説明

車両用運転支援システム

【課題】 同乗者の乗り心地を向上させる。
【解決手段】 車両の加速度が加速度判定値未満になるようにスロットルバルブの開度及び制動装置等を制御する。これにより、車両が発信した際に車両の乗員に対して必要以上の慣性力が作用しないので、同乗者の乗り心地を向上させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者による運転を支援する車両用運転支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用運転支援システムとして、例えば特許文献1に記載の発明では、一時停止線等の停止位置から所定距離だけ離れた減速制御開始位置に車両が到達すると、この車両の速度を所定速度以内に制限する減速制御を行い、減速制御開始位置を通り過ぎた車両が停止制御開始位置に到達すると、車両を停止位置で確実に停止させるように制動制御を行うようにしている。
【特許文献1】特開2005−63398号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、車両の加速度が変化すると、車両の乗員には加速度に対応した力(慣性力)が加わる。このため、例えば停止している状態の車両が急発進する等して車両の加速度が急激に変化する場合には、必要以上の力が車両の乗員に加わってしまうので、同乗者は運転者の運転に対して不快感を感じてしまう。
【0004】
本発明は、上記点に鑑み、同乗者の乗り心地を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目標を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、車両の運転者による運転を支援する車両用運転支援システムであって、加速度検出手段が車両の加速度を検出し、加速度制御手段が、加速度検出手段により検出される加速度を第1判定値未満に抑える。
【0006】
このような請求項1に記載の発明では、車両の加速度を第1判定値未満に抑えているので、第1判定値を適宜設定することにより車両の加速度が急激に変化するのを防止することができる。したがって、車両の乗員に対して必要以上の力が加わってしまうのを防止することができるので、同乗者の乗り心地を向上させることができる。
【0007】
ところで、加速度制御手段は、請求項2に記載のように、車両が発進した時からその車両が所定速度に到達するまでの期間内で車両の加速度を制御するとよい。これにより、車両が急発進することを防止することができるので、急発進により車両の乗員に対して必要以上の力が加わってしまうのを防止することができる。
【0008】
また、請求項3に記載の発明では、車両の操舵角を検出する操舵角検出手段と、操舵角検出手段により検出される操舵角を所定角度未満に制御する操舵角制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
つまり、運転者がハンドルを急激に操作した場合(急ハンドル時)においても、車両の乗員に対して必要以上の力(遠心力)が加わる可能性があるので、請求項3に記載の発明では、操舵角を所定角度未満に制御することで、急ハンドル操作を防止している。したがって、同乗者の乗り心地を更に向上させることができる。
【0010】
また、操舵角制御手段は、請求項4に記載のように、車両の速度を検出する車速検出手段により検出された車両の速度に基づいて、車両の操舵角を制御するようにしてもよい。
つまり、車両が道路を曲がる際に乗員に対して加わる遠心力は、車両の速度が大きくなるほど大きくなるので、車両の速度に基づいて車両の操舵角を制御するようにすれば、車両の速度が大きくなったとしても必要以上の遠心力が乗員に加わらないように操舵角を制御することができ、同乗者の乗り心地を更に向上させることができる。
【0011】
また、操舵角制御手段は、請求項5に記載のように、道路の曲率に基づいて車両の操舵角を制御するようにしてもよい。つまり、道路の曲率に応じて車両が道路を曲がる際に必要な操舵量(操舵角)も変わるので、道路の曲率に基づいて車両の操舵角を制御するようにすれば、最適な条件で車両が道路を曲がる際の運転支援を運転者に対して行うことができる。
【0012】
また、請求項6に記載の発明では、車両の減速度を検出する減速度検出手段と、車両が停止すべき停止位置から所定距離だけ離れた位置までの区間内で、減速度検出手段により検出される減速度を第2判定値未満に制御する減速度制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0013】
これによれば、車両の減速度を第2判定値未満に抑えているので、車両が急激に減速してしまうことを防止することができ、車両の乗員に対して必要以上の力が加わってしまうことを防止することができる。
【0014】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載のように、減速度制御手段が車両の減速度を制御する際に、車両の乗員に対して報知を行う減速度制御報知手段が設けられているとよい。
【0015】
つまり、車両の運転者は、自らの操作とは異なる動作が車両で行われると違和感を感じるので、減速度制御手段が車両の減速度を制御する際に、車両の乗員に対して報知するようにすれば、車両の運転者が違和感を感じてしまうことを防止することができる。
【0016】
また、請求項1〜請求項7の何れかに記載の発明は、請求項8に記載のように、加速度制御手段が車両の加速度を制御する際に、車両の乗員に対して報知を行う加速度制御報知手段が設けられているとよい。
【0017】
つまり、車両の運転者は、上述したように、自らの操作とは異なる動作が車両で行われると違和感を感じるので、請求項8に記載の発明においても、請求項7の効果と同様に、車両の運転者が違和感を感じてしまうことを防止することができる。
【0018】
請求項9に記載の発明では、車両の周囲に存在する移動体を検出する移動体検出手段と、車両が停止している状態で移動体検出手段により移動体が検出された場合に、その検出された移動体と車両とが衝突してしまう可能性があるか否かを判定する衝突判定手段と、衝突判定手段により移動体と車両とが衝突してしまう可能性があると判定された場合に、車両の発進を禁止する発進禁止手段とを備えたことを特徴とする。
【0019】
これにより、車両が移動体と衝突してしまう可能性がある場合には、車両の発進を禁止するので、車両が移動体と衝突してしまうのを未然に防ぐことができ、車両の安全性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本実施形態は、内燃機関(エンジン)を駆動源とした車両に搭載される車載器に、本発明に係る運転支援システムを適用したものであり、以下に実施形態を図面と共に説明する。
【0021】
なお、この車両のエンジンは、アクセルペダルの踏み込み量に基づいて、スロットルバルブの開度を電気的に制御する、いわゆる電子スロットルにて制御されている。また、この車両には、車両の操舵角を制御する操舵装置、及び車両の減速や停止を行う制動装置等が搭載されている。
【0022】
操舵装置は、ステアリングホイールの操作量に基づいて、走行制御システム60(図1参照)が車両の操舵角を制御し、制動装置は、ブレーキペダルの踏み込み量に基づいて、走行制御システム60が制動力を制御しながら車両を減速させたり停止させたりする。
【0023】
1.運転支援システムの全体構成
図1は、本実施形態の運転支援システムの構成を説明する説明図である。
運転支援システムは、車両の運転者による運転を支援するものであり、この運転支援システムは、図1に示すように、車両(図示省略)に搭載された車載器(本実施形態では、カーナビゲーション装置10)、及び複数の路上装置50等により実現される。
【0024】
1.1.路上装置50
路上装置50は道路に分散して設置され、この路上装置50は、設置位置周囲の道路上に存在する車両や歩行者を検出し、その検出結果を車両に搭載された車載器(本実施形態では、カーナビゲーション装置10)に対して送信する。
【0025】
そして、路上装置50は、この周囲の道路を撮影する路上カメラ52、路上カメラ52による撮影結果に基づいて車両や歩行者等を検出する検出部54、及び検出部54による検出結果を路上装置50の周囲に発信する発信部56等にて構成されている。
【0026】
なお、本実施形態では、路上カメラ52が常時作動しており、検出部54では車両及び歩行者等を検出するための検出処理が常時実行されている。また、検出部54による検出結果は発信部56に常時発信される。
【0027】
1.2.カーナビゲーション装置10
カーナビゲーション装置10は、車両の走行に伴って移動していく現在位置を表示画面上に道路地図と共に表示したり、現在地から乗員が設定した目的地までの経路を案内したりするものである。
【0028】
そして、このカーナビゲーション装置10は、図1に示すように、現在位置検出器12、道路標識データベース(道路標識DB)14、受信機16、メモリ18、操作検出器20、画像表示器22、音声報知器24、前方カメラ26、後方カメラ28、画像解析器30及び制御部32等を有して構成されている。
【0029】
現在位置検出器12は、車両の現在位置、進行方向及び速度等を検出するものであり、この現在位置検出器12は、GPS(Global Possitioning System)、車速センサ、及び方位センサ等にて構成されている。
【0030】
道路標識DB14は、ハードディスクドライブ(HDD)、DVD、フラッシュROM等の記憶手段に記憶されており、この道路標識DB14は、交差点情報、道路情報、標識情報、白線情報、一時停止位置情報、及び曲率情報等にて構築されている。
