説明

エンジンの排ガス浄化装置

【課題】 シリンダ内壁面のエンジンオイルを希釈せず、必要十分な量のポスト噴射を行うことで、排ガス処理手段を効率良く再生する。
【解決手段】 エンジン11の排ガスに含まれるNOxの吸蔵を行う排ガス処理手段16がエンジン11の排気通路14に設けられ、排気通路14内の排ガスに燃料を添加して排ガス処理手段16に燃料を供給する燃料添加手段17がエンジン11のシリンダ22にメイン噴射及びポスト噴射を行う蓄圧型燃料噴射装置である。エンジン11の排気行程の中期から後期にかけてエンジン11の排気弁が排気用動弁機構により閉止され、ポスト噴射が上記排気弁の閉止時の後期に行われる。排気用動弁機構は排気行程の末期から吸気行程の初期にかけて上記ポスト噴射された燃料がシリンダ22内で着火しないタイミングで排気弁を開放するように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンの排ガスに含まれるNOxを吸蔵するか又はパティキュレートを捕集することにより排ガス処理手段が排ガスを浄化するとともに、この排ガス処理手段を再生する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、排気通路にパティキュレートを捕集するフィルタが設けられ、このフィルタの再生時期になるとフィルタの再生処理を行うエンジンの排気浄化装置(例えば、特許文献1参照。)が開示されている。このエンジンの排気浄化装置では、フィルタの再生処理中に一定の目標再生速度が得られるようにエンジンの1サイクル当り2回のポスト噴射と排気の酸素濃度制御とを行う再生処理手段が設けられる。ポスト噴射はコモンレール式の燃料噴射装置により行われる。またフィルタの再生処理手段による再生処理期間が前期、中期及び後期から構成される。フィルタに酸化触媒が担持されている場合、前期は、触媒活性温度へと制御する昇温制御を行う前段と、フィルタのベッド温度をパティキュレートが自着火する温度である第1目標ベッド温度へと制御する昇温制御を行う後段とからなる。前期の前段では1サイクル当り排気温度上昇用の1回のポスト噴射が行われ、前期の後段では1サイクル当り排気温度上昇用とHC供給用の2回のポスト噴射が行われる。更に中期では1サイクル当り排気温度上昇用の1回のポスト噴射が行われ、後期では1サイクル当り排気温度上昇用とHC供給用の2回のポスト噴射が行われる。なお、2回のポスト噴射のうち1回目のポスト噴射時期はメイン噴射に近いピストンの上死点位置から上死点後60度の範囲に設定され、このポスト噴射で噴射された燃料はシリンダ内で燃焼して直接的に排気温度を上昇させるように構成される。また2回目のポスト噴射時期はピストンの上死点後60度以降に設定され、このポスト噴射で噴射された燃料はシリンダ内で殆ど燃焼せず、フィルタに担持された酸化触媒にHCとして供給されるように構成される。
【0003】
このように構成されたエンジンの排気浄化装置では、先ずフィルタの再生処理期間の前期に、フィルタのベッド温度を第1目標ベッド温度まで急速に上昇させる。次にフィルタの再生処理期間の中期に、フィルタのベッド温度を第1目標ベッド温度に維持した状態で、フィルタのベッド温度が許容最高温度を上回らないように第1酸素濃度制御を行う。これによりフィルタの耐久性の低下を防止できる。更にフィルタの再生処理期間の後期に、フィルタのベッド温度を第1目標ベッド温度より高い第2目標ベッド温度に維持した状態で、目標酸素濃度を第1酸素濃度制御時より大きくして十分な酸素をフィルタに供給する。これにより再生処理の終了間近にフィルタに残存するパティキュレートを迅速かつ確実に燃え切らせることができる。この結果、フィルタの再生処理期間を短縮できるとともに、フィルタをほぼ完全に再生できるようになっている。
【特許文献1】特開2004−183525号公報(請求項1〜7、段落[0014]〜段落[0019]、段落[0023]、段落[0032])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の特許文献1に示されたエンジンの排気浄化装置では、2回目のポスト噴射により噴射された燃料が未燃のままフィルタに担持された酸化触媒に供給されるけれども、この未燃燃料を1サイクル当り1回のポスト噴射で噴射すると、一度に比較的多量の燃料を噴射する必要があるため、その噴射速度が速く、噴射燃料がシリンダ内壁面に達してしまう。このため、シリンダ内壁面に潤滑膜を形成するエンジンオイルが上記噴射燃料により希釈されるため、エンジンの潤滑が阻害され、また十分な量の燃料をポスト噴射でフィルタに供給できない不具合があった。
本発明の目的は、シリンダ内壁面のエンジンオイルを希釈せず、必要かつ十分な燃料の噴射を行うことで、排ガス処理手段を効率良く再生できる、エンジンの排ガス浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、図1〜図3に示すように、エンジン11の排気通路14に設けられエンジン11の排ガスに含まれるNOxの吸蔵又はパティキュレートの捕集のいずれか一方又は双方を行う排ガス処理手段16と、排気通路14内の排ガスに燃料15を添加して排ガス処理手段16に燃料15を供給する燃料添加手段17とを備えたエンジンの排ガス浄化装置の改良である。
