信号を受信した場合には、当該情報センタから消防署等に対して、車両2の位置情報と共に、当該車両2の運転者が緊急異常状態である旨を緊急通報する。
【0061】
続いて、S4において、CPU41は、各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって、車両2の周辺状況の情報を取得し、当該車両2の周囲に存在する車両を検出する障害物検知を行う。また同時に、CPU41は、自車位置及び自車の向きを表す自車方位を検出して、自車位置を表す座標データ(例えば、緯度と経度のデータである。)と自車方位をRAM42に記憶する。また、CPU41は、地図情報DB25に格納されるナビ地図情報と自車位置データとから、車両2が走行している道路の幅員、勾(こう)配、カント、バンク、路面の状態、道路の車線数等を読み出してRAM42に記憶する。また、CPU41は、各車外カメラ53を介して道路標示を検出して、自車位置データから車両2が走行している走行車線を検出してRAM42にする。
尚、CPU41は、各車外カメラ53を介して道路標示を検出し、車両ECU71を介して当該道路標示に沿って現在の走行車線を安全に走行するようにブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御する。
【0062】
例えば、図5に示すように、CPU41は、各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって、車両2の周囲に存在する各車両102、103、104との距離や相対速度等を検出し、急接近していないか等の確認を行う。また、CPU41は、地図情報DB25に格納されるナビ地図情報と自車位置データとから、車両2が「愛知県岡崎市○○」の左側3車線道路を走行し、各車外カメラ53を介した道路標示の画像認識から、当該車両2が左から2番目の車線を走行していることを検出する。また、CPU41は、地図情報DB25に格納されるナビ地図情報と自車位置データとから、停車できそうな場所が約100m先の左側に有る等を検出する。また、CPU41は、各車外カメラ53を介した道路標示の画像認識から、当該車両2が左から2番目の車線の走行を安全に続けるように、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御する。
【0063】
また続いて、S5において、CPU41は、車両2が片側2車線以上の道路を走行している場合には、一番左側の車線を走行しているか否かを判定する判定処理を実行する。
尚、CPU41は、車両2が片側1車線又は1車線の道路を走行している場合には、S5の処理を実行することなく、S6の処理に移行する。
【0064】
そして、車両2が一番左側の車線を走行している場合には(S5:YES)、CPU41は、S6の処理に移行する。S6において、CPU41は、各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって取得した車両2の周辺状況の情報に基づいて、当該車両2の周囲に他車両や障害物が有るか否かを判定する判定処理を実行する。
そして、当該車両2の周囲に他車両や障害物が有る場合には(S6:YES)、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯する等して、周囲の他車両の運転者に車両2に緊急異常状態が発生して緊急停車する旨をアピールして、S8の処理に移行する。
一方、当該車両2の周囲に他車両や障害物が無い場合には(S6:NO)、CPU41は、S8の処理に移行する。
【0065】
続いて、S8において、CPU41は、各車外カメラ53を介して道路の左側端縁を検出して、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御して当該車両2を道路の左側端縁に緊急停車させる。また、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯して周囲の他車両の運転者に緊急停車をアピールした状態で、当該処理を終了する。
【0066】
他方、S5で車両2が一番左側の車線を走行していない場合には(S5:NO)、CPU41は、S9の処理に移行する。S9において、CPU41は、各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって取得した車両2の周辺状況の情報に基づいて、当該車両2の左側後方に他車両が無く、左側の車線に移動走行可能か否かを判定する判定処理を実行する。
そして、当該車両2の左側後方に他車両が無く、左側の車線に移動走行可能と判定した場合には(S9:YES)、CPU41は、S10の処理に移行する。S10において、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯する等して、周囲の他車両の運転者に車両2に緊急異常状態が発生して左側車線に移動走行する旨をアピールして、S11の処理に移行する。
続いて、S11において、CPU41は、各車外カメラ53を介して道路表示を検出しつつ、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御して当該車両2を左側の車線に移動走行させた後、再度S5以降の処理を実行する。
【0067】
