説明

電子装置およびその製造方法

【課題】 電力増幅モジュールやそれに用いる集積受動部品または半導体チップの低コスト化および高性能化を図る。
【解決手段】 集積受動部品5において、シード膜51、銅膜53およびニッケル膜54の積層膜からなる配線55により、RFパワーモジュールのローパスフィルタ回路を構成するインダクタ素子が形成される。ニッケル膜54は、銅膜53の全面上に形成され、表面保護膜としての絶縁膜61の開口部62から露出するニッケル膜54上に、金膜63およびバンプ電極64が形成されている。ニッケル膜54は、無電解Ni−Pめっき膜であり、リンを10重量%以上含有し、非磁性状態とされている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子装置およびその製造方法に関し、特に、電力増幅モジュールおよびそれに用いられる集積受動部品または半導体装置とその製造方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、GSM(Global System for Mobile Communications)方式、PCS(Personal Communication Systems)方式、PDC(Personal Digital Cellular)方式、CDMA(Code Division Multiple Access)方式といった通信方式に代表される移動体通信装置(いわゆる携帯電話)が世界的に普及している。
【0003】
一般に、この種の移動体通信装置は、電波の放射と受信をするアンテナ、電力変調された高周波信号を増幅してアンテナへ供給する高周波電力増幅器(RFパワーモジュール)、アンテナで受信した高周波信号を信号処理する受信部、これらの制御を行う制御部、そしてこれらに電源電圧を供給する電池(バッテリー)で構成される。
【0004】
特開2002−329808号公報には、アルミナ基板上にパターン形成されたCuメッキ膜と、このCuメッキ膜上に積層されたCr膜と、このCr膜の表面を覆う保護膜と、これらCr膜および保護膜を部分的に除去して露出する前記Cuメッキ膜上に積層されたNiメッキ膜と、このNiメッキ膜上に積層されたAu膜とを有し、前記Niメッキ膜と前記Au膜によってボンディング用パッドが構成されている電子回路基板に関する技術が記載されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−329808号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者の検討によれば、次のことが分かった。
【0006】
RFパワーモジュール(電力増幅モジュール)のような高周波電力増幅回路を有する電子装置の回路構成には、インダクタ素子が用いられているが、このインダクタ素子を個別のチップ部品により構成した場合、RFパワーモジュールが大型化してしまう。このため、インダクタ素子を集積受動部品または半導体チップ内に形成することで、個々のインダクタ素子を個別のチップ部品として使用する場合に比較して、RFパワーモジュールの小型化が可能になる。
【0007】
インダクタ素子を集積受動部品または半導体チップ内の銅配線により形成した場合、バンプ電極の形成やワイヤボンディングを可能とするために、パッド部で銅配線上に金めっき膜を形成する。しかしながら、金めっき膜は銅膜との接着性が低いため、金めっき膜を銅配線上に直接形成せずに、パッド部で銅配線上にニッケル膜を形成し、このニッケル膜上に金めっき膜を形成することが好ましい。これにより、銅配線と金めっき膜の接着性を向上して、信頼性を向上することができる。しかしながら、パッド部において銅配線上に部分的にニッケル膜を形成することは、製造工程数を増加させ、製造コストを増大させる。
【0008】
また、高周波信号は表皮効果によってニッケル膜層に集中し、インダクタ素子の抵抗値が増大し、Q値が低下する。RFパワーモジュールに用いられるインダクタ素子には、高いQ値が求められ、インダクタ素子のQ値が低いと、RFパワーモジュールの性能の低下、例えば電力付加効率の低下を招く恐れがある。
【0009】
本発明の目的は、電子装置の製造コストを低減できる技術を提供することにある。
【0010】
また、本発明の他の目的は、電子装置の性能を向上させることができる技術を提供することにある。
【0011】
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0013】
本発明は、インダクタ素子を形成する導体パターンを、銅を主成分とする第1導体膜と前記第1導体膜上に形成されたニッケルを主成分としリンを含有する第2導体膜とを有する積層膜により形成し、前記導体パターンの前記第2導体膜の一部上に、外部接続端子用の金を主成分とする第3導体膜を形成したものである。
【0014】
また、本発明は、電力増幅回路とインダクタ素子を含む電子装置であって、前記インダクタ素子を、銅を主成分とする第1導体膜と前記第1導体膜上に形成されたニッケルを主成分としリンを含有する第2導体膜とを有する積層膜からなる導体パターンにより形成し、前記インダクタ素子に電気的に接続された端子部が、前記導体パターンの前記第2導体膜の一部上に形成された金膜を有するものである。
【0015】
また、本発明は、電力増幅回路とインダクタ素子を含む電子装置の製造方法であって、(a)基板上にレジスト膜を形成する工程、(b)前記レジスト膜をパターニングする工程、(c)パターニングされた前記レジスト膜の開口部上に銅めっき膜を形成する工程、
(d)前記銅めっき膜上に無電解ニッケルめっき膜を形成する工程、(e)レジスト膜を除去する工程を有し、前記銅めっき膜と前記無電解ニッケルめっき膜とを有する積層膜により、前記インダクタ素子を形成し、前記(d)工程で用いられるニッケルめっき液がリンを含有するものである。
【発明の効果】
【0016】
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
【0017】
電子装置の製造コストを低減できる。
【0018】
また、電子装置の性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下の実施の形態においては便宜上その必要があるときは、複数のセクションまたは実施の形態に分割して説明するが、特に明示した場合を除き、それらはお互いに無関係なものではなく、一方は他方の一部または全部の変形例、詳細、補足説明等の関係にある。また、以下の実施の形態において、要素の数等(個数、数値、量、範囲等を含む)に言及する場合、特に明示した場合および原理的に明らかに特定の数に限定される場合等を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも良い。さらに、以下の実施の形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。同様に、以下の実施の形態において、構成要素等の形状、位置関係等に言及するときは、特に明示した場合および原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。このことは、上記数値および範囲についても同様である。
【0020】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。また、以下の実施の形態では、特に必要なとき以外は同一または同様な部分の説明を原則として繰り返さない。
【0021】
また、実施の形態で用いる図面においては、断面図であっても図面を見易くするためにハッチングを省略する場合もある。また、平面図や斜視図であっても図面を見易くするためにハッチングを付す場合もある。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態は、例えばGSM方式などのネットワークを利用して情報を伝送するデジタル携帯電話(移動体通信装置)に使用されるRF(Radio Frequency)パワーモジュールなどの電力増幅モジュールおよびそれに搭載される集積受動素子である。
【0023】
ここで、GSM(Global System for Mobile Communication)は、デジタル携帯電話に使用されている無線通信方式の1つまたは規格をいう。
GSMには、使用する電波の周波数帯が3つあり、900MHz帯(824〜915MHz)をGSM900または単にGSM、1800MHz帯(1710〜1910MHz)をGSM1800またはDCS(Digital Cellular System)1800若しくはPCN、1900MHz帯をGSM1900またはDCS1900若しくはPCS(Personal Communication Services)という。なお、GSM1900は主に北米で使用されている。北米ではその他に850MHz帯のGSM850を使用する場合もある。本実施の形態のRFパワーモジュール1は、例えばこれらの周波数帯(高周波帯)で使用されるRFパワーモジュール(高周波電力増幅装置、電力増幅モジュール、電力増幅器モジュール)である。
【0024】
図1は、本実施の形態のRFパワーモジュール(高周波電力増幅装置、電力増幅モジュール、電力増幅器モジュール、半導体装置、電子装置)1を構成する増幅回路の回路ブロック図を示している。この図には、例えばGSM900とDCS1800との2つの周波数帯が使用可能(デュアルバンド方式)で、それぞれの周波数帯でGMSK(Gaussian filtered Minimum Shift Keying)変調方式とEDGE(Enhanced Data GSM Environment)変調方式との2つの通信方式を使用可能なRFパワーモジュールの回路ブロック図(増幅回路)が示されている。なお、GMSK変調方式は、音声信号の通信に用いる方式で搬送波の位相を送信データに応じて位相シフトする方式である。また、EDGE変調方式は、データ通信に用いる方式でGMSK変調の位相シフトにさらに振幅シフトを加えた方式である。
【0025】
図1に示されるように、RFパワーモジュール1の回路構成は、3つの増幅段102A1,102A2,102A3からなるGSM900用の電力増幅回路(高周波電力増幅回路)102Aと、3つの増幅段102B1,102B2,102B3からなるDCS1800用の電力増幅回路(高周波電力増幅回路)102Bと、周辺回路103と、整合回路105A,105B,107A,107Bと、ローパスフィルタ(Low Pass Filter)108A,108Bとを有している。
【0026】
整合回路(入力整合回路)105Aは、GSM900用の入力端子104aと電力増幅回路102A(1段目の増幅段102A1)の間に設けられ、整合回路(入力整合回路)105Bは、DCS1800用の入力端子104bと電力増幅回路102B(1段目の増幅段102B1)の間に設けられている。整合回路(出力整合回路)107Aは、GSM900用の出力端子106aと電力増幅回路102A(3段目の増幅段102A3)の間に設けられ、整合回路(出力整合回路)107Bは、DCS1800用の出力端子106bと電力増幅回路102B(3段目の増幅段102B3)の間に設けられている。
【0027】
GSM900用のローパスフィルタ108Aは、整合回路107Aと出力端子106aの間に設けられ、電力増幅回路102Aの出力が整合回路107Aを経て入力されるようになっている。DCS1800用のローパスフィルタ108Bは、整合回路107Bと出力端子106bの間に設けられ、電力増幅回路102Bの出力が整合回路107Bを経て入力されるようになっている。
【0028】
また、GSM900用の電力増幅回路102Aの増幅段102A1と増幅段102A2の間には段間用の整合回路(段間整合回路)102AM1が設けられ、増幅段102A2と増幅段102A3の間には段間用の整合回路(段間整合回路)102AM2が設けられている。また、DCS1800用の電力増幅回路102Bの増幅段102B1と増幅段102B2の間には段間用の整合回路(段間整合回路)102BM1が設けられ、増幅段102B2と増幅段102B3の間には段間用の整合回路(段間整合回路)102BM2が設けられている。
【0029】
このうち、GSM900用の電力増幅回路102A(増幅段102A1〜102A3)と、DCS1800用の電力増幅回路102B(102B1〜102B3)と、周辺回路103とは、1つの半導体チップ(半導体増幅素子チップ、高周波用電力増幅素子チップ、半導体装置、電子装置)2内に形成されている。他の形態として、GSM900用の電力増幅回路102A、DCS1800用の電力増幅回路102Bおよび周辺回路103を、複数の半導体チップにより形成することもでき、例えば、増幅段102A1,102B1が形成された半導体チップと、増幅段102A2,102B2が形成された半導体チップと、増幅段102A3,102B3が形成された半導体チップとを個別に形成することもできる。
【0030】
周辺回路103は、電力増幅回路102A,102Bの増幅動作の制御や補佐などを行う回路であり、制御回路103Aと、上記増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3にバイアス電圧を印加するバイアス回路103Bなどを有している。制御回路103Aは、上記電力増幅回路102A,102Bに印加する所望の電圧を発生する回路であり、電源制御回路103A1およびバイアス電圧生成回路103A2を有している。電源制御回路103A1は、上記増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3の各々の出力用の増幅素子(例えばMISFET)のドレイン端子に印加される第1電源電圧を生成する回路である。また、上記バイアス電圧生成回路103A2は、上記バイアス回路103Bを制御するための第1制御電圧を生成する回路である。ここでは、電源制御回路103A1が外部のベースバンド回路から供給される出力レベル指定信号に基づいて上記第1電源電圧を生成すると、バイアス電圧生成回路103A2が電源制御回路103A1で生成された上記第1電源電圧に基づいて、上記第1制御電圧を生成するようになっている。上記ベースバンド回路は、上記出力レベル指定信号を生成する回路である。この出力レベル指定信号は、電力増幅回路102A、102Bの出力レベルを指定する信号で、携帯電話と基地局との間の距離、すなわち、電波の強弱に応じた出力レベルに基づいて生成されているようになっている。
【0031】
RFパワーモジュール1のGSM900用の入力端子104aに入力されたRF入力信号は、整合回路105Aを経て半導体チップ2に入力され、半導体チップ2内の電力増幅回路102A、すなわち3つの増幅段102A1〜102A3で増幅されて半導体チップ2から出力され、整合回路107Aおよびローパスフィルタ108Aを経てGSM900用の出力端子106aからRF出力信号として出力される。また、RFパワーモジュール1のDCS1800用の入力端子104bに入力されたRF入力信号は、整合回路105Bを経て半導体チップ2に入力され、半導体チップ2内の電力増幅回路102B、すなわち3つの増幅段102B1〜102B3で増幅されて半導体チップ2から出力され、整合回路107Bおよびローパスフィルタ108Bを経てDCS1800用の出力端子106bからRF出力信号として出力される。
【0032】
各整合回路はインピーダンスの整合を行う回路であり、ローパスフィルタ108A,108Bは高調波を減衰させる回路である。電力増幅回路102A,102Bで高調波(2倍波や3倍波)成分が発生するが、電力増幅回路102A,102Bと出力端子106a,106bとの間にローパスフィルタ108A,108Bを介在させることで、増幅されたRF信号に含まれる高調波成分をローパスフィルタ108A,108Bで減衰させ、出力端子106a,106bから出力されるRF出力信号に高調波成分が含まれないようにすることができる。
【0033】
GSM900用の出力端子106aとGSM900用の電力増幅回路102Aとの間のGSM900用のローパスフィルタ(バンドパスフィルタ)108Aは、824〜915MHzの周波数帯の信号は通過させ、その周波数の2倍帯(1648〜1830MHz)や3倍帯(2472〜2745MHz)をカット(減衰)して通過させないように機能することができる。また、DCS1800用の出力端子106bとDCS1800用の電力増幅回路102Bとの間のDCS1800用のローパスフィルタ(バンドパスフィルタ)108Bは、1710〜1910MHzの周波数帯の信号は通過させ、その周波数の2倍帯(3420〜3820MHz)や3倍帯(5130〜5730MHz)をカット(減衰)して通過させないように機能することができる。従って、ローパスフィルタ108A,108Bは、所定の周波数帯の信号は通過させ、他の周波数帯の信号を減衰させるバンドパスフィルタとして機能することができる。