その特徴ある構成は、燃料添加手段17がエンジン11のシリンダ12に噴射時期及び噴射量をそれぞれ調整してメイン噴射及びポスト噴射を行う蓄圧型燃料噴射装置であり、エンジン11の排気行程の中期から後期にかけてエンジン11の排気弁12dが排気用動弁機構24により閉止され、ポスト噴射が上記排気弁12dの閉止時の後期に行われ、排気用動弁機構24が排気行程の末期からエンジン11の吸気行程の初期にかけて上記ポスト噴射された燃料15がシリンダ22内で着火しないタイミングで排気弁12dを開放するように構成されたところにある。
この請求項1に記載されたエンジンの排ガス浄化装置では、排ガスが排ガス処理手段16を通過するときに、この排ガス処理手段16に排ガス中のNOxが吸蔵され又はパティキュレートが捕集される。排ガス処理手段16のNOx吸蔵量又はパティキュレート捕集量が飽和状態に近付くと、排気用動弁機構24がエンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止し、蓄圧型燃料噴射装置17がこの排気弁12dの閉止時の後期にポスト噴射を行う。エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止することにより、シリンダ22内で燃焼したガスが圧縮されて高温になり、この高温になった時期にポスト噴射が行われるので、このポスト噴射された燃料15は速やかに気化する。これによりシリンダ22内壁面のエンジンオイルが上記ポスト噴射された燃料15により希釈されずに、上記ポスト噴射された未燃燃料15が排ガス処理手段16に達し、排ガス処理手段16に吸蔵されたNOxは未燃燃料15の主成分であるHC,CO又はH2と反応しN2,CO2,H2Oとなって排ガス浄化手段16から放出され、排ガス処理手段16に捕集されたパティキュレートは未燃燃料15の酸化による反応熱で燃焼除去される。
【0006】
請求項3に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図1〜図3に示すように、排ガス処理手段16がNOx吸蔵還元触媒であり、このNOx吸蔵還元触媒16のNOx吸蔵量をコントローラ47がエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づく予測マップから積算し、コントローラ47が上記積算された吸蔵量に基づいて燃料添加手段16又は燃料添加手段及び排気用動弁機構を制御するように構成されたことを特徴とする。
この請求項3に記載されたエンジンの排ガス浄化装置では、排ガスがNOx吸蔵還元触媒16を通過するときに、この触媒16中のNOx吸収剤が排ガス中のNOxを硝酸塩として吸蔵し、この触媒16に担持された活性金属がその酸化作用により排ガス中の炭化水素を酸化する。触媒16のNOx吸蔵量が飽和状態に近付くと、排気用動弁機構24がエンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止し、蓄圧型燃料噴射装置17がこの排気弁12dの閉止時の後期にポスト噴射を行う。エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止することにより、シリンダ22内で燃焼したガスが圧縮されて高温になり、この高温になった時期にポスト噴射が行われるので、このポスト噴射された燃料15は速やかに気化する。これによりシリンダ22内壁面のエンジンオイルが上記ポスト噴射された燃料15により希釈せず、触媒16入口の排ガス中の炭化水素濃度が増加するので、触媒16入口部で炭化水素と排ガス中の酸素とが反応して酸素を消費する。この結果、触媒16入口より排ガス下流側の排ガスの空気過剰率が低下するとともに、HC,CO又はH2が還元剤として増加するので、触媒16に吸蔵されたNOxが上記HC等と反応しN2,CO2,H2Oとなって触媒16から放出される。また排ガス中のHCが最適な濃度であるので、これらのHCの大部分を触媒16で還元剤として機能させることができる。
【0007】
請求項4に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に図9に示すように、排ガス処理手段96が酸化触媒付パティキュレートフィルタであり、この酸化触媒付パティキュレートフィルタ96のパティキュレート捕集量をコントローラ47がエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づく予測マップから積算し、コントローラ47が上記積算された捕集量に基づいて燃料添加手段96又は燃料添加手段及び排気用動弁機構を制御するように構成されたことを特徴とする。