【0031】
なお、交差点情報とは、十字路やT字路等の交差点の位置及びその形状等を表す情報であり、道路情報とは、道路の形状、車線の数、道路の幅及び道路の制限速度等を表す情報であり、標識情報とは、道路上に設置されている標識及びその形状等を表す情報である。
【0032】
また、白線情報とは、道路に引かれた白線の位置及びその形状等を表す情報であり、一時停止位置情報とは、車両が一時停止すべき位置を表す情報であり、曲率情報とは、道路の曲率を表す情報である。
【0033】
受信機16は、路上装置50から発信された各種情報(検出結果)を受信するとともに、図示しない交通情報センタから発信された渋滞情報及び道路事故情報等の交通情報を受信する。
【0034】
メモリ18は、電力の供給が遮断されてもデータ(情報)を記憶(保持)することが可能な不揮発性のメモリ(本実施形態では、フラッシュROM)で構成されており、このメモリ18には、受信機16により受信された受信情報や、後述の部分経路及び走行条件等の各種情報が記憶されている。
【0035】
操作検出器20は、ステアリング操作、ブレーキ操作、アクセル操作、及びギア操作等の運転者による操作(運転操作)、並びにカーナビゲーション装置10に設けられた図示しないスイッチ部の操作等を検出するものであり、この操作検出器20は、運転操作及びスイッチ操作等の検出結果を制御部32へ出力する。
【0036】
画像表示器22は、各種情報を表示画面上に表示するものであり、この画像表示器22は、制御部32に制御されて、車両が走行する周辺の地図画面を表示するとともに、車両の現在位置を表す現在位置マークをカラーで表示したり、乗員に対する注意換気用のメッセージ等を表示したりする。また、音声報知器24は、乗員に必要な各種案内を音声にて出力するためのものである。
【0037】
前方カメラ26は車両の前方に取り付けられて車両の前方側を撮影するものであり、前方カメラ26による撮影結果(映像信号)は画像解析器30に入力される。また、後方カメラ28は車両の後方に取り付けられて車両の後方側を撮影するものであり、後方カメラ28による撮影結果(映像信号)は画像解析器30に入力される。
【0038】
画像解析器30は、前方カメラ26から入力された映像信号に基づいて、車両前方の信号機の信号色、他車両及び歩行者等を検出し、その検出結果を制御部32へ出力する。また、画像解析器30は、後方カメラ28から入力された映像信号に基づいて、車両後方の他車両を検出し、その検出結果を制御部32へ出力する。
【0039】
制御部32は、CPU、RAM、ROM等からなるマイクロコンピュータにて構成されており、この制御部32は、ROM等の記憶装置に記憶されたプログラムを実行することで装置10内の各部を制御する。
【0040】
また、制御部32は、受信機16により受信された受信結果、及び画像解析器30により検出された検出結果をメモリ18に記憶する。また、制御部32には、走行制御システム60が通信可能に接続されており、走行制御システム60は、図示しないエンジン、制動装置及び操舵装置等の車両の走行に関する機関を制御する。
【0041】
2.カーナビゲーション装置10の概略作動
カーナビゲーション装置10では、車両のエンジンが始動すると、現在位置検出器12により検出される車両の現在位置を、車両の周辺の地図画面上に重ねて画像表示器22に表示するとともに、目的地が設定されている場合には、更に目的地までの経路(案内経路)を設定してその経路の案内を行う、といった一般的な地図表示処理及び経路案内処理が、制御部32により実行される。
【0042】
さらに、目的地が設定されている場合には、車両が現在位置から目的地までの案内経路を走行する際に模範とすべき加速度、操舵角及び制限速度等の走行条件を計算する走行条件計算処理、並びに操作検出器20により検出された検出結果、及び走行条件計算処理により計算された走行条件等に基づいて、車両の加速度及び操舵角を制御する運転支援処理等が、制御部32により実行される。
【0043】
また、カーナビゲーション装置10では、エンジンが始動すると、前方カメラ26及び後方カメラ28により車両前方側及び車両後方側の撮影が行われ、この撮影結果に基づいて画像解析器30により他車両及び歩行者の有無が検出されるとともに、車両の前方に信号機が画像解析器30により検出された場合には、その信号機の信号色が検出される。
【0044】
3.カーナビゲーション装置10の特徴的作動
3.1.走行条件計算処理
図2は、カーナビゲーション装置10の制御部32で実行される走行条件計算処理を示すフローチャートであり、図3は、交差点内経路、部分経路及び走行条件を説明する説明図である。
【0045】
走行条件計算処理(図2に示す制御フロー)は、車両の乗員により目的地が設定されたときに実行される処理であり、図2に示す走行条件計算処理が実行されると、まず現在位置から目的地までの案内経路、及び道路標識DB14の各種情報に基づいて、部分経路と交差点内経路とが設定される(S110)。
【0046】
具体的には、道路標識DB14の各種情報に基づいて、案内経路のうち停止線と次の停止線との間を一区間L(図3参照)として、案内経路が複数の区間Lに分割される。
そして、案内経路が分割されることで設定された区間Lの各々は、図3に示すように、停止位置P1(換言すると発進位置P1)から交差点を超えた位置P2までの交差点内経路L1と、交差点を越えた位置P2から次の停止位置P3までの部分経路L2との2つの経路に分割(設定)される。なお、区間Lの中に交差点が含まれていない場合には、その区間L自体が部分経路L2となる。
【0047】
このようにして部分経路L2と交差点内経路L1とが設定されると(S110)、S110で設定された全ての部分経路L2及び交差点内経路L1に対して、走行条件が計算される(S120〜S140)。
【0048】
具体的には、S110で設定された部分経路L2及び交差点内経路L1のうち、走行条件が計算されていない部分経路L2及び交差点内経路L1があるか否かが判定される(S120)。なお、走行条件の計算方法等、走行条件に関する具体的な記載は後述する。
【0049】
そして、走行条件が計算されていない部分経路L2及び交差点内経路L1がないと判定された場合には(S120:NO)、走行条件計算処理が終了し、逆に、走行条件が計算されていない部分経路L2及び交差点内経路L1があると判定された場合には(S120:YES)、まだ走行条件が計算されていない部分経路L2及び交差点内経路L1についての走行条件が計算される(S130)。
【0050】
そして、部分経路L2及び交差点内経路L1の走行条件が計算されると(S130)、その計算結果(走行条件)と部分経路L2及び交差点内経路L1とが関連付けられてメモリ18に記憶され(S140)、走行条件計算処理が終了する。
【0051】
3.1.1.走行条件
走行条件とは、車両が道路を走行する際にこの車両が満たすべき条件のことであり、本実施形態では、車両の加速度(実加速度)と比較するための加速度判定値、車両の減速度と比較するための減速度判定値、及び車両の操舵角と比較するための操舵角判定値がメモリ18に記憶されている。
【0052】
加速度判定値は、車両が加速した際に乗員に対して必要以上の力(慣性力)が加わらない値となるように予め設定されており、減速度判定値は、車両が減速した際に乗員に対して必要以上の力(慣性力)が加わらない値となるように予め設定されており、操舵角判定値は、車両が左折又は右折した際に乗員に対して必要以上の力(遠心力)が加わらない値となるように予め設定されている。
【0053】
なお、本実施形態では、加速度判定値と減速度判定値との絶対値が同じ値となるようにされている。また、車両が左折する場合と右折する場合とでは、曲率半径が異なるため、本実施形態では、操舵角判定値として、右折用と左折用との2種類の操舵角判定値がメモリ18に記憶されている。
【0054】
また、日本では法律上、車両は左側通行と定められているので、同じ交差点を車両が左折する場合と右折する場合とでは、左折する場合の方が曲率半径が小さくなる。このため、本実施形態では、左折用の操舵角判定値の方が右折用の操舵角判定値よりも大きくなるようにされている。
【0055】
以下、走行条件の計算方法について説明する。
図2に示す走行条件計算処理のS130の処理で、走行条件の計算が行われる際には、まず、S110の処理で設定された区間L(図3参照)、メモリ18に記憶された加速度判定値、減速度判定値、及び道路標識DB14の道路情報(制限速度)等に基づいて、加速終了位置P4(図3参照)及び減速開始位置P5(図3参照)が推定される。
【0056】
なお、加速終了位置P4とは、図3に示すように、車両が加速度判定値の加速度で発進位置P1から発進(加速)すると仮定した場合に、その車両が制限速度に至る位置のことである。また、減速開始位置P5とは、制限速度で走行している車両がその減速開始位置P5から減速度判定値の減速度で減速すると仮定した場合に、その車両が停止位置P3で確実に停止することが可能な位置のことである。
【0057】
そして、加速終了位置P4及び減速開始位置P5が推定されると、発進位置P1から加速終了位置P4までの加速区間S1、及び減速開始位置P5から停止位置P3までの減速区間S2が設定されるとともに、区間Lから加速区間S1及び減速区間S2を差し引いた定速区間S3(=L−S1−S2)が設定される。
【0058】
なお、加速区間S1と減速区間S2とを加えた値(=S1+S2)が区間Lよりも大きい場合、定速区間S3は設定されない。