【0034】
このように、本実施の形態のRFパワーモジュール1は2系統(すなわちGSM900用およびDCS1800用)の電力増幅回路102A,102Bを有し、2系統の電力増幅回路102A,102Bのそれぞれにローパスフィルタ回路が接続されており、2系統の電力増幅回路102A,102Bの送信周波数帯は、それぞれ0.9GHz帯と1.8GHz帯である。従って、RFパワーモジュール1は、電力増幅回路を有する半導体装置または電子装置である。
【0035】
図2は、ローパスフィルタ108A,108Bの回路構成例を示す回路図(等価回路図)である。各ローパスフィルタ108A,108Bは、インダクタ素子111a,111b,111cおよび容量素子112a,112b,112cにより構成される。
【0036】
図2に示されるように、1つの並列共振回路(LC並列共振回路、並列共振器)113と2つの直列共振回路(LC直列共振回路、直列共振器)114,115とによって、各ローパスフィルタ108A,108Bが構成されている。本実施の形態では、インダクタ素子と容量素子が並列接続されたものを並列共振回路(並列共振器)といい、インダクタ素子と容量素子が直列接続されたものを直列共振回路(直列共振器)という。電力増幅回路102A,102Bで増幅されたRF信号は、整合回路107A,107Bを経てローパスフィルタ108A,108Bの入力端子116に入力され、高調波成分を減衰してローパスフィルタ108A,108Bの出力端子117から出力される。
【0037】
並列共振回路113は、ローパスフィルタの入力端子116と出力端子117の間に並列に接続されたインダクタ素子111aと容量素子112aとによって形成されている。直列共振回路114は、ローパスフィルタの入力端子116とグランド端子118の間に直列に接続されたインダクタ素子111bと容量素子112bとによって形成されている。直列共振回路115は、ローパスフィルタの出力端子117とグランド端子119の間に直列に接続されたインダクタ素子111cと容量素子112cとによって形成されている。従って、入力端子116と出力端子117の間にインダクタ素子111aと容量素子112aが並列に接続され、入力端子116とグランド端子118の間にインダクタ素子111bと容量素子112bが直列に接続され、出力端子117とグランド端子119の間にインダクタ素子111cと容量素子112cが直列に接続されて、各ローパスフィルタ108A,108Bが形成されている。
【0038】
なお、ローパスフィルタ108Aとローパスフィルタ108Bとは同様の回路構成を有しているが、インダクタ素子111a,111b,111cのインダクタンス値と容量素子112a,112b,112cの容量値は、ローパスフィルタ108Aとローパスフィルタ108Bとでは異なっている。各ローパスフィルタで通過させる周波数帯、減衰させる周波数帯および減衰率などを考慮して、ローパスフィルタ108Aのインダクタ素子111a,111b,111cのインダクタンス値および容量素子112a,112b,112cの容量値と、ローパスフィルタ108Bのインダクタ素子111a,111b,111cのインダクタンス値および容量素子112a,112b,112cの容量値とを独立に設計することができる。
【0039】
本実施の形態では、ローパスフィルタ108A,108Bは集積受動素子(IPD:Integrated Passive Device、後述する集積受動部品5に対応)からなり、集積受動素子内に、上記インダクタ素子111a,111b,111cおよび容量素子112a,112b,112cが形成されて、ローパスフィルタ108Aまたはローパスフィルタ108Bが形成される。
【0040】
次に、図3は、本実施の形態のRFパワーモジュール1を用いたデジタル携帯電話機システムDPSの一例を示している。図3の符号ANTは信号電波の送受信用のアンテナ、符号151はフロントエンド・モジュール、符号152は音声信号をベースバンド信号に変換したり、受信信号を音声信号に変換したり、変調方式切換信号やバンド切換信号を生成したりするベースバンド回路である。図3の符号153は受信信号をダウンコンバートして復調しベースバンド信号を生成したり送信信号を変調したりする変復調用回路、符号FLT1,FLT2は受信信号からノイズや妨害波を除去するフィルタである。フィルタFLT1はGSM用、フィルタFLT2はDCS用である。ベースバンド回路152は、DSP(Digital Signal Processor)やマイクロプロセッサ、半導体メモリ等の複数の半導体集積回路で構成されている。フロントエンド・モジュール151は、スイッチ回路154a,154b、コンデンサC5,C6および分波器156を有している。スイッチ回路154a,154bは送受信切り換え用のスイッチ回路、コンデンサC5,C6は受信信号から直流成分をカットする素子、分波器156は、GSM900帯の信号と、DCS1800帯の信号とを分波する回路であり、これら回路および素子は1つの配線基板上に搭載されてモジュールとされている。なお、スイッチ回路154a,154bの切換信号CNT1,CNT2は上記ベースバンド回路152から供給される。
【0041】
図4は、本実施の形態のRFパワーモジュール1の構造を示す概念的な上面図(平面図)であり、図5は本実施の形態のRFパワーモジュール1の概念的な断面図である。図4は封止樹脂6を透視した状態が示されている。また、図5は断面図(側面断面図)に対応するが、RFパワーモジュール1の概念的な構造が示されており、図4の構造を所定の位置で切断した断面とは完全には一致していない。
【0042】
図4および図5に示される本実施の形態のRFパワーモジュール1は、配線基板3と、配線基板3上に搭載(実装)された半導体チップ(半導体素子、能動素子)2と、配線基板3上に搭載された受動部品4と、配線基板3上に搭載された集積受動部品(集積受動素子、IPD、電子装置)5と、半導体チップ2、受動部品4および集積受動部品5を含む配線基板3の上面を覆う封止樹脂(封止部、封止樹脂部)6とを有している。半導体チップ2、受動部品4および集積受動部品5は、配線基板3の導体層(伝送線路)に電気的に接続されている。また、RFパワーモジュール1は、例えば図示しない外部回路基板またはマザーボードなどに実装することもできる。
【0043】
配線基板(多層基板、多層配線基板、モジュール基板)3は、例えば、複数の絶縁体層(誘電体層)11と、複数の導体層または配線層(図示せず)とを積層して一体化した多層基板(多層配線基板)である。図5では、4つの絶縁体層11が積層されて配線基板3が形成されているが、積層される絶縁体層11の数はこれに限定されるものではなく種々変更可能である。配線基板3の絶縁体層11を形成する材料としては、例えばアルミナ(酸化アルミニウム、Al)などのようなセラミック材料を用いることができる。この場合、配線基板3はセラミック多層基板である。配線基板3の絶縁体層11の材料は、セラミック材料に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えばガラスエポキシ樹脂などを用いても良い。
【0044】
配線基板3の上面(表面、主面)3a上と下面(裏面、主面)3b上と絶縁体層11間とには、配線形成用の導体層(配線層、配線パターン、導体パターン)が形成されている。配線基板3の最上層の導体層によって、配線基板3の上面3aに導電体からなる基板側端子(端子、電極、伝送線路、配線パターン)12aが形成され、配線基板3の最下層の導体層によって、配線基板3の下面3bに導電体からなる外部接続端子(端子、電極、モジュール電極)12bが形成されている。外部接続端子12bは、例えば、図1における入力端子104a,104b、出力端子106a,106bなどに対応するものである。配線基板3の内部、すなわち絶縁体層11の間にも導体層(配線層、配線パターン、導体パターン)が形成されているが、図5では簡略化のために図示を省略している。また、配線基板3の導体層により形成される配線パターンのうち、基準電位供給用の配線パターン(例えば配線基板3の下面3bの基準電位供給用端子12cなど)は、絶縁体層11の配線形成面の大半の領域を覆うような矩形パターンで形成し、伝送線路用の配線パターンは帯状のパターンで形成することができる。
【0045】
配線基板3を構成する各導体層(配線層)は、必要に応じて絶縁体層11に形成されたビアホール(スルーホール)13内の導体または導体膜を通じて電気的に接続されている。従って、配線基板3の上面3aの基板側端子12aは、必要に応じて配線基板3の上面3aおよび/または内部の配線層(絶縁体層11間の配線層)やビアホール13内の導体膜などを介して結線され、配線基板3の下面3bの外部接続端子12bまたは基準電位供給用端子12cに電気的に接続されている。なお、ビアホール13のうち、半導体チップ2の下方に設けられたビアホール13aは、半導体チップ2で生じた熱を配線基板3の下面3b側に伝導させるためのサーマルビアとして機能することもできる。
【0046】
半導体チップ2は、図1の回路ブロック図において半導体チップ2を示す点線で囲まれた回路構成に対応する半導体集積回路が形成された半導体チップ2である。従って、半導体チップ2内(または表層部分)には、電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成する半導体増幅素子(例えばMISFET(Metal Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)、ヘテロ接合バイポーラトランジスタまたはHEMT(High Electron Mobility Transistor)など)、周辺回路103を構成する半導体素子および整合回路(段間整合回路)102AM1,102AM2,102BM1,102BM1を構成する受動素子などが形成されている。半導体チップ2は、例えば、単結晶シリコンなどからなる半導体基板(半導体ウエハ)に半導体集積回路を形成した後、必要に応じて半導体基板の裏面研削を行ってから、ダイシングなどにより半導体基板を各半導体チップ2に分離したものである。
【0047】
図6は、一例として、上記電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成する半導体増幅素子をLDMOSFET(Laterally Diffused Metal-Oxide-Semiconductor Field Effect Transistor、横方向拡散MOSFET)により形成した場合の半導体チップ2の要部断面図である。
【0048】
図6に示されるように、p型単結晶シリコンからなる半導体基板201の主面には、p型単結晶シリコンからなるエピタキシャル層202が形成され、エピタキシャル層202の主面の一部には、LDMOSFETのドレインからソースへの空乏層の延びを抑えるパンチスルーストッパとしての機能するp型ウエル206が形成されている。p型ウエル206の表面には、酸化シリコンなどからなるゲート絶縁膜207を介してLDMOSFETのゲート電極208が形成されている。ゲート電極208は、例えばn型の多結晶シリコン膜あるいはn型の多結晶シリコン膜と金属シリサイド膜の積層膜などからなり、ゲート電極208の側壁には、酸化シリコンなどからなるサイドウォールスペーサ211が形成されている。
【0049】
エピタキシャル層202の内部のチャネル形成領域を挟んで互いに離間する領域には、LDMOSFETのソース、ドレインが形成されている。ドレインは、チャネル形成領域に接するn型オフセットドレイン領域209と、n型オフセットドレイン領域209に接し、チャネル形成領域から離間して形成されたn型オフセットドレイン領域212と、n型オフセットドレイン領域212に接し、チャネル形成領域からさらに離間して形成されたn型ドレイン領域213とからなる。これらn型オフセットドレイン領域209、n型オフセットドレイン領域212およびn型ドレイン領域213のうち、ゲート電極208に最も近いn型オフセットドレイン領域209は不純物濃度が最も低く、ゲート電極208から最も離間したn型ドレイン領域213は不純物濃度が最も高い。
【0050】
LDMOSFETのソースは、チャネル形成領域に接するn型ソース領域210と、n型ソース領域210に接し、チャネル形成領域から離間して形成され、n型ソース領域210よりも不純物濃度が高いn型ソース領域214とからなる。n型ソース領域210の下部には、p型ハロー領域(図示せず)を形成することもできる。
【0051】
型ソース領域214の端部(n型ソース領域210と接する側と反対側の端部)には、n型ソース領域214と接するp型打抜き層204が形成されている。p型打抜き層204の表面近傍には、p型半導体領域215が形成されている。p型打抜き層204は、LDMOSFETのソースと半導体基板201とを電気的に接続するための導電層であり、例えばエピタキシャル層202に形成した溝203の内部に埋め込んだp型多結晶シリコン膜によって形成される。
【0052】
LDMOSFETのp型打抜き層204(p型半導体領域215)、ソース(n型ソース領域214)およびドレイン(n型ドレイン領域213)のそれぞれの上部には、絶縁膜221に形成されたコンタクトホール222内のプラグ223が接続されている。p型打抜き層204(p型半導体領域215)およびソース(n型ソース領域214)には、プラグ223を介してソース電極224a(配線224)が接続され、ドレイン(n型ドレイン領域213)には、プラグ223を介してドレイン電極224b(配線224)が接続されている。
【0053】
ソース電極224aおよびドレイン電極224bのそれぞれには、ソース電極224aおよびドレイン電極224bを覆う絶縁膜225に形成されたスルーホール226内のプラグ226を介して配線228が接続されている。配線228の上部には、酸化シリコン膜と窒化シリコン膜の積層膜からなる表面保護膜229が形成されている。また、半導体基板201の裏面には裏面電極(ソース裏面電極)230が形成されている。
【0054】
図7は、他の一例として、上記電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成する半導体増幅素子をヘテロ接合型バイポーラトランジスタ(HBT:Heterojunction Bipolar Transistor)により形成した場合の半導体チップ2の要部断面図である。
【0055】
図7に示されるように、半絶縁性のGaAs基板(半導体基板)251上にn型GaAs層よりなるサブコレクタ層252が形成され、サブコレクタ層252上にHBT253が形成されている。
【0056】
各HBT253は、サブコレクタ層252上に形成された金などからなるコレクタ電極254と、このコレクタ電極254とは所定間隔だけ離間して形成されたコレクタメサ255を有している。コレクタメサ255は、例えばn型GaAs層より形成され、コレクタメサ255とコレクタ電極254はサブコレクタ層252を介して電気的に接続されている。
【0057】
コレクタメサ255上には、例えばp型GaAs層よりなるベースメサ256が形成されている。ベースメサ256上の周辺領域には金等よりなるベース電極257が形成されている。ベースメサ256の略中央部上にエミッタ層258が形成され、エミッタ層258上にエミッタ電極259が形成されている。エミッタ層258は、例えばn型InGaP層、GaAs層およびInGaAs層を積層した層より形成され、エミッタ電極259は、例えばタングステンシリサイドから形成されている。このように、ベースメサ(p型GaAs層)256とエミッタ層(n型InGaP層)258との間には異種半導体接合(ヘテロ接合)が形成されている。
【0058】
コレクタ電極254には、絶縁膜261に形成されたコンタクトホール262を介してコレクタ配線263が接続されている。エミッタ電極259には、絶縁膜264,261に形成されたスルーホール265を介してエミッタ配線266が接続されている。エミッタ配線266よりも上層の構造については、ここでは図示およびその説明を省略する。
【0059】