この請求項4に記載されたエンジンの排ガス浄化装置では、排ガスが酸化触媒付パティキュレートフィルタ96を通過するときに、このフィルタ96が排ガス中のパティキュレートを捕集する。フィルタ96のパティキュレート捕集量が飽和状態に近付くと、排気用動弁機構24がエンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止し、蓄圧型燃料噴射装置17がこの排気弁12dの閉止時の後期にポスト噴射を行う。エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止することにより、シリンダ22内で燃焼したガスが圧縮されて高温になり、この高温になった時期にポスト噴射が行われるので、このポスト噴射された燃料は速やかに気化する。これによりシリンダ22内壁面のエンジンオイルが上記ポスト噴射された燃料により希釈されず、フィルタ96に達した未燃燃料は酸化触媒上で酸化反応して熱を発し、この反応熱によりフィルタ96の温度が更に上昇して、フィルタ96に捕集されたパティキュレートが燃焼除去される。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本発明によれば、排ガス処理手段のNOx吸蔵量又はパティキュレート捕集量が飽和状態に近付くと、エンジンの排気行程の中期から後期にかけて排気用動弁機構が排気弁を閉止するので、シリンダ内で燃焼したガスが圧縮されて高温になり、この高温状態で蓄圧型燃料噴射装置がポスト噴射を行うので、この燃料は速やかに気化する。この結果、シリンダ内壁面のエンジンオイルが上記ポスト噴射された燃料により希釈されずに、上記ポスト噴射された未燃燃料が排ガス処理手段に達するので、排ガス処理手段に吸蔵されたNOxは未燃燃料の主成分であるHC,CO又はH2と反応しN2,CO2,H2Oとなって排ガス浄化手段から放出され、排ガス処理手段に捕集されたパティキュレートは未燃燃料の酸化による反応熱で燃焼除去されて、排ガス処理手段を効率良く再生できる。
また排ガス処理手段がNOx吸蔵還元触媒であり、このNOx吸蔵還元触媒のNOx吸蔵量をコントローラがエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づく予測マップから積算し、コントローラが上記積算された吸蔵量に基づいて燃料添加手段又は燃料添加手段及び動弁機構を制御するように構成すれば、気化した未燃燃料が触媒入口の排ガス中の炭化水素濃度を増加させる。この結果、触媒入口部でHCと排ガス中の酸素とが反応して酸素が消費され、酸素が殆ど無い状態でHC等が還元剤として増加するので、触媒に吸蔵されたNOxが上記HC等と反応しN2等となって触媒から放出され、触媒を効率良く再生できる。また排ガス中のHCを最適な濃度にすることができるので、これらのHCの大部分をNOx吸蔵還元触媒で還元剤として機能させることができる。
更に排ガス処理手段が酸化触媒付パティキュレートフィルタであり、この酸化触媒付パティキュレートフィルタのパティキュレート捕集量をコントローラがエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づく予測マップから積算し、コントローラが上記積算された捕集量に基づいて燃料添加手段又は燃料添加手段及び動弁機構を制御するように構成すれば、気化された未燃燃料は酸化触媒上で酸化反応して熱を発する。この結果、この反応熱によりフィルタの温度が更に上昇して、フィルタに捕集されたパティキュレートが燃焼除去されるので、触媒を効率良く再生できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
<第1の実施の形態>
図1〜図3に示すように、ディーゼルエンジン11の吸気ポート12aには吸気マニホルド13aを通して吸気管13bが連通接続され、排気ポート12bには排気マニホルド14aを通して排気管14bが連通接続される。上記排気管14bの途中には、排ガス処理手段としてNOx吸蔵還元触媒16が設けられる。NOx吸蔵還元触媒16は、排気管14bに流入する排ガス中のNOxを吸蔵し、かつ排ガス中の炭化水素(HC)濃度が増加したときに上記吸蔵したNOxを放出して再生処理される白金−バリウム−アルミナ触媒である。この触媒16は、図示しないが排ガスの流れる方向に格子状又はハニカム状の通路が形成されたコージェライト製のモノリス担体と、このモノリス担体上に形成されかつNOx吸蔵剤及び貴金属(活性金属)が担持されたコート層とを有する。なお、活性金属としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)などが挙げられる。また吸気ポート12aは吸気弁12cにより開閉され、排気ポート12bは排気弁12dにより開閉される。吸気弁12c及び排気弁12dは、図2に示すように、各ポート12a,12bにそれぞれ2つずつ設けられるが、図3では簡略化のために吸気弁12c及び排気弁12dを各ポート12a,12bに1つずつ示した。
【0010】