こうして加速区間S1、減速区間S2及び定速区間S3が設定されると、加速区間S1(図3では交差点内経路L1及び部分経路L2の一部)、及び減速区間S2においては、加速度判定値及び減速度判定値が走行条件として設定され、定速区間S3においては、制限速度、加速度判定値及び減速度判定値が走行条件として設定される。
【0059】
ところで、車両は目的地に到達するまでの間に交差点で左折又は右折を行う場合がある。そして、運転者がハンドルを急激に操作した場合(急ハンドル時)においても、車両が急激に加速した場合と同様に、乗員に対して必要以上の力が加わる可能性がある。
【0060】
そこで、本実施形態では、車両が交差点を左折又は右折する場合に、車両の操舵角と比較するための操舵角判定値が、交差点内経路L1の走行条件として追加(設定)される。
ところで、道路の幅や車線の数が変わると、車両が左折又は右折する際に必要な操舵量も変わるので、操舵角判定値内の操舵角で走行(左折又は右折)した場合であっても、車両が対向車線に侵入してしまう可能性がある。
【0061】
そこで、本実施形態では、走行条件の設定が行われる際に、道路標識DB14の交差点情報、道路情報及び白線情報等の車両が道路を曲がる際の曲率を表す情報に基づいて、メモリ18に記憶された操舵角判定値が補正される。
【0062】
また、車両が左折又は右折した際に乗員に対して加わる遠心力は、車両の速度が大ききくなるほど大きくなる。このため、走行条件の設定が行われる際には、車両が操舵角判定値の操舵角で左折又は右折したとしても、乗員に対して必要以上の遠心力が加わらない値となるように、現在位置検出器12により検出された車両の速度に基づいて、操舵角判定値が補正されるとともに、操舵角判定値の補正結果に応じて、メモリ18に記憶された加速度判定値及び減速度判定値が補正される。
【0063】
つまり、交差点内経路L1については、車両が交差点を直進する場合には加速度判定値及び減速度判定値が走行条件として設定され、車両が交差点を左折及び右折する場合には、加速度判定値、減速度判定値及び操舵角判定値が走行条件として設定される。また、部分経路L2については、加速度判定値及び減速度判定値が走行条件として設定される。
【0064】
なお、以下の説明において、部分経路L2の走行条件と交差点内経路L1の走行条件とを区別する場合には、交差点内経路L1において車両が直進する場合の走行条件を直進条件といい、交差点内経路L1において車両が左折する場合の走行条件を左折条件といい、交差点内経路L1において車両が右折する場合の走行条件を右折条件という。
【0065】
3.2.運転支援処理
図4は、カーナビゲーション装置10の制御部32で実行される運転支援処理を示すフローチャートであり、この運転支援処理(図4に示す制御フロー)は、車両の乗員により目的地が設定されたときに、走行条件計算処理(図2に示す制御フロー)と並列して実行される処理である。
【0066】
そして、図4に示す運転支援処理が実行されると、まず現在位置検出器12による検出結果に基づいて、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えるとともに、車両の減速度を減速度判定値未満に抑え、更に車両が左折又は右折する場合には、操作検出器20による検出結果に基づいて、車両の操舵角を操舵角判定値未満に抑える発進処理が行われる(S210)。
【0067】
S210で発進処理が行われると、現在位置検出器12による検出結果に基づいて、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えたり車両の減速度を減速度判定値未満に抑えたり、車速を制限速度未満に抑えたりする走行処理が行われる(S220)。
【0068】
そして、S220の処理で走行処理が行われると、現在位置検出器12による検出結果に基づいて、車両の減速度を減速度判定値未満に抑えつつこの車両を停止位置で停止させる停止処理が行われ(S230)、運転支援処理が終了する。
【0069】
3.2.1.発進処理
図5は、発進処理(図4に示すS210の処理)を示すフローチャートであり、この発進処理が実行されると、まず現在位置検出器12による検出結果に基づいて、車両の現在位置(車両が停止している位置)が確認される(S310)。
【0070】
S310の処理で車両の現在位置が検出されると、その現在位置、及び道路標識DB14の交差点情報に基づいて、車両の現在位置が信号機の設置された交差点の手前であるか否かが判定される(S320)。
【0071】
そして、車両の現在位置が信号機の設置された交差点の手前であると判定された場合には(S320:YES)、後述の交差点発進処理が行われ(S330)、発進処理が終了する。
【0072】
一方、車両の現在位置が信号機の設置された交差点の手前ではないと判定された場合には(S320:NO)、S310で検出された車両の現在位置、及び道路標識DB14の標識情報に基づいて、車両の現在位置が停止標識の手前であるか否かが判定される(S340)。
【0073】
そして、車両の現在位置が停止標識の手前であると判定された場合には(S340:YES)、後述の停止標識発進処理が行われて(S350)、発進処理が終了する。一方、車両の現在位置が停止標識の手前ではないと判定された場合には(S340:NO)、車両が現在停止している位置に応じた発進処理が行われ(S360)、発進処理が終了する。
【0074】
なお、S360の処理では、現在位置検出器12による検出結果に基づいて車両の加速度が加速度判定値を超えていた場合に、車両の加速度を加速度判定値未満に抑え、現在位置検出器12による検出結果に基づいて車両の減速度が減速度判定値を超えていた場合に、車両の減速度を減速度判定値未満に抑える処理が行われる。
【0075】
3.2.1.1.交差点発進処理
図6は、交差点発進処理(図5に示すS330の処理)を示すフローチャートであり、この交差点発進処理が実行されると、まず上述の経路案内処理で設定された案内経路に基づいて、車両が発進時に交差点を直進するか否かが判定される(S410)。
【0076】
そして、車両が直進すると判定された場合には(S410:YES)、後述の交差点直進発進処理が行われ(S420)、交差点発進処理が終了し、逆に車両が直進しないと判定された場合には(S410:NO)、車両の方向指示器(ウインカー)に基づいて、車両が発進時に交差点を左折及び右折のうち何れを行うかが判定される(S430)。
【0077】
そして、車両が交差点を左折すると判定された場合には(S430:YES)、後述の交差点左折発進処理が行われ(S440)、交差点発進処理が終了し、逆に車両が交差点を右折すると判定された場合には(S430:NO)、後述の交差点右折発進処理が行われ(S450)、交差点発進処理が終了する。
【0078】
3.2.1.1.1.交差点直進発進処理
図7は、交差点直進発進処理(図6に示すS420の処理)を示すフローチャートであり、この交差点直進発進処理は、図6に示す交差点発進処理のS410の処理で、車両が発進時に交差点を直進すると判定された場合に実行される。
【0079】
そして、交差点直進発進処理が実行されると、まず直進条件及び追従条件がメモリ18から読み出される(S510)。
なお、追従条件とは、車両が他車両に追従して走行する際にこの車両が満たすべき走行条件のことであり、本実施形態では、車両と他車両(追従対象の車両)との車間距離を所定間隔以上空けるように車両を制御するための車間距離情報、加速度判定値及び減速度判定値が追従条件としてメモリ18に記憶されている。また、車間距離情報は、車速に応じて車両が空けるべき車間距離が異なる値となるようにされている。
【0080】
そして、S510の処理で直進条件及び追従条件が読み出されると、受信機16による受信結果、及び画像解析器30による検出結果がメモリ18から読み出され、車両周辺に存在する移動体(例えば、他車両や歩行者)の有無、及び信号機の信号色等が検出される(S515)。
【0081】
続いて、S515の処理における移動体の検出結果に基づいて、車両の前方に他車両が存在するか否かが判定される(S520)。そして、車両の前方に他車両が存在しないと判定された場合には(S520:NO)、S515の処理での検出結果に基づいて、車両が発進してもよいか否かが判定される(S525)。
【0082】
ここで、S525の処理では、画像解析器30により信号機の信号色が青色であることが検出された場合、及び車両の周囲に移動体が検出されなかった場合等の複数の条件が全て満たされた場合に、車両が発進してもよいと判定される。
【0083】
そして、車両が発進してはいけないと判定された場合には(S525:NO)、その旨が乗員に対して報知されるとともに(S530)、走行制御システム60が制御部32により制御されることで車両の発進(走行)が禁止され(S535)、S515の処理に戻る。
【0084】
なお、本実施形態では、S525の処理で車両が発進してもよいと判定されるまでの間、走行制御システム60がスロットルバルブの開度を全閉状態に保つことにより、車両の発進が禁止されるようにされている。
【0085】
一方、車両が発進してもよいと判定された場合には(S525:YES)、車両の発進が許可されて、車両の走行状態が直進条件を満たしているか否かが判定される(S540)。
【0086】
具体的には、S540の処理では、現在位置検出器12による検出結果に基づいて車両の加速度及び減速度を検出し、この結果から、車両の加速度が加速度判定値を超えていた場合、又は、車両の減速度が減速度判定値を超えていた場合に、車両の走行状態が直進条件を満たしていないと判定される。
【0087】