図4および図5に示されるように、半導体チップ2は配線基板3の上面3aの導体層14に、例えば半田15などの接合材によりフェイスアップでダイボンディングされている。半導体チップ2のダイボンディングには、半田15の代わりに銀ペーストなどを用いることもできる。半導体チップ2の表面(上面)に形成された複数の電極(ボンディングパッド)2aは、それぞれ、ボンディングワイヤ(導電性ワイヤ)8を介して配線基板3の上面3aの基板側端子12aに電気的に接続されている。また、半導体チップ2の裏面には裏面電極2bが形成されており、この半導体チップ2の裏面電極2bは、配線基板3の上面3aの導体層14に半田15などの接合材により接続(接合)され、更にビアホール13内の導体膜などを介して、配線基板3の下面3bの基準電位供給用端子12cに電気的に接続されている。
【0060】
受動部品(受動素子、チップ部品)4は、抵抗素子(例えばチップ抵抗)、容量素子(例えばチップコンデンサ)またはインダクタ素子(例えばチップインダクタ)などの受動素子からなり、例えばチップ部品からなる。受動部品4は、例えば整合回路(入力整合回路)105A,105Bや整合回路(出力整合回路)107A,107Bなどを構成する受動部品である。受動部品4は、配線基板3の上面3aの基板側端子12aに半田17などの導電性の良い接合材により実装されている。
【0061】
集積受動部品5は、上記ローパスフィルタ108A,108Bを構成する集積受動素子(IPD:Integrated Passive Device)であり、集積受動部品5内に、上記インダクタ素子111a,111b,111cおよび容量素子112a,112b,112cが形成されている。本実施の形態では、集積受動素子(集積受動部品、IPD)とは、基板上に複数の受動素子が形成され、能動素子は形成されていないものをいう。基板上の導電体層および/または絶縁体層により複数の受動素子が形成されて集積受動素子が形成される。集積受動素子を構成する基板としては、主としてシリコン単結晶などからなる半導体基板が用いられるが、他の形態としてGaAs(ガリウムヒ素)基板や、サファイア基板またはガラス基板などの絶縁性の基板などを用いることもできる。また、集積受動部品(集積受動素子)は、電子装置の一種であり、電子装置とみなすこともできる。
【0062】
集積受動部品5の表面(受動素子形成側の主面、上面)5aには、複数のバンプ電極(突起状電極)18(後述するバンプ電極64に対応)が形成されている。バンプ電極18は、例えば半田バンプなどである。バンプ電極18として金バンプなどを用いることもできる。バンプ電極18は、集積受動部品5内に形成された受動素子(インダクタ素子111a,111b,111cおよび容量素子112a,112b,112c)に電気的に接続されている。
【0063】
集積受動部品5は、配線基板3の上面3aにフリップチップ接続されている。すなわち、集積受動部品5は、その裏面(受動素子形成側の主面とは逆側の主面、下面)5bが上方を向き、その表面(受動素子形成側の主面)5aが配線基板3の上面3aに対向する向きで、配線基板3の上面3aに搭載(実装)されている。集積受動部品5の表面5aの複数のバンプ電極18は、それぞれ、配線基板3の上面3aの基板側端子12aに接合され、電気的に接続されている。このため、集積受動部品5に形成された複数の受動素子(インダクタ素子111a,111b,111cおよび容量素子112a,112b,112c)またはそれら複数の受動素子によって形成されるローパスフィルタ回路は、バンプ電極18を介して配線基板3の上面3aの基板側端子12aに電気的に接続される。集積受動部品5と配線基板3の上面3aとの間には、アンダーフィル樹脂19が充填されている。アンダーフィル樹脂19は、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの樹脂材料からなり、フィラーなどを含有することもできる。
【0064】
本実施の形態では、半導体基板上に複数の受動素子(インダクタ素子111a,111b,111cおよび容量素子112a,112b,112c)を形成した集積受動部品5を配線基板3上に実装してRFパワーモジュール1を形成している。このため、個々の受動素子(インダクタ素子111a,111b,111cおよび容量素子112a,112b,112c)を個別のチップ部品として配線基板3上に実装した場合に比較して、RFパワーモジュール1の小型化が可能になる。
【0065】
封止樹脂6は、半導体チップ2、受動部品4、集積受動部品5およびボンディングワイヤ8を覆うように配線基板3上に形成されている。封止樹脂6は、例えばエポキシ樹脂またはシリコーン樹脂などの樹脂材料からなり、フィラーなどを含有することもできる。
【0066】
次に、本実施の形態で用いられる集積受動部品5について、より詳細に説明する。まず、本実施の形態の集積受動部品5の製造工程の一例を図面を参照して説明する。
【0067】
図8〜図17は、本実施の形態の集積受動部品5の製造工程中の要部断面図である。本実施の形態の集積受動部品5は、例えば次のようにして製造することができる。
【0068】
まず、図8に示されるように、例えばシリコン単結晶などからなる半導体基板(半導体ウエハ)31(以下基板31という)を準備する。基板31としてシリコン単結晶などからなる半導体基板を用いれば、後述するように、例えばウエハプロセスを経てウエハに形成された複数のIPDチップに対して、ウエハの状態のまま一括してパッケージ・プロセスを施す、いわゆるウエハプロセスパッケージ(Wafer Process Package;以下、WPPと略す)技術により集積受動部品5を製造するのが容易である。他の形態として、GaAs(ガリウムヒ素)基板や、サファイア基板またはガラス基板などの絶縁性の基板などを基板31に用いることも可能である。
【0069】
次に、例えば熱酸化法またはCVD(Chemical Vapor Deposition)などを用いて、基板31の表面に酸化シリコンなどからなる絶縁膜32を形成する。なお、基板31として絶縁性の基板(例えばガラス基板)を用いた場合などは、絶縁膜32の形成を省略することもできる。
【0070】
次に、絶縁膜32上に、例えばアルミニウム(Al)膜またはアルミニウム(Al)合金膜を主体とする導電体膜(導電体層)を形成し、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてこの導電体膜をパターニングすることで、パターニングされた導電体膜(導電体層、アルミニウム合金膜)からなる配線(第1層配線)33を形成する。後述するように、この配線33により、MIM(Metal Insulator Metal)型の容量素子(MIMキャパシタ)34の下部電極34aが形成される。
【0071】
次に、図9に示されるように、基板31(絶縁膜32)上に配線33を覆うように絶縁膜(層間絶縁膜)35を形成する。絶縁膜35は、層間絶縁膜として機能し、例えば酸化シリコン膜などからなる。
【0072】
次に、フォトリソグラフィ法を用いて絶縁膜35上に形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして絶縁膜35をドライエッチングすることにより、絶縁膜35に開口部(スルーホール)36を形成する。開口部36の底部では配線33(下部電極34a)が露出され、この開口部36から露出された部分の配線33が容量素子34の下部電極34aとなる。
【0073】
次に、図10に示されるように、開口部36の底部および側壁上を含む絶縁膜35上に、キャパシタの容量絶縁膜としての絶縁膜37(例えば窒化シリコン膜など)を形成し、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてこの絶縁膜37をパターニングする。パターニングされた絶縁膜37が開口部36の底部の下部電極34a(配線33)上に残存し、MIM型の容量素子34の容量絶縁膜34bとなる。
【0074】
次に、図11に示されるように、フォトリソグラフィ法を用いて形成したフォトレジストパターン(図示せず)をエッチングマスクとして絶縁膜35をドライエッチングすることにより、絶縁膜35に開口部(スルーホール)38を形成する。開口部38の底部では配線33が露出される。
【0075】
次に、基板31(絶縁膜35)上に、開口部36,38内を埋めるように、例えばアルミニウム(Al)膜またはアルミニウム(Al)合金膜を主体とする導電体膜(導電体層)を形成し、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてこの導電体膜をパターニングすることで、パターニングされた導電体膜(導電体層、アルミニウム合金膜)により配線(第2層配線)41を形成する。配線41は開口部38の底部で配線33に電気的に接続される。キャパシタ形成領域では、配線33からなる下部電極34a上に容量絶縁膜34b(絶縁膜37)を介して形成された配線41により、MIM型の容量素子34の上部電極34cが形成される。従って、下部電極34a(配線33)、容量絶縁膜34b(絶縁膜37)および上部電極34c(配線41)により、上記容量素子112a,112b,112cを構成するMIM(Metal Insulator Metal)型の容量素子(MIMキャパシタ)34が形成される。
【0076】
次に、図12に示されるように、基板31(絶縁膜35)上に配線41を覆うように、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜またはこれらの積層膜などからなる相対的に薄い絶縁膜43aを形成してから、絶縁膜43a上に相対的に厚い表面保護膜としての絶縁膜(保護膜、保護樹脂膜)43を形成する。絶縁膜43は、例えば、ポリイミド樹脂(樹脂材料)などの樹脂材料膜により形成することができる。それから、絶縁膜43,43aの一部を選択的に除去して開口部44を形成し、開口部44の底部で配線41の一部を露出して配線41からなるパッド部(パッド電極)45を形成する。
【0077】
このように、図8〜図12のようにして、基板31に対してウエハ・プロセスを施す。ここでウエハ・プロセスは、前工程とも呼ばれ、一般的に、半導体ウエハ(基板31)の主面上に種々の素子(ここでは受動素子)や配線層(およびパッド電極)を形成し、表面保護膜を形成した後、半導体ウエハに形成された複数のチップ領域(各チップ領域からIPDが形成される)の各々の電気的試験をプローブ等により行える状態にするまでの工程を言う。なお、上記絶縁膜43は、ウエハ・プロセスを施した半導体ウエハにおいては、最上層となる。
【0078】
上記のようなウエハ・プロセス(前処理)工程によって図12の構造が得られた後、図13に示されるように、基板31(の受動素子を形成した側の主面)上にシード膜51を形成する。シード膜51は、例えばクロム(Cr)膜またはクロム膜と銅(Cu)膜の積層膜などからなり、例えばスパッタリング法によって形成することができる。これにより、開口部44の底部で露出するパッド部45(配線41)上と開口部44の側壁上とを含む絶縁膜43上にシード膜51が形成される。シード膜51の膜厚は、例えばクロム(Cr)75nm、銅(Cu)250nm程度とすることができる。
【0079】
次に、シード膜51上にレジスト膜(フォトレジスト膜)を形成し、それから、フォトリソグラフィ法を用いてこのレジスト膜をパターニングすることで、パターニングされたレジスト膜からなるレジストパターン(フォトレジストパターン)52をシード膜51上に形成する。このレジストパターン52は、後述する配線55を形成すべき領域以外の領域に形成され、配線55を形成すべき領域では、シード膜51が露出する。すなわち、レジストパターン52は、配線55形成予定領域に開口部52aを有している。なお、シード膜51は、銅の拡散防止機能や、ポリイミド樹脂(絶縁膜43)と後述する配線55との接着性を向上させる機能などを有しており、クロム(Cr)に限定されるものではなく種々変更可能であり、例えばチタン、チタンタングステン、窒化チタンまたはタングステンなどを用いることもできる。
【0080】
次に、図14に示されるように、レジストパターン52の開口部52aから露出するシード膜51上に銅(Cu)膜53(第1導体膜)を形成し、銅膜53上にニッケル(Ni)膜54(第2導体膜)を形成する。銅膜53およびニッケル膜54は、それぞれめっき法により形成することができる。これにより、銅膜53と銅膜53上のニッケル膜54との積層膜が、レジストパターン52によって覆われていない領域のシード膜51上に形成され、ニッケル膜54は銅膜53の全面上に形成される。銅膜53の膜厚は、例えば4〜8μm程度、ニッケル膜54の膜厚は、例えば2〜3μm程度とすることができる。
【0081】
ニッケル膜54は、無電解めっきにより形成することが好ましい。従って、ニッケル膜54は、無電解ニッケルめっき膜である。また、ニッケル膜54はニッケル(Ni)を主成分とする導体膜(第2導体膜)であるが、本実施の形態では、詳細は後述するが、ニッケル膜54はリン(P)を含有している。従って、ニッケル膜54は、無電解Ni−Pめっき膜(無電解ニッケル−リン合金めっき膜)である。ニッケル膜54のリン(P)の含有率は、10重量%(wt.%)以上であれば好ましく、10重量%以上で14重量%以下(10〜14重量%)であればより好ましく、12重量%以上で13重量%以下(12〜13重量%)であれば更に好ましい。ニッケル膜54の形成工程(めっき工程)で使用するめっき液(ニッケルめっき液)中にリン(P)を含有させることで、形成されたニッケル膜54にリン(P)を含有させることができる。また、ニッケル膜54中のリン(P)の含有率は、ニッケル膜54のめっき工程で使用するめっき液(ニッケルめっき液)中のリン(P)の含有率などを調整することなどにより、制御することができる。また、銅膜53は、銅を主成分とする導体膜(銅めっき膜)であり、必要に応じて種々の添加物などを含有することもできる。
【0082】
次に、図15に示されるように、レジストパターン52を除去し、それから軽いエッチングを行うことで、シード膜51のうち、銅膜53およびニッケル膜54で覆われていない部分(すなわち除去前のレジストパターン52によって覆われていた部分)を除去する。
【0083】
このようにして、シード膜51、銅膜53およびニッケル膜54の積層膜からなる配線(再配置配線層、再配線、導体パターン)55が形成される。配線55は、基板31上の絶縁膜43上に形成された導体パターンであり、シード膜51と、シード膜51上の銅膜53と、銅膜53上のニッケル膜54との積層膜(すなわち銅膜53と銅膜53上に形成されたニッケル膜54とを有する積層膜)からなる。
【0084】
配線55は、絶縁膜43,43aの開口部44の底部で配線41(パッド部45)に電気的に接続される。この配線55(導体パターン)を絶縁膜43上に渦巻状のパターン(スパイラルパターン)に形成することにより、上記インダクタ素子111a,111b,111cを構成するスパイラルインダクタ(スパイラルコイル)が形成される。配線55の厚み(膜厚)は、ウエハ・プロセス(前処理)工程で形成される配線33の厚み(膜厚)および配線41の厚み(膜厚)よりも相対的に厚い。配線33,41,55は導電体材料からなるが、配線55の材料は、ウエハ・プロセス(前処理)工程で形成される配線33,41の材料とは異なっており、上記のように配線55は主として銅膜53およびニッケル膜54の積層膜からなり、配線33,41は主としてアルミニウム膜またはアルミニウム合金膜からなる。
【0085】
また、上記のように配線41上には、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜またはこれらの積層膜などからなる絶縁膜43aと、例えばポリイミド樹脂などの樹脂材料膜からなる絶縁膜43とが形成されており、この樹脂材料膜からなる絶縁膜43上に配線55が形成される。従って、基板31上に形成された配線33と、配線33よりも上層の配線41と、配線33および配線41間の絶縁膜37(容量絶縁膜34b)とにより容量素子34が形成される。そして、配線41上には絶縁膜43a,43からなる層間絶縁膜が形成され、この層間絶縁膜(絶縁膜43a,43a)上に形成された配線(導体パターン)55によりインダクタ素子111a,111b,111cを構成するスパイラルインダクタが形成される。
【0086】