例えば、図6に示すように、CPU41は、各車外カメラ53を介した道路標示の画像認識から、当該車両2が左から2番目の車線を走行していると判定し、この各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって取得した車両2の周辺状況の情報に基づいて、当該車両2の前方に他車両105が走行しているが、車両2の左側後方に他車両が無く、左側の車線に移動走行可能と判定した場合には(S5:NO、S9:YES)、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯する等して、左側車線に移動走行する旨をアピールする(S10)。そして、CPU41は、各車外カメラ53を介して道路表示を検出して、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御して当該車両2を一番左側の車線に移動走行させる(S11)。その後、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯する等して、周囲の他車両の運転者に車両2に緊急異常状態が発生して緊急停車する旨をアピールする(S7)。そして、CPU41は、各車外カメラ53を介して道路の左側端縁を検出して、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御して当該車両2を道路の左側端縁に緊急停車させる。また、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯して周囲の他車両の運転者に緊急停車をアピールした状態を維持する(S8)。
【0068】
一方、S9で当該車両2の左側後方に他車両が走行していて、左側の車線に移動走行できないと判定した場合には(S9:NO)、CPU41は、S12の処理に移行する。S12において、CPU41は、各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって車両2の後方約100m〜150m以内を走行する他車両等に関する情報を取得後、S7の処理に移行する。
S7において、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左右の各方向指示器のランプ類等を点滅点灯する等して、後方の他車両の運転者に車両2に緊急異常状態が発生して緊急停車する旨をアピールして、S8の処理に移行する。
【0069】
S8において、CPU41は、各車外カメラ53を介して道路表示を検出すると共に、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御して車両2が走行車線の中央位置を走行するように制御しつつ、各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって車両2の後方から接近する他車両がいないことを確認後、当該走行車線の中央位置に緊急停車させる。また、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左右の各方向指示器のランプ類を点滅点灯して後方の他車両の運転者に緊急停車をアピールした状態で、当該処理を終了する。
【0070】
例えば、図7に示すように、当該車両2の左側後方に他車両106が走行していて、一番左側の車線に移動走行できないと判定した場合には(S9:NO)、CPU41は、各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって車両2の後方約100m〜150m以内の状況、即ち、後方を走行する他車両等に関する情報を取得する(S12)。そして、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左右の各方向指示器のランプ類等を点滅点灯する等して、後方の他車両の運転者に車両2に緊急異常状態が発生して緊急停車する旨をアピールする(S7)。続いて、CPU41は、各車外カメラ53を介して道路表示を検出すると共に、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御して車両2が左側から2番目の車線の中央位置を走行するように制御しつつ、各車外カメラ53や各ミリ波レーダ62によって車両2の後方から接近する他車両がいないことを確認後、当該左側から2番目の車線の中央位置に緊急停車させる。また、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左右の各方向指示器のランプ類を点滅点灯して後方の他車両の運転者に緊急停車をアピールした状態を維持する(S8)。
【0071】
以上詳細に説明した通り、本実施例に係るナビゲーション装置1では、緊急ボタン14Aが押下された場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態である、即ち、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定する(S1:YES、S2:YES)。また、車両2が異常な加速又は減速をしている場合、車両2が蛇行運転81をしている場合、先行車101やガードレールや中央分離帯等に異常接近している場合、運転者の瞼が閉じていたり、運転者が倒れ込んでいる場合等のうちのいずれかの状態が発生している場合には(S1:YES)、CPU41は、スピーカ16を介して「大丈夫ですか?」、「返事をして下さい」等の呼びかけを行う。そして、マイク18を介して運転者の応答が無い場合や、ドライバカメラ52を介して運転者の瞼が閉じていたり、運転者が倒れ込んでいる場合には、CPU41は、運転者の意識が無い等して、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定する(S2:YES)。これにより、CPU41は、運転者の意識が無い等して、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したことを正確に検出することが可能となる。
【0072】