一方、エンジン11には、排気管14b内の排ガスに燃料15を添加して触媒16に燃料15を供給する燃料添加手段17が設けられる(図1及び図3)。燃料添加手段17は、エンジン11のシリンダ22に噴射される燃料15の噴射時期及び噴射量をそれぞれ調整してシリンダ22(図2及び図3)にメイン噴射及びポスト噴射を行う蓄圧型燃料噴射装置である。この蓄圧型燃料噴射装置17は、シリンダヘッド12に装着された電子制御のインジェクタ18と、これらのインジェクタ18に燃料圧送管19を介して接続されたコモンレール20と、このコモンレール20に燃料供給管21を介して接続された燃料供給ポンプ(図示せず)とを有する(図1及び図2)。上記インジェクタ18は、各シリンダ22に臨むようにシリンダヘッド12に挿入された噴射ノズル18a(図3)と、噴射ノズル18aの噴孔を開閉可能なニードル弁(図示せず)と、噴射ノズル18aの基端に設けられニードル弁を複合ピストン及び一方向オリフィス板を介して上下動させるインジェクタ用電磁弁18b(図1)とからなる。このインジェクタ用電磁弁18bがオフの状態では噴射ノズル18aの噴孔が閉止され、オンすると噴孔が開いて燃料15がシリンダ22に噴射されるように構成される。また吸気ポート12a及び排気ポート12bは、各シリンダ22に臨むようにシリンダヘッド12にそれぞれ形成され、各シリンダ22にはピストン23が上下動可能に収容される(図2及び図3)。
【0011】
上記エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dが排気用動弁機構24により閉止されるように構成される。排気用動弁機構24は、この実施の形態では、機械式の機構であり、エンジン11のクランク軸(図示せず)により回転駆動される排気用カム26と、この排気用カム26の外周面に当接しシリンダブロック27に上下動可能に挿入された排気用タペット28と、シリンダヘッド12に揺動可能に取付けられた排気用ロッカアーム29と、排気用タペット28と排気用ロッカアーム29の基端との間に介装された排気用プッシュロッド31と、シリンダヘッド12に立設された排気用案内軸32に上下動可能に嵌入され排気用ロッカアーム29の先端と2つの排気弁12d,12dの頭部との間に介装された排気用ブリッジ33と、排気弁12dを押上げて排気ポート12bを閉止する方向に付勢する排気用ばね34(圧縮コイルばね)とを有する。図2の符号36は吸気用動弁機構である。この吸気用動弁機構36は、エンジン11のクランク軸により回転駆動される吸気用カム(図示せず)と、この吸気用カムの外周面に当接しシリンダブロックに上下動可能に挿入された吸気用タペット(図示せず)と、シリンダヘッド12に揺動可能に取付けられた吸気用ロッカアーム37と、吸気用タペットと吸気用ロッカアーム37の基端との間に介装された吸気用プッシュロッド38と、シリンダヘッド12に立設された吸気用案内軸39に上下動可能に嵌入され吸気用ロッカアーム37の先端と2つの吸気弁12c,12cの頭部との間に介装された吸気用ブリッジ41と、吸気弁12cを押上げて吸気ポート12aを閉止する方向に付勢する吸気用ばね42(圧縮コイルばね)とを有する。
【0012】
排気用カム26の外周面には、エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止するための凹部26cが第1及び第2突起26a,26bに挟まれて設けられる。即ち、排気用カム26の外周面には、第1突起26aがエンジン11の排気行程の前期から中期にかけてエンジン11の排気弁12dを開放するために設けられ、凹部26cがエンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止するために設けられ、第2突起26bがエンジン11の排気行程の末期から吸気行程の初期にかけてエンジン11の排気弁12dを再び開放するために設けられる。具体的には、エンジン11の排気行程の開始時であるピストン23の下死点位置をクランク角度0度とするとき、第1突起26aはクランク角度−20〜90度の範囲に設けられ、凹部26cはクランク角度90〜150度の範囲に設けられ、第2突起26bはクランク角度150〜200度の範囲に設けられる。なお、第1突起26aをクランク角度−20〜100度の範囲に設け、凹部26cをクランク角度100〜140度の範囲に設け、第2突起26bをクランク角度140〜200度の範囲に設けることが好ましい。またポスト噴射は、蓄圧型燃料噴射装置17により上記排気弁12dの閉止時の後期、具体的にはクランク角度110〜140度、好ましくは120〜130度の範囲内で行われる。更にこのポスト噴射の噴射量は、メイン噴射の噴射量を100%とするとき、20〜100%、好ましくは30〜50%である。
【0013】
ここで、凹部26cをクランク角度90〜150度の範囲に限定して設けたのは、90度未満ではシリンダ22内の圧力及び温度が高くなり過ぎてポスト噴射された燃料15がシリンダ22内で燃焼するおそれがあり、150度を越えるとポスト噴射によるシリンダ22内の未燃燃料15が排気ポート12bから排出できずにシリンダ22内に残ってしまうからである。また、ポスト噴射の時期をクランク角度110〜140度の範囲に限定したのは、110度未満ではシリンダ22内の温度が低すぎてポスト噴射された燃料15が十分に気化せずにシリンダ22内壁に付着するおそれがあり、140度を越えるとシリンダ22内にポスト噴射された燃料15が十分に気化しないうちに排気ポート12bから排出されてしまうからである。更に、ポスト噴射の噴射量を20〜100%の範囲に限定したのは、20%未満では触媒16が十分な還元雰囲気にならず、100%を越えるとエンジンオイルが希釈されたり触媒16の温度が上昇し過ぎるからである。