そして、車両の走行状態が直進条件を満たしていない、すなわち車両の加速度が加速度判定値を超えた、又は、車両の減速度が減速度判定値を超えたと判定された場合には(S540:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S545)、車両の走行状態が直進条件を満たすように補正処理が実行される(S550)。
【0088】
ここで、S550の処理では、制御部32が走行制御システム60に対して補正指令を送信することで、走行制御システム60は、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度を制御し、車両の減速度を減速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度又は制動装置を制御する。
【0089】
そして、S550の処理で補正処理が実行されると、現在位置検出器12により検出される車両の現在位置、及び道路標識DB14の交差点情報に基づいて、車両が交差点を通過したか否かが判定され(S555)、車両が交差点を通過していないと判定された場合には(S555:NO)、S515の処理に戻り、逆に車両が交差点を通過したと判定された場合には(S555:YES)、交差点直進発進処理が終了する。
【0090】
また、S540の処理で車両の走行状態が直進条件を満たしていると判定された場合には(S540:YES)、S555の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
【0091】
また、S520の処理で車両の前方に他車両が存在すると判定された場合には(S520:YES)、S515の処理での検出結果に基づいて、車両が他車両に追従して発進してもよいか否かが判定される(S560)。
【0092】
ここで、S560の処理では、車両の前方に存在する他車両が車両と同じ車線に存在することが検出された場合、及びその他車両が発進したことが検出された場合等の複数の条件が全て満たされた場合に、車両が他車両に追従して発進してもよいと判定される。
【0093】
そして、車両が他車両に追従して発進してはいけないと判定された場合には(S560:NO)、S525の処理に進んで、車両が発進してもよいか否かが判定される。一方、車両が他車両に追従して発進してもよいと判定された場合には(S560:YES)、車両の走行状態が追従条件を満たしているか否かが判定される(S565)。
【0094】
そして、車両の走行状態が追従条件を満たしていると判定された場合には(S565:YES)、S555の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。一方、車両の走行状態が追従条件を満たしていないと判定された場合には(S565:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S570)、車両の走行状態が追従条件を満たすように補正処理が実行される(S575)。
【0095】
なお、S575の処理では、制御部32が走行制御システム60に対して補正指令を送信することで、走行制御システム60は、車両の走行状態が追従条件を満たすように、スロットルバルブの開度、制動装置及び操舵装置を制御する。
【0096】
そして、S575の処理で補正処理が実行されると、S555の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
3.2.1.1.2.交差点左折発進処理
図8は、交差点左折発進処理(図6に示すS440の処理)を示すフローチャートであり、図9は、交差点左折発進処理が実行された際の作動を説明する説明図である。なお、図8に示す交差点左折発進処理は、図6に示すS430の処理で車両が発進時に交差点を左折すると判定された場合に実行される。
【0097】
そして、交差点左折発進処理が実行されると、まず左折条件及び追従条件がメモリ18から読み出され(S610)、続いて、受信機16による受信結果、及び画像解析器30による検出結果がメモリ18から読み出され、車両周辺に存在する移動体(例えば、他車両や歩行者)の有無、及び信号機の信号色等が検出される(S615)。
【0098】
続いて、S615の処理における移動体の検出結果に基づいて、車両の前方に他車両が存在するか否かが判定される(S620)。そして、車両の前方に他車両が存在しないと判定された場合には(S620:NO)、S615の処理での検出結果に基づいて、車両が発進してもよいか否かが判定される(S625)。
【0099】
ここで、S625の処理では、画像解析器30により信号機の信号色が青色であることが検出された場合、及び車両の周囲に移動体が検出されなかった場合等の複数の条件が全て満たされた場合に、車両が発進してもよいと判定される。
【0100】
そして、車両が発進してはいけないと判定された場合には(S625:NO)、その旨が乗員に対して報知されるとともに(S630)、走行制御システム60が制御部32により制御されることで車両の発進(走行)が禁止され(S635)、S615の処理に戻る。なお、S635の処理内容は、上述したS535の処理と同じである(図7参照)。
【0101】
一方、車両が発進してもよいと判定された場合には(S625:YES)、車両の発進が許可されて、車両の走行状態が左折条件を満たしているか否かが判定される(S640)。
【0102】
具体的には、S640の処理では、現在位置検出器12による検出結果に基づいて車両の加速度及び減速度を検出するとともに、操作検出器20による検出結果に基づいて、車両の操舵角を検出し、この結果から、加速度が加速度判定値を超えていた場合、又は、減速度が減速度判定値を超えていた場合、又は、操舵角が左折用の操舵角判定値を超えていた場合に、車両の走行状態が左折条件を満たしていないと判定される。
【0103】
そして、車両の走行状態が左折条件を満たしていないと判定された場合には(S640:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S645)、車両の走行状態が左折条件を満たすように補正処理が実行される(S650)。
【0104】
ここで、S650の処理では、制御部32が走行制御システム60に対して補正指令を送信することで、走行制御システム60は、図9の実線に示すように、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度を制御し、車両の減速度を減速度判定値未満に抑えるようにスロットバルブの開度又は制動装置を制御し、車両の操舵角を左折用の操舵角判定値未満に抑えるように操舵装置を制御する。
【0105】
なお、図9の点線で示す部分は、本発明の運転支援システムが適用されていない車両で急加速及び急ハンドル操作が行われた場合を示している。
そして、S650の処理で補正処理が実行されると、現在位置検出器12により検出される車両の現在位置、及び道路標識DB14の交差点情報に基づいて、車両が交差点を通過したか否かが判定され(S655)、車両が交差点を通過していないと判定された場合には(S655:NO)、S615の処理に戻り、逆に車両が交差点を通過したと判定された場合には(S655:YES)、交差点左折発進処理が終了する。
【0106】
また、S640の処理で車両の走行状態が左折条件を満たしていると判定された場合には(S640:YES)、S655の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
【0107】
また、S620の処理で車両の前方に他車両が存在すると判定された場合には(S620:YES)、S615の処理での検出結果に基づいて、車両が他車両に追従して発進してもよいか否かが判定される(S660)。
【0108】
ここで、S660の処理では、車両の前方に存在する他車両が車両と同じ車線に存在することが検出された場合、その他車両が発進したことが検出された場合、及びその他車両が左折することが検出された場合等の複数の条件が全て満たされた場合に、車両が他車両に追従して発進してもよいと判定される。
【0109】
そして、車両が他車両に追従して発進してはいけないと判定された場合には(S660:NO)、S625の処理に進んで、車両が発進してもよいか否かが判定される。一方、車両が他車両に追従して発進してもよいと判定された場合には(S660:YES)、車両の走行状態が追従条件を満たしているか否かが判定される(S665)。
【0110】
そして、車両の走行状態が追従条件を満たしていると判定された場合には(S665:YES)、S655の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。一方、車両の走行状態が追従条件を満たしていないと判定された場合には(S665:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S670)、車両の走行状態が追従条件を満たすように補正処理が実行される(S675)。なお、S675の処理内容は、上述したS575の処理(図7参照)と同じである。
【0111】
そして、S675の処理で補正処理が実行されると、S655の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
3.2.1.1.3.交差点右折発進処理
図10は、交差点右折発進処理(図6に示すS450の処理)を示すフローチャートであり、この交差点右折発進処理は、図6に示すS430の処理で車両が発進時に交差点を右折すると判定された場合に実行される。
【0112】