また、CPU41は、運転者が意識を失う等して、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定すると(S2:YES)、地図情報DB25に格納されるナビ地図情報と自車位置データとから、車両2が一番左側の車線を走行している場合には(S5:YES)、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯する等して、周囲の他車両の運転者に車両2に緊急異常状態が発生して緊急停車する旨をアピールしながら、当該車両2を道路の左側端縁に緊急停車させる(S6〜S8)。
これにより、運転者が意識を失う等して、運転が困難な緊急異常状態においても、CPU41は、車両2を道路の左側端縁に移動走行させて、停車させることが可能となり、交通事故を未然に防ぐことが可能となる。また、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯する等して、緊急停車する旨を周囲の他車両にアピールするため、周囲の他車両に対して緊急事態であることを確実に報知して、追突事故や接触事故を防止することが可能となる。
【0073】
また、車両2が一番左側の車線を走行しておらず、当該車両2の左側後方に他車両が無く、左側の車線に移動走行可能と判定した場合には(S5:NO、S9:YES)、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左側方向指示器のランプ類を点滅点灯する等して、周囲の他車両の運転者に車両2に緊急異常状態が発生して左側車線に移動走行する旨をアピールして、車両ECU71を介してブレーキ73、エンジン74、変速機75やステアリング駆動部76を駆動制御して当該車両2を左側の車線に移動走行させた後(S10〜S11)、当該車両2を道路の左側端縁に緊急停車させる(S6〜S8)。
これにより、CPU41は、車両2の走行車線から停車可能な一番左側の車線に移動走行して緊急停車させることが可能となり、より安全に緊急停車させることが可能となる。
【0074】
また、車両2が一番左側の車線を走行しておらず、左側の車線に移動走行できないと判定した場合には(S5:NO、S9:NO)、CPU41は、車両ECU71を介してブレーキランプや左右の各方向指示器のランプ類等を点滅点灯する等して、緊急停車する旨をアピールし、当該走行車線の中央位置に緊急停車させる(S12、S7〜S8)。
これにより、CPU41は、車両2の走行車線から左側の車線に移動走行できないと判定した場合には、当該車両2を走行している車線に緊急停車させると共に、ブレーキランプや左右の各方向指示器のランプ類等を点滅点灯する等して、緊急停車する旨をアピールするように制御するため、迅速に緊急停車することが可能となると共に、安全に停車させることが可能となる。
【0075】
更に、CPU41は、運転者が意識を失う等して、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定した場合には(S2:YES)、車両IDと共に自車位置を表す自車位置情報を含む緊急救助信号を、通信装置17を介して不図示の情報センタへ送信する。
これにより、CPU41は、運転者が意識を失う等して、運転が困難な緊急異常状態を検出した場合には、この緊急異常状態を外部へ通報することによって、当該運転者を緊急に救助することが可能となる。
【0076】
尚、本発明は前記実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。例えば、以下のようにしてもよい。
(A)上記ステップ2おいて、スピーカ16を介して「大丈夫ですか?」、「返事をして下さい」等の呼びかけを行い、マイク18だけでなく、運転者が液晶ディスプレイ15に設けられたタッチパネル等を押下したり、操作部14のいずれかのキーを押下した場合にも、CPU41は、運転者が緊急異常状態でない、即ち、運転者は運転可能な状態であると判定するようにしてもよい。
【0077】
(B)上記ステップ1において、CPU41は、ドライバカメラ52を介して運転者の瞼が閉じているか否かを判定するようにしてもよい。そして、運転者の瞼が閉じている場合には、CPU41は、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定して、上記ステップ3以降の処理を実行するようにしてもよい。一方、運転者の瞼が開いている場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態でない、即ち、運転者は運転可能な状態であると判定するようにしてもよい。
【0078】
(C)上記ステップ1において、CPU41は、ドライバカメラ52を介して運転者が倒れ込んでいるか否かを判定するようにしてもよい。そして、運転者が倒れ込んでいる場合には、CPU41は、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定して、上記ステップ3以降の処理を実行するようにしてもよい。一方、運転者が倒れ込んでいない場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態でない、即ち、運転者は運転可能な状態であると判定するようにしてもよい。
【0079】
(D)ハンドルの握り部に心拍センサを取り付けておき、上記ステップ1において、CPU41は、運転者の心拍を計測できるか否かを判定するようにしてもよい。そして、運転者の心拍を計測できない場合には、CPU41は、運転者に運転が困難な緊急異常状態が発生したと判定して、上記ステップ3以降の処理を実行するようにしてもよい。一方、運転者の心拍を計測できる場合には、CPU41は、運転者が緊急異常状態でない、即ち、運転者は運転可能な状態であると判定するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0080】
【図1】本実施例に係るナビゲーション装置が搭載される車両の概略構成図である。
【図2】車両に搭載されるナビゲーション装置を中心とした制御系を模式的に示すブロック図である。