【0014】
エンジン11の負荷は負荷センサ43により検出され、エンジン11の回転速度は回転センサ44により検出される(図1)。また触媒16より排ガス上流側の排気管14bには、この排気管14b内を流通する排ガス温度を検出する温度センサ46が設けられる。上記負荷センサ43、回転センサ44及び温度センサ46の各検出出力はコントローラ47の制御入力に接続され、コントローラ47の制御出力は各インジェクタ用電磁弁18bに接続される。またコントローラ47にはメモリ48が設けられる。このメモリ48には、負荷センサ43及び回転センサ44の検出するエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づく触媒16のNOx吸蔵量を予測するマップが記憶される。
【0015】
このように構成された排ガス浄化装置の動作を説明する。
エンジン11を始動し、温度センサ46が220℃未満の排ガス温度を検出し、コントローラ47が、負荷センサ43の検出するエンジン負荷と、回転センサ44の検出するエンジン回転速度に基づいて、メモリ48に記憶されたNOx吸蔵量予測マップから触媒16のNOx吸蔵量を積算し、この吸蔵量が所定量未満であると判断すると、エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dが閉止しても、コントローラ47は燃料15のポスト噴射を行わず、通常の運転状態となるように各インジェクタ用電磁弁18bを制御する。これによりエンジン11から排出された排ガスは排気管14bを通って触媒16に至り、この触媒16を通過する。このとき排ガスに含まれるNOxは上記触媒16に吸蔵される。触媒16のコート層に担持されるNOx吸収剤として例えばバリウム(Ba)を用いれば、エンジン11から排出されたNOxは上記触媒16において排ガス中のO2と反応してNO2となり、更に触媒16中のBaO,BaCO3と反応して[Ba(NO32]が生成され、この状態で触媒16に吸蔵される。また排ガスに含まれるHCは触媒16のコート層に担持された貴金(活性金属)の酸化作用により酸化される。
【0016】
温度センサ46が220℃以上の排ガス温度を検出した状態で、触媒16のNOx吸蔵量が飽和状態に近付いたとコントローラ47が判断すると、コントローラ47は各インジェクタ用電磁弁18bを制御して、エンジン11に燃料15をメイン噴射するとともに(図3(a)及び図4)、エンジン11の排気行程の中期から後期における排気弁12dの閉止時の後期にシリンダ22内にポスト噴射を行う(図3(h)及び図4)。エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止することにより(図3(f)〜(h))、シリンダ22内で燃焼したガスが圧縮されて高温になり、この高温になった時期にポスト噴射が行われ(図3(h))、このポスト噴射による燃料15は速やかに気化する。この結果、ポスト噴射された燃料15はシリンダ22内壁に付着しないので、シリンダ22内壁面のエンジンオイルが燃料により希釈されることはない。次に上記気化した未燃燃料15は、エンジン11の排気行程の末期から吸気行程の初期にかけてシリンダ22内で着火しないタイミングで開放された排気ポート12bから排出され(図3(i)〜(j))、排気マニホルド14a及び排気管14bを通って触媒16に達する。未燃燃料15が触媒16に供給されることにより、触媒16上の酸素濃度が相対的に低下する、即ち触媒16入口の排ガスの空気過剰率が低下するとともに、HC,CO又はH2が還元剤として増加するので、触媒16に吸蔵されたNOxが触媒16から次のように放出される。先ず上記触媒16に吸蔵された[Ba(NO32]が排ガス中の上記還元剤と反応してNO2或いはN2まで還元され、次に触媒16が選択性の良い還元触媒として機能し、上記NO2が排ガス中のCO,HCと反応して無害なN2,CO2,H2Oが生成されて大気に排出される。この結果、触媒16が再生されるので、再び触媒16により排ガス中のNOxを吸蔵でき、触媒16出口の排ガス中に含まれるNOxを低減できる。
【0017】
<第2の実施の形態>
図5〜図9は本発明の第2の実施の形態を示す。図5〜図9において図1及び図2と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、排気用動弁機構64として、機械式の機構と油圧式の機構を組合せた機構が用いられる。具体的には、排気用カム66が通常時用カム66aと再生時用カム66bとから構成され、排気用タペット68に油圧シリンダが内蔵される(図5〜図8)。通常時用カム66aは略楕円状に形成され、再生時用カム66bは第1の実施の形態の排気用カムと同様に凹部66eと第1突起66cと第2突起66dとを有する。排気用タペット68は、上端が排気用プッシュロッド31の下端に当接し下端が再生時用カム66bの外周面に当接するタペット本体69と、このタペット本体69に摺動可能に嵌入され下端が通常時用カム66aの外周面に当接するタペットハウジング71とを備える。タペット本体69の上端及び下端は大径に形成され、タペット本体69の中央にはタペット用ピストン69aが設けられる。タペットハウジング71はアッパハウジング71a及びロアハウジング71bを互いに嵌合することにより形成され、タペットハウジング71の中央には上記タペット用ピストン69aを摺動可能に収容するピストン収容部71cが形成される。またピストン収容部71cの上端にはこのピストン収容部71cより小径の第1油給排室71dがピストン収容部71cに連通して形成され、ピストン収容部71cの下端にはこのピストン収容部71cより小径の第2油給排室71eがピストン収容部71cに連通して形成される。