そして、交差点右折発進処理が実行されると、まず右折条件及び追従条件がメモリ18から読み出され(S710)、続いて、受信機16による受信結果、及び画像解析器30による検出結果がメモリ18から読み出され、車両周辺に存在する移動体(例えば、他車両や歩行者)の有無、及び信号機の信号色等が検出される(S715)。
【0113】
続いて、S715の処理における移動体の検出結果に基づいて、車両の前方に他車両が存在するか否かが判定される(S720)。そして、車両の前方に他車両が存在しないと判定された場合には(S720:NO)、S715の処理での検出結果に基づいて、車両が発進してもよいか否かが判定される(S725)。
【0114】
ここで、S725の処理では、画像解析器30により信号機の信号色が青色であることが検出された場合、及び車両の周囲に移動体が検出されなかった場合等の複数の条件が全て満たされた場合に、車両が発進してもよいと判定される。
【0115】
そして、車両が発進してはいけないと判定された場合には(S725:NO)、その旨が乗員に対して報知されるとともに(S730)、走行制御システム60が制御部32により制御されることで車両の発進(走行)が禁止され(S735)、S715の処理に戻る。なお、S735の処理内容は、上述したS535(図7参照)及びS635の処理(図8参照)と同じである。
【0116】
一方、車両が発進してもよいと判定された場合には(S725:YES)、車両の発進が許可されて、車両の走行状態が右折条件を満たしているか否かが判定される(S740)。
【0117】
具体的には、S740の処理では、現在位置検出器12による検出結果に基づいて車両の加速度及び減速度を検出するとともに、操作検出器20による検出結果に基づいて、車両の操舵角を検出し、この結果から、加速度が加速度判定値を超えていた場合、又は、減速度が減速度判定値を超えていた場合、又は、操舵角が右折用の操舵角判定値を超えていた場合に、車両の走行状態が左折条件を満たしていないと判定される。
【0118】
そして、車両の走行状態が右折条件を満たしていないと判定された場合には(S740:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S745)、車両の走行状態が右折条件を満たすように補正処理が実行される(S750)。
【0119】
ここで、S750の処理では、制御部32が走行制御システム60に対して補正指令を送信することで、走行制御システム60は、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度を制御し、車両の減速度を減速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度又は制動装置を制御し、車両の操舵角を右折用の操舵角判定値未満に抑えるように操舵装置を制御する。
【0120】
そして、S750の処理で補正処理が実行されると、現在位置検出器12により検出される車両の現在位置、及び道路標識DB14の交差点情報に基づいて、車両が交差点を通過したか否かが判定され(S755)、車両が交差点を通過していないと判定された場合には(S755:NO)、S715の処理に戻り、逆に車両が交差点を通過したと判定された場合には(S755:YES)、交差点右折発進処理が終了する。
【0121】
また、S740の処理で車両の走行状態が右折条件を満たしていると判定された場合には(S740:YES)、S755の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
【0122】
また、S720の処理で車両の前方に他車両が存在すると判定された場合には(S720:YES)、S715の処理での検出結果に基づいて、車両が他車両に追従して発進してもよいか否かが判定される(S760)。
【0123】
ここで、S760の処理では、車両の前方に存在する他車両が車両と同じ車線に存在することが検出された場合、その他車両が発進したことが検出された場合、及びその他車両が左折することが検出された場合等の複数の条件が全て満たされた場合に、車両が他車両に追従して発進してもよいと判定される。
【0124】
そして、車両が他車両に追従して発進してはいけないと判定された場合には(S760:NO)、S725の処理に進んで、車両が発進してもよいか否かが判定される。一方、車両が他車両に追従して発進してもよいと判定された場合には(S760:YES)、車両の走行状態が追従条件を満たしているか否かが判定される(S765)。
【0125】
そして、車両の走行状態が追従条件を満たしていると判定された場合には(S765:YES)、S755の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。一方、車両の走行状態が追従条件を満たしていないと判定された場合には(S765:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S770)、車両の走行状態が追従条件を満たすように補正処理が実行される(S775)。なお、S775の処理内容は、上述したS575の処理(図7参照)と同じである。
【0126】
そして、S775の処理で補正処理が実行されると、S655の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
3.2.1.2.停止標識発進処理
図11は、停止標識発進処理(図5に示すS350の処理)を示すフローチャートであり、この停止標識発進処理が実行されると、まず上述の経路案内処理で設定された案内経路に基づいて、停止標識の手前で停止した車両が発進時に直進するか否かが判定される(S810)。
【0127】
そして、車両が発進時に直進すると判定された場合には(S810:YES)、後述の停止標識直進発進処理が行われ(S820)、停止標識発進処理が終了し、逆に車両が発進時に直進しないと判定された場合には(S810:NO)、車両の方向指示器に基づいて、車両が発進時に左折及び右折のうち何れを行うかが判定される(S830)。
【0128】
そして、車両が発進時に左折を行うと判定された場合には(S830:YES)、停止標識左折発進処理が行われ(S840)、停止標識発進処理が終了し、逆に車両が発進時に右折を行うと判定された場合には(S830:NO)、停止標識右折発進処理が行われ(S850)、停止標識発進処理が終了する。
【0129】
3.2.1.2.1.停止標識直進発進処理
図12は、停止標識直進発進処理(図11に示すS820の処理)を示すフローチャートであり、この停止標識直進発進処理は、図11に示すS810の処理で、車両が直進すると判定された場合に実行される。そして、停止標識直進発進処理が実行されると、まず直進条件がメモリ18から読み出される(S910)。
【0130】
そして、S910の処理で直進条件が読み出されると、受信機16による受信結果、及び画像解析器30による検出結果がメモリ18から読み出され、車両周辺に存在する移動体の有無が検出される(S920)。
【0131】
そして、車両周辺に存在する移動体の有無が検出されると、その検出結果に基づいて、車両が発進してもよいか否かが判定される(S930)。なお、このS930の処理では、車両の左側及び右側に他車両が存在しないことが検出された場合、及びこの車両が走行すると推測される道路(横断歩道)に通行人が検出されなかった場合等の複数の条件がすべて満たされた場合に、車両が発進してもよいと判定される。
【0132】
そして、車両が発進してはいけないと判定された場合には(S930:NO)、その旨が乗員に対して報知されるとともに(S940)、走行制御システム60が制御部32に制御されることで車両の発進が禁止され(S950)、S920の処理に戻る。なお、S950の処理内容は、上述したS535の処理(図7参照)と同じである。
【0133】
一方、車両が発進してもよいと判定された場合には(S930:YES)、車両の発進が許可されて、車両の走行状態が直進条件を満たしているか否かが判定される(S960)。なお、S960の処理内容は、S540の処理(図7参照)と同じである。
【0134】
そして、車両の走行状態が直進条件を満たしていないと判定された場合には(S930:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S970)、車両の走行状態が直進条件を満たすように補正処理が実行される(S980)。なお、このS980の処理では、上述したS550の処理と同じ処理が行われる(図7参照)。
【0135】
そして、S980の処理で補正処理が実行されると、現在位置検出器12により検出される車両の現在位置、及び道路標識DB14の交差点情報に基づいて、車両が交差点を通過したか否かが判定され(S990)、車両が交差点を通過していないと判定された場合には(S990:NO)、S920の処理に戻り、逆に車両が交差点を通過したと判定された場合には(S990:YES)、停止標識直進発進処理が終了する。
【0136】
また、S960の処理で車両の走行状態が直進条件を満たしていると判定された場合には(S960:YES)、S990の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
【0137】
3.2.1.2.2.停止標識左折発進処理
図13は、停止標識左折発進処理(図11に示すS840の処理)を示すフローチャートであり、この停止標識左折発進処理は、図11に示すS830の処理で車両が発進時に左折を行うと判定された場合に実行される。
【0138】
そして、図13に示す停止標識左折発進処理が実行されると、まず左折条件がメモリ18から読み出され(S1010)、受信機16による受信結果、及び画像解析器30による検出結果がメモリ18から読み出されて、車両周辺に存在する移動体の有無が検出される(S1020)。