【図3】ナビゲーション装置のCPUが実行する運転者の緊急事態発生時の緊急停車制御処理を示すフローチャートである。
【図4】運転者が意識を失う等の緊急異常状態時における自車両の走行状態の一例を模式的に示す図である。
【図5】図3のステップ4の処理の一例を模式的に説明する図である。
【図6】自車両が一番左側の車線に移動走行して緊急停車する一例を模式的に説明する図である。
【図7】自車両が走行車線で緊急停車する一例を模式的に説明する図である。
【符号の説明】
【0081】
1 ナビゲーション装置
2 車両
11 現在地検出処理部
13 ナビゲーション制御部
14 操作部
14A 緊急ボタン
15 液晶ディスプレイ(LCD)
16 スピーカ
17 通信装置
18 マイク
21 車速センサ
25 地図情報DB
41 CPU
42 RAM
43 ROM
51 カメラECU
52 ドライバカメラ
53 車外カメラ
61 レーダECU
62 ミリ波レーダ
71 車両用ECU
72 各ランプ類
73 ブレーキ
74 エンジン
75 変速機
76 ステアリング駆動部
81 蛇行運転
101〜106 他車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車両の緊急停車が必要な運転者の緊急異常状態を検出する緊急異常状態検出手段と、
自車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
地図情報を記憶する地図情報記憶手段と、
前記運転者の緊急異常状態を検出した場合には、前記地図情報と前記現在位置検出手段によって検出した現在位置情報とに基づいて自車両を走行道路の道路端縁側に移動走行させて、この道路端縁側に停車させるように制御する緊急停車制御手段と、
を備えたことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記運転者の緊急異常状態を検出した場合には、外部へ緊急異常状態を通報する通報手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
自車両の周囲に存在する車両を検出する障害物検出手段と、
自車両が緊急停車する旨を周囲の車両に報知する緊急停車報知手段と、
を備え、
前記緊急停車制御手段は、前記障害物検出手段を介して車両を検出した場合には、前記緊急停車報知手段を介して自車両が緊急停車する旨を周囲の車両に報知することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記障害物検出手段の検出情報に基づいて自車両の走行車線から前記停車可能な道路端縁側の車線に車線変更可能か否かを判定する判定手段を備え、
前記緊急停車制御手段は、前記停車可能な道路端縁側の車線に車線変更可能と判定した場合には、この道路端縁側の車線に車線変更するように制御し、一方、前記停車可能な道路端縁側の車線に車線変更できないと判定した場合には、自車両の走行車線に緊急停車させるように制御することを特徴とする請求項3に記載の車両制御装置。
【請求項5】
自車両の車速を検出する車速検出手段を備え、
前記緊急異常状態検出手段は、
前記車速検出手段を介して異常な加速又は減速を検出した場合に、運転者への問 いかけを行う問いかけ手段と、
前記問いかけに対する運転者の応答を検出する応答検出手段と、
を有し、
該緊急異常状態検出手段は、前記応答検出手段を介して前記応答を検出しない場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項6】
自車両の舵角を検出する舵角検出手段を備え、
前記緊急異常状態検出手段は、
前記舵角検出手段を介して異常な蛇行運転を検出した場合に、運転者への問いか けを行う問いかけ手段と、
前記問いかけに対する運転者の応答を検出する応答検出手段と、
を有し、
該緊急異常状態検出手段は、前記応答検出手段を介して前記応答を検出しない場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項7】
自車両の周囲に存在する車両への異常接近を検出する異常接近検出手段を備え、
前記緊急異常状態検出手段は、
前記異常接近検出手段を介して自車両の周囲に存在する車両への異常接近を検出 した場合に、運転者への問いかけを行う問いかけ手段と、
前記問いかけに対する運転者の応答を検出する応答検出手段と、
を有し、
該緊急異常状態検出手段は、前記応答検出手段を介して前記応答を検出しない場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記運転者を撮像する撮像手段を備え、
前記緊急異常状態検出手段は、前記撮像手段を介して運転者の意識があるか否かを判定する意識判定手段を有し、
該緊急異常状態検出手段は、前記意識判定手段を介して運転者の意識が無いと判定した場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれかに記載の車両制御装置。
【請求項9】
運転者が緊急停止を指示する緊急停止指示情報を入力する緊急停止指示手段を備え、
前記緊急異常状態検出手段は、前記緊急停止指示情報を入力された場合に、運転者が緊急異常状態であるとすることを特徴とする請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の車両制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−37218(P2008−37218A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212503(P2006−212503)
【出願日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【出願人】(000100768)アイシン・エィ・ダブリュ株式会社 (3,717)
【Fターム(参考)】