【0018】
エンジン11のシリンダブロック67には、第1油給排室71dを囲む筒状の第1中継室67aと、第2油給排室71eを囲む筒状の第2中継室67bとがそれぞれ形成される。第1油給排室71dと第1中継室67aとは、排気用タペット68が上下動しても或いはタペット本体69及びタペットハウジング71が相対的に変位しても第1連通孔71fにより常に連通接続され、第2油給排室71eと第2中継室67bとは、排気用タペット68が上下動しても或いはタペット本体69及びタペットハウジング71が相対的に変位しても第2連通孔71gにより常に連通接続される。また第1及び第2油給排室71d,71eは4ポート2位置切換えのタペット用電磁弁72及び油圧ポンプ73を介してオイルパン74に接続される(図7及び図8)。油圧ポンプ73はエンジン11により駆動され、上記油圧シリンダに供給される油としてはエンジンオイルが用いられる。更に負荷センサ、回転センサ及び温度センサの各検出出力はコントローラの制御入力に接続され、コントローラの制御出力は各インジェクタ用電磁弁及びタペット用電磁弁71に接続される(図9)。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0019】
このように構成されたエンジンの排ガス浄化装置の動作を説明する。
エンジン11を始動し、温度センサ46が220℃未満の排ガス温度を検出し、コントローラ47が、負荷センサ43の検出するエンジン負荷と、回転センサ44の検出するエンジン回転速度に基づいて、メモリ48に記憶されたNOx吸蔵量予測マップから触媒16のNOx吸蔵量を積算し、この吸蔵量が所定量未満であると判断すると、タペット用電磁弁72を制御して、第2油給排室71eにエンジンオイルを導入しかつ第1油給排室71dのエンジンオイルを排出する。これによりタペット本体69がタペットハウジング71に対して相対的に上昇し、タペットハウジング71の下端が通常時用カム66aの外周面に当接し、排気用タペット68が通常時用カム66aの外周面の形状に沿って上下動し排気弁12dを開閉する(図6及び図8)。この結果、エンジン11の排気行程の中期から後期にかけてシリンダ22内の燃焼したガスの無用な圧縮を行わないので、エンジン効率の低下を抑制できる。またコントローラ47はエンジン11の排気行程の中期から後期にかけてポスト噴射を行わず、通常の運転状態となるように各インジェクタ用電磁弁18bを制御する。これによりエンジン11から排出された排ガスは排気管14bを通って触媒16を通過する。このとき排ガスに含まれるNOxは上記触媒16に吸蔵される。触媒16のコート層に担持されるNOx吸収剤として例えばバリウム(Ba)を用いれば、エンジン11から排出されたNOxは上記触媒16において排ガス中のO2と反応してNO2となり、更に触媒16中のBaO,BaCO3と反応して[Ba(NO32]が生成され、この状態で触媒16に吸蔵される。また排ガスに含まれるHCは触媒16のコート層に担持された貴金(活性金属)の酸化作用により酸化される。
【0020】
温度センサ46が220℃以上の排ガス温度を検出した状態で、触媒16のNOx吸蔵量が飽和状態に近付いたとコントローラ47が判断すると、コントローラ47は各インジェクタ用電磁弁18bを制御して、エンジン11に燃料をメイン噴射するとともに、所定の時期にポスト噴射する。またコントローラ47はタペット用電磁弁72を制御して、第1油給排室71dにエンジンオイルを導入しかつ第2油給排室71eのエンジンオイルを排出する。これによりタペット本体69がタペットハウジング71に対して相対的に下降し、タペットハウジング71の下端が再生時用カム66bの外周面に当接し、排気用タペット68が再生時用カム66bの外周面の形状に沿って上下動し排気弁12dを開閉する(図5及び図7)。上記ポスト噴射はエンジン11の排気行程の中期から後期における排気弁12dの閉止時の後期に行う。エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dを閉止することにより、シリンダ22内で燃焼したガスが圧縮されて高温になり、この高温になった時期にポスト噴射が行われ、このポスト噴射による燃料は速やかに気化する。この結果、ポスト噴射された燃料はシリンダ22内壁に付着しないので、シリンダ22内壁面のエンジンオイルが燃料により希釈されることはない。上記以外の動作は第1の実施の形態と略同様であるので、繰返しの説明を省略する。
【0021】