【0139】
続いて、乗員(運転者)に対して交差点を左折するように促す(案内する)ための報知が行われ(S1025)、S1020における移動体の検出結果に基づいて、車両が発進してもよいか否かが判定される(S1030)。
【0140】
なお、このS1030の処理では、車両の右側に他車両が存在しないことが検出された場合、及びこの車両が走行すると推測される道路(横断歩道)に通行人が検出されなかった場合等の複数の条件がすべて満たされた場合に、車両が発進してもよいと判定される。
【0141】
そして、車両が発進してはいけないと判定された場合には(S1030:NO)、その旨が乗員に対して報知されるとともに(S1040)、走行制御システム60が制御部32により制御されることで車両の発進(走行)が禁止され(S1050)、S1020の処理に戻る。なお、S1050の処理内容は、上述したS535の処理(図7参照)と同じである。
【0142】
一方、車両が発進してもよいと判定された場合には(S1030:YES)、車両の発進が許可されて、車両の走行状態が左折条件を満たしているか否かが判定される(S1060)。なお、S1060の処理内容は、上述したS640の処理(図8参照)と同じである。
【0143】
そして、車両の走行状態が左折条件を満たしていないと判定された場合には(S1030:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S1070)、車両の走行状態が左折条件を満たすように補正処理が実行される(S1080)。なお、このS1080の処理では、上述したS650の処理と同じ処理が行われる(図8参照)。
【0144】
そして、S1080の処理で補正処理が実行されると、現在位置検出器12により検出される車両の現在位置、及び道路標識DB14の交差点情報に基づいて、車両が交差点を通過したか否かが判定される(S1090)。
【0145】
S1090の処理で車両が交差点を通過していないと判定された場合には(S1090:NO)、S1020の処理に戻り、逆に車両が交差点を通過したと判定された場合には(S1090:YES)、停止標識右折発進処理が終了する。
【0146】
また、S1060の処理で車両の走行状態が右折条件を満たしていると判定された場合には(S1060:YES)、S1090の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
【0147】
3.2.1.2.3.停止標識右折発進処理
図14は、停止標識右折発進処理(図11に示すS850の処理)を示すフローチャートであり、この停止標識右折発進処理は、図11に示すS830の処理で車両が発進時に右折を行うと判定された場合に実行される。
【0148】
そして、図14に示す停止標識右折発進処理が実行されると、まず右折条件がメモリ18から読み出され(S1110)、受信機16による受信結果、及び画像解析器30による検出結果がメモリ18から読み出されて、車両周辺に存在する移動体の有無が検出される(S1120)。
【0149】
続いて、乗員(運転者)に対して交差点を右折するように促す(案内する)ための報知が行われ(S1125)、S1120における移動体の検出結果に基づいて、車両が発進してもよいか否かが判定される(S1130)。
【0150】
なお、このS1030の処理では、車両の右側、左側及び対向車線に他車両が存在しないことが検出された場合、及びこの車両が走行すると推測される道路(横断歩道)に通行人が検出されなかった場合等の複数の条件がすべて満たされた場合に、車両が発進してもよいと判定される。
【0151】
そして、車両が発進してはいけないと判定された場合には(S1130:NO)、その旨が乗員に対して報知されるとともに(S1140)、走行制御システム60が制御部32により制御されることで車両の発進(走行)が禁止され(S1150)、S1120の処理に戻る。なお、S1150の処理内容は、上述したS535の処理(図7参照)と同じである。
【0152】
一方、車両が発進してもよいと判定された場合には(S1130:YES)、車両の発進が許可されて、車両の走行状態が右折条件を満たしているか否かが判定される(S1160)。なお、S1160の処理は、上述したS740の処理(図10参照)と同じ処理である。
【0153】
そして、車両の走行状態が右折条件を満たしていないと判定された場合には(S1130:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S1170)、車両の走行状態が右折条件を満たすように補正処理が実行される(S1180)。なお、このS1180の処理では、上述したS750の処理(図10参照)と同じ処理が行われる。
【0154】
そして、S1180の処理で補正処理が実行されると、現在位置検出器12により検出される車両の現在位置、及び道路標識DB14の交差点情報に基づいて、車両が交差点を通過したか否かが判定される(S1190)。
【0155】
S1190の処理で車両が交差点を通過していないと判定された場合には(S1190:NO)、S1120の処理に戻り、逆に車両が交差点を通過したと判定された場合には(S1190:YES)、停止標識右折発進処理が終了する。
【0156】
また、S1160の処理で車両の走行状態が右折条件を満たしていると判定された場合には(S1160:YES)、S1190の処理に進んで、車両が交差点を通過したか否かが判定される。
【0157】
3.2.2.走行処理
図15は、走行処理(図4に示すS220の処理)を示すフローチャートであり、この走行処理は発進処理(図4に示すS210の処理)が終了したときに実行される処理である。
【0158】
そして、図15に示す走行処理が実行されると、まず車両が発進処理にて通過した交差点を表す交差点通過履歴がメモリ18に記憶され(S1210)、これから車両が通過すると予測される部分経路L2に対応する走行条件が、メモリ18に記憶されているか否かが判定される(S1215)。
【0159】
そして、走行条件が記憶されていると判定された場合には(S1215:YES)、その走行条件がメモリ18から読み出されるとともに追従条件が読み出され(S1220)、受信機16による受信結果、及び画像解析器30による検出結果がメモリ18から読み出され、車両周辺に存在する移動体の有無、及び信号機の信号色等が検出される(S1225)。
【0160】
そして、S1225の処理で車両周辺に存在する移動体の有無が検出されると、車両の前方に他車両が存在するか否かが判定され(S1230)、車両の前方に他車両が存在しないと判定された場合には(S1230:NO)、車両の走行状態が走行条件を満たしているか否かが判定される(S1235)。
【0161】
具体的には、S1235の処理では、現在位置検出器12による検出結果に基づいて車両の加速度、減速度及び速度を検出し、この結果から、車両の加速度が加速度判定値を超えていた場合、又は、減速度が減速度判定値を超えていた場合、又は、速度が制限速度を超えていた場合に、車両の走行状態が走行条件を満たしていないと判定される。
【0162】
そして、車両の走行状態が走行条件を満たしていないと判定された場合には(S1235:NO)、その旨が乗員に対して報知され(S1240)、車両の走行状態が走行条件を満たすように補正処理が実行される(S1245)。
【0163】
ここで、S1245の処理では、制御部32が走行制御システム60に対して補正指令を送信することで、走行制御システム60は、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度を制御し、車両の減速度を減速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度又は制動装置を制御し、車両の速度を制限速度未満に抑えるようにスロットルバルブの開度を制御する。
【0164】
そして、S1245の処理で補正処理が実行されると、現在位置検出器12により検出される車両の現在位置に基づいて、車両の現在位置が部分経路L2の終端に接近してきたか否かが判定される(S1250)。
【0165】
そして、車両の現在位置が部分経路L2の終端に接近していないと判定された場合には(S1250:NO)、現在位置検出器12による検出結果に基づいて、車両が停止したか否かが判定され(S1255)、車両が停止したと判定された場合には(S1255:YES)、発進処理(図4に示すS210の処理)に戻り、逆に車両が停止していないと判定された場合には(S1255:NO)、S1215の処理に戻る。
【0166】
また、S1250の処理で車両の現在位置が部分経路L2の終端に接近していると判定された場合には(S1250:YES)、S1225の処理で検出された検出結果に基づいて、車両が停止位置で停止すべきか否かを判定するための停止判定処理が行われる(S1260)。
【0167】
そして、停止判定処理の判定結果に基づいて、車両が停止位置で停止する必要があると判定された場合には(S1265:YES)、走行処理が終了する。
一方、車両が停止位置で停止する必要がないと判定された場合には(S1265:NO)、車両が交差点を通過したか否かが判定される(S1270)。そして、車両が交差点を通過していないと判定された場合には(S1270:NO)、S1215の処理に戻り、逆に車両が交差点を通過したと判定された場合には(S1270:YES)、S1210の処理に戻る。
【0168】