次に、図16に示されるように、基板31(絶縁膜43)上に、配線55を覆うように、表面保護膜として例えばポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂などの樹脂材料からなる絶縁膜(保護膜、保護樹脂膜)61を形成する。これにより、配線55が表面保護膜としての絶縁膜61により被覆される。最上層の絶縁膜61をポリイミド樹脂などのような有機系絶縁膜とすることで、比較的軟らかい有機系絶縁膜を最上層としてチップ(集積受動部品)の取り扱いを容易にすることができる。それから、絶縁膜61に、配線55の一部を露出する開口部62を形成する。開口部62の底部では、配線55の最上層であるニッケル膜54が露出する。
【0087】
次に、図17に示されるように、例えばめっき法などを用いて、開口部62で露出する配線55(の最上層のニッケル膜54)上に、端子表面膜(バンプ下地金属層、UBM(Under Bump Metal)膜)としての金(Au)膜63を形成する。金膜63の膜厚は、例えば80nm程度とすることができる。金膜63は、金(Au)を主成分とする導体膜(第3導体膜)であり、配線55のニッケル膜54の一部(すなわち開口部62から露出する部分)上に形成される。
【0088】
次に、開口部62で露出する配線55上の金膜63上にバンプ電極(半田バンプ)64を形成する。バンプ電極64は、上記バンプ電極18に対応し、また、後述するバンプ電極64a,64b,64c,64dに対応する。バンプ電極64は、例えば半田バンプなどからなり、例えば、印刷法などにより半田ペーストを印刷した後、熱処理を施すことにより、バンプ電極64を形成することができる。バンプ電極64の高さ(厚み)は、例えば60μm程度とすることができる。
【0089】
バンプ電極64(すなわち上記バンプ電極18)は、集積受動部品5の端子(外部接続端子)であり、上記ローパスフィルタ108A,108Bの入力端子116、出力端子117またはグランド端子118,119に対応する。バンプ電極64は、配線55上に金膜63を介して形成されるので、金膜63は、外部接続端子用(外部接続端子形成用)の導体膜である。すなわち、集積受動部品5のインダクタ素子111a,111b,111cに電気的に接続された端子部(外部接続用端子部)は、配線55のニッケル膜54の一部(すなわち開口部62から露出する部分)上に形成された金膜63と金膜63上のバンプ電極64とを有している。
【0090】
次に、必要に応じて基板31の裏面を研削した後、基板31をダイシング(切断)する。ダイシングにより半導体ウエハとしての基板31は、個々のチップ領域に分離され、個片化された集積受動部品5となる。
【0091】
このようにして、本実施の形態の集積受動部品5が用意(製造)される。従って、集積受動部品5は、上記のようにウエハ・プロセスを経てウエハに形成された複数の集積受動部品チップに対して、ウエハの状態のまま一括してパッケージ・プロセスを施した、いわゆるウエハプロセスパッケージ(Wafer Process Package:WPP)である。
【0092】
図18および図19は、本実施の形態の集積受動部品5の構造を示す平面図(上面図)でありる。図18は、各種絶縁膜を透視(図示を省略)し、配線33,41,55、開口部38,44およびバンプ電極64のレイアウトが示されている。なお、図18では、図面を見やすくするために、配線41を点線で示し、配線33,55、開口部38,44およびバンプ電極64を実線で示してある。図19は、図18と同じ領域の平面図であるが、図面を見やすくするために、配線55およびバンプ電極64をハッチングを付して示したものであり、配線55およびバンプ電極64以外の構成要素は図示を省略している。また、上記図17の断面図は集積受動部品5の概念的な断面構造が示されており、図18および図19の構造を所定の位置で切断した断面とは完全には一致していない。
【0093】
本実施の形態の集積受動部品5は、上記のように、RFパワーモジュール1のローパスフィルタ108A,108Bを構成している。配線基板3上には、2つの集積受動部品5が搭載され、一方の集積受動部品5がGSM900用のローパスフィルタ108Aを構成し、他方の集積受動部品5がDCS1800用のローパスフィルタ108Bを構成している。
【0094】
ローパスフィルタ108Aまたはローパスフィルタ108Bとして機能する集積受動部品5には、3つのインダクタ素子111a,111b,111cと3つの容量素子112a,112b,112cとが形成されている。このうち、容量素子112a,112b,112cは、配線33からなる下部電極34a、絶縁膜37からなる容量絶縁膜34bおよび配線41からなる上部電極34cにより形成されたMIM型の容量素子(34)である。インダクタ素子111a,111b,111cは、配線55(導体パターン)により形成されている。インダクタ素子111aと容量素子112aとの間、インダクタ素子111bと容量素子112bとの間、およびインダクタ素子111cと容量素子112cとの間は、配線33、配線41および/または配線55によって電気的に接続されている。
【0095】
図18および図19に示されるように、インダクタ素子(スパイラルインダクタ)111a,111b,111cは、配線55の渦巻状のパターン(スパイラルパターン)により形成されており、本実施の形態のインダクタ素子111a,111b,111cはスパイラルインダクタ(spiral inductor)素子である。なお、本実施の形態では、渦巻(スパイラル)状の導体パターン(導体層パターン、配線パターン)により形成されたインダクタ素子をスパイラルインダクタという。インダクタ素子111a,111b,111cは、それぞれ、同じ導電体層(すなわち配線55)の渦巻状のパターンにより形成されたスパイラルインダクタ素子である。また、図18および図19では、外形(渦巻状パターンの外形)が四角形状である方形スパイラルインダクタ(square spiral inductor)としてインダクタ素子111a,111b,111cを形成しているが、他の形態として、外形が円形状である円形スパイラルインダクタ(circular spiral inductor)としてインダクタ素子111a,111b,111cを形成することもできる。
【0096】
集積受動部品5は、複数のバンプ電極64を有しており、ここでは4つのバンプ電極64、すなわちバンプ電極64a,64b,64c,64dが形成されている。インダクタ素子111a,111b,111cのうち、並列共振回路113を形成するためのインダクタ素子111aは、その一端がローパスフィルタの入力端子116に対応するバンプ電極64aに電気的に接続され、他端がローパスフィルタの出力端子117に対応するバンプ電極64bに電気的に接続されている。また、インダクタ素子111aと容量素子112aとは並列接続されているので、インダクタ素子111aの一端は容量素子112aを構成する容量素子34の上部電極34cまたは下部電極34aの一方に電気的に接続され、インダクタ素子112aの他端は上部電極34cまたは下部電極34aの他方に電気的に接続されている。インダクタ素子111a,111b,111cのうち、直列共振回路114を形成するためのインダクタ素子111bは、その一端がグランド端子118に対応するバンプ電極64cに電気的に接続され、他端は直列共振回路114を形成するための容量素子112bを構成する容量素子34の上部電極34cまたは下部電極34aの一方に電気的に接続されている。インダクタ素子111a,111b,111cのうち、直列共振回路115を形成するためのインダクタ素子111cは、その一端がグランド端子119に対応するバンプ電極64dに電気的に接続され、他端は直列共振回路115を形成するための容量素子112cを構成する容量素子34の上部電極34cまたは下部電極34aの一方に電気的に接続されている。
【0097】
集積受動部品5を配線基板3に実装した図5に示されるようなRFパワーモジュール1では、集積受動部品5のバンプ電極64a,64b,64c,64d(バンプ電極18に対応)は、配線基板3の基板側端子12aに電気的に接続される。バンプ電極64a,64b,64c,64dのうち、グランド用のバンプ電極64c,64dは、配線基板3のグランド用の(接地電位または固定電位を供給可能な)基板側端子12aに電気的に接続され、バンプ電極64c,64dには接地電位または固定電位が供給される。集積受動部品5の入力端子116としてのバンプ電極64aには、半導体チップ2内の電力増幅回路102Aで増幅されたRF信号が整合回路107Aを経て入力される。バンプ電極64aから入力されたRF信号は、集積受動部品5に形成されたローパスフィルタ回路(108A,108B)を経て所定の周波数成分(高調波成分)が減衰され、集積受動部品5の出力端子117としてのバンプ電極64bから出力される。集積受動部品5のバンプ電極64bから出力されたRF信号は、配線基板3の上面3aおよび/または内部の配線層やビアホール13内の導体膜などを介して、配線基板3の下面3bの外部接続端子12bから取り出す(出力する)ことができる。
【0098】
本実施の形態では、主導体膜としての銅膜53の全面上にニッケル膜54を形成して銅膜53と銅膜53上のニッケル膜54とを有する積層膜からなる配線55を形成し、この配線55によりインダクタ素子111a,111b,111cを形成し、配線55のニッケル膜54の一部上に、外部接続端子用(外部接続端子形成用)の金膜63を形成している。本実施の形態とは異なり、ニッケル膜54の形成を省略して銅膜53上に直接、金膜63を形成した場合、銅膜53と金膜63の接着性が低く、また銅膜53と半田との接着性が低いことから、金膜63やバンプ電極64が銅膜53から剥離してしまう可能性がある。それに対して、本実施の形態では、銅膜53上にニッケル膜54を形成し、このニッケル膜54上に金膜63を形成し、金膜63上にバンプ電極64を形成しているので、銅膜53とニッケル膜54と金膜63との接着性(密着性)を高めることができる。また、バンプ電極64の接着性(密着性)を高めることができる。このため、金膜63やバンプ電極64の剥離を防止でき、集積受動部品5やそれを用いたRFパワーモジュール1の信頼性を向上することができる。
【0099】
しかしながら、銅膜53上にニッケル膜を形成した場合、もしこのニッケル膜が磁性体であれば、銅膜53とニッケル膜の積層膜のスパイラルパターンにより形成されたインダクタ素子111a,111b,111cのQ値を低下させるように作用する。電力増幅回路とともに使用される回路は、高いQ値が求められており、この回路におけるインダクタ素子のQ値の低下は電力付加効率の低下を招いてしまう。特にローパスフィルタ108A,108Bは、電力増幅回路102A,102Bで増幅されたRF信号が、整合回路107Bおよびローパスフィルタ108A,108Bを経て出力端子106a,106bから出力されるようになっているので、ローパスフィルタ108A,108Bのインダクタ素子111a,111b,111cのQ値が低いと、ローパスフィルタ108A,108Bで通過させるべきGSM帯およびDCS帯のRF信号が減衰し、RFパワーモジュール1の電力付加効率が低下してしまう。
【0100】
このため、本実施の形態とは異なり、ニッケル膜を、銅膜53の全面上にではなく、金膜63形成領域にだけ形成することも考えられる。図20〜図22は、比較例の集積受動部品305の製造工程中の要部断面図である。
【0101】
上記図12の構造が得られた後、ニッケル膜54を形成しないこと以外は、図13〜図15の工程と同様の工程を行って、図20に示されるように、配線355を形成する。従って、配線355は、ニッケル膜54を形成しないこと以外は、本実施の形態の配線55と同様にして形成され、シード膜51とシード膜51上の銅膜53との積層膜からなる。
【0102】
次に、図21に示されるように、フォトリソグラフィ法を用いて開口部352aを有するレジストパターン352を絶縁膜43上に形成する。開口部352aは、配線355の一部上にあり、レジストパターン352の開口部352aの底部で、銅膜53の上面の一部が露出される。それから、レジストパターン352の開口部352aの底部で露出する配線355上にニッケル(Ni)膜354を例えばめっき法などを用いて形成する。ニッケル膜354は、金膜63の形成予定領域の銅膜53上に形成され、銅膜53の他の領域上には形成されない。ニッケル膜354の形成後、レジストパターン352を除去する。
【0103】
その後、図16および図17の工程とほぼ同様にして、図22に示されるように、絶縁膜61、金膜63およびバンプ電極64を形成する。金膜63はニッケル膜354上に形成される。その後、個片化されて、比較例の集積受動部品305が製造される。
【0104】
比較例の集積受動部品305では、ニッケル膜354を銅膜53の全面上ではなく、金膜63形成領域にのみ形成し、他の領域では銅膜53上にニッケル膜354は形成されていない。このため、ニッケル膜354が磁性体であっても、配線355のスパイラルパターンにより形成されるインダクタ素子のQ値が低下するのを抑制することができる。
【0105】
しかしながら、比較例の集積受動部品305では、ニッケル膜354を銅膜53の上面の一部分にだけ形成するので、レジストパターン352の形成工程(フォトレジスト膜の塗布、露光および現像工程)とニッケル膜354の形成工程とが追加になり、集積受動部品の製造工程数が増加し、集積受動部品の製造コストを増大させてしまう。また、ニッケル膜354のレイアウト(レジストパターン352の開口部352aのレイアウト)の制約が加わり、これも製造コストを増大招いてしまう。また、銅膜53の酸化や拡散防止のために、非磁性のクロム(Cr)膜を銅膜53上に形成しておくことも考えられるが、この場合も、ニッケル膜354をクロム膜の上面の一部分にだけ形成することになるので、クロム膜の形成工程、レジストパターン352の形成工程およびニッケル膜354の形成工程が追加になり、集積受動部品の製造工程数が増加し、集積受動部品の製造コストを増大させてしまう。
【0106】
それに対して、本実施の形態では、インダクタ素子111a,111b,111cを形成する導体パターンである配線55を、シード膜51とシード膜51上の銅膜53と銅膜53上のニッケル膜54との積層膜(すなわち銅膜53と銅膜53上のニッケル膜54とを有する積層膜)により形成しており、銅膜53の全面上にニッケル膜54を形成している。このため、銅膜53形成の際に用いたレジストパターン52をそのままニッケル膜54形成用のレジストパターンとして用いることができる。すなわち、同じレジストパターン52を用いて、銅膜53とニッケル膜54とを連続的に形成することができる。従って、比較例の集積受動部品305と比べて、集積受動部品5の製造工程数を低減でき、集積受動部品5およびそれを用いたRFパワーモジュール1の製造コストを低下させることができる。また、同じレジストパターン52を用いて、このレジストパターン52の開口部52aに銅膜53およびニッケル膜54を順にめっき法で形成(堆積)すればよいので、ニッケル膜54のレイアウトの制約も加わらない。また、銅膜53の全面上にニッケル膜54が形成されているので、ニッケル膜54を、銅膜53のバリア膜(拡散防止膜)や酸化防止膜として機能させることができ、また、ニッケル膜54を介在させることにより、銅膜53と絶縁膜61(樹脂膜、有機系絶縁膜)との接着性(密着性)を向上させることもできる。このため、銅膜53上に、酸化や拡散防止のためのクロム膜を形成する必要がない。
【0107】
しかしながら、上記のように、もしニッケル膜54が磁性体であれば、銅膜53の全面上にニッケル膜54を形成していると、配線55のスパイラルパターンにより形成されたインダクタ素子111a,111b,111cのQ値が低下し、RFパワーモジュール1の電力付加効率が低下してしまう。
【0108】
そこで、本実施の形態では、ニッケル膜54にリン(P)を含有させている。ニッケル膜54にリン(P)を含有させることで、ニッケル膜54の透磁率(磁性率)を低下させることができ、ニッケル膜54のリン(P)含有率を調整することで、ニッケル膜54の透磁率を制御することができる。
【0109】
ニッケル膜54は、ニッケル(Ni)を主成分とし、リン(P)を含有する導体膜(ニッケル−リン合金膜)であるが、必要に応じて、更に、リン(P)以外の添加物などを含有することもできる。但し、ニッケル膜54におけるリン(P)以外の添加物の種類と量は、ニッケル膜54が磁性化しない範囲内であることが好ましい。
【0110】