<第3の実施の形態>
図10は本発明の第3の実施の形態を示す。図10において図1と同一符号は同一部品を示す。
この実施の形態では、排ガス浄化手段96が酸化触媒付パティキュレートフィルタである。このフィルタ96は酸化触媒としての機能を有するハニカムフィルタであって、コージェライトのようなセラミックスからなる多孔質の隔壁(図示せず)で仕切られた多角形断面を有する。このフィルタ96は、図示しないが上記隔壁により多数の互いに平行に形成された貫通孔の相隣接する入口部と出口部を交互に実質的に封止することにより構成される。また隔壁には、白金−ゼオライト触媒又は白金−セリア−ゼオライト触媒がコーティングされる。白金−ゼオライト触媒はコージェライトからなるハニカム担体に水素イオン交換ゼオライト粉末(H−ZSM−5)を含むスラリーをコーティングした後、白金(活性金属)を担持させて構成される。また白金−セリア−ゼオライト触媒は、コージェライトからなるハニカム担体に水素イオン交換ゼオライト26f(H−ZSM−5)の粉末及びセリア(CeO2)の粉末を含むスラリーをコーティングした後、白金(活性金属)を担持させて構成される。このようなコーティングにより、フィルタに煤や炭化水素(HCなど)の酸化力が付与される。このフィルタ96の入口側から導入されたエンジン11の排ガスは多孔質の隔壁を通過する際に、この排ガスに含まれる微粒子がろ過されて、出口側から排出されるように構成される。なお、コントローラ47に設けられたメモリ48には、負荷センサ43及び回転センサ44の検出するエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づくフィルタ96のパティキュレート捕集量を予測するマップが記憶される。上記以外は第1の実施の形態と同一に構成される。
【0022】
このように構成されたエンジンの排ガス浄化装置の動作を説明する。
エンジン11を始動し、温度センサ46が250℃未満の排ガス温度を検出し、コントローラ47が、負荷センサ43の検出するエンジン負荷と、回転センサ44の検出するエンジン回転速度に基づいて、メモリ48に記憶されたパティキュレート捕集量予測マップからフィルタ96のパティキュレート捕集量を積算し、この捕集量が所定量未満であると判断すると、エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁12dが閉止しても、コントローラ47は燃料のポスト噴射を行わず、通常の運転状態となるように各インジェクタ用電磁弁18bを制御する。これによりエンジン11から排出された排ガスは排気管14bを通ってフィルタ96を通過する。このとき排ガスに含まれるパティキュレートは上記フィルタ96に捕集される。
【0023】
温度センサ46が250℃以上の排ガス温度を検出した状態で、フィルタ96のパティキュレート捕集量が飽和状態に近付いたとコントローラ47が判断すると、コントローラ47は各インジェクタ用電磁弁18bを制御して、エンジン11に燃料をメイン噴射するとともに、エンジン11の排気行程の中期から後期における排気弁の閉止時の後期にシリンダ22内にポスト噴射を行う。エンジン11の排気行程の中期から後期にかけて排気弁を閉止することにより、シリンダ22内で燃焼したガスが圧縮されて高温になり、この高温になった時期にポスト噴射が行われ、このポスト噴射による燃料は速やかに気化する。この結果、ポスト噴射された燃料はシリンダ22内壁に付着しないので、シリンダ22内壁面のエンジンオイルが燃料により希釈されることはない。次に上記気化した未燃燃料は、エンジン11の排気行程の末期から吸気行程の初期にかけてシリンダ22内で着火しないタイミングで開放された排気ポートから排出され、排気マニホルド14a及び排気管14bを通ってフィルタ96に達する。フィルタ96に達した未燃燃料は酸化触媒上で酸化反応して熱を発し、この反応熱によりフィルタ96の温度が更に上昇して、フィルタ96に捕集されたパティキュレートが燃焼除去される。
【0024】
なお、上記第1の実施の形態では、排気用動弁機構として、排気用カム、排気用タペット、排気用プッシュロッド、排気用ロッカアーム等を用いた機械式の機構を挙げたが、排気用カム、排気用タペット、排気用プッシュロッド、排気用ロッカアーム等を用いずに、油圧シリンダ等の油圧式の機構、又はリニアソレノイド等の電磁式の機構を用いた排気用動弁機構であってもよい。
また、上記第2の実施の形態では、排気用動弁機構として、通常時用カム及び再生時用カムからなる排気用カム、排気用タペット、排気用プッシュロッド、排気用ロッカアーム等の機械式の機構と、排気用タペットに内蔵された油圧シリンダ等の油圧式の機構とを組合せた機構を挙げたが、上記機械式の機構と、排気用タペットに内蔵されたリニアソレノイド等の電磁式の機構とを組合せた機構であってもよい。