また、S1230の処理で、車両の前方に他車両が存在すると判定された場合には、車両がその他車両に追従して走行してもよいか否かが判定される(S1275)。そして、車両が他車両に追従して走行してはいけないと判定された場合には(S1275:NO)、S1235の処理に進む。
【0169】
一方、車両が他車両に追従して走行してもよいと判定された場合には(S1275:YES)、車両の走行状態が追従条件を満たしているか否かが判定される(S1280)。そして、車両の走行状態が追従条件を満たしていると判定された場合には(S1280:YES)、S1250の処理に進む。
【0170】
また、車両の走行状態が追従条件を満たしていないと判定された場合には(S1280:NO)、その旨が乗員に対して報知されるとともに(S1285)、車両の走行状態が追従条件を満たすように補正処理が実行されて(S1245)、S1250の処理に進む。なお、S1245の処理内容は、上述したS575の処理(図7参照)と同じである。
【0171】
また、S1215の処理で走行条件がないと判定された場合には(S1215:NO)、車両が案内経路から外れてしまった、又は、目的地が変更されたと判定されて、後述の案内経路変更処理が実行され(S1295)、S1215の処理に戻る。
【0172】
3.2.2.1.案内経路変更処理
図16は、案内経路変更処理(図15に示すS1295の処理)を示すフローチャートであり、この案内経路変更処理が実行されると、この処理の起動が目的地の変更によるものか、又は、車両が案内経路から外れたことによるものかが判定される(S1310)。
【0173】
そして、この処理の起動が目的地の変更によるものであると判定された場合には(S1310:YES)、上述した走行条件計算処理(図2参照)が実行されて、案内経路変更処理が終了する。一方、この処理の起動が案内経路から車両が外れたことによるものであると判定された場合には(S1310:NO)、新たな案内経路の計算が行われ(S1330)、部分経路L2の設定が行われる(S1340)。
【0174】
そして、部分経路L2の設定が行われると(S1340)、S1340の処理で設定された部分経路L2のうち走行条件が計算されていない部分経路L2がない場合には(S1350:NO)、案内経路変更処理が終了する。
【0175】
逆に、S1340の処理で設定された部分経路L2のうち、走行条件が計算されていない部分経路L2があった場合には(S1350:YES)、その部分経路L2の走行条件が計算され(S1360)、その計算結果がメモリ18に記憶されて(S1370)、案内経路変更処理が終了する。
【0176】
3.2.3.停止処理
図17は、停止処理(図4に示すS230の処理)を示すフローチャートであり、この停止処理は、走行処理(図4に示すS220の処理)が終了したときに実行される処理である。
【0177】
そして、図17に示す停止処理が実行されると、現在位置検出器12による検出結果に基づいて、車両が部分経路L2の終点(停止位置)に到達したか否かが判定され(S1410)、車両が部分経路L2の終点に到達していないと判定された場合には(S1410:NO)、車両の走行状態が走行条件又は追従条件を満たしているか否かが判定される(S1420)。
【0178】
そして、車両の走行状態が走行条件又は追従条件を満たしていると判定された場合には(S1420:NO)、S1410の処理に戻り、逆に車両の走行状態が走行条件又は追従条件を満たしていないと判定された場合には、その旨が乗員に対して報知されるとともに(S1430)、車両の走行状態が走行条件又は追従条件を満たすように、上述の補正処理が実行されて(S1440)、S1410の処理に戻る。なお、S1440の処理内容は、上述したS575の処理(図7参照)と同じである。
【0179】
ここで、S1440の処理では、制御部32が走行制御システム60に対して補正指令を送信することで、走行制御システム60は、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度を制御し、車両の減速度を減速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度又は制動装置を制御する。
【0180】
また、車両が部分経路L2の終点に到達したと判定された場合には(S1410:YES)、車両が目的地に到達したか否かが判定される(S1450)。そして、目的地に到達していないと判定された場合には(S1450:NO)、次の部分経路L2が設定され(S1460)、発進処理(図4に示すS210の処理)が実行される。
【0181】
一方、目的地に到達したと判定された場合には、交差点通過履歴がメモリ18に記憶されて、停止処理が終了する。
3.本実施形態に係る運転支援システムの特徴
本実施形態では、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えることで、車両が加速した際に乗員に対して必要以上の慣性力が加わらないようにしている。このため、車両の加速度が急激に変化するのを防止できるので、乗員に対して必要以上の力が加わってしまうのを防止することができ、同乗者の乗り心地を向上させることができる。
【0182】
また、本実施形態では、車両が急発進することを防止することができるので、急発進により乗員に対して必要以上の力が加わってしまうのを防止することができる。
また、操舵角を操舵角判定値未満に制御することで、車両の発進時における急ハンドル操作を防止している。したがって、同乗者の乗り心地を更に向上させることができる。
【0183】
ところで、車両が道路を曲がる際に乗員に対して加わる遠心力は、車両の速度が大きくなるほど大きくなる。そこで、本実施形態では、車両の速度に基づいて車両の操舵角判定値を補正している。
【0184】
このため、車両の速度が大きくなったとしても必要以上の力(遠心力)が乗員に対して加わらないように車両の操舵角を制御することが可能となるので、同乗者の乗り心地を更に向上させることができる。
【0185】
また、本実施形態では、道路の幅や車線の数等の車両が道路を曲がる際の曲率を表す情報に応じて操舵角判定値を補正するようにしているので、最適な条件で車両が道路を曲がる際の運転支援を運転者に対して行うことができる。
【0186】
また、本実施形態では、車両の加速度及び操舵角を制御(補正)する際に車両の乗員に対して報知を行うようにしているので、車両の運転者が違和感を感じてしまうことを防止することができる。
【0187】
また、本実施形態では、車両の減速度が減速度判定値未満に抑えるように減速度を制御しているので、車両が急激に減速してしまうことを防止することができ、乗員に対して必要以上の力が加わってしまうことを防止することができる。また、本実施形態では、車両が急停止することを防止することができるので、急停止により乗員に対して必要以上の力が加わってしまうのを防止することができる。
【0188】
また、本実施形態では、停止している車両の周囲に移動体が存在した場合には、車両の発進を禁止しているので、車両が移動体と衝突してしまうのを未然に防ぐことができ、車両の安全性を向上させることができる。
【0189】
4.発明特定事項と実施形態との対応関係
本実施形態では、現在位置検出器12が特許請求の範囲に記載された加速度検出手段、減速度検出手段及び車速検出手段に相当する。また、S550、S650、S750、S980、S1080、S1180、S1245及びS1440の処理が特許請求の範囲に記載された加速度制御手段、減速度制御手段及び操舵角制御手段に相当し、操作検出器20が特許請求の範囲に記載された操舵角検出手段に相当する。
【0190】
また、S540、S640、S740、S960、S1060、S1160、S1235及びS1420の処理が特許請求の範囲に記載された操舵角判定手段に相当し、画像表示器22及び音声報知器24が特許請求の範囲に記載された加速度制御報知手段及び減速度制御報知手段に相当し、前方カメラ26、後方カメラ28、画像解析器30及び路上装置50が特許請求の範囲に記載された移動体検出手段に相当する。
【0191】
また、S525、S560、S625、S660、S725、S760、S930、S1030、及びS1130の処理が特許請求の範囲に記載された衝突判定手段に相当し、S535、S635、S735、S950、S1050及びS1150の処理が特許請求の範囲に記載された発進禁止手段に相当する。
【0192】
(その他の実施形態)
上記実施形態では、車両の加速度が加速度判定値を超えた場合、及び減速度が減速度判定値を超えた場合に、スロットルバルブの開度及び制動装置を制御することで、加速度を加速度判定値未満に抑えつつ減速度を減速度判定値未満に抑えるようにしていたが、これに限らず、走行制御システム60は、加速度を加速度判定値未満に抑えつつ減速度を減速度判定値未満に抑えるようにスロットルバルブの開度又は制動装置を制御することを、常に実行するようにされていてもよい。
【0193】
このようにしても、上記実施形態と同様に、車両が加速又は減速したとしても、乗員に対しては必要以上の慣性力が加わらないので、同乗者の乗り心地を向上させることができる。
【0194】
また、上記実施形態では、車両の加速度を加速度判定値未満に抑えるように制御していたが、これに限らず、加速度の変化率を所定値未満に抑えるように制御するようにされているとよい。このようにされていれば、車両の走行時における急激な速度変化を抑えることができるので、同乗者の乗り心地を向上させることができる。
【0195】
また、上記実施形態では、加速度の補正をスロットルバルブの開度を制御することで行っていたが、加速度の補正は制動装置を制御することで行うようにしてもよい。また、上記実施形態では、加速度判定値と減速度判定値との絶対値が同じであったが、異なる値をとるようにしてもよい。