図23は、リン(P)を含有するニッケル膜の透磁率(磁性率)を示すグラフである。図23のグラフの横軸は、ニッケル膜の成膜後の熱処理の温度に対応し、図23のグラフの縦軸は、ニッケル膜の透磁率(磁性率)に対応する。また、図23のグラフでは、ニッケル膜中のリン(P)の含有率を9重量%とした場合、10重量%とした場合、11重量%とした場合、および12重量%とした場合の4種類のリン含有率のニッケル膜について、それぞれグラフ化している。ニッケル膜中のリン含有率(重量パーセント)は、パーセント表示で、図23のグラフ中に記載されている。
【0111】
図23のグラフからも分かるように、ニッケル膜にリン(P)を含有させ、ニッケル膜中のリン(P)の含有率を大きくすることで、ニッケル膜の透磁率を低下させることができる。
【0112】
本実施の形態では、ニッケル膜54中にリン(P)を含有させており、このニッケル膜54のリン(P)の含有率は、10重量%以上であれば好ましい。これにより、ニッケル膜54の透磁率を十分に低下させることができ(例えば透磁率を約5以下に低下させることができ)、ニッケル膜54をほぼ非磁性とすることができる。しかしながら、本発明者の検討によれば、ニッケル膜54中のリン(P)の含有率を大きくしすぎると、ニッケル膜54と金膜63またはバンプ電極64との間にボイドが発生しやすくなる。特に、半田バンプ(バンプ電極64)形成時に、下地界面付近でボイドが発生しやすくなる。このため、ニッケル膜54中のリン(P)の含有率は、10重量%以上で14重量%以下(10〜14重量%)であればより好ましい。これにより、ニッケル膜54の透磁率を十分に低下させることができるとともに、ニッケル膜54と金膜63またはバンプ電極64との間のボイドの発生を防止できるので、集積受動部品5の信頼性をより向上させることができる。また、ニッケル膜54中のリン(P)の含有率が、12重量%以上で13重量%以下(12〜13重量%)であれば更に好ましく、これにより、ニッケル膜54の透磁率の低減効果と、ニッケル膜54と金膜63またはバンプ電極64との間のボイドの発生の防止効果とを、より高めることができる。
【0113】
高周波電流の表皮深さΔは、次式
Δ=(π×f×μ×σ)−1/2 ・・・式1
で表される。ここで、上式(式1)中のfは周波数、μは透磁率、σは導電率である。
【0114】
上式からも分かるように、例えばニッケル膜がμ=1(非磁性)の場合、銅膜は非磁性であり、ニッケル(Ni)の導電率は銅(Cu)の導電率の約1/4であるので、ニッケル膜における高周波電流の表皮深さΔは、銅膜における表皮深さΔの約2倍になる。従って、ニッケル膜内の電流密度は銅膜の電流密度の約1/2となり、銅膜とニッケル膜との積層膜によりインダクタ素子を形成したときのQ値を改善(向上)することができる。
【0115】
ただし、図23からも分かるように、ニッケル膜54の成膜後に高温の熱処理がニッケル膜54に加えられるとニッケル膜54の結晶化が進み、ニッケル膜54が磁性を有するようになる(ニッケル膜54の透磁率が増大する)ため、ニッケル膜54の成膜後は、高温の熱処理がニッケル膜54に加わらないようにすることが好ましい。
【0116】
無電解Ni−Pめっき膜は、無電解めっきにより成膜した段階では非磁性であっても、成膜後に熱処理(加熱)されると結晶化が進んで磁性化する(透磁率が増大する)。図23に示されるように、リン(P)の含有率によって、非磁性安定性を維持する熱処理温度が異なり、リン(P)含有率が高いほど、磁性化しにくくなる。すなわち、リン(P)の含有率が高くなるほど、無電解Ni−Pめっき膜が磁性化する熱処理温度が高くなる。このため、本実施の形態では、無電解Ni−Pめっき膜であるニッケル膜54の成膜後には、ニッケル膜54が磁性化するような温度の熱処理(加熱処理)を行わないことが好ましい。例えば、ニッケル膜54のリン(P)含有率が12重量%の場合は、ニッケル膜54の成膜後には、300℃を超えるような温度の熱処理(加熱処理)を行わないことが好ましい。これにより、製造(完成)後の集積受動部品5におけるニッケル膜54を非磁性状態に維持することができる。従って、集積受動部品5のニッケル膜54は、非磁性状態である。このことは、後述の実施の形態2の集積受動部品5cや実施の形態3〜5の半導体チップ2c,2e,2gについても同様である。
【0117】
ニッケル膜54の成膜後の熱処理工程としては、表面保護膜(絶縁膜61)の形成工程が考えられる。表面保護膜としては、例えばポリイミド樹脂などの有機系絶縁膜が用いられるが、成膜後にイミド化および硬化のための熱処理工程が必要な場合は、この熱処理工程の温度が、ニッケル膜54が磁性化する温度よりも高いと、ニッケル膜54が磁性化してしまう可能性がある。このため、本実施の形態では、既にイミド化され、印刷法などで塗布可能なペースト状のポリイミド樹脂またはポリアミドイミド樹脂などの有機系絶縁材料(樹脂材料)を表面保護膜(絶縁膜61)形成用の材料に用いればより好ましい。既にイミド化された有機系絶縁材料を絶縁膜241上に配線55を覆うように印刷法などで塗布することにより、絶縁膜61を成膜することで、絶縁膜61の印刷(塗布、成膜)後には、絶縁膜61に対して、イミド化するための熱処理が不要となり、キュアベーク処理(硬化のための熱処理)だけ行えばよくなる。従って、絶縁膜61の印刷(塗布、成膜)後の絶縁膜61の熱処理温度を低温化する(例えば二百数十℃程度とする)ことができ、ニッケル膜54が磁性化するのを防止することができる。また、塗布後の熱処理が不要な樹脂材料などを用いて、絶縁膜61を形成することもできる。このように、成膜(塗布、印刷)後の熱処理温度が低いかあるいは熱処理が不要な絶縁材料を用いて表面保護膜としての絶縁膜61を形成することで、ニッケル膜54が磁性化するのを防止することができ、インダクタ素子111a,111b,111cのQ値を確実に向上させることができる。
【0118】
図24は、銅膜(銅膜53に対応)と銅膜上のニッケル膜(ニッケル膜54に対応)との積層膜によりインダクタ素子を形成した場合の、ニッケル膜の透磁率(磁性率)とインダクタ素子のQ値との相関をシミュレーションで調べた結果を示すグラフである。図24のグラフの横軸は、ニッケル膜の透磁率に対応し、図24のグラフの縦軸は、インダクタ素子のQ値に対応する。また、図24では、高周波の周波数が1GHzの場合と2GHzの場合について、グラフ化している。
【0119】
上記のように、銅膜と銅膜上のニッケル膜との積層膜によりインダクタ素子を形成した場合に、インダクタ素子のQ値を低下させる要因は、ニッケル膜の透磁率(上記式1のμ)である。図24のグラフからも分かるように、ニッケル膜の透磁率を低くすると、インダクタ素子のQ値が高くなる。例えば、ニッケル膜がμ=600(磁性)の場合に比較して、ニッケル膜がμ=1(非磁性)の場合は、インダクタ素子のQ値が約70%向上する(高くなる)。
【0120】
本実施の形態では、上記のように、ニッケル膜54中にリン(P)を含有させており、このニッケル膜54のリン(P)の含有率を好ましくは10重量%以上としているので、ニッケル膜54の透磁率を低下させてニッケル膜54を非磁性とすることができる。これにより、銅膜53と銅膜53上のニッケル膜54の積層膜(すなわち配線55)により形成したインダクタ素子111a,111b,111cのQ値を向上させることができ、集積受動部品の性能を向上させることができる。また、インダクタ素子111a,111b,111cのQ値を向上させたことにより、インダクタ素子111a,111b,111cをローパスフィルタの一部として用いたRFパワーモジュール1の性能を向上させることができる。例えば、ローパスフィルタ108A,108Bで通過させるべきGSM帯およびDCS帯のRF信号が減衰するのを抑制または防止し、RFパワーモジュール1の電力付加効率を向上させることができる。
【0121】
また、本実施の形態では、ニッケル膜54は無電解めっき法により形成している。電解めっき法により形成された電解ニッケルめっき膜は、たとえリン(P)を含有していても、透磁率が大きくなって磁性を有してしまう(強磁性となる)が、本実施の形態では、リン(P)を含有するニッケル膜54を無電解めっき法により形成することで、形成されたニッケル膜54(すなわち無電解Ni−Pめっき膜)の透磁率を低くして非磁性とすることができる。
【0122】
また、本実施の形態は、例えば500MHz程度以上の高周波で使用する集積受動部品やRFパワーモジュールに適用すれば好ましい。
【0123】
次に、本実施の形態のRFパワーモジュール1の製造工程の一例を図面を参照して説明する。
【0124】
図25〜図28は、本実施の形態のRFパワーモジュール1の製造工程中の断面図である。本実施の形態のRFパワーモジュール1は、例えば次のようにして製造することができる。
【0125】
まず、図25に示されるように、配線基板3を準備する。配線基板3は、例えば印刷法、シート積層法またはビルドアップ法などを用いて製造することができる。
【0126】
次に、図26に示されるように、配線基板3の半導体チップ2、受動部品4および集積受動部品5などを搭載予定の基板側端子12aおよび導体層14上に半田などの接合材を必要に応じて印刷または塗布する。そして、配線基板3の上面3a上に半導体チップ2、受動部品4および集積受動部品5を搭載する。この際、半導体チップ2は、裏面側(裏面電極2b側)が下方(配線基板3側)を向き、表面側が上方を向くように(フェイスアップボンディング)、配線基板3の上面3aの導体層14上に搭載される。また、集積受動部品5は、フェイスダウンボンディングされ、集積受動部品5の表面に設けられている半田バンプ(バンプ電極18)が配線基板3の上面3aの基板側端子12aに対向するように位置合わせされる。
【0127】
それから、半田リフロー処理などを行って、半導体チップ2、受動部品4および集積受動部品5を配線基板3に半田などの接合材を介して固着(接続)する。半田リフロー温度は、集積受動部品5のニッケル膜54が磁性化する温度を越えないようにし、ニッケル膜54中のリン(P)の含有率にもよるが、例えば265℃程度で行うことができる。
【0128】
次に、図27に示されるように、ワイヤボンディング工程を行って、半導体チップ3の表面の電極(ボンディングパッド)2aと配線基板3の上面3aの基板側端子12aとをボンディングワイヤ8を介して電気的に接続する。
【0129】
次に、集積受動部品5と配線基板3との間にアンダーフィル樹脂19を充填する。それから、熱硬化処理などを行ってアンダーフィル樹脂19を硬化させる。アンダーフィル樹脂19の熱硬化処理温度は、集積受動部品5のニッケル膜54が磁性化する温度を越えないようにし、ニッケル膜54中のリン(P)の含有率にもよるが、例えば160℃程度で行うことができる。
【0130】
集積受動部品5の表面5a側は、表面保護膜としての絶縁膜61によって覆われて保護されており、これにより、集積受動部品5の信頼性を向上し、また、集積受動部品5の取り扱いを容易にすることができる。しかしながら、配線基板3への実装後には、集積受動部品5と配線基板3との間にアンダーフィル樹脂19を充填して、集積受動部品5の表面5a側をアンダーフィル樹脂19で保護しているので、集積受動部品5において表面保護膜としての絶縁膜61を省略することも可能である。
【0131】
次に、図28に示されるように、配線基板3の上面3a上に、半導体チップ2、受動部品4、集積受動部品5およびボンディングワイヤ8を覆うように、封止樹脂6を形成する。封止樹脂6は、例えば印刷法またはモールド用金型(例えばトランスファモールド)などを用いて形成することができる。封止樹脂6を熱硬化処理により硬化させる場合は、その熱硬化処理温度が、集積受動部品5のニッケル膜54が磁性化する温度を越えないようにし、ニッケル膜54中のリン(P)の含有率にもよるが、例えば百数十度℃程度で行うことができる。
【0132】
このようにして、RFパワーモジュール1が製造される。1枚の配線基板3から複数のRFパワーモジュール1を製造する場合は、封止樹脂6の形成後、配線基板3および封止樹脂6を所定の位置で分割(切断)し、各個片としてのRFパワーモジュール1を得ることができる。
【0133】
また、RFパワーモジュール1の完成後、RFパワーモジュール1を実装基板などに実装(半田実装)する際にも、半田リフロー温度が、集積受動部品5のニッケル膜54が磁性化する温度を越えないようにすることが好ましく、ニッケル膜54中のリン(P)の含有率にもよるが、例えば265℃程度で行うことができる。
【0134】
このように、RFパワーモジュール1の製造(組み立て)工程や実装工程において、集積受動部品5のニッケル膜54が磁性化するような温度の熱処理(加熱処理)を行わないようにすることで、例えば、ニッケル膜54のリン(P)含有率が12重量%の場合は、300℃を超えるような温度の熱処理(加熱処理)を行わないことで、製造(完成)後のRFパワーモジュール1の集積受動部品5におけるニッケル膜54を非磁性状態に維持することができる。従って、RFパワーモジュール1における集積受動部品5のニッケル膜54は、非磁性状態である。このことは、後述の実施の形態2〜5のRFパワーモジュール1b,1c,1d,1eについても同様である。
【0135】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、集積受動部品5に端子(外部接続端子)としてバンプ電極18(バンプ電極64)を形成しており、このバンプ電極18が配線基板3の上面3aの基板側端子12aに接合されて電気的に接続される。本実施の形態では、集積受動部品5cはワイヤボンディングによって配線基板3の基板側端子12aに電気的に接続される。
【0136】
図29は、本実施の形態の集積受動部品5cの製造工程中の要部断面図であり、上記実施の形態1の図16に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図を示している。図16までの製造工程は上記実施の形態1と同様であるので、ここではその説明は省略し、図16に続く製造工程について説明する。
【0137】
上記実施の形態1と同様にして図16に示される構造が形成された後、図29に示されるように、例えばめっき法などを用いて、開口部62で露出する配線55(の最上層のニッケル膜54)上に、パッド電極(ボンディングパッド、ボンディングワイヤ接続用電極)用の金膜(Au)膜63aを形成する。金膜63aは、金(Au)を主成分とする導体膜(第3導体膜)であり、配線55のニッケル膜54の一部(すなわち開口部62から露出する部分)上に形成される。
【0138】
本実施の形態では、金膜63aの膜厚は、上記実施の形態1の金膜63の膜厚よりも厚く、例えば120nm程度とすることができる。金膜63aの厚みをある程度厚くすることで、金膜63aへのワイヤボンディングを容易にすることができる。上記実施の形態1とは異なり、本実施の形態では、金膜63a上にはバンプ電極64を形成しない。このため、集積受動部品5cの表面では金膜63aが露出し、露出する金膜63aが、集積受動部品5cの端子(外部接続端子)として機能し、上記ローパスフィルタ108A,108Bの入力端子116、出力端子117またはグランド端子118,119に対応する。従って、金膜63aは、外部接続端子用(外部接続端子形成用)の導体膜である。すなわち、集積受動部品5cのインダクタ素子111a,111b,111cに電気的に接続された端子部(外部接続用端子部)は、配線55のニッケル膜54の一部(すなわち開口部62から露出する部分)上に形成された金膜63aを有している。
【0139】
その後、必要に応じて基板31の裏面を研削した後、基板31をダイシング(切断)する。ダイシングにより半導体ウエハとしての基板31は、個々のチップ領域に分離され、個片化された集積受動部品5cとなる。
【0140】
従って、集積受動部品5cは、金膜63およびバンプ電極64の代わりに金膜63aを設けたこと以外は、上記実施の形態1の集積受動部品5とほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明は省略する。
【0141】
図30は、本実施の形態のRFパワーモジュール1aの概念的な断面図であり、上記実施の形態1の図5に対応するものである。
【0142】
図30に示されるように、RFパワーモジュール1aでは、配線基板3上に集積受動部品5cが搭載されている。集積受動部品5cは配線基板3の上面3aに接合材15aによりフェイスアップで実装されている。すなわち、集積受動部品5cは、その表面(受動素子形成側の主面)5aが上方を向き、その裏面(表面5aとは逆側の主面)5bが配線基板3の上面3aに対向する向きで、配線基板3の上面3a上に搭載(実装)されている。集積受動部品5cの表面5aに形成された複数の電極(ボンディングパッド、パッド電極)18aは、それぞれ、ボンディングワイヤ8を介して配線基板3の上面3aの基板側端子12aに電気的に接続されている。集積受動部品5cと配線基板3との間には、アンダーフィル樹脂は形成されていない。