更に、上記第1の実施の形態では、排ガス処理手段としてNOx吸蔵還元触媒を挙げ、上記第2の実施の形態では、排ガス処理手段として酸化触媒付パティキュレートフィルタを挙げたが、排ガス処理手段をNOx吸蔵還元触媒及び酸化触媒付パティキュレートフィルタの両方により構成してもよい。この場合、排気管に排ガス上流側からNOx吸蔵還元触媒及び酸化触媒付パティキュレートフィルタの順に設ける。そして燃料のポスト噴射により生成されたHCの一部が触媒をそのまま通過した場合、触媒出口のHC濃度は増大するけれども、この未燃のHCは触媒付きのパティキュレートフィルタにより捕集される。このフィルタに捕集された未燃のHCは、未燃燃料を含まず空気過剰率の高いリーン状態の排ガスがフィルタに流入したときに、このフィルタに担持された貴金属(Pt、Pd、Rh等の活性金属)の酸化作用により酸化・燃焼される。このため、フィルタ出口のHC濃度は低く抑えられるので、大気中へのHCの排出を抑制できるとともに、フィルタ上に捕集された煤を含むパティキュレートを上記反応熱で燃焼処理できるので、大気中へのパティキュレートの排出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明第1実施形態のエンジンを含む排ガス浄化装置を示す構成図である。
【図2】エンジンの排気行程で排気弁を一時的に閉じた状態を示すエンジン及び動弁機構の要部断面図である。
【図3】そのエンジンの膨張行程から排気行程の動作を示すエンジンの要部断面図である。
【図4】主噴射とポスト噴射の時期及び量とともに排気弁及び吸気弁の開閉時期をそれぞれ示す図である。
【図5】第2実施形態のエンジンの排気行程で排気弁を一時的に閉じた状態を示すエンジン及び動弁機構の要部断面図である。
【図6】エンジンの排気行程で排気弁を開いている通常の運転状態を示すエンジン及び動弁機構の要部断面図である。
【図7】図5のA−A線断面図である。
【図8】図6のB−B線断面図である。
【図9】エンジンを含む排ガス浄化装置を示す図1に対応する構成図である。
【図10】本発明第3実施形態を示す図1に対応する構成図である。
【符号の説明】
【0026】
11 ディーゼルエンジン(エンジン)
12d 排気弁
14 排気通路
15 燃料
16 NOx吸蔵還元触媒(排ガス処理手段)
17 蓄圧型燃料噴射装置(燃料添加手段)
22 エンジンのシリンダ
24,64 排気用動弁機構
47 コントローラ
96 酸化触媒付パティキュレートフィルタ(排ガス処理手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(11)の排気通路(14)に設けられ前記エンジン(11)の排ガスに含まれるNOxの吸蔵又はパティキュレートの捕集のいずれか一方又は双方を行う排ガス処理手段(16,96)と、前記排気通路(14)内の排ガスに燃料(15)を添加して前記排ガス処理手段(16,96)に前記燃料(15)を供給する燃料添加手段(17)とを備えたエンジンの排ガス浄化装置において、
前記燃料添加手段(17)が前記エンジン(11)のシリンダ(22)に噴射時期及び噴射量をそれぞれ調整してメイン噴射及びポスト噴射を行う蓄圧型燃料噴射装置であり、
前記エンジン(11)の排気行程の中期から後期にかけて前記エンジン(11)の排気弁(12d)が排気用動弁機構(24,64)により閉止され、
前記ポスト噴射が前記排気弁(12d)の閉止時の後期に行われ、
前記排気用動弁機構(24,64)が前記排気行程の末期から前記エンジン(11)の吸気行程の初期にかけて前記ポスト噴射された燃料(15)が前記シリンダ(22)内で着火しないタイミングで前記排気弁(12d)を開放するように構成された
ことを特徴とするエンジンの排ガス浄化装置。
【請求項2】
排気用動弁機構(24,64)が、機械式、油圧式及び電磁式からなる群より選ばれた1種又は2種以上の方式を用いた機構である請求項1記載のエンジンの排ガス浄化装置。
【請求項3】
排ガス処理手段(16)がNOx吸蔵還元触媒であり、このNOx吸蔵還元触媒(16)のNOx吸蔵量をコントローラ(47)がエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づく予測マップから積算し、前記コントローラ(47)が前記積算された吸蔵量に基づいて燃料添加手段(17)又は燃料添加手段(17)及び排気用動弁機構(24,64)を制御するように構成された請求項1記載のエンジンの排ガス浄化装置。
【請求項4】
排ガス処理手段(96)が酸化触媒付パティキュレートフィルタであり、この酸化触媒付パティキュレートフィルタ(96)のパティキュレート捕集量をコントローラ(47)がエンジン負荷及びエンジン回転速度に基づく予測マップから積算し、前記コントローラ(47)が前記積算された捕集量に基づいて燃料添加手段(17)又は燃料添加手段(17)及び排気用動弁機構(24,64)を制御するように構成された請求項1記載のエンジンの排ガス浄化装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−132457(P2006−132457A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−323094(P2004−323094)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(000005463)日野自動車株式会社 (1,484)
【Fターム(参考)】