【0196】
また、減速区間S2(図3参照)を設定する際には、車両の大きさや重量に基づいて適宜設定するとよい。また、走行条件の計算については、同乗者の人数に基づいて補正するようにされていてもよい。
【0197】
また、上記実施形態では、エンジンを駆動源とした車両に対して本発明を適用していたが、これに限らず、電動モータを駆動源にした車両に適用してもよいし、内燃機関と電動モータとを組み合わせて走行する、いわゆるハイブリッド車両に適用してもよい。
【0198】
また、上記実施形態の車両(操舵装置)は、ステアリングホイールの操作量に基づいて走行制御システム60が車両の操舵角を制御するようにしていたが、ステアリングホイールがステアリングシャフトを介してタイヤに機械的に接続されていてもよい。この場合、車両の操舵角が操舵角判定値を超えた際に、例えば電動モータを用いて強制的にステアリンホイールを操作するように構成されているとよい。
【0199】
また、上記実施形態の車両(制動装置)は、ブレーキペダルの踏み込み量に基づいて走行制御システム60がブレーキの制動力を制御するようにしていたが、これに限らず、ブレーキペダルは制動装置に対して機械的に接続されていてもよい。
【0200】
また、路上装置50は、車両や歩行者等を検出する以外にも、その検出した車両や歩行者の進む向き及び速さを検出するようにするとよい。
この場合、車両や歩行者の進む向き及び速さの検出結果についても、カーナビゲーション装置10に送信するようにすれば、例えば図7に示すS525の処理で車両が発進してもよいか否かを判定する際に、車両や歩行者の進む向き及び速さも考慮して判定することができるので、車両の安全性を向上させることができる。
【0201】
ところで、図7に示すS525、図8に示すS625、図9に示すS725、図12に示すS930、図13に示すS1030及び図14に示すS1130等の車両の発進を許可するための条件としては、上述した条件以外にも、渋滞情報や道路事故情報に基づいて車両のすぐ前方の道路に渋滞や事故がないことが検出された場合、交差点に進入しようとしている車両が検出された際にその車両との車間距離が十分に開いていることが検出された場合、現在車両が走行している道路が優先道路であった場合等が挙げられる。
【0202】
また、信号が設置された交差点を車両が直進する際には、対向車線の他車両が直進車線を横切って右折する場合があるので、この場合は、この車両と前方の車両との車間距離が所定距離以上開いていた際に、対向車線に存在し、かつ、右折しようとしている他車両に対して注意を促すようにしてもよい。
【0203】
また、カーナビゲーション装置10は、他車両に搭載された車載器と通信が行えるように構成されていてもよい。この場合、カーナビゲーション装置10は、他車両に対して自車両の発進を知らせる等して他車両に減速するように促すようにすれば、安全性をより向上させることができる。なお、運転者が道路の通行を他車両に優先させる等の指令をカーナビゲーション装置10を介して他車両に報知するようにされていてもよい。
【0204】
また、路上装置50又は画像解析器30により車両の周囲に歩行者が検出された場合には、走行制御システム60が制動装置を作動させて車両に制動力を作用させるようにするとよい。この場合には、危険回避が最優先であるので、車両の減速度が減速度判定値未満に抑えるように制御しなくてもよい。
【0205】
また、後続の車両が接近してきたことが画像解析器30や路上装置50により検出された場合には、ブレーキランプを点灯させたりクラクション音を発生させたりして、後続車両に対して報知するようにされているとよい。
【0206】
また、本発明は、特許請求の範囲に記載された発明の趣旨に合致するものであればよく、上述の実施形態に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】実施形態に係る運転支援システムの構成を説明する説明図である。
【図2】カーナビゲーション装置の制御部で実行される走行条件計算処理を示すフローチャートである。
【図3】交差点内経路、部分経路及び走行条件を説明する説明図である。
【図4】カーナビゲーション装置の制御部で実行される運転支援処理を示すフローチャートである。
【図5】カーナビゲーション装置の制御部で実行される発進処理を示すフローチャートである。
【図6】カーナビゲーション装置の制御部で実行される交差点発進処理を示すフローチャートである。
【図7】カーナビゲーション装置の制御部で実行される交差点直進発進処理を示すフローチャートである。
【図8】カーナビゲーション装置の制御部で実行される交差点左折発進処理を示すフローチャートである。
【図9】交差点左折発進処理が実行された際の作動を説明する説明図である。
【図10】カーナビゲーション装置の制御部で実行される交差点右折発進処理を示すフローチャートである。
【図11】カーナビゲーション装置の制御部で実行される停止標識発進処理を示すフローチャートである。
【図12】カーナビゲーション装置の制御部で実行される停止標識直進発進処理を示すフローチャートである。
【図13】カーナビゲーション装置の制御部で実行される停止標識左折発進処理を示すフローチャートである。
【図14】カーナビゲーション装置の制御部で実行される停止標識右折発進処理を示すフローチャートである。
【図15】カーナビゲーション装置の制御部で実行される走行処理を示すフローチャートである。
【図16】カーナビゲーション装置の制御部で実行される案内経路変更処理を示すフローチャートである。
【図17】カーナビゲーション装置の制御部で実行される停止処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0208】
10…カーナビゲーション装置、12…現在位置検出器、14…道路標識DB、16…受信機、18…メモリ、20…操作検出器、22…画像表示器、24…音声報知器、26…前方カメラ、28…後方カメラ、30…画像解析器、32…制御部、50…路上装置、52…路上カメラ、54…検出部、56…発信部、60…走行制御システム。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者による運転を支援する車両用運転支援システムであって、
車両の加速度を検出する加速度検出手段と、
前記加速度検出手段により検出される加速度を第1判定値未満に抑える加速度制御手段と
を備えたことを特徴とする車両用運転支援システム。
【請求項2】
前記加速度制御手段は、車両が発進した時からその車両が所定速度に到達するまでの期間内で車両の加速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の車両用運転支援システム。
【請求項3】
車両の操舵角を検出する操舵角検出手段と、
前記操舵角検出手段により検出される操舵角を前記所定角度未満に制御する操舵角制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用運転支援システム。
【請求項4】
車両の速度を検出する車速検出手段を備えており、
さらに、前記操舵角制御手段は、前記車速検出手段により検出された車両の速度に基づいて、車両の操舵角を制御することを特徴とする請求項3に記載の車両用運転支援システム。
【請求項5】
前記操舵角制御手段は、道路の曲率に基づいて車両の操舵角を制御することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の車両用運転支援システム。
【請求項6】
車両の減速度を検出する減速度検出手段と、
車両が停止すべき停止位置から所定距離だけ離れた位置までの区間内で、前記減速度検出手段により検出される減速度を第2判定値未満に制御する減速度制御手段と
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5の何れか1項に記載の車両用運転支援システム。
【請求項7】
前記減速度制御手段が車両の減速度を制御する際に、車両の乗員に対して報知を行う減速度制御報知手段を備えたことを特徴とする請求項6に記載の車両用運転支援システム。
【請求項8】
前記加速度制御手段が車両の加速度を制御する際に、車両の乗員に対して報知を行う加速度制御報知手段を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項7の何れか1項に記載の車両用運転支援システム。
【請求項9】
車両の周囲に存在する移動体を検出する移動体検出手段と、
車両が停止している状態で前記移動体検出手段により移動体が検出された場合に、その検出された移動体と車両とが衝突してしまう可能性があるか否かを判定する衝突判定手段と、
前記衝突判定手段により前記移動体と前記車両とが衝突してしまう可能性があると判定された場合に、車両の発進を禁止する発進禁止手段と
を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項8の何れか1項に記載の車両用運転支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図3】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−120133(P2008−120133A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303105(P2006−303105)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】