【0143】
図31は、RFパワーモジュール1aにおける集積受動部品5cの要部断面図であり、金膜63a上にボンディングワイヤ8が接続された状態が示されている。集積受動部品5cの上記電極18a(ボンディングパッド)は、金膜63aにより形成されており、RFパワーモジュール1aでは、集積受動部品5cの金膜63aにボンディングワイヤ8が接続されている。また、金膜63aとその下の配線55を、集積受動部品5cの電極18a(ボンディングパッド)とみなすこともできる。
【0144】
上記のように、配線基板3上に、集積受動部品5の代わりに集積受動部品5cを実装し、集積受動部品5cの電極18aと配線基板3の上面3aの基板側端子12aとをボンディングワイヤ8を介して電気的に接続したこと以外は、本実施の形態のRFパワーモジュール1aは、上記実施の形態1のRFパワーモジュール1とほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明を省略する。
【0145】
本実施の形態においても、上記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。例えば、銅膜53上にニッケル膜54を形成し、このニッケル膜54上に金膜63aを形成しているので、銅膜53とニッケル膜54と金膜63aとの接着性(密着性)を高めて金膜63aの剥離を防止でき、集積受動部品5cやそれを用いたRFパワーモジュール1aの信頼性を向上することができる。また、銅膜53の全面上にニッケル膜54を形成しているので、集積受動部品5cの製造工程数を低減でき、集積受動部品5およびそれを用いたRFパワーモジュール1aの製造コストを低下させることができる。また、ニッケル膜54中にリン(P)を含有させてニッケル膜54の透磁率を低下させている(ニッケル膜54を非磁性状態としている)ので、配線55により形成したインダクタ素子111a,111b,111cのQ値を向上させることができ、集積受動部品5cおよびそれを用いたRFパワーモジュール1aの性能、例えば電力付加効率を向上させることができる。
【0146】
(実施の形態3)
上記実施の形態1では、インダクタ素子111a,111b,111cを集積受動部品5に形成していたが、本実施の形態では、電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)用の半導体増幅素子(ここではLDMOSFET)とインダクタ素子111a,111b,111cとを、同じ半導体チップ2c内に形成している。
【0147】
図32〜図39は、本実施の形態の半導体チップ(半導体装置、電子装置)2cの製造工程中の要部断面図である。
【0148】
図32〜39では、半導体チップ2c(を構成する半導体基板)のうち、電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成するLDMOSFET回路が形成された領域に対応するLDMOSFET形成領域201Aと、インダクタ素子111a,111b,111cに対応するインダクタ素子(後述するインダクタ素子276)が形成される領域に対応するインダクタ素子形成領域201Bの要部断面図が示されている。
【0149】
半導体チップ2cを製造するには、まず、図32に示されるように、例えばp型のシリコン(Si)単結晶からなり、その抵抗率(比抵抗)が例えば1〜10mΩ・cm程度の低抵抗基板とされている半導体基板(半導体ウエハ)201を準備する。それから、半導体基板201の主面上にエピタキシャル成長法を用いて、例えば抵抗率が20Ωcm程度で膜厚が2μm程度のp型単結晶シリコンからなるエピタキシャル層202を形成する。エピタキシャル層202の不純物濃度は半導体基板201の不純物濃度よりも低く、エピタキシャル層202の抵抗率は基板201の抵抗率よりも高い。
【0150】
次に、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてエピタキシャル層202の一部(打抜き層形成領域)をエッチングし、半導体基板201に達する溝203を形成する。それから、溝203の内部を含む半導体基板201(エピタキシャル層202)上にCVD(Chemical Vapor Deposition)法などを用いてp型多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)を溝203内を埋めるように堆積した後、溝203の外部のp型多結晶シリコン膜をエッチバック法などで除去することにより、溝203の内部にp型多結晶シリコン膜からなるp型打抜き層204を形成する。p型打抜き層203は、エピタキシャル層202を貫通し、p型打抜き層204の底部は半導体基板201に到達している。その後、エピタキシャル層202の主面に、例えばSTI(Shallow Trench Isolation)法またはLOCOS(Local Oxidization of Silicon )法などにより絶縁体からなる素子分離領域205を形成する。素子分離領域205により、LDMOSFET形成領域201Aの活性領域は、他の領域と電気的に分離される。また、インダクタ素子形成領域201Bは、全体に素子分離領域205が形成される。
【0151】
次に、図33に示されるように、フォトレジストパターン(図示せず)をマスクにしてエピタキシャル層202の一部にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入することによって、パンチスルーストッパ用のp型ウエル206を形成する。p型ウエル206は、LDMOSFET形成領域201Aの一部に形成され、主としてLDMOSFETのソース形成領域とチャネル形成領域とに形成される。また、p型ウエル206はLDMOSFETの閾値調整用としても用いられる。
【0152】
次に、エピタキシャル層202の表面をフッ酸などで洗浄した後、半導体基板201を熱処理(熱酸化処理)することなどによって、エピタキシャル層202の表面に例えば膜厚11nm程度の酸化シリコン膜などからなるゲート絶縁膜207を形成する。ゲート絶縁膜207は、熱酸化膜に代えて、窒素を含む酸化シリコン膜、いわゆる酸窒化膜を適用してもよい。
【0153】
次に、ゲート絶縁膜207の上部にゲート電極208を形成する。ゲート電極208を形成するには、例えば、エピタキシャル層202の主面上(すなわちゲート絶縁膜207上)にCVD法などによりn型多結晶シリコン膜(ドープトポリシリコン膜)を堆積し、フォトリソグラフィ技術およびドライエッチング技術を用いてn型多結晶シリコン膜をパターニングする。これにより、パターニングされたn型多結晶シリコン膜からなるゲート電極208が、p型ウエル206の表面にゲート絶縁膜207を介して形成される。
【0154】
次に、エピタキシャル層202の一部にリン(P)などのn型の不純物をイオン注入することによって、n型オフセットドレイン領域209を形成する。n型オフセットドレイン領域209は、その端部がチャネル形成領域と接するように、ゲート電極208の側壁下部で終端する。
【0155】
次に、p型ウエル206の表面にヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入することによって、n型ソース領域210を形成する。n型ソース領域210は、その端部がチャネル形成領域と接するように、ゲート電極208の側壁下部で終端する。n型ソース領域51の形成後、p型ウエル44の表面にホウ素(B)などのp型の不純物をイオン注入(例えば斜めイオン注入)することなどにより、n型ソース領域210の下部にp型ハロー領域(図示せず)を形成することもできる。
【0156】
次に、ゲート電極208の側壁に酸化シリコン(絶縁膜)などからなるサイドウォールスペーサ(側壁絶縁膜)211を形成する。サイドウォールスペーサ211は、例えば、半導体基板201上にCVD法などで酸化シリコン膜(絶縁膜)を堆積した後、この酸化シリコン膜を異方性エッチングして形成することができる。
【0157】
次に、n型オフセットドレイン領域209の一部にリン(P)などのn型の不純物をイオン注入する。これにより、n型オフセットドレイン領域209の一部には、ゲート電極208のドレイン側の側壁に形成されたサイドウォールスペーサ211に対して自己整合的にn型オフセットドレイン領域212が形成される。n型オフセットドレイン領域212の不純物濃度は、n型オフセットドレイン領域209の不純物濃度よりも高い。また、n型オフセットドレイン領域209は、ゲート電極208に対して自己整合的に形成されるのに対し、n型オフセットドレイン領域212は、ゲート電極208の側壁のサイドウォールスペーサ211に対して自己整合的に形成されることから、n型オフセットドレイン領域212は、ゲート長方向に沿ったサイドウォールスペーサ211の膜厚に相当する分、ゲート電極208から離間して形成される。
【0158】
次に、n型オフセットドレイン領域212とp型ウエル206のそれぞれの一部にヒ素(As)などのn型の不純物をイオン注入する。このイオン注入により、n型オフセットドレイン領域212の一部には、n型オフセットドレイン領域212よりも不純物濃度が高く、かつn型オフセットドレイン領域212よりもさらにチャネル形成領域から離間したn型ドレイン領域213が形成される。また、このイオン注入により、p型ウエル206には、n型ソース領域210よりも不純物濃度が高く、かつn型ソース領域210よりも底部の位置が深いn型ソース領域214が、n型ソース領域210に接し、チャネル形成領域から離間して形成される。n型ソース領域214は、ゲート電極208の側壁のサイドウォールスペーサ211に対して自己整合的に形成され、n型ソース領域210に接して形成される。このため、n型ソース領域214は、ゲート長方向に沿ったサイドウォールスペーサ211の膜厚に相当する分、チャネル形成領域から離間して形成される。
【0159】
ここまでの工程により、n型オフセットドレイン領域209とn型オフセットドレイン領域212とn型ドレイン領域213とからなるドレイン(ドレイン領域)、n型ソース領域210とn型ソース領域214とからなるソース(ソース領域)、およびゲート電極208を有するLDMOSFETのようなMISFET素子(半導体増幅素子)がLDMOSFET形成領域201A(のエピタキシャル層202の主面)に形成される。なお、本実施の形態でMOSFETというときは、ゲート絶縁膜に酸化膜(酸化シリコン膜)を用いたMISFETだけでなく、酸化膜(酸化シリコン膜)以外の絶縁膜をゲート絶縁膜に用いたMISFETも含むものとする。
【0160】
次に、p型打抜き層204の上部に開口を有するフォトレジスト膜(図示せず)をマスクにしてp型打抜き層204の表面にフッ化ホウ素(BF2)などのp型の不純物をイオン注入することにより、p型打抜き層204の上部領域にp型半導体領域215を形成する。p型打抜き層204の上部領域にp型半導体領域215を形成することで、p型打抜き層204の表面を低抵抗化することができる。
【0161】
次に、図34に示されるように、半導体基板201上にCVD法などを用いて相対的に薄い窒化シリコン膜とその上の相対的に厚い酸化シリコン膜の積層膜などからなる絶縁膜221を形成し、必要に応じてその表面をCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)法などを用いて平坦化する。絶縁膜221として、酸化シリコン膜などの単体膜を用いることもできる。
【0162】
次に、フォトレジスト膜(図示せず)をエッチングマスクにして絶縁膜221をドライエッチングすることにより、絶縁膜221にコンタクトホール(開口部)222を形成する。コンタクトホール222は、LDMOSFET形成領域201Aのp型打抜き層204(p型半導体領域215)、ソース(n型ソース領域214)およびドレイン(n型ドレイン領域213)のそれぞれの上部に形成される。
【0163】
次に、コンタクトホール222の内部にタングステン(W)膜を主体とするプラグ(導電体部)223を埋め込む。例えば、コンタクトホール222の内部(底部および側壁上)を含む絶縁膜221上にバリア膜(例えば窒化チタン膜など)を形成した後、タングステン膜をCVD法などによってバリア膜上にコンタクトホール222を埋めるように形成し、絶縁膜221上の不要なタングステン膜およびバリア膜をCMP法またはエッチバック法などによって除去することにより、プラグ223を形成することができる。
【0164】
次に、絶縁膜221上にタングステン(W)を主体(主成分)とする導電体膜(タングステン膜)からなる配線(第1層配線)224を形成する。配線224は、例えば、絶縁膜221上にスパッタリング法などによりタングステン膜を形成し、このタングステン膜をフォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてパターニングすることにより形成することができる。この配線224により、LDMOSFET形成領域201Aのソース電極224aおよびドレイン電極224bなどが形成される。
【0165】
次に、図35に示されるように、配線224を覆うように絶縁膜221上に酸化シリコン膜などからなる絶縁膜225をCVD法などにより形成する。
【0166】
次に、フォトレジスト膜(図示せず)をエッチングマスクにして絶縁膜225をドライエッチングすることにより、絶縁膜225にスルーホール(開口部)226を形成する。それから、スルーホール226の内部にタングステン(W)膜を主体とするプラグ227を埋め込む。プラグ227は、上記プラグ223とほぼ同様にして形成することができる。
【0167】
次に、絶縁膜225上に、アルミニウム(Al)合金膜を主体とする導電体膜を形成し、フォトリソグラフィ法およびドライエッチング法を用いてこの導電体膜をパターニングすることで、パターニングされた導電体膜からなる配線(第2層配線)228を形成する。この配線228により、ソース配線228a、ドレイン配線228aや、各回路間を接続する配線として機能する金属層が形成される。
【0168】
次に、絶縁膜225上に、配線228を覆うように、酸化シリコン膜などからなる絶縁膜241をCVD法などにより形成する。
【0169】
次に、フォトレジスト膜(図示せず)をエッチングマスクにして絶縁膜241をドライエッチングすることにより、絶縁膜241にスルーホール(開口部)242を形成する。それから、スルーホール242の内部にタングステン(W)膜を主体とするプラグ(導電体部)243を埋め込む。プラグ243は、上記プラグ223,227とほぼ同様にして形成することができる。
【0170】
次に、図36に示されるように、プラグ243の上面上を含む絶縁膜241上にシード膜271を形成する。シード膜271は、上記実施の形態1のシード膜51と同様の材料により同様の手法で形成することができる。それから、シード膜271上にレジスト膜(フォトレジスト膜)を形成し、フォトリソグラフィ法を用いてこのレジスト膜をパターニングすることで、シード膜271上にレジストパターン(フォトレジストパターン)272を形成する。このレジストパターン272は、後述する配線275を形成すべき領域以外の領域に形成され、配線275を形成すべき領域では、シード膜271が露出する。すなわち、レジストパターン272は、配線275形成予定領域に開口部272aを有している。
【0171】
次に、図37に示されるように、レジストパターン272(の開口部272a)から露出するシード膜271上に銅(Cu)膜273を形成し、銅膜273上にニッケル(Ni)膜274を形成する。銅膜273およびニッケル膜274は、それぞれ上記実施の形態1の銅膜53およびニッケル膜54と同様の手法で同様の材料により形成することができる。従って、ニッケル膜274は、無電解Ni−Pめっき膜であり、ニッケル(Ni)を主成分とし、リン(P)を含有する導体膜である。銅膜273とニッケル膜274の積層膜は、レジストパターン252によって覆われていない領域のシード膜271上に形成され、ニッケル膜274は銅膜273の全面上に形成される。上記実施の形態1のニッケル膜54と同様に、ニッケル膜274のリン(P)の含有率は、10重量%(wt.%)以上であれば好ましく、10重量%以上で14重量%以下(10〜14重量%)であればより好ましく、12重量%以上で13重量%以下(12〜13重量%)であれば更に好ましい。また、銅膜273は、銅を主成分とする導体膜(銅めっき膜)であり、必要に応じて種々の添加物などを含有することもできる。
【0172】
次に、図38に示されるように、レジストパターン272を除去し、それから軽いエッチングを行うことで、シード膜271のうち、銅膜273およびニッケル膜274で覆われていない部分(すなわち除去前のレジストパターン272によって覆われていた部分)を除去する。
【0173】
このようにして、シード膜271と、シード膜271上の銅膜273と、銅膜上のニッケル膜274との積層膜(すなわち銅膜273と銅膜上のニッケル膜274とを有する積層膜)からなる配線(第3層配線)275が形成される。従って、配線275は、絶縁膜241上に形成された導体パターンであり、上記実施の形態1の配線55とほぼ同様にして形成することができ、上記実施の形態1の配線55と同様の積層構造を有している。配線275のうち、インダクタ素子形成領域201Bの配線275aは、渦巻状のパターン(スパイラルパターン)に形成され、渦巻状パターンの配線275aによって、上記インダクタ素子111a,111b,111cを構成するスパイラルインダクタ(スパイラルコイル、インダクタ素子)276が形成される。また、配線275aによって形成されるスパイラルインダクタ276により、上記整合回路102AM1,102AM2,102BM1,102BM2,105A,105B,107A,107Bに用いられるインダクタ素子を形成することもできる。
【0174】
次に、図39に示されるように、絶縁膜241上に、配線275を覆うように、表面保護膜として絶縁膜(保護膜、保護樹脂膜)281を形成する。絶縁膜281は、上記実施の形態1の絶縁膜61と同様の手法により同様の材料で形成することができる。それから、絶縁膜281に、配線275の一部を露出する開口部282を形成する。開口部282の底部では、配線275の最上層であるニッケル膜274が露出する。
【0175】
次に、図39に示されるように、例えばめっき法などを用いて、開口部282で露出する配線275(の最上層のニッケル膜274)上に、端子表面膜(バンプ下地金属層、UBM膜)としての金(Au)膜283を形成する。金膜283は、上記実施の形態1の金膜63と同様にして形成することができる。金膜283は、金(Au)を主成分とする導体膜(第3導体膜)であり、配線275のニッケル膜274の一部(すなわち開口部282から露出する部分)上に形成される。
【0176】
次に、開口部282で露出する配線275上の金膜283上にバンプ電極(半田バンプ)284を形成する。バンプ電極284は、上記実施の形態1のバンプ電極284と同様の材料で同様の手法により形成することができる。バンプ電極284は、半導体チップ2cの端子(外部接続端子)である。なお、図39の断面とは異なる領域において、LDMOSFETに電気的に接続された配線275上にも、開口部282、金膜283およびバンプ電極284が形成される。バンプ電極284は、配線275上に金膜283を介して形成されるので、金膜283は、外部接続端子用(外部接続端子形成用)の導体膜である。すなわち、半導体チップ2cのインダクタ素子276に電気的に接続された端子部(外部接続用端子部)は、配線275のニッケル膜274の一部(すなわち開口部282から露出する部分)上に形成された金膜283と金膜283上のバンプ電極284とを有している。
【0177】
その後、半導体基板201の裏面(エピタキシャル層202を形成した側とは逆側の主面)を必要に応じて研磨し、続いて半導体基板201の裏面の全面に裏面電極230(裏面電極2bに対応)を形成する。裏面電極230は、例えばニッケル(Ni)膜、チタン(Ti)膜、ニッケル(Ni)膜および金(Au)膜をスパッタリング法で順次堆積することによって形成することができる。裏面電極230は、p型打抜き層204、p型半導体領域215、プラグ223、ソース電極224aおよびプラグ223を介して、LDMOSFETのソース(n型ソース領域214)に電気的に接続される。その後、半導体基板201はダイシングなどにより切断されて半導体チップ(2c)に個片化される。
【0178】
なお、電力増幅回路102A,102B(の増幅段102A1〜102A3,102B1〜102B3)を構成するLDMODFET(半導体増幅素子)と、ローパスフィルタ108A,108Bを構成するインダクタ素子111a,111b,111cとを同じ半導体チップ2c内に形成した場合について説明したが、この半導体チップ2a内に、更に、ローパスフィルタ108A,108Bを構成する容量素子112a,112b,112cなどを形成することもできる。
【0179】
図40は、本実施の形態のRFパワーモジュール1bの概念的な断面図であり、上記実施の形態1の図5に対応するものである。
【0180】
図40に示されるように、RFパワーモジュール1bでは、半導体チップ2cが配線基板3の上面3aにフリップチップ実装されている。すなわち、半導体チップ2cは、その裏面側(裏面電極2b形成側)が上方を向き、その表面(半導体素子形成側の主面)が配線基板3の上面3aに対向する向きで、配線基板3の上面3aに搭載(実装)されている。従って、半導体チップ2cは配線基板3の上面3aにフェイスダウンボンディングされている。半導体チップ2cの表面の複数のバンプ電極2d(上記バンプ電極284に対応)は、それぞれ、配線基板3の上面3aの基板側端子12aに接合(実装、接続)され、電気的に接続されている。また、半導体チップ2cと配線基板3との熱膨張率の差によるバンプ電極2dへの負担を緩衝するために、半導体チップ2cと配線基板3の上面3aとの間にアンダーフィル樹脂(図示せず)を充填することもできる。
【0181】
配線基板3の上面3aには、半導体チップ2cを覆うように、金属キャップ20が搭載(接合)されており、金属キャップ20の天井部の内面20aに半導体チップ2cの裏面電極2b(上記裏面電極230に対応)が、半田または銀ペーストなどの導電性の接合材15bを介して接合されて電気的に接続されている。金属キャップ20は、電気伝導性および熱伝導性の良い材料からなり、例えば銅(Cu)または銅合金などの金属材料からなる。金属キャップ20の側壁部の少なくとも一部は、配線基板3の上面3aの基板側端子12aに、半田または銀ペーストなど導電性の接合材(接着材)15cによって接合されている。金属キャップ20が接合材15cを介して接合された基板側端子12aは、配線基板3の上面3aまたは内部の配線層やビアホール13a内の導体膜などを介して、配線基板3の下面3bの基準電位供給用端子12cに電気的に接続されている。従って、基準電位供給用端子12cから半導体チップ2cの裏面電極2bに基準電位が供給されるとともに、半導体チップ2cの熱が、金属キャップ20や配線基板3のビアホール13a内の導体膜などを介して、配線基板3の下面3b側に伝導(放熱)することができる。また、上記容量素子112a,112b,112cには、受動部品4を用いることができるが、半導体チップ2c内に形成した受動素子により上記容量素子112a,112b,112cを構成することもできる。
【0182】
上記のように、半導体チップ2および集積受動部品5の代わりに半導体チップ2cを配線基板3上に実装し、半導体チップ2cと基板側端子12aとの接続にバンプ電極2dを用い、半導体チップ2cの裏面電極2bと基板側端子12aとの接続に金属キャップ20を用いたこと以外は、本実施の形態のRFパワーモジュール1bは、上記実施の形態1のRFパワーモジュール1とほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明を省略する。なお、半導体チップ2cは、能動素子(ここでは半導体増幅素子としてのLDMOSFET)と受動素子(ここではインダクタ素子)とを同じ半導体基板上に形成した半導体装置(半導体チップ)であり、電子装置の一種であるため電子装置とみなすこともできる。
【0183】
本実施の形態においても、上記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。例えば、銅膜273上にニッケル膜274を形成し、このニッケル膜274上に金膜283を形成しているので、銅膜273とニッケル膜274と金膜283とバンプ電極284との接着性(密着性)を高めて金膜283やバンプ電極284の剥離を防止でき、半導体チップ2cやそれを用いたRFパワーモジュール1bの信頼性を向上することができる。また、銅膜273の全面上にニッケル膜274を形成しているので、半導体チップ2cの製造工程数を低減でき、半導体チップ2cおよびそれを用いたRFパワーモジュール1bの製造コストを低下させることができる。また、ニッケル膜274中にリン(P)を含有させてニッケル膜274の透磁率を低下させている(ニッケル膜274を非磁性状態としている)ので、配線275aにより形成したインダクタ素子276のQ値を向上させることができ、半導体チップ2cおよびそれを用いたRFパワーモジュール1bの性能を向上でき、例えば電力付加効率を向上させることができる。
【0184】
(実施の形態4)
上記実施の形態3では、半導体チップ2cに端子(外部接続端子)としてバンプ電極2dを形成しており、このバンプ電極2dが配線基板3の上面3aの基板側端子12aに接合されて電気的に接続される。本実施の形態では、半導体チップ2eは、上記実施の形態1と同様に、ワイヤボンディングによって配線基板3の基板側端子12aに電気的に接続される。
【0185】
図41は、本実施の形態の半導体チップ(半導体装置、電子装置)2eの製造工程中の要部断面図であり、上記実施の形態3の図38に続く半導体チップの製造工程中における要部断面図を示している。図38までの製造工程は上記実施の形態3と同様であるので、ここではその説明は省略し、図38に続く製造工程について説明する。
【0186】
上記実施の形態3と同様にして図38に示される構造が形成された後、図41に示されるように、絶縁膜241上に、配線275を覆うように、表面保護膜として絶縁膜281を形成し、それから、絶縁膜281に、配線275の一部を露出する開口部282を形成する。ここまでの工程は、上記実施の形態3とほぼ同様である。
【0187】
次に、例えばめっき法などを用いて、開口部282で露出する配線275(の最上層のニッケル膜274)上に、パッド電極(ボンディングパッド、ボンディングワイヤ接続用電極)用の金膜(Au)膜283aを形成する。金膜283aは、金(Au)を主成分とする導体膜(第3導体膜)であり、配線275のニッケル膜274の一部(すなわち開口部282から露出する部分)上に形成される。
【0188】
本実施の形態では、金膜283aの膜厚は、上記実施の形態1の金膜283の膜厚よりも厚く、例えば120nm程度とすることができる。金膜283aの厚みをある程度厚くすることで、金膜283aへのワイヤボンディングを容易にすることができる。上記実施の形態3とは異なり、本実施の形態では、金膜283a上にはバンプ電極284を形成しない。このため、半導体チップ2eの表面では金膜283aが露出し、露出する金膜283aが、半導体チップ2eの端子(外部接続端子)として機能する。従って、金膜283aは、外部接続端子用(外部接続端子形成用)の導体膜である。すなわち、半導体チップ2eのインダクタ素子276に電気的に接続された端子部(外部接続用端子部)は、配線275のニッケル膜274の一部(すなわち開口部282から露出する部分)上に形成された金膜283aを有している。
【0189】
その後、上記実施の形態3と同様に、半導体基板201の裏面を必要に応じて研磨し、続いて半導体基板201の裏面の全面に裏面電極230(裏面電極2bに対応)を形成する。その後、半導体基板201はダイシングなどにより切断されて半導体チップ(2e)に個片化される。
【0190】
従って、半導体チップ2eは、金膜283およびバンプ電極284の代わりに金膜283aを設けたこと以外は、上記実施の形態3の半導体チップ2cとほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明は省略する。
【0191】
図42は、本実施の形態のRFパワーモジュール1cの概念的な断面図であり、上記実施の形態1の図5に対応するものである。
【0192】
図42に示されるように、RFパワーモジュール1cでは、上記実施の形態3とは異なり、上記実施の形態1の半導体チップ2と同様に、半導体チップ2eが配線基板3の上面3aの導体層14に、例えば半田15などの接合材によりフェイスアップでダイボンディングされている。半導体チップ2eのダイボンディングには、半田15の代わりに銀ペーストなどを用いることもできる。半導体チップ2eの表面(上面)に形成された複数の電極(ボンディングパッド)2fは、それぞれ、ボンディングワイヤ8を介して配線基板3の上面3aの基板側端子12aに電気的に接続されている。なお、半導体チップ2eの電極2f(ボンディングパッド)は、半導体チップ2eの表面保護膜(絶縁膜261)の開口部(262)から露出する上記金膜283aにより形成されている。従って、RFパワーモジュール1cでは、半導体チップ2eの上記金膜283aにボンディングワイヤ8が接続されている。また、金膜283aとその下の配線275を、半導体チップ2eの電極2f(ボンディングパッド)とみなすこともできる。また、半導体チップ2eの裏面電極2bは、配線基板3の上面3aの導体層14に半田15などの接合材により接続(接合)され、更にビアホール13内の導体膜などを介して、配線基板3の下面3bの基準電位供給用端子12cに電気的に接続されている。また、上記容量素子112a,112b,112cには、受動部品4を用いることができるが、半導体チップ2e内に形成した受動素子により上記容量素子112a,112b,112cを構成することもできる。
【0193】
上記のように、配線基板3上に、半導体チップ2および集積受動部品5の代わりに半導体チップ2eを実装したこと以外は、本実施の形態のRFパワーモジュール1cは、上記実施の形態1のRFパワーモジュール1とほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明を省略する。なお、半導体チップ2eは、能動素子(ここでは半導体増幅素子としてのLDMOSFET)と受動素子(ここではインダクタ素子)とを同じ半導体基板上に形成した半導体装置であり、電子装置の一種であるため電子装置とみなすこともできる。
【0194】
本実施の形態においても、上記実施の形態3とほぼ同様の効果を得ることができる。例えば、銅膜273上にニッケル膜274を形成し、このニッケル膜274上に金膜283aを形成しているので、銅膜273とニッケル膜274と金膜283aとの接着性(密着性)を高めて金膜283aの剥離を防止でき、半導体チップ2eやそれを用いたRFパワーモジュール1cの信頼性を向上することができる。また、銅膜273の全面上にニッケル膜274を形成しているので、半導体チップ2eの製造工程数を低減でき、半導体チップ2eおよびそれを用いたRFパワーモジュール1cの製造コストを低下させることができる。また、ニッケル膜274中にリン(P)を含有させてニッケル膜274の透磁率を低下させている(ニッケル膜274を非磁性状態としている)ので、配線275aにより形成したインダクタ素子276のQ値を向上させることができ、半導体チップ2eおよびそれを用いたRFパワーモジュール1cの性能を向上でき、例えば電力付加効率を向上させることができる。
【0195】
(実施の形態5)
上記実施の形態1〜4では、RFパワーモジュール1,1a,1b,1cは、配線基板3を用いて形成されている。本実施の形態では、リードフレームを用いてRFパワーモジュール1dを形成している。
【0196】
図43は、本実施の形態のRFパワーモジュール1dの概念的な断面図であり、上記実施の形態1の図5に対応するものである。
【0197】
図43に示される本実施の形態のRFモジュール1dは、QFN(Quad Flat Non-leaded package)型の封止型のRFモジュールであり、半導体チップ2gと、リード部21と、ダイパッド部22と、ボンディングワイヤ8と、集積受動部品5と、封止樹脂6aとを有している。
【0198】
RFパワーモジュール1dでは、複数のリード部21により、信号用の伝送線路や電源用の導電パターンなどが構成されており、これら複数のリード部21は、同じリードフレームから加工されたものである。複数のリード部21を上下に所定の間隔を空けて配置した2層のリードフレームにより形成して、2層構造とすることもできる。
【0199】
リード部21は、封止樹脂6aの下面6bから露出している部分以外は、下面側にハーフエッチが施されて、封止樹脂6a内に封止されている。ダイパッド部22は、リード部21と同一のリードフレームから加工され、ダイパッド部22の下面は封止樹脂6aの下面6bから露出されている。
【0200】
半導体チップ2gは、ダイパッド部22上に半田などの導電性の接合材23を介して搭載されている。半導体チップ2gの表面の複数の電極2a(ボンディングパッド)は、それぞれボンディングワイヤ8を介してリード部21と電気的に接続されている。集積受動部品5の表面の複数のバンプ電極18(バンプ電極64に対応)は、それぞれリード部21に接合されて電気的に接続されている。また、リード部21間は、必要に応じて、ボンディングワイヤ8を介して電気的に接続されている。封止樹脂6aは、上記封止樹脂6と同様の材料により形成することができる。
【0201】
半導体チップ2gは、上記実施の形態1の半導体チップ2とほぼ同様の構成を有しているが、上記実施の形態1のRFパワーモジュール1の受動部品4により構成される受動素子を、できるだけ半導体チップ2g内に形成していればより好ましく、これにより、リード部4上に搭載する受動部品を省略することができる。半導体チップ2g内に形成されない受動素子については、リード部21上に受動部品(上記受動部品4に対応するが、図43では図示せず)として搭載すればよい。
【0202】
また、本実施の形態のRFパワーモジュール1dに用いられる集積受動部品5は、上記実施の形態1とほぼ同様の構成を有しているので、ここではその説明は省略する。
【0203】
本実施の形態においても、上記実施の形態1とほぼ同様の効果を得ることができる。また、本実施の形態では、配線基板の代わりに廉価なリードフレームを用いてRFパワーモジュール1dを製造しているので、RFパワーモジュール1dの更なる低コスト化が可能となる。
【0204】
また、本実施の形態では、上記実施の形態1と同様の集積受動部品5を用いてRFパワーモジュール1dを形成したが、集積受動部品5の代わりに上記実施の形態2と同様の集積受動部品5cを用いてRFパワーモジュールを形成することもできる。この場合、集積受動部品5cはリード部4上に搭載されて、集積受動部品5cの電極(ボンディングパッド)18aが、ボンディングワイヤ8を介してリード部21に電気的に接続される。また、半導体チップ2gの代わりに上記実施の形態3,4の半導体チップ2c,2eを用いて、RFパワーモジュールを形成することもできる。
【0205】
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0206】
本発明は、例えば、電力増幅モジュールおよびそれに用いられる集積受動部品または半導体装置とその製造方法に適用して好適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0207】
【図1】本発明の実施の形態1のRFパワーモジュールを構成する増幅回路の回路ブロック図である。
【図2】ローパスフィルタの回路構成例を示す回路図である。
【図3】本発明の実施の形1のRFパワーモジュールを用いたデジタル携帯電話機システムの一例の説明図である。
【図4】本発明の実施の形1のRFパワーモジュールの構造を示す上面図である。
【図5】本発明の実施の形1のRFパワーモジュールの断面図である。
【図6】半導体増幅素子をLDMOSFETにより形成した場合の半導体チップの要部断面図である。
【図7】半導体増幅素子をヘテロ接合型バイポーラトランジスタにより形成した場合の半導体チップの要部断面図である。
【図8】本発明の実施の形態1の集積受動部品の製造工程中の要部断面図である。
【図9】図8に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図10】図9に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図11】図10に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図12】図11に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図13】図12に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図14】図13に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図15】図14に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図16】図15に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図17】図16に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図18】本発明の実施の形態1の集積受動部品の構造を示す平面図である。
【図19】本発明の実施の形態1の集積受動部品の構造を示す平面図である。
【図20】比較例の集積受動部品の製造工程中の要部断面図である。
【図21】図20に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図22】図21に続く集積受動部品の製造工程中における要部断面図である。
【図23】リンを含有するニッケル膜の透磁率を示すグラフである。
【図24】銅膜とニッケル膜の積層膜によりインダクタ素子を形成した場合の、ニッケル膜の透磁率とインダクタ素子のQ値との相関を示すグラフである。
【図25】本発明の実施の形1のRFパワーモジュールの製造工程中の断面図である。
【図26】図25に続くRFパワーモジュールの製造工程中の断面図である。
【図27】図26に続くRFパワーモジュールの製造工程中の断面図である。
【図28】図27に続くRFパワーモジュールの製造工程中の断面図である。
【図29】本発明の実施の形態2の集積受動部品の製造工程中の要部断面図である。
【図30】本発明の実施の形2のRFパワーモジュールの断面図である。
【図31】本発明の実施の形2のRFパワーモジュールにおける集積受動部品の要部断面図である。
【図32】本発明の実施の形態3の半導体チップの製造工程中の要部断面図である。
【図33】図32に続く半導体チップの製造工程中における要部断面図である。
【図34】図33に続く半導体チップの製造工程中における要部断面図である。
【図35】図34に続く半導体チップの製造工程中における要部断面図である。
【図36】図35に続く半導体チップの製造工程中における要部断面図である。
【図37】図36に続く半導体チップの製造工程中における要部断面図である。
【図38】図37に続く半導体チップの製造工程中における要部断面図である。
【図39】図38に続く半導体チップの製造工程中における要部断面図である。
【図40】本発明の実施の形3のRFパワーモジュールの断面図である。
【図41】本発明の実施の形態4の半導体チップの製造工程中の要部断面図である。
【図42】本発明の実施の形4のRFパワーモジュールの断面図である。
【図43】本発明の実施の形5のRFパワーモジュールの断面図である。
【符号の説明】
【0208】
1,1a,1b,1c,1d RFパワーモジュール
2,2c,2e,2g 半導体チップ
2a,2f 電極
2b 裏面電極
2d バンプ電極
3 配線基板
3a 上面
3b 下面
4 受動部品
5 集積受動部品
5a 表面
5b 裏面
6,6a 封止樹脂
8 ボンディングワイヤ
11 絶縁体層
12a 基板側端子
12b 外部接続端子
12c 基準電位供給用端子
13 ビアホール
14 導体層
15 半田
17 半田
18 バンプ電極
18a 電極
19 アンダーフィル樹脂
20 金属キャップ
21 リード部
22 ダイパッド部
31 基板
32 絶縁膜
33 配線
34 容量素子
34a 下部電極
34b 容量絶縁膜
34c 上部電極
35 絶縁膜
36 開口部
37 絶縁膜
38 開口部
41 配線
43 絶縁膜
43a 絶縁膜
44 開口部
45 パッド部
51 シード膜
52 レジストパターン
52a 開口部
53 銅膜
54 ニッケル膜
55 配線
61 絶縁膜
62 開口部
63 金膜
64 バンプ電極
64a,64b,64c,64d バンプ電極
102A,102B 電力増幅回路
102A1,102A2,102A3,102B1,102B2,102B3 増幅段
102AM1,102AM2,102BM1,102BM2 整合回路
103 周辺回路
103A 制御回路
103A1 電源制御回路
103A2 バイアス電圧生成回路
103B バイアス回路
104a,104b 入力端子
105A,105B 整合回路
106a,106b 出力端子
107A,107B 整合回路
108A,108B ローパスフィルタ
111a,111b,111c インダクタ素子
112a,112b,112c 容量素子
113 並列共振回路
114,115 直列共振回路
116 入力端子
117 出力端子
118,119 グランド端子
151 フロントエンド・モジュール
152 ベースバンド回路、
153 変復調用回路
154a スイッチ回路
154b スイッチ回路
156 分波器
201 半導体基板
202 エピタキシャル層
203 溝
204 p型打抜き層
205 素子分離領域
206 p型ウエル
207 ゲート絶縁膜
208 ゲート電極
209 n型オフセットドレイン領域
210 n型ソース領域
211 サイドウォールスペーサ
212 n型オフセットドレイン領域
213 n型ドレイン領域
214 n型ソース領域
215 p型半導体領域
221 絶縁膜
222 コンタクトホール
223 プラグ
224 配線
224a ソース電極
224b ドレイン電極
225 絶縁膜
226 スルーホール
227 プラグ
228 配線
229 絶縁膜
230 裏面電極
241 絶縁膜
242 スルーホール
243 プラグ
251 GaAs基板
252 サブコレクタ層
253 HBT
254 コレクタ電極
255 コレクタメサ
256 ベースメサ
257 ベース電極
258 エミッタ層
259 エミッタ電極
261 絶縁膜
262 コンタクトホール
263 コレクタ配線
264 絶縁膜
265 スルーホール
266 エミッタ配線
271 シード膜
272 レジストパターン
272a 開口部
273 銅膜
274 ニッケル膜
275 配線
281 絶縁膜
282 開口部
283 金膜
284 バンプ電極
305 集積受動部品
352 レジストパターン
352a 開口部
354 ニッケル膜
355 配線
C5,C6 コンデンサ
CNT1,CNT2 切換信号
FLT1,FLT2 フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板と、
前記半導体基板上に形成された第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に形成された導体パターンとを有し、
前記導体パターンによりインダクタ素子が形成され、
前記インダクタ素子を形成する前記導体パターンは、銅を主成分とする第1導体膜と前記第1導体膜上に形成されたニッケルを主成分とする第2導体膜とを有する積層膜からなり、
前記導体パターンの前記第2導体膜の一部上に、外部接続端子用の金を主成分とする第3導体膜が形成され、
前記第2導体膜はリンを含有していることを特徴とする電子装置。
【請求項2】
請求項1記載の電子装置において、
前記第2導体膜のリンの含有率は、10重量%以上であることを特徴とする電子装置。
【請求項3】
請求項2記載の電子装置において、
前記第2導体膜のリンの含有率は、14重量%以下であることを特徴とする電子装置。
【請求項4】
請求項1記載の電子装置において、
前記第2導体膜は非磁性であることを特徴とする電子装置。
【請求項5】
請求項1記載の電子装置において、
前記第3導体膜上に半田バンプが形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項6】
請求項1記載の電子装置において、
前記第3導体膜は、ボンディングワイヤ接続用の端子として機能することを特徴とする電子装置。
【請求項7】
請求項1記載の電子装置において、
前記電子装置は、集積受動素子であることを特徴とする電子装置。
【請求項8】
請求項1記載の電子装置において、
前記半導体基板上に形成された電力増幅回路用の半導体増幅素子を更に有することを特徴とする電子装置。
【請求項9】
請求項1記載の電子装置において、
前記電子装置は電力増幅モジュールに使用され、
前記インダクタ素子は、前記電力増幅モジュールの電力増幅回路の出力が接続されるバンドパスフィルタを構成するためのインダクタ素子であることを特徴とする電子装置。
【請求項10】
電力増幅回路とインダクタ素子を含む電子装置であって、
前記インダクタ素子は、銅を主成分とする第1導体膜と前記第1導体膜上に形成されたニッケルを主成分とする第2導体膜とを有する積層膜からなる導体パターンにより形成され、
前記インダクタ素子に電気的に接続された端子部は、前記導体パターンの前記第2導体膜の一部上に形成された金を主成分とする第3導体膜を有し、
前記第2導体膜はリンを含有していることを特徴とする電子装置。
【請求項11】
請求項10記載の電子装置において、
前記第2導体膜のリンの含有率は、10重量%以上であることを特徴とする電子装置。
【請求項12】
請求項11記載の電子装置において、
前記第2導体膜のリンの含有率は、14重量%以下であることを特徴とする電子装置。
【請求項13】
請求項10記載の電子装置において、
前記第2導体膜は非磁性であることを特徴とする電子装置。
【請求項14】
請求項10記載の電子装置において、
前記第3導体膜上に半田バンプが形成されているか、あるいはボンディングワイヤが接続されていることを特徴とする電子装置。
【請求項15】
請求項10記載の電子装置において、
前記インダクタ素子は、前記電力増幅回路の出力が接続されたバンドパスフィルタを構成するインダクタ素子であることを特徴とする電子装置。
【請求項16】
請求項10記載の電子装置において、
前記電子装置は集積受動素子を有し、
前記インダクタ素子は前記集積受動素子内に形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項17】
請求項10記載の電子装置において、
前記電子装置は前記電力増幅回路用の半導体増幅素子が形成された半導体チップを有し、
前記インダクタ素子が前記半導体チップ内に形成されていることを特徴とする電子装置。
【請求項18】
電力増幅回路とインダクタ素子を含む電子装置の製造方法であって、
(a)基板上にレジスト膜を形成する工程、
(b)前記レジスト膜をパターニングする工程、
(c)パターニングされた前記レジスト膜の開口部上に銅めっき膜を形成する工程、
(d)前記銅めっき膜上に無電解ニッケルめっき膜を形成する工程、
(e)前記レジスト膜を除去する工程、
を有し、
前記銅めっき膜と前記銅めっき膜上の前記無電解ニッケルめっき膜とを有する積層膜により、前記インダクタ素子が形成され、
前記(d)工程で用いられるニッケルめっき液がリンを含有することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項19】
請求項18記載の電子装置の製造方法において、
前記(d)工程で形成された前記無電解ニッケルめっき膜が、10重量%以上のリンを含有することを特徴とする電子装置の製造方法。
【請求項20】
請求項18記載の電子装置の製造方法において、
前記(e)工程後に、
(f)イミド化された有機系絶縁材料を、前記基板上に前記銅めっき膜と前記無電解ニッケルめっき膜との積層膜を覆うように塗布する工程、
を更に有することを特徴とする電子装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【公開番号】特開2007−73611(P2007−73611A)
【公開日】平成19年3月22日(2007.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−256628(P2005−256628)
【出願日】平成17年9月5日(2005.9.5)
【出願人】(503121103)株式会社ルネサステクノロジ (4,790)
【Fターム(参考)】